(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】デッドタイム決定方法、充電駆動回路、装置、機器および媒体
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513155
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2022113854
(87)【国際公開番号】W WO2023025079
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110988747.2
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS17
5H730BB11
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE13
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF09
5H730FF17
(57)【要約】
本発明は、デッドタイム決定方法、充電駆動回路、装置、機器および媒体を開示し、該デッドタイム決定方法は、充電駆動回路の出力電流を取得することと、充電駆動回路の出力電流に基づいて、充電駆動回路の負荷状態を決定することと、充電駆動回路の出力電圧を取得することと、充電駆動回路の出力電圧および負荷状態に基づいて、充電駆動回路のデッドタイムを決定することと、を含む。本発明は、充電駆動回路の出力電流および出力電圧に基づいて、異なる負荷状態での充電駆動回路のデッドタイムを決定することによって、充電装置に安定した電圧または電流を出力させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電駆動回路のデッドタイムをリアルタイムに決定するためのデッドタイム決定方法において、
充電駆動回路の出力電流を取得することと、
前記充電駆動回路の出力電流に基づいて、前記充電駆動回路の負荷状態を決定することと、
前記充電駆動回路の出力電圧を取得することと、
前記充電駆動回路の出力電圧および前記負荷状態に基づいて、前記充電駆動回路のデッドタイムを決定することとを含む
ことを特徴とするデッドタイム決定方法。
【請求項2】
前記負荷状態は、アイドリング状態または負荷入れ状態である
ことを特徴とする請求項1に記載のデッドタイム決定方法。
【請求項3】
前記充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy
1を決定することは、
まず比例係数kと入力電圧xとの積を算出することと、
次に前記積とバイアス定数bとの和を前記充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy
1として算出することとを含む
ことを特徴とする請求項2に記載のデッドタイム決定方法。
【請求項4】
前記充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムyを決定することは、
動作周波数に対するシステムクロック周波数fの比と第1の係数との積を算出することと、
前記充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy
1と前記積との差分を算出することと、
前記差分と第2の係数との積を、前記充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムyとして算出することと、を含む
ことを特徴とする請求項3に記載のデッドタイム決定方法。
【請求項5】
前記充電駆動回路の出力電流に基づいて、前記充電駆動回路の負荷状態を決定することは、
前記充電駆動回路の出力電流が第1の所定の閾値よりも大きい場合、前記充電駆動回路の負荷状態を負荷入れ状態として決定することと、
前記充電駆動回路の出力電流が第2の所定の閾値未満である場合、前記充電駆動回路の負荷状態をアイドリング状態として決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のデッドタイム決定方法。
【請求項6】
前記第1の所定の閾値は、前記第2の所定の閾値よりも大きい
ことを特徴とする請求項5に記載のデッドタイム決定方法。
【請求項7】
電源モジュールと、電圧収集モジュールと、電流収集モジュールと、トランジスタ駆動回路と、トランジスタスイッチ回路と、マイクロコントロールユニットとを含む充電駆動回路であって、
前記電源モジュールは、給電電圧を提供するように電源機器に接続されるために用いられ、
前記トランジスタスイッチ回路は、負荷機器に接続され、前記負荷機器に給電するために用いられ、
前記トランジスタ駆動回路は、前記マイクロコントロールユニットと前記トランジスタスイッチ回路との間に接続され、前記トランジスタスイッチ回路のオンオフを駆動するために用いられ、
前記電圧収集モジュールは、前記トランジスタスイッチ回路の出力端に接続され、前記トランジスタスイッチ回路の出力電圧を収集するために用いられ、
前記電流収集モジュールは、前記トランジスタスイッチ回路の出力端に接続され、前記トランジスタスイッチ回路の出力電流を収集するために用いられ、
前記マイクロコントロールユニットは、前記電圧収集モジュールと前記電流収集モジュールとにそれぞれ接続され、前記マイクロコントロールユニットは、前記トランジスタスイッチ回路の出力電圧および前記充電駆動回路の負荷状態に基づいて、前記充電駆動回路のデッドタイムを決定するとともに、前記デッドタイムに基づいて前記トランジスタスイッチ回路のオンオフを制御するための制御信号を生成するように配置される
ことを特徴とする充電駆動回路。
【請求項8】
前記トランジスタ駆動回路は、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップによって実現され、前記第1の駆動チップおよび前記第2の駆動チップは、ハーフブリッジ回路またはフルブリッジ回路を駆動するためのデュアル入力インターフェースを有するデュアルチャンネル絶縁型ゲートドライバである
ことを特徴とする請求項7に記載の充電駆動回路。
【請求項9】
前記第1の駆動チップおよび前記第2の駆動チップに採用されるチップの型番はUCC21520である
ことを特徴とする請求項8に記載の充電駆動回路。
【請求項10】
前記マイクロコントロールユニットは、
前記充電駆動回路の出力電圧および出力電流を取得するための取得ユニットと、
前記出力電流に基づいて前記充電駆動回路の負荷状態を判定するための判定ユニットと、
前記出力電圧および前記負荷状態に基づいて前記充電駆動回路のデッドタイムを算出するための算出ユニットと、を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の充電駆動回路。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載の充電駆動回路を含むことを特徴とする充電装置。
【請求項12】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されてプロセッサで運転可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器において、
前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~6のいずれか1項に記載のデッドタイム決定方法を実現する
ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか1項に記載のデッドタイム決定方法を実行するコンピュータプログラムが記憶されている
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年8月26日に提出された出願番号が202110988747.2であり、発明名称が「デッドタイム決定方法、充電駆動回路、装置、機器および媒体」である中国特許出願の優先権を要求し、その全ての内容は援用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、電力分野に関し、特にデッドタイム決定方法、充電駆動回路、装置、機器および媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
この部分は、特許請求の範囲に記載された本発明の実施例のために背景またはコンテキストを提供することを意図する。ここでの説明は、この部分に含まれるために従来技術として認められない。
【0004】
新エネルギー自動車の発展に伴い、新エネルギー自動車を急速に充電することは新しい市場のニーズとなり、従来の充電スタンドで電気自動車を充電する際に、通常、大きい充電時間長を必要とし、電源の充電効率を向上させるために、ブリッジ回路における電力素子をソフトスイッチングの状態で動作させる必要があるため、電力素子に対応するデッドタイムを合理的に調整する必要がある。
【0005】
関連技術において、電力素子のデッドタイムを制御する場合、通常、固定時間制御を採用する。しかし、関連技術におけるこのような方式によってデッドタイムを制御する場合、一部の動作領域のデッドタイムが実際のソフトスイッチング時間よりも小さくなり、ソフトスイッチングが不十分になり、電源の充電効率を低下させてしまう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施例は、充電駆動回路のデッドタイムをリアルタイムに決定するためのデッドタイム決定方法を提供し、充電駆動回路の出力電流を取得することと、充電駆動回路の出力電流に基づいて、充電駆動回路の負荷状態を決定することと、充電駆動回路の出力電圧を取得することと、充電駆動回路の出力電圧および負荷状態に基づいて、充電駆動回路のデッドタイムを決定することとを含む。
【0007】
さらに、負荷状態は、アイドリング状態または負荷入れ状態である。
【0008】
さらに、充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy1を決定することは、まず比例係数kと入力電圧xとの積を算出することと、次に積とバイアス定数bとの和を充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy1として算出することとを含む。
【0009】
さらに、充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムyを決定することは、動作周波数に対するシステムクロック周波数fの比と第1の係数との積を算出することと、充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy1と積との差分を算出することと、差分と第2の係数との積を、充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムyとして算出することと、を含む。
【0010】
さらに、充電駆動回路の出力電流に基づいて、充電駆動回路の負荷状態を決定することは、充電駆動回路の出力電流が第1の所定の閾値よりも大きい場合、充電駆動回路の負荷状態を負荷入れ状態として決定することと、充電駆動回路の出力電流が第2の所定の閾値未満である場合、充電駆動回路の負荷状態をアイドリング状態として決定することと、を含む。
【0011】
さらに、第1の所定の閾値は、第2の所定の閾値よりも大きい。
【0012】
本発明の実施例において、従来の充電スタンドにおけるパワーデバイスが一定時間長のデッドタイムを採用することによって、電気自動車を充電するには大きい充電時間長を必要とするという技術的課題を解決するための充電駆動回路をさらに提供し、該充電駆動回路は、電源モジュールと、電圧収集モジュールと、電流収集モジュールと、トランジスタ駆動回路と、トランジスタスイッチ回路と、マイクロコントロールユニットとを含み、ここに、電源モジュールは、給電電圧を提供するように電源機器に接続されるために用いられ、トランジスタスイッチ回路は、負荷機器に接続され、負荷機器に給電するために用いられ、トランジスタ駆動回路は、マイクロコントロールユニットとトランジスタスイッチ回路との間に接続され、トランジスタスイッチ回路のオンオフを駆動するために用いられ、電圧収集モジュールは、トランジスタスイッチ回路の出力端に接続され、トランジスタスイッチ回路の出力電圧を収集するために用いられ、電流収集モジュールは、トランジスタスイッチ回路の出力端に接続され、トランジスタスイッチ回路の出力電流を収集するために用いられ、マイクロコントロールユニットは、電圧収集モジュールと電流収集モジュールとにそれぞれ接続され、マイクロコントロールユニットは、トランジスタスイッチ回路の出力電圧および充電駆動回路の負荷状態に基づいて、充電駆動回路のデッドタイムを決定するとともに、デッドタイムに基づいてトランジスタスイッチ回路のオンオフを制御するための制御信号を生成するように配置される。
【0013】
さらに、トランジスタ駆動回路は、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップによって実現され、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップは、ハーフブリッジ回路またはフルブリッジ回路を駆動するためのデュアル入力インターフェースを有するデュアルチャンネル絶縁型ゲートドライバである。
【0014】
さらに、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップが採用するチップの型番はUCC21520である。
【0015】
さらに、マイクロコントロールユニットは、充電駆動回路の出力電圧および出力電流を取得するための取得ユニットと、出力電流に基づいて充電駆動回路の負荷状態を判定するための判定ユニットと、出力電圧および負荷状態に基づいて充電駆動回路のデッドタイムを算出するための算出ユニットと、を含む。
【0016】
本発明の実施例は、従来の充電スタンドにおけるパワーデバイスが一定時間長のデッドタイムを採用することによって、電気自動車を充電するには大きい充電時間長を必要とするという技術的課題を解決するための充電装置をさらに提供し、該充電装置は、上記の充電駆動回路を含む。
【0017】
本発明の実施例は、従来の充電スタンドにおけるパワーデバイスが一定時間長のデッドタイムを採用することによって、電気自動車を充電するには大きい充電時間長を必要とするという技術的課題を解決するためのコンピュータ機器をさらに提供し、該コンピュータ機器は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されてプロセッサで運転可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、上記デッドタイム決定方法を実現する。
【0018】
本発明の実施例は、従来の充電スタンドにおけるパワーデバイスが一定時間長のデッドタイムを採用することによって、電気自動車を充電するには大きい充電時間長を必要とするという技術的課題を解決するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、上記デッドタイム決定方法を実行するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0019】
本発明の実施例において、充電駆動回路の出力電流を収集した後、充電駆動回路の出力電流に基づいて充電駆動回路の負荷状態を決定し、さらに充電駆動回路の出力電圧を収集した後、充電駆動回路の出力電圧および負荷状態に基づいて、充電駆動回路のデッドタイムを決定することによって、異なる負荷状態での充電駆動回路のデッドタイムを取得し、ソフトスイッチングが十分であることを確保し、さらに充電装置に安定した電圧または電流を出力させる。
【0020】
本発明の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。図中において、
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例により提供される充電駆動回路の模式図
【
図2】本発明の実施例により提供されるMOS駆動回路の模式図
【
図3】本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法のフローチャート
【
図4】本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法の具体的な実現フローチャート
【
図5】本発明の実施例により提供されるコンピュータ機器の模式図
【0022】
符号の説明
10、電源モジュール;
20、電圧収集モジュール;
30、電流収集モジュール;
40、トランジスタ駆動回路;
50、トランジスタスイッチ回路;
60、マイクロコントロールユニット;
70、コンピュータ機器;
701、メモリ;
702、プロセッサ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明瞭にするために、以下、図面を参照しながら本発明の実施例をさらに詳細に説明する。ここで、本発明の例示的な実施例およびその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0024】
本発明の実施例は、充電駆動回路を提供し、
図1は本発明の実施例により提供される充電駆動回路の模式図であり、
図1に示すように、該充電駆動回路は、電源モジュール10と、電圧収集モジュール20と、電流収集モジュール30と、トランジスタ駆動回路40と、トランジスタスイッチ回路50と、マイクロコントロールユニット60とを含み、
ここに、電源モジュール10は、電源機器に接続され、給電電圧を提供するために用いられ、
トランジスタスイッチ回路50は、負荷機器に接続され、負荷機器に給電するために用いられ、
トランジスタ駆動回路40は、マイクロコントロールユニット60とトランジスタスイッチ回路50との間に接続され、トランジスタスイッチ回路のオンオフを駆動するために用いられ、
電圧収集モジュール20は、トランジスタスイッチ回路50の出力端に接続され、トランジスタスイッチ回路50の出力電圧を収集するために用いられ、
電流収集モジュール30は、トランジスタスイッチ回路50の出力端に接続され、トランジスタスイッチ回路50の出力電流を収集するために用いられ、
マイクロコントロールユニット60は、電圧収集モジュール20と電流収集モジュール30とにそれぞれ接続され、トランジスタスイッチ回路50の出力電圧および出力電流に基づいて、トランジスタスイッチ回路50のオンオフを制御するための制御信号を生成するために用いられる。
【0025】
具体的に実施する際に、上記マイクロコントロールユニット60は、取得ユニットと、判定ユニットと、算出ユニットとを含むことができる。ここに、取得ユニットは、前記充電駆動回路の出力電圧および出力電流を取得するために用いられ、判定ユニットは、前記出力電流に基づいて前記充電駆動回路の負荷状態を判定するために用いられ、算出ユニットは、前記出力電圧および前記負荷状態に基づいて前記充電駆動回路のデッドタイムを算出するために用いられる。
【0026】
なお、マイクロコントロールユニット60から出力される制御信号は、方形波信号であってもよく、ハイ・ローレベルを出力する方式によりトランジスタスイッチ回路のオンオフを制御し、トランジスタスイッチ回路がオンになると、電圧出力端にエネルギーを伝達し、トランジスタスイッチ回路のオン時間とオン速度を制御することによって、出力電圧を調整することによって、安定した直流電圧を出力する。
【0027】
電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、MOS)は、より小さく、より省エネであるという利点を有するため、一実施例において、本発明の実施例におけるトランジスタは電界効果トランジスタを採用する。
【0028】
本発明の実施例により提供される充電駆動回路において、マイクロコントロールユニットはワンチップマイコンにより実現される。一実施例において、該ワンチップマイコンは、型番がTMS320F280049CPZSであるチップを採用することができる。TMS320F280049の主な周波数は、100MHZであり、機能が強く、多くのオンチップ・アナログ周辺機器を有する。
【0029】
ハーフブリッジ回路とフルブリッジ回路とを両立させるために、一実施例において、本発明の実施例より提供される充電駆動回路において、トランジスタ駆動回路は、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップによって実現され、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップは、ハーフブリッジ回路またはフルブリッジ回路を駆動するためのデュアル入力インターフェースを有するデュアルチャンネル絶縁型ゲートドライバである。
図2は本発明の実施例により提供されるMOS駆動回路の模式図であり、
図2に示すU1とU2はそれぞれ第1の駆動チップと第2の駆動チップであり、本明細書において、第1の駆動チップと第2の駆動チップに採用されるチップの型番はUCC21520である。
【0030】
UCC21520は、4Aのピークソース電流および6Aのピークシンク電流を有する絶縁型デュアルチャネルゲートドライバである。高いスイッチング周波数をサポートするとともに、高い絶縁強度を有し、MOS電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)などを駆動するために用いられる。本明細書において、第1の駆動チップおよび第2の駆動チップの駆動部分と制御部分との間は、絶縁されており、内部の2つの駆動チャネルの間も絶縁されている。
【0031】
本発明の実施例は、上記いずれかの充電駆動回路を含む充電装置をさらに提供する。
【0032】
なお、本発明の実施例により提供される充電装置は、電気自動車の充電装置であってもよいが、これに限定されない。
【0033】
本発明の実施例は、充電駆動回路のデッドタイムをリアルタイムに決定するためのデッドタイム決定方法をさらに提供し、該デッドタイム決定方法は、上記充電駆動回路のデッドタイムを決定することができるが、これに限定されない。
【0034】
図3は本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法のフローチャートであり、
図3に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0035】
S301、充電駆動回路の出力電流を取得する。
【0036】
S302、充電駆動回路の出力電流に基づいて、充電駆動回路の負荷状態を決定する。
【0037】
S303、充電駆動回路の出力電圧を取得する。
【0038】
S304、充電駆動回路の出力電圧および負荷状態に基づいて、充電駆動回路のデッドタイムを決定する。
【0039】
なお、本発明の実施例におけるデッドタイムは、フルブリッジ回路またはハーフブリッジ回路における上下のトランジスタがスイッチング速度により同時にオンにされないように設定された保護期間である。上記充電駆動回路の出力電流は、即ち、トランジスタスイッチ回路の出力電流であり、上記充電駆動回路の出力電圧は、即ち、トランジスタスイッチ回路の出力電圧であり、充電駆動回路の出力電流に基づいて充電駆動回路の負荷状態を決定する際に、具体的には、充電駆動回路の出力電流が第1の所定の閾値よりも大きい場合、充電駆動回路の負荷状態を負荷入れ状態として決定するステップと、充電駆動回路の出力電流が第2の所定の閾値未満である場合、充電駆動回路の負荷状態をアイドリング状態として決定するステップとによって実現することができる。ここに、第1の所定の閾値は前記第2の所定の閾値よりも大きく、例えば、第1の所定の閾値の値の範囲は0.15~0.3Aであり、第2の所定の閾値は0.05~0.1Aである。
【0040】
本発明の実施例において、負荷状態は、アイドリング状態または負荷入れ状態を含む。
【0041】
本発明の実施例において、アイドリング状態とは、充電駆動回路が負荷機器に接続されているが充電していない状態を指し、負荷入れ状態とは、充電駆動回路が負荷機器に接続されているとともに充電している状態を指す。
【0042】
一実施例において、本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法は、まず比例係数kと入力電圧xとの第1の積を算出するステップと、次に第1の積とバイアス定数bとの和を充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy1として算出するステップとによって、充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy1を決定することができる。一実施例において、式(1)により充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムを算出する。
【0043】
【0044】
ただし、y1は充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムを表し、kは時間単位の比例係数を表し、xは入力電圧を表し、bはバイアス定数を表す。
【0045】
さらに、本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法は、動作周波数Fswに対するシステムクロック周波数fとの比と第1の係数との第2の積を算出するステップと、充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムy1と第2の積との差分を算出するステップと、差分と第2の係数との積を、充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムyとして算出するステップとによって、充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムyを決定することができる。一実施例では、式(2)により充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムを算出し、第1の係数は0.3に等しく、第2の係数は10に等しい。
【0046】
【0047】
ただし、yは充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムを表し、fはシステムクロック周波数を表し、値の範囲が0~16KHzであり、Fswは動作周波数を表し、動作周波数の値の範囲が50~60Hzである。
【0048】
図4は、本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法の具体的な実現フローチャートであり、
図4に示すように、
マイクロコントロールユニットが方形波信号を出力し、トランジスタスイッチ回路を駆動するS401と、
電圧収集モジュールによりトランジスタスイッチ回路の出力電圧を収集するS402と、
電流収集モジュールによってトランジスタスイッチ回路の出力電流を収集し、収集された出力電流に基づいて充電駆動回路がアイドリング状態にあるか否かを判断し、充電駆動回路がアイドリング状態にない場合、S404を実行し、充電駆動回路がアイドリング状態にある場合、S405を実行するS403と、
充電駆動回路が負荷入れ状態にあるデッドタイムを算出するS404と、
充電駆動回路がアイドリング状態にあるデッドタイムを算出するS405と、
デッドタイムを調整するS406と、
トランジスタスイッチ回路が安定した電圧と電流を出力するように制御するS407と、を含む。
【0049】
なお、充電駆動回路がアイドリング状態にある場合、入力電圧が異なると、デッドタイムが異なる。入力電圧の範囲は30~400Vであってもよく、異なる入力電圧によって、充電駆動回路をソフトスイッチング領域で動作させるために、まずシステム動作周波数の範囲を調整して決定する。例えば、アイドリング動作周波数の範囲が165Kである場合、デッドタイムの範囲は1900ns~400nsである。充電駆動回路がアイドリング状態にあるときのデッドタイムの算出は、上記式(1)によって実現できる。充電駆動回路が負荷入れ状態にある場合、充電駆動回路がアイドリング状態にある時のデッドタイムy1、動作周波数Fsw(PID(Proportion Integration Differentiation、比例積分)調節方式を採用して出力電圧値に基づいて動作周波数を調整することができる)、システムクロック周波数fに基づいて、上記式(2)により充電駆動回路が負荷入れ状態にある時のデッドタイムを算出し、さらに充電駆動回路が負荷入れ状態にある時のデッドタイムに基づいて、トランジスタスイッチ回路が安定した電圧と電流を出力するように制御することができる。
【0050】
なお、異なる出力電圧と出力電流によって、本発明の実施例における充電駆動回路のシステム動作周波数帯域は90K~165Kであってもよく、デッドタイム範囲は400ns~900nsであってもよい。
【0051】
システム全体の動作状態をより良くし、効率をより高くし、顧客のニーズを満たすために、一実施例において、本発明の実施例により提供されるデッドタイム決定方法は、さらにアイドリング状態と負荷入れ状態との切り替えをすることができる。
【0052】
例えば、充電駆動回路がアイドリング状態で動作する場合、トランジスタスイッチ回路の出力電流が第1の所定の閾値(例えば、0.2A)よりも大きくなると、アイドリング状態から負荷入れ状態に切り替えられ、充電駆動回路が負荷入れ状態で動作する場合、トランジスタスイッチ回路の出力電流が第2の所定の閾値(例えば、0.1A)よりも小さくなると、負荷入れ状態からアイドリング状態に切り替えられる。
【0053】
また、本発明の実施例における負荷機器は、大電力負荷機器であり、負荷機器が電気自動車である場合、本発明の実施例により提供される充電駆動回路は、充電スタンド内に設けられることができる。本発明の実施例により提供される充電駆動回路を電気自動車の充電スタンド内に設けることによって、電気自動車を急速で安定的に充電する目的を実現することができる。本発明の実施例により提供される充電駆動回路は、設計が簡単で、部品の交換が容易で、市場競争力が強い。本発明の実施例により提供される充電駆動回路のデッドタイムの決定方法は、実用的で、簡単である。
【0054】
本発明の実施例では、従来の充電スタンドにおけるパワーデバイスが一定時間長のデッドタイムを採用することによって、電気自動車を充電するには大きい充電時間長を必要とするという技術的課題を解決するためのコンピュータ機器をさらに提供し、
図5は、本発明の実施例により提供されるコンピュータ機器の模式図であり、
図5に示すように、該コンピュータ機器70は、メモリ701と、プロセッサ702と、メモリ701に記憶されてプロセッサ702で運転可能なコンピュータプログラムとを含み、プロセッサ702がコンピュータプログラムを実行すると、上記デッドタイム決定方法を実現する。
【0055】
本発明の実施例は、従来の充電スタンドにおけるパワーデバイスが一定時間長のデッドタイムを採用することによって、電気自動車を充電するには大きい充電時間長を必要とするという技術的課題を解決するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、上記デッドタイム決定方法を実行するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0056】
以上のように、本発明の実施例により提供される充電駆動回路、充電装置、デッドタイム決定方法、コンピュータ機器およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、電圧収集モジュールによりトランジスタ駆動回路の出力電圧を収集し、電流収集モジュールによりトランジスタ駆動回路の出力電流をそれぞれ収集することによって、マイクロコントロールユニットがトランジスタスイッチ回路の出力電圧および出力電流に基づいて、トランジスタスイッチ回路のオンオフを制御するための制御信号を生成しやすく、これによって、トランジスタスイッチ回路が安定した電圧を出力して負荷機器に給電する。本発明の実施例により提供される充電駆動回路およびそのデッドタイム決定方法によって、充電装置に負荷機器に安定した電圧または電流を出力させることができる。
【0057】
当業者は、本発明の実施例が、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解すべきである。したがって、本発明は、完全なハードウェアの実施例、完全なソフトウェアの実施例、またはソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実施例の形態を用いることができる。そして、本発明は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む一つまたは複数のコンピュータ利用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリ等を含むがこれらに限られない)で実施されたコンピュータプログラム製品の形態を用いることができる。
【0058】
本発明は、本発明の実施例に係る方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明されたものである。フローチャー トおよび/またはブロック図の各フローおよび/またはブロック、およびフローチャットおよび/またはブロック図のフローおよび/またはブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現できることを理解すべきである。コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサに実行される命令によりフローチャートの1つのフローまたは複数のフローおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックで指定する機能を実現す るための装置を生成するように、これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、または他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサに提供することによって機器を生成させる。
【0059】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータや他のプログラマブルデータ処理機器 を特定の方法で動作させるように案内することができるコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶してもよく、それにより、そのコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶された命令で、フローチャートの1つのフローまたは複数のフローおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックで指定する機能を実現する命令装置を含む製品を生成する。
【0060】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理機器にロードされることができ、それにより、コンピュータまたは他のプログラマブル機器で一連の操作ステップを実行することでコンピュータにより実現される処理を生成することによって、コンピュータまたは他のプログラマブル機器で実行される命令により、フローチャートの1つのフローまたは複数のフローおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロック で指定する機能を実現するためのステップを提供する。
【0061】
以上に記載された具体的な実施例は、本発明の目的、技術的解決手段および有益な効果をさらに詳しく説明したが、以上は、本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではないと理解されるべきであり、本発明の精神および原則内で行われたいかなる補正、同等置換、改善等は、いずれも本発明の権利範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】