(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】子宮頸管拡張器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/42 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A61B17/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504933
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2022075119
(87)【国際公開番号】W WO2023023582
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524032611
【氏名又は名称】セレスティアル ライフ サイエンシーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CELESTIAL LIFE SCIENCES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リーヴス, マシュー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160HH20
4C160MM32
(57)【要約】
子宮頸管拡張器は、外来処置として、対象者の子宮頸管内に配置される。次いで、子宮頸管拡張器は、水を添加して患者の子宮頸管内に位置する膨張可能材料の膨張を開始することによって膨張される。膨張可能材料は、3cmまでの子宮頸管拡張が得られるまで、典型的には、子宮頸管拡張が必要とされる陣痛誘発または他の処置を開始する前に対象者の家で一晩、1~3mm/時の速度で子宮頸管拡張器バルーンを膨張させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頸管拡張のための医療デバイスであって、
流体チャンバと、
前記流体チャンバ内の流体に露出可能な膨張可能材料と
を備え、
前記膨張可能材料が、前記流体チャンバ内の前記流体に露出されたときに1~3mm/時の速度で最大断面寸法が増加するように構成される、
医療デバイス。
【請求項2】
前記流体が水である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記速度が1~2mm/時である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記最大断面寸法が直径である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記流体チャンバが、前記膨張可能材料を半径方向に囲む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記流体チャンバが、前記膨張可能材料を完全に囲む、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記流体チャンバのすべての壁が液体に対して不透過性である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記膨張可能材料がヒドロゲルである、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記膨張可能材料が高吸収性ポリマーである、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記膨張可能材料がポリアクリル酸ナトリウムである、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記流体チャンバが、子宮部分、膣部分、および前記子宮部分と前記膣部分との間の子宮頸管部分を有し、前記膨張可能材料が、少なくとも前記子宮頸管部分内に配置される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記子宮部分、前記子宮頸管部分、および前記膣部分が流体的に接続される、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記子宮部分、前記子宮頸管部分、および前記膣部分が、全体で単一のバルーンである、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記流体によって前記流体チャンバを膨張させると、前記子宮部分および前記膣部分が、前記子宮頸管部分よりも大きい断面サイズを有する、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記流体によって前記流体チャンバを膨張させると、前記子宮部分の容積が前記子宮頸管部分の容積よりも小さくなる、請求項14に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記膨張可能材料によって取り囲まれた前記医療デバイスの長手方向中心においてチューブをさらに備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記膨張可能材料が、前記チューブに沿って少なくとも前記子宮頸管部分の全長に延びる、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記チューブが、スタイレットを受け入れるように構成されたチャネルを形成する、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記チューブが、他の部分の前に前記子宮部分に前記流体を送達するように構成されたチャネルを形成する、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記流体チャンバが弾性であり、前記流体によって膨張したときに張力を受けない、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記子宮部分および前記子宮頸管部分が、前記流体によって前記流体チャンバを膨張させる前に、直径8mm以下の空間を通るように平らになるように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記流体チャンバを膨張させ、前記流体チャンバ内に流体を保持するための弁をさらに備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項23】
対象者の子宮頸管における使用後の前記医療デバイスの除去を容易にするために前記弁に取り付けられた除去ループをさらに備える、請求項22に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記膨張可能材料が、水の存在下で少なくとも1.5cmの直径に膨張するように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記膨張可能材料が、水の存在下で少なくとも3cmの直径に膨張するように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項26】
前記膨張可能材料が円形の断面形状を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項27】
前記膨張可能材料が、星形または多角形の断面形状を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項28】
前記医療デバイスが、複数のサイズの選択肢のうちの任意のサイズであるように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項29】
子宮頸管を拡張させる方法であって、
対象者の子宮頸管に子宮頸管拡張器を挿入するステップであって、前記子宮頸管拡張器が、
流体チャンバと、
前記流体チャンバ内の流体に露出可能な膨張可能材料と
を備え、
前記膨張可能材料が、前記流体チャンバ内の前記流体に露出されたときに1~3mm/時の速度で最大断面寸法が増加するように構成される、
挿入するステップと、
既定量の前記流体によって前記子宮頸管拡張器を膨張させるステップと、
前記膨張可能材料が少なくとも3cmの最大断面寸法に達するまで待機するステップと、
待機する前記ステップの終結後に前記子宮頸管から前記子宮頸管拡張器を取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項30】
膨張させる前記ステップにおいて使用される前記流体が、生理食塩水または体液ではなく水である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記速度が1~2mm/時である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
待機する前記ステップにおいて所望される前記膨張可能材料の最大断面寸法に基づいて、膨張させる前記ステップのための前記既定量の流体を選択するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
最終的な拡張を制御または制限するための手段として、前記既定量が30mLから60mLまで可変である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
待機する前記ステップにおける前記膨張可能材料の所望の膨張速度に基づいて、前記膨張可能材料の厚さ、ならびに前記膨張可能材料のサイズ、表面積、および/または孔の数を選択するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記所望の膨張速度に基づいて、平滑または星形の表面タイプを選択するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記流体チャンバが、子宮部分、膣部分、および前記子宮部分と前記膣部分との間の子宮頸管部分を備え、前記膨張可能材料が、少なくとも前記子宮頸管部分内に配置され、待機する前記ステップの間、前記膣部分のサイズが減少し、前記子宮頸管部分のサイズが増加する、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
膨張させる前記ステップが、最初に前記子宮部分を前記子宮頸管の近位端において子宮内で膨張させ、その後、前記膣部分を前記子宮頸管の遠位端において膣内で膨張させ、膨張した前記子宮部分および前記膣部分が、前記デバイスの前記子宮頸管部分を前記子宮頸管内の所定の位置に保持する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
膨張させる前記ステップにおいて使用される前記流体が、ヒドロゲルの膨張を改善または制御するための非イオン性添加剤を含む水である、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が外来処置である、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記流体チャンバの1つまたは複数の壁の弾性張力により、前記流体チャンバ内の前記流体にかかる非ゼロ圧力を維持するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
複数のサイズの選択肢から前記子宮頸管拡張器を選択するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年8月18日に出願された米国仮特許出願第63/234,493号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
子宮頸管拡張器は、多くの産婦人科(ob/gyn)処置のために必要とされる。例えば、米国では、現在、年間約600万件の出産が行われている。そのうち、推定年間160万件で陣痛誘発が行われている。誘発は、現在、高額であり、遅い。この懸念に対処するために、現在、Foley BalloonおよびCook Balloonが陣痛の誘発に対処するために使用されている。Foley BalloonとCook Balloonの両方が、ほぼ例外なく入院患者で使用される。現在、複数のDilapan-Sを使用する外来患者用子宮頸管熟化剤が、Medicemによって販売されている。この製剤は、留置するのが困難であり、高い合併症リスクを有し得る。したがって、この製剤を使用する産科医は米国にほとんどおらず、米国外ではこの製剤を使用する産科医はいないに等しい。
【0003】
Cook Balloonは、Foley Balloonよりもわずかに改善されている。Cook Balloonはシリコーン製ダブルバルーンであるが、Foley Balloonは単一のバルーンを有する。Cook Balloonは水で満たされているが、Cook Balloonの水は、バルーン壁材料の弾性のみによって広がることができる。バルーン材料の弾性は、形状の制御なく固定され、拡張の制御は制限され、圧力は最初は高く、その後低下する。
【発明の概要】
【0004】
誘発のために入院するときに良好な子宮頸管拡張を達成するための信頼性の高い安全な方法が必要とされている。現在の製品では、入院後に一定のまたは徐々に減少する力で極めてゆっくりと子宮頸管を拡張しなければならない。デバイスからの力が最初に高すぎる場合、これは患者にとって痛く、不快なものなる。特に入院患者のケアのための時間を節約することは、ケア提供者にとって重要なコスト上の利点を提供し、おそらく患者に好まれるであろう。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、新しい子宮頸管拡張器は、外来処置として一晩中使用することができる。一晩中、子宮頸管拡張器バルーンは、子宮頸管に対して圧力をかけて、子宮頸管をゆっくりと開く。この圧力は、最初は約1mm/時の変化を生じ、24時間後には1~2mm/時よりもわずかに大きくなる。したがって、患者が入院患者誘発のために来るとき、患者の子宮頸管は、誘発の開始時には確実に3cm以上になる。これは、入院患者時間の数時間の節約を実現する。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様によれば、新しい子宮頸管拡張器は、複数の部分を有する1つのバルーンチャンバを有する。内部部分は、(子宮下部内の)子宮頸管の上方にあり、子宮頸管拡張器バルーンを所定の位置に保持し、水リザーバの小さい一部分として働く。中間部分は、子宮頸管内に配置され、膨張可能ヒドロゲルを保持し、膨張可能ヒドロゲルは、ヒドロゲルが膨張するにつれて子宮頸管に力を加える。(子宮頸管の外側の、膣内の)膣部分は弾性であり、子宮頸管部分のための水の主なリザーバとして使用される。
【0007】
例示的な拡張器の重要な特徴は、子宮頸管部分内のヒドロゲルを膨張させる流体として、体液の代わりに水が使用されることである。ヒドロゲルを取り囲むバルーンの二重目的は、(1)子宮頸管内のデバイスの適切な位置を確実にすること、および(2)ヒドロゲルが吸収するための水を保持することである。ヒドロゲルは、塩(主としてナトリウムと塩化物)を含有する体液よりも約6倍多くの水を吸収するので、水は重要である。したがって、同量のヒドロゲルは、元々存在する体液を吸収する代わりに、水に取り囲まれたとき、子宮頸管拡張に対してはるかに大きい効果をもたらすことができ、その利用可能性は患者によって変動し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、子宮頸管拡張器バルーンの長さは8~10cmであり得、ここで、子宮頸管部分に、子宮頸管部分に直接隣接する膣部分と子宮部分の部分を加えた長さは5~6cmであり、外部部分および内部の各々の長さは1~3cmであり得、ここで、外部部分の長さと内部の長さとは、同じであることも互いに異なることもある。膨張していない状態では、子宮頸管バルーン拡張器は、例えば、直径1センチメートル未満(例えば、7~9mm)であり得る。いくつかの実施形態では、子宮頸管拡張器バルーンは、単一の弁と、長さ1~3cmの子宮部分と、長さ3~5cmの子宮頸管部分と、長さ2~4cmの膣部分とを有し、ここで、それらの部分によって形成されたバルーンは、すべての1つのチャンバである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な子宮頸管拡張器の一般化された構成の図である。
【
図2】別の例示的な子宮頸管拡張器の断面図(上)、膨張構成(中央)、および収縮構成(下)の3部図である。
【
図4】子宮頸管拡張のための例示的な医療デバイスの図である。
【
図7A】子宮頸管を拡張させる例示的な方法を概略的に示す図である。
【
図7B】子宮頸管を拡張させる例示的な方法を概略的に示す図である。
【
図7C】子宮頸管を拡張させる例示的な方法を概略的に示す図である。
【
図7D】子宮頸管を拡張させる例示的な方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、子宮頸管拡張のための例示的な医療デバイス100の一般化された構成を示す。医療デバイス100は、本開示では、子宮頸管拡張器バルーンもしくは子宮頸管拡張器、または単に拡張器と互換的に呼ばれることもある。子宮頸管拡張器100は、その長さに沿って1つまたは複数の個別に区別可能な部分を有し得る。これらの部分は、子宮部分10、膣部分12、および子宮頸管部分14と呼ばれることがある。子宮部分10は、本開示では、(子宮内のその配置に関して)内側部分または(配置中に臨床医から最も離れた部分であることに関して)遠位部分と呼ばれることがある。膣部分12は、本開示では、(子宮の外側のその配置に関して)外部部分または(配置中に臨床医の最も近位または臨床医に最も近い部分であることに関して)近位部分と呼ばれることがある。子宮頸管部分14は、本開示では、(拡張器100の両端にある部分の間のその位置に関して)中間部分と呼ばれることがある。さらに、「部分」および「バルーン」は、いくつかの実施形態では互換的に呼ばれ得る。「バルーン」は、一般に、サイズおよび/または容積が変化する、例えば、膨らむ、大きくなる、縮む、縮小することができるように構成された構造または構造の一部を指すために使用され得る。
【0011】
図1は、子宮部分10および膣部分12が子宮頸管部分14の両端に配置されていることを示す。子宮部分10は、使用中に子宮頸管拡張器100を適切な位置に保持するように構成される。例示的な子宮部分10は、子宮頸管部分14よりも半径が約1cm大きいことがあり、非弾性または最小弾性材料から作製され得る。子宮頸管部分14は、子宮頸管を拡張させるために半径方向外側に圧力をかけるように機能する。とりわけ、子宮口は最も拡張に抵抗し、子宮頸管部分14は、内子宮口に対する圧力を維持するために構造的に補強され得る。膣部分12は、膨張するにつれて子宮頸管部分14のための流体リザーバとして働き得る。すなわち、例示的な子宮頸管拡張処置の間、膣部分12は、処置の開始時に拡張器100の内部に供給される水の多く(例えば、大部分、50%超)を保持するが、そのような水は、拡張器の使用の過程にわたって(例えば、36時間まで)、大部分が、子宮頸管部分、特に子宮頸管部分内の膨張可能材料によって吸収される。膣部分12は、中間部分14の膨張を引き起こすかまたは少なくともそれに寄与する制限された圧力を(例えば、膣部分の壁の材料特性に応じて)維持することによって流体リザーバとして機能するように構成され得る。膣部分12上に、拡張器100は膨張弁16を備え得、この膨張弁を通して流体が膣部分12に追加され、流体は部分14および10をも膨張させ始め、それにより、膣部分12は子宮頸管部分14に対して圧力をかけることができる。膨張弁16は、弁16が患者の膣から突出しないように膣部分12の近くに保持され得る。
【0012】
拡張器100は、患者の子宮頸管からの子宮頸管拡張器バルーンの除去を容易にするために、外部バルーン12に接続され得る除去ループ18をさらに備え得る。いくつかの実施形態では、除去ループ18は、膨張弁16が、必要な場合、収縮のために最初に患者から取り出され得るように、および外部バルーン12が膨張されたときに膨張弁16を外部バルーン12の近くに保持するために、膨張弁16に取り付けられ得る。チャネル20は、スタイレットがその中に配置され、子宮頸管拡張器100の子宮頸管への挿入を補助することを可能にするために、子宮頸管拡張器100を通って延び得る。
【0013】
図2は、子宮頸管拡張器200’の完全に収縮した一般化された構成の上、および中間部分14の断面
図14’の下に、子宮頸管拡張器200の部分的に膨張した一般化された構成(部分14はまだ実質的に拡大していない)を示す。拡張器200は、いくつかの点で拡張器100とは異なり、最も顕著には、拡張器200は、部分10、12、および14が互いに流体連通しているという明確な兆候を示す。
図2の収縮した子宮頸管拡張器200’から、集合的に拡張器の全長となるそれぞれの部分が、拡張器が完全に収縮されたときに互いに区別可能でないことがあることも、視覚的に理解され得る。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態では、子宮頸管拡張器(例えば、100または200)の長さは8~10cmであり、その収縮状態では、直径は7~9mmである。いくつかの実施形態では、子宮部分、子宮頸管部分、および膣部分は、流体的に接続され、単一のバルーンとして一体化されるが、各部分は、実施形態に応じて、他のタイプの部分の一方または両方とは異なる速度で膨張または縮小することも、しないこともある。いくつかの例示的な実施形態では、子宮頸管部分14の長さは、3cmから6cmまで変動する。本明細書で提供されるすべての寸法は、子宮頸管を有するほとんどの一般的な成人の解剖学的構造について例示的であるが、意図される患者に応じて、いくつかの実施形態では他の寸法が使用され得る。例えば、一部の人間は統計的基準から外れており、本開示で明示的に与えられるものとは異なるサイズ分類を必要とする。いくつかの実施形態は、獣医、例えば、乗馬者による用途で使用され得、その場合、子宮頸管拡張器は、使用されることが意図される動物、例えば、エキゾチックアニマル、ウマ、イヌ、ネコなどに応じてサイズ決定され得る。同様に、挿入のために畳まれたデバイスの直径は、中間子宮頸管部分の意図された最終直径および/または含有されるヒドロゲルの量に基づいて変動し得る。
【0015】
子宮頸管拡張器100または200の内部全体、例えば、子宮部分と子宮頸管部分と膣部分の集合的な内部は、流体チャンバ、例えば単一の流体チャンバと見なされ得る。
図2の上部の断面
図14’(断面B-B)において強調されているように、流体チャンバの内側は、例えば弁16を介してチャンバ内に入れられた流体に露出されると、例えば1~3mm/時または1~2mm/時の速度で、断面サイズ(特に、最大断面寸法、例えば直径)が増加するように構成された、膨張可能材料22を含み得る。この事例では、膨張可能材料は、チャンバ内の流体が移動し得るギャップ23を残しながら複数のポイントにおいて部分14の壁141と接触する星形断面形状を有する。例示的な実施形態では、膨張可能材料22の膨張は、半径方向の膨張であるか、または少なくとも半径方向の膨張を含み、断面サイズの増加は、典型的には、特に子宮頸管部分14における最大断面寸法、例えば直径の増加である。例示的な実施形態では、流体チャンバの1つまたは複数の壁141は、水および体液などの液体に対して不透過性であり、それにより、膨張可能材料の膨張は、臨床医によって膨張弁16などの入口を通して流体が子宮頸管拡張器バルーンに追加されることによってのみ制御される。すなわち、患者の子宮頸管内およびその周囲の外部流体(すなわち、拡張器の外側の流体)は、膨張速度に影響を及ぼさない。また、膨張速度を低下させ得る流体チャンバからの流体浸透もない。膨張可能材料22は、ヒドロゲル、高吸収性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、およびAQUACRYLのうちの1つまたは複数であり得る。AQUACRYLは、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)の存在下でのポリアクリロニトリル(PAN)の部分アルカリ加水分解によって調製されるコポリマーである。得られた加水分解生成物は、親水性ブロックと疎水性ブロックを交互に含むマルチブロックアクリルコポリマーである。親水性ブロックは、アクリル酸、アクリルアミジン、およびアクリルアミドを含む。疎水性ブロックは、未反応アクリロニトリル単位の残りの配列によって形成される。加水分解生成物の組成は、AQUACRYL材料の種類によって変動し、反応条件および加水分解反応の変換に依存する。膨張可能材料22は、子宮部分、子宮頸管部分、および膣部分の各々にあり得るか、あるいは、子宮頸管部分のみまたは子宮頸管部分と膣部分とにあり得る。
【0016】
図1および
図2に示すように、子宮部分10の直径と膣部分12の直径は、両方とも、少なくとも部分的および/または全体的な膨張の後に、中間子宮頸管部分14よりも大きくなり得る。子宮頸管拡張器の初期膨張時に、子宮部分10は、子宮頸管部分14よりも小さい容積を有し得る。膨張可能材料22は、いくつかの実施形態では少なくとも子宮頸管部分の全長にわたり、両端において部分10および12内に延びることさえある。いくつかの実施形態では、膨張可能材料22間の空間は、子宮頸管部分全体にわたって等しい直径を維持するためにリブで部分的または全体的に補強され、拡張に対してより抵抗性のある部分に、さらなる力を与え得る。
【0017】
チューブと呼ばれることがあるチャネル20は、例示的な実施形態では子宮頸管拡張器の全長に延びる。スタイレットを受け入れるように構成されることに加えて、チャネル20はまた、他の部分の前に子宮部分10に流体を送達するように機能する。流体チャンバ、例えば、子宮部分と子宮頸管部分と膣部分との組合せは、弾性であり、流体によって膨張したときに張力を受けないことがあるが、異なる部分は互いに異なる弾性を有し得る。膨張可能材料22は、丸い断面形状、円形断面形状、多角形断面形状、星形断面形状、および/または任意の他の適切な形状のうちの1つまたは複数を有し得る。
【0018】
理想的には、子宮頸管拡張器は、対象者が診療所に入った後、収縮させることなく患者の子宮頸管から除去可能である。これは、単に除去ループ18(
図1参照)を引っ張ることによって達成され得る。
図3は、膨張弁と除去ループとが組み合わされて複合デバイス30を形成する例示的な実施形態を示す。膨張弁8は、除去ループの1つのアーム34の一部であるシリコーン製シリンダ32によって封止可能である。シリコーン製シリンダ32が接続されるとき、複合デバイス30は除去ループの機能を果たす。したがって、子宮頸管拡張器バルーンが除去されることになるとき、臨床医は単に複合デバイス30を引っ張るが、子宮頸管拡張器バルーンが膨張されることになるとき、シリコーン製シリンダ32は、膨張弁8へのアクセスを可能にするために除去される。
【0019】
図4は、側面図からの別の例示的な拡張器400を示す。
図5および
図6は、それぞれ断面図および分解図で拡張器400を示す。3つの図すべてにおいて、流体リザーバ450の形状は、膨張状態で示されている。しかしながら、限定はしないが高吸収性ポリマーなどの膨張可能材料420は、非膨張状態で示されている。膨張可能材料420は、丸みを帯びた、特に円形の断面形状を有する。上記で説明されたように、他の形状が代替として採用され得る。バルーン450は、少なくとも3つの識別可能な部分、すなわち、子宮部分401、子宮頸管部分402、および膣部分403を含む。膨張可能材料420の長さ470は、子宮頸管部分402の長さよりも大きく、子宮頸管部分402および膣部分403の外端に、それに向かって部分的に(完全にではない)延びる。流体チャンバ/リザーバ450、特にその壁は、膨張可能材料420を半径方向に囲む。流体チャンバ/リザーバは、すべての側面で膨張可能材料を完全に囲み得る。
【0020】
膨張可能材料420の長手方向両端にチューブ421または422があり、より小さいサイズのチューブ419が、要素420、421、および422の中心貫通孔を通って延びている。チューブ421および422は、例えばポリウレタンであり得る。チューブ419は、例えばステンレス鋼であり得る。チューブ419の一端は、例えば剛性材料の円錐であり得る末端部423において終端する。チューブ419の他端は、膨張のための弁において終端する。弁は、第1の部分416と第2の部分417とを備える。バルーン450は、特に弁が使用されていないとき、弁の一部または全部が入れ子になり得る膣部分403の端部において、凹部426を備え得る。
【0021】
バルーン450を膨張させ、バルーンが膨張し始めるように材料420を水に露出させるために、水が弁部分416/417を通ってチューブ419の内部ルーメンに供給される。チューブ419は、チューブ419の内部チャネル/ルーメンをチューブ419の外部に接続する1つまたは複数の孔425を有する。1つまたは複数の孔425の配置は、初期長手方向位置、または水がチューブ419を出てバルーン450内の他の空間に入る位置を制御する。
図5は、チューブ421内の孔424と整列する孔425を示す。孔425および424は、弁から子宮部分401への水の直接流入を可能にする。孔425がチューブ419内の唯一の長手方向側孔である実施形態では、その結果は、子宮頸管部分402または膣部分403への水の流入前の子宮部分401への水の流入である。この構成は、子宮部分401を急速に膨張させ、したがって拡張器400を迅速に固定するという利点を有する。膨張させるステップは、最初に子宮部分401を子宮頸管の近位端において子宮と共に膨張させ、その後、膣部分403を子宮頸管の遠位端において膣内で膨張させ、膨張した子宮部分および膣部分は、デバイス400の子宮頸管部分402を子宮頸管内の所定の位置に保持する。
【0022】
拡張器400は、専用のスタイレットを必要としないという点で、上記で説明された拡張器100および200とは異なる。バルーン450内の中心長手方向軸線に沿った要素のアセンブリは、臨床医による接触および操作のポイントとして働く弁部分416または弁部分416に接続されたハンドピース(図示せず)を有する拡張器400の配置を容易にするのに十分な剛性およびスティフネスを提供し得る。
【0023】
図7A、
図7B、
図7C、および
図7Dは、子宮頸管を拡張させる例示的な方法を段階的に示す。説明を簡単にするために、図は、子宮頸部の壁77および例示的な子宮頸管拡張器700を示すことに限定されている。患者の子宮頸管を拡張することが望まれるとき、採用される例示的な処置は、
図7Aに示すように、子宮頸管拡張器700を対象者の子宮頸管に挿入することを含む。拡張器700は、本開示の範囲内の任意の実施形態の形態、例えば、
図1、
図2、または
図6に描かれているデバイスの形態をとることができるが、収縮構成にあり、
図2のみがその収縮構成を示している。子宮頸管拡張器700は、流体チャンバと、流体チャンバ内の流体に露出可能な膨張可能材料とを含む。膨張可能材料は、流体チャンバ内の流体に露出されたときに1、1~2または1~3mm/時の速度で最大断面寸法が増加するように構成される。
図7Bでは、挿入後、臨床医は、60ml以上など、既定量の流体で子宮頸管拡張器700を膨張させる。最終的な拡張を制御または制限するための手段として、既定量は30mLから60mLまで変動し得る。次いで、数時間(最大24時間または36時間)にわたって、子宮頸管部分702内の膨張可能材料は、少なくとも3cmの直径に達する。待機期間中、膨張可能材料は、水を吸収するか、そうでなければ、膨張可能材料がゆっくりと膨張するように水に反応する。
図7Cおよび
図7Dは、子宮頸管拡張器の変化する全体的外形を示す。これらの図では、膣部分703のサイズが低減し、子宮頸管部分702のサイズが増加していることに留意されたい。子宮部分701は、一定のままであり、さらには、子宮頸管部分が膨張するにつれてサイズが減少し得る。これは一例にすぎず、全体的なデバイス外形の詳細は実施形態によって変動し得る。子宮部分、子宮頸管部分、および膣部分が流体的に接続され、いくつかの場合には集合的に単一のバルーン(例えば、
図4~
図6参照)を形成する実施形態では、3つの部分すべてが、待機期間中に断面サイズ/寸法および/または内部容積が変化し得るが、各部分は異なる速度で変化し得る。待機期間は、入院患者または外来患者として、例えば上記で説明されたように一晩中、行われ得る。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態では、膨張は、最初に子宮部分を子宮頸管の近位端において子宮と共に膨張させ、その後、膣部分を膨張させるように実施され、膨張した子宮部分および膣部分は、デバイスの子宮頸管部分を子宮頸管内の所定の位置に保持する。いくつかの例示的な実施形態では、膨張は、生理食塩水または体液を用いて実施されず、むしろ、膨張は、水のみで、あるいは、ヒドロゲルの膨張を改善し得る添加剤を含む水で実施される。添加剤は、例えば、ヒドロゲルの膨張を改善または制御する非イオン性剤であり得る。水は、例えば、逆浸透脱イオン(RODI)水、蒸留水、ミネラルウォーター、滅菌水、および/または水道水であり得る。好ましくは、いくつかの実施形態では、膨張中、流体チャンバの1つまたは複数の壁の弾性張力により、流体チャンバ内の流体にかかる非ゼロ圧力が存在する。
図7Dに示すように、膨張可能材料が、例えば少なくとも3cmの所定の閾値に達するかまたは所定の閾値を超えると、子宮頸管拡張器は、対象者の子宮頸管から除去される。
【0025】
その設計、および上記で説明された膨張の例示的なプロセスのために、内側子宮部分10は、子宮部分の膨張時に子宮頸管拡張器バルーンをその適切な位置に移動させる。例えば、膨張により、子宮頸管拡張器バルーンが内子宮口を越えて引っ張られ得る。子宮部分が膨張された後、膣部分が膨張する。膣部分14が圧力を生成するにつれて、膨張に対する抵抗が増加し始める。
【0026】
例示的な子宮頸管拡張器は、異なる対象者に対応するために(子宮頸管拡張器が、子宮頸管部分よりも大きいサイズ直径に両方とも拡大可能である子宮部分および膣部分を有する限り)複数のサイズおよび形状で提供され得る。例えば、1つの設計は、全長6~9cmについて、長さ1~2cmの子宮部分と、長さ3~4cmの子宮頸管部分と、長さ2~4cmの膣部分とを有し得る。複数の異なるサイズの子宮頸管拡張器バルーンを有するキットは、直径1.5~2cmに膨張する小さいサイズと、直径2~3cmに膨張する中程度のサイズと、直径3~4cmから膨張する大きいサイズとを含み得る。
【0027】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段に明記しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙、または「否定」の限定の使用に関連して、「もっぱら」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行詞として働くことを意図している。
【0028】
本開示を読めば当業者には明らかなように、本明細書に記載および図示された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から切り離されるか、またはそれらと組み合わせられ得る、個別の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0029】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の、文脈が別段に明記しない限り下限の単位の10分の1までの各介在値と、その規定範囲内の任意の他の規定または介在値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれ得、また、規定範囲内の任意の具体的に除外された限度を条件として、本発明に包含される。規定範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限度のいずれかまたは両方を除外した範囲も、本発明に含まれる。
【0030】
本発明の例示的な実施形態が本明細書に開示されたが、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正が行われ得ることを認識するであろう。
【国際調査報告】