(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】新規ベンゼン誘導体およびその免疫抑制関連用途
(51)【国際特許分類】
C07C 233/65 20060101AFI20240730BHJP
C07D 213/81 20060101ALI20240730BHJP
C07D 213/82 20060101ALI20240730BHJP
C07D 217/26 20060101ALI20240730BHJP
C07D 215/48 20060101ALI20240730BHJP
C07D 237/24 20060101ALI20240730BHJP
C07D 233/64 20060101ALI20240730BHJP
C07D 213/71 20060101ALI20240730BHJP
C07D 241/24 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/472 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/50 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240730BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240730BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240730BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/166 20060101ALI20240730BHJP
C07D 231/56 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20240730BHJP
C07D 303/36 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/336 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/18 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20240730BHJP
C07D 239/28 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20240730BHJP
C07C 233/66 20060101ALI20240730BHJP
C07C 235/84 20060101ALI20240730BHJP
C07C 237/48 20060101ALI20240730BHJP
C07C 233/11 20060101ALI20240730BHJP
C07C 235/60 20060101ALI20240730BHJP
C07C 237/30 20060101ALI20240730BHJP
C07C 311/16 20060101ALI20240730BHJP
C07C 311/39 20060101ALI20240730BHJP
C07C 233/78 20060101ALI20240730BHJP
C07C 233/83 20060101ALI20240730BHJP
C07C 233/27 20060101ALI20240730BHJP
C07C 271/44 20060101ALI20240730BHJP
C07D 207/325 20060101ALI20240730BHJP
C07C 211/29 20060101ALI20240730BHJP
C07C 233/69 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07C233/65
C07D213/81 CSP
C07D213/82
C07D217/26
C07D215/48
C07D237/24
C07D233/64
C07D213/71
C07D241/24
A61K31/44
A61K31/455
A61K31/472
A61K31/47
A61K31/50
A61K31/4965
A61K31/4164
A61K31/40
A61P37/06
A61P37/08
A61P29/00
A61K31/167
A61K31/166
C07D231/56 Z
A61K31/416
C07D303/36
A61K31/336
A61K31/165
A61K31/18
A61K31/137
C07D239/28
A61K31/505
A61K31/27
C07C233/66
C07C235/84
C07C237/48
C07C233/11
C07C235/60
C07C237/30
C07C311/16
C07C311/39
C07C233/78
C07C233/83
C07C233/27
C07C271/44
C07D207/325
C07C211/29
C07C233/69
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505518
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2022011254
(87)【国際公開番号】W WO2023008973
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0100261
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524037915
【氏名又は名称】プロヴィバイオ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PROVIBIO CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】417‐7HO, CHANGJOGWAN, 197 INJE‐RO, GIMHAE‐SI, GYEONGSANGNAM‐DO 50834, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソク・ジュ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA01
4C086BC05
4C086BC17
4C086BC19
4C086BC28
4C086BC30
4C086BC37
4C086BC38
4C086BC41
4C086BC42
4C086BC48
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C206AA01
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4C206GA07
4C206GA08
4C206GA09
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4C206HA24
4C206JA13
4C206KA01
4C206KA04
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB08
4C206ZB11
4C206ZB13
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM73
4H006BM74
4H006BV22
4H006BV25
4H006BV72
4H006BV74
4H006RA22
4H006RA28
(57)【要約】
本発明は、新規ベンゼン誘導体およびその免疫抑制関連用途に関する。具体的に、本発明は、化学式1の化合物、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩を含む組成物に関する。組成物は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患のような免疫疾患の予防または治療用途を持つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩:
【化1】
前記化学式1において、
X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5のうちから1個または2個原子は窒素であり、残りの原子は炭素であり、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-C14アルキル基、C2-C14アルケニル基、C2-C14アルキニル基、C5-C14アリール基、C5-C14アリールアルキル基、C3-C14シクロアルキル基、C3-C14シクロアルキルアルキル基、C3-14ヘテロアリール基、C3-14ヘテロアリールアルキル基、C3-14ヘテロシクロアルキル基、C3-14ヘテロシクロアルキルアルキル基、C1-C14アルコキシ基、C5-C14アリールオキシ基、C5-C14ヘテロアリールオキシ基、-NO
2、-NR
6、-SO
2R
6、-SO
2N(R
6)
2、-CF
3、-OH、シアン基、チオール基、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、ジアゾール、イミダゾール、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、ヘテロシクロアミンおよびビオチンのうちから選択され、
Yは、-OH、チオール基、フェノキシ、シアン基、チアゾール、ジアゾール、イミダゾール、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、-CON(R
6)
2、-NR
6COR
6、-SO
2N(R
6)
2、-NH
2、-NO
2、-COOR
6、-R
7COOR
6、-R
7CON(R
6)
2、-CONHSR
6、-CONHR
7SR
6、-CONHSSR
6、-CONHR
7SSR
6、-CONHR
7SO
2R
6、-CONHOR
6、-CONHR
7OR
6、-CON(R
7)
2CON(R
6)
2および-CON(R
7)
2NR
7COR
6のうちから選択され、
ここで、R
6およびR
7は、互いに独立して、水素、ハロゲン、チオール基、フェノキシ、シアン基、チアゾール、ジアゾール、イミダゾール、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C6-C12アリール基、C6-C12アリールアルキル基、C3-C12シクロアルキル基、C3-C12シクロアルキルアルキル基、C3-10ヘテロアリール基、C3-10ヘテロアリールアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキルアルキル基、C1-C6アルコキシ基、-CF
3、アミン、C1-6アルキルアミンおよび-CNのうち一つ以上によって置換されているかまたは置換されていない、水素、C1-C14アルキル基、C2-C14アルケニル基、C2-C14アルキニル基、C6-C12アリール基、C6-C12アリールアルキル基、C3-C12シクロアルキル基、C3-C12シクロアルキルアルキル基、C3-10ヘテロアリール基、C3-10ヘテロアリールアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキルアルキル基、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、ヘテロシクロアミンおよびビオチンのうちから選択される。
【請求項2】
請求項1に記載の化学式1の化合物、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩を含む、組成物。
【請求項3】
前記組成物は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患から選択される免疫疾患の予防または治療用薬学組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患から選択される免疫疾患の予防または改善用食品組成物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患から選択される免疫疾患の予防または改善用化粧料組成物である、請求項2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ベンゼン誘導体およびその免疫抑制関連用途に関する。具体的に、本発明は、化学式1の化合物、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩を含む組成物に関する。前記組成物は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患のような免疫疾患の予防または治療用途を持つ。
【背景技術】
【0002】
自己免疫とは、体液性免疫、細胞性免疫または両方ともによって細胞や組織に損傷をもたらすものであって、免疫係の自己抗原(autoantigen)に対する不適切な反応を指す。自己免疫疾患は、自己免疫反応が標的とする分子、細胞および組織と関連があり、標的抗原の分布によって全身性で現れるか、または特定の臓器に特異的に現れることがある。例えば、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)、リューマチ性関節炎(rheumatoid arthritis;RA)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)などは全身性自己免疫疾患に属し、自己免疫性貧血、インスリン依存性糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)、グレーブス病(grave´s disease)などは臓器特異的自己免疫疾患に属する。
【0003】
移植拒絶反応とは、移植される組織が移植受取人の免疫係によって拒否されるときに発生し、移植される組織を破壊する。これは、超急性拒絶反応、急性拒絶反応、慢性拒絶反応などに分類されることができる。
【0004】
アレルギー性疾患は、特定対象体に対してアレルギー抗原として特定物質に露出したり、接触したりすると、抗体係が過敏に反応することがあり、この場合、該当部位に炎症が生じてアレルギー症状が発生することを言う。ここには、気管支喘息、アレルギー鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(血管性浮腫、発疹など)、アナフィラキシー反応、アレルギー性結膜炎、季節性アレルギー、薬物アレルギー、食物アレルギーなどが含まれる。
【0005】
炎症疾患は、非正常的な炎症が発生して、火傷、外傷などの物理的原因、病原体、過敏症、ストレスなどの生物学的原因、毒素、粒子状物質など多様な化学的原因によって発生する。
【0006】
上記のような自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患は、過度な免疫反応によって引き起こされることを共通した特徴として持っている。このような免疫疾患は、患者数が多く、これを治療または予防するために古くから研究および開発されている。例えば、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤などが開発され、現在までも一般的に使用されている。しかし、毒性および耐性のような問題点が引き起こされるにつれ、依然として免疫疾患に対しては副作用および逆効果なしに所望の治療または予防効果を示すことができる物質に対する必要性が該当技術分野に大きく存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を認知し、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患から選択される免疫疾患に対して優れた治療、予防または改善効果を有する化合物を見出すために、数多くの試行錯誤を経て研究を繰り返した。その結果、化学式1の化合物を開発して本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するための本発明に係る化合物は、下記化学式1で示される。
【化1】
前記化学式1において、
X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5のうちから1個または2個原子は窒素であり、残りの原子は炭素であり、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-C14アルキル基、C2-C14アルケニル基、C2-C14アルキニル基、C5-C14アリール基、C5-C14アリールアルキル基、C3-C14シクロアルキル基、C3-C14シクロアルキルアルキル基、C3-14ヘテロアリール基、C3-14ヘテロアリールアルキル基、C3-14ヘテロシクロアルキル基、C3-14ヘテロシクロアルキルアルキル基、C1-C14アルコキシ基、C5-C14アリールオキシ基、C5-C14ヘテロアリールオキシ基、-NO
2、-NR
6、-SO
2R
6、-SO
2N(R
6)
2、-CF
3、-OH、シアン基、チオール基、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、ジアゾール、イミダゾール、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、ヘテロシクロアミンおよびビオチンのうちから選択され、
Yは、-OH、チオール基、フェノキシ、シアン基、チアゾール、ジアゾール、イミダゾール、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、-CON(R
6)
2、-NR
6COR
6、-SO
2N(R
6)
2、-NH
2、-NO
2、-COOR
6、-R
7COOR
6、-R
7CON(R
6)
2、-CONHSR
6、-CONHR
7SR
6、-CONHSSR
6、-CONHR
7SSR
6、-CONHR
7SO
2R
6、-CONHOR
6、-CONHR
7OR
6、-CON(R
7)
2CON(R
6)
2および-CON(R
7)
2NR
7COR
6のうちから選択され、
ここで、R
6およびR
7は、互いに独立して、水素、ハロゲン、チオール基、フェノキシ、シアン基、チアゾール、ジアゾール、イミダゾール、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C6-C12アリール基、C6-C12アリールアルキル基、C3-C12シクロアルキル基、C3-C12シクロアルキルアルキル基、C3-10ヘテロアリール基、C3-10ヘテロアリールアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキルアルキル基、C1-C6アルコキシ基、-CF
3、アミン、C1-6アルキルアミンおよび-CNのうち一つ以上によって置換されているかまたは置換されていない、水素、C1-C14アルキル基、C2-C14アルケニル基、C2-C14アルキニル基、C6-C12アリール基、C6-C12アリールアルキル基、C3-C12シクロアルキル基、C3-C12シクロアルキルアルキル基、C3-10ヘテロアリール基、C3-10ヘテロアリールアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキル基、C3-10ヘテロシクロアルキルアルキル基、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、ヘテロシクロアミンおよびビオチンのうちから選択される。
【0009】
前記化学式1は、下記の化学式と相互交換的に使用されることができ、同一の意味を持つ。
【0010】
本発明において使用される用語「互いに独立して」は、2個以上の置換基が個別的に定義されて、互いに異なってもよく、同一であってもよいということを意味する。例えば、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、炭素または窒素であり、互いに同一または異なってよい。
【0011】
本発明において、アルキル、アルケニル、アルキニルのような用語は、直鎖(または線状とも指称する)または側鎖(または分岐状とも指称する)をすべて含むと意図される。
【0012】
本発明において使用される用語「ハロゲン」は、フルオロ、塩素、臭素またはヨードを意味する。
【0013】
本発明において使用される用語「アルコキシ」は、O-アルキルを意味する。
【0014】
本発明において使用される用語「ヘテロ」は、酸素、窒素および硫黄のうちから選択されたヘテロ原子を意味する。
【0015】
本発明において使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロ原子が環内に含まれたシクロアルキルを意味する。
【0016】
本発明は、化学式1で示される化合物、その異性体、溶媒化物、または薬学的に許容可能な塩を含む、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患から選択される免疫疾患の治療または予防用組成物を提供する。
【0017】
本発明において使用される用語「治療」は、本発明に係る組成物の投与によって免疫疾患の症状が好転または完治されるすべての行為を意味する。
【0018】
本発明において使用される用語「予防」は、本発明に係る組成物の投与によって免疫疾患が抑制または遅延するすべての行為を意味する。
【0019】
前記免疫疾患は、免疫疾患が進行されて追加で発生するか、または免疫疾患の重症度が高まった症状、疾患、状態などをすべて含むと理解されるべきである。
【0020】
例えば、自己免疫疾患には、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)、リューマチ性関節炎(rheumatoid arthritis;RA)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、全身性硬化症(systemic sclerosis)、自己免疫性貧血、インスリン依存性糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)、1型糖尿病、グレーブス病(grave´s disease)、グレーブス甲状腺亢進症(Graves hyperthyroidism)、菊池(Kikuchi)病、血球貪食性リンパ組織球症(Hemophagocytic lymphohistiocytosis)、成人スチル病(Adult onset Still´s disease)、ベーチェット病(Behcet disease)、IgG4-関連性疾患、乾癬などが含まれ得るが、これに制限されるものではない。
【0021】
アレルギー性疾患には、気管支喘息、アレルギー鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(血管性浮腫、発疹など)、アナフィラキシー反応、アレルギー性結膜炎、季節性アレルギー、薬物アレルギー、食物アレルギーなどが含まれ得るが、これに制限されるものではない。
【0022】
炎症疾患には、火傷、外傷などの物理的原因、病原体、過敏症、ストレスなどの生物学的原因、毒素、粒子状物質など、多様な化学的原因によって発生する炎症疾患が含まれ得るが、これに制限されるものではない。
【0023】
前記化合物には、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩が含まれる。
【0024】
本発明において使用される用語「薬学的に許容可能な塩」は、当該技術分野における通常の方法によって製造されることができるものであって、例えば、塩酸、臭素化水素、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、炭酸などの無機酸との塩またはギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、ゲンチジン酸、フマル酸、ラクトビオン酸、サリチル酸、またはアセチルサリチル酸(アスピリン)のような有機酸とともに薬学的に許容可能なこれらの酸の塩を形成したり、またはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンと反応して、これらの金属塩を形成したり、またはアンモニウムイオンと反応して、さらに他の形態の薬学的に許容可能な塩を形成することもでき、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明に係る薬学組成物は、前記化学式1で示される化合物、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩を単独で含有するか、または一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤をさらに含有することができる。
【0026】
前記薬学的に許容される担体としては、例えば、経口投与用担体または非経口投与用担体をさらに含むことができる。経口投与用担体は、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、マグネシウムステアレート、ステアリン酸などを含むことができる。また、非経口投与用担体は、水、適したオイル、食塩水、水性グルコースおよびグリコールなどを含むことができ、安定化剤および保存剤をさらに含むことができる。適した安定化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤がある。適した保存剤としては、ベンザルコニウムクロリド、メチル-またはプロピル-パラベンおよびクロロブタノールがある。その他の薬学的に許容される担体としては、次の文献に記載されているものを参考にすることができる(Remington´s Pharmaceutical Sciences、19th ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)。
【0027】
本発明の薬学組成物は、ヒトを始めとした哺乳動物に如何なる方法でも投与することができる。例えば、経口または非経口的に投与することができる。非経口的な投与方法としてはこれに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸内投与であってよい。例えば、本発明の薬学組成物を注射型剤形で製造して、これを30ゲージの細い注射針で皮膚を軽く単刺(prick)する方法、または皮膚に直接的に塗布する方法で投与されることができる。
【0028】
本発明の薬学組成物は、上述のような投与経路によって経口投与用または非経口投与用製剤に剤形化することができる。
【0029】
経口投与用製剤の場合に、本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などで、当業界に公知になっている方法を利用して剤形化されることができる。例えば、経口用製剤は、活性成分を固体賦形剤と配合した後、これを粉砕して適した補助剤を添加した後、顆粒混合物で加工することで錠剤または糖衣錠剤を収得することができる。適した賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールおよびマルチトールなどを含む糖類とトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプンおよびジャガイモデンプンなどを含むデンプン類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチル-セルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤が含まれることができる。また、場合によって、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどを崩壊剤として添加することができる。さらに、本発明の組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤および防腐剤などをさらに含むことができる。
【0030】
非経口投与用製剤の場合には、注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、オイル剤、保湿剤、ゲル剤、エアロゾルおよび鼻腔吸入剤の形態で当業界に公知になっている方法で剤形化することができる。これらの剤形は、すべての製薬化学に一般的に公知になっている処方書である文献(Remington´s Pharmaceutical Science、15th Edition、1975.Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania 18042,Chapter 87:Blaug、Seymour)に記載されている。
【0031】
本発明の薬学組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与されることができ、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与されることができる。本発明の薬学組成物は、疾患の症状によって有効性分の含量を異にすることができる。好ましくは、本発明の組成物の好ましい全用量は、1日当たり患者の体重1kg当たり約0.01μg~1,000mg、最も好ましくは、0.1μg~100mgであってよい。しかし、前記本発明の薬学組成物の用量は、投与経路および治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌および排泄率など多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量を考慮して、当分野における通常の知識を有する者が適切な有効投与量を決めることができるはずである。本発明に係る薬学組成物は、本発明の効果を見せる限り、その剤形、投与経路および投与方法に特に制限されてない。
【0032】
また、本発明の薬学組成物は、個別治療剤で投与されるか、他の治療剤と併用して投与されることができる。他の治療剤と併用して投与される場合、本発明の組成物と他の治療剤は、同時に、個別的にまたは順次に投与されることができる。前記他の治療剤は、免疫疾患の治療または改善効果を有するものと既に知られている物質であってよい。前記他の治療剤は、薬物療法以外の外科的処置、手術などをすべて含む。
【0033】
本発明の薬学組成物が他の治療剤と併用して投与される場合、本発明の組成物と他の治療剤は、それぞれ別途の容器に分離させて剤形化されるか、同じ容器で一緒に剤形化されることができる。
【0034】
本発明のまた一つの側面において、本発明の組成物を個体に投与するステップを含む免疫疾患の治療または予防方法を提供する。
【0035】
本発明に係る免疫疾患の治療または予防方法で各用語は特に言及しない限り、前記免疫疾患の治療または予防用組成物で前述のところと同一の意味を持つ。
【0036】
用語「個体」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、羊、犬、およびげっ歯類、例えば、マウス、ラットおよびモルモットであってよい。前記個体は、好ましくはヒトであってよい。用語「個体」は、本明細書において「対象体」および「患者」と相互交換的に使用可能である。
【0037】
本発明に係る免疫疾患の治療または予防方法において、本発明の組成物は、他の治療剤と同時に、順次に、または個別的に個体に投与されてよい。前記「同時」投与は、本発明の組成物と他の治療剤を同じ注入方法を通じて一度に投与されることを意味する。前記「順次」投与は、別個の注入方法を利用して本発明の組成物と他の治療剤を投与するが、比較的連続的に投与することを意味するものであって、投与間隔に消耗する時間として可能な最小限の時間を承諾する。前記「個別的」投与は、一定時間間隔を置いて本発明の組成物と他の治療剤を投与することを意味する。前記本発明の組成物および他の治療剤の投与方法は、患者の治療効能および副作用を考慮して、当分野における通常の知識を有する者が適切に選択することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る化学式1の化合物、その立体異性体、溶媒化物、水和物、結晶形または薬学的に許容可能な塩を含む組成物は、自己免疫疾患、移植拒絶反応、アレルギー性疾患および炎症疾患から選択される免疫疾患を効果的に予防または治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】CFSEの蛍光染色と細胞増殖の関係を説明するためのFACSグラフである。
【
図2】本発明の化合物をそれぞれ投与して、細胞の増殖をFACSで読み取るグラフである。
【
図3】それぞれ薬物処理して24時間経過後、IL-2、72時間経過後、IFN-γ、TNF-α、IL-17A分泌量を測定したグラフである。
【
図4】それぞれ薬物処理して24時間経過後、IL-2、72時間経過後、IFN-γ、TNF-α、IL-17A分泌量を測定したグラフである。
【
図5】それぞれ薬物処理して24時間経過後、IL-2、72時間経過後、IFN-γ、TNF-α、IL-17A分泌量を測定したグラフである。
【
図6】それぞれ薬物処理して24時間経過後、IL-2、72時間経過後、IFN-γ、TNF-α、IL-17A分泌量を測定したグラフである。
【
図7】乾癬マウス動物モデルから本発明の化合物の効能を見るための方法および結果を示したものである。
【
図8】乾癬マウス動物モデルから本発明の化合物の効能を見るための方法および結果を示したものである。
【
図9】乾癬マウス動物モデルから本発明の化合物の効能を見るための方法および結果を示したものである。
【
図10a】乾癬マウス動物モデルから本発明の化合物の効能を評価した結果であって、CD11b 顆粒球(granulocyte)、B細胞およびT細胞の構成割合に関する。
【
図10b】乾癬マウス動物モデルから本発明の化合物の効能を評価した結果であって、CD11b 顆粒球(granulocyte)、B細胞およびT細胞の構成割合に関する。
【
図10c】乾癬マウス動物モデルから本発明の化合物の効能を評価した結果であって、CD11b 顆粒球(granulocyte)、B細胞およびT細胞の構成割合に関する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものではない。また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の趣旨を害しない範囲内で本発明に対して多様な変形および修正を加えることができるはずである。本明細書において特に定義されていない用語に対しては、本発明の属する技術分野において通常的に使用される意味を有するものと理解されなければならないだろう。
【0041】
製造例
化学式1に属する化合物が代表的に下記反応式1または2によって製造された。置換基が異なる化合物の場合にも、類似したステップを通じて実際製造したが、本明細書にすべて明示してはいない。当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、下記の代表的な例を参照して、化学式1に属する化合物を容易に製造することができる。
【0042】
【0043】
前記反応式1において、化合物Aと化合物Bのカップリング反応を通じて1-エチル-3-(3´-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸(EDC・HCl)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を利用したカップリング反応で化合物Cが収得される。
【0044】
【0045】
前記反応式2において、化合物Aと化合物Bを反応させて化合物Cが収得される。
【0046】
このように製造された化合物の代表的な例を下記に具体的な化学構造式とともに示した。ただし、下記表に見られるすべての化合物が本願発明に係る化学式1に含まれるものではない。
【0047】
【0048】
前記化合物を製造したところ、確認された分子量、性状および1H NMR値は、次の表1のとおりである。
【表1】
【0049】
実験例1:T細胞増殖抑制効果検証
前記製造例で収得された化合物がT細胞の増殖を抑制する効果があるか否かを調べるために、細胞内分子と共有結合で結合する蛍光染料カルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルエステル(carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester)(CFSE)を利用してT細胞の増殖をex vivoで測定した。7週齢C57BL/6マウスから脾臓を摘出して潰した後、strainer(40μM 細孔サイズ(pore size)、SPL)で単細胞だけ分離した後、ACK(Ammonium-Chloride-Potassium)lysis緩衝溶液で赤血球を除去して白血球だけ分離した。ここに、CD90.2 マイクロビーズ(microbead)(130-121-278、Miltenyi Biotech.)を添加して4℃で20分間反応させた後、MACS Magnetic StandとLS columnを利用して最終的に脾臓のT細胞(T cell)だけ分離した。脾臓細胞から分離したT cellは、Free media(RPMI-1640+200 U/mL ペニシリン(penicillin)+200μg/mL ストレプトマイシン(Streptomycin))1mLで再懸濁した後、CFSE(10mM)0.3μLを添加して37℃で5分間反応させた。続いて、Free media 10mLを添加して反応を停止し、遠心分離して細胞沈殿物を収得した。ここに、10% FBSおよび100U/mL penicillin、100μg/mL streptomycinが含有されているRPMI 1640培地を添加して細胞を浮遊させ、96-ウェルプレート(well plate)にwell当たり2×105 cellの細胞を分注してCD3、CD28抗体を(それぞれ0.5μg/mL)で処理してT cellを活性化させた。
DMSOに希釈させた化合物を10μM、30μM、50μMの濃度でそれぞれ3個のwellずつ処理した。37℃、5% CO2恒温培養器で3日間培養した後、FACS canto機器で細胞増殖程度をリーディング(Reading)した。
【0050】
図1のFACSグラフで縦軸は細胞の量(個数)を示し、横軸は細胞の蛍光水準を示す。CFSEで染色された細胞は、細胞分裂を繰り返すことによりCFSEの量が減少し、これは、CFSEの蛍光減少でグラフで横軸の左側に移動して表示されるが、これは細胞が増殖されることを意味する。
【0051】
図2は、化合物9、化合物69および化合物84をそれぞれ投与して細胞の増殖をFACSで読み取ったグラフである。各グラフは、下から上に薬物の濃度を増加させながら投与したものであって、順に薬物濃度10μM、30μM、50μMに該当する。化合物69と化合物84は、10~30μM濃度で細胞増殖が抑制されることを見せるが、化合物9は、50μM濃度で投与しても細胞増殖が抑制されないことを見せた。
【0052】
前記実験結果に対して、一括的に増殖抑制率を表示するために、増殖抑制率はCD3/CD28+DMSOを投与した後、測定した増殖量を基準に化合物投与後に増殖された量に対する相対的な増殖量を求め、これを抑制量に換算して百分率で表記した。具体的に、次のように増殖抑制率を算出した。
【0053】
増殖抑制率(%)={1-薬物投与細胞における増殖量÷CD3/CD28+DMSO投与後の増殖量}×100
【0054】
【0055】
一方、下記表3から見られるように、本発明に係る化学式1に属さない化合物は、増殖抑制率が非常に低い水準と確認された。
【0056】
【0057】
実験例2:細胞毒性実験
本発明に係る化合物の細胞毒性を評価するために、下記の実験を遂行した。
【0058】
韓国細胞株銀行から購入したTリンパ球(T lymphocyte)細胞株Jurkat E6-1を10% FBS、100U/mL penicillin、100μg/mL streptomycinが含まれたRPMI-1640培地で培養した後、これを回収して1,300rpmの速度で5分間遠心分離した。以後、上澄み液を除去した細胞を同じ条件の培地に約2.2×105 cells/mLの濃度で再懸濁して、96-well plate(Costar 96 well cell culture plate、Corning)にwell当たり90μLずつ分注した。該当plateに各化合物を濃度別に10μLずつ処理した後、5% CO2恒温培養器で37℃で24時間培養した。以後、各wellに10μLのCCK-8を加えて、さらに5% CO2恒温培養器で37℃で2時間培養した後、450nmで吸光度を測定して薬物を処理していない細胞に対する相対的な細胞生存率を表4に示した。
【0059】
表4に記入された数値は、薬物を処理していない細胞の生存率を100%としたとき、各薬物を濃度別に処理したグループで、これによる相対的な細胞の生存率を意味する。
【0060】
【0061】
実験例3:サイトカイン発現減少効果検証
本発明の化合物がT細胞が分泌するサイトカイン量変化に及ぼす影響を確認するために、下記実験を遂行した。
【0062】
7週齢C57BL/6マウスから脾臓を摘出して潰した後、濾過器(strainer)(40uM pore size、SPL)で単細胞だけ分離した後、ACK(Ammonium-Chloride-Potassium)lysis緩衝溶液で赤血球を除去して白血球だけ分離した。これを10v/v% CD90.2 microbead(130-121-278、Miltenyi Biotech.)と4℃で20分反応させて、磁性を基盤とした錠剤に基づいて最終的に脾臓のT cellだけ分離した。前記実験方法を通じて分離したT細胞を2×105 cell/wellの量で96-well plateに培養後、T細胞の活性化のために各wellに1μg/mL濃度でanti-CD3/CD28抗体を処理した。以後、ビヒクル(Vehicle)(DMSO)および30μMの化合物(化合物14、化合物19、化合物26、化合物31、化合物35、化合物40、化合物41、化合物56、化合物69、化合物75)を各wellに処理して、5% CO2恒温培養器で37℃培養した。24時間および72時間が経過した後、T細胞培養液を取って13,000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を収得した。
【0063】
T細胞培養液に存在するサイトカインの濃度を測定するために、Mouse Th1/Th2/Th17 Cytokine CBA Kit(Cytometric Bead Array kit)560485、BD Science)を利用して、フローサイトメトリーを通じて各薬物処理後に24時間経過後、IL-2、72時間経過後、IFN-γ、TNF-α、IL-17A分泌量を測定した。
【0064】
前記実験結果を示した
図3~6から見られるように、本発明の化合物を処理せずにanti-CD3/CD28抗体で刺激したT細胞ではIL-2およびIFN-γ、TNF-α、IL-17Aを多量分泌する一方、化合物(化合物14、化合物19、化合物26、化合物31、化合物35、化合物40、化合物41、化合物56、化合物69、化合物75)を処理した場合、これらのサイトカイン分泌が顕著に減少することを確認した。これに基づいて、本発明に係る化合物は、T細胞の増殖を抑制する過程でサイトカイン分泌を減少させる効果があるということが立証された。
【0065】
実験例4:乾癬モデル治療効果検証
本発明に係る化合物の乾癬に対する治療効果を検証するために、下記のように乾癬動物モデルを構築し、化合物69と化合物83に該当する化合物を注射して皮膚病変の緩和と免疫細胞変化の様相を評価しようとした。
【0066】
乾癬マウス動物モデル構築のために、BALB/c(7週齢、20g、Female)を(株)ハナバイオテックから購入した後、一週間飼育環境に適応するようにした。以後、マウスの背中部位の毛を除毛器で1次除毛した後、除毛クリーム(ニクリンクリーム(チオグライコラックエシド80%、ILDONG製薬))を利用して2次で完全に除毛し、背中の傷を確認するために24時間飼育した。
【0067】
以後、本発明に係る化合物の乾癬発生予防および治療効果を検証するために、
図7および表5のように5つのグループの実験群を設定し、第2番目から第5番目のグループのマウスには乾癬を誘発するためにAldara(登録商標)creamを毎日80mg(imiquimod、4 mg)ずつ1日1回2週間(14日、計14回)間塗布した。これと同時に、本発明に係る化合物(化合物69および化合物83)の乾癬発生予防および治療効果を比較するために、薬物を処理するグループの場合、マウス1匹当たり40mg/kgの化合物を投与用量の10%に該当するDMSOに完全に溶かした後、最終的にDMSO:クレモフォール EL:PEG 400:蒸留水の割合が1:1:4:4(v/v/v/v)になるようにクレモフォール EL-PEG 400-蒸留水混合物にこれを希釈した。以後、該当注射液をマウス1匹当たり100μLずつ1日2回、12時間間隔で腹腔注射した。Vehicle投与群の場合、薬物を除いた注射液(DMSO:クレモフォールEL:PEG 400:蒸留水=1:1:4:4(v/v/v/v))を100μLずつ1日2回、12時間間隔で腹腔注射した。
【0068】
【0069】
実験14日後、各グループに該当するマウスの背中部位の皮膚の紅斑、厚さおよび鱗屑の程度を観察し、H&E染色を通じて該当部位の病理組織の分析を施した。
図8から見られるように、乾癬だけ誘発したグループ(乾癬、注射なし:Psoriasis、Non-injection)および乾癬を誘発すると同時に注射液溶媒を腹腔に注射したグループ(乾癬、ビヒクル:Psoriasis、Vehicle)では、背中部位皮膚の紅斑、厚さおよび鱗屑の程度が酷かったが、化合物69または化合物83を投与したグループでは、皮膚病変が軽微に現れるか、ほとんど確認されなかった。
【0070】
図9から見られるように、乾癬だけ誘発したグループ(乾癬、注射なし:Psoriasis、Non-injection)および乾癬を誘発すると同時に注射液溶媒を腹腔に注射したグループ(乾癬、ビヒクル:Psoriasis、Vehicle)では、過角化症(hyperkeratosis)、錯角化症(parakeratosis)、不規則な棘細胞症(acanthosis)が酷く現れただけでなく、炎症細胞の浸潤が酷く現れたのに対し、化合物69または化合物83を投与したグループでは、このような現象が軽微に現れるか、ほとんど確認されなかった。
【0071】
各化合物が生体内で免疫細胞に及ぼす影響を確認するために、各化合物を投与したマウスの脾臓を摘出して細胞を抽出した後、MACS buffer(2 mM EDTA、0.5% FBS、NaCl 137mM、KCl 2.7mM、Na2HPO4 10mM、KH2PO4 1.8mM、Miltenyi Biotech.)に懸濁する。フローサイトメトリーのためにFACSチューブ(5mL round tube、Falcon)に各マウスの脾臓細胞を5×105個ずつ分注した後、抗体が非特異的に結合することを防ぐために、各チューブに1μg/mLのanti-mouse CD16/CD32(InVivoMAb)を30分間処理した後、13,000rpmで5分間遠心分離してMACS buffer 100μLに再懸濁した。以後、確認しようとする免疫細胞の種類によって、次のように実験を進行した。
【0072】
B細胞の場合、各FACSチューブを1μg/mLのFITCが結合されたanti-B220抗体(eBioscience(商標))で4℃で30分間染色した後、2mLのMACS bufferで洗浄した。以後、各チューブを15,000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を捨てて沈んだ細胞は200μLの4%パラホルムアルデヒド水溶液を利用して固定した。
【0073】
T細胞の場合、各FACSチューブを1μg/mLのPerCP-Cy5.5が結合されたanti-CD3(Biolegend)、FITCが結合されたanti-CD8(eBioscience(商標))、Cy7が結合されたanti-CD4抗体(eBioscience(商標))で4℃で30分間染色した。以後、各チューブを2mLのMACS bufferで洗浄して15,000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を捨てて沈んだ細胞は200μLの4%パラホルムアルデヒド水溶液を利用して固定した。
【0074】
マクロファージの場合、各FACSチューブを1μg/mLのFITCが結合されたanti-CD11b抗体(eBioscience(商標))で4℃で30分間染色した後、2mLのMACS bufferで洗浄した。以後、各チューブを15,000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を捨てて沈んだ細胞は200μLの4%パラホルムアルデヒド水溶液を利用して固定した。
【0075】
上記の過程を通じて、免疫細胞を染色してフローサイトメトリーを実施したところ、
図10a~
図10cから見られるように、イミキモドを塗布して乾癬だけ誘発したグループ(乾癬、注射なし:Psoriasis、Non-injection)、そして、イミキモドを塗布するとともにVehicleを腹腔内投与したグループ(乾癬、ビヒクル:Psoriasis、Vehicle)では、CD11b陽性顆粒球(granulocyte)が脾臓で急激に増加し、相対的にB細胞とT細胞の構成割合が減少する様相を見せた。しかし、化合物69または化合物83を腹腔内投与したグループにおいては、CD11b granulocyteの割合が減少し、これとともにB細胞とT細胞の割合が増加した。最終的に、有効化合物を投与したとき脾臓のCD11b陽性granulocyteとB細胞およびT細胞の構成割合が正常マウスから見られるものと類似になることを確認して、薬物が治療効果を見せることを確認した。
【0076】
上記の結果を通じて、本発明の化合物である化合物69または化合物83は、自己免疫疾患の一種である乾癬動物モデルに対する治療効能を示すことを検証し、その過程において、免疫細胞の作用に影響を及ぼすことを検証した。
【国際調査報告】