(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】オキサシクロヘキサンまたはオキサシクロペンタン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/92 20060101AFI20240801BHJP
C07C 33/14 20060101ALI20240801BHJP
B01J 29/08 20060101ALI20240801BHJP
B01J 21/16 20060101ALI20240801BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
C07D307/92
C07C33/14
B01J29/08 Z
B01J21/16 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505463
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2022071263
(87)【国際公開番号】W WO2023006910
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-イヴ ダプサン
(72)【発明者】
【氏名】レア ヴィルコック
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA10B
4G169BA10C
4G169BC16B
4G169BD02B
4G169BD05B
4G169CB38
4G169CB65
4G169EA01Y
4G169FC07
4G169ZA03A
4G169ZA04B
4H006AA02
4H006AB84
4H006FC36
4H006FE11
4H039CA40
4H039CH10
(57)【要約】
本発明は、有機合成の分野に関し、より詳細には、不均一系酸性触媒の存在下で行われる式(II)の化合物の環化を含む、式(I)のシクロエーテルの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)
【化1】
[式中、mは、1または2であり;
R
1は水素原子またはC
1~3アルキル基を表し;
各R
2、R
3、R
4は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~18アルキル基を表すか;
R
1およびR
2は、一緒になって、エーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドまたはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
2~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
2およびR
3は、一緒になって、C
1~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
3およびR
4は、一緒になって、C
4~9アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
1およびR
4は、一緒になって、C
2~9アルカンジイル基を表し;
R
5は、水素原子またはC
1~3アルキル基を表す]のシクロエーテルを、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で製造する方法であって、以下の式(II)
【化2】
[式中、m、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、上記で定義されるのと同じ意味を有する]の化合物を、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で、不均一系酸性触媒の存在下で環化することを含む、方法。
【請求項2】
前記不均一系酸性触媒が、結晶質または非晶質である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記不均一系酸性触媒が、ケイ素、スズ、ジルコニウム、ハフニウムまたはチタンと、アルミニウム、ホウ素、鉄またはそれらの混合物からなる群から選択される第2の金属と、を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記不均一系酸性触媒が、アルミノシリケート触媒である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記アルミノシリケート触媒が、ゼオライトまたは粘土である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記粘土が、酸処理された粘土である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ゼオライトが、大細孔ゼオライトである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ゼオライトが、FAU、BEAまたはMORトポロジーを有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ケイ素:アルミニウム比が、2.5:1~300:1の間の範囲に含まれる、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
R
1が水素原子であり、mが1である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記シクロエーテルが、以下の式
【化3】
[式中、nは、0または1であり;
各R
6、R
7は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~9アルキル基を表すか;
R
6およびR
7は、一緒になって、C
3~10直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表し;かつ
R
8は、水素原子またはC
1~3直鎖状もしくは分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記式(II)の化合物が、以下の式
【化4】
[式中、nは、0または1であり;
各R
6およびR
7は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~9アルキル基を表すか;
R
6およびR
7は、一緒になって、C
3~10直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表し;かつ
R
8は、水素原子またはC
1~3直鎖状もしくは分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記シクロエーテルが、以下の式
【化5】
[式中、R
8は、上記で定義されるのと同じ意味を有し、各R
9およびR
10は、互いに独立して、C
1~3直鎖状または分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記式(IV)の化合物が、以下の式
【化6】
[式中、R
8は、上記で定義されるのと同じ意味を有し、各R
9およびR
10は、互いに独立して、C
1~3直鎖状または分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記式(II)の化合物を、ファルネシルピロリン酸と少なくとも1種の酵素とを接触させる工程を含む方法によって製造する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
c)少なくとも95%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;
d)最大で5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン
を含む組成物であって、パーセンテージは、前記組成物の総重量に対するものである、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は有機合成の分野に関し、より詳細には、不均一系酸性触媒の存在下で行われる式(II)の化合物の環化を含む、式(I)のシクロエーテルの製造方法に関する。
【0002】
背景
シクロエーテル誘導体は、非常に望ましい骨格を表し、そのままで使用され得るか、または特に香料、化粧品、医薬品または農薬などの異なる分野でより複雑な化合物を製造するのに有用な主要な中間体として使用され得る。香料産業における関連するシクロエーテル誘導体は、例えば、Cetalox(登録商標)(3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)またはAmbrox(登録商標)((3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)であり、天然のアンバーグリスの主要な成分である。これらの付香成分は、香料産業において最も求められている成分の一部を表す。Cetalox(登録商標)またはAmbrox(登録商標)を製造するためのいくつかの代替的な方法が開発されており、特に、最後の工程として2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化反応を介する方法が開発されている。酸性条件下で環化すると、出発物質の二重結合の異性化または望ましくないジアステレオ異性体の形成により、低収率または低選択性となることが開示されている。
【0003】
一方、今日では、例えば不均一系触媒などのリサイクル可能な触媒を使用する、持続可能なプロセスを促進する必要がある。Cetalox(登録商標)またはAmbrox(登録商標)を製造するための、不均一系触媒の存在下での2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化反応は、これまで報告されていない。
【0004】
したがって、転化率および選択性を改善しつつ、少量の不均一系触媒の存在下で持続可能な環化プロセスを開発する必要が依然としてある。
【0005】
本発明は、式(I)のシクロエーテルを製造するために不均一系酸性触媒を用いることによって上記の問題を解決することを可能にする。本発明者らの知る限り、本発明の条件は、従来技術では報告されていない。
【0006】
発明の概要
本発明は、従来技術では報告も示唆もされていない少量の不均一系酸性触媒の存在下で、式(II)の化合物を環化することによる式(I)のシクロエーテルの製造を可能にする新規な方法に関する。
【0007】
したがって、本発明の第1の対象は、以下の式(I)
【化1】
[式中、mは、1または2であり;
R
1は水素原子またはC
1~3アルキル基を表し、
各R
2、R
3、R
4は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~18アルキル基を表すか;
R
1およびR
2は、一緒になって、エーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドまたはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
2~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
2およびR
3は、一緒になって、C
1~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
3およびR
4は、一緒になって、C
4~9アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
1およびR
4は、一緒になって、C
2~9アルカンジイル基を表し;
R
5は、水素原子またはC
1~3アルキル基を表す]のシクロエーテルを、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で製造する方法であって、以下の式(II)
【化2】
[式中、m、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、上記で定義されるのと同じ意味を有する]の化合物を、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で、不均一系酸性触媒の存在下で環化することを含む、方法である。
【0008】
本発明の第2の対象は、
a)少なくとも95%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、
b)多くとも5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン
を含む組成物であり、パーセンテージは、組成物の総重量に対するものである。
【0009】
発明の説明
驚くべきことに、ここで式(II)の化合物を、少量の不均一系酸性触媒の存在下で環化することにより、高い収率および高い選択性で式(I)の化合物の製造が可能となることが発見された。本発明の方法は、より安定な位置での二重結合の異性化、すなわち末端位置での二重結合の異性化を制限し、防止することさえ可能にし、一方、所望の異性体の形成を維持し、改善することさせ可能にする、すなわち望ましくないジアステレオ異性体の形成を制限することを可能にする。
【0010】
したがって、本発明の第1の対象は、以下の式(I)
【化3】
[式中、mは、1または2であり;
R
1は、水素原子またはC
1~3アルキル基を表し;
各R
2、R
3、R
4は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~18アルキル基を表すか;
R
1およびR
2は、一緒になって、エーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドまたはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
2~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
2およびR
3は、一緒になって、C
1~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
3およびR
4は、一緒になって、C
4~9アルカンジイル基を表し、かつ/またはR
1およびR
4は、一緒になって、C
2~9アルカンジイル基を表し;
R
5は、水素原子またはC
1~3アルキル基を表す]のシクロエーテルを、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で製造する方法であって、以下の式(II)
【化4】
[式中、m、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、定義されるのと同じ意味を有する]の化合物を、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で、不均一系酸性触媒の存在下で環化することを含む、方法である。
【0011】
明確にするために、「その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物」という表現、または同様の表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、本発明で引用される化合物が純粋なエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物であってもよいことを意味する。換言すれば、本発明で引用される化合物は、2つの異なる立体化学(例えば、RまたはS)を有し得る少なくとも1つの立体中心を有し得、例えば、R2基は、少なくとも1つの立体中心を含み得る。上記化合物は、純粋なエナンチオマーの形であってもよく、またはエナンチオマーの混合物の形であってもよい。本発明で引用される化合物は、純粋なジアステレオ異性体の形であってもよく、または上記化合物が2つ以上の立体中心を有する場合にはジアステレオ異性体の混合物の形であってもよい。上記化合物は、ラセミの形またはスケールミックの形であってもよい。したがって、上記化合物は、1つの立体異性体であってもよいか、または様々な立体異性体を含むか、またはそれらからなる組成物の形であってもよい。
【0012】
「任意に」という用語は、基が、特定の官能基を含んでいても、含んでいなくてもよいと理解される。
【0013】
「アルキル」および「アルカンジイル」という用語は、直鎖状、分岐状、環状または脂環式のアルキルおよびアルカンジイル基を含むと理解される。
【0014】
「・・・任意に、エーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドまたはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を含む」という用語は、これらの基が、アルキル基の水素原子を置換して、ゆえに上記アルキル基に横方向に結合され得るか、またはアルキル基の炭素原子を置換して(化学的に可能な場合)、ゆえにアルキル鎖に挿入され得ることを意味すると理解される。例えば、-CH2-CH2-CHOH-CH2-基は、アルコール基を含むC4アルキル基(水素原子の置換)を表し、-CH2-CH2-COO-CH2-CH2-OCO-CH2-CH2-基は、2つのエステル基を含むC6アルキル基(炭素原子の置換/アルキル鎖への挿入)を表し、同様に、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基は、2つのエーテル基を含むC6アルキル基を表す。
【0015】
「・・・R1およびR2は、一緒になって、・・・C2~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR2およびR3は、一緒になって、C1~11アルカンジイル基を表し、かつ/またはR3およびR4は、一緒になって、・・・を表し、かつ/またはR1およびR4は、一緒になって、・・・」または同様の表現によって、上記基は(ポリ)環状アルキル基を形成し得ると理解される。換言すれば、化合物(II)は、非環式、単環式、二環式または三環式であってもよく、化合物(I)は、単環式、二環式、三環式または四環式であってもよい。例えば、R2およびR3、ならびにR3およびR4が、一緒になる場合、式(II)の化合物は、デカリンなどの二環式部分を含む。例えば、R2、R3およびR4は、一緒になると、アルカントリイルを表す。
【0016】
特定の実施形態によれば、式(II)の化合物は、式(II)および式(II’)
【化5】
[式中、m、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、上記で定義されるのと同じ意味を有する]の化合物を含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、式(II)の化合物と式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも50%の式(II)の化合物と最大で50%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよく、パーセンテージは、組成物の総重量に対するものである。特に、式(II)の化合物は、少なくとも60%の式(II)の化合物と最大で40%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも70%の式(II)の化合物と最大で30%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも80%の式(II)の化合物と最大で20%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも90%の式(II)の化合物と最大で10%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも95%の式(II)の化合物と最大で5%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも98%の式(II)の化合物と最大で2%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも99%の式(II)の化合物と最大で1%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)の化合物は、少なくとも99.5%の式(II)の化合物と最大で0.5%の式(II’)の化合物とを含む組成物の形であってもよい。さらにより具体的には、式(II)の化合物は、式(II’)の化合物を含まない。
【0017】
本発明の任意の実施形態によれば、不均一系酸性触媒は、非晶質または結晶質、特に結晶質であってもよい。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、不均一系酸性触媒は、酸性樹脂であってもよい。適切な酸性樹脂の非限定的な例としては、Dupontによって販売されるA-15ドライ、A-35ドライ、A-36ドライが挙げられ得る。
【0019】
本発明の任意の実施形態によれば、不均一系酸性触媒は、ケイ素、スズ、ジルコニウム、ハフニウムまたはチタンと、アルミニウム、ホウ素、鉄またはそれらの混合物からなる群から選択される第2の金属とを含む。特に、不均一系酸性触媒は、アルミノシリケート触媒であってもよい。特に、アルミノシリケート触媒は、ゼオライトまたは粘土であってよい。
【0020】
本発明の任意の実施形態によれば、市販の利用可能な粘土は、水を含有し得る。上記水は、使用前に部分的または完全に除去され得る。当業者は、水を除去する方法、例えば、共沸蒸留、真空除去または窒素流下での加熱を熟知している。
【0021】
本発明の任意の実施形態によれば、粘土は、天然に存在するものであってもよい。特に、粘土は、酸処理された粘土である。適切な粘土の非限定的な例としては、EP Mineralsにより現在販売されているF-20X、F20-XLM、F-21X、F-24X、F-22、F-118FF、Bykにより販売されているFulcat-22FおよびFulcat-22B、Clariantにより販売されているK-5、K-10-S300、K-20、K-21、K-30、K-41が挙げられ得る。
【0022】
本発明の任意の実施形態によれば、ゼオライトは、大細孔ゼオライトである。
【0023】
「大細孔ゼオライト」という用語は、当該技術分野における通常の意味、すなわち、6.0オングストローム~7.5オングストロームの間の範囲に含まれる細孔サイズを有する12員環ゼオライトを意味する。
【0024】
本発明の任意の実施形態によれば、ゼオライトは、FAU、BEAおよびMORトポロジーを有する。特に、ゼオライトは、FAUトポロジーを有する。
【0025】
本発明の任意の実施形態によれば、ケイ素:アルミニウム比は、2.5:1~300:1の間の範囲に含まれる。特に、ケイ素:アルミニウム比は、5:1~150:1の間の範囲に含まれる。特に、ケイ素:アルミニウム比は、10:1~150:1の間の範囲に含まれる。さらにより具体的には、特に、ケイ素:アルミニウム比は、10:1~70:1の間の範囲に含まれる。
【0026】
本発明の任意の実施形態によれば、ゼオライトは、そのプロトン型で使用される。後者は、製造業者によって直接提供され、そのまま使用することができるか、または必要に応じてアンモニウム交換体を焼成することによって得ることができる。特に、ゼオライトは、反応前に予備活性化され得る。予備活性化は、ゼオライトを300℃~600℃の間に含まれる温度で少なくとも1時間加熱することによって実施され得る。
【0027】
適切なゼオライトの非限定的な例としては、Zeolyst Corporationによって現在販売されているCBV720、CBV760、CBV780が挙げられ得る。
【0028】
不均一系酸性触媒を本発明の方法の反応媒体中に添加して、式(I)のシクロエーテルを広範囲の濃度で形成することができる。非限定的な例として、不均一系酸性触媒濃度値として、式(I)のシクロエーテルの総量に対して0.5重量%~20重量%の範囲の値を挙げることができる。特に、不均一系酸性触媒濃度は、1重量%~15重量%の間に含まれ得る。さらにより具体的には、不均一系酸性触媒濃度は、3重量%~10重量%の間に含まれ得る。この方法は、より多くの触媒を用いても機能することは言うまでもない。しかしながら、不均一系酸性触媒の最適濃度は、当業者が知っているように、後者の性質、基質の性質、温度および所望の反応時間に依存することになる。
【0029】
不均一系酸性触媒は、市販の化合物であるか、または米国特許第20040141911号明細書、米国特許第6054113号明細書、米国特許第4840930号明細書、米国特許第2470872号明細書および欧州特許第0398636号明細書に報告されているような、いくつかの方法によって製造され得る。
【0030】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、式(I)のシクロエーテルを製造するための本発明の方法は、0℃~150℃の間に含まれる温度で実施される。特に、温度は、30℃~70℃の間の範囲にある。当然ながら、当業者は、出発物質および最終生成物の融点および沸点ならびに所望の反応時間、転化率または選択率に応じて好ましい温度を選択することもできる。
【0031】
式(I)のシクロエーテルを製造する本発明の方法は、溶媒の存在下または非存在下で実施され得る。溶媒が実用上の理由で必要とされるか、または使用される場合、このような反応タイプの現行のあらゆる溶媒が、本発明の目的のために使用され得る。非限定的な例としては、C6~12芳香族溶媒、例えば、キシレン、トルエン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、クメンプソイドクメン、アニソールまたはクロロベンゼンまたはそれらの混合物、炭化水素溶媒、例えば、シクロヘキサン、ヘプタンまたはそれらの混合物、ニトリル溶媒、例えば、アセトニトリル、エステル溶媒、例えば、酢酸エチルまたはエーテル溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルテトラヒドロフランまたはそれらの混合物が挙げられる。溶媒の選択は、基質および/または触媒の性質に依存し、当業者は、反応を最適化するためにそれぞれの場合に最も適した溶媒をうまく選択することができる。
【0032】
式(I)のシクロエーテルを製造する本発明の方法は、バッチ条件下または連続条件下で実施される。
【0033】
式(I)のシクロエーテルを製造するための本発明の方法は、大気圧下またはわずかな減圧下で行われ得る。
【0034】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、式(I)のシクロエーテルは、多環式化合物である。「多環式化合物」という用語は、式(I)の化合物が、少なくとも2つの環を含む、例えば、式(I)のシクロエーテルが、二環式化合物であると理解される。特に、式(I)のシクロエーテルは、二環式、三環式、四環式または五環式化合物であってもよい。さらにより具体的には、式(I)のシクロエーテルは、縮合二環式、三環式または四環式化合物であってもよい。
【0035】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、式(I)のシクロエーテルは、C9~C20化合物である。
【0036】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、R1は、水素原子またはC1~3直鎖状もしくは分岐状アルキル基であってもよい。特に、R1は、水素原子、メチル基またはエチル基であってもよい。特に、R1は、水素原子またはメチル基であってもよい。さらにより具体的には、R1は、水素原子であってもよい。
【0037】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、mは1であってもよい。換言すれば、式(I)の化合物は、テトラヒドロフラン誘導体である。
【0038】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、R2およびR3は、一緒になって、C1~11アルカンジイル基を表し得る。特に、R2およびR3は、一緒になって、C1~11の直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表し得る。
【0039】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、シクロエーテルは、以下の式
【化6】
[式中、nは、0または1であり;
各R
6、R
7は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~9アルキル基を表すか;
R
6およびR
7は、一緒になって、C
3~10直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表し;かつ
R
8は、水素原子またはC
1~3直鎖状もしくは分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である。
【0040】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、式(II)の化合物は、以下の式
【化7】
[式中、nは、0または1であり;
各R
6、R
7は、別々に、互いに独立して、水素原子、またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC
1~9アルキル基を表すか;
R
6およびR
7は、一緒になって、C
3~10直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表し;かつ
R
8は、水素原子またはC
1~3直鎖状もしくは分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である。
【0041】
特定の実施形態によれば、化合物(III)は、三環式化合物であってよく、式(IV)の化合物は、二環式化合物であってよい。式(IV)の上記化合物は、合成または天然であってもよい。
【0042】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、R6およびR7は、別々に、互いに独立して、水素原子またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を任意に含むC1~9アルキル基を表してもよく、または、R6およびR7は、一緒になって、C3~9直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表す。特に、R6およびR7は、別々に、互いに独立して、水素原子またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を含む任意に置換されるC1~6アルキル基を表してもよく、R6およびR7は、一緒になって、C3~8直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表してもよい。特に、R6およびR7は、別々に、互いに独立して、水素原子またはエーテル、エステル、カルボニル、アミン、アミドもしくはアルコール基の中から選択される1つまたは2つの官能基を含む任意に置換されるC1~4アルキル基を表してもよく、R6およびR7は、一緒になって、C3~8直鎖状または分岐状アルカンジイル基を表してもよい。
【0043】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、上記R6基は、水素原子またはC1~3アルキル基を表してもよい。特に、R6基は、水素原子またはメチル基を表してもよい。さらにより具体的には、R6基は、水素原子を表してもよい。
【0044】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、上記R7基は、水素原子またはC1~3アルキル基を表してもよい。特に、R7基は、水素原子またはメチル基を表してもよい。さらにより具体的には、R7基は、水素原子を表してもよい。
【0045】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、上記R6およびR7は、一緒になって、C3~6直鎖状もしくは分岐状アルカンジイル基、またはさらに好ましくはC6分岐状アルカンジイル基を表してもよい。
【0046】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、nは、1であってもよい。
【0047】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、シクロエーテルは、以下の式
【化8】
[式中、R
8は、上記で定義されるのと同じ意味を有し、各R
9およびR
10は、互いに独立して、C
1~3直鎖状または分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物であってもよい。
【0048】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、式(II)の化合物は、以下の式
【化9】
[式中、R
8は、上記で定義されるのと同じ意味を有し、各R
9およびR
10は、互いに独立して、C
1~3直鎖状または分岐状アルキル基を表す]の、その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の化合物である。
【0049】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、R8は、C1~3直鎖状アルキル基であってもよい。特に、R8は、メチル基またはエチル基であってもよい。さらにより具体的には、R8は、メチル基であってもよい。
【0050】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、R9は、メチル基またはエチル基であってもよい。さらにより具体的には、R9は、メチル基であってもよい。
【0051】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、R10は、メチル基またはエチル基であってもよい。さらにより具体的には、R10は、メチル基であってもよい。
【0052】
本発明の特定の実施形態によれば、式(II)の化合物は、2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールであってもよく、対応する式(I)のシクロエーテルは、4つの立体中心を有し、RもしくはSの配置、またはそれらの混合物である3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランであってもよい。換言すれば、2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールは、実質的に純粋な立体異性体の形または立体異性体の混合物の形であってもよい。本発明の特定の実施形態によれば、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも50%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含有する、立体異性体の混合物の形の2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールであってもよい。さらにより具体的には、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも75%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含有する、立体異性体の混合物の形の2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールであってもよい。本発明の特定の実施形態によれば、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールであってもよい。明確にするために、「1SR,4aSR,8aRS」という表現は、1S,4aS,8aRと1R,4aR,8aSとの等モル混合物を意味する。本発明の特定の実施形態によれば、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールであってもよい。
【0053】
本発明の特定の実施形態によれば、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも50%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で50%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも60%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で40%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも70%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で30%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも80%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で20%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも90%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で10%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも95%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で5%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも98%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で2%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも99%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で1%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。さらにより具体的には、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも99.5%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で0.5%の2-((1SR,4aSR,8aSR)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。
【0054】
本発明の特定の実施形態によれば、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも50%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で50%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも60%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で40%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも70%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で30%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも80%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で20%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも90%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で10%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも95%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で5%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも98%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で2%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。特に、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも99%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で1%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。さらにより具体的には、式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、少なくとも99.5%の2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールおよび最大で0.5%の2-((1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールを含む組成物の形であってもよい。
【0055】
本発明の任意の実施形態によれば、本発明の方法は、立体選択的である。換言すれば、2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの脱水環化によって、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランが提供される。
【0056】
本発明の特定の実施形態によれば、式(I)の化合物は、少なくとも50%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含有する立体異性体の混合物の形の3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランであってもよい。さらにより具体的には、式(I)の化合物は、少なくとも75%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含有する立体異性体の混合物の形の3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランであってもよい。本発明の特定の実施形態によれば、式(I)の化合物は、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランであってもよい。明確にするために、「3aRS,5aSR,9aSR,9bRS」という表現は、3aR,5aS,9aS,9bRと3aS,5aR,9aR,9bSとの等モル混合物を意味する。本発明の特定の実施形態によれば、式(I)の化合物は、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランであってもよい。
【0057】
本発明の特定の実施形態によれば、式(I)の化合物は、少なくとも95%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で5%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも96%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で4%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも97%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で3%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも98%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で2%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも99%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で1%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも99.3%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.7%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも99.4%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.6%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。さらにより具体的には、式(I)の化合物は、少なくとも99.5%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.5%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。
【0058】
本発明の特定の実施形態によれば、式(I)の化合物は、少なくとも95%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも96%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で4%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも97%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で3%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも98%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で2%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で1%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも99.3%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.7%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、少なくとも99.4%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.6%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1]フランを含む組成物の形であってもよい。さらにより具体的には、式(I)の化合物は、少なくとも99.5%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。
【0059】
本発明の特定の実施形態によれば、式(I)の化合物は、95%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、96%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~4%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、97%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~3%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、98%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~2%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、99%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~1%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、99.3%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~0.7%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、99.3%~99.9%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.1%~0.7%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、99.4%~99.9%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.1%~0.6%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、99.5%~99.9%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.1%~0.5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。特に、式(I)の化合物は、99.5%~99.8%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.2%~0.5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物の形であってもよい。
【0060】
特に明記しない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量パーセンテージを示すことを意味する。
【0061】
式(II)、(IV)(VI)の化合物は、当該技術分野で公知の幾つかの方法によって、例えば2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの場合に製造することができ、上記化合物は、Australian Journal of Chemistry, 1989, 497に報告されているように得ることができる。式(II)、(IV)または(VI)の化合物は、精製された組換えにより調製された酵素を使用して、または安価な炭素源(糖など)を式(II)、(IV)または(VI)の所望の化合物に、または特に、2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エチルにその立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形で変換するように遺伝子操作された、微生物細胞などの宿主細胞を使用する発酵によってin vitroで製造されてもよい。2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エチルアセテートは、当該技術分野で公知の化学的または酵素的条件を用いて2-(5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールに変換され得る。発酵によって得られる式(II)、(IV)または(VI)の化合物を使用することの利点は、高いエナンチオマー過剰率を有する出発物質への容易なアクセスを可能にするので明らかである。
【0062】
本発明の方法の上記実施形態のいずれか1つによれば、上記方法は、ファルネシルピロリン酸と少なくとも1種の酵素とを接触させる工程を含む方法によって、式(II)、(IV)または(VI)、特に2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの化合物を製造することをさらに特徴とする。
【0063】
本発明の別の対象は、少なくとも95%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で5%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む組成物である。特に、本発明の組成物は、少なくとも96%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で4%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも97%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で3%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも98%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で2%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも99%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で1%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも99.3%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で0.7%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも99.4%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で0.6%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。さらにより具体的には、本発明の組成物は、少なくとも99.5%の(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および最大で0.5%の(3aSR,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。
【0064】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも95%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも96%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で4%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも97%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で3%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも98%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で2%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で1%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも99.3%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.7%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、少なくとも99.4%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.6%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。さらにより具体的には、本発明の組成物は、少なくとも99.5%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび最大で0.5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。
【0065】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、95%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、96%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~4%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、97%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~3%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、98%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~2%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、99%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~1%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、99.3%~99.99%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.01%~0.7%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、99.3%~99.9%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.1%~0.7%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、99.4%~99.9%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.1%~0.6%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、99.5%~99.9%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.1%~0.5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。特に、本発明の組成物は、99.5%~99.8%の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび0.2%~0.5%の(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含み得る。
【0066】
上記本発明の組成物は、例えばアンバー調の香気ノートを付与するための付香成分として使用され得る。したがって、本発明の別の対象は、上記で定義された本発明の組成物の付香成分としての使用である。換言すれば、本発明は、付香組成物または付香された物品または表面の匂い特性を付与、強化、改善または改変する方法またはプロセスに関し、この方法は、上記組成物または物品に、有効量の本発明の組成物を添加すること、例えば、その典型的なノートを付与することを含む。最終的な快楽効果は、正確な投与量と本発明の組成物の感覚刺激特性とに依存し得ると理解されるが、いずれにせよ本発明の組成物の添加は、投与量に応じたノート、感触または様相の形でその典型的な感触を最終製品に付与することになる。
【0067】
「本発明の組成物の使用」とは、本明細書では、香料産業において有利に使用され得る、本発明の組成物を含有する任意の組成物の使用であることも理解されなければならない。
【0068】
実際に付香成分として有利に使用され得る上記組成物も、本発明の対象である。
【0069】
したがって、本発明の別の対象は、
i)付香成分として、少なくとも上記で定義された本発明の組成物、
ii)香料担体および香料基剤からなる群から選択される少なくとも1種の成分、および
iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含む付香組成物である。
【0070】
「香料担体」とは、本明細書では、香料の観点から実質的に中性である、すなわち付香成分の感覚刺激特性を大きく変化させない材料を意味する。上記担体は、液体または固体であってもよい。
【0071】
液体担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料に一般的に使用される溶媒が挙げられ得る。香料で一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明は、網羅することができない。しかしながら、非限定的な例として、溶媒、例えば、ブチレンまたはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、クエン酸トリエチルまたはそれらの混合物(これらは最もよく使用されている)を挙げることができ、また、グリセロールまたは種々の植物油、例えばパーム油、ヒマワリ油もしくは亜麻仁油のような天然由来の溶媒も挙げることができる。香料担体と香料基剤との両方を含む組成物の場合、先に特定されたもの以外の適切な香料担体は、また、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンもしくは他のテルペン、イソパラフィン、例えばIsopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)の商標で知られているもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えばDowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)の商標で知られているもの、または硬化ヒマシ油、例えばCremophor(登録商標)RH 40(製造元:BASF)の商標で知られているものであってもよい。
【0072】
固体担体とは、付香組成物または付香組成物の幾つかの要素が化学的または物理的に結合され得る材料を指すことを意味する。一般に、このような固体担体は、組成物を安定化するために、または組成物もしくはいくつかの成分の蒸発速度を制御するために使用される。固体担体は、当該技術分野で現在使用されており、当業者は、所望の効果を達成する方法を知っている。しかしながら、固体担体の非限定的な例として、吸収性ガムもしくはポリマーまたは無機材料、例えば多孔質ポリマー、シクロデキストリン、デキストリン、マルトデキストリン木質材料、有機もしくは無機ゲル、粘土、石膏タルクまたはゼオライトを挙げることができる。
【0073】
固体担体の他の非限定的な例として、封入材料を挙げることができる。そのような材料の例は、壁形成および可塑化材料、例えばグルコースシロップ、天然または加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチン、植物ガム、例えばアラビアガム(アラビアガム)、尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、粘土、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、炭水化物、糖類、例えばスクロース、単糖類、二糖類、三糖類および多糖類ならびに誘導体、例えばキトサン、デンプン、セルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、およびイソマルト、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、アクリレート、ポリアクリル酸およびその関連、無水マレイン酸コポリマー、アミン官能性ポリマー、ビニルエーテル、スチレン、ポリスチレンスルホン酸塩、ビニル酸、エチレングリコール-プロピレングリコールブロックコポリマー、植物性ガム、アカシアガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラゲナン、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸およびそれらの混合物、あるいは参考文献、例えばH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996に引用された材料を含み得る。カプセル化は、当業者に周知の方法であり、例えば、噴霧乾燥、凝集またはさらに押出などの技術を使用することによって実施され得るか、またはコアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
【0074】
固体担体の非限定的な例として、特に、任意にポリマー安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で、重合、界面重合、コアセルベーションまたはこれらのすべて(上記の技術はすべて当該技術分野に記載されている)によって誘発される相分離プロセスのような技術を用いたアミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリ尿素またはポリウレタン型の樹脂またはそれらの混合物(上記の樹脂はすべて当業者によく知られている)を含むコアシェル型カプセルを挙げることができる。
【0075】
樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒドおよびそれらの混合物)と、アミン、例えば尿素、ベンゾグアナミン、グリコリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾール等、ならびにそれらの混合物との重縮合により製造され得る。代替的には、予め形成された樹脂のアルキロール化ポリアミン、例えばUrac(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(製造元:BASF)の商標で市販されているものが使用され得る。
【0076】
他の樹脂は、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートの三量体、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの三量体(Takenate(登録商標)の商標で知られる、製造元:Mitsui Chemicals)のようなポリイソシアネート(その中でもキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの三量体およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが好ましい)と、グリセロールのようなポリオールとの重縮合により製造されるものである。
【0077】
アミノ樹脂、すなわちメラミン系樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関する影響力のある文献のいくつかは、K. Dietrichらにより刊行された論文、Acta Polymerica, 1989年, 第40巻, 243頁, 325頁および683頁ならびに1990年, 第41巻, 91頁などの論文を含む。そのような論文には、従来技術の方法に従ってそのようなコア-シェルマイクロカプセルの製造に影響を及ぼす様々なパラメーターがすでに記載されており、それらは特許文献でさらに詳述され、かつ例示されている。Wiggins Teape Group Limitedによる米国特許第4,396,670号明細書は、後者の適切な初期の例である。それ以来、他の多くの著者がこの分野の文献を充実させており、ここで公開されたすべての開発をカバーすることは不可能であろうが、カプセル化技術の一般的な知識は非常に重要である。そのようなマイクロカプセルの適切な使用を開示しているより最近の適切な出版物は、例えば、K. BruyninckxおよびM. Dusserier, ACS Sustainable Chemistry & Engineering, 2019年, 第7巻, 8041-8054頁の論文に代表されている。
【0078】
本明細書で意味する「香料ベース」とは、少なくとも1種の付香補助成分を含む組成物である。
【0079】
上記付香補助成分は、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランではない。さらに、「付香補助成分」とは、本明細書では、快楽効果を付与するために、すなわち匂いを付与または調節するという主目的のために使用される、付香調製物または組成物において使用される化合物を意味する。換言すれば、付香成分であると考えられるべきこのような補助成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、組成物の匂いをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者には認識されなければならない。付香補助成分は、匂いを変調または付与すること以外に追加の利点、例えば長期持続、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、抗ウイルス効果、微生物安定性、または有害生物防除を付与することができる。
【0080】
基剤中に存在する付香補助成分の性質および種類は、本明細書でより詳細な説明を保証するものではなく、これらはいずれの場合も網羅的ではなく、当業者は、その一般的な知識に基づいて、かつ意図された使用または用途および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄複素環式化合物および精油などの様々な化学クラスに属し、上記付香補助成分は、天然または合成由来であってもよい。
【0081】
特に、香料配合物に一般的に使用される付香補助成分、例えば、
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール、
- 芳香族ハーブ成分:ユーカリ油、カンフル、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.0~2,7~]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはアルファ-ピネン、
- バルサミック成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン、
- 柑橘類成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、リナリルアセテート、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン、
- フローラル成分:メチルジヒドロジャスモネート、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルサリチレート、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、ベータイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メント-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、ベルジルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物、
- フルーツ成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、2-メチル-ペンタン酸エチル、酢酸ヘキシル、2-メチル酪酸エチル、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、イソ酪酸2-フェノキシエチル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、
- グリーン成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート、
- ウッディ成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペン画分、クリアウッド(登録商標)(製造元:Firmenich SA)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート、
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、クローブオイル、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4,4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナールが挙げられ得る。
【0082】
本発明による香料基剤は、上記の付香補助成分に限定されず、これらの補助成分の他の多くは、いずれの場合も、S. Arctanderによる書籍、Perfume and Flavor Chemicals, 1969年, Montclair, New Jersey, USAもしくはその最新版、または同様の性質の他の論文、ならびに香料分野の豊富な特許文献などの参考文献に列記されている。上記補助成分は、制御された方法で、プロ香料(properfume)またはプロフレグランスとしても知られている様々な種類の付香化合物を放出することが知られている化合物であってもよいことも理解されている。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルスルホニル)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン、(3-メルカプトプロピル)(メチル)ジメトキシシランの直鎖状ポリシロキサンコポリマー、1-[6-エチル-2,6-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン、4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2E,6Z)-2,6-ノナジエニルヘキサデカノエート、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-イルテトラデカノエート、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-イルドデカノエート、(2-((2-メチルウンデク-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-((2-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(2-メチル-3-フェネトキシアリル)ベンゼン、(2-((2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、2-エトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)-4-メチルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、1-イソプロピル-2-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)-4-メチルベンゼン、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物が挙げられ得る。
【0083】
「香料補助剤」とは、本明細書では、色、特定の耐光性、化学的安定性等の付加的に追加される利点を付与することが可能な成分を意味する。付香組成物に一般的に使用される補助剤の性質および種類の詳細な説明は網羅できないが、上記成分は当業者によく知られていることに言及する必要がある。具体的な非限定的な例としては、以下のものが挙げられ得る:粘度剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤および/またはレオロジー調整剤)、安定剤(例えば、防腐剤、酸化防止剤、熱/光およびまたは緩衝剤またはキレート剤、例えばBHT)、着色剤(例えば、染料および/または顔料)、防腐剤(例えば、抗菌剤または殺菌剤または抗真菌剤または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、固定剤、防虫剤、軟膏剤、ビタミンおよびそれらの混合物。「調節剤」とも呼ばれる「固定剤」とは、本明細書では、上記調節剤を組み込んだ組成物の匂い、特に蒸発速度および強度が、調節剤が存在しない場合の同じ知覚と比較して、経時的に、観察者またはその使用者によって知覚され得る様式に影響を与える能力を有する薬剤と理解される。特に、この調節剤は、それらのフレグランスが知覚される時間を延長することを可能にする。適切な調節剤の非限定的な例としては、メチルグルコシドポリオール、エチルグルコシドポリオール、プロピルグルコシドポリオール、イソセチルアルコール、PPG-3ミリスチルエーテル、ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート、ラウリン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、ヒアルロン酸二糖ナトリウム塩、ヒアルロン酸ナトリウム、プロピレングリコールプロピルエーテル;ジセチルエーテル;ポリグリセリン-4エーテル;イソセテス-5;イソセテス-7、イソセテス-10;イソセテス-12;イソセテス-15;イソセテス-20;イソセテス-25;イソセテス-30;ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム;ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル;およびそれらの混合物;ネオペンチルグリコールジイソノナノエート;セテアリルエチルヘキサノエート;パンテノールエチルエーテル、DL-パンテノール、N-ヘキサデシルn-ノナノエート、n-オクタデシルn-ノナノエート、プロフレグランス、シクロデキストリン、カプセル化、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。付香組成物の総重量を基準として最大で20重量%の調節剤が、着香消費者製品に組み込まれ得る。
【0084】
当業者は、単に当該技術分野の標準的な知識を適用することによってのみならず試行錯誤法によっても付香組成物の上記の成分を混合することによって、所望の効果に最適な配合物を完全に設計することができることが理解される。
【0085】
本発明の組成物および少なくとも1種の香料担体からなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施形態、ならびに本発明の組成物、少なくとも1種の香料担体、少なくとも1種の香料基剤、および任意に少なくとも1種の香料補助剤を含む付香組成物からなる。
【0086】
明確にするために、化学合成から直接得られる任意の混合物、例えば、本発明の組成物が出発、中間または最終生成物として含まれるであろう、適切な精製を行っていない反応媒体は、上記混合物が本発明の組成物を香料に適した形で提供しない限り、本発明による付香組成物と見なすことはできないことも理解されている。したがって、特に明記しない限り、未精製の反応混合物は、概して本発明から除外される。
【0087】
本発明の組成物はまた、現代の香料、すなわち香水または機能性香料のすべての分野において、上記本発明の組成物が添加される消費者製品の匂いを積極的に付与または変更するために有利に使用され得る。したがって、本発明の別の対象は、付香成分として、上記で定義された本発明の組成物を含む、着香消費者製品からなる。
【0088】
本発明の組成物は、そのままで、または本発明の付香組成物の一部として添加され得る。
【0089】
明確にするために、「着香消費者製品」は、それが適用される表面または空間(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、または家庭表面)に少なくとも心地よい付香効果をもたらす消費者製品を指すことを意味する。換言すれば、本発明による着香消費者製品は、機能的配合物、ならびに任意で所望の消費者製品に対応する追加の有益剤、および嗅覚的有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を含む着香消費者製品である。明確にするために、上記着香消費者製品は、非食用製品である。
【0090】
着香消費者製品の成分の性質および種類は、本明細書でより詳細な説明を保証するものではなく(いずれの場合も網羅的ではないであろう)、当業者は、一般的な知識に基づいて、かつ上記製品の性質および所望の効果に従ってそれらを選択することができる。
【0091】
適切な着香消費者製品の非限定的な例としては、香料、例えば、ファインパフューム、スプラッシュまたはオーデパルファン、コロンまたはシェーブまたはアフターシェーブローション、ファブリックケア製品、例えば、液体または固体洗剤(任意にポッドまたはタブレットの形)、布地柔軟剤、液体または固体香気増強剤、ドライヤーシート、ファブリックリフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品;ボディケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、リーブオンまたはリンスオフヘアコンディショナー、カラーリング調製物またはヘアスプレー、カラーケア製品、ヘアシェイプ製品、デンタルケア製品)、殺菌剤、インティメイトケア製品;化粧品調製物(例えば、スキンクリームまたはローション、バニシングクリームまたはデオドラントまたは制汗剤(例えば、スプレーまたはロールオン)、除毛剤、日焼けまたは日焼け防止または日焼け後製品、ネイル製品、皮膚洗浄剤、メイクアップ);またはスキンケア製品(例えば、石鹸、シャワーまたはバスムース、オイルまたはジェル、または衛生製品またはフット/ハンドケア製品);エアケア製品、例えば、エアフレッシュナーまたは家庭空間(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴または車)および/または公共空間(ホール、ホテル、ショッピングモール等)で使用され得る「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー;またはホームケア製品、例えば、カビ取り剤、家具ケア製品、ワイプ、食器用洗剤もしくは硬質表面(例えば、床、浴槽、サニタリー、または窓クリーニング)洗剤;レザーケア製品;カーケア製品、例えば、艶出し剤、ワックスまたはプラスチッククリーナーが挙げられる。
【0092】
上記の着香消費者製品の一部は、本発明の組成物にとって攻撃的な媒体となり得るため、例えばカプセル化することによって、または適切な別の化学物質と化学的に結合させることによって、後者を早期の分解から保護する必要があってもよい。これは、酵素、光、熱またはpHの変化などの適切な外部刺激によって本発明の組成物を放出するのに適している。
【0093】
本発明の方法を実施するための典型的な方法は、本明細書において以下の実施例で報告される。
【実施例】
【0094】
本発明は、ここで以下の実施例によってさらに詳細に説明されることになるが、略語は、当該技術分野における通常の意味を有し、温度は、摂氏(℃)で示される。HP5カラム(30m×0.25mmID、0.25μmフィルム)を備えたAgilent 7890 Aシリーズでガスクロマトグラフィーの準備を行い、内部標準としてテトラデカンを使用した。
【0095】
[実施例1]
(ゼオライト触媒の予備活性化のための典型的な実験手順)
ゼオライトの場合、試験前の予備活性化は、そのままの状態の材料10gを、10℃min-1で550℃まで3時間加熱されたマッフル炉(静空気)内に入れることによって行われた。この工程は、アンモニウムの形の試料をそれらのプロトン型に変換するために必須であるため、焼成による予備活性化を、比較のためにすべてのゼオライトに対して体系的に適用した。
【0096】
[実施例2]
(2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化による(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの製造)
2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オール(式(II)の化合物、5g、21.16ミリモル)およびトルエン(95g、1.03モル)を、100mlの丸底フラスコに装入し、機械的撹拌しながら40℃に加熱した。所望の反応温度に達したら、酸処理された粘土、酸性ゼオライトまたは酸性樹脂のいずれかを含む固体酸触媒250mg(出発材料に対して5重量%)を添加し、この混合物を撹拌しながら最大22時間放置した。第I表では、所望の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(式(I)の化合物)、その異性体(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(化合物Aに相当)および出発物質の異性体2-[(1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1-ナフタレニル]エタノールおよび2-((4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オール(それぞれ式(II’)の化合物および化合物Bに対応する)の収率を報告した。
【表1-1】
【表1-2】
【0097】
本発明の方法は、(3aS,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(化合物A)、2-[(1S,4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1-ナフタレニル]エタノール(式(II’)の化合物)および2-((4aS,8aS)-2,5,5,8a-テトラメチル-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オール(化合物B)などの望ましくない化合物の形成が少ない、または全く形成されずに、式(I)の化合物を非常に選択的に得ることを可能にする。従来技術で報告されている均一系触媒の存在下での式(II)の化合物の環化(第1表、エントリ15およびエントリ16)では、より多量の異性化生成物、すなわち式(II’)の化合物および化合物Bが供給されるが、不均一系触媒の存在下での化合物B(第1表、エントリ17)または式(II’)の化合物(第1表、エントリ19)の環化では、式(I)の化合物が供給されないか、または微量の式(I)の化合物しか供給されない。
【0098】
[実施例3]
(異なる溶媒を用いた2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化による(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの製造)
実験2を、CBV780を使用するが、第2表にまとめられているように異なる溶媒を使用して繰り返した。
【表2】
【0099】
[実施例4]
(2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化による(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの製造)
50gの2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オール、450gのトルエンを反応器に装入し、40℃まで加熱した。所望の温度に達したら、2.5gのCBV780を添加して、この反応物を12時間にわたり撹拌しながら放置すると、97.7GC%の所望の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン生成物が得られた。
【0100】
[実施例5]
(22-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化による(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの製造)
50gの2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オール、115gのトルエンを反応器に装入し、50℃まで加熱した。所望の温度に達したら、2.5gのCBV780を添加して、この反応物を12時間にわたり撹拌しながら放置すると、94.3GC%の所望の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン生成物が得られた。
【0101】
[実施例6]
(2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オールの環化による(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの製造)
50gの2-((1S,4aS,8aS)-5,5,8a-トリメチル-2-メチレンデカヒドロナフタレン-1-イル)エタン-1-オール、200gのトルエンを反応器に充填し、50℃まで加熱した。所望の温度に達したら、2.5gのF-24Xを添加し、この反応を12時間撹拌しながら放置すると、88GC%の所望の(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン生成物が得られた。
【国際調査報告】