(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レリーフ前駆体を液体で処理するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20240806BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20240806BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240806BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20240806BHJP
B08B 1/34 20240101ALI20240806BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C13/02
B05C11/10
B05D1/28
B08B1/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502489
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069426
(87)【国際公開番号】W WO2023001628
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518216205
【氏名又は名称】エクシス プリプレス エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワッティン, バート マルク ルック
【テーマコード(参考)】
3B116
4D075
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AB13
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3B116BA15
4D075AC41
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4F042CC07
4F042CC09
4F042CC11
4F042DF07
4F042DF19
(57)【要約】
レリーフ前駆体(P)を液体で処理するための装置であって、ハウジング(10)と、ハウジング(10)を通して移送方向(T)に、支持平面に沿ってレリーフ前駆体を移送するように構成された搬送機構(50)と、レリーフ前駆体を液体で処理するための処理セクション(30)であって、レリーフ前駆体を処理するためにハウジング内に配置された複数のブラシを備え、前記複数のブラシが少なくとも第1のブラシ(31)と、第1のブラシの下流に配置され、剛毛を有する回転軸線を有する第2のブラシ(32)とを備える、処理セクション(30)と、第2のブラシの剛毛をしごくように配置されたスクイーズ要素(35)であって、半径方向距離(d)にわたって第2のブラシの剛毛内に延在し、前記半径方向距離が剛毛の長さ(L)の少なくとも15%である、スクイーズ要素(35)とを備える、装置。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ前駆体(P)を液体で処理するための装置であって、
ハウジング(10)と、
前記ハウジング(10)を通して移送方向(T)に、支持平面に沿って前記レリーフ前駆体を移送するように構成された搬送機構(50)と、
前記レリーフ前駆体を液体で処理するための処理セクション(30)であって、前記レリーフ前駆体を処理するために前記ハウジング内に配置された複数のブラシを備え、前記複数のブラシが少なくとも第1のブラシ(31)と、前記第1のブラシの下流に配置され、剛毛を有する回転軸線を有する第2のブラシ(32)とを備える、処理セクション(30)と、
前記第2のブラシの前記剛毛をしごくように配置されたスクイーズ要素(35)であって、半径方向距離(d)にわたって前記第2のブラシの前記剛毛内に延在し、前記半径方向距離が前記剛毛の長さ(L)の少なくとも15%である、スクイーズ要素(35)と
を備える、装置。
【請求項2】
前記第2のブラシが、前記処理セクションの前記複数のブラシのうちの最下流ブラシである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のブラシが、前記剛毛が前記レリーフ前駆体に接触すると、前記剛毛が上流方向に移動するような方向に回転するように構成され、かつ前記スクイーズ要素が、前記剛毛が前記レリーフ前駆体から離れるように移動する間に前記剛毛をしごくように配置される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のブラシおよび前記第2のブラシが、前記支持平面の上方に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のブラシおよび前記第2のブラシが、前記支持平面の下方に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のブラシが、前記第2のブラシのすぐ上流に配置され、かつ前記剛毛が前記レリーフ前駆体に接触すると、前記剛毛が下流方向に移動するような方向に回転するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のブラシの前記軸線に垂直な断面において見て、前記スクイーズ要素(35)が、前記支持平面内の点と前記支持平面の上流側かつ前記支持平面から離れた点との間の仮想円のセグメント(α)内で、前記第2のブラシの外周を画定する前記仮想円と重なり合い、前記セグメントが、160°未満、好ましくは120°未満、より好ましくは90°未満の角度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のブラシの前記回転軸線が前記支持平面に平行に配置され、かつ前記スクイーズ要素が前記回転軸線に平行に配置されて、前記第2のブラシの実質的に全長にわたって延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スクイーズ要素が、20°よりも大きい、好ましくは30°よりも大きい、より好ましくは45°よりも大きい角度βにわたって前記第2のブラシの前記剛毛を曲げるように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記スクイーズ要素が、バーまたはプレート状要素であり、好ましくは、少なくとも前記スクイーズ要素が前記第2のブラシの前記剛毛と接触する領域に丸みを帯びた部分または湾曲した部分を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記バーが、円形または楕円形の断面を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記半径方向距離が、前記剛毛の長さの20%~60%、好ましくは前記長さの25%~50%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記処理セクションが、前記第1のブラシ上に液体を供給し、かつ好ましくは前記第2のブラシ上には液体を供給しないように構成された液体供給手段を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記スクイーズ要素を、第1の動作位置と前記第2のブラシから離れた第2の非動作位置との間で移動させるように構成された移動手段をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記移動手段が、クランク機構(70)を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置がオフにされたとき、および/または前記処理セクションが動作していないとき、および/または前記第2のブラシが動作していないときに、前記スクイーズ要素が前記第2の非動作位置に移動するように、前記移動手段を制御するように構成された制御手段をさらに備える、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記剛毛が10mm~80mm、好ましくは20mm~50mmの長さを有し、および/または前記第2のブラシが80mm~120mmの外径を有し、および/または前記剛毛が0.05mm~5mm、好ましくは0.1mm~0.5mmの直径を有し、および/または前記半径方向距離(d)が少なくとも5mm、好ましくは少なくとも8mmである、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で前記第2のブラシを回転させるように、および/または0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で前記第1のブラシを回転させるように構成された作動手段をさらに備え、好ましくは、前記第2のブラシの速度が、前記第1のブラシの速度よりも速い、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記レリーフ前駆体からデブリおよび/または液体を除去するための洗浄セクション(40)をさらに備え、前記洗浄セクションが、前記処理セクションの下流に配置される、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記洗浄セクション(40)が、前記レリーフ前駆体の背面側と接触して回転するように配置された少なくとも1つの下部除去ロール(41a、41b)、および/または前記レリーフ前駆体のレリーフ側と接触して回転するように配置された少なくとも1つの上部除去ロール(42a、42b)を備え、好ましくは、前記少なくとも1つの上部除去ロールが、前記支持平面の両側で、前記少なくとも1つの下部除去ロールに対向して配置される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの下部除去ロール(41a、41b)が、前記少なくとも1つの上部除去ロール(42a、42b)の前記剛毛よりも硬い/剛性が高い、および/または短い、および/または直径が大きい剛毛を支持する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの下部および/または上部除去ロール(41a、41b)、(42a、42b)が、それらからデブリおよび/または液体を除去するためのドクターブレード(43b)を備える、請求項19~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの上部および/または下部除去ロールが、ブラシロール、および/または布ロール、および/または織物スリーブを有するブラシを備える、請求項19~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの上部および/または下部除去ロールが、第1の上部および/または下部ロールと、前記第1の上部および/または下部ロールの下流にある第2の上部および/または下部ロールとを備え、かつ前記洗浄セクションが、前記第1の上部および/または下部ロールに液体を塗布するように、好ましくはさらに前記第2の上部および/または下部ロールを動作中に濡れ状態に保つように構成された液体塗布手段(90a、90b、91a)を備える、請求項19~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記洗浄セクション(40)が、前記レリーフ前駆体の背面側から液体を除去するために装着された液体除去案内体(45)を備え、前記搬送機構が、動作中に液体が前記背面側から除去されるように、前記レリーフ前駆体が前記移送方向に移動している間に、前記液体除去案内体(45)の上で前記液体除去案内体に対して前記レリーフ前駆体を引っ張るように構成される、請求項19~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記第2のブラシの上方に配置され、前記第2のブラシの前記剛毛が前記スクイーズ要素を通過した後でまっすぐになる際に、前記第2のブラシから飛び出す液体を停止させて案内するように構成されたシールド(85)をさらに備える、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記搬送機構には、前記レリーフ前駆体の前縁に連結されるように構成された移送バーが設けられ、前記搬送機構が、前記第1および第2のブラシの下方の前記ハウジングを通して、前記連結されたレリーフ前駆体を有する前記移送バーを移送するように構成される、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の装置と、前記装置の上流に配置され、前記前駆体を電磁放射線に露光するように構成された露光手段、前記装置の下流に配置された乾燥手段、後露光手段、および切断手段のうちのいずれか1つ以上とを備えるシステム。
【請求項29】
レリーフ前駆体(P)を液体で処理する方法であって、
移送方向(T)に支持平面に沿って、前記レリーフ前駆体を移送するステップと、
少なくとも第1のブラシ(31)、および前記第1のブラシの下流に配置され、剛毛を有する回転軸線を有する第2のブラシ(32)を使用して、前記レリーフ前駆体を液体で処理するステップであって、
前記第2のブラシによる前記処理の間、前記剛毛がしごかれて液体が前記第2のブラシから除去されるように、前記剛毛に圧力が生成される、ステップと
を含む、方法。
【請求項30】
前記圧力が、前記剛毛を20°を超える、好ましくは40°を超える、より好ましくは60°を超える角度にわたって曲げることによって生成される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記圧力が、半径方向距離(d)にわたって前記第2のブラシの前記剛毛内に延在するスクイーズ要素を有することによって生成され、前記半径方向距離が、前記剛毛の前記長さ(L)の少なくとも15%である、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記処理中に、前記第2のブラシが、前記剛毛が前記レリーフ前駆体に接触するときに、前記剛毛が上流方向に移動するような方向に回転し、かつ前記圧力が、前記剛毛が前記レリーフ前駆体から離れるように移動する間に生成される、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記処理中、前記第2のブラシが、0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で回転する、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記処理の後に、1つ以上の上部および/または下部ロールを使用して、前記レリーフ前駆体からデブリおよび/または液体を除去するステップをさらに含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記除去が、少なくとも1つの下部ロールに対向して配置された少なくとも1つの上部ロールを使用して行われ、かつ前記少なくとも下部ロールが、前記少なくとも1つの上部ロールよりも高い圧力を前記レリーフ前駆体に加える、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記処理が、前記第1のブラシに液体を塗布し、かつ前記第2のブラシに液体を実質的に塗布しない工程を含む、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明の分野は、レリーフ前駆体、特に印刷版前駆体を液体で処理するための装置および方法に関する。
【背景】
【0002】
レリーフ構造は、画像情報を画像形成可能層に転写し、画像形成可能層の一部を除去することによって作製することができる。次いで、形成されたレリーフを使用して、印刷ステップにおいて基材上に情報を転写することができる。レリーフ前駆体の例は、印刷版前駆体である。デジタル画像形成可能な可撓性印刷版前駆体が公知であり、典型的には、少なくとも寸法的に安定な支持層、光重合性層およびデジタル画像形成可能層を含む。デジタル画像形成可能層は、例えばレーザー照射可能層であってもよい。従来の印刷版前駆体の場合、デジタル画像形成可能層は、光重合性層に取り付けられたマスクによって置き換えられる。
【0003】
既存の方法によれば、印刷版レリーフ前駆体から印刷版を製造するために、まず、印刷される画像データに基づいてデジタル画像形成可能層にマスクが書き込まれる。マスクの書き込み後、版は、光重合性層がマスクによって覆われていない領域で重合を受けるように、放射線を用いてマスクを介して露光される。露光後、マスクおよび非重合部分の残留物を除去しなければならない。これは、典型的には複数のブラシワッシャを有する処理セクションを備えるワッシャ装置内で、1つ以上の液体を用いて行うことができる。
【0004】
印刷版前駆体のためのワッシャ装置が公知である。典型的には、移送バーが、そのようなワッシャ装置を通して印刷版前駆体を移動させるために使用される。この目的のために、印刷版前駆体の前縁が移送バーに連結される。連結された版を有する移送バーは、ワッシャ装置の入口ポートに運ばれる。移送バーは、出口ポートにおいてワッシャ装置から出て、そこでさらなる処理のために回収される。このさらなる処理は、印刷版をオーブン内に載置することからなり得る。オーブン内に載置されると、印刷版は、典型的には、その背面側で支持される。ワッシャ装置は、典型的には、版を液体で処理するための処理セクションと、版からデブリおよび/または液体を除去するための洗浄セクションとを備える。版が処理セクションを出るとき、版、特に版のレリーフ側は依然として非常に濡れている可能性があり、洗浄セクションでそのような濡れた版を洗浄することは困難である。
【概要】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、レリーフ前駆体の改善された洗浄および乾燥を可能にする、レリーフ前駆体を処理するための装置および方法を提供することである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、レリーフ前駆体、典型的にはレリーフ前駆体版を液体で処理するための装置が提供される。装置は、ハウジングと、ハウジングを通して移送方向に、支持平面に沿ってレリーフ前駆体を移送するように構成された搬送機構と、処理セクションとを備える。処理セクションは、レリーフ前駆体を液体で処理するように構成される。処理セクションは、レリーフ前駆体を処理するためにハウジング内に配置された複数のブラシを備える。複数のブラシは、第1のブラシと、移送方向に見て第1のブラシの下流に配置され、剛毛を有する回転軸線を有する第2のブラシとを少なくとも備える。処理セクションは、第2のブラシの剛毛をしごくように配置されたスクイーズ要素をさらに備える。スクイーズ要素は、半径方向距離にわたって第2のブラシの剛毛内に延在し、前記半径方向距離は、剛毛の長さの少なくとも15%である。
【0007】
このようにして、第2のブラシに沿って通過するレリーフ前駆体から取り出された液体は、スクイーズ要素によって部分的に除去され、第2のブラシがより一層液体で満たされることが回避される。このようなスクイーズ要素を使用することにより、典型的には処理セクションの下流の洗浄セクションにレリーフ前駆体が比較的濡れた状態で入る従来技術のシステムと比較して、第2のブラシの下流のレリーフ前駆体上の液体の量が大幅に低減される。本発明者らは、レリーフ前駆体が処理セクションを出るときのレリーフ前駆体の濡れ具合を低減することによって、洗浄後に改善された洗浄結果を得ることが可能であることを発見した。レリーフ前駆体は比較的乾燥した状態で処理セクションを出るので、洗浄セクションでより多くの液体を添加することができ、ゲル部分をより効果的に除去することができ、その結果、清浄で光沢のある/研磨された状態で洗浄セクションを出るレリーフ前駆体が得られる。
【0008】
スクイーズ要素は、典型的なドクターブレードと同じようには機能しないことにさらに留意されたい。低速、例えば0.5~10rpmの速度で回転するブラシでは、遠心力がそのような速度では低すぎるため、典型的なドクターブレードは効果的に使用することができない。また、典型的なドクターブレードは、剛毛の長さの15%よりも大きい半径方向距離にわたってブラシ内に延在しない。ドクターブレードは、典型的には、少なくとも100rpmの速度で良好に機能する。
【0009】
好ましくは、第2のブラシは、処理セクションの複数のブラシのうちの最下流ブラシである。しかしながら、複数の異なる液体が使用される処理セクション、または最初に使用された液体および次の新鮮な液体が使用される処理セクションでは、第2のブラシはまた、レリーフ前駆体が第1の液体または使用済みの液体で処理される第1のセクションの最後のブラシであってもよく、その際、レリーフ前駆体は、第2のセクションにおいて第2の液体または新鮮な液体で処理される。これは、第2の液体または新鮮な液体が第1の液体または使用済みの液体で汚染されることを回避するために好適であり得る。さらに他の実施形態では、他の目的、例えば測定を実行するために、処理セクションの異なる位置でレリーフ前駆体から液体を除去することが望ましい場合がある。
【0010】
好ましくは、第2のブラシは、剛毛がレリーフ前駆体に接触すると、剛毛が上流方向に移動するような方向に回転するように構成され、スクイーズ要素は、剛毛がレリーフ前駆体から離れるように移動する間に剛毛をしごくように配置される。この位置でしごくことにより、特別な液体排出システムは必要とされず、除去された液体は、単にスクイーズ要素および/または第2のブラシから落下して、複数のブラシの下方のリザーバで収集することができる。
【0011】
好ましくは、第1のブラシおよび第2のブラシは、支持平面の上方に配置される。典型的には、レリーフ前駆体のレリーフ側は、レリーフ前駆体の上側であり、この側は、従来技術のシステムでは濡れすぎて出てくることが多い。しかしながら、第1のブラシおよび第2のブラシはまた、支持平面の下方に配置されてもよく、レリーフ前駆体の背面側の乾燥を改善するために使用されてもよい。また、レリーフ前駆体のレリーフ側および背面側の両方の乾燥を改善するために、支持平面の上下にスクイーズ要素を有する第2のブラシを設けてもよい。
【0012】
好ましくは、第1のブラシは、第2のブラシのすぐ上流に配置され、かつ剛毛がレリーフ前駆体に接触すると、剛毛が下流方向に移動するような方向に回転するように構成される。例えば、移送方向が左から右である場合、第1のブラシは反時計回りに回転し、第2のブラシは時計回りに回転することができる。このようにして、レリーフ前駆体の表面に見られるように、第1のブラシは、レリーフ前駆体と同じ方向に移動し、第2のブラシは、レリーフ前駆体と反対方向に移動し、第1のブラシの下流のレリーフ前駆体に残っている液体を除去する。
【0013】
好ましくは、第2のブラシの軸線に垂直な断面で見ると、スクイーズ要素は、支持平面内の点と、支持平面から上流側に離れた点との間の仮想円のセグメント(α)内で第2のブラシの外周を画定する仮想円と重なり合う。このセグメントは、160°未満、好ましくは120°未満、より好ましくは90°未満の角度を有し得る。このセグメントにスクイーズ要素を配置することにより、複雑な構造を必要とせずに、液体のスクイーズおよび除去を簡単で効果的かつ堅牢な方法で行うことができる。
【0014】
好ましくは、第2のブラシの回転軸線は支持平面に平行に配置され、かつスクイーズ要素は回転軸線に平行に配置されて、第2のブラシの実質的に全長にわたって延在する。このようにして、第2のブラシのほぼ全長にわたって、第2のブラシから液体を効果的に除去することができる。
【0015】
可能な実施形態では、スクイーズ要素は動作中に静止している。しかしながら、第2のブラシの軸線に平行な軸線の周りに回転可能にスクイーズ要素を装着することも可能であり、それにより、スクイーズ要素は動作中に自由に回転することができる。後者の実施形態は、第2のブラシの剛毛とスクイーズ要素との間の力を低減することができ、第2のブラシの寿命を延ばすことができる。液体をさらに効率的に除去するために、スクイーズ要素をいずれかの方向に能動的に回転させることもできる。
【0016】
好ましくは、スクイーズ要素は、20°よりも大きい、好ましくは30°よりも大きい、より好ましくは45°よりも大きい、またはさらに60°よりも大きい角度にわたって第2のブラシの剛毛を曲げるように構成される。剛毛をそのような大きな角度にわたって曲げることによって、剛毛が効果的にしごかれ、第2のブラシから液体が良好に除去される。
【0017】
可能な実施形態では、スクイーズ要素は、バーまたはプレート状要素であり、好ましくは、少なくともスクイーズ要素が第2のブラシの剛毛と接触する領域に丸みを帯びた部分または湾曲した部分を有する。
【0018】
好ましくは、スクイーズ要素はロッドであり、円形または楕円形の断面を有する。これは、スクイーズ要素によって剛毛に加わる力が十分に分散され、剛毛の寿命を著しく減少させないという利点を有する単純で堅牢な解決策である。しかしながら、多角形、例えば三角形もしくは長方形、もしくは半円形、またはそれらの組み合わせなどの他の形状も使用することができる。さらに他の実施形態では、スクイーズ要素には、第2のブラシに追加の振動および/または揺動および/またはスクイーズ効果を引き起こすための突起またはリブが設けられてもよい。
【0019】
好ましくは、スクイーズ要素が剛毛内に延在する半径方向距離は、剛毛の長さの20%~60%、好ましくは長さの25%~50%である。このような割合は、効果的にしごき、効果的に液体を除去することを可能にする。
【0020】
例示的な実施形態では、処理セクションは、第1のブラシに液体を供給するように構成された液体供給手段を備え、好ましくは、第2のブラシには液体が実質的に塗布されない。
【0021】
例示的な実施形態では、装置は、スクイーズ要素を、第1の動作位置と前記第2のブラシから離れた第2の非動作位置との間で移動させるように構成された移動手段をさらに備える。このようにして、スクイーズ要素は、必要でないときに第2のブラシから離れるように移動することができる。このようにして、スクイーズ要素の存在に起因する第2のブラシの剛毛の永久的または一時的な変形を低減または回避することができる。
【0022】
例示的な実施形態では、移動手段はクランク機構を備える。しかしながら、任意の他の適切な移動手段を使用することもできる。移動手段は、ユーザが第2の非動作位置にスクイーズ要素を手動で置くことを可能にしてもよく、または自動的に制御されてもよい。
【0023】
例示的な実施形態では、装置は、装置がオフにされたとき、および/または処理セクションが動作していないとき、および/または第2のブラシが動作していないときに、スクイーズ要素が第2の非動作位置に移動するように、移動手段を制御するように構成された制御手段をさらに備える。
【0024】
例示的な実施形態では、剛毛は、10~80mm、好ましくは20mm~50mmの長さを有する。好ましくは、第2のブラシは、80~120mmの外径を有する。好ましくは、第2のブラシの剛毛は、0.05~5mm、より好ましくは0.1~0.5mmの直径を有する。好ましくは、スクイーズ要素が第2のブラシ内に延在する半径方向距離は、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも8mmである。
【0025】
例示的な実施形態では、複数のブラシは、異なる剛毛直径を有するブラシを含むことができる。例えば、直径は下流方向に向かって減少してもよい。例えば、10個を超えるブラシを有する装置では、2つまたは3つの異なる剛毛直径を使用することができる。
【0026】
複数のブラシは、同じであっても異なっていてもよく、直径、剛毛の剛性もしくは硬度、剛毛の密度、剛毛の厚さ、剛毛の材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、動物の毛のような天然剛毛、植物繊維、またはそれらの組み合わせ)、剛毛の配置(螺旋状または直線状)、剛毛の長さおよび形状(例えば、円形、楕円形または長方形または六角形の断面)、またはそれらの組み合わせが異なっていてもよい。ブラシの攻撃性の強さ(高い攻撃性は材料の大部分の除去に関連する)は、プロセスの開始時の高い攻撃性から終了時の低い攻撃性に、またはその逆に変化させることによって変動してもよい。
【0027】
好ましくは、装置は、0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で第2のブラシを回転させるように、および/または0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの間の速度で第1のブラシを回転させるように構成された作動手段をさらに備える。好ましくは、第2のブラシの速度は、第1のブラシの速度よりも速い。より好ましくは、第2のブラシと第1のブラシとの速度差は、少なくとも0.5rpmである。例えば、第1のブラシの速度は0.2~2rpmであり、第2のブラシの速度は1~5rpmである。
【0028】
例示的な実施形態では、複数のブラシは、10個を超えるブラシを含む。好ましくは、作動手段は、複数のブラシの他のブラシよりも速く第2のブラシを回転させるように構成される。
【0029】
例示的な実施形態では、装置は、第2のブラシの上方に配置され、第2のブラシの剛毛がスクイーズ要素を通過した後でまっすぐになる際に、第2のブラシから飛び出す液体を停止させて案内するように構成されたシールドをさらに備える。好ましくは、シールドは、第1のブラシに向かって下方に傾斜し、第1のブラシ上に部分的に延在し、それにより、シールドに到達する液体は、シールドに沿って第1のブラシの上方の領域に流れ、第1のブラシ上に滴下する。シールドは、第2のブラシの最上流側半分の上方から第1のブラシの最下流側半分の上方の点まで延在することができる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、装置は、レリーフ前駆体からデブリおよび/または液体を除去するための洗浄セクションをさらに備える。洗浄セクションは、処理セクションの下流に配置される。
【0031】
例示的な実施形態によれば、洗浄セクションは、レリーフ前駆体の背面側と接触して回転するように配置された少なくとも1つの下部除去ロール、および/またはレリーフ前駆体のレリーフ側と接触して回転するように配置された少なくとも1つの上部除去ロールを備え、好ましくは、少なくとも1つの上部除去ロールは、支持平面の両側で、少なくとも1つの下部除去ロールに対向して配置される。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つの下部除去ロールは、少なくとも1つの上部除去ロールの剛毛よりも硬いおよび/もしくは剛性の高い、ならびに/または短い剛毛を支持する。このようにして、下部除去ロールは、上部除去ロールよりも高い圧力をレリーフ前駆体に加えることができる。このようにして、レリーフ前駆体の背面側の乾燥をさらに改善することができる。
【0033】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの下部および/または上部除去ロールには、それらからデブリおよび/または液体を除去するためのドクターブレードが設けられる。
【0034】
好ましくは、装置は、少なくとも1つの上部および/または下部除去ロールを0.2~20rpm、好ましくは1~10rpm、例えば1~5rpmの速度で回転させるように構成された作動手段をさらに備える。上部除去ロールと下部除去ロールの回転速度は若干異なっていてもよい。
【0035】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの上部および/または下部除去ロールは、ブラシロール、および/または布ロール、および/または織物スリーブを有するブラシを備える。
【0036】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの上部および/または下部除去ロールは、第1の上部および/または下部ロールと、第1の上部および/または下部ロールの下流にある第2の上部および/または下部ロールとを備え、洗浄セクションは、第1の上部および/または下部ロールに液体を、例えば噴霧することによって塗布するように構成され、かつ好ましくは第2の上部および/または下部ロールを動作中に濡れ状態に保つようにも構成された液体塗布手段を備える。上部および/または下部除去ロール上に液体を塗布することによって、レリーフ前駆体からのデブリの除去がさらに促進される。
【0037】
例示的な実施形態によれば、洗浄セクションは、レリーフ前駆体の背面側から液体を除去するために装着された液体除去案内体を備え、搬送機構は、動作中に液体が背面側から除去されるように、レリーフ前駆体が移送方向に移動している間に、前記液体除去案内体の上で前記液体除去案内体に対して前記レリーフ前駆体を引っ張るように構成される。このような液体除去案内体はまた、レリーフ前駆体内の任意の孔、例えば移送バーのピンが配置されたピン孔から液体を除去するのに役立つことができる。そのような液体除去案内体は、参照により本明細書に含まれる出願人名義の特許出願PCT/欧州特許第2020/060167号に詳細に記載されている。
【0038】
例示的な実施形態によれば、搬送機構には、レリーフ前駆体の前縁に連結されるように構成された移送バーが設けられ、搬送機構は、第1および第2のブラシの下方のハウジングを通して、連結されたレリーフ前駆体を有する移送バーを移送するように構成される。
【0039】
好ましくは、スクイーズ要素は金属製である。好ましい金属は、鋼、ステンレス鋼、アルミニウムおよびその合金、チタンおよびその合金、真鍮、またはそれらの組み合わせである。しかしながら、セラミック、ガラス、または炭素繊維強化プラスチックなどのいくつかのプラスチックも、使用される圧力および液体に耐えるのに適している。
【0040】
好ましくは、装置は、少なくとも1つの液体を保持するための少なくとも1つの区画を備える。例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの液体区画は、少なくとも2つの液体のための少なくとも2つの液体区画を備え、前記少なくとも2つの液体は同じまたは異なる。使用される少なくとも1つの液体の性質は、処理されるレリーフ前駆体に応じて選択されてもよい。例えば、水性ウォッシュアウト媒体および/もしくは有機ウォッシュアウト媒体またはそれらの組み合わせを使用してもよい。
【0041】
例示的な実施形態によれば、ハウジングは、移送方向に見てハウジングの両側に位置する入口ポートおよび出口ポートを有する。
【0042】
例示的な実施形態によれば、搬送機構は、エンドレスベルト、エンドレスチェーン、リードスクリュー、リニアモータ、吸引手段を有する可動手段、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む群から選択される。搬送機構が2つのリードスクリューを備える場合、移送バーの端部には、リードスクリューに連結されるように適合された窪みが設けられてもよい。
【0043】
例示的な実施形態によれば、搬送機構は、ハウジングを通して、張力がかけられた状態でレリーフ前駆体を引っ張るように構成される。レリーフ前駆体は、装置を通して引っ張られるときに複数の基部に支持されてもよい。例えば、処理手段によって処理されている間にレリーフ前駆体が支持されるハウジング内に複数のテーブルまたは穿孔プレートが設けられてもよい。
【0044】
例示的な実施形態によれば、処理セクションは、レリーフ前駆体のレリーフ側および/または背面側を処理するように構成され、任意選択的に、処理セクションは、回転処理手段、振動処理手段、噴霧手段、すすぎ手段、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上をさらに備える。
【0045】
本発明の別の態様によれば、先の実施形態のいずれか1つによる装置と、装置の上流に配置され、レリーフ前駆体を電磁放射線に露光するように構成された露光手段、装置の下流に配置された乾燥手段、後露光手段、および切断手段のうちのいずれか1つ以上とを備えるシステムが提供される。
【0046】
本発明の別の態様によれば、レリーフ前駆体(P)を液体で処理する方法が提供される。本方法は、支持平面に沿って移送方向にレリーフ前駆体を移送するステップと、少なくとも第1のブラシ、および第1のブラシの下流に配置され、剛毛を有する回転軸線を有する第2のブラシを使用して、レリーフ前駆体を液体で処理するステップとを含む。第2のブラシで処理する間、剛毛がしごかれ、液体が第2のブラシから除去されるように、剛毛に圧力が生成される。
【0047】
好ましくは、圧力は、剛毛を20°を超える、好ましくは40°を超える、より好ましくは60°を超える、またはさらには90°を超える角度にわたって曲げることによって生成される。
【0048】
好ましくは、圧力は、半径方向距離(d)にわたって第2のブラシの剛毛内に延在するスクイーズ要素を有することによって生成され、前記半径方向距離は、剛毛の長さ(L)の少なくとも15%である。
【0049】
好ましくは、処理中に、第2のブラシは、剛毛がレリーフ前駆体に接触するときに、剛毛が上流方向に移動するような方向に回転し、圧力は、剛毛がレリーフ前駆体から離れるように移動する間に生成される。
【0050】
好ましくは、処理中、第2のブラシは、0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で回転する。
【0051】
任意選択的に、方法は、処理の後に、1つ以上の上部および/または下部ロールを使用して、レリーフ前駆体からデブリおよび/または液体を除去するステップをさらに含む。
【0052】
好ましくは、除去は、少なくとも1つの下部ロールに対向して配置された少なくとも1つの上部ロールを使用して行われ、かつ少なくとも下部ロールは、少なくとも1つの上部ロールよりも高い圧力をレリーフ前駆体に加える。
【0053】
好ましくは、処理は、第1のブラシに液体を塗布することと、第2のブラシに液体を実質的に塗布しないこととを含む。
【0054】
装置について上述した特徴および利点は、本方法にも等しく適用可能である。
【0055】
本発明の別の態様によれば、液体でレリーフ前駆体を処理するための装置が提供され、前記装置は、
ハウジングと、
支持表面に沿って移送方向に、ハウジングを通してレリーフ前駆体を移送させるように構成された搬送機構と、
レリーフ前駆体を液体で処理するための処理セクションであって、レリーフ前駆体を処理するためにハウジング内に配置された複数のブラシを備える、処理セクションと、
処理セクションの下流に配置された、レリーフ前駆体からデブリおよび/または液体を除去するための洗浄セクションであって、レリーフ前駆体の背面側と接触して回転するように配置された下部除去ロール、およびレリーフ前駆体のレリーフ側と接触して回転するように配置された上部除去ロールを備え、上部除去ロールが、支持平面の両側で、下部除去ロールに対向して配置され、下部除去ロールが、上部除去ロールよりも高い圧力をレリーフ前駆体に加えるように構成される、洗浄セクションと
を備える。
【0056】
このようにして、レリーフ前駆体の背面側の乾燥を改善することができ、下部除去ロールは改善された研磨効果を生成することができる。
【0057】
例示的な実施形態では、上部および下部除去ロールは、直径の差を有する剛毛を有し、好ましくは直径の差は0.05mmより大きく、より好ましくは0.07mmより大きく、例えば0.1mmより大きい。例えば、上部除去ロールは、0.1~0.2mmの直径を有する剛毛を有してもよく、下部除去ロールは、0.25~0.5mmの直径を有してもよい。
【0058】
例示的な実施形態では、上部および下部除去ロールは、硬度または剛性に差を有する剛毛を有する。同じ材料から作られた剛毛の剛性は直径に依存し、直径が大きくなるほど剛性が高くなる。異なる材料および同じ直径から作られた剛毛の剛性は、材料の曲げ強度に依存する。有用な剛毛材料の曲げ強度は、ASTM D790によると、40~300MPaの範囲にある。例示的な実施形態では、上部および下部除去ロールは、少なくとも5MPa、例えば少なくとも10MPaのASTM D790による曲げ強度の差を有する剛毛を有する。
【0059】
例示的な実施形態では、上部および下部除去ロールは、長さの差を有する剛毛を有する。例示的な実施形態では、上部および下部除去ロールは、少なくとも5mmの長さの差を有する剛毛を有する。
【0060】
例示的な実施形態によれば、装置は、搬送機構、処理セクション、洗浄セクション、および移動手段のうちの1つ以上を制御するように構成された制御手段をさらに備える。当然のことながら、装置の他の構成要素も、同じ制御手段または異なる制御手段によって制御されてもよい。制御手段は、それらの状態の情報を取得するために、および/またはそれらの動作を制御するために、装置の任意の構成要素(例えば、モータ、ギヤ、センサ、ポンプ、光源、スイッチ)に接続されてもよい。ステータス情報は、オペレータのために視覚化されてもよく、データを記録および分析することができるように電子的に記憶されてもよい。さらに、制御手段は、オペレータからの命令を受け入れ、これらを異なる構成要素に通信することができる。命令は、特定の順序で単一の命令または命令のセットとして与えられてもよく、電子的に生成および記憶されてもよい。制御手段は、コンピュータもしくはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)、視覚化のための画面もしく他の手段、スピーカおよび/もしくはマイクロフォン、または通信のための他の手段を備えることができる。
【0061】
好ましい実施形態によれば、レリーフ前駆体は、移送バーを使用して、ハウジングを通して引っ張られる。移送バーには、レリーフ前駆体の前縁に連結することができる複数の連結要素を設けることができる。そのために、ハウジングの入口ポートに版連結ステーションを設けることができる。また、版分離ステーションおよび版排出ゾーンが設けられてもよい。版排出ゾーンは、レリーフ前駆体が版分離ステーション内の移送バーから分離される前に版排出ゾーン内のハウジングから完全に引き出されるように、ハウジングの出口ポートと版分離ステーションとの間に位置してもよい。
【0062】
好ましい実施形態によれば、搬送機構は、少なくともハウジングの入口ポートから出口ポートへ、および出口ポートから版分離ステーションに、連結されたレリーフ前駆体を有する移送バーを移送するように構成された順方向移送機構を備える。また、搬送機構は、連結されたレリーフ前駆体を有する移送バーを順方向移送機構に連結するように構成されたバー連結手段を備えてもよい。順方向移送機構は、ハウジングの第1および第2の対向する側にそれぞれ延在する第1および第2の順方向移送機構を備えることができる。第1および第2の順方向移送機構は、移送バーの第1および第2の端部にそれぞれ連結され、移送バーの第1および第2の端部がそれぞれ第1および第2の反対側に沿って移動する間に、移送バーを入口ポートから出口ポートに移送するように構成される。2つの順方向移送機構を使用することは、ハウジングを通して移送バーを非常に安定して移送させることができるという利点を有する。好ましい実施形態によれば、第1および/または第2の順方向移送機構は、第1および/または第2のリードスクリューを備え、移送バーの第1および/または第2の端部には、第1および/または第2のリードスクリューにそれぞれ連結されるように構成された第1および/または第2の連結部が設けられる。リードスクリューの使用は、移送バーの端部への簡単で堅牢な連結および分離を可能にするという利点を有する。別の実施形態によれば、第1および/または第2の順方向移送機構は、第1および/もしくは第2のチェーンもしくはベルトもしくはリニアモータまたはそれらの組み合わせを含み、移送バーの第1および/または第2の端部には、第1および/または第2のチェーンまたはベルトまたはリニアモータにそれぞれ連結されるように構成された第1および/または第2の連結部が設けられる。
【0063】
任意選択的に、移送バーを版分離ステーションから版連結ステーションに戻すように移送するように構成された逆方向搬送機構が設けられてもよい。
【0064】
添付の図面は、本発明の装置および方法の現在好ましい非限定的な例示的な実施形態を説明するために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、添付の図面と併せて読むと、より明らかになり、本発明は以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】レリーフ前駆体を液体で処理するための装置の例示的な実施形態の概略側面図である。
【
図1B】レリーフ前駆体を処理するための装置の別の例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図2A】スクイーズ要素が動作状態にある、
図1Aの例示的な実施形態の装置の一部の詳細な側面図である。
【
図2B】スクイーズ要素が非動作状態にある
図2Aの図に対応する図である。
【
図3A】スクイーズ要素および関連する第2のブラシの異なる可能な配置を断面で概略的に示す図である。
【
図3B】スクイーズ要素および関連する第2のブラシの異なる可能な配置を断面で概略的に示す図である。
【
図3C】スクイーズ要素および関連する第2のブラシの異なる可能な配置を断面で概略的に示す図である。
【
図3D】スクイーズ要素および関連する第2のブラシの異なる可能な配置を断面で概略的に示す図である。
【
図3E】スクイーズ要素および関連する第2のブラシの異なる可能な配置を断面で概略的に示す図である。
【
図3F】スクイーズ要素および関連する第2のブラシの異なる可能な配置を断面で概略的に示す図である。
【
図4A】スクイーズ要素の移動手段を示す、
図2Aおよび
図2Bの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図4B】スクイーズ要素の移動手段を示す、
図2Aおよび
図2Bの例示的な実施形態の側面図である。
【
図5】液体除去案内バーを有する洗浄セクションの例示的な実施形態の一部の側面図である。
【
図6】本発明の実施形態での使用に適した移送バーおよびリードスクリューの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態での使用に適した移送バーおよびリードスクリューの例示的な実施形態の斜視図である。
【実施形態の詳細な説明】
【0066】
図1Aおよび
図1Bは、印刷版前駆体Pなどのレリーフ前駆体Pを、少なくとも1つの液体で処理するための装置1000を概略的に示す。装置1000は、レリーフ前駆体を少なくとも1つの液体で洗い流し、その後、レリーフ前駆体から液体および/またはデブリを除去するための洗浄装置である。
図1Aは、第1の例示的な実施形態を示し、
図1Bは、同じまたは類似の構成要素が同じ参照番号で示されている第2の例示的な実施形態を非常に概略的に示す。
【0067】
装置1000は、ハウジング10と、少なくとも1つの液体を保持する少なくとも1つの区画20と、ハウジング10内に配置され、少なくとも1つの液体でレリーフ前駆体Pを処理する処理セクション30と、好ましくは張力をかけた状態で、ハウジング10を通る移送方向Tにレリーフ前駆体Pを移送するように構成された搬送機構50(
図1Bに概略的に示す)とを備える。
【0068】
装置1000は、レリーフ前駆体Pからデブリおよび液体を少なくとも部分的に除去するための洗浄セクション40をさらに備える。好ましくは、洗浄セクション40はハウジング10内に配置される。洗浄セクション40は、処理セクション30の下流に配置される。ハウジング10は、移送方向Tに見てハウジング10の両側に位置する入口ポート11および出口ポート12を有する。少なくとも1つの液体区画20は、少なくとも2つの液体のための少なくとも2つの液体区画を含むことができ、前記少なくとも2つの液体は同じまたは異なる。搬送機構50は、少なくとも1つのエンドレスベルト、少なくともエンドレスチェーン、少なくとも1つのリードスクリュー(
図7に示す)、少なくとも1つのリニアモータ、吸引手段を有する可動手段、またはそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。
【0069】
レリーフ前駆体Pは、背面側Pbおよびレリーフ側Prを有する(例えば、
図1Bおよび
図2Aを参照)。典型的には、レリーフ側は、マスクを介して露出された、またはアブレーションされた側であり、背面側は、露出した床、すなわち背面側の全面にわたって延在する露出層が配置され得る支持材料を有する側である。処理セクション30は、レリーフ前駆体Pのレリーフ側Prおよび/または背面側Pbを処理するように構成される。処理セクション30は、回転処理手段、振動処理手段、噴霧手段、すすぎ手段、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上を備えることができ、より具体的には、円筒形の回転ブラシ、平坦な回転ブラシ、振動する円筒形もしくは平坦なブラシ、またはそれらの組み合わせである。
【0070】
処理セクション30および洗浄セクション40の最も下流の端部は、
図2Aおよび
図2Bにより詳細に示されている。処理セクション30は、
図1Aに示すようにハウジング10内に配置された複数のブラシを備え、
図2Aにより詳細に示すように、複数のブラシは、第1のブラシ31と、第1のブラシ31の下流に配置され、剛毛を有する回転軸線を有する第2のブラシ32とを備える。第2のブラシ32は、第2のブラシ32から液体を除去するために、第2のブラシの剛毛をしごくように配置され構成されたスクイーズ要素35に関連付けられている。スクイーズ要素35の動作を明確にするためにいくつかの剛毛が概略的に示されているが、当業者は、これが単に概略的な簡略図であることを理解する。スクイーズ要素35は、半径方向距離(d)にわたって第2のブラシの剛毛内に延在し、前記半径方向距離は、剛毛の長さ(L)の少なくとも15%である。これは、
図3A~
図3Fを参照して以下でさらに説明される。第2のブラシ32の回転軸線32aは支持平面に平行に配置され、かつスクイーズ要素35は回転軸線32aに平行に配置されて、第2のブラシ32の実質的に全長にわたって延在する(
図4Aも参照)。
【0071】
図示の実施形態では、第2のブラシ32は、処理セクション30の複数のブラシのうちの最下流ブラシであるが、概要で説明したように、他の位置で同様の構成が使用されてもよいことが理解されよう。第2のブラシ32は、剛毛がレリーフ前駆体に接触すると、剛毛が上流方向に移動するような方向(ここでは時計回りの方向)に回転するように構成され、スクイーズ要素35は、剛毛がレリーフ前駆体Pから離れるように移動する間に剛毛をしごくように配置される。図示の実施形態では、第1のブラシ31および第2のブラシ32は、支持平面の上方に配置され、レリーフ前駆体Pのレリーフ側Prを処理するように意図されている。しかしながら、他の実施形態では、第1のブラシおよび第2のブラシは、支持平面の下方に配置されてもよく、レリーフ前駆体Pの背面側Pbを処理するように意図されてもよい。第1のブラシ31は、第2のブラシ32のすぐ上流に配置され、かつ剛毛がレリーフ前駆体に接触すると、剛毛が下流方向に移動するような方向(ここでは反時計回りの方向)に回転するように構成される。
【0072】
スクイーズ要素は、半径方向に対して20°よりも大きい、好ましくは30°よりも大きい、より好ましくは45°よりも大きい角度である角度βにわたって第2のブラシの剛毛を曲げるように構成される。これを
図2Cに示す。
【0073】
図2A~
図2Cの図示の実施形態では、スクイーズ要素35は、少なくともスクイーズ要素35が第2のブラシの剛毛と接触する領域に丸みを帯びたまたは湾曲した部分を有するバーである。ここで、バー35は単純な円形断面を有するが、概要で説明したように他の形状も可能であることを当業者は理解する。
【0074】
処理セクション30は、第1のブラシ31と第2のブラシ32との間に配置され、第1のブラシ31に液体を供給するように構成された液体供給手段80を備える。好ましくは、第2のブラシ32には、液体が塗布されない。液体供給手段80は、液体が入って区画を満たす入口81を有する区画を備えることができる。液体は、区画の上部ウェルに移動し、複数の出口孔(参照符号82で配置される)を通って出て、それにより、液体は第1のブラシ31上にゆっくりと滴下する。
【0075】
装置は、0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で第2のブラシ32を回転させるように、および/または0.2~10rpm、好ましくは0.3~5rpmの速度で第1のブラシを回転させるように構成された作動手段(図示せず)をさらに備え、好ましくは、第2のブラシの速度は第1のブラシの速度よりも速い。
処理セクション30は、第2のブラシ32の上方に配置され、第2のブラシの剛毛がスクイーズ要素35を通過した後でまっすぐになる際に、第2のブラシ32から飛び出す液体を停止させて案内するように構成されたシールド85をさらに備える。図示の実施形態では、
図2Cを参照すると、シールド85は、第1のブラシ31に向かって下方に傾斜し、第1のブラシ31の上に部分的に延在し、その結果、シールドに到達する液体は、シールド85に沿って第1のブラシ31の上方の領域に流れ、第1のブラシ31上に滴下する。これにより、第2のブラシ32の乾燥がより向上する。シールド85は、第2のブラシ32の最上流側半分の上方から第1のブラシ31の最下流側半分の上方の点まで延在することができる。
【0076】
図4Aおよび
図4Bに示すように、装置は、
図2Aに示す第1の動作位置と、
図2Bおよび
図4Bに示すような、第2のブラシ32から離れた第2の非動作位置との間でスクイーズ要素35を移動させるように構成された移動手段、ここではクランク機構70をさらに備える。好ましくは、装置がオフにされたとき、および/または処理セクション30が動作していないとき、および/または第2のブラシ32が動作していないときに、スクイーズ要素35が第2の非動作位置に移動するように、移動手段70を制御するための制御手段(図示せず)が設けられる。
【0077】
好ましくは、第2のブラシ32の剛毛は、10mm~80mm、好ましくは20mm~50mm、例えば20mm~30mmの長さを有する。好ましくは、第2のブラシ32は、80~120mmの外径を有する。好ましくは、第2のブラシ32の剛毛は、0.05~5mmの直径を有する。
【0078】
図3A~
図3Fは、スクイーズ要素35の異なる可能な実施形態を示す。第2のブラシ32の軸線32aに垂直な断面を示す
図3Aの実施形態では、スクイーズ要素35は、半径方向距離dにわたって第2のブラシ内に部分的に延在する丸みを帯びたバーである。半径方向距離dは、剛毛の長さLの20%~60%、好ましくは長さLの25%~50%である。スクイーズ要素35は、支持平面S内の点P1と、支持平面Sの上流側かつ支持平面Sから離れた点P2との間の仮想円のセグメント(α)内で第2のブラシ32の外周を画定する仮想円と重なり合い、前記セグメントは、160°未満、好ましくは120°未満、より好ましくは90°未満の角度を有する。好ましくは、半径方向距離dは、少なくとも5mm、より好ましくは少なくとも8mmである。
【0079】
図3Bの実施形態では、スクイーズ要素35は、90°未満の上記で定義されたセグメントα内の第2のブラシ32内に完全に位置する。
図3Cの実施形態では、スクイーズ要素35は、三角形の断面を有し、90°未満の上記で定義されたセグメントα内にも位置する。
図3Dは、
図3Aの実施形態と同様であるが、ここでは、スクイーズ要素35は、支持平面からさらに離れて位置するが、160°未満の上記で定義されたセグメントα内に依然として位置する。
図3Eの実施形態では、スクイーズ要素35は、湾曲したプレート状要素として成形されている。
図3Fは、
図3Aの実施形態と同様であり、スクイーズ要素35が、20°よりも大きい、好ましくは30°よりも大きい、より好ましくは45°よりも大きい半径方向に対する角度βにわたって第2のブラシ32の剛毛を曲げるように構成されることを示す。また、
図3B~
図3Fの実施形態では、好ましくは、ブラシ32への半径方向距離dは、剛毛の長さLの20%~60%、好ましくは長さLの25%~50%である。
【0080】
スクイーズ要素35が存在するため、版は、スクイーズ要素35のないシステムと比較して著しく乾燥する。これにより、以下に説明する洗浄セクション40でより多くの液体を使用することが可能になり、ゲル部分(いわゆる「鶏の足」ではない)の除去が改善される。得られた印刷版は、きれいに研磨された状態で洗浄セクション40から出る。
【0081】
図2Aおよび
図2Bに示すように、洗浄セクション40は、レリーフ前駆体Pのレリーフ側Prと接触して回転するように配置された少なくとも1つの上部除去ロール42a、42bと、レリーフ前駆体Pの背面側Pbと接触して回転するように配置された少なくとも1つの下部除去ロール41a、41bと、任意選択的に、レリーフ前駆体の背面側Pbから液体を除去するために装着された液体除去案内体45(
図2Aおよび
図2Bには示されていないが、
図5には示されている)とを備える。液体除去案内体45は、少なくとも1つの下部除去ロール41a、41bの下流に配置される。液体除去体45の仕事は、好ましくは傷を生じさせることなく、レリーフ前駆体Pの背面側Pbから液体を除去することであってもよい。このようにして、乾燥時間を短縮することができ、除去された液体を回収することができる。このような液体除去案内体45はまた、レリーフ前駆体内の任意の孔、例えば移送バー100のピンが配置されたピン孔から液体を除去するのに役立つことができる。
【0082】
各上部除去ロール42a、42bは、支持平面の両側で各下部除去ロール41a、41bに対向して配置されている。図示の実施形態では、2つのロール対が設けられている。レリーフ前駆体Pは、背面側Pbが下部ロール41aによってブラッシングおよび洗浄され、レリーフ側Prが上部ロール42aによってブラッシングおよび洗浄されるように、最初に第1のロール対41a、42aを通過する。この第1のロール対41a、42aは、最初のデブリ除去を伴う。次に、レリーフ前駆体Pは、背面側Pbが下部ロール41bによってさらにブラッシングおよび洗浄され、レリーフ側Prが上部ロール42bによってさらにブラッシングおよび洗浄され、さらなるデブリ除去を引き起こすように、第2のロール対41b、42bを通過する。各下部および上部除去ロール41a、41b、42a、42bには、動作中に回転除去ロールからデブリが除去されるように、ドクターブレード43a、43b、44a、44bを設けることができる。少なくとも1つの下部および/または上部除去ロール41a、41b、42a、42bは、ブラシロールおよび/または布ロールを備えてもよい。例えば、第2のロール対41b、42bは、第1のロール対41a、42aよりも柔らかいブラシを有してもよいが、第1のロール対と第2のロール対とは同じであってもよい。好ましくは、下部除去ロール41aおよび/または41bは、関連する上部除去ロール42aおよび/または42bよりも硬い/剛性が高い。任意選択的に、洗浄セクション40は、レリーフ前駆体Pからのデブリの除去を促進するために、少なくとも1つの上部および/または下部除去ロール41a、42a、42bに追加の液体を、例えば噴霧によって塗布する液体塗布手段90a、90b、91aをさらに備える(
図2Bを参照)。液体塗布手段90a、90b、91aは、噴霧孔を有する管として具体化されてもよい。図示の実施形態では、第1のセットのスプレーノズル90aは、第1の上部除去ロール42aに液体を塗布し、第2のセットのスプレーノズル90bは、第2の上部除去ロール42bに液体を塗布し、第3のセットスプレーノズルは、第1の下部除去ロール41aに液体を塗布する。第2の下部除去ロール42aは、第2の上部ロール42bを介して液体を受け取ってもよい。液滴がハウジング内を飛散するのを回避するために、さらなる中間壁部分49(
図5を参照)を設けてもよい。
【0083】
好ましくは、下部除去ロール41bおよび/または41aは、上部除去ロール42bよりも高い圧力をレリーフ前駆体に加えるように構成される。このようにして、レリーフ前駆体の背面側の乾燥を改善することができ、下部除去ロール41bおよび/または41aは、背面側に対して改善された研磨効果を生成することができる。例示的な実施形態では、上部および下部除去ロールは、直径の差を有する剛毛を有し、好ましくは直径の差は0.05mmより大きく、より好ましくは0.07mmより大きく、例えば0.1mmより大きい。例えば、上部除去ロールは、0.1~0.2mmの直径を有する剛毛を有してもよく、下部除去ロールは、0.25~0.5mmの直径を有してもよい。任意選択的に、上部および下部除去ロール42aおよび/または42b、41aおよび/または41bは、硬度または剛性の差を有する剛毛を有する。任意選択的に、上部および下部除去ロール42aおよび/または42b、41aおよび/または41bは、長さの差を有する剛毛を有する。
【0084】
図1Bに概略的に示すように、装置1000は、レリーフ前駆体Pに連結されるように意図された少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つの移送バー100を有する搬送機構50を備えてもよい。移送バー100は、レリーフ前駆体Pの前縁3に連結され、好ましくは、移送バー100の端部を搬送機構50に連結することができるように、前縁3の全長よりも長く延在する。複数のレリーフ前駆体Pを移送バー100に連結することも可能であることに留意されたい。好ましくは、移送バー100の長さは、100mm~1000mm、より好ましくは1000mm~4000mmである。移送バー100も
図6および
図7に示されていることに留意されたい。
【0085】
図1Bの装置1000は、レリーフ前駆体Pを移送バー100に連結するように構成された版連結ステーション300と、レリーフ前駆体Pが連結された移送バー100がハウジング10を通って移動する間に、レリーフ前駆体Pを少なくとも1つの液体で処理し、液体を除去するようにそれぞれ構成された処理セクション30(図示せず)および洗浄セクション40(図示せず)を有するハウジング10と、処理されたレリーフ前駆体Pを移送バー100から分離するように構成された版分離ステーション500とをさらに備える。任意選択的に、搬送機構50は移送システム50、230の一部であってもよく、移送システム50、230は、移送バー100が装置1000を通って閉ループで移動するように、各移送バー100を、版連結ステーション300内のレリーフ前駆体Pに連結した後、版連結ステーション300からハウジング10を通して版分離ステーション500に自動的に移動させ、そして、処理済みレリーフ前駆体Pから分離した後、版分離ステーション500から版連結ステーション300に戻すように構成される。
図1Bの図示の例では、4つの移送バー100が装置1000内を循環する。
【0086】
移送バー100の例示的な実施形態が、
図6に詳細に示されている。
図7は、移送バー100が第1のリードスクリュー210にどのように連結され得るかを示す。移送バー100は、第1のリードスクリュー210に連結されるように構成された第1の連結部121が設けられた第1の端部101と、第2のリードスクリューに連結されるように構成された第2の連結部122を有する第2の端部102とを有する。しかしながら、他の実施形態では、第1および/または第2の順方向移送機構210、220は、チェーンまたはベルトなどの他の移送手段を備えてもよく、第1および第2の連結部121、122はそれに応じて適合されてもよい。好ましい実施形態では、各移送バー100には、複数の貫通要素110(ここではピンまたはロッドの形態)が設けられ、版連結ステーション300は、レリーフ前駆体Pの前縁3付近の領域で複数の貫通要素110と係合するように構成される。
図1Bにおいて、レリーフ前駆体Pは、いずれも装置1000を通るレリーフ前駆体Pの順方向移送方向Tに垂直な前縁3および後縁4、ならびに順方向移送方向Tに平行な2つの側縁1、2を有する。レリーフ前駆体Pの前縁3付近の領域は、移送バー100の複数の貫通要素110に連結されている。
【0087】
ハウジング10は、入口ポート11および出口ポート12を有する。レリーフ前駆体Pが連結された移送バー100は、ハウジング10を通って入口ポート11から出口ポート12に移動し、移送バー100は、移送方向Tに移動する。出口ポート12と版分離ステーション500との間には、版排出ゾーン600が設けられてもよい。レリーフ前駆体Pは、分離ステーション500において移送バー100から分離される前に、搬送機構50によって第2の移送レベルL2で版排出ゾーン600のハウジング10から完全に引き出される。前縁が移送バー100によって保持され引き出されている間に、レリーフ前駆体Pの後縁を案内するための案内面65(
図5参照)が設けられてもよい。レリーフ前駆体Pが移送バー100から分離されると、レリーフ前駆体Pを版排出ゾーン600に排出することができる。版排出ゾーン600の底部には、版分離ステーション500において移送バー100から分離された後に処理済みレリーフ前駆体Pを除去するように構成された除去手段が設けられてもよい。図示の実施形態では、除去手段700は、処理済みレリーフ前駆体Pを版排出ゾーンから容易に移送することができるように、処理済みレリーフ前駆体Pを版排出ゾーン600に受け入れ、かつ版排出ゾーン600から移動させるように構成されたトロリーである。他の図示されていない実施形態では、除去手段700は、キャリア、ロボット、移動ベルト、少なくとも1つの回転ドラムなどであってもよい。また、そのようなデバイスは、版分離ステーション500で分離された後に処理済みレリーフ前駆体Pを版排出ゾーン600から移動させるように構成することができる。
【0088】
図1Bの実施形態では、搬送機構50は、装置1000の一方の側の第1の機構と、装置1000の他方の側の第2の移送機構とを備える。移送バー100の第1の端部101は第1の順方向移送機構に連結され、移送バー100の第2の端部102は第2の移送機構に連結されている。さらに、移送バー100を版分離ステーション500から版連結ステーション300に戻すように移送するように構成された逆方向移送機構230が設けられている。
図1Bの図示の実施形態では、逆方向移送機構230は、装置1000の上側に位置する。しかしながら、他の実施形態では、逆方向移送機構230は、搬送機構50の下方の装置1000の下部に配置することができる。逆方向移送機構230は、1つ以上のベルト、1つ以上のチェーン、1つ以上のリードスクリュー、リニアモータ、またはそれらの組み合わせのいずれか1つを備えてもよい。
【0089】
図1Bに示すように、制御手段800は、移送機構50、230、処理セクション30、および洗浄セクション40などの装置の異なる構成要素を制御するように構成されてもよい。制御手段800は、複数の移送バーのうちの1つの移送バー100がハウジング10を通って移動すると、別の移送バー100が版連結ステーション300に戻るように移送機構を制御することができる。より好ましくは、少なくとも3つの移送バーがシステム内で移動する。さらに、移送方向Tの移送速度は、逆方向の移送方向Tbの移送速度とは異なっていてもよく、好ましくは、逆方向の移送方向Tbの移送速度は、順方向の移送方向Tの移送速度よりも速い。典型的には、順方向および逆方向の移送速度は、1mm/秒~1000mm/秒の範囲である。
【0090】
図1Aに示すように、ハウジング10において、レリーフ前駆体Pは、洗浄されるために処理セクション30のブラシの下に引っ張られる。ブラシは、ブラシがレリーフ前駆体Pの上方にあるように配置されてもよい。さらなるノズルおよび液体注入手段(図示せず)が、ブラシがレリーフ前駆体の上を回転する間に、レリーフ前駆体Pを洗浄するために設けられてもよい。図示の実施形態では、ブラシは、レリーフ前駆体Pの移送方向Tに垂直に配置された回転軸線を有する。しかしながら、他の実施形態では、液体浴に少なくとも部分的に浸漬された垂直回転軸線の周りに装着された多数の回転ブラシが設けられてもよい。回転ブラシまたは任意の代替的なブラシは、レリーフ前駆体を完全に洗浄するように配置される。ブラシの回転方向は、移送方向と同じであっても反対であってもよく、好ましくは、一部は移送方向に回転し、一部は移送方向とは反対に回転する。好ましくは、ブラシの回転方向は交互である。さらに、ブラシは、それらの軸線に平行な方向に移動することができる(振動する)。ブラシの速度は、広範囲の速度にわたって、例えば0.2rpm~約100rpmの範囲で変動してもよい。さらに、平坦な回転ブラシまたは振動ブラシを使用することができる。また、ブラシがレリーフ前駆体と接触する圧力および/またはブラシのレリーフ前駆体表面までの距離を制御することによっても、攻撃性を変えることができる。ブラシは、同じであっても異なっていてもよく、直径、剛毛の剛性もしくは硬度、剛毛の密度、剛毛の厚さ、剛毛の材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、動物の毛のような天然剛毛、植物繊維、またはそれらの組み合わせ)、剛毛の配置(螺旋状または直線状)、剛毛の長さおよび形状(例えば、円形、楕円形または長方形または六角形の断面)、またはそれらの組み合わせが異なっていてもよい。ブラシの攻撃性の強さ(高い攻撃性は材料の大部分の除去に関連する)は、プロセスの開始時の高い攻撃性から終了時の低い攻撃性に、またはその逆に変化させることによって変動してもよい。
【0091】
使用される液体の性質は、採用される前駆体の性質に左右される。除去される層が水または水溶液に可溶性、乳化性または分散性である場合、水または水溶液が処理セクションにおいて液体として使用することができる。層が有機溶媒または混合物に可溶性、乳化性または分散性である場合、有機溶媒または混合物を処理セクションにおいて液体として使用することができる。これに対応して、洗浄セクションは、洗浄されるレリーフ層の性質に応じて、水、水溶液、有機溶媒、または有機溶媒の混合物で動作されてもよい。
【0092】
液体は、水、または他の成分、例えば、塩、酸、塩基、乳化剤、分散助剤、粘度調整剤、界面活性剤もしくはそれらの組み合わせを含有し得る水溶液であってもよい。塩、酸および塩基を使用して、液体のpHを制御することができる。乳化剤および分散助剤を使用して、液体の材料取り込みの能力を高め、そのようなエマルジョンおよび分散液を安定化することができる。水溶液は、有機溶媒、例えばアルコール、エステル、エーテル、もしくは炭化水素またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0093】
液体は、有機溶媒またはそれらの混合物であり得る。例えば、アルコール、例えば、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、または5~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールとの混合物中にナフテンまたは芳香族石油留分を含む現像剤、および任意選択的に、さらなる構成成分、例えば、脂環式炭化水素、テルペノイド炭化水素、置換ベンゼン、例えばジイソプロピルベンゼン、5~12個の炭素原子を有するエステル、またはグリコールエーテルも使用することができる。適切な洗浄剤は、例えば、欧州特許出願公開第332070号または欧州特許出願公開第433374号に開示されている。さらに、溶媒および溶媒混合物は、他の成分、例えば塩、酸、塩基、乳化剤、分散助剤、粘度調整剤、帯電防止剤、水、界面活性剤またはそれらの組み合わせを含み得る。安全上の理由、ならびに関連する装置のコストおよび複雑さを低減するために、有機溶媒を使用するときの温度は、使用される洗浄剤混合物の引火点より5℃~15℃低いべきである。
【0094】
処理セクション30は、単一の液体を用いた単一のユニットであってもよいが、同一の流体を使用しても、異なる流体を使用してもよい2つ以上のサブユニットで構成することもできる。また、ポンプ、フィルタ、トラフ、ホースなどを含むブラシおよび液体処理システムの配置は、共通であってもよく、またはサブユニットの数に応じて分割されてもよい。複数のサブユニットが存在する場合、そのようなサブユニットの一部またはすべてに、スクイーズ要素に関連付けられた第2のブラシを設けることができる。
【0095】
図示されていない実施形態では、レリーフ前駆体に対して後処理、例えば、さらなる乾燥、後露光、加熱、冷却、材料の除去などを行うために後処理が提供されてもよい。
【0096】
乾燥ステーションは、液体の完全な除去を可能にする。これは、加熱もしくは減圧、またはその両方の組み合わせによって達成することができ、それによって液体の蒸発が加速される。加熱は、オーブン、高温ガス(好ましくは空気または蒸気)、IR光の照射、マイクロ波の照射、またはそれらの組み合わせによって達成することができる。減圧は、換気、真空ポンプ(例えば、拡散ポンプ、アスピレータポンプ、オイルポンプなど)、ベンチュリ管、またはそれらの組み合わせによって達成することができる。乾燥には、IRランプや熱風による加熱を使用することが好ましい。乾燥はまた、好ましくは40℃~200℃、好ましくは50℃~160℃、より好ましくは50℃~100℃、最も好ましくは50℃~80℃の温度で行われる。フレキソ印刷要素の寸法的に安定な支持体が金属支持体である場合、乾燥は、約160℃までのより高い温度で行われてもよい。
【0097】
後露光は、現像された前駆体の表面を非粘着性にし、および/または光硬化性レリーフ層をさらに硬化させるために使用されてもよい。このステーションでは、現像された前駆体は、電磁波で、好ましくはUVAまたはUVC光を使用して処理される。光源として、蛍光灯、LEDもしくはフラッシュランプ、またはこれらの光源のいくつかの組み合わせを使用することができる。好ましくは、LEDまたは蛍光灯が設置される。光源は、露光時間、異なる発光スペクトルを有する光源が設置されている場合には波長、光強度、またはそれらの組み合わせを操作する制御システムに接続することができる。
【0098】
さらに、図示されていない実施形態では、レリーフ前駆体に対して前処理を実行するための前処理区画が設けられてもよく、前記前処理は、切断、アブレーション、電磁放射線への露光、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。任意選択的に、後処理および前処理中に、レリーフ前駆体は、移送バーに連結されたままであってもよい。
【0099】
好ましくは、前処理ステーションは、アブレーションデバイス、露光デバイス、または両方の組み合わせを備える。アブレーション処理は、少なくとも1つの層から材料を除去することを含む。例えば、少なくとも1つの層の材料が画像データに従って除去されてもよい。より具体的には、処理の実施は、以下のうちのいずれか1つを含み得る:電磁波への露光;エングレービング、例えば機械的エングレービング;粒子ジェット、流体ジェット、ガスジェットなどの材料ジェットへの暴露;プラズマへの露光;熱現像などのための連続ウェブへの暴露;またはそれらの組み合わせ。電磁波は、例えば、以下のうちのいずれか1つであり得る:広帯域電磁波、狭帯域電磁波、単色電磁波、例えばランプによる大面積電磁波、例えばレーザーによって放射される選択的電磁波、ドラムの軸線方向全長に沿ってまたはドラムの軸線方向長さの一部に沿って放射される波、連続またはパルス電磁波、高または低エネルギー電磁波、アブレーションまたは開始電磁波、UVからIR電磁波。電磁波の波長は、200~20000nmの範囲、好ましくは250~15000nmの範囲、より好ましくは300~11000nmの範囲、最も好ましくは350~11000nmの範囲であり得る。電磁放射線の全出力は、化学反応を引き起こすのに十分な低い値から、材料の急速な加熱および蒸発またはアブレーションを引き起こす高い値までの範囲、例えば0.1mW~2000W、好ましくは1mW~1000W、より好ましくは5mW~7500W、最も好ましくは1W~200Wの範囲であり得る。典型的には、アブレーションビームは、例えばミラーを回転させるかまたはドラム上のレリーフ前駆体を回転させることによって画像を作成するために表面上を移動する。
【0100】
露光デバイスは、レリーフ前駆体のレリーフ側または背面側に必要な波長の光を送達する電磁放射線源を備える。好ましくは、波長は電磁スペクトルのUV-Vis領域にある。電磁波の波長は、200~800nmの範囲、好ましくは250~500nmの範囲、より好ましくは300~450nmの範囲、最も好ましくは350~400nmの範囲であり得る。電磁放射線の強度は、0.1mW/cm2~200W/cm2、好ましくは1mW/cm2~200W/cm2、より好ましくは10mW/cm2~200W/cm2の範囲であり得る。光源として、メタルハライドランプ、蛍光灯、LEDもしくはフラッシュランプ、またはこれらの光源のいくつかの組み合わせを使用することができる。好ましくは、LEDまたは蛍光灯が設置される。光源は、露光時間、異なる発光スペクトルを有する光源が設置されている場合には波長、光強度、またはそれらの組み合わせを操作する制御システムに接続することができる。光源およびレリーフ前駆体は、露光中に静止していてもよく、または露光中に互いに対して相対運動していてもよい。好ましくは、バー状LEDアレイがレリーフ前駆体を横切って移動するか、またはレリーフ前駆体がLEDアレイを通過する。典型的には、露光は、レリーフ前駆体の一体部分であり得るマスク、または別個のマスク層、または電子的に切り替え可能なマスク(例えば、切り替え可能な透明および不透明領域または画素を有するディスプレイ様デバイス)を介して行われる。マスクを使用しない走査ビームも同様に使用することができる。露光区画は、周囲条件下または特定の雰囲気下、例えば酸素含有量が減少した状態で使用され得る。
【0101】
レリーフ前駆体は、一般に、第1の材料で作製された支持層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料で作製された追加の層とを含む。支持層は、可撓性金属、天然もしくは人工ポリマー、紙またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、支持層は、可撓性金属またはポリマーフィルムまたはシートである。可撓性金属の場合、支持層は、薄膜、ふるい状構造体、メッシュ状構造体、織布もしくは不織布構造体、またはそれらの組み合わせを含むことができる。鋼、銅、ニッケルまたはアルミニウムシートが好ましく、約50~1000μmの厚さであってもよい。ポリマーフィルムの場合、フィルムは寸法的に安定であるが屈曲可能であり、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリカーボネート、織布状、不織布状もしくは層状繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維)で強化されたポリマーまたはそれらの組み合わせから作製され得る。好ましくは、ポリエチレンおよびポリエステル箔が使用され、それらの厚さは、約100~300μmの範囲、好ましくは100~200μmの範囲であってもよい。
【0102】
レリーフ前駆体は、追加の層を支持してもよい。例えば、追加の層は、直接エングレービング可能な層(例えば、レーザーによって)、溶媒または水現像可能な層、熱現像可能な層、感光層、感光層とマスク層との組み合わせのいずれか1つであってもよい。任意選択的に、追加の層の上に1つ以上の追加の層が設けられてもよい。そのような1つ以上のさらなる追加の層は、すべての他の層の最上部に、画像形成可能層が画像形成される前に除去されるカバー層を含んでもよい。1つ以上の追加の層は、レリーフ層と、支持層とレリーフ層との間、またはレリーフ層の反対側の支持層の面にあるハレーション防止層とを含んでもよい。1つ以上の追加の層は、レリーフ層と、画像形成可能層と、レリーフ層と画像形成可能層との間で酸素の拡散を防止する1つ以上のバリア層とを含んでもよい。上述の異なる層の間には、異なる層の適切な接着を確実にする1つ以上の接着層が位置してもよい。
【0103】
好ましい実施形態では、レリーフ前駆体は感光層およびマスク層を備える。マスク層は、前処理中にアブレーションする、または透明度を変化させることができ、透明および不透明領域を有するマスクを形成する。マスクの透明領域の下で、感光層は、照射時に溶解度および/または流動性の変化を受ける。変化は、1つ以上の後続のステップにおいて感光層の一部を除去することによってレリーフを生成するために使用される。溶解度および/または流動性の変化は、光誘起重合および/または架橋によって達成することができ、照射領域の可溶性を下げ、より溶融しにくくする。他の場合では、電磁放射線は、結合の破壊または保護基の切断を引き起こし、照射領域をより可溶性および/または溶融可能にすることができる。好ましくは、光誘起架橋および/または重合を使用するプロセスが使用される。
【0104】
本発明の原理は特定の実施形態に関連して上記に記載されているが、この説明は単なる例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護範囲の限定としてではないことを理解されたい。
【国際調査報告】