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特表2024-529725トルクコンバータのスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリ
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  • 特表-トルクコンバータのスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリ 図1
  • 特表-トルクコンバータのスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】トルクコンバータのスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16H 45/02 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F16H45/02 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509113
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022039357
(87)【国際公開番号】W WO2023033979
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,352
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/870,929
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター ノーウィッチ
(57)【要約】
トルクコンバータは、トルクを受けるように構成されたフロントカバーと、トランスミッション入力シャフトに回転不能に結合するように構成された出力フランジを含むダンパアセンブリと、を備える。トルクコンバータは、フロントカバーと出力フランジとの間に配置されたシールプレートをさらに備える。シールプレートは、カバーに回転不能に結合されている。トルクコンバータは、軸方向にシールプレートと出力フランジとの間に配置された本体を含むスラストワッシャをさらに備える。スラストワッシャは、シールプレートに固定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクを受けるように構成されたフロントカバーと、
トランスミッション入力シャフトに回転不能に結合するように構成された出力フランジを含むダンパアセンブリと、
前記フロントカバーと前記出力フランジとの間に配置されたシールプレートであって、前記シールプレートが、前記フロントカバーに回転不能に結合されている、シールプレートと、
軸方向に前記シールプレートと前記出力フランジとの間に配置された本体を含むスラストワッシャであって、前記スラストワッシャが、前記シールプレートに固定されている、スラストワッシャと、
を備える、トルクコンバータ。
【請求項2】
前記出力フランジが、前記スラストワッシャに対して回転するように構成されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記スラストワッシャが、前記本体から軸方向に延在する支柱を含み、前記シールプレートが、軸方向に前記シールプレートを通って延在する開口部を含み、前記支柱が、前記開口部内に受けられる、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記フロントカバーが、前記開口部と軸方向に整列した溝を含み、前記支柱が、前記開口部を通って前記溝内に延在している、請求項3に記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
前記シールプレートが、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有する溶接部を介して前記フロントカバーに固定されており、前記開口部が、半径方向に前記溶接部の前記2つの部分の間に配置されている、請求項3に記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
前記溶接部が、前記開口部の周囲全体に延在している、請求項5に記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
前記スラストワッシャが、半径方向に前記溶接部の前記2つの部分の間に配置されている、請求項5に記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
前記シールプレートが、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有する溶接部を介して前記フロントカバーに固定されており、前記スラストワッシャが、半径方向に前記溶接部の前記2つの部分の間に配置されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
前記溶接部が、前記スラストワッシャの周囲に周方向に延在している、請求項8に記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
前記スラストワッシャの前記本体が、前記シールプレートに当接している、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項11】
前記ダンパアセンブリが、軸方向に前記出力フランジと前記シールプレートとの間に配置されたカバープレートを含み、前記スラストワッシャが、半径方向に前記カバープレートの内側に配置されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項12】
前記出力フランジが、軸方向に前記出力フランジを通って延在する孔を含み、前記スラストワッシャが、半径方向に前記孔の内側に配置されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項13】
前記ダンパアセンブリが、前記出力フランジによって支持されたばねを含み、前記孔が、半径方向に前記ばねの内側に配置されている、請求項12に記載のトルクコンバータ。
【請求項14】
前記ダンパアセンブリが、軸方向に前記出力フランジと前記シールプレートとの間に配置されたカバープレートを含み、前記カバープレートが、半径方向に前記孔の一部を横切って延在している、請求項12に記載のトルクコンバータ。
【請求項15】
前記スラストワッシャが、半径方向に前記孔および前記カバープレートの内側に配置されている、請求項14に記載のトルクコンバータ。
【請求項16】
前記フロントカバーに回転不能に結合されたインペラシェルを有するインペラと、
前記インペラと流体連通しており、かつタービンシェルを含むタービンと、をさらに備え、
前記ダンパアセンブリが、コネクタを介して前記出力フランジおよび前記タービンシェルに結合されたカバープレートを含み、
前記コネクタが、前記孔と半径方向に整列している、請求項12に記載のトルクコンバータ。
【請求項17】
前記出力フランジが、軸方向に前記コネクタと前記スラストワッシャとの間に配置されている、請求項16に記載のトルクコンバータ。
【請求項18】
前記出力フランジが、軸方向に前記シールプレートと前記タービンとの間に配置されている、請求項16に記載のトルクコンバータ。
【請求項19】
前記シールプレートが、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有する溶接部を介して前記フロントカバーに固定されており、前記部分の一方が、半径方向に前記孔の一部を横切って延在している、請求項12に記載のトルクコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月22日に出願された米国非仮特許出願第17/870,929号の利益を主張するものであり、この米国非仮特許出願は、2021年9月2日に出願された米国仮特許出願第63/240,352号の優先権を主張するものであり、これらの文書の開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両のトルクコンバータに関する。詳細には、本開示は、トルクコンバータのスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの車両には、エンジンとトランスミッションとの間に発進装置が含まれている。トルクコンバータは、オートマチックトランスミッションを有する車両において一般的に使用される発進装置の一種である。典型的なトルクコンバータは、エンジンのクランクシャフトに固定されたインペラと、トランスミッションへの入力であるタービンシャフトに固定されたタービンと、を含む。燃費を向上させるために、ほとんどのトルクコンバータは、タービンシャフトをトルクコンバータのカバーに機械的に結合して、流体継手を迂回するバイパスクラッチまたはロックアップクラッチを含む。トルクコンバータのエンベロープ内のスペースが限られているため、耐久性および性能の要件を満たしながら、トルクコンバータ内に必要なすべてのコンポーネントを収めるための代替の設計および構成が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、トルクコンバータは、トルクを受けるように構成されたフロントカバーと、トランスミッション入力シャフトに回転不能に結合されるように構成された出力フランジを含むダンパアセンブリとを備える。トルクコンバータは、カバーと出力フランジとの間に配置されたシールプレートをさらに備える。シールプレートは、フロントカバーに回転不能に結合されている。トルクコンバータは、軸方向にシールプレートと出力フランジとの間に配置された本体を有するスラストワッシャをさらに備える。スラストワッシャは、シールプレートに固定されている。
【0005】
実施形態では、出力フランジは、スラストワッシャに対して回転するように構成され得る。実施形態では、スラストワッシャは、本体から軸方向に延在する支柱を含むことができ、シールプレートは、軸方向に当該シールプレートを通って延在する開口部を含むことができる。支柱は、開口部に受け入れられることができる。フロントカバーは、開口部と軸方向に整列した溝を含むことができる。支柱は、開口部を通って溝内に延在し得る。シールプレートは、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有する溶接部を介してフロントカバーに固定され得る。開口部は、半径方向に溶接部の2つの部分の間に配置され得る。溶接部は、開口部の周囲全体に延在することができる。スラストワッシャは、半径方向に溶接部の2つの部分の間に配置され得る。
【0006】
実施形態では、シールプレートは、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有する溶接部を介してフロントカバーに固定され得る。スラストワッシャは、半径方向に溶接部の2つの部分の間に配置され得る。溶接部は、スラストワッシャの周囲全体に延在し得る。
【0007】
実施形態では、スラストワッシャの本体は、シールプレートに当接し得る。実施形態では、ダンパアセンブリは、軸方向に出力フランジとシールプレートとの間に配置されたカバープレートを含むことができる。スラストワッシャは、半径方向にカバープレートの内側に配置され得る。
【0008】
実施形態では、出力フランジは、軸方向に出力フランジを通って延在する孔を含むことができる。スラストワッシャは、半径方向に孔の内側に配置され得る。ダンパアセンブリは、出力フランジによって支持されたばねを含むことができる。孔は、半径方向にばねの内側に配置され得る。ダンパアセンブリは、軸方向に出力フランジとシールプレートとの間に配置されたカバープレートを含むことができる。カバープレートは、半径方向に孔の一部を横切って延在することができる。スラストワッシャは、半径方向に孔およびカバープレートの内側に配置され得る。トルクコンバータは、フロントカバーに回転不能に結合されたインペラシェルを有するインペラをさらに備えることができる。トルクコンバータは、インペラと流体連通しており、かつタービンシェルを含むタービンをさらに備えることができる。ダンパアセンブリは、コネクタを介して出力フランジおよびタービンシェルに結合されたカバープレートを含むことができる。コネクタは、半径方向に孔と整列し得る。出力フランジは、軸方向にコネクタとスラストワッシャとの間に配置され得る。出力フランジは、軸方向にシールプレートとタービンとの間に配置され得る。シールプレートは、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有する溶接部を介してフロントカバーに固定され得る。これらの部分の一方は、半径方向に孔の一部を横切って延在することができる。
【0009】
本開示による実施形態は、性能および耐久性の要件も満たす、軸方向の制約を有するエンベロープ用に構成されたスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るスラストワッシャおよびシールプレートアセンブリを有するトルクコンバータの断面図である。
図2図1のトルクコンバータのあるエリアの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態を、本明細書において説明する。しかしながら、開示する実施形態は単なる例であり、他の実施形態は様々な代替形態を取ることができることを理解されたい。図は必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの特徴部は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されていると考えられる。したがって、本明細書に開示する特定の構造的詳細および機能的詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、当業者に実施形態を様々に使用することを教示するための代表的な基準として解釈されるべきである。当業者が理解するように、図うちのいずれか1つを参照して例解および説明された様々な特徴部は、1つ以上の他の図に例解される特徴部と組み合わせて、明示的に例解または説明されていない実施形態を生成することができる。例解される特徴部の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴部の様々な組み合わせおよび修正形態が、特定の用途または実装のために所望され得る。
【0012】
図1図2を参照すると、本開示の一実施形態に係るトルクコンバータ100の一部が示されている。トルクコンバータ100の少なくともいくつかの部分は、中心軸102を中心として回転可能である。図1には、トルクコンバータ100のうち中心軸102より上方の部分のみが示されているが、トルクコンバータ100は、中心軸102の下方に、中心軸102を中心として延在する多くのコンポーネントを備えて実質的に同様に現れ得ることを理解されたい。本明細書で使用される「軸方向」、「半径方向」、「周方向」、「外側」等の語は、中心軸102に対してであるように意図されている。
【0013】
トルクコンバータ100は、トルクを受けるように構成されたフロントカバー104と、インペラ106と、タービン108と、出力フランジ112と、スラストワッシャ114と、フロントカバー104に回転不能に結合されたシールプレート116とを備える。インペラ106は、フロントカバー104の回転に伴ってインペラ106が回転するようにフロントカバー104に回転不能に結合されたインペラシェル118と、インペラシェル118の内面に取り付けられた少なくとも1つのインペラブレード120と、インペラシェル118の半径方向内側端部に取り付けられたインペラハブ122とを含む。タービン108は、トランスミッション入力シャフト126に回転不能に結合されたタービンシェル124と、タービンシェル124に取り付けられた少なくとも1つのタービンブレード128とを含む。「回転不能に結合された」構成要素とは、構成要素のうちの1つが回転するときはいつでも、すべての構成要素が回転するように構成要素が結合されていること、および構成要素間の相対回転が可能ではないことを意味する。互いに対して回転不能に結合された構成要素の半径方向および/または軸方向の移動が可能であるが、必須ではない。
【0014】
トルクコンバータ100は、軸方向にインペラ106とタービン108との間に配置されており、かつ流体がインペラ106に到達する前にタービンブレード128から流れる流体を方向転換してトルクコンバータ100の効率を高めるステータ130を備えることができる。例えば、インペラブレード120は、中心軸102を中心に回転するとき、流体を外側に押す。流体はトルクコンバータ100のタービン108に押し付けられ、タービン108を中心軸102を中心に回転させる。ステータ130は、最小限の動力損失で、または動力損失なしでタービン108からインペラ106に流体を戻すように機能する。駆動力はタービン108からトランスミッション入力シャフト126に伝達される。トルクコンバータ100は、例えば、ステータ130内に配置された一方向クラッチ132と、軸方向にステータ130とインペラシェル118との間に配置されたスラスト軸受け134と、一方向クラッチ132をステータ130内に保持するように構成されたサイドプレート136とをさらに備えることができる。
【0015】
トルクコンバータ100はまた、トルクコンバータ100を介してトルクを油圧で伝達するためのダンパアセンブリ138を備える。ダンパアセンブリ138は、軸方向にフロントカバー104とタービン108との間に位置付けられており、フロントカバー104からトランスミッション入力シャフト126にトルクを伝達するように構成されている。ダンパアセンブリ138は、ばね140、カバープレート142、144、および出力フランジ112を含む。カバープレート142は、一方の軸方向側面でばね140を支持することができる。カバープレート144は、別の反対側の軸方向側面でばね140を支持することができる。カバープレート142、144は、半径方向にばね140の外側で、例えばリベットを介して互いに結合されている、および出力フランジ112に結合され得る。カバープレート144は、例えばリベットによってタービンシェル124にさらに結合され得る。トルクコンバータ100は、出力フランジ112に結合された遠心振り子アブソーバ146を備えることができる。
【0016】
出力フランジ112は、トランスミッション入力シャフト126に、これらの間のトルク伝達のために結合されている。出力フランジ112は、軸方向に出力フランジ112を通って延在する孔148を含む。孔148は、工具、例えばリベット工具がカバープレート144をタービンシェル124に結合することを可能にするように構成されている。カバープレート142は、半径方向に孔148の一部を横切って延在することができる。
【0017】
車両エンジン(図示していない)からの動力は、流体を介し、トルクコンバータ100を介してトランスミッション(図示していない)に伝達することができる。特に、動力は、最初にトルクコンバータ100のフロントカバー104に伝達することができる。トルクコンバータ100は、フロントカバー104からトランスミッション入力シャフト126に選択的にトルクを伝達するように構成されたロックアップクラッチ110を備えることができる。ロックアップクラッチ110は、ピストン150、クラッチプレート152、およびリアクションプレート154を含む。
【0018】
ピストン150は、板ばね結合部を介してフロントカバー104に結合されており、その外径においてフロントカバー104に封止され得る。リアクションプレート154は、例えば溶接部を介してフロントカバー104に固定され得る。クラッチプレート152は、ピストン150とリアクションプレート154との間に配置され得る。クラッチプレート152は、例えばタブ付き結合部を介してドライブリング156にさらに結合され得る。ドライブリング156は、一方の端部においてタービンシェル124に固定され、反対側の端部においてクラッチプレート152に取り付けられ得る。
【0019】
ピストン150は、フロントカバー104とピストン150との間に画定されたピストンアプライチャンバ158内の媒体(例えばオイルなどの流体)の加圧に応答して、ロックアップクラッチ110を係合するかまたは閉じる。ピストン150の軸方向移動の間、ピストン150はシールプレート116に沿って摺動する。ピストン150は、外径においてシール160を介してフロントカバー104に封止されており、内径においてシール162を介してシールプレート116に封止されている。シール160、162は、ピストンアプライチャンバ158とトルクコンバータ100の残りの部分との間の流体分離を維持する。ピストンアプライチャンバ158はさらに、フロントカバー104、シール160、ピストン150、シール162、およびシールプレート116によって画定されるか、またはこれらの間に境界付けられている。「一部境界付けられている」とは、引用したチャンバ、流路、または他の構造体の一部が、引用した要素によって境界付けられている、または形成されていることを意味する。
【0020】
シールプレート116は、例えば溶接部164を介してフロントカバー104に回転不能に結合されており、その内径においてトランスミッション入力シャフト126に封止されている。各溶接部164は、1つの連続した溶接部である。各溶接部164は、例えば、互いに半径方向に隔置された2つの部分を有することができる。溶接部164は、中心軸102を中心として互いに周方向に隔置されてもよい。
【0021】
図2を参照すると、シールプレート116は、軸方向に当該シールプレート116を貫通して延びる開口部166をさらに含む。開口部166は、流体の漏れが許容されない乾燥領域、例えば、それぞれの溶接部164の一部の間に配置される。例えば、各溶接部164は、1つのそれぞれの開口部166の周囲全体に延在することができる。このような例では、溶接部164は概ね円形であってもよく、すなわち、溶接部164が真円から外れていても、対応する開口部166の周囲全体に延在することができる。フロントカバー104は、シールプレート116に面する軸方向の側面に溝168を含む。開口部166は、溝168と軸方向および半径方向に整列している。
【0022】
シールプレート116および/またはフロントカバー104は、チャネル170をさらに含むことができる。チャネル170は、フロントカバー104に面するシールプレート116の軸方向側面、および/またはシールプレート116に面するフロントカバー104の軸方向側面に形成することができる。チャネル170は、周方向に開口部166および溝168から隔置されていることができる。チャネル170は、シールプレート116とフロントカバー104との間、例えばトランスミッション入力シャフト126からピストンアプライチャンバ158への流体の流れを可能にするために設けられる。すなわち、加圧された流体は、トランスミッション入力シャフト126から供給され、その後、チャネル170を介してシールプレート116とフロントカバー104との間をピストンアプライチャンバ158まで送ることができる。
【0023】
スラストワッシャ114は、本体172および支柱174を含む。本体172は、シールプレート116と出力フランジ112との間に配置されている。具体的には、本体172は、シールプレート116の軸方向側面に当接している。支柱174は、本体172からフロントカバー104に向かって軸方向外側に延在している。支柱174は、対応する開口部166および溝168内に受け入れられて保持されるように構成されている。すなわち、支柱174は、対応する開口部166を通って、対応する溝168内に延在している。支柱174は、シールプレート116とスラストワッシャ114との間の相対運動が防止されるように、スラストワッシャ114をシールプレート116に固定する。スラストワッシャ114をシールプレート116に固定すると、代わりにスラストワッシャ114、例えばその流体力学的表面と出力フランジ112との間に相対運動が生じる。シールプレート116をフロントカバー104に溶接すると、スラストワッシャ114に当接するシールプレート116の軸方向側面に変形が生じる可能性がある。スラストワッシャ114をシールプレート116に固定し、スラストワッシャ114と出力フランジ112との間に相対運動を生じさせると、スラストワッシャ114に面する軸方向側面の表面変形を欠く可能性があり、トルクコンバータ100の作動中のスラストワッシャ114の摩耗を低減することができる。
【0024】
例示的な実施形態を上で説明したが、これらの実施形態が、特許請求の範囲に含まれるすべての可能な形態を説明することは意図していない。本明細書で使用する用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解される。前述のように、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、明示的に説明または図示されていない可能性がある本発明のさらなる実施形態を形成することができる。様々な実施形態は、1つ以上の所望の特性に関して、利点を提供するもの、または他の実施形態もしくは従来技術の実装形態よりも好ましいものとして説明されてきたが、当業者は、1つ以上の特徴部または特性を妥協して特定の応用形態および実装形態に依存する所望の全体的なシステム属性を達成することができることを認識する。これらの属性は、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、包装、サイズ、保守性、重量、製造性、組み立ての容易さなどを含み得るが、これらに限定されない。したがって、任意の実施形態が、1つ以上の特性に関して他の実施形態または先行技術の実装よりも望ましくないと記載される限りにおいて、これらの実施形態が本開示の範囲外ではなく、特定の用途に望ましい場合があり得る。
【符号の説明】
【0025】
100 トルクコンバータ
102 中心軸
104 フロントカバー
106 インペラ
108 タービン
110 ロックアップクラッチ
112 出力フランジ
114 スラストワッシャ
116 シールプレート
118 インペラシェル
120 インペラブレード
122 インペラハブ
124 タービンシェル
126 トランスミッション入力シャフト
128 タービンブレード
130 ステータ
132 一方向クラッチ
134 スラスト軸受け
136 サイドプレート
138 ダンパアセンブリ
140 ばね
142 カバープレート
144 カバープレート
146 遠心振り子アブソーバ
148 孔
150 ピストン
152 クラッチプレート
154 リアクションプレート
156 ドライブリング
158 ピストンアプライチャンバ
160 シール
162 シール
164 溶接部
166 開口部
168 溝
170 チャネル
172 本体
174 支柱
図1
図2
【国際調査報告】