(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】蛋白質のバイパス率増加用組成物および蛋白質のバイパス率増加方法
(51)【国際特許分類】
A23K 50/10 20160101AFI20240730BHJP
A23K 10/12 20160101ALI20240730BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20240730BHJP
【FI】
A23K50/10
A23K10/12
A23K10/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531008
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 KR2022011452
(87)【国際公開番号】W WO2023014072
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101959
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521211697
【氏名又は名称】フィードアップ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FEEDUP Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン・ファ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョク・ジー
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005BA01
2B005BA05
2B150AA02
2B150AB01
2B150AB20
2B150AC05
2B150AC06
2B150AC24
2B150AC25
2B150AD03
2B150BB01
2B150CE05
2B150CE07
2B150CE11
2B150CE30
(57)【要約】
本発明は、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類の発酵物を含み、反芻動物の反芻胃内の消化吸収が抑制された状態で反芻胃を通過した後、小腸で消化吸収が集中的に起こり得る、蛋白質の反芻胃バイパス率(bypass rate)増加用組成物および反芻動物の反芻胃内のメタン生成量を低減し、窒素糞尿排泄量を低減し、亜酸化窒素およびアンモニアのような窒素の排出を低減して反芻動物の温室ガス排出を低減することができる、反芻動物の温室ガス低減用組成物および反芻動物の温室ガス低減方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類の発酵物を含む、蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物。
【請求項2】
前記乳酸菌および/または酵母は、前記豆類に含まれた蛋白質のアミン基形成、および/または前記豆類のマイヤール反応促進用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記発酵物の反芻胃非分解性蛋白質(Rumen Undegradable Proteinと、RUP)含有量は、発酵物の全体粗蛋白質含有量100重量%を基準に、74重量%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、蛋白質の小腸吸収増加用組成物であり、前記発酵物の小腸吸収蛋白質含有量は、発酵物の全体粗蛋白質含有量100重量%を基準に、69重量%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記発酵物の粗蛋白含有量は、49重量%以上のものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記発酵物は、発酵後に熱処理されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記発酵物は、発酵後に80ないし150℃温度で熱処理されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記発酵物は、発酵後に5ないし60分熱処理されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記発酵物は、20ないし40℃温度で発酵したものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記豆類は、大豆、菜種、パーム、エンドウ豆、インゲン豆、トウモロコシ、緑豆、小豆、味噌玉麹豆、ルパン豆およびこれらの粕(oil meal)からなる群より選択した1種以上を含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記乳酸菌は、エンテロコッカス(Enterococcus)属菌株、ラクトバチルス(Lactobacillus)属菌株、ワイセラ(Weissella)属菌株、リューコノストック(Leuconostoc)属菌株、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌株、およびラクトコッカス(Lactococcus)属菌株からなる群より選択した1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記酵母は、サッカロミケス(Saccharomyces)属菌株、トルラ(Tolula)属菌株、 キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属菌株、およびピチア(Pichia)属菌株からなる群より選択した1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の組成物を含む、飼料。
【請求項14】
前記飼料は、反芻動物用飼料である、請求項13に記載の飼料。
【請求項15】
前記反芻動物は、ウシ科、ラクダ科、シカ科、マメジカ科、およびキリン科からなる群より選択した1種以上を含むものである、請求項14に記載の飼料。
【請求項16】
乳酸菌および酵母を含む発酵菌で豆類を発酵するステップと、
前記発酵した豆類を熱処理するステップと、を含む、
蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物の製造方法。
【請求項17】
乳酸菌および酵母を含む発酵菌で豆類を発酵するステップと、
前記発酵した豆類を熱処理するステップと、を含む、
蛋白質の反芻胃バイパス率増加方法。
【請求項18】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の組成物を含む、反芻動物の温室ガス排出低減用組成物。
【請求項19】
前記組成物は、反芻動物に投与され、下記の(1)ないし(6)のいずれか一つ以上の特性を誘導するものである、請求項18に記載の組成物。
(1)血中尿素窒素濃度減少、
(2)反芻胃でメタン生成量の減少、
(3)反芻胃でアンモニア生成量の減少、
(4)糞尿窒素排泄量の減少、
(5)残留窒素(retained Nitrogen)の増加、および
(6)窒素の体内利用効率改善。
【請求項20】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の組成物を反芻動物に投与するステップを含む、反芻動物の温室ガス排出を低減する方法。
【請求項21】
前記温室ガスは、メタンガスおよび/または亜酸化窒素である、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛋白質および炭水化物の利用性が増加されたバイパス率増加用組成物および蛋白質のバイパス率増加方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畜産分野で、2050年までに炭素中立目標の達成のために環境負担低減飼料の普及および拡大を通じて余剰の窒素減縮を推進し進行しており、実際に畜牛飼料の粗蛋白質上限値の設定することに飼料法改正が予定されており、飼料法改正予定によりウシ生産性の増進のために蛋白質利用率の高い飼料原料供給の重要性が非常に高まっている。韓牛では増体および肉量増進のために、そして乳牛では乳量増加および乳蛋白質増進のために蛋白質利用率の高い飼料供給の重要性が高まっている。また、蛋白質利用率が高くて窒素糞尿排泄量を下げることができる飼料原料供給の重要性が高まっている。
【0003】
反芻動物は、相対的に他の経済動物に比べて、飼料の窒素を非効率的に利用するが、例えば、北米と北ヨーロッパの乳牛における牛乳への窒素利用効率はそれぞれ平均25%と28%と現れ、肉用牛の場合、窒素利用効率がさらに低くて飼料内の窒素による体重増加効率が約14%に過ぎない。結局、動物の体組織や牛乳に転移しない窒素は糞と尿に排出され、土壌、河川、空気を汚染させる。したがって、反芻動物に過剰でなく適切な飼料蛋白質を供給することと反芻動物の窒素利用率を高める技術は、飼料費の節減だけでなく、環境汚染を減らすという面で重要である。反芻家畜の飼料蛋白質は、反芻胃分解蛋白質(rumen degradable protein:RDP)、反芻胃非分解蛋白質(rumen undegradable proteinと、RUP)、非蛋白態窒素源(non protein nitrogen:NPN)に区分することが可能である。
【0004】
畜産から排出するアンモニア(NH3)は、空気と水質汚染の主要原因である。アンモニアは、富栄養化、土壌酸性化、微細埃の増加などに影響を及ぼす。アンモニアは土壌微生物によって酸化され、亜酸化窒素(N2O)に転変し、亜酸化窒素は強力な温暖化ガスの一つであって地球温暖化に及ぼす影響が同じ量の二酸化炭素と比較して約310倍高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一例は、反芻動物の反芻胃内の消化吸収が抑制された状態で反芻胃を通過した後、小腸で消化吸収が集中的に起こり得る、蛋白質の反芻胃バイパス率(bypass rate)増加用組成物を提供するためのものである。
【0006】
本発明のまた他の一例は、反芻動物の反芻胃内のメタン生成量を低減し、窒素糞尿排泄量を低減し、亜酸化窒素およびアンモニアのような窒素の排出を低減して反芻動物の温室ガス排出を低減することができる、反芻動物の温室ガス低減用組成物および反芻動物の温室ガス低減方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例は、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類の発酵物を含む、蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物に関するものである。
【0008】
本発明のまた他の一例は、本発明の一例に係る蛋白質の反芻胃バイパス増加率組成物を含む飼料に関するものである。
【0009】
本発明のまた他の一例は、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で豆類を発酵するステップと、前記発酵した豆類を熱処理するステップと、を含む、蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物の製造方法、前記組成物を含む飼料の製造方法、または蛋白質の反芻胃バイパス率増加方法に関するものである。
【0010】
本発明のまた他の一例は、蛋白質の反芻胃バイパス率増加のための、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類発酵物の用途に関するものである。
【0011】
本発明のまた他の一例は、蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物の製造のための、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類発酵物の用途に関するものである。
【0012】
本発明のまた他の一例は、本発明の一例に係る蛋白質の反芻胃バイパス増加率組成物を含む、反芻動物の温室ガス低減用組成物に関するものである。
【0013】
本発明のまた他の一例は、本発明の一例に係る蛋白質の反芻胃バイパス増加率組成物を投与するステップを含む、反芻動物の温室ガス排出を低減する方法に関するものである。
【0014】
本発明のまた他の一例は、反芻動物の温室ガス排出を低減するための、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類発酵物の用途に関するものである。
【0015】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明の一例は、反芻胃バイパス率が高く、小腸で吸収率が高くて生産性が向上し、反芻動物の温室ガス排出を減少できる組成物に関するものである。本発明の一例に係る組成物は、発酵菌で発酵した豆類の発酵物を含み、前記発酵菌は、蛋白質のアミン基形成用の発酵菌、および/またはマイヤール反応促進用の発酵菌であるものであってもよい。
【0016】
本発明の一例は、反芻動物の反芻胃内での消化吸収が抑制された状態で通過した後、小腸での消化吸収が集中的に起こり得るバイパス(bypass)蛋白質およびこれを含む飼料に関するものである。具体的に、豆類内の果糖類などを活性化糖(reactive sugar)に作るために、乳酸菌と酵母を用いて発酵し、反芻胃で消化吸収を抑制し、小腸で消化吸収が極大化するように前記発酵物を熱処理する。本発明の一例に係るバイパス蛋白質製造工程は、別途の添加物なしに発酵を通じて豆類の成分変化を起こし、マイヤール反応(Maillard reaction)を誘導してバイパス蛋白質を効果的に生産することができる。
【0017】
本明細書で「バイパス(bypass)」とは、反芻動物の反芻胃で分解されずに通過して、腸で分解および吸収されることを意味し、バイパス脂肪とバイパス蛋白質製品がある。具体的に、反芻動物は、反芻胃を通過した蛋白質、つまり、バイパス蛋白質から必要なアミノ酸の大部分を得るが、飼料の主要原料の豆類、特に全世界の植物性蛋白質飼料源料のうち60%を占める大豆粕の場合、大部分反芻胃で分解が行われ、約25%程度だけがバイパスして非効率的な問題がある。本明細書で「バイパス蛋白質」は反芻胃を通過した蛋白質を意味し、「バイパス率」は摂取した蛋白質中のバイパス蛋白質の比率を意味する。
【0018】
本発明の一例で、前記発酵菌は、乳酸菌および酵母を含むものであってもよい。乳酸菌および酵母を用いて豆類の発酵を行う場合、二種とも通性嫌気性(facultative anaerobe)微生物であるため、嫌気的固形状発酵に適しており、同時培養(co-culture)が可能であるというメリットがある。また、乳酸菌と酵母を共に用いて発酵する場合、発酵時間を約半分に大きく短縮できるというメリットがあり、発酵時間は短縮するが、発酵物の蛋白質含有量は大きく増加して、蛋白質を切断してアミン基を形成し、還元糖を生成するというメリットもある。また、発酵菌として乳酸菌および酵母を併用使用する場合、乳酸菌単独発酵の場合より発酵物の蛋白質含有量が高く、バイパス率が高いという効果がある。具体的に、本願の実施例に示されているように、乳酸菌および酵母の併用使用によって発酵物の反芻胃非分解性蛋白質(RUP)および小腸吸収蛋白質含有量が高く、血中尿素窒素濃度、メタンガス発生量、糞尿窒素排泄量、アンモニア発生量、および亜酸化窒素発生量などが有意に低く、乳酸菌および酵母併用使用によるシナジー効果が立証された。
【0019】
豆類、例えば、大豆粕の成分中には、スタキオース、ラフィノースなどで代表される果糖類と多様な炭水化物が含まれているが、これらの大部分は水溶性でかつ消化を阻害する抗栄養因子の一種である。本発明は、豆類の栄養性と関係なく、むしろ飼料としての性能を落とす抗栄養因子を効果的に代謝させる乳酸菌と酵母を用いることができる。つまり、乳酸菌単独発酵より発酵時間を顕著に減らし、最終生成物の蛋白質含有量の高いバイパス率増加用組成物を提供することができる。
【0020】
特に、乳酸菌は、果糖類に対する代謝能に優れているものと知らされているが、乳酸菌でよく発見されるアルファガラクトシダーゼ(alpa-(1,6)galactosidase)という酵素は、ラフィノースとスタキオースなどの大豆粕に多量で含まれている果糖類を分解する酵素である。大豆粕のうち、ラフィノースとスタキオースの含有量は乾物量を基準に、6%以上である。一つのラフィノース分子は、アルファガラクトシダーゼによって分解されると、ガラクトース、フルクトース(fructose)、グリコースなど3種の単糖類のそれぞれ一分子ずつに分解される。一方、スタキオースは、二つのガラクトースと一つのフルクトース、一つのグリコース分子に分解される。このようにアルファガラクトシダーゼ酵素を多く分泌して大豆粕内の果糖類をより活性化した形態で、かつ比率的に増加された単糖類に転換できる乳酸菌を活用すると、マイヤール反応をより効果的に促進することができる。
【0021】
例えば、本発明の一例に係る発酵菌は、乳酸菌および酵母を含み、前記乳酸菌および前記酵母の菌体数の比率は、100:1ないし1:100、100:1ないし1:50、100:1ないし1:1、50:1ないし1:50、50:1ないし1:1、20:1ないし1:20、20:1ないし1:15、20:1ないし1:10、20:1ないし1:5、20:1ないし1:1、20:1ないし5:1、20:1ないし10:1、15:1ないし1:20、15:1ないし1:15、15:1ないし1:10、15:1ないし1:5、15:1ないし1:1、15:1ないし5:1、15:1ないし10:1、10:1ないし1:20、10:1ないし1:15、10:1ないし1:10、10:1ないし1:5、10:1ないし1:1、10:1ないし5:1、10:1ないし6:1、10:1ないし7:1、10:1ないし8:1、または10:1ないし9:1であってもよい。
【0022】
例えば、発酵原料に接種される乳酸菌は、106~108cfu/g、酵母は105~107cfu/gであってもよい。
【0023】
前記乳酸菌は、エンテロコッカス(Enterococcus)属菌株、ラクトバチルス(Lactobacillus)属菌株、ワイセラ(Weissella)属菌株、リューコノストック(Leuconostoc)属菌株、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌株、およびラクトコッカス(Lactococcus)属菌株からなる群より選択した1種以上のものであってもよい。
【0024】
前記エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌には、エンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)があり、ラクトバチルス(Lactobacillus)属乳酸菌には、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)、またはラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)などがあり、ワイセラ(Weissella)属乳酸菌には、ワイセラコリエンシス(Weissella koreensis)、またはワイセラシバリア(Weissella cibaria)などがある。また、リューコノストック(Leuconostoc)属乳酸菌には、リューコノストックシトレウム(Leuconostoc citreum)、またはリューコノストックメセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)などがあり、ストレプトコッカス(Streptococcus)属乳酸菌には、ストレプトコッカスサーモフィラス(Streptococcus thermophillus)があり、ラクトコッカス(Lactococcus)属乳酸菌には、ラクトコッカスラクチス(Lactococcus lactis)がある。
【0025】
前記酵母は、サッカロミケス(Saccharomyces)属菌株、トルラ(Tolula)属菌株、 キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属菌株、およびピチア(Pichia)属菌株からなる群より選択した1種以上のものであってもよい。前記Saccharomyces属酵母には、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces uvarumなどがあり、Xanthophyllomyces属酵母には、Xanthophyllomyces dendrorhousがあり、Pichia属酵母には、Pichia farinosaがあり、Torula酵母類には、Cyberlindnera jadiniiがある。
【0026】
本発明の一例に係る組成物に含まれる発酵物は、培地の水分含有量30ないし60重量%、30ないし50重量%、30ないし45重量%、30ないし40重量%、35ないし60重量%、35ないし50重量%、35ないし45重量%、35ないし40重量%、40ないし60重量%、40ないし50重量%、または40ないし45重量%で発酵したものであってもよい。
【0027】
本発明の一例に係る組成物に含まれる発酵物は、20ないし40℃、20ないし35℃、20ないし30℃、25ないし40℃、25ないし35℃、25ないし30℃、30ないし40℃、30ないし35℃、または35ないし40℃温度で発酵したものであってもよい。
【0028】
前記発酵物は、反芻胃非分解性蛋白質(Rumen Undegradable Proteinと、RUP)含有量が高いもの、および/または小腸吸収蛋白質含有量が高いものであってもよい。これにより、本発明の一例に係る組成物は、蛋白質の反芻胃バイパス増加用組成物、および/または蛋白質の小腸吸収増加用組成物であるものであってもよい。
【0029】
前記発酵物の粗蛋白含有量は、48.5重量%以上、49重量%以上、50重量%以上、または51重量%以上のものであってもよい。前記粗蛋白含有量は、水分8重量%基準時の粗蛋白含有量であるものであってもよい。
【0030】
前記反芻胃非分解性蛋白質は、反芻胃で分解されない蛋白質を意味し、例えば、反芻胃液処理後、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間分解されない蛋白質であってもよい。前記発酵物の反芻胃非分解性蛋白質(Rumen Undegradable Proteinと、RUP)含有量は、発酵物の全体粗蛋白質含有量100重量%を基準に、74重量%以上、75重量%以上、76重量%以上、77重量%以上、78重量%以上、79重量%以上、または80重量%以上のものであってもよい。
【0031】
前記小腸吸収蛋白質または小腸内分解蛋白質は、反芻胃では分解されないが、小腸で分解されて吸収される蛋白質であって、例えば、ペブシン1時間処理、および/または小腸酵素溶液18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間処理後に消化される蛋白質であってもよい。前記小腸酵素溶液は、トリプシン、キモトリプシン、アミラーゼおよびリパーゼのいずれか一つ以上を含むものであってもよい。前記発酵物の小腸吸収蛋白質含有量は、発酵物の全体粗蛋白質含有量100重量%を基準に、69重量%以上、70重量%以上、71重量%以上、または、72重量%以上のものであってもよい。
【0032】
前記発酵物は、発酵後に熱処理されたものであってもよい。具体的に、乳酸菌発酵結果として作られた活性化糖と蛋白質間の褐色化結合物を作るために熱処理が必要となり、熱処理を通じて発酵物内のアミノ酸のアミノ基と還元糖のカーボニル基が縮合するマイヤール反応が起こる。このとき、必要以上の熱が加わる場合にはバイパス率は高いが小腸での消化率が低くなり、少量の熱が加わる場合にはバイパス比率が低くなる。一方、リシン(lysine)のようなアミノ酸は、飼料の品質に非常に重要な成分であるが、熱に相対的に弱いため熱処理過程で破壊される可能性が高い。したがって、発酵物の熱処理は、褐色化反応に必要な最小限の温度と時間が使用されるように正確に統制されるべき敏感な工程である。発酵物の熱処理のためには、エクストルーダー(extruder)やエクスペラー(expeller)などの装置を用いるか、ロースティング方式が適用される装置を用いることもある。最も多く用いられる方式であるロースティングには、シリンダー形態の反応器の内部に設けられたフィン(fin)によって分散する大豆粕に火炎で直接加熱する装置が主に用いられる。本願の実施例では、例示としてロースティング方式の熱処理を用いており、温度と処理時間の正確な制御のために回分式(batch type)のロータリードラム(rotary drum)を機械装置として採択して用いた。
【0033】
前記熱処理は、70ないし150℃、70ないし145℃、70ないし140℃、70ないし130℃、80ないし150℃、80ないし145℃、80ないし140℃、80ないし130℃、90ないし150℃、90ないし145℃、90ないし140℃、または90ないし130℃温度で行うものであってもよい。
【0034】
前記熱処理は、発酵後に5ないし60分、5ないし50分、5ないし40分、5ないし35分、5ないし30分、5ないし25分、5ないし20分、5ないし15分、5ないし10分、10ないし60分、10ないし50分、10ないし40分、10ないし35分、10ないし30分、10ないし25分、10ないし20分、10ないし15分、15ないし60分、15ないし50分、15ないし40分、15ないし35分、15ないし30分、15ないし25分、15ないし20分、20ないし60分、20ないし50分、20ないし40分、20ないし35分、20ないし30分、20ないし25分、25ないし60分、25ないし50分、25ないし40分、25ないし35分、25ないし30分、30ないし60分、3050分、30ないし40分、または30ないし35分行うものであってもよい。
【0035】
一例として、前記熱処理は、90~100℃で10~60分行うものであってもよい。本願の実施例では、過度な熱処理によって発生し得る問題点を回避するためにできるたけ低い温度で熱処理を行った。
【0036】
本発明の一例に係る組成物は、酵素や糖などの添加物を一切添加せずに、乳酸菌と酵母による発酵工程および熱処理工程で製造された発酵物を含むものであってもよい。前記発酵物の製造工程は、従来のバイパス大豆粕蛋白質製造工程に比べて経済的でかつ効率的であるとともに、効率と性能にも優れた製品を生産することができる。そのための方法として、(1)代謝過程で大豆粕の果糖類と蛋白質を効果的に分解する乳酸菌と酵母を選択し、(2)果糖類が活性化糖形態に最大限分解される固形状発酵条件を確立し、(3)大豆粕活性化糖と蛋白質の間のマイヤール反応が最大に起きられるようにする高温熱処理工程を含む。具体的に、Raffinose、Stachyoseなど大豆粕内の果糖類と蛋白質を代謝過程で効果的に分解して活性化糖形態に作る乳酸菌と酵母発酵を通じてマイヤール反応を促進することによって、蛋白質のバイパス比率を高めることができる。本発明の一例に係る反芻胃バイパス率増加方法は、酵素や糖などの添加物なしに発酵工程と熱処理だけを用いるので、経済性を確保することができ、RUP(Rumen Undegradable Protein)が74%以上、RUPの小腸での消化吸収率が69%以上で、製品競争力がある。
【0037】
本発明の一例で、豆類は、大豆、菜種、パーム、エンドウ豆、インゲン豆、トウモロコシ、緑豆、小豆、味噌玉麹豆、ルパン豆およびこれらの粕(oil meal)からなる群より選択した1種以上を含むものであってもよい。豆類で代表的な飼料原料である大豆粕は、生産量を基準に、全世界の植物性蛋白質飼料源料のうち60%を占めるほど非常に重要な蛋白質源であるが、畜牛では大部分反芻胃で分解が行われ、単に25~34%程度だけがバイパスされるので、効率的ではないというデメリットを有している。畜牛は反芻胃の発酵過程で作られた微生物蛋白質や反芻胃を通過した蛋白質、つまり、バイパス蛋白質から必要なアミノ酸の大部分を得る。反芻動物でのバイパス比率を高めるために、大豆粕を加工する色々な方法が研究されてきており、熱処理をするか、lignosulfonateまたはformaldehydeで処理する方法などが主に用いられ、最近は植物性オイルなどでコーティングする方法も開発されている。その中で、大豆粕を熱処理する工程が最も多く試みられているが、これは、大豆粕内の蛋白質と糖が加熱過程で起こる褐色化反応(Maillard reaction、マイヤール反応)を利用することである。つまり、糖のカーボニル基(carbonyl group)とアミノ酸のアミノ基(amino group)が熱によって結合すると、反芻胃で消化作用を起こす微生物酵素の攻撃を受けずにバイパスされ、小腸で大部分消化が起こるようになる。エクストルーダーなどを用いて高温で短時間熱を加えるか、キシロース(xylose)などの活性化糖(reactive sugar)を添加した後に熱処理する方式などが用いられるが、最近は酵母などから分離した酵素を用いて大豆粕を処理した後に熱処理をすることによって、マイヤール反応を促進させる工程も開発された。
【0038】
一方、トリプシン阻害剤などの抗栄養因子(anti-nutritional factors)を非加熱的方法で除去するために大豆粕を酵素で処理するか、微生物で発酵させる工程が産業化しているが、後者の場合、Aspergillusなどのかび菌を用いるか、Bacillusなどの細菌を用いることが一般的である。一部では、乳酸菌を用いる嫌気的工程を用いて経済的に発酵する工程を用いることもあるが、乳酸菌の場合、代謝過程で大豆粕の抗栄養因子の一つである果糖類(oligo-saccharide)を活発に分解するものと用いられている。
【0039】
そのため、本発明者は、Raffinose、Stachyoseなど大豆粕内の果糖類と蛋白質を代謝過程で効果的に分解して活性化糖とペプチド形態に作る乳酸菌と酵母発酵を通じてマイヤール反応を促進することによって、蛋白質のバイパス比率を高めることができる工程を開発した。
【0040】
本発明のまた他の一例は、本発明の一例に係る蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物を含む、飼料に関するものである。前記飼料は、反芻動物用飼料であるものであってもよい。
【0041】
本明細書で「反芻動物」とは、偶蹄目に属する動物中で反芻胃を有する動物を意味し、例えば、ウシ科、ラクダ科、シカ科、マメジカ科、およびキリン科からなる群より選択した1種以上を含むものであってもよい。
【0042】
前記ウシ科は、例えば、韓牛、乳牛、ヤク、野牛、バッファロー、インパラ、ガウル、水牛、ヤギ、羊、山羊、およびレイヨウからなる群より選択した1種以上を含んでもよい。
【0043】
前記ラクダ科は、例えば、単峰駱駝、双峰駱駝、ラマ、アルパカ、グワナコ、およびビクーニャからなる群より選択した1種以上を含んでもよい。
【0044】
前記シカ科は、例えば、シカ、トナカイ、ノロジカ、キバノロ、エルク、およびムースからなる群より選択した1種以上を含んでもよい。
【0045】
前記マメジカ科は、例えば、マメジカおよびネズミ鹿からなる群より選択した1種以上を含んでもよい。
【0046】
前記キリンとは、例えば、キリンおよびオカピからなる群より選択した1種以上を含んでもよい。
【0047】
本発明のまた他の一例は、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で豆類を発酵するステップと、前記発酵した豆類を熱処理するステップと、を含む、蛋白質の反芻胃バイパス率増加用組成物の製造方法、または前記組成物を含む飼料の製造方法に関するものである。
【0048】
本発明のまた他の一例は、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で豆類を発酵するステップと、前記発酵した豆類を熱処理するステップと、を含む、蛋白質の反芻胃バイパス率増加方法に関するものである。
【0049】
本発明のまた他の一例は、乳酸菌および酵母を含む発酵菌で発酵した豆類の発酵物を含む、反芻動物の温室ガス低減用組成物に関するものである。本願の実施例で乳酸菌および酵母を併用使用して豆類を発酵した発酵物を反芻動物に投与した結果、血中尿素窒素が減少し、メタンガスおよびアンモニア生成量が減少しており、糞尿窒素排泄量が減少した。したがって、本発明の一例に係る組成物およびこれを含む飼料は、反芻動物の温室ガス排出を低減する効果を有する。これにより、本発明のまた他の一例は、前記組成物を反芻動物に投与するステップを含む、反芻動物の温室ガス排出を低減する方法に関するものである。前記温室ガスは、メタンガスおよび/または亜酸化窒素であってもよい。
【0050】
本発明の一例に係る組成物は、下記の(1)ないし(6)のいずれか一つ以上の特性を誘導するものであってもよい。
(1)血中尿素窒素濃度減少、例えば、対照群に対する空腹血中尿素窒素濃度が、90%以下、80%以下、または、75%以下(前記対照群は、非発酵豆類または乳酸菌単独発酵した豆類を投与したグループであってもよい)、
(2)反芻胃でメタン生成量の減少、例えば、対照群に対するメタンガス生成量が、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、70%以下、60%以下、55%以下、50%以下、または45%以下(前記対照群は、非発酵豆類、単位動物用の発酵豆類、または乳酸菌単独発酵した豆類を処理した群であってもよい)、
(3)反芻胃でアンモニア生成量の減少、例えば、対照群に対するアンモニア濃度が、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95.5%以下、90%以下、85%以下、80%以下、70%以下、60%以下、または50%以下(前記対照群は、非発酵豆類、単位動物用の発酵豆類、または乳酸菌単独発酵した豆類を処理した群であってもよい)、
(4)糞尿窒素排泄量の減少、例えば、対照群に対する糞尿窒素排泄量が、99%以下、98%以下、97%以下、または96%以下(前記対照群は、本発明の一例に係る組成物を投与しない群であってもよい)、
(5)残留窒素(retained Nitrogen)の増加、例えば、対照群に対する残留窒素が、1倍超過、1.05倍以上、または1.1倍以上(前記対照群は、本発明の一例に係る組成物を投与しない群であってもよい)。
(6)窒素の体内利用効率を改善、例えば、窒素の体内利用効率を、1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、3%以上、3.01%以上、3.02%以上、3.03%以上、3.04%以上、3.05%以上、または3.06%以上改善(前記対照群は、本発明の一例に係る組成物を含まない飼料を投与したグループであってもよい)。
【0051】
前記窒素の体内利用率は、下記の数学式1で計算されるものであってもよい。
[数学式1]
窒素の体内利用効率(%)=(対照群に対する窒素利用率)/(窒素摂取量)×100
【発明の効果】
【0052】
本発明は、反芻動物の反芻胃内のメタン低減および窒素糞尿排泄量低減によって、アンモニアガス(NH3)低減による糞尿悪臭低減、亜酸化窒素(N2O)など温室ガスの減縮に寄与することができ、反芻動物で蛋白質利用率を高めて生産性と窒素低減を通じて温室ガス問題を解決することができる。
【0053】
本発明は、反芻胃バイパス蛋白質を提供して小腸吸収率を高めて反芻微生物による過多蛋白質の分解によって発生するアンモニアを減らし、糞尿に排泄される窒素量を減らして不必要な蛋白質源の使用を最少化すると共に生産性を高め、国家的に環境問題の解決に役立つ環境負担低減飼料(低蛋白、低温実ガス飼料)を提供することができる。
【0054】
本発明の一例に係るバイパス率増加用組成物は、反芻胃内のメタンの発生量および糞便内の窒素量を減少させて温室ガスを低減することができる。
【実施例】
【0055】
[発明の実施のための形態]
以下、本発明を下記の実施例によって、より詳しく説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示するためであるだけで、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるものではない。
【0056】
実施例1:乳酸菌および酵母併用による豆類発酵物の製造
(1)乳酸菌および酵母併用による豆類発酵
発酵菌で乳酸菌および酵母を併用使用して豆類を発酵し、発酵物の粗蛋白含有量を測定した。本実施例で豆類の例示として大豆粕を用いており、大豆粕発酵に用いられる乳酸菌の種類は制限されることなく用いてもよいが、大豆粕にエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)またはラクトココスラクチス(Lactococcus lactis)1.0×106/gを接種後、24時間後に菌数を比較した結果、E.faeciumは6.5×108/g、Lactococcus lactisは2.5×107/gと現れ、エンテロコッカス属菌株を用いる場合、より効率的な大豆粕発酵が可能であった。これにより、本実施例では、乳酸菌としてエンテロコッカスフェシウムを用いて発酵を行った。
【0057】
30℃または35℃温度で事前に調整された培養器で大豆粕1000g(水分含有量120g)に種菌液500g(水分含有量480g)を添加し、発酵を24時間行った。発酵に用いられた菌体は、乳酸菌(エンテロコッカスフェシウムKCTC13566BP)菌体107cfu/gおよび酵母(Saccharomyces cerevisiae)106cfu/gを用いた。
【0058】
(2)発酵豆類の熱処理
発酵物の熱処理は、DMD乾燥機(double mixing dryer)方式の乾燥機を用いたが、ドラムの内部に二重パドルが設けられており、二重ジャケットで温度を一定に制御して原料が連続的に投入および排出される連続式構造を有している。熱処理が終わった発酵物は、品温によって熱処理時間を調節して10分から60分未満で処理した(130℃10分;120℃15分;110℃20分;90℃35分)。以降では、温度を60℃に制限して、水分含有量が12%以下になるまで乾燥して乳酸菌および酵母併用による豆類発酵物(サンプル名:実施例1)を得た。
【0059】
比較例1:乳酸菌単独による豆類発酵物の製造
実施例1の(1)と同様に行うが、発酵菌として乳酸菌(エンテロコッカスフェシウムKCTC13566BP)菌体107cfu/gを単独使用して発酵を行った。得られた発酵物を実施例1の(2)と同様な方法で熱処理および乾燥して乳酸菌単独による豆類発酵物(サンプル名:比較例1)を得た。
【0060】
実施例2:pHおよび粗蛋白含有量の測定
発酵完了後、熱処理を行う前に、発酵物に重量を基準にして二倍の蒸溜水を添加して5分間撹拌した後、pHを測定し、ケルダール(Kjeldahl)法で粗蛋白質含有量を測定し、サンプルの水分含有量を8重量%基準に補正して表1に示した。
【0061】
【0062】
表1に示されているように、乳酸菌発酵によって乳酸が生成され、培地のpHが低くなったことを確認し、乳酸菌および酵母を併用使用した実施例1の発酵物の粗蛋白含有量が、乳酸菌併用使用した比較例1に対して粗蛋白含有量が約3%高かった。
【0063】
実施例3:RUPおよび小腸吸収蛋白質含有量の測定
各試料のRUP(反芻胃非分解性蛋白質)分析のために、protease溶液を用いるin vitro分析を実施した。小腸吸収蛋白質は、ペブシン(pH2)に1時間、トリプシン、キモトリプシン、アミラーゼおよびリパーゼが添加された酵素溶液(pH9.0)を用いて24時間分解して分析した。RUP含有量および小腸吸収蛋白質含有量を全体粗蛋白質(CP)含有量100重量%を基準(%CP)に表2に示した。
【0064】
【0065】
表2に示されているように、乳酸菌および酵母を併用使用して発酵した実施例1の発酵物が、熱処理後にRUP含有量が約10%増加し、小腸吸収蛋白質が約4%さらに吸収されるものと示された。したがって、乳酸菌および酵母を併用使用して発酵した実施例1の発酵物は、反芻動物の反芻胃で分解されないため、バイパス率が増加し、小腸吸収率が高いことを確認した。
【0066】
実施例4.バイパス豆類の血中尿素窒素減少効果
実施例1の豆類発酵物、比較例1の豆類発酵物、または大豆粕(SAJO5号-粗蛋白46%以上、SAJODAERIM)をそれぞれ350g/kgの量で6週間の各群別6頭(40~45ヶ月齢のホルスタイン種の去勢牛)に給与後、静脈で血液を採取して血中尿素窒素(Blood urea nitrogen;BUN)濃度および総蛋白質(Total protein)濃度を分析して表3に示した。
【0067】
【0068】
表3に示されているように、実施例1の豆類発酵物の場合、投与3時間後のBUNの濃度が、9.83mg/dLであり、比較例1の豆類発酵物または大豆粕給与区の空腹BUN濃度と比較しても低い値を示した。投与3時間後のBUN濃度と比較すると、比較例1の豆類発酵物に比べて2.65mg/dL低く(約21.2%減少)、大豆粕給与区に比べて5.33mg/dL低かった(約35.2%減少)。したがって、本発明の一例に係る豆類発酵物は、代謝蛋白質として多く利用され、糞尿に排出する窒素源が減少する効果が顕著に優れていた。
【0069】
実施例5.バイパス豆類のメタン代謝改善効果
(1)実験材料用意
反芻胃液は、国立順天大学付属動物飼育場で飼育している反芻胃涙管が装着された韓牛3頭を用いて胃液を採取し、採取した胃液は39℃温度を維持して30分間静置させた後、4重のcheese clothでろ過して飼料粒子を除去した後、恒温水槽を用いて39℃を維持した。
【0070】
(2)メタンガス減少効果
実施例1の豆類発酵物、比較例1の豆類発酵物、単位動物用の発酵大豆粕および大豆粕を用意し、各試料は160mmのserum bottleに総体積1.0%(DM)ずつ入れた後、胃液と緩衝溶液を1:3比率で100mlずつ分注してbutyl rubber stopperおよびaluminum capを被せ、39℃のshaking incubatorで100rpmで培養した。胃液の稀釈およびろ過の全過程の間、N2でbubblingして胃液が嫌気状態を維持するようにしており、サンプル採取時間は0、3、6、12、および24時間で処理区当たり3回繰り返して2回進行した。単位動物用の発酵大豆粕は、豚または鶏のような胃が一つの動物用として、大豆粕で抗栄養因子を除去して消化吸収が早く高くして魚粉を代替して用いられる製品であって、発酵後に乾燥する温度の品温が60℃を超過しないようにして、マイヤール反応を防止する条件で乾燥して製造した製品である。
【0071】
各試料別の総ガス生成量を表4に示した。表4に示されているように、単位動物用の発酵大豆粕は、有意的に高いガス生成量を示しており、実施例1の発酵物は、反芻胃内での蛋白質分解率減少が反芻胃微生物発酵を阻害して、有意に低いガス生成量を示していると考えられる。表4で、SEMは、平均の標準誤差(standard error of the mean)であり、a、bおよびcは、同一の行で互いに異なる添字は有意な差を示す(p<0.05)。
【0072】
【0073】
反芻胃発酵過程で時間別に生成されたメタンを分析するために、6mlの真空管(vacutainer)を用いて採取した。メタン分析は、気体クロマトグラフィー(Gas Chromatography、Agilent technolgies HP 5890)を用いた。Detecterは、TCD、コラムCarboxen 1006PLOT capillary column 30m×0.53mm(Supelco)を用い、分析条件は、oven温度35℃、injection部分温度200℃、射出口の部分detector温度200℃で移動床ガスN2を3ml/minで流して、培養時間別の発生量を分析した。
【0074】
反芻胃発酵を通じるメタン生成量をmM/ml濃度で表5に示した。メタン発生量では、12時間、24時間培養で実施例1の発酵物が有意的に最も低かった。具体的に、実施例1のバイパス発酵物は、大豆粕に対して12時間、24時間培養で、各35.9%、45.5%のメタン低減効果を示した。比較例1の発酵物は、大豆粕に対して12時間、24時間培養で、各31.2%、38.8%のメタン低減効果を示した。単位動物用の発酵大豆粕の場合、大豆粕に対して12時間培養では18.2%低減効果を示したが、24時間培養ではむしろ30.8%増加した。表5で、SEMは、平均の標準誤差(standard error of the mean)であり、a、bおよびcは同一な行で互いに異なる添字は有意な差を示す(p<0.05)。
【0075】
【0076】
(3)アンモニア濃度分析
前記(2)と同様に培養して、アンモニア濃度分析は、ChaneyとMarbach(1962)の方法によって、spectrophotometer(Manufactured by Biochrom Ltd、CB40Fj、England)の波長630nmでOD(吸光度)を測定して計算した。具体的に、NH3は、アルカリ溶液でhypochloriteと反応してNH2Clを形成し、順次にフェノールと反応して青色のインドフェノール染料を生成する。反応中触媒であるsodium nitroprussideあるいはMnS04を添加して反応の速度を促進する場合、ほとんど10分以内に反応を完結することができる。この反応で生成されたインドフェノールは安定して化学反応を通じる分析法の良い例となる。インドフェノールは、630nm波長で光子を吸収する。
【0077】
反芻胃発酵を通じるアンモニア濃度、をmM/L濃度で表6に示した。表6に示されているように、24時間培養器間でアンモニア(NH3-N)の濃度は、単位動物用の発酵大豆粕が有意に高い結果を示した(p<0.05)。実施例1のバイパス発酵大豆粕は、アンモニア濃度が有意的に低く、反芻胃内で蛋白質の分解が起きず、小腸で消化が進行されることを示す。表6で、SEMは、平均の標準誤差(standard error of the mean)であり、a、bおよびcは同一な行で互いに異なる添字は有意な差を示す(p<0.05)。
【0078】
【0079】
実施例6.バイパス豆類の窒素代謝改善効果
14.8ヶ月齢の韓牛去勢牛8頭を用意して8個のケージに配置し、対照群および実験群の2つグループに分けて表7に係る一般飼料、または実施例1の発酵物を含む飼料を給与した。水は水飲み場で自由給与し、粗飼料は、毎日08:00、14:00に給与した。スタンチョンにけい留した状態で飼料かごによる個体別の給与を進行し、給与が終るたびに秤を用いて残量を測定した。濃厚飼料は、DeLaval自動給餌器を用いて自由給与を進行し、個別摂取量は、Delproソフトウェアを通じて毎日測定して記録した。体重測定は、朝の飼料給与の前に行い、毎朝9時に全体糞便と小便を回収して排泄量を記録し、糞は10%量、尿は5%量ずつ試料採取後に冷凍保管した。5日後、各公試畜の試料を混合して分析試料採取後に冷凍保管した。24日間の実験終了後、実験結果検証のために2日間washout後、対照群グループおよび実験群グループを互いに変更して同様に実験した。
【0080】
【0081】
窒素摂取量および糞尿排泄量の分析結果を表8に示した。飼料を通じる窒素摂取量は、対照区と実験区の両方とも160g/dと同一であったが、糞尿窒素排泄量は、対照区より実験区で5g/dさらに低く、体内蛋白質として蓄積されることを意味する窒素利用率(N retention)も、実験区で4.9g/dさらに高かった。したがって、本発明の一例に係るバイパス蛋白質は、窒素の体内利用効率を約3.063%改善したことを示す。韓牛去勢牛は、6ヶ月から30ヶ月飼育時まで約953kgの粗蛋白が必要であり、これを窒素に換算すると、153kgであり、亜酸化窒素に換算すると、76.5kgであり、二酸化炭素に換算すると、23.7トンである。23.7トンの3.063%は726kgであり、本発明の一例に係るバイパス蛋白質による窒素の体内利用効率増加を通じて、韓牛去勢牛を30ヶ月屠畜時まで頭当たり約726kgのCO2を減少した効果を有し、韓国で飼育中である韓牛雄牛127万頭に適用すると、922千トンのCO2を減少する効果を有する。
【0082】
したがって、本発明の一例に係るバイパス蛋白質は、糞尿に排泄される窒素含有量が減少し、アンモニアガスおよび亜酸化窒素ガス発生が減少してエコ畜産に有利な効果を有し、反芻動物の窒素利用率を増加させ、窒素利用効率増進および環境負担低減効果を確認した。
【0083】
【国際調査報告】