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特表2024-5296992誘導の非同期性心電図に基づいて同期性心電図を生成する方法
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  • 特表-2誘導の非同期性心電図に基づいて同期性心電図を生成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】2誘導の非同期性心電図に基づいて同期性心電図を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/327 20210101AFI20240801BHJP
【FI】
A61B5/327
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508693
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 KR2022012277
(87)【国際公開番号】W WO2023022507
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107772
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010225
【氏名又は名称】メディカル・エーアイ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Medical AI Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】163, Yangjaecheon-ro Gangnam-gu Seoul 06302 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ジュン・ミョン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127CC08
4C127GG10
4C127GG15
4C127KK03
(57)【要約】
本発明は2誘導の非同期性心電図に基づいて同期性心電図を生成する方法に関する。本発明によれば、同期性心電図を生成する方法は、病院で運営するサーバーから複数の患者の心電図データを収集し、前記収集された心電図データをスタイル別に分類する段階と、ディープラーニングアルゴリズムを構築し、前記分類された心電図データを構築された機械学習モデルに入力して心電図のスタイルを学習させる段階と、測定対象者の身体に設置された電極を用いて相異なる時点に測定された2個のリード心電図を獲得する段階と、前記測定対象者のリード心電図を学習の完了した機械学習モデルに入力して仮想の同期化した複数の誘導心電図を生成する段階と、を含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期性心電図生成装置を用いて同期性心電図を生成する方法であって、
病院で運営するサーバーから複数の患者の心電図データを収集し、前記収集された心電図データをスタイル別に分類する段階と、
ディープラーニングアルゴリズムを構築し、前記分類された心電図データを構築された機械学習モデルに入力して心電図のスタイルを学習させる段階と、
測定対象者の身体に設置された電極を用いて相異なる時点に測定された2個のリード心電図を獲得する段階と、
前記測定対象者のリード心電図を学習の完了した機械学習モデルに入力して仮想の同期化した複数の誘導心電図を生成する段階と、を含む、同期性心電図を生成する方法。
【請求項2】
前記心電図データをスタイル別に分類する段階は、
収集された複数の心電図データを患者の性別、お年、疾病有無、電極の付着位置、波形の特性、波形の屈曲及び雑音信号のうちの少なくとも一つのスタイル別に分類する、請求項1に記載の同期性心電図を生成する方法。
【請求項3】
前記心電図のスタイルを学習させる段階は、
複数の心電図データ及び心電図スタイルを機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルにとって心電図データと心電図スタイルとの間の連関性を学習させる、請求項2に記載の同期性心電図を生成する方法。
【請求項4】
前記心電図のスタイルを学習させる段階は、
12個の標準心電図に対するスタイルをそれぞれ学習するために、12個の機械学習モデルを構築する、請求項3に記載の同期性心電図を生成する方法。
【請求項5】
前記12個の機械学習モデルは、
オートエンコーダー原理及び敵対的生成ネットワーク原理のうちで選択された一つの原理を用いて構築するか、又は両原理を組み合わせて構築する、請求項4に記載の同期性心電図を生成する方法。
【請求項6】
前記仮想の同期化した複数の誘導心電図を生成する段階は、
前記測定対象者のリード心電図を12個の機械学習モデルに入力して、それぞれのスタイルに変化した12個の心電図データを生成する、請求項4に記載の同期性心電図を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2誘導の非同期性心電図に基づいて同期性心電図を生成する方法に関し、より詳細に説明すると、ディープラーニングアルゴリズムを用いて相異なる時点に測定された2誘導の非同期性心電図情報から同期性心電図情報を生成する方法に関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
心電図とは心拍動に関連した電位を身体の表面で図形として記録したものであり、標準12誘導心電図の他に、運動負荷心電図、活動中心電図などがある。心電図は循環器疾患の検診及び診断に使用され、簡単で比較的安いし、非侵襲的であり、容易に繰り返し記録することができる利点がある。
【0004】
病院で使用される標準12誘導心電図は、胸の前面に6個の電極を付着し、四肢にもそれぞれ3個の電極(接地電極を含めば4個の電極)を付着した後、12誘導情報を全部収集し、これを総合して疾患を診断する。12誘導心電図とは、心臓を中心に12個の電気的方向に心臓の電位を記録することで、これにより1部位に限られた心臓の疾病を正確に判断することができる。
【0005】
しかし、12誘導を撮影するためには、胸電極を付着するために胸を露出しなければならず、一般人が9個の電極(四肢3個、胸部6個)を正確な位置に付けにくいので、家庭や日常生活で測定しにくく、10個の電極を付けて動くことが難しいので、実時間モニタリングに使用しにくい問題点があった。
【0006】
最近では、スマートウォッチのように、1誘導心電図器具を用いて複数の心電図を測定する技術が提案されている。しかし、1誘導心電図器具を用いて心電図を測定する場合には、同一時点に測定された心電図ではないので、心臓の正確な状態を把握することができない問題点があった。
【0007】
本発明の背景となる技術は韓国公開特許第10-2015-0044311号(2015.04.24.公開)公報に開示されている。
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、本発明によれば、ディープラーニングアルゴリズムを用いて相異なる時点に測定された2誘導の非同期性心電図情報から同期性心電図情報を生成する方法を提供するためのものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような技術的課題を成すための本発明の実施例によれば、同期性心電図生成装置を用いて同期性心電図を生成する方法は、病院で運営するサーバーから複数の患者の心電図データを収集し、前記収集された心電図データをスタイル別に分類する段階と、ディープラーニングアルゴリズムを構築し、前記分類された心電図データを構築された機械学習モデルに入力して心電図のスタイルを学習させる段階と、測定対象者の身体に設置された電極を用いて相異なる時点に測定された2個のリード心電図を獲得する段階と、前記測定対象者のリード心電図を学習の完了した機械学習モデルに入力して仮想の同期化した複数の誘導心電図を生成する段階と、を含む。
【0012】
前記心電図データをスタイル別に分類する段階は、収集された複数の心電図データを患者の性別、お年、疾病有無、電極の付着位置、波形の特性、波形の屈曲及び雑音信号のうちの少なくとも一つのスタイル別に分類することができる。
【0013】
前記心電図のスタイルを学習させる段階は、複数の心電図データ及び心電図スタイルを機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルにとって心電図データと心電図スタイルとの間の連関性を学習させることができる。
【0014】
前記心電図のスタイルを学習させる段階は、12個の標準心電図に対するスタイルをそれぞれ学習するために、12個の機械学習モデルを構築することができる。
【0015】
前記12個の機械学習モデルは、オートエンコーダー原理及び敵対的生成ネットワーク原理のうちで選択された一つの原理を用いて構築するか、又は両原理を組み合わせて構築することができる。
【0016】
前記仮想の同期化した複数の誘導心電図を生成する段階は、前記測定対象者のリード心電図を12個の機械学習モデルに入力して、それぞれのスタイルに変化した12個の心電図データを生成することができる。
【0017】
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明によれば、ディープラーニングアルゴリズムを用いて2誘導の非同期性心電図情報から同期性心電図情報を生成するので、測定者のお年、性別、疾病有無及び電極の付着位置にも影響されない正確度の高い心電図を提供することができる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例による同期性心電図生成装置の構成図である。
【0021】
図2】本発明の実施例による同期性心電図生成装置を用いて同期性心電図を生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【0022】
図3】オートエンコーダーの原理で構築される機械学習モデルを説明するための例示図である。
【0023】
図4】敵対的生成ネットワーク原理で構築される機械学習モデルを説明するための例示図である。
【0024】
図5図2に示すS240段階を説明するための例示図である。
【0025】
図6図2に示すS240段階で生成された心電図データを説明するための例示図である。
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に基づいて本発明による好適な実施例を詳細に説明する。以下の説明で、図面に示す線の厚さや構成要素の大きさなどは説明の明瞭性及び便宜性のために誇張して示されていることがあり得る。
【0028】
また、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義した用語であり、これは使用者、運用者の意図又は慣例によって変わることができる。したがって、このような用語に対する定義はこの明細書全般にわたる内容に基づいて決定されなければならないであろう。
【0029】
以下では、図1に基づいて本発明の実施例による同期性心電図生成装置についてより詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の実施例による同期性心電図生成装置の構成図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の実施例による同期性心電図生成装置100は、データ分類部110と、学習部120と、心電図獲得部130と、心電図生成部140と、を含む。
【0032】
データ分類部110は、病院サーバーから標準12誘導心電図データを収集し、収集された心電図データをスタイル別に分類する。
【0033】
学習部120は、機械学習モデルを構築し、構築された機械学習モデルに分類された複数の心電図データを入力して同期性心電図を生成するように学習させる。
【0034】
心電図獲得部130は、測定対象者から単一又は2個のリード心電図データを獲得する。
【0035】
最後に、心電図生成部140は、獲得した単一又は2個のリード心電図データを学習の完了した機械学習モデルに入力して複数の同期性心電図を生成する。
【0036】
以下では、図2図6に基づいて、本発明の実施例による同期性心電図生成装置100を用いて同期性心電図を生成する方法についてより詳細に説明する。
【0037】
図2は本発明の実施例による同期性心電図生成装置を用いて同期性心電図を生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【0038】
図2に示すように、本発明の実施例による同期性心電図生成装置100は、病院サーバーから複数の心電図データを収集し、収集された複数の心電図データをスタイル別に分類する(S210)。
【0039】
詳述すると、データ分類部110は、標準12誘導心電図を収集する。ここで、標準12誘導心電図は、正常人及び心臓疾患患者の身体に付着された電極によって測定された心電図を示す。
【0040】
データ分類部110は、収集された複数の標準12誘導心電図をスタイル別に分類する。ここで、スタイルは、患者の性別、お年、疾病有無、電極の付着位置、波形の特性、波形の屈曲、及び雑音信号のうちの少なくとも一つを含む。
【0041】
これをより詳細に説明すると、各誘導の心電図はそれぞれスタイルを有している。これは、既存に医学的知識で明示されたP、Q、R、S、T波形の特性だけでなく、既存の医学的知識で特定することができない曲線の屈曲や雑音信号のような部分を含む。
【0042】
また、各誘導のスタイルは、測定した人の特性に影響される。例えば、測定した人のお年及び性別が各誘導のスタイルに影響する。年寄りの場合、心臓筋肉が減少するので、心電図の振幅が減少する傾向を有する。女性の場合、乳房によって、測定する心電図電極の位置が低くなるか、又は心臓と電極との間の距離が遠くなることがあるので、心電図形状の変形を発生させる。
【0043】
また、各誘導のスタイルは、測定した人の疾患にも影響される。慢性肺疾患(慢性閉鎖性肺疾患)がある場合、肺の容量が大きくなり、肺の間にある心臓が垂直方向に立てられ、このため、3次元空間で心臓の電気的な流れが垂直方向に変化する。
【0044】
また、各誘導のスタイルは、該当の電極の付着位置にも影響される。例えば、両腕に電極を付着し、両電極の間の電位差を用いるI誘導心電図の場合には、両手首に付着して測定するものと、両肩に電極を付着して測定するものとの間に差を発生させることがある。
【0045】
したがって、本発明の実施例では、スタイルによって複数の心電図データを分類させる。
【0046】
S210段階が完了すると、学習部120は、スタイル別に分類された複数の心電図データを既に構築された機械学習モデルに入力して学習させる(S220)。
【0047】
まず、学習部120は、機械学習モデルを構築する。ここで、機械学習モデルは誘導心電図によって複数を構築することができる。すなわち、学習部120は、12個の機械学習モデルを構築する。例えば、学習部120は、V1誘導を生成するために、大規模のV1誘導心電図データに基づいてV1誘導スタイルを学習する機械学習モデルを構築する。
【0048】
一方、機械学習モデルは、オートエンコーダー原理及び敵対的生成ネットワーク原理のうちで選択された一つの原理を用いて構築するか、又は両原理を組み合わせて構築することができる。
【0049】
図3はオートエンコーダー原理で構築される機械学習モデルを説明するための例示図である。
【0050】
図3に示すように、オートエンコーダー原理で構築される機械学習モデルは、データの潜在的特性を表現するエンコーダーと、当該表現を再び原本データに復元するデコーダーとから構成される。
【0051】
図4は敵対的生成ネットワーク原理で構築される機械学習モデルを説明するための例示図である。
【0052】
図4に示すように、敵対的生成ネットワーク原理で構築される機械学習モデルは、生成ネットワークと、分類ネットワークとから構成される。生成ネットワークは、無作為に生成された変数を入力して合成心電図データを生成し、分類ネットワークは、合成心電図データ及び実際データに対して生成されたものであるか又は実際のものであるかを分類する。
【0053】
ただ、基本的な敵対的生成ネットワークは、特定の誘導心電図を生成しにくい問題点がある。よって、本発明の実施例では、生成ネットワークをオートエンコーダー形態に変更する。すなわち、本発明の実施例による機械学習モデルは、敵対的生成ネットワーク原理とオートエンコーダー原理とを組み合わせて構築することができる。
【0054】
機械学習モデルを構築した後、学習部120は、収集された心電図データ及びそれに対応するスタイルを機械学習モデルに入力して、心電図データと心電図スタイルとの間の連関性を学習させる。
【0055】
S220段階が完了した状態で、心電図獲得部130は、測定対象者からリード心電図を獲得する(S230)。
【0056】
詳述すると、測定対象者は、スマートウォッチのような1誘導心電図機器(図示せず)を介して心電図を測定する。すなわち、心電図獲得部130は、1誘導心電図機器によって単一又は2個のリード心電図データを獲得する。
【0057】
その後、心電図生成部140は、獲得した単一又は2個のリード心電図データを学習の完了した機械学習モデルに入力して同期性心電図を生成する(S240)。
【0058】
図5図2に示すS240段階を説明するための例示図である。
【0059】
図5に示すように、心電図獲得部130がV1誘導によるリード心電図を獲得したと仮定する。すると、心電図生成部140は、V1誘導によるリード心電図をV2誘導心電図データを用いて学習された機械学習モデルに入力して、入力されたリード心電図からV2スタイルの心電図を生成する。
【0060】
図6図2に示すS240段階で生成された心電図データを説明するための例示図である。
【0061】
図6に示すように、太線は実際の心電図であり、細線はスタイルに基づいて心電図を生成した結果を示す。
【0062】
前記のように、本発明の実施例による同期性心電図生成装置100は、心電図のスタイルを把握して、現在入力された心電図データが何の誘導の心電図であるかを判断し、それぞれのスタイルによって同期化した同じ時間に測定されたと予想される仮想の同期化した複数の誘導心電図を生成する。
【0063】
このように、本発明によれば、ディープラーニングアルゴリズムを用いて2誘導の非同期性心電図情報から同期性心電図情報を生成するので、測定者のお年、性別、疾病有無及び電極の付着位置にも影響されない正確度の高い心電図を提供することができる。
【0064】
【0065】
本発明は図面に示した実施例を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎなく、当該技術が属する分野で通常の知識を有する者であればこれから多様な変形及び均等の他の実施例が可能であることが理解可能であろう。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は以下の特許請求の範囲の技術的思想によって決定されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0066】
100 :同期性心電図生成装置
110 :データ分類部
120 :学習部
130 :心電図獲得部
140 :心電図生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】