(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】処置の選択肢及び転帰追跡を提供するための、進行マイルストーンに対応する正確な患者データを提供するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240806BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501769
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022037017
(87)【国際公開番号】W WO2023287920
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519171963
【氏名又は名称】コタ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】リッター ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヤクボウィッツ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】マオ メン
(72)【発明者】
【氏名】マルケイヒー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ベラムーア スダカール
(72)【発明者】
【氏名】マッタ モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チン-クン
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン ミシャ
(72)【発明者】
【氏名】キャディ スコット
(72)【発明者】
【氏名】パル タンヴィ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
病状及び/または病気を有する患者の診断及び/または進行マイルストーンに対応する正確な患者データを提供するためのシステム、方法、及び非一時的なコンピューター可読メディアについて本明細書で記載されている。対話型患者情報タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを提供するための方法及びシステムについても本明細書で記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病状及び/または病気を有する患者の正確な患者データを提供する方法であって、前記方法が、
前記患者に関連する初期のデータレコードセットにアクセスすることを含み、前記初期のデータレコードセットが、前記患者、前記患者の病気、及び/または前記患者の処置に関する情報を含み、さらに、前記方法が、
前記アクセスされた初期のデータレコードセットから複数の候補ファクトを抽出すること、を含み、各候補ファクトが、データセットとして表され、さらに、前記方法が、
各候補ファクトを、前記患者に関連する複数の要素のうちの要素に対応するものとして分類すること、を含み、前記複数の候補ファクトが、前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素についての前記要素に対応する複数の候補ファクトを含み;さらに前記方法が、
経時的に変化しない要素について、各要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、を含み、前記識別することが、
前記要素が対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、前記対応する候補ファクトを、前記対応する要素に対応する前記最良ファクトとして識別すること、及び
前記要素が少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、前記要素に固有の削減ルールに基づいて、前記要素の前記対応する候補ファクトのうちの少なくとも1つを、前記要素の前記最良ファクトとして識別すること、を含み、さらに、前記方法が、
経時的に変化し得る各要素では、前記要素に対応する各候補ファクトを、診断または進行のマイルストーンに対応する進行期間と関連付けること、及び
経時的に変化し得る各要素では、前記要素の関連候補ファクトを有する、各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、を含み、前記識別することが、
前記要素が前記進行期間に関連する対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、前記対応する候補ファクトを、前記進行期間の前記要素に対応する前記最良ファクトとして識別すること、及び
前記要素が、進行期間に関連する少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、前記要素に固有の削減ルールに基づいて、前記少なくとも2つの対応する候補ファクトから、前記進行期間の前記要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、を含み、さらに、前記方法が、
前記患者に関する前記最良ファクトを含むデータを出力すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
経時的に変化しない前記要素の少なくともいくつかについて、前記要素に対応する前記少なくとも1つの最良ファクトを識別することが、さらに、
グラフィカルユーザーインターフェースを介してユーザーに、前記要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、前記少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認、
少なくとも1つの最良ファクトとしての、提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別、及び
最良ファクトとしての、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否
のうちの1つ以上を受信すること、ならびに
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、前記要素に対応する最良ファクトとして、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトをもはや識別しないこと、
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認が受信される場合、承認された最良ファクトとして、前記少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、及び
提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの、前記少なくとも1つの最良ファクトとしての識別が受信される場合、前記少なくとも1つの他の候補ファクトを、前記少なくとも1つの受信された最良ファクトとして識別すること、を含み、
前記患者に関連する前記最良ファクトに関するデータを出力することが、前記患者に関連する前記承認された最良ファクトに関するデータを出力することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
経時的に変化し得る前記要素の少なくともいくつかについて、前記要素の関連候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別することが、さらに、
前記要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、前記進行期間の前記少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、
少なくとも1つの最良ファクトとしての、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認、
少なくとも1つの最良ファクトとしての、提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別、及び
最良ファクトとしての、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否のうちの1つ以上を受信すること、ならびに
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトを、前記要素に対応する最良ファクトとして、もはや識別しないこと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者に関連する前記最良ファクトを含む前記出力データが、時系列出力及び進行出力のうちの一方または両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記進行出力が、関連概念テーブルに格納された前記最良ファクトを含み、各概念テーブルが、進行追跡識別子及び患者識別子を含むか、または、
前記時系列出力が、関連概念テーブルに格納された前記最良ファクトを含み、各関連概念テーブルが、前記関連概念テーブル内の前記最良ファクトに関連する開始日及び開始時刻間の経過時間の関数でインデックス付けされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
前記候補ファクトの少なくともいくつかに基づいて、1つ以上の進行期間を決定すること、を含み、各進行期間が、前記病状または病気の診断時または進行時に開始し、且つ、次の進行時、現時点、または死亡時に終了する期間に対応し、さらに、前記方法が、
各候補ファクトを進行期間に割り当てること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、
提案された進行期間として、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、前記決定された1つ以上の進行期間をユーザーに提示すること、
前記1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの承認、
前記1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの開始時刻もしくは終了時刻の調整、
新しい進行期間の追加、または
前記提案された進行期間のうちの1つ以上の少なくともいくつかの、単一の進行期間への統合
のうちの1つ以上を含むユーザーからの入力を受信すること、及び、
前記受信された入力に基づいた、前記1つ以上の進行期間の調整、を含み、各候補ファクトが、前記調製後の進行期間に割り当てられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記進行が、
前記患者の疾患または状態が進行しているという医師の識別、
前記患者の腫瘍の成長の測定値、
前記患者の疾患が広がり、転移性になったことを示すもの、
前記患者の疾患もしくは病状が一連の処置に反応せず、内科医が、別の処置コースに切り替えることを決定したことを示すもの、または
前記患者が疾患もしくは病状の再発を経験していることを示すもの、のうちの1つ以上に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
経時的に変化し得る各要素について、前記要素に対応する各候補ファクトと進行期間との前記関連付けは、時間ウィンドウに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、
新しいデータレコードセットにアクセスすること、
追加の候補ファクトを抽出すること、を含み、前記追加の候補ファクトのそれぞれが、前記患者に関連する前記複数の要素のうちの1つの要素に対応し、さらに、前記方法が、
前記初期のデータレコードセットから抽出された前記複数の候補ファクト及び前記新しいデータレコードセットから抽出された前記追加の候補ファクトに基づいて、前記複数の要素のうちの各要素に対応する1つ以上の最良ファクトを決定すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記複数の要素内の各要素について、重複する候補ファクトをそれぞれ除去することにより、前記複数の候補ファクトを重複排除すること含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
前記データから抽出された前記候補ファクトのうちの1つ以上と、1つ以上の医療ルールに基づいて、前記患者に関連する前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素に対する候補ファクトを導出すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記要素のうちの少なくとも1つについて、前記削減ルールが、
少なくとも1つの候補ファクトを、要素に対応する最良ファクトとして、同じ要素に対応する他の候補ファクトと比較して最大量のデータを含む前記少なくとも1つの候補ファクトに基づいて識別するルール、
進行期間の要素に対応する別の候補ファクトと重複し且つ同一である候補ファクトを破棄するルール、及び
前記同じ要素に対応する他の候補ファクトと比較して最も頻繁に出現する前記候補ファクトに少なくとも部分的に基づいて、候補ファクトを最良ファクトとして識別するルール
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
少なくとも1つの進行期間について、前記出力データに基づいて前記患者の前記進行期間のノードアドレスを生成すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
処置決定を容易にするために前記患者の医療提供者に所定の処置計画情報を提供することを含み、前記所定の処置計画情報は、前記患者に割り当てられた前記進行期間の前記ノードアドレスに基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
前記患者に割り当てられた前記進行期間の前記ノードアドレスに基づいて、前記患者の前記規定の終点イベントの発生に関して予後関連の予想転帰を決定すること、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ノードアドレスが、リファインされたノードアドレスである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
病状及び/または病気を有する患者の正確な患者データを提供するシステムであって、前記システムが、
1つ以上のデータリポジトリ、ならびに
コンピューティングシステムであって、前記1つ以上のデータリポジトリと通信し、実行される場合、前記コンピューティングシステムに、
前記1つ以上のデータリポジトリから、前記患者に関連する初期のデータレコードセットにアクセスさせ、前記初期のデータレコードセットが、前記患者、前記患者の病気、及び/または前記患者の処置に関する情報を含み、さらに、前記コンピューティングシステムに
前記アクセスされた初期のデータレコードセットから複数の候補ファクトを抽出させ、各候補ファクトが、データセットとして表され、さらに、前記コンピューティングシステムに
各候補ファクトを、前記患者に関連する複数の要素のうちの要素に対応するものとして分類させ、前記複数の候補ファクトが、前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素についての前記要素に対応する複数の候補ファクトを含み、さらに、前記コンピューティングシステムに
経時的に変化しない要素について、各要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別させ、前記識別することが、
前記要素が対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、前記対応する候補ファクトを、前記最良ファクトとして識別すること、及び
前記要素が少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、前記要素に固有の削減ルールに基づいて、前記要素の前記対応する候補ファクトのうちの少なくとも1つを、前記要素の前記最良ファクトとして識別すること
を含み、さらに、前記コンピューティングシステムに
経時的に変化し得る各要素について、前記要素に対応する各候補ファクトを、診断または進行マイルストーンに対応する進行期間に関連付けさせ、
経時的に変化し得る各要素では、前記要素の関連候補ファクトを有する各進行期間に、少なくとも1つの最良ファクトを識別させ、前記識別することが、
前記要素が前記マイルストーンに関連する対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、前記対応する候補ファクトを、前記進行期間の前記要素に対応する前記最良ファクトとして識別すること、及び
前記要素が、進行期間に関連する少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、前記要素に固有の削減ルールに基づいて、前記少なくとも2つの対応する候補ファクトから、前記マイルストーンの前記要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別すること
を含み、さらに、前記コンピューティングシステムに
前記患者に関連する前記最良ファクトを含むデータを出力させる命令を実行するように構成された前記コンピューティングシステム
を含む、前記システム。
【請求項19】
経時的に変化しない前記要素の少なくともいくつかについて、前記要素に対応する前記少なくとも1つの最良ファクトを識別することが、さらに、
グラフィカルユーザーインターフェースを介してユーザーに、前記要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、前記少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認、
少なくとも1つの最良ファクトとしての、提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別、及び
最良ファクトとしての、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否
のうちの1つ以上を受信すること、ならびに
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、前記要素に対応する最良ファクトとして、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトをもはや識別しないこと、
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認が受信される場合、承認された最良ファクトとして、前記少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、及び
提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの、前記少なくとも1つの最良ファクトとしての識別が受信される場合、前記少なくとも1つの他の候補ファクトを、前記少なくとも1つの受信された最良ファクトとして識別すること、を含み、
前記患者に関連する前記最良ファクトに関する前記出力データが、前記患者に関連する前記承認された最良ファクトに関する出力を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
経時的に変化し得る前記要素の少なくともいくつかについて、前記要素の関連候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトの前記識別が、さらに、
前記要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、前記進行期間の前記少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、
少なくとも1つの最良ファクトとしての、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認、
少なくとも1つの最良ファクトとしての、提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別、及び
最良ファクトとしての、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否
のうちの1つ以上を受信すること、ならびに
前記提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、前記提案された少なくとも1つの最良ファクトを、前記要素に対応する最良ファクトとして、もはや識別しないこと
を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記患者に関連する前記最良ファクトを含む前記出力データが、進行出力及び時系列出力の一方または両方を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記進行出力が、関連概念テーブルに格納された前記最良ファクトを含み、各概念テーブルが、進行追跡識別子及び患者識別子を含むか;または
前記時系列出力が、関連概念テーブルに格納された前記最良ファクトを含み、各関連概念テーブルが、前記関連概念テーブル内の前記最良ファクトに関連する開始日及び開始時刻間の経過時間の関数でインデックス付けされるか;または
その両方である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記命令が、実行される時に、さらに、前記コンピューティングシステムに、
前記候補ファクトの少なくともいくつかに基づいて、1つ以上の進行期間を決定させ、各進行期間が、前記病状または病気の診断時または進行時に開始し、且つ、次の進行時、現時点、または死亡時に終了する期間に対応し、さらに、前記命令が前記コンピューティングシステムに、
各候補ファクトを進行期間に割り当てさせる、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記命令が、実行される時に、さらに、前記コンピューティングシステムに、
提案された進行期間として、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、前記決定された1つ以上の進行期間をユーザーに提示させ、
前記1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの承認、
前記1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの開始時刻もしくは終了時刻の調整、
新しい進行期間の追加、または
前記提案された進行期間のうちの1つ以上の少なくともいくつかの、単一の進行期間への統合
のうちの1つ以上を含むユーザーからの入力を受信させ、
前記受信された入力に基づいた、前記1つ以上の進行期間の調整をさせ、各候補ファクトが、前記調製後の進行期間に割り当てられる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記進行が、
前記患者の疾患または状態が進行しているという医師の識別、
前記患者の腫瘍の成長の測定値、
前記患者の疾患が広がり、転移性になったことを示すもの、
前記患者の疾患もしくは病状が一連の処置に反応せず、内科医が、別の処置コースに切り替えることを決定したことを示すもの、または
前記患者が疾患もしくは病状の再発を経験していることを示すもの、
のうちの1つ以上に対応する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
経時的に変化し得る各要素について、前記要素に対応する各候補ファクトと進行期間との前記関連付けが、時間ウィンドウに基づく、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記命令が、実行される時に、さらに、前記コンピューティングシステムに、
新しいデータレコードセットにアクセスさせ、
追加の候補ファクトを抽出させ、前記追加の候補ファクトのそれぞれが、前記患者に関連する前記複数の要素のうちの1つの要素に対応し、さらに、前記命令が前記コンピューティングシステムに
前記初期のデータレコードセットから抽出された前記複数の候補ファクト及び前記新しいデータレコードセットから抽出された前記追加の候補ファクトに基づいて、前記複数の要素のうちの各要素に対応する1つ以上の最良ファクトを決定させる、請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記命令が、実行される時に、さらに、前記コンピューティングシステムに、
前記複数の要素内の各要素について、重複する候補ファクトをそれぞれ除去することにより、前記複数の候補ファクトを重複排除すること、及び
前記データから抽出された前記候補ファクトのうちの1つ以上と、1つ以上の医療ルールに基づいて、前記患者に関連する複数の要素のうちの少なくとも1つの要素に対する候補ファクトを導出すること
のうちの1つ以上を実行させる、請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記命令が、実行される時に、さらに、前記コンピューティングシステムに、
少なくとも1つの進行期間について、前記出力データに基づいて、前記患者の進行期間のノードアドレスを生成させる、請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
患者データを視覚化するためのグラフィカルユーザーインターフェースを提供する方法であって、前記方法が、
患者の病歴に関する情報をグラフィカルに示す対話型タイムラインを表示すること、を含み、前記対話型タイムラインが、複数のマーカーを含み、各マーカーが、医療情報に関連する関連時間、医療情報に関連する期間の開始、または期間の終了を示し、前記対話型なタイムラインが、垂直オフセットされ、互いに時間で整列された、患者情報の異なるカテゴリーに対する複数のサブタイムラインを含み、前記複数のサブタイムラインが、処置情報に関連する任意のマーカーを含む処置サブタイムライン;診断、または疾患もしくは障害進行情報に関連する任意のマーカーを含む診断または進行サブタイムライン;疾患または障害のバイオマーカー検査結果情報に関連する任意のマーカーを含むバイオマーカーサブタイムライン;他のカテゴリーに当てはまらない疾患または障害情報に関連する任意のマーカーを含む疾患または障害のサブタイムライン;及び他の分類に該当しない関連患者情報に関連する任意のマーカーを含む患者のサブタイムライン、のうちの1つ以上を含み、
マーカーを選択するユーザー入力を受信すること、ならびに
前記対話型タイムラインのウィンドウに前記マーカーに関連する詳細な医療情報を表示すること
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月14日に出願された米国特許出願第17/375,916号の利益を主張し、これは、2021年1月11日に出願された米国特許出願第17/146,260号のいくつか継続出願であり、これは、2020年1月9日に出願された米国特許出願第62/958,883号に対する優先権を主張する。
【0002】
現在では、後の分析または患者の処置選択肢をガイドするためのシステムで使用される患者データを格納及び整理するシステムは、どのデータが最良もしくは最も正確であるかを判定せずに大量のデータを格納するか、または、どのデータが格納に最良もしくは最も正確であるかを判定する人間の解釈に大きく依存する。どのデータが最良または最も正確であるかを判定するために、主にガイドなしの人間の解釈に依存すると、データ出力プロセスが複雑になり、さらなるエラー源が導入され、異なる患者からのデータに異なる基準、及び異なる患者に対し格納される異なるタイプのデータがもたらされ得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書のいくつかの実施形態は、進行マイルストーンまたはタイムラインに関連する正確な患者データを決定し、提供するためのシステム及び方法を提供する。いくつかの実施形態では、そのような正確な患者データは、他のシステムまたはアプリケーション、例えば、正確且つ簡潔な患者データを提供及び表示するためのシステム、患者をノードアドレスに割り当てるシステム、患者に処置の選択肢を提供する際の医療提供者を支援するシステム、及び/または予後関連の予想転帰を予測するためのシステムにより使用される。
【0004】
一態様によれば、記載された発明は、病状及び/または病気を有する患者のための正確な患者データを提供するための方法を提供し、方法は、以下を含む:患者に関連する初期のデータレコードセットにアクセスすること(初期のデータレコードセットが、患者、患者の病気、及び/または患者の処置に関する情報を含む);アクセスされた初期のデータレコードセットから複数の候補ファクトを抽出すること(各候補ファクトが、データセットとして表される);ならびに、各候補ファクトを、患者に関連する複数の要素のうちの要素に対応するものとして分類すること(複数の候補ファクトが、複数の要素のうちの少なくとも1つの要素についての要素に対応する複数の候補ファクトを含む)。方法は、経時的に変化しない要素について、各要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別することも含み、識別することは、要素が対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、対応する候補ファクトを、対応する要素に対応する最良ファクトとして識別すること;及び、要素が少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、要素に固有の削減ルールに基づいて、要素の対応する候補ファクトのうちの少なくとも1つを、要素の最良ファクトとして識別すること、を含む。方法は、経時的に変化し得る各要素について、要素に対応する各候補ファクトを、診断に対応する進行期間または進行マイルストーンに関連付けること;経時的に変化し得る各要素について、要素の関連候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、も含み、識別することは、要素が進行期間に関連する対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、対応する候補ファクトを、進行期間の要素に対応する最良ファクトとして識別すること;及び、要素が進行期間に関連する少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、要素に固有の削減ルールに基づいて少なくとも2つの対応するファクトから、進行機関の要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、を含む。本方法は、患者に関連する最良ファクトを含む出力データをも含む。
【0005】
本方法のいくつかの実施形態では、経時的に変化しない要素の少なくともいくつかについて、要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別することが、さらに、グラフィカルユーザーインターフェースを介してユーザーに、要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、少なくとも1つの最良ファクトを提示すること;提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認、少なくとも1つの最良ファクトとして、提案された最良ファクトでない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別、及び最良ファクトとして、提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否、のうちの1つ以上を受信すること;提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、要素の最良ファクトとして、提案された少なくとも1つの最良ファクトをもはや識別しないこと;提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認が受信される場合、承認された最良ファクトとして、少なくとも1つの最良ファクトを識別すること;ならびに、少なくとも1つの最良ファクトとして、提案された最良ファクトではない、少なくとも1つの他の候補ファクトの識別が受信される場合、少なくとも1つの承認された最良ファクトとして、少なくとも1つの他の候補ファクトを識別すること;を含み、患者に関連する最良ファクトに関する出力データが、患者に関連する承認された最良ファクトに関する出力データを含む。
【0006】
方法のいくつかの実施形態では、経時的に変化し得る要素の少なくともいくつかについて、要素の関連候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別することは、さらに、要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、少なくとも1つの最良ファクトとしての提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認;少なくとも1つの最良ファクトとしての提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別;及び最良ファクトとして提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否、のうちの1つ以上を受信すること、ならびに提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、要素に対応する最良ファクトとして、提案された少なくとも1つの最良ファクトをもはや識別しないこと、を含む。
【0007】
本方法のいくつかの実施形態では、患者に関連する最良ファクトを含む出力データは、進行出力を含む。本方法のいくつかの実施形態では、患者に関連する最良ファクトを含む出力データは、進行出力及び時系列出力を含む。本方法のいくつかの実施形態では、患者に関連する最良ファクトを含む出力データは、進行出力、または進行出力及び時系列出力を含む。本方法のいくつかの実施形態では、進行出力は、進行期間で、または患者の診断及び進行マイルストーンでインデックス付けされたデータである。本方法のいくつかの実施形態では、進行出力は、関連概念テーブルに格納された最良ファクトを含み、各概念テーブルは、進行追跡識別子及び患者識別子を含む。本方法のいくつかの実施形態では、時系列出力は、関連概念テーブルに格納された最良ファクトを含み、各関連概念テーブルは、関連概念テーブル内の最良ファクトに関連する開始日及び開始時刻間の経過時間の関数でインデックス付けされる。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、候補ファクトの少なくともいくつかに基づいて、1つ以上の進行期間を決定すること(各進行期間が、病状または病気の診断時または進行時に開始し、且つ、次の進行時、現時点、または死亡時に終了する期間に対応する);及び各候補ファクトを進行期間に割り当てること、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、決定された1つ以上の進行期間を、提案された進行期間としてユーザーに提示すること;1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの承認、1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの開始時刻もしくは終了時刻の調整、新しい進行期間の追加、または1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくともいくつかの単一進行期間へのマージ、のうちの1つ以上を含むユーザーから入力を受信すること;及び受信された入力に基づいて、1つ以上の進行期間を調整すること、を含み、各候補ファクトが調整後に進行期間に割り当てられる。いくつかの実施形態では、進行は、以下のうちの1つ以上に対応する:患者の疾患もしくは状態が進行したという医師の識別;患者の腫瘍の測定された成長;患者の疾患が広がり、転移性になったことを示すもの;患者の疾患もしくは病状が一連の処置に応答せず、医師が別の処置コースに切り替えることを決定したことを示すもの;または、患者が疾患もしくは病状の再発を経験したことを示すもの。
【0009】
いくつかの実施形態では、経時的に変化し得る各要素について、要素に対応する各候補ファクトと進行期間との関連付けは、時間ウィンドウに基づく。
【0010】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、新しいデータレコードセットにアクセスすること;追加の候補ファクトを抽出すること(追加の候補ファクトのそれぞれが、患者に関連する複数の要素のうちの1つの要素に対応する);ならびに、初期のデータレコードセットから抽出された複数の候補ファクト及び新しいデータレコードセットから抽出された追加の候補ファクトに基づいて、複数の要素のうちの各要素に対応する1つ以上の最良ファクトを決定すること、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、複数の要素のうちの各要素について、重複する候補ファクトをそれぞれ除去することにより、複数の候補ファクトを重複排除することも含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、データから抽出された候補ファクトのうちの1つ以上と、1つ以上の医療ルールに基づいて、患者に関連する複数の要素のうちの少なくとも1つの要素に対する候補ファクトを導出することも含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、患者に関連するデータレコードは、抽象化されたデータレコードである。
【0014】
いくつかの実施形態では、要素のうちの少なくとも1つについて、削減ルールは、少なくとも1つの候補ファクトを、要素に対応する、最良総合ファクトとして、同じ要素に対応する他の候補ファクトと比較して最大量のデータを含む少なくとも1つの候補ファクトに基づいて識別するルールを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、要素の少なくとも1つについて、削減ルールは、進行期間の要素に対応する別の候補ファクトと重複し且つ同一である候補ファクトを破棄するルールを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、要素の少なくともいくつかについて、削減ルールは、同じ要素に対応する他の候補ファクトと比較して最も頻繁に出現する候補ファクトに少なくとも部分的に基づいて、候補ファクトを最良ファクトとして識別するルールを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、少なくとも1つの進行期間について、出力データに基づいて患者の進行期間のノードアドレスを生成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、処置決定を容易にするために患者の医療提供者に所定の処置計画情報を提供することを含み、所定の処置計画情報は、患者に割り当てられた進行期間のノードアドレスに基づく。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、患者に割り当てられた進行期間のノードアドレスに基づいて、患者の規定の終点イベントの発生に関して予後関連の予想転帰を決定することを含む。いくつかの実施形態では、生成ノードアドレスは、リファインされたノードアドレスである。
【0018】
一態様によれば、記載される発明は、病状及び/または病気を有する患者のための、正確な患者データを提供するシステムを提供し、方法は、1つ以上のデータリポジトリ;及び1つ以上のデータリポジトリと通信し、実行される場合にコンピューティングシステムに以下をさせる命令を実行するように構成されたコンピューティングシステムを含む:1つ以上のデータリポジトリから、患者に関連する初期のデータレコードセット、にアクセスさせること(初期のデータレコードセットが、患者、患者の病気、及び/または患者の処置に関する情報を含む);複数の候補ファクトを、アクセスされた初期のデータレコードセットから抽出すること(各候補ファクトが、データセットとして表される);各候補ファクトを、患者に関連する複数の要素のうちの要素に対応するものとして分類すること(複数の候補ファクトが、複数の要素の少なくとも1つの要素について要素に対応する複数の候補ファクトを含む)。命令は、さらに、コンピューティングシステムに、経時的に変化しない要素について、各要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別させ、識別することは、要素が対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、対応する候補ファクトを、最良ファクトとして識別すること;及び、要素が少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、要素に固有の削減ルールに基づいて、要素の対応する候補ファクトのうちの少なくとも1つを、要素の最良ファクトとして識別すること、を含む。命令は、さらに、コンピューティングシステムに、経時的に変化し得る各要素について、要素に対応する各候補ファクトを、診断に対応する進行期間または進行マイルストーンに関連付けさせ;経時的に変化し得る各要素について、要素の関連候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別させ(識別は、要素がマイルストーンに関連する対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、対応する候補ファクトを、進行期間の要素に対応する最良ファクトとして識別すること;及び、要素が進行期間に関連する少なくとも2つの対応する候補ファクトを有する場合、要素に固有の削減ルールに基づいて、少なくとも2つの対応する候補ファクトから、マイルストーンの要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別すること、を含む);患者に関連する最良ファクトを含むデータを出力させる。
【0019】
一態様によれば、記載される発明は、病状及び/または病気を有する患者のための正確な患者データを提供するためのプログラム命令を含む非一時的なコンピューター可読媒体を提供し、1つ以上のプロセッサーによるプログラム命令の実行は、1つ以上のプロセッサーに、本明細書で記載または特許請求される方法のいずれかを実行させる。
【0020】
一態様によれば、記載される発明は、患者データを視覚化するためのグラフィカルユーザーインターフェースを提供する方法を提供する。本方法は、患者の病歴に関する情報をグラフィカルに示す対話型タイムラインを表示する方法を含み、対話型タイムラインは、複数のマーカーを含み、各マーカーは、患者の医療情報に関連する関連時間、患者の医療情報に関連する期間の開始(例えば、患者の病歴もしくは患者の医療レコード内の情報)、または患者の医療情報に関連する期間の終了、を示す。対話型なタイムラインは、垂直オフセットされ、互いに時間で整列された、医療情報の異なるカテゴリーに対する複数のサブタイムラインを含む。以下の1つ以上を含む複数のサブタイムライン:処置情報に関連する任意のマーカーを含む処置サブタイムライン;診断、または疾患もしくは障害進行情報に関連する任意のマーカーを含む診断または進行サブタイムライン;疾患または障害のバイオマーカー検査結果情報に関連する任意のマーカーを含むバイオマーカーサブタイムライン;他のカテゴリーに当てはまらない疾患または障害情報に関連する任意のマーカーを含む疾患または障害のサブタイムライン;及び他の分類に該当しない関連医療情報に関連する任意のマーカーを含む患者のサブタイムライン。本方法は、マーカーを選択するユーザー入力を受け取ること;及び対話型タイムラインのウィンドウにマーカーに関連する詳細な医療情報を表示すること、も含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、さらに、1つ以上の垂直グラフィックインジケーターを含み、それぞれが、診断または疾患進行を表す。いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、1つ以上の診断または進行期間を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の診断または進行期間は、1つ以上の垂直グラフィックインジケーターで分割される。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースは、ユーザーが選択した基準に基づいて対話型タイムラインに表示されるマーカーのフィルタリングを可能にする。いくつかの実施形態では、ユーザーが選択した基準は、診断または進行期間を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、開始マーカーのシェイプ及び終了マーカーのシェイプは、マーカーに関連する情報の日付に関する精度を示す。いくつかの実施形態では、複数のマーカーのうちの1つ以上のマーカーのシェイプは、1つ以上のマーカーに関連する情報の日付に関する精度を示す。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、2つ以上の選択可能なグラフィックインジケーターを含む全期間タイムラインの概要バージョンを表示することを含み、選択可能なグラフィックインジケーターは、開始期間インジケーター及び終了期間インジケーターを含み、開始期間インジケーター及び/または終了期間インジケーターの選択及び移動は、対話型タイムラインに表示される期間を変更する。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数のサブタイムラインは、さらに、以下のうちの少なくとも1つ以上を含む:全身療法情報に関連する任意のマーカーを含む全身療法サブタイムライン、手術情報に関連する任意のマーカーを含む手術サブタイムライン、及び放射線処置に関連する任意のマーカーを含む放射線処置サブタイムライン。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数のサブタイムラインの第1のサブタイムラインのマーカーは、複数のサブタイムラインの第2のサブタイムラインのマーカーの色とは異なる色で示される。いくつかの実施形態では、マーカーの選択時に表示される医療情報を含むウィンドウの色は、選択されたマーカーと同じ色である。
【0026】
いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインを介して表示される全医療情報は、患者のプライバシーを保護するために匿名化される。
【0027】
いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、第1の患者の病歴に関する第1の対話型タイムラインであり、方法は、さらに、第1の対話型タイムラインと比較するために、第2の患者の病歴に関する情報をグラフィカルに示す第2の対話型タイムラインを表示することを含み、第2の対話型タイムラインは、第1の患者及び第2の患者の両方の診断時点または疾患進行に基づいて、第1の対話型タイムラインと整列され、第1の対話型タイムライン及び第2の対話型タイムライン内の全ての医療情報は、匿名化される。
【0028】
いくつかの実施形態では、医療情報に関連する1つ以上の期間が、開始マーカー及び終了マーカー、ならびに開始マーカー及び終了マーカー間のスパンのグラフィック表示と共にグラフィック表示される。
【0029】
一態様によれば、記載される発明は、対話型の患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを提供するためのプログラム命令を含む非一時的なコンピューター可読媒体を提供し、1つ以上のプロセッサーによるプログラム命令の実行が、1つ以上のプロセッサーに本明細書に記載または特許請求される方法のいずれかを実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の一実施形態による、エンリッチメントレイヤー(EL)モジュールを使用して正確な患者データを提供するネットワーク図を示す。
【
図2】例示的な実施形態による、抽象化、患者データ、及びプロダクトに関連するELを概略的に示す。
【
図3】例示的な実施形態による、候補ファクトの例示的な削減を概略的に示す。
【
図4】例示的な実施形態による、医学に基づく削減ルールに基づく候補ファクトの例示的な削減を概略的に示す。
【
図5】例示的な実施形態による、候補ファクトの例示的な計算及び/または導出を概略的に示す。
【
図6】例示的な実施形態による、ELワークフローを示す。
【
図7】例示的な実施形態による、EL出力からのノードアドレスの生成を概略的に示す。
【
図8】例示的な実施形態による、読み取り専用データベース許可モデルを概略的に示す。
【
図9】例示的な実施形態による、例示的なELカーネル1002を概略的に示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、入力データ及び候補ファクトを処理するために使用されるシェイプを概略的に示す。
【
図11】例示的な実施形態による、シェイプに関連する属性を概略的に示す。
【
図12】対応する要素に対する最良ファクトを識別するプロセスを示すフローチャートである。
【
図13】追加データの受信に応答して最良ファクトを決定するプロセスを示すフローチャートである。
【
図14】例示的な実施形態による、コンフリクト解決またはエスカレーションのプロセスを示すフローチャートである。
【
図15】いくつかの実施形態による、提案された最良ファクト及び進行期間を承認または検証するためのユーザーインターフェースのスクリーンショットである。
【
図16】いくつかの実施形態による、システムのアーキテクチャを概略的に示す。
【
図17】本開示の一実施形態による、クライアントデバイスを示す概略図の一例を示す。
【
図18】本開示の一実施形態による、コンピューターの内部アーキテクチャを示すブロック図である。
【
図19】いくつかの実施形態による、初期診断期間において選択されたマーカーに対して表示される患者の医療情報を含むウィンドウを有する対話型の患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【
図20】いくつかの実施形態による、転移性癌の診断(例えば、転移性癌への進行)期間における選択されたマーカーに対して表示される患者の医療情報を含むウィンドウを有する、
図19の対話型患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【
図20A】いくつかの実施形態による、番号1~11で示される対応するマーカーがユーザーにより選択された時に、
図20の対話型患者タイムライン上に重ねて表示される医療情報を含むウィンドウを示す。
【
図21】いくつかの実施形態による、その期間における第1の選択マーカーセットに対して表示される患者の医療情報を含む、ウィンドウを含む、転移性癌の診断からがんの第1の転移性疾患進行までの期間の要約タイムラインにおける開始時間及び終了時間のユーザー選択に基づく、タイムラインの拡大または拡張部分を表示する
図19の対話型患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【
図22】いくつかの実施形態による、タイムラインの拡大または拡張部分を表示する
図19の対話型患者タイムラインと、第2の選択マーカーセットに対応する医療情報を含むウィンドウを表示する対話型患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【
図23】いくつかの実施形態による、タイムラインの拡大または拡張部分を表示する
図19の対話型患者タイムラインと、第3の選択マーカーセットに対応する医療情報を含むウィンドウを表示する対話型患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【
図24】いくつかの実施形態による、タイムラインの拡大または拡張部分を表示する
図19の対話型患者タイムラインと、後の選択マーカーセットに対応する医療情報を含むウィンドウを表示する対話型患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【
図25】例示的な実施形態による、要約患者情報を示す例示的なインターフェースを示す。
【
図26】例示的な実施形態による、施設の患者情報を表示する例示的なインターフェースを示す。
【
図27】例示的な実施形態による、分析のための最良ファクトのエンリッチメントを組み込むシステム及び方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施形態の説明
用語集
【0032】
本明細書で使用される「蛍光in situハイブリダイゼーション」(「FISH」)という用語は、細胞及び組織内の遺伝子または染色体を調べるために使用される実験室法を指す。蛍光色素を含有するDNA片は、実験室で作成され、細胞または組織試料に添加される。これらのDNA片が試料内の特定の遺伝子または領域に結合する場合、特殊な光で顕微鏡下で見た時に光る。FISHは、特定の遺伝子が染色体上のどこに位置するか、遺伝子のコピー数がどれくらい存在するか、及びどの染色体異常を識別することができる。
【0033】
本明細書で使用される「免疫組織化学」または「IHC」検査という用語は、組織切片中の特定のタンパク質を識別するために抗体を使用する、生検中に除去された新鮮または凍結癌組織に対して行われる特別な染色プロセスを指す。
【0034】
本明細書で使用される「次世代シーケンシング」または「NGS」という用語は、腫瘍のゲノムプロファイルの包括的なビューを提供し、腫瘍内に非常に低レベルで存在する複数の変異を検出し得るシーケンシング方法を指す。
【0035】
本明細書で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という用語は、非常に微量のDNAを含有する試料からDNAの特定の部分の多数のコピーを作成するために使用される検査室手法を指す。PCRは、これらのDNA片の増幅を可能にし、検出可能にする。PCRは、遺伝子または染色体における特定の変化を探索するために使用され得、これは、がんなどの遺伝的状態または疾患の発見及び診断に役立ち得る。感染症の診断を助けるために、それは、特定の細菌、ウイルス、または他の微生物のDNA片を調査するためにも使用され得る。
【0036】
ここで、実施形態は、本出願に添付の図面を参照して、より詳細に考察される。添付の図面では、同様の要素及び/または対応する要素は、同様の参照番号で参照される。
【0037】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、病状及び/または病気を有する患者のための正確な患者データを提供するためのシステム、方法、及び/または非一時的なコンピューター可読メディアを含む。いくつかの実施形態では、正確な患者データの少なくともいくつかは、診断または進行マイルストーンに対応する進行期間に関連するファクトを含む。いくつかの実施形態では、正確な患者データの少なくともいくつかは、タイムラインに関連するファクトを含む。いくつかの実施形態では、正確な患者データは、患者の処置選択肢を識別するように構成されたシステム、患者の処置を評価するように構成されたシステム、または患者の予測転帰を決定するように構成されたシステムに提供され得る。いくつかの実施形態は、他のシステムに最も正確なデータのみで動作し、最も正確なデータのみを格納させることにより、システムまたは方法の効率を向上させる。さらに、いくつかの実施形態は、全てのデータを格納するのではなく、最も正確なデータのみを格納することにより、格納効率を向上させる。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法またはシステムは、正確な患者データを決定するか、または決定を支援するためにエンリッチメントレイヤー(EL)を実装するエンリッチメントレイヤーモジュールを用いる。いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、病状及び/または病気を有する患者に関連する要素に対応する潜在的な候補ファクトを受信またはアクセスする。要素は、患者または病状及び/または病気に関連し得る。例えば、要素は、名前、年齢、予後、処置、及び患者または病状及び/または病気に関連する他の情報であり得る。いくつかの実施形態では、ELは、候補ファクトを導出、計算、及び/または削減することにより、患者に関連する要素の候補ファクトから最良の(または最も正確な)ファクト(複数可)を識別し得る。いくつかの実施形態では、ELは、ユーザーによる承認または検証を条件として、提案された少なくとも1つの最良または最も正確なファクトを識別し得る。いくつかの実施形態では、ELにより決定された少なくとも1つの提案された最良または最も正確なファクトは、承認または検証のためにグラフィカルユーザーインターフェースを介して提示される。いくつかの実施形態では、いくつかの要素について、ELは、最良ファクトを識別し、他の要素については、ELは、承認されるか上書きすることができる最良ファクトに対する提案を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ELは、診断から複数の時点を経て死亡に至るまでの患者の病歴の過程を網羅するエンドツーエンドの患者情報を評価し得、患者情報から患者に関する最も正確なファクト、または提案された最も正確なファクトを識別する。いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、識別された最良ファクトを表す進行及び/またはタイムラインベースの出力を生成する。患者に関連する各要素に対応する最良ファクトは、患者の病状及び病歴の完全且つ現在のビューを表し得る。この点に関しては、いくつかの実施形態では、方法またはシステムは、要素に対応する最良ファクトを識別するために、データを効率的に収集し、候補ファクトを自動的に導出し、計算し、削減させることにより、どのファクトが正確であるか、及び、どれが不十分であるかを判定する手動プロセスを大幅にまたは完全に排除する。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法またはシステムは、診断から複数の時点を経て死亡に至るまでの患者の病歴の過程を網羅するエンドツーエンドの患者情報を評価し得、承認または検証を条件として患者情報から患者に関する最も正確なファクトについての提案を生成する。いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、承認または検証後に識別された最良ファクトを表す進行及び/またはタイムラインベースの出力を生成する。患者に関連する各要素に対応する最良ファクトは、患者の病状及び病歴の完全且つ現在のビューを表し得る。この点に関しては、いくつかの実施形態では、ELは、再現可能で予測可能な方法で、提案された最良ファクトを識別するために、データを効率的に収集し、候補ファクトを自動的に導出し、計算し、削減することにより、どのファクトが正確であるか、及び、どれが不完全であるかを判定する手動プロセスにおける予測不能性を低減させる。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示で記載される最良ファクトを識別するための方法またはシステムは、臨床データのクエリ及び探索を簡素化する。従来、データの収集、追跡、及び分析に投資する腫瘍センターは、ITインフラストラクチャに投資し、データ要求に対応するチームの予算に計上しなければならない。データ要求は、腫瘍学センターが実施-臨床試験の実現可能性を検討する患者集団から、医療提供の質向上の取り組みのためのデータの提供に至るまで-の異なる態様を評価することを支援するのに役立つ。各データ要求では、所要時間は、データ要求、施設のソフィスティケーション、及びデータインフラストラクチャへの投資、ならびにデータ分析チームの能力に応じて、数週間から数日の範囲に及び得る。いくつかの実施形態では、本開示で記載される最良ファクトの識別は、機関へのデータ要求を満たすのに必要な時間を適度に低減させ得る。さらに、最良ファクトの識別は、データ要求が瞬時に(すなわち、数秒以内に)完了することができるリアルタイムデータクエリ及び探索を提供しようとする技術の基盤として機能し得る。
【0042】
様々な実施形態が本明細書に開示されるが、開示された実施形態及び示されたユーザーインターフェースは、様々な形態で具体化することができる本開示の単なる例示であることを理解すべきである。加えて、様々な実施形態に関連して与えられた実施例のそれぞれは、例示を目的とするものであり、限定するものではない。それ故、本明細書に開示の特定の構造及び機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、開示される実施形態を様々に用いることを当業者に教示するための代表的な基礎としてのみ解釈されるべきである。
【0043】
実施形態は、方法及びシステムのブロック図及び動作図を参照して以下に記載される。ブロック図または動作図の各ブロック、及びブロック図または動作図のブロックの組み合わせは、アナログまたはデジタルのハードウェア及びコンピュータープログラム命令により実装することができることが理解される。これらのコンピュータープログラム命令は、汎用コンピューター、専用コンピューター、ASIC、または他のプログラム可能なデータ処理装置の1つ以上のプロセッサーに提供することができ、その結果、コンピューターの1つ以上のプロセッサーまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行する命令は、ブロック図または動作ブロック(複数可)で指定された機能/動作を実装する。
【0044】
いくつかの代替実装では、ブロックに示されている機能/動作は、動作説明図に示されている順序と異なる順序で行われ得る。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行することができるか、または、ブロックは、関連機能/動作に応じて、逆の順序で実行することができる場合がある。さらに、本開示においてフローチャートとして提供及び記載される方法の実施形態は、技術のより完全な理解を提示するために例として提供される。開示された方法は、本明細書で提示された動作及び論理フローに限定されない。様々な動作の順序が変更され、より大きな動作の一部として説明されたサブ動作が独立して実行される代替実施形態が企図される。
【0045】
本明細書では主にがん状態に関して記載されるが、記載される方法及びシステムは、任意の進行性の臨床状態(例えば、心血管疾患、代謝性疾患(糖尿病)、免疫介在性疾患(例えば、狼瘡、関節リウマチ)、臓器移植、神経変性障害、肺疾患、感染症、肝障害)に対応する患者データのためのものであり得る。専門家は、そのような各状態のパラメーターを知っているであろう。いくつかの実施形態では、方法及びシステムは、がん状態に特異的である。
【0046】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、用語は、明示的に述べられた意味を超えて、文脈において示唆または暗示される微妙な意味を有し得る。同様に、本明細書で使用される「一実施形態では」という表現は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではなく、本明細書で使用される「別の実施形態では」という表現は、必ずしも異なる実施形態を指すわけではない。例えば、特許請求される主題は、全体的または部分的に例示的な実施形態の組み合わせを含むことが意図される。
【0047】
一般に、用語は、文脈中での使用法から少なくとも部分的に理解され得る。例えば、本明細書で使用される「及び」、「または」、または「及び/または」などの用語は、少なくとも部分的に、そのような用語が使用される文脈に依存し得る様々な意味を含んでもよい。通常、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合の「または」は、本明細書では、包括的な意味で使用されるA、B、及びC、ならびに、本明細書では、排他的な意味で使用されるA、B、及びCを意味することが意図される。さらに、本明細書で使用される「1つ以上の」という用語は、少なくとも部分的に、文脈に応じて、単数の意味で、任意の特徴、構造、もしくは特性を記載するために使用され得るか、または、複数の意味で、特徴、構造、もしくは特性の組み合わせについて記載するために使用され得る。同様に、「a」、「an」、または「the」などの用語も、少なくとも部分的に、文脈に応じて、単数用法を伝えるか、または複数用法を伝えると理解され得る。加えて、「に基づいて」という用語は、必ずしも排他的な要因のセットを伝えることを意図されないと理解され得、その代わりに、少なくとも部分的に、文脈に応じて、再度、必ずしも明示的に記載されない追加の要因の存在を可能にし得る。
【0048】
図1は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に関連して用いられ得るコンピューティングシステム、デバイス、ネットワーク、及びデータベースのネットワーク図を概略的に示す。示されたネットワーク図は、ネットワーク115を介してクライアントコンピューティングデバイス110a、110b、データベース140、及びデータリポジトリ170a-bと通信するコンピューティングシステム105を示す。コンピューティングシステム105は、抽象化123モジュール、アプリケーションまたはプラットフォーム、ELモジュール125、及びアプリケーションA-N127a-nをホストし、実行し得る。抽象化モジュール123、ELモジュール125、及びアプリケーションA-N125a-nのそれぞれは、同じまたは別々のコンピューティングシステムで実行することができると理解することができる。コンピューティングシステム105は、さらに、データを検索するために、ネットワーク115を介して異種のデータリポジトリ170a-nと通信し得る。
【0049】
コンピューティングシステム105は、1つ以上のコンポーネントと対話し、及び/またはデータベース140及びデータリポジトリ170a-nのコンテンツへのアクセスを容易にするように構成された1つ以上のアプリケーションをホストし得る。データベース140及びデータリポジトリ170a-nは、本明細書で説明されるように、情報/データを格納し得る。例えば、データベース140は、時系列データベース147及び進行データベース149を含み得る。時系列データベース147は、時系列モデルに基づいて出力された識別された正確な患者データを格納し得る。進行データベース149は、患者の疾患及び/または医学的状態の診断または進行マイルストーンに対応する進行期間について、ELモジュール120から出力される識別された正確な患者データ出力を格納し得る。データリポジトリ170a-nは、患者情報及び医療情報を格納し得る。データベース140は、コンピューティングシステム105から1つ以上の地理的に分散した場所に配置することができる。あるいは、データベース140は、コンピューティングシステム105と同じ地理的位置に配置することができる。
【0050】
コンピューティングシステム105は、本明細書に記載されるように、正確な患者データを識別するようにELモジュールを実行し得る。一実施形態では、正確な患者データは、アプリケーションA-N125a-nに提供され、またはそれによりアクセスされ得る。アプリケーションA-N125a-nは、各アプリケーションA-N125a-nのそれぞれのアプリケーションテーブル127a-nに患者データを格納し得る。アプリケーションA-N125a-nのそれぞれの1つ以上のインスタンスは、クライアントコンピューティングデバイス110aで実行することができる。アプリケーションA-N125a-nのそれぞれは、ユーザーインターフェース(例えば、クライアントコンピューティングデバイス110aのディスプレイ145aでレンダリングされるべきグラフィカルユーザーインターフェース150a)を提供し得る。「UI」という用語は、デバイスまたはシステムにおける人間とコンピューターの対話及び通信のポイントであるユーザーインターフェースを指す。これは、ディスプレイスクリーン、キーボード、マウス、及びデスクトップの外観を含み得る。ユーザーインターフェースは、ユーザーがアプリケーションまたはウェブサイトと対話する方法も指し得る。アプリケーションA-N125a-nのそれぞれは、ディスプレイ145にレンダリングされるグラフィカルユーザーインターフェース150aにレンダリングされるべき識別された正確な患者データを出力するように構成することができる。代替的または追加的に、識別された正確な患者データは、クライアントコンピューティングデバイス110aのディスプレイ145aにレンダリングされるグラフィカルユーザーインターフェース150aにレンダリングされるべき出力を生成するために、アプリケーションA-N125a-nのいずれかにより使用され得る。代替的または追加的に、ELモジュール120は、識別された正確な患者データを時系列データベース147及び/または進行データベース149に格納し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、承認/検証モジュール128は、正確な患者データを識別するプロセスで使用される。いくつかの実施形態では、承認/検証モジュール126は、アプリケーションA-N125a-nのいずれかをホストするクライアントコンピューティングデバイス110aとは異なるクライアントコンピューティングデバイス110b上で承認/検証アプリケーション129として、少なくとも部分的に実行される。いくつかの実施形態では、承認及び検証の少なくともいくつかの態様は、抽象化プラットフォームで実行され得る。いくつかの実施形態では、クライアントコンピューティングデバイス110bのグラフィカルユーザーインターフェース150bは、識別された最良のデータのいくつかまたは全ての承認または検証のためのユーザーからの入力を受信するために使用される。他の実施形態では、承認/検証モジュール126は、全体的にコンピューティングシステム105で実行され、コンピューティングシステム105のグラフィカルユーザーインターフェースから、識別された最良のデータのいくつかまたは全ての承認または検証のためのユーザーからの入力を受信する。
【0052】
コンピューティングシステム105は、例えば、インターネットなどのネットワーク115を介してクライアントコンピューティングデバイス110a、110bのブラウザ(図示せず)で表示されるウェブページなどのコンテンツを生成及び/または供給し得る。いくつかの実施形態では、アプリケーションA-N125a-nのうちの1つ以上または承認/検証アプリケーション129は、少なくとも部分的にウェブページ(またはウェブページのいくつか)として実行され、従って、ウェブブラウザを介して、クライアントコンピューティングデバイス110a、110bのユーザーによりアクセスされる。いくつかの実施形態では、アプリケーションA-N125a-nのうちの1つ以上または承認/検証アプリケーション129は、ソフトウェアアプリケーション、例えば、モバイル「アプリ」であり、これは、コンピューティングシステム105からクライアントコンピューティングデバイス110a、110bにダウンロードすることができる。いくつかの実施形態では、アプリケーションA-N125a-nのうちの1つ以上または承認/検証アプリケーション129は、クライアントコンピューティングデバイス110a、110bで実行される時に、本明細書に記載される機能性を有効にするためのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)150a、150bを提供する。
【0053】
コンピューティングシステム105及び/またはクライアントコンピューティングデバイス1101、110bとして完全にまたは部分的に具体化されるコンピューティングデバイスは、有線または無線ネットワークなどを介して信号を送信または受信することが可能であり得るか、または、例えば、物理メモリ状態としてのメモリ内で、信号を処理または格納することが可能であり得る。コンピューティングシステム105として動作することが可能なデバイス及びシステムは、例として、専用のラックマウントサーバー、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、セットトップボックス、様々な特徴、例えば、上述のデバイスの2つ以上の特徴、を組み合わせる統合デバイスなどのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。コンピューティングシステム105の実施形態は、構成または機能において幅広く変動し得るが、一般に、1つ以上の中央処理ユニット及びメモリを含んでもよい。コンピューティングシステム105は、1つ以上の大容量ストレージデバイス、1つ以上の電源、1つ以上の有線または無線ネットワークインターフェース、1つ以上の入力/出力インターフェース、または1つ以上のオペレーティングシステム、例えば、Windows(登録商標)Server、Mac(登録商標)、OS X(登録商標)、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、FreeBSD(登録商標)なども含んでもよい。コンピューティングシステム105は、複数の異なるコンピューティングデバイスを含んでもよい。コンピューティングシステム105は、相互にネットワーク接続される複数のコンピューティングデバイスを含んでもよい。コンピューティングシステム105は、プロセッサーのネットワークを含んでも、プロセシング(例えば、クラウドコンピューティング)用のリモートプロセッサーのネットワークを用いてもよい。いくつかの態様は、少なくとも部分的に、クラウドコンテナエンジンを介して実装され得る。
【0054】
コンピューティングシステム105は、ネットワークを介して別のデバイスにコンテンツを提供する構成を含むデバイスを含んでもよい。コンピューティングシステム105は、さらに、限定されないが、ウェブサービス、サードパーティサービス、オーディオサービス、ビデオサービス、電子メールサービス、インスタントメッセージング(IM)サービス、SMSサービス、MMSサービス、FTPサービス、ボイスオーバーIP(VOIP)サービス、カレンダーサービス、写真サービスなどを含む様々なサービスを提供し得る。コンテンツの例としては、テキスト、画像、オーディオ、ビデオなどが挙げられ得、これらは、物理信号、例えば、電気信号の形式で処理され得るか、または、例えば、物理状態としてメモリに格納され得る。コンピューティングシステム105として動作し得るか、またはそれに含まれ得るデバイスの例としては、デスクトップコンピューター、マルチプロセッサーシステム、マイクロプロセッサータイプまたはプログラム可能な家庭用電化製品などが挙げられる。
【0055】
ネットワークは、例えば、無線ネットワークを介して接続された無線デバイス間を含む、例えば、サーバーとクライアントデバイスまたは他のタイプのデバイスとの間で通信が交換され得るように、デバイスを接続し得る。ネットワークは、例えば、大容量ストレージ、例えば、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、または他の形式のコンピューターもしくは機械可読メディアも含んでもよい。ネットワークには、インターネット、1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、1つ以上のワイドエリアネットワーク(WAN)、有線タイプの接続、無線タイプの接続、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。同様に、異なるアーキテクチャを採用し得るか、または異なるプロトコールに準拠もしくは互換性のあり得るサブネットワークも、より大きなネットワーク内で相互運用してもよい。例えば、様々なタイプのデバイスは、例えば、異なるアーキテクチャまたはプロトコールに相互運用可能な能力を提供することが利用可能であり得る。例示的実施例として、ルータは、別個の独立したLAN間のリンクを提供し得る。
【0056】
通信リンクまたはチャネルは、例えば、アナログ電話回線、例えば、ツイストペア線、同軸ケーブル、完全もしくは部分デジタル回線、例えば、T1、T2、T3、もしくはT4タイプ回線、統合デジタル通信網(ISDN)、デジタル加入者回線(DSL)、無線リンク、例えば、衛星リンク、または当業者らに知られ得るような他の通信リンクもしくはチャネルを含んでもよい。さらに、コンピューティングデバイスまたは他の関連電子デバイスは、例えば、電話回線またはリンクを介して、ネットワークに遠隔的に接続され得る。
【0057】
無線ネットワークは、クライアントデバイスを、ネットワーク115に接続し得る。無線ネットワーク115は、スタンドアロンのアドホックネットワーク、メッシュネットワーク、無線LAN(WLAN)ネットワーク、セルラーネットワークなどを用いてもよい。無線ネットワーク115は、さらに、無線ラジオリンクなどで接続された端末、ゲートウェイ、ルータなどのシステムを含んでもよく、これは、自由、ランダムに移動しても、適宜それ自体を組織化してもよく、その結果、ネットワークトポロジーは、時には、さらに急速に変化し得る。無線ネットワーク115は、さらに、ロングタームエボリューション(LTE)、WLAN、無線ルータ(WR)メッシュ、または第2世代、第3世代、第4世代、第5世代、もしくは第6世代(2G、3G、4G、5G、6G)セルラー技術などを用いてもよい。ネットワークアクセステクノロジーは、例えば、様々な程度の移動性を備えたクライアントデバイスなどのデバイスの広域カバレッジが可能になり得る。
【0058】
例えば、ネットワーク115は、1つ以上のネットワークアクセス技術、例えば、グローバル移動通信システム(GSM)、ユニバーサル移動通信システム(UMTS)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、拡張データGSM環境(EDGE)、3GPPロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、Bluetooth、802.11b/g/nなどを介して、RFまたは無線タイプの通信を可能にし得る。無線ネットワークは、信号が、クライアントデバイスまたはコンピューティングデバイスなどのデバイス間、ネットワーク間またはネットワーク内などで通信され得る任意のタイプの無線通信機構を実質上含んでもよい。
【0059】
一実施形態では、本明細書で記載されるように、クライアントコンピューティングデバイス110は、スマートフォンである。別の実施形態では、クライアントコンピューティングデバイス110は、タブレットである。クライアントコンピューティングデバイス110は、また、コンピューター、セットトップボックス、スマートTV、または他の任意のコンピューティングデバイスであり得る。
【0060】
一実施形態では、抽象化モジュール123、ELモジュール120、承認/検証モジュール128、及び/またはアプリケーションA-N125a-nは、「クラウドコンピューティング」環境内で、または「サービスとして提供されるソフトウェア」(SaaS)として実装され得る。例えば、動作の少なくともいくつかは、(プロセッサーを含むマシンの例として)コンピューターのグループで実行されてもよく、これらの動作は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して、及び1つ以上の適切なインターフェース(例えば、API)を介して利用可能である。例示的な実施形態は、デジタル電子回路、またはコンピューターハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装され得る。例示的な実施形態は、データ処理装置、例えば、プログラム可能なプロセッサー、コンピューター、または複数のコンピューターによる実行のための、またはそれの動作を制御するためのコンピュータープログラム製品、例えば、情報キャリア、例えば、機械可読メディアにおいて明白に具体化されたコンピュータープログラムを使用して実装され得る。
【0061】
一実施形態では、クライアントコンピューティングデバイス110aは、ユーザーにより操作することができる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、患者、医療提供者システム、支払者(例えば、保険会社)、及び医療専門家であってよい。患者、医療提供者システム、医療専門家、または保険会社は、コンピューティングシステム105と入出力を行うために、クライアントコンピューティングデバイス110a上でアプリケーションA-N125a-nのインスタンスを実行し得る。アプリケーションA-N125a-nは、ディスプレイ145a上にGUI150aをレンダリングし得る。いくつかの実施形態では、GUI150は、アプリケーションA-N125a-n及び/またはユーザーのタイプ毎に異なり得ることが理解され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、クライアントコンピューティングデバイス110bは、識別された最良ファクト及び/または進行期間を承認または検証するために、ユーザーからの入力を承認するために使用される。いくつかの実施形態では、ユーザーは、コンピューティングシステム105と入出力を行うために、クライアントコンピューティングデバイス110b上で承認/検証アプリケーション129のインスタンスを実行し得る。いくつかの実施形態では、承認/検証アプリケーション129は、クライアントコンピューティングデバイス110bのディスプレイ145b上にGUI150bをレンダリングする。他の実施形態では、承認/検証モジュール128は、コンピューティングシステム105自体のディスプレイ上にGUIをレンダリングさせ得る。いくつかの実施形態では、識別された最良ファクト及び/または進行期間を承認または検証するユーザーは、患者レコードを評価する訓練を受けたまたは資格のある者であり得るそのようなユーザーであり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースは、音声ユーザーインターフェース(VUI)、例えば(AmazonによるALEXA音声サービス)を含んでもよい。
【0064】
一実施形態では、抽象化モジュール123は、データリポジトリ170a-nから患者に関連するデータにアクセスし得る。データは、患者に関連する識別情報、医療提供者、患者の病気に関連する情報、患者の病状に関連する情報、及び/または患者の処置に関連する情報を含み得るが、これらに限定されない。抽象化モジュール123は、データリポジトリ170a-nから検索されたデータを、患者に関連する候補ファクトに抽象化し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、候補ファクトは、ELモジュール120に送信され、及び/またはELモジュール120にアクセスされる。いくつかの実施形態では、抽象化データは、時系列モデルに格納され、そこから、ELモジュール120はデータを引き出す。いくつかの実施形態では、ELモジュールは、各候補ファクトを要素に対応するものとして分類するように構成されている。1つ以上の要素について、複数の候補ファクトが、同じ要素に対応する。ELモジュール120は、患者に関連する各要素に対応する候補ファクトの中から少なくとも1つの最良ファクトを識別するために、候補ファクトを削減、導出、及び/または計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、複数のファクトが要素の候補ファクトのうちの最良ファクトとして識別され得、その場合には、システムは、要素の単一の最良ファクトの選択のためのコンフリクト解決システムまたはモジュールに、最良ファクトとして識別された複数のファクトに関する情報を提供し得る。いくつかの実施形態では、ELモジュールは、要素の最良ファクトに関するデータを出力する。
【0066】
いくつかの実施形態では、候補ファクトの中からの少なくとも1つの最良ファクトの識別は、ユーザーインターフェースを介して、ユーザーに、提案された少なくとも1つの最良ファクトとして識別された少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、及び、提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認;少なくとも1つの最良ファクトとして提案された最良ファクトでない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別;または、最良ファクトとして提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否、のうちの1つ以上を受信すること、を含む。提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、提案された少なくとも1つの最良ファクトは、要素に対応する最良ファクトとしてもはや識別されない。少なくとも1つの最良ファクトとして提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別が受信される場合、少なくとも1つの他の候補ファクトは、少なくとも1つの承認された最良ファクトとして識別される。そのような実施形態では、患者に関連する最良ファクトに関するデータを出力することが、患者に関連する承認された最良ファクトに関するデータを出力することである。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、候補ファクトのうちの識別された少なくとも1つの最良ファクトを、提案された少なくとも1つの最良ファクトとしてユーザーに提示すること、及び、少なくとも1つの承認された最良ファクトを決定することに応答してユーザーからの入力を受信することは、本明細書では「エンリッチメント」と呼ばれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、システムは、患者に関連する要素の識別された最良ファクトを出力し得、進行データとして、いくつかの実施形態で承認された最良ファクトであってよい。いくつかの実施形態では、進行データは、最良ファクトが関連する進行期間でインデックス付けされる。いくつかの実施形態では、システムは、患者に関連する要素の識別された最良ファクトを出力し得、これは、時系列データとして、承認された最良ファクトであってよい。いくつかの実施形態では、「時系列データ」は、患者の診断から経過した時間(例えば、日数)でインデックス付けされる。いくつかの実施形態では、システムは、患者に関連する要素について識別された最良ファクトを進行データ及び時系列データとして出力し得る。
【0068】
患者に関連する各要素について識別された最良ファクトは、いくつかの実施形態では承認された最良ファクトデータであってもよく、進行に基づく分析または他の患者のデータとの進行に基づく比較のための進行データとして出力することができ、あるいはシステムは、イベントを進行期間に関連付ける進行出力を生成し得る。本明細書で使用される「進行」という用語は、体内で悪化または再発するような、がんなどの病状または疾患の経過を指すことを意味する。進行期間は、疾患または病状に関する患者の経験におけるマイルストーンにより決定される期間である。本明細書で使用される「マイルストーン」という用語は、最初の診断日;及び病状または病気のその後の任意の進行を含む。いくつかの実施形態では、病状または病気の進行は、以下のうちの1つ以上に対応する:患者の疾患もしくは状態が進行したという医師の識別;患者の腫瘍の成長;患者の疾患が広がり、転移性になったことを示すもの;患者の疾患もしくは病状が一連の処置に応答せず、医師が別の処置コースに切り替えることを決定したことを示すもの;または、患者が疾患もしくは病状の再発を経験したことを示すもの。本明細書で使用される「再発」という用語は、一定期間の改善の後に疾患が再発するか、または疾患の徴候及び症状が再発することを指す。
【0069】
1つのマイルストーンから始まり、次のマイルストーンまでの時間のウィンドウは、「進行期間」とみなされ、各ウィンドウ内で発生する全てのイベントは、その進行期間の部分とみなされる。これは、病状または病気の診察時または進行時に始まり、次の進行、現時点、または死亡(いずれか早く生じる方)まで延長される期間に対応する各進行期間と記載され得る。例えば、最初の診断日及び患者の疾患が最初に進行した日の間の時間は、「進行期間0」と呼ぶことができ、その時間ウィンドウ内の化学療法の処置に関連する任意の候補ファクトは、同じ時間ウィンドウで発生した他の全てのイベントと共に「進行期間0」に含まれるであろう。
【0070】
いくつかの実施形態では、ELモジュールは、候補ファクトの少なくともいくつかに基づいて1つ以上の進行期間を決定し、各候補ファクトを進行期間に割り当てる。いくつかの実施形態では、決定された1つ以上の進行期間は、GUI(例えば、GU150b)を介して、提案された進行期間としてユーザーに提示される。いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上を含む入力がユーザーから受信される:1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの承認;1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくとも1つの開始時刻または終了時刻の調整;新しい進行期間の追加;または、1つ以上の提案された進行期間のうちの少なくともいくつかの単一進行期間へのマージ。いくつかの実施形態では、1つ以上の進行期間は、受信入力に基づいて調整され、各候補ファクトは、調整後の進行期間に割り当てられる。
【0071】
いくつかの実施形態では、進行出力は、各個別の別々のテーブルを含み、各要素が、概念のうちの1つ以上に関連する。いくつかの実施形態では、概念は、以下に記載するように、シェイプで表され得る。概念は、総合ステージ、リンパ管浸潤、人種などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ELが患者の進行及び関連進行期間を決定すると、進行追跡IDと呼ばれる固有のハッシュが各進行期間に生成される。いくつかの実施形態では、「最良ファクト」が決定されると、それぞれが、固有の識別子としての対応する進行追跡ID及び患者IDと共に、関連概念テーブルに保存される。患者の完全なレコードを構築するには、その患者の進行追跡IDを使用して、概念テーブルのそれぞれをクエリし得る。進行出力テーブルは、進行またはノードアドレス生成に基づく分析に使用されるために、出力するか、下流にプッシュすることができる。
【0072】
上述したように、いくつかの実施形態では、抽象化プラットフォーム「AP」は、最良ファクトを選択する前に、全ての抽象化ファクトを時系列テーブルに送り込む。ELからの時系列データ出力は、APからの時系列データとは異なる。その理由は、進行期間を用いる進行モデルからの最良ファクトが、全ての抽象化されたデータを含むAPからの時系列データとは異なり、ELからの時系列テーブル出力を送り込むために使用されるからである。
【0073】
いくつかの実施形態では、時系列出力データの構造は、AP出力及びEL出力で同じである。いくつかの実施形態では、時系列テーブルは、各概念がそれ自体のテーブルで表されるという点で、進行ベースのテーブルを反映する。進行時間ウィンドウに関連付けられるのではなく、時系列データは、最初の診断日からのインデックスで表される。例えば、各イベントは、イベント日及び最初の診断日間の日数の差の関数であるインデックスが割り当てられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、EL時系列出力データ及び/または進行出力データは、TNMに関する情報を含み得、これは、患者の体内のがんの量及び広がりについて記載するためにデータレコードから導出される情報を用いるシステムである。Tは、腫瘍のサイズ及び組織付近へのがんのいずれの広がりも表し;Nは、リンパ節付近へのがんの広がりを表し;Mは、転移(体の他の部分へのがんの広がり)を表す。
【0075】
システム(例えば、ELモジュール120)は、患者出力に関連する各要素について識別された最良ファクトを、進行データベース149に進行データとして格納し得る。いくつかの実施形態では、代替として、または追加として、システム(例えば、ELモジュール120)は、患者出力に関連する各要素について識別された最良ファクトを時系列データベース147に時系列データとして格納し得る。アプリケーションA-N125a-nは、時系列データベース147または進行データベース149から、患者に関連する各要素について識別された最良ファクトにアクセスし得る。いくつかの実施形態では、ELモジュール120は、患者に関連する各要素の最良ファクトを、アプリケーションA-N125a-nに直接出力し得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「エンリッチメント」という用語は、いくつかの実施形態では、ユーザーが進行及びノードアドレスの最良ファクトを定義するのを支援するか、またはいくつかの実施形態では、進行及びノードアドレスの最良ファクトを定義する、エンリッチメントレイヤーコンポーネントを指す。
【0077】
本明細書で使用される「分析スキーマ」という用語は、いくつかの実施形態では、計算が格納され、アプリケーション固有のテーブルが構築される、抽象化及びエンリッチされたデータの上のレイヤーを指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、分析スキーマは、候補ファクトまたは最良ファクトに基づいて計算または導出される追加の計算または導出情報を格納するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、治療意図は、候補ファクトまたは最良ファクトに基づいて計算され、分析スキーマに格納することができる。他の実施形態では、追加の計算または導出情報を別の場所に格納することができる。ELにより生成されたデータは、エンリッチされたデータと呼ばれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、分析スキーマは、処置変更の頻度及び分布を格納する。分析スキーマは、全世界分析(RWA)などの1つ以上のアプリケーション、及びノードアドレス生成モジュールで使用することができる。上述のアプリケーションは、進行状況データ出力を再表示し得る。あるいは、上述のアプリケーションは、さらなるデータを生成するために、進行データ出力を使用し得る。
【0080】
出力が時系列データを含む実施形態では、出力は、時系列データダンプを生成するために、使用することができる。時系列データダンプは、患者のタイムライン及びイベントの精査を強化するために使用することができる。非限定例として、アプリケーションの1つから出力を受信する医療提供ユーザーは、自身の患者に関する概要情報、または多くの患者にわたるマクロ情報のみを参照することを希望し得るが、アプリケーションの1つから出力を受信する製薬業界のユーザーは、検査値が測定されたありとあらゆるインスタンスを参照することを希望し得る。様々なユーザーによるこうした異なるニーズは、患者のストーリーに対応する患者データを収集するための様々なアプローチを必要とする。
【0081】
図2は、例示的な実施形態による、抽象化レイヤー202、患者データレイヤー204、及びプロダクトまたはアプリケーション208に関連するELを示す。一実施形態では、抽象化レイヤー202は、抽象化プラットフォームモジュールまたはアプリケーション123を実行し得る。抽象化モジュール123は、抽象化プラットフォームであり得る。本明細書で使用される「抽象化プラットフォーム」(AP)という用語は、臨床抽象化プラットフォームを指す。経時的に、抽象化レイヤー202は、様々なデータリポジトリ170a-n(202a)から患者に関連するファクト、ドキュメントメタデータ、及び抽象化メタデータを収集、アクセス、及び/または検索し得る。患者に関連するデータは、患者に関連する1つ以上の要素に対応する候補ファクトを生成するために、抽象化レイヤー202で抽象化することができる。要素は、個人識別情報、医療概念、処置情報、病状及び/または病気に関連する情報、または患者に関連する情報であり得る。いくつかの要素は、名前及び/または他の識別情報などの、経時的に変化しないものとして処置されるファクトに対応し得る。他の要素、例えば、病気の予後、患者の病状、提供される処置、及び/または年齢は、経時的に変化し得る要素として処理され得る。複数の候補ファクトは、単一要素に対応し得る。患者に関連する候補ファクトのそれぞれは、EL204に送信するか、またはEL204によりアクセスすることができる。
【0082】
ELレイヤー204は、ELモジュール120を実行し得る。ELモジュール120は、患者に関連する要素に対応する候補ファクトを受信するように構成されている。ELモジュール120は、削減ルールに基づいて、要素に対応する候補ファクトから特定の要素の最良ファクトを識別し得る。削減ルールは、重複排除及び逆シリアル化などのプロセスを含み得る(204a)。いくつかの実施形態では、ELモジュール120は、重複または不正確な要素に対応する候補ファクトを排除するために、候補ファクトを重複排除及び逆シリアル化することができる。例えば、重複排除プロセスでは、冗長な候補ファクトを削除し得る。逆シリアル化プロセスは、要素に対応する候補ファクトから少なくとも1つの最良ファクトを決定する。削減ルールは、
図3に関してさらに詳しく記載されるであろう。
【0083】
経時的に変化し得る要素については、ELモジュール120は、診断に対応する進行期間または進行マイルストーンの要素に対応する候補ファクトから少なくとも1つの最良ファクトを決定するように構成されている。各要素の、または診断もしくは進行マイルストーンのための各要素に対する最良ファクトの決定は、
図4~5に関してさらに詳細に記載されるであろう。
【0084】
いくつかの実施形態では、要素の全てまたは少なくともいくつかについて、識別された少なくとも1つの最良ファクトは、上記及び下記の通り、承認または検証のためにユーザーインターフェース(例えば、グラフィカルユーザーインターフェース)を介して提案された少なくとも1つの最良ファクトとしてユーザーに提示される。
【0085】
いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの要素について、ELモジュールは、経時的に変化するにつれて処置されない要素の複数の最良ファクト、または、経時的に変化し得る要素の診断もしくは進行マイルストーンのための要素の複数の最良ファクトを識別する場合、ELモジュールは、識別された複数の最良ファクトをコンフリクト解決システムまたはモジュールに送信し得る。コンフリクト解決モジュールは、複数の最良ファクトから単一の最良ファクトの識別を返す。いくつかの実施形態では、コンフリクト解決システムまたはモジュールは、複数の最良ファクトを人間に提示し、単一の最良ファクトの選択を含む入力を受信し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、ELモジュールは、データの不一致、または潜在的な問題、例えば、がんの場合、同時に複数の原発性がんを有する患者を識別し得る。いくつかのそのような実施形態では、ELは、ユーザーによるレビューのために患者データをエスカレートし得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、ELレイヤーは、また、患者の年齢または計算されたステージなどの概念に対応する追加情報を取得するために計算及び導出を実行する(204b)。
【0088】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの要素について、重複排除後、重複排除後の候補ファクトの全てが、最良ファクトとして識別される。例えば、いくつかの実施形態では、共存症については、候補ファクトの全てが、最良ファクトとして識別される。
【0089】
ELモジュール120が、最良ファクトを承認または検証し得る、患者に関連する1つ以上の要素のそれぞれの最良ファクト(複数可)を識別すると、識別された最良ファクトのそれぞれは、患者レイヤー206に送信することができる。いくつかの実施形態では、患者レイヤー206において、診断、患者の人口構成、病歴、及び/または転帰/処置により構成された患者データの最良のバージョンを生成することができる(206a)。いくつかの実施形態では、データの可視性を支援し、患者レイヤー内のデータの分析を実行するのを支援するために、複数のスキーマが公表される。例えば、いくつかの実施形態では、EL出力は、ELスキーマに直接格納され、次に、それが、患者全体を再構成するために使用され、患者診断(PDX)スキーマ及び実世界証拠(RWE)スキーマの両方にわたるテーブルに格納され、分析スキーマが、追加の計算及び導出を用いて、これらの上に構築される。PDXスキーマは、患者の診断された疾患に固有のデータを保持するが、RWEスキーマは、患者全体に固有のデータを保持し、それ故、疾患に依存しない。代替的または追加的に、患者の進行点及び進行期間を表すためのノードアドレス及び後処理を生成することができる(206b)。いくつかの実施形態では、患者レイヤー206で生成されたデータは、プロダクトレイヤー208に送信することができる。プロダクトレイヤー208は、アプリケーションテーブル127a-nを含み得る。アプリケーションテーブル127a-nは、さらなる使用のために患者レイヤー206で生成されたデータを受信し得る。いくつかの実施形態では、アプリケーションテーブルは、複数のテーブル及びスキーマを参照するのではなく、単一のソースでアプリケーションを起動するように設計される。これは、また、ソーステーブルをアプリケーションに必要なデータのみに制限する。
【0090】
図3は、例示的な実施形態による最良ファクトを識別するための候補ファクトの例示的な削減を示す。上述のように、抽象化アプリケーション123は、抽象化レイヤー202内の患者に関連するデータにアクセス、受信、及び/または検索し得る。非限定例として、抽象化モジュール123は、複数の異なるデータリポジトリ170a-nから患者の名前にアクセス、受信、及び/または検索することができる。従って、抽象化モジュール123は、患者名の複数の異なるインスタンスを含み得る。抽象化モジュール123は、ファーストネーム、ミドルネーム、またはラストネームを示すデータの各インスタンスを識別し得る。例えば、抽象化モジュール123は、Johnのインスタンスをファーストネームとして、Doeをラストネームとして識別し得る。抽象化モジュール123は、さらに、Johnのインスタンスをファーストネームとして、Aをミドルネームのイニシャルとして、Doeをラストネームとして識別し得る。抽象化モジュール123は、さらに、Jonのインスタンスをファーストネームとして、Doeをラストネームとして識別し得る。これらのインスタンスのそれぞれは、患者の名前要素に対応する候補ファクトとして具体化することができる。候補ファクトは、EL204に送信することができる。
【0091】
削減ルールを使用して、要素に対応する最良ファクト(複数可)を識別するために、EL204は、候補ファクトを受信し、候補ファクト204を削減し得る。各要素は、1つ以上の削減ルールに関連付けることができる。各要素の各削減ルールに、優先順位を割り当てることができる。例えば、ELモジュール120が、削減ルールを使用して要素のファクトの候補から最良ファクトを決定できない場合、次の削減ルールが適用される。一例として、削減ルールは、同等を維持し、最大を維持し、及び/または最大以外を破棄するルールも含み得る。例えば、患者名の要素がファーストネーム、ミドルネーム、及びラストネームを取得するように設計される場合、ファーストネーム、ミドルネーム、及びラストネームを含む患者名が、ファーストネーム及びラストネームを含む患者名と比較して、より良いファクトとみなされる。前の例を続けると、候補ファクトの最も完全なデータセットは、John A.Doeのインスタンスである。従って、ELモジュール120は、患者名の特定の要素に対応する最良ファクトとして、John A.Doeを識別し得る。この例では、「最大」は、名前の順序により定義され、「順序」は、ミドルネームの有無により部分的に定義される。このプロセスの目標が「結びつき」を低減することを考えると、本明細書で「同等」は、暗示されている。「John Doe」の2つのインスタンスの場合のように最良ファクトが識別されない場合、両方の値が、維持され、「結びつけられた」要素のリストとして、次の削減ルールに中継される。別の例として、削減ルールは、最小を維持し、最大を破棄し、同等を維持するというルールを含み得る。いくつかの場合では、小さい値は、大きい値よりも伝えることが重要である。この場合、ELモジュール120は、最小値を優先し、同等値を保持し、より高い値を破棄するように命令される。別の例として、削減ルールは、等しい場合、そのうちの1つを破棄するルールを含み得る。この場合、同じ候補ファクトのインスタンスが2つある場合、ELモジュール120は、候補ファクトのうちの1つを破棄するように命令される。
【0092】
別の例として、削減ルールは、最も頻繁に出現する概念を自然順序付けにより保持するルールを含み得る。この場合、いくつかの要素は、相互に固有の優先順位を有する。アルファベット順または数字順とは異なり、これらのグループの順序/優先順位は、本質的に医学的なものである。例えば、いくつかの組織型は、他の組織型よりも積極的であり、他の組織型よりも優先順位を有するであろうが、これは、組織型に対応する値を見るだけでは直観できないが、代わりに、特定の医療順序付けルールを要求する。特定の医療順序付けルールの別の例は、閉経状態に関する順序付けルールである:つまり、閉経後は、閉経基前後よりも優先度が高く、これは、閉経前よりも優先度が高い。特定の医療順序付けルールのさらに別の例は、分子マーカー検査方法に関するルールである:NGSは、PCRよりも優先度が高く、これは、FISHよりも優先度が高く、これは、細胞遺伝学よりも優先度が高く、これは、IHCよりも優先度が高く、これは、特定不能のものより優先度が高い。
【0093】
いくつかの要素では、削減ルールは、2つの候補ファクトがそのフィールドの事前定義された数で同一である場合、これら2つのファクトが削減の候補になるというルールを含み得る。
【0094】
いくつかの要素及び削減ルールは、特定の種類のがんに固有である。例えば、ELモジュールは、情報、例えば、分子マーカーであるエストロゲン受容体陽性(ER+)、プロゲステロン陽性(PR+)、及びヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)に基づいて、乳癌患者の最良ファクトを識別し得る。いくつかの実施形態では、患者が複数の異なる主要病状または疾患(例えば、複数の異なるタイプのがん)を有する場合、ELモジュール120は、主要病状もしくは疾患に関して患者を分類する方法、または、患者がシステムにより分類することができるかどうか、を判定するために、訓練済みユーザーによるレビューのエスカレーションのために患者に関する情報を伝達し得る。
【0095】
上記及び下記のように、いくつかの実施形態では、要素の少なくともいくつかについて、少なくとも1つの最良ファクトが、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、ユーザーに提案された少なくとも1つの最良ファクトとして提示され、少なくとも1つの最良ファクトを承認もしくは検証するか、または、エンリッチメントとして本明細書で識別されるプロセスを介して要素について候補ファクトから少なくとも1つの最良ファクトを選択する入力が受信される。
【0096】
識別された少なくとも1つの最良ファクト(いくつかの実施形態では、特定の要素に対して、承認または検証された少なくとも1つの最良ファクトである)は、患者レイヤー206に送信することができる。患者レイヤーは、プロダクトレイヤー208に送信されるのに必要なデータ出力を生成し得る。
【0097】
経時的に変化し得る各要素について、ELモジュール120は、要素に対応する各候補ファクトを、患者の病気または病状の診断または進行期間と関連付け得る。経時的に変化し得る各要素では、ELモジュール120は、その要素に関連する候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別し得る。要素が進行期間に関連する対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、ELモジュール120は、マイルストーンの要素に対応する最良ファクトとして、対応する候補ファクトを識別し得る。要素がマイルストーンに関連する対応する複数の候補ファクトを有する場合、ELモジュール120は、要素に固有の削減ルールに基づいて、複数の候補ファクトから進行期間の要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別し得る。
【0098】
少なくともいくつかの要素について、ELモジュール120は、データから抽出された他の候補ファクトのうちの1つ以上及び1つ以上の医療ルールに基づいて、患者に関連する要素の最良ファクトを導出し得る。導出された候補ファクトが経時的に変化しない要素に対応する場合、ELモジュール120は、導出された候補ファクトを、要素のデータから抽出された1つ以上の候補ファクトと比較することにより、要素に固有の削減ルールに基づいて、最良ファクトを識別し得る。要素がマイルストーンに関連する複数の対応する候補ファクトを有する場合、ELモジュール120は、導出された候補ファクトをデータから抽出された1つ以上の候補ファクトと比較することを含む、要素に固有の削減ルールに基づいて、複数の対応するファクトからマイルストーンの要素に対応する最良ファクトを識別し得る。
【0099】
経時的に変化し得る各要素について、要素に対応する各候補ファクトを、診断または進行マイルストーンに関連する進行期間と関連付けすることは、時間ウィンドウに基づき得、所定の時間ウィンドウ内で発生するイベントを意味することは、時間ウィンドウに割り当てられ、これは、初期診察ウィンドウまたは進行追跡ウィンドウに関する時間ウィンドウであってよい。初期診断ウィンドウ(初期進行期間である)は、最初の診断日及び患者が進行する最初の時間の間の時間で定義される。後続の「進行追跡」時間ウィンドウは、本明細書では進行期間とも呼ばれ、進行日の開始から次のいずれかまで定義される。(1)後続の進行日;(2)患者の死亡;または(3)「今日」(患者が、依然として、生きており、「不確定の」終了日に再度実質的に進行していないことを意味する)。
【0100】
図4は、一実施形態による、最良ファクトを識別するための医学に基づくルールの適用を示す。一実施形態では、ELモジュール120は、経時的に変化するか、または経時的に変化しない、患者に関連する要素に対応する最良ファクト(複数可)を計算または導出し得る。一例として、候補ファクト402~408は、患者の病気または病状の診断または進行マイルストーンにおける患者の総合ステージに対応する。臨床ステージよりも病理学的に決定されたステージを優先する要素「総合ステージ」に特有の削減ルールに基づいて、ELモジュール120は、候補ファクト404及び406が、候補ファクト402及び408よりも患者の総合ステージに関してより正確な情報を提供することを決定し得、これは、ステージの決定がどのように行われたかを示す候補ファクト402~408で提供されるデータに基づいて、病理学的に決定されない。
【0101】
他のほとんどの要素とは異なり、全ての共存症ファクトは、「最良」であると考えられるので、共存症に関して単一の最良ファクトを選択する必要はない。共存症に特有の削減ルールは、これを反映する。
【0102】
いくつかの実施形態では、要素の最良ファクトを決定するELモジュール120は、計算または決定を使用して、他の候補ファクトに基づいて、1つ以上の候補ファクトが不正確または不完全であることを判定することを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、候補ファクトは、患者レコードからの候補ファクトと、計算または導出された候補ファクトとの両方を含む。
図5は、例示的な実施形態による、患者レコードから提供された候補ファクトと、計算及び/または導出された候補ファクトを使用する例を示す。抽象化レイヤー202において、抽象化モジュール123は、患者の病気または病状の診断に対応する進行期間または進行マイルストーンに関連する要素に対応する候補ファクトをもたらす患者データを抽象化し得る。ELレイヤー204では、ELモジュール120は、候補ファクト及び削減ルール内のデータを使用して、候補ファクトから最良ファクトを計算し得る。計算された最良ファクトは、「最良総合ステージ」に昇格する。「最良総合ステージ」は、患者の病気または病状の最も正確な診断または進行マイルストーンを表し得る。
【0104】
図5は、集計または抽象化されたデータ、及び最終的な下流プロダクトで使用される選択される「最良の」情報を概略的に示す。例は、いかに、総合ステージを医師がどのように明示的に述べ、それ自体を抽象化することができるかを示すが、総合ステージの計算のコンポーネントを構成するTNMも抽象化されている。全ての情報は、データベースに格納され、次に、EL論理は、どのバージョン(TNMファクトから計算されたステージ、または医師が明示的に述べた総合ステージ)がノードアドレス及び他の点で使用される患者を最もよく表しているかを判定するために使用される。いくつかの実施形態では、EL204で決定される識別された最良総合ステージ、計算された総合ステージ、及び手動総合ステージは、最良総合ステージに関する情報が患者レイヤー206に出力される前に、最良総合ステージの承認または検証のために、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、ユーザーに提示される。
【0105】
ELモジュールは、臨床検証を実行するように構成されている。これは、データセットが与えられた場合、特定のファクトまたは値について最も可能性が高い正確なデータは、データポイントXであり、これは、医学に基づく削減ルールの実装を含む。例えば、臨床的に決定されるものではなく、病理報告から決定されるステージの優先度を示す総合ステージに関連する上記のルールは、医学に基づいた削減ルールである。
【0106】
いくつかの実施形態では、システムは、出力された最良ファクト及び/または患者が様々な下流用途に適しているかどうかを判定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、患者レイヤー206において、ELモジュール120は、患者データをRWAなどの他のアプリケーションに送信すべきかどうかを決定するために、計算された「最良総合ステージ」を使用し得る。いくつかの実施形態では、患者または患者の出力された最良ファクトデータは、識別された全要素、データ内の臨床的に重要なコンフリクト、または他の要因で基づいて、下流アプリケーションに提供されるのに不適格または不適当であるとみなすことができる。従って、ELは、抽象化されたファクトが削減し、導出され、計算される場合、ファクトゲートウェイとして機能し、これは、下流に送られる前に、誤ったまたは不完全な患者データが進行するのを防ぐ。
【0107】
いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの要素について、進行期間の要素の識別された最良ファクトは、進行期間のその要素の複数の識別された最良ファクトがない限り、承認及び検証のためにユーザーに表示されず、複数の最良ファクトの中から1つの最良ファクトを選択するユーザー入力が受信される。そのような実施形態では、システムは、削減ルールが単一の最良ファクトを識別できない場合、ユーザーの選択のために複数の最良ファクトを表示する。これは、コンフリクト解決として記載され得る。いくつかの実施形態では、コンフリクト解決は、要素について最良ファクトを決定する追加情報または確認のための医療提供者または医療レコード提供者に問い合わせを送信することを含んでもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、進行期間の要素の識別された最良ファクトが1つだけ存在するかまたは複数存在するかに関わらず、少なくともいくつかの要素について、要素の識別された最良ファクトは、常に、承認及び検証のためにユーザーに、提案された最良ファクトとして表示される。いくつかのそのような実施形態では、他の候補ファクトの少なくともいくつかが、提案された少なくとも1つの最良ファクトと共に表示され、これは、提案された最良ファクトとして識別される。
【0109】
ELモジュールのワークフローは、事前定義された結果、例えば、要素のルールの実装順序、を取得するために実行される操作の論理シーケンスについて記述する。いくつかの実施形態では、システムは、非プログラマがELモジュール内のルールまたはワークフローを追加または変更することができるようになるソフトウェアコンポーネントとして実装され得るモジュールであるルールエンジンを含むか、または用いる。
【0110】
本明細書で使用される「デシジョンテーブル」という用語は、決定及びその基準のリストを指す。マトリックスとして設計されており、基準(入力)と、基準の全ての可能な組み合わせの結果(出力)がリストされる。それは、その処理を指示するために、プログラムに配置することができる。プログラムは、デシジョンテーブルを変更することにより変更される。いくつかの実施形態では、デシジョンテーブルは、非プログラマが、ELモジュール内のルールまたはワークフローを追加または変更することができるように用いられる。
【0111】
いくつかの実施形態では、削減ルールの少なくともいくつかは、ファジー論理を用いる。本明細書で使用される「ファジー論理」という用語は、不正確または可変データを処理するための一種の論理を指し、これは、従来のバイナリ値の代わりに、より高い柔軟性を備えた値の範囲を用いる。
【0112】
上述されるように、EL204では、ELモジュール120は、抽象化レイヤー202の抽象化モジュール123から受信した候補ファクトから各要素の最良ファクトを識別し、ELモジュール120は、1つ以上の出力を生成する。出力は、進行出力、時系列出力、またはその両方を含む。時系列出力は、患者に関連する要素に対応する最良ファクトを経時的に一連のイベントとして提示する。進行出力は、患者の病気及び/または病状の進行マイルストーンに対応する進行期間を考慮して、患者に関連する要素に対応する最良ファクトを提示する。時系列出力及び進行出力は、プロダクトレイヤー208内のアプリケーション(例えば、実世界データ(RWD)、実世界証拠(RWE))により使用され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、RWDは、時系列出力を受信する。RWDでは、ファクトは、一連のテーブルに対応する時系列として提示される。テーブルは、1つのデータファイルまたは一連のデータファイルにおいて、顧客に提供することができる。いくつかの実施形態では、データファイルは、CSV/XLSファイルであり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、RWEは、進行出力を受信する。RWEでは、ファクトは、他の多くのプロダクト及び解決で使用される進行テーブルを作成するために使用される。進行は、患者の経過全体にわたる分析的に関連したウィンドウを提供し、処置変更の頻度及び分布をベンチマークテストする。
【0115】
図6は、例示的な実施形態によるELワークフローを示す。上記のように、ELデータは、進行データもしくは時系列データ、またはその両方として出力することができる。一実施形態では、抽象化モジュール123は、データを患者に関連する要素に対応する候補ファクト602に変換するために、患者に関連するデータを抽象化し得る。候補ファクトは、ELモジュール120に送信されるか、またはELモジュール120によりアクセスされる。ELモジュール120は、削減ルールに基づいて、各要素に対応する候補ファクトを削減するために、削減プロセス604を実行する。少なくともいくつかの要素では、ELモジュール120は、各要素に対応する削減された候補ファクトから最良ファクトを導出及び計算するために、導出及び計算プロセス606を実行する。いくつかの実施形態では、要素の少なくともいくつかについて、1つ以上の最良ファクトが、承認または検証608のためにグラフィカルユーザーインターフェースでユーザーに表示される。このステップは、全ての実施形態に含まれるわけではないので、点線で囲まれている。承認または検証された最良ファクトであり得る最良ファクトは、ELスキーマ610に入力される。ELスキーマは、EL出力を格納するテーブルのセットである。抽象化された各医療概念は、ELを通じて処理され、独自のテーブル内のストレージに出力される。例えば、いくつかの実施形態では、プラットフォーム内で抽象化された全ての「リンパ血管浸潤」ファクトは、同じELルールを通じて処理され、参照用の属性付き患者id及び進行追跡idと共に同じストレージテーブルに一緒に出力される。
【0116】
いくつかの実施形態では、ELモジュール120は、患者に対するELスキーマ610からの最良ファクトを、進行グループ化データ612及び/または時系列データ614として送信し得る。いくつかの実施形態では、ELは、最良ファクトだけでなく、要素の全ての抽象化データを2つの形式で出力する:1つは、診断日以降のイベントのタイムラインに基づいて患者について抽象化された全てのデータを反映する時系列データ用であり、1つは、定義された「進行ウィンドウ」内への包含に基づいて、時系列データをグループ化する進行ベースデータ用である。各要素612に対応する、格納された進行グループ化データ内の最良ファクトは、RWAなどのアプリケーションで使用される分析スキーマ618を介して提示される。いくつかの実施形態では、最良ファクトは、時系列データとしても格納される。
【0117】
いくつかの実施形態では、最良ファクトは、ノードアドレス612を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、ノードアドレスは、リファインされたノードアドレス(以下に定義)である。いくつかの実施形態では、ノードアドレスは、処置関連変数のセットの少なくとも最小サブセットに対して属性が割り当てられる場合の暫定ノードアドレスである。いくつかの実施形態では、ノードアドレスは、分析スキーマからのデータに基づいて生成される。いくつかの実施形態では、ノードアドレスは、ELスキーマからのデータに基づく。いくつかの実施形態では、生成されたノードアドレスは、1つ以上のアプリケーションの入力として使用され得る。
【0118】
最良ファクトの削減及び決定に用いられる論理またはルールをELに集中化することにより、ELモジュールは、各下流アプリケーションが各患者に対して全ての時点で常に同じ進行概念を使用していることを保証する。これは、患者の1人の臨床レコードが、ELからの出力を使用する任意のプロダクトまたはアプリケーションにおいて参照される場合、使用されるデータが、全てのプロダクト及びアプリケーションにわたって全く同じであり、唯一の差異は、患者のデータが伝達される方法であることを保証するために重要である。進行グループ化データ612からの最良ファクトは、1つ以上の進行クライアントデータダンプ622で送信または提供され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、時系列データ614内の最良ファクトは、時系列クライアントデータダンプ624を生成するために使用することができる。このデータは、患者のタイムライン及びイベントの精査を強化するために利用することができる。例えば、医療提供者である下流ユーザーは、自分の患者に関する概要情報、または多くの患者にわたるマクロ情報のみを参照することを希望し得るが、製薬業界の下流ユーザーは、検査値が測定されたありとあらゆる場合を参照することを希望し得る。下流ユーザーによるこうした異なるニーズは、患者のストーリーを組み立てるために異なるアプローチが必要である。
【0120】
いくつかの実施形態では、導出された明確な概念に基づいて、患者のがんに関連する情報は、診断から現在または死亡した患者の期限までのイベントのタイムラインとして提示することができる。
【0121】
進行グループ化データ及び時系列データ間の最も重要な差異は、進行期間に対する時間ウィンドウの存在及び制限であり、これは、本明細書では進行追跡とも記載され得る。進行追跡の時間ウィンドウに拘束されるのではなく、時系列データは、単純に時間の関数として表される。結果は、データが、様々なプロバイダーの外部アプリケーションにより外部で、より容易に階層化することができるが、そこから導出される結論は、各解釈者毎に異なり得る。
【0122】
図7は、例示的な実施形態によるEL出力からのノードアドレスの生成を示す。COTAノードアドレスまたはCNAと呼ばれ得るノードアドレスの生成に関する詳細は、米国公開特許出願第2015/0100341号に見出され得、これは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。暫定ノードアドレスまたはリファインされたノードアドレスであるノードアドレスの生成に関する詳細は、米国仮特許出願第62/900,135号(本出願の出願人により2019年8月13日に出願)及び特許出願公開第2021/0082573号に見出され得、このそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
ノードアドレスは、ノードアドレス(例えば、暫定ノードアドレスまたはリファインされたノードアドレス)に含まれる事前に選択された変数の属性と呼ばれる値に基づいて、患者に関する一連の個人健康情報に割り当てることができる。事前選択された変数は、処置関連変数を含み得、処置に関連する場合または関連しない場合の予後または転帰関連変数も含み得る。
【0124】
暫定ノードアドレスであり得るノードアドレスは、患者の早期の処置決定を容易にする。例えば、いくつかの実施形態では、患者が割り当てられるノードアドレスは、所定の患者ケアサービスのバンドルに関連付けられ、所定の患者ケアサービスに関する情報は、患者の医療提供者または患者の医療支払者に提供され得る。さらに、患者の処置に関連する追加または更新情報が受信される時、ノードアドレスは、必要に応じて、処置に関連する追加または更新情報に基づいて、更新または変更される。所定の患者ケアサービスの異なるバンドルが、更新または変更された暫定ノードアドレスに関連付けられている場合、所定の患者ケアサービスの異なるバンドルに関する情報が、患者の医療提供者または患者の医療支払者に提供される。
【0125】
いくつかの実施形態では、患者に関する初期データは、患者の診断時または診断直後にシステムまたは方法に提供されるであろう。暫定ノードアドレスまたは更新ノードアドレスが割り当てられる時点で、提供された患者データは、患者に推奨された処置コースを決定するのに十分な情報であるが、患者の定義された終点イベント(例えば、全生存期間、無増悪生存期間、または無疾患生存期間)の発生に関して、予後関連の予想転帰を提供するには不十分な情報を含んでもよい。患者をノードアドレスに割り当てる前に、予後関連の予想転帰に関連するが、処置には関連しない情報の受信を待つ代わりに、処置関連情報のみを組み込んだ暫定ノードアドレスに患者を割り当てることは、特に、診断後の疾患のプロセスの初期に、システムまたは方法が患者情報のガイド用処置決定において医療提供者または医療支払者を支援することを可能にする。
【0126】
いくつかの実施形態では、患者の予後関連の予想転帰を決定するために、進行期間中の患者に関連するノードアドレスが使用される。これは、米国公開特許出願第2015/0100341号、2019年8月13日に出願された米国仮特許出願第62/900,135号、及び米国特許出願公開第2021/0082573号でさらに詳細に説明されており、これらのそれぞれが、全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、予後関連の予想転帰に関連する少なくとも最小量の情報を含む患者に関する追加情報が受信された後、患者は、患者の予後関連の予想転帰を決定するために使用されるリファインされたノードアドレスに割り当てられる。いくつかの実施形態では、リファインされたノードアドレスは、患者の予想転帰のリスク調整に使用される。EL出力には、患者に関連する要素に対応する最良ファクトを含み得る。最良ファクトは、患者及び患者の病気及び/または病状に関連する最も正確な情報を表し得る。従って、EL出力は、最良ファクトを属性として使用して、診断に対応する患者または診断に対応する進行期間または進行マイルストーンのノードアドレスを生成するために使用することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、EL出力は、患者の診断された疾患に特有の患者診断PDX702スキーマで、及び/または疾患に依存せず、患者全体に特有のデータを保持するRWEスキーマ704(例えば、すなわち、患者の人口構成の処理、転帰、及びパフォーマンス)で表現することができる。いくつかの実施形態では、患者診断PDXスキーマ702からのデータ及びRWEスキーマ704からのデータの形式であり得るEL出力は、表現型ジェネレーターCBRE708に送信されるように、PDXまたはRWEデータフォーマットデータを表現型臨床ベースルールエンジン(CBRE)互換データに変換し得るコンバータ704に送信することができる。本明細書で使用される「表現型」という用語は、機序のいかなる影響もなく、疾患の任意の観察可能な特徴を意味する。いくつかの実施形態では、コンバータ706は、不要であり、ELからの出力は、変換せずに表現型ジェネレーターCBRE808への入力として処理することができる。表現型CBRE708は、入力データに基づいて表現型を生成し得る。表現型ジェネレーターCBRE708は、生成された表現型に関するデータを、ノードアドレスシーケンサー710に送信することができる。ノードアドレスシーケンサー710は、生成された表現型が、以前に生成されたノードアドレスを有さなかった疾患の新しい表現型であるかどうかを判定し得る。そうであれば、それは、新しいノードアドレスを生成し得る。そうでない場合、以前に生成されたノードアドレスが患者に割り当てられるであろう。ノードアドレスを生成するのに十分な情報がない場合、ノードアドレスシーケンサー710は、ノードアドレスを生成しないことがある。いくつかの実施形態では、ノードアドレスが生成されない場合、ノードアドレスを生成するのに不十分な情報であったことを示すメッセージが送信され得る。ノードアドレスモジュール712は、がんに基づいて患者及び進行についてのノードアドレスを生成し得る。いくつかの実施形態では、ノードアドレスは、ユーザー、クライアント、またはアプリケーションに送信され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ノードアドレスは、ノードアドレスメトリクスアプリケーション718及び/またはサービス714アプリケーションとしてノードアドレスに送信される。
【0128】
いくつかの実施形態では、最良ファクト及び/または最良ファクト自体に基づくノードアドレスは、患者の転帰の分析、患者の処置の分析、特定の処置に対する患者の候補としての識別、処置もしくは転帰の外れ値の分析、処置のばらつきの低減、または患者に適している処置計画もしくは選択肢の識別のために用いられ得る。最良ファクトエンリッチメントによりリファインされ得るノードアドレスまたは他の患者情報と、ノードアドレスまたは他の患者情報を用いるシステム及び方法のそのような使用は、米国特許第9,378,531号;米国特許第9,646,135号;及び米国特許第9,734,291号(これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。患者の転帰の分析、患者の処置の分析、特定の処置の候補としての患者の識別、特定の患者の疾患に適切な処置計画の決定、処置もしくは転帰の外れ値の分析、処置のばらつきの低減、及び/または患者に適切な処置計画もしくは選択肢の識別のための最良ファクト及び/または最良ファクトそのものに基づくノードアドレスを用いる分析を組み込むシステム及び方法についてのさらなる記載は、以下に
図26及び
図27に関連して記載されている。
【0129】
図8は、例示的な実施形態による読み取り専用データベース許可モデルを示す。読み取り専用データベース許可モデルは、ELモジュール120により使用することができ、データを3つの出力レベル:完全許可802、詳細分析804、及びエントリポイント806に分割することができる。
【0130】
完全に許可された出力レベル802は、抽象化取り組みから収集された最も生のデータと、ELでのデータの最も軽い処理を含む。この出力データは、分析的には最も複雑であるが、解析が最も困難である。詳細分析出力レベル804は、詳細分析を可能にする時系列データを含み、特に、ライフサイエンスバーティカル(例えば、バイオテクノロジー産業、製薬、医療機器などの発見を通して、ライフサイエンス産業、例えば、医療情報学、ビジネスインテリジェンスの複数のセグメントにわたり統合する事業単位)または製薬業界のエンドユーザーによる分析に適する。これは、進行ベースのモデルを分離したビューであり、データの時系列の性質に基づいたより高度な分析を促進する。エントリポイント出力レベル806は、既に、このデータで実行され、ELの全ての態様の結果である分析を含み得、一般に、より豊富な事前定義された構造の患者データを利用する必要がある者のために設計される。データの可視性を支援し、患者レイヤーのデータの分析の実行を支援する複数のスキーマを公表することができる。
【0131】
オペレーティングシステムでは、カーネルは、ソフトウェアからの入力/出力要求を管理し、それらを中央処理装置及びコンピューターの他の電子コンポーネントに対するデータ処理命令に変換するコンピュータープログラムである。
図9は、例示的な実施形態による、ELモジュールに実装された例示的なELカーネル902を示す。ELカーネル902へのデータフローは、抽象化モジュール123から生成された候補ファクト、ファクトメタデータのサブセット、及び制御データを含み得る。この設計は、ELに、候補ファクト内に含有されるデータに対して医療ルール及び削減ルールを適用する時に、3つのソース全てを使用する柔軟性を付与する。
【0132】
一例として、いくつかの実施形態では、ELカーネル902は、分子マーカー、組織学、及び/またはオンコツリー、疾病及び関連健康問題の国際統計分類第10版(ICD10)コードを制御データとして受信し得る。例えば、いくつかの実施形態では、制御データは、がんを表す全てのICD10コードを含む。いくつかの実施形態では、制御データは、がんを表す全てのICD9コードも含む。いくつかの実施形態では、制御データは、マッピングされたデータのキャプチャのために提案された明示的な値のセットについて記載するために使用されるものも含み得る。ICDコードは、診断を表すために、世界中の医師、健康保険会社、及び公衆衛生機関により使用される英数字コードである。各コードは、特定の診断を詳細について記載する。最初の3文字は、疾患、障害、感染症、または症状のカテゴリーを定義する。例えば、M00~M99で始まるコードは、筋骨格系及び結合組織の疾患(関節リウマチのような)用のものであるが、J00~J99で始まるコードは、呼吸器系の疾患用のものである。位置4~6の文字は、体の部位、問題の重症度、傷害または疾患の原因、及び他の臨床的詳細を定義する。上記の関節リウマチの例では、5番目の文字が、体の部位を定義し、6番目の文字が左側か右側かを定義する。5番目の文字位置の3は、影響を受けるのが手首であることを示す。6番目の文字位置の2は、影響を受けるのが体の左側であることを示す。文字7は、例えば、これがこの問題の最初の遭遇、その後の遭遇、または別の状態の結果として生じる後遺症であるかどうかを定義する、様々な目的に使用される拡張文字である。ELモジュール120は、必要に応じて、ICD10コード情報またはデータを取り込み得る。
【0133】
オンコツリーグループは、別々に処置されるべき組織構造間で差異があるか、または、処置に関しては組織構造間で差異はない。例えば、組織学のいくつかの差異は、異なる処置を要求しないことがある。オンコツリーは、同様に処置することができる様々な組織学をグループにマッピングする。ELモジュール120は、オンコツリーグループに基づいた混合組織学の概念を用い得る。
【0134】
同じ組織学は、異なるタイプのがん(例えば、肺、乳房の腺癌、または結腸癌)に使用され得る。どのオンコツリーグループが特定の組織型に対応するかを決定することは、ICDコードを参照して組織学のがんサブタイプを決定する必要がある。
【0135】
がん固有の実装では、ほとんどの制御データは、がんのタイプに依存しない。いくつかの実施形態では、システムは、グラフィカルユーザーインターフェース(例えば、ドロップダウンメニュー)を介して、制御データのいくつかの値の選択を受信する。
【0136】
制御データのいくつかは、いくつかのファクトに対してどの値が許容されるかを特定する。例えば、制御データは、エストロゲン受容体(ER)の許容データとして、ER+、ER増幅、及びER-を含み得る。いくつかの実施形態では、いくつかの制御データは、グラフィカルユーザーインターフェースを介して(例えば、マルチレベルのドロップダウンメニューを含み得るドロップダウンメニューを介して)、システムの演算子により選択または特定される。
【0137】
ELカーネル1002のルールレイヤー904では、医療ルールは、重複排除、順序付け、及び比較を含む削減ステップを指示し得る。いくつかの実施形態では、重複は、少なくとも部分的に、複数の異なるソースから得られるファクトに起因し、重複排除が必要となる。ある項目を別の項目よりも選択するための明確な医療階レイヤーまたはデシジョンツリーを有する要素は、ルールレイヤー904に記載することができる。
【0138】
ELカーネル902の削減セマンティクスレイヤー906では、削減セマンティクスは、医療ルール及び抽象代数間の「変換レイヤー」を提供し、これは、医療ルールを代数概念に効果的に変換する。これらの代数的概念は、さらに、医療ルールを数学的ルールに階層化し、ELが削減論理をプログラム的に実行することが可能になる。
【0139】
ELカーネル902の比較レイヤー908では、削減セマンティクスレイヤーからの出力は要素毎のリストである。比較レイヤー1008は、必要に応じて、これらのリスト内及びリスト全体にわたって結果を順序付け及びランク付けする。比較レイヤー1008は、(1つ以上の)「ウィナー」が決定される場所にある。
【0140】
医療概念の範囲に応じて、どのレイヤーでも「データ出力」と記述され得る。これは、一連のルール内で決定された操作の順序により決まる。データ出力は、ELスキーマ内のテーブルに書き込まれる出力である。
【0141】
非限定例として、候補ファクトの削減は、数値で表すことができる。自然数のセットの例(0、1、2、2)では、削減ルールを使用すると、削減は、(2,2)になるであろう。これは、0及び1は、2未満であり、従って、破棄されるためである。2は、双方ともに、この数値セットの最大値であるため、それらの両方ともが保持される。別の削減ルールを適用すると、(2,2)を1つの値に削減し得る。手短に言えば、(0、1、2、2、)→(2、2)→2。
【0142】
いくつかの実施形態では、ELモジュールは、入力データ及び候補ファクトをシェイプの形式で処理する。設計上、同様の算術演算は、シェイプに適用することができ、これは、それらを特定の基準と比較することを可能にする。ELモジュールは、候補ファクトの形態の一連のシェイプを、1つ以上の他のシェイプに削減し得る。一連のシェイプを削減するためには、要求される全ては、2つのシェイプを削減する能力(2つのシェイプを「結合すること」と呼ばれる)であり、次に、一連のシェイプ全体に同じ削減セマンティクスを提供する。いくつかの実施形態では、ELモジュールは、シェイプを「結合する」ために、カスタム演算子を使用する。シェイプ及びカスタムの「結合」演算子は、結合性を有し、これは、一連のシェイプが結合される順序は関係ないことを意味する。これは、ELが複数のプロセッサーまたはコンピューティングデバイス上で独立してシーケンス内の異なるペアのシェイプを結合することを可能にし、後で結果を結合するか、またはマージして、より高速且つ効率的な処理が可能になる。2つのシェイプが「結合される」場合、結果は、常に1つのシェイプである。
【0143】
図10は、いくつかの例示的な実施形態による、候補ファクトを表す際に用いることができるシェイプ構造を示す。シェイプ1002は、属性を有する医療概念、属性の制御データ、及び概念の範囲内で何が必要/任意であるかを表し得る。シェイプ1002は、患者に関連する要素であり得る。シェイプ1002は、テンプレートであり得、特定の患者データ「入力フォーム」がどのように機能するかを定義する。ファクトタイプ1004は、医療概念のクラスまたは特定の指標、例えば、「エストロゲン」、「受容体」、「名前」、または「米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)」スケールのパフォーマンスステータス(患者自体をケアする能力に照らして機能する患者のレベル、日常活動、及び身体的能力(いくつか例を挙げると、歩く、働くなど)について記載)であり得る。ファクトタイプは、シェイプ1002の「子」であり得る。例えば、ECOGの場合、その固有のシェイプ1002は、また、その固有のファクトタイプ1004になる。ファクト1006は、「アブストラクタAは、月曜午後3時に患者ドキュメントXYZからECOGを保存した」など、ファクトタイプ1004の実際に保存されたインスタンスである。全てのファクト1006は、ファクトタイプ1004(及び、それに応じたシェイプ)、タイムスタンプ、ユーザー、及びファクト1006が生成されたドキュメントに関連付けられる。プレファクト1008は、必要とされるシェイプの入力フィールドに関して不完全である。例えば、総合ステージに対し列を有する腫瘍登録は、受信することができるが、総合ステージが識別された日付は見つからない。
【0144】
例えば、ECOGパフォーマンスステータスは、がんと診断された患者が病院を訪れるたびに収集されることになっている。病院のエンドユーザーにとって、病院が受信毎にECOGを測定したかどうかを判定することが重要であり得る。収集された各ECOGは、患者に関連する要素に対応する候補ファクトであり得る。ELモジュール120は、同じ訪問内で、ECOGがn回測定され、同じ結果が得られたかどうかを識別し得る。ELモジュール120は、重複排除し、それを1つの結果として考慮し得る。ECOG結果が異なる場合、ELモジュール120は、最良ファクトを最高ファクトとして識別し得るか、または、それは、コンフリクトが検出された場合、削減ルールに基づいて、コンフリクトの解決のために、別のコンフリクト解決モジュールまたはQAチームにエスカレートし得る。
【0145】
図11は、例示的な実施形態による、シェイプに関連する属性を示す。属性1102は、シェイプ1002内に表される単の「入力フィールド」であり得る。属性1102は、薬物リストまたは方法などの制御データを有し得、フリーテキストを可能にし得るか、または数値のみのパターンを要求し得る。
【0146】
図12は、いくつかの実施形態による、対応する要素についての1つ以上の最良ファクトを識別するプロセスを示すフローチャートである。動作1200において、抽象化モジュール123は、患者に関連する初期のデータレコードセットにアクセスまたは受信する。初期のデータレコードセットは、患者、患者の病気、及び/または患者の処置に関する情報を含み得る。動作1202では、抽象化モジュール123は、初期のデータレコードセットから候補ファクトを抽象化し得る。候補ファクトのそれぞれは、データセットとして表すことができる。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの要素について、1つ以上の追加の候補ファクトは、候補ファクトまたは動作1203における候補ファクトの抽象化後の初期のデータセット内の他のデータから導出または計算され得る。非限定例として、いくつかの実施形態では、ELモジュール120は、アクセスされたデータレコード内のTNMコーディングから全体のステージを導出する。いくつかの実施形態では、ELモジュールは、アクセスされたデータレコード内の他の情報から腫瘍のステージも評価し得る。ELモジュール120は、TNMの関数として、評価されたステージを導出されたステージと比較し得、ステージが一致しないので患者をエスカレートするか、またはステージが一致しているように見えることを確認するかを決定する。動作1204では、抽象化モジュール123は、各候補ファクトを、患者に関連する要素に対応するものとして分類し得る。複数の候補ファクトが、要素に対応し得る。要素は、患者の個人情報に関する情報、または患者の病状もしくは病気に関する情報に関連付け得る。出生時の生物学的性別または生年月日などのいくつかの要素は、経時的にまたは病気の進行に伴って変化しないと予想され得る。疾患のステージまたは処置などの他の要素は、経時的に変化すると予想され得る。
【0147】
動作1206では、ELモジュール120は、要素が、経時的に、または疾患の進行に伴って変化し得るかどうかを判定し得る。いくつかの実施形態では、要素が関連付けられているシェイプの特性は、要素が、不変の要素として、または、経時的に、もしくは疾患の進行に伴って変化し得る要素として処理されるべきであるかどうかを示すであろう。動作1208では、経時的に変化しないものとして処理された要素について、ELモジュール120は、要素が複数の対応する候補ファクトを有するかどうかを判定する。動作1208では、要素が対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、ELモジュール120は、対応する候補ファクトを最良ファクトとして識別し得る。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの要素について、識別された最良ファクトは、ユーザーによる承認または検証しやすいことがある。動作1212では、要素が複数の対応する候補ファクトを有する場合、ELモジュール120は、要素に固有の削減ルールに基づいて、複数の対応するファクトのうちの1つ以上の最良ファクトを識別し得る。いくつかの実施形態では、動作1212において対応する要素の複数の最良ファクトが識別される場合、システムは、プロセスで後に使用される対応する要素の単一の最良ファクトを決定するために、複数の最良ファクトを別のモジュールまたはシステムに送信し得る(図示せず)。いくつかの実施形態では、いくつかの要素では、動作1212で複数の最良ファクトが識別されるかどうかに関わらず、1つ以上の最良ファクトは、1つ以上の最良ファクト1222に対応するデータを出力する前に、
図13及び14を参照して、以下で記載されるように、承認または検証1230のために、ユーザーインターフェースを介して、提案された最良ファクトとしてユーザーに提示される。動作1214では、経時的に変化し得る要素について、ELモジュール120は、要素に対応する各候補ファクトを、診断に対応する進行期間または進行マイルストーンに関連付け得る。動作1216では、経時的に変化し得る各要素について、ELモジュールは、要素が進行期間に対して複数の対応する候補ファクトを有するかどうかを判定し得る。動作1218では、要素がマイルストーンに関連する対応する候補ファクトを1つだけ有する場合、ELモジュール120は、対応する候補ファクトを、マイルストーンの要素に対応する最良ファクトとして識別し得る。動作1220では、要素がマイルストーンに関連する複数の対応する候補ファクトを有する場合、ELモジュール120は、要素に特有の削減ルールに基づいて、複数の対応するファクトから、マイルストーンの要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別し得る。いくつかの実施形態では、動作1220で、複数の最良ファクトが、マイルストーンの要素に対応するものとして識別される場合、システムは、後のプロセスで使用されるマイルストーン用の対応する要素の単一最良ファクトを決定するための別のモジュールまたはシステムに、複数の最良ファクトを送信し得る(図示されず)。いくつかの実施形態で、いくつかの要素では、動作1220で、複数の最良ファクトが識別されるかどうかに関係なく、1つ以上の最良ファクトは、
図15に関して以下で記載されるように、1つ以上の最良ファクト1222に対応するデータを出力する前に、承認または検証1230のためのユーザーインターフェース(例えば、グラフィカルユーザーインターフェース)を介して、提案された最良ファクトとしてユーザーに提示される。動作1222では、ELモジュール120は、患者に関連する最良ファクトを含むデータを出力し得る。
【0148】
図13は、いくつかの実施形態による、追加データの受信に応じて最良ファクトを決定するプロセスを示すフローチャートである。動作1300では、抽象化アプリケーション123は、患者、患者の病気、及び/または患者の処置に関する情報を含む、新しいデータレコードセットにアクセスし得る。オペレーション1302において、抽象化アプリケーション123は、患者に関連する要素に対応する追加の候補ファクトを抽出し得る。動作1304では、ELモジュール120は、初期のデータレコードセットから抽出された候補ファクトと、新しいデータレコードセットから抽出された追加の候補ファクトに基づいて、患者に関連する各要素に対応する1つ以上の最良ファクトを識別し得る。いくつかの実施形態では、これは、
図12の動作1206~1222に関して記載された動作を使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、ELモジュール120は、患者に関連する要素に対応する最良ファクトを決定し得、初期データセットに基づいて識別されている。ELモジュール120は、新たな最良ファクトが追加データセットから抽出された候補ファクトからを識別することができるかどうかを決定し得る。
【0149】
図14は、いくつかの実施形態による、コンフリクト解決のプロセスを示すフローチャートである。動作1400では、ELモジュール1400は、要素の最良ファクトを決定する際に、要素に対応する候補ファクトのうちの複数の最良ファクト間のコンフリクトを識別し得る。1402では、ELモジュール120は、要素が経時的に変化するかどうかを判定する。1404では、経時的に変化しない要素の要素に対応する複数の最良ファクトが識別される場合、ELモジュール120は、要素の単一の最良ファクトを決定するために、コンフリクト解決のための要素に対応する複数の最良ファクトに関する情報を送信し得る。動作1406では、複数の最良ファクトが、経時的に変化し得る要素のマイルストーンに関連する要素に対応するものと識別される場合、ELモジュールは、マイルストーンの要素の単一の最良ファクトを決定するコンフリクト解決のために、マイルストーンの要素に対応する複数の最良ファクトに関する情報を送信し得る。
【0150】
いくつかの実施形態は、
図14に示されるコンフリクト解決の代わりに、またはそれに加えて、少なくともいくつかの要素についての最良ファクトのユーザー承認または検証を用いる。いくつかの実施形態では、要素の少なくともいくつかについて、識別された1つ以上の最良の要素は、ELからのデータの出力前に、承認または検証を受ける(
図12の動作1230を参照)。例えば、いくつかの実施形態では、経時的に変化しない要素の少なくともいくつかについて、要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトを識別することは、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、少なくとも1つの最良ファクトをユーザーに提示すること、及び、提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認のうちの1つ以上を受信すること;少なくとも1つの最良ファクトとしての、提案された最良ファクトでない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別;ならびに、最良ファクトとしての、提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否、を含む。提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、提案された少なくとも1つの最良ファクトは、要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトとしてもはや識別されない。提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認が受信される場合、少なくとも1つの最良ファクトは、承認された最良ファクトとして識別される。少なくとも1つの最良ファクトとして、提案された最良ファクトではない、少なくとも1つの他の候補最良ファクトの識別が受信される場合、少なくとも1つの他の候補最良ファクトは、承認された少なくとも1つの最良ファクトとして識別される。そのような実施形態では、この要素について、出力最良ファクトは、出力が承認された最良ファクトとなるであろう。
【0151】
いくつかの実施形態では、経時的に変化し得る要素の少なくともいくつかについて、要素の関連候補ファクトを有する各進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを識別することは、さらに、要素に対応する提案された少なくとも1つの最良ファクトとして、進行期間の少なくとも1つの最良ファクトを提示すること、ならびに、少なくとも1つの最良ファクトとしての提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認;少なくとも1つの最良ファクトとしての提案された最良ファクトではない少なくとも1つの他の候補ファクトの識別;及び最良ファクトとして提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否、のうちの1つ以上を受信すること、を含む。提案された少なくとも1つの最良ファクトの拒否が受信される場合、提案された少なくとも1つの最良ファクトは、進行期間の要素に対応する少なくとも1つの最良ファクトとしてもはや識別されない。提案された少なくとも1つの最良ファクトの承認が受信される場合、少なくとも1つの最良ファクトは、進行期間の、承認された最良ファクトとして識別される。少なくとも1つの最良ファクトとして、提案された最良ファクトではない、少なくとも1つの他の候補最良ファクトの識別が受信される場合、少なくとも1つの他の候補最良ファクトは、進行期間の、承認された少なくとも1つの最良ファクトとして識別される。そのような実施形態では、この要素について、進行期間の出力最良ファクトは、出力が承認された最良ファクトとなるであろう。
【0152】
図15は、提案された最良ファクトをレビューするために用いられ得るグラフィカルユーザーインターフェース1502の部分のスクリーンショットである。GUIは、進行期間の識別と、候補ファクト及び提案された最良ファクトを表示することができる要素のリスト1506を含む。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースは、抽象化プラットフォームに関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースは、ユーザーが、進行を承認、検証、または識別することを可能にし、それにより、進行期間が規定され、NA割り当ての進行期間を表すべきファクトを選択、承認、または検証する、すなわち、最良ファクトを選択、承認、または検証する。いくつかの実施形態では、進行時間範囲(例えば、進行期間)が提案され、ファクトは、コンピューターアイコンで示される提案と共に、タイプ毎、進行毎に、「最良」ファクトを提案する前に、それらのウィンドウ内にバケット化される。このプロセスは、本明細書では、エンリッチメントと呼ばれる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、要素のいくつかまたは全て、及び進行のいくつかまたは全てについての提案を無効にする能力を有する。
【0153】
図16は、いくつかの実施形態による例示的なアーキテクチャである。患者データ(例えば、pdf、h17)及びドキュメントイベント1602を含むドキュメントは、ドキュメント取り込みレイヤーを使用して取り込まれ、これは、本明細書では「シンバイオシス」1606と呼ばれる。取り込まれたドキュメントデータは、本明細書では「インフラックス」1608とラベル付けされているストレージに格納され、これは、抽象化プラットフォームで抽象化された全データが格納される。いくつかの実施形態では、インフラックス1608に格納されたデータは、また、取り込まれたドキュメントストレージの上部のレイヤーによりアクセスされるか、またはそれに提供され、これは、本明細書では「弾性検索」(「ES」)1610と呼ばれ、取り込まれたドキュメントの効率的な検索を可能にする。インフラックス1608に格納された取り込まれたドキュメントは、抽象化プラットフォーム(「AP」)によりアクセスされる。この例では、「トリコーダー」1612は、APが構築されるフレームワークを指す。トリコーダー1612抽象化プラットフォームフレームワークは、ES1610、提案エンジン1614、及び臨床抽象化プラットフォームユーザーインターフェース(CAP UI)1616と連携して動作する。
【0154】
ELのいくつかの態様を実装する提案エンジン1612は、取り込まれたデータに基づいて、提案された進行期間及び提案された最良ファクトの決定を含むエンリッチメント1618を実行する。いくつかの実施形態では、提案エンジン1612は、意思決定を支援するための入力を提供する「意思決定支援システム」の一部である。いくつかの実施形態では、提案エンジン1614は、また、本明細書でFactOrly 1620と呼ばれるプロセスを介して、取り込まれたデータ(例えば、HL7データ)に基づいて抽象化値を提案する。提案された進行期間、提案された最良ファクト、及び他の候補ファクトは、最良ファクトの承認もしくは検証、または最良ファクトとしての他の候補ファクトの選択に関する入力を含む入力、及び/または「患者イベント」1638により示される提案された進行期間に関する入力を受信するために、ユーザーインターフェース、例えば、CAP UI 1616、を介してユーザーに提示される。
【0155】
対処される必要のある患者データにいくつかのコンフリクトまたは問題がある場合、コンフリクトまたは問題を解決するために、患者に関するデータが、エスカレートされ、ユーザーインターフェースを介してユーザーに提示され得る。コンフリクトまたは問題が解決できない場合、患者データが、さらに、分析用の出力テーブルの生成、またはノードアドレスの生成のために処理されないことがある。いくつかの実施形態では、患者が同時に2つ以上の主要な疾患(例えば、同時に2つ以上の原発性がん)を患っている場合、患者のデータは、漸増することがある。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの患者情報が必須であるとみなされ得、その結果、患者データに関するデータに必須の患者情報が含まれていない場合、システムは、さらに、分析用の出力テーブルの生成またはノードアドレスの生成のために患者データを処理しないことがある。例えば、いくつかの実施形態では、患者データが診断日を含まない場合、データは、さらに処理されないことがある。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書では、「Auth0」1622と呼ばれる認証レイヤーが、抽象化プラットフォームへの安全なログインのために用いられる。本明細書で使用される「抽出、変換、ロード」(「ETL」)という用語は、あるデータベースからデータを取り出して異なるタイプの別のデータベースに配置する時に実行される機能を指す。ETLは、例えば、リレーショナルデータベース(任意のフィールドが複数のデータベースのコンポーネントとなり得るデータベースシステム)から意思決定支援システムに、データを移行するために使用される。
【0157】
本明細書で使用される「リレーショナルデータベース」という用語は、一連の別個の関連ファイル(テーブル)を維持するが、必要に応じて、クエリ及びレポートのためにファイルのデータ要素を組み合わせるデータベースを指す。リレーショナルデータベースに対する日常的なクエリは、多くの場合、複数のファイルからデータを要求する。リレーショナルデータベース管理システムは、キーフィールドを比較し、照合基準を満たすレコードから新しいファイルを生成することにより、2つ以上のファイルを「結合」する柔軟性を有する。実際には、純粋なリレーショナルクエリは、非常に遅くなり得る。プロセスを高速化するために、インデックスは、構築され、照合に使用されるキーファイル上で維持される。
【0158】
簡易ETLは、集合の数学理論、オブジェクトセット及びその操作のルールに関係する数学または論理の部門に基づいたプログラミング言語である。本明細書で使用される「簡易ETL/SETL」1624は、インフラックス1608に格納されたデータをファクトタイプ毎に整理されたクエリ可能なテーブルに変換するETLプロセスを指す。SETLで識別された患者データ出力は、本明細書で「SETL SEID」1626と呼ばれるスキーマに格納される。
【0159】
いくつかの実施形態では、簡易ETL/SETL 1624は、患者データに関連する診断の初期データがあるかどうかを判定し、最初の診断日がない場合、患者に関するデータは、SETL SEIDデータとして保存されない。
【0160】
患者データは、患者に関連する内部的に生成された識別子以外の患者識別情報を除去するために匿名化(1628)され、SETL匿名化患者データは、SEDID1630と呼ばれるスキーマに格納される。システムは、ノードアドレス(NA)生成プロセス1632において、データにノードアドレスを割り当てようと試みる。NA生成プロセス1632は、進行期間に対応する患者データにノードアドレスを割り当てる。いくつかの実施形態では、NA生成は、患者データを評価し、ノードアドレスを決定するビジネスルールエンジンを介するものである。いくつかの実施形態では、NA生成ビジネスルールエンジンは、外部ソースから送信されたデータからノードアドレス情報を生成し得るノードアドレスAPIサービスを含む。
【0161】
NA生成プロセスは、ノードアドレスが(例えば、進行期間毎に)患者に対して生成されたことを示す情報、またはノードアドレスの生成が(例えば、全ての進行期間もしくは少なくとも1つの進行期間に対して)患者に対して失敗したことを示す情報を出力し得る。ノードアドレスの生成は、複数の異なる理由で失敗することがある。例えば、ノードアドレスの生成は、ノードアドレスの生成に必要とされる異なる要素の全てについて提供される情報が不十分なために、失敗することがある。ノードアドレススキーマ1634は、ノードアドレス生成に、用いられ得る。本明細書で使用される「ノードアドレススキーマ」(「NAスキーマ」)という用語は、成功/失敗メッセージ、過去のノードアドレス割り当て、及びノードアドレスの現在のデータベースを含む、ノードアドレス割り当てメタデータを指す。
【0162】
SETL匿名化された患者データは、分析スキーマ1632により使用され得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、分析スキーマ1636は、少なくとも部分的に、ELにより提供されたファクトに基づいて処置意図を決定する。治療意図は、ELから得られる進行追跡に関する情報、どちらがELにより提供される時系列データから導出されるTNM由来の腫瘍が転移性であるかどうか、ELにより提供される総合ステージ、及び所定の時間ウィンドウ内の介入転帰に関する情報を必要とする。
【0164】
図17は、本開示の1つ以上の実施形態による、コンピューティングシステム105及び/またはクライアントコンピューティングデバイス110などのコンピューターの一例の内部アーキテクチャを示すブロック図である。本明細書で言及されるように、コンピューターは、論理またはコード化された命令を実行することが可能な1つ以上のプロセッサーを備えた任意のデバイスを指し、そのようなデバイスをいくつか挙げると、サーバー、パーソナルコンピューター、セットトップボックス、タブレット、スマートフォン、パッドコンピューター、またはメディアデバイスであり得る。
図18の例に示されるように、内部アーキテクチャ3000は、少なくとも1つのコンピューターバス3002と入出力を行う1つ以上の処理ユニット(本明細書ではCPUとも呼ばれる)3012を含む。また、コンピューターバス3002と入出力を行うと、永続ストレージメディア(複数可)3006、ネットワークインターフェース3014、メモリ3004、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ランタイム一過性メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)など、メディア、例えば、リムーバブルメディア、例えば、フロッピー、CD-ROM、DVDなどのメディアを読み出し及び/または書き込み得るドライブに対するインターフェースとしてのメディアディスクドライブインターフェース2308、モニタまたは他のディスプレイデバイスに対するインターフェースとしてのディスプレイインターフェース3010、キーボード、ポインティングデバイスインターフェースに対するインターフェースとしてのキーボードインターフェース3016、マウスまたはポインティングデバイスに対するポインティングデバイスインターフェース3018、ならびに個別には示されていない種々の他のインターフェース、例えば、パラレル及びシリアルポートインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースなどである。
【0165】
本明細書に記載される機能、例えば、本明細書に記載されるプロセスフローのうちの1つ以上を組み込む、プログラムコード及び/またはコンピューター実行可能プロセスステップを含むソフトウェアプログラム、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、デバイスドライバー、及びソフトウェアモジュールの実行中に、メモリ3004に格納された情報をCPU3012に提供するように、メモリ3004は、コンピューターバス3002と入出力を行う。CPU3012は、まず、ストレージ、例えば、メモリー3004、ストレージメディア/メディア3006、リムーバブルメディアドライブ、及び/または他のストレージデバイスからコンピューター実行可能プロセスステップをロードする。次に、CPU3012は、ロードされたコンピューター実行可能なプロセスステップを実行するために、格納されたプロセスステップを実行し得る。格納されたデータ、例えば、ストレージデバイスにより格納されたデータは、コンピューター実行可能なプロセスステップの実行中に、CPU3012によりアクセスされ得る。
【0166】
上述のように、永続ストレージメディア/メディア3006は、ソフトウェア及びデータ、例えば、オペレーティングシステム及び1つ以上のアプリケーションプログラムを格納するために使用することができるコンピューター可読ストレージメディア(複数可)である。永続ストレージメディア/メディア3006は、デジタルカメラドライバー、モニタドライバー、プリンタードライバー、スキャナードライバー、または他のデバイスドライバー、ウェブページ、コンテンツファイル、プレイリスト、及び他のファイルのうちの1つ以上などのデバイスドライバーを格納するために使用することもできる。永続ストレージメディア/メディア3006は、さらに、本開示の1つ以上の実施形態を実装するために使用されるプログラムモジュール及びデータファイルを含み得る。
【0167】
コンピューターの内部アーキテクチャ3000は、(上述したような)マイクロフォン、ビデオカメラ、TV/ラジオチューナー、オーディオ/ビデオキャプチャカード、サウンドカード、A/Dコンバータを備えたアナログオーディオ入力、モデム、デジタルメディア入力(HDMI、光リンク)、デジタルI/Oポート(RS232、USB、FireWire、Thunderbolt)、及び/または拡張スロット(PCMCIA、ExpressCard、PCI、PCIe)を含み得る。
【0168】
診断もしくは処置の目的ために、または患者に伴う来院のために、電子医療レコードからの関連情報をレビューすることは、医療提供者にとって相当量の時間を要求し得る。さらに、電子医療レコードからの情報を閲覧するための多くのインターフェースは、患者の医療情報の特定の態様のみを一度に表示するか、または患者の医療情報の特定の日付範囲のみを一度に表示するか、または見落しがちの関連医療情報がもたらされ得る特定のタイプの任意の関連医療情報があるかどうかを判定するために、複数のメニューのクリックを要求する。いくつかの実施形態は、関連医療情報(例えば、診断情報、処置情報、バイオマーカー情報、疾患の進行情報)の概要及び同時に詳細な医療情報への効率的なアクセスを提供する、患者の病歴に関する情報を閲覧するための対話型タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを提供する。いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインを含むそのようなグラフィカルユーザーインターフェースは、摂取時、患者の診察前もしくは診察中、または救急外来での患者の診察前に、患者の病歴をレビューするために、医療提供者に使用することができる。いくつかの実施形態では、そのような対話型の患者タイムラインは、モダリティ間のハンドオフ、例えば、かかりつけ医及び専門医間のハンドオフにおいて医療提供者により、または腫瘍委員会により使用され得る。いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインは、患者の電子医療レコードにアクセスする代わりに、患者の病歴をレビューするために使用することができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインは、上述した時系列データから生成される。いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインは、最良ファクトデータだけではなく、全ての関連重複患者データまたは情報に基づいている。いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインは、最良ファクトデータの表示を含む。いくつかの実施形態では、対話型の患者タイムラインを提供することは、いくつかのファクトを疾患進行に関連するものとしてグループ化することを含む。いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインを提供することは、患者データに基づいて医療情報に関連するスパンまたは期間を決定することを含む。
【0170】
図19~24は、いくつかの実施形態による、対話型の患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースを示す。タイムラインは、例示的な実施形態に従って、コンピューティングシステム(例えば、コンピューティングシステム105)により生成され、GUI(例えば、GUI150a、150b)上に表示され得る。いくつかの実施形態では、対話型患者タイムラインを含むグラフィカルユーザーインターフェースの生成は、Pythonのplotlyなどのブラウザベースのグラフ作成ライブラリに基づいてよい。
【0171】
図19は、例示的な実施形態による、例示的な対話型患者タイムライン1900を示す。
図19~24及び
図25の患者タイムラインに示される患者の医療情報(患者の病歴または患者の医療レコードの情報)は、実際の患者データではないが、その代わりに、臨床医が実際に遭遇する一般的な臨床シナリオに基づいた模擬データである。患者対話型タイムライン1900は、タイムライン上に円、三角形、菱形、または他のシェイプとして表示される複数のマーカー(例えば、マーカー1922)を含む。各マーカーは、医療情報に関連する関連時間、医療情報に関連する期間の開始、または医療情報に関連する期間の終了を示す。医療情報に関連する各期間は、開始マーカー及び終了マーカー、ならびに開始マーカー及び終了マーカー間のスパンのグラフィック表示と共にグラフィック表示される。
【0172】
ユーザーがマーカーを選択すると、タイムラインにマーカーに関連する医療情報が表示される。例えば、ユーザーは、カーソルを移動してマーカーを選択し、選択されたマーカーに関連する医療情報の表示を閲覧するために、マウス、タッチパッド、またはタッチスクリーンを用いてもよい。一実施形態では、ユーザーは、カーソルを使用して、マーカーの上に移動し得、その結果、マーカーに関連するグラフィカルウィンドウがポップアップする。いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、垂直にオフセットされ、異なるカテゴリーの情報について互いに時間的に整列された複数のサブタイムラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のサブタイムラインは、以下のうちの1つ以上を含む:処置情報に関連する任意のマーカーを含む処置サブタイムライン(例えば、全身療法サブタイムライン1901、手術サブタイムライン1904、または放射線サブタイムライン1906);診断または疾患もしくは障害の進行情報に関連する任意のマーカーを含む診断または進行のサブタイムライン(例えば、イベントサブタイムライン1910);疾患または障害のバイオマーカー検査結果情報に関連する任意のマーカーを含むバイオマーカーサブタイムライン1908(例えば、バイオマーカーサブタイムライン1908);他のカテゴリーに入らない疾患または障害情報に関連するマーカーを含む疾患または障害のサブタイムライン(例えば、患者及び疾患タイムライン1912);及び、他のカテゴリーに入らない関連患者情報に関連する任意のマーカーを含む患者サブタイムライン(例えば、患者及び疾患タイムライン1912)。
図19に示されるように、いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、全身療法1902、手術1904、放射線1906、バイオマーカー情報1908、診断または進行1910、ならびに患者及び疾患情報1912に対応するサブタイムラインを含む。いくつかの実施形態では、各サブタイムラインのマーカーは、異なる色で表示され得る。各サブタイムラインは、そのサブタイムラインカテゴリーに関連する時系列で医療情報をグラフィックで表すマーカーを表示し得る。例えば、バイオマーカーサブタイムライン1908は、患者のバイオマーカー検査結果に関連するマーカーを含む。ユーザーによるマーカーの選択時に、マーカーに関する医療情報に関する情報が表示される。例えば、バイオマーカーサブタイムライン1908内のマーカーのユーザー選択の受信は、検査日、検査されるバイオマーカーの名前(例えば、HER2、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体など)、検査方法(例えば、FISH、IHCなど)、結果、及び解釈のうちの1つ以上を含む情報を表示し得る。異なる実施形態が、異なるタイムラインカテゴリーを含み得ることを理解されるべきである。
【0173】
いくつかの実施形態では、1つ以上の垂直グラフィックインジケーターが、疾患または障害の診断または進行を表すために使用される。例えば、
図19では、垂直グラフィックインジケーター1930は、最初の診断時間に対応し、垂直グラフィックインジケーター1932は、最初の転移性進行に対応する。いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、1つ以上の診断または進行期間を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の診断または進行期間は、1つ以上の垂直グラフィックインジケーターで分割される。いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、1つ以上の診断または進行期間を含む。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースは、ユーザーが選択した基準に基づいて対話型タイムラインに表示されるマーカーのフィルタリングを可能にする。いくつかの実施形態では、ユーザーが選択した基準は、診断または進行期間を含む。
【0174】
上述したように、いくつかの実施形態では、対話型タイムラインは、関連する非重複情報に対応するマーカーを含み、決定された最良ファクト情報のみに限定されない。例えば、患者タイムライン1900は、患者が非転移性であると診断された時、2回のHER2検査を受けている乳癌患者を示す-1つのマーカー1914を選択すると、2009年12月26日に実施された「陽性」IHC検査に関する情報が表示され、別のマーカー1916を選択すると、2010年2月13日に実施された「不明な」FISH検査に関する情報が表示される。
【0175】
また、
図19~24の記載されたサブタイムライン(タイムライン1900を含む)は、HER2検査に関連して考察されたもの以外に、追加のマーカーを表示し得ると理解されるべきである。例えば、バイオマーカーサブタイムライン1908に関連して、タイムライン1900は、患者が2009年12月26日に「陽性」IHC検査を含むプロゲステロン受容体検査を受けたことを表示する関連ウィンドウを有するマーカー1918と、患者が2009年12月26日に「陽性」IHC検査を含むエストロゲン受容体検査を受けたことを表示する関連ウィンドウを含むマーカー1920を含む。タイムライン2100は、さらに、全身療法サブタイムライン1902、イベントサブタイムライン1910、ならびに患者及び疾患サブタイムライン1912に関連するマーカーを表示する。
【0176】
図20は、選択された診断後の最初の進行に関連するマーカーを有する例示的な実施形態によるタイムライン2000を示す。
図20の対話型患者タイムライン2000のビューは、患者が転移性であると診断された時、最初の疾患進行後に、患者がさらに4回のHER2検査を受けたことを示し:選択されたマーカー2002は、2014年3月22日に実施された「陰性」IHC検査を表示し、選択されたマーカー2004は、2014年4月7日に実施された「不明な」IHC検査を表示し、選択されたマーカー2006は、2014年4月15日に実施された「不明な」FISH検査を表示し、選択したマーカー2008は、2014年7月21日に実施された「陽性」FISH検査が表示する。
【0177】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、2つ以上の選択可能なグラフィックインジケーターを含む全期間タイムライン2110の概要バージョンを表示することを含み、選択可能なグラフィックインジケーターは、開始期間インジケーター2112及び終了期間インジケーター2114を含み、ユーザー選択及び開始期間インジケーター及び/または終了期間インジケーターの移動は、対話型タイムラインに表示された期間2116を変更する。これは、
図21に示され、これは、対話型患者タイムラインにおける転移性がんへの進行を含む期間をズームインビューで示し、以下の全期間タイムラインの小さい概要バージョンは、選択された期間を示す。
図21のビューは、転移癌への進行後の2014年3月22日に実施された「陰性」HER2 IHC検査に関する情報に対応する、選択されたマーカー2102に関する表示情報を提供する。
【0178】
図22は、転移性癌への進行後の2014年4月7日に実施された2回目のHER2 IHC検査の「不明な」結果を示す、選択されたマーカー2202に関する情報が表示された対話型タイムラインの一部の別のズームインビューを示す。
【0179】
図23では、2302マーカーをユーザーが選択すると、転移癌への進行後の2014年4月15日に実施された3回目のHER2検査(FISH検査である)の「不明な」結果に関する情報が表示される。
【0180】
図24では、2402マーカーをユーザーが選択すると、転移癌への進行後の2014年7月21日に実施された4回目のHER2検査(FISH検査である)の「陽性」結果に関する情報が表示される。
【0181】
本開示で説明されるように、方法またはシステムは、診断から複数の時点を経て死亡に至るまでの患者の病歴の過程を網羅するエンドツーエンドの患者情報を評価し得、承認または検証を条件として患者情報から患者に関する最も正確なファクトについての提案を生成する。いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、承認または検証後に、識別された最良ファクトを表すタイムライン(複数可)ベースの出力を生成する。患者に関連する各要素に対応する最良ファクトは、患者の病状及び病歴の完全且つ現在のビューを表し得る。
【0182】
臨床医が、患者のタイムラインで患者の医療レコードから関連非重複情報を全て閲覧することを希望し得るが、
図19~23に示されている患者のタイムラインは、潜在的にコンフリクトする情報を含有する患者レコードに関連するいくつかの課題を示す。例えば、病歴が
図19~23に示された患者は、これまでの病歴の中で合計6回のHER2検査(非転移性で2回、転移性で4回)を受けていた。正しいHER2ステータスを決定して割り当てるために、臨床及びデータチームは、クエリの時点で最適で正しいHER2ステータスを決定するための精巧なルール及び論理を実装する必要があるであろう。この例では、タイミング及び検査の信頼性及び精度に基づいて、この患者は、削減ルールに従った最良ファクトより、転移性疾患の発症時にHER2陽性、すなわち、FISH検査陽性であると判定される。
【0183】
いくつかの実施形態では、HER2ステータスを決定し、正しく割り当てることは、最良ファクト選択機能の機能である。いくつかの実施形態では、最良ファクトを選択すると、転移診断時の患者のHER2ステータスが決定される。いくつかの実施形態では、対話型タイムラインが、最良ファクトに限定されることがないが、最良ファクトは、HER2陽性ステータスなどの、患者に関する関連概要情報の決定に使用され得る。
図25は、例示的な実施形態による、患者に関連する概要を表示する例示的なインターフェース2500を示す。
図19~24の患者の要約情報は、患者のHER2ステータスを示す。
【0184】
いくつかの実施形態では、患者の最良ファクトの識別は、母集団レベルの計量集計を簡単にする。例えば、施設は、特定の年内に施設で診察された第1選択の転移性HER2陽性患者の数に関して調査し得る。患者の医療レコード内のHER2検査データに存在し得る潜在的な矛盾を考えると、これは、答えるのが簡単な質問ではない。いくつかの実施形態では、本開示の方法またはシステムは、データチームまたは技術が、データ要求を満たす、または臨床上の質問に答える目的で、全患者にわたってHER2ステータスを体系的に割り当てることを可能にする。さらに、転移性疾患の患者に最善の処置を提供するには、HER2ステータスの正確な検査が患者にとって非常に重要である。
【0185】
いくつかの実施形態では、患者タイムラインは、最良ファクトのみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の異なる患者のタイムラインは、診断または1つ以上の進行に関して重ね合わせた異なる患者のタイムラインと比較され得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、分析システムまたは方法は、臨床的に重要な医療情報に対応するマーカーを示す、匿名化された長期的で比較可能な患者の行程またはタイムラインを示し得、それらが自身の患者集団に対してとることができ得る将来の方向性を、医師に知らせるために、(研究コホートとしての)患者の行程の遡及的分析のためのツールとして使用することができる。タイムラインは、依然として、臨床的に関連しており、医師が研究または他の目的で使用し得るような方法で、匿名化中にイベントがシフトされる。タイムラインは、疾患の進行を強調表示することになり、これは、その進行の原因を解明するのに役立つであろう。いくつかの実施形態では、次に、疾患の各進行のオーバーレイは、医療提供者が、同様の患者に提供された処置及びそれらの関連する転帰に基づいて、考察されても、考察されなくてもよい処置に存在する選択肢を識別するのに役立つであろう。
【0187】
図26は、例示的な実施形態による、施設または組織の分析のための患者情報を表示する例示的なインターフェース2600を示す。インターフェース2600は、例示的な実施形態に従って、GUI(例えば、GUI150a、150b)上に表示され得る。インターフェース2600に示されるように、8,106人の患者(2602)のデータセット内には、転移性乳癌の第1選択療法にHER2陽性であった患者203人(2604)が存在する。患者に関するそのような情報を集計すると、各進行における各患者の最終的なHER2ステータスを決定する必要があり、これは、本明細書に記載の最良ファクトの方法及びシステムを介して実装することができる。従って、記載された方法またはシステムは、最良ファクト識別を使用して、特定の年内に施設で診察された第1選択の転移性HER2陽性患者の数を決定し得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなエンリッチメントを用いるシステム及び方法は、患者データを分析するために分析システム、プログラム、もしくはアプリにより使用される最良ファクトを生成し得るか、または分析システムを用いるシステム及び方法に組み込まれる。例えば、COTA,Inc.(別称、COTA Healthcare)の実世界分析のウェブアプリケーションは、最良ファクトの選択を用いて、診断、手順、処置、及び転帰の概要を提供し得る集団健康分析ツールであり、それ故、医療管理者の臨床チームが、同様の患者コホートにおけるインサイトを遡及的に明らかにすることができる。いくつかの実施形態では、最良ファクトの選択を使用する分析プログラム、システム、またはアプリは、または、その代わりに、集計メトリクスをよりよく理解するために、重要な動作メトリクス及び臨床インサイト及び外れ値を調査する能力を追跡するために使用することもできる。分析システムに提供されるデータは、患者のプライバシーを確保するために患者に関して匿名化され得る。いくつかの実施形態では、そのようなシステム、方法、またはアプリケーションは、実世界分析(RWA)について
図26に示されるものと同様のユーザーインターフェースを有し得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンリッチメントは、限定されないが、腫瘍の組織学、ステージ、共存症、転帰、ならびに治療法、例えば、手術、放射線、及び化学療法を含む患者集団の臨床関連属性を要約するシステムまたは方法で用いられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンリッチメントは、追跡するシステムまたは方法に用いられ、限定されないが、処置中の患者、転移、分子マーカー、無増悪生存期間及び全生存期間、追加のがん固有の診断属性、ならびに臨床集団を含む動作メトリクスの遡及的分析を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンリッチメントは、がん固有の診断属性(例えば、乳癌固有の診断属性、肺癌固有の診断属性)に基づいて、患者コホート及びサブコホートの選択及びフィルタリングならびにコホート比較ツールを可能にするシステムまたは方法で用いられる。いくつかの実施形態では、患者コホート及びサブコホートは、本明細書に記載される最良ファクトデータまたは最良ファクトの選択から得られる進行に基づいて、少なくとも部分的に決定される。いくつかの実施形態では、患者コホート及びサブコホートは、少なくとも部分的に、患者が割り当てられるノードアドレス(複数可)に基づいて決定され、ノードアドレス(複数可)は、少なくとも部分的に、本明細書で記載される最良ファクト選択から決定された最良ファクトデータまたはファクトに基づいて割り当てられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンリッチメントは、診療所及び内科医による処置選択の集約及び視覚化を可能にするシステムまたは方法で用いられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンリッチメントは、シーケンシングを含む、処置及びレジメンの組み合わせを比較するシステムまたは方法で用いられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエンリッチメントは、複数レベルの粒度(例えば、一連の治療法、関連するモダリティ)で患者の処置行程を視覚化するシステムまたは方法で用いられる。
図27は、エンリッチメント及び最良ファクトの選択が組み込まれており、進行毎のエンリッチされた長期的患者レコード及び最良ファクトを生成し、医療提供者、医療システム、医療システム管理、ケアを、またはケアへの支払いを許可する者、ケアを評価する者、及び/またはいくつかの実施形態による他のユーザーの解析論及びツール(例えば、COTA RWAで提供された解析論及びツール)を提供するシステム及び方法の概略図である。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、少なくとも部分的に、ウェブベースのアプリケーションを介して実装することができる。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、ユーザーのためのウェブインターフェースの部分として形成され得るアプリケーションフロントエンド2710を含む。いくつかの実施形態では、クラウドコンテナエンジン2720は、APIを実装し得、アプリケーション、生存、及びメトリクス2722を起動するデータテンプレート、データテーブル、及び事前集計のいくつかまたは全てを組み込み得る。クラウドコンテナエンジン2720からの情報は、データキャッシュ2730、ユーザー設定2732、及びデータインサイト2734に提供される。データインサイト2734は、また、インサイトスケジューラ2736から入力を受信する。データインサイト2734は、格納される全てのユーザーに対するアプリケーションによるクエリを保存し、患者数を計算して、インサイトスケジューラ2736に基づいて一定の時間間隔でクエリ基準に基づいて分析を実行する。ユーザー設定2732は、現在のユーザーのみに対して保存されたクエリである。いくつかの実施形態では、入力された病歴データまたは患者の医療レコードデータは、同じアプリケーションフロントエンドを介して受信されないが、むしろ別個に取得される。いくつかの実施形態では、データは、レコードから抽出され、時系列患者ファクト2738として入力される。時系列患者ファクト2738は、本明細書で記載されるように、エンリッチメント/最良ファクト選択2740を受ける。ノードアドレス(NA)及び進行の割り当て2742は、エンリッチメント及び最良ファクトの選択後の入力データに基づいて実行される。NA及び進行割り当て2742の後、いくつかの実施形態では、データ変換2744が用いられる。データ変換は、限定されないが、処置シーケンシング、組み合わせ、タイムラインセグメントなどを含むデータの追加のルールセットを含む。変換されたデータは、エンリッチされた長期的患者レコード及び進行毎の最良ファクト2746を生成するために、データキャッシュ2730及びデータインサイト2734からのデータと共に使用される。いくつかの実施形態では、エンリッチされた長期的患者レコード及び進行毎の最良ファクトは、ユーザーから離れたサーバーまたはクラウド環境に格納され、ウェブベースのアプリケーションのプロバイダーにより制御される。次に、エンリッチされた長期的患者レコード及び進行毎の最良ファクトは、例えば、1つ以上の進行期間で同じまたは類似の疾患関連特性を有するコホートを決定し、同様の患者を同様の患者と比較するために、分析に使用される。分析は、クラウドコンテナエンジン2720内で/により実行される。いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、ユーザーが、エンリッチされた長期的患者レコード及び最良ファクトデータの少なくともいくつかをエクスポートすることが可能である。いくつかの実施形態では、方法またはシステムは、エンリッチされた長期的患者レコード及びファクトデータのいずれかをユーザーがエクスポートすることができるかどうかを判定するためにユーザー特権を用いる。
【0190】
いくつかの実施形態では、最良ファクトデータは、主に進行ベースのデータ内に格納される。いくつかの実施形態では、最良ファクトデータは、固有の患者識別子を使用して時系列データに結合することができる。
【0191】
システム及び方法のいくつかの実施形態では、エンリッチされた長期的患者レコード及び/または進行毎の最良ファクトは、分析を実行し、転帰を比較し、及び/または転帰追跡を実行するために、特定の疾患の疾患関連特性について同じパラメーターをそれぞれ有する患者(例えば、1つ以上の進行期間中の同じまたは密接に関連するノードアドレスに割り当てられた患者)の疾患関連コホートを定義するために使用される。いくつかの実施形態では、転帰追跡及び/または転帰の比較は、コホート内の患者が、疾患関連特性について同じパラメーターを有する他の患者の転帰に基づいて、予想されるものよりも悪い転帰を経験しているかどうかの識別を可能にする。いくつかの実施形態では、転帰追跡または転帰の比較は、コホート内の1人以上の患者が、コホート内の他の患者または疾患関連特性の同じパラメーターを有する全患者(例えば、1つ以上の進行期間中に同じまたは密接に関連したノードアドレスに割り当てられた全患者)の転帰追跡または転帰の比較に基づいて予想されたものよりも悪い転帰を経験しているかどうかの識別を可能にする。いくつかの実施形態では、転帰追跡または転帰比較は、特定の提供者、グループ、または施設によりケアされているコホート内の1人以上の患者が、他の提供者、グループ、または他の施設によりケアされる疾患関連特性の同じパラメーターを有する患者(例えば、1つ以上の進行期間中に同じまたは密接に関連するノードアドレスに割り当てられた全ての患者)の転帰追跡または転帰比較に基づいて予測されるものよりも悪化した転帰を経験しているかどうかの識別を可能にする。いくつかの実施形態では、転帰追跡または転帰比較は、患者(複数可)が 転帰追跡に基づいて予想されるものよりも悪い転帰を経験している警告、医療提供者への通信、または視覚的表示を可能にする(医療提供者が是正措置をとることを可能にする)。転帰追跡、警告、及び通信に関するさらなる情報は、少なくとも米国公開特許出願第2015/0100341号、米国特許出願公開第2021/0082573号、及び国際特許出願公開第WO2018/089584号(これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0192】
システム及び方法のいくつかの実施形態では、エンリッチされた長期的患者レコード及び/または進行毎の最良ファクトは、患者の潜在的に効果的及び効力のある処置選択肢の決定に役立つ決定支援システムまたは方法(例えば、患者が割り当てられるノードアドレスに関連する患者処置サービスのバンドル)において、特定の疾患の疾患関連特性の同じパラメーターをそれぞれ有する患者(例えば、1つ以上の進行期間中の同じまたは密接に関連したノードアドレスに割り当てられた患者)の疾患関連コホートを定義するために使用される。いくつかの実施形態では、エンリッチされた長期的患者レコード及び/または進行毎の最良ファクトは、処置及び転帰を比較するためのシステムまたは方法において、特定の疾患の疾患関連特性の同じパラメーターをそれぞれ有する患者(例えば、1つ以上の進行期間中の同じまたは密接に関連するノードアドレスに割り当てられた患者)の疾患関連コホートを定義するために使用され、これは、同じノードアドレスに割り当てられた患者の処置を導くか、またはその患者に対し提案された処置選択肢を提供するシステムまたは方法により使用され得る。患者に処置の選択肢を提供することに関するさらなる情報は、少なくとも米国特許出願公開第2015/0100341号、米国特許出願公開第2021/0082573号、及び国際特許出願公開第WO2018/089584号に記載されている。その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
本開示の方法及びシステムは、多くの方法で実装され得、そのようなものであるから、上述の例示的な実施形態及び実施例により限定されないことを、当業者らは、認識するであろう。換言すれば、ハードウェア及びソフトウェアまたはファームウェアの様々な組み合わせにおいて、単一または複数のコンポーネントで実行される機能要素、及び個々の機能は、ユーザーのコンピューティングデバイスもしくはサーバーのいずれか、またはその両方でソフトウェアアプリケーション間に分散され得る。この点に関して、本明細書に記載の異なる実施形態の任意数の特徴が単一または複数の実施形態に組み合わせてもよく、本明細書に記載される特徴の全てよりも少ない、または多い代替実施形態も可能である。機能は、また、現在知られている方法、または今後知られるようになる方法で、全体または部分的に複数のコンポーネントに分散され得る。従って、本明細書で記載の機能、特徴、インターフェース、及び選好を実現するには、無数のソフトウェア/ハードウェア/ファームウェアの組み合わせが可能である。さらに、現在も将来も当業者らにより理解されるように、本開示の範囲は、記載の特徴及び機能及びインターフェースを実行するための従来から知られている方法、ならびに本明細書に記載のハードウェアまたはソフトウェアまたはファームウェアコンポーネントに対して行われ得るそれらの変形及び修正を網羅する。システム及び方法は、1つ以上の実施形態に関して記載されており、本開示が、開示の実施形態に限定される必要はないことを理解すべきである。これは、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な変更及び同様の構成を網羅することが意図されており、この範囲は、そのような変更及び同様の構造を全て包含するように最も広範に解釈が与えられるべきである。本開示は、以下の特許請求の範囲のありとあらゆる実施形態を含む。
【国際調査報告】