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特表2024-529484キメラタンパク質および免疫治療の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】キメラタンパク質および免疫治療の方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/869 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/863 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 9/14 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/47
C07K14/705
C12N15/867 Z
C12N15/869 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/864 Z
C12N15/863 Z
A61P35/00
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P17/10
A61P11/02
A61P37/08
A61P11/06
A61P9/10
A61P17/00
A61P37/02
A61P11/00
A61P1/00
A61P1/16
A61P13/08
A61P13/12
A61P1/04
A61P13/10
A61P27/02
A61P27/16
A61P25/04
A61P19/02
A61P31/04
A61P37/06
A61P31/06
A61P9/14
A61P25/00
A61P3/10
A61P25/08
A61P21/00
A61P7/06
A61P21/04
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K38/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505279
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022071407
(87)【国際公開番号】W WO2023006975
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21306069.2
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.Span
(71)【出願人】
【識別番号】513246469
【氏名又は名称】インサーム(インスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル)
【氏名又は名称原語表記】INSERM(INSTITUT NATIONAL DELA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE)
(71)【出願人】
【識別番号】507421289
【氏名又は名称】ナント・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】NANTES UNIVERSITE
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ボワスジェロール,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ペティトーム,タシアン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA44
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA06
4C084ZA08
4C084ZA33
4C084ZA34
4C084ZA36
4C084ZA44
4C084ZA45
4C084ZA55
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA68
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZB26
4C084ZB35
4C084ZC35
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC01
4C085CC08
4C085DD42
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)はリンカーであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)はリンカーであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸またはキメラタンパク質に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、
- N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸。
【請求項2】
- N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、
- N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、キメラタンパク質。
【請求項3】
前記シグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメイン(a)は、単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ三量体、またはヘテロ三量体である、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
前記シグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメイン(c)は、単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ三量体、またはヘテロ三量体である、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
前記シグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメイン(a)は、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗TIGIT、抗TIM-3、抗VISTA、抗BTLA、抗LAG3、抗CD28、抗メソテリン(抗MSLN)、抗CD19、抗HER2から選択される、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
前記機能的リンカー(b)は、腫瘍関連抗原(TAA)または寛容抗原から選択される、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
前記腫瘍関連抗原(TAA)は、NY-ESO-1、メランA抗原、またはMUC-1である、請求項6に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項6に記載のキメラタンパク質。
【請求項8】
前記シグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメイン(c)は、4-1BBL、OX-40リガンド(OX-40L)、LIGHT(CD258)、GITRリガンド(GITRL)、CD70、CD30リガンド、CD40リガンド(CD40L)、TRAIL、およびTL1Aから選択されるシグナリングドメインである、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項9】
前記キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項10】
前記キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[三量体OX-40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項11】
前記キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[二量体4-1BBLおよび単量体OX-40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい、請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸または請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
処置を必要とする対象におけるがんまたは炎症性疾患を処置する方法であって、
- N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、
- N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、キメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項13】
前記炎症性疾患は、尋常性ざ瘡、急性炎症、アレルギー性鼻炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、自己免疫性疾患、自己炎症性疾患、常染色体劣性痙性失調症、気管支拡張症、セリアック病、慢性胆嚢炎、慢性炎症、慢性前立腺炎、大腸炎、憩室炎、家族性好酸球増加症(fe)、糸球体腎炎、グリセロールキナーゼ欠乏症、化膿性汗腺炎、過敏症、炎症、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、間質性膀胱炎、喉頭炎症性疾患、リー症候群、扁平苔癬、マスト細胞賦活化症候群、マスト細胞症、眼炎症性疾患、耳炎、疼痛、骨盤炎症性疾患、再灌流傷害、呼吸器疾患、再狭窄、リウマチ熱、関節リウマチ、鼻炎、サルコイドーシス、敗血症性ショック、珪肺症または他の塵肺症、移植片拒絶、結核、および血管炎を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記自己免疫性疾患または状態は、多発性硬化症、糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギランバレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群、移植拒絶(例えば、同種移植片拒絶の予防)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、または他の自己免疫性疾患である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載のキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクター。
【請求項16】
前記ベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、レンチウイルス(LV)、レトロウイルス(RV)、アデノウイルス(AV)、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス(VV)、粘液腫ウイルス、レオウイルス、パルボウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、またはアデノ随伴ウイルス(AVV)、または同じファミリーのウイルスである、請求項15に記載の発現ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免疫治療の分野のものである。より具体的には、本発明は、がんに罹患する対象におけるがん処置を選択するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
融合タンパク質は、異なるタンパク質またはタンパク質の一部を組み合わせて得られる人工タンパク質である。これは、所望のタンパク質またはタンパク質の一部に対応するオープンリーディングフレームを含む遺伝子のDNAを組み換えることによって作製した後に得られる。融合タンパク質はまた、キメラタンパク質とも呼ばれ得る。
【0003】
がん免疫治療のための従来の治療用タンパク質(例えば、抗体、リガンド)は、アゴニスト性またはアンタゴニスト性の活性のために、腫瘍細胞と免疫細胞との両方の表面に存在する免疫調節タンパク質を標的とする。がん免疫治療のためのキメラタンパク質は、1つの分子においてアゴニスト特性とアンタゴニスト特性との両方を示すことによって、これらの活性を組み合わせることができる。しかしながら、それらは通常、がん処置に関連する組織だけでなく、生物体全体に及ぶその効力に関連した毒性を示す。これは、免疫細胞が免疫調節分子を発現する腫瘍細胞と相互作用する腫瘍微小環境に対してキメラタンパク質を適切にベクター化することで解決され得る。このベクター化は、腫瘍において特異的に複製する腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルスベクターを含む遺伝子治療ベクターに、キメラタンパク質をコードする遺伝子を挿入することによって達成できる。この腫瘍への特異的なベクター化により、強力なキメラタンパク質が対象の場所で発現されることが保証され、これにより毒性を抑えながら抗腫瘍効果を向上させることが期待される。この安全性の向上は、他の免疫機構を活性化して、ゆえに免疫賦活特性を強化し得る、さらなる機能的ドメインを追加できる、キメラタンパク質のさらなる改変の機会を提供するものである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、がんに罹患する対象におけるがん処置を選択するための方法および組成物に関する。特に、本発明は特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、TAME-IT分子の一般的な図を示す。TAME-IT分子は、別個の免疫刺激活性を有する3つの異なるドメインから構成されるキメラタンパク質である。「ターゲティングドメイン」は、腫瘍細胞または免疫細胞のいずれかの表面におけるマーカーを認識し、これが、TAME-IT分子を細胞表面に固定して示し、ターゲット細胞内にシグナルを送るまたはシグナリングを遮断することができる。「機能的リンカー」は、TAME-ITターゲット細胞の貪食の際に抗原提示細胞を含む、様々な細胞型によって、プロセシングされて主要組織適合遺伝子複合体分子上において提示される腫瘍抗原またはウイルス抗原のペプチド配列を含む。「シグナリングドメイン」は、TNFファミリーの単量体、二量体、または三量体のタンパク質から構成され、様々な免疫細胞型の活性化を刺激するアゴニスト特性を持つ。
図2図2は、TAME-ITタンパク質がターゲット細胞の表面上にアゴニストリガンドを提示することを示す。PD-L1細胞をKN035-TAA-th4-1BBL分子(KN035は抗PD-L1naonbodyであり、th4-1BBLは三量体ヒト4-1BBLドメインである)とインキュベートし、洗浄してから、蛍光色素コンジュゲート抗4-1BBL抗体で染色した。TAME-IT分子のKN035-th4-1BBLは表面のPD-L1を認識することができ、PD-L1細胞を4-1BBL陽性にする(A)。このプロセスは、単量体ヒト4-1BBL(mh4-1BBL)に連結したヒトPD-1部分から構成された従来の分子よりも効率的である(D)。メソテリン細胞をA1-thCD40L分子(A1は抗メソテリンnaonbodyであり、thCD40Lは三量体ヒトCD40Lドメインである)とインキュベートし、洗浄してから、蛍光色素コンジュゲート抗CD40L抗体で染色した(B)。TAME-IT分子のA1-thCD40Lは表面のメソテリンを認識することができ、メソテリン細胞をCD40L陽性にしながら(濃灰色)、メソテリン細胞をCD40Lに留めた(薄灰色)。可溶性三量体CD40L(sthCD40L)のみから構成された分子を用いたとき、メソセリン細胞はCD40Lに留まり、これは抗メソセリンA1naonbodyが表面固定に必要であることを示している(C)。CTLA-4/CD40L細胞を、[抗CTLA-4]-[thCD40L]TAME-IT分子とインキュベートし(濃灰色)、またはインキュベートせず(薄灰色)、洗浄してから、蛍光色素コンジュゲート抗CD40L抗体で染色した。(E)TAME-IT分子は、表面に固定されたことから、CTLA-4/CD40L細胞をCD40L陽性にする。
図3図3は、TAME-IT分子がヒト樹状細胞を活性化することを示す。(A~C)ヒト単球由来樹状細胞を、KN035-th4-1BBL作製細胞(濃灰色)またはコントロール細胞(薄灰色)のいずれかの上清と48時間インキュベートした。その後、樹状細胞を、フローサイトメトリーによってCD80、CD83、およびCD86成熟マーカーの発現について分析した。これは、TAME-ITタンパク質が抗原提示細胞の成熟を誘導することを示す。ヒト単球由来樹状細胞(DC)を、LPS(陽性コントロール)、および/または、これまでにTAME-IT分子A1-thCD40L(A1は抗メソテリンnaonbodyである)とインキュベートした、もしくはインキュベートしなかった、メソテリン+腫瘍細胞(Meso13)と、20時間インキュベートした後、CD83成熟マーカーの発現について分析した。TAME-IT分子を腫瘍細胞に固定すると、後者によって誘導されたDC成熟の阻害が回復した。抗メソテリンnaonbodyを欠いたTAME-IT分子の切断型(sthCD40L)を使用するか、または、DCと腫瘍細胞とを物理的に分離(transwell)すると、この免疫活性化特性は失われた。
図4図4は、改変した腫瘍溶解性ウイルスに感染した細胞がTAME-IT分子を作製することを示す。HEK細胞にA1-thCD40L分子をコードするVSVを感染させた。培養上清(SN)を回収し、遠心分離によって濃縮した(CSN)。その後、A1-thCD40Lをウエスタンブロットによって検出した。陰性コントロールとして、関連性のないタンパク質(mRuby2)をコードするVSVを用いた。
図5図5は、「機能的リンカー」にコードされた抗原がCD4T細胞に効率的に提示されることを示す。ヒト腫瘍細胞を、抗原ペプチドを含む「機能的リンカー」を含むかまたは含まない様々なTAME-IT分子をコードするVSVに感染させた。その後、これらの感染細胞を、ヒト単球由来樹状細胞と共培養した後、または共培養しなかった後、「機能的リンカー」にペプチド配列が見受けられる腫瘍抗原NY-ESO-1に特異的なヒトのHLA-DP4制限CD4T細胞クローンと6時間共培養した。T細胞の活性化は、ガンマインターフェロンの細胞内染色によって評価され、「機能的リンカー」を含むTAME-IT分子をコードするVSVに感染した腫瘍細胞をそれまでに取り込んだHLA-DP4樹状細胞(MHCクラスII分子を発現)に対してのみ観察された。これは、TAME-IT分子の抗原ペプチドがヒト抗原提示細胞によって効率的にプロセシングされ、腫瘍関連抗原特異的ヒトCD4T細胞に提示されることを示す。
図6図6は、「機能的リンカー」にコードされた抗原がCD8T細胞に効率的に提示されることを示す。ヒト腫瘍細胞を、抗原ペプチドを含む「機能的リンカー」を含むかまたは含まない様々なTAME-IT分子をコードするVSVに感染させた。その後、これらの感染細胞を、ヒト単球由来樹状細胞と共培養した後、または共培養しなかった後、「機能的リンカー」にペプチド配列が見受けられる腫瘍抗原NY-ESO-1に特異的なヒトのHLA-A2制限CD8T細胞クローンと6時間共培養した。T細胞の活性化は、ガンマインターフェロンの細胞内染色によって評価され、「機能的リンカー」を含むTAME-IT分子をコードするVSVを用いた条件におけるHLA-A2腫瘍細胞および樹状細胞に対してのみ観察された。これは、TAME-IT分子の抗原ペプチドが感染細胞または免疫細胞によって効率的にプロセシングされ、腫瘍関連抗原特異的ヒトCD8T細胞に提示されることを示す。
図7図7は、TAME-ITタンパク質が様々な種類のヒトリンパ球を活性化することを示す。(A)PD-L1ヒトメラノーマ細胞を、抗PD-1抗体ニボルマブまたはTAME-ITタンパク質KN035-TAA-th4-1BBLの存在下または非存在下で、1:2、1:1、または2:1のターゲット:エフェクター比にて、活性化または非活性化ヒトポリクローナルCD8T細胞と5日間共培養した。CD8T細胞による殺傷を評価するため、実験時に、ターゲットのメラノーマ細胞のコンフルエンスを顕微鏡によって分析した。TAME-ITタンパク質は、CD8T細胞の活性化およびメラノーマ細胞の殺傷を増強する。(B)MDA-MB-231ヒト乳腺腫瘍細胞を、KN035-TAA-th4-1BBLのTAME-IT分子をコードするVSVまたはコードしないVSVに18時間感染させた。その後、これらの感染細胞をヒトナチュラルキラー(NK)細胞と6時間共培養した。NK細胞の活性化は、CD107aの表面染色によって評価され、TAME-IT分子をコードするVSVを使用する条件において増加した。
図8図8は、KN41は、リンパ球Tを大きく活性化させることを示す。(A)全PBMCを、抗CD3/CD28抗体と結合させたビーズの存在下または非存在下で、20個のPBMCに対して1個のボールの割合において、M113またはM113-PD-L1細胞(1ウェルあたり10,000個の腫瘍細胞)と、図示したターゲット:エフェクター比にて、共培養した。細胞を、KN41で同時に処理するか、またはKN41とプレインキュベートした(KN41 PI)。24時間後、上清を採取し、ELISAによってIFNgを測定した。(B)腫瘍細胞1個あたり5個のPBMCおよび抗CD3/CD28ビーズを用いた条件下で、上清中のIFNgを、図示した時間に測定した。(C)選別され、フィーダー細胞においてそれまでに増幅された全CD8LTを、抗CD3.CD28ビーズの存在下(1:20)において、M113またはM113-PD-L1細胞と、腫瘍細胞1個に対してエフェクター細胞2個で、共培養した。培養物を、KN41または抗PD-1抗体(ニボルマブ)で処理した、または処理しなかった。上清中のIFNgを、図示した時間に測定した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明者らは、様々な病理学的状況(例えば、がん、移植、アレルギー、自己免疫疾患)において、細胞を標的とした免疫応答を特異的かつ正確に逆転させる新しい免疫治療分子を構築した。
【0007】
ターゲット腫瘍細胞に対する免疫反応を増強することが目的である、がん免疫治療の場合において、これらの分子は、ターゲット細胞の免疫認識と、特異的、局所的、および長期的な抗腫瘍免疫反応を誘発するための付近の免疫細胞の活性化とを向上させ得る。
【0008】
標的となった自己または移植細胞に対する免疫反応を最小にすることが目的である、自己免疫性疾患、アレルギー、および移植の場合において、これらの分子は、ターゲット細胞の免疫認識を阻害し、患者を経時で細胞および組織破壊から防護するように付近の免疫細胞を寛容化し得る。
【0009】
キメラタンパク質
第1の目的において、本発明は、
- N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、
- N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0010】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0011】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0012】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0013】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0014】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体(例えば、ホモ三量体またはヘテロ三量体)ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0015】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体(例えば、ホモ三量体またはヘテロ三量体)ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0016】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0017】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸に関する。
【0018】
第2の目的において、本発明は、
- N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、
- N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0019】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0020】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0021】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0022】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0023】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はターゲティング単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体(例えば、ホモ三量体またはヘテロ三量体)ドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0024】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体(例えば、ホモ三量体またはヘテロ三量体)ドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0025】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)ドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0026】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)ドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0027】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ターゲティングドメイン(a)および/またはターゲティングドメイン(c)から構成される。
【0028】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(c)-(b)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)ドメインまたは三量体(例えば、ホモ三量体またはヘテロ三量体)ドメインである、キメラタンパク質に関する。
【0029】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫破壊もしくは防護、または免疫リプログラミングの標的となる細胞表面の分子に特異的に結合するターゲティングドメイン(a)を有する。一部の実施形態において、キメラタンパク質は、免疫破壊もしくは防護、または免疫リプログラミングの標的となる細胞表面の分子に特異的に結合するターゲティングドメイン(c)を有する。
【0030】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナリングドメイン(a)および/またはシグナリングドメイン(c)から構成される。
【0031】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達カスケードを開始するシグナリングドメイン(a)を有する。一部の実施形態において、キメラタンパク質は、シグナル伝達カスケードを開始するシグナリングドメイン(c)を有する。
【0032】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ターゲティングドメインおよび/またはシグナリングドメインであるドメイン(a)を有する。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ターゲティングドメインおよび/またはシグナリングドメインであるドメイン(c)を有する。
【0033】
本明細書において使用するように、「キメラタンパク質」という用語は、当初は別個のタンパク質をコードしていた2つ以上の遺伝子を連結することによって作製されたタンパク質を指す。この融合遺伝子を翻訳すると、当初の各タンパク質由来の機能特性を有する単一または複数のポリペプチドが得られる。キメラタンパク質は、第一のアミノ酸配列と、自然界には存在しない第二のアミノ酸配列が連結したものである。アミノ酸配列は、通常は別個のタンパク質に存在し、融合タンパク質において一緒になり得、または、通常は同じタンパク質に存在するが、融合タンパク質において新しい配置になり得る。キメラタンパク質は、例えば、化学合成によって、またはペプチド領域が所望の関係でコードされたポリヌクレオチドを作製して翻訳することによって、作製することができる。
【0034】
本明細書において使用するように、「TAME-IT」という用語は、本発明のキメラタンパク質を指す。
【0035】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マウスのリガンド/レセプターに結合することができる。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトのリガンド/レセプターに結合することができる。
【0036】
一部の実施形態において、キメラタンパク質はアクチベータータンパク質である。
【0037】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、および/または刺激するように改変されている。
【0038】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は阻害タンパク質である。
【0039】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、免疫刺激シグナルの伝達を阻害、低下、および/または遮断するように改変されている。
【0040】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗PD-L1を含み、以下のように、単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)HVEM、抗PD-L1/単量体もしくは二量体もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITR、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD27、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD28、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137、および/または、抗PD-L1/単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1Aである。一部の実施形態において、キメラタンパク質は、抗PD-L1-Fc-LIGHT単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、または、抗PD-L1-Fc-OX40L単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)であり、Fcは、抗体のFcドメインの少なくとも一部を含むとともに、ジスルフィド結合を形成することができる少なくとも1つのシステイン残基を含むリンカーを表す。一部の実施形態において、抗PD-L1はnanobodyまたはscFvである。特定の実施形態において、抗PD-L1のnanobodyは、KN035(Zhang et al.Cell Discov.2017;3:17004参照)または5DXW(https://www.rcsb.org/structure/5DXW参照)である。特定の実施形態において、抗PD-L1のscFvはaPD-L1である。
【0041】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、抗PD-L2を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激レセプターとペアになり、以下とは、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)HVEM、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITR、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD27、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD28、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40、および、抗PD-L2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137である。
【0042】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗TIM-3を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗TIM-3/TL1 A単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、および、抗TIM-3/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。実施形態において、キメラタンパク質は、抗TIM3-Fc-OX40L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)であり、Fcは、抗体のFcドメインの少なくとも一部を含むとともに、ジスルフィド結合を形成することができる少なくとも1つのシステイン残基を含むリンカーを表す。
【0043】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗CTLA-4を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体LIGHT、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体GITRL、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体CD70、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体CD30L、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体CD40L、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体CD137L、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)三量体TL1A、および、抗CTLA-4/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。一部の実施形態において、抗CTLA-4はscFvである。特定の実施形態において、抗CTLA-4のscFvはaCTLA-4である(Griffin et al.J Immunol 2000 May 1;164(9):4433-42参照)。
【0044】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗TIGITを含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗TIGIT/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗TIGIT/単量体または二量体または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。
【0045】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗VISTAを含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗VISTA/4-1BBL単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/OX-40L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/LIGHT単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/GITRL単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/CD70単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/CD30L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/CD40L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/CD137L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗VISTA/TL1A単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、および、抗VISTA/OX40L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)である。
【0046】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗BTLAを含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗BTLA/4-1BBL単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/OX-40L単量体または二量体または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/LIGHT単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/GITRL三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/CD70単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/CD30L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/CD40L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/CD137L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗BTLA/TL1A単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、および、抗BTLA/OX40L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)である。
【0047】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗CD172a(SIRP1a)を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗CD172a(SIRP1a)/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。実施形態において、キメラタンパク質は、抗CD172a(SIRP1a)-Fc-CD40L三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)または抗CD172a(SIRP1a)-Fc-LIGHT単量体もしくは二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)もしくは三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)であり、Fcは、抗体のFcドメインの少なくとも一部を含むとともに、ジスルフィド結合を形成することができる少なくとも1つのシステイン残基を含むリンカーを表す。
【0048】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗CD115を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗CD115/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。
【0049】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗TMIGD2を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗TMIGD2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗TMIGD2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗TMIGD2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗TMIGD2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗TMIGD2/CD30L単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗TMIGD2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体CD40L、抗TMIGD2/CD137L単量体または二量体または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)、抗TMIGD2/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗TMIGD2/単量体または二量体または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。
【0050】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗CD200を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗CD200/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。
【0051】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗CD19を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗CD19 単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗CD19 単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗CD19/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。一部の実施形態において、抗CD19はnanobodyまたはscFvである。特定の実施形態において、抗CD19のscFvはaCD19である(Ng et al.Proc Natl Acad Sci USA.2012 Sep 4;109(36):14526-31参照)。
【0052】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗MSLN(すなわち抗メソテリン)を含み、以下のように、単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)免疫刺激剤とペアになり、以下とは、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)4-1BBL、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX-40L、抗MSLN単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)LIGHT、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)GITRL、抗MSLN単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD70、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD30L、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD40L、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)CD137L、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)TL1A、および、抗MSLN/単量体または二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)OX40Lである。一部の実施形態において、抗MSLNはnanobodyである。特定の実施形態において、抗MSLNのnanobodyはA1である(Prantner et al,J Biomed Nanotechnol.2015 Jul;11(7):1201-12)。
【0053】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトキメラタンパク質である。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マウスキメラタンパク質である。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、げっ歯動物キメラタンパク質である。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、哺乳動物のネコキメラタンパク質である。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、イヌキメラタンパク質である。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、霊長類キメラタンパク質である。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、非ヒト(すなわち、ヒト以外の他の種)キメラタンパク質である。
【0054】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[二量体4-1BBLおよび単量体OX-40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0055】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[二量体OX-40Lおよび単量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0056】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0057】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[三量体OX-40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0058】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗MSLN]-[TAA]-[三量体OX-40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0059】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗PD-L1]-[TAA]-[三量体hCD40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0060】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗MSLN]-[TAA]-[三量体hCD40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0061】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗MSLN]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0062】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗CTLA-4]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0063】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗CTLA-4]-[TAA]-[三量体CD40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0064】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗CD19]-[TAA]-[三量体CD40L]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0065】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗mPD-L1]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0066】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗mPD-L1]-[TAA]-[二量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0067】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[抗mPD1]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0068】
特定の実施形態において、キメラタンパク質は、[二量体抗mPD1]-[TAA]-[三量体4-1BBL]であり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に等しい。
【0069】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、約1nM~約5nM、例えば、約1nM、約1.5nM、約2nM、約2.5nM、約3nM、約3.5nM、約4nM、約4.5nM、または約5nMのKDで、ヒトPD-L1またはPD-L2に結合する。実施形態において、キメラタンパク質は、約5nM~約15nM、例えば、約5nM、約5.5nM、約6nM、約6.5nM、約7nM、約7.5nM、約8nM、約8.5nM、約9nM、約9.5nM、約10nM、約10.5nM、約11nM、約11.5nM、約12nM、約12.5nM、約13nM、約13.5nM、約14nM、約14.5nM、または約15nMのKDで、ヒトPD-L1に結合する。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、約1nM~約30nM、例えば、約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、11nM、12nM、13nM、14nM、15nM、16nM、17nM、18nM、19nM、20nM、21nM、22nM、23nM、24nM、25nM、26nM、27nM、28nM、29nM、30nMのKDで、ヒトPD-L1またはPD-L2に結合する。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、約1nM~約1000nM、例えば、約1nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、80nM、900nM、1000nMのKDで、ヒトPD-L1またはPD-L2に結合する。
【0070】
一部の実施形態において、本発明の本キメラタンパク質は、(例えば、腫瘍に対して)免疫活性化を促進することが可能であり、免疫活性化を促進することを含む方法に使用され得る。
【0071】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、(例えば、腫瘍を生存させる)免疫阻害を抑制することが可能であり、免疫阻害を抑制することを含む方法に使用され得る。
【0072】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、コンストラクトのキメラ特性によって得られるシグナリングの近接性により、免疫活性化を改善し、および/または免疫阻害の抑制を改善する。
【0073】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、例えば、エフェクターアプトプットのレベルの調節などの、免疫応答の振幅を調節することが可能であり、免疫応答の振幅を調節することを含む方法に使用され得る。
【0074】
一部の実施形態において、例えば、本キメラタンパク質は、がんの処置に使用されるとき、限定されないが、サイトカイン産生、増殖のレベル増加、またはターゲット殺傷能を刺激することを含む、T細胞応答の振幅を増加させるように、免疫阻害と比較して、免疫刺激の程度を変化させる。
【0075】
一部の実施形態において、三量体シグナリング分子を用いることで、単量体と比較して治療効果が向上する。
【0076】
ターゲティングドメイン(a)または(c)
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ターゲティングドメイン(a)および/またはターゲティングドメイン(c)から構成される。
【0077】
本明細書において使用するように、「ターゲティングドメイン」という用語は、目的の組織または器官における特定の細胞の表面を認識し、そこに固定する機能を有するドメインを指す。本発明のターゲティングドメインは、特定の細胞、例えば腫瘍細胞または免疫細胞の表面におけるマーカーを認識し、これが、TAME-IT分子を細胞表面に固定して示し、ターゲット細胞内にシグナルを送ることができる。また、本発明のターゲティングドメインは、競合することによってシグナルを遮断することもできる。
【0078】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、単量体ターゲティングドメイン(a)または二量体(例えば、ホモ二量体もしくはヘテロ二量体)ターゲティングドメイン(a)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)ターゲティングドメイン(a)から構成される。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、単量体ターゲティングドメイン(c)または二量体(例えば、ホモ二量体もしくはヘテロ二量体)ターゲティングドメイン(c)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)ターゲティングドメイン(c)から構成される。
【0079】
一部の実施形態において、ターゲティングドメイン(a)またはターゲティングドメイン(c)は、免疫破壊(例えば、腫瘍細胞)もしくは防護(例えば、移植細胞)、または免疫リプログラミング(例えば、樹状細胞)の標的となる細胞表面の分子に特異的に結合する。ターゲティングドメインは、免疫モジュレーター(例えば、PD-L1、CTLA-4、TIGIT、TIM-3、VISTA、BTLA、LAG3、CD28)および系列特異的抗原(例えば、メソテリン、CD19、HER2)を含むがこれらに限定されない1つ以上の分子を標的とするように改変されることができる。ターゲティングドメインは、完全もしくは短尺形態のいずれかの抗体、誘導体、もしくは任意の他のターゲティング部分(例えば、scFv、nanobody、単一ドメイン抗体、アフィチン、アフィボディ、アプタマー)、またはターゲット分子と相互作用することが知られている天然の細胞レセプターの細胞外ドメイン(例えば、PD-1、CD80/CD86、EGF)から作製することができる。
【0080】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫阻害に関与する1つ以上の分子を標的とするように改変され得、これには、例えば、CSF1 R、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD-1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、VISTA/VSIG8、KIR、2B4、TIGIT、CD160(BY55とも呼ばれる)、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aR、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3、および/またはCEACAM-5)、ならびに各種B-7ファミリーリガンド(B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6、およびB7-H7を含むがこれらに限定されない)を含む。
【0081】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、TIM-3、BTLA、PD-1、CSF1 R、CTLA-4、CD244、CD160、TIGIT、CD172a(SIRP1a)、2B4、VISTA、VSIG8、CD200、およびTMIGD2の1つ以上を限定することなく含む、1つ以上の分子を標的とするように改変され得る。
【0082】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒト白血球、骨髄細胞、内皮細胞に存在する1つ以上の分子を標的とするように改変され得、これには、OX40、SLAMF4、IL-2Ra、4-1 BB/TNFRSF9、IL-2Rβ、ALCAM、BTLA、B7-1、IL-4R、B7-H3、BLAME/SLAMFS、CEACAM1、IL-6R、IL-7Ra、IL-10Ra、IL-10Rβ、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、CD2、IL-13Ra1、IL-13、CD3、CD4、ILT2/CDS5j、ILT3/CDS5k、ILT4/CDS5d、ILT5/CDS5a、ルテグリン(lutegrin)a4/CD49d、CDS、インテグリンaE/CD103、CD6、インテグリンaM/CD11b、CDS、インテグリンaX/CD11c、インテグリンβ2/CDIS、KIR/CD15S、CD27/TNFRSF7、KIR2DL1、CD2S、KIR2DL3、CD30/TNFRSFS、KIR2DL4/CD15Sd、CD31/PECAM-1、KIR2DS4、CD40リガンド/TNFSF5、LAG-3、CD43、LAIR1、CD45、LAIR2、CDS3、ロイコトリエンB4-R1、CDS4/SLAMF5、NCAM-L1、CD94、NKG2A、CD97、NKG2C、CD229/SLAMF3、NKG2D、CD2F-10/SLAMF9、NT-4、CD69、NTB-A/SLAMF6、Common γ鎖/IL-2Rγ、オステオポンチン、CRACC/SLAMF7、PD-1、CRTAM、PSGL-1、CTLA-4、RANK/TNFRSF11A、CX3CR1、CX3CL1、L-セレクチン、SIRPβ1、SLAM、TCCR/WSX-1、DNAM-1、サイモポエチン、EMMPRIN/CD147、TIM-1、EphB6、TIM-2、Fas/TNFRSF6、TIM-3、Fasリガンド/TNFSF6、TIM-4、FeyRIII/CD16、TIM-6、TNFR1/TNFRSF1A、グラニュリシン、TNF RIII/TNFRSF1B、TRAIL RI/TNFRSFIOA、ICAM-1/CD54、TRAIL R2/TNFRSF10B、ICAM-2/CD102、TRAILR3/TNFRSF10C、IFN-yR1、TRAILR4/TNFRSF10D、IFN-γR2、TSLP、IL-1 R1、LIGHT、LTBR(TNFRSF3)、およびTSLP Rの細胞外ドメインを限定することなく含む。
【0083】
本明細書において使用するように、「白血球(leukocyte)」という用語は、白血球細胞(white blood cell、WBC)または白血球(leukocyte)としても知られており、感染疾患および異物の両方から身体を防護することに関与する免疫系の細胞である。すべての白血球は、造血幹細胞として知られる骨髄の多能性細胞から産生され、それに由来する。白血球は、血液およびリンパ系を含む身体にわたって見受けられる。
【0084】
本明細書において使用するように、「骨髄細胞」という用語は、多様な機能を有する様々な細胞型からなる、身体の有核造血細胞を指す。これらは、単球、マクロファージ、樹状細胞、および顆粒球を含み、免疫システムの重要な一翼を担っている。
【0085】
本明細書において使用するように、「リンパ球細胞」という用語は、免疫系において役割を担う細胞を指す。サイズが小さいBリンパ球およびTリンパ球、ならびに大きく顆粒状であるNKリンパ球の異なる3つのリンパ球系列が存在する。リンパ球は、主にリンパ節および脾臓に見受けられる小さい白血球細胞(白血球)である。
【0086】
本明細書において使用するように、「線維芽細胞」という用語は、細胞外マトリックスおよびコラーゲンを合成し[1]、動物組織の構造的基質(ストローマ)を産生し、創傷治癒に重要な役割を果たす[2]生物学的細胞の種類を指す。線維芽細胞は動物における結合組織の最も一般的な細胞である。
【0087】
本明細書において使用するように、「内皮細胞」という用語は、血管の透過性バリアを指し、血流の調節に関与する。内皮細胞は、創傷治癒、血管形成、炎症プロセス、血液脳関門、糖尿病、および他の心血管疾患に関する応用において重要である。
【0088】
本明細書において使用するように、「プログラム細胞死リガンド1」(PD-L1)という用語は、表面抗原分類274(CD274)またはB7ホモログ1(B7-H1)としても知られており、ヒトにおいてCD274遺伝子(UniProt番号:Q9NZQ7)によってコードされるタンパク質を指す。PD-L1は、免疫系の適応性部分の抑制に主要な役割を果たすと推測されている40kDaの1型膜貫通タンパク質である。
【0089】
本明細書において使用するように、「細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4」(CTLA-4)という用語は、CD152(表面抗原分類152)としても知られており、免疫チェックポイントとして機能するとともに免疫応答をダウンレギュレートするタンパク質レセプターを指す。CTLA4は、制御性T細胞において恒常的に発現されるが、活性化後の通常型T細胞においてのみアップレギュレートされる(UniProt番号:P16410)。CTLA-4タンパク質は、ヒトにおいてCTLA4遺伝子によってコードされている。
【0090】
本明細書において使用するように、「IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫レセプター」(TIGIT)という用語は、一部のT細胞およびナチュラルキラー細胞(NK)に存在する免疫レセプターを指す(UniProt番号:Q495A1)。
【0091】
本明細書において使用するように、「T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3」(TIM-3)という用語は、ヒトにおいてHAVCR2遺伝子(UniProt番号:Q8TDQ0)によってコードされるタンパク質を指す。
【0092】
本明細書において使用するように、「Vドメイン免疫グロブリン[Ig]含有T細胞活性化サプレッサー」(VISTA)という用語は、免疫チェックポイントとして機能し、C10orf54遺伝子(UniProt番号:Q9H7M9)によってコードされるI型膜貫通タンパク質を指す。
【0093】
本明細書において使用するように、「BおよびTリンパ球アテニュエーター」(BTLA)という用語は、ヒトにおいてBTLA遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。BTLAはまた、CD272(表面抗原分類272)としても指定されている(UniProt番号:Q7Z6A9)。
【0094】
本明細書において使用するように、「リンパ球活性化遺伝子3」(LAG3)という用語は、ヒトにおいてLAG3遺伝子によってコードされ、CD223(表面抗原分類223)としても指定されるタンパク質を指す(UniProt番号:P18627)。
【0095】
本明細書において使用するように、「表面抗原分類28」(CD28)という用語は、T細胞の活性化および生存に必要な共刺激シグナルを提供する、T細胞に発現されるタンパク質を指す(Uniprot番号:P10747)。
【0096】
本明細書において使用するように、「メソテリン」という用語は、MSLNとしても知られており、ヒトにおいてMSLN遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。メソテリンは、中皮細胞に発現される40kDaのタンパク質である(Uniprot番号:Q13421)。
【0097】
本明細書において使用するように、「Bリンパ球抗原CD19」(CD19)という用語は、CD19分子(表面抗原分類19)、Bリンパ球表面抗原B4、T細胞表面抗原Leu-12、およびCVID31としても知られており、ヒトにおいてCD19遺伝子によってコードされる膜貫通タンパク質を指す。ヒトにおいて、CD19はすべてのB系列細胞に発現される。CD19(Uniprot番号:P15391)。
【0098】
本明細書において使用するように、「レセプター型チロシンプロテインキナーゼerbB-2」という用語は、CD340(表面抗原分類340)、癌原遺伝子Neu、Erbb2(げっ歯動物)、またはERBB2(ヒト)としても知られており、ヒトにおいてERBB2遺伝子によってコードされるタンパク質である。ERBBは、トリゲノムから単離された遺伝子である赤芽球癌遺伝子Bの略称である。これはまた、HER2(ヒト上皮増殖因子レセプター2から)またはHER2/neu.HER2」と呼ばれることも多い。HER2は、ヒト上皮増殖因子レセプター(HER/EGFR/ERBB)ファミリーのメンバーを指す。この癌遺伝子の増幅または過剰発現は、重要な役割を果たすことが示されている(Uniprot番号:P04626)。
【0099】
一部の実施形態において、ターゲティングドメインは抗体である。
【0100】
本明細書において使用するように、「抗体」という用語は、最も広範な意味で使用され、特に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および、所望の生物学的活性を示す限りにおいて抗体フラグメントを網羅する。該用語は、Fab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB)、TandAb二量体、Fv、scFv(単鎖Fv)、dsFv、ds-scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント、バイボディ、トリボディ(それぞれ二重特異性または三重特異性のscFv-Fabフュージョン)、sc-ダイアボディ、κ(λ)ボディ(scFv-CLフュージョン)、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー、T細胞を誘引するscFv-scFv直列型)、DVD-Ig(二重可変ドメイン抗体、二重特異性フォーマット)、SIP(小分子免疫タンパク質、ミニボディの一種)、SMIP(「小分子モジュラー免疫医薬」scFv-Fc二量体)、DART(ds安定化ダイアボディ「二重親和性再ターゲティング」)、サメのIgNAR(新しい免疫グロブリン抗原レセプター)、1つ以上のCDRを含む小分子抗体擬態分子などの、抗原結合ドメインを含む抗体フラグメントを含む。種々の抗体に基づくコンストラクトおよびフラグメントを調製および使用する技術は当該技術において周知である(Kabat et al.,1991を参照。これは特に言及することによって本明細書に援用される)。ダイアボディは特に、欧州特許第404,097号および国際公開第93/11161号にさらに記載されており、直鎖状抗体はZapata等(1995)によってさらに記載されている。抗体は、従来技術を使用してフラグメント化することができる。例えば、F(ab’)2フラグメントは抗体をペプシンで処理することによって作製することができる。得られたF(ab’)2フラグメントはジスルフィド架橋を還元するように処理して、Fab’フラグメントを作製することができる。パパイン消化により、Fabフラグメントを形成することができる。Fab、Fab’、およびF(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAb、TandAb、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント、ならびに他のフラグメントも、組換え技術によって合成可能である、または化学的に合成可能である。抗体フラグメントを作製する技術は周知であり、当該技術において記載されている。例えば、Beckman等、2006、HolligerおよびHudson、2005、Le Gall等、2004、ReffおよびHeard、2001、Reiter等、1996、ならびにYoung等、1995のそれぞれが、有効な抗体フラグメントの作製をさらに記載し、それを可能にしている。一部の実施形態において、抗体は、米国特許第4,816,567号明細書に記載されているような「キメラ」抗体である。一部の実施形態において、抗体は、米国特許第6,982,321号明細書および第7,087,409号明細書に記載されているようなヒト化抗体である。一部の実施形態において、抗体はヒト抗体である。「ヒト抗体」は、米国特許第6,075,181号明細書および第6,150,584号明細書に記載されている。一部の実施形態において、抗体は、欧州特許第0368684号、国際公開第06/030220号、および国際公開第06/003388号に記載されているような単一ドメイン抗体である。
【0101】
特定の実施形態において、ターゲティングドメインはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、培養における連続細胞株によって抗体分子の作製を提供する任意の技術を使用して調製および単離することができる。作製および単離のための技術は、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBVハイブリドーマ技術を含むが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書において使用するように、「イントラボディ」という用語は、一般に細胞内抗体または抗体フラグメントを指す。抗体、特に単鎖可変抗体フラグメント(scFv)は、細胞内局在化のために修飾することができる。このような修飾は、例として、例えばマルトース結合タンパク質などの安定な細胞内タンパク質への融合、または例えば小胞体保留などの細胞内輸送/局在化ペプチド配列の付加を伴い得る。一部の実施形態において、イントラボディは単一ドメイン抗体である。一部の実施形態において、本発明における抗体は単一ドメイン抗体である。「単一ドメイン抗体」(sdAb)または「VHH」という用語は、ラクダ科の哺乳動物において見受けられ得る種類である、自然に軽鎖を欠いている抗体における単一重鎖可変ドメインを指す。このようなVHHは、「nanobody(登録商標)」とも呼ばれる。本発明において、sdAbは、特にラマsdAbであり得る。一部の実施形態において、抗体は任意の遮断抗体であり得る。
【0103】
一部の実施形態において、ターゲティングドメインは単一ドメイン抗体である。本明細書において使用するように、「単一ドメイン抗体」という用語は当該技術におけるその一般的な意味を有し、ラクダ科の哺乳動物において見受けられ得る種類である、自然に軽鎖を欠いている抗体の単一重鎖可変ドメインを指す。そのような単一ドメイン抗体はまた、VHHまたは「nanobody(登録商標)」とも呼ばれる。(単一)ドメイン抗体の一般的な記載について、上述の先行技術、ならびに、欧州特許第0368684号、Ward等(Nature 1989 Oct 12;341(6242):544-6)、Holt等、Trends Biotechnol.、2003,21(11):484-490、および国際公開第06/030220号、国際公開第06/003388号も参照される。nanobodyは、ヒトIgG分子の約10分の1である分子量を有し、該タンパク質は、たった数ナノメートルの物理的直径を有する。この小さいサイズの1つの結果としては、大きな抗体タンパク質には機能的に認識されない抗原部位にラクダnanobodyが結合できることであり、すなわち、ラクダnanobodyは、従来の免疫学的技術を使用するとさもないと隠れてしまう抗原を検出する試薬として、および可能性のある治療剤として有用である。したがって、小さいサイズのさらなる他の結果としては、nanobodyが、ターゲットタンパク質の溝または狭い間隙の特定の部位に結合する結果として阻害することができ、それにより、従来の抗体の機能よりも従来の低分子量薬剤の機能により近似した能力をもって機能することができることである。さらに、低分子量および小型サイズにより、さらに、nanobodyが極めて熱安定性となり、極端なpHおよびタンパク質分解消化に対して安定となり、あまり抗原性でなくなる。他の結果としては、nanobodyが、循環器系から組織へ、さらに血液脳関門を越えて、容易に移動し、神経組織に影響を与える障害を処置し得ることである。nanobodyは、さらに、血液脳関門を越える薬剤輸送を容易にすることができる。2004年8月19日に公開された米国特許出願第20040161738号明細書が参照される。ヒトへの低い抗原性と合わせたこれらの特徴は、大きな治療的可能性を示すものである。単一ドメイン抗体のアミノ酸配列および構造は、4つのフレームワーク領域または「FR」から構成されると考えられ得、これらはそれぞれ、「フレームワーク領域1」または「FR1」、「フレームワーク領域2」または「FR2」、「フレームワーク領域3」または「FR3」、および「フレームワーク領域4」または「FR4」と当該技術および本明細書において呼ばれ、該フレームワーク領域は、3つの相補性決定領域または「CDR」により中断され、これらはそれぞれ、「CDR1」の「相補性決定領域」、「相補性決定領域2」または「CDR2」、および「相補性決定領域3」または「CDR3」と当該技術において呼ばれる。したがって、単一ドメイン抗体は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の一般構造を有し、式中、FR1~FR4がそれぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3が相補性決定領域1~3を指す、アミノ酸配列として規定することができる。本発明の文脈において、単一ドメイン抗体のアミノ酸残基は、International ImMunoGeneTics情報システムアミノ酸番号付け(http://imgt.cines.fr/)によって与えられるVHドメインについての一般的な番号付けに従って番号付けされる。
【0104】
一部の実施形態において、本発明の抗原結合フラグメントは、アフィボディ、アフィリン、アフィチン、アドネクチン、アトリマー、エバシン、DARPin、アンチカリン、アビマー、フィノマー、およびバーサボディからなる群より選択される抗体模倣物とも呼ばれる非免疫グロブリンに基づく抗体にグラフティングされる。
【0105】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫阻害特性を有するI型膜タンパク質の細胞外ドメインを含む。
【0106】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、免疫阻害シグナルの伝達を妨害、遮断、低下、および/または阻害するように改変されている。
【0107】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、腫瘍細胞表面の阻害性リガンドをマスキングすること、および、その免疫阻害性リガンドを免疫刺激性リガンドに置き換えることが可能であるか、またはそれらに関与する方法において使用される。したがって、本キメラタンパク質は、実施形態において、阻害性免疫シグナルを低下もしくは排除すること、および/または免疫刺激性シグナルを増加もしくは活性化することが可能であるか、またはそれらに関与する方法において使用される。例えば、阻害性シグナルを保持する(したがって免疫応答を回避する)腫瘍細胞を、腫瘍細胞を攻撃できるT細胞に結合する陽性シグナルに置き換えることができる。したがって、一部の実施形態において、阻害性免疫シグナルが本発明のコンストラクトによってマスキングされ、刺激性免疫シグナルが活性化される。このような有利な特性は、本キメラタンパク質の単一コンストラクトの手法によって強化される。
【0108】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、PD-1およびPD-L1もしくはPD-L2、ならびに/またはPD-1とPD-L1もしくはPD-L2との結合を遮断、低下、および/または阻害する。一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、CTLA-4の活性、ならびに/またはCTLA-4とAP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの1つ以上との結合を遮断、低下、および/または阻害する。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、GITR、および/またはGITRとGITRリガンドの1つ以上との結合を増加および/または刺激する。
【0109】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、OX40、および/またはOX40とOX40リガンドの1つ以上との結合を増加および/または刺激する。
【0110】
一部の実施形態において、本発明の本キメラタンパク質は、免疫調節を増強、回復、促進、および/または刺激することが可能であるか、またはそれらに関与する方法において使用される。
【0111】
一部の実施形態において、本明細書に記載する本発明のキメラタンパク質は、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、および樹状細胞を含むが、これらに限定されない1つ以上の免疫細胞の腫瘍細胞に対する活性または活性化を回復、促進、および/または刺激する。
【0112】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞の活性および/または活性化を増強、回復、促進、および/または刺激し、これには、生存促進シグナル、オートクリンもしくはパラクリン増殖シグナル、p38 MAPK-、ERK-、STAT-、JAK-、AKT-、もしくはPI3K-媒介シグナル、抗アポトーシスシグナル、ならびに/または、炎症促進サイトカイン産生、もしくはT細胞遊走、もしくはT細胞腫瘍浸潤の1つ以上を促進する、および/もしくはそれに必要なシグナルを含む、1つ以上のT細胞内在性シグナルを活性化および/または刺激することを、非限定的な例として含む。
【0113】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍または腫瘍微小環境において、T細胞(細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞を限定することなく含む)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、単球、ならびにマクロファージ(例えば、M1およびM2の1つ以上)の1つ以上の増加をもたらすことが可能であるか、またはそれらに関与する方法において使用される。
【0114】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、腫瘍および/または腫瘍微小環境(TME)への、免疫抑制細胞(例えば、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg)、腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、および腫瘍関連マクロファージ(TAM))の動員の低下を阻害する、および/または、該低下をもたらすことが可能であるか、またはそれらに関与する方法において使用される。
【0115】
一部の実施形態において、本治療は、腫瘍部位および/またはTMEにおけるM1マクロファージとM2マクロファージとの比率を変化させ、M1マクロファージを有利にすることができる。
【0116】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞不活性化、および/または腫瘍に対する免疫寛容を阻害および/または低下し、本明細書に記載するキメラタンパク質を有効量で対象に投与することを含むことが可能であり、それらを含む方法において使用され得る。
【0117】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、IFNy、TNFa、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-17F、およびIL-22の1つ以上を含むがこれらに限定されない様々なサイトカインの血清レベルを増加させることができる。一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、処置された対象の血清中のIL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-22、TNFa、またはIFNyを増強することが可能である。一部の実施形態において、本キメラタンパク質の投与により、TNFa分泌を増強することが可能である。
【0118】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質の投与により、白血球によるスーパー抗原媒介TNFa分泌を増強することが可能である。このようなサイトカイン応答の検出により、上述のキメラタンパク質の最適な投与レジメンを決定する方法が得られ得る。
【0119】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、抗腫瘍CD8+および/もしくはCD4+T細胞の細胞死を阻害、遮断、および/もしくは低下させる、または、腫瘍促進T細胞の細胞死を刺激、誘導、および/もしくは増加させる。T細胞の疲弊は、増殖機能およびエフェクター機能の漸進的な喪失を特徴とするT細胞機能不全の状態であり、結果としてクローン除去に至る。したがって、腫瘍促進T細胞は、多くの慢性感染症およびがんの際に生じるT細胞機能不全の状態を指す。この機能不全は、増殖機能および/またはエフェクター機能の不良、阻害性レセプターの持続的発現、ならびに機能的エフェクターまたはメモリーT細胞のものとは異なる転写状態によって規定される。疲弊によって、感染および腫瘍の最適な調節が妨げられる。さらに、抗腫瘍CD8+および/またはCD4+T細胞は、腫瘍に対して免疫応答をもたらすことができるT細胞を指す。例示的な腫瘍促進T細胞は、Treg、1つ以上のチェックポイント阻害性レセプターを発現するTreg、CD4+、および/またはCD8+T細胞、Th2細胞、ならびにTh17細胞を含むが、これらに限定されない。チェックポイント阻害性レセプターは、免疫細胞に発現され、調節されない免疫応答を抑止または阻害するレセプター(例えば、CTLA-4、B7-H3、B7-H4、TIM-3)を指す。
【0120】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、エフェクターT細胞と制御性T細胞との比率を増加することが可能であり、それを含む方法に使用され得る。例示的なエフェクターT細胞は、ICOSエフェクターT細胞、細胞傷害性T細胞{例えば、αβTCR、CD3、CD8、CD45RO}、CD4エフェクターT細胞{例えば、αβTCR、CD3、CD4、CCR7、CD62Lhi、IL-7R/CD127}、CD8エフェクターT細胞{例えば、αβTCR、CD3、CD8、CCR7、CD62Lhi、IL7R/CD127)、エフェクターメモリーT細胞{例えば、CD62Llow、CD44、TCR、CD3、IL7R/CD127、IL-15R、CCR7low}、セントラルメモリーT細胞{例えば、CCR7、CD62L、CD27;またはCCR7hi、CD44、CD62Lhi、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R)、CD62LエフェクターT細胞、初期エフェクターメモリーT細胞(CD27CD62L)および後期エフェクターメモリーT細胞(CD27CD62L)(それぞれTemEおよびTemL)を含むCD8エフェクターメモリーT細胞(TEM)、CD127()CD25(low/-)エフェクターT細胞、CD127()CD25()エフェクターT細胞、CD8幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM){例えば、CD44(low)CD62L(high)CD122(high)sca()}、TH1エフェクターT細胞{例えば、CXCR3、CXCR6、およびCCR5;またはαβTCR、CD3、CD4、IL-12R、IFNyR、CXCR3}、TH2エフェクターT細胞{例えば、CCR3、CCR4、およびCCR8;またはαβTCR、CD3、CD4、IL-4R、IL-33R、CCR4、IL-17RB、CRTH2}、TH9エフェクターT細胞{例えばαβTCR、CD3、CD4)、TH17エフェクターT細胞{例えば、αβTCR、CD3、CD4、IL-23R、CCR6、IL-1R)、CD4CD45ROCCR7エフェクターT細胞、CD4CD45ROCCR7()エフェクターT細胞、ならびにIL-2、IL-4および/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞を含む。例示的な制御性T細胞は、ICO制御性T細胞、CD4CD25FOXP3制御性T細胞、CD4CD25制御性T細胞、CD4CD25-制御性T細胞、CD4CD25high制御性T細胞、TIM-3PD-1制御性T細胞、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)制御性T細胞、CTLA-4/CD152制御性T細胞、ニューロピリン-1(Nrp-1)制御性T細胞、CCR4CCR制御性T細胞、CD62L(L-セレクチン)制御性T細胞、CD45RBIow制御性T細胞、CD127IOW制御性T細胞、LRRC32/GARP制御性T細胞、CD39制御性T細胞、GITR制御性T細胞、LAP制御性T細胞、1 B1 1制御性T細胞、BTLA制御性T細胞、1型制御性T細胞(Tr1細胞)、Tヘルパー3型(Th3)細胞、ナチュラルキラーT細胞表現型の制御性細胞(NKTreg)、CD8制御性T細胞、CD8CD28-制御性T細胞、ならびに/または、IL-10、IL-35、TGF-β、TNF-a、ガレクチン-1、IFN-Y、および/もしくはMCP1を分泌する制御性T細胞を含む。
【0121】
機能的リンカー
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、リンカーから構成される。
【0122】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)は、ドメイン(a)をドメイン(c)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0123】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)は、ターゲティングドメイン(a)をシグナリングドメイン(c)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0124】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)は、シグナリングドメイン(a)をターゲティングドメイン(c)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0125】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)は、ドメイン(c)をドメイン(a)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0126】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)は、ターゲティングドメイン(c)をシグナリングドメイン(a)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0127】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)は、シグナリングドメイン(c)をターゲティングドメイン(a)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0128】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)はターゲティング/シグナリングドメイン(a)をシグナリングドメイン/ターゲティングドメイン(c)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0129】
一部の実施形態において、機能的リンカー(b)はターゲティング/シグナリングドメイン(c)をシグナリングドメイン/ターゲティングドメイン(a)に、特に長さの制限なく、接続する。
【0130】
一部の実施形態において、キメラタンパク質はリンカーを含む。一部の実施形態において、リンカーは、高度な可動性を限定することなく含む、可動性であり得る。一部の実施形態において、リンカーは、剛性αヘリックスを限定することなく含む、剛性であり得る。
【0131】
本明細書において使用するように、「リンカー」という用語は、単一タンパク質における複数のドメインを分離するように自然界で作られた、短いアミノ酸配列を指す。
【0132】
一部の実施形態において、リンカーは、機能的であり得る。例えば、限定しないが、リンカーは、本キメラタンパク質のフォールディングおよび/もしくは安定性の改善、発現の改善、薬物動態の改善、ならびに/または生物活性の改善のために機能し得る。他の例において、リンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞型または位置に標的化するように機能することができる。
【0133】
本明細書において使用するように、「機能的リンカー」という用語は、それ自体が免疫機構を活性化する能力を有するリンカーを指す。本発明の機能的リンカーは、様々な細胞型によって、例えばTAME-ITターゲット細胞の貪食の際に抗原提示細胞によって、または直接的にターゲット細胞によって、プロセシングされて主要組織適合遺伝子複合体分子上において提示される腫瘍抗原のペプチド配列を含む。本発明の機能的リンカーは、特定の抗原(例えば腫瘍関連抗原、新生抗原、ウイルス抗原)に対する免疫応答を誘導する。
【0134】
本明細書において使用するように、「腫瘍関連抗原」(TAA)という用語は、胚性タンパク質、糖タンパク質抗原、扁平上皮細胞抗原などを含む、腫瘍細胞または正常細胞上に存在する抗原分子を指し、数多くの腫瘍の処置に広く使用されている。
【0135】
本明細書において使用するように、「抗原」という用語は、病原体の外側に存在し得、抗原特異的抗体、B細胞抗原レセプターまたはT細胞抗原レセプターによって結合され得る、分子または分子構造を指す。通常、身体内に抗原が存在すると免疫応答を誘発する。抗原は、抗体およびT細胞抗原レセプターによって「標的」とされる。それぞれの抗体またはT細胞抗原レセプターは、免疫系の細胞が抗原に接触した後に、抗原に適合するように免疫系によって特異的に作製される。これにより、抗原の正確な同定または合致、および適応応答の開始が可能になる。
【0136】
本明細書において使用するように、「マウス抗原」という用語は、抗原特異的抗体、B細胞抗原レセプターまたはT細胞抗原レセプターによって結合され得る、マウス分子またはマウス分子構造を指す。
【0137】
本明細書において使用するように、「ウイルス抗原」という用語は、宿主において免疫応答を引き起こす、ウイルスが放出する毒素または他の物質を指す。ウイルスタンパク質は、ウイルスゲノムによって特定され、特異的な免疫学的応答によって検出され得る抗原である。
【0138】
本明細書において使用するように、「新生抗原」という用語は、腫瘍細胞における突然変異によって生じた、腫瘍細胞でのみ発現される腫瘍特異的抗原を主に指す(11)。また、新生抗原は、ウイルス感染、選択的スプライシング、および遺伝子再編成によっても作製され得る(12-14)。これは、T細胞ががん細胞を認識するための理想的なターゲットであり、強力な抗腫瘍免疫応答を誘導することができる。
【0139】
一部の実施形態において、本発明の機能的リンカーはTAAペプチドの組合せを有する。一部の実施形態において、本発明の機能的リンカーは、1つまたは複数のTAAペプチドを含む。例えば、機能的リンカーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のTAAペプチドを含む。
【0140】
一部の実施形態において、機能的リンカーは、同じTAAペプチドを含む。
【0141】
一部の実施形態において、機能的リンカーは、少なくとも1、2、3、4、5コピーの同じTAAペプチド、および少なくとも1、2、3、4、5コピーの他のTAAペプチドを含む。
【0142】
一部の実施形態において、腫瘍、または細菌やウイルスのような病原性微生物によって発現される抗原を、本発明のキメラタンパク質のリンカー(b)に抗原ペプチドとして挿入することができる。したがって、これらのキメラタンパク質は、患者の特異的抗原からの配列を使用して、リンカー(b)の抗原ペプチドを変更することによって、各患者に対して「個別化」することができる。
【0143】
一部の実施形態において、リンカーは、4つのグリシンおよび1つのセリン(G4S配列、GGGGSとしても知られる)のリピート、一般的な実験技術によって特異的抗体でタンパク質を検出するためのペプチドタグ、主要組織適合遺伝子複合体のクラスIおよびクラスII分子に提示され得、特異的免疫応答が誘導される、例えば腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、NY-ESO-1、メランA抗原、MUC-1)または寛容抗原(例えば、MBP、PLP、MOG)などの、1つまたは複数の同定された、治療に関連する抗原ペプチド配列から選択される。特定の実施形態において、リンカーはTAAである。
【0144】
一部の実施形態において、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能な少なくとも1つのシステイン残基を含む。本明細書の他の箇所に記載されているように、ジスルフィド結合を形成することが可能な、このような少なくとも1つのシステイン残基は、理論に縛られることを望むものではないが、キメラタンパク質の適切な多量体状態を維持し、効率的な作製を可能にする役割を担っている。
【0145】
一部の実施形態において、安定なキメラタンパク質を作製する方法が提供され、該方法は、得られるキメラタンパク質が適切にフォールディングされ、および/または、安定な多量体状態に形成されるように、ジスルフィド結合を形成することが可能な少なくとも1つのシステイン残基を含むリンカーに、I型およびII型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを隣接させることを含む。一部の実施形態において、リンカーは、自然起源のマルチドメインタンパク質に由来し得るか、または、例えば、Chichili等、(2013)、Protein Sci.22(2):153-167、Chen等、(2013)、Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されているような実証的リンカーであり、これらの内容全体が言及することによって本明細書に援用される。一部の実施形態において、リンカーは、Chen等、(2013)、Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369およびCrasto等、(2000)、Protein Eng.13(5):309-312に記載されているようなものなどのリンカー設計データベースおよびコンピュータープログラムを使用して設計され得、これらの内容全体が言及することによって本明細書に援用される。
【0146】
一部の実施形態において、リンカーは、(ポリエチレングリコール)PEGなどの合成リンカーである。本明細書において使用するように、「PEG」という用語は、石油由来のポリエーテル化合物を指す。PEGの構造は一般にH-(O-CH2-CH2)n-OHとして表される。PEGは、例えばモノ(C1-C10)アルコキシ-もしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドなど、他のタンパク質を誘導体化するために使用されるPEGの形態のいずれも包含することを意図する。
【0147】
一部の実施形態において、リンカーはポリペプチドである。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する自然起源のアミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに自然起源のアミノ酸ポリマーおよび自然起源でないアミノ酸ポリマーに適用する。他に示さない限り、特定のポリペプチド配列はまた、その保存的に修飾した変異体も暗黙的に包含する。
【0148】
一部の実施形態において、リンカーは、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、NY-ESO-1、メランA抗原、MUC-1)から構成される。
【0149】
一部の実施形態において、リンカーは、連続する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の寛容抗原(例えば、MBP、PLP、MOG)から構成される。
【0150】
一部の実施形態において、リンカーは、約500アミノ酸長、約450アミノ酸長、約400アミノ酸長、約350アミノ酸長、約300アミノ酸長、約250アミノ酸長、約200アミノ酸長、約150アミノ酸長、または約100アミノ酸長未満である。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満であり得る。一部の実施形態において、リンカーは可動性である。他の実施形態において、リンカーは剛性である。
【0151】
一部の実施形態において、リンカーは、実質的にグリシン残基およびセリン残基(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシンおよびセリン)から構成される。
【0152】
一部の実施形態において、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、およびIgE)のヒンジ領域である。IgG、IgA、IgD、およびIgEクラスの抗体に見受けられるヒンジ領域は、可動性スペーサーとして機能し、Fab部分が空間内で自由に動くことを可能にする。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは構造的に多様であり、免疫グロブリンクラスおよびサブクラスの間で配列と長さとの両方が変化する。例えば、ヒンジ領域の長さおよび可動性は、IgGサブクラス間で変化する。IgG1のヒンジ領域はアミノ酸216~231を包含し、それが自由に可動性であるため、Fabフラグメントは、その対称軸を中心に回転し、重鎖間の2つのジスルフィド架橋の第1を中心とする球内を移動することができる。IgG2は、12個のアミノ酸残基および4つのジスルフィド架橋を有する、IgG1よりも短いヒンジを有する。IgG2のヒンジ領域はグリシン残基を欠き、比較的短く、追加の重鎖間ジスルフィド架橋によって安定化された硬いポリプロリン二重らせんを含有する。これらの特性は、IgG2分子の可動性を制限する。IgG3は、62個のアミノ酸(21個のプロリンおよび11個のシステインを含む)を含有し、可動性でないポリプロリン二重らせんを形成する、その特有の拡張ヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍ほどの長さ)によって他のサブクラスと異なる。IgG3において、FabフラグメントはFcフラグメントから比較的離れており、より高い柔軟性を分子に与えている。また、IgG3の伸長ヒンジは、他のサブクラスと比較してその分子量がより高いことの要因となっている。IgG4のヒンジ領域はIgG1のものよりも短く、その可動性はIgG1とIgG2との中間である。ヒンジ領域の可動性は、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順序で低下すると報告されている。一部の実施形態において、リンカーは、ヒトIgG4に由来し、二量体化(S228Pを含む)またはFcRn結合を増強するために1つ以上の突然変異を含有し得る。
【0153】
結晶学的研究によると、免疫グロブリンのヒンジ領域は、さらに、上部ヒンジ領域、コア領域、および下部ヒンジ領域という3つの領域に機能的に細分化できる。Shin等、1992、Immunological Reviews 130:87を参照されたい。上部ヒンジ領域は、Cmのカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジの第1の残基、一般に2つの重鎖間に鎖間ジスルフィド結合を形成する第1のシステイン残基までのアミノ酸を含む。上部ヒンジ領域の長さは、抗体のセグメントの可動性と相関する。コアヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド架橋を含有し、下部ヒンジ領域は、CH2ドメインのアミノ末端に連結し、CH2の残基を含む。Id。野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は、Cys-Pro-Pro-Cysの配列を含有し、これは、ジスルフィド結合形成によって二量体化したとき、回転軸として機能すると考えられる環状オクタペプチドを生じ、そのため可動性を与える。一部の実施形態において、本リンカーは、任意の抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、およびIgE)の上部ヒンジ領域、コア領域、および下部ヒンジ領域の1つ、または2つ、または3つを含む。また、ヒンジ領域は、炭水化物結合のための、いくつかの構造的に別個の種類の部位を含む、1つ以上のグリコシル化部位を含有し得る。例えば、IgA1は、ヒンジ領域の17個のアミノ酸のセグメント内に5つのグリコシル化部位を含有し、分泌型免疫グロブリンに有利な特性と考えられる、腸プロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの耐性を付与する。実施形態において、本発明のリンカーは、1つ以上のグリコシル化部位を含む。
【0154】
一部の実施形態において、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、およびIgE)のFcドメインを含む。一部の実施形態において、リンカーは、ヒトIgG4抗体に由来するヒンジ-CH2-CH3のFcドメインを含む。一部の実施形態において、リンカーは、ヒトIgG1抗体に由来するヒンジ-CH2-CH3のFcドメインを含む。一部の実施形態において、Fcドメインは、新生児型Fcレセプター(FcRn)に対する親和性の増加および結合の増強を示す。一部の実施形態において、Fcドメインは、FcRnへの親和性を増加させて結合を増強する1つ以上の突然変異を含む。理論に縛られることを望むものではないが、FcRnに対する親和性の増加および結合の増強は、本キメラタンパク質のin vivo半減期を増加させると考えられる。
【0155】
一部の実施形態において、リンカーは、抗体のFcドメインを含まない。
【0156】
本明細書において使用するように、「個別化治療」という用語は、疾患の予防、診断、または処置のための、その人自身の遺伝子またはタンパク質についての情報に関する。がんにおいては、個別化医療は、診断、治療計画、処置がうまくいっているかの判定、または予後の判定を支援するために、その人の腫瘍についての特定の情報を使用する。
【0157】
一部の実施形態において、リンカー(b)は、個別化治療の観点から患者に適応させるように交換することができる。腫瘍、または細菌やウイルスのような病原性微生物によって発現される抗原を、本発明のキメラタンパク質のリンカー(b)に抗原ペプチドとして挿入することができる。したがって、これらのキメラタンパク質は、患者の特異的抗原からの配列を使用して、リンカー(b)の抗原ペプチドを変更することによって、各患者に対して「個別化」することができる。
【0158】
シグナリングドメイン(a)または(c)
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナリングドメイン(a)および/またはシグナリングドメイン(c)から構成される。
【0159】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、単量体シグナリングドメイン(a)または二量体(例えば、ホモ二量体もしくはヘテロ二量体)シグナリングドメイン(a)または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)シグナリングドメイン(a)から構成される。一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、単量体シグナリングドメイン(c)または二量体シグナリングドメイン(c)または三量体シグナリングドメイン(c)から構成される。
【0160】
本明細書において使用するように、「シグナリングドメイン」という用語は、表面分子に結合して、細胞内シグナル伝達カスケードを開始するドメインを指す。「シグナリングドメイン」は、TNFファミリーの単量体、二量体(例えば、ホモ二量体もしくはヘテロ二量体)、または三量体(例えば、ホモ三量体もしくはヘテロ三量体)のタンパク質から構成され、様々な免疫細胞型の活性化を刺激するアゴニスト特性を持つ。
【0161】
一部の実施形態において、シグナリングドメイン(c)またはシグナリングドメイン(a)は、腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)の分子の場合、例えば、CD40L(CD154)、4-1BBL(CD137L)およびOX40L(CD252)を含むが、これらに限定されず、活性形態はリガンドの細胞外ドメインのホモ三量体である。TNFSFは27個のメンバーから構成されている。
【0162】
本明細書において使用するように、「腫瘍壊死因子スーパーファミリー」(TNFSF)という用語は、細胞外システイン高含有ドメインを介して腫瘍壊死因子(TNF)と結合する能力を特徴とするサイトカインレセプターのタンパク質スーパーファミリーを指す。TNFSFは、27個のメンバーから構成され、なかでもCD40L(CD154)、4-1BBL(CD137L)およびOX40L(CD252)があり、活性形態はリガンドの細胞外ドメインのホモ三量体である。
【0163】
本明細書において使用するように、「表面抗原分類40」(CD40)という用語は、抗原提示細胞に見受けられる共刺激タンパク質を指し、その活性化に必要とされる。TH細胞上のCD154(CD40L)とCD40との結合により、抗原提示細胞を活性化し、様々な下流作用を誘導する(UniProt番号:P25942)。
【0164】
本明細書において使用するように、「表面抗原分類137L」(CD137L)という用語は、4-1BBL、壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9)としても知られており、リンパ球活性化(ILA)によって誘導される。4-1BBLは、腫瘍壊死因子(TNF)レセプターファミリーのメンバーであり、CD4+およびCD8+の両方の系列の活性化T細胞によって発現される。また、4-1BBLは、樹状細胞、B細胞、NK細胞、好中球、およびマクロファージにも発現される(UniProt番号:Q07011)。CD137リガンドは、主に、専門的抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞、単球/マクロファージ、およびB細胞などに発現され、これらの細胞の活性化時にその発現がアップレギュレートされる。しかしながら、その発現は様々な造血細胞および非造血細胞において確認されている。一般に、4-1BBL/CD137Lは、多くの細胞型において恒常的に発現されているが、少数の細胞型を除いて発現レベルは低い。興味深い点として、4-1BBL/CD137Lは、様々な細胞型においてCD137(4-1BBおよびTNFRSF9としても知られている)と共発現されるが、CD137/4-1BBの発現は、4-1BBL/CD137Lのエンドサイトーシスをもたらす2つの分子間のシス相互作用によって、4-1BBL/CD137Lの発現を強力にダウンレギュレートする(Byungsuk Kwon et al.Is CD137 Ligand (CD137L)“Signaling a Fine Tuner of Immune Responses?” Immune Netw.2015 Jun;15(3):121-124を参照)。
【0165】
本明細書において使用するように、「腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリー、メンバー4」(TNFRSF4)という用語は、CD134およびOX40レセプターとしても知られており、CD28とは異なり、休止ナイーブT細胞上に恒常的に発現されないレセプターのTNFRスーパーファミリーのメンバーである(UniProt番号:P43489)。
【0166】
一部の実施形態において、シグナリングドメイン(c)またはシグナリングドメイン(a)は、病理学的状況に応じて、目的の免疫細胞(例えば、樹状細胞、Tregを含むT細胞、マクロファージ、NK細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞)上に発現されるレセプターの特異的アゴニストとして機能する。シグナリングドメイン(c)またはシグナリングドメイン(a)は、免疫リガンド(例えば、TNFSFファミリー、PD-L1、CTLA-4)の細胞外ドメインの活性形態(単量体または多量体)に基づく。
【0167】
本明細書において使用するように、「樹状細胞(DC)」は、哺乳動物の免疫系の抗原提示細胞(アクセサリー細胞としても知られる)を指す。その主な機能は、抗原物質を処理し、それを細胞表面において免疫系のT細胞に提示することである。これは、自然免疫系と適応免疫系との間のメッセンジャーとして機能する。
【0168】
本明細書において使用するように、「T細胞」という用語はリンパ球の種類を指す。T細胞は免疫系の重要な白血球細胞の1つであり、適応免疫応答において中心的な役割を果たしている。T細胞は、その細胞表面にT細胞レセプター(TCR)が存在することによって、他のリンパ球と容易に区別することができる。T細胞は骨髄に見受けられる造血幹細胞から発生する。その後、発生中のT細胞は、成熟するために胸腺に移動する。T細胞の名前は、それが発達(または成熟)するこの器官に由来する。胸腺に移動した後、前駆細胞はいくつかの別個の種類のT細胞に成熟する。T細胞の分化はまた、胸腺を出た後も続く。特異的な分化T細胞サブタイプのグループは、免疫応答の調節および形成において様々な重要な機能を有する。それらの機能の1つが免疫媒介細胞死であり、これは、CD8+「キラー」T細胞およびCD4+「ヘルパー」T細胞である2つの主要なサブタイプによって行われる。(これらは、細胞表面タンパク質CD8またはCD4が存在することから名付けられた。)CD8+T細胞は「キラーT細胞」としても知られており、細胞傷害性であり、これはウイルス感染細胞やがん細胞を直接的に殺傷することができることを意味する。また、CD8+T細胞は、免疫応答をもたらす際に、サイトカインとして知られている小さなシグナリングタンパク質を用いて、他の種類の細胞を動員することができる。T細胞の別の集団であるCD4+T細胞は、「ヘルパー細胞」として機能する。これらのCD4+ヘルパーT細胞は、CD8+キラーT細胞とは異なり、異物として特定された細胞を間接的に殺傷することによって機能する。これらは、免疫系の他の部分が認知した特定の脅威に応答するかどうか、またどのように応答するかを決定する。また、ヘルパーT細胞は、サイトカインシグナリングを用いて制御性B細胞に直接的に影響を与え、他の細胞集団に間接的に影響を与える。
【0169】
本明細書において使用するように、以前はサプレッサーT細胞として知られていた「制御性T細胞」(Treg)という用語は、免疫系を調節し、自己抗原への寛容性を維持し、自己免疫性疾患を防ぐ、T細胞の分集団を指す。Tregは免疫抑制性であり、一般にエフェクターT細胞の誘導および増殖を抑制またはダウンレギュレートする。Tregは、CD4、FOXP3、およびCD25というバイオマーカーを発現し、ナイーブCD4細胞と同じ系列に由来すると考えられている。
【0170】
本明細書において使用するように、「ナチュラルキラー細胞」(NK細胞)という用語は、大顆粒リンパ球(LGL)としても知られており、急速に拡大している自然リンパ球細胞(ILC)ファミリーに属するとともに、ヒトの全循環リンパ球の5~20%に相当する、自然免疫系に重要である細胞傷害性リンパ球の種類を指す。NK細胞の役割は、脊椎動物の適応免疫応答における細胞傷害性T細胞の役割と類似する。NK細胞は、感染後約3日目に作用して、ウイルス感染細胞に対して迅速な応答を行い、腫瘍形成に対して応答する。典型的に、免疫細胞は感染細胞表面に提示された主要組織適合遺伝子複合体(MHC)を検出し、サイトカイン放出を誘発し、溶解またはアポトーシスによって感染細胞の死をもたらす。しかしながら、NK細胞は、抗体やMHCが存在しない場合にもストレスを受けた細胞を認識して殺傷する能力を有し、はるかに迅速な免疫応答を可能にするため、特有である。これは、MHCクラス1の「自己」マーカーを失った細胞を殺傷するために活性化を必要としないという考え方から、「ナチュラルキラー」と名付けられた。MHCIマーカーを失った有害な細胞は、Tリンパ球細胞などの他の免疫細胞によって検出および破壊されないので、この役割は特に重要である。NK細胞は、CD56の存在およびCD3の欠如(CD56+、CD3-)によって同定することができる。NK細胞(自然リンパ球細胞のグループに属する)は、共通のリンパ球前駆体から分化した3種類の細胞の1つであり、他の2つはBリンパ球とTリンパ球である。NK細胞は、骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃腺、および胸腺において分化および成熟し、その後循環に入ることが知られている。
【0171】
本明細書において使用するように、「骨髄系由来サプレッサー細胞」(MDSC)という用語は、骨髄系列(骨髄幹細胞に由来する細胞ファミリー)からの異種グループの免疫細胞である。MDSCは、慢性感染症およびがんなどの病的状況において、造血が変化した結果、大きく増殖する。MDSCは、免疫賦活特性ではなく強い免疫抑制活性を持つことから、他の骨髄細胞型から区別される。他の骨髄細胞と同様に、MDSCも、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、およびナチュラルキラー細胞を含む他の免疫細胞型と相互作用して、それらの機能を調節している。
【0172】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、4-1BBL、OX-40リガンド(OX-40L)、LIGHT(CD258)、GITRリガンド(GITRL)、CD70、CD30リガンド、CD40リガンド(CD40L)、CD137リガンド、TRAIL、およびTL1Aのうちの1つ以上である、免疫刺激シグナルの細胞外ドメインの三量体を含む。
【0173】
特定の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、3つの同一の免疫刺激シグナルの組合せを含み、該免疫刺激シグナルは、4-1BBL、OX-40リガンド(OX-40L)、LIGHT(CD258)、GITRリガンド(GITRL)、CD70、CD30リガンド、CD40リガンド(CD40L)、CD137リガンド、TRAIL、およびTL1Aから選択されるが、これらに限定されない。
【0174】
特定の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、3つの異なる免疫刺激シグナルの組合せを含み、該免疫刺激シグナルは、4-1BBL、OX-40リガンド(OX-40L)、LIGHT(CD258)、GITRリガンド(GITRL)、CD70、CD30リガンド、CD40リガンド(CD40L)、CD137リガンド、TRAIL、およびTL1Aから選択されるが、これらに限定されない。
【0175】
特定の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、2つの同一の免疫刺激シグナルと1つの異なる免疫刺激シグナルとの組合せを含み、該免疫刺激シグナルは、4-1BBL、OX-40リガンド(OX-40L)、LIGHT(CD258)、GITRリガンド(GITRL)、CD70、CD30リガンド、CD40リガンド(CD40L)、CD137リガンド、TRAIL、およびTL1Aから選択されるが、これらに限定されない。
【0176】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、そのフォールディングまたはリガンド/レセプター相互作用を高めるように改変された、免疫刺激シグナルの細胞外ドメインの三量体を含む。
【0177】
本明細書において使用するように、「LIGHT」という用語は、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られており、TNFスーパーファミリーの分泌タンパク質である。これは、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)およびデコイレセプター3によって認識される(UniProt番号:O43557)。
【0178】
本明細書において使用するように、「腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー18」(TNFSF18)という用語は、GITRリガンド(GITRL)としても知られており、ヒトにおいてTNFSF18遺伝子(UniProt番号:Q9UNG2)によってコードされるタンパク質を指す。
【0179】
本明細書において使用するように、「表面抗原分類70」(CD70)という用語は、ヒトにおいてCD70遺伝子によってコードされるタンパク質を指し[1]、CD70はCD27のリガンドである。CD70タンパク質は(T細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫のように)高度に活性化されたリンパ球に発現する。(UniProt番号:P32970)。
【0180】
本明細書において使用するように、「CD30リガンド」という用語は、TNFRSF8としても知られており、腫瘍壊死因子レセプターファミリーの細胞膜タンパク質であり、腫瘍マーカーである。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドファミリーに属するサイトカインである。このサイトカインは、TNFRSF18/AITR/GITRレセプターのリガンドである。これは、末梢組織におけるTリンパ球の生存を調節することが示されている。また、このサイトカインは内皮細胞に発現されることが分かっており、Tリンパ球と内皮細胞との相互作用に重要であると考えられている。(UniProt番号:P28908)。
【0181】
本明細書において使用するように、「TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)」という用語は、CD253(表面抗原分類253)およびTNFSF10(腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリーメンバー10)とも呼ばれており、アポトーシスと呼ばれる細胞死のプロセスを誘導するリガンドとして機能するタンパク質を指す。TRAILは、ほとんどの正常組織細胞によって産生および分泌されるサイトカインである。これは、特定のデスレセプターと結合することによって、主に腫瘍細胞にアポトーシスを引き起こす。(UniProt番号:P50591)。
【0182】
本明細書において使用するように、「腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー15」(TNFSF15)という用語は、TL1Aとしても知られており、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドファミリーに属するサイトカインを指す。これは、内皮細胞に特異的に発現される(UniProt番号:O95150)。
【0183】
本明細書において使用するように、「三量体タンパク質」という用語は、タンパク質または核酸のような、通常は非共有結合で結合した3つの高分子によって形成される高分子複合体を指す。ホモ三量体は3つの同一分子によって形成される。ヘテロ三量体は3つの異なる高分子によって形成される。特に、「三量体」という用語は、それらの分子のそれぞれにおける細胞外ドメインの配列の反復(×3)を指し、その三量体化同族レセプターへの効率的な結合によって、目的の細胞の最適な活性化を可能にする。
【0184】
一部の実施形態において、シグナリングドメイン(c)またはシグナリングドメイン(a)は、三量体タンパク質である。一部の実施形態において、本発明のシグナリングドメイン(a)または(c)は、三量体4-1BBL、三量体OX-40L、三量体LIGHT、三量体GITRL、三量体CD70、三量体CD30L、三量体CD40L、三量体HVEM、三量体GITR、三量体CD27、三量体CD28、三量体CD137、および三量体TL1Aのような三量体免疫刺激剤を含む。
【0185】
特定の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、三量体4-1BBLを含む。
【0186】
特定の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、リンカーによって共に連結された、3つの単量体4-1BBLを含み、該リンカーは、4つのグリシンおよび1つのセリン(G4S配列)のリピート、一般的な実験技術によって特異的抗体でタンパク質を検出するためのペプチドタグ、主要組織適合遺伝子複合体のクラスIおよびクラスII分子に提示され得、特異的免疫応答が誘導される、例えば腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、NY-ESO-1、メランA抗原、MUC-1)または寛容抗原(例えば、MBP、PLP、MOG)などの、1つまたは複数の同定された、治療に関連する抗原ペプチド配列から選択される。特定の実施形態において、4-1BBLの単量体の間のリンカーはTAAである。
【0187】
一部の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、4-1BBLの2つの単量体と1つの単量体OX-40Lとを有する三量体免疫刺激剤を含み、4-1BBLの各単量体は、リンカーによって共に連結されており、該リンカーは、4つのグリシンおよび1つのセリン(G4S配列)のリピート、一般的な実験技術によって特異的抗体でタンパク質を検出するためのペプチドタグ、主要組織適合遺伝子複合体のクラスIおよびクラスII分子に提示され得、特異的免疫応答が誘導される、例えば腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、NY-ESO-1、メランA抗原、MUC-1)または寛容抗原(例えば、MBP、PLP、MOG)などの、1つまたは複数の同定された、治療に関連する抗原ペプチド配列から選択される。特定の実施形態において、4-1Lの単量体の間のリンカーはTAAである。
【0188】
特定の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、三量体OX-40Lを含む。特定の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、リンカーによって共に連結された、3つの単量体OX-40Lを含み、該リンカーは、4つのグリシンおよび1つのセリン(G4S配列)のリピート、一般的な実験技術によって特異的抗体でタンパク質を検出するためのペプチドタグ、主要組織適合遺伝子複合体のクラスIおよびクラスII分子に提示され得、特異的免疫応答が誘導される、例えば腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、NY-ESO-1、メランA抗原、MUC-1)または寛容抗原(例えば、MBP、PLP、MOG)などの、1つまたは複数の同定された、治療に関連する抗原ペプチド配列から選択される。特定の実施形態において、OX-40Lの単量体の間のリンカーはTAAである。
【0189】
特定の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、三量体CD40Lを含む。特定の実施形態において、本発明のシグナリングドメインは、リンカーによって共に連結された、3つの単量体CD40Lを含み、該リンカーは、4つのグリシンおよび1つのセリン(G4S配列)のリピート、一般的な実験技術によって特異的抗体でタンパク質を検出するためのペプチドタグ、主要組織適合遺伝子複合体のクラスIおよびクラスII分子に提示され得、特異的免疫応答が誘導される、例えば腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、NY-ESO-1、メランA抗原、MUC-1)または寛容抗原(例えば、MBP、PLP、MOG)などの、1つまたは複数の同定された、治療に関連する抗原ペプチド配列から選択される。特定の実施形態において、CD40Lの単量体の間のリンカーはTAAである。
【0190】
本明細書において使用するように、「三量体」という用語は、3つの同一の単純な分子、または3つの異なる単純な分子、または2つの同一の単純な分子および1つの異なる単純な分子からなる化学物質または分子に関する。一部の実施形態において、「三量体」という用語は、ホモ三量体またはヘテロ三量体を含む。
【0191】
一部の実施形態において、シグナリングドメイン(c)またはシグナリングドメイン(a)は、単量体である。
【0192】
本明細書において使用するように、「単量体」という用語は、1つの単純な分子からなる化学物質または分子に関する。
【0193】
一部の実施形態において、シグナリングドメイン(c)またはシグナリングドメイン(a)は、二量体である。
【0194】
本明細書において使用するように、「二量体」という用語は、2つの同一の単純な分子、または2つの異なる単純な分子からなる化学物質または分子に関する。一部の実施形態において、「二量体」という用語は、ホモ二量体またはヘテロ二量体を含む。
【0195】
タンパク質のベクター化
一部の実施形態において、本発明は、異種核酸の送達のためのベクターに関し、該核酸は本発明のキメラタンパク質をコードする。
【0196】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸または本発明のキメラタンパク質のベクター化は、任意の発現系を使用し、複製および非複製ウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス、AAV、レンチウイルス)、mRNA、プラスミド、ならびに他の遺伝子治療ベクターに限定されない。
【0197】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0198】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0199】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0200】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0201】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0202】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0203】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0204】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0205】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体ドメインである、キメラタンパク質を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0206】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体ドメインである、キメラタンパク質を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0207】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体ドメインである、キメラタンパク質を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0208】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体ドメインである、キメラタンパク質を含む水疱性口内炎ウイルス(VSV)に関する。
【0209】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0210】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0211】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0212】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0213】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0214】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0215】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0216】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0217】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0218】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0219】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0220】
一部の実施形態において、本発明は、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体ドメインである、キメラタンパク質をコードする核酸を含むワクシニアウイルス(VV)に関する。
【0221】
一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載するキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。一部の実施形態において、発現ベクターはDNAまたはRNAを含む。一部の実施形態において、発現ベクターは哺乳動物の発現ベクターである。
【0222】
キメラタンパク質の発現には、原核生物ベクターおよび真核生物ベクターの両方が使用できる。原核生物ベクターは、E.coli配列に基づくコンストラクトを含む(例えば、Makrides,Microbiol Rev 1996,60:512-538を参照)。E.coliにおける発現に使用できる調節領域の非限定的な例は、lac、trp、lpp、phoA、recA、tac、T3、T7、およびAPLを含む。原核生物発現ベクターの非限定的な例は、Agt11などのAgtベクターシリーズ(Huynh et al.,“DNA Cloning Techniques,Vol.I:A Practical Approach”,1984,(D.Glover,ed.),pp.49-78,IRL Press,Oxford)、およびpETベクターシリーズ(Studier et al.,Methods Enzymol 1990,185:60-89)を含み得る。しかしながら、原核生物宿主ベクター系は、哺乳動物細胞の翻訳後プロセスの多くを行うことができない。そのため、真核生物宿主ベクター系が、特に有用であり得る。哺乳動物宿主細胞におけるキメラタンパク質の発現には、様々な調節領域が使用できる。例えば、SV40初期および後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、およびラウス肉腫ウイルスの長末端リピート(RSV-LTR)プロモーターを使用することができる。哺乳動物細胞に有用であり得る誘導性プロモーターは、メタロチオネインII遺伝子に関連するプロモーター、マウス乳癌ウイルスグルココルチコイド応答性長末端リピート(MMTV-LTR)、β-インターフェロン遺伝子、およびhsp70遺伝子を限定することなく含む(Williams et al.,Cancer Res 1989,49:2735-42;およびTaylor et al.,Mol Cell Biol 1990,10:165-75を参照)。ヒートショックプロモーターまたはストレスプロモーターもまた、組換え宿主細胞におけるキメラタンパク質の発現を促進するために有利であり得る。
【0223】
一部の実施形態において、本発明の発現ベクターは、哺乳動物細胞において機能的である、発現制御領域、またはその相補配列に作動可能に連結された、キメラタンパク質(および/もしくはさらなる薬剤)またはその相補配列をコードする核酸を含む。発現制御領域は、発現ベクターで形質転換されたヒト細胞において遮断剤および/または刺激剤が生成されるように、作動可能に連結された遮断剤および/または刺激剤をコードする核酸の発現を促進できる。発現制御領域は、作動可能に連結された核酸の発現に影響を与える、プロモーターおよびエンハンサーなどの調節ポリヌクレオチド(本明細書においてエレメントと呼ぶこともある)である。本発明の発現ベクターの発現制御領域は、ヒト細胞において作動可能に連結されたコード核酸を発現することができる。一部の実施形態において、細胞は腫瘍細胞である。他の実施形態において、細胞は非腫瘍細胞である。一部の実施形態において、発現制御領域は、調節可能な発現を、作動可能に連結された核酸に付与する。シグナル(刺激と呼ばれることもある)は、そのような発現制御領域に作動可能に連結された核酸の発現を増加または低下させることができる。シグナルに応答して発現を増加させるそのような発現制御領域は、多くの場合、誘導性と呼ばれる。シグナルに応答して発現を低下させるそのような発現制御領域は、多くの場合、抑制性と呼ばれる。典型的に、そのようなエレメントによって付与される増加または低下の量は、存在するシグナルの量に比例し、シグナルの量が多いほど、発現の増加または低下が大きくなる。一部の実施形態において、本発明は、合図に応答して一時的に高レベルの発現をもたらすことができる誘導性プロモーターの使用を企図する。例えば、腫瘍細胞の近くにある場合、そのような発現制御配列を含むキメラタンパク質(および/またはさらなる薬剤)のための発現ベクターで形質転換された細胞は、該形質転換された細胞を適切な合図に暴露することによって高レベルの薬剤を一時的に生成するように誘導される。例示的な誘導性発現制御領域は、低分子化学物質などの合図で刺激される誘導性プロモーターを含むものを含む。特定の例は、例えば、米国特許第5,989,910号明細書、米国特許第5,935,934号明細書、米国特許第6,015,709号明細書、および米国特許第6,004,941号明細書において見受けられ得、これらのそれぞれの全体が、言及することによって本明細書に援用される。発現制御領域および遺伝子座制御領域は、天然のプロモーターおよびエンハンサーエレメントなどの全長プロモーター配列、ならびに全長または非変異体機能のすべてまたは一部を保持する部分配列またはポリヌクレオチド変異体を含む。本明細書において使用するように、「機能的」という用語およびその文法的変異形は、核酸配列、部分配列、またはフラグメントを参照して使用されるとき、配列が天然の核酸配列(例えば、非変異体または非改変配列)の1つ以上の機能を有することを意味する。
【0224】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、分泌されるまたは分泌され得る。
【0225】
本明細書において使用するように、「作動可能な連結」は、構成成分が意図される様式で機能できるように記載されているように構成成分の物理的な並置を指す。核酸と作動可能に連結した発現制御エレメントの例において、制御エレメントが核酸の発現を調節するような関係になっている。典型的には、転写を調節する発現制御領域は、転写された核酸の5’末端(すなわち「上流」)付近に並置される。発現制御領域はまた、転写された配列の3’末端(すなわち、「下流」)または転写物内(例えば、イントロン)に配置することができる。発現制御エレメントは、転写された配列から離れた距離(例えば、核酸から100~500、500~1000、2000~5000、またはそれより多くのヌクレオチド)に配置することができる。発現制御エレメントの特定の例はプロモーターであり、これは転写された配列の5’側に通常は位置する。発現制御エレメントの他の例はエンハンサーであり、これは転写された配列の5’側もしくは3’側または転写された配列内に配置することができる。
【0226】
ヒト細胞において機能する発現系は、当該技術において周知であり、かつウイルス系を含む。一般に、ヒト細胞において機能するプロモーターは、哺乳動物RNAポリメラーゼに結合してmRNAへのコード配列の下流(3’)転写を開始できる任意のDNA配列である。プロモーターは、コード配列の5’末端近くに通常位置する転写開始領域、および典型的には、転写開始部位の25~30塩基対上流に位置するTATAボックスを有する。TATAボックスは、正しい部位でRNA合成を開始するようにRNAポリメラーゼIIを誘導すると考えられている。プロモーターはまた、TATAボックスの100~200塩基対上流内に典型的に位置する、上流プロモーターエレメント(エンハンサーエレメント)を含有する。上流プロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定し、いずれかの方向にも作用できる。哺乳動物ウイルス遺伝子は、多くの場合、高度に発現され、広い宿主範囲を有するので、哺乳動物ウイルス遺伝子のプロモーターはプロモーターとして特に有用である。例には、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、およびCMVプロモーターを含む。典型的に、哺乳動物細胞によって認識される転写終結配列およびポリアデニル化配列は、翻訳終止コドンの3’側に位置する調節領域であり、そのため、プロモーターエレメントと共に、コード配列に隣接する。成熟mRNAの3’末端は、部位特異的な翻訳後切断およびポリアデニル化によって形成される。転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナルの例は、SV40由来のものを含む。また、イントロンも発現コンストラクトに含まれ得る。核酸を生存細胞に核酸を導入するために利用可能な様々な技術がある。核酸を哺乳動物細胞にin vitroで導入することに適する技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、微量注入法、細胞融合、ポリマーベースのシステム、DEAE-デキストラン、ウイルス形質導入、リン酸カルシウム沈殿法などの使用を含む。in vivoの遺伝子導入では、リポソーム、キトサンおよびゼラチンなどの天然ポリマー系送達ビヒクルを含む多くの技術および試薬もまた、使用することができる。ウイルスベクターも、in vivoの形質導入に適する。一部の状況において、腫瘍細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体またはリガンドなどの、ターゲティング物質を提供することが望ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質は、例えば、特定の細胞型を指向するカプシドタンパク質またはそのフラグメント、循環中に内部移行を受けるタンパク質に対する抗体、細胞内局在を標的とし細胞内半減期を増強するタンパク質を標的化し、および/またはその取り込みを促進するために使用され得る。レセプター媒介エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu等、J.Biol.Chem.262,4429-4432(1987)、およびWagner等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87、3410-3414(1990)によって記載されている。該当する場合、例えば、組み込み配列などの遺伝子送達因子を用いることもできる。多数の組み込み配列が当該技術において知られている(例えば、Nunes-Duby et al.,Nucleic Acids Res.26:391-406,1998;Sadwoski,J.Bacterid.,165:341-357,1986;Bestor,Cell,122(3):322-325,2005;Plasterk et al.,TIG 15:326-332,1999;Kootstra et al.,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003を参照)。これらは、リコンビナーゼおよびトランスポサーゼを含む。例には、Cre(Sternberg and Hamilton,J.Mol.Biol.,150:467-486,1981)、lambda(Nash,Nature,247,543-545,1974),Flp(Broach,et al.,Cell,29:227-234,1982)、R(Matsuzaki,et al.,J.Bacteriology,172:610-618,1990)、cpC31(例えば、Groth et al,J.Mol.Biol.335:667-678,2004を参照)、スリーピングビューティー(sleeping beauty)、マリナーファミリーのトランスポサーゼ(Plasterk et al.、上述参照)、ならびに、レトロウイルスまたはレンチウイルスのLTR配列およびAAVのITR配列などのウイルス組み込みを提供する構成成分を有するAAV、レトロウイルス、レンチウイルスなどのウイルスを組み込むための構成成分(Kootstra et al.,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003)を含む。さらに、直接的かつ標的化した遺伝子組み込みの方策が、キメラ融合タンパク質をコードする核酸配列を挿入するために使用され得、これには、CRISPR/CAS9、亜鉛フィンガー、TALEN、およびメガヌクレアーゼ遺伝子編集技術を含む。
【0227】
一態様において、本発明は、ウイルスベクターである、キメラタンパク質(および/またはさらなる薬剤)の発現のための発現ベクターを提供する。遺伝子治療に有用な多くのウイルスベクターが知られている(例えば、Lundstrom,Trends Biotechnol.,21:1 17,122,2003を参照)。例示的なウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、レンチウイルス(LV)、レトロウイルス(RV)、アデノウイルス(AV)、アデノ随伴ウイルス(AAV)または同じファミリーのウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス(VV)、粘液腫ウイルス、レオウイルス、パルボウイルス、流行性耳下腺炎ウイルスから選択されるものを含むが、他のウイルスベクターも使用され得る。in vivoの使用では、αウイルスおよびアデノウイルスなど、宿主ゲノムに組み込まれないウイルスベクターが使用に適する。例示的なαウイルスの種類は、シンドビスウイルス、ベネズエラウマ脳炎(VEE)ウイルス、およびセムリキフォレストウイルス(SFV)、HSV、エンテロウイルス、パラミクソウイルス、ポックスウイルス、ラブドウイルスを含む。in vitroの使用では、レトロウイルス、AAV、およびレンチウイルスなど、宿主ゲノムに組み込まれるウイルスベクターが適する。一部の実施形態において、本発明は、in vivoにおいてヒト細胞に形質導入する方法であって、in vivoにおいて固形腫瘍を本発明のウイルスベクターと接触させることを含む、方法を提供する。
【0228】
特定の実施形態において、本発明のウイルスベクターは水疱性口内炎ウイルス(VSV)である。
【0229】
特定の実施形態において、本発明のウイルスベクターは組換えワクシニアウイルス(VV)である。
【0230】
一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載するキメラタンパク質を含む発現ベクター含む宿主細胞を提供する。
【0231】
発現ベクターは、本発明のキメラタンパク質を作製するために宿主細胞に導入することができる。細胞は、例えば、in vitroにおいて培養されるか、または遺伝子学的に改変され得る。有用な哺乳動物宿主細胞は、ヒト、サル、およびげっ歯動物に由来する細胞を限定することなく含む(例えば、Kriegler、“Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual” 1990,New York,Freeman&Co.を参照)。これらには、SV40によって形質転換されたサル腎臓細胞株(例えば、COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(例えば、293、293-EBNA、または懸濁培養での増殖のためにサブクローニングされた293細胞、Graham et al.,J Gen Virol 1977,36:59);ベビーハムスター腎臓細胞(例えば、BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞DHFR(例えば、CHO、Urlaub、およびChasin、Proc Natl Acad Sci USA 1980,77:4216);DG44 CHO細胞、CHO-K1細胞、マウスセルトリ細胞(Mather,Biol Reprod 1980,23:243-251);マウス線維芽細胞(例えば、NIH-3T3)、サル腎臓細胞(例えば、CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸部癌細胞(例えば、HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(例えば、MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(例えば、BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(例えば、W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(例えば、Hep G2、HB 8065);およびマウス乳癌細胞(例えば、MMT 060562、ATCC CCL51)を含む。本明細書に記載するキメラタンパク質を発現させるための例示的ながん細胞型は、マウス線維芽細胞株、NIH3T3、マウスルイス肺癌細胞株、LLC、マウスマスト細胞腫細胞株、P815、マウスリンパ腫細胞株、EL4およびそのオボアルブミン遺伝子導入体、E.G7、マウス黒色腫細胞株、B16F10、マウス線維肉腫細胞株、MC57、ならびにヒト小細胞肺癌細胞株のSCLC#2およびSCLC#7を含む。
【0232】
本発明の実施において有用な遺伝子送達ウイルスベクターは、分子生物学の技術分野で周知の方法論を利用して構築することができる。典型的には、導入遺伝子を有するウイルスベクターは、導入遺伝子をコードするポリヌクレオチド、適切な調節エレメント、および細胞形質導入を媒介するウイルスタンパク質の作製に必要なエレメントから構成される。
【0233】
宿主細胞は、健康なヒト、がん患者、および感染疾患を有する患者を含む健常もしくは罹患している患者、民間研究室寄託、アメリカンタイプカルチャーコレクションなどの公共のカルチャーコレクション、または商業サプライヤーから入手できる。
【0234】
in vitro、ex vivo、および/またはin vivoにおける本キメラタンパク質の作製に使用できる細胞は、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血液細胞;様々な幹細胞または前駆細胞、特に、造血幹細胞または前駆細胞(例えば、骨髄から得られるもの)、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などを限定することなく含む。細胞型の選択は、処置または予防される腫瘍または感染症の種類によって決まり、当業者によって決定することができる。
【0235】
処置
一部の実施形態において、本発明は、がんおよび/または腫瘍を処置または予防する方法に関する。がんの処置は、免疫阻害よりも免疫刺激を促進するように本キメラタンパク質によって免疫系を調節することに関与し得る。
【0236】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する患者において処置または予防する方法における使用のためのキメラタンパク質に関する。
【0237】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の構造を含み、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0238】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の構造を含み、式中、(a)はドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0239】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の構造を含み、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0240】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の構造を含み、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)はシグナリングドメインおよび/またはターゲティングドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0241】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の構造を含み、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は三量体ドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0242】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の構造を含み、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は三量体ドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0243】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の構造を含み、式中、(a)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体ドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0244】
一部の実施形態において、本発明は、がんに罹患する対象を処置する方法であって、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の構造を含み、式中、(c)は単量体ドメインであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体ドメインであるキメラタンパク質を治療有効量で投与することを含む、方法に関する。
【0245】
本明細書において使用するように、「対象」という用語は、哺乳動物、例えばげっ歯動物、ネコ、イヌ、および霊長動物などを指す。特に、本発明における対象はヒトである。より具体的には、本発明における対象は、がんを有する、またはがんにかかりやすい。
【0246】
本明細書において使用するように、「対象」という用語は「患者」を包含する。
【0247】
本明細書において使用するように、「生物学的サンプル」という用語は、対象から得られた任意のサンプル、例えば、血清サンプル、血漿サンプル、尿サンプル、血液サンプル、リンパ液サンプル、または組織生検などを指す。特定の実施形態において、生物学的サンプルは組織生検である。
【0248】
本明細書において使用するように、「組織」という用語は、身体または器官の一部を参照して使用されるとき、一般に、身体において特定の機能を行うために共に機能する、形態学的に類似した細胞、ならびに関連するアクセサリー細胞およびサポート細胞、ならびに細胞外マトリックス物質、脈管供給部、および体液を含む、細胞間物質の凝集体または集合体を指す。動物および人間には、一般に、筋肉組織、神経組織、上皮組織、および結合組織を含む4つの基本的種類の組織がある。
【0249】
一部の実施形態において、対象ががんに罹患するとき、組織サンプルは腫瘍組織サンプルである。本明細書において使用するように、「腫瘍組織サンプル」という用語は、対象に由来する任意の組織の腫瘍サンプルを意味する。上述の組織サンプルは、in vitro評価の目的で取得される。一部の実施形態において、腫瘍サンプルは対象から切除した腫瘍に由来することができる。一部の実施形態において、腫瘍サンプルは、対象の原発腫瘍に行った、または対象の原発腫瘍から離れた転移サンプルに行った生検に由来することができる。一部の実施形態において、腫瘍組織サンプルは、全体的な原発腫瘍(全体として)、腫瘍中心からの組織サンプル、手術前に採取した腫瘍組織サンプル(例えば、処置後の患者の経過観察のため)、および遠隔転移を含む。腫瘍組織サンプルには、当然ながら、多様な周知の採取後調製手法および保存手法を施すことができる(例えば、固定、保存、凍結など)。サンプルは、未処理、凍結、固定(例えば、ホルマリン固定)、または包埋(例えば、パラフィン包埋)することができる。
【0250】
本明細書において使用するように、「がん」という用語は当該技術におけるその一般的な意味を有し、身体の他の部分に浸潤するまたは広がる可能性を有する異常な細胞増殖に関与する疾患グループを指す。「がん」という用語は、原発性がんおよび転移性がんの両方をさらに含む。本発明の方法および組成物によって処置され得るがんの例は、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸管、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮からのがん細胞を含むが、これらに限定されない。加えて、がんは、具体的には以下の組織型であってもよいが、これらに限定されない:悪性新生物;がん腫;未分化がん;巨細胞および紡錘細胞がん;小細胞がん;乳頭がん;扁平上皮がん;リンパ上皮がん;基底細胞がん;石灰化上皮がん;移行上皮がん;乳頭状移行上皮がん;腺がん;悪性ガストリノーマ;胆管がん;肝細胞がん;肝細胞がんと胆管がんの混合型;索状腺がん;腺様嚢胞がん;腺腫性ポリープ中の腺がん;家族性大腸ポリポーシス腺がん;固形がん;悪性カルチノイド腫瘍;細気管支肺胞腺がん(branchiolo-alveolar adenocarcinoma);乳頭腺がん;色素嫌性がん;好酸球がん;好酸性腺がん;好塩基球がん;明細胞腺がん;顆粒細胞がん;濾胞腺がん;乳頭および濾胞腺がん;非被包性硬化性がん;副腎皮質がん;類内膜がん(endometroid carcinoma);皮膚付属器がん;アポクリン腺がん;皮脂腺がん;耳垢腺がん;粘液性類表皮がん;嚢胞腺がん;乳頭状嚢胞腺がん;乳頭状漿液性嚢胞腺がん;粘液性嚢胞腺がん;粘液腺がん;印環細胞がん;浸潤性導管がん;髄様がん;小葉がん;炎症性がん;乳房パジェット病;腺房細胞がん;腺扁平上皮がん;扁平上皮化生を伴う腺がん;悪性胸腺腫;悪性卵巣間質腫瘍;悪性莢膜腫瘍;悪性顆粒膜細胞腫;悪性神経芽細胞腫(roblastoma);セルトリ細胞がん;悪性ライディッヒ細胞腫;悪性脂質細胞腫;悪性傍神経節腫;悪性乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性メラノーマ;無色素性メラノーマ;表在拡大型メラノーマ;巨大色素性母斑中の悪性メラノーマ;類上皮細胞メラノーマ;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;悪性混合腫瘍;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;がん肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;未分化胚細胞腫;胚性がん;悪性奇形腫;悪性卵巣甲状腺種;絨毛がん;悪性中腎腫;血管肉腫;悪性血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性血管外皮腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル上皮肉腫;悪性エナメル上皮腫;エナメル上皮線維肉腫;悪性松果体腫;脊索腫;悪性神経膠腫;上衣腫;上衣腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;髄芽腫、膠芽腫;乏突起膠腫;乏突起膠芽腫;原始神経外胚葉腫瘍(primitive neuroectodermal);小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫;悪性小リンパ球性リンパ腫;悪性びまん性大細胞型リンパ腫;悪性濾胞性リンパ腫;菌状息肉腫;その他の特定されている非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;ならびに有毛細胞白血病。
【0251】
本明細書において使用するように、「処置する」または「処置」という用語は、疾患にかかるリスクを有するまたは疾患にかかったと疑われる対象、および病気であるまたは疾患もしくは医学的状態に罹患していると診断された対象の処置を含む、予防または防止処置、および根治または疾患修飾処置の両方を指し、臨床における再発の抑制を含む。処置は、障害もしくは再発の障害を予防する、治癒する、その発症を遅延する、その重篤度を軽くする、もしくはその1つ以上の症状を改善するため、または、そうした処置が存在しない場合に予想される生存期間を超えて対象の生存期間を延長するため、医学的障害を有するまたは最終的にそうした障害に罹患し得る対象に行うことができる。「治療レジメン」は、病気の処置のパターン、例えば治療時に使用する投薬のパターンを意味する。治療レジメンは、誘導レジメンおよび維持レジメンを含むことができる。「誘導レジメン」または「誘導期間」という表現は、疾患の初期の処置に使用する治療レジメン(または治療レジメンの一部)を指す。誘導レジメンの全体的な目的は、初期の処置レジメンの期間に高レベルの薬剤を対象に提供することである。誘導レジメンは、「負荷レジメン」を(部分的または全体的に)使用することができ、これは、医師が維持レジメン時に使用し得るものより多い用量の薬剤を投与すること、医師が維持レジメン時に薬剤を投与し得るより頻回で薬剤を投与すること、またはその両方を含むことができる。「維持レジメン」または「維持期間」という表現は、例えば対象を長期間(数か月または数年)寛解の状態に維持するために、病気の処置時に対象のメンテナンスに使用される治療レジメン(または治療レジメンの一部)を指す。維持レジメンは、持続的治療(例えば、薬剤を一定の間隔で、例えば毎週、毎月、毎年等投与すること)、または断続的治療(例えば、中断を含む処置、断続的処置、再発における処置、もしくは所定の特定の条件[例えば痛み、疾患の徴候等]を満たした上での処置)を用いることができる。
【0252】
本明細書において使用するように、「投与する」または「投与」という用語は、例えば、静脈内、筋肉内、経腸、皮下、非経口、全身、局所、脊髄、鼻腔、外用、または上皮投与(例えば、注射もしくは注入によって)などによって、身体の外側に存在する物質(例えば、カスパーゼ8の阻害剤を単独で、または従来の処置と組み合わせて)を、対象に注射する、あるいは物理的に送達する行為を指す。疾患またはその症状を処置するとき、物質の投与は、典型的に、該疾患またはその症状の発症後に行われる。疾患またはその症状を予防するとき、物質の投与は、典型的に、該疾患またはその症状の発症前に行われる。
【0253】
「治療有効量」とは、所望の治療結果を得るために、必要な投与量および期間において有効な量を指す。薬剤の治療有効量は、個人の病状、年齢、性別、および体重、薬剤が個人において所望の応答を誘発できることのなどの要因に応じて変わり得る。また、治療有効量は、キメラタンパク質またはキメラタンパク質の部分の任意の毒性または有害な作用を、治療的に有益な作用が上回るものである。薬剤の効果的な投与量および投与レジメンは、処置する疾患または状態によって決まり、当業者が決定することができる。当業者である医師は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定して処方することができる。例えば、医師は、医薬組成物中に使用する薬剤の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるものよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を次第に増加させることができる。一般に、本発明の組成物の適切な用量は、特定の投与レジメンにより治療効果を生じるのに有効な最も低い用量である化合物の量であり得る。そうした有効用量は一般に、上述の要因によって決まり得る。例えば、治療用途のための治療有効量は、疾患の進行を安定化できるというによって判定することができる。当業者は、そうした量を、対象のサイズ、対象の症状の重篤度、および選択した特定の組成物または投与経路などの要因に基づいて決定することができ得る。薬剤の治療有効量の例示的で非限定的な範囲は、約0.1~100mg/kg、例えば約0.1~50mg/kg、例えば約0.1~20mg/kg、例えば約0.1~10mg/kg、例えば約0.5、例えば約0.3、約1、約3mg/kg、約5mg/kg、または約8mg/kgである。本発明のキメラタンパク質の治療有効量の例示的で非限定的な範囲は、0.02~100mg/kg、例えば約0.02~30mg/kg、例えば約0.05~10mg/kg、または0.1~3mg/kg、例えば約0.5~2mg/kgである。投与は、例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下でとすることができ、例えばターゲット部位の近位に投与することができる。上述の処置方法および用途における投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば治療応答)をもたらすように調整される。例えば、単回のボーラスを投与してもよく、数回の分割用量を経時で投与してもよく、または、治療状況の緊急事態が示されれば、用量を比例して低下もしくは増加させてもよい。一部の実施形態において、処置効果は、治療時に、例えば所定の時点において、モニタリングされる。非限定的な例として、本発明における処置は、処置開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40日目の少なくとも1日に、またはあるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20週目の少なくとも1週に、またはそれらを任意に組み合わせて、1日あたり約0.1~100mg/kg、例えば、0.2、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、または100mg/kgの量の、本発明の薬剤の1日用量として、単回用量または24、12、8、6、4、もしくは2時間毎に分割用量を使用して、またはそれらを任意に組み合わせて使用して、提供することができる。
【0254】
典型的に、上述のような本発明のキメラタンパク質をコードするタンパク質または遺伝子は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の形態で対象に投与される。この組成物に使用することができる薬学的に許容される担体は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂を含むが、これらに限定されない。対象への投与における使用では、組成物は、対象への投与のために製剤化され得る。本発明の組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、経局所、経直腸、経鼻、経口腔、経膣、胸膜内、腹腔内で、または留置リザーバーを介して投与することができる。本明細書で使用されるものは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病変内、および頭蓋内の注射または注入技術を含む。本発明の組成物の滅菌注射剤形は、水性または油性懸濁液とすることができる。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該技術において知られている技術に従って製剤化することができる。また、滅菌注射調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性で非経口に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な溶液または懸濁液とすることができる。使用できる許容可能なビヒクルおよび溶媒のなかには、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の固定油は、従来より、溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のため、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の刺激の少ない固定油を使用することができる。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化タイプと同様に、注射剤の調製に有用である。また、これらの油性溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばエマルションおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与剤形の製剤に一般的に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤を含有することができる。また、Tween、Spanなどの他の一般的に使用される界面活性剤、および薬学的に許容される固体、液体、または他の投与剤形の製造に一般的に使用される他の乳化剤または生物学的利用能増強剤も、製剤の目的で使用することができる。本発明の組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない、任意の経口に許容される投与剤形で経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチを含む。また、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムが、典型的に添加される。カプセル剤形での経口投与では、有用な希釈剤としては、例えばラクトースを含む。経口使用に水性懸濁液を必要とするとき、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わせられる。望ましい場合、特定の甘味料、香味料、または着色剤を添加することもできる。あるいは、本発明の組成物は、直腸投与のための坐剤の剤形で投与することができる。これらは、薬剤を、室温では固体であるが直腸温では液体であり、したがって直腸で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製することができる。そうした物質は、カカオバター、ミツロウ、およびポリエチレングリコールを含む。また、本発明の組成物は、特に、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む、局所の適用によって容易に到達可能である領域または器官を処置のターゲットに含むとき、経局所で投与することができる。適切な局所用製剤は、これらの領域または器官のそれぞれに対して容易に調製される。局所の適用では、組成物は、1つ以上の担体に懸濁または溶解した活性成分を含有する適切な軟膏剤に製剤化することができる。本発明の化合物の局所投与のための担体は、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水を含むが、これらに限定されない。あるいは、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した活性成分を含有する適切なローション剤またはクリーム剤に製剤化することができる。適切な担体は、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルズワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水を含むが、これらに限定されない。下部腸管のための局所の適用は、直腸坐剤(上述を参照)または適切な浣腸剤で行うことができる。また、貼付剤も使用することができる。また、本発明の組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与することができる。そうした組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、生物学的利用能を増強させるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製することができる。例えば、この発明の医薬組成物に存在するキメラタンパク質は、100mg(10mL)または500mg(50mL)の単回使用バイアルのいずれかにおいて10mg/mLの濃度で提供することができる。製品は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウムニ水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80、および滅菌注射用水中において静脈内投与用に製剤化される。pHは6.5に調整される。この発明の医薬組成物におけるキメラタンパク質の例の適切な投与量範囲は、約1mg/m2~500mg/m2とすることができる。しかしながら、これらの計画は例であり、臨床試験において決定する必要のある医薬組成物における特定の抗体の親和性および許容性を考慮して、最適な計画およびレジメンを適応させることができるということが理解される。注射(例えば筋肉内、静脈内)のための本発明の医薬組成物は、滅菌バッファー水(例えば筋肉内では1ml)、および約1ng~約100mg、例えば約50ng~約30mg以上、好ましくは約5mg~約25mgの本発明の阻害剤を含有するように調製することができる。
【0255】
本明細書において使用するように、「組合せ」という用語は、第1の薬剤を、さらなる(第2、第3などの)薬剤と共に提供するすべての投与形態を指すことが意図される。薬剤は、共に、別個に、または連続して、および任意の順で、投与することができる。本発明において、薬剤は、該薬剤が肺に到達することを可能にする任意の適切な方法を使用して対象に投与される。一部の実施形態において、薬剤は、対象に全身性投与される(すなわち、全身投与を介して)。したがって、一部の実施形態において、薬剤は、循環系に入って身体にわたって分布するように、対象に投与される。一部の実施形態において、薬剤は、局所投与によって、例えば肺への局所投与によって、対象に投与される。
【0256】
本明細書において使用するように、「組合せ」という用語は、第1の薬剤を、さらなる(第2、第3などの)薬剤と共に提供するすべての投与形態を指すことが意図される。本キメラタンパク質は、共に、別個に、または連続して、および任意の順で、投与することができる。本発明において、本キメラタンパク質は、薬剤が腎臓に到達することを可能にする任意の適切な方法を使用して対象に投与される。一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、対象に全身性投与される(すなわち、全身投与を介して)。したがって、一部の実施形態において、薬剤は、循環系に入って身体にわたって分布するように、対象に投与される。
【0257】
本明細書において使用するように、「組み合わせの処置」、「組み合わせの治療」、または「治療の組合せ」という用語は、1つを超える薬剤を使用する処置を指す。組み合わせの治療は二剤併用療法(dual therapy)または二重療法(bi-therapy)とすることができる。
【0258】
一部の実施形態において、本発明は、腫瘍増殖の阻害に有効な化学物質である。化学治療剤の例は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボクオン、メツレドパ、およびウレドパ;エチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamine)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaorarnide)、およびトリメチロールオメラミン(trimethylolomelamine)を含む);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(carnptothecin)(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(その合成類似体アドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシンを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189およびCBI-TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラヌスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシン11およびカリケアマイシン211、例えば、Agnew Chem Intl.Ed.Engl.33:183-186(1994)を参照);ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);エスペラミシン;およびネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カニノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン(idanrbicin)、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、キラマイシン、ロドルビシン、ストレプトムグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎物質、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミド(aldophospharnide)グリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲナニウム;テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2’’-trichlorotriethylarnine);トリコテセン(特にT-2トキシン、ベルカリン(verracurin)A、ロジリンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール(mitobromtol);ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,NJ)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;プラチナ類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン;ならびに、上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含む。また、この定義には、腫瘍におけるホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)を含む)、ならびに、抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン、ならびに、上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体も含まれる。
【0259】
本明細書において使用するように、「免疫治療剤」という用語は、本明細書において使用するように、免疫治療において使用することができる任意の種類の化合物を指す。免疫治療は、本明細書において使用するように、免疫応答を誘導、増強、または抑制することによって疾患を処置することである。「抗がん免疫治療」は、本明細書において使用するように、腫瘍を排除して破壊するように免疫系を刺激するものである。したがって、本明細書において使用するように、「抗がん免疫治療剤」という用語は、本明細書において使用するように、例えば、腫瘍特異的抗原(TSA)、腫瘍関連抗原(TAA)、免疫アジュバント、免疫モジュレーター、抗体、改変免疫細胞、サイトカイン、免疫チェックポイント阻害分子、ウイルスなどの化合物を含む。
【0260】
本明細書において使用するように、「免疫モジュレーター」という用語は、本明細書において使用するように、抗原に対する免疫応答を所望の免疫応答に向けて調節する成分である。
【0261】
一部の実施形態において、本発明は、1つ以上の免疫調節剤であり得るさらなる薬剤を含む。本明細書において使用するように、「免疫治療剤」という用語は、がん細胞に対する身体の免疫応答を間接的もしくは直接的に増強、刺激、もしくは増加する、および/または他の抗がん治療の副作用を低下させる、化合物、組成物、または処置を指す。免疫治療は、このように、がん細胞への免疫系の応答を直接的もしくは間接的に刺激もしくは増強する、および/または他の抗がん剤に起因したものであり得る副作用を軽減する治療である。また、免疫治療は、当該技術において、免疫学的治療、生物学的治療、生物学的応答調節治療、および生物療法とも呼ばれる。当該技術において知られている一般的な免疫治療剤の例は、免疫チェックポイント阻害剤、サイトカイン、がんワクチン、モノクローナル抗体、および非サイトカインアジュバントを含むが、これらに限定されない。あるいは、免疫治療の処置は、所定量の免疫細胞(T細胞、NK細胞、樹状細胞、B細胞など)を対象に投与することからなり得る。免疫治療剤は、非特異的であり得る、すなわち、免疫系を全体的にブーストして、人体ががん細胞の増殖および/もしくは拡散と戦う際により有効になることができるか、または、それらは特異的である、すなわち、がん細胞自体を標的とすることができ、免疫治療レジメンは非特異的および特異的免疫治療剤の使用を組み合わせてもよい。非特異的免疫治療剤は、免疫系を刺激するまたは間接的に向上させる物質である。非特異的免疫治療剤は、がんの処置のための主な治療として単独で、および主な治療に加えて、使用されており、その場合において、非特異的免疫治療剤は、他の治療(例えば、がんワクチン)の有効性を増強するためにアジュバントとして機能する。また、非特異的免疫治療剤は、この後者の場合において、他の治療の副作用、例えば、特定の化学治療剤によって誘導される骨髄抑制を低下させるように、機能することができる。非特異的免疫治療剤は、主要な免疫系細胞に作用し、二次応答、例えばサイトカインおよび免疫グロブリンの産生増加などを生じさせることができる。あるいは、薬剤はそれ自体がサイトカインを含むことができる。非特異的免疫治療剤は一般的に、サイトカインまたは非サイトカインアジュバントとして分類される。多くのサイトカインには、免疫系をブーストするように設計された全面的な非特異的免疫治療剤として、または他の治療に提供されるアジュバントとしてのいずれかにおいて、がんの処置における利用が見出されている。適切なサイトカインは、インターフェロン、インターロイキン、およびコロニー刺激因子を含むが、これらに限定されない。本発明に考慮されるインターフェロン(IFN)は、一般的な型のIFN、IFN-アルファ(IFN-α)、およびIFN-ベータ(IFN-β)を含む。IFNは、例えば、がん細胞の増殖を遅らせること、より正常な挙動の細胞へと発生を促すこと、および/または、抗原の産生を増加させて、免疫系ががん細胞を認識して破壊しやすくすることによって、がん細胞に直接的に作用することができる。また、IFNは、例えば、血管新生を遅らせること、免疫系をブーストすること、ならびに/または、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、およびマクロファージを刺激することによって、がん細胞に間接的に作用することができる。組換えIFN-アルファは、ロフェロン(Roche Pharmaceuticals)およびイントロンA(Schering Corporation)として市販で入手可能である。本発明に考慮されるインターロイキンは、IL-2、IL-4、IL-11、およびIL-12を含む。市販で入手可能な組換えインターロイキンの例は、Proleukin(登録商標)(IL-2;Chiron Corporation)およびNeumega(IL-12;Wyeth Pharmaceuticals)を含む。Zymogenetics社(Seattle,Wash)は現在、組換え型のIL-21を試験しており、これも本発明の組合せにおける使用について考慮される。本発明に考慮されるコロニー刺激因子(CSF)は、サルグラモスチムを含む。1つ以上の増殖因子を用いた処置は、従来の化学治療を受けている対象において新たな血液細胞の生成を刺激するために有用になり得る。したがって、CSFを用いた処置は、化学治療に関連する副作用の低下に有用であり得、より高い用量の化学治療剤の使用を可能にし得る。免疫治療剤は、特異的または非特異的なターゲットを有することに加え、能動的となり得る、すなわち、身体自身の免疫応答を刺激することができ、または、受動的となり得る、すなわち、身体の外部で作製された免疫系成分を含むことができる。受動的な特異的免疫治療は、典型的に、がん細胞の表面上に見受けられる特定の抗原に特異的である、または、特定の細胞増殖因子に特異的である、1つ以上のモノクローナル抗体の使用に関与する。モノクローナル抗体は、多くの方法でがんの処置に使用することができ、例えば、特定の種類のがんに対する対象の免疫応答を増強し、血管新生に関与する増殖因子などの、特定の細胞増殖因子を標的とすることによってがん細胞の増殖を妨害し、または、化学治療剤、放射性粒子、もしくは毒素などの薬剤に連結もしくは結合した場合、がん細胞への他の抗がん剤の送達を増強することによって使用してもよい。本発明の組合せに含めるのに適している、がん免疫治療剤として現在使用されているモノクローナル抗体は、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、トシツモマブ(ベキサール)、セツキシマブ(C-225、Erbitux(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ゲムツズマブオゾガミシン(Mylotarg(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、およびBL22を含むが、これらに限定されない。他の例は、抗CTLA4抗体(例えばイピリムマブ)、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗PDL2抗体(非限定的な例として、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1 106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA、Merck)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、アテゾリズマブ(TECENTRIQ、GENENTECH)、MPDL3280A(ROCHE)の1つ以上から選択される)、抗TIMP3抗体、抗LAG3抗体、抗B7H3抗体、抗B7H4抗体、または抗B7H6抗体を含む。一部の実施形態において、抗体は、B細胞枯渇抗体を含む。典型的なB細胞枯渇抗体は、抗CD20モノクローナル抗体[例えばリツキシマブ(Roche)、イブリツモマブチウキセタン(Bayer Schering)、トシツモマブ(GlaxoSmithKline)、AME-133v(Applied Molecular Evolution)、オクレリズマブ(Roche)、オファツムマブ(HuMax-CD20、Gemnab)、TRU-015(Trubion)、およびIMMU-106(Immunomedics)]、抗CD22抗体[例えばエプラツズマブ、Leonard et al.,Clinical Cancer Research(Z004)10:53Z7-5334]、抗CD79a抗体、抗CD27抗体、または抗CD19抗体(例えば、米国特許第7,109,304号明細書)、抗BAFF-R抗体(例えばベリムマブ、GlaxoSmithKline)、抗APRIL抗体(例えば、抗ヒトAPRIL抗体、ProSci inc.)、および抗IL-6抗体[例えば、De Benedetti等、J Immunol(2001)166:4334-4340、およびSuzuki等、Europ J of Immunol(1992)22(8)1989-1993に、以前に記載されているもの。これらは、参照することによって本明細書に全面的に援用される。]、CD137(4-1BB)および/またはCD137(4-1BB)と4-1BBリガンドの1つ以上との結合を増加および/または刺激する薬剤(非限定的な例として、ウレルマブ(BMS-663513および抗4-1BB抗体))、ならびに、CTLA-4の活性、および/またはCTLA-4とAP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの1つ以上との結合、および/またはOX40とOX40Lとの結合(非限定的な例として、GBR 830(GLENMARK)、MEDI6469(MEDIMMUNE))を遮断、低下、および/または阻害する薬剤を含むが、これらに限定されない。
【0262】
免疫治療の処置は、同種移植、特に造血幹細胞HSCを用いた同種移植からなり得る。また、免疫治療の処置はまた、Nicholas P.Restifo、Mark E. Dudley、およびSteven A.Rosenberg、「Adoptive immunotherapy for cancer:harnessing the T cell response」、Nature Reviews Immunology、Volume 12、April 2012に記載されているように、養子免疫治療に基づくものであってもよい。養子免疫治療において、対象の循環リンパ球、NK細胞は、in vitroで単離、増幅され、対象に再投与される。活性化リンパ球またはNK細胞は、特に、以前に血液または腫瘍サンプルから単離され、in vitroで活性化(または「増殖」)された対象自身の細胞である。
【0263】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、1つ以上の炎症性疾患または状態を処置、調節、または予防するために使用される。炎症性疾患の非限定的な例は、尋常性ざ瘡、急性炎症、アレルギー性鼻炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、自己免疫性疾患、自己炎症性疾患、常染色体劣性痙性失調症、気管支拡張症、セリアック病、慢性胆嚢炎、慢性炎症、慢性前立腺炎、大腸炎、憩室炎、家族性好酸球増加症(fe)、糸球体腎炎、グリセロールキナーゼ欠乏症、化膿性汗腺炎、過敏症、炎症、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、間質性膀胱炎、喉頭炎症性疾患、リー症候群、扁平苔癬、マスト細胞賦活化症候群、マスト細胞症、眼炎症性疾患、耳炎、疼痛、骨盤炎症性疾患、再灌流傷害、呼吸器疾患、再狭窄、リウマチ熱、関節リウマチ、鼻炎、サルコイドーシス、敗血症性ショック、珪肺症または他の塵肺症、移植片拒絶、結核、および血管炎を含む。
【0264】
一部の実施形態において、炎症性疾患は、自己免疫性の疾患または状態、例えば、多発性硬化症(例えば、自己免疫性脳脊髄炎(EAE))、糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギランバレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群、移植拒絶(例えば、同種移植片拒絶の予防)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、または他の自己免疫性疾患などである。
【0265】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質が、移植片拒絶を処置、調節、または予防するために使用されるとき、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)はリンカーであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は単量体シグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)はリンカーであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は単量体シグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである。
【0266】
一部の実施形態において、本キメラ薬剤は細胞内病原体を排除するために使用される。一部の態様において、本キメラ薬剤は1つ以上の感染症を処置するために使用される。
【0267】
一部の実施形態において、本キメラタンパク質は、ウイルス感染症(例えば、HIVおよびHCVを含む)、寄生虫感染症(例えば、マラリアを含む)、および細菌感染症を処置する方法に使用される。一部の実施形態において、感染症は免疫抑制を誘導する。例えば、HIV感染症は、多くの場合、感染した対象において免疫抑制をもたらす。したがって、本明細書の他の箇所に記載されているように、そのような感染症の処置は、一部の実施形態において、免疫阻害よりも免疫刺激を促進するように本キメラタンパク質によって免疫系を調節することに関与し得る。あるいは、本発明は免疫活性化を誘導する感染症を処置するための方法を提供する。例えば、腸蠕虫感染症は慢性的な免疫活性化と関連している。これらの実施形態において、そのような感染症の処置は、免疫刺激よりも免疫阻害を促進するように本キメラタンパク質によって免疫系を調節することに関与し得る。
【0268】
本明細書において使用するように、「共に投与」という用語は、同じ経路で、かつ同時にまたは実質的に同時に2つの活性成分を投与することを指す。「別個に投与」という用語は、異なる経路で、同時にまたは実質的に同時に2つの活性成分を投与することを指す。「連続して投与」という用語は、同一または異なる投与経路で、別の時点において2つの活性成分を投与することを指す。
【0269】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、PD-L1および/またはPD-L2を発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。例の実施形態において、キメラタンパク質は、OX-40を発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。
【0270】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、GITRを発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。例の実施形態において、キメラタンパク質は、4-1BBを発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。一部の実施形態において、キメラタンパク質は、CD40を発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。例の実施形態において、キメラタンパク質は、VISTAを発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。例の実施形態において、キメラタンパク質は、CSF1を発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。一部の実施形態において、キメラタンパク質は、IL-34を発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。
【0271】
一部の実施形態において、キメラタンパク質は、CD47を発現する細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)を標的とし得る。一部の実施形態において、キメラタンパク質は、ガレクチン-09および/またはホスファチジルセリンを発現する細胞(例えば、がん細胞、ストローマ細胞、または免疫細胞)を標的とし得る。一部の実施形態において、本方法は、追加の薬剤に抵抗性である患者におけるキメラタンパク質による処置を提供し、このような「追加の薬剤」は、本明細書の他の箇所に記載されており、本明細書に記載する様々な化学治療剤を限定することなく含む。
【0272】
一部の実施形態において、本発明のキメラタンパク質が、がんを処置、調節、もしくは予防するために使用される、または免疫治療に使用されるとき、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、式中、(a)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)はリンカーであり、(b)は機能的リンカーであり、(c)は二量体もしくは三量体シグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである、または、N末端-(c)-(b)-(a)-C末端の一般構造を有し、式中、(c)はシグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインであり、(b)はリンカーであり、(b)は機能的リンカーであり、(a)は二量体もしくは三量体シグナリングドメインおよび/もしくはターゲティングドメインである。
【0273】
本発明を以下の図面および実施例によってさらに例示する。しかしながら、これらの実施例および図面は、本発明の範囲を限定するようにいかようにも解釈されるべきでない。
【実施例
【0274】
実施例1
目的
TAME-ITキメラタンパク質(図1)は、その「ターゲティングドメイン」がターゲットレセプターに結合することによって、目的の細胞を特異的に認識できるということを示す。
【0275】
材料および方法
タンパク質作製
LentiX細胞(HEK-293T)を、0日目に、6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり7.10細胞でプレーティングした。1日目に、10%FCSを補った新しい2mLのDMEMに培地を交換した。リポフェクタミン3000を用いてTAME-ITタンパク質をコードするpcDNA3.1プラスミド2μgを細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入後の48時間において、上清を回収し、10,000gにおいて10分間の遠心分離によって清澄化した。
【0276】
細胞染色
2.10のMeso13ヒト中皮腫細胞またはHEK-293T細胞を、コントロール(EFGP)またはTAME-IT遺伝子導入HEK細胞の上清と30分間インキュベートした。2回のPBS洗浄後、細胞を抗h4-1BBL抗体または抗hCD40L抗体(Biolegend、それぞれカタログ番号311504および310806)で15分間染色した。2回のPBS洗浄後、BD Accuri C1フローサイトメーターを用いて細胞を分析した。
【0277】
結果
この実験は、PD-L1(図2A)またはメソテリン(図2B)のいずれかを対象とするnanobodyを含むTAME-IT分子が、それぞれPD-L1細胞およびメソテリン細胞を認識できることを示す。その結果、ターゲット細胞は、TAME-IT分子に含まれる、ここでは三量化4-1BBLまたはCD40Lである「シグナリングドメイン」で新たにコーティングされる。さらなる実験において、この「ターゲティングドメイン」の固定が、同じ表面タンパク質を認識する他の抗体と競合することを示し、したがって、TAME-IT分子がそのターゲットに特異的であることを示した(データは示さず)。図2Cに示すように、ターゲティングドメインを欠く分子はターゲット細胞を認識しないので、この新たなコーティングにはターゲティングドメインの存在が絶対的に必要である。図2Dにおいて、TAME-IT構造が、抗PD-L1nanobodyの代わりにヒトPD-1細胞外ドメインを用いた競合分子よりも優れていることを示している。また、この特異的ターゲティングが、CTLA-4に対するscFvを「ターゲティングドメイン」として用いることによって達成でき(図2E)、したがって、このドメインが様々な種類のターゲティング分子(例えば、nanobody、scFV)から作製できることを裏付けるということを示した。
【0278】
実施例2
目的
膜結合性TAME-ITタンパク質が、その「シグナリングドメイン」によって、対向する免疫細胞にシグナルを送る能力を保持していることを示す。
【0279】
材料および方法
タンパク質作製
LentiX細胞(HEK-293T)を、0日目に、6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり7.10細胞でプレーティングした。1日目に、10%FCSを補った新しい2mLのDMEMに培地を交換した。リポフェクタミン3000を用いて当該コンストラクトをコードするpcDNA3.1プラスミド2μgを細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入後の48時間において、上清を回収し、10,000gにおいて10分間の遠心分離によって清澄化した。
【0280】
樹状細胞(DC)の分化
健康なドナーのヒト単球を、2%ヒトアルブミン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、500IU/mL)、およびインターロイキン-4(IL-4、50ng/mL)を添加したRPMI-1640培地中にて6ウェルプレートにおいて1mLあたり2.10細胞および1cmあたり1.10細胞でプレーティングした。5日間の培養(37℃、5%CO2)後、分化したDCを採取し、カウントした。
【0281】
DC成熟アッセイ
100,000個の分化したDCを、当該分子を含むHEK細胞の上清と直接的に、または、これらの上清でこれまでに染色し、共培養の前に洗浄した腫瘍細胞とのいずれかで、96ウェルプレートにおいて48時間インキュベートした。
【0282】
細胞染色
インキュベート時間終了時に、単球由来DCをフラッシングによって回収した。2回のPBS洗浄後、これらを、抗hCD80、抗hCD83、抗hCD86、および抗hHLA-DR抗体で30分間染色した。2回のPBS洗浄後、BD FACS Canto IIフローサイトメーターを用いて細胞を分析した。CD80、CD83、およびCD86の発現を、DCに相当するHLA-DR+細胞画分において判定した。
【0283】
結果
この実験は、TAME-IT分子が、可溶形態(図3A)または細胞結合形態(図3B)のいずれかにおいて、また、三量体h4-1BBL(図3A)または三量体hCD40L(図3B図3C)ドメインのいずれかを含むとき、ヒトDCの成熟を活性化できることを示す。TAME-IT誘導によるDC成熟は、腫瘍細胞(Meso13)が極めて免疫抑制的であるにもかかわらず生じる(図3C)。病原体関連分子パターン(PAMP)との相乗作用は、TAME-ITとLPSとの両方でDCを共処理したときに観察されたように、示されている(図3C)。全体として、シグナリングドメインが十分に機能し、ヒト骨髄細胞を容易に活性化できることを示す。
【0284】
実施例3
目的
TAME-IT分子が、腫瘍溶解性ウイルス(OV)にコードされることによってベクター化され、OV感染細胞によって効率的に作製されることができることを示す。
【0285】
材料および方法
ウイルス作製
TAME-ITタンパク質をコードする遺伝子を、水疱性口内炎ウイルス(VSV)インディアナ株ゲノムに、VSV-GリーディングフレームとVSV-Lリーディングフレームの間の逆遺伝学法によって挿入した。MVA-T7に1時間感染させて、VSV-N、VSV-P、VSV-Lコードベクター、およびTAME-IT配列を含む抗ゲノムVSVベクターを遺伝子導入したBHK-21細胞において、ウイルスを回復させた。組換えVSVを、0.22μmのろ過とBHK-21細胞でのさらなる数回の継代とによって、上清から回収した。同様に、TAME-ITタンパク質をコードする遺伝子を、相同組換えによってワクシニアウイルスの腫瘍溶解性株のゲノムに挿入した。
【0286】
細胞感染
HEK-293T細胞を、6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり7.10細胞でプレーティングし、2mL中MOI=0.1において一晩の感染で翌日に感染させた。
【0287】
その後、上清を回収し、10,000gにおいて30分間の遠心分離を行った。1.5mLの上清をVivaspin、5,000Daにおいてさらに10倍に濃縮した。その後、20μLを5Xレムリ/β-メルカプトエタノールと混合し、95℃において5分間加熱した。サンプルをポリアクリルアミドゲルに添加し、200Vにおいて40分間泳動させた。その後、タンパク質をPVDF膜に100Vで1時間転写した。膜をTBS/BSA中において1時間ブロッキングし、その後、TBS/BSA中においてStrep-Tactin XT-HRPでタンパク質を検出した。最後に、ClarityウエスタンECL基質およびBioRad Chemidocイメージャーを用いて、化学発光によって、膜を画像化した。
【0288】
結果
この実験は、TAME-ITタンパク質の配列が腫瘍溶解性VSVのゲノムに挿入され、VSV感染腫瘍細胞によって効率的に作製されることできるということを示す(図4)。並行した実験において、TAME-ITタンパク質をコードする腫瘍溶解性VVを用いたときに、同様の結果を得た。
【0289】
実施例4
目的
機能的リンカーがコードする抗原がCD4細胞およびCD8T細胞にプロセシングされて提示され得るかどうかを判定することによって、「機能的リンカー」の役割を示す。
【0290】
材料および方法
細胞感染
Meso34およびMeso13ヒト中皮腫細胞を、0日目に、96ウェルプレートにおいて1ウェルあたり10細胞でプレーティングし、1日目に、異なるTAME-ITタンパク質をコードするVSVにMOI=0.1で感染させた。2日目に、試験した条件に応じて、2.10個のDCを共培養に加えた。3日目に、DCをフラッシングし、V底96ウェルプレートにおいて8.10個のT細胞クローン(NY-ESO-1抗原に特異的なCD4またはCD8)と共にブレフェルジンAの存在下で6時間プレーティングした。
【0291】
細胞染色
インキュベート時間終了時に、細胞をフラッシングによって回収した。2回のPBS洗浄後、これらを抗hCD3抗体で30分間染色した。2回のPBS洗浄後、細胞を4%パラホルムアルデヒドにおいて固定し、PBS+0.1%サポニンで透過処理し、抗hIFNγ抗体で30分間染色した。2回のPBS+0.1%サポニンでの洗浄後、BD Canto IIフローサイトメーターを用いて細胞を分析した。T細胞をCD3+細胞としてゲーティングし、細胞内IFNγ産生について分析した。
【0292】
結果
CD4T細胞クローンを用いた第1の実験は、「機能的リンカー」を含むTAME-ITタンパク質が、それをコードするVSVに感染した腫瘍細胞によって効率的に作製されることを示す(図5)。これらの分子は、VSV-TAME-ITに感染した腫瘍細胞をこれまでに貪食したDCによって、さらにプロセシングされ、MHCクラスII分子上に提示される。その後、これらのDCはTAA特異的CD4T細胞を活性化する。これは、「機能的リンカー」がこのリンカーにコードされた抗原ペプチドを認識するCD4T細胞の特異的活性化を可能にすることを示す。これらの結果は、異なるドナーのDCを用いたさらなる2つの実験において裏付けられた(データは示さず)。
【0293】
第2の実験は、「機能的リンカー」のTAAペプチドも、(i)TAME-ITタンパク質をコードするVSVに感染した腫瘍細胞、および(ii)これまでにVSV-TAME-ITに感染した腫瘍細胞を貪食したDCによって、効率的にプロセシングされ、MHCクラスI分子上でTAA特異的CD8T細胞に提示されることを示す(図6)。これらの結果は、異なるドナーのDCを用いたさらなる2つの実験において裏付けられた(データは示さず)。
【0294】
実施例5
目的
TAME-ITタンパク質による様々な種類のヒトリンパ球の活性化を示す。
【0295】
材料および方法
CD8T細胞活性化
0日目に、PD-L1ヒトメラノーマ細胞を96ウェルプレートにおいて1ウェルあたり10,000細胞の濃度で播種した。1日目に、ヒトポリクローナルCD8T細胞を、これまでに抗CD3および抗CD28でコーティングした活性化ビーズありまたはなしで、腫瘍細胞に、2:1、1:1、1:2の割合で添加した。一部の条件において、抗PD1抗体ニボルマブまたは精製TAME-ITタンパク質KN035-TAA-th4-1BBLを混合物に添加した。腫瘍細胞のコンフルエンスを、タイムラプス顕微鏡によって5日間分析した。
【0296】
NK細胞活性化
NK活性化分析では、10個のMDA-MB-231細胞を0日目に96ウェルプレートにプレーティングした。1日目に、細胞をVSV-KN035-TAA-th4-1BBLにMOI=0.1で18時間感染させた後、ブレフェルジンAの存在下で10個の拡大ヒトNK細胞と6時間インキュベートした。インキュベート時間終了時に、NK細胞をフラッシングによって回収した。2回のPBS洗浄後、これらを抗hCD107a抗体で30分間染色した。2回のPBS洗浄後、BD Accuri C1フローサイトメーターを用いて細胞を分析した。
【0297】
結果
PD-L1ヒトメラノーマ細胞を、TAME-ITタンパク質KN035-TAA-th4-1BBLの存在下または非存在下で、活性化ポリクローナルCD8T細胞と共培養した(図7A)。この実験は、TAME-ITタンパク質の存在がCD8T細胞によるメラノーマ細胞の殺傷を増加させたことを示し、これは、Tリンパ球に対するその免疫活性化特性を示している。同様に、このTAME-ITタンパク質をコードする腫瘍溶解性VSVを用いてヒト乳がん細胞を感染させたとき、共培養したナチュラルキラー細胞はコントロール条件と比較して活性化が増強された(図7B)。
【0298】
さらに、KN41はリンパ球Tを大きく活性化させる(図8A図8C)。これらの異なる結果は、TAME-ITタンパク質が抗腫瘍免疫の場面で異なる種類のヒトTリンパ球を活性化する特性を有することを示す。
【0299】
参考文献
本願において、様々な参考文献によって、本発明が属する技術の現状が記載されている。これらの参考文献の開示は、本明細書において言及することによって本開示に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】