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特表2024-529932レーダデータ分析および隠れオブジェクト検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レーダデータ分析および隠れオブジェクト検出
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/00 20060101AFI20240806BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240806BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240806BHJP
   G01S 7/292 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W40/02
G01S13/931
G01S7/292
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503808
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022037825
(87)【国際公開番号】W WO2023004011
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】17/384,430
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518156417
【氏名又は名称】ズークス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタ サブラマニャム チャンドラ セカル チェビヤム
(72)【発明者】
【氏名】スバシンハ シャミンダ スバシンハ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア クリサー コーヘン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ワン
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ メアリー ティン
(72)【発明者】
【氏名】バディーア ファーダウス アルファーダウス アラゼム
【テーマコード(参考)】
3D241
5J070
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
5J070AC02
5J070AC13
5J070AC19
5J070AE01
5J070AE09
5J070AE10
5J070AF03
5J070AK14
(57)【要約】
本明細書において、レーダデータを分析して、1つまたは複数のターゲット検出からのレーダノイズがターゲット検出の近傍において追加のオブジェクトを隠す可能性があることを決定するための技術が説明される。オブジェクトが隠され得るかを決定することは、ターゲット検出に基づくレーダノイズレベル、並びに、特定のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ断面および/またはドップラーデータの分布に基づいて、レーダノイズレベルに少なくとも部分的に基づいてよい。ターゲット検出の近傍の位置について、レーダシステムは、推定ノイズレベルを決定し、かつ、推定ノイズレベルをオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ断面確率と比較して、オブジェクトタイプのオブジェクトがその位置に隠され得る尤度を決定し得る。分析に基づいて、システムは、車両軌道を決定し得、そうでなければ、オブジェクトが位置に隠され得る尤度に基づいて車両を制御し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のプロセッサと、コンピュータ実行可能な命令を記憶する1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備えるシステムであって、前記命令が実行されると、前記システムに、
環境内の領域に関連付けられたレーダデータを受信することと、
前記領域に関連付けられたレーダノイズデータを決定することと、
車両のレーダ応答閾値および前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダデータを評価することであって、前記レーダ応答閾値は、車両安全メトリックに少なくとも部分的に基づくことと、
前記レーダ応答閾値および前記レーダデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、
を含む動作を実行させるシステム。
【請求項2】
前記車両安全メトリックは、第1のオブジェクトタイプに関連付けられ、かつ、前記動作は、
前記レーダノイズデータおよび前記第1のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置において前記第1のオブジェクトタイプのオブジェクトを検出することに関連付けられた確率を決定することと、
前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動作は、
第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答閾値を、前記レーダノイズデータおよび前記第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて決定することと、
前記レーダノイズデータおよび前記第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の位置において前記第2のオブジェクトタイプの第2のオブジェクトを検出することに関連付けられた第2の確率を決定することと、
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記動作は、
前記環境内において前記車両を動作させることに関連付けられた走行可能な表面メトリックを決定することと、
前記走行可能な表面メトリックに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、
をさらに含む、請求項1-3の何れかに記載のシステム。
【請求項5】
前記動作は、
前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置に関連付けられた第1のレーダノイズレベル、および、前記環境内の第2の位置に関連付けられた第2のレーダノイズレベルを決定することと、
前記第1の位置を除外し、かつ、前記第2の位置を含む前記車両の軌道を、
前記第1のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を満たすか、または超えると決定すること、および、
前記第2のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を下回ると決定すること、
に少なくとも部分的に基づいて、生成することと、
をさらに含む、請求項1-4の何れかに記載のシステム。
【請求項6】
前記レーダノイズデータを決定することは、
前記レーダデータに関連付けられた前記環境内の第1の位置を決定することと、
前記環境内の第2の位置に関連付けられたレーダノイズレベルを決定することであって、前記第1の位置と前記第2の位置との間のレーダデバイスからの距離の差、および、前記レーダデータに関連付けられた強度測定に少なくとも部分的に基づくことと、
を含む、請求項1-5の何れかに記載のシステム。
【請求項7】
環境内の領域に関連付けられたレーダデータを受信することと、
前記領域に関連付けられたレーダノイズデータを決定することと、
車両のレーダ応答閾値および前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダデータを評価することであって、前記レーダ応答閾値は、車両安全メトリックに少なくとも部分的に基づくことと、
前記レーダ応答閾値および前記レーダデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、
を含む方法。
【請求項8】
前記車両安全メトリックは、第1のオブジェクトタイプに関連付けられ、前記方法は、
前記レーダノイズデータおよび前記第1のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置において前記第1のオブジェクトタイプのオブジェクトを検出することに関連付けられた確率を決定することと、
前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答閾値を、前記レーダノイズデータおよび前記第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて決定することと、
前記レーダノイズデータおよび前記第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の位置において前記第2のオブジェクトタイプの第2のオブジェクトを検出することに関連付けられた第2の確率を決定することと、
をさらに含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1のレーダ応答閾値を決定することと、
前記第1のレーダ応答閾値に関連付けられた第1の数の偽陽性レーダ検出および第1の数の偽陰性レーダ検出を決定することと、
第2のレーダ応答閾値を決定することと、
前記第2のレーダ応答閾値に関連付けられた第2の数の偽陽性レーダ検出および第2の数の偽陰性レーダ検出を決定することと、
前記第1の数の偽陽性レーダ検出および前記第2の数の偽陽性レーダ検出、並びに、前記第1の数の偽陰性レーダ検出および前記第2の数の偽陰性レーダ検出に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のレーダ応答閾値または前記第2のレーダ応答閾値の何れかを前記レーダ応答閾値として決定することと、
をさらに含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記環境内において前記車両を動作させることに関連付けられた走行可能な表面メトリックを決定することと、
前記走行可能な表面メトリックに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、
をさらに含む、請求項7-10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置に関連付けられた第1のレーダノイズレベル、および、前記環境内の第2の位置に関連付けられた第2のレーダノイズレベルを決定することと、
前記第1の位置を除外し、かつ、前記第2の位置を含む前記車両の軌道を、
前記第1のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を満たすか、または超えると決定すること、および、
前記第2のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を下回ると決定すること、
に少なくとも部分的に基づいて、生成することと、
をさらに含む、請求項7-11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記レーダノイズデータを決定することは、
前記レーダデータに関連付けられた前記環境内の第1の位置を決定することと、
前記環境内の第2の位置に関連付けられたレーダノイズレベルを決定することであって、前記第1の位置と前記第2の位置との間のレーダデバイスからの距離の差、および、前記レーダデータに関連付けられた強度測定に少なくとも部分的に基づくことと、
を含む、請求項7-12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
第1の環境に関連付けられた第1の車両安全メトリックを決定することと、
第2の環境に関連付けられた第2の車両安全メトリックを決定することと、
前記車両の動作環境を決定することと、
前記車両の前記動作環境に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の車両安全メトリックまたは前記第2の車両安全メトリックの何れかを前記車両安全メトリックとして決定することと、
をさらに含む、請求項7-13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
命令を備える1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、請求項7-14の何れか1項に記載の方法を実施させる、
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダデータ分析および隠れオブジェクト検出に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、2021年7月23日に出願され、「RADARデータ分析および隠れオブジェクト検出」と題された米国特許出願第17/384,430号の優先権を主張し、その内容全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0002]レーダは、一般に、電波を送信し、オブジェクトの表面から電波の反射を受信することによって、レーダデバイスからオブジェクトの表面までの距離を測定し、その距離は、レーダデバイスのセンサによって読み取られ得る。センサは、センサに入射する電波に少なくとも部分的に基づいて信号を生成し得る。この信号は、反射に起因するリターン信号を含み得るが、信号はまた、ノイズおよび/または他の干渉信号に起因する部分(レーダデバイス自体から、または外部ソースから)を含み得る。リターン信号をノイズまたは他の干渉信号から区別するために、レーダデバイスは、一般に、偽陽性検出(false positive detection)を抑制するための検出閾値を使用する(すなわち、実際には、信号の一部がノイズおよび/または他の干渉信号に起因する場合、信号の一部をリターンとして識別する)。しかしながら、幾つかの状況において、このような抑制は実際のリターンに関連付けられ得るため、問題(および危険)であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第16,407,139号明細書
【図面の簡単な説明】
【0005】
[0003]詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。図面において、参照番号の左端の数字は、その参照番号が最初に出現する図面を識別する。異なる図面における同一の参照番号の使用は、類似または同一の項目または特徴を示す。
【0006】
図1】[0004]図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、自律車両のレーダデバイスが、検出に関連付けられたレーダノイズによってオブジェクトが隠され得るデータを含むレーダデータを受信し分析する例示的なシナリオを示す図である。
図2】[0005]図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、歩行者オブジェクトタイプに関連付けられた例示的なレーダ断面分布および例示的なドップラー分布を示す図である。
図3】[0006]図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、環境内の歩行者に基づく検出、推定騒音レベル、および、レーダリターン信号を含む例示的なレーダデータを示す図である。
図4】[0007]図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、レーダノイズレベルおよびオブジェクトタイプ固有の閾値に基づいた走行可能および走行可能でない領域の表示を含む、自律車両に関連付けられた環境の例示的なグリッドマップを示す図である。
図5】[0008]図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、検出と検出に近いオブジェクトとの間の距離およびドップラーデルタを示すグラフである。
図6】[0009]図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、走行可能および走行可能でない表面を決定し、かつ、レーダデータ分析に基づいて車両を制御する例示的なプロセスを示すフロー図である。
図7】[0010]図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、ドップラーレンジ確率および対応するレーダ応答閾値に基づいて位置に隠れたオブジェクトの確率を決定するためのレーダデータモデルを示す図である。
図8】[0011]図8は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、レーダデータ分析に基づいて車両を制御するための走行可能および走行可能でない表面を決定する別の例示的なプロセスを示すフロー図である。
図9】[0012]図9は、本明細書において説明する様々な技術を実施するための例示的なシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0013]本明細書において論じられる技術は、環境を移動する車両によって生成されたレーダデータを分析し、かつ、1つまたは複数のターゲット検出に基づくレーダノイズが、検出されたターゲットの近傍の追加のオブジェクトを潜在的に隠し得ると決定することに関する。以下の様々な例において説明されるように、レーダシステムは、環境において検出されたターゲットに関連付けられたサイドローブレベルに基づいてレーダノイズレベルを決定し得る。特定のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ断面(RCS)閾値および/またはドップラー閾値を含むレーダ応答閾値は、オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答分布に基づいて決定され得る。例えば、1つまたは複数のレーダ応答閾値は、歩行者オブジェクトタイプからの分布、および、レーダノイズ内の歩行者の検出に関連付けられた所定の確率および/または信頼度閾値(例えば、95%)に基づいて計算され得る。ターゲット検出に近い特定の位置(または領域)について、レーダシステムは、その位置の推定ノイズレベルを決定し、かつ、推定ノイズレベルを1つまたは複数のオブジェクトタイプに関連付けられたRCSおよび/またはドップラー閾値と比較して、オブジェクトタイプのオブジェクトがその位置に隠され得る尤度を決定し得る。レーダデータの分析に基づいて、車両は、1つまたは複数のオブジェクトが位置に隠れ得る尤度に基づいて、軌道を決定するか、またはそうでなければ車両を制御し得る。
【0008】
[0014]オブジェクトを検出するためのレーダデータの分析は、偽陽性検出を低減または抑制するための技術を含み得る。偽陽性検出は、環境内の物理的なオブジェクトではなく、レーダノイズによって引き起こされるレーダデータ内のオブジェクト検出の決定を含み得る。レーダ偽陽性検出抑制のための従来の技術は、検出閾値を決定して偽陽性検出の数を減少させること、および/または、偽陽性検出の数を指定された偽陽性検出率未満に保つことを含む。例えば、セル平均化CFAR(CA-CFAR)のような一定誤警報確率技術(CFAR)は、レーダデータの各セル(または部分)をテストして、対象のセルに関連付けられた信号が、対象のセルの信号および/または対象のセルの周りのセルに関連付けられた信号を平均化することによって決定された検出閾値を満たすか、または超えるかを決定し得る。そのような技術は、対象となるセルがリターン信号(例えば、検出されたオブジェクトを示すレーダ応答データ)を含む場合、周囲または近傍のセルがスキャンされた領域内のレーダノイズの良好な推定を提供する可能性が高いと想定する。他の技術は、セルに関連付けられた信号の最大部分をリターン信号として選択するといったように、CFAR技術に代替的または追加的に使用され得る。
【0009】
[0015]しかしながら、レーダデータに対する偽陽性検出抑制技術の適用は、誤検出の数を増加させる傾向があり得、環境内において検出された物理的なオブジェクトによって生じる応答信号は、レーダノイズに起因し、かつ、抑制される。例えば、環境の領域におけるレーダノイズの推定は、ノイズ閾値を下回るより小さい、および/または、より少ないレーダ反射オブジェクトのレーダ検出を隠し得る。自律車両の場合、環境内の物理的なオブジェクトを識別することの失敗を表す誤レーダ検出は、車両、乗員、および、周囲の環境の安全性に重大なリスクをもたらし得る。
【0010】
[0016]レーダ偽陽性および偽陰性検出の技術的問題に対処するために、本明細書において論じられる技術は、特定のオブジェクトタイプのレーダ応答分布に基づいて閾値を決定して、環境内の車両の走行可能および走行可能でない表面を決定することを含み得る。以下の様々な例において説明されるように、レーダノイズ推定器は、レーダデータ内において検出されたターゲットの位置および属性を使用して、検出されたターゲットに近い他の位置において推定レーダノイズレベルを決定し得る。オブジェクトタイプ閾値コンポーネントは、走行可能および走行可能でない表面を決定するために環境内の様々な位置におけるノイズレベルと比較され得る、特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者)に関連付けられた様々な閾値(例えば、RCSおよび/またはドップラー閾値)を決定し得る。
【0011】
[0017]走行可能でない表面は、領域が1つまたは複数のオブジェクトを潜在的に隠すように、レーダノイズレベルが十分に高い(例えば、閾値を満たすか、または超える)環境内の領域/位置であり得る。物理的なオブジェクトは、走行可能でない表面の位置に存在してもしなくてもよいが、レーダノイズは、走行可能でない表面をレーダデバイスによって効果的にスキャン不能にしてもよい。したがって、車両の制御およびナビゲーションシステムは、オブジェクトの存在を検証することができない場合であっても、走行可能でない表面の各位置(例えば、1つまたは複数のレーダセル)がオブジェクトを含むと仮定し得る。これに対し、走行可能な表面は、レーダノイズレベルが閾値を下回る環境内の領域/位置であり得、レーダノイズが所定の確率または信頼度でオブジェクトを隠すことが可能であることを示す。以下においてより詳細に説明されるように、走行可能および走行可能でない表面を決定するために使用される閾値は、特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者)およびオブジェクト分布に基づく所定の確率に関連付けられ得る。例えば、閾値は、環境内の歩行者から95%のレーダ応答を含むように決定された値であり得る。異なる閾値は、環境内の歩行者の異なるパーセンテージ(例えば、90%、99%など)、または異なるオブジェクトタイプ(例えば、自転車、車、動物など)からの所定のパーセンテージのレーダ応答を含むように決定された異なる値であり得る。以下においてより詳細に説明されるように、オブジェクトタイプ固有のレーダ応答閾値は、信号電力値(例えば、RCS値、またはレーダ反射電力もしくは強度の他の指標)、ドップラー値、または、電力とドップラー値の組み合わせを含み得る。
【0012】
[0018]幾つかの例において、オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値は、オブジェクトタイプのオブジェクトについての所定の確率値に基づいて決定され得る。例えば、歩行者の所望の確率95%に基づいて、対応するRCS閾値を決定するために歩行者RCS分布が使用され得、および/または、対応するドップラー閾値を決定するために歩行者ドップラー分布が使用され得る。他の例において、閾値に関連付けられた対応する確率(または信頼レベル)を決定するために所定の閾値が使用され得る。例えば、-50dBのRCSレーダ応答閾値に基づいて、閾値を超える歩行者の割合を決定するために歩行者RCS分布が使用され得る。閾値を超える歩行者のパーセンテージはまた、歩行者がレーダデータ内のその場所に存在する場合に、その歩行者のRCSが閾値を超え、かつ、その閾値をノイズレベル閾値として適用するレーダシステムにとってその歩行者が可視である尤度に対応し得る。
【0013】
[0019]RCS閾値および/またはドップラー閾値を含むオブジェクトタイプレーダ応答閾値はまた、必要に応じて車両の安全性および/または走行効率を改善するために、車両の動作中に上方または下方に修正され得る。例えば、車両のコンポーネントは、閾値に基づいて車両に対して決定された走行可能および走行可能でない表面を変更するために、1つまたは複数のオブジェクトタイプのために使用されるレーダ応答閾値を調整し得る。例えば、車両の周囲の環境が、車両が環境を移動することを可能にする十分な走行可能な表面を含まない場合、オブジェクトタイプ閾値コンポーネントは、レーダ応答閾値を増加して、車両に利用可能な走行可能な表面の量を増加させ得る。これに対し、環境がより十分な走行可能な表面を含む場合、オブジェクトタイプ閾値コンポーネントは、1つまたは複数のレーダ応答閾値を増加して、潜在的なオブジェクトが環境内のレーダノイズによって隠され得なかったという信頼レベルを増加させ得る。
【0014】
[0020]以下においてより詳細に説明されるように、幾つかの例において、複数の異なる閾値が異なるドップラーレンジに対して定義され得る。幾つかの例において、環境内の領域の推定レーダノイズレベルは、領域と近傍のターゲット検出位置との間のレーダレンジの差に基づいてもよく、また、領域とターゲット検出位置との間のレーダ測定値(例えば、ドップラーおよび/またはRCS)の差に基づいてもよい。例えば、ターゲット検出位置と別の位置との間のドップラー差が増加するにつれて、別の位置における推定ノイズレベルは減少し得る。結果として、異なるレーダ信号電力(例えば、RCS)閾値が決定され、かつ、異なるドップラーレンジに適用され得る。異なる閾値は、異なるドップラーレンジについて評価され、かつ、異なるドップラーレンジの関連付けられたオブジェクト固有の確率と共に使用されて、オブジェクトタイプのオブジェクトがその位置に隠され得る(例えば、異なるドップラーレンジについての別々の確率を合計することによって)合計確率を決定し得る。
【0015】
[0021]少なくとも幾つかの例において、レーダデータにおいて変化するオブジェクトタイプについて複数の決定が行われ得る。セルのグリッド、ノングリッドマッピング、および/または、レーダデータ等高線(contour)といったレーダデータマッピングの場合、1つまたは複数の異なるオブジェクトタイプに関して、走行可能および走行可能でない表面マップが車両に対して決定され得る。例えば、潜在的に隠された歩行者に基づいた走行可能/走行可能でない表面マップは、潜在的に隠された自転車走行者などに基づいたマップとは異なり得る。幾つかの例において、自律車両は、本明細書において論じられる技術に従って、1つまたは複数の走行可能/走行可能でない表面マップに少なくとも部分的に基づいて、自律車両の動作を制御するための軌道を生成し得る。追加的または代替的に、自律車両は、本明細書において論じられる技術に基づき、衝突回避システム(CAS)、リモート操作コンピューティングデバイスを作動させてもよく、および/または、走行可能/走行可能でない表面マップおよび/または潜在的に隠されたオブジェクトの決定に基づいて、特定の自律走行特徴を係合(engage)または係合解除(disengage)してもよい。
【0016】
[0022]さらに、幾つかの例では、本明細書において説明される技術は、追加的または代替的に、追加または代替のセンサ手段(sensor modality)(例えば、カメラ、LIDARセンサなど)から受信されたオブジェクト検出および他のセンサデータに基づいて、推定レーダノイズレベル、オブジェクト固有のレーダ応答閾値、および/または、走行可能/走行可能でない表面を決定することを含み得る。幾つかの例では、本明細書において説明される様々な技術(例えば、環境内の位置のレーダノイズ推定、オブジェクトタイプのレーダ応答閾値決定、および、閾値ベースの走行可能/走行可能でない表面決定など)は、カメラまたはLIDARセンサといった他の車両センサが蒸気、光フレア、反射などによって塞がれるまたは遮蔽され得るという決定に応答して実行され得る。追加的または代替的に、本明細書に記載の技術は、第1の動作において実行され得、その後、潜在的に歩行者(または他のオブジェクトタイプのオブジェクト)を隠すと決定されたあらゆる位置が、位置(例えば、視覚オブジェクト認識および分析など)をさらに分析するために他のセンサモダリティを使用する追加の動作に提供され得る。
【0017】
[0023]オブジェクトが潜在的に隠され得るレーダデータ内の位置を決定する本明細書に記載の技術は、追加的または代替的に、様々なオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答プロファイル(または応答プロファイル)を受信および/または決定することを含み得る。応答プロファイルは、オブジェクトタイプが電波に影響を与える方法、したがって、オブジェクトタイプがレーダセンサ出力信号にどのように「現れるか」に影響を与えるオブジェクトタイプの特性をパラメータ化し得る。例えば、応答プロファイルは、オブジェクトタイプに関連付けられた受信電力および/またはRCSを含み得る。幾つかの例において、応答プロファイルによって示される受信電力および/またはRCSの値は、決定論的であってもよく、または追加または代替の例において、値は、確率的であってもよい(例えば、オブジェクトタイプに関連付けられた確率分布関数によって示される)。幾つかの例において、オブジェクトが検出されるであろう尤度、または検出されないであろう尤度は、1つまたは複数のオブジェクトタイプについて決定され得る。例えば、本技術は、歩行者が特定の位置として検出されないであろう第1の尤度、大型車両がその位置において検出されないであろう第2の尤度、小型車両が検出されないであろう第3の尤度、交通標識が検出されないであろう第4の尤度などを決定することを含み得る。幾つかの例において、本技術は、オブジェクトタイプ、オブジェクトサイズ、オブジェクト反射率などに関連する応答プロファイルを記憶することを含み得る。幾つかの例において、応答プロファイルは、距離、方位角、および/または、ドップラーによってインデックス付けされてよい。
【0018】
[0024]本技術は、追加的または代替的に、オブジェクトタイプおよび環境の一部に関連付けられた尤度を決定することを含み得る(例えば、レンジ(または距離)、方位角、ドップラー、および/または、標高の異なるビンについて)。本技術は、尤度をレーダ空間グリッドの一部に関連付けることを含み得る。例えば、レーダ空間グリッドは、複数のセルを含み得、その各々は、環境の異なる部分および/またはレーダデータの異なるビンを表し得る。幾つかの例において、セルは、それに関連付けられた1つまたは複数の尤度を有してよく、各尤度は、異なるオブジェクトタイプに関連付けられてよい。
【0019】
[0025]幾つかの例において、自律車両は、レーダ空間グリッドに少なくとも部分的に基づいて、自律車両の動作を制御するための軌道を生成し得る。本技術は、それによって自律車両の操作の安全性および有効性を改善し得る。さらに、本明細書において論じられる技術は、未加工(raw)のレーダ信号を受信する必要なしに、および/または、レーダデバイスが検出を生成するアルゴリズムに関する(独自の)情報なしに、レーダデータにおける潜在的な偽陰性の存在をコンピュータが推測することを可能にし得る。
【0020】
[0026]図1は、オブジェクトに関連付けられたレーダ応答閾値を使用して、環境内の走行可能および走行可能でない表面を決定するように構成された自律車両102を含む例示的なシナリオ100を示す。幾つかの例において、自律車両102は、米国運輸省道路交通安全局によって発行されたレベル5の分類に従って動作するように構成された自律車両であってよく、この分類は、ドライバ(または乗員)がいかなる時においても車両を制御することが期待されない状況において、全体の走行に対して全てのセーフティクリティカル機能を実行可能な車両を記述する。しかしながら、他の例において、自律車両102は、他のレベルまたは分類を有する完全または部分的な自律車両であってもよい。本明細書において技術は、自律車両のようなロボット制御以外にも適用され得ることが企図される。例えば、本明細書において議論される技術は、空域オブジェクト検出、製造、拡張現実などに適用されてもよい。さらに、自律車両102が陸上車両として表現されているとしても、幾つかの例において、自律車両102は、宇宙船、水上船、および/または、その他のものであってもよい。
【0021】
[0027]本明細書において議論される技術によれば、自律車両102は、自律車両102のセンサ104からセンサデータを受信し得る。例えば、センサ104は、位置センサ(例えば、全地球測位システム(GPS)センサ)、慣性センサ(例えば、加速度センサ、ジャイロスコープセンサなど)、磁場センサ(例えば、コンパス)、位置/速度/加速度センサ(例えば、速度計、ドライブシステムセンサ)、深度位置センサ(例えば、ライダ(lidar)センサ、レーダセンサ、ソナーセンサ、飛行時間(ToF)カメラ、深度カメラ、および/または、他の深度感知センサ)、画像センサ(例えば、カメラ)、音声センサ(例えば、マイクロフォン)、および/または、環境センサ(例えば、気圧計、湿度計など)を含み得る。
【0022】
[0028]センサ104は、車両102に関連付けられたコンピューティングデバイス106によって受信され得るセンサデータを生成し得る。しかしながら、他の例において、センサ104および/またはコンピューティングデバイス106の幾つかまたは全部は、自律車両102から分離されてもよく、および/または、自律車両102から遠隔に配置されてもよく、データキャプチャ、処理、コマンドおよび/または制御は、有線および/または無線ネットワークを介して1つまたは複数のリモートコンピューティングデバイスによって自律車両102と通信され得る。
【0023】
[0029]図1は、レーダデバイス108の一例を示し、このレーダデバイス108は、自律車両102に関連付けられ得、および/または、自律車両102が環境を移動する際にレーダセンサデータを収集し得る。幾つかの例において、レーダデバイス108は、自律車両102の周囲環境の少なくとも一部、すなわちスキャン領域をカバーする視野αを有し得る。様々な例において、自律車両102は、あらゆる数の1つまたは複数のレーダデバイスおよび/またはセンサ(1、2、4、5、8、10など)を有し得る。図示された例において、視野αは、ほぼ180度の視野として表現される。しかしながら、他の例において、レーダセンサの視野は、この角度よりも大きく(例えば、220度、270度、360度)、または小さく(例えば、120度、90度、60度、45度)することが可能である。さらに、自律車両102は、複数の異なる視野、距離、スキャンレートなどを有する複数のレーダセンサを含み得る。幾つかの例において、自律車両102は、複数のレーダセンサが環境の少なくとも一部を共通に捕捉するように、少なくとも部分的に重複する視野を有する複数のレーダセンサを含んでもよい。
【0024】
[0030]コンピューティングデバイス106は、自律車両102の周囲環境に何が存在するかを決定するように構成された知覚エンジン110を含み得る。図1には示されていないが、コンピューティングデバイス106はまた、環境に関連付けられた予測情報を生成する機能を含む予測コンポーネントと、知覚エンジン110から受信した情報に基づいて環境内において自律車両102をどのように動作させるかを決定する機能を含む計画コンポーネントとを含んでもよい。知覚エンジン110は、自律車両102の環境から収集されたセンサデータからオブジェクトを検出、識別、セグメント化、分類、および/または、追跡するための1つまたは複数の機械学習(ML)モデルおよび/または他のコンピュータ実行可能命令を含み得る。幾つかの例において、コンピューティングデバイス106はまた、レーダ応答閾値コンポーネント112、レーダノイズ推定器114、および/または、閾値評価コンポーネント116を含み得る。以下においてより詳細に説明されるように、レーダ応答閾値コンポーネント112は、環境において走行中の自律車両102によって適用され得るレーダ応答閾値を決定する機能を含み得る。レーダ応答閾値は、車両安全メトリック、オブジェクトタイプのレーダ応答分布、および/または、走行可能な表面メトリックに基づいて決定されてもよく、レーダデータの領域におけるレーダノイズによってオブジェクトが隠され得る可能性と、自律車両102が環境を走行するための安全かつ効率的なルートを決定するための望ましさとのバランスをとる。レーダノイズ推定器114は、自律車両102におけるレーダデバイス108によるオブジェクトの検出に基づいて、レーダノイズ(例えば、RCSノイズおよび/またはドップラーノイズ)の推定値を決定するように構成され得る。レーダデバイス108によって受信されたレーダノイズは、レーダ伝送信号を反射するオブジェクトによって生成されたサイドローブレベルに基づき得る。以下においてより詳細に説明されるように、ターゲット検出に近い位置におけるレーダノイズは、ターゲット検出と位置との間の距離差、ターゲット検出と位置との間のドップラー差、および、ターゲット検出の電力(例えば、強度)に基づいてもよい。閾値評価コンポーネント116は、特定のタイプのオブジェクト(例えば、歩行者、自転車、動物、車など)に関連付けられたレーダ応答閾値(例えば、RCSおよび/またはドップラー閾値)を、レーダデータの異なる領域における推定レーダノイズレベルに対して評価して、自律車両102の走行可能および走行可能でない表面を決定し得る。
【0025】
[0031]幾つかの例において、コンピューティングデバイス106は、1つまたは複数のレーダデバイス108からレーダデータを受信し得る。例えば、レーダデバイスは、送信された信号に基づいてリターン信号(例えば、オブジェクトから反射された電波)を受信し得、かつ、平均強度および/または平均電力といったリターン信号の特性に少なくとも部分的に基づいて推定ノイズレベルを決定し得る。リターン信号の特性は、レーダデバイスのハードウェアおよび/またはソフトウェア構成に依存し得る(例えば、レーダデバイスによって使用されるCFARアルゴリズムの種類に依存し得る)。幾つかのケースにおいて、レーダノイズレベルは、一定のノイズフロアとして表現され得るが、本明細書においてさらに説明されるように、追加のまたは代替のノイズフロアタイプが企図される。幾つかの例において、レーダデバイスは、レーダノイズレベルを満たすか、または超えるリターン信号の一部に関連付けられたオブジェクト検出を出力し得る。リターンレーダ信号および/またはオブジェクト検出を出力する場合、レーダデバイスは、検出されたオブジェクトに関連付けられた距離(例えば、レンジ)、方位角(例えば、オブジェクトが検出されたスキャン角度)、ドップラー、標高、受信電力(例えば、リターン信号の強度および/または電力)、SNR、および/または、RCSを示す位置データを出力し得る。様々な例において、知覚エンジン110は、オブジェクト検出を含み得るレーダデータを受信し得、オブジェクト検出が導出された元の信号および/または未加工の信号自体に関するデータを含んでもよいし含まなくてもよい。
【0026】
[0032]なお、本明細書において示されるグラフおよびグリッドは、2次元のグラフおよびグリッドとして示されるが、それによって表されるデータは、2次元以上であり得る。例えば、レーダデータおよび/またはオブジェクト検出は、例えば、受信電力、距離、方位角(例えば、オブジェクトが検出されたスキャン角度)、ドップラー、標高、受信電力(例えば、リターン信号の強度および/または電力)、SNR、および/または、RCSといった1つまたは複数の次元を含み得る。
【0027】
[0033]幾つかの例において、コンピューティングデバイス106は、追加的または代替的に、センサ104から画像118を受信し得る。画像118は、レーダデバイスが1つまたは複数のターゲットを検出し得、かつ、リターン信号の検出から潜在的に追加のオブジェクトを隠すレーダノイズを受信し得る例示的なシナリオを示す。一般に、レーダリターン信号の電力の強度は、電波を反射してリターン信号を生じさせるオブジェクトのサイズ、材料、向き、および/または、表面角度に依存し得る。したがって、画像118内に示される車両120およびトラック124のような大きなオブジェクトは、レーダ信号において、歩行者122のような、より小さなオブジェクトよりも大きなリターン信号を生成する傾向であり得る。幾つかの例において、車両120および/またはトラック124によって生じるリターン信号のような大きなリターン信号は、より大きなオブジェクトに起因するリターン信号のより大きな強度のために、レーダデバイスによってより高いと決定された推定ノイズレベルを歪め(skew)得る。歩行者122のような、同一または類似の領域内のより小さなオブジェクト(例えば、より小さい強度のリターン信号を伴うオブジェクト)は、歪んだノイズ閾値のためにレーダデバイスによって検出されなくなり得る。検出されないオブジェクトが、より大きな「歪んでいる(skewing)」オブジェクトに近づかなければ検出されない近接性は、レーダデバイスによってノイズレベルが設定される技術に依存し得る。例えば、推定ノイズレベルがセルの領域に基づく場合、その領域内のより小さいオブジェクトは検出されないかもしれないが、推定ノイズレベルがセル単位で決定される場合、より小さいオブジェクトを検出する可能性がわずかに改善される。
【0028】
[0034]幾つかの例において、コンピューティングデバイス106はまた、環境内を走行中の自律車両102のレーダ応答閾値を決定するように構成されたレーダ応答閾値コンポーネント112を含み得る。この例において、レーダ応答閾値コンポーネント112は、自律車両102上に実装されるが、他のケースにおいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、別個のコンピューティングデバイス(例えば、後述するコンピューティングデバイス938)上に実装されてもよい。そのようなケースにおいて、リモートのレーダ応答閾値コンポーネント112は、本明細書において説明される様々な技術を使用して、走行動作中に使用されるレーダ応答閾値を決定して1つまたは複数の自律車両102へ送信し得る。さらに他の例において、レーダ応答閾値コンポーネント112の幾つかの部分は、一般化されたデータ駆動レーダ応答閾値を決定するために自律車両102の外部に実装可能であり、一方、レーダ応答閾値コンポーネント112の他の部分は、特定の環境、走行条件、ユーザプリファレンスなどに閾値をカスタマイズまたは調整するために自律車両102上に実装可能である。
【0029】
[0035]レーダ応答閾値コンポーネント112は、自律車両102によって適用されるレーダ応答閾値を決定するために、様々な異なるデータソースからの1つまたは複数のデータアイテムを使用し得る。例えば、この例において示されるように、レーダ応答閾値コンポーネント112は、レーダ応答閾値を決定するために車両安全メトリック126を受信して使用し得る。車両安全メトリック126は、事故率(例えば、走行マイルあたりの衝突)、傷害率、車両または財産の損傷率、死亡推定率といった最小許容走行安全基準のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含み得る。他のタイプの車両安全メトリック126は、ニアミス衝突率、制限速度または交通違反率、過剰なブレーキまたは加速度率、快適性メトリック適合率、および/または、自律車両102の性能に関連付けられたあらゆるデータを含み得る。幾つかのケースにおいて、車両安全メトリック126はまた、衝突が生じた場合に生じる可能性が高い損傷または傷害の量に基づいて調整され得る。例えば、車両安全メトリック126は、自律車両102の現在の速度および/または車両が潜在的に衝突する可能性のあるオブジェクトのタイプ(例えば、交通標識またはメールボックスに対して、歩行者、自転車または車)に基づいて、上方または下方に修正され得る。
【0030】
[0036]車両安全メトリック126を使用してレーダ応答閾値を決定する場合、幾つかのケースにおいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、複数の異なる可能な閾値の偽陰性検出および偽陽性検出(並びに、真陰性および真陽性)を評価し得る。そして、レーダ応答閾値コンポーネント112は、偽陰性および偽陽性の合計を最小化する閾値を選択し得、またはそうでなければ、レーダデータの領域内のレーダノイズによって隠されたオブジェクトの検出に失敗する可能性(例えば、偽陰性)と、オブジェクトが環境のその領域内に存在しない場合にオブジェクトが隠され得ると誤って決定すること(例えば、偽陽性)との間の効率的なバランスを提供し得る。
【0031】
[0037]幾つかの例において、レーダ応答閾値コンポーネント112は、様々な地上検証走行(ground truth driving)シナリオに閾値を適用することによって、特定のレーダ応答閾値を評価し得る。地上検証走行シナリオは、シミュレートシナリオ、ログベースシナリオ、および/または、実走行(live driving)シナリオであり得る。レーダ応答閾値を評価するために、レーダ応答閾値コンポーネント112は、1つまたは複数の地上検証走行シナリオの間に閾値を適用してもよい。レーダ応答閾値コンポーネント112は、近傍のオブジェクト検出からのレーダノイズの影響を受けたレーダデータの領域に閾値を適用することにより、その領域におけるレーダノイズが別のオブジェクトを潜在的に隠すのに十分大きい(例えば、肯定的なオブジェクト検出)か、またはその領域におけるレーダノイズが別のオブジェクトを隠すのには不十分である(例えば、否定的なオブジェクト検出)の何れかを決定し得る。レーダ応答閾値コンポーネント112は、そして、他のセンサ手段からのデータ(例えば、ライダまたは画像データ)、または、手動でラベルリングまたは検証されたデータを含み得る地上検証データを使用して、肯定的または否定的なオブジェクト検出を検証し、領域にオブジェクトが存在するか否かを確認し得る。レーダ応答閾値を使用した肯定的または否定的なオブジェクト決定、および、地上検証データを用いた対応する検証に基づいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、決定が真陽性、真陰性、偽陽性、または偽陰性の何れか1つであることを識別し得る。レーダ応答閾値コンポーネント112は、複数の異なる走行シナリオにおいてレーダ応答閾値について複数のこのような分析を実行し、そして、その結果を組み合わせて、事故、衝突、損傷/負傷または他の車両安全事故の数(または率)に外挿し得る。したがって、レーダ応答閾値コンポーネント112は、特定のレーダ応答閾値に関連付けられた車両安全メトリックを決定し得、あるいは逆に、提供された目標または所望の車両安全メトリック126に基づいて自律車両120によって適用されるレーダ応答閾値132を決定し得る。
【0032】
[0038]上記のように、レーダ応答閾値コンポーネント112はまた、幾つかの例において、自律車両102に対するレーダ応答閾値132を決定するために、レーダ応答分布128を使用し得る。レーダ応答分布128は、電力分布(例えば、RCS分布)および/またはドップラー分布を含み得、特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者、自転車、車、トラック、動物など)に関連付けられ得る。1つまたは複数のレーダ応答分布128を使用して、レーダ応答閾値コンポーネント112は、閾値が検出するオブジェクトタイプのオブジェクトの所望の確率(例えば、歩行者の95%)に基づいて、レーダ応答閾値を決定し得る。
【0033】
[0039]追加的または代替的に、レーダ応答閾値コンポーネント112は、走行可能な表面メトリック130を使用してレーダ応答閾値132を決定し得る。走行可能な表面メトリック130は、走行可能な表面として指定される自律車両102の周囲の領域の最小量および/またはパーセンテージを含み得る。例えば、60%という所定の走行可能な表面メトリック130に基づいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、自律車両102の周囲の領域(例えば、レーダセル)の60%が走行中であるとの結果になる対応するレーダ応答閾値132を決定し得る。
【0034】
[0040]幾つかの例において、レーダ応答閾値コンポーネント112は、車両安全メトリック126と走行可能な表面メトリック130との間の組み合わせ、および/または、バランスに基づいて、自律車両102のレーダ応答閾値132を決定して、環境を通る高レベルの車両安全性および走行効率の両方を提供し得る。以下に説明するように、比較的大きなレーダ応答閾値132が選択される場合、閾値評価コンポーネント116は、レーダデータのより少ない領域をレーダノイズ内において潜在的にオブジェクトを隠すものとして識別し得、したがって、より全体的な走行可能な表面領域を有し得る。これに対し、比較的小さいレーダ応答閾値132が選択される場合、閾値評価コンポーネント116は、レーダデータのより多くの領域が潜在的にオブジェクトを隠すものとして識別し得、結果として、全体的な走行可能な表面領域は、より少なくなる。幾つかのケースにおいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、所定の車両安全メトリック126に適合する最大のレーダ応答閾値132、および、所定の走行可能な表面メトリック130に適合する最小のレーダ応答閾値132を決定し得る。このようなケースにおいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、所望の車両安全メトリック126および走行可能な表面メトリック130の両方に適合するために、決定された最小値と最大値との間のレーダ応答閾値132を選択し得る。
【0035】
[0041]幾つかの例において、一般的なレーダ応答閾値は、本明細書において説明される技術を使用して、リモートコンピューティングシステムによって決定されてもよいし、自律車両102へ送信されて自律車両102において現在の走行環境に基づいて修正されてもよい。例えば、レーダ応答閾値コンポーネント112は、現在の経路、交通状況、時刻、環境内の歩行者(または他のオブジェクト)の数などに基づいて、一般的なレーダ応答閾値を上方または下方にチューニングして、特定のレーダ応答閾値132を決定し得る。環境条件に基づいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、現在の環境における車両の安全性を高めるためにレーダ応答閾値を減少させるべきである、または環境における走行可能な表面の量を増加させるためにレーダ応答閾値を増加させるべきであることを決定し得る。
【0036】
[0042]追加的または代替的に、一般的なレーダ応答閾値は、自律車両102の現在の走行環境および/または走行条件に基づいて、上方または下方に調整され得る。例えば、レーダ応答閾値コンポーネント112は、自律車両102が都市内を走行している場合に、一般的なレーダ応答閾値に対して第1の修正を実行し得、自律車両102が走行している場合の一般的なレーダ応答閾値に対する第2の修正は、より密度の低い地方の(rural)環境であり得る。レーダ応答閾値コンポーネント112はまた、自律車両102が悪天候(例えば、雨、雪、霧など)において走行しているとの検出に基づいて、一般的なレーダ応答閾値を修正し得る。幾つかの例において、レーダ応答閾値コンポーネント112はまた、自律車両102の現在の走行環境および/または走行条件に基づいて、あらゆる車両安全メトリック126を修正し得る。
【0037】
[0043]レーダ応答閾値コンポーネント112はまた、特定の領域についてレーダ応答閾値132を上方または下方に調整してもよく、または領域の路面のタイプに基づいて異なるオブジェクト固有の閾値を領域に適用してもよい。例えば、レーダノイズの影響を潜在的に受けるレーダデータ領域が歩道に対応する場合、レーダ応答閾値コンポーネント112は、歩行者を検出するように構成されたレーダ応答閾値132を適用し得る。これに対し、異なる表面タイプ(例えば、自転車レーン、走行または相乗り(carpool)レーンなど)に対応する異なるレーダデータ領域について、レーダ応答閾値コンポーネント112は、異なるオブジェクトタイプ(例えば、自転車、小型車など)を検出するように構成された異なるレーダ応答閾値132を適用し得る。
【0038】
[0044]幾つかの例において、知覚エンジン110は、特定の位置に関連付けられたレーダリターン信号が真陽性、偽陽性、真陰性または偽陰性である確率(または信頼レベル)を決定し得る。例えば、ある位置におけるリターン信号の様々な確率を決定するために、知覚エンジン110は、レーダノイズ推定器114を使用して、推定ノイズフロアを決定し、閾値評価コンポーネント116を使用して、特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者)に関連付けられたレーダ応答閾値を決定し、推定ノイズフロアおよびオブジェクトタイプ閾値に少なくとも部分的に基づいて、その位置において隠されたオブジェクトの確率を決定し得る。レーダノイズ推定器114は、レーダデバイスから受信された1つまたは複数のオブジェクト検出に少なくとも部分的に基づいて、その位置における1つまたは複数の推定ノイズレベルを決定し得、レーダ応答閾値コンポーネント112は、特定のオブジェクトタイプに関連付けられた分布を使用して、オブジェクトタイプおよび/または異なるオブジェクトパラメータ(例えば、サイズ、推定反射率)に関連付けられたRCSおよび/またはドップラー閾値を決定し得る。
【0039】
[0045]ある位置における推定ノイズレベル、および、様々なオブジェクトタイプのレーダ応答閾値に基づいて、知覚エンジン110は、その位置がオブジェクトタイプのオブジェクトを含む可能性が十分に高い(例えば、確率閾値を満たすか、または超えるか)を決定し得る。換言すれば、知覚エンジン110は、推定レーダノイズおよびオブジェクトタイプ閾値に基づいて、レーダデバイスがレーダデータの一部に関連付けられた環境の特定の領域内のオブジェクトタイプのオブジェクトを検出することが可能であるかを決定し得る。幾つかの例において、レーダデータの一部は、環境の一部を表すビンまたはその幾つかの他の部分であると定義され得る。ビンは、距離、方位角、標高、および/または、受信電力のセットに関連付けられたレーダデータを含み得る。例えば、特定のビンは、ビンによって指定された方位角、距離、および/または標高のレンジに関連付けられたあらゆるオブジェクト検出に関連付けられた受信電力データを含み得る。幾つかの例において、ビンは、以下においてり詳細に説明されるように、レーダ空間グリッド134内のセルに関連付けられてもよく、および/または、レーダ空間グリッド134内のセルとして表されてもよい。この例においてはレーダ空間グリッド134が使用されるが、他のケースにおいて、環境についてのレーダデータは、レーダセル、レーダベースの等高線などの他の非グリッド構成において表され得る。幾つかの例において、ビンは、レーダデータの1つまたは複数の次元における設定定数および/または値のレンジに関連付けられ得る。例えば、ビンは、一定の仰角、距離のレンジ、方位角のレンジ、および/または、あらゆるドップラー値に関連付けられ得る。
【0040】
[0046]知覚エンジン110は、追加的または代替的に、センサ104によってキャプチャされたセンサデータを利用して、環境の領域に関連付けられたセルを含み得るレーダ空間グリッド134を含む1つまたは複数の空間グリッドを生成および維持し得る。レーダ空間グリッド134の各セルは、レーダデータのビン(または他の部分)に関連付けられ得る。幾つかの例において、知覚エンジン110は、セルに関連付けられたレーダデータが隠されたオブジェクトを含む可能性が高いかを決定し得、かつ、尤度がオブジェクトタイプに関連付けられた閾値を満たすか、または超えるかを示し得る。幾つかの例において、レーダ空間グリッド134のセルは、代替的または追加的に、オブジェクトによって占有されているとの指定(例えば、セルに対応する環境の領域に関連して、少なくとも1つのオブジェクト検出がレーダデバイスまたは自律車両102の他のシステムによって出力されたこと)、および/または、そのような検出に関連する追加のメタデータ、例えば、本明細書においてより詳細に説明されるように、セマンティックラベル、ライダポイント、ライダインスタンスセグメンテーション、レーダインスタンスセグメンテーションなどの知覚エンジン110によって決定された他のデータを含み得る。
【0041】
[0047]この例において、レーダ空間グリッド134は、単純化のために8×8グリッドとして示される。しかしながら、他の例において、あらゆるサイズ(例えば、空間グリッドに関連付けられた現実世界の領域)、形状(例えば、空間グリッドの長さおよび幅)、並びに、解像度(例えば、空間グリッドを作り上げるために使用されるセルのサイズ)は、必要とされる正確度(accuracy)および精度(precision)、ビンのサイズ(dimensions)、メモリサイズの制約、処理速度および負荷の制約、センサレンジの制限などに依存して、レーダ空間グリッド134のために使用され得る。幾つかの例において、空間グリッドは、空間グリッドが入力されるセンサデータをキャプチャするために使用されるセンサ104の信頼できるレンジに一致するようにサイズおよび形状が設定され得、かつ、解像度は、メモリおよび処理に制約を与えられた所与のアプリケーションに必要な正確度および精度を最大化することによって選択され得る。幾つかの例において、長さおよび幅は同じであってもよいが、他の例において、長さおよび幅は異なっていてもよい。具体例において、空間グリッドのサイズは、セルあたり0.25メートルの解像度で、幅約50~200メートル、長さ約50~200メートルであり得る。
【0042】
[0048]幾つかの例において、知覚エンジン110は、追加的または代替的に、あらゆるセンサデータを使用して自律車両102を位置特定し得る位置特定エンジン(図示せず)によって決定された自律車両102の位置、自律車両102の近傍のオブジェクトに関連したデータ(例えば、検出されたオブジェクトに関連付けられた分類、インスタンスセグメンテーション、軌道)、車両の目的地を指定する経路データ、道路の特徴を識別するグローバルマップデータ(例えば、自律車両の位置特定に有用な異なるセンサモダリティにおいて検出可能な特徴)、車両に近接して検出された特徴を識別するローカルマップデータ(例えば、位置、建物、木、フェンス、消火栓、停止標識の位置および/またはサイズ、および、様々なセンサモダリティにおいて検出可能な他の特徴)などを決定し得る。知覚エンジン110によって生成されたデータ(レーダ空間グリッド134を含む)は、「知覚データ」と総称され得る。知覚エンジン110が知覚データを生成すると、知覚エンジン110は、知覚データを予測コンポーネントおよび/または計画コンポーネントに提供し得る。
【0043】
[0049]コンピューティングデバイス106内の計画コンポーネントは、レーダ空間グリッド134、および/または、本明細書において説明される走行可能および/または走行可能でない表面のあらゆる決定を含む知覚データを使用して、グローバルマップおよび/またはローカルマップ上の自律車両102の位置を特定し(これは、追加的または代替的に、図示されていない位置特定コンポーネントによって達成され得る)、1つまたは複数の軌道を決定し、自律車両102の動きを制御してパスまたは経路を移動し、および/または、そうでなければ自律車両102の動作を制御し得るが、あらゆるそのような動作は、様々な他のコンポーネントにおいて実行されてもよい(例えば、位置特定は、図示されていない位置特定エンジンによって実行されてよい)。例えば、計画コンポーネントは、第1の位置から第2の位置までの自律車両102の経路を決定し得、後退ホライズン技術(例えば、1マイクロ秒、半秒)に従い、かつ、レーダ空間グリッド134に少なくとも部分的に基づき、自律車両102の動きを制御するための複数の潜在的な軌道を実質的に同時に生成し得る(例えば、あらゆる検出されたオブジェクトを避けるため、および、オブジェクトがレーダノイズによって隠され得てレーダデバイスによって検出されないかもしれない尤度を組み込む)。例えば、レーダ空間グリッド134は、車両120に対応する車両検出レーダデータ136、および、トラック124に対応する第2の車両検出レーダデータ138を含む。知覚エンジン110は、レーダデータを分析して、レーダ空間グリッド134上の位置に関連付けられた推定ノイズレベル、特定のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値および確率閾値を決定し得、レーダ空間グリッド134上の走行可能/走行可能でない表面を決定し得、そこから自律車両102の軌道が生成され得る。図1は、そのような軌道の例を示し、進行方向、速度、および/または、加速度を示す矢印として表されるが、軌道自体は、PIDコントローラのための命令を含み得、PIDコントローラは、次に、自律車両102の駆動システムを作動させ得る。
【0044】
[0050]図2は、例示的な歩行者RCS分布200および例示的な歩行者ドップラー分布202を示す。この例において、分布200及び202は歩行者に関連付けられているが、追加のRCS分布およびドップラー分布は、他のオブジェクトタイプ(例えば、自転車、車、トラック、動物など)に関連付けられ得る。分布200および202は、自律車両102によって生成されてもよいし、および/または、別個の外部コンピューティングデバイスおよびシステムによって生成されてもよく、オブジェクトタイプ固有のレーダ応答閾値を決定する際に使用するために自律車両102に送信されてもよい。分布200および202が基づくデータは、物理環境を移動している車両のレーダデバイス108および/またはセンサ104によってキャプチャされた歩行者データを含み得る。例えば、車両は、環境内の歩行者からのレーダ応答データ、および、レーダリターン信号が歩行者に対応することを検証するために使用される追加のセンサデータ(例えば、カメラおよび/またはLIDARデータ)を含むログデータをキャプチャし記憶し得る。
【0045】
[0051]この例において、歩行者RCS分布200は、ほぼ正規分布(またはガウス分布)に対応し得る。しかしながら、他の例において、歩行者RCS分布、または他のオブジェクトタイプのRCS分布は、あらゆる可能な確率分布関数に対応し得る。分布200内の個々の歩行者RCSデータポイントは、例えば、歩行者のサイズ、歩行者に関連付けられた表面材料(例えば、衣類材料、色、反射率など)、レーダデバイスに対する歩行者の向き、および/または、リターン信号を生じさせる電波を反射する歩行者の表面角度に基づいてもよい。
【0046】
[0052]この例において、歩行者ドップラー分布202は、三峰性分布に対応する。この例における三峰分布は、レーダデバイスから約2~4m/sの歩行速度で、レーダデバイスから離れる歩行者、レーダデバイスに向かう歩行者、および、レーダデバイスに対して静止している歩行者の相対的に大きな数を表し得る。しかしながら、他の例において、分布202は、均一分布、正規分布、または、歩行者ドップラーレーダ測定に基づいて確率分布関数を表すあらゆる分布に対応してもよい。分布202内の個々の歩行者ドップラーデータポイントは、歩行者の速度および/またはドップラーレーダデバイスによってキャプチャされたあらゆる他の測定値に基づいてもよい。
【0047】
[0053]図3は、環境内のオブジェクト検出の数に対応するレーダリターン信号、および。推定ノイズレベルを含む例示的なレーダデータ分析を示す。この例はまた、図2を参照して上述した分布200を示し、ここにおいて、確率値および/または信頼レベルが分布に適用されて、オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値が決定される。この例において、歩行者RCS分布200は、影付き及び非影付きの領域を含み、歩行者RCS閾値302を示す。RCS閾値302は、分布200内の歩行者RCS値の確率パーセンタイル(例えば、第5パーセンタイル)に基づいてよい。5%の確率は、レーダデバイス108によって検出された歩行者の95%(例えば、分布200の影付き領域)がRCS閾値302を満たすか、または超えるRCS値を有するべきことを示し得る。
【0048】
[0054]上記のように、知覚エンジン110または自律車両102の他のコンポーネントは、所望の安全基準および/またはレーダデータ領域が歩行者を隠していないとの信頼レベルに基づいて、確率パーセンタイルを選択し得る。また、確率値(例えば、5%)を修正して値を増加または減少させ、対応するRCS閾値302を調整して、車両の安全性および/または走行効率を改善し得る。例えば、確率を5%から2%に低下させることは、レーダデバイス108によって検出された歩行者の98%が、より低いRCS閾値を満たすか、または超えるRCS値を有すべきことを保証するために、より低いRCS閾値をもたらし得る。これは、走行可能なレーダデータエリアが歩行者を隠していないという、より高い信頼レベルをもたらし得るが、より少ない走行可能な表面をもたらすことにもなり得る。これに対し、パーセンタイル値を5%から8%に上げることは、より高いRCS閾値を生じ得て、より走行可能な表面をもたらし得るが、走行可能なレーダデータエリアが歩行者を隠していないことについて、より低い信頼レベルをもたらす。
【0049】
[0055]この例は、歩行者RCS分布200、および、所望の確率または信頼レベル(例えば、5%)を使用してRCS閾値302を決定することを説明するが、他の例において、歩行者ドップラー分布202は、歩行者のドップラー閾値を決定するために、同様または同一の方法で使用され得る。例えば、例示的なドップラー分布202において、5%の所望の確率は、-4m/sのドップラー閾値をもたらし得、これは、観測された歩行者の95%が、-4m/sの閾値を満たすか、または超えるドップラー測定値を有することを意味する。歩行者RCS、および、ドップラー分布200および/または202はまた、RCSおよびドップラー閾値に代替してまたは追加して、歩行者RCSおよび/またはドップラーレンジを決定するために使用されてもよい。例えば、ドップラー値についての95%の所望の信頼レベルは、-3m/s~3m/sの間のドップラーレンジに対応し得る。様々な例において、走行可能および走行可能でない表面を決定するために、RCSおよび/またはドップラー値のレンジおよび/または閾値が使用され得る。
【0050】
[0056]さらに、幾つかの例において、歩行者(または他のオブジェクト)の移動しそうな方向を自律車両102と関連して決定することが可能な場合、歩行者ドップラー分布202を修正することが可能である。例えば、自律車両102は、本明細書において説明される様々なコンポーネントおよび機能(例えば、知覚コンポーネント、マップ、位置特定コンポーネントなど)を使用して、環境内の近傍の横断歩道、歩道、自転車道、一方向または双方向のストリート、または他の特徴に対する、現在の環境における車両の位置を決定し得る。これらの環境特徴のサイズ、形状、角度、および、向きを使用して、歩行者の移動しそうな方向を決定することが可能であり、レーダ応答閾値コンポーネント112は、これらの方向を使用して、車両に対して決定された方向/角度で移動する歩行者のより正確なドップラー分布を反映する修正された歩行者ドップラー分布202を決定し得る。
【0051】
[0057]RCS閾値および/またはドップラー閾値を含むオブジェクトタイプのレーダ応答閾値もまた、必要に応じて車両の安全性および/または走行効率を改善するために、車両の動作中に上方または下方に修正され得る。例えば、車両のコンポーネントは、1つまたは複数のオブジェクトタイプに使用されるレーダ応答閾値を調整して、閾値に基づき車両に対して決定された走行可能および走行可能でない表面を変更し得る。例えば、車両の周囲の環境が、車両が環境を移動することを許容するのに十分な走行可能な表面を含まない場合、オブジェクトタイプ閾値コンポーネントは、レーダ応答閾値を増加して、車両に利用可能な走行可能な表面の量を増加し得る。これに対し、環境が十分すぎるほどの走行可能な表面を含む場合、オブジェクトタイプ閾値コンポーネントは、1つまたは複数のレーダ応答閾値を増加して、潜在的なオブジェクトが環境内のレーダノイズによって隠せなかったという信頼レベルを増加し得る。
【0052】
[0058]図3はまた、受信したレーダデータの例を示すチャート304を示す。チャート304に示されるレーダデータは、例示的な環境からの受信レーダデータに関連付けられた受信電力レベルおよび距離データを含む。この例において、チャート304は、例示的なオブジェクト検出306、および、オブジェクト検出306に基づいた推定レーダノイズレベル308を含む。或る位置(例えば、レーダデバイスからの距離)における推定レーダノイズレベル308は、その位置とオブジェクト検出306との間の距離差、および、オブジェクト検出306の電力レベルに少なくとも部分的に基づき得る。幾つかのケースにおいて、推定レーダノイズレベル308は、複数のオブジェクト検出および/またはスキャンされた領域内の周囲または近傍のセルからのレーダデータの他の属性に基づいてもよい。潜在的に隠れたオブジェクトの位置の決定、および、走行可能/走行可能でない表面の決定を支援するために自律車両102に組み込まれ得る推定レーダノイズフロアを決定するための様々な技術の例は、例えば、2019年5月8日に出願され、「レーダ偽陰性分析」と題された米国特許出願第16,407,139号において見出すことが可能であり、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
[0059]レーダデータチャート304はまた、オブジェクト検出306の位置に比較的近い位置における環境内の歩行者を表す、レーダリターン信号310および312の2つの例を含む。チャート304に示されるように、オブジェクト検出306に関連付けられたレーダデータは、異なる検出からのレーダデータが距離および/またはドップラー次元内の同じ/重複する領域に影響を与え得るという点において、レーダリターン信号310および312からのレーダデータと重複する。この例において、レーダリターン信号310および312は、同じ信号電力を有し、これは、RCS閾値302と同じであり得る。第1の歩行者リターン信号310は、オブジェクト検出306の位置により近い(距離内の)位置であるため、推定レーダノイズレベル308を下回り、したがって、知覚エンジン110によって別個のオブジェクト検出として検出されないかもしれない。これに対し、同じ電力レベルを有するがオブジェクト検出306の位置からより遠い(距離内の)第2の歩行者リターン信号312は、推定レーダノイズレベル308を超えており、したがって、知覚エンジン110によって別個のオブジェクト検出として検出され得る。様々な歩行者リターン信号は、分布200内のあらゆるRCSレベルで分散され得るが、この例は、RCS閾値302における同じ歩行者が、歩行者とオブジェクト検出306の位置との間の距離の差に基づいて検出されるか、または検出されないことがあることを示す。以下に説明するように、RCS閾値302が推定レーダノイズレベル308と交差する点は、オブジェクト検出306を取り囲む走行可能でない表面の境界に対応し得る。
【0054】
[0060]図4は、自律車両102の周囲の環境を示す例示的なグリッドマップ400を示す。例示的なグリッドマップ400は、図1を参照して上述した画像118に対応し得、自律車両102を取り囲む同じ環境を表し得る。グリッドマップ400はまた、領域(例えば、1つまたは複数のレーダセルのグループピング)に対応するグリッド線と、環境内の走行可能な領域および走行可能でない領域を示す影付き領域とを含む。この例においては、2つの車両レーダ検出402および404に対応する2つの走行可能でない領域が示される。車両レーダ検出402は、車両検出レーダデータ136に対応し得、車両レーダ検出404は、第2の車両検出レーダデータ138に対応し得る。この例において、黒(走行可能でない)領域と白(走行可能)領域との間の境界は、推定レーダノイズレベルが、オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値と交差する位置であり得る。例えば、車両レーダ検出402が図3におけるオブジェクト検出306に対応する場合、車両レーダ検出402の走行可能でない(黒くなった)領域の境界は、推定レーダノイズレベル308が歩行者RCS閾値302と交差する位置であり得る。
【0055】
[0061]上記のように、RCS閾値および/またはドップラー閾値を含む異なるレーダ応答閾値は、異なるオブジェクトタイプに関連付けられ得る。したがって、例示的なグリッドマップ400は、レーダデータノイズ内の隠れた歩行者の可能性に関する走行可能/走行可能でない表面の間の境界を示すが、他の例において、境界の異なるセットが異なるオブジェクトタイプ(例えば、自転車、車、トラック、動物など)に対して決定され得る。したがって、知覚エンジン110は、単一のセルの異なるオブジェクトタイプについて複数の尤度を決定し得る。グリッドマップ400は、第1のオブジェクトタイプ(例えば、「歩行者」、「大型車両」、「乗用車」、「サイクリスト」、「4本足の動物」)に関連付けられた異なる走行可能および走行可能でない表面を有し得る。グリッドマップ400は、追加的または代替的に、自律車両102の周囲の環境内の位置に対応するグリッドマップ400の個々のセルが、様々なオブジェクトタイプに固有の閾値を満たすか、または超えない、または(例えば、閉塞(occlusion)が原因で)適切なレーダデータに関連付けられていない推定ノイズレベルに関連付けられているという表示を含み得る。
【0056】
[0062]図5は、より大きなオブジェクトの検出502と、環境内のより小さなオブジェクトに対応する2つの異なるオブジェクトリターン信号(第1のオブジェクトリターン信号504および第2のオブジェクトリターン信号506)との間のレンジおよびドップラー測定値の差分(またはデルタ)を示すグラフ500を示す。上述したように、レーダデータに関してより大きなオブジェクトは、レーダリターン信号の大きさを指し得、必ずしもオブジェクトの物理的なサイズを指す必要はない。むしろ、レーダリターン信号の大きさは、リターン信号を生じさせる、電波を反射するオブジェクトのサイズ、材料、向き、および/または表面角度の組み合わせに依存し得る。この例において、検出502は、第1のオブジェクトリターン信号504および第2のオブジェクトリターン信号506によって表される、近傍の、より小さなオブジェクトを潜在的に隠すことが可能なレーダノイズを生成し得る、より大きなオブジェクトに対応し得る。
【0057】
[0063]幾つかの例において、レーダノイズの少なくとも一部は、より大きなオブジェクトのリターン信号(例えば、検出502)に関連付けられたサイドローブレベルに対応し得る。オブジェクト検出に関連付けられたサイドローブレベルは、レーダデバイス、レーダ信号、および、検出されたオブジェクトの特性に基づいて様々な異なるパターンで変動し得る。しかしながら、近傍の位置でのサイドローブレベルは、通常、位置がオブジェクト検出の位置からさらに移動するにつれて強度が低下する。追加的に、幾つかの例において、より大きなオブジェクトの検出502に関連付けられたサイドローブレベル(および、対応するレーダノイズ)は、検出502と近傍の位置との間の距離の差分、および、検出502と近傍の位置との間のドップラー測定値の差分に基づいてもよい。この例に示されるように、第1のオブジェクトリターン信号504は、検出502との距離において相対的に小さな差分を有するが、第1のオブジェクトリターン信号504に関連付けられたレーダノイズの量を増加させ得る、より大きなドップラー差分を有する。第2のオブジェクトリターン信号506は、検出502との距離において相対的に大きな差分、並びに、大きなドップラー差分を有し、これは第2のオブジェクトリターン信号506に関連付けられたより大きなレーダノイズレベルをもたらし得る。追加的に、レーダデータ内の検出に関連付けられたドップラー測定値は、ドップラー測定値がキャプチャされた時の自律車両102の速度に関連して決定され得る。
【0058】
[0064]図6は、レーダデータを分析して環境を移動する車両の走行可能な表面および走行可能でない表面を決定する例示的なプロセス600を示すフロー図である。以下に説明するように、車両は、レーダデータを分析して、車両に近い領域でのノイズレベルをオブジェクト検出に基づいて決定し得、特定のオブジェクトタイプおよび確率/信頼レベルに関連付けられたレーダ応答閾値を使用して、上述した様々なシステム及び技術に従い、走行可能および走行可能でない表面を決定し得る。様々な例において、プロセス600の動作は、レーダ応答閾値コンポーネント112、レーダノイズ推定器114、閾値評価コンポーネント116、および/または、本明細書において説明される様々な他のシステムおよびコンポーネントを使用する知覚エンジン110のような、自律車両の1つまたは複数のコンポーネントによって実施され得る。
【0059】
[0065]プロセス600は、論理フロー図内のブロックの集合として示され、これは、動作のシーケンスを表し、その幾つかまたは全部は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実装することが可能である。ソフトウェアの文脈において、ブロックは、1つまたは複数のプロセッサによって実行された場合に、列挙した動作を実行する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を表す。一般に、コンピュータ実行可能命令は、特定の機能を実行するか、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、暗号化、復号化、圧縮、記録、データ構造などを含む。動作が記述される順序は、限定として解釈されるべきではない。記載したブロックのあらゆる数は、あらゆる順序で、および/または、並列に組み合わされて、プロセスまたは代替プロセスを実行することが可能であり、全部のブロックが実行される必要はない。説明の目的のために、ここでのプロセスは、本明細書の例において説明される、フレームワーク、アーキテクチャおよび環境を参照して説明されるが、プロセスは、多種多様な他のフレームワーク、アーキテクチャまたは環境において実装され得る。
【0060】
[0066]動作602において、自律車両102は、1つまたは複数のターゲット検出を示すレーダデータをレーダデバイスから受信し得る。レーダデータは、自律車両102の環境内において検出されたオブジェクトに基づいて受信された幾つかのリターン信号を含み得る。オブジェクトから反射された電波を含むリターン信号は、検出されたオブジェクトに関連付けられた距離、方位角、仰角、ドップラー値、受信電力、SNR、および/または、RCSといった、検出されたオブジェクトの特性に基づく様々な特性を有し得る。様々な例において、動作602において受信されたレーダデータは、未加工のレーダ信号データ、および/または、未加工の信号データからレーダデバイス108によって導出されたリターン信号特性の何れかを含み得る。
【0061】
[0067]動作604において、自律車両102は、動作602において受信されたレーダデータ内のターゲット検出に基づいて、環境内の1つまたは複数の領域におけるレーダノイズレベルを決定し得る。幾つかの例において、知覚エンジン110は、レーダノイズ推定器114を使用して、近傍のオブジェクト検出の特性に基づき、環境内の領域の推定ノイズレベル(またはノイズフロア)を決定し得る。図3を参照して上述したように、より大きなオブジェクトが環境内の検出位置において検出される場合、より大きなオブジェクトの検出は、検出位置に近い領域について受信されたレーダデータにノイズを引き起こし得る。例えば、環境の特定の領域について、レーダノイズ推定器114は、特定の領域と検出との間の距離差、特定の領域と検出との間のドップラー差、および、検出の強度および/または受信電力に基づいて、推定ノイズレベルを決定し得る。
【0062】
[0068]動作606において、自律車両102は、特定のオブジェクトタイプに関連付けられた1つまたは複数のレーダ応答閾値を決定し得る。上述したように、レーダ応答閾値は、RCS閾値、ドップラー閾値、および/または、動作602において受信したレーダデータに関連付けられた他のタイプのレーダデータ閾値(例えば、強度または反射電力値閾値など)を含み得る。幾つかの例において、レーダ応答閾値コンポーネント112は、特定のオブジェクトタイプに関連付けられた1つまたは複数の分布を使用して、レーダ応答閾値を決定し得る。例えば、歩行者を検出するための所定の確率または信頼レベル(例えば、95%)に基づいて、レーダ応答閾値コンポーネント112は、歩行者RCS分布200を使用して、環境内に存在し得る歩行者の95%を検出するために適用可能な歩行者RCS閾値302を決定し得る。異なる確率/信頼レベル(例えば、90%、95%、99%など)に対応するレーダ応答閾値を決定するために、同様の技術が使用され得、かつ、オブジェクトタイプの異なるレーダ応答閾値(例えば、ドップラー閾値および/または距離)を決定するために、異なる分布(例えば、ドップラー分布202)が使用され得る。追加的に、上述したように、レーダ応答閾値コンポーネント112は、異なるオブジェクトタイプ(例えば、歩行者、自転車、動物、小型車、交通標識など)に対して異なるレーダ応答閾値のセットを決定し得る。
【0063】
[0069]動作608において、自律車両102は、動作604において決定された、環境における特定の領域に対するレーダノイズレベルが、動作606において決定された、オブジェクトタイプに対するレーダ応答閾値を満たすか、または超えるかを決定する。幾つかの例において、知覚エンジン110は、環境内の異なる領域についてレーダノイズ推定器114によって決定されたレーダノイズレベルと、1つまたは複数のオブジェクトタイプについてレーダ応答閾値コンポーネント112によって決定されたレーダ応答閾値との間の幾つかの比較を実施し得る。領域についての推定レーダノイズレベルが、オブジェクトタイプについてのレーダ応答閾値を満たすか、または超える場合(608:Yes)、次いで動作610において、知覚エンジン110は、その領域が走行可能でない表面であると決定し得る。動作610において領域が走行可能でないとの決定は、領域がレーダデバイスによって効果的にスキャンできないほど領域における推定ノイズレベルが高すぎるという決定に対応し得、オブジェクトが領域に隠れていないことを特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者の95%)について所望の信頼レベルで保証する。これに対し、領域についての推定レーダノイズレベルがオブジェクトタイプについてのレーダ応答閾値を超えない場合(608:No)、次いで動作612において、知覚エンジン110は、その領域が走行可能な表面であると決定し得る。動作612における決定は、その領域における推定ノイズレベルが、知覚エンジン110に、オブジェクトが領域において隠れていないという、特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者の95%)についての所望の信頼レベルで結論付けることを許容にするのに十分に低いとの決定に対応し得る。
【0064】
[0070]動作614において、知覚エンジン110は、環境内の走行可能な領域および走行可能でない領域の決定に基づいて、自律車両102を制御するために、自律車両102の軌道を決定し得、および/または、追加の特徴(例えば、CAS、リモート操作、自律走行機能など)をアクティブ化または非アクティブ化し得る。幾つかの例において、知覚エンジン110(および/または、予測または計画コンポーネント)は、環境内の走行可能および走行可能でない領域のマップを使用して、自律車両をナビゲートするための計画路(planning corridor)を決定し得る。例えば、計画路は、知覚エンジン110から受信された自律車両の幅および/または知覚データ(例えば、走行可能な表面および走行可能でない表面を識別するグリッドマップ400)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。幾つかの例において、計画路は、コンピューティングデバイス106によって生成された潜在的な軌道を結合し得、潜在的な軌道の中から自律車両102を動作させるための軌道を選択して、走行可能でない表面を除外し、グリッドマップ400に走行可能な表面を含め得る。計画路は、追加的または代替的に、車両の幅および/または自律車両102を動作させることに関連付けられたトレランスに少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0065】
[0071]図7は、環境内の異なる領域における異なるドップラーレンジの確率に関連付けられた推定レーダノイズレベルを格納するレーダデータモデル700を示す。この例において、レーダデータモデル700は、環境内の各領域についての複数の推定レーダノイズレベルを格納する多次元モデルである。この例における領域は、1つまたは複数のレーダセルに対応し得、方位角値および距離値の交点によって表され得る。他の例において、領域は、方位角および距離の値に代替してまたは追加して、1つまたは複数の追加のパラメータまたは次元(例えば、仰角)を含んでもよい。
【0066】
[0072]上述したように、環境内の大きなオブジェクトの検出によって生成されるサイドローブレベル(および、対応するレーダノイズ)は、オブジェクト検出の領域とレーダノイズ推定値が決定されている領域との間の距離差およびドップラー差に基づいてもよい。結果として、環境内の単一の領域702(距離と方位角との間の交差点によって定義される)は、領域702に潜在的に存在し得るオブジェクト(例えば、歩行者)のドップラー測定に基づいて、異なる推定ノイズレベルを有し得る。幾つかの例において、レーダノイズ推定器114は、異なるドップラー値に対応する領域についての異なる推定レーダノイズレベルを決定し得る。レーダデータモデル700において示されるように、環境内の各領域は、複数の異なるドップラー値(またはドップラー値のレンジ)を有し得る。例えば、領域702について、モデルは、歩行者ドップラー分布202に基づいて、複数のドップラー値704、706、708、710、712、および、714を定義し得、異なるドップラー値704~714のそれぞれに関連付けられた別個のレーダノイズレベル(例えば、RCSノイズ)を含み得る。例示のために、領域702において、レーダノイズ推定器114は、ドップラー値704に関連付けられた第1のレーダノイズレベル値(例えば、-6m/sと-4m/sとの間)、ドップラー値706に関連付けられた第2のレーダノイズレベル値(例えば、-4m/sと-2m/sとの間)、ドップラー値708に関連付けられた第3のレーダノイズレベル値(例えば、-2m/sと0m/sとの間)などを決定し得る。
【0067】
[0073]この例において、領域702に関連付けられた全体のRCS閾値を決定するために、閾値評価コンポーネント116は、異なるドップラー値704~714に関連付けられた確率と共に、異なるドップラー値704~714に関連付けられた個々のレーダノイズレベル値を使用し得る(例えば、歩行者ドップラー分布202に基づいて)。例えば、異なるドップラー値に関連付けられた個々のRCS閾値に基づいて、領域702のRCS閾値を決定するために使用される確率関数は、式1に従って以下のように表される、領域に歩行者が隠れていない95%の信頼レベルに対応する。
【0068】
【数1】
【0069】
この例において、各P(vel=N m/s)は、環境内において歩行者がN m/sで移動する確率を表し、各P(RCS<est RCS noise level at -N m/s)は、特定のRCSが同じドップラー測定に関連付けられた推定レーダノイズレベル値(例えば、N m/s)よりも小さい確率を表す。式1を使用して、閾値評価コンポーネント116は、RCSについて、歩行者が領域に隠れることができない所望の確率/信頼レベル(例えば、95%)に対応するRCS閾値を決定することを解き得る。また、式1は、同じ所定のRCS閾値に関連付けられた全体的な確率(この例においては、0.95よりも大きくてもよいし小さくてもよい)を解くために、所定のRCS項を用いて実行されてもよい。
【0070】
[0074]図8は、レーダデータを分析して、環境を移動する車両の走行可能な表面および走行可能でない表面を決定する他の例示的なプロセス800を示すフロー図である。幾つかの例において、プロセス800は、上述したプロセス600と同様、同一であってもよい。しかしながら、この例において、単一の領域は、異なるドップラー値(またはドップラー値のレンジ)に関連付けられた複数の異なる推定レーダノイズレベルを有し得、車両は、異なるドップラー値に関連付けられた個々の確率を決定し、個々の確率を合計して、領域に関連付けられた全体的な確率を決定し得る。以下に説明されるように、プロセス800の動作は、レーダ応答閾値コンポーネント112、レーダノイズ推定器114、閾値評価コンポーネント116、および/または、本明細書において説明される様々な他のシステムおよびコンポーネントを使用する知覚エンジン110のような、自律車両102の1つまたは複数のコンポーネントによって実行され得る。
【0071】
[0075]動作802において、自律車両102は、1つまたは複数のターゲット検出を示すレーダデータをレーダデバイスから受信し得る。幾つかの例において、動作802は、上述の動作602と類似または同一であってよく、その動作において、レーダデータは、自律車両102の環境において検出されたオブジェクトに基づいて受信された1つまたは複数のリターン信号を含み得る。
【0072】
[0076]動作804において、自律車両102は、環境内の領域を決定してもよく、レーダデータは、その領域が走行可能な表面であるか、または走行可能でない表面であるかを決定するために分析される。領域は、レーダデバイス108に対する距離値と方位角値(および/または標高値)との交点によって定義され得る。幾つかの例において、決定された領域は、動作802において受信された1つまたは複数のレーダターゲット検出の近傍であり得る。
【0073】
[0077]動作806において、自律車両102は、オブジェクトタイプ(例えば、歩行者)についてのドップラー確率のセット、および、ドップラー確率に関連付けられた対応する推定レーダノイズレベルを決定し得る。例えば、図7を参照して上述したように、歩行者または他のオブジェクトタイプは、ドップラー値の異なるレンジ(例えば、-5m/s~5m/s)に関連付けられ得、各ドップラー値に関連付けられた異なる確率を有し得る。これらの確率は、歩行者についての歩行者ドップラー分布202に基づいて、または異なるオブジェクトタイプに関連付けられた異なるドップラー分布について決定され得る。追加的に、個々の異なるドップラー値は、異なる関連付けられたレーダノイズレベルを有し得るため、閾値評価コンポーネント116は、個々の異なるドップラー値に対して異なるRSC閾値を使用して、異なる確率評価を実施し得る。
【0074】
[0078]動作808において、閾値評価コンポーネント116は、オブジェクトタイプに関連付けられた異なるドップラー値(またはドップラー値のレンジ)、および、領域における各ドップラー値に関連付けられた推定レーダノイズレベルを決定し得る。動作810において、閾値評価コンポーネント116は、特定のオブジェクトタイプのオブジェクト(例えば、歩行者)が、オブジェクトの特定のドップラー値の領域において推定レーダノイズによって隠されるであろう確率を評価し得る。例えば、動作810における確率決定は、N m/sで移動する歩行者が、N m/sドップラー値に関連付けられたレーダノイズによって隠されるであろう確率を表し得る。したがって、動作810において、閾値評価コンポーネント116は、歩行者ドップラー分布202を使用して、領域に存在する歩行者がN m/sのドップラー値に関連付けられたレーダノイズレベルによって隠されるであろう確率(例えば、レーダノイズレベルよりも小さいRCSを有する歩行者の割合に対応する)を決定し得、その確率に、領域に存在する歩行者がN m/sのドップラー値で移動する確率を乗算し得る。この例において示され、かつ、上記の式1に示されるように、動作810における決定は、オブジェクト(例えば、歩行者)が潜在的に領域に存在し得る異なるドップラー値のそれぞれについて反復的に実施されてよい。
【0075】
[0079]動作812において、閾値評価コンポーネント116は、歩行者が特定のドップラー値でレーダノイズレベルによって隠されるであろう個々の確率を、オブジェクトに関連付けられた異なるドップラー値の全てにわたって合計して、歩行者がその領域でレーダノイズによって隠されるであろう総確率を決定し得る。式1は、動作812における合計と類似または同一であり得る確率の合計の例を提供する。
【0076】
[0080]動作814において、自律車両102は、動作812において決定された総確率(例えば、オブジェクトが領域におけるレーダノイズによって隠されるであろう確率)が、オブジェクトタイプに関連付けられた所定の確率/信頼レベルよりも大きいかを決定する。例えば、5%の所定の確率は、領域における歩行者がレーダデータ内において検出される95%の信頼レベルを表し得る。幾つかの例において、動作814における比較は、上述した動作608における比較と類似または同一であってもよい。この例では、領域に存在する歩行者がレーダノイズによって隠されるであろう確率が歩行者についての所定の確率を満たすか、または超える場合(814:Yes)、次いで動作816において、知覚エンジン110は、その領域が走行可能でない表面であると決定し得る。上述のように、動作816において領域が走行可能でないとの決定は、領域がレーダデバイスによって効果的にスキャンできないほど領域における推定ノイズレベル(例えば、異なるドップラー値/レンジにおいて)が高すぎるという決定に対応し得、オブジェクトが領域に隠れていないことを特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者の95%)について所望の信頼レベルで保証する。これに対し、領域に存在する歩行者がレーダノイズによって隠されるであろう確率が歩行者についての所定の確率を超えない場合(814:No)、次いで動作818において、知覚エンジン110は、その領域が走行可能な表面であると決定し得る。動作818における決定は、その領域における推定ノイズレベル(例えば、異なるドップラー値にわたる)が、知覚エンジン110に、オブジェクトが領域に隠れていないという、特定のオブジェクトタイプ(例えば、歩行者の95%)に対する所望の信頼レベルで結論付けることを許容するのに十分に低いとの決定に対応し得る。
【0077】
[0081]幾つかの例において、動作816および818の間または後に、知覚エンジン110は、自律車両102の軌道を決定し得、および/または、自律車両102を制御するために追加の特徴(例えば、CAS、リモート操作、自律走行機能など)をアクティブ化または非アクティブ化し得る。例えば、知覚エンジン110は、動作614の技術と同様または同一の技術を使用して、環境内の走行可能な領域および走行可能でない領域の決定に基づき、自律車両を制御し得る。追加的に、上述した特定の例は、歩行者が領域内のレーダノイズレベルによって隠されるであろう確率を決定することに関して説明されるが、他の例においては、異なるオブジェクトタイプの確率を決定するために、類似または同一の技術が使用され得る。例えば、知覚エンジン110は、異なるオブジェクトタイプについて定義された異なる走行可能および走行可能でない表面を有する異なるグリッドマップを決定し得る。
【0078】
[0082]図9は、本明細書において説明される技術を実装するための例示的なシステム900のブロック図を示す。少なくとも1つの例示において、システム900は、車両902を含むことが可能であり、その車両902は、オブジェクト知覚および予測機能、経路計画および/または最適化を実行するように構成された自律または半自律の車両に対応することが可能である。以下に説明されるように、車両902は、レーダノイズ内において潜在的に隠されたオブジェクトを検出するためにレーダ検出を分析するように構成されたコンポーネントを含み得る。例えば、車両902は、上述の自律車両102と類似または同一であり得、知覚エンジン110、予測および/または計画コンポーネント、レーダ応答閾値コンポーネント112、レーダノイズ推定器114および/または閾値評価コンポーネント116と類似または同一のコンポーネントを含み得る。例示的な車両902は、ドライバ(または、乗員)がいかなる時においても車両を制御することが期待されない状況において、全体の走行に対して全てのセーフティクリティカル機能を実施可能な車両を記述する、米国運輸省道路交通安全局によって発行されたレベル5の分類に従って動作するように構成された自律車両のようなドライバ不在の車両とすることが可能である。このような例において、車両902は、全ての駐車機能を含む、移動の開始から完了までの全機能を制御するように構成されることが可能であるため、ドライバ、および/または、ステアリングホイール、加速ペダルおよび/またはブレーキペダルといった、車両902を走行するための制御を含まなくてもよい。これは単なる一例であり、本明細書において説明するシステムおよび方法は、いつでもドライバが手動で制御する必要のある車両から、部分的または完全に自律的に制御される車両までを含む、あらゆる地上走行型、空中走行型、または水上走行型の車両に組み込まれ得る。
【0079】
[0083]この例において、車両902は、車両コンピューティングデバイス904、1つまたは複数のセンサシステム906、1つまたは複数のエミッタ908、1つまたは複数の通信接続910、少なくとも1つの直接接続912、および、1つまたは複数の駆動システム914を含むことが可能である。
【0080】
[0084]車両コンピューティングデバイス904は、1つまたは複数のプロセッサ916、および、1つまたは複数のプロセッサ916と通信可能に結合されたメモリ918を含むことが可能である。図示の例において、車両902は、自律車両であるが、車両902は、他のタイプの車両またはロボットプラットフォームであることが可能である。図示の例において、車両コンピューティングデバイス904のメモリ918は、位置特定コンポーネント920、知覚コンポーネント922、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、閾値評価コンポーネント926、1つまたは複数のマップ928、1つまたは複数のシステムコントローラ930、予測コンポーネント932、および、計画コンポーネント934を記憶する。例示目的のためにメモリ918に存在するものとして図9に示されているが、位置特定コンポーネント920、知覚コンポーネント922、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、閾値評価コンポーネント926、マップ928、システムコントローラ930、予測コンポーネント932、および、計画コンポーネント934のうちの1つまたは複数は、追加的または代替的に、車両902にアクセス可能であり得る(例えば、車両902から離れたメモリ、そうでなければ車両902によってアクセス可能なメモリに記憶される)。
【0081】
[0085]少なくとも1つの例において、位置特定コンポーネント920は、車両902の位置および/または向き(例えば、x-、y-、z-位置、ロール、ピッチ、または、ヨーのうちの1つまたは複数)を決定するために、センサシステム906からデータを受信する機能を含むことが可能である。例えば、位置特定コンポーネント920は、環境のマップを含むこと、および/または、要求/受信することが可能であり、マップ内において自律車両の位置および/または向きを継続的に決定することが可能である。幾つかの例において、位置特定コンポーネント920は、SLAM(同時の位置特定およびマッピング)、CLAMS(同時に、キャリブレーション、位置特定およびマッピング)、相対SLAM、バンドル調整、非線形最小二乗最適化などを利用して、画像データ、ライダデータ、レーダデータ、飛行時間データ、IMUデータ、GPSデータ、ホイールエンコーダーデータなどを受信し、自律車両の位置を正確に決定することが可能である。幾つかの例において、位置特定コンポーネント920は、本明細書において論じられるように、自律車両の初期位置を決定するためのデータを車両902の様々なコンポーネントに提供して、軌道を生成すること、および/または、オブジェクトが1つまたは複数の横断歩道領域に近接していることを決定すること、および/または、候補基準ラインを識別することが可能である。
【0082】
[0086]幾つかの例において、知覚コンポーネント922は、オブジェクトの検出、セグメンテーション、および/または、分類を実施するための機能を含むことが可能である。幾つかの例において、知覚コンポーネント922は、知覚エンジン110と類似または同一であってもよく、車両902に近接しているエンティティの存在、および/または、エンティティのタイプ(例えば、車、歩行者、自転車、動物、建物、木、路面、縁石、歩道、停止信号、停止標識、未知のものなど)としてのエンティティの分類を示す処理済みセンサデータを提供することが可能である。追加的または代替的な例において、知覚コンポーネント922は、検出されたエンティティ(例えば、追跡されたオブジェクト)および/またはエンティティが配置されている環境に関連付けられた1つまたは複数の特性を示す処理済みセンサデータを提供することが可能である。幾つかの例において、エンティティに関連付けられた特性は、限定されないが、x位置(グローバルおよび/またはローカルな位置)、y位置(グローバルおよび/またはローカルな位置)、z位置(グローバルおよび/またはローカルな位置)、向き(例えば、ロール、ピッチ、ヨー)、エンティティタイプ(例えば、分類)、エンティティの速度、エンティティの加速度、エンティティの範囲(サイズ)などを含むことが可能である。環境に関連付けられた特性は、限定されないが、環境内の他のエンティティの存在、環境内の他のエンティティの状態、時刻、曜日、季節、気象条件、暗さ/明るさの指標などを含むことが可能である。
【0083】
[0087]この例に示されるように、知覚コンポーネント922は、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、および/または、閾値評価コンポーネント926を含むことが可能である。レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、および、閾値評価コンポーネント926は、上述したレーダ応答閾値コンポーネント112、レーダノイズ推定器114、および、閾値評価コンポーネント116と類似または同一の機能を実施し得る。例えば、レーダ応答閾値コンポーネント924は、走行環境において動作中に自律車両902によって適用され得るレーダ応答閾値を決定するように構成され得る。レーダノイズ推定器925は、車両902上の1つまたは複数のレーダデバイスによるオブジェクトの検出に基づいて、レーダノイズ(例えば、RCSノイズおよび/またはドップラーノイズ)の推定を決定するように構成され得る。上述したように、レーダノイズは、レーダ送信信号に応答して受信されたサイドローブレベルに基づき得る。ターゲット検出に近い位置におけるレーダノイズは、ターゲット検出と位置との間のレンジ差、ターゲット検出と位置との間のドップラー差、および、ターゲット検出の電力(例えば、強度)に基づいてもよい。閾値評価コンポーネント926は、特定のタイプのオブジェクト(例えば、歩行者、自転車、動物、車など)に関連付けられたレーダ応答閾値(例えば、RCSおよび/またはドップラー閾値)を決定および/または記憶し得る。上述したように、レーダ応答のオブジェクトタイプ固有の閾値は、オブジェクト固有のRCSおよびドップラー分布に基づくことが可能であり、位置がオブジェクトタイプの隠されたオブジェクトを含まないという所望の確率に基づいて調整されることが可能である。知覚コンポーネント922は、閾値を修正および調整し、閾値を様々な位置における推定レーダノイズと比較して、車両902の周囲の走行可能および/または走行可能でない表面を決定する機能を含んでよい。この例に示されるように、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、および/または、閾値評価コンポーネント926は、知覚コンポーネント922内に実装され得る。しかしながら、他の例において、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、および/または、閾値評価コンポーネント926のうちの1つまたは複数は、予測コンポーネント932内、計画コンポーネント934内、または、車両コンピューティングデバイス904内の他の部分に実装されてもよい。
【0084】
[0088]メモリ918は、環境内をナビゲートするために車両902によって使用されることが可能な1つまたは複数のマップ928をさらに含むことが可能である。本開示の目的のために、マップは、トポロジ(交差点など)、道路、山脈、道路、地形、および、環境全般といった環境に関する情報を提供することが可能な、二次元、三次元、またはN次元においてモデル化されたあらゆる数のデータ構造とすることが可能であるが、これらに限定されない。幾つかの例において、マップは、テクスチャ情報(例えば、色情報(例えば、RGB色情報、Lab色情報、HSV/HSL色情報)など)、強度情報(例えば、ライダ情報、レーダ情報など)、空間情報(例えば、環境の特徴に関するベクトル化情報、メッシュに投影された画像データ、個々の「サーフェル」(例えば、個々の色および/または強度に関連付けられたポリゴン))、反射率情報(例えば、鏡面反射率情報、再帰反射率情報、BRDF情報、BSSRDF情報など)を含むことが可能であるが、これらに限定されない。一例において、マップは環境の三次元メッシュを含むことが可能である。幾つかの例において、マップは、マップの個々のタイルが環境の離散的な部分を表すように、タイル形式において記憶されることが可能であり、必要に応じてワーキングメモリにロードされることが可能である。少なくとも1つの例において、1または複数のマップ928は、少なくとも1つのマップ(例えば、画像および/またはメッシュ)を含むことが可能である。
【0085】
[0089]幾つかの例において、車両902は、マップ928に少なくとも部分的に基づいて制御されることが可能である。すなわち、マップ928は、位置特定コンポーネント920、知覚コンポーネント922、予測コンポーネント932、および/または、計画コンポーネント934との関連において使用されて、車両902の位置を決定し、環境内のオブジェクトを識別し、および/または、環境内をナビゲートするための経路および/または軌道を生成することが可能である。
【0086】
[0090]幾つかの例において、1つまたは複数のマップ928は、コンピューティングデバイス938のメモリ942内のように、リモートコンピューティングデバイス上に記憶されることが可能であり、かつ、ネットワーク936を介して車両902にアクセスすることが可能である。幾つかの例において、複数のマップ928は、メモリ942から検索されることが可能であり、例えば、特性(例えば、エンティティのタイプ、時間、曜日、季節など)に基づいて記憶されることが可能である。複数のマップ928を記憶することは、同様のメモリ要件を有することが可能であるが、マップ内のデータがアクセスされることが可能な速度を増加することが可能である。
【0087】
[0091]少なくとも1つの例において、車両コンピューティングデバイス904は、1つまたは複数のシステムコントローラ930を含むことが可能であり、それは、車両902のステアリング、推進、ブレーキ、安全、エミッタ、通信、および、他のシステムを制御するように構成されることが可能である。これらのシステムコントローラ930は、駆動システム914および/または車両902の他のコンポーネントの対応するシステムと通信、および/または、駆動システム914および/または車両902の他のコンポーネントの対応するシステムを制御することが可能である。例えば、計画コンポーネント934は、知覚コンポーネント922によって生成された知覚データ(これは、本明細書において議論されるレーダ空間グリッドおよび/または尤度の何れかを含み得る)に少なくとも部分的に基づいて指示を生成し、指示をシステムコントローラ930に送信し得、システムコントローラ930は、指示に少なくとも部分的に基づいて車両902の動作を制御し得る。幾つかの例において、計画コンポーネント934が、オブジェクトの追跡が「失われた」(例えば、オブジェクトが、LIDARには現れているが、他のオブジェクトによって遮られていないセンサデータにおいてはもはや現れていない)との通知を受信した場合、計画コンポーネント934は、車両902を安全停止させる、および/または、リモート操作支援の要求を送信する指示を生成し得る。
【0088】
[0092]概して、予測コンポーネント932は、環境内のオブジェクトに関連付けられた予測情報を生成する機能を含むことが可能である。一例として、予測コンポーネント932は、横断歩道領域を横断する、または横断歩道領域を横断する準備をする際に、環境内の横断歩道領域(またはそうでなければ、道路を横断する歩行者に関連付けられた領域または位置)に近接する歩行者の位置を予測するように実装されることが可能である。他の一例として、本明細書において論じられる技術は、車両902が環境を移動する際に、他のオブジェクト(例えば、車両、自転車、歩行者など)の位置を予測するように実装されることが可能である。幾つかの例において、予測コンポーネント932は、ターゲットオブジェクトおよび/またはターゲットオブジェクトに近接する他のオブジェクトの属性に基づいて、そのようなターゲットオブジェクトについての1つまたは複数の予測位置、予測速度、予測軌道などを生成することが可能である。
【0089】
[0093]概して、計画コンポーネント934は、環境を移動するために車両902が従うパスを決定することが可能である。計画コンポーネント934は、様々な経路および軌道、および、様々な詳細レベルを決定することが可能である。例えば、計画コンポーネント934は、第1の位置(例えば、現在位置)から第2の位置(例えば、目標位置)まで移動する経路を決定することが可能である。この議論の目的のために、経路は、2つの位置の間を移動するためのウェイポイントのシーケンスであり得る。非限定的な例として、ウェイポイントは、通り、交差点、全地球測位システム(GPS)座標などを含む。さらに、計画コンポーネント934は、第1の位置から第2の位置までの経路の少なくとも一部に沿って自律車両を誘導するための命令を生成することが可能である。少なくとも1つの例において、計画コンポーネント934は、ウェイポイントのシーケンスにおける第1のウェイポイントからウェイポイントのシーケンスにおける第2のウェイポイントへ自律車両をどのように誘導するかを決定することが可能である。幾つかの例において、指示は、軌道または軌道の一部とすることが可能である。幾つかの例において、複数の軌道は、後退水平線技法に従って実質的に同時に(例えば、技術的な許容範囲内において)生成されることが可能であり、複数の軌道のうちの1つが、車両902をナビゲートするために選択される。
【0090】
[0094]幾つかの例において、計画コンポーネント934は、環境内のオブジェクトに関連付けられた予測位置に少なくとも部分的に基づいて、車両902の1つまたは複数の軌道を生成することが可能である。幾つかの例において、計画コンポーネント934は、線形時間論理および/または信号時間論理といった時間論理を使用して、車両902の1つまたは複数の軌道を評価することが可能である。
【0091】
[0095]理解できるように、本明細書において論じられるコンポーネント(例えば、位置特定コンポーネント920、知覚コンポーネント922、1つまたは複数のマップ928、1つまたは複数のシステムコントローラ930、予測コンポーネント932、および計画コンポーネント934)は、例示目的のために分割されたものとして説明される。しかしながら、様々なコンポーネントによって実施されるオペレーションは、あらゆるコンポーネントにおいて組み合わされ、または実施されることが可能である。さらに、ソフトウェアにおいて実装されるとして説明したあらゆるコンポーネントは、ハードウェアにおいて実装されることが可能であり、その逆もまた可能である。さらに、車両902に実装されるあらゆる機能は、コンピューティングデバイス938内または他のコンポーネント内(およびその逆)に実装されることが可能である。
【0092】
[0096]少なくとも1つの例において、センサシステム906は、飛行時間センサ、ライダセンサ、レーダデバイスおよび/またはレーダセンサ、超音波トランスデューサ、ソナーセンサ、位置センサ(例えば、GPS、コンパスなど)、慣性センサ(例えば、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、磁力計、ジャイロスコープなど)、カメラ(RGB、IR、強度、深度など)、マイクロフォン、ホイールエンコーダ、環境センサ(温度センサ、湿度センサ、光センサ、圧力センサなど)などを含むことが可能である。センサシステム906は、これらのセンサまたは他のタイプのセンサのそれぞれの複数のインスタンスを含むことが可能である。例えば、飛行時間センサは、車両902のコーナー、フロント、バック、サイド、および/または、トップに配置された個々の飛行時間センサを含むことが可能である。他の例として、カメラセンサは、車両902の外部および/または内部についての様々な位置に配置された複数のカメラを含むことが可能である。センサシステム906は、車両コンピューティングデバイス904への入力を提供することが可能である。追加的または代替的に、センサシステム906は、1つまたは複数のネットワーク936を介して、センサデータを、特定の頻度、所定期間の経過後、ほぼリアルタイムなどで、1つまたは複数のコンピューティングデバイス938に送信することが可能である。
【0093】
[0097]車両902はまた、上述したように、光および/または音を発する1つまたは複数のエミッタ908を含むことが可能である。エミッタ908は、この例において、車両902の乗客とコミュニケーションをとる内部オーディオおよび視覚エミッタを含む。例示目的であって限定ではなく、内部エミッタは、スピーカ、ライト、サイン、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、触覚エミッタ(例えば、振動および/またはフォースフィードバック)、機械式アクチュエータ(例えば、シートベルトテンショナ、シートポジショナ、ヘッドレストポジショナなど)などを含むことが可能である。エミッタ908は、この例において、外部エミッタを含むことも可能である。例示目的であって限定ではなく、この例における外部エミッタは、移動の方向を知らせるライト、または車両のアクションの他のインジケータ(例えば、インジケータライト、サイン、ライトアレイなど)、並びに、歩行者または他の近傍の車両と音響によってコミュニケーションをとるための1つまたは複数のオーディオエミッタ(例えば、スピーカ、スピーカアレイ、ホーンなど)を含み、その1つまたは複数は、音響ビームステアリング技術を含む。
【0094】
[0098]車両902はまた、車両902と1つまたは複数の他のローカルまたはリモートのコンピューティングデバイスとの間の通信を可能にする1つまたは複数の通信接続910を含むことが可能である。例えば、通信接続910は、車両902および/または駆動システム914上の他のローカルコンピューティングデバイスとの通信を容易にすることが可能である。また、通信接続910は、車両が他の近くのコンピューティングデバイス(例えば、他の近くの車両、交通信号機など)と通信することを許容することが可能である。通信接続910はまた、車両902がリモート操作コンピューティングデバイスまたは他のリモートサービスと通信することを可能にする。
【0095】
[0099]通信接続910は、車両コンピューティングデバイス904を他のコンピューティングデバイス、または、ネットワーク936のようなネットワークに接続するための物理的および/または論理的なインタフェースを含むことが可能である。例えば、通信接続910は、IEEE802.11規格によって定義される周波数を介するようなWi-Fi(登録商標)ベースの通信、Bluetooth(登録商標)のような近距離無線周波数、セルラー通信(例えば、2G、3G、4G、4G LTE、5Gなど)、または、各コンピューティングデバイスが他のコンピューティングデバイスとインタフェースすることを可能にするあらゆる適切な有線または無線の通信プロトコルを有効にすることが可能である。
【0096】
[00100]少なくとも1つの例において、車両902は、1つまたは複数の駆動システム914を含むことが可能である。車両902は、単一の駆動システム914を有することも可能であるし、複数の駆動システム914を有することも可能である。少なくとも1つの例において、車両902が複数の駆動システム914を有する場合、個々の駆動システム914を車両902の対向する端部(例えば、フロントおよびリアなど)に配置することが可能である。少なくとも1つの例において、駆動システム914は、駆動システム914および/または車両902の周囲の状況を検出するための1つまたは複数のセンサシステムを含むことが可能である。例示目的であって限定ではなく、センサシステムは、駆動モジュールのホイールの回転を感知するための1つまたは複数のホイールエンコーダ(例えば、ロータリエンコーダ)、駆動モジュールの向きおよび加速度を測定するための慣性センサ(例えば、慣性測定ユニット、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計など)、カメラまたは他の画像センサ、駆動システムの周囲のオブジェクトを音響的に検出するための超音波センサ、ライダセンサ、レーダセンサなどを含むことが可能である。ホイールエンコーダのような幾つかのセンサは、駆動システム914に固有とすることが可能である。幾つかのケースにおいて、駆動システム914上のセンサシステムは、車両902の対応するシステム(例えば、センサシステム906)と重複または補完することが可能である。
【0097】
[00101]駆動システム914は、高電圧バッテリ、車両を推進させるモータ、バッテリからの直流を他の車両システムによって使用するための交流に変換するインバータ、ステアリングモータおよびステアリングラック(これは電気式とすることが可能である)を含むステアリングシステム、油圧式または電気式のアクチュエータを含むブレーキシステム、油圧式および/または空気圧式のコンポーネントを含むサスペンションシステム、トラクションの損失を緩和し制御を維持するためにブレーキ力を分配するための安定性制御システム、HVACシステム、ライト(例えば、車両の外部周囲を照らすヘッド/テールライトのようなライト)、および、1つまたは複数のその他のシステム(例えば、冷却システム、安全システム、車載充電システム、DC/DCコンバータ、高電圧ジャンクション、高電圧ケーブル、充電システム、充電ポートといった、その他の電気部品)を含むことが可能である。追加的に、駆動システム914は、センサシステムからデータを受信かつ前処理して様々な車両システムの動作を制御することが可能な駆動システムコントローラを含むことが可能である。幾つかの例において、駆動システムコントローラは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサと通信可能に結合されたメモリとを含むことが可能である。メモリは、駆動システム914の様々な機能を実施するための1つまたは複数のコンポーネントを記憶することが可能である。さらに、駆動システム914は、各駆動システムによる1つまたは複数の他のローカルまたはリモートのコンピューティングデバイスとの通信を可能にする1つまたは複数の通信接続を含むことも可能である。
【0098】
[00102]少なくとも1つの例において、直接接続912は、1つまたは複数の駆動システム914を車両902のボディと結合するための物理的なインタフェースを提供することが可能である。例えば、直接接続912は、駆動システム914と車両との間のエネルギー、流体、空気、データなどの伝達を許容することが可能である。幾つかの例において、直接接続912は、駆動システム914を車両902のボディに解放可能に固定することが可能である。
【0099】
[00103]少なくとも1つの例において、位置特定コンポーネント920、知覚コンポーネント922、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925、閾値評価コンポーネント926、1つまたは複数のマップ928、1つまたは複数のシステムコントローラ930、予測コンポーネント932、および、計画コンポーネント934は、上述したように、センサデータを処理することが可能であり、1つまたは複数のネットワーク936を介して1つまたは複数のコンピューティングデバイス938にそれぞれの出力を送信することが可能である。少なくとも1つの例において、コンポーネントのそれぞれの出力は、特定の頻度、所定の期間の経過後、ほぼリアルタイムなどで、1つまたは複数のコンピューティングデバイス938に送信されることが可能である。追加的または代替的に、車両902は、未加工のセンサデータ、処理済みセンサデータ、および/または、センサデータの表現を含むセンサデータを、ネットワーク936を介して1つまたは複数のコンピューティングデバイス938に送信することが可能である。そのようなセンサデータは、特定の頻度、所定の期間の経過後、ほぼリアルタイムなどで、1つまたは複数のログファイルとしてコンピューティングデバイス938に送信されることが可能である。
【0100】
[00104]コンピューティングデバイス938は、プロセッサ940と、1つまたは複数のレーダ応答オブジェクトプロファイル944および/または車両安全メトリック946を記憶するメモリ942とを含むことが可能である。上述したように、レーダ応答オブジェクトプロファイル944は、様々な異なるオブジェクトタイプ(例えば、歩行者、自転車、動物、車など)に関連付けられた応答データ(例えば、RSCデータおよび/またはドップラーデータ)を含み得る。レーダ応答オブジェクトプロファイル944は、異なるオブジェクトタイプに関連付けられた個々の値、分布、および/または、確率もしくは信頼メトリックを含み得る。車両安全メトリック946は、衝突1回あたりのマイル、傷害または死亡率の推定値といった衝突および安全メトリックを含み得る。様々な例において、コンピューティングデバイス938は、車両安全メトリック946および/または車両902および/または環境内において動作する追加の車両から受信したログデータに基づいて、レーダ応答オブジェクトプロファイル944を決定するために、1つまたは複数のヒューリスティックベースのシステムおよび/またはニューラルネットワークモデルを実装し得る。追加的に、レーダ応答閾値コンポーネント924、レーダノイズ推定器925(例えば、レーダ検出に基づいて推定レーダノイズを決定する)および/または閾値評価コンポーネント926(例えば、オブジェクトタイプ固有の確率および閾値を決定する)に関連して説明した、あらゆる特徴または機能は、ヒューリスティクスベースの技術、および/または、ニューラルネットワークモデルおよびアルゴリズムを使用して実施されてもよい。この例において、ニューラルネットワークは、入力データを一連の接続された層に通して出力を生成するアルゴリズムである。ニューラルネットワークの個々の層は、他のニューラルネットワークを構成することも可能であり、あらゆる数の層(畳み込み型であるか否かを問わない)を構成することも可能である。本開示の文脈において理解できるように、ニューラルネットワークは、機械学習を利用することが可能であり、これは、学習済みパラメータに基づいて出力が生成されるようなアルゴリズムの広範なクラスを指すことが可能である。あらゆるタイプの機械学習を、本開示と合致して使用されることが可能である。
【0101】
[00105]車両902のプロセッサ916およびコンピューティングデバイス938のプロセッサ940は、本明細書に記載されるように、データを処理し、かつ、動作を実行するための命令を実行することが可能な、あらゆる適切なプロセッサとすることが可能である。例示目的であって限定ではなく、プロセッサ916および940は、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、または、電子データを処理して当該電子データをレジスタおよび/またはメモリに記憶されることが可能な他の電子データに変換するあらゆる他のデバイスまたはデバイスの部分を含むことが可能である。幾つかの例において、集積回路(例えば、ASICなど)、ゲートアレイ(例えば、FPGAなど)、および、他のハードウェアデバイスはまた、それらがエンコードされた命令を実装するように構成される限り、プロセッサと考えることが可能である。
【0102】
[00106]メモリ918および942は、非一時的なコンピュータ可読媒体の例である。メモリ918および942は、オペレーティングシステム、および、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーション、命令、プログラム、および/または、本明細書において説明する方法および様々なシステムに起因する機能を実装するためのデータを記憶することが可能である。様々な実装において、メモリは、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、または、情報を記憶することが可能なあらゆる他のタイプのメモリといった、あらゆる適切なメモリ技術を使用して実装することが可能である。本明細書において記載される、アーキテクチャ、システム、および個々の要素は、他の多くの論理的、プログラム的、および、物理的なコンポーネントを含むことが可能であり、そのうちの添付の図面に示されるものは、本明細書における議論に関連した単なる例示にすぎない。
【0103】
[00107]図9は、分散システムとして示されているが、代替例において、車両902のコンポーネントは、コンピューティングデバイス938に関連付けられることが可能であり、および/または、コンピューティングデバイス938のコンポーネントは、車両902に関連付けられることが可能であることに留意されたい。すなわち、車両902は、コンピューティングデバイス938に関連付けられた1つまたは複数の機能を実施することが可能であり、逆もまた同様である。
【0104】
例示節
[00108]A.1つまたは複数のプロセッサと、コンピュータ実行可能な命令を記憶する1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備えるシステムであって、前記命令が実行されると、前記システムに、環境内において動作する車両に関連付けられたレーダデバイスからレーダデータを受信することであって、前記レーダデータは、前記環境内の第1の位置に関連付けられた検出を示すことと、前記レーダデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第2の位置に関連付けられたレーダノイズレベルを決定することと、前記車両に関連付けられた車両安全メトリックを決定することと、前記車両安全メトリックに少なくとも部分的に基づいて、レーダ応答閾値を決定することと、前記レーダ応答閾値を前記第2の位置に関連付けられた前記レーダノイズレベルと比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記車両の軌道を生成することと、を含む動作を実行させる、システム。
【0105】
[00109]B.前記車両安全メトリックは、オブジェクトタイプに関連付けられ、かつ、前記レーダ応答閾値を決定することは、前記オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づく、パラグラフAに記載のシステム。
【0106】
[00110]C.前記レーダ応答閾値を決定することは、前記レーダ応答閾値に関連付けられた第1の数の偽陽性検出を決定することと、前記レーダ応答閾値に関連付けられた第2の数の偽陰性検出を決定することと、前記レーダ応答閾値に関連付けられた第3の数の真陽性検出を決定することと、前記レーダ応答閾値に関連付けられた第3の数の真陰性検出を決定することと、を含む、パラグラフAに記載のシステム。
【0107】
[00111]D.前記動作は、前記レーダデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第3の位置に関連付けられた第2のレーダノイズレベルを決定することであって、前記車両の軌道を生成することは、前記第2の位置を除外し、かつ、前記第3の位置を含む軌道を生成することであって、前記第2の位置に関連付けられた前記レーダノイズレベルがレーダ応答閾値を満たすか、または超えると決定することと、前記第3の位置に関連付けられた前記第2のレーダノイズレベルがレーダ応答閾値を下回ると決定することと、に少なくとも部分的に基づいて、決定することと、をさらに含む、パラグラフAに記載のシステム。
【0108】
[00112]E.前記動作は、前記車両に関連付けられた走行可能な表面メトリックを決定することをさらに含み、前記レーダ応答閾値を決定することは、前記走行可能な表面メトリックに少なくとも部分的に基づく、パラグラフAに記載のシステム。
【0109】
[00113]F.環境内の領域に関連付けられたレーダデータを受信することと、前記領域に関連付けられたレーダノイズデータを決定することと、車両のレーダ応答閾値および前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダデータを評価することであって、前記レーダ応答閾値は、車両安全メトリックに少なくとも部分的に基づくことと、前記レーダ応答閾値および前記レーダデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、を含む方法。
【0110】
[00114]G.前記車両安全メトリックは、第1のオブジェクトタイプに関連付けられ、前記方法は、前記レーダノイズデータおよび前記第1のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置において前記第1のオブジェクトタイプのオブジェクトを検出することに関連付けられた確率を決定することと、前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、をさらに含む、パラグラフFに記載の方法。
【0111】
[00115]H.第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答閾値を、前記レーダノイズデータおよび前記第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて決定することと、前記レーダノイズデータおよび前記第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の位置において前記第2のオブジェクトタイプの第2のオブジェクトを検出することに関連付けられた第2の確率を決定することと、をさらに含む、パラグラフGに記載の方法。
【0112】
[00116]I.第1のレーダ応答閾値を決定することと、前記第1のレーダ応答閾値に関連付けられた第1の数の偽陽性レーダ検出および第1の数の偽陰性レーダ検出を決定することと、第2のレーダ応答閾値を決定することと、前記第2のレーダ応答閾値に関連付けられた第2の数の偽陽性レーダ検出および第2の数の偽陰性レーダ検出を決定することと、前記第1の数の偽陽性レーダ検出および前記第2の数の偽陽性レーダ検出、並びに、前記第1の数の偽陰性レーダ検出および前記第2の数の偽陰性レーダ検出に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のレーダ応答閾値または前記第2のレーダ応答閾値の何れかを前記レーダ応答閾値として決定することと、をさらに含む、パラグラフFに記載の方法。
【0113】
[00117]J.前記環境内において前記車両を動作させることに関連付けられた走行可能な表面メトリックを決定することと、前記走行可能な表面メトリックに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、をさらに含む、パラグラフFに記載の方法。
【0114】
[00118]K.前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置に関連付けられた第1のレーダノイズレベル、および、前記環境内の第2の位置に関連付けられた第2のレーダノイズレベルを決定することと、前記第1のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を満たすか、または超えると決定すること、および、前記第2のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を下回ると決定すること、に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の位置を除外し、かつ、前記第2の位置を含む前記車両の軌道を生成することと、をさらに含む、パラグラフFに記載の方法。
【0115】
[00119]L.前記レーダノイズデータを決定することは、前記レーダデータに関連付けられた前記環境内の第1の位置を決定することと、前記環境内の第2の位置に関連付けられたレーダノイズレベルを決定することであって、前記第1の位置と前記第2の位置との間のレーダデバイスからの距離の差、および、前記レーダデータに関連付けられた強度測定に少なくとも部分的に基づくことと、を含む、パラグラフFに記載の方法。
【0116】
[00120]M.前記車両に関連付けられた前記レーダデバイスから前記レーダデータを受信することと、前記第2の位置に関連付けられた追加のセンサデータを、前記レーダデバイスとは異なるセンサ手段を有するセンサデバイスから受信することと、前記レーダ応答閾値と前記第2の位置に関連付けられた前記レーダノイズレベルとの比較、および、前記第2の位置に関連付けられた前記追加のセンサデータに少なくとも部分的に基づいて、前記車両の軌道を決定することと、をさらに含む、パラグラフLに記載の方法。
【0117】
[00121]N.第1の環境に関連付けられた第1の車両安全メトリックを決定することと、第2の環境に関連付けられた第2の車両安全メトリックを決定することと、前記車両の動作環境を決定することと、前記車両の前記動作環境に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の車両安全メトリックまたは前記第2の車両安全メトリックの何れかを前記車両安全メトリックとして決定することと、をさらに含む、パラグラフFに記載の方法。
【0118】
[00122]O.プロセッサ実行可能な命令を記憶する1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、環境内の領域に関連付けられたレーダデータを受信することと、前記領域に関連付けられたレーダノイズデータを決定することと、前記車両についてのレーダ応答閾値および前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダデータを評価することであって、前記レーダ応答閾値は、車両安全メトリックに少なくとも部分的に基づくことと、前記レーダ応答閾値および前記レーダデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、を含む動作を実行させる、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0119】
[00123]P.前記車両安全メトリックは、第1のオブジェクトタイプに関連付けられ、前記動作は、前記レーダノイズデータおよび前記第1のオブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置において前記第1のオブジェクトタイプのオブジェクトを検出することに関連付けられた確率を決定することと、前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、をさらに含む、パラグラフOに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0120】
[00124]Q.前記動作は、第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答閾値を、前記レーダノイズデータおよび前記第2のオブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて決定することと、前記レーダノイズデータおよび前記第2のレーダ応答分布に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の位置において前記第2のオブジェクトタイプの第2のオブジェクトを検出することに関連付けられた第2の確率を決定することと、をさらに含む、パラグラフPに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0121】
[00125]R.前記動作は、第1のレーダ応答閾値を決定することと、前記第1のレーダ応答閾値に関連付けられた、第1の数の偽陽性レーダ検出および第1の数の偽陰性レーダ検出を決定することと、第2のレーダ応答閾値を決定することと、前記第2のレーダ応答閾値に関連付けられた、第2の数の偽陽性レーダ検出および第2の数の偽陰性レーダ検出を決定することと、前記第1の数の偽陽性レーダ検出および前記第2の数の偽陽性レーダ検出、並びに、前記第1の数の偽陰性レーダ検出および前記第2の数の偽陰性レーダ検出に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のレーダ応答閾値または前記第2のレーダ応答閾値の何れかを前記レーダ応答閾値として決定することと、をさらに含む、パラグラフOに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0122】
[00126]S.前記動作は、前記環境内において前記車両を動作させることに関連付けられた走行可能な表面メトリックを決定することと、前記走行可能な表面メトリックに少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ応答閾値を決定することと、をさらに含む、パラグラフOに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0123】
[00127]T.前記動作は、前記レーダノイズデータに少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の第1の位置に関連付けられた第1のレーダノイズレベル、および、前記環境内の第2の位置に関連付けられた第2のレーダノイズレベルを決定することと、前記第1のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を満たすか、または超えると決定すること、および、前記第2のレーダノイズレベルが前記レーダ応答閾値を下回ると決定すること、に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の位置を除外し、かつ、前記第2の位置を含む前記車両の軌道を生成することと、をさらに含む、パラグラフOに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0124】
[00128]U.1つまたは複数のプロセッサと、コンピュータ実行可能な命令を記憶する1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備えるシステムであって、前記命令が実行されると、前記システムに、レーダデバイスから第1のレーダデータを受信することであって、前記第1のレーダデータは、環境内の第1のオブジェクトに関連付けられた検出を示し、前記第1のレーダデータは、前記第1のオブジェクトに関連付けられたドップラーデータおよび前記第1のオブジェクトに関連付けられたレーダ反射電力データを含む、ことと、前記レーダデバイスから第2のレーダデータを受信することであって、前記第2のレーダデータは、前記環境内の第2の可能性のあるオブジェクトに関連付けられた検出を示し、前記第2のレーダデータは、前記第2の可能性のあるオブジェクトに関連付けられたドップラーデータおよび前記第2の可能性のあるオブジェクトに関連付けられたレーダ反射電力データを含む、ことと、前記第2の可能性のあるオブジェクトのオブジェクトタイプに基づいて、前記第2のレーダデータに関連付けられた確率分布を決定することと、前記第1のレーダデータと前記第2のレーダデータとの重複を決定することと、前記重複および前記第2のレーダデータに関連付けられた前記確率分布に基づいて、前記第2の可能性のあるオブジェクトが前記環境内の対象物であることを示す前記第2のレーダデータに関連付けられた確率を決定することと、前記第2のレーダデータに関連付けられた前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、を含む動作を実行させる、システム。
【0125】
[00129]V.前記車両を制御することは、前記第2のレーダデータに関連付けられたレーダノイズレベルが、前記オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値を満たすか、または超えると決定することに少なくとも部分的に基づいて、前記第2のレーダデータに関連付けられた位置を除外する軌道を生成することを含む、パラグラフUに記載のシステム。
【0126】
[00130]W.前記動作は、前記第2のレーダデータに関連付けられた第1のレーダノイズレベルおよび第2のレーダノイズレベルを決定することであって、前記第1のレーダノイズレベルは反射電力値であり、前記第2のレーダノイズレベルはドップラー値である、ことと、前記オブジェクトタイプに関連付けられた反射電力分布に少なくとも部分的に基づいて、第1のレーダ応答閾値を決定することと、前記オブジェクトタイプに関連付けられたドップラー分布に少なくとも部分的に基づいて、第2のレーダ応答閾値を決定することとをさらに含み、前記車両を制御することは、前記第1のレーダノイズレベルを前記第1のレーダ応答閾値と比較すること、および、前記第2のレーダノイズレベルを前記第2のレーダ応答閾値と比較すること、に少なくとも部分的に基づく、パラグラフUに記載のシステム。
【0127】
[00131]X.前記第2のレーダデータに関連付けられた前記確率を決定することは、前記第1のレーダデータと前記第2のレーダデータとの間の距離における第1の差を決定することと、前記第1のレーダデータと前記第2のレーダデータとの間のドップラー測定値における第2の差を決定することと、前記第1のレーダデータに関連付けられた強度測定値を決定することと、前記第1の差、前記第2の差、および、前記強度測定値に少なくとも部分的に基づいて、第2のレーダデータに関連付けられたレーダノイズレベルを決定することと、を含む、段落Uに記載のシステム。
【0128】
[00132]Y.前記第2のレーダデータに関連付けられた前記確率を決定することは、前記第2のレーダデータに関連付けられた距離値および方位角値を決定することと、前記距離値および前記方位角値に少なくとも部分的に基づいて、第1の反射電力閾値および第2の反射電力閾値を決定することとを含み、前記第1の反射電力閾値は、第1のドップラー値に関連付けられ、前記第2の反射電力閾値は、第2のドップラー値に関連付けられる、パラグラフUに記載のシステム。
【0129】
[00133]Z.環境内の第1の領域に関連付けられた検出を示すレーダデータを受信することであって、前記レーダデータは、前記検出に関連付けられたドップラーデータを含む、ことと、前記検出に関連付けられた前記ドップラーデータに少なくとも部分的に基づいて、第2の領域に関連付けられたレーダノイズレベルを決定することと、オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値を決定することと、前記第2の領域に関連付けられた前記レーダノイズレベルおよび前記オブジェクトタイプに関連付けられた前記レーダ応答閾値に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、を含む、方法。
【0130】
[00134]AA.前記レーダ応答閾値は、前記オブジェクトタイプに関連付けられたドップラー値、前記オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ断面値、または、前記オブジェクトタイプに関連付けられた反射電力値のうちの少なくとも1つを含む、パラグラフZに記載の方法。
【0131】
[00135]AB.前記レーダ応答閾値は、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第1のドップラー値、および、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ断面値を含む、パラグラフZに記載の方法。
【0132】
[00136]AC.前記第2の領域に関連付けられた前記レーダノイズレベルを決定することは、レーダデバイスから前記第1の領域までの第1の距離と前記レーダデバイスから前記第2の領域までの第2の距離との間の第1の差を決定することと、前記第1の領域と前記第2の領域との間のドップラー測定値における第2の差を決定することと、前記検出に関連付けられた強度測定値を決定することと、を含む、パラグラフZに記載の方法。
【0133】
[00137]AD.前記レーダ応答閾値を決定することは、前記オブジェクトタイプに関連付けられたドップラー分布に少なくとも部分的に基づく、パラグラフZに記載の方法。
【0134】
[00138]AE.前記レーダ応答閾値を決定することは、前記第2の領域に関連付けられた距離値および方位角値を決定することと、前記距離値および前記方位角値に少なくとも部分的に基づいて、第1のレーダ応答閾値および第2のレーダ応答閾値を決定することとを含み、前記第1のレーダ応答閾値は、第1のドップラー値に関連付けられ、前記第2のレーダ応答閾値は第2のドップラー値に関連付けられる、パラグラフZに記載の方法。
【0135】
[00139]AF.前記オブジェクトタイプに関連付けられたドップラー分布に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のレーダ応答閾値に関連付けられた第1の確率を決定すること、および、前記第2のレーダ応答閾値に関連付けられた第2の確率を決定すること、をさらに含む、パラグラフAEに記載の方法。
【0136】
[00140]AG.前記第1の確率および前記第1のレーダ応答閾値に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第1の偽陰性確率を決定することと、前記第2の確率および前記第2のレーダ応答閾値に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第2の偽陰性確率を決定することと、前記第1の偽陰性確率および前記第2の偽陰性確率に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域に関連付けられた第3の偽陰性確率を決定することと、をさらに含む、パラグラフAFに記載の方法。
【0137】
[00141]AH.プロセッサ実行可能な命令を記憶する1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、環境内の第1の領域に関連付けられた検出を示すレーダデータを受信することであって、前記レーダデータは、前記検出に関連付けられたドップラーデータを含む、ことと、前記検出に関連付けられた前記ドップラーデータに少なくとも部分的に基づいて、第2の領域に関連付けられたレーダノイズレベルを決定することと、オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値を決定することと、前記第2の領域に関連付けられた前記レーダノイズレベルおよび前記オブジェクトタイプに関連付けられたレーダ応答閾値に少なくとも部分的に基づいて、前記環境内の車両を制御することと、を含む動作を実行させる、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0138】
[00142]AI.前記レーダ応答閾値は、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第1のドップラー値、および、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第2のレーダ断面値を含む、パラグラフAHに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0139】
[00143]AJ.前記第2の領域に関連付けられた前記レーダノイズレベルを決定することは、レーダデバイスから前記第1の領域までの第1の距離と前記レーダデバイスから前記第2の領域までの第2の距離との間の第1の差を決定することと、前記第1の領域と前記第2の領域との間のドップラー測定値における第2の差を決定することと、前記検出に関連付けられた強度測定値を決定することと、を含む、パラグラフAHに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0140】
[00144]AK.前記レーダ応答閾値を決定することは、前記オブジェクトタイプに関連付けられたドップラー分布に少なくとも部分的に基づく、パラグラフAHに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0141】
[00145]AL.前記レーダ応答閾値を決定することは、前記第2の領域に関連付けられた距離値および方位角値を決定することと、前記距離値および前記方位角値に少なくとも部分的に基づいて、第1のレーダ応答閾値および第2のレーダ応答閾値を決定することとを含み、前記第1のレーダ応答閾値は、第1のドップラー値に関連付けられ、前記第2のレーダ応答閾値は、第2のドップラー値に関連付けられる、パラグラフAHに記載の1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0142】
[00146]AM.前記動作は、前記オブジェクトタイプに関連付けられたドップラー分布に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のレーダ応答閾値に関連付けられた第1の確率を決定すること、および、前記第2のレーダ応答閾値に関連付けられた第2の確率を決定すること、をさらに含む、段落ALに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0143】
[00147]AN.前記動作は、前記第1の確率および前記第1のレーダ応答閾値に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第1の偽陰性確率を決定することと、前記第2の確率および前記第2のレーダ応答閾値に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトタイプに関連付けられた第2の偽陰性確率を決定することと、前記第1の偽陰性確率および前記第2の偽陰性確率に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の領域に関連付けられた第3の偽陰性確率を決定することと、をさらに含む、パラグラフAMに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0144】
[00148]上述した例示節は、特定の実装に関して記載されるが、本明細書の文脈において、例示節の内容は、方法、デバイス、システム、コンピュータ可読媒体、および/または、他の実装を介して実装されることが可能であることを理解すべきである。追加的に、AからANの例示の何れかは、単独で、またはAからANの他の何れか1つまたは複数と組み合わせて実装され得る。
【0145】
まとめ
[00149]本明細書において記載した技術の1つまたは複数の例を説明したが、その様々な変更、追加、並べ替えおよび等価物は、本明細書において記載した技術の範囲内に含まれる。理解できるように、本明細書において論じたコンポーネントは、例示目的において分割されたものとして記載される。しかしながら、様々なコンポーネントによって実施される動作は、あらゆる他のコンポーネントにおいて組み合わせたり、実施したりすることが可能である。また、1つの例または実装に関して論じたコンポーネントまたはステップは、他の例のコンポーネントまたはステップと組み合わせて使用することが可能であることも理解されるべきである。
【0146】
[00150]環境内のオブジェクトの非限定的なリストは、歩行者、動物、サイクリスト、トラック、モーターサイクル、他の車両などを含み得るが、これらに限定されない。環境内のそのようなオブジェクトは、参照フレームに対する全体的なオブジェクトの位置および/または向きを含む「幾何学的姿勢」(本明細書において単に「姿勢」とも称され得る)を有する。幾つかの例において、姿勢は、オブジェクト(例えば、歩行者)の位置、オブジェクトの向き、またはオブジェクトの相対的な付属位置(appendage positions)を示し得る。幾何学的姿勢は、2次元(例えば、x-y座標系を使用して)または3次元(例えば、x-y-zまたは極座標系を使用して)において記述され得、オブジェクトの向き(例えば、ロール、ピッチ、および/または、ヨー)を含み得る。歩行者および動物のような幾つかのオブジェクトはまた、本明細書において「外観姿勢」と称されるものも有する。外観姿勢は、身体の部分(例えば、付属物、頭部、胴体、目、手、足など)の形状および/または位置を含む。本明細書において使用されるように、「姿勢」という用語は、参照フレームに対するオブジェクトの「幾何学的姿勢」と、歩行者、動物、および、身体の部分の形状および/または位置を変更することが可能な他のオブジェクトの場合における「外観姿勢」との両方を指す。幾つかの例において、参照フレームは、車両に対するオブジェクトの位置を記述する2次元または3次元の座標系またはマップを参照して説明される。しかしながら、他の例においては、他の参照フレームが使用され得る。
【0147】
[00151]例示記載において、本明細書の一部を構成する添付図面が参照され、これは、特許請求される主題の特定の例の図示によって示される。他の例を使用することが可能であり、構造的変更のような変更または代替を行うことが可能であることを理解すべきである。このような例、変更、または変形は、必ずしも、意図された特許請求の主題に関する範囲から逸脱するものではない。本明細書におけるステップは、或る順序において提示され得るが、幾つかのケースにおいて、順序は、記載されたシステムの機能および方法を変更することなく、特定の入力が異なる時間または異なる順序で提供されるように変更され得る。開示されたプロシージャもまた、異なる順序で実行され得る。追加的に、本明細書における様々な計算は、開示された順序で実行される必要はなく、計算の代替順序を使用する他の例を容易に実装することが可能である。並べ替えることに加えて、計算は、同じ結果を伴うサブ計算に分解されることも可能である。
【0148】
[00152]主題は、構造的な特徴および/または方法的な動作に固有の言語において記載されているが、添付の特許請求の範囲において定義される主題は、必ずしも記載された特定の特徴または動作に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実装する例示的な形態として開示される。
【0149】
[00153]本明細書において記載されるコンポーネントは、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体に記憶され得、かつ、ソフトウェアおよび/またはハードウェアにおいて実装され得る命令を表す。上述の方法およびプロセスの全ては、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサ、ハードウェア、または、それらの幾つかの組み合わせによって実行されるソフトウェアコードおよび/またはコンピュータ実行可能な命令において具現化され得、それらを介して完全に自動化され得る。幾つかまたは全部の方法は、代替的に、特価されたコンピュータハードウェアにおいて具現化されてもよい。
【0150】
[00154]特に断りのない限り、とりわけ、「may」、「could」、「may」、または「might」などの条件付きの用語は、他の例示が含まない或る特徴、要素および/またはステップを或る例示が含むことを提示するための文脈内において理解される。したがって、そのような条件付きの用語は、一般に、或る特徴、要素および/またはステップが、1つまたは複数の例示にあらゆる方法で要求されるか、またはその1つまたは複数の例示が、ユーザの入力またはプロンプトを用いて、または用いずに、或る特徴、要素および/またはステップがあらゆる具体的な例示に含まれるか、または実行されるべきであるかを判断するための論理を必ずしも含むことを暗示することは意図されていない。
【0151】
[00155]「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」というフレーズのような接続言語は、特に断りのない限り、項目、用語などがX、Y、またはZの何れか、またはそれぞれの要素の集合を含む、それらの任意の組み合わせであってよいと理解されるべきである。単数として明示されていない限り、「a」は、単数および複数を意味する。
【0152】
[00156]本明細書において記載され、および/または、添付図面に描かれたフロー図におけるルーチンの記述、要素またはブロックは、ルーチン内の特定の論理機能または要素を実装するための1つまたは複数のコンピュータ実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を潜在的に表すと理解されるべきである。本明細書において記載した例の範囲内には、当業者であれば理解するように関係する機能に応じて、要素または機能を削除したり、実質的に同期して、逆順に、追加の操作を伴って、または、動作の省略など、図示または説明した順序とは異なる順序で実行する代替的な実装が含まれる。
【0153】
[00157]上述した例には、多くの変形例および修正がなされ得、その要素は、他の許容可能な例に含まれるものとして理解される。全てのそのような修正および変形は、本開示の範囲内において本明細書に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
図1
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【国際調査報告】