(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240801BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240801BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240801BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508623
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 KR2022010667
(87)【国際公開番号】W WO2024010131
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0082824
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524053812
【氏名又は名称】グリーン エネルギー インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】GREEN ENERGY INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】177 Samhyangcheon-ro, Mokpo-si, Jeollanam-do 58656 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュンソン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ビョンウ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨンウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、パンゴム
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】グ、ヒソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンフン
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB10
5G064DA02
5G066AA02
5G066AA03
5G066AA05
5G066AE03
5G066AE09
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
本発明は、デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法に関するものであり、a)多数の新再生エネルギー設備を含むエネルギー生産サイトでエネルギーを生産するステップと、b)管理サーバが、前記エネルギー生産サイトで生産されるエネルギー生産量と単位負荷サイトのエネルギー使用量を予測して、エネルギー貯蔵部を運営するステップと、c)デジタルツイン処理部が、前記エネルギー生産サイトと前記単位負荷サイト及び前記エネルギー貯蔵部をモデリングし、前記管理サーバの予測結果をシミュレーションするステップと、を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)多数の新再生エネルギー設備を含むエネルギー生産サイトでエネルギーを生産するステップと、
b)管理サーバが、前記エネルギー生産サイトで生産されるエネルギー生産量と単位負荷サイトのエネルギー使用量を予測して、エネルギー貯蔵部を運営するステップと、
c)デジタルツイン処理部が、前記エネルギー生産サイトと前記単位負荷サイト及び前記エネルギー貯蔵部をモデリングし、前記管理サーバの予測結果をシミュレーションするステップと、を含む、デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項2】
前記b)ステップは、
過去データの学習を介してエネルギー生産量を予測するステップと、
過去データの学習を介して負荷量を予測するステップと、
前記エネルギー生産量予測部と負荷量予測部の予測結果を利用して、エネルギー貯蔵部を運営制御するステップと、を含む、請求項1に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項3】
前記b)ステップは、
通信部を介して前記エネルギー生産サイト及び前記単位負荷サイトと通信してデータを取得し、前記エネルギー貯蔵部と通信して前記エネルギー貯蔵部を制御し、前記デジタルツイン処理部と通信して必要なデータを提供する、請求項2に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項4】
前記b)ステップのエネルギー生産量予測ステップは、
時系列分析法と群集分析法を利用して分割電源としての設備から生産量を予測することを特徴とする、請求項2に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項5】
前記エネルギー生産量予測ステップは、天気情報と地域情報を変数として生産量予測結果を加減することを特徴とする、請求項4に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項6】
前記b)ステップの負荷量予測ステップは、時系列分析を介して負荷量を予測する、請求項2に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項7】
前記負荷量予測ステップは、天気情報と地域情報を変数として生産量予測結果を加減する、請求項6に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法に関し、より詳細には、安定性及び信頼性を向上させることができる、デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクログリッドは、分散電源で構成された小規模電力系統として定義され、これを運営するにあたって大きく2つの運転方式がある。
【0003】
一つ目は、同期発電機を基準とした運転でディーゼル発電機などの回転機基盤同期発電源が常に稼動して小規模電力系統内の基準となる電圧を提供する方式であり、残りの分散電源(主にインバータ設備)は、同期発電機が生成する電圧の大きさ、周波数、位相及び相回転方向に同期化して運転されるものであって、低い自立率レベルのマイクログリッドで主に使用される。
【0004】
二つ目は、エネルギー貯蔵装置(ESS:Energy Storage System)を基準とした運転でESSの電力変換装置(PCS:Power Conversion System)が電力系統内の基準となる電圧を定電圧定周波数(CVCF:Constant Voltage Constant Frequency)運転によって生成する方法であり、残りの分散電源(主にインバータ設備)は、PCSが生成する電圧信号の大きさ、周波数、位相及び相回転方向に同期化して運転されるものであって、マイクログリッドの新再生エネルギー自立率の向上において必須の方法である。
【0005】
このような従来のマイクログリッドの活用は、新再生エネルギーを利用して自立率を向上させる方向に発展している。
【0006】
韓国特許第10-1976401号(2019年5月2日登録、ブロックチェーンに基づく電力取引運営システム、その方法、及びその方法を格納したコンピュータ可読記憶媒体)には、リアルタイムで電力会社又は消費者に直接電気を取引することができる方法について記載している。
【0007】
このように多様な新再生エネルギーに基づくマイクログリッドを運営しながら、エネルギー生産量と負荷を予測し、それによるエネルギーの取引によってエネルギー自立率を向上させることができるが、実質的に最適運転によってエネルギー供給源の容量を最適化し、ESSの運転を設計することは非常に難しい。
【0008】
したがって、新再生エネルギーに基づくマイクログリッドの運営において、エネルギー効率をより向上させることができ、安定性及び信頼性に基づいてESS運転を模擬することができる方法の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した要求を鑑みた本発明が解決しようとする課題は、新再生エネルギー生産量と負荷量、及びエネルギー貯蔵システムの充電量をリアルタイム確認及びシミュレーションを介して実際マイクログリッドの系統運営をリアルタイムで確認することができる、デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を解決するための本発明のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法は、a)多数の新再生エネルギー設備を含むエネルギー生産サイトでエネルギーを生産するステップと、b)管理サーバが、前記エネルギー生産サイトで生産されるエネルギー生産量と単位負荷サイトのエネルギー使用量を予測して、エネルギー貯蔵部を運営するステップと、c)デジタルツイン処理部が、前記エネルギー生産サイトと前記単位負荷サイト及び前記エネルギー貯蔵部をモデリングし、前記管理サーバの予測結果をシミュレーションするステップと、を含むことができる。
【0011】
本発明の実施形態において、前記b)ステップは、過去データの学習を介してエネルギー生産量を予測するステップと、過去データの学習を介して負荷量を予測するステップと、前記エネルギー生産量予測部と負荷量予測部の予測結果を利用して、エネルギー貯蔵部を運営制御するステップと、を含むことができる
【0012】
本発明の実施形態において、前記b)ステップは、通信部を介して前記エネルギー生産サイト及び前記単位負荷サイトと通信してデータを取得し、前記エネルギー貯蔵部と通信して前記エネルギー貯蔵部を制御し、前記デジタルツイン処理部と通信して必要なデータを提供することができる。
【0013】
本発明の実施形態において、前記b)ステップのエネルギー生産量予測ステップは、時系列分析法と群集分析法を利用して分割電源としての設備から生産量を予測することができる。
【0014】
本発明の実施形態において、前記エネルギー生産量予測ステップは、天気情報と地域情報を変数として生産量予測結果を加減することができる。
【0015】
本発明の実施形態において、前記b)ステップの負荷量予測ステップは、時系列分析を介して負荷量を予測することができる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記負荷量予測ステップは、天気情報と地域情報とを変数として生産量予測結果を加減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、マイクログリッドシステムにデジタルツイン技術を導入して、マイクログリッドシステムの多様な運営環境をリアルタイムシミュレーションし、シミュレーション結果に応じて最適なアルゴリズムを提供してマイクログリッドシステムを運営することにより、安定性と信頼性を向上させるという効果がある。
【0018】
また、最適なアルゴリズムの提供によってエネルギー供給源の容量を最適化し、エネルギー貯蔵装置の運転効率を改善することにより、エネルギー削減を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明が適用される融合複合型マイクログリッドのブロック構成図である。
【
図3】本発明のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法が適用される他の実施形態による融合複合型マイクログリッドのブロック構成図である。
【
図4】本発明に適用されるデジタルツイン処理部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の構成及び効果を十分に理解するために、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現でき、多様な変更を加えることができる。但し、本実施形態についての説明は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。添付図面において、構成要素は、説明の便宜のために、その大きさを実際よりも拡大して示したものであり、各構成要素の比率は誇張又は縮小されることがある。
【0021】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素の説明に使用できるが、前記構成要素は、これらの用語によって限定されてはならない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用できる。例えば、本発明の権利範囲から外れることなく、「第1の構成要素」は「第2の構成要素」と命名でき、同様に、「第2の構成要素」も「第1の構成要素」と命名できる。また、単数の表現は、文脈上明らかに異ならせて表現しない限り、複数の表現を含む。本発明の実施形態で用いられる用語は、別に定義されない限り、当該技術分野における通常の知識を有する者に通常知られている意味で解釈できる。
【0022】
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態による融合複合型マイクログリッドについて具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明の好適な実施形態のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法が適用される融合複合型マイクログリッドのブロック構成図である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の好適な実施形態による融合複合型マイクログリッドは、多様な新再生エネルギーを生産するエネルギー生産サイト10と、村などの単位負荷サイト20と、前記エネルギー生産サイト10から新再生エネルギーの生産量などの情報を受信し、単位負荷サイト20の負荷量情報を受信する管理サーバ30と、前記管理サーバ30によって制御され、エネルギーを貯蔵するか、或いは貯蔵されたエネルギーを単位負荷サイト20に提供するエネルギー貯蔵部40と、前記管理サーバ30から新再生エネルギーの生産量情報及び負荷量情報を受信し、エネルギー貯蔵部40の状態を確認して実際マイクログリッドの運営状態をシミュレーションするデジタルツイン処理部50と、を含んで構成される。
【0025】
以下、上述のように構成される本発明の好適な実施形態によるデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法の構成及び作用についてより詳細に説明する。
【0026】
まず、エネルギー生産サイト10は、太陽光、風力、潮力などの多様な新再生エネルギーを利用してエネルギーを生産する設備であり、これは、本発明が適用される村などのグリッド単位の地理的環境的要件に応じて多様に選択されて適用され得る。
【0027】
すなわち、エネルギー生産サイト10は、単一設備ではなく、単一設備の集合体概念として理解されなければならない。
【0028】
前記エネルギー生産サイト10の例として、太陽光パネルやインバータなど、新再生エネルギーの生産に直接関連する設備と共に、生産されたエネルギーを計測する計測部と、計測されたエネルギー生産量を管理サーバ30へ送信する通信部と、を含むことができる。
【0029】
つまり、エネルギー生産サイト10は多数の単位設備を含むことにより、各単位設備の生産量はそれぞれ通信部を介して管理サーバ30に提供される。
【0030】
また、村単位などの単位負荷サイト20は、本発明が適用される単位グリッドの規模、当該グリッド住民の主業種、農工設備の有無などによって負荷量に差があり得る。
【0031】
同じ単位負荷サイト20の場合にも、時間、季節に応じて負荷量が変動できる。
【0032】
単位負荷サイト20は、多数の個別負荷を含む。個別負荷は、住宅、農工施設など、既に設置された電力計量器単位の負荷であり得る。
【0033】
本発明の適用のために、各個別負荷量を検出して管理サーバ30へ送信するか、或いは単位負荷サイト20全体の負荷量を検出して管理サーバ30へ送信することができる。
【0034】
管理サーバ30は、エネルギー貯蔵部40と通信しながら、エネルギー貯蔵部40の現在エネルギー貯蔵量(比率)を検出することができ、エネルギー生産サイト10で受信した生産量情報と単位負荷サイト20で検出された負荷量情報に応じてエネルギー貯蔵部40にエネルギーを貯蔵するか、或いはエネルギー貯蔵部40に貯蔵されたエネルギーを単位負荷サイト20に供給することができる
【0035】
図面には省略したが、本発明は、電力会社の電力を負荷に供給するか、或いはエネルギー生産サイト10で生産された電力を電力会社に提供することができ、これは、一般的な処理に関するものであるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
デジタルツイン処理部50は、エネルギー生産サイト10、単位負荷サイト20及びエネルギー貯蔵部40をモデリングするプログラムを運営する。
【0037】
デジタルツイン処理部50は、実際のエネルギー生産サイト10、単位負荷サイト20及びエネルギー貯蔵部40をそのままシミュレーションし、前記管理サーバ30からエネルギー生産サイト10のエネルギー生産量情報、単位負荷サイト20の負荷情報をシミュレーションに適用するとともに、現在のエネルギー貯蔵部40のエネルギー貯蔵情報をシミュレーションに適用する。
【0038】
また、管理サーバ30によって制御される電力運営状況をそのまま模写することにより、電力運営現況をリアルタイムで確認できるようにする。
【0039】
デジタルツイン処理部50の作用のために、管理サーバ30は、エネルギー生産量、負荷量、エネルギー貯蔵量などを用いてデータを加工する。
【0040】
【0041】
管理サーバ30は、収集された情報を格納するデータベース31と、前記データベース31に格納された情報のうちのエネルギー生産量情報を確認してエネルギー生産量を予測するエネルギー生産量予測部32と、前記データベース31に格納された負荷量情報を確認して負荷量を予測する負荷量予測部33と、前記エネルギー生産量予測部32と負荷量予測部33の予測結果に応じてエネルギー貯蔵部40の運営を制御する制御部34と、前記エネルギー生産サイト10、単位負荷サイト20、エネルギー貯蔵部40及びデジタルツイン処理部50とデータ通信を行う通信部35と、を含む。
【0042】
管理サーバ30の構成において、通信部35は、一つ又は二つ以上で設けられることができる。
【0043】
通信部25を介して収集される情報は、データベース31に格納され、このとき、情報は、周期的に更新できる。このときの周期は、1分、2分などと特定化することができる。
【0044】
前述したように、エネルギー生産サイト10は、複数のエネルギー生産設備の集合であり、エネルギー生産量を確認し、エネルギー生産量の予測のためには、エネルギー生産サイト10を構成する個別エネルギー生産設備の単純エネルギー生産量の和ではない様々な他の条件を考慮すべきである。
【0045】
このために、エネルギー生産量予測部32は、人工知能学習に基づいてエネルギー生産量を予測する。エネルギー生産量の予測は、過去のエネルギー生産量の学習結果に基づいて現在のエネルギー生産サイト10の各単位設備の生産量情報を用いて予測することができる。
【0046】
また、エネルギー生産サイト10に属する単位設備の種類を考慮して生産量を予測する。
【0047】
前記単位設備は、分散電源として理解でき、前記エネルギー生産量予測部は、回帰多項式、fuzzy、fadial basis functionなどの融合された神経回路網を適用することができ、神経回路網の入力端として時系列分析又は群集分析を使用することができる。
【0048】
例えば、現在のエネルギー生産サイト10の全体発電量のうち、太陽光発電設備で生産されるエネルギーが80%であり、風力発電設備で生産されるエネルギーが20%であるとすれば、同一又は類似の発電量比を有する過去データからエネルギー生産サイト10のエネルギー生産量を予測することができる。
【0049】
通常、冬場には、太陽光発電設備の発電効率が夏場に比べて低くなることが普通であり、風力発電の場合は、反対に冬場に生産量が増加することもある。
【0050】
このようなエネルギー生産設備の種類と時期に応じて予測可能なエネルギー生産量に差があり得る。本発明のエネルギー生産量予測部32は、全体エネルギー生産サイト10を構成する設備の構成比と現在の季節、月又は日単位の時間概念を導入して、過去データの学習結果に基づいてエネルギー生産量を予測する。
【0051】
また、本発明では、気象情報と地域特性とを変数として学習に使用する。
【0052】
気象情報も、設備の構成比に応じて変数設定を可変して適用することができる。
【0053】
曇り、雨又は雪の気象情報がある場合、太陽光設備は、エネルギー生産量の予測を減らし、強い風速が予測される場合には、風力発電設備は、エネルギー生産量の予測を増加させることができる。
【0054】
このような気象情報による変数の適用をエネルギー生産サイト10の構成比に応じて適用することにより、全体エネルギー生産サイト10のエネルギー生産量の予測が可能になる。
【0055】
変数の適用は、地域特性に応じても適用できる。例えば、周辺に山や建物がないため、日照量の多い地域とその反対の地域、雪や雨が多く降る地域、風が多く降る地域など、地域の特性に応じて変数を加減して適用することができる。
【0056】
このようなエネルギー生産量予測結果は、通信部36を介してデジタルツイン処理部50に提供される。
【0057】
また、負荷量予測部33も、時系列分析を提供する神経網を用いて単位負荷サイト20の負荷を予測する。これは、単位負荷サイト20の負荷の大きさと同一又は類似の負荷を有する他のサイトに対する過去データを用いて現在の単位負荷サイト20の負荷を予測する。
【0058】
単位負荷サイト20が農村の村である場合、収穫及び乾燥時期に負荷が増加することができ、電気を用いた暖房家具の数に応じて季節的負荷量が可変することができる。
【0059】
このように予測された負荷量予測結果は、通信部35を介してデジタルツイン処理部50へ提供される。
【0060】
また、制御部34は、予測されたエネルギー生産量情報と負荷量情報とを比較して、その結果に基づいてエネルギー貯蔵部40を制御する。このとき、制御は、通信部35を介して行われることができる。
【0061】
例えば、エネルギー生産量が負荷量に比べて多いと予測されれば、エネルギー貯蔵部40にエネルギーを貯蔵し、逆に負荷量がさらに大きいと予測されれば、エネルギー貯蔵部40に貯蔵されたエネルギーを単位負荷サイト20に供給する。
【0062】
このとき、制御部34の制御は、デジタルツイン処理部50にも提供される。
【0063】
このように、本発明は、管理サーバ30を用いてマイクログリッドの電力系統の運営を自動化することができる。
【0064】
デジタルツイン処理部50は、管理サーバ30から現在のエネルギー生産量、現在の負荷量、エネルギー生産量及び負荷量の予測値の入力を受け、現在のエネルギー貯蔵部40のエネルギー貯蔵量情報を受信し、これに基づいて現在状態と予測値をシミュレーションする。
【0065】
デジタルツイン処理部50は、前述したように実際のエネルギー生産サイト10、単位負荷サイト20及びエネルギー貯蔵部40をそのままシミュレーションし、管理サーバ30の制御によるエネルギー貯蔵部40の運営状態をシミュレーションする。
【0066】
したがって、管理者は、デジタルツイン処理部50の状態を確認することにより、容易にマイクログリッドの動作状態を把握することができる。
【0067】
図3は、本発明の他の実施形態による融合複合型マイクログリッドのブロック構成図である。
【0068】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態による融合複合型マイクログリッドは、
図1を参照して説明した構成の例において、複数のセンサ61~63を含むことで、エネルギー生産サイト10、単位負荷サイト20及びエネルギー貯蔵部40の異常を検出するセンサ部60を含むことができる。
【0069】
前記センサ部60は、特定の部品又は設備の故障を検出するものであり、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、音響センサなどの多様なセンサを含むことができる。
【0070】
前記センサ部60は、各部品又は設備の故障、動作異常を検出し、その結果を通信部35を介して前記制御部34で認識できるようにする。
【0071】
前記制御部34は、部品又は設備の故障であるイベントが発生すると、当該イベントの発生に応じた運営を変更することができる。制御部34は、部品又は設備の故障に応じて、当該設備で生産されたエネルギーを予測結果から除外させる処理を行うものとする。
【0072】
前記イベントは、計画イベントと非計画イベントに分けることができ、計画イベントは、分散電源予防整備及びメンテナンス、電力系統予防整備及びメンテナンスイベントであり得る。
【0073】
非計画イベントは、韓国電気公社系統の異常発生、電力線路異常発生、単位負荷サイト20の設備異常などがあり得る。
【0074】
分散電源予防整備及びメンテナンスは、太陽光、風力発電設備、エネルギー貯蔵部40の異常が検出された場合、計画されたイベント処理によって、制御部34は、お知らせを発生させることができる。
【0075】
また、制御部34は、通信部35を介してデジタルツイン処理部50にイベントが発生することを知らせ、デジタルツイン処理部50にイベント処理に対する表示を行うとともに、異常が発生したエネルギー生産設備をシミュレーション結果から除外する処理を行う。
【0076】
したがって、本発明は、実際エネルギーの生産と負荷供給をリアルタイムでモニタリングすることができ、安全性と信頼性を高めることができる。
【0077】
また、デジタルツイン処理部50は、シミュレーション結果に過去履歴を追加して日間、週間又は月間需要予測を行い、その結果を反映することができる。
【0078】
これは、時系列分析による需要予測アルゴリズムを利用するものであり、現在の電力使用量(負荷量)と過去の今日の負荷量とを比較して、その結果に基づいて、近くは明日から、遠くは月間需要予測を行うことができる。
【0079】
図4は、デジタルツイン処理部50のブロック構成図である。
【0080】
図4を参照すると、本発明に適用されるデジタルツイン処理部50は、前記通信部35と通信し、データを収集するデータ収集部51と、マイクログリッドの設計事項を反映してシミュレーションを行うシミュレータ52と、シミュレーション結果を表示する表示部53と、前記シミュレータ52のシミュレーション結果を確認して、需要と供給の適切性を評価する評価部54と、前記評価部54の評価結果に基づいて特定の容量のエネルギー生産設備の追加又は生産設備の稼動中断をモデリングし、モデリング結果を前記シミュレータ52に提供してシミュレーションを行うモデリング部55と、を含む。
【0081】
このようなデジタルツイン処理部50の構成は、本発明によるマイクログリッドの構成適切性を評価するためのものであり、このような構成と作用をより詳細に説明すると、次の通りである。
【0082】
デジタルツイン処理部50は、データ収集部51を介してエネルギー生産サイト10、単位負荷サイト20、エネルギー貯蔵部40の状態に関する多様な情報を収集する。具体的には、エネルギー生産サイト10のエネルギー生産量、単位負荷サイト20の負荷量情報、エネルギー貯蔵部40のエネルギー貯蔵比率などを収集する。
【0083】
また、エネルギー貯蔵部40で予測された生産量情報と負荷量情報を収集する。
【0084】
シミュレータ52は、現在のマイクログリッドの設計情報を含むことによりシミュレーションを行う。設計情報は、エネルギー生産サイト10の総生産容量、エネルギー生産サイト10の設備種類ごとの構成比、単位負荷サイト20の負荷量情報、エネルギー貯蔵部40の総貯蔵容量を含む。
【0085】
シミュレータ52は、設計情報とデータ収集部51で収集された情報を用いてシミュレーションを行い、前述したように予測結果を提供する。このようなシミュレーション結果などは、表示部53に表示される。
【0086】
評価部54は、シミュレーション結果を評価する。
【0087】
このときの評価は、エネルギー自給率を満たすかについての評価である。
【0088】
エネルギー自給率が50%~60%であることを目標とすれば、現在の単位負荷サイト20にエネルギー生産サイト10で生産されたエネルギーが供給されるとき、単位負荷サイト20の負荷量の少なくとも50%のエネルギーを供給することができるかを評価する。
【0089】
評価結果、50%以上のエネルギーを供給することができない場合であれば、モデリング部55は、新しいエネルギー生産サイト10のエネルギー生産設備をさらにモデリングする。この際、モデリングは自動的に行われ、エネルギー生産設備の種類は現在のマイクログリッドで効率が相対的に優れた生産設備と自動決定され、当該設備の総エネルギー生産量も自動的に算出されて適用される。
【0090】
前記モデリング部55でモデリングされた新しいエネルギー生産設備は、前記シミュレータ52に提供され、シミュレータ52は、新しいエネルギー生産設備をシミュレーションに含ませて再びシミュレーション結果を得、評価部54で評価する。
【0091】
評価結果、エネルギー生産量が設定された自給率を満足する場合には、マイクログリッドに新たにモデリングされたエネルギー生産設備を追加することを要求し、表示部53に表示する。
【0092】
反対に、評価部54の評価結果、現在のエネルギー生産サイト10のエネルギー生産量が、目標自給率の上限である60%を超える場合には、モデリング部55は、現在のエネルギー生産設備の一部を稼動中断することをモデリングし、そのモデリング結果は、シミュレータ52に提供してシミュレーションを再び行う。
【0093】
このような過程によって、自給率に満足する最適なシステムを実現することができ、したがって、エネルギーの過剰な生産を防止し、目標の自給率を維持することができる。
【0094】
以上、本発明による実施形態が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な範囲の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は、次の請求の範囲によって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、自然法則を利用してエネルギーの生産管理を行い、エネルギー供給源の容量の最適化及びエネルギー貯蔵装置の運転効率を向上させるものであり、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0096】
10 エネルギー生産サイト
20 単位負荷サイト
30 管理サーバ
31 データベース
32 エネルギー生産量予測部
33 負荷量予測部
34 制御部
35 通信部
40 エネルギー貯蔵部
50 デジタルツイン処理部
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)多数の新再生エネルギー設備を含むエネルギー生産サイトでエネルギーを生産するステップと、
b)管理サーバが、前記エネルギー生産サイトで生産されるエネルギー生産量と単位負荷サイトのエネルギー使用量を予測して、エネルギー貯蔵部を運営するステップと、
c)デジタルツイン処理部が、前記エネルギー生産サイトと前記単位負荷サイト及び前記エネルギー貯蔵部をモデリングし、前記管理サーバの予測結果をシミュレーションするステップと、
を含
み、
前記c)ステップにおいて、前記デジタルツイン処理部は、
エネルギー自給率目標に応じて、現在のエネルギー生産サイトから前記単位負荷サイトに供給されるエネルギーが自給率目標50~60%を満たすか否かを確認し、供給されるエネルギーが自給率目標の下限値50%未満である場合には、新しいエネルギー生産設備をシミュレーションに含ませてシミュレーション結果を再度取得して評価し、自給率目標を満たす場合には、マイクログリッドに追加されたエネルギー生産設備を要求し、表示部に表示する過程と、
供給されるエネルギーが自給率目標の上限値60%を超える場合には、現在モデリングされたエネルギー生産設備の一部の稼働を中断することをモデリングし、シミュレーション結果を再度取得して評価し、自給率目標を満たす場合には、当該エネルギー生産設備の除外を要求し、表示部に表示する過程と、を含むことにより、
エネルギーの過剰生産を防ぎ、目標とする自給率を維持することができ、
制御部において設備の故障の事象(イベント)が検出されると、前記デジタルツイン処理部のエネルギー予測結果から故障の事象が発生した設備で生産されたエネルギーを除外し、異常原因を計画の事象と計画外の事象とに分け、計画の事象が発生した場合に前記デジタルツイン処理部に通知を行い、事象処理に対する表示を行わせることを特徴とする、デジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項2】
前記b)ステップは、
過去データの学習を介してエネルギー生産量を予測するステップと、
過去データの学習を介して負荷量を予測するステップと、
前記エネルギー生産量予測部と負荷量予測部の予測結果を利用して、エネルギー貯蔵部を運営制御するステップと、を含む、請求項1に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項3】
前記b)ステップは、
通信部を介して前記エネルギー生産サイト及び前記単位負荷サイトと通信してデータを取得し、前記エネルギー貯蔵部と通信して前記エネルギー貯蔵部を制御し、前記デジタルツイン処理部と通信して必要なデータを提供する、請求項2に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項4】
前記b)ステップのエネルギー生産量予測ステップは、
時系列分析法と群集分析法を利用して分割電源としての設備から生産量を予測することを特徴とする、請求項2に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項5】
前記エネルギー生産量予測ステップは、
天気情報と地域情報を変数として生産量予測結果を加減することを特徴とする、請求項4に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項6】
前記b)ステップの負荷量予測ステップは、
時系列分析を介して負荷量を予測する、請求項2に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【請求項7】
前記負荷量予測ステップは、
天気情報と地域情報を変数として生産量予測結果を加減する、請求項6に記載のデジタルツインに基づくマイクログリッド運営方法。
【国際調査報告】