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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】超音波水晶体乳化吸引針
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240801BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61F9/007
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506738
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022040023
(87)【国際公開番号】W WO2023018848
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,447
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309204
【氏名又は名称】ライコ インターナショナル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナラクリシュナン,ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】アカホシ,タカユキ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルマン,アルルモジ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF44
(57)【要約】
手術器具アセンブリは、超音波水晶体乳化吸引ハンドピースと共に使用するための超音波水晶体乳化吸引針を備える。針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端をさらに備える。一形態においては、先端は、上記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有し、当該側壁のうちの3つは、第1の厚さを画定し、当該側壁のうちの残りの2つは、上記長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面の中の位置において収束し、上記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波水晶体乳化吸引針であって、
長手方向のシャフト軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部と、
前記針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端と、
を備え、
前記乳化先端は、前記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有し、前記側壁のうちの3つは、第1の厚さを画定し、前記側壁のうちの残りの2つは、前記長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面の中の位置において収束するとともに前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項2】
前記5つの側壁は、実質的に五角形の外周を画定する、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項3】
前記5つの側壁のうちの隣接するもの同士が、凸状の角部において収束する、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項4】
前記開口部は、前記長手方向のシャフト軸に平行であり前記長手方向のシャフト軸からオフセットされた長手方向の開口軸を画定する、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項5】
前記乳化先端は、前記針シャフト部の前記長手方向の軸を通って垂直に延在する平面に対して鋭角で配置された遠位縁部を有する、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項6】
前記鋭角は、約20度~約40度である、請求項5に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項7】
前記第1の厚さは、約100ミクロンである、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項8】
前記第2の厚さは、約150ミクロン~約170ミクロンである、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項9】
前記乳化先端は、前記長手方向のシャフト軸に沿って約1.95mm~約2.05mmの長さで延在する、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項10】
振動ハンドピースに取り外し可能に取り付けられるための手段を有する前記針シャフト部の近位端をさらに備える、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項11】
振動ハンドピースと組み合わせられた、請求項1に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項12】
超音波水晶体乳化吸引針であって、
長手方向のシャフト軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部と、
前記針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端と、
を備え、
前記乳化先端は、前記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有し、前記側壁のうちの2つは、前記長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面の中の位置で丸みを帯びた角部において収束する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項13】
前記5つの側壁は、同じ厚さを有する、請求項12に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項14】
前記厚さは、約100ミクロンである、請求項13に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項15】
振動ハンドピースと組み合わせられた、請求項12に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項16】
前記開口部は、前記長手方向のシャフト軸に平行であり前記長手方向のシャフト軸からオフセットされた長手方向の開口軸を画定する、請求項12に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項17】
超音波水晶体乳化吸引針であって、
長手方向のシャフト軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部と、
前記針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端と、
を備え、
前記乳化先端は、前記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する6つの側壁を有し、前記側壁のうちの第1の対は、実質的に平行であり、前記側壁のうちの第2の対は、実質的に平行であり、前記側壁のうちの第3の対は、前記側壁のうちの前記第1の対のうちの一方から前記側壁のうちの前記第2の対のうちの一方まで延在する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項18】
前記開口部は、実質的に四角形である、請求項17に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項19】
前記開口部は、前記長手方向のシャフト軸に平行であり前記長手方向のシャフト軸からオフセットされた長手方向の開口軸を画定する、請求項17に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項20】
前記側壁のうちの前記第1の対は、第1の厚さを画定し、前記側壁のうちの前記第2の対のうちの一方は、前記第1の厚さよりも実質的に大きい第2の厚さを画定する、請求項17に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項21】
振動ハンドピースと組み合わせられた、請求項17に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項22】
超音波水晶体乳化吸引針であって、
長手方向のシャフト軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部と、
前記針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端と、
を備え、
前記乳化先端は、前記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する4つの側壁を有し、前記開口部は、五角形の形状を有する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項23】
前記開口部は、前記長手方向のシャフト軸と平行であり前記長手方向のシャフト軸からオフセットされた長手方向の開口軸を画定し、前記開口部は、前記長手方向の開口軸及び前記長手方向のシャフト軸を通って延在する平面に関して対称である、請求項22に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項24】
前記開口部は、前記長手方向のシャフト軸と平行であり前記長手方向のシャフト軸からオフセットされた長手方向の開口軸を画定し、前記開口部は、前記長手方向の開口軸及び前記長手方向のシャフト軸を通って延在する平面に関して非対称である、請求項22に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項25】
振動ハンドピースと組み合わせられた、請求項22に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項26】
超音波水晶体乳化吸引針であって、
長手方向のシャフト軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部と、
前記針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端と、
を備え、
前記乳化先端は、前記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有し、前記吸引通路は、前記長手方向のシャフト軸に垂直な平面において五角形の断面形状を有する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項27】
超音波水晶体乳化吸引針であって、
長手方向のシャフト軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部と、
前記針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端と、
を備え、
前記乳化先端は、前記吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有し、前記乳化先端は、前記長手方向のシャフト軸からオフセットされた中間通路がその中に形成されている、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項28】
前記中間通路は半円形であり、前記長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面に沿って心合わせされている、請求項27に記載の超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項29】
超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、
長手方向のシャフト軸(12)を画定し、内部吸引通路(16)を有する、針シャフト部(14)と、
前記針シャフト部(14)の遠位端に連接された、乳化先端(20)と、
を備え、
前記乳化先端(20)は、前記吸引通路(16)と連通している開口部(34)の外周を画定する5つの側壁(22、24、26、28、30)を有し、前記側壁のうちの3つ(22、24、26)は、第1の厚さ(T1)を画定し、前記側壁のうちの残りの2つ(28、30)は、前記長手方向のシャフト軸(12)を通って延在する垂直平面(P1)の中の位置において収束するとともに前記第1の厚さ(T1)よりも大きい第2の厚さ(T2)を有する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項30】
請求項29に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記5つの側壁(22、24、26、28、30)は、実質的に五角形の外周を画定する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項31】
請求項29又は30に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記5つの側壁(22、24、26、28、30)のうちの隣接するもの同士が、凸状の角部において収束する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項32】
請求項29~31のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記開口部(34)は、前記長手方向のシャフト軸(12)に平行であり前記長手方向のシャフト軸(12)からオフセットされた長手方向の開口軸(36)を画定する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項33】
請求項29~31のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記乳化先端(20)は、前記針シャフト部(14)の前記長手方向の軸(12)を通って垂直に延在する平面(P2)に対して鋭角(α)で配置された遠位縁部を有する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項34】
請求項33に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記鋭角(α)は、約20度~40度である、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項35】
請求項29~34のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記第1の厚さ(T1)は、約100ミクロンである、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項36】
請求項29~35のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記第2の厚さ(T2)は、約150ミクロン~約170ミクロンである、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項37】
請求項29~36のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、前記乳化先端(20)は、前記長手方向のシャフト軸(12)に沿って約1.95mm~約2.05mmの長さ(L)で延在する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項38】
請求項29~37のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、振動ハンドピースに取り外し可能に取り付けられるための手段を有する前記針シャフト部(14)の近位端(11)をさらに備える、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項39】
請求項29~38のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項40】
超音波水晶体乳化吸引針(10A)であって、
長手方向のシャフト軸(12A)を画定し、内部吸引通路(16A)を有する、針シャフト部(14A)と、
前記針シャフト部(14A)の遠位端に連接された、乳化先端(20A)と、
を備え、
前記乳化先端(20A)は、前記吸引通路(16A)と連通している開口部(34A)の外周を画定する5つの側壁(22A、24A、26A、28A、30A)を有し、前記側壁のうちの2つ(28A、30A)は、前記長手方向のシャフト軸(12A)を通って延在する垂直平面(P1)の中の位置で丸みを帯びた角部において収束する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項41】
請求項40に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10A)であって、前記5つの側壁(22A、24A、26A、28A、30A)は、同じ厚さ(T1)を有する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項42】
請求項41に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10A)であって、前記厚さ(T1)は、約100ミクロンである、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項43】
請求項40~42のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10A)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項44】
請求項40~43のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10A)であって、前記開口部(34A)は、前記長手方向のシャフト軸(12A)に平行であり前記長手方向のシャフト軸(12A)からオフセットされた長手方向の開口軸(36A)を画定する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項45】
超音波水晶体乳化吸引針(10B)であって、
長手方向のシャフト軸(12B)を画定し、内部吸引通路(16B)を有する、針シャフト部(14B)と、
前記針シャフト部(14B)の遠位端に連接された、乳化先端(20B)と、
を備え、
前記乳化先端(20B)は、前記吸引通路(16B)と連通している開口部(34B)の外周を画定する6つの側壁(22B、24B、26B、28B、30B、32B)を有し、前記側壁のうちの第1の対(22B、26B)は、実質的に平行であり、前記側壁のうちの第2の対(24B、32B)は、実質的に平行であり、前記側壁のうちの第3の対(28B、30B)は、前記側壁のうちの前記第1の対(22B、26B)のうちの一方から前記側壁のうちの前記第2の対のうちの一方(32B)まで延在する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項46】
請求項45に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10B)であって、前記開口部(34B)は、実質的に四角形である、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項47】
請求項45又は46に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10B)であって、前記開口部(34B)は、前記長手方向のシャフト軸(12B)に平行であり前記長手方向のシャフト軸(12B)からオフセットされた長手方向の開口軸(36B)を画定する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項48】
請求項45~47のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10B)であって、前記側壁のうちの前記第1の対(22B、26B)は、第1の厚さ(T1)を画定し、前記側壁のうちの前記第2の対のうちの一方(32B)は、前記第1の厚さ(T1)よりも実質的に大きい第2の厚さ(T2)を画定する、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項49】
請求項45~48のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10B)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項50】
超音波水晶体乳化吸引針(10C、10D、10E、10F)であって、
長手方向のシャフト軸(12C、12D、12E、12F)を画定し、内部吸引通路(16C、16D、16E、16F)を有する、針シャフト部(14C、14D、14E、14F)と、
前記針シャフト部(14C、14D、14E、14F)の遠位端に連接された、乳化先端(20C、20D、20E、20F)と、
を備え、前記乳化先端(20C、20D、20E、20F)は、前記吸引通路(16C、16D、16E、16F)と連通している開口部(34C、34D、34E、34F)の外周を画定する4つの側壁(22C、22D、22E、22F;24C、24D、24E、24F;26C、26D、26E、26F;28C、28D、28E、28F)を有し、前記開口部(34C、34D、34E、34F)は、五角形の形状を有する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項51】
請求項50に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10C、10D)であって、前記開口部(34C、34D)は、前記長手方向のシャフト軸(12C、12D)と平行であり前記長手方向のシャフト軸(12C、12D)からオフセットされた長手方向の開口軸(36C、36D)を画定し、前記開口部(34C、34D)は、前記長手方向の開口軸(36C、36D)及び前記長手方向のシャフト軸(12C、12D)を通って延在する平面(P1)に関して対称である、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項52】
請求項50に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10E、10F)であって、前記開口部(34E、34F)は、前記長手方向のシャフト軸(12E、12F)と平行であり前記長手方向のシャフト軸(12E、12F)からオフセットされた長手方向の開口軸(36E、36F)を画定し、前記開口部(34E、34F)は、前記長手方向の開口軸(36E、36F)及び前記長手方向のシャフト軸(12E、12F)を通って延在する平面(P1)に関して非対称である、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項53】
請求項50~52のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10C、10D、10E、10F)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項54】
超音波水晶体乳化吸引針(10H)であって、
長手方向のシャフト軸(12H)を画定し、内部吸引通路(16H)を有する、針シャフト部(14H)と、
前記針シャフト部(14H)の遠位端に連接された、乳化先端(20H)と、
を備え、前記乳化先端(20H)は、前記吸引通路(16H)と連通している開口部(34H)の外周を画定する5つの側壁(22H、24H、26H、28H、30H)を有し、前記吸引通路(16H)は、前記長手方向のシャフト軸(12H)に垂直な平面において五角形の断面形状を有する、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項55】
請求項54に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10H)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項56】
超音波水晶体乳化吸引針(10G)であって、
長手方向のシャフト軸(12G)を画定し、内部吸引通路(16G)を有する、針シャフト部(14G)と、
前記針シャフト部(14G)の遠位端に連接された、乳化先端(20G)と、
を備え、
前記乳化先端(20G)は、前記吸引通路(16G)と連通している開口部(34G)の外周を画定する5つの側壁(22G、24G、26G、28G、30G)を有し、前記乳化先端(20G)は、前記長手方向のシャフト軸(12G)からオフセットされた中間通路(40G)がその中に形成されている、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項57】
請求項56に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10G)であって、前記中間通路(40G)は半円形であり、前記長手方向のシャフト軸(12G)を通って延在する垂直平面(P1)に沿って心合わせされている、前記超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項58】
請求項56又は57に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10G)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項59】
超音波水晶体乳化吸引針(10I)であって、
長手方向のシャフト軸(12I)を画定し、内部吸引通路(16I)を有する、針シャフト部(14I)と、
前記針シャフト部(14I)の遠位端に連接された、乳化先端(20I)と、
を備え、
前記乳化先端(20I)は、前記吸引通路(16I)と連通している開口部(34I)の外周を画定する少なくとも5つの側壁(22I、24I、26H、28I、30I)を有し、前記乳化先端(20I)は、前記長手方向のシャフト軸(12I)を通って垂直に延在する平面(P2)に対して第1の鋭角(α1)で配置された前記壁のうちの収束する対(28I、30I)によって画定される遠位縁部(32I)を有し、前記壁のうちの第2の対(22I、26I)は、前記平面(P2)に対して第2の鋭角(α2)で配置され、前記第1の鋭角(α1)は、前記第2の鋭角(α2)よりも大きい、
超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項60】
請求項59に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10I)であって、振動ハンドピースと組み合わせられた、超音波水晶体乳化吸引針。
【請求項61】
請求項29~60のいずれか一項に記載の超音波水晶体乳化吸引針(10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I)であって、前記乳化先端(20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20I)は、サンドブラスト処理されている、超音波水晶体乳化吸引針。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権]
本出願は、2021年8月12日に出願された米国仮特許出願第63/232,447号に対する優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、包括的には、眼科手術において使用される手術器具に関し、より詳細には、効率的な操作及び使用を容易化するために、関連する超音波振動手術ハンドピースと共に使用するのに特に適している、改善された超音波水晶体乳化吸引針に関する。
【背景技術】
【0003】
超音波水晶体乳化吸引は、損傷又は罹患した水晶体の眼球からの除去のための最適な手法となっている。一般に、かかる手術は、眼球の水晶体の一部が硬くなり不透明になる状態である白内障を、患者が発症した場合に必要とされる。損傷した水晶体が除去され、適切に選択された人工水晶体によって置き換えられない限り、失明又は重度の視力障害に帰着することとなる。
【0004】
超音波水晶体乳化吸引は、損傷した水晶体を乳化し、生じた水晶体粒子を眼球から吸引するために、超音波エネルギーを使用することである。超音波水晶体乳化吸引の使用の最も大きな利点の1つは、装置自体が小さく、比較的小さな切開で済み、その結果眼嚢からの流体の漏れがより少なく、患者の回復時間がより短くなり得ることである。眼球組織に対する損傷のリスクを最小化するために、使用される超音波エネルギーの量を可能な限り制限することが望ましい。多くの場合、超音波水晶体乳化吸引に先立ち、又は超音波水晶体乳化吸引の間に、水晶体核(水晶体の最も硬い部分)が、小片に切り刻まれるか又は分割される。小片は、乳化により少ないエネルギーしか必要とせず、超音波水晶体乳化吸引装置によって超音波エネルギーが実際に生成される時間を短縮する。
【0005】
一般に、乳化された水晶体核及び流体が中空レンズを通して吸引される際に、眼球内の陽圧を維持するために、灌流液体を眼球に供給するための注入スリーブが、針の周囲に装着される。
【0006】
かかる手術の間に液体を適切に注入することは、極めて重要である。十分な量の液体を維持することは、眼球内の或る特定の組織の崩壊、及びそれに伴う繊細な眼球構造への障害又は損傷を防ぐ。一例として、内皮細胞はかかる崩壊の間に容易に損傷を受け得るものであり、これらの細胞は再生しないので、この損傷は永続的である。かかる手術の間に可能な限り小さな切開を使用することの利点の1つは、手術の間及び手術の後の液体の漏れを最小限に抑え、組織の崩壊を防ぎ、治癒時間を短縮し、及び術後の乱視を減少できることである。
【0007】
参照により本明細書に援用する米国特許第7,601,136号は、超音波水晶体乳化吸引針及びスリーブアセンブリを開示している。
【0008】
多くの超音波水晶体乳化吸引針及び先端は、比較的低い周波数で針を長手方向に振動させるハンドピースと共に使用するように設計されている。長手方向の振動に加えて、或る特定のハンドピースは、毎秒約100サイクルの振動周波数で針にねじり運動を与える。また、毎秒約32000サイクルの周波数で超音波水晶体乳化吸引先端のねじり振動を提供するハンドピースもある。
【0009】
ねじりタイプのハンドピースの使用は、長手方向タイプのハンドピースと共に使用されるものとは異なる超音波水晶体乳化吸引針先端の設計が求められる。例えば、針は、ハンドピースによって生成される針の動きを利用できるように、先端が形成され、スエージ加工され、角度を付けられるように設計されてきた。
【0010】
多くの外科医は、長手方向型ハンドピースと共に一般に使用される直線の先端の設計を有する超音波水晶体乳化吸引針を好む。大多数の外科医は、ねじり型超音波水晶体乳化吸引機器が長手方向型機器よりも高価であることが多いため、ねじり型ハンドピースではなく長手方向型ハンドピースを使用しており、かくして外科医らは、ねじり型超音波水晶体乳化吸引システムによって得られる強化された超音波水晶体乳化吸引の結果を利用することができない状況である。
【0011】
その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第10,952,895号は、針本体を通って延在する吸引通路の軸に対して軸外位置にある針先端が、ねじり型超音波水晶体乳化吸引の間に偏心運動又は「揺れ(wobble)」を引き起こし、直線先端の構成を保持しつつ超音波水晶体乳化吸引の効率を改善することを開示している。また、かかる軸外位置において先端を形成することが、長手方向型ハンドピースを使用する際の超音波水晶体乳化吸引の効率を向上させることも見出されている。
【0012】
長手方向型ハンドピースでの軸外先端の使用は、より複雑で高価なねじり型超音波水晶体乳化吸引装置を使用することなく、ハイブリッドタイプの超音波水晶体乳化吸引動作を望ましく生成するように思われる。針本体内の中央吸引通路を軸外位置において形成することによって、先端におけるフレアを伴わずに、超音波水晶体乳化吸引針に偏心の又は揺れタイプの動きが与えられ得る。同様の結果は、針本体の断面構造とは異なる断面構造を有して形成された吸引通路を有する、直線の超音波水晶体乳化吸引針を使用しても、得ることができる。これらの結果は、同じく通路が軸外に配設されている場合に、さらに増幅されることとなる。
【0013】
本発明は、改善された乳化効率、改善された吸引、及び/又は処置中の部位への熱エネルギーの伝達の最小化を促進するために、改善された超音波水晶体乳化吸引針が、改善された先端構造を有する、改善された超音波水晶体乳化吸引手術器具アセンブリに関する。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、関連する振動手術ハンドピースと共に使用するのに特に適している、改善された超音波水晶体乳化吸引針に関し、ハンドピースは、ねじり(すなわち回転)超音波運動、及び直線運動若しくは長手方向運動、楕円運動、又は混合運動等のために構成することができる。
【0015】
本発明の広範な一形態によれば、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。乳化先端は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する、5つの側壁を有する。側壁のうちの3つは、第1の厚さを画定し、側壁のうちの残りの2つは、長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面の中の位置において収束するとともに第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する。好ましくは、第1の厚さは、約100ミクロンである。さらに、第2の厚さは、好ましくは約150ミクロン~約170ミクロンである。
【0016】
本発明の好ましい一形態においては、5つの側面は、前述した平面に関して対称性を有する実質的に五角形の外周を画定する。
【0017】
本発明の別の好ましい形態においては、乳化先端は、針シャフト部の長手方向の軸を通って垂直に延在する平面に対して鋭角で配置された、遠位縁部を有する。好ましくは、鋭角は、約20度~40度であり、より好ましくは約30度である。
【0018】
本発明のさらに別の好ましい形態においては、針の操作中の向上した安全性のために、5つの側壁のうちの隣接するもの同士が、凸状の角部において収束する。
【0019】
本発明のさらに別の好ましい形態においては、開口部は、長手方向のシャフト軸に平行であり該長手方向のシャフト軸からオフセットされた、長手方向の開口軸を画定する。
【0020】
本発明の好ましい一形態によれば、乳化先端は、長手方向のシャフト軸に沿って約1.95mm~約2.05mmの長さで延在する。
【0021】
本発明の広範な一形態によれば、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。乳化先端は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する、5つの側壁を有する。側壁のうちの2つは、長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面の中の位置で丸みを帯びた角部において収束する。好ましくは、側壁は全て、好ましくは約100ミクロンである、同じ公称厚さを有する。さらに、第2の厚さは好ましくは、約150ミクロン~約170ミクロンである。
【0022】
本発明の別の広範な形態によれば、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。乳化先端は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する、6つの側壁を有する。側壁のうちの第1の対は、互いに実質的に平行である。側壁のうちの第2の対は、互いに実質的に平行である。側壁のうちの第3の対は、側壁のうちの第1の対のうちの一方から側壁のうちの第2の対のうちの一方まで延在している。好ましくは、側壁は全て、好ましくは約100ミクロンである、同じ公称厚さを有する。さらに、第2の厚さは好ましくは、約150ミクロン~約170ミクロンである。
【0023】
本発明の好ましい一形態によれば、開口部は、実質的に四角形である。
【0024】
本発明の別の好ましい形態においては、側壁のうちの第1の対は、第1の厚さを画定し、側壁のうちの第2の対のうちの一方は、第1の厚さよりも実質的に大きい第2の厚さを画定する。
【0025】
本発明の広範な一態様によれば、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。乳化先端は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する、4つの側壁を有する。開口部は、五角形の形状を有する。
【0026】
本発明の好ましい一形態においては、開口部は、長手方向のシャフト軸に平行であり長手方向のシャフト軸からオフセットされた、長手方向の開口軸を画定する。さらに、開口部は、長手方向の開口軸及び長手方向のシャフト軸の両方を通って延在する平面に関して対称である。
【0027】
本発明の別の好ましい形態においては、開口部は、長手方向のシャフト軸に平行であり長手方向のシャフト軸からオフセットされた、長手方向の開口軸を画定する。さらに、開口部は、長手方向の開口軸及び長手方向のシャフト軸の両方を通って延在する平面に関して非対称である。
【0028】
本発明の好ましい一形態によれば、針シャフト部の近位端が、振動ハンドピースに取り外し可能に取り付けられるための手段を備える。好ましくは、針は、振動ハンドピースと組み合わせられる。
【0029】
本発明の別の広範な形態によれば、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有する針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。吸引通路は、長手方向のシャフト軸に垂直な平面において五角形の断面形状を有する。
【0030】
本発明のさらに別の広範な形態においては、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有する針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。乳化先端は、長手方向のシャフト軸からオフセットされた中間通路がその中に形成されている。好ましくは、中間通路は半円形であり、長手方向のシャフト軸を通って延在する垂直平面に沿って心合わせされている。
【0031】
本発明のさらに別の広範な形態においては、超音波水晶体乳化吸引針は、長手方向の軸を画定し、内部吸引通路を有する、針シャフト部を備える。針は、吸引通路と連通している開口部の外周を画定する5つの側壁を有する針シャフト部の遠位端に連接された、乳化先端を備える。先端の下壁又は底壁は、中心軸に垂直に延在する垂直平面に対して第1の鋭角α1で外側に延在し、上壁22I、26Iは、平面P2に対して角度α2と比較してより小さい鋭角で延在する。
【0032】
本明細書の一部を形成する添付図面においては、全体を通して同様の部分を表すために同様の数字が採用されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第1の図示される実施形態の、前方及び下方からの等角図である。
図2図2は、図1に示される器具の右側立面図である。
図3図3は、図1に示される器具の正面立面図である。
図4図4は、器具の中心の長手方向の軸を通って延在する、図3における垂直平面4-4に沿った、図1に示される器具の断面図である。
図5図5は、図1に示される器具の先端部のみの、大幅に拡大された断片的な右側立面図である。
図6図6は、図4に示される器具の先端部のみの、大幅に拡大された断片的な断面図である。
図7図7は、図1に示される器具の別の正面立面図である。
図8図8は、図1に示される器具の遠位部のみの、前方及び右側からの、大幅に拡大された断片的な等角図である。
図9図9は、図1に示される器具の、前方及び上方からの等角図である。
図10図10は、図1に示される器具の遠位部のみの、大幅に拡大された断片的な断面図である。
図11図11は、図1に示される器具の遠位部のみの、前方及び上方から見た、大幅に拡大された等角ワイヤフレーム図である。
図12図12は、図1に示される器具の、右側及び上方から見た等角ワイヤフレーム図である。
図13図13は、図1に示される器具の断面図である。
図14図14は、図1に示される器具の別の断面図である。
図15図15は、図1に示される器具の先端部の、大幅に拡大された断片的な断面図である。
図16図16は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第2の図示される実施形態の正面立面図である。
図17図17は、図16に示される器具の右側立面図である。
図18図18は、図16に示される器具の、下方及び後方から見た等角図である。
図19図19は、図17に示される器具の先端部の、大幅に拡大された断片的な右側立面図である。
図20図20は、器具の中心の長手方向の軸を通って延在する、図16における垂直平面20-20に沿った、図16に示される器具の断面図である。
図21図21は、図20に示される器具の先端部のみの、大幅に拡大された断片的な断面図である。
図22図22は、図16に示される器具の別の正面立面図である。
図23図23は、図16に示される器具の、上方及び右側から見た、断片的な大幅に拡大された等角図である。
図24図24は、図16に示される器具の、上方及び前方から見た等角図である。
図25図25は、図16に示される器具の、大幅に拡大された断片的な断面図である。
図26図26は、図16に示される器具の、大幅に拡大された断片的なワイヤフレーム等角図である。
図27図27は、図16に示される器具の、上方及び右側から見たワイヤフレーム等角図である。
図28図28は、図16に示される器具の、前方及び右側から見た別の等角図である。
図29図29は、図16に示される器具の、前方及び右側から見た、大幅に拡大された断片的な等角図である。
図30図30は、図16に示される器具の、断片的な大幅に拡大された断面図である。
図31図31は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第3の図示される実施形態の、前方及び右側から見た等角図である。
図32図32は、図31に示される器具の、前方及び左側から見た、断片的な大幅に拡大された等角図である。
図33図33は、図31に示される器具の正面立面図である。
図34図34は、図31に示される器具の、前方及び左側から見た、断片的な等角図である。
図35図35は、図31に示される器具の、前方及び左側から見た、別の断片的な等角図である。
図36図36は、図31に示される器具の別の実施形態の、正面及び左側から見た断片的な等角図である。
図37図37は、図36に示される器具の、前方及び左側から見た、別の断片的な等角図である。
図38図38は、図31に示される器具の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図39図39は、図31に示される器具の、前方及び左側から見た、大幅に拡大された断片的な等角図である。
図40図40は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第4の図示される実施形態の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図41図41は、図40に示される器具の、前方及び左側から見た、大幅に拡大された断片的な等角図である。
図42図42は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第5の図示される実施形態の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図43図43は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第6の図示される実施形態の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図44図44は、図43に示される器具の、前方及び左側から見た、大幅に拡大された断片的な等角図である。
図45図45は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第7の図示される実施形態の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図46図46は、図45に示される器具の、前方及び右側から見た、大幅に拡大された断片的な等角図である。
図47図47は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第8の図示される実施形態の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図47A図47Aは、図47の第8の図示される実施形態の変形例の、大幅に拡大された断片的な正面立面図である。
図48図48は、器具の中心の長手方向の軸を通って延在する、図47における垂直平面P1に沿った、図47に示される器具の断面図である。
図49図49は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第9の図示される実施形態の、大幅に拡大された正面立面図である。
図49A図49Aは、図49の第9の図示される実施形態の変形例の、大幅に拡大された正面立面図である。
図50図50は、本発明の超音波水晶体乳化吸引手術針の第10の図示される実施形態の、大幅に拡大された断片的な右側立面図である。
図51図51は、図50において丸で囲まれた針先端の遠位部の、大幅に拡大された断片的な詳細図である。
図52図52は、図50において丸で囲まれた針先端の遠位部の、大幅に拡大された断片的な詳細図であるが、図52は、先端部の丸みを帯びた最遠位端を有する、実施形態の変形例を示す。
図53図53は、図52の手術針の、大幅に拡大された正面立面図である。
図54図54は、図52の手術針の、大幅に拡大された断片的な平面図である。
図55図55は、器具の中心の長手方向の軸を通って延在する中心の垂直平面に沿った、図50に示される器具の変形例の、大幅に拡大された断片的な断面図であり、図55は、先端部に近接して位置する下向きの屈曲部を有する器具を示す。
図56図56は、図50に示される器具の別の変形例の、大幅に拡大された断片的な側面立面図であり、図56は、器具のいくつかの内部特徴を隠線で示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は様々な形態の実施形態が可能であるが、現在好ましい実施形態が図面に示され、以下に記載される。本開示は、本発明の例示とみなされるべきであり、本発明の最も広範な形態を図示の特定の実施形態のみに限定することは意図しないことが理解される。
【0035】
本発明による第1の図示される実施形態の手術器具又は超音波水晶体乳化吸引針10が、図1図15に示されており、針10は、振動ハンドピース内の嵌め合わせねじ部に接続されるためのねじ山付きの近位端11(図1)を有し、長手方向の軸12(図15)を画定する、長細の針シャフト部14を含む。シャフト部14は、内部吸引通路16(図15)を画定しており、その通路を通して、超音波水晶体乳化吸引の間に吸引が行われる。添付図の多くにおいては、針10の遠位部のみが図示されており、本明細書に開示される針の近位端11は、例えば嵌め合わせねじ、クランプ、ロック、摩擦嵌合等によって、振動ハンドピースに取り付けられるのに適した様々な手段又は構造を有してもよいことは、理解されるであろう。針の適切な近位端構造は、米国特許第8,764,782号に記載されており、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0036】
図8を参照すると、本発明の超音波水晶体乳化吸引針10は、近位端11とは反対側の針シャフト部14の遠位端に連接された、乳化先端20をさらに備える。注目すべきことに、乳化先端20は、概して五角形の断面構造を有し、開口部34の外周を画定する5つの側壁(又は以下では単に「壁」と呼ばれる)22、24、26、28、30を含む。先端20の開口部34は、針シャフト部14の吸引通路16に接続して、真空にさらされたときに針10を通した乳化された組織の吸引を容易化する。
【0037】
図15に見られるように、本発明の乳化針10は、望ましくは、壁22、24、26のうちの少なくとも1つの第1の厚さT1と、他の壁28、30のうちの少なくとも1つの実質的により大きい第2の厚さT2とを含み、これらが、針10のねじり運動、長手方向の運動、楕円運動、及び/又は混合超音波運動に伴う超音波水晶体乳化吸引をもたらす。好ましくは、壁28、30のそれぞれは、長手方向のシャフト軸12を通って延在する垂直平面「P1」の中の位置において収束し、(図3に見られるように)この垂直平面「P1」に関して対称性を有する。より好ましくは、この平面「P1」は、針先端部20の底部を通って延在する。好ましくは、壁22、24、26のそれぞれは、約100ミクロンの同じ公称厚さT1を有し、収束する下壁又は底壁28、30のそれぞれは、約150ミクロン~170ミクロンの同じ公称厚さT2を有する。図示された好ましい実施形態の器具10においては、開口34を画定する先端部20の壁22、24、26、28、30のうちの隣接するもの同士は、有利にも、眼球中での向上した安全性のために、丸みを帯びた凸状に湾曲した角部で接続される。図6を参照すると、乳化先端20は、好ましくは、長手方向のシャフト軸12に沿って約1.95mm~約2.05mmの長さ「L」で延在する。
【0038】
図6を参照すると、乳化先端20は、針シャフト部14の長手方向の軸12に垂直に延在する平面「P2」に対して、約20度~40度の、より好ましくは約30度の、鋭角αで配置された遠位端を有する。この構成は、効率的な使用を容易化し、直線モード及び/又はねじりモードで超音波的に動くように構成された超音波器具と共に使用されるのに特に適している。
【0039】
図15を参照すると、開口34は、針10の振動動作の間に、厚くされて収束する底壁28、30の乳化動作又は切り刻み動作を向上させるために、針シャフト部14の長手方向の軸12に実質的に平行であり該軸からオフセットされた、長手方向の開口軸36を画定する。好ましいもの又は図示されているものではないが、いくつかの実施形態においては、開口軸36は、針本体14の軸12と同軸であってもよい。
【0040】
本発明の超音波水晶体乳化吸引針の望ましい特徴は、針10の外側に鋭利な縁部がないことである。乳化先端20の前方の遠位縁部は、好ましくは、鋭利な縁部がなく、丸みを帯びて滑らかである。先端20の外周部には、好ましくは鋭利な縁部がない。
【0041】
本発明の針10の具体的な構成は、意図される用途に依存して様々なものとなり得る。針シャフト部14は、図示された実施形態におけるように直線状であってもよいし、又は、針シャフト部14は、手術処置の間に切り刻みを行うためにケルマン式構造に屈曲させることができる。代替としては、針シャフト部14は、処置の間の事前の切り刻みのために、赤星式(逆ケルマン屈曲)に屈曲させてもよい。他の屈曲構造も想到される。
【0042】
図5及び図8を参照すると、先端20の外側表面は、眼球中での器具10の向上した安全性のため、鋭利な縁部をなくすか又は少なくとも鋭利な縁部の潜在性を低減させるために、サンドブラスト仕上げを有してもよい。かかるサンドブラスト仕上げ又は他の従来型若しくは非従来型の仕上げ方法は、以下に議論される実施形態の針に適用されてもよい。
【0043】
本発明による第2の実施形態の手術針が、数字10Aによって表されて図16図30に示されており、図1図15において既に説明された第1の図示される実施形態の針10と同様に機能する。図16図30に図示された第2の実施形態の針10Aの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「A」は付されていない第1の実施形態の針10の特徴に類似している。第2の実施形態の手術針10Aは、概して五角形の断面構造を有する乳化先端20Aを含み、開口部34Aの外周を画定する5つの等しい厚さの側壁(又は単に「壁」)22A、24A、26A、28A、30Aを含む点で、前述した第1の図示される実施形態と異なる。
【0044】
図22及び図30に見られるように、壁22A、24A、26A、28A、30Aは、約100ミクロンの公称厚さT1を共有している。好ましくは、壁28A、30Aのそれぞれは、長手方向のシャフト軸12Aを通って延在する垂直平面「P1」の中の位置において収束し、(図16に見られるように)この垂直平面「P1」に関して対称性を有する。より好ましくは、この平面「P1」は、針先端部20Aの底部を通って延在する。図示される好ましい実施形態の器具10Aにおいては、開口34Aを画定する先端部20Aの壁22A、24A、26A、28A、30Aのうちの隣接するもの同士は、有利にも眼球における向上した安全性のために、丸みを帯びた凸状に湾曲した角部において接続される。好ましくは、角部はR0.2~R0.50で丸みを帯びている。好ましくない一実施形態においては、角部のうちの1つ以上が90度の屈曲である。
【0045】
第2の図示される実施形態の針10Aは、いくつかの振動ハンドピースと結合された場合に、第1の図示される実施形態の針と比較して、より効率的な超音波水晶体乳化吸引を提供することができる。
【0046】
本発明による第3の実施形態の手術針は、数字10Bによって表されて図31図39に示されており、図1図15において既に説明された第1の図示される実施形態の針10と同様に機能する。図31図39に図示された第3の実施形態の針の番号付けされた特徴は、同じ番号を共有する第1の実施形態の針の特徴(末尾に「B」は付されていない)に類似している。第3の実施形態の手術針10Bは、針10Bが6つの別個の壁22B、24B、26B、28B、30B、32Bを有する乳化先端20Bを含む点で、前述した第1の図示される実施形態と異なる。ここで図38を参照すると、図示されているように、壁のうちの第1の対22B、26Bは互いに実質的に平行であり、壁のうちの第2の対24B、32Bもまた互いに実質的に平行であり、壁のうちの第3の対28B、30Bは互いに対して傾斜しているとともに第1の対のうちの一方から第2の対のうちの一方まで延在するか又は接続されている。先端部20Bの開口部34Bは、丸みを帯びた角部を有する実質的に四角形の構造を有する。
【0047】
図38及び図39に示される第3の実施形態の針10Bのいくつかの形態においては、壁22B、24B、26B、32Bは、約100ミクロンの同じ公称厚さ(T1)を有し、一方、傾斜した収束する壁28B、30Bは、低減された厚さを有する。図31図37に図示された第3の実施形態の針10Bの他の形態においては、壁22B、24B、26Bは、約100ミクロンの同じ公称厚さ(T1)を有し、一方、オフセットされた壁又は底壁32Bは、動作中の向上した揺れ又は切り刻み効果のために、約150ミクロン~約250ミクロンの実質的により大きい厚さ(T2)を有する。
【0048】
第3の図示される実施形態の針10Bは、切頂された収束する壁28B及び30Bの結果として、いくつかの振動ハンドピースと結合されたときに、第1の図示される実施形態の針10と比較して、より安全な超音波水晶体乳化吸引を提供することができる。
【0049】
本発明による第4の実施形態の手術針は、数字10Cによって表されて図40及び図41に示されており、既に説明された第1の図示される実施形態の針10と同様に機能する。図40及び図41に図示された第4の実施形態の針10Cの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「C」は付されていない第1の実施形態の針の特徴に類似している。第4の実施形態の手術針10Cは、針10Cが、(内部の)五角形の構造を有する開口34Cを画定する4つの壁22C、24C、26C、28Cを有する、実質的に四角形である乳化先端20Cを含む点で、前述した第1の図示される実施形態と異なる。針10Cは、以上に議論された先行する実施形態と比較して、低コストで、高品質の製造可能性に関して、有利となり得ると考えられる。開口34Cはさらに、針シャフト部14Cの中心の長手方向の軸12Cに平行であるが該軸からオフセットされた、長手方向の開口軸36Cを画定する。
【0050】
図40を参照すると、開口部34Cは、長手方向の開口軸36C及び長手方向のシャフト軸12Cの両方を通って延在する平面P1に関して対称であることが見てとれる。先端部20Cの最も底部の壁28Cと接触する隣接する壁22C、26Cの角部は、五角形の構造を有する開口34Cを提供するために、先端部20Cの残りの壁よりも実質的に厚い。
【0051】
本発明による第5の実施形態の手術針が、数字10Dによって表されて図42に示されており、直前に説明された第4の図示される実施形態の針10Cと同様に機能する。図42に図示された第5の実施形態の針10Dの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「D」は付されていない第4の実施形態の針の特徴に類似している。第5の実施形態の手術針10Dは、針10Dが、先行する実施形態よりも実質的に薄い最も底部の壁28Dと接している隣接する壁22D、26Dの角部を画定する乳化先端20Dを含む点で、前述した第4の図示される実施形態と異なる。
【0052】
本発明による第6の実施形態の手術針が、数字10Eによって表されて図43及び図44に示されており、直前に説明された第5の図示される実施形態の針10Dと同様に機能する。図43及び図44に図示された第6の実施形態の針10Eの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「E」は付されていない第5の実施形態の針の特徴に類似している。第6の実施形態の手術針10Eは、針10Eが、五角形の形状であるが、長手方向の開口軸36E及び長手方向のシャフト軸12Eの両方を通って延在する平面P1に関して対称性を欠く開口部34Eを画定する、4つの側壁22E、24E、26E、28Eを有する乳化先端20Eを含む点で、前述した第5の図示される実施形態と異なる。その代わりに、開口34Eは、平面P1に垂直に横断する水平面P3に関して対称性を有する。この構成は、効率的な使用を容易化し、或る特定の振動器具又はハンドピースと共に使用されるのに特に適したものとなり得る。
【0053】
本発明による第7の実施形態の手術針は、数字10Fによって表されて図45及び図46に示されており、直前に説明された第6の図示される実施形態の針10Eと同様に機能する。図45及び図46に図示された第7の実施形態の針10Fの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「F」は付されていない第6の実施形態の針の特徴に類似している。第7の実施形態の手術針10Fは、針10Fが、五角形の形状であるとともに平面P1に対して垂直ではなく横断する平面P3に関して対称性を有する開口部34Fを画定する乳化先端20Fを含む点で、前述した第6の図示される実施形態と異なる。
【0054】
本発明による第8の実施形態の手術針は、数字10Gによって表されて図47及び図48に示されており、既に説明された第1の図示される実施形態の針10と同様に機能する。図47及び図48に図示された第8の実施形態の針10Gの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「G」は付されていない第1の実施形態の針の特徴に類似している。第8の実施形態の手術針10Gは、針10Gが、針本体14G(図48のみ)の吸引通路16Gからオフセットされた中間通路40Gを画定する乳化先端20Gを含む点で、前述した第1の図示される実施形態と異なる。中間通路40Gは、針10Gの振動の間の揺れ又は不均衡を増強及び/又は調整するために、先端部20Gに加重効果を生成する。先端部20Gにおける中間通路40Gは好ましくは、針本体14Gの吸引通路16Gの穿孔からの二次的なステップにおいて穿孔される。中間通路40Gは好ましくは、中心の垂直平面P1に沿って吸引通路16Gの中心軸12Gからオフセットされた軸44Gに沿って心合わせされた円形又は半円形の谷状の形態を有する。しかしながら、中間通路40Gは、例えば四角形、楕円形、三角形、他の多角形又は不規則な形状等の、他の断面形状を有してもよいことは、理解されるであろう。第8の実施形態の針10Gの変形例が図47Aに示されており、先端部20Gは、平面P1の両側に位置する2つの追加的な中間通路40Gを含み、そのそれぞれは半円形の形状を有する。
【0055】
本発明による第9の実施形態の手術針は、数字10Hによって表されて図49に示されており、該手術針は、既に説明された第1の図示される実施形態の針10と同様に機能する。図49に図示された第9の実施形態の針10Hの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「H」は付されていない第1の実施形態の針の特徴に類似している。第9の実施形態の手術針10Hは、針10Hが、先端20Hの壁22H、24H、26H、28H、30Hの五角形の断面形状からインセットされた五角形の断面形状を有する針本体の吸引通路16Hを含む点で、前述した第1の図示される実施形態と異なる。吸引通路16Hは、壁22H、24H、26H、28H、30Hによって画定される開口の中心軸からオフセットされた中心軸を画定する。第9の実施形態の針10Hの変形例が図49Aに示されており、先端部20Hは、垂直平面の両側に位置する2つの円形(上下)及び2つの五角形(左右)の中間通路を含む。
【0056】
本発明による第10の実施形態の手術針は、数字10Iによって表されて図50図54に示されており、該手術針は、既に説明された第1の図示される実施形態の針10と同様に機能する。図50図54に図示された第10の実施形態の針10Iの番号付けされた特徴は、同じ番号を共有するが末尾に「H」は付されていない第1の実施形態の針の特徴に類似している。第10の実施形態の手術針10Iは、針10Iが、壁22I、24I、26I、28I、30Iの五角形の断面形状からインセットされた五角形の断面形状を有する先端部20Iを含む点で、前述の第1の図示される実施形態と異なり、ここでは、下壁又は底壁28I、30Iは、針本体14Iの中心軸12I及びオフセットされた先端部20Iの中心軸36Iに垂直に延在する垂直平面P2に対して、平面P2に対する上壁22I、26Iの角度α2と比較して異なる角度α1で、少なくとも上壁24Iの外側に延在する。好ましくは、下壁又は底壁28I、30Iは、平面P2に対して約45度の角度をなしており、上側の側壁22I、26Iは、平面P2に対して約15度の角度をなしている。壁28Iと30Iの頂点は、尖った点32Iで合流する。本発明者らは、先端部の上壁に対する下壁28I、30Iの急な角度が、核の向上したトレンチングを提供し得ると考えている。いくつかの形態においては、先端部20Iは、改善されたトレンチングのために、七角形構造で7つの壁を有してもよい。第10の実施形態の針10Iの変形例が図52図54に示されており、先端部20Iは、下壁又は底壁28I、30Iの間に尖っていない丸みを帯びた頂点部32Iを含む。
【0057】
第10の実施形態の針10Iの別の変形例が図55に示されており、下壁又は底壁28I、30Iは、オフセットされた先端部20Iの中心軸36Iに垂直に延在する垂直平面P2に対して約30度(±3度)の角度α3で、上側の側壁22I、26Iの軸方向外側に延在している。さらに、平面P2に対する上壁22I、26Iの角度α2(表されていない)は、この実施形態の針10Iにおいては、約0度である。針10Iは、先端部20Iに近接して位置する屈曲部114I、及び針本体14Iを含むことが分かる。図示されてはいないが、いくつかの形態においては、角度α3は、0度(先端の平面的な又は平坦な遠位端)~90度(平面P2に垂直)であってもよい。
【0058】
第10の実施形態の針10Iのさらに別の変形例が図56に示されており、下壁又は底壁28I、30Iは、針本体14Iの中心軸12I及びオフセットされた先端部20Iの中心軸36Iに垂直に延在する垂直平面P2に対して、平面P2に対する上壁22I、26Iの角度α2と比較して、異なる角度α1で、少なくとも上壁24Iの外側に延在している。好ましくは、下壁又は底壁28I、30Iは、平面P2に対して約50度(±3度)(又は図示されているようにP2に垂直な平面に対して約40度(±3度))の角度をなしており、一方、上側の側壁22I、26Iは、平面P2に対して約15度(±3度)の角度をなしている。図示されてはいないが、いくつかの形態においては、角度α2は、0度(先端の平面的な又は平坦な遠位端)~90度(平面P2に対して垂直)であってもよく、一方、角度α1は、0度(先端の平面的な又は平坦な遠位端)~90度(平面P2に対して垂直)であってもよく、α1及びα2の当該範囲の任意の組み合わせとすることができる。
【0059】
本発明者らは、本明細書に説明される針の設計が、従来技術の超音波水晶体乳化吸引針と比較した場合に、核の良好な追従性、良好な流動性、核のグレードに関係なく観察可能ながたつき、反発、又は気泡がないこと、グレード4又は5の核を乳化する際にミルク状の流体がないこと、改善された核のスカルプティング又はグルービング、改善されたチャンバーの安定性、及び良好な全体的な効率を呈することを見出した。現在のところ、以上に説明された針先端部の五角形又は五角形のような形状が渦を形成して、バランスのとれた塩溶液の流入の量を増大させ、先端において乳化された核が追従性を高めたものと考えられている。
【0060】
上記より、本発明の新規の構想の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数多くの変更及び変形を行うことができることが見て取れよう。本明細書に例示されている特定の実施形態に関して最も広範な構想の制限は意図されず、又は暗示されないものとすることを理解されたい。本開示は、添付の特許請求の範囲によって、特許請求の範囲内にある全てのそのような変更を包含することが意図される。

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図53
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図55
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【国際調査報告】