(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】分析物検出カートリッジ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240806BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240806BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20240806BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240806BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20240806BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20240806BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6851 Z
C12N15/10 114Z
G01N21/64 Z
G01N21/03 Z
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500578
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022026547
(87)【国際公開番号】W WO2022232281
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】524007701
【氏名又は名称】ミニット モレキュラー ダイアグノスティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】キム ロビン ジウン
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル アブヒシェク ケイ
(72)【発明者】
【氏名】バツラー マシュー オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ケルソ ディヴィッド エム
(72)【発明者】
【氏名】マクフォール サリー エム
(72)【発明者】
【氏名】ウェストバーグ トム
(72)【発明者】
【氏名】リード ジェニファー リン
(72)【発明者】
【氏名】バーランド ケリー
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
2G058
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G043BA14
2G043BA16
2G043CA03
2G043DA05
2G043EA01
2G043HA02
2G043HA09
2G043NA05
2G043NA06
2G057AA04
2G057AA12
2G057AC01
2G057AD20
2G057BA10
2G057BD03
2G057CA01
2G057CA05
2G057CB01
2G057EA01
2G057EA07
2G057GA06
2G057JA12
2G058BB02
2G058BB09
2G058BB19
2G058CC08
2G058DA07
2G058FA02
2G058GA01
4B029AA08
4B029BB20
4B029DG08
4B029GB06
4B029HA05
4B063QA01
4B063QQ41
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QR66
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
迅速な試料処理及び分析物検出(例えば、核酸精製、増幅、及び/または検出)のためのデバイス(例えば、カートリッジ)、機器、システム、及びそれらの構成要素、ならびにそれらの使用方法が、本明細書で提供される。分析物検出のためのカートリッジは、保管チャンバを含む保管セクションと、処理チャンバを含む処理セクションと、処理セクションと流体連通するマイクロ流体セクションと、保管チャンバと処理チャンバとの間で流体を移送するように構成された移送カプセルと、を備え得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物検出のためのカートリッジであって、
保管チャンバを含む保管セクションと、
処理チャンバを含む処理セクションと、
前記処理セクションと流体連通するマイクロ流体セクションと、前記保管チャンバと前記処理チャンバとの間で流体を移送するように構成された移送カプセルと、を備える、前記カートリッジ。
【請求項2】
前記処理セクションが、前記保管セクションと前記マイクロ流体セクションとの間に配置される、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記保管チャンバと流体連通するアクセスポート、及び前記処理チャンバと流体連通する処理アクセスポートを有するドッキングセクションを更に含む、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記保管セクションの少なくとも一部分、前記処理セクションの少なくとも一部分、及び前記ドッキングセクションの少なくとも一部分を形成する本体を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
第1のチャネルが、前記保管アクセスポート及び前記保管チャンバを流体的に接続し、第2のチャネルが、前記処理アクセスポート及び前記処理チャンバを流体的に接続する、請求項1~3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記保管チャンバが、第1の端部及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を含み、前記第1の端部が、前記第2の端部よりも前記保管アクセスポートに近く配置され、前記第1のチャネルが、前記第2の端部で前記保管チャンバに接続する、請求項1~5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記処理チャンバが、第1の端部及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を含み、前記第1の端部が、前記第2の端部よりも前記処理アクセスポートに近く配置され、前記第2のチャネルが、前記第2の端部で前記処理チャンバに接続する、請求項1~5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記保管チャンバが、第1の保管チャンバであり、前記保管セクションが、第2の保管チャンバを更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記処理チャンバが、第1の処理チャンバであり、前記処理セクションが、第2の処理チャンバを更に含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記保管セクションが、前記移送カプセルを受けるように構成された空洞を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記保管チャンバに流体的に結合された第1のベントと、前記処理チャンバに流体的に結合された第2のベントと、を更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記マイクロ流体セクションが、反応チャンバと、前記反応チャンバに流体的に接続されたマイクロ流体ベントチャネルと、前記処理チャンバ及び前記反応チャンバを流体的に接続するマイクロ流体入口チャネルと、を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記マイクロ流体セクションが、ワックスシールを更に含む、請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記ワックスシールが、第1のワックスシールであり、前記マイクロ流体セクションが、第2のワックスシールを更に含み、前記第1のワックスシールが、前記マイクロ流体入口チャネルに隣接して配置され、前記第2のワックスシールが、前記マイクロ流体ベントチャネルに隣接して配置される、請求項13に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記第2のワックスシールが、前記反応チャンバから距離をおいて配置され、前記距離が、少なくとも2mmである、請求項14に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記マイクロ流体入口チャネルに流体的に接続されたオフセットベントチャネルを更に含む、請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記オフセットベントチャネルが、第1のオフセットベントチャネルであり、前記カートリッジが、前記第1のオフセットベントチャネル及び前記第2のベントを流体的に接続する第2のオフセットベントチャネルを更に含む、請求項16に記載のカートリッジ。
【請求項18】
マイクロ流体デバイスであって、
(i)反応チャンバ、
(ii)前記反応チャンバと流体連通する入口チャネル、
(iii)前記反応チャンバと流体連通するベントチャネル、
(iv)前記入口チャネルに隣接して配置され、かつ前記入口チャネルと流体連通する第1のワックスシールであって、第1の前記ワックスシールが、第1の位置にある場合、前記入口チャネルを閉塞せず、流体が前記入口チャネルを介して前記反応チャンバに入ることを可能にし、第1の前記ワックスシールが第2の位置にある場合、前記第1のワックスシールが、前記入口チャネルを閉塞し、流体が前記入口チャネルを介して前記反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、前記第1のワックスシール、
(v)前記ベントチャネルに隣接して配置され、かつ前記ベントチャネルと流体連通する第2のワックスシールであって、第2の前記ワックスシールが、第1の位置にある場合、前記ベントチャネルを閉塞せず、ガスが前記ベントチャネルを介して前記反応チャンバから出ることを可能にし、第2の前記ワックスシールが第2の位置にある場合、前記第2のワックスシールが、前記ベントチャネルを閉塞し、流体が前記ベントチャネルを介して前記反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、前記第2のワックスシールを備え、
液体試薬を、前記入口チャネルを介して前記反応チャンバに導入することができ、
前記ワックスシールを閾値温度を上回って加熱することにより、前記ワックスシールが融解し、続いて、前記ワックスシールを前記閾値温度を下回って冷却することにより、前記ワックスシールが前記第2の位置に固化する、前記マイクロ流体デバイス。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項に記載のカートリッジと、前記カートリッジを挿入することができる機器と、を備えるシステムであって、前記機器が、前記カートリッジに加熱機能、磁気伝達(magnetic transfer)機能、流体移送(fluid transfer)機能、及び/または分析物検出機能を付与するための構成要素を備える、前記システム。
【請求項20】
試料処理及び分析物検出のための請求項19に記載のシステムの、使用。
【請求項21】
入口チャネルと、ベントチャネルと、反応チャンバと、を備えるマイクロ流体システムであって、前記入口チャネルが、前記反応チャンバと流体連通し、前記ベントチャネルが、前記反応チャンバと流体連通し、
前記システムが、前記反応チャンバの温度を上昇させることができる加熱要素を更に備え、
前記システムが、前記入口チャネルに隣接して配置され、かつ前記入口チャネルと流体連通する第1のシールを更に備え、第1の前記シールが、第1の位置にある場合、前記入口チャネルを閉塞せず、流体が前記入口チャネルを介して前記反応チャンバに入ることを可能にし、前記第1のシールが第2の位置にある場合、前記第1のシールが前記入口チャネルを閉塞し、流体が前記入口チャネルを介して前記反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止し、
前記システムが、前記ベントチャネルに隣接して配置され、かつ前記ベントチャネルと流体連通する第2のシールを更に備え、前記第2のシールが、第1の位置にある場合、前記ベントチャネルを閉塞せず、ガスが前記ベントチャネルを介して前記反応チャンバから出ることを可能にし、前記第2のシールが第2の位置にある場合、前記第2のシールが前記ベントチャネルを閉塞し、流体が前記ベントチャネルを介して前記反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止し、
前記シールを閾値温度を上回って加熱することにより、前記シールが融解し、前記シールが前記第1の位置から前記第2の位置に流れることを可能にし、続いて、前記シールを前記閾値温度を下回って冷却することにより、前記ワックスシールが前記第2の位置に固化する、前記マイクロ流体システム。
【請求項22】
前記第1のシール及び前記第2のシールが、ワックスまたはポリマー材料を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
反応チャンバを加熱及び冷却するための熱伝達デバイスであって、前記熱伝達デバイスが、
基部、第1のボア、第2のボア、及び前記基部から延在する熱交換器を含む蓄熱器であって、前記熱交換器が、前記反応チャンバの周りに構成された平面を含む、前記蓄熱器と、
前記第1のボア内に配置された加熱器と、
前記第2のボア内に配置された温度センサと、を備える、前記熱伝達デバイス。
【請求項24】
前記第1のボア及び前記第2のボアが、前記基部に形成されている、請求項23に記載の熱伝達デバイス。
【請求項25】
前記熱交換器が、円筒形である、請求項23に記載の熱伝達デバイス。
【請求項26】
前記蓄熱器が、アルミニウムである、請求項23に記載の熱伝達デバイス。
【請求項27】
前記加熱器が、電気抵抗加熱器である、請求項23に記載の熱伝達デバイス。
【請求項28】
前記反応チャンバが、PCR反応チャンバである、請求項23に記載の熱伝達デバイス。
【請求項29】
プロセッサと、前記プロセッサによって実行される場合に、前記蓄熱器の閉ループ温度制御を実行する命令を含む非一時的メモリと、を更に含む、請求項23に記載の熱伝達デバイス。
【請求項30】
アセンブリであって、
第1の支持体、
前記第1の支持体に対して移動可能な第2の支持体、
第1の平面を有する第1の熱伝達デバイスであって、前記第1の熱伝達デバイスが前記第1の支持体に結合された、前記第1の熱伝達デバイス、
前記第1の平面の反対側に配置された第2の平面を有する第2の熱伝達デバイスであって、前記第2の熱伝達デバイスが前記第2の支持体に結合され、前記第1の熱伝達デバイス及び前記第2の熱伝達デバイスが、第1の温度にある、前記第2の熱伝達デバイス、
第3の平面を有する第3の熱伝達デバイスであって、前記第3の熱伝達デバイスが前記第1の支持体に結合された、前記第3の熱伝達デバイス、
前記第3の平面の反対側に配置された第4の平面を有する第4の熱伝達デバイスであって、前記第4の熱伝達デバイスが前記第2の支持体に結合され、前記第3の熱伝達デバイス及び前記第4の熱伝達デバイスが、前記第1の温度とは異なる第2の温度にある、前記第4の熱伝達デバイス、を備える、前記アセンブリ。
【請求項31】
前記第1の支持体に結合され、かつ前記第1の熱伝達デバイスと前記第3の熱伝達デバイスとの間に配置された蛍光光度計を更に含む、請求項30に記載のアセンブリ。
【請求項32】
前記蛍光光度計の反対側に配置された第5の平面を有する第5の熱伝達デバイスを更に含み、前記第5の熱伝達デバイスが、前記第2の支持体に結合され、前記第2の熱伝達デバイスと前記第4の熱伝達デバイスとの間に配置される、請求項31に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記アセンブリが、反応チャンバを前記第1の温度にするように前記第1の平面と前記第2の平面との間に、かつ前記反応チャンバを前記第2の温度にするように前記第3の平面と前記第4の平面との間に、前記反応チャンバを受けるように構成される、請求項30に記載のアセンブリ。
【請求項34】
前記反応チャンバが、PCRチャンバである、請求項33に記載のアセンブリ。
【請求項35】
前記第2の支持体に結合され、かつ前記第1の平面表面及び前記第2の平面表面が第1の距離だけ間隔が空けられている第1の位置と、前記第1の平面表面及び前記第2の平面表面が前記第1の距離よりも小さい第2の距離だけ間隔が空けられている第2の位置との間で、前記第2の支持体をクランプ軸に沿って移動させるように構成された、アクチュエータを更に備える、請求項33に記載のアセンブリ。
【請求項36】
前記第2の距離が、400マイクロメートル~600マイクロメートルの範囲内にある、請求項35に記載のアセンブリ。
【請求項37】
前記アクチュエータが、第1のアクチュエータであり、前記アセンブリが、前記第1の支持体及び前記第2の支持体に結合された第2のアクチュエータを更に含み、前記第2のアクチュエータが、前記第1の支持体及び前記第2の支持体を並進軸に沿って一緒に移動させるように構成される、請求項33に記載のアセンブリ。
【請求項38】
前記並進軸が、前記クランプ軸に垂直である、請求項37に記載のアセンブリ。
【請求項39】
前記第1の温度が、80℃~100℃の範囲内にある、請求項30に記載のアセンブリ。
【請求項40】
前記第2の温度が、50℃~70℃の範囲内にある、請求項30に記載のアセンブリ。
【請求項41】
流体デバイスであって、
反応チャンバと、
前記反応チャンバと流体連通するチャネルと、
ワックスシールであって、前記ワックスシールが、第1の位置にある場合、前記チャネルを閉塞せず、流体が前記チャネルを介して前記反応チャンバに出入りすることを可能にし、前記ワックスシールが第2の位置にある場合、前記ワックスシールが前記チャネルを閉塞し、流体が前記チャネルを介して前記反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、前記ワックスシールと、を備え、
前記ワックスシールを閾値温度を上回って加熱することにより、前記ワックスシールが融解し、続いて、前記ワックスシールを前記閾値温度を下回って冷却することにより、前記ワックスシールが前記第2の位置に固化する、前記流体デバイス。
【請求項42】
前記反応チャンバが、入口チャネルと流体連通し、前記流体デバイスが、前記反応チャンバと流体連通するベントチャネルを更に含む、請求項41に記載の流体デバイス。
【請求項43】
前記入口チャネルワックスシールが、第1のワックスシールであり、前記流体デバイスが、第2のワックスシールを更に含み、第2の前記ワックスシールが、第1の位置にある場合、前記ベントチャネルを閉塞せず、流体が前記ベントチャネルを介して前記反応チャンバから出ることを可能にし、前記第2のワックスシールが第2の位置にある場合、前記第2のワックスシールが、前記ベントチャネルを閉塞し、流体が前記ベントチャネルを介して前記反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、請求項42に記載の流体デバイス。
【請求項44】
前記第1のワックスシールが、前記入口チャネルに隣接して配置され、前記第2のワックスシールが、前記ベントチャネルに隣接して配置される、請求項43に記載の流体デバイス。
【請求項45】
前記ワックスシールを前記閾値温度を上回って加熱するために前記ワックスシールの範囲内に配置されることができる第1の高温可動加熱器を更に備える、請求項41に記載の流体デバイス。
【請求項46】
前記ワックスシールを前記閾値温度を下回って冷却するために前記ワックスシールの範囲内に配置されることができる第2の低温可動加熱器を更に備える、請求項45に記載の流体デバイス。
【請求項47】
前記ワックスシールの直径が、前記第1の加熱器及び前記第2の加熱器の直径よりも小さい、請求項46に記載の流体デバイス。
【請求項48】
前記ワックスシールが、接着剤でコーティングされている、請求項41に記載の流体デバイス。
【請求項49】
前記接着剤が、アクリル接着剤である、請求項48に記載の流体デバイス。
【請求項50】
前記第1の加熱器及び前記第2の加熱器が、前記ワックスシールに対して選択された位置に配置されることができる、請求項41に記載の流体デバイス。
【請求項51】
前記第2のワックスシールが、前記反応チャンバから距離をおいて配置され、前記距離が、少なくとも2mmである、請求項41に記載の流体デバイス。
【請求項52】
複数の液体試薬を、前記入口チャネルを介して前記反応チャンバに導入することができる、請求項42に記載の流体デバイス。
【請求項53】
蛍光光度計であって、
測定開口部を含む囲い、
第1の光源軸に沿って前記囲いに結合された第1の光源、
第2の光源軸に沿って前記囲いに結合された第2の光源、
第3の光源軸に沿って前記囲いに結合された第3の光源、
第4の光源軸に沿って前記囲いに結合された第4の光源、
第1の検出器軸に沿って前記囲いに結合された第1の光検出器、
第2の検出器軸に沿って前記囲いに結合された第2の光検出器、
第3の検出器軸に沿って前記囲いに結合された第3の光検出器、
第4の検出器軸に沿って前記囲いに結合された第4の光検出器、を備え、
前記第1の光源軸、前記第2の光源軸、前記第3の光源軸、前記第4の光源軸、前記第1の検出器軸、前記第2の検出器軸、前記第3の検出器軸、及び前記第4の検出器軸が、前記測定開口部と交差する、前記蛍光光度計。
【請求項54】
円形測定開口部が、その中心を通って、かつ前記測定開口部の平面に垂直な法線軸を画定する、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項55】
前記法線軸、前記第1の光源軸、前記第2の光源軸、前記第3の光源軸、前記第4の光源軸、前記第1の検出器軸、前記第2の検出器軸、前記第3の検出器軸、及び前記第4の検出器軸が、同軸ではない、請求項54に記載の蛍光光度計。
【請求項56】
前記第1の光源軸、前記第2の光源軸、前記第3の光源軸、前記第4の光源軸、前記第1の検出器軸、前記第2の検出器軸、前記第3の検出器軸、及び前記第4の検出器軸は、前記法線軸の周りに円周方向に配置される、請求項54に記載の蛍光光度計。
【請求項57】
前記第1の光源が、前記第1の検出器に隣接して円周方向に配置される、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項58】
前記蛍光光度計が、ダイクロイックミラーまたはビームスプリッタを含まない、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項59】
プロセッサと、前記プロセッサによって実行される場合、100ミリ秒の期間にわたって行われた前記第1の検出器による400個のアナログからデジタルへの読み取りを記憶する命令を含む非一時的メモリと、を更に備える、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項60】
前記第1の光源が、前記第1の光源軸に沿って第1の励起光を放出し、前記第1の励起光が、前記第1の光検出器軸から離れた前記測定開口部で反射される、請求項53に記載の蛍光測定器。
【請求項61】
前記測定開口部が、試料を受けるように構成され、前記第1の光源からの前記第1の励起光が、第1のスペクトルを有し、前記第1の光検出器が、前記第1の励起光に応答して、前記試料の第1の蛍光を測定する、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項62】
前記第2の光源からの第2の励起光が、第2のスペクトルを有し、前記第2の光検出器が、前記第2の励起光に応答して前記試料の第2の蛍光を測定する、請求項61に記載の蛍光光度計。
【請求項63】
前記測定開口部が、PCRチャンバの平面と整列するように構成される、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項64】
前記第1の検出器が、第1のレンズ、フィルタ、第2のレンズ、及び半導体検出器を含む、請求項53に記載の蛍光光度計。
【請求項65】
核酸定量化方法であって、
(a)検出可能なレポーターの存在下で、標的核酸を含有する疑いのある試料に対して多サイクル増幅反応を実行して、増幅生成物を生成すること、
(b)前記増幅反応の各サイクル後に、前記増幅生成物に組み込まれた検出可能なレポーターの量と相関する前記検出可能なレポーターからのシグナルを検出すること、
(c)カットオフ値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する最も早いサイクルを特定すること、
(d)閾値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する前記最も早いサイクルよりも早いサイクルからの複数のシグナルに線形方程式を適合させること、
(e)前記閾値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する前記最も早いサイクルよりも遅いサイクルからの複数のシグナルに曲線を適合させること、
(f)前記線形方程式及び前記曲線についてのシグナルの正規化された差が閾値に等しいサイクル(Cq)を特定すること、を含み、
Cqが、前記試料中に存在する標的核酸の量に反比例する、前記核酸定量化方法。
【請求項66】
ステップ(c)が、
(i)シグナルの最大の正規化された増加を有するサイクルを特定すること、
(ii)前記シグナルの最大の正規化された増加が前記カットオフ値よりも大きい場合、次いで、より低いカットオフ値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する前記シグナルの最大の正規化された増加を有する前記サイクルの前の最も早いサイクルを決定することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記増幅反応の各サイクルについての前記検出されたシグナルの移動平均を計算し、ステップ(c)~(f)の各サイクルについての前記移動平均を使用するステップを更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記移動平均が、直近の2つのより早いサイクル及び直近の2つのより遅いサイクルでのシグナルを有する各サイクルでの前記シグナルの平均として計算される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記曲線が、二次曲線である、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記多サイクル増幅反応が、30~50サイクル増幅反応である、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記多サイクル増幅反応が、40サイクル増幅反応である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記多サイクル増幅反応が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)である、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記検出可能なレポーターが、フルオロフォアであり、前記シグナルが、蛍光である、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
各サイクルが、核酸変性ステップ、アニーリング/伸長ステップ、及び検出ステップを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
各サイクルが、核酸変性ステップ、アニーリングステップ、伸長ステップ、及び検出ステップを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
前記試料が、生物学的試料である、請求項65に記載の方法。
【請求項77】
前記標的核酸が、ウイルス核酸である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記試料中に存在する前記標的核酸の量が、前記試料中のウイルス負荷に比例する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を調製する方法であって、
(a)前記生物学的試料を、細胞膜を消化し、タンパク質を分解することが可能な溶解試薬と混ぜ合わせ、前記溶解試薬が、細胞膜を消化しタンパク質を分解して、溶解物を生成することを可能にすることであって、前記生物学的試料が核酸を含む、前記可能にすることと、
(b)前記溶解物を捕捉試薬と混ぜ合わせることであって、前記捕捉試薬が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む、前記混ぜ合わせることと、
(c)前記核酸プローブを前記生物学的試料の前記核酸にハイブリダイゼーションさせて、プローブが結合した核酸の溶液を生成することを可能にすることと、
(d)前記プローブが結合した核酸を捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせることと、
(e)前記捕捉剤が前記捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にすることと、
(f)前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内のビーズに捕捉された核酸を単離することと、
(g)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離することと、を含む、前記方法。
【請求項80】
後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を調製する方法であって、
(a)前記生物学的試料を、溶解試薬及び捕捉試薬と混ぜ合わせることであって、前記溶解試薬が、細胞膜を消化し、細胞タンパク質を分解することができる構成要素を含み、前記捕捉試薬が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含み、前記生物学的試料が、核酸を含む、前記混ぜ合わせることと、
(b)前記溶解試薬が、細胞膜を消化しタンパク質を分解して、溶解物を生成することを可能にすることと、
(c)前記核酸プローブを前記生物学的試料の前記核酸にハイブリダイゼーションさせて、プローブが結合した核酸の溶液を生成することを可能にすることと、
(d)前記プローブが結合した核酸を捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせることと、
(e)前記捕捉剤が前記捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にすることと、
(f)前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内のビーズに捕捉された核酸を単離することと、
(g)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離することと、を含む、前記方法。
【請求項81】
前記溶解試薬が、乾燥溶解試薬であり、前記乾燥溶解試薬が、前記生物学的試料中に再懸濁される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
前記溶解試薬が、濃縮液体溶解試薬であり、前記濃縮液体溶解試薬が、前記生物学的試料中で希釈される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項83】
前記捕捉試薬が、乾燥捕捉試薬であり、前記乾燥捕捉試薬が、前記溶解物中に再懸濁される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項84】
前記捕捉試薬が、濃縮液体捕捉試薬であり、前記濃縮液体捕捉試薬が、前記溶解物中で希釈される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項85】
前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズが、乾燥しており、前記プローブが結合した核酸の溶液中に再懸濁される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項86】
前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズが、濃縮液体中にあり、前記プローブが結合した核酸の溶液中で希釈される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項87】
前記方法が、遠心分離ステップを含まない、請求項79または80に記載の方法。
【請求項88】
前記方法が、濾過ステップを含まない、請求項79または80に記載の方法。
【請求項89】
前記方法が、核酸の沈殿を含まない、請求項79または80に記載の方法。
【請求項90】
前記核酸が、ステップ(a)~(e)における前記生物学的試料内の汚染物質から単離されない、請求項79または80に記載の方法。
【請求項91】
前記溶解試薬が、細胞膜を消化しタンパク質を分解して溶解物を生成することを可能にすることが、温度を90~100℃に上昇させながら、前記生物学的試料と前記溶解試薬とを混合することを含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項92】
前記溶解試薬が、細胞タンパク質を消化することができるプロテアーゼを含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項93】
前記プロテアーゼが、プロテイナーゼKである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記溶解試薬が、細胞を溶解するのに十分な濃度の洗剤を含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項95】
前記洗剤が、SDSである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記溶解試薬が、1つ以上の塩を含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項97】
前記捕捉部分が、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項79または80に記載の方法。
【請求項98】
前記核酸プローブが、前記生物学的試料の前記核酸における標的配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項99】
前記核酸プローブが前記生物学的試料の前記核酸にハイブリダイゼーションすることを可能にすることが、前記溶解物及び前記捕捉試薬を混合することを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記核酸プローブが前記生物学的試料の前記核酸にハイブリダイゼーションすることを可能にすることが、前記溶解物及び前記捕捉試薬を63~73℃でインキュベーションすることを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記核酸プローブが前記生物学的試料の前記核酸にハイブリダイゼーションすることを可能にすることが、前記溶解物及び前記捕捉試薬を約68℃でインキュベーションすることを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記溶解物及び前記捕捉試薬が、30秒~5分間混合及び/またはインキュベーションされる、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
前記溶解物及び前記捕捉試薬が、1~3分間混合及び/またはインキュベーションされる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記溶解物及び前記捕捉試薬が、約2分間インキュベーションされる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記プローブが結合した核酸を前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせることが、前記プローブが結合した核酸及び前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを混合することを含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項106】
前記プローブが結合した核酸を前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせることが、前記プローブが結合した核酸及び前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを70~80℃でインキュベーションすることを含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項107】
前記プローブが結合した核酸を前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせることが、前記プローブが結合した核酸及び前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを約75℃でインキュベーションすることを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記捕捉剤が前記捕捉部分に結合することを可能にすることが、前記プローブが結合した核酸及び前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを63~73℃でインキュベーションすることを含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項109】
前記捕捉剤が前記捕捉部分に結合することを可能にすることが、前記プローブが結合した核酸及び前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを約68℃でインキュベーションすることを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記磁場に曝露する前に、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を吸引することを更に含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項111】
前記単離されたビーズに捕捉された核酸及び前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の前記液体部分を分離することが、前記磁場を所定の位置に保持すること、及び前記液体部分を前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液から除去することを含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項112】
(h)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液と混ぜ合わせることと、
(i)前記ビーズに捕捉された核酸を前記洗浄緩衝液中に再懸濁することと、
(j)前記ビーズに捕捉された核酸の一部分を磁場に曝露することによって、前記洗浄緩衝液内の前記ビーズに捕捉された核酸を単離することと、
(k)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を前記洗浄緩衝液から分離することと、を更に含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項113】
ステップ(h)~(k)を1回以上繰り返すことを更に含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
(h)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、
(i)前記ビーズに捕捉された核酸を前記再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、を更に含む、請求項79または80に記載の方法。
【請求項115】
(j)前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を分析試薬と混ぜ合わせることを更に含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
(l)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、
(m)前記ビーズに捕捉された核酸を前記再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、を更に含む、請求項112に記載の方法。
【請求項117】
(n)前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を分析試薬と混ぜ合わせることを更に含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記分析試薬が、乾燥分析試薬であり、前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を前記乾燥分析試薬と組み混ぜ合わせることが、前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液中に前記乾燥分析試薬を再懸濁することを含む、請求項115または117に記載の方法。
【請求項119】
前記分析試薬が、検出試薬を含む、請求項115または117に記載の方法。
【請求項120】
前記分析試薬が、増幅試薬を含む、請求項115または117に記載の方法。
【請求項121】
前記ビーズが結合した捕捉試薬にハイブリダイゼーションした前記標的核酸を増幅及び/または検出することを更に含む、請求項115または117に記載の方法。
【請求項122】
前記洗浄緩衝液及び再懸濁緩衝液が、同じ構成要素を含有する、請求項78または80に記載の方法。
【請求項123】
後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を調製する方法であって、
(a)細胞を含む前記生物学的試料を、プロテイナーゼK、SDS、及び塩を含む乾燥溶解試薬と混ぜ合わせ、前記生物学的試料中に前記乾燥溶解試薬を再懸濁して、溶解物を生成することと、
(b)前記溶解物を乾燥捕捉試薬と混ぜ合わせ、前記乾燥捕捉試薬を前記溶解物中に再懸濁することであって、前記捕捉試薬が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含み、前記捕捉部分が、ビオチンであり、前記核酸プローブが、前記生物学的試料の前記核酸内の標的配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む、前記再懸濁することと、
(c)前記核酸プローブ及び前記溶解物の前記核酸を63~73℃の温度でインキュベーションして、プローブが結合した核酸の溶液を生成することと、
(d)前記プローブが結合した核酸を乾燥捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせ、70~80℃で前記乾燥捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを前記プローブが結合した核酸中に再懸濁することであって、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、前記再懸濁することと、
(e)前記プローブが結合した核酸及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを63~73℃でインキュベーションし、前記捕捉剤が前記捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にすることと、
(f)前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内でビーズに捕捉された核酸を単離し、(A)前記磁場を所定の位置に保持して、液体部分を前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液から除去するか、または(B)前記磁場を移動させて、前記ビーズに捕捉された核酸を前記液体部分から引きずり出すことと、
(g)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離することと、
(h)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液と混ぜ合わせることと、
(i)前記ビーズに捕捉された核酸を前記洗浄緩衝液中に再懸濁することと、
(j)前記ビーズに捕捉された核酸の一部分を磁場に曝露することによって、前記洗浄緩衝液内の前記ビーズに捕捉された核酸を単離することと、
(k)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を前記洗浄緩衝液から分離することと、
(l)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、
(m)前記ビーズに捕捉された核酸を前記再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、
(n)前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を乾燥分析試薬と混ぜ合わせ、前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液中に前記乾燥分析試薬を再懸濁することであって、前記分析試薬が、前記標的核酸を増幅及び検出するためのプライマー及び検出可能な標識を含む、前記再懸濁することと、
(o)前記ビーズが結合した捕捉試薬にハイブリダイゼーションした前記標的核酸を増幅及び検出することと、を含み、
前記方法が、遠心分離ステップ、濾過ステップ、または核酸沈殿ステップを含まず、前記核酸が、ステップ(a)~(e)において、前記生物学的試料内の汚染物質から単離されず、前記洗浄緩衝液及び前記再懸濁緩衝液が、同じ構成要素を含有する、前記方法。
【請求項124】
後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を調製する方法であって、
(a)前記生物学的試料を、溶解/消化構成要素及び捕捉構成要素を含む乾燥試薬と混ぜ合わせ、前記生物学的試料中に前記乾燥試薬を再懸濁することであって、前記溶解/消化構成要素が、プロテイナーゼK、SDS、及び塩を含み、前記捕捉構成要素が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含み、前記捕捉部分が、ビオチンであり、前記核酸プローブが、前記生物学的試料の前記核酸内の標的配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む、前記再懸濁することと、
(b)前記生物学的試料を90~100℃の温度でインキュベーションして、細胞膜の溶解及び前記試料内のタンパク質の消化を可能にして、溶解物を生成することと、
(c)前記溶解物を63~73℃の温度でインキュベーションして、前記核酸プローブの前記ハイブリダイゼーション配列の、前記生物学的試料の前記核酸の前記標的配列への結合を可能にして、プローブが結合した核酸の溶液を生成することと、
(d)前記プローブが結合した核酸を、乾燥捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせ、70~80℃で前記乾燥捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを前記プローブが結合した核酸中に再懸濁することであって、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、前記再懸濁することと、
(e)前記プローブが結合した核酸及び前記捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを63~73℃でインキュベーションし、前記捕捉剤が前記捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にすることと、
(f)前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内でビーズに捕捉された核酸を単離し、(A)前記磁場を所定の位置に保持して、液体部分を前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液から除去するか、または(B)前記磁場を移動させて、前記ビーズに捕捉された核酸を前記液体部分から引きずり出すことと、
(g)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を、前記ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離することと、
(h)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液と混ぜ合わせることと、
(i)前記ビーズに捕捉された核酸を前記洗浄緩衝液中に再懸濁することと、
(j)前記ビーズに捕捉された核酸の一部分を磁場に曝露することによって、前記洗浄緩衝液内の前記ビーズに捕捉された核酸を単離することと、
(k)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を前記洗浄緩衝液から分離することと、(l)前記単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、
(m)前記ビーズに捕捉された核酸を前記再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、
(n)前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を乾燥分析試薬と混ぜ合わせ、前記ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液中に前記乾燥分析試薬を再懸濁することであって、前記分析試薬が、前記標的核酸を増幅及び検出するためのプライマー及び検出可能な標識を含む、前記再懸濁することと、
(o)ビーズが結合した捕捉試薬にハイブリダイゼーションした前記標的核酸を増幅及び検出することと、を含み、
前記方法が、遠心分離ステップ、濾過ステップ、または核酸沈殿ステップを含まず、前記核酸が、ステップ(a)~(e)において、前記生物学的試料内の汚染物質から単離されず、前記洗浄緩衝液及び前記再懸濁緩衝液が、同じ構成要素を含有する、前記方法。
【請求項125】
前記方法が、手動で実行される、請求項79~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
液体の移動及び混ぜ合わせることが、手動ピペッティングによって行われる、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記方法が、自動化されている、請求項79~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
方法ステップが、単回使用カートリッジ内で実行される、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記単回使用カートリッジが、前記方法の方法ステップを実行するための全ての乾燥及び液体の試薬及び緩衝液を含有する、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記単回使用カートリッジが、試薬を混ぜ合わせ混合するための構成要素、加熱要素、及び磁石を含む機器とインターフェース接続する、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
前記方法ステップが、1つ以上のチューブまたはウェル内で自動化機器によって実行される、請求項127に記載の方法。
【請求項132】
システムまたはキットであって、
(a)細胞膜を消化し、細胞タンパク質を分解することができる溶解試薬と、
(b)捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む捕捉試薬と、
(c)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと、
(d)増幅/検出試薬と、
(e)洗浄/再懸濁緩衝溶液と、を備える、前記システムまたはキット。
【請求項133】
システムまたはキットであって、
(a)(1)細胞膜を消化し、タンパク質を分解することができる溶解/消化構成要素、及び(2)捕捉部分につながれた核酸プローブを含む、溶解/捕捉試薬と、
(b)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと、
(c)増幅/検出試薬と、
(d)洗浄/再懸濁緩衝溶液と、を備える、前記システムまたはキット。
【請求項134】
前記試薬が、乾燥または濃縮液体形態にある、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項135】
細胞を含む生物学的試料を更に備える、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項136】
前記溶解試薬または溶解/消化構成要素が、細胞タンパク質を消化することができるプロテアーゼを含む、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項137】
前記プロテアーゼが、プロテイナーゼKである、請求項136に記載のシステムまたはキット。
【請求項138】
前記溶解試薬または溶解/消化構成要素が、生物学的試料と混ぜ合わせた場合に、細胞を溶解するのに十分な量の洗剤を含む、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項139】
前記洗剤が、SDSである、請求項138に記載のシステムまたはキット。
【請求項140】
前記溶解試薬または溶解/消化構成要素が、1つ以上の塩を含む、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項141】
前記捕捉部分が、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項142】
前記核酸プローブが、標的核酸における標的配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項143】
前記乾燥増幅/検出試薬が、プライマー、検出可能な標識、及びヌクレオチドを含む、請求項132または133に記載のシステムまたはキット。
【請求項144】
システムまたはキットであって、
(a)プロテイナーゼK、SDS、及び1つ以上の塩を含む溶解試薬と、
(b)ビオチン捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む捕捉試薬と、
(c)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズであって、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、前記磁気ビーズと、
(d)プライマー、検出可能な標識、及びヌクレオチドを含む増幅/検出試薬と、
(e)緩衝溶液と、を備える、前記システムまたはキット。
【請求項145】
システムまたはキットであって、
(a)(1)プロテイナーゼK、SDS、及び1つ以上の塩を含む溶解/消化構成要素、ならびに(2)捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む、溶解/捕捉試薬と、
(b)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズであって、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、前記磁気ビーズと、
(c)プライマー、検出可能な標識、及びヌクレオチドを含む増幅/検出試薬と、
(d)緩衝溶液と、を備える、前記システムまたはキット。
【請求項146】
前記試薬が、乾燥または濃縮液体形態にある、請求項144または145に記載のシステムまたはキット。
【請求項147】
細胞を含む生物学的試料を更に備える、請求項144または145に記載のシステムまたはキット。
【請求項148】
細胞を含む生物学的試料からの標的核酸の捕捉、単離、増幅、及び検出のために前記システムまたはキットを手動で使用するための使い捨ての実験用製品を更に備える、請求項132、133、144、または145に記載のシステムまたはキット。
【請求項149】
前記使い捨ての実験用製品が、ピペットチップ、反応チューブ、及び/またはマイクロウェルプレートを含む、請求項148に記載のシステムまたはキット。
【請求項150】
(a)~(e)の構成要素を含有する単回使用カートリッジを更に備え、前記単回使用カートリッジが、試薬を混ぜ合わせ混合するための構成要素、加熱要素、及び磁石を含む機器とインターフェース接続することができる、請求項149に記載のシステムまたはキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月27日に出願された米国仮特許出願第63/289,481号、2021年11月1日に出願された米国仮特許出願第63/274,332号、2021年12月14日に出願された米国仮特許出願第63/289,481号、及び2022年1月28日に出願された米国仮特許出願第63/304,034号の利益を主張し、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援の研究に関する声明文
本発明は、National Institutes of Healthによって授与された認可番号EB027049の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
迅速な試料処理及び分析物検出(例えば、核酸精製、増幅、及び/または検出)のためのデバイス(例えば、カートリッジ)、機器、システム、及びそれらの構成要素、ならびにそれらの使用方法が、本明細書で提供される。
【背景技術】
【0004】
核酸試験は、他の多くの用途の中で、感染症の検出及び診断のための方法を提供する。最も広く実施され、最も信頼できる核酸試験方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる。PCRの制限は、30℃以上異なり得る複数の温度を介して反応溶液をサイクルするのに1時間以上を必要とすることである。定量的またはリアルタイムPCR(qPCRまたはRT-PCR)は、各熱サイクル中またはその間に蛍光読み取りを行わなければならないため、更に長くなる。qPCRを実行するために長い処理時間及び電気エネルギーが必要とされることにより、迅速かつ正確に診断を行う必要がある多くの状況においては使用が避けられる。
【0005】
典型的なqPCRプロトコルは、試験溶液を95℃に加熱し、次いで、60℃に冷却し、続いて、蛍光を読み取ることの30~50サイクルを実行する。典型的なサーマルサイクラーでは、加熱及び冷却ステップは、熱電冷却器(TEC)を備えたプラスチックチューブ中で行われ、チューブの壁を介して試験溶液に熱を出入りさせる。そのようなサーマルサイクラーは、PCR手順に非効率性を導入する。
【発明の概要】
【0006】
迅速な試料処理及び分析物検出(例えば、核酸精製、増幅、及び/または検出)のためのデバイス(例えば、カートリッジ)、機器、システム、及びそれらの構成要素、ならびにそれらの使用方法が、本明細書で提供される。
【0007】
いくつかの態様では、特異的に結合する方法(例えば、イムノアッセイ、核酸増幅)で分析物のレベルを決定するためのカートリッジデバイス及び方法が、本明細書で提供される。分析物は、バルク液体溶液として提示され得るか、またはスワブなどの多孔質媒体に吸収され得る。カートリッジは、標的分析物を処理及び検出するために必要な全ての構成要素及びチャンバを含有する。換言すれば、カートリッジは、自己完結型である。カートリッジは、熱伝達(heat transfer)、液体移送(liquid transfer)、磁気伝達(magnetic transfer)、及び光学検出を含むがこれらに限定されない機能を実行するサーボ機構を備えた処理機器によって作用される。
【0008】
いくつかの態様では、保管チャンバを含む保管セクションと、処理チャンバを含む処理セクションと、処理セクションと流体連通するマイクロ流体セクションと、保管チャンバと処理チャンバとの間で流体を移送するように構成された移送カプセルと、を備える、分析物検出のためのカートリッジが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、処理セクションは、保管セクションとマイクロ流体セクションとの間に配置される。いくつかの実施形態では、カートリッジは、保管チャンバと流体連通するアクセスポート、及び処理チャンバと流体連通する処理アクセスポートを有するドッキングセクションを更に含む。いくつかの実施形態では、カートリッジは、保管セクションの少なくとも一部分、処理セクションの少なくとも一部分、及びドッキングセクションの少なくとも一部分を形成する本体を更に含む。いくつかの実施形態では、第1のチャネルは、保管アクセスポート及び保管チャンバを流体的に接続し、第2のチャネルは、処理アクセスポート及び処理チャンバを流体的に接続する。いくつかの実施形態では、保管チャンバは、第1の端部及び第1の端部の反対側の第2の端部を含み、第1の端部は、第2の端部よりも保管アクセスポートに近く配置され、第1のチャネルが、第2の端部で保管チャンバに接続する。いくつかの実施形態では、処理チャンバは、第1の端部及び第1の端部の反対側の第2の端部を含み、第1の端部は、第2の端部よりも処理アクセスポートに近く配置され、第2のチャネルが、第2の端部で処理チャンバに接続する。いくつかの実施形態では、保管チャンバは、第1の保管チャンバであり、保管セクションは、第2の保管チャンバを更に含む。いくつかの実施形態では、処理チャンバは、第1の処理チャンバであり、処理セクションは、第2の処理チャンバを更に含む。いくつかの実施形態では、保管セクションは、移送カプセルを受けるように構成された空洞を含む。いくつかの実施形態では、カートリッジは、保管チャンバに流体的に結合された第1のベントと、処理チャンバに流体的に結合された第2のベントと、を更に含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体セクションは、反応チャンバと、反応チャンバに流体的に接続されたマイクロ流体ベントチャネルと、処理チャンバ及び反応チャンバを流体的に接続するマイクロ流体入口チャネルと、を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体セクションは、ワックスシールを更に含む。いくつかの実施形態では、ワックスシールは、第1のワックスシールであり、マイクロ流体セクションは、第2のワックスシールを更に含み、第1のワックスシールが、マイクロ流体入口チャネルに隣接して配置され、第2のワックスシールが、マイクロ流体ベントチャネルに隣接して配置される。いくつかの実施形態では、第2のワックスシールは、反応チャンバから距離をおいて配置され、距離が、少なくとも2mmである。いくつかの実施形態では、カートリッジは、マイクロ流体入口チャネルに流体的に接続されたオフセットベントチャネルを更に含む。いくつかの実施形態では、オフセットベントチャネルは、第1のオフセットベントチャネルであり、カートリッジは、第1のオフセットベントチャネル及び第2のベントを流体的に接続する第2のオフセットベントチャネルを更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスであって、(i)反応チャンバ、(ii)反応チャンバと流体連通する入口チャネル、(iii)反応チャンバと流体連通するベントチャネル、(iv)入口チャネルに隣接して配置され、かつ入口チャネルと流体連通する第1のワックスシールであって、第1のワックスシールが、第1の位置にある場合、入口チャネルを閉塞せず、流体が入口チャネルを介して反応チャンバに入ることを可能にし、第1のワックスシールが第2の位置にある場合、第1のワックスシールが、入口チャネルを閉塞し、流体が入口チャネルを介して反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、第1のワックスシール、(v)ベントチャネルに隣接して配置され、かつベントチャネルと流体連通する第2のワックスシールであって、第2のワックスシールが、第1の位置にある場合、ベントチャネルを閉塞せず、ガスがベントチャネルを介して反応チャンバから出ることを可能にし、第2のワックスシールが第2の位置にある場合、第2のワックスシールが、ベントチャネルを閉塞し、流体がベントチャネルを介して反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、第2のワックスシールを備え、液体試薬を、入口チャネルを介して反応チャンバに導入することができ、ワックスシールを閾値温度を上回って加熱することにより、ワックスシールが融解し、続いて、ワックスシールを閾値温度を下回って冷却することにより、ワックスシールが第2の位置に固化する、マイクロ流体デバイスが、本明細書で提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカートリッジと、カートリッジを挿入することができる機器と、を備えるシステムであって、機器が、カートリッジに加熱、磁気伝達、流体移送、及び/または分析物検出機能を付与するための構成要素を備える、システムが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、試料処理及び分析物検出のための本明細書のシステムの使用が、本明細書で提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、入口チャネルと、ベントチャネルと、反応チャンバと、を備えるマイクロ流体システムであって、入口チャネルが、反応チャンバと流体連通し、ベントチャネルが、反応チャンバと流体連通し、システムが、反応チャンバの温度を上昇させることができる加熱要素を更に備え、システムが、入口チャネルに隣接して配置され、かつ入口チャネルと流体連通する第1のシールを更に備え、第1のシールが、第1の位置にある場合、入口チャネルを閉塞せず、流体が入口チャネルを介して反応チャンバに入ることを可能にし、第1のシールが第2の位置にある場合、第1のシールが入口チャネルを閉塞し、流体が入口チャネルを介して反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止し、システムが、ベントチャネルに隣接して配置され、かつベントチャネルと流体連通する第2のシールを更に備え、第2のシールが、第1の位置にある場合、ベントチャネルを閉塞せず、ガスがベントチャネルを介して反応チャンバから出ることを可能にし、第2のシールが第2の位置にある場合、第2のシールがベントチャネルを閉塞し、流体がベントチャネルを介して反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止し、シールを閾値温度を上回って加熱することにより、シールが融解し、シールが第1の位置から第2の位置に流れることを可能にし、続いて、シールを閾値温度を下回って冷却することにより、ワックスシールが第2の位置に固化する、マイクロ流体システムが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、第1のシール及び第2のシールは、ワックスまたはポリマー材料を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、反応チャンバを加熱及び冷却するための熱伝達デバイスであって、熱伝達デバイスが、基部、第1のボア、第2のボア、及び基部から延在する熱交換器を含む蓄熱器であって、熱交換器が、反応チャンバの周りに構成された平面を含む、蓄熱器と、第1のボア内に配置された加熱器と、第2のボア内に配置された温度センサと、を備える、熱伝達デバイスが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、第1のボア及び第2のボアは、基部に形成されている。いくつかの実施形態では、熱交換器は、円筒形である。いくつかの実施形態では、蓄熱器は、アルミニウムである。いくつかの実施形態では、加熱器は、電気抵抗加熱器である。いくつかの実施形態では、反応チャンバは、PCR反応チャンバである。いくつかの実施形態では、デバイスは、プロセッサと、プロセッサによって実行される場合に、蓄熱器の閉ループ温度制御を実行する命令を含む非一時的メモリと、を更に含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、アセンブリであって、第1の支持体;第1の支持体に関して移動可能な第2の支持体;第1の平面を有する第1の熱伝達デバイスであって、第1の熱伝達デバイスが第1の支持体に結合された、第1の熱伝達デバイス;第1の平面の反対側に配置された第2の平面を有する第2の熱伝達デバイスであって、第2の熱伝達デバイスが第2の支持体に結合され、第1の熱伝達デバイス及び第2の熱伝達デバイスが、第1の温度にある、第2の熱伝達デバイス;第3の平面を有する第3の熱伝達デバイスであって、第3の熱伝達デバイスが第1の支持体に結合された、第3の熱伝達デバイス;第3の平面の反対側に配置された第4の平面を有する第4の熱伝達デバイスであって、第4の熱伝達デバイスが第2の支持体に結合され、第3の熱伝達デバイス及び第4の熱伝達デバイスが、第1の温度とは異なる第2の温度にある、第4の熱伝達デバイスを備える、アセンブリが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、アセンブリは、第1の支持体に結合され、かつ第1の熱伝達デバイスと第3の熱伝達デバイスとの間に配置された蛍光光度計を更に含む。いくつかの実施形態では、アセンブリは、蛍光光度計の反対側に配置された第5の平面を有する第5の熱伝達デバイスを更に含み、第5の熱伝達デバイスが、第2の支持体に結合され、第2の熱伝達デバイスと第4の熱伝達デバイスとの間に配置される。いくつかの実施形態では、アセンブリは、反応チャンバを第1の温度にするように第1の平面と第2の平面との間に、かつ反応チャンバを第2の温度にするように第3の平面と第4の平面との間に、反応チャンバを受けるように構成される。いくつかの実施形態では、反応チャンバは、PCRチャンバである。いくつかの実施形態では、アセンブリは、第2の支持体に結合され、かつ第1の平面表面及び第2の平面表面が第1の距離だけ間隔が空けてられている第1の位置と、第1の平面表面及び第2の平面表面が第1の距離よりも小さい第2の距離だけ間隔が空けてられている第2の位置との間で、第2の支持体をクランプ軸に沿って移動させるように構成された、アクチュエータを更に備える。いくつかの実施形態では、第2の距離は、400マイクロメートル~600マイクロメートルの範囲内にある。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、第1のアクチュエータであり、アセンブリが、第1の支持体及び第2の支持体に結合された第2のアクチュエータを更に含み、第2のアクチュエータが、第1の支持体及び第2の支持体を並進軸に沿って一緒に移動させるように構成される。いくつかの実施形態では、並進軸は、クランプ軸に垂直である。いくつかの実施形態では、第1の温度は、80℃~100℃の範囲内にある。いくつかの実施形態では、第2の温度は、50℃~70℃の範囲内にある。
【0014】
いくつかの実施形態では、流体デバイスであって、反応チャンバと、反応チャンバと流体連通するチャネルと、ワックスシールであって、ワックスシールが、第1の位置にある場合、チャネルを閉塞せず、流体がチャネルを介して反応チャンバに出入りすることを可能にし、ワックスシールが第2の位置にある場合、ワックスシールがチャネルを閉塞し、流体がチャネルを介して反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する、ワックスシールと、を備え、ワックスシールを閾値温度を上回って加熱することにより、ワックスシールが融解し、続いて、ワックスシールを閾値温度を下回って冷却することにより、ワックスシールが第2の位置に固化する、流体デバイスが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、反応チャンバは、入口チャネルと流体連通し、流体デバイスは、反応チャンバと流体連通するベントチャネルを更に含む。いくつかの実施形態では、入口チャネルワックスシールは、第1のワックスシールであり、流体デバイスは、第2のワックスシールを更に含み、第2のワックスシールが、第1の位置にある場合、ベントチャネルを閉塞せず、流体がベントチャネルを介して反応チャンバから出ることを可能にし、第2のワックスシールが第2の位置にある場合、第2のワックスシールが、ベントチャネルを閉塞し、流体がベントチャネルを介して反応チャンバに入るか、またはそれから漏れ出るのを防止する。いくつかの実施形態では、第1のワックスシールは、入口チャネルに隣接して配置され、第2のワックスシールは、ベントチャネルに隣接して配置される。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、ワックスシールを閾値温度を上回って加熱するためにワックスシールの範囲内に配置されることができる第1の高温可動加熱器を更に備える。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、ワックスシールを閾値温度を下回って冷却するためにワックスシールの範囲内に配置されることができる第2の低温可動加熱器を更に備える。いくつかの実施形態では、ワックスシールの直径は、第1の加熱器及び第2の加熱器の直径よりも小さい。いくつかの実施形態では、ワックスシールは、接着剤でコーティングされている。いくつかの実施形態では、接着剤は、アクリル接着剤である。いくつかの実施形態では、第1の加熱器及び第2の加熱器は、ワックスシールに対して選択された位置に配置されることができる。いくつかの実施形態では、第2のワックスシールは、反応チャンバから距離をおいて配置され、距離が、少なくとも2mmである。いくつかの実施形態では、複数の液体試薬を、入口チャネルを介して反応チャンバに導入することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、蛍光光度計であって、測定開口部を含む囲い、第1の光源軸に沿って囲いに結合された第1の光源、第2の光源軸に沿って囲いに結合された第2の光源、第3の光源軸に沿って囲いに結合された第3の光源、第4の光源軸に沿って囲いに結合された第4の光源、第1の検出器軸に沿って囲いに結合された第1の光検出器、第2の検出器軸に沿って囲いに結合された第2の光検出器、第3の検出器軸に沿って囲いに結合された第3の光検出器、第4の検出器軸に沿って囲いに結合された第4の光検出器を備え、第1の光源軸、第2の光源軸、第3の光源軸、第4の光源軸、第1の検出器軸、第2の検出器軸、第3の検出器軸、及び第4の検出器軸が、測定開口部と交差する、蛍光光度計が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、円形測定開口部は、その中心を通って、かつ測定開口部の平面に垂直な法線軸を画定する。いくつかの実施形態では、法線軸、第1の光源軸、第2の光源軸、第3の光源軸、第4の光源軸、第1の検出器軸、第2の検出器軸、第3の検出器軸、及び第4の検出器軸は、同軸ではない。いくつかの実施形態では、第1の光源軸、第2の光源軸、第3の光源軸、第4の光源軸、第1の検出器軸、第2の検出器軸、第3の検出器軸、及び第4の検出器軸は、法線軸の周りに円周方向に配置される。いくつかの実施形態では、第1の光源は、第1の検出器に隣接して円周方向に配置される。いくつかの実施形態では、蛍光光度計は、ダイクロイックミラーまたはビームスプリッタを含まない。いくつかの実施形態では、蛍光光度計は、プロセッサと、プロセッサによって実行される場合、100ミリ秒の期間にわたって行われた第1の検出器による400個のアナログからデジタルへの読み取りを記憶する命令を含む非一時的メモリと、を更に備える。いくつかの実施形態では、第1の光源は、第1の光源軸に沿って第1の励起光を放出し、第1の励起光が、第1の光検出器軸から離れた測定開口部で反射される。いくつかの実施形態では、測定開口部は、試料を受けるように構成され、第1の光源からの第1の励起光が、第1のスペクトルを有し、第1の光検出器が、第1の励起光に応答して、試料の第1の蛍光を測定する。いくつかの実施形態では、第2の光源からの第2の励起光は、第2のスペクトルを有し、第2の光検出器が、第2の励起光に応答して試料の第2の蛍光を測定する。いくつかの実施形態では、測定開口部が、PCRチャンバの平面と整列するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の検出器は、第1のレンズ、フィルタ、第2のレンズ、及び半導体検出器を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、核酸定量化方法であって、(a)検出可能なレポーターの存在下で、標的核酸を含有する疑いのある試料に対して多サイクル増幅反応を実行して、増幅生成物を生成すること、(b)増幅反応の各サイクル後に増幅生成物に組み込まれた検出可能なレポーターの量と相関する検出可能なレポーターからのシグナルを検出すること、(c)カットオフ値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する最も早いサイクルを特定すること、(d)閾値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する最も早いサイクルよりも早いサイクルからの複数のシグナルに線形方程式を適合させること、(e)閾値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有する最も早いサイクルよりも遅いサイクルからの複数のシグナルに曲線を適合させること、(f)線形方程式及び曲線についてのシグナルの正規化された差が閾値に等しいサイクル(Cq)を特定すること、を含み、Cqが、試料中に存在する標的核酸の量に反比例する、核酸定量化方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ステップ(c)は、(i)シグナルの最大の正規化された増加を有するサイクルを特定すること、(ii)シグナルの最大の正規化された増加がカットオフ値よりも大きい場合、次いで、より低いカットオフ値よりも大きいシグナルの正規化された増加を有するシグナルの最大の正規化された増加を有するサイクルの前の最も早いサイクルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、増幅反応の各サイクルについての検出されたシグナルの移動平均を計算し、ステップ(c)~(f)の各サイクルについての移動平均を使用するステップを更に含む。いくつかの実施形態では、移動平均は、直近の2つのより早いサイクル及び直近の2つのより遅いサイクルでのシグナルを有する各サイクルでのシグナルの平均として計算される。いくつかの実施形態では、曲線は、二次曲線である。いくつかの実施形態では、多サイクル増幅反応は、30~50(例えば、35、40、45)サイクル増幅反応である。いくつかの実施形態では、多サイクル増幅反応は、40サイクル増幅反応である。いくつかの実施形態では、多サイクル増幅反応は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)である。いくつかの実施形態では、検出可能なレポーターは、フルオロフォアであり、シグナルは、蛍光である。いくつかの実施形態では、各サイクルは、核酸変性ステップ、アニーリング/伸長ステップ、及び検出ステップを含む。いくつかの実施形態では、各サイクルは、核酸変性ステップ、アニーリングステップ、伸長ステップ、及び検出ステップを含む。いくつかの実施形態では、試料は、生物学的試料である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、ウイルス核酸である。いくつかの実施形態では、試料中に存在する標的核酸の量は、試料中のウイルス負荷に比例する。
【0017】
いくつかの実施形態では、生物学的試料からの標的核酸の迅速な単離ためのキット及び方法が、本明細書で提供される。特に、全細胞からの標的核酸の放出及び捕捉、細胞汚染物質からの標的核酸の単離、ならびに標的核酸の増幅/検出のための試薬及び方法ステップが提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、PCR分析のための検体を調製するための方法及びキットであって、細胞を溶解し、核酸を抽出し、標的核酸を捕捉し、それらを汚染/干渉物質から分離するのに必要な時間を低減する、方法及びキットが、本明細書で提供される。本明細書の方法/キットは、ピペット及びチューブを使用する手動操作、自己完結型の単回使用カートリッジ及び外部作動機器を使用する自動化、またはロボットハイスループットプラットフォーム及びマイクロウェルプレートを使用する自動化を含むが、これらに限定されない、様々な異なるプラットフォームで使用される。
【0019】
本明細書の方法/キットは、核酸精製及び検出の複雑さを低減する。いくつかの実施形態では、本明細書の方法/キットは、液体試薬(例えば、本明細書のプロセスの複数のステップで用いられる単一の緩衝液組成物)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書の方法/キットは、2つ以上の液体試薬を含む。いくつかの実施形態では、液体試薬は、本明細書のプロセスステップにおいて操作するのに十分な体積で生物学的試料を懸濁液にし、複数の乾燥試薬(例えば、凍結乾燥された試薬)を再懸濁させるために使用される。いくつかの実施形態では、乾燥試薬は、溶解試薬(例えば、プロテイナーゼK、SDS、及び塩)、核酸プローブを含む捕捉試薬(例えば、捕捉部分(例えば、ビオチン)に結合したハイブリダイゼーション配列を含む核酸)、及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ(例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた常磁性ビーズ)を含む。いくつかの実施形態では、例えば、標的核酸を増幅及び検出/定量するのに必要な構成要素を含有する分析試薬が提供される。
【0020】
本技術の実施形態の特徴には、以下のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:(磁気分離ステップの前に)沈殿、遠心分離、または濾過によって画分を除去することなく、試薬を添加することのみによって、作業懸濁液の化学配合を変化させること;複数のステップ(例えば、溶解、洗浄、再懸濁、及び/または増幅/検出)についての同じ水性緩衝液の使用;反応物を反応容器の内外に激しく移送することによって、溶液及び懸濁液を積極的に混合すること;反応の速度及び効率を増加させる最適化された温度で、温度管理されたチャンバ間で溶液及び懸濁液を移送すること;タンパク質の分解、細胞溶解、PK変性のための温度を得るために検体溶液を急速に加熱すること;PK活性のための最適な温度で一時停止しないこと;ビオチン化プローブに溶液中で標的とハイブリダイゼーションする時間を与えることによって、固相への結合の効率を向上させるために、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性ビーズの添加の遅延;チャネルまたはピペットへの入口の近くに磁石を置くことによって磁性ビーズをペレット化/捕捉すること;振動する空気-水界面でフィルムから持ち上げることによってペレット化されたビーズを再懸濁すること;捕捉プローブを介して磁性ビーズに結合している間に標的核酸を増幅すること;磁性ビーズ懸濁液で乾燥/濃縮増幅試薬を直接再水和すること;アビジンを変性させる低い温度で非結合にすることができるように、標的-プローブ複合体をビーズにビオチン-アビジンで結合させることなど。振動する空気-水界面は、所与の量の緩衝液をチャンバに出入りさせることによって作成される。
【0021】
様々なデバイス、機器、システム、その構成要素、試薬、及び方法が本明細書に記載されており、ともに、または独立して実施形態において使用され得る。例えば、本明細書に記載の試薬は、本明細書に記載のシステム(例えば、カートリッジ及び機器)を使用して本明細書に記載の方法を実行する際に使用され得る。代替的に、本明細書の方法は、本明細書のカートリッジ及び機器から独立して実行され得る。同様に、本明細書に記載のカートリッジ及び機器の構成要素は、他のデバイスにおいて、本明細書に記載のカートリッジまたは機器のない方法の実行において、及び/または本明細書に具体的に扱われない用途において使用され得る。本明細書に記載の方法ステップ、組成物、及び/または構成要素の様々な組み合わせが企図され、そのような組み合わせは、本明細書の範囲内である。同様に、本明細書に記載の方法ステップ、組成物、及び/または構成要素は、本明細書に記載の方法、システム、デバイス、及びシステムとは独立して使用され得る。
【0022】
添付の図及び実施例は、例示として提供されるものであり、限定としてではない。本開示の前述の態様及び他の特徴は、1つ以上の実施形態に関連する添付の例示的な図(「図」)に関連して、以下の記載で説明される。
【0023】
特許または出願ファイルは、カラーで描画される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開の複写は、要求及び必要な料金の支払により特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態によるカートリッジの斜視図である。
【
図2】明確にするために取り外された部分及び保管構成における移送チャンバを有する、
図1のカートリッジの斜視図である。
【
図3】
図1のカートリッジの分解された正面図である。
【
図4】
図1のカートリッジの分解された背面図である。
【
図6】
図1のカートリッジの保管セクションの部分断面図である。
【
図7】
図1のカートリッジの処理セクションの部分断面図である。
【
図8】移送チャンバが、処理セクションに流体的に結合されている、
図1のカートリッジの断面図である。
【
図9】
図1のカートリッジのマイクロ流体セクションの部分断面図である。
【
図10A】最初の構成のワックスシールを有するマイクロ流体セクションの側面図である。
【
図10B】シールされた構成のワックスシールを有するマイクロ流体セクションの側面図である。
【
図11】マイクロ流体セクションの部分斜視図である。
【
図13】別の実施形態によるマイクロ流体セクションの側面図である。
【
図14】別の実施形態によるマイクロ流体セクションの側面図である。
【
図15】
図15A及び
図15Bは、様々なチャンバに対する各アクセスポートがオーバーモールドされたシール(青)で示されているカートリッジの図である。
【
図16】カートリッジの熱シール構成要素における使用のためのエネルギーディレクタ(緑)を含むカートリッジの図を含む。
【
図18】カートリッジ及び
図17の加熱及び検出アセンブリを含むシステムの側面図である。
【
図19】
図17の加熱及び検出アセンブリの一部分の斜視図である。
【
図24】
図18の加熱及び検出アセンブリによって作用されるカートリッジの反応チャンバの温度対時間のグラフである。
【
図26】
図18のカートリッジのマイクロ流体セクションの部分断面図である。
【
図27A】最初の構成のワックスシールを有するマイクロ流体セクションの側面図である。
【
図27B】シールされた構成のワックスシールを有するマイクロ流体セクションの側面図である。
【
図28】
図17の加熱及び検出アセンブリの検出器部分の上面図である。
【
図29】
図17の加熱及び検出アセンブリの部分断面図である。
【
図30】
図17の加熱及び検出アセンブリの部分断面図である。
【
図31】明確にするために取り外された部分を有する、蛍光光度計の一部分の斜視図である。
【
図33】陽性SARS-CoV-2検体の蛍光読み取り値の例示的なグラフである。
【
図34】
図33に示されるグラフの区切り点を取り囲む領域の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
迅速な試料処理及び分析物検出(例えば、核酸精製、増幅、及び/または検出)のためのデバイス(例えば、カートリッジ)、機器、システム、及びそれらの構成要素、ならびにそれらの使用方法が、本明細書で提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、(例えば、免疫測定、核酸増幅を介して)分析物のレベルを検出及び/または定量するのに有用なカートリッジデバイスが、本明細書で提供される。分析物は、液体試料中に存在し得るか、またはスワブなどの多孔質媒体中に吸収され得る。カートリッジは、標的分析物を処理及び検出するために必要な全ての構成要素(例えば、試薬、緩衝液、ビーズなど)及びチャンバを含有する。換言すれば、カートリッジは、自己完結型である。カートリッジは、熱伝達、液体移送、磁気伝達、及び光学検出を含むがこれらに限定されない機能を実行するサーボ機構を備えた処理機器によって作用される。いくつかの実施形態では、カートリッジは、その上に取り付けられた複数の熱伝達デバイスを有する調節可能なアセンブリによって作用される。いくつかの実施形態では、調節可能なアセンブリは、複数の熱伝達デバイス内及びその間に統合された蛍光光度計を更に含む。いくつかの実施形態では、全細胞からの標的核酸の放出及び捕捉、細胞汚染物質からの標的核酸の単離、ならびに標的核酸の増幅/検出のための試薬及び方法ステップが提供される。
【0027】
I.定義
本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法及び材料は、本明細書に記載の実施形態の実施または試験に使用され得るが、いくつかの好ましい方法、組成物、及び材料が、本明細書に記載される。しかしながら、本発明の材料及び方法を説明する前に、本発明は、日常的なの実験及び最適化に従って変化し得るため、本明細書に記載の特定の分子、組成物、方法論、またはプロトコルに限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的としており、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0028】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。しかしながら、矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先される。したがって、本明細書に記載の実施形態の文脈において、以下の定義が適用される。
【0029】
「一実施形態において」という語句は、本明細書で使用される場合、同じ実施形態を指す場合もあるが、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。更に、「別の実施形態において」という語句は、本明細書で使用される場合、異なる実施形態を指す場合もあるが、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らない。したがって、下記のように、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わされることができる。
【0030】
本明細書において、また付属の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によってそうでない旨が明確に示されないかぎり、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「ペプチド両親媒性物質」への言及は、当業者などに既知の1つ以上のペプチド両親媒性物質及びその等価物への言及である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含む(include)」という用語及びそれらの言語的変形は、追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を除外することなく、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を示す。逆に、「からなる」という用語及びその言語的変形は、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を示し、通常関連する不純物を除いて、任意の記載されていない特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などを除外する。「から本質的になる」という語句は、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)など、及び組成物、システム、または方法の基本的な性質に実質的に影響を与えない任意の追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などを示す。本明細書の多くの実施形態は、オープンな「含む」という言葉を使用して説明される。そのような実施形態は、複数のクローズな「からなる」及び/または「から本質的になる」の実施形態を包含し、これは、代替的にそのような言葉を使用して特許請求または説明され得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、イヌ、ネコ、トリ、家畜、及び特に哺乳動物、好ましくは、ヒトなどの任意の動物を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「試料」及び「検体」という用語は、互換的に、最も広い意味で使用される。ある意味で、試料は、任意の供給源から得られた検体または培養物、ならびに生体試料及び環境試料を含むことを意味する。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られ得、流体、固体、組織、及び気体を包含する。生物学的試料としては、血漿、血清などの血液生成物、便、尿が挙げられる。環境試料には、表面物質、土壌、泥、汚泥、バイオフィルム、水、及び工業用試料などの環境材料が含まれる。しかしながら、そのような例は、本発明に適用可能な試料の種類を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「溶解物」という用語は、その中に含まれる核酸を放出するための細胞及び/またはウイルスの溶解(破壊開放)に起因する溶液及び/または懸濁液を指す。「全溶解物」という用語は、任意の構成要素を除去することなく、元の試料の構成要素部分の全てを含有する溶解物を指す。「部分的溶解物」または「精製された溶解物」という用語は、そこから1つ以上の構成要素または画分が除去された溶解物を指す。
【0035】
本明細書で使用される「システム」という用語は、特定の目的のために、任意の好適な方法で(例えば、物理的に関連付けられた、流体、電子、またはデータ連通で、ともにパッケージ化されたなど)ともに群化された組成物、デバイス、物品、材料など(例えば、カートリッジ及び機器)の集合を指す。
【0036】
「カートリッジ」という用語は、例えば、試薬及び試料を含有/混合するための複数のチャンバ、区画、マイクロ流体力学、チャネルなどを備えるが、必要な流体操作機構、磁性粒子操作理機構、加熱器などを全て含有するわけではなく、そのような機構を含む別個の機器とは独立して機能するデバイスを指す。カートリッジが機器とインターフェース接続する場合(例えば、カートリッジが機器に配置/挿入される場合)、機器内の機構は、カートリッジと適切に整列し、必要な機能を提供する。ある特定の実施形態では、カートリッジは、単回使用のために設計され得、その後、それは廃棄される。他の実施形態では、カートリッジは、複数回使用のために提供される。ある特定の実施形態では、カートリッジにおける区画のうちの1つ以上は、試薬を含有する。
【0037】
本明細書で使用される「システム」という用語は、特定の目的のために、任意の好適な方法で(例えば、物理的に関連付けられた、流体、電子、またはデータ連通で、ともにパッケージ化されたなど)ともに群化された組成物、デバイス、物品、材料など(例えば、カートリッジ及び機器)の集合を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「調製すること」という用語及びその言語的等価物は、例えば、部分配列分析または検出ステップにおける使用のために、試料またはその1つ以上の構成要素を変更するために行われる任意のステップを指す。例示的な試料調製ステップには、例えば、試料の希釈または濃縮、試料構成要素の単離または精製、試料の加熱または冷却、試料構成要素(例えば、核酸)の増幅、試料構成要素の標識などが含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「分析すること」という用語、及びその言語的等価物は、試料またはその1つ以上の構成要素を特徴付けるために行われる任意のステップを指す。例示的な分析ステップには、例えば、試料構成要素(例えば、標的核酸)の定量化、試料構成要素の配列決定などが含まれる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロ制御装置、処理ユニット、または他の好適なプログラム可能なデバイス)は、とりわけ、制御ユニット、算術論理ユニット(「ALC」)、及び複数のレジスタを含み得、既知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正されたハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)を使用して実装され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、独立型及び/または分散環境で通信するように構成され得、有線または無線通信を介して他のプロセッサと通信するように構成され得るマイクロプロセッサであり、そのような1つ以上のプロセッサは、類似または異なるデバイスであり得る1つ以上のプロセッサ制御デバイス上で作動するように構成され得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、任意のメモリ記憶装置であり、非一時的なコンピュータ可読媒体である。メモリは、例えば、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含み得る。プログラム記憶領域及びデータ記憶領域は、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、または他の好適な磁気、光学、物理、もしくは電子メモリデバイスなどの異なる種類のメモリの組み合わせを含み得る。プロセッサは、メモリに接続され、メモリのRAM(例えば、実行中)、メモリのROM(例えば、概して永続的ベースで)、または別のメモリもしくはディスクなどの別の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されることが可能であるソフトウェア命令を実行することができる。いくつかの実施形態では、メモリは、プロセッサ制御デバイスの内部、プロセッサ制御デバイスの外部であり得、有線または無線ネットワークを介してアクセスされ得る1つ以上のプロセッサ可読可能及びアクセス可能なメモリ要素及び/または構成要素を含む。本明細書に開示される方法の実装に含まれるソフトウェアは、メモリに記憶させ得る。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、及び他の実行可能命令を含む。例えば、プロセッサは、メモリから読み出し、とりわけ、本明細書に記載のプロセス及び方法に関連する命令を実行するように構成され得る。
【0042】
II.カートリッジ
いくつかの実施形態では、迅速な試料処理及び分析物検出のためのデバイスが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、デバイスは、任意の好適な試料(例えば、生物学的試料(例えば、固体試料(例えば、組織生検)、液体試料(例えば、血液、唾液、尿など))、環境試料など)の処理において使用される。特定の実施形態では、本明細書のデバイスは、細胞を含有する試料を処理し、細胞分析物(例えば、核酸、抗原など)を検出/定量することにおいて使用される。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書のデバイスは、補完的な機器とインターフェース接続する(例えば、補完的な機器に挿入される)カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、本明細書のカートリッジデバイスは、試料処理及び分析物検出に必要なチャンバ、チャネル、ベント、ポート、試薬(例えば、溶解試薬、消化試薬、捕捉プローブ、プライマー、常磁性粒子(PMP)を含む。しかしながら、カートリッジは、試料処理及び分析物検出に必要な加熱要素、圧力源、磁気伝達機構、蛍光検出機構などを欠いている。補完的な機器は、カートリッジに欠けている試料処理及び分析物検出に必要な機構及び機能を含む。例えば、いくつかの実施形態では、補完的な機器は、複数の熱伝達デバイス及び蛍光光度計を有する調節可能な加熱及び検出アセンブリを含む。いくつかの実施形態では、補完的な機器は、例えば、それに関連付けられたカートリッジ内で磁性材料を移動させるための磁気伝達要素を含む。いくつかの実施形態では、補完的な機器は、例えば、カートリッジ(またはそのチャンバ)内及び/またはその外へ流体を引き出し及び堆積させる圧力要素を含む。いくつかの実施形態では、カートリッジは、使い捨て(例えば、単回使用)である。他の実施形態では、カートリッジは、複数回使用デバイスであるが、使用間で試薬で洗浄及び/または再充填される必要がある。カートリッジは、多使用機器で使用される。いくつかの実施形態では、機器は、異なる試料処理及び/または検出アッセイ/プロトコルを実行するための複数の異なるカートリッジとともに使用される。いくつかの実施形態では、機器は、単一のカートリッジ構成に特有である。
【0044】
いくつかの実施形態では、カートリッジデバイスは、ある体積の液体(例えば、0.1ml、0.2ml、0.5ml、1.0ml、1.5ml、2.0ml、またはそれを超える)を含有するための2つ以上のチャンバを備える。いくつかの実施形態では、チャンバのうちの1つ以上は、チャンバの底部(例えば、チャンバの底部の側面)からデバイスの上部に向かって上向きに走り、アクセスポートで終端するアクセスチャネルを備える。アクセスチャネルは、アクセスポートに負圧を加えることによって、チャンバ内の液体をアクセスチャネルを介して引き出すことを可能にする。チャンバへのアクセスチャネルの入口は、チャンバの底部(例えば、底部の側面)にあるため、チャンバに添加された液体は、すぐにチャンバの底部にプールし、チャンバ内の液体の約100%(例えば、99.9%、99.5%、99%、98.5%、98%、95%、またはそれらの間の範囲)は、アクセスチャネルを介して除去され得る。いくつかの実施形態では、アクセスチャンバのうちの1つ以上(例えば、全て)は、ベントチャネルを備える。ベントチャネルは、圧力がアクセスチャネルに加えられる間、チャンバが周囲大気圧のままであることを可能にし、それによって、液体がアクセスチャネルの内外に移動されることを可能にする。
【0045】
いくつかの実施形態では、カートリッジデバイスは、移送カプセルを含む。いくつかの実施形態では、移送カプセルは、一端に開放上部、開放先端、及びそれらの間を走る開放管腔を備える。いくつかの実施形態では、移送カプセルは、ピペット先端に似ている。いくつかの実施形態では、移送カプセルは、デバイスにおける空洞内(例えば、デバイスのチャンバに隣接し、整列した空洞(例えば、デバイスの保管セクション内)に保管される。いくつかの実施形態では、移送カプセルの開放上部は、補完的な機器の圧力要素上のノズルとインターフェース接続するように構成される(例えば、ピペットとインターフェース接続するピペット先端と同じ方法で)。いくつかの実施形態では、圧力要素は、移送カプセルと係合し、移送カプセルを持ち上げて保管空洞から出すことができ、移送カプセルをデバイスの保管及び処理セクションに沿って横方向に移動させることができる。いくつかの実施形態では、移送カプセルの先端は、チャンバに連結されたアクセスポートとインターフェース接続する(例えば、内部に位置する、シールを形成するなど)ように構成される。いくつかの実施形態では、圧力源は、負圧を加えて、アクセスチャネルを介してチャンバから、及びアクセスポートを介して移送カプセル内に液体を引き上げる。いくつかの実施形態では、圧力源は、正圧を加えて、移送カプセルから、アクセスポート及びアクセスチャネルを介して、チャンバ内に液体を排出する。いくつかの実施形態では、圧力源からの正圧及び負圧の繰り返しサイクルを使用して、チャンバ内で試料を混合する(例えば、液体をチャンバ及び移送カプセルの内外に引き出す)。いくつかの実施形態では、圧力源及び移送カプセルを使用して、チャンバ間で液体を移動させる。移送カプセルを、複数のチャンバのアクセスポートと整列するように移動させ得るため、システムを使用して、それらの複数のチャンバのうちのいずれかの間で液体を移動させ得る。これは、チャネルによってチャンバを連結し、したがって、チャンバの接続性によって制限されるか、または様々なチャンバ間の流体連通を開放/閉鎖するためにバルブを必要とする他のデバイスとは対照的である。
【0046】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ及び保管チャンバは、移送カプセルを介してアクセスされるが、検出チャンバまたは反応チャンバ(複数可)は、マイクロ流体力学によってアクセスされる。いくつかの実施形態では、処理セクションの最終チャンバは、移送カプセル(アクセスチャネル及びポートを介して)及び処理チャンバから検出または反応チャンバに走るマイクロ流体チャネルの両方によってアクセス可能である。いくつかの実施形態では、最終処理チャンバに添加された流体は、マイクロ流体力学を介して検出または反応チャンバに流れる。いくつかの実施形態では、最終処理チャンバにおけるペレット化されたPMPは、補完的な機器の磁気伝達要素を使用して、マイクロ流体力学を介して検出チャンバまたは反応チャンバに移送され得る。本明細書のデバイスの処理及びマイクロ流体セクションを接続するための例示的な構成が本明細書に記載される。
【0047】
いくつかの実施形態では、反応(例えば、PCR)及び/または検出(例えば、蛍光検出)を正確に行うために、検出または反応チャンバは、反応または検出中の材料の導入または漏れ出ることを防止するためにシールされる。いくつかの実施形態では、本明細書のデバイスは、バルブなどなしで反応/検出チャンバのシールを可能にする。いくつかの実施形態では、ワックスシールは、反応/検出チャンバの入口チャネルに隣接して存在する。その第1の位置では、第1のワックスシールは、入口チャネルを介した反応/検出チャンバへの流体アクセスを閉塞しない。同様に、いくつかの実施形態では、第2のワックスシールは、反応/検出チャンバのベントチャネルに隣接して存在する。第1の位置では、第2のワックスシールは、反応/検出チャンバからの空気の流れを閉塞しない。しかしながら、十分な熱がワックスシールに適用される場合(例えば、カートリッジデバイスの反応/検出セクションに隣接及び近接して配置された補完的な機器における加熱器を介して)、ワックスシールは融解し、入口チャネル及びベントチャネルに流入する。入口チャネル及びベントチャネルで冷却することを可能にすると、ワックスはそれぞれのチャネルにおいてシールを形成し、反応/検出チャンバへの/からの液体またはガスの流れを防止する。
【0048】
いくつかの実施形態では、例えば、2つ以上のチャネルがチャンバと流体連通する場合、チャンバからの融解したワックスの流れの方向は、所望の流路と反対の方向に加熱器を選択的に配置することによって影響を受け得る。そのような実施形態では、加熱器は、所望の流路の反対側に移動するワックスを融解するが、所望の方向に移動するワックスが所望のチャネルにおいてより容易に固化することを可能にし、それによって融解されたワックスの流れの方向に影響を及ぼすことを可能にする。
【0049】
いくつかの実施形態では、試料調製ステップ及び分析ステップは、同時に行われ、及び/または連続して繰り返される。例えば、qPCRでは、核酸増幅及び定量ステップを連続して繰り返す。
【0050】
本明細書に記載の要素を含有し、例えば、
図1~
図16に示される本明細書に記載の様々な機能を実行することができる例示的なカートリッジデバイス。
図1~
図16に示される要素の異なる組み合わせ及び構成を含む他のカートリッジは、本明細書の範囲内である。
【0051】
図1を参照すると、分析物のレベルを検出するためのカートリッジ10が、図示されている。カートリッジ10は、保管セクション14、処理セクション18、及びマイクロ流体セクション22を含む。図示された実施形態では、処理セクション18は、保管セクション14とマイクロ流体セクション22との間に配置される。カートリッジ10は、標的分析物を処理及び検出するために必要な全ての構成要素及びチャンバを含有する。いくつかの実施形態では、カートリッジ10は、例えば、限定されないが、熱伝達、液体移送、磁気伝達、及び光学検出を含むがこれらに限定されない作動を実行するために、サーボ機構を含む処理装置によって作用される。
【0052】
概して、保管セクション14は、処理において使用される緩衝液及び移送カプセル26とともに分析される検体を含有し、処理セクション18は、標的が抽出され、精製され、磁性ビーズに結合される場所であり、マイクロ流体セクション22は、標的または複数の標的が検出される場所である。
図2の例示される実施形態では、接続子30(またはドッキングセクション)は、保管セクション14及び処理セクション18に結合される。接続子30(またはドッキングセクション)は、検体が充填され、液体がチャンバ間で移送されるインターフェースを提供する。換言すれば、接続子30(またはドッキングセクション)は、とりわけ、保管セクション14及び処理セクション18内に含有される流体へのアクセスを提供する。
【0053】
図1を引き続き参照すると、カートリッジ10は、保管セクション14に対応する接続子30(またはドッキングセクション)の一部分に結合された第1のシール34と、処理セクション18に対応する接続子30(またはドッキングセクション)の一部分に結合された第2のシール38と、を含む。いくつかの実施形態では、第1のシール34及び第2のシール38は、ヒートシールされた箔蓋ストックである。移送カプセル26は、
図1の保管セクション14の外側に配置されていることが、図示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、移送カプセル26は、保管セクション14において形成された空洞42内に配置される(
図2を参照)。
【0054】
図2を参照すると、明確にするために第1のシール34及び第2のシール38が取り外され、移送カプセル26が空洞42内に配置されているカートリッジ10が、図示されている。図示の実施形態では、保管セクション14は、(例えば、試験検体を含有するための)第1のチャンバ46及び(例えば、緩衝液を含有するための)第2のチャンバ50を含む。他の実施形態では、保管セクション14は、2つよりも多い、または少ないチャンバを含む。例えば、いくつかの実施形態では、保管セクション14は、単一のチャンバを含む。他の実施形態では、保管セクション14は、少なくとも3つのチャンバ(例えば、3、4、5、6個、またはそれを超える)を含む。図示の実施形態では、保管セクション14は、3mm超である幅54を画定する(セクション18における幅156は、3mmである)。いくつかの実施形態では、幅54は、3mm超(例えば、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)である。図示の実施形態では、第1及び第2のチャンバ46、50は、各々、約1ml超の体積を保持するが、他のサイズの保管チャンバ(例えば、0.5ml、0.75ml、1.25ml、1.5ml、1.75ml、2.0ml、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)が企図される。いくつかの実施形態では、第1のチャンバ46は、数マイクロリットルを除く全てが処理セクション18に移送され得るように成形された傾斜した壁58(
図4)で形成される。換言すれば、傾斜した壁58は、少なくとも部分的に第1のチャンバ46を形成する。
【0055】
図2及び
図3を参照すると、保管セクション14に結合された接続子30(またはドッキングセクション)の部分は、入口62(例えば、検体入口)、第1のチャンバ46に流体的に接続された第1のアクセスポート66、第2のチャンバ50に流体的に接続された第1のベント70、第2のチャンバ50に流体的に接続された第2のアクセスポート74、及び空洞42への開口部78を含む。図示の実施形態では、フィルタ72は、第1のベント70内に配置される。第1のチャネル82は、第1のチャンバ46を第1のアクセスポート66と流体的に接続する。同様に、第2のチャネル86は、第2のチャンバ50を第2のアクセスポート74と流体的に接続する。本明細書でより詳細に説明されるように、第1のアクセスポート66及び第2のアクセスポート74は、移送カプセル26とインターフェース接続するように構成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、保管セクションにおける追加のチャンバ(例えば、第3の保管チャンバ、第4の保管チャンバなど)は、各々、液体入口、アクセスポート(例えば、移送カプセルとインターフェース接続する)、ベントなど(例えば、保管セクション及び/または関連する接続子内)のうちの1つ以上を含み得る。
【0057】
図6を参照すると、第1のチャネル82は、第1のアクセスポート66に結合された第1の部分90と、第1の部分90と流体連通し、第1の部分90にほぼ垂直に延在する第2の部分94と、を含む。第1のチャネル82は、第2の部分94と流体連通し、第2の部分94にほぼ垂直に、及び第1の部分90にほぼ平行に延在する第3の部分98を更に含む。また、第1のチャネル82は、第3の部分98と第1のチャンバ46との間に配置された弓形部分102を含む。第1のチャンバ46は、第1の端部46A及び第2の端部46Bを有し、第1の端部46Aは、第2の端部46Bよりも接続子30(またはドッキングセクション)に近く配置される。図示の実施形態では、弓形部分102は、第1のチャンバ46の第2の端部46Bに結合されている。換言すれば、第1のチャネル82は、第1のアクセスポート66を、入口62から反対側に配置された第1のチャンバ46の端部46Bに流体的に接続する。
【0058】
図6を引き続き参照すると、第2のチャネル86は、第1のチャネル82と同様であり、同様に、第1の部分106、第2の部分110、第3の部分114、及び接続子30(またはドッキングセクション)の反対側に配置された第2のチャンバ50の端部50Bに結合された弓形部分118を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、接続子30(またはドッキングセクション)は、検体が第1のチャンバ46内に配置されると、入口62内に対応して受けるキャップ120を含む。図示の実施形態では、キャップ120は、キャップ120が入口62から取り外される開位置(
図2)と、キャップ120が入口62内に配置される閉位置との間で移動可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ72と同様のフィルタは、キャップ120に配置され、第1のアクセスポート66を介した流体吸引/分配中の第1のチャンバ46のベントを可能にする。
【0060】
図3を参照すると、カートリッジ10は、第1のチャンバ46、第2のチャンバ50、及び空洞42が少なくとも部分的に形成された本体124(
図5)を含む。いくつかの実施形態では、本体124は、単一の構成要素として一体的に成形される。
【0061】
いくつかの実施形態では、カートリッジ10は、例えば、第1の接着層132で本体124に結合された第1のカバー128を更に含む。図示の実施形態では、第1のカバー128は、フィルムカバーであり、第1の接着層132は、感圧性接着剤(PSA)である。図示の実施形態では、第1のカバー128及び第1の接着層132は、カートリッジ10の保管セクション14に対応する。第1の接着層132は、第1のチャンバ46、第2のチャンバ50、及び空洞42にそれぞれ対応する切り欠き136A、136B、136Cを含む。他の実施形態では、カートリッジ10は、例えば、ヒートシールによって本体124に結合された第1のカバー128を更に含む。
【0062】
図示の実施形態では、第1のカバー128は、第1のチャンバ46及び第2のチャンバ50のための熱伝達面である。換言すれば、第1のカバー128は、カートリッジ10の外側から第1及び第2のチャンバ46、50への熱伝達を改善するための有利なフィルムである。第1のカバー128の反対側では、第1のチャンバ46、第2のチャンバ50、及び空洞42は、剛性本体124によって画定される(
図4)。換言すれば、第1のカバー128及び本体124は、図示の実施形態では、第1のチャンバ46、第2のチャンバ50、及び空洞42を少なくとも部分的に画定する。
【0063】
いくつかの実施形態では、第2のチャンバ50は、ある体積の緩衝液を含有するように構成される。いくつかの実施形態では、デバイスは、移送カプセル26が第2のチャネル86を介して第2のチャンバ50から緩衝液を引き出し、緩衝液を保管及び/または処理セクション内の1つ以上の他のチャンバに移動させ得るように構成される。いくつかの実施形態では、第1のチャンバ46は、試料または検体を受けるように構成される。試料または検体は、液体(例えば、体液(例えば、血液、唾液)、緩衝液溶解試料など)または固体(例えば、スワブ先端)であり得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、移送カプセル26が第1のチャネル82を介して第1のチャンバ46から試料を引き出し(例えば、緩衝液と混ぜ合わされ)、試料を保管及び/または処理セクション内の1つ以上の他のチャンバに移動させ得るように構成される。
【0064】
図2及び
図3を参照すると、処理セクション18は、第3のチャンバ140、第4のチャンバ144、第5のチャンバ148、及び第6のチャンバ152を含む。他の実施形態では、処理セクション18は、4つ超のチャンバまたは4つ未満のチャンバを含む。例えば、いくつかの実施形態では、処理セクション18は、4つ未満のチャンバを含む。他の実施形態では、処理セクション18は、少なくとも5つのチャンバを含む。いくつかの実施形態では、処理セクションは、本明細書の図面に示されるよりも少ない(例えば、1、2、または3個)チャンバまたは多いチャンバ(例えば、5、6、7、8個、またはそれを超える)を含み得る。チャンバは、保管及び処理セクションのチャンバの数に応じて、好適な数字で言及され得る。図示される実施形態では、処理セクション18は、約1mm~約3mmの範囲内(例えば、1mm、1.25mm、1.5mm、1.75mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3.0mm、及びそれらの間の範囲)にある幅156を有し、より広く及びより狭い処理セクションは、本明細書の範囲内である。本明細書でより詳細に説明されるように、第3、第4、第5、及び第6のチャンバ140、第144、第148、第152における標的は、抽出され、精製され、及び/または磁気ビーズに結合される。
【0065】
図3を引き続き参照すると、処理セクション18に結合された接続子30(またはドッキングセクション)の部分は、第3のチャンバ140に流体的に接続された第3のアクセスポート160、第4のチャンバ144に流体的に接続された第4のアクセスポート164、第5のチャンバ148に流体的に接続された第5のアクセスポート168、及び第6のチャンバ156に流体的に接続された第6のアクセスポート172を含む。接続子30(またはドッキングセクション)は、第3、第4、第5、及び第6のチャンバ140、144、148、152の各々を大気に流体的に接続する第2のベント176を更に含む。図示の実施形態では、フィルタ180は、第2のベント176内に配置される。いくつかの実施形態では、本明細書の任意のベントは、破片が関連するチャンバに入るのを防ぐ、及び/またはチャンバからの液体の漏出(例えば、吸引物として)を防ぐためのフィルタを含み得る。
【0066】
図7を参照すると、第3のチャネル184は、第3のチャンバ140を第3のアクセスポート160と流体的に接続し、第4のチャネル188は、第4のチャンバ144を第4のアクセスポート164と流体的に接続する。同様に、第5のチャネル192は、第5のチャンバ148を第5のアクセスポート168と流体的に接続し、第6のチャネル196は、第6のチャンバ152を第6のアクセスポート172と流体的に接続する。図示の実施形態では、チャネル184、188、192、196の各々は、接続子30(またはドッキングセクション)の反対側に配置された端部200で、対応するチャンバ140、144、148、152に流体的に接続する。
【0067】
図7及び
図8を参照すると、第3のチャネル184は、第3のアクセスポート160に近接して配置された交差チャネル部分204を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された試薬208(例えば、球体の形状)は、交差チャネル部分204に配置され、液体が第3のチャネル184を介して流れる場合、再水和される。他の実施形態では、凍結乾燥された試薬は、チャネル184、188、192、196のうちのいずれかの中に添加される。いくつかの実施形態では、チャネル184、188、192、196のうちの1つ以上は、試薬(固体または液体)を含有するポケットまたは他の開口部を含有する。いくつかの実施形態では、チャネル184、188、192、196のうちの1つ以上は、試薬(固体または液体)を含有するポケットまたは他の開口部を含有しない。チャンバ140に至るチャネル184内にリオスフィア208を保管することは、リオスフィア208を物理的に含有するのに役立ち、また、乾燥した試薬を効果的かつ均一に分解することを改善する(すなわち、凍結乾燥されたリオスフィアをチャンバにおいて保管することは、時として、それらを流体とともに浮上させ、効果的に混合させない可能性がある)。
【0068】
図8を引き続き参照すると、第3のアクセスポート160に流体的に結合された移送カプセル26が、図示されている。図示の実施形態では、シール212(例えば、Oリング)は、第3のアクセスポート160内に配置され、移送カプセル26と本体124との間でシールすることを改善する。いくつかの実施形態では、デバイスにおけるアクセスポートのうちのいずれかは、シール(例えば、Oリング)を含み得るか、またはシールなしであり得る。移送カプセル26は、第3のアクセスポート160を介して延在し、少なくとも部分的に第3のチャネル184内に受けるように構成可能な先端216を含む(
図8)。移送カプセル26は、フィルタ220と、フィルタ220と先端部216との間に配置された移送チャンバ222と、を更に含む。図示の実施形態では、移送カプセル26は、先端216の反対側に配置された開放端224を含む。本明細書でより詳細に説明されるように、流体は、チャンバ(例えば、第3のチャンバ140)から移送チャンバ222内に吸引され、カートリッジ10における異なる位置に移送され得る。
【0069】
移送カプセル26は、カートリッジ10における液体へのランダムなアクセスを提供し、また、固体及び流体を混合する能力を提供する。移送カプセル26の先端216における小径開口部218を介して流れる固相粒子の懸濁液及び液体は、高いせん断力に供され、これは、集合粒子を破壊し、それらの表面に吸収された干渉物質の脱着を助け得る。移送カプセル26の別の利点は、移送カプセル26がバルク溶液と接触することがないため、交差汚染なしに共通の洗浄緩衝液から複数のアリコートを取り出すことができることである。
【0070】
いくつかの実施形態では、移送カプセル26は、カートリッジデバイス10の保管セクション14及び/または処理セクション18内に存在する。いくつかの実施形態では、移送カプセルは、ピペット先端に似ている。いくつかの実施形態では、移送カプセル26の先端216は、デバイス10の様々なチャンバに接続されたアクセスポートとインターフェース接続するように構成される。移送カプセル26の開放端224は、デバイス10の外部からアクセス可能である。いくつかの実施形態では、デバイスの外部からの圧力源(例えば、デバイスが挿入される機器の構成要素)は、移送カプセル26の開放端224とインターフェース接続する。外部圧力源は、アクセスポートを介してチャンバから流体を引き出すために、移送カプセル26を介して負圧差(例えば、それに関する圧力の減少)を加える。外部圧力源は、アクセスポートを介して移送カプセル26からチャンバ内に流体を排出するために、移送カプセル26を介して正圧差(例えば、それに関する圧力の増加)を加える。いくつかの実施形態では、デバイスは、チャンバ間で液体(例えば、試料、緩衝液など)を移動させるための単一の移送カプセルを備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、複数(例えば、2、3、4個など)の移送カプセルを備える。いくつかの実施形態では、外部圧力源は、移送カプセルとインターフェース接続し、移送カプセル26をデバイスから持ち上げ、移送カプセル26を所望の位置に移動させ、次いで、移送カプセル26を所望のアクセスポートとインターフェース接続する。移送カプセル26は、カートリッジデバイス内に含有される。外部圧力源及びデバイスが挿入される機器の他の構成要素は、デバイス内の液体試薬に接触しない。いくつかの実施形態では、移送カプセルを使用して、複数の異なるチャンバ間で複数の異なる液体を輸送する。いくつかの実施形態では、外部圧力源及び移送カプセルは、分析中に複数回、係合解除及び再係合し得る。移送カプセル及び外部圧力源の使用は、バルブなしで、及びデバイスにおけるチャンバの相対的な位置を考慮せずに、保管及び処理セクション内のチャンバ間液体移送、ならびにチャンバにおける液体の混合を可能にする(例えば、チャンバの「スキップ」)。
【0071】
図3を参照すると、本体124(
図5)は、少なくとも部分的に、第3のチャンバ140、第4のチャンバ144、第5のチャンバ148、及び第6のチャンバ152を形成する。カートリッジ10の第1の側面10A上には、接着層232で本体124に結合されたカバー228が更に含まれる。図示の実施形態では、カバー228は、フィルムカバーであり、接着層232は、感圧性接着剤(PSA)である。いくつかの実施形態では、カバー228は、急速な熱伝達を可能にするために薄いが、最大100℃の温度に耐えることができる。いくつかの実施形態では、カバー228は、化学的に適合である(例えば、非反応性、化学的に不活性など)。図示の実施形態では、カバー228及び接着層232は、カートリッジ10の処理セクション18に対応する。接着層232は、それぞれ、第3のチャンバ140、第4のチャンバ144、第5のチャンバ148、及び第6のチャンバ152に対応する切り欠き236A、236B、236C、236Dを含む。
【0072】
図4を参照すると、カートリッジ10の第2の側面10B(第1の側面10Aの反対側)上では、処理セクション18は、第1の積層層240、第2の積層層244、カバー248、及びそれらの間に配置された接着剤252、256、260の3つの層を含む。図示の実施形態では、第1の層の接着剤252は、第1の積層層240を本体124に結合させる。同様に、接着剤256の第2の層は、第2の積層層244を第1の積層層240に結合させる。最後に、第3の層の接着剤260は、カバー248を第2の積層層244に結合させる。他の実施形態では、処理セクション18は、それらの間に結合された任意の数の薄板状層及び接着剤の層を含む。フィルム240及び248は、その光学的透明性、蛍光適合性、迅速かつ効率的な熱伝達、化学的適合性、及び高温(約100℃)に耐える能力のために特に選択される。
【0073】
図4を引き続き参照すると、第1の積層層240、第2の積層層244、接着層252、256、及び260の各々は、チャンバ140、144、148、152に対応する切り欠き264A、264B、264C、264Dを含む。図示の実施形態では、第2の積層層244及び接着層252は、各々、少なくとも部分的に、共通のベントチャネル268を画定する。第3、第4、第5、及び第6のチャンバ140、144、148、及び152の各々は、共通のベントチャネル268によって第2のベント176に流体的に接続される。具体的には、共通ベントチャネル268は、第5及び第6のチャンバ148、152と交差する。第3及び第4のチャンバ140、144は、チャネル272、276、及び本体124(
図7)において形成された開口部280、284を接続することによって、共通のベントチャネル268に流体的に接続される。換言すれば、接続チャネル272及び開口部280は、第3のチャンバ140と共通のベントチャネル268との間に配置される。同様に、接続チャネル276及び開口部284は、第4のチャンバ144と共通のベントチャネル268との間に配置される。図示の実施形態では、共通ベントチャネル268は、第1の積層層240及び接着層260によって少なくとも部分的に境界付けられる。
【0074】
図9を参照すると、マイクロ流体セクション22は、反応チャンバ304、マイクロ流体ベントチャネル308、及びマイクロ流体入口チャネル312を含む。マイクロ流体ベントチャネル308は、反応チャンバ304に流体的に接続される。マイクロ流体入口チャネル312は、反応チャンバ304及び処理セクション18における第6のチャンバ152に流体的に接続される。換言すれば、マイクロ流体入口チャネル312は、処理セクション18における第6のチャンバ152をマイクロ流体セクション22に流体的に接続する。図示の実施形態では、マイクロ流体入口チャネル312は、第6のチャンバ152(
図4)の側面部316に接続し、側面部316は、第6のチャネル196がチャンバ152に接続する場所と第6のアクセスポート172との間に配置される。換言すれば、マイクロ流体入口チャネル312は、第6のチャンバ152の中央の側面部316に接続する。マイクロ流体入口チャネル312は、処理セクション18とマイクロ流体セクション22との間のインターフェースとして機能し、ピペッター(移送カプセル)によって直接アクセスできない開口部を有するマイクロ流体セクション22への液体及びPMPの容易な移送を容易にする。チャンバ192と比較してチャンバ196の垂直方向でのオフセットは、高い静水頭を達成するのにも役立ち、これはまた、セクション22への液体の容易な移送を容易にする。
【0075】
図9を引き続き参照すると、反応チャンバ304は、マイクロ流体入口チャネル312とマイクロ流体ベントチャネル308との間に配置される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥されたマスターミックス320は、反応チャンバ304内に配置され、PCRは、例えば、その中で実行される。
【0076】
図3及び
図4を参照すると、図示の実施形態のマイクロ流体セクション22は、少なくとも部分的に、カバー324及び接着層328によって画定される(
図3)。加えて、マイクロ流体セクション22は、少なくとも部分的に、第1の積層層240、接着層256、第2の積層層244、接着層260、及びカバー248によって画定される。したがって、図示の実施形態では、マイクロ流体セクション22は、少なくとも7つの層(接着層を含む)を含む。マイクロ流体セクション22は、幅334を画定する。図示の実施形態では、幅334は、幅54よりも小さい幅156よりも小さい。カバー324及び接着層328は、反応チャンバ304に対応する切り欠き332を含む。換言すれば、カバー324及び接着層328の切り欠き332は、改善された光学検出及び加熱器インターフェースのために反応チャンバ304を露出させる。
【0077】
図4及び
図9を参照すると、マイクロ流体ベントチャネル308は、接着層260に形成された第1の部分336、接着層256に形成された第2の部分340、及び接着層260に形成された第3の部分344を含む。したがって、第2の部分340は、マイクロ流体ベントチャネル308の第1及び第3の部分336、344からオフセットされる(すなわち、異なる平面内に配置される)。マイクロ流体ベント308の第3の部分344は、共通のベントチャネル268に流体的に接続されている。
【0078】
図4を参照すると、カートリッジ10における接着層(例えば、接着層256、260、328)は、処理及びマイクロ流体セクション18、22に機能性を追加する。接着剤は、従来、積層構造を作成するためにフィルムを一緒に接着するために使用される。しかしながら、カートリッジ10における接着層は、追加の機能を提供する。第一に、接着層を露出させて、凍結乾燥された試薬が結合され得る位置を作成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、反応チャンバ304におけるPCRマスターミックス320は、反応チャンバ304に露出された接着層に接着される。他の実施形態では、リオスフィアの球体(例えば、第3のチャネル184における試薬208)は、接着層252の露出部分233(
図8)に固定される。いくつかの実施形態では、試薬208は、それらが挿入される反対側でPSA252に接着して結合される。
【0079】
接着層によって提供される第2の追加機能は、チャンバ内の空気圧を平衡化するために接着層においてチャネルが形成されることである。図示の実施形態では、処理セクション18におけるチャンバ140、144、148、152は、接着層256(
図4)において少なくとも部分的に形成される共通のベントチャネル268に流体的に接続される。他の実施形態では、マイクロ流体入口チャネル312及びマイクロ流体ベントチャネル308は、少なくとも部分的に、接着層256、260において形成される。接着層を利用してチャネルを部分的に形成することは、カートリッジ10の全体的なサイズを低減させる。
【0080】
図9を引き続き参照すると、マイクロ流体セクション22は、第1のワックスシール348及び第2のワックスシール352を含む。第1のワックスシール348は、マイクロ流体ベントチャネル308に隣接して配置され、第2のワックスシール352は、マイクロ流体入口チャネル312に隣接して配置される。試薬及び増幅産物の安定した濃度を維持するために、PCRは閉鎖系で行われる(例えば、反応チャンバ304はシールされる)。ワックスシール348、352は、反応チャンバ304を2つの端部(すなわち、入口端部及びベント端部)からシールするように構成される。反応チャンバ304から導かれる開放空気マイクロ流体ベントチャネル308は、乾燥された試薬の最初の緩衝液プライミング(チャネル312を介して)及び空気パージに利用される。プライミング後、標的を運ぶ常磁性粒子は、マイクロ流体入口チャネル312を介して反応チャンバ304に移送される。標的が反応チャンバ304に入ると、マイクロ流体ベントチャネル308は、第1のワックスシール348を(例えば、加熱器によって)融解することによって閉じられる(すなわち、シールされる)。融解ワックスは、空隙空間及び近くのマイクロ流体ベントチャネル308を満たし、次いで、硬化し、マイクロ流体ベントチャネル308をシールする。第1のワックスシール348が融解された後、次いで、第2のワックスシール352が同様の方法で融解され、マイクロ流体入口チャネル312をシールし、反応チャンバ304を閉鎖する。したがって、いくつかの実施形態では、マイクロ流体ベントチャネル308における第1のワックスシール348は、マイクロ流体入口チャネル312における第2のワックスシール352の前に融解及び硬化される。そうすることで、第2のワックスシール352の周りに閉じ込められた任意の空気が、第2のワックスシール352からの融解ワックスが反応チャンバ304に流入するのを防ぐための圧力を構築することを確実にする。任意の閉じ込められた空気は、チャネル312を介して第6のチャンバ152に向かって反応チャンバ304から流れ出ることを好む。反応チャンバ304におけるワックスは、蛍光光学読み取りに影響を与えるであろう。
【0081】
図10A及び
図10Bを参照すると、第1及び第2のワックスシール348、352は、最初は、対応するチャネル308、312が開いた第1の固体状態にあり(
図10A)、対応するチャネル308、312がシールされた(すなわち、閉鎖された)第2の固体状態に変更可能である(
図10B)。ワックスシール348、352は、第1の固体状態と第2の固体状態との間で融解状態に入る。図示の実施形態では、第1及び第2のワックスシール348、352は、最初、第1の固体状態(
図10A)で円筒形状であり、対応するチャネル308、312を塞がないか、またはシールしない。熱の適用に応答して、第1及び第2のワックスシール348、352は、融解し、チャネル308、312に流入する。熱の適用が除去された後、融解ワックスは、再硬化して第2の固体状態(
図10B)に入り、チャネル308、312内に配置された固体ワックスシールを形成する。
【0082】
図11及び
図12を参照すると、第1の固体状態の第1のワックスシール348は、積層層240、244及び接着層256(
図4)において形成された切り欠き356内のマイクロ流体ベントチャネル308の上に最初は配置される。第1のワックスシール348は、最初は、接着剤(260)の層の上部に置かれ、インターフェースで接着品質を改善する。第1のワックスシール348の最初の固体状態では、空気は、ワックスシール348の周り及び下に容易に通過することができる。ワックスシール348が融解されると、融解ワックスが空の周囲空間を満たす。いくつかの実施形態では、第1のワックスシール348の体積は、第2のワックスシール352の体積よりも小さい。
【0083】
図11及び
図12を引き続き参照すると、マイクロ流体入口チャネル312に隣接して配置された第2のワックスシール352は、積層体層を超えて延在し、第2のワックスシール352の周囲の周りにテント状の空気ポケット360(
図10A)を作成する。換言すれば、第2のワックスシール352は、アセンブリ中にカバー324を変形させ、テント状の空気ポケット360をもたらす。第2のワックスシール352がマイクロ流体入口チャネル312の上に配置されているにもかかわらず、マイクロ流体入口チャネル312を介した流体及び標的の移送は、マイクロ流体入口チャネル(チャンバ152内に含有される)の開始時に静水頭及び流体における洗剤の量を利用することによって可能なままである。
【0084】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体入口チャネル312は、マイクロ流体ベントチャネル308よりも高い。マイクロ流体ベントチャネル312は、約0.051mm2(例えば、高さ0.051mm×幅1mm)の断面積を有する。同様に、マイクロ流体入口チャネル312は、約0.54mm2(例えば、高さ0.36mm×幅1.5mm)の断面積を有する。マイクロ流体ベントチャネル308が気流のみを導くのに対し、マイクロ流体入口チャネル312は遺伝子標的を含有する液体緩衝液及び固体粒子の通過を可能にする必要があるため、マイクロ流体ベントチャネル308は、マイクロ流体入口チャネル312よりも小さい断面積を有する。したがって、マイクロ流体入口チャネル312のためのワックスシール352に必要なワックスの量は、マイクロ流体ベントチャネル308のためのワックスシール348におけるワックスの量よりも大きい。
【0085】
いくつかの実施形態では、テント状の空気ポケット360は、周囲の積層体よりも約0.38mm高い。ワックスシール352がクランプ加熱器によって融解される場合、テント状の空気ポケット360は押し下げられる。硬化したワックスシール内に閉じ込められたままの空気は、流体の漏れの可能性を生じさせる。したがって、シールの完全性を損なわないために、空気がワックス溶解プロセス中に系を出る経路を有することが重要である。
【0086】
図示の実施形態では、強力な接着結合が形成されるのに十分な表面積を提供するために、任意のレーザー切断特徴と積層体縁部との間に少なくとも約2mmの間隔が設けられる。換言すれば、狭い接着接触面積は、漏れの漏れ(leakage of leakage)や故障に対して弱い。具体的には、テント状の空気ポケット360の周囲364は、反応チャンバ304から少なくとも約2mm離れて配置される。図示の実施形態では、テント状の空気ポケット及び任意の露出した積層体縁部から少なくとも約2mmの間隔がある。
【0087】
ワックスシール348及び352は、いくつかの利点を提供する。硬化したワックスシール348、352は、熱サイクル中に経験される反応チャンバ304における圧力に耐えるように有利に構成され、これは、約50℃~約95℃の範囲の加熱器温度での反応チャンバの交互のクランプを伴う。換言すれば、高温及び機械的クランプからの流体変位の組み合わせは、耐えられるワックスシール348、352に応力を与える。加熱器は、熱サイクル中にワックスシールに直接接触しない場合があるが、高融解温度を有するワックス(例えば、少なくとも約85℃の融解温度を有するパラフィンワックス)は、いくつかの実施形態では、ワックスシールが反応チャンバ304に関連付けられた加熱器によって不注意に再融解されないことを確実にするために選択される。
【0088】
図示の実施形態では、ワックスシールは、最初は円筒形(すなわち、コイン形)(例えば、直径約4.5mm、厚さ約0.43mm)である。ワックスシールの円形ジオメータ(geometer)の回転対称性は、カートリッジ10の製造中の誤配置のリスクを低減する。更に、同一のワックスシールを用いる設計は、製造を簡素化する。他の実施形態では、ワックスシールは、最初は楕円形であった(
図13)。
【0089】
ワックスシール348、352は、約86℃(すなわち、ワックス融点)~約95℃(すなわち、PCR加熱器の既定温度設定)の範囲内で融解され得る。融解期間、またはPCR加熱器がワックスシール上にクランプされることは、良好なシールを確実にするために、融解温度と並行して調節され得る。例えば、ワックスシールがあまりにも高い温度であまりにも長い間融解されると、融解ワックスは、シール部位から更に離れて拡散し、シールの材料密度及び機械的完全性を低減させる。いくつかの実施形態では、融解手順は、約4~約5秒の範囲内の期間により熱い加熱器を適用することによって、ワックスシール348、352を融解する。次いで、ワックスシール348、352は、約1.5秒の期間、ワックス融解温度を下回る設定値を有するクーラー加熱器でクランプされる。全体的な処理時間を低減するために、ワックスシール348、352は、高温PCR加熱器が(固定温度ではなく)約95℃から約86℃に冷却されている間に融解される。
【0090】
いくつかの実施形態では、ワックスシール348、352の密度は、約0.9g/mLであり、1g/mLでそれらを取り囲む流体よりもわずかに密度が低い。図示の実施形態では、重力は、ワックスシールの融解及びその後の硬化中に下方に作用する。したがって、重力の配向は、融解ワックスの動きに影響を与える可能性がある。例えば、融解ワックスは、重力が下向きに作用している場合、上向きに流れる場合がある。融解ワックスの流れの方向は、ワックスシールを融解するために利用される加熱器の表面積及び位置によっても影響を受ける。例えば、加熱器でクランプする場合、それが同心円状ではなく、むしろ一方向にオフセットされている場合、融解ワックスは、オフセット方向に流れる傾向があるだろう。同様に、加熱器クランプ力は、例えば、低いばね定常ばねに取り付けられ得る加熱器の前面及び背面の相対的な位置の関数として調節される。いくつかの実施形態では、プラスチック積層体層は、剛性が低く、加熱器のクランプ力に応答して変形し、押し出し(extruding)、ワックスシールを加熱器表面領域の境界を超えて押す(pushing)ことができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、融解ワックスシールは、融解ワックスシールをより冷たい加熱器(すなわち、ワックス融解温度未満の温度を有する加熱器)でクランプすることによって冷却される。他の実施形態では、融解ワックスシールは、周囲空気中で冷却硬化される。融解ワックスシールをより冷たい加熱器でクランプしてワックスを冷却すると、ワックスがより速く硬化する。周囲空気中での冷却時間は、約6~約8秒であるが、クランプによる冷却時間は、約2秒である。
【0092】
いくつかの実施形態では、ワックスシール348、352の結合は、ポリエステルまたはポリカーボネートなどの他のプラスチックフィルムの代わりに、アクリルベースの接着テープの層にパラフィンワックスを曝露することによって改善される。融解ワックスとチャネル壁との間の結合品質の改善は、硬化シールを介した流体漏れの可能性を減少させることができる。
【0093】
全体として、カートリッジ10はいくつかの利点を提供する。カートリッジ10は、冷却を必要としない、実装された液体及び凍結乾燥された試薬を有する自己完結型である。カートリッジ10は、移送ピペット、鼻腔スワブなどからのものを含む、様々な入力試料の種類の処理を可能にする。カートリッジ10でのチャンバ間液体移送は、任意のバルブなしでランダムアクセス及び迅速混合を達成する。本明細書で使用される場合、ランダムアクセスとは、カートリッジ10におけるその位置に関係なく、1つのチャンバ上の液体を任意の他のチャンバに移すことができることを意味する。カートリッジ10が液体のランダムアクセスを達成するため、カートリッジ10は、種々の処理プロトコルに適応可能である。加えて、カートリッジ10におけるランダムアクセスは、空の処理チャンバに汚れた洗浄液を廃棄することによって、常磁性粒子(PMP)の複数回の洗浄を可能にする。例えば、第5のチャンバ148における汚れた洗浄液は、溶解が行われた第3のチャンバ140に廃棄される。いくつかの実施形態では、PMPは、磁気結合を介してマイクロ流体セクション22内の流体を混合するために使用される。加えて、ランダムアクセスは、プローブが高温で標的に結合する時間を有した後に、カートリッジ10が第4のチャンバ144にPMPを保管し、第3のチャンバ140にPMPを追加することを可能にし、追加の加熱器の必要性を排除する。
【0094】
カートリッジ10の別の利点は、湿式保管セクション14、ならびに処理及びマイクロ流体セクション18、22における乾燥試薬が、移送カプセル26を受ける空洞42によって分離されていることである。換言すれば、空洞42は、貯蔵寿命を改善するために、カートリッジ10における乾燥試薬と液体緩衝液との間の距離を増加させる。2つの別個のヒートシールされた箔蓋34、38はまた、保管セクション14と処理セクション18との間の更なる分離を提供する。
【0095】
カートリッジ10の更なる利点は、液体が、反応物の良好な混合を提供する、高速(すなわち、実験室用ベンチピペット混合)でチャンバ内に流入され得ることである。速度、体積、及び時間の遅延が、柔軟性を可能にする。チャネル(例えば、第3のチャネル184)の断面形状は、流体混合を容易にする。更に、無秩序な渦(eddies)及び渦(vortices)を介して流体を混合するために、チャンバの底部からベントに通る気泡を生成するチャンバに空気を注入することができる。いくつかの実施形態では、空気は、チャネルを介して単一の共通のフィルタ(例えば、ベント176内のフィルタ180)にベントされ得る。
【0096】
カートリッジ10の別の利点は、検体または処理された検体がカートリッジから漏れ出る可能性を最小限に抑えることである。カートリッジ10が直立している場合(すなわち、
図1に見られるように)、液体は出口チャネルから遠くにあり、静水圧は流体を出口から引き離す。カートリッジ10が逆さまに配置される場合、液体はチャネルへの入口から遠くなり、静水圧は液体を入口から引き離している。カートリッジ10が横向きに配置されると、重力がチャンバを横断し、そのため液体を出口に向かって流す静水頭が存在しない。チャネルの寸法及び形状は、任意の毛細管駆動の流れに逆らって働く。
【0097】
図13を参照すると、別の実施形態によるマイクロ流体セクション400(マイクロ流体セクション22と同様)が、図示されている。マイクロ流体セクション400は、楕円形入口ワックスシール404及び円形ベントワックスシール408を含む。いくつかの実施形態では、楕円形入口ワックスシール404は、ベントワックスシール404の体積の少なくとも約2倍の体積を有する。ベントワックスシール404は、ベントチャネル412の上に直接配置される。入口ワックスシール404は、(
図13に見られるように)マイクロ流体入口チャネル416からオフセットで配置されるが、同じ平面にある。図示の実施形態では、入口ワックスシール404は、反応チャンバ248の下流に配置されたベンティングポート424と合流する対応するワックスベントチャネル420を有する。ワックスベントチャネル420は、融解及び硬化プロセス中に、空気がベンティングポート424を介してマイクロ流体入口チャネル416から離れることを可能にする。
【0098】
図14を参照すると、別の実施形態によるマイクロ流体セクション500が、図示されている。マイクロ流体セクション500は、最初円筒形状である3つの同一のワックスシール504A、504B、504Cを含む。図示の実施形態では、最初の状態のワックスシール504A、504B、504Cの各々は、直径が約4.0mmであり、厚さが約0.51mmである。同一のワックスシールは、均一な寸法を使用することにより、製造の複雑さを低減する。図示の実施形態では、ワックスシール504A及びワックスシール504Bは、(
図14に見られるように)マイクロ流体入口チャネル508からオフセットで配置されるが、同じ平面にある。換言すれば、最初の状態のワックスシール504A、504Bは、マイクロ流体入口チャネル508と同一平面上にある。入口ワックスシール504A、504Bの各々は、共通のベンティングポート516で合流する対応するワックスベントチャネル512A、512Bを含む。
【0099】
図15A及び
図15Bを参照すると、各アクセスポートは、様々なチャンバのためのアクセスポートにおけるオーバーモールドされたシール(青)で示されている。いくつかの実施形態では、オーバーモールドされたシールは、後続の成形プロセスですでに形成されたカートリッジ上に成形される熱可塑性エラストマーを含む。いくつかの実施形態では、固体結合は、オーバーモールドされたシールとカートリッジ材料との間に作成される。いくつかの実施形態では、オーバーモールドは、使用中に所定の位置に維持することがより困難であり得る、アクセスポート上にOリングを取り付ける必要性を排除する。本明細書の実施形態で使用され得る他のアクセスポートシール(例えば、Oリング)と同様に、オーバーモールドされたシールは、カートリッジと移送カプセルの先端との間に気密の流体経路を作成する。いくつかの実施形態では、カートリッジ上のアクセスポートの全部または一部分(例えば、1、2、3、4、5、6、7個、またはそれを超える)は、オーバーモールドシールを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、フィルムまたはカバー(例えば、
図3からの第1のカバー128)は、カートリッジ上に熱シールされる。
図16を参照すると、いくつかの実施形態では、別のものに熱シールされる1つの表面は、エネルギーディレクタ(例えば、
図16の緑色の線)を含む。エネルギーディレクタは、主要な領域(例えば、チャンバ)の周りに固体及び完全なシールが形成されることを確実にするために、融解が開始され得る隆起表面である。いくつかの実施形態では、エネルギーディレクタは、成形された本体のバルクプラスチックから形成された線形隆起面である。フィルムは、フィルムの外側に加熱プレスで付着されている。熱が適用されると、エネルギーディレクタが融解され、融解されたプラスチックが冷却及び固化した場合、フィルムがカートリッジ本体に接着される。
【0101】
図1~
図30に示されるカートリッジデバイス及び構成要素は例示的であり、本発明の好ましい実施形態を示す。しかしながら、
図1~
図30に示される及び/または本明細書に記載の要素の異なる組み合わせ及び構成を含む他のカートリッジは、本発明の範囲内である。本技術の様々な実施形態及び態様は、特許及び刊行物に記載されており、当業者に理解される。例示的な特許及び刊行物としては、米国特許公開第2020/0190506号、PCT公開第2018/226891号、及びPCT公開第2018/218053号が挙げられ、これらの各々は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0102】
III.機器
全体にわたって説明されるように、本明細書のカートリッジデバイスは、デバイスに存在しない構成要素及び機能性を提供する機器とともに使用される。いくつかの実施形態では、カートリッジ及び補完的な機器(例えば、加熱及び光学アセンブリ10)は、試料処理及び分析物検出/定量化が可能なシステムを形成する。いくつかの実施形態では、そのようなシステムが本明細書に提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態で使用するための機器は、1つ以上の加熱器を備える。いくつかの実施形態では、加熱器は、チャンバにおける液体の温度を調節することができる。いくつかの実施形態では、加熱器は、チャンバの2つの側面の機器内に存在し、チャンバに効果的に熱を伝達する。いくつかの実施形態では、機器内の1つまたは2つの加熱器は、チャンバに隣接して存在し、チャンバ内の液体を、加熱器の数、加熱器のチャンバへの近接性、及び液体の体積に応じて、30秒以内(例えば、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、21秒、22秒、23秒、24秒、25秒、26秒、27秒、28秒、29秒、30秒、またはその中の範囲)で、所望の温度(例えば、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、またはそれらの間の範囲)にする。
【0104】
図17を参照すると、加熱及び光学アセンブリ10が、図示されている。いくつかの実施形態では、加熱及び光学アセンブリ10は、試料及び/またはカートリッジを処理及び分析するための補完的な機器の一部分である。アセンブリ10は、第1の支持体14及び第1の支持体14に関して移動可能な第2の支持体18を含む。アセンブリ10は、複数の熱伝達デバイス22A~22E及び蛍光光度計26を更に含む。
【0105】
図示の実施形態では、第1の熱伝達デバイス22Aは第1の支持体14に結合されており、第2の熱伝達デバイス22Bは第2の支持体18に結合され、第1の熱伝達デバイス22Aの反対側に配置される。第1の熱伝達デバイス22Aは、第1の平面30を含み、第2の熱伝達デバイス22Bは、第1の平面30の反対側に配置された第2の平面34を含む。いくつかの実施形態では、第1の熱伝達デバイス22A及び第2の熱伝達デバイス22Bは、第1の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第1の温度は、約90℃~約100℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、第1の温度は、約95℃である。
【0106】
同様に、第3の熱伝達デバイス22Cは、第1の支持体14に結合されており、第4の熱伝達デバイス22Dは、第2の支持体18に結合され、第3の熱伝達デバイス22Cの反対側に配置される。第3の熱伝達デバイス22Cは、第3の平面38を含み、第4の熱伝達デバイス22Dは、第3の平面38の反対側に配置された第4の平面42を含む。いくつかの実施形態では、第3の熱伝達デバイス22C及び第4の熱伝達デバイス22Dは、第2の温度に維持される。いくつかの実施形態では、(第3及び第4の熱伝達デバイス22C、22Dの)第2の温度は、(第1及び第2の熱伝達デバイス22A、22Bの)第1の温度とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の温度は、約60℃~約70℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の温度は、約65℃である。
【0107】
図示の実施形態では、蛍光光度計26は、第1の支持体14に結合され、第1の熱伝達デバイス22Aと第3の熱伝達デバイス22Cとの間に配置される。図示の実施形態では、アセンブリ10は、第2の支持体18に結合され、蛍光光度計25の反対側に配置された第5の熱伝達デバイス22Eを更に含む。特に、第5の熱伝達デバイス22Eは、蛍光光度計26の反対側に配置された第5の平面46を含む。第5の熱伝達デバイス22Eは、第2の熱伝達デバイス22Bと第4の熱伝達デバイス22Dとの間に配置される。いくつかの実施形態では、第2、第4、及び第5の熱伝達デバイス22B、22D、22Eは、各々、付勢メンバ48(例えば、圧縮ばね)によって付勢され、第2の支持体18に対して第1の支持体14に向かって移動する。
【0108】
図18を参照すると、分析物のレベルを検出するためのカートリッジ50が、図示されている。カートリッジ50は、保管セクション54、処理セクション58、及びマイクロ流体セクション62を含む。図示の実施形態では、処理セクション58は、保管セクション54とマイクロ流体セクション62との間に配置される。カートリッジ50は、標的分析物を処理及び検出するために必要な全ての構成要素及びチャンバを含有する。いくつかの実施形態では、カートリッジ50は、例えば、限定されないが、熱伝達、液体移送、磁気伝達、及び光学検出を含むがこれらに限定されない作動を実行するために、サーボ機構を含む処理装置によって作用される。概して、保管セクション54は、処理において使用される緩衝液及び移送カプセルとともに分析される検体を含有し、処理セクション58は、標的が抽出され、精製され、磁性ビーズに結合される場所であり、マイクロ流体セクション62は、標的または複数の標的が検出される場所である。
【0109】
図26を参照すると、カートリッジ50のマイクロ流体セクション62は、反応チャンバ66、マイクロ流体ベントチャネル70、及びマイクロ流体入口チャネル74を含む。マイクロ流体ベントチャネル70は、反応チャンバ66に流体的に接続されている。マイクロ流体入口チャネル74は、処理セクション58とマイクロ流体セクション62との間のインターフェースとして機能し、ピペッターによって直接アクセスできない開口部を有するマイクロ流体セクション62への液体の容易な移送を促進する。反応チャンバ66は、マイクロ流体入口チャネル74とマイクロ流体ベントチャネル70との間に配置される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥されたマスターミックス78は、反応チャンバ66内に配置され、PCRは、例えば、その中で実行される。図示の実施形態では、反応チャンバ66は、PCRチャンバである。
【0110】
図2を参照すると、本明細書でより詳細に説明されるように、加熱及び光学アセンブリ10は、第1の熱伝達デバイス22Aの第1の平面30と第2の熱伝達デバイス22Bの第2の平面34との間に反応チャンバ(例えば、反応チャンバ66)を受けて、反応チャンバを第1の温度にするように構成される。同様に、アセンブリ10は、熱伝達デバイス22C、22Dの第3の平面38と第4の平面42との間に反応チャンバを受けて、反応チャンバを第2の温度にするように構成される。
【0111】
図17及び
図18を引き続き参照すると、アセンブリ10は、カートリッジ50に対してアセンブリ10の部分を移動させるように構成された第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ86を更に含む。第1のアクチュエータ82は、第2の支持体18に結合され、クランプ軸90に沿って第2の支持体18を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成される。クランプ軸90は、直線軸として示されているが、ある特定の実施形態では、クランプ軸は、円の曲線または円弧である。第1の位置では、第1の平面30及び第2の平面34は、第1の距離だけ間隔が空けられており、第2の位置では、第1の平面30及び第2の平面34は、第1の距離よりも小さい第2の距離だけ間隔が空けてられている。いくつかの実施形態では、第2の距離は、約400マイクロメートル~約600マイクロメートルの範囲内である。換言すれば、第1のアクチュエータ82は、第2の支持体18をクランプ軸90に沿って移動させて、支持体14、18の間にカートリッジ50をクランプする。図示の実施形態では、カートリッジ50は、第1の熱伝達デバイス22Aと第2の熱伝達デバイス22Bとの間、第3の熱伝達デバイス22Cと第4の熱伝達デバイス22Dとの間、及び蛍光光度計26と第5の熱伝達デバイス22Eとの間にクランプされる。
【0112】
図示の実施形態では、第2のアクチュエータ86は、第1の支持体14及び第2の支持体18に結合され、第2のアクチュエータ86は、第1の支持体14及び第2の支持体18を並進軸94に沿って一緒に移動させるように構成される。並進軸94は、直線軸として示されているが、ある特定の実施形態では、並進軸は、円の曲線または円弧である。いくつかの実施形態では、並進軸94は、クランプ軸90に垂直である。いくつかの実施形態では、並進軸94は、垂直であり、クランプ軸90は、水平である。換言すれば、第2のアクチュエータ86は、並進軸94に沿ってカートリッジ50に関して支持体14、18を移動させる。並進軸94に沿った移動は、カートリッジ50の反応チャンバ66を異なる熱伝達デバイス22A~22E及び/または蛍光光度計26と整列させる。いくつかの実施形態では、支持体14、18が並進軸94及び/またはクランプ軸90に沿ってカートリッジ50に対して移動するとき、カートリッジ50は、静止したままである。他の実施形態では、カートリッジ50が支持体14、18に対して移動するとき、支持体14、18は、静止したままである。
【0113】
図21を参照すると、反応チャンバ(例えば、PCR反応チャンバ66)を加熱するための熱伝達デバイス98が、図示されている。いくつかの実施形態では、熱伝達デバイス98は、加熱及び光学アセンブリ10における熱伝達デバイス22A~22Eのいずれであり得る。熱伝達デバイス98は、基部106、第1のボア110、第2のボア114、及び基部106から延在する熱交換器118を備えた蓄熱器102を含む。熱交換器118は、反応チャンバ66の周りに構成される平面122(例えば、平面30、34、38、42、46)を含む。図示の実施形態では、熱交換器118は、円筒形であり、基部106は、長方形である。いくつかの実施形態では、蓄熱器は、高熱伝導性材料(例えば、アルミニウム)である。図示の実施形態では、第1のボア110及び第2のボア114は、基部106において形成され、熱交換器118の長手方向軸124に垂直に延在する。図示の実施形態では、第1のボア110及び第2のボア114は、基部106の同じ表面において形成され、互いに平行に延在する。熱伝達デバイス98は、第1のボア110内に配置された加熱器126と、第2のボア114内に配置された温度センサ130と、を更に含む。いくつかの実施形態では、加熱器126は、電気抵抗加熱器である。
【0114】
図22及び
図23を参照すると、反応チャンバ(例えば、反応チャンバ66)を加熱及び/または冷却するための熱伝達デバイス134が、図示されている。いくつかの実施形態では、熱伝達デバイス134は、加熱及び光学アセンブリ10における熱伝達デバイス22A~22Eのいずれであり得る。熱伝達デバイス134は、基部142、第1のボア146、第2のボア150、及び基部142から延在する熱交換器154を備えた蓄熱器138を含む。熱交換器154は、反応チャンバ66に当接するように構成された平面158(例えば、平面30、34、38、42、46)を含む。図示の実施形態では、熱交換器154は、円筒形であり、基部142は、円筒形であり、フランジ160は、2つの部分142、154を分離する。いくつかの実施形態では、付勢メンバ(例えば、ばね48)は、フランジ160に当接して、熱伝達デバイス134をある方向に(例えば、反対側に取り付けられた別の熱伝達デバイスに向かって)付勢する。図示の実施形態では、第1のボア146及び第2のボア150は、基部142において形成され、熱交換器154の長手方向軸162に平行に延在する。図示の実施形態では、第1のボア146及び第2のボア150は、基部142の同じ表面において形成され、互いに平行に延在する。熱伝達デバイス134は、第1のボア146内に配置された加熱器166と、第2のボア150内に配置された温度センサ170と、を更に含む。いくつかの実施形態では、加熱器166は、電気抵抗加熱器である。
【0115】
いくつかの実施形態では、熱伝達デバイス22A~22E及びアセンブリ10は、プロセッサ174及び非一時的メモリ178を含む。いくつかの実施形態では、メモリ178は、プロセッサ174によって実行されるときに、熱伝達デバイス22A~22Eの蓄熱器の閉ループ温度制御を実行する命令を含む。温度センサ(例えば、センサ130、170)をフィードバックとして、及び加熱器(例えば、126、166)を制御された操作された入力として使用することによって、蓄熱器の閉ループ温度制御が、達成される。いくつかの実施形態では、閉ループ制御は、比例積分微分(「PID」)または比例積分(「PI」)制御装置である。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態における使用のための機器は、1つ以上の磁気伝達要素を備える。いくつかの実施形態では、磁気伝達要素は、デバイス内の位置で磁力を変化させるために、カートリッジに沿った様々な位置に、及びデバイスのチャンバ/チャネルから様々な距離に配置され得る磁石を備える。いくつかの実施形態では、磁気伝達要素は、その末端に磁石が配置された機械的アームを備える。磁石とデバイスチャンバ(例えば、C5、C6、反応チャンバ)のうちの1つ以上の側面との間の距離は、チャンバの内容物(例えば、PMP)に様々な磁力を加えるために変化され得る(例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13、mm、14mm、15mm、16mm、17、mm、18、mm、19mm、20mm、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)。いくつかの実施形態では、機械的アームは、磁石をチャンバの上部から底部へ(及び底部から上部へ)垂直に、及び横方向に(例えば、異なるチャンバに関連付けて、ペレットを移送チャネルを介して引きずるなど移動させることを可能にする。
【0117】
いくつかの実施形態では、機器は、例えば、デバイスの検出/反応チャンバ内の試料から放出される光を検出することができる蛍光光度計、カメラ、または他の光学読み取り機を備える。いくつかの実施形態では、デバイスの検出/反応チャンバ内のフルオロフォアを励起し、放出される光の波長を検出することができる蛍光光度計が提供される。
【0118】
検出/反応チャンバ内の試料における存在及び/または濃度を検出するための多数の技術が利用可能である。例えば、分析物の蛍光標識が使用され得る。蛍光標識(または蛍光プローブ)は、概して、適切な電磁シグナルまたは放射線によって刺激される場合、放射線を吸収し、刺激放射線が継続している、すなわち蛍光を発する間に持続するシグナル(通常、刺激放射線から波長によって区別可能な放射線)を放出する物質である。蛍光測定は、蛍光標識またはプローブを含有する試料を、適切な波長の光源などの刺激(励起とも呼ばれる)放射線に曝露し、それによってプローブを励起し、蛍光を引き起こすことを伴う。放出された放射線は、フォトダイオード、光電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)などの適切な検出器を使用して検出される。いくつかの実施形態では、カートリッジデバイスのための補完的な機器は、適切な検出器(例えば、フォトダイオード、光電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)、蛍光光度計、ルミノメータなど)を含む。
【0119】
蛍光標識された試料との使用のための蛍光光度計は、当該技術分野において既知である。一種類の蛍光光度計は、米国特許第6,043,880号のAndrewsらによって記載されているような光学読み取り機であり、その全体が参照により組み込まれる。光学読み取り機は、試料が、反応チャンバからそれを除去することなく(例えば、PCRを中断することなく)分析され得るように、反応チャンバ(例えば、サーマルサイクラー)内に統合され得る。そのような統合されたデバイスの例は、米国特許第5,928,907号、米国特許第6,015,674号、米国特許第6,043,880号、米国特許第6,144,448号、米国特許第6,337,435号、及び米国特許第6,369,863号に記載されており、それらの全体が参照により組み込まれる。そのような組み合わせデバイスは、例えば、米国特許第5,210,015号、米国特許第5,994,056号、米国特許第6,140,054号、及び米国特許第6,174,670号に記載されているように、様々な用途に有用であり、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0120】
いくつかの実施形態では、提供されるシステム、デバイス、及びその構成要素は、蛍光光度計を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジデバイス(例えば、本明細書に記載の)との使用のための補完的な機器は、蛍光光度計を備える。いくつかの実施形態では、例えば、
図28~
図30を参照して、蛍光光度計26は、単一のアセンブリ(例えば、加熱及び光学アセンブリ10)において熱伝達デバイス22A~22Eと統合される。本明細書で論じられるように、定量的PCRは、複数の熱サイクルの後に複数の蛍光測定を行う。したがって、PCRを実行する時間は、加熱及び光学アセンブリ10によって低減され、それは、コンパクトであり、加熱器及び蛍光光度計26をカートリッジ50に対して効率的に移動させ得る。
【0121】
図28~
図30を引き続き参照すると、蛍光光度計26は、第1の支持体14に結合されている。図示の実施形態では、蛍光光度計26は、測定開口部214を画定する囲い210を含む。本明細書で詳述されるように、測定開口部214は、PCRチャンバ66と整列されて、試料の蛍光測定を行う。いくつかの実施形態では、測定開口部214は、PCRチャンバの平面(例えば、前面)と整列するように構成される。測定開口部214は、測定開口部214に垂直な法線軸218を画定する。したがって、法線軸218は、蛍光測定中、PCRチャンバ66に垂直である。
【0122】
従来の蛍光測定は、放出光学によって収集される励起光を最小限に抑えるために、直角(例えば、縁部から)で行われる。しかしながら、いくつかの実施形態では、PCRチャンバの厚さは小さい(例えば、500マイクロメートル未満)、縁部からの直角蛍光読み取りは実行可能ではない。図示の実施形態では、励起光が入り、PCRチャンバ66の前面を通って蛍光が検出される。これにより、チャンバにおいての蛍光の大部分を収集することが可能になる。典型的には、この種類の測定は、励起光を反射し、放出された光を通過させるダイクロミックミラー及び/またはビームスプリッタの使用を必要とし、複雑な光学系をもたらす。
【0123】
蛍光光度計26は、複数の光源222A~222D及び複数の光検出器226A~226Dを含む。図示の実施形態では、蛍光光度計26は、4つの光源222A、222B、222C、及び222Dを含む。第1の光源222Aは、第1の光源軸230Aに沿って囲い210に結合され、第2の光源222Bは、第2の光源軸230Bに沿って囲い210に結合され、第3の光源222Cは、第3の光源軸230Cに沿って囲い210に結合され、第4の光源222Dは、第4の光源軸230Dに沿って囲い210に結合される。光源軸230A~230Dの各々は、測定開口部214と交差する。他の実施形態では、蛍光光度計は、非同軸であり、測定開口部と交差する1~10個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)の光源及び1~10個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)の光源軸を含む。
【0124】
図示の実施形態では、蛍光光度計26は、4つの光検出器226A~226Dを含み、1つの光検出器は、光源の各々に対応する。第1の光検出器226Aは、第1の検出器軸234Aに沿って囲い210に結合され、第2の光検出器226Bは、第2の検出器軸234Bに沿って囲い210に結合され、第3の光検出器226Cは、第3の検出器軸234Cに沿って囲い210に結合され、第4の光検出器226Dは、第4の検出器軸234Dに沿って囲い210に結合される。検出器軸234A~234Dの各々は、測定開口部214と交差する。
【0125】
図示の実施形態では、光源軸230A~230D及び検出器軸234A~234Dは全て、測定開口部214と交差する。光源軸230A~230D、検出器軸234A~234D、及び法線軸218のいずれも同軸ではない。換言すれば、光源軸230A~230D及び検出器軸234A~234Dは、測定開口214において互いに交差するが、そうでなければ互いに重なることはない。図示の実施形態では、光源軸230A~230D及び検出器軸234A~234Dは、法線軸218の周りに円周方向に配置される(
図28)。いくつかの実施形態では、光源222A~222D及び検出器226A~226Dは、円周方向に代替する。いくつかの実施形態では、検出器軸は、LED軸に隣接している。例えば、図示の実施形態では、第1の光源222Aは、第1の検出器226Aと第4の検出器226Dとの間に円周方向に配置される。同様に、第1の検出器226Aは、第1の光源222Aと第2の光源222Bとの間に円周方向に配置される。
【0126】
第1の光源222Aは、第1の光源軸230Aに沿って第1の励起光を放出し、第1の励起光は、第1の検出器軸234Aから離れた測定開口214で反射される。換言すれば、励起光ビームは、1つの光軸(例えば、第1の光源軸230A)に沿ってPCRチャンバ66に入り、放出された光は、別個の光軸(例えば、第1の検出器軸234A)に沿って収集される。軸230A、234Aと、PCRチャンバ66の表面との間の角度は、励起光が放出光軸から離れて反射されるように選択される。これにより、光ファイバ、ダイクロイックミラー、または移動フィルタモジュールを使用せずに、同じチャンバにおける蛍光を測定するための励起光学及び発光光学の複数の対が可能になる。図示の実施形態では、蛍光光度計26は、有利には、ダイクロイックミラーまたはビームスプリッタを含まない。蛍光測定器26は、蛍光測定器26が標的増幅に使用される熱伝達デバイス22A~22Eと統合されるような、小型、軽量、及びコンパクトである。
【0127】
4つの光源222A~222D及び4つの光検出器226A~226Dは、ともに蛍光検出の4つのチャネルを作成する。いくつかの実施形態では、蛍光光度計26は、蛍光検出の少なくとも4つのチャネルを含む。例えば、第1の光源222Aからの第1の励起光は、第1のスペクトル(例えば、第1のスペクトルパワー分布)を有し、第1の光検出器226Aは、第1の励起光(例えば、第1のチャネル)に応答して、試料の第1の蛍光を測定する。同様に、第2の励起光は、第2のスペクトル(例えば、第2のスペクトルパワー分布)を有する第2の光源222Bから放出され、第2の光検出器226Bは、第2の励起光に応答して試料の蛍光を測定する。有利には、ほぼ同じ数値開口部を維持しながらレンズの直径を低減させることによって、シグナル強度を大幅に低減させることなく、より多くの光源/検出器対(例えば、チャネル)を中心軸(例えば、法線軸218)の周りに配置することができる。
【0128】
図19を参照すると、(各光源の構造を表す)第1の光源222Aは、光放出器238、レンズ242、及び波長選択フィルタ246を含む。いくつかの実施形態では、光放出器238は、発光ダイオード(LED)である。一部のフルオロフォア及びLEDについては、波長選択フィルタが省略され得る。第1の励起光は、反応チャンバ66に当たり、第1の検出器226Aから離れて反射される。換言すれば、第1の光源軸230Aの入射角が第1の検出器軸234Aの入射角よりも大きいため、第1の光源222Aからの迷光は、第1の検出器226Aから離れて反射される。第1の励起光に応答する蛍光は、第1の光検出器226Aによって検出される。いくつかの実施形態では、第1の励起光の強度は、放出された蛍光光よりも何桁も大きい。
【0129】
蛍光は、より長い波長で反応チャンバ66から放出され得る。(各光検出器の構造を表す)第1の光検出器226Aは、第1のレンズ150、フィルタ254(例えば、波長選択フィルタ)、第2のレンズ258、及び半導体検出器262を含む。いくつかのフルオロフォアについては、光が第1のレンズによって十分に標準を合わせられるため、第2のレンズが省略され得る。半導体検出器262に影響を与える光は、プロセッサ174によって検出され、記憶される電気シグナル測定値に変換される。いくつかの実施形態では、非一時的メモリ178は、プロセッサ174によって実行される場合、100ミリ秒の期間にわたって第1の検出器226Aによって400(400)個のアナログ対デジタル読み取り値を記憶する命令を含む。可視光、放射及び伝導ACノイズによる周囲ノイズを最小限に抑えるために、固定された100ミリ秒の期間にわたって400個のアナログ-デジタル読み取りが行われる。この期間は、種々の国のAC電源によるシグナルの変動が平均化されるように、正確に60Hzで6サイクル、50Hzで5サイクルの長さである。
【0130】
IV.方法、キット、及びシステム
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス及びシステムを使用して実行される試料処理及び分析物検出/定量の方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を調製するためのシステム、キット、及び方法が本明細書で提供される。
【0131】
本明細書におけるデバイスは、様々な試料の種類(例えば、生物学的(例えば、組織、血液、血液生成物、唾液など)、環境(例えば、土壌または水試料)、研究(例えば、細胞培養、インビトロ試料など)など)の処理において、様々な分析物(例えば、核酸、小分子、ペプチド、タンパク質など)の検出において、様々な検出試薬(例えば、プライマー、プローブ、抗体など)を用いて、及び様々な検出技術(例えば、PCR、蛍光、イムノアッセイ)を介して、使用される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法/キット/システムにおいて使用される試薬は、乾燥(例えば、凍結乾燥されたディスク、ペレットなど)または濃縮(例えば、液体、ゲルなど)の形態で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書の方法/キット/システムにおいて使用される試薬は、細胞溶解のための構成要素(例えば、洗剤(例えば、SDS)など)、タンパク質消化のための構成要素(例えば、プロテイナーゼKなど)、核酸捕捉プローブ(例えば、捕捉部分(例えば、ビオチンなど)に連結されたハイブリダイゼーション配列)、捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ(例えば、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズ)、増幅試薬(例えば、プライマー、ヌクレオチド、マグネシウムなど)、検出試薬(例えば、蛍光標識)などを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本方法は、標的核酸の捕捉/単離/精製のために3つの乾燥または濃縮試薬組成物(例えば、凍結乾燥されたディスク、ペレットなど、濃縮液体、ゲルなど)、及び任意選択で、標的核酸増幅/検出のための1つの追加の乾燥または濃縮試薬組成物を利用する。いくつかの実施形態では、標的核酸の捕捉/単離/精製のための3つの乾燥または濃縮試薬組成物は、溶解試薬(及び/またはタンパク質消化試薬)、捕捉試薬、及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズである。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)生物学的試料を、細胞膜を消化し、タンパク質を分解することが可能な溶解試薬と混ぜ合わせ、溶解試薬が細胞膜を消化し、タンパク質を分解して、溶解物を生成することを可能にするステップであって、生物学的試料が核酸を含む、可能にするステップ、(b)溶解物を捕捉試薬と混ぜ合わせるステップであって、捕捉試薬が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む、混ぜ合わせるステップ、(c)核酸プローブを生物学的試料の核酸にハイブリダイゼーションさせて、プローブが結合した核酸の溶液を生成することを可能にするステップ、(d)プローブが結合した核酸を捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせるステップ、(e)捕捉剤が捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にするステップ、(f)ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内のビーズに捕捉された核酸を単離するステップ、及び(g)単離されたビーズに捕捉された核酸を、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離するステップのうちの1つ以上(例えば、全て)を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、方法は、標的核酸の捕捉/単離/精製のために2つの乾燥または濃縮試薬組成物(例えば、凍結乾燥されたディスク、ペレットなど、濃縮液体、ゲルなど)、及び任意選択で、標的核酸増幅/検出のための1つの追加の乾燥または濃縮試薬組成物を利用する。いくつかの実施形態では、標的核酸の捕捉/単離/精製のための2つの乾燥または濃縮試薬組成物は、溶解/捕捉試薬及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズである。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のステップのうちの1つ以上(例えば、全て)を含む:(a)生物学的試料を、溶解試薬及び捕捉試薬と混ぜ合わせるステップであって、溶解試薬が、細胞膜を消化し、細胞タンパク質を分解することができる構成要素を含み、捕捉試薬が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含み、生物学的試料が、核酸を含む、混ぜ合わせるステップ、(b)溶解試薬が細胞膜を消化し、タンパク質を分解して、溶解物を生成することを可能にするステップ、(c)核酸プローブを生物学的試料の核酸にハイブリダイゼーションさせて、プローブが結合した核酸の溶液を生成することを可能にするステップ、(d)プローブが結合した核酸を捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせるステップ、(e)捕捉剤が捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にするステップ、(f)ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内のビーズに捕捉された核酸を単離するステップ、及び(g)単離されたビーズに捕捉された核酸を、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離するステップ。
【0135】
本明細書のある特定の実施形態は、遠心分離ステップを含まず、濾過ステップを含まず、及び/または核酸の沈殿を含まない。いくつかの実施形態では、標的核酸を含む生物学的試料の核酸は、溶解、消化、プローブハイブリダイゼーション、及び/または捕捉(例えば、ビーズが結合した捕捉剤のプローブが結合した捕捉部分への結合)ステップ中に、生物学的試料または過剰試薬(例えば、結合していないプローブ)の汚染物質から分離されない。
【0136】
本明細書の実施形態は、核酸を含む(または核酸を含むと疑われる)試料を必要とする。好適な試料は、核酸を含有し、したがって、本明細書では、生物学的試料と称される。生物学的試料は、または任意の供給源または起源であり得、自然から取得され得るか、または研究室で生成された検体であり得る。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られ得、流体、固体、組織、及び気体を包含する。いくつかの生物学的試料は、血漿、血清などの血液生成物、便、尿を含む。試料は、環境起源であり得、表面物質、土壌、泥、汚泥、バイオフィルム、水、及び工業用試料などの環境材料を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、試料は、病原体(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原虫、ワームなど)由来の核酸を含む。他の実施形態では、試料は、対象(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、家畜、野生動物など)由来の核酸を含む。任意の種類の核酸を含有する任意の試料は、本明細書の実施形態において使用され得る。本明細書で提供される例示的な試料は、本発明に適用可能な試料の種類を限定するものと解釈されるべきではない。
【0137】
いくつかの実施形態では、試料は、例えば、チャンバの開放上部を使用して、本明細書のデバイスのチャンバに添加され、チャンバは、シール(例えば、キャップで)ある。液体試料の場合、試料は、チャンバ(例えば、空のチャンバ、適切な緩衝液を含むチャンバなど)に注入され得る。固体試料、または固体媒体(例えば、ワイプ、スワップ先端など)上の試料の場合、固体はチャンバ内に挿入され得、試料はチャンバにおける液体に溶解される。
【0138】
いくつかの実施形態では、試料は、本明細書のデバイスのチャンバにおいて消化される。いくつかの実施形態では、試料の種類及び標的分析物に応じて、適切な処理試薬が、使用される。例えば、試薬としては、タンパク質沈殿試薬(例えば、アセトニトリル、メタノール、または過塩素酸)、細胞溶解試薬(例えば、硫酸亜鉛、強酸、リゾチームでの酵素消化、セルラーゼ、プロテアーゼ、非イオン性、両性イオン、陰イオン性、及び陽イオン性洗剤を含むがこれらに限定されない洗剤、タンパク質消化試薬(例えば、トリプシンなどのセリンプロテアーゼ、スレオニン、システイン、リジン、アルギニン、またはアスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、キモトリプシン、グルタミン酸プロテアーゼ、lys-c、glu-c、及びケモトリプシン)、内部標準(例えば、安定した同位体標識分析物、重同位体標識ペプチド、非天然ペプチドまたは分析物、構造的に類似した類似体、化学的に類似した類似体)、抗生物質(微生物学的抗生物質感受性試験、または「AST」用)、緩衝液、カオトロピー剤、または変性剤を含むタンパク質安定化剤、較正標準、及び対照が挙げられ得る。様々な実施形態によれば、試薬のうちの1つ以上を予め混合して、特定のアッセイまたはアッセイのパネルに特異的な組み合わせられた試薬混合物を形成してもよい。いくつかの実施形態では、試薬は、緩衝液または凍結乾燥された試薬ペレットに含まれる。いくつかの実施形態では、試料は、適切な処理試薬及び条件(例えば、温度)に曝露され、アッセイに干渉する試料の構成要素を分解する(例えば、細胞溶解、タンパク質分解など)。
【0139】
いくつかの実施形態では、生物学的試料は、本明細書に記載の試薬(例えば、溶解及び/または消化試薬)と混ぜ合わされて、本明細書の方法のステップを開始する。他の実施形態では、液体緩衝溶液は、試料を希釈し、試料を取り扱うのに十分な量にし、及び/または試料を基材(例えば、綿棒、収集バイアルなど)から抽出するために、生物学的試料に添加される(または試料を液体緩衝溶液に添加する)。いくつかの実施形態では、生物学的試料を含む基材または生物学的試料自体を液体緩衝液(例えば、チューブ、ウェル、チャンバ中の)に添加して、本明細書の方法を開始する。
【0140】
いくつかの実施形態では、単独の、または適切な緩衝液中の生物学的試料(核酸を含む)は、溶解及び/または消化試薬で処理される。いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、化合物試薬である(すなわち、2つ以上の個々の構成要素試薬を含む)。いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、(例えば、細菌または真核生物の)細胞膜を分解するための構成要素試薬を含む。いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、試料内のタンパク質(例えば、細胞タンパク質、ウイルスタンパク質など)を消化するための構成要素試薬を含む。いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、細胞及び/またはウイルスから核酸を放出するのに好適な構成要素試薬を含む。溶解及び/または消化試薬中の構成要素試薬は、1つ以上の、タンパク質を低減(例えば、変性)するように構成された酵素(例えば、プロテイナーゼ、プロテアーゼ(例えば、プロナーゼ)、トリプシン、プロテイナーゼK、ファージ溶解酵素(例えば、PlyGBS))、リゾチーム(例えば、ReadyLyseなどの修飾されたリゾチーム)、細胞特異的酵素(例えば、B群連鎖球菌を溶解するためのムタノリシン)を含み得る。溶解及び/または消化試薬に存在する他の酵素としては、リゾスタフィン、ザイモリエイス、セルラーゼ、ムタノリシン、グリカナーゼなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬における構成要素試薬は、Triton-X、グアニジニウム塩、またはSDSなどの1つ以上の化学細胞溶解試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、様々な塩(例えば、NaCl、MgCl2など)、緩衝液(例えば、Tris、MOPS、MESなど)、または他の構成要素を含み得る。特定の実施形態では、溶解試薬は、プロテイナーゼKを含む。他の実施形態では、溶解試薬は、プロテイナーゼK及びSDSを含む。いくつかの実施形態では、溶解試薬は、プロテイナーゼK(例えば、1U、2U、5U、10U、15U、20U、25U、30U、40U、50U、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、CaCl2(例えば、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、30mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、及び/またはHEPES(例えば、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、30mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)を含む。いくつかの実施形態では、溶解試薬は、15UのプロテイナーゼK、5mMのCaCl2、及び5mMのHEPESを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、乾燥試薬(例えば、凍結乾燥されたディスクまたはペレット)であり、乾燥溶解試薬は、生物学的試料及び/または緩衝溶液と混ぜ合わせると再懸濁される。他の実施形態では、溶解及び/または消化試薬は、濃縮液体(またはゲル)であり、生物学的試料及び/または緩衝溶液中で希釈される。濃縮溶解試薬は、生物学的試料及び/または緩衝溶液中への希釈後の1×の作動濃度と比較して、10×、20×、50×、100×、200×、500×、またはそれを超える濃度で存在し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、溶解物を生成するための試料の処理は、上記または当該分野で理解されている化学試薬及び酵素に加えて、物理的プロセスを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、試料は、溶解を補助するために加熱される(例えば、>60℃、>65℃、>70℃、>75℃、>80℃、>85℃、>90℃、>95℃など)。いくつかの実施形態では、試料は、溶解後に加熱(例えば、90~100℃)され、溶解に用いられる酵素のうちの1つ以上を不活性化する。いくつかの実施形態では、溶解を補助するために凍結/解凍が用いられる。いくつかの実施形態では、フレンチプレス、粉砕、超音波処理などの機械的手段が、溶解のために利用される。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、細胞またはウイルスを溶解する機械的手段を用いない。
【0143】
いくつかの実施形態では、細胞、ウイルスなどから核酸が放出されると、溶解物を捕捉試薬と混ぜ合わせる。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、ハイブリダイゼーション配列及び捕捉部分を含む核酸プローブを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、標的分析物を遊離させるための試料の適切な処理(例えば、細胞溶解、汚染構成要素の消化など)の後、捕捉剤(例えば、配列特異的捕捉プローブ)を使用して、標的分析物を結合(捕捉)する。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、標的結合部分及びハンドルまたは親和性部分を含む。標的結合部分は、標的分析物に安定して結合することができる任意の分子実体(例えば、核酸プローブ、抗体もしくは抗体断片、標的特異的リガンドなど)であり得る。結合部分は、例えば、標的核酸配列にハイブリダイゼーションするのに有効な核酸プローブ配列、または標的タンパク質もしくは他の分析物に結合するのに有効な抗体もしくはその機能的断片であり得る。任意の所望の特異性の任意の結合部分が使用され得る。ハンドルまたは親和性部分は、捕捉剤に結合されたときに分析物を捕捉するために使用され得る親和性対の1つの要素である。免疫反応性特異的結合メンバには、抗原または抗原断片、及び抗体または機能的抗体断片が含まれる。他の特異的結合対としては、ビオチン及びアビジン、炭水化物及びレクチン、相補的なヌクレオチド配列、エフェクター及び受容体分子、補因子及び酵素、酵素阻害剤及び酵素などが挙げられる。いくつかの実施形態では、結合メンバは、非標的構成要素を含有する試料から分析物を抽出するために、複数の常磁性粒子などの固相支持体に付着される。好ましい実施形態では、ビオチン部分または別の親和性ハンドルを含む配列特異的捕捉プローブを、標的分析物核酸にハイブリダイゼーションする。続いて、捕捉プローブが結合した核酸を、ストレプトアビジンまたはハンドルに結合可能な別の親和性剤を含む常磁性粒子(PMP)上に捕捉する。いくつかの実施形態では、ペレット化されたPMPの洗浄は、捕捉された標的分析物からの汚染物質の除去を提供する。非核酸標的の場合、他の好適な捕捉手段が、理解される。
【0145】
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸における標的配列の全てまたは一部分に相補的なポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、本明細書の方法の条件下でプローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションを可能にするように、標的配列に十分に相補的である。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、標的配列に少なくとも70%相補的である(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%)。
【0146】
いくつかの実施形態では、捕捉部分は、本明細書の方法の条件下で捕捉剤によって安定的に結合されることができる化学基である。いくつかの実施形態では、捕捉部分は、ビオチンである(及び捕捉剤は、ストレプトアビジンである)。他の実施形態では、捕捉部分は、ハロアルカン(及び捕捉剤は、HALOTAG(登録商標)、Promega)、アルキン(及び捕捉剤は、アジ化物である)などである。
【0147】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、乾燥試薬(例えば、凍結乾燥されたディスクまたはペレット)であり、乾燥捕捉試薬は、溶解物及び/または緩衝溶液と混ぜ合わせると再懸濁される。他の実施形態では、捕捉試薬は、濃縮液体(またはゲル)であり、溶解物及び/または緩衝溶液中で希釈される。濃縮捕捉試薬は、溶解物及び/または緩衝溶液中への希釈後の1×の作動濃度と比較して、10×、20×、50×、100×、200×、500×、またはそれを超える濃度で存在し得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、溶解物は、濃縮または乾燥捕捉試薬に添加される。いくつかの実施形態では、溶解物及び捕捉試薬は、混合される(例えば、攪拌、吸引など)。いくつかの実施形態では、プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な時間及び条件(例えば、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)が提供される。いくつかの実施形態では、捕捉試薬及び溶解物は、ハイブリダイゼーション配列の標的配列への特異的ハイブリダイゼーションを促進するのに十分な温度(例えば、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、またはそれらの間の範囲)でインキュベーションされる。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列の配列、標的配列に対する相補性の程度、ならびに使用される条件及び温度は、プローブの非特異的ハイブリダイゼーションを妨げる。
【0149】
核酸プローブはまた、本明細書の方法において使用される他の核酸要素を含み得る。例えば、プローブは、(標的核酸の後続の増幅のための)プライマー結合部位、(捕捉部分の付着のための)リンカー領域などを含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法では、組み合わされた溶解/捕捉試薬が使用される。そのような試薬は、溶解構成要素及び捕捉構成要素を含む。いくつかの実施形態では、溶解構成要素は、上記の溶解試薬(例えば、SDS及びプロテイナーゼKを含有する)と一致する。いくつかの実施形態では、捕捉構成要素は、上記の捕捉試薬と一致している(例えば、捕捉部分に連結された核酸プローブを含有する)。そのような実施形態では、生物学的試料(単独または緩衝液中)を溶解/捕捉試薬と混ぜ合わせ、溶解/消化に好適な条件、続いてプローブハイブリダイゼーションに適切な条件に曝露する。いくつかの実施形態では、溶解からハイブリダイゼーション条件への変更は、消化/溶解酵素の不活性化(例えば、高温への曝露)及びハイブリダイゼーション温度への曝露を含む。いくつかの実施形態では、別個のまたは組み合わされた溶解及び捕捉試薬が使用されるかどうかにかかわらず、溶解された材料は、ハイブリダイゼーションの前に除去されない。
【0151】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーション後、プローブが結合した核酸を、捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせる。いくつかの実施形態では、溶解物及びプローブ含有混合物の汚染種または他の構成要素は、ビーズを添加する前に除去されない。いくつかの実施形態では、プローブが結合した核酸及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズは、懸濁液内で混合される。いくつかの実施形態では、上昇した温(例えば、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、またはそれらの間の範囲)を使用して、ビーズの再懸濁及び混合を容易にする。
【0152】
いくつかの実施形態では、捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズは、乾燥試薬(例えば、凍結乾燥されたディスクまたはペレット)であり、乾燥捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズは、プローブが結合した核酸混合物及び/または緩衝溶液と混ぜ合わせると再懸濁される。他の実施形態では、捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズは、濃縮液体(またはゲル)であり、プローブが結合した核酸混合物及び/または緩衝溶液中で希釈される。濃縮捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズは、プローブが結合した核酸混合物及び/または緩衝溶液中への希釈後の1×の作動濃度と比較して、10×、20×、50×、100×、200×、500×、またはそれを超える濃度で存在し得る。
【0153】
捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ及びプローブが結合した核酸を混ぜ合わせると、懸濁液を、捕捉剤の捕捉部分への結合を容易にする温度(例えば、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、またはそれらの間の範囲)でインキュベーションされる。
【0154】
いくつかの実施形態では、細胞またはウイルスが溶解されると、プローブのハイブリダイゼーション配列は、標的核酸に結合され、捕捉剤は、捕捉部分に結合され、それによって標的核酸/捕捉プローブ/磁気ビーズ複合体を形成し、汚染物質、未使用の試薬、及び/または非必須構成要素は、本明細書の方法で始めて除去される。いくつかの実施形態では、磁場が、磁気ビーズに加えられ、ビーズ及びそれに結合した全ての構成要素(捕捉プローブ及び標的核酸)は、懸濁液の液体部分の非結合構成要素、試薬、及び汚染物質から分離される。懸濁液の液体及び非結合構成要素からビーズを分離するための様々な技術が利用可能である。いくつかの実施形態では、磁場は、頭部安定であり、液体は、懸濁液を含有する容器から引き出される。液体は、ピペッティング、容器の反転、マイクロ流体力学などを含む任意の好適な手段によって除去され得る。他の実施形態では、磁場は、液体/空気界面を横切ってビーズを引きずるか、または流すように移動される。磁気ビーズを液体/空気界面を横切って「引きずること」は、磁場を配置して磁気ビーズのペレットを作成することを含む。次いで、磁場は、ペレットが磁場とともに移動するように、液体を通って移動される。磁場は、液体/空気界面を横切って移動し、それによって、液体からビーズを除去する。「引きずる」では、ペレットが液体/空気界面を横切って移動されるとき、磁石は、磁気誘導されたペレットの上に連続的に配置される。液体/空気界面を横切って磁気ビーズを「流すこと」は、同様に、磁場を配置して磁気ビーズのペレットを作成することを含む。ペレットは、液体/空気界面にすぐ隣接して移動される。次いで、磁場は、一時的に低減または排除され、次いで、液体/空気界面の反対側に再確立される。磁場は、界面を横切ってビーズを引っ張る。引きずるのではなく(例えば、磁石が磁気的に誘導されたPMPのペレットの上に連続的に配置された状態で)、液体/空気界面を横切ってPMPを流すことは、液体/空気界面の伸長を低減させ、PMPとともに空気ギャップに持ち越される望ましくない液体の量を低減させる。いくつかの実施形態では、流すことは、(i)磁場を作成してビーズを(例えば、懸濁液を含有する容器の表面上で)ペレット内に引っ張ること、(ii)磁場を移動させてペレットを空気/液体界面の近くにするか、または隣接させること、(iii)ビーズによって経験される磁場を低減または排除すること(例えば、磁石を容器から離すことによって)、(iv)液体/空気界面の反対側(空気側)に磁場を再確立すること、及び(v)液体内でペレット化されたビーズが液体から空気中に流出することを可能にすることによって、達成される。いくつかの実施形態では、ペレット全体を横切って引きずるのではなく、界面を横切ってビーズを流すことによって、汚染の少ない液体がビーズで運ばれる。しかしながら、液体及び非結合汚染物質からビーズを分離する任意の方法は、本明細書の実施形態で使用される。
【0155】
いくつかの実施形態では、ビーズに捕捉された標的核酸を非結合溶解物構成要素、捕捉試薬、緩衝液などの大部分から最初に単離をすると、単離されたビーズ及びビーズに捕捉された標的核酸を1つ以上の洗浄ステップに供する。典型的な洗浄ステップは、洗浄緩衝液を単離されたビーズ及びビーズに捕捉された標的核酸と混ぜ合わせることと、ビーズ及び緩衝液を混合して、残留汚染物質及び非結合試薬がビーズ、標的核酸、プローブを洗い流すことを可能にすることと、次いで、ビーズを液体から単離するプロセスを(例えば、上述の方法ステップを用いて)繰り返すことと、を含む。いくつかの実施形態では、1~5回の洗浄ステップが実行される(例えば、1、2、3、4、5回)。いくつかの実施形態では、ビーズを洗浄することは、単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液と混ぜ合わせるステップと、ビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液中に再懸濁するステップと、ビーズに捕捉された核酸の一部分を磁場に曝露することによって、ビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液内で単離するステップと、単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液から分離するステップと、を含む。
【0156】
本明細書の方法による分析のための生物学的試料の調製に加えて、緩衝溶液は、ビーズが結合した核酸の洗浄、試薬の再懸濁、本明細書のステップの構成要素の移送、増幅反応の実施などのために本明細書の方法において利用され得る。本明細書のある特定の実施形態において使用される緩衝溶液は、NaCl、MgCl2、EDTA、スクロース、tergitol、BME、Bis Tris緩衝液、Tris緩衝液、ソルビトール、デキストラン、ポリビニルスルホン酸、ドデシル硫酸リチウム、ウシ血清アルブミン、tritonX-100、クエン酸、DTT、CHAPS、NaOH、LiCl、MES緩衝液、リン酸緩衝液などのうちの1つ以上を含み得る。緩衝溶液は、1つ以上の塩、界面活性剤、洗剤、消泡剤などを含有し得る。生物学的試料の取り扱い、溶解、及び/または消化のため、及び/または核酸ハイブリダイゼーション、捕捉(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン結合)、洗浄、再懸濁、核酸増幅、及び/または蛍光検出のための好適な組み合わせ、ならびに緩衝溶液の他の構成要素は、当該分野で理解され、本明細書の実施形態で使用され得る。特定の実施形態では、緩衝溶液は、ドデシル硫酸リチウム(例えば、0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、EDTA(例えば、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、50mM、60mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、LiCl2(例えば、50mM、100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、500mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、消泡剤(例えば、HYDROTECH、Bio-rad)(例えば、0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、SDS(例えば、0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、及び/またはTris、pH7.5~8.5(例えば、pH8.0)(例えば、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、50mM、60mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)を含む。特定の実施形態では、緩衝溶液は、1%のドデシル硫酸リチウム、30mMのEDTA、300mMのLiCl2、1%(v/v)のHYDROTECH(Bio-rad)、1%のSDS、及び30mMのTris、pH8.0を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、1%のSDS、及び30mMのTris、pH8.0を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、ビーズ及び標的核酸の十分な洗浄後、単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液中に再懸濁させる。いくつかの実施形態では、同じ緩衝液が、洗浄及び再懸濁に使用される。いくつかの実施形態では、洗浄/再懸濁緩衝液は、グリセロール(例えば、1%、2%、5%、10%、15%、20%、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、Tris(pH7.5~8.5)(10mM、20mM、50mM、100mM、150mM、200mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、bicine(pH7.5~8.5)(10mM、20mM、50mM、100mM、150mM、200mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、グルタミン酸カリウム(10mM、20mM、50mM、100mM、150mM、200mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、MnCl2またはMgCl2(例えば、0.1mM、0.2mM、0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、Tween20(例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)、及び/またはHYDROTECH消泡剤(BioRad)(例えば、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、もしくはそれを超える、またはそれらの間の範囲)を含む。いくつかの実施形態では、RNA用途のために、緩衝液は、10%(v/v)のグリセロール、100mMのTris pH8.0、62.4mMのbicine pH8.0、65mMのグルタミン酸カリウム、3mMのMnCl2、0.04%のTween20、及び0.2%のHYDROTECH消泡剤(BioRad)を含む。いくつかの実施形態では、RNA用途のために、緩衝液は、10%(v/v)のグリセロール、100mMのTris pH8.0、62.4mMのbicine pH8.0、65mMのグルタミン酸カリウム、3mMのMgCl2、0.04%のTween20、及び0.2%のHYDROTECH消泡剤(BioRad)を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、再懸濁は、単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、ビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、単離されたビーズに捕捉された核酸またはビーズに捕捉された核酸の再懸濁液は、標的核酸の増幅、分析、及び/または検出のための適切な状態にある。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、単離されたビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を分析試薬と混ぜ合わせることを含む。いくつかの実施形態では、分析試薬は、標的核酸の増幅のための試薬、標的核酸の検出または定量のための試薬、標的核酸を配列決定するための試薬などを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、分析物の検出は、捕捉プローブに結合された標的分析物で実行される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、固体基材(例えば、PMP)上に提示される分析物を用いて実行される。分析物の検出及び/または定量は、様々な方法によって実行され得る。
【0161】
核酸分析物の存在または量は、当該技術分野で周知のいくつかの方法で決定され得る。いくつかの実施形態では、定量は、絶対的である、すなわち、特定の数の標的分析物に関するか、または相対的である、すなわち、任意の正規化された単位で測定される。絶対的または相対的な定量化を可能にする方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、定量的PCR方法は、相対的な定量化のための方法であり、較正曲線がそのようなアッセイに組み込まれる場合、相対的な定量化を使用して、絶対的な定量化を得ることができる。既知の他の方法は、例えば、核酸配列ベースの増幅(NASBA)または分岐DNAシグナル増幅アッセイである。核酸分析物の量は、配列決定またはPCR技術(例えば、蛍光ベースのリアルタイムPCR)によって決定され得、その多くの例は、当該技術分野で理解される。
【0162】
ペプチドまたはポリペプチド分析物の存在または量は、当該技術分野で周知の様々な方法で決定され得る。直接測定は、ペプチドまたはポリペプチド自体から得られ、その強度が試料中に存在するペプチドの分子数と直接相関するシグナルに基づいてペプチドまたはポリペプチドの量を測定することに関する。強度シグナルと称される場合がある、そのようなシグナルは、例えば、ペプチドまたはポリペプチドの特定の物理的または化学的特性の強度値を測定することによって得られ得る。間接測定には、二次構成要素(すなわち、ペプチドまたはポリペプチド自体ではない構成要素)または生物学的読み出しシステム、例えば、測定可能な細胞応答、リガンド、標識、または酵素反応生成物から得られるシグナルの測定が含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの量を決定することは、試料中のペプチドの量を決定するための任意の既知の手段によって達成され得る。当該手段は、様々なサンドイッチ、競合、または他のアッセイ様式で標識された分子(例えば、抗体及び抗体断片)を利用し得るイムノアッセイ及び/または免疫組織化学方法を含む。当該アッセイは、ペプチドまたはポリペプチドの存在または非存在を示すシグナルを生じる。
【0163】
いくつかの実施形態では、分析試薬は、乾燥試薬(例えば、凍結乾燥されたディスクまたはペレット)であり、乾燥分析試薬は、ビーズで捕捉された核酸の再懸濁液及び/または緩衝溶液と混ぜ合わせて再懸濁される。他の実施形態では、分析試薬は、濃縮液体(またはゲル)であり、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液及び/または緩衝溶液中で希釈される。濃縮分析試薬は、ビーズで捕捉した核酸再懸濁液及び/または緩衝溶液中への希釈後の1×の作動濃度と比較して、10×、20×、50×、100×、200×、500×、またはそれを超える濃度で存在し得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、標的核酸の分析、検出、定量、配列決定などのための任意の好適な技術を利用する。したがって、当該技術分野で理解されている技術による標的核酸の検出、定量、配列決定などに必要な任意の構成要素/試薬を、本明細書の方法は、利用し得、及び/または本明細書のシステム/キットは、それを含み得る。例えば、分析試薬は、プライマー(例えば、蛍光標識されたプライマー)、プローブ、ヌクレオチド、塩、及び既知の核酸分析技術に有用であると当該技術分野で理解されている任意の他の試薬を含み得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、標的核酸の分析は、標的配列(複数可)の増幅を含む。核酸増幅の既知の方法は、本明細書の方法において使用され、そのような増幅技術を実行するための既知の試薬は、本明細書のキット/システムにおいて使用される。例えば、本明細書に記載の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイムPCR、プローブ加水分解PCR、デジタルPCR、逆転写PCR、等温増幅、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応、転写媒介増幅などの増幅技術を利用し得る。
【0166】
本明細書の実施形態は、PCR反応を含むが、これらに限定されない、増幅反応を実施するために使用される様々な試薬を含む。そのようなPCR反応及び他の増幅/検出/定量化技術は、本明細書に記載の任意の好適な分析試薬で実行され得る。これらの実施形態に従って使用され得るDNAポリメラーゼには、DNA分子を複製することができる任意のポリメラーゼが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは、PCR用途に特に有用である熱安定性ポリメラーゼである。熱安定性ポリメラーゼは、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus brockianus(Tbr)、Thermus flavus(Tfl)、Thermus ruber(Tru)、Thermus thermophilus(Tth)、Thermococcus litoralis(Tli)及びThermococcus属の他の種、Thermoplasma acidophilum(Tac)、Thermotoga neapolitana(Tne)、Thermotoga maritima(Tma)、及びThermotoga属の他の種、Pyrococcus furiosus(Pfu)、Pyrococcus woesei(Pwo)、及びPyrococcus属の他の種、Bacillus sterothermophilus(Bst)、Sulfolobus acidocaldarius(Sac)、Sulfolobus solfataricus(Sso)、Pyrodictium occultum(Poc)、Pyrodictium abyssi(Pab)、及びMethanobacterium thermoautotrophicum(Mth)、ならびにそれらの変異体、バリアント、または誘導体などの多種多様な好熱性細菌から単離される。
【0167】
本明細書に提供される実施形態によれば、様々な他のPCR試薬は、とりわけ、本開示に基づいて当業者によって認識されるであろう、核酸標的の増幅のための少なくとも1つのプライマーまたは少なくとも1対のプライマー、増幅の検出を可能にするための少なくとも1つのプローブ及び/または染料、リガーゼ、洗剤(例えば、非イオン性洗剤)、ヌクレオチド(dNTP及び/またはNTP)、二価マグネシウムイオン、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、増幅試薬及び/または核酸標的は、各々、他の必要な試薬の存在下で所望の核酸標的の増幅を可能にするのに十分な量などの有効量で存在し得る。
【0168】
本明細書で提供される実施形態によれば、分析試薬は、1つ以上のプライマー、または核酸鋳型の複製をプライミングすることができる、及び/またはそのために使用される任意の核酸を含み得る。プライマーは、DNA、RNA、それらの類似体(例えば、人工核酸)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。プライマーは、少なくとも約10、15、20、または30ヌクレオチドなどの任意の好適な長さを有し得る。例示的なプライマーは、化学的に合成される。プライマーは、少なくとも1つの核酸標的の増幅のための少なくとも1対のプライマーとして供給されてもよい。一対のプライマーは、得られる増幅産物の対向する末端(したがって長さ)を集合的に画定するセンスプライマー及びアンチセンスプライマーであり得る。いくつかの実施形態では、プライマーは、得られる増幅産物の検出のために標識される。好適な標識としては、蛍光検出の既知の方法によって検出される蛍光標識が挙げられる。
【0169】
本明細書に提供される実施形態によれば、分析試薬はまた、1つ以上のプローブ、または少なくとも1つの染料などの少なくとも1つの標識に接続された任意の核酸を含み得る。プローブは、核酸標的及び/または増幅産物の配列特異的結合パートナーであり得る。プローブは、蛍光または蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)に基づく標的増幅の検出を可能にするように設計され得る。本明細書の方法は、TAQMANプローブなどを用いた5’ヌクレアーゼアッセイを含み得る。分析試薬は、1つ以上の標識またはレポーター分子を含み得る。例示的なレポーターは、蛍光色素またはエネルギー伝達対などの少なくとも1つの色素、及び/または少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。核酸増幅アッセイのための例示的なレポーターは、プローブ及び/またはインターカレート染料(例えば、SYBR Green、エチジウムブロミドなど)を含み得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つ以上の分析試薬を混ぜ合わせて、組成物またはキットを形成し、いくつかの実施形態では、増幅に必要な試薬を濃縮または乾燥分析試薬に混ぜ合わせる。いくつかの実施形態では、組成物は、増幅反応を実施するために必要な任意の好適なPCR試薬を含み得る。例えば、分析試薬は、本開示に基づいて当業者によって認識されるであろう他の試薬の中で、核酸標的の増幅のためのプライマーまたはプライマーの対、増幅の検出を可能にするプローブ及び/または染料、リガーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレオチド(dNTP及び/またはNTP)、二価マグネシウムイオン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上など、1つ以上のPCR試薬を含み得る。本明細書に提供される実施形態によれば、上記PCR試薬の濃度は、特定の反応条件及び使用される試薬、ならびに増幅される所望のDNA標的に応じて変化し得る。当業者は、任意のPCR試薬について本明細書に提供される任意の特定の濃度または濃度範囲が、特定の反応条件及び使用される試薬に応じて変化し、限定することを意図するものではないことを容易に認識するであろう。
【0171】
いくつかの実施形態では、本発明は、研究、スクリーニング、及び診断用途のためのシステム、キット、及び方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、診断用途は、生物学的試料(例えば、対象由来)中の病原性実体(例えば、ウイルス、細菌など)由来の核酸の検出及び/または定量を提供する。いくつかの実施形態では、病原体のレベル、存在、または非存在は、診断または予後を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、対象を試験する。例示的な診断方法を本明細書に記載する。いくつかの実施形態では、病原体由来の核酸は、対象由来の試料中で検出される。いくつかの実施形態では、病原体由来の核酸は、本明細書に記載の方法及び試薬を使用して特定される。
【0172】
本明細書のいくつかの実施形態は、核酸配列決定を構成単位に分け、対象由来の試料中の(例えば、病原体由来の)標的核酸を検出/定量する。本明細書で使用される「配列決定」という用語は、ポリヌクレオチドの少なくとも10個の連続したヌクレオチドの同一性(例えば、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、または少なくとも200個以上の連続したヌクレオチドの同一性)が得られる方法を指す。「次世代配列決定」という用語は、Illumina、Life Technologies、及びRocheなどによって現在用いられている、いわゆる並列化された合成による並列配列決定またはライゲーションによる配列決定プラットフォームを指す。次世代配列決定の方法はまた、ナノポア配列決定方法またはLife Technologiesによって商業化されたIon Torrent技術などの電子検出ベースの方法を含み得る。いくつかの実施形態では、核酸は、例えば、Illuminaの可逆的ターミネータ法、Rocheのパイロ配列決定法(454)、Life Technologiesのライゲーションによる配列決定(SOLiDプラットフォーム)、またはLife TechnologiesのIon Torrentプラットフォームにおける使用に適合するプライマーを使用して増幅される。そのような方法の例は、以下の参考文献に記載されている:Margulies et al(Nature 2005 437:376-80)、Ronaghi et al(Analytical Biochemistry 1996 242:84-9)、Shendure et al(Science 2005 309:1728-32)、Imelfort et al(Brief Bioinform.2009 10:609-18)、Fox et al(Methods Mol Biol.2009;553:79-108)、Appleby et al(Methods Mol Biol.2009;513:19-39)、及びMorozova et al(Genomics.2008 92:255-64)、これらは、ステップの各々のための全ての出発生成物、試薬、及び最終生成物を含む、方法の一般的な説明、及び方法の特定のステップのために参照により組み込まれる。別の実施形態において、標的核酸は、ナノポア配列決定を使用して配列決定され得る(例えば、Soni et al.Clin Chem 2007 53:1996-2001に記載されているとおり、またはOxford Nanopore Technologiesによって記載されているとおり)。ナノポア配列決定技術は、米国特許第5,795,782号、同第6,015,714号、同第6,627,067号、同第7,238,485号、及び同第7,258,838号、ならびに米国特許出願第2006/003171号及び同第2009/0029477号に開示される。単離された標的核酸は、直接配列決定されてもよく、いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列決定された増幅産物を生成するために(例えば、PCRによって)増幅されてもよい。ある特定の実施形態では、増幅生成物は、上記のように、例えばIlluminaの可逆的ターミネータ法、Rocheのパイロ配列決定法(454)、Life Technologiesのライゲーションによる配列決定(SOLiDプラットフォーム)、またはLife TechnologiesのIon Torrentプラットフォームにおける使用に適合する配列を含有し得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を検出/分析する方法であって、(a)細胞を含む生物学的試料を、プロテイナーゼK、SDS、及び塩を含む乾燥または濃縮溶解試薬と混ぜ合わせ、生物学的試料中に乾燥または濃縮溶解試薬を再懸濁して、溶解物を生成することと、(b)溶解物を乾燥または濃縮捕捉試薬と混ぜ合わせ、乾燥または濃縮捕捉試薬を溶解物中に再懸濁することであって、捕捉試薬が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含み、捕捉部分が、ビオチンであり、核酸プローブが、生物学的試料の核酸内の標的配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む、再懸濁することと、(c)核酸プローブ及び溶解物の核酸を63~73℃の温度でインキュベーションして、プローブが結合した核酸の溶液を生成することと、(d)プローブが結合した核酸を乾燥または濃縮捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせ、70~80℃で乾燥または濃縮捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズをプローブが結合した核酸中に再懸濁することであって、捕捉剤が、ストレプトアビジンである、再懸濁することと、(e)プローブが結合した核酸及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを63~73℃でインキュベーションし、捕捉剤が捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にすることと、(f)ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内でビーズに捕捉された核酸を単離し、(A)磁場を所定の位置に保持して、液体部分をビーズに捕捉された核酸の懸濁液から除去するか、または(B)磁場を移動させて、ビーズに捕捉された核酸を液体部分から引きずり出すことと、(g)単離されたビーズに捕捉された核酸を、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離することと、(h)単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液と混ぜ合わせることと、(i)ビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液中に再懸濁することと、(j)ビーズに捕捉された核酸の一部分を磁場に曝露することによって、洗浄緩衝液内のビーズに捕捉された核酸を単離することと、(k)単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液から分離することと、(l)単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、(m)ビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、(n)ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を乾燥または濃縮分析試薬と混ぜ合わせ、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液中に乾燥または濃縮分析試薬を再懸濁することであって、分析試薬が、標的核酸を増幅及び検出するためのプライマー及び検出可能な標識を含む、再懸濁することと、ビーズが結合した捕捉試薬にハイブリダイゼーションした標的核酸を増幅及び検出することと、を含み、方法が、遠心分離ステップ、濾過ステップ、または核酸沈殿ステップを含まず、核酸が、ステップ(a)~(e)において、生物学的試料内の汚染物質から単離されず、洗浄緩衝液及び再懸濁緩衝液が、同じ構成要素を含有する、方法が、本明細書で提供される。
【0174】
いくつかの実施形態では、後続の分析のために生物学的試料中の標的核酸を調製する方法であって、(a)生物学的試料を、溶解/消化構成要素及び捕捉構成要素を含む乾燥または濃縮試薬と混ぜ合わせ、生物学的試料中に乾燥または濃縮試薬を再懸濁することであって、溶解/消化構成要素が、プロテイナーゼK、SDS、及び塩を含み、捕捉構成要素が、捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含み、捕捉部分が、ビオチンであり、核酸プローブが、生物学的試料の核酸内の標的配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む、再懸濁することと、(b)生物学的試料を90~100℃の温度でインキュベーションして、細胞膜の溶解及び試料内のタンパク質の消化を可能にして、溶解物を生成することと、(c)溶解物を63~73℃の温度でインキュベーションして、核酸プローブのハイブリダイゼーション配列の、生物学的試料の核酸の標的配列への結合を可能にして、プローブが結合した核酸の溶液を生成することと、(d)プローブが結合した核酸を乾燥または濃縮捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせ、70~80℃で乾燥または濃縮捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズをプローブが結合した核酸中に再懸濁することであって、捕捉剤が、ストレプトアビジンである、再懸濁することと、(e)プローブが結合した核酸及び捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズを63~73℃でインキュベーションし、捕捉剤が捕捉部分に結合して、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液を生成することを可能にすることと、(f)ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の一部分を磁場に曝露することによって、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液内でビーズに捕捉された核酸を単離し、(A)磁場を所定の位置に保持して、液体部分をビーズに捕捉された核酸の懸濁液から除去するか、または(B)磁場を移動させて、ビーズに捕捉された核酸を液体部分から引きずり出すことと、(g)単離されたビーズに捕捉された核酸を、ビーズに捕捉された核酸の懸濁液の液体部分から分離することと、(h)単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液と混ぜ合わせることと、(i)ビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液中に再懸濁することと、(j)ビーズに捕捉された核酸の一部分を磁場に曝露することによって、洗浄緩衝液内のビーズに捕捉された核酸を単離することと、(k)単離されたビーズに捕捉された核酸を洗浄緩衝液から分離することと、(l)単離されたビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液と混ぜ合わせることと、(m)ビーズに捕捉された核酸を再懸濁緩衝液中に再懸濁して、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を生成することと、(n)ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液を乾燥または濃縮分析試薬と混ぜ合わせ、ビーズに捕捉された核酸の再懸濁液中に乾燥または濃縮分析試薬を再懸濁することであって、分析試薬が、標的核酸を増幅及び検出するためのプライマー及び検出可能な標識を含む、再懸濁することと、(o)ビーズが結合した捕捉試薬にハイブリダイゼーションした標的核酸を増幅及び検出することと、を含み、方法が、遠心分離ステップ、濾過ステップ、または核酸沈殿ステップを含まず、核酸が、ステップ(a)~(e)において、生物学的試料内の汚染物質から単離されず、洗浄緩衝液及び再懸濁緩衝液が、同じ構成要素を含有する、方法が、本明細書で提供される。
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、任意の好適な反応容器(例えば、チューブ、ウェル、デバイス内のチャンバなど)、手動実験機器(例えば、ハンドピペット、加熱ブロック、撹拌器など)、または自動機器(例えば、ロボット工学、マイクロ流体力学、液体操作器、自己完結型カートリッジ、蛍光光度計など)を使用して実施される。いくつかの実施形態では、本方法は手動で(例えば、ヒトのオペレータの制御下で)実行される。いくつかの実施形態では、液体及び試薬の移動、混ぜ合わせ、及び/または混合は、手動ピペッティングによって行われる。いくつかの実施形態では、方法ステップのうちの1つ以上(例えば、全て)の実行は、自動化される。いくつかの実施形態では、方法ステップのうちの1つ以上(例えば、全て)は、単回使用カートリッジ内で実行される。いくつかの実施形態では、単回使用カートリッジは、方法ステップを実行するための全ての乾燥及び液体の試薬及び緩衝液を含有する。いくつかの実施形態では、単回使用カートリッジは、試薬を混ぜ合わせ混合するための構成要素、加熱要素、磁石(複数可)、及び蛍光検出を含む機器とインターフェース接続する。単回使用カートリッジ及び補完的な機器を含む好適なシステムは、米国仮出願第63/180,270号において記載されており、これは、その全体が参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、方法ステップのうちの1つ以上(例えば、全て)は、自動化機器(例えば、ウェル間で液体を移送し、溶液/懸濁液を混合し、加熱し、磁場を移動し、蛍光を検出することができる高スループットロボットプラットフォームなど)によって実行される。
【0176】
いくつかの実施形態では、システムまたはキットであって、(a)細胞膜を消化し、細胞タンパク質を分解することができる溶解試薬(乾燥または濃縮)と、(b)捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む捕捉試薬(乾燥または濃縮)と、(c)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ(乾燥または濃縮)と、(d)増幅/検出試薬(乾燥または濃縮)と、(e)洗浄/再懸濁緩衝溶液と、を備える、システムまたはキットが、本明細書で提供される。
【0177】
他の実施形態では、システムまたはキットであって、(a)(1)細胞膜を消化し、タンパク質を分解することができる溶解/消化構成要素、及び(2)捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む、溶解/捕捉試薬(乾燥または濃縮)と、(b)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ(乾燥または濃縮)と、(c)増幅/検出試薬(乾燥または濃縮)と、(d)洗浄/再懸濁緩衝溶液と、を備える、システムまたはキットが、本明細書で提供される。
【0178】
他の実施形態では、システムまたはキットであって、(a)プロテイナーゼK、SDS、及び1つ以上の塩を含む溶解試薬(乾燥または濃縮)と、(b)ビオチン捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む捕捉試薬(乾燥または濃縮)と、(c)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ(乾燥または濃縮)であって、捕捉剤がストレプトアビジンである、磁気ビーズ(乾燥または濃縮)と、(d)プライマー、検出可能な標識、及びヌクレオチドを含む増幅/検出試薬(乾燥または濃縮)と、(e)緩衝溶液と、を備える、システムまたはキットが、本明細書で提供される。
【0179】
他の実施形態では、システムまたはキットであって、(a)(1)プロテイナーゼK、SDS、及び1つ以上の塩を含む溶解/消化構成要素、ならびに(2)捕捉部分に繋がれた核酸プローブを含む、溶解/捕捉試薬(乾燥または濃縮)と、(b)捕捉剤でコーティングされた磁気ビーズ(乾燥または濃縮)であって、捕捉剤が、ストレプトアビジンである、磁気ビーズ(乾燥または濃縮)と、(c)プライマー、検出可能な標識、及びヌクレオチドを含む増幅/検出試薬(乾燥または濃縮)と、(d)緩衝液と、を備える、システムまたはキットが、本明細書で提供される。
【0180】
いくつかの実施形態では、システム及びキットは、(例えば、ウイルスまたは細胞(例えば、細菌、原生動物など)内の)核酸を含む生物学的試料を更に含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、システム及びキットは、細胞を含む生物学的試料からの標的核酸の捕捉、単離、増幅、及び検出のためにシステムまたはキットを手動で使用するための使い捨ての実験用製品を更に備える。いくつかの実施形態では、使い捨ての実験用製品は、ピペットチップ、反応チューブ、及び/またはマイクロウェルプレートを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、システム及びキットは、本明細書のシステム/キットの構成要素を含有する単回使用カートリッジを更に備え、単回使用カートリッジは、試薬を混ぜ合わせ混合するための構成要素、加熱要素、及び磁石を含む機器とインターフェース接続することができる。
【0183】
例示的なプロトコルでは、例示的なカートリッジデバイス(例えば、
図1~9に示されるデバイス)について、チャンバ2(50)に緩衝液(例えば、800μl)、及びチャンバ1(46)に試料(例えば、液体試料(例えば、約1,000μl))を含有するデバイスが提供される。デバイス10は、デバイス10の移送カプセル26とインターフェース接続するための圧力源を含む補完的な機器に挿入される。圧力源は、空洞42から移送カプセル26を移送し、第2のアクセスポート74を介して、チャンバ2(50)から緩衝液(例えば、約350μl)を引き出し、緩衝液をそのチャンバのためのアクセスポート172を介してチャンバ6(152)に移送する。移送された緩衝液の一部分は、マイクロ流体力学を介して反応チャンバ304に流れる。
【0184】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポート66を介してチャンバ1(46)から試料を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート160を介してチャンバ3(140)に移送する。試料が交差チャネル部分204を介して第3のアクセスポート160から流れる場合、交差チャネル部分204に配置された凍結乾燥された試薬208は、液体が第3のチャネル184を介して流れる場合、再水和される。凍結乾燥された試薬208は、細胞溶解及び細胞構成要素の消化のための試薬(例えば、SDS、プロテイナーゼKなど)、ならびに核酸捕捉プローブ(例えば、プローブにハイブリダイゼーションされた核酸の捕捉を可能にするハンドル(例えば、ビオチン)を含む配列特異的プローブ)を含有する。機器内のチャンバ3(140)の向きは、細胞溶解を容易にするために、チャンバ3(140)の内容物を、例えば、約95℃に加熱することを可能にする。試料を溶解し、チャンバ3(140)において消化する。圧力源及び移送カプセル26は、第3のアクセスポート160及び第3のチャネル184を介して試料/試薬を移送カプセルの内外に引き出すことによって、及び気泡を試料/試薬に注入することによって、試料及び試薬を混合するために使用される。
【0185】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポート160を介してチャンバ3(140)から試料/試薬を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート164を介してチャンバ4(144)に移送する。試料/試薬は、チャンバ4(144)において冷却され、捕捉プローブが試料中の相補的な核酸とハイブリダイゼーションすることを可能にする。
【0186】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポート164を介してチャンバ4(144)から試料/試薬を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート168を介してチャンバ5(148)に移送する。試料/試薬がチャンバ5(148)に入ると、捕捉プローブ上でハンドルを結合するための結合部分(例えば、ストレプトアビジン)を含む常磁性粒子(PMP)が、試料/試薬によって再可溶化される。再可溶化は、移送カプセルからチャンバ5(148)の内外に流体を引き出し、排出することによって補助される。
【0187】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポートを介してチャンバ5(148)から試料/試薬を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート168を介してチャンバ4(144)に移送する。PMPを、捕捉プローブに結合させることができ、それによって、関連する核酸を捕捉する。
【0188】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポート164を介してチャンバ4(144)から試料/試薬を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート168を介してチャンバ5(148)に移送する。チャンバ4をチャンバ5に移送する場合、分注及び吸引中にPMPが収集されるように、機器磁石は、移送カプセルの先端に保持される。次いで、機器磁石をチャンバ5の底部に隣接して配置し、それにより、捕捉プローブを有し及び結合した核酸が付着したPMPのペレットを形成する。チャンバ5(148)からの液体は、そのチャンバのためのアクセスポート168を介して圧力源及び移送カプセル26によって除去され、そのチャンバのためのアクセスポート160を介してチャンバ3(140)に堆積される。
【0189】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポート74を介してチャンバ2(50)から緩衝液を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート168を介してチャンバ5(148)に移送する。チャンバ5(148)におけるPMPは、圧力源及び移送カプセル26による混合を介して緩衝液中に再懸濁される。次いで、機器磁石をチャンバ5の底部に隣接して配置し、それにより、捕捉プローブを有し及び結合した核酸が付着したPMPのペレットを形成する。チャンバ5(148)からの液体は、そのチャンバのためのアクセスポート168を介して圧力源及び移送カプセル26によって除去され、そのチャンバのためのアクセスポート160を介してチャンバ3(140)に堆積される。
【0190】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、そのチャンバのためのアクセスポート172を介してチャンバ6(152)から緩衝液を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート168を介してチャンバ5(148)に移送する。チャンバ5(148)におけるPMPは、圧力源及び移送カプセル26による混合を介して緩衝液中に再懸濁される。
【0191】
次いで、圧力源及び移送カプセル26は、アクセスポート168を介してチャンバ5(148)から緩衝液を引き出し、そのチャンバのためのアクセスポート172を介してチャンバ6(152)に移送する。機器磁石は、チャンバの底部でPMPを事前に収集するためにチャンバに液体が添加されるように、チャンバ6(152)の底部に隣接して配置される。
【0192】
次いで、機器磁石を使用して、PMPをペレット化し、PMPを入口チャネル312を介して反応チャンバ304に移送する。ベントチャネル(308)及び入口チャネル(312)のワックスシールを、機器加熱器を使用して融解し、反応チャンバ及び入口チャネルのベントにおいて固化することを可能にする。次に、蛍光標識プライマーを使用して、PMPが結合した核酸に対してPCRが実行され、増幅された核酸が、機器ベースの蛍光検出を使用して検出される。
【0193】
いくつかの実施形態では、2つの保管チャンバ(C1及びC2)、4つの処理チャンバ(C3、C4、C5、及びC6)、ならびに1つの反応チャンバを含むカートリッジデバイスが提供される。いくつかの実施形態では、C1は、試料チャンバである。(例えば、細胞及び/または標的分析物を含む)環境、生体学的、または研究試料は、C1に配置され、チャンバがシールされる(例えば、キャップする)。いくつかの実施形態では、C2は、緩衝液保管チャンバである。検体処理及び分析物検出に使用される緩衝液は、C2に含有される。いくつかの実施形態では、単一の緩衝液が、使用される。複数の緩衝液が必要とされる実施形態では、デバイスは、複数の緩衝液の保管チャンバ(例えば、C2A、C2Bなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、保管チャンバは、様々な処理及び検出ステップを実行するのに十分な量の試料及び緩衝液を含有するようにサイズ設定される(例えば、保管チャンバは、処理チャンバよりも大きい幅である)。いくつかの実施形態では、C3は、試料消化及び/または細胞溶解チャンバである。試料をC3に添加すると、C3へのアクセスチャネル内の試薬ペレットが溶解し、試料を試料処理及び/または分析物検出に必要な試薬(例えば、溶解試薬、消化試薬、捕捉プローブなど)に曝露する。いくつかの実施形態では、C3は、補完的な機器の1つ以上の加熱器と整列するようにカートリッジ上に配置される。いくつかの実施形態では、C3における試料は、特定の試料の種類及びアッセイプロトコルのための試料処理の適切なステップを容易にするために、適切な温度に曝露される。いくつかの実施形態では、C4は、分析物結合/ハイブリダイゼーションチャンバである。いくつかの実施形態では、C4は、補完的な機器の1つ以上の加熱器と整列するようにカートリッジ上に配置される。いくつかの実施形態では、C4は、捕捉試薬が標的分析物に結合/ハイブリダイゼーションすることを可能にする温度(例えば、C3の温度よりも低い温度)で維持される。いくつかの実施形態では、C3及びC4の幅は、チャンバと加熱器(複数可)との密接な整列に適応するのに好適である(例えば、C3及びC4は、保管チャンバよりも狭い)。いくつかの実施形態では、C5は、捕捉チャンバである。いくつかの実施形態では、試料をC5に添加すると、C5へのアクセスチャネル内のPMPを含むペレットが溶解され、分析物(例えば、捕捉プローブに結合した)を、捕捉プローブに結合することができるPMPに曝露する。いくつかの実施形態では、C5は、機器の磁気伝達要素と整列するようにカートリッジ上に配置される。磁気伝達要素は、C5におけるPMP(例えば、分析物が結合した捕捉プローブに結合した)をペレット化し、移動させ、その他の物理的に操作する(例えば、塗りつける)ことを可能にする。いくつかの実施形態では、C5の幅は、補完的な機器の磁気伝達要素とのチャンバの密接な整列に適応するのに好適である。いくつかの実施形態では、C6は、移送チャンバである。いくつかの実施形態では、C6におけるペレット化されたPMPは、移送チャネルを介して、補完的な機器の磁気伝達要素を使用して反応チャンバに移送され得る。いくつかの実施形態では、C6の幅は、補完的な機器の磁気伝達要素とのチャンバの密接な整列に適応するのに好適である。いくつかの実施形態では、ペレット/試料を反応チャンバに添加すると、検出試薬ペレットが溶解され、試料を分析物検出に必要な試薬(例えば、プライマー、プローブ、抗体など)に曝露する。いくつかの実施形態では、反応チャンバは、分析物検出を可能にするために、補完的な機器の加熱器、蛍光光度計、及び/または他の構成要素とチャンバを密接に整列させることを可能にするようにサイズ設定され、構成される。
【0194】
例示的なデバイス、システム、及びその構成要素の代替プロトコル、ならびに異なるレイアウトを有する代替デバイス、システム、及び構成要素は、本明細書の実施形態の範囲内にある。
【0195】
図24及び
図25を参照すると、PCRは、2つの温度の間で反応チャンバ66の温度をサイクルさせることによって実行され得る。例えば、第1の温度(高温対)の第1及び第2の熱伝達デバイス22A、22Bが、より低い温度のPCRチャンバと接触すると、熱エネルギーが熱伝達デバイス22A、22BからPCRチャンバに流れる。いくつかの実施形態では、熱エネルギーの流れの速度は、温度差に比例し、PCRチャンバが加熱され、温度差がゼロに近づくと、熱エネルギーの流れが停止する。逆に、第2の温度(低温対)の第3及び第4の熱伝達デバイス22C、22Dが、より高い温度のPCRチャンバと接触すると、熱エネルギーがPCRチャンバから流出し、熱伝達デバイス22C、22Dに流入する。
図24は、低温熱伝達デバイス(例えば、22C、22D)と高温熱伝達デバイス(例えば、22A、22B)との間をサイクルするときの、時間の関数としてのPCRチャンバにおける液体温度のグラフである。図示の実施形態では、約40回の熱サイクルが300秒の時間枠内で達成される。
図25は、
図24のグラフの拡大部分であり、複数の熱サイクルのうちの1つを図示する。
【0196】
図26を参照すると、カートリッジ50のマイクロ流体セクション62は、第1のワックスシール182及び第2のワックスシール186を含む。第1のワックスシール182は、マイクロ流体ベントチャネル70に隣接して配置され、第2のワックスシール186は、マイクロ流体入口チャネル74に隣接して配置される。試薬及び増幅産物の安定した濃度を維持し、機器の汚染を防止するために、PCRは、閉鎖系で行われる(例えば、反応チャンバ66はシールされる)。ワックスシール182、186は、反応チャンバ66を2つの端部(すなわち、入口端部及びベント端部)からシールするように構成される。反応チャンバ66から導かれる開放空気マイクロ流体ベントチャネル70は、乾燥された試薬の最初の緩衝液プライミング及び空気パージに利用される。プライミング後、標的を運ぶ常磁性粒子は、マイクロ流体入口チャネル74を介して反応チャンバ66に移送される。標的が反応チャンバ66内に入ると、マイクロ流体ベントチャネル70は、(例えば、加熱器、熱伝達デバイスなどによって)第1のワックスシール182を融解することによって閉じられる(すなわち、シールされる)。融解ワックスは、空の空間及び近くのマイクロ流体ベントチャネル70を満たし、次いで、硬化し、マイクロ流体ベントチャネル70をシールする。第1のワックスシール182が融解された後、次いで、第2のワックスシール186が同様の方法で融解され、マイクロ流体入口チャネル74をシールし、反応チャンバ66を閉鎖する。したがって、いくつかの実施形態では、マイクロ流体ベントチャネル70における第1のワックスシール182は、マイクロ流体入口チャネル74における第2のワックスシール186の前に融解及び硬化される。そうすることで、第2のワックスシール186の周りに閉じ込められた任意の空気が、第2のワックスシール186からの融解ワックスが反応チャンバ66に流入するのを防ぐための圧力を構築することを確実にする。反応チャンバ66におけるワックスは、蛍光光学読み取りに影響を与えるであろう。
【0197】
図27A及び
図27Bを参照すると、第1及び第2のワックスシール182、186は、最初は、対応するチャネル70、74が開いた第1の固体状態にあり(
図27A)、対応するチャネル70、74がシールされた(すなわち、閉鎖された)第2の固体状態に変更可能である(
図27B)。ワックスシール182、186は、第1の固体状態と第2の固体状態との間で融解状態に入る。図示の実施形態では、第1及び第2のワックスシール182、186は、最初、第1の固体状態(
図27A)で円筒形状であり、対応するチャネル70、74を閉塞(閉鎖、またはシール)しない。熱の適用に応答して、第1及び第2のワックスシール182、186は、融解し、チャネル70、74に流入する。熱の適用が除去された後、融解ワックスは、再硬化して第2の固体状態(
図27B)に入り、チャネル70、74内に配置された固体ワックスシールを形成する。
【0198】
第1の固体状態の第1のワックスシール348は、切り欠き190内のマイクロ流体ベントチャネル308の上に最初に配置される(
図27A)。第1のワックスシール182の最初の固体状態では、空気は、ワックスシール182の周り及び下に容易に通過することができる。ワックスシール182が融解される場合、融解ワックスが空の周囲空間を満たす(
図27B)。いくつかの実施形態では、第1のワックスシール182の体積は、第2のワックスシール186の体積よりも小さい。
【0199】
第2のワックスシール186は、マイクロ流体入口チャネル74に隣接して配置され、積層体層を超えて延在し、第2のワックスシール186の周囲にテント状の空気ポケット194(
図27A)を作成する。換言すれば、第2のワックスシール186は、アセンブリ中にカートリッジカバーを変形させ、テント状の空気ポケット194をもたらす。第2のワックスシール186がマイクロ流体入口チャネル74の上に配置されているにもかかわらず、マイクロ流体入口チャネル74を介した流体及び標的の移送は、マイクロ流体入口チャネルの開始時に静水頭及び流体における洗剤の量を利用することによって可能なままである。
【0200】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体入口チャネル74は、マイクロ流体ベントチャネル70よりも高い。マイクロ流体ベントチャネル70は、約0.051mm2(例えば、高さ0.051mm×幅1mm)の断面積を有する。同様に、マイクロ流体入口チャネル74は、約0.54mm2(例えば、高さ0.36mm×幅1.5mm)の断面積を有する。マイクロ流体ベントチャネル70が気流のみを導くのに対し、マイクロ流体入口チャネル74は遺伝子標的を含有する液体緩衝液及び固体粒子の通過を可能にする必要があるため、マイクロ流体ベントチャネル70は、マイクロ流体入口チャネル74よりも小さい断面積を有する。したがって、マイクロ流体入口チャネル74のためのワックスシール186に必要なワックスの量は、マイクロ流体ベントチャネル70のためのワックスシール182におけるワックスの量よりも大きい。
【0201】
いくつかの実施形態では、テント状の空気ポケット194は、周囲の積層体よりも約0.38mm高い。ワックスシール186がクランプ加熱器によって融解される場合、テント状の空気ポケット194は押し下げられる。硬化したワックスシール内に閉じ込められたままの空気は、液漏れの可能性を生じさせる。したがって、シールの完全性を損なわないために、空気がワックス溶解プロセス中に系を出る経路を有することが重要である。図示の実施形態では、強力な接着結合が形成されるのに十分な表面積を提供するために、任意のレーザー切断特徴と積層体縁部との間に少なくとも約2mmの間隔が設けられる。換言すれば、狭い接着接触面積は、漏れや故障に対して弱い。具体的には、テント状の空気ポケット194の周囲198は、反応チャンバ66から少なくとも約2mm離れて配置される。図示の実施形態では、テント状の空気ポケット194及び任意の露出した積層体縁部から少なくとも約2mmの間隔がある。
【0202】
ワックスシール182、186は、いくつかの利点を提供する。硬化したワックスシール182、186は、熱サイクル中に経験される反応チャンバ66における圧力に耐えるように有利に構成され、これは、約50℃及び約95℃の範囲の加熱器温度での反応チャンバの交互のクランプを伴う。換言すれば、高温及び機械的クランプからの流体変位の組み合わせは、耐えられるワックスシール182、186に応力を与える。加熱器は、熱サイクル中にワックスシールに直接接触しない場合があるが、高融解温度を有するワックス(例えば、少なくとも約85℃の融解温度を有するパラフィンワックス)は、いくつかの実施形態では、ワックスシールが反応チャンバに関連付けられた加熱器によって不注意に再融解されないことを確実にするために選択される。いくつかの実施形態では、ワックスシールは、1回超の融解及び硬化サイクル(すなわち、1回超の熱サイクル)を経る。
【0203】
図示の実施形態では、ワックスシール182、186は、最初は円筒形(すなわち、コイン形)(例えば、直径約4.5mm、厚さ約0.43mm)である。ワックスシールの円形ジオメータの回転対称性は、カートリッジ50の製造中の誤配置のリスクを低減する。更に、同一のワックスシールを用いる設計は、製造を簡素化する。他の実施形態では、ワックスシールは、最初は楕円形である。
【0204】
ワックスシール182、186は、約86℃(すなわち、ワックス融点)~約95℃(すなわち、PCR加熱器の既定温度設定)の範囲内で融解され得る。融解期間、またはPCR加熱器がワックスシール上にクランプされる時間の量は、良好なシールを確実にするために、融解温度と並行して調節され得る。例えば、ワックスシールがあまりにも高い温度であまりにも長い間融解されると、融解ワックスは、シール部位から更に離れて拡散し、シールの材料密度及び機械的完全性を低減させる。いくつかの実施形態では、融解手順は、約4~約5秒の範囲内の期間により熱い加熱器を適用することによって、ワックスシール182、186を融解する。次いで、ワックスシール182、186は、約1.5秒の期間、ワックス融解温度を下回る設定値を有するクーラー加熱器でクランプされる。全体的な処理時間を低減するために、ワックスシール182、186は、高温PCR加熱器が(固定温度ではなく)約95℃から約86℃に冷却されている間に融解される。
【0205】
いくつかの実施形態では、ワックスシール182、186の密度は、約0.9g/mLであり、1g/mLでそれらを取り囲む流体よりもわずかに密度が低い。図示の実施形態では、重力は、ワックスシールの融解及びその後の硬化中に下方に作用する。したがって、重力の配向は、融解ワックスの動きに影響を与える可能性がある。例えば、融解ワックスは、重力が下向きに作用している場合、上向きに流れる場合がある。融解ワックスの流れの方向は、ワックスシールを融解するために利用される加熱器の表面積及び位置によっても影響を受ける。例えば、加熱器でクランプする場合、それが同心円状ではなく、むしろ一方向にオフセットされている場合、融解ワックスは、オフセット方向に流れる傾向があるだろう。同様に、加熱器クランプ力は、例えば、低いばね定常ばねに取り付けられ得る加熱器の前面及び背面の相対的な位置の関数として調節される。いくつかの実施形態では、プラスチック積層体層は、剛性が低く、加熱器のクランプ力に応答して変形し、押し出し(extruding)、ワックスシールを加熱器表面領域の境界を超えて押す(pushing)ことができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、融解ワックスシールは、融解ワックスシールをより冷たい加熱器(すなわち、ワックス融解温度未満の温度を有する加熱器)でクランプすることによって冷却される。他の実施形態では、融解ワックスシールは、周囲空気中で冷却硬化される。融解ワックスシールをより冷たい加熱器でクランプしてワックスを冷却すると、ワックスがより速く硬化する。周囲空気中での冷却時間は、約6~約8秒であるが、クランプによる冷却時間は、約2秒である。
【0207】
いくつかの実施形態では、ワックスシール182、186の結合は、ポリエステルまたはポリカーボネートなどの他のプラスチックフィルムの代わりに、アクリルベースの接着テープの層にパラフィンワックスを曝露することによって改善される。融解ワックスとチャネル壁との間の結合品質の改善は、硬化シールを介した流体漏れの可能性を減少させることができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス、システム、構成要素、試薬、及び方法は、試料中の核酸の増幅及び/または検出に使用される。いくつかの実施形態では、そのようなデバイス、システム、構成要素、試薬、及び方法は、単回使用アッセイカートリッジ、複数回使用アッセイカートリッジ、カートリッジ/機器の組み合わせ、高スループット多重機器、ロボット工学、別個の試料調製及び増幅/検出構成要素、組み合わせられた試料調製及び増幅/検出構成要素などで使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス、システム、構成要素、試薬、及び方法を使用して実行され、及び/または当該分野で理解される他のデバイス、システム、構成要素、試薬、及び方法を使用して実行される核酸増幅反応の分析のための方法が本明細書で提供される。
【0209】
本明細書のある特定の実施形態は、リアルタイムPCRまたは定量的PCR(qPCR)を利用して、標的核酸を増幅及び検出する。従来のPCRでは、増幅されたDNA生成物、または増幅産物は、エンドポイント分析で検出される。リアルタイムPCRでは、増幅生成物の蓄積は、反応が進行するにつれて、リアルタイムで、各サイクル後の生成物の定量化とともに測定される。各サイクル後の生成物の蓄積を分析することによって、元の試料中の標的核酸の量を定量化することができる。いくつかの実施形態では、PCR生成物のリアルタイム検出は、生成物DNAの量の増加とともにシグナルの増加をもたらすレポーター分子をPCR反応ウェル中に含めることによって達成される(例えば、レポーターからのシグナルは、生成される増幅産物の量に比例する)。特定の実施形態では、レポーターは、蛍光レポーター分子(フルオロフォア)であり、完了した各PCRサイクルの後に検出されるシグナルは蛍光シグナルである。DNA結合染料、蛍光標識標的配列特異的プローブ、及び/または蛍光標識プライマーを含む様々な蛍光化学が、レポーターとして用いられ得る。
【0210】
リアルタイムPCRは、広いダイナミックレンジにわたって正確かつ高感度で鋳型核酸(標的配列)の最初のコピー数の決定を可能にする。リアルタイムPCR結果は、定性的(配列の存在または非存在)または定量的(コピー数)のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、生物または病原体の量(例えば、ウイルス負荷)は、試料において検出された標的核酸の量に基づいて決定される。
【0211】
qPCR中の増幅は、最初の指数関数的段階、続く非指数関数的横這いの段階の2つの段階で生じる。指数関数的段階では、PCR生成物の量は、各サイクルにおいて約2倍になる。しかしながら、反応が進むにつれて、反応構成要素が消費され、最終的に、構成要素のうちの1つ以上が限定的になる。この時点で、反応は、遅延し、非指数関数的横這いの段階に入る。指数関数的段階の最初の部分の間では、蛍光はバックグラウンドレベルのままであり、反応生成物が指数関数的に蓄積しているにもかかわらず、蛍光の増加は容易には検出されない。十分な増幅生成物が蓄積すると、検出可能な蛍光シグナルは、反応の残りの部分を通して検出可能となる。増幅生成物からの蛍光がバックグラウンド蛍光を超えるサイクルは、閾値サイクル(Ct)または定量サイクル(Cq)と称されている。試薬が制限されない指数関数的段階でCq値が測定されるため、リアルタイムqPCRを使用して、反応進行を記述する既知の指数関数に基づいて、反応に存在する鋳型の最初の量を確実かつ正確に計算することができる。反応のCqは、主に増幅反応の開始時点で存在する鋳型の量によって決定される。反応の開始時点で大量の鋳型が存在する場合、バックグラウンドを上回る蛍光シグナルを与えるのに十分な生成物を蓄積するために比較的少ない増幅サイクルが必要となる。したがって、反応は、低い、または早いCqを有するであろう。対照的に、反応の開始時点で少量の鋳型が存在する場合、蛍光シグナルがバックグラウンドを上回るためにより多くの増幅サイクルが必要となる。したがって、反応は、高い、または遅いCqを有するであろう。この関係は、リアルタイムPCRの定量的側面の基礎を形成する。
【0212】
いくつかの実施形態では、qPCRを実施し、データを分析してCqを決定し、それに基づいて標的配列のコピー数を決定する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、蛍光読み取り値の絶対レベルとは独立したqPCR結果からのCq決定のための方法が提供される。そのような方法は、各機器を較正する必要性を排除し、光学構成要素(LED、干渉フィルタ)の経年とともにシグナル強度が変化することを許可する。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、機器または時点間の較正なしに、別個の機器(または異なる時点での同じ機器)で決定されたCq値の比較を可能にする。
【0213】
いくつかの実施形態では、qPCRを実行及び分析するための方法の必須ステップは、qPCRプロトコルの各サイクル(例えば、40サイクル)の後に蛍光読み取り値を取得することと、各サイクルの移動平均を計算することによって蛍光読み取り値の変動性を低減することと、蛍光の最大増加(normDelta)を有するサイクルを特定することと、最大normDeltaがカットオフ値よりも大きい場合、次いで、先行サイクルからの移動平均シグナルを検討して、normDeltaが第2のカットオフ値を超える最も早いサイクル(例えば、より低いカットオフ)を特定することと、normDeltaが第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)を超える最も早いサイクルに先行する(例えば、連続するシグナル、直前のシグナル)複数(例えば、3、4、5、6、7、8個など)のシグナル(移動平均シグナル)に直線を適合させることと、normDeltaが第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)を超える最も早いサイクルの後(例えば、連続するシグナル、直後のシグナル)の複数(例えば、3、4、5、6、7、8個など)のシグナル(移動平均シグナル)に二次曲線を適合させることと、適合された直線と適合された曲線との差が指定された値だけ異なる計算されたサイクルとしてCqを決定することと、である。
【0214】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)検出可能なレポーターの存在下で、標的核酸を含有する疑いのある試料に対して多サイクル増幅反応を実行して、増幅生成物を生成すること、(b)増幅反応の各サイクル後に増幅生成物に組み込まれた検出可能なレポーターの量と相関する検出可能なレポーターからのシグナルを検出すること、(c)カットオフ値よりも大きいシグナルの増加を有する最も早いサイクルを特定すること、(d)閾値よりも大きいシグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも早いサイクルからの複数のシグナルに線形方程式を適合させること、(e)閾値よりも大きいシグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも遅いサイクルからの複数のシグナルに二次曲線を適合させること、(f)線形方程式及び二次曲線についてのシグナルの差が閾値(Cq)に等しいサイクルを特定すること、を含み、Cqが、試料中に存在する標的核酸の量に反比例する。
【0215】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)検出可能なレポーターの存在下で、標的核酸を含有する疑いのある試料に対して多サイクル増幅反応を実行して、増幅生成物を生成すること、(b)増幅反応の各サイクル後に増幅生成物に組み込まれた検出可能なレポーターの量と相関する検出可能なレポーターからのシグナルを検出すること、(c)シグナルの最大の増加を有するサイクルを特定すること、(d)シグナルの最大の増加がカットオフ値よりも大きい場合、次いで、第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)よりも大きいシグナルの増加を有するシグナルの最大の増加を有するサイクルの前の最も早いサイクルを決定すること、(e)第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)よりも大きいシグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも早いサイクルからの複数のシグナルに線形方程式を適合させること、(g)第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)よりも大きいシグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも遅いサイクルからの複数のシグナルに二次曲線を適合させること、(h)線形方程式及び二次曲線についてのシグナルの差が閾値(Cq)に等しいサイクルを特定すること、を含み、Cqが、試料中に存在する標的核酸の量に反比例する。
【0216】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)検出可能なレポーターの存在下で、標的核酸を含有する疑いのある試料に対して多サイクル増幅反応を実行して、増幅生成物を生成すること、(b)増幅反応の各サイクル後に増幅生成物に組み込まれた検出可能なレポーターの量と相関する検出可能なレポーターからのシグナルを検出すること、(c)増幅反応の各サイクルについて、検出されたシグナルの移動平均シグナルを計算すること、(d)カットオフ値よりも大きいシ移動平均グナルの増加を有する最も早いサイクルを特定すること、(e)閾値よりも大きい移動平均シグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも早いサイクルからの複数の移動平均シグナルに線形方程式を適合させること、(f)閾値よりも大きい移動平均シグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも遅いサイクルからの複数の移動平均シグナルに二次曲線を適合させること、(g)線形方程式及び二次曲線についての移動平均シグナルの差が閾値(Cq)に等しいサイクルを特定すること、を含み、Cqが、試料中に存在する標的核酸の量に反比例する。
【0217】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)検出可能なレポーターの存在下で、標的核酸を含有する疑いのある試料に対して多サイクル増幅反応を実行して、増幅生成物を生成すること、(b)増幅反応の各サイクル後に増幅生成物に組み込まれた検出可能なレポーターの量と相関する検出可能なレポーターからのシグナルを検出すること、(c)増幅反応の各サイクルについて、検出されたシグナルの移動平均シグナルを計算すること、(d)移動平均シグナルの最大の増加を有するサイクルを特定すること、(e)移動平均シグナルの最大の増加がカットオフ値よりも大きい場合、次いで、第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)よりも大きい移動平均シグナルの増加も有する移動平均シグナルの最大の増加を有するサイクルの前の最も早いサイクルを決定すること、(f)第2のカットオフ値(例えば、より低いカットオフ)よりも大きい移動平均シグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも早いサイクルを特定すること、(g)閾値よりも大きい移動平均シグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも早いサイクルからの複数の移動平均シグナルに線形方程式を適合させること、(h)閾値よりも大きい移動平均シグナルの増加を有する最も早いサイクルよりも遅いサイクルからの複数の移動平均シグナルに二次曲線を適合させること、(i)線形方程式及び二次曲線についてのシグナルの差が閾値(Cq)に等しいサイクルを特定すること、を含み、Cqが、試料中に存在する標的核酸の量に反比例する。
【0218】
本明細書のいくつかの実施形態では、Cqは、蛍光がベースラインを上回る指定されたパーセントに増加する、計算されたサイクル数である。特定の実施形態では、この計算は、蛍光がベースラインを有意に上回ると決定される区切り点のサイクルで行われる。
【0219】
蛍光読み取り値(F[i])の変動性に起因して、いくつかの実施形態では、本明細書では、移動平均(MAF[i])は、各サイクル(i)について計算され、後続の分析ステップに使用される。いくつかの実施形態では、MAF[i]は、例えば、以下の式に従って、サイクルF[i]、ならびに直前及び直後のサイクル(例えば、1~3個の直前及び直後のサイクル)のシグナルを使用して、各サイクルiについて計算される。
MAF[i]=(F[i-2]+F[i-1]+F[i]+F[i+1]+F[i+2])/5
【0220】
いくつかの実施形態では、各サイクルのシグナルの変化率は、所与のサイクルの前後のシグナル(移動平均シグナル)×サイクル(例えば、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、またはそれを超える)の間の差を計算し、そのサイクルのシグナル(移動平均シグナル)で除算することによって決定される。例えば、サイクル番号iの場合、iの5サイクル前及び5サイクル後の範囲のシグナルを使用して計算される場合、パーセンテージとして表される正規化された差(normDelta[i])が、決定され得る。
normDelta[i]=100*(MAF[i+5]-MAF[i-5])/MAF[i]
【0221】
いくつかの実施形態では、サイクル5と35との間の最大normDeltaがcutoffHighNormDeltaよりも小さい場合、区切り点は存在しない。いくつかの実施形態では、カットオフ(cutoffHighNormDelta)の値はサイクルに依存する。いくつかの実施形態では、サイクル5と24との間では、cutoffHighNormDeltaは、8であり、サイクル25と34との間では、cutoffHighNormDeltaは、4であり、サイクル35では、cutoffHighNormDeltaは2.5である。いくつかの実施形態では、カットオフは、1.5~15の範囲(例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、11、12、13、14、15、またはそれらの間の範囲)であり得る。いくつかの実施形態では、異なるカットオフは、異なるサイクル範囲(例えば、5~10、11~15、16~20、21~25、26~30、31~35、または任意の他の好適なサイクル範囲)に適用され得る。
【0222】
最大normDeltaがカットオフよりも大きい場合、検索はより早いサイクルの調べを開始し、それがいつcutoffLowNormDeltaを下回るかを見出す。いくつかの実施形態では、cutoffLowNormDeltaは、cutoffHighNormDeltaよりも低い。いくつかの実施形態では、カットオフ(cutoffLowNormDelta)の値は、サイクルに依存する。いくつかの実施形態では、cutoffLowNormDeltaは、サイクルに基づいていない。いくつかの実施形態では、カットオフ(cutoffLowNormDelta)は、1.5~6の範囲(例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、またはそれらの間の範囲)であってもよい。いくつかの実施形態では、cutoffLowNormDeltaの上の最も早いサイクルは、区切り点のサイクルである。
【0223】
いくつかの実施形態では、区切り点のサイクルが見出された場合、線形方程式は、区切り点のサイクル及びその前のいくつかのサイクル(例えば、2~6個の前のサイクル)での蛍光シグナル(例えば、移動平均)に適合される。j=0が区切り点のサイクルである場合、ある特定の実施形態では、線形適合の方程式は、以下のとおりである:
FitL[j]=b0L+b1LxC[j]、j=-4~0
式中、C[j]は、サイクル数であり、FitL[j]は、蛍光の線形推定値である。b0Lは、線の切片であり、b1Lは、勾配である。
【0224】
いくつかの実施形態では、区切り点のサイクルが見出された場合、曲線(例えば、二次曲線)方程式は、区切り点のサイクル及びそれの後のいくつかのサイクル(例えば、2~6個の後のサイクル)での蛍光シグナル(例えば、移動平均)に適合される。j=0が区切りの点サイクルである場合、ある特定の実施形態では、二次適合の方程式は、以下のとおりである:
FitR[j]=b0R+b1RxC[i]+b1RxC[i]^2、i=0~4
式中、FitR[j]は、パラメータb0R、b1R、及びb2Rを有する蛍光の二次推定値である。FitLの係数(b0L及びb1L)は、FitRの係数(B0R、b1R、b2R)と同様に、FitLとMAFとの間の二乗差の合計を最小化することによって推定される。Cqは、二次方程式の解である。
100*{(b0L+b1LxCq)-(b0R+b1RxCq+b1RxCq^2)}/b0L=calcCq
calcCq=2
【0225】
陽性のSARS-CoV-2検体のCy5蛍光読み取り値の例を
図33に示す。FitL及びFitRが示されている。
図34は、区切り点を取り囲む
図33の領域を示す。Cqの値は、FitRとFitLとの差が1%(オレンジ色で示されている)である場合に計算される。
【0226】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用した蛍光シグナルの正規化は、光学利得の差を相殺する。LEDの光学利得は、PCRチャンバ内の光励起蛍光の出力を、LEDを駆動する電力で除算することである。これは、LED、バンドパスフィルタ、及び投影レンズの特性の変動性、ならびにそれらが蛍光光度計にどのようにアセンブルされたかの変動性によって影響される。検出器光学利得は、PCRチャンバから放出される蛍光の強度を、半導体検出器によって生成される電気シグナルで除算したものである。これは、2つのレンズ、バンドパスフィルタ、及び半導体検出器の特性の変動性、ならびにアセンブル中のそれらの配置の変動性によって影響される。本明細書に記載の方法は、使用される機器におけるLED光学利得または他の変動性に関係なく、増幅結果の分析及び比較を可能にする。
【0227】
本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の、デバイス(例えば、カートリッジ)、機器(例えば、カートリッジ取り扱いのための補完的な構成要素)及びシステムで使用されるが、他のデバイス及びシステムでも独立して使用される。本明細書に記載の構成要素(例えば、ワックスシール、蛍光光度計、マイクロ流体力学、移送カプセルなど)は、本明細書に記載の方法を実行する際だけでなく、本明細書のデバイス(例えば、カートリッジ)、機器(例えば、カートリッジ取り扱いのための補完的な構成要素)、及びシステムにおいても使用されるが、他の方法、デバイス、及びシステムとも独立して使用される。
【実施例】
【0228】
実験
実施例1
例示的な試料調製及び核分析プロトコル番号1
350μlの液体生物学的試料(例えば、液体試料、緩衝液中に懸濁した検体など)を、凍結乾燥させた溶解/捕捉試薬と混ぜ合わせ、液体生物学的試料中の溶解/プローブ試薬の再懸濁を可能にする。凍結乾燥された溶解/捕捉試薬は、(1)細胞溶解及び細胞構成要素の消化のための試薬(例えば、SDS、プロテイナーゼKなど)、ならびに(2)プローブにハイブリダイゼーションした核酸のその後続の捕捉を可能にする、ビオチン捕捉部分に繋がれた核酸ハイブリダイゼーションプローブ(すなわち、配列特異的プローブ)を含有する。生物学的試料及び溶解/捕捉試薬を、温度を90~100℃に上昇させながら細胞溶解を促進し、約60秒間、ともにインキュベーションする。次いで、細胞溶解物の懸濁液を混合し、68℃でインキュベーションして、試料核酸内の標的配列へのプローブの結合を可能にする。260μlのプローブが結合した核酸の溶液を、凍結乾燥されたストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせる。得られた懸濁液を75℃で混合して、ビーズの可溶化を可能にし、次いで、温度を68℃に低減させて、プローブ上のビオチンの、ビーズ上のストレプトアビジンへの結合を介して、プローブが結合した核酸のビーズ上への捕捉を容易にする。得られた懸濁液をよく混合する。次いで、磁場を懸濁液内の単一の位置に加え、それによって、ビーズ及びそれに結合された任意のプローブ/標的核酸を懸濁液内のペレットに単離する。ペレット及び上清液は、(1)磁場を液体の外側に配置して、液体/空気界面を横切ってビーズが引きずられるか、もしくは流すこと、または(2)液体が除去され、ペレットが所定の位置に留まるように、磁場を維持しながら液体を除去することのいずれかによって、互いに分離される。300μlの洗浄緩衝液をペレットに添加し、ビーズを混合しながら再懸濁させる。ペレットを形成し、ビーズを液体から分離するプロセスを繰り返す。次いで、ビーズを300μlの再懸濁緩衝液中に再懸濁させる。次いで、洗浄されたビーズを含む懸濁液を、蛍光標識プライマー及びヌクレオチドを含む凍結乾燥された増幅/検出試薬と混ぜ合わせる。次いで、熱サイクルを試料に適用して、増幅試薬を用いて標的核酸を増幅し、増幅された標的核酸を検出する。
【0229】
全体にわたって議論されているように、異なる試薬、ステップの異なる順序、異なる体積、異なる温度、乾燥試薬の代わりに濃縮液体試薬などを利用する代替プロトコルは、本明細書の実施形態の範囲内である。
【0230】
実施例2
例示的な試料調製及び核分析プロトコル番号2
350μlの液体生物学的試料(例えば、液体試料、緩衝液中に懸濁した検体など)を、凍結乾燥させた溶解/消化試薬と混ぜ合わせ、液体生物学的試料中の溶解/消化試薬の再懸濁を可能にする。凍結乾燥された溶解/消化試薬は、細胞溶解及び細胞構成要素の消化のための試薬(例えば、SDS、プロテイナーゼKなど)を含有する。生物学的試料及び溶解/消化試薬を、温度を90~100℃に上昇させながら細胞溶解を促進し、約60秒間、ともにインキュベーションする。300~340μlの得られた細胞溶解物を、プローブにハイブリダイゼーションした核酸の後続の捕捉を可能にするビオチン捕捉部分に繋がれた核酸ハイブリダイゼーションプローブ(すなわち、配列特異的プローブ)を含有する凍結乾燥された捕捉試薬と混ぜ合わせる。細胞溶解物及び捕捉プローブの懸濁液を混合し、68℃でインキュベーションする。260μlのプローブが結合した核酸の溶液を、凍結乾燥されたストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズと混ぜ合わせる。得られた懸濁液を75℃で混合して、ビーズの可溶化を可能にし、次いで、温度を68℃に低減させて、プローブ上のビオチンの、ビーズ上のストレプトアビジンへの結合を介して、プローブが結合した核酸のビーズ上への捕捉を容易にする。得られた懸濁液をよく混合する。次いで、磁場を懸濁液内の単一の位置に加え、それによって、ビーズ及びそれに結合された任意のプローブ/標的核酸を懸濁液内のペレットに単離する。ペレット及び上清液は、(1)磁場を液体の外側に配置して、液体/空気界面を横切ってビーズが引きずられるか、もしくは流すこと、または(2)液体が除去され、ペレットが所定の位置に留まるように、磁場を維持しながら液体を除去することのいずれかによって、互いに分離される。300μlの洗浄緩衝液をペレットに添加し、ビーズを混合しながら再懸濁させる。ペレットを形成し、ビーズを液体から分離するプロセスを繰り返す。次いで、ビーズを300μlの再懸濁緩衝液中に再懸濁させる。次いで、洗浄されたビーズを含む懸濁液を、蛍光標識プライマー及びヌクレオチドを含む凍結乾燥された増幅/検出試薬と混ぜ合わせる。次いで、熱サイクルを試料に適用して、増幅試薬を用いて標的核酸を増幅し、増幅された標的核酸を検出する。
【0231】
全体にわたって議論されているように、異なる試薬、ステップの異なる順序、異なる体積、異なる温度、乾燥試薬の代わりに濃縮液体試薬などを利用する代替プロトコルは、本明細書の実施形態の範囲内である。
【0232】
実施例3
可変光源を使用した例示的なCq決定
表1は、LED励起光及び標識蛍光検出の変動性を示す。4つのチャネルの各々について、10個の異なるLED及び検出器が、各チャネルにおいて最も強いものを1とするランク付けで、ランクの順序付けられた場合の光学利得。例えば、チャネル1において、光学利得が最も高いLEDは、シリアル番号(SN)1-004を有し、光学利得が最も低いLEDは、SN1-006である。光学利得が最も高い検出器は、SN1-002であり、最も低い利得は、SN1-005である。
【表1】
【0233】
プロセス制御(FAM)及びSARS-CoV-2(Cy5)の両方についてのCq決定に対する絶対シグナル強度の影響を決定するために、最も高い利得LED及び検出器を対にし、最も低いLED-検出器対と比較した。高いFAM LED検出器対をチャネル1の位置に配置し、低い対をチャネル3の位置に配置した。高いCy5 LED検出器対をチャネル2の位置に配置し、低い対をチャネル4の位置に配置した。標的濃度の範囲(反応当たりのコピー)について本明細書に記載の方法を使用したCq測定を表2に示す。
【表2】
【0234】
1,000コピーの場合、3つのFAM反応の平均は27.6及び28.0であり、両方のCy5反応の場合は27.6であった。50コピーでは、FAM反応の平均は両方とも32.3であり、Cy5反応は、両方とも31.8であった。非常に低い濃度、5及び10コピーの場合、Cqが検出されたときの結果は類似していた。
【国際調査報告】