(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】野菜又は乳製品のポーション用の食品包装及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20240801BHJP
B65D 85/76 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B65D77/30 A
B65D85/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508687
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022072036
(87)【国際公開番号】W WO2023020859
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518422987
【氏名又は名称】サヴァンシア ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポルト,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】クーロー,パスカル
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA18
3E035BA04
3E035BB08
3E035BC02
3E035BD02
3E035CA04
3E067AB01
3E067AB08
3E067AB14
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067BC10A
3E067CA06
3E067EA06
3E067EB02
3E067EB03
3E067EB22
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
本発明は、野菜又は乳製品(4)、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装(1)に関し、食品包装(1)は2つの中空シェル(2、3)を備え、これらのシェルは、周縁リムの周りで互いにシールされ、製品を受け入れるための内部空洞を形成する。包装は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすことによって開封される。2つのシェルは、下側シェル(3)であって、嵌合平面内でその周縁リム(6)から2つの反対方向に延び、かつX軸線の両側に配置された2つの把持手段(7、9)を有し、把持手段は、下側シェルと一体である下側シェルと、上側シェル(2)であって、前記上側シェルを下側シェルから剥がすための少なくとも1つのタブ(8)を有し、各タブ(8、10)は、嵌合平面内で周縁リム(5)から延び、包装が閉じられたときに把持手段の1つに重ね合わされ、各タブは上側シェルと一体である上側シェル(2)と、に対応する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜又は乳製品(4)、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装(1)であって、2つのシェルを備え、2つのシェルは、包装(1)の中心軸線Xに垂直な嵌合平面に沿って互いにシールされ、かつ前記包装(1)が閉じられたときにシールすることができる導入ネック(15)を介して前記製品(4)を受け入れる内部空洞を形成し、包装(1)は、一方のシェルを他方に対して剥離することによって開くことができ、各シェル(2、3)は前記嵌合平面内で延びる周縁リム(5、6)を有し、前記2つのシェル(2、3)は、
中空の下側シェル(3)であって、同様の把持面を有し、前記嵌合平面内でその周縁リム(6)から2つの対向する方向に延び、軸線Xの両側に配置された2つの把持手段(7、9)を有し、前記把持手段(7、9)は前記下側シェル(3)と一体的に形成され、前記把持手段(7、9)のうちの少なくとも1つは前記導入ネック(15)を越えて延びる、中空の下側シェル(3)と、
上側シェルであって、下側(3)に対してこの上側シェル(2)を剥離するための少なくとも1つのタブ(8)を有し、各タブ(8、10)は、嵌合平面内で前記周縁リム(5)から延び、包装(1)が閉じられたときに前記把持手段(7、9)の1つに重ね合わされ、各タブ(8、10)は、上側シェル(2)と一体的に形成される、上側シェル(2)と、
に対応することを特徴とする、食品包装(1)。
【請求項2】
2つのシェル(2、3)は、剥離可能なシーリング領域(11)内で一緒にシールされていることを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項3】
2つのシェル(2、3)の周縁リム(5、6)は、接触領域を形成するように互いに反対側に配置され、前記シーリング領域(11)は、2つのシェル(2、3)の周縁リム(5、6)間の接触領域によって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の包装(1)。
【請求項4】
上側シェル(2)は2つのタブ(8、10)を有し、各タブ(8、10)は把持手段(7、9)に重ね合わされていることを特徴とする、請求項2~3のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項5】
前記タブ(10)のうちの1つは、前記シーリング領域(11)に属する領域で、隣接する把持手段(9)にシールされることを特徴とする、請求項4に記載の包装(1)。
【請求項6】
前記タブ(10)のうちの1つは、隣接する把持手段(9)に溶着され、何ら分離の可能性はないことを特徴とする、請求項4に記載の包装(1)。
【請求項7】
前記上側シェル(2)は、その周縁リム(5)とその溶着タブ(10)との間の境界を示すプレカット線(13)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の包装(1)。
【請求項8】
前記上側シェル(2)は単一のタブ(8)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項9】
下側シェル(3)は、その2つの把持手段(7、9)に加わる圧力の作用で破壊することができるプレカット線(14)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項10】
下側シェル(3)の前記プレカット線(14)は、下側シェル(3)を2つの部分に分離することを特徴とする、請求項9に記載の包装(1)。
【請求項11】
下側シェル(3)の前記プレカット線(14)は、その周縁リム(6)から把持手段(7、9)の延びる方向に対して直角に延びることを特徴とする、請求項10に記載の包装(1)。
【請求項12】
プレカット線(14)は不連続であり、かつ途中で停止することを特徴とする、請求項11に記載の包装(1)。
【請求項13】
各シェル(2、3)は、その長さよりも小さい深さを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の包装(1)を製造するための方法であって、以下の連続した工程、
2枚のプラスチックフィルムを予熱する工程と、
2つのシェル(2、3)を画定するために、シーリング領域(11)上で、嵌合面に沿って2枚のフィルムをシールする工程であって、シーリング領域(11)を、前記2つのシェル(2、3)を充填できるように設計された導入ネック(15)と交差させる工程と、
内部空洞を形成するためにシェル(2、3)を熱成形し、導入ネック(15)を形成する工程と、
シェル(2、3)の間に形成された内部空洞を充填するために、導入ネック(15)を介して野菜又は乳製品(4)を導入する工程と、
予熱し、次いでネック(15)の縁部を溶着する工程と、
把持手段(7、9)とタブ(8)とを有するシェル(2、3)の外形を画定するように切断する工程と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
プレカット線(13、14)を作成する工程を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜又は乳製品、例えばチーズの1ポーション用の食品包装、及びこの食品包装を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズ製品のポーションは、伝統的にアルミニウムフィルムに包装されてきた。硬質又は半硬質のプラスチック又はワックスを使った包装も利用可能である。
【0003】
既知の包装の場合、ユーザは、包装が開封されると、チーズ製品を食べるために刃物類(ナイフ、スプーン)を使用しなければならないことが多い。包装から取り出された後にこぼれないような一貫性があるチーズ製品の場合、特にチーズ製品のミニポーションの場合、ユーザは自分の指を使ってセルフサービスすることも知られている。製品は壁に付着する可能性があり、それを取り除く必要がある。子供は一般に、このように指を使用することを気にしない。これは大人には当てはまらない。
【0004】
そのアイデアは、このようなチーズ製品をスティックやピックに刺してシェルの中に入れ、シェルを開けたら製品に触れることなく食べられるようにすることであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、ユーザが指や付属品を使用せずにシェルから直接製品を消費することができる、特に野菜又は乳製品のための食品包装を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、野菜又は乳製品、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装であって、2つのシェルを備え、2つのシェルは、包装の中心軸線Xに垂直な嵌合平面に沿って一緒にシールされ、かつ包装が閉じられたときにシールすることができる導入ネックを介して製品を受け入れる内部空洞を形成し、一方のシェルを他方のシェルから剥がすことによって包装を開くことができ、各シェルは嵌合平面内に延びる周縁リムを有する、食品包装に関する。
【0007】
本発明の主な特徴は、前記2つのシェルは、
中空の下側シェルであって、同様の把持面を有し、嵌合平面内でその周縁リムから2つの対向する方向に延び、軸線Xの両側に配置された2つの把持手段を有し、前記把持手段は下側シェルと一体的に形成され、把持手段の少なくとも1つが導入ネックを越えて延びる、中空の下側シェルと、
上側シェルであって、前記下側シェルから前記上側シェルを剥離するための少なくとも1つの剥離タブを有し、各タブは、嵌合平面内で前記周縁リムから延び、包装が閉じられたときに前記把持手段の1つに重ね合わされ、各タブは、上側シェルと一体的に形成される、上側シェルと、
に対応していることである。
【0008】
本発明の主要なアイデアは、剥がすことによって簡単に分離することができ、分離後に固体又は半固体製品に完全にアクセスすることができる2つのシェルを提供することであり、それにより、指を使用せずに、又はスティックやピックなどの付属品を必要とせずに消費することができる。
【0009】
製品への完全なアクセスは、ユーザが剥離タブを把持することによって、一方のシェルを他方のシェルから解放して完全に取り外し、この場合は上側シェルを取り外すことによって可能になる。このタブを引っ張ることにより、上側シェルを下側シェルから簡単に分離することができる。実際には、ユーザは、第1の手で下側シェルを保持し、2本の指でタブの下に位置する把持手段を挟み、次に第2の手でこのタブを引っ張り、また2本の指でタブを挟む。2つのシェルは、1回の動作で分離することができる。製品は下側シェル内に留まる。急な動きを防ぐために、剥離は滑らかである。開封時、製品は落下せず、下側シェルによって担持される。
【0010】
シェルが分離されると、ユーザは、第1の手で下側シェルを保持し続け、第2の手で下側シェルを把持する他の手段を保持するようになる。そのため、それぞれの手は、製品の両側で把持手段を保持していることとtなる。各把持手段は、2本の指でしっかりと把持するのに十分な大きさの把持面を有しているので、下側シェルをしっかりと保持することができる。
【0011】
次いで、ユーザは、下側シェルを口に近づけて、下側シェルから直接に製品を食べることができる。この試食は、ユーザが包装紙にまだわずかに付着しているキャンディ片を飲み込んだり、噛み砕く場合に似ている。
【0012】
したがって、たとえ製品が下側シェルの壁面に少し付着していたとしても、ユーザは、把持手段を使用することによって、又は単にシェルの底部に圧力を加えることによって、製品をより明確に突出させ、製品を簡単に解放することができる。
【0013】
本発明の様々な実施形態によれば、これらは一緒にしても別々であってもよい。
2つのシェルは、剥離可能なシーリング領域で一緒にシールされている。
2つのシェルの周縁リムは、接触領域を形成するように互いに反対側に配置され、シーリング領域は、2つのシェルの周縁リム間の接触領域によって少なくとも部分的に形成される。
前記把持手段は、2つの耳からなる。
上側シェルは、下側シェルと同一の形状である。
上側シェルは2つのタブを有し、各タブは把持手段に重ね合わされている。
タブのうちの1つは、シーリング領域に属する領域で、隣接する把持手段にシールされる。
タブのうちの1つは、隣接する把持手段まで溶着されており、分離の可能性はない。
上側シェルは、その周縁リムとその溶着タブとの間の境界を示すプレカット線を備える。
上側シェルは単一のタブを有する。
下側シェルは、その2つの把持手段にかかる圧力の作用で破壊可能なプレカット線を有する。
下側シェルの前記プレカット線は、下側シェルを2つの部分に分離する。
両方の部分は等しいのが好ましい。
下側シェルの前記プレカット線は、その周縁リムから、把持手段の延びる方向に対して直角に延びる。
プレカット線は不連続であり、途中で停止している。
各シェルは、その長さよりも小さい深さを有する。
【0014】
本発明はまた、プラスチックフィルムの少なくとも1つのリールから上記のような包装を製造するための方法に関し、本方法は、以下の連続する工程、
内部空間を形成するために、シーリング領域上の嵌合平面に沿って2つのシェルをシールする工程と、
内部空洞を形成するためにシェルを熱成形し、導入ネックを形成する工程と、
前記導入ネックを介して、シェル間に形成された内部空洞を充填するために野菜又は乳製品を導入する工程と、
ネックを溶着する工程と、
把持手段及びタブを有するシェルの外形を画定するように切断する工程と、
を含む。
【0015】
プレカット線を作成する工程は、本方法全体にわたって実行することができる。したがって、これらのプレカット線は、前述のどの工程でも、最終的な切断工程に至るまで作成することができる。プレカット線は、平坦なフィルム上又は形成されたフィルム上に作ることができる。
【0016】
本発明の更なる特徴及び利点は、その理解のために添付図面を参照して以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】閉位置にある、本発明による包装の斜視図である。
【
図2】開位置にある、本発明による包装の斜視図である。
【
図4】包装の2つのシェル間のシーリング領域を示す。
【
図5】プレカット線の詳細を示す包装の上面図である。
【
図6】プレカット線の詳細を示す包装の底面図である。
【
図7】本発明による開封包装の斜視図であり、下側シェルを破壊する選択肢を有する。
【
図8】破壊位置にあって、食品を支える包装の下側シェルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この説明の残りの部分では、地球重力を基準にせずに、
図1に示すような「X、Y、Z」三面体によって示される垂直方向、縦方向及び横方向の向きが採用される。本発明者らはまた、縦方向及び横方向に延びる、嵌合平面Pと呼ばれる水平面を定義する。
【0019】
図1は、本発明による野菜又は乳製品4、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装1を斜視図で示す。この包装1は、中心軸線Xを有する。
【0020】
包装1は、主として、嵌合平面に沿って一緒にシールされた2つのシェル2、3からなり、この平面は軸線Xに対して垂直である。
図1では、包装1は閉位置にある。2つのシェル2、3は、剥離可能なシーリング領域11のレベルで一緒にシールされる。
【0021】
これら2つのシェル2、3は、野菜又は乳製品4を受け入れる内部空洞を画定する。
【0022】
野菜又は乳製品4は、包装1からこぼれないように十分に安定した製品4として規定される。即ち、野菜又は乳製品4は、常温常圧条件下では液状ではない。したがって、製品4は、固形又は半固形、即ち単体で保持できるほど十分に粘度がある。
【0023】
野菜又は乳製品4は、内部空洞の形状をとる。それは、内部空洞全体を略満たしている。
【0024】
包装1は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすことによって開かれるようになっている。
【0025】
図2は、開位置にある包装1を示す。実際、2つのシェル2、3は、剥離によって互いに分離されている。
【0026】
より正確には、2つのシェル2、3は、下側シェル3及び上側シェル2に対応する。包装1が開封されると、食品4を担持するのは下側シェル3である。上側シェル2を剥がすと、上側シェル2は製品4から簡単に解放されることができる。
【0027】
2つのシェル2、3は、可撓性である。実施形態のこの例では、両方のシェル2、3は同じカップ形状を有する。カップは、円形のカラーを形成するリム5、6を有する。各シェルは、嵌合平面内で延びる周縁リム5、6を有する。
【0028】
この例では、各シェル2、3は、その長さよりも小さい深さを有する。深さは、軸線Xと軸線Yとによって形成される平面内で測定され、したがって、シェル2、3の底部とシェル2、3の頂部との間の距離(即ち、嵌合平面内の周縁リムのレベル)に対応する。長さは、軸線X及び軸線Yによって規定される平面内で測定され、したがって、軸線Xに対して互いに対向する同じ周縁リム5、6上の2点間の距離に対応する。シェル2、3が円形断面を有する場合、これらの2点は直径方向に対向する。
【0029】
このことは、製品4の大部分がアクセス可能であり、シェル2、3に埋め込まれていないことを意味する。
【0030】
しかしながら、シェル2、3及びこれらのそれぞれのリム5、6は、他の形状を有することができることに留意されたい。
【0031】
例えば、上側シェル2は、蓋のように平坦であり得るが、下側シェル3は中空である。
【0032】
すべての場合において、下側シェル3は中空であり、後に説明するように、このシェルには把持手段7、9が設けられており、上側シェル2が取り外された後、製品4全体を担持する。
【0033】
残りの説明は、中空の上側シェル2及び平坦な上側シェル2にも等しく適用される。
【0034】
2つのシェル2、3は、互いに接触している周縁リム5、6のレベルで一緒にシールされる。したがって、2つのシェル2、3の周縁リム5、6の間に接触領域があり、シーリング領域11を少なくとも部分的に画定する。
【0035】
下側シェル3の場合、リム6は、軸線Xに対して対称に配置された2つの同一の把持手段7、9によってシェル3の外側に向かって延びる。
【0036】
この場合、下側シェル3の形状は円形である。
【0037】
したがって、2つの把持手段7、9は直径方向に対向している。
【0038】
これら2つの把持手段7、9は、嵌合平面内で延び、シェル3と一体的に形成される。これら2つの把持手段7、9は、軸線Yに沿って2つの反対方向に延びる。
【0039】
これらの把持手段7、9は、図示の場合、丸みを帯びた耳に対応する。他の形態も想定され得る。
【0040】
有利には、これらの把持手段7、9は、平坦化されており、ユーザの2本の指で簡単に挟むことができる。これらの把持手段7、9はまた、ユーザの指で十分に把持できるように、嵌合平面内に十分な距離まで延びる。
【0041】
上側シェル2の場合、リム5は、剥離タブ8によってシェル2の外側に向かって延びる。このタブ8は、嵌合平面内に延び、シェル2と一体に形成される。このタブ8は、軸線Yに沿って延びる。
【0042】
図示の場合、このタブ8は、把持手段7、9と同一の形状の丸みを帯びた耳に対応する。一般的に言えば、製造方法を最適化する観点から、タブ8が把持手段7、9と同じ形状を有することが有効である。
【0043】
このタブ8は、平坦であるため、ユーザの2本の指で簡単に挟むことができる。このタブ8はまた、ユーザの指で十分に把持できるように、嵌合平面内で十分に延びている。
【0044】
このタブ8は、下側シェル3の把持手段7の1つに重ね合わせることができるように方向付けされている。このようにして、タブ8及び隣接する把持手段7は同じ外形を有し、完全に位置合わせされる。このことは、それらが軸線Xに平行な方向に整列して中心位置決めされることを意味する。
【0045】
タブ8は、把持手段7にシールされていないので、ユーザは、タブ8を隣接する把持手段7から離れるように簡単に動かすことができ、次いでタブ8を簡単に把持することができる。
【0046】
したがって、ユーザが包装1を開封したいとき、ユーザは、下側シェル3を上側シェル2から剥がすために、一方の手で把持手段7を保持し、他方の手で隣接するタブ8を引っ張るだけでよい。タブ8を引っ張ると、シェル2及び3が分離され、製品4への完全なアクセスが可能になる。
【0047】
シェル2、3が分離されると、ユーザは両手で下側シェル3を保持することができ、それぞれの手は把持手段7、9を把持する。次いで、下側シェル3を口の近くに持ってきて、下側シェル3から直接に一口で、または数回に分けて噛み砕いて製品4を食べることができる。これにより、製品4に完全にアクセスできるため、指を使用したり、スティックやピックなどの付属品を必要とせずに消費できる。
【0048】
図3に示すように、製品4が下側シェル3に少し付着すると、ユーザは単に2つの把持手段7、9を利用して、製品4をシェル3から突出させることができる。例えば、製品4をシェル3から突出させるために、軸線Xに平行な方向に2つの把持手段7、9に圧力を加えることができる。2つの把持手段7、9のおかげで、シェル3の両側で力を均衡させることができ、その結果、製品4は中央で突出するようになり、その結果、製品4はシェル3の中心に留まり、不意に落ちることはない。ユーザは、製品4をより良好に解放するために、把持手段7、9に圧力を加えると同時に、下側シェル3の底部を指で支持することができる。
【0049】
把持手段7、9の動きと同時に、又は代替的に、ユーザは指で下側シェル3の底部を押すことができ、これによりシェル3の底部が内側に変形して、製品4の解放が促進される。
【0050】
これらの力はすべて、
図3の3つの大きな矢印で表されている。
【0051】
したがって、ユーザは、製品4に指で触れる必要なく、製品4を賞味することができる。ユーザは、パピヨットのような製品4を食べることができる。
【0052】
1つの可能な構成では、上側シェル2は単一の剥離タブ8を有する。このようにして、
図3に示すように、上側シェル2全体が下側シェル3から剥がされ、取り外される。
【0053】
別の可能な構成では、上側シェル2は、嵌合平面内で周縁リム5から延び、第1の剥離タブ8と同一の形状の第2のタブ10を有する。2つの把持手段7、9と同様に、これら2つのタブ8、10は、軸線Yに沿って2つの反対方向に延びる。これらは、軸線Xに対して直径方向に対向している。第2のタブ10は、第1のタブ8と同じ特性を有する。上側シェル2と同じ材料で一体的に形成される。
【0054】
上側シェル2は、下側シェル3と厳密に同一の形状を有し、2つのタブ8、10を有し、各タブ8、10は把持手段7、9に重ね合わされている。この構成は、包装1を2つの同一のシェル2、3から形成することができ、製造方法を容易にすることができるので好ましい。
【0055】
2つのタブ8、10を有する構成では、3つの可能な場合がある。
【0056】
第1の場合、第2のタブ10は、シールされることなく、隣接する把持手段9に単に重ね合わされるだけである。したがって、シーリング領域11は、2つのシェル2、3の周縁リム5、6間の接触領域に限定される。ユーザは、第1のタブ8又は第2のタブ10のいずれかを引っ張って、上側シェル2を下側シェル3から分離することを選択することができる。このようにして、
図3に示すように、上側シェル2全体が下側シェル3から剥がされ、取り外される。
【0057】
第2のケースでは、第2のタブ10は、隣接する把持手段9にシールされる。このようにして、シーリング領域11の一部を形づくる接触領域を画定するために、第2のタブ10及び隣接する把持手段9は、互いに接触し、接着される。このようにして、シーリング領域11は、周縁リム5、6間の接触領域、及び第2のタブ10と隣接する把持手段9との間の接触領域によって画定される。ユーザは選択の余地がなく、上側シェル2を下側シェル3から分離するために第1のタブ8を引っ張るしかない。
図3に示すように、上側シェル2全体が剥がされ、下側シェル3から取り外される。
【0058】
第3のケースでは、第2のタブ10は、隣接する把持手段9に溶着され、これらの間で分離する可能性はない。上側シェル2を下側シェル3から常に完全に取り外すことができるようにするために、上側シェル2の、その第2のタブ10とその周縁リム5との間に、プレカット線13が設けられる。このプレカット線13は、周縁リム5と第2のタブ10との間の境界を示す。これにより、上側シェル2が、この正確な位置で確実に破壊されることが可能になる。ユーザが第1のタブ8を引っ張ると、例えば
図2に示すように、隣接する把持手段9に溶着されたままの第2のタブ10を除いて、上側シェル2全体が下側シェル3から剥がされて取り外される。このようにして、シーリング領域11は、周縁リム5、6間の接触領域によってのみ形成される。
【0059】
この第3の場合は、
図4に最もよく示されている。この図は、シーリング領域11を、小さなドットで塗りつぶした領域として示す。このシーリング領域11は、周縁リム5、6間の接触領域に対応する。この図はまた、第2のタブ10が隣接する把持手段9に溶着される溶着領域12を示し、小さな十字で塗りつぶした領域によって示されている。
【0060】
すべての場合において、2つのシェル2、3は、少なくともそれらの周縁リム5、6に沿って一緒にシールされる。
【0061】
図5は、閉じた包装1を上面図で示しており、上側シェル2上に実線でプレカット線13がはっきりと示されている。上側シェル2のこのプレカット線13は、軸線Zに平行な、タブ8、10の延びる方向に対して直角に延びる。したがって、それは嵌合平面内で延びる。
【0062】
包装1が開封されると、上側シェル2は、下側シェル3に対して枢動し、このプレカット線13が破壊されて2つのシェル2、3が完全に分離されるまで、このプレカット線13周りにヒンジ式に動く。
【0063】
図6は、閉じた包装1を下から見た図であり、今度は、プレカット線13を点線で示し、下側シェル3に対するその透明な位置を示している。
【0064】
有用には、下側シェル3はまた、上側シェル2のプレカット線13とは独立して、プレカット線14を有することができる。これらの2つの線14、13は互いにリンクしておらず、別々に計画することも、一緒に計画することもできる。
【0065】
便宜のため、
図6はまた、下側シェル3上のプレカット線14も示している。下側シェル3のこのプレカット線14は、その周縁リム6から、把持手段7、9の延びる方向に対して直角に延びる。この線14は、下側シェル3を二等分するように設計されている。この線14は、軸線X及び軸線Zによって形成される平面内で横方向に延びる。この線14はまた、上側シェル2に対する透明位置を示すために、
図5に点線でも示されている。
【0066】
下側シェル3のこのプレカット線14は、ユーザによって2つの把持手段7、9に加えられる圧力の作用で破壊することができる。包装1が開封されると、すなわち、
図7に示されるように、上側シェル2が下側シェル3から分離されると、下側シェル3が製品4を担持する。そして、この下側シェル3は、
図8に示すように、2つの把持手段7、9を軸線Zに沿って回転させることによって破壊することができる。この制御された破壊により、半部分が傾斜して製品4から外れることで、製品4が落下することなく、指又はピックもしくはスティックなどの付属品を使用することもなく、製品4へのアクセスが容易になる。このプレカット線14は、把持手段7、9に対して一方の側の周縁リム6から始まり、シェル3全体を横方向に通過し、把持手段7、9に対して他方の側の周縁リム6に戻る。プレカット14の輪郭に沿って下側シェル3を破壊することにより、破壊線のレベルに位置する下側シェル3の底部が製品4を持ち上げ、それにより製品4を下側シェル3から露出させる一方で、把持手段7、9の近傍に位置する下側シェル3の側方部分は製品4から離れる。
【0067】
好ましくは、プレカット線14は不連続である。プレカット線14は中心部で裂ける。これは、開封したときに、中央部分に折線があり、折線の両側に2つの破壊領域があることを意味する。この折線は、ヒンジとして機能する。
【0068】
好ましくは、プレカット線14は、周縁リム6のレベルで延伸フィルムの厚さの60%~80%にわたってプレカットされた部分と、プレカットされていない中央部分と、延伸フィルムの厚さの30%~80%にわたってプレカットされた2つの-中央部分と周縁リム6とを接続する-側方部分とを有する。
【0069】
上述したように、包装1は、2つの位置を占めるように構成されている。2つのシェル2、3が嵌合平面に沿って一緒にシールされる第1の閉位置又は静止位置。上側シェル2が下側シェル3から分離され、製品4への完全なアクセスを可能にする第2の開位置。
【0070】
したがって、製品4を表面に出すために下側シェル3が破壊される第3の位置がある。
【0071】
2つのシェル2、3は、有用にはプラスチック製である。例えば、これらの2つのシェル2、3を製造するために使用されるプラスチック材料は、複数の層を具備していてもよい。これは、異なるポリマーの多層膜であってもよい。
【0072】
例えば、基材は、自然なヒンジ効果で知られているポリプロピレンであり得る。
【0073】
剥離力の値は、有用には調整可能であり、好ましくは4~25ニュートンである。
【0074】
2つのシェル2、3は、有利には、2つの同一のカップの形態とすることができ、これにより、内部空間は、2つのシェル2、3の間に均等に配分された容積を有する。これにより、食品4の半分を解放する開封が可能になる。
【0075】
2つのシェル2、3は、有用には、2つの異なるカップ(ここには示されていない実施形態の例)の形態であり得る。したがって、内部空間は、2つのシェル2、3の間に不均等に配分される。好ましくは、下側シェル3は、前記内部空間の全容積の1/3~1/2を形成する。
【0076】
下側シェル3の把持を改善するために、把持手段7、9の上面を加工して把持効果を与えたり、又は把持手段7、9と隣接するタブ8、10との間に空間を作り出すようにわずかに形成することができる。
【0077】
本発明はまた、少なくとも1つのプラスチックフィルムのリールから、食品包装1、特に野菜又は乳製品4のための、例えば上述の包装1を製造するための方法に関し、この方法は、以下の連続する工程、
2つのプラスチックフィルムを予熱する工程と、
2つのシェル2、3を区画するために、シーリング領域11上の嵌合面に沿って2つのフィルムをシールする工程であって、このシーリング領域11は、2つのシェル2、3を充填できるようにすることを目的とした導入ネック15(
図1参照)と交差する工程と、
内部空洞を形成するためにシェル2、3を熱成形し、導入ネック15を形成する工程と、
前記導入ネック15を介して、シェル2、3間に形成された内部空洞を充填するために野菜又は乳製品4を導入する工程と、
予熱した後、ネック15の縁部を溶着する工程と、
把持手段7、9とタブ8を有するシェル2、3の外形を画定する切断工程と、
を含む。
【0078】
プレカット線13、14は、本方法全体を通して作ることができる。したがって、最終的なカッティング工程に至るまで、前述のどの工程でも、これらのプレカット線を作ることができる。プレカット線13、14は、平坦なフィルム上又は成形フィルム上に作ることができる。
【0079】
プレカット線13、14を作るために使用される技術は、様々なものとすることができ、機械的(ナイフ)、電気機械的(超音波)又はレーザであり得る。
【0080】
プレカット線は、平坦なフィルム上、成形されたシェル上、成形又は溶着されたネック上に作ることができる。各プレカット線は、直線とすることができ、又は必要とされる最良の開封機能に適合した経路をたどることもできる。
【0081】
平坦なフィルムにプレカットを行う場合、シェルの熱成形時の延伸に起因して将来的にフィルムが薄くなることが考慮される。これにより、ユーザが包装1を手に取って開封する前に、プレカット線13、14のレベルで薄くなったフィルムが破壊するリスクを回避することができる。
【0082】
プレカット線は、プレカット用工具をプログラミングすることによって、深さだけでなく連続又は断続的な外観にも調整できる。したがって、どこをプレカットするか、及びどの長さ及び深さにするかを調整することができる。これを行うために、ガイドとして、シェルの形状やフィルム上でグラフィックを使用することができる。
【0083】
下部シェルと上部シェルを形成するために、本方法では、2つの異なるリールから取り出した2枚のフィルムを重ね合わせて、又は、1つのリールをそれ自体に折り畳んで使用することができ、その結果、2つの印刷面の間の見当合わせが非常に正確になる。シェルは、シーリング工程の前に、成形ステーションで中心位置決めされ、ここで2つの部分が同時に得られ、中心位置決めされる。好ましくは、フィルムは、シーリング工程の前に予熱される。
【0084】
好ましくは、シーリングは熱シーリングによって行われる。
【0085】
シーリングは、包装を気密に閉じるために使用される。シーリングにより開口部の制御及び調整が可能になり、その強度(剥離力)を測定することができる。
【0086】
導入ネックの溶着又は包装の他の部分の溶着は、熱シーリングによって行うことができる。溶着によって、分離することができない、したがって破壊しない限り開くことができない決定的なアセンブリができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜又は乳製品(4)、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装(1)であって、2つのシェルを備え、2つのシェルは、包装(1)の中心軸線Xに垂直な嵌合平面に沿って互いにシールされ、かつ前記包装(1)が閉じられたときにシールすることができる導入ネック(15)を介して前記製品(4)を受け入れる内部空洞を形成し、包装(1)は、一方のシェルを他方に対して剥離することによって開くことができ、各シェル(2、3)は前記嵌合平面内で延びる周縁リム(5、6)を有し、前記2つのシェル(2、3)は、
中空の下側シェル(3)であって、同様の把持面を有し、前記嵌合平面内でその周縁リム(6)から2つの対向する方向に延び、軸線Xの両側に配置された2つの把持手段(7、9)を有し、前記把持手段(7、9)は前記下側シェル(3)と一体的に形成され、前記把持手段(7、9)のうちの少なくとも1つは前記導入ネック(15)を越えて延びる、中空の下側シェル(3)と、
上側シェルであって、下側(3)に対してこの上側シェル(2)を剥離するための少なくとも1つのタブ(8)を有し、各タブ(8、10)は、嵌合平面内で前記周縁リム(5)から延び、包装(1)が閉じられたときに前記把持手段(7、9)の1つに重ね合わされ、各タブ(8、10)は、上側シェル(2)と一体的に形成される、上側シェル(2)と、
に対応することを特徴とする、食品包装(1)。
【請求項2】
2つのシェル(2、3)は、剥離可能なシーリング領域(11)内で一緒にシールされていることを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項3】
2つのシェル(2、3)の周縁リム(5、6)は、接触領域を形成するように互いに反対側に配置され、前記シーリング領域(11)は、2つのシェル(2、3)の周縁リム(5、6)間の接触領域によって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の包装(1)。
【請求項4】
上側シェル(2)は2つのタブ(8、10)を有し、各タブ(8、10)は把持手段(7、9)に重ね合わされていることを特徴とする、請求項
2に記載の包装(1)。
【請求項5】
前記タブ(10)のうちの1つは、前記シーリング領域(11)に属する領域で、隣接する把持手段(9)にシールされることを特徴とする、請求項4に記載の包装(1)。
【請求項6】
前記タブ(10)のうちの1つは、隣接する把持手段(9)に溶着され、何ら分離の可能性はないことを特徴とする、請求項4に記載の包装(1)。
【請求項7】
前記上側シェル(2)は、その周縁リム(5)とその溶着タブ(10)との間の境界を示すプレカット線(13)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の包装(1)。
【請求項8】
前記上側シェル(2)は単一のタブ(8)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の包装(1)。
【請求項9】
下側シェル(3)は、その2つの把持手段(7、9)に加わる圧力の作用で破壊することができるプレカット線(14)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の包装(1)。
【請求項10】
下側シェル(3)の前記プレカット線(14)は、下側シェル(3)を2つの部分に分離することを特徴とする、請求項9に記載の包装(1)。
【請求項11】
下側シェル(3)の前記プレカット線(14)は、その周縁リム(6)から把持手段(7、9)の延びる方向に対して直角に延びることを特徴とする、請求項10に記載の包装(1)。
【請求項12】
プレカット線(14)は不連続であり、かつ途中で停止することを特徴とする、請求項11に記載の包装(1)。
【請求項13】
各シェル(2、3)は、その長さよりも小さい深さを有することを特徴とする、請求項
1に記載の包装(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の包装(1)を製造するための方法であって、以下の連続した工程、
2枚のプラスチックフィルムを予熱する工程と、
2つのシェル(2、3)を画定するために、シーリング領域(11)上で、嵌合面に沿って2枚のフィルムをシールする工程であって、シーリング領域(11)を、前記2つのシェル(2、3)を充填できるように設計された導入ネック(15)と交差させる工程と、
内部空洞を形成するためにシェル(2、3)を熱成形し、導入ネック(15)を形成する工程と、
シェル(2、3)の間に形成された内部空洞を充填するために、導入ネック(15)を介して野菜又は乳製品(4)を導入する工程と、
予熱し、次いでネック(15)の縁部を溶着する工程と、
把持手段(7、9)とタブ(8)とを有するシェル(2、3)の外形を画定するように切断する工程と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
プレカット線(13、14)を作成する工程を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】