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特表2024-529557組換え霊芝免疫調節タンパク質の新規変異体及びその応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】組換え霊芝免疫調節タンパク質の新規変異体及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/415 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 15/29 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240730BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 1/20 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K14/415 ZNA
C12N15/29
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C07K1/20
A61P35/00
A61K38/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508592
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2022110916
(87)【国際公開番号】W WO2023016419
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110908697.2
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522212354
【氏名又は名称】チャンチュン インテリクラウン ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(71)【出願人】
【識別番号】524053339
【氏名又は名称】シヤンハイ インテリクラウン バイオテクノロジー カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ゴンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジア、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シーティアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE10
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA03
4C084BA44
4C084NA14
4C084ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA30
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、組換えタンパク質に関する。上記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、上記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。本発明はまた、疾患の治療における上記組換えタンパク質の応用に関する。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサーペプチド及び組換え霊芝(Ganoderma lucidum)免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含む組換えタンパク質であって、
前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、
組換えタンパク質。
【請求項2】
前記rLZ-8変異体は配列番号13及び16~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項3】
前記rLZ-8変異体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1又は2に記載の組換えタンパク質。
【請求項4】
前記スペーサーペプチドは1~5個のEAを含む、
請求項1~3のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項5】
前記スペーサーペプチドは2個のEAを含む。
請求項1~4のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項6】
前記スペーサーペプチドは配列番号8~9のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~5のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項7】
前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~6のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項8】
前記スペーサーペプチドは前記rLZ-8変異体のN末端に位置する、
請求項1~7のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項9】
配列番号14、15、22~33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~8のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項10】
配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~9のいずれか1つに記載の組換えタンパク質。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質をコードする、
単離された核酸分子。
【請求項12】
請求項11に記載の単離された核酸分子を含む、
ベクター。
【請求項13】
請求項11に記載の単離された核酸分子及び/又は請求項12に記載のベクターを含む、
細胞。
【請求項14】
真核細胞である、
請求項13に記載の細胞。
【請求項15】
酵母細胞である、
請求項13又は14に記載の細胞。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質を含む、
ポリペプチド。
【請求項17】
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質を調製する方法であって、
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質を発現する条件で、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞を培養することを含む、
方法。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質、請求項11に記載の単離された核酸分子、請求項12に記載のベクター、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞及び/又は請求項16に記載のポリペプチド、及び任意選択的に薬学的に許容される担体を含む、
医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質、請求項11に記載の単離された核酸分子、請求項12に記載のベクター、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞、請求項16に記載のポリペプチド及び/又は請求項18に記載の医薬組成物を含む、
キット。
【請求項20】
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質、請求項11に記載の単離された核酸分子、請求項12に記載のベクター、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞、請求項16に記載のポリペプチド及び/又は請求項18に記載の医薬組成物を含む、
薬物送達デバイス。
【請求項21】
腫瘍を予防、緩和又は治療する方法であって、
請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質、請求項11に記載の単離された核酸分子、請求項12に記載のベクター、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞、請求項16に記載のポリペプチド及び/又は請求項18に記載の医薬組成物を、必要がある対象に投与することを含む、
方法。
【請求項22】
前記腫瘍は固形腫瘍を含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍はEGFR発現及び/又はEGFR発現異常を有する腫瘍を含む、
請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記腫瘍は非固形腫瘍を含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記腫瘍は、結腸直腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、胃がん、腎臓がん、膀胱がん、神経芽腫、卵巣がん、扁平上皮がん及び/又は膵臓がんを含む、
請求項21~24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
腫瘍を予防、緩和又は治療するための薬物の調製における、請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質、請求項11に記載の単離された核酸分子、請求項12に記載のベクター、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞、請求項16に記載のポリペプチド及び/又は請求項18に記載の医薬組成物の使用。
【請求項27】
腫瘍を予防、緩和又は治療するための、請求項1~10のいずれか1つに記載の組換えタンパク質、請求項11に記載の単離された核酸分子、請求項12に記載のベクター、請求項13~15のいずれか1つに記載の細胞、請求項16に記載のポリペプチド及び/又は請求項18に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、生物医学分野に関し、具体的には組換え霊芝免疫調節タンパク質の変異体(rLZ-8変異体)及び腫瘍の治療におけるその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
霊芝免疫調節タンパク質(LZ-8)は、1989年にKinoらによって赤色霊芝菌糸体抽出物から単離及び精製される。抽出されたLZ-8には1.3%の多糖類が含まれており、インビトロでは細胞分裂促進活性があり、インビボでは免疫調節活性がある。同時に、LZ-8はヒツジ赤血球に対して凝集作用を有するが、ヒト赤血球(A、B、AB及びO型)に対して凝集作用がない。インビボ研究では、LZ-8を繰り返し投与すると、マウス全身性アレルギー反応を防ぐことが判明されている。
【0003】
組換え霊芝免疫調節タンパク質(rLZ-8)は、遺伝子組換え技術によって取得される。天然の霊芝免疫調節タンパク質と比べて、アミノ酸配列が同じ、活性が類似しているが、多糖類が含まれない。研究では、rLZ-8がインビトロで様々な腫瘍細胞アポトーシスを迅速且つ効率的に誘導できるだけでなく、インビボでは、マウス腫瘍モデルの腫瘍細胞を効果的に殺し、白血球レベルを維持又は増加できることが示されている。更に、組織線維症、限局性脳虚血、血小板減少症、骨粗鬆症及び心不全の治療におけるrLZ-8の作用について関連特許が公開され、授権されている。
【0004】
組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)は、rLZ-8の1つ又は複数のアミノ酸を変異させることによって得られる。機構研究により、rLZ-8変異体はヒト細胞表面の上皮成長因子受容体(EGFR)に結合して細胞内に取り込まれ、分解されないため細胞内に滞留することが判明されている。高強度の内部移行により、細胞膜の循環が遮断され、最終的に細胞が縮小し、破裂して死滅する。腫瘍細胞殺傷実験の結果では、rLZ-8変異体はrLZ-8よりも優れた腫瘍殺傷効果を有することが示されている。Biacore研究結果では、rLZ-8変異体がEGFRとの親和性がより高いことが示され、複数のヒトがん細胞の同所性移植腫瘍モデルを用いたマウス実験の結果では、rLZ-8と比べて、rLZ-8変異体がマウス生存期間を延長し、腫瘍成長を抑制することが示されている。
【0005】
しかし、rLZ-8とrLZ-8変異体が何れも腫瘍殺傷作用を示しているが、両方ともタンパク質発現レベル、工業化の難しさの課題に直面している。一方で、タンパク質分子が人間にとって安全かどうかも、医薬品開発における重要な考慮事項である。
【発明の概要】
【0006】
本願は、スペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含む組換えタンパク質を提供しており、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。本願の組換えタンパク質は、以下から選ばれる少なくとも1つの特徴を有する。(1)比較的高い発現量及び/又は分泌量(例えば、酵母発現系)、(2)比較的高い安全性、製剤化の安全性を満たすこと、例えば、前臨床安全性評価に合格する、及び/又は、臨床試験許可を取得すること、(3)内部移行により細胞に容易に取り込まれること、並びに(4)腫瘍成長への阻害、腫瘍細胞殺傷能力が高い。
【0007】
一態様によれば、本願は、スペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含む組換えタンパク質を提供しており、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記rLZ-8変異体は配列番号13及び16~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記rLZ-8変異体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記スペーサーペプチドは1~5個のEAを含む。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記スペーサーペプチドは2個のEAを含む。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記スペーサーペプチドは配列番号8~9のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記スペーサーペプチドは前記rLZ-8又はその変異体のN末端に位置する。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記組換えタンパク質は配列番号14、15、22~33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記組換えタンパク質は配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質をコードする、単離された核酸分子を提供する。
【0018】
別の態様によれば、本願は、前記単離された核酸分子を含む、ベクターを提供する。
【0019】
別の態様によれば、本願は、前記単離された核酸分子及び/又は前記ベクターを含む、細胞を提供する。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記細胞は真核細胞である。
【0021】
幾つかの実施形態において、前記細胞は酵母細胞である。
【0022】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質を含む、ポリペプチドを提供する。
【0023】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質を調製する方法であって、前記組換えタンパク質を発現する条件で、前記細胞を培養することを含む、方法を提供する。
【0024】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記ポリペプチド及び/又は前記細胞、及び任意選択的に薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0025】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を含む、キットを提供する。
【0026】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を含む、薬物送達デバイスを提供する。
【0027】
別の態様によれば、本願は、腫瘍を予防、緩和又は治療する方法であって、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を、必要がある対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0028】
別の態様によれば、本願は、前記薬物腫瘍を予防、緩和又は治療するための薬物の調製における、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0029】
別の態様によれば、本願は、腫瘍を予防、緩和又は治療するための、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を提供する。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記腫瘍は非固形腫瘍を含む。
【0031】
幾つかの実施形態において、前記腫瘍は固形腫瘍を含む。
【0032】
幾つかの実施形態において、前記腫瘍はEGFR発現及び/又はEGFR発現異常を有する腫瘍を含む。
【0033】
幾つかの実施形態において、前記腫瘍はEGFR変異に関連する腫瘍を含む。幾つかの実施形態において、前記腫瘍はBRAF変異に関連する腫瘍を含む。幾つかの実施形態において、前記腫瘍はKRAS変異に関連する腫瘍を含む。幾つかの実施形態において、前記腫瘍はHER2変異に関連する腫瘍を含む。
【0034】
幾つかの実施形態において、前記腫瘍は、結腸直腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、胃がん、腎臓がん、膀胱がん、神経芽腫、卵巣がん、扁平上皮がん及び/又は膵臓がんを含む。当業者であれば、以下の詳細な説明から本願の他の態様及び利点を容易に理解することができる。以下の詳細な説明では、本願の例示的な実施形態のみが示され、説明される。当業者が理解されるように、本願の内容により、当業者は、本願がカバーする発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された具体的な実施形態を変更することができる。対応的には、本願の図面及び明細書における記載は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本願に関する発明の具体的な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。以下に詳細に説明する例示的な実施形態及び添付の図面を参照することによって、本願に関連する本発明の特徴及び利点をよりよく理解することができる。図面の簡単な説明は以下の通りである。
【0036】
図1】rLZ-8(配列番号10)を発現する複数の酵母菌株の結果を示すし、ここで、M:marker、S:EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)作業参照品(1mg/ml)、1~11:No.1~11のrLZ-8(配列番号10)菌株である。
図2】rLZ-8変異体(配列番号13)を発現する複数の酵母菌株の結果を示すし、ここで、M:marker、S:EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)作業参照品(1mg/ml)、1~11:No.1~11のrLZ-8変異体(配列番号13)菌株である。
図3】EAEA+rLZ-8(配列番号11)組換えタンパク質を発現する複数の酵母菌株の結果を示すし、ここで、M:marker、S:rLZ-8(配列番号10)作業参照品(0.5mg/ml)、1~6:No.1~6のEAEA+rLZ-8(配列番号11)菌株である。
図4】EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)組換えタンパク質を発現する複数の酵母菌株の結果を示すし、ここで、M:marker、S:rLZ-8(配列番号10)標準品(250mg/L)、1~6:No.1~6のEAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)菌株である。
図5】EEAEAEAEPK+rLZ-8(配列番号12)組換えタンパク質を発現する複数の酵母菌株の結果を示すし、ここで、M:marker、S:EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)作業参照品(1mg/ml)、1~11:No.1~11のEEAEAEAEPK+rLZ-8(配列番号12)菌株である。
図6】EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)組換えタンパク質を発現する複数の酵母菌株の結果を示すし、ここで、M:marker、S:EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)作業参照品(1mg/ml)、1~11:No.1~11のEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)菌株である。
図7】異なるスペーサーペプチドに結合するrLZ-8又はその変異体の組換えタンパク質の発現結果の比較を示し、ここで、M:marker、S:EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)作業参照品(1mg/ml)、1:rLZ-8変異体(配列番号13)、2:EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)、3:EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)、4:rLZ-8(配列番号10)、5:EAEA+rLZ-8(配列番号11)、6:EEAEAEAEPK+rLZ-8(配列番号12)である。
図8】CR20035Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線。
図9】CR5043Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図10】CR5082Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図11】CR3099Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図12】LU5162Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図13】LU11624Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図14】LU1235Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図15】LI6677Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図16】LI6669Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図17】BR9457Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図18】BR9466Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図19】GA6833Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図20】GA2434Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図21】PA20078Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図22】PA0787Bオルガノイド系に作用する配列番号14に示される組換えタンパク質の用量反応曲線を示す。
図23】LI6669ヒト肝臓がん同所性移植腫瘍モデルにおける各治療群と対照群マウスの生存率変化を示す。
図24】rLZ-8変異体の組換えタンパク質による肺がん細胞株A549の殺傷作用を示す。
図25】異なるスペーサーペプチドに結合するrLZ-8又はその変異体の組換えタンパク質の発現結果の比較を示し、ここで、M:marker、1:rLZ-8変異体4、2:EAEA+rLZ-8変異体4(配列番号25)、3:EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体4(配列番号31)、4:rLZ-8変異体5、5:EAEA+rLZ-8変異体5(配列番号26)、6:EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体5(配列番号32)、7:rLZ-8変異体6、8:EAEA+rLZ-8変異体6(配列番号27)、9:EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体6(配列番号33)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、特定の具体的な実施例により本願の発明の実施形態を説明し、当業者であれば、本明細書に開示された内容から、本願の発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0038】
用語の定義
【0039】
本願において、「組換えタンパク質」という用語は、一般的に、組換え技術を使用して生成されたタンパク質を指す。組換えタンパク質には、(1)組換えDNA技術を使用して連結された異なる由来のDNA分子の組み合わせ発現によって生成された半合成又は合成のポリペプチド、(2)自然の状態で連結する部分とは関係のない、半合成又は合成に由来するポリペプチド、(3)自然の状態で連結するポリペプチド以外のポリペプチドに連結される、半合成又は合成に由来するポリペプチド、或いは(4)自然の状態で存在しない、半合成又は合成に由来するポリペプチドが含まれる。例えば、前記組換えタンパク質は、本願のスペーサーペプチドと本願の組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)とを連結して形成されるポリペプチドを指してもよい。
【0040】
本願において、「スペーサーペプチド」という用語は、一般的に、任意のドメインを連結するように機能する任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを指す。本願において、スペーサーペプチドは組換え霊芝免疫調節タンパク質(rLZ-8)のN末端に位置する。例えば、スペーサーペプチドは、リーダーペプチドと組換え霊芝免疫調節タンパク質(rLZ-8)との間に位置してもよい。例えば、スペーサーペプチドはシグナルペプチドの一部であってもよい。例えば、スペーサーペプチドは、それが連結しているタンパク質の分泌を促進してもよい。
【0041】
本願において、「霊芝免疫調節タンパク質」という用語は、LZ-8、LZ8、Ling Zhi-8又は霊芝タンパク質8と呼ばれ、一般的に、霊芝に由来する免疫調節タンパク質を指す。LZ-8には、その対立遺伝子変異体、スプライス変異体、派生変異体、置換変異体、欠失変異体及び/又は挿入変異体(N末端メチオニンの付加を含む)、融合ポリペプチド及びその種間相同体も含まれる。本願において、前記LZ-8は、Ganoderma lucidumに由来する免疫調節タンパク質を指してもよい。本願において、「組換え霊芝免疫調節タンパク質(rLZ-8)」という用語は、一般的に、組換え方法を使用して得られるLZ-8を指す。例えば、前記LZ-8とrLZ-8のアミノ酸配列は、UniProtKB登録番号P14945を参照することができる。本願において、前記LZ-8とrLZ-8には、配列番号10に示されるアミノ酸配列が含まれてもよい。
【0042】
本願において、「変異体」という用語は、一般的に、1つ又は複数の差異を含むことによって参照配列とは異なる配列を指す。当該参照配列は、組換え霊芝免疫調節タンパク質のアミノ酸配列であってもよい。当該差異は、アミノ酸の欠失、挿入、又は好ましくは置換であってもよい。変異体は、参照配列と同じ又は異なる機能作用を有してもよい。
【0043】
本願において、「アミノ酸変異」という用語は、一般的に、1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び修飾を含む。
【0044】
本願において、「EA」という用語は、一般的に、グルタミン酸(E)及びアラニン(A)がペプチド結合により連結されたペプチド断片を指す。
【0045】
本願において、「単離された」という用語は、一般的に、天然環境において通常それに付随又は相互作用する成分を実質的に含まない生物学的材料(例えばウイルス、核酸又はタンパク質)を指す。
【0046】
本願において、「単離された核酸分子」という用語は、一般的に、ゲノム、mRNA、cDNA又は合成由来のDNA又はRNA又はその一部の組み合わせを指す。それが、天然環境に見られるポリヌクレオチドの全て又は一部と結合せず、或いは、天然環境において連結しないポリヌクレオチドに結合する。
【0047】
本願において、「ベクター」という用語は、一般的に、挿入された核酸分子を宿主細胞内及び/又は宿主細胞間に移入する、適切な宿主内で自己複製できる核酸分子を指す。前記ベクターには、細胞へのDNA又はRNAの挿入に主に使用されるベクター、DNA又はRNAの複製に主に使用されるベクター、並びにDNA又はRNAの転写及び/又は翻訳の発現に主に使用されるベクターが含まれてもよい。前記ベクターには、上記の各種機能を有するベクターも含まれる。前記ベクターは、適切な宿主細胞に導入される場合、転写され、ポリペプチドに翻訳され得るポリヌクレオチドであってもよい。一般的に、前記ベクターの適切な宿主細胞を培養することによって、前記ベクターは、所望の発現産物を産生することができる。
【0048】
本願において、「細胞」という用語は、一般的に、本願に記載される核酸分子を含み得るか、又はそれを含んでいるプラスミド又はベクター、或いは、本願に記載される抗体又はその抗原結合断片を発現できる個体細胞、細胞株又は細胞培養物を指す。前記細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれてもよい。天然的、偶発的又は意図的な突然変異により、子孫細胞は形態又はゲノムにおいて元の親細胞と必ずしも完全に同じであるとは限らないが、本願に記載される抗体又はその抗原結合断片を発現できればよい。前記細胞は、本願に記載されるベクターを使用してインビトロで細胞をトランスフェクトすることによって得られてもよい。前記細胞は、原核細胞(例えば大腸菌)であってもよく、真核細胞(例えば酵母細胞、例えばCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞又は骨髓腫細胞)であってもよい。場合によっては、前記細胞は哺乳動物細胞であってもよい。例えば、前記哺乳動物細胞はCHO-K1細胞であってもよい。本願において、「組換え細胞」という用語は、一般的に、その中に組換え発現ベクターが導入された細胞を指す。前記組換え宿主細胞には、ある特定の細胞が含まれるだけでなく、それらの細胞の子孫も含まれる。
【0049】
本願において、「キット」という用語は、一般的に、本願の組換えタンパク質を投与するためにEGFR発現及び/又はEGFR異常発現に関連する病状を治療する成分を含むパッケージ化された製品を指す。キットの成分は、別々のバイアル(即ち、別々の部品を備えるキット)に含まれてもよく、或いは、単一のバイアルで提供されてもよい。キットには、緩衝剤、タンパク質安定化試薬、シグナル発生システム(例えば、蛍光シグナル発生システム)、抗体、対照タンパク質、及び試験容器などの試薬が含まれてもよい。キットには、前記方法を実行する明細書が含まれてもよい。
【0050】
本願において、「薬物送達デバイス」という用語には、(i)活性成分を有する医薬組成物を対象に投与するための注入モジュール、(ii)組換えタンパク質、核酸分子、細胞、ベクター又はそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を含む注入用医薬組成物、及び(iii)任意選択の薬効監視モジュールが含まれる。
【0051】
本願において、「腫瘍」という用語は、一般的に、全ての新生物細胞の成長及び増殖(悪性か良性かを問わず)並びに全ての前癌性と癌性細胞及び組織を指す。腫瘍には、固形腫瘍及び/又は非固形腫瘍(例えば、血液腫瘍、リンパ腫)が含まれてもよい。
【0052】
本願において、「薬学的に許容される担体」という用語は、一般的に、曝露される細胞又は哺乳動物に対して使用される用量及び濃度において非毒性である、薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤を指す。一般的には、生理学的に許容される担体はpH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例には、緩衝液、抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、単糖類、二糖類及び他の炭水化物、キレート剤、糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、及び/又は非イオン性界面活性剤が含まれてもよい。
【0053】
本願において、「治療」という用語は、一般的に、治療を受ける個体における疾患の自然経過を変えることを目的とした臨床介入を指し、疾患の臨床経過中に予防又は治療を達成することを目的とする場合もある。必要を満たす治療効果は、疾患の発症又は再発の予防、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な任意の病理学的影響の軽減、転移の予防、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善又は軽減、並びに予後の改善又は軽減を含むが、これらに限定されない。幾つかの場合において、本願の組換えベクターは、疾患の発症を遅らせたり、疾患の進行を緩和したりするために使用してもよい。
【0054】
本願において、「投与」という用語は、一般的に、特定の用量の化合物(例えば、抗がん治療剤)又は医薬組成物(例えば、抗がん治療剤を含む医薬組成物)を対象(例えば、患者)に投与する方法を指す。投与は、非経口、肺内、鼻腔内、及び(局所治療に必要な場合)病巣内の投与を含む任意の適切な手段によって行われてもよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内又は皮下投与が含まれる。
【0055】
本明細書で言及される特定のタンパク質及びヌクレオチドに加えて、本願には、それらの機能的変異体、誘導体、類似体、相同体及びその断片が含まれてもよい。
【0056】
「機能性変異体」という用語は、天然に存在する配列と実質的に相同であるアミノ酸配列を有するか、又は実質的に相同であるヌクレオチド配列によってコードされると共に天然に存在する配列の1種又は複数種の活性を有するポリペプチドを指す。本願の文脈において、任意の所定の配列の変異体は、その中の残基の特定の配列(アミノ酸であるかヌクレオチド残基であるかを問わず)の修飾により前記ポリペプチド又はポリヌクレオチドが実質的に少なくとも1つの内因性機能を保持する配列を指す。元の機能活性が維持される限り、天然に存在するタンパク質及び/又はポリヌクレオチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基及び/又はヌクレオチド残基の付加、欠失、置換、修飾、置換及び/又は変異によって変異体配列を得ることができる。
【0057】
本願において、「誘導体生物」という用語は、一般的に、得られたポリペプチド又はポリヌクレオチドが実質的に少なくとも1つの内因性機能が維持される限り、自己/ペア配列の1つ(又は複数)のアミノ酸残基の任意の置換、変異、修飾、置換、欠失及び/又は付加を含む、本願のポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。本願において、「類似体」という用語は、一般的に、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの任意の模擬物を含むポリペプチド又はポリヌクレオチドを指し、即ち当該模擬物が模擬するポリペプチド又はポリヌクレオチドの少なくとも1つの内源機能を有する化学化合物である。一般的には、修飾された配列は実質的に必要な活性又は能力が維持される限り、少なくとも1個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は20以上)のアミノ酸置換などの、アミノ酸置換が行われてもよい。アミノ酸には、天然に存在しない類似体の使用が含まれてもよい。
【0058】
本願で使用されるタンパク質又はポリペプチドは、サイレンシングの変化を生じて機能的に同等のタンパク質をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を有してもよい。内因性機能が維持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性特性の類似性に基づいて意図的なアミノ酸置換が行われてもよい。例えば、負に帯電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に帯電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、また、類似する親水性値を有する非極性頭部基を含むアミノ酸にはアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン及びチロシンが含まれる。
【0059】
本願において、「相同体」という用語は、一般的に、野生型アミノ酸配列及び野生型ヌクレオチド配列に対して、一定の相同性を有するアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を指す。「相同性」という用語は、配列「同一性」と同等である。相同配列には、主題配列と少なくとも80%、85%、90%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%同一であるアミノ酸配列が含まれてもよい。一般的には、相同体は、主題アミノ酸配列と同一である活性部位などを含む。相同性は、類似性(即ち類似する化学的特性/機能を持つアミノ酸残基)の観点から考慮してもよく、配列相同性の観点から相同性を表現してもよい。本願において、言及されるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列の配列番号のいずれか1つ1つに対してパーセント相同性を有する配列は、言及される配列番号の全長において前記パーセント相同性を有する配列を指す。
【0060】
配列相同性を決定するために、配列アラインメントを行うことができ、これは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、NEEDLE又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの使用、当業者に知られている様々な手段によって行うことができる。当業者は、比較される全長配列にわたって最適なアラインメントを実現するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。
【0061】
本願において、「及び/又は」という用語は、オプションのいずれか1つ又はオプションの2項を意味すると理解されるべきである。
【0062】
本願において、「包含」という用語は、一般的に、明示的に指定された特徴を含むが、他の要素を排除しないことを指す。
【0063】
本願において、「約」という用語は、一般的に、指定された値の0.5%~10%以上又は以下の範囲内の変動、例えば、指定された値の0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%以上又は以下の範囲内の変動を指す。
【0064】
発明の詳細
【0065】
組換えタンパク質
【0066】
一態様によれば、本願は、スペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質(rLZ-8)変異体を含む組換えタンパク質を提供しており、但し、前記rLZ-8は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。本願において、前記rLZ-8は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上)の相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0067】
一態様によれば、本願は、スペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含む組換えタンパク質を提供しており、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。
【0068】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、1つのアミノ酸変異を含んでもよい。
【0069】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、2つのアミノ酸変異を含んでもよい。
【0070】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、1つのアミノ酸変異を含んでもよく、前記1つのアミノ酸変異は、R9、L17、D20、D70、K46及びK74からなる群より選ばれるアミノ酸位置に位置してもよい。例えば、前記1つのアミノ酸変異は、D70、L17、K74及びK46からなる群より選ばれるアミノ酸位置に位置してもよい。
【0071】
本願において、L17でのアミノ酸変異はL17Kであってもよい。
【0072】
本願において、D70でのアミノ酸変異D70Kであってもよい。
【0073】
本願において、K46でのアミノ酸変異K46Eであってもよい。
【0074】
本願において、K74でのアミノ酸変異K74Eであってもよい。
【0075】
本願において、D20でのアミノ酸変異D20Hであってもよい。
【0076】
本願において、R9でのアミノ酸変異R9Aであってもよい。
【0077】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、1つのアミノ酸変異を含んでもよく、且つ前記1つのアミノ酸変異は、R9A、L17K、D20H、K46E、D70K及びK74Eからなる群より選ばれてもよい。また、例えば、前記1つのアミノ酸変異は、L17K、K46E、D70K及びK74Eからなる群より選ばれてもよい。
【0078】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、1つのアミノ酸変異を含んでもよく、且つ前記1つのアミノ酸変異は、L17K、D70K及びK46Eからなる群より選ばれてもよい。
【0079】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチド及び組換え霊芝免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含み、但し、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、2つのアミノ酸変異を含んでもよく、且つ前記2つのアミノ酸変異は、K46E及びK74Eからなる群より選ばれてもよい。また、例えば、前記2つのアミノ酸変異は、L17K及びD70Kからなる群より選ばれてもよい。
【0080】
例えば、前記rLZ-8変異体は、配列番号13及び16~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記rLZ-8変異体は、配列番号13及び16~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上)の相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0081】
本願において、前記rLZ-8変異体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記rLZ-8変異体は、配列番号13に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上)の相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。本願において、前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は配列番号13に示されてもよい。
【0082】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8を含んでもよく、且つ前記rLZ-8は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは1~5個のEAを含んでもよい。例えば、前記スペーサーペプチドは2個のEAを含んでもよい。
【0083】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号13及び16~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは1~5個のEAを含んでもよい。例えば、前記スペーサーペプチドは2個のEAを含んでもよい。
【0084】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号14に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0085】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号16に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号22に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0086】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号17に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号23に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0087】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号18に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号24に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0088】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号19に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号25に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0089】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号20に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号26に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0090】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号21に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号27に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0091】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号15に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0092】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号16に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号28に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0093】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号17に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号29に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0094】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号18に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号30に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0095】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号19に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号31に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0096】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号20に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号32に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0097】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8変異体を含んでもよく、且つ前記rLZ-8変異体は配列番号21に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は配列番号33に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0098】
本願において、前記スペーサーペプチドは、前記rLZ-8又はその変異体のN末端に位置してもよい。本願において、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端へ、順に前記スペーサーペプチドと前記rLZ-8変異体を含んでもよい。
【0099】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8を含んでもよく、且つ前記rLZ-8は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0100】
本願において、前記組換えタンパク質はスペーサーペプチドとrLZ-8を含んでもよく、且つ前記rLZ-8は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記スペーサーペプチドは配列番号9に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0101】
本願において、前記スペーサーペプチドは前記rLZ-8のN末端に位置してもよい。本願において、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端へ、順に前記スペーサーペプチドと前記rLZ-8を含んでもよい。
【0102】
本願において、前記組換えタンパク質は、配列番号14、15及び22~33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含んでもよい。本願において、前記組換えタンパク質は、配列番号14、15及び22~33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上)の相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0103】
例えば、前記組換えタンパク質は配列番号14に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上)の相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0104】
核酸、ベクター及び細胞
【0105】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質を含むポリペプチドを提供する。前記ポリペプチドにおいて、前記組換えタンパク質は、他のタンパク質又はポリペプチドと共有結合又は非共有結合で連結してもよい。
【0106】
別の態様によれば、本願は、本願に記載の組換えタンパク質及び/又はポリペプチドをコードすることができる1種又は複数種の核酸分子を提供する。本願に記載の核酸分子は単離されたものであってもよい。例えば、それは、(i)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの、インビトロでの増幅による生成、(ii)クローン組換えによる生成、(iii)酵素切断及びゲル電気泳動分画単離などによる精製、或いは(iv)化学合成などによる合成といった方法によって産生されるか又は合成される。幾つかの実施形態において、前記単離された核酸は、組換えDNA技術によって調製された核酸分子である。
【0107】
別の態様によれば、本願は、本願に記載の核酸分子を含むことができるベクターを提供する。また、前記ベクターには、適切な宿主細胞内及び適切な条件で当該ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子などの、他の遺伝子が含まれてもよい。また、前記ベクターは、適切な宿主におけるコード領域の正確な発現を可能にする発現制御エレメントを含んでもよい。このような制御エレメントは当業者に周知であり、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー及び遺伝子転写又はmRNA翻訳を調節する他の制御エレメントなどを含んでもよい。前記ベクターは、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ又は例えば遺伝子工学において一般的に使用される他のベクターなどを含んでもよい。例えば、前記ベクターは発現ベクターである。例えば、前記ベクターは、真核細胞(例えば、酵母細胞)における発現に適したベクターである。
【0108】
別の態様によれば、本願は、本願に記載の核酸分子又は本願に記載のベクターを含むことができる細胞を提供する。幾つかの実施形態において、各種の細胞又は各細胞は、本願に記載の1つ又は1種の核酸分子又はベクターを含んでもよい。幾つかの実施形態において、各種の細胞又は各細胞は、本願に記載の複数(例えば、2個以上)又は複数種(例えば、2種以上)の核酸分子又はベクターを含んでもよい。例えば、本願に記載のベクターを、例えば、植物由来の細胞、真菌又は酵母細胞などの真核細胞などの前記宿主細胞に導入してもよい。エレクトロポレーション、lipofectineトランスフェクト、lipofectaminトランスフェクトなどの、当該分野で既知の方法によって本願に記載のベクターを前記宿主細胞に導入してもよい。
【0109】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質を調製する方法であって、前記組換えタンパク質を発現する条件で、前記細胞を培養することを含む、方法を提供する。例えば、適切な培地、適切な温度及び培養時間などを使用してもよい。
【0110】
医薬組成物、キット及び薬物送達デバイス
【0111】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記ポリペプチド及び/又は前記細胞、及び任意選択的に薬学的に許容される担体(carrier)を含む医薬組成物を提供する。前記薬学的に許容される担体は、使用される用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、緩衝剤、抗酸化剤、保存剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、炭水化物、塩形成対イオン、金属錯体、及び/又は非イオン性界面活性剤を含んでもよい。本願の医薬組成物は、2つ以上の活性化合物、一般的に互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有する化合物を含んでもよい。このような薬物の種類及び有効量は、例えば製剤に存在する拮抗剤の量及び種類、及び対象の臨床パラメータに依存する。本願に記載の医薬組成物は、予防及び/又は治療有効量の前記組換えタンパク質及び/又はポリペプチドを含んでもよい。前記予防及び/又は治療有効量は、罹患している又は発症のリスクがある対象における疾患又は病症及び/又はその任意の合併症を予防及び/又は治療(少なくとも部分的治療)するのに必要な用量である。
【0112】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を含むキットを提供する。それは、本願に記載の抗原結合タンパク質、ベクター、核酸分子、細胞、免疫複合体、及び/又は本願に記載の医薬組成物を、一般的に使用される単一の容器に含んでもよく、任意選択的に1種又は複数種の治療剤と組み合わせて、任意選択的にキットに配合されてもよい。
【0113】
別の態様によれば、本願は、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を含む薬物送達デバイスを提供する。
【0114】
治療方法
【0115】
別の態様によれば、本願は、腫瘍を予防、緩和又は治療する方法であって、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を、必要がある対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0116】
別の態様によれば、本願は、腫瘍を予防、緩和又は治療するための薬物の調製における、前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0117】
別の態様によれば、本願は、腫瘍を予防、緩和又は治療するための前記組換えタンパク質、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記細胞、前記ポリペプチド及び/又は前記医薬組成物を提供する。
【0118】
例えば、前記腫瘍は、固形腫瘍及び/又は非固形腫瘍(例えば、血液腫)を含んでもよい。
【0119】
例えば、前記腫瘍は、EGFR発現を有する腫瘍であってもよい。例えば、前記腫瘍は、EGFR発現異常に関連する腫瘍であってもよい。例えば、前記腫瘍は、EGFR過剰発現を有する腫瘍であってもよい。
【0120】
例えば、前記腫瘍は、EGFR変異に関連する腫瘍を含んでもよい。例えば、前記腫瘍は、BRAF変異に関連する腫瘍を含んでもよい。例えば、前記腫瘍は、KRAS変異に関連する腫瘍を含んでもよい。例えば、前記腫瘍は、HER2変異に関連する腫瘍を含んでもよい。
【0121】
例えば、前記腫瘍は、結腸直腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、胃がん、腎臓がん、膀胱がん、神経芽腫、卵巣がん、扁平上皮がん及び膵臓がんからなる群より選ばれる1種又は複数種であってもよい。
【0122】
如何なる理論にも制限されることを意図するものではなく、以下の実施例は、本願の発明の各技術的解決手段を説明するものに過ぎず、本願の発明の範囲を限定するものではない。
【0123】
実施例
【0124】
実施例1 rLZ-8とrLZ-8変異体の発現ベクターの構築
【0125】
(1)rLZ-8(アミノ酸配列は配列番号10に示される)DNAとrLZ-8変異体(アミノ酸配列は配列番号13に示される)DNAをそれぞれテンプレートとして、フォワードプライマーF及びリバースプライマーRを使用して、PCRによりrLZ-8とrLZ-8変異体遺伝子断片を増幅した。取得した遺伝子断片にはEAEAのDNA配列が含まれないが、5’末端及び3’末端にはそれぞれXho I及びXba I酵素切断部位がある。
【0126】
フォワードプライマーF及びリバースプライマーRの情報は以下の通りである。
【0127】
フォワードプライマーF:CCGCTCGAGAAAAGAATGTCTGATACTGCTTTGATCTTCA(配列番号1)
【0128】
リバースプライマーR:GCTCTAGACTAGTTCCATTGAGCGATA(配列番号2)
【0129】
(2)rLZ-8(アミノ酸配列は配列番号10に示される)及びrLZ-8変異体(アミノ酸配列は配列番号13に示される)遺伝子断片をXho I/Xba I二重酵素で切断し、T4 DNAリガーゼを使用して空の発現ベクターに連結し、組換え発現ベクターを取得した。
【0130】
実施例2 EAEA配列を有するrLZ-8とrLZ-8変異体の発現ベクターの構築
【0131】
(1)ピキアコドン優先順位に基づいて、コドン適応指数及びRNA二次構造分析などの影響を総合的に考慮し、EAEA+rLZ-8(アミノ酸配列は配列番号11に示される)及びEAEA+rLZ-8変異体(アミノ酸配列は配列番号14に示される)に対してコドン最適化を行った。発現ベクターの構築を容易にするために、最適化後のDNA配列の5’-及び3’-末端にXho I及びXba Iの制限性酵素切断部位をそれぞれ追加し、DNA配列を人工的に合成した後、pUC57クローンベクター、即ちpUC57-EAEA+rLZ-8及びpUC57-EAEA+rLZ-8変異体にロードされた。
【0132】
(2)EAEA+rLZ-8(アミノ酸配列は配列番号11に示される)DNAをテンプレートとして、フォワードプライマーF3及びフォワードプライマーR3を使用して、PCRによりrLZ-8遺伝子断片を増幅した。取得した遺伝子断片にはEAEAのDNA配列が含まれ、5’末端及び3’末端にはそれぞれXho I及びXba I酵素切断部位がある。
【0133】
フォワードプライマーF3及びフォワードプライマーR3の情報は以下の通りである。
【0134】
フォワードプライマーF3:CCGCTCGAGAAAAGAGAGGCTGAAGCT(配列番号3)
【0135】
リバースプライマーR3:GCTCTAGATCACTAGTTCCATTG(配列番号4)
【0136】
(3)EAEA+rLZ-8変異体(アミノ酸配列は配列番号14に示される)DNAをテンプレートとして、フォワードプライマーM13F及びリバースプライマーM13Rを使用して、PCRによりrLZ-8変異体遺伝子断片を増幅した。取得した遺伝子断片にはEAEAのDNA配列が含まれ、5’末端及び3’末端にはそれぞれXho I及びXba I酵素切断部位がある。
【0137】
フォワードプライマーM13F及びリバースプライマーM13Rの情報は以下の通りである。
【0138】
フォワードプライマーM13F:CCCAGTCACGACGTTGTAAAACG(配列番号5)
【0139】
リバースプライマーM13R:AGCGGATAACAATTTCACACAGG(配列番号6)
【0140】
(4)EAEA+rLZ-8及びEAEA+rLZ-8変異体遺伝子断片をXho I/Xba I二重酵素で切断し、T4 DNAリガーゼを使用して空の発現ベクターに連結し、組換え発現ベクターを取得した。
【0141】
同様の方法により、N末端がアミノ酸配列「EAEA」に連結するrLZ-8変異体1(アミノ酸配列は配列番号16に示される)、rLZ-8変異体2(アミノ酸配列は配列番号17に示される)、rLZ-8変異体3(アミノ酸配列は配列番号18に示される)、rLZ-8変異体4(アミノ酸配列は配列番号19に示される)、rLZ-8変異体5(アミノ酸配列は配列番号20に示される)、rLZ-8変異体6(アミノ酸配列は配列番号21に示される)の組換えタンパク質をそれぞれ構築した。
【0142】
実施例3 EEAEAEAEPK配列を有するrLZ-8とrLZ-8変異体の発現ベクターの構築
【0143】
(1)それぞれEEAEAEAEPK+rLZ-8 DNA(アミノ酸配列は配列番号12に示される)及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(アミノ酸配列は配列番号15に示される)DNAをテンプレートとして、フォワードプライマーF2及びリバースプライマーRを使用して、PCRによりEEAEAEAEPK+rLZ-8及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体遺伝子断片を増幅した。取得した遺伝子断片にはEEAEAEAEPKのDNA配列が含まれ、5’末端及び3’末端にはそれぞれXho I及びXba I酵素切断部位がある。
【0144】
フォワードプライマーF2及びリバースプライマーRの情報は以下の通りである。
【0145】
フォワードプライマーF2:CCGCTCGAGAAAAGAGAAGAGGCCGAAGCCGAAGCAGAACCTAAAATGTCTGATACTGCTTTGATCTTCA(配列番号7)
【0146】
リバースプライマーR:GCTCTAGACTAGTTCCATTGAGCGATA(配列番号2)
【0147】
(2)EEAEAEAEPK+rLZ-8(アミノ酸配列は配列番号12に示される)及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(アミノ酸配列は配列番号15に示される)遺伝子断片をXho I/Xba I二重酵素で切断し、T4 DNAリガーゼを使用して空の発現ベクターに連結し、組換え発現ベクターを取得した。
【0148】
同様の方法によって、N末端がアミノ酸配列「EEAEAEAEPK」に連結するrLZ-8変異体1(アミノ酸配列は配列番号16に示される)、rLZ-8変異体2(アミノ酸配列は配列番号17に示される)、rLZ-8変異体3(アミノ酸配列は配列番号18に示される)、rLZ-8変異体4(アミノ酸配列は配列番号19に示される)、rLZ-8変異体5(アミノ酸配列は配列番号20に示される)、rLZ-8変異体6(アミノ酸配列は配列番号21に示される)の組換えタンパク質をそれぞれ構築した。
【0149】
実施例4 ピキア発現菌株の構築
【0150】
(1)コンピテント細胞の調製:
【0151】
ピキア空の菌株をYPD液体培地に接種し、OD600=1.3~1.5の間になるまで、28.5℃で16~18h培養し、コンピテントを調製した。菌液を30min氷浴し、無菌クリーンベンチに置いて各管40mLで4個の50mLの遠心分離管に分注した。1500g、4℃で5min遠心分離した。上清を捨て、菌体を収集し、予冷した滅菌再蒸留水160mLで細胞を十分に再懸濁させ、1500g、4℃で5min遠心分離した。上清を更に捨て、菌体を収集し、予冷した滅菌再蒸留水80mLで細胞を十分に再懸濁させ、1500g、4℃で5min遠心分離した。菌体を収集し、予冷滅菌した1Mのソルビトール溶液10mLで細胞を十分に再懸濁させ、1500g、4℃で5min遠心分離した。細菌細胞沈殿を収集し、予冷滅菌した1Mのソルビトール溶液500μLで再懸濁させて使用に備えた。
【0152】
(2)組換えプラスミドの線形化
【0153】
トランスフェクションして酵母細胞に入り込ませるように、組換えプラスミドをBsp H Iで線形化した。
【0154】
(3)エレクトロトランスフェクション
【0155】
80μLの酵母コンピテント細胞を2mmのエレクトリックカップに取り、5~10μgの線形化した組換えプラスミドを加え、均一に混合し、氷上に5min静置した。エレクトロトランスフェクションパラメータの設定:V=1.5kv、u=25μF、R=200Ω、放電時間4.5~4.9msの間であった。エレクトロトランスフェクション後に直ちに1mLの1MのSorbitolを加え、28.5℃の温度を維持して1hインキュベートした。Zeocin抗性100μg/mLを含むYPDS固体培地プレートに50~200μLの菌液を塗布した。28.5℃の温度を維持してインキュベータにおいて2~3日インキュベートした。
【0156】
実施例5 高発現菌株スクリーニング
【0157】
Zeocin陽性クローンコロニーを選択し、10mLのYPD液体培地に接種して培養し、分光光度計を使用してOD値が約6になるまで600nmでOD値を検出した。40μl活性化菌液を25mLの新しいYPD液体培地に接種し、28.5℃、225rpmの条件で72h培養した。1mLの菌液を13000g、4℃で低温で遠心分離し、上清を取ってSDS-PAGE電気泳動を行い、実施例1~3で構築した6つの発現ベクターにおける標的タンパク質の複数のクローンの発現を検出した。
【0158】
高発現酵母菌株のスクリーニング結果は図1~6に示された。rLZ-8(配列番号10)、クローンNo.3の発現量が比較的高く(図1)、rLZ-8変異体(配列番号13)、クローンNo.10の発現量が比較的高く(図2)、EAEA+rLZ-8(配列番号11)、クローンNo.6の発現量が比較的高く(図3)、EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)クローンNo.7の発現量が比較的高く(図4)、EEAEAEAEPK+rLZ-8(配列番号12)、クローンNo.7の発現量が比較的高く(図5)、EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)、クローンNo.2の発現量が比較的高かった(図6)。
【0159】
実施例6 異なるスペーサー配列によるrLZ-8とrLZ-8変異体タンパク質発現への影響
【0160】
(1)
【0161】
実施例5の方法に従って、実施例1~3で構築した複数の発現ベクターにおける標的タンパク質の発現を比較し、結果は図7に示された。
【0162】
EAEAは、rLZ-8(配列番号10)及びrLZ-8変異体(配列番号13)発現分泌に対して何れも促進作用を有し、また、rLZ-8変異体(配列番号13)に対する促進作用はrLZ-8(配列番号10)より優れている(図7のレーン1、2、4及び5)。
【0163】
EEAEAEAEPKは、rLZ-8(配列番号10)及びrLZ-8変異体(配列番号13)発現分泌に対して何れも促進作用を有し、また、EEAEAEAEPKのrLZ-8(配列番号10)に対する促進作用はrLZ-8変異体(配列番号13)より優れている(図7のレーン1、3、4及び6)。
【0164】
EAEA及びEEAEAEAEPKは、何れもタンパク質発現分泌を向上させる作用を有し、且つ両者の異なるタンパク質発現分泌に対する促進作用が異なり、ここで、EAEAがrLZ-8変異体(配列番号13)に対して最適な促進作用を有する一方(図7のレーン1、2及び3)、EEAEAEAEPKがrLZ-8(配列番号10)に対して最適な促進作用を有する(図7のレーン4、5及び6)。
【0165】
(2)
【0166】
実施例5の方法に従って、実施例1~3で構築した9つの発現ベクターにおける標的タンパク質(rLZ-8変異体4~rLZ-8変異体6に基づく)の発現を比較し、結果は図25に示された。
【0167】
結果は、EAEAがタンパク質発現分泌を向上させる作用を有し、また、rLZ-8変異体4(配列番号19)、rLZ-8変異体5(配列番号20)及びrLZ-8変異体6(配列番号21)に対して最適な促進作用を有することを示した。
【0168】
実施例7 組換えタンパク質の構造同定
【0169】
本実施例では、EAEA+rLZ-8(配列番号11)、EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)、EEAEAEAEPK+rLZ-8(配列番号12)、EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)、rLZ-8(配列番号10)及びrLZ-8変異体(配列番号13)タンパク質のN末端アミノ酸配列を測定した。組換えタンパク質をトリプシンで加水分解により処理された後、逆相クロマトグラフィーにより加水分解を経て生成したペプチドセグメントを分離し、質量分析により各ペプチドセグメントのアミノ酸を測定して、N末端アミノ酸配列を取得した。具体的なステップは以下の通りである。
【0170】
(1)サンプル溶液の調製
組換えタンパク質250μgを取り、200μlの10M尿素溶液を加え、水で250μlになるまで補充し、均一に混合した後に恒温ミキサーに置いて65℃で30minインキュベートした。インキュベート終了後にサンプルを室温に冷却し、SECカラムにより緩衝溶液を0.1Mの炭酸水素アンモニウム溶液で置換し、顕微分光光度計で最終タンパク質濃度を測定した。
【0171】
(2)酵素分解
【0172】
50μgの供試品タンパク質を取り、0.1Mの炭酸水素アンモニウム溶液で0.5μg/μlに希釈し、0.5μgのトリプシンを加え、均一に混合した後に37℃で20hインキュベートした。インキュベート終了後、等体積の0.1%のギ酸溶液を加えるか、又は4℃で酵素分解反応を停止し、上記溶液を4℃、12000rpmで2min遠心分離し、上清を取ってサンプリング分析により検出された。
【0173】
(3)クロマトグラフィー条件及び溶出手順
【0174】
3.1クロマトグラフィー条件
【表1】
【0175】
3.2溶出手順
【表2】
【0176】
結果は、上記組換えタンパク質のN末端アミノ酸配列が理論配列と何れも一致することを示した。
【0177】
実施例8 EAEA+rLZ-8変異体及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体による腫瘍細胞への殺傷作用の検出
【0178】
CellTiterTM-Flour Cell Viability Assay Reagentキットを使用し、EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)によるインビトロでの腫瘍細胞(ヒト非小細胞肺がん細胞株A549細胞株)への殺傷作用を測定した。組換えタンパク質を2%のウシ胎児血清培養液で希釈し、濃度が100μg/mL、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.125μg/mL、1.5625μg/mL、0.78125μg/mL、0.390625μg/mL、0.1953125μg/mL、0.09765625μg/mL、合計11濃度である供試品溶液を調製した。
【0179】
A549細胞を含む96ウェルプレートに100μL/ウェルで上記希釈液を加え、各群の濃度に3つの平行なウェルがあり、それらにマークを付けた。細胞対照群(即ち細胞のみを含む)100μL/ウェルを設定し、6つの平行ウェルがあり、CO2の濃度が5%、温度が37℃であるCO2インキュベータに入れて48h培養した。
【0180】
各ウェルに調製したCellTiterTM-Flour Cell Viability Assay Reagent(1mlL Assay Buffer、1μl GF-AFC Substrate)100μLを加え、振とうして均一に混合し、CO2の濃度が5%、温度が37℃であるCO2インキュベータに入れて30min以上インキュベートし、マイクロプレートリーダーを使用して400EX/505EMの波長で蛍光値を検出し、IC50値と計算した。
【0181】
結果は、図24に示すように(但し、群1と群2は、それぞれEAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)の結果に対応する)、EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)のIC50は1.21μg/ml、EEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)のIC50は1.91μg/mlであった。結果は、EAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)及びEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)が肺がん細胞株A549に対して何れも殺傷作用を有し、但しEAEA+rLZ-8変異体(配列番号14)の殺傷効果がEEAEAEAEPK+rLZ-8変異体(配列番号15)より優れることを示した。
【0182】
実施例9 組換えタンパク質によるインビトロでの腫瘍成長への阻害(PDXOモデル)
【0183】
実験の前日(day-1)、スクリーニングを実行するためのオルガノイド(organoid)の正しいサイズを定義するために、50%のMatrigelを使用して1:1の比率で必要なオルガノイド数を処理した。
【0184】
0日目:オルガノイド接種
【0185】
a)100xDispase溶液20μlを6ウェルプレート(2mLの有機体培地を含む)に加え、各ウェルからオルガノイドを収集した。b)6ウェルプレートをインキュベータに戻し、37℃で30分間培養した。c)6ウェルプレートからオルガノイドを収集し、予め湿らせた100μmフィルターにより50mLのプラスチックチューブに移した。d)全てのウェルが100μmフィルターによりろ過した後、予め湿らせた20μmフィルターによりストリームをろ過した。e)20μmフィルターを反転し、新しい50mLチューブにオルガノイドを回収した。f)対応する培地にオルガノイドを収集して再懸濁させた。オルガノイドを計算して濃度を取得した。g)培地で細胞濃度を適切な濃度に調整した。h)最終濃度が5%v/vになるまでMatrigelを添加し、オルガノイドを氷上に再懸濁させた。i)Multidropディスペンサーで40μLの細胞懸濁液を384ウェルプレートに加えた。接種密度は下記表1に示され、接種密度はオルガノイドの形態及びオルガノイドの成長条件に関係した。j)組換えタンパク質を添加する前にスクリーニングプレートをインキュベータに戻した。接種後の2~4時間に組換えタンパク質溶液を添加してオルガノイドを処理した。実施例で使用する組換えタンパク質のスペーサー配列のアミノ酸配列は配列番号8に示され、rLZ-8変異体のアミノ酸配列は配列番号13に示され、組換えタンパク質のアミノ酸配列は配列番号14に示された。
【表3】
【0186】
5日目:検出終了時に検出プレートの発光CTGシグナルを読み取った。Multidropディスペンサーにより、各ウェルに40μLのCTG 3Dを添加し、プレート発振器に内容物を5分間混合し、次に室温で暗所で30分間インキュベートした。Envisionプレートリーダーで発光シグナ具を読み取った。
【0187】
データ分析:
【0188】
データは、GraphPad Prism5.0を使用してグラフィックにより示された。生存率の計算式は以下に示された。
【0189】
生存率(%)=(LumTest article -LumMedium control)/(LumNone treated -LumMedium control)×100%。陽性対照(スタウロスポリン、5μM)は全て又はほぼ全てのオルガノイドを殺すように設定されているため、培地を陽性対照(スタウロスポリン、5μM)と同様に制御した。
【0190】
(1)結腸直腸がん(colorectal Cancer)
【表4】
【0191】
結果は、表2、図8図11に示すように、配列番号14に示される組換えタンパク質がEGFR野生型(CR20035B、図8)、KRAS変異(CR5043B、図9)、BRAF変異(CR5082B、図10)及びEGFRとKRASが同時に変異(CR3099B、図11)する結腸直腸がん細胞に対して何れも阻害作用を有することが示された。
【0192】
(2)肺がん
【表5】
【0193】
結果は、表3、図12図14に示すように、配列番号14に示される組換えタンパク質がEGFR野生型(LU1235B、図14)、KRAS変異(LU5162B、図12)及びBRAF変異(LU11624B、図13)の肺がん細胞に対して阻害作用を有することが示された。
【0194】
(3)肝臓がん
【表6】
【0195】
結果は、表4、図15図16に示すように、配列番号14に示される組換えタンパク質がEGFR野生型肝臓がん細胞(LI6677B、図15及びLI6669B、図16)に対して阻害作用を有することが示された。
【0196】
(4)乳がん
【表7】
【0197】
結果は、表5、図17図18に示すように、配列番号14に示される組換えタンパク質がHER2変異の乳がん細胞(BR9457B、図17及びBR9466B、図18)に対して阻害作用を有することが示された。
【0198】
(5)胃がん
【表8】
【0199】
結果は、表6、図19図20に示すように、配列番号14に示される組換えタンパク質がEGFR野生型(GA6833B、図19)及びBRAF変異(GA2434B、図20)の胃がん細胞に対して阻害作用を有することが示された。
【0200】
(6)膵臓がん
【表9】
【0201】
結果は、表7、図21図22に示すように、配列番号14に示される組換えタンパク質がEGFR野生型(PA20078B、図21)及びKRASとBRAFが同時に変異(PA0787B,図22)する膵臓がん細胞に対して何れも阻害作用を有することが示された。
【0202】
実施例10 組換えタンパク質によるインビボでの腫瘍成長への阻害(PDXモデル)
【0203】
本実施例では、肝臓がんLI6669同所性移植BALB/c雄ヌードマウスモデルにおける被験物である配列番号14に示される組換えタンパク質の薬効を評価した。
【0204】
実験設計:
【0205】
各群の動物数及び詳細な投与経路、用量及び投与計画は下記の表8に示された。
【表10】
【0206】
ここで、i.p.は腹腔内注射を表し、i.v.は尾静脈内注射を表し、p.o.は経口強制投与を表す。
【0207】
この実験の主な観察指標は以下の通りである:
【0208】
相対腫瘍増殖率T/C(%)、即ちある時点で、治療群と対照群の相対腫瘍体積又は腫瘍重量のパーセンテージである。計算式は以下の通りである:
【0209】
T/C%=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群平均RTV、CRTV:対照群平均RTV、RTV=Vt/V0であり、V0は群分け時の当該動物の腫瘍体積、Vtは治療後の当該動物の腫瘍体積である)、
【0210】
或いは、T/C%=TTW/CTW×100%(TTW:実験終了時の治療群の腫瘍平均重量であり、CTW:実験終了時の対照群の腫瘍平均重量である)。
【0211】
相対腫瘍阻害率TGI(%)、計算式は以下の通りである。
【0212】
TGI%=(1-T/C)×100%(TとCはそれぞれ、ある特定の時点での治療群と対照群の相対腫瘍体積(RTV)又は腫瘍重量(TW)である)。
【0213】
実験動物:
【表11】
【0214】
実験動物飼育室の環境条件:
【表12】
【0215】
実験方法:
【0216】
LI6669は、アジア人患者の肝臓がん病変から確立されたHuPrime(R)同所性移植モデルである。当該モデルには腫瘍が破裂する特定の傾向がある。
【0217】
HuPrime(R)肝臓がん同所性移植モデルLI6669担腫瘍マウスから腫瘍組織を採取し、直径2~3mmの腫瘍片に切断し、Balb/cヌードマウス肝臓の左上葉に接種した。
【0218】
担腫瘍マウスの平均腫瘍体積が約50~150mm3に達したら、マウスを体重に基づいて「3.実験設計」の表3に従ってランダムに群分けした。群分けの当日をDay0とし、Day1から投与を開始した。群分けの当日は0日目として定義された。
【0219】
マウスの体重に基づいて、StudyDirectorTM(バージョン番号3.1.399.19、供給者Studylog System、Inc.、S. San Francisco、CA、USA)を使用して群分けした。
【0220】
「Matched distribution」ランダム群分けの方法を選択して群分けし、当該アルゴリズムは、選択した全ての動物個体の体重測定値を、選択した全ての動物の平均値とマッチした。まず、平均値が選択された全ての動物の平均値のペアを選択し、次に当該群の平均値が選択された全ての動物の平均値とマッチする(又はできる限り近接する)ように群に割り当てられた。各群の測定結果の最終平均値は、他の群の最終平均値にできる限り近接する。
【0221】
実験観察及びデータ収集:
【0222】
腫瘍細胞接種後の定期的なモニタリングには、腫瘍成長及び治療による動物の正常な行動への影響が含まれ、具体的な内容には、実験動物の活動、餌と水の摂取量、体重の増減、目、被毛及びその他の異常が含まれた。試験中に観察された臨床症状は全て、生データに記録された。投与開始後、マウスの体重を週に2回測定した。観察により、安楽死を必要とするマウス及び対応する生存期間が記録された。
【0223】
腫瘍体積は、実験終了後、マウスを解剖する時に測定された。腫瘍体積の計算式:腫瘍体積(mm3)=1/2×(a×b2)(但し、aは長径、bは短径を表す)。実験では、StudyDirectorTM(バージョン号3.1.399.19、供給者Studylog System、Inc.)ソフトウェアを使用し、腫瘍の長径と短径の測定及び動物体重の測定を含むデータを収集し、生データは天秤とノギスで測定した後にソフトウェアに直接導入され、データの何れの変化もこのソフトウェアに記録された。投与、腫瘍測定及び体重の測定などの全てのプロセスは何れも、生物学的安全キャビネット又はクリーンベンチで行われた。
【0224】
統計学的分析:
【0225】
異なる治療群間で特定の日の腫瘍体積を比較するために、最初にBartlett検出を使用して全ての群間の分散均一性の仮定を検証した。Bartlett検出のp値が0.05以上である場合、一元配置分散分析は、全ての群の平均値が等しいかどうかの検出に使用された。一元配置分散分析のp値が0.05未満である場合、Tukey HSD検出を使用して全ての群間でペアごとに比較し、又はDunnett’s t検出を使用して各治療群と対照群との間でペアごとに比較した。Bartlett検出のp値が0.05未満である場合、Kruskal Wallis検出は、全ての群の中央値が等しいかどうかの検出に使用された。Kruskal Wallis検出のp値が0.05未満である場合、Conover検出を使用して全ての群間でペアごとに比較し、又は各治療群と対照群との間でペアごとに比較し、複数の検出の群数に基づいて対応するp値を修正した。
【0226】
また、探索的データ分析の目的で、任意の時点で全ての群間でペアごとに比較した。このような比較では、特定の時点で比較される2つの群の腫瘍体積データのみを使用するため、複数の検出による修正を必要としなかった。まず、Bartlett検出を使用して2つの群間の分散均一性の仮定を検証し、Bartlett検出のp値が0.05以上である場合、Welch’s t検出を使用して2つの群の平均値が等しいかどうかを比較し、Bartlett検出のp値が0.05未満である場合、Mann Whitney U検出を使用して2つの群の中央値が等しいかどうかを比較した。
【0227】
全ての統計学的分析及びグラフィック描画は、R言語環境(バージョン3.3.1)で実行された。特に明記しない限り、全ての検出は両側検定であり、p値が0.05未満である場合、統計的に有意であると見なされた。
【0228】
実験結果:
【0229】
結果は表9及び図23に示された。配列番号14に示される組換えタンパク質5mg/kg(i.v.Q3D)群の生存期間の中央値(28日より大きい)は対照群(17日)よりも大きく、統計的に有意であった(p<0.05)。更に、配列番号14に示される組換えタンパク質の各群は、明らかなマウス毒性作用が示されなかった。本願の組換えタンパク質は肝臓がんマウスの生存期間を効果的に延長できることが示された。
【表13】
【0230】
注記:a.平均値±SEM、b.群1との比較。
【0231】
実施例11 組換えタンパク質によるインビトロでの有効性実験
【0232】
この実験では、ErbituxによるA431細胞株の増殖への阻害作用を陽性対照として、配列番号14に示される組換えタンパク質による複数のがん細胞株の増殖への阻害作用を調べた。この実験では、Promega Cell Titer-Gloキットを使用して細胞生存率を検出した。当該試薬には、組換えルシフェラーゼ及びルシフェリンが含まれ、ルシフェラーゼは基質の酸化反応を触媒作用し、冷光シグナルを放出した。当該酸化反応は生細胞の溶解後に放出されたATPに依存し、反応によって生成された冷光シグナルは生細胞の数を間接的に反映することができる。
【0233】
具体的なステップは以下の通りである。
【0234】
1)標的細胞を収集してカウントし、細胞を96ウェルプレートに接種した。
【0235】
2)96ウェルプレートを37℃の細胞インキュベータに入れ、約16~20時間インキュベートした。
【0236】
3)予め調製された測定待ちのサンプル作動液及び陽性対照を対応するウェルに加えた。
【0237】
4)37℃の細胞インキュベータに72時間培養し続けた。
【0238】
5)インキュベート終了後、Cell TiterGlo検出試薬作動液を対応するウェルに加え、シグナルを安定させるように室温で放置した。
【0239】
6)PHERAStar FSXを使用して読み取って検出した。
【0240】
結果は表10に示された。配列番号14に示される組換えタンパク質濃度が0.1mg/mLの条件で、5637、hCI-H292、Calu-1、ACHN、AsPC-1、OVCAR8、SK-N-AS、Bel-7402、SK-HEP-1、MDA-MB-468、A431、HEP G2、MDA-MB-453、HLE、A549及びSNU-398に対して何れも一定の成長阻害作用を有した。
【表14】
【0241】
実施例12 組換えタンパク質の前臨床安全性評価試験
【0242】
(1)ヒト赤血球のインビトロ溶血実験
【0243】
この実施例では、配列番号14に示される組換えタンパク質がインビトロでヒト赤血球の溶解又は凝集を引き起こすかどうかを研究した。
【0244】
インビトロ試験管法を使用し、供試品(即ち、配列番号14に示される組換えタンパク質)によるヒト赤血球の溶解及び凝集への影響を観察し、使用した製剤の濃度は2.5mg/mLであった。
【0245】
健康な人から赤血球を採取し、塩化ナトリウム注射液で2%(v/v)の懸濁液を調製した。ことなる容量(2.5mL~2.9mL)の塩化ナトリウム注射液及びことなる容量(0.5mL~0.1mL)の供試品を、2.0mLの2%ヒト赤血球懸濁液が含まれたガラス試験管にそれぞれ加え、同時に3.0mLの塩化ナトリウム注射液及び3.0mLの滅菌注射水を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として2.0mLの2%ヒト赤血球懸濁液が含まれたガラス試験管に加え、各試験管の総体積は5.0mLであり、電気インキュベーターに入れて3時間インキュベートし、赤血球の溶解及び凝集状況を観察した。
【0246】
その結果、供試品管と陰性対照品の塩化ナトリウム注射液管では、赤血球が管の底に沈んでいるのが確認され、上層の溶液が無色透明で、振とう後に管の底の赤血球が均一に分散し、溶血及び凝集が各、陽性対照滅菌注射用水管の溶液が透明な赤色で、層化がなく、管の底に細胞が残留せず、陽性対照品滅菌注射用水管が完全に溶血したことが分かった。
【0247】
以上から分かるように、製剤の濃度が2.5mg/mLである供試品はインビトロでヒト赤血球に対して溶血作用がなく、赤血球の凝集を引き起こさなかった。
【0248】
(2)バマミニ豚の毒性試験
【0249】
この実施例では、配列番号14に示される組換えタンパク質をバマミニ豚に静脈内注入した後の毒性反応及びインビボでの代謝状況、及び投与期間終了後の4週間の毒性反応の回復状況を研究した。
【0250】
バマミニ豚40匹(雄雌それぞれ20匹)を、各群に雄雌それぞれ5匹で4群にランダムに群分けした。群1に補助剤対照としてプラセボを与え、群2、3、4に供試品(即ち、配列番号14に示される組換えタンパク質)0.5mg/kg、1.5mg/kg、5.0mg/kgをそれぞれ与えた。1日に1回投与し、28日連続投与で静脈内注入により投与された。投与容量は2mL/kg、注入速度は30mL/kg/hであった。最初の雄雌それぞれ3匹/群の動物を投与の4週間後(D29)に安楽死させ、残りの各群の雄雌それぞれ2匹の動物を、最終投与終了後の回復4週間後(D57)に安楽死させた。
【0251】
試験中、動物に対して、臨床観察、体重、体温、心電図、眼科検査、血球数、凝固機能、血液生化学、尿検査、Tリンパ球サブセット、抗体検出、毒物動態学、臓器重量、肉眼的観察及び病理組織学的検査を行った。
【0252】
その結果、0.5mg/kg、1.5mg/kg、5mg/kgの用量を1日1回、28日間連続投与でバマミニ豚に繰り返し静脈内注入すると、各群の動物は死亡又は瀕死の状態が見られず、重篤な臨床毒性及び副作用が見られず、各用量群の動物の体重及び体重増加、眼科検査、尿分析、Tリンパ球サブセットは何れも毒物学的に有意な変化が見られず、供試品の各用量群D29又はD57の臓器重量、臓器重量/脳重量の比は統計的変化が見られず、投与期間終了(D29)及び回復期間終了(D57)に、肉眼的観察及び顕微鏡検査では何れも供試品に関連する異常な変化が見られなかったことが分かった。
【0253】
(3)呼吸系機能への影響に関する安全性薬理試験
【0254】
この実施例では、配列番号14に示される組換えタンパク質の静脈内注射投与によるラット呼吸系機能への影響を研究した。
【0255】
SDラット40匹(雄雌それぞれ20匹、SPFグレード)を、各群に10匹(雄雌それぞれ5匹)で4群にランダムに群分けした。補助剤対照品及び0.5、2、8mg/kgの供試品(即ち、配列番号14に示される組換えタンパク質)をそれぞれ投与し、単回静脈内注射により投与された。投与容量は10mL/kgであった。投与の前日、投与後の10min、24hに動物を記録ボックス内に入れ、動物の呼吸機能指標を検出した。
【0256】
その結果は、補助剤対照群と比較して、供試品群の動物は、投与の前日、投与後の10min及び24hに、一回換気量、分時換気量及び呼吸頻度には統計的差異(P>0.05)及び変化傾向が見られなかったことが分かった。
【0257】
従って、0.5、2、8mg/kgの用量での供試品の単回静脈内注射投与は、SDラット呼吸系機能に明らかな影響を与えなかった。
【0258】
(4)中枢神経系機能への影響に関する安全性薬理試験
【0259】
この実施例では、配列番号14に示される組換えタンパク質の静脈内注射投与によるラット中枢神経系機能への影響を研究した。
【0260】
SDラット40匹(雄雌それぞれ20匹、SPFグレード)を、各群に10匹(雄雌それぞれ5匹)で4群にランダムに群分けした。補助剤対照品及び0.5、2、8mg/kgの供試品(即ち配列番号14に示される組換えタンパク質)をそれぞれ投与し、単回静脈内注射により投与された。投与容量は10mL/kgであった。ブラインド設計では、投与情報は実験観察者に秘密保持し、投与の前日、投与後の10min、24hに、同じ実験観察者が機能併用観察法(FOB)を使用して動物を観察し、結果を記録した。機能併用観察法には、ゲージ内観察、手掴み観察、開放環境観察、刺激反応観察、前肢爪握力、後肢開放範囲、体温測定などが含まれた。投与後のデータから投与前の値を差し引いて得られたデータを統計的に分析した。
【0261】
その結果、補助剤対照群と比較して、供試品の各群動物は、投与後の10min及び24hに、ゲージ内観察、手掴み観察、開放環境観察、刺激反応、前肢爪握力、後肢開放範囲、体温に何れも異常が見られないことが見出された。
【0262】
0.5、2、8mg/kgの用量での供試品の単回静脈内注射投与は、SDラット中枢神経系機能に明らかな影響を与えなかった。
【0263】
(5)心血管系機能への影響に関する安全性薬理試験
【0264】
この実施例では、配列番号14に示される組換えタンパク質の静脈内注射投与による意識のあるバマミニ豚の心血管系機能への影響を研究した。
【0265】
8匹のバマミニ豚(雄雌それぞれ4匹、通常グレード)を使用し、クロスオーバー設計により、0.5、3mg/kgの用量の供試品(即ち、配列番号14に示される組換えタンパク質)及び補助剤対照を静脈内注入により投与し(供試品0.5mg/kgと3mg/kgの用量はそれぞれ、約有効用量の8.4倍と50.6倍である)、投与容量は2mL/kg、投与速度は30mL/kg/hであった。投与前の少なくとも2時間~投与後の約48時間の動物心電図、血圧、体温などの各指標のデータを収集し、検出時点として投与前の1.5h内、投与後の0.25h(±5min)、0.5h(±5min)、1h(±10min)、1.5h(±10min)、2h(±10min)、3h(±15min)、4h(±20min)、6h(±30min)、8h(±45min)、12h(±45min)、24h(±1h)、48h(±1h)に心電図、血圧、体温などの各指標データに対して統計的に分析及び評価を行った。
【0266】
その結果、補助剤対照と比較して、3mg/kgの供試品を投与した後、0.5h~6hに心拍数が増加した。2h~4hにQTcB間隔が短縮された。0.5h~6hにT波電圧が上昇した。
【0267】
補助剤対照と比較して、3mg/kgの供試品を投与した後、RR間隔、PR間隔及びQT間隔で心拍数に関連した変化が発生した。
【0268】
供試品の各用量で、動物の他の心電図指標(QRS持続時間、QRS電圧、STセグメント電圧、Tp-e間隔、P波幅)、血圧指標(収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、脈圧差)及び体温は、補助剤対照の同じ時点での各指標との比較が、統計的に差がなく(P>0.05)、変化の傾向が見られなかった。
【0269】
有効用量範囲内の供試品の静脈内注入投与は、意識のあるバマミニ豚の心血管機能及び体温に明らかな影響がなかったことが分かった。
【0270】
以上から分かるように、供試品は、有効用量範囲内で潜在的な毒性標的臓器が見られず、不可逆的な毒性が見られず、中枢神経系、呼吸系及び心血管系機能に明らかな影響がなかった。
【0271】
前述の詳細な説明は、解釈や例として提供されたものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。現在、本願に列挙された実施形態に対する様々な変更は、当業者にとって明らかであり、且つ添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に保持された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【配列表】
2024529557000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサーペプチド及び組換え霊芝(Ganoderma lucidum)免疫調節タンパク質変異体(rLZ-8変異体)を含む組換えタンパク質であって、
前記rLZ-8変異体のアミノ酸配列は、配列番号10に示されるアミノ酸配列と比べて、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、
組換えタンパク質。
【請求項2】
前記rLZ-8変異体は配列番号13及び16~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項3】
前記rLZ-8変異体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項4】
前記スペーサーペプチドは1~5個のEAを含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項5】
前記スペーサーペプチドは2個のEAを含む。
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項6】
前記スペーサーペプチドは配列番号8~9のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項7】
前記スペーサーペプチドは配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項8】
前記スペーサーペプチドは前記rLZ-8変異体のN末端に位置する、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項9】
配列番号14、15、22~33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項に記載の組換えタンパク質。
【請求項10】
配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項11】
請求項1に記載の組換えタンパク質をコードする、
単離された核酸分子。
【請求項12】
請求項11に記載の単離された核酸分子を含む、
ベクター。
【請求項13】
請求項11に記載の単離された核酸分子を含む、
細胞。
【請求項14】
真核細胞である、
請求項13に記載の細胞。
【請求項15】
酵母細胞である、
請求項13に記載の細胞。
【請求項16】
請求項1に記載の組換えタンパク質を含む、
ポリペプチド。
【請求項17】
請求項1に記載の組換えタンパク質を調製する方法であって、
請求項1に記載の組換えタンパク質を発現する条件で、請求項13に記載の細胞を培養することを含む、
方法。
【請求項18】
請求項1に記載の組換えタンパク質及び任意選択的に薬学的に許容される担体を含む、
医薬組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組換えタンパク質を含む、
キット。
【請求項20】
請求項1に記載の組換えタンパク質を含む、
薬物送達デバイス。
【請求項21】
腫瘍を予防、緩和又は治療するための、請求項18に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】