(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】吸入デバイス及び吸入デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240801BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20240801BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580376
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022072332
(87)【国際公開番号】W WO2023017025
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】山口 顕
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA01
4B162AB11
4B162AC01
4B162AC02
4B162AE02
(57)【要約】
吸入デバイスは、少なくとも部分的に硬質の材料で作られたハウジング(10)と、ハウジング(10)の開口部に設けられ、少なくとも部分的にハウジング(10)の材料と実質的に同じかそれ以上硬質の材料で作られた少なくとも1つのボタン(12)とを有し、ボタン(12)は、ハウジング(10)の内側の弾性材料(14)によってハウジング(10)に取り付けられている。吸入デバイスを製造する方法は、少なくとも部分的に硬質の材料で作られたハウジング(10)を提供するステップと、少なくとも部分的にハウジング(10)の材料と実質的に同じかそれ以上硬質の材料で作られた少なくとも1つのボタン(12)を提供するステップと、少なくとも1つのボタン(12)をハウジング(10)の内側に取り付けられた弾性材料(14)によってハウジング(10)の開口部に取り付けるステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に硬質の材料で作られたハウジング(10)と、前記ハウジング(10)の開口部に設けられ、少なくとも部分的に前記ハウジング(10)の材料と実質的に同じかそれ以上硬質の材料で作られた少なくとも1つのボタン(12)とを備えた吸入デバイスであって、前記ボタン(12)は、前記ハウジング(10)の内側の弾性材料(14)によって前記ハウジング(10)及び/又は前記デバイスの内部に取り付けられる、吸入デバイス。
【請求項2】
前記ハウジング(10)がセラミック又は金属材料で作られている、請求項1に記載の吸入デバイス。
【請求項3】
前記ボタン(12)がセラミック又は金属材料で作られている、請求項1又は2に記載の吸入デバイス。
【請求項4】
前記弾性材料(14)がゴム及び/又はシリコーンで作られている、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項5】
前記ハウジング(10)が、特に光透過を可能にする、少なくとも1つの局所的に薄くされた領域を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項6】
前記ハウジング(10)が、少なくとも1つのボタン(12)が設けられた取り外し可能なフロントカバー(10)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項7】
前記ハウジング(10)が、プラスチックのシャーシ(20)を少なくとも部分的に有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項8】
前記ハウジング(10)及び/又は前記ボタン(12)が、少なくともHV19及び/又はHV2350までの硬度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項9】
前記ハウジング(10)が、前記ボタン(12)が前記ハウジング(10)の外面を越えて突出するのを防止する少なくとも1つの段を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項10】
吸入デバイスを製造する方法であって、少なくとも部分的に硬質の材料で作られたハウジング(10)を提供するステップと、少なくとも部分的に前記ハウジング(10)の材料と実質的に同じかそれ以上硬質の材料で作られた少なくとも1つのボタン(12)を提供するステップと、前記ハウジング(10)の内側及び/又は前記デバイスの内部に取り付けられた弾性材料(14)によって前記ハウジング(10)の開口部に少なくとも1つのボタン(12)を取り付けるステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記ボタン(12)を取り付ける前に、プラスチックの少なくとも1つのシャーシ(20)が前記ハウジング(10)の少なくとも一部に取り付けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ボタン(12)が予め前記弾性材料(14)に取り付けられる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハウジング(10)が光の透過を可能にするために局所的に薄くされている、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ボタン(12)が前記ハウジング(10)を構成する材料片から切り出される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ボタン(12)が、少なくとも1つの段(18)によって、前記ハウジング(10)の外面を越えて突出することが防止されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入デバイス及び吸入デバイスの製造方法に関する。
【0002】
近年、従来の喫煙製品は、液体が蒸発してユーザによって吸入され得るエアロゾル発生デバイスにますます置き換えられている。これに関連して、ユーザに高級感や重厚感を与えるので、デバイスの外装ハウジングの多くの部分には比較的硬質の材料を使用することが望ましい。
【背景技術】
【0003】
米国特許第10765148B2号明細書は、ハウジング及び/又はボタン構造が金属又はセラミックから形成され得る吸入デバイスに関する。また、米国特許第10412785B1号明細書に示されている押しボタンも金属で作ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、単純な内部構造と組み合わせて、デバイスの高品質な印象を与える吸入デバイス及びその製造方法を提供する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、まず、請求項1の主題によって解決される。
【0006】
したがって、ハウジングは少なくとも部分的に硬質の材料で作られ、ハウジングの開口部に設けられる少なくとも1つのボタンは、少なくとも部分的にハウジングの材料と実質的に同じかそれ以上硬質の材料で作られる。更に、ボタンは、ハウジングの内側の弾性材料によってハウジング及び/又はデバイスの内部に取り付けられる。
【0007】
後者の特徴によれば、比較的単純な構造を維持しつつ、比較的硬度の高いボタンに、押下による特定の操作を開始するために必要な柔軟性を持たせることができる。弾性材料は、例えばシート又は薄板の形態で提供することができ、これを糊などの接着剤及び/又は超音波接合によってハウジングの内面に接着することができる。
【0008】
したがって、弾性材料はハウジングの内側に直接設けることができるが、代替的又は追加的に、ボタンをプリント回路基板(PCB)などのデバイスの内部に取り付けることもできる。更に、ボタンは、デバイスからのずれを防止するために、以下でより詳細に説明するように段を有することができ、及び/又はボタンを弾性材料の一部に接着することができる。更に、スイッチをPCB上に取り付けることができ、ボタンをデバイスの内側に向けて変位させるとスイッチが作動するような方法で弾性材料を用いてボタンがPCBに取り付けられる。
【0009】
上述のいずれの方法でも、弾性材料とハウジングの内部との接続の耐久性が保証され、その結果、比較的硬いボタンを含む内部構造の耐久性が保証される。上述したように、少なくとも部分的に硬質の材料で作られたハウジングと組み合わされたこのようなボタンは、高品質且つ「本物の」製品の印象を与える。
【0010】
本明細書に記載のデバイスは、ボタンがハウジングに一体化されており、一般的に使用される比較的柔らかいプラスチック素材の柔軟性を利用して押すことができる一般的なデバイスとは異なり、ボタンがハウジングから分離されているという点で、これまでに知られているデバイスとは異なることにも言及しなければならない。本明細書に記載されるように、可撓性は、ボタンをハウジングに取り付ける弾性材料によって達成され、ボタンが作動のために1mm未満だけ移動可能となり、これは弾性材料の特性によって容易に保証できる。これに関連して、以下により詳細に説明されるハウジング及び/又はボタン及び/又はプラスチックシャーシは、約0.8mmの最大厚さを有することができ、弾性材料又はシートは、これらの領域で約0.3mmの最大厚さを有することができ、ケースの内側に貼り付けられている。
【0011】
更なる請求項において、好ましい実施形態が記載されている。
【0012】
ハウジング及び/又はボタンがセラミック又は金属材料で作られている場合、上述の寸法を有利に達成することができ、製品の高品質又は高級感を実現することができる。一般に、このような硬質の材料を使用すると、デバイスの耐久性が向上するという利点もある。
【0013】
好ましい特定の弾性材料に関しては、エラストマー、特にゴム及び/又はシリコーンに良好な特性が期待される。
【0014】
ハウジングにも使用される上述の硬質の材料は、本質的に光をその中に透過させる性質を持たない場合がある。デバイス内部の1つ又は複数の光源からの光を外部から見えるようにするために、ハウジングは少なくとも1つの局所的に薄くされた領域を有してもよい。
【0015】
ハウジングが取り外し可能なフロントカバーを有し、その中に上述の少なくとも1つのボタンが設けられている場合、特に単純で耐久性のある構造をデバイスに実現することができる。
【0016】
ハウジングは、その厚さ全体に沿って少なくとも部分的に金属又はセラミックなどの比較的硬質の材料で作ることができるが、ハウジングが少なくとも部分的にプラスチックのシャーシを有する場合、それに、説明した材料がデバイスの外側を形成するように接着され得るという経済的な利点がもたらされる。これにより、一般にプラスチックよりも高価な、前述の硬質の材料の必要量が減る。シャーシは、弾性材料を取り付ける前にハウジングに取り付けることができ、好ましくはボタンを取り付ける前にも取り付けることができる。すべての接続は、糊などの接着剤によって行うことができる。
【0017】
ハウジング及び/又はボタンの所望の高級感に関しては、現在、少なくともHV19及び/又は最大HV2350の硬度が好ましい。後者の硬度はセラミック材料の使用に対応し、より低い値でもユーザに望ましい感触と印象を与えることが期待される。
【0018】
ハウジングの断面図に見られるように、ボタンがハウジングの外面を越えて突出するのを防止する少なくとも1つの段を有する場合、簡素且つ同型の信頼性の高い構造を実現することができる。これにより、外面に滑らかで連続的な印象が与えられ、同時にボタンを押すことが可能になる。
【0019】
本発明の基礎となる上記の目的は、請求項10に記載の方法によって更に解決される。デバイスの特徴に対応して、この方法は、少なくとも部分的に硬質の材料で作られたハウジングを提供することと、少なくとも部分的にハウジングの材料と同じかそれ以上硬質の材料で作られた少なくとも1つのボタンを提供することと、少なくとも1つのボタンを、ハウジングの内側及び/又はデバイスの内部に取り付けられた弾性材料によってハウジングの開口部に取り付けることとを含む。本明細書に記載される方法の好ましい特徴は、記載される吸入デバイスの特徴に対応し、デバイス及び方法のみに関して記載される任意の特徴は、それぞれ方法及びデバイスに同様に適用可能である。
【0020】
製造順序に関しては、ボタンを取り付ける前に、プラスチックの少なくとも1つのシャーシをハウジングの少なくとも一部に取り付けることができる。
【0021】
更に、ハウジングに取り付ける前にボタンを弾性材料に取り付けることによって、効率的な製造を保証することができる。プラスチックシャーシが存在する場合、ボタンを弾性材料に取り付ける前に、弾性材料をシャーシに取り付けることができる。シャーシにはしたがって、外側、つまり弾性材料の反対側からボタンを取り付けることができるのに十分な大きさの開口部が必要であり、ボタンを収容するのに十分な大きさの、より小さい開口部を備えたハウジングを次に外側からシャーシに取り付けることができる。
【0022】
ボタンは任意の材料片から切り出すことができるが、ハウジングを構成する材料片から切り出す場合有利である。このようにして、第一に、ハウジングとボタンの材質が完全に一致する。第二に、ボタンを切断するときに一部の材料が除去され、それにより次にボタンとハウジング材料の間に適切な隙間が自動的に形成され、ボタンを押し下げる動作が可能になる。切断は、例えばレーザーによって行うことができる。ハウジングとボタンが別々に設ける場合、部品を切断する代わりに成形することができる。
【0023】
以下では、例示的な実施形態を参照し、図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】吸入デバイスのハウジング部品を形成するカバーの切断図を示す。
【
図4】ボタンが押された状態の
図3の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から分かるように、吸入デバイスのカバー10などのハウジング部品は、本質的に一定の厚さにより、デバイスの内部を収容するための凹面を内部に形成するように凸形状を有することができる。
図1の実施形態では、カバー10及びボタン12はセラミック製であり、ボタン12はカバー10とは別個であるが、シート14の形態の弾性材料に取り付けられ、これがカバー10の内部に取り付けられる。これにより、本質的に、ボタン12をデバイスの内部に向かって押すことが可能となり、ボタン12の内側に設けられた突起16が、例えばスイッチを操作できるようになる。
【0026】
図から分かるように、カバー10の外側面とボタン12は本質的に連続しており、その結果デバイスの連続的で滑らかな外側が保証される。この位置は本質的に、ボタン12に設けられた段18によって画定され、この段は、カバー10上の相補的な段と協働して、図示のボタン12の最も外側の位置を画定する。図から分かるように、段はボタン12の2つの対向する側に設けることができ、また、ボタン12の全周に設けることもできる。図示の実施形態では、ボタン12は、突起16及び段18とは別に、一定の厚さも有する。
【0027】
これは、
図2に概略的に示される代替実施形態にも当てはまる。この実施形態では、カバー10の内側にプラスチック製のシャーシ20が取り付けられているため、デバイスの高級感を維持しつつ、カバー10のセラミック材料を薄くしてコストを低減することができる。
図2の実施形態では、弾性材料14がシャーシ20に取り付けられており、
図2は、ボタン12をデバイスの内側に向かってわずかに動かすために、矢印22の方向の圧力がボタン12に加えられる状況を示す。
【0028】
図3の実施形態では、ボタン12は段を備えず、カバー10の開口部に設けられ、弾性材料14の中実部分にしっかりと取り付けられている。この材料は、この場合PCB24に取り付けられるシート状部分を更に備え、その上にスイッチ26が、デバイスに関してボタンの下、又はほぼ内部に設けられている。本質的に逆U字形の断面形状を有するボタン12の内部に完全に収容されている弾性材料14の中実部分は、比較的薄い脚部28によってPCB24に取り付けられたシート状部分に接続されている。
【0029】
図4から分かるように、ボタンが矢印22の方向に押されると、薄い部分28が潰れ、したがって弾性材料14の中実部分、或いはボタン自体(図示せず)によるスイッチ26の操作が可能になる。ボタンは、平面図において、すなわち、
図3及び
図4の上から見ると、円などの任意の所望の形状を有することができ、また、弾性材料14のシート状部分は、例えば、
図3及び
図4の上から見ると円形であることに言及しておく必要がある。また、脚部28は、本質的に円錐を形成するように全周で連続していてもよいし、不連続に形成されていてもよい。更に、弾性材料のすべての部分を、例えばシリコンの1つの部品に一体的に形成することができる。
【国際調査報告】