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特表2024-529812複数の画像投影を伴う積層造形システムのためのキャリブレーションシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】複数の画像投影を伴う積層造形システムのためのキャリブレーションシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240806BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240806BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240806BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240806BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240806BHJP
   B29C 64/286 20170101ALI20240806BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20240806BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/129
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/286
B29C64/277
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561777
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 IB2022056959
(87)【国際公開番号】W WO2023007405
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/203,752
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/661,856
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380287
【氏名又は名称】イントレピッド・オートメーション・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTREPID AUTOMATION, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィン,ベン
(72)【発明者】
【氏名】チョウサル,イバン・デヘスス
(72)【発明者】
【氏名】タナー,クリストファー・ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ロベルト・リー
(72)【発明者】
【氏名】ピンゲル,ジェイムズ・マイケル
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AQ01
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL44
4F213WL76
4F213WL83
4F213WL85
4F213WL92
4F213WL95
(57)【要約】
本開示は、複数の画像投影を伴う積層造形システムのためのキャリブレーションシステム及び方法のための技術を提供する。いくつかの実施形態では、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の2つ以上の画像プロジェクタをキャリブレーションする方法は、2つ以上の画像プロジェクタのそれぞれからサブ画像を投影することと、キャリブレーションシステムの光センサを使用して画像プロジェクタからの光を測定することと、光センサから信号を受信することと、光センサからの情報を処理することと、処理された情報に基づいてサブ画像のパラメータを変更することとを含む。場合によっては、PRPSには光センサを備えたキャリブレーション器具が含まれる。場合によっては、PRPSは、光センサを備えるモジュール式キャリブレーション器具を使用してキャリブレーションすることができ、モジュール式キャリブレーション器具をPRPSに結合し、水平にし、高さを調整し、その後、キャリブレーションルーチンを実行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の2つ以上の画像プロジェクタをキャリブレーションする方法であって、
前記2つ以上の画像プロジェクタのそれぞれからサブ画像を投影して、前記PRPSのビルドエリア内にサブ画像のアレイを形成することであって、前記2つ以上の画像プロジェクタが画像表示サブシステムによって制御される、前記形成することと、
光センサが前記サブ画像のアレイ内のサブ画像の位置と並ぶように、前記光センサを有するキャリブレーション器具を位置決めすることと、
前記光センサを使用して、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタからの光を測定することと、
前記画像表示サブシステムを使用して、前記光センサから第1の信号を受信することと、
前記画像表示サブシステムを使用して、前記光センサからの情報を処理することと、
前記処理された情報に基づいて、前記サブ画像のアレイ内の前記サブ画像のパラメータを変更するために、前記画像表示サブシステムから前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの前記画像プロジェクタに第2の信号を送信することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記サブ画像のアレイ内の前記サブ画像のパラメータは、位置、強度、強度分布、放射照度、放射照度分布、サイズ、ズーム量、焦点、エッジブレンディングパラメータ、ガンマ、スキュー、または歪みである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリブレーション器具が複数の固定光センサをさらに備え、前記複数の固定光センサからの情報が、前記パラメータを変更するために前記画像表示サブシステムによって使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2つ以上の画像プロジェクタを使用して、前記光センサにわたって画像を走査することをさらに含み、前記光センサは固定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光センサを使用して前記2つ以上の画像プロジェクタからの光を測定することは、前記光センサが、前記光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)のX-Yエリア内の2つ以上の位置で光を測定するように、前記光センサを移動させることであって、前記X-Yエリアは前記ビルドエリアの少なくとも一部とほぼ位置合わせされる、前記移動させること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャリブレーション器具は、前記X-Y領域にわたって移動する複数の光センサを備え、前記複数の光センサからの情報は、前記パラメータを変更するために前記画像表示サブシステムによって使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)であって、
ビルドエリアを含むレジンバットと、
それぞれが前記ビルドエリア上にサブ画像を投影するように構成された2つ以上の画像プロジェクタであって、前記2つ以上の画像プロジェクタが、前記ビルドエリア上に2つ以上のサブ画像を投影するように構成されるようにする、前記2つ以上の画像プロジェクタと
前記2つ以上の画像プロジェクタからの光を測定するように構成された光センサを備えたキャリブレーション器具であって、前記光センサが、前記2つ以上のサブ画像のうちのサブ画像の位置に並ぶ、前記キャリブレーション器具と、
前記キャリブレーション器具及び前記2つ以上の画像プロジェクタと通信する画像表示サブシステムと、
を備える、前記光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項8】
前記光センサは、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに面している、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項9】
前記光センサは、前記ビルドエリアの平面内に配置される、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項10】
前記光センサは、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタからの投影光を、前記投影光がキャリブレーション面またはキャリブレーションフィーチャから反射することなく検出するように構成される、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項11】
前記光センサは、バウンスミラーからの光が前記キャリブレーション面または前記キャリブレーションフィーチャから反射することなく、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに関連付けられた前記バウンスミラーからの光を検出するように構成される、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項12】
前記画像表示サブシステムは、前記光センサから第1の信号を受信することと、コントローラまたはプロセッサを使用して前記光センサからの情報を処理することと、前記2つ以上のサブ画像のうちの前記サブ画像のパラメータを変更するために、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに第2の信号を送信することと、を行うように構成される、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項13】
前記2つ以上のサブ画像のうちの前記サブ画像の前記パラメータは、位置、強度、強度分布、放射照度、放射照度分布、サイズ、ズーム量、焦点、エッジブレンディングパラメータ、ガンマ、スキュー、または歪みである、請求項12に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項14】
前記キャリブレーション器具が複数の固定光センサをさらに備え、前記複数の固定光センサのそれぞれの位置が、前記2つ以上のサブ画像の位置と並ぶ、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項15】
前記2つ以上の画像プロジェクタが、前記光センサを横切って画像を走査するように構成され、前記光センサが固定されている、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項16】
前記キャリブレーション器具は、前記光センサに結合され、前記2つ以上のサブ画像のうちの前記サブ画像の位置と並ぶ異なる位置に前記光センサを移動させるように構成された移動システムをさらに備える、請求項7に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項17】
前記キャリブレーション器具が、前記移動システムに結合された複数の光センサをさらに備える、請求項16に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項18】
光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の2つ以上の画像プロジェクタをキャリブレーションする方法であって、
モジュール式キャリブレーション器具を前記PRPSに結合することと、
前記モジュール式キャリブレーション器具を水平にすることと、
前記モジュール式キャリブレーション器具の光センサの高さを調整することと、
前記モジュール式キャリブレーション器具の前記光センサを使用してキャリブレーションルーチンを実行し、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタによって投影されるサブ画像のパラメータを調整することと、
を含む、前記方法。
【請求項19】
前記モジュール式キャリブレーション器具を前記PRPSに前記結合することは、前記モジュール式キャリブレーション器具のコントローラを前記PRPSの画像表示サブシステムに結合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記モジュール式キャリブレーション器具を前記水平にすることは、前記モジュール式キャリブレーション器具に結合されたレベルセンサを使用して前記モジュール式キャリブレーション器具の水平度を測定することと、前記レベルセンサからの情報を使用して前記モジュール式キャリブレーション器具の前記水平度を調整することとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記モジュール式キャリブレーション器具の前記光センサの前記高さを前記調整することは、前記モジュール式キャリブレーション器具に結合された、または前記PRPSに結合された距離センサを使用して、前記モジュール式キャリブレーション器具の前記高さを測定することと、前記距離センサからの情報を使用して、前記モジュール式キャリブレーション器具の前記高さをモータを使用して調整することと、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記変更されるパラメータは、位置、強度、強度分布、放射照度、放射照度分布、サイズ(またはズーム量)、焦点、エッジブレンディングパラメータ、スキュー、または歪みである、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)をキャリブレーションするために使用されるモジュール式キャリブレーションシステムであって、
光センサを第1の横方向に移動させる光センサキャリッジに結合される前記光センサと、
キャリブレーション器具及び前記光センサキャリッジに結合され、前記光センサ及び前記光センサキャリッジを第2の横方向に移動させるキャリッジアセンブリであって、前記第2の横方向は、前記第1の横方向に対してほぼ垂直である、前記キャリッジアセンブリと、
前記キャリッジアセンブリ、前記光センサ、及び前記光センサキャリッジを第3の方向に移動させる2つ以上のレベリングモータであって、前記第3の方向は、前記第1の横方向及び前記第2の横方向にほぼ垂直な高さであり、前記キャリブレーション器具の水平度と前記光センサの高さとが両方とも、前記2つ以上のレベリングモータを使用して調整することができるようにする、前記2つ以上のレベリングモータと、
前記PRPSに電気的に結合されたコントローラであって、前記コントローラは、前記光センサから信号を受信することと、前記光センサから前記PRPSに情報を送信することと、前記キャリッジアセンブリ、前記光センサキャリッジ、及び前記2つ以上のレベリングモータを制御することと、を行うように構成されている、前記コントローラと、
を備える、前記モジュール式キャリブレーションシステム。
【請求項24】
キャリブレーションプレートをさらに備え、前記キャリッジアセンブリが前記キャリブレーションプレートに結合される、請求項23に記載のモジュール式キャリブレーションシステム。
【請求項25】
前記光センサキャリッジに結合された複数の光センサをさらに備える、請求項23に記載のモジュール式キャリブレーションシステム。
【請求項26】
前記2つ以上のレベリングモータに結合されたレベルセンサをさらに備える、請求項23に記載のモジュール式キャリブレーションシステム。
【請求項27】
前記2つ以上のレベリングモータに結合された距離センサをさらに備える、請求項23に記載のモジュール式キャリブレーションシステム。
【請求項28】
車輪またはキャスタを備えたカートをさらに備える、請求項23に記載のモジュール式キャリブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年5月3日に出願された「Multiple Image Projection System and Method For Additive Manufacturing」と題する米国非仮特許出願第17/661,856号の一部継続出願である。本出願は、2021年7月29日に出願された「Calibration Systems and Methods for Additive Manufacturing Systems with Multiple Image Projection」と題する米国仮特許出願第63/203,752号に対する優先権を主張するものである。これら米国特許出願全ては、あらゆる目的において、参照により本明細書に援用される。
【0002】
米国非仮特許出願第17/661,856号は、2021年3月29日に出願された米国非仮特許出願第17/301,204号の継続出願である。米国非仮特許出願第17/301,204号は、2020年7月24日に出願され、米国特許第11,014,301号として発行された米国特許出願第16/938,298号の継続出願である。米国特許出願第16/938,298号は、2019年3月29日に出願され、米国特許第10,780,640号として発行された米国特許出願第16/370,337号の継続出願である。米国特許出願第16/370,337号は、2018年7月30日に出願された「Multiple Image Projection System for Additive Manufacturing」と題する米国仮特許出願第62/711,719号、及び2018年9月20日に出願された「Multiple Image Projection System for Additive Manufacturing」と題する米国仮特許出願第62/734,003号に対する優先権を主張するものである。これら米国特許出願は、あらゆる目的において、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
光造形(SLA)3Dプリンティングでは、従来、層の輪郭および充填をラスタライズするために、2D平面の周囲を移動させる1つまたは複数のポイントレーザが使用されていた。従来の3Dプリンティングシステムでは、通常は、層全体を一度に露光して速度を向上させるために、SLAの代わりにデジタルライ卜プロセッシング(DLP)または同様のイメージングが使用されている。しかし、DLPを利用する従来の積層造形システムで生じる1つの問題は、層サイズが増加すると、それに比例して、ピクセルサイズも増加することである。その結果、最終品の解像度が低下し、したがって部品の精度及び表面仕上げに悪影響を及ぼすことになる。これには、投影エネルギー密度が低下するという悪影響もあり、それにより、各層がより長い露光時間を必要とするので、プリントプロセスがさらに遅くなる。したがって、DLPシステムがより大きな層サイズに使用されるとき、全層露光により従来の方法を通じて達成される理論的な利点は減少する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、複数の画像投影を伴う積層造形システムのためのキャリブレーションシステム及び方法の技法を提供する。いくつかの実施形態では、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の2つ以上の画像プロジェクタをキャリブレーションする方法が、2つ以上の画像プロジェクタのそれぞれからサブ画像を投影して、PRPSのビルドエリア内にサブ画像のアレイを形成することであって、2つ以上の画像プロジェクタが画像表示サブシステムによって制御される、形成することと、光センサがサブ画像の1つ以上の位置と並ぶように、光センサを有するキャリブレーション器具を位置決めすることと、光センサを使用して、2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタからの光を測定することと、画像表示サブシステムを使用して、光センサから信号を受信することと、画像表示サブシステムを使用して、光センサからの情報を処理することと、処理された情報に基づいて、サブ画像のアレイ内のサブ画像のパラメータを変更するために、画像表示サブシステムから2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに信号を送信することと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)は、ビルドエリアを含むレジンバットと、それぞれがビルドエリア上にサブ画像を投影する2つ以上の画像プロジェクタと、2つ以上の画像プロジェクタからの光を測定するように構成された光センサを備えたキャリブレーション器具であって、光センサが、1つ以上のサブ画像の位置に並ぶ、キャリブレーション器具と、キャリブレーション器具及び2つ以上の画像プロジェクタと通信する画像表示サブシステムと、を備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の2つ以上の画像プロジェクタをキャリブレーションする方法は、モジュール式キャリブレーション器具をPRPSに結合することと、モジュール式キャリブレーション器具を水平にすることと、モジュール式キャリブレーション器具の光センサの高さを調整することと、モジュール式キャリブレーション器具の光センサを使用してキャリブレーションルーチンを実行し、2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタによって投影されるサブ画像のパラメータを調整することと、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)をキャリブレーションするために使用されるモジュール式キャリブレーションシステムは、光センサを第1の横方向に移動させる光センサキャリッジに結合される光センサと、光センサ及び光センサキャリッジを第2の横方向に移動させるキャリッジアセンブリであって、第2の横方向は、第1の横方向に対してほぼ垂直である、キャリッジアセンブリと、キャリッジアセンブリ、光センサ、及び光センサキャリッジを第3の方向に移動させる2つ以上のレベリングモータであって、第3の方向は、第1の横方向及び第2の横方向にほぼ垂直な高さであり、キャリブレーション器具の水平度と光センサの高さとが両方とも、2つ以上のレベリングモータを使用して調整することができるようにする、2つ以上のレベリングモータと、PRPSに電気的に結合されたコントローラであって、コントローラは、光センサから信号を受信することと、光センサからPRPSに情報を送信することと、キャリッジアセンブリ、光センサキャリッジ、及びレベリングモータを制御することと、を行うように構成されている、コントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】いくつかの実施形態による、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の斜視図での簡略化された概略図である。
図1B】いくつかの実施形態による、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の斜視図での簡略化された概略図である。
図1C】いくつかの実施形態による、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の斜視図での簡略化された概略図である。
図1D】いくつかの実施形態による、光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)の斜視図での簡略化された概略図である。
図1E】いくつかの実施形態による、4つの画像プロジェクタを備えたPRPS、及び4つのサブ画像を備えた合成画像の斜視図での簡略化された概略図である。
図1F】いくつかの実施形態による、2つの画像投影システムを備えたPRPSの斜視図での3つの簡略化された概略図を示す。
図1G】いくつかの実施形態による、4つの画像投影システムを備えたPRPSの一部の斜視図での簡略化された概略図である。
図2A】いくつかの実施形態による、PRPS内に投影される画像(またはサブ画像)を調整するために使用されるデジタルフィルタのスタックの簡略化された概略図の例である。
図2B】いくつかの実施形態による、ビルドエリアをカバーする合成画像の簡略化された概略図の例であり、合成画像は6つのサブ画像を含む。
図3】いくつかの実施形態による、歪んだ投影画像が補正された歪み補正の簡略化された概略図の例である。
図4A】いくつかの実施形態による、画像に適用され得るエッジブレンディングフィルタの簡略化された概略図の例である。
図4B】いくつかの実施形態による、画像に適用され得るエッジブレンディングフィルタの簡略化された概略図の例である。
図4C】いくつかの実施形態による、2つの隣接してオーバラップするサブ画像がエッジブレンディングフィルタを利用して単一の合成画像を形成することができる方法を示す簡略化された概略図の例である。
図4D】いくつかの実施形態による、異なるタイプのエッジブレンディングフィルタが単一のオーバラップ領域内で協調して併用され得る簡略化された概略図の例である。
図5】A~Bは、いくつかの実施形態による、ガンマ補正フィルタで使用できるガンマ補正関係の一例を例示するグラフである。
図6】いくつかの実施形態による、複数の投影照明システムを互いに同期させるためにハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システムの電気回路図の簡略化された例である。
図7】いくつかの実施形態による、複数の投影照明システムを互いに同期させるためにハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システムの電気回路図の簡略化された例である。
図8A】いくつかの実施形態による、複数の投影照明システムを互いに同期させるハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システムのための表示サブシステムの概略図を含む電気回路図の簡略化された例である。
図8B】いくつかの実施形態による、複数の投影照明システムを互いに同期させるハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システムのための表示サブシステムの概略図を含む電気回路図の簡略化された例である。
図8C】いくつかの実施形態による、複数の投影照明システムを互いに同期させるハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システムのための表示サブシステムの概略図を含む電気回路図の簡略化された例である。
図8D】いくつかの実施形態による、複数の投影照明システムを互いに同期させるハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システムのための表示サブシステムの概略図を含む電気回路図の簡略化された例である。
図9】A及びBは、いくつかの実施形態による、移動サブ画像から構成される合成画像の簡略化された概略図である。
図10A】いくつかの実施形態による、移動サブ画像から構成される合成画像を形成するための移動光源または移動光学系の簡略化された概略図である。
図10B】いくつかの実施形態による、移動サブ画像から構成される合成画像を形成するための移動光源または移動光学系の簡略化された概略図である。
図10C】いくつかの実施形態による、移動サブ画像から構成される合成画像を形成するための移動光源または移動光学系の簡略化された概略図である。
図10D】いくつかの実施形態による、移動サブ画像から構成される合成画像を形成するための移動光源または移動光学系の簡略化された概略図である。
図10E】いくつかの実施形態による、移動光源を備えたPRPSの側面図での簡略化された概略図である。
図10F】いくつかの実施形態による、移動光源を備えたPRPSの斜視図での簡略化された概略図である。
図11】いくつかの実施形態による、移動サブ画像の簡略化された概略図である。
図12】いくつかの実施形態による、移動サブ画像の簡略化された概略図である。
図13】いくつかの実施形態による、移動サブ画像の簡略化された概略図である。
図14】いくつかの実施形態による、ガンマ補正を説明する方法のフローチャートである。
図15A】いくつかの実施形態による、任意のガンマ補正が適用される前のレジン例についての単位面積当たりのエネルギー(E’)とピクセル強度(L)との関係を示すグラフである。
図15B】いくつかの実施形態による、ガンマ補正が適用された後のレジン例についてのE’とLとの関係を示すグラフである。
図16A】いくつかの実施形態による、複数の画像プロジェクタ(これらの例では6台のプロジェクタ)、及び1つ以上の光センサを備えたキャリブレーション器具を備えた「トップダウン」型PRPSの例を示す。
図16B】いくつかの実施形態による、複数の画像プロジェクタ(これらの例では6台のプロジェクタ)、及び1つ以上の光センサを備えたキャリブレーション器具を備えた「トップダウン」型PRPSの例を示す。
図16C】いくつかの実施形態による、複数の画像プロジェクタ(これらの例では6台のプロジェクタ)、及び1つ以上の光センサを備えたキャリブレーション器具を備えた「トップダウン」型PRPSの例を示す。
図16D】いくつかの実施形態による、複数の画像プロジェクタ(これらの例では6台のプロジェクタ)、及び1つ以上の光センサを備えたキャリブレーション器具を備えた「トップダウン」型PRPSの例を示す。
図16E】いくつかの実施形態による、複数の画像プロジェクタ(これらの例では6台のプロジェクタ)、及び1つ以上の光センサを備えたキャリブレーション器具を備えた「トップダウン」型PRPSの例を示す。
図17A】いくつかの実施形態による、キャリブレーション器具のセンサが2つの隣接するサブ画像間のオーバラップ領域を横切る方向に掃引されるときの、検出されたUV光強度(または放射照度)対位置のグラフを示す。
図17B】いくつかの実施形態による、エッジブレンディング補正の前後でPRPS上のキャリブレーション器具を使用して収集されたUV光強度(または放射照度)対位置の例を示す。
図18】A~Fは、いくつかの実施形態による、マルチ画像平面の(本明細書に記載の)1つ以上の特性をキャリブレーションするために必要なデータを取得するように実行できるいくつかの光センサの動きの例を図示する。
図19】A~Bは、いくつかの実施形態による、Z方向の移動を伴うキャリブレーション器具の例を示す。
図20】いくつかの実施形態による、光センサによって生成されるUV強度(または放射照度)対位置(または時間)の例を示す。
図21】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を使用する例示的なキャリブレーションプロセスのフローチャートを示す。
図22A】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22B】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22C】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22D】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22E】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22F】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22G】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図22H】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図23】いくつかの実施形態による、バイナリ/グレイコード探索法の連続する列反復及び行反復の簡略化された例を示す。
図24A】いくつかの実施形態による、PRPSをキャリブレーションするために使用できる光センサデータの例を示す。
図24B】いくつかの実施形態による、PRPSをキャリブレーションするために使用できる光センサデータの例を示す。
図25】A及びBは、いくつかの実施形態による、PRPSにおける投影画像用のキャリブレーション器具の例を示す。
図26A】いくつかの実施形態による、キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整するための方法のフローチャートである。
図26B】いくつかの実施形態による、キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整するための方法のフローチャートである。
図26C】いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整するための方法のフローチャートである。
図27A】いくつかの実施形態による、キャリブレーションプレート、未補正の視野(FOV)、及び予想されるFOVの例を示す。
図27B】いくつかの実施形態による、図27Aに示す例のX方向に走査された垂直ラインからの光センサデータの例を示す。
図28】いくつかの実施形態による、PRPSにおける多波長画像の例を示す。
図29】いくつかの実施形態による、プリント実行中に投影画像を調整するために使用できるキャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。
図30】いくつかの実施形態による、2つの画像プロジェクタを備え、上向き(すなわち、正のZ方向)の「ダブルワイド」ボトムアップ型PRPSの例の正面図を示す。
図31】いくつかの実施形態による、構成要素の一部が一時的に取り外され、PRPSをキャリブレーションするためにモジュール式キャリブレーション器具の例が挿入された、図30のボトムアップ型PRPSの正面図を示す。
図32】いくつかの実施形態による、図31のキャリブレーション器具の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本開示においては、以下の用語を使用するものとする。
【0010】
レジン:一般に未硬化状態のモノマー溶液を指す。
レジンプール:プリントジョブにすぐに使用できるレジン槽内に含まれるレジンの量。
【0011】
レジン槽:膜を組み込んでレジンプールを保持する機械的アセンブリ。
プリントプラットフォーム(つまり、プリントトレイ):この上でレジンを硬化させ、物理的部品(つまり、プリントオブジェクト)が作り上げられるエレベータに取り付けられたシステム。
【0012】
エレベータシステム:Zステージをプリントプラットフォームに接続する部分のシステム。
【0013】
Zステージ:エレベータシステムに動きを提供する電気機械システム。
ポリマー界面:レジンプールと画像表示システムの焦点面との物理的境界。
【0014】
膜:一般にXY平面に対して平行に配向される、ポリマー界面を作る透明媒体。
ビルドエリア:画像表示システムによって物理的にアドレス指定され得るXY平面エリア。
【0015】
プリントジョブ(つまり、プリント実行):3Dプリントの最初のコマンドから始まって最後のコマンドまで(最後のコマンドも含む)の一連のイベント。
【0016】
プリントプロセスパラメータ(PPP):プリントジョブ中のシステム挙動を決定する入力変数。
【0017】
プリントプロセス:プリントプロセスパラメータによって統制される全体的なプリントシステム挙動。
【0018】
露光時間:エネルギーがポリマー界面に伝達される時間長。
放射照度:ある表面、例えばポリマー界面に入射する単位面積あたりの放射パワー。
【0019】
ピクセル:放射照度を直接操作できるビルドエリアのXY平面の最小区画。
光:紫外線(UV)波長(例えば、約100nm~約500nm)、可視波長(例えば、約380nm~約780nm)、及び/または赤外線(IR)波長(例えば、約780nm~約1mm)の電磁放射。例えば、一部の例ではUV波長の光を「UV光」と呼ぶ場合もある。したがって、本明細書で使用される「光センサ」は、UV、可視、及び/またはIR波長を有する電磁放射を検出できるセンサである。例えば、一部の例ではUV波長の光を検出できる光センサを「UV光センサ」と呼ぶ場合もある。
【0020】
本開示は、高解像度及び高エネルギー密度が可能な大きなビルドエリアを備えた積層造形システム及び方法について説明する。いくつかの実施形態では、本システム及び方法は、複数の画像プロジェクタを利用してビルドエリア上に合成画像を投影し、それによって高ピクセル密度(すなわち、解像度)及び高エネルギー密度を有する大きな照明領域を可能にする。このようなシステム及び方法は、単一のプロジェクタからの画像を拡大することによってビルドエリアを増大させ、それによりビルドエリアでの解像度及び投影エネルギー密度を低減させる従来のシステムよりも有利である。
【0021】
いくつかの実施形態では、本積層造形システムは光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)であり、複数の画像プロジェクタを備えた画像投影システムを含む。本画像投影システムは、ビルドエリアに合成画像を投影することができる。表示サブシステムが、デジタルライトプロセッシング(DLP)を使用して画像投影システムを制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、画像投影システムは複数の画像プロジェクタを含み、合成画像はアレイ状に配列された複数のサブ画像を含み、画像プロジェクタのそれぞれはサブ画像をビルドエリアの一部に投影する。
【0022】
いくつかの実施形態では、表示サブシステムは、画像投影システム内の画像プロジェクタのそれぞれを制御して、合成画像内の各サブ画像の特性及び各サブ画像の位置のアラインメントを調整する。各サブ画像の特性を調整するために表示サブシステムによって使用され得るデジタルフィルタのいくつかの例としては、幾何補正を提供する歪み補正フィルタ、1つ以上のサブ画像のエッジにエッジブレンディングバーを備えたフィルタ、放射照度を正規化する放射照度マスクフィルタ、及び使用されているレジンの反応性に基づいて画像(またはサブ画像)エネルギーを調整する「ガンマ」調整マスクフィルタがある。ベースソースファイル(つまり、システムによってプリントすべき部品の幾何学的形状を定義するために使用される命令の一部)自体を変更するのではなく、ベースソースファイルに適用される(またはオーバーレイされる)フィルタを使用する方が、ベースソースファイルを変更せずに、様々な状況で様々なフィルタを使用すること、または様々なフィルタを定期的に変更することができるので有利である。例えば、変更されていないベースソースファイルに(レジン別に関連付けられている)異なるガンマ補正フィルタを適用することにより、同じベースソースファイルを異なるレジンで使用することができる。さらに、ベースソースファイルは、プリントすべきオブジェクトの所望の物理的寸法を含むベクトルベースのファイルであり得、一方、フィルタは(例えば、画像投影システム内のピクセルと並ぶ)離散化されたファイルであり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、積層造形システム(すなわち、PRPS)は、複数の光センサセットを含むキャリブレーション器具をさらに含む。キャリブレーション器具内の各光センサセットは、合成画像内の投影サブ画像を監視するために使用され得る。そして、合成画像内の各サブ画像の特性及び各サブ画像の位置のアラインメントが、キャリブレーション器具内の複数の光センサセットからのフィードバックを使用して調整され得る。
【0024】
ビルドエリアに投影すべき意図された画像は、理想合成画像と呼ばれることがある。様々な問題により、合成画像が理想合成画像と比較して変形してしまう可能性がある。合成画像の変形を引き起こす問題の例としては、機械的アセンブリ及び取り付けの幾何学的形状(例えば、投影されたサブ画像のスキューを引き起こし得るビルドエリアに対して異なる角度を持つプロジェクタ)、機械的アセンブリ及び取り付けの不正確さ(例えば、正しく位置合わせされていないサブ画像をもたらし得る)、プロジェクタシステムの位置をずらす可能性がある熱の影響(例えば、LED、LED駆動電子機器などの熱源によるもの)、ならびに画像投影システム内のプロジェクタ間の差異(例えば、プロジェクタ間の投影強度のばらつき)がある。さらに、合成画像の変形を引き起こす複数の問題が同時に作用して、画像の変形の度合いを増加させる可能性がある。例えば、組み立てられたPRPSの各パーツ(例えば、画像投影システム内のパーツ)の機械的なアラインメント公差は満たされ得るが、各パーツのわずかなアラインメント不整が積み重なり合い、画像が大きく変形する可能性がある。いくつかの実施形態では、合成画像内の各サブ画像の特性及び各サブ画像の位置のアラインメントは、理想的な合成画像に一致させる(または実質的に一致させる)ようにデジタルフィルタを使用して調整される。こうすると、組み立てられたPRPSのパーツの機械的アラインメント公差を改善して合成画像の品質を改善するよりも、本明細書で説明するようにサブ画像の特性を調整して合成画像の品質を改善する方が費用効果が高くなり得るので、有益である可能性がある。
【0025】
従来の大面積ディスプレイ(例えば、標識、投影映画など)の中には、複数の画像プロジェクタから投影されるサブ画像配列を含む合成画像を利用し、合成画像内のサブ画像を調整するためにフィルタを用いるものがある。ただし、大面積ディスプレイと積層造形システムとの要件の間にはいくつかの大きな相違点があり、それが各アプリケーションで使用される画像投影システムの重要な相違点につながる。大面積ディスプレイは人間の観察者に情報を表示するために使用されるが、観察者の目はPRPSほどばらつきに対して敏感ではない。PRPSは光を使用してレジンを反応させるが、レジンの反応ダイナミクスは人間の目の応答(及び識別)とは大きく異なる(そしてその応答に比べると逸脱に対して寛容ではない)。結果として、従来の大面積ディスプレイで使用されるシステム及び方法は、積層造形システムの要件を全て満たすことができない。大面積ディスプレイと比較して大きな相違点を有する積層造形システムにおいて合成画像を投影する画像投影システムについて、以下でより詳細に説明する。
【0026】
図1A図1Dは、いくつかの実施形態によるPRPS100の例を示す。図1A図1Dに示すPRPS100は、シャーシ105、画像投影システム(すなわち、「照明システム」)110、表示サブシステム(すなわち、「画像表示システム」)115、レジンプール120、ポリマー界面125、レジン槽130、膜135、プリントプラットフォーム140、エレベータシステム145、エレベータアーム150、Zステージ155、及びビルドエリア160を含む。次に、図1A図1Dに示される例示的なPRPS100の動作について説明する。
【0027】
シャーシ105は、PRPS100の構成要素の一部(例えば、エレベータシステム145)が取り付けられるフレームである。いくつかの実施形態では、シャーシ105の1つ以上の部分は垂直に向けられ、それによってPRPS100の構成要素の一部(例えば、エレベータシステム145)がその方向に沿って移動する垂直の方向(すなわち、z方向)を規定する。プリントプラットフォーム140はエレベータアーム150に接続されており、エレベータアーム150はエレベータシステム145に移動可能に接続されている。エレベータシステム145は、Zステージ155の動作を通じてプリントプラットフォーム140が(図1Aに示す)z方向に移動できるようにする。これにより、プリント中、プリントプラットフォーム140をレジンプール120内に降下させて、プリントされる部品を支持し、その部品をレジンプール120の中から持ち上げることができる。
【0028】
照明システム110は、膜135を介して、レジン槽130内に閉じ込められたレジンプール120内に第1の画像を投影する。ビルドエリア160は、レジンが(例えば、照明システムからの紫外光に)露光され、架橋してプリントプラットフォーム140上に第1の固体ポリマー層を形成する領域である。レジン材料のいくつかの非限定的な例としては、アクリレート、エポキシ、メタクリレート、ウレタン、シリコーン、ビニル、それらの組み合わせ、または照明に露光されると架橋する他の光反応性レジンが挙げられる。光反応性ポリマーが異なれば、硬化時間も異なる。さらに、レジン配合が異なれば(例えば、溶媒に対する光反応性ポリマーの濃度が異なる、または溶媒の種類が異なる)、硬化時間も異なる。いくつかの実施形態では、レジンは、平均的な硬化時間を有する感光性レジンと比較して、比較的短い硬化時間を有する。特定のレジンの硬化時間を調整する方法(すなわち、「ガンマ」補正)については、本明細書でさらに説明する。いくつかの実施形態では、レジンは、約200nm~約500nmの照明の波長、またはその範囲外の波長(例えば、500nmを超える波長、または500nm~1000nmの波長)に対して感光性である。いくつかの実施形態では、レジンは、硬化後に、望ましい機械的特性(例えば、高い破壊強度)、望ましい光学的特性(例えば、可視波長における高い光透過率)、または望ましい化学的特性(例えば、湿気にさらされたときの安定性)など、製造されている特定のオブジェクトにとって望ましい特性を有する固体を形成する。第1の層の露光後、プリントプラットフォーム140は上方に(すなわち、図1Aに示す正のz方向に)移動し、照明システム110から投影される第2のパターンを露光することによって第2の層が形成され得る。その後、この「ボトムアップ」プロセスは、オブジェクト全体がプリントされるまで繰り返され得、その結果、完成したオブジェクトがレジンプール120の中から持ち上げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、照明システム110は、異なる波長範囲、例えば、200nm~500nm、または500nm~1000nmにわたって、あるいは他の波長範囲にわたって放射エネルギー(すなわち、照明)を放出する。照明システム110は、画像を投影することができる任意の照明源を使用することができる。照明源のいくつかの非限定的な例は、発光ダイオードのアレイ、液晶式の投影システム、液晶ディスプレイ(LCD)、液晶オンシリコン(LCOS)ディスプレイ、水銀灯式の投影システム、デジタルライ卜プロセッシング(DLP)プロジェクタ、ディスクリートレーザ、及びレーザ投影システムである。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、図1A図1DにおけるPRPSの要素110に示されるような)PRPSの照明システム(すなわち、画像投影システム)は、アレイ状に構成された複数の画像プロジェクタを含む。これは、プリント速度を犠牲にすることなく、高解像度のビルド要素ピクセルで大きなプリント領域をカバーするのに有利であり得る。図1Eは、ビルドエリア160上に単一の合成画像を形成するために4つのサブ画像180a~180dを投影するように構成された4つの画像プロジェクタ170a~170dを含むPRPSの簡略化された概略図の例を示す。図1Eは、照明システムが投影式のシステムである例を示すが、他の実施形態では、照明システムは、発光ダイオードのアレイ、液晶式の投影システム、LCD、LCOSディスプレイ、水銀灯式の投影システム、DLPプロジェクタ、ディスクリートレーザ、及びレーザ投影システムを含むシステムなどの投影式のシステムまたは非投影式のシステムであってもよい。
【0031】
図1Fは、2つの画像投影システム110a~110bを備えたPRPSの非限定的な例の3つの斜視図を示す。図1Fに示されるPRPSの他の構成要素は、図1A図1Dに示されたものと同様であり、PRPSのいくつかの構成要素は、明確にするために、図1Fのシステムには示されていない。レジン槽130a及びレジン槽内のビルドエリア(図示せず)は、図1A図1Dに示すPRPSの約2倍大である。これは、1つではなく2つの画像投影システム110a~110bを使用することによって可能になる。
【0032】
図1Gは、4つの画像投影システム110c~110fを備えたPRPSの一部の非限定的な例を示す。この例では、4つの画像投影システムが2×2アレイに配列されている。他の実施形態では、PRPSは、N×Mアレイに配列された複数の画像投影システムを有する。ここで、Nは、アレイの一方向の画像投影システムの数であり、Mは、アレイの別の方向の画像投影システムの数である。ここで、N及び/またはMは、1~5、または1~10、または1~20、または1~100、または2、または5、または10、または20、または100である。図1Gは、ビルドエリア160a上に単一の合成画像を形成するために、4つのサブ画像190c~190fをそれぞれ投影するように構成された4つの画像投影システム110c~110fを示す。図1Gはまた、この例ではサブ画像がオーバラップしていることも示す。
【0033】
本明細書で説明されるシステム及び方法は、PRPSにおける合成画像内の各投影サブ画像のユニットごとの変動を最小限に抑える(または排除する)ことができる。ユニットごとのばらつきのため、画像投影システム内の各画像プロジェクタは、幾何学的な観点とパワー(放射エネルギー)の観点との両方から独自の画像を作成する。サブ画像間のばらつきは、レジンの放射照度と反応性との関係によってさらに悪化し、幾何学的形状またはパワーの微妙なばらつきが最終的なプリント部品に大きな影響を与える可能性がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、ビルドエリアは、100×100mm~1000×1000mm、または100×100mm~500×500mm、または100×1000mm~500×1000mm、または前述の範囲の間の正方形もしくは長方形の範囲であり、または1000×1000mmよりも大きい。いくつかの実施形態では、画像プロジェクタから投影されるサブ画像はそれぞれ、50×50mm~200×200mm、または50×50mm~150×150mm、または50×100mm~100×200mm、または50×50mm~150×150mm、または192mm×102.4mm、または134.4mm×71.68mmの面積を有する。いくつかの実施形態では、各サブ画像によってカバーされるエリアは、近似的に長方形、正方形、円形、楕円形、または他の形状である。いくつかの実施形態では、各画像プロジェクタは、5mW/cm~50mW/cm、または10mW/cm~50mW/cm、または5mW/cm~20mW/cmの最大または平均パワー密度で光を投影する。いくつかの実施形態では、各ピクセルまたは層の露光時間は、0.05秒~3000秒、または0.08秒~1500秒、または0.08秒~500秒、または0.05秒~1500秒である。
【0035】
図1A図1Dに示すPRPS100、及び図1E図1Gに示すPRPSの例は、非限定的な例にすぎず、これらの設計の変形形態を、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に従って作ることが可能である。例えば、他のPRPSは、図1A図1Gに示されるシステムに対して上下反転させたものであることが可能である。このような「トップダウン」システムでは、照明源はレジンプールの上にあり、プリントエリアはレジンプールの上面にあり、プリントプラットフォームは各プリント層の間のレジンプール内を下に移動する。本明細書で説明される画像投影システム及び方法は、倒立システムを含む任意のPRPS構成に適用可能である。場合によっては、本明細書に記載のシステム及び方法(例えば、画像投影システム及び/またはキャリブレーション器具の幾何学的形状)は、基本的な動作を変えることなく、異なるPRPSの幾何学的形状に適応するように変更することができる。他の例では、PRPSは、図1A図1Gに示されるものよりも多くの、または少ない数の画像プロジェクタを含むことができる。そして、本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本PRPSは、移動画像プロジェクタまたは移動光学系を含む。
【0036】
図2Aは、いくつかの実施形態による、PRPS(例えば、図1A図1DのPRPS100)内に投影される画像(またはサブ画像)を調整するために使用されるデジタルフィルタ200のスタックの例を示す。複数のデジタルフィルタ200のスタックは、投影された画像の異なる特性及び/または投影された画像の位置のアラインメントを調整するために画像に適用される。図2Aに示す例では、歪み補正フィルタ210、レジン反応性「ガンマ」調整マスクフィルタ220、エッジブレンディングバーを備えたフィルタ230、及び放射照度マスクフィルタ240を含むデジタルフィルタのスタック200が投影画像に適用される。いくつかの実施形態では、1つのデジタルフィルタが画像に適用される。他の実施形態では、2つ以上のデジタルフィルタ、1~5個のデジタルフィルタ、または1~10個のデジタルフィルタを含むデジタルフィルタのスタックが画像に適用される。いくつかの実施形態では、フィルタスタックは、1つ以上の所与のタイプのフィルタを含む。例えば、フィルタスタックは、1つ以上の歪み補正フィルタ、1つ以上のレジン反応性「ガンマ」調整マスクフィルタ、エッジブレンディングバーを備えた1つ以上のフィルタ、及び/または1つ以上の放射照度マスクフィルタを含むことがある。図2Aに示されるフィルタのスタックの例は、発光ダイオードのアレイ、液晶式の投影システム、LCD、LCOSディスプレイ、水銀灯式の投影システム、DLPプロジェクタ、ディスクリートレーザ、及びレーザ投影システムを含むシステムなどの投影式または非投影式の照明システムを備えたPRPS内のサブ画像を補正するために使用することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、複数のデジタルフィルタ(またはデジタルフィルタの複数のスタック)が、合成画像を構成する複数のサブ画像に適用され、合成画像内の各サブ画像の特性及び各サブ画像の位置のアラインメントが、デジタルフィルタのスタックによって調整される。図2Bは、ビルドエリア260をカバーする合成画像250の例を示す。ここでは、合成画像は6つのサブ画像265a~265fを含む。この例では、サブ画像265a~265fはエッジでオーバラップし、2つのサブ画像がオーバラップする第1の領域セット270と、4つのサブ画像がオーバラップする第2の領域セット280とを形成する。この例では、6セットのデジタルフィルタを合成画像250の各サブ画像265a~265fに1つずつ適用して、個々のサブ画像の変形を補正するとともに、サブ画像を互いに位置合わせすることができる。
【0038】
画像を調整するために使用できるデジタルフィルタのタイプの一例は、歪み補正フィルタ210であり、このフィルタは、画像(または合成画像内のサブ画像)に4点の(または4点を超える)歪み補正を適用して、投影画像の幾何補正を可能にする。例えば、歪み補正フィルタを使用することで、ビルドエリア内のプロジェクタ光学系の変動またはアラインメントによって生じる投影画像の歪みまたはスキューを補正することができる。合成画像が複数のサブ画像を含む実施形態では、歪み補正フィルタを使用して各サブ画像の歪みを補正し、サブ画像を互いに位置合わせして合成画像を形成できるようにすることがある。歪みを補正することで、合成画像内のサブ画像に対して、より正確なアラインメントなどの補正を行うことが可能になり得る。歪み補正は、PRPSでの曲面(または非平面、または非2D)層(またはスライス)のプリントを可能にすることもあり、このことは、一部のアプリケーション及び部品タイプに役立つ。
【0039】
図3は、歪んだ投影画像が(例えば、ビルドエリア内のエリアに合わせるために)補正された歪み補正の例を示す。図3は、歪み変形を含む未補正のプロジェクタ視野(FOV)310、及び所望のプロジェクタFOV320を示す。図3はまた、補正後のプロジェクタFOV330を所望のプロジェクタFOV320と合わせる歪み補正フィルタを使用した補正後の投影FOV330を示す。
【0040】
画像を調整するために使用できるデジタルフィルタのタイプの別の例は、エッジブレンディングフィルタである。この例で各画像(または合成画像内のサブ画像)は、画像の1つ以上のエッジ(例えば、画像の上、左、下、及び/または右のエッジ)にプログラム可能なブレンディングバーを有する。エッジブレンディングにより、選択したブレンディング関数に従って、上、左、右、及び/または下のエッジをフェードアウトさせることができるようになる。サブ画像のアレイを含む合成画像では、エッジブレンディングにより、隣接するサブ画像間のトランジションを目立たなくすることができるように、隣接する投影されたサブ画像の周囲のデータをフェードアウトさせることが可能になり得る。例えば、図2Bの合成画像250は、領域270及び280内で互いにオーバラップするサブ画像265a~265fのアレイを含み、エッジブレンディングにより、隣接するサブ画像間のトランジションを目立たなくすることができるように、オーバラップする領域270及び280内のデータをフェードアウトさせることが可能になり得る。合成画像を投影するために複数の画像プロジェクタを使用するPRPSでは、投影されたサブ画像間のトランジションが目立たなくなるため、プリントオブジェクトの品質が向上する(例えば、プリントオブジェクトの表面粗さ及び/または構造的完全性が向上する)。画像ごとにブレンディング距離及びブレンディング関数を調整することができる。ブレンディング関数の例としては、線形関数、シグモイド関数、及び幾何学的関数がある。
【0041】
図4A及び図4Bは、画像に適用できるエッジブレンディングフィルタのいくつかの非限定的な例を示す。図4Aは、画像400の1つのエッジがブレンディングバー410を含む例を示す。ブレンディングバー410のエリア内の画像の強度は、ブレンディング関数を使用して低減されて、画像405が生成される。例えば、ピクセルの強度が、ブレンディングバー410内の画像の内部に向かって最も高くなり、かつ画像のエッジに向かって最も低くなるように、ブレンディングバー410全体にわたってピクセルの強度を線形に減少させる線形ブレンディング関数が使用されることがある。いくつかの実施形態では、エッジブレンディングフィルタは、4つのエッジブレンディングバー(すなわち、画像の上に1つ、右に1つ、左に1つ、下に1つ)を含むことがある。いくつかの実施形態では、エッジブレンディングバーは、画像の隅で互いにオーバラップし、複数のエッジブレンディング関数の相加効果によって画像の隅の強度が低減されるようになる。例えば、図2Bの合成画像250におけるオーバラップする領域270及び280では、上記のように線形にフェードアウトさせることができ、これにより、隣接するサブ画像間の強度のばらつきが、エッジブレンディング補正が行われなかった場合よりも目立ちにくくなる。
【0042】
いくつかの実施形態では、エッジブレンディングバーの数、エッジブレンディング距離、及びエッジブレンディング関数は、合成画像内の隣接するサブ画像間のオーバラップ距離に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、合成画像内の2つの隣接するサブ画像は1つのエッジでオーバラップし、両方のサブ画像のオーバラップする領域はエッジブレンディングバーを含む。このような場合には、両方のサブ画像のエッジブレンディング距離及びエッジブレンディング関数は、オーバラップ領域内のピクセルの合計強度が、その領域内の理想的な合成画像の強度と実質的に一致するように選択される。1つの非限定的な例では、エッジブレンディングは、第1のサブ画像のピクセルがエッジ境界に近づくにつれてフェードアウトするのと同じレートで、隣接する第2のオーバラップするサブ画像のピクセルがエッジ境界から第2のサブ画像の中へ遠ざかるにつれてフェードインするように、使用され得る。いくつかの実施形態では、エッジブレンディングフィルタは、両方のサブ画像ピクセルがオーバラップ領域内で結合されるとき、一定の放射照度(または理想的な合成画像によりよく一致する総放射照度)を可能にする。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数のプロジェクタからのサブ画像がオーバラップし、互いにオーバラップする隣接するサブ画像のエリアの割合は、0%、約0%、約1%、約2%、約5%、約10%、約20%、約50%、約90%、もしくは約100%、または0%~100%、または約1%~約5%、または約5%~約100%、または約50%~約100%(または間の任意の範囲)である。サブ画像を(例えば、1%~5%のオーバラップで、エッジブレンディングフィルタを使用して)オーバラップさせることは、サブ画像間のアーティファクトを最小限に抑えるのに有益である。サブ画像を(例えば、50%~100%のオーバラップで)オーバラップさせることはまた、システム内の個々の画像プロジェクタのパワーを増加させることなく、合成画像内のローカルパワーを増加させるのに有益であり、これにより硬化時間及び露光時間を短縮することが可能となり得る。いくつかの実施形態では、合成画像内の一部のサブ画像が互いにオーバラップし、一部が重ならない場合に、エッジブレンディングフィルタを使用することがある。場合によっては、隣接するサブ画像間のオーバラップ領域が小さい場合(例えば、0%または約0%)、隣接するサブ画像をスケーリングする(つまり、サブ画像の倍率を変更する)ことで、それらのアラインメントを改善することができる。
【0044】
図4Bは、エッジブレンディングする際に幾何補正が使用されて隣接するサブ画像が分析され、1つのサブ画像が層データを排他的に表示するために選択される例を示す。これにより、サブ画像450と隣接するサブ画像(図示せず)との間のトランジション(または継ぎ目)460の位置を、表示されている層内の1つ以上の層境界位置に基づいて配置することが可能になる。この例では、サブ画像450はエッジブレンディング前のサブ画像であり、サブ画像455はエッジブレンディング後のサブ画像である。この場合、トランジション460は、エッジブレンディングが実行された後、サブ画像間のオーバラップ領域内のサブ画像450の一部をそのまま残すように選択され、サブ画像455(エッジブレンディング後)は、サブ画像450(エッジブレンディング前)と同じである。換言すれば、トランジション460は、サブ画像450内の層境界位置に基づいて決定された。これは、例えば、データがオーバラップ領域で終了する(つまり、境界を含む)場合(例えば、照明されたピクセルの領域がオーバラップ領域内に境界をもつ場合)、一方のサブ画像を選択してオーバラップ領域内のコンテンツを表示することができるとともに、他方のサブ画像のオーバラップ領域をゼロ強度に減衰させることができ、有用である。他の例では、境界を越える層の幾何学的形状を分析することによって、サブ画像間の継ぎ目を部品内またはエッジ境界でのみ隠すことができ、それによって複数のプロジェクタでのわずかなアラインメント不整の影響を最小限に抑えることができるようにする。
【0045】
図4Cは、2つの隣接するオーバラップするサブ画像470a~470bが、サブ画像のオーバラップ領域482におけるエッジアーティファクトを最小限に抑えた単一の合成画像490を形成するために、エッジブレンディングフィルタを利用する(すなわち、エッジブレンディングバーを有する)ことができる方法の非限定的な例を示す。サブ画像470a~470bそれぞれは、単一層でプリントされることになるフィーチャ495の部分405a~405bを含む。サブ画像470a~470bは、位置480a~480bでオーバラップ領域482を伴ってオーバラップするように配置されることになる。
【0046】
各サブ画像の照明強度(または強度)が、方向凡例492によって定義される合成画像490内のx方向に沿ったグラフ475に示されている。サブ画像470aの強度は強度関数475aに従い、サブ画像470bの強度は強度関数475bに従う。強度関数475a~475bは、サブ画像470a~470bの強度がオーバラップ領域482の外側では(値I1で)一定であり、一方、オーバラップ領域482内(グラフ475の位置x1とx2との間)では、サブ画像470a~470bの強度は、より低い強度I2まで相補的な線形方式で低減されることを示す。いくつかの実施形態では、I2は、ゼロ強度であり、またはゼロ強度に近い強度であり、またはI1未満の任意の強度であり得る。他の実施形態では、オーバラップ領域内の関数は、非線形であってもよく(例えば、シグモイド関数もしくは幾何関数であってもよく、または減少多項式関数、対数関数、指数関数、もしくは漸近関数によって記述されてもよい)、及び/または完全に相補的でなくてもよい(すなわち、一方の画像が、オーバラップ領域内で他方の画像よりも高い平均強度を有してもよい)。合成画像490は、使用されるエッジブレンディングフィルタに部分的に起因して、合成画像490内に最小限のアーティファクト(例えば、意図しない低輝度領域または高輝度領域)を有するフィーチャ495を含む。
【0047】
図4Dは、異なるタイプのエッジブレンディングフィルタが単一のオーバラップ領域内で協調して共に使用され得る非限定的な例を示す。図4Dは、領域430内でオーバラップする2つのサブ画像420a~420bを示し、合成画像がフィーチャ440を含む。オーバラップ領域430内のフィーチャの1つの領域は、オーバラップ領域内で終わる境界を有し、この領域430aはブレンドされていない。むしろ、領域430aは、サブ画像420aからの強度の100%を有し、サブ画像420bからの強度は0%である。オーバラップ領域430bの残りの部分(すなわち、領域430aを除くオーバラップ領域430全体)は、(例えば、上記のように、図4Cに示される例で)サブ画像420aからいくらかの強度を取得するとともに、サブ画像420bからいくらかの強度を取得することによってブレンドされ得る。したがって、図4Dは、1つ以上のエッジブレンディングバーが、製造中のオブジェクト内の層境界位置に基づいて1つ以上の画像(またはサブ画像)を調整することのできる方法の別の例を示す。
【0048】
画像の調整に使用できるデジタルフィルタのタイプの別の例は、放射照度マスキングフィルタであり、このフィルタでは、画像(または合成画像)がエリア全体にわたって均一な放射照度範囲(つまり、ゼロ露光から最大露光限界まで)を持つように、画像(または合成画像内の各サブ画像)に正規化放射照度マスクが適用される。例えば、放射照度マスキングフィルタを使用すると、プロジェクタに基づく空間エネルギーの不均一性から生じる画像投影システム内の放射照度の不均一性を正規化することができる。放射照度マスキングフィルタは、画像投影システム全体に(すなわち、合成画像上に)、及び/またはサブ画像間の差異を補正するために各サブ画像に個別に適用することができる。いくつかの実施形態では、放射照度マスクフィルタのパラメータは、表示面内のエネルギーの最低領域(すなわち、ピクセルの最も暗い領域に対応する領域)に基づいて設定される。いくつかの実施形態では、放射照度マスクフィルタのパラメータは、表示面内のエネルギーの最高領域(すなわち、ピクセルの最も明るい領域に対応する領域)に基づいて設定される。いくつかの実施形態では、放射照度マスクフィルタのパラメータは、表示面内のエネルギー分布の範囲、平均、中央値、またはその他の計算された量に基づいて設定される。いくつかの実施形態では、最高エネルギー領域(すなわち、最も明るいピクセル領域)を使用して、放射照度マスクフィルタ内の最低エネルギー領域からのオフセットの大きさを決定することがある。いくつかの実施形態では、放射照度マスクフィルタは、プロジェクタ光学系及び/または光路における不均一性を補償するために、ビルドエリアにわたるエネルギーの制御を可能にする。いくつかの実施形態では、画像プロジェクタからの出力パワーは、放射照度マスクフィルタを使用して、その最大出力パワーの100%未満に制限される。画像プロジェクタのパワーを100%未満に制限すると、システム構成要素に損傷を与えることが回避され、プロジェクタ内の光源が経年劣化したときに出力パワーの一貫性を維持する(つまり、光源が経年劣化するにつれて、出力パワーを増加させて、画像プロジェクタからの放射照度を長期間にわたって一定に維持する)のに有利であり得る。
【0049】
画像の調整に使用できるデジタルフィルタのタイプの別の例はガンマ補正であり、この場合、合成画像(または合成画像内の各サブ画像)には、PRPSにおける特定のレジン反応性範囲に基づいたガンマ補正フィルタが適用される。いくつかの実施形態では、特定のレジンの硬化挙動に基づいて、放射照度範囲が特定のレジン反応性範囲にマッピングされるように、合成画像(または合成画像内のサブ画像)に対するガンマ補正フィルタが最適化される。これにより、様々なレジンにわたって、より滑らかでより正確な表面を実現することが可能になり得る。レジンの反応性は、レジン組成(例えば、顔料、光開始剤、光開始剤濃度など)に基づいて変化する可能性がある。さらに、レジンはエネルギーに対して非線形の応答曲線を持つ傾向がある。ガンマ補正フィルタはレジンの反応性を平準化し、ピクセルの強度範囲(例えば、0~255)をピクセルの最小及び最大の反応性特性にマッピングすることで、ピクセルの正しいスムージング(及び/またはアンチエイリアス)を可能にする。ガンマ補正フィルタは、発光ダイオードのアレイ、液晶式の投影システム、LCD、LCOSディスプレイ、水銀灯式の投影システム、DLPプロジェクタ、ディスクリートレーザ、及びレーザ投影システムを含むシステムなどの投影式または非投影式の照明システムを備えたPRPS内のサブ画像を補正するために使用することができる。
【0050】
図5A図5Bは、ガンマ補正フィルタで使用できるガンマ補正関係の一例を例示する。図5A図5Bに示す例では、単位面積あたりの放射エネルギー(E’)とピクセル強度(L)との間の対数関係が使用される。単位面積あたりのエネルギーE’は、照明源(例えば、画像プロジェクタ)からの出力照明に関連しており、ピクセル強度Lは、プリントすべき部品の幾何学的形状を規定する(つまり、部品の幾何学的形状を含むソースファイルからの)入力である。
【0051】
硬化深度Dは、対数関数で表すことができる。
【0052】
【数1】
【0053】
ここで、E’は単位面積あたりのエネルギーであり、m及びbは所与のレジン配合物に特有の定数である。図5Aは、この対数関係をグラフで示しており、Dがx軸上のln(E’)に対してy軸上にプロットされている。E’は次の式で定義することもできる。
【0054】
【数2】
【0055】
ここで、Texpは露光時間であり、Irはレジンに当たる放射照度である。式(1)を整理し、式(2)と組み合わせ、再度整理すると、次の式が得られる。
【0056】
【数3】
【0057】
これを使用して、放射照度レベルとレジン硬化挙動との特定の組み合わせについて、特定の硬化深度を達成するために必要な露光時間を計算することができる。
【0058】
式(1)と図5Aのグラフとを使用して、ゼロの硬化深度を生成する単位面積あたりのエネルギーE’を決定することができる。これにより、放射照度範囲内の最小放射照度(つまり、硬化深度ゼロをもたらす放射照度)が決定されるようになる。E’を計算するために、D=0について式(1)を解くことができて、次の式がもたらされる。
【0059】
【数4】
【0060】
同様に、式(1)は、所望の最大硬化深度Dp,maxについて式(1)を解くことによって、単位面積あたりの最大エネルギーEmax’について解くことができる。一部の例では、Dp,maxはPRPSの物理的制約(例えば、照明システムが出力できるパワーの量)に関連する。結果として次式が得られる。
【0061】
【数5】
【0062】
単位面積あたりのエネルギーE’は、対数関数によってピクセル強度Lに関連付けることができる。
【0063】
【数6】
【0064】
ここで、m及びbは、所与のレジン配合物に特有の定数である。式6の関係が、図5Bのグラフに示されている。図5Bでは、ln(E’)が、x軸上のLに対してy軸上にプロットされている。L=0及びL=255について式6を解くと、b及びmを決定することができる。決定されたb及びmの値を式6に代入することで、次の関係が得られる。
【0065】
【数7】
【0066】
式7は、ピクセル強度Lをビルド平面E’の単位面積あたりのエネルギーにマッピングするために使用できる関係であり、硬化レジンを生じさせるピクセル強度レベルLのダイナミックレンジ全体を利用する。言い換えれば、式7を使用すると、L=0のピクセル強度は、レジン内に最小硬化深度D=0を生じさせる単位面積あたりのエネルギーE’に対応する。同様に、式7を使用すると、L=255のピクセル強度は、レジン内に最大硬化深度D=Dp,maxを生じさせる単位面積あたりのエネルギーE’に対応する。
【0067】
上記の式(1)~(7)及び図5A図5Bに示される関係を使用することで、プリント中に使用される放射照度範囲を、所与のレジン配合物の特定の反応性範囲にマッピングするように、ガンマ補正フィルタを実装することができる。こうすると、レジンが異なれば反応性の範囲が異なり、同じ硬化深度を達成するために異なる放射照度及び露光時間が必要となるので、有益である。したがって、ガンマ補正フィルタを使用すると、PRPSは、プリント部品内で所望の硬化深度を達成しながら、異なる反応性範囲を持つ異なるレジン系を採用できるようになる。
【0068】
他の実施形態では、硬化深度(D)と単位面積あたりのエネルギー(E’)との間の異なる関係が可能である。例えば、硬化深度(D)と単位面積あたりのエネルギー(E’)との関係は、対数ではなく、別の連続関数(例えば、多項式関数または漸近関数)、区分的連続関数(例えば、関係の異なる領域に対して異なる多項式または対数関数を含む)に従うことができ、または非解析的であってもよい(例えば、ルックアップテーブルに基づくことができる)。図5A図5B及び式(1)~(7)に示されているのと同様の関係が、これらの状況にも引き続き適用され、本明細書で説明したものと同じガンマ補正概念、システム及び方法を使用することができる。さらに、式(1)~(7)に示されている例では、ピクセル強度Lは0~255で変化するが、他の例では、ピクセル強度は任意の範囲にわたって変化する可能性があり、説明された概念はガンマ補正に対しても引き続き使用することができる。
【0069】
図6及び図7は、複数の投影照明システム610a~610fを互いに同期させるためにハードウェアシステムを使用するPRPS用の画像投影システム600a~600bの例を示す。図6図7の例は、各システム600a~600bにおける3つの投影照明システム610a~610fを示すが、異なる事例で、3つよりも少ないかまたは多い(例えば、4つ以上、2~10、または2~100の)画像プロジェクタがあり得る。いくつかの実施形態では、PRPS用の画像投影システムは、電子LED駆動回路620a~620fを使用して各プロジェクタによって放出される光パワーを制御するLED光源を含む。これらの例における画像投影システムは、LED駆動回路620a~620fを介してシステムコントローラ630a~630bに接続された複数の画像プロジェクタ(すなわち、投影照明システム)610a~610fを含む。これらの例におけるLEDドライバシステム(すなわち、LED駆動回路)620a~620fはそれぞれ、光出力を制御(例えば、ゲート制御)するために、ドライバ回路上にイネーブル入力625a~625fを有する。これらの例におけるイネーブル入力625a~625fは、複数のプロジェクタ610a~610fのイネーブル入力625a~625fを駆動するデジタル/アナログ出力635a~635bを備えたシステムコントローラ630a~630bによって制御することができる。システムコントローラ630a~630bと投影照明システム610a~610fとの間の物理接続640a~640bは、電気ケーブルかまたは光ケーブルかであり得る。
【0070】
システムコントローラ630a~630b上の出力635a~635bは、システムコントローラのオンボードプロセッサ(またはGPIOエクスパンダなど)からの潜在的な弱い駆動強度またはノイズ耐性の問題を克服するために、バッファリング、絶縁分離、及び/または増幅することができる。このようなバッファまたはアイソレータは、システムコントローラボード上またはシステムコントローラボード外にあってよい。
【0071】
同様に、各投影照明システムのLED駆動回路のイネーブル入力もまた、バッファリング、絶縁分離、及び/または増幅して、システムコントローラからの信号を再整形し、システムコントローラとLED駆動回路との間の信号を歪ませる電気ノイズの影響を軽減することができる。バッファリング、絶縁分離、及び/または増幅により、ノイズ耐性とシステム信頼性とが向上し得る。バッファ、アイソレータ、またはアンプの位置は、同じ目的を達成するために様々な方法で配置することができる。例えば、バッファ、アイソレータ、及び/またはアンプは、LED駆動回路の入力ではなく、システムコントローラ630a~630bの出力635a~635bに配置することができ、あるいはその逆も可能である。図6に示す例では、バッファ、アイソレータ、及び/またはアンプ650a~650cは、システムコントローラ630aの出力635aとLED駆動回路620a~620cの入力との両方に配置される。図7に示す例では、バッファ、アイソレータ、またはアンプは(システムコントローラ630bの出力635bにも、LED駆動回路620d~620fの入力にも)使用されていない。
【0072】
図8A図8Dは、複数の投影照明システムを互いに同期させるためにハードウェアソリューションを使用するPRPSのための画像投影システムのさらなる例を、図6及び図7よりも詳細に示す。画像プロジェクタ(図では「プロジェクタ1」、「プロジェクタ2」・・・「プロジェクタN」と表記)は、それぞれ、イネーブル入力(図では「EN」と表記)を備えたLED駆動回路(図では「LED駆動」と表記)を含む。画像プロジェクタのそれぞれは、ハードウェアの「ケーブル接続」を介して表示サブシステム(図では「マスター制御システム」と表記)に接続されている。各ケーブル接続には、表示サブシステムの出力と各画像プロジェクタの入力とに端子(場合によってはデジタルアース付き)がある。
【0073】
LED駆動回路の入力における絶縁、バッファリング、及び/または増幅のための異なるオプションが図8A図8Dに示されている。異なる実施形態では、画像投影システム内の異なる画像プロジェクタは、それぞれのLED駆動回路の入力に、光絶縁回路、トランジスタバッファ回路、集積バッファ回路、または非バッファ回路及び非絶縁回路を含むことができる。図8A図8Dの「プロジェクタ1」は、LED駆動回路の入力に「光絶縁」回路の例を含む。図8A図8Dの「プロジェクタ2」は、LED駆動回路の入力に「トランジスタバッファ」回路の例を含む。図8A図8Dの「プロジェクタ3」は、LED駆動回路の入力に「集積バッファ」回路の例を含む。図8A図8Dの「プロジェクタ4」は、LED駆動回路の非バッファ入力及び非絶縁入力の例を含む。図8A図8Dに示されるシステムは、使用可能な異なるタイプの回路を示す非限定的な例である。いくつかの実施形態では、画像投影システム内の複数の画像プロジェクタそれぞれは、それぞれのLED駆動回路の入力に、同じタイプの回路、もしくは異なるタイプの回路、または同じタイプの回路と異なるタイプの回路との混合を含む。
【0074】
表示サブシステム(図では「マスター制御システム」と表記)の様々なオプションもまた、図8A図8Dに示されている。表示サブシステムは、図8Aの例に示すように、単一の出力(システムコントローラからの単一の出力に「出力」とラベル表記されている)を備えたリアルタイムプロセッサ/コントローラ(すなわち、システムコントローラ、またはその一部)を含むことができる。他の実施形態では、表示サブシステムは、図8Bの例に示すように、複数の出力(システムコントローラからの複数の出力に「出力1」、「出力2」・・・「出力N」とラベル表記されている)を備えたリアルタイムプロセッサコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、表示サブシステムは、図8Cの例に示すように、オンボードFPGA(すなわち、マスター制御システムと統合されたFPGA)を備えたリアルタイムプロセッサコントローラを含むことができ、または図8Dの例に示すように、オフボードFPGA(マスター制御システムとは別個のFPGA)を備えたリアルタイムプロセッサコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムコントローラ(例えば、図6及び図7に示される)及びマスターコントローラ(例えば、図8A図8Dに示される)は、同じ物理ユニットである。いくつかの実施形態では、システムコントローラとマスターコントローラとは異なる物理ユニットである。例えば、個々の投影型プリントエンジンに関連するシステムコントローラは、カスタムのリアルタイム組み込みプリント回路アセンブリボードにすることができ、そのようなエンジンの上に存在するマスターコントローラは、複数の入出力を備えた既製の産業用コンピュータにすることができる。いくつかの実施形態では、マスターコントローラがいくつかのプリントエンジンを制御する。
【0075】
表示サブシステムからの出力は、(例えば、図8Bの「出力1」出力に示すように)バッファリングされることがあり、または(例えば、図8Bの「出力2」出力に示すように)バッファリングされないことがある。表示サブシステムが、1つの出力を備えたリアルタイムプロセッサコントローラを含む場合は、(図8Aの「出力」について示すように)各画像プロジェクタのLED駆動回路上の複数のイネーブル入力の全てを駆動するのに十分なサイズのバッファで単一の出力をバッファリングすることができる。図8C図8Dは、表示サブシステムがFPGAを含み、FPGAの各出力がバッファリングされる例を示す。図8Dは、「マスター制御システム」とオフボードFPGAとを備え、それらの間がケーブル接続された表示サブシステムの例を示す。図8A図8Dに示されるマスター制御システム及び/またはFPGAからのバッファリングされた出力の構成は、可能な異なるオプションを示すためにすぎない非限定的な例である。いくつかの実施形態では、マスター制御システム及び/またはFPGAからの出力は全て同じであり、他の場合には、それらは互いに異なることがある。
【0076】
図6図7及び図8A図8Dに示されるシステムの例は、発光ダイオードのアレイ、液晶式の投影システム、LCD、LCOSディスプレイ、水銀灯式の投影システム、DLPプロジェクタ、ディスクリートレーザ、及びレーザ投影システムを含むシステムなどの投影式または非投影式の照明システムを備えたPRPS内の照明システムを制御するために使用することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、画像投影システムは、層の露光中及び/または後続の層の露光との合間に移動されまたはインデックス付けされるサブ画像のアレイ(例えば、1Dアレイまたは2Dアレイ)を投影する。サブ画像は、画像プロジェクタから投影され、所与の瞬間(つまり、プリント実行中)における合成画像の一部を構成する画像であり、合成画像は、プリントすべきオブジェクトの層を画定する。画像プロジェクタからのサブ画像が合成画像内の第1の位置から合成画像内の第2の位置へ移動するとき、サブ画像内のパターン(またはピクセル強度)は、同じ状態のままである場合があり(例えば、繰り返しのフィーチャを持つオブジェクトの場合)、または(例えば、オブジェクト層の形状をより一般的にプリントするように)変更する場合がある。いくつかの実施形態では、画像プロジェクタのそれぞれは、ビルドエリアの一部にサブ画像を投影し、画像プロジェクタは、サブ画像を移動させるために移動される(または、後述するように、ミラーなどの別個の光学系が移動される)。いくつかの実施形態では、サブ画像が移動するとき、それらが層の露光中にビルドエリアの異なる部分に投影される。サブ画像のコンテンツは、プリントすべき層の異なる部分を画定するために移動される際に変化することがある(例えば、サブ画像を構成する形状及び/またはサブ画像の平均強度が変化することがある)。しかしながら、いくつかの実施形態は繰り返し構造を含み、そのような場合には、サブ画像は、移動されるまたはインデックス付けされる際にも同じ状態のままであり得る。画像プロジェクタのアレイは、ビルドエリア全体、または特定の層の露光を必要とするビルドエリアの一部をカバーし得るサブ画像を投影する。画像プロジェクタのアレイを含む画像投影システムは、従来作成できていたもの(つまり、従来の部品は、事前に決めたビルドエリアに焦点を合わせられた非移動式(つまり、静的)イメージングシステムの投影エリア内に収まらなければならない)よりも大きな3Dプリント部品を作成するように、プリントエリア(例えば、レジンの開放バット内、または膜及びレジン槽の下)にわたって移動することができる。このようなシステムの利点は、ピクセル解像度を損なうことなく(つまり、より大きな領域をカバーするために単一のプロジェクタを大きくし、その結果、投影画像の解像度を低下させることなく)、より少ない画像プロジェクタを使用して大きなビルドエリアをカバーできることである。換言すれば、本明細書に記載のシステムの利点は、大きな部品を高い空間解像度でプリントできることである。このようなシステムは、静的画像投影システム(画像プロジェクタがビルドエリアからより遠くに配置されるか、または画像システムの倍率を上げられて、空間解像度を犠牲にして各プロジェクタのサブ画像サイズを大きくされる)と比較して、画像システムの空間解像度を犠牲にすることなく、より大きなプリント部品を作成することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、所与のサイズの合成画像内のピクセルの露光時間は、投影されたサブ画像の動き、投影されたサブ画像の倍率、及び/またはサブ画像の総数の関数となる。例えば、単一のプロジェクタが一定量のパワーを投影することができる。倍率を増加させると(つまり、より大きなサブイメージを投影するために倍率を増加させると)、各ピクセルに入射する光子束が減少することになる。サブ画像が段階的または連続的な動きで移動する実施形態では、別の位置に移動する前に画像が特定のピクセルに投影される時間は、そのピクセルが受ける露光量に直接関係する。
【0079】
プロジェクタから発されるサブ画像は、ビルドエリアにわたって一方向または二方向に移動され得る。図9Aは、3×5アレイ(3行5列)に配列された15個のサブ画像910a~910e、920a~920e、及び930a~930eで構成される合成画像900の非限定的な例を示す。この例では、画像プロジェクタのアレイが、第1の方向905に向けられた(例えば、ビルドエリアの全幅をカバーする)サブ画像910a~910eの(すなわち、サブ画像の行を含む)1Dアレイを投影する。そして、サブ画像910a~910eの1Dアレイは、第1の方向に垂直な第2の方向906に沿って(例えば、ビルドエリア全体をカバーするようにビルドエリアの長さに沿って)移動されて、第2の行のサブ画像に対応するサブ画像920a~920e、及び第3の行のサブ画像に対応するサブ画像930a~930eを投影する。図9Bは、4×4アレイ(4行4列)に配列された16個のサブ画像940a~940d、950a~950d、960a~960d、及び970a~970dで構成される合成画像901の第2の非限定的な例を示す。この例では、画像プロジェクタのアレイが、第1の方向905及び第2の方向906に向けられた(例えば、ビルドエリアの幅の一部及び長さの一部をカバーする)サブ画像940a~940dの(すなわち、サブ画像の2×2アレイを含む)2Dアレイを投影する。そして、サブ画像940a~940dの2Dアレイは、第1の方向905に沿って移動されて、第2の2×2アレイのサブ画像に対応するサブ画像950a~950dを投影する。この例では、画像プロジェクタは、次に、第1の方向905及び第2の方向906に移動して、第3の2×2アレイのサブ画像に対応するサブ画像960a~960dを投影し、その後、第1の方向905に移動して、第4の2×2アレイのサブ画像に対応するサブ画像970a~970dを投影する。この例では、画像プロジェクタの2×2アレイが、ラスタスキャンを使用して合成画像901をカバーする。
【0080】
他の例では、画像プロジェクタのアレイが、N×Mアレイ内のサブ画像の2Dアレイを投影することができる。ここで、Nはアレイの一方向のサブ画像の数、Mはアレイの別の方向のサブ画像の数である。ここで、N及び/またはMは、1~5、または1~10、または1~20、または1~100、または2、または5、または10、または20、または100であり得る。サブ画像のアレイは、ビルドエリアの幅もしくは長さの全体をカバーすることがあり、またはビルドエリアの長さの一部もしくは幅の一部をカバーすることがある。いくつかの実施形態では、画像プロジェクタから投影されるサブ画像のこれらの2Dアレイは、第1の方向に沿って配向された行と、第2の方向に沿って配向された列とを有することができる。そして、これらの2Dアレイは、投影されたサブ画像がビルドエリア全体をカバーするように、ビルドエリア内で、第1の方向または第2の方向のいずれか一方に沿って(すなわち、一方向の線形走査にて)、あるいは第1の方向と第2の方向との両方に沿って(例えば、ラスタ走査または蛇行走査にて)、移動させる(すなわち、走査させる)ことができる。2つの方向(例えば、ビルドエリアの幅と長さの両方)に沿った移動のいくつかの例としては、ラスタスキャン、蛇行スキャン、またはビルドエリア(または特定の層の露光が必要なビルドエリアの一部)をカバーするその他の何らかのタイプのスキャンジオメトリが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、アレイ内の画像プロジェクタ(及び/または任意の特定の瞬間に投影されるサブ画像)の数は、各次元で、1~5、または1~10、または1~20、または1~100、または2、または5、または10、または20、または100である。例えば、アレイサイズは1×1、1×4、1×8、1×20、もしくは1×100などの1D、または2×4、2×8、2×20、4×10、もしくは4×100などの2D及び長方形、または4×4、5×5、8×8、10×10、30×30、もしくは100×100などの2D正方形にすることができる。いくつかの実施形態では、サブ画像のアレイは、上に挙げたサイズのいずれか1つとすることができ、(例えば、画像表示サブシステムと同期して)移動することができる。
【0082】
本明細書で説明される移動サブ画像を含むPRPSの例は、発光ダイオードのアレイ、液晶式の投影システム、LCD、LCOSディスプレイ、水銀灯式の投影システム、DLPプロジェクタ、ディスクリートレーザ、及びレーザ投影システムを含むシステムなどの投影式または非投影式の照明システムを備えたPRPS内の照明システムに適用することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、画像プロジェクタの移動は、画像プロジェクタの光源(例えば、LEDまたはランプなど)を移動させることを含む。いくつかの実施形態では、光源は、並進運動によって(例えば、ビルドエリアの平面にほぼ平行な平面に沿って)移動する。図10Aは、サブ画像1010a~1010cから構成される合成画像の非限定的な例を示しており、光源1012は、方向1005への並進運動によって移動する。いくつかの実施形態では、光源は並進運動によって移動し、並進運動の方向(例えば、図10Aの1005)はビルドエリアの平面とほぼ平行である。このような場合、本明細書でさらに説明するように、各画像の位置及びその他の補正をキャリブレーションすることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、光源は、1つ以上の回転軸の周りで光源を傾けること、及び/または回転させることによって移動するようになる。図10Bは、サブ画像1020a~1020cから構成される合成画像の非限定的な例を示しており、光源1022は、方向1006への回転運動によって移動する。いくつかの実施形態では、回転方向(例えば、図10Bの1006)は、ビルドエリアの平面にほぼ平行な回転軸を有する。画像プロジェクタが回転するという場合には、本明細書でさらに説明するように、位置及び歪みやスキューなどの他の補正が考慮され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、画像プロジェクタの光源は固定され、投影されるサブ画像は、移動光学系(例えば、移動ミラーまたは移動レンズ)を利用して移動するようになる。いくつかの実施形態では、光学系は、並進運動によって(例えば、ビルドエリアの平面にほぼ平行な平面に沿って)、または光学系を1つ以上の回転軸の周りに傾けること、及び/または回転させることによって移動するようになる。図10Cは、サブ画像1030a~cから構成される合成画像の非限定的な例を示しており、光源1032が静止し、ミラー1034が方向1007への回転運動によって移動して、サブ画像1030a~1030cを投影する。あるいは、図10Dは、サブ画像1040a~1040cから構成される合成画像の非限定的な例を示しており、光源1042が静止し、レンズ1044が方向1008への回転運動によって移動して、サブ画像1040a~1040cを投影する。移動光学系の異なる場合(例えば、図10C及び図10Dに示すもの)では、本明細書でさらに説明するように、各投影画像を位置、歪み及びスキュー、及び/または他の補正についてキャリブレーションすることができる。
【0086】
図10A図10Dの非限定的な例は、1つの移動画像プロジェクタを備えたシステム、または1つの静止画像プロジェクタと1つの移動光学系(例えば、ミラーまたはレンズ)とを備えたシステムを含む。他の実施形態では、本明細書に記載のPRPSは、複数の画像プロジェクタ及び/または光学系を含むことができ、画像プロジェクタ及び/または光学系は、ビルドエリア上に複数のサブ画像を投影するように移動する。このような場合、複数の画像プロジェクタ及び/または光学系は全て、並進運動または回転運動によって移動することができる。いくつかの実施形態では、PRPSは、各画像プロジェクタ及び/またはサブ画像が独立して移動できるようにするサブシステムを含む。他の実施形態では、PRPSは、全ての画像プロジェクタ及び/またはサブ画像がグループとして移動できるようにするサブシステムを含む。いくつかの実施形態では、画像プロジェクタ(複数可)及び/または光学系(複数可)は、並進運動及び回転運動の両方を行って、ビルドエリア内の異なる位置にサブ画像を投影することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、エンコーダが、移動構成要素(例えば、画像プロジェクタまたは光学系要素)の位置を測定するために使用される。例えば、磁気リニアエンコーダを、並進運動によって移動する画像プロジェクタ、及びシステムの固定シャーシに取り付けることができ、固定シャーシに対する画像プロジェクタの位置が正確に分かるようになる。このような位置フィードバックは、プリント実行前にシステムをキャリブレーションすること、及び/またはプリント実行中に移動構成要素の位置を監視することに役立ち得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、画像プロジェクタ(または光学系)のアレイの動きが表示サブシステムと同期される。例えば、表示サブシステムは、露光すべき各層の各画像プロジェクタの動きに対応するプリント帯を作成することができる。
【0089】
図10Eは、いくつかの実施形態による、可動画像プロジェクタを備えたPRPS1050の非限定的な例の上面図を示し、図10Fは、その斜視図を示す。図10Eは、モータ1056a~1056bによって駆動され、画像プロジェクタが(図の座標系によって示される)X方向及びY方向に移動できるようにする可動システム1054a~1054b上に取り付けられた2つの画像プロジェクタ(または画像プロジェクタアセンブリ)1052a~1052bと、画像プロジェクタがX軸及び/またはY軸の周り(またはXもしくはY以外の軸の周り)を回転できるようにする追加の可動システム1058a~1058bとを示す。図10Fはさらに、画像プロジェクタが(図の座標系に示される)Z方向に移動できるようにする可動システム1054c及びモータ1056cと、レジン槽1062と、レジン槽1062内に含まれるレジンプールの内外に(Z方向に)移動できるビルドプラットフォーム1064とを示す。追加の可動システム1058a~1058bは、図10Fには示されていないが、いくつかの実施形態で含まれ得る。
【0090】
図10E及び図10Fを続けて参照すると、いくつかの実施形態では、画像プロジェクタ1052a~1052bは、発光ダイオード、液晶式の投影システム、LCD、LCOSディスプレイ、水銀灯式の投影システム、DLPプロジェクタ、ディスクリートレーザ、またはレーザ投影システムを含む。図10E及び図10FのPRPS1050の例は、2台の画像プロジェクタ1052a~1052bを示すが、同様のシステムを使用して、2~20台の画像プロジェクタなど、3台以上の画像プロジェクタを移動させることが可能である。画像プロジェクタ(例えば、図10E及び図10Fの1052a~1052b)は、任意の機構を使用して、例えば、プロジェクタを可動システム(例えば、図10E及び図10Fの1054a~1054c及び/または1058a~1058b)に確実に取り付ける機構であって、(例えば、いくつかの方法に従って、露光中に)各プロジェクタの静的位置を維持することができる機構を使用して、取り付けることができる。
【0091】
可動システム1054a~1054cには、ベルト、チェーン、ガイドレール、送りねじ駆動装置、または他の種類の線形駆動機構が含まれ得る。モータ1056a~1056cには、ステッピングモータ、DCブラシ付きもしくはブラシレスサーボベースモータ、またはそれらの組み合わせ、または画像プロジェクタを移動させるために可動システム1054a~1054cと協働することができる他の種類の移動システムが含まれ得る。いくつかの実施形態では、画像プロジェクタを特定の距離及び/または空間内の特定の位置に正確に移動させるために、位置フィードバックが用いられる。位置フィードバックは、光学的、電気的、磁気的に、またはそれらの組み合わせを使用して、取得され得る。位置フィードバックシステムのいくつかの非限定的な例は、光学エンコーダ、磁気エンコーダ、及び光学アレイ位置センサを含むものである。可動システム1054a~1054cは、図10E及び図10Fに示される場所以外の場所にあってもよい。例えば、可動システム1054a~1054cは、取り付けられた画像プロジェクタの側にある必要はない。それらは、取り付けられた画像プロジェクタ1052a~1052bの間の中央に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、所与の軸に複数の電動レールシステムが存在する。
【0092】
図10E及び図10Fは、複数の軸に沿って移動できる複数の画像プロジェクタを備えたPRPSの一例を示す。いくつかの実施形態では、図10E及び図10Fに示すように、ボトムアップ型ではなく、上から下に投影するPRPSで同様の移動システムを使用することがある。異なる実施形態において、画像プロジェクタは、独立して移動可能であってもよく、またはそれらの移動が(例えば、複数の画像プロジェクタを移動させるために同じ移動システムを使用して)互いに連動されてもよい。
【0093】
図10E及び図10Fに示す機構によってもたらされる動きにより、各画像プロジェクタ1052a~1052bは、図10Aに示されるX方向及びY方向に並進することが可能になり、追加の可動システム1058a~1058bにより、各画像プロジェクタ1052a~1052bは、図10Bに示すように回転することが可能になる。他の実施形態では、画像プロジェクタは固定されており、図10C及び図10Dに示されるシステムを可能にするように、図10E及び図10Fに示される同様の機構を使用して、ミラーまたはレンズ系を並進及び/または回転させることができる。
【0094】
次に、2つのカテゴリの移動システム及び方法について説明する。1つはステップ-露光-ステップ構成を使用し、1つは連続動作構成を使用する。これらのタイプのシステムの両方で、サブ画像のアレイを1Dまたは2Dにすることができ、所与の層の露光に必要なビルドエリアの部分をカバーするために、一方向または複数方向に移動(つまり、走査)させることができる。
【0095】
サブ画像の移動アレイを投影する移動画像プロジェクタのアレイを備えた画像投影システム及び方法のいくつかの実施形態では、ステップ-露光-ステップシステム及び方法が使用される。例えば、画像プロジェクタのアレイを第1の位置に移動させることができ、その後、各画像プロジェクタのサブ画像を表示させることができる。次に、アレイを第2の位置に移動させることができ、第2のサブ画像のセットを表示させることができる。このステップ-露光-ステップのプロセスを繰り返すことにより、ビルドエリア全体を区分的に露光することができる。図10A図10Dに示される例は、ステップ-露光-ステップ法を使用して、画像プロジェクタまたは光学系を移動させることにより、異なる位置で投影されるサブ画像から合成画像を形成するために使用することができる異なるタイプの移動を例示する。図11は、ステップ-露光-ステップシステム及び方法(すなわち、インデックス法)の一例を示しており、(例えば、画像プロジェクタのアレイ内の)画像プロジェクタの15×5ピクセルのサブ画像(すなわち、図11の各ボックスはサブ画像内のピクセルを示す)が、ビルドエリア内の「位置1」(実線)に15×5ピクセルのサブ画像を投影するために使用され、その後、画像プロジェクタのアレイが移動され、15×5ピクセルのサブ画像が移動されてビルドエリア内の「位置2」(破線)に投影される。この例における位置1及び位置2のサブ画像はオーバラップしないが、ステップ-露光-ステップ法の他の実施形態では、隣接するサブ画像が互いにオーバラップするようになる。
【0096】
サブ画像の移動アレイを投影する画像プロジェクタの移動アレイを備えた画像投影システム及び方法のいくつかの実施形態では、連続動作が用いられる。例えば、画像プロジェクタのアレイをビルドエリアにわたって連続的に移動させることができ、表示サブシステムは投影されたサブ画像をアレイの移動速度と同期させることができる。このようにして、アレイは一定の速度で(1つ以上の方向に、例えば、リニアスキャン、ラスタスキャン、蛇行スキャンなどで)移動することができ、画像コンテンツは連続的に更新されて、全層画像の移動する「露光開口」を作成する。図12は、連続移動システムシステム及び方法の一例を示しており、ビルドエリア内の「位置1」から「位置7」にわたってサブ画像を投影するために、アレイ内の画像プロジェクタのサブ画像が使用され(図中の各ボックスはサブ画像内のピクセルを示す)、アレイがビルドエリアに沿って「連続動作」の方向に連続的に移動される。換言すれば、図12に示されるサブ画像の後縁は、「位置1」から始まり、次にサブ画像の後縁が「位置2」に位置し、そして「位置3」に位置するなどのように、レイヤの露光が完了するまで連続的に移動する。この例では、サブ画像が「位置7」に到達すると、後縁は画像が「位置1」にあったときの前縁のポイントを超えることになる。このような実施形態では、任意の瞬間において、合成画像の一部(すなわち、サブ画像)がアレイ内の画像プロジェクタのそれぞれによって投影される。しかしながら、これらの実施形態では、サブ画像のアレイがビルドエリアにわたって連続的に移動するので、表示サブシステムは、各サブ画像が各画像プロジェクタの視野を横切ってリアルタイムで効果的に(例えば、画像プロジェクタのアレイの動きと同期して)移動するサブ画像の「動画」(またはアニメーション)を投影するように、各画像プロジェクタを制御することになる。このような実施形態では、各ピクセルの露光時間は、スキャン速度(すなわち、サブ画像がビルドエリアを横切って移動する速度)に関係する。これらの実施形態では、所与のピクセルの露光は、サブ画像の動きの方向における露光領域のサイズにも関係する。一般に、レジンの理論上の「点」への総エネルギー伝達はパワー×時間に関係し、連続的に移動するサブ画像を伴う実施形態では、時間係数はスキャン距離をスキャン速度で割ったもので構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、画像プロジェクタ及びサブ画像のアレイは、良好なピクセルを有する領域またはエリア、あるいは最適な光学特性を有する領域またはエリアに、サブ画像をわずかにシフトさせることにより、画像プロジェクタ及びサブ画像の欠陥(例えば、デッドピクセル、レンズアーティファクトなど)を払拭するように、移動される。このような実施形態では、動きは表示サブシステムと同期されて、ビルドエリア全体(または特定の層の露光が必要なビルドエリアの一部)にわたって適切なサブ画像を投影し、それによって、プリントされる部品に必要なパターンを作成する。
【0098】
いくつかの実施形態では、移動サブ画像(例えば、上記の移動サブ画像)は、走査方向に対して垂直な方向においてより良好な補間解像度を提供するために、走査方向に対して傾斜される。例えば、図13は、連続移動画像プロジェクタ(または光学系)から投影された連続移動サブ画像の(時間的に)2つの例を示しており、サブ画像の向きが走査方向に対して傾斜(または回転)している。走査方向は図の「Y」方向であり、第1のサブ画像はサブ画像内のピクセルを画定する実線として示されている。点線は、サブ画像が「Y」方向に移動した後の第2のサブ画像を示している。例えば、サブ画像の2Dアレイは、サブ画像が第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とに配列されるように配向させることができ、画像プロジェクタの動きは、サブ画像が第1の方向及び第2の方向とは異なる第3の方向に移動するように行われる。図13は、行及び列が2つの方向「A」及び「B」に沿って配向され、第3の方向「Y」に移動する、傾斜したサブ画像の例を示す。この例では、傾斜したサブ画像により、「X」方向(走査方向「Y」に垂直な方向)の解像度が高くなる。「Y」方向の実効解像度も傾斜により増加し、いくつかの実施形態では、これは画像プロジェクタの運動パラメータにも影響される。例えば、連続サブ画像スキャンの場合、動きの方向の実効解像度は、運動制御の品質、及び表示サブシステムとの動きの同期に左右され得る。場合によっては、運動制御の品質は、走査方向のサブピクセル解像度を提供するのに十分なほど(例えば、動き及び/または位置決めの精度の点で)高い。いくつかの実施形態では、傾斜により、(例えば、画像表示サブシステム内で)ピクセル間の補間を可能にすることによって、システムがビルドエリアの1つ以上の方向で、より高い粒度を有することが可能になる。対照的に、非傾斜イメージングシステムでは、走査方向に垂直な方向の画像ピクセルサイズによって規定される粒度がもたらされることになる。
【0099】
いくつかの実施形態では、画像投影システムは、サブ画像のアレイを投影する画像プロジェクタのアレイを含み、アレイ内の各サブ画像の向きは、走査方向に対して傾斜して、上記のように、走査方向と直交する方向において、より良好な補間解像度を提供する。
【0100】
画像投影システム内で画像プロジェクタのアレイを移動させるための装置として機能し得るデバイスは数多くある。いくつかの例としては、モータ、空気圧、重力ベースのシステム、及びリニアアクチュエータなどが挙げられるが、これらに限定されない。上記のイメージングシステムは、投影DLPベースのシステムに限定されない。本明細書に記載される画像プロジェクタのアレイを利用することができるイメージングシステムのいくつかの例には、DLPベースのシステム、ランプベースの投影システム、LCDベースのシステム、及びレーザベースのイメージングシステムが含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、複数の部品(またはオブジェクト)を同時にプリントすることができる。このことは、ビルドエリアをより最適に利用し、部品の生産速度を向上させるのに有利であり得る。いくつかの実施形態では、積層造形システムは、画像プロジェクタのアレイを含み、そのそれぞれがサブ画像をビルドエリア上に投影し、1回のプリント実行中にビルドエリア内で複数の部品がプリントされる。例えば、積層造形システムには3×3の画像プロジェクタのアレイを含めることができ、合計9つのサブ画像をビルドエリアに投影し、1回のプリント実行中にビルドエリア内で9つの個別の部品(つまり、物理的に接続されていない部品)をプリントすることができる。その場合、1台の画像プロジェクタが一連のサブ画像を投影し、各サブ画像が単一の部品のための1つの層を露光する。この例では、個々のオブジェクトはアレイ内の単一の画像プロジェクタを使用して作成されるので、アレイ内の異なる画像プロジェクタからのサブ画像を互いにつなぎ合わせる作業はそれほど複雑ではなく(例えば、エッジブレンディングは必要ない)、または全く必要ない。
【0102】
いくつかの実施形態では、上記のように、複数のオブジェクトが同時にプリントされ、個々のオブジェクトがアレイ内の単一の画像プロジェクタを使用してプリントされる。他の実施形態では、複数のオブジェクトが同時にプリントされ、複数の画像プロジェクタが単一のオブジェクトをプリントするために使用される。例えば、積層造形システムには2×4の画像プロジェクタのアレイを含めることができ、合計8つのサブ画像をビルドエリアに投影し、1回のプリント実行中にビルドエリア内で8つの個別の部品(つまり、物理的に接続されていない部品)をプリントすることができる。この例では、4台の画像プロジェクタを使用して個々の部品をプリントすることができる。この例では、個々のオブジェクトはアレイ内の複数の画像プロジェクタを使用して作成され、サブ画像を互いにつなぎ合わせる作業は多少複雑になる(例えば、一部のサブ画像のエッジブレンディングが依然として必要になる)。
【0103】
いくつかの実施形態では、同時にプリントされる個々のオブジェクト(すなわち、1つ以上のオブジェクト)はほぼ同一であるが、他の実施形態では、同時にプリントされる個々のオブジェクトは互いに異なる。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに説明するように、複数のオブジェクトが同時にプリントされ、積層造形システム内の画像プロジェクタ及び/または光学系は静止しているか、または移動している。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPRPSは、複数の光センサのセットを含むキャリブレーション器具をさらに含む。いくつかの実施形態では、光センサの各セットは、1つ以上のサブ画像に関連付けられ、センサのセットからの信号が、1つ以上のマイクロコントローラに供給されて、センサからの情報が処理され、その情報がフィードバックループでPRPSに提供されることによって、サブ画像が調整される(例えば、アラインメント、位置、強度、歪み、エッジブレンディング、及び/または本明細書で説明する画像補正または調整のいずれかが行われる)。いくつかの実施形態では、各セットの光センサは、それらが1つ以上のサブ画像の隅またはその近くの位置に並ぶか、あるいは一致するように配置される。
【0105】
いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具をPRPSに挿入して、画像投影システムから照明をいつでも(例えば、プリント実行の合間、プリント実行中、システムを初期設定するために(例えば、PRPS製造工場で)1回、またはメンテナンスのために定期的に)取り込むことができる。いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具によって提供されるアラインメント精度を向上させるために、キャリブレーション器具で使用される光センサは狭い視野を有する。
【0106】
本明細書に記載のシステム及び方法のいくつかの実施形態のいくつかの非限定的な実施例を示す。
実施例1:放射照度マスク
この実施例では、画像プロジェクタは、その投影エリア全体にわたって白一色の画像を出力し、(例えば、本明細書で説明するキャリブレーション器具によって)測定すると、左上隅のピクセルの明るさが視野内の他の場所よりも5%低くなる(つまり、放射照度が5%低くなる)。「焼き込みフィルタ」(つまり、放射照度をパターン的に、局所的に、または画像全体にわたって均一に減少させるか、または増加させるフィルタ)として機能する放射照度マスクが適用される。放射照度マスクは、白一色の画像に適用されると、画像全体にわたって均一な放射照度をもたらすために、画像内の他の場所にある100%の明るいピクセルを95%に下げる。
実施例2:反応性のばらつき
この実施例では、ガンマ補正を使用して、0~255のピクセル値を、レジンを硬化させるための反応性のアドレス可能な範囲に再マッピングする。これにより、利用可能なグレイスケールレベルの数が最大化され、本質的に正方形ピクセルベースの投影システムで生成される曲面または滑らかな表面からのエイリアシングアーティファクトを最小限に抑えるのに役立つ。さらに、PRPSに使用されるレジンが異なれば、一般に反応性曲線も異なる。この実施例で説明されるようなガンマ補正フィルタを異なるレジンごとに使用して、ばらつきを除去し、部品間の一貫性を向上させることができる。これは、PRPSが工業製造環境で効果的に動作できるようにするために有益である。
【0107】
非限定的な例のレジンの硬化深度と単位面積あたりのエネルギーとの関係は、図14に示す方法1400を使用して決定することができる。図14に示される方法1400は、図5A図5B及び式(1)~(7)に示す関係を、いくつかの実施形態に従って決定することができる方法を説明する。
【0108】
ステップ1410では、レジンのサンプルがPRPS内に配置され、PRPSは、特定の波長で特定の量のエネルギーをレジンサンプルに放射線照射するように命令される。次に、ステップ1420では、サンプルがプリンタから取り出され、ステップ1410で得られた硬化レジンの物理的厚さが測定される。十分な精度を提供する任意の測定法を使用して、ステップ1420では、硬化したレジンの厚さを測定することができる。レジンの厚さ測定方法の非限定的な一例には、比較測定を行うためのマイクロメータ(例えば、花崗岩表面を有するスターレットスタンドに取り付けられたもの)の使用が含まれる。このような方法では、硬化したレジンサンプルの厚さは、指定された荷重(または接触力)下でマイクロメータのプランジャチップを降下させ、チップを特定の時間安定させてから厚さを読み取ることによって測定することができる。レジンの厚さ測定方法の別の非限定的な例には、レーザ波長がレジン硬化波長窓の外側にあるレーザ測定デバイスの使用が含まれる。ステップ1410及び1420の結果は、硬化深度(D)及びエネルギー(E’)の単一のデータ点である。ステップ1430では、ステップ1410及び1420が所望のエネルギー線量範囲にわたって繰り返され、硬化深度(D)及びエネルギー(E’)のデータセットが作成される。
【0109】
ステップ1440では、ステップ1430で決定されたデータセットが式(1)の関係に当てはめられて、係数m及びbが決定される。この実施例のレジンの場合、mは40.0μm/(mJ/cm)に等しくなり、bは-105.0μmに等しくなる(この場合のb係数は負であり、図5Aの直線のy切片がx軸の下にあることを示すことに留意されたい)。実際のデータと導出されたデータセットとの関係は、最小二乗回帰分析を使用してテストして、相関係数を計算することができる。いくつかの実施形態では、R値の目標は0.95以上である。式(1)でレジンの係数を決定すると、利用されるエネルギーの特定の波長でテストした特定のレジンについて、PRPSで使用するための好適な作用関係が得られる。
【0110】
ステップ1450では、式(4)及び(5)におけるE’及びE’maxの2つの特定の関係が、ステップ1440で決定されたm係数及びb係数を使用して、上記のように式(1)から導出される。E’はレジンの基本的な特性であり、E’maxはレジンの硬化挙動と所望のプリントプロセスの仕様とによって影響を受ける。上記のm及びb係数を備えた本実施例のレジンの場合、E’は13.8mJ/cmである。この非限定的な例では、所望の硬化厚さは250μmであり、したがって、得られるE’maxの値は7150mJ/cmである。
【0111】
ガンマ調整プロセス1400の次のステップ1460は、所望のプリントプロセスの動作エネルギー範囲を制御システム動作範囲にマッピングする伝達関数を作成することである。E’~E’maxの範囲の対数エネルギー分布に分布する0~255の仮想入力エネルギー量子化範囲が与えられると、結果として得られるエネルギー関数は式(6)で与えられる。ここで、m=(255/E’max)、及びb=0である。
【0112】
図15A及び図15Bは、単位面積あたりのエネルギー(E’)とピクセル強度(L)との関係を示す。図15A及び図15Bのグラフは、y軸にmJ/cmの単位のln(E’)を有し、x軸にL(0~255の範囲)を有する。各グラフには3つの曲線が示される。この実施例では、曲線1510a~1510bは50ミクロンの層厚さ(すなわち、プリント部品の各層の厚さ)に対応し、曲線1520a~1520bは100ミクロンの層厚さに対応し、曲線1530a~1530bは250ミクロンの層厚さに対応する。対応して、曲線は、層が厚いほど、特定の入力値Lに対してより多くのエネルギーが必要であることを示す。硬化深度D=0を生成するのに必要な最小ln(E’)1540も図に示される。
【0113】
図15Aは、任意のガンマ補正が適用される前のE’とLとの関係を示す。ガンマ補正前のダイナミックレンジ(つまり、レジンによって達成できるピクセル強度の範囲)は制限されており、厚さ50ミクロン、100ミクロン、及び250ミクロンの層に対して、それぞれ範囲1550、1560、及び1570で示される。したがって、ガンマ補正を行う前は、ピクセル強度の全範囲(例えば、この例では0~255)を達成することはできない。換言すれば、ピクセル強度L及び/またはエネルギー密度E’の忠実度(または粒度)は制限される。さらに、層が薄いほど、必要な最大硬化深度Dp,maxに達するのに必要なエネルギーは少なくなるが、硬化深度D=0を生成するのに必要な最小ln(E’)1540は、厚い層でも薄い層でも同様である。その結果、より薄い層のダイナミックレンジは、一般に、より厚い層のダイナミックレンジよりもさらに小さくなる。
【0114】
図15Bは、上記のようにガンマ補正が適用された後のE’とLとの関係を示す。最小硬化深度D=0を生成するのに必要な単位面積あたりの最小エネルギーln(E’)1540は、現時点でL=0に対応する。さらに、最大硬化深度を達成するのに必要なエネルギーDp,maxは、L=255に対応する。換言すれば、上記のガンマ補正方法により、ピクセル値のダイナミックレンジ全体を達成することが可能になる(及び/またはピクセル値のより高い忠実度を達成することが可能になる)。図15Bはまた、この実施例では全ダイナミックレンジが全ての層厚さに対して達成可能であることを示している。
【0115】
場合によっては、PRPSは照明源を含み、照明源からの出力エネルギーパワーは、照明源への入力パワーの関数である。したがって、照明源への所与の入力パワーに対して単位面積あたりの所与のエネルギー(E’)を生成するのに必要な露光時間(Texp)を決定することが有用である。例えば、式(2)及び(3)の放射照度(Ir)は、照明源への入力パワー(pwm)の関数となり得、次の式で定義できる。
【0116】
【数8】
【0117】
ここで、C、C、及びCは定数である。そして、式10を式(3)に代入して、照明源への所与の入力パワー(pwm)に対して、単位面積あたりの特定のエネルギー(E’)を生成するのに必要な露光時間(Texp)を決定することができる。
キャリブレーションシステム及び方法
複数の画像プロジェクタ及びサブシステムを、PRPSなどの積層造形システムで共にグループ化して、上記のように3Dプリント部品のより大きなビルドエリアを生成することができる。複数の画像出力のキャリブレーション及びブレンディングを行って1つの合成画像にすることには、困難で非効率な場合がある。手動手段を使用して画像プロジェクタを機械的に位置合わせし、キャリブレーションを行って、複数のサブ画像を合わせて単一の合成画像に結合することができる。本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は、「ボトムアップ」型PRPS(例えば、図1A図1Gに示す)または「トップダウン」型PRPS(例えば、図16A図16Eに示す)をキャリブレーションするために使用することができる。本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法は、PRPSを(例えば、各プロジェクタ出力で)局所的に、かつ(例えば、バットエリアの全体範囲で)全体的にキャリブレーションするために使用されて、例えば、投影されたサブ画像の継ぎ目(またはオーバラップ領域)で許容可能なエッジブレンディングを有しつつも、十分に均一な放射照度が達成されることを保証することができる。例えば、複数のDLP画像プロジェクタを使用して、(例えば、「ボトムアップ」型PRPSまたは「トップダウン」型PRPSで)レジン槽またはバット内のビルドエリアに合成画像を投影するシステムは、両方ともローカルに(例えば、各DLP画像プロジェクタ出力で)、かつグローバルに、キャリブレーションすることができる。
【0118】
「トップダウン」型PRPSは、図1A図1Gに示されるシステムに関して逆になっている。このような「トップダウン」システムでは、照明源はレジンプールの上にあり(槽/バット内のレジン)、プリントエリアはレジンプールの上面にあり、プリントプラットフォームは各プリント層の間のレジンプール内を下に移動する。「トップダウン」型PRPSの例を図16Aに示す。別のタイプの積層造形システムは、バットベースのフォーマットと追加の材料をバット材料へ計量投入することとを組み合わせる。トップダウンまたは計量投入タイプのバットベースプリントでは、通常、ジョブ(またはプリント実行)中に3Dプリント層が一度に1層ずつバットに浸される。ジョブが完了すると、プラットフォームは3Dプリントされた部品をバットから持ち上げて取り出すことができる。通常、これらのプリンティングシステムでは、イメージング/光源が機械の上部に下向きに配置される。他のタイプの「トップダウン」型PRPSでは、光源は、(例えば、図16Aに)示されているものとは別の位置及び/または向きに配置することができ、ミラー(または光ファイバ、レンズなど)を使用して、光源からの光をレジンプールの上部に直接当てることができる。
【0119】
本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法は、(例えば、図16Aに示す)PRPSに統合されるキャリブレーションシステムとして、またはキャリブレーションのためPRPSに結合することができ、かつ切り離すことができる(例えば、図22Aに示す)モジュール式キャリブレーションシステムとして、実装することができる。本明細書に記載のモジュール式キャリブレーション器具は、モジュール式キャリブレーション器具の構成要素をPRPSの構成要素に機械的に結合することによって、またはモジュール式キャリブレーション器具の光センサ(複数可)が(例えば、マルチ画像平面またはビルドエリア内にある、その近くにある、それと一致している、またはそれと並んでいることで)画像プロジェクタからの光を検出できるような位置に(例えば、車輪またはキャスタ付きのカート上、あるいは専用のテーブルまたは支持フレーム上にある)スタンドアロンのモジュール式キャリブレーション器具を挿入することによって、PRPSに「結合」することができる。したがって、場合によっては、スタンドアロンのモジュール式キャリブレーション器具とPRPSとの間の物理的接触なしに、スタンドアロンのモジュール式キャリブレーション器具をPRPSに「結合」することができる。さらに、モジュール式キャリブレーション器具はPRPSに電気的に結合することができ、つまり、モジュール式キャリブレーション器具とPRPSとの間に有線または無線の電気的接続が確立され、それによってモジュール式キャリブレーション器具とPRPSとの間の通信が可能になる。例えば、PRPSは、有線または無線の電気的結合を介してモジュール式キャリブレーション器具と通信して、特定のモジュール式キャリブレーション器具がそのPRPSをキャリブレーションするものであることを識別することができる。統合されたモジュール式キャリブレーションシステムについては、本明細書でさらに説明する。
【0120】
本明細書に記載されるPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、本明細書に記載されるように、PRPSの複数の画像プロジェクタをキャリブレーションするために、手動及び/または自動システムを使用することができる。自動PRPSキャリブレーションシステムは、電気的結合(例えば、有線または無線)を使用して(例えば、コントローラ、プロセッサ、または任意の論理コンピューティングデバイス及びそれらの組み合わせを使用する)制御システムに結合される1つ以上のセンサを含む。PRPS及び/またはキャリブレーションシステムの1つ以上の構成要素は、制御システム(またはコントローラ、またはプロセッサ)に結合することができ、制御システム(またはコントローラ、またはプロセッサ)は、センサ(複数可)からの情報を使用して1つ以上の構成要素を制御することができる。例えば、1つ以上のレベルセンサまたは距離センサを、制御システム(またはコントローラ、またはプロセッサ)を介して1つ以上のレベリングモータに結合することができ、レベルセンサ(複数可)または距離センサからの情報を使用してモータを駆動し、それによってキャリブレーションシステムを自動的に水平にすることができる。別の例では、キャリブレーションシステムの1つ以上の光センサをPRPSの画像表示サブシステムに結合することができ、光センサからの情報を画像表示サブシステムが使用して、PRPSの1つ以上の画像プロジェクタを自動的に調整することができる。手動システムと自動システムとの使用にはトレードオフがある。自動化されたシステムは、手動操作を必要とするシステムよりも高価であり得るが、複数の画像プロジェクタの機械的パラメータ(例えば、焦点、位置、オーバラップ、強度、放射照度など)を手動で調整してそれらをキャリブレーションすることは、より手間を要し、時間がかかり、自動化された手段よりも精度が低くなる可能性がある。
【0121】
本明細書に記載されるPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、1つ以上の光センサ(例えば、画像プロジェクタ、カメラ、画像センサによって放出されるUV波長の光を検出できるUV光センサ、または画像プロジェクタによって放出される光を検出できる他のタイプの光センサ)を利用して、例えば放射照度平準化、歪み/スキュー補正、及び/またはサブ画像間のエッジブレンディングのために、1つ以上のイメージング源を手動または自動でキャリブレーションする。場合によっては、本明細書に記載のシステム及び方法の光センサは、複数のピクセルを含む画像を検出する画像センサ(またはカメラ)である。他の場合には、本明細書に記載のシステム及び方法の光センサは、光の強度を検出し、画像を検出しない光検出器(または光センサ、またはフォトダイオード)である。場合によっては、光センサ(複数可)は、1つ以上の光センサが複数の位置で1つ以上の画像プロジェクタからの光を検出できるように、キャリブレーションシステムに組み込まれたモーションシステムに結合される。場合によっては、光センサ(複数可)は、合成画像内のサブ画像と並ぶ位置、または一致する位置に配置することができる。光センサ(複数可)は、画像プロジェクタ(またはビルドエリア)の焦点面のすぐ上(または下)に配置することができ、または画像プロジェクタ(またはビルドエリア)の焦点面の1つ以上の場所に配置することができる。光センサ(複数可)は、1つ以上の画像プロジェクタ(または画像プロジェクタからの光の方向を変えるバウンスミラー)に面するように配置されることがある。
【0122】
光センサの位置が、光源(例えば、画像プロジェクタまたはバウンスミラー)と、光源からの光を検出できる向きでビルド平面(またはマルチ画像平面)内の位置とを結ぶ直線(または光路)上にあるとき、光センサはビルド平面内の位置に「並ぶ」と見なされ得る。光センサは、ビルド平面内の位置に合わせることができ、ビルド平面と同一平面上にあることがあり、ビルド平面の上にあることがあり(例えば、トップダウンPRPSでは光源に近い)、またはビルド平面の下にあることがある(例えば、トップダウンPRPSでは光源から遠い)。言い換えれば、光源とビルド平面とを結ぶ直線は、光源からビルド平面を越えて伸びることができ、光センサがビルド平面と光源との間に位置するビルド平面内の位置、またはビルド平面が光源と光センサとの間に位置するビルド平面内の位置に並ぶことができる。光が、光センサによって検出される前に、まずキャリブレーション表面(例えば、キャリブレーションプレート、またはキャリブレーションフィーチャ)で反射させる必要がある場合、そのような状況では、光センサは光源(例えば、画像プロジェクタまたはバウンスミラー)とビルド平面(またはマルチ画像平面)内の位置とを結ぶ直線(または光路)上にないため、光源はビルド平面内の位置と一致しているとは見なされない。いくつかの実施形態では、コントローラ、プロセッサ、及び/または制御システムは、光源及び光センサの幾何学的形状及び既知の位置を使用して、光センサの位置を、光センサと並ぶビルド平面内の位置に関連付ける計算を実行する。検出された光の強度がPRPSのキャリブレーションに使用される一部の例では、光源からの光強度は光源から離れるにつれて減少するので、コントローラ、プロセッサ、及び/または制御システムは、光源及び光センサの幾何学的形状及び既知の位置を使用して、調整された強度を計算することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、測定平面内のキャリブレーションシステムの1つ以上の光センサによって一連の測定値が取得される。測定平面は、ビルド平面と同一平面上にあることがあり、ビルド平面と同一平面上にないことがあり、ビルド平面に平行であることがあり、またはビルド平面と非平行であることがある。測定平面がビルド平面と平行でない場合、測定表面は、測定平面上の異なる点で、ビルドエリアの上、ビルドエリアの下、またはビルドエリアの上及び下の両方にあることがある。いくつかの実施形態では、平面ではない測定表面内のキャリブレーションシステムの1つ以上の光センサによって一連の測定値が取得される。測定表面は、測定表面上の異なる点で、ビルドエリアの上、ビルドエリアの下、またはビルドエリアの上及び下の両方にあることがある。
【0124】
本明細書に記載のキャリブレーションシステムの光センサ(複数可)はまた、光がキャリブレーションプレートまたはキャリブレーションフィーチャで反射することなく、画像プロジェクタ(あるいはバウンスミラー、フィルタ、レンズ、光ファイバ、または画像プロジェクタからの光の向きを変える、光にフィルタをかける、もしくは光を集束させる他の光学構成要素)からの光を検出するように配置することができる。そのような場合、本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は、キャリブレーションプレート(例えば、反射プレート、またはプロジェクタのキャリブレーションに使用される基準パターン、画像、及び/またはマーキングを備えたプレート)、キャリブレーションフィーチャ(例えば、反射フィーチャ、またはプロジェクタのキャリブレーションに使用される基準パターン、画像、及び/またはマーキング)、または成形フィーチャ(例えば、PRPSによって作成され、プロジェクタのキャリブレーションに使用される基準パターン、画像、及び/またはマーキング)を使用することなく、PRPSの1つ以上の画像プロジェクタのキャリブレーションを可能にする。キャリブレーションプレート(または他のキャリブレーションフィーチャ)から反射される光を使用して画像プロジェクタをキャリブレーションするシステムは、一般に、画像プロジェクタ、キャリブレーションプレート(またはフィーチャ)、及び/または光センサの間の座標変換を考慮する必要がある。キャリブレーションプレート(またはフィーチャ)から反射される光からの適切な反射角を確保するために、(例えば、キャリブレーションプレート(またはフィーチャ)及び/または光センサに対する)機械的調整もまた必要となる場合がある。場合によっては、本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法では、そのような座標変換及び/または機械的調整の必要性が減る(または無い)。キャリブレーションプレート(または他のキャリブレーションフィーチャ)から反射される光を使用して画像プロジェクタをキャリブレーションするシステムはまた、一般に不完全な反射による損失に悩まされるが、場合によっては、本明細書で説明するキャリブレーションシステム及び方法は、キャリブレーションプレート(またはフィーチャ)から反射される光を使用しないため、そのような反射損失の影響を受けない。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるキャリブレーションシステムの光センサ(複数可)は、PRPSの画像プロジェクタから投影されるサブ画像の1つ以上の画像を取り込むように構成されたカメラ(複数可)であり得る。場合によっては、カメラは、キャリブレーションプレートまたはキャリブレーションフィーチャから光が反射することなく、画像プロジェクタからの光を直接測定するように構成され得る。例えば、カメラがサブ画像全体または合成画像全体を一度に撮像できるように光学系(例えば、ミラー及びレンズ)を使用することができ、カメラによって取り込まれた画像からの情報を画像プロジェクタ(複数可)のキャリブレーションに使用することができる。別の例では、カメラは移動可能であってもよく、取り込まれた複数の画像を使用してサブ画像を測定するために複数の画像平面にわたって移動することができ、その後、カメラからの情報を使用して画像プロジェクタ(複数可)をキャリブレーションすることができる。別の例では、1つ以上のカメラを位置決めして、キャリブレーションプレート(例えば、反射プレート、またはプロジェクタのキャリブレーションに使用される基準パターン、画像、及び/またはマーキングを備えたプレート)、キャリブレーションフィーチャ(例えば、反射フィーチャ、またはプロジェクタのキャリブレーションに使用される基準パターン、画像、及び/またはマーキング)、または成形フィーチャ(例えば、PRPSによって作成され、プロジェクタのキャリブレーションに使用される基準パターン、画像、及び/またはマーキング)を撮像し、その後、カメラからの情報を使用して画像プロジェクタ(複数可)をキャリブレーションすることができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、焦点の合っていないサブ画像を検出すること、イメージングシステムのハードウェア故障を予測すること、及び/または画像プロジェクタ(またはPRPSの他の構成要素)の機械的なアラインメント不整(または公差の問題)を検出することができる。これらが修正されないと、最終的な3D部品の幾何学的形状に欠陥が生じる可能性がある。これらの問題を検出する機能により、PRPSはその問題を補償して、画像プロジェクタ(複数可)の焦点面(またはビルドエリア内)に焦点が合った、十分に均一で、十分に正確な合成画像を生成することができ、その結果、大規模な3Dプリント部品の成功した、十分に精密な製作物がもたらされる。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法により、画像プロジェクタの位置についての正確な事前知識がなくても、複数の独立したプロジェクタからのサブ画像をつなぎ合わせることが可能になる。例えば、1つ以上のプロジェクタが意図した(または設計された、または事前に決定された)位置からずれている場合、1つ以上の光センサ(例えば、キャリブレーション器具のエリア内で移動できる光センサ)を使用して、直接、プロジェクタ(複数可)からのサブ画像(複数可)の位置を決定することができる。光センサ(複数可)及び(本明細書で説明される)画像プロジェクタに結合された表示サブシステムは、光センサ(複数可)から信号を受信し、光センサ(複数可)からの情報を含む信号を処理し、次いで、サブ画像(複数可)の意図された位置と比較して、サブ画像(複数可)の実際の位置が異なることを補償するための命令を画像プロジェクタ(複数可)に送信する。このようなアラインメント不整は、様々な要素間(例えば、画像プロジェクタ(複数可)とバット内のビルドエリアとの間)の位置の誤差の蓄積を引き起こす公差の積み重ねに起因して、PRPSで発生する可能性がある。他の例では、1つ以上のサブ画像のパラメータ(例えば、位置、サイズ(またはズーム量)、強度、強度分布、放射照度、放射照度分布、焦点、エッジブレンディングパラメータ、スキュー、歪み、ガンマ、コントラスト比など)が、キャリブレーション器具の光センサ(複数可)によって感知され、次に、表示サブシステムが、それらのパラメータの1つ以上に関する情報を処理し、サブ画像(複数可)の意図されたパラメータ(複数可)と比較して、サブ画像(複数可)の異なる実際のパラメータ(複数可)を補償するために、画像プロジェクタ(複数可)に命令を送ることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法を使用して、PRPSの複数の画像プロジェクタまたは他のイメージングデバイス(例えば、LCDスクリーン、またはLEDスクリーン)をキャリブレーションすることができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、様々な時間間隔(例えば、1日1回、または毎回のプリント実行前、1週間に1回、1月に1回など)でPRPSをキャリブレーションすることによって、画像プロジェクタ(複数可)がそのアラインメントを維持することを可能にし得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、(例えば、画像プロジェクタの故障のため)プロジェクタが交換された後のプロジェクタのキャリブレーションを可能にし得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、プロジェクタの故障を検出するために、またはその寿命が終わりに近づいているプロジェクタを予測するために使用されて、プロジェクタを交換する準備ができているかどうか、及び/またはいつ交換するかを決定することができる。
【0132】
一部の例では、キャリブレーションシステム(光センサ(複数可)を備えたキャリブレーション器具を含む)がPRPSに組み込まれる。一部の例では、キャリブレーション器具はモジュール式である。一部の例では、キャリブレーション器具は、PRPSの一部である別のシステムの一部である(例えば、バットベースのDLPプリンティングシステムにおいてバット全体を掃引するリコータアセンブリ)。
【0133】
一部の例では、キャリブレーション器具は、合成画像を形成する1つ以上のサブ画像(複数可)を走査する可動キャリッジ(または光センサの移動を可能にする他のシステム)に結合された光センサを含む。次に、キャリブレーションシステムは、本明細書で説明されるPRPSの画像プロジェクタ(複数可)、及び画像プロジェクタ(複数可)によって形成される合成画像を最適化するために、異なる位置(例えば、焦点面またはビルドエリア内、あるいは焦点面またはビルドエリアに隣接する位置)で光センサ(複数可)によって感知されたデータを収集し得る。
【0134】
PRPSのキャリブレーション方法には、PRPS(または他の3Dプリンティングシステムもしくは積層造形システム)を分析してキャリブレーションするために、1つ以上のイメージング源向けである(またはいくつかの実施形態では、レジンバット向けである)光センサ(例えば、UV光センサ)を特徴とするモーションシステムを使用することが含まれ得る。
【0135】
サブ画像の継ぎ目(またはオーバラップ領域)にわたって光センサクラスタを掃引(または走査、または移動)するプロセスを(例えば、ある方向に沿って帯状に)繰り返すことで、(例えば、合成画像内のサブ画像間の継ぎ目にわたる)ビルドエリア全体のUV強度(または放射照度)の変化を特徴付けることができる。表示サブシステムは、特にオーバラップするサブ画像から形成される合成画像の場合、光センサからの情報を使用してサブ画像の位置(複数可)を調整して、継ぎ目でのエッジブレンディングを最適化することもできる。表示サブシステムは、このUV強度(または放射照度)の変化を使用して、マルチ画像平面(または合成画像)全体にわたってプロジェクタからプロジェクタへの放射照度の変動をマッピングすることもできる。マッピング後、放射照度を調整しまたは補正して(例えば、画像プロジェクタごとに)、「スティッチ」(または継ぎ目、またはオーバラップ領域)全体及びマルチ画像平面(または合成画像)全体にわたって均一な放射照度を実現することができる。マルチ画像平面は、合成画像がレジン(またはレジンの領域)に投影されて反応し、オブジェクトの層を形成する平面である。各プロジェクタからのサブ画像は、マルチ画像平面上に焦点を合わせられ、マルチ画像平面に位置合わせされ、あるいは本明細書で説明するキャリブレーションシステム及び方法を使用して補正され得る。2台以上の画像プロジェクタを備えたPRPSに対して、その場で(例えば、PRPSに組み込まれたキャリブレーションシステムを使用して)画像プロジェクタをキャリブレーションすること(プロジェクタ間の放射照度の正規化を含む)は、現場でのプロジェクタの交換を可能にするという点で有利である。例えば、場合によっては、画像プロジェクタを交換することができ、本明細書で説明するキャリブレーションシステム及び方法は、合成画像の最適化されたエッジブレンディング及び均一な放射照度を達成するために、多くの時間と労力とを要する機械的調整の必要性を軽減することができる。
【0136】
本明細書で説明するPRPSキャリブレーションシステム及び方法により、システムが、プロジェクタと、プロジェクタと投影されたサブ画像とのオーバラップ(及びブレンド)とを直接精査することが可能になる。光センサが移動ステージ上にあるシステムでは、光センサは、1つの投影されたサブ画像から別のサブ画像へのブレンド(またはオーバラップ領域)を横切って掃引する場合がある。そのような場合、光センサ(複数可)(例えば、UV光センサ(複数可))は、焦点面(つまり、プロジェクタから離れた焦点距離にある)に配置されたX-Yデカルトシステムに乗ることができ、またはビルドエリアと並ぶか、もしくはビルドエリアと一致する平面に沿って配置され得る。光センサクラスタは、光センサ(複数可)への光(例えば、UV光)の量及び/または受光角度を制限するための小さな開口ホール(例えば、10ミクロン、または10ミクロン未満、または500ミクロン、または500ミクロン未満、または1ミクロン~100ミクロンの直径を有する)を含むマスクを備えた1つ以上の光センサを有することができる。
【0137】
場合によっては、PRPSキャリブレーションシステムのUV光センサ(複数可)は、ある方向に沿って、投影されたサブ画像の「白いスクリーン」を横切って掃引され、位置(または時間)の関数としてのUV強度(または放射照度)の変化がキャプチャされる。「白いスクリーン」は、PRPS内の画像プロジェクタのそれぞれが均一な画像を投影しようとすることによって生成される。均一なコンテンツは、キャリブレーション器具の光センサによって検出されるのに十分な強度の均一な画像を投影しようとする各画像プロジェクタに提供される。場合によっては、均一な画像は明るい強度を有する(例えば、最大放射照度の50%を超える、または最大放射照度の90%を超える)。他の場合には、キャリブレーションされるPRPSの属性に応じて、白いスクリーンの代わりにテストパターンを使用することがある。次に、キャリブレーションシステムの光センサによって収集された情報は、プロセッサ(例えば、画像表示サブシステム、またはPRPSとインターフェースするキャリブレーションシステムの専用プロセッサ)によって解釈され、投影されたサブ画像の不均一性を補正するために使用することができる。例えば、サブ画像がオーバラップしている領域、または1つのプロジェクタから他のプロジェクタへの放射照度が異なる複数のサブ画像にわたる光センサからの情報を使用して、サブ画像間のエッジブレンディングパラメータを補正し、合成画像内のサブ画像間の全体的な強度をキャリブレーションすることができる。
【0138】
本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、システムの1つ以上の画像プロジェクタのコントラスト比の測定、特性化、及び/または監視を行うこともできる。例えば、DLP投影システムでは、DLP画像プロジェクタのコントラスト比の性能が、意図しない投影エリアの残留硬化の程度に影響を与える。コントラスト比は、「黒画像の白さ」とも称され得る、(画像プロジェクタから投影された)ピクセルの暗状態、またはピクセルがオフになっているはずのときに透過する残留UV光に依存する。本明細書で説明するPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、例えば、黒色(または最低の強度もしくは放射照度)画像を投影しているときに、サブ画像投影ゾーン全体にわたって光センサクラスタを掃引することによって、かつ白色(または最高の強度もしくは放射照度)画像を投影しているときに、サブ画像投影ゾーン全体にわたって光センサクラスタを掃引することによって、プロジェクタ間のコントラスト比の違いをマッピングすることを可能にする。これは、特にサブ画像の継ぎ目(またはオーバラップ領域)にわたって行うことができる。コントラスト比情報は、プロセッサ(例えば、画像表示サブシステム、またはPRPSとインターフェースするキャリブレーションシステムの専用プロセッサ)によって解釈され、投影されたサブ画像の様々な不均一性を補正するために使用され得る。場合によっては、コントラスト比の変動がマッピングされると、コントラスト比の偏差が大きい(例えば、補正されていない)継ぎ目(またはオーバラップ領域)を避けるために、ビルドトレイ上でプリントされることになる3D部品の最適な配置を決定するために使用することができる。コントラスト比マップは、PRPSの寿命にわたって監視して、イメージング源の潜在的な故障を判断しまたは予測することもできる。
【0139】
本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法の光センサ(複数可)は、(画像プロジェクタ(複数可)に面する代わりに)レジンバットに面するように配向させてもよく、PRPSシステムの情報を収集するために使用することができる。例えば、リコータシステムを含むPRPSシステムでは、バット内のレジンの上面に面するリコータシステム上の1つ以上の光センサ(複数可)を使用して、プリント時の標準的なリコーティング動作中に有用なデータを収集することができる。レジンバットに面した1つ以上の光センサを使用して、デブリのスキャン(または「クイックスキャン」)を実行し、またはUV光エネルギーが存在しないと想定されているときに、(例えば、PRPSの継ぎ目から迷光が差し込んだ場合、またはPRPSのドアが半開きの場合に)普通でないUV光の異常を検出することができる。UV及び/または他の波長に敏感な1つ以上の光センサをレジンバットに向けて、レジン上部表面の異常を検出することもできる(例えば、過剰な気泡、破損した部品片、バグなどの検出)。
【0140】
本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法の光センサ(複数可)は、PRPSの状態を監視するために使用することもできる。例えば、機械のドアが開閉した場合、光センサが変化(例えば、検出される光の総量の変化、またはドアから遠い位置にある他の光センサと比較してドアの近くに配置された1つ以上の光センサによって検出される光の変化)を検出し、プロセッサはその情報を使用して、ドアの開口部が「予期しない状態」であるかどうか(例えば、プリント実行中またはキャリブレーション動作中に開いたドアによりPRPSがUV光に露光されたかどうか)を判定することができる。このような情報は、PRPSのユーザインターフェースにフィードバックされて、オペレータまたは技術者に(例えば、プリントジョブまたはキャリブレーション動作が危険にさらされている可能性があると)警告することができる。
【0141】
本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法は、可動構成要素の動作パラメータに対するさらなる閉ループ制御を可能にするために、可動構成要素上(例えば、センサクラスタ及び/またはキャリッジ上)に動作センサ(例えば、加速度計、距離センサ、速度センサ、または動きを検出できる、及び/または構成要素が動いていること、もしくは動いたことを検出できる他の種類のセンサ)を含むこともできる。動作センサからの情報は、キャリブレーションシステムの構成要素(例えば、光センサ)の動きの精度及び再現性を確立するために使用され得る。このような感知された情報は、キャリブレーションルーチン(または本明細書で説明される他の重要なルーチン)を監視し(及び/または制御し)、キャリブレーションルーチンの精度を向上させるために使用され得、それによってPRPSからの3Dプリント部品の品質及び精度を向上させることができる。例えば、閉ループ位置フィードバック制御、閉ループ速度フィードバック制御、及び(例えば、PIDループ運動制御などを利用する)他の閉ループ運動制御システムを使用して、本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法を制御することができる。例えば、閉ループフィードバック制御は、空気圧を利用するキャリブレーションシステム内のサブシステムで使用され得る。例えば、閉ループフィードバック制御は、レベリング、キャリッジ動作制御、またはセンサを(例えばアクチュエータを介して)所定の位置に移動させるために空気圧ステージを移動させるのに圧力が使用されるとき、圧力を制御するために使用することができる。圧力サブシステムに閉ループフィードバック制御を使用することは、キャリブレーションシステム内のアクチュエータの動作、バルブの位置、流量などのパラメータ(例えば、運動パラメータ)を制御するのに役立ち得る。閉ループフィードバック制御を使用して調整できる運動パラメータの例としては、アクチュエータの加速度、アクチュエータの速度、アクチュエータの排気流などがある。場合によっては、施設内の気圧がキャリブレーションシステムに適切であるかどうかを判断するために、圧力が監視されてもよい。施設の気圧が不十分な場合、警報メッセージが表示され(及び/またはユーザ(複数可)に送信され)、及び/またはそれに応じてキャリブレーションシステムがプロセス(例えばキャリブレーションルーチン)を停止することができる。本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法を制御するために使用できるPRPS用の閉ループ制御システムについては、米国特許第10,647,055号にさらに記載されている。この米国特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法の1つ以上の光センサは、照明の強度を検出するが空間情報を検出しない1つ以上の光センサであってもよく、及び/または、検出された光の強度及び空間情報を提供する1つ以上のカメラであってもよい。本明細書で説明されるキャリブレーションシステム及び方法は、コンピュータビジョンを利用して、検出された情報を分析することもできる。場合によっては、1つ以上の光センサは、PRPSの下部(またはバット内のレジンの表面付近(または表面))に配置されるか、または上部(または「天井」)に配置される1つ以上のカメラである。1つ以上の光センサ(またはカメラ)は、キャリブレーションルーチンにおいて光センサ(またはカメラ)の視野を照明源及び/または合成画像のサブ画像と相関させるために、使用することができる。
【0143】
PRPSキャリブレーションシステムの光センサ(複数可)は、自動的に移動(またはスキャン)する代わりに、手動で配置する(例えば、固定位置に、または手動で異なる位置に移動させる)こともできる。場合によっては、光センサ(複数可)を手動で配置し、手動で読み取ることもできる。光センサ(複数可)を手動で配置して手動で読み取ることもでき、次いで、場合によっては、その情報を使用して画像プロジェクタを手動でキャリブレーションすることもできる。場合によっては、本明細書に記載のシステムを使用してPRPSキャリブレーションを達成するために、手動プロセス、または手動プロセスと自動プロセスとの混合を行うことがある。ただし、手動と自動とのキャリブレーションシステム及び方法の間にはトレードオフがある。
【0144】
本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は、バットベースの形式と、バットを満たすバット材料上への追加材料の計量投入とを組み合わせる代替の積層造形システムでも使用することができる。例えば、バット材料は、光開始剤を含まないレジンベース材料であってもよく、(例えば、インクジェットプリンティング、サーマルインクジェットベースの技術、ピエゾベースのジェッティング技術を使用して、または追加の材料を計量投入するためにシリンジ型ポンプを使用して)バット材料の表面に堆積される追加の材料は光開始剤であってもよい。次いで、バット全体をUV光に曝露すると、光開始剤が堆積した領域のみが重合する。したがって、UV光は、ブランケット照明(バットの表面全体を一度に露光する)、ページ全体の照明(例えば、バット全体のエリアをカバーするためにバット全体にわたってスキャンされる)、または2次元(またはそれ以上)で移動してバットエリア全体をスキャンする照明源にすることができる。作成される部品の層を形成するための重合成分が互いに分離されているバット材料の第1の組成物上に第2の組成物を堆積させること、及び重合成分の少なくとも1つが第1の組成物または第2の組成物に含まれるバット材料の第1の組成物上に第2の組成物を堆積させることなど、他のタイプのバット材料及び/または堆積材料を使用することもできる。計量投入された材料を用いたバットベースの積層造形を含むシステム及び方法は、米国特許第11,110,650号にさらに記載されている。この米国特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は、(例えば、インクジェットプリンティング、サーマルインクジェットベースの技術、ピエゾベースのジェッティング技術を使用して、または追加の材料を分配するためにシリンジ型ポンプを使用して)バットベースの形式と、本明細書に記載の追加材料の計量投入とを組み合わせる代替積層造形システム用の光源(複数可)をキャリブレーションするために使用することができる。キャリブレーションプレートの光センサ(複数可)は、(例えば、バットの上に配置される)バット内の材料を照明するように構成された照明源(例えば、本明細書で説明する「グローバル照明装置」、ページワイド照明光源、または移動照明源)をキャリブレーションするために使用することができる。光センサ(複数可)は、照明源に向けられ(または光源からの照明を方向付け、フィルタリングし、または集束させるバウンスミラー、フィルタ、レンズ、または他の光学構成要素に向けられ)、バットエリア全体を掃引して、ビルドエリア全体にわたる照明源の均一性を検査することができる。不均一な場合は、ビルドエリア全体にわたって均一な光源を維持するために不均一性を補償するように照明源を補正することができ、最終的には部品全体で均一な硬化が得られ、部品の精度が向上する。他の場合、例えば補償が利用できない、または使用されない場合、プリントすべき部品は、より均一な放射照度を示すエリアまたは領域に配置することができる。
【0146】
さらに、本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は、バットベースの形式と本明細書に記載の追加材料の計量投入とを組み合わせる代替積層造形システムにおいて、ノズルまたは液滴の位置を位置合わせし/キャリブレーションするために使用することができる。このような場合、光センサをレジンの表面に向けて、追加の材料からの光を検出(または画像化)することができる。例えば、追加の堆積材料はマーカであってもよく、マーカは、レジンの反応(例えば、重合)を引き起こさないが、マーカの蛍光を引き起こす光の波長で照明され得る。光センサ(複数可)は、マーカに向けて(つまり、バットに向けて)、バットエリア全体を走査して、堆積されたマーカのアラインメント(つまり、堆積されたマーカの位置、量、及び/または種類)を分析することができる。光センサ(複数可)によってキャプチャされたデータは、計量投入ヘッド(例えば、ノズルジェットを含む)のアラインメント不整、または計量投入された材料(例えば、液滴)の軌道及び/または計量投入位置の問題を補償し、または補正するために使用することができる。キャプチャされたデータは、ノズルが適切に機能していないときを判断するために(例えば、ノズルが故障したかどうか、またはノズルの健全性チェックの結果を監視するために)使用することもできる。一例では、計量投入された(例えば、噴射された)マーカ材料は、UV光に曝露されると硬化するのではなく、蛍光を発するような、光開始剤を欠く材料であり得る。場合によっては、マーカ材料は、UV光にさらされたときにやはり光開始剤を欠く任意の色の染料または他の材料(すなわち、任意の種類の「配向剤」)を含むこともできる。
【0147】
さらに、本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は、レーザベースのステレオリソグラフィ(SLA)積層造形システムのための1つ以上のレーザ光源をキャリブレーションするために使用することができる。レーザベースのSLA積層造形システムでは、レーザ検流計の画像変形の補正は、実際のイメージング位置を理論上の位置にマッピングするキャリブレーションプロセスを通じて行われる。これには通常、プリンタのビルドエリア全体をカバーするキャリブレーションテンプレートが含まれて、実際の位置と理論上の(または意図された)位置との差を計算する。例えば、このようなキャリブレーションテンプレートは、レーザベースの照明システムで使用されるミラーを制御する検流計に関連する放物曲線誤差を補正するために使用できる。しかしながら、キャリブレーションプレート(またはキャリブレーションマーク)を使用した積層造形システムのキャリブレーションは、本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法を使用したキャリブレーションと比較して、(本明細書に記載のような)いくつかの欠点を有する可能性がある。
【0148】
本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法は、レーザベースのSLA積層造形システムの、レーザ光源(複数可)、またはレーザからの光をビルドエリアにリダイレクトするバウンスミラー、またはレーザからの光をビルドエリアに収束させるレンズ、に直接向けられる(例えば、ビルドエリアと並んでいる、またはビルドエリアと一致して配置されている)1つ以上の光センサを含むことができる。光センサは、(例えば、走査、または本明細書に記載される他のシステム及び方法を使用して)光を検出し、次いで、検出された情報を使用して、レーザ光源からの光の1つ以上の特性(例えば、強度、位置、焦点、レーザスポット形状または他の特性)をキャリブレーションすることができる。
光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)キャリブレーションシステム及び方法の例
図16A図16Eは、複数の画像プロジェクタ(これらの例では6台のプロジェクタ)、及び1つ以上の光センサを備えたキャリブレーション器具を備えた「トップダウン」型PRPSの例を示す。これらのPRPSのキャリブレーション器具内の光センサ(複数可)は、キャリブレーション面(例えば、キャリブレーションプレート、キャリブレーションフィーチャ、またはビルドエリアと並ぶ、一致する、または隣接する他の面)から反射された光を検出するように配置されるのではなく、画像プロジェクタ(または画像プロジェクタからビルド平面への光を方向転換する、フィルタリングする、または集束するバウンスミラー、フィルタ、レンズ、またはその他の光学構成要素)から直接放出される光を検出するように配置される。場合によっては、光がビルド平面に到達する前に、キャリブレーション器具の光センサ(複数可)が画像プロジェクタからの光を収集することがある。
【0149】
図16Aは、いくつかの実施形態による、6台の画像プロジェクタ1610を備えたPRPS1600の例を示す。いくつかの画像プロジェクタの投影経路(例えば、投影経路1620)は、マルチ画像平面1630(または合成画像平面)に入射するように示されている。マルチ画像平面は、図示のサブ画像1631などのサブ画像で構成されている。キャリブレーション器具のセンサ(複数可)(図16B図16Dに示す)は、画像プロジェクタ1610から光(例えば、UV光)を検出するために、マルチ画像平面1630に(またはその近くに、またはそれに隣接して、またはその上に、またはその下に)配置される。2つのZモータ1640a及び1640b(図16Bに示す)は、例えば、マルチ画像平面1630に(またはその近くに、またはそれに隣接して、またはその上に、またはその下に)位置するようにセンサ(複数可)を移動させるために、キャリブレーション器具のセンサの位置をZ方向で変更することができる。他の場合には、高さ(Z方向)の移動に3つまたは4つのZモータを使用できる。レジンを保持するバット1660も示されている。本明細書に記載されているように、ビルドエリアはバット1660内のレジン内にある。キャリブレーション器具の光センサ(複数可)は、光センサによって検出された光を、画像プロジェクタに情報を提供する画像表示サブシステムを使用して(例えば、画像表示サブシステムの一部であるプロセッサを使用して)処理し、画像プロジェクタの1つ以上のパラメータ及び/または画像プロジェクタからのサブ画像を調整してPRPSをキャリブレーションすることができるように、ビルド平面に並ぶように、またはビルド平面と一致するように配置される。例えば、1つ以上の画像プロジェクタの1つ以上の機械パラメータ(例えば、焦点、位置、ズーム、オーバラップ、強度など)、及び/または1つ以上のサブ画像の1つ以上のパラメータ(例えば、位置、サイズ(またはズーム量)、強度、強度分布、放射照度、放射照度分布、焦点、エッジブレンディングパラメータ、スキュー、歪み、ガンマ、コントラスト比など)を調整して、PRPSをキャリブレーションすることができる。本明細書で説明する任意のサブ画像パラメータは、本明細書で説明するPRPSキャリブレーションシステムを使用して検出し、調整することができる。
【0150】
図16Bは、PRPS用のキャリブレーション器具1601でもあるリコータシステムの例を示す。図16Bのいくつかの構成要素は、図16Aに示したものと同じである。いくつかの実施形態によれば、キャリブレーション器具1601は、センサクラスタ1650を備えたリコータブレードアセンブリ1670を含む。キャリブレーション器具のないリコータシステムは通常、次の層が露光される前に、以前に露光された層の上にほぼ均一な厚さのレジンが確実に堆積されるリコーティングプロセスで使用される。リコーティングプロセスは様々な方法で実行できるが、一般的にはプリント可能(またはビルド)エリアの1つの軸に沿ってブレードが掃引(またはスキャン)することで構成される。意図した結果は、レジンレベルより1層分の厚さだけ下にある事前に露光された層を備えた、レジンバット全体にわたる一貫したレジンレベルである。次の層を露光する前に、前にプリントした層の上のレジンの厚さにばらつきがあると、プリント欠陥が生じる可能性があり、リコータは、そのような欠陥の発生及び/または重大度を軽減できる。この例では、キャリブレーション器具1601は、(図示のように)X、Y、及びZ軸に移動可能なキャリッジ上のセンサクラスタ1650(例えば、単一または複数のUV光センサ)を含むリコータブレードアセンブリ1670を含む。図16Bは、「センサ運動」方向1690a(+/-X方向)に沿って移動することができ、キャリッジが「リコータ運動」方向1690b(+/-Y方向)に沿って移動できるセンサクラスタ1650を示しており、センサクラスタ1650が図16Aに示されるマルチ画像平面1630を横切って掃引され得るようにする。キャリッジはまた、例えばZモータ1640a及び1640bを使用して水平にし、Z方向に沿って移動させて、センサ(複数可)を画像プロジェクタの焦点面(またはPRPSのビルドエリア)の内外に移動させることができる。キャリッジ(及びキャリッジに結合されたセンサクラスタ1650)は、(例えば、リコータブレードアセンブリに組み込まれているが図16Bでは見えない、リニアモータである、Xモータを使用して)センサ運動方向1690aに移動することができ、キャリッジは、(例えば、Yリニアステージ1680a及び/またはY’リニアステージ1680bに埋め込まれ、図16Bでは見えない、1つ以上のYモータを使用して)リコータ方向1690bに沿って移動することができる。Zモータは、キャリッジ(及びセンサクラスタ1650)を水平にすること、及びキャリッジをZ方向に移動させることもできる。
【0151】
この例では、センサクラスタ1650は、イメージング源に向けられ、結像面(すなわち、マルチ画像平面1630、合成画像平面、またはビルドエリア)全体(またはその一部)にわたって掃引されて、焦点、サブ画像間のアラインメント及び/またはエッジブレンディング、放射照度の均一性、及び本明細書に記載されるサブ画像の他のパラメータ(例えば、歪み及び/またはスキュー)に関連する情報を決定することができる。センサクラスタのセンサ(複数可)は、表示サブシステムに結合することができ、表示サブシステムは、収集されたデータを使用して、キャリブレーション、焦点の最適化、放射照度補正の実行、及び/または本明細書に記載のサブ画像の任意のパラメータの調整を行い、それによってシステムによって製造される3Dプリント部品の精度と品質を最適化することができる。
【0152】
図16Cは、いくつかの実施形態による、X軸に沿って分散された複数の光センサ1652を備えるキャリブレーション器具1602でもあるリコータシステムの例を示す。図16Cのいくつかの構成要素は、図16A及び図16Bに示される構成要素と同じである。この場合、複数の光センサ1652は、センサのX軸運動が必要とされないように、X軸にわたって配置される。代わりに、リコータは+/-Y方向に移動して、センサがサブ画像の境界領域などの合成画像を分析できるようにする。
【0153】
いくつかの実施形態では、センサクラスタは、X方向及び/またはY方向に沿って分散された複数のセンサを含むことができ、X方向及び/またはY方向におけるある程度の移動は、依然として、PRPSのエリア(焦点面またはビルドエリアなど)全体にわたって複数のセンサを走査させるために使用される。
【0154】
いくつかの実施形態では、PRPSは、それぞれが1つ以上の光センサを含む複数のセンサクラスタを含むことができる。各センサクラスタは、協調して(例えば、共有移動システムを使用して)、または独立して(例えば、各センサクラスタが他のセンサクラスタとは独立して移動できるように、各センサクラスタが移動システムに結合されて)、PRPSのエリア(例えば、焦点面またはビルドエリア)全体にわたってスキャンすることができる。
【0155】
図16Dは、いくつかの実施形態による、単一軸のセンサバー1654に沿って分散された4つの光センサを備えるPRPS用のキャリブレーション器具1603の別の例を示す。この例のキャリブレーション器具1603は、合成画像へのスティッチングを必要とする2台の画像プロジェクタを備えたシステムをキャリブレーションする(例えば、オーバラップするサブ画像(図16Dのサブ画像1 1632a及びサブ画像2 1632b)を投影する)ために使用することができる。サブ画像1 1632aは、第1の行及び第3の行の隅を含み、サブ画像2 1632bは、第2の行及び第4の行の隅を有する。この場合、4つの光センサ1656がセンサバー1654上に配置される。現在の例は、隅付近の光を検出するために、センサバー1654の端部に向かって配置された光センサ1656を示す。他の実施形態では、光センサ1656は、センサバー1654に沿って他の方法で、(例えば、キャリブレーションされるPRPSの構成に応じて)例えば均等に分散させることができ、または他の位置に集中させることができる。センサバー1654は、矢印で示されるように、2つのサブ画像の第1の行の隅に、次に第2の行の隅に、続いて第3の行の隅に、そして最後に第4の行の隅に(例えば、モータを使用して)移動させることができる。図16Dは、合成画像を形成する2つの投影されたサブ画像にわたって移動するセンサバーの単一軸の動きを示す。本明細書でさらに説明するように、センサはまた、行の隅にわたって走査して、サブ画像のそれぞれについての強度(または放射照度)対位置情報(例えば、サブ画像の隅の位置)を生成することもできる。
【0156】
図16Eは、PRPSの1つ以上の構成要素が機械的に水平でない場合を示す。この場合、バット1660が置かれる床1695は水平ではなく、そのため、バット1660のレジン表面と水平になるように意図されているPRPSの一部の構成要素(画像プロジェクタ1610a及び1610b、ならびにキャリブレーション器具1604を備えたリコータシステムを含む)が、床1695との水平度が不足していることにより、3Dプリンタフレームの他の部分に対して傾斜してしまう。その結果、リコータブレードアセンブリ1670(及びキャリブレーション器具1604を備えたリコータシステムのセンサ(複数可))が移動する平面は、バット1660のレジン表面の平面とずれてしまう。キャリブレーション器具1604を備えたリコータシステムのZ方向調整機能(例えば、図16B及び図16CのZモータ1640a~1640b及びYリニアステージ1680a~1680bに対応するリニアステージ及びZモータ1642a~1642bを使用)により、センサクラスタが3D空間を移動して、レジンの上面との水平性を維持する(またはマルチ画像平面から一定の距離を維持する)ことができるため、2D平面だけでなく3D平面でのキャリブレーションも可能になる。場合によっては、バット1660(またはマルチ画像平面、例えば図16Aの1630)と水平となる角度(または移動面)を維持するために、いずれのセンサも3Dプリンタのフレームに対してある角度をなしていてもよい。いくつかの実施形態では、マルチ画像平面はレジンの表面と同じ高さであり、これは「真のレベル」(すなわち、重力によって決定されるレベル)とほぼ同じ高さである。
【0157】
図16Aは、6台の画像プロジェクタ1610を示す。画像プロジェクタの一部(図16Aの1610及び図16Eの1610a)(「上部プロジェクタ」)はバットに直接向けられているが、画像プロジェクタの一部(図16Aの1610及び図16Eの1610b)(「サイドプロジェクタ」)は、バウンスミラー1612を使用して、プロジェクタからの光をバット1660に向け直す。例えば、図16Eに示すPRPSでは、6つの画像プロジェクタが存在することができ、そのうちの4つは直接バットに向けられた上部画像プロジェクタ1610aであり、そのうちの2つは、図16Aに示す構成と同様に、それぞれバウンスミラー(例えば、バウンスミラー1612)を使用してバットに光の方向を変えるサイド画像プロジェクタ1610bである。他の場合では、PRPSは6台より多いか、または少ない画像プロジェクタを有することができ、それぞれが上部プロジェクタまたはサイドプロジェクタ(バウンスミラーを使用)として配向させることができ、本明細書に記載されるキャリブレーションシステム及び方法を使用してPRPSをキャリブレーションすることができる。したがって、これらの例における光センサ(複数可)は、「上部プロジェクタ」の場合には画像プロジェクタ1610a~1610bに向けられ(または面し)、「サイドプロジェクタ」の場合にはバウンスミラー1612に向けられる(または面する)。いずれの場合も、センサ(複数可)は、PRPSによって形成されたキャリブレーション面(例えば、キャリブレーションプレート、キャリブレーションフィーチャ、またはビルドエリアと並ぶ、一致する、または隣接する他の面)またはキャリブレーション構造から反射された光を検出するように配置されるのではなく、画像プロジェクタ1610aか、または画像プロジェクタ1610bからの光をバット1660(またはマルチ画像平面またはビルド平面)に向け直すバウンスミラー1612かに向けられる。1つ以上の光センサが、投影される光の光源に直接向けられ、キャリブレーションプレートが必要ないため、キャリブレーションプレートを使用する方法と比較して、キャリブレーション手順を実行するために整列させる必要のある構成要素が少なくなる。
【0158】
本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、例えばプロジェクタの焦点結像面がレジン上面と完全に平行ではないために、合成画像全体にわたる全体的な放射照度をキャリブレーションすることもできる。繰り返すが、バットレジン表面は、床の水平度に基づいて、プロジェクタを含む3Dプリンタの残りの部分に対して傾斜する可能性がある。このため、一部のプロジェクタは他のプロジェクタよりも物理的にレジンの上面に近くなる。例えば、図16Eは、最も右側のプロジェクタ1610が、左側のものよりもレジンの上面に物理的に近いことを示している。この場合、センサクラスタは合成画像(またはその一部)にわたる放射照度の完全なグローバルマップをキャプチャすることができ、表示サブシステムはキャプチャした情報を使用して、そのような強度(または放射照度)の違いやアラインメント不整を補正することができる。例えば、全体的な結像面がレジンの上面と完全に平行ではないため(つまり、プロジェクタとレジン上面との距離がプロジェクタごとに異なる場合がある)、右端のプロジェクタのサブ画像が他のサブ画像よりも明るい(及び/または他のものと位置がずれている、及び/または他のものと比べて焦点が合っていない)場合がある。センサクラスタは、キャリブレーションルーチンの一部としてグローバルイメージング平面(またはその一部)にわたって掃引することができ、そのような放射照度の違いを検出し(初期放射照度マップを作成できる)、その後(表示サブシステムによって)レジンの上面全体にわたって均一な放射照度を維持するように補正することができる。このタイプの放射照度チェックまたはキャリブレーションは、(例えば、イメージング源のLED寿命が時間の経過とともに劣化し、様々な劣化率で発生する可能性があるため)PRPSの寿命にわたって実行され得る。
【0159】
さらに、場合によっては、本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、水平度、及び/または1つ以上のプロジェクタとバットとの間の距離をキャリブレーションすることもできる。場合によっては、PRPSの水平度は、PRPSの1つ以上の画像プロジェクタからの光の強度(または放射照度)を測定することによってキャリブレーションできる。例えば、ある画像プロジェクタからの強度(または放射照度)が他の画像プロジェクタよりも明るい(または、所定の値と比較して明るい、または以前に測定した値よりも明るい)場合、それは、そのプロジェクタが他のプロジェクタよりもバットに近い(または予想よりもバットに近い)ことを示す指標となり得る。場合によっては、そのプロジェクタからのサブ画像の強度または放射照度(及び他の特性、例えばサイズ)は、本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法を使用した測定に基づいて補正する/キャリブレーションすることができる。一部のシステムには、画像プロジェクタ(複数可)とバットとの間の高さを補正及び/またはキャリブレーションするために、バット及び/または画像プロジェクタ(複数可)の高さ及び/または傾斜角度を調整できる、及び/またはプロジェクタの焦点結像面とレジン上面との間の傾斜角度を調整できる、(例えば、モータを使用して制御される)レベリング機構が装備されている場合もある。
【0160】
上記は、モーションシステム上にセンサクラスタ/光センサを搭載することによって提供される機能のほんの一部の例である。図16B図16Dに示されるキャリブレーションシステムの光センサは、レジンバットの上面を見下ろすように反転させて、本明細書で説明するバットベースの形式と追加材料の計量投入とを組み合わせた代替積層造形システム(例えば、バット内のレジン表面に材料を噴射することによって計量投入されるマルチジェットバットベースシステムなど)と連携して情報を収集することもできる。一部のこのようなシステムでは、表示サブシステムが存在しない場合があり、光センサは、照明システムではなく、材料計量投入(例えば、噴射)プロセスに伴う問題のキャリブレーション、位置合わせ、及び検出を行うのに使用することができる。計量投入された材料を用いたバットベースの積層造形を含むシステム及び方法は、米国特許第11,110,650号に、さらに説明されている。
【0161】
図17Aは、キャリブレーション器具のセンサが2つの隣接するサブ画像間のオーバラップ領域を横切る方向に掃引されるときの、検出されたUV光強度(または放射照度)対位置のグラフを示す。この状況では、隣接するサブ画像の位置(またはオーバラップの量(または幅))は、グラフ上に示されるように、UV強度が「低い」強度から「高い」強度に遷移する位置、及び「高い」強度状態から「低い」強度状態へと遷移する位置に基づいて決定することができる。次いで、このオーバラップ量を使用して、(例えば、図2B及び図4Cに関して説明したように)エッジブレンディング補正のための境界条件を設定することができる。最初のエッジブレンディングルーチンが完了すると、次に、以前に取得した境界内の継ぎ目(またはオーバラップ領域)にわたってセンサクラスタを再稼働させて、UVエネルギーの追加の低-高-低の状態を探すことにより、再チェックすることができる。このプロセスは、そのような「低-高-低」状態がなくなるまで(または最小限に抑えられるか、または閾値以下に十分に減少するまで)繰り返され得る。場合によっては、「低」及び「高」強度の閾値を使用して、「低」及び「高」強度の状態を定義できる。
【0162】
図17Bは、エッジブレンディング補正の前後でPRPS上のキャリブレーション器具を使用して収集されたUV光強度(または放射照度)対位置の例を示す。エッジブレンディング補正前のグラフ1710は、「低-高-低」強度状態の顕著なパターンを示し、エッジブレンディング補正後のグラフ1720は、オーバラップ領域における大幅に減少した(ほぼ除去された)「低-高-低」強度状態パターンを示す。例えば、この例の「低」強度状態の閾値は2.25E-6(任意の強度単位)未満として定義でき、この例の「高」強度状態の閾値は2.25E-6(任意の強度単位)より大きいと定義できる。このような閾値の定義を使用すると、エッジブレンディング補正後のグラフには「高」強度状態が存在しない。
【0163】
センサシステムを移動させるには多くの異なる方法があり、そのいくつかの例が図18A図18F及び図19A図19Bに示されており、以下に説明する。
【0164】
本キャリブレーション器具は、X-Yデカルトシステム内で移動するガントリー、または器具が合成画像、サブ画像、及び/またはサブ画像間のブレンド領域(またはオーバラップ領域)を横切って光センサ(複数可)を移動させることを可能にする任意のモーションシステム(X-Y、回転、極など)を備えた機械的な移動システムを含むことができる。センサは、必要なデータを取得し、同じキャリブレーション目標を達成するために、センサの同様の動きを可能にする空気作動の空気圧または真空移動システムに設置することもできる。別の例として、センサは、最初にセンサをイメージング源(すなわちプロジェクタ)に向け、その後、レジン上面に関連する他のデータ取り込みルーチンや分析のために、センサがレジンに向くように(例えば空気圧で)センサを反転させるシステムに取り付けることができる(例えば、マルチジェットバットベースのシステムなど、バットベースの形式と本明細書で説明する追加材料の計量投入とを組み合わせた代替積層造形システムにおいて、デブリのスキャン、またはノズルのアラインメント不整のスキャンを行う)。
【0165】
図18A図18Fは、「X-Y掃引動作」、「Y-X掃引動作」、「アレイY動作」、「Yリトレース動作」、「Xリトレース動作」、及び「アレイX動作」を含むいくつかの光センサ動作例を示しており、これらは、マルチ画像平面1801に投影された合成画像内のサブ画像の1つ以上の特性(本明細書に記載される)をキャリブレーションするのに必要なデータを取得するために実行することができる。合成画像は、図18A図18Fに示す例では、6つのサブ画像から構成される。図18A図18Dの点線は、(例えば、バットを見下ろしたときの)平面図における1つ以上の光センサ1810の移動経路を示し、図18E及び図18Fは、平面図における光センサ1820の線形アレイの移動経路を示す。楕円は、運動パターンが図18A図18Fのマルチ画像平面1801のエリアにわたって繰り返されることを示す。図18A図18Fに示す光センサの動きは、マルチ画像平面とほぼ同一平面上にあることがあり、マルチ画像平面の上方または下方にあることがある。図18A図18Dは、マルチ画像平面1801の全エリアをほぼカバーするように2方向(例えば「X」及び「Y」)に移動する1つ以上の光センサ1810を示す。図18E及び図18Fは、光センサ1820の線形アレイがマルチ画像平面1801の一次元をほぼカバーし、したがって、マルチ画像平面1801のエリア全体をほぼカバーするには一方向の移動のみが必要である例を示す。このような光センサの動作は、バットベースのマルチ画像投影システム(例えば、本明細書で説明する「トップダウン」または「ボトムアップ」PRPS)と、(米国特許第11,110,650号に記載されている)マルチジェットバットベースのシステムなど、バットベースの形式と追加の計量投入とを組み合わせた代替積層造形システムとの両方に使用できる。
【0166】
本明細書に記載のシステム及び方法において、キャリブレーション器具のセンサを移動させて画像プロジェクタ(複数可)からの光を検出するために、多くのタイプの運動または移動システムを使用することができる。例えば、移動システムには、モータ、空圧システム、油圧システム、ベルト、チェーン、ケーブル、ガイドレール、ギア、リードスクリュードライブ、リニアステージ、磁気システム、電磁システム、重力補助システム、圧力ベースシステム、真空ベースシステム、熱膨張を使用するシステム、または本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法の動作を達成するための他のタイプの線形または回転駆動機構が含まれ得る。
【0167】
本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、センサ(複数可)をZ方向にも移動させるように構成することができる。例えば、バットベースのシステムでは、センサ(複数可)(例えば、リコータシステムに取り付けられたセンサ)がプロジェクタの理論上の焦点面(または焦点距離、または投射距離、またはビルドエリア)に位置するように、センサ(複数可)を負のZ方向に移動させることができるように十分なレジンを除去することができる。本明細書で説明するように、+/-Z方向の移動により、センサがプロジェクタから離れた適切な焦点距離でデータを収集できるようになり得る。
【0168】
図19A図19Bは、Z方向に移動するキャリブレーション器具の例を示す。図19Aは、レジン1940が入ったバット1930の上にセンサクラスタ1910(光センサを含む)を備えたシステム1900を示す。センサクラスタ1910は、キャリブレーション機械アセンブリ1920に結合され、センサクラスタ1910は+/-Z方向に移動し、任意選択で+/-X方向にも移動する。キャリブレーション機械アセンブリ1920は、キャリブレーションプレート、リコータアセンブリ、またはバー(例えば、+/-Y方向(ページの内外、図示せず)に移動するように構成されたもの)であり得る。図19Bは、レジン1940を有するバット1930の上に光センサアレイ1912を有するシステム1901を示し、光センサアレイ1912はキャリブレーションプレート1922に結合され、光センサアレイ1912は+/-Z方向に移動する。この例では、光センサアレイ1912の光センサは、光センサの+/-X方向の移動が必要ないように、X方向に沿って分布されている。図19A及び図19Bのセンサクラスタ1910及び光センサアレイ1912は、それぞれ、上記のように、さらに+/-Y方向(ページの内外、図示せず)に移動することができる。
【0169】
本明細書で説明するPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、1つ以上のイメージング源(画像プロジェクタ)の焦点が合っているかどうかを検出することもできる。場合によっては、イメージングシステム(複数可)によって投影された幅の狭い固定線を、光センサ(任意選択で小さな「ピンホール」開口部を備えたもの)上で一定の速度で掃引することができる。他の場合には、光センサは、固定された投影された細い線の上を一定の速度で掃引することができる。光の強度(または放射照度)は位置(または時間)の関数としてキャプチャすることができ、緩やかな(または広い)遷移が存在する場合、プロジェクタの焦点が合っていないと推測することができる。逆に、強度(または放射照度)と時間との関係が鋭いピーク(または鋭い遷移)を示している場合は、プロジェクタの焦点が合っていると推測できる。焦点が合っていない場合、システムは自動ルーチンを実行して(例えば、PRPSのキャリブレーション器具及び表示サブシステムを使用して)、最も鋭いピークまたは遷移が発生するまで焦点を調整することができる。
【0170】
図20は、上記のキャリブレーションルーチンのUV強度(または放射照度)対位置(または時間)の例を示す。左側のグラフ2010は、画像の焦点が合っていないことを示す緩やかな遷移の例を示し、右側のグラフ2020は、焦点が合った画像を示す鋭いピークの例を示す。
【0171】
焦点補正は、光センサをZ方向に(任意選択でX方向及び/またはY方向にも)移動させて、3D空間内の1つ以上の画像プロジェクタからの光の強度をマッピングすることによって実行することもできる。3D空間にわたるこのような光強度のマップは、プロセッサ(例えば、表示サブシステム)によって解釈され、その後、1つ以上の画像プロジェクタの焦点を補正するために使用され得る。
【0172】
焦点補正(例えば、上記のような焦点補正)は、輸送中にプロジェクタレンズが物理的に移動する(または衝撃を受ける、または位置がずれる)場合、または設置及び/または試運転中に誤って焦点がぼける場合に特に有利となり得る。本明細書で説明されるPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、画像プロジェクタ(複数可)の焦点の変化をチェックし、そのような状況を補正するために、キャリブレーション手順を自動的に実行することができる。
【0173】
焦点補正を備えた本明細書に記載のPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、部品の表面仕上げを制御して、より良い表面品質を得るために、意図的にぼかしたい状況でも使用することができる。この場合、プロジェクタの焦点を意図的にぼかし、焦点がぼけた状態でキャリブレーションして、特定の特性に合わせて望ましいぼやけた画像を生成することができる(例えば、適切なエッジブレンディング/スティッチングのための幾何補正または本明細書に記載のアプローチを使用する)。本明細書で説明するPRPSキャリブレーションシステム及び方法は、焦点が合った状態と焦点がぼけた状態との両方を事前に特徴付けてキャリブレーションし、プリント中にPRPSが両方のモード間で切り替わることを可能にすることもできる。これら2つのフォーカスモードと意図的なデフォーカスモードとの間の切り替えを使用して、部分的にカスタマイズされたフィーチャを作り出すことができる(例えば、人間のグリップポイントがある部品は、そのエリアで焦点を合わせ、後で所望の表面粗さ/滑らかさ、または仕上げの美しさのため、別のエリアに焦点を合わせる)。
モジュール式キャリブレーション器具
場合によっては、PRPSのキャリブレーション器具をPRPSとは別のモジュール式キャリブレーションシステムに統合することができる。モジュール式キャリブレーションシステムは、PRPS画像プロジェクタをキャリブレーションするためにPRPSに結合でき、その後取り外して別のPRPSをキャリブレーションするために使用することができる。このことは、モジュール式キャリブレーションシステムのコストを多くのPRPSで共有できるため、ユーザが同じ施設内で多数のPRPSを稼働させている状況では有利である。このようなモジュール式キャリブレーションシステムは、PRPSの表示サブシステムと結合でき、表示サブシステムはモジュール式キャリブレーションシステムからのデータを解釈し、収集したデータを使用してPRPS画像プロジェクタをキャリブレーションすることができる。場合によっては、モジュール式キャリブレーションシステムは、光センサ(及びシステムの他のセンサ)からのデータを制御及び/または解釈するために、1つ以上の専用プロセッサ(またはコントローラ)を備えることができる。専用プロセッサは、表示サブシステムとインターフェースして、PRPSの画像プロジェクタを調整できる。
【0174】
場合によっては、モジュール式キャリブレーションシステムには、PRPSに結合できる(またはPRPSに挿入できる、またはPRPSに適応できる、またはPRPSに巻き込まれる)「内蔵型」キャリブレーション器具を形成する光センサ(及び任意選択でモーションシステム)が含まれる。モジュール式キャリブレーション器具は、例えば車輪またはキャスタを使用して移動可能である。場合によっては、モジュール式キャリブレーション器具は、例えば、キャリブレーションを必要とするPRPSにモジュール式キャリブレーション器具を届けるため、及び/またはモジュール式キャリブレーション器具をPRPSに結合するため、ロボットを使用して移動させることができる。場合によっては、ロボットによるモジュール式キャリブレーション器具の移動を自動化することができる(例えば、コントローラ、プロセッサ、または制御システムを使用する)。モジュール式キャリブレーション器具を移動させるロボットは、モジュール式キャリブレーション器具に統合することも、モジュール式キャリブレーションと接続できる別個のユニットにすることもできる。
【0175】
モジュール式キャリブレーションシステムは、複数の画像プロジェクタを備えたPRPSによって表示される合成画像コンテンツをキャリブレーションすることができる。モジュール式キャリブレーションシステムは、統合されたキャリブレーションシステムを持たないPRPSに結合(または設置、または挿入、または適合、または巻き込み)できるという点でモジュール式である。モジュール式キャリブレーションシステムは、コストのかかるモーションシステムやセンサシステムで全てのプリンタに負担をかけずに、マルチ画像プロジェクタベースの3Dプリンタをキャリブレーションする手段を提供するため、有利であり得る。代わりに、モーション及びセンサのキャリブレーション器具は、モジュール式(例えば、内蔵システム内、またはモバイル「カート」上)であり、必要に応じてPRPSからPRPSへ移動できる。
【0176】
場合によっては、モジュール式キャリブレーションシステムをカートとして、複数の画像プロジェクタを備えたPRPSに(例えば、通常のプリント実行中にVATが存在する位置に)入れることができる。キャリブレーション器具カートが搬入され、固定されると(例えば、車輪をロックする、または足を下げるなど)、次いでキャリブレーション器具の光センサ(例えば、UV及び/または他の波長を読み取ることができる光センサ)が、PRPSのマルチ画像投影システムに対して適切な位置(複数可)にあるように、PRPSの他の部分に対して位置合わせし、水平にし、及び/または位置決めすることができる。レベリングと位置決めとが完了すると、キャリブレーションルーチン(例えば、本明細書で説明するもの)を実行することができる。場合によっては、PRPS及びモジュール式キャリブレーション器具は、取り付け時にPRPSに対してキャリブレーション器具を位置合わせするために、相互にインターフェースする機械的停止装置を含むことができる。
【0177】
図21は、モジュール式キャリブレーション器具を使用する例示的なキャリブレーションプロセス2100のフローチャートを示す。図22A図22Hは、モジュール式キャリブレーション器具を備えたPRPSの例を示す。キャリブレーションプロセス2100は、図22A図22Hに示すようなシステム、またはボトムアップ型PRPSで画像プロジェクタをキャリブレーションするように修正した、図22A図22Hに示すようなモジュール式キャリブレーション器具を使用して実行することができる。
【0178】
ステップ2110では、(例えば、カート上の)モジュール式キャリブレーション器具がPRPSに結合(または挿入)される。キャリブレーション用器具をPRPSに結合することは、本明細書に記載されるように、PRPSとキャリブレーション用器具の光センサとを横方向に(例えば、図22Aに示すようにx方向及びy方向に)整列させることを含むこともできる。本明細書で説明するように、光センサとPRPSとの横方向のアラインメントは、近似的であってもよく、または正確であってもよい。ステップ2120では、(例えば、VAT及び/または重力に対して)キャリブレーション器具が水平にされる。ステップ2130では、キャリブレーション器具の1つ以上の光センサの(例えば、図22Aに示されるz方向における)高さが調整される。ステップ2140では、2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタによって投影されるサブ画像の1つ以上のパラメータを調整するために、キャリブレーション器具の光センサを使用してキャリブレーションルーチンが実行される。場合によっては、ステップ2130の高さ調整は、ステップ2120のレベリングの前に実行することができる。
【0179】
キャリブレーションプロセス2100のレベリング及び調整ステップ2120及び2130は、キャリブレーション器具の光センサ(複数可)と(理論上の)レジン上面平面との間の平行平面性(すなわち平行度)を達成するために、モータ及び運動センサ(例えば、運動センサの例は加速度計、高精度ジャイロスコープなど)を使用して達成することができ、これは重力と床の水平度との両方に依存する可能性がある。運動センサは、キャリブレーションシステム(例えば、任意選択で光センサをも含むセンサクラスタ上、またはキャリッジシステム上)に取り付けられ、制御システムのコントローラまたはプロセッサに情報を提供して、ステップ2120で自動的にキャリブレーション器具を水平にすることができる。例えば、モジュール式キャリブレーションシステムは、ステップ2120で自動レベリングを実行するために、キャリブレーション器具と、キャリブレーション器具の運動センサ及びモータに結合された専用プロセッサとを含むことができる。方法2100のステップの一部または全ては、手動で、または自動システムを使用して実行することができる。例えば、キャリブレーションプロセス2100のレベリング及び調整ステップ2120及び2130は、ステップ2120でキャリブレーション器具を手動で水平にするために、手動で読み取られるレベルセンサが手動で調整可能な構成要素とともに使用される手動プロセスによって達成することができる。例えば、ステップ2120における手動レベリングを支援するために、気泡水準器をキャリブレーション器具(またはキャリブレーションシステムの他の構成要素)に組み込むことができる。ステップ2130では、距離センサまたは変位センサからのフィードバックに基づいて、キャリブレーション用器具の光センサの高さを(Z方向に)上げたり下げたりして、光センサを正しい高さ(例えば、理論的な結像面、またはレジンの上面)に配置することができる。このような距離センサ(または変位センサ)とモータとは、制御システムのコントローラまたはプロセッサに接続でき、キャリブレーション器具の光センサとマルチ画像平面(またはPRPSの画像プロジェクタ、または画像プロジェクタが搭載されているPRPSの天板)との間の平行平面性(すなわち、平行度)を自動的に達成するために使用できる。
【0180】
場合によっては、本明細書に記載されるモジュール式キャリブレーション器具は、センサから信号を受信し、センサからの信号を解釈し、及び/またはPRPSと通信するためのコントローラ(例えば、プロセッサ、コンピュータ、ARMデバイスコントローラなど)を含む。コントローラはまた、モジュール式キャリブレーション器具の様々なモータサブシステムに動作を命令して、例えば水平調整、高さ調整、及び/またはモジュール式キャリブレーション器具の光センサの動きを制御することもできる。コントローラはまた、ホストPRPSと通信して、表示サブシステムの画像コンテンツを調整(例えば、画像プロジェクタのキャリブレーション及び/または投影されたサブ画像の補正)することもできる。コントローラはまた、ユーザとの通信及び対話(例えば、セットアップ構成の表示または変更、レポートステータスの表示、ユーザにとって役立つデータまたはその他の情報源の表示など)を可能にするグラフィックスユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーン、触覚ボタン、LEDランプなど)をサポートすることもできる。本明細書で説明されるモジュール式キャリブレーション器具は、タッチスクリーン付きディスプレイ、LEDランプ、ボタン、スイッチなどのユーザインターフェース(図示せず)を含むこともできる。
【0181】
図22Aは、PRPS2200に結合されたモジュール式キャリブレーション器具2201の例を示す。PRPS2200は、1つ以上の画像プロジェクタ(この例では6つ)が取り付けられる上部プレート2210を含む。この例のPRPS2200は「トップダウン」型PRPSであり、図16Aに示されるPRPS1600と同様である。図22Aに示す例では、モジュール式キャリブレーションシステム2201は、キャリッジアセンブリ2230を備えたキャリブレーションプレート2220を含む。1つ以上の光センサ2240がキャリッジアセンブリ2230に結合され、キャリブレーションプレート2220がレベリングモータ2250(または高さ調整モータ)に結合される。キャリッジアセンブリ2230は、光センサ2240がX方向及びY方向に移動できるようにし、レベリングモータ2250がZ方向に移動できるようにし、光センサ2240がPRPSの構成要素(例えば、上部プレート2210、またはPRPS2200のVAT内のレジンの表面(図示せず))と平行平面性を達成することができるようにする。したがって、キャリッジアセンブリ2230は、光センサ2240を(例えば、X-Y平面内に)移動させるために、キャリッジアセンブリが移動できるように(例えば、リニアステージモータ(複数可)、リニアモータ(複数可)、または他の機械アセンブリを使用して)キャリブレーションプレート2220に結合される。レベリングモータ2250を使用して、床に対して、及び/または上部プレート2210に対して、キャリブレーションプレート2220を水平にすることができる。この例では、距離センサ2260も(キャリッジアセンブリ2230を介して)キャリブレーションプレート2220に結合されて、キャリブレーションプレートから上部プレート2210までの距離を検出し、光センサがキャリブレーションのために正しい高さに移動できるようにする。場合によっては、PRPSの一部であるグローバルレベル距離センサ(図示せず)を、距離センサ2260の代わりに(または距離センサ2260に加えて)、キャリブレーションプレート2220の(Z方向の)高さを(例えば、水平にされた後に)設定するために、使用することができる。
【0182】
モジュール式キャリブレーション器具2201はまた、光センサキャリッジ(例えば、図22Cに示す2232)を有する。光センサ2240は光センサキャリッジに結合され、光センサキャリッジはキャリッジアセンブリ2230に結合される。図22Cに示されるように、光センサキャリッジ2232は、光センサ2240が「X運動」方向に移動できるようにする。同様の光センサキャリッジは、図22B及び図22D図22Hに示されるモジュール式キャリブレーション器具にも存在する。さらに、図22A図22Hのキャリッジアセンブリ2230は、光センサ2240(及び光センサキャリッジ2232)が「Y運動」方向に移動できるようにする。例えば、Yモータ(例えば、図22HのリニアモータY1 2254a及びリニアモータY2 2254bと同様、図22Aには図示せず)を使用して、キャリッジアセンブリ2230をY方向に移動させることができる。さらに、光センサ2240をX方向に移動させるように構成されたリニアモータをキャリッジアセンブリ2230内に配置することができるが、図22Aでは見えない。キャリッジアセンブリがY方向に移動できるようにするには、図22Aには示されていないが、ネジ駆動モータステージ、ベルト駆動モータステージ、リニアモータ、空気圧、磁気手段、または他の機械的システムを使用するなど、数多くの方法がある。
【0183】
モジュール式キャリブレーション器具はまた、(例えば、モジュール式キャリブレーション器具2201のモータ及び他の構成要素を制御するため、ならびにモジュール式キャリブレーション器具2201のセンサからデータを受信するための)入出力「I/O」、(例えば、画像プロジェクタの設定を調整するためにモジュール式キャリブレーション器具2201からPRPSに情報を送信するための)「PRPSへの通信」、及び電力「電源」接続などの電気的接続2270を含むこともできる。場合によっては、モジュール式キャリブレーション器具の1つ以上の構成要素が空気圧を使用して移動する場合があり、空気圧接続(図示せず)もまた含まれる。
【0184】
図22Aに示す場合、モータ及び距離センサハードウェアは全て、この例ではカート2290(車輪またはキャスタ付き)を含むモジュール式キャリブレーション器具内に存在する。他の場合には、本明細書で説明するように、キャリブレーションシステムをPRPSと統合することができる。他の場合には、ハードウェアの一部をモジュール式キャリブレーションシステム(例えば、カート2290を含む)に含めることができ、残りの部分はPRPS内に常駐させることができる。
【0185】
図22A図22Hに示されるモジュール式キャリブレーション器具及びPRPSのいくつかの実施形態では、モジュール式キャリブレーション器具のキャリブレーションプレートとPRPSの上部プレートとの間の平面性は、キャリブレーション器具内の点(例えば、3点)に配置された高さ(Z方向)調整モータ(例えば、3つのモータ)を駆動して、変位及び/または距離センサの読み取り値に基づいて器具を水平にすることができる制御システムを用いて達成することができる。変位センサ及び/または距離センサは、例えば、図22A及び図22D図22Eに示すように、キャリブレーション器具に結合することができる。他の場合には、変位センサ及び/または距離センサは、例えば、図22B及び図22C(距離センサ2262)に示すように、画像プロジェクタの近くのPRPSの上部プレートに結合することができる。変位センサ及び/または距離センサは、PRPSとキャリブレーション器具との間の距離の測定を可能にするように、PRPS及び/またはキャリブレーション器具上の任意の位置に結合することができる。場合によっては、変位センサ及び/または距離センサは、例えば、図22G及び図22Hに示すように、キャリブレーションプレート及び画像プロジェクタの近くのPRPSの上部プレートに結合することができる。変位センサ及び/または距離センサのいくつかの例は、レーザ変位センサ、超音波センサ、深さセンサ、飛行時間センサ、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、距離センサからのフィードバックをキャリブレーション器具制御システムに入力して、キャリブレーション器具の所望の水平度及び/または平面性が達成されるまで、高さ(Z方向)調整モータを駆動することができる。PRPSの制御システムとキャリブレーション器具との間の通信は、イーサネット(登録商標)ネットワークまたは他の通信手段(例えば、USB、シリアル、光、またはその他の差動もしくはシングルエンドの信号方式/プロトコルなど)を介して実装できて、センサと、センサからの情報を使用して制御及び/またはキャリブレーションされる構成要素との間のフィードバックを可能にする。
【0186】
いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具は、距離センサによって検出可能な液体を含む1つ以上の容器を使用して水平度を達成することができる。このような場合、液体界面をレベリングの基準として使用できる。例えば、キャリブレーション器具には、浮遊キャリブレーションプレートを備えた浅い容器を含めることができ、または容器が距離センサ(複数可)の基準点(複数可)として1つ以上の液体表面を提供することもできる。このような場合、液体は重力に対して自然にそのレベルを維持するため、3点モータシステムは必要ない場合がある。場合によっては、液体は、キャリブレーション器具の上に配置された距離センサから距離測定が行われるエリアに配置されたキャリブレーション器具の特定のポケットに入れることができる。ポケットは、液体がポケット間を流れることができ、キャリブレーションシステム全体の水平度が維持され得るように、チューブ(複数可)によって接続されている。このような場合には、3点モータシステムを使用して、ポケット内の液体によって測定されたレベル位置にキャリブレーション器具を機械的に位置合わせすることができる。場合によっては、3点モータシステムは、異なるポケット内の液体の高さからの情報(例えば、距離センサまたはポケット内の液体レベルセンサを使用して得られる情報)を使用して光センサを水平にすることができる。
【0187】
図22Bは、図22Aに示される例と同様に、PRPS2202に結合されたモジュール式キャリブレーション器具2203の例を示す。この例では、距離センサ2262は、モジュール式キャリブレーション器具ではなく、PRPS2202の上部プレート2212に結合される。この例における距離センサ2262は、上部プレート2212からキャリブレーションプレート2222までの距離を測定し、その情報をモジュール式キャリブレーション器具2203のレベリングモータ2250に提供して、光センサ2240とPRPSの構成要素(例えば、上部プレート2212、またはPRPS2202のVAT内のレジンの表面(図示せず))との間の平行平面性を達成する。
【0188】
上記で説明したように、キャリブレーション器具上の光センサは、マルチ画像平面(または器具の上にあるマルチ画像プロジェクタから「焦点距離」(または「投射距離」)だけ離れたVAT内のレジンの理論的な上面)に配置できる。場合によっては、キャリブレーション器具は、例えば図22Bに示すように、そのような位置を達成するためにPRPSに既に含まれている「グローバルレベル」センサ2280(または他の変位及び/または距離センサ)を使用することができる。例えば、キャリブレーション器具は、PRPSのグローバルレベルセンサ2280によって感知され、光センサ2240と上部プレート2212との間の距離、または光センサ2240の水平度(マルチ画像平面に対して、またはレジンの上面に対して)に関するフィードバックを提供することができる、それ自身のプレートまたはタブ、または何らかの他の機械的物体を有することができる。運動制御システムは、そのようなグローバルセンサの距離読み取り値に基づいてレベリングモータ2250を使用して(例えば、本明細書に記載されるように、キャリブレーション器具及び/またはPRPSの1つ以上のプロセッサを使用して)キャリブレーション器具を上昇または下降させることができる。
【0189】
場合によっては、図22Bに示すように、複数の位置(すなわち、センサの位置)で上部プレート2214とキャリブレーションプレート2222との間の距離を測定するために、複数の距離センサ2262を上部プレート2212に取り付けることができる。
【0190】
図22Cは、図22Bに示される例と同様に、PRPSの上部プレート2214に結合されたモジュール式キャリブレーション器具2205の例を示す。ただし、この例では、距離センサ2262が1つのみある。
【0191】
同じ目標、すなわち、PRPS(例えば、複数の画像プロジェクタを有するPRPS)をキャリブレーションするために、UV光センサを適切な位置に移動させるという目標を達成するために、キャリブレーション器具及び/またはPRPS(例えば、上部プレート)全体に距離センサを配置する多くの方法がある。
【0192】
図22D図22Fは、モジュール式キャリブレーション器具2207a~2207cの一部の例の平面図を示す。光センサ2240は、光センサキャリッジ2232に結合され、光センサキャリッジ2232は、キャリッジアセンブリ2230を介してキャリブレーションプレート2226に結合される。
【0193】
図22Dの可動キャリブレーション器具2207aは、光センサキャリッジ2232に結合された単一の距離センサ2264を含む。単一の距離センサ2264を備えたそのようなシステムは、(センサが1つだけ使用されるため)低コストであり、単一のセンサをマルチ画像平面(またはキャリブレーション平面)のほぼ全X-Yエリアにわたって移動させることができるという利点がある。しかし、単一の距離センサシステムは、(例えば、単一の距離センサを複数の点(例えば、3点)に移動させることによって、及び/または、X-Yエリアにわたる距離測定値のマトリックスを構築することによって)キャリブレーション器具を水平にするために、単一のセンサから十分なデータ測定値を収集するのに時間がかかるので、複数の距離センサを備えたシステムよりも遅くなる可能性がある。
【0194】
図22Eの可動キャリブレーション器具2207bは、キャリッジアセンブリ2230に結合された複数の距離センサ2260を含む。この例では距離センサ2260が2つあるが、(例えば、図22Bのように)3つ、または他の場合には3つ以上の距離センサがあってもよい。このような配列では、線形アレイに配列され、キャリッジアセンブリ2230に結合された3つ以上の距離センサ2260があり得る。複数の距離センサ2260を備えたこのようなシステムは、キャリッジアセンブリの単一のY掃引でキャリブレーションプレート2226と上部プレートとの間の平行度を迅速に確認することができるため、単一の距離センサを備えたシステムよりも高速になり得る。しかしながら、そのようなシステムは2つ以上の距離センサ2260を必要とするため、単一のセンサシステムよりもコストが高くなる可能性がある。
【0195】
図22Fの可動キャリブレーション器具2207cは、光センサ2240を含み、距離センサを含まないが、それが結合するPRPS上に距離センサがあってもよい。
【0196】
図22Gは、図22Bに示される例と同様に、PRPSの上部プレート2214に結合されたモジュール式キャリブレーション器具2208の例を示す。しかしながら、この例では、上部プレート2214に結合された距離センサ2262があり、また、キャリブレーション器具2208のキャリッジアセンブリ2230に結合された距離センサ2260もある。
【0197】
図22Hは、図22Gに示される例と同様に、PRPSの上部プレート2214に結合されたモジュール式キャリブレーション器具2209の例を示す。ただし、この例では、Y方向の移動を提供するリニアモータがあり、キャリブレーションプレートはない。この例では、Z1モータステージ2252a及びZ2モータステージ2252bは、リニアモータY1 2254a及びリニアモータY2 2254bに結合される。Z1モータステージ2252a及びZ2モータステージ2252bもまた、キャリッジアセンブリ2230に結合される。この例では、光センサキャリッジ2232は、それ自体がリニアモータであり、光センサキャリッジ2232がX方向に移動できるようにするキャリッジアセンブリ2230に結合されている。本明細書の他の例で説明したように、これらのモータを使用して、光センサ2240をPRPSに対して水平にし、高さを調整することができる。
【0198】
図21の方法2100のステップ2110、2120、及び2130のように、可動キャリブレーション器具がPRPSに結合され、キャリブレーション器具が水平にされて高さが調整されると、その後、方法2100のステップ2140などで、キャリブレーションルーチンを実行することができる。他のキャリブレーション器具(例えば、PRPSに統合された器具)に関して本明細書で説明したのと同じキャリブレーション技術を使用して、モジュール式キャリブレーション器具に結合されたPRPSの複数のプロジェクタによって生成される合成画像をキャリブレーションすることができる。要するに、光センサは、投影された放射照度エネルギーを測定し、対象領域(例えば、オーバラップ領域、非オーバラップ領域、隅など)を検出するために使用され、画像コンテンツ補正のためにPRPSの表示サブシステムにフィードバックされる。場合によっては、モジュール式キャリブレーション器具はPRPSに電気的に結合され、任意選択で専用のコントローラ、プロセッサ、及び/または制御システムを備える。このようなフィードバック通信のための電気的結合は、PRPSとモジュール式キャリブレーション器具制御システムとの間で、イーサネットまたは他の信号手段(例えば、USB、シリアル、光、または他の差動もしくはシングルエンド信号方式/プロトコルなど)を介して確立することができる。センサの配列、センサの動き、及び他のシステム(例えば、PRPSと統合されたキャリブレーション器具)に関して説明したキャリブレーションの他の態様に関する同じ手法は、モジュール式キャリブレーション器具にも適用することができ、この場合、キャリブレーション器具は、必要に応じてPRPSに結合したり、PRPSから取り外したりすることができるという意味で、モジュール式になっている。つまり、全てのPRPSシステムは、PRPSに統合されたキャリブレーションシステムを組み込むことに伴うコスト負担や複雑さの負担を負う必要がない。
【0199】
いくつかの実施形態では、PRPS用のキャリブレーション器具は、静的な(すなわち、動かない)1つ以上の光センサを有することができ、PRPSをキャリブレーションするために、PRPSの1つ以上の画像プロジェクタから静的光センサ(複数可)上に光を投影することができる。場合によっては、画像プロジェクタは、一連の移動するバイナリ/グレイコードパターンを投影して、画像コンテンツの位置と光センサの位置との間の数学的関係を確立できる。バイナリ/グレイコード検索の例では、1つ以上の固定光センサを既知の固定位置に常駐させ、コンテンツの狭い範囲がセンサの位置にそろうまで、(例えば、半分の半分など)連続する繰り返しで半分にされる白スクリーン画像コンテンツの繰り返しを検出するために使用することができる。このような検索手順(またはコード、またはアルゴリズム)は、投影された白スクリーンコンテンツの列(Y)と行(X)の両方のインスタンスに対して繰り返して、センサが設置されている場所の正確なX-Yピクセル座標に焦点を絞り込むことができる。
【0200】
図23は、バイナリ/グレイコード探索法の連続する列反復及び行反復の簡略化された例を示す。光が光センサに当たっているときは、高い値の放射照度(例えば、この例では100%)を検出(または感知)し、光が光センサに当たっていないときは、低い値の放射照度(例えば、この例では0%)を検出(または感知)する。この例では、センサ位置と一致する垂直列ピクセル位置に到達するまでに、白画像コンテンツを半分にする6回の反復が必要である。そして、センサの位置と一致する水平行のピクセル位置に到達するまでに4回の反復が必要である。この情報を使用すると、表示された画像コンテンツの位置と、後で画像補正に使用できるセンサの位置との間の数学的関係を確立できる。
【0201】
場合によっては、バイナリ/グレイコード探索法から「ラインスキャン法」へとプロセスが移行し、バイナリ/グレイコード探索法によって対象領域が特定されると、センサ位置と一致する垂直ピクセル列の正確な位置を決定することができる。「ラインスキャン法」では、表示サブシステムが細い線を投影し、それがセンサの対象領域を横切って掃引する。結果は、強度対位置のガウス応答曲線であり、ピークはピクセルの列(つまり、照射されたライン)とセンサ位置との間のアラインメントを示す。このプロセスは、垂直方向と水平方向とに沿って実行され、ピクセルの垂直線と水平線との間のアラインメントとセンサの位置とを決定できる。繰り返すが、この情報により、表示された画像コンテンツの位置と、後で画像補正に使用できるセンサの位置との間の関係を確立することができる。
【0202】
本明細書に記載のシステム及び方法において、モジュール式キャリブレーション器具のセンサを移動させて画像プロジェクタ(複数可)からの光を検出するために、多くのタイプの運動または移動システムを使用することができる。例えば、移動システム(例えば、Zモータ、キャリッジアセンブリ、及び/または光センサキャリッジのための移動システム)には、モータ、空圧システム、油圧システム、ベルト、チェーン、ケーブル、ガイドレール、ギア、リードスクリュードライブ、リニアステージ、磁気システム、電磁システム、重力補助システム、圧力ベースシステム、真空ベースシステム、熱膨張を使用するシステム、または本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法の動作を達成するための他のタイプの線形または回転駆動機構が含まれ得る。例えば、電気モータの代わりに、空気圧構成要素(例えば、シリンダ、マニホールドなど)または磁気システムを使用して、キャリブレーションプレートの高さ及び/またはレベルを調整するなど、モジュール式キャリブレーション器具の構成要素を移動させることができる。
【0203】
距離センサを配置する場所と使用する数についても、多くの選択肢がある。上記の例は、距離センサの位置に関する選択肢の一部のみを示している。例えば、距離センサをキャリッジアセンブリ上に配置することができ、単一のセンサをUV光センサの隣に配置することができ、距離センサのアレイをキャリッジアセンブリ全体にわたって並べることができ、またはPRPSの構成要素(例えば、上部プレート、画像プロジェクタ、またはバウンスミラー)とキャリブレーション器具との間の距離を検出する他の距離センサ構成を使用することができる。
【0204】
モジュール式キャリブレーションシステムは様々な方法で設置できる。例えば、モジュール式キャリブレーション器具にはPRPSとは別に電力を供給してもよい。この場合、モジュール式キャリブレーション器具には専用の電源があり、ホストPRPSからの電力は消費しない。モジュール式キャリブレーション器具とPRPSとの間には(例えば、キャリブレーションルーチンを実行するため)通信経路があり、これは任意のタイプの電気通信インターフェース(例えば、イーサネット、イーサネット/IP商標、USB、シリアルなど)であり得る。場合によっては、モジュール式キャリブレーション器具は車輪を備えることができ(例えば、モジュール式キャリブレーション器具は車輪またはキャスタホイールを備えたカートとすることができる)、ホストPRPS内に転がし入れることができる。配置が完了したら、ホイールをロックすることができる。場合によっては、モジュール式キャリブレーション器具に車輪ではなく脚が含まれる場合があり、その場合は適切な取り扱い及び輸送機器を使用する必要がある場合がある。さらに別の場合には、モジュール式キャリブレーション器具の車輪には、カートが適切に配置された後に下げることができる脚が装備されていてもよい。
【0205】
場合によっては、PRPSに対するモジュール式キャリブレーション器具の初期配置(例えば、図21の方法2100のステップ2110)の精度は重要ではない。例えば、本明細書で説明するモジュール式キャリブレーション器具の感知機構及び制御機構により、モジュール式キャリブレーション器具が、PRPSに対するモジュール式キャリブレーション器具の配置が正確にはわかっていない場合であっても、PRPSをキャリブレーションするために必要な位置(例えば、画像の隅)にセンサを移動させることが可能になり得る。したがって、PRPSを備えたモジュール式キャリブレーション器具の正確な位置決め(横方向のアラインメント、レベリング、及び高さ調整)を可能にする機械システムを使用するのではなく、感知機構及び制御機構を使用して光センサをキャリブレーション用の正しい位置に配置する。
【0206】
場合によっては、カートの代わりに、本明細書に記載のモジュール式キャリブレーション器具は、PRPSの既存の構成要素に結合する(例えば、ぶら下げるたり、ラッチする)器具とすることができる。次いで、器具が適切に結合された(例えば、取り付け、ラッチ、または適合)後に、適切な接続(例えば、電力、通信、及び/または空気圧)が行われる。
【0207】
示されるいくつかの例では、3つのレベリングモータ2250がモジュール式キャリブレーション器具をレベリングするために使用される(例えば、3点サーボシステムを使用する)。様々な例では、モジュール式キャリブレーションシステムの水平調整に3台より多いかまたは少ないレベリングモータを使用できる。例えば、4つのレベリングモータ2250を使用して、モジュール式キャリブレーション器具をレベリングすることができる。場合によっては、2つのレベリングモータ2250を使用することができ、この場合、キャリブレーションプレートの1つの隅またはセクションは静止しており、2つのモータがキャリブレーションプレートの水平度を調整する。場合によっては、1つのレベリングモータ2250を使用することができ、この場合、キャリブレーションプレートの2つの隅またはセクションは静止しており、1つのモータがキャリブレーションプレートの水平度を調整する。これらの代替システム及び方法は、モジュール式キャリブレーション器具の平面性を調整する3点サーボシステム法と同じ目標を達成することができる(ただし、1つまたは2つのレベリングモータのみを使用する場合、自由度は低くなる)。
【0208】
図24A図24Bは、PRPSをキャリブレーションするために使用できる光センサデータ(または情報、または読み取り値)の例を示す。図24A図24Bのパワー読み取り値(例えば、測定値2410及び2420)は、合成画像内の隣接するサブ画像のオーバラップを横切って(すなわち、合成画像内の継ぎ目を横切って、またはエッジブレンディング補正を横切って)光センサを直線経路で移動させ、移動経路に沿った異なる位置で光センサによって受光された光強度を記録することによって得られた。
【0209】
図24Aは、エッジブレンディング補正前のパワー(ミリワット単位)対位置(ミクロン単位の「測定位置」)測定値2410と、エッジブレンディング補正後のパワー対位置測定値2420とのグラフを示す。図24Aのグラフにおけるx軸上の測定位置は、継ぎ目の公称中心に対して正規化されている。測定値2410と測定値2420との比較は、継ぎ目全体の高強度がより均一になっている(または継ぎ目での高強度領域がほぼ除去されている)ため、効果的なエッジブレンディング補正が行われたことを示す。
【0210】
図24Bは、エッジブレンディング補正が実行された後に取得された、様々なパワー密度(mW/cm単位)対位置(「継ぎ目の公称中心に対する位置」、ミクロン単位)測定値のグラフを示す。この例では、2つのサブイメージ間のオーバラップを含むデータを、マルチ画像平面に配置した光センサを使用して記録し、エッジブレンディング補正を実行した。エッジブレンディング補正後、他の全ての独立変数を一定に保ち、光センサのZ位置(または高さ)を正と負のZ方向の両方にインクリメントさせ、固有のZ位置ごとにエネルギー収集トレースを繰り返した。図24Bのグラフにおけるx軸上の位置は、継ぎ目の公称中心に対して正規化されている。図24Bの様々なパワー密度対位置データは、公称マルチ画像平面(例えば、理論上または想定されるマルチ画像平面の高さ(複数可))に対して、公称マルチ画像平面の下(例えば、「-Zステップ1」、「-Zステップ2」)から公称マルチ画像平面の上(例えば、「+Zステップ1」、「+Zステップ2」など)までの範囲の異なる高さ(すなわち、上述のZ方向)で取得された。
【0211】
図24Bのデータは、センサの高さ(またはZ位置)がキャリブレーションシステムの性能、この場合はエッジブレンディング補正の性能に影響を与えることを示している。エッジブレンディング補正を適用すると、1つのサブ画像からオーバラップ領域を通って隣接するサブ画像に空間的に移行するときのエネルギーレベルが均一化される。この補正は、キャリブレーションデータが収集されたZ位置で最も効果的であり、データ収集面からのZ変位が正または負に増加するにつれて、その効果は小さくなる。負のZ方向にエネルギーを投影する表示サブシステムの場合、光センサが公称マルチ画像平面の高さより低い高さに配置されると、そのZ位置での見かけのオーバラップが増加し、境界を横切るエネルギー(または、オーバラップ領域に隣接する領域と比較して高いオーバラップ領域のエネルギー)の見かけ上の正の不連続性(または強度の変化)が可能になる。光センサが公称マルチ画像平面高さを超える高さに配置されると、そのZ位置での見かけのオーバラップは減少する傾向があり、境界を横切るエネルギー(またはオーバラップ領域に隣接する領域と比較して低いオーバラップ領域のエネルギー)の見かけ上の負の不連続性(または強度の変化)を可能にする。したがって、キャリブレーションのZ位置を実際のマルチ画像平面の高さに厳密に一致させることで、エッジブレンディング補正の効果を最大限に高めることができる。あるいは、図24Bに示すようなZ位置マッピングを使用して、公称マルチ画像平面からのZ距離の関数としてエッジブレンディング補正を決定することもできる。このようなZ位置マッピングにより、キャリブレーションのZ位置を変化させることができ、及び/またはキャリブレーションシステムがエッジブレンディング補正に最適なZ位置を実験的に決定することができる。また、エッジブレンディング補正を行う前に(Zポジションマッピングを使用して)Zポジションを決定する(または知る)必要がないため、キャリブレーション装置の設計に自由度を持たせることができる。
【0212】
本明細書で説明するものと同一または類似のキャリブレーションシステムは、例えば、複数の画像プロジェクタを有するステレオリソグラフィシステム(例えば、半導体デバイスの処理用)、または複数の画像プロジェクタを使用する大規模投影システム(例えば、映画館、プラネタリウム、遊園地のアトラクションなど)など、合成画像を形成するサブ画像を投影する2つ以上の画像プロジェクタを有するあらゆるタイプのマルチ投影システムのキャリブレーションに使用することができる。
キャリブレーション器具システム及び方法
図25A及び図25Bは、PRPSにおける投影画像のキャリブレーション器具の例を示す。図25A図25Bのキャリブレーション器具は、PRPSに統合することもでき、あるいは(例えば、図21の方法2100において)PRPSとともに使用されるモジュール式キャリブレーション器具とすることもできる。
【0213】
図25Aは、画像プロジェクタ2530から投影される単一の画像をキャリブレーションするためのキャリブレーション器具2510を示しており、このキャリブレーション器具2510は、「X方向」における画像プロジェクタ2530からの画像のおおよその位置を示す線として表されている(ただし、「Y方向」における投影画像の位置とは無関係である)。4つの光センサ2520がキャリブレーション器具2510に取り付けられている。例えば、4つの光センサは、投影された画像の隅にほぼ一致するか、またはその近くに配置できる。
【0214】
図25Bは、2つの画像プロジェクタ2532及び2534からの2つのサブ画像をキャリブレーションするためのキャリブレーション器具2512を示し、これらは、「X方向」における画像プロジェクタ2532及び2534からのサブ画像のおおよその位置を示す線として表されている(ただし、「Y方向」における投影されたサブ画像の位置とは無関係である)。8つの光センサ2520がキャリブレーション器具2512に取り付けられている。例えば、4つの光センサは、投影されたサブ画像の一方の隅とほぼ一直線に並ぶか、またはその近くに位置することができ、他の4つの光センサは、投影されたサブ画像の他方の隅とほぼ一直線に並ぶか、またはその近くに位置することができる。3つ以上の画像プロジェクタがある場合、キャリブレーション器具は、図24Bに示すような配置で、キャリブレーションするサブ画像ごとに4つのセンサ(例えば、キャリブレーションプレートに取り付けられた4つの光センサのセットの線形アレイまたはマトリクスアレイ)を含むことができる。
【0215】
図25Bは、2つのオーバラップするサブ画像の配列を有する合成画像の例を示す。合成画像内のサブ画像のアレイは、2組の4つの光センサ(すなわち、サブ画像ごとに1組の4つの光センサ)を備えたキャリブレーション器具を使用して、各画像プロジェクタについて上述した方法を用いて位置合わせすることができる(すなわち、一度に1つの画像プロジェクタを調整する)。各サブ画像の位置と歪み(またはスキュー)の調整のキャリブレーションに加えて、上述のキャリブレーション器具と方法は、オーバラップするサブ画像間のエッジブレンディングをキャリブレーションするための情報を提供するためにも使用できる。図25Bに示す例は、サブ画像の1×2アレイであり、同じ概念がより大きな寸法のアレイ(例えば、2×2、4×4、4×8、5×5、5×10、8×8、または8×8超)に適用できる。
【0216】
いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具2510または2512は、本明細書に記載されるように、「トップダウン」または「ボトムアップ」型PRPSに統合される。いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具2510または2512は、PRPSに挿入することができ(例えば、プリント実行の間または実行中に、画像プロジェクタからの照明を取り込むために挿入される)、挿入されると、光センサは、PRPS内の理想的な画像位置の既知の位置(例えば、隅位置)を形成するモジュール式キャリブレーションシステムの一部である。光センサはPRPS内の既知の位置に配置される場合があり、既知の位置にほぼ配置されるが、正確に決定された位置には配置されない場合もある。例えば、キャリブレーション器具の光センサは、5cm未満、または1cm未満、または0.1cm未満の横方向(ビルド平面と平行)の位置精度でPRPSに挿入されるモジュール式システムの一部とすることができる。例えば、光センサは、プロジェクタと、ビルドエリアの平面(またはマルチ画像平面)における理想的な画像の隅のピクセルの位置との間で光学的に位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具2510及び2512によって提供されるアラインメント精度を向上させるために、キャリブレーション器具2510及び2512で使用される光センサは狭い視野を有する。
【0217】
図26Aは、いくつかの実施形態による、キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整するための方法2600のフローチャートである。ステップ2605では、PRPS(または積層造形システム)及びキャリブレーション器具が提供される。場合によっては、PRPSにキャリブレーション器具が含まれる(またはキャリブレーション器具がPRPSと統合される)。他の場合には、キャリブレーション器具はモジュール式であり、キャリブレーションのためにPRPSに接続することができ、PRPSから切り離すこともできる。いくつかの実施形態では、PRPSは、複数の画像プロジェクタを含む画像投影システム、画像表示サブシステム、及び複数(例えば、N個)の光センサセット(例えば、4個の光センサのNセットであり、Nは画像プロジェクタの数に対応し得る)を含むキャリブレーション器具を含む。ステップ2610では、2つ以上のサブ画像から構成される合成画像が、画像投影システムを使用してビルドエリア上に投影される。いくつかの実施形態では、画像投影システムは、デジタルライ卜プロセッシングを使用する画像表示サブシステムによって制御される。いくつかの実施形態では、合成画像は、アレイ状に配置された複数のサブ画像を含み、各サブ画像は、複数の画像プロジェクタのうちの1つを使用してビルドエリアの一部に投影される。ステップ2615では、投影されたサブ画像のそれぞれが、複数のセットの光センサのうちの1セットを使用して(例えば、各セットに4つの光センサを使用して)監視される。ステップ2620において、各サブ画像の特性が調整され、合成画像内の各サブ画像の位置が、キャリブレーション器具内の複数のセットの光センサからのフィードバックを使用して位置合わせされる。方法2600のステップの一部または全ては、手動で、または自動システムを使用して実行することができる。例えば、キャリブレーションプロセス2600の監視及び調整ステップ2615及び2620は、ステップ2620でサブ画像を手動で調整できるようにする画像プロジェクタとともに、ステップ2615で手動で読み取られる光センサが使用される手動プロセスによって達成することができる。
【0218】
図26Bは、いくつかの実施形態による、キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整するための方法2601のフローチャートである。例えば、方法2601は、図16A図16E及び図22A図22Hに示される一体型またはモジュール式のキャリブレーション器具によって実行することができる。ステップ2625では、2つ以上の画像プロジェクタのそれぞれからサブ画像が投影されて、PRPSのビルドエリア内にサブ画像のアレイが形成される。2つ以上の画像プロジェクタは、PRPSの画像表示サブシステムによって制御できる。ステップ2630では、光センサが1つ以上のサブ画像の位置と並ぶか、または一致するように、光センサを有するキャリブレーション器具が位置決めされる。ステップ2635で、2つ以上の画像プロジェクタのうちの1つの画像プロジェクタからの光が、光センサを使用して測定される。ステップ2640では、光センサからの信号が受信され、光センサからの情報が画像表示サブシステムを使用して処理される。ステップ2645では、処理された情報に基づいて、画像表示サブシステムから、2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに信号が送信され、処理された情報に基づいて、サブ画像のアレイ内のサブ画像のパラメータが変更される。方法2601のステップの一部または全ては、手動で、または自動システムを使用して実行することができる。例えば、ステップ2630でキャリブレーション器具を手動で位置決めし、その後、他のステップ(例えば、2635、2640及び2645)を手動で、または自動化システム(例えば、制御システム及び/または画像表示サスシステム)を使用して実行することができる。
【0219】
図26Cは、いくつかの実施形態による、モジュール式キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整するための方法2602のフローチャートである。例えば、方法2602は、図22A図22Hに示されるモジュール式キャリブレーション器具によって実行され得る。ステップ2650では、モジュール式キャリブレーション器具がPRPSに結合される。ステップ2655では、モジュール式キャリブレーション器具が水平にされる。ステップ2660では、モジュール式キャリブレーション器具の光センサの高さが調整される。ステップ2665では、モジュール式キャリブレーション器具の光センサを使用してキャリブレーションルーチンが実行され、2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタによって投影されるサブ画像のパラメータが調整される。方法2602のステップの一部または全ては、手動で、または自動システムを使用して実行することができる。例えば、キャリブレーションプロセス2602のレベリング及び調整ステップ2655及び2660は、例えば、ステップ2655でキャリブレーション器具を手動で水平にするために、手動で読み取られるレベルセンサが手動で調整可能な構成要素とともに使用される手動プロセスによって達成することができる。例えば、ステップ2655における手動レベリングを支援するために、気泡水準器をキャリブレーション器具(またはキャリブレーションシステムの他の構成要素)に組み込むことができる。
【0220】
いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具を使用して投影画像を調整する方法は次のとおりである。ビルドエリアには、画像プロジェクタの未補正のFOVが提供され、このFOVには、互いに直交するX方向とY方向とが含まれる。キャリブレーションプレートは、光センサがプロジェクタと、ビルドエリアの平面内でプロジェクタからの理想的な画像の既知の位置の間にあるように、未補正のFOV内に配置される。キャリブレーションプレートは、全ての光センサ、または最小数の光センサ(例えば、1つの可動光センサ、または4つの固定光センサ)がFOV内に収まるように配置することができる。キャリブレーションプレートは、前述のように未補正のFOV内に配置され、1ピクセル幅の垂直線が投影され、FOVを横切ってX方向に走査され、完全なX範囲に対応する。次に、キャリブレーションプレートが上記のように補正されていないFOVに配置され、幅1ピクセルの水平線が投影され、Y方向にFOVを横切って走査され、完全なY範囲に対応する。
【0221】
図27Aは、キャリブレーションプレート2710、未補正のFOV2702(「実際のプロジェクタのFOV」)、及び予想されるFOV2701の例を示す。予想されるFOV2701は、理想的な画像と位置合わせされた画像に対応する。プロジェクタは、バイナリ/グレイコード検索(または他の検索アルゴリズム)を実行してセンサの位置を特定し、その情報を使用してサブ画像の特性(例えば、歪みやスキュー)と位置とを補正できる。例えば、バイナリ/グレイコード検索の垂直及び水平ラインスキャン中に、バーの位置ごとに4つの光センサ値全てが記録される。このような走査の一例を図27Bのグラフに示す。この例では、未補正のFOVはいくらかのスキューを含み、X方向に沿った垂直線の走査の結果、(図27Bのグラフに示すように)4つの光センサは全て異なるピークを有する。X方向とY方向のスキャンの結果を組み合わせることで、未補正のFOVについて各光センサ位置のピークを計算できる。この情報は、画像プロジェクタとビルドエリア(またはマルチ画像平面)の既知の形状、及び両方に対するキャリブレーションプレートの位置とともに、表示サブシステムが、投影画像の隅がビルドエリアの平面内の理想的な画像の隅と揃うように(例えば、DLPを使用して)画像を調整することを可能にする。言い換えれば、この直接的なアプローチは、ピクセル座標空間を実世界の結像面に直接変換することにより、効率的なプロジェクタのキャリブレーションを可能にする。
【0222】
他の実施形態では、上述の単純な線形走査方法の代わりに、グレイコードの水平及び垂直ストライプが表示される代替アプローチを使用することができる。線形スキャンアプローチは数秒、あるいはそれ以上かかることがあり、この代替アプローチでは、行のインデックスによって各ピクセルをアドレス指定するよりもはるかに高速に、与えられた次元の座標空間全体をバイナリサーチすることが可能になり得る。
【0223】
他の実施形態では、PRPSをキャリブレーションするために、1つ以上の固定光センサにわたって画像が走査される。画像は、上述したような線(例えば、1ピクセル幅)、パターン、または投影されたフィーチャの意図された位置と移動画像とを検出する光センサの位置に関する情報を提供する任意の画像であり得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、PRPSは、層の露光中及び/または後続の層の露光間で移動またはインデックス付けされるサブ画像(例えば、1Dまたは2D)のアレイを含む画像投影システムを含み、PRPSは、システム内の画像プロジェクタの1つ以上から投影される1つ以上の異なるサブ画像位置をキャリブレーションすることができるキャリブレーションシステムをさらに含む。いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具は、1つ以上の器具に取り付けられた複数の光センサを含み、器具は、サブ画像が移動したとき(すなわち、サブ画像がその移動経路に沿った1つ以上の位置にあるとき)に画像プロジェクタから投影された光を検出できるように、光センサを整列させる。いくつかの実施形態では、キャリブレーション器具は、光センサを備えた1つ以上のサブ器具を含み、サブ画像が移動すると、サブ器具(及び光センサ)が移動して、画像プロジェクタから投影された光を検出する。
【0225】
いくつかの実施形態では、動画のキャリブレーションはプリント実行の前に行われる。いくつかの実施形態では、各移動画像は、静止サブ画像をキャリブレーションするために本明細書に記載されるものと同様のシステム及び方法を使用して、1つ以上のキャリブレーション器具を使用してキャリブレーションされる。他の実施形態では、移動画像の一部は、1つ以上のキャリブレーション器具を使用してキャリブレーションされ、画像の一部は、幾何学的関係を使用して数値的にキャリブレーションされる(そしてキャリブレーション器具を使用してキャリブレーションされない)。
【0226】
いくつかの実施形態では、連続移動サブ画像は、静止サブ画像をキャリブレーションするために本明細書に記載されるものと同様のシステム及び方法を使用して、1つ以上のキャリブレーション器具を使用してキャリブレーションされる。移動するサブ画像の場合、スキャン領域の経路に沿って配置された一連の光センサを使用してキャリブレーションを行うことができる。連続的に移動するサブ画像のキャリブレーションは、プリントされるオブジェクトの層を画定する投影パターンを使用するか、または投影テストパターンを使用して実行できる。
【0227】
本明細書で説明する位置、歪み、スキュー、及びその他の補正をキャリブレーションすることに加えて、移動するサブ画像を画像表示サブシステムでキャリブレーションして、各サブ画像がプリント対象物の特定の層の特定の領域を露光するのに適切なパターンを投影するようにする必要がある。段階的かつ連続的に移動するサブ画像は、それぞれ、プリントされる1つ以上のオブジェクトの層をプリントするために必要なサブ画像を(時間の経過とともに)投影するために、表示サブシステムとの同期を必要とする。
【0228】
いくつかの実施形態では、PRPS内の画像プロジェクタは、レジンを反応させるための1つ以上の波長と、レジンを反応させずにキャリブレーションに使用される1つ以上の波長とを有する多波長光源を含む。図28はPRPSにおける多波長画像の例を示す。図に示す例では、UV波長画像を使用して層が硬化され、別の波長の画像にはキャリブレーションパターンが存在する。例えば、キャリブレーションイメージは、(図に示すように)ドットのパターン、2Dバーコード、または線のパターンにすることができる。図の左側は各波長で作成された画像を個別に示し、図の右側は両方の波長を組み合わせた画像を示す。
【0229】
いくつかの実施形態では、プリント実行の間にキャリブレーションプレートを挿入し、画像を調整し、調整が完了した後にキャリブレーションプレートを取り外し、次いでプリント実行を実行することによって、PRPS内の投影画像を調整するためにキャリブレーション器具が使用される。他の実施形態では、プリント実行中にPRPS内の投影画像を調整するためにキャリブレーション器具が使用される。いくつかのそのような実施形態では、キャリブレーションプレートの光センサは、ビルドエリアの平面内の投影画像を妨げることなく、1つ(または2つ以上)のプロジェクタのFOV内の既知の位置からの光を検出できるように配置することができる。
【0230】
プリント実行中に投影画像2940を調整するために使用できるキャリブレーション器具2910を備えたPRPSの可能な構成の1つが図29に示されている。いくつかの実施形態では、図29のシステムは、部分反射ミラー2920を使用して、光の大部分(例えば、98%)を通過させてビルドエリア内のレジンに反応させ、光のごく一部(例えば、2%)をビルドエリアから離れたキャリブレーション器具2910に反射させる。キャリブレーションプレート内の光センサの位置は、各プロジェクタ2930のビルドエリアの平面内のFOV内の位置にマッピングすることができ、これにより、キャリブレーション器具2910からの情報を使用して画像2940を調整することが可能になる。いくつかのそのような実施形態では、キャリブレーション器具2910は、投影画像を検出するためのイメージングカメラを含み、検出された画像は画像(または合成画像、またはサブ画像)を調整するために使用される。図29に示す例では、複数の画像プロジェクタ2930からの光は、単一のキャリブレーション器具2910上に反射される。他の実施形態では、各画像プロジェクタ2930は、部分反射ミラー2920と、専用のキャリブレーション器具(例えば、光センサ、またはイメージングカメラを有する)とを有し、各プロジェクタ2930からのサブ画像を、専用のキャリブレーション器具からの情報を用いて調整することができる。
【0231】
他の実施形態では、図29のシステムは、多波長光源と波長特異性ミラー(図示せず)を使用する。波長特異性ミラーは、レジンの反応に使用される波長を透過し、光がビルドエリアのレジンを通過して反応できるようにする一方で、キャリブレーションパターンの波長を反射する。いくつかのそのような実施形態では、画像投影システム内の複数のプロジェクタは、互いに異なるキャリブレーションパターンを使用することができ、これにより、プリント実行中に全てのサブ画像を同時に調整することが可能になる。
【0232】
本明細書で説明するキャリブレーションプロセス(例えば、図21のキャリブレーションプロセス2100、及び図26A図26Cのキャリブレーションプロセス2600~2602)は、ボトムアップPRPSシステムを用いて実施することができ、この場合、1つ以上の画像プロジェクタが上を向いており、レジンバットの底部を通して画像(またはサブ画像)を投影する。ボトムアップPRPSシステムの例を図1A図1G図10A図10F、及び図30図32に示す。
【0233】
図30は、2つの画像プロジェクタ3010a及び3010bを備え、上向き(すなわち、正のZ方向)の「ダブルワイド」ボトムアップ型PRPS3000の例の正面図を示す。画像プロジェクタ3010a~3010bは、膜3020及び任意選択のガラス板3030を通して、レジンバット3050のレジン3040内にサブ画像を投影する。本明細書に記載されるように、膜3020はレジンバット3050の底部を形成する。レジンバット3050は、レジン槽とも呼ばれる。PRPS機構3060は、膜3020に張力を加える膜張力システム(本明細書に記載)及び他の機構(例えば、レジン3040及びレジンバット3050を支持するシャーシ)を含むことができる。
【0234】
図31は、構成要素の一部が一時的に取り外され、PRPS3000をキャリブレーションするためにモジュール式キャリブレーション器具の例が挿入された、図30のボトムアップ型PRPS3000の正面図を示す。この例のモジュール式キャリブレーション器具には、光センサ3110、Yモータ3120、及びXモータ3130が含まれる。膜3020、オプションのガラス板3030、レジン3040、及びレジンバット3050など、キャリブレーション器具と機械的に干渉するPRPSの構成要素は、キャリブレーション器具が光センサ3110を、PRPS3000を較正する位置(例えば、マルチ画像平面内またはその近傍)に配置できるように、全て取り除かれている。場合によっては、図30のPRPS機構3060とPRPS機構3140とは同じであり、キャリブレーション中にPRPS機構が取り外されないことを意味する。場合によっては、PRPS機構3060の一部を除去し、キャリブレーション器具に干渉しないPRPS機構3140(PRPS機構3140はPRPS機構3060のサブセットである)の一部をキャリブレーション中にPRPS内に残すことができる。図30のPRPS機構3060及び/または図31のPRPS機構3140のいくつかの例は、機械プレート(例えば、図1Aのシャーシ105の全部または一部)及び/または取り外し可能な構成要素(例えば、図30に示す膜3020、オプションのガラス板3030、レジン3040及びレジンバット3050)を保持するPRPSの構造体である。
【0235】
いくつかの実施形態では、PRPS機構3140の一部により、光センサ3110を十分に水平な理想的な画像平面距離に固定することができる。このような場合、キャリブレーション器具のZ方向への移動(例えば、Zモータを使用する)は必要ないことがある。場合によっては、図31のキャリブレーション器具は、キャリブレーションのため、及び/または、不測の事態としてシステムに柔軟性を付加するために、(例えば、図示しないZモータを使用して)Z方向に追加的に移動することができる。
【0236】
図32は、図31のキャリブレーション器具の上面図を示す。光センサ3110、Yモータ3120、及びXモータ3130は、光センサ3110をマルチ画像平面3150の様々な位置に配置できるように構成されている。図32に示す構成は、可能な一例にすぎず、他の構成のモータを使用して、マルチ画像平面のX-Y領域内で光センサを移動させることができる。他の場合には、XモータがYモータのスクリューリードに沿って動くように、XモータをYモータの構成要素に結合することができる。この例では、図31のPRPS機構3140の一部は、キャリブレーション器具に結合及び/または支持するために使用され、キャリブレーション器具を最適なZ高さ(画像プロジェクタからの距離)に固定し、水平にする。したがって、この例ではZ調整が必要ないため、図31及び図32にはZモータが示されていない。他の実施形態では、キャリブレーション器具は、(例えば、図22A図22C及び図22G図22Hに示すように)Zモータを含むこともできる。
【0237】
いくつかの実施形態では、3つ以上の画像プロジェクタを備えたボトムアップPRPSも、本明細書に記載のシステム及び方法を使用してキャリブレーションすることができる。例えば、4台の画像プロジェクタを備えたボトムアップPRPS(例えば、図1A図1Gに示すシステムと同様)は、モジュール式キャリブレーション器具(例えば、図31及び図32に示すものと同様)を使用してキャリブレーションすることができる。他の場合には、4台を超える画像プロジェクタ(例えば、6~12台の画像プロジェクタ)を備えた底部PRPSは、モジュール式キャリブレーション器具(例えば、図31及び図32に示されるものと同様)を使用してキャリブレーションすることができる。大面積のボトムアップPRPSの課題は膜であり、これは、膜に十分な張力を与えることが難しい場合があるためである。しかし、本明細書に記載のキャリブレーションシステム及び方法は膜に依存していないため、大面積のボトムアップ型PRPSのキャリブレーションにはそのような課題は存在しない。
追加の実施形態
第1の態様では、本開示は、合成画像をビルドエリアに投影する画像投影システムと、デジタルライ卜プロセッシングを使用して画像投影システムを制御する表示サブシステムとを備え、画像投影システムは複数の画像プロジェクタを備え、合成画像は、アレイまたはマトリクス(例えば、1×2、1×4、1×8、または1×Nアレイ、または2×2、3×2、4×16、またはN×Mマトリクス)に配置された複数のサブ画像を含み、各画像プロジェクタは、ビルドエリアの一部にサブ画像を投影し、表示サブシステムは、各画像プロジェクタを制御して、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを調整する、積層造形システムを提供する。
【0238】
第1の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、幾何補正を提供する歪み補正を含むフィルタを使用して調整される。
【0239】
第1の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、1つ以上のサブ画像エッジにおけるエッジブレンディングバーを備えるフィルタを使用して調整される。
【0240】
第1の態様の別の形態では、エッジブレンディングバーは、ブレンディング距離と、線形、シグモイド、及び幾何からなる群から選択される関数とを備える。
【0241】
第1の態様の別の形態では、エッジブレンディングバーは、製造中のオブジェクト内の層境界位置に基づいて画像を調整する。
【0242】
第1の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、放射照度を正規化する放射照度マスクを含むフィルタを使用して調整される。
【0243】
第1の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、使用されるレジンの反応性に基づいてサブ画像エネルギーを調整する「ガンマ」調整マスクを含むフィルタを使用して調整される。
【0244】
第1の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、幾何補正を行う歪み補正、1つ以上のサブ画像エッジのエッジブレンディングバー、放射照度を正規化する放射照度マスク、及び使用されているレジンの反応性に基づいてサブ画像のエネルギーを調整する「ガンマ」調整マスク、を含むフィルタのスタックを使用して調整される。
【0245】
第1の態様の別の形態では、複数の画像プロジェクタの露光制御を互いに同期させる回路をさらに備える。
【0246】
第1の態様の別の形態では、積層造形システムは、レジンのプールをさらに含む光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)であり、ビルドエリアはレジンのプール内に位置する。
【0247】
第1の態様の別の形態では、複数の光センサのセットを備えるキャリブレーション器具をさらに備え、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントが、キャリブレーション器具内の複数のセットの光センサからのフィードバックを使用して調整される。
【0248】
第1の態様の別の形態では、キャリブレーション器具はさらに、各サブ画像の四隅を監視する光センサを備える。
【0249】
第1の態様の別の形態では、アレイ内の隣接するサブ画像は、サブ画像のエッジでオーバラップする。
【0250】
第1の態様の別の形態では、表示サブシステムは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのリアルタイムフィードバックを使用して、プリント実行前に、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを調整する。
【0251】
第1の態様の別の形態では、表示サブシステムは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのリアルタイムフィードバックを使用して、プリント中に、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを、キャリブレーション器具からのリアルタイムフィードバックを使用して調整する。
【0252】
第1の態様の別の形態では、画像投影システムは、層の露光中にビルドエリアの異なる部分に複数のサブ画像を移動させるように構成される。
【0253】
第1の態様の別の形態では、画像投影は可動光源または可動光学系を備える。
第1の態様の別の形態では、サブ画像の移動は、ステップ露光ステップ型の移動または連続的な移動のいずれかである。
【0254】
第1の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に配向されたサブ画像の1Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向に対して垂直な第2の方向である。
【0255】
第1の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とを有するサブ画像の2Dアレイ(またはマトリクス)を含み、サブ画像の移動は、第1の方向または第2の方向のいずれか一方、または第1の方向及び第2の方向の両方である。
【0256】
第1の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とを有するサブ画像の2Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向及び第2の方向の両方とは異なる第3の方向である。
【0257】
第2の態様では、本開示は、合成画像をビルドエリアに投影する画像投影システムと、デジタルライ卜プロセッシングを使用して画像投影システムを制御する表示サブシステムと、複数の光センサのセットを備えるキャリブレーション器具とを備え、画像投影システムは複数の画像プロジェクタを備え、合成画像は、アレイ状に配列された複数のサブ画像を含み、各画像プロジェクタは、ビルドエリアの一部にサブ画像を投影し、キャリブレーション器具内の各セットの光センサは、投影されたサブ画像を監視し、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのフィードバックを使用して調整される、積層造形システムを提供する。
【0258】
第2の態様の別の形態では、キャリブレーション器具はさらに、各サブ画像の四隅を監視する光センサを備える。
【0259】
第2の態様の別の形態では、アレイ内の隣接するサブ画像は、サブ画像のエッジでオーバラップする。
【0260】
第2の態様の別の形態では、表示サブシステムは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのリアルタイムフィードバックを使用して、プリント実行前に、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを調整する。
【0261】
第2の態様の別の形態では、表示サブシステムは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのリアルタイムフィードバックを使用して、プリント中に、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを、キャリブレーション器具からのリアルタイムフィードバックを使用して調整する。
【0262】
第2の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、幾何補正を提供する歪み補正を含むフィルタを使用して調整される。
【0263】
第2の態様の別の形態では、アレイ内の隣接するサブ画像がサブ画像のエッジで互いにオーバラップし、各サブ画像の特性は、1つ以上のサブ画像エッジにおけるエッジブレンディングバーを備えるフィルタを使用して調整される。
【0264】
第2の態様の別の形態では、エッジブレンディングバーは、ブレンディング距離と、線形、シグモイド、及び幾何からなる群から選択される関数とを備える。
【0265】
第2の態様の別の形態では、エッジブレンディングバーは、製造中のオブジェクト内の層境界位置に基づいて画像を調整する。
【0266】
第2の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、放射照度を正規化する放射照度マスクを含むフィルタを使用して調整される。
【0267】
第2の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、使用されるレジンの反応性に基づいてサブ画像エネルギーを調整する「ガンマ」調整マスクを含むフィルタを使用して調整される。
【0268】
第2の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、幾何補正を行う歪み補正、1つ以上のサブ画像エッジのエッジブレンディングバー、放射照度を正規化する放射照度マスク、及び使用されているレジンの反応性に基づいてサブ画像のエネルギーを調整する「ガンマ」調整マスク、を含むフィルタを使用して調整される。
【0269】
第2の態様の別の形態では、複数の画像プロジェクタの露光制御を互いに同期させる回路をさらに備える。
【0270】
第2の態様の別の形態では、積層造形システムは、レジンのプールをさらに含む光反応性3Dプリンティングシステムであり、ビルドエリアはレジンのプール内に位置する。
【0271】
第2の態様の別の形態では、画像投影システムは、層の露光中にビルドエリアの異なる部分に複数のサブ画像を移動させるように構成される。
【0272】
第2の態様の別の形態では、画像投影は可動光源または可動光学系を備える。
第2の態様の別の形態では、サブ画像の移動は、ステップ露光ステップ型の移動または連続的な移動のいずれかである。
【0273】
第2の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に配向されたサブ画像の1Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向に対して垂直な第2の方向である。
【0274】
第2の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とを有するサブ画像の2Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向または第2の方向のいずれか一方、または第1の方向及び第2の方向の両方である。
【0275】
第2の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とを有するサブ画像の2Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向及び第2の方向の両方とは異なる第3の方向である。
【0276】
第3の態様では、本開示は、複数の画像プロジェクタを備える画像投影システムと、画像表示サブシステムと、複数の光センサのセットを備えるキャリブレーション器具と、を備える、積層造形システムを提供することと、画像投影システムを使用してビルドエリアに合成画像を投影することとであって、画像投影システムは、デジタルライ卜プロセッシングを使用した画像表示サブシステムによって制御され、合成画像は、アレイ状に配置された複数のサブ画像で構成され、各サブ画像は、複数の画像プロジェクタのうちの1つを使用してビルドエリアの一部に投影される、投影することと、複数の光センサのセットのうちのセットを使用して、投影されたサブ画像のそれぞれを監視することと、キャリブレーション器具内の複数のセットの光センサからのフィードバックを使用して、各サブ画像の特性を調整し、合成画像内の各サブ画像の位置を揃えることと、を含む方法を提供する。
【0277】
第3の態様の別の形態では、キャリブレーション器具はさらに、各サブ画像の四隅を監視する光センサを備える。
【0278】
第3の態様の別の形態では、アレイ内の隣接するサブ画像は、サブ画像のエッジでオーバラップする。
【0279】
第3の態様の別の形態では、表示サブシステムは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのリアルタイムフィードバックを使用して、プリント実行前に、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを調整する。
【0280】
第3の態様の別の形態では、表示サブシステムは、キャリブレーション器具内の複数の光センサのセットからのリアルタイムフィードバックを使用して、プリント中に、各サブ画像の特性、及び合成画像内の各サブ画像の位置のアラインメントを、キャリブレーション器具からのリアルタイムフィードバックを使用して調整する。
【0281】
第3の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、幾何補正を提供する歪み補正を含むフィルタを使用して調整される。
【0282】
第3の態様の別の形態では、アレイ内の隣接するサブ画像がサブ画像のエッジで互いにオーバラップし、各サブ画像の特性は、1つ以上のサブ画像エッジにおけるエッジブレンディングバーを備えるフィルタを使用して調整される。
【0283】
第3の態様の別の形態では、エッジブレンディングバーは、ブレンディング距離と、線形、シグモイド、及び幾何からなる群から選択される関数とを備える。
【0284】
第3の態様の別の形態では、エッジブレンディングバーは、製造中のオブジェクト内の層境界位置に基づいて画像を調整する。
【0285】
第3の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、放射照度を正規化する放射照度マスクを含むフィルタを使用して調整される。
【0286】
第3の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、使用されるレジンの反応性に基づいてサブ画像エネルギーを調整する「ガンマ」調整マスクを含むフィルタを使用して調整される。
【0287】
第3の態様の別の形態では、各サブ画像の特性は、幾何補正を行う歪み補正、1つ以上のサブ画像エッジのエッジブレンディングバー、放射照度を正規化する放射照度マスク、及び使用されているレジンの反応性に基づいてサブ画像のエネルギーを調整する「ガンマ」調整マスク、を含むフィルタを使用して調整される。
【0288】
第3の態様の別の形態では、複数の画像プロジェクタの露光制御を互いに同期させる回路をさらに備える。
【0289】
第3の態様の別の形態では、積層造形システムは、レジンのプールをさらに含む光反応性3Dプリンティングシステムであり、ビルドエリアはレジンのプール内に位置する。
【0290】
第3の態様の別の形態では、合成画像を投影することは、層の露光中に複数のサブ画像を移動させることをさらに含む。
【0291】
第3の態様の別の形態では、サブ画像の移動は、ステップ露光ステップ型の移動または連続的な移動のいずれかである。
【0292】
第3の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に配向されたサブ画像の1Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向に対して垂直な第2の方向である。
【0293】
第3の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とを有するサブ画像の2Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向または第2の方向のいずれか一方、または第1の方向及び第2の方向の両方である。
【0294】
第3の態様の別の形態では、複数のサブ画像は、第1の方向に沿って配向された行と第2の方向に沿って配向された列とを有するサブ画像の2Dアレイを含み、サブ画像の移動は、第1の方向及び第2の方向の両方とは異なる第3の方向である。
【0295】
開示された本発明の実施形態について詳細に言及したが、その1つ以上の例が添付の図に示されている。各例は、本技術を限定するものではなく、本技術を説明するものとして提供されたものである。実際、本明細書は、本発明の特定の実施形態に関して詳細に記載したが、当業者であれば、前述の理解を得ると、これらの実施形態に対する代替形態、変形形態、及び均等物を容易に着想し得ることが理解されよう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴を別の実施形態に使用して、更に別の実施形態を生み出してもよい。したがって、本主題が、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るそのような修正及び変形を網羅することが意図される。本発明に対するこれらの及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の範囲を逸脱することなく当業者によって実施され得る。更に、当業者は、前述の記載が例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しないことを理解するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図22G
図22H
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31
図32
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)であって、
ビルドエリアを含むレジンバットと、
それぞれが前記ビルドエリア上にサブ画像を投影するように構成された2つ以上の画像プロジェクタであって、前記2つ以上の画像プロジェクタが、前記ビルドエリア上に2つ以上のサブ画像を投影するように構成されるようにする、前記2つ以上の画像プロジェクタと
前記2つ以上の画像プロジェクタからの光を測定するように構成された光センサを備えたキャリブレーション器具であって、前記光センサが、前記2つ以上のサブ画像のうちのサブ画像の位置に並ぶ、前記キャリブレーション器具と、
前記キャリブレーション器具及び前記2つ以上の画像プロジェクタと通信する画像表示サブシステムと、
を備える、前記光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項2】
前記光センサは、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに面している、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項3】
前記光センサは、前記ビルドエリアの平面内に配置される、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項4】
前記光センサは、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタからの投影光を、前記投影光がキャリブレーション面またはキャリブレーションフィーチャから反射することなく検出するように構成される、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項5】
前記光センサは、バウンスミラーからの光が前記キャリブレーション面または前記キャリブレーションフィーチャから反射することなく、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに関連付けられた前記バウンスミラーからの光を検出するように構成される、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項6】
前記画像表示サブシステムは、前記光センサから第1の信号を受信することと、コントローラまたはプロセッサを使用して前記光センサからの情報を処理することと、前記2つ以上のサブ画像のうちの前記サブ画像のパラメータを変更するために、前記2つ以上の画像プロジェクタのうちの画像プロジェクタに第2の信号を送信することと、を行うように構成される、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項7】
前記2つ以上のサブ画像のうちの前記サブ画像の前記パラメータは、位置、強度、強度分布、放射照度、放射照度分布、サイズ、ズーム量、焦点、エッジブレンディングパラメータ、ガンマ、スキュー、または歪みである、請求項6に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項8】
前記キャリブレーション器具が複数の固定光センサをさらに備え、前記複数の固定光センサのそれぞれの位置が、前記2つ以上のサブ画像の位置と並ぶ、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項9】
前記2つ以上の画像プロジェクタが、前記光センサを横切って画像を走査するように構成され、前記光センサが固定されている、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項10】
前記キャリブレーション器具は、前記光センサに結合され、前記2つ以上のサブ画像のうちの前記サブ画像の位置と並ぶ異なる位置に前記光センサを移動させるように構成された移動システムをさらに備える、請求項1に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【請求項11】
前記キャリブレーション器具が、前記移動システムに結合された複数の光センサをさらに備える、請求項10に記載の光反応性3Dプリンティングシステム(PRPS)。
【国際調査報告】