(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-09
(54)【発明の名称】調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240802BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20240802BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240802BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240802BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20240802BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20240802BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G02F1/13 505
C03C27/12 N
B32B7/023
B60J1/00 H
B60J3/04
G02F1/1345
G02F1/1339 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500078
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2022103414
(87)【国際公開番号】W WO2023274410
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110749492.4
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111004531.4
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516151818
【氏名又は名称】フーイャォ グラス インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ファン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ショウ
(72)【発明者】
【氏名】フェン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジアフ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオシン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA01
2H088FA04
2H088FA29
2H088HA01
2H088HA02
2H088MA20
2H092GA34
2H092HA04
2H092NA19
2H092NA28
2H092PA04
2H092QA15
2H092RA10
2H189AA04
2H189DA79
2H189DA81
2H189FA57
2H189FA89
2H189GA52
2H189LA03
2H189MA08
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00C
4F100BA05
4F100BA07
4F100DD05
4F100GB32
4F100JG00A
4F100JG00B
4F100JG01D
4F100JN00E
4G061AA26
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
調光部材(110)が提供される。調光部材(110)は、第1電極(111)と、第2電極(112)と、調光フィルム(113)とを備える。調光フィルム(113)は、順に積層して設けられた、第1基体(1131a)、第1導電層(1131b)、調光層(1133)、第2導電層(1132b)及び第2基体(1132a)を備える。調光層(1133)、第1導電層(1131b)及び第2導電層(1132b)は収容空間(Z)を形成しており、第1電極(111)及び第2電極(112)は収容空間(Z)内に設けられている。第1電極(111)は、第1導電層(1131b)の第1基体(1131a)から離反する側に貼り付けられ、且つ第1導電層(1131b)に電気的に接続されており、第2電極(112)は、第2導電層(1132b)の第2基体(1132a)から離反する側に貼り付けられ、且つ第2導電層(1132b)に電気的に接続されている。調光部材(110)の構成に対する設計により、調光部材(110)の機能の正常な発揮が確保されることができる。調光部材(110)を備える透光アセンブリ(10)、透光アセンブリ(10)を備える車両(1)がさらに提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光部材であって、
第1電極と、第2電極と、調光フィルムとを備え、
前記調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、第1導電層、調光層、第2導電層及び第2基体を備え、前記調光層、前記第1導電層及び前記第2導電層は収容空間を形成しており、前記第1電極及び前記第2電極は前記収容空間内に設けられており、前記第1電極は、前記第1導電層の前記第1基体から離反する側に貼り付けられ、且つ前記第1導電層に電気的に接続されており、前記第2電極は、前記第2導電層の前記第2基体から離反する側に貼り付けられ、且つ前記第2導電層に電気的に接続されている、
ことを特徴とする調光部材。
【請求項2】
前記収容空間は、第1サブ空間と、前記第1サブ空間と離間して設けられた第2サブ空間とを含み、前記第1電極は前記第1サブ空間内に設けられており、前記第2電極は前記第2サブ空間内に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の調光部材。
【請求項3】
前記調光部材は密封構造を備え、前記密封構造の少なくとも一部は、前記調光部材の周縁に沿って設けられており、前記密封構造にある前記第1基体と前記密封構造にある前記第2基体は互いに結合されている、
ことを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の調光部材。
【請求項4】
調光部材の製造方法であって、
調光フィルムを提供することであって、前記調光フィルムは、積層して設けられた、第1フィルム層と、調光層と、第2フィルム層とを備え、前記第1フィルム層は、積層して設けられた、第1基体及び第1導電層を備え、前記第2フィルム層は、積層して設けられた、第2基体及び第2導電層を備え、前記調光層は前記第1導電層と前記第2導電層との間に位置し、前記調光フィルムは第1領域及び第2領域を含む、提供することと、
前記第1領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第1領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第1領域内の前記調光層を露出させることと、
前記第1領域内に位置する前記第1導電層上の前記調光層の少なくとも一部を除去することと、
前記第1領域内に位置する前記第1導電層に第1電極を貼り付けることと、
前記第1領域内に位置する前記第2導電層上の前記調光層の少なくとも一部を除去することと、
前記第1領域内に位置する前記第2導電層に第2電極を貼り付けることと、を含む、
ことを特徴とする調光部材の製造方法。
【請求項5】
前記第1領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第1領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第1領域内の前記調光層を露出させることは、
第1の所定経路に沿って前記第1領域内に位置する前記調光フィルムを裁って、第1サブ領域を形成することと、
前記第1サブ領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第1サブ領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第1サブ領域内に位置する前記調光層を露出させることと、
第2の所定経路に沿って前記第1領域内に位置する前記調光フィルムを裁って、第2サブ領域を形成することと、
前記第2サブ領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第2サブ領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第2サブ領域内に位置する前記調光層を露出させることと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の調光部材の製造方法。
【請求項6】
前記第1領域内に位置する前記第1導電層上の前記調光層の少なくとも一部を除去することは、
前記第1サブ領域内に位置する前記第1導電層上の前記調光層及び前記第1サブ領域内に位置する前記第2導電層上の前記調光層を除去すること、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の調光部材の製造方法。
【請求項7】
前記第1領域内に位置する前記第1導電層に前記第1電極を貼り付けることは、
前記第1領域内に位置する前記第1導電層の、前記第1基体から離反する表面に、第1接着層を形成し、又は、前記第1電極の表面に前記第1接着層を形成することと、
前記第1接着層を通して、前記第1領域内に位置する前記第1導電層に前記第1電極を貼り付けることと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の調光部材の製造方法。
【請求項8】
前記第1領域内に位置する前記第2導電層に前記第2電極を貼り付けることの後、前記調光部材の製造方法は、
前記調光フィルムの周縁に密封構造を形成することをさらに含み、
前記密封構造にある前記第1基体と前記密封構造にある前記第2基体は互いに結合されている、
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の調光部材の製造方法。
【請求項9】
前記調光フィルムの周縁に前記密封構造を形成することは、
第1加工部品と第2加工部品を提供することと、
前記調光フィルムを前記第1加工部品と前記第2加工部品との間に位置させることであって、前記第1加工部品は前記調光フィルムの前記第1基体に当接し、前記第2加工部品は前記調光フィルムの前記第2基体に当接する、位置させることと、
前記第1加工部品と前記第2加工部品との協働により、前記調光フィルムの周縁に前記密封構造を形成することであって、前記第1加工部品は回転可能であり、前記第2加工部品は振動可能である、形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の調光部材の製造方法。
【請求項10】
調光部材であって、
前記調光部材は調光フィルムを備え、前記調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備え、前記機能層の外周に密封構造が設けられており、前記密封構造は、前記第1基体と前記第2基体により前記機能層を包み込むことで形成されている、
ことを特徴とする調光部材。
【請求項11】
前記第1基体と前記第2基体はいずれも、基体本体部と基体縁部を有し、前記機能層は、前記第1基体の基体本体部と前記第2基体の基体本体部との間に位置し、前記第1基体の基体縁部と前記第2基体の基体縁部には、前記機能層を包み込むための前記密封構造が形成されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の調光部材。
【請求項12】
前記密封構造は、前記第1基体と前記第2基体が溶融されて互いに当接することで形成されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の調光部材。
【請求項13】
前記調光部材の外縁部に少なくとも1つの凹溝構造が設けられており、前記密封構造は前記凹溝構造に位置する、
ことを特徴とする請求項10に記載の調光部材。
【請求項14】
前記凹溝構造の前記密封構造から離反する側に充填部が設けられている、
ことを特徴とする請求項13に記載の調光部材。
【請求項15】
前記凹溝構造は、前記第1基体及び/又は前記第2基体が前記機能層の方向に向かって溶融されて収縮することで形成されている、
ことを特徴とする請求項13に記載の調光部材。
【請求項16】
前記凹溝構造は、前記機能層の外縁部を貫通し、前記機能層の前記第1基体に近い表面及び/又は前記機能層の前記第2基体に近い表面と連通している、
ことを特徴とする請求項13に記載の調光部材。
【請求項17】
前記凹溝構造は段差構造又はトレンチ構造を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の調光部材。
【請求項18】
前記凹溝構造の外周にダム構造が形成されており、前記ダム構造から前記トレンチ構造までの距離の範囲は0.5mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項17に記載の調光部材。
【請求項19】
調光部材の製造方法であって、
(1)順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える調光部材を提供することと、
(2)前記第1基体の前記機能層から離反する側に加工用の金型を設け、前記第2基体の前記機能層から離反する側に載置台を設けることと、
(3)前記金型で前記第1基体を押し付け、前記金型及び前記第2基体が前記金型の方向に平行な方向に往復振動し、前記金型が地面に平行な水平方向に、前記載置台に対して往復振動するようにし、前記機能層において局所的な摩擦を発生させて、前記金型に隣り合った一部の前記機能層を容易に粉砕し且つ両側に押し、同時に前記第1基体と前記第2基体が前記金型の近くに局所的に溶融状態となることと、
(4)局所的な摩擦により前記機能層に凹溝構造を形成し、前記第1基体と前記第2基体は高温溶融状態において互いに当接するようになった後、冷却固化して密封構造を形成することと、
(5)前記調光部材の外縁部に少なくとも1つの完全な前記密封構造を形成して、縁部封止を完成することと、を含む、
ことを特徴とする調光部材の製造方法。
【請求項20】
前記載置台の振動数の範囲は20KHz~40KHzである、
ことを特徴とする請求項19に記載の調光部材の製造方法。
【請求項21】
前記金型は、前記金型の外側に平行な少なくとも1つの凹凸パターンを有し、前記凹凸パターンの前記金型上の幅範囲は、0.2mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項19に記載の調光部材の製造方法。
【請求項22】
前記調光部材には、前記凹溝構造の外周に位置するダム構造がさらに形成されており、前記調光部材の外縁部に少なくとも1つの前記密封構造を形成して、縁部封止を完成することの後、前記調光部材の製造方法は、
前記ダム構造を切除することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の調光部材の製造方法。
【請求項23】
前記凹溝構造を形成する前に、前記第1基体及び/又は前記第2基体の、前記機能層から離反する表面に、充填部が設けられている、
ことを特徴とする請求項19に記載の調光部材の製造方法。
【請求項24】
前記充填部の積層方向における厚みの範囲は、前記第1基体又は前記第2基体の積層方向における厚みの1/3~1/2倍である、
ことを特徴とする請求項23に記載の調光部材の製造方法。
【請求項25】
前記凹溝構造を形成した後又は形成していると同時に、前記凹溝構造の前記密封構造から離反する側に充填部が設けられている、
ことを特徴とする請求項19に記載の調光部材の製造方法。
【請求項26】
透光アセンブリであって、
第1透光部材と、第2透光部材と、請求項1~3、10~18のうちのいずれか一項に記載の調光部材とを備え、
前記調光部材は、前記第1透光部材と前記第2透光部材との間に位置する、
ことを特徴とする透光アセンブリ。
【請求項27】
請求項26に記載の透光アセンブリを備える、
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、発明の名称を「調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両」とする、2021年8月30日に出願された中国特許出願第202111004531.4号の優先権を主張し、さらに、発明の名称を「調光フィルム及びその縁部封止方法、調光アセンブリ、車両」とする、2021年7月1日に出願された中国特許出願第202110749492.4号の優先権を主張し、上記先願の内容が引用として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、車両部品の技術分野に関し、具体的には、調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両に関する。
【背景技術】
【0003】
車両は、人間の重要な交通手段の1つである。一部分の車両の窓ガラスは、調光部材が加えられたため、調光の役割を有し、運転環境がより快適でプチ贅沢になる。調光部材は電子型の調光製品であり、調光部材が透明するか否かは電気制御により制御されることができる。しかしながら、調光部材の構成が合理的に設けられていなければ、調光部材の機能が影響される。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両を提供する。調光部材の構成に対する設計により、調光部材の機能の正常な発揮が確保されることができる。
【0005】
第一態様では、本出願は調光部材を提供する。調光部材は、第1電極と、第2電極と、調光フィルムとを備える。調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、第1導電層、調光層、第2導電層及び第2基体を備える。調光層、第1導電層及び第2導電層は収容空間を形成しており、第1電極及び第2電極は収容空間内に設けられている。第1電極は、第1導電層の第1基体から離反する側に貼り付けられ、且つ第1導電層に電気的に接続されており、第2電極は、第2導電層の第2基体から離反する側に貼り付けられ、且つ第2導電層に電気的に接続されている。
【0006】
収容空間は、第1サブ空間と、第1サブ空間と離間して設けられた第2サブ空間とを含み、第1電極は第1サブ空間内に設けられており、第2電極は第2サブ空間内に設けられている。
【0007】
調光部材は、第1接着層と第2接着層をさらに備える。第1電極は、第1接着層により第1導電層に接着され且つ電気的に接続されている。第2電極は、第2接着層により第2導電層に接着され且つ電気的に接続されている。
【0008】
調光部材は密封構造を備え、密封構造の少なくとも一部は、調光部材の周縁に沿って設けられており、密封構造にある第1基体と密封構造にある第2基体は互いに結合されている。
【0009】
第二態様では、本出願は調光部材の製造方法をさらに提供する。調光部材の製造方法は、
調光フィルムを提供することであって、調光フィルムは、積層して設けられた、第1フィルム層と、調光層と、第2フィルム層とを備え、第1フィルム層は、積層して設けられた、第1基体及び第1導電層を備え、第2フィルム層は、積層して設けられた、第2基体及び第2導電層を備え、調光層は第1導電層と第2導電層との間に位置し、調光フィルムは第1領域及び第2領域を含む、提供することと、
第1領域内に位置する第1フィルム層及び第1領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域内の調光層を露出させることと、
第1領域内に位置する第1導電層上の調光層の少なくとも一部を除去することと、
第1領域内に位置する第1導電層に第1電極を貼り付けることと、
第1領域内に位置する第2導電層上の調光層の少なくとも一部を除去することと、
第1領域内に位置する第2導電層に第2電極を貼り付けることと、を含む。
【0010】
第1領域内に位置する第1フィルム層及び第1領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域内の調光層を露出させることは、
第1の所定経路に沿って第1領域内に位置する調光フィルムを裁って、第1サブ領域を形成することと、
第1サブ領域内に位置する第1フィルム層及び第1サブ領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1サブ領域内に位置する調光層を露出させることと、
第2の所定経路に沿って第1領域内に位置する調光フィルムを裁って、第2サブ領域を形成することと、
第2サブ領域内に位置する第1フィルム層及び第2サブ領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第2サブ領域内に位置する調光層を露出させることと、を含む。
【0011】
第1領域内に位置する第1導電層上の調光層の少なくとも一部を除去することは、第1サブ領域内に位置する第1導電層上の調光層及び第1サブ領域内に位置する第2導電層上の調光層を除去すること、を含む。
【0012】
第1領域内に位置する第1導電層に第1電極を貼り付けることは、
第1領域内に位置する第1導電層の、第1基体から離反する表面に、第1接着層を形成し、又は、第1電極の表面に第1接着層を形成することと、
第1接着層を通して、第1領域内に位置する第1導電層に第1電極を貼り付けることと、を含む。
【0013】
第1領域内に位置する第2導電層に第2電極を貼り付けることの後、調光部材の製造方法は、調光フィルムの周縁に密封構造を形成することをさらに含む。密封構造にある第1基体と密封構造にある第2基体は互いに結合されている。
【0014】
調光フィルムの周縁に密封構造を形成することは、
第1加工部品と第2加工部品を提供することと、
調光フィルムを第1加工部品と第2加工部品との間に位置させることであって、第1加工部品は調光フィルムの第1基体に当接し、第2加工部品は調光フィルムの第2基体に当接する、位置させることと、
第1加工部品と第2加工部品との協働により、調光フィルムの周縁に密封構造を形成することであって、第1加工部品は回転可能であり、第2加工部品は振動可能である、形成することと、を含む。
【0015】
第三態様では、本出願は調光部材をさらに提供する。調光部材は調光フィルムを備える。調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える。機能層の外周に密封構造が設けられており、密封構造は、第1基体と第2基体により機能層を包み込むことで形成されている。
【0016】
第1基体と第2基体はいずれも、基体本体部と基体縁部を有し、機能層は、第1基体の基体本体部と第2基体の基体本体部との間に位置し、第1基体の基体縁部と第2基体の基体縁部には、機能層を包み込むための密封構造が形成されている。
【0017】
密封構造は、第1基体と第2基体が溶融されて互いに当接することで形成されている。
【0018】
調光部材の外縁部に少なくとも1つの凹溝構造が設けられており、密封構造は凹溝構造に位置する。
【0019】
凹溝構造の密封構造から離反する側に充填部が設けられている。
【0020】
凹溝構造は、第1基体及び/又は第2基体が機能層の方向に向かって溶融されて収縮することで形成されている。
【0021】
凹溝構造は、機能層の外縁部を貫通し、機能層の第1基体に近い表面及び/又は機能層の第2基体に近い表面と連通している。
【0022】
凹溝構造は段差構造又はトレンチ構造を含む。
【0023】
凹溝構造の外周にダム構造が形成されており、ダム構造からトレンチ構造までの距離の範囲は0.5mm~10mmである。
【0024】
密封構造は、凹溝構造における縦断面がV型、U型、W型、M型、X型、I型、II型、III型、又はこれらの形状の組み合わせをなす。
【0025】
機能層は、順に積層して設けられた、第1導電層、調光層及び第2導電層を備える。
【0026】
調光部材は少なくとも1つのノッチをさらに有する。
【0027】
第四態様では、本出願は調光部材の製造方法をさらに提供する。調光部材の製造方法は、
(1)順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える調光部材を提供することと、
(2)第1基体の機能層から離反する側に加工用の金型を設け、第2基体の機能層から離反する側に載置台を設けることと、
(3)金型で第1基体を押し付け、金型及び第2基体が金型の方向に平行な方向に往復振動し、金型が地面に平行な水平方向に、載置台に対して往復振動するようにし、機能層において局所的な摩擦を発生させて、金型に隣り合った一部の機能層を容易に粉砕し且つ両側に押し、同時に第1基体と第2基体が金型の近くに局所的に溶融状態となることと、
(4)局所的な摩擦により機能層に凹溝構造を形成し、第1基体と第2基体は高温溶融状態において互いに当接するようになった後、冷却固化して密封構造を形成することと、
(5)調光部材の外縁部に少なくとも1つの完全な密封構造を形成して、縁部封止を完成することと、を含む。
【0028】
振動数の範囲は20KHz~40KHzである。
【0029】
金型は、金型の外側に平行な少なくとも1つの凹凸パターンを有し、凹凸パターンの金型上の幅範囲は、0.2mm~10mmである。
【0030】
凹溝構造は、機能層の外縁部を貫通し、機能層の第1基体に近い表面及び/又は機能層の第2基体に近い表面と連通している。
【0031】
調光部材には、凹溝構造の外周に位置するダム構造がさらに形成されている。調光部材の外縁部に少なくとも1つの密封構造を形成して、縁部封止を完成することの後、調光部材の製造方法は、ダム構造を切除することをさらに含む。
【0032】
凹溝構造を形成する前に、第1基体及び/又は第2基体の、機能層から離反する表面に、充填部が設けられている。
【0033】
充填部の積層方向における厚みの範囲は、第1基体又は第2基体の積層方向における厚みの1/3~1/2倍である。
【0034】
凹溝構造を形成した後又は形成していると同時に、凹溝構造の密封構造から離反する側に充填部が設けられている。
【0035】
第五態様では、本出願は透光アセンブリをさらに提供する。透光アセンブリは、第1透光部材と、第2透光部材と、調光部材とを備える。調光部材は、第1透光部材と第2透光部材との間に位置する。
【0036】
第六態様では、本出願は車両をさらに提供する。車両は透光アセンブリを備える。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下、本出願の実施例の技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態で使われる図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明に使われる図面は本出願のいくつかの実施形態にすぎず、当業者は、創造的な努力なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図2】本出願の実施例に係る透光アセンブリの概略図である。
【
図3】
図2に示された透光アセンブリのA-A線に沿う断面図である。
【
図4】本出願の実施例に係る調光部材の概略図である。
【
図5】
図4に示された調光部材のB-B線に沿う1つの断面図である。
【
図6】
図4に示された調光部材のC-C線に沿う断面図である。
【
図7】本出願の実施例に係る第1電極と第1絶縁材との接続関係の概略図である。
【
図8】本出願の実施例に係る第2電極と第2絶縁材との接続関係の概略図である。
【
図9】
図4に示された調光部材のB-B線に沿うもう1つの断面図である。
【
図10】本出願の1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図12】
図11に示された構成のD-D線に沿う断面図である。
【
図13】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図14】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図15】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図16】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図17】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図18】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図19】本出願の1つの実施例に係る第1電極と第2電極との配置図である。
【
図20】本出願のもう1つの実施例に係る第1電極と第2電極との配置図である。
【
図21】本出願のもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図22】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図23】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図24】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図25】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図26】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図27】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図28】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図29】
図28に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図30】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図31】
図30に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図32】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図33】
図32に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図34】
図32に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図35】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図36】
図35に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図37】
図35に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図38】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図39】
図38に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図40】
図38に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図41】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図42】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図43】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図44】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図45】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図46】本出願の1つの実施例に係る密封構造の概略図である。
【
図47】本出願のもう1つの実施例に係る密封構造の概略図である。
【
図48】本出願の実施形態1に係る調光フィルムの模式的平面図である。
【
図49】
図48に示された構成のI-I線に沿う模式的断面図である。
【
図50】本出願の実施形態2に係る、充填材付きの第1基体の縁部封止の側面図である。
【
図51】本出願の実施形態3に係る、第1基体と充填部が溶融された後の密封構造の側面図である。
【
図52】本出願の実施形態4に係る、複数の密封構造を有する調光フィルムの模式的断面図である。
【
図53】本出願の実施形態5に係る段差構造の概略図である。
【
図54】本出願の実施形態6に係る調光フィルムの模式的平面図である。
【
図55】本出願の実施形態7に係る調光フィルムの縁部封止方法を示すフローチヤ一トである。
【
図56】本出願の実施形態8に係る金型及び載置台の概略図である。
【
図57】本出願の実施形態9に係る調光アセンブラの模式的断面図である。
【
図58】本出願の実施形態10に係る車両の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本出願の実施例の図面を参照しながら、本出願の実施例の技術的解決策を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本出願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本出願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得られるすべての他の実施例は、本出願の保護範囲に属する。
【0039】
本明細書に言及される「実施例」又は「実施形態」は、実施例又は実施形態と結びついて説明される特定の特徴、構造、又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれることができることを意味する。明細書のいかなるところに現れる当該言葉は必ずしも同じ実施例を示すものではなく、他の実施例と相互に排他的な独立した実施例又は候補の実施例を示すものでもない。当業者は、本明細書に記載される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的に又は暗示的に理解することができる。
【0040】
以下、本出願に係る調光部材に関する各方面の内容を実施例1及び実施例2をもって紹介する。実施例1は、中国特許出願第202111004531.4号という先願によるものであり、実施例2は、中国特許出願第202110749492.4号という先願によるものである。なお、実施例1と実施例2では、調光部材の各部分は、異なる番号が付けられるが、実質的に同じであり、即ち、実施例1における特徴は実施例2に適用可能であり、同様に、実施例2における特徴も実施形態1に適用可能である。
<実施例1(
図1~
図47)>
【0041】
図1を参照すると、本出願は車両1を提供する。車両1は、乗用車、多目的乗用車(MPV)、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、オフロードビークル(ORV)、ピックアップトラック、ワンボックスカー、バス、トラックなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0042】
車両1は、以下の任意の実施形態で説明される透光アセンブリ10を備える。車両1は、フレーム20をさらに備えてもよい。透光アセンブリ10は、フレーム20に直接的に又は間接的に載置されている。
【0043】
透光アセンブリ10は光を透過させるように用いられ、車内の十分な光を確保し、また、車内の人の視界を提供することができる。透光アセンブリ10は、車両1のフロントウィンドシールド、リアウィンドシールド、サンルーフ、ドアウィンド、リアサイドウィンド等であってもよい。
【0044】
透光アセンブリ10の透光度は変えられることができ(これにより、ヘイズの変化を引き起こす)、即ち、透光アセンブリ10は、電源オンになると、高い透光度を有し、電源オフになると、ぼんやりとして不透明である。不透明とは、光が透光アセンブリ10によって完全に遮断されることを意味するものではなく、光の大部が透光アセンブリ10によって遮断されて、車外から車内が見えなく、車内から車外が見えないようにし、また、光の一部が透光アセンブリ10を透過して車内に入ることができ、車内が完全に暗くなることを回避するようにすることを意味する。
【0045】
図2を参照すると、本出願は透光アセンブリ10をさらに提供する。透光アセンブリ10は、透光部材120と、以下のいずれかの実施形態に記載の調光部材110と、を備える。調光部材110は、透光部材120に載置されている。透光部材120は、透明な材質であり、その材質は、ガラス、プラスチック等であってもよいが、これらに限定されない。
【0046】
透光部材120は、透明な第1透光部材121及び透明な第2透光部材122を備えることができる。調光部材110が第1透光部材121と第2透光部材122との間に設けられることで、第1透光部材121と第2透光部材122により調光部材110を保護することができる。
【0047】
図3を参照すると、透光アセンブリ10は、透明な第1連結層130及び透明な第2連結層140をさらに備える。第1透光部材121は、第1連結層130により調光部材110に接着されており、第2透光部材122は、第2連結層140により調光部材110に接着されている。
【0048】
透光アセンブリ10の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形等であってもよいが、これらに限定されない。透光アセンブリ10は、車両1の窓、家屋の窓、浴室の間仕切りドア、会議室の間仕切りドア等の分野に適用されてもよいが、これらに限定されない。
【0049】
次に、上記実施例に係る透光アセンブリ10における調光部材110について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
図4~
図6を参照すると、本出願は調光部材110をさらに提供する。調光部材110は、第1電極111と、第2電極112と、調光フィルム113とを備える。調光フィルム113は、順に積層して設けられた、第1基体1131a、第1導電層1131b、調光層1133、第2導電層1132b及び第2基体1132aを備える。調光層1133、第1導電層1131b及び第2導電層1132bは収容空間Zを形成しており、第1電極111及び第2電極112は収容空間Z内に設けられている。第1電極111は、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する側に貼り付けられることで、第1導電層1131bに電気的に接続されている。第2電極112は、第2導電層1132bの第2基体1132aから離反する側に貼り付けられることで、第2導電層1132bに電気的に接続されている。
【0051】
第1基体1131aの材料と第2基体1132aの材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましく、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリマーであってもよい。
【0052】
第1導電層1131bの材料と第2導電層1132bの材料は、スズドープ酸化インジウム(酸化インジウムスズ、ITOともいう)であることが好ましく、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)であってもよく、これらの材料にさらに金、銀、銅等の金属をドープして形成された材料であってもよい。
【0053】
調光層1133は、ロール・ツー・ロールをもって生産された高分子分散型液晶(polymer dispersed liquid crystal、PDLC)、エレクトロクロミック(Electrochromic、EC)、ナノライトバルブ(light value、LV)、懸濁粒子デバイス(Suspended-Particle Devices、SPD)、液晶(Liquid Crystal、LC)等の調光材料であってもよい。
【0054】
選択可能に、
図7を参照すると、調光部材110は、第1電極111を包み込むための第1絶縁材114をさらに備えることができる。第1絶縁材114は、第1電極111の一側を露出させるように第1開口K1を有する。第1電極111の第1開口K1に露出する一側は、第1導電層1131bに電気的に接続されている。第1絶縁材114の第1開口K1から離反する一側が第2導電層1132bに接続されることで、第1電極111と第2導電層1132bが絶縁して設けられている。
図8を参照すると、調光部材110は、第2電極112を包み込むための第2絶縁材115をさらに備えることができる。第2絶縁材115は、第2電極112の一側を露出させるように第2開口K2を有する。第2電極112の第2開口K2に露出する一側は、第2導電層1132bに電気的に接続されている。第2絶縁材115の第2開口K2から離反する一側が第1導電層1131bに接続されることで、第2電極112と第1導電層1131bが絶縁して設けられている。
【0055】
第1電極111と第2電極112は、電源と接続するように用いられる。電源は、電流源であってもよく、電圧源であってもよい。調光部材110が電源オフになると、調光層1133が第1状態となり、第1状態にある調光層1133が光の大部を遮断することができ、これにより、調光部材110は不透明状態となり、この場合の調光部材110のヘイズレベルが最も高く、ヘイズが比較的大きい。調光部材110が電源オンになると、第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に電界が形成され、電界の働きで調光層1133が第1状態から第2状態に変わり、第2状態にある調光層1133が光の大部を透過させることができ、これにより、調光部材110は透明状態となり、この場合の調光部材110のヘイズレベルが最も低く、ヘイズが最も小さい。
【0056】
選択可能に、幾つかの実施形態では、第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に形成された電界の強さを制御することで、調光層1133が第3状態となるようにして、調光部材110が透明と不透明との間の状態となるようにすることができる。さらに選択可能に、第3状態は複数のサブ状態を含み、調光部材110は異なる複数のヘイズレベルを含み、サブ状態ごとに1つのヘイズレベルが対応する。電界が強いほど、調光部材110のヘイズレベルが低くなり、即ち、調光部材110の透明度が大きくなる。これにより、調光部材110の異なる複数(4つ以上)のヘイズレベルの間での変換を実現することができ、ひいては、調光部材110の適用場面を拡大することができる。
【0057】
調光フィルム113の第1透光部材121への正射影は、全て第1透光部材121の範囲内にあり、また、調光フィルム113の第2透光部材122への正射影は、全て第2透光部材122の範囲内にある。言い換えれば、調光フィルム113の長さは、第1透光部材121の長さ以下であり、第2透光部材122の長さ以下であり、調光フィルム113の幅は、第1透光部材121の幅以下であり、第2透光部材122の幅以下である。それは、調光フィルム113を外界による破壊から保護することに有利である。
【0058】
さらに、第1電極111と第2電極112は、調光フィルム113から第1透光部材121の縁部と第2透光部材122の縁部との外にはみ出しており、即ち、第1電極111の一部と第2電極112の一部は第1透光部材121と第2透光部材122越しに露出しており、これは、第1電極111と第2電極112が電源に接続されることに有利である。
【0059】
関連技術では、電極が調光層に直接挿設され、電極と導電層が離間して設けられている。しかし、この設置形式は不良な結果を招く可能性がある。具体的には、一方では、通常、調光層が絶縁材料であるため、電極と導電層との電気的な接続が形成されにくい。電気的接続が形成されていても、電極と導電層との間の調光層は抵抗が比較的大きい抵抗器となる。調光部材が電源オンになると、この領域は高抵抗により発熱する。長時間動作後、熱が蓄積することで調光部材が損なわれる可能性がある。また、調光層の高抵抗のため、導電層に配分される電圧が小さくなる。これにより、導電層によって形成される電界の強さが不十分であり、従って、調光部材は常にある程度のヘイズを有し、高透明状態に入ることができない。もう一方では、電極が調光層に挿設されることで、この箇所が厚すぎるようになる。調光部材を第1透光部材と第2透光部材との間に挟んで設ける過程で、応力が大きすぎることで第1透光部材と第2透光部材が割れやすくなり、割れなくても、厚みが不一致であることで気泡が発生する可能性がある。
【0060】
これに対して、本出願では、第1電極111と第2電極112がそれぞれ、第1導電層1131b、調光層1133及び第2導電層1132bによって形成される収容空間Z内に設けられることで、調光部材110が収容空間Zに対応する位置において厚すぎず、ひいては第1透光部材121と第2透光部材122を取り付ける過程に割れや気泡の発生が回避される。また、第1電極111が第1導電層1131bに貼り付けられて電気的な接続が形成されるため、第1電極111と第1導電層1131bとの間に調光層1133が存在しない。同時に、第2電極112が第2導電層1132bに貼り付けられて電気的な接続が形成されるため、第2電極112と第2導電層1132bとの間に調光層1133が存在しない。これにより、調光層1133の熱蓄積による調光部材110の損傷と、調光層1133の分圧によって調光部材110が常にある程度のヘイズを有することという技術課題を克服することができる。従って、本出願に係る調光部材110は、自体の機能の正常な発揮を確保することができる。
【0061】
図4及び
図6を参照すると、収容空間Zは、第1サブ空間Z1と、第1サブ空間Z1と離間して設けられた第2サブ空間Z2とを含む。第1電極111は第1サブ空間Z1内に設けられており、第2電極112は第2サブ空間Z2内に設けられている。第1サブ空間Z1と第2サブ空間Z2が離間して設けられており、それは、第1サブ空間Z1と第2サブ空間Z2との間の離間領域に、第1電極111及び第2電極112が存在しないことを意味する。従って、調光層1133の一部は、上記調光層1133による技術課題を引き起こさずに、この離間領域内に設けられることができる。理解できるように、この離間領域内に調光層1133を設けることで、調光部材110の制御可能な総領域を増やすことができ、即ち、離間領域においてもヘイズ調節が可能である。第1サブ空間Z1の形状と第2空間の形状は、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形等であってもよいが、これらに限定されない。
【0062】
図6を参照すると、調光部材110は、第1接着層1134と第2接着層1135をさらに備える。第1電極111は、第1接着層1134により第1導電層1131bに接着され且つ電気的に接続されている。第2電極112は、第2接着層1135により第2導電層1132bに接着され且つ電気的に接続されている。第1接着層1134と第2接着層1135は、導電材質であり、ある程度の接着性を有し、具体的には導電性粘着テープ、導電性銀ペースト、異方導電性接着剤、金属テープ等であってもよいが、これらに限定されない。
【0063】
理解できるように、工程上の制約のため、第1導電層1131b、第2導電層1132b、第1電極111及び第2電極112の表面は、絶対的に平らにされることが難しい。以下、第1導電層1131bと第1電極111について例示的に説明する。第1導電層1131bと第1電極111が直接接触して電気的に接続されると、第1導電層1131bと第1電極111との間に必ず隙間が存在し、隙間の存在により、第1電極111と第1導電層1131bとの間の導通抵抗が増大する。本実施例では、導電性を有する第1接着層1134により第1電極111と第1導電層1131bとを接続すれば、上記抵抗を解消又は低減することができる。具体的には、第1接着層1134を用いて第1電極111と第1導電層1131bとを接着する最初時点に、第1接着層1134がある程度の延性(例えば、導電性粘着テープ)又は流動性(例えば、導電性銀ペースト)を有するため、第1接着層1134は、第1電極111と第1導電層1131bとの隙間の少なくとも一部を充填することができ、それによって、上記抵抗を小さくすることができる。また、第1接着層1134が固化した後、強固な接続を形成することができ、第1電極111と第1導電層1131bとの剥離強度を向上させることができる。第2電極112と第2導電層1132bが第2接着層1135により導電性を有する接着を実現することは同様であるので、ここでは詳述しない。
【0064】
図9を参照すると、調光部材110は密封構造Mを有し、密封構造Mの少なくとも一部は、調光部材110の周縁に沿って設けられている。密封構造Mにある第1基体1131aと密封構造Mにある第2基体1132aは互いに結合され且つ融合されており、即ち、第1基体1131aの周縁と第2基体1132aの周縁は結合されて密封構造Mを形成する。これにより、外物を第1基体1131aと第2基体1132aから隔離し、外物が調光フィルム113内に入って調光層1133を損なうことを回避することができる。また、密封構造Mを形成した後、調光フィルム113の縁部の剥離強度を向上させることができる(密封前の約50倍)。これにより、調光フィルム113の折り曲げによって各フィルム層が互いに剥離されるという問題を回避することができる。例えば、サンルーフは3D曲面ガラスであり、調光フィルム113の屈曲領域に比較的大きな応力がかかり、剥離される(2層の基体間の隙間が大きくなる)確率がある。従って、密封構造Mを形成すると、この問題を克服することができる。
【0065】
具体的には、透光部材120と調光部材110とを接着するための第1連結層130及び第2連結層140には可塑剤が含まれている。可塑剤が調光フィルム113の縁部を通過して調光フィルム113の内部に入ると、調光層1133に接触し、ひいては調光層1133を損なう可能性があり、全体からみれば、調光層1133の周縁の故障が現れ、故障領域が対応する調光機能を発揮することができない。本実施形態では、調光部材110の周縁に密封構造Mを設けることで、可塑剤の進入を遮断することができる。
【0066】
なお、密封構造Mは、トレンチ状(又は凹み状)をなしており、調光フィルム113は密封構造Mにおいて、調光フィルム113の有効機能領域よりも1/3~1/2低い。トレンチは、全て調光フィルム113の同じ側に位置してもよく、異なる側に位置してもよい(即ち凹み方向は互いに反対である)。密封構造Mが矩形である例を挙げると、4つのトレンチは、調光フィルム113の同じ側に位置してもよく(即ち、4つのトレンチの凹み方向が同じである)、異なる側に位置してもよい(即ち、4つのトレンチの凹み方向は、一部が同じであり、一部が異なる)。
【0067】
もう1つの関連技術では、電極の貼り付けを容易にするために、調光フィルムの離れる両側にそれぞれ第1基体の一部と第2基体の一部を取り除くことで、第1導電層の一部と第2導電層の一部を露出させる。露出した第1導電層は第1電極に電気的に接続されるように用いられ、露出した第2導電層は第2電極に電気的に接続されるように用いられる。しかし、第1基体の一部と第2基体の一部が取り除かれているため(以下、基体が取り除かれた領域を予め設定された領域という)、予め設定された領域に本出願における密封構造のような構造を形成することができない。それゆえ、外物(例えば、可塑剤)は予め設定された領域を通して調光フィルムの内部に入り込み、ひいては調光フィルムを損なうことができる。本出願では、第1電極111は調光フィルム113の内部において第1導電層1131bに接続されており、第2電極112は調光フィルム113の内部において第2導電層1132bに接続されているので、第1基体1131a及び第2基体1132aを取り除く必要がなく、上記密封構造Mを形成することができる。
【0068】
図10を参照すると、本出願は、調光部材110の製造方法をさらに提供する。調光部材110の説明については、前の任意の実施形態における図面及び記述を参照されたい。この製造方法は、ステップS100、S200、S300、S400、S500、S600を含むが、これらに限定されず、ステップS100、S200、S300、S400、S500、S600についての説明は次の通りである。
【0069】
S100:
図11及び
図12を参照すると、調光フィルム113を提供し、調光フィルム113は、積層して設けられた、第1フィルム層1131と、調光層1133と、第2フィルム層1132とを備える。
【0070】
第1フィルム層1131は、積層して設けられた、第1基体1131a及び第1導電層1131bを備え、第2フィルム層1132は、積層して設けられた、第2基体1132a及び第2導電層1132bを備える。調光層1133は第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に位置する。即ち、第1基体1131a、第1導電層1131b、調光層1133、第2導電層1132b、第2基体1132aは、順に積層して設けられている。
【0071】
調光フィルム113の形状は、円形、矩形、楕円形、三角形等であってもよいが、これらに限定されず、本出願では矩形を例示する。
【0072】
調光フィルム113は第1領域A1及び第2領域A2を含み、即ち調光フィルム113の一部は第1領域A1を構成し、調光フィルム113の他の一部は第2領域A2を構成している。なお、本出願における第1領域A1は、調光フィルム113の位置の変化に伴って変化し、即ち、第1領域A1の調光フィルム113が第1位置から第2位置に変わったとき、第2位置に位置する調光フィルム113は第1領域A1を構成する。以下、第1領域A1と第2領域A2を合わせて、調光部材110の製造過程を説明する。
【0073】
S200:
図13を参照すると、第1領域A1内に位置する第1フィルム層1131及び第1領域A1内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域A1内の調光層1133を露出させる。
【0074】
剥がすとは、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132を剥離することをいう。剥がす過程で、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132は、互いに離反する方向に向かって相対的に運動する。剥がし手段は、手動であってもよく、即ち、作業者が手で直接的に第1フィルム層1131と第2フィルム層1132を剥離してもよい。他の実施形態では、剥がし手段は機械的な操作であってもよい。
【0075】
なお、調光フィルム113が剥がされた後、調光層1133の一部が第1フィルム層1131の第1導電層1131bに付着し、調光層1133の他の一部が第2フィルム層1132の第2導電層1132bに付着する。
【0076】
1つの実施形態では、
図13に示されたように、第2フィルム層1132が固定されて、第1フィルム層1131が第2フィルム層1132から離反する方向に剥がされる。剥がし作業を完了した後、第1領域A1に位置する第1フィルム層1131と第2領域A2に位置する第1フィルム層1131は曲線又は折れ線をなすように接続されている。もう1つの実施形態では、第1フィルム層1131が固定されて、第2フィルム層1132が第1フィルム層1131から離反する方向に剥がされる。剥がし作業を完了した後、第1領域A1に位置する第2フィルム層1132と第2領域A2に位置する第2フィルム層1132は曲線又は折れ線をなすように接続される。さらにもう1つの実施形態では、第1フィルム層1131が第2フィルム層1132の方向に剥がされるとともに、第2フィルム層1132が第1フィルム層1131から離反する方向に剥がされる。剥がし作業を完了した後、第1領域A1に位置する第1フィルム層1131と第2領域A2に位置する第1フィルム層1131は曲線又は折れ線をなすように接続されており、且つ第1領域A1に位置する第2フィルム層1132と第2領域A2に位置する第2フィルム層1132は曲線又は折れ線をなすように接続されている。上記3つの実施形態では、第1領域A1は、剥がされた、第1フィルム層1131、第2フィルム層1132及び調光層1133からなる。
【0077】
S300:
図14を参照すると、第1領域A内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する。
【0078】
具体的には、剥がし作業を完了した後、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する一側が露出するように、有機溶剤(エタノール、酢酸エチル、アセトン等)を用いて剥がされた部分の(第1領域A1に位置する)第1導電層1131b上の調光層1133を除去する。
【0079】
S400:
図15を参照すると、第1領域A1内に位置する第1導電層1131bに第1電極111を貼り付ける。
【0080】
即ち、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する側に第1電極111を貼り付けることで、第1電極111と第1導電層1131bとの間に電気的な接続関係が形成される。
【0081】
S500:
図16を参照すると、第1領域A1内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する。
【0082】
具体的には、剥がし操作を完了した後、第2導電層1132bの第2基体1132aから離反する一側が露出するように、有機溶剤(エタノール等)を用いて剥がされた部分の(第1領域A1に位置する)の第2導電層1132b上の調光層1133を除去する。
【0083】
S600:
図17及び
図18を参照すると、第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける。即ち、第2導電層1132bの第2基体1132aから離反する側に第2電極112を貼り付けることで、第2電極112と第2導電層1132bとの間に電気的な接続関係が形成される。
【0084】
なお、上記ステップS300、S400、S500、S600が実行される先後順序については、実行可能な複数の実施形態が存在する。1つの実施形態では、ステップS300、S400、S500、S600は順に行われる。もう1つの実施形態では、まず、ステップS300、S500は順に行われ(又は同時に行われ)、次に、ステップS400、S600は順に行われる(又は同時に行われる)。
【0085】
従来技術では、調光層が除去されず、電極が調光層に直接挿設され、電極と導電層が離間して設けられている。しかし、この設置形式は不良な結果を招く可能性がある。具体的には、一方では、通常、調光層が絶縁材料であるため、電極と導電層との電気的な接続が形成されにくい。電気的接続が形成されていても、電極と導電層との間の調光層は抵抗が比較的大きい抵抗器となる。調光部材が電源オンになると、この抵抗器は発熱する。長時間動作後、熱が蓄積することで調光部材が損なわれる可能性がある。また、電圧の一部がこの抵抗器に配分されるため、導電層に配分される電圧が不足になる。これにより、導電層によって形成される電界の強さが不十分であり、従って、調光部材は常にある程度のヘイズを有し、透明状態に入ることができない。もう一方では、電極が調光層に挿設されることで、この箇所が厚すぎるようになる。調光部材を第1透光部材と第2透光部材との間に挟んで設ける過程で、第1透光部材と第2透光部材が割れやすくなる。第1透光部材121と第2透光部材122についての説明は、前の関連する実施例を参照されたい。
【0086】
本実施例では、第1電極111、第2電極112を貼り付ける前に、第1領域A1内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133と、第1領域A1内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133とは既に取り除かれた。貼り付けた後、第1電極111と第1導電層1131bとの間に、及び第2電極112と第2導電層1132bとの間には機能層が存在しない。これにより、調光層1133の熱蓄積による調光部材110の損傷と、調光部材110が常にある程度のヘイズを有することという技術課題を克服することができる。また、第1領域A1内の調光層1133が除去されたため、第1電極111及び第2電極112に配置スペースを提供することができ、ひいては調光部材110が第1電極111及び第2電極112が設けられる位置において厚すぎることによる割れ問題を回避することができる。
【0087】
なお、第1電極111と第2電極112は、調光フィルム113の同一端に設けられてもよく(
図18に示された)、異なる端に設けられてもよい(
図19及び
図20に示される)。本出願では、第1電極111と第2電極112が同一端に設けられることのみを例示するが、本出願に係る調光部材110を限定するものであると見なすべきではない。
【0088】
図21を参照すると、上記実施例では、「第1領域A1内に位置する第1フィルム層1131及び第1領域A1内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域A1内の調光層1133を露出させる」というステップS200は、ステップS210、S220、S230、S240を含むことができる。ステップS210、S220、S230、S240についての説明は次の通りである。
【0089】
S210:
図22を参照すると、第1の所定経路S1に沿って第1領域A1内に位置する調光フィルム113を裁って、第1サブ領域A11を形成する。
【0090】
第1の所定経路S1は、直線であってもよく、曲線であってもよい。裁つ器具は、はさみ、ブレード等であってもよいが、これらに限定されず、裁断で第1サブ領域A11を形成することができればよい。
【0091】
S220:
図23~
図24を参照すると、第1サブ領域A11内に位置する第1フィルム層1131及び第1サブ領域A11内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1サブ領域A11内に位置する調光層1133を露出させる。剥がし過程の説明については、上述したステップS200の説明を参考にすることができる。
【0092】
S230:
図25を参照すると、第2の所定経路S2に沿って第1領域A1内に位置する調光フィルム113を裁って、第2サブ領域A12を形成する。
【0093】
なお、第2の所定経路S2は、直線であってもよく、曲線であってもよい。裁つ器具は、はさみ、ブレード等であってもよいが、これらに限定されず、裁断で第2サブ領域A12を形成することができればよい。なお、第2サブ領域A12と第1サブ領域A11は重なっていない。
【0094】
S240:
図26~
図27を参照すると、第2サブ領域A12内に位置する第1フィルム層1131及び第2サブ領域A12内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第2サブ領域A12内に位置する調光層1133を露出させる。剥がし過程の紹介については、上述したステップS200の紹介を参考にすることができる。
【0095】
なお、上記ステップS210、S220、S230、S240が実行される先後順序については、実行可能な複数の実施形態が存在する。1つの実施形態では、ステップS210、S220、S230、S240は順に行われる。もう1つの実施形態では、まず、ステップS210、S230は順に行われ(又は同時に行われ)、次に、ステップS220、S240は順に行われる(又は同時に行われる)。
【0096】
なお、第1の所定経路S1と第2の所定経路S2が直線である場合、両方は互いに平行であってもよく(
図25に示された)、垂直であってもよく、又は両方の延在方向は交差してもよい。
【0097】
図25を参照すると、選択可能に、第1領域A1は第3サブ領域A13をさらに含む。第3サブ領域A13は、第1サブ領域A11と第2サブ領域A12との間に位置し、即ち、第1サブ領域A11と第2サブ領域A12は離間して設けられている。従って、第3サブ領域A13に対して剥がし操作を行う必要がなく、第3サブ領域A13における調光層1133の除去も不要となる。そのため、調光部材110の制御可能な総領域を増やすことができ、換言すれば、第3サブ領域A13においてもヘイズ調整を実現することができる。本実施形態では、第1サブ領域A11及び第2サブ領域A12は、それぞれ、第1サブ空間Z1及び第2サブ空間Z2に対応しており、即ち、第1サブ空間Z1は第1サブ領域A11内に位置し、第2サブ空間Z2は第1サブ領域A11内に位置する。第1サブ空間Z1及び第2サブ空間Z2に関する説明は、前の構成をめぐる実施形態の説明を参照されたい。
【0098】
図28を参照すると、上記実施形態では、「第1領域A内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する」というステップS300は、ステップS310を含んでもよく、ステップS310についての説明は次の通りである。
【0099】
S310:
図29を参照すると、第1サブ領域A11内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133及び第1サブ領域A11内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133を除去する。
【0100】
先に述べたように、第1導電層1131bは、第1電極111を貼り付けるように用いられる。第1電極111の貼り付けを完了した後、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132を合わせることで、調光フィルム113が剥がれる前の状態に戻るようにする必要がある。第1フィルム層1131と第2フィルム層1132が合わせられた後、第1電極111は、第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に位置する。
【0101】
第2導電層1132b上の調光層1133が除去されていなければ、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132が合わせられた後、第1電極111の第2導電層1132bに対向する一側が調光層1133に接触する。理解できるように、幾つかの場合において、調光フィルム113が長時間晒される状態にある可能性がある。例えば、調光フィルム113が車両1のサンルーフに適用される場合、夏に晒されることを避け難い。晒されることで、第1電極111を破壊可能な物質が調光層1133に若干生成され、その結果、第1電極111が損なわれ、一定期間後に、ひいては調光部材110の故障を引き起こす可能性がある。また、調光層1133に生成された物質が第1接着層1134にも影響し、第1接着層1134の接着能力の低下を招く可能性がある。本実施例では、第1導電層1131b上の調光層1133及び第2導電層1132b上の調光層1133を同時に除去しているため、上記問題を回避することが可能となる。
【0102】
図30を参照すると、上記実施例では、「第1領域A1内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する」というステップS500は、ステップS510を含んでもよく、ステップS510についての説明は次の通りである。
【0103】
S510:
図31を参照すると、第2サブ領域A12内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133及び第2サブ領域A12内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133を除去する。ステップS510は、上述したステップS310と同様であり、ステップS510についての説明は、上述したステップS310の説明を参照することができ、ここで説明を省略する。
【0104】
図32を参照すると、上記実施例において、「第1領域A1内に位置する第1導電層1131bに第1電極111を貼り付ける」というステップS400は、ステップS410、S420を含んでもよく、ステップS410、S420についての説明は次の通りである。
【0105】
S410:
図33を参照すると、第1領域A1内に位置する第1導電層1131bの、第1基体1131aから離反する表面に、第1接着層1134を形成し、又は、第1電極111の表面に第1接着層1134を形成する。
【0106】
S420:
図34を参照すると、第1接着層1134を通して、第1領域A1内に位置する第1導電層1131bに第1電極111を貼り付ける。
【0107】
具体的には、1つの実施形態では、まず第1導電層1131bに第1接着層1134を形成し、その後、第1電極111を第1導電層1131bに貼り付けてもよい。もう1つの実施形態では、まず第1電極111に第1接着層1134を形成し、その後、第1電極111を第1導電層1131bに貼り付けてもよい。第1接着層1134は、導電性粘着テープ、導電性銀ペースト、異方導電性接着剤、金属テープ等の接着能力と導電能力を有する材料であってもよいが、これらに限定されない。導電性銀ペーストを例示としてすると、1つの実施形態では、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する表面に、導電性銀ペーストを塗布し、その後、第1電極111を導電性銀ペーストに貼り付け、最後に、乾燥操作により導電性銀ペーストを固化させ、結果として、第1電極111が第1導電層1131bに強固に接着される。もう1つの実施形態では、まず導電銀ペーストを第1電極111に塗布し、その後、導電銀ペーストを通して第1電極111bを第1導電層1131bに貼り付けてもよい。最後に、乾燥操作により導電性銀ペーストを固化させ、結果として、第1電極111が第1導電層1131bに強固に接着される。
【0108】
理解できるように、導電能力を有する第1接着層1134を利用して第1電極111と第1導電層1131bとを接続することにより、第1電極111と第1導電層1131bとの間の導通抵抗を解消又は低減することができ、具体的な原理については、構成をめぐる実施形態の説明を参照されたい。
【0109】
図35を参照すると、上記実施例では、「第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける」というステップS600は、ステップS610、S620を含んでもよく、ステップS610、S620についての説明は次の通りである。
【0110】
S610:
図36を参照すると、第1領域A1内に位置する第2導電層1132bの、第2基体1132aから離反する表面に、第2接着層1135を形成し、又は、第2電極112の表面に第2接着層1135を形成する。
【0111】
S620:
図37を参照すると、第2接着層1135を通して、第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける。
【0112】
ステップS610、S620についての説明は、上記ステップS410、S420の記述を対応的に参照し、ここで説明を省略する。
【0113】
図38を参照すると、上述の実施例では、「第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける」というステップS600の後、ステップS700をさらに含んでもよく、S700についての説明は次の通りである。
【0114】
S700:
図39及び
図40を参照すると、調光フィルム113の周縁に密封構造Mを形成し、密封構造Mにある第1基体1131aと密封構造Mにある第2基体1132aは互いに結合されている。
【0115】
周縁とは、調光フィルム113の縁部を指す。即ち、調光フィルム113の縁部に密封構造Mを形成し、密封構造Mを形成した後、密封構造Mに対応する位置にある第1基体1131aと密封構造Mに対応する位置にある第2基体1132aが接続されており、従って、外物が調光フィルム113の内部に入り込まないようにすることができる。
【0116】
なお、密封構造Mを形成する前に、第1基体1131aと第2基体1132aは離間状態にある。第2領域A2内において、第1基体1131aと第2基体1132aとの間には、第1導電層1131b、調光層1133、第2導電層1132bがある。第1領域A1内において、第1基体1131aと第2基体1132aとの間には、第1導電層1131b、第2導電層1132b、第1電極111、第2電極112、第1接着層1134、第2接着層1135がある。具体的には、前の実施例に係る図面を参照されたい。密封構造Mを形成した後、密封構造Mが第1電極111と第2電極112と交差し、第1電極111及び第2電極112の位置以外の密封構造Mにおいて、第1基体1131a及び第2基体1132aが互いに結合されており、即ち、第1電極111及び第2電極112に対応する位置にある第1基体1131a及び第2基体1132aのみが離間状態にある。
【0117】
上記構成の実施例では言及したように、関連技術では、電極の貼り付けを容易にするために、第1基体の一部と第2基体の一部を取り除くことで、第1導電層の一部と第2導電層の一部を露出させ、その後、第1導電層に第1電極を直接に貼り付け、第2導電層に第2電極を直接に貼り付け、この過程は剥離操作に関わらない。しかしながら、この製造方法では、電極を設ける位置に本出願の密封構造のような構造を形成することができず、外物(例えば可塑剤)がこの位置を通って調光フィルムの内部に入り込み、ひいては調光フィルムを損なうことができる。これに対して、本出願では、第1電極111は調光フィルム113の内部において第1導電層1131bに接続されており、第2電極112は調光フィルム113の内部において第2導電層1132bに接続されているので、第1基体1131a及び第2基体1132aを取り除く必要がなく、上記密封構造Mを形成することができる。また、密封構造Mを形成した後、調光フィルム113の縁部の剥離強度を向上させることができる(密封前の約50倍)。これにより、調光フィルム113の折り曲げによって各フィルム層が互いに剥離されるという問題を回避することができる。例えば、サンルーフは3D曲面ガラスであり、調光フィルム113の屈曲領域に比較的大きな応力がかかり、剥離される(2層の基体間の隙間が大きくなる)確率がある。従って、密封構造Mを形成すると、この問題を克服することができる。
【0118】
図41を参照すると、1つの実施形態では、「調光フィルム113の周縁に密封構造Mを形成し、密封構造Mにある第1基体1131aと密封構造Mにある第2基体1132aは互いに結合されている」というステップS700は、ステップS710、S720、S730を含んでもよく、ステップS710、S720、S730についての説明は次の通りである。
【0119】
S710:
図42を参照すると、第1加工部品2と第2加工部品3を提供する。
【0120】
S720:
図43を参照すると、調光フィルム113を第1加工部品2と第2加工部品3との間に位置させる。
【0121】
第1加工部品2は調光フィルム113の第1基体1131aに当接し、第2加工部品3は調光フィルム113の第2基体1132aに当接する。
【0122】
S730:
図44を参照すると、第1加工部品2と第2加工部品3の協働により、調光フィルム113の周縁に密封構造Mを形成し、即ち、第1基体1131aの周縁及び第2基体1132aの周縁は接続されて密封構造Mを形成する。
【0123】
具体的には、第1加工部品2は、調光フィルム113を載置するための載置台であり、その形状は、円形、楕円形、矩形等であってもよいが、これらに限定されない。第2加工部品3は、ホイール状であり、第1加工部品2と協働して調光フィルム113に対して緊密な当接を形成するように用いられる。第1加工部品2は回転可能であり、第2加工部品3は振動可能である。第1加工部品2と第2加工部品3との協働により、調光フィルム113の縁部における第1基体1131a及び調光フィルム113の縁部における第2基体1132aが一体に融合されて、結果として、密封構造Mが形成されて、調光部材110が得られる。
【0124】
なお、密封構造Mは、トレンチ状(又は凹み状)をなしており、調光フィルム113は密封構造Mにおいて、調光フィルム113の有効機能領域よりも1/3~1/2低い。トレンチは、全て調光フィルム113の同じ側に位置してもよく、異なる側に位置してもよい(即ち凹み方向は互いに反対である)。密封構造Mが矩形である例を挙げると、4つのトレンチは、調光フィルム113の同じ側に位置してもよく(即ち、4つのトレンチの凹み方向が同じである)、異なる側に位置してもよい(即ち、4つのトレンチの凹み方向は、一部が同じであり、一部が異なる)。
【0125】
以下、第1加工部品2と第2加工部品3との協働により第1基体1131aと第2基体1132aとを結合させるプロセスを具体的に説明する。
【0126】
第1加工部品2は調光フィルム113に対して回転可能である。回転中に、第1加工部品2と第1基体1131aとの間にすべり摩擦が存在し、すべり摩擦により発熱することで第1基体1131aの温度が上昇する。同時に、第2加工部品3は、調光フィルム113を第1加工部品2に対して振動(高頻度で振動)させるように調光フィルム113を動かすことができる。振動中に、第1加工部品2と第1基体1131aとの間に、及び第2加工部品3と第2基体1132aとの間に、いずれも高頻度の押圧効果が形成され、ひいては高頻度の摩擦が形成される。従って、第1加工部品2と第2加工部品3の共同作用で、第1基体1131aと第2基体1132aは、昇温して部分領域において溶融状態に達し、ひいては融合し、冷却後、比較的良好な密封効果を有する密封構造Mを形成する。なお、振動中に、第1加工部品2に対応する位置にある第1導電層1131b、第2導電層1132b、調光層1133が粉砕される。
【0127】
選択可能に、
図45を参照すると、第2加工部品3は、予め設定された軸L回りに回転することができ、予め設定された軸Lは、第1加工部品2が第2加工部品3に向かう方向に平行である。第2加工部品3において第1加工部品2が当接する作用点(間接作用)が当接点Oとして定義され、予め設定された軸Lから当接点Oまでの距離は、ゼロよりも大きい予め設定された距離H以上である。理解できるように、密封の過程で第2加工部品3が振動するため、第2加工部品3が当接点Oを中心点として回転すると、第2加工部品3上の当接点Oの位置に、第1加工部品2の長時間の当接による凹みが形成され、最終的に調光フィルム113を損なう可能性がある。本実施形態では、予め設定された距離Hがゼロよりも大きく設定されているので、第2加工部品3が予め設定された軸L回りに回転している間に、当接点Oも予め設定された軸L回りに回転し、即ち当接点Oは変化する点となる。これにより、第1加工部品2が第2加工部品3上の同一点に繰り返し作用することが回避され、上述した凹みが形成されることが回避される。また、当接点Oの変化により、密封構造Mが一定の幅Dを形成することもでき(
図44参照)、従って調光フィルム113の密封効果を高めることができる。
【0128】
さらに、密封構造Mは、全体として環状を呈している。環状は、円形リング、矩形リング(
図44に示された)、楕円形リング等であってもよいが、これらに限定されない。具体的な形状は、調光フィルム113の縁部の向きによって決定されることができ、ここで限定されない。
【0129】
選択可能に、3D曲面ガラスに適用される透光部材120にしわが生じないように、調光フィルム113の周縁に開口部を設けてもよい(例えば鋸歯状、半円形、矩形等であってもよく、数は問わない)。
【0130】
理解できるように、密封構造Mの全体形状を形成するには、第1加工部品2と調光フィルム113との間に相対運動が発生する必要があり、換言すれば、第1加工部品2は、調光フィルム113上の異なる位置に当接して段階的に密封構造Mを形成するように、調光フィルム113に対して予め定められた向き(密封構造Mの全体形状)に沿って移動される必要がある。予め定められた向きに沿って密封構造Mを形成することは、第1加工部品2の動きのみによって実現されてもよく、第2加工部品3が調光フィルム113を動かすことによって実現されてもよく、他の外物が調光フィルム113を動かすことによって実現されてもよい。
【0131】
図46を参照すると、密封構造Mは、第1サブ構造M1と、第2サブ構造M2と、第3サブ構造M3とを含んでもよい。第1サブ構造M1は、第1サブ領域A11と第3サブ領域A13との境界に形成されている。第2サブ構造M2は、第2サブ領域A12と第3サブ領域A13との境界に形成されている。第3サブ構造M3は、調光フィルム113の縁部の向きに沿って形成されており、調光フィルム113の縁部を密封するように用いられる。理解できるように、第1サブ領域A11、第2サブ領域A12、第3サブ領域A13は、第1の所定経路S1と第2の所定経路S2に沿って裁って形成されているため、第1の所定経路S1の位置と第2の所定経路S2の位置には開口が存在し、この開口の密封も必要となる。
【0132】
第1サブ構造M1については、1つの実施形態では、
図46に示されたように、第1サブ構造M1は第1の所定経路S1に沿って形成されており、即ち第1サブ構造M1は第1の所定経路S1に形成されており、且つ第1の所定経路S1と同じ向きを有する。もう1つの実施形態では、
図47に示されるように、第1の所定経路S1は、第1サブ構造M1及び第3サブ構造M3に囲まれており、即ち第1サブ構造M1及び第3サブ構造M3は囲む輪を形成しており、第1の所定経路S1は囲む輪内に位置する。
【0133】
第2サブ構造M2については、1つの実施形態では、
図46に示されたように、第2サブ構造M2は第2の所定経路S2に沿って形成されており、即ち第2サブ構造M2は第2の所定経路S2に形成されており、且つ第2の所定経路S2と同じ向きを有する。もう1つの実施形態では、
図47に示されたように、第2の所定経路S2は、第2サブ構造M2及び第3サブ構造M3に囲まれており、即ち第2サブ構造M2及び第3サブ構造M3は囲む輪を形成しており、第2の所定経路S2は囲む輪内に位置する。
<実施例2(
図48~
図58)>
【0134】
本出願は調光部材1を提供する。
図48及び
図49を併せて参照すると、
図48は本出願の実施形態1に係る調光部材の模式的平面図であり、
図49は
図48に示された構成のI-I線に沿う模式的断面図である。調光部材1は調光フィルムを備える。調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体11、機能層12及び第2基体13を備える。機能層12の外周に密封構造15が設けられており、密封構造15は、第1基体11と第2基体13により機能層12を包み込むことで形成されている。
【0135】
なお、調光部材1の全体構成及び部品をより良く観察するために、
図48に透視の形で示しているが、調光部材1の全体構成及び部品が第1基体11上に設けられていることを意味するものではない。本実施形態では、機能層12は、順に積層して設けられた、第1導電層121、調光層122及び第2導電層123を備える。第1導電層121及び第2導電層123に電圧又は電流が印加されているとき、調光層122が電源オンになり、調光部材1が電源オン状態となる。第1導電層121及び第2導電層123に電圧又は電流が印加されていないとき、調光層122が電源オフになり、調光部材1が電源オフ状態となる。理解できるように、他の可能な実施形態では、他の手段により調光部材1の電源オン状態と電源オフ状態の調整を制御することも可能であり、本出願で限定されない。理解できるように、機能層は、光制御の機能のほかに、通信又は表示等の他の機能を有してもよく、調光の機能のみを有するとは限らない。
【0136】
調光部材1は透過光線の反射性質又は透過性質を調整可能な多層複合構造であり、例えば、高分子分散型液晶(PDLC)、懸濁粒子デバイス(SPD)、二色性色素液晶(LC)フィルム、エレクトロクロミック(EC)フィルム等である。本実施形態では、調光部材1がPDLCである例を挙げて説明する。調光部材1の機能層12が電源オフになると、調光部材1のヘイズが比較的大きく、調光部材1に入射する光の大部は機能層12によって遮断され、結果として、調光部材1は電源オフになるときに不透明状態となる。調光部材1の機能層12が電源オンになると、機能層12は、透明になって光を遮断しなくなり、光の大部は調光部材1を透過し、結果として、調光部材1は電源オンになるときに透明状態となる。
【0137】
機能層12は、環境中又はフィルム周囲の気体(例えば、水気)又は可塑剤に対して比較的敏感であるため、機能層の周囲のフィルムの一部は調光能力を失い、また、時間の経過、温度の上昇に伴って悪化する可能性がある。そのため、密封構造15を形成して機能層12を効果的に保護するために、機能層12の縁部を密封する必要がある。密封構造15は、調光部材1の外縁部の外周に完全に密封して形成されることが好ましい。従って、本出願に係る調光部材110は、自体の機能の正常な発揮を確保することができる。
【0138】
理解できるように、本実施形態1では、第1基体11と第2基体13が、加工用の金型付近で局所的に高頻度で摩擦して、2つの基体の間の導電層の一部と機能層12の一部との材料が粉砕されて両側に流れる。例えば250~300℃等の高温で高温溶融された後、第1基体11が第2基体13に当接するようになり、冷却固化した後、調光部材における緻密度の高い密封構造15が形成される。これにより、機能層の吸水率を1%以下にすることができ、調光部材1の剥離強度を効果的に向上させ、全体の機械的強度が大きくなる。また、第1導電層121と第2導電層123が短絡することがなく、歩留まり及び製品の信頼性を向上させる。
【0139】
又は、
図49を再び参照すると、調光部材1は、順に積層して設けられた、第1基体11、機能層12及び第2基体13を備え、第1基体11と第2基体12はいずれも、基体本体部1aと基体縁部1bを有する。第1基体11の基体本体部1aと第2基体13の基体本体部1aは機能層12を保持する又は挟むように用いられ、第1基体11の基体縁部1bと第2基体13の基体縁部1bには、機能層12を包み込むための密封構造が形成されている。
【0140】
本実施形態1では、第1基体11及び第1導電層121の積層方向における総厚みは、第1基体12及び第2導電層13の積層方向における総厚みと同じであり、いずれも約187μmである。調光層122の積層方向における厚みは約11μmである。即ち、調光部材1の積層方向における総厚みは約385μmである。
【0141】
図49を再び参照すると、調光部材1の外縁部に少なくとも1つの凹溝構造14が設けられており、密封構造は凹溝構造14に位置する。本実施形態では、凹溝構造14の積層方向における長さは約270μmであり、他の可能な実施形態では、凹溝構造14の積層方向における長さは、実際の操作の変化に応じて変化する可能性がある。
【0142】
なお、第1導電層121の積層方向における厚み及び第2導電層123の積層方向における厚みは比較的小さい。厚みの値は通常、数百nmオーダーであり、5μmよりはるかに低い。また、第1導電層121は第1基体11に非常に緊密に付着しており、第2導電層123は第2基体13に非常に緊密に付着している。従って、本出願では、積層方向において、第1導電層121は、ほぼ第1基体11の一部と見なされることができ、第2導電層123は、ほぼ第2基体13の一部と見なされることができる。凹溝構造14における調光層122の中の材料が押し出されるため、凹溝構造は透明状態又は半透明状態となる。1つの可能な実施形態では、密封構造15は、第1基体11及び/又は第2基体13と一体のように形成される。
【0143】
具体的には、1つの可能な実施形態では、密封構造15は、第1基体11及び/又は第2基体13が機能層12の方向に向かって溶融されて収縮することにより形成されている。
【0144】
具体的には、本実施形態では、第1基体11に位置する凹溝構造14の縦断面は、台形であるが、他の可能な実施形態では、凹溝構造14の縦断面は、矩形、楕円形等であってもよく、本出願ではこれについて限定されない。
【0145】
凹溝構造14は、機能層12を貫通し、機能層12の第1基体11に近い表面及び/又は機能層12の第2基体13に近い表面と連通している。高温溶融状態にある第1基体11は、重力により、凹溝構造14を通して第2基体13に流れ、且つ凹溝構造14を充填し、結果として密封構造15が形成される。理解できるように、他の可能な実施形態では、高温溶融状態にある第2基体13は、重力により、凹溝構造14を通して第1基体11に流れてもよく、高温溶融状態にある第1基体11及び高温溶融状態にある第2基体13は、同時に凹溝構造14を充填してもよく、本出願ではこれについて限定されない。
【0146】
なお、本実施形態では、密封構造15は、第1基体11が機能層12の方向に向かって溶融されて収縮することで形成されている。そのため、第1基体11は、機能層12から離反する側に、少なくとも部分的に陥没している。
【0147】
この問題を回避するために、
図50を併せて参照されたい。
図50は、本出願の実施形態2に係る、パッド部分付きの第1基体の概略図である。具体的には、凹溝構造14を形成する前に、第1基体11の対応する部分にパッド部分を予め充填して充填部111を形成する。第1基体11が溶融されて凹溝構造14に流れ、また冷却固化した後、充填部111は、第1基体11の陥没した部分を補充することができる。充填部111が溶融された後、第1基体11の機能層12から離反する一側が比較的平らになることができる。本実施形態では、充填部111の積層方向における厚みの範囲は、第1基体11又は第2基体13の積層方向における厚みの1/3~1/2倍である。
【0148】
他の可能な実施形態では、
図51を併せて参照されたい。
図51は、本出願の実施形態3に係る第1基体を充填した後の概略図である。本実施形態3と実施形態2との違いは、凹溝構造14を形成すると同時に、第1基体11の機能層12から離反する側の表面が比較的平らになるように、第1基体11の陥没した部分に充填部111を充填する点である。外観上、凹溝構造14がほとんどなくなり、コストが向上するものの見栄えがよりよい。特に、調光部材1が枠のない車窓などに適用される場合(これに限定されない)、このように凹溝構造14を形成すると同時に、充填部111を利用して密封構造15を充填して平らにすることが好ましい。なお、充填部111の材料は、第1基体11の材料と同じであってもよく、異なってもよい。「充填して平らにする」とは、略平らであってもよく、即ち基体本体部の上面と充填部の上面が略面一となり、完全に平らであってもよく、即ち基体本体部の上面と充填部の上面が面一となる。理解できるように、まず凹溝構造14を形成し、次に充填部111を使用して密封構造15を充填して平らにしてもよい。
【0149】
1つの可能な実施形態では、
図49及び
図52を併せて参照されたい。
図52は、本出願の実施形態4に係る調光部材の模式的断面図である。密封構造15は、凹溝構造14における縦断面がU型、I型、II型、III型、又はこれらの形状の組み合わせをなす。
【0150】
具体的には、
図49に示されたように、密封構造15は、凹溝構造14における縦断面がU型をなしており、
図52に示されたように、密封構造15は、凹溝構造14における縦断面がIII型をなしている。理解できるように、縦断面がIII型の密封構造15は、第1基体11と第2基体13と6つの力受けの接触面を有すると見なされることができ、縦断面がU型の密封構造15は、第1基体11と第2基体13と2つの力受けの接触面を有すると見なされることができる。従って、他の条件が同じである場合、縦断面がIII型の密封構造15は、縦断面がU型の密封構造15よりも強い剥離強度を提供することができる。これに対し、縦断面がU型の密封構造15は、縦断面がIII型の密封構造15よりも製作が簡単で便利である。
【0151】
密封構造15の異なる形状によって調光部材1への剥離強度の調整が異なることが理解される。本出願の
図49及び
図52は、いくつかの可能な実施形態にすぎず、本出願では密封構造15の形状が限定されることを意図していない。他の可能な実施形態では、密封構造15は、他の形状であってもよく、本出願では限定されない。
【0152】
1つの可能な実施形態では、
図48を再び参照すると、凹溝構造14は段差構造又はトレンチ構造を含む。凹溝構造14がトレンチ構造である場合、凹溝構造14の外周にダム構造16が設けられている。ダム構造16により、凹溝構造の外部の調光部材1と凹溝構造の内部の調光部材1とを完全に電気的に隔離する。ダム構造16から凹溝構造14までの距離の範囲は0.5mm~10mmである。
【0153】
なお、ダム構造16には、順に積層して設けられた、第1基体11、機能層12及び第2基体13が部分的に含まれる。しかし、調光部材1の縁部封止を完了した後、ダム構造16は、調光機能を失い、密封構造15を一層保護するものとして機能を果たす。
【0154】
本実施形態では、ダム構造16から凹溝構造14までの距離の範囲は0.5mm~10mmである。好ましくは、ダム構造16から凹溝構造14までの距離の範囲は3mm~7mmであり、具体的には、ダム構造16から凹溝構造14までの距離は5.1mm、5.7mm、6.4mmなどであってもよく、本出願では限定されない。
【0155】
凹溝構造14が段差構造である場合、
図53を併せて参照されたい。
図53は、本出願の実施形態5に係る段差構造の概略図である。凹溝構造14におけるダム構造16が切除されることで、調光不要な面積がほとんどない調光部材1が形成される。これにより、新興の枠無しの調光用合わせガラス、又は他の部品、構造の製造需要を満足させる。
【0156】
1つの可能な実施形態では、
図48を再び参照すると、調光部材1は導電部材17をさらに備える。導電部材17は、第1導電層121及び第2導電層123にそれぞれ電気的に接続されている。導電部材17は、調光部材1が電源オン状態となるように、第1導電層121及び第2導電層123に電流を輸送するためのものである。理解できるように、導電部材17が第1導電層121及び第2導電層123への電流の輸送を停止すると、調光部材1が電源オフ状態となる。
【0157】
導電部材17は、第1電極と第2電極を含む。第1電極は第1導電層121に電気的に接続され、第2電極は第2導電層123に電気的に接続されている。
【0158】
1つの可能な実施形態では、
図54を併せて参照されたい。
図54は、本出願の実施形態6に係る調光部材の模式的平面図である。調光部材1は少なくとも1つのノッチ18をさらに有する。ノッチ18の開け方向は調光部材1の積層方向にほぼ垂直し、ノッチ18は外側に向いている。
【0159】
具体的には、ノッチ18の開け方向は、
図54の矢印に示されたようである。本実施形態6では、ノッチ18の開け形状はU型であるが、他の可能な実施形態では、ノッチ18の形状はV型又は他の形状であってもよく、また、大きさが異なってもよく、図面では一々列挙されておらず、本出願ではノッチ18の形状について限定されない。なお、ノッチは調光部材の縁部封止の前に形成されることが好ましい。
【0160】
なお、現在、車両におけるフロントガラス、ドアガラス、サンルーフガラス等の多くのガラスの形状は、双曲面の球面形状である。そのため、一枚の平らなフィルムが、双曲面の球面ガラス上で成型された後、広げられず、しわが多く発生する。
【0161】
理解できるように、本実施形態6では、調光部材1の周縁に少なくとも1つのノッチ18が開けられ、成型後の調光部材1のノッチ18領域が調光部材1の黒い縁部に隠され、同時に、しわの発生が効果的に回避されることができる。さらに、ノッチ18領域及び調光部材1の外周の縁部を封止すると、調光部材1の機能層12を外界から隔絶し、外部の水気及び可塑剤の影響が回避されることができる。
【0162】
次に、本出願に係る調光部材1に適用される調光部材の製造方法について説明する。本出願は、調光部材の製造方法をさらに提供し、
図55を併せて参照されたい。
図55は、本出願の実施形態7に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。調光部材の製造方法は、ステップS801、S802、S803、S804、S805、S806を含み、ステップS801、S802、S803、S804、S805、S806に対する詳しい説明は次の通りである。
【0163】
S801:順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える調光部材を提供する。
【0164】
具体的には、調光部材1については上述した説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0165】
S802:第1基体の機能層から離反する側に加工用の金型を設け、第2基体の機能層から離反する側に載置台を設ける。
【0166】
具体的には、
図56を併せて参照されたい。
図56は、本出願の実施形態8に係る金型及び載置台の概略図である。本実施形態では、金型2は、円輪形状であり、第1基体11に当接している。金型2を第1基体11に押し付けると、載置台が高頻度で振動し、第1基体11と金型2が接触する一部の機能層が粉碎され、金型2の両側に押し寄せられる。その後、第1基体と第2基体が直接摩擦して高温で溶融される。サブ秒内にサブミリメートルのフィルムの縁部封止を完了する。円輪は等速回転を継続し、新たな位置で上述した過程を繰り返す。このように、縁部封止作業は、外周が全閉されて完全な縁部封止が完了されるまで、継続的に行われる。
【0167】
載置台3としては、丸くて表面が平らな鉄砧を採用することができる。載置台3は、第2基体13に当接して調光部材1を載置するように用いられる。金型2が転がると、金型2は、調光部材1に載置台3上で金型2の転がり方向に沿って並進運動をさせるように用いられ、これにより調光部材1の異なる部位を研削する。
【0168】
S803:金型で第1基体を押し付け、金型及び第2基体が金型の方向に平行な方向に往復振動し、金型が地面に平行な水平方向に、載置台に対して往復振動するようにし、機能層において局所的な摩擦を発生させる。
【0169】
具体的には、金型2が第1基体11を研削すると、第1基体11と機能層12との間に、継続的な振動及び変位によって局所的な摩擦が発生する。同時に、載置台3が金型2と平行な方向に高頻度で振動し、第2基体13を振動させて変位させるように動かす。これにより、第2基体13と機能層12との間に局所的な摩擦が発生し、局所的な摩擦によって発熱して温度が上昇する。結果として、金型に隣り合った一部の機能層が容易に粉碎され且つ両側に押され、同時に第1基体と第2基体が金型の近くに局所的に溶融状態となる。
【0170】
本実施形態では、調光層122の構造強度は、第1導電層121及び第2導電層123の構造強度より弱いため、第1基体11及び第2基体13の局所的な摩擦によって、機能層12のうちの調光層122の一部は、先に摩擦で除去され、且つ金型2によって金型2の研削方向の両側に押し寄せられる。さらに、第1導電層121の一部と第2導電層123の一部は、互いに摩擦して引き裂かれ、金型2によって金型2の研削方向の両側に押し寄せられることで、凹溝構造14が形成される。
【0171】
S804:局所的な摩擦により機能層に凹溝構造を形成し、第1基体と第2基体は高温溶融状態において互いに当接するようになった後、冷却固化して緻密な密封構造を形成する。
【0172】
第1基体11及び第2基体13は、継続的な局所摩擦によって局所温度が急速に上昇し、軟化温度を経た後、溶融温度に達して局所的に溶融する。第1基体11の溶融された部分は、重力により第2基体13に流れ、第2基体13の溶融された部分と一体となって、凹溝構造が形成される。第1基体11の溶融された部分及び第2基体13の溶融された部分は、冷却固化して密封構造15を形成し、密封構造15は、第1基体11及び第2基体13に強固に接続され、従って調光部材1の全体構造の剥離強度が高められる。
【0173】
剥離強度とは、互いに貼り付けられた材料を、接触面から単位幅で剥がすときに必要な最大力を意味する。例示的に、本実施形態では、密封構造15を形成する前に、剥離角度180°の場合、調光部材1の剥離強度は0.059N(ニュートン)/mmである。密封構造15を形成した後、同じ剥離角度で、密封構造15における調光部材1の剥離強度は2.5N/mmであり、剥離強度は50倍増える。
【0174】
なお、本実施形態では、金型2の研削速度、載置台3の振動数等のパラメータを調整することで、ステップS804を0.01~100ミリ秒内で完了する。理解できるように、例えば、金型2の研削速度を上げ、載置台3の振動数を高めることで、ステップS804にかかる時間を短縮することができる。逆に、金型2の研削速度を下げ、載置台3の振動数を低めることで、ステップS804にかかる時間を長くすることができる。本出願ではこれについて限定されなく、実際の状況に合わせて調整してもよい。
【0175】
S805:調光部材の外縁部に少なくとも1つの完全な密封構造を形成して、縁部封止を完成する。
【0176】
具体的には、本実施形態では、金型2の転がりで調光部材1の移動を駆動して、調光部材1の異なる部分に上記ステップを繰り返すことで、複数の連続する密封構造15を形成することができる。連続する密封構造15が一体として形成され、調光部材1の、積層方向に対して垂直する方向において対向する両側の境界を連通して、縁部封止を完了する。他の可能な実施形態では、調光部材1の他方側に上記ステップを繰り返し、調光部材1の、積層方向に対して垂直する方向において対向する両側の境界を連通するもう1つの密封構造15を形成してもよい。理解できるように、隣接する密封構造15の間に位置する機能層12は、密封構造15によって保護されて、外部環境における気体又は溶媒による機能層12への損傷は回避される。
【0177】
なお、本実施形態では、密封構造15は、ほぼ透明又は半透明である。調光部材1が電源オフ状態にあるとき、PDLCは高ヘイズの不透明フィルムであり、SPD及びECは色付きのフィルムである。従って、本出願に係る調光部材の製造方法は可視化の程度が高く、調光部材1の密封構造15の透明程度等の特徴に基づいて、縁部封止の完全性及び信頼性を判断することができる。
【0178】
理解できるように、本実施形態では、第1基体11が高温で溶融された後、凹溝構造14に流れて且つ凹溝構造14を充填し、冷却固化した後、密封構造15を形成する。密封構造15が第2基体13に強固に接続されることで、調光部材1の剥離強度が高められている。同時に、調光部材1は表面構造が比較的均一であり、全体の強度が比較的大きいため、損なわれにくい。
【0179】
1つの可能な実施形態では、金型2と載置台3との間の距離は、調光部材1の積層方向における厚みよりも小さい。
【0180】
具体的には、金型2と載置台3との間の距離は調光部材1の積層方向における厚みよりも小さい。それによって、金型2が第1基体11に押圧力を与えると同時に、載置台3が第2基体13に押圧力を与え、即ち調光部材1が金型2及び載置台3の間に挟み込まれている。
【0181】
理解できるように、金型2と載置台3との間の距離が小さいほど、金型2の第1基体11に対する押圧力が大きくなり、載置台3の第2基体13に対する押圧力も大きくなる。金型2と載置台3との間の距離が小さいほど、第1基体11及び第2基体13による機能層12に対する局所的な摩擦の効果は良くなるが、金型2及び載置台3による押圧力が調光部材1を損なわないようにするために、金型2と載置台3との間の距離も小さすぎることが好ましくない。本実施形態では、調光部材1の積層方向における厚みと、金型2と載置台3との間の距離との差が強度閾値に対応し、強度閾値は調光部材1の積層構造、材質によって変わる可能性があり、本出願ではこれについて限定されない。
【0182】
1つの可能な実施形態では、載置台3は高頻度で振動し、振動数の範囲は20KHz~40KHzである。
【0183】
具体的には、高頻度で振動する載置台3に動かされて、第2基体13が振動して機能層12と局所的に摩擦する。理解できるように、載置台3の振動数は、第2基体13と機能層12との局所摩擦の程度に影響する。
【0184】
本実施形態では、載置台3の振動数の範囲は20KHz~40KHzである。好ましくは、載置台3の振動数の範囲は27KHz~36KHzである。具体的には、載置台3の振動数は、29KHz、31KHz、35KHz等であってもよく、本出願ではこれについて限定されない。
【0185】
1つの可能な実施形態では、金型2は、金型2の外側を囲んで設けられた少なくとも1つの金型21を有し、金型2を囲んで設けられた金型21の幅の範囲は、0.2mm~10mmである。
【0186】
具体的には、金型2が第1基体11を研削することは、主に金型21と第1基体11が局所的に摩擦することで実現され、即ち、凹溝構造14の形成及び形状はいずれも金型21に関係する。金型21が金型2を囲んで形成した幅は、凹溝構造14の孔径の大きさに直接に影響する。本実施形態では、金型21が金型2を囲んで形成した幅の範囲は、0.2mm~10mmである。好ましくは、金型21が金型2を囲んで形成した幅の範囲は、0.5mm~3mmである。より好ましくは、金型21が金型2を囲んで形成した幅の範囲は、0.8mm~2.6mmであり、具体的には、金型21が金型2を囲んで形成した幅は、1mm、1.5mm、2.0mm等であってもよい。凹溝構造14が第1基体11又は第2基体13の溶融された部分を透過させることに影響しない限り、本出願ではこれについて限定されない。
【0187】
図56に示されたように、金型21の数が2以上である場合、複数の金型21が離間して設けられて、異なる形状の凹溝構造14が形成され、ひいては、異なる形状の密封構造15が形成されることができる。なお、複数の金型21のうち、少なくとも1つの金型21が第1基体11と局所的に摩擦し、もう1つの金型21が第2基体12と局所的に摩擦してもよい。理解できるように、金型21の形状は、凹溝構造14の形状に影響する。金型の外側に平行な少なくとも1つの凹凸パターンを有する金型21が1つ設けられてもよい。凹凸パターンは、矩形、円形等の簡単な模様であってもよく、フリル、鋸歯、タイヤのテクスチャー等の複雑な模様であってもよく、凹溝構造14内に最終的に形成される密封構造15の形状を美しくすることができる。凹溝構造は、1チャンネルを有してもよく、2チャンネルを有してもよく、より多くのチャンネルを有してもよい。2以上のチャンネルを有する場合、少なくとも1チャンネルが連続して完全であることが好ましい。なお、金型21は、特殊な形状を有してもよく、例えば、1つ又は複数の歯型しるし(例えば、タイヤのテクスチャーのようなもの)を有してもよく、歯型しるしが連続的であってもよく、不連続的であってもよく、交互に配列されてもよい。これは、比較的強い剥離強度及び縁部封止強度を有する密封構造15の形成に有利である。本出願ではこれについて限定されない。
【0188】
1つの可能な実施形態では、凹溝構造14は、機能層12を貫通し、機能層12の第1基体11に近い表面及び/又は機能層12の第2基体13に近い表面と連通している。
【0189】
1つの可能な実施形態では、
図54を再び参照すると、凹溝構造14は段差構造又はトレンチ構造を含む。「調光部材内に少なくとも1つの密封構造を形成して縁部封止を完了する」ことの後、調光部材の製造方法は、ステップS806をさらに含み、ステップS806の詳細な説明は次の通りである。
【0190】
S806:トレンチ構造のダム構造を切除して段差構造を形成する。具体的には、ダム構造16は切除されてもよく、これにより、特に黒いエッジが印刷されない枠無しの調光用合わせガラス(これに限定されない)を製造するとき、調光部材1の占める体積を小さくし、結果として、調光部材1が調光不要なエッジのより少ない合わせガラス、他の部品又は構造に集積されることができる。
【0191】
1つの可能な実施形態では、金型2の材質は金属材質である。具体的には、金型2は金属材質であり、金属材質は一般的に放熱性及び強度に優れている。理解できるように、一方では、金型2により第1基体11を加工するとき、摩擦で多くの熱が発生する。金型2が金属材質である場合、よりよく放熱でき、作業が継続的に進められることに有利である。もう一方では、金型2は、第1基体11を加工するにはある程度の強度が必要である。通常、金属材質は比較的大きな強度を有するため、金型2により第1基体11を加工することに有利である。
【0192】
1つの可能な実施形態では、
図49を再び参照すると、凹溝構造14は、機能層12を貫通し、機能層12の第1基体11に近い表面及び/又は機能層12の第2基体13に近い表面と連通している。
【0193】
具体的には、凹溝構造14は、機能層12の第1基体11に近い表面及び機能層12の第2基体13に近い表面と連通していることで、第1導電層121、調光層122、及び第2導電層123の、凹溝構造14に隣接する側に、断層構造が形成される。なお、従来技術では、レーザー光又は機械デバイスを用いて調光部材1をカットすることが可能であり、これにより、第1導電層121と第2導電層123との間に短絡現象がしばしば発生し、従って高電圧で短絡部分を破壊する工程も必要とされる。
【0194】
理解できるように、本実施形態では、第1導電層121、調光層122、及び第2導電層123の、凹溝構造14に隣接する側に、断層構造が形成されることにより、第1導電層121と第2導電層123との短絡が発生する可能性が避けられ、調光部材1の製造工程が省かれている。
【0195】
1つの可能な実施形態では、積層方向において、第1基体11の厚みの範囲と第2基体13の厚みの範囲は、それぞれ30μm~200μmである。機能層12は、順に積層して設けられた、第1導電層121、調光層122及び第2導電層123を備える。積層方向において、第1導電層121の厚みの範囲と第2導電層123の厚みの範囲は、それぞれ0.1μm~5μmであり、またシート抵抗の範囲はそれぞれ5~200Ω/□である。調光層122の積層方向における厚みの範囲は1μm~20μmである。
【0196】
なお、調光部材1は通常、ガラスに適用される。ガラスの全体厚みが大きすぎることを回避するために、本実施形態では、積層方向において、第1基体11の厚みの範囲と第2基体13の厚みの範囲は、それぞれ30μm~200μmである。積層方向において、第1基体11の厚みの範囲と第2基体13の厚みの範囲は、それぞれ45μm~185μmであることが好ましい。具体的には、積層方向において、第1基体11の厚みと第2基体13の厚みは、50μm、100μm、180μm等であってもよい。本出願ではこれについて限定されない。
【0197】
具体的には、積層方向において、第1導電層121の厚みの範囲と第2導電層123の厚みの範囲は、それぞれ0.1μm~5μmである。積層方向において、第1導電層121の厚みの範囲と第2導電層123の厚みの範囲は、それぞれ0.5μm~3μmであることが好ましい。具体的には、積層方向において、第1導電層121の厚みと第2導電層123の厚みは、1μm、1.7μm、2.4μmなどであってもよい。なお、他の可能な実施形態では、積層方向において、第1導電層121の厚みと第2導電層123の厚みは、異なってもよい。本出願ではこれについて限定されない。
【0198】
本実施形態では、調光部材1の材料がPDLCである場合、調光層122の積層方向における厚みの範囲は10μm~20μmである。調光部材1の材料がSPD、ECである場合、調光層122の積層方向における厚みの範囲は1μm~20μmである。好ましくは、調光層122の積層方向における厚みの範囲は4μm~18μmであり、具体的には、調光層122の積層方向における厚みは7μm、9μm、13μmなどであってもよい。本出願ではこれについて限定されない。
【0199】
1つの可能な実施形態では、第1基体11及び第2基体13の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)のうちのいずれか1つである。
【0200】
具体的には、PET、PMMA、PCはいずれも、熱可塑性に優れたポリマー材質である。好ましくは、第1基体11及び第2基体13の材質は、PETである。理解できるように、第1基体11及び第2基体13の材質は、熱可塑性に優れたポリマー材質であることにより、第1基体11と第2基体13は、局所的な摩擦で良好に溶融され、凹溝構造14を介して互いに一体となり、冷却固化した後、密封構造15を形成する。
【0201】
理解できるように、他の可能な実施形態では、第1基体11及び第2基体13の材質は他の材質であってもよく、密封構造15の形成に影響しない限り、本出願ではこれについて限定されない。
【0202】
本出願は、透光アセンブリ4をさらに提供する。
図57を併せて参照されたい。
図57は、本出願の実施形態9に係る透光アセンブリの模式的断面図である。透光アセンブリ4は、第1透光部材41と、第2透光部材42と、上述の調光部材1とを備える。調光部材1は、第1透光部材41と第2透光部材42との間に挟まれて設けられている。
【0203】
具体的には、調光部材1については、上述の説明を参考することができるので、ここで説明を繰り返さない。透光アセンブリ4は、通常、連結部42をさらに備える。第1透光部材41は、連結部43を通して調光部材1の第1基体11に連結され、第2透光部材42は、連結部43を通して調光部材1の第2基体13に連結されている。第1透光部材又は第2透光部材としては、それぞれ無機ガラス、有機ガラス、又は2種の組み合わせ等を用いることができる。
【0204】
本実施形態では、連結部43の材料として、ポリビニルブチラール(PVB)材料が用いられる。理解できるように、調光部材1は、透光アセンブリ4に適用され、比較的強い剥離強度を有することで、透光アセンブリ4に強固に固定されることができる。調光部材1は、積層構造が比較的均一であり、全体の強度が比較的大きく、損なわれにくいとともに、透光部材4の見栄えを向上させる。
【0205】
補足すべき点として、従来技術では、透光アセンブリにおけるPVB等の粘着層に、高分子材料の性能を改善するために可塑剤等の材料を加えることが必要である。調光部材がPDLC材料である場合、可塑剤等の材料により、調光部材の外縁部の約3~15mmの部分が調光機能を失い、即ち透明になって調光機能を有しなくなる。また、この部分は時間が経つにつれてさらに広がる。可塑剤無しの材料を使っても、例えばEVAを使って積層した後、高温条件で2~12mm劣化する。従来技術では、調光部材に対して、縁部封止を行った後、110℃の高温で1000時間の熱老化試験を行うことも必要である。実験により、本出願に係る調光部材の製造方法をもって製造された調光部材は、外縁部に1mm程度の部分のみが調光機能を失い、さらに0.9mmを超えない部分のみが調光機能を失い、且つさらに広がるという問題がなく、従来技術に比べて大幅に改善され、より優れた技術的効果があることが示された。
【0206】
本出願は、車両5をさらに提供する。
図58を併せて参照されたい。
図58は、本出願の実施形態10に係る車両の模式的平面図である。車両5には、上述した透光アセンブリ4が用いられる。
【0207】
なお、車両5は、通常、フレーム51をさらに備える。透光アセンブリ4は、フレーム51に載置されて取り付けられている。具体的には、透光アセンブリ4については、以上の説明を参照されたいので、ここでの説明は省略する。
【0208】
以上、本出願の実施例が示され説明されたが、上記実施例は例示であり、本出願を制限するものであると理解されるべきではない。当業者であれば、本出願の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、置換、及び変形を加えることができる。これらの改善と潤色も本出願の保護範囲に属すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、発明の名称を「調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両」とする、2021年8月30日に出願された中国特許出願第202111004531.4号の優先権を主張し、さらに、発明の名称を「調光フィルム及びその縁部封止方法、調光アセンブリ、車両」とする、2021年7月1日に出願された中国特許出願第202110749492.4号の優先権を主張し、上記先願の内容が引用として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、車両部品の技術分野に関し、具体的には、調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両に関する。
【背景技術】
【0003】
車両は、人間の重要な交通手段の1つである。一部分の車両の窓ガラスは、調光部材が加えられたため、調光の役割を有し、運転環境がより快適でプチ贅沢になる。調光部材は電子型の調光製品であり、調光部材が透明するか否かは電気制御により制御されることができる。しかしながら、調光部材の構成が合理的に設けられていなければ、調光部材の機能が影響される。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、調光部材及びその製造方法、透光アセンブリ、車両を提供する。調光部材の構成に対する設計により、調光部材の機能の正常な発揮が確保されることができる。
【0005】
第一態様では、本出願は調光部材を提供する。調光部材は、第1電極と、第2電極と、調光フィルムとを備える。調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、第1導電層、調光層、第2導電層及び第2基体を備える。調光層、第1導電層及び第2導電層は収容空間を形成しており、第1電極及び第2電極は収容空間内に設けられている。第1電極は、第1導電層の第1基体から離反する側に貼り付けられ、且つ第1導電層に電気的に接続されており、第2電極は、第2導電層の第2基体から離反する側に貼り付けられ、且つ第2導電層に電気的に接続されている。
【0006】
収容空間は、第1サブ空間と、第1サブ空間と離間して設けられた第2サブ空間とを含み、第1電極は第1サブ空間内に設けられており、第2電極は第2サブ空間内に設けられている。
【0007】
調光部材は、第1接着層と第2接着層をさらに備える。第1電極は、第1接着層により第1導電層に接着され且つ電気的に接続されている。第2電極は、第2接着層により第2導電層に接着され且つ電気的に接続されている。
【0008】
調光部材は密封構造を備え、密封構造の少なくとも一部は、調光部材の周縁に沿って設けられており、密封構造にある第1基体と密封構造にある第2基体は互いに結合されている。
【0009】
第二態様では、本出願は調光部材の製造方法をさらに提供する。調光部材の製造方法は、
調光フィルムを提供することであって、調光フィルムは、積層して設けられた、第1フィルム層と、調光層と、第2フィルム層とを備え、第1フィルム層は、積層して設けられた、第1基体及び第1導電層を備え、第2フィルム層は、積層して設けられた、第2基体及び第2導電層を備え、調光層は第1導電層と第2導電層との間に位置し、調光フィルムは第1領域及び第2領域を含む、提供することと、
第1領域内に位置する第1フィルム層及び第1領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域内の調光層を露出させることと、
第1領域内に位置する第1導電層上の調光層の少なくとも一部を除去することと、
第1領域内に位置する第1導電層に第1電極を貼り付けることと、
第1領域内に位置する第2導電層上の調光層の少なくとも一部を除去することと、
第1領域内に位置する第2導電層に第2電極を貼り付けることと、を含む。
【0010】
第1領域内に位置する第1フィルム層及び第1領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域内の調光層を露出させることは、
第1の所定経路に沿って第1領域内に位置する調光フィルムを裁って、第1サブ領域を形成することと、
第1サブ領域内に位置する第1フィルム層及び第1サブ領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1サブ領域内に位置する調光層を露出させることと、
第2の所定経路に沿って第1領域内に位置する調光フィルムを裁って、第2サブ領域を形成することと、
第2サブ領域内に位置する第1フィルム層及び第2サブ領域内に位置する第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第2サブ領域内に位置する調光層を露出させることと、を含む。
【0011】
第1領域内に位置する第1導電層上の調光層の少なくとも一部を除去することは、第1サブ領域内に位置する第1導電層上の調光層及び第1サブ領域内に位置する第2導電層上の調光層を除去すること、を含む。
【0012】
第1領域内に位置する第1導電層に第1電極を貼り付けることは、
第1領域内に位置する第1導電層の、第1基体から離反する表面に、第1接着層を形成し、又は、第1電極の表面に第1接着層を形成することと、
第1接着層を通して、第1領域内に位置する第1導電層に第1電極を貼り付けることと、を含む。
【0013】
第1領域内に位置する第2導電層に第2電極を貼り付けることの後、調光部材の製造方法は、調光フィルムの周縁に密封構造を形成することをさらに含む。密封構造にある第1基体と密封構造にある第2基体は互いに結合されている。
【0014】
調光フィルムの周縁に密封構造を形成することは、
第1加工部品と第2加工部品を提供することと、
調光フィルムを第1加工部品と第2加工部品との間に位置させることであって、第1加工部品は調光フィルムの第1基体に当接し、第2加工部品は調光フィルムの第2基体に当接する、位置させることと、
第1加工部品と第2加工部品との協働により、調光フィルムの周縁に密封構造を形成することであって、第1加工部品は回転可能であり、第2加工部品は振動可能である、形成することと、を含む。
【0015】
第三態様では、本出願は調光部材をさらに提供する。調光部材は調光フィルムを備える。調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える。機能層の外周に密封構造が設けられており、密封構造は、第1基体と第2基体により機能層を包み込むことで形成されている。
【0016】
第1基体と第2基体はいずれも、基体本体部と基体縁部を有し、機能層は、第1基体の基体本体部と第2基体の基体本体部との間に位置し、第1基体の基体縁部と第2基体の基体縁部には、機能層を包み込むための密封構造が形成されている。
【0017】
密封構造は、第1基体と第2基体が溶融されて互いに当接することで形成されている。
【0018】
調光部材の外縁部に少なくとも1つの凹溝構造が設けられており、密封構造は凹溝構造に位置する。
【0019】
凹溝構造の密封構造から離反する側に充填部が設けられている。
【0020】
凹溝構造は、第1基体及び/又は第2基体が機能層の方向に向かって溶融されて収縮することで形成されている。
【0021】
凹溝構造は、機能層の外縁部を貫通し、機能層の第1基体に近い表面及び/又は機能層の第2基体に近い表面と連通している。
【0022】
凹溝構造は段差構造又はトレンチ構造を含む。
【0023】
凹溝構造の外周にダム構造が形成されており、ダム構造から凹溝構造までの距離の範囲は0.5mm~10mmである。
【0024】
密封構造は、凹溝構造における縦断面がV型、U型、W型、M型、X型、I型、II型、III型、又はこれらの形状の組み合わせをなす。
【0025】
機能層は、順に積層して設けられた、第1導電層、調光層及び第2導電層を備える。
【0026】
調光部材は少なくとも1つのノッチをさらに有する。
【0027】
第四態様では、本出願は調光部材の製造方法をさらに提供する。調光部材の製造方法は、
(1)順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える調光部材を提供することと、
(2)第1基体の機能層から離反する側に加工用の金型を設け、第2基体の機能層から離反する側に載置台を設けることと、
(3)金型で第1基体を押し付け、金型及び第2基体が金型の方向に平行な方向に往復振動し、金型が地面に平行な水平方向に、載置台に対して往復振動するようにし、機能層において局所的な摩擦を発生させて、金型に隣り合った一部の機能層を容易に粉砕し且つ金型の両側に押し、同時に第1基体と第2基体が金型の近くに局所的に溶融状態となることと、
(4)局所的な摩擦により機能層に凹溝構造を形成し、第1基体と第2基体は高温溶融状態において互いに当接するようになった後、冷却固化して密封構造を形成することと、
(5)調光部材の外縁部に少なくとも1つの完全な密封構造を形成して、縁部封止を完成することと、を含む。
【0028】
載置台の振動数の範囲は20KHz~40KHzである。
【0029】
金型は、金型の外側に平行な少なくとも1つの凹凸パターンを有し、凹凸パターンの金型上の幅範囲は、0.2mm~10mmである。
【0030】
凹溝構造は、機能層の外縁部を貫通し、機能層の第1基体に近い表面及び/又は機能層の第2基体に近い表面と連通している。
【0031】
調光部材には、凹溝構造の外周に位置するダム構造がさらに形成されている。調光部材の外縁部に少なくとも1つの密封構造を形成して、縁部封止を完成することの後、調光部材の製造方法は、ダム構造を切除することをさらに含む。
【0032】
凹溝構造を形成する前に、第1基体及び/又は第2基体の、機能層から離反する表面に、充填部が設けられている。
【0033】
充填部の積層方向における厚みの範囲は、第1基体又は第2基体の積層方向における厚みの1/3~1/2倍である。
【0034】
凹溝構造を形成した後又は形成していると同時に、凹溝構造の密封構造から離反する側に充填部が設けられている。
【0035】
第五態様では、本出願は透光アセンブリをさらに提供する。透光アセンブリは、第1透光部材と、第2透光部材と、調光部材とを備える。調光部材は、第1透光部材と第2透光部材との間に位置する。
【0036】
第六態様では、本出願は車両をさらに提供する。車両は透光アセンブリを備える。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下、本出願の実施例の技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態で使われる図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明に使われる図面は本出願のいくつかの実施形態にすぎず、当業者は、創造的な努力なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図2】本出願の実施例に係る透光アセンブリの概略図である。
【
図3】
図2に示された透光アセンブリのA-A線に沿う断面図である。
【
図4】本出願の実施例に係る調光部材の概略図である。
【
図5】
図4に示された調光部材のB-B線に沿う1つの断面図である。
【
図6】
図4に示された調光部材のC-C線に沿う断面図である。
【
図7】本出願の実施例に係る第1電極と第1絶縁材との接続関係の概略図である。
【
図8】本出願の実施例に係る第2電極と第2絶縁材との接続関係の概略図である。
【
図9】
図4に示された調光部材のB-B線に沿うもう1つの断面図である。
【
図10】本出願の1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図12】
図11に示された構成のD-D線に沿う断面図である。
【
図13】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図14】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図15】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図16】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図17】
図10に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図18】
本出願の1つの実施例に係る第1電極と第2電極との配置図である。
【
図19】本出願の
もう1つの実施例に係る第1電極と第2電極との配置図である。
【
図20】本出願の
さらにもう1つの実施例に係る第1電極と第2電極との配置図である。
【
図21】本出願のもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図22】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図23】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図24】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図25】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図26】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図27】
図21に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図28】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図29】
図28に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図30】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図31】
図30に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図32】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図33】
図32に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図34】
図32に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図35】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図36】
図35に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図37】
図35に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図38】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図39】
図38に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図40】
図38に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図41】本出願のさらにもう1つの実施例に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図42】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図43】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図44】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図45】
図41に示された調光部材の製造方法に対応する構成図である。
【
図46】本出願の1つの実施例に係る密封構造の概略図である。
【
図47】本出願のもう1つの実施例に係る密封構造の概略図である。
【
図48】本出願の実施形態1に係る調光
部材の模式的平面図である。
【
図49】
図48に示された構成のI-I線に沿う模式的断面図である。
【
図50】本出願の実施形態2に係る
調光フィルムの模式的断面図である。
【
図51】本出願の実施形態3に係る
調光フィルムの模式的断面図である。
【
図52】本出願の実施形態4に係
る調光フィルムの模式的断面図である。
【
図53】本出願の実施形態5に係る
調光フィルムの模式的断面図である。
【
図54】本出願の実施形態6に係る調光
部材の模式的平面図である。
【
図55】本出願の実施形態7に係る
調光部材の製造方法を示すフローチヤ一トである。
【
図56】本出願の実施形態8に係る金型及び載置台の概略図である。
【
図57】本出願の実施形態9に係る
透光アセンブラの模式的断面図である。
【
図58】本出願の実施形態10に係る車両の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本出願の実施例の図面を参照しながら、本出願の実施例の技術的解決策を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本出願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本出願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得られるすべての他の実施例は、本出願の保護範囲に属する。
【0039】
本明細書に言及される「実施例」又は「実施形態」は、実施例又は実施形態と結びついて説明される特定の特徴、構造、又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれることができることを意味する。明細書のいかなるところに現れる当該言葉は必ずしも同じ実施例を示すものではなく、他の実施例と相互に排他的な独立した実施例又は候補の実施例を示すものでもない。当業者は、本明細書に記載される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的に又は暗示的に理解することができる。
【0040】
以下、本出願に係る調光部材に関する各方面の内容を実施例1及び実施例2をもって紹介する。実施例1は、中国特許出願第202111004531.4号という先願によるものであり、実施例2は、中国特許出願第202110749492.4号という先願によるものである。なお、実施例1と実施例2では、調光部材の各部分は、異なる番号が付けられるが、実質的に同じであり、即ち、実施例1における特徴は実施例2に適用可能であり、同様に、実施例2における特徴も実施形態1に適用可能である。
<実施例1(
図1~
図47)>
【0041】
図1を参照すると、本出願は車両
5を提供する。車両
5は、乗用車、多目的乗用車(MPV)、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、オフロードビークル(ORV)、ピックアップトラック、ワンボックスカー、バス、トラックなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0042】
車両5は、以下の任意の実施形態で説明される透光アセンブリ10を備える。車両5は、フレーム20をさらに備えてもよい。透光アセンブリ10は、フレーム20に直接的に又は間接的に載置されている。
【0043】
透光アセンブリ10は光を透過させるように用いられ、車内の十分な光を確保し、また、車内の人の視界を提供することができる。透光アセンブリ10は、車両5のフロントウィンドシールド、リアウィンドシールド、サンルーフ、ドアウィンド、リアサイドウィンド等であってもよい。
【0044】
透光アセンブリ10の透光度は変えられることができ(これにより、ヘイズの変化を引き起こす)、即ち、透光アセンブリ10は、電源オンになると、高い透光度を有し、電源オフになると、ぼんやりとして不透明である。不透明とは、光が透光アセンブリ10によって完全に遮断されることを意味するものではなく、光の大部が透光アセンブリ10によって遮断されて、車外から車内が見えなく、車内から車外が見えないようにし、また、光の一部が透光アセンブリ10を透過して車内に入ることができ、車内が完全に暗くなることを回避するようにすることを意味する。
【0045】
図2を参照すると、本出願は透光アセンブリ10をさらに提供する。透光アセンブリ10は、透光部材120と、以下のいずれかの実施形態に記載の調光部材110と、を備える。調光部材110は、透光部材120に載置されている。透光部材120は、透明な材質であり、その材質は、ガラス、プラスチック等であってもよいが、これらに限定されない。
【0046】
透光部材120は、透明な第1透光部材120a及び透明な第2透光部材120bを備えることができる。調光部材110が第1透光部材120aと第2透光部材120bとの間に設けられることで、第1透光部材120aと第2透光部材120bにより調光部材110を保護することができる。
【0047】
図3を参照すると、透光アセンブリ10は、透明な第1連結層130及び透明な第2連結層140をさらに備える。第1透光部材
120aは、第1連結層130により調光部材110に接着されており、第2透光部材
120bは、第2連結層140により調光部材110に接着されている。
【0048】
透光アセンブリ10の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形等であってもよいが、これらに限定されない。透光アセンブリ10は、車両5の窓、家屋の窓、浴室の間仕切りドア、会議室の間仕切りドア等の分野に適用されてもよいが、これらに限定されない。
【0049】
次に、上記実施例に係る透光アセンブリ10における調光部材110について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
図4~
図6を参照すると、本出願は調光部材110をさらに提供する。調光部材110は、第1電極111と、第2電極112と、調光フィルム113とを備える。調光フィルム113は、順に積層して設けられた、第1基体1131a、第1導電層1131b、調光層1133、第2導電層1132b及び第2基体1132aを備える。調光層1133、第1導電層1131b及び第2導電層1132bは収容空間Zを形成しており、第1電極111及び第2電極112は収容空間Z内に設けられている。第1電極111は、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する側に貼り付けられることで、第1導電層1131bに電気的に接続されている。第2電極112は、第2導電層1132bの第2基体1132aから離反する側に貼り付けられることで、第2導電層1132bに電気的に接続されている。
【0051】
第1基体1131aの材料と第2基体1132aの材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましく、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリマーであってもよい。
【0052】
第1導電層1131bの材料と第2導電層1132bの材料は、スズドープ酸化インジウム(酸化インジウムスズ、ITOともいう)であることが好ましく、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)であってもよく、これらの材料にさらに金、銀、銅等の金属をドープして形成された材料であってもよい。
【0053】
調光層1133は、ロール・ツー・ロールをもって生産された高分子分散型液晶(polymer dispersed liquid crystal、PDLC)、エレクトロクロミック(Electrochromic、EC)、ナノライトバルブ(light value、LV)、懸濁粒子デバイス(Suspended-Particle Devices、SPD)、液晶(Liquid Crystal、LC)等の調光材料であってもよい。
【0054】
選択可能に、
図7を参照すると、調光部材110は、第1電極111を包み込むための第1絶縁材114をさらに備えることができる。第1絶縁材114は、第1電極111の一側を露出させるように第1開口K1を有する。第1電極111の第1開口K1に露出する一側は、第1導電層1131bに電気的に接続されている。第1絶縁材114の第1開口K1から離反する一側が第2導電層1132bに接続されることで、第1電極111と第2導電層1132bが絶縁して設けられている。
図8を参照すると、調光部材110は、第2電極112を包み込むための第2絶縁材115をさらに備えることができる。第2絶縁材115は、第2電極112の一側を露出させるように第2開口K2を有する。第2電極112の第2開口K2に露出する一側は、第2導電層1132bに電気的に接続されている。第2絶縁材115の第2開口K2から離反する一側が第1導電層1131bに接続されることで、第2電極112と第1導電層1131bが絶縁して設けられている。
【0055】
第1電極111と第2電極112は、電源と接続するように用いられる。電源は、電流源であってもよく、電圧源であってもよい。調光部材110が電源オフになると、調光層1133が第1状態となり、第1状態にある調光層1133が光の大部を遮断することができ、これにより、調光部材110は不透明状態となり、この場合の調光部材110のヘイズレベルが最も高く、ヘイズが比較的大きい。調光部材110が電源オンになると、第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に電界が形成され、電界の働きで調光層1133が第1状態から第2状態に変わり、第2状態にある調光層1133が光の大部を透過させることができ、これにより、調光部材110は透明状態となり、この場合の調光部材110のヘイズレベルが最も低く、ヘイズが最も小さい。
【0056】
選択可能に、幾つかの実施形態では、第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に形成された電界の強さを制御することで、調光層1133が第3状態となるようにして、調光部材110が透明と不透明との間の状態となるようにすることができる。さらに選択可能に、第3状態は複数のサブ状態を含み、調光部材110は異なる複数のヘイズレベルを含み、サブ状態ごとに1つのヘイズレベルが対応する。電界が強いほど、調光部材110のヘイズレベルが低くなり、即ち、調光部材110の透明度が大きくなる。これにより、調光部材110の異なる複数(4つ以上)のヘイズレベルの間での変換を実現することができ、ひいては、調光部材110の適用場面を拡大することができる。
【0057】
調光フィルム113の第1透光部材120aへの正射影は、全て第1透光部材120aの範囲内にあり、また、調光フィルム113の第2透光部材120bへの正射影は、全て第2透光部材120bの範囲内にある。言い換えれば、調光フィルム113の長さは、第1透光部材120aの長さ以下であり、第2透光部材120bの長さ以下であり、調光フィルム113の幅は、第1透光部材120aの幅以下であり、第2透光部材120bの幅以下である。それは、調光フィルム113を外界による破壊から保護することに有利である。
【0058】
さらに、第1電極111と第2電極112は、調光フィルム113から第1透光部材120aの縁部と第2透光部材120bの縁部との外にはみ出しており、即ち、第1電極111の一部と第2電極112の一部は第1透光部材120aと第2透光部材120b越しに露出しており、これは、第1電極111と第2電極112が電源に接続されることに有利である。
【0059】
関連技術では、電極が調光層に直接挿設され、電極と導電層が離間して設けられている。しかし、この設置形式は不良な結果を招く可能性がある。具体的には、一方では、通常、調光層が絶縁材料であるため、電極と導電層との電気的な接続が形成されにくい。電気的接続が形成されていても、電極と導電層との間の調光層は抵抗が比較的大きい抵抗器となる。調光部材が電源オンになると、この領域は高抵抗により発熱する。長時間動作後、熱が蓄積することで調光部材が損なわれる可能性がある。また、調光層の高抵抗のため、導電層に配分される電圧が小さくなる。これにより、導電層によって形成される電界の強さが不十分であり、従って、調光部材は常にある程度のヘイズを有し、高透明状態に入ることができない。もう一方では、電極が調光層に挿設されることで、この箇所が厚すぎるようになる。調光部材を第1透光部材と第2透光部材との間に挟んで設ける過程で、応力が大きすぎることで第1透光部材と第2透光部材が割れやすくなり、割れなくても、厚みが不一致であることで気泡が発生する可能性がある。
【0060】
これに対して、本出願では、第1電極111と第2電極112がそれぞれ、第1導電層1131b、調光層1133及び第2導電層1132bによって形成される収容空間Z内に設けられることで、調光部材110が収容空間Zに対応する位置において厚すぎず、ひいては第1透光部材120aと第2透光部材120bを取り付ける過程に割れや気泡の発生が回避される。また、第1電極111が第1導電層1131bに貼り付けられて電気的な接続が形成されるため、第1電極111と第1導電層1131bとの間に調光層1133が存在しない。同時に、第2電極112が第2導電層1132bに貼り付けられて電気的な接続が形成されるため、第2電極112と第2導電層1132bとの間に調光層1133が存在しない。これにより、調光層1133の熱蓄積による調光部材110の損傷と、調光層1133の分圧によって調光部材110が常にある程度のヘイズを有することという技術課題を克服することができる。従って、本出願に係る調光部材110は、自体の機能の正常な発揮を確保することができる。
【0061】
図4及び
図6を参照すると、収容空間Zは、第1サブ空間Z1と、第1サブ空間Z1と離間して設けられた第2サブ空間Z2とを含む。第1電極111は第1サブ空間Z1内に設けられており、第2電極112は第2サブ空間Z2内に設けられている。第1サブ空間Z1と第2サブ空間Z2が離間して設けられており、それは、第1サブ空間Z1と第2サブ空間Z2との間の離間領域に、第1電極111及び第2電極112が存在しないことを意味する。従って、調光層1133の一部は、上記調光
層による技術課題を引き起こさずに、この離間領域内に設けられることができる。理解できるように、この離間領域内に調光層1133を設けることで、調光部材110の制御可能な総領域を増やすことができ、即ち、離間領域においてもヘイズ調節が可能である。第1サブ空間Z1の形状と第2空間の形状は、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形等であってもよいが、これらに限定されない。
【0062】
図6を参照すると、調光部材110は、第1接着層1134と第2接着層1135をさらに備える。第1電極111は、第1接着層1134により第1導電層1131bに接着され且つ電気的に接続されている。第2電極112は、第2接着層1135により第2導電層1132bに接着され且つ電気的に接続されている。第1接着層1134と第2接着層1135は、導電材質であり、ある程度の接着性を有し、具体的には導電性粘着テープ、導電性銀ペースト、異方導電性接着剤、金属テープ等であってもよいが、これらに限定されない。
【0063】
理解できるように、工程上の制約のため、第1導電層1131b、第2導電層1132b、第1電極111及び第2電極112の表面は、絶対的に平らにされることが難しい。以下、第1導電層1131bと第1電極111について例示的に説明する。第1導電層1131bと第1電極111が直接接触して電気的に接続されると、第1導電層1131bと第1電極111との間に必ず隙間が存在し、隙間の存在により、第1電極111と第1導電層1131bとの間の導通抵抗が増大する。本実施例では、導電性を有する第1接着層1134により第1電極111と第1導電層1131bとを接続すれば、上記抵抗を解消又は低減することができる。具体的には、第1接着層1134を用いて第1電極111と第1導電層1131bとを接着する最初時点に、第1接着層1134がある程度の延性(例えば、導電性粘着テープ)又は流動性(例えば、導電性銀ペースト)を有するため、第1接着層1134は、第1電極111と第1導電層1131bとの隙間の少なくとも一部を充填することができ、それによって、上記抵抗を小さくすることができる。また、第1接着層1134が固化した後、強固な接続を形成することができ、第1電極111と第1導電層1131bとの剥離強度を向上させることができる。第2電極112と第2導電層1132bが第2接着層1135により導電性を有する接着を実現することは同様であるので、ここでは詳述しない。
【0064】
図9を参照すると、調光部材110は密封構造Mを有し、密封構造Mの少なくとも一部は、調光部材110の周縁に沿って設けられている。密封構造Mにある第1基体1131aと密封構造Mにある第2基体1132aは互いに結合され且つ融合されており、即ち、第1基体1131aの周縁と第2基体1132aの周縁は結合されて密封構造Mを形成する。これにより、外物を第1基体1131aと第2基体1132aから隔離し、外物が調光フィルム113内に入って調光層1133を損なうことを回避することができる。また、密封構造Mを形成した後、調光フィルム113の縁部の剥離強度を向上させることができる(密封前の約50倍)。これにより、調光フィルム113の折り曲げによって各フィルム層が互いに剥離されるという問題を回避することができる。例えば、サンルーフは3D曲面ガラスであり、調光フィルム113の屈曲領域に比較的大きな応力がかかり、剥離される(2層の基体間の隙間が大きくなる)確率がある。従って、密封構造Mを形成すると、この問題を克服することができる。
【0065】
具体的には、透光部材120と調光部材110とを接着するための第1連結層130及び第2連結層140には可塑剤が含まれている。可塑剤が調光フィルム113の縁部を通過して調光フィルム113の内部に入ると、調光層1133に接触し、ひいては調光層1133を損なう可能性があり、全体からみれば、調光層1133の周縁の故障が現れ、故障領域が対応する調光機能を発揮することができない。本実施形態では、調光部材110の周縁に密封構造Mを設けることで、可塑剤の進入を遮断することができる。
【0066】
なお、密封構造Mは、トレンチ状(又は凹み状)をなしており、調光フィルム113は密封構造Mにおいて、調光フィルム113の有効機能領域(密封構造Mの内側における調光フィルム113)よりも1/3~1/2低い。言い換えると、密封構造Mの上面は有効機能領域の上面よりも、第一基体又は第2基体の厚みの1/3~1/2低い。トレンチは、全て調光フィルム113の同じ側に位置してもよく、異なる側に位置してもよい(即ち凹み方向は互いに反対である)。密封構造Mが矩形である例を挙げると、4つのトレンチは、調光フィルム113の同じ側に位置してもよく(即ち、4つのトレンチの凹み方向が同じである)、異なる側に位置してもよい(即ち、4つのトレンチの凹み方向は、一部が同じであり、一部が異なる)。
【0067】
もう1つの関連技術では、電極の貼り付けを容易にするために、調光フィルムの離れる両側にそれぞれ第1基体の一部と第2基体の一部を取り除くことで、第1導電層の一部と第2導電層の一部を露出させる。露出した第1導電層は第1電極に電気的に接続されるように用いられ、露出した第2導電層は第2電極に電気的に接続されるように用いられる。しかし、第1基体の一部と第2基体の一部が取り除かれているため(以下、基体が取り除かれた領域を予め設定された領域という)、予め設定された領域に本出願における密封構造のような構造を形成することができない。それゆえ、外物(例えば、可塑剤)は予め設定された領域を通して調光フィルムの内部に入り込み、ひいては調光フィルムを損なうことができる。本出願では、第1電極111は調光フィルム113の内部において第1導電層1131bに接続されており、第2電極112は調光フィルム113の内部において第2導電層1132bに接続されているので、第1基体1131a及び第2基体1132aを取り除く必要がなく、上記密封構造Mを形成することができる。
【0068】
図10を参照すると、本出願は、調光部材110の製造方法をさらに提供する。調光部材110の説明については、前の任意の実施形態における図面及び記述を参照されたい。この製造方法は、ステップS100、S200、S300、S400、S500、S600を含むが、これらに限定されず、ステップS100、S200、S300、S400、S500、S600についての説明は次の通りである。
【0069】
S100:
図11及び
図12を参照すると、調光フィルム113を提供し、調光フィルム113は、積層して設けられた、第1フィルム層1131と、調光層1133と、第2フィルム層1132とを備える。
【0070】
第1フィルム層1131は、積層して設けられた、第1基体1131a及び第1導電層1131bを備え、第2フィルム層1132は、積層して設けられた、第2基体1132a及び第2導電層1132bを備える。調光層1133は第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に位置する。即ち、第1基体1131a、第1導電層1131b、調光層1133、第2導電層1132b、第2基体1132aは、順に積層して設けられている。
【0071】
調光フィルム113の形状は、円形、矩形、楕円形、三角形等であってもよいが、これらに限定されず、本出願では矩形を例示する。
【0072】
調光フィルム113は第1領域A1及び第2領域A2を含み、即ち調光フィルム113の一部は第1領域A1を構成し、調光フィルム113の他の一部は第2領域A2を構成している。なお、本出願における第1領域A1は、調光フィルム113の位置の変化に伴って変化し、即ち、第1領域A1の調光フィルム113が第1位置から第2位置に変わったとき、第2位置に位置する調光フィルム113は第1領域A1を構成する。以下、第1領域A1と第2領域A2を合わせて、調光部材110の製造過程を説明する。
【0073】
S200:
図13を参照すると、第1領域A1内に位置する第1フィルム層1131及び第1領域A1内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域A1内の調光層1133を露出させる。
【0074】
剥がすとは、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132を剥離することをいう。剥がす過程で、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132は、互いに離反する方向に向かって相対的に運動する。剥がし手段は、手動であってもよく、即ち、作業者が手で直接的に第1フィルム層1131と第2フィルム層1132を剥離してもよい。他の実施形態では、剥がし手段は機械的な操作であってもよい。
【0075】
なお、調光フィルム113が剥がされた後、調光層1133の一部が第1フィルム層1131の第1導電層1131bに付着し、調光層1133の他の一部が第2フィルム層1132の第2導電層1132bに付着する。
【0076】
1つの実施形態では、
図13に示されたように、第2フィルム層1132が固定されて、第1フィルム層1131が第2フィルム層1132から離反する方向に剥がされる。剥がし作業を完了した後、第1領域A1に位置する第1フィルム層1131と第2領域A2に位置する第1フィルム層1131は曲線又は折れ線をなすように接続されている。もう1つの実施形態では、第1フィルム層1131が固定されて、第2フィルム層1132が第1フィルム層1131から離反する方向に剥がされる。剥がし作業を完了した後、第1領域A1に位置する第2フィルム層1132と第2領域A2に位置する第2フィルム層1132は曲線又は折れ線をなすように接続される。さらにもう1つの実施形態では、第1フィルム層1131が第2フィルム層1132
から離反する方向に剥がされるとともに、第2フィルム層1132が第1フィルム層1131から離反する方向に剥がされる。剥がし作業を完了した後、第1領域A1に位置する第1フィルム層1131と第2領域A2に位置する第1フィルム層1131は曲線又は折れ線をなすように接続されており、且つ第1領域A1に位置する第2フィルム層1132と第2領域A2に位置する第2フィルム層1132は曲線又は折れ線をなすように接続されている。上記3つの実施形態では、第1領域A1は、剥がされた、第1フィルム層1131、第2フィルム層1132及び調光層1133からなる。
【0077】
S300:
図14を参照すると、第1領域A内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する。
【0078】
具体的には、剥がし作業を完了した後、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する一側が露出するように、有機溶剤(エタノール、酢酸エチル、アセトン等)を用いて剥がされた部分の(第1領域A1に位置する)第1導電層1131b上の調光層1133を除去する。
【0079】
S400:
図15を参照すると、第1領域A1内に位置する第1導電層1131bに第1電極111を貼り付ける。
【0080】
即ち、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する側に第1電極111を貼り付けることで、第1電極111と第1導電層1131bとの間に電気的な接続関係が形成される。
【0081】
S500:
図16を参照すると、第1領域A1内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する。
【0082】
具体的には、剥がし操作を完了した後、第2導電層1132bの第2基体1132aから離反する一側が露出するように、有機溶剤(エタノール等)を用いて剥がされた部分の(第1領域A1に位置する)の第2導電層1132b上の調光層1133を除去する。
【0083】
S600:
図17を参照すると、第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける。即ち、第2導電層1132bの第2基体1132aから離反する側に第2電極112を貼り付けることで、第2電極112と第2導電層1132bとの間に電気的な接続関係が形成される。
【0084】
なお、上記ステップS300、S400、S500、S600が実行される先後順序については、実行可能な複数の実施形態が存在する。1つの実施形態では、ステップS300、S400、S500、S600は順に行われる。もう1つの実施形態では、まず、ステップS300、S500は順に行われ(又は同時に行われ)、次に、ステップS400、S600は順に行われる(又は同時に行われる)。
【0085】
従来技術では、調光層が除去されず、電極が調光層に直接挿設され、電極と導電層が離間して設けられている。しかし、この設置形式は不良な結果を招く可能性がある。具体的には、一方では、通常、調光層が絶縁材料であるため、電極と導電層との電気的な接続が形成されにくい。電気的接続が形成されていても、電極と導電層との間の調光層は抵抗が比較的大きい抵抗器となる。調光部材が電源オンになると、この抵抗器は発熱する。長時間動作後、熱が蓄積することで調光部材が損なわれる可能性がある。また、電圧の一部がこの抵抗器に配分されるため、導電層に配分される電圧が不足になる。これにより、導電層によって形成される電界の強さが不十分であり、従って、調光部材は常にある程度のヘイズを有し、透明状態に入ることができない。もう一方では、電極が調光層に挿設されることで、この箇所が厚すぎるようになる。調光部材を第1透光部材と第2透光部材との間に挟んで設ける過程で、第1透光部材と第2透光部材が割れやすくなる。第1透光部材120aと第2透光部材120bについての説明は、前の関連する実施例を参照されたい。
【0086】
本実施例では、第1電極111、第2電極112を貼り付ける前に、第1領域A1内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133と、第1領域A1内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133とは既に取り除かれた。貼り付けた後、第1電極111と第1導電層1131bとの間に、及び第2電極112と第2導電層1132bとの間には調光層1133が存在しない。これにより、調光層1133の熱蓄積による調光部材110の損傷と、調光部材110が常にある程度のヘイズを有することという技術課題を克服することができる。また、第1領域A1内の調光層1133が除去されたため、第1電極111及び第2電極112に配置スペースを提供することができ、ひいては調光部材110が第1電極111及び第2電極112が設けられる位置において厚すぎることによる割れ問題を回避することができる。
【0087】
なお、第1電極111と第2電極112は、調光フィルム113の同一端に設けられてもよく(
図18に示された)、異なる端に設けられてもよい(
図19及び
図20に示される)。本出願では、第1電極111と第2電極112が同一端に設けられることのみを例示するが、本出願に係る調光部材110を限定するものであると見なすべきではない。
【0088】
図21を参照すると、上記実施例では、「第1領域A1内に位置する第1フィルム層1131及び第1領域A1内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1領域A1内の調光層1133を露出させる」というステップS200は、ステップS210、S220、S230、S240を含むことができる。ステップS210、S220、S230、S240についての説明は次の通りである。
【0089】
S210:
図22を参照すると、第1の所定経路S1に沿って第1領域A1内に位置する調光フィルム113を裁って、第1サブ領域A11を形成する。
【0090】
第1の所定経路S1は、直線であってもよく、曲線であってもよい。裁つ器具は、はさみ、ブレード等であってもよいが、これらに限定されず、裁断で第1サブ領域A11を形成することができればよい。
【0091】
S220:
図23~
図24を参照すると、第1サブ領域A11内に位置する第1フィルム層1131及び第1サブ領域A11内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第1サブ領域A11内に位置する調光層1133を露出させる。剥がし過程の説明については、上述したステップS200の説明を参考にすることができる。
【0092】
S230:
図25を参照すると、第2の所定経路S2に沿って第1領域A1内に位置する調光フィルム113を裁って、第2サブ領域A12を形成する。
【0093】
なお、第2の所定経路S2は、直線であってもよく、曲線であってもよい。裁つ器具は、はさみ、ブレード等であってもよいが、これらに限定されず、裁断で第2サブ領域A12を形成することができればよい。なお、第2サブ領域A12と第1サブ領域A11は重なっていない。
【0094】
S240:
図26~
図27を参照すると、第2サブ領域A12内に位置する第1フィルム層1131及び第2サブ領域A12内に位置する第2フィルム層1132を、互いに離れる方向に向かって剥がして、第2サブ領域A12内に位置する調光層1133を露出させる。剥がし過程の紹介については、上述したステップS200の紹介を参考にすることができる。
【0095】
なお、上記ステップS210、S220、S230、S240が実行される先後順序については、実行可能な複数の実施形態が存在する。1つの実施形態では、ステップS210、S220、S230、S240は順に行われる。もう1つの実施形態では、まず、ステップS210、S230は順に行われ(又は同時に行われ)、次に、ステップS220、S240は順に行われる(又は同時に行われる)。
【0096】
なお、第1の所定経路S1と第2の所定経路S2が直線である場合、両方は互いに平行であってもよく(
図25に示された)、垂直であってもよく、又は両方の延在方向は交差してもよい。
【0097】
図25を参照すると、選択可能に、第1領域A1は第3サブ領域A13をさらに含む。第3サブ領域A13は、第1サブ領域A11と第2サブ領域A12との間に位置し、即ち、第1サブ領域A11と第2サブ領域A12は離間して設けられている。従って、第3サブ領域A13に対して剥がし操作を行う必要がなく、第3サブ領域A13における調光層1133の除去も不要となる。そのため、調光部材110の制御可能な総領域を増やすことができ、換言すれば、第3サブ領域A13においてもヘイズ調整を実現することができる。本実施形態では、第1サブ領域A11及び第2サブ領域A12は、それぞれ、第1サブ空間Z1及び第2サブ空間Z2に対応しており、即ち、第1サブ空間Z1は第1サブ領域A11内に位置し、第2サブ空間Z2は
第2サブ領域A12内に位置する。第1サブ空間Z1及び第2サブ空間Z2に関する説明は、前の構成をめぐる実施形態の説明を参照されたい。
【0098】
図28を参照すると、上記実施形態では、「第1領域A内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する」というステップS300は、ステップS310を含んでもよく、ステップS310についての説明は次の通りである。
【0099】
S310:
図29を参照すると、第1サブ領域A11内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133及び第1サブ領域A11内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133を除去する。
【0100】
先に述べたように、第1導電層1131bは、第1電極111を貼り付けるように用いられる。第1電極111の貼り付けを完了した後、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132を合わせることで、調光フィルム113が剥がれる前の状態に戻るようにする必要がある。第1フィルム層1131と第2フィルム層1132が合わせられた後、第1電極111は、第1導電層1131bと第2導電層1132bとの間に位置する。
【0101】
第2導電層1132b上の調光層1133が除去されていなければ、第1フィルム層1131と第2フィルム層1132が合わせられた後、第1電極111の第2導電層1132bに対向する一側が調光層1133に接触する。理解できるように、幾つかの場合において、調光フィルム113が長時間晒される状態にある可能性がある。例えば、調光フィルム113が車両5のサンルーフに適用される場合、夏に晒されることを避け難い。晒されることで、第1電極111を破壊可能な物質が調光層1133に若干生成され、その結果、第1電極111が損なわれ、一定期間後に、ひいては調光部材110の故障を引き起こす可能性がある。また、調光層1133に生成された物質が第1接着層1134にも影響し、第1接着層1134の接着能力の低下を招く可能性がある。本実施例では、第1導電層1131b上の調光層1133及び第2導電層1132b上の調光層1133を同時に除去しているため、上記問題を回避することが可能となる。
【0102】
図30を参照すると、上記実施例では、「第1領域A1内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133の少なくとも一部を除去する」というステップS500は、ステップS510を含んでもよく、ステップS510についての説明は次の通りである。
【0103】
S510:
図31を参照すると、第2サブ領域A12内に位置する第1導電層1131b上の調光層1133及び第2サブ領域A12内に位置する第2導電層1132b上の調光層1133を除去する。ステップS510は、上述したステップS310と同様であり、ステップS510についての説明は、上述したステップS310の説明を参照することができ、ここで説明を省略する。
【0104】
図32を参照すると、上記実施例において、「第1領域A1内に位置する第1導電層1131bに第1電極111を貼り付ける」というステップS400は、ステップS410、S420を含んでもよく、ステップS410、S420についての説明は次の通りである。
【0105】
S410:
図33を参照すると、第1領域A1内に位置する第1導電層1131bの、第1基体1131aから離反する表面に、第1接着層1134を形成し、又は、第1電極111の表面に第1接着層1134を形成する。
【0106】
S420:
図34を参照すると、第1接着層1134を通して、第1領域A1内に位置する第1導電層1131bに第1電極111を貼り付ける。
【0107】
具体的には、1つの実施形態では、まず第1導電層1131bに第1接着層1134を形成し、その後、第1電極111を第1導電層1131bに貼り付けてもよい。もう1つの実施形態では、まず第1電極111に第1接着層1134を形成し、その後、第1電極111を第1導電層1131bに貼り付けてもよい。第1接着層1134は、導電性粘着テープ、導電性銀ペースト、異方導電性接着剤、金属テープ等の接着能力と導電能力を有する材料であってもよいが、これらに限定されない。導電性銀ペーストを例示としてすると、1つの実施形態では、第1導電層1131bの第1基体1131aから離反する表面に、導電性銀ペーストを塗布し、その後、第1電極111を導電性銀ペーストに貼り付け、最後に、乾燥操作により導電性銀ペーストを固化させ、結果として、第1電極111が第1導電層1131bに強固に接着される。もう1つの実施形態では、まず導電銀ペーストを第1電極111に塗布し、その後、導電銀ペーストを通して第1電極111bを第1導電層1131bに貼り付けてもよい。最後に、乾燥操作により導電性銀ペーストを固化させ、結果として、第1電極111が第1導電層1131bに強固に接着される。
【0108】
理解できるように、導電能力を有する第1接着層1134を利用して第1電極111と第1導電層1131bとを接続することにより、第1電極111と第1導電層1131bとの間の導通抵抗を解消又は低減することができ、具体的な原理については、構成をめぐる実施形態の説明を参照されたい。
【0109】
図35を参照すると、上記実施例では、「第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける」というステップS600は、ステップS610、S620を含んでもよく、ステップS610、S620についての説明は次の通りである。
【0110】
S610:
図36を参照すると、第1領域A1内に位置する第2導電層1132bの、第2基体1132aから離反する表面に、第2接着層1135を形成し、又は、第2電極112の表面に第2接着層1135を形成する。
【0111】
S620:
図37を参照すると、第2接着層1135を通して、第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける。
【0112】
ステップS610、S620についての説明は、上記ステップS410、S420の記述を対応的に参照し、ここで説明を省略する。
【0113】
図38を参照すると、上述の実施例では、「第1領域A1内に位置する第2導電層1132bに第2電極112を貼り付ける」というステップS600の後、ステップS700をさらに含んでもよく、S700についての説明は次の通りである。
【0114】
S700:
図39及び
図40を参照すると、調光フィルム113の周縁に密封構造Mを形成し、密封構造Mにある第1基体1131aと密封構造Mにある第2基体1132aは互いに結合されている。
【0115】
周縁とは、調光フィルム113の縁部を指す。即ち、調光フィルム113の縁部に密封構造Mを形成し、密封構造Mを形成した後、密封構造Mに対応する位置にある第1基体1131aと密封構造Mに対応する位置にある第2基体1132aが接続されており、従って、外物が調光フィルム113の内部に入り込まないようにすることができる。
【0116】
なお、密封構造Mを形成する前に、第1基体1131aと第2基体1132aは離間状態にある。第2領域A2内において、第1基体1131aと第2基体1132aとの間には、第1導電層1131b、調光層1133、第2導電層1132bがある。第1領域A1内において、第1基体1131aと第2基体1132aとの間には、第1導電層1131b、第2導電層1132b、第1電極111、第2電極112、第1接着層1134、第2接着層1135がある。具体的には、前の実施例に係る図面を参照されたい。密封構造Mを形成した後、密封構造Mが第1電極111と第2電極112と交差し、第1電極111及び第2電極112の位置以外の密封構造Mにおいて、第1基体1131a及び第2基体1132aが互いに結合されており、即ち、第1電極111及び第2電極112に対応する位置にある第1基体1131a及び第2基体1132aのみが離間状態にある。
【0117】
上記構成の実施例では言及したように、関連技術では、電極の貼り付けを容易にするために、第1基体の一部と第2基体の一部を取り除くことで、第1導電層の一部と第2導電層の一部を露出させ、その後、第1導電層に第1電極を直接に貼り付け、第2導電層に第2電極を直接に貼り付け、この過程は剥離操作に関わらない。しかしながら、この製造方法では、電極を設ける位置に本出願の密封構造のような構造を形成することができず、外物(例えば可塑剤)がこの位置を通って調光フィルムの内部に入り込み、ひいては調光フィルムを損なうことができる。これに対して、本出願では、第1電極111は調光フィルム113の内部において第1導電層1131bに接続されており、第2電極112は調光フィルム113の内部において第2導電層1132bに接続されているので、第1基体1131a及び第2基体1132aを取り除く必要がなく、上記密封構造Mを形成することができる。また、密封構造Mを形成した後、調光フィルム113の縁部の剥離強度を向上させることができる(密封前の約50倍)。これにより、調光フィルム113の折り曲げによって各フィルム層が互いに剥離されるという問題を回避することができる。例えば、サンルーフは3D曲面ガラスであり、調光フィルム113の屈曲領域に比較的大きな応力がかかり、剥離される(2層の基体間の隙間が大きくなる)確率がある。従って、密封構造Mを形成すると、この問題を克服することができる。
【0118】
図41を参照すると、1つの実施形態では、「調光フィルム113の周縁に密封構造Mを形成し、密封構造Mにある第1基体1131aと密封構造Mにある第2基体1132aは互いに結合されている」というステップS700は、ステップS710、S720、S730を含んでもよく、ステップS710、S720、S730についての説明は次の通りである。
【0119】
S710:
図42を参照すると、第1加工部品2と第2加工部品3を提供する。
【0120】
S720:
図43を参照すると、調光フィルム113を第1加工部品2と第2加工部品3との間に位置させる。
【0121】
第1加工部品2は調光フィルム113の第1基体1131aに当接し、第2加工部品3は調光フィルム113の第2基体1132aに当接する。
【0122】
S730:
図44を参照すると、第1加工部品2と第2加工部品3の協働により、調光フィルム113の周縁に密封構造Mを形成し、即ち、第1基体1131aの周縁及び第2基体1132aの周縁は接続されて密封構造Mを形成する。
【0123】
具体的には、第2加工部品3は、調光フィルム113を載置するための載置台であり、その形状は、円形、楕円形、矩形等であってもよいが、これらに限定されない。第1加工部品2は、ホイール状であり、第2加工部品3と協働して調光フィルム113に対して緊密な当接を形成するように用いられる。第1加工部品2は回転可能であり、第2加工部品3は振動可能である。第1加工部品2と第2加工部品3との協働により、調光フィルム113の縁部における第1基体1131a及び調光フィルム113の縁部における第2基体1132aが一体に融合されて、結果として、密封構造Mが形成されて、調光部材110が得られる。
【0124】
なお、密封構造Mは、トレンチ状(又は凹み状)をなしており、調光フィルム113は密封構造Mにおいて、調光フィルム113の有効機能領域よりも1/3~1/2低い。トレンチは、全て調光フィルム113の同じ側に位置してもよく、異なる側に位置してもよい(即ち凹み方向は互いに反対である)。密封構造Mが矩形である例を挙げると、4つのトレンチは、調光フィルム113の同じ側に位置してもよく(即ち、4つのトレンチの凹み方向が同じである)、異なる側に位置してもよい(即ち、4つのトレンチの凹み方向は、一部が同じであり、一部が異なる)。
【0125】
以下、第1加工部品2と第2加工部品3との協働により第1基体1131aと第2基体1132aとを結合させるプロセスを具体的に説明する。
【0126】
第1加工部品2は調光フィルム113に対して回転可能である。回転中に、第1加工部品2と第1基体1131aとの間にすべり摩擦が存在し、すべり摩擦により発熱することで第1基体1131aの温度が上昇する。同時に、第2加工部品3は、調光フィルム113を第1加工部品2に対して振動(高頻度で振動)させるように調光フィルム113を動かすことができる。振動中に、第1加工部品2と第1基体1131aとの間に、及び第2加工部品3と第2基体1132aとの間に、いずれも高頻度の押圧効果が形成され、ひいては高頻度の摩擦が形成される。従って、第1加工部品2と第2加工部品3の共同作用で、第1基体1131aと第2基体1132aは、昇温して部分領域において溶融状態に達し、ひいては融合し、冷却後、比較的良好な密封効果を有する密封構造Mを形成する。なお、振動中に、第1加工部品2に対応する位置にある第1導電層1131b、第2導電層1132b、調光層1133が粉砕される。
【0127】
選択可能に、
図45を参照すると、第2加工部品3は、予め設定された軸L回りに回転することができ、予め設定された軸Lは、第1加工部品2が第2加工部品3に向かう方向に平行である。第2加工部品3において第1加工部品2が当接する作用点(間接作用)が当接点Oとして定義され、予め設定された軸Lから当接点Oまでの距離は、ゼロよりも大きい予め設定された距離H以上である。理解できるように、密封の過程で第2加工部品3が振動するため、第2加工部品3が当接点Oを中心点として回転すると、第2加工部品3上の当接点Oの位置に、第1加工部品2の長時間の当接による凹みが形成され、最終的に調光フィルム113を損なう可能性がある。本実施形態では、予め設定された距離Hがゼロよりも大きく設定されているので、第2加工部品3が予め設定された軸L回りに回転している間に、当接点Oも予め設定された軸L回りに回転し、即ち当接点Oは変化する点となる。これにより、第1加工部品2が第2加工部品3上の同一点に繰り返し作用することが回避され、上述した凹みが形成されることが回避される。また、当接点Oの変化により、密封構造Mが一定の幅Dを形成することもでき(
図44参照)、従って調光フィルム113の密封効果を高めることができる。
【0128】
さらに、密封構造Mは、全体として環状を呈している。環状は、円形リング、矩形リング(
図44に示された)、楕円形リング等であってもよいが、これらに限定されない。具体的な形状は、調光フィルム113の縁部の向きによって決定されることができ、ここで限定されない。
【0129】
選択可能に、3D曲面ガラスに適用される透光部材120にしわが生じないように、調光フィルム113の周縁に開口部を設けてもよい(例えば鋸歯状、半円形、矩形等であってもよく、数は問わない)。
【0130】
理解できるように、密封構造Mの全体形状を形成するには、第1加工部品2と調光フィルム113との間に相対運動が発生する必要があり、換言すれば、第1加工部品2は、調光フィルム113上の異なる位置に当接して段階的に密封構造Mを形成するように、調光フィルム113に対して予め定められた向き(密封構造Mの全体形状)に沿って移動される必要がある。予め定められた向きに沿って密封構造Mを形成することは、第1加工部品2の動きのみによって実現されてもよく、第2加工部品3が調光フィルム113を動かすことによって実現されてもよく、他の外物が調光フィルム113を動かすことによって実現されてもよい。
【0131】
図46を参照すると、密封構造Mは、第1サブ構造M1と、第2サブ構造M2と、第3サブ構造M3とを含んでもよい。第1サブ構造M1は、第1サブ領域A11と第3サブ領域A13との境界に形成されている。第2サブ構造M2は、第2サブ領域A12と第3サブ領域A13との境界に形成されている。第3サブ構造M3は、調光フィルム113の縁部の向きに沿って形成されており、調光フィルム113の縁部を密封するように用いられる。理解できるように、第1サブ領域A11、第2サブ領域A12、第3サブ領域A13は、第1の所定経路S1と第2の所定経路S2に沿って裁って形成されているため、第1の所定経路S1の位置と第2の所定経路S2の位置には開口が存在し、この開口の密封も必要となる。
【0132】
第1サブ構造M1については、1つの実施形態では、
図46に示されたように、第1サブ構造M1は第1の所定経路S1に沿って形成されており、即ち第1サブ構造M1は第1の所定経路S1に形成されており、且つ第1の所定経路S1と同じ向きを有する。もう1つの実施形態では、
図47に示されるように、第1の所定経路S1は、第1サブ構造M1及び第3サブ構造M3に囲まれており、即ち第1サブ構造M1及び第3サブ構造M3は囲む輪を形成しており、第1の所定経路S1は囲む輪内に位置する。
【0133】
第2サブ構造M2については、1つの実施形態では、
図46に示されたように、第2サブ構造M2は第2の所定経路S2に沿って形成されており、即ち第2サブ構造M2は第2の所定経路S2に形成されており、且つ第2の所定経路S2と同じ向きを有する。もう1つの実施形態では、
図47に示されたように、第2の所定経路S2は、第2サブ構造M2及び第3サブ構造M3に囲まれており、即ち第2サブ構造M2及び第3サブ構造M3は囲む輪を形成しており、第2の所定経路S2は囲む輪内に位置する。
<実施例2(
図48~
図58)>
【0134】
本出願は調光部材1を提供する。
図48及び
図49を併せて参照すると、
図48は本出願の実施形態1に係る調光部材の模式的平面図であり、
図49は
図48に示された構成のI-I線に沿う模式的断面図である。調光部材1は調光フィルムを備える。調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体11、機能層12及び第2基体13を備える。機能層12の外周に密封構造15が設けられており、密封構造15は、第1基体11と第2基体13により機能層12を包み込むことで形成されている。
【0135】
なお、調光部材1の全体構成及び部品をより良く観察するために、
図48に透視の形で示しているが、調光部材1の全体構成及び部品が第1基体11上に設けられていることを意味するものではない。本実施形態では、機能層12は、順に積層して設けられた、第1導電層121、調光層122及び第2導電層123を備える。第1導電層121及び第2導電層123に電圧又は電流が印加されているとき、調光層122が電源オンになり、調光部材1が電源オン状態となる。第1導電層121及び第2導電層123に電圧又は電流が印加されていないとき、調光層122が電源オフになり、調光部材1が電源オフ状態となる。理解できるように、他の可能な実施形態では、他の手段により調光部材1の電源オン状態と電源オフ状態の調整を制御することも可能であり、本出願で限定されない。理解できるように、機能層は、光制御の機能のほかに、通信又は表示等の他の機能を有してもよく、調光の機能のみを有するとは限らない。
【0136】
調光部材1は透過光線の反射性質又は透過性質を調整可能な多層複合構造であり、例えば、高分子分散型液晶(PDLC)、懸濁粒子デバイス(SPD)、二色性色素液晶(LC)フィルム、エレクトロクロミック(EC)フィルム等である。本実施形態では、調光部材1がPDLCである例を挙げて説明する。調光部材1の機能層12が電源オフになると、調光部材1のヘイズが比較的大きく、調光部材1に入射する光の大部は機能層12によって遮断され、結果として、調光部材1は電源オフになるときに不透明状態となる。調光部材1の機能層12が電源オンになると、機能層12は、透明になって光を遮断しなくなり、光の大部は調光部材1を透過し、結果として、調光部材1は電源オンになるときに透明状態となる。
【0137】
機能層12は、環境中又はフィルム周囲の気体(例えば、水気)又は可塑剤に対して比較的敏感であるため、機能層の周囲のフィルムの一部は調光能力を失い、また、時間の経過、温度の上昇に伴って悪化する可能性がある。そのため、密封構造15を形成して機能層12を効果的に保護するために、機能層12の縁部を密封する必要がある。密封構造15は、調光部材1の外縁部の外周に完全に密封して形成されることが好ましい。従って、本出願に係る調光部材110は、自体の機能の正常な発揮を確保することができる。
【0138】
理解できるように、本実施形態1では、第1基体11と第2基体13が、加工用の金型付近で局所的に高頻度で摩擦して、2つの基体の間の機能層12の一部の材料が粉砕されて金型の両側に流れる。例えば250~300℃等の高温で高温溶融された後、第1基体11が第2基体13に当接するようになり、冷却固化した後、調光部材における緻密度の高い密封構造15が形成される。これにより、機能層の吸水率を1%以下にすることができ、調光部材1の剥離強度を効果的に向上させ、全体の機械的強度が大きくなる。また、第1導電層121と第2導電層123が短絡することがなく、歩留まり及び製品の信頼性を向上させる。
【0139】
又は、
図49を再び参照すると、調光部材1は、順に積層して設けられた、第1基体11、機能層12及び第2基体13を備え、第1基体11と第2基体
13はいずれも、基体本体部1aと基体縁部1bを有する。第1基体11の基体本体部1aと第2基体13の基体本体部1aは機能層12を保持する又は挟むように用いられ、第1基体11の基体縁部1bと第2基体13の基体縁部1bには、機能層12を包み込むための密封構造が形成されている。
【0140】
本実施形態1では、第1基体11及び第1導電層121の積層方向における総厚みは、第2基体13及び第2導電層123の積層方向における総厚みと同じであり、いずれも約187μmである。調光層122の積層方向における厚みは約11μmである。即ち、調光部材1の積層方向における総厚みは約385μmである。
【0141】
図49を再び参照すると、調光部材1の外縁部に少なくとも1つの凹溝構造14が設けられており、密封構造は凹溝構造14に位置する。本実施形態では、凹溝構造14の積層方向における長さは約270μmであり、他の可能な実施形態では、凹溝構造14の積層方向における長さは、実際の操作の変化に応じて変化する可能性がある。
【0142】
なお、第1導電層121の積層方向における厚み及び第2導電層123の積層方向における厚みは比較的小さい。厚みの値は通常、数百nmオーダーであり、5μmよりはるかに低い。また、第1導電層121は第1基体11に非常に緊密に付着しており、第2導電層123は第2基体13に非常に緊密に付着している。従って、本出願では、積層方向において、第1導電層121は、ほぼ第1基体11の一部と見なされることができ、第2導電層123は、ほぼ第2基体13の一部と見なされることができる。凹溝構造14における調光層122の中の材料が押し出されるため、凹溝構造は透明状態又は半透明状態となる。1つの可能な実施形態では、密封構造15は、第1基体11及び/又は第2基体13と一体のように形成される。
【0143】
具体的には、1つの可能な実施形態では、凹溝構造14は、第1基体11及び/又は第2基体13が機能層12の方向に向かって溶融されて収縮することにより形成されている。
【0144】
具体的には、本実施形態では、第1基体11に位置する凹溝構造14の縦断面は、台形であるが、他の可能な実施形態では、凹溝構造14の縦断面は、矩形、楕円形等であってもよく、本出願ではこれについて限定されない。
【0145】
凹溝構造14は、機能層12を貫通し、機能層12の第1基体11に近い表面及び/又は機能層12の第2基体13に近い表面と連通している。高温溶融状態にある第1基体11は、重力により、凹溝構造14を通して第2基体13に流れ、且つ凹溝構造14を充填し、結果として密封構造15が形成される。理解できるように、他の可能な実施形態では、高温溶融状態にある第2基体13は、重力により、凹溝構造14を通して第1基体11に流れてもよく、高温溶融状態にある第1基体11及び高温溶融状態にある第2基体13は、同時に凹溝構造14を充填してもよく、本出願ではこれについて限定されない。
【0146】
なお、本実施形態では、密封構造15は、第1基体11が機能層12の方向に向かって溶融されて収縮することで形成されている。そのため、第1基体11は、機能層12から離反する側に、少なくとも部分的に陥没している。
【0147】
この問題を回避するために、
図50を併せて参照されたい。
図50は、本出願の実施形態2に係る
調光フィルムの模式的断面図である。具体的には、凹溝構造14を形成する前に、第1基体11の対応する部分にパッド部分を予め充填して充填部
101を形成する。第1基体11が溶融されて凹溝構造14に流れ、また冷却固化した後、充填部
101は、第1基体11の陥没した部分を補充することができる。充填部
101が溶融された後、第1基体11の機能層12から離反する一側が比較的平らになることができる。本実施形態では、充填部
101の積層方向における厚みの範囲は、第1基体11又は第2基体13の積層方向における厚みの1/3~1/2倍である。
【0148】
他の可能な実施形態では、
図51を併せて参照されたい。
図51は、本出願の実施形態3に係る
調光フィルムの模式的断面図である。本実施形態3と実施形態2との違いは、凹溝構造14を形成すると同時に、第1基体11の機能層12から離反する側の表面が比較的平らになるように、第1基体11の陥没した部分に充填部
101を充填する点である。外観上、凹溝構造14がほとんどなくなり、コストが向上するものの見栄えがよりよい。特に、調光部材1が枠のない車窓などに適用される場合(これに限定されない)、このように凹溝構造14を形成すると同時に、充填部
101を利用して密封構造15を充填して平らにすることが好ましい。なお、充填部
101の材料は、第1基体11の材料と同じであってもよく、異なってもよい。「充填して平らにする」とは、略平らであってもよく、即ち基体本体部の上面と充填部の上面が略面一となり、完全に平らであってもよく、即ち基体本体部の上面と充填部の上面が面一となる。理解できるように、まず凹溝構造14を形成し、次に充填部
101を使用して密封構造15を充填して平らにしてもよい。
【0149】
1つの可能な実施形態では、
図49及び
図52を併せて参照されたい。
図52は、本出願の実施形態4に係る調光
フィルムの模式的断面図である。密封構造15は、凹溝構造14における縦断面がU型、I型、II型、III型、又はこれらの形状の組み合わせをなす。
【0150】
具体的には、
図49に示されたように、密封構造15は、凹溝構造14における縦断面がU型をなしており、
図52に示されたように、密封構造15は、凹溝構造14における縦断面がIII型をなしている。理解できるように、縦断面がIII型の密封構造15は、第1基体11と第2基体13と6つの力受けの接触面を有すると見なされることができ、縦断面がU型の密封構造15は、第1基体11と第2基体13と2つの力受けの接触面を有すると見なされることができる。従って、他の条件が同じである場合、縦断面がIII型の密封構造15は、縦断面がU型の密封構造15よりも強い剥離強度を提供することができる。これに対し、縦断面がU型の密封構造15は、縦断面がIII型の密封構造15よりも製作が簡単で便利である。
【0151】
密封構造15の異なる形状によって調光部材1への剥離強度の調整が異なることが理解される。本出願の
図49及び
図52は、いくつかの可能な実施形態にすぎず、本出願では密封構造15の形状が限定されることを意図していない。他の可能な実施形態では、密封構造15は、他の形状であってもよく、本出願では限定されない。
【0152】
1つの可能な実施形態では、
図48を再び参照すると、凹溝構造14は段差構造又はトレンチ構造を含む。凹溝構造14がトレンチ構造である場合、凹溝構造14の外周にダム構造16が設けられている。ダム構造16により、凹溝構造の外部の調光部材1と凹溝構造の内部の調光部材1とを完全に電気的に隔離する。ダム構造16から凹溝構造14までの距離の範囲は0.5mm~10mmである。
【0153】
なお、ダム構造16には、順に積層して設けられた、第1基体11、機能層12及び第2基体13が部分的に含まれる。しかし、調光部材1の縁部封止を完了した後、ダム構造16は、調光機能を失い、密封構造15を一層保護するものとして機能を果たす。
【0154】
本実施形態では、ダム構造16から凹溝構造14までの距離の範囲は0.5mm~10mmである。好ましくは、ダム構造16から凹溝構造14までの距離の範囲は3mm~7mmであり、具体的には、ダム構造16から凹溝構造14までの距離は5.1mm、5.7mm、6.4mmなどであってもよく、本出願では限定されない。
【0155】
凹溝構造14が段差構造である場合、
図53を併せて参照されたい。
図53は、本出願の実施形態5に係る
調光フィルムの模式的断面図である。凹溝構造14
の外周に位置するダム構造16が切除されることで、調光不要な面積がほとんどない調光部材1が形成される。これにより、新興の枠無しの調光用合わせガラス、又は他の部品、構造の製造需要を満足させる。
【0156】
1つの可能な実施形態では、
図48を再び参照すると、調光部材1は導電部材17をさらに備える。導電部材17は、第1導電層121及び第2導電層123にそれぞれ電気的に接続されている。導電部材17は、調光部材1が電源オン状態となるように、第1導電層121及び第2導電層123に電流を輸送するためのものである。理解できるように、導電部材17が第1導電層121及び第2導電層123への電流の輸送を停止すると、調光部材1が電源オフ状態となる。
【0157】
導電部材17は、第1電極と第2電極を含む。第1電極は第1導電層121に電気的に接続され、第2電極は第2導電層123に電気的に接続されている。
【0158】
1つの可能な実施形態では、
図54を併せて参照されたい。
図54は、本出願の実施形態6に係る調光部材の模式的平面図である。調光部材1は少なくとも1つのノッチ18をさらに有する。ノッチ18の開け方向は調光部材1の積層方向にほぼ垂直し、ノッチ18は外側に向いている。
【0159】
具体的には、ノッチ18の開け方向は、
図54の矢印に示されたようである。本実施形態6では、ノッチ18の開け形状はU型であるが、他の可能な実施形態では、ノッチ18の形状はV型又は他の形状であってもよく、また、大きさが異なってもよく、図面では一々列挙されておらず、本出願ではノッチ18の形状について限定されない。なお、ノッチは調光部材の縁部封止の前に形成されることが好ましい。
【0160】
なお、現在、車両におけるフロントガラス、ドアガラス、サンルーフガラス等の多くのガラスの形状は、双曲面の球面形状である。そのため、一枚の平らなフィルムが、双曲面の球面ガラス上で成型された後、広げられず、しわが多く発生する。
【0161】
理解できるように、本実施形態6では、調光部材1の周縁に少なくとも1つのノッチ18が開けられ、成型後の調光部材1のノッチ18領域が調光部材1の黒い縁部に隠され、同時に、しわの発生が効果的に回避されることができる。さらに、ノッチ18領域及び調光部材1の外周の縁部を封止すると、調光部材1の機能層12を外界から隔絶し、外部の水気及び可塑剤の影響が回避されることができる。
【0162】
次に、本出願に係る調光部材1に適用される調光部材の製造方法について説明する。本出願は、調光部材の製造方法をさらに提供し、
図55を併せて参照されたい。
図55は、本出願の実施形態7に係る調光部材の製造方法を示すフローチャートである。調光部材の製造方法は、ステップS801、S802、S803、S804、S805、S806を含み、ステップS801、S802、S803、S804、S805、S806に対する詳しい説明は次の通りである。
【0163】
S801:順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える調光部材を提供する。
【0164】
具体的には、調光部材1については上述した説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0165】
S802:第1基体の機能層から離反する側に加工用の金型を設け、第2基体の機能層から離反する側に載置台を設ける。
【0166】
具体的には、
図56を併せて参照されたい。
図56は、本出願の実施形態8に係る金型及び載置台の概略図である。本実施形態では、金型2は、円輪形状であり、第1基体11に当接している。金型2を第1基体11に押し付けると、載置台が高頻度で振動し、第1基体11と金型2が接触する一部の機能層が粉碎され、金型2の両側に押し寄せられる。その後、第1基体と第2基体が直接摩擦して高温で溶融される。サブ秒内にサブミリメートルのフィルムの縁部封止を完了する。円輪は等速回転を継続し、新たな位置で上述した過程を繰り返す。このように、縁部封止作業は、外周が全閉されて完全な縁部封止が完了されるまで、継続的に行われる。
【0167】
載置台3としては、丸くて表面が平らな鉄砧を採用することができる。載置台3は、第2基体13に当接して調光部材1を載置するように用いられる。金型2が転がると、金型2は、調光部材1に載置台3上で金型2の転がり方向に沿って並進運動をさせるように用いられ、これにより調光部材1の異なる部位を研削する。
【0168】
S803:金型で第1基体を押し付け、金型及び第2基体が金型の方向に平行な方向に往復振動し、金型が地面に平行な水平方向に、載置台に対して往復振動するようにし、機能層において局所的な摩擦を発生させる。
【0169】
具体的には、金型2が第1基体11を研削すると、第1基体11と機能層12との間に、継続的な振動及び変位によって局所的な摩擦が発生する。同時に、載置台3が金型2と平行な方向に高頻度で振動し、第2基体13を振動させて変位させるように動かす。これにより、第2基体13と機能層12との間に局所的な摩擦が発生し、局所的な摩擦によって発熱して温度が上昇する。結果として、金型に隣り合った一部の機能層が容易に粉碎され且つ金型の両側に押され、同時に第1基体と第2基体が金型の近くに局所的に溶融状態となる。
【0170】
本実施形態では、調光層122の構造強度は、第1導電層121及び第2導電層123の構造強度より弱いため、第1基体11及び第2基体13の局所的な摩擦によって、機能層12のうちの調光層122の一部は、先に摩擦で除去され、且つ金型2によって金型2の研削方向の両側に押し寄せられる。さらに、第1導電層121の一部と第2導電層123の一部は、互いに摩擦して引き裂かれ、金型2によって金型2の研削方向の両側に押し寄せられることで、凹溝構造14が形成される。
【0171】
S804:局所的な摩擦により機能層に凹溝構造を形成し、第1基体と第2基体は高温溶融状態において互いに当接するようになった後、冷却固化して緻密な密封構造を形成する。
【0172】
第1基体11及び第2基体13は、継続的な局所摩擦によって局所温度が急速に上昇し、軟化温度を経た後、溶融温度に達して局所的に溶融する。第1基体11の溶融された部分は、重力により第2基体13に流れ、第2基体13の溶融された部分と一体となって、凹溝構造が形成される。第1基体11の溶融された部分及び第2基体13の溶融された部分は、冷却固化して密封構造15を形成し、密封構造15は、第1基体11及び第2基体13に強固に接続され、従って調光部材1の全体構造の剥離強度が高められる。
【0173】
剥離強度とは、互いに貼り付けられた材料を、接触面から単位幅で剥がすときに必要な最大力を意味する。例示的に、本実施形態では、密封構造15を形成する前に、剥離角度180°の場合、調光部材1の剥離強度は0.059N(ニュートン)/mmである。密封構造15を形成した後、同じ剥離角度で、密封構造15における調光部材1の剥離強度は2.5N/mmであり、剥離強度は50倍増える。
【0174】
なお、本実施形態では、金型2の研削速度、載置台3の振動数等のパラメータを調整することで、ステップS804を0.01~100ミリ秒内で完了する。理解できるように、例えば、金型2の研削速度を上げ、載置台3の振動数を高めることで、ステップS804にかかる時間を短縮することができる。逆に、金型2の研削速度を下げ、載置台3の振動数を低めることで、ステップS804にかかる時間を長くすることができる。本出願ではこれについて限定されなく、実際の状況に合わせて調整してもよい。
【0175】
S805:調光部材の外縁部に少なくとも1つの完全な密封構造を形成して、縁部封止を完成する。
【0176】
具体的には、本実施形態では、金型2の転がりで調光部材1の移動を駆動して、調光部材1の異なる部分に上記ステップを繰り返すことで、複数の連続する密封構造15を形成することができる。連続する密封構造15が一体として形成され、調光部材1の、積層方向に対して垂直する方向において対向する両側の境界を連通して、縁部封止を完了する。他の可能な実施形態では、調光部材1の他方側に上記ステップを繰り返し、調光部材1の、積層方向に対して垂直する方向において対向する両側の境界を連通するもう1つの密封構造15を形成してもよい。理解できるように、隣接する密封構造15の間に位置する機能層12は、密封構造15によって保護されて、外部環境における気体又は溶媒による機能層12への損傷は回避される。
【0177】
なお、本実施形態では、密封構造15は、ほぼ透明又は半透明である。調光部材1が電源オフ状態にあるとき、PDLCは高ヘイズの不透明フィルムであり、SPD及びECは色付きのフィルムである。従って、本出願に係る調光部材の製造方法は可視化の程度が高く、調光部材1の密封構造15の透明程度等の特徴に基づいて、縁部封止の完全性及び信頼性を判断することができる。
【0178】
理解できるように、本実施形態では、第1基体11が高温で溶融された後、凹溝構造14に流れて且つ凹溝構造14を充填し、冷却固化した後、密封構造15を形成する。密封構造15が第2基体13に強固に接続されることで、調光部材1の剥離強度が高められている。同時に、調光部材1は表面構造が比較的均一であり、全体の強度が比較的大きいため、損なわれにくい。
【0179】
1つの可能な実施形態では、金型2と載置台3との間の距離は、調光部材1の積層方向における厚みよりも小さい。
【0180】
具体的には、金型2と載置台3との間の距離は調光部材1の積層方向における厚みよりも小さい。それによって、金型2が第1基体11に押圧力を与えると同時に、載置台3が第2基体13に押圧力を与え、即ち調光部材1が金型2及び載置台3の間に挟み込まれている。
【0181】
理解できるように、金型2と載置台3との間の距離が小さいほど、金型2の第1基体11に対する押圧力が大きくなり、載置台3の第2基体13に対する押圧力も大きくなる。金型2と載置台3との間の距離が小さいほど、第1基体11及び第2基体13による機能層12に対する局所的な摩擦の効果は良くなるが、金型2及び載置台3による押圧力が調光部材1を損なわないようにするために、金型2と載置台3との間の距離も小さすぎることが好ましくない。本実施形態では、調光部材1の積層方向における厚みと、金型2と載置台3との間の距離との差が強度閾値に対応し、強度閾値は調光部材1の積層構造、材質によって変わる可能性があり、本出願ではこれについて限定されない。
【0182】
1つの可能な実施形態では、載置台3は高頻度で振動し、振動数の範囲は20KHz~40KHzである。
【0183】
具体的には、高頻度で振動する載置台3に動かされて、第2基体13が振動して機能層12と局所的に摩擦する。理解できるように、載置台3の振動数は、第2基体13と機能層12との局所摩擦の程度に影響する。
【0184】
本実施形態では、載置台3の振動数の範囲は20KHz~40KHzである。好ましくは、載置台3の振動数の範囲は27KHz~36KHzである。具体的には、載置台3の振動数は、29KHz、31KHz、35KHz等であってもよく、本出願ではこれについて限定されない。
【0185】
1つの可能な実施形態では、金型2は、金型2の外側を囲んで設けられた少なくとも1つの金型21を有し、金型2を囲んで設けられた金型21の幅の範囲は、0.2mm~10mmである。
【0186】
具体的には、金型2が第1基体11を研削することは、主に金型21と第1基体11が局所的に摩擦することで実現され、即ち、凹溝構造14の形成及び形状はいずれも金型21に関係する。金型21が金型2を囲んで形成した幅は、凹溝構造14の孔径の大きさに直接に影響する。本実施形態では、金型21が金型2を囲んで形成した幅の範囲は、0.2mm~10mmである。好ましくは、金型21が金型2を囲んで形成した幅の範囲は、0.5mm~3mmである。より好ましくは、金型21が金型2を囲んで形成した幅の範囲は、0.8mm~2.6mmであり、具体的には、金型21が金型2を囲んで形成した幅は、1mm、1.5mm、2.0mm等であってもよい。凹溝構造14が第1基体11又は第2基体13の溶融された部分を透過させることに影響しない限り、本出願ではこれについて限定されない。
【0187】
図56に示されたように、金型21の数が2以上である場合、複数の金型21が離間して設けられて、異なる形状の凹溝構造14が形成され、ひいては、異なる形状の密封構造15が形成されることができる。なお、複数の金型21のうち、少なくとも1つの金型21が第1基体11と局所的に摩擦し、もう1つの金型21が第2基体
13と局所的に摩擦してもよい。理解できるように、金型21の形状は、凹溝構造14の形状に影響する。金型の外側に平行な少なくとも1つの凹凸パターンを有する金型21が1つ設けられてもよい。凹凸パターンは、矩形、円形等の簡単な模様であってもよく、フリル、鋸歯、タイヤのテクスチャー等の複雑な模様であってもよく、凹溝構造14内に最終的に形成される密封構造15の形状を美しくすることができる。凹溝構造は、1チャンネルを有してもよく、2チャンネルを有してもよく、より多くのチャンネルを有してもよい。2以上のチャンネルを有する場合、少なくとも1チャンネルが連続して完全であることが好ましい。なお、金型21は、特殊な形状を有してもよく、例えば、1つ又は複数の歯型しるし(例えば、タイヤのテクスチャーのようなもの)を有してもよく、歯型しるしが連続的であってもよく、不連続的であってもよく、交互に配列されてもよい。これは、比較的強い剥離強度及び縁部封止強度を有する密封構造15の形成に有利である。本出願ではこれについて限定されない。
【0188】
1つの可能な実施形態では、凹溝構造14は、機能層12を貫通し、機能層12の第1基体11に近い表面及び/又は機能層12の第2基体13に近い表面と連通している。
【0189】
1つの可能な実施形態では、
図54を再び参照すると、凹溝構造14は段差構造又はトレンチ構造を含む。
調光部材には、凹溝構造の外周に位置するダム構造がさらに形成されており、「
調光部材の外縁部に少なくとも1つの密封構造を形成して縁部封止を完了する」ことの後、調光部材の製造方法は、ステップS806をさらに含み、ステップS806の詳細な説明は次の通りである。
【0190】
S806:凹溝構造の外周に位置するダム構造を切除して段差構造を形成する。具体的には、ダム構造16は切除されてもよく、これにより、特に黒いエッジが印刷されない枠無しの調光用合わせガラス(これに限定されない)を製造するとき、調光部材1の占める体積を小さくし、結果として、調光部材1が調光不要なエッジのより少ない合わせガラス、他の部品又は構造に集積されることができる。
【0191】
1つの可能な実施形態では、金型2の材質は金属材質である。具体的には、金型2は金属材質であり、金属材質は一般的に放熱性及び強度に優れている。理解できるように、一方では、金型2により第1基体11を加工するとき、摩擦で多くの熱が発生する。金型2が金属材質である場合、よりよく放熱でき、作業が継続的に進められることに有利である。もう一方では、金型2は、第1基体11を加工するにはある程度の強度が必要である。通常、金属材質は比較的大きな強度を有するため、金型2により第1基体11を加工することに有利である。
【0192】
1つの可能な実施形態では、
図49を再び参照すると、凹溝構造14は、機能層12を貫通し、機能層12の第1基体11に近い表面及び/又は機能層12の第2基体13に近い表面と連通している。
【0193】
具体的には、凹溝構造14は、機能層12の第1基体11に近い表面及び機能層12の第2基体13に近い表面と連通していることで、第1導電層121、調光層122、及び第2導電層123の、凹溝構造14に隣接する側に、断層構造が形成される。なお、従来技術では、レーザー光又は機械デバイスを用いて調光部材1をカットすることが可能であり、これにより、第1導電層121と第2導電層123との間に短絡現象がしばしば発生し、従って高電圧で短絡部分を破壊する工程も必要とされる。
【0194】
理解できるように、本実施形態では、第1導電層121、調光層122、及び第2導電層123の、凹溝構造14に隣接する側に、断層構造が形成されることにより、第1導電層121と第2導電層123との短絡が発生する可能性が避けられ、調光部材1の製造工程が省かれている。
【0195】
1つの可能な実施形態では、積層方向において、第1基体11の厚みの範囲と第2基体13の厚みの範囲は、それぞれ30μm~200μmである。機能層12は、順に積層して設けられた、第1導電層121、調光層122及び第2導電層123を備える。積層方向において、第1導電層121の厚みの範囲と第2導電層123の厚みの範囲は、それぞれ0.1μm~5μmであり、またシート抵抗の範囲はそれぞれ5~200Ω/□である。調光層122の積層方向における厚みの範囲は1μm~20μmである。
【0196】
なお、調光部材1は通常、ガラスに適用される。ガラスの全体厚みが大きすぎることを回避するために、本実施形態では、積層方向において、第1基体11の厚みの範囲と第2基体13の厚みの範囲は、それぞれ30μm~200μmである。積層方向において、第1基体11の厚みの範囲と第2基体13の厚みの範囲は、それぞれ45μm~185μmであることが好ましい。具体的には、積層方向において、第1基体11の厚みと第2基体13の厚みは、50μm、100μm、180μm等であってもよい。本出願ではこれについて限定されない。
【0197】
具体的には、積層方向において、第1導電層121の厚みの範囲と第2導電層123の厚みの範囲は、それぞれ0.1μm~5μmである。積層方向において、第1導電層121の厚みの範囲と第2導電層123の厚みの範囲は、それぞれ0.5μm~3μmであることが好ましい。具体的には、積層方向において、第1導電層121の厚みと第2導電層123の厚みは、1μm、1.7μm、2.4μmなどであってもよい。なお、他の可能な実施形態では、積層方向において、第1導電層121の厚みと第2導電層123の厚みは、異なってもよい。本出願ではこれについて限定されない。
【0198】
本実施形態では、調光部材1の材料がPDLCである場合、調光層122の積層方向における厚みの範囲は10μm~20μmである。調光部材1の材料がSPD、ECである場合、調光層122の積層方向における厚みの範囲は1μm~20μmである。好ましくは、調光層122の積層方向における厚みの範囲は4μm~18μmであり、具体的には、調光層122の積層方向における厚みは7μm、9μm、13μmなどであってもよい。本出願ではこれについて限定されない。
【0199】
1つの可能な実施形態では、第1基体11及び第2基体13の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)のうちのいずれか1つである。
【0200】
具体的には、PET、PMMA、PCはいずれも、熱可塑性に優れたポリマー材質である。好ましくは、第1基体11及び第2基体13の材質は、PETである。理解できるように、第1基体11及び第2基体13の材質は、熱可塑性に優れたポリマー材質であることにより、第1基体11と第2基体13は、局所的な摩擦で良好に溶融され、凹溝構造14を介して互いに一体となり、冷却固化した後、密封構造15を形成する。
【0201】
理解できるように、他の可能な実施形態では、第1基体11及び第2基体13の材質は他の材質であってもよく、密封構造15の形成に影響しない限り、本出願ではこれについて限定されない。
【0202】
本出願は、透光アセンブリ4をさらに提供する。
図57を併せて参照されたい。
図57は、本出願の実施形態9に係る透光アセンブリの模式的断面図である。透光アセンブリ4は、第1透光部材41と、第2透光部材42と、上述の調光部材1とを備える。調光部材1は、第1透光部材41と第2透光部材42との間に挟まれて設けられている。
【0203】
具体的には、調光部材1については、上述の説明を参考することができるので、ここで説明を繰り返さない。透光アセンブリ4は、通常、連結部43をさらに備える。第1透光部材41は、連結部43を通して調光部材1の第1基体11に連結され、第2透光部材42は、連結部43を通して調光部材1の第2基体13に連結されている。第1透光部材又は第2透光部材としては、それぞれ無機ガラス、有機ガラス、又は2種の組み合わせ等を用いることができる。
【0204】
本実施形態では、連結部43の材料として、ポリビニルブチラール(PVB)材料が用いられる。理解できるように、調光部材1は、透光アセンブリ4に適用され、比較的強い剥離強度を有することで、透光アセンブリ4に強固に固定されることができる。調光部材1は、積層構造が比較的均一であり、全体の強度が比較的大きく、損なわれにくいとともに、透光部材4の見栄えを向上させる。
【0205】
補足すべき点として、従来技術では、透光アセンブリにおけるPVB等の粘着層に、高分子材料の性能を改善するために可塑剤等の材料を加えることが必要である。調光部材がPDLC材料である場合、可塑剤等の材料により、調光部材の外縁部の約3~15mmの部分が調光機能を失い、即ち透明になって調光機能を有しなくなる。また、この部分は時間が経つにつれてさらに広がる。可塑剤無しの材料を使っても、例えばEVAを使って積層した後、高温条件で2~12mm劣化する。従来技術では、調光部材に対して、縁部封止を行った後、110℃の高温で1000時間の熱老化試験を行うことも必要である。実験により、本出願に係る調光部材の製造方法をもって製造された調光部材は、外縁部に1mm程度の部分のみが調光機能を失い、さらに0.9mmを超えない部分のみが調光機能を失い、且つさらに広がるという問題がなく、従来技術に比べて大幅に改善され、より優れた技術的効果があることが示された。
【0206】
本出願は、車両5をさらに提供する。
図58を併せて参照されたい。
図58は、本出願の実施形態10に係る車両の模式的平面図である。車両5には、上述した透光アセンブリ4が用いられる。
【0207】
なお、車両5は、通常、フレーム51をさらに備える。透光アセンブリ4は、フレーム51に載置されて取り付けられている。具体的には、透光アセンブリ4については、以上の説明を参照されたいので、ここでの説明は省略する。
【0208】
以上、本出願の実施例が示され説明されたが、上記実施例は例示であり、本出願を制限するものであると理解されるべきではない。当業者であれば、本出願の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、置換、及び変形を加えることができる。これらの改善と潤色も本出願の保護範囲に属すべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光部材であって、
第1電極と、第2電極と、調光フィルムとを備え、
前記調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、第1導電層、調光層、第2導電層及び第2基体を備え、前記調光層、前記第1導電層及び前記第2導電層は収容空間を形成しており、前記第1電極及び前記第2電極は前記収容空間内に設けられており、前記第1電極は、前記第1導電層の前記第1基体から離反する側に貼り付けられ、且つ前記第1導電層に電気的に接続されており、前記第2電極は、前記第2導電層の前記第2基体から離反する側に貼り付けられ、且つ前記第2導電層に電気的に接続されている、
ことを特徴とする調光部材。
【請求項2】
前記収容空間は、第1サブ空間と、前記第1サブ空間と離間して設けられた第2サブ空間とを含み、前記第1電極は前記第1サブ空間内に設けられており、前記第2電極は前記第2サブ空間内に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の調光部材。
【請求項3】
前記調光部材は密封構造を備え、前記密封構造の少なくとも一部は、前記調光部材の周縁に沿って設けられており、前記密封構造にある前記第1基体と前記密封構造にある前記第2基体は互いに結合されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調光部材。
【請求項4】
調光部材の製造方法であって、
調光フィルムを提供することであって、前記調光フィルムは、積層して設けられた、第1フィルム層と、調光層と、第2フィルム層とを備え、前記第1フィルム層は、積層して設けられた、第1基体及び第1導電層を備え、前記第2フィルム層は、積層して設けられた、第2基体及び第2導電層を備え、前記調光層は前記第1導電層と前記第2導電層との間に位置し、前記調光フィルムは第1領域及び第2領域を含む、提供することと、
前記第1領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第1領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第1領域内の前記調光層を露出させることと、
前記第1領域内に位置する前記第1導電層上の前記調光層の少なくとも一部を除去することと、
前記第1領域内に位置する前記第1導電層に第1電極を貼り付けることと、
前記第1領域内に位置する前記第2導電層上の前記調光層の少なくとも一部を除去することと、
前記第1領域内に位置する前記第2導電層に第2電極を貼り付けることと、を含む、
ことを特徴とする調光部材の製造方法。
【請求項5】
前記第1領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第1領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第1領域内の前記調光層を露出させることは、
第1の所定経路に沿って前記第1領域内に位置する前記調光フィルムを裁って、第1サブ領域を形成することと、
前記第1サブ領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第1サブ領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第1サブ領域内に位置する前記調光層を露出させることと、
第2の所定経路に沿って前記第1領域内に位置する前記調光フィルムを裁って、第2サブ領域を形成することと、
前記第2サブ領域内に位置する前記第1フィルム層及び前記第2サブ領域内に位置する前記第2フィルム層を、互いに離れる方向に向かって剥がして、前記第2サブ領域内に位置する前記調光層を露出させることと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の調光部材の製造方法。
【請求項6】
前記第1領域内に位置する前記第1導電層に前記第1電極を貼り付けることは、
前記第1領域内に位置する前記第1導電層の、前記第1基体から離反する表面に、第1接着層を形成し、又は、前記第1電極の表面に前記第1接着層を形成することと、
前記第1接着層を通して、前記第1領域内に位置する前記第1導電層に前記第1電極を貼り付けることと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の調光部材の製造方法。
【請求項7】
前記第1領域内に位置する前記第2導電層に前記第2電極を貼り付けることの後、前記調光部材の製造方法は、
前記調光フィルムの周縁に密封構造を形成することをさらに含み、
前記密封構造にある前記第1基体と前記密封構造にある前記第2基体は互いに結合されている、
ことを特徴とする請求項4~
6のいずれか一項に記載の調光部材の製造方法。
【請求項8】
前記調光フィルムの周縁に前記密封構造を形成することは、
第1加工部品と第2加工部品を提供することと、
前記調光フィルムを前記第1加工部品と前記第2加工部品との間に位置させることであって、前記第1加工部品は前記調光フィルムの前記第1基体に当接し、前記第2加工部品は前記調光フィルムの前記第2基体に当接する、位置させることと、
前記第1加工部品と前記第2加工部品との協働により、前記調光フィルムの周縁に前記密封構造を形成することであって、前記第1加工部品は回転可能であり、前記第2加工部品は振動可能である、形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項
7に記載の調光部材の製造方法。
【請求項9】
調光部材であって、
前記調光部材は調光フィルムを備え、前記調光フィルムは、順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備え、前記機能層の外周に密封構造が設けられており、前記密封構造は、前記第1基体と前記第2基体により前記機能層を包み込むことで形成されている、
ことを特徴とする調光部材。
【請求項10】
前記第1基体と前記第2基体はいずれも、基体本体部と基体縁部を有し、前記機能層は、前記第1基体の基体本体部と前記第2基体の基体本体部との間に位置し、前記第1基体の基体縁部と前記第2基体の基体縁部には、前記機能層を包み込むための前記密封構造が形成されている、
ことを特徴とする請求項
9に記載の調光部材。
【請求項11】
前記密封構造は、前記第1基体と前記第2基体が溶融されて互いに当接することで形成されている、
ことを特徴とする請求項
9に記載の調光部材。
【請求項12】
前記調光部材の外縁部に少なくとも1つの凹溝構造が設けられており、前記密封構造は前記凹溝構造に位置する、
ことを特徴とする請求項
9に記載の調光部材。
【請求項13】
前記凹溝構造の前記密封構造から離反する側に充填部が設けられている、
ことを特徴とする請求項12に記載の調光部材。
【請求項14】
前記凹溝構造は、前記第1基体及び/又は前記第2基体が前記機能層の方向に向かって溶融されて収縮することで形成されている、
ことを特徴とする請求項12に記載の調光部材。
【請求項15】
前記凹溝構造は、前記機能層の外縁部を貫通し、前記機能層の前記第1基体に近い表面及び/又は前記機能層の前記第2基体に近い表面と連通している、
ことを特徴とする請求項
12に記載の調光部材。
【請求項16】
前記凹溝構造は段差構造又はトレンチ構造を含む、
ことを特徴とする請求項
12に記載の調光部材。
【請求項17】
前記凹溝構造の外周にダム構造が形成されており、前記ダム構造から前記
凹溝構造までの距離の範囲は0.5mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項
16に記載の調光部材。
【請求項18】
調光部材の製造方法であって、
(1)順に積層して設けられた、第1基体、機能層及び第2基体を備える調光部材を提供することと、
(2)前記第1基体の前記機能層から離反する側に加工用の金型を設け、前記第2基体の前記機能層から離反する側に載置台を設けることと、
(3)前記金型で前記第1基体を押し付け、前記金型及び前記第2基体が前記金型の方向に平行な方向に往復振動し、前記金型が地面に平行な水平方向に、前記載置台に対して往復振動するようにし、前記機能層において局所的な摩擦を発生させて、前記金型に隣り合った一部の前記機能層を容易に粉砕し且つ
前記金型の両側に押し、同時に前記第1基体と前記第2基体が前記金型の近くに局所的に溶融状態となることと、
(4)局所的な摩擦により前記機能層に凹溝構造を形成し、前記第1基体と前記第2基体は高温溶融状態において互いに当接するようになった後、冷却固化して密封構造を形成することと、
(5)前記調光部材の外縁部に少なくとも1つの完全な前記密封構造を形成して、縁部封止を完成することと、を含む、
ことを特徴とする調光部材の製造方法。
【請求項19】
前記金型は、前記金型の外側に平行な少なくとも1つの凹凸パターンを有し、前記凹凸パターンの前記金型上の幅範囲は、0.2mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項
18に記載の調光部材の製造方法。
【請求項20】
前記調光部材には、前記凹溝構造の外周に位置するダム構造がさらに形成されており、前記調光部材の外縁部に少なくとも1つの前記密封構造を形成して、縁部封止を完成することの後、前記調光部材の製造方法は、
前記ダム構造を切除することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
18に記載の調光部材の製造方法。
【請求項21】
前記凹溝構造を形成する前に、前記第1基体及び/又は前記第2基体の、前記機能層から離反する表面に、充填部が設けられて
おり、
又は、
前記凹溝構造を形成した後又は形成していると同時に、前記凹溝構造の前記密封構造から離反する側に充填部が設けられている、
ことを特徴とする請求項
18に記載の調光部材の製造方法。
【請求項22】
透光アセンブリであって、
第1透光部材と、第2透光部材と、請求項1~3、
9~17のうちのいずれか一項に記載の調光部材とを備え、
前記調光部材は、前記第1透光部材と前記第2透光部材との間に位置する、
ことを特徴とする透光アセンブリ。
【請求項23】
請求項
22に記載の透光アセンブリを備える、
ことを特徴とする車両。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】