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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-07
(54)【発明の名称】紫外線センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/08 20060101AFI20240731BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01L31/08 M
G01J1/02 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571138
(86)(22)【出願日】2023-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 KR2023006016
(87)【国際公開番号】W WO2023214787
(87)【国際公開日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0054744
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0056953
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523431486
【氏名又は名称】ジェ ヒュク パク
(71)【出願人】
【識別番号】523431497
【氏名又は名称】ハイパー マテリアルズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ヒュク パク
【テーマコード(参考)】
2G065
5F149
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB05
2G065BA02
2G065BA09
5F149AB01
5F149CB05
5F149CB11
5F149CB18
5F149DA44
5F149FA05
5F149FA12
5F149FA13
5F149GA04
5F149GA12
5F149LA03
5F149XB13
5F149XB24
5F149XB26
5F149XB32
5F149XB51
(57)【要約】
本開示は紫外線センサに関し、解決しようとする技術的課題は、エアロゾルデポジションにより簡単かつ低費用で高効率の紫外線センサを提供するところにある。このために、本開示は基板;基板上にエネルギーバンドギャップが3eV~11eVを有し、平均中心粒径が0.1μm~5μmである粉末が100m/s~500m/sの速度で真空中でノズルを通じて噴射されて多結晶膜が提供されるものの、多結晶膜をなす粒子の平均中心粒径が1nm~500nmである多結晶膜;および多結晶膜上に提供された少なくとも2個の電極を含む、紫外線センサを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上にエネルギーバンドギャップが3eV~11eVを有し、平均中心粒径が0.1μm~5μmである粉末が100m/s~500m/sの速度で真空中でノズルを通じて噴射されて多結晶膜が提供されるものの、前記多結晶膜をなす粒子の平均中心粒径が1nm~500nmである多結晶膜と、
前記多結晶膜上に提供された少なくとも2個の電極と、を含む、紫外線センサ。
【請求項2】
前記基板はシリコン、クォーツ、サファイア、ポリマーまたは金属を含む、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項3】
前記粉末はMgF、BeO、GaF、SiO、ZrO、MgO、Al、AlN、HfO、GeO、LaAlO、diamond、α-Si、β-Ga、Yb、Nd、ZnGeO、Ta、MgS、InGe、ZnS、NiO、In、ZnSnO、SnO、Nb、GaN、ZnO、WO、CeO、4H-SiC、TiO、NgNiO、MgZnO、BeMgZnO、MgZnS、AlGaN、ZrTiOまたはInGaZnOを含む、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項4】
前記多結晶膜の厚さは1nm~50μmである、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項5】
前記少なくとも2個の電極は前記多結晶膜上にインターデジタル形態で提供される、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項6】
前記少なくとも2個の電極は前記基板上に提供される第1電極と、前記多結晶膜上に前記第1電極と交差して提供される第2電極と、を含む、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項7】
前記電極の比抵抗は100ohm/cmより小さい、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項8】
前記多結晶膜および前記電極は保護層で覆われ、前記保護層は光透過率が50%~99.9%である、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項9】
10nm~400nmの波長を有する光をセンシングする、請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項10】
前記基板および前記多結晶膜はセンシング感度向上のための凹状構造であるかまたはセンシング領域増加のための凸状構造である、請求項1に記載の紫外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(disclosure)は紫外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(以下、UV)は400nm以下の非常に短い波長を有する目に見えない光であって、その殆どはオゾン層に吸収されて地表に到達することができないが、皮膚に当たると細胞と遺伝子を破壊する程度に強いため殺菌などのために有用である反面、実生活に活用する場合には人体保護のための細かい管理が必要な波長帯域の光である。UVは水質管理などのための殺菌作用に応用され得るだけでなく、短い波長帯域を利用して軍事通信、レーダー、生化学武器感知などの軍事分野、オゾン、微細ホコリセンシングの環境分野、および火災やアーク放電などの炎の感知などの産業分野で活用するための試みがある。
【0003】
現在使用されている紫外線センサは略200nm以下の波長をセンシングできるAlN(e.g.,~6.28eV)物質を使ったり略350nm波長帯域をセンシングできるGaN(e.g.,~3.44eV)物質を使用し、これらの中間波長帯域のセンシングはAlNとGaNの組成比を制御することによって具現している。AlNとGaN基盤の物質はその特性上、CVD(Chemical Vaper Deposition)、MBE(Molecular Beam Epitaxy)等の高温と高価な装備を使用してエピタキシャル層(epitaxy layer)に成長させなければならないが、AlNとGaNは格子の不一致によってエピタキシャル層に蒸着することが難しいため、主に多数の層(例えば、buffer layer)を積層する方式を使っている。
【0004】
しかし、このような方法でセンサを具現する場合、製作時間が非常に長く費用が多くかかり、素子の厚さが厚くなって多様な活用が不可能な短所がある。それだけでなく、AlNとGaNを混合して使われるAlGaN光センサは単一物質を使った時に比べて反応および回復時間が長くなる問題があるためセンシング時間が遅いという限界がある。
【0005】
他の光センサとして、ZnO基盤の物質で紫外線センサを開発する研究も進行されているが、バンドギャップの限界により400nm以下の波長ではEQE(external quantum efficiency)が顕著に低くなるため反応性が低いという問題がある。
【0006】
このような発明の背景となる技術に開示された前述した情報は本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものに過ぎず、したがって従来技術を構成しない情報を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、エアロゾルデポジションにより簡単かつ低費用で高効率の紫外線センサを製造できる方法およびこれによる紫外線センサを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る例示的紫外線センサは、基板;前記基板上にエネルギーバンドギャップが3eV~11eVを有し、平均中心粒径が0.1μm~5μmである粉末が100m/s~500m/sの速度で真空中でノズルを通じて噴射されて多結晶膜が提供されるものの、前記多結晶膜をなす粒子の平均中心粒径が1nm~500nmである多結晶膜;および前記多結晶膜上に提供された少なくとも2個の電極を含むことができる。
【0009】
一部の例において、前記基板はシリコン、クォーツ、サファイア、ポリマーまたは金属を含むことができる。
【0010】
一部の例において、前記粉末はMgF、BeO、GaF、SiO、ZrO、MgO、Al、AlN、HfO、GeO、LaAlO、diamond、α-Si、β-Ga、Yb、Nd、ZnGeO、Ta、MgS、InGe、ZnS、NiO、In、ZnSnO、SnO、Nb、GaN、ZnO、WO、CeO、4H-SiC、TiO、NgNiO、MgZnO、BeMgZnO、MgZnS、AlGaN、ZrTiOまたはInGaZnOを含むことができる。
【0011】
一部の例において、前記多結晶膜の厚さは1nm~50μmであり得る。
【0012】
一部の例において、前記少なくとも2個の電極は前記多結晶膜上にインターデジタル形態で提供され得る。
【0013】
一部の例において、前記少なくとも2個の電極は前記基板上に提供される第1電極と、前記多結晶膜上に前記第1電極と交差して提供される第2電極を含むことができる。
【0014】
一部の例において、前記電極の比抵抗は100ohm/cmより小さくてもよい。
【0015】
一部の例において、前記多結晶膜および前記電極は保護層で覆われ、前記保護層は光透過率が50%~99.9%であり得る。
【0016】
一部の例において、前記紫外線センサは10nm~400nmの波長を有する光をセンシングすることができる。
【0017】
一部の例において、前記基板および前記多結晶膜はセンシング感度向上のための凹状構造であるかまたはセンシング領域増加のための凸状構造であり得る。
【発明の効果】
【0018】
本開示はエアロゾルデポジションにより簡単かつ低費用で高効率の紫外線センサを製造できる方法およびこれによる紫外線センサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの製造装置を図示した概略図である。
図2】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの製造方法を図示したフローチャートである。
図3a】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した平面図および断面図である。
図3b】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した平面図および断面図である。
図4】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの特性図である(800℃熱処理)。
図5】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの特性図である(600℃熱処理)。
図6】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの特性図である(熱処理なし)。
図7a】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで電極の長さによる出力電流およびオン/オフ比率を図示したグラフである。
図7b】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで電極の長さによる出力電流およびオン/オフ比率を図示したグラフである。
図8】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで電極の長さによるmA級レベルの出力電流を図示したグラフである。
図9】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで粉末サイズによる多結晶膜の透明度を比較したグラフである。
図10】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
図11】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
図12a】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
図12b】本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0021】
本開示は当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は多様な他の形態に変形され得、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。かえって、これら実施例は本開示をさらに忠実かつ完全とし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0022】
また、以下の図面で各層の厚さや大きさは説明の便宜および明確性のために誇張されたものであり、図面上で同一符号は同じ要素を指称する。本明細書で使われた通り、用語「および/または」は該当列挙された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」という意味はA部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在されてA部材とB部材が間接連結される場合も意味する。
【0023】
本明細書で使われた用語は特定実施例を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われた通り、単数の形態は文脈上他の場合を明確に指摘しない限り、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使われる場合、「含む(comprise、include)」および/または「含む(comprising、including)」は言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0024】
本明細書で第1、第2等の用語が多様な部材、部品、領域、層および/または部分を説明するために使われるが、これら部材、部品、領域、層および/または部分はこれら用語によって限定されてはならないことは自明である。これら用語は一つの部材、部品、領域、層または部分を他の領域、層または部分と区別するためにのみ使われる。したがって、以下で詳述する第1部材、部品、領域、層または部分は、本発明の教示から逸脱することなく第2部材、部品、領域、層または部分を指称することができる。
【0025】
「下部(beneath)」、「下(below)」、「低い(lower)」、「上部(above)」との用語は、一要素または特徴と他の要素または特徴の容易な理解のために利用され得る。このような空間に関連した用語は、本発明の多様な工程状態または使用状態により本発明の容易な理解のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。例えば、図面の要素または特徴がひっくり返されると、「下部」または「下」と説明された要素または特徴は「上部」または「上に」となる。したがって、「下部」は「上部」または「下」を包括する概念である。
【0026】
図1は本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの製造装置を図示した概略図であり、図2は本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサの製造方法を図示したフローチャートである。
【0027】
図1に図示された通り、本発明に係る紫外線センサ製造装置200は移送ガス供給部210、エネルギーバンドギャップが略3eV~略11eVである一種類の粉末(powder)または多様な種類の粉末が混合された粉末を保管および供給する粉末供給部220、粉末供給部220から粉末を移送ガスを利用して高速で移送する移送管222、移送管222からの粉末を絶縁性または導電性基板110にコーティング/積層またはスプレーするノズル232、ノズル232からの粉末が基板110の表面に衝突および破砕されるようにすることによって、一定厚さの多結晶膜が形成されるようにする真空チャンバー230を含むことができる。
【0028】
図1および図2を共に参照して、本発明に係る多結晶膜形成方法を説明する。
【0029】
移送ガス供給部210に保存された移送ガスは酸素、ヘリウム、窒素、アルゴン、二酸化炭素、水素または空気を含むことができる。移送ガスは移送ガス供給部210からパイプ211を通じて粉末供給部220に直接供給され、流量調節器250によりその流量および圧力が調節され得る。
【0030】
粉末供給部220は多量の粉末を保管および供給するが、このような粉末は平均中心粒径範囲が略0.1μm~略5μmであり得る。一部の例において、粉末の形態は球状、多角形、または針状であり得る。
【0031】
粉末の平均中心粒径範囲が略0.1μmより小さい場合、粉末の保管および供給が難しいだけでなく、粉末の保管および供給中の凝集現象により、粉末の噴射、衝突、破砕および/または粉砕時に略0.1μmより小さい粒子が固まっている形態である圧粉体が形成されやすいだけでなく、大面積の多結晶膜の形成も難しい短所がある。実質的に、粉末の平均中心粒径範囲が略0.1μmより小さい場合、多結晶膜の形成がなされない。
【0032】
また、粉末の平均中心粒径範囲が略5μmより大きい場合、粉末の噴射、衝突、破砕および/または粉砕時に基板を削り出すサンドブラスティング(sand blasting)現象が発生しやすいだけでなく、一部形成された多結晶膜内の粒子の粒径が相対的に大きく形成されて、多結晶膜の構造が不安定となり、また多結晶膜の内部または表面の気孔率が大きくなって素材本来の特性を発揮できなくてもよい。
【0033】
粉末の平均中心粒径範囲が略0.1μm~略5μmの場合、気孔率(空隙率)が相対的に小さく、表面マイクロクラック現象がなく、粉末制御が容易な多結晶膜を得ることができる。また、粉末の平均中心粒径範囲が略0.1μm~略5μmの場合、多結晶膜の積層速度が相対的に高く、透明(または半透明)であり、素材特性の具現が容易な多結晶膜を得ることができる。一部の例において、粉末の平均中心粒径範囲が略0.1μm~略5μmの場合、粒子の平均中心粒径が略1nm~略500nmである多結晶膜を得ることができる。
【0034】
真空チャンバー230は多結晶膜の形成中に真空状態を維持し、このために真空ユニット240が連結され得る。より具体的には、真空チャンバー230の圧力は略1torr(低真空)~略760torr(大気圧)であり、高速移送管222により移送される粉末の圧力はこれより大きくてもよい。
【0035】
また、真空チャンバー230の内部温度範囲は略0℃~略30℃であり、したがって別途に真空チャンバー230の内部温度を増加させたり減少させるための部材がなくてもよい。すなわち、移送ガスまたは/および基板が別途に加熱されず、略0℃~略30℃の温度で維持され得る。
【0036】
一部の例において、多結晶膜の蒸着効率および緻密度向上のために、移送ガスまたは/および基板が略30℃~略1000℃の温度で加熱され得る。すなわち、別途の図示されていないヒーターによって移送ガス供給部210内の移送ガスが加熱されたり、または別途の図示されていないヒーターによって真空チャンバー230内の基板111が加熱され得る。このような移送ガスまたは/および基板の加熱によって多結晶膜形成時に粉末に加えられるストレスが減少することによって、気孔率が小さく緻密な多結晶膜が得られ得る。ここで、移送ガスまたは/および基板が略1000℃の温度より高い場合、粉末が溶融しながら急激な相転移を起こし、これに伴い、多結晶膜の気孔率が高くなり多結晶膜の内部構造が不安定となり得る。また、移送ガスまたは/および基板が略30℃の温度より小さい場合、粉末に加えられるストレスが減少しないことがある。
【0037】
しかし、本発明でこのような温度範囲を限定するものではなく、多結晶膜が形成される基板の特性により移送ガス、基板および/または真空チャンバーの内部温度範囲は略0℃~略1000℃の間で調整され得る。
【0038】
一方、前述した通り、真空チャンバー230と高速移送管222(または移送ガス供給部210または粉末供給部220)の間の圧力差は略1.5倍~略2000倍であり得る。圧力差が略1.5倍より小さい場合、粉末の高速移送が困難であり得、圧力差が略2000倍より大きい場合、粉末によってかえって基板の表面が過度に食刻され得る。
【0039】
このような真空チャンバー230と移送管222の圧力差により、粉末供給部220からの粉末は移送管222を通じて噴射されると同時に、高速で真空チャンバー230に伝達される。
【0040】
また、真空チャンバー230内には移送管222に連結されたノズル232が備えられて、略100m/s~略500m/sの速度で粉末を基板110に衝突させる。すなわち、ノズル232を通じての粉末は移送中で得た運動エネルギーと高速衝突時に発生する衝突エネルギーによって破砕および/または粉砕されて基板110の表面に一定厚さの多結晶膜を形成することになる。一部の例において、このような多結晶膜形成方法をエアロゾルデポジションと指称したりもする。
【0041】
前述した通り、粉末の平均中心粒径が略1μm~略5μmの場合、粒子の平均中心粒径が略1nm~略500nmである多結晶膜を得ることができ、一例として、多結晶膜の厚さは略1nm~略50μmで提供され得る。
【0042】
多結晶膜の厚さが略50μmを超過する場合には、フレキシブル基板に適用されても厚さの厚い略50μm超過のチャネル領域によってフレキシブル素子を具現できない問題点がある。また、多結晶膜の厚さを略1nm未満に制御することは非常に難しいだけでなく、過度に薄い薄膜はかえって光反応性が弱いため、多結晶膜の厚さは略1nm~略50μmであることが好ましく、より好ましくは略10nm~略10μmであり得る。
【0043】
一方、多結晶膜の形成工程以後に電極形成工程が遂行され得る。一部の例において、電極形成工程は電子ビーム、スパッタリング、または化学的蒸着を通じて遂行され得る。一部の例において、電極を形成する段階は多結晶膜上にチタン層を電子ビームで蒸着する段階と、チタン層上にゴールド層または白金層を電子ビームで蒸着する段階を含むことができる。一部の例において、チタン層はゴールド層を多結晶膜に接着させる役割をし、ゴールド層は電子がよく流れる配線の役割をする。一部の例において、電極は比抵抗が略200ohm/cmより小さい導電性材料、好ましくは略100ohm/cmより小さい導電性材料であれば本発明に適用可能である。
【0044】
一部の例において、電極の厚さは略10nm~略200nmであり得る。一部の例において、チタン層の厚さが略20nm~略40nmであり得、ゴールド層の厚さが略100nm~略200nmであり得る。
【0045】
一方、前述した多結晶膜形成工程および/または電極形成工程以後に熱処理工程がさらに遂行され得る。一部の例において、多結晶膜は略100℃~略1500℃の温度で略1分~略600分間熱処理され得る。このような熱処理によって紫外線センサの反応および回復速度が向上し得る。一部の例において、熱処理はファーネス内に前述した多結晶膜が形成された基板を投入して遂行されるかまたはレーザービームやイオンビームを多結晶膜に直接照射して遂行され得る。
【0046】
図3aおよび図3bは、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサ100を図示した平面図および断面図である。
【0047】
図3aおよび図3bに図示された通り、紫外線センサ100は基板110、多結晶膜120および一対の電極130を含むことができる。
【0048】
基板110は剛性を有する非柔軟性基板からフレキシブル基板まで特に制限なく多様なものが利用され得る。また、基板110は絶縁性基板から導電性基板まで特に制限なく多様なものが利用され得る。一部の例において、基板110はシリコン基板、クォーツ基板、サファイア基板、ポリマー基板、高分子基板または金属基板を含むことができる。
【0049】
多結晶膜120は基板110上に、前述したようにエアロゾルデポジションにより形成され得る。多結晶膜120は2次元薄膜形態で形成され得るが、この時、多結晶膜120はポリアルファ、ベータ相(polyα、βphase)の結晶質またはポリベータ相の結晶質であり得る。多結晶膜120は前述した通り、エアロゾルデポジション方式を通じて形成されるが、このような方式で蒸着工程を少なくとも一回以上遂行することによって容易に多結晶膜、ポリアルファ、ベータ相結晶膜またはポリベータ相の結晶膜を提供することができる。
【0050】
前述した通り、多結晶膜120は基板110上に、エネルギーバンドギャップが略3eV~略11eVである一種類の粉末または多様な種類の粉末が混合された粉末が略100m/s~略500m/sの速度で真空中でノズルを通じて噴射されて多結晶膜120が提供されるが、この時、多結晶膜120をなす粒子の平均中心粒径は略1nm~略500nmであり得る。
【0051】
一部の例において、粉末はMgF、BeO、GaF、SiO、ZrO、MgO、Al、AlN、HfO、GeO、LaAlO、diamond、α-Si、β-Ga、Yb、Nd、ZnGeO、Ta、MgS、InGe、ZnS、NiO、In、ZnSnO、SnO、Nb、GaN、ZnO、WO、CeO、4H-SiC、TiO、NgNiO、MgZnO、BeMgZnO、MgZnS、AlGaN、ZrTiOまたはInGaZnOのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0052】
一部の例において、MgF、BeO、GaF、SiO、ZrO、MgO、Al、AlN、HfO、GeO、LaAlO、diamond、α-Si、β-Ga、Yb、Nd、ZnGeO、Ta、MgSまたはInGeのような粉末はエネルギーバンドギャップが概略4eV~11eVであり、これらを通じて略10nm~略280nmのUVC領域を感知できる紫外線センサが提供され得る。
【0053】
一部の例において、ZnS、NiO、In、ZnSnO、SnO、Nb、GaN、ZnO、WO、CeO、4H-SiCまたはTiOのような粉末はエネルギーバンドギャップが略3eV~4eVであり、これらを通じて略280nm~略400nmのUVA領域を感知できる紫外線センサが提供され得る。
【0054】
一部の例において、NgNiO、MgZnO、BeMgZnO、MgZnS、AlGaN、ZrTiOまたはInGaZnOのような半導体合金粉末はエネルギーバンドギャップが略3eV~略11eVであり、これらを通じて略10nm~400nmのUVC領域、UVB領域およびUVC領域をすべて感知できる紫外線センサが提供され得る。
【0055】
一対の電極130は透明な多結晶膜120の表面とそれぞれ直接接触しながら互いに離隔して配置されることによって、多結晶膜120内にチャネル領域121が提供され得る。このような構造によってMSM(metal-semiconductor-metal)構造が提供され得る。前記2個の電極130は、前述した通り、チタン/ゴールドまたはチタン/白金で形成され得、この他にもクロム/ゴールドで形成され得る。
【0056】
前記2個の電極130は互いに対向して互いに離隔されることによって前記多結晶膜120内のチャネル領域121がその間に露出されるようにし、このような露出された部分が光センサ100のセンシング領域となり得る。すなわち、チャネル領域またはチャネル121がセンシング領域となり得る。
【0057】
一部の例において、2個の電極130はIDT(Interdigital Transducer)タイプで提供され得る。一部の例において、一側の電極131は一つのメイン電極1311と、メイン電極1311から延びた多数のサブ電極1312からなり得、また、他側の電極132も一つのメイン電極1321と、メイン電極1321から延びた多数のサブ電極1322からなり得る。
【0058】
一部の例において、一側のメイン電極1311と他側のメイン電極1321は互いに対向して離隔され得、また、一側のサブ電極1312と他側のサブ電極1322も交互に位置し互いに離隔され得る。図面中の符号133、134はそれぞれ電源供給部および電流センサに電気的に連結される電極パッドである。
【0059】
一部の例において、一側のサブ電極1312と他側のサブ電極1322により多結晶膜120のチャネル領域121が外部で露出され得る。チャネル領域121は所定長さおよび所定ピッチを有することができる。一部の例において、一対のサブ電極1312、1322の個数は略10個~略100,000個であり得、このようなサブ電極1312、1322の個数またはピッチによりチャネル領域121の全体の長さが決定され得る。一部の例において、チャネル領域121の全体の長さは略20mm~略30,000mmであり得る。
【0060】
このような製造方法および構造を有する紫外線センサ100は可視光を吸収せず紫外線のみを吸収する優秀な波長選択性を有するだけでなく、製造費用が従来技術に比べて安く、反応速度も比較的はやい。
【0061】
一例として、本開示に係る紫外線センサ100は略10nm~略400nmの波長を有する光をセンシングすることができる。また、本開示に係る紫外線センサ100は反応速度が略0.1s~略4sであり得る。また、本開示に係る紫外線センサ100は紫外線に露出された時と紫外線に露出されなかった時の出力電流比率(反応、応答または感度)が略6倍~略40,000倍であり得る。
【0062】
図4は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによるGa紫外線センサの特性図である(800℃熱処理)。ここで、(a)は5分間800℃熱処理、(b)は15分間800℃熱処理、(c)は30分間800℃熱処理進行後の特性図である。
【0063】
図4(a)でのようなGa紫外線センサは、紫外線を照射したときに略2.53秒の反応時間(出力電流値が最大値に到達した時間)を示し、紫外線を遮断した時に略0.53秒の回復時間(出力電流値が最低値に到達した時間)を示したし、また、紫外線がある場合とない場合の出力電流比率は略4.81倍であることを見ることができた。
【0064】
図4(b)でのようなGa紫外線センサは、紫外線をオンにした時に略5.81秒の反応時間(出力電流値が最大値に到達した時間)を示し、紫外線をオフにしたときに略3秒の回復時間(出力電流値が最低値に到達した時間)を示したし、また、紫外線がある場合とない場合の出力電流比率は略13.9倍であることを見ることができた。
【0065】
図4(c)でのようなGa紫外線センサは、紫外線をオンにしたときに略5.9秒の反応時間(出力電流値が最大値に到達した時間)を示し、紫外線をオフにしたときに略3.5秒の回復時間(出力電流値が最低値に到達した時間)を示したし、また、紫外線がある場合とない場合の出力電流比率は略7.27倍であることを見ることができた。
【0066】
図5は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによるGa紫外線センサの特性図である(600℃熱処理)。図5でのようなGa紫外線センサは、紫外線をオンにしたときに略4.99秒の反応時間(出力電流値が最大値に到達した時間)を示し、紫外線をオフにしたときに略0.55秒の回復時間(出力電流値が最低値に到達した時間)を示したし、また、紫外線がある場合とない場合の出力電流比率は略9.37倍であることを見ることができた。
【0067】
図6は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによるGa紫外線センサの特性図である(熱処理なし)。図6でのようなGa紫外線センサは、紫外線をオンにしたときに略13.5秒の反応時間(出力電流値が最大値に到達した時間)を示し、紫外線をオフにしたときに略13.8秒の回復時間(出力電流値が最低値に到達した時間)を示したし、また、紫外線がある場合とない場合の出力電流比率は略6.14倍であることを見ることができた。
【0068】
図7aおよび図7bは、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで電極の長さによる出力電流およびオン/オフ比率を図示したグラフである。図7aで「A」で表示された部分に対するオン/オフ比率が図7bに図示されている。ここで、紫外線センサはGaによって製造されたものであり得る。
【0069】
図7aの左側の図面において、X軸はチャネル領域の長さ(mm)でありY軸は最大電流(A)である。図7bでX軸は時間でありY軸は反応、応答または感度(Ip/IO)である。一部の例において、チャネル領域の長さは略10mm~略1800mmであり得る。
【0070】
図7aに図示された通り、本開示に係るGa紫外線センサに備えられた一対の電極にそれぞれ1V、3Vおよび5Vのバイアス直流電圧を印加した状態で紫外線を照射した場合、最大電流(A)が出力された。印加されたバイアス直流電圧が高いほど紫外線に反応して流れる最大電流が増加し、特にチャネル領域の長さが長いほど最大電流が増加した。
【0071】
一方、図7(b)に図示された通り、1Vおよび5Vのバイアス直流電圧よりは、3Vのバイアス直流電圧を印加した場合に反応特性や感度がさらに優秀であった。一部の例において、本発明に係る紫外線センサは、紫外線照射前後の感度比率が略40,000倍まで観察された。
【0072】
図8は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで電極の長さによるmA級レベルの出力電流を図示したグラフである。ここで、紫外線センサはGaによって製造されたものであり得る。図8でX軸はチャネル領域の長さ(mm)でありY軸は最大電流(A)である。一部の例において、チャネル領域の長さは略10mm~略30,000mmであり得る。
【0073】
図8に図示された通り、本開示に係るGa紫外線センサに備えられた一対の電極に、それぞれ1V、3Vおよび5Vのバイアス直流電圧を印加した状態で紫外線を照射したし、この時、最大電流(A)が出力された。印加されたバイアス直流電圧が高いほど紫外線に反応して流れる最大電流が増加し、チャネル領域の長さが長いほど最大電流が増加した。一部の例において、チャネル領域の長さが略25,000mmを超過する場合、数mAの最大電流が流れることによって、比較的小さい数の増幅回路を有する簡単な信号処理回路によってセンシング信号が処理され得る。したがって、紫外線センサの値段を低くすることができる。
【0074】
図9は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサで粉末サイズによる多結晶膜の透明度を比較したグラフである。図9でX軸は波長(nm)を意味し、Y軸は光透過率(%)を意味する。
【0075】
図9に図示された通り、平均中心粒径が略1μmである粉末で多結晶膜を形成する場合、略300nm~略800nmの波長を有する光で略60%~略80%の光透過率が観察された。しかし、平均中心粒径が略5μmである粉末で多結晶膜を形成する場合、略300nm~略800nmの波長を有する光で略10%より小さい光透過率が観察された。
【0076】
したがって、平均中心粒径が略1μmである粉末で製造した多結晶膜が平均中心粒径が略5μmである粉末で製造した多結晶膜に比べてさらに緻密であり、これに伴い、素子特性がよく具現されることが分かる。
【0077】
図10は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
【0078】
図10に図示された通り、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサ100Aは、導電性基板または絶縁性基板上に比抵抗が略100ohm/cmより小さい(例えば、略10ohm/cm~略100ohm/cm)電極131が提供された基板110と、基板110および電極131上に、エネルギーバンドギャップが略3eV~略11eVである一種類の粉末または多様な種類の粉末が混合された粉末が略100m/s~略500m/sの速度で真空中でノズルを通じて噴射されて多結晶膜120が提供されるものの、多結晶膜120をなす粒子の平均中心粒径が1nm~500nmである多結晶膜120と、多結晶膜120上に提供された少なくとも1個の電極132を含むことができる。一部の例において、多結晶膜120の厚さは略1nm~略50μmであり得る。一部の例において、下部電極131は基板110の上面全体に提供され得、下部電極131は実質的に上部電極132と交差する形態であり得る。
【0079】
このようにし、本開示に係るエアロゾルデポジションによる紫外線センサ100Aは、いずれか一電極131が多結晶膜120の内部にエンベデッドされ、他の一電極132が多結晶膜120の表面に提供されることによって、電極による光遮り現象が最小化されてセンサの感度がさらに向上し得る。
【0080】
図11は、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
【0081】
図11に図示された通り、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサ100Bは、多結晶膜120および電極130を覆う保護層140をさらに含むことができる。一部の例において、電極130の一部領域(例えば、ボンドパッド)は外部回路とワイヤボンディングされるために保護層140を通じて露出され得る。一部の例において、保護層140はSiO、Si、Alのような無機膜またはポリイミドのような有機膜を含むことができる。一部の例において、無機膜保護層140はCVDまたはエアロゾルデポジション方式によって提供され得、有機膜保護層140はコーティングまたはラミネーション方式によって提供され得る。一部の例において、保護層140は光透過率が略50%~略99.9%である材料であれば本発明に適用され得る。
【0082】
このようにして、本開示に係る例示的紫外線センサ100Bは保護層140が電極130を水分やホコリのような外部の異物から保護することによって、互いに対向する電極間で発生し得る漏洩電流を防止することができる。一例として、電極間のピッチが数μmより小さい場合、電極間漏洩電流によって光感度が低下し得るが、保護層140はこのような漏洩電流の発生および光感度の低下現象を防止することができる。
【0083】
図12aおよび図12bは、本開示に係る例示的エアロゾルデポジションによる紫外線センサを図示した断面図である。
【0084】
図12aに図示された通り、紫外線センサ100Cは基板110および多結晶膜120の中央領域が略凹んでいる構造を有することができる。一部の例において、基板110および多結晶膜120の縁領域の厚さに比べて中央領域の厚さが次第に小さくなり得る(例えば、凹レンズに類似している)。このような紫外線センサ100Cはセンシング感度が向上し得る。
【0085】
図12bに図示された通り、紫外線センサ100Dは基板110および多結晶膜120の中央領域が略膨らんでいる構造を有することができる。一部の例において、基板110および多結晶膜120の縁領域の厚さに比べて中央領域の厚さが次第に大きくなり得る(例えば、凸レンズに類似している)。このような紫外線センサ100Dはセンシング領域が増加し得る。
【0086】
以上で説明したものは本開示に係る例示的紫外線センサを実施するための一つの実施例に過ぎず、本発明は前記の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求するように本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
【国際調査報告】