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特表2024-529635血管内血液ポンプ用のモータケーブル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】血管内血液ポンプ用のモータケーブル
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/878 20210101AFI20240801BHJP
   A61M 60/13 20210101ALI20240801BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20240801BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20240801BHJP
   A61M 60/174 20210101ALI20240801BHJP
【FI】
A61M60/878
A61M60/13
A61M60/237
A61M60/416
A61M60/174
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504942
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022039947
(87)【国際公開番号】W WO2023018793
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,323
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャハーンギル,エミリア
(72)【発明者】
【氏名】コン,チンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】コルティカ,マーティン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077EE01
4C077FF04
(57)【要約】
血管内血液ポンプによって患者に血行動態のサポートを提供するためのシステム及び方法が開示されている。いくつかの実現例では、血液ポンプは、モータと、モータへ電力を送るための改良型のモータケーブルとを含む。モータは、1つ以上のコイルを備えるステータを含む。モータケーブルは1つ以上の電線管を含む。モータケーブルはまた、テール部分及びヘッド部分を含む。いくつかの実現例では、ヘッド部分は、O字形状又はC字形状を有し得る。モータケーブルは、血液ポンプの組立の複雑さを軽減し得る。例えば、モータケーブルは、1つ以上のコイル及び/又は1つ以上の電線管を短絡させるリスクを低下させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の開口部を有する入口領域;
1つ以上の開口部を有する出口領域;
前記入口領域と出口領域を流体結合する通路;
ロータ及びステータを有するモータであって、前記ステータは1つ以上のコイルを含み、前記ステータは、前記1つ以上のコイルで1つ以上の電気信号を受信することに応答して、回転磁場を発生させるように構成され、前記回転磁場によって前記ロータを回転させ、及び前記ロータの回転によって、前記入口領域の前記1つ以上の開口部に血液を引き込み、前記通路中を通して前記血液を送り、且つ前記出口領域の前記1つ以上の開口部から前記血液を吐き出す、モータ;及び
テール部分及びヘッド部分を有するケーブルであって、1つ以上の電線管が、前記テール部分及びヘッド部分を通って延在し、前記ヘッド部分は1つ以上のパッドを含み、並びに前記コイルのうちの少なくとも1つが、前記パッドのうちの少なくとも1つを通って、前記電線管のうちの少なくとも1つに結合される、ケーブル
を含む、血管内血液ポンプ。
【請求項2】
前記ステータは偶数のコイルを有する、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項3】
前記1つ以上のコイル及び前記1つ以上の電線管は前記1つ以上のパッドに結合されて、星形の回路構成を形成する、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項4】
前記1つ以上のコイル及び前記1つ以上の電線管は前記1つ以上のパッドに結合されて、デルタ回路構成を形成する、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項5】
前記1つ以上のコイル及び前記1つ以上の電線管は前記1つ以上のパッドに結合されて、開放端部巻線の回路構成を形成する、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項6】
前記ケーブルの前記ヘッド部分は前記モータのヨークに結合される、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項7】
前記ケーブルの前記ヘッド部分は軸受又はブッシングに結合される、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項8】
シャフトが、(a)前記軸受又は前記ブッシングの開口部、及び(b)前記ケーブルの前記ヘッド部分の開口部を通って延在する、請求項7に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項9】
前記電線管のうちの少なくとも1つは複数の導電層及び複数の貫通孔を含み、及び前記導電層のそれぞれは少なくとも1つの電気絶縁層によって分離される、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項10】
前記ケーブルの前記ヘッド部分は、前記複数の導電層の真下に接着層を含む、請求項9に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項11】
前記ヘッド部分はO字形状にされている、請求項9に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項12】
前記ヘッド部分はC字形状にされている、請求項9に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項13】
前記テール部分は、前記複数の導電層のセクションを覆うコーティングを含む、請求項9に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項14】
前記テール部分は1つ以上のパッドを含み、並びに前記テール部分の前記1つ以上のパッド及び前記ヘッド部分の前記1つ以上のパッドは露出している、請求項13に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項15】
前記ケーブルは、前記テール部分と前記ヘッド部分との間のインターフェースの近くで、45~135度の角度で曲げられる、請求項1に記載の血管内血液ポンプ。
【請求項16】
モータ及びケーブルを含む血管内血液ポンプの組立方法であって:
前記ケーブルのヘッド部分を前記血管内血液ポンプの内部構造に結合することであって、前記ケーブルは、さらに、テール部分を含み、1つ以上の電線管が、前記テール部分及びヘッド部分を通って延在し、及び前記ヘッド部分は1つ以上のパッドを含むこと;及び
前記モータの少なくとも1つのコイルを、前記パッドのうちの少なくとも1つを通して、前記電線管のうちの少なくとも1つに結合することであって、前記モータは、さらに、ロータ及びステータを含み、前記ステータは1つ以上のコイルを含み、前記ステータは、前記1つ以上のコイルで1つ以上の電気信号を受信することに応答して、回転磁場を発生させるように構成され、及び前記回転磁場によって前記ロータを回転させること
を含む、方法。
【請求項17】
前記ヘッド部分はO字形状にされているか、又はC字形状にされている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電線管のうちの少なくとも1つは複数の導電層及び複数の貫通孔を含み、及び前記導電層のそれぞれは少なくとも1つの電気絶縁層によって分離される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ヘッド部分は、前記複数の導電層の真下に接着層を含み、及び前記ヘッド部分を前記血管内血液ポンプの前記内部構造に結合することは、前記内部構造上に前記接着層を配置することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記パッドのうちの前記少なくとも1つを通して前記少なくとも1つのコイルを前記電線管のうちの前記少なくとも1つに結合することは、前記少なくとも1つのコイルを前記パッドのうちの前記少なくとも1つに半田付けすることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年8月12日出願の米国仮特許出願第63/232,323号からの優先権及びその利益を主張し、及びそれを参照することにより本書に援用する。
【0002】
技術分野
[0002] 本技術は、血管内血液ポンプを用いて患者に血行動態のサポートを提供するためのシステム及び方法に関する。いくつかの実現例では、血液ポンプは、モータと、モータへ電力を送るための改良型のモータケーブルとを含む。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 血管内血液ポンプが、血行動態のサポートを提供するために、カテーテルによって、患者の血管(例えば、大動脈)中へ挿入され得る。血管内血液ポンプは、入口領域、出口領域、カニューレ、及びモータハウジングを含み得る。動作中、血液は、モータハウジング内に配置されたモータによって、入口領域の1つ以上の開口部に引き込まれ、カニューレ中を通って送られ(channeled)、及び出口領域の1つ以上の開口部から吐き出される。モータの不具合は、患者に深刻な問題を引き起こす可能性がある。さらに、血液ポンプが患者の体内に挿入された後にモータが交換され得る場合でも、そのような交換は、患者に追加的なリスクを負わせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] 血管内血液ポンプを用いて患者に血行動態のサポートを提供するためのシステム及び方法が開示されている。いくつかの実現例では、血液ポンプは、モータと、モータへ電力を送るための改良型のモータケーブルとを含む。モータは、1つ以上のコイルを備えるステータを含む。モータケーブルは1つ以上の電線管を含む。モータケーブルはまた、テール部分及びヘッド部分を含む。いくつかの実現例では、ヘッド部分は、O字形状又はC字形状を有し得る。モータケーブルは、血液ポンプの組立の複雑さを軽減させ得る。例えば、モータケーブルは、1つ以上のコイル及び/又は1つ以上の電線管を短絡させるリスクを低下させ得る。
【0005】
[0005] 本開示の一態様は、1つ以上の開口部を有する入口領域と、1つ以上の開口部を有する出口領域と、入口領域と出口領域を流体結合する通路と、ロータ及びステータを有するモータと、テール部分及びヘッド部分を有するケーブルとを含む血管内血液ポンプに関する。モータのステータは、1つ以上のコイルを含み、及び1つ以上のコイルで1つ以上の電気信号を受信することに応答して回転磁場を発生させるように構成される。回転磁場によってロータを回転させる。ロータの回転によって、入口領域の1つ以上の開口部に血液を引き込み、通路中を通して血液を送り、及び出口領域の1つ以上の開口部から血液を吐き出す。1つ以上の電線管が、ケーブルのテール部分及びヘッド部分を通って延在する。ケーブルのヘッド部分は、1つ以上のパッドを含む。モータのステータのコイルのうちの少なくとも1つは、ケーブルのヘッド部分のパッドのうちの少なくとも1つを通して、ケーブルの電線管のうちの少なくとも1つに結合される。
【0006】
[0006] いくつかの実現例では、ステータは、偶数のコイルを有する。いくつかの実現例では、1つ以上のコイル及び1つ以上の電線管は1つ以上のパッドに結合されて、星形の回路構成を形成する。いくつかの実現例では、1つ以上のコイル及び1つ以上の電線管は1つ以上のパッドに結合されて、デルタ回路構成を形成する。いくつかの実現例では、1つ以上のコイル及び1つ以上の電線管は1つ以上のパッドに結合されて、開放端部巻線の回路構成を形成する。
【0007】
[0007] いくつかの実現例では、ケーブルのヘッド部分は、モータのヨークに結合される。いくつかの実現例では、ケーブルのヘッド部分は、軸受又はブッシングに結合される。いくつかの実現例では、シャフトは、(a)軸受又はブッシングの開口部、及び(b)ケーブルのヘッド部分の開口部を通って延在する。いくつかの実現例では、ケーブルのヘッド部分はO字形状にされている。いくつかの実現例では、ケーブルのヘッド部分はC字形状にされている。いくつかの実現例では、ケーブルは、テール部分とヘッド部分との間のインターフェースの近くで、45~135度の角度で曲げられる。
【0008】
[0008] いくつかの実現例では、電線管のうちの少なくとも1つは、複数の導電層及び複数の貫通孔を含み、導電層のそれぞれは、少なくとも1つの電気絶縁層によって分離される。いくつかの実現例では、ケーブルのヘッド部分は、複数の導電層の真下に接着層を含む。いくつかの実現例では、テール部分は、複数の導電層のセクションを覆うコーティングを含む。いくつかの実現例では、テール部分は1つ以上のパッドを含む。そのような実現例では、テール部分の1つ以上のパッド及びヘッド部分の1つ以上のパッドは露出され得る。
【0009】
[0009] 本開示の別の態様は、モータ及びケーブルを含む血管内血液ポンプの組立方法に関する。モータは、ロータと、1つ以上のコイルを有するステータとを含む。ステータは、1つ以上のコイルで1つ以上の電気信号を受信することに応答して、回転磁場を発生させるように構成される。回転磁場によってロータを回転させる。ケーブルは、テール部分と、1つ以上のパッドを有するヘッド部分とを含む。1つ以上の電線管が、ケーブルのテール部分及びヘッド部分を通って延在する。方法は、ケーブルのヘッド部分を血管内血液ポンプの内部構造(例えば、ヨーク、軸受、又はブッシング)に結合すること、及びパッドのうちの少なくとも1つを通して、モータの少なくとも1つのコイルを電線管のうちの少なくとも1つに結合することを含む。
【0010】
[0010] いくつかの実現例では、ケーブルのヘッド部分はO字形状にされているか、又はC字形状にされている。いくつかの実現例では、電線管のうちの少なくとも1つは、複数の導電層及び複数の貫通孔を含む。そのような実現例では、導電層のそれぞれは、少なくとも1つの電気絶縁層によって分離される。いくつかの実現例では、ヘッド部分は、複数の導電層の真下に接着層を含み、及びヘッド部分を血管内血液ポンプの内部構造に結合することは、内部構造上に接着層を配置することを含む。いくつかの実現例では、パッドのうちの少なくとも1つを通して、少なくとも1つのコイルを電線管のうちの少なくとも1つに結合することは、少なくとも1つのコイルをパッドのうちの少なくとも1つに半田付けすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1a】[0011]血管内血液ポンプを示す。
図1b】[0012]患者の心臓内に位置決めされた、図1(a)の血液ポンプを示す。
図1c】[0013]心室サポートシステムを示す。
図2】[0014]血管内血液ポンプの内部の態様を示す。
図3a】[0015]コイル内での個々の巻回に関するコイル巻線パターンを示す。
図3b】[0015]コイル内での個々の巻回に関するコイル巻線パターンを示す。
図3c】[0015]コイル内での個々の巻回に関するコイル巻線パターンを示す。
図3d】[0015]コイル内での個々の巻回に関するコイル巻線パターンを示す。
図3e】[0016]図3(a)に示す個々の巻回を有するコイルによって形成されたコイル巻線パターンを示す。
図3f】[0016]図3(b)に示す個々の巻回を有するコイルによって形成されたコイル巻線パターンを示す。
図3g】[0016]図3(c)に示す個々の巻回を有するコイルによって形成されたコイル巻線パターンを示す。
図3h】[0016]図3(d)に示す個々の巻回を有するコイルによって形成されたコイル巻線パターンを示す。
図4】[0017]ステータの断面図を示す。
図5】[0018]図2の血液ポンプで使用されるときの、図4のステータの断面図を示す。
図6a】[0019]星形又はY字形の回路構成を示す。
図6b】[0020]デルタ回路構成を示す。
図6c】[0021]「開放端部巻線」の回路構成を示す。
図6d】[0022]星形又はY字形の回路構成を示す。
図7】[0023]軸受を示す。
図8a】[0024]印刷回路基板(PCB)を示す。
図8b】[0024]印刷回路基板(PCB)を示す。
図9a】[0025]血管内血液ポンプの図である。
図9b】[0025]血管内血液ポンプの図である。
図10a】[0026]モータケーブルの最上導電層を示す。
図10b】[0026]モータケーブルの中間導電層を示す。
図10c】[0026]モータケーブルの最下導電層を示す。
図11a】[0027]モータケーブルの最上導電層を示す。
図11b】[0027]モータケーブルの中間導電層を示す。
図11c】[0027]モータケーブルの最下導電層を示す。
図12】[0028]積層の解説文の例を示す。
図13】[0029]ペニー硬貨のそばのモータケーブルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
[0030] 本開示の実現例について図面を参照して詳細に説明し、図面では、同様の参照符号が同様又は同一の要素を指す。開示の実現例は単に本開示の例であり、様々な形で供されてもよいことを理解されたい。周知の機能又は構成は、本開示を不要な詳細で曖昧にするのを避けるために、詳細には説明しない。それゆえ、本明細書で開示する特定の構造及び機能的な詳細は、限定ではなく、単に、特許請求の範囲の根拠として、及び実質的にいずれの適切な詳細な構造においても本開示を様々に用いるための当業者への教示のための代表的な根拠として、解釈されるべきである。
【0013】
[0031] 血管内血液ポンプは、患者の心臓に対して血行動態のサポートを提供するために使用され得る、経皮的な、カテーテルベースの機器である(例えば、ハイリスクの経皮的な冠動脈インターベンションの最中に)。図1(a)に示すように、血管内血液ポンプ110は、ピグテール111、入口領域112、カニューレ113、圧力センサー114、出口領域115、モータハウジング116、及び/又はカテーテル117を含み得る。ピグテール111は、患者の心臓内で血液ポンプ110を安定化させるのを支援し得る。動作中、血液は、モータハウジング116内に配置されたモータ(図示せず)によって、入口領域112の1つ以上の開口部に引き込まれ、カニューレ113中を通って送られ、及び出口領域115の1つ以上の開口部から吐き出され得る。いくつかの実現例では、血流の入口及び出口領域は逆にされて、動作中、血液が、出口領域115の1つ以上の開口部に引き込まれ、カニューレ113中を通って送られ、及び入口領域112の1つ以上の開口部から吐き出され得るようにしてもよい。いくつかの実現例では、圧力センサー114は、カニューレ113に組み込まれた可撓性膜を含み得る。圧力センサー114の一方の側は、カニューレ113外の血圧に曝され得、及び他方の側は、カニューレ113内の血液の圧力に曝され得る。いくつかのそのような実現例では、圧力センサー114は、カニューレ113外の圧力とカニューレ113内の圧力との差に比例する電気信号を発生させ得る。いくつかの実現例では、圧力センサー114によって測定された圧力差は、患者の心臓内に血液ポンプ110を位置決めするために使用され得る。いくつかの実現例では、圧力センサー114は光圧力センサーである。カテーテル117は、血液ポンプ110と、心室サポートシステムのさらに多くの他の機器(例えば、図1(c)参照)との間の1つ以上の流体及び/又は電気接続を提供し得る。
【0014】
[0032] 図1(b)に示すように、血液ポンプ110は、患者の心臓120内に位置決めされ得る。図示の通り、血液ポンプ110は、例えば、経皮的に、大腿動脈122を経由して上行大動脈124中へ、大動脈弁126を横切って、左心室128中へと挿入され得る。他の実現例では、血管内血液ポンプが、例えば、経皮的に、腋窩動脈123を経由して上行大動脈124中へ、大動脈弁126を横切って、左心室128中へと挿入され得る。他の実現例では、血管内血液ポンプは、例えば、上行大動脈124中へ直接挿入され、大動脈弁126を横切って、左心室128中へと挿入され得る。動作中、血液ポンプ110は、左心室128から血液を取り込み、及び上行大動脈124中へ血液を吐き出す。その結果、血液ポンプ110は、患者の心臓120によって通常行われる仕事のうちのある程度を行う。血液ポンプの血行動態効果は、心拍出量の増加、冠動脈血流の改善を含み、LV拡張末期圧、肺毛細管楔入圧、心筋仕事量(myocardial workload)、及び酸素消費量の低下を生じ得る。いくつかの実現例では、血液ポンプ110は、右心内に位置決めされ、及び右側の循環をサポートし得る。
【0015】
[0033] 図1(c)に示すように、血液ポンプ110は、心室サポートシステム100に組み込まれ得る。心室サポートシステム100はまた、コントローラ130(例えば、Abiomed,Inc.(Danvers,MA)からのAutomated Impella Controller(登録商標))、ディスプレイ140、パージサブシステム150、コネクタケーブル160、プラグ170、及び再配置ユニット180を含む。図示の通り、コントローラ130はディスプレイ140を含む。コントローラ130は、血液ポンプ110を監視及び制御する。動作中、パージサブシステム150は、カテーテル117を通して血液ポンプ110へパージ流体を送給して、血液が、モータハウジング116内のモータ(図示せず)に入るのを防止する。いくつかの実現例では、パージ流体は、デキストロース溶液(例えば、25又は50IU/mLのヘパリンを備える、水中5%のデキストロース)である。コネクタケーブル160は、血液ポンプ110とコントローラ130との間の電気及び/又は光接続を提供する。プラグ170は、カテーテル117、パージサブシステム150、及びコネクタケーブル160を接続する。いくつかの実現例では、プラグ170は、運転パラメータを記憶するためのメモリを含む。再配置ユニット180は、血液ポンプ110を別の場所に移すために使用され得る。
【0016】
[0034] 図示の通り、パージサブシステム150は、容器151、供給ライン152、パージカセット153、パージディスク154、パージ管155、逆止弁156、圧力リザーバ157、輸液フィルター158、及びサイドアーム159を含む。容器151は、例えば、袋又はボトルとし得る。パージ流体が容器151内に貯蔵される。供給ライン152は、容器151とパージカセット153との間の流体接続を提供する。パージカセット153は、容器151内のパージ流体がどのように血液ポンプ110へ送給されるかを制御し得る。例えば、パージカセット153は、パージ流体の圧力及び/又は流量を制御するために1つ以上の弁を含み得る。パージディスク154は、パージ流体の圧力及び/又は流量を測定するために1つ以上の圧力及び/又は流れセンサーを含む。図示の通り、コントローラ130は、パージカセット153及びパージディスク154とインターフェースを取る。パージ管155は、パージディスク154と逆止弁156との間の流体接続を提供する。圧力リザーバ157は、パージ流体が変化する間中、追加的な充填容積及び圧力を提供する。いくつかの実現例では、圧力リザーバ157は、膨脹室によって、追加的な充填容積及び圧力を提供する軟質ゴムダイアフラムを含む。輸液フィルター158は、細菌汚染物質及び空気がカテーテル117に入るのを防止するのを助ける。サイドアーム159は、輸液フィルター158とプラグ170との間の流体接続を提供する。
【0017】
[0035] 動作中、コントローラ130は、圧力センサー114、モータハウジング116内のモータ(図示せず)、及びパージディスク154から測定値を受信し、及びモータハウジング116内のモータ(図示せず)及びパージカセット153を制御する。上述の通り、コントローラ130は、パージカセット153及びパージディスク154を介して、パージ流体の圧力及び/又は流量を制御及び測定する。動作中、パージ流体は、サイドアーム159を通ってパージサブシステム150から出た後、カテーテル117及びプラグ170内のパージルーメン(図示せず)中を通って送られる。カテーテル117、コネクタケーブル160、及びプラグ170内のセンサーケーブル(図示せず)は、圧力センサー114とコントローラ130との間の電気及び/又は光接続を提供する。カテーテル117、コネクタケーブル160、及びプラグ170内のモータケーブル(図示せず)は、モータハウジング116内のモータとコントローラ130との間の電気接続を提供する。動作中、コントローラ130は、センサーケーブルを通して圧力センサー114からの測定値を受信し、及びモータケーブルを通して、モータハウジング116内のモータへ送られる電力を制御する。例えば、モータハウジング116内のモータへ送られる電流及び/又は電圧を制御することによって、コントローラ130は、モータハウジング116内のモータの速度を制御し得る。いくつかの実現例では、コントローラ130は、外部電源(例えば、バッテリー又は送電網の電源コンセント)に接続される。いくつかの実現例では、コントローラ130は、内部電源(例えば、バッテリー)を含む。バッテリーによって電力が供給されるとき、患者には、より高い移動性がもたらされ得る。
【0018】
[0036] 心室サポートシステム100及びその構成要素のうちの1つ以上に様々な修正がなされ得る。例えば、心室サポートシステム100は、様々な異なる血管内血液ポンプ、例えばAbiomed,Inc.(Danvers,MA)からのImpella 2.5(登録商標)、Impella 5.0(登録商標)、Impella 5.5(登録商標)、Impella LD(登録商標)、Impella RP(登録商標)、及びImpella CP(登録商標)カテーテルを収容するように修正され得る。別の例として、1つ以上のセンサーが血液ポンプ100に追加され得る。例えば、第2の圧力センサーが入口領域112の近くで血液ポンプ100に追加され得、これは、左心室血圧を測定するように構成される。そのような実現例では、第2の圧力センサーは圧力センサー114と大体同じように動作し得る。さらに、そのような実現例では、追加的なセンサーケーブルは、カテーテル117、コネクタケーブル160、及びプラグ170内に配置されて、1つ以上の追加的なセンサーとコントローラ130との間の電気接続を提供し得る。さらに別の例として、心室サポートシステム100の1つ以上の構成要素が分離され得る。例えば、ディスプレイ140は、コントローラ130と(例えば、無線式に又は1本以上の電気ケーブルによって)通信する別の機器に組み込まれ得る。さらに別の例として、上述のセンサー及び/又はモータケーブルの1つ以上は、複数の別々の電線管を有する単一の電気ケーブルと置き換えられ得る。
【0019】
[0037] 図2は、血管内血液ポンプ200の内部の態様を示す。いくつかの実現例では、血液ポンプ200は、血液ポンプ110と大体同じような構造にされ且つそのように動作され得る。さらに、いくつかの実現例では、血液ポンプ200は、心室サポートシステム、例えば心室サポートシステム100に組み込まれ得る。図示の通り、血液ポンプ200は、長手方向軸205に沿って配置されるモータユニット210及びポンプユニット220を含む。モータユニット210は、ハウジング212内に含まれているステータ240及びロータ250を含む電気モータを含む。電力は、カテーテル230を通って延在する電線管246及び247を通って、ステータ240へ送られる。いくつかの実現例では、電力は、血液ポンプ200に接続されたコントローラ(例えば、コントローラ130)によって提供され得る。いくつかの実現例では、圧力センサー(例えば、圧力センサー114)は、ポンプユニット200に結合され得る。
【0020】
[0038] ハウジング212は、近位端部214及び遠位端部216を含む。ハウジング212の近位端部214は、可撓性チューブを含み得るカテーテル230の遠位端部234に結合される。カテーテル230は、血液ポンプ200の制御及び動作のために医師の方へ向かって(すなわち、近位に)延在するルーメン232を含む。図2では、ステータ240及びハウジング212は別々の構成要素として示される。しかしながら、他の実現例では、ステータ240は、単一の構成要素を形成するために、ハウジング212内に入れられ得る。
【0021】
[0039] ロータ250は、ステータ240の中心開口部245内でシャフト253の周りで回転自在に支持される永久磁石252を含む。磁石252は、モータユニット210内でシャフト253を囲む円筒状永久磁石を含み得る。シャフト253は、モータユニット210からポンプユニット220中へ延在し、及び血液をポンプで送り込むためにインペラ260の回転を促す。いくつかの実現例では、シャフト253は、図7に示すもののような1つ以上の接触型軸受又はブッシングによって、回転自在に支持され得る。いくつかの実現例では、シャフト253は、1つ以上の非接触型軸受又はブッシング(例えば、磁気又は流体学的軸受)によって回転自在に支持され得る。いくつかの実現例では、シャフト253は、ハウジング212の近位端部214に位置決めされる第1の軸受又はブッシング、及びハウジング212の遠位端部216に位置決めされる第2の軸受又はブッシングによって回転自在に支持され得る。いくつかの実現例では、ロータ250は、シャフト253に取り付けられた2つ以上の永久磁石、又はそれ自体のロータ巻線を有する電磁石を含み得る。さらに、図2は、ステータ240内で回転自在であるとしてロータ250を示すが、モータユニット210は、ステータ240がシャフト253の周りで静止して保たれ、及びロータ250が、ステータ240の周りで回転するシリンダーとして構成されるように、構成され得る。
【0022】
[0040] シャフト253は、モータユニット210の長さ部分に沿って延在し、及びポンプユニット220のシリンダー状ハウジング222中へ延在する。いくつかの実現例では、シャフト253は、中空であり、及び例えばガイドワイヤが通過するためのルーメン254を含み得る。シャフト253の遠位端部は、ハウジング222内に位置するインペラ260に結合される。モータユニット210のステータ240とロータ250との間の相互作用によって、ロータ250にトルクを発生させてシャフト253を回転させ、それが次に、ハウジング222内でインペラ260を回転させる。これが発生すると、血液は、軸方向に送る(conveyance)ために軸方向吸入口224を経由して血液ポンプ200に引き込まれ得、血液は、開口部226から外側に(laterally)流出して、ハウジング212に沿って軸方向に流れる。このようにして、血液ポンプ200は、患者の心臓内に血液の流れを発生させる。いくつかの実現例では、血流は逆にされてもよく、動作中、血液が、開口部226に引き込まれ、ハウジング222中を通って送られ、及び開口部224から吐き出されるようにする。
【0023】
[0041] ステータ240は、近位端部242から遠位端部243までのモータユニット210の長さ部分に沿って延在し、及び特定のパターンに巻かれたコイル244を含み、その詳細を下記に提供する。いくつかの実現例では、ステータ240は6個のコイルを含み得る。他の実現例では、より多数又はより少数のコイルが提供されてもよい(例えば、2個のコイル、3個のコイル、4個のコイル、5個のコイル、又は7個以上のコイル)。好ましくは、コイルの数は偶数であるため、直径方向に反対側のコイルが対を形成し(例えば、磁場の制御に関して)、及び同時に制御され得る。図2に示すように、ステータ240は開口部245を規定し、そこにロータ250が位置決めされる。いくつかの実現例では、ステータ240はスロットレスであり、コイル244がコイル自体に巻きつけられ、積層されたステータコアには巻きつけられないようにする。コイル244のそれぞれは、絶縁コーティング(図示せず)を有し得、及び、任意選択的に、ステータ240は、合成エポキシド樹脂(これも図示せず)によって成形(enmolded)され得る。
【0024】
[0042] 図示の通り、モータユニット210はまた、ハウジング212内に含まれるヨーク213を含む。ヨーク213には、ロータ250の永久磁極によって生じた磁束が流れている。ヨーク213は、磁性材料、例えば鋼鉄、又は好適な合金、例えばコバルト鋼鉄で作製され得る。ヨーク250は磁束を増大させ得、これは、血液ポンプ200の全径を減少させることを可能にする。他の実現例では、ハウジング212はヨーク213としての機能を果たし得る。ヨーク213は、モータユニット210の最も外側の構成要素であるため、その直径及び/又は厚さはステータ240のサイズを制限する。
【0025】
[0043] 図3(a)~(d)は、コイル巻線パターン310~313の個々の巻線の巻回構造を示す。しかしながら、ステータ全体、例えば図2のステータ240が、モータユニットの長手方向軸、例えば長手方向軸205の周りでのワイヤの複数の巻回の軸方向及び角度配置構成によって得られ得ることが理解されるであろう。図3(e)~(h)は、図3(a)~(d)のそれぞれにおけるコイル巻線タイプのそれぞれに対するステータ全体のコイル巻線パターンを示す。図3(e)~(h)のプロットのそれぞれの水平軸は、それぞれのステータの周囲に沿った角度位置を表し、及び垂直軸は、ステータの遠位端部から近位端部へ移るそれぞれのステータの長手方向長を表す。
【0026】
[0044] 図3(a)は、個々のコイル巻線パターン310を示し、ここでは、コイルの各ワイヤ314が、近位端部321から、コイルの長さ部分に沿って、遠位端部325まで延在している。遠位端部325において、ワイヤ314は、ステータの外周を180度辿ってから、近位端部321へ戻る。図3(a)に示す巻回を有するコイルによって形成されたコイル巻線パターン全体は、図3(e)に示されている。
【0027】
[0045] 図3(b)は、個々の菱形のコイル巻線パターン311を示し、ここでは、各ワイヤ315は、屈曲形態に配置される。図3(a)のコイル巻線パターン310とは異なり、コイル巻線パターン311は、数回曲がりながら進められた(wound)1つの連続的なワイヤを含み、完全な各巻回は角度的にシフトされている。菱形のコイル巻線パターンの屈曲形態は、ステータに採用されるとき、個々の各位相のコイルのポストアセンブリを必要とし得る。図3(b)に示す菱形のコイル巻線パターンを有するコイル巻線パターン全体は、図3(f)に示されている。
【0028】
[0046] 図3(c)は、個々のらせんコイル巻線パターン312を示し、ここでは、各ワイヤ316は楕円形形態に配置される。コイル巻線パターン312は、図3(b)のコイル巻線パターン311と同様であるが、屈曲がなく、これにより、コイル巻線プロセスを単純にする。らせんコイル巻線は、1ステップ巻き付けであり、これは、ポストアセンブリステップを全く必要とせずに簡単に形成され得る。図3(c)に示すらせんコイル巻線パターンを有するコイル巻線パターン全体は、図3(g)に示されている。
【0029】
[0047] 図3(d)は、図3(a)のコイル巻線パターン310と図3(b)のコイル巻線パターン311とを混合したコイル巻線を含む個々のハイブリッドコイル巻線パターン313を示す。そのようなハイブリッドコイル巻線は、コイルの縦対横のアスペクト比を調整することによって、最適なトルク対抵抗の比を可能にする。図3(d)に示すハイブリッドコイル巻線パターンを含むコイル巻線全体は、図3(h)に示されている。
【0030】
[0048] 図4は、3相2極電気モータにおいて使用するための、磁極対毎の位相毎に2個のコイルを含むステータ400を示す。ステータ400は、二重巻線ステータ(又は4層コイルステータ)とし得る。ステータ400は、コイル巻線パターン310~313のいずれかを用い得る。例えば、図3(c)のコイル巻線パターン312で実現されると、ステータ400は、図3(g)に示す巻線全体と同様の二重らせん巻線ステータである。ステータ400では、3相電気モータの各位相A、B、及びCは2個のコイルを含む。それゆえ、位相Aは、コイル410(「A1」を付す)及びコイル411(「A2」を付す)を含み、位相Bは、コイル412(「B1」を付す)及びコイル413(「B2」を付す)を含み、並びに位相Cは、コイル414(「C1」を付す)及びコイル415(「C2」を付す)を含む。図示の通り、ステータ400は、コイルA1、B1及びC1を含む内側巻線と、コイルA2、B2及びC2を含む外側巻線とを有する。いくつかの実現例では、外側巻線のコイルA2、B2及びC2のそれぞれは、内側巻線のコイルA1、B1及びC1のそれぞれよりも多数の巻回を有する。図示の通り、コイル410~415のそれぞれは、リードワイヤ420~431によって示すような出発点及び終点を有する。いくつかの実現例では、リードワイヤ420~431は、給電ライン(例えば、電線管246及び247)との接続性のために、ステータ400の近位端部に位置する。いくつかの実現例では、コイル410~415は、絶縁されたマグネットワイヤから形成され得る。
【0031】
[0049] いくつかの実現例では、コイルA1は、第1の端部420からのコイルを、第1の方向(例えば、反時計回り)に、ステータ400の周囲に沿って、約120度のコイルの角度範囲(span)で、第2の端部421を形成するコイルの角度範囲の端部まで巻き付けることによって、形成される。コイルA1の形成後、内側巻線の残りの部分を含むコイル(すなわち、コイルB1及びC1)が形成され得る。コイルA1、B1及びC1が形成された後、コイルA2、B2及びC2が形成され得る。コイルA2は、第1の端部422からのコイルを、第1の方向(例えば、反時計回り)に、ステータ400の周囲に沿って、約120度のコイルの角度範囲で、第2の端部423を形成するコイルの角度範囲の端部まで巻き付けることによって、形成され得る。コイルA2の形成後、外側巻線の残りの部分を含むコイル(すなわち、コイルB2及びC2)が形成され得る。この巻き付けシーケンスは、ステータ400の全体寸法を小さくするのを助け得る。図示の通り、コイル410~415は、内側又は外側巻線内でステータ400の周囲に沿って均等に分布している。しかしながら、他の実現例では、コイル410~415不均等に分布してもよい。
【0032】
[0050] 図5は、3相2極電気モータにおいて図4のステータ400を用いる図2の線X-X’に沿って取った、血液ポンプ200の断面500を示す。明確にするために、コイル410~415を形成する巻線は、図5から省略される。図2に関連して説明するように、ロータ250は、使用時、定回転する。図5は、特定の瞬間のロータ250の位置を示す。図示の位置では、ロータ250は磁束密度Bを生じ、及びコイル410~415のそれぞれには電流が流れており、これは、長手方向に方向付けられ得る(紙面中へ又は紙面から出る)。ローレンツ力の法則によれば、磁束密度Bと、磁束密度Bに対して垂直な方向にある、電流が流れているワイヤの長手方向長Lとの間の相互作用によって、その回転のためにロータ250内に、式:
【数1】

(式中、
【数2】

は、ロータ250の長手方向軸205に対して平行な方向であり、
【数3】

は、ロータ250の長手方向軸205に対して垂直な磁束密度Bの半径方向であり、及び×は、ベクトルの外積を示す)
によって決まるトルクTを発生させる。それゆえ、ステータ400内での電流の流れは、長手方向軸205の周りでのロータ250の回転を引き起こし、これが次に、シャフト253の遠位端部に結合されたインペラ260の対応する回転を引き起こす。
【0033】
[0051] 図2~5に関連して上述した血管内血液ポンプの構造及び動作に関する追加的な情報は、2020年6月23日出願の米国特許出願第16/909,028号明細書に見出され得、及びこれを本願明細書に援用する。他の実現例では、血管内血液ポンプの内部は異なる構造にされてもよい。例えば、いくつかの実現例では、コイル244は、2017年9月19日出願の欧州特許出願第17191940.0号明細書(欧州特許出願公開第3456367A1号明細書として公開)、及び2017年2月7日出願の欧州特許出願第17155078.3号明細書(欧州特許出願公開第3357523A1号明細書として公開)に説明されているように、積層されたステータコアに巻かれてもよく、それら双方共、本願明細書に援用する。
【0034】
[0052] 図6(a)~(d)は、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110又は200)のステータ(例えば、ステータ240又は400)用の電気回路構成を示す。図示の通り、回路構成601~604は分岐部611~613を含む。分岐部611は、それら自体に巻き付けられ得るコイル621及び624を含む(例えば、コイル410~415参照)。分岐部612は、それら自体に巻き付けられ得るコイル622及び625を含む(例えば、コイル410~415参照)。分岐部613は、それら自体に巻き付けられ得るコイル623及び626を含む(例えば、コイル410~415参照)。いくつかの実現例では、コイル621~626のそれぞれは、単一の電線管(例えば、絶縁されたマグネットワイヤ)を有し得る。他の実現例では、コイル621~626のうちの1つ以上は、並列接続された2つ以上の電線管を含み得る。いくつかの実現例では、回路構成601~604のうちの1つ以上は、より多数又はより少数のコイルを含んでもよい(例えば、2個のコイル、3個のコイル、4個のコイル、5個のコイル、又は7個以上のコイル)。
【0035】
[0053] 図6(a)に示すように、回路構成601は星形又はY字形の回路構成である。回路構成601では、コイル621~623は、ノード630で電気的に接続される。コイル621及び624は、ノード631で電気的に接続される。コイル622及び625は、ノード632で電気的に接続される。コイル623及び626は、ノード633で電気的に接続される。コイル624、625、626は、ノード634、635、及び636のそれぞれでモータケーブル(例えば、電線管246及び247)の別個の電線管に電気的に接続され得る。動作中、3相電力が、コントローラ(例えば、コントローラ130)によって血管内血液ポンプのステータに供給され得る。例えば、120度の位相差を有する3つの別々の信号が、モータケーブルの3つの別々の電線管並びにノード634、635、及び636のそれぞれを通って、コイル624、625、及び626へ送られる。いくつかの実現例では、これらの信号は、振動する信号(例えば、交流電流(AC)信号)とし得る。
【0036】
[0054] 図6(b)に示すように、回路構成602はデルタ回路構成である。回路構成602は、回路構成601と同じ構成要素の多くを含む。しかしながら、回路構成602はノード630を含まない。その代わりに、回路構成602はノード641~643を含む。コイル622及び624は、ノード641で電気的に接続される。コイル623及び625は、ノード642で電気的に接続される。コイル621及び626は、ノード643で電気的に接続される。動作中、コントローラ(例えば、コントローラ130)は、モータケーブルの3つの別々の電線管(例えば、電線管246及び247)並びにノード641~643を通って、コイル621~626に3相電力を供給し得る。例えば、第1の信号が、モータケーブルの第1の導管(図示せず)及びノード641を通って、コイル622及び624へ送られ得、第2の信号が、モータケーブルの第2の導管(図示せず)及びノード642を通って、コイル623及び625へ送られ得、並びに第3の信号が、モータケーブルの第3の導管(図示せず)及びノード643を通って、コイル621及び626へ送られ得る。いくつかの実現例では、第1、第2、及び第3の信号は、120度の位相差を有し得る。いくつかの実現例では、第1、第2、及び第3の信号は、振動する信号(例えば、交流電流(AC)信号)を有し得る。
【0037】
[0055] 図6(c)に示すように、回路構成603は、配線端部が開放した構成であり、「開放端部巻線」回路構成と一般に呼ばれている。回路構成603は、回路構成601と同じ構成要素の多くを含む。しかしながら、回路構成603はノード630を含まない。その代わりに、回路構成603はノード651~656を含む。動作中、コントローラ(例えば、コントローラ130)は、モータケーブルの3つの別々の対の電線管(例えば、電線管246及び247)並びにノード651~656を通して、分岐部611~613のそれぞれに電力を別々に供給する。例えば、いくつかの実現例では、コントローラは、モータケーブルの3つの別々の対の電線管及びノード651~656を通して、分岐部611~613のそれぞれに3相電力を供給し得る。いくつかの実現例では、120度の位相差を有する3つの別々の信号は、分岐部611~613へ送られ得る。いくつかの実現例では、これらの信号は、振動する信号(例えば、交流電流(AC)信号)とし得る。
【0038】
[0056] 回路構成601~603では、コイル621~626は、対のコイルとして直列に配置される。例えば、分岐部611内には、コイル621及び624が直列に配置される。しかしながら、他の実現例では、コイル621~626は、対のコイルとして並列に配置される。例えば、図6(d)に示すように、回路構成601は、回路構成604を形成するように再配置されてもよく、これも星形又はY字形の回路構成である。
【0039】
[0057] 上述の通り、回路構成601~604には、より多数又はより少数のコイルが含まれてもよい。コイルの数が増減されると、分岐部611~613へ送られる信号の数も増減され得る。例えば、分岐部613が回路構成601~604から除去される実現例では、コントローラが、分岐部611及び612へ2相電力を供給し得る。いくつかのそのような実現例では、90又は180度の位相差を有する2つの別々の信号が、分岐部611及び612へ送られ得る。別の例として、分岐部612及び613が回路構成601~604から除去される実現例では、コントローラは、分岐部611に単相電力を供給し得る。さらに別の例として、第4の分岐部が回路構成601~604追加される実現例では、コントローラが、分岐部611~613及び第4の分岐部に4相電力を供給し得る。いくつかのそのような実現例では、90度の位相差を有する4つの別々の信号が、分岐部611~613及び第4の分岐部へ送られ得る。
【0040】
[0058] 図7は軸受700を示す。図示の通り、軸受700は、上面710及び中心開口部720を含む。いくつかの実現例では、軸受700は、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ200)のモータユニットのハウジングの近位端部(例えば、ハウジング212の近位端部214)内に位置決めされ得る。いくつかの実現例では、軸受700は、血液ポンプのヨークとして使用され得る。そのような実現例では、軸受700は、磁性材料、例えば鋼鉄、又は好適な合金、例えばコバルト鋼鉄で作製され得る。他の実現例では、軸受700は異なる形状にされてもよい。
【0041】
[0059] 図8(a)及び8(b)は印刷回路基板(PCB)800を示す。図8(a)は、PCB800の上方から見た図を示す。図8(b)は、PCB800の分解図を示す。図示の通り、PCB800は、層810、820、及び830と、中心開口部840とを含む。層810はパッド811~816を含む。層810は、導電性材料(例えば、銅又は銀)で作製され得る。層820は、電気絶縁材料(例えば、ポリイミド)で作製され得る。層830は、接着材料で作製され得る。PCB800のパッド811~816は、図6(a)~(d)に関連して上述した回路構成を形成するために使用され得る。さらに、PCB800は、層830の接着材料によって、軸受700の上面710に結合され得る。そのような実現例では、中心開口部840は、軸受700の中心開口部720に形状、及びその壁厚が対応し得る。しかしながら、中心開口部840は中心開口部720よりも幅が広くてもよい。
【0042】
[0060] 上述の通り、パッド811~816は、図6(a)~(d)に関連して上述した回路構成のノードを形成するために使用され得る。例えば、回路構成601に関連して、パッド811~813は、ノード631~633を形成するために使用され得、及びパッド814~816は、ノード634~636を形成するために使用され得る。そのような実現例では、ノード630は、PCB800を使用することなく形成され得る(例えば、適切なワイヤを撚り合わせ且つ半田付けすることによって)。別の例として、回路構成602に関連して、パッド811~813は、ノード631~633を形成するために使用され得、及びパッド814~816は、ノード641~643を形成するために使用され得る。そのような実現例では、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110又は200)のコイル(例えば、コイル244又は410~415)は、互いに、又はモータケーブルの電線管(例えば、電線管246及び247)に結合され得る。図示の通り、パッド814~816は、パッド811~813よりも大きい。回路構成601及び602に関連して、これは、モータケーブルの電線管にコイルを手動で半田付けすることが、コイルを互いに半田付けすることよりも難しいとし得るため、好都合とし得る。
【0043】
[0061] 様々な修正が、PCB800になされてもよい。例えば、PCB800は、より多数又はより少数のパッド(例えば、2つのパッド、3つのパッド、4つのパッド、5つのパッド、又は7つ以上のパッド)及び/又は層(例えば、1つの層、2つの層、4つの層、又は6つ以上の層)を含み得る。例えば、回路構成601を実現するために、追加的なパッドがPCB800に加えられてもよい(例えば、ノード630に対して)。別の例として、回路構成603を実現するために、3つの追加的なパッドがPCB800に加えられてもよい。さらに別の例として、回路構成604を実現するために、パッド811~816のうちの2つが除去されてもよく、及び残りのパッドのうちの1つ以上が拡大されてもよい。他の実現例では、パッド811~816は異なる形状にされてもよい。例えば、パッド811~816のそれぞれは、同じサイズ及び/又は形状を有してもよい。同様に、他の実現例では、PCB800は異なる形状にされてもよい。例えば、シャフト(例えば、シャフト253)が血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110又は200)の軸受(例えば、軸受700)を通って延在しない実現例では、中心開口部840がPCB800から除去されてもよい。そのような実現例では、中心開口部840は、1つ以上の追加的な電気接続部(例えば、1つ以上の追加的なパッド)で置き換えられてもよい。さらに、そのような実現例では、パッド811~816のサイズ及び/又は位置は調整されてもよい。例えば、パッド811~816のサイズは、コイル(例えば、コイル244又は410~415)及び/又はモータケーブルの電線管(例えば、電線管246及び247)を意図せず短絡させるリスクをさらに低下させるために、大きくされ得る。
【0044】
[0062] 図9(a)及び図9(b)は、血管内血液ポンプ900の内部の態様を示す。血液ポンプ900は、血液ポンプ110及び200と大体同じような構造にされ且つそのように動作され得る。さらに、血液ポンプ900は、心室サポートシステム、例えば心室サポートシステム100に組み込まれ得る。図示の通り、血液ポンプ900は、軸受910、シャフト920、PCB930、コイル940、電線管951~953、及びステータ960を含む。軸受910は、軸受700と大体同じような構造にされ得る。シャフト920は、組立中に除去される一時的な組立固定具とし得る。PCB930は、PCB800と大体同じような構造にされ得る。コイル940は、410~415と大体同じような構造にされ得る。電線管951~953は、モータケーブルに含まれ得る。ステータ960は、ステータ400と大体同じような構造にされ得る。図9(b)に示すように、組立中、コイル940及び電線管951~953は、PCB930に手動で半田付けされ得る。血液ポンプ900のサイズが小さいことに起因して、半田付けプロセスは難しいとし得るため、コイル940及び/又は電線管951~953を意図せず短絡させるリスクがある。
【0045】
[0063] 図10(a)~(c)は、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の組立中にコイル(例えば、コイル244、410~415、又は940)及び/又はモータケーブルの電線管(例えば、電線管246、247、又は951~953)を短絡させるリスクを低下させるために使用され得る、モータケーブル1000の態様を示す。図示の通り、ケーブル1000は、図10(a)の最上層1001、図10(b)の中間層1002、図10(c)の最下層1003、電線管1011~1013、入力パッド1021~1023、出力パッド1031~1033、接続パッド1041~1044、貫通孔1051~1056及び1061~1064、テール部分1070、ヘッド部分1080、並びに中心開口部1081を含む。層1001~1003は、導電性材料(例えば、銅又は銀)で作製され、及び電気絶縁材料(例えば、ポリイミド及び/又は接着剤)の1つ以上の層(図示せず)によって分離され得る。組み立てられると、最上層1001は中間層1002の上に置かれ、これが次に、最下層1003の上に置かれる。いくつかの実現例では、ケーブル1000は、最上層1001の上及び/又は最下層1003の下に、コーティング(例えば、ポリイミド及び/又は接着剤)を含み得る。貫通孔1051~1056及び1061~1064が、導電性材料(例えば、銅又は銀)で裏打ちされ及び/又は満たされて、層1001~1003間の電気接続を提供し得る。いくつかの実現例では、モータケーブル1000は、可撓リボンケーブル及び/又は連続的な印刷回路とし得る。
【0046】
[0064] 図示の通り、電線管1011は、層1001~1003、入力パッド1021、出力パッド1031、並びに貫通孔1051~1053、1061及び1062の部分を含む。動作中、コントローラ(例えば、コントローラ130)が、第1の信号を、電線管1011を通して、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の1つ以上のコイル(例えば、コイル244、410~415、又は940)へ出し得る。電線管1012は、層1001~1003、入力パッド1022、出力パッド1032、並びに貫通孔1054~1056、1063及び1064の部分を含む。動作中、コントローラが、第2の信号を、電線管1012を通して、血管内血液ポンプの1つ以上のコイルへ出し得る。電線管1013は、層1001、入力パッド1023、及び出力パッド1033の部分を含む。動作中、コントローラが、第3の信号を、電線管1013を通して、血管内血液ポンプの1つ以上のコイルへ出し得る。
【0047】
[0065] 組立中、入力パッド1021~1023は、コントローラ(例えば、コントローラ130)とインターフェースを取るために、コネクタに結合され得るか、又は電線管(例えば、プラグ170の一部分)に半田付けされ得る。さらに、組立中、出力パッド1031~1033及び接続パッド1041~1044は、図6(a)~(d)に関連して上述した回路構成を形成するために使用され得る。例えば、回路構成601に関連して、接続パッド1041~1044はノード630~633を形成するために使用され得、及び出力パッド1031~1033はノード634~636を形成するために使用され得る。別の例として、回路構成602に関連して、接続パッド1041~1044はノード631~633を形成するために使用され得、及び出力パッド1031~1033はノード641~643を形成するために使用され得る。いくつかのそのような実現例では、接続パッド1041~1044のうちの1つは使用されていないかもしれない。或いは、他の実現例では、接続パッド1041~1044のうちの1つは、ケーブル1000から除去されてもよい。組立中、ケーブル1000は、テール部分1070とヘッド部分1080との間のインターフェースで又はその近くで、例えば、45~135度の角度で曲げられてもよい。
【0048】
[0066] 例えば、図9(a)及び図9(b)の血液ポンプ900に関連して、ケーブル1000が、PCB930及び電線管951~953に取って代わる。例えば、ヘッド部分1080は、PCB930に取って代わったと見られ得、及びテール部分1070は、電線管951~953に取って代わったと見られ得る。そのような実現例では、ヘッド部分1080は、接着剤を使用することにより、軸受910に接続され得る。例えば、接着層(図示せず)が、ヘッド部分1080において、最下層1003の真下に含まれ得る。好都合なことに、この取り替えは、血液ポンプ900を組み立てるために必要とされる手動の半田付けの量を減らす。例えば、テール部分1070及びヘッド部分1080が既に互いに接続されているため、もはや、電線管951~953をPCB930に半田付けする必要はない。さらに、上述の通り、コイル940を電線管951~953に手動で半田付けすることは、コイル940を互いに手動で半田付けすることよりも難しいとし得る。その結果、全体的な複雑さが軽減され、及びコイル及び/又は電線管を意図せず短絡させるリスクを低下させる。例えば、PCB930への電線管951~953の半田接続をなくすことは、半田接合部又はモータハウジングへの電線管自体の電気的な短絡のリスクを低下させる。
【0049】
[0067] 様々な修正がケーブル1000になされ得る。例えば、ケーブル1000は、より多数又はより少数のパッドを含んでもよい。例えば、上述の通り、回路構成602を実現するために、接続パッド1041~1044のうちの1つはケーブル1000から除去されてもよい。別の例として、回路構成603を実現するために、2つの追加的な接続パッドがケーブル1000に追加されてもよい。さらに別の例として、回路構成604を実現するために、接続パッド1041~1044のうちの3つが除去されてもよい。他の実現例では、ケーブル1000は、より多数又はより少数の貫通孔を含んでもよい。例えば、層1001~1003間の電気接続をさらに改善又は再構成するために、追加的な貫通孔が追加されてもよい。血管内血液ポンプの全体寸法の制約に起因して、これは、貫通孔1051~1056及び/又は1061~1064のサイズを大きくすることよりも効率的とし得る。例えば、貫通孔1051~1056及び/又は1061~1064のサイズ大きくすることは、テール部分1070を幅広にすることを必要とし得る。他の実現例では、入力パッド1021~1023、出力パッド1031~1033、及び/又は接続パッド1041~1044は、異なる形状にされてもよい。例えば、入力パッド1021~1023、出力パッド1031~1033、及び/又は接続パッド1041~1044のそれぞれは、同じサイズ及び/又は形状を有してもよい。同様に、他の実現例では、ケーブル1000は異なる形状にされてもよい。例えば、シャフト(例えば、シャフト253又は920)が血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の軸受(例えば、軸受700又は910)を通って延在しない実現例では、中心開口部1081はケーブル1000から除去されてもよい。そのような実現例では、中心開口部1181は、1つ以上の追加的な電気接続部(例えば、1つ以上の追加的なパッド)で置き換えられてもよい。さらに、そのような実現例では、出力パッド1031~1033及び/又は接続パッド1041~1044のサイズ及び/又は位置は調整され得る。例えば、出力パッド1031~1033及び/又は接続パッド1041~1044のサイズは、コイル(例えば、コイル244、410~415、又は940)及び/又は電線管1011~1013を意図せず短絡させるリスクをさらに低下させるために、大きくされ得る。他の実現例では、ケーブル1000内には、より多数又はより少数の層があってもよい。例えば、ケーブル1000は、応用できるパッド及び貫通孔の形態を備える1つ又は2つの導電層を含み得るか、又はケーブル1000は、応用できるパッド及び貫通孔の形態を備える、4つ、5つ以上の導電層を含み得る。
【0050】
[0068] 図11(a)~(c)は、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の組立中に、コイル(例えば、コイル244、410~415、又は940)及び/又はモータケーブルの電線管(例えば、電線管246、247、又は951~953)を短絡させるリスクを低下させるために使用され得るモータケーブル1100の態様を示す。図示の通り、ケーブル1100は、図11(a)の最上層1101、図11(b)の中間層1102、図11(c)の最下層1103、電線管1111~1113、入力パッド1121~1123、出力パッド1131~1133、接続パッド1141~1144、貫通孔1151~1156及び1161~1163、テール部分1170、ヘッド部分1180、並びに中心開口部1181を含む。層1101~1103は、導電性材料(例えば、銅又は銀)で作製され、及び電気絶縁材料(例えば、ポリイミド及び/又は接着剤)の1つ以上の層(図示せず)によって分離され得る。組み立てられると、最上層1101は中間層1102の上に置かれ、それが次に、最下層1103の上に置かれる。いくつかの実現例では、ケーブル1100は、最上層1101の上及び/又は最下層1103の下にコーティング(例えば、ポリイミド及び/又は接着剤)を含み得る。貫通孔1151~1156及び1161~1163は、導電性材料(例えば、銅又は銀)で裏打ちされ及び/又は満たされて、層1101~1103間に電気接続を提供し得る。いくつかの実現例では、モータケーブル1100は、可撓リボンケーブル及び/又は連続的な印刷回路とし得る。
【0051】
[0069] 図示の通り、電線管1111は、層1101~1103、入力パッド1121、出力パッド1131、及び貫通孔1151~1153及び1161の部分を含む。動作中、コントローラ(例えば、コントローラ130)は、第1の信号を、電線管1111を通して、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の1つ以上のコイル(例えば、コイル244、410~415、又は940)へ出し得る。電線管1112は、層1101~1103、入力パッド1122、出力パッド1132、及び貫通孔1154~1156、1162、及び1163の部分を含む。動作中、コントローラは、第2の信号を、電線管1112を通して、血管内血液ポンプの1つ以上のコイルへ出し得る。電線管1113は、層1101、入力パッド1123、及び出力パッド1133の部分を含む。動作中、コントローラは、第3の信号を、電線管1113を通して、血管内血液ポンプの1つ以上のコイルへ出し得る。
【0052】
[0070] 組立中、入力パッド1121~1123は、コントローラ(例えば、コントローラ130)とインターフェースを取るために、コネクタに結合され得るか、又は電線管(例えば、プラグ170の一部分)に半田付けされ得る。さらに、組立中、出力パッド1131~1133及び接続パッド1141~1144は、図6(a)~(d)に関連して上述した回路構成を形成するために使用され得る。例えば、回路構成601に関して、接続パッド1141~1144はノード630~633を形成するために使用され得、及び出力パッド1131~1133はノード634~636を形成するために使用され得る。別の例として、回路構成602に関して、接続パッド1141~1144はノード631~633を形成するために使用され得、及び出力パッド1131~1133はノード641~643を形成するために使用され得る。いくつかのそのような実現例では、接続パッド1141~1144のうちの1つは使用されていないかもしれない。或いは、他の実現例では、接続パッド1141~1144のうちの1つがケーブル1100から除去されてもよい。
【0053】
[0071] O字形状を有するケーブル1000のヘッド部分1080と比べて、ケーブル1100のヘッド部分1180はC字形状を有する。いくつかの実現例では、組立中、ケーブル1100は、ケーブル1000と大体同じように曲げられ得る。例えば、ケーブル1100は、接続パッド1141と1144との間のテール部分1170のセクションで又はその近くで、例えば、45~135度の角度で曲げられ得る。或いは、組立中、ケーブル1100は、テール部分1170とヘッド部分1180との間のインターフェース(例えば、接続パッド1142と1143との間のテール部分1170のセクション)で又はその近くで、例えば、45~135度の角度で曲げられ得る。この箇所でケーブル1100を曲げることは、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の全幅を狭くする及び/又はモータハウジング(例えば、モータハウジング116)とカテーテル(例えば、カテーテル117)との間の接続部の近くで、血管内血液ポンプの中心軸の近くにケーブル1100を位置決めすることを助け得る。
【0054】
[0072] 例えば、図9(a)及び図9(b)の血液ポンプ900に関して、ケーブル1100は、PCB930及び電線管951~953に取って代わり得る。例えば、ヘッド部分1180は、PCB930に取って代わったと見られ得、及びテール部分1170は、電線管951~953に取って代わったと見られ得る。そのような実現例では、ヘッド部分1180は、接着剤を使用することにより軸受910に接続され得る。例えば、接着層(図示せず)は、ヘッド部分1180において、最下層1103の真下に含まれ得る。好都合にも、この取り替えは、血液ポンプ900を組み立てるのに必要とされる手動の半田付けの量を減らす。例えば、テール部分1170及びヘッド部分1180が既に互いに接続されているため、もはや、電線管951~953をPCB930に半田付けする必要はない。さらに、上述の通り、コイル940を電線管951~953に手動で半田付けすることは、コイル940を互いに手動で半田付けすることよりも難しいとし得る。その結果、全体的な複雑さが軽減され、及びコイル及び/又は電線管を意図せず短絡させるリスクが低下される。例えば、PCB930への電線管951~953の半田接続をなくすことは、半田接合部又はモータハウジングへの電線管自体の電気的な短絡のリスクを低下させる。
【0055】
[0073] 様々な修正がケーブル1100になされ得る。例えば、ケーブル1100は、より多数又はより少数のパッドを含んでもよい。例えば、上述の通り、回路構成602を実現するために、接続パッド1141~1144のうちの1つがケーブル1100から除去されてもよい。別の例として、回路構成603を実現するために、2つの追加的な接続パッドがケーブル1100に追加されてもよい。さらに別の例として、回路構成604を実現するために、接続パッド1141~1144のうちの3つが除去されてもよい。他の実現例では、ケーブル1100は、より多数又はより少数の貫通孔を含んでもよい。例えば、追加的な貫通孔が、層1101~1103間の電気接続をさらに改善するか又は再構成するために追加されてもよい。血管内血液ポンプの全体寸法の制約に起因して、これは、貫通孔1151~1156及び/又は1161~1163のサイズを大きくすることよりも効率的とし得る。例えば、貫通孔1151~1156及び/又は1161~1163のサイズを大きくすることは、テール部分1170を幅広にすることを必要とし得る。他の実現例では、入力パッド1121~1123、出力パッド1131~1133、及び/又は接続パッド1141~1144は、異なる形状にされてもよい。例えば、入力パッド1121~1123、出力パッド1131~1133、及び/又は接続パッド1141~1144のそれぞれは、同じサイズ及び/又は形状を有してもよい。同様に、他の実現例では、ケーブル1100は異なる形状にされてもよい。例えば、シャフト(例えば、シャフト253又は920)が、血管内血液ポンプ(例えば、血液ポンプ110、200、又は900)の軸受(例えば、軸受700又は910)を通って延在しない実現例では、中心開口部1181がケーブル1100から除去されてもよい。そのような実現例では、中心開口部1181は、1つ以上の追加的な電気接続部(例えば、1つ以上の追加的なパッド)で置き換えられてもよい。さらに、そのような実現例では、出力パッド1131~1133及び/又は接続パッド1141~1144のサイズ及び/又は位置は調整され得る。例えば、出力パッド1131~1133及び/又は接続パッド1141~1144のサイズは大きくされて、コイル(例えば、コイル244、410~415、又は940)及び/又は電線管1111~1113を意図せず短絡させるリスクをさらに低下させ得る。他の実現例では、ケーブル1100内により多数又はより少数の層があってもよい。例えば、ケーブル1100は、応用できるパッド及び貫通孔の形態を備える1つ又は2つの導電層を含み得るか、又はケーブル1100は、応用できるパッド及び貫通孔の形態を備える4つ、5つ以上の導電層を含み得る。
【0056】
[0074] 図12は、ケーブル1000及び/又は1100の積層の解説文1200の例を示す。そのような実現例では、最上層1001及び1101、中間層1002及び1102、並びに最下層1003及び1103の厚さは、2.8ミリメートルである。最上層1001及び1101は、中間層1002及び1102のそれぞれから、厚さ1ミリメートルの単一層のポリイミドによって分離される。中間層1002及び1102は、最下層1003及び1103のそれぞれから、厚さ1ミリメートルの単一層のポリイミド及びそれぞれ厚さ2ミリメートルの2つの層の接着剤によって、分離される。ポリイミド及び接着剤の3ミリメートルのコーティングが、最上層1001及び1101の上並びに最下層1003及び1103の下に設けられる。いくつかの実現例では、コーティングは、入力パッド1021~1023及び/又は1121~1123、出力パッド1031~1033及び/又は1131~1133、及び/又は接続パッド1041~1044及び/又は1141~1144の上には含まれなくてもよい。様々な修正が積層の解説文1200になされ得る。例えば、特定の寸法のいずれか(例えば、厚さ)が、増減され得る。別の例として、ポリイミド及び/又は接着剤の複数の層が追加されても又は除去されてもよい。例えば、1つ以上のポリイミド及び/又は接着層が、最上層1001及び1101と中間層1002及び1102との間のそれぞれに追加されてもよい。別の例として、1つ以上のポリイミド及び/又は接着層が中間層1002及び1102と最下層1003及び1103との間のそれぞれから除去されてもよい。
【0057】
[0075] 図13は、ペニー硬貨のそばにケーブル1310、1320、及び1330を示す。ケーブル1310は、図10(a)~(c)のケーブル1000の試作品である。ケーブル1320は、図11(a)~(c)のケーブル1100の試作品である。ケーブル1330は、図9(a)及び図9(b)の電線管951~953を有するモータケーブルである。図示の通り、テール部分1312及び1322はコーティングで覆われている一方で、ヘッド部分1314及び1324は露出されている。図示の通り、テール部分1312及び1322の幅は、ケーブル1310と同様である。さらに、ヘッド部分1314及び1324のサイズは、PCB930と同様である。
【0058】
[0076] 上記から及び様々な図面を参照して、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示にいくつかの修正がなされ得ることを理解するであろう。本開示のいくつかの実現例は図面に示したが、本開示の範囲は、当業界が認めるのと同程度に広いこと、及び本明細書は同じように読まれることが意図されるため、本開示をそれに限定することを意図したものではない。それゆえ、上記の説明は、限定ではなく、単に、特定の実現例の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲及び趣旨内の他の修正例を想定する。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】
図3(g)】
図3(h)】
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)-10(c)】
図11(a)-11(c)】
図12
図13
【国際調査報告】