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▶ ウォルフクラン ホールディング アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】接続装置を有する下弦材接続装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/66 20060101AFI20240801BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B66C23/66 Z
F16B5/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568225
(86)(22)【出願日】2023-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2023067700
(87)【国際公開番号】W WO2024003167
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】102022116387.3
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】22203025.6
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523414939
【氏名又は名称】ウォルフクラン ホールディング アーゲー
【氏名又は名称原語表記】WOLFFKRAN HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ハイドリッヒ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセンミュラー ビョルン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデンブランド ステフェン
(72)【発明者】
【氏名】インゲルフィンガー ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテック パトリック
【テーマコード(参考)】
3F205
3J001
【Fターム(参考)】
3F205AA01
3F205AA03
3F205CA01
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA10
3J001KA12
3J001KB04
(57)【要約】
本発明は、接続装置、特にタワークレーンのカンチレバーのカンチレバーセグメント(1)を接続するものに関し、これは、-第1のカンチレバーセグメント(1a)の第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第1の締結部(9、10、63、64)と、第2のカンチレバーセグメント(1b)の第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第2の締結部(61、62)とを有する少なくとも1つの接続ボルト(6)と、ここで、第1の締結部(9、10、63、64)は、第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための取外し可能なねじれを防止する接続手段を備え、第2の締結部(61、62)は、第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するためのセンタリングマンドレルを備え、センタリングマンドレルは、差込み部(8)を受けるための半径方向の固定溝、特に連続的な固定溝を有しており、-第2の圧力板(5、5a、5b、5c)の対応する貫通孔(54、56)に挿入するためのセンタリングスリーブ(7)とを備え、センタリングスリーブは、第2の締結部(61、62)を確実に受けるための内部断面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続装置(4a)を有する下弦材接続装置であって、特にタワークレーンのカンチレバーのカンチレバーセグメント(1)を接続するためのものであり、
第1のカンチレバーセグメント(1a)の第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第1の締結部(9、10、63、64)と、第2のカンチレバーセグメント(1b)の第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第2の締結部(61、62)とを備えた、少なくとも1つの接続ボルト(6)と、
前記第1の締結部(9、10、63、64)は、前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための取外し可能なねじれを防止する接続手段を備え、
前記第2の締結部(61、62)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するためのセンタリングマンドレルを備え、前記センタリングマンドレルは、差込み部(8)を受けるための半径方向の固定溝(69)、特に連続した固定溝を備え、
前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)の対応する貫通孔(54、56)に挿入するためのセンタリングスリーブ(7)であって、前記第2の締結部(61、62)を確実に受けるための内部断面を有するセンタリングスリーブと
を備えた、接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項2】
前記センタリングマンドレルは、前記第2の締結部(61、62)に向かって先細になる断面を有し、かつ、第1の円筒状の側方断面に隣接し、
前記センタリングマンドレルは、組み立てられた状態で、前記センタリングスリーブに、特に形状が合う方法で、収容可能である、請求項1に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項3】
前記センタリングスリーブ(7)は、フランジ面(75、76)を有する、前記センタリングスリーブ(7)の軸方向端部に設けられた完全な周囲フランジ(70)又は部分的な周囲フランジ(70)を備え、かつ、組み立てられた状態で、前記第2の締結部(61、62)の方向に配置された、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項4】
前記フランジ(70)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に固定するための非回転式で締結する1以上の締結手段により、フランジ面(75、76)及び穴(78)が設けられた、請求項3に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項5】
前記第1の締結部(63、64)は、特に前記第2の締結部(61、62)に直接的に隣接する第2の円筒状側面部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項6】
ねじ山部(64)は、前記第1の締結部(63、64)を、ねじによって前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に固定するための第2の円筒状側面部(63)に隣接する、請求項5に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項7】
第2の円筒状のシェル表面部(63)は、回転防止手段を備え、前記回転防止手段は、特に、前記第2の円筒状のシェル表面部から突出したセンタリングピン(613)によって形成された、請求項5~6のいずれか1項に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項8】
前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)は、前記センタリングスリーブ(7)を、形状及び摩擦による固定方法によって軸方向及び半径方向に受けるための連続した第2の貫通孔(56)を備えた、請求項1~7のいずれか1項に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項9】
前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)は、第2の側面部(63)を、形状及び摩擦による固定方法によって軸方向及び半径方向に受けるための第1の貫通孔(54)を備え、
組み立てられた状態において、前記第2の締結部(61、62)の第1の側面部(62)の軸方向端部が、前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に当接する、請求項1~8のいずれか1項に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項10】
前記第1の側面部(62)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)の厚さと少なくとも等しい軸方向の長さを有しており、
前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)及び前記第2の圧力板が互いに当接する組み立てられた状態において、前記差込み部(8)が挿入されたときに、前記第2の締結部(61、62)の方向において、力が前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に加わるように、前記固定溝(69)が設けられた、請求項9に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項11】
少なくとも1つの他の接続ボルト(6)は、前記第2のカンチレバーセグメント(1b)の前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第1の締結部と、前記第1のカンチレバーセグメント(1a)の前記第1の圧力板に締結するための第2の締結部とを備えており、
前記第1の締結部(63、64)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための取外し可能な接続手段を備え、
前記第2の締結部(61、62)は、前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するためのセンタマンドレルを備え、前記センタリングマンドレルは、差込み部(8)を受けるための半径方向の固定溝、特に連続的な固定溝を有し、
前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)の対応する貫通孔に挿入するためのセンタリングスリーブ(7)は、前記第2の締結部(61、62)を、形状が合う方法で受けるための内部断面を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項12】
前記下弦材接続装置は、前記カンチレバーセグメント(1a,1b)の2つの下弦材(3)を互いに接続し、
固定装置(4b)が、前記2つの下弦材(3)の端面に設けられ、前記下弦材(3)の軸方向における横方向の変位に対して前記下弦材(3)を固定する、請求項1~11のいずれか1項に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項13】
前記固定装置(4b)は、
前記第1の圧力板(5、5b、5c)に締結するための第1の締結部と、前記第2の圧力板(5、5a、5c)に締結するための第2の締結部とを有する少なくとも1つのスクリューマンドレル(40)を備え、
前記第2の締結部は、前記スクリューマンドレル(40)を前記第2の圧力板(5、5a、5c)に取り付けるための側面部(42)を有し、
前記第2の圧力板(5、5a、5c)の貫通孔(57)に挿入するためのブッシング(45)が設けられ、
前記ブッシング(45)は、前記第2の締結部の側面部(42)を受ける内壁(46)を有する、請求項12に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項14】
前記第1の締結部は、前記スクリューマンドレル(40)を前記第1の圧力板(5、5b、5c)のねじ穴(58)に締結するためのねじ部(41)を備えた、請求項13に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項15】
前記第2の締結部の側面部(42)は、形状及び摩擦による固定方法によって前記貫通孔(57)に受けられる、請求項13又は14に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワークレーンのカンチレバー、特に、当該技術分野においてトロリーカンチレバー又はトロリーキャリッジとして知られるクレーン部品の形式のカンチレバーに関する。さらに、本発明は、このようなカンチレバーのためのカンチレバーセグメントの接続のための下弦材接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
タワークレーンのカンチレバーは、通常、接続装置によって取外し可能に接続された個々のカンチレバーセグメントで構成される。このようなカンチレバーは、他の構造的な特徴に加えて、少なくとも1つの下弦材と、少なくとも1つの上弦部材とを有する。下弦材は、正方形の外形を有する鋼管で作られることが好適であり、上弦部材は、平らな鋼、正方形の外形を有する鋼管、又は円形の外形を有する鋼管で作られることが好適である。少なくとも1つの上弦部材は、引張荷重によって生じる力を吸収するために、主に機能し、また、カンチレバーセグメントの頭部領域に配置する。少なくとも1つの下弦材は、圧縮荷重によって生じる力を吸収するために、主に機能し、カンチレバーセグメントの足部領域に配置される。カンチレバーセグメントは、それらが互いに接続される領域における接続装置を特徴とする。これらの接続装置は、各カンチレバーセグメントのための、少なくとも1つの上弦部材又は少なくとも1つの下弦材の端面を閉じる。
【0003】
タワークレーンのカンチレバーの特定のレイアウトは、それらが、専門家の間でトロリー又はクラブとして知られている偏向装置である巻上げロープ用の偏向装置のための、トラック(レースウェイ)と、横方向ガイドとを備えるため、トロリーカンチレバー又はトロリーキャリッジと呼ばれる。
【0004】
そのような鋼鉄製構造物又はクレーンカンチレバーが、接続装置によって接続される、トラス又は格子構造に基づく鉄鋼構造又はカンチレバーセグメントを有する限りにおいて、このようなカンチレバーは、例えば、移動式の鉄製製ホール又はフェスティバルホールの建設のために、又は、移動式の港湾クレーン又は半固定式のストレージヤードクレーンのような他の種類のクレーンのカンチレバーのために、鋼鉄製構造物内でも使用できる。
【0005】
タワークレーンのカンチレバーの個々のカンチレバーセグメントは通常、好適にはクレーンの試運転の前に地上において、互いに接続され、すなわち、組み立てられる。例外的な場合には、カンチレバーセグメントは、取り外し可能な接続技術を用いて、既に稼働しているタワークレーンのカンチレバーに追加され、カンチレバーが延長される。したがって、取り外し可能な接続は、双方の取り付けシナリオに適していなければならず、また、適切に構造的に設計されなければならない。
【0006】
カンチレバーセグメントで構成されるそのようなカンチレバーの構築に用いられる接続技術は、僅かな接続部品のみを含み、これらは通常、取り扱いがし易く、メンテナンスが不要で、バックラッシュが無く、摩耗が少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タワークレーンのカンチレバーは、例えば、欧州特許出願公開第1728756号明細書によって知られている。このカンチレバーは、2つのカンチレバーセグメント品の間のトラニオンとセンタリングピンによって形成された接続装置を特徴とし、これらのピンとセンタリングピンを受ける独立した凹部と、互いに作用的に接続され、一方ではカンチレバーセグメントを互いに固定し、他方では互いに取外し可能に接続する固定部品とを有する。専門家の間では、この接続装置は、Liebherr LiConnect(「LIEBHERR ECB LiConnect」ウェブサイトパンフレットのp.18を参照)としても知られている。このようなカンチレバーセグメントの下弦材接続装置の第1の欠点は、接続装置が、その配置が原因で、下弦材の端面の限られた領域を介してのみ、力を吸収し得ることである。足側の下弦材の間に位置するECBカンチレバーのクロスメンバーは、鉄鋼構造の観点において互いに接続領域で直接接続されないため、セグメントの前面接続領域内で力を伝達せず、換言すると、互いに機械的に直接接続されない。したがって、伝達された力が、トラニオンの外側に位置する端面の領域を介して、限られた領域にのみ伝わるため、LiConnectのコンセプトによって設計された接続装置の摩耗パターンは、顕著になる。その結果として生じる耐力パターンは、局所的に非常に高い力と、それに伴うストレスピークの発生によって区別される。
【0008】
さらに、カンチレバーの足部領域においてタワークレーンの回転によって発生する横方向の力と、その結果として生じるモーメントは、このように設計された接続装置によっては、完全に吸収されない。換言すると、局所的な反対のモーメントは、特にトラニオンによって生じず、これにより、その足部領域、特に接続装置の足部領域において、カンチレバーセグメントの変形が、永続的に大きくなる可能性がある。したがって、カンチレバー構造は、下弦材における鉄鋼構造と、カンチレバーセグメントのトラスにおけるこれらの統合を強固にする必要がある。この文脈では、他の欠点は、いわゆるシーリングコーキング、すなわち、接続部品の永続的な確実な適合を保証するために、特に、下弦材(いわゆるジョイント)の終端領域における接続装置の比較的複雑な構造と、トラニオンの閉鎖と、トラニオン自体である。クレーンの動作中にジョイントが開くことは、鉄鋼構造に関するこの取り組みにも関わらず、永続的に回避することができない。さらに、トラニオンは、摩擦と動的な軸受の遊びによって、その受け部が摩耗し、これは、事後的に調整又は補償することができず、また、マウントとトラニオンの公差を最初から狭く規定しなければならない原因である。
【0009】
タワークレーンのカンチレバーは、欧州特許出願公開第1468955号明細書によって知られており、その下弦材の端面は、クロス部材として設計され、カンチレバーの長手方向軸に対して横方向に延在する。クロス部材は、円形の切欠き(穴)を有しており、その第1の切欠きは、差込み部品によって固定されるクランプボルトを収容する。この差込み部品は、位置が固定されていないため、固定用キャッチ(コッタピン)によって外れないように固定される。クロス部材の第2の円形の切欠き(穴)は、下弦材の端面領域において、センタリングボルトを収容する。下弦材の端部では、センタリングボルトが、接続対象の下弦材のクロス部材に配置され、これは、接続対象の他の下弦材のクロス部材の終端部の円形の切欠きと相補的に係合する。これらのセンタリングボルトは、階段状の断面と、異なる側面ピッチを有する2つの連続した円錐状の領域とを有するシリンダとして設計されており、端面部内の円筒部は、密閉部の機能を有する。
【0010】
下弦材の間の取り外し可能な接続装置は、いくつかのリンクで構成されたロックユニットによって表され、ロックユニットは、それぞれの端部センタリングボルトの空間的に近くに配置されるが、それぞれの端部センタリングボルトから離れている。各リンクユニットは、クランピングボルトを備え、これは、クロス部材に溶接されたキャリッジに沿って、下弦材に平行なカンチレバーセグメントの長手方向に、位置を変更可能に取り付けられる。下弦材の間の各接続動作は、クランピングボルトが、スライドに沿って、他方のカンチレバーセグメントの端部クロス部材の円形の切欠きへ摺動して前進し、かつ、ロッキング差込み部が、クランピングボルトの頭部へ挿入されることによって実現される。このように設計されたカンチレバーセグメント品の接続装置についての第1の欠点は、接続ユニットが、発生した力やモーメントを十分に吸収できないことである。他の欠点は、足端部の下弦材の間に配置された端部クロス部材が、鉄鋼構造の接続領域の広範囲において互いに直接接続されないため、これらの端部クロス部材が、セグメントの端部接続領域の局所的で限られた範囲でしか力を吸収できないことである。下弦材の端面から離れた位置に配置されるため、接続装置は、主に軸方向の曲げモーメントを吸収し、僅かな横方向の力のみを吸収し、対応する軸受力又は反モーメントを発生させることができない。下弦材接続部に作用する力は、前方の固定位置と接続の生成位置との間にかかり、その結果、足側のカンチレバー領域と接続部品を変形させることなく、これらの伝達された力を吸収するために、より大きな鉄鋼構造の対策が生じる。もう1つの欠点は、この接続装置の比較的複雑な構造であり、これは、ロスに対して確保される多くの部品を有する。
【0011】
本発明の目的の1つは、設計が単純であると共に、少ない部品で構成される一方、クレーンの動作中にカンチレバー部品に作用する大きな力及びモーメントを吸収するのに適した、カンチレバーセグメントの取外し可能な接続部を設計することである。クレーンの動作中に加わる力及びモーメントは、理想的には、局所的で調整可能な支持力及び反モーメントを形成することによって、打ち消されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1及び従属請求項に係るカンチレバーセグメントの接続装置によって解決される。
【0013】
他の実施形態は、従属請求項によって提供される。
【0014】
第1の態様では、下弦材接続装置は、特にタワークレーンのカンチレバーのカンチレバーセグメントを接続するための接続装置を備えており、
第1のカンチレバーセグメントの第1の圧力板に締結するための第1の締結部と、第2のカンチレバーセグメントの第2の圧力板に締結するための第2の締結部とを有する少なくとも1つの接続ボルトと、
第1の締結部は、第1の圧力板に取り付けるための、取り外し可能なねじれを防止する接続手段を備え、
第2の締結部は、第2の圧力板に取り付けるためのセンタリングマンドレルを備え、これは、差込み部を受けるための、半径方向の、特に連続した固定溝を有しており、
第2の締結部を確実に受けるための内部断面を有する、第2の圧力板における対応する貫通孔に挿入するための少なくとも1つのセンタリングスリーブとを備える。
【0015】
特に、第1の圧力板に配置された第1の貫通孔は、少なくとも1つ存在し、特に貫通孔の軸方向及び半径方向において、形状が合致するように接続ボルトを受けるように設計され得る。特に、第2の圧力板に設けられた貫通孔は、センタリングスリーブを、第2の圧力板内の貫通孔の軸方向及び半径方向において、形状が合致し、かつ、摩擦による固定によって受けるように設計され得る。
【0016】
したがって、本発明に係る接続装置は、特に、その部品が、調整可能なセンタリング部品及び固定部品によって取外し可能な嵌込み接続の機能を有する固定ねじ接続の機能を有利に組み合わせることを特徴とする。
【0017】
提案された接続装置は、主に、動作接続において少数の専用部品を有する標準部品を使用し、個々の部品の設計において、高度の標準化及び計算可能性が実現され、したがって、最終的には、カンチレバーの高い機能的な信頼性が実現される。
【0018】
下弦材領域の剛性を高めるために、それが、カンチレバーセグメントの下弦材の端部が少なくとも2つの圧力板を介して互いに好適に接続される場合にも、有利であることが分かった。少なくとも2つの圧力板の間に平らな接触を形成して、それらの足部領域でカンチレバーセグメントの前側を閉じることにより、これらは、2つの機械的に接続されたクロスメンバーの機能を代わりに提供する。下弦材は、これらのクロスメンバーによって鉄鋼構造内で共に接続され、同じ外部形状を有し得るため、カンチレバーセグメントの足部領域において、力及びモーメントを吸収する断面を複製することができる。したがって、カンチレバーセグメントの構造は、最大の曲げ力及びせん断力とびモーメントが下弦材に作用する領域で補強される。
【0019】
カンチレバーセグメントの前側足部領域に統合された圧力板により、最大有効伝達領域を形成することができ、これを介して、2つのカンチレバーセグメントの下弦領域間の接続が確立され、それは、下弦材の前側終端領域における表面の限られた領域に直接位置するだけでなく、カンチレバーの長手方向軸に対して横方向又は斜めに形成される平面内に広がる最大の前側足部領域を介する。
【0020】
さらに、接続装置が、一体で回転対称に形成されることが好適な少なくとも1つの接続ボルトと、第1の圧力板に設けられ、接続ボルトを受ける第1の貫通孔と、接続ボルトと第2の圧力板の第2の貫通孔との間に配置されたセンタリングスリーブと、差込み部品とを備えることが有利である。
【0021】
接続対象のカンチレバーセグメントに取り付けられた接続装置の部品は、互いに補完する。この目的のために、第1のカンチレバーセグメントは、その前側端部の足部領域に第1の圧力板を有する。この第1の圧力板は、接続装置を受け、これによって、接続対象の第2のカンチレバーセグメントに存在する第2の圧力板が接続される。接続装置によって接続される第1の圧力板及び第2の圧力板は、主に互いに接触しており、接続装置によってカンチレバーセグメントの間に発生する接続力を決定する際に、第1の圧力板及び第2の圧力板の間の摩擦接触を無視することができる。
【0022】
第1の締結部は、特に第2の締結部に接する第2の円筒状側面部を有することができる。特に、第1の締結部は、第2の円筒状側面部に隣接するねじ山部を有することができ、ねじを用いて、第1の締結部を第1の圧力板に締結することができる。第2の円筒状側面部は、回転防止装置を備えることができ、これは、特に、第2の円筒状側面部から突出したセンタリングピンによって形成される。
【0023】
接続装置の好適な実施形態では、同じ方向に複数の接続ボルトを収容するために、第1の圧力板が、いくつかの第1の貫通孔を有し、第2の圧力板が、いくつかの対応する第2の貫通孔を有することが有利であることが判明した。この場合、取り付けられた接続ボルトの同一の(好ましくはそれらの長手方向に平行な)方向は、同時に受けることにより、圧力板内及び圧力板上に配置された接続ボルトが同じ方向を向くように、理解されるべきである。
【0024】
少なくとも1つの他の接続ボルトは、第2のカンチレバーセグメントの第2の圧力板に締結する第1の締結部と、第1のカンチレバーセグメントの第1の圧力板に締結する第2の締結部とを備え、第1の締結部は、第2の圧力板に締結するための取外し可能な接続装置を備え、第2の締結部は、第1の圧力板に締結するためのセンタリングマンドレルを備え、センタリングマンドレルは、差込み部を受けるための半径方向、特に連続した固定溝を有し、センタリングスリーブは、第1の圧力板の対応する貫通孔に挿入するためのセンタリングスリーブを備え、センタリングスリーブは、第2の締結部を、形状が合う方法で受けるための内部断面を有する。
【0025】
接続装置の他の考え得る実施形態によれば、複数の接続ボルトを交互に収容するために、第1の圧力板及び第2の圧力板がそれぞれ、少なくとも1つの第1の貫通孔と、少なくとも1つの第2貫通孔を有することが有利であることが判明した。「交互に取り付け」という用語は、圧力板内及び圧力板上に配置される少なくとも2つの接続ボルトが反対方向を向くような状態の接続ボルトの方向を指す。
【0026】
少なくとも1つの第1の貫通孔は、センタリングピンを収容するために、溝に関して、その上部領域を広げることができ、これは、接続ボルトを、圧力板への螺合中に、回転に対して固定するのに有利である。これにより、接続ボルトの頭部に位置する固定溝への差込み部品の挿入を、常に上から垂直に行うことができ、これは、建設現場において地面側のカンチレバーセグメントを組み立てる場合、特にクレーンの動作中にカンチレバーセグメントを組み立てる場合、時には風通しの良い高さで組み立てる場合に有利である。接続ボルトは、特に一般的なピッチのメートルねじを用いて、第1の断面によって区別される第1の部(ねじ山部)の一方の端部に取り付けられる。
【0027】
接続ボルトの第2の部は、第1の部(ねじ山部)に隣接する第1の肩部を有し、そこから、接続ボルトの第1の断面が、接続ボルトの第2の断面へ拡がる。第1の断面及び第2の断面は、接続ボルトの第1の締結部を形成する。接続ボルトの第1の断面と接続ボルトの第2の断面との間には、第1の接触面が形成され、これは、非円形であり、その上部領域に第1の面取り部を有する。この面取り部により、接続ボルトを、第1の圧力板の少なくとも1つの第1の貫通孔に、より容易に螺合することができ、これは特に、接続ボルトの取り付けに有益である。
【0028】
接続ボルトの第2の部(第2の円筒側面部)は、第1の側面によって区別され、ここにセンタリングピンを受け入れるための穴が設けられる。接続ボルトを螺合するとき、このセンタリングピンは、溝に入れられ、この溝は、第1の圧力板の少なくとも1つの第1の貫通孔の延長部において、接続ボルトを半径方向に固定する役割を果たす。
【0029】
組み立て中、接続ボルトの第1の部及び第2の部は、第1の圧力板の少なくとも1つの第1の貫通孔に挿入される。ロックワッシャは、第1の圧力板の取付側面から突出した第1の部(ねじ山部)の一部に配置され、第1の圧力板の取付側面のねじ部において、螺合されたクラウンナットが平らに接触することができる。これは、ねじ力が、大きな断面において第1の圧力板の取付側面に均等かつ予測可能に加わることを有利に保証する。
【0030】
接続ボルトの第2の部の側面は、第2の肩部で終了し、その全面が、第1の圧力板の少なくとも第1の貫通孔内で接触することにより、一方では、第1の圧力板における接続ボルトの半径方向の固定を保証し、他方では、接続ボルトと第1の圧力板との間の低反発接続を保証する。
【0031】
接続ボルトの第3の断面(第1の円筒状の側方断面)は、第2の肩部から延在し、そこから、接続ボルトの第2の断面が、接続ボルトの第3の断面まで広がる。接続ボルトの第2の断面と接続ボルトの第3の断面との間には、第2の接触面が形成され、これは、第1の圧力板の端面に直接接触する。この第2の接触面により、接続ボルトの軸方向の接触と、接続ボルトによって設定される軸方向の予張力の第1の圧力板の端面への伝達の双方が行われる。
【0032】
接続ボルトの第3の部分(第1の円筒側面部)は、第2の側面によって区別される。この側面は、頭部と呼ばれる接続ボルトの第4の部分に合流する。第3の部及び第4の部は、接続ボルトの第2の締結部を形成する。
【0033】
さらに、接続ボルトは、その頭部領域において、第2の締結部に向かって先細りになり、かつ、第1の円筒状側面部に隣接する部分を有することができ、第1の円筒状側面部は、取り付けられた状態で、特に形状が合致するように、センタリングスリーブに受け入れられる。
【0034】
接続ボルトの頭部領域内の先細部は、第3の側面によって区別することができ、これは、円錐として設計され、したがって、センタリングマンドレルを形成する。センタリングマンドレルは、第2の面取り部に対して開口し、接続ボルトの他方の端部を形成する。
【0035】
第2の面取り部及び接続ボルトのセンタリングマンドレルの円錐の表面は協働して、接続ボルト及びセンタリングスリーブを、第2の圧力板の少なくとも1つの第2の貫通孔へ挿入することを容易にする。これは、接続対象のカンチレバーセグメントの取付けを非常に容易にし、これは特に、カンチレバーセグメントの安全な取り扱いと取付けに有益である。
【0036】
下弦材接続部のための新しい接続装置の他の利点は、特にセンタリングスリーブの導入によって与えられる。この目的のために、センタリングスリーブは、完全又は部分的な周囲フランジを有するように作られ、これは、センタリングスリーブの軸方向端部に設けることができ、また、組み立てられた状態で第2の締結部の方向に配置される。したがって、このセンタリングスリーブは、カラーブッシングとして設計することができ、必ずしも円形である必要がない管状の第1のスリーブ部によって区別され、必ずしも環状面として設計される必要がない中間面を有する内壁及び外壁を有する。第1のスリーブ部の第1の端部には、表面と内壁との間に面取り部を配置することができ、これは、接続ボルトのセンタリングマンドレルの円錐部に相補的な挿入の補助として、接続ボルトの第2の側面へのセンタリングスリーブの挿入を容易にする。
【0037】
センタリングスリーブの第1のスリーブ部の第2の端部には、センタリングスリーブの第2のスリーブ部が接続されるアンダーカットがある。この第2のスリーブ部は、内側及び外側のフランジ面を有する周囲フランジによって区別される。したがって、フランジのフランジ面は、第1の軸受面及び第2の軸受面と、内径及び外径とを有し、したがって、この第2のスリーブ部は、カラー形状を有する。このカラーは、外側断面の片側が切断されており、これにより、カンチレバーセグメントの構造用鋼の設計の自由度が高まる。
【0038】
センタリングスリーブは、上述したように、接続ボルトの第1の円筒側面部の側面と、第2の圧力板内に設けられた少なくとも1つの第2の貫通孔の壁との間に配置される。この目的のために、センタリングスリーブは、一方では接続ボルトの第2の側面について、他方では第2の圧力板の少なくとも1つの第2の貫通孔の壁について、最大の接触面積における全面支持を実現するように、軸方向及び半径方向の大きさが規定される。センタリングスリーブの第1のスリーブ部と第2のスリーブ部との間のアンダーカットにより、センタリングスリーブの平らで肩部のない接触を、センタリングスリーブの第1のスリーブ部と第2のスリーブ部との間の内側に向いたアンダーカット半径によって、形成することができる。
【0039】
センタリングスリーブと、第2の圧力板の少なくとも第2の貫通孔の双方は、相互作用において、すきまばめの設計を充たすように、それらの断面又は直径が構造的に設計され得る。このように、これらの2つの部品は、一方では、センタリングマンドレルに作用する半径方向の力の最適な伝達を保証し、他方では、第2の圧力板に固定されたセンタリングマンドレルの長さに作用するモーメントの吸収を保証する。センタリングスリーブを回転部品として製造する場合、精密公差が、少なくとも第2の貫通孔の壁に対する、その取付け位置における最小のクリアランスを有するように、センタリングスリーブの第1のスリーブセクションの外壁の寸法に適用されるべきである。
【0040】
接続装置の他の利点は、特に、第2のスリーブセクションのセンタリングスリーブの係合した内側接触面及び外側接触面を介して、軸方向の力が加わることであり、これにより、センタリングマンドレル及び差込み部によって生じる軸方向のプリテンションが、第1の圧力板と第2の圧力板の間に、均一で最大の表面圧力を可能にする。弾性センタリングスリーブ及び弾性圧力板は、曲げ耐性を有するセンタリングボルトと協同して、接続装置の曲げ、横方向の力及びモーメントの吸収を改善すると共に、接続装置の復元挙動を最適化する。
【0041】
センタリングスリーブの他の利点は、特に、その完全又は部分的な周囲フランジの設計にあり、これは、上述のように、カラーとして設計され得る。第2のスリーブセクションに配置されたカラーは、特に、内側のフランジ面及び外側のフランジ面によって区別される。カラーの内径と外径の間に形成される軸受面は、当該領域、したがって、第1の圧力板及び第2の圧力板の表面に関連する抵抗に応じて設計することができる。第1のスリーブセクション及び第2のスリーブセクションにおける、それらの半径方向の平面の接触により、センタリングスリーブは、センタリングマンドレルの固定溝内の差込み部分の張力によって生成される、第2の圧力板及び/又は第1の圧力板に対する軸方向及び半径方向の予張力の大きな面積の導入と均一な分布を保証する。第2のスリーブセクションにおけるセンタリングスリーブの外側断面、すなわち、カラー又はそのフランジを適合させることにより、一方では、第2の圧力板及び/又は第1の圧力板の取付側面とセンタリングスリーブとの全面接触のための最大化された内側フランジ面を有利に生成し、他方では、差込み部分の第2の接触面の全面接触のための最大の可能な外側フランジ面を有利に作成することができる。
【0042】
さらに、センタリングスリーブのフランジが、第1の圧力板及び/又は第2の圧力板に、非回転式に固定される1以上の締結装置を設けることができる。
【0043】
接続装置を固定するため、差込み部品が用いられ、これは特に、接続ボルトの円錐状のセンタリングマンドレルに設けられた固定溝に上から挿入されることが好適である。差込み部品は、その接触面がセンタリングスリーブの第2のスリーブセクションの外側フランジ面に適合するように、異なる長さで設計され得る。
【0044】
接続装置の別の利点は、調節可能であることである。調節機能は、特に差込み部によって実現され、その位置は、制限の範囲内で変更可能である。
【0045】
接続ボルトが、第2の圧力板の少なくとも1つの第2の貫通孔に押し込まれた後、また、センタリングスリーブが、接続ボルトの第2の側面と少なくとも1つの第2の貫通孔の壁との間に形成される自由空間に挿入された後、差込み部が、接続ボルトのセンタリングマンドレルの円錐領域に位置する連続した固定溝に挿入される。
【0046】
差込み部は、非中空であり、各接触面において異なる外形を有することができる。第1の接触面の外形は、頭部側の終端を形成し、接続装置の組み立て中にハンマーブローによって好適に導入されるクランプ力を吸収する。第2の接触面の外形は、接続装置の組み立て状態でセンタリングスリーブの外側フランジ面に接しており、確実にフィットすることによって軸方向及び半径方向のクランプ力を、これに導入する。第3の接触面の外形は、丸みを帯びた形状を有することができる。外形が丸みを帯びることにより、差込み部の第3の接触面の全面が、センタリングマンドレルの固定溝の外壁に接触し、これにより、センタリングマンドレル内で差込み部を最大限に締めることができる。
【0047】
この第3の接触面は、第2の接触面に対して角度を形成することができ、接続ボルトの固定溝内で、差込み部品を、それぞれ固定溝の内壁及び外壁に押し付ける。
【0048】
取り付け時、差込み部品は、スプリングコッタ(標準部品)の形態で設計され得る固定プラグによって、上方への移動に対して固定することができる。固定溝内の差込み部品の挿入深さに応じて、差込み部品の下側脚領域に設けられた少なくとも1つの固定穴に固定プラグを挿入して、差込み部品を固定溝内の各位置に固定することができる。これにより、一方では接続ボルトの固定溝内において、他方ではセンタリングスリーブの外側接触面、したがって、第1の圧力板及び/又は第2の圧力板の取付側面に向かって、差込み部品の恒久的な固定及び差込み部品の十分な張力の確保を、恒久的に保証することができる。
【0049】
クレーンの使用期間及び個々のカンチレバーセグメントの関連する変形に依存する下弦材接続の摩耗に応じて、下弦材接続の強度は、それ自体の重量による差込み部品のスリップ、又は差込み部品の機械的な再調整、特にハンマーブローにより、恒久的に高いレベルで維持することができる。
【0050】
下弦材接続部の場合、接続装置は、固定軸受でモデル化することができる。他の一態様では、好適な実施形態において、他のカンチレバー接続を用いて、その実施形態において固定軸受として、本発明に係る接続装置の負荷を軽減することが有利であることが示された。他のカンチレバー接続は、追加で導入された固定装置によって形成することができ、これは、接続装置の固定軸受に相補的なフローティング軸受として設計され得る。この場合、固定軸受は、下弦材の端面の外側に配置することができる。フローティング軸受は、下弦材の端面上又は下弦材の内側に配置することができる。下弦材の管の端部より上に位置するジョイントに直接形成される接触面は、カンチレバーの長手方向軸に対して横方向に位置し、下弦材の前側終端として理解されるべきである。固定軸受と緩い軸受の相互作用により、接続対象の2つのカンチレバーセグメントの下弦材、特に下弦材の管の端部よりも上に位置するジョイントは、一方では互いに正しい位置に固定され、他方では調整可能な接続力によって永続的かつ取外し可能に互いに接続される。
【0051】
可動台車は、下側カンチレバーに沿って配置することができる。台車がカンチレバー接続部の領域、すなわち、カンチレバーのジョイントを走行している場合、台車からの荷重が、クレーンの動作中に、最大曲げモーメントを下弦材(コード)の端面領域の圧力板に与え得る。これは、対向及び隣接する複数のカンチレバージョイントの間に少なくとも1つの段が形成されるような、カンチレバージョイントの前側領域の永続的な局所的な変形をもたらし得る。下弦材は、通常、台車が走行する面を有するため、このような段は、負荷がかかった状態で台車が走行する間に、機械的な衝撃をもたらす可能性がある。
【0052】
他の態様では、上述した下弦材接続部は、接続装置を備え、下弦材接続部は、カンチレバーセグメントの2つの個別の下弦材、すなわち、第1のカンチレバーセグメントの下弦材と、第2のカンチレバーセグメントの対応する下弦材とを互いに接続し、固定装置は、2つの個別の下弦材の端面に設けられ、下弦材を、その軸方向に対する横方向の変位に対して固定する。
【0053】
したがって、圧力板の高負荷の下弦材領域に導入された追加の固定装置が、接続装置のセンタリング効果をサポートできることが有利であることが判明した。固定装置によって引き起こされる、この局所的なサポートは、接続装置の追加の軽減につながり、下弦材の管の前側端部よりも上側の隣接領域に位置するジョイント領域における、下弦材相互の永続的で摩耗の少ない固定につながる。特に、固定装置は、前側の終端部の表面、すなわち、下弦材のジョイントの中心に配置することができる。下弦材接続部内の固定装置の他の配置は、例えば、各下弦材の構造中心の上方の領域若しくは下方の領域又は横方向の領域が考えられる。
【0054】
さらに、固定装置は、
第1の圧力板に締結するための第1の締結部と、第2の圧力板に締結するための第2の締結部とを有する少なくとも1つのスクリューマンドレルを備えており、
第2の締結部は、スクリューマンドレルを第2の圧力板に締結するための側面部を有し、
第2の圧力板の貫通孔に挿入するためのブッシングが設けられており、
ブッシングは、貫通孔内で第2の締結部のマントル表面部を受ける内壁を有する。
【0055】
さらに、第1の締結部は、スクリューマンドレルを第1の圧力板のねじ穴に締結するためのねじ部を備えることができる。
【0056】
第2の締結部の側面部は、形状が合致し、かつ、摩擦によって固定される方法で貫通孔に受けられるように設けることができる。
【0057】
したがって、本発明に係る接続装置に加えて、少なくとも1つの他の固定装置を設けることができ、これは、
-第1のカンチレバーセグメントの第1の圧力板に締結するための第1の締結部と、第2のカンチレバーセグメントの第2の圧力板に締結するための第2の締結部とを有する少なくとも1つのスクリューマンドレルと、
第1の締結部は、スクリューマンドレルを第1の圧力板のねじ穴に締結するためのねじ部を備え、
第2締結部は、スクリューマンドレルを第2の圧力板に締結するための側面部を備え、
-対応する貫通孔に挿入するための少なくとも1つのソケットとを備え、
貫通孔は、第2の圧力板に設けられ、
ブッシングは、第2の締結部の側面部を形状が合致し、かつ、摩擦によって固定される方法で受けるための内壁を有する。
【0058】
したがって、新規な下弦材接続部の他の利点は、特に、追加の固定装置を導入することによって与えられる。接続対象のカンチレバーセグメントに取り付けられた固定装置の部品は、互いに補完する。この目的のために、第1のカンチレバーセグメントは、その前側端部の足部領域に第1の圧力板を有する。この第1の圧力板は、上述した接続装置と、固定接続部を収容し、この固定接続部により、接続対象の第2のカンチレバーセグメントの第2の圧力板が接続される。接続装置及び固定装置によって接続される第1の圧力板及び第2の圧力板は、主に、その全面において互いに確実に接触し、接続装置及び固定装置によってカンチレバーセグメントの間に生じる接続力を決定する際に、第1の圧力板と第2の圧力板との間の摩擦接触を無視することができる。
【0059】
さらに、少なくとも1つの固定装置が、第1の締結部及び第2の締結部を有する、好ましくは1つの部品である回転対称に設計されたスクリューマンドレルと、第1の圧力板に設けられ、第1の締結部を受けるねじ穴と、第2の圧力板に設けられ、第2の締結部を受ける他の貫通孔と、第2の締結部と他の貫通孔との間に配置されたブッシングとを備えることが有利である。固定装置の第1の締結部は、固定装置の第2の締結部の好ましくは円筒形の側面部に接するねじ部を有することができる。特に、ねじ部を、第1の圧力板に設けられたねじ穴に羅合することにより、第1の締結部を固定することができる。固定装置の第2の締結部では、外面部及び頭部領域を形成することができ、外面部は、特に円筒形状を有することができ、頭部領域は、特に六角形の形状を有することができる。さらに、側面部及び頭部領域は、多角形、例えば、三角形、正方形又は五角形を有することができる。第2の締結部の頭部領域と側面部との間に面取り部を形成することができる。面取り部は、第2の締結部の側面部を、幾何学的に相補的に設計されたブッシングへ挿入するのを容易にすることができる。
【0060】
固定装置は、第2の圧力板の対応する貫通孔内に配置可能なブッシングを含むことができる。この貫通孔は、特に、穴として設計することができ、この穴は、特に丸い外形を有することができる。ブッシングは、特に、交換可能なブッシングとして設計することができ、特に、管形状を有することができ、管形状は、必ずしも円形である必要がなく、また、中間面を有する内壁及び外壁を有し、中間面は、必ずしも環状面として設計する必要がない。ブッシングの第1の端部には、表面と内壁との間に面取り部を設けることができ、この面取り部は、スクリューマンドレルの面取り部に相補的な挿入補助具として機能し、また、組立て時に、スクリューマンドレルの側面のねじ切りを容易にする。ブッシングの第2の端部は、補強板の正面に直接配置することができ、そこに空間的なストップが設けられる。この空間的なストップにより、ブッシングは、その長手方向において、下弦材の後側領域への移動に対して固定される。補強板は、隔壁板のように機能し、一方では、2つの下弦材の間の接続の間接領域において下弦材を補強し、他方では、浸透水及び下弦材の後側領域の関連する腐食に対し、下弦材を密閉する。
【0061】
好適な実施形態に従って、いくつかのセンタリングトラニオン及びいくつかのスクリューマンドレルを同じ方向に収容するために、第1の圧力板が、いくつかの第1の貫通孔を有し、第2の圧力板が、第1の貫通孔及び他の貫通孔に対応するいくつかの第2の貫通孔を有することが有利であることが判明した。(それらの長手方向に対して平行であることが好ましい)取り付けられた接続ボルト及びスクリューマンドレルの同じ方向は、接続ボルト及びスクリューマンドレルが、同じ方向において、圧力板に配置されることを意味すると理解される。
【0062】
したがって、少なくとも1つの他のスクリューマンドレルは、第2のカンチレバーセグメントの第2の圧力板に締結するための第1の締結部と、第1のカンチレバーセグメントの第1の圧力板に締結するための第2の締結部とを備えることができ、他のスクリューマンドレルの第1の締結部は、特に、第1の圧力板に締結するための標準的なピッチのメートルねじを備えており、他のスクリューマンドレルの第2の締結部は、第2の圧力板の他の貫通孔に取外し可能に締結するための側面部を備えており、第2の圧力板の他の貫通孔に挿入するためのブッシングが設けられ、このブッシングは、形状及び摩擦によって固定する方法によって、スクリューマンドレルの第2の締結部の側面部を受けるための対応する形状の内部断面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の更なる詳細は、添付の図面に示す例示的な実施形態を参照して、より詳細に説明される。1つの同一の比喩表現における1つの部品に対する同一の複数の参照は、図示された各部品の単数及び複数の双方を含む。
図1a図1aは、組み立てられていない状態のタワークレーンのカンチレバーセグメントの端面の実施形態の斜視図である。
図1b図1bは、組み立てられていない状態のタワークレーンのカンチレバーセグメントの端面の実施形態の斜視図である。
図2a図2aは、一実施形態に係る下弦材接続部を用いて接続された2つのカンチレバーセグメントの足部領域の斜視図である。
図2b図2bは、一実施形態に係る下弦材接続部を用いて接続された2つのカンチレバーセグメントの足部領域の斜視図である。
図2c図2cは、一実施形態に係る下弦材接続部を用いて接続された2つのカンチレバーセグメントの足部領域の斜視図である。
図2d図2dは、他の実施形態に係る下弦材接続部を用いて接続された2つのカンチレバーセグメントの足部領域の斜視図である。
図3a図3aは、一実施形態に係る圧力板の斜視図であり、ここでは、圧力板は、個々の視点から見たときに、カンチレバーセグメントのトラス構造又は格子構造から取り外される。
図3b図3bは、一実施形態に係る圧力板の斜視図であり、ここでは、圧力板は、個々の視点から見たときに、カンチレバーセグメントのトラス構造又は格子構造から取り外される。
図3c図3cは、他の実施形態に係る圧力板の側面図及び斜視図であり、ここでは、圧力板は、個々の視点から見たときに、カンチレバーセグメントのトラス構造又は格子構造から取り外される。
図4図4は、下部フランジ接続部の部品(分解図)と、互いに接続される2つの圧力板の斜視図である。
図5a図5aは、好適な実施形態に係る下部フランジ接続部の部品と、下部フランジ接続部によって接続された好適な実施形態の圧力板の斜視図である。
図5b図5bは、他の実施形態に係る下部フランジ接続部の部品と、下部フランジ接続部によって接続された他の実施形態の圧力板の斜視図である。
図6図6は、組み立てられた下弦材接続部の部品、下弦材及び圧力板の断面図である。
図7図7は、接続ボルトの側面図及び斜視図である。
図8図8は、センタリングスリーブの側面図及び斜視図である。
図9図9は、差込み部の斜視図である。
図10a図10aは、組み立てられていない状態のタワークレーンのカンチレバーセグメントの好適な実施形態の端面の斜視図である。
図10b図10bは、組み立てられていない状態のタワークレーンのカンチレバーセグメントの好適な実施形態の端面の斜視図である。
図11a図11aは、好適な実施形態に係る接続装置及び固定装置によって接続された2つのカンチレバーセグメントの足部領域の断面図である。
図11b図11bは、下弦材接続、下弦材及び圧力板の好適な実施形態に係る固定装置及び接続装置の組み立てられた部品の断面図である。
図12図12は、下弦材接続部の好適な実施形態に係る固定装置の組み立てられた部品の断面図であり、下弦材及び圧力板も同様である。
図13a図13aは、下弦材接続部の好適な実施形態に係る圧力板の斜視図であり、ここで、圧力板は、個々の視点から見たときに、個々のカンチレバーセグメントのトラス構造又は格子構造から分離される。
図13b図13bは、下弦材接続部の好適な実施形態に係る圧力板の斜視図であり、ここで、圧力板は、個々の視点から見たときに、個々のカンチレバーセグメントのトラス構造又は格子構造から分離される。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1a,1bは、上弦材2と、終端上弦材接続部21aと、下弦材3を接続及び終端する圧力板5の端面とを備えたカンチレバーセグメント1の2つの実施形態の接続領域を示す。図示された第1のカンチレバーセグメント1の上弦材接続部21aの部品は、第2のカンチレバーセグメント1b(図示せず)の上弦材接続部21bの補完的な部品に接続される。第1のカンチレバーセグメント1aの接続装置4aを有する少なくとも1つの下弦材接続部が、搬送のために、圧力板5に取り付けられる。
【0065】
少なくとも1つの下弦材接続部の部品は、カンチレバーセグメント1aの端面の足部領域に位置し、下弦材3の端面51の外側に位置する。
【0066】
図2a,2b,2cは、下弦材接続装置によって互いに接続された2つのカンチレバーセグメント1a,1bの足部領域と、これらの足部領域を、各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造へ統合した状態を、空間的に異なる視点で示している。圧力板5a、5bは、それらの端面53が互いに直接接触した状態で配置され、下弦材3の端面終端51(組み立てられた状態では図に示されていない)において互いに重なるように閉じる。この好適な実施形態の少なくとも1つの下弦材接続部は、圧力板5a又は圧力板5bに取り付けられ、また、カンチレバーセグメント1a,1bの足部領域において、空間的に下弦材3の近傍に配置する。図2a,2bには、止めねじ(一般的なねじ)の頭部が示されており、これらのねじは、センタリングスリーブ7のフランジ70の外側フランジ面75の穴78(図示せず)に配置され、また、これを用いて、センタリングスリーブ7が、圧力板5aの取付側面52に位置する一般的なねじ山(図示せず)に螺合され、これにより、それを損失及び/又は回転に対して固定する。図2cは、圧力板5bの取付側面52に位置する下弦材接続部4の部品としてのクラウンナット10及びワッシャ9が示される。
【0067】
図2dは、下弦材接続部によって互いに接続された2つのカンチレバーセグメント1a,1bの足部領域と、これらの足部領域を各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造へ統合した状態を空間的に示している。圧力板5cは、それらの端面53が互いに直接接触した状態で配置され、下弦材3の端面終端51(破線で示される)が互いに重なるように閉じる。この他の実施形態の少なくとも1つの下弦材接続部の各部品は、取付側面52の圧力板5cにそれぞれ配置され、カンチレバーセグメント1a,1bの足部領域において下弦材3と空間的に近接して配置される。
【0068】
図3aは、好適な実施形態に係る各カンチレバーセグメント1b,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された圧力板5aを示す。圧力板5aの第2の貫通孔56は、その壁においてセンタリングスリーブ7(図示せず)を受ける。
【0069】
図3bは、好適な実施形態に係る各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された圧力板5bを示す。圧力板5bの第1の貫通孔54はそれぞれ、凹部55によって上部が広くなっている。圧力板5bの第1の貫通孔54の壁はそれぞれ、接続ボルト6(図示せず)の側面63(第2の側面部)を受ける。圧力板5bの取付側面52は、ロッキングワッシャ9(図示せず)との接触面である。
【0070】
図3cは、他の実施形態に係る各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された圧力板5cを示す。圧力板5cに設けられた第1の貫通孔54は、その上部が凹部55によって広くなっている。圧力板5cの第1の貫通孔54の壁が、接続ボルト6(図示せず)の側面63(第2の側面部)を受ける。圧力板5cの第2の貫通孔56の壁が、センタリングスリーブ7(図示せず)を受ける。圧力板5cの取付側面52は、ロッキングワッシャ9(図示せず)の接触面である。
【0071】
図3a,3b及び3cでは、先端部51は、圧力板5a、5b及び5cの外端部であり、これらは、下弦材3(図示せず)の先端部に位置する。
【0072】
図4は、各圧力板5a、5b又は5cが係合していない、組み立てられていない状態(分解図)において、各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された下弦材接続部4aの部品を示す。接続ボルト6の第1の締結部は、第1の圧力板5b又は5cの前側面53の第1の貫通孔54及び溝状拡張部55に挿入可能であり、その後の組立てにおいて、ねじ山部64(図示せず)、ワッシャ9及びクラウンナット10を用いて、圧力板5b又は5cの取付側面52に螺合される。接続ボルト6の第2の締結部は、第2の圧力板5a又は5cの第2の貫通孔56に挿入可能であり、その後の組立てにおいて、取付側面52の第2の貫通孔56に挿入されたセンタリングスリーブ7と、後続の組立てにおいて固定溝69に配置される差込み部8(図示せず)と、差込み部8(図示せず)の固定穴84(図示せず)に配置されるスプリングプラグ(図示せず)を用いて、第2の圧力板5a又は5cの取付側面52に固定される。
【0073】
図5aは、各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された、組み立てられた状態の下弦材接続部の接続装置4aと異なる圧力板5a及び5bとを備えた好適な実施形態を示す。接続装置4aは、同じ方向で各圧力板5a及び5bに取り付けられており、下弦材接続部4aの各部品が、圧力板5aの個別の取付側面52から突出していることが分かる。圧力板5a及び5bの端面53(図示せず)は、その全面が互いに接触し、圧力板5a及び5bの接続部は、それらの端面53の間で形状及び摩擦により、高い密着性を実現する。
【0074】
図5bは、各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス又は格子構造から取り外された下弦材接続部と、組み立てられた状態の2つの同一の圧力板5cとを有する他の実施形態を示す。下弦材接続部が、各圧力板5cに互い違いに取り付けられ、下弦材接続部の部品が、圧力板5a及び5cの各取付側面52から突出していることが分かる。圧力板5cの端面53(図示せず)は、その全面が互いに接触しており、圧力板5cの接続部は、それらの端面53の間の形状及び摩擦により、高い密着性を実現する。
【0075】
図6は、それによって接続された(実施形態5a、5b又は5cの)圧力板5における、その取付け位置の下弦材接続部の接続装置4aの断面を示す。(実施形態5a、5b又は5cの)圧力板5の端面53は、その全面が互いに接触する。接続ボルト6は、ねじ山部64と、取付側面52の取り付けられたワッシャ9及びクラウンナット10を用いて、第1の圧力板5b又は5cに螺合される。接続ボルト6を第1の圧力板5b又は5cへ螺合する際に位置を固定するために、センタリングピン613が、第1の貫通孔54の溝状拡張部55に配置される。
【0076】
半径方向では、センタリングスリーブ7が、その第1のスリーブ部の内壁71で、接続ボルト6の外面62(第1の外面部)を受ける。センタリングスリーブ7の軸方向では、差込み部8が、第2のスリーブ部の外側フランジ面75に配置される。
【0077】
センタリングスリーブ7は、接続ボルト6と固定溝69に配置された差込み部8とによって生じた軸方向の予張力を、その第2のスリーブ部に形成されたフランジ面70により、その外側フランジ面75及び内側フランジ面76を介して、第2の圧力板5の取付側面52に伝達する(実施形態5a又は5c)。
【0078】
また、センタリングスリーブ7は、その側面62(第1の側面部)を介して接続ボルト6によって伝わった半径方向の予張力を、第1のスリーブ部の内壁71及び外壁72により、第2の圧力板5の第2の貫通孔56の壁に伝達する(実施形態5a又は5c)。
【0079】
図7は、接続ボルト6の詳細を示す。特に、側面63(第2の側面部)及び側面62(第1の側面部)と、第1の接触面65及び第2の接触面66は、接続ボルト6によって生じた下弦材接続部4の軸方向及び半径方向の予張力が、圧力板5a、5b又は5c(図示せず)の端面53(図示せず)と、センタリングスリーブ7(図示せず)の内壁71(図示せず)へ伝える面である。
【0080】
図8は、センタリングスリーブ7の詳細を示す。センタリングスリーブの管状の第1のスリーブ部は、内壁71及び外壁72と、内壁71及び外壁72の間の表面73とで囲まれ、アンダーカット79で終わる。センタリングスリーブの第2のスリーブ部は、アンダーカット79から始まり、環状の周囲フランジ70である。周囲フランジ70は、外側フランジ面75及び内側フランジ面76と、側方端部77とを有する。フランジ70に設けられた穴78は、センタリングスリーブ7を圧力板5a又は5cの取付側面52に固定するための一般的なねじ(図示せず)を受ける。これらの止めねじ(図示せず)は、圧力板5a又は5c(図示せず)に設けられた一般的なねじにより、取付側面52の圧力板5a又は5cに螺合され、センタリングスリーブ7を損失及び/又は回転に対して固定する役割を果たす。
【0081】
図9は、差込み部8の詳細を示す。差込み部8は、組立て位置又は差込み位置(図示せず)において固定溝69(図示せず)内にあり、これは、接続ボルト6(図示せず)の円錐状のセンタリングマンドレルの側面61(第3の側面部(図示せず))に位置する。差込み部8の外形82の一方は、固定溝69(図示せず)の内向き壁610(図示せず)との接触面であり、他方は、センタリングスリーブ7(図示せず)の外側フランジ面75(図示せず)との接触面である。外形83は、差込み部8の接続ボルト6(図示せず)の固定溝69(図示せず)の外向き壁611(図示せず)との接触面である。外形81は、ハンマーブローの受け面であり、これは、固定溝69(図示せず)内で差込み部8を固定し、必要に応じて、当該差込み部8を再調整するために挿入される。
【0082】
差込み部8の下部領域に位置する少なくとも1つの固定穴84は、差込み部8を締結するためのスプリングコッタ(標準部品、図示せず)を受けることができる。差込み部8が差し込まれて、設定又は再調整された位置のときに、少なくとも1つの固定穴84は、接続ボルト6(図示せず)の固定溝69(図示せず)の下方の空間に位置する。
【0083】
図10a及び10bは、好適な実施形態に係る2つのカンチレバーセグメント1a,1bの接続領域を示しており、それぞれが、上弦材2と、終端上弦材接続部21a,21bと、下弦材3を接続及び終端する圧力板5の端面53とを備える。第1のカンチレバーセグメント1aの上弦材接続部21aの図示された部品は、第2のカンチレバーセグメント1bの上弦材接続部21bの相補的な部品に接続される。第1のカンチレバーセグメント1aの2つの固定装置4b及び2つの接続装置4aは、圧力板5に固定される。各スクリューマンドレル40が、下弦材3のそれぞれについて、端面終端51におけるカンチレバーセグメント1aの足部領域の固定接続部4bに配置される。少なくとも1つの貫通孔56は、カンチレバーセグメント1bの足部領域の圧力板5内に設けられ、また、端面終端51の間に設けられる。
【0084】
スクリューマンドレル40を受ける少なくとも1つの貫通孔57は、カンチレバーセグメント1bの足部領域の圧力板5及び端面終端51内に設けられる。
【0085】
図11aは、好適な実施形態に係る下弦材接続部4a及び4bによって互いに接続された2つのカンチレバーセグメント1a,1bの足部領域の断面図(上面図)で示す。圧力板5a、5bは、それらの端面53が互いに直接接触した状態で配置される。接続装置4a及び固定装置4bは、圧力板5a、5bに設けられ、カンチレバーセグメント1a,1bの足部領域の下弦材3の空間の近くに位置する。
【0086】
図11bは、好適な実施形態に係る接続装置4a及び固定装置4bによって接続された2つのカンチレバーセグメント1a,1bの足部領域の断面図(上面図)である。接続装置4a及び固定装置4bは、圧力板5a、5bに設けられ、カンチレバーセグメント1a,1bの足部領域の下弦材3の空間の近くに位置する。
【0087】
固定装置4bは、圧力板5a内の対応する貫通孔57に配置されたブッシング45を備えており、ブッシング45及び貫通孔57は、互いに遊びがないことが好ましい。これにより、ブッシング45の一方が、貫通孔57内にしっかり取り付けられ、他方が、ブッシング45の内壁46に当接されたブッシング引抜き工具を用いて、ブッシングを引っ張って交換できることが好ましい。
【0088】
図12は、好適な実施形態に係る固定装置4bによって互いに接続された2つのカンチレバーセグメント1a,1bの断面図(側面図)を示す。スクリューマンドレル40は、第1の固定部にねじ部41を有する。ねじ部41は、ねじ穴58に螺合され、ねじ穴58は、圧力板5bの端面終端領域51に配置される。第2の締結部では、スクリューマンドレル40は、ねじ部41に接する側面部42を有する。組み立てられた状態では、スクリューマンドレル40の側面部42は、圧力板5bの端面53の真上に位置し、ブッシング45の内壁46と確実な摩擦接触を有する。面取り部44は、スクリューマンドレル40の頭部43とスクリューマンドレル40の側面部42との間に位置することができ、ブッシング45へのスクリューマンドレル40の螺合を容易にする。特に、頭部43は、工具を受け入れるために六角形の形状とすることができ、工具は、端部が開口したスパナの形態とすることができる。
【0089】
ブッシング45の外壁47は、圧力板5a内の貫通孔57の壁に直接接触する。組み立てられた状態では、ブッシング45は、補強板31の正面に直接接触し、これは、下弦材3内の後端領域を規定する。ブッシング45の後端領域は、貫通孔57及び補強板31のいずれにも固定されていないが、その外壁47は、貫通孔57の直径よりも僅かに大きく、また、プレスフィットによって後端領域内に取外し可能に取り付けられる。
【0090】
図13aは、好適な実施形態に係る、各カンチレバーセグメント1b,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された圧力板5aを示す。圧力板5aの貫通孔56は、その壁でセンタリングスリーブ7(図示せず)を受ける。圧力板5aの貫通孔57は、その壁でブッシング45(図示せず)を受ける。
【0091】
図13bは、好適な実施形態に係る、各カンチレバーセグメント1a,1bのトラス構造又は格子構造から取り外された圧力板5bを示す。圧力板5bの貫通孔54は、それぞれ凹部55により、その上部領域の幅が広くなっている。圧力板5bの貫通孔54の壁は、接続ボルト6(図示せず)の側面63(第2の側面部)を受ける。圧力板5bのねじ穴58には、メートル雌ねじ(図示せず)が設けられており、これは、ねじ部41に配置されたスクリューマンドレル40(図示せず)のメートル雄ねじを受ける。
【符号の説明】
【0092】
1a,1b カンチレバーセグメント
2 上弦材
21a,21b 上弦材接続部
3 下弦材
31 補強板
4a 接続装置
4b 固定装置
40 スクリューマンドレル
41 スクリューマンドレルのねじ部
42 スクリューマンドレルの側面部
43 頭部領域
44 面取り部
45 ブッシング
46 ブッシング45の内壁
47 ブッシング45の外壁
5 圧力板(圧力板5a、5b,5c)
51 下弦材端部より上の前端領域
52 圧力板5a、5b,5cの取付側面
53 圧力板5a、5b,5cの前側面
54 圧力板5b,5cの貫通孔
55 第1の貫通孔54の溝状拡張部
56 圧力板5a,5cの第2の貫通孔
57 圧力板5a,5cの貫通孔
58 圧力板5bのねじ穴
6 接続ボルト
61 接続ボルトのセンタリングマンドレルのシース面(円錐形)(第3のシース面部)
62 接続ボルトのシース面(円筒形)(第2のシース面部)
63 接続ボルトのシース面(円筒形)(第1のシース面部)
64 ねじ山部
65 接続ボルトの第1の接触面
66 接続ボルトの第2の接触面
67 面取り部(シース部1とシース部2の間)
68 面取り部(シース部1とシース部2の間)
69 接続ボルト(第4の部)のセンタリングマンドレルの固定溝
610 固定溝の内壁(差込み部8の外形1の接触面)
611 固定溝の外壁(差込み部8の外形2の接触面)
612 接続ボルトの側面63の穴
613 接続ボルトを溝状拡張部55の中心に位置決めするためのセンタリングピン
7 センタリングスリーブ
70 フランジ(センタリングスリーブの第2のスリーブ部、カラー)
71 センタリングスリーブの第1のスリーブ部の内壁
72 センタリングスリーブの第1のスリーブ部の外壁
73 センタリングスリーブの第1のスリーブ部の内壁と外壁の間の領域
74 センタリングスリーブの第1のスリーブ部の領域と内壁との間の面取り部
75 フランジ70の外側フランジ面、センタリングスリーブの第2のスリーブ部の外側接触面(差込み部品の第2の接触面の接触面)
76 フランジ70の内側フランジ面、センタリングスリーブの第2のスリーブ部の内側接触面(圧力板の取付側面の接触面)
77 センタリングスリーブの側方端部
78 止めねじを収容するための穴
79 センタリングスリーブの第1のスリーブ部と第2のスリーブ部のアンダーカット
8 差込み部
81 差込み部の第1の接触面の外形
82 差込み部の第2の接触面の外形
83 差込み部の第3の接触面の外形
84 スプリングプラグを受ける固定穴(標準部品)
9 ディスク(標準部品)
10 クラウンナット(標準部品)
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13a
図13b
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続装置(4a)を有する下弦材接続装置であって、特にタワークレーンのカンチレバーのカンチレバーセグメント(1)を接続するためのものであり、
第1のカンチレバーセグメント(1a)の第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第1の締結部(9、10、63、64)と、第2のカンチレバーセグメント(1b)の第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第2の締結部(61、62)とを備えた、少なくとも1つの接続ボルト(6)と、
前記第1の締結部(9、10、63、64)は、前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための取外し可能なねじれを防止する接続手段を備え、
前記第2の締結部(61、62)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するためのセンタリングマンドレルを備え、前記センタリングマンドレルは、差込み部(8)を受けるための半径方向の固定溝(69)、特に連続した固定溝を備え、
前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)の対応する貫通孔(54、56)に挿入するためのセンタリングスリーブ(7)であって、前記第2の締結部(61、62)を確実に受けるための内部断面を有するセンタリングスリーブと
を備えた、接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項2】
前記センタリングマンドレルは、前記第2の締結部(61、62)に向かって先細になる断面を有し、かつ、第1の円筒状の側方断面に隣接し、
前記センタリングマンドレルは、組み立てられた状態で、前記センタリングスリーブに、特に形状が合う方法で、収容可能である、請求項1に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項3】
前記センタリングスリーブ(7)は、フランジ面(75、76)を有する、前記センタリングスリーブ(7)の軸方向端部に設けられた完全な周囲フランジ(70)又は部分的な周囲フランジ(70)を備え、かつ、組み立てられた状態で、前記第2の締結部(61、62)の方向に配置された、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項4】
前記フランジ(70)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に固定するための非回転式で締結する1以上の締結手段により、フランジ面(75、76)及び穴(78)が設けられた、請求項3に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項5】
前記第1の締結部(63、64)は、特に前記第2の締結部(61、62)に直接的に隣接する第2の円筒状側面部を有する、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項6】
ねじ山部(64)は、前記第1の締結部(63、64)を、ねじによって前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に固定するための第2の円筒状側面部(63)に隣接する、請求項5に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項7】
第2の円筒状のシェル表面部(63)は、回転防止手段を備え、前記回転防止手段は、特に、前記第2の円筒状のシェル表面部から突出したセンタリングピン(613)によって形成された、請求項5記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項8】
前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)は、前記センタリングスリーブ(7)を、形状及び摩擦による固定方法によって軸方向及び半径方向に受けるための連続した第2の貫通孔(56)を備えた、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項9】
前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)は、第2の側面部(63)を、形状及び摩擦による固定方法によって軸方向及び半径方向に受けるための第1の貫通孔(54)を備え、
組み立てられた状態において、前記第2の締結部(61、62)の第1の側面部(62)の軸方向端部が、前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に当接する、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項10】
前記第1の側面部(62)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)の厚さと少なくとも等しい軸方向の長さを有しており、
前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)及び前記第2の圧力板が互いに当接する組み立てられた状態において、前記差込み部(8)が挿入されたときに、前記第2の締結部(61、62)の方向において、力が前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に加わるように、前記固定溝(69)が設けられた、請求項9に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項11】
少なくとも1つの他の接続ボルト(6)は、前記第2のカンチレバーセグメント(1b)の前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための第1の締結部と、前記第1のカンチレバーセグメント(1a)の前記第1の圧力板に締結するための第2の締結部とを備えており、
前記第1の締結部(63、64)は、前記第2の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するための取外し可能な接続手段を備え、
前記第2の締結部(61、62)は、前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)に締結するためのセンタマンドレルを備え、前記センタリングマンドレルは、差込み部(8)を受けるための半径方向の固定溝、特に連続的な固定溝を有し、
前記第1の圧力板(5、5a、5b、5c)の対応する貫通孔に挿入するためのセンタリングスリーブ(7)は、前記第2の締結部(61、62)を、形状が合う方法で受けるための内部断面を有する、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項12】
前記下弦材接続装置は、前記カンチレバーセグメント(1a,1b)の2つの下弦材(3)を互いに接続し、
固定装置(4b)が、前記2つの下弦材(3)の端面に設けられ、前記下弦材(3)の軸方向における横方向の変位に対して前記下弦材(3)を固定する、請求項1又は2に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項13】
前記固定装置(4b)は、
前記第1の圧力板(5、5b、5c)に締結するための第1の締結部と、前記第2の圧力板(5、5a、5c)に締結するための第2の締結部とを有する少なくとも1つのスクリューマンドレル(40)を備え、
前記第2の締結部は、前記スクリューマンドレル(40)を前記第2の圧力板(5、5a、5c)に取り付けるための側面部(42)を有し、
前記第2の圧力板(5、5a、5c)の貫通孔(57)に挿入するためのブッシング(45)が設けられ、
前記ブッシング(45)は、前記第2の締結部の側面部(42)を受ける内壁(46)を有する、請求項12に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項14】
前記第1の締結部は、前記スクリューマンドレル(40)を前記第1の圧力板(5、5b、5c)のねじ穴(58)に締結するためのねじ部(41)を備えた、請求項13に記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【請求項15】
前記第2の締結部の側面部(42)は、形状及び摩擦による固定方法によって前記貫通孔(57)に受けられる、請求項13記載の接続装置(4a)を有する下弦材接続装置。
【国際調査報告】