(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】力を再分配する後足部靴挿入物
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A43B17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508792
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022074763
(87)【国際公開番号】W WO2023019170
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524055540
【氏名又は名称】ロクシラ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ROXILLA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】ポジターノ,ロック ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバー,ダニエル エヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ポジターノ,ロック シージェイ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA23
4F050HA01
4F050HA14
4F050HA26
4F050HA28
4F050HA55
4F050HA73
4F050HA75
(57)【要約】
衝撃を吸収し、かつ使用時に使用者の足及び/又は膝の内部の力を再分配する靴挿入物デバイスが開示される。靴挿入物デバイスは後足部挿入部分を具備し、該後足部挿入部分は、靴の内部に配置されるように、かつ使用者の足裏の後足部部分の下で後足部挿入部分の上側面が足裏と向かい合う状態で伸びるように、構成されている。後足部挿入部分は、少なくとも該後足部挿入部分の上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に、弾力性を有する。後足部挿入部分は、後足部挿入部分の内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と、外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に伸びる内側面、近位端と遠位端との間に伸びる外側面、上側面及び底側面を具備する後足部挿入部分
を具備する靴挿入物デバイスであって、
後足部挿入部分は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏の後足部部分の下で、後足部挿入部分の上側面が足裏と向かい合う状態で伸びるように、構成されており、
後足部挿入部分は、少なくとも上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に弾力性を有し、
後足部挿入部分は、
内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と;
外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部と
を具備する、靴挿入物デバイス。
【請求項2】
筋膜突出部は、近位側‐遠位側方向に沿った長さよりも内側‐外側方向に沿った長さが長くなるように、内側‐外側方向に沿って伸びている、請求項1に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項3】
筋膜突出部は、少なくとも約2cmの内側‐外側方向に沿った長さを規定する、請求項1及び2のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項4】
筋膜突出部は、約2cm~約5cmの範囲内の内側‐外側方向に沿った長さを規定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項5】
筋膜突出部は、約1・1/2cm未満の近位側‐遠位側方向に沿った長さを規定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項6】
筋膜突出部は、約1/2cm~約1・1/2cmの範囲内の近位側‐遠位側方向に沿った長さを規定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項7】
筋膜突出部は、筋膜突出部に隣接する上側表面から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する、請求項1~6のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項8】
筋膜突出部は、筋膜突出部に隣接する上側表面から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する、請求項1~7のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項9】
筋膜突出部は、近位端から遠位側へ約1インチ~約3インチの範囲内の間隔を置いて配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項10】
筋膜突出部は、近位端から遠位側へ約1・1/2インチ~約2・3/4インチの範囲内の間隔を置いて配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項11】
筋膜突出部は少なくとも厚さ方向に沿って弾力性を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項12】
筋膜突出部は近位側‐遠位側方向に沿って凸状である、請求項1~11のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項13】
筋膜突出部は近位側‐遠位側方向に沿ってアーチ形に凸状である、請求項1~12のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項14】
筋膜突出部は内側‐外側方向に沿って伸びる円柱形状部分を備えている、請求項1~13のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項15】
外側突出部の近位側部分は、近位側‐遠位側方向に沿って筋膜突出部の少なくとも一部分と同じ位置になる、請求項1~14のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項16】
外側突出部は、近位側‐遠位側方向に沿って筋膜突出部から間隔をおいて配置される、請求項1~14のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項17】
外側突出部は近位側‐遠位側方向に沿って凸状である、請求項1~16のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項18】
外側突出部は近位側‐遠位側方向に沿ってアーチ形に凸状である、請求項1~17のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項19】
外側突出部は内側‐外側方向に沿って凸状である、請求項1~18のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項20】
外側突出部は、外側突出部の内側部分よりも上側表面からさらに離れて配置される外側部分を備えている、請求項1~19のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項21】
外側突出部は、外側突出部の外側から外側突出部の内側へと下方へ伸びる、請求項1~20のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項22】
外側突出部は、外側突出部の外側から外側突出部の内側へとアーチ形をなして下方へ伸びる、請求項1~21のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項23】
外側突出部は、内側‐外側方向に沿って約1・1/2インチ未満の長さを規定する、請求項1~22のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項24】
外側突出部は、内側‐外側方向に沿って約1/2インチ~約1・1/2インチの範囲の長さを規定する、請求項1~23のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項25】
外側突出部は、近位側‐遠位側方向に沿って約2・1/2インチ未満の長さを規定する、請求項1~24のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項26】
外側突出部は、近位側‐遠位側方向に沿って約1/2インチ~約2インチの範囲の長さを規定する、請求項1~25のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項27】
外側突出部は上側表面から上方に伸びる、請求項1~26のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項28】
外側突出部は、外側突出部に隣接する上側表面から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する、請求項27に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項29】
外側突出部は、外側突出部に隣接する上側表面から約1/4インチ~約3/4インチの範囲の最大高さを規定する、請求項27及び28のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項30】
外側突出部は外側突出部に隣接する上側表面から第1の最大高さを規定し、かつ筋膜突出部は筋膜突出部に隣接する上側表面から第2の最大高さを規定し、第1の最大高さは第2の最大高さの25%の範囲内にある、請求項27~29のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項31】
外側突出部は外側突出部に隣接する上側表面から第1の最大高さを規定し、かつ筋膜突出部は筋膜突出部に隣接する上側表面から第2の最大高さを規定し、第1の最大高さは第2の最大高さよりも低い、請求項27~30のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項32】
後足部挿入部分は、近位端及び上側表面の近位側部分を規定する、使用者の足のヒール(heal)のヒール(heal)脂肪体の下に伸びるように構成された近位側部分と、該近位側部分から遠位側へ伸びて遠位端及び上側表面の遠位側部分を規定する遠位側部分とを備え、かつ遠位側部分の厚さは、上側表面の遠位側部分が上側表面の近位側部分から下方へ伸びるように変化する、請求項27~31のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項33】
上側表面の近位側部分はほぼ平面状である、請求項32に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項34】
上側表面の遠位側部分はほぼ平面状である、請求項32及び33のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項35】
筋膜突出部は後足部挿入部分の近位側部分に配置される、請求項32~34のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項36】
外側突出部の少なくとも一部分は後足部挿入部分の遠位側部分に配置される、請求項32~35のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項37】
外側突出部の少なくとも一部分は後足部挿入部分の近位側部分に配置される、請求項32~36のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項38】
外側突出部は少なくとも厚さ方向に沿って弾力性を有する、請求項27~37のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項39】
筋膜突出部及び外側突出部は、少なくとも厚さ方向に沿ってほぼ同じ弾性エネルギー係数を有する、請求項27~38のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項40】
筋膜突出部及び外側突出部は同じ材料で形成される、請求項27~39のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項41】
外側突出部は底側表面から下方へ伸びる、請求項1~40のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項42】
外側突出部は、外側突出部に隣接する底側表面から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する、請求項41に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項43】
外側突出部は、外側突出部に隣接する底側表面から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する、請求項41及び42のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項44】
外側突出部は上側表面から上方かつ底側表面から下方へ伸び、該外側突出部は外側突出部に隣接する底側表面からの第1の最大高さと、外側突出部に隣接する上側表面からの第2の最大高さとを規定し、かつ第1の最大高さは第2の最大高さの25%の範囲内にある、請求項41~43のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項45】
第1の最大高さ及び第2の最大高さは等しい、請求項44に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項46】
外側突出部は、第1の弾性エネルギー係数を備えた上側表面から上方へ伸びる第1の部分と、第1の弾性エネルギー係数とは異なる第2の弾性エネルギー係数を備えた底側表面から下方へ伸びる第2の部分とを具備する、請求項41~43のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項47】
第1の弾性エネルギー係数は第2の弾性エネルギー係数よりも大きい、請求項46に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項48】
後足部挿入部分は、上側表面から上方へ、かつ内側面、近位端、及び外側面に沿って伸びる周縁リム部材をさらに具備する、請求項1~47のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項49】
リム部材は内側面及び外側面の一部分のみに沿って伸びる、請求項48に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項50】
リム部材は上側表面から伸びるにつれてアーチ形に凹状をなしている、請求項48又は49のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項51】
外側突出部はリム部材から内側方向に伸びる、請求項48~50のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項52】
底側表面はほぼ平面状である、請求項1~51のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項53】
デバイスは後足部挿入部分から成る、請求項1~52のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項54】
後足部挿入部分の近位端はデバイスの近位側自由端を規定し、後足部挿入部分の遠位端はデバイスの遠位側自由端を規定し、後足部挿入部分の内側面はデバイスの内側自由端を規定し、かつ後足部挿入部分の外側面はデバイスの外側自由端を規定する、請求項1~53のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項55】
後足部挿入部分と結合するように構成された土台部分をさらに具備する、請求項1~52のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項56】
後足部挿入部分の底側表面は、土台部分の上側面の少なくとも1つの対応する係合穴に係合するように構成された、底側表面から伸び出る少なくとも1つの係合ペグを備えている、請求項55に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項57】
土台部分は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏の前足部部分の下に伸びるように構成された、前足部部分を備えている、請求項55又は56のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項58】
前足部部分は、該前足部部分の上側表面から上方へ伸びる前足部突出部を備えている、請求項57に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項59】
前足部突出部は、前足部部分の外側面及び遠位端の部分に近接して配置され、かつ、使用者の足の第4趾及び/又は第5趾の末節骨、中節骨及び/又は基節骨の下に配置されるように構成される、請求項58に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項60】
土台部分は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏の中足部部分の下に伸びるように構成された中足部部分を備えている、請求項55~59のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項61】
後足部挿入部分は一体部分である、請求項1~60のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項62】
後足部挿入部分はワンピース型構築物である、請求項1~61のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項63】
後足部挿入部分はマルチピース型構築物である、請求項1~62のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項64】
筋膜突出部及び外側突出部のうち少なくとも一方はモジュール式構成部品である、請求項1~63のいずれか1項に記載の靴挿入物デバイス。
【請求項65】
近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に伸びる内側面、近位端と遠位端との間に伸びる外側面、上側面及び底側面を具備する後足部靴挿入物デバイスを提供すること
を含む、靴の足部支持を構成する方法であって、
後足部靴挿入物デバイスは、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏のうち少なくとも後足部部分の下に後足部靴挿入物デバイスの上側面が足裏と向かい合う状態で伸びるように構成され、
後足部靴挿入物デバイスは、少なくとも上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に、弾力性を有し、かつ
後足部靴挿入物デバイスは、
内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と;
外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部と
を具備する後足部部分を具備する、方法。
【請求項66】
後足部靴挿入物デバイスを、該後足部靴挿入物デバイスが靴の内部で使用者の足裏のうち少なくとも後足部部分の下に、後足部靴挿入物デバイスの上側面が足裏と向かい合う状態で配置されるように、靴の後足部領域内に配置すること
を含む、靴の足部支持プロファイルを調整する方法であって、
後足部靴挿入物デバイスは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に伸びる内側面、近位端と遠位端との間に伸びる外側面、底側面及び上側面を具備し、
後足部靴挿入物デバイスは、少なくとも上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に、弾力性を有し、かつ
後足部靴挿入物デバイスは、
内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と;
外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部と
を具備する後足部部分を具備する、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年8月10日に出願された“Force Redistribution Hindfoot Shoe Insert”という表題の米国特許出願第63/231,666号を完成させかつ同出願に基づく優先権の利益を主張するものであり、米国特許出願第63/231,666号はその全体がここで参照により明白に本願に組み込まれる。
【開示の分野】
【0002】
本開示は、概して、衝撃を吸収し、かつ使用時に使用者の足及び/又は膝の内部の力を再分配する靴挿入物、並びに関連方法に関する。より具体的には、本開示は、足底筋膜と内側結節との連結部における緊張を軽減するとともに膝の内側部の負荷を減少させる、近位側突出部及び外側突出部を備えた後足部靴挿入物、並びに関連方法に関する。
【背景】
【0003】
緩衝作用、衝撃吸収性などを示すことにより着用者の履き心地を高めるための種々様々な靴挿入物が、市場に出回っている。靴挿入物は、使用者の足裏又は足底の下、かつ靴底よりも上方に(すなわち靴内部の使用者の足の下に)置かれるように構成される。そのような挿入物の使用における主眼は、あらゆる衝撃を緩和するために十分に厚い当て物材料層を提供することである。これらの挿入物は、典型的には、多孔質ポリマー発泡体のような弾性材料、実例としてはポリウレタン、感熱性の粘弾性メモリーフォーム、又はゲルなどで作製され、かつ一般に靴のフットベッド全体の上に重なるように構成される。
【0004】
典型的な挿入物は、足裏全体及び母趾球型の挿入物として形成される。これらの靴挿入物は、フットベッドのうち、母趾球及びつま先の少なくとも一部分が接触することになる領域の上に重ねられる。母趾球型挿入物は、足が前方に滑るのを防止するため、及び/又はかかとが高いことに起因する母趾球にかかる力の増大を緩和するための、ハイヒール靴との併用において特に有用である。
【0005】
しかしながら、現行の靴挿入物は、例えば酷使若しくは損傷を受けた足底筋膜の治療、及び/又は使用者の足底筋膜に対するそのような酷使若しくは損傷の予防のような、足底筋膜への配慮は考えられていない。さらに、現行の靴挿入物は、膝への応力を適切に処理すること、及び/又は膝への応力と膝における変形性関節炎の発症を予防することはできない。
【0006】
足底筋膜炎は、最も一般的な足の病気のうちの1つである。足底筋膜炎は、10人に1人が人生のある時期に罹患すると推測されている。足底筋膜は、踵部から前足部に及ぶ幅広い帯状の結合組織(人体で最大の靭帯)である。具体的には、足底筋膜は、足の中で踵骨の内側結節から中足骨頭の膝横靭帯まで伸びる厚い線維組織である。足底筋膜は足の内側縦足弓を支持するように働き、かつ動的衝撃吸収体としての機能も果たす。通常この組織は非常に高い負荷に耐えることができるが、しかし急性又は慢性いずれかの刺激を受ける(例えば、過度に使用されるか又は過度に伸展される)ことがあり、かつ結果として、足底筋膜炎として知られる炎症及び疼痛が生じることがある。足底筋膜炎は、炎症及び疼痛症状を引き起こす1以上の裂傷に続いて発生する可能性があり、かつ(例えば、腱炎と同様に)炎症性又は変性性のいずれかとして説明されてきた。足底筋膜の底側踵骨隆起への挿入部における炎症性変化は、巨視的若しくは微視的な外傷、変性変化によって、又は全身的な炎症過程(すなわち例えば関節リウマチ、痛風若しくは血清反応陰性脊椎関節炎)の局所症状として、引き起こされる可能性がある。
【0007】
足底筋膜炎に関係し、かつこの病気の誘発に関与すると思われるいくつかの要因、例えば長時間の立位;衝撃の強いスポーツ活動;アーチ支持又は緩衝作用に乏しい履物;及び足裏の過伸展、が存在している。そのような活動の際に足にかかる応力の水準から、アスリート、特にランナーにおいて足底筋膜炎の発生率が高い。しかしながら、足底筋膜炎は様々な異なる活動及び/又は状態から生じることがあり得る。例えば、足底筋膜に生じるいくつかの小さな損傷が蓄積して足底筋膜炎を徐々に発症させることが多いと考えられている。
【0008】
従って、現行の靴挿入物の欠陥に対処する改善された靴挿入物が必要とされている。
【概要】
【0009】
衝撃を吸収し、かつ使用時に使用者の足及び/又は膝の内部の力を再分配する後足部靴挿入物(及びそのような挿入物を利用する方法)が本明細書において開示される。本開示の後足部靴挿入物及び関連方法は、使用者の足底筋膜と踵骨の内側結節との連結部における緊張を軽減するように構成された突出部を備えている。本開示の後足部靴挿入物及び関連方法はさらに、使用者の膝の内側部の負荷を減少させるようにも構成される。本開示の後足部靴挿入物及び関連方法はさらに、使用者の踵部脂肪体における応力量を低減するようにも構成される。本開示の後足部靴挿入物及び関連方法は、使用者の足関節外側靱帯、腰背部、骨盤/骨盤姿勢、及び/又はアキレス腱に対する応力を低減するようにさらに構成される可能性もある。
【0010】
1つの態様では、本開示は、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に伸びる内側面、近位端と遠位端との間に伸びる外側面、上側面、及び底側側を具備する後足部挿入部分を具備する靴挿入物デバイスを提供する。後足部挿入部分は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部では使用者の足裏の後足部部分の下で、後足部挿入部分の上側面が足裏と向かい合う状態で伸びるように、構成される。後足部挿入部分は、少なくとも上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に、弾力性を有する。後足部挿入部分は、内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と;外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部とを具備する。
【0011】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、近位側‐遠位側方向に沿った長さよりも内側‐外側方向に沿った長さが長くなるように、内側‐外側方向に沿って伸びている。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、少なくとも約2cmの、内側‐外側方向に沿った長さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、約2cm~約5cmの範囲内の、内側‐外側方向に沿った長さを規定する。
【0012】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、約1・1/2cm未満の、近位側‐遠位側方向に沿った長さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、約1/2cm~約1・1/2cmの範囲内の、近位側‐遠位側方向に沿った長さを規定する。
【0013】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、筋膜突出部に隣接する上側表面から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、筋膜突出部に隣接する上側表面から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する。
【0014】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、近位端から遠位側へ約1インチ~約3インチの範囲内の間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は、近位端から遠位側へ約1・1/2インチ~約2・3/4インチの範囲内の間隔を置いて配置される。
【0015】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部は少なくとも厚さ方向に沿って弾力性を有する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は近位側‐遠位側方向に沿って凸状である。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は近位側‐遠位側方向に沿ってアーチ形に凸状である。いくつかの実施形態では、筋膜突出部は内側‐外側方向に沿って伸びる円柱形状部分を備えている。
【0016】
いくつかの実施形態では、外側突出部の近位側部分は、近位側‐遠位側方向に沿って筋膜突出部の少なくとも一部分と同じ位置になる。いくつかの他の実施形態では、外側突出部は、近位側‐遠位側方向に沿って筋膜突出部から間隔をおいて配置される。
【0017】
いくつかの実施形態では、外側突出部は近位側‐遠位側方向に沿って凸状である。いくつかの実施形態では、外側突出部は近位側‐遠位側方向に沿ってアーチ形に凸状である。いくつかの実施形態では、外側突出部は内側‐外側方向に沿って凸状である。いくつかの実施形態では、外側突出部は、その内側部分よりも上側表面からさらに離れて配置される外側部分を備えている。いくつかの実施形態では、外側突出部は、その外側から内側へと下方へ伸びる。いくつかの実施形態では、外側突出部は、その外側から内側へとアーチ形をなして下方へ伸びる。
【0018】
いくつかの実施形態では、外側突出部は、内側‐外側方向に沿って約1・1/2インチ未満の長さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部は、内側‐外側方向に沿って約1/2インチ~約1・1/2インチの範囲の長さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部は、近位側‐遠位側方向に沿って約2・1/2インチ未満の長さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部は、近位側‐遠位側方向に沿って約1/2インチ~約2インチの範囲の長さを規定する。
【0019】
いくつかの実施形態では、外側突出部は上側表面から上方に伸びる。いくつかの実施形態では、外側突出部は、外側突出部に隣接する上側表面から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部は、外側突出部に隣接する上側表面から約1/4インチ~約3/4インチの範囲の最大高さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部は外側突出部に隣接する上側表面から第1の最大高さを規定し、かつ筋膜突出部は筋膜突出部に隣接する上側表面から第2の最大高さを規定し、第1の最大高さは第2の最大高さの25%の範囲内にある。いくつかの実施形態では、外側突出部は外側突出部に隣接する上側表面から第1の最大高さを規定し、かつ筋膜突出部は筋膜突出部に隣接する上側表面から第2の最大高さを規定し、第1の最大高さは第2の最大高さよりも低い。
【0020】
いくつかの実施形態では、後足部挿入部分は、近位端及び上側表面の近位側部分を規定する、使用者の足のヒール(heal)のヒール(heal)脂肪体の下に伸びるように構成された近位側部分と、該近位側部分から遠位側へ伸びて遠位端及び上側表面の遠位側部分を規定する遠位側部分とを備え、かつ遠位側部分の厚さは、上側表面の遠位側部分が上側表面の近位側部分から下方へ伸びるように変化する。いくつかのそのような実施形態では、上側表面の近位側部分はほぼ平面状である。いくつかのそのような実施形態では、上側表面の遠位側部分はほぼ平面状である。いくつかのそのような実施形態では、筋膜突出部は後足部挿入部分の近位側部分に配置される。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部の少なくとも一部分は後足部挿入部分の遠位側部分に配置される。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部の少なくとも一部分は後足部挿入部分の近位側部分に配置される。
【0021】
いくつかの実施形態では、外側突出部は少なくとも厚さ方向に沿って弾力性を有する。いくつかのそのような実施形態では、筋膜突出部及び外側突出部は、少なくとも厚さ方向に沿ってほぼ同じ弾性エネルギー係数を有する。いくつかのそのような実施形態では、筋膜突出部及び外側突出部は同じ材料で形成される。いくつかの実施形態では、外側突出部は底側表面から下方へ伸びる。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部は、外側突出部に隣接する底側表面から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部は、外側突出部に隣接する底側表面から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部は上側表面から上方かつ底側表面から下方へ伸び、該外側突出部は外側突出部に隣接する底側表面からの第1の最大高さと、外側突出部に隣接する上側表面からの第2の最大高さとを規定し、かつ第1の最大高さは第2の最大高さの25%の範囲内にある。いくつかのそのような実施形態では、第1の最大高さ及び第2の最大高さは等しい。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部は、第1の弾性エネルギー係数を備えた上側表面から上方へ伸びる第1の部分と、第1の弾性エネルギー係数とは異なる第2の弾性エネルギー係数を備えた底側表面から下方へ伸びる第2の部分とを具備する。いくつかのそのような実施形態では、第1の弾性エネルギー係数は第2の弾性エネルギー係数よりも大きい。
【0022】
後足部挿入部分は、上側表面から上方へ、かつ内側面、近位端、及び外側面に沿って伸びる周縁リム部材をさらに具備する、前述の請求項のいずれか1項による靴挿入物デバイス。いくつかのそのような実施形態では、リム部材は内側面及び外側面の一部分のみに沿って伸びる。いくつかのそのような実施形態では、リム部材は上側表面から伸びるにつれてアーチ形に凹状をなしている。いくつかのそのような実施形態では、外側突出部はリム部材から内側方向に伸びる。いくつかのそのような実施形態では、底側表面はほぼ平面状である。
【0023】
いくつかの実施形態では、デバイスは後足部挿入部分から成る。いくつかの実施形態では、後足部挿入部分の近位端はデバイスの近位側自由端を規定し、後足部挿入部分の遠位端はデバイスの遠位側自由端を規定し、後足部挿入部分の内側面はデバイスの内側自由端を規定し、かつ後足部挿入部分の外側面はデバイスの外側自由端を規定する。
【0024】
いくつかの実施形態では、デバイスは、後足部挿入部分と結合するように構成された土台部分をさらに具備する。いくつかのそのような実施形態では、後足部挿入部分の底側表面は、土台部分の上側面の少なくとも1つの対応する係合穴に係合するように構成された、底側表面から伸び出る少なくとも1つの係合ペグを備えている。
【0025】
いくつかのそのような実施形態では、土台部分は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏の前足部部分の下に伸びるように構成された、前足部部分を備えている。いくつかのそのような実施形態では、前足部部分は、該前足部部分の上側表面から上方へ伸びる前足部突出部を備えている。いくつかのそのような実施形態では、前足部突出部は、前足部部分の外側面及び遠位端に近接して配置され、かつ、使用者の足の第4趾及び/又は第5趾の末節骨、中節骨及び/又は基節骨の下に配置されるように構成される。いくつかのそのような実施形態では、土台部分は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏の中足部部分の下に伸びるように構成された、中足部部分を備えている。
【0026】
いくつかの実施形態では、後足部挿入部分は一体部分である。いくつかの実施形態では、後足部挿入部分はワンピース型構築物である。いくつかの実施形態では、後足部挿入部分はマルチピース型構築物である。いくつかの実施形態では、筋膜突出部及び外側突出部のうち少なくとも一方はモジュール式構成部品である。
【0027】
前述の概念及び以下により詳細に議論される追加の概念の組み合わせ(そのような概念は相互に矛盾しないものとする)はいずれも、本明細書中に開示される本発明の対象事項の一部であると考えられ、かつ本明細書中に記載された利益及び利点を達成するために使用されうるということは、理解されるであろう。
【0028】
別の態様では、本開示は、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に伸びる内側面、近位端と遠位端との間に伸びる外側面、上側面及び底側面を具備する後足部靴挿入物デバイスを提供することを含む、靴の足部支持を構成する方法を提供する。後足部靴挿入物デバイスは、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏のうち少なくとも後足部部分の下に後足部靴挿入物デバイスの上側面が足裏と向かい合う状態で伸びるように、構成される。後足部靴挿入物デバイスは、少なくとも上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に、弾力性を有する。後足部靴挿入物デバイスは、内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と;外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部と、を具備する後足部部分を具備する。
【0029】
別の態様では、本開示は、後足部靴挿入物デバイスを、該後足部靴挿入物デバイスが靴の内部で使用者の足裏のうち少なくとも後足部部分の下に、後足部靴挿入物デバイスの上側面が足裏と向かい合う状態で配置されるように、靴の後足部領域内に配置することを含む、靴の足部支持プロファイルを調整する方法を提供する。後足部靴挿入物デバイスは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に伸びる内側面、近位端と遠位端との間に伸びる外側面、底側面及び上側面を具備する。後足部靴挿入物デバイスは、少なくとも上側面と底側面との間を伸びる厚さ方向に、弾力性を有する。後足部靴挿入物デバイスは、内側面と外側面との間の中間に位置する上側表面から上方へ伸びておりかつ近位端から遠位側に間隔を置いて配置されている筋膜突出部と;外側面に近接して筋膜突出部よりも遠位側に位置する、上側表面から上方及び底側表面から下方のうち少なくとも一方に伸びる外側突出部と、を具備する後足部部分を具備する。
【0030】
本開示の上記及びその他の目的、特徴及び利点は、本開示の様々な態様についての以降の詳細な説明を添付図面と合わせれば明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示の上記及びその他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照しながら以降の詳細な説明を読めば一層よく理解されるであろう。図面のうち少なくともいくつかは必ずしも一定の縮尺ではない(しかし図面のうち少なくともいくつかが一定の縮尺で描かれる可能性もある)ことは理解されるべきである。図面によっては、本開示の理解には必要のない細部又は他の細部の把握を困難にする細部が省略されている可能性もある。当然ながら、本開示が図面に例証された特定の実施形態に必ずしも限定されないことは理解されるべきである。図面に例証された同様の態様を表わすために、図面全体にわたって同様の参照数字が利用されている。
【0032】
【
図1】本開示の実施形態による靴挿入物デバイスの立面斜視図。
【0033】
【
図2】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの別の立面斜視図。
【0034】
【
図3】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの別の立面斜視図。
【0035】
【
図4】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの別の立面斜視図。
【0036】
【
図5】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの底面斜視図。
【0037】
【
図6】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの別の底面斜視図。
【0038】
【
図7】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの上面図。
【0039】
【
図8】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの底面図。
【0040】
【
図9】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの内側面図。
【0041】
【
図10】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの外側面図。
【0042】
【
図11】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの背面図。
【0043】
【
図12】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの前面図。
【0044】
【
図13】本開示の実施形態による
図1の靴挿入物デバイスの立面斜視断面図。
【0045】
【
図14】本開示の実施形態による別の靴挿入物デバイスの底面斜視図。
【0046】
【
図15】本開示の実施形態による
図14の靴挿入物デバイスの拡大立面斜視図。
【0047】
【
図16】本開示の実施形態による別の靴挿入物デバイスの立面斜視図。
【図面の詳細な説明】
【0048】
本開示の態様、並びにその一定の実施例、特徴、利点、及び詳細について、添付図面に例証された非限定的な実施例を参照しながら以下により詳しく説明する。良く知られた構成部品、態様、材料、化学薬品、製作機構、加工技術、用途などの説明は、関連する細部を不必要に不明瞭にしないために省略されている。しかしながら、詳細な説明及び具体的な実施例が、本開示の態様を示してはいるが単に例証として提供されていること、かつ限定を目的としていないことは、理解されるべきである。根底にある発明概念の趣旨及び/又は範囲の中にある様々な代替形態、改変形態、追加物、及び/又は改編形態は、当業者には本開示から明白となろう。
【0049】
近似用語は、本明細書中で開示内容全体にわたって使用されるように、関係する基本機能に変化をもたらすことなく許容範囲で変動することが考えられる任意の量的表現について修飾するために適用することができる。従って、1又は複数の用語、例えば用語「ほぼ(substantially)」、「およそ(approximately)」、「約(about)」、「比較的(relatively)」、又は他のそのような類似の用語などによって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではなく、かつ、例えば処理過程におけるばらつきに起因する、基準値又はパラメータからのわずかな増減について、記述及び説明するために使用される。そのようなわずかな増減には、基準値又はパラメータからの増減ゼロも同様に含まれる。例えば、これらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下などを指すことができる。いくつかの実例では、近似用語は、値を計測する機器の精度に相当する場合もある。
【0050】
本明細書中で使用される専門用語は、単に特定の実施例について説明するためのものであり、限定するようには意図されていない。本明細書中で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明白に示していないかぎり、複数形も含むように意図されている。更に、「1つの実施例」への言及は、列挙された特徴を同様に組み込む追加の実施例の存在を排除するものと解釈されるようには意図されていない。さらに、そうでない旨が明示的に述べられないかぎり、用語「具備している(comprising)」(及び「具備する(comprise)」の任意の形、例えば「具備する(comprises)」及び「具備している(comprising)」)、「有する(have)」(及び「有する(have)」の任意の形、例えば「有する(has)」及び「有している(having)」)、「備える(include)」(及び「備える(include)」の任意の形、例えば「備える(includes)」及び「備えている(including)」)、並びに「含有する(contain)」(及び「含有する(contain)」の任意の形、例えば「含有する(contains)」及び「含有している(containing))は、非限定型(open-ended)の連結動詞として使用される。その結果、1以上のステップ又は要素を「具備する」、「有する」、「備える」又は「含有する」任意の実施例は、その1以上のステップ又は要素を所有するが、その1以上のステップ又は要素のみを所有するようには限定されない。本明細書中で使用されるように、用語「~する可能性がある(may)」及び「~の可能性がある(may be)」は、一連の状況、すなわち指定された性質、特性、若しくは機能の所有、という範囲内での発生の可能性を示し;及び/又は、別の動詞に関連した能力(ability)、性能(capability)、若しくは可能性(possibility)のうち1以上を表現することにより、その別の動詞を修飾する。従って、「~する可能性がある(may)」及び「~の可能性がある(may be)」が使用される場合、修飾された用語が表示された能力(capacity)、機能、又は用法に関して明白に妥当、有能、又は適切であることを示すと同時に、状況によってはその修飾された用語が妥当、有能又は適切でない可能性もあることも考慮されている。例えば、ある状況では事象(event)又は能力(capacity)が期待できる一方で、他の状況ではその事象又は能力は生じえない、というこの特質が、用語「~する可能性がある(may)」及び「~の可能性がある(may be)」によって表現されている。
【0051】
用語「添着する(affix)」、「接続する(connect)」「接触する(contact)」、「結合した(coupled)」及び/又は同様の用語は、本明細書中では様々な相異なる配置構成及び組立技術を包含するように広く定義される。これらの配置構成及び技術には、限定するものではないが、(1)1つの構成部品及び別の構成部品を、その間に構成部品を介在させずに直接接合する(すなわち構成部品どうしが直接物理的に接触する)こと;並びに(2)1つの構成部品及び別の構成部品を、その間に1以上の構成部品を伴って接合するが、ただしその1つの構成部品が他方の構成部品に「添着」、「接続」、「接触」又は「結合」しているときにその1つの構成部品は(1以上の追加の構成部品が間に存在するにもかかわらず)何らかの形で他方の構成部品と実働的に連絡していること、が含まれる。互いに直接物理的に接触しているいくつかの構成部品が、互いに流体連絡していても、していなくてもよいことは理解されるべきである。さらに、流動的(fluidly)/流体的(fluidically)に接続、流動的/流体的に結合、又は流動的/流体的に連絡している2つの構成部品は、直接物理的に接触していてもしていなくてもよく、かつその間に1以上の他の構成部品が配置される可能性もある。
【0052】
図1~13に示されるように、本開示は、衝撃を吸収し、かつ使用時に使用者の足及び/又は膝の内部の力を再分配する、後足部靴挿入物10のような靴挿入物デバイス(及びそのような挿入物を利用する方法)を提供する。後足部靴挿入物10は、
図1~13に示されるように、使用者の足の足底筋膜と踵骨の内側結節との連結部における緊張を軽減するように構成された突出部30、32を備えている。後足部靴挿入物10はさらに、使用者の膝の内側部の負荷を減少させるように構成される。後足部靴挿入物10はさらに、使用者の踵部脂肪体における応力量を低減するように構成される。後足部靴挿入物10はさらに、使用者の足関節外側靱帯、腰背部、骨盤/骨盤姿勢、及び/又はアキレス腱に対する応力を低減する可能性もある。
【0053】
図1~13を参照すると、靴挿入物デバイス10は、靴の内部に配置されるように、かつ靴の内部で使用者の足裏の後足部挿入物10(a hindfoot insert 10)の下で後足部挿入物10の上側面12が足裏(すなわち使用者の足底)と向かい合う状態で伸びるように構成されるという点で、後足部靴(hindfoot shoe)である。それにより後足部挿入物10は、使用者の靴の内部で靴のインソール、内底(floor)、又は内部の土台部分の上に手で配置することが可能である。後足部挿入物10は、後方又は近位側の端部又は側面20、前方又は遠位側の端部又は側面22(近位端20の反対側になる可能性がある)、近位端及び遠位端20、22の間に伸びる内側(medial)又は中心側(inner)の側面又は端部14、並びに近位端及び遠位端20、22の間に伸びる外側(lateral)又は周辺側(outer)の側面又は端部18(内側面14の反対側になる可能性がある)を具備する。
図1~13にさらに示されるように、靴挿入物デバイス10は、上側又は上方の側面又は端部12と、上側面12の反対側の底側又は下方の側面又は端部とを備えている。
【0054】
なお、
図1~13に示された挿入物デバイス10は、右側の靴及び足のために構成された「右側の」靴挿入物デバイス10として構成されている。さらに、当業者ならば承知しているであろうように、挿入物デバイス10は、別例として、挿入物10について内側方向に鏡映を作る(又は反転する)ことにより左側の靴及び足のための「左側の」靴挿入物10として構成される可能性もあることが企図され、かつここで開示されている。よって、一貫性を保ちかつ挿入物10の特徴に言及するために、解剖学的方向の用語が本明細書中で使用されている。
【0055】
後足部靴挿入物10はさらに、
図1~13に示されるように、上側表面12から上方へ伸びておりかつ内側面及び外側面16、18の間の中間に位置する筋膜突出部30を備えている。筋膜突出部30は、近位端20から遠位側に間隔を置いて配置されている。筋膜突出部30は、使用者の足底筋膜の、使用者の足の踵骨の内側結節に(又は内側結節に近接して)接続している部分に、上向きの圧力又は力を加えるように、遠位側に配置される可能性がある。例えば、筋膜突出部30は、使用者の足の踵部脂肪体の中心よりも遠位側、例えば使用者の足の踵部脂肪体の中心から少なくとも約1・1/2cm遠位側になるように、遠位側に配置される可能性がある。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、近位端20から遠位側に約1インチ~約4インチの範囲、又は約1・1/2インチ~約3インチの範囲の間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、近位端20から遠位側に約1・1/2インチ~約2・3/4インチの範囲の間隔を置いて配置される。しかしながら、筋膜突出部30の位置は、使用者の足底筋膜、例えば足底筋膜の、使用者の足の踵骨の内側結節に(又は内側結節に近接して)接続する部分に上向きの圧力又は力を加えるように、潜在的使用者の足の大きさに応じて変化する可能性があることも注目される。筋膜突出部30は、少なくとも厚さ方向に沿って弾力性を有する可能性がある。
【0056】
同じく
図1~13に示されるように、後足部靴挿入物10はさらに、後足部挿入物10の上側表面12から上方へ伸びる上側又は上方外側突出部32、及び/又は後足部挿入物10の底側表面12から下方へ伸びる底側又は下方外側突出部33を備えている。上方外側突出部32及び/又は下方外側突出部33は、挿入物10の外側面18に近接して、かつ少なくとも部分的には筋膜突出部30よりも遠位側に、配置される可能性がある。
【0057】
筋膜突出部30並びに上方外側突出部32及び/又は下方外側突出部32は、使用者の足の足底筋膜が内側結節に入る連結部の緊張を軽減し、使用者の膝の内側部の負荷を減少させ、かつ使用者の足の踵部脂肪体内における応力量を低減するように構成される。例えば、上方外側突出部32及び/又は下方外側突出部32は使用者の足の足底筋膜が踵骨の内側結節に入る挿入点における緊張を生物力学的に軽減するように構成される。上方外側突出部32及び/又は下方外側突出部32は、踵立方関節を固定することにより使用者の足底筋膜に対する負担を減少させる役割を果たす。この上方外側突出部32及び/又は下方外側突出部32はさらに、使用者の膝の内側コンパートメントにおける応力も低減するが、これは治療上有益であり、かつ使い過ぎ及び/又は骨関節炎発症を予防する可能性がある。筋膜突出部30は、使用者の足底筋膜の挿入点に、足底筋膜挿入部周辺の緊張及び応力を減少させる上向きの圧力を加える(潜在的に「弓づる形成(bow-stringing)」効果を作り出す)ように構成される。
【0058】
後足部挿入物10は、少なくとも該挿入物の上側面及び底側面12、14の間に伸びる厚さ方向に、弾力性を有する(すなわち弾性変形可能である)ように構成される可能性がある。例えば、後足部挿入物10は1以上の弾性材料から作られる可能性がある。いくつかの実施形態では、後足部挿入物10は、1以上のゴム又は類似の材料、例えばシリコーン、EPDM、ラテックス、ネオプレン、又はこれらの組み合わせから作られる可能性がある。いくつかの実施形態では、後足部挿入物10は、1以上のプラスチック又は類似の材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、PET、PVC、ABS、低温熱可塑性材料又はこれらの組み合わせから作られる可能性がある。いくつかの実施形態では、後足部挿入物10は、1以上の発泡体又は類似の材料、例えばEVA発泡体材料、ポリウレタン発泡体材料、シリコーン発泡体材料、ネオプレン発泡体材料、又はこれらの組み合わせから作られる可能性がある。いくつかの実施形態では、後足部挿入物10は、1以上の天然又は再生可能材料、例えばコルク、マッシュルームレザー、動物皮革、綿、天然織物又は不織布、羊毛、セルロース、又はこれらの組み合わせから作られる可能性がある。いくつかの実施形態では、後足部挿入物10は、1以上のゲル材料、例えばシリコーンゲル、ポリウレタンゲル、又はこれらの組み合わせから作られる可能性がある。後足部挿入物10は、単一の材料から形成されてもよいし、互いに結合された複数の材料から形成されてもよい。
【0059】
同様に、後足部挿入物10は一体物であってもワンピース型構築物であってもよいし、又は互いに結合された複数の個別の構成部品から形成される可能性もある。1つの例示の実施形態では、後足部挿入物10はワンピース型構築物であり、かつモノリシックであってよい。別の例示の実施形態では、後足部挿入物10は、筋膜突出部若しくは突起30及び/又は外側突出部若しくは突起32が結合される、土台又は主要部分を具備する。例えば、いくつかのそのような実施形態では、筋膜突出部若しくは突起30及び/又は外側突出部若しくは突起32は、土台又は主要部分と着脱自在に結合するモジュール式構成部品である可能性もある。そのような実施形態により、様々な筋膜突出部30及び外側突出部突起32(例えば様々な高さ、弾力性などを有するもの)を特定の使用者に合うように土台又は主要部分とともに利用することが可能となる。
【0060】
図1~13に示されるように、筋膜突出部30は、近位側‐遠位側方向に沿った該筋膜突出部の長さよりも長い、内側‐外側方向に沿った長さを規定するように、内側‐外側方向に沿って伸びていることが可能である。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、少なくとも約2cmの内側‐外側方向に沿った長さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、約2cm~約5cmの範囲内の、内側‐外側方向に沿った長さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、約1・1/2cm未満の、近位側‐遠位側方向に沿った長さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、約1/4cm~約1・1/2cmの範囲内の、近位側‐遠位側方向に沿った長さを規定する。
【0061】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、筋膜突出部30に隣接する挿入物10の上側表面12から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、筋膜突出部30に隣接する上側表面12から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、筋膜突出部30は異なる大きさ及び/又は異なる形状である可能性もある。
【0062】
いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は、
図1~13に示されるように近位側‐遠位側方向に沿って凸状である。例えば、筋膜突出部30は、近位側‐遠位側方向に沿ってアーチ形に凸状である可能性がある。
図1~13の例示の説明に役立つ実施形態では、筋膜突出部30は、内側‐外側方向に沿って伸びる円柱形状部分を備えている。
【0063】
図1~13に示されるように、いくつかの実施形態では、外側突出部32の近位側部分は、筋膜突出部30の少なくとも一部分と、近位側‐遠位側方向に沿って同位置になる可能性がある。しかしながら、他のいくつかの実施形態では、外側突出部32は、近位側‐遠位側方向に沿って筋膜突出部30から間隔を置いて配置される可能性もある。
【0064】
外側突出部32は、
図1~13に示されるように、近位側‐遠位側方向に沿って凸状である可能性がある。例えば、外側突出部32は、近位側‐遠位側方向に沿ってアーチ形に凸状である可能性がある。いくつかの実施形態では、外側突出部32は内側‐外側方向に沿って凸状である。例えば、外側突出部32は、
図1~13に示されるように、外側突出部の内側部分又は内側端よりも上側表面12からさらに離れて配置された外側部分を備える可能性がある。このように、
図1~13に示されるように、外側突出部32は、その外側面又は外側端からその内側面又は内側端へと下向きに伸びる可能性がある。例えば、外側突出部32は、その外側面からその内側面へとアーチ形をなして下向きに伸びる可能性がある。しかしながら、他のいくつかの実施形態では、外側突出部32は異なる大きさ及び/又は異なる形状である可能性もある。
【0065】
いくつかの実施形態では、外側突出部32は、内側‐外側方向に沿って約1・1/2インチ未満の長さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部32は、内側‐外側方向に沿って約1/2インチ~約1・1/2インチの範囲内の長さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部32は、近位側‐遠位側方向に沿って約2・1/2インチ未満の長さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部32は、近位側‐遠位側方向に沿って約1/2インチ~約2インチの範囲内の長さを規定する。
【0066】
いくつかの実施形態では、外側突出部32は、外側突出部32に隣接する後足部挿入物10の上側表面12から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する。いくつかの実施形態では、外側突出部32は、外側突出部32に隣接する上側表面12から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する。
【0067】
いくつかの実施形態では、上方外側突出部32は外側突出部32に隣接する上側表面12から第1の最大高さを規定し、かつ筋膜突出部30は筋膜突出部30に隣接する上側表面12から第2の最大高さを規定し、第1の最大高さは第2の最大高さの25%の範囲内にある。いくつかの実施形態では、
図1~13に示されるように、第1の最大高さは第2の最大高さよりも低い。
【0068】
いくつかの実施形態では、外側突出部32は少なくとも厚さ方向に沿って弾力性を有する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30及び外側突出部32は、少なくとも厚さ方向に沿ってほぼ同じ弾性エネルギー係数を有する。いくつかの実施形態では、筋膜突出部30及び外側突出部32は同じ材料で形成される。
【0069】
上記に議論され、かつ
図1~13に示されるように、後足部靴挿入物10は、例えば後足部挿入物10の上側表面12から上方へ伸びる上方外側突出部32に加えて(又はその代わりに)、後足部挿入物10の底側表面12から下方へ伸びる底部又は下方外側突出部33を備える可能性がある。底部外側突出部33は、上述の上方外側突出部32と同一又は類似の位置、形状及び/又は大きさ(又は他の構成)である可能性がある。例えば、底部外側突出部33は、底部外側突出部33に隣接する後足部挿入物10の底側表面14から少なくとも約1/4インチの最大高さを規定する可能性がある。いくつかの実施形態では、底部外側突出部33は、底部外側突出部33に隣接する底側表面14から約1/4インチ~約3/4インチの範囲内の最大高さを規定する可能性がある。
【0070】
図1~13に示されるように、後足部靴挿入物10は、上側表面12から上方へ伸びる上方外側突出部32と、後足部挿入物10の底側表面12から下方へ伸びる底部外側突出部33との両方を備える可能性がある。いくつかのそのような実施形態では、底部外側突出部33は底側表面12から下方へ伸びて第1の最大高さを規定する可能性があり、上方外側突出部32は上側表面12から上方へ伸びて第2の最大高さを規定する可能性があり、かつ第1の最大高さは第2の最大高さの25%の範囲内にある可能性がある。実施形態において、第1の最大高さ及び第2の最大高さは同一である可能性もある(すなわち、上方外側突出部32及び下方外側突出部33は、同じ高さであるが反対方向に伸びるという可能性がある)。いくつかの実施形態では、上方外側突出部32は第1の弾性エネルギー係数を有する可能性があり、かつ下方外側突出部33は、第1の弾性エネルギー係数とは異なる第2の弾性エネルギー係数を有する可能性がある。いくつかのそのような実施形態では、第1の弾性エネルギー係数は第2の弾性エネルギー係数よりも大きい可能性がある。
【0071】
図1に示されるように、後足部挿入物10は、後足部挿入物10の近位端20を規定する、使用者の足のヒール(heal)のヒール(heal)脂肪体の下に伸びるように構成された近位側部分26を備える可能性がある。同じく
図1に示されるように、後足部挿入物10は、近位側部分26から遠位側へ伸びて後足部挿入物10の遠位端22を規定する、遠位側部分28をさらに備える可能性がある。近位側部分26及び遠位側部分28が合わさって、例えば上側表面12及び底側表面14を備えた後足部挿入物10を形成する可能性がある。いくつかの実施形態では、
図1~13に示されるように、遠位側部分28の厚さは少なくとも近位側‐遠位側方向に沿って変化する可能性がある。例えば、上側表面12のうち後足部挿入物10の遠位側部分28によって形成された部分は、その結果として近位側部分26から下方に伸びる可能性がある。いくつかの実施形態では、上側表面12のうち後足部挿入物10の近位側部分26によって形成された近位側部分は、ほぼ平面状である。いくつかの実施形態では、上側表面12のうち後足部挿入物10の遠位側部分28によって形成された遠位側部分は、ほぼ平面状である。
【0072】
図1~13に示されるように、いくつかの実施形態では、筋膜突出部30は後足部挿入物10の近位側部分26に配置される可能性がある。いくつかの実施形態では、上方外側突出部32及び/又は下方外側突出部33の少なくとも一部分は、後足部挿入物10の遠位側部分28に配置される。いくつかの実施形態では、外側突出部32の少なくとも一部分は後足部挿入物10の近位側部分に配置される。
【0073】
いくつかの実施形態では、後足部挿入物10は、
図1~13に示されるように、上側表面12から上方へ、かつ該挿入物の内側面14、近位端20及び外側面18に沿って伸びる、周縁リム部分又は部材24を備える可能性がある。周縁リム部分24は、内側面及び外側面14、18の一部分のみ、例えばこれらの遠位側部分に沿って伸びる可能性もある。リム部分24の中心側又は内部側の側面は、上側表面12から伸びることが可能であり、例えば上側表面からアーチ形をなして伸びることが可能である。いくつかの実施形態では、リム部分24の中心側又は内部側の側面は、上側表面12から伸びるにつれてアーチ形に凹状をなす可能性がある。上方外側突出部32は、リム部材24から内側方向に伸びる可能性がある。
【0074】
上述のような、衝撃を吸収し、かつ使用時に使用者の足及び/又は膝の内部の力を再分配する別の例示の靴挿入物デバイス110が、
図14及び15に示されている。
図14及び15の挿入物デバイス110は、
図1~13に関して上述された靴挿入物デバイス10とほぼ同様であり、かつ従って同種の構成部品、態様、機能、過程又は機能を示すために前に「1」が付された参照数字が使用されており、これらに関する上記説明は等しく適用され、簡潔かつ明快にするために繰り返し記載されてはいない。
【0075】
図14及び15に示されるように、靴挿入物デバイス110は、靴挿入物デバイス10がインソール又は土台部分150に結合するように構成されている点で、靴挿入物デバイス10とは異なっている。
図14及び15に示されるように、靴挿入物デバイス110は、底側面114から伸び出る複数の係合突出部、ペグ、部材140又は同種のものを備えている。土台部分150は、
図14及び15に示されるように、上側面152及び底側面154を備えている。土台部分150の上側面152の近位側部分は、
図15に示されるように、靴挿入物デバイス110の複数の係合ペグ142と係合するように構成された複数の係合穴142を備えている。土台部分150は、靴挿入物デバイス110が様々な異なる配置状態で該部分150の近位側部分と結合することができるように構成される可能性がある。
【0076】
上述のような、衝撃を吸収し、かつ使用時に使用者の足及び/又は膝の内部の力を再分配する別の例示の靴挿入物デバイス210は、
図16に示されている。
図16の挿入物デバイス210は、
図14及び15に関して上述された挿入物デバイス110及び土台部分150とほぼ同様であり、かつ従って同種の構成部品、態様、機能、過程又は機能を示すために前に「2」が付された同種の参照数字が使用されており、これらに関する上記説明は等しく適用され、簡潔かつ明快にするために繰り返し記載されてはいない。
【0077】
図16に示されるように、いくつかの実施形態では、靴挿入物デバイス210は、後足部部分、中足部部分及び前足部部分が単一の構築物であるか又は互いに固着結合しているという点で、
図14及び15のデバイス110及び土台部分150とは異なっている。同じく
図16に示されるように、いくつかの実施形態では、靴挿入物デバイス210は、前足部部分がその上側表面212から上方へ伸びる前足部突出部260を備えているという点で、土台部分150とは異なっている。前足部突出部260は、前足部部分の遠位端においてデバイス210の外側面216に近接して配置されることが可能である。その結果として前足部突出部260は、使用者の足の第4趾及び/又は第5趾の末節骨、中節骨及び/又は基節骨の下に配置されるように構成される可能性がある。
【0078】
上記の説明は例証であって、限定的ではないと意図されていることが理解されるべきである。例えば、上述の実施例(及び/又はその態様)は互いに組み合わせて使用されることが可能である。加えて、様々な実施例の教示内容に対し、その範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を適応させるために多くの改変がなされることが可能である。材料の寸法及び種類は本明細書中に記載される可能性があるが、それらは様々な実施例のうち一部についてパラメータを規定するように意図されているのであって、決して全ての実施例について限定するものではなく、単なる例示にすぎない。数多くの他の実施例は、上記説明を検討すれば当業者には明白となろう。したがって、様々な実施例の範囲は、本明細書に含まれる特許請求の範囲と、加えてそのような特許請求の範囲に当然付与される均等物の範囲全体とに関連して、決定されるべきである。
【0079】
本明細書中で使用されるように、用語「~を備えている(including)」及び「その中に(in which)」は、それぞれ用語「~を具備している(comprising)」及び「そこで(wherein)」に相当する平易な英語として使用されている。さらに、本明細書中で使用されるように、用語「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などは、単に参照用ラベルとして使用されており、数字上、構造上、又はその他の要件を課するようには意図されていない。本明細書中の「~に基づいて(based on)」という用語形態は、ある要素が全面的に基づいている関係性と同様に、ある要素が部分的に基づいている関係性も包含している。「規定された」という用語形態は、ある要素が全面的に規定される関係性と同様に、ある要素が部分的に規定される関係性も包含している。さらに、本明細書に含まれるクレームの限定は、ミーンズ・プラス・ファンクション形式で記されておらず、かつ、そのようなクレーム限定が「~のための手段(means for)」という言葉を明示的に使用した後にさらなる構造の機能の空隙(function cavity)について述べるのでない限り、米国特許法第112条の第6段落に基づいて解釈されるようには意図されない。上述のような目的又は利点のうち必ずしも全てが任意の特定の実施例によって達成されうるわけではないことは、理解されるべきである。よって、例えば、当業者は、本明細書中に記載されたシステム及び方法が、本明細書中に教示された1つの利点又は一群の利点を達成又は最適化するかたちで具体化又は実行されて、本明細書中に教示又は示唆された他の目的又は利点を必ずしも達成しない可能性もあることを、認識するであろう。
【0080】
本開示について、限られた数の実施例のみに関して詳細に説明してきたが、本開示がそのような開示された実施例に限定されないことは容易に理解されるはずである。それどころか、本開示は、本明細書中に前述されていないが本開示の趣旨及び範囲に見合う、任意の数の変形形態、変更形態、代替形態、又は等価な配置構成を組込むように改変することができる。加えて、様々な実施例について記載してきたが、本開示の態様は1つの実施例のみ又は記載された実施例のうち一部のみを含む可能性があることは、理解されるべきである。さらに、いくつかの開示内容はある一定の数の要素を有するものとして記載されているが、実施例はその一定の数よりも少数又は多数の要素を用いて実行することができることは理解されよう。
【0081】
以下に極めて詳細に議論される先述の概念及び追加の概念の全ての組み合わせが(そのような概念が相互に矛盾しないものとして)、本明細書中に開示された本発明の対象事項の一部であると考えられることは理解されるべきである。特に、本開示の最後にある特許請求の範囲の対象事項の全ての組み合わせが、本明細書中に開示された本発明の対象事項の一部であると考えられる。
【国際調査報告】