(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】低減されたオフターゲット効果を有する修飾低分子干渉RNA分子
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240806BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240806BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240806BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240806BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240806BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240806BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240806BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K48/00
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P3/00
A61P9/00
A61P37/02
A61P9/04
A61P11/00
A61P1/16
A61P13/12
A61P3/04
A61P3/10
C12N15/113 110Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503797
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2022107028
(87)【国際公開番号】W WO2023001234
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/107862
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523209276
【氏名又は名称】マイクロバイオ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イー-チュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チー-ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホイ-ユー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チャ-チュン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA37
4C084ZA59
4C084ZA70
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZB07
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZC21
4C084ZC35
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA59
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB07
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC35
(57)【要約】
オフターゲット効果を低減するための、アンチセンス鎖にホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合を含む、修飾低分子干渉RNA(siRNA)分子、並びにその方法及び使用。高い特異性及びサイレンシング効率で低酸素誘導因子1サブユニットアルファ(HIF1a)を標的とする、siRNA。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス鎖及びアンチセンス鎖を含む修飾低分子干渉(small interfering)RNA(siRNA)分子であって、前記アンチセンス鎖が、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び/又は6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合を含み、前記修飾siRNAが、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を有しないsiRNA対応物と比較して、低減されたオフターゲット効果を有する、修飾低分子干渉RNA(siRNA)分子。
【請求項2】
前記アンチセンス鎖が、1位のヌクレオチドと2位のヌクレオチドとの間及び/又は2位のヌクレオチドと3位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む、請求項1に記載の修飾siRNA分子。
【請求項3】
前記アンチセンス鎖が、19~25ヌクレオチド長のものである、請求項1又は2に記載の修飾siRNA分子。
【請求項4】
前記アンチセンス鎖が、3’末端における第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとの間及び/又は前記3’末端における前記第2のヌクレオチドと第3のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の修飾siRNA分子。
【請求項5】
前記アンチセンス鎖が、21ヌクレオチド長のものである、請求項3に記載の修飾siRNA分子。
【請求項6】
前記アンチセンス鎖が、19位のヌクレオチドと20位のヌクレオチドとの間及び/又は20位のヌクレオチドと21位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む、請求項5に記載の修飾siRNA。
【請求項7】
前記修飾siRNA分子が、任意選択で、細菌遺伝子、ウイルス遺伝子、又は真菌遺伝子である、病原性遺伝子の発現をサイレンシングする、請求項1~6のいずれか一項に記載の修飾siRNA分子。
【請求項8】
前記修飾siRNA分子が、疾患遺伝子の発現をサイレンシングする、請求項1~7のいずれか一項に記載の修飾siRNA分子。
【請求項9】
前記疾患遺伝子が、がん、線維症、代謝性疾患、心血管疾患、免疫疾患、又は遺伝性障害に関与する、請求項8に記載の修飾siRNA分子。
【請求項10】
前記疾患遺伝子が、がんに関与し、任意選択で、前記疾患遺伝子が、HIF1A、HIF2、IGF1R、VEGF、EREG、KRAS、ALK、BRAF、NRAS、STAT3、CDH2、KIFL1、PIK3CA、Src、RAS、RAF、及びTP53からなる群から選択される、請求項9に記載の修飾siRNA分子。
【請求項11】
前記疾患遺伝子が、線維症に関与し、任意選択で、前記疾患遺伝子が、HIF1A、HIF1B、HIF2、TGF-β1、及びCTGFからなる群から選択される、請求項9に記載の修飾siRNA分子。
【請求項12】
前記疾患遺伝子が、代謝性疾患又は心血管疾患に関与し、任意選択で、前記疾患遺伝子が、AGT、ApoC-III、及びアポBからなる群から選択される、請求項9に記載の修飾siRNA分子。
【請求項13】
前記疾患遺伝子が、免疫疾患に関与し、任意選択で、前記疾患遺伝子が、GATA-3、CCR3、TGF-β1、IL-6、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、CCL2、及びCCL10からなる群から選択される、請求項9に記載の修飾siRNA分子。
【請求項14】
前記疾患遺伝子が、遺伝性障害に関与し、任意選択で、前記疾患遺伝子が、アポB又はPCSK9である、請求項9に記載の修飾siRNA分子。
【請求項15】
前記修飾siRNA分子が、標的化部分と会合する、請求項1~14のいずれか一項に記載の修飾siRNA分子。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の修飾siRNA分子と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項17】
標的遺伝子をサイレンシングするための方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の修飾siRNA分子又は請求項16に記載の医薬組成物を、前記標的遺伝子を発現する細胞と接触させることを含む、方法。
【請求項18】
接触させるステップが、前記修飾siRNA分子又は前記医薬組成物の投与を必要とする対象にそれを行うことによって実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ヒト低酸素誘導因子1サブユニットアルファ(HIF1α)を標的とする干渉RNAであって、前記干渉RNAが、HIF1α mRNA内の標的部位に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記HIF1α mRNA内の前記標的部位が、
(a)AGGCCACAUUCACGUAUAU(配列番号1)、
(b)UGAGGAAGUACCAUUAUAU(配列番号2)、
(c)CCGGUUGAAUCUUCAGAUA(配列番号3)、
(d)GCGCAAGUCCUCAAAGCAC(配列番号4)、
(e)AGGCCACAUUCACGUAUA(配列番号5)、又は
(f)UGAGGAAGUACCAUUAUA(配列番号6)のヌクレオチド配列を含む、干渉RNA。
【請求項20】
前記干渉RNAが、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項19に記載の干渉RNA。
【請求項21】
前記アンチセンス鎖が、19~25ヌクレオチド長のものである、請求項19に記載の干渉RNA。
【請求項22】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖が、それぞれ、以下のヌクレオチド配列:
(a)5’-AGGCCACAUUCACGUAUAA-3’(配列番号7)及び
5’-UUAUACGUGAAUGUGGCCUGU-3’(配列番号8)、又は
(b)5’-UGAGGAAGUACCAUUAUAA-3’(配列番号9)及び
5’-UUAUAAUGGUACUUCCUCAAU-3’(配列番号10)を含む、請求項20又は21に記載の干渉RNA。
【請求項23】
前記アンチセンス鎖が、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び/又は6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合を含み、前記修飾siRNAが、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を有しないsiRNA対応物と比較して、低減されたオフターゲット効果を有する、請求項20~22のいずれか一項に記載の干渉RNA。
【請求項24】
前記アンチセンス鎖が、1位のヌクレオチドと2位のヌクレオチドとの間及び/又は2位のヌクレオチドと3位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む、請求項23に記載の干渉RNA。
【請求項25】
前記アンチセンス鎖が、3’末端における第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとの間及び/又は前記3’末端における前記第2のヌクレオチドと第3のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の干渉RNA。
【請求項26】
前記干渉RNAが、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の干渉RNA。
【請求項27】
前記1つ以上の修飾ヌクレオチドが、2’-フルオロ、2’-O-メチル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の干渉RNA。
【請求項28】
請求項19~27のいずれか一項に記載のヒトHIF1αを標的とする干渉RNAと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項29】
ヒトHIF1αの発現を抑制するための方法であって、有効量の請求項19~27のいずれか一項に記載の干渉RNAを、ヒトHIF1αを発現する細胞と接触させることを含む、方法。
【請求項30】
接触させるステップが、前記有効量の前記干渉RNA又はそのようなものを含む医薬組成物を対象に投与することによって実行される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、HIF1αに関連する疾患を有するか、又は有すると疑われたヒト患者である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記HIF1αに関連する疾患が、がん、心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、肥満、又は糖尿病である、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月22日に出願された国際特許出願第PCT/CN2021/107862号の出願日の利益を主張し、この内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉(RNAi)は、低分子干渉(small interfering)RNA(siRNA)によって媒介される、配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスである。所望の治療効果を達成するために、標的遺伝子の発現を特異的にサイレンシングするべくRNAiに影響を及ぼす能力にかなりの注意が払われる。
【0003】
siRNA治療薬が直面する課題は重大である。これは、ポリアニオン性であるなどのsiRNAの固有の特性、ヌクレアーゼ切断に対する脆弱性が、細胞取り込み及び迅速なクリアランスが不十分であるために臨床応用を困難にするためである。加えて、有害なタンパク質結合又はmRNAの誤標的化に起因して生じるオフターゲット効果は、siRNA療法を更に制限する可能性がある。
【0004】
したがって、オフターゲット効果が大幅に低減された強力なsiRNAを開発する必要性が増大している。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、低減されたオフターゲット効果を示す修飾低分子干渉RNA(siRNA)分子の開発に少なくとも部分的に基づく。したがって、低減されたオフターゲット効果を有する修飾siRNA、及び標的遺伝子、例えば、疾患又は障害に関連するものをサイレンシングするためのそれらの使用が、本明細書において提供される。
【0006】
いくつかの態様では、本開示は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む、修飾低分子干渉RNA(siRNA)分子を提供する。アンチセンス鎖は、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び/又は6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合を含む。修飾siRNAは、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を有しないsiRNA対応物と比較して、低減されたオフターゲット効果を有する。いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子は、標的化部分と会合してもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子のアンチセンス鎖は、1位のヌクレオチドと2位のヌクレオチドとの間及び/又は2位のヌクレオチドと3位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含んでもよい。代替として、又は加えて、修飾siRNA分子のアンチセンス鎖は、3’末端における第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとの間及び/又は3’末端における第2のヌクレオチドと第3のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子のアンチセンス鎖は、19~25ヌクレオチド長のものである。例えば、修飾siRNA分子のアンチセンス鎖は、21ヌクレオチド長のものである。その場合、修飾siRNA分子のアンチセンス鎖は、19位のヌクレオチドと20位のヌクレオチドとの間及び/又は20位のヌクレオチドと21位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子は、任意選択で細菌遺伝子、ウイルス遺伝子、又は真菌遺伝子である、病原性遺伝子の発現をサイレンシングする。他の実施形態では、修飾siRNA分子は、疾患遺伝子の発現をサイレンシングする。例示的な疾患遺伝子としては、がん、線維症、代謝性疾患、心血管疾患、免疫疾患、又は遺伝性障害に関与するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
いくつかの例では、疾患遺伝子は、がんに関与し得る。具体的な例としては、HIF1A、HIF2、IGF1R、VEGF、EREG、KRAS、ALK、BRAF、NRAS、STAT3、CDH2、KIFL1、PIK3CA、Src、RAS、RAF、及びTP53が挙げられる。いくつかの例では、疾患遺伝子は、線維症に関与し得る。具体的な例としては、HIF1A、HIF1B、HIF2、TGF-β1、及びCTGFが挙げられる。いくつかの例では、疾患遺伝子は、代謝性疾患又は心血管疾患に関与し得る。具体的な例としては、AGT、ApoC-III、及びアポBが挙げられる。いくつかの例では、疾患遺伝子は、免疫疾患に関与し得る。具体的な例としては、GATA-3、CCR3、TGF-α1、IL-6、TNF-α、IFN-β、IL-1β、CCL2、及びCCL10が挙げられる。他の例では、疾患遺伝子は、遺伝性障害に関与し得る。具体的な例としては、アポB及びPCSK9が挙げられる。
【0011】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される修飾siRNA分子のうちのいずれかと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を特徴とする。
【0012】
更に、標的遺伝子をサイレンシングするための方法であって、修飾siRNA分子、又は修飾siRNA分子と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を、標的遺伝子を発現する細胞と接触させることを含む、方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、修飾siRNA分子又は医薬組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことによって実行することができる。
【0013】
別の態様では、ヒト低酸素誘導因子1サブユニットアルファ(HIF1α)を標的とする干渉RNA(抗HIF1a干渉RNA)が本明細書において提供される。干渉RNAは、HIF1α mRNA内の標的部位に相補的なヌクレオチド配列を含む。標的部位は、
(a)AGGCCACAUUCACGUAUAU(配列番号1)、
(b)UGAGGAAGUACCAUUAUAU(配列番号2)、
(c)CCGGUUGAAUCUUCAGAUA(配列番号3)、
(d)GCGCAAGUCCUCAAAGCAC(配列番号4)、
(e)AGGCCACAUUCACGUAUA(配列番号5)、又は
(f)UGAGGAAGUACCAUUAUA(配列番号6)のヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、HIF1α mRNA内の標的部位は、AGGCCACAUUCACGUAUA(配列番号5)のヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、HIF1α mRNA内の標的部位は、UGAGGAAGUACCAUUAUA(配列番号6)のヌクレオチド配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗HIF1a干渉RNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含むsiRNAである。いくつかの事例では、アンチセンス鎖は、19~25ヌクレオチド長であってもよい。例では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ、以下のヌクレオチド配列:5’-AGGCCACAUUCACGUAUAA-3’(配列番号7)及び5’-UUAUACGUGAAUGUGGCCUGU-3’(配列番号8)を含む。他の例では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ、以下のヌクレオチド配列:5’-UGAGGAAGUACCAUUAUAA-3’(配列番号(9)及び5’-UUAUAAUGGUACUUCCUC AAU-3’(配列番号10)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗HIF1a siRNAのアンチセンス鎖は、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び/又は6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合を含んでもよい。このような修飾siRNAは、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を有しないsiRNA対応物と比較して、低減されたオフターゲット効果を有する。いくつかの事例では、アンチセンス鎖は、1位のヌクレオチドと2位のヌクレオチドとの間及び/又は2位のヌクレオチドと3位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む。代替として、又は加えて、アンチセンス鎖は、3’末端における第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとの間及び/又は3’末端における第2のヌクレオチドと第3のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を更に含む。
【0017】
本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを更に含み得る。例えば、抗HIF1a干渉RNAは、2’-フルオロ、2’-O-メチル、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
加えて、本開示は、本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかと、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を特徴とする。
【0019】
更に別の態様では、本開示は、ヒトHIF1αの発現を抑制するための方法であって、有効量の本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかを、ヒトHIF1αを発現する細胞と接触させることを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本方法は、有効量の干渉RNA又はそのようなものを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの例では、対象は、HIF1αに関連する疾患を有するか、又は有すると疑われたヒト患者である。HIF1αに関連する例示的な疾患としては、がん(例えば、固形腫瘍)、心疾患(例えば、虚血性心疾患、若しくはうっ血性心不全)、肺疾患(例えば、肺高血圧症、肺線維症、若しくは慢性閉塞性肺疾患)、肝疾患(例えば、急性肝不全、肝線維症、若しくは肝硬変)、腎疾患(例えば、急性腎損傷若しくは慢性腎疾患)、肥満、又は糖尿病が挙げられる。
【0020】
また、本明細書に開示される標的疾患を治療するための修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかを含む医薬組成物、並びに標的疾患の治療における使用のための医薬品を製造するための修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNAの使用が、本開示の範囲内である。
【0021】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。本開示の他の特徴又は利点は、以下の図面及びいくつかの発明を実施するための形態から明らかであり、また、添付の特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面は、本明細書の一部分を形成し、本開示のある態様を更に実証するために含まれ、本開示のある態様は、本明細書に提示される具体的な発明を実施するための形態と合わせて図面を参照することによって、より良好に理解され得る。
【0023】
【
図1】ゲノム全体のRNA配列決定によって評価される、HIF1A siRNAによって引き起こされるオフターゲット事象を示すグラフである。試験されたsiRNAは、アスタリスク(「*」)によって示されるように、様々な位置にPSヌクレオチド間結合を有する。左側の数字はダウン事象を指し、右側の数字はアップ事象を指す。
【
図2】示される様々な位置にホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合を有するHIF1A siRNAのノックダウン効率を示すグラフである。
【
図3A-3B】例示的な抗HIF1A siRNAのインビボ効果を示すグラフを含む。
図3A:ヒトHepG2異種移植マウスにおけるHIF1A発現のノックダウン。
図3B:異種移植マウスにおける腫瘍成長の阻害。
【発明を実施するための形態】
【0024】
RNA干渉又は「RNAi」は、二本鎖RNA(dsRNA)が宿主細胞内に導入されたときに、dsRNAが遺伝子発現を遮断する、プロセスである。(Fire et al.(1998)Nature 391,806-811)。RNAi療法に対する障害のうちの1つは、オフターゲット効果である(Seok et al(2018),Cell Mol.Life Sci.75,797-814)。低分子干渉RNA分子(siRNA)は、標的遺伝子の発現を阻害するためにRNAiで一般的に使用される。
【0025】
siRNAは、二本鎖RNA、アンチセンス鎖、及びセンス鎖であり、これらは、相補的な配列を含有し、二本鎖構造を形成する。アンチセンス鎖の少なくとも一部は、RNAiを介してmRNAの発現を遮断するための標的mRNA内の領域に相補的である。siRNA分子の各鎖は、19~23ヌクレオチドを有し得る。いくつかの事例では、各鎖は、リン酸化5’末端及びヒドロキシル化3’末端を有し得る。いくつかの事例では、アンチセンス鎖は、カップルのオーバーハングヌクレオチド(例えば、1又は2)を有し得る。siRNAは、細胞内にトランスフェクトされると、コアタンパク質アルゴノート(AGO)を含むRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)内に組み込まれる。その後、siRNAは、ほどけて一本鎖RNAになる。その後、アンチセンス鎖はAGOと会合したままで活性RISCを形成するが、センス鎖は分解される。アンチセンス鎖は標的転写物(mRNA)と塩基対を形成し、AGOは標的を切断してその機能(遺伝子発現)をサイレンシングする。
【0026】
オフターゲット効果は、siRNA療法に関連する1つの潜在的な問題である。したがって、オフターゲット効果が低減されたsiRNAを開発することは、非常に強力かつ安全なRNAi療法に対して非常に望ましい。
【0027】
本開示は、アンチセンス鎖内のある特定のヌクレオチド位置における共通のホスホジエステル骨格結合がホスホロチオエート(PS)結合(「PS結合」とも称される)で置き換えられた修飾siRNA分子の開発に少なくとも部分的に基づく。この置換では、非架橋リン酸塩酸素原子を硫黄原子で置換して、ヌクレオチド間のPS結合を作製する。具体的には、PS修飾は、siRNA分子のアンチセンス鎖のシード領域に導入される。例えば、PS修飾は、siRNA分子のアンチセンス鎖内の5~8位のうちの1つ以上のヌクレオチド間に導入することができる。本明細書に開示される修飾siRNAは、実質的に低減されたオフターゲット効果を有し、また、定義された位置にPS結合を有しない対応物核酸(同じヌクレオチド配列を有する)と比較して、ヌクレアーゼに対してより耐性があることが予想される。
【0028】
別段に明記されない限り、本明細書に開示される核酸鎖内のヌクレオチドの位置は、その核酸鎖の5’末端からの位置(すなわち、5’末端ヌクレオチドを1位とする)を指す。
【0029】
I.オフターゲット効果が低減された修飾siRNA分子
いくつかの態様では、本開示は、対応する修飾を有しない同じsiRNA分子と比較して、低減されたオフターゲット効果を有する修飾低分子干渉核酸分子(siRNA)に関する。
【0030】
(A)siRNA分子:
本開示は、標的遺伝子転写産物に対するRNAi経路を介して遺伝子サイレンシングを誘導することができ、また(非標的遺伝子転写産物に対する)低減されたオフターゲット効果を有する二本鎖RNAである、修飾siRNA分子に関する。
【0031】
修飾siRNA分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。アンチセンス鎖は、シード領域内に1つ以上のホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合(「PS基」又は「PS結合」とも称される)を含む(5~8位)。修飾siRNA分子は、それぞれのヌクレオチド位置にPS結合を有しないsiRNA対応物と比較して、例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又はそれ以上低減されたオフターゲット効果を有する。オフターゲット効果の低減は、通常の実践を介して、又は本明細書に開示される方法によって判定され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を含んでもよい。代替として、又は加えて、修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を含んでもよい。代替として、又は加えて、修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、7位のヌクレオチドと8位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を含んでもよい。いくつかの例では、修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を含んでもよい。いくつかの例では、修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び7位のヌクレオチドと8位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を含んでもよい。いくつかの例では、修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間及び7位のヌクレオチドと8位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、5’末端領域に、例えば、1位のヌクレオチドと2位のヌクレオチドとの間及び/又は2位のヌクレオチドと3位のヌクレオチドとの間に1つ以上のPSヌクレオチド間結合を更に含んでもよい。代替として、又は加えて、本明細書に開示される修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、3;末端領域に、例えば、3’末端における第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとの間及び/又は3’末端における第2のヌクレオチドと第3のヌクレオチドとの間に1つ以上のPSヌクレオチド間結合を更に含んでもよい。例えば、アンチセンス鎖が21ヌクレオチドを含む場合、3;末端領域におけるPSヌクレオチド間結合は、19位のヌクレオチドと20位のヌクレオチドとの間及び/又は20位のヌクレオチドと21位のヌクレオチドとの間にあり得る。
【0034】
いくつかの例では、本明細書に開示される修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、シード領域内、例えば、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間、並びに5’末端(例えば、1若しくは2)及び/又は3’末端(例えば、1若しくは2)に、PSヌクレオチド間結合を含有し得る。1つの具体的な例では、アンチセンス鎖は、(a)5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間及び6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合、(b)5’末端に2つのPSヌクレオチド間結合、並びに(c)3’末端に2つのPSヌクレオチド間結合を含有する。
【0035】
いくつかの例では、本明細書に開示される修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、シード領域内、例えば、5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間、6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間、及び7位のヌクレオチドと8位のヌクレオチドとの間、並びに5’末端(例えば、1若しくは2)及び/又は3’末端(例えば、1若しくは2)に、PSヌクレオチド間結合を含有し得る。1つの特定の例では、アンチセンス鎖は、(a)5位のヌクレオチドと6位のヌクレオチドとの間6位のヌクレオチドと7位のヌクレオチドとの間、及び7位のヌクレオチドと8位のヌクレオチドとの間にPSヌクレオチド間結合、(b)5’末端に2つのPSヌクレオチド間結合、並びに(c)3’末端に2つのPSヌクレオチド間結合を含有する。
【0036】
本明細書に開示される修飾siRNA分子のいずれにおいても、アンチセンス鎖は、15~30ヌクレオチド長、例えば、18~25又は19~23nt長を含有し得る。一例では、アンチセンス鎖は、21nt長を含む。別の例では、アンチセンス鎖は、23nt長を含む。センス鎖又はその一部分は、アンチセンス鎖又はその一部分に(完全に又は部分的に)相補的である。いくつかの事例では、センス鎖は、アンチセンス鎖と同じ長さを有する。他の事例では、センス鎖は、アンチセンス鎖よりも短い(例えば、1~5nt(1nt、2nt、3nt、4nt、又は5ntなど))。その場合、アンチセンス鎖は、5’末端及び/又は3’末端にオーバーハング(例えば、1~5nt)を有し得る。
【0037】
1つの具体的な例では、修飾siRNA中のアンチセンス鎖は、21nt長であり、修飾siRNA中のセンス鎖は、16nt長である。アンチセンス鎖内の5ntのオーバーハングは、その3’末端に位置することができる。別の具体的な例では、修飾siRNA中のアンチセンス鎖の長さは21ntであり、修飾siRNA中のセンス鎖の長さは19ntである。アンチセンス鎖内の2ntのオーバーハングは、その3’末端に位置することができる。
【0038】
表1は、シード領域、並びに5’末端及び/又は3’末端に例示的なPSヌクレオチド間結合を有する例示的なsiRNAを列挙している。表1に列挙されている例示的なsiRNAにおいて示されている位置にPSヌクレオチド間結合を有するsiRNAは、本開示の範囲内である。
【0039】
(B)他の修飾
本明細書に開示される修飾siRNAのアンチセンス鎖におけるPSヌクレオチド間結合修飾に加えて、修飾siRNAのアンチセンス鎖、センス鎖、又は両方は、糖修飾、核酸塩基修飾、骨格修飾、又はこれらの組み合わせなどの他の修飾を更に含み得る。このような修飾は、1つ以上の所望の特性、例えば、増強された細胞取り込み、標的核酸への改善された親和性、増加したインビボ安定性を付与し、インビボ安定性(例えば、ヌクレアーゼ分解への耐性)を増強し、かつ/又は免疫原性を低減し得る。
【0040】
一例では、(例えば、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖内の)本明細書に開示される修飾siRNAは、PSヌクレオチド間結合とは異なる位置に修飾骨格を有し得、修飾骨格は、リン原子を保持するもの(例えば、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、及び同第5,625,050号を参照されたい)、及びリン原子を有しないもの(例えば、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、及び同第5,792,608号を参照されたい)を含む。リン含有修飾骨格の例としては、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホラミデート及びアミノアルキルホスホラミデートを含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホトリエステル、セレノホスフェート、並びに3’-5’結合又は2’-5’結合を有するボラノホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。このような骨格はまた、逆極性を有するもの、すなわち、3’から3’、5’から5’、又は2’から2’結合を有するものを含む。リン原子を含まない修飾骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成されている。このような骨格は、(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成された)モルホリノ結合を有するもの、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、リボアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、並びに混合N、O、S、及びCH2構成成分部分を有する他の骨格を含む。いくつかの例では、本明細書に開示される修飾siRNAは、本明細書に開示されるPSヌクレオチド間結合を除いて、いかなる骨格修飾も含まない。
【0041】
別の例では、(例えば、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖内の)本明細書に開示される修飾siRNAは、1つ以上の置換糖部分を含む。このような置換糖部分は、以下の基のうちの1つを、置換糖部分の2’位において含むことができる。OH、F、O-アルキル、S-アルキル、N-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N-アルキニル、及びO-アルキル-O-アルキル。これらの基において、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換又は非置換C1~C10アルキル又はC2~C10アルケニル及びアルキニルであることができる。置換糖部分はまた、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基を、置換糖部分の2’位において含み得る。好ましい置換糖部分は、2’-メトキシエトキシ、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、及び2’-ジメチルアミノエトキシエトキシを有するものを含む。Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78,486-504を参照されたい。
【0042】
代替として、又は加えて、(例えば、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖内の)本明細書に開示される修飾siRNAは、1つ以上の修飾天然核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシル)を含む。修飾核酸塩基は、米国特許第3,687,808号、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858-859、Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、及びSanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,pages 289-302,CRC Press,1993に記載されているものを含む。これらの核酸塩基のうちのある核酸塩基は、干渉RNA分子の標的部位への干渉RNA分子の結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、及びN-2、N-6、及びO-6置換プリン(例えば、2-アミノプロピル-アデニン、5-プロピニルウラシル、及び5-プロピニルシトシン)を含む。Sanghvi,et al.,eds.,Antisense Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278を参照されたい)。
【0043】
代替として、又は加えて、(例えば、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖内の)本明細書に開示される修飾siRNAは、1つ以上のロック核酸(LNA)を含み得る。アクセス制限RNAとしばしば称されるLNAは、修飾RNAヌクレオチドであり、修飾RNAヌクレオチド内で、リボース部分が、2’酸素と4’炭素とを接続する余分なブリッジで修飾されている。このブリッジは、A型二本鎖においてしばしば見出される3’-エンド(ノース)コンフォメーションのリボースを「ロック」する。LNAヌクレオチドは、本明細書に開示される修飾siRNAのうちのいずれかにおいて使用され得る。いくつかの例では、干渉RNA内のヌクレオチドの最大50%(例えば、40%、30%、20%、又は10%)が、LNAである。
【0044】
いくつかの態様では、本明細書に記載される修飾siRNA分子のうちのいずれかは、リガンド(標的化部分)にコンジュゲートされてもよく、又は小胞中に封入されてもよく、これは、修飾siRNAの所望の細胞/組織への送達を容易にすることができ、かつ/又は細胞取り込みを容易にすることができる。好適なリガンドは、炭水化物、ペプチド、抗体、ポリマー、低分子、コレステロール、及びアプタマーを含むが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のGalNAc部分(例えば、トリ-GalNAc部分)は、修飾siRNAを肝臓細胞に送達するための標的化部分として使用されてもよい。
【0045】
(C)標的遺伝子
本明細書に開示される修飾siRNAは、標的遺伝子の発現を抑制するための使用のためのものであり、標的遺伝子の転写物(mRNA)は、修飾siRNA内のアンチセンス鎖に相補的な領域を含む。したがって、アンチセンス鎖及びセンス鎖の配列は、標的遺伝子のmRNA配列に基づいて設計され得る。いくつかの事例では、アンチセンス鎖は、標的遺伝子のmRNA内の標的領域に完全に相補的であり得る。他の事例では、相補性のレベルが、当業者の知識の範囲内である標的領域との塩基対合に十分である限り、アンチセンス鎖は、標的遺伝子のmRNA内の標的領域に部分的に相補的であり得る(例えば、1つ以上のミスマッチ又はギャップを含有する)。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される修飾siRNAの標的遺伝子は、病原性遺伝子である。例えば、標的遺伝子は、病原体、例えば、ウイルス、細菌、又は真菌の遺伝子であってもよい。他の例では、標的遺伝子は、疾患又は障害、例えば、がん、免疫障害(例えば、自己免疫疾患)、代謝性障害又は疾患、心血管障害又は疾患、及び他の遺伝性障害又は疾患に関与している。
【0047】
いくつかの例では、修飾siRNAは、がんに関与する標的遺伝子の発現をサイレンシングする。例示的ながん関連標的遺伝子としては、HIF1A、HIF2、IGF1R、VEGF、EREG、KRAS、ALK、BRAF、NRAS、STAT3、CDH2、KIFL1、PIK3CA、Src、RAS、RAF、及びTP53が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの例では、修飾siRNAは、線維症に関与する標的ゲーン(geen)の発現をサイレンシングする。例示的な線維症関連標的遺伝子としては、HIF1A、HIF1B、HIF2、TGF-β1、及びCTGFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの例では、修飾siRNAは、代謝性疾患に関与する標的遺伝子の発現をサイレンシングする。例示的な代謝関連標的遺伝子としては、AGT、ApoC-III、及びアポBが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの例では、修飾siRNAは、免疫疾患(例えば、自己免疫疾患)に関与する標的遺伝子の発現をサイレンシングする。例示的な免疫疾患関連標的遺伝子としては、GATA-3、CCR3、TGF-β1、IL-6、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、CCL2、及びCCL10が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
II.ヒト低酸素誘導因子1サブユニットアルファ(HIF1a)を標的とする干渉RNA
低酸素誘導因子-1A(HIF-1A)は、低酸素に対する細胞応答を調節する上で重要な役割を有する主要な転写因子である。Lyer et al.,Genes Dev 1998,12,149-162。正常酸素条件下では、HIF-1aサブユニットは、ユビキチンプロテアソーム系によって連続的に合成及び分解される。低酸素条件下では、HIF-1Aは様々ながんにおいて過剰発現し、腫瘍成長、血管新生、化学療法耐性、浸潤及び転移に関与する様々な遺伝子を調節する。Favaro et alGenome Med.2011,3:1-12及びGonzalez et al.,Nat.Rev.Endocrinol.2018,15,21-32。HIF-1Aは、肝細胞がんにおいて上方調節され、肝被膜浸潤性(hepatic capsular invasiveness)及び門脈転移と関連付けられた。Feng et al.,Cell Mol.Biol.Lett.2018,23,26、及びYang et al.,J Clin Oncol.2014,44(2):159-67。また、膀胱尿路上皮がん、乳房侵襲性、結腸腺がん、肝細胞がん、肺腺がん、膵腺がん、直腸腺がん、胃腺がん、甲状腺がんを含む様々な固形腫瘍でも過剰発現される。Chen et al.,Cell Oncol.2020,43:877-88。
【0052】
多くの報告が、HIF-1Aが代謝性疾患を活性化させるか、又は阻害することを示唆している。Gonzalez et al.,Nat.Rev.Endocrinol.2018,15,21-32、及びHalberg et al.,Mol Cell Biol.2009,16:4467-83。肥満は、脂肪組織及び小腸に慢性低酸素状態を引き起こし、HIF-1Aシグナル伝達を促進し、インスリン抵抗性及び肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝疾患を含む有害な代謝作用をもたらす。Norouzirad et al.,Oxid Med Cell Longev.2017,2017:5350267。E3ユビキチンリガーゼであるフォンヒッペル・リンダウタンパク質の過剰発現、又はHIF-1Aのサイレンシングによる低酸素シグナル伝達の阻害は、CCl4及び胆管ライゲーションの両方によって誘導される肝線維症を有意に低減することができる。Wang et al.,Sci Rep.2017,7:41038。
【0053】
ヒトHIF1aのmRNAを標的とする干渉RNA分子(抗HIF1a干渉RNA)が、本明細書に記載される。かかる抗HIF1a干渉RNAは、RNA干渉プロセスを介してHIF1a発現を抑制することができ、それによって、HIF1aに関連する疾患、例えば、本明細書で論じられる疾患の治療に利益をもたらす。本明細書で使用される場合、「干渉RNA」という用語は、標的遺伝子の阻害において使用され得るいずれかのRNA分子であって、RNA干渉に直接関与する成熟RNA分子(例えば、本明細書に開示される21~23ntのdsRNA)又は成熟RNA分子を産生する前駆体分子の両方を含む、RNA分子を指す。
【0054】
抗HIF1a干渉RNAは、HIF1a mRNA内の標的部位に(完全に又は部分的に)相補的である断片を含む。断片は、標的部位に100%相補的であり得る。代替として、断片は、部分的に相補的であり得、例えば、1つ以上のミスマッチ又はギャップを含むが、二本鎖を標的部位において形成してRNA干渉を媒介するのに十分に相補的であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される干渉RNAは、ヌクレオチド配列:
(1)AUGAAGUGUACCCUAACUA(配列番号11)、
(2)AAGUCUGCAACAUGGAAGGUA(配列番号12)、
(3)AGGCCACAUUCACGUAUAU(配列番号1)、
(4)GGCCACAUUCACGUAUAUG(配列番号13)、
(5)UGAGGAAGUACCAUUAUAU(配列番号2)、
(6)AAGUUCACCUGAGCCUAAUAG(配列番号14)、
(7)ACUUUCUUGGAAACGUGUAA(配列番号15)、
(8)CCGGUUGAAUCUUCAGAUA(配列番号3)、
(9)GCGCAAGUCCUCAAAGCAC(配列番号4)、
(10)GUCGGACAGCCUCACCAAA(配列番号16)、及び
(11)AGCGCAAGUCCUCAAAGCAC(配列番号17)のうちの1つを有するHIF1a mRNA部位を標的とする。
【0056】
いくつかの例では、本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAは、AGGCCACAUUCACGUAUAU(配列番号1)のヌクレオチド配列を有するHIF1a mRNA部位を標的とする。いくつかの例では、本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAは、UGAGGAAGUACCAUUAUAU(配列番号2)のヌクレオチド配列を有するHIF1a mRNA部位を標的とする。他の例では、本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAは、CCGGUUGAAUCUUCAGAUA(配列番号3)のヌクレオチド配列を有するHIF1a mRNA部位を標的とする。例示的な抗HIF1a干渉RNAを、以下の表3及び4に提供する。
【0057】
いくつかの実施形態では、干渉RNAは、本明細書に開示し、siRNA、すなわち、2つの別個の相補的RNA鎖を含有する二本鎖RNA(dsRNA)であり得る。このようなsiRNAは、標的HIF1a mRNA部位に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖、及びセンス鎖(及び標的部位)に相補的なアンチセンス鎖を含み得る。センス鎖及び/又はアンチセンス鎖が、完全に同じである又は標的部位に相補的である必要はないことが、当業者には既知である。siRNAが、mRNA部位を、塩基対形成を介して依然として標的として、RNA干渉プロセスを媒介することができる限り、1つ以上のミスマッチが許容される。いくつかの事例では、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖(全センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖、又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の一部分)は、完全に同じである又は標的部位に相補的である。HIF1aを標的とする例示的なsiRNAは、以下の表3及び4に見出すことができる。
【0058】
他の例では、干渉RNAは、ここに開示する 低分子ヘアピン型RNA(shRNA)であることができ、shRNAは、タイトヘアピン構造を形成するRNA分子である。siRNA及びshRNAの両方は、本明細書に開示されるHIF1aの標的mRNA部位の配列に基づいて設計され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAは、siRNA分子、例えば、以下の表3及び表4に列挙されるsiRNA分子であることができる。具体的な例では、siRNAは、表4に列挙されるsiRNA、例えば、AI3-UM4及びAT9-UM4のうちの1つである。
【0060】
いくつかの例では、siRNAは、5’-AGGCCACAUUCACGUAUAA-3’(配列番号7)を含むセンス鎖、及び5’-UUAUACGUGAAUGUGGCCUGU-3’(配列番号8)を含むアンチセンス鎖を含み得る。いくつかの例では、siRNAは、5’-UGAGGAAGUACCAUUAUAA-3’(配列番号9)を含むセンス鎖、及び5’-UUAUAAUGGUACUUCCUCAAU-3’(配列番号10)を含むアンチセンス鎖を含み得る。
【0061】
いくつかの事例では、本明細書に開示されるsiRNAは、AI3-UM4又はAT9-UM4と同じセンス鎖及び/又は同じアンチセンス鎖を含み得る。他の事例では、本明細書に開示されるsiRNAは、AI3-UM4のセンス鎖と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上)同一であるセンス鎖を含み得、かつ/又はAI3-UM4のアンチセンス鎖と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上)同一であるアンチセンス鎖を含み得る。他の事例では、本明細書に開示されるsiRNAは、AT9-UM4のセンス鎖と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上)同一であるセンス鎖を含み得、かつ/又はAT9-UM4のアンチセンス鎖と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上)同一であるアンチセンス鎖を含み得る。
【0062】
2つの核酸の「パーセント同一性」は、Karlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-77,1993のように修正されたKarlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-68,1990のアルゴリズムを使用して判定される。このようなアルゴリズムは、Altschul,et al.J.Mol.Biol.215:403-10,1990のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子と相同のヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長-12で実行され得る。ギャップが2つの配列間に存在する場合、ギャップドBLASTが、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402,1997に記載されているように使用され得る。BLAST及びギャップドBLASTプログラムを使用するときに、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータが使用され得る。
【0063】
他の実施形態では、本明細書に記載される抗HIF1a siRNAは、参照siRNA、例えば、表3又は表4に列挙されるもの(例えば、AI3-UM4又はAT9-UM4)のセンス鎖及びアンチセンス鎖(合わせて又は別個に)と比較して、最大6つ(例えば、最大6、5、4、3、又は2つ)までのヌクレオチド変異を含有し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗HIF1a干渉RNA(例えば、AI3-UM4又はAT9-UM4などのsiRNA)のうちのいずれかは、非自然発生の核酸塩基、糖、又は共有結合性ヌクレオシド間結合(骨格)を含有し得る。このような修飾オリゴヌクレオチドは、所望の特性、例えば、増強された細胞取り込み、標的核酸への改善された親和性、増加したインビボ安定性を付与し、インビボ安定性(例えば、ヌクレアーゼ分解への耐性)を増強し、かつ/又は免疫原性を低減する。
【0065】
一例では、本明細書に記載される抗HIF1a干渉RNA(例えば、AI3-UM4又はAT9-UM4などのsiRNA)は、修飾骨格を有し、修飾骨格は、リン原子を保持するもの(例えば、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、及び同第5,625,050号を参照されたい)、及びリン原子を有しないもの(例えば、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、及び同第5,792,608号を参照されたい)を含む。リン含有修飾骨格の例としては、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホラミデート及びアミノアルキルホスホラミデートを含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホトリエステル、セレノホスフェート、並びに3’-5’結合又は2’-5’結合を有するボラノホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。このような骨格はまた、逆極性を有するもの、すなわち、3’から3’、5’から5’、又は2’から2’結合を有するものを含む。リン原子を含まない修飾骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成されている。このような骨格は、(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成された)モルホリノ結合を有するもの、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、リボアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、並びに混合N、O、S、及びCH2構成成分部分を有する他の骨格を含む。
【0066】
いくつかの例では、本明細書に記載される抗HIF1a干渉RNA(例えば、AI3-UM4又はAT9-UM4などのsiRNA)は、本明細書に開示される位置(例えば、シード領域内の5~8位、例えば、5~6及び/又は6~7間の位置)にPSヌクレオチド間結合を含有し得る。代替として、又は加えて、本明細書に記載される抗HIF1a干渉RNA(例えば、AI3-UM4又はAT9-UM4などのsiRNA)はまた、本明細書に開示されるものを含む、修飾糖、修飾塩基、修飾ヌクレオチドなどの1つ以上の追加の修飾を含有し得る。抗HIF1a干渉RNAはまた、標的化部分、例えば、本明細書に開示されるものにコンジュゲートされてもよい。例えば、抗HIF1a干渉RNAは、リガンド(標的化部分)にコンジュゲートされてもよく、又は小胞中に封入されてもよく、これは、所望の細胞/組織へのsiRNAの送達を容易にすることができ、かつ/又は細胞取り込みを容易にすることができる。好適なリガンドとしては、炭水化物、ペプチド、抗体、ポリマー、低分子、及びコレステロールが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のGalNAc部分(例えば、トリ-GalNAc部分)は、抗HIF1a干渉RNAを肝臓細胞に送達するための標的化部分として使用してもよい。
【0067】
明示的に指摘されない限り(例えば、記号「*」によって示されるPS結合)、本明細書において提供される非修飾ヌクレオチド配列は、任意の好適な修飾を有する非修飾RNA分子及びRNA分子の両方を包含することが意図されている。
【0068】
本明細書に記載される抗HIF1a干渉RNA分子(及び修飾siRNA分子)のうちのいずれかは、従来の方法、例えば、化学合成又はインビトロ転写によって調製され得る。本明細書に記載される、意図された生物活性は、例えば、以下の実施例に記載されるものによって検証され得る。いくつかの事例では、本明細書に開示される修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAは、標的遺伝子の発現を少なくとも50%、例えば、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上抑制することができる。
【0069】
抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかを発現するためのベクターもまた、本開示の範囲内にある。発現ベクターは、抗HIF1a干渉RNAをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメント(プロモーター/エンハンサー)を含み得る。典型的には、これらの配列は、抗HIF1a干渉RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方をコードすることができる。
【0070】
III.医薬組成物
本明細書に開示される修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかは、好適な医薬組成物に製剤化され得る。本明細書に記載される医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で更に含むことができる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.(2000)Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hoover。このような担体、賦形剤、又は安定剤は、本明細書に記載される組成物中の活性成分の1つ以上の特性、例えば、生物活性、安定性、生物学的利用能、並びに他の薬物動態及び/又は生物活性を増強し得る。
【0071】
許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度で、レシピエントに無毒であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、ベンゾエート、ソルベート、及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、セリン、アラニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストランを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又はTWEEN(商標)(ポリソルベート)、PLURONICS(商標)(非イオン性界面活性剤)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0072】
いくつかの例では、本明細書に記載される医薬組成物は、トリクロロモノ-フルオロメタン、ジクロロ-ジフルオロメタン、ジクロロ-テトラフルオロエタン、クロロペンタ-フルオロエタン、モノクロロ-ジフルオロエタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、オクタフルオロ-シクロブタン、精製水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、PEG(例えば、PEG400、PEG600、PEG800、及びPEG1000)、ソルビタントリオレエート、ダイズレシチン、レシチン、オレイン酸、ポリソルベート80、ステアリン酸マグネシウム及びラウリル硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、チモール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA、水酸化ナトリウム、トロメタミン、アンモニア、HCl、H2SO4、HNO3、クエン酸、CaCl2、CaCO3、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、EDTA二ナトリウム、サッカリン、メントール、アスコルビン酸、グリシン、リジン、ゼラチン、ポビドンK25、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、ラクトース、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、マンニトール、並びにデキストロースを含むことができるが、これらに限定されない賦形剤を含む。
【0073】
他の例では、本明細書に記載される医薬組成物は、持続的放出形式で製剤化され得る。持続的放出調製物の好適な例としては、成形品の形態である、固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックス、例えば、フィルム又はマイクロカプセルが挙げられる。持続的放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成された注射用マイクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、イソ酪酸酢酸スクロース、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0074】
インビボ投与のために使用される医薬組成物は、滅菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成される。治療組成物は、概して、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ若しくはバイアル、又は手動でアクセスされる密封容器内に置かれる。
【0075】
本明細書に記載される医薬組成物は、吸入又は吹送による投与、髄腔内、肺内、又は脳内経路、経口、非経口、又は直腸投与のための単位剤形、例えば、固体、溶液若しくは懸濁液、又は坐剤であり得る。
【0076】
固体組成物を調製するために、主活性成分は、医薬担体、例えば、従来の錠剤化成分、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はガム、及び他の医薬希釈剤、例えば、水と混合されて、本開示の化合物又は無毒の薬学的に許容されるその塩の均質の混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質と言及するときに、これは、活性成分が、組成物全体にわたって均等に分散されており、このため、組成物が、等しく有効な単位剤形、例えば、粉末収集物、錠剤、丸剤、及びカプセル剤に容易に細分され得ることを意味する。次いで、この固体予備製剤組成物は、好適な量の活性成分を組成物中に含有する上記のタイプの単位剤形に細分される。
【0077】
好適な表面活性剤は、特に、非イオン性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、TWEEN(登録商標)20、40、60、80、又は85)、及び他のソルビタン(例えば、SPAN(登録商標)20、40、60、80、又は85)を含む。表面活性剤を有する組成物は、好都合には、0.05~5%の表面活性剤を含み、0.1~2.5%であり得る。他の成分、例えば、マンニトール又は他の薬学的に許容されるビヒクルが、必要に応じて添加されてもよいことが理解されよう。
【0078】
好適なエマルジョンは、市販の脂肪エマルジョン、例えば、INTRALIPID(商標)、LIPOSYN(商標)、INFONUTROL(商標)、LIPOFUNDIN(商標)、及びLIPIPHYSAN(商標)を使用して調製され得る。活性成分は、予め混合されたエマルジョン組成物中に溶解させてもよく、又は代替として、活性成分は、油(例えば、ダイズ油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、又はアーモンド油)中に溶解させてもよく、リン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質、又はダイズレシチン)及び水と混合されると形成されるエマルジョン中に溶解させてもよい。他の成分、例えば、グリセロール又はグルコースが、エマルジョンの浸透圧を調節するために添加されてもよいことが理解されよう。好適なエマルジョンは、典型的には、最大20%の油、例えば、5~20%の油を含有する。
【0079】
吸入又は吹送のための医薬組成物は、薬学的に許容される水性若しくは有機溶媒又はこれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末を含む。液体又は固体組成物は、上記の好適な薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所又は全身効果のための経口又は鼻呼吸器経路によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、10nm~100mmのサイズの粒子から構成されている。
【0080】
好ましくは滅菌である薬学的に許容される溶媒中の組成物は、ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接呼吸されてもよく、又は噴霧デバイスは、フェイスマスク、テント、気管内チューブ、及び/若しくは間欠的陽圧呼吸器(換気装置)に取り付けられてもよい。溶液、懸濁液、又は粉末組成物は、製剤を適切な様式で送達するデバイスから、好ましくは、経口又は経鼻投与され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかは、リポソームに封入されるか、又は付着させてもよく、これは、当該技術分野において既知の方法、例えば、Epstein,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985)、Hwang,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030(1980)、並びに米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号に記載されている方法によって調製され得る。増強された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、逆相蒸発法によって、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物で生成され得る。リポソームは、一定の孔径のフィルタを介して押し出されて、所望の直径を有するリポソームが得られる。
【0082】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかはまた、例えば、コアセルベーション技法によって若しくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に封入されてもよく、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に封入されてもよく、又はマクロエマルジョン中に封入されてもよい。このような技法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.Mack Publishing(2000)を参照されたい。
【0083】
本明細書に開示される修飾siRNA分子を含む医薬組成物のうちのいずれかは、エンドソーム及び/又はリソソームから細胞質への組成物の輸送を増強する構成成分を更に含んでもよい。例としては、pH感受性薬剤(例えば、pH感受性ペプチド)が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物のうちのいずれかは、組成物の意図された治療的使用に基づいて、第2の治療剤を更に含み得る。
【0085】
IV.標的遺伝子発現の抑制
本明細書に開示される修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNA分子のうちのいずれかは、インビボ又はインビトロのいずれかで、標的遺伝子(例えば、HIF1a)の発現を抑制するために使用され得る。
【0086】
本明細書に開示される方法を実施するために、有効量の、修飾siRNA分子を含む本明細書に記載される医薬組成物は、治療を必要とする対象(例えば、ヒト)に、好適な経路、例えば、静脈内投与を介して、例えば、ボーラスとして、又は筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内、気管内、腫瘍内、経口、吸入、若しくは局所経路によるある期間にわたる連続注入によって投与され得る。ジェットネブライザ及び超音波ネブライザを含む、液体製剤のための市販のネブライザは、投与に有用である。液体製剤は、直接噴霧され得、凍結乾燥粉末は、再構成後に噴霧され得る。
【0087】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、単独又は1つ以上の他の活性剤との組み合わせのいずれかで治療効果を対象に付与するために必要とされる各々の活性剤の量を指す。有効量は、当業者によって認識されるように、治療されている特定の状態、状態の重症度、年齢、健康状態、サイズ、性別、及び体重を含む個々の患者のパラメータ、治療の持続期間、(存在する場合)同時療法の性質、特定の投与経路、並びに医療従事者の知識及び専門知識内の同様の因子に依存して変動する。これらの因子は、当業者に周知であり、通例の実験法のみで扱われ得る。概して、最大用量の個々の構成成分又はこれらの組み合わせ、すなわち、健全な医学的判断による最高安全用量が使用されることが好ましい。
【0088】
半減期などの経験的考慮事項は、概して、投与量の判定に寄与する。投与頻度は、療法の経過にわたって判定及び調節され得、概して、治療及び/又は抑制及び/又は寛解及び/又は標的疾患/障害の遅延に基づくが、必ずしもそうではない。代替として、修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNAの持続的連続放出製剤が、適切であり得る。持続的放出を達成するための様々な製剤及びデバイスは、当該技術分野において既知である。
【0089】
概して、修飾siRNA分子のうちのいずれか、又は本明細書に記載される抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかの投与について、初期候補投与量は、約2mg/kgであることができる。本開示の目的で、典型的な1日投与量は、上記の因子に依存して、約0.1μg/kg~3μg/kg~30μg/kg~300μg/kg~3mg/kg~30mg/kg~100mg/kg以上のうちのいずれかの範囲であり得る。数日以上にわたる反復投与について、状態に依存して、治療は、症状の所望の抑制が発生するまで、あるいは十分な治療レベルが達成されて標的疾患若しくは障害又はその症状を緩和するまで持続される。例示的な投与計画は、約2mg/kgの初期用量、続いて、約1mg/kgの週1回の維持用量の抗siRNA、又は続いて、隔週の約1mg/kgの維持用量を投与することを含む。しかしながら、他の投与計画が、従事者が達成することを望む薬物動態学的減衰のパターンに依存して有用であり得る。例えば、週1~4回の投与が企図される。いくつかの実施形態では、約3μg/mg~約2mg/kg(例えば、約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、及び約2mg/kg)の範囲の投与が使用され得る。いくつかの実施形態では、投与頻度は、毎週1回、2週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、若しくは10週間毎、又は毎月1回、2ヶ月毎、若しくは3ヶ月毎以上である。この療法の進行は、従来の技法及びアッセイによって容易に監視される。投与計画は、経時的に変動し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、標準体重の成人患者について、約0.3~5.00mg/kgの範囲の用量が投与され得る。特定の投与計画、すなわち、用量、タイミング、及び反復は、特定の個体及びこの個体の病歴、並びに個々の薬剤の特性(例えば、薬剤の半減期、及び当該技術分野において周知の他の考慮事項)に依存する。
【0091】
本開示の目的で、本明細書に記載される修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNA分子の適切な投与量は、疾患/障害のタイプ及び重症度、修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNAが防止目的で投与されるか治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の臨床歴及び拮抗剤に対する患者の応答、並びに主治医の裁量に依存する。臨床医は、修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAを、所望の結果を達成する投与量に達するまで投与してもよい。いくつかの実施形態では、所望の結果は、腫瘍負荷の減少、がん細胞の減少、又は免疫活性の増加である。
【0092】
投与量が所望の結果をもたらしたかを判定する方法は、当業者には明らかである。1つ以上の修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAの投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療であるか予防であるか、及び熟練した従事者に既知の他の因子に依存して、連続的又は間欠的であり得る。修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAの投与は、事前選択された期間にわたって本質的に連続的であってもよく、又は一連の間隔をおいた用量、例えば、標的疾患又は障害の発症前、中、又は後のいずれかでにあってもよい。
【0093】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、標的疾患若しくは障害、疾患/障害の症状、又は疾患/障害の素因を有する対象に、障害、疾患の症状、又は疾患若しくは障害の素因を治癒させる、治す、緩和する、軽減する、変化させる、療治する、寛解させる、改善する、又はこれらに影響する目的で、1つ以上の活性剤を含む組成物を適用又は投与することを指す。
【0094】
標的疾患/障害を緩和することは、疾患の発症若しくは進行を遅延させること、又は疾患重症度を低減することを含む。疾患を緩和することは、必ずしも治癒結果を必要とするわけではない。本明細書で使用される場合、標的疾患又は障害の発症を「遅延させる」とは、疾患の進行を延期する、妨げる、遅くする、遅らせる、安定させる、かつ/又は延ばすことを意味する。この遅延は、疾患歴及び/又は治療されている個人に依存して、様々な時間長さの遅延であることができる。疾患の発症を「遅延させる」若しくは緩和する、又は疾患の発病を遅延させる方法は、方法を使用しない場合と比較されたときに、疾患の1つ以上の症状を発症する確率を所与の時間枠内で低減し、かつ/又は症状の程度を所与の時間枠内で低減する方法である。このような比較は、典型的には、統計的に有意な結果を得るのに十分な数の対象を使用する臨床研究に基づく。
【0095】
疾患の「発症」又は「進行」とは、疾患の初期徴候及び/又はその後の進行を意味する。疾患の発症は、当技術分野において周知の標準的な臨床技法を使用して、検出可能であることができ、評価され得る。しかしながら、発症とは、検出不可能であり得る進行も指す。本開示の目的で、発症又は進行とは、症状の生物学的経過を指す。「発症」は、発生、再発、及び発病を含む。本明細書で使用される場合、標的疾患又は障害の「発病」又は「発生」は、初期発病及び/又は再発を含む。
【0096】
医学分野の当業者に既知の従来の方法が、治療される疾患のタイプ又は疾患の部位に依存して、対象に、医薬組成物を投与するために使用され得る。この組成物はまた、他の従来の経路を介して投与され得、例えば、経口、非経口投与されてもよく、吸入スプレーによって投与されてもよく、局所、直腸、経鼻、頬側、膣内投与されてもよく、又は埋め込み型リザーバを介して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、腫瘍内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、及び頭蓋内注射又は注入技法を含む。加えて、組成物は、対象に、注射可能デポ投与経路を介して、例えば、1、3、又は6ヶ月デポ注射可能又は生分解性材料及び方法を使用して投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、鼻経路を介して、例えば、鼻腔内スプレー、鼻スプレー、又は点鼻を介して投与され得る。
【0097】
注射可能組成物は、様々な担体、例えば、植物油、ジメチルアクタミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)を含有し得る。静脈内注射の場合、修飾siRNAは、点滴法によって投与することができ、それによって、干渉RNA及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤は、例えば、5%のデキストロース、0.9%の生理食塩水、リンガー溶液、又は他の好適な賦形剤を含み得る。筋肉内調製物、例えば、本明細書に開示される修飾siRNAの好適な可溶性塩形態の滅菌製剤は、医薬賦形剤、例えば、注射用水、0.9%の生理食塩水、又は5%のグルコース溶液中に溶解させて投与され得る。
【0098】
一実施形態では、修飾siRNA分子は、部位特異的又は標的局所送達技法によって投与することができる。部位特異的又は標的局所送達技法の例としては、治療用RNA分子の様々な埋め込み型デポソース、又は局所送達カテーテル、例えば、注入カテーテル、留置カテーテル、若しくは針カテーテル、合成グラフト、外膜ラップ、シャント及びステント、若しくは他の埋め込み型デバイス、部位特異的担体、直接注射、又は直接適用が挙げられる。例えば、国際公開第00/53211号及び米国特許第5,981,568号を参照されたい。
【0099】
ポリヌクレオチド、発現ベクター、又はサブゲノムポリヌクレオチドを含有する治療組成物の標的送達もまた、使用され得る。受容体媒介性DNA送達技法は、例えば、Findeis et al.,Trends Biotechnol.(1993)11:202、Chiou et al.,Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff,ed.)(1994)、Wu et al.,J.Biol.Chem.(1988)263:621、Wu et al.,J.Biol.Chem.(1994)269:542、Zenke et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:3655、Wu et al.,J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA分子のうちのいずれか、抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれか、又はそのようなものを含む医薬組成物は、肺送達システムによって投与され得、すなわち、活性医薬成分は、肺内に投与される。肺送達システムは、吸入器システムであることができる。いくつかの実施形態では、吸入器システムは、加圧定量噴霧式吸入器、乾燥粉末吸入器、又はネブライザである。いくつかの実施形態では、吸入器システムは、スペーサー付きである。
【0101】
いくつかの実施形態では、加圧定量噴霧式吸入器は、噴射剤、共溶媒、及び/又は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、噴射剤は、フッ素化炭化水素、例えば、トリクロロモノ-フルオロメタン、ジクロロ-ジフルオロメタン、ジクロロ-テトラフルオロエタン、クロロペンタ-フルオロエタン、モノクロロ-ジフルオロエタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、オクタフルオロ-シクロブタンを含む群から選択される。いくつかの実施形態では、共溶媒は、精製水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、PEG400、PEG600、PEG800、及びPEG1000を含む群から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤又は潤滑剤は、ソルビタントリオレエート、ダイズレシチン、レシチン、オレイン酸、ポリソルベート80、ステアリン酸マグネシウム、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む群から選択される。いくつかの実施形態では、保存剤又は酸化防止剤は、メチルパラベン、プロピパラベン、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、チモール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、EDTAを含む群から選択される。いくつかの実施形態では、pH調節又は浸透圧調節は、酸化ナトリウム、トロメタミン、アンモニア、HCl、H2SO4、HNO3、クエン酸、CaCl2、CaCO3を含む群から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、乾燥粉末吸入器は、分散剤を含む。いくつかの実施形態では、分散剤又は担体粒子は、ラクトース、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、マンニトール、デキストロースを含む群から選択され、これらの粒子サイズは、約1~100μmである。
【0103】
いくつかの実施形態では、ネブライザは、共溶媒、界面活性剤、潤滑剤、保存剤、及び/又は酸化防止剤を含み得る。いくつかの実施形態では、共溶媒は、精製水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、PEG(例えば、PEG400、PEG600、PEG800、及び/又はPEG1000)を含む群から選択される。いくつかの例では、界面活性剤又は潤滑剤は、ソルビタントリオレエート、ダイズレシチン、レシチン、オレイン酸、ステアリン酸マグネシウム、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む群から選択される。いくつかの例では、保存剤又は酸化防止剤は、メチルパラベン、プロピパラベン、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、チモール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、EDTAを含む群から選択される。いくつかの例では、ネブライザは、酸化ナトリウム、トロメタミン、アンモニア、HCl、H2SO4、HNO3、クエン酸、CaCl2、CaCO3を含む群から選択されるpH調節又は浸透圧調節を更に含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、抗HIF1a干渉RNAを産生することができるDNA分子、又はそのようなものを含む医薬組成物は、HIF1a発現をサイレンシングするために使用されてもよい。そのようなDNA分子(例えば、ベクター)を含む医薬組成物は、遺伝子療法プロトコルにおける局所投与のために、治療を必要としている対象に、約100ng~約200mgのDNAの範囲で投与され得る。いくつかの実施形態では、約500ng~約50mg、約1μg~約2mg、約5μg~約500μg、及び約20μg~約100μg以上のDNAの濃度範囲もまた、遺伝子療法プロトコル中に使用され得る。
【0105】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって判定された場合の、特定の値についての許容誤差範囲内を意味し、これは、どのように値が測定又は判定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」とは、当該技術分野における実施に従って、許容標準偏差以内を意味することができる。代替として、「約」とは、所与の値の最大±20%、好ましくは、最大±10%、より好ましくは、最大±5%、より好ましくは、更には、最大±1%までの範囲を意味することができる。代替として、特に、生物学的系又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは、2倍以内を意味することができる。特定の値が本明細書及び特許請求の範囲に記載される場合、別途記載されない限り、「約」の用語は、暗示的であり、この文脈において、特定の値についての許容誤差範囲内を意味する。
【0106】
修飾siRNA分子又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかによって治療される対象は、標的遺伝子に関連する疾患を有するか、又は有すると疑われ得、その抑制は、修飾siRNA分子(上記に開示された「標的遺伝子」を参照されたい)又は抗HIF1a干渉RNA(HIF1a)によって達成され得る。「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用され、治療のために評価されているかつ/又は治療されている哺乳動物を指す。対象は、ヒトであり得るが、他の哺乳動物、特に、ヒト疾患についての実験モデルとして有用な哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルなども含む。治療を必要とするヒト対象は、腫瘍などの標的疾患/障害を有する、これらのリスクがある、又はこれらを有すると疑われたヒト患者であり得る。
【0107】
本明細書に開示される修飾siRNA分子のうちのいずれかは、標的遺伝子に関連する疾患又は障害を治療するために使用され得る。例示的な疾患としては、がん、線維症、代謝性疾患、心血管疾患、免疫疾患、又は遺伝性障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
本明細書に開示される抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかは、HIF1aに関連する疾患又は障害を治療するために使用され得る。例としては、固形腫瘍、がん、虚血性心疾患、うっ血性心不全、急性肺損傷、肺高血圧症、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、急性肝不全、肝線維症及び肝硬変、急性腎損傷、慢性腎疾患、肥満、並びに糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書に開示される修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかは、標的疾患を治療するための1つ以上の追加の治療剤との併用療法において使用され得る。本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、これらの薬剤(例えば、修飾siRNA分子、抗HIF1a干渉RNA、及び追加の治療剤)が逐次的な様式で投与されること、すなわち、それぞれの治療剤が異なる時間に投与されること、及びこれらの治療剤、又は薬剤のうちの少なくとも2つが実質的に同時の様式で投与されることを包含する。それぞれの薬剤が逐次的に又は実質的に同時に投与されることは、任意の適切な経路によって影響され得、適切な経路は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、腫瘍内経路、皮下経路、粘膜組織を介する直接吸収、及び肺送達経路を含むが、これらに限定されない。薬剤は、同じ経路によって又は異なる経路によって投与され得る。例えば、第1の薬剤は、肺送達経路によって投与され得、第2の薬剤は、静脈内投与され得る。
【0110】
本明細書で使用される場合、「逐次的な」という用語は、別途指定されない限り、規則的な順序又は順番によって特徴付けられ、例えば、投与計画が組成物及び抗ウイルス剤の投与を含む場合、逐次的な投与計画は、組成物を、抗ウイルス剤の投与前に、同時に、実質的に同時に、又は後に投与することを含み得るが、両方の薬剤は、規則的な順序又は順番で投与されることを意味する。「離す」という用語は、別途指定されない限り、互いに間隔を保つことを意味する。「同時に」という用語は、別途指定されない限り、同時に起こる又は行われること、すなわち、本発明の薬剤が、同時に投与されることを意味する。「実質的に同時に」という用語は、薬剤が、互いに数分以内に(例えば、互いに10分以内に)投与され、共同投与及び継続的投与を包含することを意図するが、投与が継続的である場合、投与は、短期間(例えば、医療従事者が2つの化合物を別個に投与する時間)のみ時間的に離れていることを意味する。本明細書で使用される場合、同時投与及び実質的に同時投与は、互換的に使用される。逐次的な投与とは、本明細書に記載される薬剤の時間的に離れた投与を指す。
【0111】
併用療法はまた、本明細書に記載される薬剤を、他の生物学的活性成分及び非薬物療法と更に組み合わせて投与することを包含することができる。本明細書に記載される組成物と第2の治療剤とのいずれかの組み合わせは、標的疾患を治療するためのいずれかの順序で使用され得ることを理解されたい。
【0112】
標的疾患/障害のための治療効力は、当該技術分野において周知の方法によって評価され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNAのうちのいずれかは、インビトロで標的遺伝子の発現を抑制するために使用され得る。このような方法を実行するために、修飾siRNA又は抗HIF1a干渉RNA(例えば、ベクターなどのコード核酸を介して)は、インビトロで培養された細胞と、例えば、疾患機構の研究及び/又は薬物候補検証などの研究目的で接触していてもよい。
【0114】
V.キット
本開示は、単独で、又は試料及び/又は対象を試験するためのsiRNAのインビトロ又はインビボ導入を行うのに必要な試薬のうちの少なくとも1つを有するキットの構成要素として使用され得る。
【0115】
例えば、キットの好ましい構成要素としては、本開示の修飾siRNA分子、及び本明細書に記載される目的の細胞へのsiRNAの導入を促進するビヒクルが挙げられる(例えば、当該技術分野で知られている脂質及び他のトランスフェクション方法を使用して、例えば、Beigelman et al,米国特許第6,395,713号を参照されたい)。
【0116】
本キットはまた、遺伝子機能及び/若しくは活性の判定、又は薬物最適化、並びに創薬などにおける標的検証のために使用され得る(例えば、Usman et al,の米国出願第60/402,996号を参照されたい)。そのようなキットはまた、キットの使用者が本開示を実践することを可能にする説明書を含み得る。そのようなキットは、任意選択で、本明細書にまた記載される第2の治療剤のうちの1つ以上を含むことができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のうちのいずれかによる使用のための説明書を含むことができる。キットは、治療に好適な個体を、この個体が疾患を有する又は疾患のリスクがあるかを同定することに基づいて選択する説明を更に含み得る。
【0118】
意図された治療効果を達成するための修飾siRNA分子の使用に関する説明書は、概して、意図された治療のための投与量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、又はサブ単位用量であり得る。本開示のキット内に供給される説明書は、典型的には、標識又は添付文書上の書面説明書(例えば、キット内に含まれる紙シート)であるが、機械可読説明書(例えば、磁気若しくは光学記憶ディスク又はQRコード上に保持された説明書)もまた、許容される。
【0119】
標識又は添付文書は、組成物が意図された治療的有用性のために使用されることを示し得る。本明細書に記載される方法のうちのいずれかを実施するための説明書が提供され得る。
【0120】
本開示のキットは、好適な包装内にある。好適な包装は、チャンバ、バイアル、ボトル、ジャー、及び軟包装(例えば、密封Mylar又はプラスチックバッグ)などを含むが、これらに限定されない。また、特定のデバイス、例えば、吸入器、ネブライザ、換気装置、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザ)、又は注入デバイス、例えば、ミニポンプと組み合わせて使用するためのパッケージが企図される。キットは、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであり得る)。容器はまた、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであり得る)。
【0121】
キットは、任意選択で、緩衝液及び解釈情報などの追加の構成要素を提供し得る。通常、キットは、容器と、容器上若しくは容器に伴う標識又は添付文書と、を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、上記のキットの内容物を含む製造物品を提供する。
【0122】
一般的な技法
本開示の実施は、別途示されない限り、(組換え技法を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技法を使用し、これらは、当業者の技量の範囲内である。このような技法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1989)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.1987)、Introuction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.1993-8)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:a practice approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti andJ.D.Capra,eds.Harwood Academic Publishers,1995)、DNA Cloning:A practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985)、Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985
【数1】
、Transcription and Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984
【数2】
、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1986
【数3】
、Immobilized Cells and Enzymes(lRL Press,(1986
【数4】
、及びB.Perbal,A practical Guide To Molecular Cloning(1984)、F.M.Ausubel et al.(eds.)などの文献に完全に説明されている。
【0123】
更なる詳細なしに、当業者は、上記の説明に基づいて、本開示を最大限に使用することができると考えられる。したがって、以下の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、本開示の残りの部分をなんら限定しない。本明細書に記載される全ての刊行物は、本明細書で参照される目的で又は主題のために、参照により組み込まれる。
【実施例】
【0124】
実施例1:修飾siRNA分子のオフターゲット効果の調査
表1に列挙される7つのsiRNA候補を、合成し、トランスクリプトーム全体のオフターゲット効果の評価のためにスクリーニングした。酵素分解に抵抗するためにアンチセンス鎖の5’及び/又は3’末端に導入されたPS結合に加えて、表1に示されるように、PS結合もアンチセンス鎖のシード領域に組み込んだ。
【表1】
【0125】
ヒト肝細胞HL-7702細胞を、10%のウシ胎児血清を補充したRPMI-1640培地中で培養した。ヒト肝細胞がん(HepG2)細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco、ThermoFisher Scientific)を含む最小必須培地(Gibco、ThermoFisher Scientific)中で培養した。
【0126】
簡潔には、表1に列挙されるsiRNA候補を、ヒト肝細胞がんHepG2細胞株又はヒト肝細胞HL-7702細胞株にトランスフェクトして、これらのsiRNAによって引き起こされるオフターゲット効果を比較した。HepG2細胞を、24ウェル培養プレート内に播種し、これらの細胞にsiRNA候補を24時間トランスフェクトした。24時間のトランスフェクション後に、全RNAを、siRNA-トランスフェクション細胞から単離して、RT-qPCRを使用して、HIF1A mRNAのノックダウン効率を評価した。
【0127】
オフターゲット分析のために、HL-7702細胞を6ウェル培養プレート内に播種し、これらの細胞にsiRNAを24時間トランスフェクトした。次いで、全RNAを単離し、ゲノム全体のRNA配列決定を実行して、トランスクリプトーム全体のオフターゲット効果を評価した。
【0128】
RNA-seq実験について、HL-7702細胞を、2×105細胞/ウェルで6ウェル培養プレート内に播種し、18時間インキュベートした。次いで、各siRNA候補(10nM)を、Lipofectamine RNAiMAX(9ul/ウェル、Thermo Fisher Scientific)を使用して、製造業者のプロトコルに従って、HL-7702細胞にトランスフェクトした。24時間のトランスフェクション後に、細胞を、1×dPBSで2回洗浄し、TRIzol試薬(Thermo Fisher Scientific)中で可溶化した。全RNAを、製造業者の説明書に従って抽出した。全RNAを抽出し、ゲノムDNA混入を回避するためにデオキシリボヌクレアーゼで処理した。
【0129】
抽出されたRNAの純度(A260/A280とA260/A230との比)及び質(RIN≧8.0)を、NanoDrop 2000分光光度計(Thermo Scientific)及びAgilent バイオアナライザ2100(Agilent Technologies、Santa Clara,CA)を使用して判定した。全ての抽出されたRNA試料の質は、A260/A280≧1.9、A260/A230≧2、及びRIN=10.0であった。RNA-seqライブラリーを、Truseq Stranded Total RNA Library Prep Gold(Illumina)を使用して調製し、NovaSeq6000シーケンサー(Illumina)において、製造業者の説明書に従って配列決定した。1試料当たり平均8450万リードを、2×150bpのペアエンド配列決定から得た。生RNAリードを、SeqPrep及びSickleを使用して、20の最小平均質スコアで選別した。選別されたリードを、HISAT2を使用して、ヒトゲノム(GRCh.38.p13)にアライメントし、次いで、StringTieを使用してアセンブルした。遺伝子発現レベルを、RSEMによって認定し、100万個のマッピングされたリード当たりの1キロベース当たりの断片(FPKM)によって正規化した。差次的遺伝子発現分析を、DEGseqによって実行した。偽発見率(FDR)≦0.001及び倍率変化≧2を有する遺伝子を、差次的に発現された遺伝子(DEG)として同定した。
【0130】
非siRNA処置(未処置)細胞とHIF1A siRNA処置細胞を比較したゲノム全体のRNA配列決定を実行して、siRNAアンチセンス鎖の5~8位におけるPS結合がオフターゲット事象になんらかの主要な効果を有していたかどうかを判定した。
【0131】
図1に示されるように、34~74個の下方調節された遺伝子が、処置細胞と未処置細胞との間で観察された。AI3-A-PS6(34個の遺伝子)によって引き起こされる下方調節された遺伝子の数は、アンチセンス鎖の5~8位にPS結合を含有しないAI3-A-PS1(64個の遺伝子)によって引き起こされるものと比較して47%減少した。
【0132】
実施例2:RT-qPCRによる標的遺伝子ノックダウン効率の調査
表1に列挙されるsiRNA候補のノックダウン効率を、RT-qPCRによって判定した。簡潔には、HepG2細胞を、5×105細胞/ウェルで、24ウェル培養プレート内に播種した。次いで、各siRNA候補(10nM)を、Lipofectamine RNAiMAX(3ul/ウェル)を使用して、HepG2細胞にトランスフェクトした。24時間のトランスフェクション後、製造業者のプロトコルに従って、RNeasyキット(Qiagen)を使用して、全RNAを単離した。
【0133】
HIF1A mRNAレベルを、LightCycler 480(Roche Diagnostics)上で実行したiTaq Universal Probesワンステップキット(Bio-Rad)を用いたワンステップリアルタイム定量PCRを使用して定量した。HIF1Aのプライマー及びプローブは、予め設計されたPrimeTime qPCRアッセイ(Integrated DNA Technologies)からのものであった。それぞれの試料を、3回アッセイして、平均閾値サイクル(Ct)値を判定した。遺伝子発現倍率変化を、ΔΔCt法を使用して計算した。HIF1A mRNAを、
図2に示されるように、構成的に発現されたGAPDH mRNAに正規化した。
【0134】
図2に示すように、siRNA AI3-A-PS2のsiRNA AI3-A-PS7に対するノックダウン効率は、siRNA AI3-A-PS1処置細胞で正規化した後で類似していた。siRNAアンチセンス鎖の5~8位のPS結合は、siRNAのノックダウン効率に影響を与えない。
【0135】
実施例3:高いノックダウン効率を有する抗HIF1A siRNAの開発
この実施例は、HIF1A発現を干渉する効率が高い抗HIF1A siRNAの同定を報告する。
【0136】
候補抗HIF1A siRNAの設計
ヒトHIF1A mRNA配列(GenBank No.NM_001530.4)を標的とするsiRNA候補(抗HIF1A siRNA)を設計し、次いで以下に基づいて低いオフターゲット可能性を有するものを選択した:(1)ヒトmRNAデータベースに対する低い交差反応性、及び(2)低い数の、siRNA候補によって標的とされると予測される必須遺伝子。第1のセットのsiRNAを合成し、以下の表3に示されるように二重鎖に形成した。第1セットのHIF1A siRNA(以下の表3)を、HepG2細胞におけるHIF1A mRNA抑制についてスクリーニングした。HepG2細胞を、これらのsiRNAで24時間トランスフェクトした。次いで、リアルタイムqPCRを使用して、HIF1A発現を測定した。
【0137】
HepG2細胞の培養
ヒト肝細胞がん(HepG2)細胞株は、10%ウシ胎児血清(Gibco、ThermoFisher Scientific,USA)、200ユニット/mLのペニシリン+200ユニット/mLのストレプトマイシンを含む最小必須培地(Gibco、ThermoFisher Scientific,USA)中で、37℃、5%CO2で培養した。
【0138】
siRNAトランスフェクション
HepG2細胞を、24ウェル培養プレート内に、5×105細胞/ウェルで播種した。18時間のインキュベーション後、培地を500μlの新鮮な成長培地に置き換えた。各ウェルのsiRNA及びRNAiMaxの複合体組成物を、以下のように調製した:(1)1ulのsiRNAを50ulのOpti-MEMに添加し、(2)1.5ulのRNAiMaxを50ulのOpti-MEMに添加し、(3)(1)及び(2)を穏やかに混合し、室温で10分間インキュベートした。各ウェルに100ulのsiRNA/RNAiMax複合体を添加することによって、トランスフェクションを行った。次いで、細胞を、RNA精製の前に24時間インキュベートした。
【0139】
RT-qPCR
製造業者のプロトコルに従って、RNeasyキット(Qiagen)を使用して、全RNAを単離した。HIF1A mRNAレベルを、LightCycler 480(Roche Diagnostics)上で実行したiTaq Universal Probesワンステップキット(Bio-Rad)を用いたワンステップリアルタイム定量PCRを使用して定量した。RT-qPCRを、384ウェルプレート中で、50ngの全RNA、500nMのそれぞれのフォワードプライマー、リバースプライマー及びプローブ、0.25ulの逆転写酵素、並びに2×iTaq Master Mixで、10ulの全容積で、3連で実行した。HIF1A及びGAPDHのプライマー及びプローブ(表2)を、Integrated DNA Technologiesから合成した。サイクル条件は、製造業者の推奨サイクルパラメータ:50℃で10分間、95℃で2分間、並びに95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルに従った。遺伝子発現倍率変化を、ΔΔCt法を使用して計算した。HIF1A mRNAを、構成的に発現されたGAPDH mRNAに正規化した。
【表2】
【0140】
結果
第1ラウンドのスクリーニングでは、HepG2細胞を30nMのHIF1A siRNAで処置した。結果を、表3に示す。siRNAで処置したHepG2細胞におけるHIF1A mRNAの相対発現率は、RNAiMaxのみで処置し、siRNAでは処置していない対照と比較して、%HIF1A mRNAとして表す。
【表3】
【0141】
二本鎖番号3、7、及び10を、表4に列挙されるように更に修飾した。第2ラウンドのスクリーニングを、1nM siRNAで処置したHepG2細胞で行った。siRNAトランスフェクション及びRT-qPCRは、前述のように実行した。各siRNA二本鎖によって引き起こされるHIF1A発現レベルを表4に示す。
【表4】
【0142】
実施例4:ヒトHepG2異種移植マウスにおける抗siRNAの効果
例示的な抗HIF1A siRNA(AI3-UM4、別名、AI3)の、異種移植動物モデルにおけるノックダウン効果を、以下のように調査した。HepG2細胞を、4週齢の雌性M-NSGマウスに皮下接種した。腫瘍が50mm3の平均体積に達したとき、マウスは、腫瘍サイズ(各群においてn=3)に従って2つの群に無作為に分けられ、次いで、1日目、3日目、7日目及び14日目に、PBS(ビヒクル)又はHIF1A siRNA(10mg/Kg)を皮下注射した。AI3-UM4(AI3)を例として本研究で使用した。
【0143】
21日後、マウスを屠殺し、製造業者のプロトコルに従って、RNeasyキット(Qiagen)を使用して、腫瘍異種移植片から全RNAを抽出した。HIF1A mRNAの相対発現を、前述のようにRT-qPCRによって定量した。ヒトHepG2腫瘍異種移植片におけるHIF1Aの発現レベルを
図3Aに提示する。対照で正規化した後(ビヒクルで処理した後)、HIF1A siRNA(10mg/Kg AI3)で処理したHIF1A mRNAレベルは、ヒト肝細胞がん細胞において52%減少した。
【0144】
更に、例示的な抗HIF1A siRNAの抗腫瘍成長効果を異種移植マウスモデルにおいて調査した。HepG2腫瘍(約50mm
3)を有する雌性M-NSGマウスを調製し、前述のように2つの群に分けた。ビヒクル及びHIF1A siRNAを、1日目、3日目、7日目及び14日目にマウスに皮下注射した。各マウスにおける腫瘍の長さ及び幅を、週に2回、3週間測定した。腫瘍体積は、L×W2×0.5として計算した。相対腫瘍体積(%)は、各時点での腫瘍体積対各マウスの初期腫瘍体積(投与の初期時点で)のパーセンテージとして定義される。
図3Bに示されるAには、HIF1A siRNA(10mg/Kg AI3)の投与により、ヒト肝細胞がん細胞における腫瘍体積が49%有意に減少した。
【0145】
他の実施形態
本明細書に開示される特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書に開示される各々の特徴は、同じ、均等な、又は同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別途明白に記載されない限り、開示される各々の特徴は、全般的な一連の均等な又は同様の機能の例のみである。
【0146】
上記の説明から、当業者は、本開示の必須の特徴を容易に確認することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の様々な変更及び修正をなして、本発明を様々な使用及び条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲内である。
【0147】
均等物
いくつかの発明実施形態が、本明細書に記載及び例示されているが、本明細書に記載される機能を実行し、かつ/又は本明細書に記載される結果及び/若しくは利点のうちの1つ以上を得るための様々な他の手段及び/又は構造が、当業者には容易に想到され、このような変形及び/又は修正の各々は、本明細書に記載される発明実施形態の範囲内であることが意図されている。概して、本明細書に記載される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示的であることが意図されていること、並びに実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明教示が使用される具体的な用途又は複数の用途に依存することが、当業者には容易に理解されよう。当業者は、通例の実験法のみを使用して、本明細書に記載される具体的な発明実施形態の多くの均等物を認識するか又は確認することができる。したがって、上記の実施形態は、例としてのみ提示されること、並びに添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、発明実施形態は、具体的に記載及び特許請求されるものとは別法で実施されてもよいことが、理解される。本開示の発明実施形態は、本明細書に記載される各々の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。加えて、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のいずれの組み合わせも、このような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明範囲内に含まれる。
【0148】
本明細書で定義及び使用される場合、全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義される用語の通常の意味よりも優先されると理解されるべきである。
【0149】
本明細書に開示される全ての参照文献、特許、及び特許出願は、これらの各々が引用される主題、いくつかの場合では、これらの文書全体を包含し得る主題に関して、参照により組み込まれる。
【0150】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」は、明白に反して示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0151】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「及び/又は」という語句は、このように等位接続された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、要素は、いくつかの場合では、接続的に存在し、他の場合には、非接続的に存在することを意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で列挙される複数の要素は、同じ様式で、すなわち、要素のうちの「1つ以上」が、このように等位接続されていると解釈されるべきである。「及び/又は」という句によって具体的に同定される要素以外の他の要素が、具体的に同定されるこれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」などの非限定的な言語と合わせて使用されたときに、一実施形態では、(任意選択で、B以外の要素を含む)Aのみ、別の実施形態では、(任意選択で、A以外の要素を含む)Bのみ、更に別の実施形態では、(任意選択で、他の要素を含む)A及びBの両方、などを指すことができる。
【0152】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するときに、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である、すなわち、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが、これらのうちの2つ以上も含み、任意選択で、列挙されない追加の項目を含むとして解釈される。明白に反して示される用語のみ、例えば、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」、又は特許請求の範囲で使用されたときに、「からなる」とは、いくつかの要素又は要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」が前にあるときに、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すとしてのみ解釈される。特許請求の範囲内で使用されたときに、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用される場合のこの通常の意味を有する。
【0153】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに言及して、「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の要素のうちのいずれかの1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙される各々全ての要素のうちの少なくとも1つを含むとは限られず、要素のリスト内の要素のいずれの組み合わせも除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、要素のリスト内で具体的に同定され「少なくとも1つ」という語句が指す要素以外の要素が、具体的に同定される要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、任意選択で存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は均等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は均等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)とは、一実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のAを含み、Bが存在しない(任意選択で、B以外の要素を含む)こと、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のBを含み、Aが存在しない(任意選択で、A以外の要素を含む)こと、更に別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のAを含み、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のBを含む(任意選択で、他の要素を含む)ことなどを指すことができる。
【0154】
また、明白に反して示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれの方法においても、方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、方法のステップ又は行為が列挙される順序に限定されるとは限らないことが理解されるべきである。
【配列表】
【国際調査報告】