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特表2024-529920充電式バッテリーと、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両
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  • 特表-充電式バッテリーと、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両 図1
  • 特表-充電式バッテリーと、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両 図2
  • 特表-充電式バッテリーと、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両 図3A
  • 特表-充電式バッテリーと、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】充電式バッテリーと、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定するための手段とを備える車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240806BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240806BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240806BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240806BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240806BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20240806BHJP
   G01R 31/382 20190101ALN20240806BHJP
【FI】
H02J7/00 P
G01R31/385
H02J7/10 A
B60L50/60
B60L58/12
H02J7/04 L
H02J7/10 L
G01R31/382
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503612
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022070214
(87)【国際公開番号】W WO2023001830
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2108039
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ, ローラン
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA71
2G216CA01
2G216CB24
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503CB11
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC11
5H125CB02
5H125EE25
5H125EE27
(57)【要約】
電気またはハイブリッドパワートレインによって駆動される自動車両のための充電式蓄電バッテリーに電力を供給するための本システムは、回生フェーズに対応する第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))と、バッテリーを充電するフェーズに対応する第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))とに依存する、バッテリーのための最大許容電力(BATPIN(t))を決定するための手段を備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気またはハイブリッド自動車両のための充電式蓄電バッテリーのための電力供給システム(2)であって、前記バッテリーが回生フェーズ中および充電フェーズ中に再充電されることが可能であり、前記システムは、前記バッテリーのための最大許容電力(BATPIN(t))を決定するための手段を備え、
前記バッテリーのための前記最大許容電力を決定するための前記手段が、
前記バッテリーの温度からおよび前記バッテリーの充電状態(SOC)から第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))を読み取ることを可能にする第1のマップ(C1)であって、回生フェーズに対応する第1の最大電力値(BATPINPOWERMAP(t))を含む第1のマップ(C1)と、
前記バッテリーの前記温度からおよび前記バッテリーの前記充電状態(SOC)から第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))を読み取ることを可能にする第2のマップ(C2)であって、バッテリー充電フェーズに対応する第2の最大電力値(BATPCHGPOWERMAP(t))を含む、前記第2のマップ(C2)と、
前記第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))と前記第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))とに応じて、前記充電フェーズ中の前記バッテリーのための前記最大許容電力(BATPIN(t))を計算するための計算手段(5)と
を備えることを特徴とする、電力供給システム(2)。
【請求項2】
前記計算手段(5)が、0と1との間の第1の係数α(t)を割り当てられた前記第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))と、1-α(t)に等しい第2の係数を割り当てられた前記第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))との合計を計算するように構成された、請求項1に記載の電力供給システム(2)。
【請求項3】
前記計算手段(5)は、前記第1の係数α(t)が1に等しいときに、所定のしきい値(P4)以下になるように、前記第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))の値を調整するように構成された、請求項2に記載の電力供給システム(2)。
【請求項4】
前記計算手段(5)が、所定の持続時間(D2)の間、前記第1の係数α(t)を1に保つように構成された、請求項2に記載の電力供給システム(2)。
【請求項5】
前記バッテリーが1つまたはいくつかのセルから構成され、前記システム(2)は、セルの端子の両端間の電圧を測定するための手段と、最大電圧値と測定されたセル電圧とに応じて計算された第3の最大電力値を条件として前記バッテリーのための前記最大許容電力を制限するための手段とを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給システム(2)。
【請求項6】
充電式蓄電バッテリーと、エネルギーを回収することを可能にする制動システムとを備える、電気またはハイブリッド自動車両であって、前記バッテリーは回生フェーズ中および充電フェーズ中に再充電されることが可能であり、さらに請求項1から5のいずれか一項に記載の前記バッテリーのための電力供給システム(2)を備える、電気またはハイブリッド自動車両。
【請求項7】
エネルギーを回収することを可能にする制動システムを備える電気またはハイブリッド自動車両の充電式蓄電バッテリーの充電を制御するための方法であって、前記バッテリーが、回生フェーズ中および充電フェーズ中に再充電されることが可能であり、
回生フェーズに対応する第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))を決定するステップと、
バッテリー充電フェーズに対応する第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))を決定するステップと、
前記第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))と前記第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))とに応じて前記充電フェーズ中の前記バッテリーのための最大許容電力(BATPIN(t))を計算するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記最大許容電力(BATPIN(t))を計算することが、0と1との間の第1の係数α(t)を割り当てられた前記第1の最大電力(BATPINPOWERMAP(t))と、1-α(t)に等しい第2の係数を割り当てられた前記第2の最大電力(BATPCHGPOWERMAP(t))とを合計することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の最大電力値(BATPINPOWERMAP(t))は、前記第1の係数α(t)が1に等しいときに、所定のしきい値(P4)以下になるように調整される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の係数α(t)が、所定の持続時間(D2)の間、1に保たれる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記バッテリーが1つまたはいくつかのセルから構成される場合、セルの端子の両端間の電圧が測定され、前記バッテリーのための前記最大許容電力が、最大電圧値と測定されたセル電圧とに応じて計算された第3の最大電力値に基づいて制限される、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、電気バッテリー管理システムであり、特に、電気またはハイブリッド自動車両を駆動するようになされた車載電気バッテリー管理システムである。
【背景技術】
【0002】
自動車両バッテリーは、車両が静止しているときに電気ステーションにおいて再充電され得るか、または、車両が減速するときの車両からの運動エネルギーの一部を電気モーターによって回収することによって再充電され得るかのいずれかであり得る。そのような形でエネルギーを回収することは一般的に回生制動(regenerative braking)と呼ばれる。
【0003】
バッテリーは劣化または経年変化し、それによりエネルギーを蓄積するためのバッテリーの容量が低下し得る。この経年変化は、車両が走行しているときにバッテリーが使用される条件に依存する。
【0004】
バッテリーの完全性を保つために、バッテリーの充電電力を制限することが提案されている。
【0005】
この制限は、バッテリーの充電状態が高いときに一層重要になる。
【0006】
充電容量は、バッテリーが完全充電に近づくにつれて、0に向かって徐々に低下する。
【0007】
バッテリーの温度が一般に0°Cを下回るときも同様である。
【0008】
さらに、充電電力が、少なくとも、バッテリーのセルの化学的性質と、バッテリーのセルの寸法とに応じた所定のしきい値を超えたとき、バッテリーはその完全性を失う。
【0009】
さらに、バッテリーがリチウムイオン製である場合、充電電力が高すぎるとバッテリーの電極上にリチウム層が堆積することが観測されている。この現象を制限するために、バッテリーの充電容量は大きく低減される。
【0010】
したがって、そのようなバッテリーの製造業者は、電力供給ステーションによる充電のフェーズ中のバッテリーの温度と、バッテリーの充電状態とに応じた、バッテリーのための最大許容電力を示す、マップを提供する。
【0011】
バッテリーは、さらに、回生フェーズとして知られている、走行フェーズ中、制動フェーズ中、または足を上げたときに再充電され得る。
【0012】
最大許容電力は、ここではより高いが、しかしながら、バッテリーを損傷しないために10秒程度のより短い持続時間の間にのみ適用され得る。
【0013】
したがって、製造業者は、回生フェーズ中のバッテリーの温度と、バッテリーの充電状態とに応じた、バッテリーのための最大許容電力の第2のマップを開発した。
【0014】
しかしながら、回生フェーズが、前記第2のマップによって定義された持続時間よりも長くなることが分かった場合、バッテリーは損傷しやすい。
【0015】
したがって、バッテリーに与えられる電力の量を徐々に制限するために、参考文献仏国特許第2994027号に記載されている、いわゆる変調ストラテジーがバッテリー管理システム(BMS)によって実施される。
【0016】
そのようなストラテジーは、充電フェーズ中の最大許容電力値の第1のマップから読み取られた値と、回生フェーズ中の最大許容電力値の第2のマップから読み取られた値の両方に依存する、回生フェーズの各時刻において、最大許容電力を制限することにある。
【0017】
言い換えれば、それは、第2のマップから生じた最大許容電力値を制限することから、第1のマップから読み取られた最大許容電力値を制限することに徐々に切り替える場合である。
【0018】
ところで、このストラテジーは、回生フェーズ中にのみ使用され、充電フェーズ中には決して使用されない。
【0019】
したがって、バッテリーは、高い充電電力を奪われ、事前定義された期間の間それが許容される場合には、バッテリーは損傷しない。そのため、充電フェーズ中のバッテリーの充電電位は、部分的にしか利用されない。
【0020】
したがって、本発明の目的は、充電フェーズ中の自動車両バッテリーのための電力供給システムを改善することである。
【発明の概要】
【0021】
上記に鑑みて、本発明の主題は、電気またはハイブリッド自動車両のための充電式蓄電バッテリーのための電力供給システムであって、バッテリーが回生フェーズ中および充電フェーズ中に再充電されることが可能であり、本システムは、バッテリーのための最大許容電力を決定するための手段を備える。
【0022】
バッテリーのための最大許容電力を決定するための手段は、バッテリーの温度からおよびバッテリーの充電状態から第1の最大電力を読み取ることを可能にする第1のマップと、バッテリーの温度からおよびバッテリーの充電状態から第2の最大電力を読み取ることを可能にする第2のマップとであって、第1のマップが、回生フェーズに対応する第1の最大電力値を含み、第2のマップが、バッテリー充電フェーズに対応する第2の最大電力値を含む、第2のマップと、第1の最大電力と第2の最大電力とに応じて、充電フェーズ中のバッテリーのための前記最大許容電力を計算するための計算手段とを備える。
【0023】
言い換えれば、計算手段は、バッテリー充電フェーズ中に変調ストラテジーを実施するために第1のマップと第2のマップとを利用するように構成される。
【0024】
したがって、変調ストラテジーは、第1のマップから生じ、時刻tにおけるバッテリーの充電状態と温度とに対応する、第1の最大許容充電電力値に達するまで、充電電力を徐々に増加させることを可能にする。
【0025】
したがって、等価な温度および充電状態において、第1の最大許容充電電力値は、第2のマップから生じる対応する第2の最大充電電力値よりも大きい。
【0026】
最大許容充電電力の変化は、その場合、所定の持続時間の間、第1のマップから生じた値に実質的に従い、その後、徐々に減少して、第2のマップから生じる第2の最大電力値に達する。
【0027】
最後に、最大許容電力が第2の値に達するとすぐに、最大許容電力は、充電が行われるにつれて、第2のマップ中に示されている最大電力値に実質的に従う。
【0028】
有利には、計算手段は、0と1との間の第1の係数α(t)を割り当てられた第1の電力と、1-α(t)に等しい第2の係数を割り当てられた第2の電力との合計を計算するように構成される。
【0029】
第1の係数α(t)は、(係数が1に等しい場合)第1の最大電力と、(係数が0に等しい場合)第2の最大電力と、係数が0と1との間である場合、これらの2つの電力の重み付けとの中から選定される制限を得るように選定される。
【0030】
好ましくは、計算手段は、第1の係数α(t)が1に等しいときに、所定のしきい値以下になるように、第1の電力の値を調整するように構成される。
【0031】
バッテリー耐久性は、等価な温度および充電状態において第1の充電電力と第2の充電電力との間にかなりの差があるときに影響を受ける。
【0032】
したがって、前記所定のしきい値よりも小さいかまたはそれに等しい最大許容充電電力値を保つことが提案される。
【0033】
好ましくは、計算手段は、所定の持続時間の間、第1の係数α(t)を1に保つように構成される。
【0034】
言い換えれば、それは、前記所定の持続時間の間、第1の最大電力のみに応じて、バッテリーのための前記最大許容電力を計算する場合である。
【0035】
有利には、バッテリーは、1つまたはいくつかのセルから構成され、本システムは、セルの端子の両端間の電圧を測定するための手段と、最大電圧値と測定されたセル電圧とに応じて計算された第3の最大電力値を条件として、バッテリーのための最大許容電力を制限するための手段とを備える。
【0036】
これらの2つのパラメータに応じて第3の最大電力値を計算することは、バッテリーを保護することを可能にする。
【0037】
本発明の別の主題は、充電式蓄電バッテリーと、エネルギーを回収することを可能にする制動システムであって、バッテリーが、回生フェーズ中および充電フェーズ中に再充電されることが可能である、制動システムと、上記で定義された前記バッテリーのための電力供給システムとを備える、電気またはハイブリッド自動車両である。
【0038】
本発明の別の主題は、エネルギーを回収することを可能にする制動システムを備える電気またはハイブリッド自動車両の充電式蓄電バッテリーの充電を制御するための方法であって、バッテリーが、回生フェーズ中および充電フェーズ中に再充電されることが可能である、方法である。
【0039】
本方法は、回生フェーズに対応する第1の最大電力を決定するステップと、バッテリー充電フェーズに対応する第2の最大電力を決定するステップと、第1の最大電力と第2の最大電力とに応じて充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を計算するステップとを含む。
【0040】
有利には、前記最大許容電力を計算することは、0と1との間の第1の係数α(t)を割り当てられた第1の電力と、1-α(t)に等しい第2の係数を割り当てられた第2の電力とを合計することを含む。
【0041】
好ましくは、第1の電力値は、第1の係数α(t)が1に等しいときに、所定のしきい値以下になるように調整される。
【0042】
好ましくは、第1の係数α(t)は、所定の持続時間の間、1に保たれる。
【0043】
有利には、バッテリーが1つまたはいくつかのセルから構成される場合、セルの端子の両端間の電圧が測定され、バッテリーのための最大許容電力が、最大電圧値と測定されたセル電圧とに応じて計算された第3の最大電力値に基づいて制限される。
【0044】
本発明の他の目的、特徴および利点は、単に非限定的な例として、添付の図面を参照しながら与えられる以下の説明を読めば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】それぞれ、従来技術による、自動車両のバッテリーの回生フェーズ中および充電フェーズ中の最大電力値を含む、第1のマップおよび第2のマップである。
図2】本発明の一実施形態による、バッテリーのための電力供給システム2を概略的に示す図である。
図3A-3B】本発明の2つの実装形態による、充電フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力の変化の第1のグラフおよび第2のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
1つまたはいくつかの個々のセルを備える自動車両バッテリーの場合、たとえば1つのバッテリーセルの内部抵抗のマップによって最大許容電力マップを作成することができる。
【0047】
これらのマップは、予備較正ステップによって得ることができ、バッテリーの充電状態およびそれの温度に応じてこの抵抗を読み取ることを可能にする。
【0048】
バッテリーの充電状態は、セルの開回路電圧(OCV)に直接依存し、したがって電圧センサーによって測定することができる。
【0049】
エネルギー回収を伴う回生フェーズ中に電流がそれを通って流れるセルのための最大許容電圧VLimitPIN、および充電フェーズ中に電流がそれを通って流れるセルのための最大許容電圧VLimitPCHGも、較正によって得ることができる。
【0050】
共にこれらのデータは、式1によって充電フェーズ中および回生フェーズ中のバッテリーのための最大許容電力を決定することを可能にする。
ここで、
【0051】
図1に示されているように、パーセンテージとして表されるバッテリーの充電状態SOCに応じた
を含む第1のマップC1を形成することができる。
【0052】
図1は、さらに、バッテリーの充電状態SOCに応じた
を含む第2のマップC2を示す。
【0053】
このようにして、(tと標示された)各時刻において、バッテリーのための最大許容電力が、式2を用いて得られる。
BATPIN(t)=α(t)*BATPINPOWERMAP(t)+(1-α(t))*BATPCHGPOWERMAP(t) 式2
ここで、
BATPIN(t):時刻tにおけるバッテリーのための最大許容電力
BATPINPOWERMAP(t):第1のマップC1上で得られた、時刻tにおける回生フェーズ中の第1の最大許容電力
BATPCHGPOWERMAP(t):第2のマップC2上で得られた、時刻tにおける充電フェーズ中の第2の最大許容電力
α(t):0と1との間の第1の係数
【0054】
したがって、第1の係数α(t)が1に等しい場合、バッテリーのための最大許容電力BATPIN(t)は回生フェーズ中の第1の最大許容電力BATPINPOWERMAP(t)になり、それは高い値である。
【0055】
対照的に、第1の係数α(t)が0に等しい場合、バッテリーのための最大許容電力BATPIN(t)は充電フェーズ中の第2の最大許容電力BATPCHGPOWERMAP(t)になり、それは低い値であり、バッテリーを損傷することなしに長い時間の間適用することができる。
【0056】
図2は、バッテリー充電フェーズ中の最大許容電力BATPIN(t)を決定するための手段を備える電力供給システム2を示す。
【0057】
最大許容電力BATPIN(t)を決定するためのそのような手段は、式2を計算するように構成される。
【0058】
一方では、回生フェーズに対応する第1の最大許容電力値BATPINPOWERMAP(t)を含む第1のマップC1を使用し、他方では、充電フェーズに対応する第2の最大許容電力値BATPCHGPOWERMAP(t)を含む第2のマップC2を使用することによって、バッテリーのための最大許容充電電力BATPIN(t)の値を与えるようになされた計算または変調手段5を使用することができる。
【0059】
したがって、図3Aに示されているように、第1の実線曲線V1は、バッテリーの充電状態SOCか、または所与の温度についての電圧に応じた、ワットで表される、最大許容充電電力BATPIN(t)の変化を示す。
【0060】
変調ストラテジーは、ここで、第1のマップC1から生じ、時刻tにおける充電状態SOCに対応する、第1の充電電力値P1に達するまで、最大許容充電電力BATPIN(t)を徐々に増加させることを可能にする。
【0061】
したがって、等価な温度および充電状態において、第1の最大許容充電電力値P1は、第2のマップC2から生じる対応する第2の最大許容充電電力値P2よりも大きい。
【0062】
最大許容充電電力BATPIN(t)の変化は、その場合、第1の所定の持続時間D1の間、第1のマップC1から生じた値BATPINPOWERMAP(t)に実質的に従い、その後、徐々に減少して、第2のマップC2から生じる第3の最大電力値P3に達する。
【0063】
例として、第1の所定の持続時間D1は10秒と数分との間である。
【0064】
最後に、最大許容電力BATPIN(t)が第3の値P3に達するとすぐに、後者は、バッテリー充電が行われる際に、第2のマップC2中に示されている第2の最大電力値BATPCHGPOWERMAP(t)に実質的に従う。
【0065】
さらに、バッテリーの耐久性は、等価な温度および充電状態SOCにおいて第1の充電電力BATPINPOWERMAP(t)と第2の充電電力BATPCHGPOWERMAP(t)との間にかなりの差があるときに損なわれ得ることに留意されたい。
【0066】
たとえば、その差は数十キロワット(kW)程度であり得る。
【0067】
したがって、計算手段5は、係数α(t)が1に等しいときに、所定のしきい値P4以下になるように、第1の最大電力BATPINPOWERMAP(t)の値を調整するように構成され得る。
【0068】
この場合、それは、バッテリーの充電状態SOCに応じた、最大許容充電電力BATPIN(t)の変化を示す第2の実線曲線V2である。
【0069】
変調ストラテジーはすべての温度値に適用することができることに留意されたい。
【0070】
変形態として、図3Bに示されているように、計算手段5は、充電フェーズ中の充電電力BATPIN(t)の高い変動性からバッテリーを保護するために、数秒と数分との間の、第2の所定の持続時間D2の間、係数α(t)を1に保つように構成される。
【0071】
さらに、本発明は、これらの実施形態および実装形態に限定されず、すべてのそれらの変形態を包含する。
【0072】
本発明は、たとえば、バッテリーの電流と充電容量との間の比(Cレート)が1よりも大きい、バッテリーを装備した適用例に関する。
図1
図2
図3A
図3B
【国際調査報告】