(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】イオン及び同位体の生成などの高真空用途向けの磁気回転装置
(51)【国際特許分類】
G21K 5/08 20060101AFI20240801BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20240801BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G21K5/08 R
H01J37/20 E
H01J37/317 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508321
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2021045855
(87)【国際公開番号】W WO2023018419
(87)【国際公開日】2023-02-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521456645
【氏名又は名称】シャイン テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ダニエル
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA39
5C101CC11
5C101DD03
5C101FF16
5C101FF59
(57)【要約】
装置は、真空空間の境界を画定しかつ真空空間の内側の第1の側面と真空空間の外側の第2の側面とを有する壁と、壁の第1の側面に配置されかつ第1の磁石を含む第1のプレートと、壁の第2の側面に配置されかつ第2の磁石を含む第2のプレートと、第2のプレートに機械的に結合されかつ第2のプレートの回転を駆動するように構成されたモータとを含む。第2の磁石は第1の磁石に引力を及ぼし、これが第2のプレートの回転に応じて第1のプレートを回転させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空空間の境界を画定し、かつ前記真空空間の内側の第1の側面と前記真空空間の外側の第2の側面とを含む、壁、
前記壁の第1の側面に配置され、かつ第1の磁石を含む、第1のプレート、
前記壁の第2の側面に配置され、かつ第2の磁石を含む、第2のプレート、及び
前記第2のプレートに機械的に結合され、かつ前記第2のプレートの回転を駆動するように構成された、モータ
を含み、
前記第2の磁石は、前記第1の磁石に引力を及ぼし、これが前記第2のプレートの回転に応じて前記第1のプレートを回転させる、
装置。
【請求項2】
前記引力は、
前記第1のプレートを前記壁と熱接触させ、かつ前記第2のプレートを前記壁と熱接触させることにより、
前記第1のプレートから前記第2のプレートへの熱伝達を可能にする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のプレートと熱接触する冷却コイルを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記壁に結合され、かつ前記壁の第1の側面に第1の端および前記壁の第2の側面に第2の端を有する、軸を更に含み、
前記第1のプレートは、前記軸の前記第1の端にかかり、
前記第2のプレートは、前記軸の前記第2の端にかかる、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記引力によって前記第2のプレートが前記軸に保持される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記壁で前記軸の周囲に配置される、Oリング
を更に含み、
前記第1のプレートと前記第2のプレートの回転中、前記軸と前記Oリングとは前記壁に対して静止する、
請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のプレートと前記第2のプレートは、同じサイズ及び同じ形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記同じ形状は、円形である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のプレートは、複数の追加の第1の磁石を更に含み、前記第2のプレートは、複数の追加の第2の磁石を更に含み、
前記第1の磁石及び前記複数の追加の第1の磁石は、相互に間隔を置いて配置され、前記第1のプレートの回転軸から距離を置いて配置され、
前記第2の磁石及び前記複数の追加の第2の磁石は、相互に間隔を置いて配置され、前記第2のプレートの回転軸から距離を置いて配置される、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のプレートは、前記第1のプレートの前記回転中に前記壁の前記第1の側面に沿ってスライドし、前記第2のプレートは、前記第2のプレートの前記回転中に前記壁の前記第2の側面に沿ってスライドする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のプレートと前記壁の第1の側面との間に配置され、それらの間の摩擦を低減する、フルオロポリマー系乾式潤滑剤
を更に含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のプレートに取り付けられるターゲットを更に含み、前記ターゲットは、その上に入射するイオンビームからの粒子を捕捉するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のプレートの前記回転により、前記イオンビームにさらされる前記ターゲットの領域が変化する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記真空空間内で前記イオンビームを生成しかつ前記ターゲットに向けて前記イオンビームを導くように、構成された、
イオンビーム生成器
を更に含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
イオン生成システムである、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
真空チャンバ内のターゲットに入射するイオンビームを提供すること、
前記真空チャンバの外側で、外部磁石を含む外部プレートの回転を駆動することによって、及び前記外部プレートの前記回転を前記真空チャンバ内の内部プレートに、前記外部磁石と前記内部プレートの内部磁石との間の引力を介して、伝達することによって、前記ターゲットを回転させることであって、ここで前記ターゲットが前記内部プレートに取り付けられる、回転させること
を含む、方法。
【請求項17】
前記内部プレート及び前記真空チャンバの壁を介して、前記ターゲットから前記外部プレートに熱を伝達することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外部プレートを冷却する冷凍サイクルを動作させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外部プレートの前記回転を駆動することは、前記外部プレートに結合されたステッピングモータを動作させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ターゲットを回転させると、前記ターゲットの回転軸に対する前記イオンビームの位置ずれにより、前記イオンビームにさらされる前記ターゲットの面積が増加する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、いくつかの点で、イオン及び/又は同位体の生成、例えば医療用途で使用されるような重金属イオン又は同位体の生成の分野に関する。他の点では、本開示は、イオン及び/又は同位体の生成に使用され得るものなど、高真空エンクロージャでの使用に適したアクチュエータ及び他の装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
概要
本開示の一実装形態は、装置である。装置は、真空空間の境界を画定しかつ真空空間の内側の第1の側面と真空空間の外側の第2の側面とを有する壁と、壁の第1の側面に配置されかつ第1の磁石を含む第1のプレートと、壁の第2の側面に配置されかつ第2の磁石を含む第2のプレートと、第2のプレートに機械的に結合されかつ第2のプレートの回転を駆動するように構成されたモータとを含む。第2の磁石は第1の磁石に引力を及ぼし、これが第2のプレートの回転に応じて第1のプレートを回転させる。
【0003】
いくつかの実施形態では、引力は、第1のプレートを壁と熱接触させ第2のプレートを壁と熱接触させることにより、第1のプレートから第2のプレートへの熱伝達を可能にする。装置は、第2のプレートと熱接触する冷却コイルを更に含み得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、装置は、壁に結合されかつ壁の第1の側面に第1の端を有し壁の第2の側面に第2の端を有する軸を含む。第1のプレートは、軸の第1の端にかかり、第2のプレートは、軸の前記第2の端にかかる。引力は、第2のプレート及び/又は第1のプレートを軸に保持することができる。装置は、壁で軸の周囲に配置されるOリングを、更に含み得る。第1のプレートと第2のプレートの回転中、軸とOリングとは壁に対して静止する。
【0005】
第1のプレートと第2のプレートは同じ形状、例えば円形を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のプレートは、複数の追加の第1の磁石を含み、第2のプレートも複数の追加の第2の磁石を含む。第1の磁石及び複数の追加の第1の磁石は、相互に間隔を置いて配置され、第1のプレートの回転軸から距離を置いて配置され、第2の磁石及び複数の追加の第2の磁石は、相互に間隔を置いて配置され、第2のプレートの回転軸から同じ距離を置いて配置される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、第1のプレートの回転中に壁の第1の側面に沿ってスライドし、第2のプレートは、第2のプレートの回転中に壁の第2の側面に沿ってスライドする。第1のプレートと壁の第1の側面との間にフルオロポリマー系乾式潤滑剤を配置して、それらの間の摩擦を低減することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、ターゲットは、第1のプレートに取り付けられる。ターゲットは、その上に入射するイオンビームからの粒子を捕捉するように構成され得る。第1のプレートの回転により、イオンビームにさらされるターゲットの領域が変化し得る。装置は、真空空間内でイオンビームを生成し、ターゲットに向けてイオンビームを導くように構成されたイオンビーム生成器を更に含み得る。真空空間の圧力は、例えば10mPa未満であり得る。装置は、イオン生成システムであり得る。
【0008】
本開示の別の実装形態は、方法である。該方法は、真空チャンバ内のターゲットに入射するイオンビームを提供することと、外部磁石を含む外部プレートの回転を真空チャンバの外側で駆動することによって及び外部磁石と内部プレートの内部磁石との間の引力を介して、外部プレートの回転を真空チャンバ内の内部プレートに伝達することによって、ターゲットを回転させることとを含む。ターゲットは、内部プレートに取り付けられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、該方法は、内部プレート及び真空チャンバの壁を介して、ターゲットから外部プレートに熱を伝達することを更に含む。該方法は、外部プレートを冷却する冷凍サイクルを動作させることを更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、該方法は、外部プレートに結合されたステッピングモータを動作させることを含む、外部プレートの回転を駆動することを更に含む。ターゲットを回転させると、ターゲットの回転軸に対するイオンビームの位置ずれにより、イオンビームにさらされるターゲットの面積が増加し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、添付の図面と以下の詳細な説明の組み合わせることにより、より完全に理解され得、同じ参照番号は同じ要素を指す。
【0012】
【
図1】いくつかの実施形態による、イオン生成システムのブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、磁気回転装置を有するイオン生成システムのブロック図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、磁気回転装置の第1の等角図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、磁気回転装置の第2の等角図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、磁気回転装置の側面断面図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、磁気回転装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
ある特定の実施形態を詳細に示す図面に移る前に、本開示は、説明に記載される又は図面に示される、詳細又は方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は説明のみを目的としており、限定するものと見なされるべきではないことも理解されたい。
【0014】
概して図面を参照すると、例えばイオン生成システムで使用するための、磁気回転装置に関連するシステム及び方法が示される。イオン又は同位体の生成は、生成対象の粒子と空気又は他の汚染物質との間の汚染を避けるために、高真空(例えば、10mPa未満の圧力)で実行され得る。従って、イオン生成システムの様々な構成要素を収容するために、真空チャンバ(密閉エンクロージャ、気密ボックスなど)を提供できる。しかし、シナリオによっては、汚染の軽減、メンテナンスと組み立ての容易化、使用の容易化、真空チャンバのサイズ要件の軽減などのために、ある特定の構成要素を真空チャンバの外側に有することが好ましい。
【0015】
この点について、本願は、真空チャンバの気密シールを含むことなく、真空チャンバからの熱伝達(又は真空チャンバへの熱伝達)を提供すると同時に、機械的作用を真空チャンバの外側から真空チャンバ内に伝達することができる装置を提供することが望ましいという決定を含む。本明細書の主な例では、磁気回転装置が、イオン生成システム内のイオンビームのターゲットを回転させると同時にターゲットから熱を逃がすために設けられる。本明細書に記載の磁気回転装置の他の用途及び使用も本開示の範囲内である。以下に説明するように、回転を駆動する電気モータは、真空チャンバの外側に配置することができ、熱伝達を促進するために含まれる冷却コイル、冷凍サイクル装置なども同様である。
【0016】
本明細書に記載のシステム及び方法は、それによって、メンテナンス、制御、組み立て/分解の容易化、真空チャンバの密閉性の向上などの様々な利点を提供すると同時に、真空チャンバ内で構成要素を回転させ、真空チャンバの壁を横切って熱伝達を提供するという技術的目標も達成する。以下に説明するイオン生成システムの文脈では、磁気回転装置を動作させることにより、より多量のイオン及び/又は同位体の収集、生成システムのより長時間の連続作業、及びターゲットの熱管理が可能になり、それによってイオン及び/又は同位体の生成システムの効率が向上する。
【0017】
ここで
図1を参照すると、いくつかの実施形態による、イオン生成システム100のブロック図が示される。イオン生成システム100は、イオン源102、引き出し電極(複数可)104、磁気分析装置106、質量分析アパーチャ108、ターゲット110、及びアース端子114とターゲット110に接続される電圧源112を含む。イオン源102、引き出し電極(複数可)104、磁気分析装置106、質量分析アパーチャ108、及びターゲット110は順次配置され、その結果、イオンはイオン源102で生成され、ターゲット110に到達する前に、引き出し電極(複数可)104、磁気分析装置106、及び質量分析アパーチャ108を順次通過する。以下に詳細に説明するように、イオン生成システム100は、取り出し、保管、輸送などが可能で最終的には何らかの用途、例えば医療用途に使用可能な構成された中性物質として、所望のイオンをターゲット110で効率的に収集するように構成される。
【0018】
イオン源102は、イオンを生成するように構成される。例えば、イオン源102は、イオン源102内に供給されるガス、例えばイッテルビウム蒸気などの重金属ガスをイオン化する電子を放出するように動作可能なフィラメントを含む、バーナス又はフリーマンイオン源として構成することができる。他の金属(Lu、Tcなど)も使用できる。電子とガス間の相互作用により、ガスがイオン化され、イオンが生成される。いくつかの実施形態では、イオン源102は、正イオン(すなわち、「カチオン」、正極性を有するイオン)を生成する。別の実施形態では、イオン源は、負イオン(すなわち、「アニオン」、負極性を有するイオン)を生成する。イオン源102は、イオンをイオン源102から引き出すように出口スリット又はアパーチャを含む。いくつかの実施形態では、イオン源102は、例えば2020年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/122,699号(その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されるような、イオン源102の要素を保護し、イオン源102から引き出すイオンの均一性を改善するための補助ヒータを含む。
【0019】
引き出し電極(複数可)104は、イオン源102からイオンを引き出す電場を提供するように構成され動作する1つ以上の電極を含む。イオンは第1の極性(異なる実施形態では正又は負)の電荷を有するため、引き出し電極(複数可)104における反対極性の電圧は、イオンをイオン源からイオンビームとして引き出すことになる。引き出し電極(複数可)104は、イオンビームを加速する、イオンビームを減速する、ビームを成形する、ビームを向けるなどのための1つ以上の電極を含み得る。イオン源102からのイオンビームを加速する電場を提供することによって、引き出し電極(複数可)104は、引き出し電極(複数可)104の電圧と同じ又は類似の大きさの引き出しエネルギーをイオンビームに提供する。例えば、55kVの電圧の電極は、イオンビームが引き出し電極(複数可)104を通過する際に、55kVの引き出しエネルギーをイオンビームに提供することができる(この文脈では、イオンの運動エネルギーはボルトで表現されることが多く、1ボルトは1クーロンあたり1ジュールに等しいことに留意)。
【0020】
従って、高い引き出しエネルギーを有するイオンビームが引き出し電極(複数可)104の出力として提供される。様々な実施形態では、高い引き出しエネルギーは、20kV~80kVの範囲、例えば40kV~60kV(例えば55kV)であり得る。このような実施形態では、引き出し電極(複数可)104に印加される電圧は、特定のシナリオに対して所望の引き出しエネルギーをイオンビームに提供するように選択され得る。
【0021】
図1の例では、イオンビームは引き出し電極104から磁気分析装置106まで通過する。別の実施形態では、磁気分析装置106は省略される。磁気分析装置106は、イオンビームに磁力を生成する磁場を提供するように構成される。各イオンに対する磁力はほぼ等しい可能性があるが、イオンビームには異なる同位体のイオンが含まれる可能性があるため、イオンの質量は異なる。磁気分析装置106によって提供される磁力は、質量によるイオンの分離をもたらし得る。従って、磁気分析装置106を通過した後、イオンビームの横断面のそれぞれの領域は、それぞれの同位体、すなわちそれぞれの質量のイオンを含み得る。
【0022】
図1では、イオンビームは磁気分析装置106から質量分析アパーチャ108まで通過するように示され、質量分析アパーチャ108は、所望のイオンが質量分析アパーチャ108を通過できるようにしながら、イオンの望ましくないサブセットが質量分析アパーチャ108を通過することを阻止するように構成される。特に、質量分析アパーチャ108を通過できるイオンは、主に所望の同位体(又は2つの所望の同位体)のイオンであるが、1つ以上の他の同位体のイオンは質量分析アパーチャ108によって遮断される。これは、磁気分析装置106によって達成される質量による同位体の分離を利用するために、磁気分析装置106に対して質量分析アパーチャ108を位置決めすることによって達成される。様々な実施形態では、様々な幾何学的配置が可能である。従って、磁気分析装置106及び質量分析アパーチャ108を含む例では、ターゲット110に到達するイオンビームは、高い割合(%)の所望の同位体を含み、異なる同位体のイオンによる汚染の割合(%)は低い。
【0023】
質量分析アパーチャ108からのイオンビームはターゲット110に入射する。ターゲット110は、イオンビームのイオンを受け入れて収集するように構成される。ターゲット110は、ターゲット110の表面上の膜として、及び/又はターゲット110の格子構造に埋め込まれることを含む、イオンを受け入れて保持するのに適した基板材料を含み得る。例えば、ターゲット110の基板材料は結晶構造を有し得る。別の例として、ターゲット110の基板材料は、炭素繊維材料(例えば、炭素繊維布)を含み得る。ターゲット110の材料(複数可)はまた、イオンがターゲット110上に収集され、注入され、又はその他の方法でターゲット110において受け入れられる際に、ターゲット110が実質的に一定の電圧に保持されることができるように選択される。ターゲット110の材料(複数可)は、ターゲット110への、又はターゲット110内へのイオンの付着を引き起こすのに役立つように選択され得る。ターゲット110は、イオン源102の動作中にターゲット110に蓄積するイオン材料の収集を容易にするために、イオン生成システム100内で取り外し可能及び交換可能であり得る。
【0024】
ターゲット110は、ターゲット110とアース端子114との間に接続された電圧源112に結合されるように示される。イオン生成システム100の他の要素は、その動作を可能にする適切な電子要素、電源なども含む。電圧源112は、イオンビームと同じ極性を有する電圧(本明細書ではターゲット電圧と呼ばれる)でターゲット110を保持する(配置する、確立する、維持するなど)ように構成される。例えば、
図2~3に示され、以下で説明されるように、正イオンがイオン源によって生成されるシナリオでは、電圧源112によって正電圧がターゲット110に提供され、一方、イオン源によって負イオンが生成されるシナリオでは、電圧源112によって負電圧がターゲット110に提供される。
【0025】
イオンビームがターゲット電圧によって反対方向に強制されることなくターゲットに到達できるように、ターゲット電圧は、好ましくは、イオンビームの引き出しエネルギーよりも低くなり、一方、ターゲット110でのイオンビームの電子的停止と核的停止の両方を最小限に抑えるのに十分なほどイオンビームのエネルギーを低減するのに十分な高さである(それにより、それがなければイオンとターゲット110との間の高エネルギー衝突によって引き起こされる散乱又はスパッタリングが最小限に抑えられる)。例えば、ターゲット電圧は、イオンがターゲット110に到達すると同時にイオンのエネルギーが熱エネルギーに低減されるように、イオンの熱エネルギーに対応する量だけ引き出しエネルギーより小さくてもよい。様々な実施形態では、ターゲット電圧は、引き出しエネルギー未満であり、かつ引き出しエネルギーの95%を超える、例えば、引き出しエネルギーの99%を超える(同時に、引き出しエネルギー未満である)。いくつかの例では、ターゲット電圧は、イオンビームがターゲットに到達する時にイオンビームが約100Vのエネルギーを有するように、引き出しエネルギーよりも約100V低い(例えば、引き出しエネルギーからターゲット電圧を引いた値は約100Vに等しい)。一例では、ターゲットエネルギーは55kV、ターゲット電圧は54.9kVである。
【0026】
いくつかの実施形態では、電圧源112及びターゲット110は、イオン生成システム100の動作中、かつイオンがターゲット110上に収集され(例えば、ターゲット110上の膜として、ターゲット110に埋め込まれる)、中性物質(例えば、所望の同位体(複数可)のもの)に構成される際に、ターゲット110の電圧が実質的に一定に保たれるように構成される。場合によっては、構成されたイオン化物質のターゲット110からの取り出しを容易にするために、ターゲット110をイオン生成システム100から取り外し可能にすることができる。かかる場合には、電圧源112はターゲット電圧をゼロに向かって徐々に低下させるように制御され、ターゲット110上に収集されたイオン化物質を破壊することなくターゲット110を電圧源112から切り離すことができる。いくつかの実施形態では、ターゲット110(又はその一部)は、イオン化物質の輸送及びさらなる処理に使用するために取り出され、イオン生成システム100の後続の動作で使用するために新しいターゲット110(又はその新しい部分)と交換される。別の実施形態では、イオン化物質は、ターゲット110から取り出され、容器(又は他の収集及び保持装置)に収集され、その結果、より多くのイオンを収集できるように、ターゲット110がイオン生成システム100の後続の動作で再利用することができる。
【0027】
ここで
図2を参照すると、いくつかの実施形態による、真空チャンバ202、イオン生成システム204、及び磁気回転装置206を含む装置200の概略図が示される。
【0028】
イオン生成システム204は、イオンビーム生成器208及びターゲット210を含むものとして示される。イオンビーム生成器208は、イオンビームを生成するように、かつイオンビームがターゲット210に入射するようにイオンビームをターゲット210に向けて導くように、構成される。イオンビーム生成器208は、例えば、
図1のイオン源102、引き出し電極104、磁気分析装置106、及び/又は質量分析アパーチャ108を含み得る。ターゲット210は、例えば、
図1のターゲット110と同様に構成され得る。
【0029】
図2に示すように、ターゲット210は磁気回転装置206に結合される。磁気回転装置206は、内部プレート(第1のプレート)212、外部プレート(第2のプレート)214、及びモータ216を含む。内部プレート212は、真空チャンバ202の内側(内部、内、中に含まれる)にあり、真空チャンバ202の壁220の内側218に配置される。外部プレート214は、真空チャンバ202の外側(外部、外、中に含まれない)にあり、壁220の外側222に配置される。モータ216は、外部プレート214に機械的に結合される。ターゲット210は、内部プレート212に機械的に結合される。
【0030】
モータ216は、外部プレート214の回転を駆動するように動作可能である。モータ216は、電気を回転運動に変換する電気モータ、例えばステッピングモータであり得る。モータ216は、モータ216の動作が外部プレート214にトルクを及ぼし、外部プレート214の軸を中心とする外部プレート214の回転を引き起こすように、外部プレート214に結合される。モータ216の回転駆動シャフトは、外部プレート214の軸と位置合わせされて、トルクを外部プレート214に直接伝達して、外部プレート214を回転させることができる。モータ216は、外部プレート214を様々な速度で回転させるように制御可能である。いくつかの実施形態では、モータ216は、毎分約1回転のペースで外部プレート214を回転させるように動作する。
【0031】
外部プレート214は、1つ以上の磁石(例えば、永久磁石)を含み、内部プレート212もまた、外部プレート214の1つ以上の磁石に対応する1つ以上の磁石(例えば、永久磁石)を含む。内部プレート212及び外部プレート214における磁石の例示的な配置が
図3~6に示され、それを参照して説明される。外部プレート214及び内部プレート212の磁石は、外部プレート214によって内部プレート212に引力が作用し、その逆も同様となるように配置される。例えば、外部プレート214の1つ以上の磁石は壁220に面する正磁極で配置され、一方、内部プレート212の1つ以上の磁石は壁220に面する負磁極で配置され得(又はその逆)、その結果、磁石は相互に引き寄せられ、磁力によって内部プレート212と外部プレート214が引き寄せられる。磁石は、真空チャンバ202の壁220を横切って引力を及ぼすのに十分な強い磁場を提供する。いくつかの実施形態では、壁220の厚さは、約0.5インチであり得る。
【0032】
外部プレート214の磁石と内部プレート212との間の磁力の引力により、モータ216による外部プレート214の回転は内部プレート212の回転を引き起こす。図示の例では、内部プレート212は、外部プレート214との間の磁気結合により、外部プレート214の回転に一致するように回転する。それによって回転運動及びトルク(例えば、角運動エネルギー)が、真空チャンバ202の気密シールの完全性を損なうことなく、真空チャンバ202の壁220を横切って伝達される(例えば、気密シールが難しい内部プレート212と外部プレート214との間の機械的係合を必要としない)。
図2に示すように、ターゲット210は、内部プレート212に取り付けられているため、内部プレート212の回転によってターゲット210が回転する。本明細書の例は回転に言及しているが、他の実施形態では、モータ216は、外部プレート214を(例えば、一次元又は二次元で)移動させ、それによって内部プレート212及びターゲット210の対応する移動を引き起こすように構成される。従って、モータ216の動作により、ターゲット210の運動、例えば、ターゲット210の回転が生じる。
【0033】
図2に示すように、イオンビーム生成器208は、イオンビームがターゲット210の回転軸に対して位置ずれ(オフセットなど)されるように、イオンビームをターゲット210に向ける。従って、ターゲット210が磁気回転装置206の動作によって回転する時、イオンビームがターゲット210に入射する点又は領域が変化する。時間の経過とともにターゲット210が回転すると、イオンビームが時間の経過とともにターゲット210の異なる部分に入射し、それによってイオンビームにさらされるターゲット210の総面積が増加する。従って、ターゲット210の移動により、ターゲット210のより広い領域がイオンビームにさらされ、イオンビームからイオン及び/又は同位体を捕捉できるようになる。従って、ターゲット210は、静止しているターゲット210を有する実施形態と比較してより多くの物質を捕捉することができ、ターゲットが満杯になる(飽和、容量など)前に装置200をより長く連続動作させることができる。ターゲットを回転させると、望ましくない可能性があるターゲットを横切る温度勾配を軽減することもできる。
【0034】
磁気回転装置206は、例えば、ターゲット210から熱を除去してその温度を管理するために、真空チャンバへの、又は真空チャンバからの熱伝達を提供するようにも構成される。図示のように、内部プレート212及び外部プレート214は両方とも、真空チャンバ202の壁220と接触して配置される。内部プレート212及び外部プレート214は、高い熱伝導率(例えば、そこを通る熱流に対する低い抵抗)を有する材料、例えば鋼などの金属を含み得る。壁220も同様の材料で作製することができる。内部プレート212と外部プレート214は、壁220を介して相互に熱接触する。このような熱接触は、内部プレート212と外部プレート214を相互に向かって押し付けて壁220に接触させることができる内部プレート212と外部プレート214の磁石間の引力によって維持される。ターゲット210は、内部プレート212に配置されるように示される。それによって、ターゲット210から外部プレート214までの熱伝達経路が形成される。
【0035】
図示の実施形態では、装置200は、外部プレート214と熱連通する冷却システム224も含む。冷却システム224は、外部プレート214から熱を除去するように構成された冷凍サイクル(例えば、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を含む)を含み得る。例えば、冷却システム224は、外部プレート214と熱接触する1つ以上のコイル又は他の熱交換器を通して冷却流体を提供することができる。外部プレート214の冷却は、ターゲット210から離れる熱流を増加させ、これは、イオンビームとターゲット210との衝突がターゲット210に熱エネルギーを提供する実施形態では望ましい場合がある。別のシナリオ(例えば、磁気回転装置206の他の使用例)では、冷却システム224は、内部プレート212を介して真空チャンバ202に熱エネルギー(熱)を伝達するために、外部プレート214に熱エネルギーを提供するように構成された加熱システムを含む、又は加熱システムと置き換えることができる。
【0036】
ここで、
図3~6を参照すると、いくつかの実施形態による、磁気回転装置206の複数の図が示される。磁気回転装置の他の設計も本開示の範囲内である。
図3は、主に外部プレート214を示す等角図を示し、
図4は、主に内部プレート212を示す等角図を示し、
図5は、側面断面図を示し、
図6は、外部プレート214の正面図を示す。以下の説明では、
図3~6を参照する。
図3~6は、真空チャンバ202の壁220に取り付けられる磁気回転装置206を示す。
【0037】
外部プレート214は、輪形、特に円形のディスクとして示される。他の実施形態では、外部プレート214は、別の形状(例えば、多角形、非多角形、長方形、正方形、五角形、六角形、七角形、八角形など)であり得る。外部プレート214は、図示の例では壁220の外側222に嵌合する第1の平坦面300と、第1の平坦面300の反対側の第2の平坦面302と、第1の平坦面300から第2の平坦面302まで延びる周面304とを有する。乾式潤滑剤、例えばフルオロポリマーを、第1の平坦面300及び/又は壁220の外側222上に配置して、それらの間の滑り摩擦を低減し、壁220に沿った外部プレート214の回転を容易にすることができる。
【0038】
外部プレート214は、外部プレート214の中心軸にハブ306を含むものとして示される。ハブ306は、外部プレート214の回転軸を画定する円筒形の開口部として示される。
【0039】
ハブ306は、軸500(
図5に最も良く示されているように)、特に壁220の外側222から延びる軸500の外端502を受け入れるように構成される。軸500は、外端502の反対側、すなわち、壁220の内側218から真空チャンバ202内に延びる内端504も含む。図示の例では、軸500の外端502は、ハブ306の円筒形の開口部のサイズと一致する半径を有し、一方、軸500のより狭い接続セクション506は、壁220の孔を通って軸500の内端504まで延びる。別の実施形態では、外端502及び内端504は、壁220を通って延びる接続セクション506を伴わずに、壁220に直接形成される。Oリング508が、軸500の外端502と壁220の外側222との間に設けられ、軸500における圧力漏れを防ぐために外端502を壁220の外側222に気密シールする。
【0040】
ハブ306は、図示の実施形態では軸500が静止したままで、軸500で回旋(回転、旋回など)するように構成される。ハブ306は、例えば磁気回転装置206の組み立て又は分解中に、選択的に、軸にスライドさせはめることができ、軸から外すことができる。以下に説明する磁力は、外部プレート214に対する外力(例えば、外部プレート214を壁220から引き離す技術者からの力)がなければ、外部プレート214を軸500に保持するのに十分である。いくつかの実施形態では、スナップオンプレート又は他の保持機構をハブ306及び軸500の外端502と係合させて、ハブ306及び外部プレート314をハブ306に保持することができる。
【0041】
外部プレート214はまた、4つの磁石308として示される複数の磁石を含む。磁石308は、各磁石308が静止時に実質的に静磁場を提供するように、安定した磁気極性を有する永久磁石であり得る。4つの磁石308は、その極性が位置合わせするように共通の方向に向けられ得る。例えば、4つの磁石308は全て、壁220に向かう正極性を持って位置合わせすることができる。別の例として、4つの磁石308は全て、壁220に向かう負極性を持って位置合わせすることができる。この例では、4つの磁石308を示すが、様々な実施形態では、任意の数の磁石(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8など)を使用することができる。
【0042】
磁石308は、磁石308が第1の平坦面300に近接して配置され、磁石308が第1の平坦面300を横切る磁場を提供するように、外部プレート214の第2の平坦面302の凹部(開口部、スロット、容器など)に配置される。磁石308は、凹部内に機械的に保持することができ(例えば、クリップ、ボルトなどを用いて外部プレート214の他の構造に結合される、凹部にねじ込まれる、磁石308と凹部との間の高摩擦、凹部に接着されるなど)、及び/又はそれに作用する磁力によって凹部内に保持することができる。
図3~6の例では、磁石308は、円筒形である。
【0043】
磁石308は、ハブ306から、及び外部プレート214の回転軸から(例えば、軸500の中心から)等距離にある。例えば、磁石308は全て、外部プレート214の回転軸から所定の半径だけ離れることができる。この配置により、外部プレート214が回転する時、磁石308は共通の経路に沿って、特に外部プレート214の回転軸から磁石308の間隔によって画定される半径を有する同じ円に沿って移動する。図示のように、磁石308は、そのような円又は経路の周囲に等間隔で配置される。これにより、後述するように内部プレート212との位置合わせが容易になり、磁気回転装置206の動作中の詰まり、飛び、滑り等からの回復が容易になる。
【0044】
図示のように、磁石308は、第2の平坦面302の周面304の近く、すなわち外部プレート214の周囲の近くに配置される。磁石308と軸500との間により大きな距離が設けられる場合、内部プレート212を回転させるための外部プレート214の回転中に生成される各磁石308にかかる負荷が減少する。従って、磁石308をディスクの円周の周囲(すなわち、外部プレート212の円周面304の近く)に配置することにより、磁石が軸500の近くに配置される別の実施形態と比較して、より少ない又はより弱い磁石を使用することが可能になる。
【0045】
外部プレート214はまた、ボルト孔310を含むものとして示される。ボルト孔310は、外部プレート214上の様々な位置に配置され、他の構成要素、装置、機器などを外部プレート214に取り付けることができるように構成される。例えば、モータ216は、ボルト(ねじなど)を使用してモータ216の回転駆動シャフトをボルト孔310の少なくともサブセットに結合することによって、外部プレート214に結合することができる。次いで、モータ216は、ボルト孔310を介して外部プレート214にトルクを伝達することができる。ボルト孔310には、ねじ付きボルトを確実にそこに接続できるようにねじが切られ得る。
【0046】
内部プレート212は、外部プレート214と実質的に同じ構成として示されており、それにより、製造が容易になり、内部プレート212と外部プレート214との間の容易かつ信頼性の高い位置合わせが可能となり得るが、別の互換性のある設計が他の実施形態において使用され得る。内部プレート212は、輪形、特に円形のディスクとして示される。他の実施形態では、内部プレート212は、別の形状(例えば、多角形、非多角形、長方形、正方形、五角形、六角形、七角形、八角形など)であり得る。内部プレート212は、図示の例では壁220の内側218に嵌合する第1の平坦面400と、第1の平坦面400の反対側の第2の平坦面402と、第1の平坦面400から第2の平坦面まで延びる周面404とを有する。乾式潤滑剤、例えばフルオロポリマーを、第1の平坦面400及び/又は壁の内側218上に配置して、それらの間の滑り摩擦を低減し、壁220に沿った内部プレート212の回転を容易にすることができる。他のタイプの潤滑剤(例えば、油ベースの潤滑剤)は、真空チャンバ202内の高真空での使用に適さない場合がある。図示の例では、内部プレート212の形状は外部プレート214の形状と一致する。図示のように、内部プレート212は、壁220を横切って外部プレート214と位置合わせされる。
【0047】
内部プレート212は、内部プレート212の中心軸にハブ406を有する。ハブ406は、内部プレート212の回転軸を画定する円筒形の開口部として示される。ハブ406は、軸500、特に壁220の内側218から延びる軸500の内端504を受け入れる。ハブ406は、図示の実施形態では軸500が静止したままで、軸500で回旋(回転、旋回など)するように構成される。この例では、図示のように、スナップオンプレート(スナップリング、保持部材など)510が含まれており、軸500のノッチ又は溝とハブ406のリップ又はステップの両方に係合し、スナップオンプレート510が軸500上に保持され、ハブ406が軸500から滑り落ちることを防ぐ。それにより、ハブ406は軸500上に保持される。いくつかの実施形態では、スナップオンプレート510は省略されるが、内部プレート212と外部プレート214との間の磁気引力がハブ406を軸500上に保持するように作用する。
【0048】
内部プレート212は、4つの磁石408として示される複数の磁石を含む。この例では、4つの磁石308を示すが、様々な実施形態では、任意の数の磁石(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8など)を使用することができる。磁石408は、各磁石308が静止時に実質的に静磁場を提供するように、安定した磁気極性を有する永久磁石であり得る。4つの磁石408は、その極性が位置合わせするように、特にその極性が外部プレート214の磁石308の極性とは反対の方向を向くように、共通の方向に向けられ得る。外部プレート214の磁石308が壁220に向かう正極性で指向される場合、内部プレート212の磁石408は壁220に向かう負極性で指向される。外部プレート214の磁石308が壁220に向かう負極性で指向される場合、内部プレート212の磁石408は壁220に向かう正極性で指向される。従って、外部プレート214の磁石308と内部プレートの磁石408の磁場は相互作用して、内部プレート212を外部プレート214に向かって引き寄せる、又はその逆に引き寄せる磁力を生成する。
【0049】
磁石408は、磁石408が第1の平坦面400に近接して配置され、磁石408が第1の平坦面400を横切る磁場を提供するように、内部プレート212の第2の平坦面402の凹部(開口部、スロット、容器など)に配置される。磁石408は、凹部内に機械的に保持することができ(例えば、クリップ、ボルト、スクリーンなどを用いて内部プレート212の他の構造に結合される、凹部にねじ込まれる、磁石408と凹部との間の高摩擦、凹部に接着されるなど)、及び/又はそれに作用する磁力によって凹部内に保持することができる。
図3~6の例では、磁石408は、円筒形である。
【0050】
内部プレート212の磁石408(内部磁石408)は、外部プレート214の磁石308(外部磁石308)と位置合わせするように配置される。内部磁石408のハブ406及び軸500からの間隔(距離、半径など)は、内部磁石408が外部磁石308と同じ経路に沿って配置されるように、ハブ306及び軸500からの外部磁石308の間隔と一致する。更に、内部磁石408は、外部磁石308のレイアウトと一致して、上記経路の周囲に等間隔で配置される。
【0051】
図3~6に示すように、内部プレート212及び外部プレート214の両方が軸500上及び壁220に取り付けられる時、内部磁石408のそれぞれは外部磁石308のうちの1つと位置合わせする。内部磁石408及び外部磁石308の配置/レイアウトは対称であるため、そのような位置合わせを達成する相対的な向きが複数存在する。すなわち、磁石408、308のレイアウトは、任意の1つの内部磁石408と任意の1つの外部磁石308との位置合わせが、残りの内部磁石408と残りの外部磁石308の位置合わせを保証するようなものである。
【0052】
一旦位置合わせされると、内部磁石408と外部磁石308との間の磁気引力が、外部磁石308の移動が内部磁石408の移動を引き起こすように、位置合わせを維持するように作用する。外部プレート214の回転(例えば、手動、モータ216の動作などによる)により、外部磁石308が円形経路に沿って移動し、それにより、内部磁石408が同じ円形経路に沿って磁気的に移動し、それによって内部プレート212が回転する。内部磁石408と外部磁石308の一致するレイアウトにより、外部プレート214の回転中にそれらの間の磁気接続及び位置合わせが一時的に失われた場合(例えば、詰まり、抵抗、慣性などにより)でも、外部磁石308は、共有経路に沿って回転し続けることによって、最終的には内部磁石408と再位置合わせすることを確保する。従って、内部磁石408及び外部磁石308は、壁220を横切る回転運動の信頼性の高い自己修復伝達を提供するように配置される。
【0053】
内部プレート212はまた、ボルト孔410を含むものとして示される。ボルト孔410は、内部プレート212上の様々な位置に配置され、他の構成要素、装置、機器などを内部プレート212に取り付けることができるように構成される。例えば、ターゲット210は、ボルト(ねじなど)を使用してターゲット210をボルト孔410の少なくともサブセットに結合することによって内部プレート212に結合することができる。次いで、内部プレート212は、ボルト孔410を介してターゲット210にトルク及び回転を伝達することができる。ボルト孔310には、ねじ付きボルトを確実にそこに接続できるようにねじが切られ得る。
【0054】
図3~5に示すように、内部磁石408と外部磁石408との間の磁気引力は、内部プレート212及び外部プレート214を壁220に接触又は近接するように引き寄せる。内部プレート212、壁220、及び外部プレート214は、同じ又は類似の熱伝導性材料(例えば、金属、鋼など)で作製され得、それにより、
図3~5のように磁気的に一緒に保持される時、例えば、第1の平坦面400の内面領域を横切って、壁220を通って内部プレート212を通って外部プレート214の第1の平坦面300の表面積全体に至るまで、熱が流れることができる実質的に連続した塊が提供される。密接な接触と大きな露出表面積により、磁気回転装置206を横切る高効率の熱伝達が実現される。
【0055】
本明細書で説明されるシステムは、様々な実施形態では、以下の動作を可能にすることができる。イオンビームが、真空チャンバ202内のターゲット210に入射するように提供され得る。例えば外部プレート214に結合されかつ同様に真空チャンバ202の外に配置されたモータ216(例えば、ステッピングモータ)を使用して、真空チャンバ202の外で外部プレート214の回転を駆動することによって、ターゲット210は回転することができる。外部プレート214の磁石308は、真空チャンバ202内の内部プレート212の磁石308に磁気引力を及ぼし、これが外部プレート214の回転を内部プレート212に伝達し、それによって真空チャンバ202の壁220を横切って回転が伝達される。ターゲット210は、内部プレート212の回転がターゲット210の回転を引き起こすように、内部プレート212に取り付けることができる。ターゲット210を回転させると、ターゲットの回転軸に対するイオンビームの位置ずれにより、イオンビームにさらされるターゲットの面積を増加させることができる。熱は、例えばターゲット210を冷却するために、ターゲット210から内部プレート212を介して外部プレート214に壁220を介して伝達され得る。本明細書のシステムを動作させることは、外部プレート214を冷却する冷凍サイクル(例えば、冷却システム224の)を動作させることも含み得る。これら及び他のプロセスは、本明細書で説明されるシステム及び方法によって可能となる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「およそ」、「約」、「実質的に」という用語、及び同様の用語は、本開示の主題が関係する当業者による一般的かつ許容される用法と調和して広い意味を有することを意図している。これらの用語は、これらの特徴の範囲を、提供される正確な数値又は理想化された幾何学的形状に制限することなく、記載及び請求される、ある特定の特徴の説明を可能にすることを意図することを、本開示を検討する当業者は理解すべきである。従って、これらの用語は、記載及び請求される主題の非実質的又は重要でない修飾又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載の開示の範囲内にあるとみなされることを示すものとして解釈されるべきである。
【0057】
本明細書で使用される「結合」という用語及びその変形は、2つの部材を直接的又は間接的に相互に接合することを意味する。このような接合は、静止(例えば、永久的又は固定)であっても、可動(例えば、取り外し可能又は解放可能)であってもよい。このような接合は、2つの部材を相互に直接結合する、別個の介在部材及び相互に結合される追加の中間部材を使用して2つの部材を相互に結合する、又は2つの部材のうちの一方と一体的に形成された介在部材を使用して2つの部材を相互に結合することによって達成され得る。「結合」又はその変形が追加の用語で修飾される場合(例えば、直接結合)、上記の「結合」の一般的な定義は、追加の用語の平易な意味によって修飾され(例えば、「直接結合」とは、別個の介在部材を介さずに2つの部材が結合することを意味する)、その結果、上記の「結合」の一般的な定義よりも狭い定義になる。このような結合は、機械的、電気的、又は流体的であり得る。
【0058】
本明細書における要素の位置(例えば、「上部」、「下部」、「上」、「下」)に対する言及は、単に図面における様々な要素の向きを説明するために使用される。様々な要素の向きは他の例示的な実施形態に従って異なる場合があり、そのような変形は本開示に包含されることが意図されることに留意されたい。「第1の」、「第2の」、「追加の」などの要素への言及は、構成要素を区別する目的で非記述的なラベルとして使用され、本明細書で使用される他のラベル又は名前の代わりに使用することができ、本開示によって完全に支持されるとみなされるべきである。例えば、「第1のプレート」及び「第2のプレート」という用語は、上記の内部プレート及び外部プレートに関する開示によって非限定的な方法で支持されるものとして理解されるべきである。
【0059】
要素を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「1つ(a)」、「1つ(an)」、「前記(the)」という用語、及び同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を対象とすると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内にあるそれぞれの個別の値を個別に参照する簡略的な方法として機能することを単に意図しており、個別の各値は、あたかも本明細書に個別に記載されるかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるあらゆる例、又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に実施形態をよりよく理解することを目的としており、別段に述べられない限り、特許請求の範囲を制限しない。明細書内のいかなる文言も、請求されない要素を必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0060】
図面及び説明は、方法ステップの特定の順序を示している場合があるが、上で別段の指定がない限り、そのようなステップの順序は、図示され説明されるものと異なる場合がある。また、上記で別段の指定がない限り、2つ以上のステップが同時に、又は部分的に同時に実行されてもよい。このような変形は、例えば、選択されるソフトウェア及びハードウェアシステム、ならびに設計者の選択に依存し得る。このような変形例は全て本開示の範囲内にある。同様に、説明した方法のソフトウェア実装形態は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを達成するために、ルールベースのロジック及びその他のロジックを備えた標準的なプログラミング技術を使用して実現することができる。
【国際調査報告】