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特表2024-529701植物又は乳製品のポーション用の食品包装及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】植物又は乳製品のポーション用の食品包装及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/30 20060101AFI20240801BHJP
   B65D 85/76 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B65D77/30 A
B65D85/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508700
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022072026
(87)【国際公開番号】W WO2023020857
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】2108727
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518422987
【氏名又は名称】サヴァンシア ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーロー,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ポルト,ジョエル
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA18
3E035BA04
3E035BB08
3E035BC02
3E035BD02
3E035CA04
3E067AB01
3E067AB08
3E067AB14
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067BC10
3E067BC10A
3E067EB02
3E067EB03
3E067EB11
3E067EB22
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
本発明は、野菜又は乳製品(4)、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装(1)であって、一緒にシールされ、製品を保持する内部空洞を画定する2つのシェル(2、3)を備え、食品包装は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすことによって開封可能であり、シェルは、一緒にシールされた周縁リム(5、6)を有し、2つのシェルは、中空の下側シェル(3)及び中空の上側シェル(2)に対応し、各シェルは、一方のシェルを他方のシェルから剥がすための剥離タブ(7、8)を有する、食品包装に関する。少なくとも上側シェルには、包装の後部に位置するプレカット線(11)が設けられており、上側シェルは、周縁リムをプレカット線まで剥がし、次いでプレカット線を破断することによって下側シェルから取り外すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜又は乳製品(4)、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装(1)であって、嵌合平面(P)に沿って互いにシールされ、かつ製品(4)を保持する内部空洞を画定する2つのシェル(2、3)を備え、包装(1)は、一方のシェルを他方から剥がすことによって開封可能であり、シェル(2、3)は、嵌合平面(P)内に延び、かつ互いに接触している周縁リム(5、6)を有し、周縁リム(5、6)は互いにシールされており、前記2つのシェル(2、3)は、中空下側シェル(3)及び中空上側シェル(2)に対応し、各シェル(3、2)は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすための剥がしタブ(7、8)を有し、各タブ(7、8)は、嵌合平面(P)内の周縁リム(5、6)の一方から延び、対応するシェル(2、3)と一体的に形成され、前記タブ(7、8)は、包装(1)が閉じられたときに重ね合わされ、各シェル(2、3)は、嵌合平面(P)内で、タブ(7、8)に位置する第1の端部と、第2の反対側の端部とを備え、各シェル(2、3)は、前記2つの端部を通過する対称軸線(X)を有しており、
少なくとも上側シェル(2)には、第2の端部の近位にプレカット線(11)が設けられ、上側シェル(2)の少なくとも一部は、周縁リム(5、6)をプレカット線(11)まで剥がすことによって、次いでプレカット線(11)を破断することによって、下側シェル(3)から分離することができることを特徴とする、食品包装(1)。
【請求項2】
プレカット線(11)は、前記軸線(X)に対して横方向に延び、周縁リム(5)の2つの側縁部を接続することを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項3】
プレカット線は、中央折り畳み区間(11b)と、中央折り畳み区間(11b)の両側に位置し、周縁リム(5)を接続する2つの側方破断区間(11a、11c)と、を備えることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項4】
折り畳み区間(11b)は、前記対称軸線(X)に対して中心位置決めされ、かつ垂直に方向付けされていることを特徴とする、請求項3に記載の包装(1)。
【請求項5】
折り畳み区間(11b)はプレカット線(11)の1/3未満であることを特徴とする、請求項3~4のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項6】
下側シェル(3)には、上側シェル(2)の例に続くプレカット線(11)も設けられていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項7】
2つのシェル(2、3)を剥離によって開いた後、製品(4)の少なくとも80%が、シェル(2、3)と接触することなく解放されることを特徴とする、請求項6に記載の包装(1)。
【請求項8】
2つのシェル(2、3)の間に挿入された製品を把持するための手段(10)を備え、
包装(1)の内部空洞内に配置され、製品(4)に固定された内側部分と、
2つのタブ(7、8)の間に延びる外側部分と、
を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項9】
2つのシェル(2、3)はドーム形状を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の包装(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の包装(1)を製造するための方法であって、
2枚のプラスチックフィルム(12)を予熱する工程と、
2つのシェル(2、3)を画定するように、シーリング領域上の嵌合面(P)に沿って2枚のフィルム(12)をシールする工程であって、シーリング領域は、2つのシェル(2、3)を充填できるように設計された導入ネック(15)と交差される工程と、
内部空洞を形成するためにシェル(2、3)を熱成形して導入ネック(15)を形成する工程と、
シェル(2、3)の間に形成された内部空洞を充填するように、前記導入ネック(15)を介して野菜又は乳製品(4)を導入する工程と、
予熱し、次いでネック(15)の縁部を溶着する工程と、
シェルを最終形状に個別化するために、シェル(2、3)の外形を画定するように切断する工程と、
を含み、
フィルム(12)を異なる深さにプレカット(11)することによってプレカット線(11)を生成する工程も含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜又は乳製品、例えばチーズの1ポーション用の食品包装、及びこの食品包装を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズ製品のポーションは、伝統的にアルミニウムフィルムに包装されてきた。硬質又は半硬質のプラスチック又はワックスを使った包装も利用可能である。
【0003】
既知の包装には、熱可塑性材料の2つのハーフシェルを周縁リムに沿ってシールした単回用量容器がある。シールにより、周縁リムが完全に接着され、包装の防水性が保証される。これらのシェルは剥離可能、つまり、包装の破損/破裂を引き起こすことなく、シーリング平面に対して垂直に引っ張ることで周縁リムを分離することができることを意味する。
【0004】
包装を開封すると、ユーザは、チーズ製品を食べるために刃物類(ナイフ、スプーン)を使用することができる。包装から出してもこぼれないよう十分な一貫性があるチーズ製品の場合、ユーザは自分の指を使ってセルフサービスする。そのうち、製品が壁に付着し、指で取り除く場合がある。
【0005】
指が汚れないようにするために、このようなチーズ製品は、シェルを開けたら製品に触れずに食べることができるように、把持スティックに付けて提供する必要があることが示唆された。スティックを挿入することにより、包装の製造方法が複雑になる。
【0006】
開封時に横方向に半分に折り畳まれる平らな剥離可能なシェルを提供し、その結果、第1のハーフシェルは製品の半分を解放し、第2のハーフシェルはシールされたままであり、指を汚さないように、ユーザがこの第2のハーフシェルを把持できるようにすることも提案されている。欠点は、製品の一部が第2のハーフシェルに詰まることがあることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、特に野菜又は乳製品のための食品包装を提供することであり、この包装を使用すると、ユーザは、指を使って製品を掴むことなく、シェルから直接に製品を摂取することができ、1回の開封動作で製品を最適に解放することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、嵌合平面に沿って互いにシールされ、かつ製品を保持する内部空洞を画定する2つのシェルを備えた、野菜又は乳製品、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装に関し、食品包装は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすことによって開封可能であり、シェルは、嵌合平面内に延び、かつ互いに接触している周縁リムを有し、この縁部は互いにシールされており、前記2つのシェルは、中空下側シェル及び中空上側シェルに対応し、各シェルは、一方のシェルを他方のシェルから剥がすためのタブを有し、各タブは、嵌合平面内の周縁リムの一方から延伸し、対応するシェルと一体的に形成され、前記タブは、包装が閉じられたときに互いに重ね合わされ、各シェルは、嵌合平面内で、タブに位置する第1の端部と、シェルをシールする前に製品を導入するためのネック部が形成された第2の反対側の端部とを有し、各シェルは、前記2つの端部を通過する対称軸線Xを有する。
【0009】
本発明の主な特徴は、少なくとも上側シェルには第2の端部の近位にプレカット線が設けられており、周縁リムをプレカット線まで剥がし、次いでプレカット線を破断することによって、上側シェルの少なくとも一部を下側シェルから分離することができることである。
【0010】
本発明の主なアイデアは、最初に剥がし、次いでシェルの少なくとも一方(この場合は上側のシェル)をプレカット線のレベルで破断することによって、簡単に分離することができる2つのシェルを提供することである。このプレカット線は、第2の端部の近傍、即ち包装の後部に位置する。この線は、製品の開口部を広くするために可能な限り後退させている。
【0011】
本発明によれば、プレカット線は、前記軸線Xに対して横方向に延び、周縁リムの2つの側方部を結ぶ。この線は、軸線Xに対して対称に延びる。
【0012】
本発明の1つの可能な構成によれば、上側シェルは、プレカット線全体に沿って破断される。
【0013】
本発明の別の好ましい構成によれば、プレカット線は、中央折り畳み区間と、中央折り畳み区間の両側に位置し、周縁リムに接続する2つの側方破断区間とを備える。この場合、側部のみが開封時に破断され、中央部は折り畳まれてヒンジとして機能する。
【0014】
破断された上側シェルは、可動部分と、包装の残りの部分で固定したままの部分とを有する。
【0015】
中央折り畳み区間は、可動部分と固定部分との間のヒンジとして作用する。したがって、可動部分は、固定部分に対して枢動することができる。
【0016】
破断区間のおかげで、製品へのアクセス領域を画定する折り畳み線しかなかった従来技術に比べ、製品へのアクセス領域をはるかに大きく開放することができる。
【0017】
これは、製品の半分どころか、3/4を超えてアクセス可能であることを意味する。
【0018】
ユーザは、製品を楽しみながら、下側シェルと、上側シェルの固定部分とを一緒に保持することで、包装を保持し続けることができる。
【0019】
剥離は、通常、上側シェルのタブを引っ張ることによって行われる。剥離は、プレカット線まで周縁リムに沿って起こり、次いでタブを引っ張り続けることによって、2つの破断区間が破断する。2つのシェルは、1回の動きで分離することができる。製品は下側シェル内に留まる。急な動きを防ぐために、剥離は滑らかである。開封時に、製品は脱落せず、下側シェルと、上側シェルの固定部分とによって所定の位置に保持される。
【0020】
本発明の様々な実施形態によれば、これらは一緒にしても別々にしてもよい。
2つのシェルはドーム形状を有しているので、包装が開封されると、製品は2つのシェルの円錐形の端部によって保持される。この円錐形状により、賞味時に製品を非常に簡単に取り出すことができる。製品の半分が2つの平坦なシェルの端部によって捕捉される従来技術とは異なり、ここでは製品の大部分に直接アクセス可能であり、製品の端部をシェルの端部から容易に取り外すことができる。折り畳み区間は、中央に配置され、前記対称軸線に対して略垂直な方向に向けられてている。
プレカット線は、湾曲しており、シェルの湾曲した外形に沿っている。
折り畳み区間は、プレカット線の1/3未満である。
【0021】
折り畳み区間は、目立たないヒンジを形成するので、包装が開封されると製品に更にアクセスしやすくなる。
上側シェルと同様に、下側シェルにもプレカット線が設けられている。このようにして、2つのシェルは、最初にシェルの周縁リムに沿って剥がされ、次いで周縁リムのレベルと一致するプレカット線に沿って同時に破断される。これにより、包装を開封しやすくなる。製品は、2つのシェルの固定部分に保持されたままであるため、2つのシェルが破断しても製品は落下しない。
剥がすことによって2つのシェルを開封した後、製品の少なくとも80%は、シェルと接触することなく解放される。好ましくは、製品の85%が解放される。
包装は、2つのシェルの間に挿入された製品を把持するための手段を備え、この手段には、
包装の内部空洞内に位置し製品に固定された内側部分と、
2つのタブの間に延びる外側部分と、
を備える。
2つのシェルは、2つのシェルの周縁リム間の接触領域によって画定される剥離可能なシーリング領域のレベルで、一緒にシールされる。
各破断区間は、前記シーリング領域を通過する。
各シェルは、その長さよりも短い深さを有する。
【0022】
本発明はまた、上記のような包装を製造するための方法に関し、
2つのプラスチックフィルムを予熱する工程と、
2つのシェルを画定するためにシーリング領域上の嵌合面に沿って2つのフィルムをシールする工程であって、このシーリング領域は、2つのシェルを充填できるように設計された導入ネックと交差する工程と、
内部空洞を形成するためにシェルを熱成形し、導入ネックを形成する工程と、
シェル間に形成された内部空洞を充填するように、前記導入ネックを介して、野菜又は乳製品を投与する工程と、
予熱し、次いでネックの縁部を溶着する工程と、
シェルをその最終形状に個別化するために、シェルの外形を画定するように切断する工程と、
を含む。
【0023】
本方法はまた、フィルムを線に沿って異なる深さにプレカットすることにより、プレカット線を作成する工程を含む。
【0024】
プレカットは、予熱工程の前に、平坦フィルム上で行うことが好ましい。
【0025】
本発明の更なる特徴及び利点は、その理解のために添付図面を詐称して以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の構成における閉じた包装の上面図である。
図2】本発明の第1の構成による開かれた包装の正面の斜視図である。
図3】本発明の第1の構成による開かれた包装の裏面の斜視図である。
図4】本発明の第2の構成における閉じた包装の上面図である。
図5】本発明の第2の構成における開かれた包装の正面の斜視図である。
図6】本発明の第2の構成における開かれた包装の裏面の斜視図である。
図7】プレカットを有するプラスチックフィルムのリールを示す。
図8】プラスチックフィルムの厚さ内で行われたプレカットを示す。
図9】プラスチックフィルムの厚さ内で行われたプレカットの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この説明の残りの部分では、地球重力を基準にせずに、図1及び図4に示すような「X、Y、Z」三面体によって示される垂直方向、縦方向及び横方向の向きが採用される。本発明者らはまた、縦方向及び横方向に延びる、嵌合平面Pと呼ばれる水平面を定義する。
【0028】
以下の説明は、両方の構成に適用される。第1の構成は、製品を把持する手段のない包装を示し、第2の構成は、製品を把持する手段を有する包装を示す。
【0029】
図1及び図4は、野菜又は乳製品、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装1を上方から見て、閉じた状態を示している。この包装1は、上記で定義された三面体のX軸に対応する対称軸線Xを有する。
【0030】
包装1は、主に、嵌合平面に沿って一緒にシールされた2つのシェル2、3から構成される。2つのシェル2、3は、剥離可能なシーリング領域のレベルで一緒にシールされる。
【0031】
これら2つのシェル2、3は、野菜又は乳製品を受け入れる内部空洞を画定する。
【0032】
包装1は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすことによって開かれるようになっている。
【0033】
図2図3図5及び図6は、開いた状態にある包装1を示す。実際、2つのシェル2、3は、剥離によって互いに分離されている。野菜又は乳製品4は、2つのシェル2、3の間にはっきりと見える。
【0034】
野菜又は乳製品4は、包装1からこぼれないように十分に安定した製品4として規定される。換言すれば、野菜又は乳製品4は、常温常圧条件下では液状ではない。したがって、製品4は、固形又は半固形、即ち単体で保持できるほど十分に粘度がある。
【0035】
野菜又は乳製品4は、内部空洞の形状をとる。それは、閉じた包装1の内部空洞全体を実質的に満たしている。
【0036】
より具体的には、2つのシェル2、3は、便宜上「上側シェル」と呼ばれる第1のシェル2と、便宜上「下側シェル」と呼ばれる第2のシェル3とに対応する。
【0037】
2つのシェル2、3は、可撓性又は半剛性である。
【0038】
図示の構成では、2つのシェル2、3は同一の形状を有し、その結果、内部空間は2つのシェル2、3の間に等しく配分された容積を有する。
【0039】
図示されていないが、本発明の一部を形成する他の構成では、2つのシェル2、3は異なる形状で示されている。したがって、内部空間は、2つのシェル2、3の間に不均一に配分された容積となる。好ましくは、下側シェル3は、前記内部空間の全容積の1/3~1/2を形成する。
【0040】
図示の構成では、2つのシェル2、3は同じカップ形状を有する。カップは、円形のカラーを形成する縁部5、6を有する。したがって、各シェル2、3は、嵌合平面P内に延びる周縁リム5、6を有する。
【0041】
包装1が閉じられると、2つの周縁リム5、6が重ね合わされて一緒にシールされる。これにより、シーリング領域が画定される。このシーリング領域は、閉ループに相当し、外部環境から内部空洞をシールすることができる。
【0042】
2つのシェル2、3は、有利にはプラスチック製である。それはリサイクルプラスチック及び/又はリサイクル可能なプラスチックであってもよい。例えば、これらの2つのシェル2、3を製造するために使用されるプラスチック材料は、複数の層を備えてもよい。これは、異なるポリマーの多層膜であってもよい。
【0043】
例えば、基材は、自然なヒンジ効果で知られているポリプロピレンであり得る。
【0044】
剥離力の値は、有利には調整可能であり、好ましくは4~25ニュートンである。
【0045】
図示の構成では、各シェル2、3は、その長さよりも小さい深さを有する。深さは、X軸とZ軸とによって画定される平面内で測定され、したがって、シェル2、3の底部とシェル2、3の頂部との間の距離に対応する(即ち、嵌合平面Pにおける周縁リム5、6のレベル)。長さは、X軸とY軸とによって画定される平面内、即ち嵌合平面P内で測定され、周縁リム5、6上の2つの対向する点の間の最大距離に対応する。シェル2、3の断面が円形である場合、この2つの点は直径方向に対向している。
【0046】
深さがその長さよりも小さいことは、製品4がシェルに埋め込まれておらず、代わりに広くアクセス可能であることを意味する。
【0047】
シェル2、3の形状は、例えば円形である。
【0048】
好ましくは、シェル2、3は中空であり、ドーム形状を有する。これは、本明細書で後述する利点を有する。
【0049】
2つのシェル2、3は、互いに接触している周縁リム5、6のレベルで一緒にシールされる。したがって、シーリング領域を画定する2つのシェル2、3の周縁リム5、6の間に接触領域が存在する。
【0050】
各シェル2、3について、周縁リム5、6は、剥離タブ7、8によってシェル2、3の外側に向かって延ばされる。このタブ7、8は、嵌合平面P内で軸線Xに沿って延び、シェル2と一体に形成される。
【0051】
図示の例では、このタブ7、8は丸みを帯びた耳のような形状である。
【0052】
このタブ7、8は、平坦であるため、ユーザの2本の指で簡単に挟むことができる。このタブ7、8はまた、ユーザの指に十分な把持を提供するために、嵌合平面P内で十分に延びる。
【0053】
包装1が閉じられると、2つのタブ7、8は重なり合う。
【0054】
好ましくは、それらは同一の形状である。
【0055】
タブ7、8は一緒にシールされていないので、ユーザは、タブ7、8を手に取って引っ張り、包装1を簡単に開くことができる。
【0056】
タブ7、8の軸線X上の反対側には、製造時に製品をキャビティに注入する導入ネック15がある。
【0057】
本発明によれば、少なくとも上側シェル2は、シェル2の一方の側から他方の側に実質的に横方向に、即ち軸線Xに対して垂直に延びるプレカット線11を有する。このプレカット線11は、両側で周縁リム5と合流する。
【0058】
このプレカット線11は、以下の3つの部分に分割される。即ち、
中央折り畳み区間11b
中央折り畳み区間11bの両側の2つの側方破断区間11a、11c。
【0059】
3つの部分は、一つの連続した線を形成する。
【0060】
好ましくは、この線はわずかに湾曲している。曲線は、投与ネック15に向けられている。
【0061】
プレカット線11は、上側シェル2上の導入ネック15の近傍に作られる。
【0062】
各シェル2、3は、タブ7、8のレベルに位置する第1の端部を有する前部と、導入ネック15のレベルに位置する第2の反対側の端部を有する後部とを有すると考えることができる。対称軸線Xは両端部を通る。
【0063】
プレカット線11は、シェルの後部に位置する。したがって、それは第2の端部の近位にある。
【0064】
より具体的には、折り畳み区間11bは、第2の端部の近位にあり、軸線Xに垂直である。
【0065】
より正確には、折り畳み区間11bは、シェルの長さの2/3を超えて位置する。
【0066】
例えば、長さ43mm(縁部を含む)のシェルの場合、プレカット線は、第2の端部から35.5mmに、即ち7.5mm離れて位置する。
【0067】
各破断区間11a、11cは、折り畳み区間11bを起点として周縁リム5に合流し、周縁リム5の全幅を境界まで横断する。このようにして、各破断区間11a、11cはシーリング領域を通過する。
【0068】
その結果、ユーザが包装1を開封したい場合、ユーザは上側シェル2のタブ8を引っ張り、これにより、シェル2、3が破断区間11a、11cまで剥がれ、破断区間は引張力を受けて破断する。このようにして剥離は停止され、上側シェル2は次の2つの部分に分割される、即ち、
製品4から離れるように移動する可動部分2aおよび、
製品4と接触して定位置に留まる固定部分2b。
【0069】
2つの部分2a、2bは、破断されていない中央折り畳み区間11bを介して互いに固定されたままである。この折り畳み区間11bは、ヒンジとして機能する。これにより、可動部分2aは、固定部分2bに対して枢動することができる。
【0070】
こうして、可動部分2aと接触していた製品4は、全てが自由にアクセスできるようになる。
【0071】
本発明の1つの可能な例によれば、下側シェル3は、プレカットを有さず、製品4を支持し続ける。上側シェル2の可動部分2aは、製品4を適切に解放するのに十分な大きさであり、消費者は、下側シェル3から製品を直接食べることができる。必要に応じて、下側シェル3の底部を押圧して製品を壁から持ち上げることができる。
【0072】
本発明の別の可能な例によれば、図示のように、下側シェル3はまた、プレカット線11を有する。
【0073】
好ましくは、下側シェル3は上側シェル2のものと同一である。この場合、両シェルの向きはもはや重要ではない。「下側」及び「上側」という用語は、2つのシェルを区別するために、わかりやすくするために挙げただけである。これらは、「第1」及び「第2」という用語で置き換えることができる。
【0074】
したがって、ユーザがタブ7、8を引っ張ると、シェル2、3の剥離は、上側シェル2及び下側シェル3が同時に破断するまで行われる。
【0075】
製品4は更に良好に解放され、シェル2、3の2つの固定部分2b、3bに保持されるのはごく一部となる。
【0076】
残りの2つの固定部分2b、3bは、製品4の端部を保持する円錐形の空間を形成する。この円錐形の空間は、シェル2及び3のドーム形状から生じる。この円錐形の空間により、製品端部を簡単に取り外すことができる。シェルが平坦の場合、空間が円錐形にならず、製品の端部が空間内にはまり込む可能性がある。フレア状の円錐形は、製品の端部を簡単に引き抜くこと、いわば、「型から外す」ことができる。
【0077】
折り畳み線11bは、連続曲線の3分の1未満であるのが好ましい。ヒンジが狭いほど、製品4にアクセスしやすくなる。
【0078】
好ましくは、製品の少なくとも80%は、2つのシェル2、3が破断されたときに解放される。
【0079】
製品の85%がその包装1から解放されるのが好ましい。
【0080】
固定部分2b、3bに収容された残りの15%は、簡単に抜き取り可能である。
【0081】
したがって、ユーザは、製品4に指で触れる必要なく、製品4を賞味することができる。
【0082】
プレカット線11は、破断区間11a、11cが通過する場所で、周縁リム5、6が剥がされるとすぐにシェル2、3が破断するように設計されている。このようにして、周縁リム5、6の下流部分、即ち破断区間11a、11cから導入ネック15までの下流部分は、包装1が開かれた後もシールされたままである。上記のように、従来技術とは異なり、製品の残りの部分を簡単に取り出すことができるので、これは問題ではない。
【0083】
図1図3に示す第1の構成では、製品を把持する手段はない。
【0084】
図4図6に示す第2の構成では、製品を把持するための手段10が追加されている。これが2つの構成の唯一の違いである。
【0085】
この場合、把持手段10は、製造時点及び製品導入前にシェル2、3の間に挿入されるスティックで構成されてもよい。
【0086】
把持手段10は、シェル2、3の内部空洞内に収容され、製品4が固定される部分と、シェル2、3から突出し、2つのタブ7、8の間に位置する外部部分とを有する。
【0087】
包装1が閉じられるとき内部空洞が確実にシールされるように、周縁リム5、6は把持手段10までシールされる。
【0088】
タブ7、8は把持手段10までシールされていないので、ユーザは、把持手段10を保持したまま、各タブ7、8を把持手段10から遠ざかるように移動させて引っ張り、包装1を簡単に開くことができる。
【0089】
最後に、どのような構成が選択されても、ユーザは、製品4に指で触れる必要なく、製品4を賞味することができる。
【0090】
本発明はまた、プラスチックフィルム12の少なくとも1つのリールから、食品包装1、特に野菜又は乳製品4のための、例えば上述の包装1を製造するための方法に関し、この方法は、
2枚のプラスチックフィルム12を予熱する工程と、
2つのシェル2、3を画定するように、シーリング領域上の嵌合面に沿って2枚のフィルム12をシールする工程であって、このシーリング領域は、2つのシェル2、3を充填できるようにすることを意図した導入ネック15と交差する工程と、
内部空洞を形成するためにシェル2、3を熱成形して導入ネック(15)を形成する工程と、
シェル2、3間に形成された内部空洞を充填するように、前記導入ネック15を介して野菜又は乳製品4を導入する工程と、
予熱し、次いでネック15の縁部を溶着する工程と、
シェルをその最終形状(図7の点線で示す)にカスタマイズするためにシェル2、3の外形を画定するように切断する工程と、
を含む。
【0091】
これらの工程は、好ましくは連続的であるが、異なる順序で行うこともできる。
【0092】
この方法は、フィルム12を線に沿って異なる深さにプレカットすることにより、プレカット線11を作成する工程を含む。
【0093】
プレカット線11は、図7に示すように平坦なフィルム12上に、又は形成されたフィルム12上に、又は形成されたシェル上に、形成された又は溶着されたネック上に作成することができる。これらのプレカット線11は、ピッチPだけ離れている。
【0094】
プレカット線11を作成するために使用される技術は様々なものとすることができ、機械的(ナイフ)、電気機械的(超音波)、レーザ、又は任意の他の傷付け方法とすることができる。
【0095】
各プレカット線11は、直線とすることができ、又は必要とされる最良の開封機能に適合した経路をたどることもできる。ここで、この線は、両端部では直線であって周縁リムと一致し、両端部の間では、包装の背面に近づけるために、丸みを帯びている。
【0096】
プレカット線11は、予熱工程の前に、平坦なフィルム12上に作られることが好ましい。プレカットが平坦なフィルム12上で行われる場合、シェル2、3の熱成形中に行われる引き延ばしに起因してフィルム12が将来的に薄くなることが考慮される。これにより、ユーザが包装1を手に取って開封する前に、プレカット線11のレベルで薄くなったフィルム12が破断するリスクを回避することができる。
【0097】
プレカットは、プレカット工具をプログラムすることによって、連続、中断、深さを調整することができる。したがって、どこでプレカットするか、及びどの長さ及び深さにするかを調整することができる。これを行うために、ガイドとして、シェルの形状やフィルム上でグラフィックを使用することができる。
【0098】
プレカットの深さによって、多かれ少なかれ壊れやすい、したがって多かれ少なかれ簡単に破断する、即ち、簡単に折れる傾向がある領域が生ずる。深さが深いほど、その部分は壊れやすくなる。
【0099】
折り畳み区間11bを得るために、浅いプレカットが形成されるか、又はプレカット線に不連続部分が形成される。
【0100】
図8に示すように、プレカット線11は、破断区間11a、11cに対応する2つの深い側方領域と、折り畳み区間11bに対応するより浅い中央領域とを備える。
【0101】
図9に示すように、破断区間11a、11cは、周縁リム5、6のレベルで非常に深い領域(シェルが形成されると厚さが厚くなる)を備え、続いてシェル2、3のドーム状部分のレベルで浅い領域(シェルが形成されると厚さが薄くなる)を備えてもよい。また、中央折り畳み区間11bは元の状態のままであり、プレカットがない。したがって、中央部分11bのレベルでのプレカットには不連続がある。
【0102】
ユーザがシェルを開くと、非常に深い領域が最初に破断され、その破断はより浅い領域に簡単に広がる。
【0103】
プレカット線11はまた、二段階で製造することもでき、非常に深い領域は予熱工程の上流で形成され、より浅い領域は形成工程又は導入工程の後に形成される。
【0104】
下側シェル3及び上側シェル2を形成するために、本方法は、2つの異なるリールから得られる2つのフィルム12を後で重ね合わせるか、1つのリールを折り畳んで使用することができ、これにより、2つの印刷面の間の見当合わせが非常に正確になる。シェルは、成形ステーションで中心位置決めされ、ここで2つの部分が同時に得られ、シーリング工程の前に、中心に配置される。好ましくは、フィルム12は、シーリング工程の前に予熱される。
【0105】
好ましくは、シーリングは熱シーリングによって行われる。
【0106】
シーリングは、包装1を気密に閉じるために使用される。シーリングにより開口の制御及び調整が可能になり、その強度(剥離力)を測定することができる。
【0107】
導入ネック15又は包装1の他の部分の溶着は、熱シーリングによって行うことができる。溶着によって、分離することができない、したがって破壊しない限り開くことができない決定的なアセンブリができる。
【0108】
引用された図に示された構成は、本発明の可能な例にすぎず、決して限定するものではなく、逆に、当業者の手の届く範囲内の形状及び設計のバリエーションを包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜又は乳製品(4)、例えばチーズの個別ポーション用の食品包装(1)であって、嵌合平面(P)に沿って互いにシールされ、かつ製品(4)を保持する内部空洞を画定する2つのシェル(2、3)を備え、包装(1)は、一方のシェルを他方から剥がすことによって開封可能であり、シェル(2、3)は、嵌合平面(P)内に延び、かつ互いに接触している周縁リム(5、6)を有し、周縁リム(5、6)は互いにシールされており、前記2つのシェル(2、3)は、中空下側シェル(3)及び中空上側シェル(2)に対応し、各シェル(3、2)は、一方のシェルを他方のシェルから剥がすための剥がしタブ(7、8)を有し、各タブ(7、8)は、嵌合平面(P)内の周縁リム(5、6)の一方から延び、対応するシェル(2、3)と一体的に形成され、前記タブ(7、8)は、包装(1)が閉じられたときに重ね合わされ、各シェル(2、3)は、嵌合平面(P)内で、タブ(7、8)に位置する第1の端部と、第2の反対側の端部とを備え、各シェル(2、3)は、前記2つの端部を通過する対称軸線(X)を有しており、
少なくとも上側シェル(2)には、第2の端部の近位にプレカット線(11)が設けられ、上側シェル(2)の少なくとも一部は、周縁リム(5、6)をプレカット線(11)まで剥がすことによって、次いでプレカット線(11)を破断することによって、下側シェル(3)から分離することができることを特徴とする、食品包装(1)。
【請求項2】
プレカット線(11)は、前記軸線(X)に対して横方向に延び、周縁リム(5)の2つの側縁部を接続することを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項3】
プレカット線は、中央折り畳み区間(11b)と、中央折り畳み区間(11b)の両側に位置し、周縁リム(5)を接続する2つの側方破断区間(11a、11c)と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項4】
折り畳み区間(11b)は、前記対称軸線(X)に対して中心位置決めされ、かつ垂直に方向付けされていることを特徴とする、請求項3に記載の包装(1)。
【請求項5】
折り畳み区間(11b)はプレカット線(11)の1/3未満であることを特徴とする、請求項3に記載の包装(1)。
【請求項6】
下側シェル(3)には、上側シェル(2)の例に続くプレカット線(11)も設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項7】
2つのシェル(2、3)を剥離によって開いた後、製品(4)の少なくとも80%が、シェル(2、3)と接触することなく解放されることを特徴とする、請求項6に記載の包装(1)。
【請求項8】
2つのシェル(2、3)の間に挿入された製品を把持するための手段(10)を備え、
包装(1)の内部空洞内に配置され、製品(4)に固定された内側部分と、
2つのタブ(7、8)の間に延びる外側部分と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項9】
2つのシェル(2、3)はドーム形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の包装(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の包装(1)を製造するための方法であって、
2枚のプラスチックフィルム(12)を予熱する工程と、
2つのシェル(2、3)を画定するように、シーリング領域上の嵌合面(P)に沿って2枚のフィルム(12)をシールする工程であって、シーリング領域は、2つのシェル(2、3)を充填できるように設計された導入ネック(15)と交差される工程と、
内部空洞を形成するためにシェル(2、3)を熱成形して導入ネック(15)を形成する工程と、
シェル(2、3)の間に形成された内部空洞を充填するように、前記導入ネック(15)を介して野菜又は乳製品(4)を導入する工程と、
予熱し、次いでネック(15)の縁部を溶着する工程と、
シェルを最終形状に個別化するために、シェル(2、3)の外形を画定するように切断する工程と、
を含み、
フィルム(12)を異なる深さにプレカット(11)することによってプレカット線(11)を生成する工程も含むことを特徴とする、方法。
【国際調査報告】