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特表2024-529615一方向透視フィルム、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】一方向透視フィルム、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G02B5/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580877
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2022114244
(87)【国際公開番号】W WO2023025145
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110979363.4
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】彭新海
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼玉▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲継▼厚
(72)【発明者】
【氏名】李超
(72)【発明者】
【氏名】黎原
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042DA01
2H042DA21
(57)【要約】
本願は、順に設置された第1五酸化二ニオブ層(11)、第1酸化シリコン層(12)、吸収層(13)、第2五酸化二ニオブ層(14)及び第2酸化シリコン層(15)を含み、吸収層13の厚さが8nm~20nmである一方向透視フィルム(10)を提供する。本願は、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に設置された第1五酸化二ニオブ層(11)、第1酸化シリコン層(12)、吸収層(13)、第2五酸化二ニオブ層(14)及び第2酸化シリコン層(15)を含み、
前記吸収層(13)の厚さは、8nm~20nmである、ことを特徴とする一方向透視フィルム(10)。
【請求項2】
前記吸収層(13)は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種又は複数を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項3】
前記第1五酸化二ニオブ層(11)と前記第2五酸化二ニオブ層(14)の厚さは、それぞれ10nm~120nmであり、
前記第1酸化シリコン層(12)と前記第2酸化シリコン層(15)の厚さは、それぞれ10nm~160nmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項4】
前記第1五酸化二ニオブ層(11)の厚さは、30nm~60nmであり、
前記第1酸化シリコン層(12)の厚さは、90nm~110nmであり、
前記第2五酸化二ニオブ層(14)の厚さは、60nm~110nmであり、
前記第2酸化シリコン層(15)の厚さは、50nm~90nmである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム。
【請求項5】
前記第1五酸化二ニオブ層(11)と前記第1酸化シリコン層(12)との厚さの比は、1:(1.5~3.5)である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項6】
前記第2五酸化二ニオブ層(14)と前記第2酸化シリコン層(15)との厚さ比は、1:(0.5~1.5)である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項7】
可視光線透過率は、10%~25%である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項8】
両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、15%以上である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項9】
基材(20)と、前記基材(20)の表面に設置された、請求項1~8のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)とを含む、ことを特徴とするマジックミラー。
【請求項10】
前記基材(20)は、前記第1五酸化二ニオブ層の前記第1酸化シリコン層から離れた表面に設置される、ことを特徴とする請求項9に記載のマジックミラー。
【請求項11】
基材(20)を提供し、前記基材(20)の表面に第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層を順に堆積して前記マジックミラーを得るステップによって製造され、
前記吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含み、
前記吸収層の厚さは、8nm~20nmである、ことを特徴とする請求項9又は10に記載のマジックミラー。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)、又は、
請求項9~11のいずれか一項に記載のマジックミラーを含む、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年8月25日に中国国家知識産権局に提出された、出願名称が「一方向透視フィルム、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器」である中国特許出願第202110979363.4号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、光学の技術分野に関し、具体的には、一方向透視フィルム、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
マジックミラーは、特殊なコーティングガラスであり、その一面がガラスミラー(外側)であり、光線を反射することができ、一般的なミラーと同様に機能し、ミラー効果を有し、他面(内側)には、ガラスの外側の光景が見られ、透視効果を有し、即ちガラスの外側からガラスの内側の状況が見られないが、ガラスの内側からガラスの外側の状況が見られるという透視効果がある。マジックミラーは、監獄、公安局と検察庁と裁判所機関の取調室、精神病病院、大学科学研究機関の研究室、大型会議室などの場所に適用することができる。
【0004】
現在市販されているマジックミラーは、銀、チタン、酸化チタンをメッキ層として用いて片面透視効果を達成することが多いが、上記材料は、コストが高いだけでなく、安定性が低いため、メッキ膜が失効しやすくなる。また、従来のマジックミラーは、色が単一であり、人々の多様な応用ニーズを満たさない。したがって、マジックミラーの安定性を向上させるとともに、マジックミラーに多様な色を持たせる新規な一方向透視フィルムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑みて、本願は、生産コストが低く、性能が安定し、高い片面透視効果を有し、かつ様々な色があり、市場化ニーズを満たす一方向透視フィルムを提供する。本願は、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器をさらに提供する。
【0006】
本願の第1態様に係る一方向透視フィルムは、順に設置された第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層を含み、前記吸収層の厚さは、8nm~20nmである。
【0007】
本願の実施例において、前記吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含む。
【0008】
本願の実施例において、前記第1五酸化二ニオブ層及び前記第2五酸化二ニオブ層の厚さは、10nm~120nmである。
【0009】
本願の実施例において、前記第1酸化シリコン層及び前記第2酸化シリコン層の厚さは、10nm~160nmである。
【0010】
本願の実施例において、前記第1五酸化二ニオブ層の厚さは、30nm~60nmである。
【0011】
本願の実施例において、前記第1酸化シリコン層の厚さは、90nm~110nmである。
【0012】
本願の実施例において、前記第2五酸化二ニオブ層の厚さは、60nm~110nmである。
【0013】
本願の実施例において、前記第2酸化シリコン層の厚さは、50nm~90nmである。
【0014】
本願の実施例において、前記一方向透視フィルムの可視光線透過率は、10%~25%である。
【0015】
本願の実施例において、前記一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、15%以上である。
【0016】
本願の一方向透視フィルムは、第1五酸化二ニオブ層及び第1酸化シリコン層により増反射層を形成することにより、一方向透視フィルムの第1五酸化二ニオブ層に近接する側の表面(R面)の反射率が高くなり、ミラー効果を達成し、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層は、反射防止層を形成することにより、一方向透視フィルムの第2酸化シリコン層に近接する側の表面(R面)の反射率が低くなり、透視効果を達成し、吸収層は、一部の光を吸収することができ、吸収層の厚さが8nm~20nmである場合、R面からR面が見られなく、R面からR面が見られることを保証することができる。
【0017】
本願の第2態様に係るマジックミラーは、基材と、前記基材の表面に設置された、本願の第1態様に記載の一方向透視フィルムと、を含む。
【0018】
本願の実施例において、前記基材は、前記第1五酸化二ニオブ層の表面に設置される。
【0019】
本願の実施例において、前記基材は、透明基材を含む。前記透明基材は、ガラス、アクリル板、防爆フィルム、離型フィルム及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1種以上を含む。
【0020】
本願の第2態様に係るマジックミラーは、一方向透視効果が高く、コストが低く、多様な色を有し、幅広い用途を有する。
【0021】
本願の第3の態様に係るマジックミラーの製造方法は、
基材を提供し、前記基材の表面に第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層を順に堆積して前記マジックミラーを得るステップを含み、前記吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含み、前記吸収層の厚さは、8nm~20nmである。
【0022】
本願の第4の態様に係る電子機器は、本願の第1態様に記載の一方向透視フィルム又は本願の第2態様に記載のマジックミラーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願の一実施例に係る一方向透視フィルムの概略構成図である。
図2】本願の一実施例に係る光の一方向透視フィルム中の伝送概略図である。
図3】本願の一実施例に係るマジックミラーの概略構成図である。
図4】本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
図5】本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。
図6】本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
図7】本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
図8】本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。
図9】本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得る他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0025】
図1に示すように、図1は、本願の一実施例に係る一方向透視フィルムの概略構成図である。一方向透視フィルムは、順に設置された第1五酸化二ニオブ層11、第1酸化シリコン層12、吸収層13、第2五酸化二ニオブ層14及び第2酸化シリコン層15を含む。説明の便宜上、本願における一方向透視フィルムの外側とは、第1五酸化二ニオブ層11側を指し、一方向透視フィルムの内側とは、第2酸化シリコン層15側を指す。
【0026】
本願において、一方向透視フィルムの外側面(R面)は、第1五酸化二ニオブ層であり、外側面の光線が第1五酸化二ニオブ層を通過して第1酸化シリコン層に到達する場合に半波損失が発生しないため、光の反射が強くなり、一方向透視フィルムの外側にミラー効果が現れ、一方向透視フィルムの内側面(R面)は第2酸化シリコン層であり、内側面の光線が第2酸化シリコン層を通過して第2五酸化二ニオブ層に到達する場合に半波損失が発生するため、光の反射が低減され、一方向透視フィルムの内側に透視効果が現れる。本願は、五酸化ニオブ及び酸化シリコン層を用いて一方向透視フィルムを製造することにより、生産コストを大幅に低減し、製品の普及に役立つ。
【0027】
本願の一方向透視フィルムにおいて、吸収層は、光線の一部を吸収することにより、一方向透視フィルムの透過率を適切な範囲にすることができる。本願の実施形態において、吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含む。本願の実施形態において、吸収層の厚さは、8nm~20nmである。さらに、吸収層の厚さは、15nm~20nmである。吸収層の厚さは、具体的には、8nm、10nm、12nm、15nm、17nm又は20nmであってもよいが、これらに限定されない。吸収層の厚さが大きいと、光に対する吸収量が大きく、一方向透視フィルムの透過率が小さく、吸収層の厚さが小さいと、光に対する吸収量が小さく、一方向透視フィルムの透過率が大きい。吸収層の厚さが8nm~20nmである場合、吸収層は、第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層とともに、高い相乗効果を達成することができ、一方向透視フィルムの外側にミラー効果が現れ、一方向透視フィルムの内側に透視効果が現れることを保証する。本願の実施形態において、一方向透視フィルムの可視光線透過率は、10%~25%であり、一方向透視フィルムの可視光線透過率は、具体的には、10%、15%、18%、20%、22%、25%であってもよいが、これらに限定されない。
【0028】
本願の実施形態において、第1五酸化二ニオブ層及び第2五酸化二ニオブ層の厚さは、10nm~120nmである。第1五酸化二ニオブ層及び第2五酸化二ニオブ層の厚さは、具体的には、10nm、30nm、40nm、50nm、55nm、60nm、80nm、90nm、100nm又は120nmであってもよいが、これらに限定されない。本願の実施形態において、第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層の厚さは、10nm~160nmである。第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層の厚さは、具体的には、10nm、30nm、50nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm又は160nmであってもよいが、これらに限定されない。第1五酸化二ニオブ層、第2五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層の厚さを上記範囲に制御することにより、一方向透視フィルムが高い構造安定性を有し脱落しにくいことを保証でき、一方向透視フィルムの製造コストが低く、製品の市場化に役立つ。
【0029】
本願において、第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層の厚さを調整することにより、一方向透視フィルムの一方向透視効果を最適化し、一方向透視フィルムの外側の反射率を向上させ、一方向透視フィルムの内側の反射率を低下させ、一側がミラーであり、他側が透視面であるという高い視覚的コントラスト効果を達成することができる。具体的には、図2に示すように、図2は、本願の一実施例に係る光の一方向透視フィルム中の伝送概略図であり、rは、外側光の界面1で発生する振幅反射係数であり、rは、外側光の界面2で発生する振幅反射係数であり、rは、内側光の界面2で発生する振幅反射係数であり、rは、内側光の界面1で発生する振幅反射係数である。界面1での一方向透視フィルムの反射率はRであり、界面2での一方向透視フィルムの反射率はRであり、R=|r-r|であり、R=|r-r|であり、さらに、r=(N-N)/(N+N)であり、r=(N-N)/(N+N)×e(-2δ)であり、r=(N-N)/(N+N)であり、r=(N-N)/(N+N)×e(-2δ)であり、δ=2π×N×D/λであり、ここで、Nは、入射媒体の屈折率であり、Nは、酸化シリコンの屈折率であり、Nは、五酸化ニオブの屈折率であり、δは、一方向透視フィルムの位相膜厚であり、Dは、一方向透視フィルムの物理膜厚であり、λは、光の波長である。また、光の各層の界面間の光路差が4分の1の波長の偶数倍である場合、光の反射を増加させ、光の各層の界面間の光路差が4分の1の波長の奇数倍である場合、光の反射を低減することができる。
【0030】
以上の式と原理に基づいて、本願は、一方向透視フィルムの最適化後の厚さの関係を導き出し、第1五酸化二ニオブ層の厚さが30nm~60nmであり、かつ第1酸化シリコン層の厚さが90nm~110nmである場合、片面透視フィルムの外側面は、高い反射率を有することができ、第2五酸化二ニオブ層の厚さが60nm~110nmであり、かつ第2酸化シリコン層の厚さが50nm~90nmである場合、片面透視フィルムの内側面は、低い反射率を有することができる。さらに、第1五酸化二ニオブ層と第1酸化シリコン層との厚さ比は、1:(1.5~3.5)であり、第2五酸化二ニオブ層と第2酸化シリコン層との厚さ比は、1:(0.5~1.5)である。第1五酸化二ニオブ層と第1酸化シリコン層との厚さの比は、具体的には、1:1.5、1:2、1:2.5又は1:3.5であってもよいが、これらに限定されず、第2五酸化二ニオブ層と第2酸化シリコン層との厚さの比は、具体的には、1:0.5、1:0.7、1:1又は1:1.5であってもよいが、これらに限定されない。本願の実施形態において、一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、15%以上であり、一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、具体的には、15%、20%、25%、30%、35%又は40%であってもよいが、これらに限定されない。一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差が大きいほど、片面透視効果が高くなり、視覚差が顕著になる。
【0031】
本願において、一方向透視フィルムの各層の厚さの関係は、フィルムの色にも影響を与え、具体的には、各層の厚さを調整することにより、一方向透視フィルムの可視光に対する反射率を変更することができ、一方向透視フィルムの異なる波長の光に対する反射率も異なるため、一方向透視フィルムが異なる色を呈することができる。
【0032】
本願は、マジックミラーをさらに提供し、図3に示すように、図3は、本願の一実施例に係るマジックミラーの概略構成図であり、マジックミラーは、基材20と、基材の表面に設置された一方向透視フィルム10とを含む。本願の実施形態において、基材は、透明基材を含む。本願のいくつかの実施形態において、基材は、ガラス及び高分子透明基材のうちの1種又は複数種を含み、高分子透明基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル板、防爆フィルム及び離型フィルムのうちの1種以上を含む。本願において、一方向透視フィルムは、基材のいずれの表面に設置されてもよい。本願のいくつかの実施形態において、基材は、一方向透視フィルムの外側(R面)に設置され、即ち、基材は、一方向透視フィルムにおける第1五酸化二ニオブ層に隣接し、上記位置設置により、マジックミラーが高い片面透視効果を有することを保証することができる。
【0033】
本願に係るマジックミラーの製造方法は、
基材を提供し、上記基材の表面に第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層を順に堆積してマジックミラーを得るステップを含む。
【0034】
本願の実施形態において、第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層は、スパッタリング法により製造される。具体的には、第1五酸化二ニオブ層及び第2五酸化二ニオブ層については、スパッタ装置にアルゴンガス及び酸素ガスを流し、ニオブターゲットにアルゴンガスを衝突させ、スパッタリングされたニオブが酸素ガスと反応して五酸化二ニオブを形成すると同時に堆積して五酸化二ニオブ層を形成する。第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層については、スパッタ装置にアルゴンガス及び酸素ガスを流し、シリコンターゲットをアルゴンガスで衝突し、スパッタリングされたシリコンが酸素ガスと反応して酸化シリコン層を形成すると同時に堆積して酸化シリコン層を形成する。
【0035】
本願において、吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含み、吸収層は、対応するターゲットをアルゴンガスで衝突して製造され、例えば、吸収層がシリコン層である場合、シリコン層は、シリコンターゲットをアルゴンガスで衝突すると同時に堆積することにより得られる。
【0036】
本願のいくつかの実施形態において、マジックミラーの製造方法は、
基材を提供し、基材をスパッタ装置に置き、機台炉室を真空引きし、
機台炉室にアルゴンガスを流し、ガスが安定した後にイオン源をオンにし、基材及びターゲットの表面をイオン洗浄し、イオン源のICPパワーを0.5kw~5kwとし、機台炉室の真空度を1×10-3~1×10-2Paとし、イオン洗浄の時間を1min~60minとし、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、酸素ガスの流量を200sccm~300sccmとし、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、第1五酸化二ニオブ層の厚さを10nm~120nmとし、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、アルゴンガス及び酸素ガスを流し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタリングパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、第1酸化シリコン層の厚さを10nm~160nmとし、
酸素ガスの流れを停止し、吸収層ターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、第1酸化シリコン層の表面に吸収層を堆積し、吸収層の厚さを8nm~20nmとし、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、酸素ガスの流量を200sccm~300sccmとし、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、基材の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、第2五酸化二ニオブ層の厚さを10nm~120nmとし、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、アルゴンガス及び酸素ガスを流し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタリングパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、第2酸化シリコン層の厚さを10nm~160nmとして、原子ミラーを得ることである。
【0037】
本願に係る原子ミラーの製造方法は、プロセスが簡単であり、生産効率が高く、製造された原子ミラーの構造安定性が高く、片面透視効果が高い。
【0038】
本願は、本願の一方向透視フィルム又はマジックミラーを含む電子機器をさらに提供する。本願のいくつかの実施例において、電子機器は、筐体を含み、筐体は、筐体基材及び一方向透視フィルムを含み、筐体基材は、電子機器の他の構造に設置位置及び支持を提供することができ、ガラス基材であってもよく、高分子透明基材であってもよい。一方向透視フィルムは、筐体基材の表面に設置され、反射率の高い面が筐体の外部に向かって筐体の意匠面とされ、筐体の外光が強く筐体の意匠面の反射率が高いため、筐体の意匠面にミラー効果が現れ、筐体の内部の製品構造を遮蔽する。さらに、筐体の内部に発光源を設置することができ、発光源は、LEDランプであってもよく、有機発光材料であってもよく、発光源の形状と発光の色を設計することにより特定のパターン、例えば、製品logo又は装飾模様などを形成することができ、マジックミラーは、一定の透過率を有するため、筐体の内部の光源が十分に強い場合、筐体の外部から筐体の内部のパターンを見ることもできるが、筐体の内部の発光しない領域は依然として見えなく、即ち、筐体の意匠面から筐体の内部の発光するパターンを見ることができるが、筐体の内部の発光しない領域は依然としてミラーであるため、マジックの装飾効果を達成する。
【0039】
本願の他のいくつかの実施例において、電子機器は、ディスプレイアセンブリを含み、ディスプレイアセンブリは、表示パネル及び一方向透視フィルムとを含み、一方向透視フィルムは、表示パネルの表面に設置される。一方向透視フィルムの反射率の高い面は、ディスプレイアセンブリの外部に向かう。ディスプレイは、スクリーンオフの場合、ミラー効果が現れる。ディスプレイは、スクリーンオンの場合、ディスプレイの画像を正常に表示することができる。具体的には、ディスプレイアセンブリが発光しない(スクリーンオフ)場合、一方向透視フィルムの外側光がより明るいため、光の反射が強く、ディスプレイの表面がミラー効果を有し、ディスプレイが発光する(スクリーンオン)場合、一方向透視フィルムの内側光がより明るいため、ディスプレイから透過した光の強度が高く、ディスプレイの外部からディスプレイに表示された内容を見ることができるため、ディスプレイがスクリーンオンの場合に正常に表示し、スクリーンオフの場合にミラーの装飾効果を達成することができる。
【0040】
本願の実施形態において、電子機器は、具体的には、携帯電話、コンピュータ、電子タバコ、スマートブレスレット、ウェアラブルデバイスなどであってもよい。
【0041】
以下、複数の実施例に分けて本願の技術手段をさらに説明する。
【実施例1】
【0042】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を186sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを56nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を327sとし、第1酸化シリコン層の厚さを105nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし続け、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.26Paとし、コーティング時間を182sとし、シリコン層の厚さを18nmとするステップと、
シリコンターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、シリコン層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を340sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを102nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を183sとし、第2酸化シリコン層の厚さを55nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(56nm)/SiO(105nm)/Si(18nm)/Nb(102nm)/SiO(55nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例2】
【0043】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を106sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを32nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を316sとし、第1酸化シリコン層の厚さを95nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、インジウムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にインジウム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.25Paとし、コーティング時間を180sとし、インジウム層の厚さを18nmとするステップと、
インジウムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、インジウム層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を206sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを62nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paであり、コーティング時間を286sとし、第2酸化シリコン層の厚さを86nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(32nm)/SiO(95nm)/In(18nm)/Nb(62nm)/SiO(86nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例3】
【0044】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を127sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを38nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を326sとし、第1酸化シリコン層の厚さを98nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、フィルム層の厚さを18nmとするステップと、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を217sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを65nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を206sとし、第2酸化シリコン層の厚さを62nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(38nm)/SiO(98nm)/Nb(18nm)/Nb(65nm)/SiO(62nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例4】
【0045】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を140sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを42nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を340sとし、第1酸化シリコン層の厚さを102nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとするステップと、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を233sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを70nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を233sとし、第2酸化シリコン層の厚さを70nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(42nm)/SiO(102nm)/Nb(18nm)/Nb(70nm)/SiO(70nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例5】
【0046】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を160sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを48nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を350sとし、第1酸化シリコン層の厚さを105nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとするステップと、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を240sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を273sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(48nm)/SiO(105nm)/Nb(18nm)/Nb(72nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例6】
【0047】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を106sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを32nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を316sとし、第1酸化シリコン層の厚さを92nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、チタンターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にチタン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を150sとし、チタン層の厚さを15nmとするステップと、
チタンターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を233sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを70nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を273sとし、第2酸化シリコン層の厚さを85nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(32nm)/SiO(92nm)/Ti(15nm)/Nb(70nm)/SiO(85nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例7】
【0048】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を160sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを48nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を350sとし、第1酸化シリコン層の厚さを102nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、クロムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にクロム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を100sとし、クロム層の厚さを10nmとするステップと、
クロムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を206sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを62nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を286sとし、第2酸化シリコン層の厚さを86nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(48nm)/SiO(102nm)/Cr(10nm)/Nb(62nm)/SiO(86nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例8】
【0049】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を231sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を289sとし、第1酸化シリコン層の厚さを86nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を200sとし、シリコン層の厚さを20nmとするステップと、
シリコンターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を240sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を273sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(72nm)/SiO(86nm)/Si(20nm)/Nb(72nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例9】
【0050】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を173sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを52nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を310sとし、第1酸化シリコン層の厚さを93nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、インジウムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にインジウム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を150sとし、インジウム層の厚さを15nmとするステップと、
インジウムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を140sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを42nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を263sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(52nm)/SiO(93nm)/In(15nm)/Nb(42nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例10】
【0051】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を133sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを25nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を340sとし、第1酸化シリコン層の厚さを102nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、クロムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にクロム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を150sとし、クロム層の厚さを15nmとするステップと、
クロムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を240sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を263sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(25nm)/SiO(102nm)/Cr(15nm)/Nb(72nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例11】
【0052】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を127sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを38nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を326sとし、第1酸化シリコン層の厚さを98nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとし、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を340sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを102nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を143sとし、第2酸化シリコン層の厚さを42nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(38nm)/SiO(98nm)/Nb(18nm)/Nb(102nm)/SiO(42nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
本願の有益な効果を強調するために、以下の比較例を設定する。
(比較例1)
【0053】
比較例1と実施例1との相違点は、酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし続け、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を600sとし、シリコン層の厚さを68nmとし、フィルム層を形成して、構造が基材/Nb(56nm)/SiO(105nm)/Si(68nm)/Nb(102nm)/SiO(55nm)のコーティングガラスを得るという比較例1におけるシリコン層の堆積条件である。
(比較例2)
【0054】
比較例2と実施例1との相違点は、酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし続け、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を60sとし、シリコン層の厚さを5nmとし、フィルム層を形成して、基材/Nb(56nm)/SiO(105nm)/Si(5nm)/Nb(102nm)/SiO(55nm)の構造を得るという比較例2におけるシリコン層の堆積条件である。
(効果実施例)
【0055】
本願で製造されたマジックミラーの性能を検証するために、本願は、効果実施例をさらに提供する。
【0056】
1)分光光度計により実施例1~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスに対して反射率及び透過率を測定し、測定に用いられた装置は、X-rite Color I5分光光度計であり、測定過程のパラメータについて、繰り返し精度が0.03RMS CIELabであり、光源がパルスキセノンランプ、校正D65であり、スペクトル範囲が360-750nmであり、波長間隔が10nmであり、反射孔径が25mm/10mm/6mmであり、全透過孔径が22mm/10mm/6mmであり、光度測定範囲が0~200%反射率であり、光度測定分解能が0.01%であり、測定時間が2.5sであり、測定過程において、マジックミラーのガラス基材に近接する側は、R面であり、他側は、R面である。
【0057】
図4図6に示すように、図4は、本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図5は、本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。図6は、本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図4図6の測定結果に基づいて、マジックミラーの各表面の全波長反射率又は透過率について平均値をとって、実施例1のマジックミラーのR面の平均反射率が42.8%であり、R面の平均反射率が21.6%であり、マジックミラーの平均透過率が15.6%であることを得る。図7図9に示すように、図7は、本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図8は、本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。図9は、本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図7図9の測定結果に基づいて、マジックミラーの各表面の全波長反射率又は透過率について平均値をとって、実施例2のマジックミラーのR面の平均反射率が52.6%であり、R面の平均反射率が15.6%であり、マジックミラーの平均透過率が19.9%であることを得る。同じ方法で実施例3~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスに対して反射率及び透過率を測定し、実施例1~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスの透過率と反射率の測定結果を表1に示す。
【0058】
表1 実施例1~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスの光学パラメータ
【表1】
【0059】
表1から分かるように、本願の実施例に係るマジックミラーは、R面が高い反射率を有し、R面が低い反射率を有し、適切な透過率によりマジックミラーのR面にミラー効果が現れ、R面に透視効果が現れることを保証し、高い片面透視効果を達成することができる。比較例1は、コーティングガラスの透過率が低すぎるため、コーティングガラスのR面及びR面がいずれも透視効果を有さない。比較例2は、コーティングガラスの透過率が高すぎるため、コーティングガラスのR面及びR面がいずれも透視効果を有する。
【0060】
2)色度テスターを用いて実施例1~11のマジックミラーの色度[Lab(CIE)]を測定し、Lは、明度指数であり、Aは、赤緑色度指数であり、bは、黄青色度指数であり、実施例1~11のマジックミラーの色度値を表2に示す。
【0061】
表2 実施例1~11のマジックミラーの色のパラメータテーブル
【表2】
【0062】
表2から分かるように、本願に係る一方向透視フィルムは、異なる色を呈し、多様な外観効果を達成することができ、市場化ニーズを満たす。
【0063】
3)実施例1~11のマジックミラーにおける一方向透視フィルムの付着力を測定し、クロスカット付着力試験法で測定し、測定方法は、以下のステップa~dを含む。
【0064】
aでは、クロスカットテスター(刃先角度が15°~30°である)を用いて、一方向透視フィルムの表面積≧10mmの箇所に10×10個の1mm×1mmの格子を切り込み、各切り込みは、一方向透視フィルムの下層まで深くされるべきである。
【0065】
bでは、ブラシで測定領域の破片をきれいにブラッシングする。
【0066】
cでは、粘着力が350g/cm~400g/cmの粘着テープ(3M600号の粘着紙又は同等)を被測定格子にしっかり付着させ、消しゴムで粘着テープを強く擦ることにより、粘着テープと被測定領域との接触面積及び力を増加させる。
【0067】
dでは、粘着テープの一端を手で掴み、90度の角度で迅速に粘着紙を引き剥がし、同じ位置で同じ測定を2回行い、一方向透視フィルムの剥離状況を観察し、ランクを以下のように分ける。
【0068】
5B:格子に剥離が発生しない。
4B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の5%以下である。
3B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の5%より大きく、15%以下である。
2B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の15%より大きく、35%以下である。
1B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の35%より大きく、65%以下である。
0B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の65%より大きい。
【0069】
実施例1~11のマジックミラーの付着力測定結果を表3に示す。
【0070】
表3 実施例1~11の一方向透視フィルムの付着力測定結果
【表3】
【0071】
表3から分かるように、本願に係る一方向透視フィルムは、基材に対して結合力が高く、フィルム層の剥離の問題が発生しにくい。
【0072】
以上の記載は、本願の好ましい実施形態であるが、本願の範囲を限定するものと理解してはならない。なお、当業者にとって、本願の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修正を行うことができ、これらの改良及び修正も本願の保護範囲にあると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に設置された第1酸化ニオブ層(11)、第1酸化シリコン層(12)、吸収層(13)、第2酸化ニオブ層(14)及び第2酸化シリコン層(15)を含み、
前記吸収層(13)の厚さは、8nm~20nmである、ことを特徴とする一方向透視フィルム(10)。
【請求項2】
前記吸収層(13)は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種又は複数を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項3】
前記第1酸化ニオブ層(11)と前記第2酸化ニオブ層(14)の厚さは、それぞれ10nm~120nmであり、
前記第1酸化シリコン層(12)と前記第2酸化シリコン層(15)の厚さは、それぞれ10nm~160nmである、ことを特徴とする請求項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項4】
前記第1酸化ニオブ層(11)の厚さは、30nm~60nmであり、
前記第1酸化シリコン層(12)の厚さは、90nm~110nmであり、
前記第2酸化ニオブ層(14)の厚さは、60nm~110nmであり、
前記第2酸化シリコン層(15)の厚さは、50nm~90nmである、ことを特徴とする請求項に記載の一方向透視フィルム。
【請求項5】
前記第1酸化ニオブ層(11)と前記第1酸化シリコン層(12)との厚さの比は、1:(1.5~3.5)である、ことを特徴とする請求項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項6】
前記第2酸化ニオブ層(14)と前記第2酸化シリコン層(15)との厚さ比は、1:(0.5~1.5)である、ことを特徴とする請求項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項7】
可視光線透過率は、10%~25%である、ことを特徴とする請求項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項8】
両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、15%以上である、ことを特徴とする請求項に記載の一方向透視フィルム(10)。
【請求項9】
基材(20)と、前記基材(20)の表面に設置された、請求項に記載の一方向透視フィルム(10)とを含む、ことを特徴とするマジックミラー。
【請求項10】
前記基材(20)は、前記第1酸化ニオブ層の前記第1酸化シリコン層から離れた表面に設置される、ことを特徴とする請求項9に記載のマジックミラー。
【請求項11】
基材(20)を提供し、前記基材(20)の表面に第1酸化ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2酸化ニオブ層及び第2酸化シリコン層を順に堆積して前記マジックミラーを得るステップによって製造され、
前記吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含み、
前記吸収層の厚さは、8nm~20nmである、ことを特徴とする請求項に記載のマジックミラー。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の一方向透視フィルム(10)、又は、
請求項9~11のいずれか一項に記載のマジックミラーを含む、ことを特徴とする電子機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年8月25日に中国国家知識産権局に提出された、出願名称が「一方向透視フィルム、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器」である中国特許出願第202110979363.4号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、光学の技術分野に関し、具体的には、一方向透視フィルム、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
マジックミラーは、特殊なコーティングガラスであり、その一面がガラスミラー(外側)であり、光線を反射することができ、一般的なミラーと同様に機能し、ミラー効果を有し、他面(内側)には、ガラスの外側の光景が見られ、透視効果を有し、即ちガラスの外側からガラスの内側の状況が見られないが、ガラスの内側からガラスの外側の状況が見られるという透視効果がある。マジックミラーは、監獄、公安局と検察庁と裁判所機関の取調室、精神病病院、大学科学研究機関の研究室、大型会議室などの場所に適用することができる。
【0004】
現在市販されているマジックミラーは、銀、チタン、酸化チタンをメッキ層として用いて片面透視効果を達成することが多いが、上記材料は、コストが高いだけでなく、安定性が低いため、メッキ膜が失効しやすくなる。また、従来のマジックミラーは、色が単一であり、人々の多様な応用ニーズを満たさない。したがって、マジックミラーの安定性を向上させるとともに、マジックミラーに多様な色を持たせる新規な一方向透視フィルムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑みて、本願は、生産コストが低く、性能が安定し、高い片面透視効果を有し、かつ様々な色があり、市場化ニーズを満たす一方向透視フィルムを提供する。本願は、マジックミラー、マジックミラーの製造方法、及び電子機器をさらに提供する。
【0006】
本願の第1態様に係る一方向透視フィルムは、順に設置された第1酸化ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2酸化ニオブ層及び第2酸化シリコン層を含み、前記吸収層の厚さは、8nm~20nmである。
【0007】
本願の実施例において、前記吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含む。
【0008】
本願の実施例において、前記第1酸化ニオブ層及び前記第2酸化ニオブ層の厚さは、10nm~120nmである。
【0009】
本願の実施例において、前記第1酸化シリコン層及び前記第2酸化シリコン層の厚さは、10nm~160nmである。
【0010】
本願の実施例において、前記第1酸化ニオブ層の厚さは、30nm~60nmである。
【0011】
本願の実施例において、前記第1酸化シリコン層の厚さは、90nm~110nmである。
【0012】
本願の実施例において、前記第2酸化ニオブ層の厚さは、60nm~110nmである。
【0013】
本願の実施例において、前記第2酸化シリコン層の厚さは、50nm~90nmである。
【0014】
本願の実施例において、前記一方向透視フィルムの可視光線透過率は、10%~25%である。
【0015】
本願の実施例において、前記一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、15%以上である。
【0016】
本願の一方向透視フィルムは、第1酸化ニオブ層及び第1酸化シリコン層により増反射層を形成することにより、一方向透視フィルムの第1酸化ニオブ層に近接する側の表面(R面)の反射率が高くなり、ミラー効果を達成し、第2酸化ニオブ層及び第2酸化シリコン層は、反射防止層を形成することにより、一方向透視フィルムの第2酸化シリコン層に近接する側の表面(R面)の反射率が低くなり、透視効果を達成し、吸収層は、一部の光を吸収することができ、吸収層の厚さが8nm~20nmである場合、R面からR面が見られなく、R面からR面が見られることを保証することができる。
【0017】
本願の第2態様に係るマジックミラーは、基材と、前記基材の表面に設置された、本願の第1態様に記載の一方向透視フィルムと、を含む。
【0018】
本願の実施例において、前記基材は、前記第1酸化ニオブ層の表面に設置される。
【0019】
本願の実施例において、前記基材は、透明基材を含む。前記透明基材は、ガラス、アクリル板、防爆フィルム、離型フィルム及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1種以上を含む。
【0020】
本願の第2態様に係るマジックミラーは、一方向透視効果が高く、コストが低く、多様な色を有し、幅広い用途を有する。
【0021】
本願の第3の態様に係るマジックミラーの製造方法は、
基材を提供し、前記基材の表面に第1酸化ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2酸化ニオブ層及び第2酸化シリコン層を順に堆積して前記マジックミラーを得るステップを含み、前記吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含み、前記吸収層の厚さは、8nm~20nmである。
【0022】
本願の第4の態様に係る電子機器は、本願の第1態様に記載の一方向透視フィルム又は本願の第2態様に記載のマジックミラーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願の一実施例に係る一方向透視フィルムの概略構成図である。
図2】本願の一実施例に係る光の一方向透視フィルム中の伝送概略図である。
図3】本願の一実施例に係るマジックミラーの概略構成図である。
図4】本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
図5】本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。
図6】本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
図7】本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
図8】本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。
図9】本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得る他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0025】
図1に示すように、図1は、本願の一実施例に係る一方向透視フィルムの概略構成図である。一方向透視フィルムは、順に設置された第1五酸化二ニオブ層11、第1酸化シリコン層12、吸収層13、第2五酸化二ニオブ層14及び第2酸化シリコン層15を含む。説明の便宜上、本願における一方向透視フィルムの外側とは、第1五酸化二ニオブ層11側を指し、一方向透視フィルムの内側とは、第2酸化シリコン層15側を指す。
【0026】
本願において、一方向透視フィルムの外側面(R面)は、第1五酸化二ニオブ層であり、外側面の光線が第1五酸化二ニオブ層を通過して第1酸化シリコン層に到達する場合に半波損失が発生しないため、光の反射が強くなり、一方向透視フィルムの外側にミラー効果が現れ、一方向透視フィルムの内側面(R面)は第2酸化シリコン層であり、内側面の光線が第2酸化シリコン層を通過して第2五酸化二ニオブ層に到達する場合に半波損失が発生するため、光の反射が低減され、一方向透視フィルムの内側に透視効果が現れる。本願は、五酸化ニオブ及び酸化シリコン層を用いて一方向透視フィルムを製造することにより、生産コストを大幅に低減し、製品の普及に役立つ。
【0027】
本願の一方向透視フィルムにおいて、吸収層は、光線の一部を吸収することにより、一方向透視フィルムの透過率を適切な範囲にすることができる。本願の実施形態において、吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含む。本願の実施形態において、吸収層の厚さは、8nm~20nmである。さらに、吸収層の厚さは、15nm~20nmである。吸収層の厚さは、具体的には、8nm、10nm、12nm、15nm、17nm又は20nmであってもよいが、これらに限定されない。吸収層の厚さが大きいと、光に対する吸収量が大きく、一方向透視フィルムの透過率が小さく、吸収層の厚さが小さいと、光に対する吸収量が小さく、一方向透視フィルムの透過率が大きい。吸収層の厚さが8nm~20nmである場合、吸収層は、第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層とともに、高い相乗効果を達成することができ、一方向透視フィルムの外側にミラー効果が現れ、一方向透視フィルムの内側に透視効果が現れることを保証する。本願の実施形態において、一方向透視フィルムの可視光線透過率は、10%~25%であり、一方向透視フィルムの可視光線透過率は、具体的には、10%、15%、18%、20%、22%、25%であってもよいが、これらに限定されない。
【0028】
本願の実施形態において、第1五酸化二ニオブ層及び第2五酸化二ニオブ層の厚さは、10nm~120nmである。第1五酸化二ニオブ層及び第2五酸化二ニオブ層の厚さは、具体的には、10nm、30nm、40nm、50nm、55nm、60nm、80nm、90nm、100nm又は120nmであってもよいが、これらに限定されない。本願の実施形態において、第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層の厚さは、10nm~160nmである。第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層の厚さは、具体的には、10nm、30nm、50nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm又は160nmであってもよいが、これらに限定されない。第1五酸化二ニオブ層、第2五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層の厚さを上記範囲に制御することにより、一方向透視フィルムが高い構造安定性を有し脱落しにくいことを保証でき、一方向透視フィルムの製造コストが低く、製品の市場化に役立つ。
【0029】
本願において、第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層の厚さを調整することにより、一方向透視フィルムの一方向透視効果を最適化し、一方向透視フィルムの外側の反射率を向上させ、一方向透視フィルムの内側の反射率を低下させ、一側がミラーであり、他側が透視面であるという高い視覚的コントラスト効果を達成することができる。具体的には、図2に示すように、図2は、本願の一実施例に係る光の一方向透視フィルム中の伝送概略図であり、rは、外側光の界面1で発生する振幅反射係数であり、rは、外側光の界面2で発生する振幅反射係数であり、rは、内側光の界面2で発生する振幅反射係数であり、rは、内側光の界面1で発生する振幅反射係数である。界面1での一方向透視フィルムの反射率はRであり、界面2での一方向透視フィルムの反射率はRであり、R=|r-r|であり、R=|r-r|であり、さらに、r=(N-N)/(N+N)であり、r=(N-N)/(N+N)×e(-2δ)であり、r=(N-N)/(N+N)であり、r=(N-N)/(N+N)×e(-2δ)であり、δ=2π×N×D/λであり、ここで、Nは、入射媒体の屈折率であり、Nは、酸化シリコンの屈折率であり、Nは、五酸化ニオブの屈折率であり、δは、一方向透視フィルムの位相膜厚であり、Dは、一方向透視フィルムの物理膜厚であり、λは、光の波長である。また、光の各層の界面間の光路差が4分の1の波長の偶数倍である場合、光の反射を増加させ、光の各層の界面間の光路差が4分の1の波長の奇数倍である場合、光の反射を低減することができる。
【0030】
以上の式と原理に基づいて、本願は、一方向透視フィルムの最適化後の厚さの関係を導き出し、第1五酸化二ニオブ層の厚さが30nm~60nmであり、かつ第1酸化シリコン層の厚さが90nm~110nmである場合、一方向透視フィルムの外側面は、高い反射率を有することができ、第2五酸化二ニオブ層の厚さが60nm~110nmであり、かつ第2酸化シリコン層の厚さが50nm~90nmである場合、一方向透視フィルムの内側面は、低い反射率を有することができる。さらに、第1五酸化二ニオブ層と第1酸化シリコン層との厚さ比は、1:(1.5~3.5)であり、第2五酸化二ニオブ層と第2酸化シリコン層との厚さ比は、1:(0.5~1.5)である。第1五酸化二ニオブ層と第1酸化シリコン層との厚さの比は、具体的には、1:1.5、1:2、1:2.5又は1:3.5であってもよいが、これらに限定されず、第2五酸化二ニオブ層と第2酸化シリコン層との厚さの比は、具体的には、1:0.5、1:0.7、1:1又は1:1.5であってもよいが、これらに限定されない。本願の実施形態において、一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、15%以上であり、一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差の絶対値は、具体的には、15%、20%、25%、30%、35%又は40%であってもよいが、これらに限定されない。一方向透視フィルムの両側面の可視光線反射率の差が大きいほど、片面透視効果が高くなり、視覚差が顕著になる。
【0031】
本願において、一方向透視フィルムの各層の厚さの関係は、フィルムの色にも影響を与え、具体的には、各層の厚さを調整することにより、一方向透視フィルムの可視光に対する反射率を変更することができ、一方向透視フィルムの異なる波長の光に対する反射率も異なるため、一方向透視フィルムが異なる色を呈することができる。
【0032】
本願は、マジックミラーをさらに提供し、図3に示すように、図3は、本願の一実施例に係るマジックミラーの概略構成図であり、マジックミラーは、基材20と、基材の表面に設置された一方向透視フィルム10とを含む。本願の実施形態において、基材は、透明基材を含む。本願のいくつかの実施形態において、基材は、ガラス及び高分子透明基材のうちの1種又は複数種を含み、高分子透明基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル板、防爆フィルム及び離型フィルムのうちの1種以上を含む。本願において、一方向透視フィルムは、基材のいずれの表面に設置されてもよい。本願のいくつかの実施形態において、基材は、一方向透視フィルムの外側(R面)に設置され、即ち、基材は、一方向透視フィルムにおける第1五酸化二ニオブ層に隣接し、上記位置設置により、マジックミラーが高い片面透視効果を有することを保証することができる。
【0033】
本願に係るマジックミラーの製造方法は、
基材を提供し、上記基材の表面に第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層を順に堆積してマジックミラーを得るステップを含む。
【0034】
本願の実施形態において、第1五酸化二ニオブ層、第1酸化シリコン層、吸収層、第2五酸化二ニオブ層及び第2酸化シリコン層は、スパッタリング法により製造される。具体的には、第1五酸化二ニオブ層及び第2五酸化二ニオブ層については、スパッタ装置にアルゴンガス及び酸素ガスを流し、ニオブターゲットにアルゴンガスを衝突させ、スパッタリングされたニオブが酸素ガスと反応して五酸化二ニオブを形成すると同時に堆積して五酸化二ニオブ層を形成する。第1酸化シリコン層及び第2酸化シリコン層については、スパッタ装置にアルゴンガス及び酸素ガスを流し、シリコンターゲットをアルゴンガスで衝突し、スパッタリングされたシリコンが酸素ガスと反応して酸化シリコン層を形成すると同時に堆積して酸化シリコン層を形成する。
【0035】
本願において、吸収層は、シリコン、インジウム、ニオブ、チタン及びクロムのうちの1種以上を含み、吸収層は、対応するターゲットをアルゴンガスで衝突して製造され、例えば、吸収層がシリコン層である場合、シリコン層は、シリコンターゲットをアルゴンガスで衝突すると同時に堆積することにより得られる。
【0036】
本願のいくつかの実施形態において、マジックミラーの製造方法は、
基材を提供し、基材をスパッタ装置に置き、機台炉室を真空引きし、
機台炉室にアルゴンガスを流し、ガスが安定した後にイオン源をオンにし、基材及びターゲットの表面をイオン洗浄し、イオン源のICPパワーを0.5kw~5kwとし、機台炉室の真空度を1×10-3~1×10-2Paとし、イオン洗浄の時間を1min~60minとし、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、酸素ガスの流量を200sccm~300sccmとし、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、第1五酸化二ニオブ層の厚さを10nm~120nmとし、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、アルゴンガス及び酸素ガスを流し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタリングパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、第1酸化シリコン層の厚さを10nm~160nmとし、
酸素ガスの流れを停止し、吸収層ターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、第1酸化シリコン層の表面に吸収層を堆積し、吸収層の厚さを8nm~20nmとし、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、酸素ガスの流量を200sccm~300sccmとし、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、基材の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、第2五酸化二ニオブ層の厚さを10nm~120nmとし、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、アルゴンガス及び酸素ガスを流し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタリングパワーを5kw~15kwとし、コーティング作動圧力を0.07Pa~1Paとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、第2酸化シリコン層の厚さを10nm~160nmとして、原子ミラーを得ることである。
【0037】
本願に係る原子ミラーの製造方法は、プロセスが簡単であり、生産効率が高く、製造された原子ミラーの構造安定性が高く、片面透視効果が高い。
【0038】
本願は、本願の一方向透視フィルム又はマジックミラーを含む電子機器をさらに提供する。本願のいくつかの実施例において、電子機器は、筐体を含み、筐体は、筐体基材及び一方向透視フィルムを含み、筐体基材は、電子機器の他の構造に設置位置及び支持を提供することができ、ガラス基材であってもよく、高分子透明基材であってもよい。一方向透視フィルムは、筐体基材の表面に設置され、反射率の高い面が筐体の外部に向かって筐体の意匠面とされ、筐体の外光が強く筐体の意匠面の反射率が高いため、筐体の意匠面にミラー効果が現れ、筐体の内部の製品構造を遮蔽する。さらに、筐体の内部に発光源を設置することができ、発光源は、LEDランプであってもよく、有機発光材料であってもよく、発光源の形状と発光の色を設計することにより特定のパターン、例えば、製品logo又は装飾模様などを形成することができ、マジックミラーは、一定の透過率を有するため、筐体の内部の光源が十分に強い場合、筐体の外部から筐体の内部のパターンを見ることもできるが、筐体の内部の発光しない領域は依然として見えなく、即ち、筐体の意匠面から筐体の内部の発光するパターンを見ることができるが、筐体の内部の発光しない領域は依然としてミラーであるため、マジックの装飾効果を達成する。
【0039】
本願の他のいくつかの実施例において、電子機器は、ディスプレイスクリーンアセンブリを含み、ディスプレイスクリーンアセンブリは、表示パネル及び一方向透視フィルムとを含み、一方向透視フィルムは、表示パネルの表面に設置される。一方向透視フィルムの反射率の高い面は、ディスプレイスクリーンアセンブリの外部に向かう。ディスプレイは、スクリーンオフの場合、ミラー効果が現れる。ディスプレイは、スクリーンオンの場合、ディスプレイスクリーンアセンブリの画像を正常に表示することができる。具体的には、ディスプレイスクリーンアセンブリが発光しない(スクリーンオフ)場合、一方向透視フィルムの外側光がより明るいため、光の反射が強く、ディスプレイスクリーンアセンブリの表面がミラー効果を有し、ディスプレイスクリーンアセンブリが発光する(スクリーンオン)場合、一方向透視フィルムの内側光がより明るいため、ディスプレイから透過した光の強度が高く、ディスプレイスクリーンアセンブリの外部からディスプレイスクリーンアセンブリに表示された内容を見ることができるため、ディスプレイスクリーンアセンブリがスクリーンオンの場合に正常に表示し、スクリーンオフの場合にミラーの装飾効果を達成することができる。
【0040】
本願の実施形態において、電子機器は、具体的には、携帯電話、コンピュータ、電子タバコ、スマートブレスレット、ウェアラブルデバイスなどであってもよい。
【0041】
以下、複数の実施例に分けて本願の技術手段をさらに説明する。
【実施例1】
【0042】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、イオンクリーニング時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を186sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを56nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を327sとし、第1酸化シリコン層の厚さを105nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし続け、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.26Paとし、コーティング時間を182sとし、シリコン層の厚さを18nmとするステップと、
シリコンターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、シリコン層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を340sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを102nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.43Paとし、コーティング時間を183sとし、第2酸化シリコン層の厚さを55nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(56nm)/SiO(105nm)/Si(18nm)/Nb(102nm)/SiO(55nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例2】
【0043】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を106sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを32nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を316sとし、第1酸化シリコン層の厚さを95nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、インジウムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にインジウム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.25Paとし、コーティング時間を180sとし、インジウム層の厚さを18nmとするステップと、
インジウムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、インジウム層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を206sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを62nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paであり、コーティング時間を286sとし、第2酸化シリコン層の厚さを86nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(32nm)/SiO(95nm)/In(18nm)/Nb(62nm)/SiO(86nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例3】
【0044】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を127sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを38nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を326sとし、第1酸化シリコン層の厚さを98nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとするステップと、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を217sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを65nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を206sとし、第2酸化シリコン層の厚さを62nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(38nm)/SiO(98nm)/Nb(18nm)/Nb(65nm)/SiO(62nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例4】
【0045】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を140sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを42nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を340sとし、第1酸化シリコン層の厚さを102nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとするステップと、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を233sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを70nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を233sとし、第2酸化シリコン層の厚さを70nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(42nm)/SiO(102nm)/Nb(18nm)/Nb(70nm)/SiO(70nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例5】
【0046】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を160sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを48nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を350sとし、第1酸化シリコン層の厚さを105nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとするステップと、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を240sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を273sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(48nm)/SiO(105nm)/Nb(18nm)/Nb(72nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例6】
【0047】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を106sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを32nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を316sとし、第1酸化シリコン層の厚さを92nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、チタンターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にチタン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を150sとし、チタン層の厚さを15nmとするステップと、
チタンターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を233sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを70nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を273sとし、第2酸化シリコン層の厚さを85nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(32nm)/SiO(92nm)/Ti(15nm)/Nb(70nm)/SiO(85nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例7】
【0048】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を160sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを48nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を350sとし、第1酸化シリコン層の厚さを102nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、クロムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にクロム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を100sとし、クロム層の厚さを10nmとするステップと、
クロムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を206sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを62nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を286sとし、第2酸化シリコン層の厚さを86nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(48nm)/SiO(102nm)/Cr(10nm)/Nb(62nm)/SiO(86nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例8】
【0049】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を231sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を289sとし、第1酸化シリコン層の厚さを86nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を200sとし、シリコン層の厚さを20nmとするステップと、
シリコンターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を240sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を273sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(72nm)/SiO(86nm)/Si(20nm)/Nb(72nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例9】
【0050】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を173sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを52nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を310sとし、第1酸化シリコン層の厚さを93nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、インジウムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にインジウム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を150sとし、インジウム層の厚さを15nmとするステップと、
インジウムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を140sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを42nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を263sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(52nm)/SiO(93nm)/In(15nm)/Nb(42nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例10】
【0051】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を133sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを25nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を340sとし、第1酸化シリコン層の厚さを102nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、クロムターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にクロム層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を150sとし、クロム層の厚さを15nmとするステップと、
クロムターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を240sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを72nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を263sとし、第2酸化シリコン層の厚さを82nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(25nm)/SiO(102nm)/Cr(15nm)/Nb(72nm)/SiO(82nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
【実施例11】
【0052】
マジックミラーの製造方法は、
厚さが3mmのガラス基材を提供し、ガラス基材をエタノールで超音波洗浄した後、脱イオン水で洗い流し、真空環境下で乾燥させるステップと、
ガラス基材をスパッタ装置のワーク回転フレームに置き、機台を真空引きして、作業室の圧力を0.003pa未満にするステップと、
イオン源をオンにし、アルゴンガスを流し、アルゴンガスの流量を280sccmとし、ガラス基材の表面をイオン洗浄し、イオン源ICPのパワーを0.7kwとし、真空度を0.8Paとし、時間を5minとするステップと、
アルゴンガスを流し続け、酸素ガスを流し始め、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ガラス基材の表面に第1五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を127sとし、第1五酸化二ニオブ層の厚さを38nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1五酸化二ニオブ層の表面に第1酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を326sとし、第1酸化シリコン層の厚さを98nmとするステップと、
酸素ガスをオフにし、ニオブターゲットをオンにし、スパッタ電源のパワーを5kwとし、第1酸化シリコン層の表面にニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を180sとし、ニオブ層の厚さを18nmとし、
ニオブターゲットのスパッタ電源をオフにし、酸素ガスを流し、ニオブターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、ニオブ層の表面に第2五酸化二ニオブ層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を340sとし、第2五酸化二ニオブ層の厚さを102nmとするステップと、
ニオブターゲットをオフにし、ガス源がガスを供給し続け、シリコンターゲットのスパッタ電源をオンにし、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第2五酸化二ニオブ層の表面に第2酸化シリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を143sとし、第2酸化シリコン層の厚さを42nmとし、一方向透視フィルムを形成して、構造が基材/Nb(38nm)/SiO(98nm)/Nb(18nm)/Nb(102nm)/SiO(42nm)のマジックミラーを得るステップと、を含む。
本願の有益な効果を強調するために、以下の比較例を設定する。
(比較例1)
【0053】
比較例1と実施例1との相違点は、酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし続け、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を600sとし、シリコン層の厚さを68nmとし、フィルム層を形成して、構造が基材/Nb(56nm)/SiO(105nm)/Si(68nm)/Nb(102nm)/SiO(55nm)のコーティングガラスを得るという比較例1におけるシリコン層の堆積条件である。
(比較例2)
【0054】
比較例2と実施例1との相違点は、酸素ガスをオフにし、シリコンターゲットをオンにし続け、スパッタ電源のパワーを8kwとし、第1酸化シリコン層の表面にシリコン層を堆積し、コーティング作動圧力を0.45Paとし、コーティング時間を60sとし、シリコン層の厚さを5nmとし、フィルム層を形成して、構造が基材/Nb(56nm)/SiO(105nm)/Si(5nm)/Nb(102nm)/SiO(55nm)のコーティングガラスを得るという比較例2におけるシリコン層の堆積条件である。
(効果実施例)
【0055】
本願で製造されたマジックミラーの性能を検証するために、本願は、効果実施例をさらに提供する。
【0056】
1)分光光度計により実施例1~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスに対して反射率及び透過率を測定し、測定に用いられた装置は、X-rite Color I5分光光度計であり、測定過程のパラメータについて、繰り返し精度が0.03RMS CIELabであり、光源がパルスキセノンランプ、校正D65であり、スペクトル範囲が360-750nmであり、波長間隔が10nmであり、反射孔径が25mm/10mm/6mmであり、全透過孔径が22mm/10mm/6mmであり、光度測定範囲が0~200%反射率であり、光度測定分解能が0.01%であり、測定時間が2.5sであり、測定過程において、マジックミラーのガラス基材に近接する側は、R面であり、他側は、R面である。
【0057】
図4図6に示すように、図4は、本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図5は、本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。図6は、本願の実施例1に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図4図6の測定結果に基づいて、マジックミラーの各表面の全波長反射率又は透過率について平均値をとって、実施例1のマジックミラーのR面の平均反射率が42.8%であり、R面の平均反射率が21.6%であり、マジックミラーの平均透過率が15.6%であることを得る。図7図9に示すように、図7は、本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図8は、本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の透過率測定図である。図9は、本願の実施例2に係るマジックミラーのR面の反射率測定図である。図7図9の測定結果に基づいて、マジックミラーの各表面の全波長反射率又は透過率について平均値をとって、実施例2のマジックミラーのR面の平均反射率が52.6%であり、R面の平均反射率が15.6%であり、マジックミラーの平均透過率が19.9%であることを得る。同じ方法で実施例~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスに対して反射率及び透過率を測定し、実施例1~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスの透過率と反射率の測定結果を表1に示す。
【0058】
表1 実施例1~11のマジックミラーと比較例1~2のコーティングガラスの光学パラメータ
【表1】
【0059】
表1から分かるように、本願の実施例に係るマジックミラーは、R面が高い反射率を有し、R面が低い反射率を有し、適切な透過率によりマジックミラーのR面にミラー効果が現れ、R面に透視効果が現れることを保証し、高い片面透視効果を達成することができる。比較例1は、コーティングガラスの透過率が低すぎるため、コーティングガラスのR面及びR面がいずれも透視効果を有さない。比較例2は、コーティングガラスの透過率が高すぎるため、コーティングガラスのR面及びR面がいずれも透視効果を有する。
【0060】
2)色度テスターを用いて実施例1~11のマジックミラーの色度[Lab(CIE)]を測定し、Lは、明度指数であり、Aは、赤緑色度指数であり、bは、黄青色度指数であり、実施例1~11のマジックミラーの色度値を表2に示す。
【0061】
表2 実施例1~11のマジックミラーの色のパラメータテーブル
【表2】
【0062】
表2から分かるように、本願に係る一方向透視フィルムは、異なる色を呈し、多様な外観効果を達成することができ、市場化ニーズを満たす。
【0063】
3)実施例1~11のマジックミラーにおける一方向透視フィルムの付着力を測定し、クロスカット付着力試験法で測定し、測定方法は、以下のステップa~dを含む。
【0064】
aでは、クロスカットテスター(刃先角度が15°~30°である)を用いて、一方向透視フィルムの表面積≧10mmの箇所に10×10個の1mm×1mmの格子を切り込み、各切り込みは、一方向透視フィルムの下層まで深くされるべきである。
【0065】
bでは、ブラシで測定領域の破片をきれいにブラッシングする。
【0066】
cでは、粘着力が350g/cm~400g/cmの粘着テープ(3M600号の粘着紙又は同等)を被測定格子にしっかり付着させ、消しゴムで粘着テープを強く擦ることにより、粘着テープと被測定領域との接触面積及び力を増加させる。
【0067】
dでは、粘着テープの一端を手で掴み、90度の角度で迅速に粘着紙を引き剥がし、同じ位置で同じ測定を2回行い、一方向透視フィルムの剥離状況を観察し、ランクを以下のように分ける。
【0068】
5B:格子に剥離が発生しない。
4B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の5%以下である。
3B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の5%より大きく、15%以下である。
2B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の15%より大きく、35%以下である。
1B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の35%より大きく、65%以下である。
0B:剥離部分の面積は、表面に接触するテープ面積の65%より大きい。
【0069】
実施例1~11のマジックミラーの付着力測定結果を表3に示す。
【0070】
表3 実施例1~11の一方向透視フィルムの付着力測定結果
【表3】
【0071】
表3から分かるように、本願に係る一方向透視フィルムは、基材に対して結合力が高く、フィルム層の剥離の問題が発生しにくい。
【0072】
以上の記載は、本願の好ましい実施形態であるが、本願の範囲を限定するものと理解してはならない。なお、当業者にとって、本願の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修正を行うことができ、これらの改良及び修正も本願の保護範囲にあると見なされる。
【国際調査報告】