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特表2024-529777ARNiとカルシウムイオンアンタゴニストとの医薬組成物および応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ARNiとカルシウムイオンアンタゴニストとの医薬組成物および応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4178 20060101AFI20240801BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240801BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240801BHJP
   A61K 31/4422 20060101ALI20240801BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240801BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61K31/4178
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/4422
A61P9/04
A61P9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512983
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2022114659
(87)【国際公開番号】W WO2023025220
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110985830.4
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512301868
【氏名又は名称】シェンヅェン サルブリス ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SALUBRIS PHARMACEUTICALS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Zone A, 4F, 289 Digitland, 2 Hongliu Road, Futian District, Shenzhen, Guangdong 518017, China
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】孫 晶超
(72)【発明者】
【氏名】肖 瑛
(72)【発明者】
【氏名】刑 偉
(72)【発明者】
【氏名】呉 継綱
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA37
4C084ZA42
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC26
4C086BC62
4C086GA14
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA37
4C086ZA42
4C086ZC75
(57)【要約】
高血圧症および心不全などの疾病に用いられる、ARNiとカルシウムイオンアンタゴニストとの医薬組成物およびその応用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ARNiおよびカルシウムイオンアンタゴニストからなり、
ARNiの構造単位は(EXP3174・AHU377)・1.5Ca・nHOであり、n=1~3であり、
ARNiの構造式は、
【化1】
であることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
ARNiは、
【化2】
【化3】
または
【化4】
から選択されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記カルシウムイオンアンタゴニストは、アムロジピンであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)とアムロジピン(C2025Cl換算量として)との質量比は、240:1.25~20であることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)とアムロジピン(C2025Cl換算量として)との質量比は、240:1.25、240:2.5、240:5、240:7.5、または、240:10であることを特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物におけるARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)の用量は60~480mgから選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)の用量は、60、120、240、300、360、420および480mgから選択されることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物におけるアムロジピン(C2025Cl換算量として)の用量は、2.5~10mgから選択されることを特徴とする、請求項3~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記アムロジピン(C2025Cl換算量として)の用量は、2.5、5、7.5および10mgから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記アムロジピンは、ラセミ体のアムロジピン、左旋性のアムロジピン、右旋性のアムロジピン、あるいは、左旋性のアムロジピンと右旋性のアムロジピンとの任意の比率の混合物から選択され、アムロジピンは、塩として存在し、ベンゼンスルホン酸アムロジピン、マレイン酸アムロジピン、ベンゼンスルホン酸左旋性のアムロジピン、および、マレイン酸左旋性のアムロジピンから選択されることを特徴とする、請求項3~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
心不全および/または高血圧症の患者の治療のための医薬品の調製における、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
前記患者は、ARNi単独では制御が不十分である高血圧症および/または心不全の患者、あるいは、カルシウムイオンアンタゴニスト単独では制御が不十分である高血圧症および/または心不全の患者であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物の技術分野に属し、ARNiとカルシウムイオンアンタゴニストとの医薬組成物および応用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2007056546A1には、バルサルタン(Valsartan)-サクビトリル(Sacubitril、AHU377)のナトリウム塩複合体(LCZ696)およびその製造方法が開示されており、当該バルサルタン-サクビトリルのナトリウム塩複合体は、2017年に中国で製造販売承認を取得し、製品名:エンレスト(登録商標)(海外販売の製品名はENTRESTO(登録商標)であり、2015年)、心不全に用いられている。その分子構造単位は以下の通りである。
【0003】
【化1】
【0004】
また、WO2017125031A1には、アンギオテンシン受容体アンタゴニスト代謝生成物(EXP3174)とNEP阻害剤(Sacubitril)との一連の複合体が開示されており、その分子構造単位は以下の通りである。
【0005】
【化2】
【0006】
アムロジピン(amlodipine)は、カルシウムイオンアンタゴニストであり、末梢動脈血管平滑筋に直接作用し、末梢血管抵抗を低下させることにより、血圧を低下させる。その存在する形態は、ラセミ体のアムロジピン、左旋性のアムロジピン、右旋性のアムロジピン、あるいは、左旋性のアムロジピンと右旋性のアムロジピンとの任意の比率の混合物を含み、且つ、アムロジピンは、ベンゼンスルホン酸アムロジピン、マレイン酸アムロジピンなどを含む塩として存在することができる。
【0007】
従来技術であるHsiu-ling Hsiao、PharmacokinetiCdrug-drug interactioNassessment betweeNLCZ696、aNangiotensiNreceptor neprilysiNinhibitor、and hydrochlorothiazide、amlodipine、or carvedilol、Clinical Pharmacology iNDrug Development、2015.02.11、doi:10.1002/cpdd.183には、LCZ696とアムロジピンとを組み合わせて用いられるPKデータが開示されており、結果としては、LCZ696とアムロジピンとの組み合わせは、LCZ696単独に対して、バルサルタンの暴露量は増加していないことを見出した。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の問題点に鑑み、本発明は、ARNiおよびカルシウムイオンアンタゴニストからなり、ARNiの構造単位は(EXP3174・AHU377)・1.5Ca・nHOであり、n=1~3であり、
ARNiの構造式は、
【化3】
であることを特徴とする、医薬組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の好ましい技術案として、nは、1、1.5、2、2.5および3から選択される。
【0010】
本発明の好ましい技術案として、ARNiは、WO2017125031A1およびWO2021143898A1の製造方法によって得ることができ、関連製造方法および得られた物質が本特許に援用され、具体的には、ARNiは、
【化4】
【化5】
または
【化6】
から選択されるものであることが好ましい。
【0011】
本発明の好ましい技術案として、前記カルシウムイオンアンタゴニストは、アムロジピンから選択されるものである。
【0012】
本発明の好ましい技術案として、前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)とアムロジピン(C2025Cl換算量として)との質量比は、240:1.25~20である。
【0013】
本発明の好ましい技術案として、前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)とアムロジピン(C2025Cl換算量として)との質量比は、240:1.25、240:2.5、240:5、240:7.5、または、240:10であり、好ましくは240:5である。
【0014】
本発明の好ましい技術案として、前記医薬組成物におけるARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)の用量は60~480mgから選択される。
【0015】
本発明の好ましい技術案として、前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)の用量は60、120、240、300、360、420および480mgから選択される。
【0016】
本発明の好ましい技術案として、前記医薬組成物におけるアムロジピン(C2025Cl換算量として)の用量は2.5~10mgから選択される。
【0017】
本発明の好ましい技術案として、前記アムロジピン(C2025Cl換算量として)の用量は2.5、5、7.5および10mgから選択される。
【0018】
本発明の好ましい技術案として、前記医薬組成物は、ARNiおよびカルシウムイオンアンタゴニストからなり、ここで、前記医薬組成物は、
ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)120mgおよびアムロジピン(C2025Cl換算量として)2.5mgを含むか、
ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)240mgおよびアムロジピン(C2025Cl換算量として)5mgを含むか、
ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)360mgおよびアムロジピン(C2025Cl換算量として)7.5mgを含むか、あるいは
ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)480mgおよびアムロジピン(C2025Cl換算量として)10mgを含む。
【0019】
本発明の好ましい技術案として、前記アムロジピン
【化7】
は、ラセミ体のアムロジピン、左旋性のアムロジピン
【化8】
右旋性のアムロジピン、あるいは、左旋性のアムロジピンと右旋性のアムロジピンとの任意の比率の混合物から選択され、アムロジピンは、塩として存在し、ベンゼンスルホン酸アムロジピン
【化9】
マレイン酸アムロジピン、および、ベンゼンスルホン酸左旋性のアムロジピン、
マレイン酸左旋性のアムロジピン
【化10】
などから選択される。
【0020】
本発明の好ましい技術案として、前記医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体をさらに含有し、前記医薬組成物は、製剤手段によって適切な医薬剤形に製造し、前記適切な医薬剤形には固体経口剤形などの剤形が含まれる。
【0021】
本発明は、医薬組成物の使用をさらに提供し、前記医薬組成物の使用は、心不全および/または高血圧症を治療するための医薬品の調製における前記医薬組成物の使用であり、前記高血圧症は、原発性高血圧症を含み、前記心不全は、駆出率が低下した心不全および駆出率が保たれた心不全を含む。
【0022】
前記使用は、ARNi単独では制御が不十分である高血圧症/心不全患者の医薬品における応用、あるいはカルシウムイオンアンタゴニスト単独では制御が不十分である高血圧症/心不全患者の医薬品における応用を含む。
【0023】
本発明は、従来技術に対して以下の利点および有益な効果を有する。
【0024】
(1)本発明は、ARNiとカルシウムイオンアンタゴニストとの組み合わせを提供し、この組み合わせは、ARNiとカルシウムイオンアンタゴニストとの特定の質量比によって相乗作用を達成し、心不全および/または高血圧症の治療効果の向上に有利である。
【0025】
(2)本発明は、ARNiとアムロジピンとを質量比240:1.25~20の配合比率で投与した後、EXP3174暴露量はいずれも明らかに増加し、質量比240:5で投与することが最も好ましい。
【0026】
(3)アムロジピンと本発明の医薬品との組み合わせは、アムロジピンとLCZ696との組み合わせに比べ、アンギオテンシン受容体アンタゴニストARB(本発明のARNi複合体のEXP3174はLCZ696のバルサルタンと比較する)の暴露量が明らかに増加する。
【0027】
(4)前記医薬組成物の使用は、ARNi単独では制御が不十分である高血圧症/心不全患者の医薬品における応用、あるいはカルシウムイオンアンタゴニスト単独では制御が不十分である高血圧症/心不全患者の医薬品における応用をさらに含み、いずれも優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例と併せて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態がこれらに限定されない。
【0029】
本発明に用いられる原料は、WO2017125031A1およびWO2021143898A1に記載の方法を含む従来技術に既知の製造方法によって得ることができる。
【0030】
特に明記しない限り、本発明の実施例のARNiは、下記式の化合物であり、その使用量は遊離酸無水物C4650ClNを基準とするものである。
【0031】
【化11】
【0032】
用いられるアムロジピンは、ベンゼンスルホン酸アムロジピンであり、使用量が遊離濃度C2025Clを基準とするものである。
【化12】
【0033】
実施例1
1.1 投与溶液の調製
ARNi、LCZ696およびベンゼンスルホン酸アムロジピンを精秤し、それぞれ0.5%CMC-Naを入れてボルテックスで分散させ、ARNiまたはLCZ696の濃度を48mg/mLとし、アムロジピン(遊離)の濃度を0.125、0.25、0.5、1.0、2.0および4.0mg/mLとした。同体積のARNiを取り、それぞれ0.125、0.25、0.5、1.0、2.0および4.0mg/mLのアムロジピン懸濁液と混合して、医薬品濃度が24+0.0625、24+0.125、24+0.25、24+0.5、24+1.0および24+2.0mg/mLであるARNiとアムロジピンとの懸濁液を得、同体積のLCZ696を取り、1.0mg/mLのアムロジピン懸濁液と混合して、医薬品濃度が24+0.5mg/mLであるLCZ696とアムロジピンとの懸濁液を得、48mg/mLのARNiあるいはLCZ696の懸濁液をそれぞれ0.5%CMC-Naで2倍希釈し、ARNiとLCZ696との懸濁液の濃度を24mg/mLとした。
【0034】
1.2 SDラットへの投与および採血
200~300gのオスのSDラット25匹を取り、ランダムにグループ分けし、ARNiグループ、およびARNiとアムロジピンとの併用グループはそれぞれのグループに3匹のラットとし、LCZ696グループ、およびLCZ696とアムロジピンの併用グループはそれぞれのグループに2匹のラットとし、各グループの投与用量は下記の表1に示し、グループごとに胃内投与により対応する医薬品を投与し、投与体積を10mL/kgとした。それぞれ投与した後に0.25、0.5、1、2、5、7および24hを経った時点に、約100μLの全血サンプルを尾静脈からEDTA-K2採血管に採取し、10000rpmで2min遠心分離し、血漿を分離し、LC/MS/MSでEXP3174またはバルサルタンの血中濃度を検出した。
【0035】
【表1】
【0036】
1.3 データ統計
WinNonlinソフトウェアを用いてEXP3174あるいはバルサルタンの薬物動態パラメータを算出した。
【0037】
1.4 実験結果を下記の表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
1.5 ラットPK実験の結論
ARNiとアムロジピンとを組み合わせて、異なる配合比率でラットに胃内投与により投与した後のEXP3174暴露量と、同用量のARNiを単独投与した場合と比べ、異なる変化を示し、ARNiとアムロジピンとを240:0.625の配合比率で併用投与した後のEXP3174の暴露量は、240mg/kgのARNi単剤の場合と比べ、暴露量が低下した(約11.5%低下した)が、ARNiとアムロジピンとの配合比率の増加につれて、EXP3174の暴露量は、ARNi単剤グループと比べ、いずれも増加し、ARNiとアムロジピンとを240:5の配合比率で投与した場合は、EXP3174の暴露量の増加の比率が最も高かった(増加の比率は35.8%であった)。
【0040】
しかしながら、LCZ696とアムロジピンとを240:5の配合比率でラットに胃内投与により投与した後に、バルサルタンの暴露量の増加の比率はわずか4.6%であり、同配合比率でのARNiとアムロジピンとの併用投与と比べ、暴露量の増加の比率が明らかに低かった。
【0041】
以上から、ラットPK実験により、本発明のARNiとアムロジピンとの組み合わせは、ARNi単剤より優れるとともに、LCZ696とアムロジピンとの組み合わせよりも優れることが分かった。
【0042】
実施例2
WO2017125031A1およびWO2021143898A1に記載の製造方法を用い、それぞれ以下の構造式のARNiを得、それぞれアムロジピンと240:1.25~20で組み合わせ、実施例1とほぼ一致する実験結果を得、EXP3174の暴露量において相乗効果を示した。
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
以上から、EXP3174およびAHU377が1.5Caにより形成された複合体であるARNiとアムロジピンとの組み合わせ(遊離濃度の質量比240:1.25~20、特に質量比240:5で)は、EXP3174の暴露量の相乗効果を達成し、組み合わせて用いることにより高血圧症および/または心不全に使用される効果を高めることが予想される。
【0046】
実施例3 アムロジピン単剤での制御が不十分であるSHRラットへARNi+アムロジピンの投与の影響
実験動物:WKYラットおよびSHRラットは、北京維通利華生物技術有限公司から購入し、13週齢で動物室に入り、馴化期を約2週間とした後に実験を行った。
【0047】
被験物:ARNi、アムロジピンおよびLCZ696は、いずれも深セン信立泰藥業股ふん有限公司から提供された。
【0048】
医薬品の調製:0.5%CMC-Naを用いて調製し、調製した医薬品の濃度はいずれも無水遊離形態を基準とした。
【0049】
実験グループ分け:投与の前日に、動物の基礎血圧および体重によって動物をランダムに4グループに分け、具体的なグループ分けおよび投与計画を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
各用量グループは、7日投与し続けた後、グループ3、グループ4は、24hの血圧制御の状況によって血圧制御が不十分なラット(SBP≧140mmHg)を選択し、実験を続け、グループ4をランダムに三つのグループ(グループ4、グループ5、グループ6)に分け、具体的なグループ分けおよび投与計画を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
実験方法:それぞれ0日目、7日目および14日目で秤量した。投与前、即ち、0日目で基礎血圧を測定し、投与後毎週1、3、7、24時間後に、動物の血圧を測定し、血圧を測定する時に、動物をBP-2010A非侵襲血圧計付属のラットバッグに入れ、37.5℃のホールディングベッセルに2~3分間置き、動物の状態が安定してから血圧を測定し始め、各動物を1~3回測定した。
【0054】
実験結果:アムロジピン単剤での制御が不十分である高血圧症に対して、本発明のARNi複合体およびアムロジピンからなる複合体の医薬組成物は、血圧の制御で相乗作用を有し、24hの血圧の制御において優れ、且つLCZ696およびアムロジピンからなる複合体の医薬組成物を投与する場合の降圧効果より優れ、このARNiおよびアムロジピンからなる複合体は、脳血管合併症の発生をより効果的に予防できることを示唆した。
【0055】
【表5】
【0056】
備考:P<0.05、***P<0.001(vs SHR溶媒グループ)、P<0.05(vsARNi)、$$$P<0.001(vsアムロジピン)。
【0057】
本実施例のARNi複合体の使用量は遊離酸無水物C4650ClNを基準とするものであった。用いられるアムロジピンは、ベンゼンスルホン酸アムロジピンであり、使用量が遊離濃度C2025Clを基準とするものであった。
【0058】
実施例4 ARNi単剤での制御が不十分であるSHRラットへARNi+アムロジピンの投与の影響
【0059】
実験動物:WKYラットおよびSHRラットは北京維通利華生物技術有限公司から購入し、13週齢で動物室に入り、馴化期を約2週間とした後に実験を行った。
【0060】
被験物:ARNiおよびアムロジピンは、いずれも深セン信立泰藥業股ふん有限公司から提供された。
【0061】
医薬品の調製:0.5%CMC-Naを用いて調製し、調製した医薬品の濃度はいずれも無水遊離形態を基準とした。
【0062】
実験グループ分け:投与の前日に、動物の基礎血圧および体重によって動物をランダムに4グループに分け、具体的なグループ分けおよび投与計画を表6に示す。
【0063】
【表6】
【0064】
各用量グループは、7日投与し続けた後、グループ3、グループ4は、24hの血圧制御の状況によって血圧制御が不十分なラット(SBP≧140mmHg)を選択し、実験を続け、グループ3をランダムに二つのグループ(グループ3、グループ5)に分け、具体的なグループ分けおよび投与計画を表7に示す。
【0065】
【表7】
【0066】
実験方法:それぞれ0日目、7日目および14日目で秤量した。投与前、即ち、0日目で基礎血圧を測定し、投与後毎週1、3、7、24時間後に、動物の血圧を測定し、血圧を測定する時に、動物をBP-2010A非侵襲血圧計付属のラットバッグに入れ、37.5℃のホールディングベッセルに2~3分間置き、動物の状態が安定してから血圧を測定し始め、各動物を1~3回測定した。
【0067】
実験結果:試験結果から、ARNi単剤での制御が不十分である高血圧症に対して、本発明のARNi複合体およびアムロジピンからなる複合体の医薬組成物は、血圧の制御で相乗作用を有し、24hの血圧制御において優れたことを示した。このARNiおよびアムロジピンからなる複合体は、脳血管合併症の発生をより効果的に予防できることを示唆した。
【0068】
【表8】
【0069】
備考:P<0.05、***P<0.001(vs SHR溶媒グループ)、##P<0.01(vsアムロジピン)。
【0070】
本実施例のARNi複合体の使用量は遊離酸無水物C4650ClNを基準とするものであった。用いられるアムロジピンは、ベンゼンスルホン酸アムロジピンであり、使用量が遊離濃度C2025Clを基準とするものであった。
【0071】
上記した実施例は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態が上記した実施例によって限定されるものではなく、本発明の精神および原理から逸脱しない他の任意の変更、修正、置換、組み合わせ、および簡略化は、同等の置換方法であることを理解すべきであり、何れも本発明の保護範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ARNiおよびカルシウムイオンアンタゴニストからなり、
ARNiの構造単位は(EXP3174・AHU377)・1.5Ca・nHOであり、n=1~3であり、
ARNiの構造式は、
【化1】
であることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
ARNiは、
【化2】
【化3】
または
【化4】
から選択されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記カルシウムイオンアンタゴニストは、アムロジピンであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)とアムロジピン(C2025Cl換算量として)との質量比は、240:1.25~20であることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)とアムロジピン(C2025Cl換算量として)との質量比は、240:1.25、240:2.5、240:5、240:7.5、または、240:10であることを特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物におけるARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)の用量は60~480mgから選択されることを特徴とする、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ARNi(遊離酸無水物C4650ClN換算量として)の用量は、60、120、240、300、360、420および480mgから選択されることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物におけるアムロジピン(C2025Cl換算量として)の用量は、2.5~10mgから選択されることを特徴とする、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記アムロジピン(C2025Cl換算量として)の用量は、2.5、5、7.5および10mgから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記アムロジピンは、ラセミ体のアムロジピン、左旋性のアムロジピン、右旋性のアムロジピン、あるいは、左旋性のアムロジピンと右旋性のアムロジピンとの任意の比率の混合物から選択され、アムロジピンは、塩として存在し、ベンゼンスルホン酸アムロジピン、マレイン酸アムロジピン、ベンゼンスルホン酸左旋性のアムロジピン、および、マレイン酸左旋性のアムロジピンから選択されることを特徴とする、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
心不全および/または高血圧症の患者の治療のための医薬品の調製における、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
前記患者は、ARNi単独では制御が不十分である高血圧症および/または心不全の患者、あるいは、カルシウムイオンアンタゴニスト単独では制御が不十分である高血圧症および/または心不全の患者であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【国際調査報告】