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特表2024-529703気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/04 20060101AFI20240801BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240801BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240801BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20240801BHJP
   C12M 1/107 20060101ALI20240801BHJP
   C01B 3/34 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
C12P1/04 Z
C12P21/02 A
C12N1/20 A
C12M1/04
C12M1/107
C01B3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024508769
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 AU2022050883
(87)【国際公開番号】W WO2023015355
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2021902515
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515267471
【氏名又は名称】ウッドサイド エナジー テクノロジーズ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ジテンドラ アチュット
(72)【発明者】
【氏名】アオ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】マッセン・へイン,マイケル エドワード レヴ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,チチン
(72)【発明者】
【氏名】リアウ,スイ ブーン
(72)【発明者】
【氏名】サイモンズ,アレクサンダー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4B065
4G140
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA27
4B029BB02
4B029CC01
4B029DB19
4B029DG08
4B064AA01
4B064AB03
4B064AG01
4B064CA02
4B064CC30
4B064CD30
4B064DA16
4B065AA01X
4B065AC14
4B065AC20
4B065BC50
4B065BD14
4B065CA01
4B065CA03
4B065CA24
4B065CA60
4G140EA03
4G140EA05
4G140EA09
4G140EB32
4G140EB42
(57)【要約】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムおよび方法。このシステムおよび方法は、気体状炭素化合物を代謝する生物学的プロセスを使用する。気体状炭素化合物は、単一の発生源または2つ以上の異なる発生源からのCO2およびCH4の混合物を含む。別々の生物学的プロセスが合体されて異なる気体状炭素化合物が処理される。1つの生物学的プロセスの副次的生成物として生産された気体状炭素化合物が、別の生物学的プロセスのための原料として、またはそれの一部として使用される。カーボン・フットプリントの最小化および総体的なカーボン・ネガティブ・プロファイルの可能化を支援するために、再生可能なエネルギ・システムが提供され、このシステムおよび方法の装置および設備に原動力を与える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合型システムであって、
二酸化炭素およびメタンを含む気体状炭素の原料の混合物を生産する能力を有する発生源と、
メタン代謝微生物を含んでおり、かつ前記発生源からメタンが供給される生物学的メタン処理システムであって、メタン代謝微生物を繁殖させ、かつ副次的生成物として二酸化炭素を生産するべく準備された生物学的メタン処理システムと、
二酸化炭素代謝微生物を含んでおり、かつ気体状炭素の原料と前記二酸化炭素副次的生成物の混合物の発生源から二酸化炭素が供給される生物学的二酸化炭素処理システムであって、二酸化炭素代謝微生物を繁殖させるべく準備された生物学的二酸化炭素処理システムと、
前記繁殖された微生物を収穫し、単細胞タンパク質を生産するべく準備された微生物収穫および処理システムと、
を包含する統合型システム。
【請求項2】
前記メタン代謝微生物は、中温性のメタン資化性バクテリアを包含する、請求項1に記載の統合型システム。
【請求項3】
前記二酸化炭素代謝微生物は、中温性のバクテリアを包含する、請求項1または2に記載の統合型システム。
【請求項4】
前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する、請求項3に記載の統合型システム。
【請求項5】
前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含する、請求項3に記載の統合型システム。
【請求項6】
気体状酸素を生産する能力を有する空気分離ユニットを包含し、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状酸素を供給するべく準備される、請求項1乃至5のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項7】
気体状酸素を生産する能力を有する水分離ユニットを包含し、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状酸素を供給するべく準備される、請求項1乃至6のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項8】
気体状水素を生産する能力を有する水分離ユニットを包含し、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状水素を供給するべく準備される、請求項1乃至6のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項9】
前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方を冷却して所定温度範囲内において動作させるべく動作可能な冷却システム、を包含する、請求項1乃至8のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項10】
前記微生物収穫および処理システムは、前記生物学的メタン処理システムから微生物を収穫するための第1の収穫システムと、前記生物学的二酸化炭素処理システムから微生物を収穫するための第2の収穫システムと、前記第1および第2の収穫システムの両方によって収穫された微生物を乾燥させるための共通の乾燥機と、を含む、請求項1乃至9のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項11】
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システム、を包含し、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方は、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる、請求項1乃至10のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項12】
前記水分解ユニット、前記空気分離ユニット、前記冷却システム、および前記微生物収穫および処理システムのうちの1つまたは複数は、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる、請求項11に記載の統合型システム。
【請求項13】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合された生物学的方法であって、
メタン資化性バクテリアを繁殖させ、かつ副次的生成物として二酸化炭素を生産する能力を有する生物学的メタン処理システムへ第1のバイオガス発生源から気体状メタンを供給することと、
(a)前記第1のバイオガス発生源からの気体状二酸化炭素と、(b)前記二酸化炭素副次的生成物を、二酸化炭素代謝バクテリアを繁殖させる能力を有する生物学的二酸化炭素処理システムへ供給することと、
前記繁殖されたメタン資化性バクテリアおよび前記繁殖された二酸化炭素代謝バクテリアから単細胞タンパク質を生産することと、
を包含する、統合された生物学的方法。
【請求項14】
前記第1のバイオガス発生源から前記気体状メタンを供給することおよび前記気体状二酸化炭素を供給することは、前記第1のバイオガス発生源からの気体状メタンと気体状二酸化炭素の混合物を包含するバイオガスを、ガス前処理および分離ユニットへ供給することと、前記ガス前処理および分離ユニットを動作させて別々の気体状メタンおよび気体状二酸化炭素の供給流を提供することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生物学的メタン処理システムへ気体状酸素を供給すること、を包含する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的二酸化炭素処理システムへ気体状酸素を供給すること、を包含する、請求項13乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的二酸化炭素処理システムへ気体状水素を供給すること、を包含する、請求項13乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記二酸化炭素代謝バクテリアとして水素資化性バクテリアを使用すること、を包含する、請求項13乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化炭素代謝バクテリアとしてシアノバクテリアを使用すること、を包含する、請求項13乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ1つまたは複数の栄養素を供給すること、を包含する、請求項13乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方を所定温度範囲内において動作するべく冷却すること、を包含する、請求項13乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記気体状酸素を供給することは、(a)空気分離ユニット、および(b)水分解ユニットのうちの一方または両方から気体状酸素を生産することを包含する、請求項15乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記気体状水素を供給することは、水分解ユニットを動作させて前記供給される気体状水素を生産することを包含する、請求項17乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記単細胞タンパク質を生産することは、前記繁殖されたメタン資化性バクテリアおよび前記繁殖された二酸化炭素代謝バクテリアを収穫し、乾燥することを包含する、請求項13乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源から原動力を発生させ、前記発生された原動力を、前記方法の実行を可能にするべく使用されるプラントおよび設備のための運転動力として使用すること、を包含する、請求項13乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
畜産の方法であって、
複数の動物によって排泄された廃棄物から、気体状メタンと二酸化炭素の混合物を含むバイオガスを生産することと、
請求項13乃至25のいずれかに記載の前記方法を使用して前記バイオガスを単細胞タンパク質に変換することと、
前記単細胞タンパク質を包含する飼料を前記複数の動物に給餌することと、
を包含する方法。
【請求項27】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合型システムであって、
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムと、
1つまたは複数の気体状炭素化合物の1つまたは複数の発生源と、
1つまたは複数の反応物質の供給流と、
前記制御されたエネルギによって原動力が与えられ、前記気体状炭素化合物を、前記1つまたは複数の反応物質の存在の下に変換して1つまたは複数の販売可能な生成物を生産するべく準備された炭素処理プラントであって、前記気体状炭素化合物うちの少なくとも1つから第1の販売可能な生成物および気体状炭素化合物の副次的生成物を生産する能力を有する第1の炭素処理ユニットと、前記気体状炭素化合物の副次的生成物から第2の販売可能な生成物を生産する能力を有する第2の炭素ユニットとを有する炭素処理プラントと、
を包含する統合型システム。
【請求項28】
前記第1および第2の炭素処理ユニットのうちの一方または両方は、前記気体状炭素化合物を生物学的に処理するバイオリアクタを包含する、請求項27に記載の統合型システム。
【請求項29】
前記第1の炭素処理ユニットは、メタン代謝微生物を含んでいる生物学的メタン処理システムであり、前記気体状炭素化合物の副次的生成物は、二酸化炭素である、請求項28に記載の統合型システム。
【請求項30】
前記メタン代謝微生物は、中温性のメタン資化性バクテリアを包含する、請求項29に記載の統合型システム。
【請求項31】
前記第2の炭素処理ユニットは、二酸化炭素代謝微生物を含んでいる生物学的二酸化炭素処理システムである、請求項27乃至30のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項32】
前記二酸化炭素代謝微生物は、中温性のバクテリアを包含する、請求項31に記載の統合型システム。
【請求項33】
前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する、請求項32に記載の統合型システム。
【請求項34】
前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含する、請求項32に記載の統合型システム。
【請求項35】
第3の販売可能な生成物を生産する能力を有する第3の炭素処理ユニットを包含し、前記第3の炭素処理ユニットは、二酸化炭素代謝微生物を含んでいる生物学的二酸化炭素処理システムであり、前記第2の炭素処理ユニットの前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含し、前記第3の炭素処理ユニットの前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する、請求項31に記載の統合型システム。
【請求項36】
前記炭素処理プラントは、前記1つまたは複数の気体状炭素化合物および前記気体状炭素化合物の副次的生成物から合成ガスを生産する能力を有する合成ガス発生ユニットを含む、請求項27乃至35のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項37】
前記炭素処理ユニットは、前記合成ガスを処理するさらなる炭素処理ユニットを包含し、前記さらなる炭素処理ユニットは、(a)前記合成ガスを発酵させて、さらなる販売可能な生成物を生産するバイオリアクタ、または(b)炭化水素を生産する熱化学を行う能力を有する反応器である、請求項36に記載の統合型炭素処理システム。
【請求項38】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムであって、
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムと、
メタンおよび二酸化炭素の1つまたは複数の発生源と、
前記メタンおよび二酸化炭素から合成ガスを形成する能力を有する合成ガス発生ユニットであって、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる合成ガス発生ユニットと、
前記合成ガスをカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するべく準備された合成ガス変換ユニットと、
を包含するシステム。
【請求項39】
前記合成ガス変換ユニットは、前記合成ガスを発酵させる能力を有するバイオリアクタである、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記合成ガス変換ユニットは、熱化学プロセスを実行して炭化水素を生産するべく準備される、請求項38に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムおよび方法が開示されている。気体状炭素は、限定されないが、化石燃料、大気からの抽出、または埋め立てバイオガスまたは動物廃棄物等の有機廃棄物処理を含む1つの、または組み合わせの発生源に由来することができる。カーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物には、限定されないが、動物用飼料タンパク質、医薬品、および高価値化学物質を含めることができる。
【背景技術】
【0002】
高まりゆく地球温暖化に関する懸念は、温室ガスにおける実質的な研究を招くに至った。温度上昇を1.5℃未満に抑えるために、複数の方法を実施して、温室ガス、特に二酸化炭素およびメタンの放出を減らすだけでなく、大気中内の温室ガスの現在の含有量を減少させる必要があることも広く合意されている。二酸化炭素の温室効果はよく知られているが、メタンは、100年間にわたる二酸化炭素の地球温暖化係数(GWP)と比べて約28倍の高さを有する。その結果として言えることは、メタンの多様な発生源からそれの放出を減少させることが看過されてはならないということである。2021年には、米国、欧州連合、およびそのほかの103カ国が、地球全体のメタン放出を2030までに2020年レベルから少なくとも30パーセントまで削減することを意図したグローバル・メタン・プレッジに乗り出した。
【0003】
研究は、価値のある生成物への温室ガスの利用に向けた多様な方法に焦点が当てられた。たとえば、スイス国の会社Climeworks(クライムワークス)は、大気から二酸化炭素を直接取り込むいくつかの運用プラントを有しており、その年間総容量は、2,000トンに及ぶ。取り込まれた二酸化炭素は、自然の地下鉱化作用を介して永久貯蔵される。いくつかの会社、たとえば、Carbon Engineering(カーボン・エンジニアリング)は、複数の反応を通じて二酸化炭素を合成燃料に変換する技術を開発している。メタンそれ自体は、価値のあるエネルギ源であるが、メタン放出の55-70%は、取り込んで天然ガスと同じように使用することが可能でない畜産、埋め立てゴミ処理、および湿地等の生物起源によって生じる。いくつかの熱化学技術において、メタンは還元化学物質としての二酸化炭素を用いて変換され、多様な化学物質および燃料の重要な先駆物質である合成ガスが生産される。研究では、藻類、バクテリア、およびそのほかの微生物が、光合成または代謝プロセスを通じて気体状炭素を消費する巨大な潜在能力を有することが明らかになった。これまでのところ、温室ガス抽出の経済性が、大規模な商業的に存立可能な運用に対する障害となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この中で開示されているとおりの気体状化合物から炭素を抽出し、商業用生成物に変換するアプローチが、地球温暖化を上記1.5℃目標に、または好ましくはそれ未満に維持することにおいて補助となり得ると考えられている。
【0005】
背景技術に対する上記の参照は、その技術がこの分野の当業者に共通する一般知識の一部を形成するとの自認を構成しない。また上記の参照には、開示されているシステムおよび方法の応用が当該システムおよび方法のなんらかの特定の形式に限定されることも意図されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合型システムが開示され、前記統合型システムは、
二酸化炭素およびメタンを含む気体状炭素の原料の混合物を生産する能力を有する発生源と、
メタン代謝微生物を含んでおり、かつ前記発生源からメタンが供給される生物学的メタン処理システムであって、メタン代謝微生物を繁殖させ、かつ副次的生成物として二酸化炭素を生産するべく準備された生物学的メタン処理システムと、
二酸化炭素代謝微生物を含んでおり、かつ気体状炭素の原料と前記二酸化炭素副次的生成物の混合物の発生源から二酸化炭素が供給される生物学的二酸化炭素処理システムであって、二酸化炭素代謝微生物を繁殖させるべく準備された生物学的二酸化炭素処理システムと、
前記繁殖された微生物を収穫し、単細胞タンパク質を生産するべく準備された微生物収穫および処理システムと、
を包含する。
【0007】
1つの実施態様において、前記メタン代謝微生物は、中温性のメタン資化性バクテリアを包含する。
【0008】
1つの実施態様において、前記二酸化炭素代謝微生物は、中温性のバクテリアを包含する。
【0009】
1つの実施態様において、前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する。
【0010】
1つの実施態様において、前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含する。
【0011】
1つの実施態様において、前記統合型システムは、気体状酸素を生産する能力を有する空気分離ユニットを包含し、かつ前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状酸素を供給するべく準備される。
【0012】
1つの実施態様において、前記統合型システムは、気体状酸素を生産する能力を有する水分解ユニットを包含し、かつ前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状酸素を供給するべく準備される。
【0013】
1つの実施態様において、前記統合型システムは、気体状水素を生産する能力を有する水分離ユニットを包含し、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状水素を供給するべく準備される。
【0014】
1つの実施態様において、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方を冷却して所定温度範囲内において動作させるべく動作可能な冷却システムを包含する。
【0015】
1つの実施態様において、前記微生物収穫および処理システムは、前記生物学的メタン処理システムから微生物を収穫するための第1の収穫システムと、前記生物学的二酸化炭素処理システムから微生物を収穫するための第2の収穫システムと、前記第1および第2の収穫システムの両方によって収穫された前記収穫済み微生物を乾燥させるための共通の乾燥機とを含む。
【0016】
1つの実施態様において、前記統合型システムが、1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムを包含し、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方は、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる。
【0017】
1つの実施態様において、前記水分解ユニット、前記空気分離ユニット、前記冷却システム、および前記微生物収穫および処理システムのうちの1つまたは複数に、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる。
【0018】
第2の態様において、気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合された生物学的方法が開示され、前記方法は、
メタン資化性バクテリアを繁殖させ、かつ副次的生成物として二酸化炭素を生産する能力を有する生物学的メタン処理システムへ第1のバイオガス発生源から気体状メタンを供給することと、
(a)前記第1のバイオガス発生源からの気体状二酸化炭素と、(b)前記二酸化炭素副次的生成物を、二酸化炭素代謝バクテリアを繁殖させる能力を有する生物学的二酸化炭素処理システムへ供給することと、
前記繁殖されたメタン資化性バクテリアおよび前記繁殖された二酸化炭素代謝バクテリアから単細胞タンパク質を生産することと、
を包含する。
【0019】
1つの実施態様において、前記第1のバイオガス発生源から前記気体状メタンを供給することおよび前記気体状二酸化炭素を供給することは、前記第1のバイオガス発生源からの気体状メタンと気体状二酸化炭素の混合物を包含するバイオガスを、ガス前処理および分離ユニットへ供給することと、前記ガス前処理および分離ユニットを動作させて別々の気体状メタンおよび気体状二酸化炭素の供給流を提供することとを含む。
【0020】
1つの実施態様において、前記方法は、前記生物学的メタン処理システムへ気体状酸素を供給することを包含する。
【0021】
1つの実施態様において、前記方法は、前記生物学的二酸化炭素処理システムへ気体状酸素を供給することを包含する。
【0022】
1つの実施態様において、前記方法は、前記生物学的二酸化炭素処理システムへ気体状水素を供給することを包含する。
【0023】
1つの実施態様において、前記方法は、前記二酸化炭素代謝バクテリアとして水素資化性バクテリアを使用することを包含する。
【0024】
1つの実施態様において、前記方法は、前記二酸化炭素代謝バクテリアとしてシアノバクテリアを使用することを包含する。
【0025】
1つの実施態様において、前記方法は、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ1つまたは複数の栄養素を供給することを包含する。
【0026】
1つの実施態様において、前記方法は、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方を所定温度範囲内において動作するべく冷却することを包含する。
【0027】
1つの実施態様において、前記気体状酸素を供給することは、(a)空気分離ユニット、および(b)水分解ユニットのうちの一方または両方から気体状酸素を生産することを包含する。
【0028】
1つの実施態様において、前記気体状水素を供給することは、水分解ユニットを動作させて前記供給される気体状水素を生産することを包含する。
【0029】
1つの実施態様において、前記単細胞タンパク質を生産することは、前記繁殖されたメタン資化性バクテリアおよび前記繁殖された二酸化炭素代謝バクテリアを収穫し、乾燥することを包含する。
【0030】
1つの実施態様において、前記方法は、1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源から原動力を発生させ、前記発生された原動力を、前記方法の実行を可能にするべく使用されるプラントおよび設備のための運転動力として使用することを包含する。
【0031】
第3の態様において、畜産の方法が開示され、前記方法は、
複数の動物によって排泄された廃棄物から、気体状メタンと二酸化炭素の混合物を含むバイオガスを生産することと、
前記第2の態様に従った前記方法を使用して前記バイオガスを単細胞タンパク質に変換することと、
前記単細胞タンパク質を包含する飼料を前記複数の動物に給餌することと、
を包含する。
【0032】
第4の態様において、1つまたは複数のカーボン・ニュートラル生成物を発生するための炭素処理システムが開示され、前記システムは、
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムと、
気体状炭素化合物の1つまたは複数の発生源と、
1つまたは複数の反応物質の供給流と、
前記制御されたエネルギによって原動力が与えられ、前記気体状炭素化合物を、前記1つまたは複数の反応物質の存在の下に変換して1つまたは複数の販売可能な生成物を生産するべく準備された炭素処理プラントと、
を包含する。
【0033】
第4の態様の1つの実施態様において、前記気体状炭素化合物の1つまたは複数の発生源が、前記再生可能エネルギ・システムによって原動力が与えられる直接空気中炭素取り込みシステムを包含する。
【0034】
第4の態様の1つの実施態様において、前記気体状炭素化合物の1つまたは複数の発生源が、メタン発生源を包含する。
【0035】
第4の態様の1つの実施態様において、前記メタン発生源は、オイルまたはガス貯留層を包含する。
【0036】
第4の態様の1つの実施態様において、前記メタン発生源は、炭層ガスを包含する。
【0037】
第4の態様の1つの実施態様において、前記メタン発生源は、バイオ廃棄物を包含する。
【0038】
第4の態様の1つの実施態様において、前記反応物質は、酸素、水素、および水のうちの1つまたは複数を包含する。
【0039】
第4の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理システムは、酸素を生産するための空気分離ユニットを包含し、前記空気分離ユニットは、前記再生可能エネルギ・システムによって駆動される。
【0040】
第4の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理システムは、酸素または水素を生産するための水分解ユニットを包含し、前記水分解ユニットは、前記再生可能エネルギ・システムによって駆動される。
【0041】
第4の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理システムは、水素を生産するためのメタン熱分解ユニットを包含し、前記メタン熱分解ユニットは、前記再生可能エネルギ変換システムによって駆動される。
【0042】
第4の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理プラントは、前記反応物質のうちの1つまたは複数の存在の下に前記気体状炭素化合物を処理して前記1つまたは複数の販売可能な生成物を生産するべく準備された1つまたは複数の炭素処理ユニットを包含する。
【0043】
第4の態様の1つの実施態様において、前記1つまたは複数の炭素処理ユニットは、前記気体状炭素化合物を生物学的に処理するためのバイオリアクタを包含する。
【0044】
第4の態様の1つの実施態様において、前記1つまたは複数の炭素処理ユニットは、前記気体状炭素化合物内のほかの要素から炭素を分離するべく準備された分離ユニットを包含する。
【0045】
第4の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理ユニットのうちの少なくとも1つが、気体状二酸化炭素を生産するべく準備され、かつ前記炭素取り込みおよび処理システムが、前記炭素処理ユニットのうちのほかの少なくとも1つに対して前記生産された二酸化炭素を供給するべく準備される。
【0046】
第4の態様の1つの実施態様において、前記再生可能エネルギ・システムは、流動性熱伝達および貯蔵媒体を加熱する集光型太陽熱プラントを包含する。
【0047】
第4の態様の1つの実施態様において、前記再生可能エネルギ・システムは、前記炭素取り込みおよび処理システムを駆動する電気を生産するための光起電力アレイを包含する。
【0048】
第4の態様の1つの実施態様において、前記再生可能エネルギ・システムは、前記炭素取り込みおよび処理システムの日常運転を可能にするエネルギを貯蔵するべく準備される。
【0049】
第5の態様において、1つまたは複数のカーボン・ニュートラル生成物を発生するための炭素処理方法が開示され、前記方法は、
再生可能エネルギを使用してエネルギを生産することと、
炭素処理プラントへ1つまたは複数の気体状炭素化合物を供給することと、
前記炭素処理プラントへ1つまたは複数の反応物質を供給することと、
前記生産されたエネルギを使用して少なくとも前記炭素処理プラントを駆動することと、
前記炭素処理プラントを動作させて、前記1つまたは複数の反応物質の存在の下に前記気体状炭素化合物を1つまたは複数の販売可能なカーボン・ニュートラル生成物に変換することと、
を包含する。
【0050】
第5の態様の1つの実施態様において、前記1つまたは複数の気体状炭素化合物を供給することは、(a)前記生産されたエネルギによって駆動される直接空気中炭素取り込みシステム、(b)化石燃料の生産、処理、または燃焼、および(c)セメント製造またはアンモニア生産を含む産業プロセスの副次的生成物または廃棄物のうちの任意の1つまたは複数から派生する気体状二酸化炭素を供給することを包含する。
【0051】
第5の態様の1つの実施態様において、気体状炭素化合物を供給することは、前記炭素処理プラントへメタンを供給することを包含する。
【0052】
第5の態様の1つの実施態様において、メタンを供給することは、オイルまたはガス貯留層を発生源とするメタンを供給することを包含する。
【0053】
第5の態様の1つの実施態様において、メタンを供給することは、炭層を発生源とするメタンを供給することを包含する。
【0054】
第5の態様の1つの実施態様において、メタンを供給することは、バイオ廃棄物を発生源とするメタンを供給することを包含する。
【0055】
第5の態様の1つの実施態様において、前記1つまたは複数の反応物質を供給することは、酸素、水素、および水供給流のうちの1つまたは複数を供給することを包含する。
【0056】
第5の態様の1つの実施態様において、酸素を供給することは、前記生産されたエネルギによって駆動される空気分離ユニットによって生産される酸素を供給することを包含する。
【0057】
第5の態様の1つの実施態様において、酸素を供給することは、前記生産されたエネルギによって駆動される水分解ユニットによって生産される酸素を供給することを包含する。
【0058】
第5の態様の1つの実施態様において、水素を供給することは、前記生産されたエネルギによって駆動される水分解ユニットまたはメタン熱分解ユニットによって生産される水素を供給することを包含する。
【0059】
第5の態様の1つの実施態様において、前記方法は、それぞれが前記反応物質のうちの1つまたは複数の存在の下に前記気体状炭素化合物を処理して前記1つまたは複数の販売可能な生成物または販売可能な生成物の先駆物質を生産する能力を有する1つまたは複数の炭素処理ユニットとして前記炭素処理プラントを形成することを包含する。
【0060】
第5の態様の1つの実施態様において、炭素処理ユニットのうちの少なくとも1つが、前記気体状炭素化合物を生物学的に処理するべく準備される。
【0061】
第5の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理ユニットのうちの少なくとも1つが、前記気体状炭素化合物内のほかの要素から炭素を分離するべく準備された分離ユニットである。
【0062】
第5の態様の1つの実施態様において、前記炭素処理プラント内のプロセスによって廃棄物として生産された気体状二酸化炭素が前記炭素処理プラントへ供給し戻される。
【0063】
第5の態様の1つの実施態様において、前記方法は、集光型太陽熱プラントとして前記再生可能エネルギ・システムを運転することを包含し、生産されるエネルギは、流動性熱伝達媒体中に、これによって運ばれる熱エネルギである。
【0064】
第5の態様の1つの実施態様において、前記方法は、前記生産されるエネルギに電気エネルギが含まれるような手法で前記再生可能エネルギ・システムを運転することを包含する。
【0065】
第5の態様の1つの実施態様において、前記方法は、前記生産されたエネルギの少なくとも部分的な割合を貯蔵すること、およびその後に続く前記貯蔵したエネルギを使用して前記炭素取り込みおよび処理システムの日常運転を可能にすることを包含する。
【0066】
第5の態様の1つの実施態様において、前記方法は、前記炭素処理ユニットへの前記気体状炭素化合物および前記反応物質の流れの監視および制御を行って、各炭素処理ユニットにおいて行われる処理のための質量バランスの取れた量の前記気体状炭素化合物と前記反応物質を提供することを包含する。
【0067】
第6の態様において、気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合型システムが開示され、前記統合型システムは、
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムと、
1つまたは複数の気体状炭素化合物の1つまたは複数の発生源と、
1つまたは複数の反応物質の供給流と、
前記制御されたエネルギによって原動力が与えられ、前記気体状炭素化合物を、前記1つまたは複数の反応物質の存在の下に変換して1つまたは複数の販売可能な生成物を生産するべく準備された炭素処理プラントであって、前記気体状炭素化合物のうちの少なくとも1つから第1の販売可能な生成物および気体状炭素化合物の副次的生成物を生産する能力を有する第1の炭素処理ユニットと、前記気体状炭素化合物の副次的生成物から第2の販売可能な生成物を生産する能力を有する第2の炭素ユニットとを有する炭素処理プラントと、
を包含する。
【0068】
1つの実施態様において、前記第1および第2の炭素処理ユニットのうちの一方または両方が、前記気体状炭素化合物を生物学的に処理するバイオリアクタを包含する。
【0069】
1つの実施態様において、前記第1の炭素処理ユニットは、メタン代謝微生物を含んでいる生物学的メタン処理システムであり、前記気体状炭素化合物の副次的生成物は、二酸化炭素である。
【0070】
1つの実施態様において、前記メタン代謝微生物は、中温性のメタン資化性バクテリアを包含する。
【0071】
1つの実施態様において、前記第2の炭素処理ユニットは、二酸化炭素代謝微生物を含んでいる生物学的二酸化炭素処理システムである。
【0072】
1つの実施態様において、前記二酸化炭素代謝微生物は、中温性のバクテリアを包含する。
【0073】
1つの実施態様において、前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する。
【0074】
1つの実施態様において、前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含する。
【0075】
1つの実施態様において、前記統合型システムは、第3の販売可能な生成物を生産する能力を有する第3の炭素処理ユニットを包含し、前記第3の炭素処理ユニットは、二酸化炭素代謝微生物を含んでいる生物学的二酸化炭素処理システムであり、前記第2の炭素処理ユニットの前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含し、前記第3の炭素処理ユニットの前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する。
【0076】
1つの実施態様において、前記炭素処理プラントは、前記1つまたは複数の気体状炭素化合物および前記気体状炭素化合物の副次的生成物から合成ガスを生産する能力を有する合成ガス発生ユニットを含む。
【0077】
第7の態様において、気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムが開示され、前記システムは、
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムと、
メタンおよび二酸化炭素の1つまたは複数の発生源と、
前記メタンおよび二酸化炭素から合成ガスを形成する能力を有する合成ガス発生ユニットであって、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる合成ガス発生ユニットと、
前記合成ガスをカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するべく準備された合成ガス変換ユニットと、
を包含する。
【0078】
1つの実施態様において、前記合成ガス変換ユニットは、前記合成ガスを発酵させる能力を有するバイオリアクタである。
【0079】
1つの実施態様において、前記合成ガス変換ユニットは、熱化学プロセスを実行して炭化水素を生産するべく準備される。
【0080】
このほかの任意の形式を発明の概要の中に示されているとおりのシステムおよび方法の範囲内に含めることができるが、以下、例としてのみ、次に挙げる適切な図面を参照して具体的な実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための本開示のシステムおよび方法の1つの実施態様を概括的に図解したフロー図である。
図2図1に示されている方法およびシステムのより詳細なフロー図である。
図3】気体状炭素化合物が単一発生源から発生するメタンおよび二酸化炭素の混合物を包含する場合における気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合されたシステムおよび方法として指定することができる本開示のシステムおよび方法の第2の実施態様のフロー図である。
図4図3に示されている実施態様のための質量流図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
次に、本開示のシステムおよび方法の具体的な実施態様を例示だけのために説明する。この中に使用されている用語は、特定の実施態様の説明を目的としているだけであり、開示されているシステムおよび方法の範囲を限定することは意図されていない。別段の定義がない限り、この中に使用されているすべての技術的および科学的用語は、システムおよび方法に関係する分野の当業者による共通の理解と同じ意味を有する。図面において、類似する参照番号が類似する部品を参照することが理解されるものとする。
【0083】
この中に開示されている全般的概念は、気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するためのシステムおよび方法を提供する。気体状炭素化合物は、1つまたは複数の発生源から提供することができる。発生源は、単一の気体状炭素化合物、たとえばCO2またはCH4;または混合気体状炭素化合物、たとえばCO2およびCH4の両方を提供することができる。別々の生物学的プロセスが合体されて異なる気体状炭素化合物が処理される。1つの生物学的プロセスの廃棄物として生産された気体状炭素化合物は、別の生物学的プロセスのための原料として、またはそれの一部として使用することができる。
【0084】
このシステムおよび方法はまた、気体状炭素化合物の処理を促進する酸素、水素、および水といったそのほかの反応物質の供給流の提供も企図する。気体状炭素化合物を消費するプロセスは、限定されないが、代謝/発酵および/または化学的解離等のバイオ反応を含む。いくつかの実施態様において、生物学的プロセスだけが気体状炭素化合物の消費に使用される。カーボン・フットプリントの最小化および総体的なカーボン・ネガティブ・プロファイルの可能化を支援するために、開示されている統合されたシステムおよび方法の多様な実施態様において、個別のプロセス、システム、および装置に原動力を与える再生可能なエネルギ・システムを提供することができる。
【0085】
図1は、気体状炭素化合物を取り込み、その炭素を処理して価値のある生成物を生産するための開示されているシステム10および関連付けされた方法12の実施態様をフロー図の形式で概括的に図解している。
【0086】
システム10および方法12において、1つまたは複数の再生可能エネルギ源からのエネルギが、再生可能エネルギ・システム14によって1つまたは複数の形式のエネルギに変換され、それが制御されて下流のプラント、設備、およびプロセスの駆動に使用される。たとえば、再生可能エネルギ・システム14は、熱エネルギおよび電気の両方を生産するべく準備することができる。またエネルギ変換システム14は、熱を貯蔵するための所定体積の溶融塩または微粒子材料および/または電気を貯蔵するためのバッテリといったエネルギ貯蔵施設を含むこともできる。応用に応じて、エネルギ貯蔵施設は、システム10の24時間×7日の無休運転を可能にするべく適合されることになる。
【0087】
1つまたは複数の気体状炭素化合物CXが、1つまたは複数の気体状炭素発生源CSによって炭素処理プラント20へ提供される。気体状炭素化合物は、異なる化合物/ガスとすること、たとえば二酸化炭素およびメタンとすることができる。気体状炭素発生源CSは、単一発生源または発生源の組み合わせを包含することができる。また気体状炭素発生源は、2つ以上の異なる気体状炭素化合物の混合物を提供することもできる。たとえば気体状炭素発生源CSは、メタンおよび二酸化炭素(をはじめ、そのほかの窒素、硫化水素、およびアンモニア等の非炭素ガス)の混合物を提供するバイオガス発生源を包含することができる。
【0088】
システム14からのエネルギは、材料を変換または処理して気体状炭素化合物の流れCXを生産する気体状炭素発生源CSのうちの1つまたは複数に原動力を与えるべく使用することができる。流れCXは、炭素処理プラント20へ供給される。炭素処理プラントは、広い範囲の異なる生成物P1-Pnを生産する多数の異なる処理システムを有することができる。炭素処理ユニット内の異なる処理は、異なる形式の気体状炭素化合物の処理または気体状炭素化合物に対する異なる処理を行って異なる生成物P1-Pnを生産するために準備される。炭素処理プラント20を運転するエネルギは、再生可能エネルギ・システム14によって提供される。
【0089】
そのほかの反応物質および/または栄養素を、炭素処理プラント20へ提供して特定の生成物P1-Pnを生産するための特定のプロセスを促進し、または増強することができる。反応物質の例には、それぞれの供給流24、26、27、および28によって提供される酸素、水素、窒素、および水のうちの1つまたは複数が含まれる。栄養素は、それが提供されるときには、主要栄養素および/または微量栄養素を包含することができる。後述するとおり、反応物質のうちの1つまたは複数は、それぞれの反応物質発生ユニットRUによって生産することができる。ユニットRUには、再生可能エネルギ・システム14によって原動力を与えることができる。
【0090】
生成物P1-Pnは、動物飼料、人間が消費するための人造肉、医薬品、エタノール、イソプロパノール、およびパーム・オイル等の高価値化学物質として使用可能な単細胞タンパク質を含むことができる。
【0091】
図2は、総体的なシステム10をより詳細に図示している。システム10の説明において、図1と同じ参照番号の使用が同じ特徴を示す。
【0092】
再生可能エネルギ・システム14は、システム10のすべてのプラントおよび設備にエネルギを提供することが可能である。それに加えてエネルギ・システム14は、システム10内の異なるプラントおよび設備に異なる形式のエネルギを提供するべく準備可能である。たとえば1つの実施態様において、エネルギ・システム14は、溶融塩等のたとえば500℃と700℃の間の温度範囲において流れる流動性熱伝達および貯蔵媒体を加熱する集光型太陽熱(CST)プラントを包含することができる。それに代えて、またはそれに加えて再生可能エネルギ・システム14は、光起電力セルのアレイ、風力タービン、および地熱発生源のうちの1つ、または1つまたは複数の組み合わせを包含することができる。
【0093】
図1の炭素発生源CSが、図2において、3つの異なる気体状炭素化合物発生源として示されている。それらは次のとおりである。
・ 再生可能エネルギ・システム14によって駆動される直接空気中炭素取り込みシステム(DAC)16と、
・ たとえばセメント製造またはアンモニア・プラント等の産業プロセス、または炭化水素の燃焼の副次的生成物または廃棄物としての二酸化炭素の供給を含むことができる二酸化炭素発生源31と、
・ 炭化水素の処理によって生産されるか、または有機廃棄物の分解によって発生するバイオガスとしてのメタンを含むことができるメタン発生源36。メタン発生源がバイオガス発生源である場合において、発生源36は、メタンに加えて、処理プラント20により処理することができる気体状二酸化炭素も提供することになる。
【0094】
直接空気中炭素取り込みシステム16は、ゼオライト等の炭素吸収材料を使用することができる。ゼオライトは、異なる時点において加熱および冷却がなされる異なるバンク内に配置することが可能である。比較的低い温度において、炭素吸収材料が空気中から二酸化炭素を取り込む。取り込まれた二酸化炭素は、加熱時に、空気中におけるより実質的に高い濃度で炭素吸収材料から解放される。異なるバンクのゼオライトまたはそのほかの炭素吸収材料の加熱および冷却のサイクルを適切に制御することによって、比較的一定した二酸化炭素供給流18を生産することが可能である。
【0095】
エネルギ・システム14からの加熱された溶融塩は、直接空気中炭素取り込みシステム16を通って循環され、ゼオライトを加熱して二酸化炭素を解放させることができる。エネルギ・システム14がCSTプラントを含むときには、システム10は、加熱された溶融塩のための貯蔵槽(図示せず)も含み、日常のサイクルの間にわたる連続循環を可能にすることができる。それに代えて、光起電力セルおよび/または風力タービンおよび/または地熱発生源からの電気によって電力供給される電気ヒータをゼオライトの加熱に使用することができる。
【0096】
また再生可能エネルギ・システム14は、炭素処理プラント20およびシステム10のそのほかの設備への電気エネルギの提供も行うことができる。これは、多くの異なる方法で達成することが可能である。たとえば、熱伝達媒体を使用して水を加熱して蒸気を生産することが可能であり、続いてそれが電気エネルギを生産するための発電機と接続されたタービンを駆動し、それが施設内バッテリに貯蔵される。それに代えて、またはそれに加えて、再生可能エネルギ・システム14は、バッテリを充電するための光起電力アレイも含むことができる。バッテリからの電流を使用して、プラントのほかのセクションおよび炭素処理プラント20を含めたシステム10の設備アイテムへ24時間×7日ベースで原動力を与えることが可能である。
【0097】
システム10は、空気収集システム33から空気を受け取る空気分離ユニット(ASU)30、およびたとえば電気分解装置の形式とすることができる水分解ユニット(WSU)32を含む。ASU30およびWSU32は、両方ともに再生可能エネルギ・システム14からの電気によって原動力を得ることが可能である。ASU30は、大気をそれの、主として酸素および窒素である主成分に分離する。ASU30は、極低温空気分離、膜分離、および圧力スイング吸収等の任意の周知の技術に基づくことが可能である。ASU30からの酸素は、炭素処理プラント20のための酸素供給流24を構成するか、またはそれに追加される。ASU30によって生産される窒素およびそのほかのガスは、大気に放出することが可能である。それに代えて、望ましい場合には、多くの異なる方法で窒素を取り扱うことおよび/または使用することが可能であり、それには、さらなる販売可能生成物としての取り込みおよびオプションの液化、または供給流27としてのシステム10のセクションまたはプラント20への分配およびそこにおける利用が含まれる。
【0098】
WSU32は、再生可能エネルギ・システム14からの電気によって原動力が与えられ、気体状水素および酸素を生産することが可能である。WSU32によって生産された酸素は、酸素供給流24に追加される。WSU32によって生産された水素は、水素供給流26として炭素処理プラント20へ供給される。
【0099】
水供給源34は、水供給流28を形成する水を提供する。供給流28は、WSU32および炭素処理プラント20の両方へ水を提供する。
【0100】
メタン発生源36によってメタン供給流22のためのメタンが提供される。メタン発生源36は、炭化水素貯留層、炭層ガス、またはバイオガスのうちの1つまたは複数からの、たとえば都市の、またはそのほかの有機廃棄物からのメタンを保持または供給することができる。メタン発生源36が、メタンおよび二酸化炭素の両方を生産するバイオガス発生源である場合には、後述する実施態様においてより詳細に説明するとおり、二酸化炭素をほかのCO2供給流に追加すること、またはそれ自体が処理プラント20のためのCO2供給流を形成することが可能である。
【0101】
この実施態様において、炭素処理プラント20は、5つの別個の炭素処理ユニット20a、20b、20c、20d、および20eを含む。システム10の任意の具体的な実施態様において、炭素処理プラントは、ユニット20a、20b、20c、20d、および20eの異なる組み合わせを含むことができる。これは、提供されるか、または利用可能な発生源CSおよび所望の生成物に依存する。非限定的な例として述べれば、特定の実施態様における炭素処理プラント20は、(a)ユニット20aおよび20b、(b)ユニット20aおよび20c、(c)ユニット20a、20b、および20c、(d)ユニット20a、20d、および20e、(e)ユニット20dおよび20e、または20a、20b、20c、20d、および20eのすべてを包含することができる。
【0102】
炭素処理ユニット20aは、メタン資化性のバクテリアを利用してメタンを酸化するバイオプロセスである。酸素もまたユニット20aへ供給されてメタンの酸化が促進される。このバイオプロセスの生物学的派生生成物の一例であるP1は、単細胞タンパク質であり、限定されないが、養豚用飼料または養魚用飼料等の動物飼料として使用することができる。反応の副次的生成物は二酸化炭素である。この二酸化炭素は、炭素処理プラントのほかのエリア、限定されないが、処理ユニット20b等における使用のための二酸化炭素供給流18に追加される。これは、1つのプロセスからの気体状炭素副次的生成物が、気体状炭素副次的生成物をカーボン・ニュートラル/カーボン・ネガティブ生成物に変換する別のプロセスにおいて消費されることから、システム10および方法12の統合態様を提供する。
【0103】
炭素処理ユニット20bは、水素、酸素、および水の中に存在する二酸化炭素を消費して養豚用飼料および養魚用飼料を含む動物飼料として使用することができる単細胞タンパク質の形式で第2の異なる生物学的派生生成物P2を生産する水素資化性のバクテリアを利用するバイオプロセスである。
【0104】
炭素処理ユニット20cは、光、二酸化炭素、および水から光合成シアノバクテリアを産するバイオプロセスである。制御された環境においてシアノバクテリアから高価値生成物P3を抽出することが可能である。高価値生成物の例は、医薬品(たとえば、抗癌剤)、栄養補助食品(たとえば、健康補助食品)、食品添加物、および単細胞タンパク質の形式の動物飼料を含む。
【0105】
炭素処理ユニット20dおよび20eは、組み合わせで使用されてエタノールおよびイソプロパノール等の高価値化学物質である生成物P4を生産する。
【0106】
炭素処理ユニット20dは、合成ガス発生ユニットである。このユニットは、供給流18および22によってそれぞれ提供される二酸化炭素およびメタンを、オプションとしての酸素の存在の下に変換して、水素、炭素およびそれの酸化物、水、および残留メタンの混合物である合成ガスを生産する。ユニット20dは、エネルギ変換システム14からのエネルギから生産された熱を使用する改質反応器とすることができる。下流の合成ガス変換ユニット20eは、合成ガスを高価値化学物質P4に変換する。1つの例において、ユニット20eを、合成ガスを発酵させてエタノールおよびイソプロパノール等の高価値化学物質の生産を結果としてもたらすバイオリアクタとすることができる。それに代えて、ユニット20eは、フィッシャー・トロプシュ類似プロセス等の、炭化水素を生産する熱化学プロセスを行うことができる。水素供給からの追加の水素、蒸気26をユニット20eへ提供し、ユニット20dからの供給蒸気における一酸化炭素の水素に対する比の調整に使用することが可能である。
【0107】
ここで注目すべきは、炭素処理ユニット20a-20eのうちのいくつかの生成物または副次的生成物の一部は、ほかの炭素処理ユニットによって使用されることである。たとえば、ユニット20dによって生産される一酸化炭素および水素が、ユニット20eへの投入として供給される。ユニット20aによって生産される二酸化炭素は、直接空気取り込みシステム16からの二酸化炭素と組み合わせて炭素処理ユニット20b、20c、および20dへ供給することが可能である。
【0108】
システム10および方法12は、二酸化炭素、メタン、酸素、水素、および水の供給流18、22、24、26、および28のそれぞれの流量、体積、および圧力を制御し、炭素処理プラント20内の炭素処理ユニット20a-20eのそれぞれへの供給流の最適な化学量論的な、かつ/または質量バランスを確保するために多様なセンサ、ガス検出器、フロー・コントローラ、およびバルブを有する制御・システムを含む。制御・システムはまた、エネルギの生産および貯蔵およびシステム10の多様なプラント、システム、および設備へのエネルギの分配のために、再生可能エネルギ・システム14を監視し、かつ制御する準備も行われる。
【0109】
図3および4は、気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブ生成物に変換するための統合型生物学的炭素処理システム10および方法12の図解である。この実施態様の説明において、図1および2に示されている第1の実施態様の説明に使用された参照番号と同じ参照番号を使用して、同じシステムまたはプロセスを指定する。再生可能エネルギ・システム14は、第1の実施態様に関連する説明と同じ手法でシステム10および方法12のための原動力を提供する。
【0110】
この実施態様において、単一の混合気体状炭素発生源CSが備わる。供給源は、バイオガス発生源の形式を取ることができる。発生源CSは、気体状炭素化合物、特にメタンおよび二酸化炭素の混合物として気体供給流CXを生産する。また供給流CXは、窒素、硫化水素、およびアンモニア等のそのほかのガスを含むこともできる。供給流CXは、ガス前処理および分離ユニット50へ供給される。ユニット50は、供給流内の非炭素ガスを除去して混合気体状炭素化合物を高純度のメタン供給流22および二酸化炭素供給流18に分離する。
【0111】
この実施態様において、気体状炭素化合物のすべての処理が、統合型生物学的処理プラント20内において生物学的に行われる。処理プラント20は、生物学的メタン処理/変換システム20aおよび生物学的二酸化炭素処理/変換システム20bを包含する。処理システム20a、20bは、それぞれの供給ガスの処理のために異なる微生物を使用する。メタン供給流22は、生物学的メタン処理/変換システム20aへ供給される。システム20aは、炭素源としてメタンを代謝するメタノトローフ等のメタンを餌とする微生物を有するバイオリアクタの形式である。同時に、二酸化炭素供給流18は、二酸化炭素を消費する生物学的二酸化炭素処理/変換システム20bへ供給される。これの1つの例は、水素資化性のバクテリアを含んでいるバイオリアクタである。
【0112】
処理/システム20aからの消費されなかったメタンおよびそれによって生産された二酸化炭素は、導管52を通ってガス前処理および分離ユニット50へ戻されて再循環される。この方法において、プロセス20aによって副次的生成物として生産される二酸化炭素がプロセス20bに投入される供給物として使用される。
【0113】
システム10は、全体として微生物収穫および処理システムを形成する第1および第2の収穫システムHS1およびHS2および単細胞タンパク質(SCP)処理システム54を含む。プロセス20aにおいて成長した微生物は、第1の単細胞タンパク質源として第1の収穫システムHS1によって収穫される。プロセス20bにおいて成長した微生物は、これもまた単細胞タンパク質の形式で第2の生成物源として第2の収穫システムHS2によって収穫される。これらの収穫された単細胞タンパク質は、ともに単細胞タンパク質(SCP)処理システム54において処理される。これには、沈殿槽内においてタンパク質を沈殿させてペースト状の粘稠度を達成すること、および当該ペーストを収集するための回転ドラムを含めることができる。また単細胞タンパク質(SCP)処理システム54は、ペーストを乾燥させるための共通の乾燥機も含む。乾燥は、ペーストがドラムにある間に行われる。ペーストは、所望の湿分含有量、たとえば6%-8%まで乾燥することができ、その後システム10および方法12の最終生成物Pを形成する単細胞タンパク質パウダに変換される。
【0114】
生物学的プロセス20aおよび20bは、原料システム56を介して、限定されないが水素、酸素、水、アンモニア、および栄養素を含む原料の追加によって補助するか、またはそのほかの形で促進することができる。原料システム56は、気体状酸素を生産する空気分離ユニット30、気体状水素および気体状酸素を生産する水分解システム32、および栄養素システム58を含む。空気収集システム33は、空気分離システム30へ空気を供給する。水供給源34(たとえば、水道とすることが可能である)は、水分解システム32へ水を供給する。栄養素システム58は、主要栄養素および/または微量栄養素を供給することができる。微量栄養素には、限定されないが、コバルト、マンガン、鉄、亜鉛、塩素、ホウ素、およびビタミンを含めることができる。主要栄養素には、限定されないが、リン、カリウム、および窒素を含めることができる。原料システム56内のシステムのそれぞれは、再生可能エネルギ・システム14によって原動力が与えられる。
【0115】
補助システム62が備えられ、統合型生物学的処理プラント20の運転の維持を支援する。補助システム62は、冷却システム64、定置洗浄システム66、および廃水処理システム68を含むことができる。冷却システム64は、代謝プロセス20a、20bによって発生された熱を除去するべく動作する。冷却システム64は、プロセス20a、20bにおいて使用される反応器内の温度を、それぞれの中温性バクテリアの最適活性化範囲内に維持する。1つの例において、冷却システムを、それぞれの反応器を取り囲む水ジャケットの形式とすることができる。冷却システムは、プロセス20aおよび20bのためのそれぞれの反応器に対して異なる動作温度を提供することができる。温度制御は、再生可能エネルギ・システム14によって原動力が与えられる電気制御温度調整装置によって提供することが可能である。
【0116】
定置洗浄システム66は、プロセス20a、20bの実施に使用された反応器を定期的にまたはオンデマンドで洗浄するために使用される。これは、たとえば、水および/または蒸気および/または多様な化学物質を引き渡して、バイオフィルムまたはそのほかの残渣の除去を含めてバイオリアクタを洗浄し、衛生化することができる。廃水処理システムは、定置洗浄システム66、SCP処理システム54、およびプラント20のうちの1つまたは複数からの水を処理することができる。
【0117】
プロセス20a、20bにおいて使用されるバイオリアクタのサイズは、ガスの供給および、プロセス20aから導管52を介してユニット50へと再循環される二酸化炭素の量に基づいて決定される。
【0118】
図4は、図解目的だけのために提供されているが、約38:62の重量比において混合されたメタンおよび二酸化炭素を10トン/日(tpd)で生産する単一の混合バイオガス発生源CSのためのシステム10、方法12についての質量流図である。ガス前処理および分離ユニットからプロセス20aおよび20bを行うそれぞれの反応器へ、3.8tpdのメタンおよび6.2tpdの二酸化炭素が供給される。それに加えてプロセス20aは、約4.1tpdのCO2を副次的生成物として生産し、それが、追加の原料としてプロセス20bへ提供される。
【0119】
空気および水が、それぞれ約15.2tpdおよび16.1tpdで供給されて、メタンおよび二酸化炭素の処理のサポートに必要とされる酸素および水素の質量流を生産する。メタン処理/変換システム20aは、空気分離ユニット30から3.5tpdの酸素を受け取り、水分解ユニット32から7.7tpdの酸素を受け取る。また水分解ユニット32は、二酸化炭素処理/変換システム20bへも6.6tpdの酸素および1.8tpdの水素を供給する。これらの質量流により、システム20aによって約2.3tpdの単細胞タンパク質が生産され、システム20bによって約5.8tpdの単細胞タンパク質が生産される。空気分離ユニットによって生産される窒素およびそのほかのガスは、約11.7tpdのレートで排出され、処理ユニット70によって処理される。これは、たとえば、ガスとしての窒素の取り込み、または窒素の液化を含むことができ、その後それを第三者へ販売することができる。
【0120】
メタン資化性バクテリア、シアノバクテリア、および水素資化性バクテリアのすべては、約15°-45℃の温度範囲において最適に働く中温性のバクテリアであるとすることができる。システム10および方法12の実施態様におけるプロセスおよび材料の流れは、大気圧において行うことができる。これらの条件の下におけるバクテリアの倍加成長速度は、2-8時間の間で変動し得る。
【0121】
図3および4を参照して説明したシステムおよび方法は、動物廃棄物から派生する動物飼料材料、すなわち単細胞タンパク質の生産能力を有する閉ループ・バイオガス処理システムとして畜産、たとえば養豚に良好に適する。これは、何もしなければ廃棄物の分解によって放出されることになるはずの温室ガスのメタンおよび二酸化炭素を消費し、再生可能なエネルギをそれの原動力源として使用することからカーボン・ネガティブ・プロセスである。
【0122】
上記の説明から明らかとなるとおり、図3および4に示されている実施態様は、バイオプロセス20a、20b、および/または20c、再生可能エネルギ・システム14、および空気分離ユニット30および水分解ユニット32へそれぞれ供給する空気および水の投入を使用し、単細胞タンパク質を生産する図1および2に示されているシステムの実質的なサブセットである。図3および4のシステム10は、炭素処理ユニット20dおよび20e、および/または追加の気体状炭素化合物発生源の追加によって増強し、または修正することが可能である。
【0123】
以上の詳細な説明において例示的な実施態様を提示してきたが、厖大な数の変形が存在することは認識されるものとする。たとえば、図3および4に関連して示され、かつ説明されているシステム10において、二酸化炭素の消費に使用されるバイオプロセスが水素資化性バクテリアによって行われている。しかしながら、代替として、あるいは実際にそれに加えて、バイオプロセスは、気体状二酸化炭素の消費に光合成シアノバクテリアを利用して、医薬品(たとえば、抗癌剤)、栄養補助食品(たとえば、健康補助食品)、および食品添加物等の高価値生成物を水の存在の下に生産する手前に説明されているプロセス20cを包含することができる。別の変形において、WSU32に加えて、またはそれのための代替として、システム10が、水素ガス生産の目的のためにメタン熱分解ユニットを含むことができる。同様に、気体状二酸化炭素供給流18は、限定されないが、DAC16;液化天然ガス処理プラントの酸性ガス除去ユニット;化石燃料の生産、処理、または燃焼;限定されないが、セメント製造プラントおよびアンモニア生産プラント等の産業プラントの副次的生成物または廃棄物を含む複数の供給源のうちの1つまたは複数からの気体状炭素化合物を利用すること、またはそのほかの形で供給を受けることが可能である。それに加えて、システム10および方法12の実施態様を、気体状炭素化合物を副次的生成物または廃棄物として生産する既存の任意の産業生産プラントに追加される施設として提供して追加の価値のある生成物を生産することができる。この方法で使用されるときには、再生可能エネルギ・システムのキャパシティを拡張して産業生産プラントに原動力を与えること、したがってそのプラントのカーボン・フットプリントの低減をさらに支援することもできる。図3および4を参照して説明したシステムの別の変形において、微生物収穫および処理システムが、収穫システムHS1およびHS2のそれぞれのために共通の処理システム54ではなく、むしろ別々の処理システム54を包含することができる。これもまた認識されるものとするが、システムおよび方法の例示的な実施態様は、単なる例に過ぎず、いかなる形においても本開示の範囲、適用性、または構成の限定が意図されていない。むしろ、以上の詳細な説明は、開示されているシステムおよび方法の例示的な実施態様を実施するための便利なロードマップをこの分野の当業者に提供する。
【0124】
以下の請求の範囲と先行する説明において、表現言語または必然的な言外の意味に起因して文脈からほかの解釈が求められる場合を除き、用語『包含する』および『包含し』または『包含される』等のそれの活用形が開放的な意味で使用されており、言い換えるとそれは、この中に開示されているシステムおよび方法の多様な実施態様において陳述されている特徴の存在を指定するが、さらなる特徴の存在または追加を妨げない。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合型システムであって、
それぞれの反応物質を生産するための1つまたは複数のユニットと、
二酸化炭素およびメタンの1つまたは複数の発生源と、
メタン代謝微生物を含んでおり、かつ前記1つまたは複数の発生源と前記反応物質の1つまたは複数とからメタンが供給される生物学的メタン処理システムであって、メタン代謝微生物を繁殖させ、かつ副次的生成物として二酸化炭素を生産するべく準備された生物学的メタン処理システムと、
二酸化炭素代謝微生物を含んでおり、かつ前記1つまたは複数の発生源、二酸化炭素の前記副次的生成物および前記反応物質の1つまたは複数から二酸化炭素が供給される生物学的二酸化炭素処理システムであって、二酸化炭素代謝微生物を繁殖させるべく準備された生物学的二酸化炭素処理システムと、
前記繁殖された微生物を収穫し、単細胞タンパク質を生産するべく準備された微生物収穫および処理システムと、
前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムの各々において行われる処理のための前記二酸化炭素、メタンおよび反応物質の質量バランスの取れた量を提供すべく、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムへの前記二酸化炭素、メタンおよび前記反応物質の流れを制御するための制御システムと、
を包含する統合型システム。
【請求項2】
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システム、を包含し、前記生物学的メタン処理システム、前記生物学的二酸化炭素処理システム、およびそれぞれの反応物質を生産するための前記1つまたは複数のユニットは、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる、請求項1に記載の統合型システム。
【請求項3】
前記制御システムは、前記生物学的メタン処理システムと前記生物学的二酸化炭素処理システムとそれぞれの反応物質を生産するための前記1つまたは複数のユニットとへのエネルギの生産および貯蔵と、エネルギ分配のために前記再生可能エネルギ・システムを監視および制御するべくさらに準備される、請求項2に記載の統合型システム。
【請求項4】
それぞれの反応物質を生産するための前記ユニットの1つが、気体状酸素を生産する能力を有する空気分離ユニットであり、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記気体状酸素を供給するべく準備される、請求項1乃至3のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項5】
それぞれの反応物質を生産するための前記ユニットの1つが、さらなる気体状酸素を生産する能力を有する水分離ユニットであり、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へさらなる前記気体状酸素を供給するべく準備される、請求項1乃至4のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項6】
前記水分離ユニットは、気体状水素を生産する能力を有し、前記統合型システムは、前記生物学的二酸化炭素処理システムへ前記気体状水素を供給するべく準備される、請求項5に記載の統合型システム。
【請求項7】
前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方を冷却して所定温度範囲内において動作させるべく動作可能な冷却システム、を包含する、請求項1乃至6のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項8】
前記微生物収穫および処理システムは、前記生物学的メタン処理システムから微生物を収穫するための第1の収穫システムと、前記生物学的二酸化炭素処理システムから微生物を収穫するための第2の収穫システムと、前記第1および第2の収穫システムの両方によって収穫された微生物を乾燥させるための共通の乾燥機と、を含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項9】
二酸化炭素およびメタンの前記1つまたは複数の発生源は、(a)それぞれ別々の二酸化炭素およびメタンの発生源、または(b)二酸化炭素およびメタンの混合物を生産する能力がある発生源を包含する、請求項1乃至8のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項10】
二酸化炭素およびメタンの前記混合物を高純度の二酸化炭素供給流および高純度のメタンの供給流へと分離するべく準備されるガス前処理および分離ユニットを包含する、請求項9に記載の統合型システム。
【請求項11】
前記メタン代謝微生物は、中温性のメタン資化性バクテリアを包含する、請求項1乃至10のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項12】
前記二酸化炭素代謝微生物は、中温性のバクテリアを包含する、請求項1乃至11のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項13】
前記二酸化炭素代謝微生物は、シアノバクテリアを包含する、請求項12に記載の統合型システム。
【請求項14】
前記二酸化炭素代謝微生物は、水素資化性バクテリアを包含する、請求項13に記載の統合型システム。
【請求項15】
前記冷却システム、および前記微生物収穫および処理システムは、前記制御されたエネルギによって原動力が与えられる、請求項7乃至14のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項16】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合型システムであって、
気体状炭素化合物の1つまたは複数の発生源と、
それぞれの反応物質を生産するための1つまたは複数のユニットと、
1つまたは複数の再生可能エネルギ発生源からのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換する能力を有する再生可能エネルギ・システムと、
前記制御されたエネルギによって原動力が与えられ、前記1つまたは複数の気体状炭素化合物を、前記1つまたは複数の反応物質の少なくとも1つの存在の下に変換して1つまたは複数の販売可能な生成物を生産するべく準備された2つ以上の異なる処理システムを有する炭素処理プラントと、
各処理システムにおいて行われる処理のための前記気体状炭素化合物および前記反応物質の質量バランスの取れた量を提供するべく、前記気体状炭素化合物および前記反応物質の流れを制御するための制御システムであって、前記炭素処理プラントおよび前記反応物質を生産するための前記1つまたは複数のユニットへのエネルギの生産および貯蔵と、エネルギ分配のために前記再生可能エネルギ・システムを監視および制御するべくさらに準備される、制御システムと、
を包含する統合型システム。
【請求項17】
前記2つ以上の異なる処理システムの1つが、生成物または副次的生成物を生産し、前記統合型システムは、前記生成物または副次的生成物を前記2つ以上の異なる処理システムへ供給するべく準備される、請求項16に記載の統合型システム。
【請求項18】
前記2つ以上の異なる処理システムは、メタンを酸化して、第1の生物学的派生生成物と副次的生成物としての二酸化炭素とを生産するためのメタン資化性バクテリアを含む生物学的メタン処理システムと、前記1つまたは複数の発生源からの二酸化炭素と二酸化炭素の前記副次的生成物とを消費する水素資化性バクテリアを含む生物学的二酸化炭素処理システムと、を包含し、前記生物学的二酸化炭素処理システムは、異なる第2の生物学的派生生成物を生産するべく準備される、請求項16または17に記載の統合型システム。
【請求項19】
前記ユニットの1つが、第1の反応物質としての気体状酸素を生産する能力を有する空気分離ユニットであり、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記第1の反応物質を供給するべく準備される、請求項18に記載の統合型システム。
【請求項20】
前記ユニットの1つが、第2の反応物質としての気体状酸素を生産する能力を有する水分解ユニットであり、前記統合型システムは、前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方へ前記第2の反応物質を供給するべく準備される、請求項18または19に記載の統合型システム。
【請求項21】
前記水分離ユニットは、第3の反応物質としての気体状酸素を生産する能力を有し、前記統合型システムは、前記生物学的二酸化炭素処理システムへ前記第3の反応物質を供給するべく準備される、請求項20に記載の統合型システム。
【請求項22】
二酸化炭素およびメタンの前記1つまたは複数の発生源は、二酸化炭素およびメタンの混合物を生産する能力を有する発生源である、請求項16乃至21のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項23】
二酸化炭素およびメタンの前記混合物を受け取り、前記混合物を前記生物学的メタン処理システムと前記生物学的二酸化炭素処理システムとへそれぞれ供給される別々の気体状メタン供給流と二酸化炭素供給流とへ分離するガス前処理および分離ユニットを包含する、請求項22に記載の統合型システム。
【請求項24】
前記生物学的メタン処理システムからの全ての消費されなかったメタンおよびそれによって生産された二酸化炭素が、前記ガス前処理および分離ユニットへと再循環される、請求項23に記載の統合型システム。
【請求項25】
前記生物学的メタン処理システムおよび前記生物学的二酸化炭素処理システムのうちの一方または両方を冷却して所定温度範囲内において動作させるべく動作可能な冷却システム、を包含する、請求項16乃至24のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項26】
前記2つ以上の異なる処理システムは、前記気体状炭素化合物中の二酸化炭素からの光合成シアノバクテリアを収穫するべく準備される炭素処理システムを包含し、栄養補助食品もしくは食品添加物、または単細胞タンパク質を生産する能力を有する、請求項16乃至25のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項27】
気体状炭素化合物の前記1つまたは複数の発生源は、メタンおよび二酸化炭素を提供し、前記2つ以上の異なる処理システムは、前記メタンおよび二酸化炭素からの合成ガスを生産する能力を有する合成ガス発生ユニットを包含する、請求項16乃至24のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項28】
気体状炭素化合物をカーボン・ニュートラルまたはカーボン・ネガティブな生成物に変換するための統合された生物学的方法であって、
酸素を第1の反応物質として生産することと、
水素を第2の反応物質として生産することと、
1つまたは複数の気体状炭素化合物を、前記1つまたは複数の反応物質の少なくとも1つの存在の下に変換して1つまたは複数の販売可能な生成物を生産するべく準備された2つ以上の異なる処理システムを有する炭素処理プラントを動作させることと、
1つまたは複数の再生可能エネルギ・システムからのエネルギを1つまたは複数の形式の制御されたエネルギに変換するべく再生可能エネルギ・システムを動作させることと、
各々の処理システムにおいて行われる処理のための前記1つまたは複数の気体状炭素化合物および前記反応物質の質量バランスの取れた量を提供するべく、前記炭素処理ユニットへ、前記1つまたは複数の気体状化合物、前記第1の反応物質および前記第2の反応物質の1つまたは複数の流れを制御することと、
を包含する、統合された生物学的方法。
【請求項29】
少なくとも第1の炭素処理ユニットを包含し、二酸化炭素の前記副次的生成物は、前記第1の炭素処理ユニットに供給され、前記第1の炭素処理システムは、合成ガスを生産するべく準備される、請求項1乃至15のいずれかに記載の統合型システム。
【請求項30】
前記第1の炭素処理システムの下流にあって、前記合成ガスを高価値の化学物質に変換するべく準備される第2の炭素処理システムを包含する、請求項29に記載の統合型システム。
【請求項31】
前記第2の炭素処理システムは、前記高価値の化学物質を形成するために前記合成ガスを発酵するべく準備されるバイオリアクタを包含する、請求項30に記載の統合型システム。
【請求項32】
前記第2の炭素処理システムは、熱化学プロセスを行うべく準備される、請求項30に記載の統合型システム。
【国際調査報告】