(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ヒト腫瘍壊死因子アルファ抗体グルココルチコイドコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20240730BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240730BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240730BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240730BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240730BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240730BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240730BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240730BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K16/24 ZNA
A61K47/68
A61K31/573
A61K39/395 U
A61K39/395 L
A61P21/00
A61P27/02
A61P1/04
A61P19/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P37/06
A61P17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505396
(86)(22)【出願日】2023-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2023066634
(87)【国際公開番号】W WO2023220549
(87)【国際公開日】2023-11-16
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,グレイス
(72)【発明者】
【氏名】クレイトン,ジョシュア アール
(72)【発明者】
【氏名】クランプトン,ジョーダン スコット
(72)【発明者】
【氏名】フェン,イーチン
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ドンミエンヌ ドエン ムン
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ソンチン
(72)【発明者】
【氏名】ニューバーン,クリステン ペイジ
(72)【発明者】
【氏名】ポッター,スコット チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ラマムルティ,バラティ
(72)【発明者】
【氏名】ストーケル,デイビッド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ワースト,ジャクリーン エム
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ジアンホワイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB17
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086ZA33
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA50
(57)【要約】
本開示は、ヒト腫瘍壊死因子アルファ抗体グルココルチコイド受容体アゴニストコンジュゲート、並びに自己免疫性疾患及び炎症性疾患の治療のためにコンジュゲートを使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
前記HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
前記HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
前記LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化2】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲート。
【請求項2】
【化3】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
【化4】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
【化5】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
【化6】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
【化7】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
【化8】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
【化9】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
【化10】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1を含み、
前記HCDR2が、配列番号2を含み、
前記HCDR3が、配列番号3を含み、
前記LCDR1が、配列番号4を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記VHが、配列番号7を含み、前記VLが、配列番号8を含む、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号9を含み、前記LCが、配列番号10を含む、請求項10又は11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1を含み、
前記HCDR2が、配列番号2を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号15を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記VHが、配列番号16を含み、前記VLが、配列番号17を含む、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号18を含み、前記LCが、配列番号19を含む、請求項13又は14に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号4を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号15を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号43を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号44を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
前記VHが、配列番号24を含み、前記VLが、配列番号8、17、又は27を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号25を含み、前記LCが、配列番号10、19、又は28を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1を含み、
前記HCDR2が、配列番号2を含み、
前記HCDR3が、配列番号30を含み、
前記LCDR1が、配列番号31を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号32を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
前記VHが、配列番号33を含み、前記VLが、配列番号34を含む、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号35を含み、前記LCが、配列番号36を含む、請求項23又は24に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
前記抗体が、重鎖と、軽鎖とを含み、前記重鎖が、
アミノ酸残基124(EU番号付け)におけるシステイン、
アミノ酸残基378(EU番号付け)におけるシステイン、又は
アミノ酸残基124(EU番号付け)におけるシステイン及びアミノ酸残基378(EU番号付け)におけるシステインを含む、請求項1~11、13又は14、16~21、23又は24のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、ヒトIgG1アイソタイプである、請求項1~11、13、14、16~21、23又は24のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
nが、2~5である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
nが、3~5である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
nが、3~4である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
nが、約4である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
nが、約3である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
nが、約2である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項35】
治療を必要とする対象における自己免疫性疾患又は炎症性疾患を治療する方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項34に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項36】
前記自己免疫性疾患又は前記炎症性疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、尋常性乾癬(PS)、化膿性汗腺炎(HS)、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記有効量の前記コンジュゲートを投与されている前記対象が、他の抗TNFα治療薬の前治療を受けており、前記対象が、前記他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成している、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記他の抗TNFα治療薬が、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、及びエタネルセプト、又はこれらのコンジュゲートから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コンジュゲートが、アダリムマブに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、または交差反応性を有しない、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
療法における使用のための、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項41】
自己免疫性疾患又は炎症性疾患の治療における使用のための、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記自己免疫性疾患又は前記炎症性疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(PS)、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)から選択される、請求項41に記載の使用のためのコンジュゲート又は医薬組成物。
【請求項43】
自己免疫性疾患又は炎症性疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項34に記載の医薬組成物の使用。
【請求項44】
前記自己免疫性疾患又は前記炎症性疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(PS)、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)から選択される、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記抗体が、ヒトTNFαを中和する、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項46】
前記抗体が、内在化抗体である、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項47】
式:
【化11】
で示される化合物。
【請求項48】
【化12】
で示される、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
【化13】
で示される、請求項47に記載の化合物。
【請求項50】
【化14】
で示される、請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
【化15】
で示される、請求項49に記載の化合物。
【請求項52】
式:
【化16】
で示される、化合物。
【請求項53】
前記コンジュゲートが、
【化17】
で示される、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
コンジュゲートを生成する方法であって、前記方法が、請求項47に記載の化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項55】
前記コンジュゲートが、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記コンジュゲートが、
(a)抗ヒトTNFα抗体を還元剤で還元する工程であって、前記抗ヒトTNFα抗体が、1つ以上の操作されたシステイン残基を含む、工程と、
(b)前記抗ヒトTNFα抗体を酸化試薬で酸化させる工程と、
(c)式:
【化18】
で示される化合物を、前記抗ヒトTNFα抗体と接触させて、前記コンジュゲートを生成する工程とを含む、工程に従って生成される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記還元剤が、ジチオスレイトールであり、前記酸化剤が、デヒドロアスコルビン酸である、請求項56に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒト腫瘍壊死因子アルファ抗体グルココルチコイド受容体アゴニストコンジュゲート、関節リウマチ、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、及び強直性脊椎炎などの自己免疫性疾患及び炎症性疾患の治療のためのコンジュゲートを使用する方法、コンジュゲートを調製するための方法、並びにヒトTNFα抗体グルココルチコイドコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)は、関節、最も一般的には、手、手首、及び膝の関節を攻撃し、通常は一度に多くの関節を攻撃する消耗性の慢性自己免疫性疾患である。RAでは、関節の内層が炎症を起こし、硬直、腫脹、不安定(バランスの欠如)、変形、及び慢性疼痛を引き起こし得る、関節組織への損傷を引き起こす。現在の治療は、例えば、非ステロイド抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drug、NSAIDS)、コルチコステロイド、疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti-rheumatic drug、DMARD)、メトトレキサート、トファシチニブ、エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、及びセルトリズマブなどの治療薬を使用する。そのような治療の欠点としては、例えば、非標的毒性及び抗薬物抗体の発生が挙げられる。
【0003】
抗薬物抗体は、TNFαと同時に抗TNFα抗体治療薬に結合する非中和抗体であり得るか、又はそれらは、血清中の抗TNFα治療用抗体の有効濃度を低下させ、かつ/若しくは抗原結合部位(パラトープ)についてTNFαと競合し、したがって抗TNFα治療用抗体の作用機序を阻害する中和抗体であり得る(van Schie KA,et al,Annals of the Rheumatic Diseases,2015,74:311-314)。例えば、研究により、抗TNFα薬物抗体の90パーセント超が中和性であり、他の抗TNFα抗体治療薬と交差反応性であり得ることが示されている(van Schie KA,et al,2015)。したがって、場合によっては、抗TNFα抗体に対する抗薬物抗体を生成している患者は、これらの治療薬に対する臨床応答の低下、及び/又は薬物投与後の最初の日の間若しくはその日のうちの発熱、掻痒、気管支痙攣、若しくは心臓血管虚脱などの症状を特徴とする注入関連の反応などの有害事象を有することが報告されている(Atiqi,S.,Front Immunol.,2020,26(11):312)。したがって、RAなどの炎症性疾患及び/又は自己免疫性疾患の改善された有効な治療を提供し、現在承認されている治療が有する欠点を最小限に抑えるか又は排除する新しい薬剤が依然として大いに必要とされている。
【0004】
国際公開第2017/210471号は、ある特定のグルココルチコイド受容体アゴニスト(glucocorticoid receptor agonist、GC)、抗体、及びその免疫コンジュゲートを開示している。国際公開第2018/089373号は、新規ステロイド、そのタンパク質コンジュゲート、並びにステロイド及びコンジュゲートを投与することを含む疾患、障害、及び状態を治療する方法を開示している。現在まで、承認されている疾患の治療のためのヒトTNFα抗体GCコンジュゲートは存在しない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、抗体がヒトITNFαに結合する、ある特定の新規のヒトTNFα抗体GCコンジュゲートを提供する。本開示は、新規の抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲートを含む組成物、並びにそのような抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲート及びその組成物を使用する方法を更に提供する。加えて、本開示は、関節リウマチなどの自己免疫性疾患及び炎症性疾患の治療において有用なある特定の新規の抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲートを提供する。本開示は、他の抗TNFα治療薬(例えば、アダリムマブ)に対する抗薬物抗体を生成している患者における自己免疫性疾患及び炎症性疾患の治療に有用なある特定の新規の抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲートを更に提供する。本明細書に開示されるある特定の抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲートは、開発、製造、及び製剤化を容易にするための良好な物理化学的特性(例えば、低粘度、又は凝集、良好な熱安定性)などの良好な開発性プロファイルを呈する。したがって、本明細書に開示されるような、ある特定の抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲートは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:1)所望の効力でヒトTNFαに結合する、2)ヒト膜TNFαに結合して、細胞内に取り込まれる、3)所望の効力でアカゲザル及び/若しくはイヌTNFαに結合する、4)可溶性及び膜ヒトTNFα誘導性アポトーシスを阻害する、5)TNFR及びグルココルチコイド受容体媒介性サイトカイン発現の両方をインビトロで調節する(例えば、IL-13、IL-6、GM-CSFを阻害する、IL-10を誘導する)、6)TNFR媒介性サイトカイン発現(例えば、CXCL1)をインビボで阻害する、7)ADCC活性を誘導する、8)他の抗TNFα治療薬(例えば、アダリムマブ)に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性をインビボ及びインビトロで呈するか、若しくは交差反応性を呈さない、9)組織及び/若しくは多発性関節炎関節の炎症をインビボで有意に阻害する、10)アダリムマブ不応性マウスにおいて関節炎症をインビボで有意に阻害する、又は11)良好な開発性プロファイル、例えば、許容可能な粘度、溶解度、及び凝集、良好な安定性、並びに/若しくは開発、製造、及び/若しくは製剤化を容易にするための許容可能な薬物動態プロファイルを有する。
【0006】
したがって、一実施形態では、本開示は、式I:
【化1】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒト腫瘍壊死因子アルファに結合する抗体(「抗ヒトTNFα抗体」)であって、Abが、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)と、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化2】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0007】
更なる実施形態では、本開示は、式Ia:
【化3】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化4】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0008】
更なる実施形態では、本開示は、式Ib:
【化5】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化6】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0009】
更なる実施形態では、本開示は、式Ic:
【化7】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化8】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0010】
更なる実施形態では、本開示は、式Id:
【化9】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化10】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0011】
更なる実施形態では、本開示は、式Ie:
【化11】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化12】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0012】
更なる実施形態では、本開示は、式If:
【化13】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
LCDR2が、配列番号5を含み、
LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化14】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲートを提供する。
【0013】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「antibody、Ab」)が、Ab1であり、Ab1が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号2を含み、HCDR3が、配列番号3を含み、LCDR1が、配列番号4を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号6を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、Ab1は、配列番号7を含むVHと、配列番号8を含むVLとを含む。一部の実施形態では、Ab1は、配列番号9を含む重鎖(HC)と、配列番号10を含む軽鎖(LC)とを含む。
【0014】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、Ab2であり、Ab2が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号2を含み、HCDR3が、配列番号13を含み、LCDR1が、配列番号14を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号15を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、Ab2は、配列番号16を含むVHと、配列番号17を含むVLとを含む。一部の実施形態では、Ab2は、配列番号18を含む重鎖(HC)と、配列番号19を含む軽鎖(LC)とを含む。
【0015】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、Ab3であり、Ab3が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号22を含み、HCDR2が、配列番号23を含み、HCDR3が、配列番号13を含み、LCDR1が、配列番号4を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号6を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、Ab3は、配列番号24を含むVHと、配列番号8を含むVLとを含む。一部の実施形態では、Ab3は、配列番号25を含む重鎖(HC)と、配列番号10を含む軽鎖(LC)とを含む。
【0016】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、Ab4であり、Ab4が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号22を含み、HCDR2が、配列番号23を含み、HCDR3が、配列番号13を含み、LCDR1が、配列番号14を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号15を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、Ab4は、配列番号24を含むVHと、配列番号17を含むVLとを含む。一部の実施形態では、Ab4は、配列番号25を含む重鎖(HC)と、配列番号19を含む軽鎖(LC)とを含む。
【0017】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、Ab5であり、Ab5が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号22を含み、HCDR2が、配列番号23を含み、HCDR3が、配列番号13を含み、LCDR1が、配列番号14を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号6を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、Ab5は、配列番号24を含むVHと、配列番号27を含むVLとを含む。一部の実施形態では、Ab5は、配列番号25を含む重鎖(HC)と、配列番号28を含む軽鎖(LC)とを含む。
【0018】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、Ab6であり、Ab6が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号1を含み、HCDR2が、配列番号2を含み、HCDR3が、配列番号30を含み、LCDR1が、配列番号31を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号32を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、Ab6は、配列番号33を含むVHと、配列番号34を含むVLとを含む。一部の実施形態では、Ab6は、配列番号35を含む重鎖(HC)と、配列番号36を含む軽鎖(LC)とを含む。
【0019】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号22を含み、HCDR2が、配列番号23を含み、HCDR3が、配列番号13を含み、LCDR1が、配列番号14を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3が、配列番号44を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、配列番号44は、アミノ酸残基QQYDXaa5LPLTを含み、配列番号44のXaa5は、アスパラギン又はリジンである。
【0020】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、ヒトTNFαに結合する抗体(「Ab」)が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1が、配列番号22を含み、HCDR2が、配列番号23を含み、HCDR3が、配列番号13を含み、LCDR1が、配列番号43を含み、LCDR2が、配列番号5を含み、LCDR3は、配列番号6を含む、コンジュゲートである。一部の実施形態では、配列番号43は、アミノ酸残基QASQGIXaa7NYLNを含み、配列番号43のXaa7は、セリン又はアルギニンである。
【0021】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、抗ヒトTNFα抗体が、完全ヒト抗体である、式Iのコンジュゲートである。更なる実施形態では、抗ヒトTNFα抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。
【0022】
本開示の一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、抗ヒトTNFα抗体が修飾ヒトIgG1を有する、コンジュゲートである。一部の実施形態では、修飾は、重鎖可変領域(VH)に存在する。一部の実施形態では、修飾は、軽鎖可変領域(VL)に存在する。一部の実施形態では、修飾は、VH及びVLに存在する。更なる実施形態では、修飾ヒトIgG1 VH及び/又はVLは、本開示の抗ヒトTNFα抗体に、望ましい粘度プロファイル及び/又は免疫原性リスクプロファイルを提供する。
【0023】
更なる実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、抗ヒトTNFα抗体が、抗体コンジュゲート(バイオコンジュゲートとも称される)の生成において使用するための操作されたシステイン残基を含む修飾ヒトIgG1定常ドメインを有する、コンジュゲートである(国際公開第2018/232088(A1)号を参照されたい)。より具体的には、本開示のそのような実施形態では、抗ヒトTNFα抗体は、IgG1重鎖中に操作されたシステイン残基を含む。そのような実施形態では、抗ヒトTNFα抗体は、重鎖定常ドメイン1(CH1)内のアミノ酸残基124(EU番号付け)にシステイン、又は重鎖定常ドメイン2(CH2)内のアミノ酸残基378(EU番号付け)にシステインを含む。更なる実施形態では、抗ヒトTNFα抗体は、CH1ドメイン内のアミノ酸残基124(EU番号付け)にシステインを含み、CH2ドメイン内のアミノ酸残基378(EU番号付け)にシステインを含む。
【0024】
一部の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、抗ヒトTNFα抗体が、他の抗TNFα治療薬(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はエタネルセプト)又はそのコンジュゲートに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない、コンジュゲートである。特定の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、抗ヒトTNFα抗体が、アダリムマブに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない、コンジュゲートである。そのような実施形態では、ある特定の式Iのコンジュゲートを使用して、本明細書で定義されるような他の抗TNFα治療薬(例えば、アダリムマブ)による前治療に対する抗薬物抗体を生成している患者を治療することができる。更なる実施形態では、ある特定の式Iのコンジュゲートを使用して、他の抗TNFα治療薬による前治療からそのような他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成しており、ひいては他の抗TNFα治療薬に対する臨床応答又は有害反応が低下している患者を治療することができる。そのような実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、抗ヒトTNFα抗体が、それらが他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しないように、十分に異なるアミノ酸配列及び核酸配列を有する、コンジュゲートである。特定の実施形態では、式Iのコンジュゲートであって、本開示の抗ヒトTNFα抗体が、それが他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しないように、十分に異なるCDRアミノ酸配列を有する、コンジュゲートである。一部の実施形態では、他の抗TNFα治療薬は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、若しくはエタネルセプト、又はそれらのコンジュゲートである。
【0025】
一部の実施形態では、本開示は、抗ヒトTNFαに結合する新規の抗体のHC若しくはLC、又はVH若しくはVLをコードする核酸、又はそのような核酸を含むベクターを提供する。
【0026】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号11、12、20、21、26、29、37、又は38の配列を含む核酸を提供する。
【0027】
一部の実施形態では、ヒトTNFαに結合する抗体の重鎖又は軽鎖をコードする核酸が提供される。一部の実施形態では、配列番号9、10、18、19、25、28、35、又は36をコードする配列を含む核酸が提供される。一部の実施形態では、配列番号9、18、25、又は35を含む抗体重鎖をコードする配列を含む核酸が提供される。例えば、核酸は、配列番号11、20、26、又は37の配列を含むことができる。一部の実施形態では、配列番号10、19、28、又は36を含む抗体軽鎖をコードする配列を含む核酸が提供される。例えば、核酸は、配列番号12、21、29、又は38の配列を含むことができる。
【0028】
本開示の一部の実施形態では、ヒトTNFαに結合する抗体のVH又はVLをコードする核酸が提供される。一部の実施形態では、配列番号7、8、16、17、24、27、33、又は34をコードする配列を含む核酸が提供される。一部の実施形態では、配列番号7、16、24、又は33を含む抗体VHをコードする配列を含む核酸が提供される。一部の実施形態では、配列番号8、17、27、又は34を含む抗体VLをコードする配列を含む核酸が提供される。
【0029】
本開示の一部の実施形態は、抗体重鎖又は軽鎖をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。例えば、そのようなベクターは、配列番号9、18、25、又は35をコードする核酸配列を含むことができる。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号10、19、28、又は36をコードする核酸配列を含む。
【0030】
本明細書では、抗体VH又はVLをコードする核酸配列を含むベクターも提供される。例えば、そのようなベクターは、配列番号7、16、24、又は33をコードする核酸配列を含むことができる。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号8、17、27、又は34をコードする核酸配列を含む。
【0031】
抗体重鎖をコードする第1の核酸配列と、抗体軽鎖をコードする第2の核酸配列とを含むベクターも本明細書に提供される。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号9、18、25、又は35をコードする第1の核酸配列と、配列番号10、19、28又は36をコードする第2の核酸配列とを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号9をコードする第1の核酸配列と、配列番号10をコードする第2の核酸配列とを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号18をコードする第1の核酸配列と、配列番号19をコードする第2の核酸配列とを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号25をコードする第1の核酸配列と、配列番号10をコードする第2の核酸配列とを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号25をコードする第1の核酸配列と、配列番号19をコードする第2の核酸配列とを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号25をコードする第1の核酸配列と、配列番号28をコードする第2の核酸配列とを含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号35をコードする第1の核酸配列と、配列番号36をコードする第2の核酸配列とを含む。
【0032】
また、本明細書では、抗体重鎖をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、抗体軽鎖をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む組成物も提供される。一部の実施形態では、組成物は、配列番号9、18、25、又は35をコードする核酸配列と、配列番号10、19、28、又は36をコードする第2の核酸配列とを含む第1のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号9をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号10をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号18をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号19をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号25をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号10をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号25をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号19をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号25をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号28をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号35をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号36をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。
【0033】
また、本明細書では、抗体重鎖をコードする核酸配列と、抗体軽鎖をコードする核酸配列とを含むベクターを含む組成物も提供される。一部の実施形態では、組成物は、配列番号9、18、25、又は35をコードする核酸配列と、配列番号10、19、28、又は36をコードする第2の核酸配列とを含むベクターを含む。
【0034】
一実施形態では、nは、2~5である。
【0035】
一実施形態では、nは、3~5である。
【0036】
一実施形態では、nは、3~4である。
【0037】
一実施形態では、nは、約4である。
【0038】
一実施形態では、nは、約3である。
【0039】
一実施形態では、nは、約2である。
【0040】
本明細書で使用される場合、式:
【化15】
における「GC」は、好適なグルココルチコイド受容体アゴニストペイロードを意味し、以下の式IIa、IIb、又はIIcを含む。
【化16】
【0041】
本明細書で使用される場合、式:
【化17】
における「L」は、AbをGCに接続する好適なリンカー基を意味する。当業者に既知の好適なリンカーは、例えば、切断可能なリンカー及び切断不可能なリンカーを含む。より具体的には、好適なリンカー「L」は、以下の式IIIa~IIIfを含む。
【化18】
【0042】
一実施形態では、本開示は、式IV:
【化19】
で示されるグルココルチコイド受容体アゴニストペイロード-リンカーを提供する。
【0043】
一実施形態では、本開示は、式IVa:
【化20】
で示されるグルココルチコイド受容体アゴニストペイロード-リンカーを提供する。
【0044】
一実施形態では、本開示は、式IVb:
【化21】
で示されるグルココルチコイド受容体アゴニストペイロード-リンカーを提供する。
【0045】
一実施形態では、本開示は、式IVc:
【化22】
で示されるグルココルチコイド受容体アゴニストペイロード-リンカーを提供する。
【0046】
一実施形態では、本開示は、式IVd:
【化23】
で示されるグルココルチコイド受容体アゴニストペイロード-リンカーを提供する。
【0047】
一実施形態では、本開示は、式V:
【化24】
で示される化合物を提供する。
【0048】
更なる実施形態では、本開示は、式Va:
【化25】
で示される化合物を提供する。
【0049】
一実施形態では、本開示はまた、治療を必要とする対象における炎症性疾患を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示はまた、治療を必要とする対象における炎症性疾患を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、自己免疫性疾患又は炎症性疾患は、例えば、リウマチ性関節炎(RA)、乾癬性関節炎(Psoriatic Arthritis、PsA)、クローン病(Crohn’s Disease、CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(Plaque Psoriasis、PS)、強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis、AS)、若年性特発性関節炎、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia Rheumatica、PMR)である。一実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象におけるリウマチ性関節炎を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を更に提供する。一実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象における乾癬性関節炎を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を更に提供する。一実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象におけるクローン病を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を更に提供する。一実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象における潰瘍性結腸炎を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を更に提供する。一実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象における尋常性乾癬を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を更に提供する。一実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象における強直性脊椎炎を治療する方法であって、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を更に提供する。一部の実施形態では、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩を投与されている対象は、他の抗TNFα治療薬による前治療を受けており、対象は、他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成している。そのような実施形態では、他の抗TNFα治療薬は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも4つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも3つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも2つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。更に他の実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ又はそのコンジュゲートに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。
【0050】
一実施形態では、本開示は、療法における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を更に提供する。一実施形態では、本開示は、炎症性疾患の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、炎症性疾患の治療における使用のための式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態では、自己免疫性疾患又は炎症性疾患は、例えば、リウマチ性関節炎(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、クローン病(CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(PS)、強直性脊椎炎(AS)、若年性特発性関節炎、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)である。一実施形態では、本開示は、リウマチ性関節炎の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、乾癬性関節炎の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、クローン病の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、潰瘍性結腸炎の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、尋常性乾癬の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本開示は、強直性脊椎炎の治療における使用のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態では、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩を投与されている対象は、他の抗TNFα治療薬による前治療を受けており、対象は、他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成している。そのような実施形態では、他の抗TNFα治療薬は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも4つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも3つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも2つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。更に他の実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ又はそのコンジュゲートに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。
【0051】
一実施形態では、本開示は、自己免疫性疾患の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用も提供する。一実施形態では、本開示は、炎症性疾患の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用も提供する。ある特定の実施形態では、自己免疫性疾患又は炎症性疾患は、例えば、リウマチ性関節炎(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、クローン病(CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(PS)、強直性脊椎炎(AS)、若年性特発性関節炎、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)である。一実施形態では、本開示は、リウマチ性関節炎の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一実施形態では、本開示は、乾癬性関節炎の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一実施形態では、本開示は、クローン病の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一実施形態では、本開示は、潰瘍性結腸炎の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一実施形態では、本開示は、尋常性乾癬の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一実施形態では、本開示は、強直性脊椎炎の治療のための医薬の製造のための、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一部の実施形態では、有効量の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩を投与されている対象は、他の抗TNFα治療薬による前治療を受けており、対象は、他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成している。そのような実施形態では、他の抗TNFα治療薬は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも4つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも3つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。また更なる実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、又はそれらのコンジュゲートからなる群から選択される他の抗TNFα治療薬のうちの少なくとも2つ以上に対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。更に他の実施形態では、本明細書に開示されるような、ある特定の式Iのコンジュゲート又はその薬学的に受容可能な塩は、アダリムマブ又はそのコンジュゲートに対する抗薬物抗体への低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しない。
【0052】
本開示の核酸は、例えば、核酸が発現制御配列に作動可能に連結された後に、宿主細胞において発現され得る。作動可能に連結される核酸の発現が可能な発現制御配列は、当該技術分野において周知である。発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチドの分泌を促進する1つ以上のシグナルペプチドをコードする配列を含み得る。目的の核酸(例えば、抗体の重鎖又は軽鎖をコードする核酸)を含む発現ベクターは、周知の方法、例えば、安定的又は一過性のトランスフェクション、形質転換、形質導入又は感染によって宿主細胞に移植され得る。追加的に、発現ベクターは、所望の核酸配列で形質転換された宿主細胞の検出を助けるために、例えばテトラサイクリン、ネオマイシン、及びジヒドロ葉酸レダクターゼ等の1つ以上の選択マーカーを含み得る。
【0053】
別の態様において、本明細書に記載の核酸、ベクター、又は核酸組成物を含む細胞、例えば宿主細胞が本明細書に提供される。宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の全部又は一部分を発現する1つ以上の発現ベクターで安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染された細胞であり得る。一部の実施形態において、宿主細胞は、本開示の抗体のHC及びLCポリペプチドを発現する発現ベクターで、安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染され得る。一部の実施形態において、宿主細胞は、本明細書に記載の抗体のHCポリペプチドを発現する第1のベクター及びLCポリペプチドを発現する第2のベクターで安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染され得る。そのような宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞は、本明細書に記載されるような抗ヒトTNFαに結合する抗体を発現することができる。抗体を発現することができることが知られている哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞、HEK293細胞、COS細胞、及びNS0細胞が含まれる。
【0054】
一部の実施形態では、細胞、例えば、宿主細胞は、配列番号9、18、25、又は35をコードする第1の核酸配列と、配列番号10、19、28、又は36をコードする第2の核酸配列とを含む、ベクターを含む。
【0055】
一部の実施形態では、細胞、例えば、宿主細胞は、配列番号9、18、25、又は35をコードする核酸配列を含む第1のベクターと、配列番号10、19、28、又は36をコードする核酸配列を含む第2のベクターとを含む。
【0056】
本開示は、上記の宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞を、抗体が発現するような条件下で培養し、発現した抗体を培養培地から回収することによって、本明細書に記載の抗ヒトTNFαに結合する抗体を生成するための方法を更に提供する。抗体が分泌されている培地は、従来の技術によって精製され得る。タンパク質精製の様々な方法が採用され得、そのような方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology 182:83-89(1990)、及びScopes,Protein Purification:Principles and Practice,3rd Edition,Springer,NY(1994)に記載される。
【0057】
本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、本開示の化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法を提供する。
【0058】
本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、式IVの化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法を提供する。本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、式IVaの化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法を提供する。本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、式IVbの化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法を提供する。本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、式IVcの化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法を提供する。本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、式IVdの化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法を提供する。一部の実施形態において、生成されるコンジュゲートは、式Iのコンジュゲートである。
【0059】
本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、以下の工程:
(a)抗ヒトTNFα抗体を還元剤で還元する工程であって、抗ヒトTNFα抗体が、1つ以上の操作されたシステイン残基を含む、工程と、
(b)抗ヒトTNFα抗体を酸化試薬で酸化させる工程と、
(c)本開示の化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させて、コンジュゲートを生成する工程とを含む、方法を提供する。
【0060】
本開示は、コンジュゲートを生成する方法であって、以下の工程:
(a)抗ヒトTNFα抗体を還元剤で還元する工程であって、抗ヒトTNFα抗体が、1つ以上の操作されたシステイン残基を含む、工程と、
(b)抗ヒトTNFα抗体を酸化試薬で酸化させる工程と、
(c)式:
【化26】
で示される化合物を、抗ヒトTNFα抗体と接触させて、コンジュゲートを生成する工程とを含む、方法を提供する。
【0061】
一部の実施形態では、還元剤は、ジチオスレイトールである。一部の実施形態では、酸化剤は、デヒドロアスコルビン酸である。一部の実施形態において、還元剤はジチオスレイトールであり、酸化剤はデヒドロアスコルビン酸である。
【0062】
本開示は、本明細書に記載の方法のいずれかによって産生される抗体又はその抗原結合断片を更に提供する。
【0063】
一実施形態では、本開示は、式Iのコンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は本明細書に記載の抗体、核酸、若しくはベクターを、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む、医薬組成物を更に提供する。一実施形態では、本開示は、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む、医薬組成物を更に提供する。一実施形態では、本開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に、式Iのコンジュゲートを含む、医薬組成物を更に提供する。一実施形態では、本開示は、式Iのコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するための方法を更に提供する。一実施形態では、本開示はまた、式Iのコンジュゲートの合成のための新規中間体及び方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのインビトロでのADCC活性を示す。
【
図2】例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのインビトロでのCDC活性を示す。
【
図3】例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6が、アダリムマブで過免疫されたカニクイザルにおいて形成されたアダリムマブに対する抗薬物抗体への有意に低い結合を有することを示す。
【
図4】例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6が、アダリムマブで治療されたヒト患者において形成されたアダリムマブに対する抗薬物抗体への有意に低い結合を有することを示す。
【
図5A】PBS、pH7.2(5A)、酢酸塩、pH5(5B)、及びヒスチジン、pH6(5C)中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDSCサーモグラムを示す。
【
図5B】PBS、pH7.2(5A)、酢酸塩、pH5(5B)、及びヒスチジン、pH6(5C)中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDSCサーモグラムを示す。
【
図5C】PBS、pH7.2(5A)、酢酸塩、pH5(5B)、及びヒスチジン、pH6(5C)中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDSCサーモグラムを示す。
【
図6A】接触過敏症のヒト化マウスモデルにおける、1mg/kg(6A)、3mg/kg(6B)、及び10mg/kg(6C)での抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab1、及び例示的な抗ヒトTNFα抗体コンジュゲートの有効性比較を示す。
【
図6B】接触過敏症のヒト化マウスモデルにおける、1mg/kg(6A)、3mg/kg(6B)、及び10mg/kg(6C)での抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab1、及び例示的な抗ヒトTNFα抗体コンジュゲートの有効性比較を示す。
【
図6C】接触過敏症のヒト化マウスモデルにおける、1mg/kg(6A)、3mg/kg(6B)、及び10mg/kg(6C)での抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab1、及び例示的な抗ヒトTNFα抗体コンジュゲートの有効性比較を示す。
【
図7】ヒトTNFαトランスジェニックマウス多発性関節炎モデルにおける抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートが、アダリムマブナイーブマウス及びアダリムマブ処置マウスの両方において臨床スコアによって測定されたように疾患進行を停止させたことを示し、抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートが有意な抗薬物抗体応答を生成せず、アダリムマブに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有したか、又は交差反応を有さなかったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本明細書で使用される「TNFα」という用語は、別段の記載がない限り、可溶性及び膜TNFα、並びに細胞内のTNFα前駆体タンパク質のプロセシングから生じる任意の天然の成熟TNFαを指す。この用語は、別段の指示がない限り、イヌ、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル又はアカゲザル)、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からのTNFαを含む。この用語には、TNFαの天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも含まれる。抗ヒトTNFαの一例のアミノ酸配列は、当該技術分野で知られており、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000585(配列番号39)である。カニクイザルTNFαの一例のアミノ酸配列も、当該技術分野で知られており、例えば、UniProt参照配列P79337(配列番号42)である。アカゲザルTNFαの一例のアミノ酸配列も、当該技術分野で知られており、例えば、UniProt参照配列P48094(配列番号40)である。イヌTNFα一例のアミノ酸配列も、当該技術分野で知られており、例えば、GenBankアクセッション番号CAA64403(配列番号41)である。ヒト「TNFα」という用語は、全ての既知のヒトTNFαアイソフォーム及び多形形態を集合的に指すために本明細書で使用される。本明細書で使用される配列番号付けは、シグナルペプチドを含まない成熟タンパク質に基づく。
【0066】
本明細書で使用される「TNFR」又は「TNF受容体」という用語は、別段の記載がない限り、任意の天然の成熟TNFR、例えば、TNFR1(p55若しくはp60としても知られる)又はTNFR2(p75若しくはp80としても知られる)を指す。この用語は、別段の指示がない限り、イヌ、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル又はアカゲザル)、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からのTNFRを含む。この用語には、TNFRの天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも含まれる。ヒトTNFR1の一例のアミノ酸配列は、当該技術分野で知られており、例えば、GenBankアクセッション番号:AAA61201(配列番号45)である。ヒトTNFR2の一例のアミノ酸配列は、当該技術分野で知られており、例えば、NCBIアクセッション番号:NP_001057(配列番号46)である。「TNFR」という用語は、全ての既知のヒトTNFRアイソフォーム及び多形形態を集合的に指すために本明細書で使用される。
【0067】
本明細書で使用される「抗薬物抗体」又は「anti-drug antibody、ADA」という用語は、哺乳動物に投与された治療薬に対する免疫応答から、哺乳動物において形成された抗体を指す。本開示の一部の実施形態では、治療薬に対して形成された抗薬物抗体は、その治療薬の効果を中和し得、したがって、治療薬の薬物動態(pharmacokinetic、PK)及び/又は薬力学的(pharmacodynamic、PD)特性を変化させ、治療薬の効果に干渉し、並びに/又は有効性を低減し、並びに/又は治療薬に対する臨床応答を低下させる。治療薬に対する抗薬物抗体はまた、患者において有害な免疫反応を導き得、その結果、患者は、その治療薬での更なる治療のための候補でなくなる可能性がある。有害な免疫反応の例としては、これらに限定されないが、薬物投与後1日目の発熱、掻痒、気管支痙攣、又は心臓血管虚脱などの症状を特徴とする注入関連の反応が挙げられる(Atiqi,S.,Front Immunol.,2020,26(11):312)。
【0068】
本明細書で使用される、抗薬物抗体への「低い結合又は結合なし」という用語は、他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体への、本開示の抗ヒトTNFα抗体グルココルチコイドコンジュゲート又は抗ヒトTNFα抗体の結合を指し、そのような結合は、結合を測定するために使用されるアッセイのカットオフ点未満であると決定されるか、又はアッセイの所定の変動範囲内である。そのような方法において、カットオフ点は、抗薬物抗体への陽性結合を識別するために使用される所定の閾値である。一部の実施形態では、アッセイの所定の変動性は、アッセイのカットオフ点を約20%未満上回る。そのような実施形態では、本開示の抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲート又は抗ヒトTNFα抗体の、他の治療薬(例えば、アダリムマブ)に対する抗薬物抗体への結合であって、アッセイのカットオフ点を約20%未満上回る結合は、低結合とみなされる。一部の実施形態では、本開示の抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲート又は抗ヒトTNFα抗体の、他の治療薬(例えば、アダリムマブ)に対する抗薬物抗体への結合であって、アッセイのカットオフ点以下である結合は、結合なしとみなされる。
【0069】
「他の抗TNFα治療薬」という用語は、TNFαに結合し、TNF受容体媒介性応答を阻害する薬剤を指し、本明細書に記載のコンジュゲート又は抗ヒトTNFα抗体を含まない。そのような薬剤は、これらに限定されないが、例えばFc領域又はIgG重鎖定常領域に融合し得る、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv、scFab、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片、又は線状抗体などの、抗原と相互作用する能力を保持する抗体の少なくとも一部分を含む、抗体又はそのコンジュゲート、抗体断片又は抗原結合断片を含む。一部の実施形態では、他の抗TNFα治療薬は、例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、及びセルトリズマブ、並びに/又はそれらのコンジュゲートであってもよい。
【0070】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体の実施形態には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性若しくは多重特異性抗体、又はコンジュゲート抗体が含まれる。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、及び任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)であってもよい。本開示の実施形態はまた、抗体断片又は抗原結合断片を含み、「抗体断片又は抗原結合断片」という用語は、例えばFc領域又はIgG重鎖定常領域に融合してもよい、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv、scFab、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片及び線状抗体などの、抗原と相互作用する能力を保持する抗体の少なくとも一部分を含む。
【0071】
例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(HC)及び2つの軽鎖(LC)から構成された免疫グロブリンG(IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、抗体重鎖のFc領域及びCH1ドメインを含む、抗体の領域を指す。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に更に分割され得る。定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスに基づく。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,Bethesda,MD:U.S.Dept.of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health(1991)。EUインデックス番号付け又はEU番号付けという用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0072】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(framework regions、FR)と呼称される、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼称される、超可変領域に更に細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖の3つのCDRを「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称する。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,「Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987);Al-Lazikani et al.,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,「A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations」,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(the international ImMunoGeneTics database、www.imgt.orgで利用可能、Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212)。IMGTとNorth CDR定義との組み合わせを、本明細書に記載されるような例示的な抗ヒトTNFα抗体に使用した。
【0073】
本明細書で使用される「Fc領域」という用語は、抗体重鎖のCH2及びCH3ドメインを含む抗体の領域を指す。任意選択で、Fc領域は、抗体重鎖のヒンジ領域の一部分又はヒンジ領域全体を含み得る。エフェクター機能などの生物活性は、抗体のアイソタイプによって異なるFc領域に起因する。抗体エフェクター機能の例としては、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell mediated cytotoxicity、ADCC)、抗体依存性細胞介在性食作用(antibody-dependent cell mediated phagocytosis、ADCP)、C1q結合、補体依存性細胞傷害性(complement dependent cytotoxicity、CDC)、食作用、細胞表面受容体の下方制御(例えば、B細胞受容体)、及びB細胞活性化が挙げられる。
【0074】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体によって結合される抗原のアミノ酸残基を指す。エピトープは、直鎖状エピトープ、立体構造エピトープ、又はハイブリッドエピトープであり得る。「エピトープ」という用語は、構造的エピトープに関して使用され得る。構造的エピトープは、一部の実施形態によれば、抗体によってカバーされる抗原の領域(例えば、抗原に結合したときの抗体のフットプリント)を説明するために使用され得る。一部の実施形態では、構造的エピトープは、抗体のアミノ酸残基の特定の近接内(例えば、特定のオングストローム数内)にある抗原のアミノ酸残基を説明し得る。「エピトープ」という用語はまた、機能的エピトープに関して使用され得る。機能的エピトープは、一部の実施形態によれば、抗原と抗体との間の結合エネルギーに寄与する様式で抗体のアミノ酸残基と相互作用する抗原のアミノ酸残基を説明するために使用され得る。エピトープは、「エピトープマッピング技術」とも呼ばれる異なる実験技術に従って決定することができる。エピトープの決定は、使用される異なるエピトープマッピング技術に基づいて変動し得、例えば、特定の実験条件によって誘導される抗原の立体構造変化又は切断に起因して、使用される異なる実験条件によっても変動し得ることが理解される。エピトープマッピング技術は、当該技術分野において既知であり(例えば、Rockberg and Nilvebrant,Epitope Mapping Protocols:Methods in Molecular Biology,Humana Press,3rd ed.2018、Holst et al.,Molecular Pharmacology 1998,53(1):166-175)、例えば、X線結晶学、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)分光法、部位特異的変異誘発、種交換変異誘発、アラニンスキャニング変異誘発、立体障害変異誘発、水素-重水素交換(hydrogen-deuterium exchange、HDX)、及び交差ブロッキングアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用される「結合する」という用語は、別段の定めがない限り、化学結合又は別のタンパク質若しくは分子との引力相互作用を形成するタンパク質又は分子の能力を意味することを意図しており、当該技術分野において既知である一般的な方法によって決定されるように、2つのタンパク質又は分子の近接をもたらす。
【0076】
本明細書で使用される「核酸」という用語は、天然ヌクレオチド、改変ヌクレオチド、及び/又はヌクレオチドの類似体を組み込んだDNA、cDNA、並びにRNA分子などの一本鎖及び/又は二本鎖ヌクレオチド含有分子を含むヌクレオチドのポリマーを指す。本開示のポリヌクレオチドはまた、例えば、DNA若しくはRNAポリメラーゼ又は合成反応によってその中に組み込まれた基質を含んでもよい。
【0077】
本開示の実施形態は、ポリペプチド(例えば、抗ヒトTNFα抗体)が、1つ以上の薬物部分、例えば、2つの薬物部分、3つの薬物部分、4つの薬物部分、5つの薬物部分、又はそれ以上の薬物部分にコンジュゲートされているコンジュゲートを含む。薬物部分は、本明細書中に記載されるように、ポリペプチド中の1つ以上の部位でポリペプチドにコンジュゲートされ得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、2~5、又は3~5、又は3~4の範囲の平均薬物対抗体比(drug-to-antibody ratio、DAR)(モル比)を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートは、約3の平均DARを有する。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、約4の平均DARを有する。平均とは、算術平均を意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合、式Iのコンジュゲートは、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、及びIfのコンジュゲートを包含することが理解され、本明細書における式Iのコンジュゲートへの言及は全て、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、及びIfのコンジュゲートを含むものとして読まれるべきである。式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、及びIfのコンジュゲートを含む式Iのコンジュゲートは、抗ヒトTNFα抗体グルココルチコイドコンジュゲート(「抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲート」)と称され得ることが、当業者によって更に理解される。
【0079】
本開示の抗ヒトTNFα抗体GCコンジュゲートは、例えば、静注、又は皮下投与を含む、コンジュゲートを体内に吸収され、利用されるようにする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化され得る。そのような医薬組成物は、当該技術分野で既知の技法及び方法を使用して調製され得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Adejare,Editor,23nd Edition,published 2020,Elsevier Scienceを参照されたい)。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「治療すること」、「治療」、又は「治療するため」は、既存の症状若しくは障害の進行若しくは重症度を抑制すること、緩徐化すること、停止すること、制御すること、遅延させること、若しくは逆転させること、又は既存の症状若しくは障害を改善することを含むが、必ずしも既存の症状若しくは障害の完全な排除を示すわけではない。治療は、患者、特にヒトの症状又は障害の治療のためのタンパク質又は核酸又はベクター又は組成物の投与を含む。
【0081】
本明細書で使用される「阻害する」又は「阻害すること」という用語は、例えば、生物学的応答又は活性の低減、低下、減速、減少、停止、破壊、抑止、拮抗、又はブロッキングを指すが、必ずしも生物学的応答の完全な排除を示すわけではない。
【0082】
本明細書で使用される「対象」という用語は、これらに限定されないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモットなどを含む哺乳動物を指す。好ましくは、対象はヒトである。
【0083】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、対象に単回又は複数回投与すると、診断中又は治療中の対象に所望の効果を提供する、本開示のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の量又は投与量を指す。本明細書で使用される「有効量」という用語は、対象の所望の生物学的又は医学的応答を誘発する、例えば、タンパク質の活性の低下又は阻害を誘発する、あるいは症状を改善する、状態を緩和する、疾患の進行を減速若しくは遅延する、又は疾患などを予防する、本開示のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の量を更に指す。非限定的な実施形態では、「有効量」という用語は、対象に投与されたときに、所望の治療結果を達成するために、状態、又は障害又は疾患を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防及び/又は改善するために有効である、コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩の必要な量(投与量及び期間及び投与の手段)を指す。有効量は、有益な効果が本開示のコンジュゲート又は本開示のその薬学的に許容される塩の毒作用又は有害作用を上回る量でもある。
【0084】
有効量は、既知の技法の使用により、かつ同様の状況下で得られた結果を観察することにより、当業者によって決定され得る。患者のための有効量を決定する際に、担当医によって、患者の種;そのサイズ、年齢、及び全般的健康状態;関連する特定の疾患又は障害;疾患又は障害の程度又は関与又は重症度;個々の患者の応答、投与される特定のコンジュゲート、投与様式;投与される調製物の生物学的利用能特性;選択された投与レジメン;併用薬の使用;並びに他の関連する状況が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の範囲内に含まれるのは、式Iのコンジュゲートの薬学的に許容される塩である。式Iのコンジュゲートなどの本発明のコンジュゲートの薬学的に許容される塩は、当該技術分野で既知の標準的な条件下で形成することができる。例えば、Berge,S.M.,et al.,「Pharmaceutical Salts,」Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977)を参照のこと。
【0086】
【0087】
本開示のコンジュゲート又はその塩は、当業者に既知の様々な手順によって容易に調製され得、そのうちのいくつかが、以下の調製物及び実施例において例解されている。当業者は、本開示のコンジュゲート又はその塩を調製するために、記載される経路の各々に対する特定の合成工程を異なる方式で組み合わせることができるか、又は異なるスキームからの工程と併せることができることを認識している。各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィ、濾過、粉砕、及び結晶化を含む、当該技術分野で周知の従来の方法によって回収することできる。全ての置換基は、別途指示のない限り、すでに定義されたとおりである。試薬及び出発物質は、当業者であれば容易に入手可能なものである。以下の調製物、実施例、及びアッセイは、本開示を更に例解するが、決して本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0088】
図面の簡単な説明
図1は、例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのインビトロでのADCC活性を示す。
図2は、例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのインビトロでのCDC活性を示す。
図3は、例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6が、アダリムマブで過免疫されたカニクイザルにおいて形成されたアダリムマブに対する抗薬物抗体への有意に低い結合を有することを示す。
図4は、例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6が、アダリムマブで治療されたヒト患者において形成されたアダリムマブに対する抗薬物抗体への有意に低い結合を有することを示す。
図5Aは、PBS、pH7.2(5A)、酢酸塩、pH5(5B)、及びヒスチジン、pH6(5C)中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDSCサーモグラムを示す。
図5Bは、PBS、pH7.2(5A)、酢酸塩、pH5(5B)、及びヒスチジン、pH6(5C)中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDSCサーモグラムを示す。
図5Cは、PBS、pH7.2(5A)、酢酸塩、pH5(5B)、及びヒスチジン、pH6(5C)中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDSCサーモグラムを示す。
図6Aは、接触過敏症のヒト化マウスモデルにおける、1mg/kg(6A)、3mg/kg(6B)、及び10mg/kg(6C)での抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab1、及び例示的な抗ヒトTNFα抗体コンジュゲートの有効性比較を示す。
図6Bは、接触過敏症のヒト化マウスモデルにおける、1mg/kg(6A)、3mg/kg(6B)、及び10mg/kg(6C)での抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab1、及び例示的な抗ヒトTNFα抗体コンジュゲートの有効性比較を示す。
図6Cは、接触過敏症のヒト化マウスモデルにおける、1mg/kg(6A)、3mg/kg(6B)、及び10mg/kg(6C)での抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab1、及び例示的な抗ヒトTNFα抗体コンジュゲートの有効性比較を示す。
図7は、ヒトTNFαトランスジェニックマウス多発性関節炎モデルにおける抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートが、アダリムマブナイーブマウス及びアダリムマブ処置マウスの両方において臨床スコアによって測定されたように疾患進行を停止させたことを示し、抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートが有意な抗薬物抗体応答を生成せず、アダリムマブに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有したか、又は交差反応を有さなかったことを示す。
【実施例】
【0089】
調製物1
6-ブロモ-2-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド
【化27】
2つの反応を、並行して実施した。THF(1500mL)中の4-ブロモ-2-フルオロ-1-メトキシベンゼン(250g、1.2mol)の溶液に、LDA(2M、730mL)を-78℃で30分かけてゆっくり添加した。更に30分後、DMF(140mL、1.8mol)を-78℃で30分かけてゆっくり添加した。1時間後、2つの反応物を合わせ、混合物をクエン酸水溶液(2000mL)で希釈し、EtOAc(1500mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaCl水溶液(1000mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、石油エーテル(1000mL)で、室温で12時間にわたって摩砕して、表題化合物(382g、67%の収率)を得た。ES/MS m/z233.9(M+H)。
【0090】
調製物2
2-フルオロ-3-メトキシ-6-メチルベンズアルデヒド
【化28】
3つの反応を、並行して実施した。6-ブロモ-2-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド(120g、5.3mol)、メチルボロン酸(47g、7.9mol)、Pd(dppf)Cl
2(12g、0.02mol)、及びCs
2CO
3(340g、1.1mol)を、1,4-ジオキサン(600mL)及び水(120mL)の混合物に添加した。混合物を、120℃で撹拌した。12時間後、3つの反応物を合わせ、混合物を、飽和NH
4Cl水溶液(1000mL)で希釈し、MTBE(1500mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaCl水溶液(1000mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィによって精製し、40:1のPetエーテル:EtOAcで溶出して、表題化合物を得た(180g、59%)。ES/MS m/z169.3(M+H)。
【0091】
調製物3
2-フルオロ-3-ヒドロキシ-6-メチルベンズアルデヒド
【化29】
2-フルオロ-3-メトキシ-6-メチルベンズアルデヒド(175g、1.0mol)を、DCM(1050mL)中に添加した。BBr
3(200mL、2.1mol)を、溶液中に、0℃でゆっくり添加した。反応物を、室温で撹拌した。1時間後、混合物を、飽和NaHCO
3水溶液(1000mL)で、pH=7~8になるまで希釈し、MTBE(1500mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaCl水溶液(1000mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、表題化合物(110g、68%)を得た。ES/MS m/z154.9(M+H)。
【0092】
調製物4
tert-ブチルN-[3-[(2-フルオロ-3-ホルミル-4-メチル-フェノキシ)メチル]フェニル]カルバメート
【化30】
2-フルオロ-3-ヒドロキシ-6-メチルベンズアルデヒド(130g、0.84mol)、tert-ブチル(3-(ブロモメチル)フェニル)カルバメート(200g、0.70mol)、及び炭酸カリウム(350g、2.5mol)を、アセトニトリル(780mL)に、室温で添加し、次いで、50℃に加熱した。5時間後、反応物を、水(600mL)で希釈し、EtOAc(800mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaCl水溶液(800mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィによって精製し、50:1のPetエーテル:EtOAcで溶出して、粗生成物を得た。粗生成物を、MTBE(500mL)で、室温で30分間摩砕して、表題化合物(103g、32%)を得た。ES/MS m/z382.1(M+Na)。
【0093】
調製物5
(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(3-((3-アミノベンジル)オキシ)-2-フルオロ-6-メチルフェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン
【化31】
過塩素酸(水中の70%、4.8mL)を、アセトニトリル(110mL)中の、(8S,9S,10R,11S,13S,14S,16R,17S)-11,16,17-トリヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-7,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン(4.4g、12mmol、「16アルファ-ヒドロキシプレドニゾロン」とも称される)及びtert-ブチルN-[3-[(2-フルオロ-3-ホルミル-4-メチル-フェノキシ)メチル]フェニル]カルバメート(4.0g、11mmol、調製物4)の懸濁液に、-10℃で添加し、室温に加温した。1時間後、DMF(10mL)を、懸濁液に、室温で添加した。18時間後、反応物を、飽和NaHCO
3水溶液でクエンチし、9:1のDCM:イソプロパノールで抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、1:1のNH
4HCO
3水溶液(10mM+5%MeOH):ACNで溶離する逆相クロマトグラフィによって精製して、表題化合物、ピーク1(1.72g、25%)を得た。ES/MS m/z618.6(M+H)。
1H NMR(400.13MHz,d
6-DMSO)δ0.93-0.87(m,6H),1.40(s,3H),1.71-1.60(m,1H),1.89-1.76(m,4H),2.18-2.12(m,2H),2.29(s,4H),4.23-4.17(m,1H),4.32-4.30(m,1H),4.50-4.43(m,1H),4.81(d,J=3.2Hz,1H),4.98-4.95(m,3H),5.16-5.10(m,3H),5.61(s,1H),5.95(s,1H),6.18-6.15(m,1H),6.53-6.48(m,2H),6.58(s,1H),6.90-6.86(m,1H),6.99(t,J=7.7Hz,1H),7.12(t,J=8.5Hz,1H),7.33-7.30(m,1H)。
【0094】
調製物6
(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10S,11aR,12aS,12bS)-10-(3-((3-アミノベンジル)オキシ)-2-フルオロ-6-メチルフェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(本明細書ではGC1とも称される)
【化32】
調製物5から、残渣を、1:1のNH
4HCO
3水溶液(10mM+5%MeOH):ACNで溶出する逆相クロマトグラフィによって精製して、表題化合物、ピーク2(1.24g、18%)を得た。ES/MS m/z618.6(M+H)。
1H NMR(400.13MHz,d
6-DMSO)d
1H NMR(400.13MHz,DMSO):0.88(s,3H),1.24-1.12(m,2H),1.40(s,3H),1.69-1.56(m,1H),1.91-1.76(m,4H),2.08-2.01(m,2H),2.22(s,3H),2.39-2.29(m,1H),3.18(d,J=5.2Hz,1H),4.12-4.00(m,1H),4.37-4.30(m,2H),4.79(d,J=3.1Hz,1H),5.00-4.93(m,2H),5.10-5.06(m,3H),5.31(d,J=6.7Hz,1H),5.95(s,1H),6.18(dd,J=1.8,10.1Hz,1H),6.34(s,1H),6.53-6.48(m,2H),6.58(s,1H),6.87(d,J=8.5Hz,1H),6.99(t,J=7.7Hz,1H),7.09(t,J=8.5Hz,1H),7.33(d,J=10.1Hz,1H)。
【0095】
調製物7
(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパノイル)-L-アラニル-L-アラニン
【化33】
DMF(25mL)中のN-スクシンイミジル3-マレイミドプロピオネート(5.0g、19mmol)及びL-アラニル-L-アラニン(3.4g、21mmol)の溶液に、DIPEA(3.1mL、18mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得て、残渣をEtOAc中2%の酢酸で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題化合物(4.0g、69%)を得た。ES/MS m/z312.3(M+H)。
【0096】
調製物8
3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-((S)-1-(((S)-1-((3-((2-フルオロ-3-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10S,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)-4-メチルフェノキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミド(本明細書において「GC-L」とも称される)
【化34】
(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10S,11aR,12aS,12bS)-10-(3-((3-アミノベンジル)オキシ)-2-フルオロ-6-メチルフェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(24g、39mmol、調製物6参照)及び3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパノイル)-L-アラニル-L-アラニン(15g、47mmol、調製物7参照)のDMF(250mL)溶液を0~5℃に冷却し、2,6-ルチジン(11mL、97mmol)、続いてHATU(17g、43mmol)を添加した。混合物を0~5℃で5分間撹拌し、次いで冷却浴を除去し、混合物を2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈した。有機溶液を水で3回、飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ(MeOHを添加して溶解性を補助した)、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を、DCM中1~10%のMeOHの勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(24g、68%)を得た。ES/MS m/z911.4(M+H)。
1H NMR(400.13MHz,DMSO):d9.88(s,1H),8.20(d,J=7.1Hz,1H),8.11(d,J=7.2Hz,1H),7.68(s,1H),7.60-7.58(m,1H),7.34-7.29(m,2H),7.14-7.09(m,2H),7.00(s,2H),6.89(d,J=8.4Hz,1H),6.34(s,1H),6.18(dd,J=1.8,10.0Hz,1H),5.95(s,1H),5.76(s,1H),5.31(d,J=6.8Hz,1H),5.13-5.04(m,3H),4.78(d,J=3.1Hz,1H),4.41-4.30(m,4H),4.10-4.00(m,1H),3.61(t,J=7.3Hz,2H),2.42-2.31(m,3H),2.22(s,3H),2.11-2.01(m,2H),1.91-1.78(m,5H),1.40(s,3H),1.31(d,J=7.2Hz,3H),1.19-1.11(m,5H),0.88(s,3H)。
【0097】
調製物9
3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-((S)-1-(((S)-1-((3-((2-フルオロ-3-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)-4-メチルフェノキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミド
【化35】
調製物8に記載の手順に類似した様式で、調製物9の化合物を、(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(3-((3-アミノベンジル)オキシ)-2-フルオロ-6-メチルフェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-4-オン(調製物5参照)及び3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパノイル)-L-アラニル-L-アラニン(調製物7参照)から調製した。ES/MS m/z911.4(M+H)。1H NMR(500.11MHz,DMSO):d9.88(s,1H),8.23-8.20(m,1H),8.11(d,J=7.2Hz,1H),7.69(s,1H),7.59(d,J=8.0Hz,1H),7.33-7.28(m,2H),7.15-7.08(m,2H),7.00(s,2H),6.91-6.89(m,1H),6.17(dd,J=1.7,10.1Hz,1H),5.94(s,1H),5.61(s,1H),5.16-5.12(m,3H),4.98-4.96(m,1H),4.81(d,J=3.1Hz,1H),4.49-4.36(m,6H),3.61(t,J=7.3Hz,2H),2.41(t,J=7.3Hz,2H),2.30-2.29(m,4H),2.17-2.15(m,2H),1.88-1.77(m,4H),1.69-1.61(m,1H),1.40(s,3H),1.31(d,J=7.2Hz,3H),1.18(d,J=7.2Hz,3H),0.93-0.87(m,6H)。
【0098】
実施例1.抗ヒトTNFα抗体グルココルチコイドコンジュゲート(抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲート)の生成
実施例1a:抗ヒトTNFα抗体の生成及び操作
抗体生成:ヒトTNFαに特異的な抗体を生成させるために、ヒト免疫グロブリン可変領域を有するトランスジェニックマウスを、組換えヒトTNFαで免疫化した。ヒトTNFαを用いてスクリーニングを行い、他のTNFα種による交差反応性を試験した。ヒト及びカニクイザルTNFαの両方に交差反応性である抗体をクローニングし、発現させ、標準的な手順によって精製し、TNFα誘導性細胞傷害性アッセイにおいて中和について試験した。抗体を選択し、そのCDR、可変ドメインフレームワーク領域、及びIgGアイソタイプを操作して、結合親和性、並びに安定性、溶解性、粘度、疎水性、及び凝集などの開発性特性を改善した。
【0099】
ヒトTNFαのアミノ酸配列は、配列番号39として提供され、カニクイザルTNFαのアミノ酸配列は、配列番号42として提供される。
【0100】
抗ヒトTNFα抗体は、周知の方法によって合成及び精製することができる。適切な宿主細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(Chinese hamster ovarian cell、CHO)に、2つのベクターが使用される場合、所定のHC:LCベクター比を用いる抗体、又は重鎖及び軽鎖の両方をコードする単一ベクター系を用いる抗体を分泌するための発現系を、一過性に又は安定的にトランスフェクトすることができる。抗体が分泌されている清澄化培地は、一般的に使用される技術を使用して精製することができる。
【0101】
粘度を改善するための抗体操作:親TNFα抗体系統は、濃縮時に高い粘度を有することが見出された。粘度は、例えば、自己注射器による治療用抗体の送達の実現可能性を評価するための重要な開発性基準である。抗体の変異誘発分析は、免疫原性リスクを増加させることなく、生物物理学的特性を改善することと、望ましい親和性及び効力を保持することとのバランスをとることを必要とした。親抗体のインシリコモデリングを使用して、6つの相補性決定領域(CDR)からなる表面における電荷不均衡の領域を識別した。変異誘発から生成された抗体をTNFα結合についてスクリーニングし、親mAbと比較して標的結合を保持又は改善し(ELISAによって決定される)、かつ望ましい粘度及び他の開発性特性を有するそれらの抗体を、更なる開発のために選択した。
【0102】
免疫原性のリスクを低下させるための抗体操作:抗ヒトTNFα抗体を、MHC関連ペプチドプロテオミクス(MHC-associated peptide proteomics、MAPPS)アッセイにおいて試験して、免疫原性リスクを決定した。簡潔には、主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex、MHC)結合ペプチドを、特異的CDR配列を有する抗体について識別した。免疫原性を低下させる可能性があると識別された変異を有するCDRライブラリを構築し、TNFα結合についてスクリーニングした。抗体をスクリーニング及び選択して、TNFαに対する望ましい結合親和性と、他の望ましい開発性特性を維持することとのバランスをとりながら、低い免疫原性リスクについて最適化した。
【0103】
表2a、2b、及び3は、ヒトTNFαへの望ましい結合効力を保持しながら、低粘度、許容可能な免疫原性リスク、及び他の望ましい開発性特性について最適化された例示的な抗ヒトTNFα抗体配列を示す。
【0104】
表2a:例示的な抗ヒトTNFα AbのCDRアミノ酸配列
【表2-1】
【0105】
表2b:例示的な抗ヒトTNFα AbのCDRアミノ酸配列
【表2-2】
【0106】
表3:例示的な抗ヒトTNFα Abのアミノ酸配列
【表3】
【0107】
実施例1b.抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート(式中、nは、4である)の生成
【化36】
(式中、nは、4であり、Abは、Ab1である)
例示的な抗ヒトTNFα Ab1(表2a、2b、及び表3を参照)を、まず、40倍モル過剰のジチオスレイトール(dithiothreitol、DTT)の存在下で、37℃で2時間又は約21℃で16時間を超えて還元した。この最初の還元工程を使用して、発現中に重鎖の124位及び378位で、操作されたシステインに結合する、システイン及びグルタチオンを含む様々なキャッピング基を除去した。還元工程の後、脱塩樹脂を通して試料を精製して、非結合キャップ並びに還元剤を除去した。その後の2時間の酸化工程を、10倍モル過剰のデヒドロアスコルビン酸(dehydroascorbic acid、DHAA)の存在下で、室温(約21℃)で行って、軽鎖と重鎖との間の天然の鎖間ジスルフィド並びにヒンジジスルフィドの対を再形成した。2時間の酸化工程後、4~8モル当量のグルココルチコイド受容体アゴニストペイロード-リンカー(「glucocorticoid receptor agonist payload-linker、GC-L」)、調製物8で調製した3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-((S)-1-(((S)-1-((3-((2-フルオロ-3-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10S,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)-4-メチルフェノキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミドをDMSOに溶解した10mMストック溶液を使用して添加した。次いで、試料を室温で30~60分間インキュベートして、操作されたシステインへのGC-Lの効率的なコンジュゲーションを可能にした。次いで、サイズ排除クロマトグラフィ(Size Exclusion Chromatography、SEC)又は接線流濾過(Tangential Flow Filtration、TFF)などの後続の仕上げ工程を使用して、試料を適切な製剤緩衝液に緩衝液交換し、DMSO及びあらゆる過剰なリンカー-ペイロードを除去した。
【0108】
薬物対抗体比(Drug to antibody ratio、DAR)評価:最終コンジュゲート上に存在するリンカー-ペイロードの平均数を評価するために、1)逆相(Reverse phase、RP)HPLC及び2)飛行時間(Time of Flight、TOF)質量分析の2つの分析方法を使用した。両方の方法は、ジチオスレイトール(DTT)を最終濃度約10mMまで添加し、続いて42℃で5分間インキュベートすることを含む最初の試料還元工程を必要とした。
【0109】
逆相HPLC法:10~30μgの還元された抗ヒトTNFα抗体Ab1GCコンジュゲート試料を、Phenyl 5PW、4.6mm×7.5cm、10μMカラム(Tosh Part#0008043)上に注入した。A緩衝液は水中の0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)から構成され、一方、B緩衝液はアセトニトリル(acetonitrile、ACN)中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)から構成された。試料注入前にカラムを20%B緩衝液中で平衡化し、続いて約8.5カラム体積にわたって28%B~40%Bの勾配をかけた。平均DARは、寄与する種ごとのDAR数を乗じた分画パーセンテージから、各個々のDAR種からの寄与を計算することによって決定した。この値は、部分的に還元された試料に基づき、分子の半分のみを表すので、次いで、インタクトな抗体GCコンジュゲートを説明するために、その数に2を乗じた。実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDAR計算を表4に提供する。
【0110】
表4:部分的に還元された試料からの各DAR種についての分画パーセンテージを使用した抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについての平均DARの定量化。
【表4】
【0111】
飛行時間型質量分析法:部分的に還元された試料8μgをPoroshell 300sb-C3 2.1×2.5mm、5μMカラム(Agilent Part#821075-924)上に注入した。緩衝液Aは水中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)から構成され、一方、緩衝液Bはアセトニトリル(ACN)中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)から構成された。試料注入の前にカラムを0%B緩衝液中で平衡化し、続いて約28カラム体積にわたって10%B~80%Bの勾配をかけた。平均DARは、寄与する種ごとのDAR数を乗じた分画パーセンテージから、各個々のDAR種からの寄与を計算することによって決定した。この値は、部分的に還元された試料に基づき、分子の半分のみを表すので、次いで、インタクトな抗体GCコンジュゲートを説明するために、その数に2を乗じた。実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについてのDAR計算を表5に提供する。
【0112】
表5:飛行時間質量分析からの総イオンカウントに基づく分画パーセンテージを使用した、抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについての平均DARの定量化。
【表5】
【0113】
実施例1c.抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート(式中、nは、3である)の生成
【化37】
(式中、nは、3であり、Abは、Ab1である)
実施例1cのコンジュゲートを、実施例1bに記載の手順と類似の様式で、GC-L、3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-((S)-1-(((S)-1-((3-((2-フルオロ-3-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10S,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキソ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソール-10-イル)-4-メチルフェノキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)プロパンアミド対Ab1のより低いモル比を、コンジュゲーション工程中に使用して調製した。例えば、対応するGC-L:Ab1の3.2:1のモル比の使用は、約3の最終DARをもたらした。
【0114】
実施例1d.抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲート(式中、nは、4である)の生成
【化38】
(式中、nは、4であり、Abは、Ab2である)
実施例1dのコンジュゲートを、Ab1の代わりにAb2を使用して、本質的に実施例1bに記載の手順と類似の様式で調製した。
【0115】
実施例1e.抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲート(式中、nは、3である)の生成
【化39】
(式中、nは、3であり、Abは、Ab2である)
実施例1eのコンジュゲートを、Ab1の代わりにAb2を使用して、本質的に実施例1cに記載の手順と類似の様式で調製した。
【0116】
実施例1f.チオスクシンイミド加水分解:コンジュゲート式Ie(式中、nは、4である)のチオスクシンイミド環を、以下のスキーム2に示すように、当該技術分野で周知の条件下で加水分解して(例えば、国際公開第2017/210471号、段落001226を参照)、式Ifの開環生成物を得ることができる。
【0117】
スキーム2
【化40】
加えて、式Ieのコンジュゲートの上記チオスクシンイミド環は、少なくとも部分的なインビボでの加水分解を、標準的な又は周知の配合条件下で受けて、式Ifの開環生成物をもたらすことができる。
【0118】
実施例2.抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体の結合効力
実施例2a.Elisa結合:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体の、ヒト、アカゲザル、及び/又はイヌTNFαタンパクに対する結合効力を、抗原ダウンELISAフォーマットで試験した。簡潔に述べると、384ウェル高結合プレート(Greiner Bio-one#781061)を、炭酸塩緩衝液pH9.3(0.015MのNa2CO3及び0.035MのNaHCO3)で希釈した1μg/mLのヒトTNFα(Syngene)、2μg/mLのアカゲザルTNFα(R&D Systems、カタログ番号1070-RM)、又は2μg/mLのイヌTNFα(R&D Systems、カタログ番号1507-CT/CF)の1つのウェル当たり20μLでコーティングし、4℃で一晩保存した。翌日、プレートを80μLのカゼイン(Thermo Fisher Pierce、カタログ番号37528)で、室温で1時間ブロッキングし、ブロッキング緩衝液を除去し、CHO細胞で発現させた20μLの滴定抗ヒトTNFα抗体及び抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート(20μg/mLでの開始濃度をカゼインで希釈し、3倍に滴定、8ポイントダウン)をプレートに添加した。プレートを37℃で90分間インキュベートし、次いでPBS/0.1%Tween中で3回洗浄した。1:1500希釈の二次抗体試薬ヤギ抗ヒトカッパ-AP(Southern Biotech、カタログ番号2060-04)20μLをプレートに添加し、37℃で45分間インキュベートした。プレートを上記のように3回洗浄し、分子グレードの水で1:35に希釈した20μLのアルカリホスファターゼ基質溶液を各ウェルに添加した。発色したら(約15~30分)、Molecular Device Spectramaxプレートリーダーで、560nM ODでプレートを読み取り、Softmax Pro 4.7ソフトウェアを使用してデータを取得した。データ分析をGraphPad Prismで行った。
【0119】
表6aの結果は、実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、コンジュゲートされていない抗ヒトTNFα Ab1に匹敵する所望の効力でヒトTNFαに結合することを示す。
【0120】
表6bの代表的な結果は、抗ヒトTNFα抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6が、ヒト、アカゲザル、及びイヌTNFαと交差反応することを示す。
【0121】
表6a.実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、ヒトTNFαに対する結合EC
50
【表6-1】
【0122】
表6b.例示的な抗ヒトTNFα抗体の、ヒト、アカゲザル、及びイヌTNFαに対する結合EC
50
【表6-2】
【0123】
実施例2b.細胞表面結合:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、生きた膜TNFα発現細胞への結合を評価するために、TNFα切断の非存在下で、生物活性TNFαの発現を細胞表面上で可能にすることが以前に実証された(Mueller et.al.1999)一連の変異を使用して、TNFαの既知の切断部位を不活性化した。切断不可能なTNFα構築物を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に安定にトランスフェクトした。これらの細胞は、フローサイトメトリによって示されるように、膜結合TNFαを発現する。
【0124】
TNFαトランスフェクトCHO細胞を、600nM~0.0304nMの範囲の濃度(3倍希釈)の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートと共に、FACS緩衝液(2%FBSを含むPBS)中、4℃で30分間インキュベートした。細胞結合を、製造業者のプロトコルに従って、AlexaFluor-647(Thermo#A20186)で標識したヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2を用いた二次検出によって実証した。例示した抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートと共にインキュベートしたトランスフェクトCHO細胞を、FACS緩衝液で洗浄し、次いで、FACS緩衝液中、4℃で30分間、2μg/mLのAlexaFluor-647標識ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2で染色した。染色された細胞を洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁し、BD LSRFortessa Cell Analyzerで分析した。染色は二連で行った。ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。抗ヒトTNFα Ab1を陽性対照として使用した。
【0125】
FlowJo(v10.8.0)を使用してフローサイトメトリデータを分析して、各試験試料についてAlexaFluor-647の平均蛍光強度(mean fluorescence intensity、MFI)を得た。EC50値は、GraphPad Prism9を使用して、プロットされたMFIデータに非線形回帰(4PL曲線)を当てはめることによって得た。
【0126】
表7の結果は、GCの、抗ヒトTNFα Ab1へのコンジュゲーションが、抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、膜発現TNFαへの結合に有意に影響を及ぼさないことを示す。
【0127】
表7.実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、ヒトTNFαに対する結合
【表7】
【0128】
実施例3:抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートのインビトロでの機能的特徴付け
実施例3a.内在化:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体が、膜結合TNFαに結合し、異なる健常ヒトドナーからの樹状細胞(dendritic cell、DC)に由来するヒトCD14+単球に内在化する能力を評価した。CD14+単球を末梢血単核細胞(periphery blood mononuclear cell、PBMC)から単離し、培養し、未成熟樹状細胞に分化させ(IL-4及びGM-CSFを用いて)、全て標準的なプロトコルを使用した。成熟DCを得るために、細胞を1μg/mLのLPS(リポ多糖)で4時間処理した。
【0129】
例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体を、完全RPMI培地中で、8μg/mLで希釈し、完全RPMI培地中で5.33μg/mLに希釈した検出プローブFab-TAMRA-QSY7と等体積で混合し、次いで複合体形成のために暗所で、4℃で30分間インキュベートし、次いで未成熟及び成熟DC培養物に添加し、CO
2インキュベーター中で、37℃で24時間インキュベートした。細胞を2%FBS PBSで洗浄し、Cytox Greenの生/死色素を含む100μLの2%FBS PBSに再懸濁した。BD LSR Fortessa X-20でデータを収集し、FlowJoで分析した。生単一細胞をゲーティングし、TAMRA蛍光陽性細胞の割合を読み出しとして記録した。異なるドナーから生成されたデータを有する分子の比較を可能にするために、正規化された内在化指数を使用した。内在化シグナルは、次の式を使用して、IgG1アイソタイプ(正規化された内在化指数=0)及び内部陽性対照PC(正規化された内在化指数=100)に対して正規化し、
【数1】
式中、X
TAMRA、IgG1アイソタイプ
TAMRA、及びPC
TAMRAは、それぞれ、試験分子X、IgG1アイソタイプ、及びPCのTAMRA陽性集団の割合であった。
【0130】
表8aの結果は、抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、コンジュゲートされていない抗ヒトTNFα Ab1の内在化指数に匹敵する内在化指数で、成熟樹状細胞上に発現したTNFαへの結合の際に、インビトロで樹状細胞に内在化したことを示す。これは、抗ヒトTNFα Ab1へのグルココルチコイドのコンジュゲーションが抗ヒトTNFα Ab1の内在化機能に影響を与えないことを示す。
【0131】
表8bにおける異なるドナーからの代表的な結果は、抗ヒトTNFα抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6が、細胞表面上のTNFαへの結合の際に、未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞に内在化することを示す。
【0132】
実施例8a:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、樹状細胞への内在化
【表8-1】
【0133】
表8b:例示的な抗ヒトTNFα抗体の、樹状細胞への内在化
【表8-2】
【0134】
実施例3b.可溶性及び膜TNFα誘導性アポトーシスの阻害:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体による可溶性及び膜TNFα誘導性アポトーシスの阻害を、インビトロでの細胞ベースのアッセイにおいて評価した。
【0135】
可溶性TNFα誘導性アポトーシスの阻害:例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体が可溶性TNFα誘導性L929アポトーシスアッセイを阻害する能力を、インビトロで評価した。L929マウス線維肉腫細胞は、TNFレセプターを天然に発現する。アクチノマイシン-Dと組み合わせた場合、TNFαは、これらの細胞において古典的なアポトーシスを誘導し、TNFα中和によってレスキューされ得る反応性酸素中間体の過剰な形成に起因する迅速な細胞死をもたらす。簡潔に述べると、L929をアッセイ培地(1×DMEM培地、10%FBS、1%Pen-Strep、1%MEM必須アミノ酸、1%L-グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム)中で培養した。アッセイ当日、細胞を1×PBS(Ca++もMg++も含まない)ですすぎ、0.25%トリプシン+EDTAを用いて培養フラスコから剥離した。トリプシンをアッセイ培地で不活性化した。L929細胞を室温で5分間、1500rpmで遠心分離した。細胞ペレットをアッセイ培地に再懸濁し、1×104個のL929細胞(100μL中)を96ウェルプレートに添加し、組織培養インキュベーター(37℃、95%相対湿度、5%CO2)中に一晩置いた。次いで、コンジュゲート/TNFα/アクチノマイシン-D混合物(TNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗体を3倍希釈で、15μg/mL~0.0005μg/mLで添加した)を、L929接着細胞を含む96ウェルプレートに移し、18時間インキュベートした(37℃、95%相対湿度、5%CO2)。
【0136】
生存細胞の数を決定するために、アッセイ培地を除去し、MTS-テトラゾリウム基質混合物をウェルに添加した(100μL)(代謝的に活性な細胞中のミトコンドリアデヒドロゲナーゼ酵素が、MTS-テトラゾリウムを着色ホルマザン生成物に還元する)。プレートをインキュベーター(37℃、95%相対湿度、5%CO2)内に2時間置いた。細胞死は、マイクロプレートリーダー(Biotek Cytation 5 Imaging Multi-Mode Reader)上で、490nmでプレートを読み取ることによって決定した。結果は、例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート又は抗体によってTNFα誘導性細胞傷害性の50%が阻害される濃度(IC50)で表し、データの4パラメータシグモイドフィット(GraphPad Prism9)を使用して計算した。
【0137】
膜TNFα誘導性アポトーシスの阻害:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体が膜TNFα誘導性アポトーシスを阻害する能力を評価するために、切断不可能なTNFα構築物を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に安定にトランスフェクトして、CHO細胞を発現する細胞表面(膜)TNFαを生成した。切断不可能なTNFα構築物は、TNFα切断の非存在下で、細胞表面上の生物活性TNFαの発現を可能にするTNFαの切断部位における既知の変異を用いて生成した(Mueller et.al.1999)。切断不可能なヒトTNFαを発現するCHO細胞とのL929細胞のインキュベーションは、迅速なL929細胞死をもたらした。例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα抗体が、観察されたアポトーシスを中和することができるかどうかを決定するために、15μg/mL~0.0005μg/mL(3倍希釈)の用量範囲を評価した。各濃度の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート又は抗ヒトTNFα抗体を、500個のCHO TNFαトランスフェクタント細胞/ウェル+6.25μg/mLのアクチノマイシンDを含有するプレートに100μL/ウェルで、2連で添加した。混合物を室温で30分間インキュベートし、次いでL929細胞プレートに添加した。ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。L929細胞死は、本質的に可溶性TNFα誘導性アポトーシスアッセイについて記載したように決定した。
【0138】
表9aの結果は、実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、用量依存的な様式でL929の可溶性ヒトTNFα(約0.104μg/mLのIC50)及び膜ヒトTNFα(約0.306μg/mLのIC50)誘導性アポトーシスをインビトロで阻害したことを示し、これは、抗ヒトTNFα Ab1に匹敵する。これは、抗体へのGCのコンジュゲーションが抗体の生物学的活性に影響を及ぼさないことを示す。陰性対照hIgG1アイソタイプは、予想どおり、TNFα誘導性アポトーシスを阻害しなかった。
【0139】
表9bの代表的な結果は、例示した抗ヒトTNFα抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6が、用量依存的な様式でL929細胞の可溶性及び膜ヒトTNFα誘導性アポトーシスの両方をインビトロで阻害したことを示す。
【0140】
表9a.実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートは、L929細胞の可溶性及び膜ヒトTNFα誘導性アポトーシスを阻害する
【表9-1】
【0141】
表9b.例示的な抗ヒトTNFα抗体は、L929細胞の膜及び可溶性ヒトTNFα誘導性アポトーシスを阻害する
【表9-2】
【0142】
実施例3c.インビトロでのヒトT細胞サイトカイン発現アッセイ:疾患関連細胞に対する実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び実施例1dの抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートの機能活性を評価するために、ヒト初代T細胞を、インビトロで刺激し、コンジュゲートで共処理した。米国特許出願公開第2020/338208号からの例示的な抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートの活性も評価した。ヒト初代CD3+T細胞を、製造業者のプロトコル(Human T Cell Isolation Kit,Stemcell Technologies#17951)に従って、免疫磁気陰性選択によって新たに精製されたヒトPBMCから単離した。フローサイトメトリ染色を使用して、BD LSRFortessa Cell Analyzerで細胞純度を評価した。T細胞は、CD4(抗ヒトCD4-eFluor-450、Fisher Scientific#48-0036-42)及びCD8(抗ヒトCD8a-FITC、BioLegend#301006)T細胞サブセットについての追加の表現型決定を用いて、CD3+(抗ヒトCD3-APC、Fisher Scientific#17-0047-42)であることを確認した。2×105個のCD3+T細胞/ウェルを、アッセイ培地(1×RPMI-1640培地、10%FBS、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウム、1%Glutamax、1%Pen-Strep、及び0.1%β-メルカプトエタノール)中の96ウェル平底プレートに播種した。細胞を、1×105ヒトT-アクチベーター抗CD3/CD28 Dynabeads(Thermo Fisher#11132D)で刺激し、例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート、抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲート、又は米国特許出願公開第2020/338208号からの例示的な抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートの各々で、200nM~0.0914nM(3倍希釈)で、1人のドナー当たり2連のプレートで処理した。ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。対照は、コンジュゲートされていない抗ヒトTNFα Ab1及び遊離GCを含んだ。次いで、アッセイプレートを72時間、37℃で5%CO2と共にインキュベートした。細胞培養上清を72時間で回収し、-80℃で凍結した。サイトカインレベルは、ヒトIL-6、IL-10、IL-13、及びGM-CSFに特異的な検出抗体を用いたカスタムU-PLEXヒトバイオマーカー多重アッセイ(Mesoscale Discovery#K15067L)を使用して、解凍した細胞培養上清から測定した。活性を、サイトカインIL-6、IL-13、GM-CSFの阻害、及びIL-10の誘導として測定した。各個々のドナーについて、サイトカインの検出レベル(pg/mL)を、正規化された「阻害%」又は「誘導%」値に変換した。IL-6、IL-13、及びGM-CSFについての正規化パラメータは、0%阻害が刺激未処置対照ウェル中のサイトカインの平均濃度に等しく、100%阻害が非刺激対照ウェル中のサイトカインの平均濃度に等しいと設定した。IL-10についての正規化パラメータは、0%誘導が刺激未処理対照ウェル中のサイトカインの平均濃度に等しく、100%誘導が200nM遊離GC処理群におけるサイトカインの平均濃度に等しいと設定した。正規化されたIC50値は、正規化されたデータに非線形回帰(4PL曲線)を当てはめることによって得た。GraphPad Prism9を使用して統計分析を行った。
【0143】
表10の結果は、実施例1b及び実施例1dの抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートがサイトカインIL-13、IL-6、及びGM-CSFを有意に阻害し、サイトカインIL-10を有意に誘導したことを示す。追加的に、実施例1b及び実施例1dの抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートは、このインビトロアッセイにおいて、抗ヒトTNFα Ab1又は米国特許出願公開第2020/338208号に開示されている例示的な抗TNFα Ab GCコンジュゲートよりも高い割合でサイトカインIL-13、IL-6、及びGM-CSFを阻害し、サイトカインIL-10を誘導した。特に、結果は、実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び実施例1dの抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートが、TNFα抗体及びグルココルチコイドの両方を介してサイトカイン発現を調節することを示す。
【0144】
表10.T細胞サイトカイン放出に対する実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び実施例1dの抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートの効果
【表10】
統計:Tukeyの多重比較検定、
*=アイソタイプと比較したp<0.05、^=Ab1と比較したp<0.05、†=米国特許出願公開第2020/338208号からの例示的な抗ヒトTNFα Abコンジュゲートと比較したp<0.05。
【0145】
実施例4.例示的な抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートのエフェクター機能活性
実施例4a.ヒトFcγ受容体結合。実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、ヒトFcγ受容体に対する結合親和性を、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance、SPR)分析によって評価した。シリーズS CM5チップ(Cytiva P/N BR100530)は、製造者のEDC/NHSアミンカップリング法(Cytiva P/N BR100050)を使用して準備した。要約すると、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/分で7分間注入することによって、4つ全てのフローセル(flow cell、FC)の表面を活性化させた。タンパク質A(Calbiochem P/N539202)を、pH4.5の10mMの酢酸緩衝液中で100μg/mLまで希釈し、10μL/分の流速で7分間の注入によって4つ全てのFC上に約4000RUまで固定化した。未反応部位を、10μL/分で7分間のエタノールアミンの注入によってブロッキングした。pH1.5の2×10μLのグリシン注入を使用して、あらゆる非共有付随タンパク質を除去した。ランニングバッファは1×HBS-EP+(TEKNOVA、P/N H8022)であった。FcγR細胞外ドメイン(extracellular domain、ECD)-FcγRI(CD64)、FcγRIIA_131R、及びFcγRIIA_131H(CD32a)、FcγRIIIA_158V、FcγRIIIA_158F(CD16a)、及びFcγRIIb(CD32b)を、安定したCHO細胞発現から生成し、IgGセファロース及びサイズ排除クロマトグラフィを使用して精製した。FcγRI結合のために、試験分子(実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及びヒトIgG1アイソタイプ対照抗体を含む)をランニングバッファ中で2.5μg/mLに希釈し、およそ150RUの各抗体をFC2~4に捕捉した(RU捕捉)。FC1は参照FCであったため、FC1では抗体が捕捉されなかった。FcγRI ECDをランニングバッファ中で200nMまで希釈し、次いで、ランニングバッファ中で2倍連続希釈して0.78nMにした。各濃度の2連注入は、全てのFCに40μL/分で120秒間注入し、その後1200秒の解離フェーズが続いた。再生を、pH1.5の10mMのグリシン15μLを30μL/分で全てのFCに注入することによって実施した。参照減算データをFC2 FC1、FC3-FC1、及びFC4-FC1として収集し、測定値を25℃で得た。親和性(KD)を、Scrubber 2 Biacore評価ソフトウェアを用いた定常状態平衡分析又はBIA評価の「1:1(ラングミュア)結合」モデルのいずれかを使用して計算した。FcγRIIa、FcγRIIb、及びFcγRIIIaの結合では、試験分子をランニングバッファ中で5μg/mLに希釈し、およそ500RUの各抗体をFC2~4で捕捉した)。FC1は、参照FCであった。Fcγ受容体ECDをランニングバッファ中で10μMに希釈し、次いで、ランニングバッファ中で2倍連続希釈して39nMにした。各濃度の2連注入は、全てのFCに40μL/分で60秒間注入され、その後120秒の解離フェーズが続いた。再生を、pH1.5の10mMのグリシン15μLを30μL/分で全てのFCに注入することによって実施した。参照減算データをFC2-FC1、FC3-FC1、及びFC4-FC1として収集し、測定値を25℃で得た。親和性(KD)を、Scrubber 2 Biacore(登録商標)評価ソフトウェアを用いた定常状態平衡分析を使用して計算した。各受容体を少なくとも2回アッセイした。
【0146】
表11の結果は、実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、ヒトFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、及びFcγRIIIa受容体ECDに対する結合親和性(KD)がヒトIgG1アイソタイプ対照抗体に匹敵することを示す。
【0147】
表11.実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの、ヒトFcγ受容体に対する結合親和性
【表11】
【0148】
実施例4b.抗体依存性細胞傷害性(ADCC):実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートのインビトロでのADCCアッセイを、レポーター遺伝子ベースのADCCアッセイで評価した。
【0149】
レポーター遺伝子ベースのADCCアッセイのために、膜結合TNFα及びCD20を共発現するCHO細胞株(Eli Lilly and Co.)を標的細胞株として使用し、機能的FcγRIIIa(V158)-NFAT-Luc(Eli Lilly and Company)をエフェクター細胞株として発現するJurkat細胞を使用した。全ての試験分子及び細胞を、0.1mM非必須アミノ酸(non-essential amino acid、NEAA)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、500U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン、及び0.1%w/v BSAを含むRPMI-1640(フェノールレッドなし)を含有するアッセイ培地中で希釈した。試験抗体を、まず20nMの3×濃度に希釈し、次いで1:4の比で7回連続希釈した。50μL/ウェルの各抗体を、白色不透明底96ウェルプレート(Costar、#3917)に三連で分注した。CD20抗体を陽性対照として使用した。次いで、Daudi標的細胞を50μLアリコート中5×104細胞/ウェルでプレートに添加し、37℃で1時間インキュベートした。次に、Jurkat V158細胞をウェルに50μLアリコート中1.5×105個の細胞/ウェルで添加し、37℃で4時間インキュベートし、続いて100μL/ウェルのOne-Gloルシフェラーゼ基質(Promega、#E8130)を添加した。プレートシェーカーを低速で使用してプレートの内容物を混合し、室温で5分間インキュベートし、0.2cpsの積分を使用してBioTekマイクロプレートリーダー(BioTek Instruments)で発光シグナルを読み取った。GraphPad Prism9を使用してデータを分析し、各抗体濃度についての相対発光単位(relative luminescence unit、RLU)を、抗体濃度対RLUの散乱フォーマットでプロットした。結果は、2つの独立した実験の代表であった。
【0150】
図1の結果は、実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、陽性対照と比較した場合、適度なADCC活性を有したことを示す。
【0151】
実施例4c.補体依存性細胞傷害作用(CDC):実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートのインビトロでのCDCアッセイを、膜結合TNFα及びCD20を共発現するCHO細胞株(Eli Lilly and Co.)を使用して行った。全ての試験抗体、補体、及び細胞を、0.1mM非必須アミノ酸(NEAA)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、500U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン、及び0.1%w/v BSAを含むRPMI-1640(フェノールレッドなし)からなるアッセイ培地で希釈した。試験抗体を、まず200nMの3×濃度に希釈し、次いで1:4の比で7回連続希釈した。50μL/ウェルの各抗体(CD20陽性対照抗体を含む)を、白色不透明底96ウェルプレート(Costar、#3917)に三連で分注した。Daudi標的細胞を5×104細胞/ウェル、50μL/ウェルで添加し、37℃で1時間インキュベートした。次に、37℃の水浴中で迅速に解凍したヒト血清補体(Quidel、#A113)をアッセイ培地中で1:6に希釈し、50μL/ウェルでアッセイプレートに添加した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、続いて100μL/ウェルのCellTiter Glo基質(Promega、#G7571)を添加した。プレートシェーカーを低速で使用してプレートの内容物を混合し、室温で5分間インキュベートし、0.2cpsの積分を使用してBioTekマイクロプレートリーダー(BioTek Instruments)で発光シグナルを読み取った。GraphPad Prism9を使用してデータを分析し、各抗体濃度についての相対発光単位(RLU)を、抗体濃度対RLUの散乱フォーマットでプロットした。
【0152】
2つの代表的な独立した実験(そのうちの1つを
図2に示す)の結果は、例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、陽性対照と比較した場合、CDC活性のわずかな誘導を有することを示した。
【0153】
実施例5:アダリムマブに対する抗薬物抗体に結合する例示的な抗ヒトTNFα抗体の特徴付け
実施例5a.アダリムマブに対するカニクイザル抗薬物抗体への結合:アダリムマブで高度免疫したカニクイザルからのアフィニティ精製高度免疫サル血清(affinity purified hyperimmune monkey serum、AP-HIMS)から得たアダリムマブに対する抗薬物抗体(抗アダリムマブ抗体)への、例示的な抗ヒトTNFα抗体の結合を評価した。アダリムマブ-AffiGel10を使用して、アダリムマブ高度免疫カニクイザルからの抗アダリムマブ抗体を精製した。抗アダリムマブ抗体は、ACE-BridgeアッセイにおいてAP-HIMSの滴定を使用して検出した。アッセイは、免疫原性試験に関するFDAガイダンスに従って開発された。簡単に説明すると、ストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(Pierce、15500)を1×TBST(Boston BioProducts、IBB-181X)で洗浄し、室温で1時間、TBST/0.1%ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma、A7888)中100μL/ウェルで、30nMのビオチン化アダリムマブで被覆した。プレートをTBSTで3回洗浄し、アフィニティ精製抗アダリムマブ抗体をTBS(Fisher、BP2471-1)で1:10に希釈し、被覆したプレートに100μL/ウェルで添加し、4℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートをTBSTで3回洗浄し、捕捉された抗アダリムマブ抗体を、65μL/ウェルの300mM酢酸(Fisher Scientific、A38-500)を使用して室温で5分間酸溶出した。次いで、ポリプロピレン96ウェルプレート(Corning、3359)に、中和緩衝液(0.375MのTris、300mMのNaCl、pH9)中の各1μg/mLのビオチン化アダリムマブ及びルテニウム標識アダリムマブ50μLを装填した。次に、50μLの酸溶出試料を、中和緩衝液中の混合物及びADAを含有するポリプロピレンプレートに添加し、室温で1時間、標識抗体に架橋させた。MSD Gold96ウェルストレプトアビジンプレート(Mesoscale、L15SA-1)を洗浄し、TBS+1%BSAを用いて室温で1時間ブロッキングし、次いで洗浄し、80μLの架橋試料をプレートに1時間添加した。プレートをTBSTで3回洗浄し、150μL/ウェルの2×MSD緩衝液(Mesoscale、R92TC-2)をプレートに添加した。プレートをMSD SQ120リーダーで読み取って、電気化学発光単位(electro chemiluminescent unit、ECLU)として表されるTier1シグナルを得た。
【0154】
同じAP-HIMSをACE-Bridgeアッセイにおいても試験して、アダリムマブについて上で概説したのと本質的に同じ方法に従って、ただしビオチン及びルテニウム標識Ab6を使用して、例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6に対する抗体を検出した。次いで、得られたECLUシグナルを、試験したAP-HIMSの濃度の関数としてプロットした。
【0155】
図3の結果は、アダリムマブ自体の抗薬物抗体(最大ECLUシグナル40000)へのアダリムマブの結合と比較した場合、例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6が、アダリムマブで高度免疫されたカニクイザルからの血清から精製されたアダリムマブに対する抗薬物抗体(最大ECLUシグナル4000)への低い結合を有したか、結合しなかったことを示す。具体的には、結果は、例示した抗ヒトTNFα抗体Ab6がカニクイザルによって生成されたアダリムマブに対する抗薬物抗体の約10%のみを認識することを示し、この結合が、抗体定常領域などのCDR領域から離れて位置する共有配列に起因する可能性が高いことを示唆した。
【0156】
実施例5b.アダリムマブに対するヒト患者抗薬物抗体への結合:試験RA-BEAMに登録されたアダリムマブ治療患者から得られた21個の患者血清試料中のアダリムマブに対する抗薬物抗体(抗アダリムマブ抗体)への、例示的抗ヒトTNFα抗体の結合を評価した。21個の血清試料をベースライン後に収集し、本質的にカニクイザルADA評価について記載したような方法を使用することによって、アダリムマブに対して高いADA力価を有することを確認した。次いで、21個の血清試料を、本質的にカニクイザルADA評価について記載したような方法を使用して、例示的な抗ヒトTNFα抗体Ab6への結合について評価した。
【0157】
図4の結果は、例示した抗ヒトTNFα抗体Ab6が、試験した21個の患者試料のうち16個においてアダリムマブに対する抗薬物抗体への低い結合を有したか、結合しなかったことを示す(ECLUシグナルは、アッセイのカットオフ点(102ECLU)未満であった)。免疫原性の決定において、カットオフ点は、「推定陽性」又は抗薬物抗体含有試料を識別するために使用される閾値である。
図4に示されるように、21個の試料のうち5個が、カットオフ点を超えるECLUシグナルを有したが、全てがカットオフ点を20%未満超えており、したがって、アッセイの変動性の範囲内であると決定された。アダリムマブで治療されたヒト患者におけるアダリムマブに対する抗薬物抗体への抗ヒトTNFα抗体Ab6の有意に低い結合、又は結合がないことは、Ab6及びアダリムマブ抗体配列が十分に異なり、その結果、アダリムマブ中に存在するエピトープに特異的である、試験されたヒト対象によってアダリムマブに対して生成されたADAが、Ab6によって共有されず、したがってAb6によってあまり認識されないことを示した。
【0158】
これらの結果は、アダリムマブなどの他のTNFα治療薬に対する抗薬物抗体に対する臨床応答又は有害反応の低下を発生する対象の治療のための、例示的な抗ヒトTNFα抗体又はコンジュゲートの潜在的な使用を示す。
【0159】
実施例6:免疫原性評価
実施例6a.MHC関連ペプチドプロテオミクス(MAPP)アッセイ:MAPPは、例示的な抗ヒトTNFα抗体で予め処理したヒト樹状細胞上のMHC-II提示ペプチドをプロファイリングする。CD14+単球を末梢血単核細胞(PBMC)から単離し、培養し、標準的なプロトコルを使用して未成熟樹状細胞(IL-4及びGM-CSFを含む)に分化させた。4日目に例示的な抗体を未成熟樹状細胞に添加し、細胞を成熟樹状細胞に形質転換するための、LPSを含有する新鮮な培地を5時間のインキュベーション後に交換した。翌日、成熟樹状細胞をプロテアーゼ阻害剤及びDNAseを含むRIPA中で溶解した。MHC-II複合体の免疫沈降を、ストレプトアビジンビーズに結合したビオチン化抗MHC-II抗体を使用して行った。結合した複合体を溶出させ、濾過した。単離されたMHC-IIペプチドを、質量分析計によって分析した。ペプチド識別は、データベースに付加された試験配列を含むウシ/ヒトデータベースに対する、酵素検索パラメータを伴わない検索アルゴリズムを使用して、内部プロテオミクスパイプラインによって生成した。例示的な抗体から識別されたペプチドを、親配列に対して整列させた。
【0160】
表12の結果は、例示的な抗ヒトTNFα抗体が、MAPPによる様々な程度の提示を有したことを示す。Ab1は、試験した10人のドナーのうち3人において、1つの非生殖系列クラスターを有する最も低いMAPP提示を実証した。
【0161】
表12.例示的な抗ヒトTNFα抗体のMAPP分析
【表12】
【0162】
T細胞増殖アッセイ:例示的な抗ヒトTNFα抗体MAPP由来ペプチドクラスターが細胞増殖を誘導することによってCD4+T細胞を活性化する能力を評価した。CD8+T細胞を、10人の健常ドナーからの凍結保存PBMCから枯渇させ、1μMのカルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(Carboxyfluorescein Diacetate Succinimidyl Ester、CFSE)で標識した。CD8+T細胞枯渇PBMCを、5%CTS(商標)Immune Cell SR(Gibco、カタログ番号A2596101)を含むAIM-V培地(Life Technologies、カタログ番号12055-083)に4×106個の細胞/mL/ウェルで播種し、以下の異なる分子を含有する2.0mLで、3連で試験した:DMSO対照、培地対照、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH;陽性対照)、PADRE-Xペプチド(合成ワクチンヘルパーペプチド、陽性ペプチド対照)、又はそれぞれの抗ヒトTNFα抗体MAPP由来ペプチドクラスター(各ペプチド10μM)。細胞を培養し、5%CO2と共に37℃で7日間インキュベートした。7日目に、ハイスループットサンプラー(High Throughput Sampler、HTS)を装備したBD LSRFortessa(商標)を使用したフローサイトメトリによる生存率検出のために、試料を以下の細胞表面マーカーで染色した:抗CD3、抗CD4、抗CD14、抗CD19、及びDAPI。FlowJo(登録商標)ソフトウェア(FlowJo、LLC、TreeStar)を使用してデータを分析し、細胞分裂指数(Cellular Division Index、CDI)を計算した。簡潔に述べると、各MAPP由来ペプチドクラスターについてのCDIは、ペプチド刺激されたウェルからの増殖しているCFSEdimCD4+T細胞の割合を、刺激されていないウェルにおける増殖しているCFSEdimCD4+T細胞の割合で割ることによって計算した。2.5以上のCDIは、陽性応答を表すとみなした。全てのドナーにわたるドナー頻度の割合を評価した。
【0163】
表13a及び13bにおける結果は、Ab2についてのLCDR1(表13a)及びHCDR3(表13b)ペプチドが、それぞれ、約22.0%及び25%のドナーにおいてT細胞応答頻度を誘導したことを示し、陽性対照と比較した場合、Ab2についての有意に低減された免疫原性リスクを示す。KLH陽性対照は、ドナーの100%においてT細胞応答を誘導し、PADRE-X(合成ワクチンヘルパーペプチド)陽性対照は、2つの研究においてそれぞれ、ドナーの67%及び62.5%においてT細胞応答を誘導した。これは、このアッセイの予想範囲内である(48.1%+24.4の陽性ドナー頻度)。
【0164】
表13a.健常ドナーにおけるMAPP由来ペプチドによって誘導されるCD4+T細胞応答の頻度。
【表13-1】
【0165】
表13b.健常ドナーにおけるMAPP由来ペプチドによって誘導されるCD4+T細胞応答の頻度。
【表13-2】
【0166】
実施例7.実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの生物物理学的特性
実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの生物物理学的特性を、開発性について評価した。
【0167】
実施例7a.粘度:実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの試料を、pH6の一般的な製剤緩衝液マトリックス中で約50mg/mL、100mg/mL及び150mg/mLに濃縮した。VROC(登録商標)initium(RheoSense)を使用して、15℃で、9回の反復測定の平均を使用して、3つ全ての濃度におけるコンジュゲートの粘度を測定した。表15の結果は、実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、50mg/mL(2cP)、100mg/mL(4.7cP)、及び125mg/mL(8.2cP)で良好な粘度プロファイルを有することを示した。125mg/mL(8.2cP)の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの粘度は、125mg/mL(8.8cP)でのコンジュゲートされていない抗ヒトTNFα Ab1の粘度と同様であり、リンカー-ペイロードを例示的な抗ヒトTNFα Ab1表面上の4つの操作されたシステインにコンジュゲートすることが、粘度に悪影響を及ぼさなかったことを示した。
【0168】
実施例7b.熱安定性:示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を使用して、熱変性に対する実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの安定性を評価した。PBS、pH7.2緩衝液、pH5の酢酸塩、及びpH6のヒスチジン中の例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの溶融開始温度(Tonset)及び熱融解温度(TM1、TM2、及びTM3)を、データ適合によって得、表14に列記する。3つの緩衝液組成物のサーモグラムを
図5A、
図5B、及び
図5Cに示す。各ドメインの熱転移は、十分に分解され、表14の結果は、実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが良好な熱安定性を有することを示す。
【0169】
実施例7c.温度ストレス時の凝集:例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの経時的な溶液安定性を、賦形剤を含む一般的な5mMのヒスチジンpH6.0緩衝液中のおよそ100mg/mL及び50mg/mLで評価した。試料を5℃及び35℃で28週間の期間にわたってインキュベートした。インキュベーション後、サイズ排除クロマトグラフィ(size exclusion chromatography、SEC-HPLC)を使用して、高分子量(%HMW)種のパーセンテージについて分析した。表15の結果は、実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、5℃又は35℃のいずれかで4週間にわたって許容可能な凝集プロファイルを有することを示す。
【0170】
実施例7d.薬物動態:カニクイザルにおける実施例1bの抗ヒトTNFα Ab 1GCコンジュゲートのPKプロファイルは、許容可能な開発性プロファイルを有することが見出された。
【0171】
表14.実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの熱安定性(℃)
【表14】
【0172】
表15:実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートについての粘度及び高濃度温度保持安定性
【表15】
【0173】
実施例8.実施例1b、実施例1c、及び実施例1dの抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートのインビボ機能
実施例8a.ヒトTNFα誘導性CXCL1サイトカインのインビボ阻害:
実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα Ab1によるTNFα誘導性CXCL1の中和をインビボで評価した。C57/B6マウスへのヒトTNFαの投与は、マウス血漿CXCL1レベルの急速かつ一過性の増加を誘導する。これにより、インビボでの例示的な抗ヒトTNFα Ab1及び抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートの中和能力の調査が可能となる。
【0174】
簡潔に述べると、C57/B6マウス(N=8/群)に、0.3mg/kg又は3mg/kgの例示的な抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート又は抗ヒトTNFα Ab1、及び3mg/kgの非結合アイソタイプ対照を皮下(subcutaneously、SC)投与した。投与の24時間後、マウスを、3μg/マウスの用量での腹腔内注射を介してヒトTNFαをチャレンジした。ヒトTNFαチャレンジの2時間後、マウスを屠殺し、血液を収集し、遠心分離によって血漿に清澄化した。血漿を、市販のMSDアッセイ(MesoScale Discovery、P/N.番号K152QTG-1)を使用して、製造者の使用説明書に従って分析した。
【0175】
表16の結果は、実施例1bの例示的な抗ヒトTNFα Ab1及び抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、アイソタイプ対照処置マウスと比較して(p<0.001、ANOVA、続いてTukeyの多重比較検定)、ヒトTNFα誘導性血漿CXCL1生成をインビボで、それぞれ、3mg/kgで約80.5及び81.6%、0.3mg/kgで約69.4及び58.9%、有意に阻害したことを示す。重要なことに、試験した用量では、抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートと抗ヒトTNFα Ab1との間に有意差はなかった。これは、例示的な抗ヒトTNFα Ab1が、インビボでヒトTNFαによって誘導される生物学的効果を中和し、GCへのコンジュゲーションがこの機能に影響を及ぼさないことを示す。
【0176】
表16:実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートによるヒトTNFα誘導性CXCL1サイトカイン生成のインビボでの阻害
【表16】
通常の一元配置分散分析、Tukey検定、多重比較
【0177】
実施例8b.完全ヒト化マウスモデルのIV型過敏症におけるインビボでの有効性:接触過敏症のヒト化マウスモデルを使用して、実施例1b及び実施例1cの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート並びに抗ヒトTNFα Ab1のインビボ活性を決定した。
【0178】
骨髄系列発生を支持するためにヒトGM-CSF及びヒトIL-3を発現する免疫不全NOGマウス(huNOG-EXL、Taconic)に、ヒト臍帯血から単離されたヒトCD34+造血幹細胞を6週齢で移植した。幹細胞投与の20~24週間後、マウスを十分なヒトCD45生着(血液中>25%)について評価し、オキサゾロン誘導性接触過敏症プロトコルに供した。0日目に、体重によってグループ分けされたマウスに、実施例1bの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲート(n=7)、実施例1cのTNFα Ab1 GCコンジュゲート(n=7)、抗ヒトTNFα Ab1(n=7)、米国特許出願公開第2020/338208号からの例示的な抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲート(n=7)、又は対照ヒトIgG1抗体(n=7)のいずれかを1mg/kgで皮下(SC)投与した。1日目に、マウスを5%のイソフルランで麻酔し、それらの腹部を剃毛し、エタノール中の3%のオキサゾロン100μLを剃毛領域に塗布した。7日目にマウスに1mg/kg SCで再び投与し、麻酔し、次いで投与の24時間後にエタノール中2%オキサゾロンを両耳(10μL/側/耳)にチャレンジした。用量チャレンジパラダイムを毎週繰り返し、試験薬剤の用量を、チャレンジ2については3mg/kgに、チャレンジ3については10mg/kgに増加させた。炎症応答を、Miltenyi Biotec電子キャリパーを使用して、各チャレンジの前及び24時間後の耳の厚さの差によって決定した。群間のP値を、一元配置ANOVA、続いてTukeyの事後検定によって計算し、<0.05(GraphPad Prism)であれば有意とみなした。
【0179】
表17及び
図6A~
図6Cの結果は、実施例1b及び実施例1cの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートが、10mg/kgのチャレンジ3の用量でのみ耳腫脹を減弱させた抗ヒトTNFα Ab1、及び米国特許出願公開第2020/338208号からの例示的な抗ヒトTNFα Ab GCコンジュゲートの両方と比較して、3つ全てのチャレンジ(1、3、及び10mg/kg)でハプテン誘導性接触過敏症反応からのインビボでの炎症応答の優れた低減を誘発したことを示す。更に、結果は、抗ヒトTNFα Ab1の、3つ又は4つのGC分子(DAR)へのコンジュゲーションが同様の有効性を誘発したことを示す。これらの結果は、抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートがグルココルチコイドを炎症組織に効果的に送達し、ヒト化マウスモデルにおけるIV型過敏性反応に関連する生物学的効果を有意に抑止したことを示し、この抗炎症応答がヒト対象において誘発され得ることを示している。
【0180】
表17:IV型過敏症ヒト化マウスモデルにおける実施例1b及び実施例1cの抗ヒトTNFα Ab1 GCコンジュゲートのインビボでの有効性
【表17】
*p<0.05対アイソタイプ;ANOVA Tukey;^p<0.05対Ab1;ANOVA Tukey
【0181】
実施例8c.ヒトTNFαトランスジェニックマウス多発性関節炎モデルにおけるインビボでの有効性:ヒトTNFαトランスジェニックマウス多発性関節炎モデル(Taconic、#1006)を使用して、アダリムマブナイーブマウスにおける一次処置として、及びアダリムマブに対する抗薬物抗体を生成しており、アダリムマブに対する減少又は喪失又は応答を有するアダリムマブ処置マウス、すなわちアダリムマブ不応性マウスにおける二次処置として、実施例1dの抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα Ab2の有効性を評価した。このマウスモデルは、CMVプロモータを介してヒトTNFαを構成的に発現し、これは、主に前足及び後足に現れる進行性関節炎症をもたらす。アダリムマブによる治療は、疾患の進行を数週間弱めるが、しかしながら、有益な効果は、中和抗薬物抗体の発生に起因した。アダリムマブが抗体のヒトFc部分に対する抗薬物抗体を生成し、したがって実施例1dの抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲート及び抗ヒトTNFα Ab2の活性に影響を及ぼす可能性を排除するために、抗体定常ドメインがマウスIgG2a抗体の定常ドメインで置き換えられたキメラ種として全ての分子を生成した。
【0182】
13週齢で、全てのマウスが1つ以上の足において中程度の炎症を示したら(スコア4~9)、マウスを、8匹/群の6つの臨床スコア適合群に分けた。各群のマウスに、mIgG2aアイソタイプ対照、ヒト/マウスキメラ抗ヒトTNFα Ab2(本明細書において「h/mAb2」と称される)、ヒト/マウスキメラ抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲート(本明細書において「h/mAb2-GC」と称される)、ヒト/マウスキメラアダリムマブ(本明細書において「h/m-アダリムマブ」と称される)、試験期間の間にh/m-アダリムマブを2回の用量、その後ヒト/マウスキメラアダリムマブGCコンジュゲート(本明細書において「h/m-アダリムマブ-GC」と称され、操作されたシステインを用いて調製し、本質的に実施例1b)に記載されるように、GC-Lにコンジュゲートした)への切り替え、及び試験期間の間にh/m-アダリムマブを2回の用量、その後h/mAb2-GCへの切り替えのいずれかを9週間にわたって3mg/kgで週1回、皮下(SC)投与した。各肢の臨床スコアのパラメータは、以下のとおりであった:0=歪みの証拠なし、1=軽度の歪み、2=中程度の歪み、3=重度の歪み/軽度の膨潤、4=重度の歪み/重度の腫脹/機能喪失。マウスを週2回採点し、定期的に体重を測定した。10日目に血液を採取して、抗体曝露レベルを定量化し、抗薬物抗体発生の程度を決定した。実験の終了時に、マウスをイソフルランで麻酔し、血液及び組織を採取した。
【0183】
図7の結果は、h/mAb2-GC及びh/mAb2が、他の全ての処置と比較した臨床スコアによって測定されるように、処置の開始時に疾患の進行を完全に停止させ、9週間の処置の期間にわたって持続したことを示す。重要なことに、これは、h/mAb2-GC及びh/mAb2が、有意な抗薬物抗体応答を生成せず、その結果、それがコンジュゲート又は抗体の有効性を中和及び/又は低下させたことを示した。結果はまた、h/m-アダリムマブが疾患の進行を約2週間遅延させることができたことを示したが、しかしながら、有効性は、9週間の治療の約2週目までにh/m-アダリムマブに対する抗薬物抗体の出現と同時に失われた。しかしながら、重要なことに、h/m-アダリムマブで2週間処置し、次いでh/mAb2-GCでの処置に切り替えたマウスは、疾患進行の有意な抑止を維持したが、h/m-アダリムマブで2週間処置し、次いでh/m-アダリムマブ-GCでの処置に切り替えたマウスは、h/m-アダリムマブ処置単独群を反映した炎症応答を示した。これらの結果は、抗ヒトTNFα Ab2 GCコンジュゲートが、アダリムマブに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、交差反応性を有しないことを示す。これらの結果は、アダリムマブなどの他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成し、その治療に対する応答が低下した対象の治療における、例示的な抗ヒトTNFα Abコンジュゲートの潜在的な使用を示す。
【0184】
配列表
Ab1
配列番号1 Ab1、Ab2、及びAb6に対するHCDR1
GYTFTGYYIH
配列番号2 Ab1、Ab2、及びAb6に対するHCDR2
WINPYTGGTNYAQKFQG
配列番号3 Ab1に対するHCDR3
DLYGSSNYGGDV
配列番号4 Ab1及びAb3に対するLCDR1
QASQGISNYLN
配列番号5 Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6に対するLCDR2
DASNLET
配列番号6 Ab1、Ab3、及びAb5に対するLCDR3
QQYDKLPLT
配列番号7 Ab1に対するVH
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGGDVWGQGTTVTVSS
配列番号8 Ab1及びAb3に対するVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDKLPLTFGGGTKVEIK
配列番号9 Ab1に対するHC
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGGDVWGQGTTVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDICVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号10 Ab1及びAb3に対するLC
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDKLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号11 Ab1に対するHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATACACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTTACACCGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCTCTATGGTTCGAGTAATTACGGTGGCGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATGTGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCTGCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号12 Ab1及びAb3に対するLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGGCATTAGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATAAGCTCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
【0185】
Ab2
配列番号1 Ab1、Ab2、及びAb6に対するHCDR1
GYTFTGYYIH
配列番号2 Ab1、Ab2、及びAb6に対するHCDR2
WINPYTGGTNYAQKFQG
配列番号13 Ab2、Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR3
DLYGSSNYGMDV
配列番号14 Ab2、Ab4、及びAb5に対するLCDR1
QASQGIRNYLN
配列番号5 Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6に対するLCDR2
DASNLET
配列番号15 Ab2及びAb4に対するLCDR3
QQYDNLPLT
配列番号16 Ab2に対するVH
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号17 Ab2及びAb4に対するVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIK
配列番号18 Ab2に対するHC
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDICVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号19 Ab2及びAb4に対するLC
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号20 Ab2に対するHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATACACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTTACACCGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCTCTATGGTTCGAGTAATTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCTGCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号21 Ab2及びAb4に対するLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGGCATTCGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATAACCTCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
【0186】
Ab3
配列番号22 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR1
GYTFTGYYMH
配列番号23 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR2
WINPYTGGTKYAQKFQG
配列番号13 Ab2、Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR3
DLYGSSNYGMDV
配列番号4 Ab1及びAb3に対するLCDR1
QASQGISNYLN
配列番号5 Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6に対するLCDR2
DASNLET
配列番号6 Ab1、Ab3、及びAb5に対するLCDR3
QQYDKLPLT
配列番号24 Ab3、Ab4、及びAb5に対するVH
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTKYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号8 Ab1及びAb3に対するVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDKLPLTFGGGTKVEIK
配列番号25 Ab3、Ab4及びAb5に対するHC
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTKYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDICVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号10 Ab1及びAb3に対するLC
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDKLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号26 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTTACACCGGTGGCACAAAGTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCTCTATGGTTCGAGTAATTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCTGCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号12 Ab1及びAb3に対するLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGGCATTAGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATAAGCTCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
【0187】
Ab4
配列番号22 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR1
GYTFTGYYMH
配列番号23 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR2
WINPYTGGTKYAQKFQG
配列番号13 Ab2、Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR3
DLYGSSNYGMDV
配列番号14 Ab2、Ab4、及びAb5に対するLCDR1
QASQGIRNYLN
配列番号5 Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6に対するLCDR2
DASNLET
配列番号15 Ab2及びAb4に対するLCDR3
QQYDNLPLT
配列番号24 Ab3、Ab4、及びAb5に対するVH
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTKYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号17 Ab2及びAb4に対するVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIK
配列番号25 Ab3、Ab4及びAb5に対するHC
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTKYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDICVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号19 Ab2及びAb4に対するLC
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号26 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTTACACCGGTGGCACAAAGTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCTCTATGGTTCGAGTAATTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCTGCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号21 Ab2及びAb4に対するLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGGCATTCGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATAACCTCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
【0188】
Ab5
配列番号22 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR1
GYTFTGYYMH
配列番号23 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR2
WINPYTGGTKYAQKFQG
配列番号13 Ab2、Ab3、Ab4、及びAb5に対するHCDR3
DLYGSSNYGMDV
配列番号14 Ab2、Ab4、及びAb5に対するLCDR1
QASQGIRNYLN
配列番号5 Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6に対するLCDR2
DASNLET
配列番号6 Ab1、Ab3、及びAb5に対するLCDR3
QQYDKLPLT
配列番号24 Ab3、Ab4、及びAb5に対するVH
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTKYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号27 Ab5に対するVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDKLPLTFGGGTKVEIK
配列番号25 Ab3、Ab4及びAb5に対するHC
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTKYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDLYGSSNYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPCVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDICVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号28 Ab5に対するLC
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQGIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDKLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号26 Ab3、Ab4、及びAb5に対するHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTTACACCGGTGGCACAAAGTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATCTCTATGGTTCGAGTAATTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATGCGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCTGCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号29 Ab5に対するLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGGCATTCGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATAAGCTCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
【0189】
Ab6
配列番号1 Ab1、Ab2、及びAb6に対するHCDR1
GYTFTGYYIH
配列番号2 Ab1、Ab2、及びAb6に対するHCDR2
WINPYTGGTNYAQKFQG
配列番号30 Ab6に対するHCDR3
DIYGSSNYGGDV
配列番号31 Ab6に対するLCDR1
QASQDISNYLN
配列番号5 Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、及びAb6に対するLCDR2
DASNLET
配列番号32 Ab6に対するLCDR3
QQYDTLPLT
配列番号33 Ab6に対するVH
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDIYGSSNYGGDVWGQGTTVTVSS
配列番号34 Ab6に対するVL
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDTLPLTFGGGTKVEIK
配列番号35 Ab6に対するHC
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPGQGLEWMGWINPYTGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDIYGSSNYGGDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号36 Ab6に対するLC
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDTLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号37 Ab6に対するHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATACACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTTACACCGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATATCTATGGTTCGAGTAATTACGGTGGCGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号38 Ab6に対するLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGACATTAGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATACCCTCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号39 ヒトTNFαタンパク質
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL
配列番号40 アカゲザルTNFαタンパク質
MSTESMIRDVELAEEALPRKTAGPQGSRRCWFLSLFSFLLVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPKDPSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELTDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSNHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINLPDYLDFAESGQVYFGIIAL
配列番号41 イヌTNFαタンパク質
MSTESMIRDVELAEEPLPKKAGGPPGSRRCFCLSLFSFLLVAGATTLFCLLHFGVIGPQREELPNGLQLISPLAQTVKSSSRTPSDKPVAHVVANPEAEGQLQWLSRRANALLANGVELTDNQLIVPSDGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRFAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGTEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINLPNYLDFAESGQVYFGIIAL
配列番号42 カニクイザルTNFαタンパク質
MSTESMIQDVELAEEALPRKTAGPQGSRRCWFLSLFSFLLVAGAATLFCLLHFGVIGPQREEFPKDPSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALVANGVELTDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSNHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINLPDYLDFAESGQVYFGIIAL
配列番号43 LCDR1コンセンサス配列
QASQGIXaa7NYLN
式中、Xaa7は、セリン又はアルギニンである
配列番号44 LCDR3コンセンサス配列
QQYDXaa5LPLT
式中、Xaa5は、アスパラギン又はリジンである
配列番号45 ヒトTNFR1
MGLSTVPDLLLPLVLLELLVGIYPSGVIGLVPHLGDREKRDSVCPQGKYIHPQNNSICCTKCHKGTYLYNDCPGPGQDTDCRECESGSFTASENHLRHCLSCSKCRKEMGQVEISSCTVDRDTVCGCRKNQYRHYWSENLFQCFNCSLCLNGTVHLSCQEKQNTVCTCHAGFFLRENECVSCSNCKKSLECTKLCLPQIENVKGTEDSGTTVLLPLVIFFGLCLLSLLFIGLMYRYQRWKSKLYSIVCGKSTPEKEGELEGTTTKPLAPNPSFSPTPGFTPTLGFSPVPSSTFTSSSTYTPGDCPNFAAPRREVAPPYQGADPILATALASDPIPNPLQKWEDSAHKPQSLDTDDPATLYAVVENVPPLRWKEFVRRLGLSDHEIDRLELQNGRCLREAQYSMLATWRRRTPRREATLELLGRVLRDMDLLGCLEDIEEALCGPAALPPAPSLLR
配列番号46 ヒトTNFR2
MAPVAVWAALAVGLELWAAAHALPAQVAFTPYAPEPGSTCRLREYYDQTAQMCCSKCSPGQHAKVFCTKTSDTVCDSCEDSTYTQLWNWVPECLSCGSRCSSDQVETQACTREQNRICTCRPGWYCALSKQEGCRLCAPLRKCRPGFGVARPGTETSDVVCKPCAPGTFSNTTSSTDICRPHQICNVVAIPGNASMDAVCTSTSPTRSMAPGAVHLPQPVSTRSQHTQPTPEPSTAPSTSFLLPMGPSPPAEGSTGDFALPVGLIVGVTALGLLIIGVVNCVIMTQVKKKPLCLQREAKVPHLPADKARGTQGPEQQHLLITAPSSSSSSLESSASALDRRAPTRNQPQAPGVEASGAGEARASTGSSDSSPGGHGTQVNVTCIVNVCSSSDHSSQCSSQASSTMGDTDSSPSESPKDEQVPFSKEECAFRSQLETPETLLGSTEEKPLPLGVPDAGMKPS
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
で示されるコンジュゲートであって、式中、
Abが、ヒトTNFαに結合する抗体であって、Abが、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1又は22を含み、
前記HCDR2が、配列番号2又は23を含み、
前記HCDR3が、配列番号3、13、又は30を含み、
前記LCDR1が、配列番号4、14、31、又は43を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6、15、32、又は44を含み、
【化2】
であり、
nが、1~5である、コンジュゲート。
【請求項2】
【化3】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
【化4】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
【化5】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
【化6】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
【化7】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
【化8】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
【化9】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
【化10】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1を含み、
前記HCDR2が、配列番号2を含み、
前記HCDR3が、配列番号3を含み、
前記LCDR1が、配列番号4を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記VHが、配列番号7を含み、前記VLが、配列番号8を含む、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号9を含み、前記LCが、配列番号10を含む、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1を含み、
前記HCDR2が、配列番号2を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号15を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記VHが、配列番号16を含み、前記VLが、配列番号17を含む、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号18を含み、前記LCが、配列番号19を含む、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号4を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号15を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
前記ヒトTNFαに結合する抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号43を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号6を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号22を含み、
前記HCDR2が、配列番号23を含み、
前記HCDR3が、配列番号13を含み、
前記LCDR1が、配列番号14を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号44を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
前記VHが、配列番号24を含み、前記VLが、配列番号8、17、又は27を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号25を含み、前記LCが、配列番号10、19、又は28を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
ヒトTNFαに結合する前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号1を含み、
前記HCDR2が、配列番号2を含み、
前記HCDR3が、配列番号30を含み、
前記LCDR1が、配列番号31を含み、
前記LCDR2が、配列番号5を含み、
前記LCDR3が、配列番号32を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
前記VHが、配列番号33を含み、前記VLが、配列番号34を含む、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、配列番号35を含み、前記LCが、配列番号36を含む、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
前記抗体が、重鎖と、軽鎖とを含み、前記重鎖が、
アミノ酸残基124(EU番号付け)におけるシステイン、
アミノ酸残基378(EU番号付け)におけるシステイン、又は
アミノ酸残基124(EU番号付け)におけるシステイン及びアミノ酸残基378(EU番号付け)におけるシステインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
前記抗体が、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、前記HCが、ヒトIgG1アイソタイプである、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
nが、2~5である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
nが、3~5である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
nが、3~4である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
nが、約4である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
nが、約3である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
nが、約2である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項35】
請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、治療を必要とする対象における自己免疫性疾患又は炎症性疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項36】
前記自己免疫性疾患又は前記炎症性疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、尋常性乾癬(PS)、化膿性汗腺炎(HS)、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)から選択される、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記対象が、他の抗TNFα治療薬の前治療を受けており、前記対象が、前記他の抗TNFα治療薬に対する抗薬物抗体を生成している、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記他の抗TNFα治療薬が、アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、及びエタネルセプト、又はこれらのコンジュゲートから選択される、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記コンジュゲートが、アダリムマブに対する抗薬物抗体に対して低い交差反応性を有するか、または交差反応性を有しない、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
療法における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む医薬組成物であって、前記コンジュゲートが、療法を必要とする対象に投与されるように用いられることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項41】
自己免疫性疾患又は炎症性疾患の治療における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、医薬組成物であって、前記コンジュゲートが、治療を必要とする対象に投与されるように用いられることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項42】
前記自己免疫性疾患又は前記炎症性疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(PS)、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)から選択される、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
自己免疫性疾患又は炎症性疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項44】
前記自己免疫性疾患又は前記炎症性疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性結腸炎、尋常性乾癬(PS)、化膿性汗腺炎、ブドウ膜炎、非感染性の中間部、後部、汎ブドウ膜炎、ベーチェット病、又はリウマチ性多発筋痛症(PMR)から選択される、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記抗体が、ヒトTNFαを中和する、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項46】
前記抗体が、内在化抗体である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項47】
式:
【化11】
で示される化合物。
【請求項48】
【化12】
で示される、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
【化13】
で示される、請求項47に記載の化合物。
【請求項50】
【化14】
で示される、請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
【化15】
で示される、請求項49に記載の化合物。
【請求項52】
コンジュゲートを生成する方法であって、前記方法が、請求項47に記載の化合物を抗ヒトTNFα抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項53】
前記コンジュゲートが、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記コンジュゲートが、
(a)抗ヒトTNFα抗体を還元剤で還元する工程であって、前記抗ヒトTNFα抗体が、1つ以上の操作されたシステイン残基を含む、工程と、
(b)前記抗ヒトTNFα抗体を酸化試薬で酸化させる工程と、
(c)式:
【化16】
で示される化合物を、前記抗ヒトTNFα抗体と接触させて、前記コンジュゲートを生成する工程とを含む、工程に従って生成される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記還元剤が、ジチオスレイトールであり、前記酸化剤が、デヒドロアスコルビン酸である、請求項54に記載の方法。
【国際調査報告】