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特表2024-529746複合発泡ガラス要素及びそれらの用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】複合発泡ガラス要素及びそれらの用途
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/04 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
E04C2/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509522
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022073258
(87)【国際公開番号】W WO2023021210
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121595.1
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060991
【氏名又は名称】エスジー シャオムグラス ゲーエムベーハー アンド カンパニー ケイジー
【氏名又は名称原語表記】SG SCHAUMGLAS GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Hueblteichstr. 17,95666 Mitterteich GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フランク,ウォルター
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CA25
(57)【要約】
【要約】
本発明は、複合発泡ガラス要素に関し、特に、少なくとも1つの、好ましくは複数の発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)と、少なくとも1つの補強要素(3,4,5,6,9;19;23,24,25;33,34,35,36;43,44,46,50;54,56,60;66,69,70;73,74,75,76,7,78,79;83,85,86,87,88;93,94,95,96;103,106,109;113;123;133;143,145,146,148,149;153,154,155,156,157;163,164,165,166,168,169;173,174,175,176,177,178,179,180;193,194,195,196,197;203,204,205,206,207;213,214,215,216;223,224,225,226;246,249;253)であって、少なくとも1つの補強要素によって少なくとも一方向に沿って1つ以上の前記発泡ガラス体に圧縮応力が作用するように、及び/又は、2つ以上の前記発泡ガラス体が前記少なくとも1つの補強要素によって互いに接続されるように配置されている、少なくとも1つの補強要素とを有する複合発泡ガラス要素に関し、さらに、該複合発泡ガラス要素から製造される構造体、その製造方法及び使用方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの、好ましくは複数の発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)と、少なくとも1つの補強要素(3,4,5,6,9;19;23,24,25;33,34,35,36;43,44,46,50;54,56,60;66,69,70;73,74,75,76,7,78,79;83,85,86,87,88;93,94,95,96;103,106,109;113;123;133;143,145,146,148,149;153,154,155,156,157;163,164,165,166,168,169;173,174,175,176,177,178,179,180;193,194,195,196,197;203,204,205,206,207;213,214,215,216;223,224,225,226;246,249;253)であって、少なくとも1つの補強要素を通じて少なくとも一方向に沿って1つ以上の前記発泡ガラス体に圧縮応力が作用するように、及び/又は、2つ以上の前記発泡ガラス体が前記少なくとも1つの補強要素によって互いに接続されるように配置されている、少なくとも1つの補強要素とを有する複合発泡ガラス要素。
【請求項2】
前記発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)が、複数の気孔が封入されたガラスで均質に形成された発泡ガラス製の一体成形体であり、前記気孔は、開放又は閉鎖されている、請求項1に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項3】
前記複合発泡ガラス要素における複数の、特に全ての発泡ガラス体が同一の設計である、又は、前記複合発泡ガラス要素が、複数の異なる発泡ガラス体であって、特に該発泡ガラス体の形状及び/又はサイズ及び/又は密度及び/又は気孔率及び/又は化学組成が異なっている、複数の異なる発泡ガラス体を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項4】
前記発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)が、少なくとも1つの平坦面及び/又は互いに平行に整列された少なくとも2つの面及び/又は互いに相補的な接触面を有する本体であって、特に、複数の発泡体、特に複数の異なる発泡ガラス体を有する複合発泡ガラス要素の場合、1つの前記発泡ガラス体の接触面が、別の発泡ガラス体の接触面に適合されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項5】
前記発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)が、直方体、直方体形状体、直方体類似体、角柱、角錐、平行六面体、四面体、多面体、円柱、中空円柱、回転体、円形体、円盤状体及び環状体からなる群より選択される少なくとも1つの要素によって形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項6】
前記補強要素(3,4,5,6,9;19;23,24,25;33,34,35,36;43,44,46,50;54,56,60;66,69,70;73,74,75,76,77,78,79;83,85,86,87,88;93,94,95,96;103,106,109;113;123;133;143,145,146,148,149;153,154,155,156,157;163,164,165,166,168,169;173,174,175,176,177,178,179,180;193,194,195,196,197;203,204,205,206,207;213,214,215,216;223,224,225,226;246,249;253)は、バンド、ケーブル、ストランド、ファイバー、ワイヤ、ストリップ、ストラップ、バー、チューブ、シリンダー、ガーダ、T字形梁、二重T字形梁、棒、形材棒、ねじ付き棒、板、少なくとも部分的に曲がっている縁部を備えた板、U字形材、二次元又は三次元の、特に矩形又は直方体形状の枠要素、ヨーク、二次元及び三次元のトラス、ボルト、張力付与要素、ばね、クランプ要素、塑性変形可能な保持要素等からなる群より選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項7】
前記補強要素が、複数の構成要素から構成されている、及び/又は、前記補強要素(3,4,5,6,9;19;23,24,25;33,34,35,36;43,44,46,50;54,56,60;66,69,70;73,74,75,76,7,78,79;83,85,86,87,88;93,94,95,96;103,106,109;113;123;133;143,145,146,148,149;153,154,155,156,157;163,164,165,166,168,169;173,174,175,176,177,178,179,180;193,194,195,196,197;203,204,205,206,207;213,214,215,216;223,224,225,226;246,249;253)は、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、プラスチック、天然材料及びそれらの組み合わせからなる群より形成される、若しくは、それらからなる材料を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項8】
少なくとも1つの、好ましくは複数の補強要素が、弾性変形しており、かつ、引張応力下にあることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項9】
前記少なくとも1つの補強要素が、前記少なくとも1つの発泡ガラス体を少なくとも部分的に貫通して、及び/又は、前記少なくとも1つの発泡ガラス体の表面に沿って、及び/又は、前記少なくとも1つの発泡ガラス体の窪み内に延在していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項10】
前記複合発泡ガラス要素が、板又はバンド又は枠の形態である少なくとも2つの補強要素を有しており、該少なくとも2つの補強要素の間に、複数の発泡ガラス体と、ケーブル、棒、バンド等の形態である少なくとも1つ、好ましくは複数の補強要素とが、板又はバンド又は板を前記発泡ガラス体に押し付けると共に、前記発泡ガラス体どうしを互いに押し付けるように配置されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項11】
前記少なくとも1つの補強要素が、前記少なくとも1つの発泡ガラス体を完全に環状に取り囲んでいることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項12】
前記発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)が、前記発泡ガラス体間に結合材が配置されない組積造として配置され、特に、公知のタイプの組積造、好ましくは単純積み重ね、荷重支持、長手積み、小口積み、イギリス積み、交差イギリス積み等からなる群からのタイプの組積造として配置される、請求項1~11のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項13】
前記発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)が、少なくとも部分的には互いに材料接続されていない、請求項1~12のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項14】
前記複合発泡ガラス要素が、列状に配置された発泡ガラス体の単層又は多層の積み重ねから形成されており、該発泡ガラス体が、列ごとに互いの上に及び/又は千鳥状に配置されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項15】
前記発泡ガラス体(2;12;22;32;42,42a,42b,42c,42d;52,52a,52b,52c;62,62a,62b,62c,62d;72;82;92;102;112;122;132;142;152;162;172;192;212;222;242;252;282,282a;292,292a;302,302a)が、少なくとも部分的に互いに直接接しており、又は、隣り合う発泡ガラス体の間に分離要素が少なくとも部分的に配置されており、該分離要素が、特に、シート又はホイル、好ましくは変形可能なシート又はホイル、好ましくは紙、厚紙、ゴム又はプラスチック、ポリイソブチレン、布地、織布、かぎ針編布、ニット編布、編組布、縫製布、不織布又はフェルトの形態の分離要素である、請求項1~14のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項16】
前記複合発泡ガラス要素、及び、特に前記発泡ガラス体が、表面にコーティングされており、及び/又は、前記複合発泡ガラス要素が、特にその主表面の少なくとも1つにカバー(158)を有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項17】
前記複合発泡ガラス要素又は前記発泡ガラス体が、構造化された表面を有し、該構造化された表面が、凸状湾曲部(48)、凹状湾曲部(47)、盲孔、段差、アンダーカット、鋸歯状段差等から選択される要素のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項18】
前記発泡ガラス要素が、壁要素、天井要素、床要素、フローティング体、クラッディング要素、トンネルライニング要素、防音要素等からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素の少なくとも1つ、好ましくは複数を含む構造体。
【請求項20】
前記構造体が、少なくとも2つの複合発泡ガラス要素が接続されている少なくとも1つの接続要素を備えることを特徴とする、請求項19に記載の構造体。
【請求項21】
前記接続要素が、バンド、ケーブル、ワイヤ、ストリップ、棒、形材棒、ねじ付き棒、板、少なくとも部分的に曲げられた縁部を有する板、U字形材、枠要素、二次元又は三次元、特に矩形又は直方体の枠要素、継梁、二次元及び三次元トラス、ボルト、張力付与要素、クランプ要素、塑性変形可能な保持要素等からなる群より選択される少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする、請求項20に記載の構造体。
【請求項22】
前記接続要素が、複数の構成要素から構成されていることを特徴とする、請求項20又は21に記載の構造体。
【請求項23】
少なくとも1つの、好ましくは複数の補強要素が、弾性変形しており、かつ、引張応力下にあることを特徴とする、請求項20~22のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項24】
前記構造体が、壁、遮音壁(45,55,65)、建築物(260)、クラッディング及びトンネルライニング(229)からなる群より選択されることを特徴とする、請求項19~23のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項25】
構造体を製造する方法、好ましくは請求項19~24のいずれか1項に記載の構造体を製造する方法であって、請求項1~18のいずれか1項に記載の複合発泡ガラス要素が使用される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合発泡ガラス要素、特に、少なくとも1つ、好ましくは複数の発泡ガラス体又は発泡ガラスパネルを有する複合発泡ガラスパネル要素、並びに、該複合発泡ガラス要素から製造される構造体、その製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ガラスパネルは既に技術的に知られており、主に断熱材として使用されている。ガラスマトリックスに囲まれた複数の細孔からなる発泡ガラスの構造により、発泡ガラスは優れた特性、特に断熱特性を有する。発泡ガラスはその重量の割に圧縮強度が高く、耐薬品性に優れ、気孔が閉じているため水密や蒸気密閉が可能で、不燃性で害虫を寄せ付けず、熱伝導率が低く、耐久性に優れている。また、発泡ガラスパネルは、100%リサイクルガラスから、エコロジーかつ持続可能な形で経済的に生産できるようになった。パネルサイズは3m×1.5mであり、工業規模での生産が既に可能である。
【0003】
しかしながら、発泡ガラスの引張強度は比較的低い。また、発泡ガラスは比較的脆い。そのため、使用又は応用の領域は限られている。
【0004】
加えて、発泡ガラス板、すなわち、個々の発泡ガラス粒の配列を規定可能な、規定された形状及び寸法を有する発泡ガラス体の製造は、冷却中の残留応力割れを避けるために非常に遅い冷却を行わなければならないため、非常に複雑である。したがって、発泡ガラスは、形状が定まっていない複数の発泡ガラス粒を有する発泡ガラス砂利としても頻繁に使用されており、この砂利は、対応する理由により製造が容易であり、断熱材としても使用することができる。
【0005】
発泡ガラスパネルは、製造工程が複雑で、割れ強度が低く脆い性質があるため、断熱性、不燃性、圧縮強度、比重の低さ等の優れた特性にもかかわらず、その使用は依然として限定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、既存の有利な特性を損なうことなく、発泡ガラス又は発泡ガラスパネルの用途の可能性を改善又は拡大することである。とりわけ、特に曲げ応力を伴う用途における低い引張強度に関する不利な特性を克服する、又は、少なくとも低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、請求項1の特徴を有する複合発泡ガラス要素、請求項19の特徴を有する構造体、及び、請求項25の特徴を有する方法によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明によれば、少なくとも1つの、好ましくは複数の発泡ガラス体と、少なくとも1つの補強要素とを有する複合発泡ガラス要素、特に複合発泡ガラスパネル要素が提案され、少なくとも1つの補強要素は、少なくとも一方向に沿って1つ又は複数の発泡ガラス体に圧縮応力を印加させるように配置されている。圧縮応力の印加は、発泡ガラス体又は発泡ガラス体の破損につながる可能性のある引張応力を打ち消し、複数の発泡ガラス体が補強要素によって複合発泡ガラス要素内で互いに押し付けられる場合には、それに対応して高い摩擦力が発泡ガラス体の界面に生じるため、複合発泡ガラス要素が全体として高い強度及び剛性を有する。したがって、複合発泡ガラス要素は、引張荷重、特に曲げ荷重の下で使用され得る。単純な発泡ガラスパネルに比べて機械的特性が改善されているため、複合発泡ガラス要素は、コンクリートや木材等の従来の建築材料に取って代わることができる。セメント製造には大量のエネルギーが必要であり、かなりの量のCOが排出される(世界のCO排出量の約10%がセメント製造時に発生している)といった事実を考慮すると、本発明に係る複合発泡ガラス要素は、製造時にガラス材料が完全に溶融されるのではなく、添加剤の存在下で約800℃に加熱されるだけであるため、従来の建築材料と比較してエネルギー消費量及びCO排出量の点で非常に有利である。また、発泡ガラスは優れた断熱材であり、さらに不燃性であって、クラッディングによって風化から保護することができる。また、従来の建築材料よりも大幅に軽量であるため、輸送や設置にかかるエネルギーも少なくて済む。最後に、複合発泡ガラス要素を形成する発泡ガラス体を貫通している補強要素/引張要素は、火災時の熱材料疲労に対してより良く保護される。
【0009】
その結果、本発明に係る複合発泡ガラス要素は、発泡ガラスの低エネルギー消費、低CO発生、断熱性、耐火性、再利用性と、建築物の建設に必要な機械的安定性(圧縮強度、引張強度、曲げ強度)とを兼ね備えているため、本発明は、多数の用途のための未来志向の建築材料を提供する。
【0010】
本発明に係る複合発泡ガラス要素に収容される発泡ガラス体は、発泡ガラスから一体形成された、及び/又は、均質な構造を有する本体を意味すると理解することができ、複数の封入孔がガラスマトリックスによって取り囲まれている。これらは開気孔又は閉気孔であってもよく、閉気孔である場合、水等の流体は外部から気孔内へと浸透することができない。
【0011】
複合発泡ガラス要素の発泡ガラス体は、発泡ガラス体の特性を変化させて構成されていてもよい。例えば、発泡ガラス体の密度は、より高い密度を有する発泡ガラス体が複合発泡ガラス要素の所定の領域に使用され、より低い密度を有する発泡ガラス体が他の領域に使用され得るように、変化させられていてもよい。したがって、発泡ガラス体の弾性率も異なっていることができ、使用目的に適合させることができる。したがって、例えば開放気孔率や閉鎖気孔率等の他の特性が異なっている、複数の異なる発泡ガラス体を複合発泡ガラス要素に使用することもできる。このことは、同じ発泡ガラス体のみを複合発泡ガラス要素に使用することも、異なる特性を有する発泡ガラス体を使用することも可能であることを意味する。
【0012】
複合発泡ガラス要素の発泡ガラス体は、形状及び/又はサイズが全て同一のもので構成されることができるが、形状及び/又はサイズが互いに異なっている、複数の異なる発泡ガラス体が複合発泡ガラス要素に収容されることもできる。
【0013】
発泡ガラス体は、対応する発泡ガラス体を複合発泡ガラス要素内に規定された方法で配置することを可能にする規定された形状及び寸法を有することができる。特に、寸法は、構造物又は構造物の部品、特に建築物又は建築物の部品を製造するための設計及び構造的使用に適した複合発泡ガラス要素を形成することができるように選択することができる。使用される発泡ガラス体にも、発泡ガラス体から形成される複合発泡ガラス要素にも、広い範囲の寸法が可能であるが、発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の最小寸法は、1cm、5cm又は10cm以上の範囲とすることができ、発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の最大寸法は、数10cm、例えば50cm、1m、2m、5m、10m以上の範囲とすることができる。発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の最小寸法又は最小限の寸法は、最小の外延を有する発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の寸法を表し、例えば厚さ方向又は幅方向とすることができ、一方、発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の最大寸法は、最大の外延を有する発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の寸法であり、それに応じて長さ方向を規定することができる。
【0014】
発泡ガラス体は、任意の形状の体とすることができるが、しかしながら、規定された所定の形状を有する。特に、本発明に係る複合発泡ガラス要素の発泡ガラス体は、立方体、立方体状体、立方体様体、立方体、プリズム、ピラミッド、平行六面体、四面体、多面体、円柱、中空円柱、回転体、円形体、円盤状体及び/又は環状体等の形状を有することができる。
【0015】
発泡ガラス体は、少なくとも1つの平坦面、及び/又は、互いに平行に整列された少なくとも2つの面、及び/又は、任意の三次元形状の表面を有することができ、そのうちの隣り合う発泡ガラス体の隣接する表面(接触面)は、複合発泡ガラス要素を製造するための発泡ガラス体の積み重ね又は一般的な組積造を形成することができるように、互いに平坦になるように互いに相補的になるように設計される。したがって、発泡ガラス体の対向面が互いに相補的になるように構成されてもよく、発泡ガラス体の接触面が別の異なる設計の発泡ガラス体の接触面に適合されてもよい。その後、他の発泡ガラス体が少なくとも1つの接触面上に配置されてもよい。1つ以上の接触面又は互いに平坦又は相補的な面の場合、発泡ガラス体は、種々異なる形状の複合発泡ガラス要素を形成するために、互いの上に、及び/又は、互いの後ろに、及び/又は、互いの隣に、行及び/又は列状に配置され得る。好ましくは、発泡ガラス体の表面は、互いに接触する発泡ガラス体の相互摩擦力を最大にするために、最大の表面を表す接触面として構成され得る。
【0016】
発泡ガラス体の接触面が互いに相補的になるように構成されている場合、発泡ガラス体は、一方の面に第1の接触面を有し、反対側の面に第1の接触面に対して相補的になるように構成された第2の接触面を有することができ、これにより、これらの発泡ガラス体を複数個、組積造又は積み重ねとなるように配置することができる。接触面は、凸部及び/又は凹部を有していてもよい。接触面がデカルト座標系においてx方向及びy方向に広がる平面によって定義される場合、凸部及び/又は凹部は、xy平面に垂直なz方向に延びる。凸部及び/又は凹部の完全に任意の配置に加えて、凸部及び/又は凹部は、xy平面の一方又は両方向、すなわちx方向又はy方向に周期的に繰り返すことができるため、接触面は、起伏のある、又はのこぎり歯状もしくはナブ状の表面形状を有することができる。
【0017】
複合発泡ガラス要素における発泡ガラス体は、発泡ガラス体の間に、例えば石積み組積造において提供されるモルタルのような結合材が配置されることなく、互いの上に、及び/又は、互いの後ろに、及び/又は、互いの隣に、及び/又は、石積み組積造の態様で積み重ねられ得る。特に、複合発泡ガラス要素中の発泡ガラス体は、少なくとも部分的に材料接続を有しないことができるが、好ましくは材料結合を全く有しないことができ、発泡ガラス体、補強要素及びそれらの構成要素は互いに容易に再分離することができるため、対応する複合発泡ガラス要素もまた容易にリサイクルすることができる。
【0018】
複合発泡ガラス要素における発泡ガラス体の配置のタイプは、様々な方法で行うことができる。特に、荷重支持(Tragverband)、長手積み(Lauferverband)、小口積み(Binderverband)、イギリス積み(Blockverband)、交差イギリス積み(Kreuzverband)等の公知のタイプの石積み組積造を形成することができる。さらに、発泡ガラス体が、個々の発泡ガラス体を互いに重ねて、又は列状に配置した単層又は多層の積み重ねで提供される単純な積み重ねも可能である。発泡ガラス体は、列ごとに積み重ねて配置することができ、互いの上に整列させて、及び/又は、互いに対して千鳥状に配置されてもよい。
【0019】
発泡ガラス体は、複合発泡ガラス要素内において少なくとも部分的に互いに直接接しており、又は、例えばシート又はホイルの形態の少なくとも部分的な分離要素を、隣り合う発泡ガラス体の間に少なくとも部分的に設けることができる。シート又はホイルは、紙、厚紙、ゴム又はプラスチック、例えばポリイソブチレン、織布、かぎ針編布、ニット編布、編組布、縫製布、不織布又はフェルト等の布地、又は、他の適切な材料で形成され得る。分離要素は、発泡ガラス体の粗面を貫通し、一方では、互いに当接する発泡ガラス体が互いに損傷するのを防止し、他方では、複合発泡ガラス要素内の発泡ガラス体の凝集力を強化し、したがって複合発泡ガラス要素の強度を強化するために、発泡ガラス体間の摩擦力を増大させるように、弾性的又は塑性的に変形可能であるように構成され得る。分離要素によって得られる追加の安定化は、発泡ガラス体の表面構造によって強化され得る。発泡ガラス体は、平坦な表面を得るために切断され、好ましくは研磨されてもよい。切断及び/又は研磨により、表面付近の微小空洞(孔)が破壊され、これらの微小空洞を囲んでいた壁の残骸が巨視的に平坦な表面から鋭く突出する。表面上(又は2つの発泡ガラス体間)に配置された分離要素内にこれらの微視的な突出縁部が侵入することにより、分離要素とそれぞれの発泡ガラス体との間に面ファスナ状の静止摩擦を生じさせることができ、この静止摩擦は、接着剤又はモルタルを追加的に使用することなく、積み重ねられた発泡ガラス体から形成された壁要素を横方向に作用する力(図1中の矢印)に対して安定化させることに寄与することができ、そのため、このような壁要素も再び完全に解体することができ、発泡ガラス体を適宜再利用することができる。これにより、複合発泡ガラス要素はエネルギー面で有利となるだけでなく、持続可能な建築材料にもなる。コンクリートスラブは、せん断力に対して十分な耐性を持つためには補強が必要である。しかしながら、補強材のかなりの割合がコンクリートの高い自重によるものである。対照的に、本発明に係る複合発泡ガラス要素は、非常に低い自重又は比重を有するため、この理由だけで、複合発泡ガラス要素中の補強要素は、その数及び寸法の点で、低い体積及び重量の割合で選択することができるが、複合発泡ガラス要素を形成する発泡ガラス体と分離要素との間の摩擦力は、高い静止摩擦力により横力に対する付加的な抵抗を提供することができ、その結果、補強要素の割合はさらに低くなり得る。
【0020】
1つ又は複数の発泡ガラス体と共に複合発泡ガラス要素を形成する少なくとも1つの補強要素は、また、多種多様な形状で構成することができ、特に、1つ又は複数の方向の引張力を吸収するような、又は、補強要素と共に配置されたガラス体に圧縮力を及ぼすことができるような形状にすることができる。特に、本発明に係る複合発泡ガラス要素の少なくとも1つの補強要素は、バンド、ケーブル、ストランド、ファイバー、ワイヤ、ストリップ、ストラップ、バー、棒、形材棒、ねじ付き棒、チューブ、シリンダー、ガーダ、断面梁、T字形梁、二重T字形梁、板、少なくとも部分的に曲がっている縁部を備えた板、U字形材、枠要素、二次元又は三次元の枠要素、特に矩形又は直方体状(quaderformig)の枠要素、ヨーク(Bugel)、二次元又は三次元のトラス、ボルト、張力付与要素、クランプ要素、ばね、塑性変形可能な保持要素等として構成されていてもよい。
【0021】
補強要素は、単一の構成要素として構成されてもよく、複数の構成要素から構成されてもよく、該構成要素は、特に上記の要素によって形成され得る。補強要素又は複数の補強要素の構成要素は、任意の適切な方法で組み合わせて互いに接続することができ、力接続(kraftschlussige Verbindung)、形状接続(formschlussige Verbindung)、及び/又は、材料接続(stoffschlussige Verbindung)が可能である。例えば、ねじ接続、クランプ接続、溶接又は接着接続を、補強要素及び/又は補強要素の構成要素間で実現することができる。
【0022】
補強要素は、任意の適切な材料から作ることができ、特に鋼、特にステンレス鋼、不錆鋼又は他の従来の金属合金等の金属材料から作ることができる。さらに、ナイロンやポリエステル等の炭素材料やプラスチック、あるいは炭素繊維や炭素繊維強化プラスチック等の繊維材料も、補強要素に使用することができる。麻繊維等の天然素材や、玄武岩、石板等の他の天然素材も考えられる。さらに、ガラス、セラミック、セラミック複合材料も、例えばパネル要素などを形成するために使用することができる。
【0023】
少なくとも1つの補強要素は、複合発泡ガラス要素の少なくとも1つの発泡ガラス体に圧縮応力を印加することができるように、弾性的に変形可能であることができる。複数の補強要素及び/又は複数の構成要素を有する補強要素が使用される場合、少なくとも1つの補強要素又は少なくとも1つの構成要素、好ましくは複数の補強要素又は複数の構成要素は、弾性的に変形可能であることができる。したがって、少なくとも1つの補強要素又はその構成要素は、複合発泡ガラス要素において引張応力を受けることができる。
【0024】
少なくとも1つの補強要素は、少なくとも1つの発泡ガラス体を少なくとも部分的に貫通するように、複合発泡ガラス要素内に配置することができる。複数の発泡ガラス体が接合されて複合発泡ガラス要素を形成する場合、少なくとも1つの補強要素、特に複数の補強要素もまた、少なくとも部分的に発泡ガラス体を貫通することができ、この目的のために、対応する貫通部又は開口部を有することができる。補強部材は、発泡ガラス体をほぼ完全に貫通することも可能であり、その場合、例えば、板等のさらなる補強部材に接続するために、対応する発泡ガラス体からは小部分のみが突出する。さらに、少なくとも1つの補強要素は、少なくとも1つの発泡ガラス体の表面に沿って配置することもできる。
【0025】
特に、複合発泡ガラス要素の複数の補強要素は、例えば、発泡ガラス体又は複合発泡ガラス要素の表面に配置された板、バンド又は枠要素が、発泡ガラス体を貫通するケーブル、棒、バー、バンド、ワイヤ等で互いに接続され、補強要素が貫通するそれらの間に配置された発泡ガラス体が互いに押し付けられるように、協働することができる。
【0026】
少なくとも1つの発泡ガラス体上に少なくとも1つの補強要素を配置するために、1つ又は複数の発泡ガラス体の表面に窪み等の対応する受け部を設けることもできる。例えば、補強要素として表面に設けられたバンドは、複合発泡ガラス要素の平滑面又は平坦面を形成することができるように、対応する溝内に延びていてもよい。
【0027】
少なくとも1つの補強要素は、特に、複合発泡ガラス要素の発泡ガラス体の周囲を環状に延在していてもよく、このとき、環状の補強要素は、発泡ガラス体を全ての側面から圧縮することができる。互いに平行に及び/又は互いに交差して延びていてもよい複数の環状の補強要素を配置することによって、複合発泡ガラス要素のいくつかの、特に全ての側面から発泡ガラス体に圧縮応力を蓄積することができ、その結果、コンパクトな組積造を形成することができる。
【0028】
複合発泡ガラス要素は、複合発泡ガラス要素を形成する発泡ガラス体に類似した多種多様な形状に設計することができ、それによって特に直方体又は直方体類似体の設計を提供することができる。したがって、このような複合発泡ガラス要素は、幅、長さ及び高さを有し、これにより、このような直方体又は直方体類似体の複合発泡ガラス要素の主面は、例えば、高さと長さ又は幅と長さに、最大の寸法を有する方向に広がる。他の面は、対応する端面を形成する。補強要素は、好ましくは、複合発泡ガラス要素のそのような設計において、発泡ガラス体が少なくとも複合発泡ガラス要素の最大の外延又は最大の寸法の方向にあるように配置することができる。例えば、棒、バー、ワイヤ、ケーブル又はバンドの形態の補強要素は、長さ方向に走行し、圧縮応力が発泡ガラス体に伝達される板又はバンドの形態の補強要素は、端面に対応して配置される。
【0029】
複合発泡ガラス要素の表面は、種々異なる適用領域に適応させるために、少なくとも部分的にコーティング及び/又は被覆されていてもよい。
【0030】
加えて、複合発泡ガラス要素又は複合発泡ガラス要素の表面に存在する発泡ガラス体は、構造化された表面を有することができ、それにより、多種多様な構造が想定される。例えば、凸状及び/又は凹状湾曲部及び/又は盲孔及び/又は段差及び/又はアンダーカット及び/又は鋸歯状段差等が、複合発泡ガラス要素の表面に設けられてもよい。
【0031】
対応する複合発泡ガラス要素は、例えば、構造物や建築物の壁及び/又は天井及び/又は床要素として、フローティング体として、クラッディング要素として、トンネルライニング要素として、あるいは遮音要素として、様々な用途に使用することができる。その他の用途もまた想定される。構造体とは、移動も可能なあらゆる構造物を意味すると理解される。
【0032】
したがって、特に上述したタイプの、少なくとも1つ、好ましくは数個の複合発泡ガラス要素を含む構造体についても保護が請求される。
【0033】
構造体中の複数の複合発泡ガラス要素を接続するために、構造体は、複合発泡ガラス要素が接続される少なくとも1つの、好ましくは複数の接続要素を含み得る。接続要素は、複合発泡ガラス要素内の発泡ガラス体を接続する補強要素と同様に構成され得る。しかしながら、材料接続を含む他の接続要素も考えられる。一般に、複合発泡ガラス要素は、力接続、形状接続、及び/又は、材料接続によって、任意の適切な方法で互いに接続することができる。
【0034】
特に、接続要素は、バンド、ケーブル、ワイヤ、ストリップ、棒、形材棒、ねじ付き棒、板、少なくとも部分的に曲がっている縁部を有する板、U字形材、枠要素、二次元又は三次元、特に矩形又は直方体の枠要素、ヨーク、二次元及び三次元のトラス、ボルト、張力付与要素、クランプ要素、塑性変形可能な保持要素等で構成することができる。
【0035】
接続要素は複数の部品で構成されていてもよく、その場合、補強要素について既に説明したように、個々の接続要素としても使用され得る構成要素によって形成されていてもよい。
【0036】
複合発泡ガラス要素の補強要素と同様に、接続要素も弾性変形可能であり、特に、構造体において少なくとも部分的に引張応力を受けるようにすることができ、その結果、複合発泡ガラス要素は圧縮応力を受けて互いに接続される。
【0037】
本発明の複合発泡ガラス要素は、建築物の壁、床及び/又は天井、遮音壁、ポンツーン、フローティングハウス、トンネルライニングなど、様々な構造物又は建築物を形成するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
添付の図面では、以下について単に模式的に示す。
図1】本発明に係る複合発泡ガラス要素の第1の実施形態。
図2図1の実施形態の斜視図。
図3】本発明に係る複合発泡ガラス要素の第2の実施形態の斜視図。
図4】本発明に係る複合発泡ガラス要素の第3の実施形態の側面図。
図5】本発明に係る複合発泡ガラス要素の第4の実施形態の側面図。
図6】本発明に係る複合発泡ガラス要素の第5の実施形態を示す部分的分解図。
図7図6の複合発泡ガラス要素を複数備えた遮音壁の形態である、本発明に係る構造体の第1の実施形態。
図8図6の実施形態の表現に類似した、本発明に係る複合発泡ガラス要素の第6の実施形態。
図9図8の複合発泡ガラス要素の一部の詳細図。
図10図8の複合発泡ガラス要素を複数備えた遮音壁の第2の実施形態。
図11図6及び図8の実施形態に類似した、本発明に係る複合発泡ガラス要素の第7の実施形態。
図12図11の複合発泡ガラス要素を複数備えた遮音壁の第3の実施形態。
図13】本発明に係るさらなる複合発泡ガラス要素の一部を示す斜視図。
図14図13の複合発泡ガラス要素を示す詳細図。
図15】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる部分斜視図。
図16】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる部分斜視図。
図17】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。
図18】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。
図19】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。
図20】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。
図21】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる部分破断斜視図。
図22】本発明に係るさらなる複合発泡ガラス要素を示す部分破断図。ここでは明確化のため、いくつかの発泡ガラス体は図示していない。
図23図22の複合発泡ガラス要素の一部を示す詳細斜視図。
図24】本発明に係るさらなる複合発泡ガラス要素を示す部分破断斜視図。ここでは明確化のため、いくつかの発泡ガラス体は図示していない。
図25】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。ここでは明確化のため、いくつかの発泡ガラス体は図示していない。
図26】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。ここでは明確化のため、いくつかの発泡ガラス体は図示していない。
図27図26の複合発泡ガラス要素を別の視点から示す図。
図28図26及び図27の本発明に係る複合発泡ガラス要素を示す部分詳細斜視図。
図29】本発明に係る複合発泡ガラス要素を示す部分詳細斜視図。
図30】張力付与要素を備えたバンド形状の補強要素を示す斜視図。
図31図30の実施形態に係る補強要素を備えた、本発明に係る複合発泡ガラス要素を示す部分斜視図。
図32】バンドを固定するためのクランプ要素を備えた、弾性的に引張可能なバンド形状のさらなる補強要素を示す図。
図33】本発明に係るさらなる複合発泡ガラス要素を示す図。
図34】本発明に係る複合発泡ガラス要素で作製されたトンネルライニングの一部を示す図。
図35図34のトンネルライニングの一部として使用される複合発泡ガラス要素を示す斜視図。
図36図36の複合発泡ガラス要素を示す部分斜視図。
図37図36及び図37の複合発泡ガラス要素のトンネルライニングとしての配置を示す図。
図38図34及び図38によるトンネルライニングの一部として使用可能な複合発泡ガラス要素を示すさらなる斜視図。
図39】トンネル内における図36図37図39の複合発泡ガラス要素の配置を示す詳細斜視図。
図40】本発明に係る複合発泡ガラス要素を使用したトンネルライニングのさらなる実施形態。
図41】本発明に係る複合発泡ガラス要素をさらに備えたトンネルライニングの別の実施形態。
図42図42のトンネルライニングの複合発泡ガラス要素を示す図。
図43】本発明に係る複合発泡ガラス要素を使用した建築物を示す図。
図44】本発明に係る複合発泡ガラス要素でファサードが作成された高層ビルを示す図。
図45】互いに対して相補的に構成されている接触面を備えた2つの異なる発泡ガラス体の組積造を示す図。
図46】互いに対して相補的に構成されている接触面を備えた2つの異なる発泡ガラス体の組積造を示すさらなる図。
図47】互いに対して相補的に構成されている接触面を備えた2つの異なる発泡ガラス体の組積造を示す別の図。
図48】ポンツーン上の建築物を示す図であり、ここでは、建築物又はその一部とポンツーンとの両方が、本発明に係る複合発泡ガラス要素で作製されている。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明のさらなる利点、特徴及び特性は、以下の実施形態の詳細な説明において明らかになるであろう。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0040】
図1は、本発明に係る複合発泡ガラス要素1の第1の実施形態を示しており、この要素は、例えば、建築物の天井又は屋根要素として、あるいは梁又は桁として他の任意の形態で使用することができる。複合発泡ガラス要素1は、その両端が2つの支持体8に支持されており、図1に示す矢印は、本発明に係る複合発泡ガラス要素1の構造により、複合発泡ガラス要素1が、2つの支持体8の間の中央部における荷重印加による曲げ応力に耐えることができることを示している。複合発泡ガラス要素1は、互いに隣り合って配置された複数の直方体状の発泡ガラス体2から構成されており、個々の発泡ガラス体2の間には、分離要素7が設けられており、この分離要素7は、圧縮性、特に弾性的に圧縮可能な材料、例えばゴム材料又はゴム状プラスチックから形成することができる。
【0041】
発泡ガラス体2は、発泡ガラス体2及び分離要素7を貫通するように挿入されたねじ付き棒3を介して互いに接続されている。ねじ付き棒3の端部にはねじ山があり、ナット4の形をした固定具をそれぞれのねじ山にねじ込むことができる。ナット4を螺合して締め付けることにより、ねじ付き棒3上のナット4間の空間を減少させることができ、発泡ガラス体2及び分離要素7が互いに押し付けられるため、発泡ガラス体2及び分離要素7に圧縮応力が作用し、弾性変形可能なねじ付き棒3に引張応力が作用する。既に上述したように、分離要素は、接着剤やモルタルを使用する必要なく、発泡ガラス体間にかなりの静止摩擦を作用させる。このため、複合発泡ガラス要素1は、ナット4を緩めた後、再び構成要素に完全に分解することができ、その後、発泡ガラス体及び補強要素を再利用することができる。したがって、本発明に係る複合発泡ガラス要素1は、持続可能性の観点から特に有利である。
【0042】
図示した図1の例示の実施形態では、複合発泡ガラス要素1のナット4と最後の発泡ガラス体2との間にもばね要素5が配置されており、このばね要素5も、ナット4をねじ付き棒3に螺合させることによって引っ張られ、発泡ガラス体2と分離要素7とに対応する圧縮応力を及ぼす。
【0043】
ナット4及び/又はばね要素5によって複合発泡ガラス要素1の端部に配置された発泡ガラス体2又は分離要素7に応力ピークが導入されるのを防止するため、圧力分配板6は、ねじ付き棒3のねじ山に螺合することによりナット4によって、及び/又は、ばね要素5によって、発泡ガラス体2又は分離要素7に加えられる圧縮応力を、複合発泡ガラス要素1の端部に取り付けられた発泡ガラス体2又は分離要素7の表面のより広い範囲に分散させるために、複合発泡ガラス要素1の表面に配置される。
【0044】
ねじ付き棒3は、発泡ガラス体2の開口部を通して直接案内することができ、ねじ付き棒3を収容可能な分離要素7又は管等のガイド要素を設けることができる。ねじ付き棒3の代わりにケーブル等の他の補強要素を使用することもできる。
【0045】
図1から分かるように、図示した例示の実施形態では、ナット4、ばね要素5及び圧力分配板6と組み合わせたねじ付き棒3の形態の補強要素が、曲げ梁として示した複合発泡ガラス要素1の下部領域に配置されており、矢印で示した荷重に応じたたわみ時に最大の引張応力が発生する領域において、補強要素3,4,5及び6を介した予応力による圧縮応力の形態の逆応力が発生するようになっている。この圧縮予応力は、この部分の曲げによって加えられる引張応力を補償する。したがって、脆い発泡ガラス材料にもかかわらず、部品が破損することはない。
【0046】
図2は、複数の発泡ガラス体2と、ねじ付き棒3、ナット4、ばね要素5(図2には別々に図示していない)の形態の補強要素/引張要素9とを備えた複合発泡ガラス要素1を、支持体8上に配置された状態で、圧力分配板6の配置を除いた状態で、さらに斜視図で示している。ここで、補強要素9の数は、複合発泡ガラス要素1の中央部よりも下部領域で多くすることができることが分かる。
【0047】
図3は、本発明に係る複合発泡ガラス要素11のさらなる実施形態を示しており、この複合発泡ガラス要素11は、複数の発泡ガラス体12を備えており、これらの発泡ガラス体12は、互いに隣り合って背後に配置されており、これにより、発泡ガラス体12は、それぞれの列において互いに千鳥状に配置されており、いわゆる組積造が提供されるようになっており、しかしながら、発泡ガラス体12間の材料接続は、結合材によって提供されることはない。さらに、複合発泡ガラス要素11には、補強要素/引張要素19が長さ方向Lと幅方向Bとの両方に配置されており、これにより、発泡ガラス体12は長さ方向Lと幅方向Bとの両方に圧縮応力を受けて配置され、圧力分配板16が幅方向側と長さ方向側との両方に設けられている。
【0048】
図4は、図1に示す図と同様の本発明に係る複合発泡ガラス要素21のさらなる実施形態を示す。ここでも、複数の直方体の発泡ガラス体22が互いに隣り合って配置され、発泡ガラス体間に配置された分離要素27によって互いに分離されている。しかしながら、図1の複合発泡ガラス要素1に使用されているような、発泡ガラス体2を貫通するねじ付き棒3の代わりに、複合発泡ガラス要素21の発泡ガラス体22と分離要素27とは、複合発泡ガラス要素21の外側に設けられた補強要素によって接続されており、この補強要素は、引張バンド/張力付与バンドの形態のバンド23と、張力付与要素24の形態の固定部とを有し、この引張バンド/張力付与バンドによって、バンド23は、発泡ガラス体22及び分離要素27の周囲に引張応力下でしっかりと引っ張られ、圧縮応力下でこれらが互いに耐えるようになっている。バンド23と張力付与要素24とによって発泡ガラス体22と分離要素27とに及ぼされる圧力を分配するために、L字形状の圧力分配形材25が、複合発泡ガラス要素1の一方の縁に沿って延びる角部に設けられる。あるいは、個々の圧力分布板を使用することもできる。このような設計であっても、図4に示すように、複合発泡ガラス要素21は、支持体28への複合発泡ガラス要素21の取り付けと、図4の矢印による荷重の印加によって示されるように、曲げ応力に耐えることができる。
【0049】
図5は、壁要素の形態の別の複合発泡ガラス要素31を示す。ここでも、複数の発泡ガラス体32が他方の上に1つずつ配置され、分離要素37によって分離され、ナット34の形態の固定具で端部をねじ止めされたねじ付き棒33の形態の補強要素/引張要素を介して接続されている(ねじ付き棒33は1本のみ示されているが、複数のねじ付き棒33が、画像の平面に垂直な方向に他方の後ろに1つずつ配置されている)。ばね要素35及び圧力分配板36は、発泡ガラス体32及び分離要素37に圧縮応力を印加するために使用される。このような壁要素31は、補強要素33,34,35,36を介して印加される圧縮応力によって、発泡ガラス体32と分離要素33とが互いに強固に接続されているため、複合発泡ガラス要素31の下部領域に矢印で示すように、せん断応力にも耐えることができる。したがって、このような複合発泡ガラス要素は、特にせん断力を吸収しなければならない耐震建築物にも使用することができる。しかしながら、壁要素の形態の複合発泡ガラス要素31は、両側からせん断力のような横方向の力を吸収しなければならないため、ねじ付き棒33、ナット34、張力付与要素35及び圧力分配板36の形態の補強要素は、対称的な配置を達成するために、複合発泡ガラス要素1の中央に配置される。
【0050】
図6は、遮音壁の一部として設計された本発明に係る複合発泡ガラス要素41の第5の例示の実施形態を示す。この複合発泡ガラス要素41は、基本形状が直方体であり、互いに積み重ねられている複数の発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dを有している。図1に示す実施形態の複合発泡ガラス要素41は、形状の異なる種々の発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dを有している。
【0051】
図1に示す図において最上部の発泡ガラス体である発泡ガラス体42は、上部の長さ方向の縁に傾斜面を有し、それによって発泡ガラス体42が屋根構造を形成するようになっている。
【0052】
複合発泡ガラス要素41の最上部の発泡ガラス体として配置される発泡ガラス体42の下方には、長さ方向の一辺に凹状窪み47を有する発泡ガラス体42aが配置されている。凹状窪み47を有する発泡ガラス体42aの下方には、凸状湾曲部48を有する発泡ガラス体42bが配置されており、発泡ガラス体42a,42bの組み合わせによりS字状の表面が形成されるようになっている。さらに、複合発泡ガラス要素41が波状の表面を有するように、複数の発泡ガラス体42a及び42bが互いの上に交互に配置される。表面に設けることができる盲孔と共に、これは音波を反射及び吸収する役割を果たし、したがって遮音性を提供する。また、発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dを開気孔で構成しても、遮音性が向上する。
【0053】
複合発泡ガラス要素41の下部領域には、形状の異なる発泡ガラス体42c,42dがさらに配置されている。発泡ガラス体42cはその長さ方向に沿って溝49を有し、発泡ガラス体42dは直方体の発泡ガラス体として設計されている。図6に示す複合発泡ガラス要素41では、2つの発泡ガラス体5,6が交互に配置されている。
【0054】
全ての発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dは、基板50上に配置されており、この基板50は、例えば、金属板から作製され得る。
【0055】
基板50に対向して、カバー板又は圧力分配板46が最上部の発泡ガラス体42上に配置され、この発泡ガラス体42は、ねじ付き棒43の形態の補強要素/引張要素を介して基板50に接続されている。明瞭にするために、実際の複合発泡ガラス要素41には当てはまらないことが勿論であるが、図6に示す図では、最下部の発泡ガラス体と2つの発泡ガラス体とが、ねじ付き棒43を示すために、上部領域において間隔をあけて示されている。ねじ付き棒43はそれぞれ、その端部にねじ山を有し、基板50は、棒43がねじ込まれる対応するねじ穴を有することができる。発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dは、棒43が案内される対応する開口部を有し、それにより、カバー板46も開口部を有し、棒43は、カバー板46の開口部を通して、その端部にそれぞれのねじ山を有して突出する。棒43の端部はナット44の形の固定具でねじ止めされ、カバー板46が発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dに押し付けられ、発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dの積み重ね全体が棒43を介して支えられた状態になる、発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dが圧縮応力を受ける一方で、棒43には引張応力が作用するように、棒43及び基板50並びにカバー板46及びナット44とのねじ接続部を介して張力付与されている。
【0056】
また、図6に示す複合発泡ガラス要素41は、1つの発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dを他の発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dの上方に設けているが、1つの発泡ガラス体42,42a,42b,42c,42dの代わりに、同種の発泡ガラス体を複数個隣り合わせて一列に設けることもできる。
【0057】
図7は、完全な遮音壁45が形成されるように、図6の複数の複合発泡ガラス要素41が互いに隣り合って壁配置された状態を示しており、これにより、図1の個々の複合発泡ガラス要素41が互いに隣り合って整列されている。複合発泡ガラス要素41は、例えば、棒43と同様に、複合発泡ガラス要素41を貫通するか、又は、複合発泡ガラス要素41の表面に沿って走る水平に延びる接続要素によって、単に互いに隣り合って配置されるか、又は、互いに接続されることができる。
【0058】
図8は、複合発泡ガラス要素51のさらなる例示の実施形態を示し、この複合発泡ガラス要素51は、図6の例示の実施形態の複合発泡ガラス要素41に実質的に対応している。図6の複合発泡ガラス要素41の発泡ガラス体42a及び42bの代わりに、図8の複合発泡ガラス要素51では、複数の同一の発泡ガラス体52aが互いの上に1つずつ配置され、これらは順に直方体の基本形状を有するが、その長さ方向の側面の1つに傾斜面58を有し、その結果、発泡ガラス体52aの底面が上面よりも小さくなり、発泡ガラス体52aが互いの上に積み重ねられたときに複合発泡ガラス要素51の鋸歯状の表面が生じる。このような表面は、盲孔等の可能な他の表面構造と共に、騒音防止要素を形成するために音波を反射及び/又は吸収する役割を果たす。複合発泡ガラス要素41の場合と同様に、個々の発泡ガラス体52,52a,52b,52cは、上板56及び基板60並びに棒(図示しない)を介して互いにねじ止め及び張力付与されている。
【0059】
図9における複合発泡ガラス要素51の一部の詳細図には、発泡ガラス体52,52aを貫通するねじ付き棒(図示しない)と、カバー板又は圧力分配板56と、発泡ガラス体52,52aとを螺合することができるナット54の形態の固定具が示されている。さらに、図9には、音波の反射及び/又は吸収を改善するために発泡ガラス体52aに設けられた盲孔59が示されている。
【0060】
図10は、図7の遮音壁45と同様の遮音壁55を示しており、これは複数の複合発泡ガラス要素51から形成されている。
【0061】
図11は、複数の発泡ガラス体62,62a,62b,62c,62dが積み重ねられて形成された複合発泡ガラス要素61のさらなる例示の実施形態を示す。図11の例示の実施形態が図6及び図8の例示の実施形態と異なる点は、図6の例示の実施形態における発泡ガラス体42a,62b及び図3の例示の実施形態における発泡ガラス体52aに代えて、発泡ガラス体62a,62bの幅及び底面積がそれぞれ異なっており、発泡ガラス体62a及び62bは、交互に積み重ねられているため、発泡ガラス体62a及び62bの長さ方向の側面の一方を揃えると、複合発泡ガラス要素61の表面の反対側に窪み67及び突起68が形成され、ここで、窪み67及び突起68はそれぞれ直方体構成である。したがって、複合発泡ガラス要素61の構造化された表面もここに構成され、ひいては音波の反射及び/又は吸収によって音を低減する役割を果たす。
【0062】
図12は、複数の複合発泡ガラス要素61が隣り合って配置された、実施形態7及び10の遮音壁45,55と同様の対応する遮音壁65を示す。
【0063】
図13は、本発明に係る複合発泡ガラス要素71のさらなる実施形態の部分斜視図であり、この実施形態では、複数の直方体状の発泡ガラス体72が、異なる方向に作用する様々な補強要素によって互いに保持されている。まず、トラス要素73が複合発泡ガラス要素71の主表面に設けられており、このトラス要素73は、複合発泡ガラス要素71の幅及び長さにまたがっており、発泡ガラス体72を貫通する張力ワイヤ74の形態の引張要素を介して互いに接続されており、発泡ガラス体72が高さ方向Hにおいて互いに張力付与されるようになっている。さらに、複合発泡ガラス要素71の長さ方向Lに沿って2つのU字形材75,76が配置され、これらは筋交い77を介して互いに接続されている。複合発泡ガラス要素71の長さ方向両側に設けられたU字形材75,76は、ナット78でU字形材にねじ止めされたねじ付き棒79の形態の補強要素/締結棒を介して接続されており、これにより発泡ガラス体72もまた幅方向に互いに補強されている。
【0064】
図14は、U字形材75,76及び筋交い77の形態の補強要素、並びにねじ付き棒79及びナット78をより詳細に示している。
【0065】
対応する複合発泡ガラス要素71は、様々な用途において、特に様々な構造物又は建築物の建設において、壁要素、床要素又は天井要素として使用することができる。例えば、このような複合発泡ガラス要素71は、フローティング体、いわゆるポンツーンを形成するために、又は、建築物を建設するために使用することができる。
【0066】
図15は、本発明に係る複合発泡ガラス要素81のさらなる例示の実施形態を示しており、この例示の実施形態では、長さ方向の側面に再びU字形材85,86が配置され、これらは、ナット88でねじ止めされたねじ付き棒87の形態の補強要素/引張要素を介して接続されている。図15の例示の実施形態が示すように、任意の形状のU字形材を使用することができ、例えば、図15に示すU字形材85,86は、ストリップに比べて底面が大きいため、U字形材85,86は板状である。
【0067】
また、図15からは、複合発泡ガラス要素81において、発泡ガラス体82が、ねじ付き棒87及びナット88と同様に、U字形材85,86の形態の補強要素で長さ方向側面を介して既に張力付与されているが、複合発泡ガラス要素81の幅方向側面もまた、補強要素を介して接続及び張力付与されている、すなわち、ねじ付き棒87の長さ方向軸線の方向を横断する方向に発泡ガラス体82の接続及び張力付与があることが分かる。図15の例示の実施形態では、この目的のためにトラス83が幅方向に設けられており、このトラス83は、張力ワイヤ(図示しない)を介して互いに接続されている。
【0068】
本発明に係る複合発泡ガラス要素91のさらなる実施形態が、図16に部分斜視図で示されている。複合発泡ガラス要素91は、複数の発泡ガラス体92を含んでおり、これらの発泡ガラス体92は、順番に、直方体構造において互いの上に1つずつ隣り合って配置されている。先の実施形態と同様に、複合発泡ガラス要素91の発泡ガラス体92は、複合発泡ガラス要素91の主表面及び幅方向側面上のトラス93,94の形態の補強要素と、それぞれのトラス93,94の間に配された張力ワイヤ(図示しない)とを介して張力付与されており、一方では、複合発泡ガラス要素91の長さ方向の側面には、二重T字形梁95,96が配置され、これらは順にねじ付き棒及びナット(詳細には図示しない)を介して接続され、間に配置された発泡ガラス体62を互いに押し付けて張力付与する。トラス、ねじ付き棒、張力付与ケーブル等の、これまでの実施形態から既に知られている補強要素に加えて、この実施形態では、このように、一方の端面に二重T字形梁95,96を有し、この二重T字形梁95,96は、今度は、ねじ付き棒又は張力付与ケーブル等を介して、対向する補強要素(例えば、二重T字形梁であってもよい)によって、間に配された発泡ガラス体92に圧縮応力を加えるために張力付与される。
【0069】
図17は、複合発泡ガラス要素101を示し、この要素101では、互いに隣り合って上下に配置された複数の直方体の発泡ガラス体102が、一方では、上面及び下面並びに側面のトラス103と、対向するトラス103を接続するための対応する補強要素とによって、さらに側面の全周に二重T字形梁106を備え、この二重T字形梁106が、補強要素109を介して対向する二重T字形梁106に張力付与されることにより、発泡ガラス体102が全面に圧縮応力を受けて保持される。
【0070】
図18,19及び20では、寸法の異なる様々な複合発泡ガラス要素111,121及び131が示されているが、それ以外は、複数の直方体状の発泡ガラス体112,122,132と、表面側に互いに対向して配置されたトラス113,123及び133とを有する同一の構造を有している、対向する表面側に配置されたトラス113,123,133は、その間に位置する発泡ガラス体112,122,132がそれぞれ圧縮応力を受けて保持されるように、発泡ガラス体112,122,132を貫通して延びるバー、棒、ケーブル等を介して順に相互に接続されている。
【0071】
さらなる複合発泡ガラス要素141が図21に示されており、複合発泡ガラス要素141の斜視図において、複合発泡ガラス要素141の主表面上のカバー147の一部が切り開かれており、複合発泡ガラス要素141内を通って長さ方向(L)及び幅方向(B)の両方向に延びるねじ付き棒143の形態の補強要素/引張要素を見えるようにするために、発泡ガラス体142の一部が示されていない。複合発泡ガラス要素の先行実施形態で既に示したように、複合発泡ガラス要素141は、複数の直方体発泡ガラス体142からなり、これらは互いに隣り合って積み重ねられ、壁要素を形成する。圧力分配板145,146は、複合発泡ガラス要素141の端面の全周に設けられており、この圧力分配板145,146は、発泡ガラス体142に圧縮応力が作用するように、補強要素/引張要素148,149を介して、それぞれの対向する圧力分配板145,146に接続され、張力付与されている。複合発泡ガラス要素141の内部を通るねじ付き棒143は、補強要素/引張要素148,149の一部である。
【0072】
図21の例示の実施形態ではさらに、複合発泡ガラス要素141の表面、すなわち、長さ(L)方向と幅(B)方向とにまたがる複合発泡ガラス要素141の主表面の1つにカバー147が設けられているため、複合発泡ガラス要素141は任意の所望の表面を有することができる。このようなカバーの材料としては、鋼、プラスチック、石膏ボード等の任意の適切な材料を使用することができ、コーティングとして設計することもできる。勿論、このようなカバーは、複合発泡ガラス要素の全ての表面又は個々の表面のみに設けることができ、複合発泡ガラス要素の全ての実施形態に設けることができる。
【0073】
図22は、本発明に係る複合発泡ガラス要素151のさらなる例を示しており、この要素は、側板155,156及びバー153,154の形態の補強要素/引張要素を介して互いにクランプされた複数の発泡ガラス体152から形成されている。図22に示す実施形態の複合発泡ガラス要素151は、複合発泡ガラス要素151の主要面を覆うカバー(又は、クラッディング若しくはファサード)158をさらに備える。発泡ガラス体152と、複合発泡ガラス要素151の側板155,156を対向する側で接続するバー153,154とを示すために、カバー158は中央領域で省略され、さらに、一部の発泡ガラス体152も図示されていない。
【0074】
バー153は、直方体の複合発泡ガラス要素151の対向する側に配置される側板156を接続し、図22に示す図において水平に延びるバー154は、複合発泡ガラス要素151の対向する側に配置される側板155を接続する。バー153,154は、ねじ接続部157の形態の固定具を介して側板155,156に接続され、これにより、側板155,156の開口部を通して挿入されたバー153,154にねじ込まれるナットの配置、又はバー153,154がその端部にねじ山を有してねじ込まれる側板155,156のねじ穴など、ねじ接続部の多種多様な設計が考えられる。
【0075】
図23は、図22の複合発泡ガラス要素151の一部を別の視点から示しており、カバー158が主表面の一方にどのように配置され得るかを示している。図23に示す図では、カバー158の背後にあるバー153,154であって、対向する側板155,156を接続し、それによって介在する発泡ガラス体152を互いに押し付けるバー153,154が見えるように、カバー158は、主表面から浮き上がっている。
【0076】
カバー158は、プラスチック又は金属等の任意の適切な材料から形成することができ、適切な接合技術を用いて、複合発泡ガラス要素151又は発泡ガラス体152と、側板155,156及びバー153,154の形態の補強要素とに接続することができる。例えば、カバー158は、材料接続、特に接着又は溶接によって配置することができる。
【0077】
バー153,154は、ねじ接続部157を有し、これにより、図示の例示の実施形態では、バー153,154は、その端部にねじ山を有し、これにより、側板155,156の開口部に通されたバー153,154は、ナットでねじ止めされる。
【0078】
側板155,156及びバー153,154は、任意の適切な材料から形成することができ、金属材料、特に鋼材などがここでは特に適している。
【0079】
複合発泡ガラス要素141及び151の組み合わせは、複合発泡ガラス要素161において実現され、この要素161は、図24の斜視図に示されており、ここでもまた、内側及び外側に配置されたねじ付き棒163,164の形態の補強要素/引張要素の配置を説明するために、カバー167の一部が切り開かれ、発泡ガラス体162の一部が省略されている。先の実施形態で既に示したように、ねじ付き棒、張力付与ケーブル等の補強要素の少なくとも一部は、複合発泡ガラス要素の内部を、特に発泡ガラス体を貫通して延びることができる。しかしながら、補強要素を、複合発泡ガラス要素又は発泡ガラス体の表面上に全体的又は大部分配置することも可能である。しかしながら、複合発泡ガラス要素161の例として図24に示すように、補強要素の内部配置及び外部配置を互いに組み合わせることも可能である。端面又は側面の円周方向に配置された圧力分配板165,166を、それぞれの対向する圧力分配板165,166に接続するために、補強要素/引張要素168,169の両方が設けられ、これらの補強要素は、発泡ガラス体162を主に貫通すると共に、発泡ガラス体162の表面に沿っている。図24から分かるように、雌ねじ付き棒163は、複合発泡ガラス要素161の内部に配置され、一方、発泡ガラス体162の表面に沿って延びる雄ねじ付き棒164は、発泡ガラス体162の表面に配置され、内部及び雄ねじ付き棒163,164の両方が、発泡ガラス体162に圧縮応力を加えるために、圧力分配板165,166に順にねじ止めされる。雄ねじ付き棒164は、カバー167で覆われていてもよい。
【0080】
図25は、本発明に係る複合発泡ガラス要素171のさらなる実施形態を示し、この複合発泡ガラス要素171は、原理的には先の複合発泡ガラス要素151と同様に構成されている。複合発泡ガラス要素171が複合発泡ガラス要素151と異なるのは、側板175,176が側板155,156のような平坦な側板として設計されておらず、複合発泡ガラス要素171の主表面を取り囲む、その長さ方向端部に丸みを帯びた角部を有する点のみである。したがって、補強要素/引張要素173,174の形態の補強要素は、例えば、対応する開口部に吊り下げられたり、それらを貫通したりすることによって、これらの角度のある領域上に配置することができる。補強要素/引張要素173,174は、それぞれの対向する側板175,176を順に接続し、側板175,176がそれらの間に位置する発泡ガラス体82を互いに押し付けるように、対応して弾性的に張力付与される。
【0081】
先の図21~25の例示の実施形態に類似するさらなる複合発泡ガラス要素191を図26に示す。この複合発泡ガラス要素191もまた、角度をなす領域をその長さ方向端部に有する側板193,194を有しており、該長さ方向端部は、対応する側板193,194の基面に対して横方向に角度をなすと共に主面を包含する丸みを帯びている。しかしながら、ワイヤ(又は丸鋼など)195,196が補強要素として設けられており、このワイヤ195,196は、複合発泡ガラス要素191の周囲を環状に延びており、側板193,194が配置された複合発泡ガラス要素191の2つの主面及び対向する側面の上に延びている。環状閉鎖のために、各ワイヤ195,196の両端には、締結ねじ接続部又は引張要素197が設けられており、この締結ねじ接続部又は引張要素197により、各ワイヤ195,196のねじ端部が互いに向かって引っ張られ、これにより張力が調整される。張力付与されたワイヤ195,196は、対向する側板193,194を、介在する発泡ガラス体192に押し付け、それらに張力付与して、本発明に係る複合発泡ガラス要素191を形成する。
【0082】
図27~29は、締結ねじ接続部197の原理及び構造、並びに、側板193,194の丸みを帯びた角度の付いた長さ方向の縁を明確に認識できるように、複合発泡ガラス要素191を異なる視点からより詳細に示している。
【0083】
図30は、締結ねじ接続部177のさらなる例示の実施形態を示し、これは、ワイヤ195,196のねじ接続及び張力付与のために、図26~29の複合発泡ガラス要素191にも使用することができる。バンド173の環状配置は、その端部に差込レセプタクル178及びねじ付きレセプタクル179を有し、ボルト180と協働することが、図30に明瞭に示されている。ボルト180は、差込レセプタクル178を通して挿入され、ねじ付きレセプタクル179のねじ山に係合するため、差込レセプタクル178及びねじ付きレセプタクル179に接続されたバンド173の端部は、ボルトがねじ付きレセプタクル179にねじ込まれたときに互いに向かって移動し、こうしてバンド173は、複合発泡ガラス要素(図示しない)の周囲に張力付与されることができる。
【0084】
図31は、先の例示の実施形態と同様に、複合発泡ガラス要素201の端面に側板203,204を有し、この側板203,204は、複合発泡ガラス要素201の主面の方向に角度を有し、これらを包含する丸みを帯びた領域をその長さ方向端部に有する複合発泡ガラス要素201のさらなる例示の実施形態を示す。複合発泡ガラス要素191のワイヤ195,196と同様に、複数の平行なバンド205,206が複合発泡ガラス要素201の周囲に延びており、このバンド205,206は、対向する端面に位置する側板203,204を、その間に配置された発泡ガラス体に対して押し付ける。各バンド205,206の環状閉鎖のためにクランプ要素が設けられており、これは対応するバンド206と共に図32で示されている。バンド206の両端は、重なり合うように、側面にスロットが設けられたスリーブを通して案内され、それによってスリーブは、バンド206の両端が互いに押し付けられるように押し合わされる。その結果、クランプ要素207の塑性変形によりクランプ要素207によって維持されるバンド206の端部間の摩擦接続により、バンド206の確実な環状閉鎖が達成される。対応するバンド205,206の弾性張力を側板203,204に作用させるために、バンド205,206は、クランプ要素207でクランプする前に牽引によって弾性変形させることができ、これにより、クランプ要素207によるバンド206の端部の相互固定後、側板203,204の間に配置された発泡ガラス体が互いに押し付けられる。
【0085】
図33は、さらなる複合発泡ガラス要素211を示し、この複合発泡ガラス要素211は、複数の発泡ガラス体212から構成されている。直方体状の発泡ガラス体212は、直方体状の複合発泡ガラス要素211を形成するように積み重ねられており、幅方向と高さ方向とにまたがる端面の各々には、端面の縁に沿って延び、角部形材で構成される縁部枠213が設けられており、縁部枠は、一方では対応する端面に対して、他方では複合発泡ガラス要素211の高さと長さとによって画定される隣り合う主面及び長さ方向の側面に対して静止するようになっている。対向する端面に配置された2つの縁部枠213は、平行に延びている複数の弾性変形バンド216を介して互いに支えられ、介在する発泡ガラス体212が互いに押し付けられるようになっている。さらに、複合発泡ガラス要素211の長さ方向の端部には角部形材214が配置されており、この角部形材214も、互いに平行に延びている複数の弾性的に張力付与されたバンド215を介して発泡ガラス体212に対して押し付けられており、これにより、発泡ガラス体212は、複合発泡ガラス要素211の幅方向及び高さ方向並びに長さ方向の両方において互いに張力付与されている。
【0086】
本発明に係る複合発泡ガラス要素の多くの可能な用途の1つは、トンネルライニング229が配置されたトンネル228を形成することであり、このトンネルライニング229はトンネル管を画定し、トンネルライニング229とトンネル228のトンネル壁との間にトンネル中間空間230が形成されるようになっている。トンネルライニング229は、複数の複合発泡ガラス要素221によって形成され、これらの複合発泡ガラス要素221は、ブラケット227を介してトンネル228のトンネル壁に取り付けられている。
【0087】
図34は、トンネルライニング229を形成するための複合発泡ガラス要素221のアーチ状配置を示している。複合発泡ガラス要素221の機械的特性により、列車が高速で通過する際に圧縮荷重が複合発泡ガラス要素によって消散されるため、高速列車用のトンネルであってもトンネルライニングにおける配置が可能である。個々の複合発泡ガラス要素221は、それ自体がアーチ状であり、個々の発泡ガラス体222は、わずかに楔型の形状を有し、そのため、隣り合う発泡ガラス体222が対向する発泡ガラス体222の対向する接触面は、互いに平行に整列されず、むしろ互いに小さな角度を形成し、複数の発泡ガラス体222がそれらの接触面を互いに対向させて配置されると、複合発泡ガラス要素221のアーチ状の構造が生じる。発泡ガラス体222を互いに接続して押し付けるための対応する補強要素は、先に示した実施形態に従って発泡ガラス体222を貫通して、及び/又は発泡ガラス体222の表面に沿って案内することができる。
【0088】
トンネルライニング229を形成する複合発泡ガラス要素221の一つが図35に示されている。複合発泡ガラス要素221は、順番に複数の発泡ガラス体222から構成され、これらの発泡ガラス体222は、端板223と224(基板は図23に図示しない。図36参照)との間に取り付けられ、発泡ガラス体222を貫通して延びる棒226と表面に沿って延びているストリップ225を介して互いにクランプされている。図35の例示の実施形態は、湾曲又はアーチ状の複合発泡ガラス要素も形成できることを示している。図35に示される例示の実施形態では、個々の発泡ガラス体222は、環状セグメント又は切断された楔として形成されているため、隣り合う発泡ガラス体222と連接させられるか、又は、発泡ガラス体122を互いに積み重ねる役割を果たす2つの対向面は、互いに斜めに形成されている。これにより、複合発泡ガラス要素221の湾曲又はアーチ構造を実現することが可能となり、複数のアーチ型複合発泡ガラス要素221が一緒になって、断面が円形のアーチ型トンネルライニング229を形成する。
【0089】
端板223,224がその間に配置された発泡ガラス体222に押し付けられる棒226は、発泡ガラス体222又は複合発泡ガラス要素221を貫通して延びている。さらに、複合発泡ガラス要素221の外面にはストリップ225が設けられており、このストリップ225も複合発泡ガラス要素221の端板223,224を互いに接続している。
【0090】
ブラケット227は、端板223の少なくとも一方に設けられており、これにより、複合発泡ガラス要素221をトンネル壁から離れた位置でトンネル228内に固定することができる。
【0091】
図36~39は、トンネルライニング229と関連する複合発泡ガラス要素221を様々な図で示しており、これにより、ブラケット227を介したトンネル228のトンネル壁面上の複合発泡ガラス要素221の配置と、端板223,224及びU字形ストリップ225を有する個々の複合発泡ガラス要素221の構造との両方を認識することができる。
【0092】
図37はまた、トンネルライニング229との組み合わせでどのように事故防止の改善を実現できるかを示している。発泡ガラスバラスト220のようなエネルギー吸収材料も、トンネルライニング229とトンネル228との間のトンネル中間空間230に充填することができ、車両がトンネルライニング229に衝突した場合の衝撃エネルギーの大部分を吸収して消散させることができるため、トンネル壁面又はトンネルライニング229への衝突を伴う事故の結果を緩和することができる。
【0093】
トンネルライニング229のさらなる実施形態は、図40~42に見ることができる。図40のトンネルライニング229では、湾曲した複合発泡ガラス要素221の代わりに、直線状又は平坦な複合発泡ガラス要素231が使用されており、これらの複合発泡ガラス要素231は、湾曲したトンネルライニング229を実現するために多角形の形に並べられている。発泡ガラス製の楔要素232は、接合部において直線状又は平坦な複合発泡ガラス要素231の間に生じる隙間を埋めるために、個々の平坦又は直線状の複合発泡ガラス要素231の間に挿入される。
【0094】
あるいは、複合発泡ガラス要素241を使用することもでき、この複合発泡ガラス要素241は、隣り合う複合発泡ガラス要素241との接続端に楔型発泡ガラス端体243を有し、複合発泡ガラス要素241の残りの発泡ガラス体242は、直方体の発泡ガラス体として設計することができる。
【0095】
複合発泡ガラス要素241は、図42に詳細に示されている。図42に見られるように、直方体状の発泡ガラス体242は互いに積み重ねられ、楔型発泡ガラス端体243が積み重ねられた両端に配置されている。ブラケット247を備えた圧力分配板246は、楔型発泡ガラス端体243のそれぞれの表面に配置され、複合発泡ガラス要素241をトンネル壁に固定する役割を果たす。圧縮応力は、圧力分配板246を介して発泡ガラス体242,243に、楔型発泡ガラス端体243及び直方体発泡ガラス体242を貫通する補強要素249によって及ぼされ、これらの発泡ガラス体242,243が順に圧縮応力を受ける。
【0096】
本発明のさらなる2つの用途を、図43及び図44に示す。
【0097】
図43は、全体が複合発泡ガラス要素251及び261から形成されている建築物260を示している。複合発泡ガラス要素261は壁を形成し、複合発泡ガラス要素251は天井又は屋根として形成される。
【0098】
複合発泡ガラス要素251の発泡ガラス体252は、発泡ガラス体252を貫通して挿入された金属棒と共に、複合発泡ガラス要素251の端面に円周方向に配置された金属板253によって補強されており、これにより、金属棒と共に金属板253が発泡ガラス体252を互いに押し付けて、強度を高めている。閉鎖気孔を有する発泡ガラス体252により、このような複合発泡ガラス要素251は水に対して不透過性であり、機械的強度により、対応する複合発泡ガラス要素251からなる屋根は、要求される積雪荷重などに容易に耐えることができる。さらに、機械的特性は、発泡ガラス体の製造工程中に発泡ガラスの密度を変えることによって影響を及ぼすことができる。例えば、発泡ガラス体の密度を高くすることにより、より高い弾性率、ひいてはより高い機械的強度を達成することができる。
【0099】
さらに、複合発泡ガラス要素251,261は、熱伝導率や不燃性等の建築安全性の面で高い基準を満たすため、パッシブハウスのような建築物を建設することができる。
【0100】
これまでの全ての例示の実施形態と同様に、複合発泡ガラス要素251,261は、通常、材料接続がない又はわずかしかなく、補強要素を介した機械的接続のみがあり、取り外し可能であるため、発泡ガラスや補強要素の材料等の個々の材料をリサイクル可能なように容易に分離することができ、容易にリサイクル可能である。
【0101】
本発明に係る複合発泡ガラス要素のさらなる応用例を図44に示す。図44は、例えばスケルトン構造で建てられた高層ビル270を示している。複合発泡ガラス要素271は、高層ビル270のスケルトンのファサード要素として使用されている。複合発泡ガラス要素271の良好な機械的特性のために、対応する高層ビルで発生する風荷重に耐えることができる。また、断熱性に優れ、リサイクルが容易であるという利点もある。
【0102】
壁を形成する複合発泡ガラス要素は、例えば、先に述べた直方体状の複合発泡ガラス要素によって形成することができる。
【0103】
複合発泡ガラス要素の個々の発泡ガラス体間のコールドブリッジをさらに回避するため、及び/又は、隣り合う発泡ガラス体の接続を改善するために、発泡ガラス体の形状を、少なくとも一方向において隣り合う発泡ガラス体間にも形状接続するように適合させることができる。これは、発泡ガラス体の接触面の表面形状又は表面形状の特別な設計によって可能となる。これは、本発明の全ての複合発泡ガラス要素に概ね適用され、特に既に説明した全ての実施形態にも適用される。
【0104】
発泡ガラス体282,282a,292,292a,302及び302aの様々な構成を図45~47に示す。
【0105】
図45では、2つの異なる発泡ガラス体282,282aが示されており、これらの発泡ガラス体282,282aは、隣り合う発泡ガラス体282,282aに接続するための異なる接触面を有する。例えば、発泡ガラス体282は、波形状である第1の端面283を有し、発泡ガラス体282の反対側の端部には、互いに斜めに配置された2つの平坦面を有する第2の端面284が設けられている。発泡ガラス体282aは、発泡ガラス体282の第2の端面284と相補的な第3の端面285を有し、発泡ガラス体282aの第4の端面286も同様に波形状であって、これに対応して発泡ガラス体282の第1の端面283と相補的であり、それによって発泡ガラス体282及び282aを交互に前後に配置することができる。
【0106】
同様に、図46は2つの発泡ガラス体292及び292aを示し、これらは順に対応する端面293,294,295及び296を有する。発泡ガラス体292の第1の端面293は、発泡ガラス体292aの第4の端面296と相補的であり、同様に波形状を有する。互いに相補的な端面294,295、すなわち発泡ガラス体292の第2の端面294及び発泡ガラス体292の第3の端面295は、3つの平面状の部分面を有し、そのうちの2つは第3の部分面に対して斜めに配置されている。
【0107】
図47のさらなる例示の実施形態では、発泡ガラス体302の第1の端面303及び発泡ガラス体302aの第4の端面306は先の例示の実施形態の第1の端面及び第4の端面に対応し、発泡ガラス体302の第2の端面304と発泡ガラス体302aの第3の端面は鋸歯状の表面構造を有するが、第2の端面304と第3の端面305は同様に互いに相補的に形成されている。
【0108】
図45~47の例示の実施形態では、2つの異なる発泡ガラス体が複合体の中で互いに組み合わされている。しかしながら、全て同じ発泡ガラス体又は複数の異なる発泡ガラス体を用いた複合体の場合にも、接触面又は端面の対応する構成が実現されることも考えられる。
【0109】
図48は、フローティングハウス310のための複合発泡ガラス要素の用途を示しており、複合発泡ガラス要素は、図43の実施形態のように、ハウスの壁及び天井又は屋根に使用されるだけでなく、特に、フローティングハウスが支持されるポンツーン311を形成するために使用される。細孔の割合が高いために発泡ガラスの密度が低くなると共にガラスの圧縮強度が高くなっており、かつ、補強要素によって機械的補強が施されていることにより複合発泡ガラス要素の機械的強度が高くなっているため、本発明の複合発泡ガラス要素は、自重が低く、浮力が高いことによって、浮き家屋のポンツーンとして使用するのに有利である。
【0110】
本発明を例示の実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明がこれらの例示の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の保護範囲を逸脱することなく、特に示された例示の実施形態の個々の特徴を省略したり、特徴の異なる組み合わせを実現したりすることができるように、設計の変更だけでなく、多様な応用が可能であることは、当業者には明らかである。特に、本開示は、様々な例示の実施形態に示される個々の特徴の全ての組み合わせを含んでおり、そのため、1つの例示の実施形態に関連してのみ記載される個々の特徴は、他の例示の実施形態又は明示的に示されていない個々の特徴の組み合わせにおいても使用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 複合発泡ガラス要素
2 発泡ガラス体
3 補強要素/引張要素(ねじ付き棒)
4 固定具(ナット)
5 ばね要素
6 圧力分配板
7 分離要素
8 支持体
9 補強要素/引張要素
11 複合発泡ガラス要素
12 発泡ガラス体
16 圧力分配板
19 補強要素/引張要素
21 複合発泡ガラス要素
22 発泡ガラス体
23 バンド(張力調整バンド/引張バンド)
24 張力付与要素(固定具)
25 圧力分布形材
27 分離要素
28 支持体
31 複合発泡ガラス要素
32 発泡ガラス体
33 補強要素/引張要素(ねじ付き棒)
34 固定具(ナット)
35 張力付与要素
36 圧力分配板
41 複合発泡ガラス要素
42,42a,42b,42c,42d 発泡ガラス体
43 補強要素/引張要素(ねじ付き棒)
44 固定具(ナット)
45 遮音壁
46 圧力分配板
47 凹状窪み
48 凸状湾曲部
49 溝
50 基板
51 複合発泡ガラス要素
52,52a,52b,52c 発泡ガラス体
54 固定具(ナット)
55 遮音壁
56 圧力分配板
58 傾斜面
59 盲孔
60 基板
61 複合発泡ガラス要素
62,62a,62b,62c,62d 発泡ガラス体
65 遮音壁
66 圧力分配板
67 窪み
68 突起
69 補強要素/引張要素
70 基板
71 複合発泡ガラス要素
72 発泡ガラス体
73 トラス
74 引張要素(張力ワイヤ)
75 U字形材
76 U字形材
77 筋交い
78 ナット
79 補強要素/引張要素(ねじ付き棒)
81 複合発泡ガラス要素
82 発泡ガラス体
83 トラス
85 U字形材
86 U字形材
87 補強要素/引張要素(ねじ付き棒)
88 ナット
91 複合発泡ガラス要素
92 発泡ガラス体
93 トラス
94 トラス
95 二重T字形梁
96 二重T字形梁
101 複合発泡ガラス要素
102 発泡ガラス体
103 トラス
106 二重T字形梁
111 複合発泡ガラス要素
112 発泡ガラス体
113 トラス
121 複合発泡ガラス要素
122 発泡ガラス体
123 トラス
131 複合発泡ガラス要素
132 発泡ガラス体
133 トラス
141 複合発泡ガラス要素
142 発泡ガラス体
143 補強要素/引張要素(ねじ付き棒)
145 圧力分配板
146 圧力分配板
147 カバー
148 補強要素/引張要素
149 補強要素/引張要素
151 複合発泡ガラス要素
152 発泡ガラス体
153 バー
154 バー
155 側板
156 側板
157 固定具(ねじ接続)
158 カバーリング/クラッディング/ファサード
161 複合発泡ガラス要素
162 発泡ガラス体
163 補強要素/引張要素(雌ねじ付き棒)
164 補強要素/引張要素(雄ねじ付き棒)
165 圧力分配板
166 圧力分配板
167 カバー
168 水平補強要素/引張要素
169 垂直補強要素/引張要素
171 複合発泡ガラス要素
172 発泡ガラス体
173 補強要素/引張要素
174 補強要素/引張要素
175 側板
176 側板
177 締結ねじ接続部
178 差込レセプタクル
179 ねじ付きレセプタクル
180 ボルト
191 複合発泡ガラス要素
192 発泡ガラス体
193 側板
194 側板
195 ワイヤ/丸鋼
196 ワイヤ/丸鋼
197 締結ねじ接続部/引張要素
201 複合発泡ガラス要素
203 側板
204 側板
205 バンド
206 バンド
207 クランプ要素
211 複合発泡ガラス要素
212 発泡ガラス体
213 縁部枠
214 角部形材
215 バンド
216 バンド
220 発泡ガラスバラスト
221 複合発泡ガラス要素
222 発泡ガラス体
223 端板
224 端板
225 ストリップ
226 棒
227 ブラケット
228 トンネル
229 トンネルライニング
230 トンネル中間空間
231 複合発泡ガラス要素
232 楔要素
241 複合発泡ガラス要素
242 発泡ガラス体
243 楔型発泡ガラス端体
246 端板
247 ブラケット
249 補強要素
251 複合発泡ガラス要素
252 発泡ガラス体
253 金属板
260 建築物
261 複合発泡ガラス要素
270 高層ビル
271 複合発泡ガラス要素
282,282a 発泡ガラス体
283 第1の端面
284 第2の端面
285 第3の端面
286 第4の端面
292,292a 発泡ガラス体
293 第1の端面
294 第2の端面
295 第3の端面
296 第4の端面
302,302a 発泡ガラス体
303 第1の端面
304 第2の端面
305 第3の端面
306 第4の端面
310 フローティングハウス
311 ポンツーン
H 高さ
B 幅
L 長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
【国際調査報告】