(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】缶乾燥水分制御システム
(51)【国際特許分類】
F26B 21/08 20060101AFI20240801BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240801BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20240801BHJP
F26B 15/18 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
F26B21/08
F26B21/00
F26B3/04
F26B15/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509062
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022040297
(87)【国際公開番号】W WO2023022963
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォークナー,クリストファー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AC04
3L113AC08
3L113AC36
3L113AC54
3L113AC57
3L113AC67
3L113BA12
3L113CA08
3L113CB03
3L113CB05
3L113CB23
3L113CB25
3L113CB28
3L113DA02
3L113DA26
(57)【要約】
【解決手段】缶用乾燥機又はオーブンと共に使用するための加熱システムは、ガスバーナと、電気加熱要素と、ガスバーナ及び/又は電気加熱要素によって加熱された空気を用いて缶を加熱するように構成された加熱チャンバと、ガスバーナ及び電気加熱要素から加熱チャンバに空気を移動させるように構成された循環システムと、ガスバーナ及び電気加熱要素を選択的に制御して、ガスバーナ及び電気加熱要素が作動して加熱チャンバに供給される空気を両方が加熱する第1のモードと、ガスバーナが作動せず電気加熱要素が作動する第2のモードとの間で切り替えるように構成された制御システムとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶用乾燥機又は缶用オーブンと共に使用するための加熱システムであって、
ガスバーナ(21)と、
電気加熱要素(22)と、
前記ガスバーナ(21)及び/又は前記電気加熱要素(22)によって加熱された空気を用いて缶を加熱するように構成された加熱チャンバ(24)と、
前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)から前記加熱チャンバ(24)へ空気を移動させるように構成された循環システムと、
前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を選択的に制御して、前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)が作動してそれら両方が前記加熱チャンバ(24)に供給される空気を加熱する第1のモードと、前記ガスバーナ(21)が作動せず前記電気加熱要素(22)が作動する第2のモードとの間で切り替えるように構成された制御システム(38)と、
を備えている加熱システム。
【請求項2】
前記循環システム内の空気の湿度を監視する湿度センサ(29)を更に備えており、
前記制御システム(38)は、前記監視された湿度が所定のレベルに達すると、前記循環システムに新鮮な空気を導入するように前記循環システムを制御するように構成されている、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項3】
前記加熱チャンバからの空気を用いて前記新鮮な空気を暖めるように構成された熱交換器(28)を更に備えている、請求項2に記載の加熱システム。
【請求項4】
前記加熱チャンバ(24)と前記熱交換器(28)との間に配置された第1ダンパ(27)と、
前記熱交換器(28)と前記ガスバーナ(21)又は前記電気加熱要素(22)との間に配置された第2のダンパ(37)と、
を更に備えており、
前記制御システム(38)は、前記第1及び第2のダンパ(27,37)を介して、前記循環システム内で再循環される空気の量と前記循環システムに追加される前記新鮮な空気の量とを制御するように構成されている、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項5】
前記湿度センサ(29)は、前記加熱チャンバ(24)と前記熱交換器(28)の間に配置されている、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項6】
前記熱交換器(28)は、前記加熱チャンバ(24)から受け取った空気から水分を除去し、除去した水分を水に凝結するように構成されている、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項7】
前記加熱チャンバ(24)に入る缶を予熱するように構成された二次加熱チャンバ(30)を更に備えている、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項8】
前記制御システム(38)は、前記ガスバーナ(21)が作動しているか否かに基づいて選択的に、前記加熱チャンバ(24)から空気の一部を排出する、又は前記加熱チャンバ(24)からの空気の一部を前記二次加熱チャンバ(30)に向けるように構成されている、請求項7に記載の加熱システム。
【請求項9】
前記加熱チャンバ(24)と前記二次加熱チャンバ(30)との間に配置された切替ダンパ(36)を更に備えており、
前記制御システム(38)は、前記ガスバーナ(21)が作動しているか否かに基づいて選択的に、前記加熱チャンバ(24)から前記空気の一部を排出するように、又は、前記加熱チャンバ(24)から前記空気の前記一部を前記二次加熱チャンバ(30)に向けるように前記切替ダンパ(36)を制御するように構成されている、請求項8に記載の加熱システム。
【請求項10】
前記制御システム(38)は、前記循環システム内の空気が所定の温度より低い場合、前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を前記第1のモードで制御し、前記循環システム内の空気が所定の温度より高い場合、前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を前記第2のモードで制御するように構成されている、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項11】
前記ガスバーナ(21)は天然ガス(32)で動く、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項12】
前記電気加熱要素(22)は電力(33)で動く、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項13】
前記加熱チャンバを通して缶を移動させるように構成されたコンベア(25)を更に備えている、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項14】
缶用乾燥機又は缶用オーブン内で缶を加熱する方法において、
ガスバーナ(21)と、電気加熱要素(22)と、前記ガスバーナ(21)及び/又は前記電気加熱要素(22)によって加熱された空気を用いて缶を加熱するように構成された加熱チャンバ(24)と、前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)から前記加熱チャンバ(24)に空気を移動させるように構成された循環システムとを設けることと、
前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を選択的に制御して、前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)が作動して前記加熱チャンバ(24)に供給される空気をそれら両方が加熱する第1のモードと、前記ガスバーナ(21)が作動せず前記電気加熱要素(22)が作動する第2のモードとの間で切り替えることと、
を含む方法。
【請求項15】
前記循環システム内の空気の湿度を監視するように構成された湿度センサ(29)を設けることと、
前記監視された湿度が所定のレベルに達すると、前記循環システムに新鮮な空気を導入するように前記循環システムを制御することと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱チャンバ(24)からの空気を用いて前記新鮮な空気を暖めるように構成された熱交換器(28)を設けることと、
前記循環システムに追加される前記新鮮な空気の量を制御することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱交換器(28)を用いて前記加熱チャンバ(24)から受け取った空気から水分を除去することと、
前記除去された水分を前記熱交換器(28)で水に凝結させることと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱チャンバ(24)に入る缶を予熱するように構成された二次加熱チャンバ(30)を設けることと、
前記ガスバーナ(21)が作動しているか否かに基づいて選択的に、前記加熱チャンバ(24)から前記空気の一部を排出する、又は、前記加熱チャンバ(24)から前記二次加熱チャンバ(30)に前記空気の一部を導くことと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を選択的に制御して、前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)が作動して前記加熱チャンバ(24)に供給される空気をそれら両方が加熱する第1のモードと、前記ガスバーナ(21)が作動せず前記電気加熱要素(22)が作動する第2のモードとの間で切り替えることは、前記循環システム内の空気が所定の温度未満である場合に前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を前記第1のモードで制御し、前記循環システム内の空気が前記所定の温度を超える場合に前記ガスバーナ(21)及び前記電気加熱要素(22)を前記第2のモードで制御することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年8月16日に出願された米国特許出願第63/233,355号、発明の名称「Can Drying and Moisture Control System」の優先権を主張する。
【0002】
開示される概念は概ね缶製造に関しており、より具体的には、缶用乾燥機又は缶用オーブンのための加熱システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属製の飲料食品容器(例えば、缶)は、形成具とダイのシステムを用いて機械的に作られる。製品の損傷を防止するために、油が使用されて成形プロセス中に表面を潤滑する。成形プロセス後、油と他の汚染物質とは、複数の洗浄工程を介して表面から洗い流される。ラッカーを噴霧し、インクで装飾し、食品飲料製品を充填する前に、金属表面は完全に清浄で乾燥している必要がある。
【0004】
典型的な多段洗浄機に続く缶の乾燥を一例として用いる。典型的な乾燥システムの概略図が
図1に示されている。このプロセスは非常にエネルギーを消費し、乾燥機15は容器製造プロセスで最もよく働く。
【0005】
缶は洗浄プロセスを離れると、乾燥プロセスを通して缶を搬送する連続コンベア5に送られる。乾燥機15に入る缶は、除去する必要のある残留水の膜を有している。
【0006】
乾燥プロセスは、缶が乾燥機を出る前に、高温空気を用いて水膜を蒸発させて無くすように設計されている。
【0007】
ノズルが取り付けられたプレナムチャンバ1、再循環遠心ファン2、及びダクトを介して、高温空気が缶に吹き付けられる。天然ガス12と燃焼用空気13とが直火型ガスバーナ13に供給されて、燃焼チャンバ4で天然ガス12を燃焼させる。放出されるエネルギーは、燃焼チャンバ4の周囲を流れる空気を所望の動作温度まで加熱する。
【0008】
高温空気のエネルギーが用いられて、入ってくる容器の温度を上昇させ、金属表面から水を蒸発させる。空気がその熱エネルギーを加熱気化プロセスに与えることで、空気は冷却される。冷却された空気は、コンベア5を通って引き込まれ、ダクトで送られて燃焼チャンバ4を通過し、そこで所望の温度に再加熱される。再加熱された空気はその後、再循環遠心ファン2の吸引側に供給されて、再循環サイクルが完了する。
【0009】
再循環している高温空気は、金属容器の表面から気化や蒸発した水分を吸収する。空気中に吸収された水蒸気は、ガス燃焼の生成物と混合される。
【0010】
高温の再循環空気の一部は、ダンパ6及び排気遠心ファン7を介して引き出される。排気遠心ファン7は、空気を排気煙突に吹き込んで建物外部の大気8に排出する。
【0011】
建物の内部又は外部からの冷たい新鮮な空気14は、ダンパ9を介して再循環空気流に引き込まれ、乾燥機15の内部の圧力を平衡させる。缶の入口ポート10及び出口ポート11を通って乾燥キャビティ内に侵入して不安定さを引き起こす、制御されていない空気の発生を防ぐために、平衡圧力を生成することが重要である。より重要なことは、圧力を平衡させることにより高温空気の逃散を抑制し、乾燥キャビティから技術者が作業する作業領域へと逃げる燃焼ガスを封じ込めることである。
【0012】
一般的な乾燥プロセスはエネルギーを大量に消費し、無駄が多い。缶乾燥システムには改善の余地がある。
【発明の概要】
【0013】
開示される概念の一態様によれば、缶用乾燥機又は缶用オーブンと共に使用するための加熱システムは、ガスバーナと、電気加熱要素と、ガスバーナ及び/又は電気加熱要素によって加熱された空気を使用して缶を加熱するように構成された加熱チャンバと、ガスバーナ及び電気加熱要素から加熱チャンバに空気を移動させるように構成された循環システムと、ガスバーナ及び電気加熱要素を選択的に制御して、ガスバーナ及び電気加熱要素が作動して加熱チャンバに供給される空気を両方が加熱する第1のモードと、ガスバーナが作動せず電気加熱要素が作動する第2のモードとの間で切り替えるように構成された制御システムとを備えている。
【0014】
開示される概念の別の態様によれば、缶用乾燥機又は缶用オーブンで缶を加熱する方法は、ガスバーナと、電気加熱要素と、ガスバーナ及び/又は電気加熱要素によって加熱された空気を使用して缶を加熱するように構成された加熱チャンバと、ガスバーナ及び電気加熱要素から加熱チャンバに空気を移動させるように構成された循環システムとを提供することと、ガスバーナ及び電気加熱要素を選択的に制御して、ガスバーナ及び電気加熱要素が作動して加熱チャンバに供給される空気を両方が加熱する第1のモードと、ガスバーナが作動せず電気加熱要素が作動する第2のモードとの間で切り替えることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付図面と併せて読むことで、好適な実施形態に関する以下の説明から十分に理解することができる。
【0016】
【
図1】
図1は、典型的な乾燥システムの概略図である。
【
図2】
図2は、開示された概念の例示的な実施形態による乾燥システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に示されており、以下の説明に記載されている具体的な要素は単に、開示される概念の例示的な実施形態に過ぎず、例示のためだけに非限定的な例として提供されることは理解される。従って、特定の寸法、向き、アセンブリ、使用される構成要素の数、実施形態の構成、及び本明細書に開示される実施形態のその他の物理的特性は、開示される概念の範囲に関する限定とみなされるべきではない。
【0018】
本明細書で使用される方向表現、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上方、下方、及びその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、請求項に明示されない限り請求項を限定するものではない。
【0019】
本明細書では、「ある」及び「その」の単数形は、文脈上特に明示されない限り、複数形を含む。
【0020】
任意の製品の急速乾燥における主なコストは、使用されるエネルギーの持続可能な供給源及びコストである。
【0021】
電力は、持続可能なエネルギー源として急速に注目されており、波力、風力、太陽光、水力、原子力の一次源を使用して生成されることが増えている。資源の最適化を確実にするために、開示される概念の例示的な実施形態は、金属飲料缶を乾燥させる温度まで空気を加熱するためのエネルギー源として天然ガス及び電気を使用するハイブリッド加熱システムを提供する。
【0022】
幾つかの例示的な実施形態では、オンライン水分温度測定システムが使用される。発生した電気信号が使用されて、乾燥プロセスにおける水分レベルが制御され、そして、必要なエネルギー量が決定されて調節される。エネルギー量が十分に制御される場合には、エネルギーの主たる供給源が最適化されて、このエネルギー集約的な運転の二酸化炭素排出量を減少させ得る。
【0023】
従来の乾燥機では、直火型ガスバーナを使用するには、最適な燃焼を確保するための化学量論的条件を確保するために、あるレベルの新鮮な空気を燃焼チャンバに投入する必要がある。燃焼プロセス中に、人に有害な他のガスが生成される。人々が安全に保たれることを確実にするために、有害ガスは、
図1の乾燥システムに示されているように、煙突を介して建物構造外部の大気中に排出される。天然ガスの燃焼によって生成される有害ガスは環境にも有害であり、これらのガスが上層大気に蓄積することが地球温暖化の原因になっていると強く考えられている。
【0024】
図2は、開示される概念の例示的な実施形態に基づく乾燥システムの概略図である。乾燥システムは、ガスバーナ21と電気加熱要素22とを使用しており、これらが一緒に作動することで、ハイブリッド加熱システムが提供される。ガスバーナ21には、燃焼用空気31と天然ガス32とが供給される。電気加熱要素22には電力33が供給される。ガスバーナ21と電気加熱要素22の両方のユニットが使用されることで、乾燥システムの温度を必要な動作ポイントまで短い所望の時間で上昇させることができる。乾燥システムが所望の動作温度になると、ガスバーナ21はオフにされて、電気加熱要素22のみを用いて加熱が維持される。必要に応じてガスバーナ21を短いバーストで使用することで、電気加熱要素22によっては対応することができない外部変化をならすことができる。制御システム38は、ガスバーナ21及び電気加熱要素22を制御して、ガスバーナ21及び電気加熱要素22が作動して両方がプレナムチャンバ24(加熱チャンバとも呼ばれる)に供給される空気を加熱する第1のモードと、ガスバーナ21が作動せずに電気加熱要素22が作動する第2のモードとの間で切り替えることができる。
【0025】
乾燥システムは、缶が乾燥機50を出る前に、高温空気を使用して水膜を無くなるまで蒸発させるように設計されている。缶は、入口ポート40で乾燥機50に入り、コンベア25を介して乾燥機50を通って出口ポート41に運ばれる。高温空気は、遠心再循環ファン(centrifugal recirculation fan)23を介して缶に吹き付けられる。遠心再循環ファン23は、一連のダクトを介して、ノズルが取り付けられたプレナムチャンバ24内に高温空気を吹き付ける。ガスバーナ21及び電気加熱要素22からプレナムチャンバ24への空気の移動を容易にする要素は、循環システム(例えば、遠心再循環ファン24、ダクト等)と呼ばれ得る。高温空気は、缶の温度を上昇させ、また、水を蒸発させて蒸気にするエネルギーを提供し、蒸気は空気流に吸収される。空気は、加熱気化プロセスによってエネルギーを失って冷却される。冷却された空気は、コンベア25を通って引き込まれてダクトで送られて、電気加熱要素22及びガスバーナ21を通過して、各々の現在の動作状態に応じて、電気加熱要素22及びガスバーナ21の一方又は両方によって再加熱される。空気はその後、遠心ファン23の吸引側に引き込まれて、乾燥空気サイクルが完了する。
【0026】
容器の表面を通る再循環高温空気は、乾燥させている容器の表面から蒸発した水を吸収する。水蒸気は、高温空気に吸収される。高温の湿った空気の一部は、遠心排気ファン26によって、制御ダンパ27を介して再循環空気システムから引き出される。
【0027】
再循環している乾燥空気流から除去されたその空気は、凝縮熱交換器28を通過し、一組のダクト配管を介して切替ダンパ36に至る。切替ダンパ36のポジションは、ガスバーナ21が使用されているか否か特定するコンピュータ信号によって決定される。ガスバーナ21が使用されていると、切替ダンパ36はガスを建物外部へと排気煙突に送って大気35に出す。制御システム38が、ガスバーナ21が使用されていないことを識別した場合、切替ダンパ36は、高温の湿った流れを、1組のダクトを介して予熱プレナムチャンバ30(二次加熱チャンバとも呼ばれる)に送る。
【0028】
排気ファン26と凝縮熱交換器28の間の相互接続ダクトに湿度センサ29が取り付けられて、再循環空気システムから除去された空気の温度及び湿度が測定されてよい。湿度センサ29からの信号は制御システム38で分析され、発生した信号が用いられて、再循環している乾燥空気流から除去される高温空気の量と、乾燥キャビティ内の圧力バランスを維持するために加えられる冷たい新鮮な空気(補給空気とも呼ばれる)34の量とを制御する。補給空気流は、ダンパ27,37を有する制御システム38によって制御される。
【0029】
ガスと電気の両方を使用するハイブリッド乾燥機に加熱源を組み合わせることで、乾燥機のウォームアップ時間を悪化させることなく、ガスバーナ21のサイズを小さくすることができる。乾燥機システムのウォームアップ運転は、両方の加熱源を使用して熱を与える。乾燥機が動作温度に達すると、ガスバーナ21はオフにされて、より効率的な電気加熱要素22をそのままにして乾燥機を動かす。より小型のガスバーナ21を使用することは、それは、強火のときに最適な効率で作動することを意味することに留意のこと。大型のガスバーナは通常、不測の事態に対応できるように仕様が定められており、ウォームアップ期間後の運転時には設計容量の50%~60%で運転するように調整されるが、これは効率的ではない。
【0030】
開示される概念は、ガスバーナ21がオフにされると、発生する燃焼生成物は無くなるという利点を有する。電気加熱要素22の使用はクリーンな熱であると考えられるので、有害なガスからオペレータを保護する必要はない。凝縮空気対空気熱交換器28は、乾燥サイクルから除去された高温/湿潤空気を使用して、低温/乾燥補給空気を乾燥サイクルに入る前に予熱する。缶から蒸発した水は、蒸気として乾燥サイクル空気に吸収される。除去された空気が熱交換器28内で冷却されると、蒸気は水39へと凝結する。その液体の水は純粋であると考えられるので、洗浄プロセスで再使用されることで、全体的な水の消費が低減されて、貴重な原料を使用する際にプロセスをより効率的にすることができる。
【0031】
加熱空気によって吸収される水の量を、即ち、相対湿度を測定する湿度制御システムを設置することによって、乾燥機の動作は更に改善される。この乾燥コンセプトは、容器の乾燥が停止する前に、乾燥システム内の空気の湿度を可能な限り高いレベルまで上昇させることを可能にする。除去される空気の量を減少させ、ひいては、追加される新鮮な空気の量を減少させることによって、これはシステムを最適化し、高温乾燥空気ではなく、高い割合の高温/湿潤空気が排出されることを確実にする。
【0032】
湿度制御は、乾燥サイクルから除去される空気の量を減少させることによって、乾燥サイクルに追加される冷たい新鮮な空気の量を減少させる。これは、より冷たい補給空気の量を減少させ、従って、より冷たい補給空気がサイクルに導入される場合と比較して、必要とされる加熱がより少なくなる。乾燥サイクルから除去された空気は、直火型ガス加熱が使用される場合、通常、建物の外側の大気に排出される。乾燥機内のさまざまな圧力のバランスを保つために、除去される高温空気の量と追加される冷たい新鮮な空気の量とが調節されて、缶が吹き飛ばされるのを防ぎ、有害な放出物が缶の供給口と排出口から漏れないようにされる。熱が乾燥サイクルに加えられて、新鮮な冷たい空気の温度を必要な作動温度まで上昇させ、その後、空気は缶の温度を上昇させて缶の表面から水を蒸発させるために使用される。
【0033】
空気流中の少量の残留水が乾燥機の動作に影響を与えないので、開示される概念は、凝縮熱交換器28を出る暖かい湿った空気を使用して、入ってくる湿った缶を予熱プレナムチャンバ30を介して予熱することによって、電気熱エネルギーの更なる最適化を組み入れている。電気加熱のみを使用する場合、漏れ出る空気は低温熱(low-grade heat)と考えられ、有害な燃焼生成物は含まないであろう。
【0034】
更なる特徴は、熱交換器28によって再循環高温空気システムから除去された湿った空気中の水分が水39に凝結し、その水39は、洗浄プロセスへの水供給を補給するために使用される有害な化学物質を含まないことである。
【0035】
開示される概念の幾つかの例示的な実施形態において、ハイブリッド加熱、即ち、電気ガスバーナ加熱は、洗浄乾燥機、ピンオーブン、内蔵ベークオーブン、又は外付ベークオーブンなどの任意の適切なタイプの缶用乾燥機又はオーブンシステムにおいて用いられてよい。例えば、洗浄乾燥機は水のみを除去するために使用されるが、ピンオーブン、内蔵ベークオーブン、及び外付ベークオーブンは、溶剤、水、揮発性有機化合物、又はこれらの混合物を除去して、コーティング又はインクの固体要素を缶に残すことができる。固体が缶に堆積されると、それらは高温で硬化や互いに融合することで、固体要素が缶表面上にシールされて、均質な被覆がもたらされる。開示された概念のハイブリッド加熱システムは、これらのタイプの乾燥機又はオーブンの何れにも採用できることは理解されるであろう。また、幾つかの用途では、開示された概念の範囲から逸脱することなく、熱回収要素などの特定の要素を省く又は変更することができることも理解されるであろう。
【0036】
発明の具体的な実施形態が詳細に説明されたが、本開示の全体的な教示に照らしてそれらの詳細に対する様々な修正及び代替がなされ得ることは当業者には理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、例示であることのみを意図されており、添付の特許請求の範囲及びその任意の且つ全ての均等物の全範囲として与えられる本発明の範囲に対する限定ではない。
【国際調査報告】