(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】同軸血管内アセンブリの管理、追跡、および制御
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240806BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20240806BHJP
A61B 34/37 20160101ALI20240806BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/30
A61B34/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502022
(86)(22)【出願日】2022-07-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022038099
(87)【国際公開番号】W WO2023004175
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】エッシュ,ブレディ
(72)【発明者】
【氏名】カラベイ,ハリル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハン-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャトゥルヴェディ,アニルード アヌパム
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA12
4C130AA13
4C130AA16
4C130AA19
4C130AA23
4C130AA24
4C130AA42
4C130AB02
4C130AB07
4C130AC07
4C130AD02
4C130AD09
4C130BA06
4C130BA14
4C130CA14
4C130CA20
(57)【要約】
血管内管理および追跡システムは、少なくとも1つの細長い医療器具がそれぞれ取り付けられるトラックと少なくとも1つのシャトルを具える。各シャトルは、トラックに機械的に結合されるように構成されている。各シャトルは、トラック上を走行するように構成されたスレッドと、スレッドに担持され、トラックに沿って各シャトルを軸方向に並進させるように作動するように構成された軸方向駆動機構と、スレッドに担持され、軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1のアクチュエータとを具える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内管理および追跡システムであって、
トラックと、
少なくとも1つの細長い医療器具がそれぞれ取り付けられる少なくとも1つのシャトルとを具え、前記少なくとも1つのシャトルの各々は、前記トラックに機械的に結合されるように構成され、前記トラックに乗るように構成されたスレッドと、当該スレッドに担持され前記トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構と、前記スレッドに担持され前記軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1のアクチュエータとを具えることを特徴とする血管内管理および追跡システム。
【請求項2】
前記トラックが可撓性である、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの細長い医療器具の各々が、ガイドシース、作業カテーテル、およびガイドワイヤのうちの1つである、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシャトルは複数のシャトルからなり、前記少なくとも1つの細長い医療器具が複数の細長い医療器具からなる、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項5】
前記複数のシャトルの各々は、前記トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように構成されている、請求項4に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項6】
前記複数のシャトルの各々は、前記トラックにねじ込まれるように構成されている、請求項5に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項7】
前記複数のシャトルの各々は、前記トラックに横方向に嵌合するように構成されている、請求項5に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項8】
前記複数のシャトルのうちの後続の1つがそれぞれ、前記複数のシャトルの先行する1つに取り付けられた前記複数の細長い医療器具のそれぞれの遠位端をスライド可能に受容するように構成されており、先行するシャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続のシャトルに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの中に同軸に配置されるようになっている、請求項4に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項9】
前記複数のシャトルのうちの1つがマスタシャトルであり、前記複数のシャトルのうちの別の1つがスレーブシャトルであり、前記血管内管理および追跡システムは、前記マスタシャトルの軸方向駆動機構の作動に応答して、前記スレーブシャトルの軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラをさらに含み、前記スレーブシャトルは、前記トラックに沿った前記マスタシャトルの軸方向並進と同期して前記トラックに沿って軸方向に並進するようになっている、請求項4に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項10】
前記コントローラが電気的コントローラである、請求項9に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項11】
前記コントローラが機械的コントローラである、請求項9に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、前記スレッドに担持され、前記各シャトルに取り付けられた細長い医療器具に流体結合されるように構成されたオンボード流体管理制御アセンブリをさらに具える、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項13】
前記オンボード流体管理制御アセンブリが回転止血弁(RHV)を含む、請求項12に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項14】
前記RHVがそれぞれのシャトルから取り外されるように構成されている、請求項13に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、前記スレッドに担持され、それぞれの細長い医療器具をその長手方向軸を中心に回転させるように作動されるように構成された回転駆動機構と、前記スレッドに担持され、前記回転駆動機構を作動させるように構成された第2のアクチュエータとを具える、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項16】
前記スレッドに担持され、前記軸方向駆動機構を前記トラックに交互に係合および係合解除するように手動で操作されるように構成されたロック機構をさらに含む、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの細長い医療器具の各々が可撓性であり、前記少なくとも1つのシャトルの1つ以上が、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構をさらに具える、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項18】
1以上の前記座屈防止機構の各々が、それぞれの細長い医療器具が摺動可能に配置されるように構成された管状部材を具える、請求項17に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項19】
前記管状部材が、該管状部材の長さに沿って延びるスリットを有する、請求項18に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項20】
1以上の前記座屈防止機構の各々の遠位端は、ある位置に取り付けられるように構成されており、各座屈防止機構が、それぞれのシャトルが前記位置から離れるように軸方向に並進させられると長くなり、それぞれのシャトルが前記位置に向かって軸方向に並進させられると短くなるように構成されている、請求項17に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項21】
前記1以上の座屈防止機構の1つの遠位端が取り付けられる位置が、患者に対して固定された位置である、請求項20に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのシャトルが複数のシャトルからなり、前記複数のシャトルのうちの先行する1つの座屈防止機構の遠位端が取り付けられる位置が、前記複数のシャトルのうちの後続の1つである、請求項20に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項23】
前記座屈防止機構が前記軸方向駆動機構を含む、請求項17に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項24】
前記第1のアクチュエータが手動アクチュエータである、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項25】
前記第1のアクチュエータがモータである、請求項1に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項26】
ロボット血管内システムであって、
請求項25に記載の血管内管理および追跡システムと、
ユーザからの手動コマンドを受け取り少なくとも1つのシャトルの各々のモータに制御信号を送信するように構成されたマスタ入力装置とを含む、ロボット血管内システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、前記軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータを具える、請求項26に記載のロボット血管内システム。
【請求項28】
血管内管理および追跡システムにおいて、
可撓性トラックと、
少なくとも1つの細長い医療器具がそれぞれ取り付け可能な少なくとも1つのシャトルであって、各々が前記可撓性トラックに機械的に結合されるように構成されている少なくとも1つのシャトルと、
前記可撓性トラックに沿って前記少なくとも1つのシャトルを軸方向に並進させるように構成されている駆動アセンブリとを具える、血管内管理および追跡システム。
【請求項29】
前記可撓性トラックが、病室環境に合わせて使用者によって輪郭付けされるように構成されている、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項30】
前記病室環境が、テーブル、ドレープ、および患者のうちの1つまたは複数を含む、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項31】
複数のトラック支持アームをさらに具え、前記トラック支持アームの各々は、処置台に固定されるように構成された一端と、前記可撓性トラックに固定されるように構成された他端とを有し、前記可撓性トラックが前記処置台の上方に吊り下げられ得るようになっている、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項32】
前記複数のトラック支持アームの各々は、前記処置台に対する各アームの他端の高さを選択するために、前記処置台に対して調節されるように構成されている、請求項31に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項33】
前記複数のトラック支持アームの他端に取り付けられた複数の脚をさらに具え、前記可撓性トラックが前記複数の脚の上に取り付けられるように構成されている、請求項31に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項34】
前記複数の脚の各々が、前記処置台に対するそれぞれの脚の高さを選択するために、前記トラック支持アームに対して調節されるように構成されている、請求項33に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項35】
前記可撓性トラックが、当該可撓性トラックの長さに沿ったチャネルを具え、前記複数の脚の各々が、前記可撓性トラックのチャネルに着脱可能に取り付けられるように構成されたクリートを具える、請求項33に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項36】
前記可撓性トラックは、前記少なくとも1つのシャトルが乗るオープンモノレールである、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項37】
前記可撓性トラックが、上から下への可撓性と、当該上から下への可撓性よりも小さい横から横への可撓性とを有する、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項38】
前記可撓性トラックが、ドレープ上に安定的に静止するように構成されたトラックラックと、トラックレールが前記ドレープの上方に持ち上げられるように前記トラックラックに取り付けられたトラックレールとを具え、前記少なくとも1つのシャトルが前記トラックレールに機械的に結合されるように構成されている、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項39】
前記トラックラックが、前記ドレープ上に安定的に載置されるように構成された細長いベースと、当該細長いベースの上に固定され、前記トラックレールが取り付けられる1または複数の台座とを具える、請求項38に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項40】
前記細長いベースが、一対の細長いフレーム部材と、前記一対の細長いフレーム部材を互いに固定する一連のクロスバーとを有する矩形フレームの形態である、請求項39に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項41】
前記可撓性トラックが、互いに取り外し可能に取り付けられるように構成された複数のトラックセグメントを含む、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項42】
前記可撓性トラックの遠位端を患者に固定するように構成された締結具をさらに含む、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項43】
前記少なくとも1つの細長い医療器具の各々が、ガイドシース、作業カテーテル、およびガイドワイヤのうちの1つである、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項44】
前記少なくとも1つのシャトルが複数のシャトルからなり、前記少なくとも1つの細長い医療器具が複数の細長い医療器具からなる、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項45】
前記複数のシャトルの各々は、前記可撓性トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように構成されている、請求項44に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項46】
前記複数のシャトルの各々が、前記可撓性トラックにねじ込まれるように構成されている、請求項45に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項47】
前記複数のシャトルの各々が、前記可撓性トラックに横方向に嵌合するように構成されている、請求項45に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項48】
前記シャトルのうちの後続の1つがそれぞれ、前記シャトルのうちの先行する1つに取り付けられた前記少なくとも1つの細長い医療器具のそれぞれの遠位端をスライド可能に受容するように構成されており、先行するシャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続のシャトルに取り付けられた少なくとも1つの細長い医療器具のそれぞれの1つの中に同軸に配置されるようになっている、請求項44に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項49】
前記複数のシャトルのうちの1つがマスタシャトルであり、前記複数のシャトルのうちの別の1つがスレーブシャトルであり、前記血管内管理および追跡システムは、前記マスタシャトルの軸方向駆動機構の作動に応答して、前記スレーブシャトルの軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラをさらに含み、前記スレーブシャトルは、前記可撓性トラックに沿った前記マスタシャトルの軸方向並進と同期して前記可撓性トラックに沿って軸方向に並進するようになっている、請求項44に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項50】
前記コントローラが電気的コントローラである、請求項49に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項51】
前記コントローラが機械的コントローラである、請求項49に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項52】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、各シャトルに取り付けられた細長い医療器具に流体結合されるように構成されたオンボード流体管理制御アセンブリをさらに具える、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項53】
前記オンボード流体管理制御アセンブリが回転止血弁(RHV)を含む、請求項52に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項54】
前記RHVがそれぞれのシャトルから取り外されるように構成されている、請求項53に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項55】
前記駆動アセンブリは、少なくとも1つの軸方向駆動機構および少なくとも1つの第1のアクチュエータを具え、前記少なくとも1つのシャトルがそれぞれ、前記少なくとも1つの軸方向駆動機構および前記少なくとも1つの第1のアクチュエータを具え、前記少なくとも1つの軸方向駆動機構の各々は、前記可撓性トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動するように構成され、前記少なくとも1つの第1のアクチュエータの各々は、それぞれの軸方向駆動機構を作動させるように構成されている、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項56】
前記駆動アセンブリは、少なくとも1つの回転駆動機構および少なくとも1つの第2のアクチュエータをさらに具え、前記少なくとも1つのシャトルがそれぞれ、前記少なくとも1つの回転駆動機構および前記少なくとも1つの第2のアクチュエータを具え、前記少なくとも1つの回転駆動機構の各々は、それぞれの細長い医療器具をそれぞれのシャトルに対してその長手方向軸を中心に回転させるように作動するように構成され、前記少なくとも1つの第2のアクチュエータの各々は、それぞれの回転駆動機構を作動させるように構成されている、請求項55に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項57】
前記軸方向駆動機構を前記可撓性トラックに交互に係合および係合解除するように手動で操作されるように構成されたロック機構をさらに具える、請求項55に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項58】
前記少なくとも1つの細長い医療器具の各々が可撓性であり、前記少なくとも1つのシャトルの1つ以上が、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構をさらに具える、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項59】
前記少なくとも1つの座屈防止機構の各々が、それぞれの細長い医療器具が摺動可能に配置されるように構成された管状部材を具える、請求項58に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項60】
前記管状部材が、該管状部材の長さに沿って延びるスリットを有する、請求項59に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項61】
前記少なくとも1つの前記座屈防止機構の各々の遠位端は、ある位置に取り付けられるように構成されており、各座屈防止機構が、それぞれのシャトルが前記位置から離れるように軸方向に並進させられると長くなり、それぞれのシャトルが前記位置に向かって軸方向に並進させられると短くなるように構成されている、請求項58に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項62】
前記少なくとも1つの座屈防止機構の1つの遠位端が取り付けられる位置が、患者に対して固定された位置である、請求項61に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項63】
前記少なくとも1つのシャトルが複数のシャトルからなり、前記少なくとも1つの細長い医療器具が複数の細長い医療器具からなり、前記シャトルのうちの先行する1つに前記座屈防止機構の遠位端が取り付けられる位置は、前記シャトルのうちの後続の1つである、請求項61に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項64】
前記少なくとも1つの座屈防止機構のうちの1以上が前記駆動アセンブリを含む、請求項61に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項65】
前記駆動アセンブリは手動で作動される、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項66】
前記駆動アセンブリはモータ作動式である、請求項28に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項67】
ロボット血管内システムであって、
請求項66に記載の血管内管理および追跡システムと、
ユーザからの手動コマンドを受け取り、前記駆動アセンブリに制御信号を送信するように構成されたマスタ入力装置とを具えることを特徴とするロボット血管内システム。
【請求項68】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、前記軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータを具える、請求項67に記載のロボット血管内システム。
【請求項69】
血管内管理および追跡システムであって、
少なくとも1つの可撓性の細長い医療器具を軸方向に並進させるように構成された駆動システムと、
前記少なくとも1つの細長い医療器具のそれぞれが、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応答して脱出するのを防止するように構成された少なくとも1つの座屈防止機構とを具え、前記少なくとも1つの座屈防止機構のそれぞれが、それぞれの細長い医療器具の軸方向の並進に応答して、交互に巻き取りおよび繰り出しされるように構成された軸方向分割シースを含み、当該軸方向分割シースが、巻き取られたときに扁平状態になるように構成された扁平の近位部分と、繰り出されたときに管状状態になるように構成された管状の遠位部分と、当該管状の遠位部分においてそれぞれの細長い医療器具をその中に摺動可能に受容するように構成されたルーメンとを有することを特徴とする血管内管理および追跡システム。
【請求項70】
前記軸方向分割シースが、当該軸方向分割シースの扁平の近位部分が外力に応答してのみ扁平状態をとるように、管状の形状をとるように予め形成されている、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項71】
前記軸方向分割シースは、当該軸方向分割シースの扁平の近位部分が外力のない状態で平坦な状態のままであり、前記軸方向分割シースの管状の遠位部分が外力のない状態で管状の状態のままであるような、双安定構造を有する、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項72】
前記軸方向分割シースの扁平の近位部分が扁平化機構から近位方向に延びるように、前記軸方向分割シースを管状状態から扁平状態に移行させるように構成された扁平化機構をさらに具える、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項73】
前記扁平化機構が、前記軸方向分割シースが間に配置されるピンチローラを具える、請求項72に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項74】
前記軸方向分割シースを扁平状態から管状状態に移行させるように構成されたチューブ形成機構をさらに具え、当該チューブ形成機構は、軸方向に分割された管状の遠位部分が前記チューブ形成機構から遠位に延びるように、前記扁平機構の遠位に配置されている、請求項72に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項75】
前記チューブ形成機構が、前記軸方向分割シースが当接する円弧状のベアリング面を具える、請求項74に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項76】
前記少なくとも1つの座屈防止機構の各々が、前記ハウジング内に配置された巻き取りリールをさらに具え、当該巻き取りリールは、交互に、巻き取り時に前記軸方向分割シースの扁平の近位部分を巻き取り、繰り出し時に前記軸方向分割シースの扁平の近位部分を展開するように構成されている、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項77】
前記少なくとも1つの座屈防止機構の各々が、巻き取り時に前記軸方向分割シースの扁平の近位部分を巻き取るように前記巻き取りリールにバイアスをかけるように構成された巻き取りバイアス機構をさらに具える、請求項76に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項78】
前記巻き取りバイアス機構が、前記巻き取りリールがアイドラプーリと一体となって回転するように、前記巻き取りリールに取り付けられたアイドラプーリと、前記軸方向分割シースの扁平の近位部分が巻き取り時に回転するように構成された駆動プーリと、前記駆動プーリの回転に応答して前記アイドラプーリが回転するように、前記アイドラプーリを前記駆動プーリに連結する駆動ベルトとを具える、請求項77に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項79】
前記アイドラプーリの直径が前記駆動プーリの直径よりも小さい、請求項78に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項80】
前記巻き取りバイアス機構が、前記巻き取りリールに巻き付けられた前記軸方向分割シースの扁平の近位部分の直線速度を、前記ハウジングに対する前記軸方向分割シースの管状の遠位部分の直線速度に一致させるように構成されたクラッチ機構をさらに具える、請求項79に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項81】
前記クラッチ機構が、前記アイドラプーリと前記駆動ベルトとの間の摩擦クラッチを含む、請求項80に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項82】
前記アイドラプーリが、前記巻き取りリールが前記軸方向分割シースの扁平の近位部分を展開するときに前記アイドラプーリがフリースピンするように、ラチェット式である、請求項78に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項83】
前記巻き取りバイアス機構が、前記軸方向分割シースが間に摩擦的に配置されるピンチローラをさらに具え、前記軸方向分割シースが巻き取られる際に前記ピンチローラが回転し、前記駆動プーリが前記ピンチローラの1つに取り付けられており、前記駆動プーリが前記1つのピンチローラと一体となって回転する、請求項78に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項84】
前記巻き取りバイアス機構が、前記軸方向分割シースの扁平の近位部分に一定の張力を加えるために前記巻き取りリールに取り付けられた引張りばねを具える、請求項77に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項85】
前記巻き取りバイアス機構が、前記軸方向分割シースの扁平の近位部分に一定の張力を加えるために前記巻き取りリールに機械的に結合されたモータを具える、請求項77に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項86】
前記少なくとも1つの細長い医療器具の各々が、ガイドシース、作業カテーテル、およびガイドワイヤのうちの1つである、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項87】
前記駆動システムは、前記少なくとも1つの可撓性の細長い医療器具の各々をその長手方向軸を中心に回転させるように構成されている、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項88】
トラックをさらに具え、前記駆動システムが、前記トラックに機械的に結合されるように構成された少なくとも1つのシャトルを具え、当該少なくとも1つのシャトルの各々が、前記少なくとも1つの細長い医療器具のそれぞれの1つが取り付けられるように構成されたスレッドと、当該スレッドに担持され、前記トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構と、前記スレッドに担持され、前記軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1のアクチュエータとを具え、前記少なくとも1つの座屈防止機構のうちのそれぞれが、前記スレッドに担持され、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応じて前記それぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成されている、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項89】
前記トラックが可撓性である、請求項88に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項90】
前記少なくとも1つのシャトルが複数のシャトルからなり、前記少なくとも1つの座屈防止機構が複数の座屈防止機構からなり、前記少なくとも1つの細長い医療器具が複数の細長い医療器具からなる、請求項88に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項91】
前記シャトルのうちの後続の1つがそれぞれ、前記シャトルのうちの先行する1つに取り付けられた前記少なくとも1つの細長い医療器具のそれぞれの遠位端をスライド可能に受容するように構成されており、先行するシャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続のシャトルに取り付けられた少なくとも1つの細長い医療器具のそれぞれの1つの中に同軸に配置されるようになっている、請求項90に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項92】
前記複数のシャトルのうちの1つがマスタシャトルであり、前記複数のシャトルのうちの別の1つがスレーブシャトルであり、前記血管内管理および追跡システムは、前記マスタシャトルの軸方向駆動機構の作動に応答して、前記スレーブシャトルの軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラをさらに含み、前記スレーブシャトルは、前記トラックに沿った前記マスタシャトルの軸方向並進と同期して前記トラックに沿って軸方向に並進するようになっている、請求項90に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項93】
前記コントローラが電気的コントローラである、請求項92に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項94】
前記コントローラが機械的コントローラである、請求項92に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項95】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、各シャトルに取り付けられた細長い医療器具に流体結合されるように構成されたオンボード流体管理制御アセンブリをさらに具える、請求項88に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項96】
前記オンボード流体管理制御アセンブリが回転止血弁(RHV)を含む、請求項95に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項97】
前記RHVがそれぞれのシャトルから取り外されるように構成されている、請求項96に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項98】
前記駆動アセンブリがさらに、前記スレッドに担持され、前記それぞれの細長い医療器具をそれぞれのスレッドに対してその長手方向軸を中心に回転させるように作動されるように構成された回転駆動機構と、前記スレッドに担持され、前記回転駆動機構を作動させるように構成された第2のアクチュエータとを具える、請求項88に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項99】
前記軸方向駆動機構を前記トラックに交互に係合および係合解除するように手動で操作されるように構成されたロック機構をさらに具える、請求項88に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項100】
前記少なくとも1つの前記座屈防止機構の各々の遠位端は、ある位置に取り付けられるように構成されており、各座屈防止機構が、それぞれのシャトルが前記位置から離れるように軸方向に並進させられると長くなり、それぞれのシャトルが前記位置に向かって軸方向に並進させられると短くなるように構成されている、請求項88に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項101】
前記少なくとも1つの座屈防止機構の1つの遠位端が取り付けられる位置が、患者に対して固定された位置である、請求項100に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項102】
前記少なくとも1つのシャトルが複数のシャトルからなり、前記少なくとも1つの細長い医療器具が複数の細長い医療器具からなり、前記シャトルのうちの先行する1つに前記座屈防止機構の遠位端が取り付けられる位置は、前記シャトルのうちの後続の1つである、請求項100に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項103】
前記少なくとも1つの座屈防止機構のうちの1以上が前記駆動システムを含む、請求項100に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項104】
前記駆動システムが手動で作動される、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項105】
前記駆動システムがモータ作動式である、請求項69に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項106】
ロボット血管内システムであって、
請求項105に記載の血管内管理および追跡システムと、
ユーザからの手動コマンドを受け取り制御信号を前記駆動システムに送信するように構成されたマスタ入力装置とを含む、ロボット血管内システム。
【請求項107】
前記少なくとも1つのシャトルの各々が、前記軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータを具える、請求項106に記載のロボット血管内システム。
【請求項108】
血管内管理および追跡システムであって、
トラックと、
第1の細長い医療器具を取り付けることができるスレーブシャトルであって、前記トラックに機械的に結合されるように構成されている、スレーブシャトルと、
第2の細長い医療器具を取り付けることができるマスタシャトルであって、前記トラックに機械的に結合されるように構成されている、マスタシャトルと、
前記トラックに沿って前記スレーブシャトルを軸方向並進させるように作動されるように構成されている第1の軸方向駆動機構と、
前記トラックに沿った手動による前記マスタシャトルの軸方向並進に応答して、前記トラックに沿った前記マスタシャトルの軸方向並進と同期して前記スレーブシャトルが前記トラックに沿って軸方向並進するように、前記第1の軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラとを具えることを特徴とする血管内管理および追跡システム。
【請求項109】
前記コントローラが電気的コントローラである、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項110】
さらに、前記トラックに対する前記マスタシャトルの位置を示すエンコーダと、
当該エンコーダを読み取り、前記トラックに対するマスタシャトルの位置を示す電気信号を出力するように構成された1または複数のセンサとをさらに具え、
前記電気的コントローラが、前記電気信号に基づいて前記第1の軸方向駆動機構を制御するように構成されている、請求項109に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項111】
前記エンコーダが前記トラックに沿って配置され、前記1以上のセンサが前記マスタシャトル上に配置される、請求項110に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項112】
前記エンコーダが、前記トラックの長さに沿って延びる一連の基準要素を含み、前記1以上のセンサが、前記基準要素を読み取るように構成された基準要素リーダを含む、請求項111に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項113】
前記コントローラが機械的コントローラである、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項114】
前記スレーブシャトルがさらに、前記トラック上に乗るように構成された第1のスレッドを具え、前記第1の軸方向駆動機構が、前記第1のスレッドに担持され、前記トラックに沿って前記スレーブシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成されており、
前記マスタシャトルが、前記トラック上に乗るように構成された第2のスレッドと、当該第2のスレッドに担持され、前記トラックに沿って前記マスタシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成された第2の軸方向駆動機構とを具え、
前記機械的コントローラが、前記第1および第2の軸方向駆動機構の間に機械的に結合された制御シャフトを含む、請求項113に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項115】
前記マスタシャトルが、前記第2のスレッドに担持され、前記第2の軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータをさらに具える、請求項114に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項116】
前記スレーブシャトルが、前記第1のスレッドに担持され、前記第1の軸方向駆動機構を作動させるように構成された別の手動アクチュエータをさらに具える、請求項115に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項117】
前記制御シャフトは、前記第1および第2の軸方向駆動機構の間に着脱可能に機械的に結合されるように構成されている、請求項114に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項118】
前記制御シャフトは、前記第1および第2の軸方向駆動機構の間に機械的に結合されるように構成されており、前記制御シャフトと、前記スレーブシャトルおよび前記マスタシャトルのうちの一方とが一体に軸方向に並進されるように構成され、一方、前記制御シャフトと、前記スレーブシャトルおよび前記マスタシャトルのうちの他方とが互いに相対的に軸方向に並進されるように構成される、請求項114に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項119】
前記マスタシャトルおよび前記スレーブシャトルの一方が前記マスタシャトルであり、前記マスタシャトルおよび前記スレーブシャトルの他方が前記スレーブシャトルである、請求項118に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項120】
前記制御シャフトは、前記第2の軸方向駆動機構の作動に応答してその長手方向軸を中心に回転するように構成され、前記第1の軸方向駆動機構は、前記制御シャフトのその長手方向軸を中心とする回転に応答して作動するように構成されている、請求項118に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項121】
前記第1の軸方向駆動機構が第1のウォームドライブを含み、前記第2の軸方向駆動機構が第2のウォームドライブを含み、前記制御シャフトが前記第1および第2のウォームドライブの間に作動可能に結合されている、請求項120に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項122】
前記第1のウォームドライブが、前記スレーブシャトル内に取り外し可能に配置されている、請求項121に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項123】
前記第1のウォームドライブが第1のウォームスクリュと第1のウォームギアとを含み、前記第2のウォームドライブが第2のウォームスクリュと第2のウォームギアとを含み、前記制御シャフトが前記第1および第2のウォームスクリュの間に作動可能に結合され、前記第1のウォームギアが前記第1の手動アクチュエータと前記第1のウォームスクリュとの間に動作可能に結合され、前記第2のウォームギアが前記第2のウォームスクリュと前記トラックとの間に動作可能に結合される、請求項121に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項124】
前記マスタシャトルが、前記スレッドに担持され、前記第2の軸方向駆動機構を作動させるように構成された回転可能な手動アクチュエータをさらに具え、前記第2のウォームギアが、前記回転可能な手動アクチュエータと前記トラックとの間に動作可能に結合される、請求項123に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項125】
前記第1および第2のウォームスクリュの各々が、前記制御シャフトが通して配置されるように構成されたボアを有し、前記第1および第2のウォームスクリュのボアと前記制御シャフトの外周とがキー止めされる、請求項123に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項126】
前記第1および第2のウォームスクリュが異なるピッチを有する、請求項123に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項127】
前記第1および第2のウォームスクリュが反対のピッチを有する、請求項123に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項128】
前記スレーブシャトルが、前記スレーブシャトルに対してその長手方向軸を中心に前記第1の細長い医療器具を回転させるように作動するように構成された第1の回転駆動機構を含み、
前記マスタシャトルが、前記マスタシャトルに対してその長手方向軸を中心に前記第2の細長い医療器具を回転させるように作動するように構成された第2の回転駆動機構を含む、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項129】
前記スレーブシャトルは、軸方向並進比にしたがって、前記トラックに沿って前記マスタシャトルの軸方向並進と同期して前記トラックに沿って軸方向に並進される、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項130】
前記軸方向並進比が負の軸方向並進比である、請求項129に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項131】
前記第1および第2の細長い医療器具の一方がステント展開カテーテルであり、前記第1および第2の細長い医療器具の他方が、前記ステント展開カテーテル内に配置され前記ステント展開カテーテル内のステントに取り付けられたプッシャ部材である、請求項130に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項132】
前記軸方向並進比が正の軸方向並進比である、請求項129に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項133】
前記軸方向移行比が1である、請求項132に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項134】
前記スレーブシャトルは、前記マスタシャトルから所定の距離で、前記トラックに沿って前記マスタシャトルの軸方向並進と同期して前記トラックに沿って軸方向並進される、請求項133に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項135】
前記スレーブシャトルは、前記スレーブシャトルが前記マスタシャトルから所定の距離になるまで、前記マスタシャトルが前記トラックに沿って軸方向に並進するのに合わせて、前記トラックに沿って軸方向に並進しない、請求項134に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項136】
前記第1の細長い医療器具がカテーテルであり、前記第2の細長い医療器具がガイドワイヤである、請求項135に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項137】
前記第1の細長い医療器具がステントリバーであり、前記第2の細長い医療器具がカテーテルである、請求項135に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項138】
前記マスタシャトルが、前記トラック上を走行するように構成されたスレッドをさらに具え、前記第1の軸方向駆動機構および前記手動アクチュエータが前記スレッドに担持される、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項139】
前記トラックが可撓性である、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項140】
前記マスタシャトルおよび前記スレーブシャトルの各々は、前記トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように構成されている、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項141】
前記マスタシャトルおよび前記スレーブシャトルの一方が後続シャトルであり、前記マスタシャトルおよび前記スレーブシャトルの他方が先行シャトルであり、前記マスタシャトルは、先行シャトルに取り付けられた前記第1および第2の細長い医療器具のそれぞれの一方の遠位端を受容するように構成され、前記先行シャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、前記後続シャトルに取り付けられた第1および第2の細長い医療器具のそれぞれの一方内に同軸配置されるように構成される、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項142】
前記第1および第2の細長い医療器具の各々が可撓性であり、前記マスタシャトルおよび前記スレーブシャトルの少なくとも一方が、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構をさらに具える、請求項108に記載の血管内管理および追跡システム。
【請求項143】
同軸血管内アセンブリの複数の細長い医療器具を互いに相対的に軸方向に並進させ、かつロボット的に回転移動させるように構成されたロボット血管内管理および追跡システムと共に使用するための制御ステーションであって、該制御ステーションは、
長手方向軸に沿って手動で軸方向に並進され、かつ前記長手方向軸を中心として手動で回転移動されるように構成された制御要素のリニアアレイを含むマスタ入力装置と、
前記長手方向軸に沿った前記制御要素のリニアアレイの各々の手動による軸線方向の並進に応答して前記細長い医療器具の各々を軸方向に並進させ、前記長手方向軸を中心とした前記制御要素のリニアアレイの各々の手動による回転移動に応答して前記細長い医療器具の各々を回転移動させるように前記ロボット血管内管理および追跡システムに命令することにより、前記制御要素のリニアアレイの各々を前記細長い医療器具に動作可能に連結するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを具えることを特徴とする制御ステーション。
【請求項144】
前記制御要素はそれぞれ円筒形である、請求項143に記載の制御ステーション。
【請求項145】
前記円筒形の制御要素が異なる直径を有する、請求項143に記載の制御ステーション。
【請求項146】
患者の血管系内で前進したときに前記細長い医療器具の各々に加えられる力を検出するように構成された少なくとも1つの力フィードバックセンサと、
オペレータが前記制御要素の各々を手動で軸方向に並進させ、手動で回転移動させたときに触覚フィードバックを前記オペレータの手に伝達するように構成された触覚インターフェースとをさらに具える、請求項143に記載の制御ステーション。
【請求項147】
前記触覚インターフェースは、前記マスタ入力装置を介して前記オペレータの手に触覚フィードバックを伝達するように構成される、請求項146に記載の制御ステーション。
【請求項148】
前記触覚インターフェースが1以上の触覚フィードバックグローブを含む請求項146に記載の制御ステーション。
【請求項149】
前記触覚インターフェースは、1つまたは複数の超音波パッドを具える、請求項146に記載の制御ステーション。
【請求項150】
前記マスタ入力装置はレールを具え、前記制御要素は前記レール上に軸方向および回転方向に摺動可能に配置された物理的制御要素である、請求項143に記載の制御ステーション。
【請求項151】
さらに、センサアセンブリであって、前記長手方向軸に沿った前記制御要素の各々の手動の軸方向並進を検出し、前記長手方向軸を中心とした前記制御要素の各々の手動の回転移動を検出し、前記長手方向軸に沿った前記制御要素の各々の検出された軸方向移動を示す信号と、前記制御要素のそれぞれの前記長手方向軸に沿った検出された軸方向並進を示す信号と、前記制御要素のそれぞれの前記長手方向軸に沿った検出された回転移動を示す信号とを出力するように構成されたセンサアセンブリを具え、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記センサアセンブリによって出力された制御信号に応答して、前記細長い医療器具の各々を軸方向並進させかつ回転移動させるように前記ロボット血管内管理および追跡システムに命令するように構成される、請求項150に記載の制御ステーション。
【請求項152】
前記センサアセンブリが受動部品と少なくとも1つの能動部品とを含み、前記受動部品が前記制御要素に取り付けられ、前記少なくとも1つの能動部品が前記制御要素から外れた配置される、請求項151に記載の制御ステーション。
【請求項153】
前記少なくとも1つの能動部品は、前記受動部品に隣接してそれぞれ前記レール内に取り付けられた複数の能動部品を含む、請求項152に記載の制御ステーション。
【請求項154】
請求項152記載の制御ステーションにおいて、前記受動部品は、前記制御要素のそれぞれの外周に取り付けられた基準要素を含むことを特徴とする制御ステーション。
【請求項155】
前記受動部品は、前記制御要素にそれぞれ取り付けられた複数の受動電磁トランスポンダを含み、前記少なくとも1つの能動部品は電磁トランシーバを含む、請求項152に記載の制御ステーション。
【請求項156】
前記少なくとも1つの能動部品を包含するセンサボックスをさらに含み、前記受動部品が、前記制御要素上に片持ち支持された複数の機械的アームを含み、前記機械的アームの自由端が、前記センサボックス内の前記少なくとも1つの能動部品と動作可能に相互作用するように構成されている、請求項152に記載の制御ステーション。
【請求項157】
前記制御要素上をそれぞれ所定の位置にスライドさせるように構成された複数の使い捨ての滅菌制御要素カバーをさらに含む、請求項150に記載の制御ステーション。
【請求項158】
前記滅菌制御要素カバーが、隣接する制御要素間を汚染流体が移動しないように、隣接する制御要素間にスライド式流体シールが形成されるように、互いに重なり合うように構成される、請求項157に記載の制御ステーション。
【請求項159】
前記制御要素は仮想の制御要素である、請求項143に記載の制御ステーション。
【請求項160】
請求項159に記載の制御ステーションにおいて、前記マスタ入力装置は、前記仮想制御要素の対話型3D表現を表示するように構成された三次元(3D)タッチスクリーンを具えることを特徴とする制御ステーション。
【請求項161】
前記3Dタッチスクリーンは円弧状の断面を有し、前記仮想制御要素は円弧状である、請求項160に記載の制御ステーション。
【請求項162】
前記3Dタッチスクリーンは円筒形であり、前記仮想制御要素は円筒形である、請求項160に記載の制御ステーション。
【請求項163】
前記仮想制御要素を三次元(3D)環境で表示するように構成されたヘッドマウント拡張現実(XR)システムをさらに含む、請求項159に記載の制御ステーション。
【請求項164】
前記仮想制御要素を表示するように構成された二次元(2D)表示スクリーンをさらに含む、請求項159に記載の制御ステーション。
【請求項165】
前記仮想制御要素を三次元(3D)環境に投影するように構成されたホログラフィックマシンをさらに含む、請求項159に記載の制御ステーション。
【請求項166】
前記仮想制御要素と仮想的に相互作用しながらオペレータによって行われたハンドジェスチャをキャプチャするように構成されたジェスチャ監視システムをさらに含む、請求項159に記載の制御ステーション。
【請求項167】
請求項143の制御ステーションと、
請求項143のロボット血管内管理および追跡システムとを含むことを特徴とするロボット血管内システム。
【請求項168】
前記ロボット血管内管理および追跡システムが、
トラックと、
複数の細長い医療器具がそれぞれ取り付けられ得る複数のシャトルとを具え、少なくとも1つのシャトルの各々は、前記トラックに機械的に結合されるように構成され、前記トラック上に乗るように構成されたスレッドと、当該スレッドに担持され、前記トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構と、前記スレッドに担持され、前記軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1の軸方向モータと、前記スレッドに担持され、前記細長い医療器具をそれぞれその長手方向軸を中心に回転させるように作動させるように構成された回転駆動機構と、前記スレッドに担持され、前記回転駆動機構を作動させるように構成された第2のモータとを具える、請求項167に記載のロボット血管内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に血管内カテーテルおよび血管内処置に関し、より具体的には同軸血管内アセンブリを管理および制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内医療器具の使用は、多くの種類の血管疾患の診断および/または治療のための効果的な方法となっている。一般に、適切な血管内デバイスが患者の血管系に挿入され、血管系を通って所望の標的部位まで誘導される。この方法を用いて、冠動脈、脳血管、末梢血管など、患者の血管系のほぼすべての標的部位にアクセスすることができる。
【0003】
従来の血管内治療では、ガイドシースがイントロデューサを介して患者の大腿動脈に挿入され、血管内標的部位の近傍に配置される。その後、ガイドワイヤがガイドシースに挿入され、患者の動脈系を通してガイドワイヤが血管内標的部位に到達するまで操作される。その後、ガイドワイヤに沿って作業カテーテルを移動させ、作業カテーテルの遠位端が血管内標的部位の近傍に位置するようにする。その後、血管内標的部位で診断および/または介入処置を行うために、作業カテーテルを操作することができる。カテーテルやガイドワイヤの操作には、通常、患者の曲がりくねった血管系を容易に通過させるために、これらの器具を手動で前進させたり回転させたりする必要がある。回転止血弁(RHV)は通常、流体マニホールドと各カテーテルとの間に使用され、カテーテルに流体を供給し、カテーテル操作中のカテーテルの回転を可能にすると同時に、カテーテルを介した血液の逆流を防ぐ。
【0004】
このような血管内処置を確実かつ正確に行うことは、非常に面倒な作業であり、かなりの時間と熟練を要し、外科医に高度の疲労をもたらす可能性がある。このような血管内手術は、通常、外科医が患者の解剖学的構造に対するカテーテルやガイドワイヤの配置を視覚化できるように透視下で行われるため、外科医が多くのカテーテル手術を行う場合、長期にわたってかなりの放射線照射を受けることになる。
【0005】
血管内デバイスの正確で堅牢な制御を容易にし、外科医への放射線照射リスクを低減するために、血管内デバイスを操作する(例えば、血管内デバイス同士を相互に追跡する)ための数多くのロボット血管内システムが提案され、一部は臨床現場で実施されている。一般に、このようなロボット血管内システムは、(機械的な代理として)マスタ入力装置に(例えば、ジョイスティックや手術医が操作する他のコントローラを介して)入力コマンドの形で指示入力を行い、このようなロボット血管内システムのスレーブ装置のための動作命令にこれらの指示入力を変換して、血管内デバイスを操作する。ロボット血管内システムのための完全自動化されたアルゴリズムおよび/または拡張動作がいくつか提案されており、例えば、ガイドワイヤ・ドッターの追加、血管内デバイスの捻りや引き込み、あるいは複数の血管内デバイスの同時移動(例えば、ステントを展開するためのカテーテルとデリバリーワイヤの移動)などがある。
【0006】
ロボット血管内システムの出現により、カテーテル、ガイドワイヤ、回転止血弁、流体マニホールドなど、テーブル上のすべての機器が必然的にロボットシステムのコンポーネントによって整理され、あるいは組み込まれるため、作業領域ははるかに合理的かつ効率的になった。しかしながら、公知のロボット血管内システムは、手術台の上に延びて血管内デバイスを操作するアームを使用する。公知のロボットシステムは大型で、操作が不器用で、製造コストが比較的高い。さらに、手術部位にロボットが存在することは、特にロボットが大きい場合に問題があり、手術中に患者へのアクセスを妨げる可能性がある。
【0007】
さらに、可撓性のカテーテルを前進させる際にカテーテルが脱落するのを防ぐため、現在のロボットシステムでは摩擦ローラによる前進やその他の駆動システムを使用する傾向があるが、この場合、かなりの長さのカテーテルをアクセスに使用できなくする必要があり、カテーテルのスタックアップの問題を引き起こす可能性がある。現在のほとんどのカテーテルは、可変型ロボット血管内システムをフルに活用するために、使用できない長さ(すなわち、1本のRHVの長さ)が最小限となるように設計されているため、カスタム長さのカテーテルが必要になったり、現在のカテーテルロボットシステムとの長さの互換性の問題から特定の血管内処置が除外されたりすることがある。
【0008】
また、すべての血管内治療が、完全な遠隔操作(すなわち、マスタ入力装置への入力コマンドを遠隔提供すること)で行われるのが最善ではない。多くの状況では、血管内デバイスの手動操作が必要であるか、あるいは非常に望ましい。しかし、既知のロボットシステムは、血管内デバイスを搭載した状態では、望んだ場合や緊急時に必要な手動操作(血管内デバイスを直接手で操作すること)に容易にアクセスできず、さまざまなカテーテルワークフローに動的に適応することが容易ではない。他の状況において、血管内処置中に血管内デバイスの一部を手動で操作することが必要となるか非常に好ましいが、同じ血管内処置中において血管内デバイスの他の部分は自動操作される必要があるか非常に好ましいという場合がある。しかしながら、既知のロボットシステムは、このような手動/自動のハイブリッドモードで動作することはできない。対照的に、純粋な手動システムは、所望の医療処置を行うために、しばしば2人の人間(例えば、医師と訓練された助手)が異なる血管内デバイスを同期して手動操作する必要がある。
【0009】
したがって、様々な病院環境およびカテーテルワークフローに合わせて簡単にセットアップおよびカスタマイズでき、カテーテルの脱落を防止し、比較的安価で、標準化された長さのカテーテルで使用でき、ロボット操作から手動操作に容易に変更でき、および/または手動/自動のハイブリッドモードで操作できる、改良された血管内管理および追跡システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、血管内管理および追跡システムは、トラック(可撓性であってもなくてもよい)と、少なくとも1つの細長い医療器具(例えば、ガイドシース、作業カテーテル、および/またはガイドワイヤ)をそれぞれ取り付けることができる少なくとも1つのシャトルとを具える。各シャトルは、トラックに機械的に結合されるように構成され、トラックに乗るように構成されたスレッドと、当該スレッドに担持され、トラックに沿って各シャトルを軸方向に並進させるように作動するように構成された軸方向駆動機構と、スレッドに担持され、軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1のアクチュエータ(例えば、手動アクチュエータまたはモータ)とを具える。シャトルの各々は、スレッドに担持されそれぞれの細長い医療器具をその長手方向軸を中心に回転させるように作動するように構成された回転駆動機構と、スレッドに担持され、回転駆動機構を作動させるように構成された第2のアクチュエータ(例えば、手動アクチュエータ又はモータ)とを任意に含み得る。
【0011】
一実施形態では、血管内管理および追跡システムは、複数の細長い医療器具がそれぞれ取り付けられる複数のシャトルを具える。この実施形態では、複数のシャトルの各々は、トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように、例えば、トラックにねじ込まれるか、トラックに横方向に嵌合されるように構成され得る。この実施形態では、複数のシャトルのうちの後続の1つはそれぞれ、複数のシャトルの先行する1つに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの遠位端をスライド可能に受容するように構成されており、先行するシャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続のシャトルに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの中に同軸に配置されるようになっている。任意の一実施形態では、複数のシャトルの1つをマスタシャトルとし、複数のシャトルのうちの別の1つをスレーブシャトルとすることができる。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、マスタシャトルの軸方向駆動機構の作動に応答してスレーブシャトルの軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラ(例えば、電気的コントローラまたは機械的コントローラ)をさらに含み、スレーブシャトルがトラックに沿ってマスタシャトルの軸方向移動と同期してトラックに沿って軸方向に移動する。
【0012】
別の実施形態では、シャトルのそれぞれは、スレッドに担持され、それぞれのシャトルに取り付けられた細長い医療器具に流体結合されるように構成されたオンボード流体管理制御アセンブリをさらに含む。この実施形態では、オンボード流体管理制御アセンブリはそれぞれのシャトルから取り外せるように構成された回転止血弁(RHV)を含み得る。
【0013】
さらに別の実施形態では、血管内管理および追跡システムは、スレッドに担持され、手動で操作されて軸方向駆動機構をトラックに交互に係合および係合解除するように構成されたロック機構をさらに含んでいる。
さらに別の実施形態では、細長い医療器具のそれぞれは可撓性であり、1つまたは複数のシャトルのそれぞれは、それぞれの細長い医療器具に加わる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構をさらに含む。座屈防止機構の各々は、それぞれの細長い医療器具が摺動可能に配置されるように構成された管状部材を含み得る。このような管状部材は、管状部材の長さに沿って延びるスリットを有し得る。この実施形態では、座屈防止機構のそれぞれの遠位端は、所定位置に固定されるように構成されており、座屈防止機構のそれぞれは、それぞれのシャトルがその位置から離れる方向に軸方向移動すると長くなり、それぞれのシャトルがその位置に向かう方向に軸方向移動すると短くなるように構成されている。座屈防止機構の1つの遠位端が固定される位置は、患者に対して固定された位置であり得る。血管内管理および追跡システムが複数のシャトルを含む場合、複数のシャトルのうちの先行する1つのシャトルの座屈防止機構の遠位端が取り付けられる位置は、複数のシャトルのうちの後続の1つであり得る。一実施形態では、座屈防止機構は軸方向駆動機構を含む。
【0014】
ロボット血管内システムは、前述の血管内管理および追跡システムと、ユーザからの手動コマンドを受信し各シャトルのモータに制御信号を送信するように構成されたマスタ入力装置とを含み得る。ロボット血管内システムにおいて、シャトルの各々は、軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータを任意に含み得る。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、血管内管理および追跡システムは、可撓性のトラックと、少なくとも1つの細長い医療器具(例えば、ガイドシース、作業カテーテル、および/またはガイドワイヤ)をそれぞれ取り付けることができる少なくとも1つのシャトルとを具える。一実施形態では、可撓性トラックは、上から下への可撓性と、当該上から下への可撓性よりも小さい横から横への可撓性とを有し得る。任意の実施形態では、可撓性トラックは、互いに取り外し可能に取り付けられるように構成された複数の可撓性トラックセグメントを含む。各シャトルは、トラックに機械的に結合されるように構成されている。一実施形態では、可撓性トラックはシャトルが乗るオープンモノレールである。
【0016】
血管内管理および追跡システムは、可撓性トラックに沿ってシャトルを軸方向に並進させるように構成された駆動アセンブリ(例えば、手動作動またはモータ作動)をさらに含む。一実施形態では、可撓性トラックは、病室環境(例えば、テーブル、ドレープ、および患者のうちの1つ以上)に対してユーザによって輪郭付けられるように構成されている。血管内管理および追跡システムは、可撓性トラックの遠位端を患者に固定するように構成された締結具をさらに含み得る。一実施形態では、駆動アセンブリは、少なくとも1つの軸方向駆動機構と少なくとも1つの第1のアクチュエータとを含む。シャトルはそれぞれ、軸方向駆動機構と少なくとも1つの第1のアクチュエータを含む。軸方向駆動機構の各々は、可撓性トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動するように構成することができ、第1のアクチュエータの各々は、それぞれの軸方向駆動機構を作動させるように構成することができる。この実施形態では、駆動アセンブリは、少なくとも1つの回転駆動機構と少なくとも1つの第2のアクチュエータをさらに含み得る。シャトルはそれぞれ、回転駆動機構と少なくとも1つの第2アクチュエータを含む。回転駆動機構のそれぞれは、それぞれの細長い医療器具をそれぞれのシャトルに対してその長手方向軸を中心に回転させるように作動されるように構成することができ、第2のアクチュエータのそれぞれは、それぞれの回転駆動機構を作動させるように構成することができる。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、軸方向駆動機構を可撓性トラックに交互に係合および係合解除するために手動で操作されるように構成されたロック機構をさらに含み得る。
【0017】
一実施形態では、血管内管理および追跡システムは、複数のトラック支持アームをさらに具える。複数のトラック支持アームのそれぞれは、処置台に固定されるように構成された一端と、トラックが処置台の上方に吊り下げられるように、トラックに固定されるように構成された他端とを有する。この実施形態において、複数のトラック支持アームの各々は、処置台に対するそれぞれのアームの他端の高さを選択するために、処置台に対して調節されるように構成され得る。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、複数のトラック支持アームの他端に取り付けられた複数の脚をさらに含むことができ、可撓性トラックは複数の脚の上に取り付けられるように構成することができる。複数の脚の各々は、処置台に対するそれぞれの脚の高さを選択するために、トラック支持アームに対して調節されるように構成され得る。可撓性トラックは、可撓性トラックの長さに沿ったチャネルを具えることができ、複数の脚の各々は、可撓性トラックのチャネルに着脱自在に取り付けられるように構成されたクリートを含むことができる。
【0018】
別の実施形態では、可撓性トラックは、ドレープ上に安定的に載置されるように構成されたトラックラックと、トラックレールがドレープの上方に上昇するように、トラックラックに取り付けられたトラックレールとを具える。シャトルはトラックレールに機械的に結合されるように構成されている。この実施形態では、トラックラックは、ドレープ上に安定的に載置されるように構成された細長いベースと、細長いベースの上に取り付けられ、トラックレールが固定される1以上の台座とを具え得る。細長いベースは、一対の細長いフレーム部材と、一対の細長いフレーム部材を互いに固定する一連のクロスバーとを有する矩形フレームの形態であり得る。
【0019】
さらに別の実施形態では、血管内管理および追跡システムは、複数の細長い医療器具がそれぞれ取り付けられる複数のシャトルを具える。この実施形態では、複数のシャトルの各々は、可撓性トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように、例えば、可撓性トラックにねじ込まれるか、可撓性トラックに横方向に嵌合されるように構成され得る。この実施形態では、複数のシャトルのうちの後続の1つはそれぞれ、複数のシャトルの先行する1つに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの遠位端をスライド可能に受容するように構成されており、先行するシャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続のシャトルに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの中に同軸に配置されるようになっている。任意の一実施形態では、複数のシャトルの1つをマスタシャトルとし、複数のシャトルのうちの別の1つをスレーブシャトルとすることができる。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、マスタシャトルの軸方向駆動機構の作動に応答してスレーブシャトルの軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラ(例えば、電気的コントローラまたは機械的コントローラ)をさらに含み、スレーブシャトルが可撓性トラックに沿ってマスタシャトルの軸方向移動と同期して可撓性トラックに沿って軸方向に移動する。
【0020】
さらに別の実施形態では、シャトルのそれぞれは、スレッドに担持され、それぞれのシャトルに取り付けられた細長い医療器具に流体結合されるように構成されたオンボード流体管理制御アセンブリをさらに含む。この実施形態では、オンボード流体管理制御アセンブリは、それぞれのシャトルから取り外せるように構成された回転止血弁(RHV)を含み得る。
【0021】
さらに別の実施形態では、細長い医療器具のそれぞれは可撓性であり、1つまたは複数のシャトルのそれぞれは、それぞれの細長い医療器具に加わる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構をさらに含む。座屈防止機構の各々は、それぞれの細長い医療器具が摺動可能に配置されるように構成された管状部材を含み得る。このような管状部材は、管状部材の長さに沿って延びるスリットを有し得る。この実施形態では、座屈防止機構のそれぞれの遠位端は、所定位置に固定されるように構成され、座屈防止機構のそれぞれは、それぞれのシャトルがその位置から離れる方向に軸方向移動すると長くなり、それぞれのシャトルがその位置に向かう方向に軸方向移動すると短くなるように構成され得る。座屈防止機構の1つの遠位端が固定される位置は、患者に対して固定された位置であり得る。血管内管理および追跡システムが複数のシャトルを含む場合、複数のシャトルのうちの先行する1つのシャトルの座屈防止機構の遠位端が取り付けられる位置は、複数のシャトルのうちの後続の1つであり得る。一実施形態では、座屈防止機構はドライバアセンブリを具える。
【0022】
ロボット血管内システムは、前述の血管内管理および追跡システムと、ユーザからの手動コマンドを受信し各シャトルのモータに制御信号を送信するように構成されたマスタ入力装置とを含み得る。ロボット血管内システムにおいて、シャトルの各々は、軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータを任意に含み得る。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、血管内管理および追跡システムは、少なくとも1つの可撓性の細長い医療器具(例えば、ガイドシース、作業カテーテル、および/またはガイドワイヤ)を軸方向に並進させ、任意に可撓性の細長い医療器具の各々をその長手方向軸を中心に回転させるように構成されたドライバシステム(例えば、手動作動式またはモータ作動式)を具える。血管内管理および追跡システムは、それぞれの細長い医療器具に加えられた軸方向の圧縮に応答して、それぞれの細長い医療器具の1つが脱出するのを防止するように構成された少なくとも1つの座屈防止機構をさらに具える。座屈防止機構の各々は、それぞれの細長い医療器具の軸方向移動に応答して、交互に巻かれたり広げられたりする(furled and unfurled)ように構成された軸方向分割シースを具える。軸方向分割シースは、巻かれたときに平坦な状態をとるように構成された扁平の近位部分と、広げられたときに管状状態をとるように構成された管状の遠位部分と、当該管状遠位部分においてその中にそれぞれの細長い医療器具をスライド可能に受容するように構成されたルーメンとを有する。
【0024】
一実施形態では、軸方向分割シースは、軸方向分割シースの扁平の近位部分が外力に応答してのみ平坦な状態をとるように、管状の形状をとるように予め形成されている。別の実施形態では、軸方向分割シースは、軸方向分割シースの扁平の近位部分が外力のない状態で平坦な状態のままであり、軸方向分割シースの管状の遠位部分が外力のない状態で管状の状態のままであるような、双安定構造を有している。
【0025】
さらに別の実施形態では、血管内管理および追跡システムは、扁平化機構であって、軸方向分割シースの扁平の近位部分が扁平化機構から近位側に延びるように、軸方向分割シースを管状状態から扁平状態に移行させるように構成された扁平化機構をさらに具える。一例として、扁平化機構は、軸方向分割シースが間に配置されるピンチローラを具え得る。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、軸方向分割シースを扁平状態から管状状態に移行させるように構成されたチューブ形成機構をさらに具え得る。チューブ形成機構は、軸方向に分割された管状の遠位部分がチューブ形成機構から遠位に延びるように、扁平化機構の遠位に配置され得る。チューブ形成機構は、軸方向分割シースが当接する円弧状の当接面を含み得る。
【0026】
さらに別の実施形態では、座屈防止機構の各々は、ハウジング内に配置された巻き取りリールをさらに具える。巻き取りリールは、巻き上げ時に軸方向分割シースの扁平の近位部分を交互に巻き取り、巻き戻し時に軸方向分割シースの扁平の近位部分を展開するように構成されている。座屈防止機構の各々は、巻き上げ時に軸方向分割シースの扁平の近位部分を巻き取るように巻き取りリールにバイアスをかけるように構成された巻き取りバイアス機構をさらに含み得る。一実施例では、巻き取りバイアス機構は、軸方向分割シースの扁平の近位部分に一定の張力を加えるために巻き取りリールに取り付けられた引張りばねを具え得る。別の実施例では、巻き取りバイアス機構は、軸方向分割シースの扁平の近位部分に一定の張力を加えるために、巻き取りリールに機械的に結合されたモータを具え得る。
【0027】
別の実施例では、巻き取りバイアス機構は、巻き取りリールがアイドラプーリと一体となって回転するように、巻き取りリールに取り付けられたアイドラプーリと、軸方向分割シースの扁平の近位部分の巻き上げ時に回転するように構成された駆動プーリと、駆動プーリの回転に応答してアイドラプーリが回転するように、アイドラプーリを駆動プーリに結合する駆動ベルトとを具え得る。アイドラプーリの直径は、駆動プーリの直径よりも小さくあり得る。アイドラプーリは、任意にラチェット式であって、巻き取りリールが軸方向分割シースの扁平の近位部分を広げるときにアイドラプーリがフリースピンするようになっていてもよい。この実施例では、巻き取りバイアス機構は、巻き取りリールに巻き付けられた軸方向分割シースの扁平の近位部分の直線速度を、ハウジングに対する軸方向分割シースの管状の遠位部分の直線速度に一致させるように構成されたクラッチ機構(例えば、アイドラプーリと駆動ベルトとの間の摩擦クラッチ)をさらに含んでもよい。この実施例では、巻き取りバイアス機構は、軸方向分割シースが巻き上げられるときにピンチローラが回転するように、軸方向分割シースが間に摩擦的に配置されるピンチローラをさらに含むことができる。この場合、一方のピンチローラにプーリを固定し、駆動プーリが一方のピンチローラと一体回転するようにしてもよい。
【0028】
さらに別の実施形態では、血管内管理および追跡システムはトラック(可撓性であってもなくてもよい)をさらに具え、駆動システムはトラックに機械的に結合されるように構成された少なくとも1つのシャトルを具える。この実施形態では、シャトルの各々は、細長い医療器具のそれぞれの1つが取り付けられるように構成されたスレッドと、スレッドに担持され、トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構と、スレッドに担持され、軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1のアクチュエータとを具える。シャトルの各々は、スレッドに担持されそれぞれの細長い医療器具をその長手方向軸を中心に回転させるように作動するように構成された回転駆動機構と、スレッドに担持され、回転駆動機構を作動させるように構成された第2のアクチュエータ(例えば、手動アクチュエータ又はモータ)とを任意に含み得る。座屈防止機構のそれぞれは、スレッドに担持され、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応じて、それぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成されている。
【0029】
この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、複数の細長い医療器具がそれぞれ取り付けられる複数のシャトルを具え得る。複数のシャトルの各々は、トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように、例えば、トラックにねじ込まれるか、トラックに横方向に嵌合されるように構成され得る。複数のシャトルのうちの後続の1つはそれぞれ、複数のシャトルの先行する1つに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの遠位端をスライド可能に受容するように構成されており、先行するシャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続のシャトルに取り付けられた複数の細長い医療器具のそれぞれの1つの中に同軸に配置されるようになっている。任意の一実施形態では、複数のシャトルの1つをマスタシャトルとし、複数のシャトルのうちの別の1つをスレーブシャトルとすることができる。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、マスタシャトルの軸方向駆動機構の作動に応答してスレーブシャトルの軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラ(例えば、電気的コントローラまたは機械的コントローラ)をさらに含み、スレーブシャトルがトラックに沿ってマスタシャトルの軸方向移動と同期してトラックに沿って軸方向に移動する。
【0030】
本実施形態では、シャトルのそれぞれは、スレッドに担持され、それぞれのシャトルに取り付けられた細長い医療器具に流体結合されるように構成されたオンボード流体管理制御アセンブリをさらに含み得る。オンボード流体管理制御アセンブリは、それぞれのシャトルから取り外せるように構成された回転止血弁(RHV)を含み得る。本実施形態では、血管内管理および追跡システムは、スレッドに担持され、手動で操作されて軸方向駆動機構をトラックに交互に係合および係合解除するように構成されたロック機構をさらに含み得る。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、軸方向駆動機構をトラックに交互に係合および係合解除するために手動で操作されるように構成されたロック機構をさらに含み得る。
【0031】
この実施形態では、座屈防止機構のそれぞれの遠位端は、所定位置に固定されるように構成され、座屈防止機構のそれぞれは、それぞれのシャトルがその位置から離れる方向に軸方向移動すると長くなり、それぞれのシャトルがその位置に向かう方向に軸方向移動すると短くなるように構成され得る。座屈防止機構の1つの遠位端が固定される位置は、患者に対して固定された位置であり得る。血管内管理および追跡システムが複数のシャトルを含む場合、複数のシャトルのうちの先行する1つのシャトルの座屈防止機構の遠位端が取り付けられる位置は、複数のシャトルのうちの後続の1つであり得る。一実施形態では、座屈防止機構はドライバシステムを具える。
【0032】
ロボット血管内システムは、前述の血管内管理および追跡システムと、ユーザからの手動コマンドを受信し各シャトルのモータに制御信号を送信するように構成されたマスタ入力装置とを含み得る。ロボット血管内システムにおいて、シャトルの各々は、軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータを任意に含み得る。
【0033】
本発明の第4の態様によれば、血管内管理および追跡システムは、トラック(可撓性であってもなくてもよい)と、第1の細長い医療器具を取り付けることができるスレーブシャトルと、第2の細長い医療器具を取り付けることができるマスタシャトルとを具える。スレーブシャトルとマスタシャトルは、トラックに機械的に結合されるように構成されている。一実施形態では、マスタシャトルとスレーブシャトルのそれぞれは、トラックに取り外し可能に機械的に結合されるように構成されている。別の実施形態では、マスタシャトルおよびスレーブシャトルの一方は後続のシャトルであり、マスタシャトルおよびスレーブシャトルの他方は先行するシャトルであり、マスタシャトルは、先行シャトルに取り付けられた第1および第2の細長い医療器具のそれぞれの一方の遠位端を受容するように構成され、このとき先行シャトルに取り付けられたそれぞれの細長い医療器具が、後続シャトルに取り付けられた第1および第2の細長い医療器具のそれぞれの一方内に同軸配置されるようになっている。さらに別の実施形態では、第1および第2の細長い医療器具の各々は可撓性であり、この場合、マスタシャトルおよびスレーブシャトルの少なくとも一方の各々は、それぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構をさらに具える。
【0034】
血管内管理および追跡システムは、トラックに沿ってスレーブシャトルを軸方向に並進させるように操作れるように構成された第1の軸方向駆動機構をさらに具える。一実施形態では、マスタシャトルはトラック上を走行するように構成されたスレッドをさらに具え、第1の軸方向駆動機構と手動アクチュエータはこのスレッドに担持される。血管内管理および追跡システムはさらに、トラックに沿って手動によるマスタシャトルの軸方向移動に応答して第1の軸方向駆動機構を作動させるように構成されたコントローラを具え、ここではトラックに沿ったマスタシャトルの軸方向移動に同期してスレーブシャトルがトラックに沿って軸方向移動する。任意の実施形態では、スレーブシャトルは、スレーブシャトルに対してその長手方向軸を中心に第1の細長い医療器具を回転させるように作動するように構成された第1の回転駆動機構を含むことができ、マスタシャトルは、マスタシャトルに対してその長手方向軸を中心に第2の細長い医療器具を回転させるように操作するように構成された第2の回転駆動機構を含むことができる。
【0035】
一実施形態では、コントローラは電気コントローラである。この実施形態では、血管内管理および追跡システムは、トラックに対するマスタシャトルの位置を示すエンコーダと、当該エンコーダを読み取り、トラックに対するマスタシャトルの位置を示す電気信号を出力するように構成された1つまたは複数のセンサとをさらに含み得る。電気コントローラは、電気信号に基づいて第1の軸方向駆動機構を制御するように構成され得る。エンコーダはトラックに沿って配置することができ、センサはマスタシャトルに配置することができる。この場合、エンコーダは、トラックの長さに沿って延びる一連の基準要素(fiducial elements)を含むことができ、センサは、当該基準要素を読み取るように構成された基準要素リーダを含むことができる。
【0036】
別の実施形態では、コントローラは機械式コントローラである。この実施形態では、スレーブシャトルは、トラック上に乗るように構成された第1のスレッドをさらに含むことができ、マスタシャトルは、トラック上に乗るように構成された第2のスレッドをさらに含むことができる。第1の軸方向駆動機構は、第1のスレッドに担持され、トラックに沿ってスレーブシャトルを軸方向に並進させるように作動するように構成することができ、第2の軸方向駆動機構は、第2のスレッドに担持され、トラックに沿ってマスタシャトルを軸方向に並進させるように作動するように構成することができる。マスタシャトルは、第2のスレッドに担持され、第2の軸方向駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータをさらに含むことができ、スレーブシャトルは、第1のスレッドに担持され、第1の軸方向駆動機構を作動させるように構成された別の手動アクチュエータをさらに含むことができる。機械的コントローラは、第1および第2の軸方向駆動機構の間に(例えば、着脱可能な態様で)機械的に結合された制御シャフトを具え得る。
【0037】
制御シャフトは、第1および第2の軸方向駆動機構の間に機械的に結合されるように構成されてもよく、この場合、制御シャフトと、スレーブシャトルおよびマスタシャトルのうちの一方とが一体に軸方向に並進されるように構成される一方、制御シャフトと、スレーブシャトルおよびマスタシャトルのうちの他方とが互いに相対的に軸方向に並進されるように構成される。この場合、制御シャフトは、第2の軸方向駆動機構の作動に応答してその長手方向軸を中心に回転するように構成することができ、第1の軸方向駆動機構は、制御シャフトのその長手方向軸を中心とする回転に応答して作動するように構成することができる。第1の軸方向駆動機構は第1のウォームドライブを含むことができ、第2の軸方向駆動機構は第2のウォームドライブを含むことができ、制御シャフトは、第1のウォームドライブと第2のウォームドライブとの間に動作可能に結合され得る。第1のウォームドライブは、スレーブシャトル内に取り外し可能に配置され得る。第1のウォームドライブは、第1のウォームスクリュと第1のウォームギアとを含むことができ、第2のウォームドライブは、第2のウォームスクリュと第2のウォームギアとを含むことができ、制御シャフトは、第1および第2のウォームスクリュの間に動作可能に結合され、第1のウォームギアは、第1の手動アクチュエータと第1のウォームスクリュとの間に動作可能に結合され、第2のウォームギアは、第2のウォームスクリュとトラックとの間に動作可能に結合され得る。また、第1のウォームスクリュと第の2ウォームスクリュのそれぞれは、制御シャフトが通して配置されるように構成されたボアを有し、第1のウォームスクリュと第2のウォームスクリュのボアと制御シャフトの外周面はキー止めされてもよい。マスタシャトルは、スレッドに担持され、第2の軸方向駆動機構を作動させるように構成された回転可能な手動アクチュエータをさらに含むことができ、第2のウォームギアは、回転可能な手動アクチュエータとトラックとの間に作動可能に結合することができる。第1のウォームスクリュと第2のウォームスクリュは、異なるピッチおよび/または反対のピッチを有していてもよい。
【0038】
さらに別の実施形態では、スレーブシャトルは、軸方向並進比にしたがって、トラックに沿ってマスタシャトルの軸方向並進と同期してトラックに沿って軸方向に並進される。この軸方向並進比は負の軸方向並進比でも、正の軸方向並進比であってもよい。軸方向並進比が負の軸方向並進比である場合、第1および第2の細長い医療器具の一方はステント展開カテーテルであり、第1および第2の細長い医療器具の他方は、ステント展開カテーテル内に配置されステント展開カテーテル内のステントに取り付けられたプッシャ部材であり得る。軸方向並進比が正の軸方向並進比であり、かつ1(unity)である場合、スレーブシャトルは、マスタシャトルから所定の距離でトラックに沿ってマスタシャトルの軸方向並進と同期してトラックに沿って軸方向に並進し得る。スレーブシャトルは、スレーブシャトルがマスタシャトルから所定の距離になるまで、マスタシャトルがトラックに沿って軸方向に並進するのに合わせて、トラックに沿って軸方向に並進しなくてもよい。この場合、第1の細長い医療器具はカテーテルで、第2の細長い医療器具はガイドワイヤであってもよいし、第1の細長い医療器具はステントライバで、第2の細長い医療器具はカテーテルであってもよい。
【0039】
本発明の第5の態様によれば、同軸血管内アセンブリの複数の細長い医療器具を軸方向に並進させ、ロボット的に回転移動させるように構成されたロボット血管内管理および追跡システムと共に使用するための制御ステーションが提供される。
【0040】
制御ステーションは、長手方向軸に沿って手動で軸方向に移動され、長手方向軸を中心に手動で回転方向に移動させられるように構成された制御要素のリニアアレイを含むマスタ入力装置を具える。一実施形態では、各制御要素は円筒形である。別の実施形態では、円筒形の制御要素は異なる直径を有する。制御ステーションはさらに、長手方向軸に沿った制御要素のリニアアレイの各々の手動による軸方向の並進に応答して細長い医療機器の各々を軸方向に並進させ、長手方向軸を中心とした制御要素のリニアアレイの各々の手動による回転移動に応答して細長い医療機器の各々を回転移動させるようにロボット血管内管理および追跡システムに命令することにより、制御要素のリニアアレイの各々を細長い医療機器に作動可能に連結するように構成された少なくとも1つのプロセッサを具える。
【0041】
任意の実施形態において、請求項記載の制御ステーションは、患者の血管系内で前進したときに細長い医療器具の各々に加えられる力を検出するように構成された少なくとも1つの力フィードバックセンサと、オペレータが制御要素の各々を手動で軸方向に並進させ、手動で回転移動させたときに触覚フィードバックをオペレータの手に伝達するように構成された触覚インターフェースとをさらに具える。一例では、触覚インターフェースは、マスタ入力装置を介してオペレータの手に触覚フィードバックを伝達するように構成される。別の例では、触覚インターフェースは、1つ以上の触覚フィードバックグローブを含む。さらに別の例では、触覚インターフェースは1つ以上の超音波パッドを含む。
【0042】
一実施形態では、マスタ入力装置はレールを具え、制御要素はレール上に軸方向および回転方向に摺動可能に配置された物理制御要素である。
【0043】
物理的制御要素を有する実施形態では、制御ステーションは、長手方向軸に沿った制御要素の各々の手動の軸方向移動を検出したり、長手方向軸を中心とした制御要素の各々の手動の回転移動を検出したり、長手方向軸に沿った制御要素の各々の検出された軸方向移動を示す信号を出力したり、長手方向軸を中心とした制御要素の各々の検出された回転移動を示す信号を出力したりするように構成されたセンサアセンブリをさらに含み得る。プロセッサは、センサアセンブリによって出力された制御信号に応答して、細長い医療器具の各々を軸方向に並進させ、回転方向に並進させるようにロボット血管内管理および追跡システムに命令するように構成され得る。この実施形態では、センサアセンブリは、受動部品と少なくとも1つの能動部品を含むことができ、この場合、受動部品は制御要素に貼り付けられ、能動部品は制御要素から離れて配置することができる。センサアセンブリは、受動部品に隣接してレール内にそれぞれ取り付けられた複数の能動部品を具え得る。一例では、受動部品は、各制御要素の周囲に取り付けられた基準要素を具える。別の例では、受動部品は制御要素にそれぞれ取り付けられた複数の受動電磁トランスポンダを含み、能動部品は電磁トランシーバを含む。さらに別の例では、制御ステーションは、能動部品を含むセンサボックスをさらに具え、受動部品は、制御要素上に片持ち支持された複数の機械的アームを具え、機械的アームの自由端は、センサボックス内の少なくとも1つの能動部品と動作可能に相互作用するように構成されている。
【0044】
この実施形態において、制御ステーションは、制御要素をそれぞれ所定の位置にスライドさせるように構成された複数の使い捨ての滅菌制御要素カバーをさらに含み得る。滅菌制御要素カバーは、隣接する制御要素間を汚染流体が移動しないように、隣接する制御要素間にスライド式流体シールが形成されるように、互いに重なり合うように、構成され得る。
【0045】
別の実施形態では、制御要素は仮想制御要素である。制御ステーションは、仮想制御要素と仮想的に相互作用しながらオペレータによって行われたハンドジェスチャをキャプチャするように構成されたジェスチャ監視システムをさらに含み得る。
【0046】
仮想制御要素を有する実施形態では、マスタ入力装置は、仮想制御要素の対話型3D表現を表示するように構成された三次元(3D)タッチスクリーンを含み得る。この場合、3Dタッチスクリーンは円弧状の断面を有し、仮想制御要素は円弧状であってもよい。例えば、3Dタッチスクリーンが円筒形であり、仮想制御要素は円筒形であってもよい。仮想制御要素を有する別の実施形態では、制御ステーションは、三次元(3D)環境で仮想制御要素を表示するように構成されたヘッドマウント拡張現実(XR)システムをさらに含み得る。仮想制御要素を有するさらに別の実施形態では、制御ステーションは、仮想制御要素を表示するように構成された二次元(2D)表示スクリーンをさらに含んでもよい。仮想制御要素を備えたさらに別の実施形態では、制御ステーションは、仮想制御要素を三次元(3D)環境に投影するように構成されたホログラフィックマシンをさらに含み得る。
【0047】
ロボット血管内システムは、上記の制御ステーションとロボット血管内管理および追跡システムを含み得る。一実施形態では、ロボット血管内管理および追跡システムは、トラックと、複数の細長い医療器具がそれぞれ取り付けられる複数のシャトルとを含む。シャトルの各々は、トラックに機械的に結合されるように構成され、トラック上に乗るように構成されたスレッドと、当該スレッドに担持され、トラックに沿ってそれぞれのシャトルを軸方向に並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構と、スレッドに担持され、軸方向駆動機構を作動させるように構成された第1の軸方向モータと、スレッドに担持され、それぞれの細長い医療器具をその長手方向軸を中心に回転させるように作動されるように構成された回転駆動機構と、スレッドに担持され、回転駆動機構を作動させるように構成された第2のモータとを具える。
【0048】
実施形態の他のさらなる態様および特徴は、添付の図を考慮した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計および実用性を示すものであり、同様の要素は共通の参照数字で参照されている。図が縮尺通りに描かれていないこと、および同様の構造または機能を持つ要素は、図面全体を通して同様の参照数字で表されていることに留意されたい。また、図面は実施形態の説明を容易にするためを目的とすることに留意されたい。これらは、本発明の網羅的な説明や、本発明の範囲の限定を意図したものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義される。さらに、開示された発明の図示された実施形態は、図示されたすべての態様または利点を有する必要はない。開示された発明の特定の実施形態に関連して説明された態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、たとえ図示されていなくても、他の実施形態で実施することができる。本発明の上記および他の利点や目的がどのようにして得られるかをよりよく理解するために、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することにより、上述した本発明の簡単な説明をより具体的に説明する。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものではないと理解した上で、本発明を添付の図面を用いてさらに具体的かつ詳細に説明する。
【
図1】
図1は、本発明にしたがって構築されたロボット血管内システムの一実施形態の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のロボット血管内システムの上面図である。
【
図3】
図3は、
図1のロボット血管内システムのカテーテルアセンブリの平面図である。
【
図4】
図4は、
図3のカテーテルアセンブリの線4-4に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、
図4のカテーテルアセンブリのガイドシースまたは作業カテーテルの近位アダプタの平面図である。
【
図6】
図6は、
図1のロボット血管内システムの血管内管理および追跡システムの一実施形態の平面図である。
【
図7】
図7A~7Dは、
図6の血管内管理および追跡システムのシャトルの一実施形態の様々な図である。
【
図8】
図8は、
図7A~7Dのシャトルの回転式止血弁(RHV)の平面図である。
【
図9】
図9は、
図7A~7Dのシャトルの座屈防止機構の軸方向分割シースの斜視図である。
【
図11】
図11A~11Dは、
図6の血管内管理および追跡システムを示す平面図であり、特に、シャトルの軸方向の異なる相対位置と、その結果変化する
図9の軸方向分割シースの長さを示す。
【
図13A】
図13Aは、
図7A~7Dのシャトルで使用できる座屈防止機構の代替実施形態の平面図であり、特に座屈防止機構が完全に伸長した状態を示す図である。
【
図14A】
図14Aは、
図7A~7Dのシャトルで使用できる座屈防止機構の別の代替実施形態の平面図であり、特に座屈防止機構が完全に伸長した状態を示す図である。
【
図15A】
図15Aは、
図7A~7Dのシャトルで使用できる座屈防止機構のさらに別の代替実施形態の平面図であり、特に座屈防止機構が完全に伸長した状態を示す図である。
【
図16A】
図16Aは、
図7A~7Dのシャトルで使用できる座屈防止機構のさらに別の代替実施形態の平面図であり、特に座屈防止機構が完全に伸長した状態を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、
図7A~7Dのシャトルで使用できる座屈防止機構のさらに別の代替実施形態の平面図であり、特に座屈防止機構が完全に伸長した状態を示す図である。
【
図18】
図18は、
図1のロボット血管内システムの制御ステーションの一実施形態を示す平面図であり、特に制御ステーションのマスタ入力装置を覆う無菌スリーブの一実施形態を示す図である。
【
図18F】
図18Fは、
図18Eの制御要素上に配置された機械的アームの軸方向図であり、特に機械的アームが互いに時計回りに配置された状態を示す図である。
【
図19】
図19は、
図18の制御ステーションを示す平面図であり、特に制御ステーションのマスタ入力装置を覆う複数の滅菌スリーブの別の実施形態を示す図である。
【
図21】
図21は、
図1のロボット血管内システムの血管内管理および追跡システムの別の実施形態の斜視図である。
【
図25】
図25は、
図21の血管内管理および追跡システムのトラックセグメントの斜視図である。
【
図30】
図30は、シャトルのスレッドと
図21の血管内管理および追跡システムのトラックセグメントとの相互作用を示す斜視図である。
【
図31】
図31は、
図21の血管内管理および追跡システムのシャトルの斜視図であり、特にシャトルから取り外された上部ケーシング部分を示す図である。
【
図32】
図32は、
図31のシャトルの別の斜視図であり、特にシャトルから取り外された上部ケーシング部分を示す図である。
【
図33】
図33は、
図31のシャトルのさらに別の斜視図であり、特に、シャトルの軸方向駆動機構を露出させるためにシャトルから取り外された上部ケーシング部分とRHVを示す図である。
【
図34】
図34は、
図31のシャトルのさらに別の斜視図であり、特に、シャトルの軸方向駆動機構を露出させるためにシャトルから取り外された上部ケーシング部分、スレッド、およびRHVを示し、軸方向駆動機構はトラックから外されている。
【
図35】
図35は、
図31のシャトルのさらに別の斜視図であり、特に、シャトルの軸方向駆動機構を露出させるためにシャトルから取り外された上部ケーシング部分、スレッド、およびRHVを示しており、軸方向駆動機構はトラックと係合している。
【
図40】
図40は、
図21のシャトルの斜視図であり、特にシャトルの回転駆動機構を示す図である。
【
図49】
図49は、
図44の座屈防止機構の上面図であり、特にオプションの巻き取りバイアス機構を示す図である。
【
図50】
図50は、
図44の座屈防止機構の概略図であり、特に、座屈防止機構の軸方向分割シースの線速度と、座屈防止機構の巻き取りリールの線速度とのマッチングを示す図である。
【
図56】
図56は、
図1のロボット血管内システムの血管内管理および追跡システムのさらに別の実施形態の概略図である。
【
図58】
図58は、
図56の血管内管理および追跡システムの手動操作バージョンの上面図である。
【
図59】
図59は、
図58の血管内管理および追跡システムのシャトルの軸方向駆動機構の制御シャフトとウォームスクリュの断面図である。
【
図60A】
図60Aは、ステント送達カテーテルおよびプッシャワイヤと使用する、
図56の血管内管理および追跡システムの一構成の平面図である。
【
図60B】
図60Bは、
図60Aの血管内管理および追跡システムの平面図であり、特にステント送達カテーテルからのステントの展開を示す。
【
図60C】
図60Cは、
図60Aの血管内管理および追跡システムの平面図であり、特にステント送達カテーテル内のステントの再被覆を示す。
【
図60D】
図60Dは、
図56の血管内管理および追跡システムの別の構成を示す平面図であり、特にステント送達カテーテルからのステントの展開を示す。
【
図60E】
図60Eは、
図56の血管内管理および追跡システムのさらに別の構成を示す平面図であり、特にステント送達カテーテルからのステントの展開を示す。
【
図61A】
図61Aは、カテーテルおよびガイドワイヤと使用する、
図56の血管内管理および追跡システムの一構成を示す平面図である。
【
図61B】
図61Bは、
図61Aの血管内管理および追跡システムの平面図であり、特にカテーテルとガイドワイヤの遠位方向への前進を示す。
【
図61C】
図61Cは、
図61Aの血管内管理および追跡システムの平面図であり、特にカテーテルとガイドワイヤの近位側への後退を示す。
【
図62A】
図62Aは、
図56の血管内管理および追跡システムをカテーテルとステントリバーとともに使用する際の一構成を示す平面図である。
【
図62B】
図62Bは、
図62Aの血管内管理および追跡システムの平面図であり、特に、血栓を補足したステントリバーの近位側への後退を示す図である。
【
図62C】
図62Cは、
図61Aの血管内管理および追跡システムの平面図であり、特にカテーテルとステントリバーの近位側への後退を示す。
【
図63】
図63は、
図1のロボット血管内システムの血管内管理および追跡システムのさらに別の実施形態の斜視図である。
【
図65】
図65は、
図63の血管内管理および追跡システムの拡大斜視図であり、特に血管内管理および追跡システムの支持アームへのトラックの固定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1~2を参照して、本発明にしたがって構成されたロボット血管内システム10の一実施形態について説明する。ロボット血管内システム10は、一般に、血管内アセンブリ12(
図3に最もよく示す)と、患者20(図示の実施形態では人間であるが、任意の動物であってもよい)が載置され、血管内アセンブリ12が同軸(または入れ子)関係で動作可能に取り付けられた処置台18と密接に関連し得る血管内管理および追跡システム14と、血管内管理および追跡システム14と通信可能に接続された制御ステーション16とを具え、それにより、オペレータ24(例えば、医師)が患者20に医療処置を行うことを可能にする。ロボット血管内システム10はまた、処置台18および患者20を少なくとも部分的に覆うドレープ22(
図2に点線で示す。)も含み得る。
【0051】
図3~4を参照すると、血管内アセンブリ12は複数の細長い医療器具26を含み、本例では、ガイドシース26aと、作業カテーテル26bと、ガイドワイヤ26cとが互いに同軸に配置され、すなわち、ガイドワイヤ26cは作業カテーテル26b内に摺動可能に受容されるサイズであり、作業カテーテル26bはガイドシース20内に摺動可能に受容されるサイズである。血管内アセンブリ12は、例えば、自然の身体管腔(例えば、血管(動脈、心室、または静脈)、泌尿器系血管(腎集合管、腎杯、尿管、膀胱、または尿道)、肝胆道系血管(肝管および膵管、胆管、総管または膀胱管)、消化管(食道、胃、小腸、大腸、盲腸、直腸)、婦人科系管路(子宮頸管、子宮)、卵管または乳管、乳房の乳管、鼻咽腔(耳管、副鼻腔、涙管)、精嚢、脊柱管または脳室)に通して挿入され得る。血管内アセンブリ12は、経皮的アクセス、外科的アクセス、または自然の開口部(口腔、直腸、鼻腔、耳管、視管、または尿道)を介して患者20に導入されてもよい。
【0052】
血管内アセンブリ12は、血管内管理および追跡システム14が相互作用するガイドシース、作業カテーテル、およびガイドワイヤの3軸構造を含むものとして本明細書では説明されるが、血管内アセンブリ12は、血管内管理および追跡システム14が相互作用するガイドシース、作業カテーテル、およびガイドワイヤの任意の組み合わせ(2軸構造、さらには単軸構造(すなわち、血管内管理および追跡システム14が相互作用するガイドシース、作業カテーテル、ガイドワイヤ、または他の柔軟で細長い医療器具のうちの1つのみ)を含み得ることを理解されたい。
【0053】
ガイドシース26aは、患者20の血管系内の標的組織部位への作業カテーテル26bのアクセスを容易にするように構成されている。ガイドシース26aは一般に、近位端30と遠位端32とを有する細長いシース本体28と、近位端30と遠位端32との間でシース本体28を全体的に貫通して延びる中央ルーメン34(
図4に最も良く示す)と、シース本体28の近位端30に取り付けられた近位アダプタ36とを含む。
【0054】
シース本体28は、実質的に柔軟または可撓性を有しており、患者20内に進入させる際に、オペレータまたは外科医がシース本体28を容易に操作して、患者の内部経路(例えば、消化管、血管など)の形状や湾曲に追従、適合、または一致させることができるようになっている。
図6に示す実施形態では、シース本体28は動脈アクセスシース78を介して患者20に導入され、その近位端は、シース本体28をシースアンカー80に導入または取り出すことができる導入/取出ポート82を有するシースアンカー80を介して患者20に固定されるが、シース本体28が自然のオリフィスを介して患者20に導入される場合には、動脈アクセスシース78は必要ない。
【0055】
図示の実施形態では、シース本体28は円形の断面を有しているが、長方形など他の断面形状を用いてもよい。シース本体28は、中立軸に沿って高い軸方向剛性を提供する一方で、低い曲げ剛性を示す複数の材料層および/または複数のチューブ構造で構成することができる。典型的な設計には、編組で包まれたニチノールスパインと、柔軟性、曲げ性、または適切なポリマー材料、あるいは生体適合性ポリマー材料、あるいは低デュロメータプラスチック(ナイロン-12、Pebax(登録商標)、ポリウレタン、ポリエチレンなど)からなる編組プラスチック複合構造などがある。
【0056】
中央ルーメン34の形状およびサイズは、作業カテーテル26bの断面形状およびサイズに応じて選択される。シース本体28は、ガイドシース26aの作業ルーメン34内での作業カテーテル26bの移動に適応する低摩擦表面を提供するために、低摩擦の内層(例えば、シリコーンまたはポリテトラフルオロエチレンのコーティング)を有し得る。以下にさらに詳述するように、近位アダプタ36は、ガイドシース26aを血管内管理および追跡システム14に機械的および流体的に結合するように構成されている。
【0057】
任意の実施形態では、ガイドシース26aは、シース本体28の遠位端32が、患者20の血管系内の標的組織部位に到達するために患者の内部経路の様々な形状または曲率に適合し得る単純あるいは複雑な形状または曲率に関節運動され得るように、能動的ステアリング機能を有していてもよい。例えば、ガイドシース26aは、シース本体28の遠位端32に所望の形状または湾曲をもたらすように操作可能な、シース本体28を通って延びる1つまたは複数のステアリング要素(プルワイヤ(図示せず)など)を有していてもよい。
【0058】
作業カテーテル26bは、標的組織部位で介入処置および/または診断処置を行うように構成されている。例えば、作業カテーテル26bは、ステント送達カテーテル、バルーンカテーテル、電気生理学カテーテル、超音波撮像カテーテル、アテレクトミーカテーテル、血管閉塞デバイス送達カテーテル、造影剤/薬剤送達カテーテルなどであり得る。
【0059】
作業カテーテル26bは一般に、近位端40および遠位端42を有する細長いカテーテル本体38と、近位端40と遠位端42との間でカテーテル本体38全体を貫通して延びる中央ルーメン44(
図4に最もよく示す)と、カテーテル本体38の近位端40に取り付けられた近位アダプタ46と、カテーテル本体38の遠位端42に担持される操作要素48(例えば、ステント、バルーン、マッピング電極、超音波要素、組織切断ブレード、血管閉塞デバイス、流体ポートなど)とを含む。
【0060】
作業カテーテル26bは、ガイドシース26aの中央ルーメン34を貫通し、したがってガイドシース26aに対して移動可能である。作業カテーテル26bは、ガイドシース26aと作業カテーテル26bの相対的な挿入、ガイドシース26aと作業カテーテル26bの相対的な回転または「ロール」、および任意選択で、特にカテーテル本体38の遠位端44がシース本体28の遠位端44を越えて挿入される場合に、ガイドシース26aと作業カテーテル26bの相対的なステアリングまたは屈曲を可能にするために、ガイドシース26aの中央ルーメン34内に移動可能に配置され得る。
図3に示すように、作業カテーテル26bはシース本体28の遠位端32に対して遠位側に突出している。もちろん、作業カテーテル26bは、カテーテル本体38の遠位端44がシース本体28の遠位端32と実質的に同一面になるように近位に引き戻すことができ、さらにシース本体28の遠位端32がシース本体28の遠位端32内に引っ込むように近位に引き戻すこともできる。
【0061】
カテーテル本体38は、シース本体28が患者の体内経路の形状または湾曲に適合したときに、シース本体28の中央ルーメン34を通って前進できるように、実質的に柔軟性または可撓性を有する。図示の実施形態では、カテーテル本体38の断面は円形であるが、長方形など他の断面形状を用いてもよい。カテーテル本体38は、中立軸に沿って高い軸方向剛性を有しつつ、低い曲げ剛性を示す複数の材料層および/または複数のチューブ構造で構成され得る。典型的な設計には、編組で包まれたニチノールスパインと、柔軟性、曲げ性、または適切なポリマー材料、あるいは生体適合性ポリマー材料、あるいは低デュロメータプラスチック(ナイロン-12、Pebax(登録商標)、ポリウレタン、ポリエチレンなど)からなる編組プラスチック複合構造などがある。カテーテル本体38は、中立軸に沿って高い軸方向剛性を有しつつ、低い曲げ剛性を示す複数の材料層および/または複数のチューブ構造で構成され得る。典型的な設計には、編組で包まれたニチノールスパインと、柔軟性、曲げ性、または適切なポリマー材料、あるいは生体適合性ポリマー材料、あるいは低デュロメータプラスチック(ナイロン-12、Pebax(登録商標)、ポリウレタン、ポリエチレンなど)からなる編組プラスチック複合構造などがある。
【0062】
中央ルーメン44の形状およびサイズは、ガイドワイヤ26cの断面形状およびサイズに応じて選択される。カテーテル本体38は、作業カテーテル26bの中央ルーメン44内でのガイドワイヤ26cの移動に対応する低摩擦表面を提供するために、低摩擦の内層(例えば、シリコーンまたはポリテトラフルオロエチレンのコーティング)を有し得る。以下でさらに詳しく説明するように、近位アダプタ56は、作業カテーテル26bを血管内管理および追跡システム14に機械的および流体的に結合するように構成されている。
【0063】
任意の実施形態では、作業カテーテル26bは、カテーテル本体38の遠位端42が患者20の血管系内の標的組織部位に到達するために、患者の体内経路の様々な形状または曲率に適合し得る単純あるいは複雑な形状または曲率に関節運動され得るように、能動的ステアリング機能を有していてもよい。例えば、作業カテーテル26bは、カテーテル本体38の遠位端42に所望の形状または湾曲をもたらすように操作可能な、カテーテル本体38を通って延びる1以上のステアリング要素(プルワイヤ(図示せず)など)を有していてもよい。
【0064】
ガイドワイヤ26cは、近位端52および遠位端54を有するガイドワイヤ本体50と、ガイドワイヤ本体50の近位端52に取り付けられたコレット56とを含む従来のワイヤであってもよい。ガイドワイヤ本体50は、ガイドワイヤ26cに望ましい柔軟性/剛性特性を持たせるために、適切な材料(例えば、ステンレス鋼および/またはニッケルチタン合金などの金属または金属合金、またはポリマー)で構成される。ガイドワイヤ本体50は、例えば0.125インチ以下の適当な直径を有し、50cm~350cmの適切な長さを有し得る。コレット56はガイドワイヤ26cを血管内管理および追跡システム14に機械的に連結するように構成されている。
【0065】
図5を参照すると、近位アダプタ36、46のそれぞれは、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アセタールなどの適切な材料からなるアダプタ本体58と、近位アダプタ本体58の中心を通って軸方向に延びるルーメン60とを含む。近位アダプタ36、46の各々は、ガイドシース26aの中央ルーメン34または作業カテーテル26bの中央ルーメン44が近位アダプタ36、46のルーメン60に流体連通するように、シース本体28の近位端30またはカテーテル本体38の近位端40が(例えば、接着を介して)適切に取り付けられるオス型コネクタ62をさらに含む。近位アダプタ36、46のそれぞれは、シース本体28の近位端30またはカテーテル本体38の近位端40に取り付けられたストレインリリーフ(図示せず)をさらに含み得る。このストレインリリーフは、シリコーンゴムなどの適切な材料で構成され得る。
【0066】
近位アダプタ36、46の各々は、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bが血管内管理および追跡システム14に、この場合、血管内管理および追跡システム14に含まれる回転式止血弁(RHV)(以下にさらに詳細に記載)の従来のオス型Touhy-Borstコネクタに、取り外し可能に結合できるように設計されている。このため、近位アダプタ36、46の各々は、近位アダプタ本体38の近位端に形成されたメス型ルアーロックポート64をさらに具える。ルアーロックポート64は、少なくとも1つの外側ネジ山66と内部テーパ面68とを含む。このように、近位アダプタ36、46の各々は、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bが血管内管理および追跡システム14に交互に連結され、血管内管理および追跡システム14から交互に連結解除されるように、Touhy-Borstコネクタに交互に螺合され、Touhy-Borstコネクタから交互に螺合解除され得る。あるいは、各近位アダプタ36、46を血管内管理および追跡システム14のTouhy-Borstコネクタに押し込むようにしてもよい。
【0067】
図1~2に戻ると、血管内管理および追跡システム14は、従来の血管内処置において細長い医療器具が現在扱われているのと同じ領域で処置台18の上に置かれ、複数のスライド式シャトル(または駆動ユニット)が着脱自在に取り付けられる柔軟なトラックを使用するモジュール式システムである。以下にさらに詳述するように、血管内管理および追跡システム14は、制御ステーション16から送信される制御信号にしたがって、駆動ユニットにそれぞれ結合された同軸血管内アセンブリ12の細長い医療器具26に、独立したロボットによる挿入および引き込み作動、ロボットによる回転またはロール作動、および任意のステアリング作動を提供してもよい。以下にさらに詳述するように、血管内管理および追跡システム14は、制御ステーション16の制御による完全自動(ロボット)モダリティと、制御ステーション16を使用せずにユーザの手動制御による完全手動モダリティとの間で動的に切り替えることができる。他の実施形態では、血管内管理および追跡システム14は、専用の方法で(すなわち、モータまたはコントローラを全く使用せずに)完全に手動で操作することができ、それによって血管内管理および追跡システム14の「簡易」または「格安」バージョンを提供することができる。完全な手動モダリティにおける血管内管理および追跡システム14の操作は、現在の手動カテーテル処置で使用され得る操作ワークフローと同様であるが、さらに、現在の手動のカテーテル処置と比較して、より整然とした作業環境、より正確な器具の動き、および使用中の細長い医療器具の改善された視認性を提供する。
【0068】
図6および
図7A~7Dをさらに参照すると、血管内管理および追跡システム14は、一般に、トラック70と、該トラック70に機械的に結合され、トラック70に沿って軸方向に並進するように構成された複数のシャトル72(72a~72c)を具える。
【0069】
好ましくは、トラック70は、オペレータ24または他の病院職員が病室環境(例えば、処置台18、患者20、および/またはドレープ22)に輪郭を合わせることができるように十分に柔軟でありつつ、トラック70上のシャトル72a~72cの軸方向移動を支持するのに十分な剛性を有している。例えば、トラック70は、重力にのみ応答して病室環境の輪郭に適合するように(例えば、例えば、処置台18、患者20、および/またはドレープ22上に置かれたとき)上下(垂直)方向の柔軟性は高いが、以下にさらに詳述するように、シャトル72a~72cが、トラック70に沿ってシャトル72a~72cを軸方向に並進させるために必要な駆動力をトラック70に加えられるように、また病室環境に対するトラック70の向きおよび全体的な位置を維持するのを助けるように、横方向(水平方向)およびねじり方向の柔軟性は比較的低くあり得る。例えば、トラック70は、
図7A~7Dに最もよく示されるように、長方形の断面を持つリボン状要素(幅広で薄い長方形の押出成形品)であり得る。一実施形態では、トラック70は可鍛性で、トラック70を病室環境に適合するように曲げることができる。本明細書において、トラック70に関する「可鍛性」という用語は、トラック70に手で加えられる力に応じてトラック70の形状を繰り返し変えることができ、そのような力がトラック70から取り除かれたときにその形状が保持されることを意味する。別の実施形態では、トラック70は、リボン状要素ではなく、シャトル72a~72cが係合できる(例えば、ねじ付きカラー(図示せず)を使用する)螺旋状のロッドまたはねじの形態であってもよい。この場合、トラック70は円形の断面を有し、したがって、上下および左右に同じ柔軟性を持つことになる。
【0070】
留め具(例えば、脚または腕のバンド/ストラップ、粘着パッドなど)を使用して、患者20のアクセス部位またはその近傍にトラック70の遠位端74を固定することができ、一方、以下にさらに詳述するように、トラック70の近位端76は、少なくとも瞬間的には、トラック70へのシャトル72a~72cの出し入れを可能にするために自由なままである。一実施形態では、留め具は、シース本体28の近位端を患者20に固定するために使用されるシースアンカー80である。
【0071】
図7A~7Dに示される実施形態では、トラック70は、トラック70に沿ったシャトル72a~72cの軸方向の並進を容易にするために、シャトル72a~72cの対応する駆動機構(例えば、以下でさらに詳述するラックアンドピニオン構成)が係合する歯84の少なくとも1つの列(1列だけを図示する。)をその長さに沿って有している。歯84はトラック70の端に配置されて図示されているが、歯84はトラック84のどこに配置されてもよく、例えばトラック70の上面に配置されてもよい。あるいは、トラック70は、摩擦面、螺旋要素など、トラック70に沿ったシャトル72a~72cの軸方向移動を容易にする他のタイプの要素を有してもよい。図示の実施形態では、トラック70は、シャトル72a~72cが乗るオープンモノレールの形をとるが、代替の実施形態では、トラック70は、シャトル72a~72cが走行する複数のレール(例えば、一対のレール)を有してもよい。代替の実施形態では、トラック70はテーブルに取り付けられた硬質ロッドの形態をとることができるが、柔軟なトラックによって提供される利点、すなわち病室環境にトラックの形状を適合できる利点はなくなる。
【0072】
ロボット血管内システム10はシャトル72の形態の複数の独立した駆動システムを利用するため、制御ステーション16がシャトル72間の相対的な位置関係を追跡できるように、トラック70上のどのシャトル72の位置も常に分かっていることが重要となる。このため、トラック70は、トラック70に対するシャトル72の位置を示す1以上のエンコーダと、当該エンコーダを読み取り、トラック70に対するシャトル72のそれぞれの位置を示す電気信号を出力するように構成された1以上のセンサとを具える。図示された実施形態では、エンコーダは、その長さに沿って一連の埋め込みまたは印刷された基準要素86(
図7C~7Dに最もよく示す)の形態をとり、センサは、それぞれのシャトル72a~72c上に(すなわちスレッド上に(以下でさらに詳述する))(例えば、光学的、磁気的、静電容量的などで)読み取るための基準要素リーダ(図示せず)の形態をとり、任意の時点で、制御ステーション16がトラック70に対する各シャトル72の位置を知らされ得る。代替実施形態では、トラック70に対するシャトル72の位置を制御ステーション16に知らせるために、エンコーダ・センサ対をそれぞれのシャトル72に組み込んでもよい。例えば、基準要素(図示せず)は、それぞれのシャトル72に担持される駆動機構(以下でさらに詳述する)の回転部分に配置することができ、一方、基準要素センサは、それぞれのシャトル72内のハウジングまたはケーシング(以下でさらに詳述する)あるいは他の静止フレーム構造の内面に配置することができる。他の代替実施形態では、トラック70に対するシャトル72の位置を制御ステーション16に知らせるために、シグナリング(例えば、光、超音波、誘導性、容量性、無線周波数(RF)など)を使用して位置センシングを実行できる能動電子コンポーネント(例えば、送受信機対)をトラック70およびシャトル72に埋め込んでもよい。さらに他の代替実施形態では、細長い医療器具26の遠位端に基準要素(図示せず)を配置し、この基準要素を、細長い医療器具26の位置の代用としてトラック70に対するシャトル72の位置を直接追跡するのではなく、細長い医療器具26の位置を直接追跡するために、透視撮像装置(図示せず)などの視覚ベースのシステムによって視覚的に感知するようにしてもよい。
【0073】
以下にさらに詳述するように、シャトル72a~72cは、細長い医療器具26の相対的な軸方向追跡、細長い医療器具の相対的な回転運動、および内部または外部の電力と通信を単一のユニットで提供する。ガイドワイヤ26cが取り付けられるシャトル72cが流体管理機能を必要としないのとは対照的に、シャトル72a~72bはそれぞれガイドシース26aおよび作業カテーテル26bの流体管理機能も提供する。
【0074】
シャトル72a~72cは、着脱自在にトラック70に機械的結合されるように構成されている。特に、シャトル72a~72cは、1つずつ、それらが駆動されるトラック70の近位端76にねじ込まれ、1つずつ、トラック70の近位端76から取り外すことができる。シャトル72a~72cは、それぞれ細長い医療器具26に着脱自在に取り付けられるように構成されている。図示の実施形態では、ガイドシース26aは最遠位シャトル72aに取り付けられ、作業カテーテル26bは中間シャトル72bに取り付けられ、ガイドワイヤ26cは最近位シャトル72cに取り付けられる。シャトル72a~72bの後続の各々は、ガイドシース26a、作業カテーテル26b、およびガイドワイヤ26cが同軸配置になるように、ロード/アンロードポート88を介して、シャトル72b~72cの先行するシャトルに取り付けられた細長い医療器具26のそれぞれ1つの遠位端をスライド可能に受け入れるように構成される(すなわち、最遠位のシャトル72aが作業カテーテル26bの遠位端を摺動可能に受容するように構成されて、作業カテーテル26bがガイドシース26a内に同軸配置されるように構成され、中間のシャトル72bがガイドワイヤ26cの遠位端を受容するように構成されて、ガイドワイヤ26cが作業カテーテル26b内に同軸配置されるように構成される)。以下にさらに詳述するように、シャトル72a、72bは交換可能であり、シャトル72aが中間シャトルとなり、シャトル72bが最遠位シャトルとなってもよい。
【0075】
シャトル72a~72cの各々は、トラック70上に乗るように構成されたスレッド90と、スレッド90に担持され、トラック70に沿ってそれぞれのシャトル72(したがって、それぞれのシャトル72に取り付けられた細長い医療器具26の各々)を軸方向に並進させるように作動するように構成された軸方向駆動機構92(例えば、歯車式または摩擦式カップリング)(
図7Aおよび
図7Dに示す)と、スレッド90に担持され、軸方向駆動機構92を作動させるように構成された軸方向アクチュエータ94(
図7Dに示す)と、スレッド90に担持され、それぞれのシャトル72に取り付けられた細長い医療器具26のそれぞれをその長手方向軸を中心に回転させるように作動するように構成された回転駆動機構96(例えば、歯車式または摩擦式カップリング)と、スレッド90に担持され、回転駆動機構96を作動させるように構成された回転アクチュエータ98(
図7Dに示す)と、スレッド90に取り付けられ、軸方向駆動機構92、軸方向アクチュエータ94、回転駆動機構96、および回転アクチュエータ98を包含する外側ケーシング100とを具える。
【0076】
図示された実施形態では、制御ステーション16が血管内管理および追跡システム14をマスタ・スレーブ構成(すなわち、完全自動モダリティ)で動作させ、軸方向アクチュエータ94および回転アクチュエータ98はモータ(例えば、ステッピングモータ)を含むことができ、これらのモータは、制御ステーション16によって生成された制御信号に応答して、それぞれの駆動機構92、96を作動させて、トラック70に沿ってそれぞれのシャトル72を軸方向に並進させ、細長い医療器具26のそれぞれをその長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0077】
上記で簡単に説明したように、血管内管理および追跡システム14は、完全自動モダリティと完全手動モダリティとの間で動的に切り替えられるように有利に設計され得る。
【0078】
この目的のために、シャトル72a~72cの各々は、トラック70に沿ったそれぞれのシャトル72の軸方向移動が細かく制御され得るように、それぞれのシャトル72を軸方向に割り出し、および/または、その軸を中心としたそれぞれの細長い医療器具26の回転が細かく制御され得るように、細長い医療器具26のそれぞれの1つを回転方向に割り出すために、手動で操作され得る手動アクチュエータ102、104(例えば、手で操作されるダイヤル、ノブ、サムホイール、スライダ、または他の手で操作される機構)をさらに具える。それぞれのシャトル72を軸方向に割り出し、またはそれぞれの細長い医療器具26を回転方向に割り出すために、手動アクチュエータ102、104はそれぞれ、モータ94、98に作動される同じ駆動機構92、96を作動させてもよいし、モータ94、98によってそれぞれ作動させられる駆動機構92、96とは完全に独立した異なる駆動機構(図示せず)を作動させてもよい。
【0079】
あるいは、シャトル72a~72cのいずれかも手動アクチュエータ102、104を有さず、代わりに、それぞれのシャトル72をトラック70に沿って手動で直接移動させてもよく、および/または、細長い医療器具26のそれぞれをその長手方向軸を中心に手で直接回転させてもよい。任意の実施形態では、シャトル72a~72cの各々は、手動操作できる1つまたは複数のアクチュエータ(図示せず)(例えば、1つまたは複数のボタン、スライダ、タッチセンサなど)を含み、それぞれのモータ94、98および関連する駆動機構92、96の作動を介して、トラック70に沿ってそれぞれのシャトル72を軸方向に並進させるか、細長い医療器具のそれぞれの1つをその長手方向軸26を回転させることができる。
【0080】
血管内管理および追跡システム14の完全自動モダリティと完全手動モダリティとの間の切り替えは、様々な方法のうちのいずれか1以上で達成され得る。
一例として、各シャトル72は、軸方向モータ94がトラック70との間で、軸方向駆動機構92の少なくとも一部で、交互に係合(例えば、歯車の噛み合い、摩擦結合、モータの作動などを介して)および係合解除(例えば、歯車の噛み合い解除、摩擦結合の解除、モータの作動解除など)するように構成された第1のクラッチ機構(図示せず)と、それぞれのシャトル72に取り付けられた細長い医療器具26のそれぞれとの間で軸方向モータ94が関連付けられる回転駆動機構96の少なくとも一部を交互に係合(例えば、歯車の噛み合い、摩擦結合、モータの作動など)および係合解除(例えば、歯車の噛み合い解除、摩擦係合の解除、モータの作動解除など)するように操作されるように構成された第2のクラッチ機構(図示せず)とを具える。
【0081】
したがって、軸方向駆動機構92の全体をトラック70に係合させ、回転駆動機構96の全体を細長い医療器具26のそれぞれに係合させるようにクラッチ機構を作動させると、血管内管理および追跡システム14が完全自動モダリティ(モータ94、98が、制御ステーション16で生成された制御信号に応答して、それぞれの駆動機構92、96を作動させて、トラック70に沿ってそれぞれのシャトル72を軸方向に並進させ、細長い医療器具26をその長手方向軸を中心に回転させるような様式)となり、一方、クラッチ機構を操作して軸方向駆動機構92の少なくとも一部をトラック70から離脱させ、回転駆動機構96の少なくとも一部をそれぞれの細長い医療器具26から離脱させると、血管内管理および追跡システム14が完全手動モダリティ(手動アクチュエータ102、104を操作して、トラック70に沿ったそれぞれのシャトル72の軸方向並進を細かく制御し、および/または、それぞれの細長い医療器具26をその長手方向軸を中心に細かく回転させることができ、あるいはそれぞれのシャトル72をトラック70に沿って手動で直接的に並進させることができ、および/または、それぞれの細長い医療器具26をその長手方向軸を中心に手動で直接的に回転させることができる様式)となる。
【0082】
各シャトル72のクラッチ機構は、それぞれのシャトル72を介した手動入力、別のシャトル72を介した手動入力、および/または制御ステーション16からの入力を介して操作することができ、任意に、係合または係合解除を視覚的に示す手動/自動スイッチを含んでもよい。
【0083】
血管内管理および追跡システム14が完全手動モダリティで操作される場合、手動アクチュエータ102は、トラック70に係合したままの軸方向駆動機構92の部分(すなわち、クラッチ点とトラック70との間の軸方向駆動機構92の部分)または完全に独立した軸方向駆動機構を作動させて、トラック70に沿ったそれぞれのシャトル72の軸方向移動を細かく制御することができ、手動アクチュエータ104は細長い医療器具26のそれぞれに係合したままの回転駆動機構96の部分(すなわち、クラッチ点とそれぞれの細長い医療器具26との間の回転駆動機構96の部分)または完全に独立した軸方向駆動機構を作動させて、それぞれの細長い医療器具26の回転を細かく制御することができる。
【0084】
別の例として、モータ94、98および関連する駆動機構92、96は、低い力に反応して電子的に非活性化(例えば、パワーダウンまたは他の方法でスリープモードに)されたときに自由回転するように設計され得る。モータ94、98および関連駆動機構92、96のフリースピン能力は、使用されるモータの種類、モータの制御モード、および関連する駆動機構92、96の設計に依存する。したがって、モータ94、98を電子的に作動させる(例えば、電源を入れるか、他の方法で起動させる)ことにより、血管内管理および追跡システム14は完全自動モダリティとなり(モータ94、98が、制御ステーション18により生成された制御信号に応答して、それぞれの駆動機構92、96を作動させて、それぞれのシャトル72をトラック70に沿って軸方向に並進させ、細長い医療器具26のそれぞれをその長手方向軸を中心に回転させるような様式)、そして、モータ94、98の電源を落とすか、さもなければスリープ状態にすることにより、血管内管理および追跡システム14は完全手動モダリティとなる(手動アクチュエータ102、104を操作して、トラック70に沿ったそれぞれのシャトル72の軸方向並進を細かく制御し、および/または、その長手方向軸を中心にそれぞれの細長い医療器具26を細かく回転させることができ、あるいは、それぞれのシャトル72をトラック70に沿って手動で直接並進させることができ(例えば、外側ケーシング100を手で把持することによって)、および/または、それぞれの細長い医療器具26をその長手方向軸を中心に手動で直接回転させることができる(例えば、ガイドシース26aの近位アダプタ36、作業カテーテル26bの近位アダプタ46、またはガイドワイヤ26cのコレット56を回転させることによって))。
【0085】
血管内管理および追跡システム14が、専用の方法で(すなわち、モータなしで)完全手動モダリティで動作するように設計されている場合、それぞれのシャトル72は、アクチュエータを含まなくてよく(例えば、シャトル72は、手で直接トラック70に沿って手動並進されてもよく、および/または、細長い医療器具26はそれぞれ、手で直接その長手方向軸を中心に回転されてもよい)、あるいは、軸方向アクチュエータ94および/または回転アクチュエータ98は、モータの代わりに、手動アクチュエータ(例えば、手で操作されるダイヤル、ノブ、サムホイールまたは他の手で作動する機構)を含むことができ、トラック70に沿ったシャトル72の軸方向移動が細かく制御され得るように、シャトル72を軸方向に割り出し、および/または、それぞれの細長い医療器具26の軸を中心とした回転が細かく制御され得るように、それぞれの細長い医療器具26を回転方向に割り出すようにしてもよい。
【0086】
任意の実施形態において、シャトル72a~72cの各々は、シャトル72が完全自動モダリティ(この場合、モータが第1のクラッチ機構を介してシャトル72をトラック上の所定位置にロックすることができない)または完全手動モダリティのいずれかにあるとき、トラック70上のそれぞれのシャトル72の命令にない移動を防止するために、それぞれのシャトル72をトラック70上の所定位置に停止させるかロックするためのロック機構106(
図7Aおよび
図7Dに示す)を有してもよい。別の任意の実施形態では、シャトル72a~72cの各々は、細長い医療器具26のそれぞれと直接係合する回転駆動機構96の部分の周囲に埋め込まれるか印刷された基準要素(図示せず)を含み、これは光学的または磁気的手段によって読み取ることができ、任意の時点で、制御ステーション16が細長い医療器具26の回転位置を知ることができるようになっている。
【0087】
シャトル72b~72cが単一のユニットとしてトラック70に沿って軸方向に並進するように、ガイドワイヤ26cが取り付けられた最も近位のシャトル72cは、中間シャトル72bに近接していてもよく、図示の実施形態では、中間シャトル72bに固く結合されていてもよい。例えば、最も近位のシャトル72cは、中間シャトル72bのロード/アンロードポート88に取り外し可能に嵌合するために外側ケーシング100の近位端に配置された雄プラグ108(
図6に示す)を具える。代替の実施形態では、シャトルを使用してトラック70に沿ってガイドワイヤ26cを軸方向に並進させるのではなく、代替の従来の駆動機構(例えば、ピンチローラやキャタピラトラクタ)を使用して、トラック70に沿ってガイドワイヤ26cを軸方向に並進させてもよい。
【0088】
シャトル72a~72bの各々は、ガイドシース26aおよび作業カテーテル26bのそれぞれに流体的に結合され、特に、流体源(例えば、生理食塩水および造影剤)と、制御された方法でそれぞれのシャトル72a~72bに取り付けられたガイドシース26aおよび作業カテーテル26bとの間の接続を可能にする、外側ケーシング100内のスレッド90に担持されるオンボード流体管理制御アセンブリ110を有する。ガイドワイヤ26cが取り付けられるシャトル72cは流体管理機能を有する必要はなく、したがってシャトル72cは流体管理制御アセンブリを有さないことに留意されたい。
【0089】
図示の実施形態では、各シャトル72a~72bのオンボード流体管理制御アセンブリ110は、回転可能な止血弁(RHV)112と、RHV112と流体連通するフラッシュライン114と、RHV112と流体連通して外側ケーシング100に取り付けられたオンボード造影剤注入ポート116とを含む。RHV112は、シャトル72a~72bのそれぞれの中に恒久的に組み込まれていてもよいが、好ましくは、シャトル72a~72bのそれぞれがRHV112を取り外し可能に受け入れる。このように、使用後にRHV112を廃棄し、新しいRHV112と交換して、シャトル72a~72bを再利用できるようにしてもよい。
【0090】
図8を参照すると、RHV112は、中央ルーメン120を有する円筒形チューブ118と、円筒形チューブ118の遠位端に回転可能に取り付けられた従来のオス型Touhy-Borstコネクタ122と、円筒形チューブ118に取り付けられ、円筒形チューブ118の中央ルーメン120と流体連通する側部ルーメン126を有する側部アーム124とを具える。フラッシュライン114は側部アーム124の側部ルーメン120と流体連通するように側部アーム124に取り付けられ、オンボード造影剤注入ポート116は円筒形チューブ118の中央ルーメン120と流体連通する。
【0091】
Touhy-Borstコネクタ122は手で回転させることができ、あるいは、手動で作動させるか、モータもしくは手動アクチュエータを介して遠隔駆動させることができる回転機構(以下でさらに詳細に説明する回転駆動機構96の一部として)に係合され得る。ガイドシース26aの近位アダプタ36または作業カテーテル26bの近位アダプタ46(
図3に示す。)は、それぞれのシャトル72aまたはシャトル72bのTouhy-Borstコネクタ122に結合されるように構成されており、円筒形チューブ118の中央ルーメン120、したがって側部アーム124の側部ルーメン120が、近位アダプタ36のルーメン42または近位アダプタ46のルーメン62と流体連通し、したがって、ガイドシース26aの中央ルーメン34または作業カテーテル26bの中央ルーメン44と流体連通するようになっている。Touhy-Borstコネクタ122は円筒形チューブ118に対して回転可能であるため、円筒形チューブ118および側部アーム124を回転させることなく、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bをそれらの長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0092】
円筒形チューブ118の中央ルーメン120は、(RHV112がガイドシース26aが取り付けられるシャトル72aと関連づけられている場合)外側ケーシング100の近位端に形成されたロード/アンロードポート88を介して、あるいは(RHV112が作業カテーテル26bが取り付けられるシャトル72bに関連づけられている場合)ガイドワイヤ26cを介して、作業カテーテル26bを受け入れる大きさになっている。RHV112はさらに、作業カテーテル26bの外面またはガイドワイヤ24と、円筒形チューブ118の中央ルーメン120との間の流体の流れをシールするために、円筒形チューブ118の中央ルーメン120内に配置された近位シール128aおよび遠位シール128bを含む。RHV112はさらに、回転すると遠位シール128bを作業カテーテル26bまたはガイドワイヤ26cの外面に対して圧迫するように構成された圧縮ナット130を含む。
【0093】
すべての流体入力部は、各シャトル72a~72bに統合されていてもよいし、シャトル72a~72bに装填可能な別個の交換要素として存在していてもよい。図示の実施形態では、フラッシュライン122は、側部アーム124の側部ルーメン120と流体連通する外側ケーシング100にハードマウントされており、生理食塩水バッグ(図示せず)に接続するためのメス型ルアーロックポート(図示せず)を有する。代替実施形態では、メス型ルアーロックポート(図示せず)を、側部アーム124の側部ルーメン120と流体連通するように外側ケーシング100にハードマウントすることができ、この場合、オス型ルアー継手を有するフラッシュラインを、生理食塩水バッグをメス型ルアーロックポートに流体連通させることができる。メス型ルアーロックポートは、フラッシュラインが接続されたオス型ルアーロック継手がメス型ルアーロックポートに結合されているときのみ生理食塩水の流れを可能にする内蔵隔壁を有することができる。
【0094】
図示の実施形態では、流体注入ポート124は、円筒形チューブ118の中央ルーメン120と流体連通するケーシング100にハードマウントされたメス型ルアーロックポートの形態をとる。オス型ルアー継手を有するチューブ(図示せず)は、メス型ルアーロックポートに造影剤を流体的に結合することができる。代替実施形態では、チューブは、円筒形チューブ118の中央ルーメン120と流体連通するように外側ケーシング100にハードマウントされ、造影剤源に接続するためのメス型ルアーロックポート(図示せず)を有する。メス型ルアーロックポートは、チューブが接続されたオス型ルアーロック継手がメス型ルアーロックポートに結合しているときのみ造影剤の流れを許容するように、内蔵隔壁を有し得る。任意の実施形態では、造影剤ボーラスを供給するように構成された自動注入器を注入ポート124に接続して、造影剤注入を遠隔地、特に制御ステーション16から制御できるようにすることができる。
【0095】
生理食塩水と造影剤のガイドシース26aまたは作業カテーテル26bへの結合を管理するためのバルブシステム130(
図6に示す)を用いることができる。このようなバルブシステム130は、3つの流路(フラッシュライン122、流体注入ポート124、および円筒形チューブ118の中央ルーメン112)のうちの任意の2つを接続することができる。バルブシステム130は、様々な異なるバルブタイプ(ストップコック、ボールバルブ、ピンチバルブ、ニードルバルブ、ダイヤフラムバルブ、ソレノイドバルブなど)を使用して構築され得るが、一般的には、物理的なレバー、スイッチ、押ボタンセレクタ、サムローラなどを使用して手動で操作される。あるいは、バルブシステム130は制御ステーション16で自動的に操作されてもよい。
【0096】
代替実施形態では、個別のバルブシステム130の代わりに、フラッシュライン122は逆流を防ぐための一方向弁を具える。したがって、注入ポート124から流体が注入されない限り、通常の生理食塩水の流れが常にフラッシュラインを通ってRHV112に生じ、この場合、フラッシュライン122の一方向弁が生理食塩水の流れを阻止し、造影剤の注入のみがRHV112に生じる。
【0097】
RHV112および任意のバルブシステム130は、各シャトル72a~72bに恒久的に組み込まれてもよいし、シャトル72a~72bを処置ごとに洗浄して再使用可能にしつつ、必要な無菌要素および流体接続を処置ごとに交換できるように、例えば単一の交換可能モジュールに別個の交換要素として設計してもよい。シャトル72a~72bの再使用が望ましい場合、設計は、洗浄、交換可能な要素(流体処理コンポーネント、バッテリ、モータ、ギアなど)の再装着、機能の再テスト、再包装、再滅菌のために、病院内での洗浄または専用の再処理施設への返却を容易にするために特別に構成することができる。
【0098】
軸方向駆動機構92およびRHV112が同じ外側ケーシング100内に配置されているため、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bの使用不可能な長さ(すなわち、患者20に挿入できない長さ)が最小限に抑えられることを理解されたい。例えば、ガイドシース26aの使用不可能な長さは、動脈アクセスシース78が取り付けられるシースアンカー80の長さに等しく、一方、作業カテーテル26bの使用不可能な長さは、動脈アクセスシース78が取り付けられるシースアンカー80の長さのと、ガイドシース26aが取り付けられ作業カテーテル26bがそのRHV112の円筒形チューブ118の中央ルーメン120を介して摺動可能かつ回転可能に配置される外側ケーシング100の長さ(その外側ケーシング100内に収容されるRHV112の長さ程度)との合計に等しくあり得る。
【0099】
各シャトル72a~72bに関連付けられた回転駆動機構96は、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bに直接係合してもよいが、一実施形態では、回転駆動機構96は、RHV112のTouhy-Borstコネクタ122を介してガイドシース26aまたは作業カテーテル26bに間接的に係合する。他の実施形態では、回転アクチュエータ98と同様に回転駆動機構96の全体がRHV112に組み込まれる。最も近位のシャトル72cに関連付けられた回転駆動機構96は、ガイドワイヤ本体50の近位端52に取り付けられたコレット56を介してガイドワイヤ26cに直接係合してもよい。
【0100】
シャトル72a~72cのそれぞれに関連付けられた回転駆動機構96は、ガイドシース26a、作業カテーテル26b、およびガイドワイヤ26cをそれぞれのスレッド90に対してそれらの長手方向軸を中心に回転させるように設計されているが、代替実施形態では、シャトル72a~72cの各々は、それぞれのシャトル72全体を、したがって各シャトル72に取り付けられたガイドシース26a、作業カテーテル26b、およびガイドワイヤ26cのそれぞれを、トラック70に対してそれらの長手方向軸を中心に回転させる、オンボード回転駆動機構を含むことができる。ただし、この代替ケースでは、それぞれのシャトル72a~72cが病院環境に衝突することなくトラック70周りを自由に回転できるように、病院環境に対してトラック70を 配置する必要がある。
【0101】
別の代替実施形態では、回転駆動機構および回転アクチュエータは、シャトル72a~72cのそれぞれに組み込まれるのではなく、シャトル72a~72cの1つまたは複数の外部にあってもよく、その場合、ガイドシース26a、作業カテーテル26b、および/またはガイドワイヤ26cは、シャトル72a~72cに対して回転しないようにシャトル72a~72cに固定されてもよいが、代わりに、ガイドシース26a、作業カテーテル26b、および/またはガイドワイヤ26cを回転させるために回転駆動機構がシャトル72全体を回転させてもよい。
【0102】
スレッド90と外側ケーシング100は、それぞれのシャトル72が病室環境、特にトラック70が置かれるであろうドレープ22に引っかかったり絡まったりしないような形状であることが好ましい。ドレープ22は処置台18と患者20の上に載置されるので、ドレープ22は常に平らではない。そのため、ドレープ22は折り重なったり束となったりするため、シャトル72がトラック70に沿って軸方向に並進する際に、シャトル72の形状が平らな面や鋭利なエッジを有する場合、シャトル72がドレープ22に引っかかり、それによって干渉運動が発生し、および/またはトラック70に望ましくない量の力がかかったりする。このような場合、トラック70がシースアンカー80から引き抜かれたり、さらに悪いことに、動脈アクセスシース78が患者20から引き抜かれたりする可能性がある。そのため、スレッド90と外側ケーシング100は滑らかなエッジを有し、ドレープ22がスレッド90や外側ケーシング100に引っかかるのではなく逸れるようにすることが好ましい。
【0103】
一般に、軸方向の圧縮力に応答して脱出するのに十分に大きな最近位シャトル72cと中間シャトル72bとの間の露出長を有さないガイドワイヤ26cが取り付けられる最近位のシャトル72cとは対照的に(実際、最近位シャトル72cは、プラグ108とロード/アンロードポート88の嵌合を介して中間シャトル72bに差し込まれ得るので、露出長さを有さない)、最遠位シャトル72aとシースアンカー80との間のガイドシース26aの任意の時間における露出長、または中間シャトル72bと最遠位シャトル72aとの間の作業カテーテル26bの任意の時間における露出長は、軸方向の圧縮力に応答してガイドシース26aまたは作業カテーテル26bが脱出するのに十分な長さであり得る。
【0104】
したがって、シャトル72a~72bのそれぞれは、スレッド90に担持され、ガイドシース26aおよび作業カテーテル26bのそれぞれに加えられる軸方向圧縮に応答してガイドシース26aおよび作業カテーテル26bのそれぞれが脱出するのを防止する(例えば、それぞれのシャトル72a~72bが遠位方向に軸方向移動したときにガイドシース26aおよび作業カテーテル26bが脱出するのを防止する、またはシャトル72aが近位方向に軸方向移動したときに作業カテーテル26bが脱出するのを防止する)ように構成された座屈防止機構132を含む。座屈防止機構132は、それぞれのシャトル72a~72bのスレッド90または外側ケーシング100に硬く固定されていてもよいし、取り外し可能に固定されてもよい。重要なことは、ガイドシースまたは作業カテーテルの脱出を防止するための固定長の支持とは対照的に、座屈防止機構132は、座屈防止機構132が取り付けられるそれぞれのシャトル72a~72bに取り付けられたガイドシース26aまたは作業カテーテル26bに対して可変長の支持を提供し、これによってガイドシース26aまたは作業カテーテル26bの未使用の長さを最小限に抑え、カテーテルの重なりの問題を回避することができることである。
【0105】
図示の実施形態では、座屈防止機構132は、収容ハウジング134と、圧縮荷重下でガイドシース26aまたは作業カテーテル26bが座屈するのを防止するために、交互に収容ハウジング134内に巻き上げられ(ロールアップ)、収容ハウジング134から巻き出し(ロールアウト)されてその直線寸法が変化するように構成された軸方向分割シース136とを具える。収納ハウジング134は、血管内管理および追跡システム14の他の要素や病室環境との絡みや干渉を防ぐために、軸方向分割シース136を収納するように構成されている。
【0106】
さらに
図9~10を参照すると、軸方向分割シース136は、近位端(図示せず)および遠位端142(
図6に示す)を有する細長い管状本体138と、管状本体138の近位端と遠位端142との間に延びる中央ルーメン144と、管状本体138の近位端140と遠位端142との間に軸方向に延びる分割部146とを含む。
【0107】
軸方向分割シース136は、管状状態と扁平状態との間を移行可能である。したがって、任意の時点で、軸方向分割シース136の遠位部分148aは管状状態にあり、軸方向分割シース136の近位部分148bは扁平状態にある。軸方向分割シース136はまた、管状の遠位部分148aと扁平の近位部分148bとの間に、完全に管状状態でも完全に扁平状態でもない移行部分148cを有する。軸方向分割シース136の長さは一定であるため、軸方向分割シース136が収納ハウジング134から巻き出されると、管状の遠位部分148aは長くなる一方で扁平の近位部分148bは短くなり、軸方向分割シース136が収納ハウジング134内に巻き取られると、扁平の近位部分148bは長くなる一方で短くなることが理解されたい。
【0108】
一実施形態では、軸方向分割シース136は、収容ハウジング134から巻き出されたときには管状状態となり、しかし収容ハウジング134内に巻き取られたときには扁平状態になるように予め成形されたエラストマーまたは形状回復可能な材料でなる。例として、軸方向分割シース136の構造は、単純なエラストマーチューブ、ワイヤ/ブレード補強チューブ(特に、円筒形状に形状回復したワイヤを有するもの)、レーザカットチューブ(特に、硬質ポリマー、ポリエーテル-エーテルケトン(PEEK)、PI、厚いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等から、ばね鋼、ニチノール等の1%を超える降伏ひずみを有する金属までの範囲の硬質材料を使用するもの)であり得る。このようにして、扁平の近位部分148bは、以下にさらに詳細に説明される扁平化機構によって加えられるような外力が存在する場合にのみ、扁平状態になる。
【0109】
別の実施形態では、軸方向分割シース136は、軸方向分割シース136が双安定構造を有するように、管状状態と扁平状態の両方を有するように予成形されてもよい。軸方向分割シース136は、適切な材料、例えば、ポリマーでラミネートまたは含浸された炭素繊維複合材料で構成されてもよく、双安定構造を有するように予め成形されていてもよい。そうすると、軸方向分割シース136は、外力の印加によって軸方向分割シース136が扁平状態に移行するまで管状形状を維持し、同様に、軸方向分割シースは、外力の印加によって軸方向分割シース136が扁平状態から管状状態に移行するまで扁平状態を維持する。このようにすると、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bは、管状状態に移行しようとせず、したがって完全に扁平状態に留まる。したがって、単に軸方向分割シース136を収納ハウジング134の方へ押し込むだけで、軸方向分割シース136を収納ハウジング134の中でより密に巻き上げて、よりコンパクトな形状にすることができる。このようにして、軸方向分割シース136は、軸方向分割シース136に他の方法で張力をかける電動巻き取り機構を必要とせずに、より安定して収納ハウジング134から展開され収納ハウジング134内に巻き取られ、巻き取られたときに扁平状態を維持する。
【0110】
図6および11A~11Dを参照すると、管状本体138の遠位端142はある位置に取り付けられており、軸方向分割シース136の管状遠位部分148aが、それぞれのシャトル72と当該位置との間の距離が増大すると(すなわち、それぞれのシャトル72が取付位置から離れるように軸方向に並進されるか、取付場所がそれぞれのシャトル72から離れるように軸方向に並進されると)、管状本体138の遠位端142は長くなり、それぞれのシャトル72と当該位置との間の距離が減少すると(例えば、それぞれのシャトル72が取付位置の方へ軸方向に並進されるか、取付位置がそれぞれのシャトル72の方へ軸方向に並進されると)短くなる。
【0111】
図示の実施形態では、最遠位のシャトル72aに関連付けられた管状本体138の遠位端142の取付位置は、患者20に対する位置であって、例えば、患者20のアクセス部位またはその近傍でトラック70の遠位端74を取り付けるのに使用されるシースアンカー80に関連する位置であり、中間シャトル72b(「先行シャトル」)に関連する管状本体138の遠位端142の取付位置は、最遠位シャトル72a(「後続シャトル」)である。この目的のために、座屈防止機構132はさらに、管状本体138の遠位端142にオス型コネクタ150(例えば、クリップまたはプラグ)を具え、これはシースアンカー80の近位端内に配置されたロード/アンロードポート82に取り外し可能に嵌合し、それによってシースアンカー80への堅固な取り付け点を提供し(座屈防止機構132が、最遠位シャトル72aに取り付けられたガイドシース26aの支持を提供する場合)、あるいは、最遠位シャトル72aの外側ケーシング100の近位端に形成されたロード/アンロードポート88に取外し可能に嵌合し、それによって最遠位シャトル72aに強固な取り付け点を提供する(座屈防止機構132が中間シャトル72bに取り付けられた作業カテーテル26bの支持を提供する場合)。座屈防止機構132は管状本体138の遠位端142の取付手段を提供するだけでなく、最遠位シャトル72aの座屈防止機構132はガイドシース26aをシースアンカー80のロード/アンロードポート82にスムーズに入るように位置決めし、中間シャトル72bの座屈防止機構132は作業カテーテル26bを最遠位シャトル72aのロード/アンロードポート88にスムーズに入るように位置決めする。
【0112】
したがって、最遠位シャトル72aが近位方向150aかつ中間シャトル72bの方に軸方向に並進されると、最遠位シャトル72aに関連する軸方向分割シース136の遠位部分148は長くなり、中間シャトル72bに関連する軸方向分割シース136の遠位部分148は短くなる(
図11A参照)。対照的に、最遠位シャトル72aが遠位方向150bに軸方向に並進して中間シャトル72bから離れると、最遠位シャトル72aに関連する軸方向分割シース136の遠位部分148は短くなり、中間シャトル72bに関連する軸方向分割シース136の遠位部分148は長くなる(
図11B参照)。中間シャトル72bが遠位方向150cかつ最遠位シャトル72aの方に軸方向に並進すると、中間シャトル72bに関連する軸方向分割シース136の遠位部分148が短くなる(
図11C参照)。対照的に、中間シャトル72bが近位方向150dに軸方向に並進し、最遠位シャトル72aから離れると、中間シャトル72bに関連する軸方向分割シース136の遠位部分148が長くなる(
図11D参照)。
【0113】
管状本体138の裂け目146は、管状本体138がリボン状に開くように横方向に拡張することによって、軸方向分割シース136を扁平状態に配置しやすくする役割を果たすことを理解されたい。管状本体138の裂け目146は中央ルーメン144を露出させる役割も果たし、それによってガイドシース26aまたは作業カテーテル26bが、軸方向分割シース136の管状の遠位部分148aと移行部分148cとの間の境界で露出した中央ルーメン144内に横方向に装填可能になる。中央ルーメン144は、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bを摺動可能に受け入れる大きさであり、軸方向分割シース136がガイドシース26aまたは作業カテーテル26bに支持を提供するようになっている。軸方向分割シース136は横方向に可撓性であり得るが、軸方向分割シース136は、シャトル72a~72bの軸方向変位によって生じる軸方向圧縮力がガイドシース26aまたは作業カテーテル26bに加えられたときに、管状の遠位部分148aがガイドシース26aまたは作業カテーテル26bの脱出を防止するような十分な柱状強度を有することが好ましい。
【0114】
シャトル72a~72bのそれぞれが、ガイドシース26aおよび作業カテーテル26bのそれぞれを遠位方向に軸方向並進させると、軸方向分割シース136の管状の遠位部分148aが長くなって、移行部分148cにおいてそれぞれのガイドシース26aまたは作業カテーテル26bを包み込む。対照的に、シャトル72a~72bのそれぞれがガイドシース26aおよび作業カテーテル26bのそれぞれを遠位方向に軸方向並進させると、軸方向分割シース136の管状の遠位部分148aが長くなって、移行部分148cにおいてそれぞれのガイドシース26aまたは作業カテーテル26bから剥離する。
【0115】
様々な実施形態において、座屈防止機構132は、軸方向分割シース136が収納ハウジング内に巻き取られる際に管状状態から扁平状態に移行させるための扁平化機構(例えば、ローラ、ピン、矩形オリフィス等)と、収納ハウジングから展開される際に軸方向分割シース136を扁平状態から管状状態に移行させるためのチューブ形成機構(例えば、円弧状当接面)と、軸方向分割シース136を巻き取るための巻き取りスプールと、の任意の適切な構成を有し得る。
【0116】
例えば、
図12Aを参照すると、座屈防止機構132aの一実施形態は、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bを交互に巻き取り繰り出すように構成された巻き取りリール152を具える。この実施形態では、巻き取りリール152はケーシング100の外側に配置され、トラック70が延びる面に平行な回転軸(図面から出ている)を有する。座屈防止機構132aは、さらに、軸方向分割シース136が間に緊密配置される一対のピンチローラ154a、154bの形態の扁平化機構を含む。このようにして、軸方向分割シース136は、軸方向分割シース136がシャトル72に対して近位方向150’に軸方向並進するとき(すなわち、軸方向分割シース136の巻き取り時)、ピンチローラ154a、154b間の接触点で扁平状態から管状状態に移行し、軸方向分割シース136がシャトル72に対して遠位方向150”に軸方向並進するとき(すなわち、軸方向分割シース136の繰り出し時)、ピンチローラ154a、154b間の接触点で扁平状態から管状状態に移行する。したがって、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bはピンチローラ154a、154bから近位側に延び、次に軸方向分割シース136の移行部分148cとなり、次いで管状の遠位部分148aがピンチローラ154a、154bから遠位側に延びる。
【0117】
この実施形態において、軸方向分割シース136は、シャトル72に対して軸方向分割シース136が遠位方向150”に軸方向並進するときに、扁平状態から管状状態に自然に移行するように、外力がない場合に管状になるように予め成形されていてもよい。細長い医療器具26(例えば、ガイドシース26aおよび作業カテーテル26b)は、軸方向分割シース136の管状の遠位部分148aと移行部分148cとの間の境界部で、露出した中央ルーメン144内に装填することができる。
【0118】
図12Bを参照すると、座屈防止機構132bの別の実施形態は、
図12Aの座屈防止機構132aと類似しているが、巻き取りリール152がケーシング100の内側に配置されている点が異なる。座屈防止機構132bはさらに、ピンチローラ154a、154bの遠位にあって、軸方向分割シース136が配置されるチューブ形成機構156を具える。
図12Aに関して上述したのと同じ方法で、軸方向分割シース136は、軸方向分割シース136がシャトル72に対して近位方向150’に軸方向並進するとき(すなわち、軸方向分割シース136の巻き取り時)、ピンチローラ154a、154b間の接触点で管状状態から扁平状態に移行する。しかしながら、軸方向分割シース136がシャトル72に対して遠位方向150”に軸方向並進するときは(すなわち、軸方向分割シース136の巻き出し時)、ピンチローラ154a、154b間の接触点で扁平状態から管状状態に移行するのではなく、チューブ形成機構156において扁平状態から管状状態に移行する。したがって、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bはピンチローラ154a、154bから近位側に延び、一方、軸方向分割シース136の移行部分148cはピンチローラ154a、154bとチューブ形成機構156との間に延び、軸方向分割シース136の管状の遠位部分148aはチューブ形成機構156から遠位側に延びる。
【0119】
この実施形態において、軸方向分割シース136は、軸方向分割シース136がシャトル72に対して近位方向150’に軸方向移動したときにピンチローラ154a、154bによって加えられる外力にのみ応答して管状状態から扁平状態に移行し、かつ、軸方向分割シース136がシャトル72に対して遠位方向150”に軸方向移動したときにチューブ形成機構156によって加えられる外力にのみ応答して扁平状態から管状状態に移行するように、双安定であってもよい。座屈防止機構132bはさらに、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bが当接するアイドラローラ158を具え、これによりケーシング100の内側に配置される巻き取りリール152に向けられるようになっている。
【0120】
図12Cを参照すると、座屈防止機構132cのさらに別の実施形態は、ピンチローラ154a、154bと巻取りリール152との間の距離が大きいことを除いて、
図12Bの座屈防止機構132bと同様である。
【0121】
図12Dを参照すると、座屈防止機構132dのさらに別の実施形態は、
図12Aの座屈防止機構132aと同様であるが、巻き取りリール152がケーシング100の外側に配置され、トラック70が延びる面と直交する回転軸(図面から出ている)を有する点が異なる。
【0122】
図示された実施形態では、軸方向分割シース136は、シャトル72a~72bのそれぞれに関連付けられた収容ハウジング134内に受動的な態様で巻き取られるように構成されている。すなわち、座屈防止機構132は、収容ハウジング134内に、軸方向分割シース136を積極的に引っ張って(すなわち、巻き取って)収容ハウジング134内に収納する機構を有していない。代わりに、最遠位シャトル72aが遠位方向150”に軸方向に並進されるときに最遠位シャトル72aに関連する軸方向分割シース136に加えられる外部圧縮力、および中間シャトル72bと遠位シャトル72aが互いに対して軸方向に変位されるときに中間シャトル72bに関連する軸方向分割シース136に加えられる圧縮力によって、それぞれの軸方向分割シース136が収容ハウジング134内に巻き取られる。
【0123】
代替の実施形態では、収容ハウジング134は、遠位シャトル72aおよび中間シャトル72bの前後運動に応答して、収容ハウジング134の内外への軸方向分割シース136の反復的な巻き取りおよび繰り出しの際に、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bが接触して緊密な形態を維持するようにする受動的な収納力を加えるための巻き取りバイアス機構(図示せず)を含んでもよい(図示の実施形態では、最遠位シャトル72aが遠位方向に軸方向並進しているとき、または中間シャトル72bおよび遠位シャトル72aが互いに対して軸方向変位しているとき)。このような受動的な収納力がなければ、軸方向分割シース136の巻かれた扁平の近位部分148bのサイズ(すなわち、直径)が収納ハウジング136内の割り当てられたスペースより大きくなり、それによって収納ハウジング134の内外への軸方向分割シース136の巻き取りや繰り出しが妨げられる可能性がある。このような受動的な収納力は、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bの患者20内への無制限な移動を防止するように、好ましくは収納ハウジング134内での軸方向分割シース136の巻き取り(すなわち、管状遠位部分148aの短縮)を妨げないようバイアスすることなく、軸方向分割シース136の偏向や開放が妨げられないようにバイアスされることが好ましい。
【0124】
以下にさらに詳述するように、座屈防止機構のいくつかの実施形態は、軸方向分割シース136にそのような受動的収納力を加えてもよい。他のより複雑な実施形態では、巻き取りバイアス機構は、軸方向分割シース136の扁平の近位部分148bに一定の張力を加える引張バネ(図示せず)またはモータ(図示せず)を具えてもよい。それぞれの軸方向分割シース136に一定の張力を加えるためにモータが使用され、かつ、トラック70に沿って遠位シャトル72aまたは中間シャトル72bを軸方向に並進させる軸方向駆動機構92を作動させるために使用される軸方向アクチュエータ94がモータである場合、軸方向分割シース32が巻き取りまたは繰り出しする速度が、トラック70に沿って軸方向に並進されるときのそれぞれのシャトル72の速度と一致するように、両方のモータが互いに一致するように割り出すことができる。
【0125】
任意の実施形態では、シャトル72a~72bのいずれか一方または両方に関連付けられた座屈防止機構132は、シャトル72a~72bを軸方向に並進させるためのアクチュエータおよび軸方向駆動機構としてさらに機能してもよい。この場合、座屈防止機構132の軸方向分割シース136が上述の軸方向駆動機構92の代わりになってもよく、一方、座屈防止機構132の収納ハウジング134内のモータ(図示せず)が上述の電動アクチュエータ94の代わりになってもよい。このように、軸方向分割シース136は、シャトル72a~72bのそれぞれを軸方向に並進させながら、軸方向分割シース136を収容ハウジング134内に巻き取り、かつ、軸方向分割シース136を収容ハウジング134から繰り出すように作動させるように構成されており、一方、収容ハウジング134内のモータは、マスタ入力装置194によって生成された制御信号に応答して、軸方向分割シース136を作動させるように構成される。軸方向駆動機構として使用される場合、軸方向分割シース136は、軸方向分割シース136が各シャトル72a~72b用の収容ハウジング134から繰り出されるときに圧縮下で脱出しないような、必要な柱状強度を有することが好ましい。
【0126】
最遠位シャトル72aの場合、軸方向分割シース136の収容ハウジング134への能動的な巻き取りは、最遠位シャトル72aと患者20に対して固定された位置(例えば、患者20のアクセス部位またはその近傍でトラック70の遠位端74を固定するために使用されるシースアンカー80)との間の軸方向分割シース136内に軸方向の張力を引き起こし、それによって、次に、最遠位シャトル72aを遠位方向に軸方向に並進させる。対照的に、収容ハウジング134からの軸方向分割シース136の能動的な繰り出しは、最遠位シャトル72aと患者20に対して固定された位置(例えば、患者20のアクセス部位またはその近傍でトラック70の遠位端74を固定するために使用されるシースアンカー80)との間で軸方向分割シース136内に軸方向の圧縮を引き起こし、それによって、次に、最遠位シャトル72aを近位方向150’に軸方向に並進させる。
【0127】
中間シャトル72bの場合、軸方向分割シース136の収容ハウジング134への積極的な巻き取りは、中間シャトル72bと最遠位シャトル72aとの間の軸方向分割シース136内に張力を引き起こし、それによって、中間シャトル72bを遠位方向に軸方向に並進させる。対照的に、収容ハウジング134からの軸方向分割シース136の能動的な繰り出しは、中間シャトル72bと最遠位シャトル72aとの間の軸方向分割シース136内の軸方向の圧縮を引き起こし、それによって、中間シャトル72bを近位方向150’に軸方向に並進させる。
【0128】
図12A~12Dに示す座屈防止機構132の使用は、
図1~2に示す血管内管理および追跡システム14におけるガイドシース26aおよび作業カテーテル26bの座屈を防止するのに適しているが、このような座屈防止機構132は、トラック上を軸方向に並進するシャトルを利用しない従来の駆動システムを含む他のタイプのカテーテル駆動システムにも使用できることを理解されたい。
【0129】
さらに、収納ハウジングの内外に交互に巻き取りおよび繰り出しされる軸方向分割シースの使用は、トラック70に沿ったシャトル72a~72bの軸方向変位に応答してガイドシース26aおよび作業カテーテル26bが軸方向圧縮を受けるときに、ガイドシース26aおよび作業カテーテル26bを支持し、脱出を防止するためのエレガントで単純な解決策を提供するが、座屈防止機構の代替実施形態は、
図1~2に図示す血管内管理および追跡システム14に取り付けられたときに、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bに可変長の支持を提供するための他の手段を使用してもよい。上述した座屈防止機構132とほぼ同じ方法で、これらのシザー機構のそれぞれの遠位端は、ある位置(例えば、最遠位シャトル72aに関連する場合はシースアンカー80、中間シャトル72bに関連する場合は最遠位シャトル72a)に取り付けられ、それぞれのシャトル72がその位置から離れる方向に軸方向並進するとこれらの座屈防止機構が長くなり、それぞれのシャトル72がその位置に向かう方向に軸方向並進するときに短くなる。
【0130】
座屈防止機構132-1の代替的な一実施形態は、延長(
図13A)または伸縮(
図13B)が可能なシザー機構160を具える。シザー機構160は、2つの一連のヒンジ付きリンク162a、162bを含み、これらはヒンジ付きリンク162a、162bの中間点164で相互接続され、互いから離れるようにヒンジ動作してシザー機構160を長くするか、互いに向かってヒンジ動作してシザー機構160を短くする。座屈防止機構132-1は、ガイドカテーテル24または作業カテーテル26bが摺動可能に配置されるシザー機構160の長さに沿って取り付けられた一連のループ166を具え得る。
【0131】
座屈防止機構132-2の別の代替実施形態は、伸長(
図14A)または短縮(
図14B)が可能なリニアスライド機構168を具える。リニアスライド機構168は、リニアスライド機構168を延長または短縮するために互いに相対的にスライドする複数の剛性リニアスライド170a~170cを具える。座屈防止機構170-2は、ガイドカテーテル24または作業カテーテル26bが摺動可能に配置されるリニアスライド機構168の長さに沿って取り付けられた一連のループ172を具え得る。
【0132】
座屈防止機構132-3のさらに別の代替実施形態は、伸長(
図15A)および短縮(
図15B)可能な伸縮機構174を具える。伸縮機構174は、伸縮機構174を延長または短縮するために、互いに摺動可能に嵌合する複数の中空シリンダ176a~176cを具える。伸縮機構174は、ガイドカテーテル24または作業カテーテル26bが摺動可能に配置される中央ルーメン178(点線で示す)を具える。
【0133】
座屈防止機構132-4のさらに別の代替実施形態は、延長(
図16A)および短縮(
図16B)が可能なアコーディオン機構180を具える。アコーディオン機構180は、折り目が互いに離れてアコーディオン機構180を伸張するか、互いに向かって折り畳まれてアコーディオン機構180を短縮するための複数のセクション182を具える。アコーディオン機構180は、ガイドカテーテル24または作業カテーテル26bが摺動可能に配置される中央ルーメン184を具える。
【0134】
座屈防止機構132-5のさらに別の代替実施形態は、伸長(
図17A)および短縮(
図17B)が可能なリニアスプリング機構186を具える。リニアスプリング機構186は、リニアスプリング機構186を伸張するために互いに離れ、またはリニアスプリング機構186を短縮するために互いに近づくように変位可能な複数のコイル188を具える。リニアスプリング機構186は、ガイドカテーテル24または作業カテーテル26bが摺動可能に配置される中央ルーメン190を備えている。
【0135】
同軸血管内アセンブリ12の代替実施形態では、同軸血管内アセンブリ12が座屈しにくくなるように、作業カテーテル24および/またはガイドワイヤ26を補強してもよい。この場合、シャトル72a~72bの一方または両方は、座屈防止機構132を使用しないでもよい。
【0136】
一実施形態では、アクチュエータ94、98が電動式である場合、シャトル72a~72cの各々は、アクチュエータ94、98によって駆動機構92、96に与えられる力またはトルクを測定するセンサを含んでもよく、それによって触覚インターフェースに返信され得る運動に対する抵抗の感知が可能になり、以下にさらに詳述するように、入力コマンドが制御ステーション16を介して提供されると、制御ステーション16を介してオペレータ24に触覚フィードバックを伝達する。
【0137】
血管内管理および追跡システム14と制御ステーション16との間およびその内部での通信は、有線接続、無線接続、またはそれらの組み合わせを通じて行うことができる。すべての標準的な通信アーキテクチャ(例えば、イーサネット、USB、Wi-Fi、ブルートゥース、FireWireなど)およびすべてのデータ転送プロトコルが、制御ステーション16がすべての通信(ポイントツーポイント)を管理するような集中制御、または血管内管理および追跡システム14と制御ステーション16が協調して互いに通信するマイクロローカルネットワークのいずれかを形成することが想定されている。血管内管理および追跡システム14と制御ステーション16との間のデータストリームは、例えば、モータ/アクチュエーターコマンド、シャトルベースのユーザ入力コマンド、フロースイッチコマンド、軸方向トラック位置感知出力、力/トルクセンサ出力、流体流量出力、圧力センサ出力などの情報を含み得る。
【0138】
以下にさらに詳述するように、制御ステーション16はケーブルを介して血管内管理および追跡システム14に接続することができ、それによって制御ステーション16と血管内管理および追跡システム14との間で信号を転送できる1つまたは複数の通信リンクを提供する。あるいは、制御ステーション16は血管内管理および追跡システム14に無線で接続されてもよい。例えば、制御ステーション16は地理的に離れた場所に配置することができ、通信は少なくとも部分的にはインターネットなどの広域ネットワークを介して行われる。また、制御ステーション16は、ローカルエリアネットワーク、地理的に離れた場所に配置されていないあるいは無線ネットワークを介して血管内管理および追跡システム14に接続されもよい。
【0139】
図6を参照すると、一実施形態では、電源および通信ケーブル192aが制御ステーション16をシャトル72a~72cの1つに接続し、電源および通信ケーブル192b~192cがそのシャトルをデイジーチェーン方式で残りのシャトルに結合する。例えば、電源および通信ケーブル192aは、制御ステーション16を最遠位シャトル72aに結合することができ、これにより、先行シャトル(例えば、中間シャトル72bまたは最近位シャトル72c)がトラック70にロード/アンロードされる際に、制御ステーション16と血管内管理および追跡システム14との間で電源および通信を維持することができる。他の実施形態では、別個の電源および通信ワイヤが制御ステーション16をシャトル72a~72cに個別に結合してもよい。代替実施形態では、電源および通信ケーブル192cを使用するのではなく、最近位シャトル72cの雄プラグ108と中間シャトル72bのロード/アンロードポート88との間の電気的結合を介して、電源および通信を医療用シャトル72bから近位シャトル72cに供給することができる。
【0140】
別の実施形態では、トラック70は少なくとも導電性材料で構成され、電源に結合されて、トラック70が通電し得るようになっている。このようにして、通電したトラック70からシャトル72a~72cに(例えば、直接摺動接点または誘導結合を介して)電力を伝達することができる。さらに別の実施形態では、シャトル72a~72cはそれぞれ、再使用可能な電池または使い捨て電池によって電力供給されてもよい。これらの場合、データは、それぞれのシャトル72a~72cと制御ステーション16との間の個々の無線通信リンク(例えば、無線周波数(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)、トラック70を介した誘導結合、または他の無線伝送リンク)を介して、および/またはシャトル72a~72c間の無線通信リンクを介して、それぞれのシャトル72a~72cへ、またはシャトル72a~72cから転送され得る。
【0141】
図1および
図2に戻ると、制御ステーション16は血管内管理および追跡システム14に機能的に連結されたマスタ入力装置194を具える。オペレータ24は、マスタ入力装置194と相互作用して、血管内管理および追跡システム14をマスタ/スレーブ配置で操作し得る。このため、マスタ入力装置194は、オペレータ24が血管内管理および追跡システム14を遠隔操作して、患者20に対してカテーテルを用いた医療処置をリアルタイムで行うことができるように構成されている。例えば、マスタ入力装置194は、血管内管理および追跡システム14に、同軸血管内アセンブリ12を使用した様々なタスク(例えば、ガイドシース26a、作業カテーテル26b、およびガイドワイヤ26cの互いに対する前進、後退、回転、任意の操縦など)を実行させるように構成され得る。
【0142】
制御ステーション16はさらに、例えばテキストや数値、オン/オフ情報など、ステータスおよび/または非物理的もしくは非動作入力を表示するように構成された制御パネル196(例えば、パッドまたはオンスクリーンタッチ制御)を含む。例えば、制御パネル196は、医師が一般的な設定を変更したり、シャトル72の各々を細長い医療器具26の特定の1つに関連付けることを含むシャトル72の各々に対するライブラリをセットアップしたり、細長い医療器具26の間の同期運動を提供するためにシャトル72のいずれかを互いに連結したりできるように構成され得る。任意選択で、制御パネル196は、オペレータ24が、個々のシャトルのロック(以下でさらに詳細に説明する)、シャトル72の同期、動作の方向および比率などの同期パラメータの変更、作業カテーテル26bを使用した介入/診断機能の実行(例えば、ステント送達、バルーン膨張、心内膜組織のアブレーション/マッピング、超音波イメージング、血管のアアテローム切除術、動脈瘤への血管閉塞デバイスの送達、造影剤/薬剤の送達、または作業カテーテル26bが設計されている他の医療機能の実行)などの非リアルタイム機能を実行可能である。
【0143】
制御パネル196、あるいは別個のグラフィック・ディスプレイ(図示せず)は、ロボット血管内システム10の様々な態様を任意に表示することができる。例えば、同軸血管内組立体12の遠位端の画像を制御パネル196にリアルタイムで表示して、患者20の血管系内に配置されている細長い医療器具26の現在の向きをオペレータ24に提供してもよい。グラフィカルディスプレイ78はまた、オペレータ24に患者固有の情報(例えば、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行力学データ(例えば、血圧、心拍数など)、および患者記録情報(例えば、病歴、年齢、体重など))を表示するように構成されてもよい。例えば、制御ステーション16は、血管造影システム(図示せず)またはその表示コンポーネントとインターフェースして、制御ステーション16(例えば、制御パネル196)が血管造影システムからの情報や画像を表示することができ、その逆も可能であり得る。さらに、制御ステーション16(例えば、制御パネル196)は、処置台18を移動させたり、X線カメラ/線源の位置を変更したりするためのコマンドを血管造影システムに送信するための入力を受け取るように構成されてもよい。制御ステーション16(例えば、制御パネル196)は、パワーインジェクタや輸液ポンプなどの他の補助装置を制御またはトリガするように構成されていてもよい。
【0144】
図示の実施形態では、制御ステーション16はクランプ機構198を介して処置台18に固定されている。クランプ機構198、あるいは別のクランプ機構(図示せず)を用いて、トラック70の近位端76を固定することができる(
図6に示す)。制御ステーション16は、単一点での取り付けにより、手術室環境において貴重なスペースを占有することなく、必要に応じて台や同様の面にクランプすることができる。別の実施形態では、制御ステーション16は、通信、処理、および介入医が血管内管理および追跡システム14とインターフェースすることにより、放射線照射野の外で血管内管理および追跡システム14から遠隔にセットアップすることができる。
【0145】
マスタ入力装置194は、シャトル72を介してそれぞれの細長い医療器具26の動きをそれぞれ制御するための複数のコントローラを具え得る。それぞれの細長い医療器具26のすべての動作は、マスタ入力装置194の複数のコントローラによって独立して制御することができ、あるいは、それぞれの細長い医療器具26の少なくとも2つの動作が互いにリンクされて、マスタ入力装置194の複数のコントローラのうちの1つによる細長い医療器具26のうちの1つの制御が、リンクされた動作(軸方向並進または回転移動のいずれか)にしたがって細長い医療器具26のうちの別の1つを制御するように、リンクされた動作(例えば、1:1のリンク動作)を提供するようにしてもよい。
【0146】
図18に示す1つの有利な実施形態では、マスタ入力装置194は、個々の制御要素200a~200cの線形アレイと、制御要素200a~200cが軸方向および回転方向に摺動可能な(すなわち、レール202の長手方向軸204に沿って軸方向に並進し、かつレール202の長手方向軸204を中心として回転方向に進む)レール202とを具える。細長い医療器具26a~26cを独立して操作するために、個々の制御要素200a~200cの線形アレイを使用すると、手動のカテーテル検査器具操作の状況で使用されるのと同様の動作を用いるため、医師は慣れ親しんだ直感的な血管内処置を行うことができる。すなわち、オペレータ24は、制御要素200a~200cのうちの1つを把持し、把んだ制御要素をレール202の長手方向軸204に沿って(近位側または遠位側のいずれかに)移動させて、把持された制御要素200によって制御される細長い医療器具26を(近位側または遠位側のいずれかに)軸方向に並進させたり、あるいは、把んだ制御要素をレール202の長手方向軸204を中心に(時計回りまたは反時計回りのいずれかに)回転させて、把持された制御要素200によって制御される細長い医療器具26を(時計回りまたは反時計回りのいずれかに)回転移動させることができる。
【0147】
レール202は、制御要素200a~200cに2自由度(DOF)(すなわち、レール202の長手方向軸204(z方向)に沿った直線並進およびレール202の長手方向軸204を中心とする回転移動(ロール))のみを提供するように剛性であってもよいし、あるいは制御要素200a~200cにさらに4自由度(すなわち、x方向とy方向に沿った直線並進ならびにレール202の長手方向軸204に対するピッチとヨー)を提供するために可撓性であってもよい。図示の実施形態では、レール200は、レール上に配置された制御要素200a~200cのアレイが直線となるように直線状であるが、代替実施形態では、レール200は、レール上に配置された制御要素200a~200cのアレイがわずかに曲線となるようにわずかに湾曲してもよい。制御要素200a~200cは、細長い医療器具26a~26cの近位端に倣う(emulate)ために円筒形で図示されているが、制御要素200a~200cは円形以外にも、オーバル、楕円形、多角形(例えば、三角形、四角形、六角形、八角形など)など任意の適切な断面を有してもよいことを理解されたい。
【0148】
個々の制御要素200a~200cは、各制御要素がシャトル72a~72cのそれぞれに取り付けられたガイドシース26a、作業カテーテル26b、またはガイドワイヤ26cの移動(軸方向および回転方向)を制御するように、それぞれのシャトル72a~72cと機能的に関連し得る。一実施形態では、制御要素200a~200cは軸方向および回転方向にバネ付勢されており、オペレータ24によって解放されると、公称の軸方向並進位置および回転移動位置に戻るようになっている。これらの公称軸方向並進位置および公称回転移動位置は、制御要素200a~200cが公称位置からの正負の移動範囲(すなわち、正方向の軸方向並進範囲、逆方向の軸方向並進範囲、時計回りの回転移動範囲、および反時計回りの回転移動範囲)を有するように、軸方向並進範囲および回転移動範囲の中心にあることが好ましい。
【0149】
注目すべきは、クランプ機構196を介して制御ステーション16を一点のみでクランプすることにより、レール202が開放端を有し、それによって制御要素200a~200cの迅速な交換が容易になっていることである。制御要素200a~200cのそれぞれは、レール202に取り外し可能に取り付けることができ、制御要素200は、必要に応じてマスタ入力装置194に追加したり、マスタ入力装置194から取り外したりすることができるという点で、交換可能であり得る。さらに、レール202は再使用可能であってもよいが、制御要素200a~200cは使い捨てであることが望ましい。したがって、使用済みの制御要素200a~200cは、レール202から簡単に取り外して廃棄し、新しい滅菌済みの制御要素200a~200cと交換することができる。
【0150】
図18には、3つのシャトル72a~72cにそれぞれ対応する3つの制御要素200a~200cが示されているが、マスタ入力装置194は、最終的には使用されるシャトル72の数に応じて、任意の適切な数の制御要素200を含み得ることを理解されたい。例えば、マスタ入力装置194は、例えば3つ未満のシャトル72が使用される場合は3つ未満の制御要素200を有してもよいし、例えば3つ以上のシャトル72が使用される場合は3つ以上の制御要素200を有してもよい。それほど有利ではないが、マスタ入力装置194は、制御要素200のアレイの代わりに、ジョイスティック、キーパッドまたはキーボード、スライダ、ローラボール、タッチセンサ、タッチスクリーン、マウスなどを有してもよい。
【0151】
図示の実施形態では、制御要素200a~200cの直径が徐々に大きくなったり小さくなったりして、どの制御要素200a~200cが細長い医療器具26a~26cのそれぞれに関連づけられているかを医師に視覚的または触覚的に示すようにしてもよい(例えば、最遠位の制御要素200aはガイドシース26aと機能的に関連付けられ比較的大きな直径を有し、中間の制御要素200bは作業カテーテル26bと機能的に関連付けられ比較的中程度の直径を有し、最近位の要素200cはガイドワイヤ26cと機能的に関連付けられ比較的小さな直径を有することができる)。
【0152】
任意の実施形態では、制御要素200a~200cは、伸縮式に互いにスライドさせることができる。別の任意の実施形態では、制御要素200a~200cを(赤、緑、青(RGB)の発光ダイオード(LED)などにより)異なる色で照明して、どの制御シリンダ200がアクティブで、細長い医療器具26a~26cのそれぞれの1つと機能的に関連しているかを示してもよい。非アクティブな制御要素200は、白色、透明なつや消し色、または類似のあまり目立たない色で照明してもよい。2以上の細長い医療器具26a~26cの動作が互いにリンクされる場合、これらのリンクした器具に関連する制御要素200は、点滅照明などの視覚的表示を有していてもよい。
【0153】
制御ステーション16は、任意で、マスタ入力装置194を覆うように構成された無菌スリーブ206を含んでもよく、それによってオペレータ24と制御ステーション16の非無菌構成要素との間に無菌バリアを提供し得る。無菌スリーブ206を収容するためにレール202は片持ち梁式であり、その結果、無菌スリーブ206をレール202の自由端からレール202の固定端まで制御要素200のアレイ上を容易にスライドすることができる。無菌スリーブ206、または別個の無菌スリーブ(図示せず)も、制御パネル196を覆ってもよい。無菌スリーブ206は、各制御要素200の動きを制限しないことが望ましい。無菌スリーブ206は、制御要素200の直径の変化を許容するように構成され得る。無菌スリーブ206の各制御要素200a~200c上の部分は平滑で、各制御シリンダ208に密着または近接していてもよいし、あるいは、無菌スリーブ206は隣接する各制御要素200の対の間に密集した部分を有し得るように緩くてもよい。
【0154】
図19に示す一実施形態では、マスタ入力装置194全体を覆う単一の滅菌スリーブの代わりに、制御ステーション16は、制御要素200a~200cの上にそれぞれ所定の位置にスライドされるように構成され、それによってオペレータ24が触れる滅菌表面を提供する、一組の単回使用の重なり合う滅菌制御要素カバー208a~208cを具える。それぞれの制御要素200a~200cの上に配置されると、滅菌制御要素カバー208a~208cは、隣接する制御要素200a~200c間の汚染された流体の移動を防止するために、隣接する制御要素200a~200c間にスライド可能な流体シール210を形成することができる。スライド可能な流体シール210は、制御要素200a~200c間のスリップフィット、または例えばOリングのようなシール部材によって形成することができる。
図20に示されるように、滅菌制御要素カバー208a~208cは、制御要素200a~200cの上にスライドさせることができる、折り畳まれて重ねられた「カップ」のセットとしてパッケージ化され得る。
【0155】
図18に戻ると、制御ステーション16はプロセッサ212をさらに具え、このプロセッサ212は、血管内管理および追跡システム14内の様々なモータ(以下にさらに詳細に説明する)の作動を正確に調整し制御するためのコマンドを発行するための、例えばパーソナルコンピュータまたは他のタイプのコンピュータワークステーションを具えることができる。以下にさらに詳述するように、プロセッサ212は、制御要素200a~200cの感知された軸方向並進および回転移動を細長い医療器具26a~26cの所望の軸方向並進および回転移動をマッピングするマッピングアルゴリズムにしたがって血管内管理および追跡システム14に命令を発行することができる。制御ステーション16は任意で、光、機械的インターフェースの有色/無色のセグメント、または音声キューの形態で、電力、手動モード/自動モード、流体流または流体スイッチの状態、動き、またはエラー(例えば、過剰な力やトルク、コントローラエラー、通信エラー、低バッテリなど)を伝える様々なインジケータを含むことができる。
【0156】
制御ステーション16は、オペレータ24にフィードバック(例えば、視覚的、可聴的、触覚的など)を提供するための1以上の装置をさらに含む。例えば、制御ステーション16は、運動学的刺激または触覚フィードバックとしても知られる触覚を通じて、オペレータ24と同軸血管内アセンブリ14とを接続する触覚インターフェース214を有していてもよい。触覚インターフェース214は、入力コマンドがマスタ入力装置194を介して提供されると、例えばマスタ入力装置194を介してオペレータ24に触覚フィードバックを伝達し、オペレータ24が、細長い医療器具26が患者20の血管系内で移動する際に、細長い医療器具26にかかる力の方向および大きさを表す抵抗を感じるようにする。プロセッサ212の制御下で、触覚インターフェース214は、アクチュエータ(図示せず)を用いて触覚フィードバックを作成しオペレータ24に伝達する。例えば、モータのトルクをコントローラの動きの抵抗(反力や振動)に変換できるモータが、細長い医療器具26が動かしにくくなったことをオペレータ24が感じ取れるようにする。オペレータ24に触覚フィードバックを変換する他の例としては、重量、空気圧、磁気、電気的人工筋肉(電気活性ポリマー)、圧電、超音波、圧力アクチュエータなどを使用することが含まれる。
【0157】
細長い医療器具26にかかる実際の力は、カテーテル追跡および管理システム14に関連付けられた触覚フィードバックセンサ216の任意の構成を介して感知され、プロセッサ212に触覚フィードバックとして提供され、プロセッサ212はそれに応じて触覚インターフェース214を制御して、オペレータ14に触覚フィードバックを提供する。
【0158】
例えば、細長い医療器具26a~26cが機械的に結合されているそれぞれのシャトル72a~72cのモータにおいて電流の変化を検出することができる。すなわち、細長い医療器具26a~26cの遠位端に力が加わると、細長い医療器具26a~26cを駆動するモータの電流がそれに応じて変化する。別の例として、能動的な力センサ(例えば、電気的、圧電的、磁気的、抵抗的、容量的、圧力的、液圧的など)を細長い医療器具26a~26bの遠位先端部に、および/または長さに沿って組み込んでもよい。さらに別の例として、細長い医療器具26a~26bの遠位端に作用し、それぞれの座屈防止機構132(
図6に示す)に機械的に伝達される力は、細長い医療器具26a~26bの遠位端に及ぼされる圧縮力に応答して、軸方向分割シース136のたわみを測定するたわみ検出器、または軸方向分割シース136内の力もしくは圧力を直接測定する力検出器もしくは圧力検出器を介して、軸方向分割シース136内で感知されてもよい。代替実施形態では、医療用撮像装置(例えば、X線透視撮像装置)により、細長い医療器具26a~26bに加えられる力の視覚的フィードバックをプロセッサ212に提供し、プロセッサ212はそれに応じて触覚インターフェース214を制御して、オペレータ14に触覚フィードバックを提供してもよい。例えば、医療用撮像装置は、細長い医療器具26a~26cの遠位先端と血管壁または病変部との接触を検出してもよいし、細長い医療器具26a~26cの曲がりを検出してもよい。プロセッサ212は、この視覚的フィードバックを使用して、細長い医療器具26a~26cにかかる力を推定することができる。
【0159】
以下でさらに詳細に説明するように、触覚インターフェース214は、マスタ入力装置194に組み込まれるのではなく、代替的に、指輪、手袋、指先パッド、リストバンドなどの着用可能なフォームファクタを有してもよく、あるいは、例えば、超音波パッド、空気圧ベースのフィードバック、流体の粘度変化ベースのフィードバックなどを使用して非接触の力場を生成してもよい。触覚インターフェース214と併用して、あるいはその代わりに、制御パネル196または他のグラフィックディスプレイにより、細長い医療器具26がマスタ入力装置194を介して動かされる際に、細長い医療器具26に蓄積される力を表示してもよい。
【0160】
マスタ入力装置194は、任意選択で、制御要素200a~200cの各々(または代替的に、制御要素200a~200cの上に配置された滅菌カバー208a~208cの各々)に貼付された識別子(ID)218(例えば、バーコード、QRコード、または無線周波数識別子(RFID))を含み、それぞれの制御要素200が関連する細長い医療器具26の種類(例えば、ガイドシース26a、作業カテーテル26b、またはガイドワイヤ26cのいずれか)を迅速な識別を可能にすることができる。別の実施形態では、各制御要素200は、ID218を介して対応するシャトル72と識別(ID)結合され(すなわち、制御要素200aとシャトル72aがペアリングされ、制御要素200bとシャトル72bがペアリングされ、制御要素200cとシャトル72cがペアリングされる)、一緒にパッケージ化してもよい。他の実施形態では、一対の細長い医療器具26の作動が同期した動作を提供するためにリンクされる場合、対応する制御要素200の2つが予めペアリングされ、予めペアリングされた制御要素200が作用するように設計された一対の細長い医療器具26の間のリンクされた動作比率(例えば、1:1、2:1、1:2など)を識別するラベルと共にパッケージ化することができる。
【0161】
制御要素200a~200cの軸方向並進および回転移動(ならびに任意に軸方向速度および回転速度)はセンサアセンブリを介して検出され、細長い医療器具26a~26cが上記で簡単に説明したマッピングアルゴリズムにしたがって軸方向並進および回転移動されるようにしてもよい。センサアセンブリは、長手方向軸204に沿った制御要素200a~200cの各々の検出された軸方向並進を示す信号、および長手方向軸204を中心とした制御要素200a~200cの各々の検出された回転移動を示す信号を出力する。プロセッサ212は次に、センサアセンブリによって出力される制御信号に応答して、細長い医療器具26a~26cのそれぞれを軸方向に並進させ、回転移動させるように血管内管理および追跡システム214に命令することができる。
【0162】
特に、上述したように、制御要素200a~200cは、単価使用で使い捨てとなるように設計されてもよい。この点で、センサアセンブリの比較的安価な構成要素(例えば、受動的な構成要素(すなわち、電力供給のない構成要素))が制御要素200a~200c(あるいは、制御要素200a~200cの上に配置された無菌カバー208a~208cの各々)の上または中に存在し、センサアセンブリの比較的高価な構成要素(例えば、能動的な構成要素(すなわち、電力供給のある構成要素))は、再利用可能なレール202または制御要素200a~200cから離れた別の場所の中または上に存在することが好ましい。このようにして、センサアセンブリの安価な構成要素のみを交換することで、ロボット血管内システム10の運用コストを削減することができる。
【0163】
例えば、
図18Aに示される一実施形態では、マスタ入力装置194は、制御要素200a~200cの各々(あるいは、制御要素200a~200cの上に配置された滅菌カバー208a~208cの各々)の周囲に周方向に配置された基準要素219の形態の複数のエンコーダと、制御要素200a~200c上に配置された基準要素219を視覚的に感知し、それによって制御要素200a~200cの各々の軸方向並進および回転移動(ならびに任意に軸方向速度および回転速度)を感知するように構成された視覚追跡システム221(例えば、1つまたは複数のカメラ)とを具える。
【0164】
図18Bに示す別の実施形態では、マスタ入力装置194は、各々が制御要素200a~200cの各々(あるいは、制御要素200a~200cの上に配置された滅菌カバー208a~208cの各々)に組み込まれた複数の電磁受動トランスポンダ223と、電磁受動トランスポンダ223に衝突する電磁エネルギー227を送信するように構成された固定電磁トランシーバ225であって、電磁エネルギーを位置情報、特に、電磁受動トランスポンダ223ひいては制御要素200a~200cの軸方向並進(z-位置)および回転移動(ロール)に符号化する固定電磁トランシーバ225とを具える。電磁トランシーバ225は、電磁パッシブトランスポンダ219によって発せられる符号化された電磁エネルギー229を受信し、この電磁エネルギー229を復号化して、制御要素200a~200cの軸方向並進と回転移動を特定することができる。任意選択で、レール202が撓むように構成される場合、制御要素200a~200cの各々が、z方向に加えて、x方向およびy方向に沿って直線的に並進し、回転に加えてピッチまたはヨーができるように、電磁パッシブトランスポンダ223によって発せられる電磁エネルギー229に符号化された位置情報は、さらに、電磁パッシブトランスポンダ219ひいては制御要素200a~200cのピッチおよびヨーとともに、xおよびy位置を含むことができ、このようにして制御要素200a~200cの6自由度(すなわち、x、y、z位置およびロール、ピッチ、ヨー)を特定することができる。
【0165】
図18Cに示されるさらに別の実施形態では、マスタ入力装置194は、レール202内に、かつレール202の長手方向軸204に沿って配置されたセンサ231のアクティブアレイと、複数の相補的な受動(非アクティブ)素子233とを含み、これらはそれぞれ、制御要素200a~200cのそれぞれ(あるいは、制御要素200a~200cの上に配置された滅菌カバー208a~208cのそれぞれ)内に配置される。各センサ231は、受動素子233のそれぞれに隣接して配置されており、センサ231は、それぞれの受動素子233の位置、ひいては制御要素200a~200cの軸方向の並進および回転移動を感知できるようになっている。
【0166】
特定の一実施形態では、制御要素200a~200cは、光学的に透明な材料で構成され、受動素子233は、制御要素200a~200cの周囲に埋め込まれた一連の刻印(例えば、格子)の形態であり得る。レーザ光は、例えば、レール202内に配置されたレーザ源(図示せず)から、制御要素200a~200c内の回折格子を通過することができる。回折格子は、特に制御要素200a~200cの軸方向移動(z位置)と回転移動(ロール)とともに、回折を介した位置情報でレーザ光を符号化する。センサ231は、回折格子によって回折された符号化レーザ光を測定する光検出器であり、回折されたレーザ光を復号して、制御要素200a~200cの軸方向並進および回転移動を特定することができる。
【0167】
他の特定の実施形態において、受動素子233は抵抗器であってもよく、この場合、センサ231はそれぞれの受動素子233の位置、したがって制御要素200a~200cの軸方向並進および回転移動を電気的に感知することができ、または、強磁性素子であってもよく、この場合、センサ231はそれぞれの受動素子233の位置を磁気的に感知することができ、または、コイルであってもよく、この場合、センサ231はそれぞれの受動素子233の位置を誘導的に感知することができ、または、容量性プレートであってもよく、この場合、センサ231はそれぞれの受動素子233の位置を容量的に感知することができ、または、超音波反射素子であってもよく、この場合、センサ231はそれぞれの受動素子233の位置を超音波的に感知することができ、等々である。
【0168】
図18D~18Fに示されるさらに別の実施形態では、マスタ入力装置194は、それぞれが制御要素200a~200cのそれぞれの端部に片持ち支持される複数の機械的アーム235a~235cと、センサ(図示せず)を有するセンサボックス237とを具え、機械的アーム235a~235cの自由端がセンサボックス237内で機能的に相互作用(例えば、光学的、電気的、磁気的、誘導的、容量的、超音波的など)する。機械的アーム235a~235cのそれぞれの長さは、レール202上の制御要素200a~200cの相対位置に依存する。すなわち、最遠位の制御要素200aに片持ち梁状に取り付けられた機械的アーム235aの長さは比較的短く、最近位の制御要素200cに片持ち梁状に取り付けられた機械的アーム235cの長さは比較的長く、中間の制御要素200bに片持ち梁状に取り付けられた機械的アーム235bの長さは比較的中程度になる。制御要素200a~200cのいずれかがレール202の長手方向軸204を中心に回転されるときに機械的アーム235a~235cが互いに機械的に干渉しないように、機械的アーム235a~235cは、
図18Fに最もよく示されるように、互いにクロックされ(例えば、互いに120度離れている)、制限された回転範囲(例えば、120度)を有する。レール202上に配置可能な制御要素200の最大数が3つより多いか少ない場合、機械的アーム231は互いに異なる量だけクロックされ、異なる制限範囲(例えば、レール202上に配置可能な制御要素200の最大数が2つの場合は180度、レール202上に配置可能な制御要素200の最大数が4つの場合は90度)を有してもよい。
【0169】
図18A~18Fに示される実施形態のいずれかにおいて、制御要素200a~200cの直線速度および/または角速度を特定できるように、比較的安価な加速度計(図示せず)を任意選択で制御要素200a~200cの各々に組み込むことができる。
【0170】
図18Gに示されるさらに別の実施形態では、マスタ入力装置194は、物理的な制御要素200a~200cを有する代わりに、仮想制御要素200a’~200c’の線形アレイのインタラクティブな3D表現を表示する三次元(3D)タッチスクリーン239を具える。図示の実施形態では、3Dタッチスクリーン239は円筒形または半円筒形であり、その上に仮想制御要素200a’~200c’の線形アレイの円弧状部分が表示される。代替実施形態では、3Dタッチスクリーン239は、例えば三角形、四角形、六角形、八角形などの多角形を含む、円形または円弧形以外の断面形状を有してもよい。
【0171】
図示された実施形態では、タッチスクリーン239は円筒形または半円筒形であり、制御アイコン200a’~200c’の線形アレイの少なくとも円弧状部分を表示する。円弧状のタッチスクリーン239は、例えば抵抗性または容量性であり、例えば有機発光ダイオード(OLED)タッチ感応面を有し得る。3Dタッチスクリーン239の表面は、制御アイコン200a’~200c’に対応する個別の照明領域に分かれている。制御アイコン200a’~200c’のいずれかをタッチして、オペレータ24がその制御アイコンを操作できるようにすることができる。図示された実施形態では、オペレータ24が制御アイコン200a’~200c’を互いに容易に区別できるように、別個の照明領域は輪郭を有する。他の実施形態では、異なる領域は異なる色やパターンで照明されてもよい。
【0172】
したがって、
図18に示される物理的な制御要素200a~200cのうちの1つを把持するのと同様の方法で、制御アイコン200a’~200c’の1つに対応する3Dタッチスクリーン239の別個の領域を掴みながら、オペレータ24は、3Dタッチスクリーン239の長手方向軸に沿って、および/または3Dタッチスクリーン239の円周方向に手を動かすことができ、これは、物理的制御要素の軸方向移動および/または回転移動のエミュレートとなる。オペレータ24が3Dタッチスクリーン239の長手方向軸に沿って手を動かすと、制御要素200a’~200c’のうちの選択された1つが3Dタッチスクリーン239上に静的に表示されてもよいし、オペレータ24の手とともに3Dタッチスクリーン239に沿って直線的に移動するように動的に表示されてもよく、それによって細長い医療器具26a~26cの互いに対する軸方向の位置のより良い表示を提供することができる。
【0173】
オペレータ24の軸方向および回転方向の手の動きは、3Dタッチスクリーン239によって感知することができ、細長い医療器具26a~26cが、オペレータ24の感知された軸方向の並進および回転方向の手の動きを入力とし、以下にさらに詳述するように、それぞれのシャトル72a~72cに含まれるモータ(図示せず)の動作を出力とするマッピングアルゴリズムにしたがって、軸方向並進および回転方向移動され得る。
【0174】
図18Hに示される代替実施形態では、オペレータ24が効果的に掴むことができる円弧状の制御アイコン200a’~200c’を表示するのではなく、3Dタッチスクリーン239は、オペレータ24の指先を使用して動かされるように設計された制御アイコン200a”~200c”(例えば、矩形)を表示してもよい。例えば、制御アイコン200a”~200c”のいずれかを3Dタッチスクリーン239の軸に沿って動かしてもよい。例えば、オペレータ24は、指先で制御アイコン200a”~200c”の1つにタッチしながら、3Dタッチスクリーン239の長手方向軸に沿って、および/または3Dタッチスクリーン239の円周方向に手を動かすことができ、これは物理的な制御要素の軸方向移動および/または回転移動のエミュレートとなる。
【0175】
マスタ入力装置194および制御パネル196を含む制御ステーション16は、現実世界に存在する物理的装置であり、したがってオペレータ24が物理的に触れることができるものとして説明および図示したが、代替実施形態では、制御ステーション16のマスタ入力装置および制御パネルの一方または両方が仮想的であってもよい。その場合、オペレータ24は物理的なマスタ入力装置や制御パネルに触れる必要がなく、衛生面や空間的な問題を軽減することができる。
【0176】
例えば、
図18Iを参照すると、制御ステーション16は、オペレータ24がデジタル再生された画像を現実のものとして知覚するように、三次元(3D)環境においてオペレータ24にデジタル再生された画像を提示するように構成されたヘッドマウント型拡張現実(XR)装置(例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または複合現実(MR)装置)241を具え得る。特に、XR装置241は、仮想制御要素200a’~200c’を有する仮想マスタ入力装置194’をオペレータ24の3D環境に表示するように構成されている。したがって、オペレータ24は、あたかもオペレータ24が
図18に示すマスタ入力装置194の制御要素200a~200cと物理的に相互作用しているかのように、仮想マスタ入力装置194’の仮想制御要素200a’~200c’と仮想的に相互作用することができる。
【0177】
XR装置241はまた、制御パネル(図示せず)を二次元(2D)画像として表示してもよいし、患者20の血管系標的部位のリアルタイム医療画像(例えば、X線透視画像)、および血管内管理および追跡システム14’を含む病室環境の映像を、例えば、XR装置241の画面の隅に表示してもよい。あるいは、XR装置241は、オペレータ24の3D環境に仮想制御パネル(図示せず)を表示してもよい。他の実施形態では、XR装置は、オペレータ24が病室環境を直接見ることができる「光学シースルー」ディスプレイを有するか、あるいは、仮想マスタ入力装置194’(レールの有無に拘わらず)を含む仮想コンテンツと混合された病室環境のビデオが提示される「ビデオシースルー」ディスプレイを有する。
【0178】
制御ステーション16は、仮想マスタ入力デバイス194’の仮想制御要素200a’~200c’と仮想的に相互作用しながらオペレータ24が行うハンドジェスチャをキャプチャするために、オペレータ24の手に装着することができる触覚フィードバック手袋243(例えば、HaptX(商標名)手袋)をさらに含んでいる。このようなハンドジェスチャには、例えば、オペレータ24が
図18の物理的な制御要素200a~200cのうちの1つを物理的に把持し、物理的なマスタ入力デバイス194の軸に沿って物理的な制御要素を移動させるか、または物理的なマスタ入力デバイス194の軸を中心に把持した手を回転させるのと同じ方法で、オペレータ24の手で仮想制御要素200a’~200c’のうちの1つを掴み、仮想マスタ入力デバイス194’の軸に沿って掴んだ手を移動させるか、またはマスタ入力デバイス194’の軸を中心に掴んだ手を回転させることができる。キャプチャされたハンドジェスチャは、MR装置241によってプロセッサ212に出力され、プロセッサ212はハンドジェスチャを解釈し、解釈されたハンドジェスチャを細長い医療器具26a~26cの所望の軸方向並進および回転移動にマッピングするマッピングアルゴリズムにしたがって血管内管理および追跡システム14にコマンドを発行することができる。触覚フィードバック手袋243はまた、オペレータ24が仮想マスタ入力装置194’の仮想制御要素200a’~200c’と仮想的に相互作用する際に、オペレータ24に触覚フィードバックを提供するための触覚インターフェース214(
図18に図示)としても機能し、これによってオペレータ24は、細長い医療器具26が患者20の血管系内で動かされる際に、細長い医療器具26に加わる力の方向および大きさを表す抵抗を感じるようにする。
【0179】
別の例として、
図18Jを参照すると、制御ステーション16は、触覚フィードバック手袋243の代わりに、静止型ジェスチャ監視システム245(例えば、Xbox Kinect(商標名)のセンサに類似した装置、または光検出および測距(LIDAR)センサアセンブリ)、および1以上の触覚超音波パッド247を具える。ジェスチャ監視システム245は、仮想マスタ入力装置194’の仮想制御要素200a’~200c’と仮想的に相互作用している間にオペレータ24によって行われたハンドジェスチャをキャプチャし、キャプチャされたハンドジェスチャを解釈するためにプロセッサ212に提供するように構成されている。代替実施形態では、XR装置241は、仮想マスタ入力装置194’の仮想制御要素200a’~200c’と仮想的に相互作用している間にオペレータ24によって行われるハンドジェスチャの画像をキャプチャし、キャプチャされたハンドジェスチャの画像を解釈のためにプロセッサ212に提供するように構成された前方向カメラ(図示せず)を含んでいる。任意の実施形態では、オペレータ24は、静止ジェスチャ監視システム245または代わりにXR装置241の前方向カメラによって感知され得る基準要素でカバーされた手袋(図示せず)を着用し、オペレータ24によって行われたハンドジェスチャをキャプチャするようにしてもよい。
【0180】
触覚超音波パッド247は、オペレータ24の手に力を加える超音波圧力波を出すことによって触覚インターフェース214(
図18に図示)として機能し、それによって、オペレータ24が仮想マスタ入力装置194’の仮想制御要素200a’~200c’と仮想的に相互作用する際にオペレータ24に触覚フィードバックを提供し、それによって、細長い医療器具26が患者20の血管系内で動かされる際に、細長い医療器具26に加わる力の方向および大きさを表す抵抗をオペレータ24が感じるようにする。図示された実施形態では、複数の超音波パッド247が、オペレータ24に提供される触覚フィードバックの方向性を提供するために、異なる向きに配向されている。
【0181】
さらに別の例として、
図18Kを参照すると、制御ステーション16はXRシステムの代わりに二次元(2D)表示スクリーン249を具え、これが仮想マスタ入力装置194’と任意で仮想制御パネル(図示せず)とを表示する。静止ジェスチャ監視システム245が、オペレータ24がディスプレイスクリーン249に表示すマスタ入力デバイス194を見ながらオペレータ24が行ったハンドジェスチャをキャプチャし、キャプチャされたハンドジェスチャを解釈のためにプロセッサ212に提供する。血管内管理および追跡システム14にコマンドを発行することに加えて、プロセッサ212は、オペレータ24によってなされたキャプチャされたハンドジェスチャに応答して、例えば、表示された制御要素202a~202cをハンドジェスチャにしたがって移動させるか、あるいは表示された制御要素202a~202cを例えば異なる色で補強することによって、マスタ入力装置194を拡張することができる。
【0182】
さらに別の例として、
図18Lを参照すると、制御ステーション16はXRシステムの代わりに、仮想制御要素200a’~200c’を有する仮想マスタ入力装置194’、およびオプションとして仮想制御パネルをオペレータ24の3D環境に表示するように構成されたホログラフィックマシン251を具える。XRシステムのようにヘッドマウントディスプレイに仮想マスタ入力装置194’を表示するのではなく、ホログラフィックマシン251は、仮想マスタ入力装置194’をオペレータ24の3D環境に投影する。オペレータ24は、
図18IのXR装置241に関して上述したのと同じ方法で、仮想マスタ入力装置194’の仮想制御要素200a’~200c’と対話することができる。ハンドジェスチャは、例えば、オペレータ24の手に装着された触覚フィードバック手袋243(
図18Iに示す)または静止ジェスチャ監視システム245(
図18Jに示す)によってキャプチャされ得る。触覚フィードバックは、例えば、オペレータ24の手に装着される触覚フィードバック手袋243(
図18Iに示す)または触覚超音波パッド247(
図18Jに示す)によってオペレータ24に提供されてもよい。
【0183】
これらの公称軸方向並進位置および公称回転移動位置は、好ましくは軸方向並進範囲および回転移動範囲の中心にあり、したがって制御要素200a~200cが公称位置からの正負の移動範囲(すなわち、正方向の軸方向並進範囲、逆方向の軸方向並進範囲、時計回りの回転移動範囲、および反時計回りの回転移動範囲)を有し得る。
【0184】
上述した物理的制御要素200a~200cとほぼ同様に、上述した実施形態のいずれかにおける仮想制御要素200a’~200c’の各々は、オペレータ24によって仮想的に解放されたときにそれらの公称軸方向並進位置および回転移動位置に戻るように、仮想的に軸方向および回転方向にバネ荷重されていてもよい。これらの公称軸方向並進位置および公称回転移動位置は、好ましくは軸方向並進範囲および回転移動範囲の中心にあり、したがって制御要素200a’~200c’が公称位置からの正負の移動範囲(すなわち、正方向の軸方向並進範囲、逆方向の軸方向並進範囲、時計回りの回転移動範囲、および反時計回りの回転移動範囲)を有し得る。
【0185】
図18A~18Lに示すマスタ入力装置194、194’は、
図1~17に図示すカテーテル追跡および管理システム14を制御するものとして説明されてきたが、
図18A~18Lに示すマスタ入力装置194、194’は、細長い医療器具が同軸に配置されトラックに沿って並進するシャトルを有しないものを含め、軸方向および回転方向に互いに対して移動することができる任意のロボット型カテーテルシステムを制御するために採用されてもよいことを理解されたい。
【0186】
上記で簡単に説明したように、プロセッサ212は、制御要素200a~200c(または仮想制御要素200a’~200c’)の感知された軸方向並進および回転移動を細長い医療器具26a~26cの所望の軸方向並進および回転移動をマッピングするマッピングアルゴリズムにしたがって血管内管理および追跡システム14に命令を発行することができる。すなわち、制御要素200a~200c(または仮想制御要素200a’~200c’)の軸方向並進または回転移動を含む入力に応答して、マッピングアルゴリズムは細長い医療器具26a~26cの所望の軸方向並進または回転移動を出力する。次に、プロセッサ212は、マッピングアルゴリズムの出力を、血管内管理および追跡システム14、特に、血管内管理および追跡システム14のモータに送信されるコマンドに変換して、これらの所望の軸方向並進または回転移動を促し得る。
【0187】
上記で簡単に説明したように、制御要素200a~200cは、オペレータ24によって物理的に解放されたときにそれらの公称軸方向並進位置および回転移動位置に戻るように、軸方向および回転方向にばね荷重されていてもよく、あるいは仮想制御要素200a’~200c’は、オペレータ24によって仮想的に解放されたときにそれらの公称軸方向並進位置および回転移動位置に戻るように、仮想的に軸方向および回転方向にばね荷重されていてもよい。この実施形態では、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200の中立位置から離れる(すなわち、物理的ばね力または仮想ばね力に抗する)軸方向並進または回転移動に応答して、細長い医療器具26a~26bのそれぞれを軸方向並進(近位または遠位)または回転移動(時計回りまたは反時計回り)させるだけである。このように、細長い医療器具26a~26cの軸方向の並進または回転移動は、オペレータ24が制御要素200a~200cを物理的に解放するか、または仮想制御要素200a’~200c’を仮想的に解放することに応答して発生しなくなる。制御要素200を軸方向並進または回転移動させてから解放を繰り返し、または仮想制御要素200’を仮想的に軸方向並進または回転移動させてから仮想的に解放を繰り返すことによって、対応する細長い医療器具26を漸進的に軸方向並進または回転移動させてもよい。
【0188】
一実施形態では、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の軸方向並進の入力に応答して、各細長い医療器具26の軸方向並進を軸方向並進比にしたがって出力し、同様に、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の回転移動の入力に応答して、各細長い医療器具26の回転移動を回転移動比にしたがって出力する。一般的に、軸方向並進比と回転移動比は正になる。すなわち、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の遠位方向の軸方向並進の入力に応答して、各細長い医療器具26の遠位方向の軸方向並進を出力し、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の近位方向の軸方向並進の入力に応答して、各細長い医療器具26の近位方向の軸方向並進を出力する。同様に、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の時計回り方向の回転移動の入力に応答して、各細長い医療器具26の時計回り方向の回転移動を出力し、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の反時計回り方向の回転移動の入力に応答して、各細長い医療器具26の反時計回り方向の回転移動を出力する。
【0189】
回転移動比は1:1または1であることが好ましい(すなわち、各細長い医療器具26の回転移動は、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の回転移動に正確に追従する)。対照的に、軸方向並進比は、1:1以上または1未満であることが望ましい(すなわち、各細長い医療器具26の軸方向並進は、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の軸方向並進より小さい)。例えば、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)が軸方向に1cm並進すると、細長い医療器具26は軸方向に1mm並進してもよい(すなわち、10:1の比率)。しかし、代替実施形態では、回転移動比が1:1または1とは異なり、軸方向並進比が1:1または1であってもよい。
【0190】
制御要素200または仮想制御要素200’の軸方向並進または回転移動のマッピングアルゴリズムへの入力と、マッピングアルゴリズムによって出力される、対応する細長い医療器具26のそれぞれの軸方向並進または回転移動との間に線形関係が存在するように、軸方向並進比および回転移動比のいずれか一方または両方が一定であってもよい。あるいは、軸方向並進比および回転移動比のいずれか一方または両方は、マッピングアルゴリズムに入力される制御要素200または仮想制御要素200’の軸方向並進または回転移動と、マッピングアルゴリズムによって出力される対応する細長い医療器具26のそれぞれの軸方向並進または回転移動との間に非線形関係があるように、時間とともに変化してもよい。例えば、軸方向並進比または回転移動比は、最初は高く(例えば、細長い医療器具26と血管系との間の静止摩擦力に素早く打ち勝つために)、その後減少するのが望ましい場合がある。別の例として、軸方向並進比または回転移動比は、特定のオペレータ24用に設計されたカスタムプロファイルにしたがって変化してもよい。そのようなカスタムプロファイルは、マニュアル作成することができ、あるいは、そのようなカスタムプロファイルは較正手順を介して生成されてもよく、または一定期間にわたって特定のオペレータ24に動的に適合させてもよい。
【0191】
マッピングアルゴリズムは、例えば、細長い医療器具26a~26cが滑らかに軸方向並進または回転移動されるように、軸方向並進比および回転移動比のいずれか一方または両方を調節することができる。例えば、オペレータ24の手の震えによって、制御要素200または仮想制御要素200’が軸方向並進したり回転移動したりすることがある。マッピングアルゴリズムは、対応する細長い医療器具26の所望の軸方向並進または回転移動の出力が滑らかになるように、制御要素200または仮想制御要素200’のばらばらの軸方向並進または回転移動の入力を(例えば、統合を介して)滑らかにしてもよい。別の例として、マッピングアルゴリズムは、制御要素200または仮想制御要素200’の軸方向並進または回転移動の入力に小振幅の軸方向振動または回転振動を導入して、対応する細長い医療器具26の所望の軸方向並進または回転移動の出力が小振幅の軸方向振動または回転振動を有するようにし、例えば、細長い医療器具26と患者20の血管系との間の静的摩擦力を回避し、それによって細長い医療器具26の遠位前進が容易になるようにしてもよい。
【0192】
別の実施形態では、軸方向並進比または回転移動比を使用するのではなく、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の軸方向並進の入力に応答して、各細長い医療器具26の軸方向速度を出力してもよく、同様に、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の回転移動の入力に応答して、各細長い医療器具26の回転速度を出力してもよい。一般に、軸方向速度は対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の軸方向並進と同じ方向になり、回転速度は対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の回転移動と同じ方向になる。すなわち、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の遠位方向の軸方向並進の入力に応答して、各細長い医療器具26の遠位方向の軸方向速度を出力し、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の近位方向の軸方向並進の入力に応答して、各細長い医療器具26の近位方向の軸方向速度を出力する。同様に、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の時計回り方向の回転移動の入力に応答して、各細長い医療器具26の時計回り方向の回転速度を出力し、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の反時計回り方向の回転移動の入力に応答して、各細長い医療器具26の反時計回り方向の回転速度を出力する。
【0193】
一実施形態では、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)の任意の軸方向並進または回転移動に応答して、各細長い医療器具26について均一な軸方向速度または均一な回転速度を出力する。別の実施形態では、マッピングアルゴリズムは、対応する制御要素200(または仮想制御要素200’)が軸方向並進または回転移動される程度または速度に応じて変化する各細長い医療器具26の軸方向速度または回転速度を出力する。例えば、制御要素200(または仮想制御要素200’)が比較的長い距離または比較的速く軸方向並進または回転移動された場合、マッピングアルゴリズムは、対応する細長い医療器具26の相対的に高い軸方向速度または回転速度を出力し得る。対照的に、制御要素200(または仮想制御要素200’)が比較的短い距離または比較的遅く軸方向並進または回転移動された場合、マッピングアルゴリズムは、対応する細長い医療器具26の相対的に低い軸方向速度または回転速度を出力し得る。さらに別の実施形態では、マッピングアルゴリズムは、特定のオペレータ24のために設計されたカスタムプロファイルにしたがって変化する各細長い医療器具26の軸方向速度または回転速度を出力する。そのようなカスタムプロファイルは、マニュアル作成することができ、あるいは、そのようなカスタムプロファイルは較正手順を介して生成されてもよく、または一定期間にわたって特定のオペレータ24に動的に適合させてもよい。
【0194】
図21~
図24を参照して、血管内管理および追跡システム14’の1つの詳細な実施形態を説明する。
図6に示すカテーテルおよび追跡システム14と同様に、血管内管理および追跡システム14は、一般に、複数のトラックセグメント70’(1つのみ図示)と、トラックセグメント70’に機械的に結合され、トラックセグメント70’に沿って軸方向に並進されるように構成された複数のシャトル72’(1つのみ図示)とを具える。
【0195】
図21~24には1つのトラックセグメント70’のみを示すが、各トラックセグメント70’は、複数のトラックセグメント70’を互いに取り外し可能に連結して可変長のトラックを作成できるように、特別に設計されていることが理解されるはずである。したがって、1つまたは複数のトラックセグメント70’を追加することによってトラックを長くし、1つまたは複数のトラックセグメント70’を減ずることによってトラックを短くすることができる。これにより、トラックは病室の環境に適合しやすくなる。例えば、血管内管理および追跡システム14’が設置される特定の病院環境のために、トラックの全長は、制御ステーション16(
図1~2に示す)(または、トラックの近位端が取り付けられるアンカー)と、患者20に直接または間接的に取り付けられ、トラックの遠位端が取り付けられるシースアンカー80(
図6に示す)との間の輪郭距離に合わせてカスタマイズされ得る。
【0196】
さらに
図25~29を参照すると、単純なレールの形をとるものとして説明した
図6に示すトラック70とは対照的に、各トラックセグメント70’は、トラックラック220と、トラックラック220に固定されたトラックレール222とを具える。
トラックラック220は、ドレープ22(
図1~2に示す)上に安定的に載置されるように構成された細長いベース224と、ベース224の上に固定されトラックレール222が固定された1つ以上の台座226(
図26および
図28~29に最もよく示す)とを含む。このようにして、トラックレール222をドレープ22の上方に持ち上げることができ、シャトル72’が病室環境、特にトラックセグメント70’が載置されるドレープ22に衝突することなく、トラックレール222に沿って自由に走行できるようになる。
【0197】
図示の実施形態では、ベース224は、一対の細長いフレーム部材228と、一対の細長いフレーム部材228を互いに固定する一連のクロスバー230(
図25および
図27に最もよく示す)とを有する矩形フレームの形態をとり、特に、ベース224の幅にわたって、ベース224の長さに沿って周期的に間隔をあけて配置されている。ベース224は平面状であり、
図6に図示すトラック70のようなトラックセグメント70’が、上から下へ(垂直方向)の可撓性は比較的高いが、横(水平方向)の可撓性およびねじり可撓性は比較的低い(すなわち、高い水平剛性およびねじり剛性を有する)ようになっている。この態様において、トラックセグメント70’は、(例えば、処置台18、患者20、および/またはドレープ22上に載置されたとき)重力にのみ応答して病室環境の輪郭によりよく適合する一方で、シャトル72’は、結合されたトラックセグメント70’に沿ってシャトル72’を軸方向に並進させるために、トラック70’に必要な駆動力を加えることが可能である。注目すべきは、細長いフレーム部材228を互いに固定するクロスバー232の数を変えることによって、トラックセグメント70’の垂直方向の可撓性を大きく変更することなく、トラックセグメント70’の水平方向およびねじり剛性を調整できることである。すなわち、細長いフレーム部材230を一緒に固定するために使用されるクロスバー232の数を増やすと、それに応じてトラックセグメント70’の水平剛性およびねじり剛性が増大し、細長いフレーム部材228を一緒に固定するために使用されるクロスバー230の数を減らすと、それに応じてトラックセグメント70’の水平剛性およびねじり剛性が低下する。図示の実施形態では、複数の台座226がクロスバー232の中心に沿って配置されている。
【0198】
トラック70と同様に、トラックレール222は、シャトル72’が載るオープンモノレールの形態をとり、
図27に最もよく示されるように、断面が長方形のリボン状要素(幅広で薄い長方形の押出成形品)であり得る。トラック70と同様に、各トラックセグメント70’は、トラックレール222の長さに沿って延びる少なくとも1列の歯84’を具え、図示の実施形態では1列の歯84’を具え、これにシャトル72’の対応する駆動機構が係合して、トラックセグメント70’に沿ったシャトル72’の軸方向並進を実現する。以下でさらに詳しく説明するように、歯84’が配置されたトラックレール222は、トラックセグメント70’に沿ってシャトル72’を並進させるためのラックアンドピニオン構成におけるラックとして機能する。
【0199】
上記で簡単に説明したように、複数のトラックセグメント70’を互いに取り外し可能に連結することができる。このため、トラックセグメント70’は、各トラックセグメント70’の両端部、図示の実施形態では各トラックセグメント70’のトラックレール222の両端部、に配置された一対のトラックカプラ232を具える。トラックカプラ232は互いに相補的であり、隣接するトラックセグメント70’の対応するカプラ232の係合により、トラックセグメント70’を互いに取り外し可能に結合することができる。
【0200】
例えば、図示の実施形態では、トラックレール222の近位端234aに配置されたトラックカプラ232aは、トラックレール222の底面に形成された凹部236(
図25および
図28に最もよく示す)と、トラックレール222の近位端234aから延びるタブ238とを具える。対照的に、トラックレール222の遠位端234bに配置されたトラックカプラ232bは、トラックレール222の上面に形成された凹部236(
図27および
図29に最もよく示す)と、トラックレール222の遠位端234bから延びるタブ238とを具える。凹部236とタブ238のそれぞれの形状は同じである。このようにして、トラックセグメント70’は、隣接するトラックセグメント70’の対応する凹部236およびタブ238の係合(すなわち、
図28に図示されるように、1つのトラックセグメント70’のトラックレール222の近位端234aのタブ238が、別のトラックセグメント70’のトラックレール222の遠位端238bの対応する凹部236と係合(例えば、スナップ嵌め)し得る)により互いに取り外し可能に結合され、それによりトラックセグメント70’を互いに結合することができる。トラックセグメント70’は、隣接するトラックセグメント70’の対応する凹部236およびタブ238の係合を解除することによって互いから切り離すことができる(すなわち、一方のトラックセグメント70’のトラックレール222の近位端234aのタブ238が、他方のトラックセグメント70’のトラックレール222の遠位端238bの対応する凹部236から係合解除(例えば、スナップアウト)され、それによってトラックセグメント70’を互いから切り離すことができる)。あるいは、他のタイプの対応するトラックカプラ232を利用して、複数のトラックセグメントを取り外し可能に連結するようにしてもよい。
【0201】
図30~
図32を参照すると、
図6および
図7A~
図7Dに示す各シャトル72a~72cと同様に、シャトル72’は、トラックセグメント70’上に乗るように構成されたスレッド90’(
図21にも示す)と、スレッド90’によって担持され、シャトル72’(したがって、それぞれのシャトル72’に取り付けられた細長い医療器具26)を軸方向並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構92’(例えば、ギア式または摩擦式カップリング)と、スレッド90’によって担持され、軸方向駆動機構92’を作動させるように構成された軸方向アクチュエータ94’(本例ではモータ)と、スレッド90’によって担持され、シャトル72’に取り付けられる細長い医療器具26をその長手方向軸を中心に回転させるように作動されるように構成された回転駆動機構96’(本例ではモータ)と、スレッド90’に取り付けられ、細長い医療器具26に加えられる軸方向の圧縮に応答して細長い医療器具26が脱出するのを防止するように構成された座屈防止機構132’(例えば、シャトル72’が遠位方向に軸方向移動したとき、または細長い医療器具26が中を通る後続のシャトル(図示せず)が近位方向に軸方向移動したときに、細長い医療器具26が脱出するのを防止する)と、スレッド90’に取り付けられ、軸方向駆動機構92’、軸方向モータ94’、回転駆動機構96’、回転モータ94’(本例では、軸方向駆動機構92’、軸方向モータ94’、および回転モータ94’)のうちの1以上を内包する外側ケーシング100’(
図21~23に最もよく示す)とを具える。
【0202】
図示の実施形態では、外側ケーシング100’は、スレッド90’の上部に取り付けられる上部ケーシング部分100a’と、スレッド90’の下部に取り付けられる下部ケーシング部分100b’とを具える。
図30~32に最もよく示されるように、下部ケーシング部分100b’は、トラックセグメント70’が摺動可能に受け入れられる開放チャネル240を含む。開放チャネル240の断面は他方のトラックセグメント70’のトラックレール222の断面と厳密な公差を有し、シャトル72’がトラックセグメント70’に沿って安定的に走行できるようにしている。
【0203】
図示された実施形態では、モータ94’、98’の各々はステッピングモータの形態をとるが、代替実施形態では、モータ94’、98’は、制御ステーション16(
図1および
図2に示される)によって送られる信号などの電気制御信号に応答して制御され得る任意のモータの形態をとってもよい。
図31~32に最もよく示されるように、モータ94’、98’の各々は、モータボックス242と、モータボックス242内に収容されたステータ、ロータ、およびモータ電子機器(図示せず)と、モータボックス242内のロータに固定されたモータシャフト244とを具える。シャトル72’はさらに、モータ94’、98’をスレッド90’に取り付けるモータマウントブラケット246を具える。図示の実施形態では、モータマウントブラケット246およびスレッド90’は、一体型設計であるが、代替実施形態では、モータマウントブラケット246は、スレッド90’に対してそれぞれのモータ94’、98’を安定的に支持するために、適切な締結具(例えば、ねじ)を介してスレッド90’に直接固定されてもよい。
【0204】
次に
図33~39を参照して、軸方向駆動機構92’についてさらに詳しく説明する。この実施形態では、軸方向駆動機構92’は、軸方向モータ94’のモータシャフト244に固定されたウォームスクリュ248と、ウォームスクリュ248に機能的に結合されたウォーム-コグ歯車250と、ウォーム-コグ歯車250に機能的に結合されたコグ歯車254と、ラックアンドピニオン構成でコグ歯車254とトラックセグメント70’の歯84’(
図25~
図27に示す)との間に機能的に結合されたピニオン歯車256(
図34および
図36~
図39に示す)とを含む駆動トレインの形態をとる。ウォームスクリュ248はウォーム-コグ歯車250を駆動し、この歯車が次にコグ歯車254を駆動し、この歯車がピニオン歯車256を駆動し、このピニオン歯車256がトラックセグメント70’の歯84’に係合し、シャトル72’をトラックセグメント70’に沿って軸方向に並進させる。シャトル72’はさらに、軸方向駆動機構92’を安定的に一体化するために、締結具(図示せず)を介してスレッド90’に適切に取り付けられた歯車支持ブラケット258(
図31~32および36に示す)を具える。
【0205】
ウォームスクリュ248は、軸方向モータ94’のモータシャフト244が固定されるボア260を具え、ウォームスクリュ248がモータシャフト244と共に回転するようになっている。ウォーム-コグ歯車250は、モータシャフト244の軸から90度の軸を中心に回転するように歯車支持ブラケット258によって固定されている。特に、ウォーム-コグ歯車250は、軸方向シャフト262と、軸方向シャフト262が取り付けられるボア264を具える。軸方向シャフト262の一端は、歯車支持ブラケット258内の貫通孔266内に回転可能に配置され(
図31および
図36に示す)、軸方向シャフト262の他端は、スレッド90’に形成された環状フランジ268内に回転可能に配置され(
図36に示す)、それによってウォーム-コグ歯車250の横方向支持を提供する。
【0206】
ウォームスクリュ248は螺旋状のねじ山270を具え、ウォーム-コグ歯車250は、ウォームスクリュ248の螺旋状のねじ山270と噛み合う角度のついた歯274の配列を有するウォームギア272を具え、ウォームスクリュ248が回転すると、モータシャフト244の軸から90度の軸を中心にウォーム-コグ歯車250の回転が生じるようになっている。ウォーム-コグ歯車250はさらに、ウォームギア272と一体化されたコグホイール276を具え、このコグホイール276がウォームギア272と一体となって回転する。ウォームギア272は、環状フランジ268の周囲でスレッド90’内に形成された円形凹部284(
図33と
図36に示す)内に部分的に座し、その中で回転して、ウォーム-コグ歯車250に軸方向の安定性を追加する。
【0207】
コグ歯車254は、コグホイール276の歯278と噛み合う歯286の配列を具え、コグホイール276を一方向に回転させるとコグ歯車254が逆方向に回転するになっている。コグ歯車254の回転により、ピニオンギア256が回転する。特に、コグ歯車254は、コグ歯車254とピニオンギア256に同軸に取り付けられたシャフト288を介してピニオンギア256に機械的に結合される。コグ歯車254とピニオンギア256は、シャフト288を摺動可能に受けるそれぞれのボア290、292(
図36に最もよく示す)を具える。シャフト288とボア290、292は、歯車254、256とシャフト288の間に締り嵌めを提供するように非円形の断面、この場合は六角形の断面を有し、コグ歯車254の回転により対応してピニオンギア256が回転するようになっている。ピニオンギア256は、ピニオンギア256の回転がシャトル72’をトラックセグメント70’に沿って直線方向に並進させるように、トラックセグメント70’の歯84’と一致して噛み合う歯294の配列を含む(
図25~27に示す)。ピニオンギア256は、スレッド90’と、トラックセグメント70’の歯84’と整列して下部ケーシング部分100b’内に形成された凹部296との間に配置されている。開口部298(
図30および
図36に最もよく示す)は、凹部296と下部ケーシング部分100b’の開放チャネル240との間に形成され、それによってピニオンギア256の歯274が係合するためにトラックセグメント70’の歯84’を露出させる。シャフト288の一端は、スレッド90’に形成された貫通孔300(
図33と
図36に最もよく示す)を通って延び、次に下部ケーシング部分100b’の貫通孔302(
図24に示す)を通って延びる。シャトル72’は、ピニオンギア256を下部ケーシング部分100b’の凹部296内に確実に保持するために、スレッド90の貫通孔300内に存在するスラストプレート302(
図33および
図36に最もよく示す)を含む。
【0208】
図6に示す血管内管理および追跡システム14と同様に、血管内管理および追跡システム14’は、完全自動化モダリティと完全手動モダリティとの間で動的に切り替えられるように有利に設計することができる。この目的のために、シャトル72は手動クラッチ付き軸方向アクチュエータ102’(
図21~23に示される)を具え、これは手動の軸方向アクチュエータ102’が、トラックセグメント70’に沿ったシャトル72’の軸方向移動を細かく制御できるように、シャトル72’を軸方向に割り出すように手動で操作され得るという点で、
図7A~7Dに示すシャトル72a~72cの各々の手動軸方向アクチュエータ102と似ている。しかし、手動クラッチ付き軸方向アクチュエータ102’はさらに、軸方向駆動機構92’の少なくとも一部をトラック70に対して交互に係合・係合解除するように操作されるように構成されており、この場合、相補的なコグ歯車254、254を互いに交互に係合・係合解除することによって操作される。
【0209】
特に、手動クラッチ付き軸方向アクチュエータ102’は、ノブ304(
図36に最もよく示す)と、ボア310を有するスリーブ306とを具え、このボア310がコグ歯車254のボア290と一致し、スリーブ306がシャフト288上に摺動可能に配置されるように、シャフト288が中を貫通する。スリーブ306は、ノブ304とコグ歯車254の間に機械的に結合される。例えば、スリーブ306とコグ歯車254は一体型として形成され、一方でノブ304はねじ構成308を介してスリーブ306に固定され得る。
図31~32に最もよく示すように、スリーブ306は、ギア支持ブラケット258に形成された貫通開口312を通って延び、次いで、上部ケーシング部分100a’に形成された貫通開口314(
図40および
図42~43に示す)を通って延び、それによってスリーブ306に、ひいてはシャフト288に横方向の支持を提供する。このようにして、ノブ304を軸方向に変位させて、コグ歯車254との係合(
図35参照)と係合解除(
図34参照)とを交互に行うことができる。図示された実施形態では、ノブ304を押してコグ歯車254をコグ歯車254に係合させ、引くことでコグ歯車254からコグ歯車254を外すことができる。
【0210】
したがって、
図35に示されるように、ノブ304(
図36に示す)ひいてはスリーブ306を軸方向252aに変位させることによってコグ歯車254がコグホイール276に係合すると、血管内管理および追跡システム14は自動化モダリティとなり、この場合、軸方向モータ94’を作動させてシャトル72’をトラックセグメント70’に沿って自動的に並進させることができる。この状態では、シャトル72’は、軸方向モータ94’の命令された動作なしにシャトル72’がトラックセグメント72に沿って移動できない程度に、トラックセグメント70’上の所定位置に停止またはロックされていると考えることもできる。
【0211】
対照的に、
図34に示されるように、ノブ304(
図36に示す)ひいてはスリーブ306を軸方向252bに変位させることによってコグ歯車254がコグホイール276から係合解除すると、血管内管理および追跡システム14は手動モダリティとなり、この場合、軸方向モータ94’の動作は、シャトル72’をトラックセグメント70’に沿って自動的に並進させることができない。ただし、ノブ304ひいてはスリーブ306を、時計回り方向または反時計回り方向に回転させて(
図34に示す矢印316参照)、シャトル72’をトラックセグメント70’に沿って手動で並進させることができる。特に、スリーブ306のボア310は、スリーブ306とシャフト288の間に締り嵌めがもたらされるように、シャフト288の断面(この場合、六角形)と一致する非円形の断面を有する。このようにして、ノブ304の回転によりスリーブ306が回転し、その回転がシャフト288を回転させ、その回転がピニオンギア256を回転させ、それによってシャトル72’をトラックセグメント70’に沿って直線方向に並進させる。軸方向モータ94’および軸方向駆動機構92’の大部分(すなわち、ピニオンギア256以外のすべての機構)がトラックセグメント70’から切り離されているので、シャトル72’は代替的に、ノブ304を操作することなく、細かく制御された態様ではないが、ノブ304の回転によってトラックセグメント70’に沿って直接手で移動することができる。
【0212】
図40~42を参照して、回転駆動機構96’についてさらに詳しく説明する。本実施形態では、回転駆動機構96’は、回転モータ98’(
図31~32に示す)のモータシャフト244に取り付けられたコグ歯車318と、コグ歯車318に機能的に連結されたコグ歯車320とを具える。コグ歯車318は、回転モータ98’のモータシャフト244が固定されるボア322を具え、コグ歯車318がモータシャフト244と共に回転するようになっている。
【0213】
コグ歯車320はボア324を具え、ここに細長い医療器具26が取り付けられる部品(
図40~41には図示せず)が固定され、コグ歯車320がモータシャフト244と共に回転するようになっている。
図40に示す実施形態では、シャトル72’は、流体機能を有する細長い医療器具26、例えば、ガイドシース26aまたは作業カテーテル26bと共に使用されるものであり、この場合、そのような部品は、それぞれの細長い医療機器26が機械的かつ流体的に結合されるRHV112のオス型のTouhy-Borstコネクタ122(
図8に示す)となる。あるいは、シャトル72’が流体機能を持たない細長い医療器具26、例えばガイドワイヤ26cと共に使用される場合、そのような部品は、それぞれの細長い医療器具26の近位端にあるコレット56(
図3に示す)となる。
【0214】
コグ歯車318はコグ歯車320を駆動し、コグ歯車320は細長い医療器具26をシャトル72’に対して回転させる。このため、コグ歯車318、320はそれぞれ、コグ歯車318の一方向の回転がコグ歯車320を反対方向に回転させるように、互いに一致し噛み合う歯326、328の構成を有している。図示の実施形態では、回転駆動機構96’はケーシング100の外側にあり、したがって、上部ケーシング部分100aは開口330を有し、この開口を通って細長い医療器具26と共にコグ歯車320が延在し、この開口を通って回転モータ98’のモータシャフト244の遠位部分と共にコグ歯車318が延在する。
【0215】
図示の実施形態では、軸方向駆動機構92’および回転駆動機構96’の各構成要素は、金属(例えば、ステンレス鋼または真鍮)、プラスチック(例えば、アセタールまたはナイロン)、またはそれらの組み合わせなどの適切な剛性材料で構成され得る。
【0216】
図40~42に示す実施形態では、シャトル72’は、流体機能を有する細長い医療器具26と共に使用される。この場合、シャトル72’はさらにRHV112を具え、図示の実施形態では、RHV112のオス型Touhy-Borstコネクタの周りに取り付けられた歯車320とともに交換できるように、外側ケーシング100’内に取り外し可能に取り付けられる。
図41に示されているように、RHV112の円筒形チューブ118の遠位端は開口330を通って延びる。上部ケーシング部分100a’は、RHV112の円筒形チューブ118の近位端が延びる追加の開口332と、RHV112の側部アーム124の端が貫通する追加の開口334を具える。
【0217】
図31~32に最もよく示されるように、モータマウントブラケット246とギア支持ブラケット258は、上部ケーシング部分100a’がスレッド90’に取り付けられるときに、RHV112が所定の位置に安定的に保持されるように、互いに相対的に配置されている。特に、RHV112は、モータマウント254とギア支持ブラケット258との間に入れ子式に配置され、RHV112の円筒形チューブ118がモータマウント254間の空間336内に配置され、RHV112の側部アーム124が、軸方向モータ94’に関連するモータマウント254とギア支持ブラケット258との間の空間338内に配置される。また、RHV112の円筒形チューブ118は、上部ケーシング部分110a’がスレッド90’に固定されるときに、上部ケーシング部分110a’の内面とモータマウント254の間の空間336との間に挟まれてもよい。
図43に示されるように、上部ケーシング部分100a’の内面は、上部ケーシング部分100a’がスレッド90’に取り付けられるときに円筒形チューブ118の円弧状セグメントを収容するための開いた円弧状チャネル340を具え、それによってRHV112の横方向の動きを防止する。上部ケーシング部分100aの内面は、上部ケーシング部分100a’がスレッド90’に取り付けられるときに円筒形チューブ118の中心にしっかりと係合するように構成された隆起した円弧状部分342をさらに具える。
【0218】
次に
図44~49を参照して、座屈防止機構132’について詳しく説明する。座屈防止機構132’は、一対の平行なブラケット350a、350bと一対のクロスサポート352a、352bとによって形成されるハウジング134’と、ハウジング134’内に巻き取られハウジング134’から繰り出される軸方向分割シース136’とを具える。
【0219】
座屈防止機構132’は、ハウジング134’の近位端に配置され、図示の実施形態ではブラケット350a、350bの間に回転可能に取り付けられた巻き取りリール152’をさらに具える。特に、巻き取りリール152’は、スプール354と、回転軸356と、巻き取りリール152’の回転軸356を通って延びるシャフト358とを具える。ハウジング134’の近位端には、それぞれブラケット350a、350bを貫通して形成され、巻き取りリール152’のシャフト358の両端部が回転可能に配置される一対の穴360が形成されており、スプール354が、ハウジング134’に対して巻取りリール152’の回転軸356を中心に回転して、交互に、ハウジング134’内に巻き取られるときには軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’を巻き取り、ハウジング134’から繰り出されるときには軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’を繰り出し得る。
【0220】
座屈防止機構132’はさらに、ハウジング134’内に配置され、図示の実施形態ではブラケット350a、350b間に回転可能に取り付けられた扁平化機構154’を具える。特に、扁平化機構154’は、軸方向分割シース136’が間に配置されるピンチローラ154a’~154c’を具える。
【0221】
ピンチローラ154a’は、均一な直径の摩擦面364を有するドラム362と、回転軸366と、ピンチローラ154a’の回転軸366を通って延びるシャフト368とを具える。ドラム362は、ブラケット350a、350bの間の空間全体に実質的に広がり、それによって摩擦面364と軸方向分割シース136の扁平の近位部分148b’との間の接触面積が最大化される。ハウジング134’の遠位端には、それぞれブラケット350a、350bを貫通して形成され、ピンチローラ154a’のシャフト368の両端部が回転可能に配置される一対の穴370を具え、ドラム362がハウジング134’に対してピンチローラ154a’の回転軸366を中心に回転し得るようになっている。
【0222】
各ピンチローラ154b’、154c’は、凹状の摩擦面374を有するホイール372と、回転軸376と、各ピンチローラ154b’、154c’の回転軸376を通って延びるシャフト378(
図47に最もよく示す)とを含む。ハウジング134’の遠位端は、それぞれブラケット350a、350bを貫通する一対の穴380を具える。ピンチローラ154b’、154c’のシャフト378は、それぞれ穴380に回転可能に配置される。ブラケット350a、350bの穴380は、ピンチローラ154b’、154c’の回転軸376が同軸になり、かつ、ピンチローラ154a’のシャフト368が回転可能に取り付けられる穴370からオフセットするように互いに位置合わせされ、ピンチローラ154b’、154c’が、ピンチローラ154a’と、ドラム362およびホイール372の摩擦面364、374が互いに接触するか、さもなければ互いに近接する距離だけオフセットし、それによって軸方向分割シース136’がピンチローラ154a’とピンチローラ154b’、154c’との間を近位方向150’に軸方向並進されるにつれて、その管状の遠位部分148a’が、連続的にその移行部分148cへと変形し、次いで、その扁平の近位部分148b’に変形する。
【0223】
注目すべきことに、軸方向分割シース136’の移行部分148c’の対向する縁部382は、ピンチローラ154b’、154c’のホイール372の凹状摩擦面374内に捕捉され、それによって扁平の近位部分148b’がピンチローラ154a’とピンチローラ154b’、154c’との間に適切に整列されることが保証され、扁平化機構154’は、軸方向分割シース136’が近位方向150’に軸方向移動する際に、管状の遠位部分148a’を扁平の近位部分148b’にしっかりと変形させる。クロスサポート352aは、巻き取りリール152’と扁平化機構154’との間に配置され、軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’が摺動する平坦な支持面を有し、それによって軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’が、巻き取りリール152’と扁平化機構154’との間で確実に扁平状態のままにする。
【0224】
座屈防止機構132’は、扁平化機構154’より遠位のハウジング134’の遠位端に配置されたチューブ形成機構156’をさらに具える。チューブ形成機構156’は、軸方向分割シース136’が配置される開口386を有するリング384を具える。
【0225】
リング384は、軸方向分割シース136’の外面に接触する開口386を囲む円弧状の支持面388を有している。開口386の直径は、軸方向分割シース136’の管状遠位部分148a’の直径よりもわずかに大きいが、扁平の近位部分148b’の幅よりもはるかに小さく、軸方向分割シース136’がリング384の開口378を通って遠位方向150”に軸方向並進するにつれて、その扁平の近位部分148b’は、その移行部分148c’からその管状遠位部分148a’へと絶えず変形されるようになっている。リング384は、剛性支持体390を介してブラケット350a、350bの間に固定されている。
【0226】
図44および
図48に最もよく示されるように、細長い医療器具26’は、管状の遠位部分148a’と移行部分148c’との間の境界部で、軸方向分割シース136’の露出した中央ルーメン144’に装填され得る。
【0227】
図49を参照すると、座屈防止機構132’の任意の実施形態は、ハウジング134’内に巻き取られる際に、軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’を巻き取るように巻き取りリール152’(
図44~47に示される)にバイアスをかけるように構成された巻き取りバイアス機構392をさらに具える。
【0228】
図示の実施形態では、巻き取りバイアス機構392は、巻き取りリール152’に取り付けられたアイドラプーリ394を具え、巻き取りリール152’がアイドラプーリ394と一体となって回転するようになっている。特に、アイドラプーリ394は、巻き取りリール152’のシャフト358が固定されるボア400を具え、アイドラプーリ394は巻き取りリール152’の回転軸356を中心に、巻き取りリール152’とともに回転するようになっている。
【0229】
巻き取りバイアス機構392はさらに、軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’がハウジング134’内に巻き取られるときに回転するように構成された駆動プーリ396を具える。図示の実施形態では、駆動プーリ396がピンチローラ154a’~154c’のうちの1つ、特にピンチローラ154a’(
図45~48に示す)(軸方向分割シース136’がハウジング134’内に巻き取られる際に回転する)に取り付けられ、駆動プーリ396がピンチローラ154a’と一体となって回転するようになっている。駆動プーリ396は、ピンチローラ154a’の回転軸366を中心にピンチローラ154a’とともに回転するように、ピンチローラ154a’のシャフト368がそこを通って取り付けられるボア402を具える。代替の実施形態において、駆動プーリ396は、ハウジング134’内に巻き取られる際に軸方向分割シース136’の軸方向並進に登録される(registered)他の構成要素(例えば、トラック70’)に直接的または間接的に結合されてもよい。
【0230】
巻き取りバイアス機構392は、アイドラプーリ394を駆動プーリ396に連結する駆動ベルト398をさらに具え、駆動プーリ396の回転に応答してアイドラプーリ394が回転するようになっている。好ましくは、駆動プーリ396は、ハウジング134’内に巻き取られる際に、軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’に一定の張力を維持する回転速度で、駆動ベルト398を介してアイドラプーリ394を駆動する。このため、アイドラプーリ394の直径は駆動プーリ396の直径よりも小さく、駆動プーリ396がアイドラプーリ394をオーバードライブするようになっている。
【0231】
図50を参照すると、介入がなければ、巻き取りリール152’と共に回転している、軸方向分割シース136’の巻き取られた扁平の近位部分148b’(すなわち、巻き取りリール152’に巻き付いている部分)の線速度は、その直径Dが大きくなるにつれて増大する傾向にあり、それにより、ハウジング134’に対する軸方向分割シース136’の管状の遠位部分148a’の線速度の不一致が生じる可能性があり、座屈防止機構132’を乱す可能性があることを理解されたい。したがって、巻き取りバイアス機構392は、巻き取られる平坦な近位部分148b’の直線速度とハウジング134’に対する軸方向分割シース136’の直線速度とを一致させるように構成されたある種のクラッチ機構を含むことが好ましい。
【0232】
図示の実施形態では、クラッチ機構はアイドラプーリ394と駆動ベルト398の間の摩擦クラッチの形態をとる。したがって、軸方向分割シース136’の巻き取られる扁平の近位部分148b’の直線速度が、ハウジング134’に対する軸方向分割シース136’の管状の遠位部分148a’の直線速度よりも増加する傾向があるため、結果として生じる軸方向分割シース136’の張力の増加が駆動ベルト398の張力の増加に変換され、それによって駆動ベルト398がアイドラプーリ394に対してスリップする原因となる。したがって、このようなスリップにより巻き取りリール152’の回転速度が低下し、したがって、軸方向分割シース136’の巻き取られる扁平の近位部分148b’の線速度が、ハウジング134’に対する軸方向分割シース136’の管状の遠位部分148a’の線速度に合わせて低下する。上述したように、軸方向分割シース136’の巻き取られる扁平の近位部分148b’の最小線速度が、ハウジング134’に対する軸方向分割シース136’の管状遠位部分148a’の線速度よりも少なくともわずかに大きくなり、軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’がハウジング134’内で巻き取られる際に一定の張力がかかるように、駆動プーリ396とアイドラプーリ394との間の直径比を(好ましくは、オーバードライブ構成において1より大きく)設定することができることを理解されたい。
【0233】
任意の実施形態において、巻き取りバイアス機構392はアイドラプーリ394に関連するラチェット(図示せず)を具え、軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’がハウジング132’から繰り出される際に、巻き取りリール152’から巻き出されるにつれて、アイドラプーリ394がフリースピンするようになっている。
【0234】
次に
図51~
図55を参照して、
図20~
図24に示すシャトル72’に使用できる座屈防止機構132”の代替実施形態について説明する。座屈防止機構132”は、
図44~
図49に図示した座屈防止機構132’と同様であるが、座屈防止機構132”は、扁平化機構と巻き取りリールとの間の距離が大幅に短縮されている点で、よりコンパクトである点が異なる。その結果、扁平化機構と巻き取りリールとの間の軸方向分割シース136’の扁平化された近位部分は、扁平化された状態を維持しやすくなる。
【0235】
座屈防止機構132”は、一対の平行なブラケット450a、450bと一対のクロスサポート452a、452bとによって形成されるハウジング134”と、ハウジング134”内に巻き取られハウジング134”から繰り出される軸方向分割シース136’(
図44~49に示す)とを具える。
【0236】
座屈防止機構132’は、ハウジング134”の近位端に配置され、図示の実施形態ではブラケット450a、450bの間に回転可能に取り付けられた巻き取りリール152”をさらに具える。特に、巻き取りリール152”は、スプール454と、回転軸456と、巻き取りリール152”の回転軸456を通って延びるシャフト458とを具える。ハウジング134”の近位端には、それぞれブラケット450a、450bを貫通して形成され、巻き取りリール152”のシャフト458の両端部が回転可能に配置される一対の穴460が形成されており、スプール454が、ハウジング134”に対して巻取りリール152”の回転軸456を中心に回転して、交互に、ハウジング134”内に巻き取られるときには軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’を巻き取り、ハウジング134”から繰り出されるときには軸方向分割シース136’の扁平の近位部分148b’を繰り出し得る。
【0237】
座屈防止機構132’はさらに、ハウジング134”内に配置され、図示の実施形態ではブラケット450a、450b間に回転可能に取り付けられた平坦化機構154”を具える。図示の実施形態では、扁平化機構154”は、軸方向分割シース136’が間に配置されるピンチローラ154a”、154b”を具える。
【0238】
ピンチローラ154a”は、均一な直径の摩擦面464を有するドラム462と、回転軸466と、ピンチローラ154a”の回転軸466を通って延びるシャフト468とを具える。ドラム462は、ブラケット450a、450bの間の空間全体に実質的に広がり、それによって摩擦面464と軸方向分割シース136の扁平の近位部分148b’との間の接触面積が最大化される。ハウジング134’の遠位端には、それぞれブラケット450a、450bを貫通して形成され、ピンチローラ154a”のシャフト468の両端部が回転可能に配置される一対の穴470を具え、ドラム462がハウジング134”に対してピンチローラ154a”の回転軸466を中心に回転し得るようになっている。
【0239】
ピンチローラ154b”はダンベル型形状である。特に、ピンチローラ154b”は、センターバー471と、バー471にまたがる一対の拡大ホイール472とを具え、各ホイールは、凸状の摩擦面474と、回転軸476と、ピンチローラ154b”の回転軸476を通って延びるシャフト478とを有する。ハウジング134”の遠位端は、それぞれブラケット450a、450bを貫通する一対の穴480を具える。ピンチローラ154b”のシャフト478は、穴480に回転可能に配置される。ブラケット450a、450bの穴480は、ピンチローラ154a”のシャフト468が回転可能に取り付けられる穴470からオフセットされており、その結果、ドラム462およびホイール472の摩擦面464、474が互いに接触するか、さもなければ互いに近接する距離だけピンチローラ154b’がピンチローラ154a’からそれらの回転軸466、467の垂直方向にオフセットされ、それによって軸方向分割シース136’がピンチローラ154a”とピンチローラ154b”との間を近位方向150’に軸方向並進されるにつれて、その管状の遠位部分148a’が、連続的にその移行部分148c’へと変形し、次いで、その扁平の近位部分148b’に変形する。
【0240】
注目すべきことに、軸方向分割シース136’の移行部分148c’の対向する縁部382は、ピンチローラ154b”のホイール472の凸状摩擦面474の周りを取り巻き、それによって扁平の近位部分148b’がピンチローラ154a”とピンチローラ154b”との間に適切に整列されることが保証され、扁平化機構154”は、軸方向分割シース136’が近位方向150’に軸方向移動する際に、管状の遠位部分148a’を扁平の近位部分148b’にしっかりと変形させる。
【0241】
座屈防止機構132’はさらに、扁平化機構154”より遠位のハウジング134”の遠位端に配置されたチューブ形成機構156”を含んでいる。チューブ形成機構156”は、軸方向分割シース136’が配置される開口486(
図52に最も良く示す)を有するアーチ484を具える。アーチ484は、軸方向分割シース136’の外面に接触する開口486を取り囲む円弧状の支持面488を有する。開口486の直径は、軸方向分割シース136’の管状遠位部分148a’の直径よりもわずかに大きいが、扁平の近位部分148b’の幅よりもはるかに小さく、軸方向分割シース136’がアーチ484の開口478を通って遠位方向150”に軸方向並進するにつれて、その扁平の近位部分148b’は、その移行部分148c’からその管状遠位部分148a’へと絶えず変形されるようになっている。アーチ484は、剛性支持体490を介してブラケット450a、450bの間に固定されている。
【0242】
カテーテル追跡および管理システム14、14’は両方とも、制御ステーション16のマスタ入力装置194におけるオペレータ24からの直接入力に応答してシャトルの各々が独立して軸方向に並進されるという点で完全に自動化されているが、代替実施形態では、カテーテル追跡および管理システムは、手動/自動のハイブリッド(すなわち、半自動)モード(自動支援システムとしても知られる)で動作することができ、シャトルの少なくとも1つを、オペレータ24がシャトルの別の1つをトラックに沿って手動で軸方向に並進させるのに応答して、トラックに沿って自動的に軸方向に並進させることができる。このようなマスタ・スレーブ構成により、主たるオペレータによる1つの血管内デバイスの手動動作を用いて別の血管内デバイスの自動動作を制御することにより、複数のオペレータ(例えば、医師である一次オペレータと、訓練された助手である二次オペレータ)が医療処置を行う必要性がなくなる。したがって、このような半自動マスタ・スレーブ構成により、二次オペレータを排除することができ、医療処置のワークフローが改善される。
【0243】
例えば、
図56に示す一般化された一実施形態では、カテーテル追跡および管理システム14-1のシャトルの1つがマスタシャトル72
mであり、シャトルの他の少なくとも1つがスレーブシャトル72
sとなるように設計することができる。マスタシャトル72
m、したがってマスタシャトル72
mに取り付けられた細長い医療器具26
mをトラック70-1に沿って手動で軸方向並進させることに応答して(例えば、マスタシャトル72
mを軸方向に割り出すようにスタシャトル72
mの手動アクチュエータを手動操作することによって、またはマスタシャトル72
mを手で直接動かすことによって)、スレーブシャトル72
s、したがってスレーブシャトル72
sに取り付けられた細長い医療器具26
sは、トラック70-1に沿ったマスタシャトル72
mの軸方向並進と同期してトラック70-1に沿って軸方向に並進し、したがって細長い医療器具26
sが細長い医療器具26
mの軸方向並進と同期してトラック70-1に沿って軸方向に並進する。
【0244】
例えば、スレーブシャトル72sは軸方向並進比に従ってトラック70に沿って軸方向に並進することができ(例えば、スレーブシャトル72sは、マスタシャトル72mがトラック70-1に沿って軸方向並進したときに、半分の距離、同じ距離(1の軸方向並進比)、2倍の距離など)、これは正であってもよいし(マスタシャトル72mおよびスレーブシャトル72sがトラック70に沿って同じ方向に軸方向並進される)、負であってもよい(マスタシャトル72mおよびスレーブシャトル72sがトラック70に沿って反対方向に軸方向並進される)。
【0245】
マスタシャトル72mはシャトルのうちの後続(遠位)のものとして図示され、スレーブシャトル72sはシャトルのうちの先行(近位)のものとして図示されているが、代替実施形態では、マスタシャトル72mがシャトルの先行(近位)のものであり、スレーブシャトル72mがシャトルの後続(遠位)のものであってもよいことを理解されたい。さらに、任意の時点で、シャトル72のいずれか2つのマスタ/スレーブ機能は、シャトル72の他方ではなくシャトル72の一方を手動で並進させるだけで切り替えらることができる。例えば、後続のシャトルを手動で並進させるだけで、後続のシャトルをスレーブシャトル72sからマスタシャトル72mに切り替えることができ、この場合、先行のシャトルはマスタシャトル72mからスレーブシャトル72sに切り替えられ、トラック70-1に沿った後続のシャトルの軸方向並進と同期してトラック70-1に沿って軸方向並進される。その後、先行シャトルを手動で並進させることによって、先行のシャトルをスレーブシャトル72sからマスタシャトル72mに切り替えることができ、この場合、後続のシャトルはマスタシャトル72mからスレーブシャトル72sに切り替えられ、トラック70-1に沿った先行シャトルの軸方向並進と同期してトラック70-1に沿って軸方向並進される。
【0246】
マスタシャトル72
mとスレーブシャトル72
sとの間の軸方向変位を同期させるために、トラック70-1に沿ったマスタシャトル72
mの軸方向移動に同期してスレーブシャトル72
sが軸方向移動するように、トラック70-1に沿ったマスタシャトル72
mの手動による軸方向移動に応答してスレーブシャトル72
sの軸方向駆動機構(
図56には図示せず)を作動させるコントローラ500が採用される。
【0247】
図57に示されるカテーテル追跡および管理システム14-1aの1つの例示的な実施形態では、このようなコントローラは電気コントローラ500aであり、例えば制御ステーション16のプロセッサであってもよく、このプロセッサは、有線または無線接続(例えば、
図6の制御ステーション16とシャトル72a~72cとの間の通信のために上述された有線または無線接続)を介してマスタシャトル72
mから電気信号を受信することができ、トラック70に対するマスタシャトル72
mの位置を示す。この実施形態では、カテーテル追跡および管理システム14-1は、トラック70に対するマスタシャトル72
mの位置を符号化する1以上のエンコーダ540と、エンコーダ540を読み取り、トラック70に対するマスタシャトル72
mの位置を示す電気信号544を出力するように構成された1以上のセンサ542とを具える。
【0248】
一実施形態では、エンコーダ540はトラック70に沿って配置され、センサ542はマスタシャトル72
mに配置される。例えば、エンコーダ540は、トラック70の長さに沿って延在する一連の基準要素(例えば、
図7C~
図7Dに示す基準要素86と同様)を具えることができ、センサ542は、マスタシャトル72
m上(例えば、
図30~
図32に図示されるスレッド90’上)に配置され、基準要素540を(例えば、光学的、磁気的、容量的などで)読み取るように構成される基準要素リーダを具え得る。次いで、コントローラ500aは、スレーブシャトル72
sがマスタシャトル72
mと同期してトラック70-1に沿って軸方向並進するように、電気信号498に基づいて(例えば、スレーブシャトル72
sの軸方向駆動機構92’(
図31~
図39に示す)を制御することによって)第1の軸方向駆動機構を制御することができる。
【0249】
図7C~7Dに示す基準要素86に関して上述したように、基準要素540は、マスタシャトル72
mの軸方向駆動機構92’(
図31~39に図示)の回転部品に代替的に配置され、一方、基準要素センサ540は、ケーシング100’(
図21~23に図示)の内面あるいは他のマスタシャトル72
m内の固定フレーム構造に配置されてもよい。他の代替実施形態では、シグナリング(例えば、光学的、誘導性、容量性、無線周波数(RF)等)を用いて位置センシングを実行できる能動電子コンポーネント(例えば、送受信機対)をトラック70’およびマスタシャトル72
mに埋め込んでもよい。さらに他の代替実施形態では、マスタシャトル72
mに関連付けられた細長い医療器具26の遠位端に基準要素(図示せず)を配置することができ、この基準要素を、トラック70’に対するマスタシャトル72
mの位置を直接追跡するのではなく、細長い医療器具26の位置を直接追跡するために、X線透視撮像装置(図示せず)などの視覚ベースのシステムによって視覚的に感知するようにしてもよい。
【0250】
図58に示すカテーテル追跡および管理システム14-1bの別の例示的な実施形態では、コントローラ500は機械的コントローラ500bであり得る。この実施形態では、マスタシャトル72
mは、トラック70-1に乗るように構成されたスレッド90
mと、スレッド90
mに担持され、トラック70-1に沿ってマスタシャトル72
m、したがって細長い医療器具26
m(
図56に示す)を軸方向並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構92
mと、スレッド90
mに担持され、軸方向駆動機構92
mを作動させるように構成された手動アクチュエータ102
mとを具える。同様に、スレーブシャトル72
sは、トラック70-1に乗るように構成されたスレッド90
sと、スレッド90
sに担持され、トラック70-1に沿ってスレーブシャトル72
s、したがって細長い医療器具26
s(
図56に示す)を軸方向並進させるように作動されるように構成された軸方向駆動機構92
sと、スレッド90
sに担持され、軸方向駆動機構92
sを作動させるように構成されたオプションの手動アクチュエータ102
sとを具える。
【0251】
任意の実施形態では、マスタシャトル72mは、スレッド90mに担持され、細長い医療器具26mをマスタシャトル72mに対してその長手方向軸を中心に回転させるように作動するように構成された回転駆動機構(図示せず)をさらに具える。同様に、スレーブシャトル72sは、スレッド90sに担持され、細長い医療器具26sをスレーブシャトル72sに対してその長手方向軸を中心に回転させるように作動するように構成された回転駆動機構(図示せず)をさらに具える。マスタシャトル72mおよびスレーブシャトル72sは、それぞれ回転駆動機構を作動させるように構成された手動アクチュエータ(図示せず)を含んでいてもよい。マスタシャトル72mおよびスレーブシャトル72sの一方または両方は、それぞれの細長い医療器具26m、26sに加えられる軸方向の圧縮に応答してそれぞれの細長い医療器具26m、26sが脱出するのをそれぞれ防止するように構成された座屈防止機構(図示せず)を含んでもよい。
【0252】
上述した血管内管理および追跡システム14’、14”に関して上述したのとほぼ同じ方法で、マスタシャトル72mの手動アクチュエータ102mをその回転軸504aを中心に時計回り方向または反時計回り方向502aのいずれかに回転させると、マスタシャトル72mは軸方向駆動機構92mを介してトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bのいずれかにマスタシャトル72mを軸方向に並進させ、一方、スレーブシャトル72sのオプションの手動アクチュエータ102mを、その回転軸504bを中心とする時計回り方向または反時計回り方向502bのいずれかへに回転させると、軸方向駆動機構92sを介してトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bのいずれかにスレーブシャトル72sを軸方向に並進させる。
【0253】
しかしながら、トラック70-1に沿ってマスタシャトル72
mを軸方向並進させることに加えて、マスタシャトル72
mの手動アクチュエータ102
mをその回転軸504aを中心に回転させることにより、
図56に関して上述したように、正または負の軸方向並進比にしたがって、トラック70-1に沿ってスレーブシャトル72
sを近位方向150aまたは遠位方向150bのいずれかに軸方向に並進させるように、機械的コントローラ500bを介してスレーブシャトル72
sの軸方向駆動機構92
sを作動させる。オプションの手動アクチュエータ102
sをスレーブシャトル72
sに設けられている場合には、シャトル72
sがマスタシャトルとして機能し、シャトル72
mがスレーブシャトルとして機能するようにシャトル72
m、72
sの機能を切り替えることができる。この場合、シャトル72
sをトラック70-1に沿って軸方向に並進させることに加えて、シャトル72
sのオプションの手動アクチュエータ102
sをその回転軸504bに沿って回転させると、機械的コントローラ500bを介してシャトル72
mの軸方向駆動機構92
mも作動し、正または負の軸方向並進比にしたがって、シャトル72
mをトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bのいずれかに軸方向に並進させる。
【0254】
このため、機械的コントローラ500bは、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sのそれぞれの軸方向駆動機構92m、92s間に機械的に結合された制御シャフトの形態をとる。制御シャフト500bは、マスタシャトル72mの軸方向駆動機構92mの作動に応答して、その長手方向軸508を中心に回転(双方向矢印506で示す)するように構成されている。スレーブシャトル72sの軸方向駆動機構92sは、その長手方向軸508を中心とする制御シャフト500bの回転に応答して作動するように構成されている。その結果、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sは、正または負の軸方向並進比にしたがって同期してトラック70-1に沿って軸方向に並進する。
【0255】
以下にさらに詳述するように、制御シャフト500bは、軸方向駆動機構92m、92sの間に機械的に結合され、制御シャフト500bとマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの一方とが同時に軸方向並進するように構成される一方、制御シャフト500bとマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの他方とが互いに相対的に軸方向並進するように構成されている。図示の実施形態では、制御シャフト500bとマスタシャトル72mは一体に軸方向並進するように構成され、制御シャフト500bとスレーブシャトル72sは互いに相対的に軸方向並進するように構成されている。
【0256】
以下にさらに詳述するように、制御シャフト500bは、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sの軸方向駆動機構92m、92s間に着脱可能に機械的に結合されており、その結果、血管内管理および追跡システム14-1はマスタ・スレーブ構成の間で切り替えることができ、トラック70-1に沿ったスレーブシャトル72sの軸方向並進が、マスタシャトル72mの手動アクチュエータ102mの操作に応答して、トラック70-1に沿ったマスタシャトル72mの軸方向並進と同期される構成と、マスタおよびスレーブシャトル72m,72sの手動アクチュエータ102m、102sの操作に応答してマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの軸方向並進が同期される独立した構成との間で切り替えることができる。
【0257】
上述したように、マスタシャトル72mの軸方向駆動機構92mは、マスタシャトル72mの手動アクチュエータ102mの時計方向または反時計方向502aのいずれかの回転を介して作動する。したがって、手動アクチュエータ102mの回転は軸方向駆動機構92mを作動させ、これによりマスタシャトル72mをトラック70-1に沿って軸方向並進させる一方、制御シャフト500bをその長手方向軸508を中心に回転させ、これにより軸方向駆動機構92sを作動させ、これによりスレーブシャトル72sをトラック70-1に沿って軸方向に並進させる。オプションの手動アクチュエータ102sがスレーブシャトル72mに設けられている場合、軸方向駆動機構92sの作動は、トラック70-1に沿ったスレーブシャトル72sの軸方向並進に対する補助機能として、オプションの手動アクチュエータ102sを時計回り方向または反時計回り方向502bのいずれかに回転させてもよい。
【0258】
以下でさらに詳細に説明するように、それぞれのマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの軸方向駆動機構92m、92sは、マスタおよびスレーブシャトル72m、72s間に特定の軸方向並進比(正または負)を提供するように設計することができる。マスタシャトル72mの手動アクチュエータ102mを時計回り方向または反時計回り方向502aの一方に選択的に回転させると、マスタシャトル72mが近位方向150aおよび遠位方向150bの一方に選択的に軸方向並進するだけでなく、制御シャフト500bがその長手方向軸508を中心に2つの回転方向506の一方に選択的に回転し、それによってスレーブシャトル72mを近位方向150aおよび遠位方向150bのうちの一方に選択的に軸方向に並進させる。
【0259】
図示の実施形態では、軸方向駆動機構92m、92sはそれぞれ、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sの手動アクチュエータ102m、102s、制御シャフト500b、およびトラック70-1の間に機能的に結合され、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sの前述の同期した軸方向移動を実現するウォームドライブ510およびピニオンギア512を具える。
【0260】
特に、ピニオンギア512は、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sの手動アクチュエータ102m、102sとトラック70-1の歯84-1との間に機能的に結合されて、トラック70-1に沿ってマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの軸方向の並進をもたらす一方、軸方向駆動機構92m、92sのウォームドライブ508はそれぞれ、間に制御シャフト500bが動作可能に結合されるウォームスクリュ514と、それぞれの手動アクチュエータ102m、102sとウォームスクリュ514との間に機能的に結合されて、トラック70-1に沿ってマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの軸方向並進を同期させるウォームギア516とを含む。
【0261】
図示の実施形態では、マスタシャトル72mのピニオンギア512は、マスタシャトル72mの手動アクチュエータ102mとトラック70-1の歯84との間に機械的に結合されおり、手動アクチュエータ102mの回転軸504aを中心とする時計回り方向または反時計回り方向502aの一方への回転が、マスタシャトル72mのピニオンギア512を回転させ、これがトラック70-1の歯84-1と係合して、マスタシャトル72mをトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bに軸方向に並進させる。同様に、スレーブシャトル72sのピニオンギア512は、スレーブシャトル72sのオプションの手動アクチュエータ102sとトラック70-1の歯84との間に機械的に結合され、スレーブシャトル72sのオプションの手動アクチュエータ102sがその回転軸504bを中心に時計回り方向または反時計回り方向502bの一方に回転すると、スレーブシャトル72sのピニオンギア512が回転し、これがトラック70-1の歯84-1と係合して、スレーブシャトル72sをトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bに軸方向に並進させる。ピニオンギア512は、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sの手動アクチュエータ102m、102sに直接結合されるように図示されているが、ピニオンギア512は、シャフト(図示せず)または別の歯車機構(図示せず)を介して、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sの手動アクチュエータ102m、102sに間接的に結合されてもよいことを理解されたい。
【0262】
マスタシャトル72mのウォームギア516は、手動アクチュエータ102mとマスタシャトル72mのウォームスクリュ514との間に機械的に結合されており、手動アクチュエータ102mがその回転軸504aを中心に時計回り方向または反時計回り方向502aのいずれかに回転することにより、ウォームギア516が回転し、その結果、マスタシャトル72mのウォームスクリュ514が回転する。
【0263】
軸方向駆動機構92
m、92
sのウォームスクリュ514は、それぞれ、制御シャフト500bが挿通されるボア518(
図59に示す)を有する。ウォームスクリュ514のボア518とコントロールシャフト500bの外周はキー止めされており、ウォームスクリュ514と制御シャフト500bは一体となって回転する。すなわち、マスタシャトル72
mのウォームスクリュ514の回転が制御シャフト500bを回転させ、その制御シャフト500bがスレーブシャトル72
sのウォームスクリュ514を回転させる。一例として、
図59に示すように、ボア518および制御シャフト500bの外周の断面は十字形であってもよい。もちろん、ウォームスクリュ514のボア518と制御シャフト500bの外周をキー止めするために、円形以外の一致する断面形状を用いてもよい。
【0264】
スレーブシャトル72sのウォームギア516は、オプションの手動アクチュエータ102sとスレーブシャトル72sのウォームスクリュ514との間に機械的に結合されており、ウォームスクリュ514の回転がウォームギア516を回転させ、それが次に、スレーブシャトル72sのオプションの手動アクチュエータ102sを、その回転軸504bを中心として時計回り方向502bまたは反時計回り方向502bの一方に回転させ、それがスレーブシャトル72sのピニオンギア512を回転させ、それが次に、トラック70-1の歯84-1に係合して、スレーブシャトル72sをトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bに軸方向に並進させる。スレーブシャトル72sが手動アクチュエータ102sを有さない場合、スレーブシャトル72sのウォームギア516は、スレーブシャトル72sのウォームスクリュ514とピニオンギア516との間に機械的に結合され、ウォームスクリュ514の回転がウォームギア516を回転させ、それが次に、スレーブシャトル72sのピニオンギア512を回転させ、そのピニオンギア512がトラック70-1の歯84-1に係合して、スレーブシャトル72sをトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bに軸方向に並進させる。
【0265】
シャトル72m、72sの機能が切り替えられた場合、シャトル72sがマスタシャトルとして機能し、シャトル72mがスレーブシャトルとして機能し、手動アクチュエータ102sの操作によってシャトル72sがトラック70-1に沿って軸方向に並進することができる。特に、手動アクチュエータ102sがその回転軸504bを中心として時計回りまたは反時計回りの方向502bの一方へ回転すると、シャトル72sのウォームギア516が回転し、これがシャトル72sのウォームスクリュ514を回転させ、これが制御シャフト500bを回転させ、この制御シャフト500bは、シャトル72mのウォームスクリュ514を回転させ、これがシャトル72mのウォームギア516を回転させ、これによりシャトル72mの手動アクチュエータ102mが、その回転軸504aを中心に時計回り方向または反時計回り方向502aの一方に回転し、これにより、シャトル72mのピニオンギア512が回転し、これにより、シャトル72mがトラック70-1の歯84-1に係合して、シャトル72mをトラック70-1に沿って近位方向150aまたは遠位方向150bに軸方向に並進させる。
【0266】
上述したように、制御シャフト500bとマスタシャトル72mは一体に軸方向並進するように構成され、制御シャフト500bとスレーブシャトル72sは互いに相対的に軸方向並進するように構成されている。上記でも簡単に説明したように、制御シャフト500bは、血管内管理および追跡システム14-1がマスタ・スレーブ構成と独立構成との間で切り替えられるように、第1および第2の軸方向駆動機構92m、92sの間、この場合にはウォームスクリュ514の間に、取り外し可能な方法で機械的に結合され得る。図示の実施形態では、制御シャフト500bの一端は、マスタシャトル72mのウォームスクリュ514のボア518内で摺動し、摩擦嵌合を介してマスタシャトル72mのブッシュ520内に固定され、これにより制御シャフト500bがマスタシャトル72mに対して軸方向並進するのが防止され、一方で制御シャフト500bの他端は、スレーブシャトル72sのウォームスクリュ514のボア518内で摺動し、それによって制御シャフト500bがスレーブシャトル72sに対して軸方向に並進することを可能にする。制御シャフト500bをマスタシャトル72mおよびスレーブシャトル72sから取り外すには、制御シャフト500bの一端をブッシュ520から取り外し、マスタシャトル72mのウォームスクリュ514のボア518からスライドさせて取り外す一方、制御シャフト500bの他端をスレーブシャトル72sのウォームスクリュ514のボア518から単にスライドさせて取り外せばよい。
【0267】
上記でも簡単に説明したように、それぞれのマスタおよびスレーブシャトル72m、72sの軸方向駆動機構92m、92sは、マスタおよびスレーブシャトル72m、72s間に特定の軸方向並進比(正または負)を提供するように設計され得る。例えば、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sのウォームスクリュ514は、軸方向並進比が1になる(マスタおよびスレーブシャトル72m、72sがトラック70-1を同じ距離だけ軸方向に並進させる)ように、同じピッチを有してもよく、または、軸方向並進比が1より大きいか小さくなる(マスタおよびスレーブシャトル72m、72sがトラック70-1を異なる距離だけ軸方向に並進させる)ように、異なるピッチを有してもよく、および/または、マスタおよびスレーブシャトル72m、72sのウォームスクリュ514は、軸方向並進比が正である(マスタおよびスレーブシャトル72m、72sがトラック70-1を同じ方向に軸方向並進させる)ように、同じ方向のピッチを有してもよく、または、軸方向並進比が負である(マスタおよびスレーブシャトル72m、72sがトラック70-1を反対方向に軸方向並進させる)ように、反対方向のピッチを有してもよい。一実施形態では、ウォームドライブ508は、マスタシャトル72mおよびスレーブシャトル72sのいずれかまたは両方の中に取り外し可能に配置され、ウォームスクリュ514のピッチが異なるウォームドライブ508をマスタシャトル72mおよび/またはスレーブシャトル72sに出し入れして、マスタシャトル72mとスレーブシャトル72sの同期された軸方向並進を実行される特定の医療処置に合わせてカスタマイズすることができる(すなわち、マスタシャトル72mとスレーブシャトル72sとの間の異なる相対的な軸方向並進を選択できる)。
【0268】
図56に示す血管内管理および追跡システム14-1を用いた細長い医療器具の同期(電気的コントローラまたは機械的コントローラのいずれかを用いる)は、同軸の医療器具の相互に同時に並進させる必要がある医療処置に適している。
例えば、ステント展開処置の場合、細長い医療器具の一方はステント展開カテーテルであり、細長い医療器具の他方はステント展開カテーテル内でステントに取り付けられたプッシャ部材であり得る。ステント展開カテーテルからステントを展開する際には、ステント展開カテーテルを近位側に引き戻しながら、プッシャ部材を遠位側に移動させ、その結果、ステントをステント展開カテーテルから出すのが望ましい。
【0269】
図60Aに示す血管内管理および追跡システム14-1に適用されるように、マスタシャトル72
m(この場合、遠位シャトルまたは後続シャトル)に取り付けられた細長い医療器具26
mはステント展開カテーテルであり、一方、スレーブシャトル72
s(この場合、近位シャトルまたは先行シャトル)に取り付けられた細長い医療器具26
sはステント550が取り付けられたプッシャ部材であり得る。したがって、
図60Bに示すように、ステント展開カテーテル26
mを近位方向150aに引き戻すためにマスタシャトル72
mをトラック70-1に沿って近位方向150aに手動で移動させることに応答して、コントローラ500は、プッシャ部材26
mを遠位方向に前進させるためにスレーブシャトル72
sを遠位方向150bにトラック70-1に沿って軸方向並進させ(すなわち、負の軸方向並進比、例えば1で)、これにより、ステント550がステント展開カテーテル26
mの遠位端から展開され、ステント550が血管(図示せず)の内壁に接触して拡張可能になる。
図60Cに示されているように、ステント550の展開が最適でない場合は、ステント550の展開を戻すことができる。特に、ステント展開カテーテル26
mを遠位方向150bに前進させるためにマスタシャトル72
mをトラック70-1に沿って遠位方向150bに手動で並進させることに応答して、コントローラ500は、プッシャ部材26
mを近位方向に後退させるためにスレーブシャトル72
sをトラック70-1に沿って近位方向150aに軸方向移動させ(すなわち、負の軸方向並進比、例えば1で)、これにより、部分的に展開されたステント550がステント展開カテーテル26
mの遠位端に再被覆される。
【0270】
図60Dに示す代替実施形態では、マスタシャトル72
mが代わりに先行シャトルであり、その場合、スレーブシャトル72
sに取り付けられる細長い医療器具26
sはステント550が取り付けられるプッシャ部材となり、スレーブシャトル72
sが後続シャトルであり、その場合、マスタシャトル72
mに取り付けられる細長い医療器具26
mはステント展開カテーテルとなる。この場合、マスタシャトル72
mをトラック70-1に沿って遠位方向150bに手動で並進させてプッシャ部材26
mを遠位方向150bに前進させることに応答して、コントローラ500は、ステント展開カテーテル26
sを近位方向に後退させるためにスレーブシャトル72
sをトラック70-1に沿って近位方向150aに軸方向移動させ(すなわち、負の軸方向並進比、例えば1で)、これにより、ステント展開カテーテル26
mの遠位端からステント550が展開され、ステント550が血管(図示せず)の内壁に接触するように拡張される。ステント550の最適でない展開が発生した場合、プッシャ部材26
mを近位方向150aに後退させるためにマスタシャトル72
mを近位方向150aにトラック70-1に沿って手動で並進させることに応答して、コントローラ500は、ステント展開カテーテル26
sを遠位方向に前進させるためにスレーブシャトル72
sを遠位方向150bにトラック70-1に沿って軸方向に並進させ(すなわち、負の軸並進比、例えば1で)、これにより、部分的に展開されたステント550がステント展開カテーテル26
sの遠位端に再被覆される。
【0271】
別の実施形態では、トラック70-1に沿ったマスタシャトル72
mの手動並進に応答して、コントローラ500がトラック70-1に沿ってスレーブシャトル72
sを自動的に並進させる軸方向並進比は、例えば、1または複数の状況に応じて変化してもよい。この場合、コントローラ500は、軸方向並進比を動的に変化させるような電動式であってもよい。
図60Eに示す一実施例では、血管内管理および追跡システム14-1はステント550を画像化し、その画像をコントローラ500に提供するように構成された医療用撮像装置(例えば、X線透視撮像装置)552をさらに具える。この点で、ステント550は放射線不透過性要素で構成してもよい。コントローラ500は、医療用撮像装置552によって取得された画像に基づいて、ステント550の展開段階(例えば、ステント550が意図された展開直径に達したか否か)を識別するように構成され得る。
図60B(あるいは
図60D)に関して上述したように、マスタシャトル72
mの手動並進に応じてステント550がステント展開カテーテルから展開されると、コントローラ500は軸方向並進比を動的に変化させて、ステントと血管壁との最適な付着を確保する。
【0272】
図56に示した血管内管理および追跡システム14-1が適している医療処置の別の例として、細長い医療器具の一方をガイドワイヤとし、細長い医療器具の他方をカテーテルとすることができる。患者20の血管系内を通してガイドワイヤでナビゲートする際、カテーテルはガイドワイヤの先端から予め設定された後退距離でガイドワイヤに追従することが望ましい。
【0273】
図61Aに示す血管内管理および追跡システム14-1に適用されるように、マスタシャトル72
m(この場合、先行シャトル)に取り付けられる細長い医療器具26
mはガイドワイヤであり、スレーブシャトル72
s(この場合、後続シャトル)に取り付けられる細長い医療器具26
sはカテーテルであり得る。したがって、
図61Bに示されるように、ガイドワイヤ26
mを遠位方向150bに前進させるためにマスタシャトル72
mをトラック70-1に沿って遠位方向150bに手動で並進させることに応答して、コントローラ500は、カテーテル26
sを遠位方向に前進させるためにスレーブシャトル72
sをトラック70-1に沿って遠位方向150bに軸方向並進させ(すなわち、正の軸方向並進比、例えば1で)、これにより、ガイドワイヤ26
mの先端から所定のオフセット距離dでガイドワイヤ26
mに追従する。
図61Cに示されるように、その後、細長い医療器具26
m(ここではカテーテル26
m)を近位方向150aに引き戻すために、マスタシャトル72
m(ここでは後続シャトル)をトラック70-1に沿って近位方向150aに手動並進させることによって、後続シャトルをスレーブシャトル72
sからマスタシャトル72
mに切り替えることができる。これに応答して、コントローラ500は、スレーブシャトル72
s(ここでは先行シャトル)をトラック70-1に沿って近位方向150aに軸平行移動させてガイドワイヤ26
sを近位方向に後退させ(すなわち、正の軸方向並進比、例えば1で)、それにより、カテーテル26
mに対するガイドワイヤ26
sの位置(すなわち、所定のオフセット距離d)が維持される。
【0274】
図56に示す血管内管理および追跡システム14-1が適する医療処置のさらに別の例として、細長い医療器具の一方がステントリバーであり、細長い医療器具の他方がカテーテルであり得る。血栓捕捉後のステントリバー引き戻し時に、ステントリバーとカテーテルのオフセット距離が所定の距離に達するとカテーテルが自動的に後退し、ステントリバーが引き戻される際にこの所定のステントリバーとカテーテルのオフセット距離を維持することが望ましい。
【0275】
図62Aに示す血管内管理および追跡システム14-1に適用されるように、マスタシャトル72
m(この場合、先行シャトル)に取り付けられる細長い医療器具26
mはステントリバーであり、スレーブシャトル72
s(この場合、後続シャトル)に取り付けられる細長い医療器具26
sはカテーテルであり得る。したがって、捕捉された血栓554とともにステントリバー26
mを近位方向150aに後退させるために、マスタシャトル72
mをトラック70-1に沿って近位方向150aに手動で並進させることに応答して、コントローラ500は、ステントリバーとカテーテル間の所定のオフセット距離dが達成されるまで、
図62Bに示されるように、トラック70-1に沿ってスレーブシャトル72
sを軸方向に並進させない。次に、捕捉された血栓554とともにステントリバー26
mを近位方向150aにさらに後退させるために、マスタシャトル72
mをトラック70-1に沿って近位方向150aにさらに手動で並進させることに応答して、コントローラ500は、カテーテル26
sを近位方向に後退させるために、スレーブシャトル72
sをトラック70-1に沿って近位方向150aに軸方向に並進させ(すなわち、正の軸方向並進比、例えば1で)、これにより、
図62Cに示されるように、ステントリバー26
mの近位側へ引き戻す間、ステントリバーとカテーテル間の所定のオフセット距離dが維持される。
【0276】
先に説明した血管内管理および追跡システム14、14’は、例えば、処置台18、患者20、および/またはドレープ22上に重ねられる、病室環境に合わせて輪郭をなす可撓性トラック70、70’を有するものとして説明されてきたが、血管内管理および追跡システム14”の一実施形態では、
図63~65に図示されるように、処置台18”の上方にトラック70”が懸架されている。
【0277】
特に、血管内管理および追跡システム14、14’と同様に、血管内管理および追跡システム14”は、トラック70”と、トラック70”に機械的に結合され、それによってトラック70”に沿って軸方向に並進するように構成された複数のシャトル72a”~72c”とを具える。各シャトル72a”~72c”は、例えば、
図6に図示すシャトル72a~72cまたは
図21~24に示すシャトル72’と同様に構成され得る。シャトル72a”~72c”はまた、それぞれの細長い医療器具(図示せず)がそれぞれの細長い医療器具に加えられる軸方向の圧縮に応答して脱出するのをそれぞれ防止するように構成された座屈防止機構132”を具えてもよい。
【0278】
しかしながら、血管内管理および追跡システム14”は、複数のトラック支持アーム530をさらに含んでいる。トラック支持アーム530の各々の一端532は処置台18”に固定されるように構成され、トラック支持アーム530の各々の他端534は、トラック70”が処置台18”の上方に懸架され得るように、トラック70”に(例えば、クランプ機構536を介して)着脱可能に固定されるように構成される。トラック支持アーム530の端部532は、処置台18”に恒久的に固定されていてもよいし、取り外し可能に固定されていてもよい。
図65に最も良く示されるように、血管内管理および追跡システム14”は、トラック支持アーム530の他端534に取り付けられた複数の脚532をさらに具え、トラック70”は脚538の上に取り付けられるように構成されている。任意の実施形態では、トラック70”の底面は、トラック70”の長さに沿ってチャネル(図示せず)を有し、脚538の各々は、トラック70”のチャネルに取り外し可能に取り付けられるように構成されたクリート(図示せず)を具える。
【0279】
トラック支持アーム530は、シャトル72a”~72c”がトラック70”に沿って軸方向に並進する際に、トラック70”が処置台18”の上方に安定的に吊り下げられるように剛性であることが好ましい。好ましい実施形態において、トラック支持アーム530は、処置台18”に対するトラック支持アーム530の他端534の高さを選択できるように、処置台18”に対して相対的に調節されるように構成されてもよく、および/または、脚538は、処置台18”に対する脚538の高さを選択できるように、トラック支持アーム530の他端534に対して相対的に調節されるように構成されてもよい。このようにして、自由空間におけるトラック70”の輪郭を変更またはカスタマイズすることができる。図示の実施形態では、トラック70”は、シャトル72a”~72c”を重力に抗して支持するのを容易にするアーチを形成するように輪郭付けられている。
【0280】
本発明の特定の実施形態を示し、説明したが、本発明を好ましい実施形態に限定することを意図したものではなく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正を加えてもよいことは当業者には明らかであることが理解されるであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれ得る代替例、変形例、および均等物を包含することを意図している。
【国際調査報告】