(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】治療適用のためのd-リゼルグ酸ジエチルアミドの即時放出製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20240801BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240801BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240801BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240801BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240801BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240801BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240801BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P1/00
A61P25/28
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/04
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A61P1/14
A61K9/20
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A61K47/12
A61K9/14
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A61K47/32
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/44
A61K47/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509302
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022040653
(87)【国際公開番号】W WO2023023192
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520039043
【氏名又は名称】マインド メディシン, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mind Medicine, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マック,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】メルトン,ダスティン
(72)【発明者】
【氏名】ドティー,ベサニー アンバー
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コグヒル,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,ダニエル エミール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
カプセル剤、錠剤、又は口内崩壊錠の剤形中に含有される、LSDを含むLSDの固形経口即時放出製剤に関する。水分活性化乾式造粒又は乾式混合を含む造粒により、遊離塩基として又は塩形態でLSDの固形経口即時放出製剤を作製する方法に関する。LSDの固形経口即時放出製剤を投与し、個体を治療することにより、個体を治療する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル剤、錠剤、及び口内崩壊錠からなる群から選択される即時放出剤形中に含有される、LSDを含むLSDの固形経口即時放出製剤の組成物。
【請求項2】
前記LSDは、遊離塩基及び塩から選択される形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記LSDは、塩形態であり、且つ前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、及びシュウ酸塩からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記LSDは、0.01~1mgの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記LSDは、結晶及び非結晶から選択される形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、造粒によって生成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ラクトース、マンニトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、及びスクロースからなる群から選択される充填剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アカシアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トラガント、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びデンプンからなる群から選択される結合剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
クロスカルメロースナトリウム、デンプン、メソポーラス二酸化ケイ素、及び微結晶セルロースからなる群から選択される吸収剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
クロスカルメロースナトリウム、デンプン、微結晶セルロース、クロスポビドン、及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択される崩壊剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状二酸化ケイ素からなる群から選択される滑剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ラウリル硫酸塩、タルク、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、及び硬化植物油からなる群から選択される潤滑剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、水酸化ナトリウム、及び塩酸からなる群から選択されるpHを調整するための薬剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、及びブチルヒドロキシトルエン(BHT)からなる群から選択される抗酸化剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
光安定化剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
スルホキシド、アゾン、ピロリドン、アルコール、アルカノール、グリコール、界面活性剤、及びテルペンからなる群から選択される透過促進剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
着色剤、甘味剤、及び香味剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は、乾式混合によって生成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
ラクトース、マンニトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、ソルビトール、及びスクロースからなる群から選択される充填剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状二酸化ケイ素からなる群から選択される滑剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
微結晶セルロースの乾燥結合剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
クロスカルメロースナトリウム、デンプン、微結晶セルロース、クロスポビドン、及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択される崩壊剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
LSDの固形経口即時放出製剤を作製する方法であって、
充填剤、吸収剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、及び/又は滑剤の賦形剤を用いてLSDを造粒するステップと;
カプセル化又は圧縮し、LSDの固形経口即時放出製剤の錠剤を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項24】
前記造粒ステップは、水分活性化乾式造粒としてさらに定義される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記造粒ステップは、LSDの粉末、結合剤、及び充填剤を、混和/混合成分を含有する閉じた容器に負荷することと、前記粉末を結合剤溶液/懸濁液で湿潤させる一方で混和し、粒子接着及び顆粒成長を可能にすることと、充填剤、滑剤、崩壊剤、及び潤滑剤を添加することと、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記LSDは、遊離塩基及び塩から選択される形態である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記充填剤は、ラクトース、マンニトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、及びスクロースからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記結合剤は、アカシアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トラガント、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びデンプンからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記吸収剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、メソポーラス二酸化ケイ素、及び微結晶セルロースからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、微結晶セルロース、クロスポビドン、及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記滑剤は、ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状二酸化ケイ素からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ラウリル硫酸塩、タルク、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、及び硬化植物油からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記LSDは、塩形態であり、且つ前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、及びシュウ酸塩からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
乾式混合によってLSDの固形経口即時放出製剤を作製する方法であって、
LSDを、充填賦形剤、加えて、崩壊剤、乾燥結合剤、滑剤及び潤滑剤と最小限に混合するステップと;
直接的に圧縮し、LSDの固形経口即時放出製剤の錠剤又は口内崩壊錠(ODT)を形成すること、及びカプセル封入し、LSDの固形経口即時放出製剤を形成することからなる群から選択される形成ステップと、
を含む方法。
【請求項35】
前記充填剤は、ラクトース、マンニトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、及びスクロースからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記乾燥結合剤は、微結晶セルロースである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、微結晶セルロース、クロスポビドン、及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記滑剤は、ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状二酸化ケイ素からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ラウリル硫酸塩、タルク、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、及び硬化植物油からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記LSDは、遊離塩基及び塩から選択される形態である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記LSDは、塩形態であり、且つ前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、及びシュウ酸塩からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
個体を治療する方法であって、
カプセル剤、錠剤、及び口内崩壊錠からなる群から選択されるLSDの固形経口即時放出製剤を投与するステップと;
前記個体を治療するステップと、
を含む方法。
【請求項43】
前記個体は、嚥下異常を有し、高齢者であり、又は認知症を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記治療ステップは、不安症、抑うつ、頭痛障害、強迫性障害(OCD)、パーソナリティ障害、ストレス障害、薬物障害、ギャンブル障害、摂食障害、身体醜形障害、疼痛、神経変性障害、自閉症スペクトラム症、摂食障害、及び神経障害からなる群から選択される病態又は疾患を治療することとさらに定義される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記LSDは、遊離塩基及び塩から選択される形態である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記LSDは、塩形態であり、且つ前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、及びシュウ酸塩からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記投与ステップは、0.01~1mgのLSDを投与することとさらに定義される、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、薬剤の製剤化に関する。より具体的に、本発明は、d-リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)の医薬製剤のための即時放出製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
経口溶液製剤は、少数の部位における限られた数の患者での試験、主に初期開発試験に便利であるが、多施設で広範な地理的領域を通じて実施される後期開発試験に適さないばかりか、製品安定性及びサプライチェーンにおける課題、例えばコールドチェーン貯蔵における潜在的要件が理由で商業化に向かない可能性がある。
【0003】
錠剤又はカプセル剤としての固形経口製剤は、生産、サプライチェーン、及び患者利便性における利点が理由で、後期臨床開発において、そして商業的により一般的である。固形経口製剤は、即時放出、口若しくは胃における瞬時溶解性、又は薬物放出が経時的に延長される持続放出であり得る。
【0004】
口内崩壊錠(ODT)は、医薬品の溶解速度を増加させ、胃前吸収を促進することを目的として製剤化される別の固形剤形である。迅速な崩壊速度を達成するため、ODT製剤は、高空隙率、低密度、及び低硬度を提供しなければならない(Berthoumieu et al.,2010;Bandari et al.,2008)。この剤形は、吸収を改良するため、又は嚥下困難を有する患者集団のため、選択することができ(Lindgren et al.,1993)、老人及び小児患者、又は嚥下障害などの病態を患う患者における使用にも適する(Sastry et al.,2000)。
【0005】
LSDは、そのドイツ語名称LysergSaeureDiethylamidに由来する(リゼルグ酸ジエチルアミド)。リゼルギドは、ブシロシン(プシロシビンの活性部分)及びN,N-ジメチルトリプタミン(DMT)などの多数の置換トリプタミンを含む、インドールアルキルアミンのファミリーに属する。LSDのIUPAC名は、9,10-ジデヒドロ-N,N-ジエチル-6-メチルエルゴリン-8β-カルボキサミドである。
【0006】
LSDを使用し、不安、抑うつ、嗜癖、パーソナリティ障害、及びその他を含む多くの適応症に対する精神療法を補助することができ、またLSDを使用し、群発頭痛、片頭痛、及びその他などの他の障害を治療することができる(Passie et al.,2008;Hintzen et al.,2010;Nichols,2016;Liechti,2017)。LSDの効果は、変化した思考、感情、周囲の認識、散大瞳孔、血圧上昇、及び体温上昇を含み得る。LSDの治療用途は、様々な神経及び行動障害を治療するための有望な結果を示している。しかし、その効力により、LSDの固形経口製剤の開発及び製造において、含量均一性及び化学的安定性に対する薬学的に許容可能な制限を満たすという課題があり得る。
【0007】
LSDを用いる臨床試験では、経口溶液製剤形態が注目されている。LSDの製剤開発研究は、皆無かそれに近かった。歴史的には経口溶液が使用され、ほぼ全ての古い試験及び事前データは、経口溶液又は含浸紙/カートンを伴う。
【0008】
幅広い患者集団にとって商業的に魅力があり、規制/品質の適合性及び頑強性についての期待を満たす、LSD剤形及び製剤が求められている。遊離塩基として又は塩形態でのd-リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)の商業的に実行可能な固形経口即時放出医薬製剤は、市販製品として現存しない、又は文献中で報告されている。10の位~100の位のμgであると予想されるLSDの治療量の場合、許容される薬物の含量均一性及び化学的安定性を達成するという課題が存在する。さらに、以前の試験では、経口溶液中のLSDが室温で安定でないことが示されている(Holze et al 2019)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
均一且つ安定な即時放出製剤を達成することに加えて、最終製剤は、広範囲の患者集団、例えば限定はされないが、高齢者、小児、及び彼らの嚥下能力を制限し得る病態を有する患者に容易に投与される形態である必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、カプセル剤、錠剤、又は口内崩壊錠の剤形が意図されたLSD製剤を含む、LSDの固形経口即時放出製剤を提供する。
【0011】
本発明は、均一であり、化学的に安定であり、且つ迅速に溶解する造粒及び混合などのプロセスを用いる、LSDの固形経口即時放出製剤を作製する方法をさらに提供する。
【0012】
本発明はまた、LSDの固形経口即時放出製剤を投与することによって、個体を治療する方法を提供する。
【0013】
図面の説明
本発明の他の利点は、次の添付の図面と関連させて考察されるとき、それらが以下の詳細な説明の参照によってより十分に理解されるように、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、D-LSD D-酒石酸塩の提示である。
【
図2】
図2は、造粒によって作製された固形経口カプセル製剤からのLSDの含量均一性のグラフである。
【
図3】
図3は、造粒によって作製された固形経口カプセル製剤からのLSDの即時放出を示すグラフである。
【
図4】
図4は、固形薬物結晶として、ラクトース、微結晶セルロース、又はマンニトールと混合される場合のLSDの化学的安定性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、カプセル剤、錠剤、又は口内崩壊錠などの迅速又は即時放出剤形のLSDの製剤を提供する。「迅速放出錠剤」という用語は、その投与後の遅延(遅延放出投薬)又は延長期間(持続放出(ER、XR、XL)投薬)又は身体内の特定標的(標的化放出投薬)と異なる、薬剤を即時に送達する(即時放出投薬と類似する)機構である。好ましくは、それは、経口投与製剤における最小の時間依存性放出を指す。本発明は、一旦経口摂取されると比較的迅速に溶解する組成物であって、好ましくはLSDをその有効成分(active)、又はその有効成分の1つとして含む組成物を提供する。これは、施すことが容易であるが、有効且つ効果的であることが予測される治療効果を提供する。
【0016】
LSDは、結晶性又は非結晶性固体として、遊離塩基形態又は塩形態であり得る。塩は、限定はされないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩(D-酒石酸塩及びメソ酒石酸塩を含む)、クエン酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、キシナホ酸塩、1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、及びナフタレン-2-スルホン酸塩であり得る。LSDの用量は、好ましくは、0.01~1mg(10~1000μg)であり得る。しかし、投与は、所与の患者における適応症、年齢、体重、及び薬理学、生理学、及び薬物/薬物相互作用に影響するその他の要素に応じて調節することができる。
【0017】
固形経口製剤は、典型的に、限定はされないが充填剤/増量剤、結合剤、吸収剤、崩壊剤、滑剤、潤滑剤、pH修飾因子/緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、透過促進剤、着色剤、及び甘味剤/香味剤を含み得る賦形剤として公知の二次成分(ingredient components)を含有する。それぞれの例が以下に列記され、一部の一般的賦形剤が2つ以上の機能に役立つ。
【0018】
固形経口製剤中で使用される充填剤の例としては、ラクトース(無水物を含む)、マンニトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン(デンプンは、本明細書で使用する場合、乾燥又は予備ゲル化デンプンを含み得る)、セルロース(微結晶セルロースを含む)、カオリン、塩化ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、スクロースなどが挙げられる。
【0019】
粉末化材料に接着性を付与する、高分子、天然、又は合成材料である結合剤を含めることもできる。結合剤は、非毒性でなければならず、良好な適合性プロファイルを有しなければならない。結合剤として一般に使用される材料は、アカシアガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トラガント、ポリビニルピロリドン(PVP)、デンプンなどを含む。微結晶セルロースは、乾燥結合剤としても考えられる。
【0020】
デンプン、コロイド状又はメソポーラス二酸化ケイ素(すなわち、シリカ)、デンプングリコール酸ナトリウム、及び微結晶セルロースなどの賦形剤は、水などの溶媒を吸収する一方で、製剤水和性を増加させることによる溶媒吸収剤又は崩壊剤として作用し得る。これら賦形剤の一部は、崩壊剤特性のいずれかの吸収剤として好まれ得るが、その他の特性も含み得る。例えば、部分的に予備ゲル化したデンプン(例えば、スターチ1500)は、崩壊剤として使用されることが多いが、水分を除去し、それに感受性がある薬剤から水分を「隠す」ための吸収剤としても使用される。スターチ1500が水分活性化乾式造粒(MADG)における吸収剤として使用される場合、それはその崩壊剤の性能の一部を失うが、それが吸収剤段階後に添加される場合、それは崩壊剤として機能し得る。コロイド状(又はメソポーラス)二酸化ケイ素は、優れた吸収剤であり得るが、弱い崩壊剤であり得る。デンプングリコール酸ナトリウムは、優れた崩壊剤であり得る。微結晶セルロースは、優れた吸収剤であり、崩壊剤特性を有し得る。クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム(これらは崩壊剤である)及びデンプンは、液体の存在下で膨潤し、それにより錠剤マトリックス内の内圧増加による錠剤崩壊を促進する。
【0021】
滑剤は、製剤の流動性を増強する。典型的な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素などを含む。
【0022】
疎水性ステアリン酸及びステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムは、経口製剤において最も広く使用される潤滑剤である。それらは、製剤マトリックスの崩壊又は溶解に対するあらゆる有害な効果を最小化するため、典型的には2%w/w未満の濃度で添加される。使用される潤滑剤のその他の例として、ポリエチレングリコール(PEG)、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ラウリル硫酸塩、タルク、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、硬化植物油などが挙げられる。
【0023】
製剤の特定pHへの標的化に、緩衝剤が添加される。現在、クエン酸塩、リン酸塩、及び酢酸塩の3種の緩衝剤が、FDAによって承認された医薬品において使用される緩衝剤の大半を占めるが、あまり先例のない賦形剤が、市販剤形の使用にとって特に利用可能である。製剤のpHは、代替的に非緩衝化酸(すなわち、塩酸)又は非緩衝化塩基(すなわち、水酸化ナトリウム)によって調節することができる。
【0024】
酸化ストレスによる分解を最小化するため、抗酸化剤を製剤に添加することができる。酸化という用語は、酸素の薬剤の構造への組み込み、又はある化学物質をより少数の電子を有する別の誘導体に変換する過程と定義することができる。こうした抗酸化剤の例が、アスコルビン酸、クエン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、及びブチルヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0025】
多くの薬剤が光に感受性があり、それ故、それらの製剤は、製造、貯蔵、及び投与の間に分解し得る。原体の光安定性は、物理的又は化学的変化を引き起こす固体、半固体、又は液体状態における太陽光、UV、及び可視光への曝露に対する薬剤又は製剤の応答と定義することができる。過度の光曝露は、効力低下、有効性変化、及び逆生物学的効果をもたらし得る。光曝露によるあらゆる分解を最小化するため(すなわち、光安定化剤)、様々な添加剤又はカプセル封入方法及び組成物を用いて、活性生成物を光から保護することができる。例えば、リポソームは、二層膜構造を有する顕微鏡的及び超顕微鏡的なリン脂質小胞である。リポソームへの捕捉による原体の光安定化は、その光安定性を改善するような1つの方法である。
【0026】
光分解はまた、酸素曝露と組み合わせて生じ、光酸化分解をもたらし得る。光酸化に対して保護するために一般に使用される抗酸化剤の一部が、アスコルビン酸、αトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L-ヒスチジン、没食子酸プロピル、及び硫黄化合物である。アスコルビン酸、αトコフェロール、βカロチン、及びBHTは、フリーラジカルスカベンジャー及び一重項酸素クエンチャーとして作用し、それ故、光増感反応を阻害する。原体が光増感剤として作用し、製剤における連鎖反応を開始させる場合、賦形剤の一部が酸化され得る一方で、薬剤は光分解から保護され得る。
【0027】
製剤は、吸収の範囲及び/又は速度を増加させるため、透過促進剤も含有することができる。こうした促進剤の例が、スルホキシド(ジメチルスルホキシド、DMSOなど)、アゾン(例えば、ラウロカプラム)、ピロリドン(例えば、2-ピロリドン、2P)、アルコール及びアルカノール(エタノール、又はデカノール)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、PG、局所適用剤形における一般的賦形剤)、界面活性剤(剤形においても一般的)及びテルペンである。
【0028】
患者の認識及び認容性を改善するため、着色剤、甘味剤、及び香味剤を固形経口製剤に添加することもできる。
【0029】
造粒によって作製される即時放出製剤は、限定はされないが、上記のとおり、固形経口製剤の充填剤/増量剤、結合剤、吸収剤、崩壊剤、滑剤、及び潤滑剤、並びに緩衝剤、抗酸化剤、吸収促進剤、及び着色剤及び香味剤を含有することができる。1つのこうした造粒プロセスは、粉末(有効成分、乾燥結合剤、充填剤など)が、インペラー及びチョッパーなどの混和/混合成分を含有する閉じた容器に負荷される場合の高せん断造粒である。高せん断湿式造粒(以降、湿式造粒と称される)においては、粉末を結合剤溶液/懸濁液で湿潤させる一方で、混和は、粒子接着及び顆粒成長を可能にする。追加賦形剤(充填剤、滑剤、崩壊剤、潤滑剤など)は、結合剤溶液/懸濁液の添加後、添加し、顆粒剤と混和することができる。有効成分の濃度に応じて、それは、典型的に、結合剤溶液/懸濁液の添加前、乾燥成分として添加されるか(典型的に、1~10重量%超のより高濃度の有効成分)、又は均一性を確保するため、結合剤溶液/懸濁液中に含有されるか(典型的に1~10重量%未満のより低濃度の有効成分)のいずれかである。有効成分が溶液又は懸濁液中に添加される場合の湿式造粒において、液体溶媒は、活性乾燥によって除去される。或いは、実施例1における水分活性化乾式造粒(MADG)と呼ばれるプロセスで、液体(典型的に水)含有物は、低減され、活性乾燥ステップの導入ではなく、製剤に添加される吸収剤によって吸収される。
【0030】
微粒子化された、又は微粒子化されていない結晶APIの乾式混合は、造粒に対する代替的な固形経口製剤化の手法であり、実施例2においてさらに説明される。乾式混合では、造粒として、又は一層の低せん断混合による類似の混和/混合装置を使用することができ、充填剤を最小限にした類似の賦形剤クラスを使用することができる。乾式混合製剤は、直接圧縮又はカプセル化を通じて、口内崩壊錠を含む錠剤にさらに加工することができる。直接圧縮において形成する場合、組成物は、加工の必要性に応じて、上記の結合剤、崩壊剤、滑剤、及び潤滑剤のいずれも含み得る。
【0031】
本発明の化合物は、個別患者の臨床状態、投与の部位及び方法、投与のスケジュール、患者年齢、性別、体重及び医師に認知されたその他の要素を考慮して、投与及び服用される。それ故、本明細書における目的としての薬学的「有効量」は、当該技術分野で公知であるような検討事項によって決定される。その量は、限定はされないが、改善された生存率若しくはより迅速な回復、又は症状の改善若しくは除去及び当業者によって適切な尺度として選択されるようなその他の指標を含む改善を達成するように有効でなければならない。
【0032】
本発明の方法において、本発明の化合物は、様々な方法で投与することができる。それは、化合物として投与することができ、また単独で又は薬学的に許容される担体、希釈剤、補助剤、及び媒体と組み合わせた有効成分として投与することができることに注目すべきである。治療中の患者は、温血動物、特にヒトを含む哺乳類である。薬学的に許容される担体、希釈剤、補助剤、及び媒体は、一般に、本発明の有効成分と反応しない、不活性で非毒性の固体若しくは液体充填剤、希釈剤又はカプセル化材料を指す。
【0033】
投与は、数日間にわたる単回投与又は複数回投与であり得る。治療は、一般に、疾患過程及び薬物有効性の期間に見合う期間及び治療される患者種を有する。
【0034】
実薬の吸収は、標的化可能である。薬物吸収は、薬物の物理化学的特性、製剤化、及び投与経路によって判定される。薬物+他の成分からなる剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、溶液)は、様々な経路(例えば、経口、頬側、舌下、直腸、非経口、局所、吸入)によって投与されるべく製剤化される。投与経路と無関係に、薬物は、吸収されるべく溶液中に存在しなければならない。したがって、固体形態(例えば、錠剤、カプセル剤)は、崩壊及び脱凝集が可能でなければならない。固形経口錠剤及びカプセル製剤は、典型的に胃吸収を有する一方で、ODT製剤は、生物学的利用率をさらに増強し得る胃前又は頬側吸収を標的にするべく製剤化され得る。
【0035】
本発明は、LSDの固形経口即時放出製剤を、1)充填剤、吸収剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、及び/又は潤滑剤などの賦形剤を用いて造粒し、カプセル化する若しくは錠剤を形成する;又は2)ODTを含む錠剤への直接圧縮、若しくはカプセル化のため、充填剤、崩壊剤、乾燥結合剤、滑剤、及び/又は潤滑剤などの賦形剤と混合することから選択されるステップによって、遊離塩基として又は塩形態で作製する方法を提供する。各手法では、低用量の製品を製剤化する一方で、LSDの含量均一性及び化学的完全性を維持することに伴う課題が検討される。
【0036】
本発明は、LSDの固形経口即時放出製剤を投与し、個体を治療することによって、個体を治療する方法を提供する。
【0037】
治療中の病態又は疾患は、限定はされないが、不安症(進行期疾病、例えばがんにおける不安、及び全身性不安症を含む)、抑うつ(分娩後抑うつ、大うつ病性障害及び治療抵抗性抑うつを含む)、頭痛障害(群発頭痛及び片頭痛を含む)、強迫性障害(OCD)、パーソナリティ障害(行為障害を含む)、ストレス障害(適応障害及び外傷後ストレス障害を含む)、薬物障害(アルコール依存又は離脱、ニコチン依存又は離脱、オピオイド依存又は離脱、コカイン依存又は離脱、メタンフェタミン依存又は離脱を含む)、その他の嗜癖(ギャンブル障害、摂食障害、及び身体醜形障害を含む)、疼痛、神経変性障害(認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病など)、自閉症スペクトラム症、摂食障害、又は神経障害(脳卒中など)を含み得る。
【0038】
本発明は、以下の実験実施例の参照によって、さらに詳細に説明される。これらの実施例は、あくまで例示を目的として提供され、特に指示されない限り、限定することが意図されない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されるように解釈されるべきでなく、むしろ本明細書に提供される教示の結果として明白となるありとあらゆるバリエーションを包含するように解釈されるべきである。
【実施例】
【0039】
実施例1:賦形剤によるd-LSD D-酒石酸塩の造粒
水分活性化乾式造粒(MADG)と呼ばれる単一ポット造粒プロセスを低用量LSDの製剤化に使用し、好適な含量均一性を達成し、典型的には湿式造粒によって実施される別の活性乾燥ステップを回避した。MADGの場合、LSD製剤を作製する方法は、1)LSDの造粒液体の保存液として水(又は他の好適な溶媒)、及び必要であれば溶解助剤を作成することと;2)充填剤(すなわち、マンニトール)及び結合剤(すなわち、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を混合することと;3)造粒液体を乾燥混合物上に噴霧し、混合し、凝集を形成することと;4)水分吸収剤(すなわち、デンプン)を添加し、混合することと;最後に、5)崩壊剤、滑剤、及び潤滑剤などの追加的な機能的賦形剤を添加し、混合し、最終的な造粒粉末を形成することと、を含む。最適化プロセスでは、最終顆粒中に塊が存在しないことから、ふるい分けは必要でない。最終造粒物は、錠剤にカプセル化又は形成することができる。
【0040】
表1は、MADGプロセスにおける吸収剤として微結晶セルロース及びデンプンを用いて開発された、25μgのLSD(36.6μgのd-LSD D-酒石酸塩に等しい)製剤を示す。これらの製剤を、カプセル化し、25℃での安定状態に置き、総不純物について試験した。表2は、微結晶セルロース製剤についての総不純物の結果を示し、表3は、デンプン製剤についての総不純物の結果を示す。さらに、
図3は、デンプン含有製剤についての溶解プロファイルを示し、それはLSDの即時放出又は15分以内の完全溶解を示す。
【0041】
【0042】
表2は、吸着剤として微結晶セルロースを伴うMADG製剤を用いるd-LSD D-酒石酸塩の総不純物データを示す。
【0043】
【0044】
表3は、吸収剤として予備ゲル化デンプンを伴うMADG製剤を用いるd-LSD D-酒石酸塩の安定性データを示し、
図3は、溶解データを示す。
【0045】
【0046】
水分活性化乾式造粒及び吸収剤として予備ゲル化デンプンを用いるd-LSD D-酒石酸塩の追加的な造粒製剤を作成したが、潤滑剤を除外した。組成物は、フマル酸ステアリルナトリウムを伴わない表1中のデンプン製剤と同等である。
【0047】
図2は、潤滑剤を伴わない予備ゲル化デンプン製剤の含量均一性を示す。これらの結果に基づくプロセス性能は、0.5百万分率(ppm)未満のカプセル剤が85%~115%のラベルクレーム範囲外となることを示す。データは、最終混合物の均一性が満足であった証拠を提示する。
【0048】
表4は、25℃で潤滑剤を伴わない予備ゲル化デンプン製剤についての化学的安定性データを示す。
【0049】
【0050】
これらのデータを併せると、水分活性化乾式造粒により、LSDの薬学的に許容される均一で安定な即時放出製剤が作製可能であることが示される。
【0051】
実施例2:賦形剤を伴う乾式混合d-LSD D-酒石酸塩の薬物結晶
単一ポット内でLSDの乾式混合製剤を作製するための方法は、最小充填剤/担体賦形剤、例えば、マンニトール、ラクトース、及び微結晶セルロースとd-LSD D-酒石酸塩とを混合容器に添加することと、薬物が均一に分散されるまで混合することと、を含む。成分又は成分の一部についての添加の順序は、必要に応じて調節することができる。
【0052】
d-LSD D-酒石酸塩の化学的純度(
図4)は、固形薬物結晶として固体賦形剤と約1:100の比で混合する場合、バルク製剤から40℃での延長期間(3週及び6週)にわたって評価した。表5は、40℃での3つの乾式混合d-LSD D-酒石酸塩製剤のクロマトグラフ純度結果を示し、それは充填剤/担体賦形剤のそれぞれについての化学的純度の最小変化を示す。
【0053】
【0054】
結果は、ラクトース、マンニトール、及び微結晶セルロースと混合されたd-LSD D-酒石酸塩の薬物結晶が安定であることを示す。
図4は、状態及び賦形剤に対する%イソ-LSD(公知のLSD分解産物)を示す。本願全体を通じて、米国特許を含む様々な出版物は、筆者及び年によって、そして特許は番号によって参照する。出版物の完全な引用について、以下に列記する。本発明が関係する最先端技術をより十分に説明するため、これらの出版物及び特許のそれら全体の開示は、ここで参照により本願に組み込む。
【0055】
本発明は、例示的な様式で説明しており、使用される用語が、限定を意図するのでなく、説明用語の本質の中に存在することを意図することは理解されるべきである
【0056】
明らかに、本発明の多くの修飾及びバリエーションは、上記教示を考慮することで可能である。したがって、本発明が、詳細に説明される場合以外に、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施可能であることは理解されるべきである。
【国際調査報告】