(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】スーパーオキシドの検出のための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 277/68 20060101AFI20240806BHJP
C07D 277/66 20060101ALI20240806BHJP
C12Q 1/26 20060101ALI20240806BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240806BHJP
C07F 9/50 20060101ALI20240806BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
C07D277/68 CSP
C07D277/66
C12Q1/26
C12N15/12
C07F9/50
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503589
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022037885
(87)【国際公開番号】W WO2023004046
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】593089149
【氏名又は名称】プロメガ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン マシュー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン フイ
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ ウェンフイ
(72)【発明者】
【氏名】ホフスティーン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドゥギリネ ヨランタ
【テーマコード(参考)】
4B063
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ61
4B063QR02
4B063QS36
4B063QX02
4H039CA60
4H039CA61
4H039CA66
4H039CA71
4H039CE40
4H039CG90
4H039CL25
4H050AA01
4H050AB20
4H050AC50
(57)【要約】
試料中のスーパーオキシドを選択的に検出するために使用することができる化合物が本明細書に開示される。また、化合物を含む組成物、及び化合物を使用してスーパーオキシドを検出する方法が本明細書に開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物:
【化1】
またはその塩であって、式中、
R
1が、-CN及び
【化2】
から選択され、
R
2が、水素及びハロから選択され、
nが、0、1、2、または3であり、
各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、-OC(O)-C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、アミノ、及び基-リンカー-Xから選択され、Xが、標的化部分であり、
R
4a及びR
4bのうちの1つが、ヒドロキシまたは-OC(O)-C
1~C
4アルキルであり、他方が、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分であり、
R
5が、水素及びC
1~C
4アルキルから選択され、
Zが、結合または式
【化3】
の基であり、
R
6が、C
1~C
4アルキル及び基-リンカー-Yから選択され、Yが、標的化部分である、前記化合物、またはその塩。
【請求項2】
Zが、式
【化4】
の基である、請求項1に記載の化合物、またはその塩。
【請求項3】
R
6が、メチルである、請求項2に記載の化合物、またはその塩。
【請求項4】
R
6が、基-リンカー-Yであり、Yが、ミトコンドリア標的化部分である、請求項2に記載の化合物、またはその塩。
【請求項5】
Yが、トリフェニルホスホニウム部分である、請求項4に記載の化合物、またはその塩。
【請求項6】
nが、1であり、R
3が、-OC(O)CH
3及びヒドロキシから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項7】
R
4aが、水素であり、R
4bが、ヒドロキシまたは-OC(O)CH
3である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項8】
前記化合物が、式(I)の化合物:
【化5】
またはその塩であって、式中、
R
1が、-CN及び
【化6】
から選択され、
R
2が、水素及びハロから選択され、
nが、0、1、2、または3であり、
各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、アミノ、及び基-リンカー-Xから選択され、Xが、標的化部分であり、
R
4a及びR
4bのうちの1つが、ヒドロキシであり、他方が、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分であり、
R
5が、水素及びC
1~C
4アルキルから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその塩。
【請求項9】
R
1が、-CNである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項10】
R
1が、
【化7】
である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項11】
R
5が、水素及びメチルから選択される、請求項10に記載の化合物、またはその塩。
【請求項12】
R
2が、水素である、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項13】
R
2が、フルオロである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項14】
前記化合物が、式(Ia)の化合物:
【化8】
またはその塩であって、式中、R
4aが、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分である、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項15】
前記化合物が、式(Ib)の化合物:
【化9】
またはその塩であって、式中、R
4bが、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分である、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項16】
nが、0、1、または2であり、各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、-OC(O)-C
1~C
4アルキル、及びヒドロキシから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項17】
nが、0、1、または2であり、各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルコキシから選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項18】
少なくとも1つのR
3が、基-リンカー-Xであり、Xが、ミトコンドリア標的化部分である、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項19】
Xが、トリフェニルホスホニウム部分である、請求項18に記載の化合物、またはその塩。
【請求項20】
【化10-1】
【化10-2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、
またはその塩。
【請求項21】
試料中のスーパーオキシドを検出する方法であって、
前記試料を、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩と接触させることと、
前記試料中にルシフェリン利用ルシフェラーゼがまだ存在しない場合、前記試料を、前記ルシフェリン利用ルシフェラーゼと接触させることと、
前記試料中の発光を検出することと、を含む、前記方法。
【請求項22】
前記試料が、生細胞を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞が、前記ルシフェリン利用ルシフェラーゼを発現する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ルシフェリン利用ルシフェラーゼを前記試料に添加することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ルシフェリン利用ルシフェラーゼが、ホタルルシフェラーゼまたはコメツキムシルシフェラーゼである、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩を含む、キット。
【請求項27】
ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素またはルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列を更に含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
緩衝液試薬を更に含む、請求項26または27に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月21日に出願された、米国仮特許出願第63/224,087号に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
試料中のスーパーオキシドを選択的に検出するために使用することができる化合物が本明細書に開示される。また、化合物を含む組成物、及び化合物を使用してスーパーオキシドを検出する方法が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
スーパーオキシドは、細胞ホメオスタシスの中心である、非常に不安定な高度に調節された活性酸素種である。スーパーオキシドの調節不全は、心血管疾患、がん、アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病、及び内皮機能不全を含む疾患状態をもたらし得る。細胞文脈におけるスーパーオキシドの直接的かつ特異的な検出は、非常に望ましい。短い滞留時間(スーパーオキシドジスムターゼ利用可能性に応じて10-6~10-9秒の半減期)のため、細胞中のスーパーオキシドを正確に測定することは本質的に困難である。スーパーオキシドを検出する現在の技術は、多くの場合、十分な選択性を欠く化学発光及び蛍光プローブに依存する。例えば、ヒドロエチジンは、自己酸化及び他の非スーパーオキシド特異的酸化反応を受ける傾向を有し、これは、スーパーオキシド特異的産物と同様の発光スペクトルを有する蛍光産物の産生をもたらす。別の化合物であるルミノールは、スーパーオキシド以外の活性酸素種とも反応することができ、ルミノールの酸化経路における反応性中間体のうちの1つは、それ自体スーパーオキシドを生成し、存在するスーパーオキシドの量の潜在的な過大評価をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、式(II)の化合物:
【化1】
またはその塩であって、式中、
R
1が、-CN及び
【化2】
から選択され、
R
2が、水素及びハロから選択され、
nが、0、1、2、または3であり、
各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、-OC(O)-C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、アミノ、及び基-リンカー-Xから選択され、Xが、標的化部分であり、
R
4a及びR
4bのうちの1つが、ヒドロキシまたは-OC(O)-C
1~C
4アルキルであり、他方が、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分であり、
R
5が、水素及びC
1~C
4アルキルから選択され、
Zが、結合または式
【化3】
の基であり、
R
6が、C
1~C
4アルキル及び基-リンカー-Yから選択され、Yが、標的化部分である、化合物、またはその塩を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、Zは、式
【化4】
の基である。いくつかの実施形態では、R
6は、メチルである。いくつかの実施形態では、R
6は、基-リンカー-Yであり、Yは、ミトコンドリア標的化部分である。いくつかの実施形態では、Yは、トリフェニルホスホニウム部分である。
【0006】
いくつかの実施形態では、nは、1であり、R3は、-OC(O)CH3及びヒドロキシから選択される。
【0007】
いくつかの実施形態では、R4aは、水素であり、R4bは、ヒドロキシまたは-OC(O)CH3である。
【0008】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I)の化合物:
【化5】
またはその塩であって、式中、
R
1が、-CN及び
【化6】
から選択され、
R
2が、水素及びハロから選択され、
nが、0、1、2、または3であり、
各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、アミノ、及び基-リンカー-Xから選択され、Xが、標的化部分であり、
R
4a及びR
4bのうちの1つが、ヒドロキシであり、他方が、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分であり、
R
5が、水素及びC
1~C
4アルキルから選択される、化合物、またはその塩である。
【0009】
いくつかの実施形態では、R
1は、-CNである。いくつかの実施形態では、R
1は、
【化7】
である。いくつかの実施形態では、R
5は、水素及びメチルから選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、R2は、水素である。いくつかの実施形態では、R2は、フルオロである。
【0011】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ia)の化合物:
【化8】
またはその塩であって、式中、R
4aが、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分である、化合物、またはその塩である。
【0012】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib)の化合物:
【化9】
またはその塩であって、式中、R
4bが、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分である、化合物、またはその塩である。
【0013】
いくつかの実施形態では、nは、0、1、または2であり、各R3は、独立して、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、-OC(O)-C1~C4アルキル、及びヒドロキシから選択される。いくつかの実施形態では、nは、0、1、または2であり、各R3は、独立して、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR3は、基-リンカー-Xであり、Xは、ミトコンドリア標的化部分である。いくつかの実施形態では、Xは、トリフェニルホスホニウム部分である。
【0014】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
ならびにそれらの塩からなる群から選択される。
【0015】
一態様では、本開示は、試料中のスーパーオキシドを検出する方法であって、
試料を本明細書に開示される化合物(例えば、式(I)または式(II)の化合物)と接触させることと、
ルシフェリン利用ルシフェラーゼが試料中にまだ存在しない場合、試料を、ルシフェリン利用ルシフェラーゼと接触させることと、
試料中の発光を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、試料は、生細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを発現する。いくつかの実施形態では、方法は、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを試料に添加することを含む。いくつかの実施形態では、ルシフェリン利用ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼまたはコメツキムシルシフェラーゼである。
【0017】
一態様では、本開示は、本明細書に開示される化合物(例えば、式(I)または式(II)の化合物)を含む、キットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素またはルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、緩衝液試薬を更に含む。
【0018】
他の態様及び実施形態は、以下の説明及び図面に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1A-1Bは、本明細書に開示されるものなどの化合物を使用して細胞中のスーパーオキシドを検出する方法の概略図を示す。細胞外部(A)または内部(B)で生成された不安定なスーパーオキシドは、プロルシフェリンプローブを使用して検出される。スーパーオキシド産生後に、プロルシフェリンプローブは、非常に不安定なスーパーオキシドと迅速に反応して、安定なルシフェリン産物を生成する。ルシフェリンは、ルシフェラーゼ反応を使用して検出され、発光シグナルは、スーパーオキシド産生に比例する。
【
図2】細胞または他の分析物の試料中のスーパーオキシドを検出する発光アッセイの概略図を示し、「処理」ステップは、未知の実験成分(例えば、薬物候補)の添加を指し、これは、スーパーオキシドプローブの前、後、またはそれと同時に添加することができる。
【
図3】実施例2に記載されるように無細胞試料中のスーパーオキシドを検出するアッセイからのデータを示す。
【
図4】実施例3に記載されるように、スーパーオキシド生成薬物化合物ジメトキシナフトキノン(DMNQ)及びアンチマイシンAでの処理後に細胞中のスーパーオキシドを検出するアッセイからのデータを示す。
【
図5】実施例4に記載されるようにインビトロでキサンチンオキシダーゼ(XO)活性を検出するアッセイからのデータを示す。
【
図6】
図6A-6Bは、実施例5に記載されるようにマクロファージによってスーパーオキシド産生を検出するアッセイからのデータを示す。
【
図7】実施例6に記載されるように動態モードでスーパーオキシド産生を検出するアッセイからのデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
他の活性酸素種に対してスーパーオキシドの検出について高い特異性を有する、プローブ化合物、特にケージ化ルシフェリン及びヒドロキシシアノベンゾチアゾール化合物ならびにそれらの誘導体が本明細書に開示される。スーパーオキシドとの反応後に、安定なレポーター産物が形成され、アッセイが「添加及び読み取り」プレートベースの形式で、または培地サンプリングによって動態モードで実施されることを可能にする。
【0021】
定義
本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料を、本明細書に記載される実施形態の実践または試験に使用することができるが、いくつかの好ましい方法、組成物、装置、及び材料が本明細書に記載される。しかしながら、本発明の材料及び方法を記載するにあたり、本発明は、本明細書に記載される特定の分子、組成物、方法論、またはプロトコルに限定されないことを理解すべきであり、これらは、定型的な実験及び最適化により変動し得るからである。本明細書において使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを記載する目的のためのものであり、本明細書に記載される実施形態の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0022】
本明細書で別途定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。例えば、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される任意の命名法ならびにそれらの技法は、当該技術分野において周知であり一般に使用されるものである。用語の意味及び範囲は明確であるべきであるが、しかしながら、任意の潜在的な曖昧さの場合、本明細書で提供される定義は、任意の辞書または外来の定義よりも優先される。更に、文脈によって別途必要とされる場合を除き、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「ペプチド」への言及は、1つ以上のペプチド及び当業者に既知のそれらの同等物などへの言及である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、列挙された項目のうちのいずれかを個別に含む、列挙された項目のいずれか及び全ての組み合わせを含む。例えば、「A、B、及び/またはC」は、A、B、C、AB、AC、BC、及びABCを包含し、それらの各々は、「A、B、各々/またはC」という表現によって別個に説明されるとみなされるものとする。
【0025】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語及びその言語学的変形は、追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)等の存在を除外することなく、記載された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)等の存在を示す。逆に、「からなる」という用語及びその言語学的変形は、記載された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)等の存在を示し、通常関連する不純物を除いて、記載されていない特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)等を除外する。「から本質的になる」という語句は、記載された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)等、ならびに組成物、システム、または方法の基本的性質に実質的な影響を与えない任意の追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)等を示す。本明細書の多くの実施形態は、オープンな「~を含む、含んでいる(comprising)」という言葉を用いて説明される。そのような実施形態は、「からなる」及び/または「から本質的になる」という閉鎖形式の複数の実施形態を包含しており、これらは代替的に、そのような文言を使用して特許請求または記載され得る。
【0026】
本明細書における数値範囲の列挙のために、それらの間に同じ程度の精度で介在する各数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲については、数字7及び8は、6及び9に加えて企図され、6.0~7.0の範囲については、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0が明示的に企図される。
【0027】
「発光」は、適切な条件下、例えば、ルシフェリンまたはヒドロキシシアノベンゾチアゾール化合物(例えば、スーパーオキシドの式(I)または式(II)の化合物との反応後に生成されたもの)などの好適な基質の存在下でのルシフェラーゼ酵素の光出力を指す。光出力は、ルシフェリン基質の添加後に開始され得る、発光反応の開始時に光出力の即時またはほぼ即時測定(「T=0」発光または「フラッシュ」と呼ばれる場合がある)として測定され得る。反応チャンバ(例えば、96ウェルプレートなどのプレート)は、例えば、ルミノメーターまたは光電子増倍管を使用して、光出力を測定することができる、読み取り装置に配置され得る。光出力または発光はまた、経時的に、例えば、同じ反応チャンバ内で数秒、数分、数時間等の一定の期間測定され得る。光出力または発光は、経時的な平均、シグナルの減衰の半減期、一定の期間にわたるシグナルの合計、またはピーク出力として報告され得る。発光は、相対光単位(RLU)で測定され得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、その最も広い意味で使用される。ある意味で、それは、任意の供給源から得られた検体または培養物、ならびに生物学的及び環境試料を含むことを意味する。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られ得、流体、固体、組織、及び気体を包含する。生物学的試料は、血漿、血清などのような、血液産物を含む。試料はまた、細胞、細胞溶解物、または本明細書に記載される酵素、ペプチド、及び/またはポリペプチドの精製形態(例えば、精製タンパク質試料)を指し得る。細胞溶解物は、溶解剤またはウサギ網状赤血球もしくは小麦胚芽溶解物などの溶解物で溶解された細胞を含み得る。試料はまた、インビトロ試料及び無細胞発現系などの、無細胞試料を含み得る。環境試料は、表面物質、土壌、水、結晶、及び工業用試料などの環境材料を含む。試料はまた、精製されたタンパク質試料などの、精製された試料を含み得る。しかしながら、そのような例は、本発明に適用可能な試料タイプを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0029】
具体的な官能基及び化学用語の定義は、以下でより詳細に記載される。本開示の目的のため、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.,表紙内側に従って識別され、具体的な官能基は、概して、その中に記載されるように定義される。追加的に、有機化学の一般原理、同様に具体的な官能部分及び反応性は、Sorrell,Organic Chemistry,2nd edition,University Science Books,Sausalito,2006、Smith,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanism,and Structure,7th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2013、Larock,Comprehensive Organic Transformations,3rd Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2018、及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載され、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、基-C(=O)Rを指し、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖または分岐飽和炭化水素鎖を意味する。アルキル鎖は、例えば、1~30個の炭素原子(C1~C30アルキル)、1~24個の炭素原子(C1~C24アルキル)、例えば、1~16個の炭素原子(C1~C16アルキル)、1~14個の炭素原子(C1~C14アルキル)、1~12個の炭素原子(C1~C12アルキル)、1~10個の炭素原子(C1~C10アルキル)、1~8個の炭素原子(C1~C8アルキル)、1~6個の炭素原子(C1~C6アルキル)、または1~4個の炭素原子(C1~C4アルキル)を含むことができる。アルキルの代表的な例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、及びn-ドデシルが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖または分岐炭化水素鎖を意味する。二重結合(複数可)は、炭化水素鎖を有する任意の位置に配置され得る。アルケニルの代表的な例としては、限定するものではないが、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、及び3-デセニルが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖または分岐炭化水素鎖を意味する。三重結合(複数可)は、炭化水素鎖を有する任意の位置に配置され得る。アルキニルの代表的な例としては、限定するものではないが、エチニル、プロピニル、及びブチニルが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、酸素原子を通して親分子部分に付加される、本明細書で定義される、アルキル基を指す。アルコキシの代表的な例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、基-NRxRyを指し、Rx及びRyは、水素及びアルキル(例えば、C1~C4アルキル)から選択される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、縮合環系を含む単一の環(単環式)または複数の環(例えば、二環式もしくは三環式)、及び0個のヘテロ原子を有する芳香族炭素環式環系を指す。本明細書で使用される場合、6~14個の環炭素原子(C6~C14アリール)、6~12個の環炭素原子(C6~C12アリール)、または6~10個の環炭素原子(C6~C10アリール)。アリール基の代表的な例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子及び0個のヘテロ原子を含有する飽和炭素環式環系を指す。シクロアルキルは、単環式、二環式、架橋、縮合、またはスピロ環式であり得る。シクロアルキルの代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、及びビシクロ[5.2.0]ノナニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、O、N、及びSから独立して選択される1個以上の環ヘテロ原子を有する単一の環(単環式)または複数の環(二環式もしくは三環式)を有する芳香族基を指す。芳香族単環式環は、O、N、及びSから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、及びSから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子)を含有する5員または6員環である。5員芳香族単環式環は、2つの二重結合を有し、6員芳香族単環式環は、3つの二重結合を有する。二環式ヘテロアリール基は、本明細書で定義される、単環式アリール基、または本明細書で定義される、単環式ヘテロアリール基に付加縮合した単環式ヘテロアリール環によって例示される。三環式ヘテロアリール基は、本明細書で定義される、単環式アリール基、及び本明細書で定義される単環式ヘテロアリール基から独立して選択される2つの環に縮合した単環式ヘテロアリール環によって例示される。単環式ヘテロアリールの代表的な例としては、ピリジニル(ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イルを含む)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ベンゾピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、1,2,4-トリアジニル、及び1,3,5-トリアジニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリールの代表的な例としては、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾキサゾリル、クロメニル、イミダゾピリジン、イミダゾチアゾリル、インダゾリル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、プリニル、ピリドイミダゾリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、チエノピロリル、及びチエノチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリールの代表的な例としては、ジベンゾフラニル及びジベンゾチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。単環式、二環式、及び三環式ヘテロアリールは、環内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を通して親分子部分に接続している。
【0040】
本明細書で使用される場合、「複素環」または「複素環式」という用語は、O、N、及びSから独立して選択される1個以上の環ヘテロ原子を有する飽和または部分不飽和非芳香族環式基を指す。複素環は、単環式複素環、二環式複素環、または三環式複素環であり得る。単環式複素環は、O、N、及びSから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3、4、5、6、7、または8員環である。3または4員環は、0~1個の二重結合、ならびにO、N、及びSから選択される1個のヘテロ原子を含有する。5員環は、0または1個の二重結合、ならびにO、N、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含有する。6員環は、0、1、または2個の二重結合、ならびにO、N、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含有する。7及び8員環は、0、1、2、または3個の二重結合、ならびにO、N、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含有する。環中のヘテロ原子は、酸化され得る(例えば、環ヘテロ原子がSである場合、それは、SOまたはSO2に酸化され得る)。単環式複素環の代表的な例としては、これらに限定されないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、1,2-チアジナニル、1,3-チアジナニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられる。二環式複素環は、フェニル基に縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した単環式複素環、または単環式複素環に縮合した単環式複素環、またはスピロ複素環基、または環の2つの非隣接原子が、1、2、3、もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋、または2、3、もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋によって結合している、架橋された単環式複素環系である。二環式複素環の代表的な例としては、これらに限定されないが、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロイソキノリン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル(2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルを含む)、2,3-ジヒドロ-1H-インドリル、イソインドリニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、オクタヒドロピロロピリジニル、及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。三環式複素環は、フェニル基に縮合した二環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した二環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した二環式複素環、または単環式複素環に縮合した二環式複素環、または二環式環の2個の非隣接原子が、1、2、3、もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋、または2、3、もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋によって結合している二環式複素環によって例示される。三環式複素環の例としては、これらに限定されないが、オクタヒドロ-2,5-エポキシペンタレン、ヘキサヒドロ-2H-2,5-メタノシクロペンタ[b]フラン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-メタノシクロペンタ[c]フラン、アザ-アダマンタン(1-アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)、及びオキサ-アダマンタン(2-オキサトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)が挙げられる。単環式、二環式、及び三環式複素環は、環内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を通して親分子部分に接続している。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「標的化部分」という用語は、特定のロケールに結合するか、または局在する部分を指す。部分は、例えば、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸、核酸類似体、または炭水化物であり得る。ロケールは、小器官、細胞内区画、特定の細胞型、または特定の組織であり得る。
【0043】
基または部分が置換され得るとき、「置換された」という用語は、「置換された」を使用する表現において示された基上の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、または6つ、いくつかの実施形態では、1、2、または3つ、他の実施形態では、1または2つ)の水素が、列挙された示された基の選ばれたものまたは当業者に既知の好適な置換基(例えば、以下に列挙された基のうちの1つ以上)で置き換えられ得ることを示し、ただし、指定された原子の正常価数は、超えていない。置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アミノ、アミド、アミジノ、アリール、アジド、カルバモイル、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ヒドラジノ、イミノ、オキソ、ニトロ、リン酸塩、ホスホン酸塩、スルホン酸、チオール、チオン、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される場合、化学構造において、表示:
【化11】
は、ある部分の別の部分への結合点(例えば、化合物の残りへの置換基)を表す。
【0045】
本明細書に記載される化合物について、それらの基及び置換基は、原子及び置換基の許容原子価に従って選択され得、その結果、選択及び置換は、例えば、再配列、環化、除去などによる変換を自発的に受けない安定した化合物をもたらす。
【0046】
置換基が、左から右へと書かれた、それらの従来の化学式によって特定される場合、それらは、任意に、構造を右から左へ書くことから生じる置換基を包含し、例えば、-CH2O-は、任意に、-OCH2-も列挙し、-OC(O)NH-は、任意に、-NHC(O)O-も列挙する。
【0047】
化合物
式(II)の化合物:
【化12】
またはその塩であって、式中、
R
1が、-CN及び
【化13】
から選択され、
R
2が、水素及びハロから選択され、
nが、0、1、2、または3であり、
各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、-OC(O)-C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、アミノ、及び基-リンカー-Xから選択され、Xが、標的化部分であり、
R
4a及びR
4bのうちの1つが、ヒドロキシまたは-OC(O)-C
1~C
4アルキルであり、他方が、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分であり、
R
5が、水素及びC
1~C
4アルキルから選択され、
Zが、結合または式
【化14】
の基であり、
R
6が、C
1~C
4アルキル及び基-リンカー-Yから選択され、Yが、標的化部分である、化合物、またはその塩が本明細書に開示される。
【0048】
いくつかの実施形態では、R
1は、-CNである。そのような実施形態では、化合物は、式(II’)の化合物:
【化15】
またはその塩であり、式中、R
2、n、R
3、R
4a、R
4b、及びZは、本明細書で定義及び記載される通りである。
【0049】
いくつかの実施形態では、R
1は、
【化16】
である。そのような実施形態では、化合物は、式(II’’)の化合物:
【化17】
またはその塩であり、式中、R
2、n、R
3、R
4a、R
4b、R
5、及びZは、本明細書で定義及び記載される通りである。
【0050】
いくつかの実施形態では、R2は、水素である。いくつかの実施形態では、R2は、ハロである。いくつかの実施形態では、R2は、フルオロである。
【0051】
いくつかの実施形態では、Zは、結合である。いくつかの実施形態では、Zは、式
【化18】
の基であり、式中、R
6は、C
1~C
4アルキル及び基-リンカー-Yから選択され、Yは、標的化部分である。いくつかの実施形態では、Zは、式
【化19】
の基であり、式中、R
6は、メチル及び基-リンカー-Yから選択され、Yは、標的化部分である。いくつかの実施形態では、Zは、式
【化20】
の基であり、式中、R
6は、メチルである。いくつかの実施形態では、Zは、式
【化21】
の基であり、式中、R
6は、基-リンカー-Yであり、Yは、標的化部分である。
【0052】
いくつかの実施形態では、R4aは、水素であり、R4bは、ヒドロキシまたは-OC(O)-C1~C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R4aは、水素であり、R4bは、ヒドロキシである。いくつかの実施形態では、R4aは、水素であり、R4bは、-OC(O)CH3である。いくつかの実施形態では、R4aは、ヒドロキシであり、R4bは、水素である。いくつかの実施形態では、R4aは、ヒドロキシであり、R4bは、基-リンカー-Xであり、Xは、標的化部分である。
【0053】
いくつかの実施形態では、式(II)中の基
【化22】
は、
【化23】
から選択される式を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、nは、0、1、または2である。いくつかの実施形態では、nは、0である。いくつかの実施形態では、nは、1である。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0055】
いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、-OC(O)-C1~C4アルキル、及びヒドロキシから選択される。いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから選択される。いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、C1-メチル、メトキシ、-OC(O)CH3、及びヒドロキシから選択される。いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、メチル及びメトキシから選択される。いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、-OC(O)CH3及びヒドロキシから選択される。いくつかの実施形態では、nは、1であり、R3は、メチルである。いくつかの実施形態では、nは、1であり、R3は、メトキシである。いくつかの実施形態では、nは、1であり、R3は、-OC(O)CH3である。いくつかの実施形態では、nは、1であり、R3は、ヒドロキシである。
【0056】
いくつかの実施形態では、R5は、水素である。いくつかの実施形態では、R5は、C1~C4アルキル(例えば、メチル)である。
【0057】
式(I)の化合物:
【化24】
またはその塩であって、式中、
R
1が、-CN及び
【化25】
から選択され、
R
2が、水素及びハロから選択され、
nが、0、1、2、または3であり、
各R
3が、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、アミノ、及び基-リンカー-Xから選択され、Xが、標的化部分であり、
R
4a及びR
4bのうちの1つが、ヒドロキシであり、他方が、水素または基-リンカー-Xであり、Xが、標的化部分であり、
R
5が、水素及びC
1~C
4アルキルから選択される、化合物、またはその塩も本明細書に開示される。
【0058】
いくつかの実施形態では、R
1は、-CNである。そのような実施形態では、化合物は、式(I’)の化合物:
【化26】
またはその塩であり、式中、R
2、n、R
3、R
4a、及びR
4bは、本明細書で定義及び記載される通りである。
【0059】
いくつかの実施形態では、R
1は、
【化27】
である。そのような実施形態では、化合物は、式(I’’)の化合物:
【化28】
またはその塩であり、式中、R
2、n、R
3、R
4a、R
4b、及びR
5は、本明細書で定義及び記載される通りである。
【0060】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ia)の化合物:
【化29】
またはその塩であり、式中、R
1、R
2、n、及びR
3は、本明細書で定義及び記載される通りであり、R
4aは、水素または-リンカー-X基であり、Xは、標的化部分である。
【0061】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ia’)もしくは(Ia’’)の化合物:
【化30】
またはその塩であり、式中、R
2、n、及びR
3は、本明細書で定義及び記載される通りであり、R
4aは、水素または-リンカー-X基であり、Xは、標的化部分であり、R
5は、水素またはメチルである。
【0062】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib)の化合物:
【化31】
またはその塩であり、式中、R
1、R
2、n、及びR
3は、本明細書で定義及び記載される通りであり、R
4bは、水素または-リンカー-X基であり、Xは、標的化部分である。
【0063】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib’)または(Ib’’)の化合物:
【化32】
またはその塩であり、式中、R
2、n、及びR
3は、本明細書で定義及び記載される通りであり、R
4bは、水素または-リンカー-X基であり、Xは、標的化部分であり、R
5は、水素またはメチルである。
【0064】
いくつかの実施形態では、R2は、水素である。いくつかの実施形態では、R2は、ハロである。いくつかの実施形態では、R2は、フルオロである。
【0065】
いくつかの実施形態では、R4aは、水素であり、R4bは、ヒドロキシである。いくつかの実施形態では、R4aは、ヒドロキシであり、R4bは、水素である。いくつかの実施形態では、R4aは、ヒドロキシであり、R4bは、基-リンカー-Xであり、Xは、標的化部分である。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(I)中の基
【化33】
は、
【化34】
から選択される式を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、nは、0、1、または2である。いくつかの実施形態では、nは、0である。いくつかの実施形態では、nは、1である。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0068】
いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから選択される。いくつかの実施形態では、各R3は、独立して、メチル及びメトキシから選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、R5は、水素である。いくつかの実施形態では、R5は、C1~C4アルキル(例えば、メチル)である。
【0070】
いくつかの実施形態では、化合物は、標的化部分である少なくとも1つの基を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR3、またはR4a及びR4bのうちの1つは、基-リンカー-Xであり、Xは、ミトコンドリア標的化部分である。いくつかの実施形態では、R6は、基-リンカー-Yであり、Yは、ミトコンドリア標的化部分である。そのような実施形態では、化合物は、特定のロカール、例えば、ミトコンドリアなどの特定の小器官に標的化することができる。ミトコンドリア標的化は、電子伝達系から「漏れる」電子が分子酸素によって捕捉されるときにミトコンドリアがスーパーオキシドを産生するため、本明細書に開示される化合物に特に有用であり得る。ミトコンドリアに対する選択的スーパーオキシドプローブの特異的標的化は、ミトコンドリアにおいて、例えば、生細胞において生成されるスーパーオキシドの直接測定を可能にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR3、またはR4a及びR4bのうちの1つは、基-リンカー-Xであり、Xは、トリフェニルホスホニウム部分またはトリアルキルアンモニウム部分である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR3、またはR4a及びR4bのうちの1つは、基-リンカー-Xであり、Xは、トリフェニルホスホニウム部分である。いくつかの実施形態では、R6は、基-リンカー-Yであり、Yは、トリフェニルホスホニウム部分またはトリアルキルアンモニウム部分である。いくつかの実施形態では、R6は、基-リンカー-Yであり、Yは、トリフェニルホスホニウム部分である。
【0071】
リンカーは、標的化部分XまたはYと化合物の残りとの間に十分な距離を提供して、各々が他方との結合によって乱されずに(または最小限に乱されて)機能することを可能にする任意の基であり得る。リンカーは、メチレン(-CH
2-)、エーテル(-O-)、アミン(-NH-)、アルキルアミン(-NR-、Rは、任意に置換されたC
1~C
6アルキル基である)、チオエーテル(-S-)、ジスルフィド(-S-S-)、アミド(-C(O)NH-)、エステル(-C(O)O-)、カルバミン酸塩(-OC(O)NH-)、スルホンアミド(-S(O)
2NH-)、アリーレン(例えば、フェニレン(-C
6H
4-))、ヘテロシクリレン(例えば、ピペラジニレン
【化35】
及びそれらの任意の組み合わせから独立して選択される1つ以上の基を含むことができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上の-(CH
2CH
2O)-(オキシエチレン)基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のアルキレン基(例えば、-(CH
2)
n-、nは、1~12、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12、またはそれらの間の任意の好適な範囲である)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上の分岐アルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのアミド基(-C(O)NH-)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、任意の好適な有機官能基(例えば、-OH、-NH
2、-SH、-CN、=O、=S、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Br、-I)、-COOH、-CONH
2、-CH
3など)を含む、1つ以上の置換基、ペンダント、側鎖などを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、2個以上の直鎖状に接続したC、S、N、及び/またはO原子を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~200個の直鎖状に接続した原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、またはそれらの間の任意の好適な範囲(例えば、2~20、10~50、6~18))を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~200個の直鎖状に接続した原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、またはそれらの中の任意の好適な範囲(例えば、2~20、10~50、6~18))を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、リンカーは、直鎖アルキレンリンカーであり、例えば、リンカーは、式-(CH
2)
n-を有し、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、nは、4、5、6、7、または8である。いくつかの実施形態では、nは、6であり、すなわち、リンカーは、式:
【化36】
を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、リンカーは、メチレン(-CH
2-)、エーテル(-O-)、及びアミド(-C(O)NH-)部分の組み合わせを含む。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、式:
【化37】
を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化38-1】
【化38-2】
【化38-3】
ならびにそれらの塩からなる群から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、化合物は、塩形態、すなわち、対イオンに関連する親化合物の荷電形態である。化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、従来の様式で親化合物を単離することによって再生され得る。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度などの、ある特定の物理的特性において様々な塩形態とは異なるが、その他の点では、塩は、本開示の目的のための化合物の親形態と等価である。
【0076】
具体的には、化合物がアニオン性であるか、またはアニオン性であり得る(例えば、-COOHは-COO-であり得る)官能基を有する場合、塩は、1つ以上の好適なカチオンで形成され得る。好適な無機カチオンの例は、Li+、Na+、及びK+などのアルカリ金属カチオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類カチオン、ならびに他のカチオンを含むが、これらに限定されない。カリウム及びナトリウム塩は、特に好適であり得る。好適な有機カチオンの例は、アンモニウムイオン(すなわち、NH4
+)ならびに置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R1
+、NH2R2
+、NHR3
+、及びNR4
+)を含むが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、ならびにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸に由来するものである。いくつかの実施形態では、化合物は、カリウム塩である。いくつかの実施形態では、化合物は、ナトリウム塩である。
【0077】
化合物がカチオン性であるか、またはカチオン性であり得る(例えば、-NH2は-NH3
+であり得る)官能基を有する場合、塩は、好適なアニオンで形成され得る。好適な無機アニオンの例は、以下の無機酸:塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸に由来するものを含むが、これらに限定されない。好適な有機アニオンの例は、以下の有機酸:2-アセチルオキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸(mucic)、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、テトラフルオロホウ酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及び吉草酸に由来するものを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、化合物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物塩などの、ハロゲン化物塩である。いくつかの実施形態では、化合物は、テトラフルオロホウ酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
【0078】
化合物は、いくつかの好適な方法によって調製することができ、そのうちのいくつかは、実施例に示される。化合物及び中間体は、有機合成の当業者に周知の方法によって単離及び精製され得る。化合物を単離及び精製するための従来の方法の例は、例えば、“Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,”5th edition(1989),by Furniss,Hannaford,Smith,and Tatchell,pub.Longman Scientific&Technical,Essex CM20 2JE,Englandに記載されるような、シリカゲル、アルミナ、またはアルキルシラン基で誘導体化されたシリカなどの固体支持体上でのクロマトグラフィー、活性炭での任意選択の前処理を伴う高温または低温での再結晶によるもの、薄層クロマトグラフィー、様々な圧力での蒸留、真空下での昇華、及び粉砕を含み得るが、これらに限定されない。
【0079】
個々のステップごとの反応条件及び反応時間は、使用される特定の反応物及び使用される反応物中に存在する置換基に応じて変化し得る。反応は、従来の方法で、例えば残留物から溶媒を除去することにより後処理されてもよく、更に、限定するものではないが、結晶化、蒸留、抽出、摩砕及びクロマトグラフィーなどの当該技術分野で一般的に公知の方法に従って精製されてもよい。別段の記載がない限り、出発材料及び試薬は、市販されているか、または化学文献に記載された方法を用いて市販されている材料から当業者により調製され得る。
【0080】
反応条件、試薬、及び合成経路のシーケンスの適切な操作、反応条件と適合可能であり得ない任意の化学的官能性の保護、ならびに方法の反応シーケンスにおける好適な点での脱保護を含む、標準的な実験は、本発明の範囲に含まれる。好適な保護基ならびにそのような好適な保護基を使用して異なる置換基を保護及び脱保護するための方法は、当業者に周知であり、それらの例は、PGM Wuts and TW Greene,in Greene’s book titled Protective Groups in Organic Synthesis(4th ed.),John Wiley & Sons,NY(2006)において見出すことができる。
【0081】
開示される化合物の光学的に活性な形態が必要であるとき、それは、(例えば、好適な反応ステップの不斉誘導によって調製された)光学的に活性な出発材料を使用した本明細書に記載される手順のうちの1つを実施することによって、または標準的な手順(クロマトグラフィー分離、再結晶、もしくは酵素分解など)を使用した化合物もしくは中間体の立体異性体の混合物を分解によって得ることができる。
【0082】
同様に、化合物の純粋な幾何学的異性体が必要なとき、それは、出発材料として純粋な幾何学的異性体を使用して本明細書に記載される手順のうちの1つを実施することによって、またはクロマトグラフィー分離などの標準的な手順を使用して化合物または中間体の幾何学的異性体の混合物の分解によって得ることができる。
【0083】
記載される合成スキーム及び具体的な例は、例示的であり、本開示の範囲または特許請求の範囲を限定するものと解釈されるものではない。合成方法及び具体的な例の代替物、修飾、及び均等物が企図される。
【0084】
本開示はまた、式(I)及び式(II)に列挙されるものと同一であるが、1個以上の原子が、通常自然界において見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられるという事実のために、同位体標識化合物を含む。本発明の化合物における包含に好適な同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clであるが、これらに限定されない。式(I)及び式(II)の同位体標識化合物は、概して、当業者に既知の従来の技法によって、または非同位体標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いた添付の実施例に記載されるものに類似するプロセスによって調製することができる。
【0085】
使用の方法、システム、及びキット
本明細書に開示される化合物(例えば、式(I’)、(I’’)、(Ia)、(Ia’)、(Ia’’)、(Ib)、(Ib’)、(Ib’’)、(II’)、及び(II’’)の化合物を含む、式(I)及び式(II)の化合物)を使用してスーパーオキシドを検出する方法が、本明細書に開示される。化合物は、オルト-またはパラ-ヒドロキシ基を有する、部分、具体的には:
【化39】
を特徴とする。この基は、スーパーオキシドと反応して対応するキノン化合物を産生し、アンケージングされたルシフェリンまたはヒドロキシシアノベンゾチアゾール化合物を放出し、これらの後者は、発光をもたらす、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素の基質である。ルシフェリン及びヒドロキシシアノベンゾチアゾール化合物を利用して発光をもたらすルシフェラーゼ(「ルシフェリン利用ルシフェラーゼ」または「ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素」)には、カブトムシ(例えば、Photinus pyralis及びPhoturis pennsylvanica(北米のホタル)、Pyrophorus plagiophthalamus(ジャマイカコメツキムシのクリックカブトムシ))、Renilla reniformis(シーパンジー)、ならびにいくつかの細菌(例えば、Xenorhabdus luminescens及びVibrio spp)などの様々な生物に見出されるものが含まれる。
【0086】
スーパーオキシドとの反応によるアンケージング前に、式(I)及び式(II)の化合物は、ルシフェラーゼ酵素と非反応性であるため、発光は、スーパーオキシドの存在下でのみ観察される。スーパーオキシドから反応性が生じるという事実は、シグナルを排除する、スーパーオキシドジスムターゼが添加される実験において確認されている。実施例に示されるように、本明細書に開示されるプローブ化合物は、過酸化水素及び一重項酸素などの他の活性酸素種、ならびに亜硝酸ナトリウム及びNONOateなどの窒素種に対して優れた選択性を有する。
【0087】
理論によって縛られることを望むものではないが、化合物は、ヒドロキノンと類似の方法でスーパーオキシドと反応し得、脱プロトン化、続いて単一電子酸化は、セミキノン中間体の形成をもたらし、これは、更なる酸化及び加水分解を受けて、アンケージングされたルシフェリンまたはヒドロキシシアノベンゾチアゾール化合物及びキノン型副産物を放出する。式中、R
1が、-CNであり、R
4aが、水素であり、R
4bが、ヒドロキシである、式(I)の化合物のそのような反応をスキーム1に示す。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、ビスカルバミン酸リンカー(すなわち、Zが式
【化40】
の基であるとき)を含むことができ、そのような実施形態では、脱プロトン化、続いて単一電子酸化は、セミキノン中間体の形成をもたらし、これは、最終的には更なる酸化及び加水分解を受け、ビスカルバミン酸リンカーの自己犠牲をもたらして、アンケージングされたルシフェリンまたはヒドロキシシアノベンゾチアゾール及びキノン型副産物を反応性部分から放出する。式中、R
1が、
【化41】
であり、R
4aが、水素であり、nが、1であり、R
3が、ヒドロキシであり、R
4bが、ヒドロキシである、式(II)の化合物のそのような反応をスキーム2に示す。
【化42】
【0088】
式(I)及び式(II)の化合物の利点は、アンケージングされた産物が生物発光によって検出され、(蛍光プローブと同様に)外部光を必要としないことである。更に、スーパーオキシド種は、非常に不安定であるが、化合物のスーパーオキシドとの反応後、アンケージングされた化合物は安定である。スーパーオキシド種は、細胞によって産生され続けるため、安定なアンケージングされた化合物は、蓄積し続け、光生成を測定すること(例えば、ルシフェラーゼ反応を使用すること)によって検出することができる。光生成は、スーパーオキシド種の生産と直接的に相関し、短命のスーパーオキシド種の検出のための便利な定量的アプローチを提供するであろう。アンケージングされたルシフェリンまたはヒドロキシシアノベンゾチアゾール化合物は、均一な「添加及び読み取り」形式を使用して検出試薬を直接試料に添加することによって、または培地サンプリング及びルシフェリン検出によって異なる時点での培地へのルシフェリン誘導体の放出を測定することによって測定することができる。
【0089】
したがって、本開示は、試料中のスーパーオキシドを検出するための方法であって、試料を式(I)または式(II)の化合物と接触させることと、ルシフェリン利用ルシフェラーゼが試料中にまだ存在しない場合、試料を、ルシフェリン利用ルシフェラーゼと接触させることと、試料中の発光を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0090】
方法は、試料を式(I)または式(II)の化合物と接触させるステップを含む。式(I)または式(II)の化合物は、溶媒、緩衝液、塩、洗剤、添加剤などのような、他の成分を含むことができる溶液の一部であり得る。例えば、式(I)または式(II)の化合物は、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中の溶液として、またはリン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液中の溶液として調製することができる。いくつかの実施形態では、方法は、まず試料を式(I)または式(II)の化合物と接触させ、試料を一定期間インキュベートして、スーパーオキシドが式(I)または式(II)の化合物と反応することを可能にすることを含む。いくつかの実施形態では、このインキュベーションステップは、約1分~約4日、約15分~約1日、約1時間~約12時間、またはそれらの間の任意の範囲の期間にわたって実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、インキュベーションステップは、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、または約12時間実施することができる。
【0091】
特定の実施形態では、ルシフェリン利用ルシフェラーゼは、試料中に既に存在せず、したがって、方法は、試料をルシフェリン利用ルシフェラーゼと接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、ルシフェリン利用ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼまたはコメツキムシルシフェラーゼである。
【0092】
ルシフェリン利用ルシフェラーゼが試料と接触させるとき、ルシフェラーゼ反応混合物の一部として含まれ得る。「ルシフェラーゼ反応混合物」は、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素及びルシフェラーゼ酵素が光シグナルを生成することを可能にする他の材料を含有する。発光シグナルを生成するために必要な材料、ならびに必要な材料の、特定の濃度及び/または量は、使用されているルシフェラーゼ酵素に応じて変動するであろう。一般に、カブトムシルシフェラーゼについて、追加の材料は、ATP及び硫酸マグネシウムなどのマグネシウム(Mg2+)塩を含むことができる。いくつかの実施形態では、他の材料を、適切なpHで反応を維持するための緩衝液、ルシフェラーゼ活性を維持するのに役立つPRIONEXまたはウシ血清アルブミン(BSA)などの添加剤、還元剤、洗剤、エステラーゼ、塩、アミノ酸(例えば、D-システイン)などを含む溶液に添加することができる。例示的なルシフェラーゼ反応混合物は、カブトムシルシフェラーゼ、MgSO4、ATP、Tergitol NP-9、及びトリシンを含有する。
【0093】
他の実施形態では、ルシフェリン利用ルシフェラーゼは、試料中に既に存在する。例えば、そのような実施形態では、試料は、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素を発現する細胞を含み得る。
【0094】
上記方法のいくつかの実施形態では、方法は、試料を、別の化合物、例えば、候補薬物化合物、または化合物が試料と接触されるときに産生されるスーパーオキシドの量を決定するのに有用であろう任意の化合物と接触させるステップを更に含む。そのような実施形態では、化合物は、式(I)もしくは式(II)の化合物と同時に試料と接触させることができ、または式(I)もしくは式(II)の化合物が添加された後に試料に添加することができる。
【0095】
細胞ベースアッセイの一実施形態では、細胞は、適切な溶解緩衝液中で溶解され得る。動物細胞について、Triton X 100またはTergitolなどの0.1~1.0%の非イオン性洗剤を含む緩衝液は、典型的には十分である。細菌、植物、真菌、または酵母細胞は、通常、溶解するのがより困難である。洗剤、凍結/解凍サイクル、低張緩衝液、超音波処理、キャビテーション、またはこれらの方法の組み合わせが使用され得る。溶解物を産生する溶解の方法は、ルシフェラーゼもしくは他の酵素活性、または他の分子もしくは条件の検出に適合性である。
【0096】
上記の実施形態のいずれかでは、試料は、任意の好適な容器内に含有され得る。例えば、試料は、バイアル中、またはプレート(例えば、96ウェルプレート)のウェル中にあり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、プレートリーダーを使用してプレート(例えば、96ウェルプレート)のウェルにおいて直接発光を検出するのではなく、試料から少量の培地を取り出し、取り出された培地において発光を検出することによって、培地中へのルシフェリン放出を監視することができる。そのような方法は、スーパーオキシド生成に関する動態情報を可能にすることができる。
【0098】
本開示は、本明細書に記載される化合物(すなわち、式(I)の化合物もしくはその塩、または式(II)の化合物もしくはその塩)を含むシステムまたはキットを更に提供する。システムまたはキットは、単独で、または水、DMSO、もしくは緩衝液などの溶媒中のいずれかで、化合物を含む。化合物が単独で提供されるとき、システムまたはキットは、化合物を溶解することができる溶媒を更に含み得る。システムまたはキットは、試料中のスーパーオキシドを検出するアッセイを実施するために使用される1つ以上の試薬、例えば、上述の試薬を更に含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素またはルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列、例えば、本明細書に記載されるものを更に含む。
【0099】
システムまたはキットは、容器及び説明書のうちの少なくとも1つを更に含み得る。例えば、システムまたはキットの構成要素は、任意の種類の容器中で供給することができる。例えば、密封されたガラスアンプルは、窒素などの、中性、非反応性ガス下でパッケージングされた凍結乾燥ルシフェラーゼまたは緩衝液を含有し得る。アンプルは、任意の好適な材料、例えば、ガラス、有機ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンなど、セラミック、金属、または典型的には試薬を保持するために使用される任意の他の材料からなり得る。好適な容器の他の例としては、アンプルと類似の物質から製造され得る単純なボトルが挙げられる。他の容器には、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどが含まれる。容器は、皮下注射針によって貫通することができる栓を有するボトルなどの無菌アクセスポートを有し得る。他の容器は、取り外し後に成分が混合することを可能にする容易に取り外し可能な膜によって分離される2つの区画を有し得る。取り外し可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであり得る。
【0100】
キットはまた、説明資料とともに供給され得る。説明書は、紙または他の基質上に印刷され得、及び/またはフロッピーディスク、CD-ROM、DVD-ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなどのような電子可読媒体として供給され得る。詳細な説明書は、キットに物理的に関連付けられない場合があり、代わりに、ユーザーは、インターネットウェブサイトに誘導され得るか、または説明書は、電子メールとして供給され得る。
【0101】
以下の例は、本開示の態様を更に示すが、もちろん、その範囲をいかなる方法においても限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0102】
以下の略語が実施例で使用される:AcOHは、酢酸であり、DCMは、ジクロロメタンであり、DIPEAは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、DMAは、N,N-ジメチルアセトアミドであり、DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドであり、DMSOは、ジメチルスルホキシドであり、ESは、エレクトロスプレーであり、EtOAcは、酢酸エチルであり、hは、時間であり、HATUは、3-オキシドヘキサフルオロリン酸1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウムであり、HPLCは、高速液体クロマトグラフィーであり、LCMSは、液体クロマトグラフィー質量分析であり、MeCNは、アセトニトリルであり、MeOHは、メタノールであり、RBは、丸底であり、tBuXPhos-Pd G3は、メタンスルホン酸[(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)であり、TFAは、トリフルオ酢酸であり、Tf2Oは、トリフルオロメタンスルホン酸無水物であり、THFは、テトラヒドロフランである。
【0103】
実施例1:化合物合成
中間体1:トリフルオロメタンスルホン酸2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル
【化43】
250mLのRBフラスコに、6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル(3.00g、17.0mmol)及びDCM(80mL)を添加した。混合物を撹拌した。混合物に、トリエチルアミン(3.31mL、(25.5mmol)を添加し、続いてTf
2O(3.72mL、22.1mmol)を2分かけて滴下した。10分後、混合物をセライトに濃縮し、溶出液としてヘプタン中の0~50%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体1:トリフルオロメタンスルホン酸2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イルを得た。LCMS(C
9H
3F
3N
2O
3S
2)(ES,m/z)309[M+H]
+。
【0104】
中間体2:トリフルオロメタンスルホン酸2-シアノ-5-フルオロベンゾ[d]チアゾール-6-イル
【化44】
中間体2を、中間体1の調製と類似の方法で調製した。LCMS(C
9H
2F
4N
2O
3S
2)(ES,m/z)327[M+H]
+。
【0105】
中間体3:2-(3,4-ジヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
ステップ1:2-(4-ホルミル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化45】
100mLのフラスコに、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.00g、7.24mmol)、K
2CO
3(1.50g、10.9mmol)、及びMeCN(15mL)を添加した。撹拌混合物に、2-ブロモ酢酸tert-ブチル(1.17mL、7.96mmol)を添加した。混合物を撹拌し、85℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、セライトに濃縮し、溶出液としてヘプタン中の0~60%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、2-(4-ホルミル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチルを得た。LCMS(C
13H
16O
5)(ES,m/z)253[M+H]
+。
【0106】
ステップ2:2-(3,4-ジヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化46】
20mLのバイアルに、2-(4-ホルミル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル(100mg、0.396mmol)、THF(1mL)、及び水(1mL)を添加した。溶液を撹拌し、窒素で1分間スパージした。バイアルに、過炭酸ナトリウム(124mg、0.396mmol)を添加した。混合物を30分間撹拌した。混合物をAcOH(0.2mL)でクエンチした。混合物をDCM(5mL)で抽出した。有機層を相分離器で収集した。溶媒を蒸発させ、残渣を溶出液としてヘプタン中の0~70%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体3(2-(3,4-ジヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル)を得た。LCMS(C
12H
16O
5)(ES,m/z)241[M+H]
+。
【0107】
中間体4:2-(2,5-ジヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
ステップ1:2-(5-ホルミル-2-ヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化47】
100mLの丸底フラスコに、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.00g、7.24mmol)、MeOH中のNaOHの4M溶液(5mL)、及びDMA(10mL)を添加した。撹拌混合物に、2-ブロモ酢酸tert-ブチル(1.17mL、7.96mmol)をトルエン溶液(5mL)として添加した。30秒後、混合物を2MのHCl(約10mL)でクエンチした。混合物をジエチルエーテル(50mL)で抽出し、有機層を水(3×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥させて濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣を、ヘプタン中の0~60%のEtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、2-(5-ホルミル-2-ヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチルを得た。LCMS(C
13H
16O
5)(ES,m/z)253[M+H]
+。
【0108】
ステップ2:2-(2,5-ジヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化48】
20mLのバイアルに、2-(5-ホルミル-2-ヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル(200mg、0.793mmol)、THF(2mL)、及び水(2mL)を添加した。溶液を撹拌し、窒素で1分間スパージした。バイアルに、過炭酸ナトリウム(249mg、0.793mmol)を添加した。混合物を窒素下で2時間撹拌した。混合物をAcOH(0.4mL)でクエンチした。混合物をDCM(5mL)で抽出した。有機層を相分離器で収集した。溶媒を蒸発させ、残渣を溶出液としてヘプタン中の0~70%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体4(2-(2,5-ジヒドロキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル)を得た。LCMS(C
12H
16O
5)(ES,m/z)241[M+H]
+。
【0109】
中間体5:2-(2,5-ジヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
ステップ1:2-(5-ホルミル-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化49】
20mLのバイアルに、3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(100mg、0.595mmol)及びDMF(2.5mL)を添加した。混合物を窒素で1分間スパージした。撹拌混合物に、水素化ナトリウム(60重量%、71.4mg、1.78mmol)を添加した。混合物を15分間撹拌した。混合物に、2-ブロモ酢酸tert-ブチル(0.095mL、0.654mmol)を全て一度に添加した。15分後、混合物を2MのHClで中和し、次いで水(5mL)で希釈した。混合物をジエチルエーテル(20mL)で抽出した。有機層を水(3×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥させて濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣を、ヘプタン中の0~60%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、2-(5-ホルミル-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチルを得た。LCMS(C
14H
18O
6)(ES,m/z)281[M-H]
-。
【0110】
ステップ2:2-(2,5-ジヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化50】
20mLのバイアルに、2-(5-ホルミル-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル(80.3mg、0.285mmol)、THF(1mL)、及び水(1mL)を添加した。溶液を撹拌し、窒素で1分間スパージした。バイアルに、過炭酸ナトリウム(89.3mg、0.285mmol)を添加した。混合物を窒素下で2時間撹拌した。混合物をAcOH(0.15mL)でクエンチした。混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣を、溶出液としてヘプタン中の0~70%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体5(2-(2,5-ジヒドロキシフェノキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル)を得た。LCMS(C
13H
18O
6)(ES,m/z)271[M+H]
+。
【0111】
中間体6:3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノール
ステップ1:3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド
【化51】
100mLのRBフラスコに、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(2.00g、14.5mmol)、K
2CO
3(6.00g、43.4mmol)、DMF(15mL)、及び臭化ベンジル(4.30mL、36.2mmol)を添加した。混合物を撹拌し、55℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(70mL)中で希釈し、セライトに通して濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣を、溶出液としてヘプタン中の0~50%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。蒸発した画分からの残渣をヘプタン中で粉砕して、3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒドを得た。LCMS(C
21H
18O
3)(ES,m/z)319[M+H]
+。
【0112】
ステップ2:3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノール
【化52】
100mLのフラスコに、3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(2.00g、6.28mmol)、NaHCO
3(1.58g、18.9mmol)、m-CPBA(1.63g、9.42mmol)、及びDCM(20mL)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をDCM(20mL)及びMeOH(20mL)中で希釈した。混合物を濾過した。濾液を濃縮した。残渣に、K
2CO
3(1.73g、12.6mmol)及びMeOH(15mL)を添加した。混合物を10分間撹拌した。混合物をEtOAc(150mL)及び水(150mL)中で希釈した。層を分離し、有機層を飽和水性K
2CO
3溶液(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を中間体6(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノール)まで蒸発させた。LCMS(C
20H
18O
3)(ES,m/z)307[M+H]
+。
【0113】
中間体7:(3,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)tert-ブチル
ステップ1:エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニルtert-ブチル
【化53】
20mLのバイアルに、中間体6(769mg、2.51mmol)、THF(10mL)、及びDIPEA(1.75mL、10.0mmol)を添加した。この混合物を、THF(5mL)中のトリホスゲン(372mg、1.26mmol)の撹拌溶液に1分かけて滴下した。5分後、混合物にメチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバミン酸tert-ブチル(0.614mL、3.26mmol)を加えた。20分後、混合物をセライトに吸着し、溶出液としてヘプタン中の0~100%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニルtert-ブチルを得た。LCMS(C
30H
36N
2O
6)(ES,m/z)543[M+Na
+。
【0114】
ステップ2:(3,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)tert-ブチル
【化54】
20mLのバイアルに、エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニルtert-ブチル、10%Pd/C(76.2mg、0.0716mmol)、及びEtOAc(3mL)を添加した。混合物を水素の雰囲気下で撹拌した。16時間後、混合物をセライトに通して濾過し、濾液の溶媒を蒸発させて、中間体7((3,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)tert-ブチル)を得た。LCMS(C
16H
24N
2O
6)(ES,m/z)285[M+H-C
4H
8]
+。
【0115】
中間体8:2,2,2-トリフルオロ酢酸メチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバミン酸3,4-ジヒドロキシフェニル
【化55】
20mLのバイアルに、中間体7(45.0mg、0.132mmol)及びTFA(2mL)を添加した。混合物を10分間撹拌した。溶媒を蒸発させて、中間体8、2,2,2-トリフルオロ酢酸メチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバミン酸3,4-ジヒドロキシフェニルを得た。LCMS(C
11H
16N
2O
4)(ES,m/z)241[M+H]
+。
【0116】
中間体9:2,2,2-トリフルオロ酢酸二酢酸4-((メチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン
ステップ1:二酢酸4-(((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン
【化56】
20mLのバイアルに、中間体7(46.0mg、0.135mmol)、酢酸無水物(1mL)、及びピリジン(1mL)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をトルエンと3回共蒸発させて、二酢酸4-(((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレンを得た。LCMS(C
20H
28N
2O
8)(ES,m/z)447[M+Na]
+。
【0117】
ステップ2:2,2,2-トリフルオロ酢酸二酢酸4-((メチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン
【化57】
20mLのバイアルに、二酢酸4-(((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)-(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン(57.0mg、0.134mmol)及びTFA(2mL)を添加した。混合物を10分間撹拌した。溶媒を蒸発させて、中間体9(2,2,2-トリフルオロ酢酸二酢酸4-((メチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン)を得た。LCMS(C
15H
20N
2O
6)(ES,m/z)325[M+H]
+。
【0118】
中間体10:(3,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル
【化58】
20mLのバイアルに、6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル(19.0mg、0.108mmol)、THF(1.5mL)、及びDIPEA(0.075mL、0.43mmol)を添加した。混合物を、THF(1mL)中のトリホスゲン(12.8mg、0.0431mmol)の撹拌溶液に1分かけて滴下した。5分後、混合物に、THF(1mL)中の中間体8(33.7mg、0.140mmol)を加えた。20分後、混合物をセライトに吸着し、溶出液としてヘプタン中の0~100%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体10(3,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1,2-ジイルビス(メチルカルバミン酸)2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イルを得た。LCMS(C
20H
18N
4O
6S)(ES,m/z)443[M+H]
+。
【0119】
中間体11:2,2,2トリフルオロ酢酸臭化(6-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
ステップ1:臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化59】
20mLのバイアルに、臭化(6-ブロモヘキシル)トリフェニルホスホニウム(1.00g、1.98mmol)及びDMF(10mL)を添加した。この混合物に、(2-アミノエチル)(メチル)カルバミン酸tert-ブチル(1.72g、9.88mmol)を添加した。混合物を撹拌し、55℃で4時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させた。残渣を、溶出液としてDCM中の0~10%MeOHを用いたアミン官能化シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。残渣をジエチルエーテルで2回粉砕することによって更に精製し、臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウムを得た。LCMS(C
32H
44N
2O
2P)(ES,m/z)519[M]
+。
【0120】
ステップ2:臭化(6-(((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)カルボニル)(2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化60】
20mLのバイアルに、中間体6(403mg、1.31mmol)、THF(5mL)、及びDIPEA(0.931mL、5.26mmol)を添加した。混合物をTHF(2mL)中のトリホスゲン(195mg、0.657mmol)の撹拌溶液に1分かけて滴下した。15分後、混合物に、THF(2mL)中の臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム(788mg、1.31mmol)を加えた。20分後、混合物をセライトに吸着し、溶出液としてDCM中の0~10%MeOHを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。残渣をTHF(20mL)中に溶解した。残留DIPEA-HCl塩を沈殿させ、濾過によって除去し、THFで洗浄した。濾液の溶媒を蒸発させて、臭化(6-(((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-フェノキシ)カルボニル)(2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニル-ホスホニウムを得た。LCMS(C
53H
60N
2O
6P)(ES,m/z)851[M]
+。
【0121】
ステップ3:臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化61】
100mLのRBフラスコに、臭化(6-(((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-フェノキシ)カルボニル)(2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニル-ホスホニウム(751mg、0.805mmol)、10%Pd/C(600mg、0.564mmol)、EtOAc(3mL)、MeOH(3mL)、及びAcOH(1mL)を添加した。混合物を水素の雰囲気下で撹拌した。72時間後、混合物をセライトに通して濾過し、溶媒を蒸発させて、臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウムを得た。LCMS(C
39H
48N
2O
6P)(ES,m/z)671[M]
+。
【0122】
ステップ4:臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウム
【化62】
20mLのバイアルに、臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウム(590mg、785mmol)、酢酸無水物(2mL)、及びピリジン(2mL)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をトルエンと3回共蒸発させた。残渣を、溶出液としてDCM中の0~10%MeOHを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウムを得た。LCMS(C
43H
52N
2O
8P)(ES,m/z)755[M]
+。
【0123】
ステップ5:2,2,2トリフルオロ酢酸臭化(6-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化63】
20mLのバイアルに、臭化(6-((2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル)((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウム(100mg、0.120mmol)及びTFA(2mL)を添加した。混合物を10分間撹拌した。溶媒を蒸発させて、中間体11(2,2,2-トリフルオロ酢酸臭化(6-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウム)を得た。LCMS(C
38H
44N
2O
6P)(ES、m/z)655[M]
+。
【0124】
化合物1:6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル
【化64】
20mLのバイアルに、中間体1(100mg、0.324mmol)、tBuXPhos-Pd G3(12.9mg、0.0162mmol)、リン酸カリウム(138mg、0.649mmol)、2,6-ジメトキシベンゼン-1,4-ジオール(66.2mg、0.389mmol)、及びトルエン(3mL)を添加した。混合物を窒素で1分間スパージした。混合物を撹拌し、120℃で2時間加熱した。混合物をEtOAc(5mL)中で希釈し、濾過した。濾液の溶媒を蒸発させ、残渣をヘプタン中の0~80%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物1(6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル)を得た。LCMS(C
16H
12 N
2O
4S)(ES,m/z)329[M+H]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 8.37 (d,J = 2.4 Hz,1H),8.22 (dd,J = 9.1,2.1 Hz,1H),7.77 (d,J = 2.7 Hz,1H),7.41 (dd,J = 9.3,2.7 Hz,1H),6.51 (d,J = 2.1 Hz,2H),3.74 (d,J = 2.1 Hz,6H)。
【0125】
以下の表1における化合物2~5を、中間体1または中間体2及び対応する市販のフェノールから、化合物1の調製のための方法に類似の方法で調製した。
【表1】
【0126】
化合物6:臭化(6-(2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)アセトアミド)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
ステップ1:2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル
【化65】
20mLのバイアルに、中間体1(49.0mg、0.159mmol)、中間体5(51.2mg、0.189mmol)、tBuXPhos-Pd G3(6.3mg、0.0080mmol)、リン酸カリウム(67.5mg、0.318mmol)、及びトルエン(1.5mL)を添加した。混合物を窒素で1分間スパージした。混合物を撹拌し、100℃で1時間加熱した。混合物をセライトに吸着し、ヘプタン中の0~60%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチルを得た。LCMS(C
21H
20N
2O
6S)(ES,m/z)429[M+H]
+。
【0127】
ステップ2:2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸
【化66】
20mLのバイアルに、2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル(42.5mg、0.0992mmol)及びTFA(1mL)を添加した。混合物を30分間撹拌した。溶媒を蒸発させて、2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸を得た。LCMS(C
17H
12N
2O
6S)(ES,m/z)373[M+H]
+。
【0128】
ステップ3:臭化(6-(2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)アセトアミド)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化67】
20mLのバイアルに、2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)酢酸tert-ブチル(36.9mg、0.0991mmol)、臭化(6-アミノヘキシル)トリフェニルホスホニウム塩酸塩(56.9mg、0.119mmol)、DMF(1mL)、及びDIPEA(0.052mL、0.30mmol)を添加した。混合物を撹拌した。混合物に、HATU(45.2mg、0.119mmol)を添加した。1時間後、混合物を逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物6(臭化(6-(2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)アセトアミド)ヘキシル)-トリフェニルホスホニウム)を得た。LCMS(C
41H
39N
3O
5PS)
+ (ES,m/z)716 [M]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 8.66 (s,1H),8.26 (s,1H),8.21 (dd,J = 9.2,2.7 Hz,1H),7.90 (q,J = 4.6,2.9 Hz,3H),7.78 (td,J = 7.9,6.4,3.6 Hz,13H),7.38 (dt,J = 8.6,3.0 Hz,1H),6.54 (dt,J = 12.7,3.1 Hz,2H),4.42 (d,J = 2.7 Hz,2H),3.74 (d,J = 2.7 Hz,3H),3.63 - 3.47 (m,2H),3.12 (d,J = 6.8 Hz,2H),1.61 - 1.19 (m,8H)。
【0129】
以下の表2における化合物7~9を、中間体1及び対応するフェノール中間体3~5から、化合物6の調製のための方法に類似の方法で調製した。
【表2】
【0130】
化合物10:(S)-2-(6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸
【化68】
20mLのバイアルに、化合物1及びDMF(2mL)を添加した。混合物を撹拌した。混合物に、0.5M水性リン酸緩衝液pH8緩衝液(2mL)中のD-システイン塩酸塩の溶液を添加した。混合物を30分間撹拌した。混合物を逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物10((S)-2-(6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸)を得た。LCMS(C
19H
16N
2O
6S
2)(ES,m/z)433[M+H]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 13.21 (s,1H),8.33 (s,1H),8.12 (dd,J = 9.0,3.1 Hz,1H),7.65 (s,1H),7.27 (dd,J = 9.3,3.8 Hz,1H),6.50 (s,2H),5.43 (t,J = 9.1 Hz,1H),3.77 (d,J = 10.7 Hz,1H),3.73 (d,J = 2.9 Hz,6H),3.68 (d,J = 10.1 Hz,1H)。
【0131】
以下の表3における化合物11~15を、対応するシアノベンゾチアゾール化合物2~6及びD-システインから、化合物10の調製のための方法に類似の方法で調製した。
【表3-1】
【表3-2】
【0132】
化合物16:臭化(S)-(6-(2-(2-ヒドロキシ-3-メトキシ-5-((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)フェノキシ)アセトアミド)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化69】
化合物6(臭化(6-(2-(5-((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)-2-ヒドロキシ-3-メトキシフェノキシ)アセトアミド)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム)(15.8mg、0.0198mmol)を含有する4mLのバイアルに、DMF(1mL)を添加した。混合物を撹拌した。混合物に、pH8の0.5Mリン酸緩衝液(0.5mL)中のD-システイン酸メチル(3.2mg、0.024mmol)の溶液を添加した。30分後、混合物を逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物16(臭化(S)-(6-(2-(2-ヒドロキシ-3-メトキシ-5-((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)フェノキシ)アセトアミド)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム)を得た。LCMS(C
45H
45N
3O
7PS
2)
+(ES,m/z)834 [M]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 8.63 (s,1H),8.26 (d,J = 6.2 Hz,1H),8.16 - 8.09 (m,1H),7.89 (d,J = 7.0 Hz,3H),7.78 (q,J = 6.1,5.0 Hz,13H),7.62 (d,J = 3.2 Hz,1H),7.32 - 7.22 (m,1H),6.53 (d,J = 11.3 Hz,2H),5.53 (t,J = 9.2 Hz,1H),4.42 (s,2H),3.82 (t,J = 10.6 Hz,1H),3.77 - 3.72 (m,6H),3.69 (d,J = 10.4 Hz,1H),3.12 (q,J = 6.9 Hz,2H),1.51 - 1.25 (m,8H)。
【0133】
化合物17:(S)-2-(6-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸
ステップ1:(Z)-N-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-4-クロロ-5H-1,2,3-ジチアゾール-5-イミン
【化70】
2-ブロモ-4-フルオロアニリン(2.00g、10.5mmol)をジクロロメタン(50mL)中に溶解した。塩化5-ジクロロ-1,2,3-ジチアゾリウム(アッペル塩、2.63g、12.6mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタン/水で抽出した。有機層を収集し、オレンジ色の油まで濃縮し、次のステップにおいて直接使用した。
【0134】
ステップ2:6-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル
【化71】
(Z)-N-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-4-クロロ-5H-1,2,3-ジチアゾール-5-イミン(0.26g、0.80mmol)を無水ピリジン(10mL)中に溶解した。ヨウ化銅(0.18g、0.90mmol)及びDIPEA(0.28mL、1.6mmol)を添加し、反応物を90℃で1時間加熱した。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル/水で抽出した。有機層を収集し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
1H NMR (300 MHz,CD
2Cl
2)δ 8.22 (m,1H),7.71 (m,1H),7.44 (m,1H);FNMR (300 MHz,CD
2Cl
2)δ 110.91。
【0135】
ステップ3:6-(4-メトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル
【化72】
4-メトキシフェノール(60mg、0.48mmol)を等モルの水酸化カリウム水溶液中に溶解した。水を凍結乾燥によって除去した。得られた固体をDMF(10mL)中に再懸濁した。6-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル(10mg、0.056mmol)を添加し、得られた溶液をマイクロ波管に移し、90℃、90Wで10分間反応させた。(CEM Discovery Synthesizer)。次いで、反応混合物を逆相HPLCによって精製して、6-(4-メトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリルを得た。
【0136】
ステップ4:(S)-2-(6-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸
【化73】
6-(4-メトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル(40mg、0.14mmol)を、ピリジニウム塩酸塩(5g)と混合した。混合物を20分間160℃に加熱した。THFを添加し、得られた懸濁液を濾過した。濾液を濃縮し、MeCN中に再溶解した。D-システイン(23.8mg、0.140mmol)を水中に溶解させ、前の溶液に添加した。トリエチルアミンを滴下して、反応物pHを8に調節した。次いで、反応物を20分間撹拌し、逆相HPLCによって精製して、化合物17((S)-2-(6-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸)を得た。MS(C
17H
12N
2O
4S
2)(ES,m/z)373[M+H]
+。
1H NMR (300 MHz,DMSO)δ 9.37 (s,1H),8.03 (d,1H),7.52 (d,1H),7.17 (dd,1H),6.92 (m,2H),6.77 (m,2H),5.35 (t,1H),3.65 (m,2H)。
【0137】
化合物18:(S)-2-(6-(((2-(((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸
【化74】
20mLのバイアルに、中間体10(21.0mg、0.0475mmol)及びDMF(2mL)を添加した。混合物を撹拌した。この混合物に、pH8緩衝液(2mL)中のD-システイン(6.9mg、0.057mmol)を添加した。混合物を2時間撹拌した。混合物を逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物18((S)-2-(6-(((2-(((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸)を得た。LCMS(C
23H
22N
4O
8S
2)(ES,m/z)547[M+H]
+。
1H NMR (400 MHz,DMF-d
7)δ 13.91 (s,1H),9.51 (d,J = 3.8 Hz,1H),9.26 (d,J = 19.5 Hz,1H),8.36 (dd,J = 15.4,8.8 Hz,1H),7.73 - 7.53 (m,1H),7.02 - 6.78 (m,3H),6.63 (dddd,J = 17.9,14.8,8.5,2.6 Hz,1H),5.75 (t,J = 9.4 Hz,1H),4.14 - 3.92 (m,6H),3.39 - 3.17 (m,6H)。
【0138】
化合物19:(S)-2-(6-(((2-(((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸メチル
【化75】
20mLのバイアルに、中間体10(27.6mg、0.0475mmol)及びDMF(2mL)を添加した。混合物を撹拌した。混合物に、pH8緩衝液(2mL)中のD-システインメチルエステル(10.1mg、0.749mmol)を添加した。混合物を2時間撹拌した。混合物を逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物19((S)-2-(6-(((2-(((3,4-ジヒドロキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸メチル)を得た。LCMS(C
24H
24N
4O
8S
2)(ES,m/z)561[M+H]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 9.07 (d,J = 16.4 Hz,1H),8.84 (d,J = 9.7 Hz,1H),8.16 (dt,J = 10.2,5.8 Hz,1H),8.04 - 7.81 (m,1H),7.35 (dd,J = 25.8,8.6 Hz,1H),6.66 (dd,J = 18.3,8.4 Hz,1H),6.49 (dd,J = 20.3,9.8 Hz,1H),6.32 (td,J = 21.6,18.0,8.4 Hz,1H),5.57 (t,J = 9.6 Hz,1H),3.85 (t,J = 10.6 Hz,1H),3.77 (d,J = 2.5 Hz,3H),3.74 - 3.51 (m,5H),3.20 - 2.88 (m,6H)。
【0139】
化合物20:二酢酸(S)-4-(((2-((((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン
ステップ1:二酢酸4-(((2-((((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン
【化76】
20mLのバイアルに、6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル(18.0mg、0.102mmol)、THF(1.5mL)、及びDIPEA(0.073mL、0.41mmol)を添加した。混合物を、THF(1mL)中のトリホスゲン(12.8mg、0.0431mmol)の撹拌溶液に1分かけて滴下した。5分後、混合物に、THF(1mL)中の中間体9(43.1mg、0.132mmol)を加えた。20分後、混合物をセライトに吸着し、溶出液としてヘプタン中の0~100%EtOAcを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、二酢酸4-(((2-((((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)-(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレンを得た。LCMS(C
24H
22N
4O
8S)(ES,m/z)527[M+H]
+。
【0140】
ステップ2:二酢酸(S)-4-(((2-((((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン
【化77】
20mLのバイアルに、二酢酸-(((2-((((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)-(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン(38.4mg、0.0729mmol)及びDMF(2mL)を添加した。混合物を撹拌した。この混合物に、pH8緩衝液(2mL)中のD-システインメチルエステル(11.8mg、0.875mmol)を添加した。混合物を2時間撹拌した。混合物を逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物20(二酢酸(S)-4-(((2-((((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)-1,2-フェニレン)を得た。LCMS(C
28H
28N
4O
10S
2)(ES,m/z)645[M+H]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 8.16 (td,J = 11.2,10.5,4.7 Hz,1H),7.97 (dd,J = 28.4,15.3 Hz,1H),7.52 - 7.21 (m,2H),7.19 - 6.86 (m,2H),5.58 (t,J = 8.8 Hz,1H),3.85 (t,J = 10.7 Hz,1H),3.77 (d,J = 2.9 Hz,3H),3.74 - 3.62 (m,5H),3.19 - 2.96 (m,6H),2.31 - 2.20 (m,6H)。
【0141】
化合物21:臭化(6-((2-((((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)-((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化78】
20mLのバイアルに、6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル(20.0mg、0.114mmol)、THF(1.5mL)、及びDIPEA(0.100mL、0.568mmol)を添加した。混合物を、THF(1mL)中のトリホスゲン(16.8mg、0.0568mmol)の撹拌溶液に1分かけて滴下した。5分後、混合物に、THF(1mL)中の中間体11(87.7mg、0.119mmol)を加えた。20分後、混合物を濃縮し、逆相HPLC(MeCN/0.1%TFAを含む水)によって精製して、化合物21(臭化(6-((2-((((2-シアノベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)-((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム)を得た。LCMS(C
47H
46N
4O
8PS)(ES,m/z)857[M]
+。
1H NMR (400 MHz,アセトニトリル-d
3)δ 8.18 (td,J = 9.4,9.0,6.0 Hz,1H),7.95 - 7.78 (m,4H),7.74 - 7.65 (m,12H),7.50 - 7.31 (m,1H),7.24 - 6.82 (m,3H),3.77 - 3.29 (m,6H),3.15 (p,J = 7.4 Hz,3H),3.03 (d,J = 6.5 Hz,2H),2.29 - 2.20 (m,6H),1.69 - 1.28 (m,10H)。
【0142】
化合物22:臭化(S)-(6-((((2-(4-カルボキシ-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(2-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化79】
化合物21(10.0mg、0.0107mmol)を含有する8mLのバイアルに、DMF(1.5mL)を添加した。混合物を撹拌した。この混合物に、pH8緩衝液(0.5mL)中のD-システイン(1.7mg、0.014mmol)の溶液を添加した。混合物を逆相HPLC(MeCN/0.5%TFAを含む水)によって精製して、化合物22(臭化(S)-(6-((((2-(4-カルボキシ-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)(2-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)-アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム)を得た。LCMS(C
50H
50N
4O
10PS
2)(ES,m/z)961[M]
+。
1H NMR (400 MHz,DMF-d
7)δ 14.0 (br s,1H),8.39 - 8.26 (m,1H),8.17 - 8.08 (m,9H),8.04 - 7.96 (m,6H),7.69 - 7.30 (m,3H),5.75 (t,J = 9.1 Hz,1H),4.16 - 4.00 (m,2H),3.51 - 3.22 (m,6H),2.54 - 2.44 (m,6H),2.01 - 1.69 (m,8H),1.68 - 1.53 (m,2H)。
【0143】
化合物23:臭化(S)-(6-((2-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム
【化80】
化合物21(19.8mg、0.0211mmol)を含有する8mLのバイアルに、DMF(1.5mL)を添加した。混合物を撹拌した。この混合物に、pH8緩衝液(0.5mL)中のD-システインメチルエステル(1.7mg、0.014mmol)の溶液を添加した。混合物を逆相HPLC(MeCN/0.5%TFAを含む水)によって精製して、化合物23(臭化((S)-(6-((2-(((3,4-ジアセトキシフェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)(((2-(4-(メトキシカルボニル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)トリフェニルホスホニウム)を得た。LCMS(C
51H
52N
4O
10PS
2)(ES,m/z)975[M]
+。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6)δ 8.15 (td,J = 9.4,4.4 Hz,1H),8.01 - 7.85 (m,4H),7.75 (td,J = 9.7,8.2,5.4 Hz,12H),7.39 - 7.18 (m,2H),7.14 - 6.81 (m,2H),5.57 (t,J = 9.2 Hz,1H),3.85 (t,J = 10.6 Hz,1H),3.77 (s,3H),3.41 - 3.23 (m,4H),3.05 (dd,J = 55.3,8.7 Hz,3H),2.31 - 2.10 (m,6H),1.65 - 1.26 (m,10H)。
【0144】
実施例2:スーパーオキシドの無細胞検出及び特異性
スーパーオキシドプローブ、化合物1(6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル)を、PBS中に25μMまで96ウェル白壁アッセイプレートのウェル中に希釈した。その後、活性酸素及び窒素種の生成元をPBS中で希釈し、アッセイプレートに添加した。プレートは、オービタルプレートシェーカーを使用して5分間混合し、続いて光から保護された室温で30分のインキュベーションを行った。ルシフェリン検出のために、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素、UltraGlo(Promega Corporation)を、ルシフェリン検出試薬(Promega)、再構成緩衝液(Promega)、及びd-システイン(Promega)を混合することによって調製し、1体積を反応に加えた。プレートを、オービタルプレートシェーカーを使用して混合し、発光を、GloMax(登録商標)ルミノメーターを使用して測定した。データを
図3に示し、ブランクは、PBSのみを含み、HX=ヒポキサンチン、XO=キサンチンオキシダーゼ、及びSOD=スーパーオキシドジスムターゼである。データは、反応してスーパーオキシドを生成することが知られている、HX及びXOの存在下での強力なシグナルの存在を実証する。このシグナルは、スーパーオキシドジスムターゼの存在下で減少し、スーパーオキシドがシグナルの供給源であることを確認した。過酸化水素、ローズベンガル(一重項酸素を生成する)、亜硝酸ナトリウム、またはNONOateの存在下、シグナルはほとんどまたはまったく検出されなかった。
【0145】
実施例3:細胞中のスーパーオキシドの検出
ヒト肝癌細胞(Hep G2)を、96ウェル白壁アッセイ組織培養プレートのウェルに播種した。播種された細胞を、5%CO
2で37℃の加湿された組織培養インキュベーターにおいて一晩インキュベートした。翌日、スーパーオキシドプローブ、化合物1(6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-カルボニトリル)を、12.5uMの最終濃度で培養培地中の細胞に加えた。その後、培養培地中で希釈されたジメトキシナフトキノン(DMNQ、50μM)またはアンチマイシンA(10μM)を反応ウェルに添加し、アッセイプレート(複数可)を5%CO2で37℃の加湿された組織培養インキュベーターにおいて1時間インキュベートした。ルシフェリン検出のために、ルシフェリン利用ルシフェラーゼ酵素、UltraGlo(Promega Corporation)を、ルシフェリン検出試薬(Promega)、再構成緩衝液(Promega)、及びd-システイン(Promega)を混合することによって調製し、1体積を反応に加えた。プレートを、オービタルプレートシェーカーを使用して混合し、発光を、GloMax(登録商標)ルミノメーターを使用して測定した。データを
図4に示す。細胞をジメトキシナフトキノン(DMNQ)またはアンチマイシンAのいずれかで処理したときに、シグナルの増加が検出され、これらの両方は、スーパーオキシドの形成を誘導することが知られている。
【0146】
実施例4:インビトロでのキサンチンオキシダーゼの検出
キサンチンオキシダーゼ(XO)は、ヒポキサンチンまたはキサンチンの尿酸及びスーパーオキシドへの酸化を触媒する酵素である。XOは、通常、肝臓及び空腸において見出され、プリンの異化作用において重要な役割を果たす。重度肝臓損傷の間、キサンチンオキシダーゼは、血液中に放出され、肝臓損傷についてのマーカーとして使用することができる。ここでは、本明細書に記載されるプロルシフェリン化合物を使用してキサンチンオキシダーゼ活性を測定する一例を示す。精製されたキサンチンオキシダーゼを、0.1MのTris(pH7.5)中で3倍段階希釈した。25μlの希釈された酵素を、96ウェルアッセイプレートのウェルに移し、25μlの300μMキサンチン及び25μlの75μM化合物20を添加することによって、反応を開始した。37℃で10、20、30、及び60分のインキュベーション後、75μlのエステラーゼを含有するルシフェリン検出試薬を試料に加え、室温で追加20分のインキュベーション後に発光を読み取った。
【0147】
発光シグナルの増加は、キサンチンオキシダーゼ基質、キサンチンの存在に依存し、キサンチンオキシダーゼ濃度及び時間に対して線形であった。
図5において示されるデータは、キサンチンオキシダーゼによって産生されるスーパーオキシドが、プロルシフェリン化合物と相互作用してルシフェリンを放出し、スーパーオキシド産生酵素について活性を測定または阻害剤スクリーニングするために使用することができることを示す。
【0148】
実施例5:マクロファージによるスーパーオキシド産生の検出
マクロファージによるスーパーオキシドの産生は、免疫応答及び炎症において重要な役割を果たす。スーパーオキシドは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼ(NOX酵素として知られる)によって産生され、PMA(13-酢酸12-ミリスチン酸4β-ホルボール)によって誘導される。ここでは、RAW 247.6マクロファージ細胞株におけるPMA誘導スーパーオキシド産生を測定する一例を示す。RAW 247.6細胞を、10%FBSを含むDMEM培地中で一晩播種した。実験を開始するために、培地を除去し、細胞をPBSで1回洗浄し、5mMのグルコース、1mMのMgCl
2、0.5mMのCaCl
2、及び0.05%のBSAを含有する50μlのPBSを、20μMのPMAの存在または不在下で細胞に加えた。スーパーオキシドの産生を測定するために、50μlの50μM化合物18(
図6A)または100μM化合物20(
図6B)を細胞に加えた。細胞を37℃で2時間処理し、エステラーゼを含む等体積のルシフェリン検出試薬を添加することによってルシフェリン産生を測定し、室温での20分のインキュベーション後に発光を読み取った。
【0149】
両方の化合物で、培地のみの対照と比較して、細胞の存在下でより高い発光シグナルが測定された。
図6A~6Bにおけるデータは、発光シグナルが、哺乳動物細胞によるスーパーオキシド産生における薬物誘導変化を測定するための本発明の方法の有用性を例示するPMA処理で顕著に増加したことを示す。
【0150】
実施例6:動態モードでのスーパーオキシド産生の検出。
RAW 247.6マクロファージ細胞を、10%FBSを含むDMEM培地中で一晩、ウェル当たり30,000個の細胞で播種した。翌日、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。5mMのグルコース、1mMのMgCl
2、0.5mMのCaCl
2、0.05%のBSA、及び50μMの化合物20を含有する100ulのPBSを、20μMのPMAの存在または不在下で細胞に加えた。細胞を組織培養インキュベーターにおいて37℃に戻した。異なる時点(10、20、30、及び60分)で、10μlを試料から取り出し、10μlのエステラーゼを含むルシフェリン検出試薬と混合し、室温で20分のインキュベーション後に発光を読み取った。
図7におけるデータは、シグナルの時間依存的な増加が、スーパーオキシド産生の増加を示すPMAで処理された細胞において検出されたことを示す。
【0151】
本明細書に引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み入れられることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
本発明の説明の文脈(特に、次の特許請求の範囲の文脈において)における、用語「a」、「an」及び「the」ならびに「少なくとも1つ」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書中に別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、「少なくとも1つ」という用語、続いて1つ以上の項目のリスト(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、列挙された項目から選択される1つの項目(AもしくはB)、または列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるものである。「含むこと(comprising)」、「有すること(having)」、「含むこと(including)」、及び「含有すること(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるものである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別様が示されない限り、単に、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書内に提供される任意及び全ての実施例、または例示的言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲に対して制限を課すものではない。いかなる本明細書の表現も、非請求要素を本発明の実践に必須であるとして示すと解釈されるべきではない。
【0153】
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態を本明細書に記載する。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読んだ後、当業者に明らかになり得る。発明者は、当業者がかかる変形を適切なように用いることを予期し、発明者は、発明が本明細書に具体的に記載されるのとは別様で実践されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲で列挙される主題の全ての修正及び等価物を含む。更に、それらの全ての可能な変形における、上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、本発明によって包括される。
【国際調査報告】