(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】菓子製品
(51)【国際特許分類】
A23G 3/54 20060101AFI20240801BHJP
A21D 13/36 20170101ALI20240801BHJP
A21D 13/45 20170101ALI20240801BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20240801BHJP
A23G 3/00 20060101ALI20240801BHJP
A23L 9/20 20160101ALN20240801BHJP
【FI】
A23G3/54
A21D13/36
A21D13/45
A23G3/34 102
A23G3/00
A23L9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510320
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022073813
(87)【国際公開番号】W WO2023025949
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100200540
【氏名又は名称】安藤 祐子
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン, マレー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ボリソフ, ボリスラフ, ズドラフコフ
【テーマコード(参考)】
4B014
4B025
4B032
【Fターム(参考)】
4B014GE02
4B014GG17
4B014GP27
4B014GQ02
4B025LB20
4B025LG11
4B025LG26
4B025LG27
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4B025LP08
4B032DB28
4B032DG17
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4B032DK18
4B032DK66
4B032DK67
4B032DL20
4B032DP66
(57)【要約】
本発明は、フィリングクリーム層を含む菓子製品に関する。本発明は、かかる菓子製品の調製に使用することができる方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィリングクリーム層を含む菓子製品を調製するための方法であって、
(a)1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の添加甘味料と、任意選択で1種類以上の香味料とを含むフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(b)前記混合物を撹拌し、少なくとも55℃の温度に加熱して、加熱されたフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(c)前記加熱された混合物を、5℃/分未満の冷却速度及び1s
-1~250s
-1のせん断速度で撹拌して、20℃~45℃の温度に冷却し、少なくとも6000cPの粘度を有する冷却されたフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(d)前記冷却されたフィリングクリーム混合物を第1の食用基材上に適用して、少なくとも3.5mmの厚さを有するフィリングクリーム層を形成する工程と、
(e)第2の食用基材を前記フィリングクリーム層上に配置してブックを形成する工程と、
(f)前記ブックを切断して複数の切断された製品を形成し、任意選択で前記切断された製品を加工して菓子製品を形成する工程と、を含む、
方法。
【請求項2】
工程(e)が、
(i)前記冷却されたフィリングクリーム混合物を前記第2の食用基材に適用して、第2のフィリングクリーム層を形成する工程と、
(ii)第3の食用基材を前記第2のフィリングクリーム層上に配置して、多層ブックを形成する工程と、
(iii)任意選択で(e-i)及び(e-ii)を繰り返す工程と、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記食用基材が、焼成食品、好ましくはウエハースシートである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物が、20重量%~45重量%、好ましくは30重量%~35重量%、最も好ましくは約33重量%の総脂肪含有量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が、15重量%~40重量%、好ましくは25重量%~35重量%、最も好ましくは28重量%~32重量%の前記1種類以上の添加脂肪を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1種類以上の添加脂肪が、20℃で、15g/100g~60g/100g、好ましくは20g/100g~50g/100g、最も好ましくは25g/100g~35g/100gの固体脂肪含有量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1種類以上の添加脂肪が、25℃で、10g/100g~50g/100g、好ましくは15g/100g~40g/100g、最も好ましくは16g/100g~26g/100gの固体脂肪含有量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1種類以上の添加脂肪が、30℃で、5g/100g~30g/100g、好ましくは10g/100g~25g/100g、最も好ましくは10g/100g~18g/100gの固体脂肪含有量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1種類以上の添加脂肪が、35℃で、2g/100g~20g/100g、好ましくは4g/100g~15g/100g、最も好ましくは6g/100g~12g/100gの固体脂肪含有量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物が、30重量%~65重量%、好ましくは40重量%~60重量%、最も好ましくは45重量%~60重量%の1種類以上の添加甘味料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1種類以上の添加甘味料が、糖類(好ましくはスクロース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、フルクトース、コーンシロップ、及びポリデキストロースから選択される)及び/又はポリオール(好ましくはソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール又はエリスリトールから選択される)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1種類以上の添加甘味料が、好ましくはスクロース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、及びフルクトースから選択され、最も好ましくはスクロースである、単糖類及び/又は二糖類を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1種類以上の添加甘味料が、スクロースを含む、スクロースからなる、又はスクロースから本質的になる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱された混合物を撹拌及び冷却する工程が、1s
-1~200s
-1、好ましくは1s
-1~100s
-1、最も好ましくは1s
-1~50s
-1のせん断速度で行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法によって製造された菓子製品。
【請求項16】
2つ以上の食用基材層と、前記食用基材層間の1つ以上のフィリングクリーム層とを含むブックカット菓子製品であって、
前記1つ以上のフィリングクリーム層が、1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の糖と、任意選択で1種類以上の香味料とを含み
前記1つ以上のフィリングクリーム層が、少なくとも3.5mmの厚さを有し、
前記1つ以上のフィリングクリーム層が、請求項4~13のいずれか一項に定義される通りのものである、及び/又は前記食用基材層が、焼成食品、好ましくはウエハースシートである、ブックカット菓子製品。
【請求項17】
前記菓子製品が、2つのウエハース層の間に挟まれた、請求項6~23のいずれか一項に記載のフィリングクリーム層を含み、好ましくはチョコレートコーティングされている、請求項16に記載の菓子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィリングクリーム層を含む菓子製品に関する。特に、本発明は、かかる菓子製品を調製するための方法に関する。
【0002】
[背景技術]
1つ以上のフィリングクリーム層を含む菓子製品、例えば、ウエハース間に挟まれた1つ以上のフィリングクリーム層を有する2つ以上のウエハース層を含む、ウエハースサンドイッチは周知である。フィリングクリーム層は一般に、1種類以上の脂肪と、1種類以上の甘味料とを含んでおり、香味及び口当たりに変化を与えるだけでなく、最終的な菓子製品の品質及び消費者による受容性を改善するように機能する。既知の菓子製品は、典型的には、薄いウエハース層などの薄い食用基材層間に挟まれた薄いフィリングクリーム層を含む。最終的な菓子製品を提供するために、典型的には交互にウエハースなどの食用基材層間に複数の薄いフィリングクリーム層を挟む。かかる菓子製品は、典型的にはブックカット(book-cut)によって製造され(すなわち、ブックカット製品)、食用(典型的には焼成された)基材の大きなシート上にフィリングクリームが塗り拡げられ、このフィリングクリームが食用基材の第2のシートで覆われるという工程が繰り返されて、食用基材層とクリーム層とを交互に含み、食用基材層が外面にある「ブック」が製造される。次に、ブックは複数の切断された製品へと切断される。切断された製品自体が最終的な菓子製品であってもよく、又は任意選択で、菓子製品を製造するために、切断された製品を更に加工してもよい(例えば、チョコレートコーティングの付加)。
【0003】
2つの食用基材層の間に挟まれたフィリングクリームを含むこのような菓子製品を調製するための方法は、典型的には、フィリングクリーム層の深さ/厚さに関して制限される。特に、フィリングクリームを付着させることは難しいため、フィリングクリーム層の深さを増す試みは特に課題を有していることが判明している。付着が難しいことでブックカット加工では層間剥離が生じ、加工中に多量の廃棄製品が発生するため、かかる加工法は商業的な大規模生産に適さない。
【0004】
厚いフィリングクリーム層は、より望ましい、高級感のある又は至福の口当たり、食感及び/又は味を有する菓子製品を消費者に提供するために望ましいものであり得る。しかしながら、厚いフィリングクリーム層を有する菓子製品を製造するための既知の方法では、厚さがより大きいフィリングクリーム層(例えば、3.5mm以上)を達成しようと試みる場合に困難があることが分かった。最適な付着を達成するためには、食用基材上にフィリングクリームを積層する前に脂肪結晶化を低減させることが望ましい。しかしながら、これまでは、この段階での脂肪結晶化の制御は、基材への適用時にフィリングクリームを比較的高い温度に維持することによって達成されてきた。従来の方法において脂肪結晶化の適切な制御を確保するために使用される比較的高い温度では、フィリングクリームの粘度はあまりに低く、フィリングクリームは積層加工中に基材の縁部から流れ落ちてしまい、又は第1の食用基材層の上に第2の食用基材層を適用したときに圧縮されてしまう。これらの事象により、フィリングクリームに多量の無駄が出るだけでなく、層の高さの一貫性がないことに起因して下流での菓子製品の加工が難しくなり、更には製造装置からフィリングクリームを取り除く追加費用が生じる。温度が低すぎる場合、積層及び層間剥離、並びに積層装置の閉塞(blocking)に関する問題に遭遇する場合もある。したがって、かかる方法は、典型的には薄いフィリングクリーム層(1.0mm未満など)に使用される。上記のように、得られる製品は、典型的には複数の食用基材層及びかかる薄いフィリングクリーム層から構成される。
【0005】
しかしながら上記のように、消費者は一般に、より厚いクリーム層を備えたかかる製品を、より至福の、高級感のあるものとして認識するので、特定の高級製品では、より厚いフィリングクリーム層を有する菓子製品が望ましい。したがって、前述の問題がなく、過剰な無駄を生じることなく厚いフィリングクリーム層を有するかかる菓子製品を製造する、新しい改善された方法が引き続き必要とされている。
【0006】
本出願人は驚くべきことに、広範な調査を通して、フィリングクリーム混合物を特定の条件下で冷却する方法により、効果的に積層して厚いフィリングクリーム層をもたらすのに十分な粘度を有する冷却されたフィリングクリーム混合物を用意し、層間剥離を最小化又は回避することで、無駄を削減することができることを見出した。したがって、本開示の方法は、フィリングクリームの厚さが著しく大きい菓子製品を製造することができる。
【0007】
[発明の概要]
本発明の第1の態様によれば、フィリングクリーム層を含む菓子製品の調製方法であって、
(a)1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の添加甘味料と、任意選択で1種類以上の香味料とを含むフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(b)混合物を撹拌し、少なくとも55℃の温度に加熱して、加熱されたフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(c)加熱された混合物を、5℃/分未満の冷却速度及び1s-1~250s-1のせん断速度で撹拌して、20℃~45℃の温度に冷却し、少なくとも6000cPの粘度を有する冷却されたフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(d)冷却されたフィリングクリーム混合物を第1の食用基材上に適用して、少なくとも3.5mmの厚さを有するフィリングクリーム層を形成する工程と、
(e)第2の食用基材をフィリングクリーム層上に配置してブックを形成する工程と、
(f)ブックを切断して複数の切断された製品を形成し、任意選択で切断された製品を加工して菓子製品を形成する工程と、を含む、
方法が提供される。
【0008】
本発明は、菓子製品であって、該菓子製品が第1の態様による方法によって製造される、菓子製品を更に提供する。
【0009】
ブックカット菓子製品であって、該菓子製品が、2つ以上の食用基材層と、食用基材層間の1つ以上のフィリングクリーム層とを含み、
1つ以上のフィリングクリーム層が、1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の糖と、任意選択で1種類以上の香味料とを含み、
1つ以上のフィリングクリーム層が、少なくとも3.5mmの厚さを有し、
食用基材層及び1つ以上のフィリングクリーム層が、本明細書で定義される通りのものである、ブックカット菓子製品を更に提供する。
【0010】
[発明を実施するための形態]
本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、重量は重量パーセントとして与えられる。
【0011】
本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、粘度測定値は、特定の温度で得られた測定値を指す。
【0012】
本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、用語「添加甘味料」又は「添加糖」は、当該技術分野における標準的な意味を有し、他の原材料中に本質的に存在するものではない甘味料又は糖を指す。当該技術分野において認識されている意味と一致して、天然に生じる糖は、ココア、果実(フルクトース)及び乳(ラクトース)などの食品中に天然に見出される。したがって、添加糖は、調製又は加工中に食品に入れられる糖又は甘味料を指す。
【0013】
例えば、米国FDAは、添加糖を「食品の加工中に添加されるか、又は糖として包装されるかのいずれかの糖」と定義しており、糖(遊離、単糖類及び二糖類)、シロップ、食品全体から単離され、糖が主成分となるように濃縮された天然に生じる糖(例えば、果汁濃縮物)、及び他のカロリー甘味料を含む。
【0014】
フィリングクリーム層中の添加脂肪成分は、100g当たりの特定の重量又は重量範囲の固体脂肪、トランス脂肪又は飽和脂肪酸によって定義されてもよい。この定義では、添加脂肪成分中の固体脂肪、トランス脂肪又は飽和脂肪酸の内容物が、該添加脂肪成分に対する該重量又は重量範囲で存在することを意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、用語「添加脂肪」は、香味料などの他の原材料中に本質的に存在するものではない脂肪を指す(例えば、ココア粉末は脂肪を含有する)。
【0016】
本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、用語「添加水」は、他の原材料中に本質的に存在するものではない水を指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、用語「ブックカット」は、菓子製品の「スラブ」(すなわち「ブック」)が調製され(例えば、食用基材の2つの層の間に挟まれた少なくとも1つのフィリングクリーム層を含む菓子製品)、切断されて複数単位の菓子製品を形成する方法及び対応する製品を指す。ブックカット菓子製品は、例えば、クリーム充填菓子製品(クリーム充填ビスケットなど)とは、クリーム充填菓子製品ではクリームフィリングが個々の単位基材(例えばビスケット)に適用されるという点で区別される。一般に、このようなクリーム充填ビスケットにおけるフィリングは、典型的には、ビスケット層の中心にのみ適用され、ビスケット層の表面全体にわたって(例えば、縁にまで)分配されるわけではない。典型的には、ブックカット製品は、基材層の縁にわたって均一に広げられたフィリングクリームを含む。
【0018】
フィリングクリーム混合物
本発明の任意の実施形態によれば、フィリングクリーム混合物は、1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の添加甘味料と、任意選択で1種類以上の香味料とを含む。フィリングクリームは、好ましくは添加水を含有しない。好ましい実施形態では、フィリングクリーム混合物は水を実質的に含まない。好ましくは、フィリングクリーム混合物は、5重量%未満の水、好ましくは4重量%未満の水、より好ましくは3重量%未満の水、特に2重量%未満の水、最も特に1重量%未満の水を含む。
【0019】
脂肪及び添加脂肪
本発明の文脈内では、本明細書で使用する用語「脂肪」は、食用でもある疎水性材料を意味する。したがって、脂肪は、水と実質的に不混和性であって、且つ、1つ以上の固体脂肪(複数可)、液体油(複数可)及び/又はこれらの任意の好適な混合物(複数可)を含んでもよい食用材料である。用語「固体脂肪」は、規定温度で固体である食用脂肪を意味し、用語「油」又は「液体油」は両方とも(文脈から別途説明のない限り)、規定温度で液体である食用油を意味する。
【0020】
一実施形態では、フィリングクリーム混合物は、20重量%~45重量%、好ましくは30重量%~35重量%、最も好ましくは約33重量%の総脂肪含有量を有する。一実施形態では、フィリングクリーム混合物は、15重量%~40重量%、好ましくは25重量%~35重量%、最も好ましくは28重量%~32重量%の1種類以上の添加脂肪を含む。フィリングクリーム混合物の他の任意成分、例えばチョコレート中に少量の脂肪が存在することに起因して、フィリングクリーム混合物中の脂肪の総量は、添加脂肪の総量と同一でない場合もあることが理解される。
【0021】
一実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、20℃で15g/100g~60g/100g、好ましくは20g/100g~50g/100g、最も好ましくは25g/100g~35g/100gの固体脂肪含有量を有する。
【0022】
一実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、25℃で10g/100g~50g/100g、好ましくは15g/100g~40g/100g、最も好ましくは16g/100g~26g/100gの固体脂肪含有量を有する。
【0023】
一実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、30℃で、5g/100g~30g/100g、好ましくは10g/100g~25g/100g、最も好ましくは10g/100g~18g/100gの固体脂肪含有量を有する。
【0024】
一実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、35℃で、2g/100g~20g/100g、好ましくは4g/100g~15g/100g、最も好ましくは6g/100g~12g/100gの固体脂肪含有量を有する。
【0025】
特に好ましい実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、20℃で上述の固体脂肪含有量、25℃で上述の固体脂肪含有量、30℃で上述の固体脂肪含有量、及び35℃で上述の固体脂肪含有量を有する。
【0026】
1種類以上の添加脂肪の固体脂肪含有量は、ISO 8292-1:2008(「Animal and vegetable fats and oils-Determination of solid fat content by pulsed NMR-Part 1:Direct method」)、測定プロトコル1D、パラレル法によるパルスNMRによって測定される。
【0027】
一実施形態において、1種類以上の添加脂肪は、30g/100g~70g/100gの飽和脂肪酸、好ましくは40~60g/100gの飽和脂肪酸、より好ましくは40g/100g~50g/100g又は40g/100g~45g/100g、最も好ましくは約43g/100gの飽和脂肪酸を含む。一実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、2g/100g未満のトランス脂肪、好ましくは1g/100g未満のトランス脂肪を含む。一実施形態では、1種類以上の添加脂肪はエステル交換されている。一実施形態では、1種類以上の添加脂肪は、パーム油、好ましくはエステル交換されたパーム油からなる。
【0028】
添加甘味料
本発明のフィリングクリーム混合物は、1種類以上の添加甘味料を含む。一実施形態では、1種類以上の添加甘味料は、糖類(好ましくは、スクロース、グルコース(デキストロース一水和物又は無水物)、ガラクトース、ラクトース、マルトース、フルクトース、コーンシロップ、及びポリデキストロースから選択される)、及び/又はポリオール(好ましくは、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール又はエリスリトールから選択される)を含む。
【0029】
一実施形態では、1種類以上の添加甘味料は、単糖類、二糖類、又は多糖類を含む。好ましい単糖類は、フルクトース、グルコース(デキストロース一水和物又は無水物)及び/又はガラクトースを含む。好ましい二糖類は、任意の粒子径の糖(スクロース)(粉糖、上白糖、又はグラニュー糖)、ラクトース及び/又はマルトースを含む。
【0030】
好ましい多糖類としては、任意の好適な供給源(例えばトウモロコシ、小麦、ジャガイモ又は同様の周知の供給源)由来のデンプン;高アミロースデンプン;加水分解デンプン(例えばデキストリン及び/又はマルトデキストリン)、アルファ化デンプン;天然又は加工デンプン;イソマルトース、マルツロース、マンノース、リボース、ガラクトース、トレハロース;デンプン誘導体、例えば20を超えるDEを有するグルコースシロップ、20未満のDEを有するマルトデキストリン;ポリデキストロース;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
一実施形態では、1種類以上の添加甘味料は、好ましくは、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール又はエリスリトールから選択される、ポリオールを含む。
【0032】
好ましくは、1種類以上の添加甘味料は、単糖類又は二糖類を含む。好ましい実施形態では、1種類以上の添加甘味料は、糖(スクロース)を含む。特に好ましい実施形態では、1種類以上の添加甘味料は、糖(スクロース)を含む(comprise)、糖(スクロース)からなる(consist of)、又は糖(スクロース)から本質的になる(consist essentially of)。
【0033】
一実施形態では、混合物は、30重量%~65重量%、好ましくは40重量%~60重量%、最も好ましくは45重量%~60重量%の1種類以上の添加甘味料を含む。
【0034】
他の原材料
一実施形態では、フィリングクリーム混合物は再加工ウエハース(wafer rework)を含む。本明細書で使用される用語「再加工ウエハース」は、ウエハースブックの切断及び加工から最終的な菓子製品へ回収されるウエハース断片又はウェハの切り屑の標準的な意味を有することが理解される。好ましい実施形態では、フィリングクリーム混合物は、3重量%~20重量%の量で、より好ましくは5重量%~15重量%の量で再加工ウエハースを含む。
【0035】
フィリングクリーム混合物は、最終的な菓子製品に望まれる特定の香味に応じて、1種類以上の香味料を任意選択で含んでもよい。このような香味料としては、ココア粉末、チョコレート、クリーム粉末、チーズ粉末、粉乳、塩、マルトデキストリン、脱脂粉乳、フルクリーム粉乳(FCMP)、ホエイ粉末、天然又は合成香味料、及び天然又は人工着色料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
冷却されたフィリングクリーム混合物の調製
食用基材に適用される冷却されたフィリングクリーム混合物を調製する方法は、最初に、初期フィリングクリーム混合物を撹拌し、少なくとも55℃の温度に加熱して、加熱されたフィリングクリーム混合物を用意する工程を含む。好ましくは、混合物は、55℃~80℃、60℃~70℃、62℃~68℃、64℃~66℃、最も好ましくは約65℃の温度に加熱される。この加熱及び撹拌段階は、フィリングクリーム混合物中の脂肪の実質的に完全な融解又は完全な融解を確保することを目的とする。
【0037】
次いで、加熱されたフィリングクリーム混合物を撹拌し、5℃/分未満の冷却速度及び1s-1~250s-1のせん断速度で20℃~45℃の温度に冷却する。従来は、より速い速度で冷却を行い、より高いせん断速度で撹拌した。本発明者らは驚くべきことに、従来の方法と比較して低い冷却速度及び低いせん断速度では、冷却加工中の脂肪結晶化の程度が著しく減少し、ひいては、食用基材(ウエハースシートなど)への適用に適した粘度を有する冷却されたフィリングクリーム混合物がもたらされて、厚いフィリングクリーム層を提供することを見出した。本発明の方法はまた、層間剥離による無駄を有利に低減又は改善することもできる。理論に束縛されるものではないが、せん断速度が低いと、熱交換器の低温表面と接触する脂肪結晶の数が少なくなるので、結晶形成のレベルが低減されると考えられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、加熱されたフィリングクリーム混合物は、30℃~40℃、好ましくは32℃~38℃、より好ましくは34℃~36℃の温度に冷却される。特に好ましい実施形態では、混合物を約35℃の温度まで冷却する。
【0039】
いくつかの実施形態では、せん断速度は、1s-1~200s-1、好ましくは1s-1~100s-1、より好ましくは1s-1~50s-1である。特に好ましい実施形態では、せん断速度は、1s-1~20s-1、1s-1~10s-1、3s-1~7s-1、又は4s-1~6s-1である。最も好ましい実施形態では、せん断速度は約5s-1である。
【0040】
いくつかの実施形態では、加熱された混合物を、第1の熱交換器において中間温度まで冷却し、続けて第2の熱交換器において積層温度まで更に冷却する。このような実施形態では、中間温度は、好ましくは40℃~60℃、より好ましくは45℃~55℃、最も好ましくは約50℃であってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、加熱された混合物は、5℃/分未満、4℃/分未満、好ましくは3℃/分未満、より好ましくは2.5℃/分未満の速度で冷却される。特に好ましい実施形態では、加熱された混合物は、0.5~5℃/分、好ましくは1~3℃/分、より好ましくは1~2.5℃/分で冷却される。
【0042】
冷却されたフィリングクリーム混合物の冷却された温度での粘度は、少なくとも6000cP(1cP=1mPa・s)である。好ましくは、冷却されたフィリングクリーム混合物は、6000cP~15000cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、冷却されたフィリングクリーム混合物は、7000cP~14000cP、7000cP~13000cP、7000cP~12000cP、7000cP~11000cP、8000cP~11000cP、9000cP~11000cPの粘度を有する。特に好ましい実施形態では、冷却されたフィリングクリーム混合物の(すなわち、冷却された温度での)粘度は、約10000cPである。
【0043】
比較例によって示されるように、クリーム粘度が6000cP未満である場合、所望のクリームフィリング高さを達成することは不可能であり、食用基材への適用時にクリームが横に漏れた。15000cPを超えると、クリームが厚くなりすぎて上手く積層できず、加工中に問題(機械の閉塞(blocking)など)を引き起こす。更に、15000cPを超えると、クリームは適切に流動することができなくなり、クリームと食用基材との間の層間剥離を引き起こす。
【0044】
好ましくは、粘度は、PP75/s(サンドブラストされたプローブ)形状を備えたAnton Paar製のPhysica MCR302レオメーター及び次の方法を使用して測定した:試験を開始する前に試料を挿入した時点で、プレートの高さを1mmに減少させた。粘度は次の方法を使用して測定した:試料を第1のインターバルの間、5s-1のせん断速度で開始温度(65℃で30分間)に保持した。せん断速度は、レオメーターによって制御されるパラメータとしてレオメーターに入力される。次のインターバルで、3℃/分の冷却速度で65℃から35℃に試料を冷却した。最後のインターバルで、試料を35℃で5s-1のせん断速度に保持しながら、粘度を測定した。
【0045】
食用基材
用語「食用基材」は、上にフィリングクリーム混合物を適用して層を形成することが可能な、摂食に適した任意の材料を指すことが理解される。
【0046】
好ましい実施形態では、食用基材は焼成食品である。焼成食品は、本明細書で論じられるように少量の糖を含むこともあり、又は場合によってはセイボリーなものであってもよいが、典型的には甘い。好ましい焼成食品は、焼成された穀物食品を含み、これには、シリアル及び/又は豆類を含む食品が含まれる。焼成シリアル食品がより好ましく、最も好ましくは、ウエハース及び/又はビスケットなどの焼成された小麦食品である。特に好ましい実施形態では、焼成食品はウエハースシートである。食用基材がウエハースシートである場合、フィリングクリーム層の厚さは、ウエハースシートのコア間で測定されることが好ましい。
【0047】
ウエハースは、ウエハースのバッターから製造され、サクサク感、脆性(brittle)及び破砕性(fragile)が調和した焼成製品である。ウエハースは薄く、全体の厚さは通常1~4mm未満であり、典型的な製品密度は0.1~0.3g/cm3の範囲である。表面は、ウエハースが焼成されるプレート間の表面形状に沿って正確に形成されてもよい。ウエハースは、多くの場合、片面又は両面にパターンを有する。ウエハースは押出成形により生成されてもよい。基本的な2種類のウエハースが、K.F.Tiefenbacherにより、「Encyclopaedia of Food Science,Food Technology and Nutrition p417~420-Academic Press Ltd London-1993」に記載されている。
【0048】
1)無糖又は低糖のウエハース。完成したビスケットは、スクロース又は他の糖類をゼロ~低含有率で含む。典型的な製品は、平坦で中空のウエハースシート、成形されたコーン形状又は装飾形状である。
【0049】
2)多糖のウエハース。10%を超えるスクロース又は他の糖類は、焼き立てのシートの可塑性に寄与する。焼き立てのシートは、糖の再結晶化が起こる前に、異なる形状に成形され得る。典型的な製品は、成形して巻いたシュガーコーン、巻いたウエハーススティック及び、深絞り形成された(deep-formed)装飾形状である。
【0050】
特に好ましい実施形態では、菓子製品は、2つのウエハース層の間に挟まれたフィリングクリーム層からなる。上述したように、本発明の菓子製品はブックカットされており、すなわち、より大きな製品(すなわちブック)をより小さな複数の断片に切断することによって形成される。好ましい実施形態では、切断されたブックの更なる加工は、断片の各々をチョコレートでエンロービングする工程を含む。
【0051】
菓子製品の積層
本発明によれば、冷却されたフィリングクリーム混合物は、第1の食用基材上に適用されて、少なくとも3.5mmの厚さを有するフィリングクリーム層を形成する。次いで、第2の食用基材をフィリングクリーム層上に配置して、「ブック」、すなわち、2つの食用基材層の間に挟まれたフィリングクリーム層を含む製品(すなわち、S1-FC-S2、ここで、S1及びS2は第1及び第2の基材層であり、FCはフィリングクリーム層である)を形成する。本明細書で使用する場合、用語「ブック」は、各食用基材層の間に挟まれた1つ以上のフィリングクリーム層を有する2つ以上の食用基材層を含んでもよい。このようなブックは、2つの食用基材層及び1つのフィリングクリーム層からなってもよく、又は複数のフィリングクリーム層からなってもよい。例えば、ブックは、2つのフィリングクリーム層(例えば、S1-FC1-S2-FC2、又はS1-FC1-S2-FC2-S3)、3つのフィリングクリーム層(例えば、S1-FC1-S2-FC2-S3-FC3-S4又はS1-FC1-S2-FC2-S3-FC3-S4)、4つのフィリングクリーム層(例えば、S1-FC1-S2-FC2-S3-FC3-S4-FC4又はS1-FC1-S2-FC2-S3-FC3-S4-FC4-S5)、又は4つを超えるフィリングクリーム層を含んでもよい。基材Snは、同じであっても異なっていてもよく(好ましくは同じである)、複数のフィリングクリーム層を使用する場合、各フィリング層は、同じであっても異なっていてもよい(例えば、異なる香味及び/又は異なる厚さ)。複数のフィリングクリーム層を使用する場合、フィリングクリーム層のうちの少なくとも1つは、少なくとも3.5mmの厚さを有することに留意すべきである。いくつかの実施形態では、フィリングクリームの厚さは、3.5mm~15.0mm、3.5mm~12mm、3.5mm~10mm、3.5mm~8mm、3.5mm~6mmであり、他のフィリング層は、より薄くてもよい(例えば、3.5mm未満)。特に好ましい実施形態では、フィリングクリーム層のうちの少なくとも1つは、3.5mm以上(好ましくは3.5mm~5.0mm、より好ましくは3.8mm~4.8mm、特に3.9mm~4.5mm、最も好ましくは4.0mm~4.2mm)の厚さを有し、他のフィリング層は、より薄くてもよい(例えば3.5mm未満)。
【0052】
好ましくは、本発明の菓子製品は、1つ又は2つのフィリングクリーム層、より好ましくは1つのフィリングクリーム層を含む。任意の冷却加工に続いて、ブックは、複数単位の菓子製品に切断される。あるいは、複数単位を任意選択で更に加工して(例えば、チョコレートでエンロービングすることによって)最終的な菓子製品を形成してもよい。
【0053】
ブックを切断する前に冷却する場合、冷却は、5℃~20℃、好ましくは10℃~15℃、最も好ましくは約12℃の温度で行われてもよい。
【0054】
好ましい実施形態では、フィリングクリーム層は、3.8mm~14.0mm、好ましくは3.9mm~13.0mm、好ましくは4.0mm~12mm、好ましくは4mm~10mm、好ましくは4mm~8mm、より好ましくは4mm~6mmの厚さを有する。特に好ましい実施形態では、フィリングクリーム層は、3.5mm~5.0mm、好ましくは3.8mm~4.8mm、好ましくは3.9mm~4.5mm、より好ましくは4.0mm~4.2mmの厚さを有する。特に好ましい実施形態では、フィリングクリーム層は約4.0mmの厚さを有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、更に冷却されたフィリングクリーム混合物を第2の食用基材に適用して第2のフィリングクリーム層を形成する工程と、第3の食用基材を第2のフィリングクリーム層上に配置して多層ブックを形成する工程とを更に含む。これらの2つの工程は、食用基材層の間に挟まれた3つ以上のフィリングクリーム層をもたらすために任意選択で繰り返されてもよい。このようにして、上述した複数のフィリングクリーム層を有する菓子製品を製造することができる。
【0056】
菓子製品
本発明の別の態様では、2つ以上の食用基材層と、食用基材層間の1つ以上のフィリングクリーム層とを含む、ブックカット菓子製品であって、1つ以上のフィリングクリーム層が、1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の糖と、任意選択で1種類以上の香味料とを含み、1つ以上のフィリングクリーム層が、少なくとも3.5mmの厚さを有し、1つ以上のフィリングクリーム層は、上で定義された通りのものである、ブックカット菓子製品を用意する。
【0057】
上記開示から理解されるように、「ブックカット」菓子製品は、上述した1つ以上のフィリングクリーム層と2つ以上の食用基材層とから構成されるブックを切断することによって得られる製品を指す。ブックカット菓子製品は、フィリングクリーム層が食用基材層の縁部まで延在し、実質的に均一な縁部を生成することを特徴とする。
【0058】
食用基材層は、好ましくは焼成食品であり、好ましくはウエハースである。
【0059】
本発明による好ましいブックカット菓子製品は、上述の積層基材及びフィリングクリーム構造を含み、チョコレートでコーティングされている。より好ましくは、本発明によるブックカット菓子製品は、上述の積層ウエハース及びフィリングクリーム構造(好ましくはウエハース・フィリングクリーム・ウエハース構造)を含み、チョコレートでコーティングされている。
【0060】
[実施例]
本発明は、以下の実施例によって更に理解されるであろう。実施例は、本質的に例示であり、本開示の主題を限定するものと理解されるべきではない。
【0061】
異なる香味を有する4通りの異なる初期フィリングクリーム混合物を配合した。原材料を下表1に示す。全ての混合物は33重量%の総脂肪含有量を有していた。
【0062】
【0063】
添加脂肪IV56ieの特性を以下の表2に示す。上記のように、固体脂肪含有量は、ISO 8292-1:2008(「Animal and vegetable fats and oils-Determination of solid fat content by pulsed NMR-Part 1:Direct method」)、測定プロトコル1D、パラレル法によるパルスNMRによって測定される。
【0064】
【0065】
上記フィリングクリーム混合物を、ジャケット付きタンク中で撹拌しながら65℃に加熱した。次に、混合物を第1の熱交換器(T100熱交換器、IBC Technologies)内で1℃/分の冷却速度及び5s-1のせん断速度で50℃の温度まで冷却した。次に、フィリングクリーム混合物を、第2の熱交換器(T450熱交換器、IBC Technologies)内で1℃/分の冷却速度で35℃の温度まで更に冷却した。得られた冷却されたフィリングクリーム混合物は、約10000cPの粘度を有すると測定された。この粘度により、混合物をウエハースシート上へ上手く適用して、約4.0mmの厚さを有するフィリングクリーム層を得ることが可能になった。第2のウエハースシートをフィリングクリーム層の上部に適用してウエハースブックを形成した。ウエハースブックを12℃で22分間冷却し、続いて切断して、従来の方法を使用して達成可能な厚さよりも大きい4.0mmの厚さを有するフィリングクリーム層を有するブックカット菓子製品を用意する。
【0066】
粘度は、PP75/s(サンドブラストされたプローブ)形状を備えたAnton Paar製のPhysica MCR302レオメーター及び次の方法を使用して測定した:試験を開始する前に試料を挿入した時点で、プレートの高さを1mmに減少させた。粘度は次の方法を使用して測定した:試料を第1のインターバルの間、5s-1のせん断速度で開始温度(65℃で30分間)に保持した。せん断速度は、機械によって制御されるパラメータとしてレオメーターに入力される。次のインターバルで、3℃/分の冷却速度で65℃から35℃に試料を冷却した。最後のインターバルで、試料を35℃で5s-1のせん断速度に保持しながら、粘度を測定した。
【0067】
比較例1
表1に従って塩カラメルフィリングを作製した。250s-1を超えるせん断速度で5℃/分より速い速度で冷却した場合、積層時の粘度は5000cP未満であった。この粘度により、クリームは適切な固化が得られないものとなり、フィリングクリーム層の厚さは最小目標高さの3.5mmに満たなかった。
【0068】
比較例2
異なる香味を有する3通りの異なるフィリングクリーム混合物を配合した。原材料を下表3に示す。
【0069】
【0070】
これらのフィリングを45℃に加熱して、加熱されたフィリングクリーム混合物を用意した後、この混合物を45℃の混合ユニットに送った。続いて、前記加熱されたクリーム混合物をウエハースシート上に積層した後、スパイラルクーラーで10℃で15分間冷却し、ブックカットした。得られたウェハブックでは、冷却後のクリームの固化が不十分であることに起因して、過度の層間剥離及びクリームフィリング高さの低下が生じた。したがって、低すぎる初期加熱温度及び非段階的冷却では、不適当な製品が提供される。
【0071】
本発明の様々な態様及び実施形態は、以下の番号付けされた条項を参照することによって更に説明される。
1.フィリングクリーム層を含む菓子製品を調製する方法であって、
(a)1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の添加甘味料と、任意選択で1種類以上の香味料とを含むフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(b)前記混合物を撹拌し、少なくとも55℃の温度に加熱して、加熱されたフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(c)前記加熱された混合物を、5℃/分未満の冷却速度及び1s-1~250s-1のせん断速度で撹拌して、20℃~45℃の温度に冷却し、少なくとも6000cPの粘度を有する冷却されたフィリングクリーム混合物を用意する工程と、
(d)前記冷却されたフィリングクリーム混合物を第1の食用基材上に適用して、少なくとも3.5mmの厚さを有するフィリングクリーム層を形成する工程と、
(e)第2の食用基材を前記フィリングクリーム層上に配置してブックを形成する工程と、
(f)前記ブックを切断して複数の切断された製品を形成し、任意選択で前記切断された製品を加工して菓子製品を形成する工程と、を含む、方法。
2.工程(e)が、
(e-i)前記冷却されたフィリングクリーム混合物を前記第2の食用基材に適用して、第2のフィリングクリーム層を形成する工程と、
(e-ii)第3の食用基材を前記第2のフィリングクリーム層上に配置して、多層ブックを形成する工程と、
(e-iii)任意選択で(e-i)及び(e-ii)を1回以上繰り返す工程と、を更に含む、条項1に記載の方法。
3.前記食用基材が、焼成食品、好ましくはウエハースシートである、条項1又は条項2に記載の方法。
4.工程(f)の前に前記ブックを冷却する工程を更に含む、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.前記ブック又は2つ以上のブックのスタックを冷却することが、5℃~20℃、好ましくは10℃~15℃、最も好ましくは約12℃の温度で行われる、条項1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.前記混合物が、20重量%~45重量%、好ましくは30重量%~35重量%、最も好ましくは約33重量%の総脂肪含有量を有する、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.前記混合物が、15重量%~40重量%、好ましくは25重量%~35重量%、最も好ましくは28重量%~32重量%の前記1種類以上の添加脂肪を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.前記1種類以上の添加脂肪が、20℃で、15g/100g~60g/100g、好ましくは20g/100g~50g/100g、最も好ましくは25g/100g~35g/100gの固体脂肪含有量を有する、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.前記1種類以上の添加脂肪が、25℃で、10g/100g~50g/100g、好ましくは15g/100g~40g/100g、最も好ましくは16g/100g~26g/100gの固体脂肪含有量を有する、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.前記1種類以上の添加脂肪が、30℃で、5g/100g~30g/100g、好ましくは10g/100g~25g/100g、最も好ましくは10g/100g~18g/100gの固体脂肪含有量を有する、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.前記1種類以上の添加脂肪が、35℃で、2g/100g~20g/100g、好ましくは4g/100g~15g/100g、最も好ましくは6g/100g~12g/100gの固体脂肪含有量を有する、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.前記1種類以上の脂肪が、30~70、好ましくは40~60、50~60、特に52~60、最も好ましくは約56のヨウ素価を有する、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
13.前記1種類以上の脂肪が、30g/100g~70g/100gの飽和脂肪酸、好ましくは40g/100g~60g/100g、40g/100g~50g/100g、40g/100g~45g/100gの飽和脂肪酸、最も好ましくは約43g/100gの飽和脂肪酸を含む、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.前記1種類以上の脂肪が、2g/100g未満のトランス脂肪、好ましくは1g/100g未満のトランス脂肪を含む、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.前記1種類以上の脂肪がエステル交換されている、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.前記1種類以上の脂肪がパーム油からなる、条項1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.前記混合物が再加工ウエハースを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.前記混合物が、3重量%~20重量%の量、好ましくは5重量%~15重量%の量の再加工ウエハースを含む、条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
19.前記混合物がココア粉末を含む、条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
20.前記混合物が実質的に水を含まない、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
21.前記混合物が、30重量%~65重量%、好ましくは40重量%~60重量%、最も好ましくは45重量%~60重量%の1種類以上の甘味料を含む、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
22.前記1種類以上の添加甘味料が、糖類(好ましくは、スクロース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、フルクトース、コーンシロップ、及びポリデキストロースから選択される)、及び/又はポリオール(好ましくは、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール又はエリスリトールから選択される)を含む、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
22.前記1種類以上の添加甘味料が、好ましくはスクロース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、及びフルクトースから選択され、最も好ましくはスクロースである、単糖類及び二糖類を含む、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
23.前記1種類以上の添加甘味料がスクロースからなる、条項1~22のいずれか一項に記載の方法。
24.前記加熱された混合物を撹拌及び冷却することが、1s-1~200s-1、好ましくは1s-1~100s-1、最も好ましくは1s-1~50s-1のせん断速度で行われる、条項1~23のいずれか一項に記載の方法。
25.前記混合物が、60℃~70℃、好ましくは63℃~68℃、より好ましくは約65℃の温度に加熱される、条項1~24のいずれか一項に記載の方法。
26.前記冷却速度が、5.0℃/分未満、好ましくは4℃/分未満、最も好ましくは3℃/分未満である、又は前記冷却速度が、0.5℃/分~4.5℃/分、好ましくは1℃/分~3.5℃/分、より好ましくは1℃/分~3℃/分、又は1℃/分~2.5℃/分、又は1℃/分~2℃/分である、
条項1~25のいずれか一項に記載の方法。
27.前記冷却速度が約1.0℃/分である、条項1~26のいずれか一項に記載の方法。
28.前記せん断速度が、1s-1~20s-1、好ましくは1s-1~10s-1、最も好ましくは約5s-1である、条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
29.前記加熱された混合物を、第1の熱交換器において中間温度まで冷却し、続けて第2の熱交換器において積層温度まで更に冷却する、条項1~28のいずれか一項に記載の方法。
30.前記中間温度が、40℃~60℃、好ましくは45℃~55℃、最も好ましくは約50℃である、条項1~29のいずれか一項に記載の方法。
31.前記冷却された混合物が、6000cP~15000cP、好ましくは9000cP~11000cPの粘度を有する、条項1~30のいずれか一項に記載の方法。
32.前記冷却された混合物が約10000cPの粘度を有する、条項1~31のいずれか一項に記載の方法。
33.前記加熱された混合物が、30℃~40℃、好ましくは32℃~38℃、最も好ましくは34℃~36℃の温度に冷却される、条項1~32のいずれか一項に記載の方法。
34.前記加熱された混合物が、約35℃の温度に冷却される、条項1~33のいずれか一項に記載の方法。
35.前記フィリングクリーム層(複数可)が、3.8mm~4.5mm、好ましくは3.9mm~4.5mm、より好ましくは4.0~4.5mmの厚さを有する、条項1~34のいずれか一項に記載の方法。
36.前記フィリングクリーム層(複数可)が、4.0~4.2mm、好ましくは約4.0mmの厚さを有する、条項1~35のいずれか一項に記載の方法。
37.前記菓子製品が、2つのウエハース層の間に挟まれたフィリングクリーム層からなる、条項1~36のいずれか一項に記載の方法。
38.工程(g)が、前記切断された食用基材をチョコレートでエンロービングする工程を含む、条項1~37のいずれか一項に記載の方法。
39.条項1~38のいずれか一項に記載の方法によって製造される菓子製品。
40.2つ以上の食用基材層と、食用基材層間の1つ以上のフィリングクリーム層とを含むブックカット菓子製品であって、
前記1つ以上のフィリングクリーム層が、1種類以上の添加脂肪と、1種類以上の糖と、任意選択で1種類以上の香味料とを含み、
前記1つ以上のフィリングクリーム層が、3.5mmより大きい厚さを有し、
前記1つ以上のフィリングクリーム層が、条項6~23のいずれか一項に定義される通りのものである、ブックカット菓子製品。
41.前記1つ以上の食用基材層が、焼成食品、好ましくはウエハースシートである、条項40に記載の菓子製品。
42.前記フィリングクリーム層のうちの1つ以上が、3.8mm~4.5mm、好ましくは3.9mm~4.5mm、より好ましくは4.0~4.5mmの厚さを有する、条項40又は条項41に記載の菓子製品。
43.前記フィリングクリーム層の1つ以上が、4.0~4.2mm、好ましくは約4.0mmの厚さを有する、条項40、41又は42のいずれか一項に記載の菓子製品。
44.前記菓子製品が、2つのウエハース層の間に挟まれたフィリングクリーム層からなる、条項40、41又は42のいずれか一項に記載の菓子製品。
45.前記菓子製品が、2つのウエハース層の間に挟まれた、条項6~23のいずれか一項に記載のフィリングクリーム層を含み、前記菓子製品が好ましくはチョコレートコーティングされている、条項40、41、又は42のいずれか一項に記載の菓子製品。
【国際調査報告】