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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240730BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P35/00
G01N33/53 D
G01N33/531 A
C12N15/13
C12P21/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505497
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 CN2022137233
(87)【国際公開番号】W WO2023124857
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111629693.7
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523346629
【氏名又は名称】ヘーフェイ ティージー イミュノファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ジーガン
(72)【発明者】
【氏名】カオ グオシュアイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェイファ
(72)【発明者】
【氏名】スン ルイ
(72)【発明者】
【氏名】スン ハオユー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064CA10
4B064CA20
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA91X
4B065AB02
4B065AC14
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC02
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は抗体及びその使用を提供し、該抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:1~3、及び軽鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:4~6の中から選ばれた少なくとも1つのCDR配列を含む。本発明によって製造される抗体はMICAまたはMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、MICA及び/又はMICBを媒介した関連疾患を効果的に治療または予防することができ、例えばNK細胞による腫瘍の殺傷を促進する。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体または抗原結合断片であって、
重鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:1~3、
軽鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:4~6のうちから選ばれた少なくとも1つのCDR配列を含む、ことを特徴とする抗体または抗原結合断片。
【請求項2】
SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、及び
SEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項3】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、
(i)前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%相同性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は、(ii)前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%相同性を有するアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項4】
前記重鎖可変領域は、(i)から選ばれる重鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、(ii)から選ばれる軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項5】
前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項3または4に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項6】
重鎖と軽鎖を含み、前記重鎖はSEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖はSEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体はモノクローナル抗体、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト由来抗体、Fv、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’、Fab’-SHまたはF(ab’)である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体またはその抗原結合断片はSEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列の中の少なくとも一部と結合できる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
免疫複合体であって、治療薬及び請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片を含み、前記抗体または抗原結合断片は治療薬にカップリングされる、ことを特徴とする免疫複合体。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は請求項9に記載の免疫複合体を含む、ことを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片を含む、ことを特徴とするMICA及び/又はMICBを検出するためのキット。
【請求項12】
MICA及び/又はMICBを検出するためのキットの製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は請求項9に記載の免疫複合体及び/又は請求項10に記載の組成物を含む、ことを特徴とする薬物。
【請求項14】
MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療するための薬物の製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は請求項9に記載の免疫複合体及び/又は請求項10に記載の組成物の使用であって、
任意選択に、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、使用。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片をコードする配列を含む核酸であって、
任意選択に、前記核酸はSEQ ID NO:12、13で示されるヌクレオチド配列を有する、ことを特徴とする核酸。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸を含む、ことを特徴とする組換えベクターまたは形質転換体。
【請求項17】
請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の発現ベクターまたは形質転換体を担持するか、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片を発現する、ことを特徴とする組換え細胞。
【請求項18】
MICA及び/又はMICBを媒介した疾患の治療及び/又は予防における、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、請求項9に記載の免疫複合体、請求項10に記載の組成物、請求項13に記載の薬物、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の組換えベクターまたは形質転換体または請求項17に記載の組換え細胞の使用。
【請求項19】
前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項18に記載の使用。
【請求項20】
MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を治療及び/又は予防する方法であって、
1)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、
2)請求項9に記載の免疫複合体、
3)請求項10に記載の組成物、
4)請求項13に記載の薬物、
5)請求項15に記載の核酸、
6)請求項16に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び
7)請求項17に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つを被験者に投与するステップを含む、ことを特徴とするMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を治療及び/又は予防する方法。
【請求項21】
前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを診断する方法であって、
1)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、
2)請求項15に記載の核酸、
3)請求項16に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び
4)請求項17に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つを使用して測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBを検出し、
前記MICA及び/又はMICBの検出結果に基づいて、前記測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量を判定するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量は疾患の最低基準以上であることは、測定対象であるサンプルがMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っている患者に由来する指示である、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
1)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、
2)請求項15に記載の核酸、
3)請求項16に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び
4)請求項17に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つの、被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかの診断における使用。
【請求項26】
前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項25に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオ医薬分野に属し、具体的に、抗体及びその使用に関し、より具体的に、抗体または抗原結合断片、免疫複合体、組成物、MICA及び/又はMICBを検出するためのキット、キットの製造における前記抗体または抗原結合断片の使用、薬物、薬物の製造における前記抗体または抗原結合断片及び/又は免疫複合体及び/又は組成物の使用、核酸、組換えベクターまたは形質転換体に関する。
【背景技術】
【0002】
NKG2DはNK細胞でホモ二量体を形成し、4つのDAP10分子と六量体を形成する。MICA、MICBなどのリガンドと結合した後、NKG2D六量体はNK細胞内に活性化シグナルを伝達し、NK細胞からIFN-γなどの細胞因子の分泌を促進し、リガンドを発現する標的細胞を殺傷する。MICA、MICBは自己遺伝子によってコードされるタンパク質であり、正常な組織、細胞では発現しなく、細胞が悪性転移して腫瘍細胞になると、MICA、MICBは腫瘍細胞の表面を発現する。NK細胞はNKG2D-MICA/B相互作用によって腫瘍を識別して殺傷する。
【0003】
腫瘍は、マトリックスメタロプロテアーゼを媒介したMICA/Bの剥離など、様々なメカニズムを介して細胞表面のMICA/B発現を下方制御する。MICA/BはI型膜貫通タンパク質であり、その細胞外セグメントにはα1、α2、α3の3つの構造ドメインが含まれ、α1、α2構造ドメインを介してNKG2Dと結合する。マトリックスメタロプロテアーゼの作用下で、MICA/Bの細胞外セグメントのアミノ酸の大部分(α1、α2構造ドメイン及びα3構造ドメインの一部を含む)が腫瘍細胞の表面から脱落する。NKG2Dは細胞表面に残っているα3構造ドメインの一部と結合できないため、腫瘍はNK細胞の免疫監視を逃れることができる。
【0004】
研究によると、α3構造ドメインに結合したMICA抗体は、腫瘍表面からのMICAの脱落を抑制し、さらにNKG2D-MICA/Bを媒介したNK細胞の識別を促進し、腫瘍の免疫逃逸を抑制するため、α3構造ドメインと結合できるMICA抗体の開発は腫瘍の治療に重要な価値がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、発明者が以下の事実と問題に対する発見と認識に基づいて作成されたものであり、
MICA、MICBは腫瘍細胞にしか発現しないため、MICA、MICBを標的とする特異的抗体を製造することは潜在的な腫瘍の治療手段である。発明者らは、MICA細胞外領域Fc融合タンパク質(MICA-Fc)を抗原として、マウスを免疫した後、複数回のスクリーニングにより、抗ヒトMICAとMICB免疫グロブリンを含むマウスを得て、引き続きサブクローンのスクリーニングを行い、目的の抗体を取得し、検出により、前記抗体はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと結合でき、さらに、MICA及び/又はMICBとNK細胞活化性受容体NKG2Dとの結合を促進し、NK細胞による腫瘍の殺傷を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の第1の態様では、本発明は抗体または抗原結合断片を提供する。本発明の実施例によれば、重鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:1~3、軽鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:4~6の中から選ばれた少なくとも1つのCDR配列を含む。本発明の実施例による抗体または抗原結合断片は、MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
GFSLTTYG(SEQ ID NO:1)。
IWTDGTT(SEQ ID NO:2)。
VRKGHGYYYAMDY(SEQ ID NO:3)。
SSVSSSY(SEQ ID NO:4)。
STS(SEQ ID NO:5)。
HQYHRSPFT(SEQ ID NO:6)。
【0007】
本発明の第2の態様では、本発明は免疫複合体を提供する。本発明の実施例によれば、第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片を含む。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBタンパク質のα3構造ドメインと結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0008】
本発明の第3の態様では、本発明は組成物を提供する。本発明の実施例によれば、第1の態様に記載の抗体及び/又は第2の態様に記載の免疫複合体を含む。以上のように、本発明の実施例の前記抗体または抗原結合断片、免疫複合体はいずれもMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、上記物質を含む組成物は同様な効果を有し、よりさらに、前記組成物は、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を効果的に促進でき、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0009】
本発明の第4の態様では、本発明は、MICA及び/又はMICBを検出するためのキットを提供する。本発明の実施例によれば、前記キットは、第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片を含む。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、さらに、MICA及び/又はMICBを検出するキットを製造するために使用でき、前記キットはMICA及び/又はMICBを効果的に検出することができ、前記キットは、生物学的サンプル中のMICA及び/又はMICBタンパク質分子の定性的または定量的検出などの科学研究に使用でき、要件を満たす生物学的サンプルを得て、さらなる研究を行うようにし、前記生物学的サンプルは動物組織、血液、血清、細胞などを含む。
【0010】
本発明の第5の態様では、本発明はキットの製造における第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片の使用を提供する。本発明の実施例によれば、前記キットはMICA及び/又はMICBを検出するために使用される。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、さらに、MICA及び/又はMICBを検出するキットを製造するために使用できる。
【0011】
本発明の第6の態様では、本発明は薬物を提供する。本発明の実施例によれば、第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は第2の態様に記載の免疫複合体及び/又は第3の態様に記載の組成物を含む。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片、免疫複合体、組成物にいずれもMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できる物質が存在するため、上記物質を含む薬物はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、さらにNK細胞が腫瘍細胞を殺傷するなどの作用を促進し、前記薬物はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が顕著である。
【0012】
本発明の第7の態様では、本発明は薬物の製造における第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は第2の態様に記載の免疫複合体及び/又は第3の態様に記載の組成物の使用を提供する。本発明の実施例によれば、前記薬物はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療するために使用される。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片、免疫複合体、組成物にいずれもMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できる物質が存在するため、上記物質を含む薬物はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、さらにNK細胞が腫瘍細胞を殺傷するなどの作用を促進し、前記薬物はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が顕著である。
【0013】
本発明の第8の態様では、本発明は核酸を提供する。本発明の実施例によれば、前記核酸は第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片をコードする。本発明の実施例による核酸でコードされる抗体または抗原結合断片MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、前記核酸でコードされたタンパク質はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0014】
本発明の第9の態様では、本発明は、組換えベクターまたは形質転換体を提供する。本発明の実施例によれば、第8の態様に記載の核酸を含む。前記発現ベクターは、前記核酸分子に操作可能に接続される選択可能な制御配列を含む。前記制御配列は宿主中での前記核酸分子の発現を指導できる1つまたは複数の制御配列である。本発明実施例による組換えベクターは適切な宿主細胞に前記抗体または抗原結合断片を効率よく発現することができ、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0015】
本発明の第10の態様では、本発明は組換え細胞を提供する。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は第8の態様に記載の核酸、第9の態様に記載の組換えベクターまたは形質転換体を担持し、または第1の態様に記載の抗体または抗原結合断片を発現する。前記組換え細胞は前記発現ベクターをトランスフェクションまたは形質転換することによって得られる。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は適切な条件で上記抗体を効果的に発見でき、前記抗体MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0016】
本発明の第11の態様では、本発明は、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患の治療及び/又は予防における以上のような抗体またはその抗原結合断片、免疫複合体、組成物、薬物、核酸、組換えベクターまたは形質転換体または組換え細胞の使用を提供する。以上のように、前記抗体またはその抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、さらにNK細胞が腫瘍細胞を殺傷するなどの作用を促進するため、前記抗体またはその抗原結合断片、及び適切な条件で得られた前記抗体またはその抗原結合断片を発現できる物質はいずれもMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0017】
本発明の第12の態様では、本発明は、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、1)上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、2)上記に記載の免疫複合体、3)上記に記載の組成物、4)上記に記載の薬物、5)上記に記載の核酸、6)上記に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び7)上記に記載の組換え細胞の中の少なくとも1つを被験者に投与するステップを含む。以上のように、前記抗体またはその抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、さらにNK細胞が腫瘍細胞を殺傷するなどの作用を促進し、このため、前記抗体またはその抗原結合断片、及び適切な条件で得られた前記抗体またはその抗原結合断片を発現できる物質、または前記抗体またはその抗原結合断片を含む物質はいずれもMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療することができ、本発明の実施例による方法はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0018】
本発明の第13の態様では、本発明は、被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを診断する方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、1)上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞中の少なくとも1つを使用して測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBを検出し、前記MICA及び/又はMICBの検出結果に基づいて、前記測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量を判定するステップを含む。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、MICA及び/又はMICBが複数種の疾患を媒介するため、被験者由来の生物学的サンプルに含まれる前記MICA及び/又はMICBのレベルに基づいて前記被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを判断することができる。なお、上記物質を利用して被験者の測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量を監視してもよく、即ち上記物質はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っている被験者の疾患の病期分類に使用してもよく、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患の予後評価に使用してもよい。
【0019】
本発明の第14の態様では、本発明は、被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかの診断における、1)上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞の中の少なくとも1つの使用を提供する。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、MICA及び/又はMICBが複数種の疾患を媒介するため、被験者由来の生物学的サンプルに含まれる前記MICA及び/又はMICBのレベルに基づいて前記被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを判断することができる。
【0020】
本発明の付加的な態様と利点は以下の説明から部分的に示され、部分的に以下の説明から明らかになるか、本発明の実践を通じて了解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上記及び/又は付加的な態様と利点は、以下の図面と組み合わせた実施例の説明から明らかになり、理解しやすく、その中で、
図1】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がヒトMICAに結合するELISA結果図である。
図2】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がMICAα3構造ドメインに結合するELISA結果図である。
図3】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がCHO-K1-MICAに結合する結果図である。
図4】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がCHO-K1-MICBに結合する結果図である。
図5】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がCHO-K1-Rhesus MIC1に結合する結果図である。
図6】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がCHO-K1-Rhesus MICBに結合する結果図である。
図7】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がメラノーマA375細胞に結合する結果図である。
図8】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体が肺癌NCI-H1299細胞に結合する結果図である。
図9】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がK562細胞に結合する結果図である。
図10】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体のWestern blot検出に用いる結果図である。
図11】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がNKG2D-FcのCHO-K1-MICA細胞への結合を促進する結果図である。
図12】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がNK92細胞のA375細胞への殺傷を促進する結果図である。
図13】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がMICAα3*002変異体に結合する結果図である。
図14】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がMICAα3*004変異体に結合する結果図である。
図15】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がMICAα3*005変異体に結合する結果図である。
図16】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がMICAα3*008変異体に結合する結果図である。
図17】本発明の具体的な実施形態によるMICA抗体がMICBα3*005変異体に結合する結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例は図面に示される。以下、図面を参照して説明する実施例は例示であり、本発明を解釈するために使用され、本発明を制限するためのものとして理解することができない。
【0023】
なお、「第1の」、「第2の」といった用語は目的を説明するためのものにすぎず、相対的に重要性を示す若しくは暗に示す、または技術的特徴を明示する数を暗に示すとみなすことはできない。したがって、「第1の」、「第2の」と限定している特徴は1つまたは複数の該特徴を含むことを明示するまたは暗に示すことができ、本発明の説明において、特に明確かつ具体的に限定している場合を除き、「複数」の概念は少なくとも2つ、例えば2つまたは3つである。
【0024】
本明細書で開示された範囲の終点と任意の値は該正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲または値は、これらの範囲または値に近い値を含むと理解されるべきである。数値範囲について、各範囲の終点値間、各範囲の終点値と個々の点値間、及び個々の点値間は互いに組み合わせて1つまたは複数の新しい数値範囲が得られ、これらの数値範囲は本明細書で具体的に開示されると見なされるべきである。
【0025】
本発明の理解を容易にするために、以下にいくつかの技術用語と科学用語を具体的に定義する。本明細書において明示的に定義されている場合を除き、本明細書で使用される他のすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味を有する。アミノ酸残基の略語は、当分野で使用されている20個の一般的なL-アミノ酸の1つを指す標準的な3文字及び/又は1文字コードである。
【0026】
本明細書では、可変領域の一部の領域のアミノ酸組成と配列順序がより高い変化の程度を持っており、高変領域(Hypervariable region、HVR)と呼ばれ、高変領域は抗原と抗体が結合する位置であるため、相補性決定領域(complementarity-determining region、CDR)とも呼ばれる。重鎖可変領域と軽鎖可変領域にいずれも3つのCDR領域がある。
【0027】
本明細書では、「抗体」は、以上のように、本発明の抗体は全長(例えば、IgG1またはIgG4抗体)であるか、抗原結合部分(例えば、Fab、F(ab’)2またはscFv断片)のみを含むか、機能に影響を与えるように修飾されてもよい。本発明は修飾されたグリコシル化モードを有する抗MICA抗体を含む。一部の使用では、望ましくないグリコシル化部位を除去するように修飾することは有用であるか、またはオリゴ糖鎖にフコシャリド部分が存在しなく、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)機能を高める抗体である。他の一部の使用では、ガラクトシダーゼ修飾を行い、補体依存性細胞傷害性(CDC)を変化することができる。
【0028】
本明細書に使用される「抗原結合断片」という用語は、特にFv、scFv(scは一本鎖を指す)、Fab、F(ab’)2、Fab’の抗体の一部の断片、scFv-Fc断片または二重抗体(diabody)、または化学修飾により、またはリポソームに組み込むことにより半減期を増加させることができる任意の断片を指し、前記化学修飾は、例えばポリエチレングリコール(「ポリエチレングリコール化、PEG化」)(Fv-PEG、scFv-PEG、Fab-PEG、F(ab’)2-PEGまたはFab’-PEGのポリエチレングリコール化断片と呼ばれる)(「PEG」はポリエチレングリコールである)などのポリ(アルキレン)グリコールを添加することを指し、前記断片はMICA及び/又はMICB結合活性を有する。好ましくは、前記抗原結合断片は、由来抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域の部分配列により軽、重鎖可変領域の部分配列を構成するかまたは含有し、前記部分配列は由来抗体と同じ結合特異性と十分な親和力を保持するのに十分であり、及び/又はMICBに対して、好ましくは、少なくともその由来抗体の親和力の1/100であり、より好ましい形態では、少なくとも1/10である。このような抗原結合断片は少なくとも5個のアミノ酸を含み、好ましくその由来する抗体配列の10、15、25、50及び100個の連続的なアミノ酸を含む。
【0029】
本明細書では、抗体の生体受容性をさらに高めるために、抗体をヒト化することもでき、即ち、前記抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体である。「キメラ抗体」という用語は、組換えDNA技術を利用し、ある種(例えばマウス)からのモノクローナル抗体の定常領域アミノ酸配列を他の種(例えば人)からの抗体の定常領域に置き換えた組換え抗体を指す。「ヒト化抗体」という用語は、組換えDNA技術を利用し、ある種(例えばマウス)からのモノクローナル抗体の定常領域と可変領域の非CDR(Fv骨格領域(FR))アミノ酸配列をすべて他の種(例えば人)からの抗体の定常領域と可変領域の非CDRアミノ酸配列に置き換えた組換え抗体を指す。即ち、1つの抗体の定常領域がヒト化されたときキメラ抗体と呼ばれ、定常領域と可変領域の非CDRアミノ酸配列がすべてヒト化されたときヒト化抗体と呼ばれる。ヒト化の方法は通常の抗体工学技術を参照して行うことができるが、ここで説明を省略する。
【0030】
相同性は、本発明において、2つ以上のヌクレオチド配列を比較するために、[第1の配列中の対応する位置のヌクレオチドと同じヌクレオチドの数を除算]することにより第1の配列と第2の配列との間の「配列相同性」の割合を算出することができる。第2の配列中のヌクレオチドから[1番目の配列中のヌクレオチドの総数]を引いて、次に[100%]をかけ、2番目のヌクレオチド配列中の各ヌクレオチドの欠損、挿入、置換または添加は第1のヌクレオチド配列に対して単一のヌクレオチド(位置)上の違いであると考える。
【0031】
または、標準的な設定を使用し、配列比較に使用される既知のコンピュータアルゴリズム、例えばNCBI Blast v2.0を使用し、2つまたは複数のヌクレオチド配列間の配列の同一性程度を計算する。
【0032】
配列の同一性程度を決定するためのいくつかの他の技術、コンピュータアルゴリズム及び設定は、例えばWO04/037999、EP0967284、EP1085089、WO00/55318、WO00/78972、WO98/49185及びGB2357768-Aに記載される。
【0033】
ポリペプチドについて、「(実質)相同性」という用語は、2つのポリペプチドまたはその指定配列が最適な照合及び比較(ここで、ヌクレオチドの適切な挿入または欠損)の時点で少なくとも約80%のアミノ酸、通常、少なくとも約90%~95%、且つより好ましく少なくとも約98%~99.5%のアミノ酸は同様である。
【0034】
2つの配列間の相同性%は最適な照合配列の場合、これらの配列が共有する同じ位置の数によって変化(即ち相同性%=同じ位置数/合計位置数×100)し、最適な照合系は、2つの配列の最適な照合を達成するために導入する必要がある空の桁数及び各空の桁の長さを考慮して決定される。2つの配列の間の配列比較及び同一性の百分率の測定は、以下の非制限的な実施例で説明するように、数学アルゴリズムを使用して完成することができる。
【0035】
抗体活性(少なくとも95%の活性を保つ)に実質的に影響を及ぼすことなく、当業者は、本発明の配列を1つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個以上)のアミノ酸に置き換え、添加及び/又は欠損させ、前記抗体またはその機能性断片の配列の変異体を取得することができる。それらは本発明が保護する範囲内に含まれると考えられる。可変領域で同様の性質を持つアミノ酸を置き換える。本発明に記載の変異体の配列は参照配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の一致性(または相同性)を有することができる。本発明に記載の配列の一致性は配列解析ソフトウェアを使用して測定することができる。例えばデフォルトのパラメータを使用するコンピュータプログラムBLAST、特にBLASTPまたはTBLASTNである。本発明で言及されたアミノ酸配列はいずれもN端からC端まで示される。
【0036】
本明細書では、「保存的修飾形態のアミノ酸配列」は、該アミノ酸配列を含む抗体の結合特性に著しく影響を与えたり、変化したりしないアミノ酸修飾を指し、該修飾はアミノ酸の置き換え、増加及び欠損を含む。修飾は、例えば定点変異誘導やPCRを媒介した変異誘導などの標準技術によって本発明の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、その中のアミノ酸残基が類似の側鎖を持つアミノ酸残基で切り替えられる置き換えである。本分野では、類似の側鎖を持つアミノ酸残基ファミリーを決定した。これらのファミリーは塩基性側鎖を持つアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を持つアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、帯電していない極性側鎖を持つアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を持つアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β-分岐側鎖を持つアミノ酸(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香側鎖を持つアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。このため、本発明の抗体のCDR領域における1つまたは複数のアミノ酸残基は同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で代替されることができ、且つ、ここで説明する機能測定方法を用いて変化された抗体の保持機能をテストする。保存的修飾は、数の上で1つまたは2つ以下であることが好ましい。
【0037】
本明細書では、「操作可能に接続」とは、外来遺伝子をベクターに接続することで、ベクター内の制御素子、例えば転写制御配列や翻訳制御配列などは、その期待される外来遺伝子の転写と翻訳を調節する機能を発揮することができることを意味する。
【0038】
本発明の一態様では、本発明は抗体または抗原結合断片を提供し、重鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:1~3またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列、軽鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:4~6またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列の中から選ばれた少なくとも1つのCDR配列を含む。SEQ ID NO:1~6で示されるいずれかのアミノ酸配列に保存的修飾された後に、該アミノ酸配列を含む抗体または抗原結合断片の結合特性に大きく影響を与え、変化しないため、本発明の実施例によるSEQ ID NO:1~6の中の少なくとも1つ及び/又はSEQ ID NO:1~6で示されるアミノ酸配列に保存的修飾された後に得られたアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体または抗原結合断片は、MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、MICA及び/又はMICBを媒介した関連疾患を効果的に治療または予防することができ、例えばNK細胞による腫瘍の殺傷を促進する。
GFSLTTYG(SEQ ID NO:1)。
IWTDGTT(SEQ ID NO:2)。
VRKGHGYYYAMDY(SEQ ID NO:3)。
SSVSSSY(SEQ ID NO:4)。
STS(SEQ ID NO:5)。
HQYHRSPFT(SEQ ID NO:6)。
【0039】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、上記抗体または抗原結合断片は以下のような付加的な技術的特徴の少なくとも1つを含むことができる。
【0040】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、SEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む。
【0041】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記重鎖可変領域CDRをコードする遺伝子はSEQ ID NO:15~17で示されるヌクレオチド配列の中の少なくとも1つを有する。
GGGTTTTCACTGACAACTTACGGC(SEQ ID NO:15)。
ATTTGGACTGATGGGACCACA(SEQ ID NO:16)。
GTGCGGAAGGGCCATGGGTACTACTATGCCATGGATTAT(SEQ ID NO:17)。
【0042】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記軽鎖可変領域CDRをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:18~20で示されるヌクレオチド配列の中の少なくとも1つを有する。
AGCAGCGTGTCCAGCTCCTAC(SEQ ID NO:18)。
TCCACCTCC(SEQ ID NO:19)。
CATCAGTATCATAGGTCCCCTTTCACT(SEQ ID NO:20)。
【0043】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、ここで、(i)前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%相同性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は、(ii)前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%相同性を有するアミノ酸配列を含む。
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCIVSGFSLTTYGVHWVRQSPGKGLEWLGMIWTDGTTDYNAAFISRLSINKDNSKSQVFLKMNSLQADDTGIYYCVRKGHGYYYAMDYWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:7)。
QILLTQSPAILSASLGERVTMTCTASSSVSSSYLHWYQQKPGSSPKLWIYSTSNLASGVPARFSGGGSGTSYSLTVSNMEAEDAATYYCHQYHRSPFTFGSGTKLEIK(SEQ ID NO:8)。
【0044】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記重鎖可変領域をコードする遺伝子はSEQ ID NO:21で示されるヌクレオチド配列を有する。
CAGGTGCAGTTGAAACAGTCTGGTCCTGGGCTTGTACAGCCATCTCAGTCTCTGTCTATTACCTGTATTGTGTCCGGGTTTTCACTGACAACTTACGGCGTGCACTGGGTTAGGCAGTCTCCAGGTAAGGGCTTGGAGTGGCTTGGCATGATTTGGACTGATGGGACCACAGACTACAACGCTGCTTTCATCAGTCGCCTGTCCATCAATAAGGACAACTCTAAAAGCCAGGTATTTCTGAAGATGAACAGCTTGCAAGCTGACGACACCGGAATTTACTACTGCGTGCGGAAGGGCCATGGGTACTACTATGCCATGGATTATTGGGGTCAGGGCACCAGCGTCACAGTATCCTCT(SEQ ID NO:21)。
【0045】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記軽鎖可変領域をコードする遺伝子はSEQ ID NO:22で示されるヌクレオチド配列を有する。
CAGATCCTGTTGACCCAAAGTCCAGCTATTCTTTCAGCCTCTTTGGGCGAACGTGTGACTATGACCTGCACTGCTTCCAGCAGCGTGTCCAGCTCCTACTTGCACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGTTCATCCCCTAAGCTGTGGATCTATTCCACCTCCAACCTCGCTTCAGGAGTGCCTGCCAGATTTTCCGGAGGCGGAAGTGGCACTTCCTACTCACTTACAGTCAGCAACATGGAGGCAGAGGACGCAGCTACCTACTACTGCCATCAGTATCATAGGTCCCCTTTCACTTTCGGGTCCGGTACCAAGCTCGAGATCAAA(SEQ ID NO:22)。
【0046】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記重鎖可変領域は(i)から選ばれる重鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は(ii)から選ばれる軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0047】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、Fc領域をさらに含み、前記Fc領域の少なくとも一部はマウス由来抗体、ヒト由来抗体、霊長目由来抗体またはその突然変異体の少なくとも1つに由来する。
【0048】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はマウス由来、ヒト由来、霊長目由来IgG抗体またはその突然変異体に由来する。
【0049】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はマウス由来IgG2a抗体、ヒト由来、霊長目由来IgG1抗体またはその突然変異体に由来する。
【0050】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域の少なくとも一部はマウス由来IgG2a抗体またはその突然変異体に由来する。
【0051】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記Fc領域はSEQ ID NO:14で示されるアミノ酸配列を有する。
AKTTAPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGK(SEQ ID NO:14)。
【0052】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記抗体または抗原結合断片は重鎖と軽鎖を含み、前記重鎖はSEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖はSEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列を含む。
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCIVSGFSLTTYGVHWVRQSPGKGLEWLGMIWTDGTTDYNAAFISRLSINKDNSKSQVFLKMNSLQADDTGIYYCVRKGHGYYYAMDYWGQGTSVTVSSAKTTAPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGK(SEQ ID NO:9)。
QILLTQSPAILSASLGERVTMTCTASSSVSSSYLHWYQQKPGSSPKLWIYSTSNLASGVPARFSGGGSGTSYSLTVSNMEAEDAATYYCHQYHRSPFTFGSGTKLEIKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(SEQ ID NO:10)。
【0053】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記抗体または抗原結合断片はIgG1、IgG2またはIgG4である。
【0054】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記抗体はモノクローナル抗体、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、人抗体、Fv、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’、Fab’-SHまたはF(ab’)である。
【0055】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記抗体またはその抗原結合断片はSEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列に結合できる。
MGLGPVFLLLAGIFPFAPPGAAAEPHSLRYNLTVLSWDGSVQSGFLTEVHLDGQPFLRCDRQKCRAKPQGQWAEDVLGNKTWDRETRDLTGNGKDLRMTLAHIKDQKEGLHSLQEIRVCEIHEDNSTRSSQHFYYDGELFLSQNLETKEWTMPQSSRAQTLAMNVRNFLKEDAMKTKTHYHAMHADCLQELRRYLKSGVVLRRTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWQTFHVSAVAAAAIFVIIIFYVRCCKKKTSAAEGPELVSLQVLDQHPVGTSDHRDATQLGFQPLMSDLGSTGSTEGA(SEQ ID NO:11)。
【0056】
本発明の他の態様では、本発明は、治療薬及び上記抗体または抗原結合断片を含む免疫複合体を提供し、前記抗体または抗原結合断片は前記治療薬にカップリングされる。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBタンパク質のα3構造ドメインと結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好であり、前記抗体または抗原結合断片が治療薬にカップリングした後に得られた免疫複合体は同様に上記機能を有する。
【0057】
本発明の更なる態様では、本発明は、上記に記載の抗体またはその抗原結合断片及び/又は上記に記載の免疫複合体を含む組成物を提供する。以上のように、本発明の実施例の前記抗体または抗原結合断片、免疫複合体はいずれもMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、食品組成物または薬物組成物などの上記物質を含む組成物は同様な効果を有し、よりさらに、前記組成物は、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を効果的に促進でき、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0058】
本発明の具体的な実施例によれば、前記組成物は薬学的に許容できるベクターをさらに含む。
【0059】
注意すべき点として、前記組成物は、本発明の目的を達成するために共同で機能する限り、時間及び/又は空間的に分離された組み合わせを含む。例えば、前記組成物に含まれる成分は、全体として被験者に投与してもよいし、別々に被験者に投与してもよい。前記組成物に含まれる成分は別々に被験者に投与される場合、各成分は同時にまたは順次被験者に投与されてもよい。
【0060】
本発明の一態様では、本発明はMICA及び/又はMICBを検出するためのキットを提供し、前記キットは上記に記載の抗体または抗原結合断片を含む。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、さらに、MICA及び/又はMICBを検出するキットを製造するために使用でき、前記キットはMICA及び/又はMICBを効果的に検出することができ、前記キットは、生物学的サンプル中のMICA及び/又はMICBタンパク質分子の定性的または定量的検出などの科学研究に使用でき、より具体的に、ウェスタンブロッティング、免疫沈降などのMICA及び/又はMICBタンパク質とその抗体特異的結合性能を利用して検出するキットなどに使用できる。これらのキットは、拮抗薬、MICA及び/又はMICB抗体または薬物参照材料、タンパク質精製カラム、免疫グロブリン親和精製緩衝剤、細胞の測定希釈剤の中のいずれか1種または複数種を含むことができる。MICA及び/又はMICB抗体は異なるタイプの診断テストに使用でき、例えば体外または体内で様々な疾患または薬物、毒素またはその他のタンパク質などの存在を検出することができる。例えば被験者の血清または血液を検出することによって、MICA及び/又はMICB関連疾患をテストすることができる。
【0061】
本発明の他の態様では、本発明はキットの製造における上記に記載の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供し、前記キットはMICA及び/又はMICBを検出するために使用される。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できるため、前記抗体はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、さらに、MICA及び/又はMICBを検出するキットを製造するために使用でき、前記キットはMICA及び/又はMICBを効果的に検出することができ、前記キットは、生物学的サンプル中のMICA及び/又はMICBタンパク質分子の定性的または定量的検出などの科学研究に使用でき、より具体的には、ウェスタンブロッティング、免疫沈降などのMICA及び/又はMICBタンパク質とその抗体特異的結合性能を利用して検出するキットなどに使用できる。これらのキットは、拮抗薬、MICA及び/又はMICB抗体または薬物参照材料、タンパク質精製カラム、免疫グロブリン親和精製緩衝剤、細胞の測定希釈剤の中のいずれか1種または複数種を含むことができる。MICA及び/又はMICB抗体又は抗原断片は異なるタイプの診断テストに使用でき、例えば体外または体内で様々な疾患または薬物、毒素またはその他のタンパク質などの存在を検出することができる。例えば被験者の血清または血液を検出することによって、MICA及び/又はMICB関連疾患をテストすることができる。
【0062】
本発明の更なる態様では、本発明は上記に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は上記に記載の複合体及び/又は上記に記載の組成物を含む薬物を提供し、前記薬物はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療するために使用される。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片、免疫複合体、組成物にいずれもMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合できる物質が存在するため、上記物質を含む薬物はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、前記薬物はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が顕著である。
【0063】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、上記薬物は以下の付加的な技術的特徴の少なくとも1つを含んでもよい。
【0064】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患である。
【0065】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌の中の少なくとも1つである。
【0066】
本発明のいくつかの具体的な実施例によれば、薬学的に許容できるベクターと有効量の前記抗体活性成分を含む。
【0067】
本明細書に使用されるように、用語「有効量」または「有効投与量」とは、人及び/又は動物に機能または活性をもたらすことができ、且つ人及び/又は動物に許容される量を指す。
【0068】
本明細書に使用されるように、「薬学的に許容できる」成分は、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激およびアレルギー)がなく、人及び/又は哺乳動物に適した物質、即ち合理的な利益/リスク比を有する物質である。「薬学的に許容できるベクター」という用語は、各種の賦形剤と希釈剤を含む治療薬の投与に用いられるベクターを指す。
【0069】
本発明の薬物は安全で有効な量の本発明の活性成分及び薬学的に許容できるベクターを含む。このようなベクターは、食塩水、緩衝液、グルコース、水、グリセリン、エタノール、及びその組み合わせを含む(これらに制限されない)。通常、薬物製剤は投与方式に合わせるべきであり、本発明の薬物の剤形は注射剤、経口製剤(錠剤、カプセル、経口液)、経皮剤、徐放剤である。例えば生理食塩水またはグルコースや他の補助剤を含む水溶液は通常の方法によって製造することができる。前記薬物は無菌条件下で製造することができることが望ましい。
【0070】
本発明に記載の活性成分の有効量は投与のパターンや治療対象である疾患の重症度などによって変化する。好ましい有効量の選択は、当業者が様々な要因に基づいて決定することができる(例えば臨床試験に合格する)。前記要因は、例えば、バイオアベイラビリティ、代謝、半減期などの前記の活性成分の薬物動態パラメータ、患者が治療する疾患の重症度、患者の体重、患者の免疫状况、投与経路などを含むが、これらに限定されない。例えば、治療状況の切実な要求により、1日に何回も別々の投与量を与えたり、それに比例して投与量を減らしたりすることができる。
【0071】
本発明に記載の薬学的に許容できるベクターは、水、食塩水、リポソーム、脂質、タンパク質、タンパク質-抗体複合体、ペプチド類物質、セルロース、ナノゲル、またはその組み合わせを含むが(これらに限定されない)。ベクターの選択は投与方式に合わせるべきであり、これらは当業者が既知のものである。
【0072】
本発明の一態様では、本発明は、上記に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする配列を含む核酸を提供する。本発明の実施例による核酸でコードされる抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、前記核酸でコードされるタンパク質はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0073】
本発明の具体的な実施例によれば、前記核酸はSEQ ID NO:12、13で示されるヌクレオチド配列を有する。
【0074】
前記抗体または抗原結合断片をコードする重鎖の遺伝子は以下で示されるヌクレオチド配列を有する。
CAGGTGCAGTTGAAACAGTCTGGTCCTGGGCTTGTACAGCCATCTCAGTCTCTGTCTATTACCTGTATTGTGTCCGGGTTTTCACTGACAACTTACGGCGTGCACTGGGTTAGGCAGTCTCCAGGTAAGGGCTTGGAGTGGCTTGGCATGATTTGGACTGATGGGACCACAGACTACAACGCTGCTTTCATCAGTCGCCTGTCCATCAATAAGGACAACTCTAAAAGCCAGGTATTTCTGAAGATGAACAGCTTGCAAGCTGACGACACCGGAATTTACTACTGCGTGCGGAAGGGCCATGGGTACTACTATGCCATGGATTATTGGGGTCAGGGCACCAGCGTCACAGTATCCTCTGCCAAAACAACTGCACCATCTGTTTATCCACTGGCCCCCGTTTGCGGGGATACCACTGGTAGCTCTGTCACCCTCGGCTGTCTGGTCAAAGGATATTTCCCCGAGCCTGTGACACTTACCTGGAATTCAGGCAGCTTGTCCTCCGGCGTGCATACTTTCCCTGCAGTCCTGCAGTCAGATCTGTACACCCTCAGCTCATCTGTGACTGTCACAAGTTCTACCTGGCCATCCCAGAGTATTACATGCAACGTGGCCCACCCAGCAAGTTCAACAAAAGTTGACAAGAAGATTGAGCCAAGAGGCCCTACTATCAAGCCCTGTCCCCCCTGTAAGTGTCCTGCACCCAATCTGCTGGGGGGCCCATCTGTGTTTATTTTCCCCCCAAAGATTAAGGACGTCCTCATGATTAGCCTGTCCCCAATCGTGACATGTGTGGTGGTGGATGTTTCTGAGGACGACCCAGACGTACAGATCTCTTGGTTCGTGAACAATGTCGAGGTGCATACAGCCCAGACCCAGACCCATCGGGAAGACTACAACTCTACATTGAGAGTGGTGTCCGCTTTGCCCATCCAGCATCAGGACTGGATGTCCGGCAAGGAGTTTAAATGTAAGGTCAACAACAAGGACCTGCCCGCTCCAATAGAGAGAACTATCTCAAAGCCTAAAGGTAGTGTTCGAGCCCCCCAGGTATACGTACTGCCACCCCCTGAGGAGGAGATGACCAAGAAGCAGGTGACACTGACCTGCATGGTGACAGACTTCATGCCAGAAGACATTTATGTCGAATGGACTAATAATGGCAAGACCGAACTGAATTATAAAAATACCGAACCAGTGCTGGACTCCGACGGGTCCTATTTCATGTACTCTAAGCTCCGTGTCGAAAAGAAGAACTGGGTGGAACGAAACTCTTACTCCTGCAGTGTTGTGCACGAGGGGCTTCACAACCATCATACAACCAAGTCCTTCTCCAGGACACCTGGGAAG(SEQ ID NO:12)。
【0075】
前記抗体または抗原結合断片をコードする軽鎖の遺伝子は以下で示されるヌクレオチド配列を有する。
CAGATCCTGTTGACCCAAAGTCCAGCTATTCTTTCAGCCTCTTTGGGCGAACGTGTGACTATGACCTGCACTGCTTCCAGCAGCGTGTCCAGCTCCTACTTGCACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGTTCATCCCCTAAGCTGTGGATCTATTCCACCTCCAACCTCGCTTCAGGAGTGCCTGCCAGATTTTCCGGAGGCGGAAGTGGCACTTCCTACTCACTTACAGTCAGCAACATGGAGGCAGAGGACGCAGCTACCTACTACTGCCATCAGTATCATAGGTCCCCTTTCACTTTCGGGTCCGGTACCAAGCTCGAGATCAAACGAGCTGATGCTGCCCCCACTGTCTCTATTTTTCCTCCTAGTAGTGAGCAGCTGACATCTGGAGGCGCCTCCGTGGTGTGCTTCCTGAATAACTTTTACCCTAAGGACATCAATGTGAAGTGGAAGATCGACGGGAGTGAGAGGCAGAATGGCGTACTGAATTCCTGGACTGATCAGGACTCTAAAGATAGCACCTATAGCATGTCCTCCACCCTCACACTGACAAAGGACGAATACGAACGGCATAACTCCTATACATGTGAGGCTACCCACAAGACATCCACCTCACCAATCGTCAAGAGCTTCAACCGGAATGAGTGT (SEQ ID NO:13)。
【0076】
説明する必要がある点として、本発明の明細書と請求の範囲で言及された核酸に対して、当業者が、実際には相補二本鎖のいずれか一方、または両方を含むことを理解すべきである。便宜上で、本明細書と請求の範囲では、多くの場合、1本の鎖しか示されていないが、実際にはそれと相補的なもう1本の鎖も公開されている。また、本願における核酸配列はDNA形式またはRNA形式を含み、一方が公開されているということは、他方も公開されていることを意味する。
【0077】
本発明の他の態様では、本発明は上記に記載の核酸を含む組換えベクターまたは形質転換体を提供する。前記組換えベクターは選択可能な制御配列を含んでもよく、前記制御配列は前記核酸分子に操作可能に接続される。前記制御配列は宿主中での前記核酸分子の発現を指導できる1つまたは複数の制御配列である。本発明の実施例で言及される組換えベクターは適切な宿主細胞に前記抗体または抗原結合断片を効率よく発現することができ、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0078】
組換えベクターはクローンベクターでも、発現ベクターでもよく、前記核酸と市販のベクター(例えばプラスミドまたはウイルスベクター)に操作可能に接続されることによって得られ、本発明における組換えベクターは特に制限されず、よく使用されているプラスミド、例えばpSeTag2、PEE14、pMH3を使用することができる。
【0079】
本発明の更なる態様では、本発明は組換え細胞を提供し、前記組換え細胞に上記に記載の核酸、組換えベクターまたは形質転換体を担持するか、上記に記載の抗体または抗原結合断片を発現する。前記組換え細胞は前記発現ベクターをトランスフェクションまたは形質転換することによって得られる。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は適切な条件で上記抗体を効果的に発見でき、前記抗体MICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、前記抗体または抗原結合断片は、NK細胞による腫瘍の殺傷促進など、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療する効果が良好である。
【0080】
注意すべき点として、本発明に記載の組換え細胞は特に限定されず、原核細胞、真核細胞またはバクテリオファージであってもよい。前記原核細胞は大腸菌、枯草菌、ストレプトコッカスまたはグロテスク変形菌などであってもよい。前記真核細胞はパスツールピキア酵母、醸造酵母、分裂酵母、木カビなどの真菌、草原軍虫などの昆虫細胞、タバコなどの植物細胞、BHK細胞、CHO細胞、COS細胞、骨髄腫細胞などの哺乳動物細胞を含むことができる。幾つかの実施例において、本発明に記載の組換え細胞は、哺乳動物細胞であることが好ましく、BHK細胞、CHO細胞、NSO細胞またはCOS細胞を含み、且つ動物生殖細胞、受精卵または胚性幹細胞を含まない。
【0081】
説明する必要がある点として、本願の明細書に記載の「適切な条件」とは、本願に記載の組換え抗体の発現に適する条件を指す。当業者が理解しやすくなるように、組換え抗体の発現に適する条件は、適切な形質転換またはトランスフェクション方式、適切な形質転換またはトランスフェクション条件、健康的な宿主細胞状態、適切な宿主細胞密度、適切な細胞培養環境、適切な細胞培養時間を含む。「適切な条件」は特に限定されず、当業者は実験室の具体的な環境に応じて、最適な前記組換え抗体発現の条件を最適化することができる。
【0082】
本発明の一態様では、本発明はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患の治療及び/又は予防における、上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、免疫複合体、組成物、薬物、核酸、組換えベクターまたは形質転換体または組換え細胞の使用を提供する。以上のように、前記抗体またはその抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、さらにNK細胞が腫瘍細胞を殺傷するなどの作用を促進し、このため、前記抗体またはその抗原結合断片、及び適切な条件で得られた前記抗体またはその抗原結合断片を発現できる物質はいずれもMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0083】
本発明の具体的な実施例によれば、上記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患の治療及び/又は予防における使用は、以下の付加的な技術的特徴の中の少なくとも1つを含んでよい。
【0084】
本発明の具体的な実施例によれば、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患である。
【0085】
本発明の具体的な実施例によれば、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌の中の少なくとも1種である。
【0086】
本発明の他の態様では、本発明はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。本発明の具体的な実施例によれば、前記方法は、1)上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、2)上記に記載の免疫複合体、3)上記に記載の組成物、4)上記に記載の薬物、5)上記に記載の核酸、6)上記に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び7)上記に記載の組換え細胞の中の少なくとも1つを被験者に投与するステップを含む。以上のように、前記抗体またはその抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、さらに、NKG2DとMICA及び/又はMICBとの結合を促進し、さらにNK細胞が腫瘍細胞を殺傷するなどの作用を促進し、このため、前記抗体またはその抗原結合断片、及び適切な条件で得られた前記抗体またはその抗原結合断片を発現できる物質、または前記抗体またはその抗原結合断片を含む物質はいずれもMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。本発明の実施例による方法はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0087】
本発明の具体的な実施例によれば、上記方法以下の付加的な技術的特徴の中の少なくとも1つをさらに含んでよい。
【0088】
本発明の具体的な実施例によれば、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患である。
【0089】
本発明の具体的な実施例によれば、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌の中の少なくとも1種である。
【0090】
本発明の更なる態様では、本発明は被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを診断する方法を提供する。本発明の具体的な実施例によれば、前記方法は、1)上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞中の少なくとも1つを使用して測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBを検出し、前記MICA及び/又はMICBの検出結果に基づいて、前記測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量を判定する。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、このため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、MICA及び/又はMICBが複数種の疾患を媒介するため、被験者由来の生物学的サンプルに含まれる前記MICA及び/又はMICBのレベルに基づいて前記被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを判断することができる。なお、上記物質を利用して被験者の測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量を監視してもよく、即ち上記物質はMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っている被験者の疾患の病期分類に使用してもよく、MICA及び/又はMICBを媒介した疾患の予後評価にも使用されてもよい。
【0091】
本発明の具体的な実施例によれば、上記方法は以下の付加的な技術的特徴の中の少なくとも1つをさらに含んでよい。
【0092】
本発明の具体的な実施例によれば、前記測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICBの含有量は疾患の最低基準以上であることは、測定対象であるサンプルがMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っている患者に由来する指示である。前記最低基準の値は、多数の前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っている個体と多種の健康な個体の測定対象であるサンプル中のMICA及び/又はMICの含有量に対する差の比較分析、及び検証によって決められる。
【0093】
本発明の具体的な実施例によれば、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患である。
【0094】
本発明の具体的な実施例によれば、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌の中の少なくとも1種である。
【0095】
本発明の具体的な実施例によれば、前記測定対象であるサンプルは組織、細胞、血液、血清、汗、糞便及び尿の少なくとも1つを含む。
【0096】
本発明の他の態様では、本発明は、被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかの診断における、1)上記に記載の抗体またはその抗原結合断片、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞の中の少なくとも1つの使用を提供する。以上のように、本発明の実施例の抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBのα3構造ドメインと効果的に結合でき、このため、前記抗体または抗原結合断片はMICA及び/又はMICBを検出するために使用でき、MICA及び/又はMICBが複数種の疾患を媒介するため、被験者由来の生物学的サンプルに含まれる前記MICA及び/又はMICBのレベルに基づいて前記被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかを判断することができる。
【0097】
本発明の具体的な実施例によれば、上記使用は以下の付加的な技術的特徴の中の少なくとも1つをさらに含んでよい
【0098】
本発明の具体的な実施例によれば、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患である。
【0099】
本発明の具体的な実施例によれば、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌の中の少なくとも1種である。
【0100】
以下、実施例を具体的に説明する。実施例に具体的な技術または条件が示されない場合、当該分野の文献に記載されている技術または条件に従って、または製品の明細書に従って実行する必要がある。用いられる試薬または機器にメーカーが示されない場合、市販によって購入できる従来の製品である。
【0101】
実施例1 抗体の製造
本実施例は主に以下の内容を含む。
ヒトMICAに対するマウス由来モノクローナル抗体を生成し、次に、精製した組換えMICA細胞外領域Fc融合タンパク質(MICA-Fc)(組換えMICA細胞外領域Fc融合タンパク質、アミノ酸配列はSEQ ID NO:23に示す)を抗原とし、Balb/cマウス(9週齢、上海SLACから購入、体重20g程度)を免疫する。マウスの免疫には、精製抗原と完全フロイントアジュバントを使用して3回免疫し、免疫後のマウスを尾静脈から瀉血した後、ELISA、フローサイトメトリーで検出することにより、抗ヒトMICA免疫グロブリンを有するマウスを得る。
EPHSLRYNLTVLSWDGSVQSGFLTEVHLDGQPFLRCDRQKCRAKPQGQWAEDVLGNKTWDRETRDLTGNGKDLRMTLAHIKDQKEGLHSLQEIRVCEIHEDNSTRSSQHFYYDGELFLSQNLETKEWTMPQSSRAQTLAMNVRNFLKEDAMKTKTHYHAMHADCLQELRRYLKSGVVLRRTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:23)。
【0102】
得られた抗ヒトMICA免疫グロブリンを含むマウスから抗MICA免疫グロブリンの含有量が最も高いマウスを選択し、その脾細胞とマウス骨髄腫細胞SP2/0細胞(ATCC番号CRL-1581)を融合させ、ハイブリドーマを製造する具体的な実験操は本分野の通常の操作である。融合後のハイブリドーマ細胞を利用して抗体をスクリーニングすることによって、マウスモノクローナル抗体を得る。
【0103】
候補ハイブリドーマ細胞の総数を106個に培養し、800rpm条件下で10分間遠心分離して細胞を収集し、Trizolキット(Invitrogen)でハイブリドーマ細胞の総RNAを抽出し、総RNAを鋳型として、cDNAライブラリー(Invitrogen)を逆転写合成し、また、cDNAを鋳型としてハイブリドーマ細胞に含まれる抗体に対応する可変領域核酸配列をPCR増幅する。PCR増幅反応に使用されるプライマー配列は抗体可変領域の第1のフレーム領域またはシグナルペプチド領域と定常領域に相補的である(Larrick、J.W.、et al.、(1990)Scand.J.Immunol.、32、121-128和Coloma、J.J.et al.、(1991)BioTechniques、11、152-156)。50μLの反応系に、それぞれcDNA2μL、10×PCR緩衝液5μL、上流及び下流プライマー2μL(5μmol)、dNTP2μL、Taq酵素1μL(Takara、Ex Taq)、HO 38μL;95℃で5min前変性し、温度サイクルに入り、PCR増幅を行う。反応条件は、94℃で30S変性し、58℃で45Sアニールし、72℃で50S延長し、合計32サイクルであり、次に72℃で7min延長する。増幅産物をシークエンシングした後、マウスモノクローナル抗体の重鎖可変領域(SEQ ID NO:21)と軽鎖可変領域(SEQ ID NO:22)ヌクレオチド配列を得る。マウスモノクローナル抗体の重鎖可変領域(SEQ ID NO:7)と軽鎖可変領域(SEQ ID NO:8)アミノ酸配列は以下のとおりである。
CAGGTGCAGTTGAAACAGTCTGGTCCTGGGCTTGTACAGCCATCTCAGTCTCTGTCTATTACCTGTATTGTGTCCGGGTTTTCACTGACAACTTACGGCGTGCACTGGGTTAGGCAGTCTCCAGGTAAGGGCTTGGAGTGGCTTGGCATGATTTGGACTGATGGGACCACAGACTACAACGCTGCTTTCATCAGTCGCCTGTCCATCAATAAGGACAACTCTAAAAGCCAGGTATTTCTGAAGATGAACAGCTTGCAAGCTGACGACACCGGAATTTACTACTGCGTGCGGAAGGGCCATGGGTACTACTATGCCATGGATTATTGGGGTCAGGGCACCAGCGTCACAGTATCCTCT(SEQ ID NO:21)。

CAGATCCTGTTGACCCAAAGTCCAGCTATTCTTTCAGCCTCTTTGGGCGAACGTGTGACTATGACCTGCACTGCTTCCAGCAGCGTGTCCAGCTCCTACTTGCACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGTTCATCCCCTAAGCTGTGGATCTATTCCACCTCCAACCTCGCTTCAGGAGTGCCTGCCAGATTTTCCGGAGGCGGAAGTGGCACTTCCTACTCACTTACAGTCAGCAACATGGAGGCAGAGGACGCAGCTACCTACTACTGCCATCAGTATCATAGGTCCCCTTTCACTTTCGGGTCCGGTACCAAGCTCGAGATCAAA(SEQ ID NO:22)。

QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCIVSGFSLTTYGVHWVRQSPGKGLEWLGMIWTDGTTDYNAAFISRLSINKDNSKSQVFLKMNSLQADDTGIYYCVRKGHGYYYAMDYWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:7)。

QILLTQSPAILSASLGERVTMTCTASSSVSSSYLHWYQQKPGSSPKLWIYSTSNLASGVPARFSGGGSGTSYSLTVSNMEAEDAATYYCHQYHRSPFTFGSGTKLEIK(SEQ ID NO:8)。
【0104】
実施例2 MICA抗体のELISA結合実験
ELISA実験は実施例1で得られたMICA抗体の結合特性を検出するために使用される。上記MICA細胞外領域Fc融合タンパク質(MICA-Fc)を96ウェルプレートにコーティングし、抗体添加後のシグナルの強さは抗体とMICAの結合特性を判断するために使用される。
【0105】
PBS緩衝液でMICA-Fc融合タンパク質(アミノ酸配列はSEQ ID NO:23に示す)を1μg/mLに希釈し、100μL/ウェルの体積で96ウェルプレートに添加し、4℃で一晩放置する。96ウェルプレート中のPBS緩衝液を吸引除去し、PBST(pH7.2 PBS含有量0.1% Tween20)緩衝液でプレートを6回洗浄した後、200μL/ウェルのPBS/10%BSAを加え、37℃で2hインキュベートして閉鎖する。閉鎖液を取り除き、PBSTでプレートを6回洗浄した後、100μL/ウェルのPBST/0.05%BSAで測定対象であるMICA抗体を適切な濃度に希釈し、次に、37℃で1hインキュベートする。反応系を取り除き、PBSTでプレートを6回洗浄した後、100μL/ウェルのPBST/0.05%BSAでHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識抗マウス抗体二次抗体(Dr.Der、BA1050)を希釈し、37℃条件下で1hインキュベートする。インキュベートが終了した後PBSTでプレートを6回洗浄した後、80μL/ウェルのTMB(テトラメチルベンジジン)を添加し、室温で3minインキュベートし、80μL/ウェルの4M硫酸を添加して反応を終止する。マイクロプレートリーダーを用いて450mmで吸光度値を読み取る。具体的な実験結果を図1に示し、本発明の抗体がMICAに結合できることを示す。
EPHSLRYNLTVLSWDGSVQSGFLTEVHLDGQPFLRCDRQKCRAKPQGQWAEDVLGNKTWDRETRDLTGNGKDLRMTLAHIKDQKEGLHSLQEIRVCEIHEDNSTRSSQHFYYDGELFLSQNLETKEWTMPQSSRAQTLAMNVRNFLKEDAMKTKTHYHAMHADCLQELRRYLKSGVVLRRTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:23)。
【0106】
実施例3 MICA抗体のELISA結合実験
ELISA実験はMICA抗体の結合特性を検出するために使用される。MICA細胞外領域α3構造ドメインFc融合タンパク質(MICAα3-Fc)を96ウェルプレートにコーティングし、抗体添加後のシグナルの強さは抗体とMICAの結合特性を判断するために使用される。
PBS緩衝液でMICAα3-Fc融合タンパク質(アミノ酸配列はSEQ ID NO:24に示す)を1μg/mLに希釈し、100μL/ウェルの体積で96ウェルプレートに添加し、4℃で一晩放置する。96ウェルプレート中のPBS緩衝液を吸引除去し、PBSTで(pH7.2 PBSが0.1%のTween 20を含有する)緩衝液でプレートを6回洗浄し、200μL/ウェルのPBS/10% BSAを添加し、37℃で2hインキュベートして閉鎖する。閉鎖液を取り除き、PBSTでプレートを6回洗浄し、100μL/ウェルのPBST/0.05%BSAで適切な濃度に希釈した測定対象であるMICA抗体を添加し、37℃で1hインキュベートする。反応系を取り除き、PBSTでプレートを6回洗浄し、100μL/ウェルのPBST/0.05%BSAでHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識抗マウス抗体二次抗体(Dr.Der、BA1050)を希釈し、37℃で1hインキュベートする。PBSTでプレートを6回洗浄し、80μL/ウェルのTMB(テトラメチルベンジジン)を添加し、室温で3minインキュベートし、80μL/ウェルの4M硫酸を添加して反応を終止する。マイクロプレートリーダーを用いて450mmで吸光度値を読み取る。結果(図2)は本発明の抗体がMICAα3構造ドメインに結合できることを示す。
VLRRTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:24)。
【0107】
実施例4 CHO-K1過発現細胞構築
HEK293T細胞を5×10細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種し、二重抗体を含まないDMEM培地で一夜培養する。トランスフェクションの前に培地を捨て、1mLの新鮮な二重抗体を含まないDMEM培地を加える。目的遺伝子を含むpLVX-EF1a-IRES-puroベクター(pLVX-EF1a-IRES-pruoベクターの酵素切断部位EcoRIとBamHIとの間にそれぞれMICA(SEQ ID NO:25)、MICB(SEQ ID NO:26)、Rhesus MIC1(SEQ ID NO:27)、Rhesus MICB(SEQ ID NO:28)をコードするヌクレオチド配列(蘇州金唯智合成)が挿し込まれ、pMD2G、psPAX2ベクター(合計3μg)を2:1:1の割合で200μLの血清のないDMEM培地に添加し、12μgのポリエーテルイミド(PEI、Polysciences株式会社)を添加する。均一に混合した後に16min静置し、次に全部の液体をHEK293T細胞を播種した6ウェルプレートに添加する。6h培養した後、培地を捨て、新鮮な完全DMEM培地に加えて培養する。48hトランスフェクションした後、細胞培養上清を収集し、0.45μmフィルター(Millipore)を通過した後、ウイルス上清となる。ウイルス上清をすべて1×10のCHO-K1細胞を含む6ウェルプレートに添加し、終濃度が4μg/mLのポリアミン(Sigma)を添加し、12h培養する。その後、上清を捨て、新鮮な完全DMEM培地を添加する。得られた細胞はCHO-K1-MICA、CHO-K1-MICB、CHO-K1-Rhesus MIC1、CHO-K1-Rhesus MICB細胞であり、それぞれMICA(SEQ ID NO:11)、MICB(SEQ ID NO:29)、Rhesus MIC1(SEQ ID NO:30)、Rhesus MICB(SEQ ID NO:31)タンパク質を発現できる。
ATGGGCCTTGGCCCTGTGTTTCTGTTGCTTGCTGGGATTTTTCCATTCGCACCTCCCGGTGCCGCCGCAGAGCCCCACAGCTTGCGGTACAATTTGACCGTGCTGTCCTGGGATGGCAGTGTACAAAGCGGCTTTCTGACCGAGGTTCATCTGGATGGACAACCATTCCTGCGCTGCGACAGACAGAAGTGTCGAGCAAAACCCCAGGGTCAGTGGGCAGAAGATGTACTCGGCAATAAGACATGGGATCGAGAAACAAGAGACCTCACAGGAAATGGTAAAGATCTCCGCATGACCCTTGCACACATTAAGGATCAGAAAGAAGGACTGCACTCCCTCCAGGAGATTCGAGTGTGTGAGATTCACGAGGATAACAGCACAAGAAGCTCACAGCATTTTTATTACGATGGAGAACTGTTTCTCAGCCAAAACCTGGAGACCAAAGAGTGGACTATGCCACAGTCCTCCAGAGCTCAGACCCTGGCTATGAATGTCCGTAATTTTTTGAAAGAGGACGCAATGAAGACCAAGACTCACTACCATGCCATGCACGCCGACTGCCTGCAGGAGTTGAGACGATACCTCAAATCCGGGGTTGTGCTCAGGCGGACAGTGCCCCCAATGGTAAACGTGACTCGGTCTGAAGCTTCTGAAGGAAACATCACAGTCACCTGCAGAGCTAGCGGTTTTTACCCCTGGAACATCACTCTCTCCTGGAGACAGGACGGTGTGTCCCTCAGCCATGATACCCAGCAGTGGGGAGACGTGCTGCCCGATGGCAACGGCACTTATCAGACTTGGGTGGCTACTCGAATTTGTCAAGGAGAGGAGCAGCGATTCACATGTTACATGGAGCACTCCGGGAATCATTCAACTCACCCAGTACCCAGCGGAAAGGTCCTTGTGCTGCAGAGTCATTGGCAGACATTTCACGTATCCGCTGTGGCAGCCGCCGCAATTTTCGTCATCATCATTTTCTATGTTCGCTGTTGTAAAAAAAAGACAAGCGCTGCCGAGGGGCCCGAACTGGTGAGCCTCCAGGTGCTGGACCAACATCCCGTGGGCACCAGCGACCATCGCGATGCCACCCAGCTTGGCTTCCAGCCATTGATGTCAGACCTCGGCAGCACAGGCAGCACTGAGGGCGCT(SEQ ID NO:25)。

ATGGGATTGGGTAGGGTTTTGCTTTTTCTCGCTGTGGCTTTCCCCTTTGCACCTCCTGCTGCAGCCGCAGAACCCCATAGCCTTAGGTATAACCTGATGGTGCTCAGTCAAGATGAATCCGTGCAGTCCGGATTTCTTGCCGAGGGCCATCTGGATGGACAACCTTTCTTGCGTTACGATAGGCAGAAACGACGAGCTAAACCACAGGGTCAGTGGGCAGAGGACGTGCTGGGAGCTAAGACTTGGGACACCGAGACCGAGGATCTGACTGAGAACGGGCAGGACCTGAGAAGGACTCTGACACACATCAAGGACCAGAAGGGAGGGTTGCACTCCCTGCAGGAAATCCGCGTGTGTGAGATTCACGAGGACTCATCAACCCGAGGCAGTAGGCACTTTTACTACGATGGAGAGCTGTTTCTGAGTCAGAATCTGGAGACACAAGAGAGCACTGTGCCACAGTCATCTCGGGCTCAGACTCTGGCTATGAACGTTACCAATTTCTGGAAAGAAGATGCTATGAAAACAAAGACCCATTATAGAGCTATGCAGGCCGATTGCCTGCAGAAGTTGCAGCGTTATTTGAAGTCTGGTGTTGCTATCAGGCGGACCGTTCCCCCCATGGTGAATGTGACTTGCTCCGAGGTTTCCGAAGGTAACATTACTGTTACCTGTCGAGCTAGCTCCTTCTACCCACGGAACATTACATTGACATGGAGGCAGGATGGCGTTAGTCTGAGCCATAATACTCAGCAGTGGGGAGACGTTCTGCCTGACGGAAATGGCACATACCAGACCTGGGTTGCCACCAGAATCCGACAGGGCGAAGAGCAGAGGTTTACCTGTTATATGGAGCACAGCGGAAATCATGGGACTCATCCCGTGCCTAGTGGGAAGGTGCTCGTTCTCCAGTCTCAGCGCACTGACTTTCCTTACGTGTCTGCCGCTATGCCATGCTTCGTCATCATTATCATCCTCTGTGTGCCATGCTGCAAGAAGAAAACATCTGCAGCCGAGGGGCCTGAACTTGTGTCCCTGCAGGTTCTGGACCAGCACCCTGTTGGCACCGGAGATCACCGAGACGCAGCCCAACTGGGCTTCCAACCTCTGATGAGCGCCACTGGATCTACTGGTTCTACCGAGGGAGCC(SEQ ID NO:26)。

ATGGGCCCTGGGAGGGTTTTGCTCTTTCTGACCTCTATTTTTCCCTTCGCTAGACCAGGCGCTCCAACAGAGCTCCACAGCTTGCGCTACAACGTGACAGTTCTCAGCAGGGATGGGTCCGTGCAGTCCGATTTCCTCGCTGAGGGCCATCTTGATAGCCAACTCTTCGTCCGCTACGACCGCGAGACACGGCGGGCAAGGCCACAAGGACAGTGGGCCGAGGCTGTGCTGGGCGCAAAAACATGGGACACTGAAACTGGCGATCTCACAGAGAATGGGAAGGACCTGCGGCGTACCCTGACTCACATTGAGGGACAAAAGGGTGGCCTCCACAGCTTGCAGGATATACAGAATTGTGAGATTTACGAGGACGGCTCTACTGGAGGTTCCAGGCATTTTTACTATGATGGGGAGAGATTTCTGTCCCTTAATCTGGCCACTCAGGAGTGGACAGTAGCACAGTCTAGCCGAGCACAGACTCTGGCCATGAACTTCTGGAAGGAAGATACTATGAAAACAAATACACACTACCACGCAATGCAGGCCGATTGCCTGAAAAAGCTGAGACGCTACCAAAAGTCCAGAGTGGCTGTACGACGCACCGCCCCTCCTATGGTGAATGTGACACATTCCGAGGCTAGTGAGGGTAATATTACAGTGACCTGCCGCGCTTCTGGTTTCTACCCCAGAAATATAGCCTTGACCTGGCGACAGGACGGTGTTTCATTGAACCACGACGCCCAGCAGTGGGGCGGCATACTGCCAGACCAGAATGGCACTTACCAGACTTGGGTGGCCACCAGGATTCGGCAGGGCGAGGAACAGCGTTTCGCCTGCTATATGGAGCATAGCGGTAATCACTCTACCCATCCCGTGCCTAGCGGAAAGGTCCTGGTCTTTCAATCTCAGTGGCTGGATATTCCATACGTGCTGGGTGTAGCCGCTGCCGCCGTGGCCGCCGCTGCCGCAATTTTCGTTATTATCCTGTACGTTCTGTGTTGCAAGAAAAAGACTTCAGCCGCCGAAGGCCCCGAGCTCGTGAGTCTGCGCACCCTGGATCAGCACCCCGTTGGTACTGGAGATCACCGTGACGCAACC(SEQ ID NO:27)。

ATGGGTCTGGGAAGAGTATTGCTGTTTCTGGGTCGAGTCCTGCTGTTTCTCGCCTCCATTTTCTCTTTTACTCGACCTCGAGCCGCTGCTGAGCTGCACTCACTCAGATACAACGTGACCGTCTTGTCTAGAGATGGGTCAGTGCAGAGCGAGTTTTTGGCAGAGGGCCATTTGGATGGTCAGCTCTTTGTGAGGTACGATAGGGAAACACGACGTGCTAGACCTCAGGGACAGTGGGCAGAGGCAGTGTTGGGGGACCAGGAGACAGAGGACTTGACCGAGAACGCACAGGACCTGCGCAGAACACTGACCCACATTGAAGGCCAGAAGGGCGGCCTGCATAGTCTGCAGAAGATAAAAATCTGCGAAATTTATGAGGATGGCTCTACTGGCGGATTTTGGCATTTTTATTACGACGGGGAGCTGTTTCTGTCCCTTAATCTGGAGACACAGAAGTGGACAGTAGCTCAGTCATCCCGCGCTCAAACCCTGGCAATGAATTTCTGGAAGGAGGACACTATGAAAACTAATACACACTATAGAGCCATGAGGGCCGATTGCTTGAAAAAACTGTGGAGATACCAGAAGTCTCGGGTTGCTGTGAGAAGGACAGTTCCCCCTATGGTGAATGTCACTCATGGGGAGGCCTCTGAGGGCAACATAACAGTCACATGCAGGGCTTCAGGCTTTTACCCTGGAAACATCACTCTGACTTGGAGACAAGATGGCGTGTCCCTGAGTCACGACGCACAACAGTGGGGCGACGTCCTGCCTGATTGGAATGGCACCTATCAGACATGGGTCGCCACAAGAATCCGACAGGGAGAGGAACAGCGTTTTGCCTGTTACATGGAGCATAGCGGCAATCATTCCACACATCCTGTGCCTTCTGGCAAGCCACCAGTGCTCCAGTCCGAACGGTTGAATCTGCTGTATGTCCCCGTAGCAGTGGCTGTTGCTGTTGTCACTGCCTTTATCATTATCTGCGTTCACCGATGTAAAAAGAAAAAAACATCAGCTGCCGAGGGCCCAGAGTTGGTATCCCTCAGAACTCTTGACCAACACCCTGTCGGAACTGGGGATCATAGAGATGCTACCCAGCTGGGATTCCAGCCTCTCATGAGCGCTCCAGGGTCCACCGGATCAACTGAAGGGGCC(SEQ ID NO:28)。

MGLGPVFLLLAGIFPFAPPGAAAEPHSLRYNLTVLSWDGSVQSGFLTEVHLDGQPFLRCDRQKCRAKPQGQWAEDVLGNKTWDRETRDLTGNGKDLRMTLAHIKDQKEGLHSLQEIRVCEIHEDNSTRSSQHFYYDGELFLSQNLETKEWTMPQSSRAQTLAMNVRNFLKEDAMKTKTHYHAMHADCLQELRRYLKSGVVLRRTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWQTFHVSAVAAAAIFVIIIFYVRCCKKKTSAAEGPELVSLQVLDQHPVGTSDHRDATQLGFQPLMSDLGSTGSTEGA(SEQ ID NO:11)。

MGLGRVLLFLAVAFPFAPPAAAAEPHSLRYNLMVLSQDESVQSGFLAEGHLDGQPFLRYDRQKRRAKPQGQWAEDVLGAKTWDTETEDLTENGQDLRRTLTHIKDQKGGLHSLQEIRVCEIHEDSSTRGSRHFYYDGELFLSQNLETQESTVPQSSRAQTLAMNVTNFWKEDAMKTKTHYRAMQADCLQKLQRYLKSGVAIRRTVPPMVNVTCSEVSEGNITVTCRASSFYPRNITLTWRQDGVSLSHNTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRIRQGEEQRFTCYMEHSGNHGTHPVPSGKVLVLQSQRTDFPYVSAAMPCFVIIIILCVPCCKKKTSAAEGPELVSLQVLDQHPVGTGDHRDAAQLGFQPLMSATGSTGSTEGA(SEQ ID NO:29)。

MGPGRVLLFLTSIFPFARPGAPTELHSLRYNVTVLSRDGSVQSDFLAEGHLDSQLFVRYDRETRRARPQGQWAEAVLGAKTWDTETGDLTENGKDLRRTLTHIEGQKGGLHSLQDIQNCEIYEDGSTGGSRHFYYDGERFLSLNLATQEWTVAQSSRAQTLAMNFWKEDTMKTNTHYHAMQADCLKKLRRYQKSRVAVRRTAPPMVNVTHSEASEGNITVTCRASGFYPRNIALTWRQDGVSLNHDAQQWGGILPDQNGTYQTWVATRIRQGEEQRFACYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVFQSQWLDIPYVLGVAAAAVAAAAAIFVIILYVLCCKKKTSAAEGPELVSLRTLDQHPVGTGDHRDAT(SEQ ID NO:30)。

MGLGRVLLFLGRVLLFLASIFSFTRPRAAAELHSLRYNVTVLSRDGSVQSEFLAEGHLDGQLFVRYDRETRRARPQGQWAEAVLGDQETEDLTENAQDLRRTLTHIEGQKGGLHSLQKIKICEIYEDGSTGGFWHFYYDGELFLSLNLETQKWTVAQSSRAQTLAMNFWKEDTMKTNTHYRAMRADCLKKLWRYQKSRVAVRRTVPPMVNVTHGEASEGNITVTCRASGFYPGNITLTWRQDGVSLSHDAQQWGDVLPDWNGTYQTWVATRIRQGEEQRFACYMEHSGNHSTHPVPSGKPPVLQSERLNLLYVPVAVAVAVVTAFIIICVHRCKKKKTSAAEGPELVSLRTLDQHPVGTGDHRDATQLGFQPLMSAPGSTGSTEGA(SEQ ID NO:31)。
【0108】
実施例5 MICA抗体のフローサイトメトリー結合実験
フローサイトメトリー実験はMICA抗体の結合特性を検出するために使用され、実施例4で得られたCHO-K1-MICA、CHO-K1-MICB、CHO-K1-Rhesus MIC1、CHO-K1-Rhesus MICB細胞にそれぞれ実施例1で製造されたMICA抗体(番号が5A1)及び対照組抗体マウスIgG1(Biolegend、MG1-45)を添加し、抗体添加後のシグナルの強さは抗体とMICA、MICB、Rhesus MIC1、Rhesus MICBタンパク質との結合特性を判断するために使用される。
PBSでCHO-K1-MICA、CHO-K1-MICB、CHO-K1-Rhesus MIC1、CHO-K1-Rhesus MICB細胞を2×10/mLに希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mL EPチューブに添加し、その中に10μL/チューブのヤギ血清を添加し、4℃で30min閉鎖する。異なる濃度(10-4、10-3、10-2、10-1、100、101μg/mL)のMICA抗体を添加し、4℃条件下で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを添加し、4℃で、3500rpm条件下で5min遠心分離し、上清を捨て、沈殿をもう一度PBSで洗う。遠心分離した後、上清を捨て、100μL/チューブのPBSで細胞を含む沈殿を重懸濁し、その中に0.1μL/チューブAlexa-647標識ヤギ抗マウス抗体二次抗体(Biolegend、405322)を添加し、4℃、遮光条件で30minインキュベートする。PBSで2回洗い、遠心分離した後、上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで細胞を含む沈殿を重懸濁し、フローサイトメーターで検出し、結果は図3、4、5、6に示され、さらに本発明の該抗体がMICA、MICB、Rhesus MIC1及びRhesus MICBタンパク質と結合できることを示す。
【0109】
実施例6 MICA抗体のフローサイトメトリー結合腫瘍細胞実験
フローサイトメトリー実験はMICA抗体結合腫瘍細胞の特性を検出するために使用され、肺癌NCI-H1299細胞にそれぞれMICA抗体(番号が5A1)及び対照組マウス抗体IgG1(Biolegend、MG1-45)を添加し、抗体添加後のシグナルの強さは抗体と腫瘍細胞の結合特性を判断するために使用される。
【0110】
PBSでNCI-H1299細胞を2×10/mLに希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mLのEPチューブに添加し、その中に10μL/チューブのヤギ血清を添加し、4℃で30min閉鎖する。異なる濃度(10-7、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1、100、101、102μg/mL)のMICA抗体、対照組抗体IgG1を添加し、4℃で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを加え、4℃、3500rpm条件で5min遠心分離し、上清を捨て、得られた沈殿を再度PBSで洗う。再度遠心分離した後、上清を捨て、100μL/チューブのPBSで細胞を含む沈殿を重懸濁し、その中に0.1μL/チューブのAlexa-647標識ヤギ抗マウス抗体二次抗体(Biolegend、405322)を添加し、4℃、遮光条件で30minインキュベートする。PBSで2回洗い、遠心分離した後、上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで沈殿を重懸濁し、フローサイトメーターで検出し、結果は図7、8、9に示され、さらに本発明の該抗体がメラノーマA375細胞、肺癌NCI-H1299細胞、ヒト赤白血病K562細胞と結合できることを示す。
【0111】
実施例7 MICA抗体の抗原エピトープ特性判断
Western blot実験はMICA抗体の抗原エピトープ特性を判断するために使用される。
【0112】
実施例4で構築したCHO-K1-MICA、CHO-K1細胞を、PBSで2回洗う。次にRIPA溶解液を添加し、氷上で15min溶解し、4℃、15000g条件下で5min遠心分離し、上清を収集する。BCAキットで溶解上清をタンパク質定量する。次にSDS-PAGE loading bufferでサンプルを調製し、サンプル添加量が50ug/ウェルである。電気泳動後にニトロセルロース膜に移り、5%脱脂粉乳で室温で1h閉鎖する。次に1:2000(w/v)で希釈したMICA抗体を添加し、4℃で一晩インキュベートする。1‰のPBSTで5min×6回膜洗浄し、次に1:5000(v/v)で希釈したHRP-ヒツジ抗マウスIgGを添加し、室温で1hインキュベートする。1‰のPBSTで5min×6回膜洗浄する。ECL基質現像により、化学発光を検出する。結果は図8に示され、さらに本発明の該抗体がMICAタンパク質の線形エピトープと結合できることを示す。
【0113】
実施例8 抗体がMICAとNKG2Dとの結合を促進する能力のスクリーニング
MICA抗体はMICA細胞外領域との結合により、MICAとその受容体NKG2Dのシグナル経路を促進し、本実施例はフローサイトメトリー実験によりMICA抗体がMICAとその受容体NKG2Dとの結合に対する影響を検出する。
【0114】
PBSを用いて実施例4で得られたCHO-K1-MICA細胞を2×10個/mLに希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mLのEPチューブに添加し、その中に10μL/チューブのマウス血清を添加し、4℃で30min閉鎖する。一連の希釈勾配(10-4、10-3、10-2、10-1、100、101μg/mL)のMICA抗体(番号が5A1)及び対照組抗体IgG1(Biolegend、MG1-45)を添加し、4℃で30minインキュベートする。2μg/チューブのNKG2D細胞外領域Fc融合タンパク質(NKG2D-Fc、SEQ ID NO:32、本実験室の発現による取得)、4℃で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを添加し、4℃、3500rpm条件下で5min遠心分離し、上清を捨て、PBSをもう一度洗う。遠心分離後に、上清を捨て、100μL/チューブのPBSで細胞を重懸濁し、その中に1μL/チューブの647標識マウス抗ヒト抗体二次抗体(Biolegend、HP6017)を添加し、4℃、遮光条件下で30minインキュベートする。PBSで2回洗い、遠心分離後に上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで細胞を重懸濁し、フローサイトメーターで検出し、結果は11に示され、本発明の抗体はMICAと受容体NKG2Dとの結合を促進することができる。
IWSAVFLNSLFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:32)。
【0115】
実施例9 MICA抗体によるNK92細胞の抗腫瘍の促進
本実施例は体外殺傷実験であり、NK92細胞(ATCC番号CRL-2407)の腫瘍細胞の殺傷に対するMICA抗体の影響を検出するために使用される。合計2組設定され、使用された腫瘍細胞はメラノーマA375細胞(ATCC番号CRL-1619)であり、具体的な実験操作は以下の通りであり、
(1)A375腫瘍細胞を無血清DMEM培地で2回洗い、4℃、200g条件下で5min遠心分離し、上清を捨て、1mLの無血清DMEM培地で得られた沈殿を重懸濁し、終濃度5μMのCTV、37℃で30minインキュベートする。
(2)インキュベートが終了した後、培養系に200μLの予め冷却されたウシ血清を加えて標識を終了し、4℃、200g条件下で5min遠心分離し、上清を捨て、10%ウシ血清を含む完全RPMI-1640培地で細胞沈殿を2回洗い、上清を捨て、完全RPMI-1640培地で沈殿を重懸濁し、細胞計数を行い、完全RPMI-1640培地で1.25×10個/mLに希釈する。
(3)10%ウシ血清を含む完全RPMI-1640培地でNK92細胞を一連の濃度(2×10個/mL、4×10個/mL、8×10個/mL、1.6×10個/mL)に希釈する。
(4)希釈後のPBMC(NK92)は100μL/ウェルの体積で96ウェルの丸底板に添加する。
(5)完全RPMI-1640培地でMICA抗体(5A1)または対照マウスIgGを50μg/mLに希釈し、20μL/ウェルの体積で希釈後のMICA抗体またはマウスIgGを96ウェルの丸底板に添加する。
(6)希釈後の腫瘍細胞を80μL/ウェルの体積で96ウェルの丸底板に添加する。
(7)ステップ(6)で得られた96ウェルの丸底板を4℃で、1500rpm条件下で1min遠心分離し、遠心分離後の96ウェルプレートを37℃で4hインキュベートする。
(8)1μL/ウェルの体積で96ウェルの丸底板に7-AAD(BD、559925)を加え、均一に混合する。ウェル内のすべての液体をフローチューブに移り、フローサイトメーターで検出し、具体的な実験結果は図12に示され、本発明の抗体はNK92細胞の腫瘍殺傷を促進することができることが分かる。
【0116】
実施例10:MICA抗体のELISA結合実験
本実施例はELISAによってMICA抗体とMICA、MICBのα3構造ドメインの結合特性を検出する。発明者は得られた多種のMICA、MICB変異体細胞外領域α3構造ドメイン(MICAα3*-002、004、005、008、MICBα3*-005)Fc融合タンパク質(MICAα3-Fc、MICBα3-Fc)、及び対照組抗体IgGを96ウェルプレートにコーティングし、抗体添加後のシグナルの強さは、抗体とMICA、MICBとの結合特性を判断するために使用される。
【0117】
PBS緩衝液で融合タンパク質(MICA*002α3-Fcアミノ酸配列はSEQ ID NO:33に示し、MICA*004α3-Fcアミノ酸配列はSEQ ID NO:34に示し、MICA*005α3-Fcアミノ酸配列はSEQ ID NO:35に示し、MICA*008α3-Fcアミノ酸配列はSEQ ID NO:36に示し、MICB*005α3-Fcアミノ酸配列はSEQ ID NO:37に示す)を1μg/mlに希釈し、100μL/ウェルの体積で96ウェルプレートに添加し、4℃で一晩放置する。96ウェルプレート中のPBS緩衝液を吸引除去し、PBST(pH7.2 PBSが0.1%のTween20を含有する)緩衝液でプレートを6回洗浄した後、200μL/ウェルのPBS/10%BSAを添加し、37℃で2hインキュベートして閉鎖する。閉鎖液を取り除き、PBSTでプレートを6回洗浄した後、PBST/0.05%BSAで適切な濃度(10-7、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1、100、101、102μg/mL)に希釈する100μL/ウェルの測定対象であるMICA抗体を添加し、37℃で1hインキュベートする。反応系を取り除き、PBSTでプレートを6回洗浄した後、100μL/ウェルのPBST/0.05% BSAでHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識の抗マウス抗体二次抗体を希釈し、37℃で1hインキュベートする。PBSTでプレートを6回洗浄した後、80μL/ウェルのTMB(テトラメチルベンジジン)を添加し、室温で3minインキュベートし、80μL/ウェルの4M硫酸を添加して反応を終止する。マイクロプレートリーダーで450mmで吸光度値を読み取る。結果は図13、14、15、16、17に示され、本発明の抗体がMICA*002、MICA*004、MICA*005、MICA*008、MICB*005に結合できることを示す。
RTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:33)。

RRVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASSFYPRNITLTWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:34)。

RTVPPMVNVTCSEVSEGNITVTCRASSFYPRNITLTWRQDGVSLSHNTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRIRQGEEQRFTCYMEHSGNHGTHPVSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:35)。

RTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASSFYPRNIILTWRQDGVSLSHDTQQWGGVLPDGNGTYQTWVATRICRGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:36)。

RTVPPMVNVTCSEVSEGNITVTCRASSFYPRNITLTWRQDGVSLSHNTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRIRQGEEQRFTCYMEHSGNHGTHPVPSGKVLALQSQWPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(SEQ ID NO:37)。
【0118】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」という参考用語などの説明は、該実施例または例を組み合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料または特点は本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれる。本明細書では、上記用語の例示的な叙述は必ずしも同じ実施例または例を対象とする必要がない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料または特点はいずれかまたは複数の実施例または例では適切な方式で結合することができる。なお、互いに衝突しない場合、当業者は本明細書に説明される異なる実施例または例示及び異なる実施例または例の特徴を結合と組み合わせることができる。
【0119】
本発明の実施例を提示し記述したが、上記実施例は例示的なものであり、本発明を制限するためのものとして理解することができなく、当業者であれば、本発明の範囲で上記実施例について様々な変化、修正、置換および変形が可能であることが理解できる。
【0120】
関連出願の相互参照
本願は2021年12月28日に中国国家知識産権局に提出した、特許出願番号が202111629693.7の特許出願の優先権と権益を主張し、且つ参照により全部が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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図17
【配列表】
2024529505000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体または抗原結合断片であって、
重鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:1~3、
軽鎖可変領域CDR配列:SEQ ID NO:4~6のうちから選ばれた少なくとも1つのCDR配列を含む、ことを特徴とする抗体または抗原結合断片。
【請求項2】
SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、及び
SEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列またはその保存的修飾形態のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項3】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、
(i)前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%相同性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は、(ii)前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%相同性を有するアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項4】
前記重鎖可変領域は、(i)から選ばれる重鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、(ii)から選ばれる軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項5】
前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項6】
重鎖と軽鎖を含み、前記重鎖はSEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖はSEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体はモノクローナル抗体、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト由来抗体、Fv、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’、Fab’-SHまたはF(ab’)である、ことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体またはその抗原結合断片はSEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列の中の少なくとも一部と結合できる、ことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
免疫複合体であって、治療薬及び請求項1に記載の抗体または抗原結合断片を含み、前記抗体または抗原結合断片は治療薬にカップリングされる、ことを特徴とする免疫複合体。
【請求項10】
請求項1に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は請求項9に記載の免疫複合体を含む、ことを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片を含む、ことを特徴とするMICA及び/又はMICBを検出するためのキット。
【請求項12】
MICA及び/又はMICBを検出するためのキットの製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片を含む、ことを特徴とする薬物。
【請求項14】
MICA及び/又はMICBを媒介した疾患を予防及び/又は治療するための薬物の製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片及び/又は請求項9に記載の免疫複合体の使用であって、
任意選択に、前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、使用。
【請求項15】
請求項に記載の抗体または抗原結合断片をコードする配列を含む核酸であって、
任意選択に、前記核酸はSEQ ID NO:12、13で示されるヌクレオチド配列を有する、ことを特徴とする核酸。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸を含む、ことを特徴とする組換えベクターまたは形質転換体。
【請求項17】
請求項1に記載の抗体または抗原結合断片を発現する、ことを特徴とする組換え細胞。
【請求項18】
MICA及び/又はMICBを媒介した疾患の治療及び/又は予防における、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、請求項9に記載の免疫複合体、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の組換えベクターまたは形質転換体または請求項17に記載の組換え細胞の使用。
【請求項19】
前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項18に記載の使用。
【請求項20】
1)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、
2)請求項15に記載の核酸、
3)請求項16に記載の組換えベクターまたは形質転換体、及び
4)請求項17に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つの、被験者がMICA及び/又はMICBを媒介した疾患に罹っているかどうかの診断における使用。
【請求項21】
前記MICA及び/又はMICBを媒介した疾患は癌または移植拒絶、自己免疫疾患、感染性疾患であり、
任意選択に、前記癌は肺癌、肝癌、卵単癌、子宮頸癌、皮膚癌、膀胱癌、結腸癌、乳腺癌、神経膠腫、腎癌、胃癌、食道癌、口腔扁平上皮癌及び頭頚癌のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項20に記載の使用。
【国際調査報告】