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特表2024-529755タウマチン及び1種又は複数種のレバウジオシドを含む甘味料ブレンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】タウマチン及び1種又は複数種のレバウジオシドを含む甘味料ブレンド
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240801BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20240801BHJP
   C07K 14/43 20060101ALN20240801BHJP
   C12N 15/29 20060101ALN20240801BHJP
   A61K 47/42 20170101ALN20240801BHJP
   A61K 47/26 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
A23L27/00 F
A23L27/00 101Z
A23L27/00 Z
A23L27/00 101A
A23L2/00 C
A23L2/60
C07K14/43 ZNA
C12N15/29
A61K47/42
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510291
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022073335
(87)【国際公開番号】W WO2023021219
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,255
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519324385
【氏名又は名称】ノマド バイオサイエンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン アネット
(72)【発明者】
【氏名】ギリッチ アナトリ
(72)【発明者】
【氏名】グレバ ユリ
【テーマコード(参考)】
4B047
4B117
4C076
4H045
【Fターム(参考)】
4B047LB02
4B047LB09
4B047LF07
4B047LG18
4B047LG32
4B117LC03
4B117LK06
4B117LK15
4B117LL02
4C076DD69T
4C076EE41T
4C076FF52
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA30
4H045EA02
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、タウマチン及び少なくとも1種のレバウジオシドを含む、甘味料又は風味改良組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
90%を超える純度のタウマチンII及び少なくとも1種のレバウジオシドを含む、甘味料又は風味改良組成物。
【請求項2】
90%を超える純度のタウマチンIIが、タウマトコックス・ダニエリ(Thamautococcus Daniellii)から単離されない、請求項1に記載の甘味料又は風味改良組成物。
【請求項3】
レバウジオシドが、Reb A、B、D、E、M、N又はOのリストから選択される、請求項1又は2に記載の甘味料又は風味改良組成物。
【請求項4】
組成物のタウマチン及びレバウジオシド構成成分の組み合わせ質量に対して、タウマチンIIが約2質量%~約5質量%の量で存在し、レバウジオシドが約95質量%~約98質量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか1項又は複数項に記載の甘味料又は風味改良組成物。
【請求項5】
組成物のタウマチン及びレバウジオシド構成成分の組み合わせ質量に対して、タウマチンIIが約3質量%の量で存在し、レバウジオシドが約97質量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか1項又は複数項に記載の甘味料又は風味改良組成物。
【請求項6】
組成物のタウマチン及びレバウジオシド構成成分の組み合わせ質量に対して、タウマチンIIが約3質量%の量で存在し、レバウジオシドMが約97質量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか1項又は複数項に記載の甘味料又は風味改良組成物。
【請求項7】
組成物のタウマチン及びレバウジオシド構成成分の組み合わせ質量に対して、タウマチンIIが約2質量%の量で存在し、レバウジオシドAが約98質量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか1項又は複数項に記載の甘味料又は風味改良組成物。
【請求項8】
タウマチン及び少なくとも1種のレバウジオシドを含む、甘味料又は風味改良組成物。
【請求項9】
タウマチンが、タウマチンI、タウマチンII、タウマチンA及びタウマチンBから選択され、好ましくは、タウマチンがタウマチンIIである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
レバウジオシドが、Reb A、B、D、E、M、N又はOのリストから選択され、好ましくは、レバウジオシドがReb A及びReb Mから選択される、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物のタウマチン及びレバウジオシド構成成分の組み合わせ質量に対して、タウマチン、好ましくはタウマチンIIが約2質量%~約5質量%の量で存在し、少なくとも1種のレバウジオシドが約95質量%~約98質量%の量で存在する、請求項8~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物のタウマチン及びレバウジオシド構成成分の組み合わせ質量に対して、タウマチン、好ましくはタウマチンIIが約3質量%の量で存在し、少なくとも1種のレバウジオシドが約97質量%の量で存在する、請求項8~11のいずれか1項又は複数項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物のタウマチン及びレバウジオシドMの組み合わせ質量に対して、タウマチンが約3質量%の量で存在し、レバウジオシドMが約97質量%の量で存在する、請求項8~12のいずれか1項又は複数項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物のタウマチン及びレバウジオシドAの組み合わせ質量に対して、タウマチンが約2質量%の量で存在し、レバウジオシドAが約98質量%の量で存在する、請求項8~12のいずれか1項又は複数項に記載の組成物。
【請求項15】
タウマチン、好ましくはタウマチンII及びレバウジオシドAを含む若しくはからなるか、或いは、タウマチン、好ましくはタウマチンII及びレバウジオシドMを含む若しくはからなる、組成物。
【請求項16】
低減カロリー製品を製造する方法であって、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物を、食品製品、飲料製品、医薬品、栄養製品、スポーツ用製品又は化粧品に添加することを含む、方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の甘味料又は風味改良組成物の約1ppm~約1000ppmの間の使用レベルの添加を含む、食品、飲料、栄養製品、化粧品又は医薬品。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか1項に記載の甘味料又は風味改良組成物の約500ppmの使用レベルの添加を含む、食品、飲料、栄養製品、化粧品又は医薬品。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか1項に記載の甘味料又は風味改良組成物の約50ppmの使用レベルの添加を含む、食品、飲料、栄養製品、化粧品又は医薬品。
【請求項20】
第1の部分として、タウマチン、好ましくはタウマチンII、又はタウマチンを含む組成物、及び第2の部分として、少なくとも1種のレバウジオシド、又は少なくとも1種のレバウジオシドを含む組成物を含む、キット・オブ・パーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘味相乗効果及び改善された官能特性を有し、タウマチン、例えばタウマチンII及び1種又は複数種のレバウジオシド(Rebaudioside)、例えば、レバウジオシドA、B、D、E、M、N又はOのうちの1種又は複数種を含む、低カロリー甘味料又は風味改良組成物に関する。本発明は、また、記甘味料又は風味改良組成物を含む食品又は飲料製品に関する。本発明は、また、タウマチン、例えばタウマチンII及び1種又は複数種のレバウジオシド、例えば、レバウジオシドA、B、D、E、M、N又はOうちの1種又は複数種を含む、キット・オブ・パーツ(kit-of-parts)に関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の食品及び飲料製品は、栄養性甘味料、例えば、スクロース(「糖」若しくは「砂糖」と一般に称される)、グルコース、フルクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ等、又は高強度甘味料、例えば、アスパルテーム、スクラロース(sucralose)、アセスルファム(acesulfame)K、サッカリン、シクラメート、ステビオールグリコシド等を含有する。そのような甘味料は、例えば、風味バランス、甘味の質、苦味及び不快な味(off taste)の欠如、望ましい経時的プロファイル(temporal profile)、並びに望ましい口当たりの観点から、甘味及び好ましい感覚反応を供給する。
糖等の栄養性甘味料により提供される好ましい味覚及び機能特性にもかかわらず、フルカロリー甘味料の過剰摂取は、食事関連健康問題の増加、例えば、肥満、心臓疾患、代謝障害及び歯の問題に長い間関連してきた。この憂慮すべき傾向により、より健康的な生活様式に適応し、食事における栄養性甘味料のレベルを低減する重要性を消費者が次第に意識するようになってきた。
近年、天然起源の低又はゼロカロリー甘味料の開発に特に焦点を合わせた、栄養性甘味料の代替品を利用する消費者製品が相当増加している。事実、北米において、天然の高強度低カロリー甘味料を利用する多数の新製品の発売が増加して、人工甘味新製品の発売を上回っており、一方で栄養性甘味製品の発売は、徐々に減少している。
栄養性又は人工甘味料の理想的な代替品は、より少ないカロリーで望ましい味覚の性質を有し、持続的に生産することができ、明確に理解される代謝及び安全使用の履歴を有し、費用効果のある甘味料である。この増大する要求を満たすために、市場には、従来の栄養性甘味料に代わる可能な候補で溢れ返っている。しかし残念なことに、市場に提供された多くの低又はゼロカロリー代替品は、必要な特徴の1つ又は全てを欠いており、多くの場合に苦味又は不快な味を示す。したがって、提案された甘味料の多くが栄養性甘味料の理想的な代替品ではない。
【0003】
カテンフェ(Katemfe)果実に見出されるタンパク質であるタウマチンは、甘味料及び風味改良剤(flavor modifier)として周知である。しかし、カテンフェ果実は容易に栽培されず、タウマチン市場での持続可能性は不十分であり、費用が高くなる。加えて、カテンフェ果実からのタウマチンは、タウマチンタンパク質の混合物であり、これらのうちのいくつか、例えばタウマチンIIはより優れた官能特性を有し、これらのうちのいくつかは好ましい官能特性を有しない。このことは、カテンフェ果実からのタウマチンが天然物であり、品質に加えてタウマチンの割合も変動するので、さらに複雑になる。さらに、タウマチン単独ではスクロースの5%溶液と同等の甘味を提供する場合には良好な味覚特性を有するが、より高い甘味濃度では、苦味、金属性又は医薬品の匂いなどの不快な味の特性という難点がある。近年の技術進歩により、周知の農産物作物におけるこのタンパク質の一過性発現を介してタウマチンの生産が可能になり、ばらつきや混ざりが排除され、使用費用が低減され、混合タウマチンに対して改善された官能特性を有するタウマチンIIの容易に利用可能な供給源をもたらしている。しかし、より高い甘味濃度では、商品作物発現によるタウマチンIIは、依然として不快な味の特性という難点がある。
【0004】
ステビアは、レバウジオシド(Reb)A、B、D、E、M、N及びOなどのステビオールグリコシドとして知られている甘味化合物を含有する周知の甘味料及び風味改良剤である。しかし、使用費用が高いという難点があり、高レベルの甘味で使用するときに金属、カンゾウ、医薬品及び最も注目すべきは苦味などの不快な味がするという難点がある。Reb M及びDなどのステビオールグリコシドのうちのいくつかは、改善された官能特性を有し、様々な生物工学的経路によって近年生産されているが、依然として、使用費用が高い、並びに高レベルで可溶性が不十分であるという難点がある。
したがって低又はゼロカロリーを有し、使用制限がないが、好ましい味覚特徴もまた有し、持続可能であり、高い可溶性、及び良好な使用費用を有する、栄養性甘味料に対する天然起源の改善された代替物を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、天然起源の甘味料又は風味改良組成物、許容される使用費用、好ましい官能特性、安全使用の履歴及び低カロリー含有量を提供することによって、上述の問題に解決策を提供しようとするものである。本発明は、また、他の天然起源高強度甘味料と比較したとき、甘味相乗効果、不快な味又は不快な風味の低減、望ましい経時的プロファイルを有する甘味料又は風味改良組成物を提供しようとするものである。
本発明の第一の態様は、タウマチン、例えばタウマチンII及びReb A、B、D、E、M、N又はOが含まれる1種又は複数種のレバウジオシドを含む、甘味料又は風味改良組成物を提供する。第二の態様において、本発明は、タウマチン、例えばタウマチンII及び少なくとも1種のレバウジオシドを含む甘味料又は風味改良組成物を提供する。両方の態様において、Reb A及びReb M又はこれらの混合物が好ましい。一実施形態において、レバウジオシドはReb Aである。別の実施形態において、レバウジオシドはReb Mである。両方の態様において、タウマチンは、タウマチンI、タウマチンII、タウマチンA及びタウマチンBから選択されてもよく、タウマチンIIが好ましい。好ましい実施形態において、タウマチンはタウマチンIIであり、レバウジオシドは、Reb A及び/又はReb Mであり、好ましくは、Reb A又はReb Mである。
本発明の一実施形態において、甘味料又は風味改良組成物は、組成物の総質量に対して、約1質量%~約10質量%の量のタウマチン、例えばタウマチンII、及び約90質量%~約99質量%の量のReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。
【0006】
別の実施形態において、甘味料又は風味改良組成物は、甘味又は風味改良組成物の総質量に対して、最終甘味組成物の約3質量%の量のタウマチン、例えばタウマチンII、及び約97質量%の量のReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。
別の実施形態において、甘味料又は風味改良組成物は、甘味又は風味改良組成物の総質量に対して、最終甘味組成物の約7質量%の量のタウマチン、例えばタウマチンII、及び約93質量%の量のReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。
一部の実施形態において、組成物に利用されるタウマチン部分、好ましくは、タウマチンII部分は、組成物の全タウマチンII部分の質量に対して90%を超える純度である。
一部の実施形態において、甘味料又は風味改良組成物は、別の甘味添加剤、安定化若しくは可溶化溶媒、増量剤、風味剤及び/又は安定剤をさらに含む。
本発明のさらなる態様は、本発明の甘味料又は風味改良組成物を含む食品又は飲料製品を提供する。
別の実施形態において、得られる食品又は飲料製品に使用される甘味料又は風味改良組成物は、食品又は飲料製品中に約0.2ppm及び10ppm、好ましくは、約0.2ppm~10ppmの濃度でタウマチン、例えばタウマチンII、及び食品又は飲料製品中に約75ppm~750ppmの濃度でReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。
【0007】
本発明のさらなる態様は、本発明の甘味料組成物を含む卓上甘味料を提供する。
本発明のさらなる態様は、本発明の甘味料組成物を含む増量剤、本発明の甘味料組成物を含むコーティング剤、本発明の甘味料組成物を含む化粧品、本発明の甘味料組成物を含む医薬品、本発明の甘味料組成物を含む栄養製品、及び本発明の甘味料組成物を含むスポーツ用製品を提供する。
本発明の別の態様は、食品製品、飲料製品、医薬品、栄養製品、スポーツ用製品又は化粧品における、本発明の甘味料又は風味改良組成物の使用を提供する。本発明の別の態様は、増量剤としての本発明の甘味料組成物の使用を提供する。本発明の別の態様は、コーティング剤としての本発明の甘味料組成物の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、第1の部分として、タウマチン、好ましくはタウマチンII、又は前記タウマチンを含む組成物、及び第2の部分として、少なくとも1種のレバウジオシド、又は少なくとも1種のレバウジオシドを含む組成物を含む、キット・オブ・パーツを提供する。レバウジオシド及び好ましいレバウジオシドは、上記に示されている通りである。タウマチン、好ましくはタウマチンIIと、レバウジオシドとの質量比は、甘味料又は風味改良組成物について上記に提示されている通りであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】タウマチンII、レバウジオシドA及びこれらの組み合わせの甘味知覚の平均の総計を示すグラフである。水中5%スクロース溶液を甘味対照として使用した。
図2】タウマチンII、レバウジオシドM及びこれらの組み合わせの甘味知覚の平均の総計を示すグラフである。水中5%スクロース溶液を甘味対照として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、タウマチン、特にタウマチンIIが、驚くべきことに、他のタウマチンから高度に精製され、レバウジオシド、例えばReb A、B、D、E、M、N及びOと組み合わせた場合に独自の特徴を有するという発見に基づいている。タウマチンは、カテンフェ果実(タウマトコックス・ダニエリ(Thaumatococcus daniellii))の幾つかのアイソフォームとして天然に存在する。よって、タウマチンという用語は、一般的であり、タウマチンのあらゆるアイソフォーム、又は2種以上のアイソフォームの混合物に関する。これらのアイソフォームは、異なるレベルの甘味、長引く甘味及び不快な味を有する。タウマチンIIは、否定的な官能特性のほとんどない最高品質の甘味を有するアイソフォームである。したがって、タウマチンIIが本発明の好ましいタウマチンである。しかし、タウマチンアイソフォームの天然カテンフェ果実抽出混合物からタウマチンIIを分離又は濃縮することは困難である。しかし、本発明では、タウマチンII、好ましくは90質量%を超える純度のタウマチンIIを、持続可能な農産物作物における一過性組み換え発現により単離することによって利用している。このことは、最良のアイソフォームのタウマチンIIのみを生産し、それを持続可能な方法で行うという二重の利益を有する。タウマチン、例えばタウマチンIIの一過性組み換え発現は、当該技術に公知であり、例えば、国際公開第2022/012926号に記載されている。
驚くべきことに、90%を超える純度のタウマチン、特にタウマチンIIが1種又は複数種のレバウジオシド、例えばReb A、B、D、E、M、N及びOと組み合わされた場合、組成物は、改善された味質及びより高い相対的甘味又は甘味相乗効果を有する。言い換えると、甘味料組成物の相対的甘味は、組成物の個々の構成成分で計算された甘味より大きく、さらに、個々の構成成分の否定的な味覚特質は、特に、個々の構成成分に関連し得る苦味及び/又は望ましくない経時的プロファイルに関して、最終組成物において低減されている。加えて、使用時にゼロに近いカロリーに寄与する各構成成分のおかげで、甘味料組成物はゼロカロリー又は低カロリーである。さらに、組成物により示された甘味相乗効果の結果として、所定のレベルの甘味を提供するのに必要な組成物の量は、相乗効果の非存在下で予想されるものを下回り、それによって費用及びカロリーの両方のさらなる低減を可能にする。よって、本発明の甘味料組成物は、増強された甘味を提供し、不快な味を低減することにより風味バランスを改善し、より望ましい経時的プロファイルを提供し、一方で同時に、個々に使用される従来の栄養性甘味料又は他の天然の高強度甘味料の甘味同等量と比較して、カロリー及び費用に有意な低減を可能にする。
【0010】
本発明の甘味料又は風味改良組成物を使用することにより、別々に使用される個々の構成成分と比較したとき、食品又は飲料製品への増加した甘味の送達を可能にする。この増強された甘味は、より少ない量の甘味料をこれらの製品に使用することができ、したがって、使用費用が低減されることを意味する。
一般論として、本発明は、甘味料のタウマチン、好ましくはタウマチンII及びReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む、甘味料又は風味改良組成物に関する。本明細書において、一般用語「タウマチン」は、タウマチンアイソフォームI、II、A及びBの1つ又は複数のいずれかを指す。用語「タウマチンI」は、以下のアミノ酸配列(配列番号1)のオリゴペプチド又はタンパク質を指す。
ATFEIVNRCSYTVWAAASKGDAALDAGGRQLNSGESWTINVEPGTNGGKIWARTDCYFDDSGSGICKTGDCGGLLRCKRFGRPPTTLAEFSLNQYGKDYIDISNIKGFNVPMNFSPTTRGCRGVRCAADIVGQCPAKLKAPGGGCNDACTVFQTSEYCCTTGKCGPTEYSRFFKRLCPDAFSYVLDKPTTVTCPGSSNYRVTFCPTA
【0011】
用語「タウマチンII」は、以下のアミノ酸配列(配列番号2)のオリゴペプチド又はタンパク質を指す。
ATFEIVNRCSYTVWAAASKGDAALDAGGRQLNSGESWTINVEPGTKGGKIWARTDCYFDDSGRGICRTGDCGGLLQCKRFGRPPTTLAEFSLNQYGKDYIDISNIKGFNVPMDFSPTTRGCRGVRCAADIVGQCPAKLKAPGGGCNDACTVFQTSEYCCTTGKCGPTEYSRFFKRLCPDAFSYVLDKPTTVTCPGSSNYRVTFCPTA
【0012】
用語「タウマチンA」は、以下のアミノ酸配列(配列番号3)のオリゴペプチド又はタンパク質を指す。
ATFEIVNRCSYTVWAAASKGDAALDAGGRQLNSGESWTINVEPGTNGGKIWARTDCYFDDSGSGICKTGDCGGLLRCKRFGRPPTTLAEFSLNQYGKDYIDISNIKGFNVPMDFSPTTRGCRGVRCAADIVGQCPAKLKAPGGGCNDACTVFQTSEYCCTTGKCGPTEYSRFFKRLCPDAFSYVLDKPTTVTCPGSSNYRVTFCPTA
用語「タウマチンB」は、以下のアミノ酸配列(配列番号4)のオリゴペプチド又はタンパク質を指す。
ATFEIVNRCSYTVWAAASKGDAALDAGGRQLNSGESWTINVEPGTKGGKIWARTDCYFDDSGSGICKTGDCGGLLRCKRFGRPPTTLAEFSLNQYGKDYIDISNIKGFNVPMDFSPTTRGCRGVRCAADIVGQCPAKLKAPGGGCNDACTVFQTSEYCCTTGKCGPTEYSRFFKRLCPDAFSYVLDKPTTVTCPGSSNYRVTFCPTA
【0013】
タウマチンは、本発明において、単独で使用してもよく、又は2種以上を一緒に使用してもよい。例えば、タウマチンA及びタウマチンBを組み合わせて使用してもよい。或いは、タウマチンI及びタウマチンIIを組み合わせて使用してもよい。2種以上のタウマチンの混合物を使用する場合、レバウジオシドとのあらゆる量又は比は、特に記述されない限り、2種以上のタウマンの組み合わせを指す。しかし、タウマチンIIは、甘味料として最も好ましい官能特性を有するので、タウマチンIIが好ましく、単独タウマチンとしてのタウマチンIIの使用が最も好ましい。
用語「レバウジオシド」は、下記構造を有する甘味分子を指す。
【表1】
【0014】
組成物、糖又は甘味料の「経時的プロファイル」という用語は、本明細書で使用されるとき、前記組成物、糖又は甘味料の経時的な知覚甘味強度の測定である。望ましい又は有利な経時的プロファイルは、甘味が急速に観察され、スクロースの甘味に類似して短い残存を有するものである。
用語「スクロース同等値」又は「SEV」は、本明細書で使用されるとき、スクロースの甘味に関連する甘味料と同等の甘味を指す。例えば、SEV値が5の甘味料は、スクロースの5質量%溶液に類似した甘味を有する。
用語「低カロリー」は、本明細書で使用されるとき、習慣的に消費される基準量(RACC)あたり及び表示された1食分あたり40カロリー以下を有する甘味料を指す。
質量%で提示された全ての量は、特に記述されない限り、乾燥固体(ds)基準で引用される。
【0015】
本発明の一実施形態によると、甘味料又は風味改良組成物は、組成物の総質量に対して、約1質量%~約10質量%の量のタウマチン、特にタウマチンII、及び約90質量%~約99質量%の量のReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。甘味料又は風味改良組成物は、最終食品又は飲料組成物の約0.0001質量%(1ppm)~約0.1質量%(1000ppm)の間を占める。
【0016】
好ましくは、本発明の甘味料又は風味改良組成物は、組成物の総質量に対して、約1質量%、1.5質量%、2質量%、2.5質量%、3質量%、3.5質量%、4質量%、4.5質量%、5質量%、5.5質量%、6質量%、6.5質量%、7質量%、7.5質量%、8質量%、8.5質量%、9質量%、9.5質量%又は10質量%の量のタウマチン、好ましくはタウマチンII(好ましくは、>90%純度)、及び約90質量%、90.5質量%、91質量%、91.5質量%、92質量%、92.5質量%、93質量%、93.5質量%、94質量%、94.5質量%、95質量%、95.5質量%、96質量%、96.5質量%、97質量%、97.5質量%、98質量%、98.5質量%又は99質量%の量のA、B、D、E、M、N又はOのリストのうちのレバウジオシドを含む。好ましくは、甘味料又は風味改良組成物は、最終食品又は飲料製品の質量の約1ppm、5ppm、10ppm、15、ppm、20ppm、25ppm、30ppm、35ppm、40ppm、45ppm、50ppm、55ppm、60ppm、65ppm、70ppm、75ppm、80ppm、85ppm、90ppm、95ppm、100ppm、150ppm、200ppm、250ppm、300ppm、350ppm、400ppm、450ppm、500ppm、550ppm、600ppm、650ppm、700ppm、750ppm、800ppm、850ppm、900ppm、950ppm又は1000ppmで最終食品又は飲料組成物中に使用される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、甘味料又は風味改良組成物は、組成物の総質量に対して、約3質量%(好ましくは、約1質量%~約5質量%又は約2質量%~約4質量%)の量のタウマチン、好ましくはタウマチンII、好ましくは90%を超える純度のタウマチン、好ましくはタウマチンII、及び約97質量%(好ましくは、95質量%~約99質量%又は約96質量%~約98質量%)の量のReb A、B、D、E、M、N及び/又はOのリストからの組み合わせレバウジオシドを含む。
代替的実施形態において、甘味料又は風味改良組成物は、組成物の総質量に対して、約7質量%(好ましくは、約5質量%~約10質量%又は約6質量%~約8質量%)の量のタウマチン、好ましくはタウマチンII、好ましくは90%を超える純度のタウマチン、好ましくはタウマチンII、及び約93質量%(好ましくは、90質量%~約95質量%又は約92質量%~約94質量%)の量のReb A、B、D、E、M、N及び/又はOのリストからの組み合わせのレバウジオシドを含む。
有利なことに、甘味料又は風味改良組成物は、相対的糖同等値(SEV)に関して付加甘味のパーセンテージで、約50%の量のタウマチン、好ましくはタウマチンII(好ましくは、90%を超える純度の)及び約50%の量のReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。代替的な実施形態において、甘味料組成物は、相対的糖同等値(SEV)に関して付加甘味のパーセンテージで、約30%の量のタウマチン、好ましくはタウマチンII(90%を超える純度の)及び約70%の量のReb A、B、D、E、M、N又はOのリストのうちの1種又は複数種のレバウジオシドを含む。一部の実施形態において、甘味料組成物は、甘味改善添加剤、増量剤、風味剤及び/又は安定剤をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明のさらなる態様は、本発明の甘味料又は風味改良組成物を含む食品製品を提供する。食品製品の非限定例には、菓子製品、デザート製品、例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、ビスケット及びケーキ、シリアル製品、焼き菓子、冷凍乳製品、食肉、乳製品、香辛料、スナックバー、スープ、ドレッシング、ミックス、調理食品、ベビーフード、ダイエット調理品、シロップ、食品コーティング、ドライフルーツ、ソース、グレイビー、ジャム/ゼリー等が含まれ、とりわけ、低減糖又は低糖製品のものが含まれる。食品製品は、動物飼料製品であってもよい。本発明の食品製品は、製品の表面に形成されたコーティング又は糖衣として甘味料組成物を含んでもよい。コーティングは、食品製品の風味を改善し、同様にその貯蔵寿命も改善する。
本発明の別の態様は、本発明の甘味料又は風味改良組成物を含む飲料製品を提供する。飲料製品の非限定例には、炭酸飲料、非炭酸飲料、フルーツ味飲料、フルーツジュース、茶、ミルク、コーヒーが含まれ、とりわけ、低減糖又は低糖製品のものが含まれる。
【0019】
本発明のさらなる態様は、本発明の甘味料組成物を含む卓上甘味料を提供する。
本発明の別の態様は、本発明の甘味料組成物を含む増量剤を提供する。
本発明の別の態様は、本発明の甘味料組成物を含むコーティング剤を提供する。
本発明の別の態様は、本発明の甘味料組成物を含む医薬品を提供する。
本発明の別の態様は、本発明の甘味料組成物を含む栄養製品又はスポーツ用製品を提供する。
本発明の別の態様は、本発明の甘味料組成物を含む化粧品を提供する。
食品製品、飲料製品、医薬品、栄養製品、スポーツ用製品又は化粧品に存在する本発明の甘味料又は風味改良組成物の量は、甘味料組成物に存在する甘味料のタイプ及び量、並びに食品又は飲料製品の所望の甘味に応じて左右されることが理解される。
【0020】
本発明の代替的な態様は、食品製品、飲料製品、医薬品、栄養製品、スポーツ用製品又は化粧品における、増量剤又はコーティング剤としての本発明の甘味料又は風味改良組成物の使用を提供する。
甘味料又は風味改良組成物は、あらゆる物理的形態に、例えば、水若しくはグリコールなどの溶媒に溶解された形態、シロップとしての形態、粉末形態、錠剤形態、顆粒形態、溶液中の形態、又は飲料及び食品製品を含むあらゆる他の適切な形態に配合され得る。
下記の実施例に概説されているように、本発明の甘味料又は風味改良組成物は、個々の構成成分に基づいて予測される値より大きなスクロース同等値(SEV)を示す。したがって、本発明の甘味料組成物は甘味相乗効果を表す。
以下の実施例は、単なる例示であり、いかなる方法によっても限定的であることを意図しない。
【0021】
(実施例1:本発明の組成物の甘味相乗効果の実証)
ラウンドテーブル評価を7人の試験参加者によって実施した。中性pH水中の同等甘味5SEV濃縮物を、タウマチンII(90%を超える純度)、レバウジオシドA及びレバウジオシドMで作製した。これらの同等甘味溶液を50%のタウマチンII及び50%のReb M又はReb Aで混合し、個々の構成成分を比較した。試験組成物の構成成分を下記の表に記載する。混合組成は、甘味料用のビードラー混合公式(Beidler mixture equation)を使用して計算した。甘味料用のビードラー混合公式は以下の通りである。
【0022】
【数1】
混合物中の各構成成分の濃度(ppm)をSEVで割り(c/R)、濃度cに対してプロットした。線形回帰の傾斜は、最大SEV(Rmax)である。Rmaxを掛けた線形回帰のy切片は、最大半量甘味濃度1/Kである。Rmax及び1/Kは、ビードラー公式に使用される2つのパラメーターである。参加者がSEV値を決定するため、混合物を基準試料と比較して味見した。基準試料は、中性pH水中の3%、4%、5%、6%、7%及び8%スクロースであった。試験試料を、3桁コードでコード付けした2オンスのスフレカップ(およそ60ml)により室温で出した。試料の間に2分間の待機時間を設けた。参加者には試験の前及び最中に口腔内をすっきりさせるために、水及び無塩クラッカーを利用できるようにした。結果を収集し、各試験試料のおよそのSEVレベルを計算した。
【0023】
この実験で分析した試験製品を下記の表1に記載する。
製品情報
【表2】
驚くべきことに、タウマチンIIとレバウジオシドの組み合わせは個々の構成成分が示唆するより甘い溶液を提供した。
【0024】
(実施例2:個々の甘味料及びその混合物の定量的分析)
ラウンドテーブル評価を7人の試験参加者によって実施した。中性pH水中の同等甘味5SEV濃縮物を、タウマチンII(90%を超える純度)、レバウジオシドA及びレバウジオシドMで作製した。これらの同等甘味溶液を50%のタウマチンII及び50%のReb M又はReb Aで混合し、個々の構成成分を比較した。全ての溶液にコードを付け、参加者から盲検にした。参加者には、5%スクロース及び500ppmのReb A溶液を対照として使用して、各溶液の甘味の質(10が最高の甘味の質である)及び望ましくない特質(10が最も望ましくないものである)の1~10のスケールによる定量的評価を提出するように要請した。甘味の質では、スコア10を5%スクロースに割り当てた。逆に、スコア1を500ppmのReb Aに割り当てた。望ましくない特質では、スコア10及び1を500ppmのReb A及び5%スクロースにそれぞれ割り当てた。5%スクロースは、あらゆる不快な匂い(off note)のない甘味を有した。対照的に、500ppmのReb Aは、非常に強力な人工的な不快な味を有した。
【0025】
【表3】
【0026】
驚くべきことに、タウマチンIIとReb Aの混合物は、有意に良好な甘味の質及び低減された不快な味を有した。タウマチンIIは、Reb Aの人工的な不快な味を遮蔽し、Reb Aは、タウマチンIIの遅れた甘味代償を補った。タウマチンとReb Mの混合物は、さらにより際立つ改善を甘味質に有し、不快な味を低減した。Reb Mは、それ自体非常に軽度の人工的な不快な味を有する。タウマチンII/Reb Mミックスは、遅れた代償がなく、人工的な不快な味のほとんどない甘味を有する。このミックスの甘味特徴は、スクロースに非常に近いものである。
【0027】
(実施例3:タウマチンII、レバウジオシドA及びこれらの混合物の総甘味知覚の分析)
組み換えタウマチンIIを、タウマチンIIコード配列を有するタバコモザイクウイルスのエタノール誘導性レプリコン遺伝子導入タバコ(Nicotiana tabacum)植物から精製した。タウマチンII発現は、植物に希釈エタノール溶液を噴霧することによって達成した。タウマチンIIタンパク質を、カラムクロマトグラフィーを使用して植物バイオマスから精製した。上流及び下流プロセスの詳細は、国際公開第2022/012926号に記載されている。
7ppmの組み換えタウマチンII及び260ppmのレバウジオシドA(Sigma、01432-10G)水溶液、並びに半分の濃度(3.5ppmのタウマチンII/130ppmのレバウジオシドA)で両方を一緒に混合したものを、総甘味知覚について分析した。5%スクロース溶液を甘味対照として使用した。風味及び後味を、Spectrum記述的調査方法で訓練を受けたBrisan Group(米国イリノイ州オーランドパーク)の訓練された感覚パネルの8人によって査定した。各特質の強度は、15ポイントスペクトルスケール、0=なし及び15=非常に強力、で等級付けした。製品を室温で評価した。製品を3桁コードで盲検にし、無作為化した。試料の間に休憩を入れて、疲労を軽減させた。参加者には強度スコアを決定するために全ての参照が利用可能であった。風味及び後味のデータを個々のデータとして収集した。全ての試料が吐き出された。試料を単項順次均衡設計(monadic sequential balanced design)により盲検で提示した。試料データの2つの複製を収集した。
【0028】
参加者は、試験溶液への曝露の直後(口の中に0~5秒)及び製品が依然として口の中にある間の15秒間に総甘味強度を評価した。参加者は、また、口の中の製品を評価した後(吐き出した後)の30秒間及び60秒間の製品の後味も評価した。
直後の甘味知覚を分析するため、参加者は、溶液を一口吸い込んだ直後に甘味強度を評価した(0~5秒以内に評価した)。製品の総甘味を、甘味の基本的味覚と高強度甘味料芳香特質との合計として定義した。甘味の基本的味覚は、スクロース及び他の糖、例えば、フルクトース、グルコース等により刺激された舌による味覚と定義した。高強度甘味料芳香は、あらゆる非スクロース甘味料、例えば、アスパルテーム、Ace-K、Reb A、ステビア及びスクラロースに固有の軽い芳香として意義した。
図1は、タウマチンII、レバウジオシドA及びこれらの組み合わせの甘味知覚の平均の総計に関するデータを要約したものである。個々の構成成分と比較して、総甘味の増加がミックスに見出された。このデータは、タウマチンIIとReb Aの間の相乗効果を支持している。さらに、ミックスの甘味発生は、タウマチンIIを単独で使用したときよりあまり急激ではなかったが、このことはタウマチンIIの甘味の質の改善を示している。
【0029】
(実施例4:タウマチンII、レバウジオシドM及びこれらの混合物の総甘味知覚の分析)
7ppmの組み換えタウマチンII及び155ppmのレバウジオシドM水溶液、並びに半分の濃度(3.5ppmのタウマチンII/77.5ppmのレバウジオシドM)で両方を一緒に混合したものを、総甘味知覚について分析した。この研究は、実施例3に記載された通りに実施した。図2は、タウマチンII、レバウジオシドA及びこれらの組み合わせの甘味知覚の平均の総計に関するデータを要約したものである。
ここでも、個々の構成成分と比較すると、総甘味の増加が混合物に見出された。そのような増加は、タウマチンIIとReb Mの間の甘味相乗効果を反映している。さらに、タウマチンIIに典型的な甘味知覚の遅れがミックスにおいて見られなかったが、このことは甘味の質の改善を明確に示している。
【0030】
(結論)
本発明の甘味料又は風味改良組成物は、味質の実質的な改善及び望ましくない官能特性の同時低減に加えて、有意な甘味料相乗効果を示す。本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に例証及び記載されているが、本発明は、示されている詳細に限定されることを意図しない。むしろ、特許請求の範囲の範囲及び均等物の範囲内で、本発明を逸脱することなく、様々な変更を詳細に行うことができる。
図1
図2
【配列表】
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【国際調査報告】