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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】B7H6抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240730BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240730BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K47/68
A61K48/00
A61K35/12
G01N33/53 D
G01N33/531 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506277
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2022137095
(87)【国際公開番号】W WO2023104062
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111485380.9
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523346629
【氏名又は名称】ヘーフェイ ティージー イミュノファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ジーガン
(72)【発明者】
【氏名】カオ グオシュアイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェイファ
(72)【発明者】
【氏名】スン ルイ
(72)【発明者】
【氏名】スン ハオユー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB11
4C085BB31
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045EA50
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
本発明はB7H6抗体及びその使用を開示する。前記抗体は重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含む。本発明の抗体はB7H6に結合して、B7H6によるNK細胞活化性受容体NKp30との結合を促進し、抗がん機能を有することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含み、
前記重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記重鎖CDR2は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記重鎖CDR3は、EQ ID NO:3、SEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR1は、EQ ID NO:4、SEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つ含み、
前記軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:12で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つ含む、B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、SEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、又は
2)SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、SEQ ID NO:12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、(i)前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:13、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:19で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は、(ii)前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:14、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記重鎖可変領域は、(i)から選ばれた重鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、(ii)から選ばれた軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:13で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:14で示されるアミノ酸配列、
2)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:15で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:16で示されるアミノ酸配列、
3)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:17で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列、又は
4)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:19で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:20で示されるアミノ酸配列、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:26で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:27で示されるアミノ酸配列、
2)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:28で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:29で示されるアミノ酸配列、
3)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:30で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:31で示されるアミノ酸配列、又は
4)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:32で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:33で示されるアミノ酸配列、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記単離された抗体はIgG1、IgG2又はIgG4である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記抗体は、モノクローナル抗体、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト修飾抗体、ヒト抗体、Fv、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’,Fab’-SH又はF(ab’)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:21で示されるアミノ酸配列に結合することができる、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
治療薬及び治療薬に結合した請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、免疫複合体。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又は請求項10に記載の免疫複合体、及び薬学的に許容されるベクターを含む、組成物。
【請求項12】
サンプル中のB7H6を検出するためのキットであって、当該キットは、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、キット。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの、サンプル中のB7H6を検出するための試薬の調製における使用。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの、B7H6媒介性疾患を予防及び/又は治療するための薬物の調製における使用であって、前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、使用。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む、核酸。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸を含む、組換えベクター又は形質転換体。
【請求項17】
請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の発現ベクター又は形質転換体、又は請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを担持する、組換え細胞。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項10に記載の免疫複合体、請求項11に記載の組成物、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体又は請求項17に記載の組換え細胞を含む、薬物。
【請求項19】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項10に記載の免疫複合体、請求項11に記載の組成物、請求項18に記載の薬物、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体又は請求項17に記載の組換え細胞の、B7H6媒介性疾患の治療及び/又は予防における使用。
【請求項20】
前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
B7H6媒介性疾患を治療及び/又は予防する方法であって、
1)請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、
2)請求項10に記載の免疫複合体、
3)請求項11に記載の組成物、
4)請求項18に記載の薬物、
5)請求項15に記載の核酸、
6)請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び
7)請求項17に記載の組換え細胞、のうちの少なくとも1つを被験者に投与することを含む、方法。
【請求項22】
前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
被験者がB7H6媒介性疾患を有するかどうかを診断するための方法であって、
1)請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、
2)請求項15に記載の核酸、
3)請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び
4)請求項17に記載の組換え細胞、のうちの少なくとも1つを用いて検出対象サンプルにおけるB7H6を検出し、
前記B7H6の検出結果に基づいて、前記検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量を決定すること、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量が疾患の最低基準以上であることは、検出対象サンプルがB7H6媒介性疾患を有する患者から由来する指示である、ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
1)請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、
2)請求項15に記載の核酸、
3)請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び
4)請求項17に記載の組換え細胞、のうちの少なくとも1つの、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かについての診断における使用。
【請求項27】
前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、請求項26に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗体の分野に関し、具体的には、B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
NK細胞は体内で非常に重要な自然リンパ球であり、抗ウイルスおよび抗腫瘍において重要な役割を果たしている。NK細胞の表面は、NKp30、NKG2Dなどを含む様々な活性化受容体を発現し、腫瘍細胞の表面に発現するリガンドを認識して結合し、これらのリガンドは、自身の遺伝子によってコードされ、細胞の悪性形質転換(腫瘍)などの条件下で細胞の表面に発現する。
【0003】
NKp30は重要なNK細胞活性化受容体であり、そのリガンドに結合した後、活性化シグナルを伝達し、NK細胞による腫瘍の死滅を促進する。B7H6は膜タンパク質の形で発現する唯一の既知のNKp30リガンドであり、B7-H6は黒色腫や肝臓癌などのさまざまな腫瘍組織で高発現しており、正常組織では発現せず、腫瘍特異的である。
【0004】
腫瘍微小環境におけるTGF-βなどのサイトカインは、NK細胞の表面でのNKp30の発現を下方制御し、その結果、NK細胞はNKp30-B7H6相互作用を使用して腫瘍を正確に識別して殺すことができず、腫瘍免疫逃避をもたらす。そのため、B7H6を標的とする治療性抗体薬を提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術の欠点を克服して、ヒトおよびサルB7H6に結合して、B7H6とNKp30との結合を促進することができるB7H6抗体及びその使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による抗体は、B7H6とNKp30との結合を促進することにより、NK細胞の抗がん機能を促進する。
【0007】
一態様では、本発明は、B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含み、
前記重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記重鎖CDR2は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記重鎖CDR3は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:12で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、及びSEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、又は、
2)SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、及びSEQ ID NO:12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、(i)前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:19で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は、(ii)前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記重鎖可変領域は(i)から選ばれた重鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、(ii)から選ばれた軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:13で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:14で示されるアミノ酸配列、
2)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:15で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:16で示されるアミノ酸配列、
3)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:17で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列、又は
4)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:19で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:20で示されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:26で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:27で示されるアミノ酸配列、
2)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:28で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:29で示されるアミノ酸配列、
3)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:30で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:31で示されるアミノ酸配列、又は
4)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:32で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:33で示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記単離された抗体はIgG1、IgG2又はIgG4である。
【0014】
いくつかの実施例では、前記抗体はモノクローナル抗体、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト修飾抗体、ヒト抗体、Fv、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’,Fab’-SH又はF(ab’)である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:21で示されるアミノ酸配列に結合することができる。
【0016】
他の態様では、本発明は免疫複合体を提供し、当該免疫複合体は治療薬及び治療薬に結合した上記の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0017】
別の態様では、本発明は組成物を提供し、前記組成物は上記の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又は上記の免疫複合体、及び薬学的に許容されるベクターを含む。
【0018】
別の態様では、本発明はサンプル中のB7H6を検出するためのキットを提供し、当該キットには上記抗体又はその抗原結合フラグメントが含まれる。
【0019】
別の態様では、本発明は、上記の抗体又はその抗原結合フラグメントの、サンプル中のB7H6を検出するための試薬の調製における使用を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、上記の抗体又はその抗原結合フラグメントの、B7H6媒介性疾患を予防及び/又は治療するための薬物の調製における使用を提供し、前記B7H6媒介性疾患は、がん又は感染性疾患である。
【0021】
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である。
【0022】
別の態様では、本発明は、上記の抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードする核酸を含む核酸を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、上記の核酸を含む、組換えベクター又は形質転換体を提供する。
【0024】
一態様では、本発明は、組換え細胞を提供し、前記組換え細胞が、上記に記載の核酸、発現ベクター又は形質転換体を担持しているか、又は上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを発現している。
【0025】
他の態様では、本発明は、上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、薬物、核酸、組換えベクター又は形質転換体又は組換え細胞を含む薬物を提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、薬物、核酸、組換えベクター又は形質転換体又は組換え細胞の、B7H6媒介性疾患の治療及び/又は予防における使用を提供する。上記のように、前記抗体又はその抗原結合フラグメントはB7H6と効果的に結合することができ、さらに、B7H6とNKp30の間の相互作用を促進し、NK細胞の抗がん機能を強化し、このため、前記抗体又はその抗原結合フラグメント、及び適切な条件下で前記抗体又はその抗原結合フラグメントを発現して得る物質は、すべてB7H6媒介性疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0027】
別の態様では、本発明は、B7H6媒介性疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、1)以上に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、2)上記に記載の免疫複合体、3)上記に記載の組成物、4)上記に記載の薬物、5)上記に記載の核酸、6)上記に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び、7)上記に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つを被験者に投与することを含む。上記のように、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、B7H6と効果的に結合することができ、さらに、B7H6とNKp30の間の相互作用を促進し、NK細胞の抗がん機能を強化し、このため、前記抗体又はその抗原結合フラグメント、及び適切な条件下で前記抗体又はその抗原結合フラグメントを発現して得る物質、又は前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む物質は、すべてB7H6媒介性疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。本発明の実施例の方法によれば、B7H6媒介性疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0028】
別の態様では、本発明は、被験者がB7H6媒介性疾患を有するかどうかを診断するための方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、1)上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞、のうちの少なくとも1つを使用して検出対象サンプルにおけるB7H6を検出し、前記B7H6の検出結果に基づいて、前記検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量を決定することを含む。上記のように、本発明の実施例の抗体又は抗原結合フラグメントは、B7H6と効果的に結合することができ、このため、前記抗体又は抗原結合フラグメントはB7H6を検出することに用いられることができ、B7H6は、多種の疾患を媒介し、このため、被験者由来の生体サンプルに含まれる前記B7H6のレベルに基づいて、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かを判定することができる。なお、さらに上記物質を使用して被験者検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量を監視することができ、即ち、上記の物質は、B7H6媒介性疾患を有する被験者における疾患の病期分類にも使用でき、B7H6媒介性疾患の予後を評価するためにも使用することができる。
【0029】
別の態様では、本発明は、1)以上に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つの、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かについての診断における使用を提供する。上記のように、本発明の実施例の抗体又は抗原結合フラグメントは、B7H6と効果的に結合することができ、このため、前記抗体又は抗原結合フラグメントはB7H6を検出することに用いれることができ、B7H6は、多種の疾患を媒介し、このため、被験者由来の生体サンプルに含まれる前記B7H6のレベルに基づいて、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かを判定することができる。
【0030】
上記技術的手段により、本発明は、ヒトおよびサルB7H6に結合することができる抗B7H6抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒトおよびサルB7H6に結合する特性、B7H6とNKp30との間の相互作用を促進することができる特性、及びNK細胞の抗がん機能を促進することができる特性、のうちの少なくとも1種を有する。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点について、以下の発明を実施するための形態において詳しく説明する。
【0032】
本発明の付加的な態様および利点は、以下の説明の中で一部与えられ、一部は以下の説明から明らかになるか、または本発明の実践を通して理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の上記及び/又は付加的な態様および利点について、以下の図面を参照すると、実施例の説明において明白で理解しやすくなり、
図面は、本発明のさらなる理解を提供するものであり、本明細書の一部を形成し、以下の実施形態とともに、本発明を説明するために使用されるが、本発明の限定を構成するものではない。図面において、
図1】本発明の具体的な実施形態によるマウス由来B7H6抗体にヒトB7H6を結合するELISA結果図である。
図2】本発明の具体的な実施形態によるマウス由来B7H6抗体にHL60-B7H6細胞を結合する結果図である。
図3】本発明の具体的な実施形態によるヒト化B7H6抗体にヒトB7H6を結合するELISA結果図である。
図4】本発明の具体的な実施形態によるヒト化B7H6抗体にHL60-B7H6細胞を結合する結果図である。
図5】本発明の具体的な実施形態によるヒト化B7H6抗体にCHO-K1-cyno B7H6細胞を結合する結果図である。
図6】本発明の具体的な実施形態によるヒト化B7H6抗体にサルB7H6を結合するELISA結果図である。
図7】本発明の具体的な実施形態によるB7H6抗体が受容体NKp30の結合を促進する結果図である。
図8】本発明の具体的な実施形態によるB7H6抗体媒介補体依存性細胞傷害効果の結果図である。
図9】本発明の具体的な実施形態によるB7H6抗体がヌードマウスのヒト急性骨髄性白血病U-937腫瘍への対抗を促進する結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例示は図面において示される。以下に図面を参照しながら説明する実施例は例示であり、本発明を説明するためのものであり、本発明の制限を理解することはできない。
【0035】
なお、「第1の」、「第2の」といった用語は目的を説明するためのものにすぎず、相対的に重要性を示す若しくは暗に示す、または技術的特徴を明示する数を暗に示すとみなすことはできない。したがって、「第1の」、「第2の」と限定している特徴は1つまたは複数の該特徴を含むことを明示するまたは暗に示すことができ、本発明の説明において、特に明確かつ具体的に限定している場合を除き、「複数」の概念は2つ又は2つ以上である。
【0036】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明を例示および説明するためにのみ使用され、本発明を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0037】
本明細書で開示する範囲の端点およびいかなる値も、正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲または値はこれらの範囲または値に近い値を含むものとして理解されるべきである。数値範囲については、本明細書で具体的に開示されるものと見なされるべき各範囲の端点値間、各範囲の端点値と個々の点値間、および個々の点値間を互いに組み合わせて、1つ以上の新しい数値範囲が得られる。
【0038】
本発明の理解を容易にするために、以下にいくつかの技術用語と科学用語を具体的に定義する。本明細書において明示的に定義されている場合を除き、本明細書で使用される他のすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味を有している。アミノ酸残基の略語は、当分野で使用されている20個の一般的なL-アミノ酸の1つを指す標準的な3文字および/または1文字コードである。
【0039】
本発明において、反対の記載がない場合、使用された抗原結合フラグメントという用語は「抗体フラグメント」であり、また、「抗体フラグメント」は、一般に抗原結合抗体フラグメントを意味し、抗体の完全な部分、一般に抗原結合領域または可変領域を含み得、抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、FvまたはscFv、二重抗体、線状抗体、一本鎖抗体分子などが含まれる。
【0040】
「相補性決定領域」又は「CDR」又は「CDR配列」という用語とは、抗原結合を担う抗体におけるアミノ酸配列を指し、例えば、一般的に、軽鎖可変領域における23-34(L1)、50-56(L2)及び89-97(L3)付近、及び重鎖可変領域における31-35B(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3)付近のアミノ酸残基(Kabatなど、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))、及び/又は「高可変リング」(例えば、軽鎖可変領域における26-32(LI)、50-52(L2)及び91-96(L3)、及び重鎖可変領域における26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3)付近からのアミノ酸残基(Chothia及びLesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))を含む。
【0041】
「保存的修飾形態のアミノ酸配列」という用語とは、以下のようなアミノ酸修飾を指す。この修飾は、アミノ酸の置換、増加、欠失を含む、アミノ酸配列を含む抗体の結合特性に大きな影響を与えたり、変化させたりしない。修飾は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発などの標準的な技術によって本発明の抗体に導入され得る。保存されたアミノ酸置換系におけるアミノ酸残基は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換された置換である。当該技術分野において、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが同定されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β-分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。このため、本発明の抗体のCDR領域における1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基によって置換されてもよく、改変された抗体の保持された機能は、本明細書に記載の機能アッセイ方法を用いて試験され得る。好ましくは、保存的修飾は、数が1または2を超えない。
【0042】
ペプチドの場合、用語「実質的な相同性」は、2つのペプチドまたはそれらの特定の配列が、最適な整列および比較(ここで、ヌクレオチドの適切な挿入または欠失)のとき、少なくとも約80%のアミノ酸、一般的に少なくとも約90%~95%、且つより好ましくは少なくとも約98%~99.5%のアミノ酸が同一であることを意味する。
【0043】
2つの配列間の同一性%は、配列を最適に照合する際に、配列が共有する同一位置の数によって変化する(つまり、相同性%=同一位置の数/総位置数×100)。このうち、最適照合系は、2つの配列の最適照合を達成するために導入する必要がある空の桁数と各空の桁の長さを考慮して決定される。2つの配列間の配列照合および同一性百分率の測定は、以下の非制限的な実施例で説明するように、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。
【0044】
当業者は、抗体の活性に実質的に影響を及ぼすことない(少なくとも95%の活性を保持する)ことを前提として、本発明の配列を1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上)のアミノ酸に置換、添加、および/または欠損させて、前記抗体またはその機能性フラグメントの配列のバリエーションを得ることができる。それらはいずれも本発明の保護の範囲に含まれると考えられる。例えば、類似の性質を有するアミノ酸は可変領域において置換される。本発明の変異体の配列は、参照配列との適合性(または相同性)を少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%有し得る。本発明に記載の配列適合性は、配列解析ソフトウェアを用いて測定されることができる。例えばデフォルトのパラメータのコンピュータプログラムBLAST、特にBLASTPまたはTBLASTNを使用する。本発明に記載されるアミノ酸配列は、すべてN末端からC末端までの態様で示されている。
【0045】
上記のように、本発明の抗体は、全長(例えば、IgG1またはIgG4抗体)であってもよいし、抗原結合部分のみを含んでもよく(例えば、Fab、F(ab’)2またはscFvフラグメント)、または機能に影響を与えるように修飾されていてもよい。本発明は、修飾されたグリコシル化パターンを有する抗B7H6抗体を含む。いくつかの適用において、望ましくないグリコシル化部位を除去するための修飾は有用であり得るか、またはオリゴ糖鎖上のフコシャリド部分の不在は、例えば抗体依存性細胞傷害(ADCC)機能を増強する抗体であり得る。他の適用では、ガラクトシル化修飾を実行して、補体依存性細胞傷害性(CDC)を変化させることができる。
【0046】
本明細書において使用される用語「機能性フラグメント」は、特に、Fv、scFv(scは一本鎖を指す)、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv-Fcフラグメント、又はダイアボディ(diabody)などの抗体フラグメント、または化学修飾又はリポソームへの組み込みによって半減期を増加させることができる任意のフラグメントを指す。前記化学修飾は、例えばポリエチレングリコール(「ポリエチレングリコール化、PEG化」)(Fv-PEG、scFv-PEG、Fab-PEG、F(ab’)2-PEGまたはFab’-PEGポリエチレングリコール化フラグメントと呼ばれる)(「PEG」はポリエチレングリコールと呼ばれる)などのポリ(アルキロド)ジオールを付加することであり、前記フラグメントはB7H6結合活性を有する。好ましくは、前記機能性フラグメントは、その由来抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域の部分配列からなるか、またはそれらを含む。その部分配列は、その由来抗体と同様の結合特異性と十分な親和性を保持するのに十分であり、B7H6に対して、その由来抗体の親和力の少なくとも1/100に等しいことが好ましい。より好ましい態様では少なくとも1/10に等しい。このような機能フラグメントには少なくとも5つのアミノ酸が含まれ、その由来の抗体配列の10、15、25、50及び100個の連続アミノ酸が好ましい。
【0047】
上記のように、本発明は、B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、当該抗体は重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含むことを特徴とする。
【0048】
本発明によれば、前記抗体は、B7H6、特にSEQ ID NO:21で示されるアミノ酸配列に結合することができる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、抗体の生体受容性をさらに高めるために、抗体をヒト化することもできる。すなわち、前記抗体がキメラ抗体またはヒト化抗体である。用語「キメラ抗体」とは、組換えDNA技術を用いて、ある種(例えば、マウス)からのモノクローナル抗体の定常領域のアミノ酸配列を、別の種(例えば、ヒト)からの抗体の定常領域に置換して得られる組換え抗体を指す。用語「ヒト化抗体」とは、組換えDNA技術を用いて、ある種(例えば、マウス)由来のモノクローナル抗体の定常領域および可変領域の非CDR(Fv骨格領域(FR))アミノ酸配列を、別の種(例えばヒト)由来の抗体の定常領域および可変領域に置換して得られた組換え抗体である。つまり、1つの抗体の定常領域がヒト化されている場合、キメラ抗体と呼ばれ、定常領域および可変領域の非CDRアミノ酸配列は、完全にヒト化された場合、ヒト化抗体と呼ばれる。ヒト化方法は、従来の抗体工学技術を参照して実施することができるが、ここでは繰り返さない。
【0050】
本発明によるヒト化抗体の重鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:17で示され、軽鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:18で示され、又は、重鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:19で示され、軽鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:20で示される。
【0051】
本発明による免疫複合体は、治療薬、及び治療薬に結合した以上に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。前記抗体又はその抗原結合フラグメントを治療薬に結合する手段は、従来の手段であってよい。
【0052】
本発明による組成物は、以上に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又は上記免疫複合体、及び薬学的に許容されるベクターを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は、本発明の目的を達成するために共同で機能する限り、時間および/または空間的に分離された組み合わせを含む。例えば、前記組成物に含まれる成分は、全体として被験者に投与してもよいし、別々に投与してもよい。前記組成物に含まれる成分が別々に被験者に投与される場合、各成分は同時にまたは順次被験者に投与されてもよい。
【0053】
「薬学的に許容できる」という用語は、組成物の投与を妨げる有害な生理反応を起こさずに、組成物を被験者に投与できることを示している。例えば、「薬学的に許容されるベクター」は、一般的に安全で、無毒で、望ましい医薬組成物の調製に有用なベクターを意味し、好ましくは、これらのベクターまたは希釈剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、グルコース、マンニトール、ブドウ糖、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、炭酸マグネシウム、0.3%グリセロール、ヒアルロン酸、エタノール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、トリグリセリド、5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームや非水系媒体、例えば不揮発油を用いることもできる。
【0054】
本発明の組成物はまた、互いに組み合わせて、または1つ以上の他の治療化合物と組み合わせて、例えば化学療法剤と組み合わせて投与することができる。このため、前記組成物はまた、化学療法剤を含有してもよい。本発明の抗体又はその抗原結合フラグメント、又は免疫複合体はまた第2の治療薬と組み合わせてもよい。前記第2の治療薬の例示的な試薬として、B7H6活性を阻害する他の試薬(他の抗体またはその抗原結合フラグメント、ペプチド阻害剤、小分子アンタゴニストなどを含む)および/またはB7H6上流または下流のシグナル伝達を妨害する試薬を含むが、これらに限定するものではない。
【0055】
一般に、抗体またはその抗原結合フラグメントは、有効量、すなわち、所望の治療および/または予防効果を達成するのに十分な量、例えば、B7H6に関連する疾患などの治療される疾患に関連する症状の予防または緩和を引き起こす量で投与される。被験者に投与される組成物の有効量は、疾患のタイプと重症度、および一般的な健康状態、年齢、性別、体重、薬物に対する耐性などの個人の特徴に依存する疾患の重症度とタイプにもよるが、当業者はこれらの要因などに基づいて適切な投与量を決定することができる。
【0056】
本発明によるサンプル中のB7H6を検出するためのキットは、上記の抗体又はその抗原結合フラグメントを含有する。前記サンプルは、B7H6媒介性疾患を有する患者(特に移植拒絶反応、自己免疫疾患、感染性疾患又はがん患者、より好ましくは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種を有する患者)の組織であり得る。前記キットは、コーティング溶液などの、B7H6を検出するための従来の試薬を含んでもよい。
【0057】
本発明は、上記の抗体又はその抗原結合フラグメントの、サンプル中のB7H6を検出するための試薬の調製における使用をさらに提供する。上記のように、前記サンプルは、B7H6媒介性疾患を有する患者由来の組織であってもよく、ここでは説明を省略する。本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントはB7H6と良好な親和性を有し、サンプル中のB7H6を効率的に検出することができる。
【0058】
本発明は前記抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、核酸、組換えベクター又は形質転換体又は組換え細胞の、B7H6媒介性疾患を予防及び/又は治療するための薬物の調製における使用をさらに提供する。好ましくは、前記B7H6媒介性疾患は、移植拒絶反応、自己免疫疾患、感染性疾患又はがんである。より好ましくは、前記がんはB7H6を発現するがんである。さらに好ましくは、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である。より好ましくは、前記感染性疾患は、HIVウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス感染を含むが、これらに限定されない。
【0059】
本発明は、上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、核酸、組換えベクター又は形質転換体又は組換え細胞を含む薬物に関する。
【0060】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、上記薬物は、以下の付加的な技術的特徴のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0061】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、前記薬物は、薬学的に許容されるベクター及び有効量の前記抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、核酸、組換えベクター又は形質転換体又は組換え細胞を含む。
【0062】
本発明は、さらに、B7H6媒介性疾患(以上のように)を予防及び/又は治療する方法に関する。当該方法は、有効量の本発明の抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、組換え細胞、核酸及び薬物のうちの少なくとも1種を患者に投与することを含む。投与の手段は、経口投与、鼻腔内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与または静脈内投与または腹腔内投与であってよい。上記のように、前記抗体又はその抗原結合フラグメントはB7H6と効果的に結合することができ、さらに、B7H6とNKp30の間の相互作用を促進し、NK細胞の抗がん機能を強化する。このため、前記抗体又はその抗原結合フラグメント、及び適切な条件下で前記抗体又はその抗原結合フラグメントを発現して得る物質、又は前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む物質はいずれもB7H6媒介性疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。本発明の実施例の方法によれば、B7H6媒介性疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0063】
本発明の幾つかの具体的な実施例によれば、上記方法は以下の付加的技術的特徴のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0064】
本発明の具体的な実施例によれば、前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患である。
【0065】
本発明の具体的な実施例によれば、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である。
【0066】
本発明に記載された「患者」又は「被験者」は、一般に、霊長類および/またはげっ歯類などの哺乳動物、特にヒトまたはマウスを指す。
【0067】
当業者は、本発明に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするDNA分子をベクター(特に発現ベクター)にクローニングし、そして、宿主細胞を形質転換し、前記抗体またはその抗原結合フラグメントを発現誘導することにより得ることができる。このため、本発明はさらに、上記抗体またはその抗原結合フラグメント(単離された)をコードする核酸、該核酸を含む組換えベクターおよび形質転換体を提供する。前記核酸は、遺伝子工学的手段により得られる発現カセットであることが好ましい。
【0068】
組換えベクターは、クローンベクターを指してもよいし、発現ベクターを指してもよい。前記組換えベクターは、前記核酸と市販のベクター(例えば、プラスミドやウイルスベクター)とを作動的に結合することによって得られ、一般的に用いられるプラスミドとしては、pSeTag2、PEE14、pMH3などが挙げられる。
【0069】
本発明の発現ベクターは、コードされた前記抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域及び/又は定常領域のDNA配列を含んでもよい。しかしながら、2種の発現ベクターを別々に構築してもよい。1種は、重鎖可変領域及び定常領域を含有し、他種は軽鎖可変領域及び定常領域を含有し、哺乳動物細胞を共同にトランスフェクションする。1つの好ましい実施形態において、前記発現ベクターは、プロモーター、分泌シグナルペプチドをコードするDNA配列、及び少なくとも1種のスクリーニング用の少なくとも1つの抗薬遺伝子をさらに含む。
【0070】
本発明に記載の宿主細胞は、原核宿主細胞、真核宿主細胞又はバクテリオファージであってよい。前記原核宿主細胞は大腸菌、枯草菌、ストレプトマイセス又はプロテウスミラビリスなどであってよい。前記真核宿主細胞は、パスツールピキア酵母、出芽酵母、分裂酵母、トリコデルマなどの真菌、アワヨトウなどの昆虫細胞、タバコなどの植物細胞、BHK細胞、CHO細胞、COS細胞、骨髄腫細胞などの哺乳動物細胞であってよい。幾つかの実施形態において、好ましくは、本発明に記載の宿主細胞は、哺乳動物細胞であり、より好ましくはBHK細胞、CHO細胞、NSO細胞又はCOS細胞である。
【0071】
本発明は組換え細胞に関し、前記組換え細胞が、上記に記載の核酸、組換えベクター又は形質転換体、又は抗体又は抗原結合フラグメントを担持している。前記組換え細胞は、前記発現ベクターをトランスフェクション又は形質転換することによって得られる。本発明の実施例によれば、前記組換え細胞は適切な条件で上記抗体を効果的に発現することができ、前記抗体又はその抗原結合フラグメントはB7H6と効果的に結合することができ、さらに、前記抗体又は抗原結合フラグメントは、B7H6媒介性疾患を予防及び/又は治療する良好な効果を有する。
【0072】
なお、本発明に記載の組換え細胞は特に限定されず、原核細胞、真核細胞又はバクテリオファージであってよい。前記原核細胞は、大腸菌、枯草菌、ストレプトマイセス又はプロテウスミラビリスなどであってよい。前記真核細胞は、パスツールピキア酵母、出芽酵母、分裂酵母、トリコデルマなどの真菌、アワヨトウなどの昆虫細胞、タバコなどの植物細胞、BHK細胞、CHO細胞、COS細胞、骨髄腫細胞などの哺乳動物細胞であってよい。幾つかの実施例において、好ましくは、本発明に記載の組換え細胞は哺乳動物細胞であり、BHK細胞、CHO細胞、NSO細胞又はCOS細胞を含み、且つ動物生殖細胞、受精卵又は胚性幹細胞を含まない。
【0073】
なお、本願の明細書に記載の「適切な条件」とは、本願前記抗体又はその抗原結合フラグメント発現に適合する条件である。抗体または抗原結合フラグメントの発現に適した条件には、これらに限定されないが、適切な形質転換またはトランスフェクション方法、適切な形質転換またはトランスフェクション条件、健康な宿主細胞の状態、適切な宿主細胞密度、適切な細胞培養環境、および適切な細胞培養時間が含まれることは、当業者によって容易に理解される。「適切な条件」は特に限定されず、当業者は、実験室の具体的な環境に応じて前記抗体またはその抗原結合フラグメントの発現に最も好適な条件を最適化し得る。
【0074】
本発明は、さらに、上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、免疫複合体、組成物、薬物、核酸、組換えベクター又は形質転換体又は組換え細胞の、B7H6媒介性疾患の治療及び/又は予防における使用に関する。上記のように、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、B7H6と効果的に結合することができ、さらに、B7H6とNKp30の間の相互作用を促進し、NK細胞の抗がん機能を強化し、このため、前記抗体又はその抗原結合フラグメント、及び適切な条件下で前記抗体又はその抗原結合フラグメントを発現して得る物質はすべてB7H6媒介性疾患を効果的に予防及び/又は治療することができる。
【0075】
本発明の具体的な実施例によれば、上記B7H6媒介性疾患の治療及び/又は予防における使用は、さらに、以下の付加的技術的特徴のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0076】
本発明の具体的な実施例によれば、前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患である。
【0077】
本発明の具体的な実施例によれば、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である。
【0078】
本発明の他の態様では、本発明は、被験者がB7H6媒介性疾患を有するかどうかを診断するための方法を提供する。本発明の具体的な実施例によれば、前記方法は、1)上記に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つを使用して検出対象サンプルにおけるB7H6を検出し、前記B7H6の検出結果に基づいて、前記検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量を決定することを含む。上記のように、本発明の実施例の抗体又は抗原結合フラグメントはB7H6と効果的に結合することができ、このため、前記抗体又は抗原結合フラグメントはB7H6を検出することに用いれることができ、B7H6は、多種の疾患を媒介し、このため、被験者由来の生体サンプルに含まれる前記B7H6のレベルに基づいて、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かを判定することができる。なお、さらに、上記物質を利用して被験者検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量を監視することができ、即ち、上記の物質は、B7H6媒介性疾患を有する被験者における疾患の病期分類にも使用でき、B7H6媒介性疾患の予後を評価するためにも使用することができる。
【0079】
本発明の具体的な実施例によれば、上記方法はさらに、以下の付加的技術的特徴のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0080】
本発明の具体的な実施例によれば、前記検出対象サンプルにおけるB7H6の含有量が疾患の最低基準以上であることは、検出対象サンプルがB7H6媒介性疾患を有する患者に由来することを示すものである。前記最低基準の値は、B7H6媒介性疾患を有する多数の個人および多数の健常個体において検出対象サンプル中のB7H6の含有量に対する差異比較分析および検証によって決定されることができる。
【0081】
本発明の具体的な実施例によれば、前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患である。
【0082】
本発明の具体的な実施例によれば、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である。
【0083】
本発明の具体的な実施例によれば、前記検出対象サンプルは、組織、細胞、血液、血清、汗、糞便、及び尿のうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
本発明の別の態様では、本発明は、1)以上に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、2)上記に記載の核酸、3)上記に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び4)上記に記載の組換え細胞のうちの少なくとも1つの、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かについての診断における使用を提供する。上記のように、本発明の実施例の抗体又は抗原結合フラグメントはB7H6と効果的に結合することができ、このため、前記抗体又は抗原結合フラグメントはB7H6を検出することに用いれることができ、B7H6は、多種の疾患を媒介し、このため、被験者由来の生体サンプルに含まれる前記B7H6のレベルに基づいて、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かを判定することができる。
【0085】
本発明の具体的な実施例によれば、上記使用はさらに、以下の付加的技術的特徴のうちの少なくとも1つを含む。
【0086】
本発明の具体的な実施例によれば、前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患である。
【0087】
本発明の具体的な実施例によれば、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である。
【0088】
本発明に記載の配列に対する説明は表1に示される。
【0089】
【表1(01)】
【表1(02)】
【表1(03)】
【表1(04)】
【表1(05)】
【表1(06)】
【0090】
本発明の抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードする核酸は本発明の範囲内にあり、重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列に基づいて、当業者は対応する核酸配列を容易に得ることができ、表2に示される。
【0091】
【表2(01)】
【表2(02)】
【表2(03)】
【表2(04)】
【表2(05)】
【表2(06)】
【表2(07)】
【表2(08)】
【表2(09)】
【表2(10)】
【表2(11)】
【表2(12)】
【表2(13)】
【表2(14)】
【表2(15)】
【0092】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。実施例又は検出例において、具体的な条件を示さない実験方法の場合、それらは通常の条件に従って行われる。
【0093】
以下、実施例を参照して本発明の手段を解釈する。以下に説明する実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の制限を理解することはできない。具体的な技術または条件が実施例に示されていない場合は、当該技術分野の文献に記載されている技術または条件に従って、または製品明細書に従って実施されるものとする。使用される試薬または器具は、製造業者が特定されない場合に市販されている従来の製品である。
【0094】
実施例1 抗体の調製
【0095】
ヒトB7H6に対するマウス由来モノクローナル抗体を生成し、精製した組換えB7H6細胞外領域Fc融合タンパク質(B7H6-Fc)(組換えB7H6細胞外領域Fc融合タンパク質、アミノ酸配列はSEQ ID NO:22に示される)を抗原とし、Balb/cマウス(9週齢、上海SLACより購入、体重約20g)を免疫した。
【0096】
免疫マウスを精製抗原と完全フロイントアジュバントを用いて3回免疫し、尾静脈瀉血後に免疫応答を検出する。抗ヒトB7H6免疫グロブリンを有するマウスは、ELISAおよびフローサイトメトリーによって血清をスクリーニングすることによって得られる。最も高い抗B7H6免疫グロブリンを有するマウス由来の脾細胞を、マウス骨髄腫細胞SP2/0細胞(ATCC番号CRL-1581)と融合させる。融合したハイブリドーマ細胞について抗体をスクリーニングし、マウスモノクローナル抗体を得る。
【0097】
候補ハイブリドーマ細胞の総数を106個まで培養し、800rpmで10分間遠心分離し、細胞を回収し、Trizolキット(Invitrogen)で総RNAを抽出する。総RNAを鋳型として用い、逆転写によってcDNAライブラリー(Invitrogen)を合成し、さらにcDNAを鋳型としてハイブリドーマ細胞の対応する可変領域核酸配列をPCR増幅する。PCR増幅反応に使用されるプライマー配列は、抗体の可変領域の第1フレーム領域またはシグナルペプチド領域および定常領域に相補的である(Larrick,J.W.,et al.,(1990)Scand.J.Immunol.,32,121-128及びColoma,J.J.et al.,(1991)BioTechniques,11,152-156)。50μlの反応系において、cDNA 2μL、10×PCR緩衝液5μL、上流および下流のプライマー2μL(5μmol)、dNTP 2μL、Taq酵素 1μLL(Takara、Ex Taq)、HO 38μLをそれぞれ加えて、95℃で5min予備変性し、温度サイクルに入り、PCR増幅を行う。反応条件は以下の通りである。94℃で30S変性し、58℃で45Sアニーリングし、72℃で50S伸長し、合計32個のサイクルを行い、そして、72℃で7min伸長する。増幅産物をシーケンシングした後、マウスモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域配列(アミノ酸配列及び核酸配列を含む)を得る。
【0098】
実施例2:マウス由来B7H6抗体のELISA結合実験
【0099】
ELISA実験はB7H6抗体の結合特性を検出するためのものである。B7H6細胞外領域Fc融合タンパク質(B7H6-Fc)は96ウェルプレートにコーティングされ、抗体添加後のシグナルの強度を用いて抗体とB7H6との結合特性を判断する。
【0100】
PBS緩衝液でB7H6-Fc融合タンパク質(アミノ酸配列はSEQ ID NO:22で示される)を1μg/mLまで希釈し、100μL/ウェルの体積で96ウェルプレートに加えて、4℃で一晩放置する。96ウェルプレートにおけるPBS緩衝液を吸い出し、PBST(pH7.2PBSが0.1%のTween20を含む)緩衝液でウェルプレートを6回洗浄した後、200μL/ウェルのPBS/10%BSAを加えて、37℃で2hインキュベートしてブロッキングする。ブロッキング剤を除去し、PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、PBST/0.05%BSAを用いて適切な濃度まで希釈した100μL/ウェルの検出対象B7H6抗体を加え、37℃で1hインキュベートする。反応系を除去し、PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、100μL/ウェルでPBST/0.05%BSAを用いてHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識の抗マウス抗体二次抗体を希釈し、37℃で1hインキュベートする。PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、80μL/ウェルのTMB(テトラメチルベンジジン)を加え、室温で3minインキュベートし、80μL/ウェルの4M硫酸を加えて反応を停止させる。マイクロプレートリーダーを用いて450mmで吸光度値を読み取る。結果(図1)により、本発明のマウス由来抗体12F5(SEQ ID NO:26及びSEQ ID NO:27)、12G4(SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29)がB7H6に結合することができることを示す。
【0101】
実施例3:マウス由来B7H6抗体のフローサイトメトリー結合実験
【0102】
フローサイトメトリー実験は、B7H6抗体の結合特性を検出することに用いられ、HL60細胞(ATCC番号CCL-240)においてB7H6タンパク質(HL60-B7H6、SEQ ID NO:21; SEQ ID NO:54)を過剰発現し、発現ベクターはpLVX-EF1a-B7H6-IRES-ZsGreenであり、抗体添加後のシグナルの強度を用いて抗体とB7H6との結合特性を判断する。
【0103】
HEK293T細胞は、HEK293T細胞を5×10細胞/ウェルの6ウェルプレートに播種し、二重抗体を含まないDMEM培地で一晩培養する。トランスフェクション前に培地を廃棄し、二重抗体を含まない新鮮なDMEM培地を1mL加える。pLVX-EF1a-B7H6-IRES-ZsGreen(pLVX-EF1a-IRES-ZsGreen1ベクターの制限酵素切断部位EcoRIとBamHIとの間にはB7H6タンパク質(SEQ ID NO:21)が挿し込まれたコード配列(SEQ ID NO:54)、pMD2G、psPAX2ベクター(合計3μg)を2:1:1の割合で200μlの血清なしDMEM培地に加えて、12μgのポリエーテルイミド(PEI,Polysciences有限公司製)を加える。均一に混合した後16min静置し、そして、すべての液体をHEK293T細胞を播種した6ウェルプレートに加える。6h培養した後、培地を廃棄し、新鮮な完全DMEM培地を入れて培養する。48hトランスフェクションした後、細胞培養上清を受け取り、0.45μmフィルター(Millipore)を過ぎればウイルス上清となる。ウイルス上清を1×10 HL60細胞を含有する6ウェルプレートにすべて添加し、最終濃度4μg/mlのポリブレン(Sigma)を加え、12h培養する。その後、上清を捨て、新鮮な完全RPMI1640培地を加える。得られた細胞はHL60-B7H6細胞である。
【0104】
PBSでHL60-B7H6細胞を2×10/mLまで希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mlのEPチューブに加えて、その内に10μL/チューブのヤギ血清を加え、4℃で30minブロッキングする。1μg/チューブのB7H6抗体を加え、4℃で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを加え、4℃で3500rpm×5min遠心分離し、上清を捨て、PBSで再度洗浄する。遠心分離後上清を捨て、100μl/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、その内に0.1μL/チューブAlexa-647標識のヤギ抗マウス抗体二次抗体(Invitrogen)を加え、4℃の暗所で30minインキュベートする。PBSで2回洗浄し、遠心分離後上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーを用いて検出し、結果を図2に示し、本発明のマウス由来抗体12F5(SEQ ID NO:26及びSEQ ID NO:27)、12G4(SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29)がB7H6に結合することができることを更に示す。
【0105】
実施例4:マウス抗体のヒト化実験
【0106】
B7H6抗体の軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列を参照して、その非CDR領域に最も一致するヒト化鋳型を選択する。マウス由来抗体CDR領域を選択されたヒト化鋳型に移植し、ヒト由来鋳型のCDR領域を置換して、ヒト化抗体を得る。そして、マウス由来抗体の三次元構造に基づいて、埋め込み残基、CDR領域と直接相互作用する残基、及びVLおよびVHの三次元構造に重要な影響を与える残基に対してリバート変異を行い、ヒト化後の抗体を得、ヒト化B7H6抗体12F5の重鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:17で示され、軽鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:18で示され、又は、ヒト化B7H6抗体12G4の重鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:19で示され、軽鎖可変領域の配列はSEQ ID NO:20で示される。
【0107】
実施例5:ヒト化B7H6抗体のELISA結合実験
【0108】
ELISA実験はヒト化B7H6抗体の結合特性を検出することに用いられる。B7H6細胞外領域Fc融合タンパク質(B7H6-Fc)が96ウェルプレートにコーティングされ、抗体添加後のシグナルの強度を用いて抗体とB7H6との結合特性を判断する。
【0109】
PBS緩衝液でB7H6-Fc融合タンパク質(アミノ酸配列がSEQ ID NO:22で示される)を1μg/mLまで希釈し、100μL/ウェルの体積で96ウェルプレートに加えて、4℃で一晩放置する。96ウェルプレートにおけるPBS緩衝液を吸い出し、PBST(pH7.2 PBSが0.1%のTween20を含有する)緩衝液でウェルプレートを6回洗浄した後、200μL/ウェルのPBS/10%BSAを加え、37℃で2hインキュベートしてブロッキングを行う。ブロッキング剤を除去し、PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、PBST/0.05%BSAで適切な濃度まで希釈された100μL/ウェルの検出対象B7H6抗体を加え、37℃で1hインキュベートする。反応系を除去し、PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、100μL/ウェルでPBST/0.05%BSAを用いてHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識のマウス抗ヒトIgG(Fab特異的)二次抗体(Sigma)を希釈し、37℃で1hインキュベートする。PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、80μL/ウェルのTMB(テトラメチルベンジジン)を加え、室温で3minインキュベートし、80μL/ウェルの4M硫酸を加えて反応を停止させる。マイクロプレートリーダーを用いて450mmで吸光度値を読み取る。結果(図3)により、本発明のヒト化抗体h12F5(SEQ ID NO:30及びSEQ ID NO:31)、h12G4(SEQ ID NO:32及びSEQ ID NO:33)がB7H6に結合することができることを示す。
【0110】
実施例6:ヒト化B7H6抗体のフローサイトメトリー結合実験
【0111】
フローサイトメトリー実験はB7H6抗体の結合特性を検出することに用いられ、HL60細胞(ATCC番号CCL-240)にB7H6タンパク質(HL60-B7H6)(例えば実施例3に示す)を過剰発現し、抗体添加後のシグナルの強度を用いて抗体とB7H6との結合特性を判断する。
【0112】
PBSでHL60-B7H6細胞を2×10/mLまで希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mLのEPチューブに加えて、その内に10μL/チューブのマウス血清を加え、4℃で30minブロッキングする。1μg/チューブのB7H6抗体を加えて、4℃で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを加え、4℃で3500rpm×5min遠心分離し、上清を捨て、PBSで再度洗浄する。遠心分離後上清を捨て、100μL/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、その内に1μL/チューブのAlexa-647標識のマウス抗ヒトIgG-Fc二次抗体(Biolegend)を加え、4℃の暗所で30minインキュベートする。PBSで2回洗浄し、遠心分離後上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーを用いて検出し、結果は図4に示され、本発明のヒト化抗体h12F5(SEQ ID NO:30及びSEQ ID NO:31)、h12G4(SEQ ID NO:32及びSEQ ID NO:33)がB7H6に結合することができることを更に示す。
【0113】
実施例7:ヒト化B7H6抗体のフローサイトメトリー結合実験
【0114】
フローサイトメトリー実験はヒト化B7H6抗体の結合特性を検出することに用いられ、CHO-K1細胞(ATCC番号CCL-240)にはサルB7H6タンパク質(CHO-K1-cyno-B7H6)を過剰発現し、抗体添加後のシグナルの強度を用いて抗体とB7H6との結合特性を判断する。
【0115】
HEK293T細胞を5×10細胞/ウェルで6ウェルプレートに接種し、二重抗体を含まないDMEM培地で一晩培養する。トランスフェクションの前に培地を捨てる。1mLの新鮮な二重抗体を含まないDMEM培地を加える。pLVX-EF1a-cynoB7H6-IRES-ZsGreen(pLVX-EF1a-IRES-ZsGreen1ベクターの制限酵素切断部位EcoRIとBamHIとの間にサルB7H6タンパク質(SEQ ID NO:24)が差し込まれたコード配列(SEQ ID NO:57)、pMD2G、psPAX2ベクター(合計3μg)を2:1:1の割合で200μLの血清なしDMEM培地に加え、12μgのポリエーテルイミド(PEI、Polysciences有限公司製)を加える。均一に混合した後16min静置し、そして、すべての液体をHEK293T細胞を播種した6ウェルプレートに加える。6h培養した後、培地を捨て、新鮮な完全DMEM培地を入れて培養する。48hトランスフェクションした後、細胞培養上清を受け取り、0.45μmフィルター(Millipore)を過ぎればウイルス上清となる。ウイルス上清をすべて1×10CHO-K1細胞を含有する6ウェルプレートに加え、最終濃度4μg/mlのポリブレン(Sigma)を加え、12h培養する。その後、上清を捨て、新鮮な完全RPMI1640培地を加える。得られた細胞はCHO-K1-cyno B7H6細胞である。
【0116】
PBSでCHO-K1-cynoB7H6細胞を2×106/mLまで希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mLのEPチューブに加え、その内に10μL/チューブのマウス血清を加え、4℃で30minブロッキングする。1μg/チューブのヒト化B7H6抗体を加え、4℃で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを加え、4℃で3500rpm×5min遠心分離し、上清を捨て、PBSで再度洗浄する。遠心分離後上清を捨て、100μL/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、その内に1μL/チューブのAlexa-647標識のマウス抗ヒトIgG-Fc二次抗体(Biolegend)を加え、4℃の暗所で30minインキュベートする。PBSで2回洗浄し、遠心分離後上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーを用いて検出し、結果は図5に示されるように、本発明の抗体h12F5、h12G4がサルB7H6に結合することができることを更に示す。
【0117】
実施例8:ヒト化B7H6抗体のELISA結合実験
【0118】
ELISA実験はヒト化B7H6抗体の結合特性を検出することに用いられる。サルB7H6細胞外領域Fc融合タンパク質(cynoB7H6-Fc)は96ウェルプレートにコーティングされ、抗体添加後のシグナルの強度を用いて抗体とB7H6との結合特性を判断する。
【0119】
PBS緩衝液でcynoB7H6-Fc融合タンパク質(アミノ酸配列はSEQ ID NO:23で示される)を1μg/mLまで希釈し、100μL/ウェルの体積で96ウェルプレートに加え、4℃で一晩放置する。96ウェルプレートにおけるPBS緩衝液を吸い出し、PBST(pH7.2 PBSが0.1%のTween20を含有する)緩衝液でウェルプレートを6回洗浄した後、200μL/ウェルのPBS/10%BSAを加え、37℃で2hインキュベートしてブロッキングする。ブロッキング剤を除去し、PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、PBST/0.05%BSAで適切な濃度まで希釈する100μL/ウェルの検出対象B7H6抗体を加え、37℃で1hインキュベートする。反応系を除去し、PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、100μL/ウェルでPBST/0.05%BSAを用いてHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識のマウス抗ヒトIgG(Fab特異的)二次抗体(Sigma)を希釈し、37℃で1hインキュベートする。PBSTでウェルプレートを6回洗浄した後、80μL/ウェルのTMB(テトラメチルベンジジン)を加え、室温で3minインキュベートし、80μL/ウェルの4M硫酸を加えて反応を停止させる。マイクロプレートリーダーを用いて450mmで吸光度値を読み取る。結果(図6)は本発明のヒト化抗体h12G4がサルB7H6に結合することができることを示す。
【0120】
実施例9:インビトロ結合親和性及び動態実験
【0121】
Biacore法は、タンパク質間の親和性および動態を客観的に検出するための公知の検出方法であり、Biacore T200が本発明のB7H6抗体を分析することにより親和性および結合動態を特徴付ける。
【0122】
標準的なアミノカップリング法を使用して、B7H6細胞外Fc融合タンパク質(B7H6-Fc)をCM5(GE)チップに共有結合させる。そして、PBSに希釈された一連の濃度勾配のB7H6抗体を各サイクルに注入し、注入後10mMのNaOH溶液で再生する。抗原-抗体結合動態を3分間、解離動態を10分間追跡し、得られたデータをGEのBIAevaluationソフトウェアを用いて1:1(Langmuir)結合モデルで解析した。この方法で測定されたマウス由来12F5のKD値は2.2nMであり、マウス由来12G4のKD値は0.15nMである。
【0123】
実施例10:抗体の、B7H6がNKp30に結合することを促進する能力に対するスクリーニング
【0124】
B7H6抗体はB7H6細胞外領域との結合により、B7H6及びその受容体NKp30のシグナル伝達経路を促進し、フローサイトメトリー実験は、B7H6抗体による受容体NKp30との結合の強化を検出することに用いられる。
【0125】
PBSでHL60-B7H6細胞(上記と同じ)を2×10/mlまで希釈し、100μL/チューブの体積で1.5mLのEPチューブに加え、その内に10μL/チューブのマウス血清を加え、4℃で30minブロッキングする。4μg/チューブのNKp30細胞外領域Fc融合タンパク質(NKp30-Fc、SEQ ID NO:25、本実験室の発現)を加え、4℃で30minインキュベートする。B7H6抗体を加え、4℃で30minインキュベートする。EPチューブに1mLのPBSを加え、4℃で3500rpm×5min遠心分離し、上清を捨て、PBSで再度洗浄する。遠心分離後上清を捨て、100μl/チューブでPBS細胞を再懸濁し、その内に1μL/チューブ647標識のマウス抗ヒト抗体二次抗体(Biolegend)を加え、4℃の暗所で30minインキュベートする。PBSで2回洗浄し、遠心分離後上清を捨てる。200μL/チューブのPBSで細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーを用いて検出し、結果は図7に示されるように、本発明のマウス由来12F5抗体はB7H6と受容体NKp30との結合を促進することができることを分けることができる。
【0126】
実施例11:補体依存性細胞傷害性検出
【0127】
補体依存性細胞傷害性実験は、腫瘍細胞を殺すことにおけるB7H6抗体の効果を検出するために使用される。使用された腫瘍細胞はHL60-B7H6細胞である。
【0128】
(1)腫瘍細胞を血清なしRPMI-1640培地で再懸濁して、カウントする。完全RPMI-1640培地を用いて4×10/mLまで希釈する。25μL/ウェルの体積で希釈された細胞を96ウェル丸底板に加える。
(2)血清なしRPMI-1640培地でB7H6抗体又は対照マウスIgGを希釈し、25μL/ウェルの体積で希釈されたB7H6抗体又はマウスIgGを96ウェル丸底板に加える。
(3)1mLの超純水でウサギ補体(Cedarlane)を溶解して、そして、1mLの血清なしRPMI-1640培地を加え、均一に混合した後作動液とする。40μL/ウェルの体積で補体作動液を96ウェル丸底板に加える。37℃で30minインキュベートする。
(4)110μL/ウェルの体積で完全RPMI-1640培地を96ウェル丸底板に加えて、1μL/ウェルの体積で96ウェル丸底板に7-AAD(BD)を加え、均一に混合する。ウェルからすべての液体をフローサイトメトリーチューブに移し、フローサイトメトリーを使用して検出する。結果は、図8に示されるように、本発明のB7H6マウス由来12F5抗体は補体依存的な細胞傷害作用を有する。
【0129】
実施例12:B7H6抗体によるマウス抗がん能力の促進
【0130】
体内薬効実験は、B7H6抗体によるヌードマウスの抗がん機能の促進を検出することに用いられる。使用した腫瘍細胞はそれぞれ急性骨髄性白血病U-937細胞(ATCC番号CRL-1953.2)である。
【0131】
(1)ヌードマウスの右腹側皮下腫瘍、各マウスには1.5×10個のU-937細胞があり、そして、マウスはランダムにグループ化される。
(2)5、7、9、11、13日目に、マウスの腹腔内に抗体を注射し、マウスあたり1mgを投与する。
(3)腫瘍の体積は2日ごとに測定される。
【0132】
結果は図9に示されるように、本発明のマウス由来抗体12F5は抗がん機能を有することを分かる。
【0133】
以上の実験結果から分かるように、本発明で得られた抗体はヒト及びサルB7H6に結合することができ、B7H6とNKp30との相互作用を促進することができ、マウスの抗がんを促進することができる。
【0134】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の技術的概念の範囲内で、本発明の技術的解決の様々な単純な変形は、任意の他の適切な様式における様々な技術的特徴の組み合わせを含めて実施されてもよく、これらの単純な変形および組合せもまた、本発明に開示される内容とみなされるべきであり、全て本発明の保護の範囲内である。
【0135】
本明細書の説明において、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体的な例示」又は「幾つかの例示」等の用語が含まれた説明は、当該実施例又は例を用いて説明される具体的な特徴、構造、材料又は利点が本発明の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれることが意図されるものである。本明細書において、上記用語に関する例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に関するものとは限らない。なお、説明される具体的な特徴、構造、材料又は利点はいずれか1つ又は複数の実施例もしくは例で、適切な方式で組み合わせることができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は、本明細書に記載の異なる実施例または例示及び異なる実施例または例示の特徴を、融合するか又は組み合わせることができる。
【0136】
以上、本発明の実施例について示して説明したが、上記実施例が例示であり、本発明の制限を理解することはできない。当業者は本発明の範囲内で上記実施例を変更、修正、置換、および変形することができる。
【0137】
本願は2021年12月07日に中国特許局に提出された、出願番号が202111485380.9である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2024529526000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含み、
前記重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記重鎖CDR2は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記重鎖CDR3は、EQ ID NO:3、SEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR1は、EQ ID NO:4、SEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つを含み、
前記軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つ含み、
前記軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:12で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列から選ばれた少なくとも1つ含む、B7H6に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、SEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、又は
2)SEQ ID NO:7で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:8で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、SEQ ID NO:9で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、SEQ ID NO:10で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:11で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、SEQ ID NO:12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、(i)前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:13、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:19で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は、(ii)前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:14、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:20で示されるアミノ酸配列及びその保存的修飾形態のアミノ酸配列の少なくとも1つと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記重鎖可変領域は、(i)から選ばれた重鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、(ii)から選ばれた軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
)重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:13で示されるアミノ酸配列、及び軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:14で示されるアミノ酸配列、
2)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:15で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:16で示されるアミノ酸配列、
3)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:17で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:18で示されるアミノ酸配列、又は
4)前記重鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:19で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖可変領域、例えばSEQ ID NO:20で示されるアミノ酸配列、を含む、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
1)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:26で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:27で示されるアミノ酸配列、
2)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:28で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:29で示されるアミノ酸配列、
3)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:30で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:31で示されるアミノ酸配列、又は
4)前記重鎖、例えばSEQ ID NO:32で示されるアミノ酸配列、及び前記軽鎖、例えばSEQ ID NO:33で示されるアミノ酸配列、を含む、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
離された抗体はIgG1、IgG2又はIgG4である、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記抗体は、モノクローナル抗体、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト修飾抗体、ヒト抗体、Fv、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’,Fab’-SH又はF(ab’)である、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:21で示されるアミノ酸配列に結合することができる、請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
治療薬及び治療薬に結合した請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、免疫複合体。
【請求項11】
請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び薬学的に許容されるベクターを含む、組成物。
【請求項12】
サンプル中のB7H6を検出するためのキットであって、当該キットは、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、キット。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの、サンプル中のB7H6を検出するための試薬の調製における使用。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの、B7H6媒介性疾患を予防及び/又は治療するための薬物の調製における使用であって、前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、使用。
【請求項15】
請求項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む、核酸。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸を含む、組換えベクター又は形質転換体。
【請求項17】
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを担持する、組換え細胞。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項10に記載の免疫複合体、請求項11に記載の組成物、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体又は請求項17に記載の組換え細胞を含む、薬物。
【請求項19】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、請求項10に記載の免疫複合体、請求項11に記載の組成物、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体又は請求項17に記載の組換え細胞の、B7H6媒介性疾患の治療及び/又は予防における使用。
【請求項20】
前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
1)請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、
2)請求項15に記載の核酸、
3)請求項16に記載の組換えベクター又は形質転換体、及び
4)請求項17に記載の組換え細胞、のうちの少なくとも1つの、被験者がB7H6媒介性疾患を有するか否かについての診断における使用。
【請求項22】
前記B7H6媒介性疾患はがん又は感染性疾患であり、
選択可能に、前記がんは肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、神経膠腫、腎臓がん、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、及び頭頸部がんのうちの少なくとも1種である、請求項21に記載の使用。
【国際調査報告】