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特表2024-529898フラットフィールド補正ユニットが強化された3次元プリントシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】フラットフィールド補正ユニットが強化された3次元プリントシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/268 20170101AFI20240806BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240806BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240806BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20240806BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240806BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240806BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20240806BHJP
   B22F 12/44 20210101ALI20240806BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B29C64/268
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/135
B29C64/153
B22F10/28
B22F10/36
B22F12/44
B28B1/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502460
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022037059
(87)【国際公開番号】W WO2023003740
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,996
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520106345
【氏名又は名称】レイヤーワイズ エヌヴェ
【氏名又は名称原語表記】LayerWise NV
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】コーク,サム
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL43
4F213WL76
4G052DA02
4G052DB12
4G052DC06
4K018DA35
(57)【要約】
3次元プリントシステムは、電動造形プラットフォームと、材料コーティングモジュールと、ビーム生成モジュールとを備える。ビーム生成モジュールは、レーザビーム形成ユニットと、走査モジュールと、フラットフィールド集光システムとを備える。レーザビーム形成ユニットは、レーザビームを出力するように構成されたレーザを備える。走査モジュールは、レーザビームを受け取り、電動造形プラットフォームの上方にある造形平面上でレーザビームを走査するように構成される。フラットフィールド集光システムは、造形平面にわたってレーザビームを集束させるように構成され、入力コンポーネントおよび出力コンポーネントを含む。入力コンポーネントは、ビーム形成ユニットからレーザビームを受け取り、レーザビームを走査モジュールに通過させるように構成される。出力コンポーネントは、走査モジュールからレーザビームを受け取り、レーザビームを造形平面に通過させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元プリントシステムであって、
電動造形プラットフォーム;
材料コーティングモジュール;
ビーム生成モジュール
を備え、
前記ビーム生成モジュールは、
レーザビームを出力するように構成されたレーザを含むレーザビーム形成ユニット;
前記レーザビームを受け取り、前記電動造形プラットフォームの上方にある造形平面上で前記レーザビームを走査するように構成される、走査モジュール;
前記造形平面にわたって前記レーザビームを集束させるように構成される、分割されたフラットフィールド集光システム
を含み、
前記フラットフィールド集光システムは、
前記ビーム形成ユニットから前記レーザビームを受け取り、該レーザビームを前記走査モジュールに通過させるように構成される、入力コンポーネント;
前記走査モジュールから前記レーザビームを受け取り、該レーザビームを前記造形平面に通過させるように構成される、出力コンポーネント
を含む、
3次元プリントシステム。
【請求項2】
前記材料コーティングモジュールは、前記電動造形プラットフォーム上に材料の層を堆積させるように構成され、前記材料の層は、液体材料および粉末材料のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3次元プリントシステム。
【請求項3】
前記材料の層は、ポリマー、金属、セラミック、および合金のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項2に記載の3次元プリントシステム。
【請求項4】
前記材料の層は、金属粉末、セラミック粉末、および合金粉末のうちの1つまたは複数を含む粉末であることを特徴とする、請求項3に記載の3次元プリントシステム。
【請求項5】
前記レーザビームは、少なくとも100ワットの出力レベルを有することを特徴とする、請求項4に記載の3次元プリントシステム。
【請求項6】
前記フラットフィールド集光システムの入力コンポーネントは、発散レンズを含むことを特徴とする、請求項1に記載の3次元プリントシステム。
【請求項7】
前記発散レンズは両凹レンズであることを特徴とする、請求項6に記載の3次元プリントシステム。
【請求項8】
前記発散レンズは平凹レンズであることを特徴とする、請求項6に記載の3次元プリントシステム。
【請求項9】
前記フラットフィールド集光システムの出力コンポーネントは、一連の少なくとも3つのレンズを含むことを特徴とする、請求項1に記載の3次元プリントシステム。
【請求項10】
前記一連の少なくとも3つのレンズは、1つの発散レンズと2つの収束レンズとを含むことを特徴とする、請求項9に記載の3次元プリントシステム。
【請求項11】
前記電動造形プラットフォームを動作させて、前記電動造形プラットフォームまたは造形材料の上面を垂直に位置決めし、
前記材料コーティングモジュールを動作させて、前記上面上に新しい材料の層を形成し、
前記ビーム生成モジュールを動作させて、前記新しい材料の層を選択的に硬化させる
ように構成されるコントローラをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の3次元プリントシステム。
【請求項12】
3次元物品の製造方法であって、
3次元プリントシステムを提供する工程;
前記3次元プリントシステムを動作させて3次元物品を作製する工程
を含み、
前記3次元プリントシステムは、
電動造形プラットフォーム;
材料コーティングモジュール;
ビーム生成モジュール
を備え、
前記ビーム生成モジュールは、
レーザビームを出力するように構成されたレーザを含むレーザビーム形成ユニット;
前記レーザビームを受け取り、前記電動造形プラットフォームの上方にある造形平面上で前記レーザビームを走査するように構成される、走査モジュール;
前記造形平面にわたって前記レーザビームを集束させるように構成される、分割されたフラットフィールド集光システム
を含み、
前記フラットフィールド集光システムは、
前記ビーム形成ユニットから前記レーザビームを受け取り、該レーザビームを前記走査モジュールに通過させるように構成される、入力コンポーネント;
前記走査モジュールから前記レーザビームを受け取り、該レーザビームを前記造形平面に通過させるように構成される、出力コンポーネント
を含む、
方法。
【請求項13】
前記3次元プリントシステムを動作させる工程は、前記材料コーティングモジュールを動作させて、前記電動造形プラットフォーム上に材料の層を堆積させる工程を含み、前記材料の層は、液体材料および粉末材料のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記材料の層は、ポリマー、金属、セラミック、および合金のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記材料の層は、金属粉末、セラミック粉末、および合金粉末のうちの1つまたは複数を含む粉末であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記3次元プリントシステムを動作させる工程は、前記レーザビームを動作させて、少なくとも100ワットの出力レベルを出力する工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フラットフィールド集光システムの入力コンポーネントは、発散レンズを含み、前記3次元プリントシステムを動作させる工程は、前記レーザビームを前記レーザから前記発散レンズに通過させ、次いで前記走査モジュールに通過させる工程を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記フラットフィールド集光システムの出力コンポーネントは、一連の少なくとも3つのレンズを含み、前記3次元プリントシステムを動作させる工程は、前記レーザビームを前記走査モジュールから前記一連の少なくとも3つのレンズに通過させる工程を含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記一連の少なくとも3つのレンズは、第2の発散レンズと、第1の収束レンズと、第2の収束レンズとを含み、前記3次元プリントシステムを動作させる工程は、(1)前記レーザビームを前記走査モジュールから前記第2の発散レンズに通過させる工程、次いで、(2)前記レーザビームを前記第1の収束レンズに通過させる工程、次いで、(3)前記レーザビームを前記第2の収束レンズに通過させる工程を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記3次元プリントシステムを動作させる工程は、前記レーザビームを前記第2の収束レンズから造形平面に通過させる工程を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この非仮特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月21日に出願されたSam Coeckによる「Three-Dimensional Printing System with Enhanced Flat Field Correction Unit」と題される米国仮特許出願第63/223,996号に対する35 U.S.C.119条(e)に従う優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ポリマー粉末、金属粉末、および光硬化性樹脂などの材料の層のレーザビーム誘起凝固または融合による3次元(3D)物品の層ごとの製造のための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、造形平面にわたる放射ビームの焦点の均一性を改善するための光学系に関する。
【背景技術】
【0003】
3次元(3D)プリントシステムは、プロトタイピングおよび製造などの目的のために急速に使用が増加している。特定の3Dプリントシステムは、金属粉末、プラスチック粉末、および光硬化性樹脂であり得る様々な材料から3D物品を形成するために層ごとのプロセスを利用する。個々の材料層について、材料層のある領域にわたって放射ビームを走査することによって、材料層の一部を選択的に融合、硬化、または凝固させる必要がある。一貫した解像度および材料特性を提供するために、レーザビームは、造形平面と呼ばれる領域にわたって一貫した焦点を有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際には、造形平面上で放射ビームを走査することにより、焦点、スポット形状、および出力分布にばらつきが生じ、その結果、一貫性のない結果が生じる可能性がある。改善が強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、3次元プリントシステムは、電動造形プラットフォームと、材料コーティングモジュールと、ビーム生成モジュールとを含む。ビーム生成モジュールは、レーザビーム形成ユニットと、走査モジュールと、フラットフィールド集光システムとを含む。レーザビーム形成ユニットは、レーザビームを出力するように構成されたレーザを含む。走査モジュールは、レーザビームを受け取り、電動造形プラットフォームの上方にある造形平面上でレーザビームを走査するように構成される。フラットフィールド集光システムは、造形平面にわたってレーザビームを集束させるように構成され、入力コンポーネントおよび出力コンポーネントを含む。入力コンポーネントは、ビーム形成ユニットからレーザビームを受け取り、レーザビームを走査モジュールに通過させるように構成される。出力コンポーネントは、走査モジュールからレーザビームを受け取り、レーザビームを造形平面に通過させるように構成される。
【0006】
フラットフィールド集光システムを走査モジュールの前の入力コンポーネントと走査モジュールの後の出力コンポーネントとに分割することにより、完全に統合されたフラットフィールド集光システム(走査モジュールからビームを受け取るために全てのコンポーネントを一緒に有する)と比較して、フラットフィールド集光または補正システム内の比較的小さい直径の入力コンポーネントおよびより薄いレンズが可能になる。本開示のフラットフィールド集光システムは、造形平面にわたる球面収差、コマ収差、非点収差、および焦点面曲率誤差を含む様々な光学アーチファクトを低減する。重要な態様は、より小さく、より一貫したレーザスポットサイズを造形平面上に提供することであり、これによって、より寸法精度の高い3D物品が得られる。本開示のフラットフィールド集光システムは、分割されていないフラットフィールド補正システムのサイズを拡大するよりもはるかに低いコストでこれらの誤差を低減する。
【0007】
一実装形態では、材料コーティングモジュールは、電動造形プラットフォーム上に粉末の新しい層を堆積させるように構成される。造形平面は、粉末の新しい層の上面上に画定される。粉末は、金属、ポリマー、またはセラミックのうちの1つまたは複数を含むことができる。金属粉末は、単一元素金属粉末または合金を含むことができる。合金は、複数の種類の金属および/または金属およびセラミックを含むことができる。金属および/またはセラミックを含有する粉末の場合、レーザビームは、少なくとも100ワット、少なくとも200ワット、少なくとも500ワット、または少なくとも1000ワットの平均出力レベルを有することができる。レーザは、粉末の一部を融合および/または溶融して、粉末を概して複合材料に圧密化する効果を有する。
【0008】
別の実装形態では、材料コーティングモジュールは、電動造形プラットフォーム上に液体ポリマー樹脂を堆積させるように構成される。液体ポリマー樹脂は、青色、紫色、および/または紫外放射線によって光硬化性であり得る。樹脂を光硬化させる効果は、樹脂を固化および/または硬化させることである。
【0009】
さらに別の実装形態では、3次元プリントシステムは、複数のそのようなビーム生成モジュールを含むことができる。複数のビーム生成モジュールは、同時に動作することができる。
【0010】
さらなる実装形態では、フラットフィールド集光システムの入力コンポーネントは、発散レンズを含む。発散レンズは、両凹レンズまたは平凹レンズとすることができる。より具体的な実装形態では、入力コンポーネントは、-1000ミリメートル(mm)の焦点距離を有する両凹レンズである。両凹レンズは、2つの対向する面のそれぞれに凹(内側に湾曲した)形状を有するレンズである。平凹レンズは、凹面の反対側に平坦な面を有する。
【0011】
さらなる実装形態では、出力コンポーネントは、複数のレンズを含むことができる。複数のレンズは、1つの発散レンズおよび2つの収束レンズを含む3つのレンズを含むことができる。発散レンズは平凹であり得る。2つの収束レンズは、個別に平凸とすることができる。
【0012】
別の実装形態では、3次元プリントシステムは、以下を行うように構成されたコントローラを含む:(a)電動造形プラットフォームを動作させて、電動造形プラットフォームまたは造形材料の上面を垂直に位置決めし、(b)材料コーティングモジュールを動作させて、上面上に新しい材料層を形成し、(c)ビーム生成モジュールを動作させて、新しい材料層を選択的に硬化させる。コントローラは、(a)~(c)を繰り返すことにより、3次元物品の製造または作製を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】3次元プリントシステムの概略図
図2】ビーム生成モジュールの概略図
図3】出力フラットフィールドコンポーネントの概略図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、3D物品4を形成するための3次元(3D)プリントシステム2の概略図である。3Dプリントシステム2を説明する際に、相互に直交する軸X、Y、およびZを使用することができる。軸XおよびYは、概して水平な横軸である。軸Zは、重力基準と概ね位置合わせされた垂直軸である。「概して」とは、設計によってそのように意図されるが、製造公差または他の変動源に起因して変動し得る。
【0015】
3Dプリントシステム2は、コントローラ8に連結された3Dプリントエンジン6を含む。コントローラ8は、プリントエンジン6と同じ場所に配置された単一のコンピュータを含むことができるか、または2つ以上のコンピュータを含むことができ、そのいくつかは、プリントエンジン6から物理的に分離されるか、またはプリントエンジン6に対して遠隔に配置される。
【0016】
プリントエンジン6は、電動造形プラットフォーム12を収容する造形コンテナ10を含む。電動造形プラットフォーム12は、上面14と、造形プラットフォーム12を正確に垂直に位置決めするための機構15(詳細は図示せず)とを有する。機構は、ラックアンドピニオン、親ねじ、または他の駆動システムなどの機械的駆動を含むことができる。親ねじ駆動システムは、固定モータに連結された親ねじを含むことができる。親ねじは、造形プラットフォーム12に連結されたねじ付きナットに受け入れることができる。コントローラ8の命令の下で、モータは、親ねじを回転させて、造形プラットフォーム12を垂直に位置決めすることができる。造形プラットフォームを垂直に移動させ位置決めするための電動システムは、3次元プリントの技術分野で知られている。
【0017】
プリントエンジン6は、電動造形プラットフォーム12上に金属粉末などの材料18の均一な層を形成するように構成された材料コーティングモジュール16を含む。新しい均一な材料層18が形成されるとき、新しい均一な材料層18の上面20は、「造形平面22」を部分的に画定するものとして言及され得る。材料コーティングモジュール16は、材料18を分配するためのディスペンサと、平坦で均一な表面20を確保するためのワイパーブレードとを含むことができる。分配およびワイピング中の材料コーティングモジュール16の動作は、電動親ねじ、電動ベルト、または他の電動動作機構によって付与することができる。ディスペンサは、2つの例を挙げると、材料を計量するための回転シリンダまたは材料を選択的に放出するためのバルブを含むことができる。液体または粉末材料をコーティングするためのコーターは、3次元プリントの技術分野において知られている。
【0018】
プリントエンジン6は、コントローラ8の制御下で新しい材料層18を選択的に硬化させるために造形平面22にわたって集束レーザビーム26を生成し走査するように構成されたビーム生成モジュール24を含む。ビーム生成モジュール24は、図1に続く図に関してより詳細に説明される。ビーム生成モジュール24は、造形平面22にわたってレーザビーム26の非常に均一で集束された出力密度を提供するための独自の光学構造を有する。いくつかの実施形態では、レーザビーム26は、造形平面22にわたって独立して生成および走査することができる複数のレーザビーム26を含むことができる。
【0019】
コントローラ8は、プリントエンジン6の部分を動作させて3D物品4を製造または作製するように構成される。コントローラは、以下を実行するように構成される:(a)3D物品4を画定するデータファイルを受信し、(b)データファイルを処理して、プリントエンジン6を動作させるための準備をし、(c)電動造形プラットフォーム12を動作させて、造形平面22に近接して上面14または20を位置決めし、(c)材料コーティングモジュール16を動作させて、造形材料18の新しい層を上面14または20に塗布し、(d)ビーム生成モジュール24を動作させて、造形材料の新しい層18を選択的に硬化させ、(c)~(d)を繰り返して物品4の製造または作製を完了する。
【0020】
コントローラ8は、情報記憶装置(少なくとも1つの非一時的または不揮発性デバイス)に結合されたプロセッサ(少なくとも1つのCPU)を含む。情報記憶装置は、命令を個別に含むソフトウェアモジュールを記憶する。情報記憶装置は、不揮発性または非一時的コンピュータメモリ、フラッシュメモリ、およびディスクドライブのうちの1つまたは複数を含むことができる。コントローラ8は、プロセッサが命令を実行するときにプリントエンジン6の様々な部分を動作させるように構成される。
【0021】
図2は、ビーム生成モジュール24の概略図である。ビーム生成モジュール24は、レーザビーム形成ユニット27と、走査モジュール28と、フラットフィールド集光システム30とを含む。
【0022】
レーザビーム形成モジュール27は、レーザビーム26を形成するためのレーザ(図示せず)および関連する光学系を含む。レーザビーム形成モジュール24によって放出されるレーザビーム26はコリメートされ、これは光が正確に平行であることを意味する。レーザは、3次元プリントの技術分野においてよく知られている。
【0023】
走査モジュール28は、レーザビーム26を造形平面22上に反射するように構成される。また、走査モジュール28は、造形平面22を横切ってXおよびYにおいてレーザビーム26を走査するように構成される。図示の実施形態では、走査モジュール28は、XミラーおよびYミラーを含む一対の電動ミラーを含む。ミラーは、「ガルバノメータ走査ミラー」と呼ぶことができる。レーザビーム形成モジュール27からのレーザビーム26は、Xミラーに入射し、Yミラーに反射し、次いで造形平面22に降りる。Xミラーの制御された電動運動は、レーザビーム26を造形平面22のX軸に沿って平行移動させる。Yミラーの制御された電動運動は、レーザビーム26を造形平面22のY軸に沿って平行移動させる。
【0024】
フラットフィールドシステム30は、XおよびYにおける位置にかかわらず、造形平面22にわたってレーザビーム26を一貫して集束させるように構成されるレンズの光学系である。フラットフィールドシステム30は、入力フラットフィールドコンポーネント30Aおよび出力フラットフィールドコンポーネント30Bを含む。レーザビーム形成ユニット27からのレーザビーム26は、入力フラットフィールドコンポーネント30Aに直接通過し、走査モジュール28に至る。走査モジュール28は、造形平面22に到達する前に、レーザビーム26を反射して、出力フラットフィールドコンポーネント30Bに通過させる。
【0025】
図示の実施形態では、透明窓32は、ビーム生成モジュール24を造形平面22を含む領域から分離する。透明窓32は、レーザビームが造形平面22上で材料を固化させる(融合または光硬化させる)ときに生成されるヒュームからビーム生成モジュール24を保護する。
【0026】
図2に示すシステムは、レーザビーム26がレーザビーム形成ユニット27から造形平面22へ向かう経路である光路33に関して説明することができる。光路33に沿って、入力フラットフィールドコンポーネント30Aは走査モジュール28の前にあり、出力フラットフィールドコンポーネント30Bは走査モジュール28の後にある。レーザビーム26は、レーザビーム形成ユニット27によって出力または形成され、入力フラットフィールドコンポーネント30Aを通過して走査モジュール28に至り、走査モジュール28によって反射および走査されて出力フラットフィールド構成要素30Bに至り、出力フラットフィールドコンポーネント30Bを通過し、透明窓32を通過し、次いで造形平面22上で走査される。
【0027】
次に、フラットフィールド集光システム30の実施形態について説明する。入力フラットフィールドコンポーネント30Aは、単一の発散レンズである。出力フラットフィールドコンポーネント30Bは、3つのレンズのセットである。3つのレンズのセットは、1つの発散レンズおよび2つの収束レンズを含むことができる。出力フラットフィールドコンポーネント30Bのそのような実施形態を図3に示す。図3は、3レンズ出力フラットフィールドコンポーネント30Bおよび透明窓32を示す光学図である。3レンズ出力フラットフィールドコンポーネント30Bは、発散レンズ34と、収束レンズ36と、収束レンズ38とを含む。
【0028】
図示の実施形態では、入力コンポーネント30Aは、-1000ミリメートル(mm)に等しい焦点距離を有する発散両凹レンズである。発散レンズ34は平凹レンズである。収束レンズ36は平凸レンズである。収束レンズ38は平凸レンズである。動作において、光は、(1)レーザ27から、(2)平凹レンズ34を通過し、(3)走査モジュール28を通過し、(4)平凹レンズ34を通過し、(5)平凸レンズ36を通過し、(6)平凸レンズ38を通過し、(7)透明窓32を通過し、(8)材料層18の上面上の造形平面22に至る。
【0029】
図示された実施形態は、設計において利点を有する。入力フラットフィールドコンポーネント30A(単一発散レンズ)は、それに衝突するレーザビーム26が走査されていないので、比較的小さい直径で設計することができる。第1の収束レンズ36は、発散レンズ34により近づけることができ、したがってより小さい直径を有することができる。また、第2の収束レンズ38の薄型化(低曲率化)が可能となり、光学収差を低減することができる。その結果、フラットフィールド集光システム30の光学系のサイズおよびコストを増加させることなく、造形平面22上の集束が改善される。その結果、造形平面22にわたる集束スポットサイズがさらに改善される。これによって、寸法精度が著しく高い3D物品4がもたらされる。
【0030】
第1の実施形態は、いくつかの変形例を有することができる。入力フラットフィールドコンポーネント30Aは、両凹レンズとすることができる。あるいは、入力フラットフィールドコンポーネント30Aは、平凹レンズとすることができる。特定の例示的な実施形態では、入力フラットフィールドコンポーネント30Aは、-1000ミリメートルの焦点距離を有することができるが、システム要件に応じて他の焦点距離が可能である。概して、レンズ30A/Bの特定の焦点距離の選択は、光路33の様々な幾何学的形状および造形平面22のサイズの関数である。
【0031】
上述の特定の実施形態およびその適用は、例示のみを目的としており、添付の特許請求の範囲によって包含される修正および変形を排除するものではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】