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特表2024-529913電池、電力消費装置、電池の製造方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池の製造方法と装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240806BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240806BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240806BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/204 401H
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M10/058
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503478
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2021121395
(87)【国際公開番号】W WO2023050078
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】金 秋
【テーマコード(参考)】
5H012
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA03
5H012AA07
5H012BB08
5H012DD05
5H012FF01
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL06
5H029AM00
5H029BJ02
5H029BJ03
5H029BJ04
5H040AA33
5H040AS04
5H040AS07
5H040AS12
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AS26
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT03
5H040AT04
5H040AY04
(57)【要約】
電池(10)、電力消費装置、電池(10)の製造方法(600)と電池(10)の製造装置(700)であって、電池(10)は、第一の電池セル(20a)と、第二の電池セル(20b)とを含む複数の電池セル(20)であって、第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)には、放圧機構(213)が設置される複数の電池セル(20)と、流体を収容して複数の電池セル(20)に温度を調節するための熱管理部材(30)であって、第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)に付設され、第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)に対応する位置に、第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)が作動している時に第一の電池セル(20a)の排出物を排出するための放圧領域(301)が設置される熱管理部材(30)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(10)であって、
第一の電池セル(20a)と、第二の電池セル(20b)とを含む複数の電池セル(20)であって、前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)には放圧機構(213)が設置され、前記放圧機構(213)は、前記放圧機構(213)が設置される電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を逃すためのものである複数の電池セル(20)と、
流体を収容して前記複数の電池セル(20)に温度を調節するための熱管理部材(30)であって、前記熱管理部材(30)は、前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)に付設され、前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)は、前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)と異なり、前記熱管理部材(30)は、前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)に対応する位置に、前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)が作動している時に前記第一の電池セル(20a)の排出物を排出するための放圧領域(301)が設置される熱管理部材(30)と、を含む、ことを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記熱管理部材(30)は、前記流体を収容するための流路(330)を含み、前記放圧領域(301)には、前記流路(330)が設置されていない、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記熱管理部材(30)は、前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)に対応する位置に前記流路(330)が設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の電池(10)。
【請求項4】
前記第一の電池セル(20a)の第二の壁(202a)と前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)には、電極端子(214)が設置され、
前記第一の電池セル(20a)の第二の壁(202a)は、前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と対向する壁であり、前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)は、前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)と対向する壁である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項5】
前記第一の電池セル(20a)と前記第二の電池セル(20b)は、
前記第一の電池セル(20a)の陰極材料の比容量が前記第二の電池セル(20b)の陰極材料の比容量よりも大きいこと、
前記第一の電池セル(20a)のエネルギー密度が前記第二の電池セル(20b)のエネルギー密度よりも大きいこと、又は、
前記第一の電池セル(20a)が前記放圧機構(213)の作動時に排出する排煙温度が、前記第二の電池セル(20b)が前記放圧機構(213)の作動時に排出する排煙温度よりも高いこと、のうちの少なくとも一つの条件を満たす、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記第一の電池セル(20a)と前記第二の電池セル(20b)は、
前記第一の電池セル(20a)の陰極材料の質量比容量が180mAh/g以上であり、前記第二の電池セル(20b)の陰極材料の質量比容量が170mAh/g以下であること、
前記第一の電池セル(20a)の質量エネルギー密度が230wh/kg以上であり、前記第二の電池セル(20b)の質量エネルギー密度が220wh/kg以下であること、又は、
前記第一の電池セル(20a)が前記放圧機構(213)の作動時に排出する排煙温度が600℃以上であり、前記第二の電池セル(20b)が前記放圧機構(213)の作動時に排出する排煙温度が500℃以下であること、のうちの少なくとも一つの条件を満たす、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項7】
前記複数の電池セル(20)は、少なくとも一つの前記第二の電池セル(20b)を含み、少なくとも一つの前記第二の電池セル(20b)の数と前記複数の電池セル(20)の数との比の範囲は、20%から50%である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電池(10)。
【請求項8】
前記複数の電池セル(20)は、第一の方向に沿って配列された1列の電池セル(20)を含み、前記1列の電池セル(20)のうち、N個の前記第一の電池セル(20a)ごとに一つの前記第二の電池セル(20b)が設置され、、Nは、正の整数であり、且つN≦4である、ことを特徴とする請求項7に記載の電池(10)。
【請求項9】
前記第二の電池セル(20b)は、前記複数の電池セル(20)におけるエッジ領域に設置される、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項10】
前記電池(10)は、
前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)が作動している時に前記第一の電池セル(20a)の排出物を収集するための収集キャビティ(11b)と、
前記収集キャビティ(11b)に設置され、前記収集キャビティ(11b)の圧壊強度を向上させるための緩衝材(40)と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項11】
前記熱管理部材(30)は、前記収集キャビティ(11b)の一つの壁であり、前記緩衝材(40)は、前記熱管理部材(30)における前記複数の電池セル(20)から離れる表面に付設される、ことを特徴とする請求項10に記載の電池(10)。
【請求項12】
前記緩衝材(40)には、開口(401)が設置され、前記開口(401)は、前記熱管理部材(30)における放圧領域(301)に対向して設置され、前記開口(401)は、前記放圧領域(301)を通る前記第一の電池セル(20a)の排出物を通過させるために用いられる、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電池(10)。
【請求項13】
前記緩衝材(40)には、前記第一の電池セル(20a)の排出物を前記緩衝材(40)から導くための導気通路(402)が設置される、ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項14】
前記収集キャビティ(11b)において、前記第二の電池セル(20b)に対応する位置には、前記緩衝材(40)が設置される、ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項15】
前記緩衝材(40)の材料は、多孔質エネルギー吸収材及び/又は保温材である、ことを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の電池(10)。
【請求項16】
電力消費装置であって、請求項1から15のいずれか1項に記載の電池(10)を含み、前記電池(10)は、電気エネルギーを提供するためのものである、ことを特徴とする電力消費装置。
【請求項17】
電池の製造方法であって、
第一の電池セル(20a)と、第二の電池セル(20b)とを含む複数の電池セル(20)を提供することであって、前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)には放圧機構(213)が設置され、前記放圧機構(213)は、前記放圧機構(213)が設けられる電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を逃すためのものであること(601)と、
流体を収容して前記複数の電池セル(20)に温度を調節するための熱管理部材(30)を提供すること(602)と、
前記熱管理部材(30)を前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と前記第二の電池セルの第一の壁(201b)に付設すること(603)とを含み、
前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)は、前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)と異なり、前記熱管理部材(30)は、前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)に対応する位置に、前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)が作動している時に前記第一の電池セル(20a)の排出物を排出するための放圧領域(301)が設置される、ことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項18】
電池の製造装置であって、
提供モジュール(701)と取り付けモジュール(702)とを含み、
前記提供モジュール(701)は、第一の電池セル(20a)と、第二の電池セル(20b)とを含む複数の電池セル(20)を提供するためのものであり、前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)には放圧機構(213)が設置され、前記放圧機構(213)は、前記放圧機構(213)が設けられる電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を逃すためのものであり、
前記提供モジュール(701)は、流体を収容して前記複数の電池セル(20)に温度を調節するための熱管理部材(30)を提供するためのものであり、
前記取り付けモジュール(702)は、前記熱管理部材(30)を前記第一の電池セル(20a)の第一の壁(201a)と前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)に付設するためのものであり、前記第二の電池セル(20b)の第一の壁(201b)は、前記第二の電池セル(20b)の第二の壁(202b)と異なり、前記熱管理部材(30)は、前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)に対応する位置に、前記第一の電池セル(20a)の放圧機構(213)が作動している時に前記第一の電池セル(20a)の排出物を排出するための放圧領域(301)が設置される、ことを特徴とする電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、電池分野に関し、より具体的には、電池、電力消費装置、電池の製造方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネと汚染物質の排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。このような場合に、電動車両は、その省エネと環境保護の優位性により、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。しかし、電動車両にとって、電池技術は、その発展に関わる重要な要素である。
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させるほか、安全問題も、無視できない問題である。電池の安全問題が確保できなければ、この電池は、使用できない。そのため、どのように電池の安全性を強めるかは、電池技術における早急に解決すべき技術的問題の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、電池の安全性を強めることができる電池、電力消費装置、電池の製造方法と電池の製造装置を提供した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、電池を提供した。この電池は、第一の電池セルと、第二の電池セルとを含む複数の電池セルであって、この第一の電池セルの第一の壁とこの第二の電池セルの第二の壁には放圧機構が設置され、この放圧機構は、この放圧機構が設置される電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動してこの内部圧力を逃すためのものである複数の電池セルと、流体を収容してこれらの複数の電池セルに温度を調節するための熱管理部材であって、この熱管理部材は、この第一の電池セルの第一の壁と、この第二の電池セルの第一の壁に付設され、この第二の電池セルの第一の壁は、この第二の電池セルの第二の壁と異なり、この熱管理部材は、この第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に、この第一の電池セルの放圧機構が作動している時にこの第一の電池セルの排出物を排出するための放圧領域が設置される熱管理部材とを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案により、電池の複数の電池セルにおいて、第一の電池セルの放圧機構は、第一の電池セルの第一の壁に設置され、第二の電池セルの放圧機構は、第二の電池セルの第二の壁に設置される。熱管理部材は、第一の電池セルにおいて放圧機構が位置する第一の壁と、第二の電池セルにおいて放圧機構が設置されていない第一の壁に付設される。そのため、この第二の電池セルにおいて、熱管理部材に付設される第一の壁は、全て放熱面として設計されてもよい。この技術案により、電池全体の放熱面積を効果的に増やして、電池の安全性能を向上させ、且つ電池の急速な充電技術の発展に寄与することができる。さらに、熱管理部材が、第一の電池セルにおいて放圧機構が位置する第一の壁と、第二の電池セルにおいて放圧機構が設置されていない第一の壁に付設されるため、熱管理部材が、第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に放圧領域を設置して、第一の電池セルの排出物を排出する必要があるが、第二の電池セルに対応する領域に依然として流体が収容されて、第二の電池セルを温度調節し、さらに電池全体の性能を向上させることができる。
【0007】
いくつかの可能な実施の形態では、この熱管理部材は、この流体を収容するための流路を含み、ここで、この放圧領域には、この流路が設置されていない。
【0008】
この実施の形態の技術案により、熱管理部材において、第一の電池セルの放圧機構に対応する領域は、放圧領域として設置され、この放圧領域には、第一の電池セルの放圧機構が作動している時、熱管理部材における流路に衝撃が与えられ、熱管理部材における流体が無駄になり、熱管理部材による複数の電池セルの温度調節効果に影響を及ぼすことを防止するために、流路と流体が設置されていない。
【0009】
いくつかの可能な実施の形態では、この熱管理部材は、この第二の電池セルの第一の壁に対応する位置にこの流路が設置される。
【0010】
この実施の形態の技術案により、熱管理部材における流路は、第二の電池セルの第一の壁に対応して全面的に覆うように設置されてもよく、この全面的に覆われる流路は、第二の電池セルに対して良好な温度調節作用を果たして、電池全体の性能を向上させることができる。
【0011】
いくつかの可能な実施の形態では、この第一の電池セルの第二の壁とこの第二の電池セルの第二の壁には、電極端子が設置される。この第一の電池セルの第二の壁は、この第一の電池セルの第一の壁と対向する壁であり、この第二の電池セルの第二の壁は、この第二の電池セルの第一の壁と対向する壁である。
【0012】
この実施の形態の技術案により、第一の電池セルにおいて、電極端子が設置される第二の壁は、放圧機構が設置される第一の壁と対向する壁であり、放圧機構によって逃された第一の電池セルの排出物を第一の電池セルの電極端子から最大限に離れ、電池の安全性能を保証することができる。それと同時に、第二の電池セルにおいて放圧機構が設置される第二の壁も、熱管理部材に付設される第一の壁と対向する壁であり、放圧機構によって排出される第二の電池セルの排出物による熱管理部材への影響を最大限に低減する。また、第二の電池セルにおいて、電極端子と放圧機構は、いずれも第二の壁に設置され、第二の電池セルにおける電極端子と放圧機構の加工と取り付けを容易にし、電池の生産効率を向上させる。
【0013】
いくつかの可能な実施の形態では、この第一の電池セルとこの第二の電池セルは、この第一の電池セルの陰極材料の比容量がこの第二の電池セルの陰極材料の比容量よりも大きいこと、この第一の電池セルのエネルギー密度がこの第二の電池セルのエネルギー密度よりも大きいこと、又は、この第一の電池セルがその放圧機構の作動時に排出する排煙温度が、この第二の電池セルがその放圧機構の作動時に排出する排煙温度よりも高いこと、のうちの少なくとも一つの条件を満たす。
【0014】
この実施の形態の技術案により、第一の電池セルに比べて、第二の電池セルに熱暴走が発生する確率が比較的低く、又は、第二の電池セルに熱暴走が発生しても、その放圧機構が作動している時、第一の電池セルに比べて、第二の電池セルにより排出される排煙温度が比較的低い。そのため、第二の電池セルによりその放圧機構を介して逃された排出物による第二の電池セルへの影響を低減し、電池の安全性を向上させることができる。その上で、第二の電池セルに比べて、単位質量当たりの第一の電池セルのリリース可能な電力量が比較的多く、及び/又は、単位質量当たりの第一の電池セルに蓄えられ得る電力量が比較的多いため、電池全体の性能の向上に有利である。
【0015】
いくつかの可能な実施の形態では、この第一の電池セルとこの第二の電池セルは、この第一の電池セルの陰極材料の質量比容量が180mAh/g以上であり、この第二の電池セルの陰極材料の質量比容量が170mAh/g以下であること、この第一の電池セルの質量エネルギー密度が230wh/kg以上であり、この第二の電池セルの質量エネルギー密度が220wh/kg以下であること、又は、この第一の電池セルがその放圧機構の作動時に排出する排煙温度が600℃以上であり、この第二の電池セルがその放圧機構の作動時に排出する排煙温度が500℃以下であること、のうちの少なくとも一つの条件を満たす。
【0016】
いくつかの可能な実施の形態では、これらの複数の電池セルは、少なくとも一つのこの第二の電池セルを含み、少なくとも一つのこの第二の電池セルの数とこれらの複数の電池セルの数の比の範囲は、20%から50%である。
【0017】
この実施の形態の技術案により、少なくとも一つの第二の電池セルの数と複数の電池セルの数との比は、50%以下であり、第一の電池セルの数が電池全体におけるすべての電池セルの数の半分以上を占めることを確保することができ、それによって電池全体の電気的性能がより優れており、例えばエネルギー密度が比較的高いことを確保することができる。また、少なくとも一つの第二の電池セルの数と複数の電池セルの数との比は、20%以上であり、熱管理部材による第二の電池セル及びその周辺の第一の電池セルの温度調節効果を確保し、電池全体の性能を向上させることができる。
【0018】
いくつかの可能な実施の形態では、これらの複数の電池セルは、第一の方向に沿って配列された1列の電池セルを含み、この1列の電池セルのうち、N個のこの第一の電池セルごとに一つのこの第二の電池セルが設置され、ここで、Nは、正の整数であり、且つN≦4である。
【0019】
この実施の形態の技術案により、熱管理部材がこの1列の電池セルに対して比較的良い温度調節作用を有し、且つこの1列の電池セルが同時に比較的高いエネルギー密度を有するように、1列の電池セルのうちの第二の電池セルの数と1列の電池セルの総数との比を20%から50%の範囲にすることができる。また、1列の電池セルのうち、N個の第一の電池セルごとに一つの第二の電池セルが間隔をあけて設置されることで、第二の電池セルを1列の電池セルに均等に位置させることができ、それによって熱管理部材がこの1列の電池セルに対して均一な温度調節作用を果たして、熱管理部材の1列の電池セルに対する温度調節効果をさらに向上させることができる。
【0020】
いくつかの可能な実施の形態では、この第二の電池セルは、これらの複数の電池セルにおけるエッジ領域に設置される。
【0021】
熱管理部材が第二の電池セルに対して良好な温度調節作用を有するため、この実施の形態の技術案において、第二の電池セルを複数の電池セルにおけるエッジ領域に設置することによって、熱管理部材が複数の電池セルのエッジ領域に位置する第二の電池セルを温度調節し、外部環境によるこの第二の電池セルへの影響を低減し、電池全体の性能を向上させることができる。
【0022】
いくつかの可能な実施の形態では、この電池は、この第一の電池セルの放圧機構が作動している時にこの第一の電池セルの排出物を収集するための収集キャビティと、この収集キャビティに設置され、この収集キャビティの圧壊強度を向上させるための緩衝材とをさらに含む。
【0023】
この実施の形態の技術案により、第一の電池セルの排出物を収集するための収集キャビティには、緩衝材がさらに設置される。空洞構造に対し、緩衝材が収集キャビティにおいて緩衝とエネルギー吸収作用を提供することができるため、緩衝材が設置されるこの収集キャビティは、より良い圧壊強度を有し、言い換えると、外部圧力が電池に作用する場合、緩衝材が設置される収集キャビティは、外部圧力の大部分ないし全部を吸収することによって、外部圧力による熱管理部材と電気キャビティにおける電池セルなどの電気部材への影響を低減又は解消し、電池の圧壊性能と安全性能を向上させることができる。いくつかの応用シナリオにおいて、電池は、電気自動車のシャーシに取り付けられ、且つ電気自動車の走行のために電力を提供することができる。具体的に、電池の収集キャビティは、電気キャビティに対して電気自動車のシャーシに向いており、電気自動車が走行中に揺れ、石飛び衝突などの不具合を受ける可能性があり、電気自動車のシャーシないしシャーシに取り付けられる電池に衝撃と底打ちを起こす。本出願の実施例の技術案により、収集キャビティにおける緩衝材は、良好な衝撃防止と底打ち防止機能を提供し、電気自動車が走行中に遭遇した不具合による電池への影響を低減又は除去し、電池の衝撃抵抗能力と安全性能を強めることによって、さらに電気自動車の安全性能を向上させることができる。
【0024】
いくつかの可能な実施の形態では、この熱管理部材は、この収集キャビティの一つの壁であり、この緩衝材は、この熱管理部材におけるこれらの複数の電池セルから離れる表面に付設される。
【0025】
この実施の形態の技術案により、緩衝材は、熱管理部材に付設され、熱管理部材の圧壊能力を向上させ、外部圧力による熱管理部材への損傷を低減又は解消することができる。なお、緩衝材は、圧壊緩衝作用を果たすことができるほか、保温作用を果たし、熱管理部材における流体を保温し、この熱管理部材における流体温度の変化を防止し、さらに熱管理部材の温度調節効果を確保して、電池の性能を向上させることができる。
【0026】
いくつかの可能な実施の形態では、この緩衝材には、開口が設置され、この開口は、この熱管理部材における放圧領域と対向して設置され、この開口は、この放圧領域を通るこの第一の電池セルの排出物を通過させるために用いられる。
【0027】
この実施の形態の技術案により、緩衝材は、放圧領域に対応する位置にも、開口が設置される必要があり、排出物を通過させ、緩衝材による排出物の排出経路の閉塞を防止することによって、排出物による第一の電池セルへの影響を防止し、電池の安全性を確保する。
【0028】
いくつかの可能な実施の形態では、この緩衝材には、この第一の電池セルの排出物をこの緩衝材から導くための導気通路が設置される。
【0029】
この実施の形態の技術案により、緩衝材に導気通路を設置することで、第一の電池セルの排出物、特に排出物における高温ガス及び/又は高温液体を導くために用いられよく、高温排出物が緩衝材の位置する空間に限定されることを防止することによって、この高温排出物がもたらす可能性のある安全上の懸念を防止することができる。また、排出物がこの導気通路を流通する過程にも、放熱することができ、この導気通路は、排出物の収集キャビティにおける運動経路を延長するために用いられてもよく、排出物が収集キャビティを介して電池の外部に排出される場合、比較的長い運動経路を通った後の排出物温度が比較的低いことによって、排出物による電池の外部環境への影響を低減し、さらに電池の使用安全性を強めることができる。
【0030】
いくつかの可能な実施の形態では、収集キャビティにおいて、第二の電池セルに対応する位置には、緩衝材が設置されて、第二の電池セルを防護し、電池全体の性能を強める。
【0031】
いくつかの可能な実施の形態では、この緩衝材の材料は、多孔質エネルギー吸収材及び/又は保温材である。
【0032】
緩衝材が多孔質エネルギー吸収材である場合に、外部圧力が電池に作用する場合、この多孔質エネルギー吸収材の緩衝材が外部圧力を吸収することができるため、外部圧力の大部分ないし全部を受け止めることによって、外部圧力による熱管理部材と電池セルへの影響を低減又は解消することができる。緩衝材が保温材である場合、緩衝材は、熱管理部材における流体を保温し、この熱管理部材における流体温度の変化を防止し、さらに熱管理部材の温度調節効果を確保して、電池の性能を向上させることができる。
【0033】
第二の態様によれば、電力消費装置を提供した。この電力消費装置は、上記第一の態様又は第一の態様のうちのいずれか一つの可能な実施の形態における電池を含み、この電池は、電気エネルギーを提供するためのものである。
【0034】
第三の態様によれば、電池の製造方法を提供した。この製造方法は、第一の電池セルと、第二の電池セルとを含む複数の電池セルを提供することであって、この第一の電池セルの第一の壁とこの第二の電池セルの第二の壁には放圧機構が設置され、この放圧機構は、この放圧機構が設けられる電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動してこの内部圧力を逃すためのものであることと、流体を収容してこれらの複数の電池セルに温度を調節するための熱管理部材を提供することと、この熱管理部材をこの第一の電池セルの第一の壁と、この第二の電池セルの第一の壁に付設することとを含み、ここで、この第二の電池セルの第一の壁は、この第二の電池セルの第二の壁と異なり、この熱管理部材は、この第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に、この第一の電池セルの放圧機構が作動している時にこの第一の電池セルの排出物を排出するための放圧領域が設置される。
【0035】
第四の態様によれば、電池の製造装置を提供した。この装置は、提供モジュールと取り付けモジュールとを含み、この提供モジュールは、第一の電池セルと、第二の電池セルとを含む複数の電池セルを提供するためのものであり、この第一の電池セルの第一の壁とこの第二の電池セルの第二の壁には放圧機構が設置され、この放圧機構は、この放圧機構が設けられる電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動してこの内部圧力を逃すためのものであり、この提供モジュールは、流体を収容してこれらの複数の電池セルに温度を調節するための熱管理部材を提供するものであり、この取り付けモジュールは、この熱管理部材をこの第一の電池セルの第一の壁と、この第二の電池セルの第一の壁に付設するためのものであり、この第二の電池セルの第一の壁は、この第二の電池セルの第二の壁と異なり、この熱管理部材は、この第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に、この第一の電池セルの放圧機構が作動している時にこの第一の電池セルの排出物を排出するための放圧領域が設置される。
【0036】
本出願の実施例の技術案により、電池の複数の電池セルにおいて、第一の電池セルの放圧機構は、第一の電池セルの第一の壁に設置され、第二の電池セルの放圧機構は、第二の電池セルの第二の壁に設置される。熱管理部材は、第一の電池セルにおいて放圧機構が位置する第一の壁と、第二の電池セルにおいて放圧機構が設置されていない第一の壁に付設される。そのため、この第二の電池セルにおいて、熱管理部材に付設される第一の壁は、全て放熱面として設計されてもよい。この技術案により、電池全体の放熱面積を効果的に増やして、電池の安全性能を向上させ、且つ電池の急速な充電技術の発展に寄与することができる。さらに、熱管理部材が第一の電池セルにおいて放圧機構が位置する第一の壁と、第二の電池セルにおいて放圧機構が設置されていない第一の壁に付設されるため、熱管理部材が第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に放圧領域を設置して、第一の電池セルの排出物を排出する必要のみがあるが、第二の電池セルに対応する領域に依然として流体が収容されて、第二の電池セルを温度調節し、さらに電池全体の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願の一実施例に開示される車両の構造概略図である。
図2】本出願の一実施例に開示される電池の構造概略図である。
図3】本出願の一実施例に開示される電池セルの構造概略図である。
図4】本出願の一実施例に開示される電池セルの構造概略図である。
図5】本出願の一実施例に開示される電池の構造概略図である。
図6図5におけるA部分の局所拡大概略図である。
図7図5におけるB部分の局所拡大概略図である。
図8】本出願の一実施例に開示される電池の斜視構造概略図である。
図9】本出願の一実施例に開示される電池の斜視構造概略図である。
図10図8に示される実施例における熱管理部材の斜視爆発構造概略図である。
図11図8に示される実施例における熱管理部材の別の斜視爆発構造概略図である。
図12】本出願の一実施例に開示される電池セルの構造概略図である。
図13】本出願の一実施例に開示される緩衝材の斜視概略図である。
図14図13における緩衝材の平面概略図である。
図15】本出願の一実施例に開示される電池の製造方法の概略的フローチャートである。
図16】本出願の一実施例に開示される電池の製造装置の概略的ブロック図である。 図面において、図面は、実際の縮尺通りに描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、図面と実施例を結び付けながら、本出願の実施の形態をさらに詳細に記述する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本出願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本出願の範囲を制限するために用いられることはなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0039】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「複数」の意味は、二つ以上であり、用語である「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などにより指示される方位又は位置関係は、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。なお、用語である「第一」、「第二」、「第三」などは、単に記述のためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」とは、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0040】
下記記述に出現された方位詞は、いずれも図に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0041】
本出願における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0042】
特に定義されない限り、本出願に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本出願では出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものである。
【0043】
本出願に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に記述された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的にと非明示的に理解する。
【0044】
本出願では、電池とは、一つ又は複数の電池セルを含んで電気エネルギーを提供する物理モジュールである。例えば、本出願に言及された電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的には、一つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物による電池セルの充電又は放電への影響を回避することができる。
【0045】
選択的に、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などを呈することができ、本出願の実施例は、これについても限定されない。電池セルは、一般的には、パッケージングの方式で、柱形電池セル、方体四角形電池セルとパウチ電池セルの3種類に分類され、本出願の実施例は、これについても限定されない。
【0046】
電池セルは、電極アセンブリと、電解液とを含み、電極アセンブリは、正極極板、負極極板とセパレータによって構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極極板と負極極板との間で移動することによって作動する。正極極板は、正極集電体と、正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されない集電体は、正極活物質層がすでに塗布された集電体よりも突出し、正極活物質層が塗布されない集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極極板は、負極集電体と、負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されない集電体は、負極活物質層がすでに塗布された集電体よりも突出し、負極活物質層が塗布されない集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はケイ素などであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないことを確保するために、正極タブの数は、複数であり、且つ積層され、負極タブの数は、複数であり、且つ積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)又はポリエチレン(Polyethylene、PE)などであってもよい。なお、電極アセンブリは、捲回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本出願の実施例は、これに限らない。
【0047】
電池技術の発展は、多岐にわたる設計要素、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0048】
電池にとって、主なセキュリティ危険は、充電と放電プロセスに由来し、電池の安全性能を向上させるために、電池セルには、一般的には、放圧機構が設置される。放圧機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を逃す素子又は部材である。この所定閾値は、設計需要の違いに応じて調整されてもよい。前記所定閾値は、電池セルにおける正極極板、負極極板、電解液とセパレータのうちの一つ又は複数の材料に依存してもよい。放圧機構は、圧力に敏感で、又は温度に敏感な素子又は部材などを採用してもよく、即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定閾値に達した時に、放圧機構が作動することによって内部圧力又は温度を逃すことができる通路を形成する。
【0049】
本出願に言及された「作動」とは、放圧機構に動作が発生することによって、電池セルの内部圧力及び温度が逃がされることである。放圧機構に発生した動作は、放圧機構のうちの少なくとも一部が破断したり、引き裂かれたり、溶けたりすることなどを含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構が作動した後、電池セル内部の高温高圧物質は、排出物として放圧機構から外に排出される。この方式で圧力又は温度を制御することができる場合に電池セルが放圧をすることによって、潜在的なより深刻な事故の発生を回避することができる。
【0050】
本出願に言及された電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極極板、セパレータの破片、反応により発生した高温高圧ガス、火炎などを含むが、それらに限らない。
【0051】
電池セル上の放圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、電池セルに短絡、過充電などの現象が発生した場合、電池セル内部に熱暴走が発生することによって圧力又は温度が急激に上昇することを招く恐れがある。このような場合に、電池セルの爆発、発火を防止するために、放圧機構が作動することによって内部圧力及び温度を外にリリースすることができる。
【0052】
電池セルに放圧機構を設置して電池の安全性を保証するほか、電池セルを収容するための筐体には、熱管理部材がさらに設置されてもよい。この熱管理部材は、流体を収容して複数の電池セルに対して温度を調節するために用いられてもよい。ここでの流体は、液体又はガスであってもよく、温度を調節することは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合、この熱管理部材は、冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を下げるために用いられ、この場合、熱管理部材は、冷却部材、冷却システム又は冷却プレートなどと呼ばれてもよく、その収容流体は、冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと呼ばれてもよい。また、熱管理部材は、加熱して複数の電池セルを昇温するために用いられてもよく、本出願の実施例は、これに限定されない。選択的に、上記流体は、より良い温度調節の効果を達成するように、循環して流れるものであってもよい。選択的に、流体は、水、水とエチレングリコールの混合液又は空気などであってもよい。
【0053】
いくつかの実施の形態では、熱管理部材を利用して電池の筐体の内部を、電池セルを収容する電気キャビティと、排出物を収集する収集キャビティに分離することができる。放圧機構が作動している時、電池セルの排出物は、熱管理部材を通って収集キャビティに入るが、電気キャビティに入らず、又は電気キャビティに少ししか入らず、それによって排出物による電気キャビティにおけるバスバー部材への影響を低減したため、電池の安全性を強めることができる。
【0054】
ここで、電気キャビティは、複数の電池セルとバスバー部材を収容するために用いられる。電気キャビティは、密閉されてもよく、密閉されなくてもよい。電気キャビティは、電池セルとバスバー部材の取り付け空間を提供する。いくつかの実施例において、電気キャビティには、電池セルを固定するための構造がさらに設置されてもよい。電気キャビティの形状は、収容される複数の電池セルとバスバー部材に応じて決定されてもよい。いくつかの実施例において、電気キャビティは、6つの壁を有する四角形であってもよい。電気キャビティ内の電池セルが電気的な接続によって比較的高い電圧出力を形成するため、電気キャビティは、「高圧キャビティ」と呼ばれてもよい。
【0055】
バスバー部材は、複数の電池セル間の電気的な接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。バスバー部材は、電池セルの電極端子を接続することで電池セル間の電気的な接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバー部材は、溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。「高圧キャビティ」に対応し、バスバー部材で形成された電気的な接続は、「高圧接続」と呼ばれてもよい。
【0056】
収集キャビティは、排出物を収集するために用いられ、密閉されてもよく、密閉されなくてもよい。いくつかの実施例において、前記収集キャビティ内には、空気、又は他のガスが含まれてもよい。収集キャビティ内には、電圧出力に接続される電気的な接続がなく、「高圧キャビティ」に対応し、収集キャビティは、「低圧キャビティ」と呼ばれてもよい。選択的に、前記収集キャビティ内には、液体、例えば冷却媒体が含まれてもよく、又は、この液体を収容する部材を設置して、収集キャビティに入る排出物をさらに降温する。さらに選択的に、収集キャビティ内のガス又は液体は、循環して流れるものであってもよい。
【0057】
しかし、この実施の形態では、電池セルの放圧機構が、熱管理部材に向いて設置され、この放圧機構の放熱効果が比較的悪く、且つ熱管理部材において、電池セルの放圧機構に対応する領域が電池セルの排出物を排出する用いられる必要があるため、流体を収容して電池セルの温度を調節することができなく、それによって熱管理部材における電池セルの温度を調節するための領域面積が減る。電池充放電技術の発展に伴い、電池の急速な充電中、電池セルの熱は、著しく増えるが、熱管理部材における比較的小さい温度調節面積、又は電池セルの比較的高い温度上昇をもたらし、電池の急速な充電の進行に不利であり、一定の安全上の懸念をもたらす。
【0058】
そこで、本出願は、一つの技術案を提供する。電池の複数の電池セルにおいて、第一の電池セルの放圧機構のみが熱管理部材と対向して設置されるが、第二の電池セルの放圧機構が熱管理部材と対向して設置されない。そのため、この第二の電池セルにおいて熱管理部材に向く面は、すべて放熱面になり得る。この技術案により、電池全体の放熱面積を増やし、さらに電池の安全性能を向上させ、且つ電池の急速な充電技術の発展に寄与することができる。また、さらに、熱管理部材において、第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に放圧領域を設置して、第一の電池セルの排出物を排出する必要があるが、第二の電池セルに対応する領域に依然として流体が収容されて、第二の電池セルを温度調節することができる。この技術案により、熱管理部材における複数の電池セルの温度を調節するための温度調節面積を大きくし、さらに電池の安全性能を向上させることができる。
【0059】
本出願の実施例に記述された技術案は、いずれも電池を使用する様々な装置、例えば携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、バッテリ車、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶と宇宙航空機などに用いられてもよく、例えば宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙船などを含む。
【0060】
理解すべきこととして、本出願の実施例に記述された技術案は、上記記述された装置の適用に限定されるだけでなく、電池を使用するすべての装置に適用されてもよく、記述の便宜上、以下の実施例は、いずれも電動車両を例にして説明する。
【0061】
例えば、図1に示すように、本出願の一つの実施例の車両1の構造概略図であり、車両1は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ11、コントローラ12及び電池10が設置されてもよく、コントローラ12は、電池10がモータ11に給電するように制御するためのものである。例えば、車両1の底部、先頭又は後尾には、電池10が設置されてもよい。電池10は、車両1への給電に用いられてもよく、例えば電池10は、車両1の操作電源として、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーションと運行時の作動電力消費需要に用いられてもよい。本出願の別の実施例において、電池10は、車両1の操作電源として用いられるだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料油又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することができる。
【0062】
異なる電力使用需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含んでもよく、ここで、複数の電池セル同士は、直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列とは、直列接続と並列接続の混合である。電池は、電池パックと呼ばれてもよい。選択的に、複数の電池セルは、まず直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池を構成してもよい。つまり、複数の電池セルは、電池を直接構成してもよく、先に電池モジュールを構成してから、電池モジュールが電池を構成してもよい。
【0063】
例えば、図2に示すように、本出願の一つの実施例の電池10の構造概略図であり、電池10は、複数の電池セル20を含んでもよい。電池10はさらに、筐体(又はカバーと呼ばれる)を含んでもよく、筐体内部は、中空構造であり、複数の電池セル20は、筐体内に収容される。図2に示すように、筐体は、二つの部分を含んでもよく、ここで、第一の部分111と第二の部分112とそれぞれ呼ばれ、第一の部分111は、第二の部分112に係合される。第一の部分111と第二の部分112の形状は、複数の電池セル20の組み合わせの形状に応じて決定されてもよく、第一の部分111と第二の部分112は、いずれも一つの開口を有してもよい。例えば、第一の部分111と第二の部分112は、いずれも中空直方体であり、且つそれぞれの一面のみが開口面であってもよく、第一の部分111の開口は、第二の部分112の開口と対向して設置され、且つ第一の部分111と第二の部分112とが互いに係合されて密閉チャンバーを有する筐体を形成する。複数の電池セル20は、互いに並列接続、直列接続又は直並列接続されて組み合わせられた後に、第一の部分111と第二の部分112とが係合された後に形成された筐体内に置かれる。
【0064】
選択的に、電池10はさらに、他の構造を含んでもよく、ここでは説明を省略する。例えば、この電池10はさらに、複数の電池セル20同士の電気的な接続、例えば並列接続、直列接続又は直並列接続を実現するためのバスバー部材を含んでもよい。具体的には、バスバー部材は、電池セル20の電極端子に接続されることで電池セル20同士の電気的な接続を実現することができる。さらに、バスバー部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構によって筐体を通過して導かれてもよい。選択的に、導電機構は、バスバー部材に属してもよい。
【0065】
異なる電力需要に応じて、電池セル20の数は、いずれかの数値として設定されてもよい。複数の電池セル20は、直列、並列又は直並列の方式で接続されて比較的大きい容量又はパワーを実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が比較的多い場合があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ化して設置し、各グループの電池セル20が電池モジュールを構成してもよい。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は、限定されず、必要に応じて設置されてもよい。
【0066】
図3図4に示すように、本出願の一つの実施例の二つ電池セル20の構造概略図であり、電池セル20は、一つ又は複数の電極アセンブリ22と、ハウジング211と、カバープレート212とを含む。ハウジング211の壁及びカバープレート212は、いずれも電池セル20の壁と呼ばれている。ハウジング211は、一つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定され、例えばハウジング211は、中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211のうちの一つの面は、一つ又は複数の電極アセンブリ22がハウジング211内に置かれることができるように、開口を有する。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211のうちの一つの平面は、開口面であり、即ちこの平面は、ハウジング211の内外を通じるように壁体を有しない。ハウジング211が中空の円柱体であってもよい場合、ハウジング211の端面は、開口面であり、即ちこの端面は、ハウジング211の内外を連通するように壁体を有しない。カバープレート212は、開口を覆い、且つハウジング211に接続されて、電極アセンブリ22が置かれる密閉されるキャビティを形成する。ハウジング211内には、電解質、例えば電解液が充填される。
【0067】
この電池セル20は二つの電極端子214をさらに含んでもよく、二つの電極端子214には、カバープレート212が設置されてもよい。カバープレート212は、一般的には平板形状であり、二つの電極端子214は、カバープレート212の平板面に固定され、二つの電極端子214は、それぞれ正電極端子214aと負電極端子214bである。各電極端子214には、一つの接続部品23がそれぞれ対応して設置され、又は集電部品23と呼ばれてもよく、それは、カバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214とを電気的な接続を実現するために用いられる。
【0068】
図3図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第一のタブ221aと第二のタブ222aを有する。第一のタブ221aと第二のタブ222aの極性は、逆である。例えば、第一のタブ221aが正極タブである場合、第二のタブ222aは、負極タブである。一つ又は複数の電極アセンブリ22の第一のタブ221aは、一つの接続部品23によって一つの電極端子に接続され、一つ又は複数の電極アセンブリ22の第二のタブ222aは、別の接続部品23によって別の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは、一つの接続部品23によって正極タブに接続され、負電極端子214bは、別の接続部品23によって負極タブに接続される。
【0069】
この電池セル20では、実際の使用需要に応じて、電極アセンブリ22は、一つ、又は複数として設置されてもよい。図3図4に示すように、電池セル20内には、4つの独立した電極アセンブリ22が設置される。
【0070】
例として、電池セル20の一つの壁には、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を逃すための放圧機構213がさらに設置されてもよい。
【0071】
選択的に、本出願の一つの実施例では、放圧機構213と電極端子214は、電池セル20の異なる壁に設置される。例として、図3に示すように、電池セル20の電極端子214は、電池セル20の頂壁、即ちカバープレート212に設置されてもよい。放圧機構213は、電池セル20に設置され、頂壁の別の壁と異なり、例えば放圧機構213は、頂壁と対向する底壁215に設置される。図示の便宜上、図3において底壁215をハウジング211から分離するが、これは、ハウジング211の底側が開口を有することに限定するものではない。
【0072】
本出願の実施例では、放圧機構213と電極端子214を電池セル20の異なる壁に設置することで、放圧機構213が作動している時、電池セル20の排出物が電極端子214から離れることによって、排出物による電極端子214とバスバー部材への影響を低減することができるため、電池の安全性を強めることができる。
【0073】
さらに、電極端子214が電池セル20のカバープレート212に設置される場合、放圧機構213を電池セル20の底壁215に設置することで、放圧機構213が作動している時、電池セル20の排出物が電池10の底部に排出されることができる。このように、電池10の底部の熱管理部材などを利用して排出物の危険性を低減することができる一方、電池10の底部が一般的にユーザから離れることによって、ユーザへの危害を低減することができる。
【0074】
選択的に、本出願別の実施例では、放圧機構213と電極端子214は、電池セル20の同一の壁に設置される。例として、図4に示すように、電極端子214と放圧機構213はいずれも、電池セル20の頂壁、即ちカバープレート212に設置されてもよい。
【0075】
放圧機構213と電極端子214を電池セル20の同一の壁に設置し、例えば、電池セル20のカバープレート212に設置することで、放圧機構213と電極端子214の加工と取り付けを容易にし、電池10の生産効率の向上に寄与することができる。
【0076】
上記放圧機構213は、その位置する壁の一部であってもよく、その位置する壁と別体の構造であり、例えば溶接の方式でその位置する壁に固定してもよい。例えば、図3に示される実施例において、放圧機構213が底壁215の一部である場合、放圧機構213は、底壁215に切り込みを設置する方式で形成されてもよく、この切り込みに対応する底壁215厚さは、放圧機構213の切り込み箇所以外の領域の厚さよりも小さい。切り込み箇所は、放圧機構213の一番脆弱な位置である。電池セル20に発生したガスが多すぎることで、ハウジング211内部圧力が上昇し、閾値に達し、又は電池セル20内部の反応による熱で電池セル20内部の温度が上昇し、閾値に達した時に、放圧機構213は、切り込み箇所で破断することによってハウジング211の内外が連通され、ガス圧力及び温度は、放圧機構213の破裂によって外部にリリースされ、さらに電池セル20の爆発を回避する。
【0077】
また、放圧機構213は、様々な可能な放圧機構であってもよく、本出願の実施例は、これに限定されない。例えば、放圧機構213は、放圧機構213が設けられる電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶け得るように構成される感温式放圧機構であってもよく、及び/又は、放圧機構213は、放圧機構213が設けられる電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破断できるように構成される感圧式放圧機構であってもよい。
【0078】
図5は、本出願の実施例による電池10の別の概略構造図を示した。
【0079】
図5に示すように、この電池10は、複数の電池セル20を含み、これらの複数の電池セル20は、第一の電池セル20aと、第二の電池セル20bとを含み、この第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第二の壁202bには放圧機構213が設置され、この放圧機構213は、放圧機構213が設置される電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動してこの内部圧力を逃すためのものである。
【0080】
熱管理部材30は、流体を収容して複数の電池セル20に温度を調節するために用いられ、この熱管理部材30は、第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bに付設され、この第二の電池セル20bの第一の壁201bは、第二の電池セル20bの第二の壁202bと異なり、熱管理部材30は、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する位置に、第一の電池セル20aの放圧機構213が作動している時に第一の電池セル20aの排出物を排出するための放圧領域301が設置される。
【0081】
本出願の実施例いくつかの実施の形態では、複数の電池セル20において、第一の電池セル20aと第二の電池セル20bは、同じ形状であってもよく、電池10の筐体に取り付けやすい。一例として、この第一の電池セル20aと第二の電池セル20bは、いずれも直方体構造であってもよい。ここで、第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bは、直方体構造における同一の方向に向く壁として理解されてもよい。同様に、この第一の電池セル20aの第二の壁202aと第二の電池セル20bの第二の壁202bは、直方体構造における同一の方向に向く別の壁として理解されてもよい。
【0082】
別の例として、この第一の電池セル20aと第二の電池セル20bは、いずれも円柱体構造又は他の三次元構造であってもよい。ここで、第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bは、三次元構造における同一の方向に向く壁として理解されてもよい。同様に、この第一の電池セル20aの第二の壁202aと第二の電池セル20bの第二の壁202bは、三次元構造における同一の方向に向く別の壁として理解されてもよい。
【0083】
第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bが同じ方向に向いている上で、熱管理部材30は、この第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bに付設されやすい。
【0084】
選択的に、具体的な形態で、この熱管理部材30は、板状部材、管状部材又は他の形式の部材であってもよい。この熱管理部材30には、複数の電池セル20に温度を調節するように流体が収容されてもよい。また、具体的な取付方式において、それがこの第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bに付設されるように、この熱管理部材30は、固定具によって複数の電池セル20に設置されてもよい。又は、それがこの第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bに付設されるように、この熱管理部材30は、固定具によって電池10の他の構造部材、例えば筐体に設置されてもよい。
【0085】
例として、図5に示すように、熱管理部材30は、板状部材であってもよく、この板状の熱管理部材30が第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bを広い面積で全面的に覆って、熱管理部材30の温度調整能力を向上させ、電池10の安全性を強めることができる一方、この板状の熱管理部材30はさらに、排出物による第一の電池セル20aと第二の電池セル20bへの影響を防止するために、第一の電池セル20a、第二の電池セル20bの位置する空間を、第一の電池セル20aの排出物の位置する空間から隔離するために用いられてもよい。
【0086】
第一の電池セル20aの第一の壁201aに放圧機構213が設置されるため、この放圧機構213は、第一の電池セル20aの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、この第一の電池セル20aの内部圧力を逃すために用いられる。そのため、第一の電池セル20aの第一の壁201aに付設される熱管理部材30には、放圧機構213の箇所に対応して、第一の電池セル20aの放圧機構213が作動している時に第一の電池セル20aの排出物を排出するための放圧領域301が設置される。この熱管理部材30と第一の電池セル20aのとの相互協働により、第一の電池セル20aが放圧機構213及び熱管理部材30における放圧領域301によって内部圧力を逃し、第一の電池セル20aの爆発を防止して電池10の安全性能を向上させることができる。選択的に、放圧領域301は、熱管理部材30を貫通するスルーホールであってもよく、又は放圧機構213が作動している時、排出物によって破壊されやすい脆弱領域、例えば厚さ又は強度が比較的小さい領域であってもよい。
【0087】
それと同時に、第二の電池セル20bの放圧機構213は、第二の電池セル20bの第一の壁201bに設置されず、第一の壁201bと異なる第二の壁202bに設置される。この第二の電池セル20bにおいて、熱管理部材30に付設される第一の壁201bは、全て放熱面として設計されることによって、電池10全体の放熱面積を増やすことができる。そのため、第二の電池セル20bに対し、第二の電池セル20bが放圧機構213によって内部圧力をリリースし、爆発を防止して電池10の安全性能を向上させることができる一方、この第二の電池セル20bにおいて、熱管理部材30に付設される第一の壁201bは、すべて放熱面であってもよく、電池10全体の放熱面積を増やすことによって、さらに電池10の安全性能を向上させることができる。
【0088】
以上をまとめると、本出願の実施例の技術案により、電池10の複数の電池セル20において、第一の電池セル20aの放圧機構213は、第一の電池セル20aの第一の壁201aに設置され、第二の電池セル20bの放圧機構213は、第二の電池セル20bの第二の壁202bに設置される。熱管理部材30は、第一の電池セル20aにおいて放圧機構213が位置する第一の壁201aと、第二の電池セル20bにおいて放圧機構213が設置されていない第一の壁201bに付設される。そのため、この第二の電池セル20bにおいて、熱管理部材30に付設される第一の壁201bは、全て放熱面として設計されてもよい。この技術案により、電池10全体の放熱面積を効果的に増やし、さらに電池の安全性能を向上させ、且つ電池の急速な充電技術の発展に寄与することができる。
【0089】
さらに、熱管理部材30が、第一の電池セル20aにおいて放圧機構213が位置する第一の壁201aと、第二の電池セル20bにおいて放圧機構213が設置されていない第一の壁201bに付設されるため、熱管理部材30には、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する位置に放圧領域301を設置して、第一の電池セル20aの排出物を排出する必要があるが、第二の電池セル20bに対応する領域には依然として流体が収容されて、第二の電池セル20bを温度調節することができる。この技術案により、第一の電池セル20aと第二の電池セル20bがいずれもその放圧機構213によって内部圧力をリリースすることができることを実現するとともに、電池10全体の放熱面積を大きくし、さらに電池10の安全性能を向上させることができる。
【0090】
選択的に、第一の電池セル20において、放圧機構213が設置される第一の壁201aには、電極端子214が設置されておらず、言い換えると、電極端子214と放圧機構213は、第一の電池セル20aの異なる壁に設置される。
【0091】
この技術案により、第一の電池セル20aにおいて、放圧機構213と電極端子214が異なる壁に設置されることで、放圧機構213が作動している時、第一の電池セル20aの排出物が電極端子214から離れることによって、排出物による電極端子214及びその関連部材への影響を低減することができるため、さらに電池10の安全性を強めることができる。
【0092】
一例として、図5に示すように、第一の電池セル20aにおいて、電極端子214は、第一の電池セル20aの第二の壁202aに設置されてもよい。選択的に、この第二の壁202aは、第一の壁201aと対向する壁であり、この技術案により、第一の電池セル20aの排出物を電極端子214から最大限に離れ、電池10の安全性能を保証することができる。
【0093】
図5に示す第一の電池セル20aに対し、選択的な実施の形態として、その具体的な構造は、上記図3に示される実施例の関連技術案を参照してもよい。
【0094】
具体的には、第二の電池セル20bにおいて、熱管理部材30に付設される第一の壁201bには、第一の壁201bのすべての領域がいずれも放熱面であり、且つ熱管理部材30がこの第一の壁201bのすべての領域を温度調節することができるように、電極端子214が設置されていない。
【0095】
例として、図5に示される実施例では、第二の電池セル20bにおいて放圧機構213が設置される第二の壁202bは、熱管理部材30に付設される第一の壁201bと対向して設置されて、放圧機構213によって排出された第二の電池セル20bの排出物による熱管理部材30への影響を最大限に低減することができる。
【0096】
選択的に、図5に示すように、第二の電池セル20bにおいて、電極端子214が放圧機構213と同一の壁に設置されてもよく、即ち電極端子214と放圧機構213がいずれも、第二の壁202bに設置されることによって、第二の電池セル20bにおける電極端子214及び放圧機構213の加工及び取り付けを容易にし、電池10の生産効率を向上させる。
【0097】
図5に示す第二の電池セル20bに対し、選択的な実施の形態として、その具体的な構造は、上記図4に示される実施例の関連技術案を参照してもよい。
【0098】
以上の説明から分かるように、第一の電池セル20aの放圧機構213が、熱管理部材30に付設される第一の壁201aに設置され、且つ第一の電池セル20aの排出物が熱管理部材30における放圧領域301によって排出されるため、熱管理部材30は、第一の電池セル20aの排出物を第一の電池セル20aから隔離することができ、第一の電池セル20aの排出物による第一の電池セル20aへの影響は、比較的小さい。しかし、第二の電池セル20bの放圧機構213が、熱管理部材30に付設される第一の壁201bに設置されないため、熱管理部材30は、第二の電池セル20bの排出物を隔離することができず、第二の電池セル20bの排出物による第二の電池セル20bへの影響は、比較的大きい。
【0099】
そのため、第二の電池セル20bの排出物による第二の電池セル20bへの影響を低減し、且つ電池10の全体性能を総合的に向上させるために、第一の電池セル20aと第二の電池セル20bは、
(1)第一の電池セル20aの陰極材料の比容量が第二の電池セル20bの陰極材料の比容量よりも大きいこと、
(2)第一の電池セル20aのエネルギー密度が第二の電池セル20bのエネルギー密度よりも大きいこと、又は、
(3)第一の電池セル20aがその放圧機構213の作動時に排出した排煙温度が、第二の電池セル20bがその放圧機構213の作動時に排出した排煙温度よりも高いこと、のうちの少なくとも一つの条件を満たしてもよい。
【0100】
第一の電池セル20aと第二の電池セル20bが上記条件(1)及び/又は条件(2)を満たす場合、第二の電池セル20bが、第一の電池セル20aに比べて、第二の電池セル20bに熱暴走が発生しにくいため、第二の電池セル20bにおける内部圧力又は温度が閾値に達する確率は、比較的低く、言い換えると、第二の電池セル20bがその放圧機構213によって排出物を逃す確率が比較的低く、第二の電池セル20bがその放圧機構213によって逃した排出物による第二の電池セル20bへの影響を低減し、電池10の安全性を向上させることができる。
【0101】
例示的なものであり、限定されるものではなく、第一の電池セル20aの陰極材料は、ニッケルコバルトマンガン(NiCoMn、NCM)三元材料、例えばNCM 811、NCM 622、NCM 523などを含むが、それらに限らない。第二の電池セル20bの陰極材料は、リン酸鉄リチウム(LiFePO、LFP)材料、チタン酸リチウム(LiTiO)材料、又はNCM 111などを含むが、それらに限らない。
【0102】
その上で、第二の電池セル20bに比べて、第一の電池セル20aの陰極材料の比容量が比較的大きく、この比容量が質量比容量(又はグラム容量)又は体積比容量であってもよく、単位質量/単位体積当たりに第一の電池セル20aのリリース可能な電力量は、比較的多く、及び/又は、第一の電池セル20aのエネルギー密度が比較的高く、このエネルギー密度が質量エネルギー密度又は体積エネルギー密度であってもよく、単位質量/単位体積当たりに第一の電池セル20aに蓄えられ得る電力量が比較的多いため、電池10の電気的性能の向上に有利である。
【0103】
第一の電池セル20aと第二の電池セル20bが上記条件(3)を満たす場合、第二の電池セル20bに熱暴走が発生しても、その放圧機構213が作動している時、第一の電池セル20aに比べて、第二の電池セル20bにより排出された排煙温度が、比較的低い。そのため、第二の電池セル20bがその放圧機構213によって逃した排出物による第二の電池セル20bへの影響を同様に低減し、電池10の安全性を向上させることができる。
【0104】
さらに、例示的なものであり、限定されるものではなく、第一の電池セル20aと第二の電池セル20bは、
(1a)第一の電池セル20aの陰極材料の質量比容量が180mAh/g以上であり、第二の電池セル20bの陰極材料の質量比容量が170mAh/g以下であること、
(2a)第一の電池セル20aの質量エネルギー密度が230wh/kg以上であり、第二の電池セル20bの質量エネルギー密度が220wh/kg以下であること、又は、
(3a)第一の電池セル20aがその放圧機構213の作動時に排出した排煙温度が600℃以上であり、第二の電池セル20bがその放圧機構213の作動時に排出した排煙温度が500℃以下であること、のうちの少なくとも一つの条件を満たしてもよい。
【0105】
選択的に、上記条件(3a)において、第一の電池セル20aと第二の電池セル20bにより排出された排煙が温度閾値を満たすことができるほか、時間閾値をさらに満たすことができ、例えば第一の電池セル20aがその放圧機構213の作動時に排出した排煙温度は、600℃以上であり、且つ持続時間は、3s以上である。
【0106】
本出願の実施例のいくつかの実施の形態では、熱管理部材30は、流体を収容するための流路330を含んでもよく、ここで、放圧領域301には、流体が設置されていない。
【0107】
図6は、図5においてA部分の局所拡大概略図を示した。
【0108】
図6に示すように、熱管理部材30は、第一の熱伝導板310と、第二の熱伝導板320とを含んでもよい。第一の熱伝導板310と第二の熱伝導板320は、流路330を形成し、流体を収容するために用いられる。第一の熱伝導板310は、第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の熱伝導板320との間に位置し、且つこの第一の壁201aに付設される。
【0109】
図6に示される実施例では、熱管理部材30における放圧領域301は、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応し、この放圧領域301には、流路330が設置されていないため、放圧領域301には、流体が設置されていない。
【0110】
この技術案により、熱管理部材30において、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する領域は、放圧領域301として設置され、この放圧領域301には、流路330と流体が設置されておらず、第一の電池セル20の放圧機構213が作動している時、熱管理部材30における流路330に衝撃が与えられ、熱管理部材30における流体が無駄になり、熱管理部材30による複数の電池セル20の温度調節効果に影響を及ぼすことを防止する。
【0111】
選択的に、図6に示すように、第一の熱伝導板310において、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する領域は、第一の放圧領域311であり、第二の熱伝導板320において、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する領域は、第二の放圧領域321であり、この第一の放圧領域311と第二の放圧領域321は、本出願の実施例における放圧領域301を共に形成する。
【0112】
一例として、この第一の放圧領域311及び/又は第二の放圧領域321は、脆弱領域であってもよい。この第一の放圧領域311の強度は、第一の熱伝導板310における他の領域の強度よりも小さくてもよく、及び/又は、この第二の放圧領域321の強度は、第二の熱伝導板320における他の領域の強度よりも小さくてもよい。
【0113】
選択的に、第一の放圧領域311及び/又は第二の放圧領域321には、放圧機構213と対向して設置される凹溝が設置され、凹溝の底壁は、脆弱領域を形成し、放圧機構213が作動している時、第一の電池セル20aの排出物は、凹溝の底壁を破壊して逃されることができる。
【0114】
選択的に、他の方式で第一の熱伝導板310及び/又は第二の熱伝導板320に脆弱領域を第一の放圧領域311及び/又は第二の放圧領域321として形成し、例えば第一の熱伝導板310に切り込みを設置して第一の放圧領域311などとして脆弱領域を形成してもよく、本出願は、これに対して具体的に限定しない。
【0115】
別の例として、この第一の放圧領域311及び/又は第二の放圧領域321は、スルーホールであってもよい。放圧機構213が作動している時、第一の電池セル20aの排出物は、スルーホール形式の第一の放圧領域311及び/又は第二の放圧領域321によって直接逃されることができる。
【0116】
無論、他の例では、第一の放圧領域311と第二の放圧領域321のうちの一方は、スルーホールであってもよく、他方は、脆弱領域として設計されてもよく、スルーホールが第一の電池セル20aの排出物の通過を容易にするとともに、脆弱領域は、外部による放圧機構213及び第一の電池セル20aへの影響を遮断し、電池10の安全性と信頼性を向上させることができる。
【0117】
図7は、図5におけるB部分の局所拡大概略図を示す。
【0118】
選択的に、図7に示すように、熱管理部材30は、第二の電池セル20bの第一の壁201bに対応する位置に流路330が設置される。
【0119】
第一の熱伝導板310は、第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の熱伝導板320との間に位置し、且つこの第一の壁201aに付設されるほか、第一の熱伝導板310は、第二の電池セル20bの第一の壁201bと第二の熱伝導板320との間に位置し、且つこの第一の壁201bに付設される。
【0120】
選択的に、第二の電池セル20bの第一の壁201bに放圧機構213が設置されていないため、流路330は、第二の電池セル20bの第一の壁201bに対応して全面的に覆うように設置されてもよく、この全面的に覆われる流路330は、第二の電池セル20bに対して良好な温度調節作用を果たすことができる。
【0121】
選択的に、電池10の複数の電池セル20のうち、第二の電池セル20bは、これらの複数の電池セル20におけるエッジ領域に設置される。
【0122】
複数の電池セル20のエッジ領域に位置する電池セル20が受けた外部環境からの干渉が比較的大きいため、複数の電池セル20の中心領域に位置する電池セル20が受けた外部環境からの干渉は、比較的小さい。そのため、複数の電池セル20のエッジ領域に位置する電池セル20は、それを適切な温度区間内にし、良好な作動性能及び安全性能を有するために、特に熱管理部材30がそれを温度調節する必要がある。
【0123】
上述したように、熱管理部材30が第二の電池セル20bに対して良好な温度調節効果を実現しやすいため、本出願の実施例の技術案において、第二の電池セル20bを複数の電池セル20におけるエッジ領域に設置することで、熱管理部材30が複数の電池セル20のエッジ領域に位置する第二の電池セル20bを温度調節し、外部環境によるこれらの複数の第二の電池セル20bへの影響を低減し、電池10全体の性能を向上させることができる。
【0124】
また、第一の電池セル20aのエネルギー密度が第二の電池セル20bのエネルギー密度よりも高くてもよく、この第一の電池セル20aの排出物の温度が第二の電池セル20bの温度よりも高い可能性もある。そのため、第一の電池セル20aにより排出された比較的高い温度の排出物が電池10外に直接排出されることによって安全上の懸念が生じることを防止するために、いくつかの可能な実施の形態において、第二の電池セル20bを電池10の排出弁に近づけるように設置するが、第一の電池セル20aを電池10の排出弁から離れるように設置してもよく、ここで、この電池10の排出弁は、電池10の筐体に設置され、第一の電池セル20aの排出物と第二の電池セル20bの排出物を電池10の外部に排出するために用いられてもよい。
【0125】
この技術案により、第一の電池セル20aと電池10の排出弁との距離が比較的遠く、この第一の電池セル20aの排出物が電池10において一定の排出経路を通って電池10外に排出されることによって、第一の電池セル20aの高温排出物による外部への影響を低減し、電池10の安全性能を向上させることができる。
【0126】
選択的に、電池10の複数の電池セル20には、少なくとも一つの第一の電池セル20aと、少なくとも一つの第二の電池セル20bとが含まれてもよい。
【0127】
上述したように、熱管理部材30は、第二の電池セル20bに対し、良好な温度調節作用を有するが、第一の電池セル20aは、比較的優れている電気的性能、例えば比較的高いエネルギー密度を有する。電池10における第一の電池セル20aと第二の電池セル20bの数を予め設定される割合範囲内に制御することによって、熱管理部材30の温度調節効果及び電池10のエネルギー密度をバランスさせ、電池10の全体性能を最適化することができる。
【0128】
例示的なものであり、限定されるものではなく、いくつかの可能な実施の形態では、複数の電池セル20のうち、少なくとも一つの第二の電池セル20bの数と複数の電池セル20の数との比の範囲は、20%から50%である。
【0129】
具体的には、少なくとも一つの第二の電池セル20bの数と複数の電池セル20の数との比は、50%以下であり、第一の電池セル20aの数が電池10全体におけるすべての電池セル20の数の半分以上を占めることを確保して、電池10のエネルギー密度が比較的高いことを確保することができる。また、少なくとも一つの第二の電池セル20bの数と複数の電池セル20の数との比は、20%以上であり、熱管理部材30の第二の電池セル20b及びその周辺の第一の電池セル20aに対する温度調節効果を確保し、電池10全体の安全性能を向上させることができる。
【0130】
選択的に、いくつかの実施の形態では、複数の電池セル20は、第一の方向に沿って配列された1列の電池セル20を含み、この1列の電池セル20のうち、N個の第一の電池セル20aごとに一つの第二の電池セル20bが間隔をあけて設置され、ここで、Nは、正整数であり、且つN≦4である。
【0131】
図8図9は、本出願の実施例による電池10の二つ斜視構造概略図を示した。
【0132】
例として、図8図9に示すように、本出願の実施例では、電池10は、2列の電池セル20を含んでもよく、且つ各列の電池セル20のうちの複数の電池セル20は、第一の方向xに沿って配列され、2列の電池セル20は、第二の方向yに沿って配列される。
【0133】
図8に示すように、1列の電池セル20のうち、一つの第一の電池セル20aごとに一つの第二の電池セル20bが設置される。言い換えると、1列の電池セル20のうち、第一の電池セル20aと第二の電池セル20bは、順に間隔をあけて設置される。この1列の電池セル20のうち、第一の電池セル20aの数と第二の電池セル20bの数との比は、1:1である。
【0134】
図9に示すように、1列の電池セル20のうち、二つの第一の電池セル20aごとに一つの第二の電池セル20bが設置される。この1列の電池セル20のうち、第一の電池セル20aの数と第二の電池セル20bの数との比は、2:1である。
【0135】
図8図9に示される実施例以外、1列の電池セル20のうち、三つの又は四つの第一の電池セル20aごとに一つの第二の電池セル20bが設置されてもよい。この場合、第一の電池セル20aの数と第二の電池セル20bの数との比は、3:1又は4:1であってもよい。
【0136】
この技術案により、1列の電池セル20のうちの第二の電池セル20bの数と1列の電池セル20の総数との比を20%から50%の範囲にすることによって、熱管理部材30は、この1列の電池セル20に対して比較的良い温度調節作用を有し、且つこの1列の電池セル20は、同時に比較的高いエネルギー密度を有することができる。また、1列の電池セル20のうち、N個の第一の電池セル20aごとに一つの第二の電池セル20bが間隔をあけて設置されることで、第二の電池セル20bを1列の電池セル20に均等に位置させることができ、それによって熱管理部材30がこの1列の電池セル20に対して均一な温度調節作用を果たして、さらに熱管理部材30による1列の電池セル20の温度調節効果を向上させることができる。
【0137】
選択的に、いくつかの実施の形態では、図8図9に示すように、2列の電池セル20のうちの各列の電池セル20の配列方式は、同じであり、第二の方向yに、隣接する二つの電池セル20は、同一の電池セルであり、即ち、隣接する二つの電池セル20は、いずれも第一の電池セル20aであり、又は、いずれも第二の電池セル20bである。
【0138】
無論、他の実施の形態では、第二の方向yに、隣接する二つの電池セル20異なるタイプの電池セルであってもよい。例えば、第二の方向yに、N個の第一の電池セル20aごとに一つの第二の電池セル20bが間隔をあけて設置される。このように、第二の方向yに、第二の電池セル20bを複数列の電池セル20に均等に位置させることによって、さらに熱管理部材30のこの複数列の電池セル20に対する温度調節作用を向上させることができる。
【0139】
理解できるように、図8図9に示す電池セル20の列数及び各列の電池セル20のうちの電池セル20の数は、いずれも例示的であり、限定されるものではない。本出願は、この電池セル20の数及び配列方式に対して具体的に限定しない。
【0140】
例として、図8図9において、複数の第一の電池セル20aの第一の壁201aと複数の第二の電池セル20bの第一の壁201bは、同一の平面に位置し、且つこれらの複数の第一の電池セル20aの第一の壁201aと複数の第二の電池セル20bの第一の壁201bは、複数の電池セル20の第一の壁201と総称されてもよい。同様に、複数の第一の電池セル20aの第二の壁202aと複数の第二の電池セル20bの第二の壁202bも、同一の平面に位置し、且つこれらの複数の第一の電池セル20aの第二の壁202aと複数の第二の電池セル20bの第二の壁202bは、複数の電池セル20の第二の壁202と総称されてもよい。
【0141】
ここで、複数の電池セル20の第一の壁201は、複数の電池セル20において熱管理部材30側に向く壁であり、複数の電池セル20の第二の壁202は、複数の電池セル20における熱管理部材30側から離れる壁である。
【0142】
図8図9において、第一の壁201に設置される複数の第一の電池セル20aの複数の放圧機構213(図示せず)に対応し、熱管理部材30には、複数の放圧領域301が設置され、これらの複数の放圧領域301は、複数の第一の電池セル20aの複数の放圧機構213と一対一で対応し、且つ熱管理部材30に間隔をあけて設置される。
【0143】
例として、図10図11は、図8に示される実施例における熱管理部材30の二つ斜視爆発構造概略図を示した。
【0144】
図10図11に示すように、熱管理部材30は、対向して設置される第一の熱伝導板310と、第二の熱伝導板320とを含む。選択的に、一例として、第一の熱伝導板310は、平板構造であってもよく、第二の熱伝導板320には、第一の熱伝導板310と第二の熱伝導板320との間に流路330を形成するように、第一の熱伝導板310から離れる方向に向かって凹む凹部が設置される。又は、他の例において、第二の熱伝導板320は、平板構造であってもよく、第一の熱伝導板310には、第一の熱伝導板310と第二の熱伝導板320との間に流路330を形成するように、第二の熱伝導板320から離れる方向に向かって凹む凹部が設置される。又は、他の例において、第一の熱伝導板310と第二の熱伝導板320には、第一の熱伝導板310と第二の熱伝導板320との間に流路330を形成するように、いずれも凹部が設置される。本出願の実施例は、流路330を形成する具体的な方式に対して限定しない。
【0145】
選択的に、図10図11に示される実施例では、第一の熱伝導板310における第一の放圧領域311は、スルーホール構造であってもよく、このスルーホール構造の寸法は、第一の電池セル20aの放圧機構213の寸法に合わせて設計されてもよい。また、第二の熱伝導板320における第二の放圧領域321は、脆弱領域構造であってもよく、この脆弱領域構造の寸法は、スルーホール構造の寸法に合わせて設計されてもよい。
【0146】
他の実施例では、第一の熱伝導板310における第一の放圧領域311と第二の熱伝導板320における第二の放圧領域321の関連設計案は、以上の図6に示される実施例における関連記述を参照してもよく、ここでこれ以上説明しない。本出願の実施例は、第一の放圧領域311と第二の放圧領域321の具体的な形態に対しても限定しない。
【0147】
選択的に、図10に示すように、この例では、流路330は、ストライプ状流路330である。図8図10を参照して分かるように、1列の電池セル20に対応し、熱管理部材30には、1列の放圧領域301及び2本のストライプ状流路330が設置され、この2本のストライプ状流路330と1列の放圧領域301は、いずれも第一の方向xに沿って延び、且つ第二の方向yに、この2本のストライプ状流路330は、1列の放圧領域301の両側に位置する。
【0148】
この実施の形態では、この熱管理部材30における流路330が加工しやすいが、それが第二の電池セル20bを覆う第一の壁201bに完全に対応していないため、この熱管理部材30の温度調節効果は、最適ではない。
【0149】
熱管理部材30の温度調節効果をさらに向上させることができるように、図10に示すストライプ状流路に加えて、図11に示すように、流路330は、接続部分331をさらに含み、この接続部分331は、1列の電池セル20に対応する2本のストライプ状流路を接続するために用いられ、この接続部分331は、隣接する二つの放圧領域301間に位置し、且つ第二の電池セル20bの第一の壁201bに対応して設置される。
【0150】
この実施の形態の技術案により、熱管理部材30に対応する複数の電池セル20の領域において、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する領域に放圧領域301が設置される以外、複数の電池セル20を十分に温度調節し、熱管理部材30の温度調節効果を最適化し、電池10の安全性能を確保することができるように、他の領域には、いずれも流路が設置されてもよい。
【0151】
図12は、本出願の実施例による電池10の別の概略構造図を示した。
【0152】
図12に示すように、本出願の実施例では、電池10は、第一の電池セル20aの放圧機構213が作動している時に第一の電池セル20aの排出物を収集するための収集キャビティ11bと、この収集キャビティ11bに設置され、収集キャビティ11bの圧壊強度を向上させるための緩衝材40とをさらに含む。
【0153】
具体的には、本出願の実施例では、電池10は、電気キャビティ11aと、収集キャビティ11bとをさらに含んでもよい。熱管理部材30は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを隔離するために用いられる。ここで、電気キャビティ11aは、複数の電池セル20を収容するために用いられ、収集キャビティ11bは、第一の電池セル20aの放圧機構213が作動している時に第一の電池セル20aの排出物を収集するために用いられる。
【0154】
本出願の実施例では、熱管理部材30を採用して電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを隔離する。つまり、複数の電池セル20を収容する電気キャビティ11aは、排出物を収集する収集キャビティ11bと分離される。このように、放圧機構213が作動している時、第一の電池セル20aの排出物は、収集キャビティ11bに入り、電気キャビティ11aに入らず、又は電気キャビティ11aに少ししか入らず、それによって電気キャビティ11aにおける電気的な接続に影響を及ぼさないため、電池10の安全性を強めることができる。
【0155】
さらに、収集キャビティ11bには、緩衝材40がさらに設置される。空洞構造に対し、緩衝材40が収集キャビティ11bに緩衝とエネルギー吸収作用を提供することができるため、緩衝材40が設置される収集キャビティ11bは、より良い圧壊強度を有し、言い換えると、外部圧力が電池10に作用する場合、緩衝材40が設置される収集キャビティ11bは、外部圧力の大部分ないし全部の吸収を受け止めることによって、外部圧力による熱管理部材30と電気キャビティ11aにおける電池セル20などの電気部材への影響を低減又は解消し、電池10の圧壊性能と安全性能を向上させることができる。
【0156】
いくつかの応用シナリオでは、電池10は、電気自動車のシャーシに取り付けられ、且つ電気自動車の走行のために電力を提供することができる。具体的に、電池の収集キャビティ11bは、電気キャビティ11aに対して電気自動車のシャーシに向いており、電気自動車が走行中に揺れ、石飛び衝突などの不具合を受ける可能性があり、電気自動車のシャーシないしシャーシに取り付けられる電池に衝撃と底打ちを起こす。本出願の実施例の技術案により、収集キャビティ11bにおける緩衝材40は、良好な衝撃防止と底打ち防止機能を提供し、電気自動車が走行中に遭遇した不具合による電池への影響を低減又は除去し、電池10の衝撃抵抗性能と安全性能を強めることによって、さらに電気自動車の安全性能を向上させることができる。
【0157】
選択的に、緩衝材40の緩衝効果を向上させるために、本出願の実施例の緩衝材40は、層状構造であってもよく、収集キャビティ11bにおいて、この層状構造の緩衝材40は、複数の電池セル20の位置に対応して設置される。
【0158】
選択的に、本出願の一つの実施例では、熱管理部材30は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bの共通壁を有する。図12に示すように、熱管理部材30は、同時に電気キャビティ11aの一つの壁及び収集キャビティ11bの一つの壁の両方であってもよい。つまり、熱管理部材30(又はその一部)は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bの共通壁として直接用いられてもよい。このように、第一の電池セル20aの排出物が熱管理部材30を通って収集キャビティ11bに入ることができるとともに、熱管理部材30の存在により、この排出物を電気キャビティ11aからできるだけ隔離することによって、排出物の危険性を低減し、電池10の安全性能を強めることができる。
【0159】
選択的に、いくつかの実施の形態では、緩衝材40は、熱管理部材30における複数の電池セル20から離れる表面に付設されて、収集キャビティ11bに設置されてもよい。
【0160】
この実施の形態により、緩衝材40が収集キャビティ11bに設置されることで、収集キャビティ11bの圧壊能力を向上させることができ、さらに、緩衝材40が熱管理部材30に付設されることで、熱管理部材30の圧壊能力を向上させ、外部圧力による熱管理部材30への損傷を低減又は解消し、熱管理部材30における流体が流出しないように確保して、良好な温度調節作用を果たすことができる。
【0161】
選択的に、上記緩衝材40は、保温材であってもよい。この保温材の緩衝材40は、比較的大きい面積を有し、熱管理部材30に付設され、特に、熱管理部材30における流路330に付設されてもよい。そのため、緩衝材40は、圧壊緩衝作用を果たすことができるほか、保温作用を果たし、熱管理部材30における流体を保温し、この熱管理部材30における流体温度の変化を防止し、さらに熱管理部材30の温度調節効果を確保して、電池10の性能を向上させることができる。
【0162】
選択的に、上記緩衝材40は、多孔質エネルギー吸収材であってもよい。外部圧力が電池10に作用する場合、この多孔質エネルギー吸収材の緩衝材40が外部圧力を吸収することができるため、外部圧力の大部分ないし全部を受け止めることによって、外部圧力による熱管理部材30と電気キャビティ11aにおける電池セル20などの電気部材への影響を低減又は解消することができる。
【0163】
例示的なものであり、限定されるものではなく、緩衝材40の材料は、具体的に発泡綿、例えばマイクロポリプロピレン(Microcellular Polypropylene、MPP)発泡綿、シリカゲル発泡綿などであってもよく、それは、エネルギー吸収特性と保温特性の両方を備えてもよく、本出願の実施例に好適に用いられることができる。
【0164】
選択的に、本出願の一つの実施例では、収集キャビティ11bに対し、熱管理部材30と防護部品50で形成されてもよい。例えば、図12に示すように、筐体は、防護部品50をさらに含む。防護部品50は、防護熱管理部材30に用いられ、そして防護部品50と熱管理部材30は、収集キャビティ11bを形成する。
【0165】
防護部品50と熱管理部材30とで形成された収集キャビティ11bが、筐体において電池セル20を収容する空間を占有しないため、比較的大きい空間の収集キャビティ11bを設置することができ、それによって排出物を効果的に収集し、緩衝し、その危険性を低減することができる。
【0166】
選択的に、本出願のいくつかの実施の形態では、収集キャビティ11bは、密閉されるチャンバーであってもよい。例えば、防護部品50と熱管理部材30の接続箇所は、密閉部品によって密閉されてもよい。
【0167】
選択的に、本出願の別のいくつかの実施の形態では、収集キャビティ11bは、密閉されるチャンバーでなくてもよい。例えば、収集キャビティ11bは、電池10の外部空気と連通されてもよく、このように、一部の排出物は、さらに電池10の外部に排出されてもよい。選択的に、防護部品50には、排出弁が設置されてもよく、収集キャビティ11bは、排出弁によって電池10の外部空気に連通されてもよい。
【0168】
選択的に、本出願の実施例では、収集キャビティ11bにおける緩衝材40は、防護部品50及び/又は熱管理部材30に付設されて設置されてもよい。例えば、固定具によって固定的に付設され、防護部品50及び/又は熱管理部材30に設置される。
【0169】
例として、図12に示すように、緩衝材40が防護部品50と熱管理部材30に同時に付設される場合、緩衝材40の厚さが比較的厚いため、その剛度を向上させ、さらに電池10の衝撃抵抗能力を向上させることができる。
【0170】
図13は、本出願の実施例による緩衝材40の斜視概略図を示した。図14は、図13における緩衝材40の平面概略図を示した。
【0171】
本出願の実施例では、緩衝材40の関連設計は、熱管理部材30における放圧領域301の位置する位置に関連し、即ち緩衝材40の関連設計は、第一の電池セル20aの放圧機構213の位置する位置に関連してもよい。
【0172】
図13図14に示すように、緩衝材40には、開口401が設置され、この開口401は、熱管理部材30における放圧領域301と対向して設置され、この開口401は、放圧領域301を通る第一の電池セル20aの排出物を通過させるために用いられる。
【0173】
第一の電池セル20aの放圧機構213が作動し、且つ第一の電池セル20aがその内部圧力を逃し、排出物を排除する場合、排出物が比較的大きい衝撃性及び比較的高い温度を有するため、排出物の通過を容易にするように熱管理部材30に放圧領域301が設置されるほか、緩衝材40は、放圧領域301に対応する位置に開口401が設置され、排出物を通過させ、緩衝材40による排出物の排出経路の閉塞を防止することによって、排出物による第一の電池セル20aへの影響を防止し、電池10の安全性を確保する必要もある。
【0174】
選択的に、上述した、緩衝材40に開口401を設置することで、第一の電池セル20aの排出物を通過させる以外、他の実施の形態において、緩衝材40は、熱管理部材30に付設されなくてもよく、緩衝材40と熱管理部材30との間に隙間が存在してもよく、この隙間は、排出物の排出経路を塞ぐことなく、第一の電池セル20aの排出物を通過させることができる。
【0175】
選択的に、収集キャビティ11bにおいて、第二の電池セル20bに対応する位置には、第二の電池セル20bを防護するように、緩衝材40が設置される。
【0176】
図13図14に示すように、第一の方向xに沿って配列された複数の放圧領域301に対応し、複数の開口401も対応して第一の方向xに沿って配列され、隣接する二つの開口401間に緩衝材40の実体緩衝部403が形成され、この実体緩衝部403は、複数の電池セル20のうちの第二の電池セル20bの位置する位置に対応して、第二の電池セル20bを防護する。
【0177】
無論、収集キャビティ11bにおいて、第二の電池セル20bに対応する位置には、緩衝材40の実体緩衝部403が設置されるほか、第一の電池セル20aに対応する位置にも、緩衝材40の実体緩衝部403が設置されてもよく、この実体緩衝部は、開口401の周囲に位置する。
【0178】
選択的に、図13図14に示すように、本出願の実施例では、緩衝材40には、第一の電池セル20aの排出物を緩衝材40から導くための導気通路402が設置される。
【0179】
第一の電池セル20aの排出物が熱管理部材30の放圧領域301を通って収集キャビティ11bに排出された後、収集キャビティ11bにおける緩衝材40が一部の空間を占有しており、排出物における高温ガス及び/又は高温液体の収集キャビティ11bにおける流動に不利であるため、排出物の降温に不利であり、電池10に一定の安全上の懸念をもたらす。
【0180】
そのため、本出願の実施例の技術案により、緩衝材40に導気通路402を設置することで、第一の電池セル20aの排出物、特に排出物における高温ガス及び/又は高温液体を導くために用いられ、高温排出物が緩衝材40の位置する空間に限定されることを防止することによって、この高温排出物がもたらす可能性のある安全上の懸念を防止することができる。また、排出物がこの導気通路402を流通している過程にも、放熱することができ、この導気通路402は、排出物の収集キャビティ11bにおける運動経路を延長するために用いられてもよく、排出物が収集キャビティを介して電池10の外部に排出される場合、比較的長い運動経路を通った後の排出物温度が比較的低いことによって、排出物の電池10の外部環境への影響を低減し、さらに電池10の使用安全性を強めることができる。
【0181】
選択的に、図13図14を参照すると、この導気通路402は、隣接する2列の電池セル20間に位置してもよい。選択的に、排出物が開口401を通過させてから、導気通路402を通って緩衝材40に導かれるように、この導気通路402は、上記開口401に接続されてもよい。開口401と導気通路402の相互協働により、排出物の緩衝材40における流通をより順調にさせることによって、排出物の降温にさらに寄与することができる。
【0182】
図14に示すように、本出願の実施例では、緩衝材40は、流路330に合わせて設計されてもよい。この緩衝材40において、開口401と導気通路402のほか、他の実体緩衝部は、いずれも流路330に対応して設置され、即ち第一の電池セル20aの排出物が流通し、排出されることができることを保証する前提で、緩衝材40の熱管理部材30における流路330に対する防護能力を最大限に向上させ、流路330における流体を保温する。
【0183】
本出願の一つの実施例は、電力消費装置をさらに提供する。この電力消費装置は、前記各実施例における電池10を含んでもよく、電池10は、この電力消費装置に電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0184】
選択的に、電力消費機器は、車両1、船舶又は宇宙航空機であってもよい。
【0185】
上記は、本出願の実施例の電池10と電力消費装置を記述したが、以下は、本出願の実施例の電池の製造方法と機器を記述し、ここで、詳細に記述されない部分は、前記各実施例を参照してもよい。
【0186】
図15は、本出願の一つの実施例の電池の製造方法600の概略的フローチャートを示した。図15に示すように、この方法600は、以下のステップを含んでもよい。
【0187】
601:第一の電池セル20aと、第二の電池セル20bとを含む複数の電池セル20を提供し、この第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第二の壁202bには放圧機構213が設置され、この放圧機構213は、放圧機構213が設けられる電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動してこの内部圧力を逃すためのものである。
【0188】
602:流体を収容して複数の電池セル20に温度を調節するための熱管理部材30を提供する。
【0189】
603:熱管理部材30を第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bに付設する。
【0190】
ここで、第二の電池セル20bの第一の壁201bは、第二の電池セル20bの第二の壁202bと異なり、熱管理部材30は、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する位置に、第一の電池セル20aの放圧機構213が作動している時に第一の電池セル20aの排出物を排出するための放圧領域301が設置される。
【0191】
図16は、本出願の一つの実施例の電池の製造装置700の概略的ブロック図を示す。図16に示すように、電池の製造装置700は、提供モジュール701と、取り付けモジュール702とを含んでもよい。
【0192】
提供モジュール701は、複数の電池セル20を提供するために用いられ、これらの複数の電池セル20は、第一の電池セル20aと、第二の電池セル20bとを含み、この第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第二の壁202bには放圧機構213が設置され、この放圧機構213は、放圧機構213が設けられる電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動してこの内部圧力を逃すためのものである。
【0193】
提供モジュール701はさらに、流体を収容して複数の電池セル20に温度を調節するための熱管理部材30を提供するために用いられる。
【0194】
取り付けモジュール702は、熱管理部材30を第一の電池セル20aの第一の壁201aと第二の電池セル20bの第一の壁201bに付設するために用いられる。
【0195】
ここで、第二の電池セル20bの第一の壁201bは、第二の電池セル20bの第二の壁202bと異なり、熱管理部材30は、第一の電池セル20aの放圧機構213に対応する位置に、第一の電池セル20aの放圧機構213が作動している時に第一の電池セル20aの排出物を排出するための放圧領域301が設置される。
【0196】
好ましい実施例を参照しながら本出願を記述したが、本出願の範囲を逸脱することなく、それに様々な改良を加え、且つ等価物で部材を置き換えることができる。特に、構造衝突がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせられてもよい。本出願は、明細書に開示される特定の実施例に限定されるものでなく、請求項の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0197】
1:車両
10:電池
11:モータ
11a:電気キャビティ
11b:収集キャビティ
12:コントローラ
20:電池セル
20a:第一の電池セル
20b:第二の電池セル
22:電極アセンブリ
23:接続部品、集電部品
30:熱管理部材
40:緩衝材
50:防護部品
111:第一の部分
112:第二の部分
201:電池セルの第一の壁
201a:第一の電池セルの第一の壁
201b:第二の電池セルの第一の壁
202:電池セルの第二の壁
202a:第一の電池セルの第二の壁
202b:第二の電池セルの第二の壁
211:ハウジング
212:カバープレート
213:放圧機構
214:電極端子
214a:正電極端子
214b:負電極端子
215:底壁
221a:第一のタブ
222a:第二のタブ
301:放圧領域
310:第一の熱伝導板
311:第一の放圧領域
320:第二の熱伝導板
321:第二の放圧領域
330:流路
331:接続部分
401:開口
402:導気通路
403:実体緩衝部
600:製造方法
700:製造装置
701:提供モジュール
702:取り付けモジュール
x:第一の方向
y:第二の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
第一の電池セルと、第二の電池セルとを含む複数の電池セルであって、前記第一の電池セルの第一の壁と前記第二の電池セルの第二の壁には放圧機構が設置され、前記放圧機構は、前記放圧機構が設置される電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を逃すためのものである複数の電池セルと、
流体を収容して前記複数の電池セルに温度を調節するための熱管理部材であって、前記熱管理部材は、前記第一の電池セルの第一の壁と前記第二の電池セルの第一の壁に付設され、前記第二の電池セルの第一の壁は、前記第二の電池セルの第二の壁と異なり、前記熱管理部材は、前記第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に、前記第一の電池セルの放圧機構が作動している時に前記第一の電池セルの排出物を排出するための放圧領域が設置される熱管理部材と、を含む、電池。
【請求項2】
前記熱管理部材は、前記流体を収容するための流路を含み、前記放圧領域には、前記流路が設置されていない、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記熱管理部材は、前記第二の電池セルの第一の壁に対応する位置に前記流路が設置される、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第一の電池セルの第二の壁と前記第二の電池セルの第二の壁には、電極端子が設置され、
前記第一の電池セルの第二の壁は、前記第一の電池セルの第一の壁と対向する壁であり、前記第二の電池セルの第二の壁は、前記第二の電池セルの第一の壁と対向する壁である、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記第一の電池セルと前記第二の電池セルは、
前記第一の電池セルの陰極材料の比容量が前記第二の電池セルの陰極材料の比容量よりも大きいこと、
前記第一の電池セルのエネルギー密度が前記第二の電池セルのエネルギー密度よりも大きいこと、又は、
前記第一の電池セルが前記放圧機構の作動時に排出する排煙温度が、前記第二の電池セルが前記放圧機構の作動時に排出する排煙温度よりも高いこと、のうちの少なくとも一つの条件を満たす、請求項1から4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記第一の電池セルと前記第二の電池セルは、
前記第一の電池セルの陰極材料の質量比容量が180mAh/g以上であり、前記第二の電池セルの陰極材料の質量比容量が170mAh/g以下であること、
前記第一の電池セルの質量エネルギー密度が230wh/kg以上であり、前記第二の電池セルの質量エネルギー密度が220wh/kg以下であること、又は、
前記第一の電池セルが前記放圧機構の作動時に排出する排煙温度が600℃以上であり、前記第二の電池セルが前記放圧機構の作動時に排出する排煙温度が500℃以下であること、のうちの少なくとも一つの条件を満たす、請求項1から5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記複数の電池セルは、少なくとも一つの前記第二の電池セルを含み、少なくとも一つの前記第二の電池セルの数と前記複数の電池セルの数との比の範囲は、20%から50%である、請求項5又は6に記載の電池。
【請求項8】
前記複数の電池セルは、第一の方向に沿って配列された1列の電池セルを含み、前記1列の電池セルのうち、N個の前記第一の電池セルごとに一つの前記第二の電池セルが設置され、Nは、正の整数であり、且つN≦4である、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記第二の電池セルは、前記複数の電池セルにおけるエッジ領域に設置される、請求項1から8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記電池は、
前記第一の電池セルの放圧機構が作動している時に前記第一の電池セルの排出物を収集するための収集キャビティと、
前記収集キャビティに設置され、前記収集キャビティの圧壊強度を向上させるための緩衝材とをさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記熱管理部材は、前記収集キャビティの一つの壁であり、前記緩衝材は、前記熱管理部材における前記複数の電池セルから離れる表面に付設される、請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記緩衝材には、開口が設置され、前記開口は、前記熱管理部材における放圧領域に対向して設置され、前記開口は、前記放圧領域を通る前記第一の電池セルの排出物を通過させるために用いられる、請求項10又は11に記載の電池。
【請求項13】
前記緩衝材には、前記第一の電池セルの排出物を前記緩衝材から導くための導気通路が設置される、請求項10から12のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記収集キャビティにおいて、前記第二の電池セルに対応する位置には、前記緩衝材が設置される、請求項10から13のいずれか1項に記載の電池。
【請求項15】
前記緩衝材の材料は、多孔質エネルギー吸収材及び/又は保温材である、請求項10から14のいずれか1項に記載の電池。
【請求項16】
電力消費装置であって、請求項1から15のいずれか1項に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するためのものである、電力消費装置。
【請求項17】
電池の製造方法であって、
第一の電池セルと、第二の電池セルとを含む複数の電池セルを提供することであって、前記第一の電池セルの第一の壁と前記第二の電池セルの第二の壁には放圧機構が設置され、前記放圧機構は、前記放圧機構が設けられる電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を逃すためのものであることと、
流体を収容して前記複数の電池セルに温度を調節するための熱管理部材を提供することと、
前記熱管理部材を前記第一の電池セルの第一の壁と前記第二の電池セルの第一の壁に付設することとを含み、
前記第二の電池セルの第一の壁は、前記第二の電池セルの第二の壁と異なり、前記熱管理部材は、前記第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に、前記第一の電池セルの放圧機構が作動している時に前記第一の電池セルの排出物を排出するための放圧領域が設置される、電池の製造方法。
【請求項18】
電池の製造装置であって、
提供モジュールと取り付けモジュールとを含み、
前記提供モジュールは、第一の電池セルと、第二の電池セルとを含む複数の電池セルを提供するためのものであり、前記第一の電池セルの第一の壁と前記第二の電池セルの第二の壁には放圧機構が設置され、前記放圧機構は、前記放圧機構が設けられる電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を逃すためのものであり、
前記提供モジュールは、流体を収容して前記複数の電池セルに温度を調節するための熱管理部材を提供するためのものであり、
前記取り付けモジュールは、前記熱管理部材を前記第一の電池セルの第一の壁と前記第二の電池セルの第一の壁に付設するためのものであり、前記第二の電池セルの第一の壁は、前記第二の電池セルの第二の壁と異なり、前記熱管理部材は、前記第一の電池セルの放圧機構に対応する位置に、前記第一の電池セルの放圧機構が作動している時に前記第一の電池セルの排出物を排出するための放圧領域が設置される、電池の製造装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0173
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0173】
第一の電池セル20aの放圧機構213が作動し、且つ第一の電池セル20aがその内部圧力を逃し、排出物を排出する場合、排出物が比較的大きい衝撃性及び比較的高い温度を有するため、排出物の通過を容易にするように熱管理部材30に放圧領域301が設置されるほか、緩衝材40は、放圧領域301に対応する位置に開口401が設置され、排出物を通過させ、緩衝材40による排出物の排出経路の閉塞を防止することによって、排出物による第一の電池セル20aへの影響を防止し、電池10の安全性を確保する必要もある。
【国際調査報告】