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特表2024-529691ポリマー基板へのコーティング用可溶性ポリイミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ポリマー基板へのコーティング用可溶性ポリイミド
(51)【国際特許分類】
   C09D 179/08 20060101AFI20240801BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20240801BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240801BHJP
   C09D 5/25 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
C09D179/08
C09D7/20
C09D7/61
C09D5/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024508621
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022039512
(87)【国際公開番号】W WO2023018606
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,739
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524053683
【氏名又は名称】エイチディー マイクロシステムズ
【氏名又は名称原語表記】HD MICROSYSTEMS
【住所又は居所原語表記】Chestnut Run Plaza 974 Centre Road Wilmington, Delaware 19805, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,シー.チャド
(72)【発明者】
【氏名】サマーズ,ジョン ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DJ021
4J038HA026
4J038HA146
4J038JA32
4J038KA06
4J038KA08
4J038MA06
4J038MA13
4J038NA21
4J038PA19
4J038PB09
4J038PC08
(57)【要約】
5~30重量パーセントのポリイミドと、150℃未満の沸点を有する溶媒を含み、任意に顔料をさらに含み、前記ポリイミドが前記溶媒に可溶であり、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物である組成物。フレキシブルポリマーを含む基板上に前記組成物をコーティングする方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
a.5~30重量パーセントのポリイミドであって、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物であり、前記酸二無水物成分が少なくとも85、好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも95、さらにより好ましくは少なくとも99、最も好ましくは100モルパーセントのジフタル酸無水物であって、構造
【化1】
(式中、Lは-O-、-O-Ar1-O-から選択される連結基であり、Ar1は1以上の芳香環を含む基である)を有するジフタル酸無水物を含み、前記ジアミン成分が少なくとも95、好ましくは少なくとも98、最も好ましくは100モルパーセントのジアミンであって、構造
【化2】
(式中、アミン基はメタ位又はパラ位にあり、R基は水素又は1~3個の炭素原子の置換アルキルであり、Lは直接結合又は-O-、-SO-、-OArO-、-RAr-から選択される連結基であり、Rは1~4個の炭素原子のアルキル基であり、Arは1以上の芳香環を含む基である)を有するジアミンを含むポリイミドと、
b.150℃未満の沸点を有する溶媒と、
c.0~15重量%の1種以上の顔料であって、好ましくは無機顔料である顔料
を含む組成物。
【請求項2】
が-O-又は-O-フェニル-C(CH-フェニル-O-である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
がハロゲン化アルキル、好ましくはフッ素化アルキルである請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
が直接結合である請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸二無水物が
【化3】
又は
【化4】
であり、
前記芳香族ジアミンがビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである
請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリイミドが室温で前記溶媒に可溶である請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
200~2000センチポアズ、好ましくは300~600センチポアズの粘度を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒が酢酸アルキル類、アルキルオキシアルキルアセテート類、炭酸エステル類、ケトン類、グリコールアルキルエーテル類、グリコールアルキルエーテルアセテート類、脂環式又は環状アルキルエーテル類、ジエーテル類又はトリエーテル類を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記顔料の量が0.1~5重量パーセントである請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記顔料が、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、硫酸塩、及び酸化物のうちの1種以上を含み、無機着色顔料は、酸化鉄(黄色、赤色、茶色)、マンガンバイオレット、ピグメントブルー27及び28(アイアン及びコバルトブルー)、カーボンブラックを含む請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物を提供し、それを基板上にコーティングし、乾燥させて、前記基板上に1~5マイクロメートルの厚さを有する膜を形成することを含む方法。
【請求項12】
前記コーティングがグラビアコーティングを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板がフレキシブルポリマー基板、好ましくはポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレンを含む請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板が導電層を含む請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の方法によって製造される物品であって、以下の1以上によって特徴付けられる物品:
前記膜が4~10の誘電率を有する、
前記膜が400~750nmで1~80%の透過率を有する、
前記膜が少なくとも200ボルト/ミクロンの絶縁破壊電圧を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年8月13日に出願された米国仮出願第63/232,739号の利益を主張しており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、ポリイミドと顔料の溶液、そのような溶液を特にポリマー基板にコーティングする方法、及びそのように形成されるコーティングされたポリマー基板である。
【背景技術】
【0003】
特定のポリイミドは、例えば、集積回路の製造において、電気絶縁層として、又はパッシベーション膜として使用されている。しかしながら、ポリイミドは高価になり得る。したがって、好ましい材料特性にもかかわらず、ある程度大規模に、又は低コストの用途で使用することは不経済であり得る。
【0004】
さらに、多くの場合、ポリイミド膜又は層は、基板上にコーティングされたポリアミド酸の硬化又は脱水によって形成されている。このような硬化/脱水は、ポリイミドを生成し得る高温で発生するため、ガラス転移温度(Tg)又は融解温度(Tm)が低いポリマーのコーティング層としての使用には適さない可能性がある。
【0005】
低コストで大規模な用途において経済的に使用することができ、及び/又は比較的低いTg又はTmのポリマー基板に適用することが可能なポリイミド組成物が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示される組成物は、5~30重量パーセントのポリイミドであって、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物であり、前記酸二無水物成分は、少なくとも85、好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも95、さらに好ましくは少なくとも99、最も好ましくは100モル%の構造:
【化1】
(式中、Lは、-O-、-O-Ar1-O-から選択される連結基であり、Ar1は、1以上の芳香環を含む基である)を有するジフタル酸無水物を含み、前記ジアミン成分は、少なくとも95、好ましくは少なくとも98、最も好ましくは100モルパーセントの構造:
【化2】
(式中、アミン基はメタ位又はパラ位にあり、R基は水素又は1~3個の炭素原子の置換アルキルであり、Lは直接結合又は-O-、-SO-、-OArO-、-RAr-から選択される連結基であり、Rは1~4個の炭素原子のアルキル基であり、Arは1以上の芳香環を含む基である)を有するジアミンを含むポリイミドと、150℃未満の沸点を有する溶媒と、0~15重量%の1種以上の顔料を含む組成物である。前記ポリイミドは前記溶媒に可溶であり得る。
【0007】
また、本明細書に開示される方法は、上記の組成物を提供し、基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレンを含むフレキシブルポリマー基板)上に前記組成物をコーティングし(例えば、グラビアコーティングによって)、乾燥させて、前記基板上に1~5マイクロメートルの厚さを有する膜を形成することを含む方法である。
【0008】
また、本明細書に開示される物品は、上記の方法によって製造され得る物品であり、そして、以下の1以上によって特徴付けられる物品である:前記膜が4~10の誘電率を有する、前記膜が400~750nmで1~80%の透過率を有する、前記膜が少なくとも200ボルト/ミクロンの絶縁破壊電圧を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
出願人は、ポリアミド酸を含むポリイミド前駆体配合物中の顔料の存在が処理に問題を引き起こす可能性があることを見出した。
【0010】
本明細書に開示される組成物は、5~30重量%のポリイミドと、150℃未満の沸点を有する溶媒を含む組成物であり、前記ポリイミドは、前記溶媒中に存在する量に可溶である。前記組成物は、最大15、又は最大10重量%の量の顔料をさらに含むことができる。前記組成物は、前記ポリイミドのポリアミド酸前駆体を含まないか、又は実質的に含まないことができる。前記組成物は、100~5000センチポアズ、又は150~2000センチポアズ、又は200~1500センチポアズ、又は250~1000センチポアズ、又は300~600センチポアズの粘度を有し得る。また、開示される方法は、前記組成物を提供し、基板上に前記組成物を、例えばグラビアコーティングによって、コーティングすることを含むコーティングの方法である。前記基板は、ポリマー、例えば、低コストポリマー及び/又は低Tg又は低Tmポリマーを含むか、当該ポリマーを主要成分として含むか、又は当該ポリマーから本質的に構成されることができ、前記Tg及び/又はTmは、ポリアミド酸からポリイミドを形成するための硬化又は脱水温度よりも低い。また、本明細書に開示される物品は、このような基板上に前記ポリイミドの膜を含む物品である。
【0011】
ポリイミド
前記組成物の前記ポリイミド成分は、優れた電気絶縁特性及び/又は絶縁耐力を提供することができる。前記ポリイミドは、ポリスチレン分子量校正によるガス透過クロマトグラフィーによって決定される、80,000~250,000、又は100,000~200,000、又は110,000~160,000グラム/モルの重量平均分子量を有し得る。
【0012】
前記ポリイミドは、ジフタル酸無水物とジアミンを含む反応混合物の反応生成物である。
【0013】
前記ジフタル酸無水物は、以下の式I:
【化3】
(式中、Lは-O-、-O-Ar-O-から選択される連結基であり、Arは1以上の芳香環及びアルキレン基を含む基である)を有し得る。例えば、Arは、フェニレンなどのアリーレンであり得る。別の例として、Arは、2以上の芳香環を含み得る。前記2以上の芳香環は、直接結合によって、又は例えば1、2、3、4、又は5個の炭素原子のアルキレン基によって連結され得る。Lは、アルキレン基であり、例えば、1、2、3、4、又は5個の炭素原子を含み得る。前記Ar又はアルキレン基は、置換又は非置換であり得る。例えば、置換は、アルキレン結合基のフッ素又は芳香環のフッ素化アルキル、例えばトリフルオロメチルであり得る。前記酸二無水物の例としては、以下が挙げられる。
【化4】
【化5】
【化6】
【0014】
上記のジフタル酸無水物は、反応混合物中の単独のジフタル酸無水物であってもよいし、上記の2以上のジフタル酸無水物を互いに組み合わせて用いてもよい。上記のジフタル酸無水物は、別の酸二無水物と組み合わせて用いることができ、式Iのジフタル酸無水物の量(又は存在するその種の合計)は、反応混合物中に存在する前記酸二無水物の総量に基づいて、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98又は少なくとも99モルパーセントである。このような他の酸二無水物の例は、
【化7】
である。
【0015】
拘束されることを望まないが、前記連結基は、得られるポリイミドの溶解性を高めることができる構造の柔軟性を提供できると考えられる。
【0016】
前記酸無水物は、ジアミンと反応してポリアミド酸を形成する。前記ジアミンは、式(II):
【化8】
(式中、アミン基はLに関連するフェニル環のメタ位又はパラ位にある)を有し得る。Rは、水素又は1、2、3又は4個の炭素原子のアルキル基であり得る。Rの前記アルキル基は、例えば、ハロゲンで置換され得る。例えば、Rはトリフルオロメチルであり得る。アルキル基としてのRは、例えば、Lに関連するオルト位にあり得る。Lは、直接結合又は-O-、-SO-、-OArO-、-RAr-、-ArAr-から選択される連結基であり、Rは1~4個の炭素原子のアルキル基であり、Arは1以上の芳香環を含む基である。例えば、Arはフェニレンなどのアリーレンであり得る。
【0017】
ジアミンの例としては、
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
が挙げられる。
【0018】
上記のジアミンは、反応混合物中の単独のジアミン(例えば、TFMBは、反応混合物中の単独のジアミンであり得る)であってもよいし、上記の2種以上のジアミンを互いに組み合わせて用いてもよい。上記のジアミンは、別の酸二無水物と組み合わせて用いることができ、式Iのジアミン(例えば、TFMB)の量(又はその種の合計)は、反応混合物中に存在する酸二無水物の総量に基づいて、少なくとも95、少なくとも98又は少なくとも99モルパーセントである。
【0019】
溶媒中に酸二無水物及びジアミンを含む反応混合物を反応させてポリアミド酸を形成する。酸二無水物の総モル数:ジアミンの総モル数の比率は約1:1であり得る。前記ポリアミド酸は、例えば、3-アミノフェノール、トリメリット酸無水物、フタル酸無水物、アニリン、メチルアニリン、脂肪族アミン(ブチルアミン及びドデシルアミンなど)及び無水マレイン酸で終端され得る。
【0020】
前記ポリアミド酸は、脱水及び/又は加熱によってポリイミドに変換される。例えば、脱水は、1種以上の脱水剤(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、n-酪酸無水物、安息香酸無水物、酢酸安息香酸無水物)及びピリジン、3-ピコリン、ルチジン、ジメチルアニリン、4-ジメチルアミノピリジン、トリアルキルアミン、トリエチルアミン、キノリン及びN-メチルモルホリンなどの3級アミン触媒の添加によって、及び/又はポリイミドを形成するために加熱し硬化させることによって起こり得る。例えば、化学的脱水では、通常、完全な変換を確実にするために、80℃以下で1~2時間最小限加熱する必要があり得る。あるいは、ポリ(アミド酸)は、イミド化から水の共沸蒸留によってポリイミド溶液に熱変換されてもよい。このプロセスでは、10~15%の共沸溶媒(ベンゼン、トルエン又はキシレンなど)を添加した後に、130~180℃の範囲の温度で数時間還流する。
【0021】
前記ポリイミドを沈殿させて粉末を形成し、それをコーティング用の所望の溶媒に再分散させることができる。あるいは、場合によっては、コーティング用の所望の溶媒中にポリイミドを形成することが可能であり、その場合には、沈殿及び再溶解を回避し得る。前記組成物の総重量に基づくポリイミドの量は、3~30重量%、5~25重量%、又は7~20重量%又は10~15重量%であり得る。
【0022】
溶媒
前記溶媒は、150℃未満、又は140℃未満の沸点を有する溶媒であり得る。前記溶媒は、少なくとも50℃、又は少なくとも70℃の沸点を有し得る。前記沸点が高すぎると、コーティング中の溶媒除去に時間が掛かりすぎたり、前記ポリマー基板を損傷し得る温度まで加熱する必要がある。前記沸点が低すぎると、急激な蒸発がスキニング又は気泡滞留を発生させ得る。好適な溶媒としては、例えば、酢酸エチル又は酢酸ブチルなどの酢酸アルキル類、2-メトキシエチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類、炭酸ジメチル(DMC)などの炭酸エステル類、メチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノンなどのケトン類、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールアルキルエーテルアセテート類、テトラヒドロフラン(THF)などの環状エーテル類、ジメトキシエタンなどのジエーテル類又はトリエーテル類を含むアルキルエーテル類が挙げられる。溶媒ブレンドが使用され得る。このような溶媒ブレンドは、上記の例示的な溶媒のうちの1以上と、別のそのような溶媒又は任意の他の適合し得る溶媒との組み合わせを含み得る。
【0023】
前記ポリイミドは前記溶媒に溶解する。本明細書に開示される前記組成物では、前記ポリイミドは、前記溶媒に可溶であることが好ましい。前記ポリイミドは、前記ポリイミド及び溶媒の総重量に基づいて、最大10又は最大30重量パーセントの量で存在する場合、好ましくは前記組成物中に存在する量で存在する場合、前記溶媒に可溶であり得る。具体的には、溶解性は、室温で濁り、ヘイズ又は微粒子を目に見えて観察されない場合に確認され得る。
【0024】
顔料
本発明者らは、顔料を添加することにより、良好な機械的特性とともに、例えば絶縁破壊電圧によって示される絶縁耐力を維持しながら、前記ポリイミド膜自体よりも高い誘電率を有する膜を得ることができることを見出した。したがって、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、0~15、又は0.05~10、又は0.1~5重量%の量の顔料粒子(例えば、無機顔料又はカーボンブラック)を含み得る。
【0025】
本発明者らは、可溶性ポリイミドを用いることで、このような顔料の配合が可能であることを見出した。対照的に、前記ポリアミド酸は、前記顔料の分散性に悪影響を与える可能性がある。したがって、特に顔料が含まれる場合、前記組成物は、ポリアミド酸を含まないか、又は実質的に含まないことが好ましい。実質的含まないとは、フーリエ変換赤外分光法によって決定される前記組成物中のポリアミド酸及びポリイミドの合計量に基づいて、ポリアミド酸が5%未満、1%未満、又は0.5%未満、又は0.1%未満であることを意味する。
【0026】
無機顔料は、本発明に特に有用であることがわかった。無機顔料の例としては、不透明顔料及び着色顔料が挙げられる。不透明顔料は、屈折率が高いため、コーティング中の光散乱が増加してコーティングされた基板を効果的に「隠す」ことができる。高屈折率顔料は、通常、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、硫酸塩、及び酸化物などの無機物である。無機着色顔料としては、酸化鉄(黄色、赤色、茶色)、マンガンバイオレット、ピグメントブルー27及び28(アイアン及びコバルトブルー)が挙げられる。カーボンブラックは顔料として使用され得る。
【0027】
有機顔料は、色を調節するために配合され得る。有用な色特性を有する有機顔料の例は、(シアン)ピグメントブルー15:3及びピグメントブルー15:4、(マゼンタ)ピグメントレッド122及びピグメントレッド202、(黄色)ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー128及びピグメントイエロー155、(赤色)ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ62、ピグメントレッド17、ピグメントレッド49:2、ピグメントレッド112、ピグメントレッド149、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド188、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255及びピグメントレッド264、(緑色)ピグメントグリーン1、ピグメントグリーン2、ピグメントグリーン7及びピグメントグリーン36、(青色)ピグメントブルー60、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット32、ピグメントバイオレット36及びピグメントバイオレット38である。
【0028】
また、他の顔料としては、剥脱クレー及びコアシェルラテックス(空気充填)顔料が挙げられ、TiO2などの無機物と組み合わせて補助的な隠蔽/不透明顔料として使用されている。
【0029】
上記の顔料は、前記組成物中で単独で、又は1種以上の他の顔料と組み合わせて使用され得る。
【0030】
コーティング及び物品
本明細書に開示される方法は、前記組成物を提供し、基板上にコーティングし、乾燥させて、溶媒を除去することを含む。前記コーティングは、グラビアコーティング、スピンコーティング、バーコーティングなどによって行い得る。前記乾燥は、50~170℃、又は70~150℃、又は80~120℃の温度で行い得る。前記乾燥温度は、前記ポリマー基板のTg又はTm未満であり得る。乾燥は、1~最大30分の時間で行い得る。
【0031】
前記基板は、低コスト又は低Tg又は低Tmポリマーを含む基板であり得る。前記基板は、低コスト膜を含み得る。前記基板は、200℃未満、又は180℃未満、又は160℃未満のTg及び/又はTmを有するポリマー膜を含み得る。前記基板は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらのコポリマーなどのオレフィン系重合体を含み得る。前記基板は、ポリスチレン又はスチレンと1以上の他のモノマーとのコポリマーなどのスチレン重合体を含み得る。前記基板の前記ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンナフタルテート(PEN)などのポリエステルであり得る。
【0032】
前記基板上の前記コーティング(本明細書では膜又は層ともいう)は、0.5~20ミクロン、1~10ミクロン又は1~5ミクロンの厚さを有し得る。前記コーティングは、少なくとも100、又は少なくとも200、又は少なくとも250ボルト/ミクロンの厚さの電圧破壊を有し得る。前記コーティングは、3~10、又は4~9の誘電率を有し得る。前記コーティングは、イーグルガラス(ティーエムコーニングガラス)上の測定では、3.5ミクロンの厚さで少なくとも90%の透過率(顔料を添加していない)を有し得る。前記コーティング(顔料を添加していない)は、少なくとも92又は少なくとも95%の透過率を有し得る。透過率は、HunterLab UltraScan(商標)などの分光光度計を使用して決定され得る。
【実施例1】
【0033】
ポリイミド合成
窒素パージ用の、機械式攪拌機を備えた500mL丸底フラスコに、30.78gの2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)(「TFMB」)と、171.87gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を入れ、1時間混合した。29.21gの量のオキシジフタル酸無水物(ODPA)を、合計168.16gのNMPですすぎながら4時間かけて添加した。一晩撹拌した後、その反応混合物は、531.8センチポアズ(cP)の粘度を有していたので、0.299gのODPAを添加して化学量論を調整し、粘度を高めた。前記粘度は、合計5日間にわたって監視され、合計0.733gのODPAで調整され、最終的なポリ(アミド酸)溶液の粘度を3026cPにした。前記ポリアミド酸は、3-ピコリン(21.44g)と無水酢酸(24.04g)を添加し、一晩混合することにより、化学的にポリイミドに変換された。前記ODPA/TFMBポリイミドは、NMPから析出された。その微粉末は、濾過し、真空下で80℃で乾燥させた後、合計57.81g得られた。相対GPCによる測定として、このポリイミド粉末は、約260,000g/molの重量平均分子量Mwと、2.82の多分散性を有していた。DSC分析に基づくガラス転移温度(Tg)は294.5℃であり、TGAは540.45℃で5%の重量減少を示した。
【0034】
このポリイミド粉末は、室温での目視検査によって、ロールツーロールグラビア又はスロットダイコーティングに潜在的に適した幾つかの揮発性溶媒(酢酸エチル、MEK、PGMEA(酢酸プロピレングリコールメチルエーテル)、シクロペンタノン、2-メトキシエチルアセテート、及びTHFを含む)に可溶(ヘイズ又は濁りのない少なくとも10%重量)であることがわかった。
【実施例2】
【0035】
ポリイミドインクは、実施例1と同様にポリイミド乾燥粉末をシクロペンタノンに固形分約12重量%で最初に溶解することによって配合した。次に、TiOの分散液(PGMEA及び酢酸ブチルに固形分66%)をポリイミド溶液に添加し、一晩混合した後、そのインクを5ミクロンのシリンジフィルターで濾過した。表1は、スピンコーティングに適した幾つかの例を示す。別のコーティングプロセスでは、追加の希釈が必要になる場合がある。例えば、グラビアコーティングには、300~600センチポアズの粘度が使用され得る。
【表1】
【0036】
前記インクから約10ミクロンでコーティングした膜は、ASTM D149 IEC60243に準拠した絶縁耐圧又は耐電圧(高電位)試験機を用いて誘電率及び絶縁破壊電圧について試験された。透過率92.01%及びそれぞれ96.833、-0.004、0.146のエルスター(L)、エースター(a)、ビースター(b)を有するイーグルガラス基板上の厚さ3~5ミクロンの膜がハンターラボウルトラスキャンXEスペクトロ測色計を用いて色彩及び透過率について試験された。表2はそのデータをまとめたものである。
【表2】
【0037】
上記のデータは、白色顔料(TiO2)を添加した膜は、高い絶縁破壊電圧を維持し、且つ審美的な不透明度/色彩を提供しながら、静電容量アプリケーションでの電気的性能を向上させるための誘電率を増加させることを示している。
【実施例3】
【0038】
ポリイミドは、実施例1と同様の手順で作製した。使用した酸二無水物は、ODPA又は4,4-ビスフェノールAジフタル酸無水物(BPADA)のいずれかであった。使用したジアミンは、芳香族ジアミン、TFMB、又は脂環式ジアミン
【化17】
のいずれかであった。これらのポリイミドの可溶性は、バイアル内で混合し、室温で一晩ボルテックス及びローリングすることによって、溶媒中、サンプルの総重量に基づいて10重量%で、表3に示されるように種々の溶媒で試験した。その結果は、芳香族ジアミンで作られたポリイミドは、様々な低温溶媒への可溶性が著しく優れていることを示している。可溶性は室温で目視で評価した。はい(Y)という記号は、組成物がクリア(曇っていない)であり、沈殿物がなかったことを示す。いいえ(N)という記号は、曇り及び/又は沈殿を示す。NAという記号は、組み合わせが試験されなかったことを示す。
【表3】
【0039】
また、ODPA/TFMB及びBPADA/TFMBのポリイミドは、PGMEAとブチロラクトンの溶媒ブレンド(30/70重量/重量)に可溶であることがわかった。
【実施例4】
【0040】
表4に示されるように、酸二無水物としてのBPADAを
【化18】
【化19】
又は
【化20】
と組み合わせることによって、種々のポリイミドを上記した通りに作製した。これらは、実施例3に記載の通りに試験した。これらのポリイミドは、BPADAとTFMBの反応によるポリイミドほど多くの溶媒に溶解しなかったが、表4に示されるように特定の溶媒に可溶であることがわかった。
【表4】
【実施例5】
【0041】
酸二無水物としてのOPDAをBisPとDDSの混合物と組み合わせることによって、ポリイミドを上記した通りに作製した。それらは、実施例3に記載の通りに可溶性について試験した。このポリイミドは、ODPA/TFMBのポリイミドほど多くの溶媒に溶解しないが、酢酸メトキシエチル、シクロペンタノン、及びPGMEAとブチロラクトンの溶媒ブレンド(30/70)に溶解することがわかった。
【実施例6】
【0042】
比較組成物を作製した。1つ目は、
【化21】
とDMDCのポリイミドである。2つ目は、
【化22】
とDDS及びBisPの混合物である。これらのポリイミドは、実施例3に記載の通りに試験した。これらのポリイミドは、概して不溶性であることがわかったが、1つ目のポリイミドは、シクロペンタノンとTHFに可溶であった。
【0043】
本開示は、以下の態様をさらに包含する。
【0044】
態様1:組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、3~30、好ましくは5~30、より好ましくは5~25、さらに好ましくは7~20、さらにより好ましくは10~15重量%のポリイミドであって、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物であり、前記酸二無水物成分が、前記酸二無水物成分の総モル数に基づいて少なくとも85、好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも95、さらにより好ましくは少なくとも99、最も好ましくは100モルパーセントの、構造:
【化23】
(式中、Lは-O-、-O-Ar1-O-から選択される連結基であり、Ar1は1以上の芳香環を含む基である)を有するジフタル酸無水物を含み、前記ジアミン成分が、前記ジアミン成分の総モル数に基づいて少なくとも95、好ましくは少なくとも98、最も好ましくは100モルパーセントの、構造:
【化24】
(式中、アミン基はメタ位又はパラ位にあり、R基はそれぞれ個別に水素又は1、2、又は3個の炭素原子の置換アルキルであり、Lは直接結合又は-O-、-SO-、-OArO-、-RAr-から選択される連結基であり、Rはそれぞれ個別に1、2、3、又は4個の炭素原子のアルキル基であり、Arは1以上の芳香環を含む基である)を有するジアミンを含むポリイミドと、150℃未満、好ましくは140℃未満、又は好ましくは50~150℃、最も好ましくは70~140℃の沸点を有する溶媒と、前記組成物の総重量に基づいて0~15、好ましくは0.05~10、より好ましくは0.1~5重量パーセントの1種以上の顔料を含み、前記顔料が好ましくは無機顔料である組成物。
【0045】
態様2:Lが-O-又は-O-フェニル-C(CH-フェニル-O-である態様1の組成物。
【0046】
態様3:Rがハロゲン化アルキル、好ましくはフッ素化アルキルである態様1又は2の組成物。
【0047】
態様4:Lが直接結合である上記態様のいずれか1つの組成物。
【0048】
態様5:前記酸二無水物が
【化25】
又は
【化26】
であり、前記芳香族ジアミンがビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである上記態様のいずれか1つの組成物。
【0049】
態様6:前記ポリイミドが室温で前記溶媒に可溶である上記態様のいずれか1つの組成物。
【0050】
態様7:前記ポリイミドが、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20重量パーセントの量で、室温で前記溶媒に可溶である上記態様のいずれか1つの組成物。
【0051】
態様8:前記ポリイミドが、最大30重量パーセントの量で、室温で前記溶媒に可溶である上記態様のいずれか1つの組成物。
【0052】
態様9:200~2000センチポアズ、好ましくは300~600センチポアズの粘度を有する上記態様のいずれか1つの組成物。
【0053】
態様10:前記溶媒が、酢酸アルキル類、好ましくは酢酸エチル又は酢酸ブチル、アルキルオキシアルキルアセテート類、好ましくは2-メトキシエチルアセテート、炭酸エステル類、好ましくはジメチルカーボネート(DMC)、ケトン類、好ましくはメチルエチルケトン(MEK)及び/又はシクロペンタノン、グリコールアルキルエーテル類、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテル、グリコールアルキルエーテルアセテート類、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、脂環式又は環状アルキルエーテル類、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、ジエーテル類、好ましくはジメトキシメタン、又はトリエーテル類を含む上記態様のいずれか1つの組成物。
【0054】
態様11:前記顔料がTiO2からの着色顔料又はその組み合わせを含む上記態様のいずれか1つの組成物。
【0055】
態様12:態様1~10のいずれか1つの組成物を提供し、それを基板上にコーティングし、乾燥させて、前記基板上に1~5ミクロンの厚さを有する膜を形成することを含む方法。
【0056】
態様13:前記コーティングがグラビアコーティングを含む態様12の方法。
【0057】
態様14:前記基板がフレキシブルポリマー基板、好ましくはポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレンを含む態様12又は13の方法。
【0058】
態様15:前記基板が導電層を含む態様12~14のいずれか1つの方法。
【0059】
態様16:態様12~15のいずれか1つの方法によって製造される物品。
【0060】
態様17:以下の1以上によって特徴付けられる態様15の物品:前記膜が4~10の誘電率を有する、前記膜が400~750nmで1~80%の透過率を有する、前記膜が少なくとも200ボルト/ミクロンの絶縁破壊電圧を有する。
【0061】
態様18:フレキシブルポリマー及び導電層を含む基板であって、その上にポリイミド及び顔料を含む膜を有する基板を含み、前記膜が4~10の誘電率と、少なくとも200ボルト/ミクロンの絶縁破壊電圧によって特徴付けられる物品。
【0062】
本明細書で開示される全ての範囲は終点を含み、前記終点は互いに独立して組み合わせ可能である(例えば、「最大25重量%、又は、より具体的には、5重量%~20重量%」の範囲は、終点及び「5重量%~25重量%」の範囲のすべての中間値を含むなど)。さらに、記載された上限値及び下限値を組み合わせて範囲を形成することができる(例えば、「少なくとも1又は少なくとも2重量パーセント」及び「最大10又は5重量パーセント」は、「1~10重量パーセント」、又は「1~5重量パーセント」又は「2~10重量パーセント」又は「2~5重量パーセント」の範囲として組み合わせることができる)。
【0063】
本開示は、本明細書で開示される任意の適切な構成要素を交互に含み得る、からなり得る、又は本質的に構成され得る。本開示は、追加的に、又は代替的に、先行技術の組成物に使用される任意の構成要素、材料、成分、アジュバント又は種類、又は本開示の機能及び/又は目的の達成に必要でない別のものを欠くか、又は実質的に含まないように、考案されてもよい。
【0064】
引用されたすべての特許、特許出願、及びその他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願の用語が組み込まれた参考文献の用語と矛盾又は対立する場合、本出願の用語は、組み込まれた参考文献の矛盾する用語よりも優先される。
【0065】
本明細書に別段の定めがない限り、すべての試験規格は、本出願の出願日、又は優先権が主張されている場合は、試験規格が出現する最も早い優先出願の出願日において有効な最新の規格である。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
a.5~30重量パーセントのポリイミドであって、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物であり、前記酸二無水物成分が少なくとも85モルパーセントのジフタル酸無水物であって、構造
【化1】
(式中、Lは-O-、-O-Ar1-O-から選択される連結基であり、Ar1は1以上の芳香環を含む基である)を有するジフタル酸無水物を含み、前記ジアミン成分が少なくとも95モルパーセントのジアミンであって、構造
【化2】
(式中、アミン基はメタ位又はパラ位にあり、R基は水素又は1~3個の炭素原子の置換アルキルであり、Lは直接結合又は-O-、-SO-、-OArO-、-RAr-から選択される連結基であり、Rは1~4個の炭素原子のアルキル基であり、Arは1以上の芳香環を含む基である)を有するジアミンを含むポリイミドと、
b.70~150℃の沸点を有する溶媒を含み
以下の1つ以上によって特徴付けられる組成物:
が-O-Ar1-O-である、
前記溶媒が80℃より高い沸点を有する、
前記組成物が本質的に前記ポリイミドと前記溶媒から成る
【請求項2】
が-O-又は-O-フェニル-C(CH-フェニル-O-である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
がハロゲン化アルキル、好ましくはフッ素化アルキルである請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
が直接結合である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸二無水物が
【化3】
又は
【化4】
であり、
前記芳香族ジアミンがビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである
請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリイミドが室温で前記溶媒に可溶である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
200~2000センチポアズの粘度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒が酢酸アルキル類、アルキルオキシアルキルアセテート類、炭酸エステル類、ケトン類、グリコールアルキルエーテル類、グリコールアルキルエーテルアセテート類、脂環式又は環状アルキルエーテル類、ジエーテル類又はトリエーテル類を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記顔料の量が0.1~5重量パーセントである請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記顔料が、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、硫酸塩、及び酸化物のうちの1種以上を含み、無機着色顔料は、酸化鉄(黄色、赤色、茶色)、マンガンバイオレット、ピグメントブルー27及び28(アイアン及びコバルトブルー)、カーボンブラックを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物であって、
a.5~30重量パーセントのポリイミドであって、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物であり、前記酸二無水物成分が少なくとも85モルパーセントのジフタル酸無水物であって、構造
【化5】
(式中、L は-O-、-O-Ar1-O-から選択される連結基であり、Ar1は1以上の芳香環を含む基である)を有するジフタル酸無水物を含み、前記ジアミン成分が少なくとも95モルパーセントのジアミンであって、構造
【化6】
(式中、アミン基はメタ位又はパラ位にあり、R 基は水素又は1~3個の炭素原子の置換アルキルであり、L は直接結合又は-O-、-SO -、-OAr O-、-R Ar -から選択される連結基であり、R は1~4個の炭素原子のアルキル基であり、Ar は1以上の芳香環を含む基である)を有するジアミンを含むポリイミドと、
b.150℃未満の沸点を有する溶媒と、
0~15重量%の1種以上の顔料
を含む組成物を提供し、前記組成物を基板上にグラビアコーティングし、乾燥させて、前記基板上に1~5マイクロメートルの厚さを有する膜を形成することを含む方法。
【請求項12】
前記基板がフレキシブルポリマーを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板が導電層を含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
フレキシブルポリマー基板上にポリイミド膜を含む物品であって、
前記ポリイミド膜が、ポリイミドであって、酸二無水物成分とジアミン成分の脱水反応生成物であり、前記酸二無水物成分が少なくとも85モルパーセントのジフタル酸無水物であって、構造
【化7】
(式中、L は-O-、-O-Ar1-O-から選択される連結基であり、Ar1は1以上の芳香環を含む基である)を有するジフタル酸無水物を含み、前記ジアミン成分が少なくとも95モルパーセントのジアミンであって、構造
【化8】
(式中、アミン基はメタ位又はパラ位にあり、R 基は水素又は1~3個の炭素原子の置換アルキルであり、L は直接結合又は-O-、-SO -、-OAr O-、-R Ar -から選択される連結基であり、R は1~4個の炭素原子のアルキル基であり、Ar は1以上の芳香環を含む基である)を有するジアミンを含むポリイミドと、
0.1~15重量パーセントの顔料であって、無機顔料又はカーボンブラックを含む顔料を含み、
前記物品が、4~10の誘電率を有し、400~750nmで1~80%の透過率を有し、少なくとも200ボルト/ミクロンの絶縁破壊電圧を有することによって特徴付けられる前記膜を含む物品。
【請求項15】
前記溶媒が80~150℃の沸点を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記溶媒が90~150℃の沸点を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
本質的に前記ポリイミドと前記溶媒から成る請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
が-O-Ar1-O-である請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記酸二無水物が
【化9】
を含む請求項1に記載の組成物。
【国際調査報告】