(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス及びエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240801BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240801BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240801BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
A24F40/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578839
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022072281
(87)【国際公開番号】W WO2023017002
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレイエ, デニス
(72)【発明者】
【氏名】ダマーズ, ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】ヒジュマ, ヘルマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(10)は、エアロゾル発生基材(102)の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバ(18)と、上記エアロゾル発生基材(102)を加熱して吸入されるエアロゾルを発生させるように構成される誘導加熱配置(46)とを備え、上記誘導加熱配置(46)は、上記加熱チャンバ(18)の周囲に又は近傍に配設される単一の誘導コイル(48)を備える。上記エアロゾル発生デバイス(10)は、上記単一の誘導コイル(48)に交流電流を供給するように上記誘導加熱配置(46)を制御するように構成されるコントローラ(24)を備える。上記誘導加熱配置(46)は、上記単一の誘導コイル(48)に関連付けられる複数のコネクタ(C1~C5)を含み、上記複数のコネクタ(C1~C5)は、1つ以上のコイルセクション(L1~L4)に交流電流を供給して1つ以上のコイルセクション(L1~L4)を選択的に通電することを可能にするよう配置され及び構成される。また、上記エアロゾル発生デバイス(10)は、上記加熱チャンバ(18)の内部の対応する加熱領域(40a、41a、42a、43a)を画定するように、各コイルセクション(L1~L4)に隣接して上記加熱チャンバ(18)内に位置決めされる複数の誘導加熱可能サセプタ(40、41、42、43)をも備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイス(10)であって、
エアロゾル発生基材(102)の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバ(18)と、
前記エアロゾル発生基材(102)を加熱して吸入されるエアロゾルを発生させるように構成される誘導加熱配置(46)であって、前記加熱チャンバ(18)の周囲に又は近傍に配設される単一の誘導コイル(48)を備える、誘導加熱配置(46)と、
前記単一の誘導コイル(48)に交流電流を供給するように前記誘導加熱配置(46)を制御するように構成されるコントローラ(24)と、を備え、
前記誘導加熱配置(46)は、前記単一の誘導コイル(48)に関連付けられる複数のコネクタ(C1~C5)を含み、前記複数のコネクタ(C1~C5)は、前記単一の誘導コイル(48)の1つ以上のコイルセクション(L1~L4)に前記交流電流を供給して前記1つ以上のコイルセクション(L1~L4)を選択的に通電することを可能にするよう配置され及び構成され、
前記エアロゾル発生デバイス(10)は、前記加熱チャンバ(18)の内部の対応する加熱領域(40a、41a、42a、43a)を画定するように、各コイルセクション(L1~L4)の近傍で前記加熱チャンバ(18)内に位置決めされる複数の誘導加熱可能サセプタ(40、41、42、43)を備え、
前記エアロゾル発生デバイスは、少なくとも2つの加熱モードを備え、各加熱モードは、関連付けられるセクションアクティブ化パターンを含み、前記コントローラは、第1加熱モードが選択された場合に、第1セクションアクティブ化パターンに従って前記単一の誘導コイルの前記1つ以上のコイルセクションに前記交流電流を供給し、及び、第2加熱モードが選択された場合に、前記第1セクションアクティブ化パターンとは異なる第2セクションアクティブ化パターンに従って前記単一の誘導コイルの前記1つ以上のコイルセクションに前記交流電流を供給するように、前記誘導加熱配置を制御するように構成される、
エアロゾル発生デバイス。
【請求項2】
前記コネクタ(C1~C5)は、前記コネクタ(C1~C5)の対応するペアを介する各コイルセクション(L1~L4)への前記交流電流の供給が可能となるように、ペアごとに配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項3】
前記コントローラ(24)は、前記コネクタ(C1~C5)の対応するペアを介して各コイルセクション(L1~L4)に前記交流電流を供給するように構成される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項4】
前記複数のコネクタ(C1~C5)は、使用時に、各コイルセクション(L1~L4)が、近傍に位置決めされた誘導加熱可能サセプタ(40、41、42、43)の位置に対応する前記加熱チャンバ(18)の異なる領域において集中する電磁界を発生させるように、配置され及び構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項5】
前記単一の誘導コイル(48)は、長手方向軸を中心として前記加熱チャンバ(18)の周囲に延在する螺旋コイルであり、前記複数のコネクタ(C1~C5)は、前記長手方向軸に沿って間隔を置いて配置されて、長手方向に配置されたコイルセクション群(L1~L4)を画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項6】
前記第1セクションアクティブ化パターンにおいて、前記コントローラ(24)は、前記交流電流を各コイルセクション(L1~L4)に順次供給するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項7】
前記第2セクションアクティブ化パターンにおいて、前記コントローラ(24)は、前記交流電流を順次、コイルセクションの第1のサブセット(L1、L2)に、その後、コイルセクションの第2のサブセット(L3、L4)に供給するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項8】
前記コントローラ(24)は、交流電流を第1コイルセクション(L1)に供給して第1の電磁界を発生させ、及び、交流電流を第2コイルセクション(L2)に供給して第2の電磁界を発生させるように、前記誘導加熱配置(46)を制御するように構成され、前記第1の電磁界は第1の周波数を有し、前記第2の電磁界は、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項9】
前記第1の電磁界は、第1の共振周波数を有する第1誘導加熱可能サセプタ(40)を加熱するよう適合され、前記第2の電磁界は、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2誘導加熱可能サセプタ(41)を加熱するよう適合される、請求項8に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項10】
前記コントローラ(24)は、交流電流を第3コイルセクション(L3)に供給して第3の電磁界を発生させるように前記誘導加熱配置(46)を制御するように構成され、前記第3の電磁界は、前記第1の周波数及び前記第2の周波数とは異なる第3の周波数を有する、請求項8又は9に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項11】
前記第3の電磁界は、前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3誘導加熱可能サセプタ(42)を加熱するよう適合される、請求項10に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項12】
前記コントローラ(24)は、前記コイルセクション(L1~L4)のうちの1つ以上を第1の温度に加熱し、及び、前記コイルセクション(L1~L4)のうちの他の1つ以上を前記第1の温度とは異なる第2の温度に加熱するように前記誘導加熱配置(46)を制御するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項13】
前記コントローラは、コイルセクション(L1、L2)の前記第1のサブセット内の第1コイルセクション(L1)を前記第1の温度に加熱し、同時に、コイルセクション(L1、L2)の前記第1のサブセット内の第2コイルセクション(L2)を前記第2の温度に加熱するように前記誘導加熱配置を制御するように構成される、請求項7に従属する場合の請求項12に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項14】
エアロゾル発生システム(1)であって、
エアロゾル発生基材(102)と、
吸入されるエアロゾルを発生させるよう前記エアロゾル発生基材(102)を加熱するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)と、
を備える、エアロゾル発生システム(1)。
【請求項15】
請求項14に記載のエアロゾル発生システム(1)を用いる方法であって、
前記エアロゾル発生基材(102)の少なくとも一部分を前記加熱チャンバ(18)内に位置決めすることと、
第1加熱モードが選択された場合に、第1セクションアクティブ化パターンに従って前記単一の誘導コイルの前記1つ以上のコイルセクションに交流電流を供給するように、前記誘導加熱配置を前記コントローラによって制御することと、
第2加熱モードが選択された場合に、前記第1セクションアクティブ化パターンとは異なる第2セクションアクティブ化パターンに従って前記単一の誘導コイルの前記1つ以上のコイルセクションに前記交流電流を供給するように、前記誘導加熱配置を前記コントローラによって制御することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル発生デバイスに関し、より具体的には、エアロゾル発生基材を加熱してユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生デバイスに関する。また、本開示の実施形態は、エアロゾル発生デバイス及びエアロゾル発生基材を備えるエアロゾル発生システム、並びにエアロゾル発生システムを用いて吸入されるエアロゾルを発生させる方法に関する。本開示は、具体的には、携帯型(手持ち式)エアロゾル発生デバイスに適用可能である。かかるデバイスは、エアロゾル発生基材、例えば、たばこ又は他の好適な材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させる。本開示は、具体的には、誘導加熱式エアロゾル発生デバイス及び/又はシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年(エアロゾル発生デバイス又は蒸気発生デバイス又は個人用気化器としても公知の)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用が、従来のたばこ製品の使用に代わるものとして、急速に成長してきた。エアロゾル発生基材を加熱し又は加温して、ユーザが吸入するエアロゾルを発生させる様々な装置及びシステムが入手可能である。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又はいわゆる加熱非燃焼式デバイスである。この種のデバイスは、エアロゾル発生基材を通常150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによって、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル発生基材を燃やしたり燃焼させたりすることなく、エアロゾル発生基材をこの範囲内の温度に加熱することにより、蒸気を発生させ、蒸気は、通常、冷却及び凝縮して、デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成する。
【0004】
現在利用可能なエアロゾル発生デバイスは、いくつかの異なる手法のうちの1つを用いて、エアロゾル発生基材を加熱することができる。かかる手法の1つは、誘導加熱システムを採用するエアロゾル発生デバイスを提供することである。かかるデバイスでは、誘導コイルがデバイスに設けられ、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生基材を加熱するよう設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、続いてこれにより交流電磁界が発生する。サセプタはこの電磁界と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば、伝導、放射、及び対流のうちの1つ以上によって、エアロゾル発生基材に伝達され、エアロゾル発生基材が加熱されるにつれて、エアロゾルが発生する。
【0005】
一般に、(喫煙セッションとしても知られる)使用中の期間を通じて、ユーザによる吸入のために許容可能な特性を有するエアロゾルが生成されることを保証するように、エアロゾル発生基材内の熱分布を制御することが望ましい。本開示の実施形態は、向上したユーザ体験を提供することを追求するものであり、その中で、エアロゾル発生基材内の熱分布のより正確な制御を通じて、生成されるエアロゾルの特性が最適化される。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、
エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバと、
上記エアロゾル発生基材を加熱して吸入されるエアロゾルを発生させるように構成される誘導加熱配置であって、上記加熱チャンバの周囲に又は近傍に配設される単一の誘導コイルを備える、誘導加熱配置と、
上記単一の誘導コイルに交流電流を供給するように上記誘導加熱配置を制御するように構成されるコントローラと、
を備えるエアロゾル発生デバイスが提供され、
上記誘導加熱配置は、上記単一の誘導コイルに関連付けられる複数のコネクタを含み、上記複数のコネクタは、上記単一の誘導コイルの1つ以上のコイルセクションに交流電流を供給して上記1つ以上のコイルセクションを選択的に通電することを可能にするよう配置され及び構成され、
上記エアロゾル発生デバイスは、上記加熱チャンバの内部の対応する加熱領域を画定するように、各コイルセクションの近傍で上記加熱チャンバ内に位置決めされる複数の誘導加熱可能サセプタを備え、
上記エアロゾル発生デバイスは、少なくとも2つの加熱モードを備え、各加熱モードは、関連付けられるセクションアクティブ化パターンを含み、上記コントローラは、第1加熱モードが選択された場合に、第1セクションアクティブ化パターンに従って上記単一の誘導コイルの上記1つ以上のコイルセクションに交流電流を供給し、及び、第2加熱モードが選択された場合に、上記第1セクションアクティブ化パターンとは異なる第2セクションアクティブ化パターンに従って上記単一の誘導コイルの上記1つ以上のコイルセクションに交流電流を供給するように、上記誘導加熱配置を制御するように構成される。
【0007】
上記エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生基材を燃やすことなく加熱して、エアロゾル発生基材の少なくとも1つの成分を蒸発させ、それにより蒸気を生成し、蒸気は冷却されて凝縮し、エアロゾル発生デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成するように構成される。エアロゾル発生デバイスは、通常、手持ち式の携帯型デバイスである。
【0008】
概していうと、蒸気は、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味し、一方、エアロゾルは、空気又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかし、用語「エアロゾル」及び「蒸気」は、本明細書において、特にユーザが吸入するために生成される吸入可能媒体の形態に関して交換可能に用いてもよいことに注意されたい。
【0009】
上記コイルセクションのうちの1つ以上を選択的に通電することによって、本開示は、例えば、各コイルセクションが(通電されると)、その特定のコイルセクションの近傍に位置する誘導加熱可能サセプタの優先的な加熱を生じる可能性があるため、エアロゾル発生基材内部の熱分布を慎重に制御することを可能にする。したがって、エアロゾル発生基材の選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱を達成することができる。コネクタを介して選択的に(順次又は同時に)通電することができるコイルセクションを有する単一の誘導コイルの使用は、誘導加熱可能サセプタを選択的に加熱するための効果的な解決策を提供し、エアロゾル発生デバイスがコンパクトな設計を有することを確実にする。誘導加熱可能サセプタを、エアロゾル発生物品の一部としてエアロゾル発生基材と共に提供するのではなく、エアロゾル発生デバイスの一部として提供することによって、エアロゾル発生物品の構造及び製造を単純化することもできる。それぞれが関連付けられるセクションアクティブ化パターン(即ち、コイルセクションがアクティブ化する所定の順序)を有する2つ以上の加熱モードを提供することによって、エアロゾル発生デバイスは、デバイスの動作を調整する複数の加熱モード間で切り替え可能であり、したがって、デバイスの動作に関してより高い柔軟性をユーザに提供してもよい。さらに、複数の加熱モードは、使用セッション中により一貫した加熱を提供してもよい。
【0010】
随意的な特徴をこれより説明する。これらは、単独で、又は本開示の任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0011】
上記コネクタは、上記コネクタの対応するペアを介する各コイルセクションへの交流電流の供給が可能となるように、ペアごとに配置されてもよい。上記コントローラは、上記コネクタの対応するペアを介して各コイルセクションに交流電流を供給するように構成されてもよい。したがって、各コイルセクションを、上記コネクタの選択されたペアによって画定され、それらを介して好都合に通電することができる。
【0012】
上記複数のコネクタは、使用時に、各コイルセクションが、近傍に位置決めされた誘導加熱可能サセプタの位置に対応する上記加熱チャンバの異なる領域において集中する電磁界を発生させるように、配置され及び構成されてもよい。これは、コイルセクションの近傍に位置決めされる誘導加熱可能サセプタが、そのコイルセクションによって発生する電磁界によって優先的に加熱されることを確実にする。
【0013】
上記単一の誘導コイルは、長手方向軸を中心として上記加熱チャンバの周囲に延在する螺旋コイルであってもよい。上記加熱チャンバの周囲に螺旋状に延在する誘導コイルを設けることによって、上記誘導加熱可能サセプタの確実な加熱を保証することができる。上記複数のコネクタは、長手方向軸に沿って間隔を置いて配置されて、上記長手方向に配置されたコイルセクション群を画定してもよく、それにより、各コイルセクションは、螺旋コイルの全巻数のうちの巻線のサブセットを含んでもよい。上記誘導加熱可能サセプタは、長手方向軸に沿って対応して離隔されてもよく、それにより、上記エアロゾル発生基材の長手方向に配置された部分の選択的な(又は「ゾーンごとの(zonal)」)加熱を提供する。
【0014】
上記第1セクションアクティブ化パターンにおいて、上記コントローラは、交流電流を各コイルセクションに順次供給するように構成されてもよい。上記第2セクションアクティブ化パターンにおいて、上記コントローラは、交流電流を順次、コイルセクションの複数のサブセットに供給するように構成されてもよい。それにより、各コイルセクション、又はコイルセクションのサブセットが、異なる時間に電磁界を発生させることになり得る(即ち、コイルセクションの全てが同時に電磁界を発生させるわけではない)。これは、エアロゾル発生基材の異なる領域又は部分を順次加熱することを都合よく可能にし、そのようにして、エアロゾル発生基材内部の制御された熱分布、特に選択的(又は「ソーンごとの」)加熱を提供する。第3セクションアクティブ化パターンにおいて、上記コントローラは、交流電流を上記コイルセクションの全てに同時に供給するように構成されてもよい。そのようにして、エアロゾル発生基材の急速な加熱が達成されるかもしれない。
【0015】
上記コントローラは、交流電流を第1コイルセクションに供給して第1の電磁界を発生させるように上記電磁誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。上記コントローラは、交流電流を第2コイルセクションに供給して第2の電磁界を発生させるように上記電磁誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。
【0016】
上記第1の電磁界及び上記第2の電磁界は、同時に発生しなくてもよく、代わりに、異なる時間に発生してもよい。これは、エアロゾル発生基材の異なる領域又は部分を順次加熱することを都合よく可能にし、それにより、エアロゾル発生基材内部の制御された熱分布、特に選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱を提供する。
【0017】
上記第1の電磁界は、第1の周波数を有してもよく、上記第2の電磁界は、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有してもよい。互いに異なる第1及び第2の周波数を有する第1及び第2の電磁界を発生させることによって、上記エアロゾル発生基材の内部の熱分布を慎重に制御することが可能であり、なぜなら、例えば、第1の電磁界が第1誘導加熱可能サセプタの優先的な加熱を生み出し、第2の電磁界が第2誘導加熱可能サセプタの優先的な加熱を生み出し得るからである。そのようにして、エアロゾル発生基材の選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱を達成することができる。(例えば、第1コイルセクションを介して)第1の電磁界を、及び(例えば、第2コイルセクションを介して)第2の電磁界を発生させるような単一の電磁誘導コイルの使用は、第1及び第2の電磁界を発生させるための効果的な解決策を提供し、エアロゾル発生デバイスがコンパクトな設計を有することを確実にする。
【0018】
複数の誘導加熱可能サセプタの各々は、他の誘導加熱可能サセプタの共振周波数とは異なる共振周波数を有していてもよい。例えば、上記エアロゾル発生デバイスは、第1の共振周波数を有する第1誘導加熱可能サセプタを備えてもよく、上記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2誘導加熱可能サセプタを備えてもよい。
【0019】
異なる共振周波を有する誘導加熱可能サセプタを用いることは、第1コイルセクションが第1誘導加熱可能サセプタの第1の共振周波数と略等しい第1の周波数を有する第1の電磁界を発生するように、及び、第2コイルセクションが第2誘導加熱可能サセプタの第2の共振周波数と略等しい第2の周波数を有する第2の電磁界を発生するように、上記誘導加熱配置を制御することによって上記エアロゾル発生基材の選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱が実行されることを可能にする。特定のサセプタ(例えば、第1又は第2のサセプタ)の共振周波数(例えば、第1又は第2の共振周波数)と略等しい周波数(例えば、第1又は第2の周波数)を有する電磁界(例えば、第1又は第2の電磁界)を生成することは、そのサセプタに熱量を発生させる。また、このことは、他のサセプタのうちの1つ以上に(即ち、発生する電磁界の周波数と略等しいわけではない共振周波数を有するどのサセプタにも)生まれる熱量を、特定のサセプタによって発生する熱量よりも通常小さく、ゼロ又は略ゼロにし得る。特定のサセプタのどの選択的加熱も、したがって、他のサセプタが全く加熱されないことを意味すると解釈されるべきではなく、特定のサセプタの選択的加熱は、特定のサセプタの近傍のエアロゾル発生基材からのエアロゾルの放出に通常主として関与することを意味するに過ぎない。本明細書の全体を通して、この種の加熱を定義するために、「優先的な加熱(preferential heating)」との用語が用いられる。この優先的な加熱は、エアロゾル発生基材の1つ以上の部分がエアロゾル発生基材の1つ以上の他の部分よりも高い温度に加熱されることを有利に可能にするであろう。1つ以上の部分がより高い温度に加熱されることは、エアロゾル発生デバイスがアクティブ化された当初に迅速なエアロゾルの発生を提供し得る一方で、1つ以上の部分がより低い温度に加熱されることは、使用期間(例えば、喫煙セッション)を通じた持続的なエアロゾルの発生を提供し得る。
【0020】
上記コントローラは、交流電流を第3コイルセクションに供給して第3の電磁界を発生させるように上記電磁誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。上記コントローラは、交流電流を第4コイルセクションに供給して第4の電磁界を発生させるように上記電磁誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。第3の電磁界は、第3の周波数を有してもよい。第4の電磁界は、第4の周波数を有してもよい。第3の周波数は、第1及び第2の周波数と異なっていてもよく、第4の周波数と異なっていてもよい。第4の周波数は、第1及び第2の周波数と異なっていてもよく、第3の周波数と異なっていてもよい。第3の電磁界は、その第3の周波数で、第3の共振周波数を有し得る第3誘導加熱可能サセプタを加熱するよう適合されてもよく、当該第3の共振周波数は、第1及び第2の共振周波数と異なっていてもよく、第4の共振周波数と異なっていてもよい。第4の電磁界は、その第4の周波数で、第4の共振周波数を有し得る第4誘導加熱可能サセプタを加熱するよう適合されてもよく、当該第4の共振周波数は、第1及び第2の共振周波数と異なっていてもよく、第3の共振周波数と異なっていてもよい。
【0021】
対応する第3及び第4の共振周波数を有する誘導加熱可能サセプタと共に、第3コイルセクション及び随意的な第4コイルセクション等の追加のコイルセクションの使用は、エアロゾル発生基材の加熱に対するより広範な制御を可能にし、それにより、エアロゾル発生基材の選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱を強化し得る。
【0022】
第1加熱モードにおいて、上記コントローラは、第1セクションアクティブ化パターンにおいて、第1、第2、第3、及び第4コイルセクションのそれぞれに交流電流を順次供給するように上記誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。例示的な第1セクションアクティブ化パターンにおいて、上記エアロゾル発生基材の第1、第2、第3、及び第4の部分が順次加熱されるように、第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタのそれぞれが順次加熱される。加熱は、第1、第2、第3、及び第4のセクションのうちのいずれか1つから開始してもよい。必要であれば、順序を逆にしてもよい。コイルは、4つよりも多いセクション、又は4つよりも少ないセクションを備えてもよい。
【0023】
第2加熱モードにおいて、上記コントローラは、第2セクションアクティブ化パターンにおいて、交流電流をコイルセクションの第1のサブセットに同時に供給し、その後、交流電流をコイルセクションの第2のサブセットに同時に供給するように上記誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。例示的な第2セクションアクティブ化パターンにおいて、上記コントローラは、交流電流を第1及び第2コイルセクションに同時に供給し、その後、交流電流を第3及び第4コイルセクションに同時に供給するように構成されてもよい。この実施例において、第1及び第2誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第1及び第2の部分もまた同時に加熱される。その後、第3及び第4誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第3及び第4の部分もまた同時に加熱される。別の実施例において、第1及び第3誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第1及び第3の部分もまた同時に加熱される。その後、第2及び第4誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第2及び第4の部分もまた同時に加熱される。さらなる実施例において、第1及び第4誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第1及び第4の部分もまた同時に加熱される。その後、第2及び第3誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第2及び第3の部分もまた同時に加熱される。サブセットは、異なる順序でアクティブ化されてもよく、必要に応じて、他のサブセットが選択されてもよいことは、正しく認識されるであろう。
【0024】
第3の加熱モードにおいて、上記コントローラは、第3セクションアクティブ化パターンにおいて第1、第2、第3、及び第4コイルセクションに交流電流を同時に供給するように上記誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。この実施例において、第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタが同時に加熱されることで、エアロゾル発生基材の第1、第2、第3、及び第4の部分が同時に加熱される。
【0025】
さらなる例示的なセクションアクティブ化パターンを定義するために、コイルセクション及びコイルセクションのサブセットの他の組み合わせが選択されてもよいことは、正しく認識されるであろう。例えば、さらなるシーケンシャルなセクションアクティブ化パターンにおいて、第1コイルセクションがアクティブ化され、続いて第2コイルセクション及び第3コイルセクションを含むコイルセクションの第1のサブセットが、続いて第4コイルセクションがアクティブ化される。
【0026】
上記コントローラは、コイルセクションのサブセット(例えば、第1のサブセット)内の第1コイルセクションを第1の温度に加熱し、同時に、同じサブセット内の第2コイルセクションを第2の温度に加熱するように上記誘導加熱配置を制御するように構成されてもよい。
【0027】
上記コントローラは、ユーザが上記誘導加熱配置を介してコイルセクションへの交流電流の供給を制御することを可能にするよう、ユーザ調整可能又はユーザ構成可能であってもよい。言い換えれば、ユーザは、例えば上で説明した第1、第2、又は第3の非限定的な実施例に従って、複数のコイルセクションがどのように通電されるかを選択してもよい。これらの非限定的な第1、第2、及び第3の実施例が、ユーザが選択し得るエアロゾル発生デバイスの「加熱モード」を表していてもよい。
【0028】
上記誘導コイルは、リッツ線又はリッツケーブルを備えてもよい。しかしながら、他の材料を用いることができることは言うまでもない。
【0029】
上記誘導コイルは、使用時に、約20mT~約2.0T(最高密度点)の磁束密度を有する変動電磁界を伴って動作するよう配置されてもよい。
【0030】
上記加熱チャンバは、長手方向を画定する長手方向軸を有してもよい。上記加熱チャンバは、略管状であってもよい。複数の誘導加熱可能サセプタが、略管状の上記加熱チャンバの周囲に円周方向に延在していてもよく、例えば、サセプタリングを備えていてもよい。上述したように、上記複数の誘導加熱可能サセプタは、上記加熱チャンバに沿って長手方向に、即ち長手方向軸に沿って離隔されていてもよい。上記加熱チャンバは、略円筒形であってもよい。したがって、上記加熱チャンバは、略円筒形のエアロゾル発生基材を受け入れるように構成されていてもよく、多くの場合、エアロゾル発生物品の形態のエアロゾル発生基材は、円筒形の形状に包装され、販売されるため、この円筒形のエアロゾル発生基材は、有利である可能性がある。上記誘導加熱可能サセプタは、隣接するコイルセクションによって発生する電磁界の存在下で効率的に加熱され、それによって、エアロゾル発生基材が迅速且つ均一に加熱されることが確実になる。それにより、上記エアロゾル発生デバイスのエネルギー効率が最大化される。
【0031】
上記加熱チャンバは、実質的に非導電性且つ非透磁性の材料を含んでいてもよい。例えば、上記加熱チャンバは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱性プラスチック材料を含んでもよい。上記エアロゾル発生デバイスの動作中に、上記加熱チャンバ自体は、上記誘導加熱配置によって加熱されず、上記誘導加熱可能サセプタへのエネルギー入力が最大化されることを確実にする。これは、ひいては、デバイスのエネルギー効率が最大化されることを確実にする。また、上記デバイスは、触れても冷たいままであり、ユーザの快適性が最大化されることを確実にする。
【0032】
上記誘導加熱可能サセプタは、金属を含んでもよい。金属は、典型的には、ステンレス鋼及び炭素鋼からなる群から選択される。上記誘導加熱可能サセプタは、しかし、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、炭素鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅の1つ以上を含むが、これらに限定されない任意の好適な材料を含むことができる。サセプタの付近に電磁界を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、各誘導加熱可能サセプタは熱を生み出す。
【0033】
上記エアロゾル発生デバイスは、電源を含んでいてもよく、上記コントローラは、制御回路を含んでいてもよい。上記電源及び上記制御回路は、高い周波数で動作するように構成されてもよい。上記電源及び上記制御回路は、約80kHz~1MHz、場合により約150kHz~250kHz、場合により約200kHzの周波数で動作するように構成されてもよい。上記電源及び上記制御回路は、用いられる誘導加熱可能サセプタの種類に応じて、例えばMHzレンジの、より高い周波数で動作するように構成されてもよい。
【0034】
本開示の第2の態様によれば、
エアロゾル発生基材と、
吸入されるエアロゾルを発生させるよう上記エアロゾル発生基材を加熱するための、上で定義したようなエアロゾル発生デバイスと、
を備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0035】
上記エアロゾル発生基材は、任意の種類の固体又は半固体材料を含んでいてもよい。エアロゾル発生固体の例示的な種類は、粉末、顆粒、ペレット、破片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートを含む。上記エアロゾル発生基材は、植物由来の材料を含んでいてもよく、特にたばこを含んでいてもよい。それは、例えば、たばこと、セルロース繊維、たばこ茎繊維、及びCaCO3等の無機充填剤のうちの任意の1つ以上とを含む再構成たばこを含んでいてもよい。
【0036】
したがって、エアロゾル発生デバイスは、「加熱式たばこ装置」、「加熱非燃焼式たばこ装置」、「たばこ製品気化用装置」等と称されてもよく、これらの効果を実現するのに好適なデバイスとして解釈される。本明細書中に開示する特徴は、任意のエアロゾル発生基材を気化させるよう設計されるデバイスに等しく適用可能である。
【0037】
上記エアロゾル発生基材は、エアロゾル発生物品の一部を形成してもよく、紙ラッパーによって囲まれてもよい。
【0038】
上記エアロゾル発生物品は、実質的にスティックの形状に形成されてもよく、好適な形態で配置されるエアロゾル発生基材を有する管状領域を有する紙巻きたばこに概ね類似してもよい。上記エアロゾル発生物品は、上記エアロゾル発生物品の近位端に、例えば、酢酸セルロース繊維を含むフィルタセグメントを含んでいてもよい。上記フィルタセグメントは、マウスピースフィルタを構成してもよく、上記エアロゾル発生基材と同軸に位置合わせされ得る。1つ以上の蒸気収集領域、冷却領域、及び他の構造も、いくつかの設計において含まれてもよい。例えば、上記エアロゾル発生物品は、フィルタセグメントの上流に少なくとも1つの管状セグメントを含んでもよい。管状セグメントは、蒸気冷却領域として機能してもよい。上記蒸気冷却領域は、有利なことに、上記エアロゾル発生基材を加熱することによって生成される加熱蒸気が、冷却及び凝縮されて、例えばフィルタセグメントを通して、ユーザが吸入するのに適した特性を有するエアロゾルを形成することを可能にし得る。
【0039】
上記エアロゾル発生基材は、エアロゾルフォーマを備えてもよい。エアロゾルフォーマの例には、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が含まれる。典型的には、エアロゾル発生基材は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾルフォーマ含有量を含んでもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル発生基材は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾルフォーマ含有量を含んでもよい。
【0040】
複数の誘導加熱可能サセプタのうちの1つ以上によって加熱されると、エアロゾル発生基材は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン、又はたばこ香味料等の香味化合物を含んでもよい。
【0041】
本開示の第3の態様によれば、上で定義したようなエアロゾル発生システムを用いる方法であって、
エアロゾル発生基材の少なくとも一部分を加熱チャンバ内に位置決めすることと、
第1加熱モードが選択された場合、第1セクションアクティブ化パターンに従って上記単一の誘導コイルの1つ以上のコイルセクションに交流電流を供給するように、上記誘導加熱配置を上記コントローラによって制御することと、
第2加熱モードが選択された場合、第1セクションアクティブ化パターンとは異なる第2セクションアクティブ化パターンに従って上記単一の誘導コイルの1つ以上のコイルセクションに交流電流を供給するように、上記誘導加熱配置を上記コントローラによって制御することと、
を含む方法が提供される。
【0042】
上記第1セクションアクティブ化パターンに従って交流電流を供給することは、上記コントローラによって、上記誘導加熱配置をアクティブ化して、第1の期間の間に第1コイルセクションに交流電流を供給して、第1の期間の間に第1の電磁界を発生させて、エアロゾル発生基材の第1の部分を加熱することと、その後、上記コントローラによって、上記誘導加熱配置をアクティブ化して、第1の期間に続く第2の期間の間に第2コイルセクションに交流電流を供給して、第2の期間の間に第2の電磁界を発生させて、エアロゾル発生基材の第2の部分を加熱することと、を含んでもよい。
【0043】
上記第2セクションアクティブ化パターンに従って交流電流を供給することは、上記コントローラによって、上記誘導加熱配置をアクティブ化して、第1の期間の間にコイルセクションの第1のサブセットに交流電流を供給して、第1の期間の間に電磁界の第1の群を発生させて、エアロゾル発生基材の部分の第1の群を加熱することと、その後、上記コントローラによって、上記誘導加熱配置をアクティブ化して、第1の期間に続く第2の期間の間に(第1のサブセットとは異なる)コイルセクションの第2のサブセットに交流電流を供給して、第2の期間の間に電磁界の第2の群を発生させて、エアロゾル発生基材の部分の第2の群を加熱することと、を含んでもよい。
【0044】
上記第1の電磁界は、第1の期間中に第1の誘導サセプタの優先的な加熱を生じさせてもよく、第2の電磁界は、第2の期間中に第2誘導加熱可能サセプタの優先的な加熱を生じさせてもよい。したがって、第1誘導加熱可能サセプタは、第1の期間中に第2誘導加熱可能サセプタよりも高い温度に加熱されてもよい一方で、第2誘導加熱可能サセプタは、第2の期間中に第1誘導加熱可能サセプタよりも高い温度に加熱されてもよい。上述したように、これは、エアロゾル発生基材内の制御された熱分布を提供し、特に、選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱を提供する。
【0045】
上記コントローラによって、第1コイルセクションに交流電流を供給するように上記誘導加熱配置をアクティブ化させるステップは、発生させた第1の電磁界に、エアロゾル発生基材の第1の部分が位置決めされ得る加熱チャンバの第1の加熱領域を画定し得る第1誘導加熱可能サセプタを加熱させてもよい。上記コントローラによって、第2コイルセクションに交流電流を供給するよう上記誘導加熱配置をアクティブ化させるステップは、発生させた第2の電磁界に、エアロゾル発生基材の第2の部分が位置決めされ得る加熱チャンバの第2の加熱領域を画定し得る第2誘導加熱可能サセプタを加熱させてもよい。
【0046】
本方法は、このようにして、第1及び第2の加熱領域内のエアロゾル発生基材の選択的(又は「ゾーンごとの」)加熱を提供する。例えば、第1の加熱領域内に位置決めされるエアロゾル発生基材の第1の部分は、第1誘導加熱可能サセプタによって加熱され、第2の加熱領域内に位置決めされるエアロゾル発生基材の第2の部分は、第2誘導加熱可能サセプタによって加熱される。上述したように、エアロゾル発生基材の第1及び第2の部分の加熱は、ユーザの好みに応じて順次又は同時とすることができ、ユーザによって制御されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】エアロゾル発生デバイスと、エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めすることができる状態にあるエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの断面略図である。
【
図2】エアロゾル発生物品がエアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めされた状態を示す、
図1のエアロゾル発生システムの断面略図である。
【
図3】加熱チャンバの内面に取り付けられる第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタと、コイル支持構造とを示す、
図1及び
図2のエアロゾル発生デバイスの加熱チャンバの詳細な斜視図である。
【
図4】加熱チャンバの周囲に延在する第4誘導加熱可能サセプタを示す、
図3に示す加熱チャンバの端部からの断面略図である。
【
図5】エアロゾル発生デバイスの誘導コイル及び誘導加熱可能サセプタを示し、誘導加熱可能サセプタに対して位置決めされるエアロゾル発生物品をも示す、
図1~
図4のエアロゾル発生デバイスの一部の斜視略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
ここで、本開示の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【0049】
初めに
図1及び
図2を参照すると、エアロゾル発生システム1の一実施例を略図で示している。エアロゾル発生システム1は、エアロゾル発生デバイス10と、当該デバイス10で用いるためのエアロゾル発生物品100とを備える。エアロゾル発生デバイス10は、本体12を備え、本体12は、エアロゾル発生デバイス10の様々なコンポーネントを収容する。本体12は、本明細書中に記載する様々な実施形態において説明するコンポーネントに適合し、ユーザによって補助なしに片手で快適に保持される大きさに作成される任意の形状を有することができる。
【0050】
図1及び
図2の底部側に示しているエアロゾル発生デバイス10の第1端14は、便宜上、エアロゾル発生デバイス10の遠位、底部、基部、又は下端として説明される。
図1及び
図2の頂部側に示しているエアロゾル発生デバイス10の第2端16は、エアロゾル発生デバイス10の近位、頂部、又は上端として説明される。使用中、ユーザは、通常、エアロゾル発生デバイス10を、第1端14を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位となる位置に、且つ第2端16を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接する位置に向ける。
【0051】
エアロゾル発生デバイス10は、本体12内に位置する加熱チャンバ18を備える。加熱チャンバ18は、エアロゾル発生物品100を収容するための、略円筒断面を有するキャビティ20の形態の内部容積を画定する。加熱チャンバ18は、長手方向を画定する長手方向軸を有し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性プラスチック材料から形成される。エアロゾル発生デバイス10は、さらに、例えば、充電式であってもよい1つ以上のバッテリである電源22と、コントローラ24とを備える。
【0052】
加熱チャンバ18は、エアロゾル発生デバイス10の第2端16に向かって開口している。言い換えれば、加熱チャンバ18は、エアロゾル発生デバイス10の第2端16に向かって、第1開口端26を有する。加熱チャンバ18は、典型的には、本体12への熱伝達を最小限に抑えるように、本体12の内側面から離隔して維持される。
【0053】
エアロゾル発生デバイス10は、随意的に、スライドカバー28を含むことができ、スライドカバー28は、閉位置(
図1を参照)と開位置(
図2を参照)との間で横方向に移動可能であって、閉位置では、スライドカバー28が加熱チャンバ18の第1開口端26を覆って加熱チャンバ18へのアクセスを防止し、開位置では、スライドカバー28が加熱チャンバ18の第1開口端26を露出させて加熱チャンバ18へのアクセスを提供する。いくつかの実施形態において、スライドカバー28を閉位置に付勢することができる。
【0054】
加熱チャンバ18、具体的にはキャビティ20は、対応する形状の略円筒状又はロッド状のエアロゾル発生物品100を受け入れるよう配置される。通常、エアロゾル発生物品100は、予め包装されたエアロゾル発生基材102を含む。エアロゾル発生物品100は、例えば、エアロゾル発生基材102としてたばこを含んでもよい使い捨て且つ交換可能な物品(「消耗品」としても知られる)である。エアロゾル発生物品100は、近位端104(又は口側端)及び遠位端106を有する。エアロゾル発生物品100は、さらに、エアロゾル発生基材102の下流に位置決めされるマウスピースセグメント108を備える。エアロゾル発生基材102及びマウスピースセグメント108は、ラッパー110(例えば、紙ラッパー)内で同軸に整列配置されて構成要素を定位置に保持して、棒状のエアロゾル発生物品100を形成する。
【0055】
マウスピースセグメント108は、下流方向に、言い換えればエアロゾル発生物品100の遠位端106から近位(口側)端104に向けて順次且つ同軸整列で配置される次のコンポーネント(詳細には図示せず)、即ち、冷却セグメント、中心孔セグメント、及びフィルタセグメントのうちの1つ以上を含むことができる。冷却セグメントは、典型的には、ラッパー110の厚さよりも大きい厚さを有する中空紙管を含む。中心孔セグメントは、酢酸セルロース繊維及び可塑剤を含有する硬化混合物を含んでいてもよく、マウスピースセグメント108の強度を増大させるよう機能する。フィルタセグメントは、典型的には、酢酸セルロース繊維を含み、マウスピースフィルタとして機能する。加熱された蒸気がエアロゾル発生基材102からエアロゾル発生物品100の近位(口)端104に向かって流れると、蒸気は、冷却セグメント及び中心孔セグメントを通過する際に冷却されて凝縮し、ユーザがフィルタセグメントを通して吸入するのに適した特性を有するエアロゾルを形成する。
【0056】
また、
図3及び
図4を参照すると、加熱チャンバ18は、加熱チャンバ18の第2端34に位置する基部32と第1開口端26との間を延在する側壁(又はチャンバ壁)30を有する。側壁30と基部32とを互いに接続し、単一部品として一体に形成することができる。図示した実施形態において、側壁30は、管状であり、より具体的には円筒状である。他の実施形態において、側壁30は、楕円形又は多角形断面を有する管等の他の好適な形状を有することができる。さらに別の実施形態において、側壁30はテーパ状とすることができる。
【0057】
図示した実施形態において、加熱チャンバ18の基部32は、閉じられており、例えば、密閉されているか又は気密である。即ち、加熱チャンバ18はカップ状である。これにより、第1開口端26から引き込まれた空気が第2端34から流出することを基部32によって阻止され、代わりにエアロゾル発生基材102を通るようにガイドされることが確実に可能になる。また、これにより、ユーザがエアロゾル発生物品100を加熱チャンバ18に意図した距離まで挿入し、それ以上挿入しないことを確実にすることができる。
【0058】
加熱チャンバ18の側壁30は、内面36及び外面38を有する。エアロゾル発生デバイス10は、キャビティ20内の側壁30の内面36に取り付けられる第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43を備える。図示した実施例において、誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43のそれぞれは、リング状であり、360°の角度を囲む。即ち、誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43は、周方向において側壁30の内面36全体の周囲に延在するサセプタリングを含む。誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43は、第1開口端26と第2閉鎖端34との間で、加熱チャンバ18内で長手方向に離隔される(即ち、それらは加熱チャンバ18の長手方向軸に沿って離隔される)。第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43のそれぞれは、加熱チャンバ18内に対応する第1、第2、第3、及び第4の加熱領域40a、41a、42a、43aを画定する。
【0059】
誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43はそれぞれ、その少なくとも一部がエアロゾル発生基材102と接触する可能性がある内面を有する。誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43は、エアロゾル発生基材102と、特に、エアロゾル発生物品100のラッパー110と摩擦嵌めを形成してもよく、
図2において最良に見られるように、エアロゾル発生基材102の圧縮を引き起こしてもよい。エアロゾル発生基材102の圧縮は、例えば、エアロゾル発生基材102内の空隙を排除することによって、エアロゾル発生基材102を通る熱伝導を改善する。
【0060】
エアロゾル発生デバイス10は、エアロゾル発生基材102を加熱するための誘導加熱配置46を備える。誘導加熱配置46は、単一の略螺旋状の誘導コイル48を備える。誘導コイル48は、略円筒状の加熱チャンバ18を中心として螺旋状に延在する。以下でさらに詳細に検討するように、誘導コイル48を、電源22及びコントローラ24によって通電させることができる。コントローラ24は、電子コンポーネントの中でも特に、電源22からの直流を誘導コイル48用の交流高周波電流に変換するよう配置されるインバータを含む。
【0061】
加熱チャンバ18の側壁30は、外面38に形成されるコイル支持構造50を含む。図示した実施例において、コイル支持構造50は、外面38の周囲で螺旋状に延在するコイル支持溝52を備える。誘導コイル48は、コイル支持溝52内に位置決めされ、したがって、誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43に対して確実且つ最適に位置決めされる。
【0062】
ここで
図5を参照すると、誘導加熱配置46は、さらに、誘導コイル48の複数の長手方向に配置されたコイルセクションL1、L2、L3、L4を画定するよう、加熱チャンバ18の長手方向軸に沿って離隔される複数のコネクタC1、C2、C3、C4、C5を備える。各コイルセクションL1~L4は、誘導コイル48の全巻数のうちの巻線のサブセットを含む。単に一例として、図示した実施形態において、各コイルセクションL1~L4は、誘導コイル48のうちの約3巻を含む。各コイルセクションL1~L4は、一対のコネクタC1~C5によって画定される。より具体的には、第1コイルセクションL1はコネクタペアC1及びC2によって画定され、第2コイルセクションL2はコネクタペアC2及びC3によって画定され、第3コイルセクションL3はコネクタペアC3及びC4によって画定され、そして第4コイルセクションL4はコネクタペアC4及びC5によって画定される。4つのコイルセクションL1~L4を設けることは必須ではなく、適切な数のコネクタを用いることによって、4つよりも多いか又は少ないコイルセクションL1~L4を設けることができることに留意されたい。
【0063】
図5から明らかなように、第1誘導加熱可能サセプタ40は第1コイルセクションL1の近傍に位置決めされ、第2誘導加熱可能サセプタ41は第2コイルセクションL2の近傍に位置決めされ、第3誘導加熱可能サセプタ42は第3コイルセクションL3の近傍に位置決めされ、そして第4誘導加熱可能サセプタ43は第4コイルセクションL4の近傍に位置決めされる。コントローラ24は、電気コネクタC1~C5の対応するペアのうちの1つ以上を介してコイルセクションL1~L4のうちの1つ以上に交流電流を供給して、コイルセクションL1~L4のうちの1つ以上を選択的に通電するように構成される。これにより、以下でさらに詳細に説明するように、各コイルセクションL1~L4の近傍に位置決めされる誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43が優先的に加熱される。コントローラは、複数の加熱モードを有し、各加熱モードは、関連付けられるセクションアクティブ化パターン(即ち、各セグメント又はセグメントのグループがアクティブ化されるシーケンス又は順序)を有する。したがって、エアロゾル発生デバイスは、動作のために、(予めプログラムされ、又はさもなければエアロゾル発生デバイスのメモリに格納され得る)複数の加熱モードのうちで選択される1つを選択的にアクティブ化してもよく、(例えば、ユーザ入力に従って、又は加熱されるエアロゾル発生基材の種類に応じて)それら加熱モードのうちの2つ以上の間で切り替えを行ってもよい。
【0064】
エアロゾル発生デバイス10を用いるために、ユーザは、スライドカバー28(存在する場合)を、
図1に示す閉位置から、
図2に示す開位置まで移動させる。ユーザは、次いで、エアロゾル発生物品100を第1開口端26を通して加熱チャンバ18に挿入し、その結果、エアロゾル発生基材102がキャビティ20内に受け入れられると共に、マウスピースセグメント108の少なくとも一部が、第1開口端26から突出してユーザの唇による係合を可能にする状態で、エアロゾル発生物品100の近位端104が、加熱チャンバ18の第1開口端26に位置決めされる。
【0065】
ユーザによってエアロゾル発生デバイス10がアクティブ化されると、誘導加熱配置46が電源22及びコントローラ24によって通電される。より具体的には、本開示によれば、コントローラ24は、誘導加熱配置46、特に、電源22及び制御回路を制御して、コイルセクションL1~L4のうちの1つ以上に交流電流を供給して、コイルセクションL1~L4のうちの1つ以上を選択的に通電するように構成される。いくつかの実施例において、第1、第2、第3、及び第4コイルセクションL1~L4のうちの1つが通電されると、対応する第1の電磁界、第2の電磁界、第3の電磁界、及び第4の電磁界が発生する可能性がある。対応する第1、第2、第3、及び第4コイルセクションL1、L2、L3、L4によって発生するこれらの第1、第2、第3、及び第4の電磁界は、それぞれ、対応する第1の周波数、第2の周波数、第3の周波数、及び第4の周波数を有し得る。これらの第1、第2、第3及び第4の周波数は全て互いに異なる。
【0066】
第1、第2、第3及び第4誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43は、異なる共振周波数を有する。第1の周波数を有する第1の電磁界は、(第1誘導加熱可能サセプタ40において発生する渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失によって)第1誘導加熱可能サセプタ40の優先的な加熱を生み出し、それにより、第1誘導加熱可能サセプタ40から伝達される熱で、第1の加熱領域40a内に位置決めされるエアロゾル発生基材102の第1の部分の優先的な加熱を生じさせる。第2の周波数を有する第2の電磁界は、(第2誘導加熱可能サセプタ41において発生する渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失によって)第2誘導加熱可能サセプタ41の優先的な加熱を生み出し、それにより、第2誘導加熱可能サセプタ41から伝達される熱で、第2の加熱領域41a内に位置決めされるエアロゾル発生基材102の第2の部分の優先的な加熱を生じさせる。第3の周波数を有する第3の電磁界は、(第3誘導加熱可能サセプタ42において発生する渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失によって)第3誘導加熱可能サセプタ42の優先的な加熱を生み出し、それにより、第3誘導加熱可能サセプタ42から伝達される熱で、第3の加熱領域42a内に位置決めされるエアロゾル発生基材102の第3の部分の優先的な加熱を生じさせる。第4の周波数を有する第4の電磁界は、(第4誘導加熱可能サセプタ43において発生する渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失によって)第4誘導加熱可能サセプタ43の優先的な加熱を生み出し、それにより、第4誘導加熱可能サセプタ43から伝達される熱で、第4の加熱領域43a内に位置決めされるエアロゾル発生基材102の第4の部分の優先的な加熱を生じさせる。このようにして、エアロゾル発生基材102の第1、第2、第3、及び第4の部分の選択的な(又は「ゾーンごとの」)加熱が、加熱チャンバ18内部の第1、第2、第3、及び第4の加熱領域40a、41a、42a、43aにおいて達成される。エアロゾル発生基材102が第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43のうちの1つ以上によって加熱されると、燃焼又は燃えることの無いエアロゾル発生基材102(又は少なくともその一部)の加熱を結果として生じ、蒸気がそれによって発生する。発生した蒸気は、冷却されて凝縮し、マウスピースセグメント108を通して、より詳細にはフィルタセグメントを通してエアロゾル発生デバイス10のユーザによって吸入することができるエアロゾルを形成する。
【0067】
例示的な第1の加熱モードにおいて、コントローラ24は、第1セクションアクティブ化パターンに従って動作可能であり、この場合、コントローラは、第1の期間に(コネクタペアC1及びC2を介して)第1コイルセクションL1に交流電流を供給して第1コイルセクションL1に通電し、第1の期間に(その第1の周波数を有する)第1の電磁界を発生させ、その後、第2の期間に(コネクタペアC2及びC3を介して)第2コイルセクションL2に交流電流を供給して第2コイルセクションL2に通電し、第2の期間に(その第2の周波数を有する)第2の電磁界を発生させ、その後、第3の期間に(コネクタペアC3及びC4を介して)第3コイルセクションL3に交流電流を供給して第3コイルセクションL3に通電し、第3の期間に(その第3の周波数を有する)第3の電磁界を発生させ、その後、第4の期間に(コネクタペアC4及びC5を介して)第4コイルセクションL4に交流電流を供給して第4コイルセクションL4に通電し、第4の期間に(その第4の周波数を有する)第4の電磁界を発生させるように構成され得る。これは、第1、第2、第3、及び第4誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43の連続的な優先的加熱をもたらし、それにより、第1、第2、第3、及び第4の加熱領域40a、41a、42a、43aにそれぞれ位置決めされるエアロゾル発生基材102の第1、第2、第3、及び第4の部分の連続的な(又は「ゾーンごとの」又は「部分的な」)加熱をもたらす。この加熱モードは、エアロゾル発生物品100の遠位端106から近位端104に向かう方向において、エアロゾル発生基材102の進行性の加熱を提供し、使用期間(例えば、喫煙セッション)を通して均一な量のエアロゾルの発生を提供し得る。
【0068】
例示的な第2の加熱モードにおいて、コントローラ24は、第2セクションアクティブ化パターンに従って動作可能であり、この場合、コントローラは、第1の期間に(コネクタペアC1及びC2を介して、並びにコネクタペアC2及びC3を介して)第1及び第2コイルセクションL1、L2に交流電流を同時に供給して第1及び第2コイルセクションL1、L2に通電し、第1の期間に(それらの第1及び第2の周波数を有する)第1及び第2の電磁界を発生させるよう構成され得る。コントローラ24は、次いで、第2の期間に(コネクタペアC3及びC4を介して、並びにコネクタペアC4及びC5を介して)第3及び第4コイルセクションL3、L4に交流電流を同時に供給して第3及び第4コイルセクションL3、L4に通電し、第2の期間に(それらの第3及び第4の周波数を有する)第3及び第4の電磁界を発生させるよう構成され得る。これは、最初に、第1の期間に第1及び第2誘導加熱可能サセプタ40、41の同時の優先的加熱をもたらし、その後、第2の期間に第3及び第4誘導加熱可能サセプタ42、43の同時の優先的加熱をもたらし、それにより、最初に、加熱チャンバ18の第1及び第2の加熱領域40a、41a内にそれぞれ位置決めされるエアロゾル発生基材102の第1及び第2の部分、その後、加熱チャンバ18の第3及び第4の加熱領域42a、43a内にそれぞれ位置決めされるエアロゾル発生基材102の第3及び第4の部分の連続的な(又は「ゾーンごとの」又は「部分的な」)加熱をもたらす。この加熱モードは、エアロゾル発生基材102の2つの部分がこれらの期間のそれぞれの間に優先的に加熱されるため、第1の期間中及び第2の期間中に、より大量のエアロゾル発生を提供し得る。
【0069】
エアロゾル発生基材102の気化は、例えば、加熱チャンバ18の第1開口端26を通して、周囲の環境から空気を追加することによって促進され、空気はエアロゾル発生物品100のラッパー110と側壁30の内面36との間を流れる際に加熱され、ここで、誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43のそれぞれの内面の少なくとも一部とラッパー110の外部表面との間に間隔又はギャップ(図示せず)が存在してもよく、それが加熱チャンバ18の第1開口端26から第2閉鎖端34に向かう1つ以上の流路を形成する。より詳細には、ユーザがフィルタセグメントを吸うと、空気は、
図2の矢印Aによって示すように、第1開口端26を通って加熱チャンバ18に引き込まれる。加熱チャンバ18に入る空気は、ラッパー110と誘導加熱可能サセプタ40、41、42、43の内面との間を、第1開口端26から第2閉鎖端34に向かって流れる。空気が加熱チャンバ18の第2閉鎖端34に到達すると、空気は約180°方向転換し、エアロゾル発生物品100の遠位端106に入る。空気は、次いで、
図2の矢印Bによって示すように、発生した蒸気と共に遠位端106から近位(口側)端104に向かってエアロゾル発生物品100を通って引き込まれる。
【0070】
これまでの段落では、例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正を加えることができることは言うまでもない。したがって、特許請求の広さ及び適用範囲は、上で説明した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0071】
上で説明した特徴の任意の組み合わせが、ここで別段の指示が無い限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、それらの全てのあり得るバリエーションにおいて、本開示により包含される。
【0072】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本説明及び特許請求の範囲の全体を通して、「備える/含む("comprise","comprising")」等の語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、即ち「備えるが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【国際調査報告】