IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

特表2024-529503用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法
<>
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図1
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図2
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図3
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図4
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図5A
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図5B
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図6
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図7
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図8
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図9
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図10
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図11
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図12
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図13
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図14
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図15
  • 特表-用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】用量関連データを伴う医療デバイスからの無線ブロードキャストパケットを処理するための技法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61M5/142 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505465
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022038423
(87)【国際公開番号】W WO2023009566
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/203,762
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】パーシャル,ジェイムズ ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】ウィースラー,アダム ナサニエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066FF04
(57)【要約】
機械可読命令を記憶するように構成されたメモリと通信するプロセッサを有するコンピューティングデバイスが提供される。プロセッサは、薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、薬剤送達デバイスによって生成された注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信し、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、検証データを判定し、検証データに基づいて、以下のアクション:(i)注射イベント情報を投薬ログに含める、(ii)追加情報をユーザに促す、又は(iii)アドバタイジングパケットを無視する、のうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することができる。薬剤送達デバイスは、(a)薬剤を保持するように構成されたリザーバと、(b)薬剤の注射を開始するための作動ボタンと、(c)無線通信インターフェースと通信する処理回路と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ化された方法であって
薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、前記薬剤送達デバイスによって生成された注射イベントに関連付けられた注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信することであって、前記薬剤送達デバイスは、(a)薬剤を保持するように構成されたリザーバと、(b)前記薬剤の注射を開始するための作動ボタンと、(c)前記無線通信インターフェースと通信する処理回路と、を備える、受信することと、
前記アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、検証データを判定することと、
前記検証データに基づいて、以下のアクション:(i)前記注射イベント情報を投薬ログに含めること、(ii)前記アドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促すこと、又は(iii)前記アドバタイジングパケットを無視すること、のうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することと、を含む、コンピュータ化された方法。
【請求項2】
前記アドバタイジングパケットを受信することは、Bluetooth低エネルギー(BLE)アドバタイジングパケットを受信することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項3】
前記薬剤送達デバイスは、
皮膚接触を検出するための1つ以上の皮膚接触センサと、
感知された加速度を表す信号を出力するように構成された加速度計と、を更に備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項4】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記アドバタイジングパケットの受信時間に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項5】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記注射イベントの時間が少なくとも1つの指定された時間の指定された範囲内にあるかどうかを判定することと、
前記注射イベントの前記時間が前記少なくとも1つの指定された時間の前記指定された範囲内にあると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項4に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの指定された時間は、前記ユーザに関連付けられた過去の注射時間に基づいて、自動的に判定される、請求項5に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項7】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記注射イベントの時間と前記アドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項8】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記注射イベントの前記時間と前記アドバタイジングパケットの前記受信時間との間の前記時間期間が閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記注射イベントの前記時間と前記アドバタイジングパケットの前記受信時間との間の前記時間期間が前記閾値未満であると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項7に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項9】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスの場所に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項10】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記場所が少なくとも1つの指定された場所の指定された距離内にあるかどうかを判定することと、
前記場所が前記少なくとも1つの指定された場所の前記指定された距離内にあると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項9に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの指定された場所は、前記ユーザに関連付けられた過去の注射場所に基づいて、自動的に判定される、請求項10に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項12】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記アドバタイジングパケットに関連付けられた無線周波数(RF)信号の強度に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項13】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記RF信号の前記強度を指定された閾値と比較することと、
前記RF信号の前記強度が前記指定された閾値を超えると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項12に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項14】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記薬剤送達デバイスと前記アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスとの間の距離に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項15】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記距離を指定された閾値と比較することと、
前記距離が前記指定された閾値未満であると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項14に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項16】
前記アドバタイジングパケットは、一意の薬剤送達デバイス識別子を含み、
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、
前記一意の薬剤送達デバイス識別子を遠隔データベースに送信することと、
前記送信に応答して、前記遠隔データベースが、前記一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかの指標を受信することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項17】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記受信された指標に基づいて、前記遠隔データベースが、前記一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの前記記録を有するかどうかを判定することと、
前記遠隔データベースが前記記録を有しないと判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項18】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を示すデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項19】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記薬剤送達デバイスに関連付けられた前記識別子が、医療提供者によって前記薬剤送達デバイスの予想されるユーザに一意に関連付けられ、規定された指定された識別子と同一であるかどうかを判定することと、
前記識別子が前記指定された識別子と同一であると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項18に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項20】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、少なくとも1つのプロセッサによって受信された追加のアドバタイジングパケットに関係するデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項21】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記追加のアドバタイジングパケットが前記薬剤送達デバイスとは異なる第2の薬剤送達デバイスから受信されたかどうかを判定することと、
前記追加のアドバタイジングパケットが前記第2の薬剤送達デバイスから受信されなかったと判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項20に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項22】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、(a)前記アドバタイジングパケットの受信時間に関連付けられたデータ、(b)前記注射イベントの時間と前記アドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間に関連付けられたデータ、(c)前記アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスの場所に関連付けられたデータ、(d)前記アドバタイジングパケットに関連付けられた無線周波数(RF)信号の強度に関連付けられたデータ、(e)前記薬剤送達デバイスと前記コンピューティングデバイスとの間の距離に関連付けられたデータ、(f)遠隔データベースが、一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかを示すデータ、(g)前記薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を示すデータ、及び(h)追加のアドバタイジングパケットに関連するデータ、のうちの2つ以上を分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項23】
前記アドバタイジングパケットを受信した後に、スキャン応答を発行することを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項24】
前記スキャン応答は、前記薬剤送達デバイスをオフにするように構成されている、請求項1~23のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項25】
前記追加情報を前記ユーザに促すことは、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めるべきかどうかを確認することを前記ユーザに促すことを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項26】
(i)前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めるかどうか、(ii)前記ユーザに前記追加情報を促すかどうか、又は(iii)前記アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定することは、本質的に、(i)、(ii)、及び(iii)のうちの2つのみを実施することの間で選択することからなる、請求項1~25のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項27】
前記注射イベント情報は、前記注射イベントの日付及び/又は時間を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項28】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、コンピューティングデバイス上の1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実行させるように動作可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
命令を記憶するメモリと、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実施するために、前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
注射器の形態又は注射器を含む注射デバイスが、医療専門家及び自己投薬する患者によって広く用いられている。いくつかの異なる疾患に苦しむ患者は、頻繁に自分自身に薬剤を注射することがあり、そのような自己治療を容易にするために様々なデバイスが開発されている。一例では、注射プロセスのステップのうちのいくつかを実施する機構を含む自動注射デバイスの使用は、患者に、特に手先の器用さが制限されている患者による自己治療をより便利にする。自動注射デバイスは、使用後に処分される単回使用デバイスであり得る。
【0002】
多くの注射器ペン及び他の薬剤送達デバイスは、注射イベントの発生を自動的に検出して記録するための機能を含まない。自動化システムがない場合、患者は各注射の時間を手動で追跡しなければならない。したがって、本発明者らは、注射イベントの発生に関する情報を自動的かつ正確に検出及び記録することができるシステムの必要性を認識した。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、薬剤送達デバイスから注射イベント情報を受信するための技法に関する。いくつかの実施形態では、本技法は、無線送信パケット(例えば、アドバタイジングパケット)に関連付けられたコンテキストデータを分析して、(i)注射イベント情報を(例えば、そのような記憶を確認するようにユーザに促すことなくコンピューティングデバイス上の投薬ログ内に)記憶するかどうか、(ii)追加情報をユーザに促す(例えば、注射イベント情報をコンピューティングデバイス上に記憶するかどうかを確認するようにユーザに促す)かどうか、又は(iii)無線送信パケットを無視する(例えば、更なるアクションを取らず、(i)又は(ii)のいずれも実施しないことによって)かどうかを判定することができる。
【0004】
一実施形態では、本技法は、薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、薬剤送達デバイスによって生成された注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信することであって、薬剤送達デバイスは、(a)薬剤を保持するように構成されたリザーバと、(b)薬剤の注射を開始するための作動ボタンと、(c)無線通信インターフェースと通信する処理回路と、を備える、受信することと、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、検証データを判定することと、検証データに基づいて、(i)注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうか、(ii)アドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促すかどうか、又は(iii)アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定することと、を含む、コンピュータ化された方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
この本開示の上で言及される、及び他の特徴、並びにそれらを達成する様態は、本開示の実施形態の以下の記載を添付図面と併せて参照することによってより明らかになり、本発明自体がより良好に理解されることになる。
図1】使用前の注射デバイスの断面図である。
図2】注射器アセンブリが格納位置にあり、注射イベントの準備ができている注射デバイスの断面図である。
図3】注射器アセンブリが注射位置にある注射デバイスの断面図である。
図4】実施形態の第1のセットによる、注射デバイスのハウジングの端部分内の1つ以上のメインPCBの配置を例解する注射デバイスの断面図である。
図5A】メインPCBの上部(すなわち、遠位)斜視図である。
図5B】メインPCBの底部(すなわち、近位)斜視図である。
図6】注射デバイス内の電気部品及び外部デバイスのシステムアーキテクチャ図である。
図7】薬剤送達デバイスから受信したアドバタイジングパケットに含まれるデータをログ記録するかどうかを判定するための例示的なコンピュータ化された方法700を示すフローチャートである。
図8】いくつかの実施形態による、(i)薬剤送達デバイスから受信されたアドバタイジングパケットに含まれるデータをログ記録するかどうか、(ii)追加情報をユーザに促すかどうか、及び/又は(iii)アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定するための例示的なシステムの図を示す。
図9】コンピューティングデバイスがアドバタイジングパケットを受信する時間を分析するための例示的なフローチャートである。
図10】注射イベントの時間とアドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間を分析するための例示的なフローチャートである。
図11】アドバタイジングパケットの受信時におけるコンピューティングデバイスの場所を分析するための例示的なフローチャートである。
図12】アドバタイジングパケットの受信時におけるRF信号の強度を解析するための例示的なフローチャートである。
図13】別のコンピューティングデバイスが薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを既に受信したかどうかを示す遠隔データベース記録を分析するための例示的なフローチャートである。
図14】薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を分析するための例示的なフローチャートである。
図15】アドバタイジングパケットと同時にコンピューティングデバイスによって受信された追加のアドバタイジングパケットを分析するための例示的なフローチャートである。
図16】薬剤送達デバイスとコンピューティングデバイスとの間の距離を分析するための例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の原理の理解を促進するために、これから、図面に例解されている実施形態を参照し、特定の言語を使用してこれらの実施形態を説明する。それでもなお、これによって、本発明の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。
【0007】
本開示は、薬剤送達デバイスから受信したデータを処理するためのソフトウェアベースの技法に関する。いくつかの実施形態によれば、本技法は、注射イベントの時間、注射イベントの日付、注射イベントの投与量、及び/又は他の注射若しくは用量関連データなどの、患者に送達された薬剤に関する情報をログ記録することができる。注射イベント情報をログ記録することは、患者が経時的に投薬情報を追跡するのに役立ち得る。そのような投薬情報は、例えば、投薬スケジュールを計画するために、例えば、次の用量の薬剤をいつ服用すべきか、次の用量のためにどのタイプの薬剤を服用すべきか、及び/又は次の用量のためにどれだけの薬剤を服用すべきかを判定するために使用され得る。そのような投薬情報はまた、患者の医療提供者、支払者、患者が参加している臨床試験を実施している研究者、又は他の関心のあるエンティティによって、経時的な投薬レジメンに対する患者の順守を追跡するために使用され得る。本発明者らは、薬剤送達デバイスから受信された注射データを自動的にログ記録することが、投薬ログの正確性及び精度を改善し、ユーザへの負担を低減することができることを認識した。なぜなら、ユーザは、そのような情報を手動で追跡する必要がもはやないからである。投薬情報を自動的にログ記録することは、投薬ログの正確性を増加させ得るので、自動的な用量ログ記録は、投薬レジメンに対する患者の順守を改善するのに役立ち得る。臨床試験の状況において、投薬が行われるときをより正確に理解することは、有効性分析及び適切な投薬レジメンの判定に役立ち得る。更に、そのようなソフトウェアベースの技法を使用することは、研究者が投薬ログに遠隔アクセスすることを可能にし得、患者が集中診療所に来る必要性を排除し、これにより、最終的に、臨床試験の短縮、及び製品化までの時間の短縮につながり得る。いくつかの実施形態によると、本技法は、薬剤送達デバイスによってブロードキャストされる、アドバタイジングパケットなどの無線パケットを通して、注射イベント情報を受信することができる。送信デバイスと受信デバイスとの間でデータを無線通信するための多くのプロトコルは、送信デバイスと受信デバイスとの間で無線通信リンク又はセッションを確立するために、それらの間のハンドシェイク又はペアリングプロシージャを必要とする。しかしながら、本明細書で使用される場合、「アドバタイジングパケット」という用語は、送信デバイスと受信デバイスとの間のいかなるハンドシェイク又はペアリングプロセスも必要とせずに、受信デバイス(例えば、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス)にデータを伝達するために送信デバイス(例えば、薬剤送達デバイス)によって使用される無線送信を指すために使用される。本発明者らは、アドバタイジングパケットを使用することによって、ユーザは、薬剤送達デバイスからの用量情報を処理するために薬剤送達デバイスとコンピューティングデバイスとをペアリングする必要がない場合があることを理解している。特に、デバイスのペアリングは、ペアリングプロセスを完了するためにユーザが複数の手動ステップを実施することを必要とし得るので、そのようなペアリングプロセスを回避することは、ユーザに対する全体的な負担を低減するのに役立ち得る。加えて、デバイスのペアリングは、典型的には、コンピューティングデバイスが、将来におけるより容易な再ペアリングを容易にするために、以前にペアリングされたデバイスの記録を保持することをもたらすので、そのようなペアリングプロセスを回避することは、コンピューティングデバイス内のメモリの使用を低減することができ、これは、ユーザが相対的に短い期間にわたって多くの別個の薬剤送達デバイスを使用することが予想される場合、特に有用であり得る。本発明者らは、Bluetooth低エネルギー(Bluetooth Low Energy、BLE)アドバタイジングパケットなどのアドバタイジングパケットを使用することが、他の無線通信オプションとは対照的に、バッテリ式薬剤送達デバイスのバッテリ寿命を改善するのに役立ち得ることを更に理解している。
【0008】
本発明者らは、ペアリングプロセスを必要としないアドバタイジングパケットを使用することには利点があるが、そのようなパケットに頼ることは、意図しないエラーをもたらす可能性があることを理解している。例えば、注射イベント情報を有するアドバタイジングパケットを処理するように構成されたコンピューティングデバイスは、ユーザに関連付けられていない異なる薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを誤って受信する可能性がある。例えば、公共エリアにいる患者は、彼らの携帯電話で、同様に構成された薬剤送達デバイスを公共エリアで使用している別の人に属する薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを受信し得る。結果として、受信されたアドバタイジングパケットに含まれるデータを自動的にログ記録することは、患者に関連付けられていないデータをログ記録することなど、投薬ログにおけるエラーにつながり得る。その結果、患者は、薬剤の用量を逃し、及び/又は規定されるものよりも早い時間に薬剤の用量を服用する可能性がある。
【0009】
これら及び他の問題に対処するために、本明細書で説明される技法は、受信されたアドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、それが(例えば、患者に属する薬剤送達デバイスから)正しく受信されたか、又は(例えば、異なる患者に属する異なる薬剤送達デバイスから)誤って受信された可能性があるかを判定することができる。いくつかの実施形態では、コンテキストデータは、アドバタイジングパケットに関する情報、アドバタイジングパケットの受信に関する情報、及び/又はアドバタイジングパケットがブロードキャストされた薬剤送達デバイスに関する情報を含み得る。例えば、ユーザは、典型的には、1日のうちの特定の時間にある用量の薬剤を服用し得る。コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットの受信時間を分析して、それが患者の典型的な投薬スケジュールと整合するかどうかを判定し得る。アドバタイジングパケットが変則的な時間に受信される場合、これは、アドバタイジングパケットが異なる薬剤送達デバイスから誤って受信されたことを示し得る。
【0010】
いくつかの実施形態によると、コンテキストデータの分析に基づいて、本技法は、注射イベント情報を自動的に処理する(例えば、特許に関する注射イベント情報をログ記録する)か、又はアドバタイジングパケットを無視するか、若しくは受信されたデータがユーザのために処理されるべきであるかどうかを判定するために、追加情報をユーザに促すかのいずれかを判定することができる。いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケットが患者の薬剤送達デバイスから正しく受信された可能性が高い場合、コンピューティングデバイスは、ユーザによる更なるアクションを必要とすることなく(例えば、検証プロンプトを提供することなく)、注射イベント情報を投薬ログに自動的にログ記録し得る。上で説明されるように、情報を自動的にログ記録することにより、患者の負担を最小化し得る。いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケットが不正確に受信された可能性が高い場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうかを確認することをユーザに促し得る。潜在的に不正確な情報が投薬ログに自動的に含まれることを防止することは、例えば、患者ログの正確性を保つこと、患者に対する患者ログの値を維持すること、及び/又は同様のことに役立ち得る。
【0011】
一態様において、薬剤送達デバイスは、薬剤を保持するように構成されたリザーバと、薬剤の注射を開始するための作動ボタンと、無線通信インターフェースと、無線通信インターフェースと通信する処理回路とを含む。コンピューティングデバイスは、薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、薬剤送達デバイスによって生成された注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信し、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、検証データを判定し、検証データに基づいて、(i)注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうか、又は(ii)アドバタイジングパケットを無視するかどうか、若しくはアドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促すかどうかを判定するように構成されている。
【0012】
様々な実施形態を説明してきたが、更に多くの実施形態及び実装が可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載の実施形態は例であり、唯一の可能な実施形態及び実装ではない。更に、上で説明される利点は必ずしも唯一の利点ではなく、記載された利点の全てが各実施形態で達成されるとは必ずしも予想されない。
【0013】
例示的な薬剤送達デバイス又は薬剤注射デバイス20が、図1図3に様々な動作状態で例解されている。そのようなデバイス及びその動作の例は、2014年5月27日にAdamsらに発行された「Automatic Injection Device with Delay Mechanism Including Dual Functioning Biasing Member」と題された米国特許第8,734,394(B2)号、及び2021年4月1日にAdamsらに発行された「Status Sensing Systems within an Injection Device Assembly」と題された米国特許出願公開第2021/0093784(A1)号に開示されており、これらの両方の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。デバイス20は、注射器アセンブリ22、駆動機構24、及び後退機構26を含み、例えば、図4で後に示される1つ以上のメインプリント回路基板(printed circuit board、PCB)82及び/又は1つ以上の二次PCB84を含み得る。注射器アセンブリ22は、薬剤を保持するための容器本体を形成するバレル30と、薬剤をバレルの外側に駆動するためにバレル30内に配設されたピストン32と、を含む。注射器アセンブリ22はまた、中空注射針34と、針34を注射器バレル30に装着する針ハブ35と、を有する、針アセンブリ33を含む。バレル30内のピストン32を針34の方に前進させることは、針34を通して薬剤を分注させる。
【0014】
デバイス20などの本明細書に説明されるデバイスは、例えば、注射器バレル30内などの薬剤を更に含み得る。別の実施形態では、システムは、デバイス20を含む1つ以上のデバイス及び薬剤を含み得る。「薬剤」という用語は、限定されるものではないが、インスリン、インスリンリスプロ又はインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、デュラグルチド又はリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(gastric inhibitory polypeptide、GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、限定されるものではないが、ミリキズマブなどのIL-23抗体類似体又は誘導体、イキセキズマブなどのIL-17抗体類似体又は誘導体を含む治療抗体、ガルカネズマブ、ラスミディタンなどの疼痛関連治療用の治療薬、及び上記のデバイスによって送達することができる任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。デバイスで使用されるような薬剤は、1つ以上の賦形剤とともに製剤化され得る。デバイスは、ヒトに薬剤を送達するために、患者、介護者、又は医療専門家によって、概して上で説明されるような様態で操作される。
【0015】
図1は、その初期の使用前構成のデバイス20を例解する。ここで、エンドキャップ36は、注射デバイスハウジング38に固設され、ハウジング38の近位端開口部40を覆う。本明細書に使用される際、遠位及び近位は、装置が注射部位での使用のために配向されたときの注射部位に対する軸方向の場所を指し、したがって、例えば、ハウジングの近位端は、そのような注射部位に最も近いハウジング端を指し、ハウジングの遠位端は、そのような注射部位から最も遠いハウジング端を指す。ハウジング38は、プラスチック材料から形成され、長手方向軸48に沿って、作動ボタン52に近接する遠位端と近位端開口部40に近接する近位端との間で概ね長手方向に延在して示され得る。図2及び図4に示されるように、ハウジング38は、ユーザの手で把持されるように構成されたユーザ把持可能部分37を備え得、ユーザ把持可能部分37は、半径方向距離41だけ長手方向軸48から外方に延在している。いくつかの実施形態では、半径方向距離41は、長さが5~10mmであり得る(例えば、いくつかの実施形態では、5~8mmが好適な長さであり得る)。また、図2及び図4に示されるように、ハウジング38はまた、任意選択的に、近位開口部40に隣接する、ハウジングの近位端の外方に広がった端部分39を備え得る。任意選択の端部分は、半径方向距離41より大きい半径方向距離43だけ長手方向軸48から外方に延在する。いくつかの実施形態では、半径方向距離43は、長さが10mm超であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、半径方向距離43は、長さが10~20mmであり得る(例えば、いくつかの実施形態では、15~20mmが好適な長さであり得る)。端部分39は、図1図3に示されるように、ユーザ把持可能部分37から半径方向外方に平滑に傾斜し得る。他の実施形態では、端部分39は、他の形状の形態を採り得る。例えば、端部分39は、ユーザ把持可能部分の半径方向距離41よりも大きい半径方向距離43だけ長手方向軸48から離れて延在する任意の形状を採り得る。
【0016】
針ガード42は、注射器アセンブリ22上に装着され、針34を覆い、かつ取り囲む。エンドキャップ36及び針ガード42は、偶発的に針が刺されることからユーザを保護し、また針34の損傷も保護する。デバイス20を使用して薬剤を分注するとき、例えば、薬剤を患者に注射するとき、エンドキャップ36及び針ガード42が、最初に取り外される。図2は、注射器アセンブリ22からエンドキャップ36及び針ガード42を取り外した後のデバイス20を例解し、注射器アセンブリは、格納位置にあり、デバイス20は、分注イベントの準備ができている。
【0017】
注射器アセンブリ22は、格納位置と注射位置との間で注射デバイス20に対して移動可能である。図3は、注射器アセンブリ22が、図2に示されるその格納位置から注射位置にデバイス20に対して移動された後のデバイス20を例解する。格納位置(図1及び図2)では、針34は、針34がデバイス20のハウジング38内に配設されるような位置まで後退される。注射位置(図3)では、針34は、長手方向軸48に平行な近位方向に近位開口部40を越えてハウジング38から外方に突出し、それによって、針34が患者に挿入され得る。
【0018】
駆動機構24は、ピストン32と係合するプランジャ44を含む。駆動機構24は、プランジャ44を並進運動で駆動するばね46を含む。例解される実施形態では、ばね46は、デバイス20の長手方向軸48によって画定される直線経路に沿ってプランジャ44を前進させる。プランジャ44が前進すると、プランジャ44の足部50がピストン32に接触する。プランジャ44が更に前進すると、注射器アセンブリ22は、その格納位置からその注射位置まで軸48に沿って前進する。注射器アセンブリ22がその注射位置に前進した後、プランジャ44の継続的な近位前進は、分注イベント時に、ピストン32をバレル30内でその初期ピストン位置(図1及び図2に示される)からその最終ピストン位置(図3に示される)まで近位に前進させて、薬剤を針34から分注させる。薬剤の任意の分注前、及び注射器バレル30が元の薬剤の全容量を保持しているとき、ピストン32は、その初期ピストン位置にあることになる。ピストン32を針アセンブリ33に向けてその移動長さ全体に前進させた後、ピストン32は、針アセンブリ33に近接するその最終ピストン位置にあることになり、バレル30内からの薬剤は、放出されていることになる。単回使用では、注射器アセンブリ22は、単回注射イベントで送達されることになる薬剤の単回用量を保持することになり、ピストン32は、その単回注射イベント時にその初期ピストン位置からその最終ピストン位置まで前進し、それによって、注射器アセンブリ22の単回用量内容物全体を送達することになる。デバイスは単回使用デバイスとして示されるが、デバイス20はまた、適切な修正を伴って、複数回使用デバイスとして構成され得る。
【0019】
プランジャ44の前進は、概して、注射器アセンブリ22が注射位置に前進するまで、注射器アセンブリ22からの薬剤の分注を結果的にもたらさないことになる。注射器が注射位置に前進する前に薬剤が分注されることを阻止し得る因子が存在する。因子は、ピストン32とバレル30との間の摩擦であり得る。典型的に、ピストン32は、ゴム材料で形成され、バレル30はガラスであるはずである。これら2つの構成要素間の摩擦抵抗は、注射器アセンブリ22がその注射位置まで前進し、好適な停止部材との係合が注射器アセンブリ22の更なる前進を防止するまで、バレル30内のピストン32の前進を防止するのに十分であり得る。追加的に、注射器内の薬剤は、いくらか粘性があり、それにより、針34からの流出に対していくらか抵抗性があり得る。必要に応じて、注射器バレル30に対する係合部材32の分注運動の摩擦抵抗を変更するためにピストン32及び注射器バレル30の修正は、容器22がその注射位置に到達する前の薬剤の早過ぎる分注を制限又は防止し得る。
【0020】
駆動機構24を作動させるために、使用者は、デバイス20の遠位端の作動ボタン52を押下する。ボタン52を押下することで、シャトルアセンブリ60からプランジャ44上の1つ又は2つの細長い突起54を係合解除し、それによって、ばね46がプランジャ44を軸方向に前進させることを可能にする。ばね46は、らせん形状を有し、突起54を囲む。ばね46の近位端は、プランジャ44上のフランジ56と付勢係合する。
【0021】
シャトルアセンブリ60は、上側シャトル部材62及び下側シャトル部材64を含み得る。シャトル部材62、64は、最終アセンブリで一緒に固定される。最終アセンブリでは、上側シャトル部材62は、ボタン52及びばね46を捕捉して、遠位方向へのこれらの部品の軸方向運動を制限する。突起54は、デバイスが図1及び図2に示される状態にあるとき、上側シャトル62上の表面と係合する。ボタン52を押下することは、ボタン52上のタブを突起54の傾斜と係合させて、突起54を内方に付勢して、突起54を上側シャトル部材62から係合解除させる。突起54が係合解除された後、ばね46は、付勢力をフランジ56に及ぼして、プランジャ44を図2に示される位置から図3に示される位置に前進させる。プランジャ44が前進すると、それは、注射器アセンブリ22を注射位置に移動させ、次いで、ピストン32を前進させて、上で考察されたように薬剤を分注させる。
【0022】
分注イベントが完了した後、後退機構26は、任意選択的に、注射器アセンブリ22を図3に示される注射位置から後退位置に戻すように移動させる。より具体的には、後退機構は、後退運動で薬剤容器を注射位置から後退位置に移動させるように適合される。後退位置は、注射器アセンブリがハウジング38内に引き戻される点で格納位置と同様であり得、それにより、針34は、もはや近位開口部40から近位に突出せず、完全にハウジング38内に配設される。いくつかの実施形態では、後退位置は、格納位置と同じであり得る。しかしながら、他の実施形態では、後退位置にある注射器アセンブリ22は、格納位置にある注射器アセンブリに対してわずかに近位又は遠位に位置し得る。例解される実施形態では、後退機構は、ばね66と、注射器キャリア68と、従動体として作用する回転部材70と、を含む。更に他の実施形態では、デバイス20は、薬剤が分注された後、注射器アセンブリがユーザによって手動で取り外されるか又は再配置されるまで、注射器アセンブリがその注射位置に無制限にとどまるように、後退機構26を含まない場合がある。
【0023】
プランジャ44は、プランジャ44が近位方向の移動の終了に近づくと、回転部材70を係止解除するアウトリガ(図示せず)を含み得る。回転部材70は、ラッチと下側シャトル部材64のラッチ凹部との間の係合によって、下側シャトル部材64に回転可能に固設される。アウトリガは、ラッチを押下することによって部材70を係止解除する。ばね66は、ねじり予荷重が加えられており、部材70と係合された一端と、シャトルアセンブリ60と係合された対向端とを有する。ラッチの押下の際、ばね66が部材70を回転させる。
【0024】
部材70は、ハウジング38内で回転可能であるが、ハウジング38に対して軸方向に移動可能ではない。他の実施形態はまた、軸方向に移動可能な部材70を含み得る。部材70の回転は、注射器アセンブリがその用量の薬剤を送達し終えるまで、後退機構26が注射器アセンブリ22を後退させることを防止する遅延機構として機能する。部材70の回転速度は、ハウジング38と接触している部材70の表面上又はその周囲に配設されたグリースの粘度を調整することによって調整され得、より粘性の高いグリースは、より遅い回転をもたらし、より粘性の低いグリースは、より速い回転をもたらす。回転部材70の半径方向フランジは、ハウジング部材38内の張出部と係合して、部材70の近位運動を制限し得る。ばね66は、部材70上に軸力、ねじり力又はその両方の力を近位に及ぼして、部材70を近位に付勢し、それによって、部材70の半径方向フランジがハウジング部材38の内部張出部と係合する軸方向位置に部材70を維持し得る。
【0025】
シャトルアセンブリ60は、シャトルアセンブリ60がハウジング38内で軸方向に移動することを可能にするが、ハウジング部材38に対するシャトルアセンブリ60の相対回転を防止する、ハウジング部材38上の対応する特徴と係合する軸方向に延在するチャネル又はリブを含み得る。シャトルアセンブリ60は、ばね66によって遠位方向に付勢されるが、駆動機構24の起動前にラッチ(図示せず)の係合によって遠位方向に移動することが防止される。回転部材70がその回転を完了すると、前で言及されるラッチを係合解除し、したがって、シャトルアセンブリ60がばね66の付勢力の下で遠位に移動することを可能にする。
【0026】
シャトルアセンブリ60が遠位に移動すると、それは、注射器アセンブリ22を遠位に搬送し、注射器アセンブリ22を図2に示される格納位置に移動し戻す。ばね66は、後退機構26を遠位に付勢し、それによって、注射イベント後、注射器アセンブリ22をその後退位置に維持する。シャトルアセンブリ60上の戻り止め及びハウジング38部材上の凹部などの係止機構は、係止係合を追加的に提供して、注射器アセンブリ22を注射イベント後、ハウジング38内に配設された針34とともに後退位置に固設し、それによって、ユーザが、次いで、安全な様態でデバイス20を処分するか又は別様に取り扱い得る。
【0027】
図1図3は、例示的な駆動機構24及び例示的な後退機構26を描示及び説明するが、他の機構もまた、格納位置から注射位置に、及び/又は注射位置から後退位置に注射器アセンブリ22を駆動するために使用され得る。そのような駆動及び/又は後退機構は、それらがトリガ前状態に保持されたときにエネルギーを蓄え、トリガされたときに当該蓄えられたエネルギーを解放して、格納位置から注射位置に、及び/又は注射位置から後退位置に注射器アセンブリを駆動する、1つ以上のばね又は変形可能な部品を含み得る(必須ではない)。そのような機構は、化学反応又はプロセスを使用して、例えば、2つ以上の試薬の混合によってガスを発生させることによって、又は少量の可燃性又は爆発性材料を点火することによって、動力を発生させる機構を含み得る(必須ではない)。そのような化学的に駆動される機構は、化学試薬用の1つ以上の格納容器と、当該格納容器を穿刺又は開放し、当該試薬が混合することを可能にする、及び/又は化学反応を開始するための火花又は他の点火源を提供するトリガと、結果として生じる化学反応によって発生したガス圧の増加に応答して移動する移動可能なピストン又は他の構成要素とを備え得る。そのような機構は、蓄えられた電力(例えば、バッテリに)を使用して、注射器アセンブリを駆動及び/若しくは後退させる電気モータを動作させるか、又は他の物理的若しくは化学的機構をトリガする機構を含み得る(必須ではない)。そのような機構は、油圧又は空気圧システム(例えば、チューブ)、ギヤ、ケーブル、プーリ、又は運動エネルギーを1つの構成要素から別の構成要素に伝達するための他の既知の構成要素を含み得る(必須ではない)。いくつかの実施形態では、注射器アセンブリを駆動し、次いで、注射器アセンブリを後退させるための別個の機構を有するのではなく、単一の機構が、注射器アセンブリを駆動し、次いで、注射器アセンブリを後退させる、両方を行うように構成され得る。
【0028】
図4は、デバイス20の実施形態の第1のセットによる、端部分39内の1つ以上のメインPCB82の例示的な配置を例解する。1つ以上のメインPCBは、長手方向軸48に直交して配置され得、互いの上面上に積層され得る、及び/又は長手方向軸48に直交する同一平面上に互いに並んで配置され得る。メインPCBは、例えば、エンドキャップ36が取り外され、注射針が分注イベント中に近位に駆動されて、患者に注射するときに、注射器アセンブリ22の注射針34が通過するように構成される開口部83を画定する。示されるように、メインPCBは、ユーザ把持可能部分37の半径方向距離41よりも大きい半径方向距離45だけ長手方向軸48から離れて延在する。図4はまた、メインPCBに実質的に直交し、かつ長手方向軸48に平行に延在する1つ以上の二次PCB84を示し、二次PCBは、1つ以上のPCBコネクタ114を介してメインPCBに通信可能に連結され得る。二次PCB84が追加の感知システムを装着し得るが、そのような二次PCBは、任意選択であり、製造の複雑性及びコストを減少させるために特定の実施形態では除外され得る。
【0029】
図5A及び5Bは、いずれの二次PCBにも結合されないメインPCB82の別の実施形態を例解する。図5Aは、デバイス20のいくつかの実施形態による、メインPCB82の上部斜視図を示し、一方、図5Bは、同じPCB82の底部斜視図を示す。メインPCB82は、上面82a(図5Aに示す)及び底面82bを含む(図5Bに示す、上面82a及び底面82bは、PCB82の一部であると理解される)。上面82aは、いくつかの実施形態では、バッテリクリップ(バッテリクリップのみが図5Aに描示される)上に装着されるコインセルバッテリなどのバッテリを備え得る、電源102を含むか、又は支持する。電源102は、注射デバイス20と統合又は連結された電気部品に電力を提供する。ハウジング38内のバッテリドア(図示せず)は、電源102へのアクセスを可能にするように、ヒンジ又はスイングして開き得る。メインPCB82はまた、処理回路108を含み得る。いくつかの実施形態では、処理回路108は、プロセッサ、メモリ、及び入力/出力ポートを含むシステムオンチップ(System on Chip、SOC)集積回路の形態を採り得る。しかしながら、処理回路108はまた、マイクロコントローラ(microcontroller、MCU)又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)などの他のタイプの構成要素を使用して実装され得る。処理回路108は、非一時的記憶媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成され得る。メインPCB82はまた、ベースキャップ取り外しセンサ110、加速度計112、温度センサ125、及び/又は1つ以上の容量性パッド122及び123など、複数の異なるタイプのセンサを含むか、又はそれらに通信可能に結合され得る。
【0030】
ベースキャップ取り外しセンサ110により、ベースキャップ36がハウジング38に取り付けられているか、又はユーザによって取り外されたかを処理回路108が検出することを可能にする。ベースキャップ取り外しセンサ110は、処理回路108と通信可能に又は電気的に連結され得る。
【0031】
加速度計112はまた、注射器アセンブリ22が駆動機構24によって格納位置から注射位置まで駆動される分注イベントの開始によって引き起こされる衝撃又は加速度も検出し得る。加速度計112はまた、注射器アセンブリ22が後退機構26によって注射位置から後退位置まで駆動される分注イベントの完了時に後退運動によって引き起こされる衝撃又は加速度も検出し得る。加速度計112は、1つ以上の電気接続を介して処理回路108に出力信号を送って、処理回路が出力信号を分析することを可能にし得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、処理回路108は、加速度計112からの信号出力を分析して、デバイス20の特定の条件若しくは状態を判定するか、又は特定のイベント若しくはアクションの発生を検出し得る。例えば、処理回路108は、出力信号を分析して、ベースキャップ36が取り外されたとき、又は作動ボタン52が係止解除されたときを見分け得る。処理回路108はまた、単独、又は1つ以上の皮膚接触センサからの信号と併せてのいずれかで、加速度計112からの信号に基づいて、分注イベントが開始又は完了したときを判定するように構成され得る。
【0033】
分注イベントが開始されると、駆動機構24が作動されて、注射器アセンブリ22を格納位置から注射位置に駆動する。この駆動運動は、加速度計112から出力された信号で検出され得る1つ以上の加速度を与える。例えば、駆動機構24が注射器アセンブリ22を格納位置から近位方向に駆動するときに駆動機構24によって与えられる押圧力は、加速度計112に、長手方向軸48に沿った遠位方向の加速度を検出させ得る。注射器アセンブリ22がこの駆動運動の終了時にその注射位置でその停止位置に当たると、注射器アセンブリ22の突然の停止が、加速度計112に、長手方向軸48に沿った近位方向の加速度を検出させ得る。この近位又は遠位加速度のいずれか(又は両方)は、加速度計112に、処理回路108によって検出され得る第1の加速度スパイクを出力させ得る。この第1の加速度スパイクは、分注イベントの開始を示し得る。
【0034】
同様に、分注イベントが完了したとき、後退機構26が作動されて、注射器アセンブリ22を注射位置から後退位置に駆動する。この駆動運動は、1つ以上の加速度を与え、これも、加速度計112から出力された信号で検出され得る。例えば、後退機構26が注射器アセンブリ22を注射位置から遠位方向に駆動するときに後退機構26によって与えられる押圧力は、加速度計112に、長手方向軸48に沿った近位方向の加速度を検出させ得る。注射器アセンブリが後退位置に到達すると、注射器アセンブリ22の突然の停止が、加速度計112に、長手方向軸48に沿った遠位方向の加速度を検出させ得る。この近位又は遠位加速度のいずれか(又は両方)は、加速度計112に、処理回路108によって検出され得る第2の加速度スパイクを出力させ得る。この第2の加速度スパイクは、分注イベントの完了を示し得る。本明細書に使用される際、「加速度スパイク」は、分注イベントの開始及び/又は完了を示す、加速度計又は振動センサ(例えば、圧電センサ)によって出力された加速度又は振動信号の任意のアーチファクトとして定義される。
【0035】
多くのタイプの薬剤は、劣化を防止するために第1の相対的に低温(例えば、華氏36~46度、又は摂氏2~8度)で格納される必要があるが、次いで、患者の体内に注射される前に第2のより高温(例えば、室温、又は華氏65~75度、若しくは摂氏18~24度)に昇温される必要がある。バレル30内の薬剤が適切な格納温度で格納されることを確保するために、及び/又は薬剤が適切な注射温度まで昇温されることを確保するために、注射デバイス20は、薬剤の温度を推定するための機構を備え得る。薬剤が適切な温度まで昇温されたことを確保することによって、この情報が電話に送信され得るか、デバイス自体がデバイスの使用の準備ができていることを患者に合図し得る。いくつかの実施形態では、この温度測定機能は、薬剤の温度を推定するためにメインPCB182上に直接装着された温度センサ125によって実施され得る。この温度センサは、処理回路108に通信可能に又は電気的に連結され得、処理回路によって受信及び分析される温度出力信号を出力する。一例では、温度センサ125は、PCBの遠位表面に装着され、いくつかの例では、パッド122、123から円周方向に離間して配設される。
【0036】
温度センサ125は、限定されるものではないが、サーミスタ(例えば、負温度係数(negative temperature coefficient、NTC)サーミスタ、又は抵抗温度検出器(resistance temperature detector、RTD))、熱電対、又は半導体ベースの温度センサなどの、PCB上に装着され得る複数のタイプの温度センサのうちのいずれかを含み得る。温度センサ125は、熱バラストの温度を測定するように構成及び位置付けられ得る。熱バラストは、メインPCB82自体のシリコン基板の全て又は一部分を含み得る。代替的に、熱バラストは、メインPCB82上に装着されている、他の材料(例えば、ポリマー)から構成された好適なヒートシンクを含み得る。熱バラストは、温度センサ125と接触しているか、又はその全て若しくは一部分を取り囲み得る。
【0037】
近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)又はBluetooth低エネルギー(BLE)接続性は、PCB82上に装着された1つ以上のアンテナ104によって提供され得る。そのようなアンテナ104は、アンテナに無線通信を外部デバイスに送らせる処理回路108からの信号を受信し得る。図5Aは、1つのアンテナ104のみを描示しているが、いくつかの実施形態は、2つ以上のチップアンテナ、例えば、1つのBLEアンテナ及び別個のNFCアンテナを備え得る。いくつかの実施形態では、処理回路108は、それ自体が、統合されたBLEアンテナを備え得、一方、アンテナ104は、NFCアンテナを備え得る。いくつかの実施形態はまた、描示されるようなPCBトレースアンテナの代わりにチップアンテナを使用し得る。
【0038】
メインPCBはまた、皮膚組織との接触を検出する複数のセンサと通信可能に連結又は統合され得る。皮膚接触センサは、ユーザが注射デバイス20を作動させる前に、ユーザの皮膚との適切な接触を検証するために使用され得る。注射デバイス20はまた、どのセンサが皮膚接触を検出し、どのセンサが検出しないかをユーザに示し得る。これにより、ユーザは、注射前に注射デバイス20をどの方向に傾斜又は移動させるべきかを知る。この機能は、針34がユーザの皮膚を貫通することに失敗するか、又は不適切に浅い角度で貫通する、注射の失敗の可能性を減少させる。
【0039】
図5Bは、皮膚接触を検出するための2つの容量性パッド122及び123を含む例示的な実施形態を描示する。パッド122、123は、PCBの遠位表面に沿って配設された別個の平面構造として示されている。容量性パッド122及び123は、ヒト組織の近接度を、センサによって形成された電界に対するそのような組織の効果によって、例えば、センサによって監視又は測定されている電気回路の静電容量に対するそのようなヒト組織の効果を測定することによって、検出するように構成され得る。静電容量センサは、皮膚組織に直接接触する金属製の電気端子を必要としないため、保護用の非導電性カバー(例えば、プラスチック製など)の後ろに部分的又は完全に封止され得る。これは、敏感な電気部品への湿気又は異物の浸透を減少させることによって、静電容量センサの耐久性を増加させ得る。静電容量センサはまた、静電容量センサが、露出した金属接点も必要としないため、静電放電がデバイス内の敏感な電気部品を損傷する危険性を低減し得る。容量性パッド122及び123は、皮膚組織との接触を各々独立して検出し得、それにより、処理回路108が、一方のパッドは接触を検出したが、他方は検出していないときを判定し得る。図5Bは2つの容量性パッド122及び123を描示するが、他の実施形態は、より少ない又はより多い容量性パッドを有し得る。例えば、メインPCB82は、単一の容量性パッドのみを含み得るか、又は3つ、4つ、5つ、6つ、若しくはそれよりも多い容量性パッドを有し得る。
【0040】
図6は、デバイス20のいくつかの実施形態による、デバイス20内の電気部品、及び例示的な外部デバイス650との通信リンクのシステムアーキテクチャ図を提供する。これらの構成要素のいくつか又は全ては、図5A、及び図5Bにおいて先で描示されるメインPCB82に装着され得る。前で言及される図において先で考察され、描示されるように、これらの電気部品は、処理回路108を含み得る。いくつかの実施形態では、処理回路108は、Bluetooth低エネルギー(BLE)システムオンチップ(SOC)の形態を採り得る。そのようなBLE SOCは、処理コア624(例えば、ミニプロセッサ又は算術論理演算装置(arithmetic logic unit、ALU))、処理コア624によって実行されるプログラミング命令を記憶するために使用されるオンボードメモリ626(例えば、揮発性又は不揮発性メモリなどの非一時的コンピュータ可読媒体)、並びにBLE回路628及びBLEアンテナ630を含むチップを含み得る。いくつかの実施形態では、先で考察されるように、BLE回路628及びBLEアンテナ630は、NFC通信回路及び/又はアンテナと置き換えられ得るか、又はNFC通信回路及び/若しくはアンテナで補完され得る。処理回路108は、図6に描示される電気部品の機能を制御及び調整するように構成されている。処理回路は、電源102から電力を受け取る。
【0041】
処理回路108は、ベースキャップ取り外しセンサ110、加速度計112、温度センサ125、及び/又は1つ以上のタッチセンサ606を含む複数の電気部品と通信可能に結合され得る。
【0042】
タッチセンサ606は、図5Bに先で描示及び説明されるように、容量性パッド122及び123の形態を採り得る。しかしながら、タッチセンサ606は、例えば、電気抵抗センサなど、皮膚組織との接触を検出するように構成された任意の他のタイプのセンサの形態を採り得る。
【0043】
加速度計112は、上記のように、分注イベントの開始及び/又は完了と関連付けられた衝撃、振動、及び/又は加速度を検出するように構成された任意の回路の形態を採り得る。例えば、加速度計112は、1つ、2つ、又は3つの軸に沿った加速度を検出するように構成された加速度計の形態を採り得るか、又は圧電振動センサの形態を採り得る。
【0044】
ベースキャップセンサ110は、ベースキャップ36がハウジング38に取り付けられているか、又はユーザによって取り外されているかを検出する物理的、電気的、光学的、及び/又は磁気的センサの形態を採り得る。温度センサ125は、先で説明されるように、PCB上に装着され得る複数のタイプの温度センサのうちのいずれかを備え得る。処理回路108はまた、任意選択的に、デバイス20と統合される、ユーザフィードバックを提供するためのデバイス632に接続され得る。ユーザフィードバック用手段は、例えば、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)を使用して実装される1つ以上のインジケータ光、ディスプレイ、振動モータなどの触覚インジケータ、及び/又はスピーカなどの聴覚インジケータを含み得る。
【0045】
処理回路108は、1つ以上の物理的、電気的チャネルを介して前で言及される構成要素の各々と通信可能に結合され得る。場合によっては、処理回路108によって受信された信号は、図示しないアナログデジタル変換器(ADC)を使用してアナログ信号からデジタル信号に変換され得る。
【0046】
処理回路108は、注射デバイス20が外部デバイス(例えば、携帯電話、ウェアラブルデバイス、ラップトップ、及び/又はサーバデータベースなど)と無線で通信することを可能にするように構成され得る。例えば、BLE回路628及びBLEアンテナ104は、処理回路108が無線BLEアドバタイジングパケットを外部デバイス650に送信することを可能にし得る。
【0047】
図6はまた、注射デバイス20から物理的に別個である例示的な外部デバイス650を示す。この実施形態では、例示的な外部デバイス650は、プロセッサ652(例えば、マイクロプロセッサ又はCPU)及び記憶装置658を有するモバイルスマートフォンの形態を採り得る。記憶装置658は、コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサ652によって実施されると、デバイス650に本明細書に説明されている動作を実施させる。これらのコンピュータ実行可能命令は、医療モバイルアプリケーションなどのモバイルアプリケーションを含み得る。デバイス650は、ディスプレイ660及びユーザ入力デバイス662を更に含み得る。ユーザ入力デバイス662は、スマートフォンと統合された物理的なボタン又はスイッチを含み得る。図6では別個に描示されているが、ユーザ入力デバイス662の全て又は一部分は、例えば、タッチ感知スクリーン内のディスプレイ660と統合され得る。
【0048】
デバイス650は、注射デバイス20との無線通信リンクを確立するように構成され得る。例えば、外部デバイス650は、処理回路108と通信する、BLEアンテナ657と連結されたBLE回路656を含み得る。
【0049】
例示的な薬剤送達デバイス20の設計及び動作の更なる詳細は、「Status Sensing Systems Within an Injection Device Assembly」と題された米国特許出願公開第2021/0093784(A1)号に見出され得、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
図5A及び図5Bに関連して本明細書で説明されるように、薬剤送達デバイスは、デバイスの状態に関するデータ、又は特定のイベント若しくはアクションの発生に関するデータを生成するように構成され得る。例えば、薬剤送達デバイスの処理回路は、加速度計からの信号を分析して、注射イベントがいつ開始及び/又は完了したかを判定し得る。別の例として、処理回路は、皮膚接触センサからの信号を分析して、注射イベントの開始前にユーザの皮膚との適切な接触を検証し得る。いくつかの実施形態では、データは、注射イベントの時間、注射イベントから経過した時間、注射イベントの日付、薬剤送達デバイス内に格納された薬剤の温度、皮膚接触センサの状態、又は任意の他の好適なデータに関する情報を含み得、本明細書に説明される技法の態様は、この点において限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、生成されたデータは、コンピューティングデバイス(例えば、外部デバイス650)に提供され、その結果、コンピューティングデバイスを使用して、注射イベント活動及び/又は薬剤送達デバイスの状態を監視することができる。例えば、コンピューティングデバイス上のモバイルアプリケーションを使用して、注射イベントの時間及び/又は日付など薬剤送達デバイスから受信されたデータ(例えば、注射イベント情報)を記録するために使用され得る。いくつかの実施形態では、これは、注射イベント情報が自動的かつ正確に記録されるので、ユーザが注射レジメンを順守することに役立ち得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、薬剤送達デバイスは、注射イベント情報を含むアドバタイジングパケット(例えば、Bluetooth低エネルギー(BLE)アドバタイジングパケット)をブロードキャストすることによって、コンピューティングデバイスと通信し得る。例えば、薬剤の用量を送達すると、薬剤送達デバイスは、注射イベントの時間及び/又は日付を含むアドバタイジングパケットのブロードキャストを開始し得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス上のモバイルアプリケーションは、注射イベント情報を自動的に受信し、ログ記録し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように、そのようなアドバタイジングパケットの使用は、ユーザにとって厄介であり得るデバイスをペアリングする必要性を排除し得る。例えば、2つのデバイスがBluetoothを使用して通信している場合、Bluetoothペアリングプロセスの一部は、ユーザがペアリングプロセスを完了するために複数のステップを実施することを要求する可能性があり、これは、時間がかかり、及び/又はコンピュータに精通していない患者を混乱させる可能性がある。
【0053】
しかしながら、ペアリングプロセスの欠如に起因して、アドバタイジングパケットは、異なるコンピューティングデバイスによって誤って(及び意図せずに)受信される可能性がある。例えば、患者は、彼らのモバイルデバイス上で、異なるユーザに属する薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを受信する可能性がある。それらのアドバタイジングパケットに含まれる注射イベント情報を自動的にログ記録することは、患者の注射レジメンを妨害する可能性がある。したがって、アドバタイジングパケットを受信すると注射イベント情報を自動的にログ記憶するのではなく、コンピューティングデバイスは、誤った情報をログ記録することを回避するために、本明細書で説明される技法に従って、受信されたアドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを(例えば、アプリケーションレベルで)分析するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コンテキストデータは、注射イベント情報を自動的にログ記録するかどうかを判定するために、又はユーザに更なる情報を促すために(例えば、受信されたデータが患者に関連付けられていない可能性がある場合に注射イベント情報をログ記録するかどうかを確認するために)使用され得る。いくつかの実施形態では、コンテキストデータを使用して、何もアクションを取らないことによって、すなわち、注射イベント情報をログ記録することも、ユーザに更なる情報を促すこともしないことによって、受信されたアドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定するために使用され得る。
【0054】
本明細書で提供されるいくつかの例は、BLEアドバタイジングパケットを処理することに言及するが、本技法は、本明細書で説明される技法の趣旨から逸脱することなく、任意のワイヤレスパケットを処理するために使用され得ることを諒解されたい。例えば、本明細書で説明する技法に従って処理され得る他のタイプのパケットは、WiFi、Long Range(LoRa)、NFC、Radio-Frequency Identification(RFID)、Ultra-Wideband(UWB)、Matter、Long Term Evolution CAT M1(LTE-M)、Narrowband-Internet of Things(NB-IoT)、及び4Gなど、任意の好適なワイヤレス又はセルラ通信プロトコルからのパケットを含む。したがって、そのような例は、例解目的のみで提供され、本明細書で説明される技法を限定することを意図しない。
【0055】
図7は、いくつかの実施形態による、薬剤送達デバイスから受信したアドバタイジングパケットに含まれるデータをログ記録するかどうかを判定するための例示的なコンピュータ化された方法700を示すフローチャートである。ステップ702において、コンピューティングデバイスは、薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、薬剤送達デバイスによって生成された注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信する。いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケットは、モバイルアプリケーションなどのコンピューティングデバイス上で動作するプログラムによって受信される。いくつかの実施形態では、注射イベント情報は、注射イベントの時間、注射イベントから経過した時間、及び/又は注射イベントの日付など、薬剤の用量がユーザに送達されたときに関する情報を含み得る。いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、図1図6に関連して説明したデバイス20の実施形態を含み得る。例えば、無線通信インターフェースは、デバイス20のアンテナ104を含み得る。
【0056】
ステップ704において、コンピューティングデバイスは、検証データを判定するために、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析する。いくつかの実施形態では、コンテキストデータは、アドバタイジングパケットに関する情報、アドバタイジングパケットの受信に関する情報、及び/又は受信されたアドバタイジングパケットをブロードキャストする薬剤送達デバイスに関する情報を含み得る。いくつかの実施形態では、コンテキストデータは、検証データ、又はアドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって誤って受信されたかどうかを示すデータを判定するために分析され得る。いくつかの実施形態では、これは、検証データを判定するために、コンテキストデータを基準のセットと比較することを含み得る。
【0057】
ステップ706において、コンピューティングデバイスは、検証データに基づいて、(i)注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうか、(ii)アドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促すかどうか、及び/又は(iii)アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、検証データが、アドバタイジングパケットが正しく受信された(例えば、アドバタイジングパケットが正しい薬剤送達デバイスから受信された)ことを示す場合、注射イベント情報は、投薬ログに含まれ得る。いくつかの実施形態では、検証データが、アドバタイジングパケットが誤って受信された可能性がある(例えば、アドバタイジングパケットが異なる薬剤送達デバイスから受信された)ことを示す場合、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促し得る。いくつかの実施形態では、これは、注射イベント情報を投薬ログに記録するかどうかを確認することをユーザに促すこと(例えば、コンピューティングデバイスのディスプレイ上の通知を用いて)を含み得る。これは、ユーザが注射イベント情報を彼らの投薬ログに容易に追加することを可能にし得る一方で、誤った注射イベント情報が彼らの注射レジメンに干渉することを防止する。いくつかの実施形態では、検証データが、アドバタイジングパケットが誤って受信された確率が高いことを示す場合、コンピューティングデバイスは、注射イベント情報を投薬ログに含めることも、ユーザに追加の情報を促すこともしないことによって、アドバタイジングパケットを無視し得る。このシナリオでは、アドバタイジングパケットを無視することはまた、コンピューティングデバイスがそのメモリからアドバタイジングパケットを削除すること、及び/又はアドバタイジングパケットを送信した薬剤送達デバイスからの将来のアドバタイジングパケットを無視するようにコンピューティングデバイス自体を構成することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ706は、検証データに基づいて、(i)(注射イベント情報を投薬ログに含める)、(ii)(アドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促す)、及び(iii)(アドバタイジングパケットを無視する)の選択肢のうちの2つのみ間で選択することからなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ステップ706は、検証データに基づいて、選択肢(i)と(ii)との間のみ、選択肢(i)と(iii)との間のみ、又は選択肢(ii)と(iii)との間のみで選択することからなり得る。
【0058】
図8は、いくつかの実施形態による、(i)薬剤送達デバイスから受信されたアドバタイジングパケットに含まれるデータをログ記録するかどうか、(ii)追加情報をユーザに促すかどうか、及び/又は(iii)アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定するための例示的なシステムの図を示す。示されるように、コンピューティングデバイス650は、薬剤送達デバイス20の無線通信インターフェース802からアドバタイジングパケット804を受信する。いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケット804は、アンテナ104など、無線通信インターフェース802の1つ以上のアンテナからブロードキャストされ得る。いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケットは、薬剤送達デバイス20によって生成される注射イベント情報を含み得、注射イベント情報は、ユーザに送達された薬剤の用量の時間及び/又は日付に関する情報を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケットを受信した後、コンピューティングデバイス650は、任意選択的に、スキャン応答816を発行し得る。いくつかの実施形態では、スキャン応答は、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイス650によって受信されたことを薬剤送達デバイス804に示し得る。いくつかの実施形態では、スキャン応答816は、薬剤デバイスに1つ以上の機能を実施させるように構成され得る。例えば、スキャン応答816を受信すると、薬剤送達デバイス804は、電源を落とし得る。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、コンピューティングデバイス650は、検証データ808を判定するために、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータ806を分析し得る。図7に関しても含めて本明細書で説明されるように、コンテキストデータ806は、アドバタイジングパケットに関する情報、アドバタイジングパケットの受信に関する情報、及び/又はアドバタイジングパケットがブロードキャストされた薬剤送達デバイスに関する情報を含み得る。図8は、異なるタイプのコンテキストデータの例を示す。示されるように、コンテキストデータは、アドバタイジングパケットの受信時間(項目820)、注射イベントとアドバタイジングパケットの受信との間の時間期間(項目830)、アドバタイジングパケットの受信時のコンピューティングデバイスの場所(項目840)、アドバタイジングパケットの無線周波数(radio frequency、RF)信号の強度(項目850)、別のコンピューティングデバイスが薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを既に受信しているかどうかの遠隔データベースからの指標(項目860)、薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子(identifier、ID)(項目870)、コンピューティングデバイスによって受信された追加のアドバタイジングパケットを示す情報(項目880)、コンピューティングデバイスと薬剤送達デバイスとの間の距離(項目890)、及び/又はコンテキストデータタイプの任意の好適な組み合わせ(例えば、項目820、830、840、850、860、870、880、及び890の任意の組み合わせ、及び/又は図8に示されない他のデータ)を含み得る。コンテキストデータの提供された例のリストは、非網羅的なリストであり、本明細書で説明される技法の態様がこの点において限定されないので、任意の好適なタイプのコンテキストデータを含み得ることを諒解されたい。
【0061】
いくつかの実施形態において、検証データ808は、アドバタイジングパケット804がコンピューティングデバイス650によって正しく(又は不正確に)受信されたかどうかの推定値を提供し得る。いくつかの実施形態では、コンテキストデータ806を分析することは、検証データ808を判定するために、コンテキストデータを指定された基準と比較することを含み得る。異なるタイプのコンテキストデータを分析する例は、図9図15に関するものを含めて、本明細書で説明される。いくつかの実施形態では、1つのタイプのコンテキストデータ806が、検証データ808を判定するために使用され得る。例えば、コンピューティングデバイス650は、検証データ808を判定するために、受信時間(項目820)を指定された基準(例えば、閾値時間)と比較し得る。他の実施形態では、検証データ808を判定するために、コンテキストデータ806のタイプの組み合わせが使用され得る。例えば、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケット(項目850)のRF信号の強度を第1の基準(例えば、閾値強度)と比較し、受信時間(例えば、閾値時間)を第2の基準と比較し得る。組み合わせに基づいて、コンピューティングデバイスは、検証データ808を判定し得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、コンテキストデータ806のタイプの組み合わせに基づいて、検証データ808を判定することは、コンテキストデータの各タイプを基準(例えば、閾値)と比較することと、論理アルゴリズムを使用して結果を組み合わせることとを含み得る。例えば、結果は、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが誤って受信された可能性があるかどうかを判定するために、ファジー論理アルゴリズム(例えば、重み付けされた又は重み付けされていない)を使用して組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、重み付けアルゴリズムを使用して分析の結果を組み合わせることは、コンテキストデータの各タイプが異なる重要度で重み付けされることを可能にする。例えば、アドバタイジングパケットが誤って受信されたかどうかのより信頼性の高い推定をもたらし得るコンテキストデータは、他のタイプのコンテキストデータよりも大きい重要度で重み付けされ得る。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、検証データ808に基づいて、コンピューティングデバイス650は、(i)注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうか、(ii)追加情報810をユーザに促すかどうか、及び/又は(iii)アドバタイジングパケット814を無視するかどうかを判定し得る。いくつかの実施形態では、検証データが、アドバタイジングパケット804が薬剤送達デバイス20から誤って受信された可能性があることを示す場合、コンピューティングデバイス650は、ユーザに追加情報810を促し得る。例えば、コンピューティングデバイス650は、コンピューティングデバイス650のディスプレイ上に通知を提供して、注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうかを確認することをユーザに促し得る。いくつかの実施形態では、検証データが、アドバタイジングパケット804が薬剤送達デバイス20から誤って受信された確率が高いことを示す場合、コンピューティングデバイス650は、アドバタイジングパケット814を無視し得る。いくつかの実施形態では、検証データ808が、アドバタイジングパケット804がコンピューティングデバイス650によって正しく受信された可能性があることを示す場合、コンピューティングデバイス650は、注射イベント情報を投薬ログ812に自動的に含め得る。図8は、検証データが3つのアクション過程(i)、(ii)、及び/又は(iii)の間で選択するために使用される実施形態を描示するが、いくつかの実施形態では、検証データは、2つのアクション過程のみ、例えば、選択肢(i)、(ii)、及び(iii)のうちの任意の2つの間で選択するために使用され得ることを理解されたい。
【0064】
図9図16は、いくつかの実施形態による、異なるタイプのコンテキストデータを分析して、注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうか、又はユーザに追加情報を促すかどうかを判定するための例示的なフローチャートである。
【0065】
図9は、いくつかの実施形態による、コンピューティングデバイスがアドバタイジングパケットを受信する時間を分析するための例示的なフローチャートである。ステップ902において、受信時間(項目820)が分析され、それが指定された時間の範囲内にあるかどうかが判定される。いくつかの実施形態では、指定された時間は、ユーザが典型的に自分の用量の薬剤を服用する1つ以上の時間であり得る。例えば、ユーザは、食事時間の前後に薬剤の用量を服用し得る。コンピューティングデバイスが、ユーザが典型的に薬剤の用量を服用するときに近い時間にアドバタイジングパケットを受信する場合、これは、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって正しく受信されたこと(例えば、検証データ808b)を示し得る。コンピューティングデバイスが、ユーザが薬剤の用量を服用するのに非定型である時間にアドバタイジングパケットを受信する場合、これは、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって誤って受信されたこと(例えば、検証データ808a)を示し得る。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、指定された時間及び/又は時間の範囲は、ユーザによって事前設定され得る。例えば、ユーザは、(例えば、コンピューティングデバイスのユーザインターフェースと対話することによって)典型的に投薬量を服用する時間又は時間の範囲を示し得る。いくつかの実施形態では、時間又は時間の範囲は、投薬ログに含まれる過去の注射時間に基づいて、自動的に判定される。例えば、機械学習モデルは、投薬ログに含まれるデータを使用してトレーニングされ得る。受信時間に基づいて(項目820)、トレーニングされた機械学習モデルは、アドバタイジングパケットが正しく(又は誤って)受信された可能性があるかどうかを自動的に判定し得る。
【0067】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、受信時間(項目820)が指定された時間の範囲内にない場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加の情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、受信時間(項目820)が指定された時間の範囲内である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、図9に描示されるフローチャートは、コンピューティングデバイスが、2つのアクション過程だけでなく、3つのアクション過程の間で選択することを可能にするように修正され得る。例えば、受信時間が予想時間の第1の範囲内にある場合、コンピューティングデバイスは、パケットが正しく受信された可能性が高いと判定し得、ログに用量イベント情報を含める。受信時間が予想時間の第1の範囲内にはなく、予想時間の第2の範囲内にある場合(第2の範囲は第1の範囲よりも広い)、コンピューティングデバイスは、パケットが不正確に受信された可能性があると判定し得、ユーザに追加情報を促す。受信時間が予想時間の第1の範囲内にも第2の範囲内にもない場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを無視することを決定し得る。
【0069】
図10は、注射イベントの時間とアドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間を分析するための例示的なフローチャートである。ステップ1002において、時間期間(項目830)が分析されて、それが指定された閾値未満であるかどうかが判定される。いくつかの実施形態では、注射イベントから短い時間(例えば、閾値未満)が経過した場合、注射イベント中にコンピューティングデバイスが薬剤送達デバイスの近くにあった可能性が高い。これは、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが正しく受信されたこと(例えば、検証データ808b)を示し得る。いくつかの実施形態では、注射イベントから長い時間(例えば、閾値より大きい)が経過した場合、注射イベント中にコンピューティングデバイスが薬剤送達デバイスの近くになかった可能性が高い。これは、アドバタイジングパケットが薬剤送達デバイスから異なるユーザに誤って受信されたこと(例えば、検証データ808a)を示し得る。いくつかの実施形態では、閾値は、2分、4分、6分、8分、10分、20分、40分、又は2~40分の範囲内の任意の時間よりも長くあり得る。
【0070】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、時間期間(項目830)が閾値よりも大きい場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、時間期間(項目830)が閾値未満である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、図10に描示されるフローチャートはまた、コンピューティングデバイスが、2つのアクション過程だけでなく、3つのアクション過程の間で選択することを可能にするように修正され得る。例えば、時間期間(項目830)が第1の閾値よりも低い場合、コンピューティングデバイスは、パケットが正しく受信された可能性が高いと判定し得、ログに用量イベント情報を含める。受信時間が第1の閾値と第2のより高い閾値との間にある場合、コンピューティングデバイスは、パケットが不正確に受信された可能性があると判定し得、ユーザに追加情報を促す。受信時間が第2の閾値よりも大きい場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを無視することを決定し得る。
【0072】
図11は、いくつかの実施形態による、アドバタイジングパケットの受信時におけるコンピューティングデバイスの場所を分析するための例示的なフローチャートである。ステップ1102において、コンピューティングデバイスの場所(項目840)は、コンピューティングデバイスが指定された場所の指定された距離内にあるかどうかを判定するために分析される。いくつかの実施形態では、異なる場所は、異なる人口及び/又は住宅密度に関連付けられ得る(例えば、都市内の場所の人口密度は、地方近隣の人口密度よりも大きい)。コンピューティングデバイスの場所が低い人口密度に関連付けられている場合、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケット(例えば、検証データ808b)が正しく受信された可能性が高くあり得る。逆に、コンピューティングデバイスの場所が高い人口密度に関連付けられている場合、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが誤って受信された(例えば、検証データ808a)可能性がより高くなり得る。
【0073】
追加的に、又は代替的に、いくつかの実施形態では、ユーザは、典型的には、ユーザの自宅などの1つ以上の場所において、ある用量の薬剤を服用し得る。コンピューティングデバイスの場所が典型的な投薬場所に近い(例えば、指定された場所の指定された距離内にある)場合、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが正しく受信された可能性があり得る(検証データ808b)。コンピューティングデバイスの場所が典型的な投薬場所に近くない(例えば、指定された場所の指定された距離内にない)場合、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが誤って受信された可能性があり得る(検証データ808a)。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、指定された場所及び/又は指定された距離は、ユーザによって事前設定され得る。例えば、ユーザは、(例えば、コンピューティングデバイスのユーザインターフェースと対話することによって)典型的に薬剤を服用し得る1つ以上の場所を示し得る(例えば、薬剤送達デバイスを使用して)。更に、それらは、コンピューティングデバイスが注射イベント中にあると予想される場所からの距離(例えば、半径)を示し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の場所及び1つ以上の場所からの距離は、システムによって自動的に判定され得る。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、過去の注射イベントの時点におけるコンピューティングデバイスの場所に関するデータに基づいてトレーニングされ得る。次いで、トレーニングされた機械学習モデルは、アドバタイジングパッキングの受信時のコンピューティングデバイスの場所が注射イベントの典型的な場所の範囲内にあるかどうかを判定するために使用され得る。
【0075】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、コンピューティングデバイスの場所(項目840)が指定された場所の指定された距離内にない場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加の情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、コンピューティングデバイスの場所(項目840)が閾値未満である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、図11に描示されるフローチャートは、コンピューティングデバイスが、2つのアクション過程だけでなく、3つのアクション過程の間で選択することを可能にするように修正され得る。例えば、コンピューティングデバイスの場所(項目840)が、指定された場所の第1の閾値距離内にある場合、コンピューティングデバイスは、パケットが正しく受信された可能性が高いと判定し得、ログに用量イベント情報を含める。コンピューティングデバイスの場所が、指定された場所の第1の閾値距離内にない場合、指定された場所の第2の(より高い)閾値距離内にある場合、コンピューティングデバイスは、パケットが不正確に受信された可能性があると判定し得、ユーザに追加情報を促す。コンピューティングデバイスの場所が、指定された場所の第2の閾値距離内にない場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを無視することを決定し得る。
【0077】
図12は、いくつかの実施形態による、アドバタイジングパケットの受信時におけるRF信号の強度を分析するための例示的なフローチャートである。ステップ1202において、RF信号の強度が分析され、それが指定された閾値よりも大きいかどうかが判定される。いくつかの実施形態では、高いRF信号(例えば、閾値より大きい)は、薬剤送達デバイスがコンピューティングデバイスに近接していることを示し得る。これは、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって正しく受信された(例えば、検証データ808b)可能性が高いことを示唆し得る。RF信号が低い(例えば、閾値以下である)場合、これは、薬剤送達デバイスがコンピューティングデバイスに近接していないことを示し得、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって誤って受信された(例えば、検証データ808a)可能性があることを示唆する。
【0078】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、RF信号の強度(項目850)が指定された閾値よりも大きい場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、RF信号の強度(項目850)が指定された閾値より大きい場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、図12に描示されるフローチャートは、コンピューティングデバイスが、2つのアクション過程だけでなく、3つのアクション過程の間で選択することを可能にするように修正され得る。例えば、RF信号の強度(項目850)が第1の閾値信号強度よりも大きい場合、コンピューティングデバイスは、パケットが正しく受信された可能性が高いと判定し得、ログに用量イベント情報を含める。RF信号の強度が第1の閾値信号強度未満であるが、第2の(より低い)閾値信号強度よりも大きい場合、コンピューティングデバイスは、パケットが不正確に受信された可能性があると判定し得、ユーザに追加情報を促す。RF信号強度が第2の閾値信号強度未満である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを無視することを決定し得る。
【0080】
図13は、いくつかの実施形態による、別のコンピューティングデバイスが薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを既に受信したかどうかを示す遠隔データベース記録を分析するための例示的なフローチャートである(項目860)。ステップ1302において、コンピューティングデバイスは、一意のデバイス識別子を遠隔データベースに送信する。いくつかの実施形態では、デバイス識別子は、薬剤送達デバイスに一意であり、薬剤送達デバイスによってブロードキャストされるアドバタイジングパケットに含まれる。コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを受信すると、アドバタイジングパケットに含まれる一意の識別子を遠隔データベースに送信する。いくつかの実施形態では、遠隔データベースは、WiFiネットワーク、セルラネットワークを介して、及び/又は遠隔データベースにアクセスするための任意の他の好適な手段を使用することによってアクセス可能であり得、本明細書で説明される技術の態様は、その点において限定されない。いくつかの実施形態では、遠隔データベースは、他のコンピューティングデバイス上で受信されたアドバタイジングパケットに関する情報を記憶するデータを含み得る。例えば、データベースは、コンピュータXが、一意の識別子「Y」に関連付けられた薬剤送達デバイスからアドバタイジングパケットを以前に受信したことを示し得る。
【0081】
ステップ1304において、コンピューティングデバイスは、遠隔データベースから、コンピューティングデバイスによって受信されたアドバタイジングパケットに含まれる一意の識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録をデータベースが有するかどうかの指標を受信する。いくつかの実施形態では、ステップ1306において、データベースがパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有する場合、これは、注射イベント情報が既に別のデバイスによって捕捉されており、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって誤って受信された可能性が高いことを示唆し得る(例えば、検証データ808a)。データベースが、アドバタイジングパケットを受信している別のコンピューティングデバイスの記録を有していない場合、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが正しく受信された可能性があり得る(例えば、検証データ808b)。
【0082】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、別のコンピューティングデバイスがデバイスIDを含むアドバタイジングパケットを既に受信していることをデータベースが示す場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、データベースが、別のコンピューティングデバイスがIDを含むアドバタイジングパケットをまだ受信していないことを示す場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、次いで、コンピューティングデバイスが一意の識別子を含むアドバタイジングパケットを受信したことを示すように遠隔データベースを更新し得る。
【0083】
図14は、いくつかの実施形態による、薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を分析するための例示的なフローチャートである。ステップ1402では、薬剤送達デバイス(項目870)に関連付けられた識別子が分析されて、それが患者(例えば、コンピューティングデバイスのユーザ)に規定された識別子と同一であるかどうかが判定される。いくつかの実施形態では、アドバタイジングパケットは、図13を参照して本明細書で説明されるように、薬剤送達デバイスに一意の識別子を含む。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスによって受信されたアドバタイジングパケットに含まれるデバイスIDが、コンピューティングデバイスのユーザに割り当てられた又は規定された患者IDと一致する場合、これは、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって正しく受信されたこと(例えば、検証データ808b)を示し得る。デバイスIDが、ユーザに割り当てられた患者IDと一致しない場合、これは、コンピューティングデバイスによってアドバタイジングパケットが誤って受信されたこと(例えば、検証データ808a)を示し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、患者IDは、遠隔データベースに記憶され得る。例えば、医師は、遠隔データベースを更新して、患者IDをコンピューティングデバイスのユーザに割り当て得る。患者IDは、同じユーザに規定された薬剤送達デバイスに関連付けられたデバイスIDと一致し得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットに含まれるデバイスIDを遠隔データベースに送信し得る。コンピューティングデバイスは、次いで、遠隔データベースから、デバイスIDが、ユーザに割り当てられ、データベースに記憶された患者IDと一致するかどうかの指標を受信し得る。いくつかの実施形態では、遠隔データベースは、WiFiネットワーク、セルラネットワークを介して、及び/又は遠隔データベースにアクセスするための任意の他の好適な手段を使用することによってアクセス可能であり得、本明細書で説明される技術の態様は、その点において限定されない。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、次いで、検証データ808を判定するために遠隔データベースから受信された指標を分析し得る。
【0085】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、デバイスID(項目860)が指定された識別子(例えば、患者ID)と同一でない場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、デバイスID(項目806)が指定されたIDと同一である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、2つ以上のアドバタイジングパケットを同時に、又は互いの短い期間内に受信し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、複数の患者が1回分の薬剤を服用している可能性がある公衆トイレにおいて、短時間内に複数のアドバタイジングパケットを受信し得る。図15は、いくつかの実施形態による、アドバタイジングパケット(例えば、アドバタイジングパケットA)と同時にコンピューティングデバイスによって受信された追加のアドバタイジングパケット(例えば、アドバタイジングパケットB)を分析するための例示的なフローチャートである。ステップ1502において、アドバタイジングパケットB(項目880)は、それがアドバタイジングパケットAとは異なるコンピューティングデバイスから受信されたかどうかを判定するために分析され得る。いくつかの実施形態において、これは、アドバタイジングパケットBに含まれる識別子及び/又はアドバタイジングパケットBに関連付けられた他のデータを分析することを含み得る。アドバタイジングパケットBがアドバタイジングパケットAと同じコンピューティングデバイスから受信されなかったと判定された場合、これは、一方又は両方のアドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって誤って受信されたこと(例えば、検証データ808a)を示し得る。アドバタイジングパケットBがアドバタイジングパケットAと同じコンピューティングデバイスから受信されたと判定される場合、これは、両方のアドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって正しく受信されたこと(例えば、検証データ808b)を示し得る。
【0087】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、又はアドバタイジングパケット810の一方若しくは両方を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、追加のアドバタイジングパケット(項目880)が同じ薬剤送達デバイスから受信されなかった場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加情報を促すか、又は一方若しくは両方のアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、追加のアドバタイジングパケット(項目870)が同じ薬剤送達デバイスから受信された場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0088】
図16は、コンピューティングデバイスと薬剤送達デバイスとの間の距離を分析するための例示的なフローチャートである。いくつかの実施形態では、デバイス間の距離を判定することは、アドバタイジングパケットが2つのデバイス間を移動するのにかかる時間量を判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、移動時間は、追加的に又は代替的に、コンテキストデータ(例えば、コンテキストデータ806)として含まれ得る。2つのデバイス間の距離は、移動時間及び空気中を通る光の速度に基づいて計算され得る。このような技法は、様々なプロトコルとともに使用することができる。一例として、この技法は、UWBに従ってパケットを処理するときに適用され得、それは、アドバタイジングパケットの移動時間に基づいて、距離の相対的に正確な計算を可能にし得る。
【0089】
ステップ1602において、薬剤送達デバイスとコンピューティングデバイスとの間の距離を分析して、それが指定された閾値未満であるかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、短い距離(例えば、閾値未満)は、薬剤送達デバイスがコンピューティングデバイスに近接していることを示し得る。これは、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって正しく受信された(例えば、検証データ808b)可能性が高いことを示唆し得る。距離が遠い(例えば、閾値よりも大きい)場合、これは、薬剤送達デバイスがコンピューティングデバイスに近接していないことを示し得、アドバタイジングパケットがコンピューティングデバイスによって誤って受信された(例えば、検証データ808a)可能性があることを示唆する。
【0090】
検証データ808a及び808bに基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザに追加情報を促すかどうか、アドバタイジングパケット810を無視するかどうか、又は注射イベント情報を投薬ログ812に含めるかどうかを判定する。本明細書で説明されるように、デバイス間の距離(項目890)が指定された閾値以上である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが誤って受信されたと判定し(検証データ808a)、ユーザに追加情報を促すか、又はアドバタイジングパケット810を無視し得る。代替的に、デバイス間の距離(項目890)が指定された閾値未満である場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットが正しく受信されたと判定し(検証データ808b)、注射イベント情報を投薬ログ812に含め得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、図16に描示されるフローチャートは、コンピューティングデバイスが、2つのアクション過程だけでなく、3つのアクション過程の間で選択することを可能にするように修正され得る。例えば、デバイス間の距離(項目890)が第1の閾値距離未満である場合、コンピューティングデバイスは、パケットが正しく受信された可能性が高いと判定し得、ログに用量イベント情報を含める。デバイス間の距離が第1の閾値距離よりも大きく、第2の(より大きい)閾値距離よりも小さい場合、コンピューティングデバイスは、パケットが不正確に受信された可能性があると判定し得、ユーザに追加情報を促す。デバイス間の距離が第2の閾値距離よりも大きい場合、コンピューティングデバイスは、アドバタイジングパケットを無視することを決定し得る。
【0092】
本明細書で概説される様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム又はプラットフォームのうちのいずれか1つを使用する1つ以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとして、コード化され得る。追加的に、そのようなソフトウェアは、多数の好適なプログラミング言語及び/又はプログラミングツール若しくはスクリプトツールのいずれかを使用して記述され得、また、仮想マシン又は好適なフレームワーク上で実行される実行可能機械語コード又は中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0093】
この点で、様々な発明概念は、1つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行されると本発明の様々な実施形態を実施する、1つ以上のプログラムで符号化された、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光学ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイスにおける回路構成、など)として具体化され得る。非一時的コンピュータ可読媒体又は複数の媒体は、移動可能であり得、その結果、そこに格納された1つ以上のプログラムは、上で考察されたような本発明の様々な態様を実装するため任意のコンピュータリソースにロードされ得る。
【0094】
「プログラム」、「ソフトウェア」、及び/又は「アプリケーション」という用語は、本明細書では、一般的な意味で使用され、上で考察されたような実施形態の様々な態様を実施するためにコンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために採用される、任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令のセットを指す。追加的に、一態様によれば、実行されると本発明の方法を実施する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はないが、本発明の様々な態様を実施するため、異なるコンピュータ又はプロセッサ間でモジュール方式により配布され得ることを理解されたい。
【0095】
コンピュータ実行可能命令は、プログラムモジュールなど、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される多くの形態であり得る。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などが含まれる。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望されるように組み合わされ、又は分散され得る。
【0096】
また、データ構造は、任意の好適な形態で、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。データ構造は、そのデータ構造内の場所を通じて関連するフィールドを有し得る。そのような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝達する非一時的コンピュータ可読媒体内の場所を有するフィールドに、記憶域を割り当てることによって達成され得る。しかしながら、任意の好適な機構が、データ要素間の関係を確立するポインタ、タグ、又は他の機構の使用を介することを含む、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立するために使用され得る。
【0097】
様々な発明概念が、1つ以上の方法として具体化され得、その例が提供されている。方法の一部として実施される動作は、任意の好適な様式で順序付けられ得る。したがって、例解的な実施形態では順次行為として示されているが、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る、例解されるものと異なる順序で行為が実行される実施形態が構築され得る。
【0098】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明確に反すると示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。本明細書の明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ(at least one)」という句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであり、要素のリスト内に具体的にリストされている各要素及び全ての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものでもない。これにより、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素は、具体的に識別されるこれらの要素に関連するか関連しないかにかかわらず、任意選択的に存在することを可能にする。
【0099】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される「及び/又は(and/or)」という句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれか一方又は両方(either or both)」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を用いてリストされた複数の要素は、同じ形式で解釈する必要があり、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上(one or more)」である。「及び/又は」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素は、具体的に識別されるこれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択的に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を指す、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を指す、更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指す、などである。
【0100】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「又は」又は「及び/又は」は包括的であると解釈されるものとする。すなわち、複数の要素又は要素のリストうちの少なくとも1つだけでなく複数を含むものと解釈され、任意選択的に、追加のリストされていない項目も含むものと解釈されるものとする。「のうちの1つのみ(only one of)」又は「のうちの正確に1つ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲で使用される場合、「からなる(consisting of)」など、反対に明確に示される用語のみが、複数の要素又は要素のリストうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、「いずれか(either)」、「のうちの1つ(one of)」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」などの排他的な用語が続く場合、排他的選択(すなわち、「一方又は他方であるが両方ではない(one or the other but not both)」)を示すと解釈されるべきである。「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0101】
特許請求の範囲において、特許請求項の要素を修飾ための「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、ある特許請求項の要素の別の特許請求項の要素に対するいかなる優先順位、先行順、又は順序、若しくは、ある方法の動作が実施される時間的順序を暗示するものではない。そのような用語は、特定の名称を有する1つの特許請求項の要素を、同じ名称(序数用語の使用がない場合)を有する別の要素から区別するための標識としてのみ使用される。
【0102】
本明細書で使用される語法及び専門用語は、説明目的のためであり、限定とみなされるべきではない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、及びそれらの変形の使用は、その後にリストされる項目及び追加の項目を包含することを意味する。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたが、当業者には、様々な修正及び改善が容易に生じるであろう。そのような修正及び改善は、本発明の趣旨及び範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明は単なる例示にすぎず、限定を意図するものではない。
【0104】
以下の態様が挙げられるがそれらに限定されない、様々な態様が、本開示に記載されている。
態様1.コンピュータ化された方法であって、薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、薬剤送達デバイスによって生成された注射イベントに関連付けられた注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信することであって、薬剤送達デバイスは、(a)薬剤を保持するように構成されたリザーバと、(b)薬剤の注射を開始するための作動ボタンと、(c)無線通信インターフェースと通信する処理回路と、を備える、受信することと、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、検証データを判定することと、検証データに基づいて、以下のアクション:(i)注射イベント情報を投薬ログに含めること、(ii)アドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促すこと、又は(iii)アドバタイジングパケットを無視すること、のうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することと、を含む、コンピュータ化された方法。
態様2.アドバタイジングパケットを受信することは、Bluetooth低エネルギー(BLE)アドバタイジングパケットを受信することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様3.薬剤送達デバイスは、皮膚接触を検出するための1つ以上の皮膚接触センサと、感知された加速度を表す信号を出力するように構成された加速度計と、を更に備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ化された方法。
態様4.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、アドバタイジングパケットの受信時間に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様5.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、注射イベントの時間が少なくとも1つの指定された時間の指定された範囲内にあるかどうかを判定することと、注射イベントの時間が少なくとも1つの指定された時間の指定された範囲内にあると判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項4に記載のコンピュータ化された方法。
態様6.少なくとも1つの指定された時間は、ユーザに関連付けられた過去の注射時間に基づいて、自動的に判定される、請求項5に記載のコンピュータ化された方法。
態様7.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、注射イベントの時間とアドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様8.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、注射イベントの時間とアドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間が閾値未満であるかどうかを判定することと、注射イベントの時間とアドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間が閾値未満であると判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項7に記載のコンピュータ化された方法。
態様9.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスの場所に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様10.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、場所が少なくとも1つの指定された場所の指定された距離内にあるかどうかを判定することと、場所が少なくとも1つの指定された場所の指定された距離内にあると判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項9に記載のコンピュータ化された方法。
態様11.少なくとも1つの指定された場所は、ユーザに関連付けられた過去の注射場所に基づいて、自動的に判定される、請求項10に記載のコンピュータ化された方法。
態様12.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、アドバタイジングパケットに関連付けられた無線周波数(RF)信号の強度に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様13.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、RF信号の強度を指定された閾値と比較することと、RF信号の強度が指定された閾値を超えると判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項12に記載のコンピュータ化された方法。
態様14.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、薬剤送達デバイスとアドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスとの間の距離に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様15.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、距離を指定された閾値と比較することと、距離が指定された閾値未満であると判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項14に記載のコンピュータ化された方法。
態様16.アドバタイジングパケットは、一意の薬剤送達デバイス識別子を含み、アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、一意の薬剤送達デバイス識別子を遠隔データベースに送信することと、送信に応答して、遠隔データベースが、一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかの指標を受信することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様17.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、受信された指標に基づいて、遠隔データベースが、一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかを判定することと、遠隔データベースが記録を有しないと判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
態様18.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を示すデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様19.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子が、医療提供者によって薬剤送達デバイスの予想されるユーザに一意に関連付けられ、された指定された識別子と同一であるかどうかを判定することと、識別子が指定された識別子と同一であると判定すると、注射イベント情報を規定投薬ログに含めることと、を含む、請求項18に記載のコンピュータ化された方法。
態様20.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、少なくとも1つのプロセッサによって受信された追加のアドバタイジングパケットに関係するデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様21.アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、追加のアドバタイジングパケットが薬剤送達デバイスとは異なる第2の薬剤送達デバイスから受信されたかどうかを判定することと、追加のアドバタイジングパケットが第2の薬剤送達デバイスから受信されなかったと判定すると、注射イベント情報を投薬ログに含めることと、を含む、請求項20に記載のコンピュータ化された方法。
態様22.アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析することは、(a)アドバタイジングパケットの受信時間に関連付けられたデータ、(b)注射イベントの時間とアドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間に関連付けられたデータ、(c)アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスの場所に関連付けられたデータ、(d)アドバタイジングパケットに関連付けられた無線周波数(RF)信号の強度に関連付けられたデータ、(e)薬剤送達デバイスとコンピューティングデバイスとの間の距離に関連付けられたデータ、(f)遠隔データベースが、一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかを示すデータ、(g)薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を示すデータ、及び(h)追加のアドバタイジングパケットに関連するデータ、のうちの2つ以上を分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
態様23.アドバタイジングパケットを受信した後に、スキャン応答を発行することを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
態様24.スキャン応答は、薬剤送達デバイスをオフにするように構成されている、請求項1~23のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
態様25.追加情報をユーザに促すことは、注射イベント情報を投薬ログに含めるべきかどうかを確認することをユーザに促すことを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
態様26.(i)注射イベント情報を投薬ログに含めるかどうか、(ii)ユーザに追加情報を促すかどうか、又は(iii)アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定することは、本質的に、(i)、(ii)、及び(iii)のうちの2つのみを実施することの間で選択することからなる、請求項1~25のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
態様27.注射イベント情報は、注射イベントの日付及び/又は時間を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のコンピュータ化された方法。
態様28.命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、コンピューティングデバイス上の1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、1つ以上のプロセッサに、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実行させるように動作可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
態様29.命令を記憶するメモリと、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実施するために、命令を実行するように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ化された方法であって
薬剤送達デバイスの無線通信インターフェースから、前記薬剤送達デバイスによって生成された注射イベントに関連付けられた注射イベント情報を含むアドバタイジングパケットを受信することであって、前記薬剤送達デバイスは、(a)薬剤を保持するように構成されたリザーバと、(b)前記薬剤の注射を開始するための作動ボタンと、(c)前記無線通信インターフェースと通信する処理回路と、を備える、受信することと、
前記アドバタイジングパケットに関連付けられたコンテキストデータを分析して、検証データを判定することと、
前記検証データに基づいて、以下のアクション:(i)前記注射イベント情報を投薬ログに含めること、(ii)前記アドバタイジングパケットに関する追加情報をユーザに促すこと、又は(iii)前記アドバタイジングパケットを無視すること、のうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することと、を含む、コンピュータ化された方法。
【請求項2】
前記アドバタイジングパケットを受信することは、Bluetooth低エネルギー(BLE)アドバタイジングパケットを受信することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項3】
前記薬剤送達デバイスは、
皮膚接触を検出するための1つ以上の皮膚接触センサと、
感知された加速度を表す信号を出力するように構成された加速度計と、を更に備える、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項4】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記アドバタイジングパケットの受信時間に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項5】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記注射イベントの時間が少なくとも1つの指定された時間の指定された範囲内にあるかどうかを判定することと、
前記注射イベントの前記時間が前記少なくとも1つの指定された時間の前記指定された範囲内にあると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項4に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの指定された時間は、前記ユーザに関連付けられた過去の注射時間に基づいて、自動的に判定される、請求項5に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項7】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記注射イベントの時間と前記アドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項8】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記注射イベントの前記時間と前記アドバタイジングパケットの前記受信時間との間の前記時間期間が閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記注射イベントの前記時間と前記アドバタイジングパケットの前記受信時間との間の前記時間期間が前記閾値未満であると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項7に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項9】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスの場所に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項10】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記場所が少なくとも1つの指定された場所の指定された距離内にあるかどうかを判定することと、
前記場所が前記少なくとも1つの指定された場所の前記指定された距離内にあると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項9に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの指定された場所は、前記ユーザに関連付けられた過去の注射場所に基づいて、自動的に判定される、請求項10に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項12】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記アドバタイジングパケットに関連付けられた無線周波数(RF)信号の強度に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項13】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記RF信号の前記強度を指定された閾値と比較することと、
前記RF信号の前記強度が前記指定された閾値を超えると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項12に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項14】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記薬剤送達デバイスと前記アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスとの間の距離に関連付けられたデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項15】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記距離を指定された閾値と比較することと、
前記距離が前記指定された閾値未満であると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項14に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項16】
前記アドバタイジングパケットは、一意の薬剤送達デバイス識別子を含み、
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、
前記一意の薬剤送達デバイス識別子を遠隔データベースに送信することと、
前記送信に応答して、前記遠隔データベースが、前記一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかの指標を受信することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項17】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記受信された指標に基づいて、前記遠隔データベースが、前記一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの前記記録を有するかどうかを判定することと、
前記遠隔データベースが前記記録を有しないと判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項18】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、前記薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を示すデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項19】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記薬剤送達デバイスに関連付けられた前記識別子が、医療提供者によって前記薬剤送達デバイスの予想されるユーザに一意に関連付けられ、規定された指定された識別子と同一であるかどうかを判定することと、
前記識別子が前記指定された識別子と同一であると判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項18に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項20】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、少なくとも1つのプロセッサによって受信された追加のアドバタイジングパケットに関係するデータを分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項21】
前記アクションのうちの任意の2つ又は3つを実施することの間で選択することは、
前記追加のアドバタイジングパケットが前記薬剤送達デバイスとは異なる第2の薬剤送達デバイスから受信されたかどうかを判定することと、
前記追加のアドバタイジングパケットが前記第2の薬剤送達デバイスから受信されなかったと判定すると、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めることと、を含む、請求項20に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項22】
前記アドバタイジングパケットに関連付けられた前記コンテキストデータを分析することは、(a)前記アドバタイジングパケットの受信時間に関連付けられたデータ、(b)前記注射イベントの時間と前記アドバタイジングパケットの受信時間との間の時間期間に関連付けられたデータ、(c)前記アドバタイジングパケットを受信したコンピューティングデバイスの場所に関連付けられたデータ、(d)前記アドバタイジングパケットに関連付けられた無線周波数(RF)信号の強度に関連付けられたデータ、(e)前記薬剤送達デバイスと前記コンピューティングデバイスとの間の距離に関連付けられたデータ、(f)遠隔データベースが、一意の薬剤送達デバイス識別子を含むアドバタイジングパケットを受信する別のコンピューティングデバイスの記録を有するかどうかを示すデータ、(g)前記薬剤送達デバイスに関連付けられた識別子を示すデータ、及び(h)追加のアドバタイジングパケットに関連するデータ、のうちの2つ以上を分析することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項23】
前記アドバタイジングパケットを受信した後に、スキャン応答を発行することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項24】
前記スキャン応答は、前記薬剤送達デバイスをオフにするように構成されている、請求項23に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項25】
前記追加情報を前記ユーザに促すことは、前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めるべきかどうかを確認することを前記ユーザに促すことを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項26】
(i)前記注射イベント情報を前記投薬ログに含めるかどうか、(ii)前記ユーザに前記追加情報を促すかどうか、又は(iii)前記アドバタイジングパケットを無視するかどうかを判定することは、本質的に、(i)、(ii)、及び(iii)のうちの2つのみを実施することの間で選択することからなる、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項27】
前記注射イベント情報は、前記注射イベントの日付及び/又は時間を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項28】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、コンピューティングデバイス上の1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実行させるように動作可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
命令を記憶するメモリと、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実施するために、前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【国際調査報告】