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特表2024-529768時計ムーブメントのための太陰太陽暦表示機構、対応する時計ムーブメント、および対応する時計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】時計ムーブメントのための太陰太陽暦表示機構、対応する時計ムーブメント、および対応する時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/253 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G04B19/253
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510669
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072873
(87)【国際公開番号】W WO2023030876
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21193849.3
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519174827
【氏名又は名称】ノゲラー エスアー
【氏名又は名称原語表記】NOGERAH SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ジェーン マーク ウィーデレクト
(72)【発明者】
【氏名】マキシミリアン ディ ブラシ
(72)【発明者】
【氏名】ガイ ドゥボワ フェリエール
(72)【発明者】
【氏名】ローレント ウィーデレクト
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ルイス
(57)【要約】
本発明は、時計ムーブメントのための暦表示機構(2)に関する。暦表示機構(2)は、毎月の終わりに月歯車(62)を作動させることを意図された日歯車(50)を備える。月歯車(62)は、年カム(72)を備える。年カム(72)は、それぞれが特定の年に関連付けられるn個の一連の目盛りを有する。各一連の目盛りは、関連する年の月数に対応するm個の目盛りを有する。表示機構は、回転型月レバー(76)を備える。回転型月レバー(76)は、月レバー(76)の角度方向を定義するために、年カム(72)と接触して保持される月フィーラースピンドル(78)を支承する。さらに前述のレバーは、月表示歯車と運動学的に接続し、それにレトログラード運動をさせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメントのための暦表示機構(2)であって、
日モバイル(50)であって、日表示部材(10;202)の動きを制御し、長い月の間に最大日数pで完全に1回転を完了できることを意図された、日モバイル(50)と、
前記日モバイル(50)を作動させる機構であって、後者を毎日少なくとも1ステップ回転させるように配置された、機構と、
月モバイル(62)であって、前記日モバイル(50)が完全に回転するたびに後者によって作動されるように配置された、月モバイル(62)と、
短い月のための修正装置であって、前記月モバイル(62)によって担持された月カム(64)を含み、それぞれがn年のサイクルにおける所与の月に関連付けられる複数の周辺セクタを含み、nは1より大きく、前記周辺セクタのそれぞれの平均半径は関連する月の長さに応じており、前記日モバイル(50)を作動させる前記機構は、前記月カム(64)と相互作用し、p未満の日数からなるそれぞれの短い月の終わりに、少なくとも1つの追加のステップによって、前記日モバイル(50)の作動を可能にするように配置されている、暦表示機構(2)において、
前記月モバイル(62)は年カム(72)を担持し、前記年カム(72)は、前記月カム(64)上にインデックス付けされ、それぞれが所与の年に関連付けられるn個の一連のステップを含み、各一連のステップは、関連する年の月数に対応するm個のステップを備え、
前記表示機構は、回転型月レバー(76)を含み、前記回転型月レバー(76)は、前記回転型月レバー(76)の角度方向を定義するために、前記年カム(72)と接触して保持される月フィーラースピンドル(78)を担持し、さらに前記回転型月レバー(76)は、月表示モバイルと運動学的に接続し、それをレトログラード運動で駆動する、ことを特徴とする、暦表示機構(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の表示機構(2)において、前記月レバー(76)および前記月表示モバイルは、所与の年を通じて月を表示するために、後者が40度と360度との間からなる角度で相互に分離された初期方向から最終方向まで旋回するように、形成されて相互に運動学的に接続され、
前記表示機構(2)は、弾性戻し部材(88)を含み、前記弾性戻し部材(88)は、前記月レバー(76)に作用して前記月フィーラースピンドル(78)を前記年カム(72)に対して保持し、前記月表示モバイルを年末にその最終方向からその初期方向に移動させるように配置されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示機構(2)において、前記日モバイル(50)は、スパイラル形の日カム(216)を含み、前記表示機構は、前記日カム(216)と協働するように配置された日フィーラースピンドル(218)を有する日表示レバー(220)を含み、また、前記日表示部材(202)を担持するように意図された日表示モバイル(214)と運動学的に接続することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の表示機構(2)において、前記年カム(72)の前記n個の一連のステップの少なくとも1つは、12とは異なるm個のステップを備えることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項5】
請求項4に記載の表示機構(2)において、前記n年の少なくとも1つが、12の基本の月に加えて少なくとも1つの閏月を含むとき、対応する前記一連のステップにおいて、少なくとも2つのステップは、他のステップの高さと比べて低減された高さを有し、好適には、閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連付けられるステップは、それぞれ、対応する前記一連のステップの他のステップの高さと比べて低減された高さを有することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の表示機構(2)において、前記月モバイル(62)は、少なくとも1つの固定された表示に関連して現行の年に関する情報を表示する部材(26)を担持するように意図されたシャフトを備えることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の表示機構(2)において、前記月レバー(76)はビーク(106)を含み、前記ビーク(106)は、年駆動モバイル(108)と協働し、前記月フィーラースピンドル(78)がある一連のステップから次の一連のステップに動くときに、年末にそれを1ステップ旋回させるように配置され、前記年駆動モバイル(108)は、少なくとも1つの固定されたマーカーに関連して現行の年に関する情報を表示する少なくとも1つの部材(100)を駆動するように意図されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項8】
請求項4、5、および7の何れか一項に記載の表示機構(2)において、中国暦を表示するように意図されているとき、前記年駆動モバイル(108)は、スパイラル形で完全な一回転にわたって12のセクションを有する十二支カム(234)を含み、前記表示機構は十二支レバー(236)を含み、十二支フィーラースピンドル(238)を有する前記十二支レバー(236)は、前記十二支カム(234)と協働するように配置され、十二支表示モバイルと運動学的に接続され、前記十二支表示モバイルは、十二支表示部材(226)の動きを制御するように意図されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項9】
請求項4、5および7の何れか一項に記載の表示機構(2)において、中国暦を表示するように意図されているとき、または請求項8に記載の表示機構(2)において、前記年駆動モバイル(108)は十干カム(240)を含み、前記十干カム(240)は、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクションを有し、前記セクションは、10の異なるセクションの形状であり、そのうちの2つは、2つの追加のセクションを構成するために複製され、前記表示機構は、十干レバー(242)を含み、十干フィーラースピンドル(244)を有する前記十干レバー(242)は、前記十干カム(240)と協働するように配置され、十干表示モバイルと運動学的に接続され、前記十干表示モバイルは、十干表示部材(230)の動きを制御するように意図されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の表示機構(2)であって、月が29日または30日ある太陰暦または太陰太陽暦を表示するように意図されているとき、
前記日モバイル(50)を作動させる前記機構は、日レバー(54)を含み、前記日レバー(54)は、1日に1回作動されて休止位置から作動位置に旋回し、前記作動位置において、前記日レバー(54)が担持する作動ビーク(70)を介して前記日モバイル(50)の30歯車(56)上に作用し、後者を少なくとも1ステップ進ませ、
前記日レバー(54)は日フィーラースピンドル(66)をみ、前記日フィーラースピンドル(66)は、前記月カム(64)と協働して、現行の月の長さに応じて2つの可能な休止位置の間でその休止位置を定義するように配置され、
前記30歯車(56)は、実質的に同じ長さの29の歯と、30番目の歯(68)と、を有し、前記30番目の歯(68)は、他の歯より長く、30日ある月の30日に、前記作動ビーク(70)が届く範囲内に位置されるように意図され、
前記月カム(64)、前記日レバー(54)、および前記30歯車(56)は、互いに対して形状決め、および位置決めされ、その結果、前記作動ビーク(70)は、29日ある月の29日になるとすぐに前記30番目の歯(68)に作用することができて、前記日レバー(54)がその休止位置からその作動位置に移動するときに、前記日モバイル(50)を2ステップ進めることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項11】
請求項10に記載の表示機構(2)おいて、前記表示機構(2)は、月の長さを表示するモバイルを含み、前記月の長さを表示するモバイルは、月の長さを表示する表示部材(30)の位置を制御するように意図されて、前記日レバー(54)と協働し、その結果、現行の月の長さに応じて2つの異なる位置を占めることができることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の表示機構(2)において、前記表示機構(2)は、24時間歯車(40)を含み、前記24時間歯車(40)は、年次表示モバイル(300)と運動学的に接続され、前記年次表示モバイル(300)は、年次表示部材(502)の動きを制御するように意図されており、その結果、後者が1年で完全に1回転することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の表示機構(2)において、12年にわたって中国暦を表示することが意図されているとき、
前記月モバイル(62)は駆動歯車を含み、前記駆動歯車は、前記日モバイル(50)から月に1回駆動されるように意図されて、149の歯を有し、
前記月カム(64)は149の周辺セクタを有し、
前記年カム(72)は、12個の一連のステップで合計149のステップを有することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の暦表示機構(2)を含む時計ムーブメント。
【請求項15】
請求項1~13の何れか一項に記載の暦表示機構(2)を含む時計。
【請求項16】
請求項5に記載の暦表示機構(2)を含む、請求項15に記載の時計において、月ごとに所定の長さである表示セクタに位置する3つの可能なインジケータ一位置を有する月目盛り(208)の前に移動されるように配置された月表示部材(202)を含み、前記3つの可能なインジケータ一位置は、閏月が関連付けられていない月を表示するための中央位置と、閏月が関連付けられている月および対応する閏月をそれぞれ表示するための、前記中央位置のそれぞれの両側の上の2つの追加の位置であることを特徴とする、時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ムーブメントのための暦表示機構に関する。この暦表示機構は、以下を含む。すなわち、
日モバイルであって、日表示部材の動きを制御し、長い月の間に最大日数pで完全に1回転を完了できることを意図された、日モバイル。
前述の日モバイルを作動させる機構であって、後者を毎日少なくとも1ステップ回転させるように配置された、機構。
月モバイルであって、前述の日モバイルが完全に回転するたびに前述の日モバイルによって作動されるように配置された、月モバイル。
短い月のための修正装置であって、前述の月モバイルによって担持された月カムを含み、それぞれがn年のサイクルにおける所与の月に関連付けられる複数の周辺セクタを含む、修正装置。この場合、nは1より大きく、前述の周辺セクタのそれぞれの平均半径は関連する月の長さに応じる。前述の日モバイルを作動させる前述の機構は、前述の月カムと相互作用し、p未満の日数からなるそれぞれの短い月の終わりに、少なくとも1つの追加のステップによって、前述の日モバイルの作動を可能にするように配置されている。
【従来技術】
【0002】
上述の種類の表示機構は、特に太陽暦であるグレゴリオ暦に関連して、当該技術分野において長い間よく知られている。
【0003】
したがって、たとえば、31日の長い月と30日以下の短い月とを区別する年次機構として知られるグレゴリオ暦の、日表示機構が既知である。メモリデバイスは、短い月と長い月との間の規則的な交替を管理し、日インジケータを、短い月の30番目から直接、翌月の最初に移動させる。2月には、28日または29日から3月1日までの変化を手作業で修正する必要がある。
【0004】
また、永久機構として知られるグレゴリオ暦の表示機構も知られている。この機構では、2月だけでなく、閏年も考慮される。この種の機構は、理論的には、手動による修正を必要とせず、すなわち閏年を除く必要があるまで、100年近く機能することができる。
【0005】
EP3026504B1には、永久グレゴリオ暦表示機構の例が記載されている。このタイプの機構における標準的なアプローチは、上述の特許に示されているように、「48カム」を含む月モバイルを使用する。すなわち、このカムは、それぞれが4年の「閏(bissextile)」サイクルにおける所与の月に関連付けられる48の周辺セクタであって、その平均半径は対応する月の長さに応じた周辺セクタを有する。日表示モバイルを1日に1回作動させる日レバーは、48カムと協働し、31日未満からなる月の終わりに、日表示モバイルを少なくとも1つの追加ステップだけ進める。表示モバイルは、他の歯より長い1つの歯を含む。この歯は、月モバイルの歯と協働して、日表示モバイルが完全に1回転するたびに1ステップ進み、したがって日レバーに面する翌月に対応する新たな周辺セクタに位置することを意図されている。さらに、月モバイルの歯も、月表示針を担持する月表示モバイルと協働して、年に一度完全に1回転する。
【0006】
これらの従来技術の機構は、一般に、ユダヤ暦、中国暦、日本暦、ベトナム暦、または韓国暦などの太陰太陽暦を表示するのには適していない。なぜなら、後者は、年に応じた月の変数の月数および日数を含むためである。また、グレゴリオ暦の表示機構のようなメモリデバイスを使用するアプローチは、太陰太陽暦を表示するには適していないように思われる。
【0007】
グレゴリオ暦に関連して定義される「永久的」というコンセプトに可及的に近似する試みにおいて、特にイスラム暦または中国暦を表示するために、様々な解決策が既に提案されている。
【0008】
特に、太陰太陽型である中国暦は、周期性がなく、したがって時計機構を用いて真に永久的な態様で表示することが不可能であることに留意されたい。実際、中国暦の(太陰)月は、29日または30日を含む。しかしながら、対応する交代は正確な規則に従っていない。年は、多様な月数で構成される。中国暦の太陽年との互換性を維持するために、閏(または塞栓的な(embolismique))月が特定の年の2ヶ月の間に挿入されるが、これは必ずしも年の同じ時期である必要はない。さらに、中国暦は、異なる周期性を有する多様な追加情報を組み込んでいる。特に、これらの種類の情報の第一のものは、10個の十干である。十干は、毎年互いに連続しており、したがって10年の期間を定義する。これらの種類の情報のもう1つは、十二支(チャイニーズゾディアックサインとして、より知られている)である。これらは、12個あり、1年のリズムで互いに連続し、したがって12年の期間を定義する。したがって、これらの種類の情報の完全な更新は、60進周期、つまり60(中国)年の期間にわたって行われる。
【0009】
中国暦を表示するためのいくつかの機構が提案されている。これらは、非常に複雑な構成を有し、人間の介入の頻度の制限を可能にして、正しい表示を長期間維持する。一方、中程度に複雑である構成では、表示される情報が正確な暦に比べてずれることになる。
【0010】
これらの複雑な構成に対抗する別のアプローチは、EP1739508B1に記載されている。したがって、上述の特許に開示されている中国暦を表示するための(その表示が簡略化されている)機構では、複雑さは限定されているが、その代償として、ユーザが月の期間および閏月の有無を手動で入力する介入の頻度が高い。その結果、この機構のユーザは、毎月、中国暦の日付を示す表を参照して、その機構を適切な方法で調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP3026504B1
【特許文献2】EP1739508B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、特に月表示モバイルの駆動に関して、既知の表示機構の構成に対して代替的な構成の、暦表示機構を提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、この代替的な構成を利用して、特に中国暦またはヘブライ暦の場合のように、年ごとに月数が変化できる暦表示機構を作成することである。
【0014】
この目的のために、本発明は、より具体的には、以下を特徴とする上述の種類の暦表示機構に関する。
年カムを担持する月モバイルであって、年カムは、月カム上にインデックス付けされ、それぞれが所与の年に関連付けられるn個の一連のステップを含み、各一連のステップは、関連する年の月数に対応するm個のステップを備える。
表示機構は、回転型月レバーを含み、回転型月レバーは、回転型月レバーの角度方向を定義するために、年カムと接触して保持される月フィーラースピンドルを担持する。さらに回転型月レバーは、月表示モバイルと運動学的に接続し、それをレトログラード運動で駆動する。
【0015】
これらの特徴のおかげで、製造業者は、月表示モバイルを設置する際に、以前の構成より高い柔軟性を有する。後者を、月モバイルから離して位置させることができる。
【0016】
好適な実施形態によれば、
月レバーおよび月表示モバイルは、所与の年を通じて月を表示するために、月表示モバイルが40度と360度との間からなる角度で相互に分離された初期方向から最終方向まで旋回するように、形成されて相互に運動学的に接続されている。
表示機構は弾性戻し部材を含むことができる。弾性戻し部材は、月レバーに作用して月フィーラースピンドルを年カムに対して保持し、月表示モバイルを年末にその最終方向からその初期方向に移動させるように配置されている。
【0017】
したがって、構成に影響を与えることなく、完全な1回転にわたって、またはセクタにわたって、月の表示を選択することが可能である。
【0018】
好適な変形実施形態によれば、日モバイルは、スパイラル形の日カムを含む。表示機構は、日カムと協働するように配置された日フィーラースピンドルを有する日表示レバーを含み、日表示部材を担持するように意図された日表示モバイルと運動学的に接続する。
【0019】
上述したように、一般に、まさに上で記載された特徴を利用して、年ごとに可変の月数を備える年における暦表示機構を得ることができる。また、好適な実施形態によれば、年カムのn個の一連のステップの少なくとも1つは、12とは異なるm個のステップを含むことができる。
【0020】
この場合、n年の少なくとも1つが、12の基本の月に加えて少なくとも1つの閏月を含むとき、対応する一連のステップにおいて、少なくとも2つのステップは、他のステップの高さに比べて低減された高さを有する。閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連づけられるステップは、それぞれ、対応する一連のステップの他のステップの高さに比べて低減された高さを有する。この場合、このような種類の表示機構を含む時計を実現するためには、この時計が、有利には、月ごとに所定の長さである表示セクタに位置する3つの可能なインジケータ位置を有する月目盛りの前に移動するように配置された月表示部材を含むことができる。すなわち、閏月が関連付けられていない月を表示するための中央位置と、閏月が関連付けられている月および対応する閏月をそれぞれ表示するための、中央位置のそれぞれの両側の上の2つの追加の位置である。
【0021】
一般に、月モバイルは、少なくとも1つの固定された表示に関連して現行の年に関する情報を表示する部材を担持するように意図されたシャフトを含むことができる。
【0022】
代替的または追加的に、月レバーはビークを含むことができる。ビークは、年駆動モバイルと協働し、月フィーラースピンドルがある一連のステップから次の一連のステップに動くときに、年末に年駆動モバイルを1ステップ旋回させるように配置されている。年駆動モバイルは、少なくとも1つの固定されたマーカーに関連して現行の年に関する情報を表示する少なくとも1つの部材を駆動するように意図されている。
【0023】
この場合、年カムのn個の一連のステップの少なくとも1つが、中国暦を表示するために12以外のm個のステップを含むとき、年駆動モバイルは、スパイラル形で完全な1回転にわたって12のセクションを有する十二支カムを含むことができる。表示機構は十二支レバーを含む。十二支フィーラースピンドルを有する十二支レバーは、十二支カムと協働するように配置され、十二支表示モバイルと運動学的に接続される。十二支表示モバイルは、十二支表示部材の動きを制御するように意図されている。
【0024】
代替的または追加的に、年カムのn個の一連のステップの少なくとも1つが、中国暦を表示するために12以外のm個のステップを含むとき、年駆動モバイルは十干カムを含むことができる。十干カムは、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクション(10年サイクルのための10の異なるセクションの形状であり、そのうちの2つは、次の10年のサイクルの最初の2年のための2つの追加のセクションを構成するために複製される)を有する。表示機構は十干レバーを含む。十干フィーラースピンドルを有する十干レバーは、十干カムと協働するように配置され、十干表示モバイルと運動学的に接続される。十干表示モバイルは、十干表示部材の動きを制御するように意図されている。
【0025】
一般に、表示機構が、月が29日または30日ある太陰暦または太陰太陽暦を表示するように意図されているとき、以下となる。
日モバイルを作動させる機構は日レバーを含むことができる。日レバーは、1日に1回作動されて休止位置から作動位置に旋回し、作動位置において、日レバーが担持する作動ビークを介して日モバイルの30歯車上に作用し、日モバイルを少なくとも1ステップ進ませる。
日レバーは日フィーラースピンドルを含むことができる。日フィーラースピンドルは、月カムと協働して、現行の月の長さに応じて2つの可能な休止位置の間でその休止位置を定義するように配置されている。
30歯車は、実質的に同じ長さの29の歯と、30番目の歯と、を有することができる。30番目の歯は、他の歯より長く、30日ある月の30日に、作動ビークが届く範囲内に位置されるように意図されている。
月カム、日レバー、および30歯車は、互いに対して形状決め、および位置決めすることができる。その結果、作動ビークは、29日ある月の29日になるとすぐに30番目の歯に作用することができて、日レバーがその休止位置からその作動位置に移動するときに、日モバイルを2ステップ進める。
【0026】
この場合、表示機構は、月の長さを表示するモバイルを含むことができる。月の長さを表示するモバイルは、月の長さを表示する部材の位置を制御するように意図されて、日レバーと協働し、その結果、現行の月の長さに応じて2つの異なる位置を占めることができる。
【0027】
一般に、表示機構は24時間歯車を含むことができる。24時間歯車は、年次表示モバイルと運動学的に接続される。年次表示モバイルは、年次表示部材の動きを制御するように意図されており、その結果、年次表示部材が1年で完全に1回転する。
【0028】
さらに、本発明は、まさに上で記載された特徴のいくつかまたはすべてを有する表示機構を含む時計ムーブメント、およびそのような種類の表示機構を含む時計に関する。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として提供される添付の図面を参照しながら以下の実施形態の詳細な説明を読むことで、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好適な第1実施形態による表示機構の使用を示す、時計文字盤の簡略化された正面図である。
図2図1に示される表示に対応する、表示機構の一実施形態の簡略化された正面図である。
図3図2に示される表示機構の第1変形実施形態の簡略化された正面図である。
図4図2の表示機構の第2変形実施形態による、表示機構に関連付けられた時計文字盤の簡略化された正面図である。
図5】第2変形実施形態による表示機構の簡略化された正面図である。
図6図2に示される表示機構の第3変形実施形態の簡略化された正面図である。
図7】本発明の好適な第2実施形態による表示機構の使用を示す、時計文字盤の簡略化された正面図である。
図8】追加の変形実施形態による、時計文字盤の簡略化された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の好適な第1実施形態による表示機構(図2の参照番号2)を示す時計の文字盤1の簡略された正面図を表す。
【0032】
本発明の範囲から逸脱することなく、表示機構2は、適切な時計キャリバーに組み込まれた機構、または既存のベースの時計キャリバーに追加された機構であってもよい。
【0033】
非限定的な例として、文字盤1および対応する表示機構2は、太陰太陽型の暦である中国暦に関する情報を表示するために、腕時計に使用されることが意図されている。より正確には、表示機構2は、12年のサイクルにわたってこの情報の表示を可能にするように意図されており、以下の説明においてより明確に示されるように、サイクルの持続期間中、ユーザはわずかな修正さえ行うことを必要としない。
【0034】
もちろん、本発明は、例として言及されたサイクルの期間に限定されるものではなく、本発明の実施に実質的な影響を与えることなく、4年または6年のサイクルを使用することができる。また、本発明は、腕時計における使用にも限定されない。なぜならば、本教示に基づいて、他のタイプの時計を製造できるためである。したがって、たとえば、時計の時計ムーブメントのために利用可能な体積を増加させると、ユーザがサイクルの持続期間中、わずかな修正さえ行う必要なく、60年にわたって中国暦を表示するためのメカニズムの製造が可能である。
【0035】
中国の暦のすべての詳細には触れないが、中国暦の月は29日または30日であること、特定の年には12の基本の月に加えて閏月が含まれることを覚えておく必要がある。これらの閏月の発生も年ごとに変化するため、グレゴリオ暦に関連して既知の意味での永久機構を使用することは、不可能になる。
【0036】
文字盤1に関連付けられた表示機構2は、一般的に、ここでは非限定的な説明を目的として中心である現在時刻表示針4、6の動きを、グレゴリオ暦の日表示針8の動きと共に制御するように意図された時計ムーブメントと関連付けることができる。後者が、単数、年次、永久、または世俗的であるかどうかには無関係である。
【0037】
文字盤1に関連付けられた表示機構2の第1実施形態によれば、文字盤1は、特に、以下の中国暦の基本情報を表示することを意図することができる。
適切な日目盛り12の前に移動する日表示針10による、中国(太陰)の日。
1つまたは複数の適切な窓または開口部16の下を移動する月ディスク14による、ムーンフェイズ。
適切な月目盛り20の上を移動する月表示針18による、中国の月。
24時間目盛り24にわたって移動する24時間表示針22を用いた24時間にわたる時間。ならびに、12の中国の時間を示すスケールとの同時の協働による、同じ24時間表示針22を用いた中国の2倍時間。
12年周期にわたる中国の各年のための、グレゴリオ暦にしたがう中国の新年の日付、1つある場合の閏月の番号、および年カウンタ28において移動する年表示針26による十二支のサイン。
文字盤1の開口部32を通して部分的に見える、月の長さを表示する表示部材30による、29日または30日の、中国の月の長さ。
【0038】
非限定的な例として、ここでは、日の表示は、360度にわたって延びる円形の日目盛り12を使用する。
【0039】
年カウンタ28は、12のセクタに分割されている。それぞれのセクタは、中国の年に対応し、追加情報を有することができる。たとえばこの場合、年カウンタ28は、その周囲に、対応する12年のサイクルの各年のための中国の新年の表示を有する。さらに、ここでの年カウンタ28は、その年に閏月が1つあるときの、閏月34の表示を含む。したがって、2023年1月22日に始まる中国の年は、その年の第2月の後に閏月を含む。年カウンタ28は、たとえば、各セクタにおいて対応する動物の描写による十二支またはチャイニーズゾディアックのサインを示すために使用することもできる。
【0040】
最後に、この場合、月目盛り20は、12の連続するセクタを示す。各セクタは、所与の月の番号に関連付けられており、月表示針18によって指定されることを意図された対応する表示を有する。さらに、各セクタは、2つの点21も含む。これらは、対応する表示の前そして後に月表示針18を適切に位置させることによって、所与の月と、そしてある場合には対応する閏月と、を表示可能とすることを意図している。
【0041】
もちろん、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、月目盛りの代替的な配置も可能である。非限定的な例として、代替的に、月目盛り20は、年の12の基本の月に対応する12の表示を示してもよい。これらの表示は、点によって互いに分離される。点によって、閏月がある場合に閏月を表示するために、月表示針18を連続する表示の間で中間に位置させることができる。
【0042】
これらの多様な表示部材の動きの制御を可能にする表示機構2について、図2に関連して説明する。
【0043】
表示機構2は、24時間歯車40を含む。24時間歯車40は、時歯車42によって中間歯車44を介して回転駆動され、24時間で1回転する。
【0044】
24時間歯車40は、別の中間歯車48を介して24時間モバイル46を駆動する。その結果、24時間モバイル46が、ひいてはそれが担持する24時表示針22が、24時間で完全に1回転する。
【0045】
表示機構2は、ここでは日表示針10を直接に担持する日モバイル50と、適切な作動機構とを含む。この作動機構は、特に、作動フィンガ52を含む。作動フィンガ52は、24時間歯車40によって担持され、日レバー54上で毎日1回作動するように配置されている。日レバー54自体は、休止位置と作動位置と間で旋回するように配置されている。日レバー54は、作動位置において、日モバイル50の30歯車56の歯と協働可能であり、日モバイル50を作動ごとに少なくとも1ステップ回転させる。
【0046】
日モバイル50は、モバイル50が完全に1回転するごとに月減速歯車セット60を駆動するように配置された月作動フィンガ58を担持する。
【0047】
月作動フィンガ58は、修正動作の間の安全対策として、モバイル50に対して一定の範囲にわたって移動可能である。
【0048】
月減速歯車セット60は、149の歯を有する歯部を介して月モバイル62と相互に係合される。その結果、月モバイル62は、中国の月ごとに1ステップ進み、149の中国の月で、すなわち、現行のサイクルが149の中国の月を含むときに12の中国の年で、または現行のサイクルが148のみの中国の月を含むときに12の中国の年および1つの追加の中国の月で、1回転する。
【0049】
ここで月モバイル62は、年表示針26が中国の毎月の終わりに1ステップ進むように、年表示針26を担持する。
【0050】
月モバイル62はまた、実質的に同じ長さの149の周辺セクタを備える月カム64を担持する。周辺セクタのそれぞれは、現行の12進周期における所与の中国の月に関連付けられ、その平均半径は対応する中国の月の長さに応じる。したがって、中国暦の場合、周辺セクタは2つの異なる平均半径のみを有することができる。1つは、29日ある中国の月に関連付けられた短い半径である。また1つは、30日ある中国の月に関連付けられた長い半径である。
【0051】
日レバー54は、現行の月の長さに応じて、2つの可能な休止位置の間でその休止位置を定義するように、月カム64と協働するよう配置された日フィーラースピンドル66を含む。実際には、月カム64の短い半径のセクタは、日フィーラースピンドル66とのより良好な協働の精度を保証するために、長い半径のセクタの長さより、わずかに大きい長さを有することに留意されたい。
【0052】
図2に示される構成では、日フィーラースピンドル66は、29日の中国の月に対応する短い平均半径の月カム64のセクタに当接している。30日ある月に関連する他の休止位置に移動するには、日レバー54が、図2における反時計回りの方向にわずかに旋回しなければならない。
【0053】
さらに、30歯車56の30の歯のうち、29の歯は、実質的に同じ長さである。そして、30番目の歯68は、他の歯より長く、30日ある月の30日に、日レバー54の作動ビーク70が届く範囲内に位置されるように意図されている。
【0054】
月カム64、日レバー54、および30歯車56は、互いに対して形状決め、および位置決めされている。その結果、日レバー54の作動ビーク70は、29日ある月の29日になるとすぐに30番目の歯68に作用することができて、前述の日レバー54が休止位置から作動位置に移動するときに、日モバイル50を2ステップ進める。実際には、中国の月が29日を含む場合、日レバー24の作動ビーク70は、日レバー54の休止位置において、30番目歯車56から更に離れている。したがって、日レバー54が、その作動位置に向かって動かされるとき、30日ある中国の月の場合より長い移動距離を有する。したがって、中国の日付表示は、ある月の29日から翌月の1日まで直接に動くこができる。
【0055】
好適には、作動ビーク70は格納可能であることに留意されたい。したがって、作動ビーク70は、30日ある中国の月の間に、30歯車56が29日から30日に動くよう作動した後に、より長い歯68の後ろにいくことができる。歯68は、その後に、次の日付の変更時に駆動される位置に位置する。
【0056】
月モバイル62はまた、年カム72を担持する。年カム72は、月カム64上にインデックス付けされ、それぞれが所与の中国の年に関連付けられる同数の一連のステップを定義する12のブランチ74を含む。各一連のステップは、関連する中国の年の月数に対応する数のステップを備える。
【0057】
したがって、閏月を含まない中国の年に関連付けられるブランチ74は、12のステップを備える一連のステップを担持する。一方、閏月を含む中国の年に関連付けられるブランチ74は、13のステップを備える一連のステップを担持する。
【0058】
表示機構2は、回転型月レバー76を含む。回転型月レバー76は、月レバー76の角度方向を定義するために、年カム72と接触して保持される月フィーラースピンドル78を担持する。さらに月レバー76は、月表示針18を担持する月表示モバイル80と運動学的に接続し、それをレトログラード運動で駆動する。
【0059】
この目的のために、ここでは、月レバー76はラック82を担持する。ラック82は、デマルチプライヤモバイル86を介して月表示モバイル80と相互係合されるレトログラードモバイル84と相互係合されている。レトログラードモバイル84は、戻しばね88を含む。戻しばね88は、中国の年を変更する間に月表示針18を12表示から1表示に移動させ、また月フィーラースピンドル78を年カム72の周囲に押し付けられた状態に保つ。
【0060】
図1に示されるディスプレイに関連する構成の場合、月レバー76と月表示モバイル80との間の運動学的な接続は、月表示針18が、実質的に330度の角度で、所与の年の第1月から第12月へと移動して、その後、逆方向に回転することによって1表示に戻るようなものである。
【0061】
依然として、この構成に関連して、また月目盛り20を考慮すると、中国の各月のために3つのインジケータ位置が可能であることが思い出される。すなわち、1つは閏月に関連付けられていない月を示す中央の位置、および中央位置の両側にそれぞれ、2つの追加の位置。これらは、閏月が関連付けられている月と、対応する閏月とを、それぞれ表示する。より正確には、図1に示される状況で、ある標準月から別の標準月への移行がステップを定義する場合、ある標準月から閏月に関連付けられる月への移行は3/4ステップ移動によって、次いで閏月への移行は半ステップ移動によって、そして閏月から次の標準月への移行は最終的に3/4ステップ移動によって行われる。合計の移動は、2つの完全なステップに等しい。
【0062】
これには、中国の月を正確に表示できるように、年カム72のステップの形状を適合させることが含まれる。この場合、1年に閏月が含まれるとき、閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連付けられるステップは、それぞれ、対応する一連のステップの他のステップの高さに比べて低減された高さを有する。(ここでは、上で説明したように、それぞれ、3/4-1/2-3/4)。
【0063】
もちろん、まさに上で示された値は、非限定的で説明的な例としてのみ示されている。当業者であれば、本教示を、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、自らの要件に応じて適応させる際に、特別な困難に直面することはないであろう。したがって、閏月を表示するために機能する点21の分布は、異なるものであってもよい。たとえば、月表示針18は、2/3ステップ移動して所与の月から閏月を含む月に進み、その後再び2/3ステップで閏月に進み、最終的に再び2/3ステップで閏月に続く月に進む。年カム72上の対応するステップは、その際、他のステップと比較して、2/3-2/3-2/3の高さになる。
【0064】
月の数と点の数が交互に表示される、上述の月の変形表示の場合、閏月と、閏月の直後の月と、に関連付けられるステップは、それぞれ、他のステップの高さの半分に等しい高さを有することが明らかである。したがって、月表示針18は、閏月に先行する月(したがって、閏月と同じ数字を有する)から閏月へ進み、その後閏月から閏月に続く月に進むために、半ステップを実行することができる。
【0065】
表示機構2のこの構成のおかげで、一般に、n年のサイクルにわたる、中国の日付、中国の月、中国の年が、正確かつ明確に(ユーザ側での修正を必要とせずに)表示される。nは、機構の製造業者によって選択されて事前に定義された数である。現行のサイクルが終了すると、月モバイル62を交換し、ことによると文字盤1が担持する情報の性質に応じて文字盤1を交換するだけで、次のサイクルで表示が確実に表示されるように対応する時計を準備できる。時計の製造業者は、有利には、表示されるサイクルの期間を、対応する時計の2つの改訂の間の期間と一致させることができよう。したがって、改訂の実施を担当する時計メーカーは、この機会を利用して、月モバイル62および文字盤1を更新することができる。
【0066】
図2に示される表示機構2は、さらにモバイルを含む。このモバイルは、月の長さを表示し、月の長さの表示部材30として直接に機能し、日レバー54と協働して、現行の月の長さに応じて2つの異なる位置を占めることを可能とし、29日ある月の間に開口部32の前に29表示を表示し、30日ある月の間に30表示を表示することを可能にする。
【0067】
さらに、図2は、日コレクタ90を示す。日コレクタ90は、(見ることのできない)外部の制御部材におけるユーザの適切な動作に応答して、日レバー54を旋回させ、日付表示を増分できるように配置されている。月コレクタ92も、示されている。月コレクタ92は、月減速歯車セット60の歯車と協働して、月モバイル62の角度方向の修正を可能にするように配置されている。月コレクタ92は、有利には、日レバー54を同時に持ち上げるように配置され、ピン93を用いて日フィーラースピンドル66を月カム64から遠ざける。
【0068】
最後に、表示機構2は、多様な従来の位置決めバネ、特にジャンパを備える。しかしながら、それらの機能は図2において明白であるため、詳細には説明しない。
【0069】
図3は、図2に示される表示機構2の第1変形実施形態の簡略化された正面図を表す。
【0070】
理解を容易にするために、図2における構成と同じ構成要素には同じ参照番号を付す。
【0071】
この変形実施形態によれば、年表示針26は、(図1の表示においてカウンタ28によって担持された)中国の年に関する表示を有する年ディスク100によって置き換えられる。1つまたは複数の開口部102、104を、対応する(見ることのできない)ダイヤルに設けて、所与の時間に関連情報を表示することができる。
【0072】
この場合、月レバー76は、ビーク106を含む。ビーク106は、年駆動モバイル108と協働し、月フィーラースピンドル78が年カム72のある一連のステップから次の一連のステップに動くときに、年末に年駆動モバイル108を1ステップ旋回させるように配置されている。年駆動モバイル108は、年ディスク100を駆動させるように意図されている。実際、月レバー76が1年の間に反時計回りに旋回するとき、ビーク106は、年駆動モバイル108の駆動歯車110の歯の上流に移動され、年が変わる際に月レバー76が落下するときに、その歯に牽引力を与え、年駆動モバイル108を1ステップ旋回させることができる。ジャンパ112は、駆動歯車110の歯と協働して、年駆動モバイル108の角度位置を従来の方法で維持する。
【0073】
図4および図5は、それぞれ、図1および図2に示されるバージョンの第2変形例による、文字盤200を有する表示および対応する表示機構の、簡略化された正面図を示す。
【0074】
非限定的な説明を目的として、ここで、日表示および月表示は、表示針202および204によって実施される。表示針202および204は、両方とも150度の円弧にわたって延びるそれぞれの目盛り206および208の前を移動する。
【0075】
日表示針202は、その自由端近くに開口部210を有する。開口部210は、文字盤200によって担持されるムーンフェイズ表示ストリップ212と協働するように意図されている。ストリップ212は、それぞれの反対側が2つの暗い領域によって囲まれた明るい色の中央領域を有する。明るい領域と暗い領域との間の分布は、月の状態の表現が、開口部210内に常に現れるようになっている。したがって、特に、開口部210の内部は、月の開始と終わりには完全に暗く見えて新月を表し、一方で月の15日には完全に明るい色に見えて満月を表す。これらの特徴のおかげで、日表示針202は、日付とムーンフェイズという2種類の情報を、可読性を損なうことなく、簡易かつ比較的コンパクトに、同時に表示することができる。
【0076】
日表示針202のレトログラード駆動を確実にするために、表示機構は、日表示モバイル214を含む。日表示モバイル214は、日モバイル50からのレトログラードでの復帰を伴って、回転駆動される。この目的のために、日モバイル50は、スパイラル形の日表示カム216を担持し、この日表示カム216で、日表示レバー220によって担持される日表示フィーラースピンドル218と協働する。日モバイル50はまた、日表示モバイル214の(見ることのできない)ピニオンと相互に係合される歯を担持する。その結果、日表示フィーラースピンドル218が日表示カム216のカーブをたどる際に、日モバイル50が回転する。渦巻バネ222は、日表示モバイル214のピニオンと協働して、月が変わる間に、日表示針202をその初期位置に戻し、日表示フィーラースピンドル218を日表示カム216の周囲に押し付けられた状態に維持する。
【0077】
月表示針204の駆動に関して、ここでは、レトログラードモバイル84によって直接に駆動できることがわかる。移動角度が図1のバージョンと比較して小さいため、減速モバイルは、もはや不要である。
【0078】
さらに、月目盛り208の分布は、その角度範囲が異なることを除けば、図1のバージョンの月目盛り20の分布と類似していることが分かる。実際には、図4のバージョンでは、図1に関連して上述したように、ある標準月から閏月に関連付けられる月への移行は、3/4ステップ移動によって、次いで閏月への移行は半ステップ移動によって、そして閏月から次の標準月への移行は最終的に3/4ステップ移動によって行われる。
【0079】
ここでも、閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連付けられるステップは、対応する一連のステップの他のステップの高さに比べて、高さが低減される。(ここでは、上で説明したように、それぞれ、3/4-1/2-3/4である。しかしながら、たとえば、2/3-2/3-2/3などの他の値を指定することもできる。)
【0080】
図1に関連して既に提示された説明に加えて、図4による表示によって、2つの補足的な情報の項目、すなわち、レトログラード運動に対応して適切な目盛り228の前に動かされる十二支表示針226を用いる十二支と、レトログラード運動に対応して適切な目盛り232の前に動かされる十干表示針230を用いる十干である。
【0081】
表示針226および230を駆動するために、表示機構は、図3に関連して上述したように、年駆動モバイル108を備える。この場合、年駆動モバイル108は、図5に示されるように、必ずしも年ディスク100を駆動するように配置される必要はない。このモバイル108は、十二支カム234を含む。十二支カム234は、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクションを有する。表示機構は、十二支レバー236を含む。十二支フィーラースピンドル238を有する十二支レバー236は、十二支カム234と協働するように配置され、十二支表示モバイルと運動学的に接続される。十二支表示モバイルは、十二支表示針226の動きを制御するように意図されている。十二支表示モバイルは、日表示モバイル214と同軸であるため、図5においては直接に見ることができない。
【0082】
同様に、モバイル108は、十干カム240を含む。十干カム240は、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクション(上で説明したように、10+2)を有する。表示機構は、十干レバー242を含む。十干フィーラースピンドル244を含む十干レバー242は、十干カム240と協働するように配置され、十干表示モバイルと運動学的に接続される。十干表示モバイルは、十干表示針230の動きを制御するように意図されている。十干表示モバイルも、レトログラードモバイル84と同軸であるため、図5においては直接に見ることができない。
【0083】
したがって、十二支のサイクルが中国の12年ごとに再開すると、十干のサイクルが10年ごとに再開され、その結果、中国暦の60進クローバル周期が、つまり60(中国)年の期間がもたらされることが分かる。
【0084】
十干カム240に設けられた2つの追加のセクションのおかげで、10年のサイクルを超えても、対応する表示は、12年の完全なサイクル、すなわち月モバイル62の有効サイクルにわたって正確に留まることに留意されたい。したがって、時計が、月カム62および文字盤1の修正と交換のために時計メーカーに引き渡されると、時計メーカーは、同時に十干カム240を新しいバージョンに交換することができる。新しいバージョンでは、2つの追加のセクションが以前のカムと比較して2年オフセットされている。そのため、新しいカムは、今後、12の中国の年の間有効である。
【0085】
もちろん、代替的に、暦機構は、添付の特許請求の範囲に定義される発明の範囲から逸脱することなく、10のセクションを有して、10年で完全に1回転するように駆動される十干カムを備えることもできる。
【0086】
図6は、図2に示される表示機構の第3変形実施形態の簡略化された正面図を表す。
【0087】
ここで、24時間歯車40の作動フィンガ52は、年次表示モバイル300の日々の動きを制御するように配置されている。年次表示モバイル300は、年次表示部材、例えば、中央針502の動きを、減速歯車セット302を介して制御するように意図されている。したがって、年次表示部材は、毎日1回ジャンプし、1年で完全に1回転する。
【0088】
この年次表示部材は、特に、ディスプレイ8に替わって、またはディスプレイ8に加えて、文字盤の周囲に配置できる適切な目盛に対して、グレゴリオ暦の日の単純な表示部材の役割を果たすことができる。この場合、コレクタ304は、ユーザによる適切な動作に応答して、年次表示部材の位置を段階的に修正するために使用することができる。コレクタは、減速歯車セット302のモバイルを作動させる。
【0089】
図7は、本発明の好適な第2実施形態による、より正確には、ヘブライ暦に関する表示を可能にする、表示機構の実施形態の実施を示す時計文字盤400の、簡略化された正面図を表す。
【0090】
ヘブライ暦も、太陰太陽型であり、12か月ある平年と、19年のメトン周期に従って分布される13か月がある塞栓的な年と、を含む。したがって、19年のメトン周期のうち、7年、すなわち3番目、6番目、8番目、11番目、14番目、17番目、および19番目の年が、塞栓的である。追加の月は、システム的に29日を含み、塞栓的な年において同時に常に挿入される。したがって、塞栓的な年の間には、「アダル(Adar)」月は、「アダルI」および「アダルII」(または「ヴィーダル(Veadar)」)に分割される。
【0091】
これらの説明に基づいて、上述したように、本発明による表示機構は、ヘブライ暦に関する情報を正確かつ信頼性高く表示できるよう、容易に適合できることが明らかである。
【0092】
図7に示される変形例の場合、塞栓的な年に関連付けられる一連のステップが、平年のための12ステップに替わって、13ステップを備えるように、年カムを作成する必要がある。次いで、塞栓的な年に関連付けられるステップの高さを、図4および図5に関連して記載されたものと同様に適合させる。(ここで、アダルIのために2/3、アダルIIのために2/3、ニサン(Nissan)のために2/3)。
【0093】
もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、年カムが19未満の一連のステップの数を含むことが可能である。その場合には、対応するサイクルの各終了時に月モバイルを変更する必要があり、対応する時計の改訂期間に合わせて行うことが有利である。
【0094】
図7はまた、非限定的な例として、24時間歯車40を、曜日表示部材402を駆動するために使用できることを示す。
【0095】
図8は、更なる変形実施形態による時計文字盤500の簡略化された正面図を表す。
【0096】
ここで、文字盤500によって、中央針502を用いてグレゴリオ暦の日を中央に表示することが可能である。中央針502は、グレゴリオ暦の日目盛り504を指し、上述の一実施形態である適切な駆動機構のおかげで、太陽年(約365.25日)において完全に1回転する。
【0097】
さらに、現在時刻に加えて、文字盤500は、日表示針506を用いて中国の日とムーンフェイズを表示することも意図している。閉塞的な月を含む、月は、月表示針508を用いて表示される。グレゴリオ暦の日は第1開口部510において、現行の月の日数は第2開口部512において、また、24時間にわたる時間、および中国の2倍時間は、24時間表示針514を用いて表示される。また、開口部518において見ることのできる年ディスク516によって、十二支のサインの表示が可能であり、閏月が現行の中国の年に対して存在するときには、閏月の番号が表示される。
【0098】
グレゴリオ暦と太陰太陽暦に加えて、農業暦と呼ばれる太陽黄道暦が、アジアの特定の文化圏において伝統的に使用されている。中国文化では、この農業暦は、節季(Jie Qi)に基づいており、太陽年にわたって24節季が定期的に分布される。これらの節季およびその適用については、本発明の実施に影響を与えないため、本明細書ではこれ以上詳細には記載しない。
【0099】
これらの節季は太陽の周期に適合されている。そのため、図8に示されるように、グレゴリオ暦のスケールと平行なスケールで、それらを表示できる。図8において、節季スケール520は、グレゴリオ暦の日目盛り504と同心状に表示されている。
【0100】
年の最初の節季に関連する期間は、春分の日、つまり3月21日に始まる。また、直観的に読み取れるように、最初の節季のシンボルは正午に配置されている。一方、グレゴリオ暦の目盛り504は、正午に位置するのが3月21日であり、最初の節季に向けて配置されるために、通常ではない態様で配向されている。この特別な配置のおかげで、節季とグレゴリオ暦の日付との対応関係を、著しく用意に読みとることができる。
【0101】
もちろん、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、西洋のユーザにとってより一般的であるように、グレゴリオ暦の3月21日ではなく1月1日を正午に配置し、節季を適切な態様で配置することも可能である。
【0102】
さらに、文字盤の周囲に、太陽周期にリンクさせた他の情報を表示することも考えられる。これらの情報は、たとえば、黄道十二宮(zodiaque)のサインなどである。(西洋の黄道十二宮、中国の十二支のサインは、年ディスク516上に既に表示されている。)
【0103】
まさに上で記載された特徴のおかげで、正確で信頼できる暦に関する情報を表示するための機構が得られる。機構は、中国暦などの複雑な太陰太陽暦を含む、関係する暦の種類に簡単に適合させることができる。ユーザは、少なくともn年の全サイクルにわたって、修正のために介入する必要がない。nは、製造業者が独自の要件と制約に応じて定義する。したがって、本発明による表示機構は、例えばヒジュラ暦、韓国暦、またはヒンドゥー暦に関する情報を表示するためにも適合させることができる。
【0104】
本発明の実施は、図示および上述のような、表示される情報の性質によって、またはそれが表示される態様によって限定されない。実際、当業者であれば、たとえば、記載された多様な変形例を少なくとも部分的に可能な限り相互に組み合わせることによって、本教示を、添付の特許請求の範囲によって定義される表示機構の実現に適合させる際に、特別な困難に直面することはないであろう。たとえば、開口部内のグレゴリオ暦の日の表示を、表示針(必ずしもレトログラードではない可能性がある)による表示に置き換えることを、特に想像できる。したがって、この種の表示針は、当業者の要件および制約に応じて、(おそらく、図7を参照して記述された曜日の表示の代替または追加として)文字盤上の多様な位置に、たとえば、記載された24時間表示および/または中国の2倍時間と同心状で、6時の位置にあるカウンタに配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ムーブメントのための暦表示機構に関する。この暦表示機構は、以下を含む。すなわち、
日モバイルであって、日表示部材の動きを制御し、長い月の間に最大日数pで完全に1回転を完了できることを意図された、日モバイル。
前述の日モバイルを作動させる機構であって、後者を毎日少なくとも1ステップ回転させるように配置された、機構。
月モバイルであって、前述の日モバイルが完全に回転するたびに前述の日モバイルによって作動されるように配置された、月モバイル。
短い月のための修正装置であって、前述の月モバイルによって担持された月カムを含み、それぞれがn年のサイクルにおける所与の月に関連付けられる複数の周辺セクタを含む、修正装置。この場合、nは1より大きく、前述の周辺セクタのそれぞれの平均半径は関連する月の長さに応じる。前述の日モバイルを作動させる前述の機構は、前述の月カムと相互作用し、p未満の日数からなるそれぞれの短い月の終わりに、少なくとも1つの追加のステップによって、前述の日モバイルの作動を可能にするように配置されている。
【従来技術】
【0002】
上述の種類の表示機構は、特に太陽暦であるグレゴリオ暦に関連して、当該技術分野において長い間よく知られている。
【0003】
したがって、たとえば、31日の長い月と30日以下の短い月とを区別する年次機構として知られるグレゴリオ暦の、日表示機構が既知である。メモリデバイスは、短い月と長い月との間の規則的な交替を管理し、日インジケータを、短い月の30番目から直接、翌月の最初に移動させる。2月には、28日または29日から3月1日までの変化を手作業で修正する必要がある。
【0004】
また、永久機構として知られるグレゴリオ暦の表示機構も知られている。この機構では、2月だけでなく、閏年も考慮される。この種の機構は、理論的には、手動による修正を必要とせず、すなわち閏年を除く必要があるまで、100年近く機能することができる。
【0005】
EP3026504B1には、永久グレゴリオ暦表示機構の例が記載されている。このタイプの機構における標準的なアプローチは、上述の特許に示されているように、「48カム」を含む月モバイルを使用する。すなわち、このカムは、それぞれが4年の「閏(bissextile)」サイクルにおける所与の月に関連付けられる48の周辺セクタであって、その平均半径は対応する月の長さに応じた周辺セクタを有する。日表示モバイルを1日に1回作動させる日レバーは、48カムと協働し、31日未満からなる月の終わりに、日表示モバイルを少なくとも1つの追加ステップだけ進める。表示モバイルは、他の歯より長い1つの歯を含む。この歯は、月モバイルの歯と協働して、日表示モバイルが完全に1回転するたびに1ステップ進み、したがって日レバーに面する翌月に対応する新たな周辺セクタに位置することを意図されている。さらに、月モバイルの歯も、月表示針を担持する月表示モバイルと協働して、年に一度完全に1回転する。
【0006】
これらの従来技術の機構は、一般に、ユダヤ暦、中国暦、日本暦、ベトナム暦、または韓国暦などの太陰太陽暦を表示するのには適していない。なぜなら、後者は、年に応じた月の変数の月数および日数を含むためである。また、グレゴリオ暦の表示機構のようなメモリデバイスを使用するアプローチは、太陰太陽暦を表示するには適していないように思われる。
【0007】
グレゴリオ暦に関連して定義される「永久的」というコンセプトに可及的に近似する試みにおいて、特にイスラム暦または中国暦を表示するために、様々な解決策が既に提案されている。
【0008】
特に、太陰太陽型である中国暦は、周期性がなく、したがって時計機構を用いて真に永久的な態様で表示することが不可能であることに留意されたい。実際、中国暦の(太陰)月は、29日または30日を含む。しかしながら、対応する交代は正確な規則に従っていない。年は、多様な月数で構成される。中国暦の太陽年との互換性を維持するために、閏(または塞栓的な(embolismique))月が特定の年の2ヶ月の間に挿入されるが、これは必ずしも年の同じ時期である必要はない。さらに、中国暦は、異なる周期性を有する多様な追加情報を組み込んでいる。特に、これらの種類の情報の第一のものは、10個の十干である。十干は、毎年互いに連続しており、したがって10年の期間を定義する。これらの種類の情報のもう1つは、十二支(チャイニーズゾディアックサインとして、より知られている)である。これらは、12個あり、1年のリズムで互いに連続し、したがって12年の期間を定義する。したがって、これらの種類の情報の完全な更新は、60進周期、つまり60(中国)年の期間にわたって行われる。
【0009】
中国暦を表示するためのいくつかの機構が提案されている。これらは、非常に複雑な構成を有し、人間の介入の頻度の制限を可能にして、正しい表示を長期間維持する。一方、中程度に複雑である構成では、表示される情報が正確な暦に比べてずれることになる。
【0010】
これらの複雑な構成に対抗する別のアプローチは、EP1739508B1に記載されている。したがって、上述の特許に開示されている中国暦を表示するための(その表示が簡略化されている)機構では、複雑さは限定されているが、その代償として、ユーザが月の期間および閏月の有無を手動で入力する介入の頻度が高い。その結果、この機構のユーザは、毎月、中国暦の日付を示す表を参照して、その機構を適切な方法で調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP3026504B1
【特許文献2】EP1739508B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、特に月表示モバイルの駆動に関して、既知の表示機構の構成に対して代替的な構成の、暦表示機構を提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、この代替的な構成を利用して、特に中国暦またはヘブライ暦の場合のように、年ごとに月数が変化できる暦表示機構を作成することである。
【0014】
この目的のために、本発明は、より具体的には、以下を特徴とする上述の種類の暦表示機構に関する。
年カムを担持する月モバイルであって、年カムは、月カム上にインデックス付けされ、それぞれが所与の年に関連付けられるn個の一連のステップを含み、各一連のステップは、関連する年の月数に対応するm個のステップを備える。
表示機構は、回転型月レバーを含み、回転型月レバーは、回転型月レバーの角度方向を定義するために、年カムと接触して保持される月フィーラースピンドルを担持する。さらに回転型月レバーは、月表示モバイルと運動学的に接続し、それをレトログラード運動で駆動する。
【0015】
これらの特徴のおかげで、製造業者は、月表示モバイルを設置する際に、以前の構成より高い柔軟性を有する。後者を、月モバイルから離して位置させることができる。
【0016】
好適な実施形態によれば、
月レバーおよび月表示モバイルは、所与の年を通じて月を表示するために、月表示モバイルが40度と360度との間からなる角度で相互に分離された初期方向から最終方向まで旋回するように、形成されて相互に運動学的に接続されている。
表示機構は弾性戻し部材を含むことができる。弾性戻し部材は、月レバーに作用して月フィーラースピンドルを年カムに対して保持し、月表示モバイルを年末にその最終方向からその初期方向に移動させるように配置されている。
【0017】
したがって、構成に影響を与えることなく、完全な1回転にわたって、またはセクタにわたって、月の表示を選択することが可能である。
【0018】
好適な変形実施形態によれば、日モバイルは、スパイラル形の日カムを含む。表示機構は、日カムと協働するように配置された日フィーラースピンドルを有する日表示レバーを含み、日表示部材を担持するように意図された日表示モバイルと運動学的に接続する。
【0019】
上述したように、一般に、まさに上で記載された特徴を利用して、年ごとに可変の月数を備える年における暦表示機構を得ることができる。また、好適な実施形態によれば、年カムのn個の一連のステップの少なくとも1つは、12とは異なるm個のステップを含むことができる。
【0020】
この場合、n年の少なくとも1つが、12の基本の月に加えて少なくとも1つの閏月を含むとき、対応する一連のステップにおいて、少なくとも2つのステップは、他のステップの高さに比べて低減された高さを有する。閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連づけられるステップは、それぞれ、対応する一連のステップの他のステップの高さに比べて低減された高さを有する。この場合、このような種類の表示機構を含む時計を実現するためには、この時計が、有利には、月ごとに所定の長さである表示セクタに位置する3つの可能なインジケータ位置を有する月目盛りの前に移動するように配置された月表示部材を含むことができる。すなわち、閏月が関連付けられていない月を表示するための中央位置と、閏月が関連付けられている月および対応する閏月をそれぞれ表示するための、中央位置のそれぞれの両側の上の2つの追加の位置である。
【0021】
一般に、月モバイルは、少なくとも1つの固定された表示に関連して現行の年に関する情報を表示する部材を担持するように意図されたシャフトを含むことができる。
【0022】
代替的または追加的に、月レバーはビークを含むことができる。ビークは、年駆動モバイルと協働し、月フィーラースピンドルがある一連のステップから次の一連のステップに動くときに、年末に年駆動モバイルを1ステップ旋回させるように配置されている。年駆動モバイルは、少なくとも1つの固定されたマーカーに関連して現行の年に関する情報を表示する少なくとも1つの部材を駆動するように意図されている。
【0023】
この場合、年カムのn個の一連のステップの少なくとも1つが、中国暦を表示するために12以外のm個のステップを含むとき、年駆動モバイルは、スパイラル形で完全な1回転にわたって12のセクションを有する十二支カムを含むことができる。表示機構は十二支レバーを含む。十二支フィーラースピンドルを有する十二支レバーは、十二支カムと協働するように配置され、十二支表示モバイルと運動学的に接続される。十二支表示モバイルは、十二支表示部材の動きを制御するように意図されている。
【0024】
代替的または追加的に、年カムのn個の一連のステップの少なくとも1つが、中国暦を表示するために12以外のm個のステップを含むとき、年駆動モバイルは十干カムを含むことができる。十干カムは、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクション(10年サイクルのための10の異なるセクションの形状であり、そのうちの2つは、次の10年のサイクルの最初の2年のための2つの追加のセクションを構成するために複製される)を有する。表示機構は十干レバーを含む。十干フィーラースピンドルを有する十干レバーは、十干カムと協働するように配置され、十干表示モバイルと運動学的に接続される。十干表示モバイルは、十干表示部材の動きを制御するように意図されている。
【0025】
一般に、表示機構が、月が29日または30日ある太陰暦または太陰太陽暦を表示するように意図されているとき、以下となる。
日モバイルを作動させる機構は日レバーを含むことができる。日レバーは、1日に1回作動されて休止位置から作動位置に旋回し、作動位置において、日レバーが担持する作動ビークを介して日モバイルの30歯車上に作用し、日モバイルを少なくとも1ステップ進ませる。
日レバーは日フィーラースピンドルを含むことができる。日フィーラースピンドルは、月カムと協働して、現行の月の長さに応じて2つの可能な休止位置の間でその休止位置を定義するように配置されている。
30歯車は、実質的に同じ長さの29の歯と、30番目の歯と、を有することができる。30番目の歯は、他の歯より長く、30日ある月の30日に、作動ビークが届く範囲内に位置されるように意図されている。
月カム、日レバー、および30歯車は、互いに対して形状決め、および位置決めすることができる。その結果、作動ビークは、29日ある月の29日になるとすぐに30番目の歯に作用することができて、日レバーがその休止位置からその作動位置に移動するときに、日モバイルを2ステップ進める。
【0026】
この場合、表示機構は、月の長さを表示するモバイルを含むことができる。月の長さを表示するモバイルは、月の長さを表示する部材の位置を制御するように意図されて、日レバーと協働し、その結果、現行の月の長さに応じて2つの異なる位置を占めることができる。
【0027】
一般に、表示機構は24時間歯車を含むことができる。24時間歯車は、年次表示モバイルと運動学的に接続される。年次表示モバイルは、年次表示部材の動きを制御するように意図されており、その結果、年次表示部材が1年で完全に1回転する。
【0028】
さらに、本発明は、まさに上で記載された特徴のいくつかまたはすべてを有する表示機構を含む時計ムーブメント、およびそのような種類の表示機構を含む時計に関する。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として提供される添付の図面を参照しながら以下の実施形態の詳細な説明を読むことで、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好適な第1実施形態による表示機構の使用を示す、時計文字盤の簡略化された正面図である。
図2図1に示される表示に対応する、表示機構の一実施形態の簡略化された正面図である。
図3図2に示される表示機構の第1変形実施形態の簡略化された正面図である。
図4図2の表示機構の第2変形実施形態による、表示機構に関連付けられた時計文字盤の簡略化された正面図である。
図5】第2変形実施形態による表示機構の簡略化された正面図である。
図6図2に示される表示機構の第3変形実施形態の簡略化された正面図である。
図7】本発明の好適な第2実施形態による表示機構の使用を示す、時計文字盤の簡略化された正面図である。
図8】追加の変形実施形態による、時計文字盤の簡略化された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の好適な第1実施形態による表示機構(図2の参照番号2)を示す時計の文字盤1の簡略された正面図を表す。
【0032】
本発明の範囲から逸脱することなく、表示機構2は、適切な時計キャリバーに組み込まれた機構、または既存のベースの時計キャリバーに追加された機構であってもよい。
【0033】
非限定的な例として、文字盤1および対応する表示機構2は、太陰太陽型の暦である中国暦に関する情報を表示するために、腕時計に使用されることが意図されている。より正確には、表示機構2は、12年のサイクルにわたってこの情報の表示を可能にするように意図されており、以下の説明においてより明確に示されるように、サイクルの持続期間中、ユーザはわずかな修正さえ行うことを必要としない。
【0034】
もちろん、本発明は、例として言及されたサイクルの期間に限定されるものではなく、本発明の実施に実質的な影響を与えることなく、4年または6年のサイクルを使用することができる。また、本発明は、腕時計における使用にも限定されない。なぜならば、本教示に基づいて、他のタイプの時計を製造できるためである。したがって、たとえば、時計の時計ムーブメントのために利用可能な体積を増加させると、ユーザがサイクルの持続期間中、わずかな修正さえ行う必要なく、60年にわたって中国暦を表示するためのメカニズムの製造が可能である。
【0035】
中国の暦のすべての詳細には触れないが、中国暦の月は29日または30日であること、特定の年には12の基本の月に加えて閏月が含まれることを覚えておく必要がある。これらの閏月の発生も年ごとに変化するため、グレゴリオ暦に関連して既知の意味での永久機構を使用することは、不可能になる。
【0036】
文字盤1に関連付けられた表示機構2は、一般的に、ここでは非限定的な説明を目的として中心である現在時刻表示針4、6の動きを、グレゴリオ暦の日表示針8の動きと共に制御するように意図された時計ムーブメントと関連付けることができる。後者が、単数、年次、永久、または世俗的であるかどうかには無関係である。
【0037】
文字盤1に関連付けられた表示機構2の第1実施形態によれば、文字盤1は、特に、以下の中国暦の基本情報を表示することを意図することができる。
適切な日目盛り12の前に移動する日表示針10による、中国(太陰)の日。
1つまたは複数の適切な窓または開口部16の下を移動する月ディスク14による、ムーンフェイズ。
適切な月目盛り20の上を移動する月表示針18による、中国の月。
24時間目盛り24にわたって移動する24時間表示針22を用いた24時間にわたる時間。ならびに、12の中国の時間を示すスケールとの同時の協働による、同じ24時間表示針22を用いた中国の2倍時間。
12年周期にわたる中国の各年のための、グレゴリオ暦にしたがう中国の新年の日付、1つある場合の閏月の番号、および年カウンタ28において移動する年表示針26による十二支のサイン。
文字盤1の開口部32を通して部分的に見える、月の長さを表示する表示部材30による、29日または30日の、中国の月の長さ。
【0038】
非限定的な例として、ここでは、日の表示は、360度にわたって延びる円形の日目盛り12を使用する。
【0039】
年カウンタ28は、12のセクタに分割されている。それぞれのセクタは、中国の年に対応し、追加情報を有することができる。たとえばこの場合、年カウンタ28は、その周囲に、対応する12年のサイクルの各年のための中国の新年の表示を有する。さらに、ここでの年カウンタ28は、その年に閏月が1つあるときの、閏月34の表示を含む。したがって、2023年1月22日に始まる中国の年は、その年の第2月の後に閏月を含む。年カウンタ28は、たとえば、各セクタにおいて対応する動物の描写による十二支またはチャイニーズゾディアックのサインを示すために使用することもできる。
【0040】
最後に、この場合、月目盛り20は、12の連続するセクタを示す。各セクタは、所与の月の番号に関連付けられており、月表示針18によって指定されることを意図された対応する表示を有する。さらに、各セクタは、2つの点21も含む。これらは、対応する表示の前そして後に月表示針18を適切に位置させることによって、所与の月と、そしてある場合には対応する閏月と、を表示可能とすることを意図している。
【0041】
もちろん、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、月目盛りの代替的な配置も可能である。非限定的な例として、代替的に、月目盛り20は、年の12の基本の月に対応する12の表示を示してもよい。これらの表示は、点によって互いに分離される。点によって、閏月がある場合に閏月を表示するために、月表示針18を連続する表示の間で中間に位置させることができる。
【0042】
これらの多様な表示部材の動きの制御を可能にする表示機構2について、図2に関連して説明する。
【0043】
表示機構2は、24時間歯車40を含む。24時間歯車40は、時歯車42によって中間歯車44を介して回転駆動され、24時間で1回転する。
【0044】
24時間歯車40は、別の中間歯車48を介して24時間モバイル46を駆動する。その結果、24時間モバイル46が、ひいてはそれが担持する24時表示針22が、24時間で完全に1回転する。
【0045】
表示機構2は、ここでは日表示針10を直接に担持する日モバイル50と、適切な作動機構とを含む。この作動機構は、特に、作動フィンガ52を含む。作動フィンガ52は、24時間歯車40によって担持され、日レバー54上で毎日1回作動するように配置されている。日レバー54自体は、休止位置と作動位置と間で旋回するように配置されている。日レバー54は、作動位置において、日モバイル50の30歯車56の歯と協働可能であり、日モバイル50を作動ごとに少なくとも1ステップ回転させる。
【0046】
日モバイル50は、モバイル50が完全に1回転するごとに月減速歯車セット60を駆動するように配置された月作動フィンガ58を担持する。
【0047】
月作動フィンガ58は、修正動作の間の安全対策として、モバイル50に対して一定の範囲にわたって移動可能である。
【0048】
月減速歯車セット60は、百四十九の歯を有する歯部を介して月モバイル62と相互に係合される。その結果、月モバイル62は、中国の月ごとに1ステップ進み、百四十九の中国の月で、すなわち、現行のサイクルが百四十九の中国の月を含むときに12の中国の年で、または現行のサイクルが148のみの中国の月を含むときに12の中国の年および1つの追加の中国の月で、1回転する。
【0049】
ここで月モバイル62は、年表示針26が中国の毎月の終わりに1ステップ進むように、年表示針26を担持する。
【0050】
月モバイル62はまた、実質的に同じ長さの百四十九の周辺セクタを備える月カム64を担持する。周辺セクタのそれぞれは、現行の12進周期における所与の中国の月に関連付けられ、その平均半径は対応する中国の月の長さに応じる。したがって、中国暦の場合、周辺セクタは2つの異なる平均半径のみを有することができる。1つは、29日ある中国の月に関連付けられた短い半径である。また1つは、30日ある中国の月に関連付けられた長い半径である。
【0051】
日レバー54は、現行の月の長さに応じて、2つの可能な休止位置の間でその休止位置を定義するように、月カム64と協働するよう配置された日フィーラースピンドル66を含む。実際には、月カム64の短い半径のセクタは、日フィーラースピンドル66とのより良好な協働の精度を保証するために、長い半径のセクタの長さより、わずかに大きい長さを有することに留意されたい。
【0052】
図2に示される構成では、日フィーラースピンドル66は、29日の中国の月に対応する短い平均半径の月カム64のセクタに当接している。30日ある月に関連する他の休止位置に移動するには、日レバー54が、図2における反時計回りの方向にわずかに旋回しなければならない。
【0053】
さらに、30歯車56の30の歯のうち、29の歯は、実質的に同じ長さである。そして、30番目の歯68は、他の歯より長く、30日ある月の30日に、日レバー54の作動ビーク70が届く範囲内に位置されるように意図されている。
【0054】
月カム64、日レバー54、および30歯車56は、互いに対して形状決め、および位置決めされている。その結果、日レバー54の作動ビーク70は、29日ある月の29日になるとすぐに30番目の歯68に作用することができて、前述の日レバー54が休止位置から作動位置に移動するときに、日モバイル50を2ステップ進める。実際には、中国の月が29日を含む場合、日レバー24の作動ビーク70は、日レバー54の休止位置において、30番目歯車56から更に離れている。したがって、日レバー54が、その作動位置に向かって動かされるとき、30日ある中国の月の場合より長い移動距離を有する。したがって、中国の日付表示は、ある月の29日から翌月の1日まで直接に動くこができる。
【0055】
好適には、作動ビーク70は格納可能であることに留意されたい。したがって、作動ビーク70は、30日ある中国の月の間に、30歯車56が29日から30日に動くよう作動した後に、より長い歯68の後ろにいくことができる。歯68は、その後に、次の日付の変更時に駆動される位置に位置する。
【0056】
月モバイル62はまた、年カム72を担持する。年カム72は、月カム64上にインデックス付けされ、それぞれが所与の中国の年に関連付けられる同数の一連のステップを定義する12のブランチ74を含む。各一連のステップは、関連する中国の年の月数に対応する数のステップを備える。
【0057】
したがって、閏月を含まない中国の年に関連付けられるブランチ74は、12のステップを備える一連のステップを担持する。一方、閏月を含む中国の年に関連付けられるブランチ74は、13のステップを備える一連のステップを担持する。
【0058】
表示機構2は、回転型月レバー76を含む。回転型月レバー76は、月レバー76の角度方向を定義するために、年カム72と接触して保持される月フィーラースピンドル78を担持する。さらに月レバー76は、月表示針18を担持する月表示モバイル80と運動学的に接続し、それをレトログラード運動で駆動する。
【0059】
この目的のために、ここでは、月レバー76はラック82を担持する。ラック82は、デマルチプライヤモバイル86を介して月表示モバイル80と相互係合されるレトログラードモバイル84と相互係合されている。レトログラードモバイル84は、戻しばね88を含む。戻しばね88は、中国の年を変更する間に月表示針18を12表示から1表示に移動させ、また月フィーラースピンドル78を年カム72の周囲に押し付けられた状態に保つ。
【0060】
図1に示されるディスプレイに関連する構成の場合、月レバー76と月表示モバイル80との間の運動学的な接続は、月表示針18が、実質的に330度の角度で、所与の年の第1月から第12月へと移動して、その後、逆方向に回転することによって1表示に戻るようなものである。
【0061】
依然として、この構成に関連して、また月目盛り20を考慮すると、中国の各月のために3つのインジケータ位置が可能であることが思い出される。すなわち、1つは閏月に関連付けられていない月を示す中央の位置、および中央位置の両側にそれぞれ、2つの追加の位置。これらは、閏月が関連付けられている月と、対応する閏月とを、それぞれ表示する。より正確には、図1に示される状況で、ある標準月から別の標準月への移行がステップを定義する場合、ある標準月から閏月に関連付けられる月への移行は3/4ステップ移動によって、次いで閏月への移行は半ステップ移動によって、そして閏月から次の標準月への移行は最終的に3/4ステップ移動によって行われる。合計の移動は、2つの完全なステップに等しい。
【0062】
これには、中国の月を正確に表示できるように、年カム72のステップの形状を適合させることが含まれる。この場合、1年に閏月が含まれるとき、閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連付けられるステップは、それぞれ、対応する一連のステップの他のステップの高さに比べて低減された高さを有する。(ここでは、上で説明したように、それぞれ、3/4-1/2-3/4)。
【0063】
もちろん、まさに上で示された値は、非限定的で説明的な例としてのみ示されている。当業者であれば、本教示を、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、自らの要件に応じて適応させる際に、特別な困難に直面することはないであろう。したがって、閏月を表示するために機能する点21の分布は、異なるものであってもよい。たとえば、月表示針18は、2/3ステップ移動して所与の月から閏月を含む月に進み、その後再び2/3ステップで閏月に進み、最終的に再び2/3ステップで閏月に続く月に進む。年カム72上の対応するステップは、その際、他のステップと比較して、2/3-2/3-2/3の高さになる。
【0064】
月の数と点の数が交互に表示される、上述の月の変形表示の場合、閏月と、閏月の直後の月と、に関連付けられるステップは、それぞれ、他のステップの高さの半分に等しい高さを有することが明らかである。したがって、月表示針18は、閏月に先行する月(したがって、閏月と同じ数字を有する)から閏月へ進み、その後閏月から閏月に続く月に進むために、半ステップを実行することができる。
【0065】
表示機構2のこの構成のおかげで、一般に、n年のサイクルにわたる、中国の日付、中国の月、中国の年が、正確かつ明確に(ユーザ側での修正を必要とせずに)表示される。nは、機構の製造業者によって選択されて事前に定義された数である。現行のサイクルが終了すると、月モバイル62を交換し、ことによると文字盤1が担持する情報の性質に応じて文字盤1を交換するだけで、次のサイクルで表示が確実に表示されるように対応する時計を準備できる。時計の製造業者は、有利には、表示されるサイクルの期間を、対応する時計の2つの改訂の間の期間と一致させることができよう。したがって、改訂の実施を担当する時計メーカーは、この機会を利用して、月モバイル62および文字盤1を更新することができる。
【0066】
図2に示される表示機構2は、さらにモバイルを含む。このモバイルは、月の長さを表示し、月の長さの表示部材30として直接に機能し、日レバー54と協働して、現行の月の長さに応じて2つの異なる位置を占めることを可能とし、29日ある月の間に開口部32の前に29表示を表示し、30日ある月の間に30表示を表示することを可能にする。
【0067】
さらに、図2は、日コレクタ90を示す。日コレクタ90は、(見ることのできない)外部の制御部材におけるユーザの適切な動作に応答して、日レバー54を旋回させ、日付表示を増分できるように配置されている。月コレクタ92も、示されている。月コレクタ92は、月減速歯車セット60の歯車と協働して、月モバイル62の角度方向の修正を可能にするように配置されている。月コレクタ92は、有利には、日レバー54を同時に持ち上げるように配置され、ピン93を用いて日フィーラースピンドル66を月カム64から遠ざける。
【0068】
最後に、表示機構2は、多様な従来の位置決めバネ、特にジャンパを備える。しかしながら、それらの機能は図2において明白であるため、詳細には説明しない。
【0069】
図3は、図2に示される表示機構2の第1変形実施形態の簡略化された正面図を表す。
【0070】
理解を容易にするために、図2における構成と同じ構成要素には同じ参照番号を付す。
【0071】
この変形実施形態によれば、年表示針26は、(図1の表示においてカウンタ28によって担持された)中国の年に関する表示を有する年ディスク100によって置き換えられる。1つまたは複数の開口部102、104を、対応する(見ることのできない)ダイヤルに設けて、所与の時間に関連情報を表示することができる。
【0072】
この場合、月レバー76は、ビーク106を含む。ビーク106は、年駆動モバイル108と協働し、月フィーラースピンドル78が年カム72のある一連のステップから次の一連のステップに動くときに、年末に年駆動モバイル108を1ステップ旋回させるように配置されている。年駆動モバイル108は、年ディスク100を駆動させるように意図されている。実際、月レバー76が1年の間に反時計回りに旋回するとき、ビーク106は、年駆動モバイル108の駆動歯車110の歯の上流に移動され、年が変わる際に月レバー76が落下するときに、その歯に牽引力を与え、年駆動モバイル108を1ステップ旋回させることができる。ジャンパ112は、駆動歯車110の歯と協働して、年駆動モバイル108の角度位置を従来の方法で維持する。
【0073】
図4および図5は、それぞれ、図1および図2に示されるバージョンの第2変形例による、文字盤200を有する表示および対応する表示機構の、簡略化された正面図を示す。
【0074】
非限定的な説明を目的として、ここで、日表示および月表示は、表示針202および204によって実施される。表示針202および204は、両方とも150度の円弧にわたって延びるそれぞれの目盛り206および208の前を移動する。
【0075】
日表示針202は、その自由端近くに開口部210を有する。開口部210は、文字盤200によって担持されるムーンフェイズ表示ストリップ212と協働するように意図されている。ストリップ212は、それぞれの反対側が2つの暗い領域によって囲まれた明るい色の中央領域を有する。明るい領域と暗い領域との間の分布は、月の状態の表現が、開口部210内に常に現れるようになっている。したがって、特に、開口部210の内部は、月の開始と終わりには完全に暗く見えて新月を表し、一方で月の15日には完全に明るい色に見えて満月を表す。これらの特徴のおかげで、日表示針202は、日付とムーンフェイズという2種類の情報を、可読性を損なうことなく、簡易かつ比較的コンパクトに、同時に表示することができる。
【0076】
日表示針202のレトログラード駆動を確実にするために、表示機構は、日表示モバイル214を含む。日表示モバイル214は、日モバイル50からのレトログラードでの復帰を伴って、回転駆動される。この目的のために、日モバイル50は、スパイラル形の日表示カム216を担持し、この日表示カム216で、日表示レバー220によって担持される日表示フィーラースピンドル218と協働する。日モバイル50はまた、日表示モバイル214の(見ることのできない)ピニオンと相互に係合される歯を担持する。その結果、日表示フィーラースピンドル218が日表示カム216のカーブをたどる際に、日モバイル50が回転する。渦巻バネ222は、日表示モバイル214のピニオンと協働して、月が変わる間に、日表示針202をその初期位置に戻し、日表示フィーラースピンドル218を日表示カム216の周囲に押し付けられた状態に維持する。
【0077】
月表示針204の駆動に関して、ここでは、レトログラードモバイル84によって直接に駆動できることがわかる。移動角度が図1のバージョンと比較して小さいため、減速モバイルは、もはや不要である。
【0078】
さらに、月目盛り208の分布は、その角度範囲が異なることを除けば、図1のバージョンの月目盛り20の分布と類似していることが分かる。実際には、図4のバージョンでは、図1に関連して上述したように、ある標準月から閏月に関連付けられる月への移行は、3/4ステップ移動によって、次いで閏月への移行は半ステップ移動によって、そして閏月から次の標準月への移行は最終的に3/4ステップ移動によって行われる。
【0079】
ここでも、閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連付けられるステップは、対応する一連のステップの他のステップの高さに比べて、高さが低減される。(ここでは、上で説明したように、それぞれ、3/4-1/2-3/4である。しかしながら、たとえば、2/3-2/3-2/3などの他の値を指定することもできる。)
【0080】
図1に関連して既に提示された説明に加えて、図4による表示によって、2つの補足的な情報の項目、すなわち、レトログラード運動に対応して適切な目盛り228の前に動かされる十二支表示針226を用いる十二支と、レトログラード運動に対応して適切な目盛り232の前に動かされる十干表示針230を用いる十干である。
【0081】
表示針226および230を駆動するために、表示機構は、図3に関連して上述したように、年駆動モバイル108を備える。この場合、年駆動モバイル108は、図5に示されるように、必ずしも年ディスク100を駆動するように配置される必要はない。このモバイル108は、十二支カム234を含む。十二支カム234は、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクションを有する。表示機構は、十二支レバー236を含む。十二支フィーラースピンドル238を有する十二支レバー236は、十二支カム234と協働するように配置され、十二支表示モバイルと運動学的に接続される。十二支表示モバイルは、十二支表示針226の動きを制御するように意図されている。十二支表示モバイルは、日表示モバイル214と同軸であるため、図5においては直接に見ることができない。
【0082】
同様に、モバイル108は、十干カム240を含む。十干カム240は、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクション(上で説明したように、10+2)を有する。表示機構は、十干レバー242を含む。十干フィーラースピンドル244を含む十干レバー242は、十干カム240と協働するように配置され、十干表示モバイルと運動学的に接続される。十干表示モバイルは、十干表示針230の動きを制御するように意図されている。十干表示モバイルも、レトログラードモバイル84と同軸であるため、図5においては直接に見ることができない。
【0083】
したがって、十二支のサイクルが中国の12年ごとに再開すると、十干のサイクルが10年ごとに再開され、その結果、中国暦の60進クローバル周期が、つまり60(中国)年の期間がもたらされることが分かる。
【0084】
十干カム240に設けられた2つの追加のセクションのおかげで、10年のサイクルを超えても、対応する表示は、12年の完全なサイクル、すなわち月モバイル62の有効サイクルにわたって正確に留まることに留意されたい。したがって、時計が、月カム62および文字盤1の修正と交換のために時計メーカーに引き渡されると、時計メーカーは、同時に十干カム240を新しいバージョンに交換することができる。新しいバージョンでは、2つの追加のセクションが以前のカムと比較して2年オフセットされている。そのため、新しいカムは、今後、12の中国の年の間有効である。
【0085】
もちろん、代替的に、暦機構は、添付の特許請求の範囲に定義される発明の範囲から逸脱することなく、10のセクションを有して、10年で完全に1回転するように駆動される十干カムを備えることもできる。
【0086】
図6は、図2に示される表示機構の第3変形実施形態の簡略化された正面図を表す。
【0087】
ここで、24時間歯車40の作動フィンガ52は、年次表示モバイル300の日々の動きを制御するように配置されている。年次表示モバイル300は、年次表示部材、例えば、中央針502の動きを、減速歯車セット302を介して制御するように意図されている。したがって、年次表示部材は、毎日1回ジャンプし、1年で完全に1回転する。
【0088】
この年次表示部材は、特に、ディスプレイ8に替わって、またはディスプレイ8に加えて、文字盤の周囲に配置できる適切な目盛に対して、グレゴリオ暦の日の単純な表示部材の役割を果たすことができる。この場合、コレクタ304は、ユーザによる適切な動作に応答して、年次表示部材の位置を段階的に修正するために使用することができる。コレクタは、減速歯車セット302のモバイルを作動させる。
【0089】
図7は、本発明の好適な第2実施形態による、より正確には、ヘブライ暦に関する表示を可能にする、表示機構の実施形態の実施を示す時計文字盤400の、簡略化された正面図を表す。
【0090】
ヘブライ暦も、太陰太陽型であり、12か月ある平年と、19年のメトン周期に従って分布される13か月がある塞栓的な年と、を含む。したがって、19年のメトン周期のうち、7年、すなわち3番目、6番目、8番目、11番目、14番目、17番目、および19番目の年が、塞栓的である。追加の月は、システム的に29日を含み、塞栓的な年において同時に常に挿入される。したがって、塞栓的な年の間には、「アダル(Adar)」月は、「アダルI」および「アダルII」(または「ヴィーダル(Veadar)」)に分割される。
【0091】
これらの説明に基づいて、上述したように、本発明による表示機構は、ヘブライ暦に関する情報を正確かつ信頼性高く表示できるよう、容易に適合できることが明らかである。
【0092】
図7に示される変形例の場合、塞栓的な年に関連付けられる一連のステップが、平年のための12ステップに替わって、13ステップを備えるように、年カムを作成する必要がある。次いで、塞栓的な年に関連付けられるステップの高さを、図4および図5に関連して記載されたものと同様に適合させる。(ここで、アダルIのために2/3、アダルIIのために2/3、ニサン(Nissan)のために2/3)。
【0093】
もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、年カムが19未満の一連のステップの数を含むことが可能である。その場合には、対応するサイクルの各終了時に月モバイルを変更する必要があり、対応する時計の改訂期間に合わせて行うことが有利である。
【0094】
図7はまた、非限定的な例として、24時間歯車40を、曜日表示部材402を駆動するために使用できることを示す。
【0095】
図8は、更なる変形実施形態による時計文字盤500の簡略化された正面図を表す。
【0096】
ここで、文字盤500によって、中央針502を用いてグレゴリオ暦の日を中央に表示することが可能である。中央針502は、グレゴリオ暦の日目盛り504を指し、上述の一実施形態である適切な駆動機構のおかげで、太陽年(約365.25日)において完全に1回転する。
【0097】
さらに、現在時刻に加えて、文字盤500は、日表示針506を用いて中国の日とムーンフェイズを表示することも意図している。閉塞的な月を含む、月は、月表示針508を用いて表示される。グレゴリオ暦の日は第1開口部510において、現行の月の日数は第2開口部512において、また、24時間にわたる時間、および中国の2倍時間は、24時間表示針514を用いて表示される。また、開口部518において見ることのできる年ディスク516によって、十二支のサインの表示が可能であり、閏月が現行の中国の年に対して存在するときには、閏月の番号が表示される。
【0098】
グレゴリオ暦と太陰太陽暦に加えて、農業暦と呼ばれる太陽黄道暦が、アジアの特定の文化圏において伝統的に使用されている。中国文化では、この農業暦は、節季(Jie Qi)に基づいており、太陽年にわたって24節季が定期的に分布される。これらの節季およびその適用については、本発明の実施に影響を与えないため、本明細書ではこれ以上詳細には記載しない。
【0099】
これらの節季は太陽の周期に適合されている。そのため、図8に示されるように、グレゴリオ暦のスケールと平行なスケールで、それらを表示できる。図8において、節季スケール520は、グレゴリオ暦の日目盛り504と同心状に表示されている。
【0100】
年の最初の節季に関連する期間は、春分の日、つまり3月21日に始まる。また、直観的に読み取れるように、最初の節季のシンボルは正午に配置されている。一方、グレゴリオ暦の目盛り504は、正午に位置するのが3月21日であり、最初の節季に向けて配置されるために、通常ではない態様で配向されている。この特別な配置のおかげで、節季とグレゴリオ暦の日付との対応関係を、著しく用意に読みとることができる。
【0101】
もちろん、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、西洋のユーザにとってより一般的であるように、グレゴリオ暦の3月21日ではなく1月1日を正午に配置し、節季を適切な態様で配置することも可能である。
【0102】
さらに、文字盤の周囲に、太陽周期にリンクさせた他の情報を表示することも考えられる。これらの情報は、たとえば、黄道十二宮(zodiaque)のサインなどである。(西洋の黄道十二宮、中国の十二支のサインは、年ディスク516上に既に表示されている。)
【0103】
まさに上で記載された特徴のおかげで、正確で信頼できる暦に関する情報を表示するための機構が得られる。機構は、中国暦などの複雑な太陰太陽暦を含む、関係する暦の種類に簡単に適合させることができる。ユーザは、少なくともn年の全サイクルにわたって、修正のために介入する必要がない。nは、製造業者が独自の要件と制約に応じて定義する。したがって、本発明による表示機構は、例えばヒジュラ暦、韓国暦、またはヒンドゥー暦に関する情報を表示するためにも適合させることができる。
【0104】
本発明の実施は、図示および上述のような、表示される情報の性質によって、またはそれが表示される態様によって限定されない。実際、当業者であれば、たとえば、記載された多様な変形例を少なくとも部分的に可能な限り相互に組み合わせることによって、本教示を、添付の特許請求の範囲によって定義される表示機構の実現に適合させる際に、特別な困難に直面することはないであろう。たとえば、開口部内のグレゴリオ暦の日の表示を、表示針(必ずしもレトログラードではない可能性がある)による表示に置き換えることを、特に想像できる。したがって、この種の表示針は、当業者の要件および制約に応じて、(おそらく、図7を参照して記述された曜日の表示の代替または追加として)文字盤上の多様な位置に、たとえば、記載された24時間表示および/または中国の2倍時間と同心状で、6時の位置にあるカウンタに配置することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメントのための暦表示機構(2)であって、
日モバイル(50)であって、日表示部材(10;202)の動きを制御し、長い月の間に最大日数pで完全に1回転を完了できることを意図された、日モバイル(50)と、
前記日モバイル(50)を作動させる機構であって、前記日モバイル(50)を毎日少なくとも1ステップ回転させるように配置された、機構と、
月モバイル(62)であって、前記日モバイル(50)が完全に回転するたびに前記日モバイル(50)によって作動されるように配置された、月モバイル(62)と、
短い月のための修正装置であって、前記月モバイル(62)によって担持された月カム(64)を含み、それぞれがn年のサイクルにおける所与の月に関連付けられる複数の周辺セクタを含み、nは1より大きく、前記周辺セクタのそれぞれの平均半径は関連する月の長さに応じており、前記日モバイル(50)を作動させる前記機構は、前記月カム(64)と相互作用し、p未満の日数からなるそれぞれの短い月の終わりに、少なくとも1つの追加のステップによって、前記日モバイル(50)の作動を可能にするように配置されている、暦表示機構(2)において、
前記月モバイル(62)は年カム(72)を担持し、前記年カム(72)は、前記月カム(64)上にインデックス付けされ、それぞれが所与の年に関連付けられるn個の一連のステップを含み、各一連のステップは、関連する年の月数に対応するm個のステップを備え、
前記暦表示機構(2)は、回転型月レバー(76)を含み、前記回転型月レバー(76)は、前記回転型月レバー(76)の角度方向を定義するために、前記年カム(72)と接触して保持される月フィーラースピンドル(78)を担持し、さらに前記回転型月レバー(76)は、月表示モバイルと運動学的に接続し、それをレトログラード運動で駆動する、ことを特徴とする、暦表示機構(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の表示機構(2)において、
前記回転型月レバー(76)および前記月表示モバイルは、所与の年を通じて月を表示するために、前記月表示モバイルが40度と360度との間からなる角度で相互に分離された初期方向から最終方向まで旋回するように、形成されて相互に運動学的に接続され、
前記表示機構(2)は、弾性戻し部材(88)を含み、前記弾性戻し部材(88)は、前記回転型月レバー(76)に作用して前記月フィーラースピンドル(78)を前記年カム(72)に対して保持し、前記月表示モバイルを年末にその最終方向からその初期方向に移動させるように配置されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項3】
請求項に記載の表示機構(2)において、前記日モバイル(50)は、スパイラル形の日カム(216)を含み、前記表示機構(2)は、前記日カム(216)と協働するように配置された日フィーラースピンドル(218)を有する日表示レバー(220)を含み、また、前記日表示部材(202)を担持するように意図された日表示モバイル(214)と運動学的に接続することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項4】
請求項2に記載の暦表示機構(2)において、前記日モバイル(50)はスパイラル形の日カム(216)を含み、前記暦表示機構(2)は、前記日カム(216)と協働するように配置された日フィーラースピンドル(218)を有する日表示レバー(220)を含み、また、前記日表示部材(202)を担持するように意図された日表示モバイル(214)と運動学的に接続することを特徴とする、暦表示機構(2)。
【請求項5】
請求項に記載の表示機構(2)において、前記年カム(72)の前記n個の一連のステップの少なくとも1つは、12とは異なるm個のステップを備えることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項6】
請求項4に記載の暦表示機構(2)において、前記年カム(72)の前記n個の一連のステップの少なくとも1つは、12とは異なるm個のステップを備えることを特徴とする、暦表示機構(2)。
【請求項7】
請求項に記載の表示機構(2)において、前記n年の少なくとも1つが、12の基本の月に加えて少なくとも1つの閏月を含むとき、対応する前記一連のステップにおいて、少なくとも2つのステップは、他のステップの高さと比べて低減された高さを有することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項8】
請求項7に記載の暦表示機構(2)において、少なくとも1つの閏月を含む前記n年の前記少なくとも1つに対応する前記一連のステップのそれぞれにおいて、閏月に先行する月、閏月、および閏月に続く月にそれぞれ関連付けられるステップは、それぞれ、対応する一連のステップの他のステップの高さと比べて低減された高さを有することを特徴とする、暦表示機構(2)。
【請求項9】
請求項に記載の表示機構(2)において、前記月モバイル(62)は、少なくとも1つの固定された表示に関連して現行の年に関する情報を表示する部材(26)を担持するように意図されたシャフトを備えることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項10】
請求項に記載の表示機構(2)において、前記回転型月レバー(76)はビーク(106)を含み、前記ビーク(106)は、年駆動モバイル(108)と協働し、前記月フィーラースピンドル(78)がある一連のステップから次の一連のステップに動くときに、年末に前記年駆動モバイル(108)を1ステップ旋回させるように配置され、前記年駆動モバイル(108)は、少なくとも1つの固定されたマーカーに関連して現行の年に関する情報を表示する少なくとも1つの部材(100)を駆動するように意図されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項11】
請求項10に記載の表示機構(2)において、
前記年カム(72)の前記n個の一連のステップの少なくとも1つは、前記暦表示機構(2)が中国暦を表示するよう適合されるように、12とは異なるm個のステップを備え、
前記年駆動モバイル(108)は、スパイラル形で完全な一回転にわたって12のセクションを有する十二支カム(234)を含み、前記表示機構(2)は十二支レバー(236)を含み、十二支フィーラースピンドル(238)を有する前記十二支レバー(236)は、前記十二支カム(234)と協働するように配置され、十二支表示モバイルと運動学的に接続され、前記十二支表示モバイルは、十二支表示部材(226)の動きを制御するように意図されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項12】
請求項10に記載の表示機構(2)において、
前記年カム(72)の前記n個の一連のステップの少なくとも1つは、前記暦表示機構(2)が中国暦を表示するよう適合されるように、12とは異なるm個のステップを備え、
前記年駆動モバイル(108)は十干カム(240)を含み、前記十干カム(240)は、スパイラル形であり、完全な1回転にわたって12のセクションを有し、前記セクションは、10の異なるセクションの形状であり、そのうちの2つは、2つの追加のセクションを構成するために複製され、前記表示機構(2)は、十干レバー(242)を含み、十干フィーラースピンドル(244)を有する前記十干レバー(242)は、前記十干カム(240)と協働するように配置され、十干表示モバイルと運動学的に接続され、前記十干表示モバイルは、十干表示部材(230)の動きを制御するように意図されていることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項13】
請求項に記載の表示機構(2)であって、
月が29日または30日ある太陰暦または太陰太陽暦を表示するように適合され、
前記日モバイル(50)を作動させる前記機構は、日レバー(54)を含み、前記日レバー(54)は、1日に1回作動されて休止位置から作動位置に旋回し、前記作動位置において、前記日レバー(54)が担持する作動ビーク(70)を介して前記日モバイル(50)の30歯車(56)上に作用し、前記日モバイル(50)を少なくとも1ステップ進ませ、
前記日レバー(54)は日フィーラースピンドル(66)をみ、前記日フィーラースピンドル(66)は、前記月カム(64)と協働して、現行の月の長さに応じて2つの可能な休止位置の間でその休止位置を定義するように配置され、
前記30歯車(56)は、実質的に同じ長さの29の歯と、30番目の歯(68)と、を有し、前記30番目の歯(68)は、前記29の歯より長く、30日ある月の30日に、前記作動ビーク(70)が届く範囲内に位置されるように意図され、
前記月カム(64)、前記日レバー(54)、および前記30歯車(56)は、互いに対して形状決め、および位置決めされ、その結果、前記作動ビーク(70)は、29日ある月の29日になるとすぐに前記30番目の歯(68)に作用することができて、前記日レバー(54)がその休止位置からその作動位置に移動するときに、前記日モバイル(50)を2ステップ進めることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項14】
請求項13に記載の表示機構(2)おいて、前記表示機構(2)は、月の長さを表示するモバイルを含み、前記月の長さを表示するモバイルは、月の長さを表示する表示部材(30)の位置を制御するように意図されて、前記日レバー(54)と協働し、その結果、現行の月の長さに応じて2つの異なる位置を占めることができることを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項15】
請求項に記載の表示機構(2)において、前記表示機構(2)は、24時間歯車(40)を含み、前記24時間歯車(40)は、年次表示モバイル(300)と運動学的に接続され、前記年次表示モバイル(300)は、年次表示部材(502)の動きを制御するように意図されており、その結果、前記年次表示部材(502)が1年で完全に1回転することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項16】
請求項に記載の表示機構(2)において、
前記暦表示機構(2)は、12年にわたって中国暦を表示することが意図され、
前記月モバイル(62)は駆動歯車を含み、前記駆動歯車は、前記日モバイル(50)から月に1回駆動されるように意図されて、百四十九の歯を有し、
前記月カム(64)は百四十九の周辺セクタを有し、
前記年カム(72)は、12個の一連のステップで合計百四十九のステップを有することを特徴とする、表示機構(2)。
【請求項17】
請求項4に記載の暦表示機構(2)において、
前記暦表示機構(2)は、12年にわたって中国暦を表示することが意図され、
前記月モバイル(62)は駆動歯車を含み、前記駆動歯車は、前記日モバイル(50)から月に1回駆動されるように意図されて、百四十九の歯を有し、
前記月カム(64)は百四十九の周辺セクタを有し、
前記年カム(72)は、12個の一連のステップで合計百四十九のステップを有することを特徴とする、暦表示機構(2)。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載の暦表示機構(2)を含む時計ムーブメント。
【請求項19】
請求項1~17の何れか一項に記載の暦表示機構(2)を含む時計。
【請求項20】
請求項19に記載の時計であって、前記年カム(72)の前記n個の一連のステップの少なくとも1つは、12とは異なるm個のステップを備え、12とは異なるm個のステップを備える前記n個の一連のステップの前記少なくとも1つの少なくとも2つのステップは、他のステップの高さと比べて低減された高さを有する時計において、
月ごとに所定の長さである表示セクタに位置する3つの可能なインジケータ一位置を有する月目盛り(208)の前に移動されるように配置された月表示部材(202)を含み、前記3つの可能なインジケータ一位置は、閏月が関連付けられていない月を表示するための中央位置と、閏月が関連付けられている月および対応する閏月をそれぞれ表示するための、前記中央位置のそれぞれの両側の上の2つの追加の位置であることを特徴とする、時計。
【国際調査報告】