(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ボール型作動体が備えられた免震装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F16F15/02 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543322
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2023004186
(87)【国際公開番号】W WO2024019252
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0090848
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523272177
【氏名又は名称】チャムソル テク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ソン チョル
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA07
3J048BG02
3J048CB22
3J048DA01
3J048EA13
(57)【要約】
本発明は、簡単な構成により、免震過程でのボールの離脱や、それに伴う装置の機能の消失や故障などを防止できるようになったボール型作動体が備えられた免震装置に関するものである。
本発明によると、上部に保護対象物10が搭載され、底面に一定の大きさの上側ローリング溝33が形成された上部パネル31と、前記上部パネル31に対応して地面側に備えられ、上面に前記上側ローリング溝33に対向する下側ローリング溝34が形成された下部パネル32と、上側ローリング溝33と下側ローリング溝34上に内在され、転動可能になった球状のボール作動体35と、を含み、上側ローリング溝33と下側ローリング溝34のうち少なくとも前記下側ローリング溝34には、溝の中心部から拡張形成されるように一定の曲率で湾曲した中央ローリング面36と、中央ローリング面36の周縁上端に形成されるピークライン37と、前記中央ローリング面36に対して変曲するように前記ピークライン37から水平になるか、または前記ピークライン37から下向きに延びるように形成された変曲ローリング面38と、前記変曲ローリング面38の周縁部に接した外周において一定の高さに形成された離脱防止突部39を含むボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に保護対象物(10)が搭載され、底面に一定の大きさの上側ローリング溝(33)が形成された上部パネル(31)と、
前記上部パネル(31)に対応して地面側に備えられ、上面に前記上側ローリング溝(33)に対向するように下側ローリング溝(34)が形成された下部パネル(32)と、
前記上側ローリング溝(33)と下側ローリング溝(34)上に内在され、転動可能になった球状のボール作動体(35)と、を含み、
前記上側ローリング溝(33)と下側ローリング溝(34)のうち少なくとも前記下側ローリング溝(34)には、
溝の中心部から拡張形成されるように一定の曲率で湾曲した中央ローリング面(36)と、
前記中央ローリング面(36)の周縁上端に形成されるピークライン(37)と、
前記中央ローリング面(36)に対して変曲するように前記ピークライン(37)から水平になるか、または前記ピークライン(37)から下向きに延びるように形成された変曲ローリング面(38)と、
前記変曲ローリング面(38)の周縁部に接した外周で一定の高さに形成され、前記ボール作動体(35)の離脱を阻止する離脱防止突部(39)を含むことを特徴とする、ボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項2】
前記ボール作動体(35)には、リング状となったボールガイド(41)が結合されたことを特徴とする、請求項1に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項3】
前記下部パネル(32)の底面には、弾性素材からなる粘着性のベースパッド(21)が備えられたことを特徴とする、請求項1または2に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項4】
前記上側ローリング溝(33)と下側ローリング溝(34)上には、前記離脱防止突部(39)を含む面上に樹脂材質による弾性コーティング層(42)が形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項5】
前記上部パネル(31)と下部パネル(32)は、弾性バンド(50)によって互いに結合されたことを特徴とする、請求項1または2に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項6】
前記上部パネル(31)上には、一定の高さに距離をあけて離隔板(53)が設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項7】
前記間隔板(53)は、前記上部パネル(31)上に一定の高さに直立する弾性ポール(54)上に設けられたことを特徴とする、請求項6に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【請求項8】
前記中央ローリング面(36)は、中心から外周に向かうほど、前記弾性コーティング層(42)の厚さが徐々に厚く形成されたことを特徴とする、請求項4に記載のボール型作動体が備えられた免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール型作動体が備えられた免震装置に関するものであり、より詳細には、簡易な構造により、免震過程でのボールの離脱やそれに伴う装置の機能の消失や故障などを防止できるようになったボール型作動体が備えられた免震装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の基礎や耐力壁のような構造要素を除く建物内部の重要な物または施設や装置などのような非構造要素を保護するように設けられる免震装置は、大抵地面に接触する下板と被保護物が搭載される上板との間に免震動作を行う作動体が介在されたものであり、この作動体は、通常スプリングやボールまたはLMガイドなどを用いている。
【0003】
このような免震装置において、ボール型の作動体が備えられた免震装置は、下板と上板上に相互対応したローリング溝を形成し、該ローリング溝上にスチール材質となった球状のボールが内在されるようにしたものであり、従来では上板と下板自体やローリング溝上に離脱防止のための別途の構成がないため、装置の作動過程でボールが上板や下板から離脱することにより、装置の免震機能が失われるか装置自体の故障が発生する恐れがあり、一部では前述の問題点に着目して上板と下板上に別途の離脱防止手段をさらに取り付け、装置の構成が複雑になるだけでなく、これによる組み立てなどの製作上の煩わしさが生じるものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、 前述のような問題点を解決するためのものであり、本発明は、別途の構成を付加しない状態で簡単な溝構造により免震過程でのボールの離脱やそれに伴う装置の機能の消失及び故障などを防止することができ、簡単な構造により装置自体のコンパクトな状態を維持し、装置の製作や組み立てなどの煩わしさを解消することができるボール型作動体が備えられた免震装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴によると、上部に保護対象物10が搭載され、底面に一定の大きさの上側ローリング溝33が形成された上部パネル31と、
前記上部パネル31に対応して地面側に備えられ、上面に前記上側ローリング溝33に対向するように下側ローリング溝34が形成された下部パネル32と、
前記上側ローリング溝33と下側ローリング溝34上に内在され、転動可能になった球状のボール作動体35と、を含み、
前記上側ローリング溝33と下側ローリング溝34のうち少なくとも前記下側ローリング溝34には、
溝の中心部から拡張形成されるように一定の曲率で湾曲した中央ローリング面36と、
前記中央ローリング面36の周縁上端に形成されるピークライン37と、
前記中央ローリング面36に対して変曲するように前記ピークライン37から水平になるか、または前記ピークライン37から下向きに延びるように形成された変曲ローリング面38と、
前記変曲ローリング面38の周縁部に接した外周で一定の高さに形成され、前記ボール作動体35の離脱を阻止する離脱防止突部39を含むことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0006】
本発明の他の特徴によると、前記ボール作動体35には、リング状となったボールガイド41が結合されたことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の特徴によると、前記下部パネル32の底面には、弾性素材からなる粘着性のベースパッド21が備えられたことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によると、前記上側ローリング溝33と下側ローリング溝34上には、前記離脱防止突部39を含む面上に樹脂材質による弾性コーティング層42が形成されたことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によると、前記上部パネル31と下部パネル32とは、弾性バンド50によって相互結合されたことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によると、前記上部パネル31上には、一定の高さに距離をあけて離隔板53が設けられることを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によると、前記離隔板53は、前記上部パネル31上に一定の高さに直立する弾性ポール54上に設けられたことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によると、前記中央ローリング面36は、中心から外周に向かうほど前記弾性コーティング層42の厚さを厚く形成したことを特徴とするボール型作動体が備えられた免震装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によると、球状のボール作動体35が転動するように形成された上側ローリング溝33と下側ローリング溝34の形状が一定の曲率で湾曲した中央ローリング面36の周縁上端にピークライン37が形成され、該ピークライン37の外周に中央ローリング面36に対して曲率が異なる変曲ローリング面38が形成されることにより、上部パネル31と下部パネル32自体の高さや体積を大きくしてローリング面の周縁突部を高く形成しなくても、離脱防止突部39の高さが相対的に高くなる結果となり、ボール作動体35の離脱を防止し、さらにピークライン37の前後で変曲するローリング面によってボール作動体35の移動速度を遅らせることができるだけでなく、これにより、ボール作動体35の離脱または免震機能が低下することを防止することができるという利点がある。
【0014】
また、本発明のボール作動体35には、リング状となったボールガイド41が結合されることにより、ボールガイド41自体の重さや材質により一種のウェイトやバンパーの役割を果たして、ボール作動体41の移動や原状復帰するなどの速度を遅らせるだけでなく、特に1秒を超える周期を有する長周期の地震の発生時や上部パネル31が持ち上げられる大きな変位を引き起こす地震などで、ボール作動体35が打たれるか離脱されることを防止することができるという利点がある。
【0015】
これに関連して、免震機能の遂行過程で、上部パネル31が持ち上げられる場合が生じることもあるが、このとき、本発明のボール作動体35は、ボールガイド41がローリング面上に面接触した状態で移動するだけでなく、ローリング面上に弾性コーティング層42が形成されることにより、ボール作動体35の復帰過程で中央ローリング面36に沿って流れ落ちる復帰速度が遅くなり、この過程で、上部パネル31が下降するときにボール作動体35が上部パネル31の範囲から外れるか、ボール作動体35を打つことなく、上部パネル31内に閉じ込められ、正常な転動が可能な利点がある。
【0016】
また、本発明のボールガイド41は、ボール作動体35の作動過程で、ローリング面に接触支持可能であり、ボール作動体35自体のみが備えられた場合、ローリング面上に点接触することによる過度なスリップ現象が生じることを防止し、安定した走行とそれに伴う良好な免震機能が可能な利点がある。
【0017】
また、本発明は、ローリング溝上に離脱防止突部39を含んで全体として弾性コーティング層42が形成されることにより、ボール作動体35のローリング過程での過度なスリップなどを防止するとともに、ボールガイド41との緩衝効果などを極大化できるという利点があり、下部パネル32の底面に弾性素材からなる粘着性のベースパッド21を取り付けて設置場所での装置の緩衝及び滑りを防止し、垂直振動などによる装置の離脱や持ち上げなどを防止して安定した支持状態を維持できるという利点がある。
【0018】
また、本発明は、上部パネル31と下部パネル32を弾性バンド50によって相互結合することにより、水平または垂直方向に振動する地震などによって上部パネル31と下部パネル32との分離やボール作動体35の離脱を防止することができ、上部パネル31上に離隔板53が設けられ、弾性バンド50に荷重が直接伝達されることを防止し、伸縮動作などに妨げられない状態で設置可能であり、前記離隔板53などを設けるときに弾性ポール54により上部パネル31上に設け、保護対象物10の荷重などを弾性的に支持及び緩衝することができるという利点がある。
【0019】
また、本発明の中央ローリング面36は、中心から外周に向かうほど弾性コーティング層42の厚さを徐々に厚く形成して、大地震の発生時に震度に比べてボール作動体35の移動距離を小さく形成することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る動作状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る追加構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5の構成に係る動作状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に係る様々な製作状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の実施例に係る他の例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前述した本発明の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明によってより明らかになるだろう。以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明すると、次のとおりである。
【0022】
図1~
図11は、本発明の様々な実施例を図示したものである。
図1に示しているように、本発明の免震装置20は、重要な装備または物品自体や、これを保管するキャビネットなどのような保護対象物10を搭載して地震のような外部衝撃から保護できるようになったものであり、これは、保護対象物10を安定して支持するように略正方形パネル状になった1個または複数個の免震駆動ユニット30を保護対象物の底面に配置し、複数個の免震駆動ユニット30の場合、連結部材(40)によって相互連結された状態で一体化したものである。
【0023】
このような本発明は、前記面振駆動ユニット30を設けるために、地面上にベースパッド21を優先的に敷き、該ベースパッド21上に前記免震駆動ユニット30を設けるが、前記面振駆動ユニット30は、設置場所の底面側に位置するように前記ベースパッド21上に固定設置される下部パネル32と、該下部パネル32に対応して保護対象物10が搭載される上部パネル31を含んで構成されるが、前記ベースパッド21は下部パネル32の底面に先接着された状態で下部パネル32を地面側に設けることもできる。
【0024】
このような本発明の免震駆動ユニットを含む細部的な構成を、
図2~
図4によって説明すると、次のとおりである。
図2~
図4に示しているように、前記上部パネル31と下部パネル32とは互いに対応するように同じ大きさに上下に対向した状態で配置されるが、前記上部パネル31の底面には円形となった上側ローリング溝33が形成され、下側パネル32の上面には、前記上側ローリング溝31に対向するように同じ大きさの下側ローリング溝34が形成され、このような上側パネル31と下側パネル32には、前記上側ローリング溝33と下側ローリング溝34上に球状のボール作動体35が内在される。
【0025】
このような免震駆動ユニット30によっては、ボール作動体35が転動可能であり、地面側に設けられた下部パネル31に対して上部パネル31が相対運動可能なものであり、これは、地震などの衝撃の発生時に地盤の動きに対して上部パネル31上に搭載された保護対象物10が揺れの少ない状態を維持するように作動される。
【0026】
ここで、前記下部パネル32は、ベースパッド21上に安着した状態で設けられるが、前記ベースパッド21は弾性素材などで製作され、免震駆動ユニット30が地面上に安定して支持され、滑りなどによるスリップなどを防止して堅固な支持状態を維持できるように付加されるものだけでなく、それ自体が粘着性を有するように製作されるか、別途の接着成分により前記下部パネル32を付着すると、垂直振動などにより装置が持ち上げられることを防止し、安定した支持状態を維持することになる。
【0027】
一方、本発明の上側ローリング溝33と下側ローリング溝34とは、溝の中心部から一定の面積に拡張形成された中央ローリング面36と、該中央ローリング面36の周縁に変曲した状態の変曲ローリング面38が形成されたものであり、前記中央ローリング面36は、中央から外周に向かうほど上向きになる曲率で湾曲するように凹状に形成され、前記変曲ローリング面38は、中央ローリング面36に対して変曲した状態で形成されるが、このとき、前記中央ローリング面36と変曲ローリング面38との境界線上には、前記中央ローリング面36の周縁の上端に円形線状のピークライン37が形成され、前記変曲ローリング面38は、ピークライン37から水平になるか、または約1度前後の微細な角度で下向きに延びるように形成される。
【0028】
また、前記上側ローリング溝33と下側ローリング溝34の周縁には、変曲ローリング面38の外周に一定の高さの離脱防止突部39が形成され、前記変曲ローリング面38の幅または前記ピークライン37から離脱防止突部39の上端間の水平距離Lは、ボール作動体35の半径Rに比べて相対的に大きく形成され、ボール作動体35がピークライン37を越えて変曲ローリング面38上にも位置可能になったものである。
【0029】
このような本発明によると、免震作動過程中にボール作動体35がピークライン37を超える前後過程でのボール作動体35の加速を抑制して移動速度を遅らせることができるだけでなく、これにより免震動作を安定して行えるようになり、これは、上部パネル31や下部パネル32自体の体積を大きくしない状態でも、離脱防止突部39の高さを高めてボール作動体35の離脱を効果的に防止するという点で、コンパクトな装置を具現するのに利点がある。
【0030】
また、
図5(a)および(b)に示しているように、前記ボール作用体35には、リング状となったボールガイド41を結合することができ、前記ボールガイドは、ボール作動体35の上部と下部の一部が露出するようにボール作動体の外周上に水平方向に結合され、該ボールガイド41によっては、ボール作動体35の作動中に一側または底面がボール作動作動体35の周縁で追加的な線または面接触が可能になるが、これは、ボール作動体35のみで備えられた場合に、上側ローリング溝33と下側ローリング溝34上に点接触した状態で備えられ、過度なスリップが作動する恐れがあるのに対し、本実施例では、ボールガイド41がローリング面上に多地点または面接触され、ボール作動体35の安定した作動と進行または復帰過程での安定した走行が可能となる。
【0031】
また、このようなボールガイド41が取り付けられた場合でも、それ自体の弾性収縮などにより免震過程でボール作動体35がピークライン37を越えて変曲ローリング面38上に位置することが可能であり、このとき、ボールガイド41は、離脱防止突部39上に接触することによるダンピング効果を発揮して、ボール作動体35の離脱を防止するとともに、ボール作動体35が中央ローリング面36側に復帰する速度を安定して遅らせることができ、前記上側ローリング溝33と下側ローリング溝34上には、中央ローリング面36と変曲ローリング面38及び離脱防止突部39上にウレタンなどの弾性素材により弾性コーティング層42を形成しており、このような弾性コーティング層42と前述のボールガイド41とは、滑りや衝撃などに対する緩和効果を発揮して、ボール作動体35の移動過程での過度なスリップを防止するとともに、移動や復帰速度などを遅らせて安定した免震動作が可能となり、このとき、離脱防止突部39に塗布される弾性コーティング層42は、ボール作動体35が当たるときの衝撃を緩和して免震特性を良好にすることができる。
【0032】
これに関連して、地震発生過程で上部パネル31が持ち上げられる場合を、
図6によって説明すると、次のとおりである。
図6(a)および(b)に示しているように、水平または垂直振動によってボール作動体35が中央ローリング面36と変曲ローリング面38上で移動する過程で、上部パネル31が持ち上げられる場合が生じることもあるが、このとき、本発明のボール作動体35は、ボールガイド41がローリング面上に面接触した状態で移動されるだけでなく、ローリング面上に弾性コーティング層42が形成されることにより、ボール作動体35の復帰過程で中央ローリング面36に沿って流れ落ちる復帰速度が遅くなり、この過程で上部パネル31が下降するときにボール作動体35が上部パネル31の範囲から外れるか、ボール作動体35を打つことなく、上部パネル31内に閉じ込められ、正常な転動が可能となる。
【0033】
また、
図7(a)および(b)に示しているように、前述のような上側ローリング溝33と下側ローリング溝34とを、前述のように中央ローリング面36と変曲ローリング面30及びピークライン37から構成された変曲面状に作製するにあたり、スチール板材43を一定の曲率で曲げられた凹溝44を形成した後に、該スチール板材43の凹溝44上に前述のようなウレタンなどを塗布して弾性コーティング層42を形成する過程で塗布厚さを異ならせ、前述のような中央ローリング面36とピークライン37及び変曲ローリング面38を形成するか、スチール板材43自体に凹溝44を形成するときに、中央ローリング面36とピークライン37及び変曲ローリング面38を形成するように成形した後に、弾性コーティング層42を均一に形成することもできる。
【0034】
一方、前記上部パネル31と下部パネル32とは、上下に振動する地震などによる装置の分離などを防止できるように弾性バンド50によって一体に結合することができるが、これを
図8および
図9によって説明すると、次のとおりである。
【0035】
図8(a)及び(b)に示しているように、前記上部パネル31及び下部パネル32は、一定の幅を有する帯状となった伸縮素材の弾性バンド50により一体に包むように備えられたものであり、該弾性バンド50は、上部パネル31と下部パネル32の面上に面接触した状態で密着されるが、このとき、弾性バンド50は、一字状に上部パネル31と下部パネル32とを包むように備えられてもよく、前記上部パネル31と下部パネル32の面上には、前記弾性バンド50を挿入可能なバンド溝51が形成され、上部パネル31上に搭載される保護対象物10や地面に接触する下部パネル32が押されることを防止し、これにより弾性バンド50の伸縮動作が低下することを防止するようになったものである。
【0036】
ここで、前記バンド溝51は、弾性バンド50の厚さ以上になったパッドを左右に間隔をあけて接着して簡便に作製及び形成することができ、このとき、前記パッドに伸縮素材を用いると、荷重に対する緩衝効果をさらに付与することができる。
【0037】
また、
図9(a)および(b)に示しているように、前記弾性バンド50は、前述の一字状の以外にも、十字状に上部パネル31と下部パネル32とを一体に包むように設けられてもよいだけでなく、必要に応じて、上部パネル31と下部パネル32の側面上にバンド掛け52を設け、該バンド掛け52上に弾性バンド50を設けることもでき、このような弾性バンド50によっては、短周期や長周期の地震にかかわらず、上部パネル31と下部パネル32との密着感を増大させ、内部のボール作動体35が離脱することを防止できるだけでなく、これによる装置の免震機能を安定して行うことができるという利点がある。
【0038】
また、
図10に示しているように、前記上部パネル31の上面には、一定の高さに距離をあけて離隔板53をさらに設けてもよいが、該離隔板53によっては、保護対象物10の設置位置を高める必要があるか、他の設置条件などに応じて付加できるものであり、このとき、前記離隔板53は、上部パネル31の四角コーナーに配置される一定の長さの間隔材により設けられてもよく、前記間隔材は、一定の長さとなった弾性ポール54で備えられ、緩衝効果を発揮できるように備えられるものである。
【0039】
ここで、前記弾性ポール54は、弾性材質の樹脂により弾性ボディー55を形成し、該弾性ボディー55の上端と下端にボルト56やナット57が一体に二重射出して製作されてもよく、このような弾性ポール54は、上部パネル31と離隔板53上にボルト56とナット57とによって容易にねじ締結することができ、弾性ボディー55によっては、離隔板53上に搭載される保護対象物10の荷重による衝撃を緩和することができる。
【0040】
また、
図11に示しているように、前記中央ローリング面36は、中心から外周に向かうほど前記弾性コーティング層42の厚さを徐々に厚く形成することができるが、これにより、大きな地震の発生時に震度に比べてボール作動体35が移動する距離を小さく形成することができ、このとき、弾性コーティング層42のコーティング開始地点は、ローリング面の中央付近で選択的に塗布することができるだけでなく、このような場合には、ローリング面の中央に弾性コーティング層42が部分的に塗布されないこともある。
【0041】
以上で説明した本発明は、前述した実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想から外れない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有す者にとっては明らかであろう。
【国際調査報告】