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特表2024-529784保管及び取り出しシステムから保管コンテナを取り出すための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】保管及び取り出しシステムから保管コンテナを取り出すための装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513221
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022051652
(87)【国際公開番号】W WO2023025418
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2112308.8
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.2022年1月19日 https://twitter.com/OcadoGroup/status/1483741312348213251 https://www.facebook.com/OcadoGroup/posts/pfbid0ZXaobQyeVQMeAjKJrB4u9QpbLMBDDN1LbxSFhoyHTXKzhN8d92a7o4be6h6AyUAl https://www.linkedin.com/posts/ocadogroup_ocado-reimagined-activity-6889506687972073472-aDPa/ にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェラン、マシュー・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヨハニソン、ビルヘルム・カール
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
3F022MM57
(57)【要約】
保管及び取り出しシステムにおいて積み重ね可能な1つ以上のコンテナを持ち上げ及び移動させるための積荷取扱装置であって、垂直なスタックで配置された複数のモジュール式セクション(132a)、(134a)、(136a)、(138a)を備え、複数のモジュール式セクションは、コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構、及び電気部品を備え、複数のモジュール式セクション(132a)、(134a)、(136a)、(138a)の各々は、少なくとも4つの接続ブロック(140)を更に備え、少なくとも4つの接続ブロック(140)の各々は、矩形フレーム(186)を形成するために、1つ以上の実質的に水平な接続要素(184)によって、単一のモジュール式セクションにおける2つの他の接続ブロック(140)に接続されており、垂直に隣接するモジュール式セクションの少なくとも4つの接続ブロック(140)は、複数の矩形フレームを備えるオープンフレーム構造を形成するために、1つ以上の実質的に垂直な接続要素(188)によって、垂直なスタックで接続可能であり、上記オープンフレーム構造は、コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構及び電気部品を支持するように構成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管及び取り出しシステムにおいて積み重ね可能な1つ以上のコンテナを持ち上げ及び移動させるための積荷取扱装置であって、前記保管及び取り出しシステムは、第1のセットのグリッド部材と、第2のセットのグリッド部材と、を備える複数のグリッド部材を備えるグリッド構造を備え、前記第2のセットのグリッド部材は、前記第1のセットのグリッド部材に対して実質的に垂直であり、これにより、前記複数のグリッド部材は、前記グリッド構造上での前記積荷取扱装置の移動を案内するためのグリッドパターン状に配置されており、前記積荷取扱装置は、垂直なスタックで配置された複数のモジュール式セクションを備え、前記複数のモジュール式セクションは、
a)コンテナを解放可能に把持するように構成されたグラバー装置と、前記グラバー装置を上昇及び下降させるように構成された駆動機構と、を備えるコンテナ持ち上げ機構と、
b)第1の方向への前記積荷取扱装置の移動を案内するための前記第1のセットのグリッド部材と係合するための第1のセットの車輪と、第2の方向への前記積荷取扱装置の移動を案内するための前記第2のセットのグリッド部材と係合するための第2のセットの車輪と、を備える車輪アセンブリと、ここで、前記第2の方向は、前記第1の方向を横断しており、
c)前記第1のセットのグリッド部材又は前記第2のセットのグリッド部材と係合又は係合解除するように、前記第1のセットの車輪又は前記第2のセットの車輪を選択的に下降又は上昇させるように構成された車輪位置決め機構と、
d)前記コンテナ持ち上げ機構と、前記車輪位置決め機構と、を制御するためのプロセッサを備える電気部品と、
を備え、
前記複数のモジュール式セクションの各々は、少なくとも4つの接続ブロックを更に備え、前記少なくとも4つの接続ブロックの各々は、矩形フレームを形成するために、1つ以上の実質的に水平な接続要素によって、単一のモジュール式セクションにおける2つの他の接続ブロックに接続されており、垂直に隣接するモジュール式セクションの前記少なくとも4つの接続ブロックは、複数の前記矩形フレームを備えるオープンフレーム構造を形成するために、1つ以上の実質的に垂直な接続要素によって、前記垂直なスタックで接続可能であり、前記オープンフレーム構造は、前記コンテナ持ち上げ機構、前記車輪アセンブリ、前記車輪位置決め機構及び前記電気部品を支持するように構成されている、積荷取扱装置。
【請求項2】
前記少なくとも4つの接続ブロックは、4つのコーナーブラケットの各コーナーブラケットが、前記矩形フレームを形成するために、単一のモジュール式フレームにおける2つの他のコーナーブラケットに接続されるように、前記4つのコーナーブラケットを備える、請求項1に記載の積荷取扱装置。
【請求項3】
前記水平な接続要素及び/又は前記垂直な接続要素のうちの1つ以上は、接続ロッド又はチューブを備える、請求項1又は2に記載の積荷取扱装置。
【請求項4】
前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、前記接続ロッド又はチューブの端部を受容するためのソケットを備える、請求項3に記載の積荷取扱装置。
【請求項5】
前記ソケットは、実質的に円筒形の内壁を有し、前記円筒形の内壁は、前記ロッドの受容側端部に沿って軸方向に接着剤を分配するための、前記ソケットの前記円筒形の内壁の少なくとも一部分の周りに連続的に延在する溝を有し、前記溝は、前記接続ロッドの前記受容側端部が前記ソケットに挿入されたときに、糊チャネルを形成するように構成されている、請求項4に記載の積荷取扱装置。
【請求項6】
前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの前記1つ以上は、前記糊チャネル内に接着剤を注入するための、前記溝と流体連通状態にある1つ以上の注入点を備える、請求項5に記載の積荷取扱装置。
【請求項7】
前記複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、前記矩形フレームは、対向する水平な接続要素間に延在する1つ以上のブレーシング要素によってブレースされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項8】
前記1つ以上の垂直な接続要素は、前記垂直なスタックで垂直に隣接する矩形フレームの前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上の前記接続ブロックを通って垂直に延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項9】
前記複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上が、ポリマーから形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項10】
前記オープンフレーム構造は、コンテナ受容空間を収容するための容積を画定する、請求項1~9のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項11】
前記複数のモジュール式セクションのうちの前記1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、プーリのための1つ以上の取付台を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項12】
前記複数のモジュール式セクションのうちの前記1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、モータのための1つ以上の取付台を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項13】
前記複数のモジュール式セクションのうちの前記1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、前記コンテナ持ち上げ機構、及び/又は前記車輪アセンブリ、及び/又は前記車輪位置決め機構、及び/又は前記電気部品の少なくとも一部分を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項14】
前記コンテナ持ち上げ機構、及び/又は前記車輪アセンブリ、及び/又は前記車輪位置決め機構、及び/又は前記電気部品の少なくとも一部分は、前記複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上と一体的に形成されている、請求項13に記載の積荷取扱装置。
【請求項15】
前記車輪アセンブリの各車輪は、車輪取付台に取り付けられている、請求項14に記載の積荷取扱装置。
【請求項16】
前記車輪取付台は、所定のモジュール式セクションの接続ブロックと一体的に形成されている、請求項15に記載の積荷取扱装置。
【請求項17】
前記所定のモジュール式セクションの接続ブロックが、前記第1のセットの車輪のうちの車輪のための第1の車輪取付台と、前記第2のセットの車輪のうちの車輪のための第2の車輪取付台と、を備える、請求項15又は16に記載の積荷取扱装置。
【請求項18】
前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台は、前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台の縁部に沿って複数のボスを備え、前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台の前記複数のボスの各々は、車輪位置決め軸に沿って軸方向に位置合わせされた開口部を備え、前記車輪位置決め軸は、それぞれの前記第1のセットの車輪又は前記第2のセットの車輪がそれに沿って上昇及び下降される軸であり、前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台の前記複数のボスは、前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台の前記複数のボスが互いに噛み合い、前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台の互いに噛み合わせた前記ボスの各々における前記開口部が、それらのそれぞれの開口部を通して前記垂直な接続要素を受容するために、前記車輪位置決め軸に沿って軸方向に位置合わせされるように、離間されており、前記第1の車輪取付台及び前記第2の車輪取付台の前記ボス間の間隔は、前記第1の車輪取付台が前記車輪位置決め軸に沿って前記第2の車輪取付台とは独立して移動することを可能にするように、十分に離間されている、請求項17に記載の積荷取扱装置。
【請求項19】
前記車輪位置決め機構は、カム機構を備え、前記複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、前記カム機構の少なくとも一部分を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項20】
前記カム機構の前記少なくとも一部分は、前記複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの前記1つ以上と一体的に形成されている、請求項19に記載の積荷取扱装置。
【請求項21】
前記コンテナ持ち上げ機構は、
a)第1のセットのスプール及び第2のセットのスプールと、ここで、前記第1のセットのスプール及び前記第2のセットのスプールの各スプールは、コンテナ把持アセンブリに固着された第1の端部と、前記スプールに固着された第2の端部と、を有する持ち上げテザーを担持しており、
b)回転可能なシャフトと、ここで、前記第1のセットのスプール及び/又は前記第2のセットのスプールは、前記回転可能なシャフトが前記第1のセットのスプール及び/又は前記第2のセットのスプールに共通であるように、前記回転可能なシャフトに取り付けられており、
c)駆動プーリによる前記回転可能なシャフトの回転が、前記第1のセットのスプール及び/又は前記第2のセットのスプールの回転を駆動するように、前記第1のセットのスプール及び/又は前記第2のセットのスプールに共通の前記回転可能なシャフトに取り付けられた前記駆動プーリを備える前記駆動機構と、
を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項22】
前記回転可能なシャフトは、2つの隣接する接続ブロックを接続している前記1つ以上の水平な接続要素に取り付けられている、請求項21に記載の積荷取扱装置。
【請求項23】
前記コンテナ持ち上げ機構、及び/又は前記車輪アセンブリ、及び/又は前記車輪位置決め機構、及び/又は前記電気部品のうちのいずれか1つは、前記複数のモジュール式セクションのうちの2つ以上の間で共有される、請求項1~22のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項24】
複数の垂直に隣接する矩形フレームが、前記コンテナ持ち上げ機構、及び/又は前記車輪アセンブリ、及び/又は前記車輪位置決め機構、及び/又は前記電気部品の少なくとも一部分を収容するための容積を画定する、請求項1~23のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項25】
前記積荷取扱装置の高さの昇順での前記複数のモジュール式セクションは、第1のモジュール式セクション、第2のモジュール式セクション、第3のモジュール式セクション、及び第4のモジュール式セクションを備え、前記第1のモジュール式セクションは、前記積荷取扱装置の最下部にあり、前記第4のモジュール式セクションは、前記積荷取扱装置の最上部にある、請求項1~24のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項26】
前記第1のモジュール式セクションは、前記車輪アセンブリを備える、請求項25に記載の積荷取扱装置。
【請求項27】
前記第4のモジュール式セクションは、前記電気部品を支持するための1つ以上のクレードルを備える、請求項25又は26に記載の積荷取扱装置。
【請求項28】
前記1つ以上のクレードルは、前記第4のモジュール式セクションの2つの隣接する接続ブロックを接続している前記水平な接続要素のうちの1つ以上に取り付けられている、請求項27に記載の積荷取扱装置。
【請求項29】
前記複数の矩形フレームのうちの1つ以上の、前記接続ブロックのうちの1つ以上は、単体として一体的に形成されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の積荷取扱装置。
【請求項30】
積荷取扱装置の構築方法であって、
i)1つ以上の水平な接続要素によって、少なくとも4つの接続ブロックを共に連結することによって、矩形フレームを形成するステップと、
ii)オープンフレーム構造を形成するために、1つ以上の垂直な接続要素によって、垂直に隣接する矩形フレームの前記接続ブロックを接続することによって、垂直なスタックで複数の矩形フレームを共に連結するステップと、
を備え、前記オープンフレーム構造は、
a)コンテナを解放可能に把持するように構成されたグラバー装置と、前記グラバー装置を上昇及び下降させるように構成された駆動機構と、を備えるコンテナ持ち上げ機構と、
b)車両本体を支持するように配置された車輪アセンブリと、ここで、前記車輪アセンブリは、第1の方向への前記積荷取扱装置の移動を案内するための第1のセットのグリッド部材と係合するための第1のセットの車輪と、第2の方向への前記積荷取扱装置の移動を案内するための第2のセットのグリッド部材と係合するための第2のセットの車輪と、を備え、前記第2の方向は、前記第1の方向を横断し、前記第1のセットの車輪及び前記第2のセットの車輪の各車輪は、車輪取付台に取り付けられており、
c)前記第1のセットのグリッド部材又は前記第2のセットのグリッド部材と係合又は係合解除するように、前記第1のセットの車輪又は前記第2のセットの車輪を選択的に下降又は上昇させるように構成された車輪位置決め機構と、
d)前記持ち上げ機構と前記車輪位置決め機構とを制御するためのプロセッサを備える電気部品と、
を支持する、方法。
【請求項31】
前記オープンフレーム構造は、複数の前記水平な接続要素及び/又は前記垂直な接続要素のうちの1つ以上を、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上における開口部に挿入することによって形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記オープンフレーム構造に、前記コンテナ持ち上げ機構、及び/又は前記車輪アセンブリ、及び/又は前記車輪位置決め機構、及び/又は前記電気部品の少なくとも一部分を取着するステップを更に備える、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記オープンフレーム構造の前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上から、前記コンテナ持ち上げ機構、及び/又は前記車輪アセンブリ、及び/又は前記車輪位置決め機構の少なくとも一部分を一体的に形成するステップを更に備える、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記オープンフレーム構造の前記複数の矩形フレームのうちの1つ以上の、前記少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上を、積層造形又は3D印刷するステップを更に備える、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも4つの接続ブロックがそれらのそれぞれの水平な接続要素に接続されるように、治具で前記複数の矩形フレームのうちの1つ以上を組み立てるステップを更に備える、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管及び取り出しシステムから保管コンテナを取り出すための装置に関する。限定はしないが、特に、本発明は、グリッドフレームワーク構造を備える保管及び取り出しシステムにおいて、保管コンテナを取り扱うためのロボット積荷取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
その内部で保管コンテナ/容器(bins)が互いに積み重ねられた3次元保管グリッドフレームワーク構造を備える保管及び取り出しシステム1は、周知である。PCT公開第WO2015/185628A号(Ocado)には、容器又はコンテナのスタックがグリッドフレームワーク構造内に配置されている、既知の保管及びフルフィルメント又は物流システムが記載されている。容器又はコンテナは、グリッドフレームワーク構造の最上部に位置する軌道上で遠隔操作可能な積荷取扱装置によってアクセスされる。このタイプのシステムが、添付の図面の図1図3に概略的に例示されている。
【0003】
図1及び図2に示されるように、保管容器又はコンテナ10として知られる積み重ね可能なコンテナが、スタック12を形成するために互いに積み重ねられている。スタック12は、倉庫保管環境又は製造環境における3次元グリッドフレームワーク構造14において配置されている。グリッドフレームワーク構造は、複数の保管カラム(storage columns)又はグリッドカラムで構成されている。グリッドフレームワーク構造における各グリッドは、コンテナのスタックを保管するための少なくとも1つのグリッドカラムを有する。図1は、グリッドフレームワーク構造14の概略斜視図であり、図2は、フレームワーク構造14内に配置された容器10のスタック12を示す上面図である。各容器10は、典型的に、複数の製品アイテム(図示せず)を保持し、容器10内の商品アイテムは、用途に応じて異なる製品タイプのものであり得るか、又は同一のものであり得る。容器10は、保管容器若しくはコンテナ、又は、保管容器若しくはトートとも呼ばれ得る。
【0004】
詳細には、3次元グリッドフレームワーク構造14は、水平グリッド部材18、20を支持する複数の垂直直立材又は直立部材又は直立カラム16を備える。第1のセットの平行な水平グリッド部材18は、第2のセットの平行な水平グリッド部材20に対して垂直に(perpendicularly)配置されて、複数のグリッドセル17を備えるグリッド構造又はグリッド15を形成する。グリッドセルは、積荷取扱装置がグリッドセルを通じてコンテナ又は保管容器を持ち上げることを可能にするための開口部を有する。グリッド構造では、第1のセットの平行な水平グリッド部材18は、節点において第2のセットの平行な水平グリッド部材と交差する。グリッド構造は、節点の各々において、又はグリッド部材が交差する点において、直立部材16によって支持され、その結果、これら直立部材は、交差するグリッド部材によって、それらの上端において相互連結されている。グリッド部材16、18、20は、典型的に、金属から製造され、典型的に、共に溶接されるか若しくはボルト留めされるか、又は両方の組合せである。保管容器又はコンテナ10は、グリッドフレームワーク構造14の直立部材16の間に積み重ねられ、これにより、直立部材16は、容器10のスタック12の水平移動を防ぎ、保管容器10の垂直移動を案内する。
【0005】
グリッドフレームワーク構造14の最上レベルは、スタック12の最上部にわたってグリッドパターン状に配置されたレール22を含む。更に図3を参照すると、レール22は、複数の積荷取扱装置30を支持する。第1のセット22aの平行なレール22が、グリッドフレームワーク構造14の最上部にわたって第1の方向(例えば、X方向)へのロボット積荷取扱装置30の移動を案内し、第1のセット22aに対して垂直に配置された第2のセット22bの平行なレール22が、第1の方向に対して垂直な第2の方向(例えば、Y方向)への積荷取扱装置30の移動を案内する。このようにして、レール22は、水平なX-Y平面において、2次元での横方向へのロボット積荷取扱装置30の移動を可能にし、その結果、積荷取扱装置30は、どのスタック12の上方の位置へも移動され得る。
【0006】
車両本体32を備える、図4及び図5に示されるボット30としても知られる既知の積荷取扱装置又はロボット積荷取扱装置が、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許公開第WO2015/019055号(Ocado)に記載されており、ここで、各積荷取扱装置30は、グリッドフレームワーク構造14の単一のグリッド空間又はグリッドセルのみをカバーする。ここで、積荷取扱装置30は、第1の方向へこの装置の移動を案内するための第1のセットのレール又は軌道と係合するための、車両本体32の前部にある一対の車輪と、車両32の後部にある一対の車輪34と、で構成される第1のセットの車輪34と、第2の方向へこの装置の移動を案内するための第2のセットのレール又は軌道と係合するための、車両32の両側部にある一対の車輪36で構成される第2のセットの車輪36と、を備える車輪アセンブリを備える。車輪のセットの各々は、レールに沿ってそれぞれX方向及びY方向への車両の移動を可能にするように駆動される。一方又は両方のセットの車輪が、垂直に移動されて、各セットの車輪をそれぞれのレールから離すように持ち上げ得、それによって、車両がグリッド構造上で所望の方向、例えば、X方向又はY方向に移動することを可能にする。
【0007】
WO2017/153583(Ocado Innovation Limited)は、第1のセットの車輪又は第2のセットの車輪のいずれかが、第1又は第2のセットのレール又は軌道(22a又は22b)に選択的に係合することを可能にすることによって、2つの横断方向のうちの一方への装置の横方向の移動を可能にするための車輪位置決め機構又は方向転換機構を備える積荷取扱装置を教示している。この車輪位置決め機構は、第1のセットの軌道若しくはレール又は第2のセットの軌道若しくはレールと係合又は係合解除するように、第1のセットの車輪又は第2のセットの車輪を選択的に下降又は上昇させるための線形アクチュエータ又はモータによって駆動されるリンク機構(linkages)の複雑な構成を備える。
【0008】
積荷取扱装置30は、上方から保管コンテナを持ち上げるための、持ち上げ機構又はコンテナ持ち上げ機構又はクレーン機構を装備している。クレーン機構は、スプール又はリール(図示せず)上に巻き取られるウィンチテザー又はケーブル38と、持ち上げフレームの形態におけるグラバー装置39と、を備える。持ち上げ装置は、垂直方向に延在し且つ保管コンテナ10への解放可能な接続のためのグラバー装置としても知られる持ち上げフレーム39の4つのコーナーの近く又は4つのコーナーにおいて接続された持ち上げテザー38のセット(グラバー装置の4つのコーナーの各々の近くに1つのテザー)を備える。グラバー装置39は、図1及び図2に示されたタイプの保管システムにおけるコンテナのスタックから保管コンテナ10を持ち上げるために、保管コンテナ10の上部を解放可能に把持するように構成されている。
【0009】
車輪34、36は、下部において、コンテナ受容凹部41として知られる空洞又は凹部の周囲の周りに配置されている。凹部は、図5(a及びb)に示されるように、コンテナ10がクレーン機構によって持ち上げられたときに、コンテナ10を収容するようにサイズ決定されている。凹部内にあるとき、コンテナは、下のレールから離れて持ち上げられており、その結果、車両は、異なる場所に横方向に移動し得る。目標の場所、例えば、別のスタック、保管システム内のアクセスポイント又はコンベアベルトに到達すると、容器又はコンテナは、コンテナ収容部分から下降され、グラバー装置から解放され得る。コンテナ受容空間は、例えば、WO2015/019055(Ocado Innovation Limited)に記載されているように、車両本体内に配置された空洞又は凹部を備え得る。代替として、積荷取扱装置の車両本体は、WO2019/238702(Autostore Technology AS)に教示されるようなカンチレバーを備え得、その場合、コンテナ受容空間は、積荷取扱装置のカンチレバーの下に位置する。この場合、グラバー装置は、カンチレバーによってつり上げられ(hoisted)、これにより、グラバー装置は、コンテナに係合し、コンテナをスタックからカンチレバーの下のコンテナ受容空間内へと持ち上げることが可能である。
【0010】
典型的に、積荷取扱装置は、持ち上げ機構と車輪位置決め機構とを動作させるための駆動ユニットに電力を供給するための充電式電源及び制御ユニット等の1つ以上の電気部品を備える。例えば、グリッド構造上で遠隔操作可能な1つ以上の積荷取扱装置は、グリッドフレームワーク構造内の特定の保管場所から保管コンテナを取り出すための命令を主制御装置から受信するように構成される。ワイヤレス通信及びネットワークが、主制御装置から1つ以上の基地局を介してグリッド構造上で動作可能な1つ以上の積荷取扱装置への通信インフラストラクチャを提供するために使用され得る。積荷取扱装置における制御装置は、命令を受信することに応答して、積荷取扱装置の移動を制御するために、様々な駆動機構を制御するように構成される。例えば、積荷取扱装置は、グリッド構造上の特定の場所にある保管カラムからコンテナを取り出すように命令され得る。命令は、グリッド構造上のX-Y方向における様々な移動を含み得る。保管カラムに到達すると、次いで、持ち上げ機構は、保管コンテナをつかみ、それを積荷取扱装置の本体におけるコンテナ受容空間内へと持ち上げるように動作され、そこで、それは、その後、ドロップオフポートとして一般に知られているグリッド構造上の別の場所に運ばれる。コンテナは、好適なピッキングステーションまで下降され、保管コンテナからのアイテムの取り出しを可能にする。グリッド構造上の積荷取扱装置の移動はまた、積荷取扱装置が、通常はグリッド構造の周囲に位置する充電ステーションに移動するように命令されることも伴う。積荷取扱装置の電気部品は、典型的に、積荷取扱装置の本体内に収容されている。
【0011】
積荷取扱装置がグリッドフレームワーク構造上で動作するために必要とされる様々なモータ、プーリ、並びにバッテリ及び制御基板等の電気部品を含む、構成部品の数を考慮すると、個々の構成部品を共に組み立てることは、積荷取扱装置の製造における最大コストの1つである。グリッドフレームワーク構造上で動作可能な何百もの積荷取扱装置があることを考慮すると、グリッド構造上で動作可能な複数の積荷取扱装置の累積コストは、典型的な保管及び取り出しシステムのコストのかなりの割合を占める。積荷取扱装置の製造におけるコストが保管及び取り出しシステムのコストのかなりの割合を占めるだけでなく、重量が150kgを超過し得る積荷取扱装置の重量もまた、他の追加コストにつながり得る。例えば、積荷取扱装置の重量により、グリッドフレームワーク構造は、グリッドフレームワーク構造上で動作可能な複数の積荷取扱装置の重量を支えるのに十分な構造的完全性を有する必要がある。様々なブレーシング要素が、グリッドフレームワーク構造の強度を増大させるために使用され、これは、最終的にグリッドフレームワーク構造のコスト、従って、保管及び取り出しシステムの全体的なコストを増大させる。積荷取扱装置の重量が増大するにつれて、より多くの電力がまた、十分な速度において軌道上で積荷取扱装置を移動させるように車輪モータを駆動するために必要とされ、これは順に、言い換えると、より大きくより強力な電気モータ及びこの電気モータを駆動するために必要な電力を供給するためのより大きいバッテリということになる。
【0012】
従って、組み立てが容易で、軽量で、製造コストがより低い積荷取扱装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、垂直なスタックで互いに接続可能である複数のモジュールを備える積荷取扱装置又はロボット積荷取扱装置を提供することによって上記の問題を軽減しており、ここで、モジュールの各々は、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構、コンテナ持ち上げ機構、及び電気部品等の、積荷取扱装置のそれぞれの機能的特徴(functional characteristics)を提供する。個々のモジュールは接続可能であり、積荷取扱装置の異なる機能を提供するモジュールが垂直に積み重ねられることを可能にする。個々のモジュールを共に接続するために、個々のモジュールは、モジュールを積み重ねるための接続点を提供する複数の接続ブロックを備える。より具体的には、本発明は、保管及び取り出しシステムにおいて積み重ね可能な1つ以上のコンテナを持ち上げ及び移動させるための積荷取扱装置を提供し、保管及び取り出しシステムは、第1のセットのグリッド部材と、第2のセットのグリッド部材と、を備える複数のグリッド部材を備えるグリッド構造を備え、第2のセットのグリッド部材は、第1のセットのグリッド部材に対して実質的に垂直であり、これにより、複数のグリッド部材は、グリッド構造上での積荷取扱装置の移動を案内するためのグリッドパターン状に配置されており、積荷取扱装置は、垂直なスタックで配置された複数のモジュール式セクションを備え、複数のモジュール式セクションは、
a)コンテナを解放可能に把持するように構成されたコンテナ把持部アセンブリと、コンテナ把持部アセンブリを上昇及び下降させるように構成された駆動機構と、を備えるコンテナ持ち上げ機構と、
b)第1の方向への積荷取扱装置の移動を案内するための第1のセットのグリッド部材と係合するための第1のセットの車輪と、第2の方向への積荷取扱装置の移動を案内するための第2のセットのグリッド部材と係合するための第2のセットの車輪と、を備える車輪アセンブリと、ここで、第2の方向は、第1の方向を横断しており、
c)第1のセットのグリッド部材又は第2のセットのグリッド部材と係合又は係合解除するように、第1のセットの車輪又は第2のセットの車輪を選択的に下降又は上昇させるように構成された車輪位置決め機構と、
を備え、
ここで、複数のモジュール式セクションの各々は、少なくとも4つの接続ブロックを更に備え、4つの接続ブロックの各々は、矩形フレームを形成するために、1つ以上の水平な接続要素によって、単一のモジュール式セクションにおける2つの他の接続ブロックに接続されており、垂直に隣接するモジュール式セクションの少なくとも4つの接続ブロックは、複数の矩形フレームを備えるオープンフレーム構造を形成するために、1つ以上の垂直な接続要素によって、垂直なスタックで接続可能であり、上記オープンフレーム構造は、コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構を支持するように構成されている。
【0014】
本発明の目的のために、第1及び第2のセットのグリッド部材の各々は、オプションで、第1のセットのグリッド部材に取り付けられた第1のセットの軌道と、第2のセットのグリッド部材に取り付けられた第2のセットの軌道と、を備える軌道システムが取り付けられた軌道支持体を備え得る。軌道システムは、グリッド部材とは別個の構成部品であり得るか、又は、代替として、軌道システムは、単体としてグリッド部材に一体化され得(integrated into)、即ち、グリッド部材の一部を形成する。積荷取扱装置は、グリッドの軌道に沿って移動するように動作可能である。
【0015】
オプションで、積荷取扱装置は、1つ以上の電気部品を備え、例えば、1つ以上の電気部品は、コンテナ持ち上げ機構及び車輪位置決め機構を制御するためのプロセッサ及び/又は電源を備える。
【0016】
好ましくは、オープンフレーム構造は、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の少なくとも一部分を収容するための容積を画定する3次元オープンフレーム構造である。本発明の目的のために、「オープンフレーム構造」という用語は、積荷取扱装置の内部の動作部品、例えば、コンテナ持ち上げ機構の持ち上げテザーを担持するためのスプールのうちのいずれか1つ、及び/又は電源、及び/又は制御ユニットが、積荷取扱装置の外部から見える構造として定義される。好ましくは、オープンフレーム構造は、複数のモジュール式セクションを画定し、複数のモジュール式セクションは、持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構及び電気部品を備える。オープンフレーム構造という用語は、外部クラッディング(cladding)なしに積荷取扱装置を覆うものと解釈され、これにより、積荷取扱装置の機能的特徴を提供する内部の構成部品は、外部から見えるようになっている。
【0017】
好ましくは、オープンフレーム構造の垂直に隣接する矩形フレームは、積荷取扱装置の容積領域を画定し、例えば、オープンフレーム構造は、3次元オープンフレーム構造である。
【0018】
少なくとも4つの接続ブロックは、異なるモジュール式セクションが垂直なスタックで容易に接続可能であることを可能にするだけでなく、少なくとも4つの接続ブロックの各々はまた、矩形フレームを形成するために、1つ以上の水平な接続要素によって、単一のモジュール式セクションにおける2つの他の接続ブロックに接続され得る。単一のモジュール式フレームにおける2つの他のコーナー接続ブロックへの接続ブロック間の接続は、2つの隣接する接続ブロックに対して直接的に行われ得るか、又は別の接続ブロックを介して間接的に行われ得る。
【0019】
従って、複数の矩形フレームが、オープンフレーム構造を形成するために、1つ以上の垂直な接続要素によって、垂直なスタックで互いに接続可能である。コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構、及び/又は電気部品等の、積荷取扱装置の異なる機能が、オープンフレーム構造によって支持される。「支持される」という用語は、オープンフレーム構造によって物理的に支持されていること、及び/又は、オープンフレーム構造の一部を形成していること、を含むように広く解釈される。
【0020】
オープンフレーム構造のアセンブリを容易にするために、オプションで、1つ以上の水平及び/又は垂直な接続要素は、接続ロッド又はチューブを備える。接続ロッドは、容易に把持され、異なる回転の向きでブロックに組み付けられ得る。従って、積荷取扱装置のアセンブリは、接続ブロック及び接続ロッドを用いると、より容易になる。積荷取扱装置の重量を低減するのを補助するために、オプションで、接続ロッドは、ポリマーマトリックス中に炭素繊維を備える。オープンフレーム構造の構造的完全性を増大させるために、オプションで、複数のモジュール式階層セクションのうちの1つ以上における矩形フレームは、対向する水平な接続要素のうちの1つ以上の間に延在する1つ以上のブレーシング要素によってブレースされる(braced)。好ましくは、1つ以上のブレーシング要素は、交差したブレーシング要素を備える。オープンフレーム構造に構造的支持を提供する水平及び垂直な接続要素に加えて、1つ以上のブレーシング要素が、水平及び/又は垂直な接続要素にわたって延在する。1つ以上のブレーシング要素はまた、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の1つ以上の構成部品を固着させるための追加の支持を提供し得る。
【0021】
オプションで、少なくとも4つの接続ブロックは、4つのコーナーブラケットの各コーナーブラケットが、矩形フレームを形成するために、単一のモジュール式フレームにおける2つの他のコーナーブラケットに接続されるように、4つのコーナーブラケットを備える。
【0022】
矩形フレームが垂直なスタックで共に接続され得る容易さを増大させるために、オプションで、1つ以上の垂直な接続要素は、垂直なスタックで垂直に隣接する矩形フレームの少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上の接続ブロックを通って垂直に延在する。換言すれば、垂直な要素は、垂直に隣接する矩形フレームの、1つ以上の接続ブロックに共通である。これにより、矩形フレームを1つ以上の垂直な接続要素に個々に取り付けることによって、オープンフレーム構造を構築することが可能になる。モジュール式セクションの数、従って、積荷取扱装置の機能的要件は、1つ以上の垂直な接続要素に取り付けられる矩形フレームの数を増大させることによって調整され(tailored)得る。
【0023】
好ましくは、複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、ジョイントによって、1つ以上の水平及び/又は垂直な接続要素に接続される。ジョイントによる水平な接続要素とブラケットとの間の接続は、オプションで、連続的な糊チャネルを備える。4つのコーナーブロックのうちの1つ以上の機能性を増大させるために、連続的な糊チャネルは、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上に一体化される。好ましくは、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、連続的な糊チャネル内に接着剤を注入するための、連続的な糊チャネルと流体連通状態にある1つ以上の注入点を備える。オプションで、接続ブロックのうちの1つ以上は、接続ロッド又はチューブの端部を受容するためのソケットを備える。好ましくは、ソケットは、接続ブロック内に一体的に形成されている。接続ロッド又はチューブを接続ブロックに固定するために、好ましくは、ソケットは、実質的に円筒形の内壁を有し、円筒形の内壁は、ロッドの受容側端部に沿って軸方向に接着剤を分配するための、ソケットの円筒形の内壁の少なくとも一部分の周りに連続的に延在する溝を有し、溝は、接続ロッドの受容側端部がソケットに挿入されたときに、糊チャネルを形成するように構成されている。好ましくは、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、糊チャネル内に接着剤を注入するための、溝と流体連通状態にある1つ以上の注入点を備える。これは、複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、1つ以上のブロックを、水平及び/又は垂直な接続要素と接続することの簡潔化に役立つ。
【0024】
積荷取扱装置の設置面積が、実質的に単一のグリッド空間又はセルのみの設置面積を占めるように、好ましくは、オープンフレーム構造は、コンテナ受容空間を収容するための容積を画定する。コンテナ受容空間は、積荷取扱装置が軌道又はグリッド構造上を移動することが可能であるように、積荷取扱装置のオープンフレーム構造においてコンテナを収容するための空間である。3次元オープンフレーム構造は、上部と下部とを有する容積を画定し、上部は、積荷取扱装置の補助部品、即ち、電源、制御ユニット、及び車輪位置決め機構を収容し、下部は、コンテナ受容空間を収容する。
【0025】
積荷取扱装置が、複数の矩形フレームを形成するように共に接続され、オープンフレーム構造を形成するように垂直に積み重ねられた複数の接続ブロックから構築されていることの利点のうちの1つは、接続ブロックが積荷取扱装置に構造部品を提供するだけでなく、機能部品も提供することである。換言すれば、複数のモジュール式セクションの各々の、少なくとも4つの接続ブロックの各々は、積荷取扱装置の構造部品と機能部品との両方を提供する別個の接続ブロックである。接続ブロックのうちの1つ以上が、積荷取扱装置の構造的側面と機能的側面との両方を組み合わせ得るので、これは、積荷取扱装置の構造的完全性を提供する別個の構造部品と、グリッド構造上での積荷取扱装置の動作のための別個の機能部品とを有する必要性を除去する。オープンフレーム構造の接続ブロックのうちの1つ以上が、積荷取扱装置の構造部品と機能部品との両方を含むようにすることはまた、本発明の積荷取扱装置を構築する際のパーツの数が低減されるので、積荷取扱装置の重量も低減する。
【0026】
本発明の態様では、モジュール式セクションのうちの1つ以上における、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、積荷取扱装置の機能の少なくとも一部分を提供し、この機能は、コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構、及び/又は電気部品のうちのいずれか1つである。オプションで、複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、プーリのための1つ以上の取付台を備える。オプションで、複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、モータのための1つ以上の取付台を備える。
【0027】
オプションで、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の少なくとも一部分は、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の少なくとも一部分を備える、複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上から一体的に形成されている。
【0028】
複数のモジュール式セクションのうちの1つ以上の、接続ブロックのうちの1つ以上、即ち、オープンフレーム構造の少なくとも一部分は、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の少なくとも一部分と一体的に形成されている。例えば、車輪アセンブリの車輪の各々を取り付けるための取付台は、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上と一体的に形成され得る。
【0029】
好ましくは、車輪アセンブリの各車輪は、車輪取付台に取り付けられている。オプションで、車輪取付台は、所定のモジュール式セクションの接続ブロックから一体的に形成されている。本発明の態様では、所定のモジュール式セクションの接続ブロックが、第1のセットの車輪のうちの車輪のための第1の車輪取付台と、第2のセットの車輪のうちの車輪のための第2の車輪取付台と、を備え、第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台は、第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台の縁部に沿って複数のボスを備え、第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台の複数のボスの各々は、車輪位置決め軸(車輪位置決め軸は、実質的に垂直軸である)に沿って軸方向に位置合わせされた開口部を備え、第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台の複数のボスは、第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台の複数のボスが互いに噛み合い、第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台の互いに噛み合わせたボスの各々における開口部が、それらのそれぞれのボスを通して垂直な接続要素を受容するために、車輪位置決め軸に沿って軸方向に位置合わせされるように、離間されている。第1の車輪取付台及び第2の車輪取付台のボス間の間隔は、第1の車輪取付台が車輪位置決め軸に沿って第2の車輪取付台とは独立して移動することを可能にするように、十分に離間されている。第1のセットの車輪のうちの車輪のための第1の車輪取付台と、第2のセットの車輪のうちの車輪のための第2の車輪取付台と、を有する車輪取付台は、それらのそれぞれの第1及び第2の車輪取付台に取り付けられた車輪が、グリッド構造に係合及びグリッド構造から係合解除するように、互いに対して垂直軸に沿って独立して移動することを可能にする。車輪取付台は、車輪位置決め機構と連携して動作して、グリッド構造上の積荷取扱装置を方向転換させる。
【0030】
オプションで、車輪位置決め機構は、カム機構を備え、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上は、カム機構の少なくとも一部分を備える。オプションで、カム機構の少なくとも一部分は、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上と一体である。
【0031】
本発明の更なる態様では、オープンフレーム構造は、コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、車輪位置決め機構、及び/又は電気部品のうちのいずれか1つの少なくとも一部分のための物理的な支持体を提供する。例えば、対向する接続ブロック間に延在する水平な接続要素は、積荷取扱装置の、1つ以上の機能部品を物理的に取り付けるために使用され得る。オプションで、コンテナ持ち上げ機構は、
a)第1のセットのスプール及び第2のセットのスプールと、ここで、第1のセットのスプール及び第2のセットのスプールの各スプールは、コンテナ把持アセンブリに固着された第1の端部と、スプールに固着された第2の端部と、を有する持ち上げテザーを担持しており、
b)回転可能なシャフトと、ここで、第1のセットのスプール及び/又は第2のセットのスプールは、回転可能なシャフトが第1のセットのスプール及び/又は第2のセットのスプールに共通であるように、回転可能なシャフトに取り付けられており、
c)駆動プーリによる回転可能なシャフトの回転が、第1のセットのスプール及び/又は第2のセットのスプールの回転を駆動するように、第1のセットのスプール及び/又は第2のセットのスプールに共通の回転可能なシャフトに取り付けられた駆動プーリを備える駆動機構と、
を備える。
【0032】
好ましくは、回転可能なシャフトは、2つの隣接する接続ブロックを接続している1つ以上の水平な接続要素に取り付けられている。好ましくは、回転可能なシャフトは、接続ブロックに接続された対向する水平な接続要素間に延在する。
【0033】
オプションで、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品のうちのいずれか1つは、複数のモジュール式セクションのうちの2つ以上の間で共有され得る。例えば、車輪位置決め機構は、高地部と谷部とを有するカム輪郭を有するカムと、カムフォロアと、カム輪郭に沿ったカムの移動を垂直移動に変換するように、カムフォロアをカム輪郭に沿って移動させるためのトラベラと、を備えるカム機構を備える。カム、カムフォロア、及びトラベラの間の協働は、複数のモジュール式セクションのうちの2つ以上の間で共有され得る。オプションで、複数の垂直に隣接する矩形フレームが、コンテナ持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の少なくとも一部分を収容するための容積を画定する。オプションで、オープンフレーム構造の複数の矩形フレームのうちの1つ以上の、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上が、3D印刷される。オプションで、複数の矩形フレームの各々の少なくとも4つの接続ブロックが、3D印刷される(例えば、積層造形によって形成される)。
【0034】
垂直なスタックでのモジュール式セクションの数は、積荷取扱装置の機能に応じて設けられ得る。モジュール式セクションを有することにより、積荷取扱装置の機能的特徴は、スタックにおけるモジュール式セクションの数を変更することによって変更され得る。本発明の態様では、積荷取扱装置の高さが昇順での複数のモジュール式階層セクションは、第1、第2、第3及び第4のモジュール式階層セクションを備え、第1のモジュール式階層セクションは、積荷取扱装置の最下部にあり、第4のモジュール式階層セクションは、積荷取扱装置の最上部にある。積荷取扱装置がグリッド構造上で移動するために、好ましくは、第1のモジュール式セクションは、車輪アセンブリを備える。積荷取扱装置のオープンフレーム構造がコンテナ受容空間を設けるためには、好ましくは、第4のモジュール式セクションは、電気部品を支持するための1つ以上のクレードルを備える。オプションで、1つ以上のクレードルは、第4のモジュール式セクションの2つの隣接する接続ブロックを接続している水平な接続要素のうちの1つ以上に取り付けられている。
【0035】
本発明の更なる態様が、積荷取扱装置の構築方法を提供し、この方法は、
i)1つ以上の水平な接続要素によって、少なくとも4つの接続ブロックを共に連結することによって、矩形フレームを形成するステップと、
ii)オープンフレーム構造を形成するために、1つ以上の垂直な接続要素によって、垂直に隣接する矩形フレームの接続ブロックを接続することによって、垂直なスタックで複数の矩形フレームを共に連結するステップと、
を備え、オープンフレーム構造は、
a)コンテナを解放可能に把持するように構成されたグラバー装置と、グラバー装置を上昇及び下降させるように構成された駆動機構と、を備えるコンテナ持ち上げ機構と、
b)車両本体を支持するように配置された車輪アセンブリと、ここで、車輪アセンブリは、第1の方向への積荷取扱装置の移動を案内するための第1のセットのグリッド部材と係合するための第1のセットの車輪と、第2の方向への積荷取扱装置の移動を案内するための第2のセットのグリッド部材と係合するための第2のセットの車輪と、を備え、第2の方向は、第1の方向を横断し、第1のセットの車輪及び第2のセットの車輪の各車輪は、車輪取付台に取り付けられており、
c)第1のセットの軌道若しくはレール又は第2のセットの軌道若しくはレールと係合又は係合解除するように、第1のセットの車輪又は第2のセットの車輪を選択的に下降又は上昇させるように構成された車輪位置決め機構と、
を支持する。
【0036】
オプションで、オープンフレーム構造は、1つ以上の電気部品を更に支持し、1つ以上の電気部品は、コンテナ持ち上げ機構及び車輪位置決め機構を制御するためのプロセッサ及び/又は電源を備える。
【0037】
オプションで、オープンフレーム構造は、複数の水平な接続要素及び/又は垂直な接続要素のうちの1つ以上を、少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上における開口部に挿入することによって形成されている。オプションで、方法は、オープンフレーム構造に、持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構、及び/又は電気部品の少なくとも一部分を取着するステップを更に備える。
【0038】
本発明による、積荷取扱装置の重量を低減し、従って、積荷取扱装置の構築を容易にするために、方法は、オープンフレーム構造の少なくとも4つの接続ブロックのうちの1つ以上から、コンテナ持ち上げ機構、及び/又は車輪アセンブリ、及び/又は車輪位置決め機構の少なくとも一部分を一体的に形成するステップを更に備える。オープンフレーム構造から、より具体的には、オープンフレーム構造の接続ブロックのうちの1つ以上から、積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分を一体的に形成することによって、グリッドフレームワーク構造上で動作可能な積荷取扱装置の所望の機能的特徴を有する積荷取扱装置を構築するために必要とされる構成部品の数が低減する。コンテナ持ち上げ機構、車輪アセンブリ、及び車輪位置決め機構の少なくとも一部分の異なる複雑な形状を捕捉するために、オプションで、複数の矩形フレームのうちの1つ以上の、少なくとも4つの接続ブロックのうちの接続ブロックの1つ以上が、3D印刷又は積層造形によって形成される。
【0039】
本発明の更なる特徴及び態様は、図面を参照してなされる例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、既知のシステムによるグリッドフレームワーク構造の概略図である。
図2図2は、図1のフレームワーク構造内に配置された容器のスタックを示す上面図の概略図である。
図3図3は、グリッドフレームワーク構造上で動作する積荷取扱装置の既知の保管システムの概略図である。
図4図4は、上方からコンテナを把持する持ち上げ装置を示す、積荷取扱装置の概略斜視図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、図4の積荷取扱装置の概略斜視切欠図であり、(a)積荷取扱装置のコンテナ受容空間内に収容されたコンテナ、及び(b)積荷取扱装置のコンテナ受容空間を示す。
図6図6は、本発明の一実施形態による積荷取扱装置の概略図である。
図7図7は、本発明による保管コンテナと係合するためのグラバー装置の斜視図である。
図8図8(a及びb)は、(a)図6に示された積荷取扱装置の異なるモジュール式セクション、及び(b)4つの接続ブロックによって形成された別個の矩形フレームとしての異なるモジュール式セクションのアナロジーの概略図である。
図9図9(a及びb)は、(a)積荷取扱装置のオープンフレーム構造を形成するための、図8(a)に示されたモジュール式セクションのアセンブリ、及び(b)積荷取扱装置のオープンフレーム構造を形成するための、図8(b)に示されたモジュール式セクションの矩形フレームのアセンブリの簡略化されたバージョンの概略図である。
図10図10は、車輪アセンブリの車輪取付台を備える接続ブロックのアセンブリを示す概略図である。
図11図11は、矩形フレームを形成するための接続ブロックのアセンブリを示す概略図であり、矩形フレームは、オープンフレーム構造の中間ハローを表すようにブレースされている。
図12図12は、図8(a)に示されたオープンフレーム構造の第4のモジュール式セクションの最上部の矩形フレームを形成するための接続ブロックのアセンブリを示す概略図である。
図13図13は、最上部の、即ち第4のモジュール式セクションのコーナーブラケットを形成する接続ブロックの概略図である。
図14図14は、第3のモジュール式セクションのコーナーブラケットを形成する接続ブロックの概略図である。
図15図15は、第2のモジュール式セクションのコーナーブラケットを形成する接続ブロックの概略図である。
図16図16は、車輪取付台を備える第1の、即ち最下部のモジュール式セクションのコーナーブラケットを形成する接続ブロックの概略図である。
図17図17は、本発明の第1の例による、接続要素に固定するための接続ブロック内の糊チャネルの概略図である。
図18図18(a及びb)は、本発明の第2の例による、接続要素に固定するための接続ブロック内の糊チャネルの概略図であり、ここで、(a)は、糊チャネルの側面斜視図であり、(b)は、糊チャネルの上面図である。
図19図19は、本発明の第3の例による、接続ブロックと、外部及び内部の糊チャネルを備える接続要素との間のジョイントを示す断面図である。
図20a図20aは、図19に示されたジョイントを形成するための糊チャネルの一例の概略図である。
図20b図20bは、図19に示されたジョイントを形成するための糊チャネルの一例の概略図である。
図21a図21aは、図19に示されたジョイントを形成する糊チャネルの別の例の概略図である。
図21b図21bは、図19に示されたジョイントを形成する糊チャネルの別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、図1図5を参照して上述されたグリッドフレームワーク構造及び積荷取扱装置等の、保管システムの既知の特徴に対して考案されたものである。図6は、本発明による積荷取扱装置130の例の概略図である。当該技術分野における典型的な積荷取扱装置は、別個の剛性フレームワーク又はシャーシを備え、持ち上げ機構、車輪位置決め機構、車輪アセンブリ、車輪駆動アセンブリ、並びに電気部品、例えば、充電式電源及び/又は制御ユニット等のような、積荷取扱装置の機能部品は、文字通り、フレームワークに固定されているか又は取り付けられている。固定は、ボルト、ねじ及び/又は溶接等の様々な締結具を含む。フレームワークは、通常、積荷取扱装置の高さを表す高さを有するタワーの形態である。積荷取扱装置の様々な機能部品の重量を支える剛性フレームワークの構造的完全性を確実にするために、剛性フレームワークは、一般に、金属、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼から構築されている。クラッディングが、フレームワークの外側に固定されて、積荷取扱装置の機能的特徴を収容する車両本体を形成する。剛性フレームワークと、積荷取扱装置の機能の様々な機能部品との重量の蓄積は、150kgを超過する重量を有する積荷取扱装置をもたらす。当該技術分野における積荷取扱装置と比較して、本積荷取扱装置は、いかなるクラッディングも有さず、大部分がオープンフレーム構造を備える。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、図6に示される本発明による積荷取扱装置130の構築は、積荷取扱装置の異なる機能的特徴を提供するために、垂直なスタックで接続可能である複数のモジュール又はモジュール式セクションを備えるモジュール式システムを有するという原理を中心に基づいている。本発明の更なる態様では、モジュール式システムは、オープンフレーム構造が、積荷取扱装置の異なる機能的特徴を提供するために、垂直なスタックで互いに接続可能である複数のモジュール式フレームを備えるように、オープンフレーム構造又は骨組み131に一体化される。「オープンフレーム構造」及び「骨組み」という用語は、同じ特徴を意味するように、本特許明細書において互換的に使用される。本発明のなお更なる態様では、積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分は、積荷取扱装置のオープンフレーム構造内に一体的に形成されている。本発明の発明概念を組み込んだ積荷取扱装置130の例が、図6に示されており、積荷取扱装置の異なる機能的特徴を提供する異なるモジュール式セクションが、図8(a及びb)に示されている。異なるモジュール式セクション132(a及びb)、134(a及びb)、136(a及びb)、138(a及びb)は、図8(a及びb)において、それぞれ第1、第2、第3及び第4のモジュール式セクションとラベル付けされている。図8(a及びb)に示される積荷取扱装置の分解図から理解され得るように、積荷取扱装置の異なるモジュール式セクションは、異なるモジュール式セクションが垂直に積み重ねられることを可能にするために、モジュール132(a及びb)、134(a及びb)、136(a及びb)、138(a及びb)のコーナーにおいて接続点140を備える。
【0043】
図8(a及びb)に示される本発明の特定の実施形態では、4つのモジュール式セクション132(a及びb)、134(a及びb)、136(a及びb)、138(a及びb)は、階層ベースのモジュール式システムを形成するために、垂直なスタックで接続可能に示されている。最下部のモジュール式セクション132(a及びb)から始まり、積荷取扱装置の高さが増大していく、4つのモジュール式セクションは、本発明の説明を目的として、第1のモジュール式セクション132(a及びb)、第2のモジュール式セクション134(a及びb)、第3のモジュール式セクション136(a及びb)、及び第4のモジュール式セクション138(a及びb)とラベル付けされている。4つのモジュール式セクションは、積荷取扱装置の異なる機能的特徴を提供する。本発明の特定の実施形態では、積荷取扱装置の異なる機能的特徴は、積荷取扱装置130のモジュール式セクション132(a及びb)、134(a及びb)、136(a及びb)、138(a及びb)のうちの1つ以上の間で共有され得る。例えば、車輪位置決め機構及び車輪駆動アセンブリは、積荷取扱装置の、2つ以上のモジュール式セクションの間で共有され得る。モジュール式セクションの数は、4つのモジュール式セクションに限定されず、積荷取扱装置の異なる機能的特徴は、任意の数のモジュール式セクションの間で分割され得る。
【0044】
積荷取扱装置の異なる機能的特徴は、限定はしないが、グリッド構造又は軌道上での積荷取扱装置の移動を可能にするための車輪アセンブリと、車輪アセンブリを駆動して積荷取扱装置がグリッド構造上で移動することを可能にする車輪駆動アセンブリと、方向転換機構としても知られる車輪位置決め機構と、グリッドフレームワーク構造のグリッドセルに及びグリッドセルから、コンテナをピックアップ及びドロップオフするためのコンテナ持ち上げ機構と、積荷取扱装置の電気又は電子部品と、を含む。本特許明細書の導入部で上述されたように、電気部品は、オプションで、車輪駆動アセンブリ、車輪位置決め機構、及びコンテナ持ち上げ機構の駆動機構の動作を制御するための制御ユニットを備え得る。典型的に、車輪駆動アセンブリ、車輪位置決め機構、及びコンテナ持ち上げ機構の駆動機構は、1つ以上の電気モータを備える。積荷取扱装置の電気部品の他の構成部品は、限定はしないが、車輪駆動アセンブリ及びコンテナ持ち上げ機構の駆動機構を駆動するための電力を供給するための電源を含む。典型的に、電源は、充電式電源又はバッテリである。充電式バッテリの例は、リチウムイオンバッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンポリマーバッテリ、薄膜バッテリ、及びスマートバッテリカーボンフォームベースの鉛蓄バッテリ(Smart battery Carbon Foam-based Lead Acid battery)である。
【0045】
本発明、特に、オープンフレーム構造のアーキテクチャの説明を容易にするために、図6に示される積荷取扱装置130の異なる機能的特徴が最初に説明される。しかしながら、本発明は、以下に説明される積荷取扱装置の異なる機能的特徴の例に限定されるものではなく、積荷取扱装置の同じ機能的特徴を提供し得る他の例も、本発明において適用可能である。積荷取扱装置の機能的特徴の説明は、積荷取扱装置の機能的特徴の例を提供することを目的としている。
【0046】
[車輪アセンブリ]
図6に示されるように、車輪アセンブリは、積荷取扱装置130の前部にある一対の車輪と、後部にある一対の車輪と、を備える。説明を簡単にするために、車輪アセンブリは、積荷取扱装置の前部にある一対の車輪と、積荷取扱装置の後部にある一対の車輪と、を備え、これらは、総称して第1のセットの車輪134と呼ばれる。第1のセットの車輪134は、積荷取扱装置が第1の方向、即ち、Xデカルト方向に移動することが可能であるように方向付けられる。第1の方向と同様に、第2の方向に移動するために、第2の方向は、第1の方向に対して実質的に垂直、即ち、Yデカルト方向であり、これにより、積荷取扱装置は、グリッド構造上でX-Y両方向に移動し得、車輪アセンブリは、積荷取扱装置の両側部にある対の車輪を備え、説明を簡単にするために、これらの車輪は、第2のセットの車輪136と称される。従って、グリッド構造上で第1の方向に移動するために、第1のセットの車輪134は、グリッド構造と係合し、第2のセットの車輪136は、グリッド構造から係合解除する。同様に、第2の方向に移動するために、第1のセットの車輪134は、グリッド構造から係合解除し、第2のセットの車輪136は、グリッド構造と係合する。車輪は、1つ以上の車輪取付台139、141(図8を参照)を介して、オープンフレーム構造131に回転可能に取り付けられ、積荷取扱装置がグリッド構造に沿ってX方向及びY方向の両方に移動することを可能にするために、グリッド構造と係合するように構成されている。
【0047】
積荷取扱装置がグリッド構造上で第1及び第2の方向に移動することを可能にするために、積荷取扱装置は、車輪アセンブリの車輪の各々を駆動するように構成された車輪駆動アセンブリを更に備える。
【0048】
[車輪駆動アセンブリ]
本発明の特定の例では、第1及び第2のセットの車輪の各々は、その詳細が参照により本明細書に組み込まれる、Ocado Innovation Limited名義のPCT出願PCT/EP2021/055372に記載されている駆動ベルトアセンブリ140を介して、1つ以上のモータ(図示せず)によって駆動される。図6に示される特定の実施形態では、駆動ベルトアセンブリ140が、各セットの車輪について設けられ、積荷取扱装置の1つの側にある一対の車輪134、136の縁部と係合するための駆動ベルトプーリギア構成142を備える。これら対の車輪のリムは、駆動ベルト146と協働するための複数のギア歯144を備える。歯付き駆動ベルトが、これら車輪の両方と係合する。駆動ベルト146は、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131に取り付けられた従動車輪148と、2つの張力調整車輪構成150と、によって案内される。張力調整車輪構成150は、ばね(図示せず)でオープンフレーム構造131に移動可能に取り付けられており、駆動ベルト146をピンと張った状態に保ち、駆動ベルトと車輪との係合を維持するように意図されている。駆動車輪151が設けられ、オープンフレーム構造131に取り付けられている。駆動車輪151は、モータ(図6に図示せず)の車軸又は駆動シャフトに連結されたプーリ及びギア構成142によって駆動される。モータによる駆動車輪151の回転は、駆動ベルト146に接続されていることによって、一対の車輪を駆動する。車輪駆動アセンブリは、第1のセットの車輪134及び第2のセットの車輪136の、一対の車輪の各々に対して設けられている。従って、第1のセットの車輪134の対の車輪の各々は、グリッド構造上でX方向に積荷取扱装置を移動させるために、それらのそれぞれの駆動アセンブリによって同期して駆動される。同様に、第2のセットの車輪136の対の車輪の各々は、グリッド構造上でY方向に積荷取扱装置を移動させるために、それらのそれぞれの駆動アセンブリによって同期して駆動される。
【0049】
積荷取扱装置131の対向する側部上の駆動車輪151は、各対の駆動車輪151が同時に且つ同じ速度で駆動されるように、共通のモータ車軸を共有し得る。その結果、積荷取扱装置130を第1のx方向に順方向及び逆方向に駆動するために単一のモータのみが必要とされ、また、積荷取扱装置130を第2のy方向に順方向及び逆方向に駆動するために単一のモータのみが必要とされる。この構成は、有利には、積荷取扱装置における空間及び必要とされるパーツの数という点で、コストを低減し得る。第1のセットの車輪134及び第2のセットの車輪136は、積荷取扱装置の制御下で選択的に駆動され得る。
【0050】
図6中の車輪駆動アセンブリの特定の例は、モータによって駆動される駆動ベルトアセンブリ140を備えるが、第1及び第2のセットの車輪を駆動する他の構成も、本発明において適用可能である。例えば、第1及び第2の方向の各々について4つのモータを使用して積荷取扱装置を駆動することが可能であり得ることが理解されよう。例えば、第1及び第2のセットの車輪における全ての車輪が、内側ハブの周りを回転するように構成された外側ロータを備える個々のハブモータによって駆動され得る。詳細には、外側ロータは、グリッド構造(例えば、軌道)と係合するように配置された外面と、車輪ハブ又はハブモータのステータを備える内側ハブの周りを回転するように配置されたリング状永久磁石を備える内面と、を備える。典型的に、ステータは、ハブモータのコイルを備える。第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136の各車輪を駆動し、従って、グリッド構造上で第1の方向又は第2の方向に積荷取扱装置130を移動させるために、ハブモータの外側ロータは、それぞれの車輪の中心軸に対応する回転軸の周りを回転するように配置されている。ロータの外面は、オプションで、軌道又はレールと係合するためのタイヤを備え得る。
【0051】
[車輪位置決め機構]
積荷取扱装置130が第1及び第2の方向に異なる車輪134、136で移動することを可能にするために、積荷取扱装置130は、第1のセットの車輪134を第1のセットの軌道22aと、又は第2のセットの車輪136を第2のセットの軌道22bと、のいずれかで選択的に係合させるための車輪位置決め機構又は方向転換機構を含む。車輪位置決め機構は、第1のセットの車輪134及び/又は第2のセットの車輪136を、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131に対して上昇及び下降させるように構成され、それによって、積荷取扱装置130が、グリッドフレームワーク構造1の軌道にわたって第1の方向又は第2の方向のいずれかに選択的に移動することを可能にする。
【0052】
車輪位置決め機構は、少なくとも一方のセットの車輪134、136を、軌道と非接触状態及び接触状態にするために、少なくとも一方のセットの車輪134、136を、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131に対して上昇及び下降させるための、1つ以上の線形アクチュエータ、回転部品、又は他の手段を含み得る。いくつかの例では、一方のセットの車輪のみが上昇及び下降されるように構成され、一方のセットの車輪を下降させる動作は、他方のセットの車輪を対応する軌道から離すように効果的に持ち上げ得、一方、一方のセットの車輪を上昇させる動作は、他方のセットの車輪を対応する軌道と接触させるように効果的に下降させ得る。他の例では、両方のセットの車輪が上昇及び下降され得、有利には、積荷取扱装置130の本体又はオープンフレーム構造131が実質的に同じ高さに留まり、従って、本体又はオープンフレーム構造131及びその上に取り付けられた構成部品の重量が、車輪位置決め機構によって持ち上げられ及び下降される必要がないことを意味する。
【0053】
本発明の特定の実施形態では、車輪位置決め機構は、積荷取扱装置130の各側面上にカム機構152を備える。図6において、カム機構152が、見えているX方向側に示されており、同様のカム機構152が、反対のX方向側(図示せず)にも配置されている。同様に、カム機構152が、見えているy方向側に示されており、同様のカム機構152が、反対のy方向側(図示せず)にも配置されている。換言すれば、積荷取扱装置130の各側面上のカム機構152は、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131に対して一対の車輪を上昇及び下降させるように構成されている。積荷取扱装置の対向する側面上の各カム機構152は、グリッド構造上でX方向又はY方向に積荷取扱装置を移動させるために、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131に対して、同期して第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136のそれぞれの対の車輪を上昇及び下降させるように構成されている。詳細には、カム機構152は、カム輪郭156を有するカム154と、カム輪郭156と係合可能なカムフォロア158と、を備える。図6に示される本発明の特定の実施形態では、カムフォロア158は、回転シャフト又はスピゴット(spigot)の周りを自由に回転するローラである。カムフォロア158は、カム輪郭156の長手方向に沿って移動するように構成されている。
【0054】
カム154は、第1の限界又は下限160(谷部)と、第2の限界又は上限162(高地部)との間でスロットに沿って長手方向に延在する輪郭156を有するスロットを備える。これらの限界の間で、スロットは、カムフォロア158を収容するのに十分な空間を有して、下限160から実質的に水平に延在し、上方に傾斜し、そして、上限162まで実質的に水平に続く。下限160から上限162へのカムフォロア158の移動は、第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136の1つ以上の車輪を、軌道と係合解除するように、上方へ移動させる。同様に、上限162から下限160までのカムフォロア158の移動は、第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136の1つ以上の車輪を、軌道と係合させるように、下方へ移動させる。第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136の1つ以上の車輪は、カム154に対するカムフォロア156の移動が、第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136の1つ以上の車輪を下降及び上昇させるように、そのそれぞれの車輪取付台を介して、カム154又はカムフォロア156のいずれかに結合され得る。
【0055】
積荷取扱装置の同じ側にある一対の車輪は、カムに沿ったカムフォロアの移動が一対の車輪を同時に上昇又は下降させるように、同じカム及びカムフォロアを共有し得る。積荷取扱装置の対向する側にある一対の車輪は、積荷取扱装置をX方向に移動させるための第1のセットの車輪を表し、積荷取扱装置の他方の対向する側にある一対の車輪は、積荷取扱装置をY方向に移動させるための第2のセットの車輪を表す。換言すれば、カム機構は、第1又は第2のセットの車輪の積荷取扱装置の側部にある一対の車輪が、同じカム及びカムフォロアによって下降又は上昇される単一カム構成を提供する。しかしながら、図6に示される本発明の特定の実施形態では、カム機構152は、積荷取扱装置の各側面上で単一カム構成ではなく、ダブルカム構成を用いる。第1のカム及び第2のカムは、水平方向に隣接して配置されている。第1のカム輪郭と第2のカム輪郭とは、実質的に同一である。同様に、一対のフォロアが、それぞれのカムと係合するように配置されている。従って、一対の車輪を上昇及び下降させるための単一カム構成の代わりに、積荷取扱装置の一方の側面上のダブルカム構成は、上昇及び下降位置において積荷取扱装置の1つの側面上の一対の車輪の移動を提供する。積荷取扱装置の各側面上での単一カム構成ではなく、ダブルカム構成の使用は、上昇位置又は下降位置において移動するとき、第1又は第2のセットの車輪の一対の車輪の水平配向を維持する。しかしながら、カム機構は、積荷取扱装置の各側面上のダブルカム構成に限定されず、積荷取扱装置の各側面上の単一カム構成を備え得る。
【0056】
カム154に対してカムフォロア158を移動させるために、本発明の特定の実施形態では、カム機構152は、積荷取扱装置の側面に沿って移動するように構成されたトラベラ164を備える。トラベラ164には、カムフォロア158が結合されており、これにより、積荷取扱装置130の1つの側に沿ったトラベラ164の移動は、第1のセットの車輪134又は第2のセットの車輪136の1つ以上の車輪を上昇及び下降させる。トラベラ164は、積荷取扱装置の各側にあるレール166(図8を参照)に沿って移動するように構成され得、これにより、レール166に沿ったトラベラ164の移動が、カムフォロア158をカム154に沿って移動させ、これは順に、カムフォロアが上限162にあるとき、第1又は第2のセットの車輪のうちの1対の車輪を上昇させ、カムフォロアがカム154の下限160にあるとき、1つ以上の車輪を下降させる。本発明の特定の例では、トラベラ164を支持するためのレール166は、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131から一体的に形成されている。
【0057】
トラベラ164は、トラベラを積荷取扱装置の1つの側面に沿って移動させるために、1つ以上のプーリ、スプール、ベルト、及び/又はギアを介してトラベラ164に結合されたカムモータ168を備えるカム駆動機構によって、レール164に沿って移動するように構成されている。本発明の特定の実施形態では、モータ168は、一方の端部がカムモータ168に固着され、他方の端部がトラベラ164に固着されているカムベルト170によって、積荷取扱装置の1つの側に沿ってトラベラ164を移動させるように構成されている。カムベルト170は、カムモータ168の駆動シャフトに取り付けられたカムスプール上に巻き取られ、これにより、カムモータ168によるカムスプールの回転が、カムベルト170に引張力を与え、これは順に、カムベルト170に固着されたトラベラ164をレール166に沿って移動させる。トラベラ164をその初期位置に戻すために、第2のモータが、トラベラを反対方向に引っ張るために、トラベラ164に反対の引張力を与え得る。代替として、トラベラは、カム輪郭の下限又は上限に対応する第1の位置に向かって付勢力(例えば、ばね)によって付勢され得、モータは、カム輪郭の上限又は下限に対応する第2の位置に向かってトラベラを移動させるために、付勢力に抗してトラベラに引張力を与えるように構成されている。オープンフレーム構造に対して一対の車輪を積荷取扱装置の上昇及び下降させるために必要な固着(anchorage)を提供するために、好ましくは、カムモータ168は、オープンフレーム構造131に取り付けられている。
【0058】
グリッド構造上でX方向又はY方向に移動するように第1又は第2のセットの車輪の同期した移動を提供するために、積荷取扱装置の対向する側面上の第1又は第2のセットの車輪のための対応するトラベラは、1つ以上のカムモータによって移動され得る。例えば、単一のカムモータが、第1のセットの車輪134を上昇又は下降させるための引張力を与え得る。同様に、単一のカムモータが、第2のセットの車輪136を上昇又は下降させるための引張力を与え得る。代替として、2つのカムモータが、第1のセットの車輪又は第2のセットの車輪のそれぞれの対の車輪を上昇及び下降させるために、トラベラに対して反対の引張力を与え得る。図6に示される本発明の特定の例では、2つのカムモータが、第1及び第2のセットの車輪を同期して上昇及び下降させるために使用される。第1のセットの車輪と第2のセットの車輪との同期した移動を提供するために、2つのカムモータの各々は、時計回り方向と反時計回り方向との両方に回転するように構成されている。複数のカムベルト170が、トラベラ及びカムモータ168への接続を介して、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131の外周の周りに巻き付けられており、これにより、2つのカムモータの時計回り方向における回転が、第1のセットの車輪134を上昇させ、第2のセットの車輪136を下降させる。逆に、2つのカムモータ168の反時計回り方向における回転は、第1のセットの車輪134を上昇させ、第2のセットの車輪136を下降させる。
【0059】
図6に示される車輪位置決め機構の特定の例は、カムモータによって駆動されるカム機構を備えるが、車輪位置決め機構の他の構成も、本発明において適用可能である。例えば、車輪位置決め機構は、その詳細が参照により本明細書に組み込まれる、Ocado Innovation名義のPCT出願PCT/EP2021/055335に教示されているように、車輪を上昇又は下降させるために、例えば、モータ等の、加えられた力の下で移動するように構成された少なくとも1つの弾性変形可能な部材を有するコンプライアント機構を備え得る。詳細には、第1及び第2のセットの車輪は、積荷取扱装置の対向面上でオープンフレーム構造に取り付けられたコンプライアント機構(複数可)又はリンク機構セットによって、レールから離れて上昇され得るか、又は軌道若しくはレール上へと下降され得る。
【0060】
方向転換コンプライアント機構は、第1及び第2の方向において、それぞれ変形可能である。入力された力がない場合、コンプライアント機構は、静止状態にあるか又は中立位置にあり、即ち、コンプライアント機構は、弾性変形しておらず、両方のセットの車輪が、同じ高さであり、表面上に置かれている。この構成では、積荷取扱装置は、x方向にもy方向にも移動することができず、積荷取扱装置は、停車している。コンプライアント機構の弾性変形は、車輪の各々を保持し且つ車輪を上昇及び下降させるために垂直(又はz)方向に移動可能であるアームにリンクされる(linked)。
【0061】
第1の入力の力Fが与えられると、コンプライアント機構本体は、第1の方向に変形する。機構本体の変位は、垂直方向に変換されて、第1のセットの車輪134を下降させ、第2のセットの車輪136を上昇させる。第1のセットの車輪のうちの車輪は、レール又は軌道と係合して車両を支持するように下方に移動し、第2のセットの車輪のうちの車輪は、軌道から離れるように上方に移動する。従って、積荷取扱装置130は、X方向に駆動され得る。
【0062】
第1の入力の力と反対の方向において、第2の入力の力Fが与えられると、コンプライアント機構本体は、第2の方向に変形する。機構本体の変位は、第1のセットの車輪134を上昇させ、第2のセットの車輪136を下降させるように垂直方向に動作するように変換され、その結果、積荷取扱装置は、第2のセットの車輪136によって支持され、y方向に駆動され得る。
【0063】
コンプライアント機構は、伝達リンク機構を介して、これらのセットの車輪134、136に接続されている。従って、このようにして、コンプライアント機構は、積荷取扱装置130の進む動作方向を変更する手段を提供する。
【0064】
[コンテナ持ち上げ機構]
グリッドフレームワーク構造に保管された保管コンテナを取り出すために、積荷取扱装置は、スタックから保管コンテナを解放可能につかみ、積荷取扱装置のコンテナ受容空間へと保管コンテナを持ち上げるためのグラバー装置又はコンテナ把持部アセンブリを備える、コンテナ持ち上げ機構又はコンテナ持ち上げアセンブリを備える。一方の端部がグラバー装置に固定された、別個のスプール上に巻き取られる複数の持ち上げテザーを備えるウィンチアセンブリ又はクレーンアセンブリが、グラバー装置を持ち上げ及び下降させるために使用される。コンテナ受容空間は、保管コンテナの寸法を収容するようにサイズ決定されている。コンテナ受容空間は、図6に示されるように、積荷取扱装置のオープンフレーム構造内にあり得るか、又は、オープンフレーム構造内に収容された構成部品の重量が、コンテナ持ち上げ機構によって持ち上げられるべき保管コンテナの重量と釣り合いが取れている状態で、カンチレバー構成によってオープンフレームワーク構造に隣接し得る。
【0065】
図7に示されるようなグラバー装置170は、4つのコーナーセクションと、上部側と、底部側と、を有するフレームとして形成されている。持ち上げ機構は、積荷取扱装置のコンテナ受容空間内へとコンテナを持ち上げるために使用される。最大の安定性及び積荷容量のために、典型的に、4つの持ち上げテザー38(図5bを参照)が、1つのテザーがグラバー装置170のコーナーの近く又はコーナーの各々に配置されている状態で、グラバー装置170を巻き上げるために使用されるが、例えば、より少ないテザーを有する、異なる構成が、必要に応じて使用され得る。テザーの各々の一方の端部、例えば、第1の端部は、積荷取扱装置におけるスプール上に巻き取られ、他方の端部、例えば、第2の端部は、典型的に、グラバー装置の各コーナーにおいて、好適なブラケット(図示せず)によって、グラバー装置170に固定される。グラバー装置に取り付けられるテザーの数は、コンテナ10をピックアップするときの動作中にグラバー装置を水平に維持する能力と、最大40kgの重量になり得るコンテナを持ち上げるときにテザーに加えられる張力に、伸長又は伸張することなく耐える、即ち、所定の加えられた引張応力下で非伸長性である能力とに依存する。必要な物理的特性(ヤング率)を有するために、テザーは、一般に、ケーブル、例えば、ロープ又は更にはテープの形態であるが、コンテナを巻き上げるために必要な物理的特性を有する他のテザーも、本発明において許容される。
【0066】
コンテナ10をつかむために、グラバー装置170は、コンテナ10の4つのコーナーにおいて形成された対応する切り欠き又は穴と嵌合する、グラバー装置170の各コーナーの近く又は各コーナーにおける4つの位置決めピン又は案内ピン172と、コンテナのリムと係合するためにグラバー装置170の底部側において配置された4つの把持部要素174と、を備える。位置決めピン172は、把持部要素174をコンテナのリムにおける対応する穴と適切に位置合わせするのに役立つ。
【0067】
把持部要素174の各々は、コンテナのリムにおける対応する穴に受容可能となるように折り畳み可能である一対のウィング176と、コンテナ上に係止するように、少なくとも1つの寸法がコンテナのリムにおける穴より大きいサイズを有する開いた拡大構成と、を備える。ウィング176は、駆動ギアによって、開いた構成へと駆動され得る。より具体的には、ウィングのうちの少なくとも1つの頭部は、駆動ギアとかみ合う複数の歯を備え、これにより、把持部要素174が作動されると、駆動ギアの回転が、ウィングの対を、折り畳まれた構成から開いた拡大構成へと回転させる。
【0068】
折り畳まれた又は閉じた構成にあるとき、把持部要素174は、コンテナのリムにおける対応する穴86に受容可能であるようにサイズ決定されている。一対のウィングの各々の脚部は、止め具178、例えば、ボスを備え、これにより、コンテナのリムにおける対応する穴に受容されると、止め具は、拡大された開いた構成にあるときにリムの下面と係合して、グラバー装置170が積荷取扱装置のコンテナ受容部分に向かって上方に巻き上げられるときにコンテナ上に係止する。
【0069】
コンテナ持ち上げ機構のウィンチアセンブリに移ると、ウィンチアセンブリは、駆動機構と、4つの別個のスプール180(図6を参照)上に巻き取られる4つのテザーと、を備える。4つのテザーは、各テザーの下端部がグラバー装置170に接続するように、それらのそれぞれの4つのスプール180から下方に延在する。4つのスプール180は、別個の回転可能な若しくは持ち上げシャフトに取り付けられ得るか、又は、代替として、同じ若しくは共通の回転可能な若しくは持ち上げシャフト182に取り付けられ得る。図8aに示される本発明の特定の実施形態では、昇降機構は、中央の水平に延在する持ち上げシャフト182と、4つのスプールとを含み、2つのスプール180が持ち上げシャフト182の第1の端部にあり、2つのスプール180が持ち上げシャフト182の第2の端部にあり、即ち、持ち上げテザーを担持する4つの別個のスプールは、回転可能なシャフトが4つの別個のスプールの全てに共通であるように、単一の回転可能なシャフト182に取り付けられている。その結果、グラバー装置170に接続された4つのテザーの各々は、単一のテザーが各スプール上に巻き取り又は巻き出しされるように、それ自体のスプールに接続されている。これは、有利には、各スプール上の巻き取られたテザーが、2つ以上のテザーが単一のスプール上に巻き取られる実施形態と比較して、より少ない空間を占有することを確実にする。各テザーについてのスプールを設けることはまた、有利には、把持装置を持ち上げ及び下降させるために、テザーを巻き取り及び巻き出しするときに、テザーが絡まるリスクを低減させる。
【0070】
持ち上げシャフト182は、各スプールの周りにテザーを巻き取り又は巻き出しするように、回転するように構成されている。持ち上げシャフトがテザーを巻き取るために第1の回転方向に回転するにつれて、各テザーは、グラバー装置170(及びグラバー装置によって把持されている場合はコンテナ)を持ち上げるように、そのそれぞれのスプールの周りに同時に巻き取られる。持ち上げシャフト182は、第2の回転方向(第1の回転方向とは反対)に回転されて、各テザーをそのそれぞれのスプールから同時に巻き出し、それによって、グラバー装置170(及びグラバー装置によって把持されている場合はコンテナ)を下降させる。テザーは、グラバー装置170を均一且つ着実に持ち上げ又は下降させるように、同時に且つ同じ速度で巻き取り又は巻き出しされる。持ち上げシャフト182、及び、4つの持ち上げテザーの各々をグラバー装置の4つのコーナーの各々に案内するための4つのプーリは、積荷取扱装置のオープンフレーム構造に取り付けられている。
【0071】
持ち上げアセンブリは、テザーをそれらのスプールの周りに巻き取り又は巻き出しするように、第1及び第2の回転方向に持ち上げシャフト182を回転させるように構成されたモータ(図示せず)を含む。モータは、第1及び第2の回転方向に持ち上げシャフト182を回転させるように、中央の水平に延在する持ち上げシャフト182に結合される。モータの出力から持ち上げシャフトに回転を伝達するために、限定はしないが、複数のタイミングプーリ、タイミングベルト、及び/又はギアのうちの少なくとも1つを含む様々な機構が、モータを持ち上げシャフトに結合するために使用され得る。本発明の特定の実施形態では、持ち上げシャフト182は、持ち上げテザーを担持する4つのスプール180の全てに共通の持ち上げシャフト182に取り付けられた駆動プーリとタイミングベルトとを介してモータに結合され、これにより、タイミングベルトを介したモータへの接続による持ち上げシャフトに取り付けられた駆動プーリの回転が、持ち上げシャフトに共通の4つのスプールの全ての回転を駆動する。
【0072】
本発明は、図6を参照して上述されたコンテナ持ち上げ機構に限定されず、保管及び取り出しシステムのグリッドフレームワーク構造から保管コンテナを取り出すための他のコンテナ持ち上げ機構も、本発明において適用可能である。例えば、コンテナ持ち上げ機構は、その詳細が参照により組み込まれる、Ocado Innovation Limited名義のPCT/EP2021/051531に教示されているコンテナ持ち上げ機構に基づき得る。PCT/EP2021/051531において、コンテナ持ち上げ機構は、第1のセットのスプール及び第2のセットのスプールと、ここで、第1のセットのスプール及び第2のセットのスプールの各スプールは、グラバー装置に固着された第1の端部と、スプールに固着された第2の端部と、を有する持ち上げテザーを担持しており、回転可能なシャフトと、を備える。第1のセットのスプールは、回転可能なシャフトが第1のセットのスプールに共通であるように、回転可能なシャフトに取り付けられている。駆動プーリと第1のセットのタイミングプーリとが、回転可能なシャフトに取り付けられ、且つ第1のセットのスプールに共通であり、これにより、駆動プーリへの接続による単一のモータによる回転可能なシャフトの回転が、第1のセットのスプールを駆動する。第2のセットのタイミングプーリが、複数のタイミングベルトのうちの1つ以上を介して、第1のセットのタイミングプーリに接続されており、これにより、駆動プーリへの接続による単一のモータによる回転可能なシャフトの回転が、第2のセットのスプールを駆動する。
【0073】
[オープンフレーム構造]
図8aに示される積荷取扱装置の異なる機能的特徴を収容するための積荷取扱装置のモジュール式構築に戻ると、積荷取扱装置の異なるモジュール式セクション132a、134a、136a、138aは、図8bに示される垂直に積み重ねられた層状構造を形成する簡略化されたモジュール式ブロック132b、134b、136b、138b構築体によって想定され得る。本発明の特定の実施形態では、4つのモジュール式セクション132(a及びb)、134(a及びb)、136(a及びb)、138(a及びb)が、垂直なスタックで示されており、4つのモジュール式セクションの各々は、積荷取扱装置の機能的特徴のうちの1つ以上を提供する。本発明の説明を目的として、積荷取扱装置の高さが昇順でラベル付けされた4つのモジュール式セクションは、第1、第2、第3及び第4のモジュール式セクションを備え、第1のモジュール式セクション132(a及びb)は、積荷取扱装置の最下部にあり、第4のモジュール式セクション138(a及びb)は、積荷取扱装置の最上部にある。図8(a及びb)に示されるように、4つのモジュール式セクションの各々は、積荷取扱装置の機能部品のうちの1つ以上の少なくとも一部分を担持する。層状構造内の異なるモジュール式セクションの数及び位置は、図8(a及びb)に示される4つのモジュール式セクションに限定されず、積荷取扱装置の追加の機能的特徴を提供する任意の数のモジュール式セクションを含むか、又は任意の数のモジュール式セクションの間で共有され得る。
【0074】
各モジュール式セクションは、コーナーブラケットを共に接続又は連結することによって形成される矩形オープンフレームとして想定され得、ここで、各コーナーブラケットは、図8bでは接続ブロックとして示されている。モジュール式セクションは、1つ以上の接続要素184によって、同じ水平面内の隣接する接続ブロックを接続することによって構築されて、オープン矩形フレーム186を形成する。従って、垂直に隣接する矩形フレーム186は、図9(a及びb)に示されるように、垂直に隣接する接続ブロック140を接続することによって共に接続されて、オープンフレーム構造131を形成する。接続ブロック140の一例が、コーナーブラケットである。単一のモジュール式セクションにおいて、各コーナーブラケットは、1つ以上の接続要素184によって、同じ水平面内の2つの他のコーナーブラケットに接続されている。接続要素は、隣接する接続ブロック(コーナーブラケット)を単一のモジュール式セクションにおいて共に連結するための接続ロッド又はチューブであり得る。接続ロッドは、中実又は中空であり得、以下で更に説明されるように、接続ブロックとの接続に依存する。本発明の特定の実施形態では、オープンフレーム構造は、電源180、制御ユニット192、持ち上げテザーを担持するスプール182を収容するための上部と、コンテナ受容空間137を収容する下部と、を有する容積を画定する3次元構造物である。
【0075】
オープンフレーム構造の構造的完全性は、積荷取扱装置の異なる機能的特徴を支持するだけでなく、積荷取扱装置がグリッド構造上で動作可能であるときに十分な曲げ剛性を有するためにも十分であるべきである。様々な材料が、接続ロッド又はチューブの製作において使用され得る。これらは、限定はしないが、金属若しくはポリマー若しくはセラミック又はこれらの組合せを含む。積荷取扱装置の重量を低減し、積荷取扱装置の異なる機能部品を支持するのに必要な構造特性を有するために、オプションで、隣接するコーナーブラケットを共に連結する接続ロッドは、ポリマーマトリックスにおいて結合された炭素繊維で構成されている(炭素繊維ロッドとして知られる)。モジュール式セクションを形成する矩形フレームの構築を補助するために、モジュール式セクションのうちの1つ以上の、接続ブロックの各々は、接続ロッドの挿入のための開口部又はソケット187(図10及び図11を参照)を備える。接続ロッドは、ジョイントによって接続ブロックに固定される。様々なジョイントが、モジュール式セクションにおいて接続ロッドをコーナーブラケットに固定するために使用され得る。これらは、様々な締結具、糊、溶接等を含む。接続ブロックを接続ロッドに固定するジョイントの更なる詳細が、以下に説明される。
【0076】
簡略化されたモジュール式セクションは、モジュール式セクションが4つのコーナーブラケットを備えるように、接続ブロック140がコーナーブラケットである場合である。4つのコーナーブラケットの各々は、図8bに示されるような単純なオープン矩形フレームを形成するために、同じ水平面内の2つの他のコーナーブラケットに直接接続されている。しかしながら、単一のモジュール式セクションにおけるコーナーブラケットは、図8aに明示されるように、矩形フレームのコーナーにおけるコーナーブラケットの中間にある1つ以上の接続ブロックによって、2つの他のコーナーブラケットに間接的に接続され得る。従って、モジュール式セクションの各々におけるコーナーブラケットに関する「接続される」という用語は、2つの他のコーナーブラケットに直接的及び/又は間接的に接続されることを意味するように広く解釈され得る。
【0077】
本発明による積荷取扱装置を構築するために、異なるモジュール式セクションは、それらのそれぞれのコーナーブラケット140を介して、1つ以上の垂直な接続要素188によって、単に、垂直に隣接する矩形フレーム186を共に連結するだけで、共に連結されて、図8a及び図8b中の簡略化されたオープンフレーム構造において示されるようなオープンフレーム構造131を形成し得る。換言すれば、単一のモジュール式セクションにおいて2つの他のコーナーブラケットに接続するための同じコーナーブラケットが、隣接する矩形フレームを共に垂直に接続するために使用され得る。垂直に隣接する矩形フレームのコーナーブラケットは、垂直な接続要素が、複数の垂直に隣接する矩形フレームのコーナーブラケットを通って延在するように、オープンフレーム構造の各コーナーにおいて同じ垂直な接続要素188に取り付けられ得る。その結果、オープンフレーム構造のコーナーの各々は、同じ又は共通の垂直な接続要素を共有する。複数の矩形フレームを、それらのそれぞれのコーナーブラケットを介して、オープンフレーム構造の各コーナーにおいて同じ垂直な接続要素に連結するために、最下部の矩形フレームと最上部の矩形フレームとの中間又はそれらの間のコーナーブラケットは、垂直に隣接する矩形フレーム186を共に連結するときに、コーナーブラケットを通って延在する垂直な接続要素のための1つ以上の貫通孔を有する(図8a中の第2のモジュール式セクションを参照)。これは、図8(a及びb)に示されるような積荷取扱装置を形成するために、単に、複数の矩形フレームをオープンフレーム構造の各コーナーにおいて同じ垂直な接続要素に取り付けるだけで、複数の矩形フレーム186がスタックにおいて共に垂直に連結され得るという利点を有する。代替として、別個の垂直な接続要素が、オープンフレーム構造の各コーナーにおいて、垂直に隣接する矩形フレームを接続するために使用され得る。垂直に隣接する矩形フレームを接続している垂直な接続要素の長さは、積荷取扱装置の高さを決定づける。垂直に隣接する矩形フレームを共に連結する接続要素188は、同じ水平面内の隣接するコーナーブラケットを連結する接続要素と同じタイプ又は異なるタイプの接続要素であり得る。例えば、垂直に隣接する矩形フレームを共に連結する接続要素188は、単一のモジュール式セクションにおけるコーナーブラケットを連結するために使用される接続ロッドであり得る。水平な接続ロッド184及び垂直な接続ロッド188による、接続ブロックを形成するコーナーブラケットの互いへの連結が、図10図12に示されている。図10図12は、積荷取扱装置の異なるモジュール式セクションのアセンブリを示し、ここで、図10は、車輪取付台139、141を備える第1のモジュール式セクションのアセンブリを表し、図11は、上述された車輪位置決め機構のカム機構のトラベラのための支持体又はレール166を備える第2のモジュール式セクションのアセンブリを表し、図12は、積荷取扱装置の電気部品及び電源を支持するための第4のモジュール式セクションである。モジュール式セクションのブロック構築は、図10図12に明示されており、ここで、各コーナーブラケット又は接続ブロック140は、接続ブロックを共に連結して単一のモジュール式セクションを形成するための1つ以上の接続ロッド又はチューブ184、188を受容するように賦形された1つ以上のソケット187を備え、垂直に隣接するモジュール式セクションは、垂直なスタックで共に連結される。図10図12中の矢印は、接続ブロック又はコーナーブラケット140におけるそれらそれぞれのソケット187に挿入されるときの接続ロッド又はチューブ184の方向を示す。
【0078】
積荷取扱装置の異なる機能的特徴を依然として収容しつつ、積荷取扱装置の構築を単純化するために、積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分は、積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分が積荷取扱装置の矩形フレームのうちの1つ以上と一体であるという意味で、積荷取扱装置130のオープンフレーム構造131に一体化される。例えば、車輪アセンブリの少なくとも一部分が、1つ以上の矩形フレームと一体であり、車輪駆動アセンブリの少なくとも一部分が、1つ以上の矩形フレームと一体であり、車輪位置決め機構の少なくとも一部分が、1つ以上の矩形フレームと一体であり、及び/又は、コンテナ持ち上げ機構の少なくとも一部分が、1つ以上の矩形フレームと一体である。
【0079】
積荷取扱装置の異なる機能的特徴の少なくとも一部分を、積荷取扱装置のオープンフレーム構造を形成する矩形フレームのうちの1つ以上と一体化するため、矩形フレーム186のうちの1つ以上の、接続ブロック140のうちの1つ以上が、積荷取扱装置の機能的特徴を考慮して作製されている。積荷取扱装置の機能部品のうちの1つ以上の少なくとも一部分が、1つ以上の矩形フレームの、1つ以上の接続ブロックに一体化される。例えば、矩形フレームを共に連結するコーナーブラケットのうちの1つ以上が、積荷取扱装置のフレームに取り付けるための別個の取付台を有するのではなく、スプール、プーリ及び/又はモータのための1つ以上の取付台と一体的に形成され得る。
【0080】
本発明の特定の実施形態におけるモジュール式セクションの最も単純なものは、第4の、即ち最上部のモジュール式セクションである。図6に示される第4の、即ち最上部のモジュール式セクションの矩形フレーム186は、車輪駆動アセンブリ及び/又は車輪位置決め機構及び/又はコンテナ持ち上げ機構の動作を制御するための制御ユニット192及び/又は電源190等の、積荷取扱装置の電気部品のための支持を提供する。本発明の特定の実施形態では、積荷取扱装置の、1つ以上の電気部品が、1つ以上のクレードル194内に支持され、これは順に、矩形フレームによって支持される。交差ビーム又はロッド185が、図8aに示されるように、積荷取扱装置の、1つ以上の電気部品を支持するために、第4の、即ち最上部のモジュール式セクションの矩形フレーム186を横切って延在する。その結果、最上部のモジュール式フレームの矩形フレームのコーナーブラケット140の各々は、これらコーナーブラケットの中間にある接続ブロックを介して、同じ水平面内の2つの他のコーナーブラケットに間接的に接続されている。これらコーナーブラケットの中間にある対向する接続ブロックは、図8aに示されるように、矩形フレームを横切って延在する交差ビーム又はロッドを形成するように共に連結されている。最上部のモジュール式セクションの矩形フレームは、図12に示されるように、1つ以上の接続要素によって、コーナーブラケットを含む接続ブロックを共に連結することによって形成される。
【0081】
異なる接続ブロックが、異なるモジュール式セクションを構築するために使用され得、接続ブロックの選択は、積荷取扱装置の異なる機能的特徴に大きく依存する。コーナーブラケット又は接続ブロック140bの最も単純なものが、図13に示されている。これは、最上部のモジュール式セクションの矩形フレームワークは、電源及び制御ユニットを支持することを除くと、最小限の機能を積荷取扱装置に提供するからである。ここで、最上部のモジュール式セクションのコーナーブラケット又は接続ブロックの各々は、3つの開口部又はソケット187(図13を参照)を備え、2つは、別個の接続要素を介して、同じ水平面内の2つの他の接続ブロックに接続するためのものであり、下方に延在するソケットは、最上部のモジュール式セクションを、垂直なスタックで垂直に隣接する矩形フレームに連結するためのものである。積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分が、オープンフレーム構造、より具体的には、オープンフレーム構造の接続ブロック内に一体化されるので、接続ブロックの形状は、積荷取扱装置の機能的特徴の複雑さが増大するにつれて、即ち、コンテナ持ち上げ機構、車輪駆動アセンブリ、及び車輪アセンブリを備える積荷取扱装置の下方ほど、より複雑になる。オープンフレーム構造のコーナーブラケットを形成している様々な複雑な接続ブロック140(b~e)の例が、図13図16に示され、積荷取扱装置の異なるモジュール式セクションの矩形フレームを組み立てるための異なるコーナーブラケットを表す。
【0082】
様々な軽量材料が、接続ブロックの製作において使用され得る。軽量材料の例としては、限定はしないが、様々な軽金属、例えばアルミニウム、又は、様々なポリマー材料、例えばプラスチック材料、又は、複合材料(例えば、炭素繊維/ポリマー複合材)が含まれる。様々な方法が、接続ブロックを作製するために使用され得る。これらは、限定はしないが、ブロックからの機械加工、射出成形、又は鋳造を含む。しかしながら、接続ブロックの複雑さが増大するにつれて、特に、積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分が接続ブロック140、140(b~e)と一体にされるとき、より精巧な製作方法が使用され得る。3D印刷等の積層造形の使用は、複雑な接続ブロックを製作する能力を提供し、これにより、積荷取扱装置の機能部品の少なくとも一部分が、1つ以上の接続ブロックと一体的に形成され得る。接続ブロック、特に、コーナーブラケットの製作における積層造形の使用は、接続ブロックのうちの1つ以上が、接続ブロックがオープンフレーム構造において受けるであろう応力を考慮して、トポロジー最適化されることを可能にする。これは、積層造形又は3D印刷が、機械加工だけでは達成され得ない複雑な形状を形成する能力を有するからである。これは特に、接続ブロックがトポロジー最適化される場合に当てはまり、これは、トポロジー最適化の結果が、接続ブロックが積荷取扱装置のオープンフレーム構造での適用において直面するであろう様々な荷重制約を考慮に入れるために複雑な形状をもたらす傾向があるからである。
【0083】
車輪アセンブリの車輪は、最下部の、即ち第1のモジュール式セクションにおいて、矩形フレーム186によって支持される。車輪アセンブリの車輪を収容するために、最下部の、即ち第1のモジュール式セクションの接続ブロック、より具体的には、コーナーブラケットの各々は、第1及び第2のセットの車輪の、1つ以上の車輪取付台139、141と一体的に形成されている。図16に示される本発明の特定の実施形態では、最下部のモジュール式セクションのコーナーブラケット140eの各々は、2つの車輪取付台、即ち、第1及び第2の車輪取付台139、141を収容するために、2つのパーツで形成されている。第1の車輪取付台139は、第1のセットの車輪134のうちの車輪を取り付けるために構成されており、第2の車輪取付台141は、第2のセットの車輪136のうちの車輪を取り付けるために構成されている(従って、4つのコーナーブラケット140eに取り付けられた合計8つの車輪が存在し、4つのコーナーブラケット140eの各々について2つの車輪取付台があり、積荷取扱装置のオープンフレーム構造を支持するように配置されている)。換言すれば、第1の、即ち最下部のモジュール式セクションの4つのコーナーブラケット140eの各々は、2つの車輪取付台、即ち、第1及び第2の車輪取付台139、141と一体的に形成されている。1つのコーナーブラケット140eに2つの車輪取付台を収容するために、所定のコーナーブラケットの2つの車輪取付台は、互いに実質的に垂直に組み立てられており、これにより、第1の車輪取付台139が第1の方向に積荷取扱装置を移動させるための車輪用の取付台を提供し、第2の車輪取付台141が実質的に垂直な方向に積荷取扱装置を移動させるための取付台を提供する。図10及び図16に示される本発明の特定の実施形態では、コーナーブラケットの第1及び第2の車輪取付台139、141は、それぞれの車輪を回転可能に取り付けるためのシャフト又はスピゴットを備える。
【0084】
また、図10に示され、図16に明示されるように、所定のコーナーブラケット140eの第1及び第2の車輪取付台の各々の縁部又は端部は、1つ以上のボスの開口部を通して接続要素188を受容するように垂直に位置合わせされた又は同心の開口部を有する1つ以上のボス又はフィンガ196を備える。第1及び第2の車輪取付台139、141の縁部における1つ以上のボス196は、所定のコーナーブラケットの第1及び第2の車輪取付台の両方のボス196が互いに噛み合い、それらそれぞれのボスにおける開口部が、最下部の、即ち第1のモジュール式セクションが、図8aに示されるように、真上の第2のモジュール式セクションに垂直に連結されるときに、接続要素188を受容するために、車輪位置決め軸W-W(図16を参照)に沿って軸方向に位置合わせされるように、離間されている。車輪位置決め軸W-Wは、グリッド構造上での移動の方向に応じて、それぞれの第1のセットの車輪又は第2のセットの車輪がそれに沿って上昇又は下降される軸である。図16において、車輪位置決め軸W-Wは、第1及び第2のセットの車輪がそれに沿って上昇及び下降される垂直軸として示されている。所定のコーナーブラケットについて、コーナーブラケット140eの第1及び第2の車輪取付台139、141の縁部におけるボス196は、十分に離間されており、これにより、離間されたボスが互いに噛み合うとき、コーナーブラケット140eの第1の車輪取付台139又は第2の車輪取付台141の各々は、その垂直な接続要素に沿って、即ち、車輪位置決め軸W-Wに沿って、他方の第2の車輪取付台141又は第1の車輪取付台139とは独立して移動し得る。これは、第1のセットの車輪の一対の車輪が、コーナーブラケットに取り付けられたときに、第2のセットの車輪の一対の車輪とは独立して上昇又は下降されることを可能にするためである。これは、最下部のモジュール式セクションの他のコーナーブラケットについても繰り返され、これにより、最下部のモジュール式セクションの4つのコーナーブラケットの全てが、第1及び第2のセットの車輪のうちの車輪の全て、即ち、8つの車輪を支持するための車輪取付台を提供する。コーナーブラケットの車輪取付台の各々は、車輪をシャフトに回転可能に取り付けるための一体的に形成された車輪シャフト198を備える。車輪アセンブリの車輪を取り付けるための各コーナーブラケット140eは、1つ以上の接続要素184によって、矩形フレームを形成するために、2つの他のコーナーブラケットに接続されている。図8a及び図9aに示される本発明の特定の例では、コーナーブラケット140eの各々は、コーナーブラケットにおける開口部又はソケット187に受容可能な2つの接続ロッド184によって、同じ水平面内の2つの他のコーナーブラケットに接続されている(図10を参照)。しかしながら、車輪アセンブリを備える第1のモジュール式セクションの矩形フレームを形成するために、同じ水平面内で隣接するコーナーブラケットを接続するための接続要素184の数は、2つの接続要素に限定されず、矩形フレームの必要な構造的剛性を提供するための任意の数の接続要素であり得る。
【0085】
第1及び第2のセットの車輪の回転を駆動するために、上述された車輪駆動アセンブリの少なくとも一部分は、積荷取扱装置のオープンフレーム構造の矩形フレームのうちの1つ以上に一体化され得る。車輪駆動アセンブリが、上述された積荷取扱装置の各側面において駆動ベルトアセンブリ140を備える場合、駆動ベルトを搬送するための駆動車輪及び従動車輪のための取付台は、矩形フレームのうちの1つ以上の、接続ブロック140e(図16を参照)のうちの1つ以上と一体的に形成され得る。例えば、図16に示される本発明の特定の実施形態では、車輪アセンブリのための車輪取付台139、141を備えるコーナーブラケット140eの各々は、駆動ベルトアセンブリの従動車輪148のための取付台198を追加で備え、これにより、駆動ベルトは、コーナーブラケット140eに取り付けられた車輪134、136の外周の周り、及び同じコーナーブラケット140e上の従動車輪148の周りを移動する(図6及び図16を参照)。各コーナーブラケット140eは、グリッド構造上の積荷取扱装置の進行方向をカバーするために、互いに垂直に配向された車輪のための2つの車輪取付台139、141と一体的に形成されているので、それらのそれぞれの従動車輪のための取付台198は、コーナーブラケット140eの車輪取付台139、141の各々と一体的に形成され得る。第1又は第2のセットの車輪の一対の車輪の回転を駆動するための駆動プーリは、駆動ベルトが積荷取扱装置の1つの側面における一対の車輪の周りに、及びより高いモジュール式セクションに取り付けられた駆動車輪の周りに延在するように、垂直なスタックでより高くに位置する矩形フレームのコーナーブラケット140dに取り付けられている。本発明の特定の実施形態では、各車輪駆動アセンブリの駆動ベルトを駆動するための駆動車輪は、第2のモジュール式セクションの矩形フレームを形成するコーナーブラケット140と一体的に形成されたシャフト又はスピゴット202、204に取り付けられている。その結果、第1及び第2のセットの車輪の各々の一対の車輪は、第1のモジュール式セクションにおける従動車輪と、第2のモジュール式セクションのコーナーブラケットに取り付けられた駆動車輪と、を接続する駆動ベルトによって駆動される。これは、図6に示されるように、積荷取扱装置の各側面における他の駆動アセンブリについても繰り返される。また、図6には、一対の車輪を駆動するための各車輪駆動アセンブリが、所定の対の車輪の周りの駆動ベルトがぴんと張った状態のままであることを確実にするために、上述された張力調整車輪構成を追加で備えることも示されている。図6に示される積荷取扱装置の特定の例では、車輪を支持する矩形フレームのコーナーブラケットのうちの1つ以上もまた、車輪張力調整構成を備える。
【0086】
駆動アセンブリは、上述された駆動ベルトアセンブリに限定されず、車輪アセンブリの車輪を担持する矩形フレームの接続ブロックは、上述されたハブモータを担持するための取付台と一体化され得る。従って、第1の、即ち最下部のモジュール式セクションの矩形フレームの各コーナーブラケットは、ハブモータを備える駆動アセンブリのための取付台と一体的に形成され得、ここで、ハブモータの内側ハブは、コーナーブラケットに取り付けられている。第1の、即ち最下部のモジュール式セクションのコーナーブラケットの各々が、2つの車輪を取り付けるための2つの車輪取付台を備えて形成されているので、各コーナーブラケットは、2つのハブモータを取り付けるための2つの取付台と一体的に形成されており、一方が、第1の方向に車輪を取り付けるためのものであり、他方が、第2の方向に車輪を取り付けるためのものである。
【0087】
グリッド構造上で方向転換するために、積荷取扱装置は、車輪位置決め機構を備える。様々な車輪位置決め機構が、当該技術分野において知られており、そのうちのいくつかが上述されている。所定のセットの車輪のうちの一対の車輪をオープンフレーム構造に対して垂直に持ち上げるのに十分な力が必要であることを考慮して、車輪位置決め機構の少なくとも一部分は、積荷取扱装置の各側面における一対の車輪の重量を支えるように補強されたオープンフレーム構造の矩形フレームに取り付けられている。図6及び図11に示される積荷取扱装置の特定の例では、第2のモジュール式セクションの矩形フレームは、1つ以上の支柱又はブレース206によって補強され、それが積荷取扱装置の高さの実質的に中間に位置するので、「中間ハロー(middle halo)」と呼ばれる。中間ハローの補強は、矩形フレームを横切って延在する1つ以上の交差ブレース206によって提供される。図6に示される車輪位置決め機構の特定の例は、カムと、カムに沿って移動可能なカムフォロアと、カムフォロアを移動させるためのトラベラと、を備える上述されたカム機構に基づく。トラベラは、一対の車輪を上昇させるために、積荷取扱装置の1つの側面上のレール166に沿って移動するように構成されている。一対の車輪を上昇させるためのトラベラを支持するためのレール166は、トラベラが、積荷取扱装置の1つの側面上のコーナーブラケット140を接続している接続要素184に沿って移動するように、中間ハローの矩形フレームのコーナーブラケット間に延在する水平な接続要素を備える。従って、中間ハローのトラベラを支持するための接続要素は、オーバーヘッドレールとして機能する。図6に示される本発明の特定の例では、トラベラは、同じ水平面内のコーナーブラケットを接続している接続要素に摺動可能に取り付けられている。これは、積荷取扱装置の側面の各々における他の対の車輪についても繰り返される。トラベラを支持するために、少なくとも2つの接続要素184が、積荷取扱装置の1つの側面上のコーナーブラケット140間に延在する。1つ以上のインサート208が、コーナーブラケット140間に延在する2つの接続要素184間に挟まれて、トラベラが接続要素に沿って移動するときに接続要素が過度に曲がるのを防止するために、コーナーブラケット140間に延在する接続要素に曲げ剛性を与える。本発明の特定の例では、第1及び第2のセットの車輪のうちの対の車輪の各々についてのカム機構は、上述されたようなダブルカム構成に基づいており、ここで、トラベラは、ダブルカム構成を介して、所定の対の車輪を上昇及び下降させるように構成されている。カムフォロアと協働するためのカムは、車輪アセンブリの車輪を支持するコーナーブラケットに取り付けられ得るか、又はコーナーブラケットと一体的に形成され得る。積荷取扱装置の各側面上のダブルカム構成では、第1及び第2の方向に配向された車輪の垂直移動に対応するように(to cater for)、2つのそれぞれのカムフォロアと協働する2つのカムが、各コーナーブラケットに取り付けられている(図15を参照)。従って、所定のコーナーブラケットについて、第1のカムが、コーナーブラケットの第1の車輪取付台に取り付けられるか、又はそれと一体的に形成され、第2のカムが、コーナーブラケットの第2の車輪取付台に取り付けられるか、又はそれと一体的に形成され、これにより、コーナーブラケットの第1及び第2の車輪取付台の両方が合わせられると(brought together)、積荷取扱装置の異なる側面上のカムがそれらのそれぞれのカムフォロアと協働する。同様のコーナーブラケットが、車輪アセンブリの他の車輪を取り付けるためにも使用される。
【0088】
カムフォロアがカムに沿って移動するにつれて、上向き又は下向きの力が、第1又は第2のセットの車輪のうちの車輪を担持するそれぞれのコーナーブラケットに加えられ、これは、グリッド構造上での積荷取扱装置の進行方向に応じて車輪を上昇又は下降させる。上述されたように、車輪アセンブリの車輪を取り付けるための各コーナーブラケットは、2つの互いに噛み合うパーツ、即ち、第1のパーツ139及び第2のパーツ141から形成され、第1及び第2のパーツの各々は、車輪のための車輪取付台を備える。第1のパーツは、第1のセットの車輪のうちの車輪のための車輪取付台を提供し、第2のパーツは、第2のセットの車輪のうちの車輪のための車輪取付台を提供し、それぞれ、第1の車輪取付台139及び第2の車輪取付台141として定義されている。第1及び第2の車輪取付台の縁部にけるボス又はフィンガ196は、ボスが互いに噛み合うとき、第1の車輪取付台が、その接続している垂直な接続要素に沿って軸方向に第2の車輪取付台とは独立して移動し得るように、十分に離間されている。垂直な接続要素が接続ロッドである場合、コーナーブラケットの第1及び第2の車輪取付台の各々の1つ以上のボスにおける開口部の直径は、接続ロッド188の直径よりもわずかに大きく、これにより、コーナーブラケットの第1及び第2の車輪取付台139、141が、力が垂直方向に加えられたときに、垂直に移動可能であることを可能にする。カムフォロア158と協働するカム154は、図16に示されるように、車輪アセンブリの車輪取付台を備えるそのそれぞれのコーナーブラケット140eと一体的に形成され得る。2つのカム154が、コーナーブラケット140eと一体的に形成されて示されており、車輪取付台139、141の各々に対して1つずつある。図6及び図16に関連した上記の説明から理解され得るように、車輪位置決め機構の少なくとも一部分は、積荷取扱装置の異なるモジュール式セクションを形成している1つ以上の矩形フレームの接続ブロック、より具体的には、コーナーブラケットと一体的に形成されている。
【0089】
また、図6には、接続要素に沿ってトラベラを移動させるためのモータが、オープンフレーム構造の中間ハローを形成している矩形フレームのコーナーブラケット140dに取り付けられていることが示されている。1つ以上のモータのための1つ以上の取付台が、接続ブロック、より具体的には、中間ハローの矩形フレームのコーナーブラケットと一体的に形成されている。図15に示されるように、1つ以上の開口部210が、モータのモータシャフトを受容するために、コーナーブラケット140dに一体的に形成されている。コーナーブラケット140dはまた、スプールが回転するにつれて、トラベラに接続されたベルトを巻き取るためのスプールを支持し、これにより、モータが時計回り方向に回転するとき、ベルトがスプール上に巻き取られ、モータが反時計回り方向に回転するとき、ベルトがスプールから巻き出される。
【0090】
車輪位置決め機構の少なくとも一部分が、1つ以上のモジュール式セクションの矩形フレームを形成している接続ブロック又はコーナーブラケットと一体的に形成されていることに加えて、コンテナ持ち上げ機構の少なくとも一部分、より具体的には、ウィンチアセンブリが、1つ以上のモジュール式セクションの矩形フレームに一体的に形成されている。グラバー装置に接続された持ち上げテザーを担持する4つのスプールの回転を駆動するための持ち上げシャフトは、モジュール式セクションの矩形フレームに回転可能に取り付けられている。図8aに示される例では、持ち上げシャフト182は、第3のモジュール式セクションの矩形フレームに回転可能に取り付けられている。図8a及び図9aには、矩形フレームを横切って延在する持ち上げシャフト182が示されている。持ち上げシャフトの対向する端部は、それぞれの接続ブロック212を介して、隣接するコーナーブラケットを接続している接続要素に回転可能に取り付けられている。コンテナ持ち上げ機構の4つの持ち上げプーリ214は、持ち上げテザーをグラバー装置のそれぞれのコーナーに案内するために、持ち上げアセンブリの各コーナーに1つずつあり、矩形フレームのそれぞれのコーナーブラケット140cにそれぞれ取り付けられている(図14を参照)。従って、それぞれのスプールからそれぞれのプーリの周りに延在する各テザーは、下方に延在し、グラバー装置、例えば、グラバー装置のコーナーに接続する。4つのプーリ214のための取付台は、矩形フレームのそれぞれのコーナーブラケット140cに一体化され得る。
【0091】
本発明の特定の実施形態では、グラバー装置によって持ち上げられたときに保管コンテナを収容するためのコンテナ受容空間137(図9aを参照)は、積荷取扱装置のオープンフレーム構造内に、より具体的には、第1、第2及び第3のモジュール式セクション(第3のモジュール式セクションは、持ち上げテザーを担持するスプールを支持している)の領域において収容される。しかしながら、垂直に隣接するモジュール式セクションは、垂直な接続ロッドを介して、それらのそれぞれの接続ブロックによって共に接続されているので、グラバー装置が接続ブロックと衝突する(fouling)ことを防止するために、グラバー装置がコンテナ受容空間の内外に持ち上げられ及び下降されるときに、グラバー装置が案内されることが必要である。本発明の特定の実施形態では、下方に延在する案内部(図示せず)が、矩形フレームの各コーナーに1つずつ、積荷取扱装置の第2のモジュール式セクションの接続ブロック140cに取り付けられており、これにより、グラバー装置を、それがコンテナ受容空間内に下降又は上昇されるときに案内する。案内部の各々は、図7に示されるグラバー装置のコーナーを収容するための2つの垂直な案内プレートを備えるように賦形されている。
【0092】
コンテナ持ち上げ機構は、最大40kgの重量を有し得る保管コンテナを持ち上げ及び下降させるように構成されているので、コーナーブラケット間に延在する接続要素は、持ち上げテザーを担持するスプールを支持するモジュール式セクションの矩形フレームを強化するために、1つ以上のブレーシング要素216によってブレースされ得る。図8a及び図9aに示される特定の例では、2つのブレーシング要素216が、積荷取扱装置の対向する側面においてコーナーブラケット間に延在する接続要素をブレースして示されている。ブレーシング要素の対向する端部は、接続ブロック218によって接続要素に取り付けられている。
【0093】
複数の矩形フレーム186が、上述された積荷取扱装置の異なる機能的特徴を提供するために、垂直なスタックで共に組み立てられている。垂直に隣接する矩形フレームが、垂直な接続要素188によって共に接続されて、積荷取扱装置の異なる機能的特徴を支持するオープンフレーム構造131を形成している。図10図12は、それぞれ第1、第2及び第4のモジュール式セクションの矩形フレームを形成するために、接続ロッドによって、接続ブロックを共に組み立てる例を示す。好ましくは、複数の矩形フレームのコーナーにおける接続ブロック(コーナーブラケット)140の各々は、1つ以上の垂直な接続要素又はロッド188によって、垂直なスタックで共に連結又は接続されている。垂直に隣接する矩形フレームを接続するための垂直な接続ロッドが、図11に示されている。垂直な接続ロッドは、矩形フレームのコーナーにおける接続ブロック(コーナーブラケット)に固定されて示されている。接続ブロックを接続ロッドと共に連結するために、接続ブロックは、接続ロッドの端部を受容するための1つ以上の開口部又はソケット187を備える。積荷取扱装置の製造は、接続ブロックを共に連結するために、接続ロッドの端部を接続ブロックの開口部又はソケットに挿入することを伴う。本発明による積荷取扱装置の重量を低減するのに役立つように、接続ロッドは、典型的に、中空、例えば、中空パイプである。治具が、個々の矩形フレームを共に組み立てるために使用され得、一方、接続ブロック及び/又はコーナーブラケットと接続要素との間の接続は、好適なジョイントによって固定される。
【0094】
グリッド構造上での積荷取扱装置の動作中、オープンフレーム構造が受ける応力は、接続ブロックと接続ロッドとの間のジョイントの周りに集中する。接続ロッドが接続ブロックに適切に固定されていない場合、接続ロッドのうちの1つ以上がその対応する接続ブロックから外れ、その接続ブロックが関連付けられている矩形フレームの最終的な破壊、及び、最悪の場合、オープンフレーム構造の破壊をもたらすリスクがある。結果として得られたオープンフレーム構造の構造的完全性を確実にするために、接続ロッドの端部を接続ブロックに固定するためのジョイントは、接続ロッドの端部が接続ブロック、より具体的には、接続ブロックにおけるソケット187から外れるのを防止するのに十分な強度を有するべきである。様々なジョイントが、接続ロッドの端部を接続ブロックに固定するために使用され得、これは、接続ブロック及び接続ロッドの製作に使用される材料に大きく依存する。様々なジョイントは、限定はしないが、接着(gluing)又は溶接を含み得る。
【0095】
[ジョイント]
オープンフレーム構造の接続ブロックのちの1つ以上が、グリッド構造上の積荷取扱装置として動作するときに、オープンフレーム構造が受ける異なる荷重又は応力に対応するようにトポロジー最適化され得る一方で、接続ブロック140と、接続要素184、188、例えば、接続ロッドとの間のジョイントもまた、積荷取扱装置がグリッド構造上で動作しているときに受ける力に耐えるのに十分な強度を有する必要がある。このような力は、接続ブロックのソケット187から接続ロッドを引っ張り出そうとする力、並びに、接続要素が曲げモーメントを受けるときの曲げ力及びねじり力を含む。様々な技法が、接続ブロックを接続要素に固定するために使用され得る。これらは、接着剤又は糊の使用、締結具又は溶接、或いは固定方法のうちのいずれか1つの組合せを含む。接続ブロックを接続要素に固定するために接着剤を使用することは、複数の接続要素によって共に連結された接続ブロックを備えるオープンフレームワーク構造を組み立てるための最も効率的でコスト効果の高い方法であると思われる。しかしながら、グリッドフレームワーク構造上で動作可能な積荷取扱装置が、接続ブロックと接続要素との間のジョイントにおいて曲げモーメントをもたらす曲げ力及びねじり力等の多くの力を受けるので、接続ブロックと接続要素との間のジョイントは、通常はロッドの形態である接続要素が接続ブロックから外れるのを防止するのに十分な強度を有する必要がある。様々な市販の接着剤が、接続要素を接続ブロックに固定するのに必要な接着強度を有する一方で、接続ブロックと接続要素との間の確実な接続を提供する接着剤の能力は、接続ブロック140と接続要素184、188との間の接着剤の表面接触面積に大きく依存する。接続ブロックと接続要素との間の接着剤の接触表面積が大きいほど、いっそう多くの接着剤が、接続ブロックと接続要素との間の接着強度に寄与することが可能であるので、接着強度が大きくなる。
【0096】
接続要素がロッドであり、ロッドが、接続ブロック140内に一体的に形成された開口部又はソケット187に挿入される場合、ロッドと、内壁を有するソケットとの間の接着強度は、ロッドの接続端部に沿った接着剤の広がりに大きく依存する。ロッドの一方の端部を接着剤で単にコーティングし、ロッドを接続ブロック140のソケット187に挿入することは、ソケットが止まり孔であり、ソケットの入口において接着剤の蓄積を残すため、余分な接着剤がソケットの入口から押し出され得るという問題を抱えている。これは、見栄えが悪く、且つ、接続ブロックを備えるアセンブリにおいて、例えば、上述されたオープンフレーム構造において、他の変形を生じさせ得る。次に、接続要素の接続端部をコーティングすることは、接続ブロックを接続要素に接着剤で固定又は接着する前に、複数の接続ブロックを接続要素と組み立てることには適していない。これは、特に、複数の接続ブロック及び接続要素が、接続ブロックがアセンブリにおいてロッドと正確に位置合わせされることを確実にするために、治具で組み立てられる場合に当てはまる。この問題は、接続ブロックを接続要素に固定するために使用される接着剤が、塗布された後に比較的短い硬化時間を有する場合に悪化する。この問題は、上述された積荷取扱装置の機能的特徴を提供する構成部品を支持するオープンフレーム構造の製作時の接続ブロックのみに限定されず、この問題は、任意のタイプの接続ブロックをロッド等の接続要素と接続するときにも存在し得る。
【0097】
従って、上述された欠点を被らない、接続ブロックをロッドと固定することが可能であるジョイントが必要とされる。本発明では、流体の形態にある接着剤が、理想的には、ロッドの接続端部が接続ブロックのソケットに挿入された後又はそれに後続して、ロッドの接続端部に沿って広げられる。これは、ロッドをそれらのそれぞれの接続ブロックに接着又は固定する前に、複数の接続ブロックがそれらのそれぞれのロッドと共に組み立てられることを可能にし、従って、接続ブロックとそのそれぞれのロッドとの位置合わせの精度又は正確さを制御するための治具の使用を可能にする。本発明の一例では、ソケットの内壁は、ロッドの接続端部に沿って接着剤を分配するためにソケットの内壁の少なくとも一部分の周りに延在する溝を備える。接続ブロックは、接続ブロックの外部にあり且つ溝に接着剤を注入するために溝と流体連通状態にある入口開口部を有する入口を備え、溝は、ロッドの接続端部がソケットに挿入されたときに、糊チャネルを形成するように構成されており、これにより、接着剤が入口開口部に注入されると、接着剤がロッドの接続端部の外面の周りの糊チャネルに沿って流れる。異なる形状の溝が、ソケットの内壁内に形成され得る。ロッドの接続端部に沿って接着剤を分配する効率的な方法が、ソケットの長さの少なくとも一部分に沿って軸方向に延在する連続的な溝を設けて、ロッドの接続端部がソケットに挿入されたときに、入口開口部と流体連通状態にある連続的な糊チャネルを設けることである。
【0098】
連続的な溝を設ける一例が、ソケットの内壁内に形成されたヘリカル溝又はスパイラル溝であり、これは、ヘリカル形状又はスパイラル形状を有する糊チャネル220をもたらす。ソケットの長手方向の長さの少なくとも一部分に沿って軸方向に延在するヘリカル又はスパイラル糊チャネル220の一例が、図17に示されている。スパイラル又はヘリカル糊チャネル220は、接着剤がロッドの接続端部に沿って軸方向に分配される又は広がることを可能にする。また、図17には、接着剤をスパイラル糊チャネル220に供給するための入口222も示されている。入口は、スパイラル糊チャネル220と流体連通状態にあり且つ入口222の開口部226からスパイラル糊チャネル220まで延在する入口経路224を備える。開口部226は、接着剤が接続ブロックの外部から糊チャネルに供給され得るように、接続ブロックの少なくとも1つの外壁において形成されている。これは、ロッドが接続ブロックのソケットに挿入された後で接着剤が糊チャネルに供給され得るという利点を有し、これは、複数の接続ブロックをそのそれぞれの接続要素に接着させる前に、複数の接続ブロックが治具で共に組み立てられることを可能にする。
【0099】
異なる接着剤は、異なる粘度及び硬化時間を有する。糊チャネルに注入される、異なる粘度及び硬化時間を有する異なる接着剤に対応するために、糊チャネルを通る接着剤の流速(rate of flow)が制御される。低すぎる流速は、接着剤が糊チャネルを満たす前に、接着剤が早期に硬化することをもたらし得、高すぎる流速は、接着剤が硬化する前に、接着剤が糊チャネルから漏れ出ることをもたらし得る。糊チャネルを通る接着剤の流速を制御するために、入口開口部226から糊チャネル220まで延在する入口経路224は、入口開口部226における圧力と、糊チャネル220の入口における圧力との間に圧力差が存在するように、ベンチュリ効果を生ずるために、テーパ状であるか、又はダイバージング壁(diverging walls)を有する。入口経路224のダイバージェンス(divergence)を制御することによって、この圧力差が制御され得、従って、糊チャネルを通る接着剤の流速が制御され得る。図17に示される特定の例では、入口経路224は、糊チャネル220の入口に近づくにつれて入口経路が収縮するようにダイーバージし、その結果、糊チャネルの入口においてより高い流速が得られる。図17には示されていないが、接続ブロックは、オプションで、接続ブロックの外部の出口開口部から延在する出口経路を備える出口を備え得、これにより、余分な接着剤が出口開口部を通って糊チャネルから出ることができる。出口開口部から出る接着剤は、接着剤が糊チャネルを十分に満たし、接着プロセスが完了したことの指標を提供する。
【0100】
しかしながら、本発明によれば、ロッドと接続ブロックとの間の良好な接着を確実にするために、ソケットに挿入されたときに、ロッドの接続端部に沿って接着剤を分配する他の例が存在する。図18(a及びb)に示される糊チャネルの別の例では、溝は、ソケットの軸方向の長さに沿って離間した複数の別個の円形溝を備え、これは、ロッドの接続端部にわたって接着剤を分配するための複数の離間した又は別個の円形糊チャネル228を設ける。複数の円形糊チャネルの各々に接着剤を供給するために、入口322は、図18(a及b)に示されるように、単一の入口開口部326から分岐した複数の入口経路330を備える。複数の入口経路330の各々は、複数の離間した円形糊チャネル228のそれぞれの円形糊チャネルに供給する。これは、入口322の入口開口部326への接着剤の単一の注入を通じて、接着剤が複数の円形糊チャネル228の各々に供給されることを可能にする。これは、図18bの複数の円形糊チャネルの概略図に明示されている。円形溝、従って、円形糊チャネル228の数及び間隔は、ロッドがソケットに挿入されたときに、ソケットの内壁とロッドの接続端部との間で、ロッドの接続端部の外面上に堆積される接着剤の量を制御する。
【0101】
また、図18(a及b)には、それが複数の円形糊チャネル228と流体連通状態にあるという意味で、複数の円形糊チャネル228に共通の出口経路334を有する出口332も示されている。上述されたように、出口332は、接着剤が複数の円形糊チャネル228を満たしたことの指標を提供する。出口経路334は、接着剤が出口開口部336から出る前に、複数の糊チャネル228を通って流れるように位置する。出口経路334は、出口経路334が複数の円形糊チャネル228の間で共有されるように、複数の円形糊チャネル228にわたって単一の出口開口部336まで延在するように示されている。
【0102】
プラスチック等の軽量材料の使用は、接続ブロックと接続要素とのアセンブリ、例えば、上述されたオープンフレーム構造の重量を低減するのに役立つが、軽量接続要素を使用することもまた、アセンブリの重量を低減するのに役立つ。軽量接続要素の一例が、中空ロッドである。しかしながら、中空ロッドの使用は、接続要素としていくつかの欠点を有する。主な欠点の1つは、ソケットの入口における応力の結果として、中空ロッドが崩壊し得るリスクである。接続ブロックとロッドとの間の接続が、ロッドが接続ブロックにおけるソケットに挿入されていることに依拠する場合、ソケットの入口の付近の周囲に応力集中領域が存在する。これは、特に、ソケットの壁の形状が急激に変化する、図19に示されるような比較的鋭い縁部232を有するソケットの入口における領域である。ロッドが受ける曲げモーメントは、ソケットの入口の周りの領域の周りに、特に、ソケット187の縁部232において集中し、ソケットの縁部がロッド184の壁に対して影響を与える(impinging against)リスクを伴う。内部支持がない場合、ソケット187の縁部232において集中する応力により、ロッド184が曲がり、最悪の場合、崩壊するリスクがある。
【0103】
この問題を軽減するために、図19に示されるように、ロッドの接続端部が接続ブロックのソケットに挿入されたときに内部支持を提供するように、ロッド184の中空部分に受容可能であるインサート234が、ソケット187において設けられている。図19に示されるインサートは、ソケットの長手方向の軸と同心である軸X-Xを有して、ソケットの長手方向の長さの少なくとも一部分に沿って軸方向に延在する。接続ブロックのソケット187にインサート234を導入することはまた、ソケットに糊チャネルを含めるための、更なる製造上の複雑さをもたらす。接続ブロックの製作における積層造形又は3D印刷の使用は、接続ブロックの内部に複雑な形状を一体的に形成する機会を提供する。
【0104】
ロッドと接続ブロックとの間の確実な接着を提供するために、糊チャネルが、ソケットの内壁と、インサートの外面との周りに形成されている。本発明の特定の実施形態では、図19に示される本発明の例に示されるように、溝がソケットの内壁の周りに形成されて、ロッドがソケットに挿入されたときに、第1の糊チャネル420aを形成し、また、溝がインサートの外周又は表面の周りに形成されて、ロッドがソケットに挿入されたときに、第2の糊チャネル420bを形成する。ソケットの内壁上の第1の溝及びインサートの外面上の第2の溝の位置により、第1の糊チャネル420aは、図19では、第2の糊チャネル420bに対向しているように示されている。従って、ロッドの接続端部の外面及び内面の両方が、それぞれソケットの内壁及びインサートの外面に接着される(図19を参照)。ロッドがソケット187に挿入されたときにロッドの内部に空気が蓄積するのを防止するために、通気孔424がインサートに組み込まれ得る。通気孔424は、ロッドがソケットに挿入されたときに、ロッドの内部から空気を逃がすことを可能にするように、インサートから接続ブロックの外部まで延在する貫通孔である。
【0105】
ソケット187がインサート234を備える場合に、単一の注入点から第1及び第2の糊チャネル420a、420bに接着剤を供給するために、本発明の一例では、接続ブロックの外部の入口開口部426からの入口経路は、第2の糊チャネル420bの長手方向の軸A-Aが、第1の糊チャネル420aの長手方向の軸と同心であるように、単一の入口開口部426から分岐する複数の入口経路430a、430bを備える。第1及び第2の糊チャネル420a、420bを設ける一例が、図20(a及びb)に示されており、第1及び第2の糊チャネル430a、430bについてのスパイラル形状の糊チャネルの配置を示す。第1及び第2の糊チャネルの各々は、第1及び第2の入口によって接着剤を供給され得、ここで、第1及び第2の入口の各々は、別個の入口開口部から供給される。代替として、第1及び第2の糊チャネル420a、420bは、複数の入口経路430a、430bに分岐する単一の入口開口部426から供給され得、これら複数の経路の各々は、それぞれの第1及び第2の糊チャネル420a、420bに供給する。図20(a及びb)に示される入口は、第1及び第2の糊チャネル420a、420bと流体連通状態にある第1及び第2の入口経路430a、430bを備え、これは、接続ブロックの外部の単一又は共通の入口開口部426から供給される。第1及び第2の入口経路430a、430bの各々は、入口開口部426からそれぞれの第1及び第2の糊チャネル420a、420bに分岐する。第1及び第2の糊チャネル420a、420bの各々は、それらのそれぞれの第1及び第2の糊チャネルが接着剤で満たされたという指標を提供するために、別個の出口を備え得る。代替として、上述されたように、共通の出口が、第1及び第2の糊チャネルの両方に設けられ得る。
【0106】
図21(a及びb)は、接着剤をそれぞれソケットの内壁及びインサートの外面に供給するための第1及び第2の糊チャネルを設ける別の例を示す。図21(a及びb)に示される例における糊チャネルの配置では、接着剤をソケットの内壁及びインサートの外面に供給する糊チャネルは、図17及び図18(a及びb)を参照して上述されたスパイラルタイプ520aと別個の円形リング520bとの組合せに基づく。図21(a及b)に示される特定の例では、ソケットの内壁において形成された溝は、ロッドの接続端部の外面と協働して、別個の円形糊チャネル520aを形成し、インサートの外面上の溝は、接続ロッドの内面と協働して、スパイラル形状の糊チャネル520bを形成する。ロッドの外面上に別個の円形糊チャネルと、ロッドの内面上にスパイラル糊チャネルとの組合せを有することは、両方のタイプの糊チャネルが、入口522への接着剤の単一の注入で供給されることを可能する。異なる形状の糊チャネルに接着剤を供給することに対応するために、入口522は、図21aに示されるように、ロッドの外部の第1の糊チャネル520aの別個の円形糊チャネルに接着剤を供給するために分岐する複数の入口経路530aと、ロッドの内部の第2の糊チャネル520bのスパイラル糊チャネルに接着剤を供給するための単一の入口経路530bと、を備える。しかしながら、ロッドの外面及びロッドの内面に接着剤を供給するための糊チャネルの異なる配置が、本発明において適用可能であり、図17及び図18(a及びb)を参照して上述された糊チャネルの異なる配置を含み得る。また、図21a及び図21bには、それぞれの第1及び第2の糊チャネル520a、520bが満たされていることの指標を提供するために、第1及び第2の糊チャネル520a、520bと流体連通状態にある出口532が示されている。
【0107】
特定の例の糊チャネルは、図17図21(a及びb)に示されるように、ソケットの内壁に溝を組み込むことによって形成されるが、糊チャネルは、ロッドの接続端部がソケットに挿入されたときに、接着剤が、接続ブロックの外部にあり且つ糊チャネルと流体連通状態にある入口開口部を有する入口から糊チャネルに注入され得るように、ロッドの接続端部に溝を設けることによって形成され得る。入口経路は、接着剤をロッドの接続端部における1つ以上の溝に導くように、接続ブロックにおいて位置決めされる。接着剤がロッドの接続端部における溝を回って移動するにつれて、接着剤は、ソケットに挿入されたロッドの接続端部に沿って分配される。硬化すると、接着剤は、ソケットの内壁とロッドの接続端部との間にジョイントを形成する。
【0108】
接続ブロックの外部の入口開口部を通じて接着剤を注入することの利点は、複数の接続ブロック及び接続ロッドを治具で組み立てて、接着剤が入口開口部に注入される前に、アセンブリが正確に位置決めされることを確実にする能力である。ロッドの接続端部を受容するためのソケットの内部に異なる形状の糊チャネルを有することは、接続ブロックとロッドとの間に良好な接着を提供するように、接着剤がロッドの接続端部に沿って広がることを確実にする。ソケット内部の異なる形状の糊チャネルが可能になるのは、接続ブロックが、複雑な形状を接続ブロック内に内部に組み込むことを可能にする積層造形又は3D印刷によって製造され得るからである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18(a)】
図18(b)】
図19
図20a
図20b
図21a
図21b
【国際調査報告】