(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】没入型オーディオ再生のためのオーディオ処理方法
(51)【国際特許分類】
H04S 7/00 20060101AFI20240806BHJP
H04S 1/00 20060101ALI20240806BHJP
H04S 3/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04S7/00 300
H04S1/00
H04S3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503602
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022037809
(87)【国際公開番号】W WO2023009377
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,シー.フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】スミザーズ,マイケル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5D162
【Fターム(参考)】
5D162AA07
5D162CA21
5D162CA27
5D162CD03
(57)【要約】
少なくとも1つの高さオーディオチャネルを含む没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法(200)であって、少なくとも1つの高さオーディオチャネルの少なくとも一部から2つの高さオーディオ信号を取得するステップ(250)と、位相差が主に位相外れである周波数帯域における2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正して、2つの位相修正された高さオーディオ信号を取得するステップ(270)と、2つの位相修正された高さオーディオ信号を含む処理されたオーディオを少なくとも2つのオーディオスピーカで再生するステップ(290)と、を含む。位相差は、前記1つ以上のリスニング位置の各々に対して横方向に間隔を空けられた、少なくとも2つのスピーカに対して対称的に中心から外れた1つ以上のリスニング位置にある2つのオーディオスピーカからモノラル信号を発した結果として生じる。方法は、オーバヘッドスピーカを使用することなく、音の高さ/上昇の知覚を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のリスニング位置を含むリスニング環境において、処理されたオーディオをオーバヘッドスピーカを有しない、少なくとも2つのオーディオスピーカの非没入型スピーカシステムで再生するために、少なくとも1つの高さオーディオチャネルを含む没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法であって、前記1つ以上のリスニング位置の各々が前記少なくとも2つのスピーカに対して対称的に中心から外れており、前記少なくとも2つのスピーカの各々は、前記少なくとも2つのスピーカから2つのモノラルオーディオ信号が発せられたときに、前記リスニング環境の音響特性の結果として、前記1つ以上のリスニング位置でスピーカ間差動位相(IDP)が発生するように、前記1つ以上のリスニング位置の各々に対して横方向に間隔を空けられ、
前記方法は、
前記少なくとも1つの高さオーディオチャネルの少なくとも一部から2つのモノラル高さオーディオ信号を取得するステップと、
前記少なくとも2つのスピーカから
2つの高さオーディオチャネルが発せられたときに前記1つ以上のリスニング位置で発生するIDPが位相外れになる周波数帯域における前記2つのモノラル高さオーディオ信号間の相対位相を修正して、前記IDPが同相になる2つの位相修正された高さオーディオ信号を取得するステップと、
前記少なくとも2つのオーディオスピーカで前記処理されたオーディオを再生するステップであって、前記処理されたオーディオが前記2つの位相修正された高さオーディオ信号を含む、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオが少なくとも2つのオーディオチャネルを更に含み、前記方法は、
前記2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を前記2つのオーディオチャネルの1つとミキシングするステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオが中央チャネルを更に含み、前記方法は、
前記2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を前記中央チャネルとミキシングするステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオは単一の高さオーディオチャネルを有し、前記2つのモノラル高さオーディオ信号を取得するステップは、前記単一の高さオーディオチャネルに共に対応する前記2つのモノラル高さオーディオ信号を取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオは少なくとも2つの高さオーディオチャネルを含み、前記2つのモノラル高さオーディオ信号を取得するステップは、前記少なくとも2つの高さオーディオチャネルから前記2つのモノラル高さオーディオ信号を取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの高さオーディオチャネルにM/S処理を適用して、ミッド信号及びサイド信号を取得するステップを更に含み、前記2つの高さオーディオ信号の各々は、前記ミッド信号に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サイド信号と前記サイド信号に対応するが前記サイド信号の逆位相を有する信号とを、前記位相修正された高さオーディオ信号とミキシングするステップ、を更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップは、前記リスニング位置のうちの1つ以上で前記IDPを測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップは、前記1つ以上のリスニング位置と前記少なくとも2つのスピーカの各々との間の所定の絶対距離に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップは、前記1つ以上のリスニング位置におけるリスナーの動きの検出によりトリガされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リスニング環境は車両の内部である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記非没入型スピーカシステムがステレオ又はサラウンドスピーカシステムである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオが、前記没入型オーディオフォーマットでレンダリングされるオーディオであり、及び/又は前記没入型オーディオフォーマットがDolby Atmosであり、又はX≧2が前方又はサラウンドオーディオチャネルの数であり、Y≧0が、存在する場合、低周波エフェクト又はサブウーファーオーディオチャネルであり、Z≧1が少なくとも1つの高さオーディオチャネルである、任意のX-Y-Zオーディオフォーマットである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記修正するステップは、前記IDPが位相外れである各周波数帯域について、前記2つの高さオーディオ信号間の前記相対位相に180度の位相シフトを加える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記2つの高さオーディオ信号のうちの一方の位相が+90度シフトされ、前記2つの高さオーディオ信号のうちの他方の位相が-90度シフトされる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記2つの高さオーディオ信号のうちの一方の位相が+90度シフトされ、前記2つの高さオーディオ信号のうちの他方の位相が-90度シフトされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
機器であって、プロセッサと、前記プロセッサに結合されるメモリとを含み、前記プロセッサは、請求項1~16のいずれかに記載の方法を実行するよう構成される、機器。
【請求項18】
請求項17に記載の機器を含む車両。
【請求項19】
プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに請求項1~16のいずれかに記載の方法を実行させる命令を含むプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、米国仮特許出願番号第63/226,529号、2021年7月28日出願、及び欧州特許出願番号第21188202.2号、2021年7月28日出願の優先権を主張する。両出願は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、オーディオ処理の技術分野に関する。特に、本開示は、非没入型スピーカシステムで処理されたオーディオを再生するために、没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法に関する。本開示は、更に、この方法を実行するように構成されたプロセッサを含む機器、該機器を含む車両、プログラム及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車には通常、オーディオ再生用のスピーカシステムが搭載されている。自動車に搭載されているスピーカシステムは、例えば、自動車の車載娯楽システムで実行されるテープ、CD、オーディオストリーミングサービス又はアプリケーションから、又は自動車に接続されたデバイスを介してリモートで、オーディオを再生するために使用される場合がある。装置は、例えば、車両に無線又はケーブルで接続されたポータブル装置であってもよい。例えば、最近では、SpotifyやTidalのようなストリーミングサービスが、車両のハードウェア(通常「ヘッドユニット」として知られている)に直接、又はBluetooth、Apple CarPlay又はAndroid Autoを使用してスマートフォンを介して、車載娯楽システムに統合されている。車両のスピーカシステムは、地上波及び/又は衛星ラジオの再生にも使用されることがある。従来の車両用スピーカシステムは、ステレオスピーカシステムである。ステレオスピーカシステムは、前後の乗客のために各々前方スピーカペアと後方スピーカペアの合計4つのスピーカを含むことができる。しかし、近年では、DVDプレイヤの車両への導入に伴い、DVDオーディオフォーマットの再生をサポートするサラウンドスピーカシステムが車両に導入されている。
図1は、車両100の内観を示す。車両100は、スピーカ10、11、30、31、41、42及び43を含むサラウンドスピーカシステムを含む。スピーカは、車両100の左側のみに示されている。対応するスピーカは、車両100の右側に対称的に配置することができる。特に、
図1のサラウンドスピーカシステムは、ツイータースピーカ41、42及び43のペア、フルレンジ前方スピーカ30及び後方スピーカ31のペア、中央スピーカ10及び低周波効果スピーカ又はサブウーファー11を含む。ツイータースピーカ41は、車両のダッシュボードの近くに配置される。ツイータースピーカ42は、車両100のフロントサイドピラーの低い位置に配置される。しかしながら、ツイータースピーカ41、42、43だけでなく、フルレンジの前方及び後方スピーカ30及び31も、特定の実施に適した任意の位置に配置することができる。
【0004】
没入型オーディオは、映画館又は家庭のリスニング環境で主流になりつつある。没入型オーディオが映画館又は家庭で主流になりつつあるので、没入型オーディオは車の中でも再生されると考えるのが自然である。Dolby Atmos Musicはすでに様々なストリーミングサービスで提供されている。没入型オーディオは、オーバヘッドオーディオチャネルや高さオーディオチャネルが含まれていることで、サラウンドオーディオフォーマットと区別されることが多い。従って、没入型オーディオを再生するには、オーバヘッドスピーカ又はハイト(高さ)スピーカが使用される。ハイエンド車両には、このようなオーバヘッドスピーカ又はハイトスピーカが搭載されているが、従来の車両のほとんどは、
図1に示すように、ステレオスピーカシステム又はより高度なサラウンドスピーカシステムを使用している。実際、高さ(height、ハイト)スピーカは、車両のスピーカシステムの複雑さを劇的に増大させる。高さスピーカは、通常この目的に適合しない車両の屋根に設置する必要がある。例えば、車両の屋根は通常低く、高さスピーカを設置できる高さが限られている。更に、車両の屋根に窓を開けるためにサンルーフを取り付けるオプション付きで販売されていることが多く、高さスピーカを屋根に統合したり配置したりすることは、工業設計上困難な課題となっている。このような高さスピーカには、追加のオーディオケーブルも必要になる場合がある。これらすべての理由から、車両への高さスピーカの統合は、スペースと工業設計の制約のためにコストがかかる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
没入型オーディオコンテンツを非没入型スピーカシステムで、例えばステレオスピーカシステムやサラウンドスピーカシステムで、再生することは有利である。本開示の文脈において、「非没入型スピーカシステム」とは、少なくとも2つのスピーカを含むが、オーバヘッドスピーカを含まない(つまり、高さスピーカがない)スピーカ/スピーカシステムである。
【0006】
ユーザのオーディオ体験がオーバヘッドスピーカを使用しなくても向上するように、非没入型スピーカシステムで没入型のオーディオコンテンツを再生することによって、音の高さ(height、高度)の知覚を生成することは有利であろう。
【0007】
本開示の態様は、1つ以上のリスニング位置を含むリスニング環境において、少なくとも2つのオーディオスピーカの非没入型スピーカシステムで処理されたオーディオを再生するために、少なくとも1つの高さオーディオチャネルを含む没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法を提供する。1つ以上のリスニング位置の各々は、少なくとも2つのスピーカに関して対称的に中心から外れている。少なくとも2つのスピーカの各々は、少なくとも2つのスピーカから2つのモノラルオーディオ信号が発せられたときに、リスニング環境の音響特性の結果として1つ以上のリスニング位置で位相差(例えば、スピーカ間差動位相、Inter-loudspeaker differential phases, IDP)が生じるように、1つ以上のリスニング位置の各々に関して横方向に間隔を空けられる。方法は、
少なくとも1つの高さオーディオチャネルの少なくとも一部から2つの(モノラル/同一の)高さオーディオ信号を取得するステップと、
位相差(例えば、2つの高さチャネルが少なくとも2つのスピーカから出力されるときに、1つ以上のリスニング位置で生じるIDP)が(主に)位相外れである周波数帯域における2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正して、位相差が(主に)同相である2つの位相修正された高さオーディオ信号を取得するステップと、
少なくとも2つのオーディオスピーカで処理されたオーディオを再生するステップであって、処理されたオーディオは2つの位相修正された高さオーディオ信号を含む、ステップと、
を含む。
【0008】
少なくとも2つのスピーカに対して対称的に中心から外れたリスニング位置に対して、少なくとも2つのスピーカから発せられた2つのモノラルオーディオ信号が、時間領域の遅延を伴ってリスニング位置で知覚される。この遅延は、リスニング位置で周波数に応じて変化する2つのモノラル信号の位相差に周波数領域で対応する。
【0009】
本発明者らが調査した心理音響現象によれば、リスニング位置が2つのスピーカに対して中央にある場合、及び2つのスピーカがリスニング位置に対して横方向に間隔を置いている場合に、2つのスピーカから発せられるオーディオソースを音の高度(sound height)と共に知覚することができる。中央のリスニング位置に対して2つのスピーカが横方向に間隔を置くほど、リスニング位置でより大きな音の高度、すなわち音のより大きな上昇(elevation)が知覚される。
【0010】
有利には、1つ以上のリスニング位置の知覚の各々に対して横方向に間隔を置いた2つのスピーカに対して、2つのスピーカに対して高さチャネルを中央に置くことによって音の高度が生成される。高さチャネルを中央に置くことは、少なくとも1つの高さオーディオチャネルの少なくとも一部から2つの高さオーディオ信号を取得し、位相差が(主に)位相外れである周波数帯域における2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正して、位相差が(主に)同相である2つの位相修正された高さオーディオ信号を取得することによって実行される。2つのスピーカで再生される処理されたオーディオ信号は、2つの位相修正された高さオーディオ信号を含む。2つの位相修正された高さオーディオ信号は、「中央の」高さオーディオチャネルを提供する。処理された音声信号は、「中央の」高さオーディオ信号を含むので、音の高度は、1つ以上のリスニング位置に位置するリスナーによって知覚される。有利には、音の高度の知覚は、処理された音声を非没入型スピーカシステムで再生することによって、すなわち、オーバヘッドスピーカを使用せずに生成される。
【0011】
実施形態では、没入型オーディオフォーマットのオーディオが少なくとも2つのオーディオチャネルを更に含み、方法は、
2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を2つのオーディオチャネルの各々(例えば1つ)とミキシングするステップ、を更に含む。
【0012】
実施形態では、没入型オーディオフォーマットのオーディオが中央チャネルを更に含み、方法は、
2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を中央チャネルとミキシングするステップ、を更に含む。
【0013】
実施形態では、没入型オーディオフォーマットのオーディオは単一の高さオーディオチャネルを有し、2つの高さオーディオ信号を取得するステップは、単一の高さオーディオチャネルに共に対応する2つの同一の高さオーディオ信号を取得するステップを含む。
【0014】
実施形態では、没入型オーディオフォーマットのオーディオは少なくとも2つの高さオーディオチャネルを含み、2つの高さオーディオ信号を取得するステップは、少なくとも2つの高さオーディオチャネルから2つの同一の高さオーディオ信号を取得するステップを含む。
【0015】
実施形態では、方法は、ミッド信号及びサイド信号を得るために、少なくとも2つの高さオーディオチャネルにM/S(mid/side)処理を適用することを更に含む。2つの高さオーディオ信号の各々は、ミッド信号に対応する。
【0016】
実施形態では、方法は、サイド信号とサイド信号に対応するがサイド信号の逆位相を有する信号とを、位相修正された高さオーディオ信号とミキシングするステップ、を更に含む。
【0017】
本開示の別の態様は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む機器を提供し、ここで、プロセッサは、本開示に記載された方法のいずれかを実行するように構成される。
【0018】
本開示の別の態様は、上記の機器を含む車両を提供する。
【0019】
本開示の別の態様は、プロセッサによって実行されると、プロセッサにオーディオを処理する方法を実行させる命令を含むプログラムと、更に、該プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体とを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の実施形態は、限定ではなく、添付の図の例を用いて説明され、図中の同様の参照符号は同様の要素を表す。
【
図1】本開示の実施形態に従い配置されたスピーカシステムを有する車両の内観を概略的に示す。
【
図2】本開示の実施形態による没入型フォーマットでオーディオを処理する方法の例を示すフローチャートである。
【
図2A】本開示の幾つかの実施形態による2つの高さオーディオ信号を取得する方法の例を示すフローチャートである。
【
図2B】2つの高さのオーディオ信号間の相対位相を変更する方法の例を示すフローチャートである。
【
図4A】リスニング位置と2つのスピーカの空間的関係を概略的に示し、リスニング位置はスピーカから等距離にある。
【
図4B】
図4Aの等距離リスニング位置における全周波数の理想化耳間位相差(IDP)応答を概略的に示す。
【
図5A】2つのスピーカに対するリスニング位置オフセットの空間的関係を概略的に示す。
【
図5B】
図5Aのリスニング位置における全周波数の理想化耳間位相差(IDP)応答を概略的に示す。
【
図6】2つのスピーカから等距離のリスニング位置における高さの知覚がスピーカの横間隔の程度に依存してどのように変化するかを概略的に示す。
【
図7A】2つのリスニング位置の空間的関係を概略的に示し、各オフセットは2つのスピーカに対して対称的である。
【
図7B】
図7Aに示す2つのリスニング位置の各々についてIDPが周波数によってどのように変化するかを概略的に示す。
【
図7C】
図7Aに示す2つのリスニング位置の各々についてIDPが周波数によってどのように変化するかを概略的に示す。
【
図8】本開示の実施形態による没入型フォーマットでオーディオを処理する方法の例を概略的に示す。
【
図9】本開示の実施形態による没入型フォーマットでオーディオを処理する方法の例を概略的に示す。
【
図10】2つの高さオーディオチャネルから高さオーディオ信号を得る方法の例を概略的に示す。
【
図11】2つの高さオーディオチャネルから高さオーディオ信号を得る方法の別の例を概略的に示す。
【
図12A】2つの高さチャネルのうちの1つ、この場合は左高さチャネルに適用される、可能な先行技術のFIRベースの実装の機能概略ブロック図を示す。
【
図12B】2つの高さチャネルのうちの1つ、この場合は右高さチャネルに適用される、可能な先行技術のFIRベースの実装の機能概略ブロック図を示す。
【
図13A】
図12Aのフィルタ又はフィルタ機能702の信号出力703の理想化された大きさ応答を示す。
【
図13B】
図12Aの減算器又は減算器機能708の信号出力709の理想化された大きさ応答を示す。
【
図13E】
図12Aの715と
図12Bの735の2つの出力信号の間の相対的な位相差を表す理想化された位相応答を示す。
【
図13F】
図7Aに示す2つのリスニング位置の各々について補正IDPが周波数によってどのように変化するかを概略的に示す。
【
図13G】
図7Aに示す2つのリスニング位置の各々について補正IDPが周波数によってどのように変化するかを概略的に示す。
【
図14】本開示の実施形態による方法を実行する機器の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の完全な理解を提供するため、多くの特定の詳細が以下に説明される。しかしながら、本開示は、これらの特定の詳細を有しないで実行することができる。更に、周知の部分は、徹底的に詳細に記載することなく説明できる。図は概略的なものであり、本開示を理解するために関連する部分を含むが、他の部分は省略されるか、又は単に示唆される場合がある。
【0022】
図2は、本開示の実施形態による没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法200の例を示すフローチャートである。方法200は、リスニング環境において、少なくとも2つのオーディオスピーカの非没入型スピーカシステムで、処理されたオーディオを再生するために使用することができる。リスニング環境は、車両、例えば自動車の内部であってもよい。リスニング環境は、あらゆるタイプの乗用車又は非乗用車、例えば商用目的又は貨物輸送に使用される車両の内部であってもよい。しかしながら、リスニング環境は車両の内部に限定されるものではない。一般に、以下により詳細に示されるように、本開示は、非没入型スピーカシステムの2つのスピーカが1つ以上のリスニング位置に関して横方向に間隔を空けられ、1つ以上のリスニング位置が2つのスピーカに関して対称的に中心から外れている任意のリスニング環境に関する。特に、車両において、スピーカは一般にこれらの条件を満たすように配置されることが分かっている。
【0023】
例えば、
図3を参照すると、車両100、この例では4人乗りの車両が概略的に描かれている。簡略化のため、スピーカの配置は
図3に示されていないが、
図1の車両100のより詳細な内観図に示されている。乗用車100は、4つの座席110、120、130、及び140を有する。
図1に示すスピーカシステムを検討すると、スピーカ30、31、41、42、43は、車両100の右側に配置された対応するスピーカ(図には示されていない)を有する。
図3を参照すると、車両100の左側のスピーカ及び車両100の右側の各々の対応するスピーカは、車両の長さに沿って車両100の中心を横切るように、中心軸150に対して対称的に反射的に配置される。座席110、120、130、及び140の各々、従ってそれらに位置する潜在的なリスナーは、スピーカ30、31、41、42、43及び車両の右側の各々の対応するスピーカを含むスピーカのペアに対して対称的に中心から外れていることが理解される。例えば、運転席110に着座する運転者は、スピーカ30、41、42及び対応する右側のスピーカ(図には示されていない)の間で対称的に中心から外れている。運転者は、車両100の右側の対応するスピーカよりもスピーカ30、41及び42に近い。
図1及び
図3では、運転者の座席は車両100の左側(進行方向に対して左側)に示されている。しかしながら、車両内の運転者の座席の位置は、地域によって異なる場合があることが理解される。例えば、英国、オーストラリア、又は日本では、運転者の座席は車両の前方方向に対して車両の右側に位置する。
【0024】
非没入型スピーカシステムは、例えば、
図1を参照して示されるステレオスピーカシステム又はサラウンドスピーカシステムであってよい。
【0025】
実施形態では、没入型オーディオフォーマットのオーディオは、没入型オーディオフォーマットでレンダリングされるオーディオであってもよい。
【0026】
(例えばレンダリングされる)オーディオの没入型オーディオフォーマットは、少なくとも1つの高さチャネルを含むことができる。実施形態では、没入型オーディオフォーマットは、Dolby Atmosフォーマットであってよい。別の実施形態では、没入型オーディオフォーマットは、X-Y-Zオーディオフォーマットであってよく、X≧2は前方又はサラウンドオーディオチャネルの数であり、Y≧0は、存在する場合、低周波エフェクト又はサブウーファーオーディオチャネルであり、Z≧1は、少なくとも1つの高さオーディオチャネルである。
図1に示すスピーカシステムは、5つの前方又はサラウンドスピーカ、2つの左オーディオスピーカ(例えば、左と左サラウンド)、2つの右オーディオスピーカ(例えば、右と右サラウンド)、中央スピーカ、及び1つのLFEスピーカを備えた、5.1オーディオを再生するための典型的な5.1スピーカシステムである。2つの左オーディオスピーカは、スピーカ30、31(中音域又は全音域用)、41、42、及び43(高音域用)に対応する。中央スピーカはスピーカ10に対応する。
【0027】
図2を参照すると、方法200は、少なくとも1つの高さオーディオチャネルの少なくとも一部から2つの高さオーディオ信号を得ることを含む(250)。
図1及び
図3を参照して上述したように、車両において、1つ以上のリスニング位置の各々は、2つのスピーカの少なくともペアに関して対称的に中心から外れている。2つのスピーカのペアの各々のスピーカは、上記の1つ以上のリスニング位置の各々に関して横方向に間隔が空いている。2つのモノラル信号が2つのスピーカから発せられ、リスニング位置が2つのスピーカに対して対称的に中心から外れている場合、リスニング環境の音響特性の結果として、1つ以上のリスニング位置で位相差が生じる。位相差は、典型的には、位相差が主に同相と主に位相外れの間で交互になる複数の周波数帯域で生じる。
【0028】
方法200は、位相差が主に位相外れである周波数帯域における2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正して、位相差が主に同相である2つの位相修正された高さオーディオ信号を得ることを更に含む(270)。方法200は、少なくとも2つのオーディオスピーカで処理されたオーディオを再生することを更に含む(290)。処理されたオーディオは、2つの位相修正された高さオーディオ信号を含む。
【0029】
更に説明するために、
図4A及び
図4Bを参照する。リスニング位置での時間差は、周波数によって変化する位相差に相当する。以下の説明では、「スピーカ間差動位相」(inter-loudspeaker differential phase (IDP))という用語を、ステレオスピーカからリスニング位置に到着する音の位相差として定義する。
【0030】
ここでは、左スピーカと右スピーカを備えたステレオスピーカシステムがあると仮定する(
図4A参照)。左右の2つのスピーカから等距離にあるリスナーは、両方のスピーカから提示された音がリスナーの耳に届くまでに同じ時間がかかるため、実質的にIDPを経験しない(
図4B参照)。
【0031】
図5Aは、2つのスピーカに対するリスニング位置オフセットの空間的関係を概略的に示す。
図5Aの例では、リスナーはステレオスピーカのペアから(等距離ではなく)オフセットされており、リスナーはスピーカのうちの1つに近くなっている。
図5Aのように、リスナーがスピーカのペアから等距離ではない場合、両方のスピーカに共通の音が異なる時間にリスナーに到着し、最も近いスピーカからの音が最初に到着する。相対的な時間遅延により、
図5Bに示すように、周波数間で異なるIDPが発生する。IDPは、周波数と共に線形に増加し及び線形に減少する周期的な挙動を示す。-180度又は180度よりも0度に近い値を有する(すなわち-90度から90度の間の)周波数は、「同相(in phase)」又は強め合うとみなされ、0度よりも-180度又は180度に近い(すなわち、90度から180度の間又は-90度から-180度の間の)周波数は、「位相外れ(out of phase)」又は弱め合うとみなされる(
図4B及び
図5Bの-90度及び+90度を示す破線を参照)。両方のスピーカに共通のオーディオ(モノラル(monoaural)オーディオ)の場合、リスニング位置での周波数に渡る音レベルの変化は、音色知覚不良を引き起こす。位相の変化は、空間又は方向の知覚不良を引き起こす。典型的な車両環境、すなわち2つのスピーカからのリスナーの典型的な距離による遅延では、各リスナーのIDPは次のようになる。0から約250Hzの周波数は主に同相であり、IDPは-90から90度の間にある。約250Hzから750Hzの周波数は主に位相外れであり、IDPは90から180度、又は-90から-180度の間にある。約750Hzから1250Hzの周波数は主に同相である。主に同相と主に位相外れの帯域のこの交互のシーケンスは、約20kHzで人間の聴覚の限界まで周波数増大と共に続く。この例では、サイクルは1kHzごとに繰り返される。帯域の正確な開始周波数と終了周波数は、車両の内部寸法とリスナーの位置(リスニング位置)の関数である。
【0032】
図6は、2つのスピーカから等距離のリスニング位置6における音の高度の知覚が、リスニング位置6からの2つのスピーカの横方向の間隔の程度に依存してどのように変化するかを概略的に示す。
【0033】
リスニング位置6にいるリスナーが、リスナーの正面にあり及び互いにかなり近接している2つのステレオスピーカから等距離にいる場合、例えば、リスナーの正面に左右に狭い間隔で配置されている場合、両方のスピーカから同じオーディオ信号(モノラル又はモノ)が再生されると、音は2つのスピーカの中間で発生しているように出現し、音の高さが増加しているようには感じられないため、「ファントム」などの用語が使用される。
図6の例のように、位置15及び17よりも狭い間隔で配置されているスピーカの場合、音は位置7付近から発生しているように出現し、音の高さ又は上昇はほとんど又はまったく感じられない。
【0034】
リスナー6の前方方向に対するスピーカの横方向の間隔又は角度の間隔が大きくなると、知覚される音の高度(いわゆるファントムイメージ)が高くなる傾向がある。
【0035】
図6の例では、15及び17の位置にあるスピーカの場合、16に近い位置で知覚される音に対応する。18及び20の位置にあるスピーカの場合、19に近い位置で知覚される音に対応する。21及び23の位置にあるスピーカの場合、22に近い位置で知覚される音に対応し、24及び26の位置にあるスピーカの場合、25に近い位置で知覚される音に対応する。つまり、スピーカ間の角度が大きくなるにつれて、ファントムイメージの知覚される音の高度が高くなる。この心理音響現象は、低周波(例えば、5kHzより低い周波数)で最もよく機能する傾向がある。
【0036】
文献「Elevation localization and head-related transfer function analysis at low frequencies」、V. Ralph Algazi, Carlos Avendano, and Richard O. Duda, The Journal of the Acoustical Society of America 109, 1110 (2001)は、低周波では胴部(torso)反射が音の高度/上昇の知覚の主な手がかりとなり得ることを示している。クロストーク耳間遅延、すなわち、スピーカ音声信号が対称スピーカのスピーカの反対側の耳に到達する遅延が、実際の上昇したオーディオソースの肩反射遅延と一致する場合、得られたファントムイメージは、中央平面における実際の上昇したオーディオソースの同様の位置に上昇されていると認識される可能性がある。スピーカがリスナーの頭上に配置されている場合、リスナーはスピーカから耳で直接音を受け取り、少し後に胴体/肩から反射音を受け取る。この直接音から反射音への遅延は、スピーカがリスニング位置に対して横方向に、特に広い間隔で配置されている場合(例えば
図6の位置24及び26)、頭部の耳間クロストーク遅延によって導入される遅延とほぼ同じであることが分かっている。クロストークの場合、ソースはモノラル(両方のスピーカで同じ)であるため、耳に対して同じソースとして出現し、胴体反射と同様に遅延しているだけである。
【0037】
スピーカの角度間隔が大きくなると(最大+/-90度)、リスナーの頭部のクロストーク遅延が大きくなり、認識される音の上昇も大きくなる。
【0038】
このリスナーの頭部のクロストーク遅延が、ファントムの中心の高さを大きくする原因であると理論的に考えられている。
【0039】
本発明者らは、この心理音響現象が、スピーカ間の角度間隔が通常大きい、例えば、最小角度値より大きい、例えば、10度、15度又は20度より大きい、車両のスピーカシステムのようなスピーカシステムで使用できることを認識している。しかしながら、この現象は、リスニング位置又はリスナーが、角度間隔の空けられたスピーカに対して対称的に位置している場合に再現できる。これは、乗客がスピーカシステムのスピーカに対して対称的に中央から外れた座席を割り当てているため(
図3参照)、通常、車両内では当てはまらない(
図1及び
図3参照)。
【0040】
従って、本発明者らは、車両又はスピーカの適切な間隔のペアがあるリスニング環境で音の高度の知覚を提供するためには、リスニング位置の音像がスピーカのペアに対して対称的に位置しているようにリスナーによって知覚される必要があることに気付いた。つまり、音像は「実質的に中央」に配置される必要がある。
図5Aのようにリスニング位置が1つの場合は、遠くのスピーカから再生されるオーディオ信号に遅延を発生させ、スピーカから出力されたオーディオ信号がリスニング位置に到達する時間の差を補償するだけで、この問題を解決できる。遅延を発生させると、位相差が主に位相外れである周波数帯域の2つのオーディオ信号間の相対的な位相を小さくするのと同じ効果がある(
図5B参照)。この位相の削減は、
図4Bに示すような平坦なIDP、又はすべての周波数でIDPが-90度から90度の範囲にあるIDPを理想的に得る効果がある。しかし、遅延を導入しても、
図7Aに示すように、2つの中心からずれたリスニング位置のいずれかのIDPが平坦になるだけである。これに対して、以下に示すように、本開示の仮想センタリング処理を使用して、両方の中心からずれたリスニング位置のIDPを補正し、それによって両方のリスニング位置の高さの知覚を向上させることもできる。
【0041】
従来技術と比較して、本開示では、信号の仮想センタリングの異なる使用が想定されている。完全な(モノラル)オーディオ信号の仮想センタリングの代わりに、音の上昇と共に知覚されると想定されるオーディオ信号の一部のみが「仮想センタリング」される。没入型フォーマットのオーディオ信号では、オーディオ信号のこの部分が高さチャネルに対応する。本開示では、高さチャネル又はその一部(又はそのオーディオ信号)のみが「仮想センタリング」されるため、高さチャネルのみが、
図6を参照して説明されるように、音の高度/上昇と共に知覚されることができる。中心からずれた対称に配置された2つのスピーカから(同時に)出力される2つのモノラルオーディオ信号間の周波数と共に変化する位相差を、複数の周波数帯域の各々について求める。各周波数帯域に適用可能な位相差が得られたら、位相差が主に位相外れであることが分かった対応する周波数帯域の2つの(例えば、モノラル)高さオーディオ信号間の位相を修正することによって、高さチャネルを「仮想センタリング」することができる。
【0042】
単一の高さチャネル(いわゆる「神の声」)は、この目的を果たすことができる。同じ高さチャネルに対応するオーディオ信号は、モノラルオーディオ信号として使用され、そのように導出された2つの等しいモノラルオーディオ信号間の相対位相を修正することによって処理される。
【0043】
修正された位相を持つ高さオーディオ信号は、次に、仮想センタリングされた高さチャネルのおかげで音が上昇/高度の知覚を持つように、非没入型スピーカシステムの2つのオーディオスピーカにより、処理されたオーディオにおいて再生される。
【0044】
実施形態では、没入型オーディオフォーマットのオーディオは、1つ以上の高さオーディオチャネルだけでなく、1つ以上の高さオーディオチャネルとは異なる1つ以上の追加オーディオチャネルを含むことができる。実施形態では、1つ以上の高さチャネルに追加される他の任意のオーディオチャネルは、仮想センタリングされない。代替として、追加で、又は任意に、追加のオーディオチャネルの一部又は全部も、別個の「仮想センタ」処理又はアルゴリズムにおいて仮想センタリングされる。
【0045】
上記の議論において、我々は、例えばステレオ、スピーカの対に関して対称的に中心から外れた単一のリスニング位置を仮定した。
【0046】
しかしながら、例えば、車両においては、例えば、
図3に示すように、車両の各列に(例えば、異なるリスニング位置に位置する)2人のリスナーが存在してもよい。
【0047】
図7Aは、2つのリスニング位置の空間的関係を概略的に示し、各リスニング位置は、2つのスピーカ、つまり左スピーカと右スピーカに対して対称的に中心からずれている。
【0048】
図7B及び
図7Cは、
図7Aに示す2つのリスニング位置の各々についてIDPが周波数によってどのように変化するかを概略的に示す。また、このIDPの例では、IDPの各サイクルについて、主に同相の周波数と主に位相外れの周波数があることが分かる。つまり、IDPが-90度から90度の間にある周波数と、IDPが-90度から-180度の間、又は90度から180度の間にある周波数である。
【0049】
IDPが主に位相外れの周波数は、両方のスピーカから提示されるオーディオ信号のイメージングのぼやけなど、望ましくない聴覚効果を引き起こす。この問題に対する解決策は、EP1994795B1に見られ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。EP1994795B1では、(ステレオ)スピーカの同じペアから対称的に中心のずれている2つのリスニング位置を同時に「仮想センタリング」することが可能であることが示された。これは、単一リスニング位置のIDPの位相差を低減するのと同じ原理に従う。2つのリスニング位置の場合、2つのリスニング位置の各々について得られたIDPの位相差は、各リスニング位置の各IDPが-90度から90度の間の所望の周波数範囲値を持つように同時に低減される。
【0050】
しかしながら、本開示では、(ステレオ)スピーカの同じペアから両方とも対称的に中心からずれいる2つのリスニング位置の同時「仮想センタリング」は、が、オーディオ信号のイメージングのぼやけのような望ましくない可聴効果を低減する効果はないが、スピーカから発せられる音に高さの知覚を与える効果がある。これは、例えばEP1994795B1に記載されているように、「仮想センタアルゴリズム」への入力として、没入型オーディオフォーマットのオーディオの1つ以上の高さチャネルを使用するだけで行われる。1つ以上の高さチャネルの一部のみが、仮想センタアルゴリズムによって仮想的に中央に配置される。
図6を参照して説明されている心理音響現象によると、車両のスピーカシステムのようなスピーカの固有の大きな角度の(横方向の)広がりは、スピーカのペアが発する音の高度の知覚を提供するために使用される。
【0051】
実施形態では、(例えばレンダリングされる)オーディオは、少なくとも1つの高さチャネルだけでなく、少なくとも2つの更なるオーディオチャネルも含む。この実施形態では、
図2を参照すると、方法200は、少なくとも2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を、2つの更なるオーディオチャネルの各々とミキシングすることを更に含むことができる(280)。
【0052】
この実施形態は、
図2、
図2A及び
図8を参照して説明されるが、ここでは、没入型オーディオフォーマットのオーディオは、単一のオーディオ高さチャネル及び2つの追加オーディオチャネルを有すると仮定される。
【0053】
図8は、本開示の実施形態による没入型フォーマットでオーディオを処理する方法の例を概略的に示す。没入型オーディオフォーマットは、単一の高さオーディオチャネル80と、2つの更なるオーディオチャネル81及び82とを含むことができる。ブロック90において、2つの高さオーディオ信号92及び94は、高さオーディオチャネル80の少なくとも一部から得られる。
【0054】
図2Aは、本開示の幾つかの実施形態による2つの高さオーディオ信号を取得する方法の例を示すフローチャートである。
【0055】
実施形態では、
図2Aを参照して、2つの高さのオーディオ信号を得ること(250)は、両方とも単一の高さオーディオチャネルに対応する2つの同一の高さオーディオ信号を得ることを含む(255)。
図8のブロック90は、入力高さオーディオチャネル80を取り入れ、この同じ信号を高さオーディオ信号92及び94として「仮想センタアルゴリズム」ブロック300に入力することができる。本開示の文脈において、ブロック300は「仮想センタアルゴリズム」を実行するように構成される。「仮想センタアルゴリズム」は、1つ以上のリスニング位置に関して対称的に中心から外れ横方向に間隔を空けた2つのスピーカから発せられる2つのオーディオ信号を入力として取り入れ、出力オーディオ信号が横方向に間隔を空けた2つのスピーカの実質的に中心にある1つ以上のリスニング位置に位置するリスナーによって知覚されるように、2つの入力信号間の相対位相が修正されるように、2つの位相修正されたオーディオ信号を出力として提供する。これは、再生に使用される2つのスピーカに対応する2つのオーディオチャネル間の耳間位相差又はスピーカ間差動位相(inter-loudspeaker differential phase (IDP))を低減することによって行うことができる。本開示の文脈において、「仮想センタアルゴリズム」は、スピーカによって再生されるオーディオの1つ以上のリスニング位置に位置するリスナーにオーディオの高度/上昇の知覚を提供するような、没入型オーディオフォーマットのオーディオの1つ以上の高さチャネルから得られる入力オーディオ信号に有利かつ独創的に適用される。
【0056】
実施形態において、処理されたオーディオを再生するための非没入型スピーカシステムは、
図8に示される左スピーカ1及び右スピーカ2を有するステレオスピーカであってもよい。
【0057】
実施形態において、複数の単一の高さチャネルがブロック90に入力されてもよい。例えば、2つの高さオーディオチャネルがブロック90に入力されてもよい。例えば、没入型オーディオフォーマットは、2つの高さオーディオチャネルを含んでもよい。この実施形態では、2つの高さオーディオ信号を得ること(250)は、2つのオーディオチャネルからの2つの同一の高さオーディオ信号を得ること(240)を含むことができる(
図2Aを参照してステップ240を参照)。没入型オーディオが2つの高さオーディオチャネルを含む場合、ブロック90は、2つの高さオーディオチャネルに各々信号92及び94としてブロック300を通過させるように(すなわち、特定の機能を実行しない)構成することができる。例えば、この例では、非没入型スピーカシステムが、左前方(又は後方)スピーカ1及び右前方(又は後方)スピーカ2を有する車両の前方(又は後方)ステレオスピーカシステムであると仮定する。また、左前方(又は後方)高さチャネル92及び右前方(又は後方)高さチャネル94を有する没入型フォーマットでオーディオを再生すると仮定すると、チャネル92及び94の両方がブロック300の仮想センタアルゴリズムに直接入力されてよい。あるいは、オーディオが1つの高さチャネルのみを有する場合、この同じチャネルは、上述のように高さオーディオ信号92及び94として2回入力され得る。
【0058】
ブロック300は、
図2の方法200のステップ250及び/又は270を実行し得る。ブロック300は、信号92及び94の間の相対的位相差を修正して、各々位相修正された信号302及び304を得るように構成され得る。更に2つのオーディオチャネル81及び82は、各々位相修正された信号302及び304とミキシングされ得る。例えば、左前方(又は後方)の位相修正された高さオーディオ信号302は、ミキサ310により左前方(又は後方)チャネル81とミキシングされ、再生のために左スピーカ1に入力される。同様に、右前方(又は後方)の位相修正された高さオーディオ信号304は、ミキサ320により右前方(又は後方)チャネル82とミキシングされ、再生のために右スピーカ2に入力される。ブロック300は、フィルタのセット、例えば、有限インパルス応答(finite impulse response (FIR))フィルタ又は無限インパルス応答(infinite impulse response (IIR))全域通過フィルタにより実装することができる。IIR全域通過フィルタの設計は、固有フィルタ(Eigenfilter)法を用いて行うことができる。このような実装の例については、後述する。
【0059】
ブロック300は、1つ以上のリスニング位置に位置するリスナーと、リスナーの位置に関して対称的に中心から外れた前方又は後方スピーカペアとの間の異なる距離を考慮するために、前方又は後方スピーカペアについて異なるように構成されてもよい。例えば、ブロック300は、前の乗客及び/又は運転者と前方スピーカとの間の距離に従って、前の乗客及び/又は運転者のために構成されてもよい。あるいは、ブロック300は、後の乗客及び/又は後方スピーカとの間の距離に従って、一方の乗客及び/又は両方の後の乗客のために構成されてもよい。
【0060】
図2Bを参照すると、実施形態では、2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、1つ以上のリスニング位置で少なくとも2つのスピーカから発せられる2つのモノラルオーディオ信号間の周波数と共に変化する位相差を(例えば積極的に)測定するステップ(272)を含んでもよい。例えば、位相差の測定は、方法の初期較正段階で実施することができる。2つのオーディオチャネル間の相対的位相差を修正するために、1つ以上のリスニング位置でのそのような測定がどのように使用され得るかの例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許US10284995B2に記載されている。本開示の文脈において、修正された(例えば減少した)相対的位相差は、2つの高さオーディオ信号、例えば、
図8の信号92及び94の間である。例えば、1つの実施形態では、1つ以上のセンサを、そのような位相差を測定するためにリスニング位置又はその近くに配置することができる。例えば、実施形態では、そのようなセンサを、リスナーの頭とほぼ同じ高さにある、車両の各シートのヘッドレストに埋め込むことができる。上述の測定は、方法の初期較正段階で実施されてよく、あるいは、オーディオの再生と共に実質的にリアルタイムで実施することもできる。
【0061】
更に、
図2Bを参照すると、ステップ274、代替的に、追加的に、又は任意に、2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、1つ以上のリスニング位置と少なくとも2つのスピーカの各々との間の所定の絶対距離に基づいてもよい。例えば、1つ以上のリスニング位置(例えば、
図3のシート110、120、130又は140のいずれかの位置)とステレオスピーカペアとの間の距離は、環境特性、例えば、車両の内装設計及びスピーカの設置によって決定され/事前決定されてもよい。本開示の方法は、位相差を得るためにこの事前決定された情報を使用してもよい。例えば、実施形態では、2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、事前決定された位相差にアクセスすることを含んでもよい。例えば、周波数の関数としての位相差は、あるタイプの1つの車両について測定され、その後、同じタイプの車両のオンボードコンピューティングシステムのメモリに格納されてもよい。このようなオフライン較正には、車両がオンラインで位相差を測定するためのセンサを装備する必要がないという利点がある。事前決定された位相差は、例えば、分析関数又はルックアップテーブル(LUT)として格納することができる。
【0062】
左右のスピーカに対するリスナーの距離と、信号92及び94間の相対位相を修正して位相修正された信号302及び304を各々得るブロック300の所望の周波数応答との間に関係があることが分かる。EP1994795B1に示されるように、ブロック300の所望の周波数応答は、周波数f
dの関数であり、中心からずれたリスニング位置における左右のスピーカ間の経路差に等しい波長に対応する:
【数1】
ここで、d
Lはリスナーから左スピーカまでの距離であり、d
Rはリスナーから右スピーカまでの距離であり、cは音速である(すべての距離はメートル単位である)。主に位相外れの連続周波数帯域のうちで複数の交互に生じる周波数帯域は、(1/2)f
dの整数倍の周波数を中心としており、従って、ブロック300の所望の位相応答は、同じ周波数応答で設計することができることが分かる。
【0063】
実施形態では、更に
図2B(ステップ276)を参照すると、(所定のリスナーからスピーカまでの距離情報に基づき、又は実際の測定値に基づき)2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、1つ以上のリスニング位置に位置するリスナーの動きを検出するとトリガされてよい。例えば、リスナーの動きを検出するために、1つ以上のセンサが使用されてよい。車両の内部で使用される場合、そのようなセンサは、例えば、車両の各座席に配置されてよい。上記の1つ以上のセンサは、車両内の乗客又は運転者の存在を検出するように構成できるので、位相差を得るために処理方法によって使用されるべき正しい距離情報の使用を可能にする。
【0064】
実施形態では、上記の1つ以上の座席センサ又はセンサの異なるセットは、例えば、リスナーの頭部の新しい位置(又はリスナーの耳の位置)を検出するために使用されてよい。例えば、運転者又は乗客は、車両内のより快適な着席位置のために、自身の座席を水平及び/又は垂直に調整することができる。本実施形態では、新たに検出されたリスニング位置に応じて位相差を検索/取得してもよい。このようにして、所定のリスナーからスピーカまでの距離情報の正しいセットに基づくか、実際の測定値に基づくかのいずれかの正しい距離情報を、新たなリスニング位置に応じて使用してもよい。例えば、所定の位相差が分析関数又はルックアップテーブル(LUT)として格納されている場合/されていない場合、異なる分析関数又は異なるLUTは、異なる(例えば、検出された)座席又はリスニング位置に対応してもよい。
【0065】
図9は、本開示の実施形態による没入型フォーマットでオーディオを処理する方法の例を概略的に示す。
図9は、没入型オーディオフォーマットにおけるオーディオが高さチャネル85、2つのオーディオチャネル、例えば左右のオーディオチャネル86及び87、更に中央のオーディオチャネル88を含むと仮定される点で、
図8に示される例とは異なる。高さチャネル85から、ブロック91を介して2つの高さオーディオ信号93及び95が得られる。ブロック91は、
図8を参照して説明したブロック90と同じであってもよい。ブロック91は、高さチャネル85のコピーとして高さオーディオ信号93及び95を導出するように構成されてもよい。しかしながら、複数の高さチャネル、例えば、2つの高さオーディオチャネルのような没入型オーディオフォーマットの場合、ブロック91は、2つの高さチャネルを通過させることによって(
図2Aのステップ257)、高さオーディオ信号93及び95を導出するように構成されてもよい。高さオーディオ信号93及び95は、
図8を参照して説明したブロック300と機能的に同じブロック301に入力され、そこから位相修正された高さオーディオ信号306及び308を導出する。
【0066】
この例では、少なくとも2つの位相修正された高さオーディオチャネル306及び308の各々を、2つのオーディオチャネル86及び87の各々とミキシングし(
図2を参照すると、ミキシング280)、各々混合オーディオ信号312及び314を生成する。混合オーディオ信号312及び314は、例えば、各々ミキサ330及び340において、中央オーディオチャネル88と更にミキシングされる。ミキサ330及び340から生成された信号は、再生のためにスピーカ3及び4に出力される。これにより、中央チャネルを含まないスピーカシステム、例えばステレオスピーカシステムで、没入型オーディオの中央チャネルを再生することができる。
【0067】
より一般的に、実施形態では、オーディオの中央オーディオチャネルは、例えばオーディオのオーディオチャネル86及び87とミキシングされる前に、各位相修正されたオーディオ信号306及び308と直接ミキシングされてよい(
図2のステップ285を参照)。
【0068】
図8及び
図9の例は、車両の前列又は後列に位置する乗客及び/又は運転者に音の高度の知覚を提供するために、車両の内部におけるスピーカの前方及び後方ペアに対して同じ意味で使用できることが理解される。また、
図8及び
図9の例は、例えば車両の室内とは異なる任意のリスニング環境におけるスピーカの前方及び後方ペアに対して同じ意味で使用でき、特定の実施に適していることも理解される。
【0069】
図8の例は、車両の後列に位置する乗客に音の高度の知覚を生成するために、車両の後列に位置する(ステレオ)スピーカ1及び2のペアについて使用することができる。この例では、高さチャネル80は後方高さチャネルであり、チャネル81及び82は各々左後方及び右後方チャネルに対応する。後方高さチャネルから導出された高さオーディオ信号92及び94は、仮想中央後方高さチャネル80に使用され、それによって車両の後列に位置する乗客のために音の高度の知覚を再現する。ブロック300は、1人以上の後部乗客とスピーカ1及び2の後方ペアとの間の距離に従って構成され得る。
【0070】
同時に、代替的に又は追加的に、
図9の例は、車両の前列に位置する乗客に音の高度の知覚を生成するために、同じ車両の前列に位置する(ステレオ)スピーカ3及び4のペアについて使用することができる。この例では、高さチャネル85は前方高さチャネルであり、チャネル86及び87は各々左前方及び右前方チャネルに対応する。前方高さチャネル85から導出された高さオーディオ信号93及び95は、仮想中央前方高さチャネル85に使用され、それによって前部乗客及び/又は運転者のために音の高度の知覚を再現する。ブロック301は、前部乗客及び/又は運転者とスピーカ3及び4の前方ペアとの間の距離に従って構成され得る。従って、ブロック301は、ブロック300と同じであり得るが、前部乗客及び/又は運転者と前方左右スピーカ3及び4との間の所定の距離の異なるセット(例えば、分析関数やLUTの異なるセット)で動作するように異なる構成とされ得る。
【0071】
あるいは、上記で説明したように、ブロック301は、前方左右スピーカ3及び4から発せられる音から、運転者及び/又は前部乗客の位置で知覚される音の実際の測定値を使用するように構成され得る。
【0072】
あるいは、ブロック300又は301と同様の単一のブロックが、前部及び/又は後部乗客及び/又は運転者と各々の前方及び/又は後方左右スピーカとの間の所定の距離及び/又は実際の測定値の異なるセット(例えば、分析関数やLUTの異なるセット)で動作するように異なるように構成され得る。
【0073】
更に、
図8及び
図9のオーディオ処理方法を上記の例で説明したように同じ車両において組み合わせることにより、5.1.2オーディオの再生が可能となる。
図8の方法/システムを用いて、後方左及び右チャネルと後方高さチャネルが、後方左及び後方右スピーカで再生される。前方左、前方右、中央、及び高さチャネルは、
図9の方法/システムで再生される。
【0074】
ただし、車両において
図8及び
図9を参照して上記の方法/システムを組み合わせる例は限定されない。例えば、
図8又は
図9の例示的な方法/システムは、車両内の前部運転者及び/又は前部/後部乗客のいずれかのために音の高度を生成するために、異なるタイプの没入型オーディオフォーマットでオーディオを再生するために使用することができる。
【0075】
図10は、2つの高さオーディオチャネルから2つの高さオーディオ信号を得る方法の例を概略的に示す。この例では、(例えばレンダリングされる)オーディオが(1つではなく)2つの高さチャネル83及び84を含み、2つの高さオーディオチャネル96及び97が高さチャネル83及び84から得られると仮定している。
【0076】
しかし、オーディオは、特定の実装に適した任意の数、例えば2つ以上の高さチャネルを含むことができる。
【0077】
複数の高さチャネルがある場合、上記で説明したように、高さチャネルが「仮想センタリング」される場合であっても、音の高度の知覚が減少するほど、高さチャネルが互いに異なる可能性がある。例えば、特定の実装に適した程度に、高さチャネルが車両内のリスナーによって音の高さ/上昇で知覚されないことを防ぐために、高さチャネルは、「仮想センタアルゴリズム」の入力として更に2つの類似又は同一の信号を使用できるように処理されてもよい。
図10は、そのような処理の例を示す。
【0078】
ブロック98は、ユニット102、104、及びオプションでユニット103及び105を含む。各ユニットは、各ユニットが適用されるオーディオ信号のオーディオレベルを変更するように構成される。例えば、ユニットは、ユニットが適用されるオーディオ信号に利得又は減衰を適用するように構成される。
【0079】
更に説明すると、高さチャネル83のオーディオレベルは、ユニット102によって変更されてよい。対応するオーディオレベルを持つユニット102の出力における信号は、高さチャネル84とミキシングされる。ミキシングされた信号のオーディオレベルは、高さオーディオ信号97を生成するために、ユニット105によって任意に変更されてよい。
【0080】
同様に、高さチャネル84のオーディオレベルは、ユニット104によって変更され、高さチャネル83とミキシングされてよい。ミキシングされた信号のオーディオレベルは、高さオーディオ信号96を生成するために、ユニット103によって任意に変更される。高さオーディオ信号96と97の間の類似性、例えばオーディオレベルの観点からの類似性は、ユニット102と104によって調節される。オプションとして、ユニット103と105は、信号をミキシングした後に適用され、信号をミキシングする前後で信号の一定の電力レベルを維持する。オプションのユニット103と105の使用は、結果として生じる高さオーディオ信号96と97が意図したよりも大きくなることを防止することができる。特に、オプションのユニット103及び105を使用することにより、結果として生じる高さオーディオ信号96及び97がオーディオの他のチャネル(例えばサラウンドチャネル)よりも大きくなることを防止することができる。
【0081】
ブロック98は、複数の高さチャネルを処理するために、
図8及び
図9のブロック90又はブロック91の代わりに使用することができることが理解される。また、車両の例では、2つの高さチャネルは、前方高さチャネル又は前方高さチャネルであり、4つの高さチャネルを有するオーディオは、従って、前方ステレオスピーカのペア及び後方ステレオスピーカのペアで再生できることが理解される。従って、例えば5.1.4没入型オーディオフォーマットのオーディオは、単純なステレオスピーカシステムで再生することができる。例えば、
図8の方法/システムは、後方スピーカと後部乗客のための2つの高さの後方チャネルを処理するために使用することができる。同様に、
図9の方法/システムは、前方スピーカと運転者及び/又は前部乗客のための2つの高さの前方チャネルを処理するために使用することができる。
【0082】
また、2つの高さチャネルが存在する場合、追加の処理なしに「仮想センタアルゴリズム」に直接入力することができることも理解されるべきである。例えば、2つの高さチャネルは、相互に実質的に類似していてもよく(モノラル)、その場合、追加の処理は必要とされない。
【0083】
図11は、2つの高さオーディオチャネルから高さオーディオ信号を得る方法の別の例を概略的に示す。
図10を参照して説明された例と同様に、ここでは、(例えばレンダリングされる)オーディオは、(1つではなく)2つの高さチャネル83及び84を含むと仮定される。高さチャネル83及び84は、M/S(mid/side)処理ブロック99によって処理され、高さオーディオ信号101及び102を得る(
図2Aのステップ242参照)。高さオーディオ信号101は、高さチャネル83及び84のミッド/中央(mid/center)信号である。高さオーディオ信号102は、高さチャネル83及び84のサイド信号である。M/S処理ブロック99は、特定の実装に適した任意の方法で実装することができる。
図11の例では、M/S処理ブロック99は、高さチャネル83及び84を半分だけ減衰するように構成された減衰ユニット106及び108を含む。M/S処理ブロック99は、負の単一要素107を更に含む。負の単一要素107は、-1に等しい負の利得を適用するように構成される。減衰ユニット106及び108によって処理される高さチャネル83及び84は、ミッド信号101を得るためにミキサ350でミキシングされる。つまり、以下の通りである:
【数2】
ここで、S
83及びS
84は高さチャネル83及び84の信号であり、S
101は「仮想センタアルゴリズム」ブロック302に入力される高さオーディオ信号(ミッド信号)である。
【0084】
M/S処理のミッド信号は、通常、処理された高さチャネルで同じ音を含む。これにより、高さオーディオチャネル83と84で同じ音が「仮想センタアルゴリズム」ブロック302に入力される。
【0085】
チャネル83と84の間で異なる音は、以下のようにサイド信号102で表現される:
【数3】
ここで、S
83及びS
84は高さチャネル83及び84の信号であり、S
102は「仮想センタアルゴリズム」ブロック302に入力されない高さオーディオ信号(サイド信号)である。
【0086】
高さチャネル83と84のサイド信号S
102は、スピーカ1と2に出力される前にオーディオの位相修正された信号305と307、及びチャネル81と82とミキシングされる。
図11の方法は、サイド信号S
102に等しいが反対の位相を持つサイド信号111を、オーディオチャネル82及び位相修正された信号307とミキシングする前に、サイド信号S
102の位相を反転させる負の単一要素109を更に含む(
図2Aのステップ244を参照)。従って、サイド信号S
102は、元の高さチャネル信号を復元すると同時に、強化された知覚される音の高度を提供するために、「仮想センタリングされた」ミドル信号S
101に再びミキシングされる。
【0087】
図10を参照して説明したように、高さチャネル83及び84は、各々左及び右の高さチャネルであってよいことが理解される。より詳細には、車両において、高さチャネル83及び84は、各々前方又は後方の左及び右の高さチャネルであってよい。同様に、スピーカ1及び2は、左右のステレオスピーカであってよい。より詳細には、車両において、スピーカ1及び2は、前方又は後方の左及び右のステレオスピーカであってよい。
図11には示されていないが、存在する場合、
図9に示されるように、中央チャネルは、位相修正された高さオーディオ信号305、サイド信号102及びオーディオチャネル81とミキシングされてよい。また、中央チャネルは、位相修正された高さオーディオ信号307、位相反転されたサイド信号111及びオーディオチャネル82とミキシングされてよい。
【0088】
図8、9及び11の例では、再生に使用されるチャネルは、没入型オーディオフォーマットにおける入力オーディオのチャネル数よりも少ない。従って、これは没入型オーディオフォーマットの入力オーディオのチャネルが、再生用のチャネル(スピーカフィード)にダウンミキシングされていることを意味する。
【0089】
図12Aは、2つの高さチャネルのうちの1つ、この場合は左高さチャネルに適用される、可能な先行技術のFIRベースの実装の機能概略ブロック図を示す。
【0090】
図12Bは、2つの高さチャネルのうちの1つ、この場合は右高さチャネルに適用される、可能な先行技術のFIRベースの実装の機能概略ブロック図を示す。
【0091】
上で説明したように、
図7Aの例のような配置のためのIDP位相補償は、有限インパルス応答(finite impulse response (FIR))フィルタ及び線形位相デジタルフィルタ又はフィルタ関数を使用して実装することができる。そのようなフィルタ又はフィルタ関数は、予測可能な制御された位相及び大きさ応答を達成するように設計することができる。
図12A及び
図12Bは、2つの高さオーディオ信号のうちの1つに各々適用された、可能なFIRベースの実装のブロック図を示す。両方のFIRベースの実装は、EP1994795B1に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
図12Aの例では、2つの相補的なくし形フィルタ信号(703及び709)が生成され、これらを加算すると、基本的に平坦な大きさの応答が得られる。
図13aは、帯域通過フィルタ又はフィルタ関数(「BPフィルタ」)702のくし形フィルタ応答を示す。このような応答は、1つ又は複数のフィルタ又はフィルタ関数で得ることができる。
【0093】
図13bは、BPフィルタ702の
図12Aに示される配置、時間遅延又は遅延関数(「遅延」)704及び減算結合器708から生じる有効なくし形フィルタ応答を示す。BPフィルタ702及び遅延704は、くし形フィルタ応答が実質的に相補的であるために、実質的に同じ遅延特性を有することができる(
図13A及び13B参照)。くし形フィルタ信号の1つは、所望の周波数帯域において所望の位相調整を与えるために90度の位相シフトを受ける。2つのくし形フィルタ信号のいずれが90度シフトされてもよいが、
図12Aの例では、709における信号が位相シフトされる。信号の一方又は他方をシフトするという選択は、
図12Bの例に示される関連処理における選択に影響し、チャネルからチャネルへのトータルシフトが所望の通りになるようにする。線形位相FIRフィルタを使用すると、
図13Aの例のように、1組の周波数帯域のみを選択するフィルタ又は複数のフィルタを使用して、両方のくし形フィルタリングされた信号(703及び709)を経済的に作成することができる。BPフィルタ702を通じる遅延は、周波数によって一定であってもよい。これにより、FIR BPフィルタ702のグループ遅延と同じ時間だけ元の信号を遅延させ、(
図12Aに示すように、減算結合器708において)遅延した元の信号からフィルタリングされた信号を差し引くことにより、相補信号を生成することができる。90度の位相シフト処理によって与えられた周波数不変遅延は、それらを合計する前に非位相調整信号に適用され、再び平坦な応答を保証する必要がある。
【0094】
フィルタリングされた信号709は、広帯域90度の位相シフタ又は位相シフト処理(「90度位相シフト」)710を通過し、信号711を生成する。信号703は、90度位相シフト710と実質的に同じ遅延特性を有する遅延又は遅延関数712によって遅延され、信号713を生成する。90度位相シフト信号711及び遅延信号713は、付加的な加算器又は加算関数714に入力され、出力信号715を生成する。90度位相シフトは、ヒルベルト(Hilbert)変換のような多数の既知の方法のいずれかを使用して実施することができる。出力信号715は、実質的に単位利得を有し、無修正の帯域と位相シフトされた帯域との間の遷移点に対応する周波数において非常に狭い-3dBのディップのみを有するが、
図13Cに示される周波数可変位相応答を有する。
【0095】
図12Bは、右高さチャネルに適用される、可能な先行技術のFIRベースの実装を示す。このブロック図は、遅延信号(この場合は信号727)がフィルタリングされた信号(この場合は信号723)から逆に差し引かれることを除いて、
図12Aの左高さチャネルのブロック図と類似している。最終出力信号735は、実質的に単位利得を有するが、
図13Dに示すように、位相シフトされた周波数帯域に対してマイナス90度位相シフトを有する(
図13Cに示すように、左チャネルにおいてプラス90度と比較する)。
【0096】
2つの出力信号715と735(位相修正された高さオーディオ信号)の間の相対的な位相差を
図13Eに示す。位相差は、各リスニング位置で主に位相外れである各周波数帯域について180度の結合された位相シフトを示す。従って、位相外れの周波数帯域はリスニング位置で主に同相になる。
図13Eは、位相差が主に位相外れである各周波数帯域について(例えば、250~750Hz、1250~1750Hzなどの周波数帯域)、2つの高さオーディオ信号間の相対位相に180度シフトを加えることによって、2つの高さオーディオ信号の相対位相が修正されていることを示している。これは、位相差が主に位相外れである周波数帯域において、2つの高さオーディオ信号の一方の位相を+90度シフトし、他方の高さオーディオ信号の位相を-90度シフトすることに相当する(
図13C及び
図13Dを参照)。
図13F及び
図13Gには、左リスニング位置及び右リスニング位置の(
図7Aに示す)、結果として生じた補正後のIDPが示されている。結果として生じるIDPは、理想的には、左リスニング位置及び右リスニング位置の両方で+/-90度以内である。
【0097】
従って、
図12A及び
図12BのFIRが2つの高さオーディオチャネルに適用されると、リスニング位置で得られる結果として生じるIDPは、各々のリスニング位置、(
図7Aに示すように)例えば車両の同じ列の両方のリスナーで+/-90度以内であることが理想的である。
【0098】
例示的なコンピューティング装置
1つ以上のリスニング位置を含むリスニング環境において、少なくとも2つのオーディオスピーカの非没入型スピーカシステムでオーディオを再生するために、少なくとも1つの高さオーディオチャネルを含む没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法を説明した。更に、本開示は、これらの方法を実行するための装置にも関連する。更に、本開示は、これらの方法を実行する機器を含み得る車両に関連する。機器1400の例は、
図14に概略的に示される。機器1400は、プロセッサ1410(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上の高周波集積回路(RFIC)、又はこれらの任意の組み合わせ)と、プロセッサ1410に結合されたメモリ1420とを含むことができる。メモリ1420は、例えば、異なるリスニング位置及び/又はリスニング環境のために、2つの高さオーディオ信号の位相差を表す分析関数(又はそのセット)又はルックアップテーブル(又はそのセット)を格納することができる。プロセッサは、例えば、分析関数及び/又はLTUのセットをメモリ1420から読み出すことによって、本開示全体に渡って記載された方法のステップの一部又は全部を実行するように構成することができる。オーディオを処理する方法を実行するために、機器1400は、入力として、例えば、高さチャネル及び1つ以上の前方又はサラウンドオーディオチャネル1425のような、没入型オーディオフォーマットの(例えばレンダリングされる)オーディオのチャネルを受信することができる。この場合、装置1400は、非没入型スピーカシステムにおけるオーディオの再生のために、2つ以上のオーディオ位相修正されたオーディオ信号1430を出力することができる。
【0099】
機器1400は、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、スマートフォン、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、又はその装置が取るべき動作を指定する命令(シーケンシャル又はその他)を実行することができる任意のマシンであってもよい。更に、
図14には単一の機器1400のみが図示されているが、本開示は、ここで議論されている方法論のいずれか1つ以上を実行する命令を個別に又は共同で実行する装置の集合に関するものでなければならない。
【0100】
本開示は、更に、プロセッサによって実行されると、ここで説明されている方法のステップの一部又はすべてをプロセッサに実行させる命令を含むプログラム(例えばコンピュータプログラム)に関する。
【0101】
更に、本開示は、前述のプログラムを格納するコンピュータ可読(又は機械可読)記憶媒体に関する。ここで、「コンピュータが可読記憶媒体」という用語は、例えば、固体メモリ、光学メディア、磁気メディアの形態のデータレポジトリを含むが、これに限定されない。
【0102】
本願明細書に開示される実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及びそれらの任意の組み合わせで実装されてよい。例えば、実施形態は、電子回路及びコンポーネントを含むシステム、例えばコンピュータシステム上で実施することができる。コンピュータシステムの例は、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム(例えばラップトップ)、ハンドヘルドデバイス(例えば、スマートフォンやタブレット)及びネットワークデバイスを含む。実施形態を実施するためのシステムは、例えば、集積回路(IC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)、中央処理装置(CPU)、及びグラフィックス処理装置(GPU)の少なくとも1つを含むことができる。
【0103】
本明細書に記載される実施形態の特定の実施形態は、データ処理システムによって実行されると、データ処理システムに本明細書に記載される実施形態のいずれかの方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムプロダクトを含むことができる。コンピュータプログラムプロダクトは命令を記憶する非一時的媒体、例えば、フロッピーディスク及びハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CDROM及びDVDを含む光学データ記憶媒体、及びROM、フラッシュRAM又はUSBフラッシュドライブのようなフラッシュメモリを含む電子データ記憶媒体などの物理媒体を含むことができる。別の例では、コンピュータプログラムプロダクトは、命令を含むデータストリーム、又は分散コンピューティングシステム、例えば1つ以上のデータセンタに格納された命令を含むファイルを含む。
【0104】
本開示は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、多数の修正及び変形を行うことができる。
【0105】
本発明の種々の態様は、以下に列挙する例示的な実施形態(enumerated example embodiment:EEE)から明らかであり得る。
【0106】
(EEE1)
1つ以上のリスニング位置を含むリスニング環境において、処理されたオーディオを少なくとも2つのオーディオスピーカの非没入型スピーカシステムで再生するために、少なくとも1つの高さオーディオチャネルを含む没入型オーディオフォーマットでオーディオを処理する方法であって、前記1つ以上のリスニング位置の各々が前記少なくとも2つのスピーカに対して対称的に中心から外れており、前記少なくとも2つのスピーカの各々は、前記少なくとも2つのスピーカから2つのモノラルオーディオ信号が発せられたときに、リスニング環境の音響特性の結果として、前記1つ以上のリスニング位置で位相差が発生するように、前記1つ以上のリスニング位置の各々に対して横方向に間隔を空けられ、
前記方法は、
前記少なくとも1つの高さオーディオチャネルの少なくとも一部から2つの高さオーディオ信号を取得するステップ(250)と、
前記位相差が主に位相外れになる周波数帯域における前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正して、前記位相差が主に同相になる2つの位相修正された高さオーディオ信号を取得するステップ(270)と、
前記少なくとも2つのオーディオスピーカで前記処理されたオーディオを再生するステップであって、前記処理されたオーディオが前記2つの位相修正された高さオーディオ信号を含む、ステップ(290)と、
を含む方法(200)。
【0107】
(EEE2)
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオが少なくとも2つのオーディオチャネルを更に含み、前記方法は、
前記2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を前記2つのオーディオチャネルの各々とミキシングするステップ(280)、を更に含むEEE1に記載の方法(200)。
【0108】
(EEE3)
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオが中央チャネルを更に含み、前記方法は、
前記2つの位相修正された高さオーディオ信号の各々を前記中央チャネルとミキシングするステップ(285)、を更に含むEEE1又は2に記載の方法(200)。
【0109】
(EEE4)
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオは単一の高さオーディオチャネルを有し、前記2つの高さオーディオ信号を取得するステップは、前記単一の高さオーディオチャネルに共に対応する2つの高さオーディオ信号を取得するステップ(255)を含む、EEE1~3のいずれかに記載の方法(200)。
【0110】
(EEE5)
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオは少なくとも2つの高さオーディオチャネルを含み、前記2つの高さオーディオ信号を取得するステップ(250)は、前記少なくとも2つの高さオーディオチャネルから2つの同一の高さオーディオ信号を取得するステップ(240)を含む、EEE1~4のいずれかに記載の方法(200)。
【0111】
(EEE6)
前記少なくとも2つの高さオーディオチャネルにM/S処理を適用して、ミッド信号及びサイド信号を取得するステップ(242)を更に含み、前記2つの高さオーディオ信号の各々は、前記ミッド信号に対応する、EEE5に記載の方法(200)。
【0112】
(EEE7)
前記サイド信号と前記サイド信号に対応するが前記サイド信号の逆位相を有する信号とを、前記位相修正された高さオーディオ信号とミキシングするステップ(244)、を更に含むEEE6に記載の方法(200)。
【0113】
(EEE8)
前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、前記リスニング位置のうちの1つ以上で前記位相差を測定するステップ(275)を含む、EEE1~7のいずれかに記載の方法。
【0114】
(EEE9)
前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、前記1つ以上のリスニング位置と前記少なくとも2つのスピーカの各々との間の所定の絶対距離に基づく、EEE1~8のいずれかに記載の方法。
【0115】
(EEE10)
前記2つの高さオーディオ信号間の相対位相を修正するステップ(270)は、前記1つ以上のリスニング位置でリスナーの動きの検出によりトリガされる、EEE1~9のいずれかに記載の方法。
【0116】
(EEE11)
前記リスニング環境は車両の内部である、EEE1~10のいずれかに記載の方法。
【0117】
(EEE12)
前記非没入型スピーカシステムがステレオ又はサラウンドスピーカシステムである、EEE1~11のいずれかに記載の方法。
【0118】
(EEE13)
前記没入型オーディオフォーマットの前記オーディオは、前記没入型オーディオフォーマットでレンダリングされるオーディオである、EEE1~12のいずれかに記載の方法。
【0119】
(EEE14)
前記没入型オーディオフォーマットがDolby Atmosであり、又はX≧2が前方又はサラウンドオーディオチャネルの数であり、Y≧0が、存在する場合、低周波エフェクト又はサブウーファーオーディオチャネルであり、Z≧1が少なくとも1つの高さオーディオチャネルである、任意のX-Y-Zオーディオフォーマットである、EEE1~13のいずれかに記載の方法。
【0120】
(EEE15)
前記修正するステップ(270)は、前記位相差が主に位相外れである各周波数帯域について、前記2つの高さオーディオ信号間の前記相対位相に180度の位相シフトを加える、EEE1~13のいずれかに記載の方法。
【0121】
(EEE16)
前記2つの高さオーディオ信号のうちの一方の位相が+90度シフトされ、前記2つの高さオーディオ信号のうちの他方の位相が-90度シフトされる、EEE15に記載の方法。
【0122】
(EEE17)
機器であって、プロセッサと、前記プロセッサに結合されるメモリとを含み、前記プロセッサは、EEE1~16のいずれかに記載の方法を実行するよう構成される、機器。
【0123】
(EEE18)
EEE17に記載の機器を含む車両。
【0124】
(EEE19)
プロセッサにより実行されると、前記プロセッサにEEE1~16のいずれかに記載の方法を実行させる命令を含むプログラム。
【0125】
(EEE20)
EEE19に記載のプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】