(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】コネクタのコンタクト
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20240730BHJP
【FI】
H01R13/6582
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507877
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 IB2022057511
(87)【国際公開番号】W WO2023017462
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ニコラス リー
(72)【発明者】
【氏名】シュロール,ニール,フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジョン ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】ムンパー,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】スワンガー,ネイサン,ウィリアム
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC07
5E021FC19
5E021LA09
5E021LA15
(57)【要約】
コンタクト(110)は、ビーム接続端部(152)からビーム自由端部(154)へ挿入方向(I)に沿って延びるカンチレバービーム(150)と、タブ接続端部(162)からタブ自由端部(164)へ、挿入方向(I)と反対の方向(D)に延びる保護タブ(160)とを備える。タブ自由端部(164)は、ビーム自由端部(154)に隣接して配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム接続端部(152)からビーム自由端部(154)へ挿入方向(I)に沿って延びるカンチレバービーム(150)と、
タブ接続端部(162)からタブ自由端部(164)へ、前記挿入方向(I)と反対の方向(D)に延びる保護タブ(160)と
を備え、前記タブ自由端部(164)は、前記ビーム自由端部(154)に隣接して配置されている、コンタクト(110)。
【請求項2】
前記コンタクト(110)によって画定された誘電ハウジング受入空間(116)の周りでそれぞれ周方向に延びる移行部分(130)と端部分(140)とをさらに備える、請求項1に記載のコンタクト(110)。
【請求項3】
前記移行部分(130)と前記端部分(140)とは、前記挿入方向(I)に沿って互いに分離されている、請求項2に記載のコンタクト(110)。
【請求項4】
前記ビーム接続端部(152)は、前記移行部分(130)に接続され、前記カンチレバービーム(150)は、前記挿入方向(I)に沿って前記移行部分(130)から離れるように延びる、請求項3に記載のコンタクト(110)。
【請求項5】
前記タブ接続端部(162)は、前記端部分(140)に接続され、前記保護タブ(160)は、前記挿入方向(I)と反対の前記方向(D)に、前記端部分(140)から離れるように延びる、請求項4に記載のコンタクト(110)。
【請求項6】
前記挿入方向(I)に沿って延びる接続ビーム(170)をさらに備え、前記接続ビーム(170)は、前記移行部分(130)に接続された第1の端部(172)と、前記端部分(140)に接続された第2の端部(174)とを有する、請求項5に記載のコンタクト(110)。
【請求項7】
前記接続ビーム(170)は、前記第1の端部(172)と前記第2の端部(174)との間に接続コンタクト部(176)を有し、前記接続コンタクト部(176)は、前記第1の端部(172)および前記第2の端部(174)よりも、前記コンタクト(110)の中心を通って延びる中心長手方向軸(L)から遠くに配置されている、請求項6に記載のコンタクト(110)。
【請求項8】
前記保護タブ(160)は、前記タブ接続端部(162)と前記タブ自由端部(164)との間で、前記保護タブ(160)の外面(166)にガード部(168)を有し、前記ガード部(168)は、前記ビーム自由端部(154)よりも、前記コンタクト(110)の中心を通って延びる中心長手方向軸(L)から遠くに配置されている、請求項1に記載のコンタクト(110)。
【請求項9】
前記ガード部(168)は、前記タブ接続端部(162)と前記タブ自由端部(164)との間の前記保護タブ(160)の曲がり部によって形成されている、請求項8に記載のコンタクト(110)。
【請求項10】
前記ガード部(168)は、前記挿入方向と反対の前記方向に沿って前記ビーム自由端部(154)の前に配置されている、請求項8に記載のコンタクト(110)。
【請求項11】
前記カンチレバービーム(150)は、前記ビーム接続端部(152)と前記ビーム自由端部(154)との間にカンチレバーコンタクト部(156)を有し、前記ガード部(168)は、前記カンチレバーコンタクト部(156)よりも前記中心長手方向軸(L)の近くに配置されている、請求項8に記載のコンタクト(110)。
【請求項12】
前記カンチレバービーム(150)は、前記移行部分(130)の上面(132)および下面(134)から前記挿入方向(I)に沿って延びる複数のカンチレバービーム(150)のうちの1つであり、前記保護タブ(160)は、前記端部分(140)の上面(142)および下面(144)から、前記挿入方向(I)と反対の前記方向(D)に延びる複数の保護タブ(160)のうちの1つである、請求項5に記載のコンタクト(110)。
【請求項13】
前記保護タブ(160)のうちの少なくとも1つの保護タブ(160)の前記タブ自由端部(164)は、前記挿入方向(I)に対して垂直な幅軸(W)に沿って、前記カンチレバービーム(150)の複数のビーム自由端部(154)の間に配置されている、請求項12に記載のコンタクト(110)。
【請求項14】
ビーム接続端部(152)からビーム自由端部(154)へ挿入方向(I)に沿って延びるカンチレバービーム(150)と、タブ接続端部(162)からタブ自由端部(164)へ、前記挿入方向(I)と反対の方向(D)に延びる保護タブ(160)とを有し、前記タブ自由端部(164)は、前記ビーム自由端部(154)に隣接して配置されている、コンタクト(110)
を備える、コネクタ(100)。
【請求項15】
ビーム接続端部(152)からビーム自由端部(154)へ挿入方向(I)に沿って延びるカンチレバービーム(150)と、タブ接続端部(162)からタブ自由端部(164)へ、前記挿入方向(I)と反対の方向(D)に延びる保護タブ(160)とを含むコンタクト(110)を含み、前記タブ自由端部(164)は、前記ビーム自由端部(154)に隣接して配置されている、コネクタ(100)と、
相手側コンタクト(310)を含む相手側コネクタ(300)であり、前記コネクタ(100)が前記相手側コネクタ(300)に嵌合すると、前記相手側コンタクト(310)は前記コンタクト(110)に電気的に接続される、相手側コネクタと
を含む、コネクタシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、より詳細には、コネクタのコンタクトに関する。電気コネクタは、相手側コンタクトに弾性的に当接して電気的に接続するコンタクトばねを含むコンタクトを有する。コンタクトと相手側コンタクトとの嵌合中、特にコンタクトと相手側コンタクトとが挿入中にずれた場合、相手側コンタクトの一部が、コンタクトばねの自由端部に当接してコンタクトばねを損傷させ、嵌合およびそれによる電気的接続を損なうことがある。相手側コンタクトがコンタクトばねの自由端部にぶつかることに対処する試みには、コンタクトばねを連続した非カンチレバービームとして形成することが含まれる。しかしながら、このような連続したコンタクトばねは、コンタクトに最も一般的に使用される打抜きおよび形成プロセスの使用を複雑にするまたは妨げるため、製造が困難でコストがかかる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この課題は、カンチレバービームと保護タブとを備えるコンタクトによって解決される。カンチレバービームは、ビーム接続端部からビーム自由端部へ挿入方向に沿って延びる。保護タブは、タブ接続端部からタブ自由端部へ、挿入方向と反対の方向に延びる。タブ自由端部は、ビーム自由端部に隣接して配置されている。
【0003】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】第1のケーブルに接続された、実施形態によるコネクタの斜視図である。
【
図5】第1のケーブルに接続されたコネクタの平面断面図である。
【
図6】コネクタと相手側コネクタとを含むコネクタシステムの詳細断面図であり、コネクタを相手側コネクタに挿入している最中の図である。
【
図7】コネクタを相手側コネクタ挿入している最中のコネクタシステムの詳細断面図である。
【
図8】コネクタが相手側コネクタに嵌合されている、コネクタシステムの側断面図である。
【
図9】コネクタが相手側コネクタに嵌合されている、コネクタシステムの平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1~
図5に関して、実施形態によるコネクタ100を説明する。
図1に示すように、コネクタ100は、コンタクト110と、コンタクト110内に配置された誘電ハウジング180と、誘電ハウジング180の周りに配置された内側フェルール192と、内側フェルール192の周りに配置された外側フェルール190とを備える。
図5に示すように、コネクタ100は、誘電ハウジング180内に配置された複数の端子196を備える。
【0006】
図2~
図4に示すように、コンタクト110は、挿入方向Iに沿って、ベース端部112と、ベース端部112とは反対側の嵌合端部114とを有する。コンタクト110は、ベース端部112から挿入方向Iに沿って延びるベース部分120と、ベース部分120から挿入方向Iに沿って延びる移行部分130とを有する。ベース部分120および移行部分130は、コンタクト110によって画定された誘電ハウジング受入空間116の周りで周方向に延びる。中心長手方向軸Lが、挿入方向Iおよび挿入方向Iと反対の方向Dに沿って、誘電ハウジング受入空間116の中心を通って延びる。ベース部分120と移行部分130とは、誘電ハウジング受入空間116の周りで略連続し、誘電ハウジング受入空間116を取り囲む。
【0007】
図示の実施形態において、ベース部分120は、中心長手方向軸Lに沿って略一定の長円形断面形状を有する。移行部分130は、図示の実施形態では長円形の、ベース部分120と同じ断面形状を有し、ベース部分120からより小さい断面形状へ挿入方向Iにテーパ状になっている。別の実施形態において、移行部分130は、テーパ状ではなく、ベース部分120と同じ断面形状および寸法を有する。
【0008】
図2および
図3に示すように、移行部分130は、挿入方向Iに対して垂直な高さ方向Hにおいて、上面132と、上面132とは反対側の下面134とを有する。移行部分130は、高さ方向Hおよび挿入方向Iに対して垂直な幅方向Wにおいて互いに対向する一対の側面136を有する。側面136は、移行部分130の上面132と下面134とを接続する。図示の実施形態において、上面132および下面134は、略平坦かつ平面であり、高さ方向Hは、上面132および下面134の平面に対して垂直である。側面136は湾曲形状である。図示の実施形態において、側面136は半円形状である。
【0009】
図2~
図4に示すように、コンタクト110は、嵌合端部114に端部分140を有する。端部分140は、図示の実施形態において長円形の、ベース部分120および移行部分130と同じ断面形状を有する。端部分140は、誘電ハウジング受入空間116の周りで周方向に延び、誘電ハウジング受入空間116の周りで略連続し、誘電ハウジング受入空間116を取り囲む。端部分140は、高さ方向Hにおいて、上面142と、上面142とは反対側の下面144とを有する。端部分140は、幅方向Wに互いに対向する一対の側面146を有し、側面146は、上面142と下面144とを接続する。図示の実施形態において、上面142および下面144は、略平坦かつ平面であり、高さ方向Hは、上面142および下面144の平面に対して垂直である。側面146は湾曲形状である。図示の実施形態において、側面146は半円形状である。
【0010】
図2~
図4に示すように、移行部分130と端部分140とは、挿入方向Iに沿って互いに分離されている。コンタクト110は、移行部分130から挿入方向Iに沿って端部分140側へ延びる複数のカンチレバービーム150と、端部分140から挿入方向Iと反対の方向Dに沿って移行部分130側へ延びる複数の保護タブ160と、移行部分130と端部分140との間に延び、これらを接続する複数の接続ビーム170とを有する。
【0011】
図面を明瞭にするために、
図1~
図4で、カンチレバービーム150、保護タブ160、および接続ビーム170のそれぞれのうちの1つのみに符号が付されているが、本明細書の図面および説明の参照符号は、図面に示される複数の同様の要素のそれぞれに当てはまる。
【0012】
図2~
図4に示すように、カンチレバービーム150はそれぞれ、ビーム接続端部152からビーム自由端部154へ挿入方向Iに沿って延びる。ビーム接続端部152は、移行部分130に接続され、カンチレバービーム150は、挿入方向Iに沿って移行部分130から離れるように延びる。明細書全体で使用される「自由端部」という用語は、端部が別の要素に接続されず、外力を受けて、かつ自由端部を有する要素の構造特性および材料特性を受けて、3次元で自由に動くことができることを意味するものである。カンチレバービーム150は、ビーム自由端部154を有するカンチレバー形状とコンタクト110の材料の特性とにより、ビーム接続端部152を中心に、中心長手方向軸L側へ、および中心長手方向軸Lから離れるように、誘電ハウジング受入空間116の内外へ弾性的に撓むことが可能である。
【0013】
図2~
図4に示すように、カンチレバービーム150はそれぞれ、ビーム接続端部152とビーム自由端部154との間にカンチレバーコンタクト部156を有する。カンチレバーコンタクト部156は、誘電ハウジング受入空間116から離れるように曲げられたカンチレバービーム150の部分によって形成されている。カンチレバーコンタクト部156は、ビーム接続端部152およびビーム自由端部154よりも中心長手方向軸Lから遠くに配置されている。
【0014】
図2および
図3に示すように、実施形態において、第1の複数のカンチレバービーム150が、移行部分130の上面132から挿入方向Iに沿って延び、第2の複数のカンチレバービーム150が、移行部分130の下面134から挿入方向Iに沿って延び、上面132から延びるカンチレバービーム150は、下面134から延びるカンチレバービーム150とは高さ方向Hに反対側に配置されている。図示の実施形態において、4つのカンチレバービーム150が上面132から延び、4つのカンチレバービーム150が下面134から延びる。他の実施形態において、3つ以下または5つ以上のカンチレバービーム150が、上面132および下面134のいずれかから延びていてもよい。
【0015】
図2~
図4に示すように、保護タブ160はそれぞれ、タブ接続端部162からタブ自由端部164へ挿入方向Iと反対の方向Dに延びる。タブ接続端部162は、端部分140に接続され、保護タブ160は、端部分140から離れるように方向Dに延びる。保護タブ160は、タブ接続端部162を中心に、中心長手方向軸L側へ、および中心長手方向軸Lから離れるように、誘電ハウジング受入空間116の内外へ弾性的に撓むことが可能である。実施形態において、保護タブ160の形状および寸法により、保護タブ160は、カンチレバービーム150よりも堅固であり、カンチレバービーム150よりも撓みに耐える。
【0016】
図2~
図4に示すように、保護タブ160のそれぞれは、タブ接続端部162とタブ自由端部164との間で、保護タブ160の外面166にガード部168を有する。ガード部168は、誘電ハウジング受入空間116から離れるように曲げられた、タブ接続端部162とタブ自由端部164との間の保護タブ160の曲がり部によって形成されている。
【0017】
図2および
図3に示すように、実施形態において、第1の複数の保護タブ160が、端部分140の上面142から方向Dに沿って延び、第2の複数の保護タブ160が、端部分140の下面144から方向Dに沿って延びる。上面142から延びる保護タブ160は、下面144から延びる保護タブ160とは高さ方向Hに反対側に配置されている。図示の実施形態において、3つの保護タブ160が上面142から延び、3つの保護タブ160が下面144から延びる。他の実施形態において、2つ以下または4つ以上の保護タブ160が、上面142および下面144のいずれかから延びていてもよい。
【0018】
図2~
図4に示すように、保護タブ160のタブ自由端部164は、カンチレバービーム150のビーム自由端部154に隣接して配置されている。上面132、142および下面134、144のそれぞれに複数のカンチレバービーム150および複数の保護タブ160のそれぞれを含む図示の実施形態において、保護タブ160のうちの1つが、幅方向Wにおいてカンチレバービーム150の間で中央に配置され、他の保護タブ160が、カンチレバービーム150に幅方向Wに隣接する。保護タブ160のうちの1つのタブ自由端部164は、幅方向Wにおいてカンチレバービーム150の複数のビーム自由端部154の間に配置される。
【0019】
図4に示すように、保護タブ160のそれぞれのガード部168は、中心長手方向軸Lから高さ方向Hに距離d1をおいて配置されている。距離d1は、中心長手方向軸Lから高さ方向Hにおけるビーム自由端部154の距離d2よりも大きく、ガード部168は、隣接するカンチレバービーム150のビーム自由端部154よりも中心長手方向軸Lから遠くに配置されている。カンチレバービーム150のカンチレバーコンタクト部156は、距離d1よりも大きく距離d2よりも大きい、中心長手方向軸Lからの距離d3をおいて配置されている。ガード部168は、カンチレバーコンタクト部156よりも中心長手方向軸Lの近くに配置されている。保護タブ160のそれぞれのガード部168は、方向Dに沿ってカンチレバービーム150のビーム自由端部154の前に配置されている。
【0020】
図2~
図4に示すように、接続ビーム170は、それぞれ挿入方向Iに沿って延び、移行部分130に接続された第1の端部172と、端部分140に接続された、第1の端部172とは反対側の第2の端部174とをそれぞれ有する。図示の実施形態において、第1の端部172および第2の端部174のいずれも、自由端部ではない。接続ビーム170のそれぞれは、中心長手方向軸L側へ、および中心長手方向軸Lから離れるように、誘電ハウジング受入空間116の内外へ弾性的に撓むことが可能である。
【0021】
図2~
図4に示すように、接続ビーム170はそれぞれ、第1の端部172と第2の端部174との間に接続コンタクト部176を有する。接続コンタクト部176は、誘電ハウジング受入空間116から離れるように曲げられた、接続ビーム170の曲がり部によって形成されている。接続コンタクト部176は、第1の端部172および第2の端部174よりも中心長手方向軸Lから遠くに配置されている。
【0022】
図2および
図3に示すように、実施形態において、一対の接続ビーム170が、移行部分130の各側面136と端部分140の1つの側面146との間に延びる。反対の側面136、146間に延びる接続ビーム170は、幅方向Wに互いに対向して配置されている。他の実施形態において、1つの接続ビーム170または3つ以上の接続ビーム170が、移行部分130の各側面136と端部分140の1つの側面146との間に延びていてもよい。
【0023】
コンタクト110は、導電性材料から形成されている。実施形態において、コンタクト110は、打抜きおよび曲げによって、ベース部分120、移行部分130、端部分140、カンチレバービーム150、保護タブ160、および接続ビーム170を含む単一部品で一体に形成されている。コンタクト110を、複数の部分ではなく単一のコンタクトブランクから打ち抜いて形成することができ、複雑な形成プロセスが不要である。カンチレバービーム150の形状は、打抜きダイにおけるカンチレバービーム150の独立した高さ調節を可能にする。
【0024】
図1および
図5に示すように、コネクタ100の誘電ハウジング180は、コンタクト110の誘電ハウジング受入空間116に配置されている。誘電ハウジング180は、絶縁材料から形成されている。
【0025】
図5に示すように、端子196は誘電ハウジング180に保持されている。端子196は、導電性材料から形成されているが、誘電ハウジング180によってコンタクト110から電気的に絶縁されている。図示の実施形態において、端子196はレセプタクル端子である。他の実施形態において、端子196は、ピン端子または電気コネクタで使用される任意の他のタイプの端子であってもよい。
【0026】
図1および
図5の実施形態に示すように、内側フェルール192は、誘電ハウジング180の一部の周り、かつ部分的に誘電ハウジング受入空間116内に配置されている。内側フェルール192は、導電性材料から形成され、コンタクト110に電気的に接続されている。外側フェルール190は、コンタクト110とは反対側の内側フェルール192の端部の周りに配置されている。外側フェルール190は、導電性材料から形成され、内側フェルール192を介してコンタクト110に電気的に接続されている。
【0027】
図1および
図5に示す実施形態において、コネクタ100は、第1のケーブル200に接続されている。図示の実施形態において、第1のケーブル200は、互いにより合わされた一対のワイヤ210を有するシールドツイストペアである。ワイヤ210のそれぞれは、導体212と、導体212の周りに配置された絶縁層214とを有する。第1のケーブル200は、導電性材料から形成され、かつワイヤ210の周りに配置された箔220を有する。図示の実施形態において、ワイヤ210がより合わされず互いに分離されている、第1のケーブル200の端部には、箔220が存在しない。第1のケーブル200は、導電性材料から形成され、かつ箔220およびワイヤ210の周りに配置されたシールド230を有する。シールド230を編組と呼ぶこともできる。
絶縁材料から形成された、第1のケーブル200のジャケット240が、ワイヤ210、箔220、およびシールド230の周りに配置されている。他の実施形態において、第1のケーブル200は、非シールドツイストペア、パラレルペア差動ケーブル(parallel pair differential cable)、またはコネクタ100に接続可能な任意の他のタイプのケーブルであってもよい。
【0028】
図5に示すように、ワイヤ210が互いに分離され、ジャケット240が剥き取られまたは取り除かれている領域で、ワイヤ210は、内側フェルール192を通って誘電ハウジング180内へ延びる。ワイヤ210のそれぞれの導体212は、例えば圧着によって、誘電ハウジング180の端子196のうちの1つに機械的および電気的に接続されている。ワイヤ210は、絶縁層214によって、内側フェルール192およびコンタクト110から電気的に絶縁されている。シールド230は、内側フェルール192の外面の周りに配置され、外側フェルール190によって、内側フェルール192に電気的および機械的に接続されている。
外側フェルール190は、第1のケーブル200および内側フェルール192の周りに配置され、実施形態において、第1のケーブル200および内側フェルール192の周りに圧着されて、ケーブル200を固定し、シールド230を内側フェルール192に電気的に接続する。シールド230は、内側フェルール192を介してコンタクト110に電気的に接続されている。
【0029】
実施形態によるコネクタシステム10が、
図6~
図9に示されている。コネクタシステム10は、コネクタ100と、コネクタ100に嵌合可能な相手側コネクタ300とを備える。
【0030】
図6~
図9に示すように、相手側コネクタ300は、相手側コンタクト310と、相手側コンタクト310内に配置された相手側誘電ハウジング320と、相手側誘電ハウジング320の周りに配置された相手側内側フェルール332と、相手側内側フェルール332の周りに配置された相手側外側フェルール330と、相手側誘電ハウジング320内に配置された複数の相手側端子340とを備える。
【0031】
相手側コンタクト310は、導電性材料から形成され、コンタクト110の端部分140と同じ断面形状を有する。
図6~
図9に示すように、相手側コンタクト310は相手側キャビティ318を形成する。図示の実施形態において、相手側コンタクト310は、相手側キャビティ318の周りで略連続し、相手側キャビティ318を取り囲む。相手側コンタクト310は、相手側キャビティ318に隣接し、かつ相手側キャビティ318を画定する内面316を有する。相手側コンタクト310は、方向Dにおいてコネクタ100の近位に配置された嵌合端部312を有する。図示の実施形態において、相手側コンタクト310の嵌合端部312は、相手側キャビティ318内へ延びる方向に角度が付けられた面取り部314を有する。
【0032】
図6~
図9に示すように、相手側誘電ハウジング320は、相手側コンタクト310の相手側キャビティ318に配置されている。相手側誘電ハウジング320は絶縁材料から形成されている。
【0033】
図6、
図7、および
図9に示すように、相手側端子340は、相手側誘電ハウジング320内に保持され、相手側誘電ハウジング320によって相手側コンタクト310から電気的に絶縁されている。図示の実施形態において、相手側端子340はピン端子である。他の実施形態において、相手側端子340は、レセプタクル端子、またはコネクタ100の端子196に嵌合および電気的に接続可能な電気コネクタで使用される任意の他のタイプの端子であってもよい。
【0034】
図8および
図9に示すように、相手側内側フェルール332は、相手側誘電ハウジング320の一部の周り、かつ部分的に相手側キャビティ318内に配置されている。相手側内側フェルール332は、導電性材料から形成され、相手側コンタクト310に電気的に接続されている。相手側外側フェルール330は、相手側コンタクト310とは反対側の相手側内側フェルール332の端部の周りに配置されている。相手側外側フェルール330は、導電性材料から形成され、相手側内側フェルール332を介して相手側コンタクト310に電気的に接続されている。
【0035】
図9に示すように、相手側コネクタ300は、第2のケーブル400に接続されている。図示の実施形態において、第2のケーブル400は、第1のケーブル200と同一であり、シールドツイストペアである。第2のケーブル400は、導体412と、導体412の周りに配置された絶縁層414とをそれぞれ有する一対のワイヤ410を有する。第2のケーブル400は、導電性材料から形成され、かつワイヤ410の周りに配置された箔420を有する。図示の実施形態において、ワイヤ410がより合わされず互いに分離されている領域にある、第2のケーブル400の端部には、箔420が存在しない。第2のケーブル400は、導電性材料から形成され、かつ箔420およびワイヤ410の周りに配置されたシールド430を有する。
シールド430を編組と呼ぶこともできる。絶縁材料から形成された、第2のケーブル400のジャケット440が、ワイヤ410、箔420、およびシールド430の周りに配置されている。他の実施形態において、第2のケーブル400は、非シールドツイストペア、パラレルペア差動ケーブル、または相手側コネクタ300に接続可能な任意の他のタイプのケーブルであってもよい。
【0036】
図9に示すように、ワイヤ410が互いに分離され、ジャケット440が剥き取られまたは取り除かれている領域で、ワイヤ410は、相手側内側フェルール332を通って相手側誘電ハウジング320内へ延びる。ワイヤ410のそれぞれの導体412は、例えば圧着によって、相手側誘電ハウジング320の相手側端子340のうちの1つに機械的および電気的に接続されている。ワイヤ410は、絶縁層414によって、相手側内側フェルール332および相手側コンタクト310から電気的に絶縁されている。シールド430は、相手側内側フェルール332の外面の周りに配置され、相手側外側フェルール330によって、相手側内側フェルール332に電気的および機械的に接続されている。
相手側外側フェルール330は、第2のケーブル400および相手側内側フェルール332の周りに配置され、実施形態において、第2のケーブル400および相手側内側フェルール332の周りに圧着されて、第2のケーブル400を固定し、シールド430を相手側内側フェルール332に電気的に接続する。シールド430は、相手側内側フェルール332を介して相手側コンタクト310に電気的に接続されている。
【0037】
次に、
図6~
図9を参照しながら、コネクタ100を挿入方向Iに沿って相手側コネクタ300に挿入することについて詳細に説明する。
【0038】
図6に示すように、コネクタ100のコンタクト110の嵌合端部114は、挿入方向Iに沿って、相手側コネクタ300の相手側コンタクト310の相手側キャビティ318に挿入される。コンタクト110の嵌合端部114が挿入されるときに、コンタクト110が相手側キャビティ318内で中央にある場合、相手側コンタクト310の嵌合端部312は、カンチレバーコンタクト部156の近くでカンチレバービーム150のそれぞれに最初に接触する。
【0039】
挿入方向Iに沿った挿入中に、コンタクト110が相手側キャビティ318内で中央にない場合、嵌合端部312は、保護タブ160に最初に接触する。保護タブ160のガード部168が、挿入方向Iに沿ってカンチレバービーム150のビーム自由端部154の前に配置され、ビーム自由端部154よりも中心長手方向軸Lから遠くに配置されるため、保護タブ160は、ビーム自由端部154を保護し、ビーム自由端部154が相手側コンタクト310の嵌合端部312に接触することを防いで、カンチレバービーム150の損傷を回避する。
図6に示すように、挿入中に嵌合端部312が保護タブ160のガード部168に接触することにより、嵌合端部312を保護タブ160に沿ってさらに案内して、コンタクト110を相手側キャビティ318の中央位置に動かす。
【0040】
図6に示す位置から、コンタクト110を挿入方向Iに沿って相手側コンタクト310内へさらに挿入すると、
図7に示すように、カンチレバービーム150は、面取り部314で嵌合端部312に当接し、誘電ハウジング受入空間116内へ誘電ハウジング180に向かって内方に弾性的に変形する。弾性的に変形したカンチレバービーム150は、接続コンタクト部176により相手側コンタクト310の内面316に当接し、コンタクト110を相手側コンタクト310に電気的に接続する。
図7に示す実施形態において、高さ方向Hに互いに対向するコンタクト110の上面および下面の両方におけるカンチレバービーム150は、相手側コンタクト310の内面316に当接し、電気的に接触する。
【0041】
図8および
図9では、コネクタ100は、相手側コネクタ300に完全に挿入され嵌合されている。
図8に示すように、嵌合位置で、誘電ハウジング180は、挿入方向Iに沿って相手側誘電ハウジング320に当接する。嵌合位置で、カンチレバービーム150は、弾性的に撓み、相手側コンタクト310の内面316に接触したままである。
【0042】
コンタクト110の接続ビーム170も撓み、相手側コンタクト310の内面316に接触する。コンタクト110を挿入方向Iに沿って相手側コンタクト310に挿入している間、接続ビーム170は、面取り部314で嵌合端部312に当接し、誘電ハウジング受入空間116内へ誘電ハウジング180に向かって内方に弾性的に変形する。
図9に示す嵌合位置で、弾性的に変形した接続ビーム170は、接続コンタクト部176により相手側コンタクト310の内面316に当接し、コンタクト110を相手側コンタクト310に電気的に接続する。
図9に示す実施形態において、幅方向Wに互いに対向するコンタクト110の両側面における接続ビーム170は、相手側コンタクト310の内面316に当接し、電気的に接触する。
【0043】
コンタクト110と相手側コンタクト310との電気的接続は、コネクタ100の内側フェルール192および外側フェルール190、第1のケーブル200のシールド230、相手側コネクタ300の相手側内側フェルール332および相手側外側フェルール330、ならびに第2のケーブル400のシールド430の間に、接地およびシールド接続を形成する。
図9に示すように、コネクタ100と相手側コネクタ300との嵌合位置で、端子196が相手側端子340に嵌合し、電気的に接続する。コンタクト196、340間の電気的接続は、電流またはデータの伝送のためにケーブル200、400の導体212、412を電気的に接続する。
【国際調査報告】